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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その4

473『伝播のG』:2020/08/30(日) 16:08:49
>>471(林檎)

「…………『ミキシングコンソール』?」

「……知らない。聞いてないわ」

投げ掛けられた言葉に、弥生は怪訝な表情を見せた。
本当に知らないようだ。
林檎が持つ『ホステス』としての経験から、それが分かる。

「もう少しお喋りしたかったけど……」

        クス……

「…………もう行かなきゃ」

弥生がエントランスの掛け時計を一瞥する。
現在の時間は『午後二時半』。
『放送開始』まで、残り『三十分』となった。

「――――じゃあね、可愛い探偵さん」

「ちょっとだけ……元気出た……」

              クス……

「『秘密の約束』…………忘れないで」

そう言い残し、弥生は今度こそ立ち去っていった。
『調査開始』から『四時間半』が経過し、
『放送』までの時間は間近に迫っている。
『グレムリン』が現れた時に備えて、
林檎達も本格的に動かなければならない。

>>472(空織)

「少々お待ち下さい――――」

     ド 
          シ ュ ゥ 
                   ゥ ゥ ッ

空織が部屋を出るより早く、
凄まじい勢いで女性がドアの前に立ち塞がった。
『鉄壁のスマイル』を維持したままで。
鍋島は一足先に退室しており、
空織だけが取り残されてしまった形だ。

            ニコ

「貴重な『ご指摘』を下さり、真にありがとうございます」

            ニコ

「大変恐縮ですが、もう少し詳しくお話頂けますか?」

            ニコ

「私の仕事は『正確さ』が第一ですので」

            ニコ

空織には分かった。
形は違えど、彼女もまた『プロ』なのだ。
彼女のスマイルの裏には『鋼の意思』がある。
たとえ空から槍が降り注いだとしても変わるまい。
そう思わせるだけの『凄み』が感じられる。

     チラ

ふと、腕時計の文字盤が視界に入る。
現在の時間は『午後二時半』だ。
『放送開始』まで、残り『三十分』となった。
時間は常に進んでおり、それには限りがある。
…………『余計な事』をしてしまったかもしれない。


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