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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4
86
:
『伝播のG』
:2020/06/13(土) 22:35:51
>>84
(空織)
「ええ、そうです。
ただ、『プライバシー』を侵害するような事は、
なるべく避けたいですね。
もちろん『そんな場合じゃない』っていうのは、
分かってるつもりなんですけど」
「それに、人の秘密を知って胸にしまっておくっていうのも、
結構しんどいですから……」
美作くるみは『放送関係者』だ。
だからこそ、
人一倍『情報のモラル』には気を遣っているのだろう。
空織の言葉通り、
くるみのスタンドは大きな『武器』に成り得る。
しかし、
『全ての情報機器を隈なく調べる』というような方法では、
それだけで相当な時間を取られてしまう。
彼女の能力を有効に使うためには、
ある程度の『的』を絞る必要があるように思えた。
「アハハ、いいですねえ。
『美少女探偵林檎』――
なかなかイケてるキャッチコピーだと思います」
スタ スタ スタ
「空織さんも大人の風格があってカッコいいですよ。
『小粋なベテラン私立探偵』って感じで」
スタ スタ スタ
空織の冗談に対し、くるみは更に冗談で返してくる。
その合間に自身の能力をくるみに伝え、
彼女の能力も把握しておく。
二階に着くと、前方から一人の男が近付いてくるのが見えた。
>>85
(林檎)
「いえ、鍵は掛けてないわ。
何かトラブルが起きた時に、すぐ対応出来るようにね」
「例えば、本番の五分前に、
『スタジオの電源がクラッシュした』話も聞いた事あるし……。
その時は、出演者とスタッフが全員、
無事なスタジオに全力疾走して間に合わせたそうよ。
そんな大事故は、さすがに『かなりレア』なケースなんだけど」
「そうでなくても、リクエストされた曲を、
『CDライブラリー』に取りに行ったりする事は、よくあるから」
林檎の予想に反して、鍵は掛かっていないようだ。
無用心にも思えるが、不測の事態に備えて、
『即応性』を重視しているという事だろう。
しかし、『マイク』に対する林檎の推測は間違っていない。
触れる事も認識する事もなく、何かが出来るとは考えにくい。
『それらを満たしていたから出来た』と考えるのは、
自然な発想だ。
「あははは……。
でも、私は『探偵』じゃなくて『パーソナリティー』だから。
私も仕事があるから、ずっと一緒にはいられないんだけど、
何かあったら遠慮なく言ってね」
スタ スタ スタ
「『人の秘密を覗き見る』っていうのは、
正直ちょっと気が重いんだけど……」
スタ スタ スタ
「状況が状況だから、ね」
『モラル』に反する行為に対して、
くるみは少々躊躇いがあるようだ。
職業上、『情報の取り扱い』には慎重なのだろう。
彼女の能力は、『証拠の確保』には大きな力を発揮する。
とはいえ、片っ端から調べて回るのは『非効率的』だ。
解決に至るためには『犯人の特定』が必要になってくる。
それを可能にするのは、林檎と空織の『探偵』としての腕前だ。
二階に着くと、前方から一人の男が近付いてくるのが見えた。
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