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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
201
:
1/5
:2011/11/19(土) 20:49:13 ID:???
【男が「あー、うざってえな、もう」って言ったのをツンデレが自分の事と勘違いしたら】
11月だというのにまだ蚊がいる。しっかりしろ、季節!
「あー、うざってえな、もう」
耳元でぶんぶんうるさいので、手でパタパタとあおぎつつ文句を垂れる。全く、困ったものだ。
とか思ってたら、何やら目の前に驚愕の表情を浮かべた娘が現れた。どうしたのだろう。
「……これは驚いた。タカシがとうとう私に反逆の狼煙を」
目をまん丸にしたちなみが俺に奇妙なことを言う。
「何の話でしょうか」
「ここは一つ二度と逆らわないよう、爪を剥がす必要がありそうだ」
「そんな必要はないです!」
平成の世だというのに拷問に遭う羽目になりそうだったので、必死で説得する。
「……タカシのくせに、私にうざったいとか酷いことを言うから、お返しに酷いことをするしかない、と心に誓っただけだ」
「いやいや、いやいやいや! 思いっきり言葉にしてた! 超怖かったです! やめてください!」
「……分かった。次からはいきなり実行する」
「しまった、対処したら悪化した!」
このままでは俺の指が大変危険なので、ちなみの頭をなでて大人しくさせる。
「……ぷしゅー」
大人しくなった。
「ていうかだな、うざってえと思ったのは蚊に対してであり、ちなみに対しては思っていない」
「……しかし、私はタカシをうざってえと思っている。……困った、これでは両想いになれない」
「そんな両想い聞いたことねえ」
ちなみの頬をむいむい引っ張りながら言う。
「むいむい」
「別に擬音を口に出す必要はないです」
「口に出す?」
202
:
2/5
:2011/11/19(土) 20:49:47 ID:???
「そういう単語だけ抜き出すな!」
『聞いた? 別府くん、ちなみの口に出したんだって』
『うわ、別府くん幼女無双……』
ほら、早速周囲の女学生が俺達を見てひそひそと囁きあってるし。あと、ちなみはちっこいだけで、別に幼女ではない。ていうかなんだ、幼女無双って。
「……世間で話題のカップル?」
「カップルと言うか、俺だけな。しかも、悪い意味で話題のな」
蔑むような視線を背に感じながら、ちなみの頭をなんとなくなでる。
「……幼女無双奥義、なでなでが出た」
「勝手に必殺技にしないでください」
「……これを受けると、どんな幼女も意のままという噂」
「ちなみ、全く理由はないが今日遊びに来ないか!? 素敵な洋服がいっぱいあるぞ!」
「……私は見た目が幼いだけで、実際には幼女ではないので効かないが」
「しまった、俺のコスプレ願望が漏れ出ただけで終わってしまった!」
周囲の囁き声が増えた。これ以上ちなみと関わっていては俺の学校生活がとんでもないことになってしまう。
「……しかし、タカシがどんなコスプレが好きなのか興味があるので、遊びに行ってやってもいい」
「着てくれるの!? じゃ、スク水着て、スク水! ブルマでも可! 裸ランドセルとかもいいなあ! あ、その際にはもちろん靴下着用のこと!」
「……さすが幼女無双、どんな時でも情欲を忘れないそのポリシーには脱帽だ」
周囲の囁き声が囁き声のレベルを超えだした。ていうか、ちなみではなく俺が悪いような気がする。
「ちょっと落ち着こう」
「……私は常に落ち着いてる。タカシが勝手に墓穴を掘っているだけだ」
「ぐぅの音も出やしねえ」
「……タカシいじりを堪能したので、その礼というわけではないが、今日本当に遊びに行ってやってもいい。思うがまま私を着せ替え人形にすればいい」
「マジかっ!? どんな服着てもらおうかなあ!」
「……ただ、裸ランドセルだけは勘弁な」
203
:
3/5
:2011/11/19(土) 20:50:10 ID:???
「ほう。詳しく聞かせてもらおうか、別府」
偶然にも教室に入ってきた教師が冷たい声で俺に伝える。ちなみを見ると、口元だけ笑っていた。罠でした。畜生。
放課後、先生方にたくさんの絞られ、職員室を出ると廊下でちなみが待っていた。
「……おっす、変態」
「誰のせいだ、策士」
「……何のことやら」
「はぁ……いつものことだし、まあいいや。待っててくれたんなら、一緒に帰ろうぜ」
「ん。……約束通り、コスプレしてやる」
「え。……あの、ネタじゃなかったのか?」
「……貧乳のコスプレショーなど見たくない、とタカシは言う」
「言ってねえ! あ、いや、してくれるなら大変嬉しいですが、その、いいのか?」
「……裸ランドセルの際、ばんそうこうを三枚貼る許可をくれるなら」
「しなくていいっ!」
その単語のせいで死ぬほど絞られたんだ、しばらくはいい。ていうか、そもそも冗談だし。
「……ともかく、帰ろ?」
「ん、ああ」
そんなわけで、ちなみと一緒に帰宅。そして。
「……魔女っ子ちなみ、爆誕」
我が家で変な魔女っ子が嬉しそうにポーズを決めているわけで。
「ていうか、元々変な着ぐるみばっか着てたし、そういうの好きだよな」
「……べ、別に好きじゃないし。タカシがどしてもやってほしいって言うからやってるだけだし」
「へーへー」
「……馬鹿にすると、裸ランドセルの状態で叫ぶ」
「ち、ちなみのコスプレはとってもいいなあ!」
この年で捕まりたくない。必死こいてちなみを褒める。
204
:
4/5
:2011/11/19(土) 20:50:35 ID:???
「……これは困った。どうしても私のばんそうこうをできるだけゆっくり剥がしたい、とタカシは言う」
「言ってねえ! そもそも魔女っ子のコスプレだし! それを言うならせめて裸ランドセルになってから言え!」
「……タカシは高校の同級生に裸ランドセルを強要する」
言葉だけ抜き出すとなんて台詞だ。
「お前はさながら悪魔だな」
「……変態に言われても、痛くもかゆくもない。……それより、どう?」
スカートの端を小さくつまみ、ちなみが尋ねる。
「何が」
「……感想を言え、と言っている」
「ん、ああ。大変可愛いです」
「う。……た、タカシって、そういうこと普通に言うよね」
「? 感想を、と言われたから言っただけなのだが……何かまずかったか?」
「だ、だから。……か、可愛いとか」
「ふむ。よく見たら可愛くない」
「えい」(さくり)
「おおおおおっ!?」
ノーモーションで目潰しをされ、痛さのあまり部屋をごろごろ転がる。
「……別に可愛くないと言われたいわけじゃない」
「だからと言って目潰ししないで!」
「……うるさい。ばか」
「いたた……難しい奴め」
「ふん。……でも、そっか。……可愛いと思うんだ」
「見た目は性格を反映しないからいいよね」
「ふっ。ふっ。ふっ」
「やっ、はっ、とっ」
繰り出される目潰しを鮮やかに避ける。
「……よけるな」
「来ると思ってたからな。分かってれば避けるのは容易い」
205
:
5/5
:2011/11/19(土) 20:50:55 ID:???
「……えい」(ちらり)
「おおおおおっ!?」
「……えい」(さくり)
「おおー」
スカートが少しまくりあげられ太ももが露わになった瞬間、目潰し炸裂。おめめがいたいので、またしても部屋をごろんごろん転がる。
「……今日もタカシは馬鹿だ」
「だってあんなことされたら誰だって注視しちゃいますよ!」
「……ごろごろ転がらない。邪魔」
「痛いんです、痛いんです!」
「……じゃ、邪魔だから、これで大人しくなれ」
「お?」
転がってるところを捕獲され、何か柔らかなところに頭が誘導された。
「これはまさかよもや可能性を吟味すれば」
「……長い」(ちょっぷ)
「──膝枕ですかっ!?」
「…………」(ちょっぷちょっぷちょっぷ)
「痛い痛い。鼻を付け狙うな」
まだ視界がぼやけているのでよく分からないが、ちなみの顔がやけに赤いような気がする。
「……と、とにかく。このままじっとしてるなら、もうちょっとだけしてやる」
「任せろ、心臓だって止めてやる!」
「……それは好都合。今すぐ死ね」
「言い過ぎたのを加味したとしても、この魔女っ子は冷たすぎる」
「しね。しーね」
何やら楽しげに人の頬を引っ張るちなみだった。
206
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/19(土) 21:34:18 ID:???
ちなみんかわいいお
207
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/19(土) 22:27:04 ID:???
>>205
GJすぎる可愛すぎる
ただ、こういう強気で偉そうなダウナーさんだと、声が悠木碧で再生されるのはほぼヴィクトリカのせい
208
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/21(月) 23:16:33 ID:???
>>205
ちなみんの裸ランドセル見たい!
>>207
ダウナーなら福圓さんとかもいいと思います!
209
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/22(火) 23:54:33 ID:???
むりやりいい夫婦の日ネタ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2448.jpg
気づいたら裸を描いている…
210
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 00:05:01 ID:???
gj
211
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 00:06:43 ID:???
>>209
俺も背中流してもらいたい
GJ
212
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 07:08:27 ID:???
可愛いいいいいいいいい
髪下ろしてるとこにぐっときた!
213
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 07:12:43 ID:???
>>209
GJ!!
リナ可愛いよリナ
さすがは俺の嫁だ
214
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 16:18:22 ID:???
いや俺のだ
215
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:23:51 ID:VoPSYPf.
なんか無駄に長くなったのでこっちに投下
午後4時49分。今日も妹のおっぱいはちっぱい。
「……とう」
ぶちぶちぃっ!
「ぎゃああああ!!」
いきなりもみあげを千切られた。なんたる理不尽。
「なにすんだこらぁ!」
「……こっちの……セリフ……乙女の……胸をいきなり……触るな……」
あれ? 見ていただけのはずだったのに、いつの間にか誰かに操られていたらしい。くそぅ。
「黒幕は誰だ!」
「……紛れもなく……おにぃ……」
「ばかな! 俺は操られていただけだ!」
もみもみ。
「………………」
ぶちぶち。
「ぎゃあああああああ!」
今度は反対側を千切られた。もの凄く痛い。
「なにすんだ! これじゃあルパン三世になれないじゃないか!」
「……おにぃに……あんな甲斐性も度胸も……ないから……大丈夫……」
今日も妹は厳しい。
「なんだよぉ……ちっぱいなんだからちょっと揉んだって減るどころか増える一方じゃんかよぉ……」
「…………」
「前髪だけは! 前髪だけはご勘弁を!」
迫り来る魔の手から必死に逃げる。
「はぁ……本日も……ウチのおにぃは……バカおにぃ……」
216
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:25:03 ID:VoPSYPf.
おい、なんか川柳みたいになってるぞ。
「……なかなかいい出来……コンクールにでも……応募しよう」
「やめて! 俺のダメさを世間に知らしめないで!」
「……しょうがない……穀潰しに免じて……善処してやる……」
善処ってあれだよね、政治家がやるって言うふりしてやる気がないって言ってるのと同じあれだよね。
「うぅ…………妹が冷たいです……父さん、母さん……」
俺の心はズタボロです。
「…………あ」
「え?」
「……今日……」
「ん?」
「…………」
なにやら突然考え込む我が妹。
と思ったら、いきなり立ち上がってコートを手にとった。
「……腹痛が痛いので……薬局に行ってくる……」
「え? いや具合悪いなら」
「いってくる!」
コートを着てマフラーを巻いてさっさと家から出て行くちなみ。
元気に見えたけど……大丈夫なのか?
〜〜〜〜〜
現在時刻日本標準時間の午後10時。
「………………」
帰ってこない。
電話にも出ない、と言うか奴は電話を置いて行ったので、連絡が取れない。
217
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:26:33 ID:VoPSYPf.
出かけたのが午後の5時ぐらいだったので、とりあえずご飯やらなんやらの準備はしたし、やらなければいけない家事は一通りこなしたが、今だに帰って来ない。
妹の友達とかいろいろ電話してみたが、全員『知らないです』と返された。
心配で近所も探してみたが見つからず、とりあえず家に帰ってきて待機している。
「なにやってんだ……」
事故?病気?事件?拉致?誘拐?レイプ?犯罪に巻き込まれてるとか犯罪を犯したとか……。
警察でも病院でも誘拐犯でもいいから、取り敢えず妹の消息が知りたかった。
〜〜〜〜〜
「……ただ…………いま……」
午後11時16分。
玄関から聞こえた声に一目散に飛んで行った。
「ぁ……ご」
「どこほっつき歩いてたんだこのボケっ!」
いろいろと混乱していた俺は、思わず平手打ちを繰り出していた。
「なにしてんだどこいってたどんだけ心配したかわかってんのかこんな時間まで! せめてケータイぐらい持ってけなんの為にこれがあると思ってんだバカっ!
どっかの駅で公衆電話なりなんなり使って連絡出来ただろうが! 何考えてんだ!」
玄関開けっ放しで大声で怒鳴る。近所迷惑だけどしょうがない。そんなことにかまってる余裕は今は無い。
ちなみは某然として、ぶたれた頬を抑えながら俺を見上げていた。普段こんなに本気で怒ったことがないから、驚いているのかもしれない。
俺が言いたいことを言い切ると、ちなみは俯いて、「……ごめんなさい」としか言わなかった。
バツが悪くなって、へたり込んでるちなみを抱き起こして、テーブルの上に置きっぱなしだったすっかり冷めたメシを食わせて、
汗だくで冷え切った状態のちなみを風呂にいれて、明日は学校があるし早く寝ろとだけ言って俺は自分の部屋にもどった。
ちなみは、一言も話さなかった。
布団に潜り込んで目を瞑ると、さっきの光景が目に浮かぶ。
理由もきかずにぶったりして、あれはダメだった。いくら心配してたからと言って、そのあとのフォローもしなかったし、ぶったことについて謝罪もしなかった。
最低だ。嫌われたかも。今まで結構仲良くやってきたが、もともとそんなに高くもなかった妹の中の俺の評価はガタ落ちだ。
もう明日からは、口も聞いてくれないかもしれない。
そう思うとなんだか辛かった。
〜〜〜〜〜
218
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:27:35 ID:VoPSYPf.
〜〜〜〜〜
午前2時16分。草木も眠る丑三時。
さっきのことでもんもんとして眠れずにいると、誰かが部屋に入ってきた。どうやら妹のようだ。
「……おにぃ……」
「…………」
「……ごめんなさい……」
「…………」
「……今日……じゃなくて昨日……おにぃの誕生日……だって……気付いて……それで……」
「…………」
「……プレゼント……探してたんだけど……いいのが無くて……」
「…………」
「いろいろ……探し……回って……」
「…………」
「……でも……ごめんなさい……遅くなって……心配かけて……」
「…………」
「…………」
「…………」
「……嫌いに……ならないで……ください……」
黙って聞いていられたのはそこまでだった。
布団の中から手を出して、ちなみの腕をつかむ。そしてそのまま、布団の中に引きずりこんで、思いっきり抱きしめた。
「……お、にぃ……?」
「大事だから……あんなに心配してたんだろうが……バカ」
強く、強く、強く。痛いぐらいに、抱きしめる。
「ちなみ、ぶってごめん。痛かったろ」
「……うん……でも……大丈夫……ごめんね……」
「大好きだからな」
「……うん……大好き」
そう言えば、昔も喧嘩した時は、こうやって布団の中で仲直りしたっけなぁ……。
〜〜〜〜〜
219
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:28:23 ID:???
〜〜〜〜〜
翌朝。午前8時35分。
あのまま二人して爆睡してた俺たちは見事寝坊して、兄妹揃って遅刻する羽目になった。
「……おにぃ……遅い……」
「だってお前が髪とかしてくれって言うから……」
「……うるさい……」
「ケータイ持ったか?」
「……ん……そっちこそ……」
「持ってるよ。じゃあ、行くか」
俺の左手と、妹の右手に握られたケータイには、ペアのストラップ。
透明で薄い板状のそれをかさねると、いいものが見れるらしいが、ちなみは結局見せてくれなかった。
そのうち、こっそりと重ねてみようと思いつつ、妹を後ろに乗せて、駅まで自転車を漕ぐ。
220
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:28:50 ID:VoPSYPf.
♡ I LOVE YOU ♡
221
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:29:25 ID:VoPSYPf.
おわり
ほのぼの書こうとしてたのになんなんだ一体
222
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:48:38 ID:???
ひょひょひょええええええええええええ
223
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/24(木) 00:49:38 ID:???
GJ
224
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/24(木) 00:54:34 ID:???
いい兄妹じゃないか
GJ
225
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/24(木) 02:50:54 ID:???
ニヤニヤするのと同時に目から汗が
ちくしょう、ちなみん可愛いよう
226
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:34:56 ID:???
また長くなったー
本スレも落ちてるしこっちに投下
「ただいまー……」 ソロー
「自宅に帰るのにこそこそしおって、何か疚しいことでもあるんかのう?」
「ま、纏……待っててくれたのか?」
「ふん、たまたま目が醒めてしまっただけじゃ」
「ごめんな、部下がデカい失敗して、最近はその後始末で忙しいんだ。多分あと一週間ぐらいはこんぐらいの時間になると思う」
「別に聞いてもおらん言い訳をベラベラと。別にお主がいつ帰ってくるかなんぞ儂には関係ないわ」
「そ、そうか…………悪いけどもう寝るよ。明日も早く出ないといけないから」
「……夕飯はどうするんじゃ」
「あ、ごめん。それも外で食って来たんだ」
「ふん、そうか。ならさっさと寝ろ。明日早くから起こすのも面倒じゃからな」
「そうするよ。おやすみ」
「……おやすみ」
227
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:35:20 ID:VLZRr3oQ
〜〜翌朝〜〜
「ん…………もうこんな時間か……お弁当と朝食の用意を……ん?」
おはよう
ご飯の用意はしておきました
昼は適当に外で食べるから気にすんな
今日も遅くなるから晩飯も先に食べてていいし
わざわざ起きて待ってなくてもいいからな
いってきます
(タカシ)
「…………ふん」
「ご飯どころか、洗濯もしてあるとは、殊勝な心掛けじゃな」
「アイロンも自分でかけられるようになるとは、儂の教育の成果じゃの」
「…………」
「…………ふん」
228
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:35:46 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「…………」
「…………」
「…………」
「ただいまー……」
「……遅いぞ、うつけ」
「あれ、待ってなくてもいいってかいておいたのに……」
「主人の帰りを待つのは嫁の勤めじゃ。それにお主に『旦那の帰りも待てない駄目女』などと噂を立てられてはたまらんしの」
「そんなことしねーよ。ほら、もう寝ようぜ。今日もくったくただからさ」
「風呂には入らんのか」
「ああ、朝にでもシャワー浴びるから大丈夫。もう眠いしさ」
「…………ふん」
229
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:36:14 ID:???
〜〜早朝〜〜
「…………」
今日は昨日よりもっと遅くなりそうだから待ってなくていいぞ
昼も晩飯も適当に食うから心配すんな
(タカシ)
「…………」
「朝ご飯も、の間違いじゃろうが……」
「洗濯も、ついでに風呂まで洗って行きおったな……」
「…………ふん」
230
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:36:43 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「ただいま……」
「…………」
「はぁ……待ってなくていいってば」
「……うるさい」
「仕事のことでお前に迷惑かけたくないんだよ。わかるだろ?」
「…………」
「はぁ……ごめん、もう寝よう」
「…………朝……」
「ん?」
「朝、明日は何時じゃ」
「あー……明日はそんなに早くないから大丈夫だ」
「何時じゃ」
「……えっと、まあ六時半ぐらいに出る感じかな」
「……そうか」
「じゃ、寝るか」
「…………そうじゃな」
231
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:37:24 ID:VLZRr3oQ
〜〜早朝〜〜
「…………」
「こんなもんか……ってあれ、もう起きたのか?」
「……まだ五時じゃぞ」
「ん、ちょっとやること思い出しただけだ。もう少し寝ててもいいぞ」
「…………お主は、そんなに儂が……、…………」
「ん?」
「……もういい、行かねばならんのじゃろう。はよう行け」
「おう、わかった。じゃ、行って来ます」
「…………待て。今日は何時に帰ってくる?」
「ん? え、あー…………わからん、帰ってこないってこともあるかもしれないから、本当に無理して待ってなくても良いからな」
「…………そうか」
「ん、じゃ、いってくる」 バタン
「…………」
「…………」
「……なんで……」
232
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:38:12 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「……はぁ……」
「…………」
「だからさ、ホントに大丈夫だから、待ってなくても。お前みたいな良い嫁さんにケチつけるやつなんていないから」
「…………」
「な? だからさ、明日からは無理して待ってないで先に寝ててくれ」
「……無理などしておらん」
「してるよ。そんなにつかれた顔して、無理してないように全然見えないよ」
「儂は…………無理など……しておらん」
「……わかった。ほら、いいからもう寝よう。な?」
「…………そうじゃな」
233
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:38:32 ID:VLZRr3oQ
〜〜早朝〜〜
「…………」
行って来ます
多分帰れないから戸締りしっかりな
(タカシ)
「…………まだ五時にもなっとらんのに……」
「…………」
「……無理してるのはどっちじゃ…………バカタレ」
234
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:38:52 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「……ただいま……」
「はぁ……今日は流石に先に寝たか……」
「取り敢えず麦茶でも……」 ガチャ
「……これ……夕飯か? わざわざ作って……しかも二人分残ってるし……」
「…………ふむ」
235
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:39:37 ID:VLZRr3oQ
〜〜早朝〜〜
「ん………………、……!」 ガバッ
「タカっ……!」 ガチャ
「…………」
行って来ます
晩飯うまかったよ
ごめんな
(タカシ)
「…………っ……」
「…………ばか……」 グスッ
236
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:40:01 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「…………」
「…………」
「……遅いのう……」
「…………」
「…………」 カクッ
「っ! ……いかんいかん」 フルフル
「…………」
「……早く……来てくれ……」
「…………」
「…………寂しい……」
237
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:40:25 ID:VLZRr3oQ
〜〜深夜〜〜
「…………」
「すぅ…………すぅ…………」
「……待ってなくていいって言ったのに……」 ナデナデ
「ん…………すぅ…………」
「ごめんな……」
238
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:40:47 ID:VLZRr3oQ
〜〜朝〜〜
「ん……」 パチ
「……? 玄関でタカシを待っていたはず……」 キョロキョロ
「…………」
無理すんなって言ったろ
風邪引くぞ
多分今日で一段落するから
晩飯作っておいてくれ
(タカシ)
「……!」
「…………ふ、ふん。しょうのない亭主じゃ。仕方ないから作ってやるとするかの」
「さて、久々に買い物でもいくとするかのう……」
239
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:41:09 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「……つ、つくりずぎたかの……」
「…………」
「ま、まあ良かろう。ウチの亭主は食いしん坊じゃからな。このぐらいペロリと……」
prrrrrr
「なんじゃ? 電話? ……もしもし……あっ、た、タカシか? きょ、今日は何時ごろ」
『ホントにごめん……トラブルがあった先の重役の人に偉い気に入られて……食事に誘われたんだ……』
「は…………は?」
『ホントに悪い……埋め合わせは絶対するから! な? せっかく関係修復したのに下手なことでまた悪化させたら困るからさ……ごめん! ホントに!』
「で、でも…………晩ご飯……」
『ごめんっ! 呼ばれてるからもう切るぞ! ごめんな!』
ブツッ
「…………」
「…………」
「…………」
240
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:41:29 ID:VLZRr3oQ
〜〜深夜〜〜
「ふぃー……ただい、ま……」
「…………」
「な、こ、これ……晩飯?」
「……そうじゃ」
「あの、だからさ、出先で食べるって電話……」
「お主が……お主が作ってくれと言ったんじゃ」
「ごめん……でも……こんなに食えねぇよ」
「そうじゃろうな……知っておる」
「な、ならなんで……」
「…………」
「ほ、ホントにごめん……でもさ、ほ、ほら! お前が前欲しいって言ってたぬいぐるみ! 買ってきたからさ、これで機嫌直してく」
「っ!」
ばしぃっ!!
「いっ…………!? な……」
「……わからんか……そうじゃろう……なぜ儂が怒っているか……わからんじゃろうな」
241
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:41:59 ID:VLZRr3oQ
「だ、だから……約束すっぽかしたから……」
「このうつけが!」
「…………」
「儂が…………儂がどんな思いで……この数日過ごしたと思う……! 無理して働く夫の手伝いをすることもできず……愛する者と触れ合うこともできず……儂が…………
儂がどんなに苦しかったか……! お主にはわかるまい! このうつけ! うつけ! うつけ!!」
「ぁ…………」
「それを……それを……やっと帰ってきたと思えば……ぬいぐるみ……? 儂が欲しがってた……? そんなもの儂は欲しくない!儂が本当に欲しいものがなんだか知りもしないで! 理解しようとも!
考えようともせずに! 女ならプレゼントに釣られてあっさり許すとでも思ったか! このたわけが!」
「…………」
「儂が……どれだけ寂しかったか……虚しかったか……! 何も無かった……何も出来なかった……お主がいないだけで……お主と触れ合えないだけでこんなに……こんなにも……」
「…………」
「そんなもので儂が満たされると思ったか……馬鹿者…………お主でなければ……駄目なんじゃ……お主がいなければ……儂は……儂は…………死んでしまうぞ……ばか……」
「……ごめん」
「……許さんわバカタレ……ばか……ばか……」 グスッ
「…………」 ギュ
「ぅっ…………ぅ……ぅう…………」 グスグス
「ごめんな……お前の気持ち、考えてやれなくて……」 ギュー
242
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:42:34 ID:???
「………………」 グスッ
「どうしたら許してくれる……? なんでもするから……一番大事なのは……纏だからさ」 ナデナデ
「…………明日から一週間休みを取れ」
「……わかった、一週間で良いんだな?」
「そしてずっと儂といて、儂の頼みを何でも聞くんじゃぞ。わかったか?」
「わかった」
「ではまず始めに、あれを全て食べろ」
「え」
「なんじゃ、許して欲しくないのか?」
「いやさすがに今あの量は……」
「そうか……では捨てるしか無いのぅ……せっかく愛する夫のために、腕によりをかけて作ったんじゃがの……食べる者がいないのならそれはもう料理では無いのと同じじゃし……はぁ……捨てるしかないのか」
「わ、わかった! 食べる! 美味しく食べさせていただきます!」
「それで良い。きちんと感想も聞くから、存分に味わって食すように」
「わ、わかった……」
「ふん、まだ許したわけではないんじゃから、勘違いするなよ?」
「わかってるさ……愛してるぞ、纏」
「…………ふん……///」
243
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:43:15 ID:???
おわりー
なんかいっぱい書いてると思ったけど文字数的にはそうでもなかった
244
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:45:14 ID:???
ぐううううううじょぶ!
可愛いー
さぁ一週間のデレデレを書くんじゃ!
245
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 00:35:44 ID:???
GJです
翌日からの一週間はどんな風に過ごしたのか気なるな〜
246
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 00:38:28 ID:???
>>242
なんという嫁だ
これは人生を賭けて幸せにせざるを得ない
247
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 06:49:47 ID:???
>>242
乙ですGJです
まつりさんは何だかんだで一生懸命尽くしてくれるいい嫁だ
248
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 13:46:54 ID:???
まつりん可愛すぎるし言い嫁すぎるよおおおおおおおお
249
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 03:48:48 ID:???
『寒い』
「……」
『寒い寒いさむーい!』
「……お前なんでついてきたんだよ」
『あによ、一人さびしく天体観測なんて可哀想に思って付いてきてやったのにその言い草ー』
「別に俺一人でいいって言ったろうに……」
『むぅー、ありがとうぐらい言いなさいってのよもう! ……ああ、さむっ』
「はぁ、まったく……ほら」グイッ
『えっ……わひゃっ』マフッ
「こうして一緒に羽織れば寒くないだろ」
『あ、うぅ、でも、その……』
「大丈夫だよ、月しか見てねえし、その月ももう隠れる」
『なっ、なにかっこつけてんのよ……ばっかじゃない……』ギュゥ
「ははは……。……ありがとうな、わざわざ付き合ってくれて」
『……ん』マフマフ
夜の静かな時間に二人きりってさぞロマンチックなんだろうなという脳汁だ止まらなかった
書いたはいいがスレが落ちたのですまんがここで供養させてもらう
250
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 12:38:50 ID:???
まさに
月が綺麗ですね
だな
251
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 13:30:57 ID:???
>>249
可愛い
GJ!!
252
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 17:42:17 ID:???
>>249
こういう雰囲気いいなあ…GJ!
253
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:08:01 ID:5JjDN8AM
なんか書ける気がしたから書いた
いくよ!
254
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:08:47 ID:5JjDN8AM
一日目
ピピピピピピピ
「んぁ……今何時…………って、まだ3時じゃん……最近この時間が普通だったからなぁ……」
「流石に纏も起きてないだろうし……寝るか」
〜8:00〜
「…………ぅ」
「…………」 スヤスヤ
「ん…………?」
「…………」 スヤスヤ
「……? なんで纏がここに……?」
「…………ん……ふ……えへへ」 ニヘラ
「…………」
「ぅん…………」 ムニャムニャ
「…………」 ナデナデ
255
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:09:33 ID:???
〜11:00〜
「ふぁ……?」 パチクリ
「ん、起きた?」 ナデナデ
「ん……あれ……? 仕事……」 ペタペタ
「休むって言ったろ? これから一週間ずっと一緒だぞ」 ナデナデ
「そうか……うん……良いコトじゃ……」 ギュウ
「うん、そうだな」 ナデナデ
「…………ん? ……あれ、今何時じゃ?
」
「11時過ぎ」
「!? なんじゃあ!?」 ガバッ
「おう!?」
「馬鹿者! 何故起こさんのじゃ!」 ワタワタ
「いや、今日は家でゆっくりする予定なのかなと……」
「そんなわけあるかもったいない! 儂の完璧な計画が初日でグダグダじゃ!」
「ん? もったいないってなにが?」
「たった一週間しか一緒におれんというのに初日で昼近くまで寝るなど……はっ!」
「ん?」 ニヤニヤ
「んんっ! ごほん! ……今のは違うぞ? 一週間しかこき使えないと言おうとしたんじゃ」
「へー」 ニヤニヤ
「ニヤニヤするな! さっさと着替えろ!」 ベシッ
「あだっ! どっか行くのか?」
「もちろん、こき使うと言ったじゃろう? ショッピングじゃ!」
256
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:10:18 ID:5JjDN8AM
〜12:40〜
「どうじゃ? 似合うかの?」
「うん、白い着物もやっぱ似合うな。綺麗な黒い髪がよく映える」
「そうじゃろうそうじゃろう」 フフン
「成人式用ですか? だいぶお気が早いですね〜」 ←店員
「ん? え? あ、いえ、こいつは」
「誰が成人式じゃ! 儂は2○じゃぞ!」
「ぅえっ!? うそっ! あ、いえ! も申し訳ありません!」
「ふん!」
「まあそう怒るなって、纏がそれだけ若くて綺麗ってコトだろ?」
「……ふん……! ///」
「(なんか惚気始まった……)」
257
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:11:09 ID:5JjDN8AM
〜13:30〜
「思ったよりずっと美味いなこの店」
「そうじゃな」 モグモグ
「ほれ、こっちも美味いぞ」
「んむ……しかし、こんな洒落た店、いつの間に見つけたんじゃ?」 モグモグ
「ん〜昨日までここら辺ぐるぐるあっちいったりこっちいったりしてたから、そん時に見つけたんだよ」
「ふーん……」 モグモグ
「纏も気に入ってくれたみたいだし、忙しいのも悪いコトばっかりじゃなかったかな、なーんて」
「……」 ギリギリギリギリギリギリギリ
「いでででででで!! ごめん!ごめん! そんなコトなかった! ごめん!」
「ふん……反省が足りんようじゃの?」
「ごめん、無神経だった、ホントにゴメンなさい」
「これは儂をほったらかしにした埋め合わせじゃぞ? まだ許していないというコトを忘れるな」
「肝に命じておきます」
「宜しい。では、そろそろ帰るかの」
「あれ? まだ着物しか買ってないけど、良いのか?」
「本当はもうちょっといろいろあったんじゃがの、ま、本来この時間には家に帰る予定じゃったし、明日や明後日に回しても問題ないじゃろうて」
「そっか、じゃ、帰るか?」
「うむ」
258
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:12:01 ID:5JjDN8AM
〜14:40〜
「ふう、で、家でなにするんだ?」
「暫し待っておれ、準備をしてくる」
「わかった」
259
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:12:34 ID:???
〜15:20〜
「待たせたの」
「おう、って、それさっき買ったやつじゃん」
「そうじゃ。どうじゃ? 赤も似合うじゃろう」
「うん。可愛い」
「ふぉっ///……ごほん、それではほれ」 ポンポン
「ん? え? 膝枕?」
「お主、耳掃除だいぶサボっておったろう」
「う……じ、時間無くて」
「わかっておる、だからほれ、儂がしてやると言うておる」
「……まじ?」
「マジもマジ大マジじゃ。ほれはよう」
「じゃ、じゃあ失礼して……」 ポスッ
「ふむ、やっぱり溜まっておるのう」 クリクリ
「ん……そうだな……」
「……ほれ、こんなに大きいのが取れたぞ」 クリクリ
「うわ……すげー」
「ふふ……こんなデカい図体しておいて……耳掃除も出来んのか?」 クリクリ
「返す言葉もないな……ていうか、纏耳かきうますぎ」
「そうか? いつも通りじゃろうが」 クリクリ
「うん……いつも上手いよ……眠くなっちまう」
「そうか……ほれ、反対じゃ」 ペチ
「んー……」 ゴロン
「んー、こっちもいっぱいじゃのう」 クリクリ
「……ん……ごめん、寝ていい?」
「仕方がない旦那様じゃのう。終わったら起こすから、それまで寝ておれ」 クリクリ
「ん……さんきゅ……」
「うむ」 クリクリ
260
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:13:09 ID:5JjDN8AM
〜16:20〜
「ん……ふっ…………」 グチュグチュ
「にゃあ!?」 ゾクゾクゾク
「ん、起きたか?」 チュポッ
「な、纏今なにした!?」 ガバッ
「お主がなかなか起きぬから、ちょっと悪戯をの」 ニヤッ
「耳! 耳の中口で犯したろ! めっちゃびびったぞ!」
「お、犯すとはなんじゃ! そんな破廉恥なコトはしておらん!///」
「いやかなりいやらしい舐め方だったぞ! 勃起しちまっただろ!」
「ぼっ……!? なっ!? こ、この変態が! こんな時間になにを言っておる!///」 ベチベチ
「くっ、鎮まれ俺のグングニル……!」
「〜〜〜っ!/// そ、そんなことよりほれ! 夕飯の買い物に行くぞ!」
「え、あ、もうそんな時間か。結構寝ちまったんだな」
「全くじゃ、人の膝でぐーすかと気持ち良さそうに寝おって」
「ごめんごめん。じゃあほら、行こうぜ」
261
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:13:49 ID:5JjDN8AM
〜18:40〜
「いただきまーす」
「頂きます」
「しかし、肉じゃがに味噌汁に塩ジャケに白米とは、随分スタンダードな和食卓だな」 モグモグ
「ふん……夕べいろいろ作りすぎたからの。同じメニューは一週間は続けないのが儂の主義じゃからな」 モグモグ
「ぁ…………その、ご、ごめ」
ばんっ!!
「!?」
「……結婚前に儂は言ったな。『食卓は明るく楽しくあるべきじゃ』と。それだけは何がなんでも守れと」
「あ、ああ」
「ならば……今言うべきことはなんじゃ?」
「ぁ…………うん、今日も美味いよ。ありがとう」
「それで良い」 ズズッ
「うん、好きだよ」
「っ!?」 ブホッ!
「ああっ!? ま、纏!?」
「けほっ……げはっ……! な、なにをいきなり! いいだすっ! げほ……言い出すんじゃ!」
「い、いや、言うべきことって言うから……」
「さ、さっきのありがとうまででよい! い、いきなり、す……スキ……とか、言われたら心臓に悪いじゃろうが!」
「わ、悪い」
「全く……全く……!」 モグモグ
「あ、ところで、明日はどこに行くんだ?」 モグモグ
「む、そうじゃな、取り敢えず……映画でも見に行こうかと思っておる」 モグモグ
「へー、なんか気になるやつでもあるのか?」 モグモグ
「それは……秘密じゃ」 モグモグ
「? そうか」
262
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:14:11 ID:5JjDN8AM
〜21:50〜
「今日の予定は一応終わりじゃが、何かする予定はあるかの?」
「んー、風呂にも入ったし、あとは明日に備えて寝るぐらいかなぁ……」
「そうか、では、寝るとしようかの」 トテトテ
「ん? あれ、そっちは俺のベッド……」
「…………///」 モジモジ
「えっと……」
「……言わせる気か?///」 モジモジ
「え、それって……」
「は…………はようせんか///」 モジモジ
「まっ……纏ぃーー!!」 ガバ
「ひゃあっ!? ちょ、い、いきなりなにするんじゃぁ!!」 ドゲシッ
「ぐぁっ!? な、だって……え、エッチしようってことじゃ無いの?」
「えっ……な、ば、ばか! 儂はただ、い、一緒に寝たいだけじゃ! 万年発情のお主と一緒にするでない!」
「な、なんだそうか…………うん、じゃ、じゃあ寝るか?」
「いや、やっぱり辞める。寝込みを襲われてはかなわんからの」
「さ、さいですか……」 トホホ
「…………じゃあ、お休みなさい」
「うん……お休み」
一日目終了
263
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:14:44 ID:5JjDN8AM
今気づいた
これ、一週間分書くのか俺?
264
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/12(月) 01:21:41 ID:???
>>263
時間かかってもいいから書いてくれ!
ここまででやめるとか生殺しもいいとこだ!全裸で待ってるから!頼むぞ!
265
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/12(月) 02:09:26 ID:???
>>263
こんな所で老成嫁ツンデレとの幸せワールドが見れるとは
まあ、一週間分頑張れwwwwwwwww
266
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/12(月) 12:20:38 ID:???
>>263
まだ1日目だったのかww
あと6日分もよろしくお願いします
267
:
1/3
:2011/12/13(火) 22:05:33 ID:???
【ナコにチャムチャムを強制したら】
「なんかこの世界にはチャムチャムがいないとか頭おかしいこと抜かしやがる」
「いきなりナコに変なことを言うなッ!」
登校するなりアフリカっぽいところからの転校生、ナコに能面みたいな顔で言ったら怒られた。
「いやね、聞いてくださいよナコさん。俺は昨日クイーンズゲイトをしてたんですよ」
「全く聞きたくないのに勝手に言わないで欲しいゾ!」
「そしたらね、チャムチャムがでてきまして。BLADE作画のチャムチャムが!」
「鼻息が荒い! 怖いゾ!?」
「これはもうどうにかしないといけないと思い、こんなのを作ってきたのでつけろ」
「にゃ? ……なンだ、これ」
「つけ耳&つけしっぽ」
「どしてナコがこンなのつけなきゃいけない!?」
「かあいいよ?」
「知ンないゾ! ナコはこンなの絶対につけないかンな!」
「つけない場合、今日からお前のことをチャムチャムだと言い張る。周囲にも強要する。そのうち言ってる俺が『実はこいつはマジでチャムチャムではないのか?』と自ら思い込んでしまい、最終的に非合法な手段で結婚する」
「言ッてる意味がよく分かンない! でもなンか怖いゾッ!」
半泣きなので、マジなのだろう。
「それが嫌ならつけてください。土下座? 日常茶飯事だ、任せろ」
「頼ンでないゾ!」
人が折角床に額をこすりつけてるというのに、まるで心動かされていない様子。くそぅ。
「とにかく、つけてください。そうすればナコの女力もうなぎ上りですから」
「に? ……うなぎのぼり? なンだそれ?」
妙なところに食いついた。だが、それを逃すほど馬鹿ではない。
「うなぎが食い放題になることだ」
「ほンとうかッ!?」
周囲の「またナコちゃん騙されてる」という囁き声にも気づかず、ナコは目をきんらきんらさせた。
「分かッた。つける。ナコはその変なのつけて、うなぎのぼりになるゾ!」
「おおっ、それでこそナコ!」
そんなわけで、手早くミミとしっぽをナコに装着する。
「うに……ど、どだ? 変じゃないか? ……変だろ?」
268
:
2/3
:2011/12/13(火) 22:06:03 ID:???
「大変可愛いですね!!!!!」
「にゃああああ!?」
ミミとしっぽをつけたナコは衣装を除けばほぼチャムチャムだったので、俺のチャム熱が大変なことになり、抱っこ&頬擦りをしちゃう始末。
「そりゃべこぼこにされますよ」
地面に倒れ伏したまま誰に言うでもなく呟く。ぷしゅー。
「い、いきなり抱きついたりするからだ、ばかッ! えッち!」
「いやはや、すいません。にしても、死ぬほど可愛いですね」
「うに……お、オマエなンかに褒められても嬉しくないゾ! そ、それより、うなぎのぼりだ!」
「はい?」
「うなぎのぼりだ! オマエ、うなぎ食べほーだいッて言ッてただろ!」
「あ。あー。あれ、嘘」
「にゃああああ!? なンで、なンで!? うなぎは!? でンきうなぎ食べたい!」
「騙されナコはかあいいなあ」(なでなで)
「なでなでなンかより、うなぎ! うーなーぎー!」
「分かった分かった、はいにょろにょろ」
「誰もうなぎのマネしろなンて言ッてないッ! あと、うますぎだゾ!」
俺の隠れた特技、うなぎの物真似がうますぎて周囲の女生徒が明らかに引いてる。
「……よく見たら、オマエ、気持ち悪いな」
しかも、ナコにまで引かれてる始末。ままならぬ。
「あーもー! いーからナコにうなぎ食べさせろ!」
「にょろにょろ」
「それはいーから!」
そういうわけで、近所の入ったこともない鰻屋へ向かい、ネコミミの代償としてナコにうなぎを食べさせる羽目に。
「スーパー高え……」
「もぎゅもぎゅ……にゃー♪ とッてもうまいゾ♪」
満面の笑みでうな重を頬張るナコと、水をすする俺。なんだ、うな重3000円て。俺の昼飯代の10倍て。
「にゃ、もうあンま残ッてない……うー、おかわりしていーか?」
「お前は俺に死ねと言うのか」
「な、何も泣かなくても……あ、オマエも食べたかッたのか?」
「え、いや、ちが」
269
:
3/3
:2011/12/13(火) 22:06:26 ID:???
「そだな。オマエが仕留めたウナギなら、オマエにも食べる権利はトーゼンあるもンな。はい、あーん」
「おぉおおお?」
俺が仕留めたわけでもないウナギが、ナコの拙い箸使いで、俺に向けられている。あーんで!
「うに……は、早く食べろ。この棒、持ちにくいンだ」
「あ、や、その」
「……ナコの食べかけだから、嫌なのか?」
「あーん!!!」
そりゃ神速の勢いで食べますよ。そして何このうなぎ。マジで魚なの? 溶けるんですけど。
「超うめぇぇぇ……」
「にー♪」
俺に賛同するように、笑顔で鳴くナコ。
「おかわりください」
気がつけば、その笑顔につられておかわりを要求するという暴挙に出ているわけで。
「いーのかッ!? オマエ、時々いーやつのフリするよな!」
「流石に泣くぞ」
「にゃー?」
「いや、その鳴くではないですが、大変可愛いので、そうです」(なでなで)
「何がだ!? ていうか、イチイチナコの頭なでるのヤメロ!」
とまあ、このようにナコをなでなでできて幸福でしたのですが、その後も色々あって結果レジで一万五千円も払う羽目に。
「げふー。げふー。ナコは満足だゾ!」
「ふふ。今日から強制バイト生活が始まります」
「よく分かンないけど、がンばれ!」
「ええい、貴様のせいだというのにちっとも悪びれない猫娘め! でもかあいかったからいいや!」(なでなで)
「今はお腹いッぱいだから、なでなでされても怒らないゾ♪」
「ほほう。では、試してみよう」
というわけで小一時間ほどナコを店先でなでまわしたら、流石に怒られた。
「がぶがぶがぶー!」
「ふむ。どちらかと言うと、噛むより舐めまわされる方が好みです」
「ひにゃー! いつでも気持ち悪い!」
罰を受けていたのは俺のはずだったが、どうしてナコが涙目になっているのか。
270
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/13(火) 23:38:09 ID:???
ナコかわいすぎるよナコぉぉぉ
あとこいつら鰻食い過ぎだwww
271
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/14(水) 07:53:04 ID:???
>>269
おバカコンビwwwww
GJ!!
272
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:29:12 ID:???
最近本スレが無くて淋しい
いくよ!
273
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:29:40 ID:zDDM7t92
〜8:20〜
「…………」 ジー
「ん……」
「っ!」 ビクッ
「あれ……どうした? こんな至近距離で……」
「よ、よだれが垂れていたから拭ってやろうとしただけじゃ! 勘違いするな!///」 プイッ
「勘違い……?」
「なんでもない! ほれ早く起きろ! 朝ごはんも出来とるぞ!」 ベシベシ
「あだだだ、わかったわかった。今起きるから」
〜9:40〜
映画館前
「思ったより早くついたなぁ」
「そうじゃの」
「あ、近くに雑貨屋あるし、そこで時間潰さないか?」
「雑貨屋か? お主はあそこの臭いが嫌いだとか言って普段は渋るから、他に良いところはないかと今考えておったのじゃが……」
「だって、纏はあそこ好きだろ? 纏のためのデートなんだから、臭いぐらいどうってことないさ。別に我慢出来ないってほどじゃないし」
274
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:30:02 ID:zDDM7t92
「…………ま、お主がそう言うなら別に良いがの」
「じゃあ行こうか」
〜10:30〜
雑貨屋
「ふむ……」 ジー
「なにみてるんだ?」
「た、タカシ!? あ、いやこれは」
「おお、雑貨屋にベビーカーなんてあるんだな……って、なにあわててるんだ?」
「べっ、別に慌ててなどおらん!」
「ま、子供はまだ早いかなー」 ニヤニヤ
「ぬぐっ……///」
「あははは。まあでも、そのうち必要になるし、今のうちに品定めしておくのも良いんじゃないか?」
「う、うるさい! それよりお主もどこへ行っていたんじゃ! 儂をおいてさっさと進んで行きおって!」
「うん、ちょっとな。それよりそろそろ映画始まるし、移動しようか」
「む、そんな時間か……今度はおいて行くなよ」
「はいはい」
275
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:30:23 ID:zDDM7t92
「……なんで儂を凝視するんじゃ」
「人形みたいに綺麗だなって」
「ぬぁっ……!?/////」
「すぐ赤くなるところとかは、すげー可愛いしな」 ナデナデ
「お、お主こんなところで……!/////」 キョロキョロ
「(滅びろ)」←店員
〜17:20〜
帰宅
「随分でかいの買ったなぁ」
「クッション替わりにもなるし、肌触りも良いからの」
「うわ本当だ、モッフモッフだな」 モッフモッフ
「よし、では夕飯を作るから、お主は待っておれ」
「手伝うか?」
「……そんなに気を遣うな。待っておれ」
「ん、わかった」
「…………」
276
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:30:48 ID:???
〜13:20〜
ファミレス
「時代劇はひさしぶりだったけど、やっぱり殺陣はこう、見てて圧巻されるな」 モグモグ
「そうじゃのう。儂の実家は合気道じゃったが、父は剣術家とも試合をしたことがあるらしくての、無論圧勝だったそうじゃが、達人ともなればわからんとも言っておったな」モグモグ
「結婚のお許しをもらいに行ったとき投げ飛ばされ時はかなりびびったよ。合気道って受けだけじゃ無いんだな」 モグモグ
「あれは本来のスタイルではないがのう。父はもともと喧嘩っ早いから、能動的に技をかける鍛錬もしておったのじゃろう」 モグモグ
「それにしても最後は壮絶だったなあ……衝撃的なラストだった」 モグモグ
「愛している者の死のために狂ってしまうとは、望まずに側室にされた女子も可哀想じゃったが、あの男も哀れよの」 モグモグ
「あんな時代が実際にあったんだからすごいよな。今の日本じゃ考えられない」 モグモグ
「ま、おかげで儂はお主とこうして一緒にいrああああ!? い、今のは無しじゃあ!/////」 ブンブン
「いやー照れるなー」 ニヤニヤ
「ぐぅ……今日はなんだか調子が悪いのじゃ……」 プイッ
「で、次はどうする?」
「ん、昨日時間が無くて行けなかったところに行く。とりあえずは……」
277
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:31:10 ID:???
〜13:50〜
ファンシーショップ
「…………」 ジー
「(落ち着かねー)」 ソワソワ
「……ふむぅ……」 ジー
「ん、あ、これとかどうだ?」 ヒョイ
「む? いや、テディベアはもう持っとるからのぅ……」 ジー
「あー……じゃあこれは?」
「ちょっと黙っておれ。今選んでおるところじゃ」 ジー
「さいですか……」
「…………」 ジー
「…………」 ジー
「…………」 ジー
「…………」 ジー
278
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:32:20 ID:???
「……なんで儂を凝視するんじゃ」
「人形みたいに綺麗だなって」
「ぬぁっ……!?/////」
「すぐ赤くなるところとかは、すげー可愛いしな」 ナデナデ
「お、お主こんなところで……!/////」 キョロキョロ
「(滅びろ)」←店員
〜17:20〜
帰宅
「随分でかいの買ったなぁ」
「クッション替わりにもなるし、肌触りも良いからの」
「うわ本当だ、モッフモッフだな」 モッフモッフ
「よし、では夕飯を作るから、お主は待っておれ」
「手伝うか?」
「……そんなに気を遣うな。待っておれ」
「ん、わかった」
「…………」
279
:
老成嫁と一週間&
◆znXsqb4CPw
:2011/12/15(木) 02:32:52 ID:???
>>275
は無しで
280
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/15(木) 02:33:20 ID:???
〜19:30〜
「ごちそうさま、今日も美味かった。ありがとう」
「お粗末さま。さて、風呂を沸かすか」
「ああ、やっといた。洗濯物も畳んでおいたぞ」
「……そうか。ありがとう」
「お礼なんていいよ。いつもは纏がやってくれてるんだし、今週は纏のための休日だからな、遠慮するな。なんでも言ってくれ」
「……っ……。………じゃあ、ちょっとそこに座れ」
「え? ああ」
「違う、ソファではない。床じゃ」
「え」
「いうことを聞くのじゃろう、早くせい」
「お、おう」
「……………」
「……あの、さ。ごめん、なんかまた怒らせたみたいで……」
「なんで怒っておるか、わからんじゃろうな」
281
:
老成嫁と一週間
:2011/12/15(木) 02:34:16 ID:???
「う………うん」
「……怒っておる、儂は……お主のせいじゃ」
「…………」
「…………儂はな、対等でいたいんじゃ」
「…………」
「この一週間の休みは確かに、お主に罪滅ぼしをさせるためにとらせた……しかしの、そもそも、それはどんな罪じゃったかの?」
「ぁ…………」
「お主はさっき言った、『纏のため』じゃと。儂に気を遣って、儂に優しくして、儂のいうことをなんでも聞いてやる。それが儂のためじゃとな」
「…………」
「儂はな……昔からそれが嫌じゃった。嬉しかった。お主の優しさも、気遣いも……しかしな、どこか、お主は儂に気を許していないような気がしていたんじゃ……それが、嫌じゃった」
「…………」
「お主は儂を幸せにするために、耐えて、考える。儂に苦労をかけないために、耐えて、考える。儂を支えるために、耐えて、考える。妻として、女として、それは嬉しいことじゃ。これ以上ないほどに」
「…………」
「では、そんなお主に守られている儂は、お主の苦労も、悲しみも、辛さも、見せてもらったことがあったか? お主は、見せてくれたことがあったか?」
282
:
老成嫁と一週間
:2011/12/15(木) 02:34:36 ID:???
「…………」
「儂はな、幸せになりたかったんじゃ。幸せな女になることが、夢じゃった。優しくて強い夫に寄り添うことが、その幸せじゃと思っておった」
「…………」
「しかし今の儂はの…………お主と、お主と……別府タカシとな……二人で一緒に幸せになりたいんじゃ……!」
「…………」
「楽しさも、喜びも、悲しみも、苦しみも、怒りも、どんな些細なことでも、二人一緒に分け合って、二人で一緒に幸せになりたいんじゃ……それが、儂の幸せじゃ……」
「…………」
「……少し、喋りすぎたの……」
「…………ごめん」
「謝るな。儂が勝手に怒っただけじゃ」
283
:
老成嫁と一週間
:2011/12/15(木) 02:35:04 ID:zDDM7t92
「…………」
「……せっかく、楽しい時間じゃったんじゃがの……昨日も今日も、説教ばかりじゃな……すまぬ」
「纏」ギュ
「…………」
「ごめん。全然わかってなかった。お前のこと。後ろ向きなこと言って、お前を不安にさせるのが、不快にさせるのが嫌だったんだ……でも、お前は、それが逆に……」
「いいんじゃ……儂のことを思ってのことじゃ……儂こそ……今更こんなことを……」
「ごめん……」
「これからは……愚痴ぐらい言ってくれてもいいんじゃからの……?」
「うん……ありがとう、纏」 チュッ
「ん…………これからもよろしくの……旦那様?」
「おう」 ナデナデ
284
:
老成嫁と一週間
:2011/12/15(木) 02:35:52 ID:???
二日目終了
いちゃいちゃ少ないね
なんか最近シリアスになりがち
285
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/15(木) 03:39:17 ID:???
ええよええよ!まつりんかわええ!
本スレ立ってたらそっち投下してもいいんじゃない?最近過疎り気味だしね
286
:
老成嫁と一週間
:2011/12/18(日) 12:35:06 ID:???
最近本スレ立たないけどどうしたん?
287
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/18(日) 15:07:12 ID:???
一応立ってるみたいだけどすぐに落ちる
今日も朝にスレ立ってたみたいだけど1時間後くらいには落ちてた
288
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/18(日) 23:23:54 ID:GWgC1PVU
ちょっと受験勉強しないといけないから保守できないんだよなあ…
かつみんの人とかに任せっぱなしになるのが辛い
289
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/19(月) 00:06:44 ID:???
俺漏れも
やっぱ少なからず住人に今年受験だったり就職する人がいるのも過疎化の原因なのかも
290
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/19(月) 00:48:25 ID:???
>>289
そんなん毎年いるわ
たってるのがわかってれば保守もできるんだけどなぁ
291
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/19(月) 00:51:52 ID:???
俺みたいに保守疲れの人もいるかと
以前は結構きっちりかっちり保守の時間を計ってその通りチェックしてたが、
最近は仕事にかまけているうちに2、3時間見てないとか結構多くなってきたし……
と、これはこっちでする話しじゃないかな
ようやく嫁まつりんをじっくりと堪能できた
続きもwktkして待ってる
292
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/19(月) 19:28:14 ID:GWgC1PVU
後は携帯の規制が多過ぎなのが問題かな
前ほどじゃないけど
293
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/19(月) 23:29:39 ID:???
携帯の規制ってどこ?
294
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/20(火) 00:16:20 ID:sjHfsYUc
auの民である俺涙目
295
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/20(火) 00:50:47 ID:???
「お兄、マンガ読ませてー」
「ん」 カタカタ
「…………」 ペラッ
「…………」 カタカタ
「……お兄、何してんの?」
「ん、ネトゲ」 カタカタ
「またぁ?」
「別にいいだろ……お、レアアイテム」 カタカタ
「…………」 ペラッ
「……あっ?……くっそなんでこんなとこに……」カタカタ
「…………」 パタン
「…………」 カタカタ
「…………」 ボフッ
「……あーくっそ下手くそが……」 カタカタ
「…………」 ゴロゴロ
「…………」 カタカタ
「…………」 ゴロゴロ
「……人のベッドでゴロゴロすんじゃねー」 カタ…
「別にいーじゃん」 ゴロゴロ
「まあいいけど……」 カタカタ
「んー……」 クンクン
「…………」 カタカタ
「くっさー……枕ぐらいちゃんと洗いなよー」 クンクン
「じゃあ嗅ぐんじゃねーよ」 カタカタ
「くっさー……くっさーい……はぁ……ん……」 クンカクンカクンカ
「うっせー」 カタカタ
「…………」
296
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/20(火) 00:51:18 ID:???
「…………」 カタカタ
「……ねぇ、オセロしない?」
「後でな」 カタカタ
「今がいいー」 ゴロゴロ
「…………」 カタカタ
「ねー」 ゴロゴロ
「…………はいはい、ほれ、こっちこい」
「最初っから素直にすればいいのにー」 スタスタ、ボスッ
「ん、俺白な」 ギュッ
「後でも先でもあたしが勝つからいいけどねー」
「言ってろ、ほら、もっと深く座んねーとだっこしづらいっつーの」
「わがままだなー……ん、これでいい?」
「はいよ、じゃ、お前からな」 ギュッ
「んー、ここ」 パチリ
「ん」 パチリ
〜学校〜
「ね、あんたのお兄ちゃんってさ、結構かっこいいよね」
「別に、そんなことないと思うけど」
「そうかなー」
「大体、部屋はきたないし枕は臭いしネトゲばっかしてるしオセロ弱いし……全然いいとこないよ?」
「……仲、良いんだね」
「別に、そんなことないよ」
「ていうか、なんで枕の臭いとか知ってんの?」
「…………」
「もしかして、一緒に寝てるとか?」
「…………。……そんなわけないでしょ」
「今の間は何よ」
「あんなのと一緒に寝たらベッドから蹴り落とされるっつーの。寝相酷いんだから」
「へー、毎晩?」
「うん。……あ」
297
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/20(火) 00:52:18 ID:???
おわり
兄妹ならではの微妙なデレもいいと思う
298
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/20(火) 03:03:42 ID:???
妹かわいいよ妹wwww
スキンシップが日常的になってる雰囲気が実にイイ!
299
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/20(火) 06:15:16 ID:???
友達に突っ込まれて墓穴掘ってく様がいいなwwww
300
:
1/4
:2011/12/24(土) 23:51:29 ID:???
【かなみは俺の嫁3】
今日も俺の嫁はかなみで、しかも嫁になってから初のクリスマス。これは気合を入れねばなるまい! ふおおおお!
「うわぁ……」
しかし、気合を注入してる最中に明らかに引いてる声が聞こえてきたので、一気に気合が霧散した。
「あの。引かないで」
「引くに決まってるでしょ。なんだって朝一番に見るのがアンタの尻なのよ……」
「気合を入れている最中だったがために起こった悲劇と言えよう」
「何の気合なんだか……ふああああ」
大きくあくびをして、むにゅむにゅと口を動かしている。うーむ、可愛い。
「ふひゃっ!? な、何すんのよっ!」
ので、思わず抱っこしたら怒られた。だが、婚前と違い、叱られるだけで手が出ないので大変嬉しい。
「……あ、朝からするの? 何かコスプレした方がいい?」
「かなみはえろいなあ!」
ものすごい殴られた。婚前と変わらず手は出る模様。
「アンタが仕掛けたことでしょうがッ!」
「いやはや。それはそうとおはよう、かなみ」
「あ、うん。おはよ」
夫婦の決まり事として、どんなことがあっても挨拶する時は笑顔を心がける、というものがある。そんなわけで二人して笑顔で挨拶したのだが、これがもう毎日破壊力がありまして。
「……アンタって、挨拶のあと、いっつも私の頭なでるわよね。もーいい加減慣れたけど」
「そしてお前はその度嬉しそうだな」
「うっ、嬉しくなんてないもん! 挨拶の余韻が残って笑顔のままなだけなんだから!」
「猫語で」
「ええっ!?」
「猫語で」
「……にゅ、うにゃにゃんにゃにゃににゃ! にゃににゃにゅにょにょにょにんにゃにょにょっにぇにぇにゃにょにょにゃにゃにゃんにゃにゃにゃ! ……にゃ?」
「うーん、素晴らしい」(なでなで)
「うにゃー」(やり遂げた顔)
301
:
2/4
:2011/12/24(土) 23:51:54 ID:???
「しかし、何言ってんだか一切分からなかったな。はっはっは」
「がぶがぶがぶっ!」
猫語強制は大変危険です。
「もー……ていうか朝から何やってんのよ」
「いや、クリスマスですから」
「それ関係ないしっ! クリスマスだから猫語で会話するとか聞いたことないしっ!」
「俺もまさかやってくれるとは思わなかった」
「う……だ、だって、アンタこーゆーの好きじゃん」
「うむ。それをかなみにやってもらうと、好きの相乗効果でもう凄いことになります」
「そー……それってさ、私のコトが好き、ってコトだよね?」
「結婚しといて今更聞くか」
「い、いーじゃない! 何回だってアンタの気持ち悪いトコロ見たいし! で、どーなのよ」
「あーはい好き好き」
「もっと気合入れて言いなさいよっ! そんな片手間の好きなんて嫌なの!」
「さて、折角だしどっか出かけるか」
「ちゃんと言いなさいよッ!」
「つーわけで。大好きなかなみさん、俺と一緒にデートしませんか?」
「…………。す、する。……じゃない、どしてもって言うならしてあげるっ! あんまりにもアンタが哀れだから!」
「そういうの毎回言わなきゃいけない決まりでもあるの?」
「うっさい!」
超怒られた。
「えっへっへー。なんかね、いーわよね♪ 街がキラキラしてるもんね♪」
しかし、外に出たら機嫌が即直ったようで、俺と繋いだ手をプラプラ揺らしながらにへにへしている。薬でもやってそうで一寸怖い。
「…………」
「…………」
なので、そーっと手を緩めて逃げようとしたらとても怖い顔で睨まれたので、握り直す。
「うんっ、それでよし♪ まったく、なんで逃げようとするかな」
302
:
3/4
:2011/12/24(土) 23:52:20 ID:???
「いやはや。なんだかんだ言って、大好きなのな」
「なっ、だっ、誰が誰を大好きだってのよ!? さ、寒いから手を繋いでるだけだしっ! 暖かくなって思わず笑顔になっちゃっただけだしっ!?」
「帰ったらいっぱいちゅーしようね」
「……う、うん。……って、し、しないわよ、ばかっ! 誰がアンタなんかとっ!」
「分かった、絶対しない」
「素直でありがたいわねッ!」
そう言ったら言ったで半泣きになりながらも全力で頬をつねってくるので、うちの嫁は厄介です。
「痛い痛い。分かった、帰ったら嫌がるお前に無理やりちゅーしてやる」
「……ど、どれくらい?」
「ん、回数か?」
コクコクうなずかれたので、指を一本立ててみた。かなみの頬が膨らむ。
「んー……じゃあ、2?」
プルプルとかなみの首が横に振られる。それにつられてツインテールが揺れた。一本ずつ立てる指の数を増やしていき、最後にパーの形になってようやくかなみの顔に笑顔が灯った。
「そ、そか。5回もされちゃうんだ。……あーヤだヤだ♪」
「それはいいんだけど、街中でこんな話して大丈夫かな? ようじょにいたづらする好青年に見えないかな?」
「誰がようじょで誰が好青年よッ! どっちもおかしい!」
140cmが怒った。
「だってお前発育不良のうえ、ちっこいじゃん。そして俺は誰がどう見ても好青年じゃん」(なでなで)
「ちっこくない! そしてアンタは誰がどー見ても不審者! 頭なでるなっ!」
「そんな不審者と結婚したのか、お前は」
「う……あ、あれよ、誰かがそばにいて見てなきゃ捕まっちゃうだろーし。ほ、ほら、貧乏クジ引いたっていう感じ?」
「ぎゅー」(抱っこ)
「むみゃー♪」(大喜び)
「貧乏クジ?」
「……び、貧乏くじ」
自分でも無理があると思っているのか、顔が赤い。
「て、ていうかいきなり抱っことか反則! ……咄嗟だと、反応できないじゃん」
303
:
4/4
:2011/12/24(土) 23:52:43 ID:???
「うーん可愛い。よし、今日は一緒にお風呂入ろうね」
「毎日一緒に入ってるでしょっ!」
「しまった、既に毎日いたづらしていた!」
「い、いたづらとか言うな、ばかっ!」
「どんだけ揉んでも大きくならないのは呪いか何かなんですか?」
ものすごく顔の赤いかなみに手を引っ張られ、その場から逃げ出しました。
「どういうことよッ!?」
さほど人気のない公園まで辿り着くと、何やら詰問された。
「それは呪いをかけた人に言ってもらわないと」
「じゃなくて! ていうか呪いじゃない!」
「なんだ。つか別に呪いだろうが何だろうがこちとら一向に構いませんが。ちっこいの大好きだし!」
「そ、そうよね。暇さえあればぺろぺろしてるもんね。……だから、そうじゃなくて!」
「外でしたくなったの? そんな勇気は持ち合わせていないのですが……いや、かなみの頼みだし……ううむ、悩む!」
「んな頼みしたことないッ! そうじゃなくて、そうじゃなくて! 外でそーゆーこと言うなって言ってるの!」
「ああなんだ、そうだったのか。分かった、努力しよう」(なでなで)
「努力しなきゃ無理なんだ……」
頭をなでるついでに呆けた様子のかなみの頬を両手で包み込むようにすりすりする。
「……うー。アンタ、ほんっとーに私のこと好きよね」
「なぜに」
「気づいてないかもしんないけどさ、すっごい嬉しそーなんだもん、私のほっぺ触ってる時」
「女体に触り放題でウハウハだからな」
「ヘタだよね、照れ隠し」
「ぐぅ」
「えっへっへー。そんじゃさ、デートの続き、しよっか?」
「おや、突然機嫌が直った。貧乳の神様の仕業か? 粋なことしやがる」
何やらつねられたが、どうにか無事クリスマスを過ごせました。
304
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/25(日) 00:18:51 ID:???
今年はクリスマスを乗り切れるかと思ったがこんなとこで悶え転がるハメになるとは思わなかった
かなみん可愛すぎる!
305
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/25(日) 00:40:58 ID:???
可愛い!クリスマスの夜を書くんだ!
306
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/25(日) 00:41:53 ID:???
かなみさんかなみさんかなみさぁん!!可愛い可愛いかわいすぎるよおおおおおおおああああ!
ふぅ
307
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/25(日) 01:09:26 ID:???
なんて可愛いかなみさんなんだ
308
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/25(日) 10:03:01 ID:???
>>303
さすがかなみんむちゃくちゃかわいい!
ニヤニヤが止まらねえwww
309
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/25(日) 10:04:31 ID:???
ちくしょう!! このラブラブ夫婦めwwwwwwww
310
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/26(月) 01:08:11 ID:KXLg8HTU
か「こらー!友子に山田!!また追い掛け回して!!もうただじゃ済まさないわよ!!」
友「やばっ、見つかった!!山田、逃げるわよ!」
山「ボクは関係無いで済まないかなぁ」
友「何言ってんのよ!あんたも呼ばれてたじゃない、もう共犯だからかなみに見つかったら半殺しよきっと」
山「それは勘弁して欲しいな!」
友「良いから早く逃げるの!!」
友「ふぃー…撒いたかしら」
山「もう追ってこないみたいだね」
友「あははっ…かなみたちも懲りないわねー」
山「それはあっちのセリフじゃないかなぁ」
友「確かに!あははっ」
山「…」
友「全く可愛いなぁタカシもかなみも」
山「…」パシャッ
友「ん…?なにしてんのあんた」
山「いや、写真を」
友「写真をってあんた、もしかして私を撮ったの!?」
山「え、う、うん」
友「なんで私撮ってんのよ!!消しなさい!!」
山「だってあんまり良い顔で笑ってたからつい」
友「そんなことどうでも良いわよ!早く消せー!!」
山「えー、別に良いじゃん。誰かに見せびらかすわけでもないし」
友「うー…」
山「自分だけ撮られて不公平だってんなら、ボクを撮っても良いよ?」
友「そ、それは…ぅ、そんなの全然交換条件になってない!!」
山「いつもかなみちゃんたちを一方的に撮ってるんだし、たまには撮られても良いんじゃない?」
友「わけわかんない!!」
山「ねー、頼むよ。写真の一枚くらい許してよ。ね?」
友「むー…誰にも見せない…?」
山「うん。約束する」
友「しょ、しょーがないわね…なんか釈然としないけど…」
山「やった。じゃ、早速待ち受け画面にブベッ」
友「やっぱり見せびらかすつもりじゃない!!ばか!!」
311
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/26(月) 12:06:07 ID:???
友ちゃんかわいい!
312
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/27(火) 06:45:34 ID:???
いいぞもっとだ
313
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/31(土) 01:30:05 ID:???
本スレがぁああああ!
314
:
1/4
:2012/01/05(木) 04:13:52 ID:???
【親方、空から女の子が!という状況に陥ったら】
とある日の昼下がり。飯を食い終わった俺は、学食から教室に戻るため、学校の階段を上っていた。
けんけんとリズミカルに昇る俺はなんてかっこいいんだ、とか思いながらふと頭上を見上げると、親方、空から女の子が!
いや違うこれラピュタ違うただの現実! という高速思考のもと、急ぎ落下点まで移動し、落ちてきた女子をがっしり抱きとめる。しかしこれが超重くてお兄さん泣きそう。
「…………え?」
当の女子は何が起こったのか理解していないのか、目をぱちくりさせている。負けるか俺もぱちくりさせてやる、という無駄な負けん気をなんとか抑え、その女生徒を廊下に下ろす。
「ふー……。危ないぞ。気をつけろ」
それだけ言って、そそくさと逃げる。
「え? ……え? え、あ、あのっ!」
なんか後ろで言ってる気がするが、いいです。注目されるの超苦手なんです。
ということがあったのが昨日。そして今日の俺はというと。
「……ええと。説明してもらえると大変ありがたいのですが」
「そうね。私もそうしようと思ってたところよ」
何やら男子生徒数人に囲まれ、無理矢理どこかの教室に連れて来られたんですの。俺を運んだ生徒達は既に去り、代わりになんだか怖い顔をした女生徒がいるんですの。理解しがたいんですの。
「ジャッジメントですの!」
「はぁ!?」
「あ、いや、なんでもないです」
いかん。ですの口調が続くと思わず黒子になってしまう。オネニーサマ!(間違い)
「……ま、まあいいわ。あのね、私の顔に見覚えあるでしょ?」
「いいぃえ」
「……え?」
「ないです」
「…………」
「帰っていいですか?」
「見覚えあるでしょっ!?」
「はいっ」
本当はないのだけど、とても怖かったので思わず肯定してしまった俺を一体誰が責められようか。
「そ、そう。そうよね。そりゃそうよね。私だけ覚えてるわけないものね」
しかし、そうすることによって何やら向こうさんが納得しているようだったので、俺の決断はあながち間違っていなかったようだ。
315
:
2/4
:2012/01/05(木) 04:14:16 ID:???
「そ、それで。なんで逃げたのよ」
「……?」
「な、何を不思議そうな顔してるのよ! ……お礼のひとつも言わせないでさ。勝手に逃げちゃって」
何の話か皆目見当がつかないが、話の展開上理解している風を装わないといけない。
「いや、あの、ごめんなさい?」
「何よ、その疑問系は!」
どこまでいっても理解していないので、ハテナの野郎がつい顔を出してしまう。
「と、とにかく、そーゆーことだから。……あの、ありがとう。助けてくれて。感謝してます」
そう言って、目の前の女子はぺこりと頭を下げた。どうやら俺は以前この女子を助けたようだ。
「いや、まあ気にするな。それで、反物はいつもらえるのだろうか」
「たんもの?」
「恩返しといえば自分の毛を使い、反物を織るものだろう。君はたぶん俺が以前助けた鶴か何かだろう?」
「違うわっ! 人をなんだと思ってんのよ!」
「鶴、もしくはそれに類した存在。獣の類であると予想される」
「だから、違うって言ってんでしょうがっ! そもそもアンタ前に鶴なんて助けたの?」
「この間道で困ってる外人なら助けた。ただ、もうこれが全然言葉が通じなくて通じなくて」
「それ全然関係ないっ! んじゃ何、私はその外人が日本人に化けて恩返しにやってきたってこと!?」
「ゲラゲラゲラ! 超意味ねー!」
「笑うなーっ!」
「いや、だってそれ以外に俺が助けた奴なんて誰も……」
……ん? 助ける?
「あっ、お前昨日の階段落ちの奴か!」
「今更!?」
「あー、あーあーあー。そういやそんな気がしないこともないようなこともない。つまり……お前は誰だ?」
一回余分なものが入ったため、一周回って誰だか分からなくなってしまった。
「さっき貴方が言った通りよっ! ……な、なんだってこんな変な奴に……」
何やら女性はショックを受けているようだった。
「……決めたっ! 貴方、今日から生徒会入りなさい!」
「はい?」
「貴方の変なトコロ、私が全部直してあげる! だから、生徒会に入りなさい!」
316
:
3/4
:2012/01/05(木) 04:14:42 ID:???
「いや、意味が分からない」
「生徒会長である私が直々にアンタを矯正してあげるって言ってるのに、逆らうっての!?」
「いや逆らうとか……えっ、お前って生徒会長なの?」
「ええっ、知らなかったの!? 朝礼で挨拶とかしてるでしょ!?」
「朝は眠いから夢うつつだし、壇上まで見通せるほど透き通ったまなこをしてないし、そもそもそんな健康体でもないから、朝礼では貧血でぶっ倒れそうでフラフラしてるのでそれどころでは」
「えっ? ……君、体弱いの?」
「まあ、強い方ではないですね」
本当に自慢ではないが、俺はよく体調を崩す。学校を休む頻度もそれなりに多い。病弱なのは美少女にしか似合わないってのに、我ながら厄介な体だ。
「……なのに、私を助けてくれたの?」
「あー、や、まあ、その。咄嗟だったし。色々考える余裕なんかなかったし」
「…………」
会長は俺をじーっと見ている。何やら頬付近が赤く染まってる気がするが、気のせいに違いない。目が潤んでるのも、きっと気のせいだ。
「……や、その! アレだよ、俺がやらなくてもきっと誰かが助けたよ!? その助けた奴が偶然俺だっただけで! だから、別に気にする必要ないと思いますよ? じゃ、俺はこれにて!」
「……あっ、待て逃げるなっ!」
「ぐげっ」
「きゃああああっ!?」
なんだか居た堪れなくなって逃げようとしたら、会長が咄嗟に伸ばした手が俺の喉に納まり、しかもいい具合に頚動脈を押さえたがため、一瞬で気絶したという伝説がここに誕生した。
「……うぅん」
「あっ、気がついた?」
何やら声が聞こえる。妙に声が近い。
「……む、むぅ」
「本っ当、アンタって弱いのね。これは心と一緒に身体も鍛えなおす必要があるかもしんないわね」
「そんな、人を虚弱体質みたいに……」
「こんなか弱い女の子に気絶させられといて、何言ってるのよ」
「俺も初対面の女性に気絶させられるとは夢にも思わなかった」
「初対面じゃないわよ! 二回目よ!」
まあ、先日の階段事件をカウントするならそうかもしれないけれど。
「そ、それより。……ど、どうなのよ」
「具体性にかける質問。故に、何を指しているのか推測不能。結論:寝る」
317
:
4/4
:2012/01/05(木) 04:15:04 ID:???
「寝るなッ! ……じゃ、じゃなくて。ほ、ほら、オトコノコって好きなんでしょ? こーゆーの」
「またしても具体性にかける問いかけ。彼女は一体何のことを喋っているのだろうか」
「あーもー分かるでしょうがっ! この状況だと!」
「俺に分かることはといえば、やけに会長の顔が近いのと、会長の髪が顔にあたるなあと思うことと、何やら枕がふにょふにょして気持ちいいことくらいしか」
「そ、そう。それ。枕。……ふにょふにょとか言うな、ばか」
「枕?」
枕が一体なんだと言うのだろうか。手をやってみる。
「ふひゃっ!? い、いきなり触るな、ばか!」
いやね、これがもう完璧に人の足。しかも、女性(予想)の足。つまり、そこから察するに、現在俺は“膝枕”と呼ばれる極楽にいるようだ。
「……ああ。夢か」
「現実よっ!」
こんな幸せなことが俺の人生に起こるなんて想定してなかったが故の結論だったが、否定されては仕方ない。受け入れよう。
「俺は、今、会長に膝枕をされているっ!」
「なっ、何を叫んでるのよ、ばかっ!」
受け入れたら受け入れたで怒られる。どうしろと言うのだ。あと、照れ隠しだとは思うのだけど、ビンタをしないで。何度もしないで。何度も何度もしないで。
「顔が痛え」
「はーはーはー……変なこと言うからよ、ばか」
「そんなつもりはないのだけれど」
「ううぅ……そ、それで。理解したところで、どうなのよ」
「いや、そりゃ、ねぇ?」
「わ、私に同意を求めないでよ。男ならはっきり言いなさいよ」
「そんなの、幸せに決まってるじゃないですか」
「……そ、そう」
静かに赤面しないで。こっちまで恥ずかしくなってくる。
「な、なに赤くなってんのよ! か、勘違いしないでよね、枕がなかったからしょーがなくしてあげただけなんだからねっ!?」
「今後も常備しない方向でお願いします」
「も、もうしてあげるわけないでしょ、この馬鹿! 私のせいで気絶させちゃったから、特別中の特別にしてあげただけなんだからねっ!」
「自殺も視野に入れる程度には絶望する事実ですね」
「そんなことで死ぬなっ!」
俺の顔をぺちぺち叩いて激励する会長だった。
318
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/05(木) 04:40:39 ID:GoNrBwFo
GJ!! シリーズ化希望!
319
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/05(木) 10:52:51 ID:???
タイトルで吹いたわww
GJ!
320
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/05(木) 11:10:35 ID:fdrIIMYw
アホっぽい生徒会長とかまた新ジャンルだなwww
321
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/05(木) 17:27:21 ID:???
これに萌えない奴とかいるんですか先生!
毎度笑いと萌えが絶妙に入ってて最高っすわ
322
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/05(木) 17:39:37 ID:???
会長さんいいキャラしてるなww
GJ
323
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/05(木) 20:26:44 ID:???
>>317
なんてかわいい会長だ!そしてなんてアホなんだ!(ほめ言葉)
GJ!!w
324
:
1/6
:2012/01/07(土) 03:58:05 ID:???
【病み上がりの男】
風邪を引いてしまい、数日学校を休んだ。しかし、ようやっと体調が戻ってきたので、まだ少しだるいが頑張って登校してみた。
「あら? 貴方、放校処分になったんじゃなかったんですの?」
「登校するなり語尾と頭がおかしい奴にからまれた。なんてついてないんだ」
「いきなり酷すぎですのっ!」
「いや、この場合の頭がおかしいとは髪形のことを指してるから安心しろ」
「このお嬢様然とした髪形のどこがおかしいんですのっ!?」
「ドリル(笑)」
「今すぐ殺しますわッ!!!!!」
「ごめんなさい冗談です。お願いだから殺さないでください」
あまりの恐怖に震えながら土下座で許しを請う。プライド? そんなものとうの昔に犬にくれてやったわ!
「……貴方、哀れにもほどがありますわね」
効果は抜群なようで、リナの俺を見る目が虫か何かを見る目になったけど、死なずに済んだようだ。やれやれ。
「それはそうと、おはよう。リナ」
「土下座からの挨拶っ!?」
「それは挨拶じゃないぞ」
「わ、分かってますわ。おはようございますですわ」
「うーん、やっぱ語尾がおかしい」
「貴方失礼にも程がありますわよっ!?」
「や、悪い悪……げほっげほっげほっ」
「……大丈夫ですの? まだ顔が青いですわよ?」
いい加減土下座させるのも悪いと思ったのか、俺を起こしながらリナは心配そうな顔を覗かせた。
「そういうリナは顔が緑色だぞ。ナメック星人だったっけ? 口から卵産み系?」
「そんな系統ありませんわっ! 全力で人間ですっ! 頭と一緒に目までおかしくなったんですの!?」
「病み上がりだからか、視力もおかしくなっちゃったんですの」
「真似しないでくださいまし!」
325
:
2/6
:2012/01/07(土) 03:58:35 ID:???
「ジャッジメントですの!」
「ドやかましいですわっ!」
しんどいのに無理してかっこいいポーズを決めたのに、超怒られたんですの。
「全く……。それより、感染されては敵いませんわ。近寄らないでくださいまし」
「そうだな。俺もリナの奇病、頭ドリルが感染ったら嫌だから近寄らないよ」
「これは別に病気じゃありませんわっ! そういう素敵な髪形ですの! ていうか奇病って酷いですの!」
「俺みたいに短髪の奴が感染したら、頭蓋骨がねじられるの? ガン並に致死確率の高そうな病気ですね」
「だから、病気じゃないと言ってるんですのっ! どんだけ失礼なこと言えば気が済むんですの!?」
「分かった分かった、悪かった。とにかく、お前の言う通り二度とリナなんかには近寄らない」
「な、なんか言い方が酷いですわっ!」
「寄るな」
手でしっしってやったら、半泣きの人にいっぱい叩かれたので土下座して謝る。
「すいませんでした」
「うぅ〜……」
「ただ、病み上がりということを加味していただけると何かと助かります。ほら、頭がうまく回らないんですよ」
「……ホントですの? わたくしのこと、嫌いになったとかじゃないんですの?」
「う」
「……っ!? べっ、別に貴方なんかに嫌われても蚊に食われたほども感じませんけど!? 感じませんけども、なんとなく聞いただけですわっ!」
「うーん。熱がぶりかえしたのか、なんかあちい」
「な、何を照れてるんですのっ!? そ、そういうのとは違うんですのっ! 勝手に勘違いしないでくださいましっ!」
「か、勘違いしないでよね、勘違いしただけなんだからねっ!」
「ややこしいですわっ!」
「自分で言っておいてなんだが、俺もよく分からない。しょうがないからサメの話でもしようか」
「なんでそうなるんですの!? しませんわ!」
「リナはお嬢様だけあってワガママだなあ」
「これでワガママって言われたら、世の中の人ほぼ全てがワガママですわ!」
「ところでワガママを英訳するとmy motherなのかな?」
326
:
3/6
:2012/01/07(土) 03:59:02 ID:???
「脈略がなさすぎですわっ! そろそろ殴りますわよ!?」
お嬢様が暴力を訴えてきたので黙ることにする。
「全く……いつも頭が悪いですが、今日はそれに輪をかけて頭が悪いですわね」
「まだスッキリ治ってなくてね。いつもなら検閲に引っかかるボケも繰り出しちゃってるんだ」
「ものすごい迷惑ですわ……あ、そうですわ!」
「それはどうかな?」
「何がですの!?」
「何か提案されそうだったから、とりあえず煙に巻いてみた」
「……いいからしばらく黙っててくださいまし」
お願いされたからには黙らざるを得ない。……べ、別に怒りに打ち震えているリナが怖いとかじゃなくてね!?
「こほん。治ってないなら早退すればいいんですの。そのまま退学しちゃえばいいんですの。ついでに人生からも卒業すればいいんですの」
「なるほどそいつぁいいと頷きそうになったが、よく考えたら死ねって言われてるよね?」
「気のせいですわ♪」
「なんだそうか! じゃあ言われた通り人生を卒業しよう! リナ、縄ってどのくらいの値段なのかな?」
「死ぬ気満々ですわっ! ちゃんと否定なさいっ!」
自分で言っておいて、俺が受け入れると怒る。変な奴。
「あー……しかし、なんかやっぱだるいな。どうしよう、折角登校したけど、無理せず早退するかなあ」
「それがいいですわ。少しでも早く学校を出て、わたくしの視界から出て行ってくださいな」
「んー。そうする」
「ちょ、ちょっとお待ちなさいな! そこは少し言い返してもらわないとわたくしが酷い事を言っただけの悪人になってしまいますわ!」
「ええい、面倒な奴め。えーと、今日もリナは可愛いなあ。抱っことかしてえ」
「は、はいぃ!?」
「あ、いかん。それは今は関係なかった。うーむ、まるで頭が回らん。何の話だっけ? サメ?」
「……べ、別に、その。……も、もう、早く帰ったらいいんですの!」
なんか知らんが超顔の赤いリナに背を押され、教室から追い出されたんですの。
その勢いのまま素敵に早退。何しに来たんだか。そんなわけで帰宅。早々にベッドに入る。どうにも力が入らない。やっぱ無理すんじゃなかったと思っていると、急激な眠気が。あっという間に眠りに落ちた。
そんな感じでfade outした意識だったが、何やらガサゴソ物音がしたことで視界がfade inしてきた。
327
:
4/6
:2012/01/07(土) 03:59:31 ID:???
「そーっと、そーっと。……まだ寝てますわよ、ね?」
ぼやけた視界に映るは、何やら両手に土鍋を持った女性の姿。
「ヤベェ、知らぬ間に人食い部族が我が家に侵入し、俺を煮込んで食おうとしてる」
「食べませんし人食い部族じゃないし寝起きの台詞じゃありませんわっ!」
「む。聞き覚えのある声。知り合いに人食い趣味の奴はいなかったハズだが」
視界がはっきりするにつれ、人食い悪魔が侵入したと思っていたことは勘違いと判明した。
「なんだ、カニバリズムな人でなくてリナだったか。おはよう」
「おはようじゃないですわ。どうして人食い部族に間違われなくちゃいけないんですの?」
「だって、鍋持った奴が枕元にいたら誰だってそう思うだろ」
「思わないですわっ! どういう頭の構造してるんですの?」
「ところで、なんで鍋持ってるの?」
「うぐっ」
「うぐ? ……ああ! うぐぅ、な! いや懐かしいな、kanon。超好きだったよ」
「違いますわっ! 言葉に詰まっただけですわっ!」
「なるほど。じゃ、それも踏まえて、どうしてリナがここにいるのか詳しく聞かせてもらいましょうかね」
「べ、別に大したことじゃないですわ。学校も終わったし、暇つぶしに苦しんでる貴方を観察しに来ただけですわ」
「ふむ、看病に来てくれたのか。なんだかんだ優しいな、リナは。ありがとうな」
「か、看病じゃありませんわっ! 観察ですわっ! むしろ嫌がらせに来たんですわっ!」
「はいはい。んで、その鍋は?」
「こっ、これは、そのー……煮えたぎったおでんを貴方の口につっこむ『駝鳥倶楽部的拷問』をしようとしただけですわっ!」
「ほう」
「あっ、ふた取っちゃダメっ!」
鍋の中身は、ほこほこと小さく湯気を立ててるおかゆだった。上にかかってる玉子がおいしそう。
「……お、おでんがないレベルの貧民だと思わなかったんですの! 冷蔵庫におでんがなかったから、しょうがなくお米を炊いただけですのっ!」
「このおかゆを、食べさせてくれると」
「たっ、食べ!? ど、どうしてわたくしがそこまでしなくちゃいけないんですのっ!?」
「いや、ダチョウ倶楽部のアレをやるんだったら、食べさせなくちゃいけないだろ」
328
:
5/6
:2012/01/07(土) 04:00:05 ID:???
「あ……そ、そっか。……じゃ、じゃあ、食べさせてもいいんですよ……ね?」
「なんで俺に聞いてんだ」
「べ、別に聞いてませんわ! ほ、ほら、口をお開けなさい! 熱々のおかゆで、火傷させますわよ!」
「あー」
「ちょ、ちょっとは抵抗なさいな……もう」
リナは少し困った顔をすると、おかゆをレンゲで一掬いし、ふーふーと息を吹いて冷ました。
「はい。あーん、ですわ」
「火傷はどこいった」
「あ。……ち、ちょっと間違っただけですわ」
素だったのか、リナは顔を赤くして照れた。
「と、とにかくこれは食べちゃいなさいな!」
「はいはい。あーんもぐもぐ」
「……ど、どうですの?」
「もぐもぐ。ん、うまいな。リナはお嬢様のくせに料理上手なのな」
「高貴なる者はなんでもできるんですの。料理なんてわたくし専用の厨房があるレベルなんですから、出来て当然ですのよ?」
「ブルジョアは凄いなあ。死ね」
「怖いですわっ!!!」
「や、悪い悪い。俺の妬み根性が出た」
「うぅー……食べさせてもらってる者に言う台詞じゃないですの。酷いですの」
「無意識レベルで金持ちを恨んでるからなあ。諦めろ」
「より一層怖いですわっ!」
「分かった分かった。今回世話になったし、リナは除外しとくよ」
「せ、世話なんてしてませんわ! 拷問してるんですわ!」
「へいへい。それより、もっとくれ。ちょっと食べたら余計に腹減った」
「わ、分かりましたわ。ふーっ、ふーっ。はい、あーん、ですわ」
329
:
6/6
:2012/01/07(土) 04:00:28 ID:???
「あー、もぐもぐ。……いや、俺はありがたいんだが、冷ましていいのか」
「あ。も、もーっ! ごちゃごちゃ言うからすぐ忘れちゃうですの!」
「俺にとっては幸いだな。次もずっと忘れてくれると、とても嬉しい」
「そ、そうはいきませんわ! 次こそ熱々おかゆでアチチ火傷地獄ですわ!」
「そいつぁ怖いな」
「そうですのよ? もー舌が熱い熱いってなって、何も食べられなくなっちゃうんですのよ? それで……お腹空いちゃって……でも舌が痛いから食べられなくて……」
何やら想像しちゃったのか、リナの目がうるみだした。
「お前が泣いてどーする」
「っ!? なっ、泣いてなんていませんわっ! それとこれはちっとも関係ないですが、諸事情により火傷作戦は中止ですのっ!」
「どんだけ優しいんだ、お前」(なでなで)
「やっ、優しいとか意味分かりませんわっ! 頭なでないでいただけますことっ!?」
「あ、悪い悪い。ついね、つい」
「……べ、別に、どーしてもと言うなら続けても構いませんが……」
「…………」
「しっ、してほしいわけじゃないですわよっ!? ……ほ、ホントに。……ホントですわよ?」
「あー。何やら無性にリナの頭部をこする嫌がらせをしたくなったが、どうだろうか?」
「……あ、貴方はすっごく性格が悪いから、わたくしが嫌がってもするでしょう?」
「いや、俺ほど性格がねじ曲がってると、一周回って逆にしないんだ」
「……本当に、いじわるですの」(半泣き)
「ああ嘘ですごめんなさい俺が悪かったですどうか泣かないで」(なでなで)
「……でも、とっても優しいですわよね?」
「ははーん。嘘泣きだな?」
「何のことか分かりませんわ♪」
「女性ってのは怖いなあ」(なでなで)
そのような感じで、ニコニコしてるドリル頭の変な奴をしばらくなでてました。
330
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 16:33:38 ID:???
お嬢可愛い
やっぱりお嬢最高
331
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 19:10:41 ID:dF8QdGvA
お嬢がお馬鹿で可愛すぎて生きるのが楽しい
332
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 20:45:19 ID:???
家庭的なお嬢とか俺得
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2488.jpg
333
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 20:54:55 ID:F15TYSxQ
いや俺得だろ
334
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 21:14:34 ID:???
>>332
やべえ可愛いwwww
335
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 21:19:45 ID:???
やはりお嬢が一番可愛い
お二方ともGJ!!
336
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/07(土) 21:41:20 ID:???
>>332
亜光速で嫁にした
337
:
1/5
:2012/01/08(日) 15:46:07 ID:???
・男の裸が見たい誘惑に駆られてしょうがなくなったツンデレ
「ただいま、芽衣」
『お帰りなさいませ、タカシ様。旦那様に付き添ってのグループ企業への挨拶回り、お
疲れ様です』
「全く、正月くらいゆっくりさせて欲しいのにさ。お前もそろそろいい年だから、一度
別府家の跡取りとしてグループ企業の年始回りにくらい同行しろとか言って、顔も知ら
ない社長だとか役員とかに頭下げて、本当に疲れたよ」
『それは致し方ありません。将来はタカシ様が今日挨拶に回った方々の上に立つわけで
すから。別府家の跡取りがどのような人物なのか、きちんと示しておかないと。旦那様
はまだまだご健在とはいえ、早いうちから経験しておいて悪い事ではありません』
「全く、芽衣も親父達と同じ事を言うな。正直、俺だって良く分かってるし、その御題
目はもう耳にタコが出来るほど聞いたよ」
『そういう愚痴が出るという事自体が、まだ分かっていらっしゃらない証拠なのです。
タカシ様がうんざりするほど言い聞かせておいて、それでやっと丁度宜しいくらいかと
思います』
「分かった分かった。とにかく、務めはもう果たして来たんだからいいだろ? お茶淹
れてくれ。俺は着替えて来る」
『かしこまりました。では、準備しておきます』
「おーい、芽衣」
『はい、何でしょうかタカシ様。お茶でしたら、もう少しでご用意出来ますが』
「いや。俺の部屋着はどうした? タンスの中に無いんだが」
『あら、そういえば……申し訳ありません。畳んでリビングに置きっ放しでした。今す
ぐにお持ちしますので』
「ああ。早くしてくれ」
パタパタパタ……
『タカシ様。入りますよ』
「ああ、いいよ。別に断らなくても大丈夫だから」
『それでは、失礼致します』
338
:
2/5
:2012/01/08(日) 15:46:31 ID:???
ガチャッ。
「ああ、ありがとう。悪いな、手間掛けて」
『いえ。仕舞っておかなかったのは私の過失ですから――って、え……!?』
「ん? どうした、芽衣」
『キ……キャアアアアアッ!!』
バタンッ!!
「ど、どうしたんだよ。いきなり絶叫して」
『ななななな……何て格好してるんですかタカシ様っ!!』
「は? ああ、そういや着替えようとしてスーツ脱いでから部屋着が無いのに気付いた
から……って言っても、別に全裸どころか半裸ですらないし、絶叫するほどの事じゃなくないか?」
『ううう……上の肌着はともかくとして、下はパンツ一枚じゃないですかっ!! 使用
人とはいえ、私だってその……一応女性なんですよっ!! セクハラめいた真似は止め
て下さい!!』
「セクハラって程大げさかなぁ? まあ、芽衣が純情で男に免疫が余りないってのは分
かるけど、それにしても俺のパンツだって日頃洗濯してる訳じゃん? 一緒に暮らして
いればこんな事くらいあって当然だし、むしろ今まで無かった方がおかしなくらいだけどな」
『今、さりげなく私の事を馬鹿にされましたね。い……一応その、主人とはいえ男性と
暮らしてる訳ですから、それなりの心構えはあります。純情だとか免疫ないとか、心外です』
「でも、俺の下着姿に絶叫して飛び出してったじゃん」
『それは不意打ちを食らったからですっ!! 大体、いくら私が動揺したからといって、
そのようなみっともないお姿で女性の前に姿を現すのは失礼極まりないとは思わないのですかっ!!』
「まあ、それは芽衣が部屋着をしまい忘れていたからだろ? 一度脱いだスーツをまた
着るのも嫌だしな。別に芽衣に見せるのを目的でこんなカッコしてた訳じゃない」
『だったらせめて毛布なり何なりで体を隠す事くらいされたらどうだったんですか?
自覚がなかったからといって、セクハラ行為が許される訳じゃありませんっ!!』
「だから、芽衣がこの程度で絶叫上げるとか考えてなかっただけだってば。まあ、分かっ
たよ。今度から気を付ければいいんだろ?」
『そうしていただけると、大変助かりますっ!! 誰もタカシ様の下着姿なんて見たく
もありませんから!! では、そろそろお湯が沸きますからキッチンに戻ります。タカ
シ様も着替えてさっさといらして下さい』
339
:
3/5
:2012/01/08(日) 15:46:52 ID:???
『(動揺するなって……そんな事言われても、その……モロにタカシ様のこ……あそこの
膨らみを直視してしまったら……)』
『ハァ…… ダメ、思い返してはダメだと思っても、瞼の裏に焼き付いてしまって……
あああああ……忘れなきゃ忘れなきゃ忘れなきゃっ!!』
「芽衣。芽衣ってば!!」
『は……はいっ? いかが致しましたかタカシ様』
「いや。風呂沸いてるんだろ? 入って来るからさ。代えの下着とか用意しといてくれよな」
『え…… あ、はい。かしこまりました』
「どうしたんだよ。今日、何かちょっとおかしいぞ?」
『私がですか? 失礼なことをおっしゃらないで下さい。どこが変だと言うのですか』
「いや。何か時々、ボーッと焦点の合わない目でどっかを見つめながら考え事してるし
さ。まあ、芽衣はよくボケーッとしがちだけど、それにしても今日は酷いから」
『誰がボケーッとしてるんですかっ!! 確かに考え事をする事はありますけれど、人
として常識の範疇内です。まるでのべつまくなし集中力が欠けてる人みたいに言わない
で下さいっ!!』
「いやいや。いつもはボケーッとしてても、休憩中や気が抜ける仕事の時がほとんどだ
けどさ。今日は何か、料理してる時もうわの空だったりして。それに顔も何か赤いし、
熱でもあるんじゃないかと思って」
『心配してくださるなら、もうちょっと言葉を選んで下さい。それと、別に体調が優れ
ない訳ではありませんので、お気になさらないで下さって結構です』
「そうか? 気が張ってるから気付いてないだけで、もしかしたら風邪引いてるのかも
しれないぞ。ちょっと熱測ってみろよ」
『自分の体の管理くらいはタカシ様に言われずとも自分で出来ます。私の事は構わない
で結構ですから、さっさと風呂に入って来て下さい。またズルズルと遅くなると、結果
として二人とも夜更かしするはめになるんですから』
「分かった、分かったよ。それじゃあ、着替え出して、脱衣所に置いといてくれ」
『かしこまりました』
340
:
4/5
:2012/01/08(日) 15:47:13 ID:???
『(タカシ様に心配されてしまうなんて……メイドとして失格だわ…… もっとしっか
りしないと……)』
『えっと、Tシャツと、部屋着と、後は……』
『(タカシ様のパンツ……これが……タカシ様のお履きになっている……)』
『ハッ!! あああああ……またさっきのシーンがっ!! ダメだわダメだわ。もう忘れないと』
パンパンッ!!
『よし。気合入れて……と』
コンコン……
『失礼致します。タカシ様、お着替えをお持ち致しました』
「んー。ありがとう」
『(こ……このガラス戸を開ければ、全裸のタカシ様が……って、何考えてるのよ私は。
そんな事出来る訳ないのに…… で、でもメイドだから、お背中をお流し致しましょう
かと言えば……っ!!(////////////) なっ……そ、そんな事今まで一度もした事ないのに
急にそんな事を申し出たら、変に思われるに決まってるわ。それに元々、タカシ様は比
較的何でも自分でおやりになられる方だから……で、でも私が強いてやりたいと言えば
させて下さるでしょうけど、でも絶対に変に思われるに決まってるし……って、何で私
こんな事ばかり考えてるんだろう。は、早くここから出ないと……)』
「芽衣?」
『ひゃっ……!? ななななな、何でしょうかタカシ様っ!!』
「いや。何かずっと脱衣所にいるけど、何かあったか? ゴキブリでも出たとか?」
『ちちち、違いますっ!! 何でもありませんってば!! どうぞお気になさらないで
ごゆっくりお風呂にお入りになられて下さい!!』
「いや、ゆっくりって言っても何か動揺してるみたいだし。問題があるんだったら遠慮
なく言ってくれていいぞ」
『いえ、ですから――』
『(こ、ここでお背中をお流ししましょうかと言えば――ってダメダメダメ!! そんな
事したら、今の私じゃ取り返しが付かない事になってしまうかも知れないのに……)』
341
:
5/5
:2012/01/08(日) 15:48:14 ID:???
ザバッ……
『へ? タ、タカシ様もしかして……い、今顔出しちゃダメです!! 何でもありませんから』
ガラガラ……」
「ホントに大丈夫なのか? 何にも――」
『キャアアアアッ!! ダメだって言ったじゃないですか!! 全裸で姿晒すとか何考
えておられるんですか!! タカシ様のドスケベ!! 変態!!』
「待て待て待て。良く見ろ。顔だけしか出してないから!! ちゃんと芽衣がいる事分
かってるから、それくらいは配慮してるって!!」
『それでもダメですっ!! タカシ様の露出狂!! セクハラ魔っ!! あああああ……
もう信じられませんっ!!』
ドタドタドタッ!!
「……心配して顔だけ出しただけなのに……何でそこまで言われなくちゃならないんだ
ろう…… まあ、芽衣が取り乱すとああなるのは前からだからな……ほとぼりが冷める
までは我慢するか」
『あー、もうっ!! 私はバカだバカだ!! ドスケベで変態なのは私の方なのに、主
人にそれを転嫁してしまうなんて……メイドとして失格だわ。おまけに……たかが顔と
むき出しの肩をお出しになられただけなのに、直視も出来ずに悲鳴を上げるなんて……
ヘタレ過ぎる……もう死にたい……』
終わり
最近芽衣さんが欲求不満だ……
342
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/08(日) 16:25:40 ID:???
メイさんは主人がいない時にこっそりパンツオナニーしてそうGJ
343
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/08(日) 16:35:27 ID:???
>>341
GJ
どんどん変態になっていくなww
344
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/08(日) 16:39:09 ID:???
芽衣さんが手遅れになりかけてるww
GJ
345
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/08(日) 20:11:58 ID:???
芽衣さんかわええのうww
346
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/08(日) 22:25:56 ID:???
ここらで強烈にデレそうな期待感
347
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/08(日) 23:49:15 ID:???
GJ!
風呂場の扉って磨ガラスの所が多いよな…
…もしかして磨ガラス越しに極部が丸見えに(ry
348
:
本スレが落ちたので
:2012/01/09(月) 20:57:23 ID:???
・正月太りなツンデレ
男「……」ジィーッ
女「……何ですの、タカシ。人の顔を不躾に見て」
男「いや……もしかしてだけど、お前冬休みで太った?」
女「なっ……!? 何を言っておいでですの!? 私が太る訳ありませんわ!!」
男「いやー……顔とかは太ってないけど、体つきがふくよかになったような」
女「私がどれほど美容に気を使っているか知っておいでですの!? 失礼ですことね!!」プンプン
男「んー……確かにお前んとこって家柄的に正月太りなんてしそうにないしなぁ」
女「そうですわよ。タカシの目が腐っているんですわ!!」
男「……あ! そうか!」
女「な、なんですの?」
男「要するにこれは、お前は太ったつもりはないが俺には太って見えるんだよな?」
女「そうですわね。タカシの目か頭がおかしいから」
男「ところが、俺にも顔が太ったようには見えないし、その他体のパーツも太ましいとこはない」
女「じろじろ見ていると思ったらそんなところまで見ていましたの……それで?」
男「だとすればあとは、目立たない部分が肥えたとしか考えられないんだよなぁ」
男「つまりリナ、お前またおっぱいでっかくなっただろ」
女「!!!」
男「胸が大きくなったら上半身がデカく見えるのもやむ無しだよなぁ」ウンウン
女「何うなずいてますの! 確かにこの冬休みでブラを新調しようかとは思ってましたけれど……」
男「まぁ、おっぱい星人としては良い新年の幕開けではないかと。南無南無」パンパンッ
女「お、拝むのを止めなさい! このセクハラ! ド変態!///」ポカポカ
男「フヒヒwwww」
349
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/09(月) 21:24:16 ID:???
>>348
タカシ変態すなあwww
GJ!!
最近は本スレが気付かないうちに立ってて気付かないうちに落ちてばかりだ……
350
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/10(火) 00:33:45 ID:???
GJ!!
現行案内スレも見てるんだけど気づくと落ちてるんだよなぁ
351
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/10(火) 00:37:59 ID:???
俺もお嬢の胸を拝みてぇww
GJ
352
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/10(火) 00:58:53 ID:???
もみしだきてぇ
353
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/10(火) 02:51:17 ID:dF8QdGvA
おっぱいかわいい
間違った、お嬢かわいい
354
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/17(火) 02:46:12 ID:???
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2494.jpg
安定の似なさ
中身をマジメに見たことないが、ライバル?の黒髪のほうが萌える気がする
355
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/17(火) 02:48:47 ID:???
寝る前にと避難所更新したら直前に何かキテター!!
可愛いが、元ネタが分からんのは申し訳ない
356
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/17(火) 03:29:03 ID:???
>>354
この人は前作打ち切りが惜しすぎたな・・
357
:
1/3
:2012/01/22(日) 05:49:25 ID:???
【ツンデレにマルチを強要したら】
「久しぶりに昔のエロゲを引っ張り出してプレイしたところ、マルチが死ぬほど可愛かったので今日から先生はマルチ。決定」
「なんて無茶なことを平然と言うですかっ!? 先生はマルチではなく、先生ですっ! 大人です!」
なんかもにゃもにゃ言ってる大谷先生(自称大人、見た目小学生)の耳にマルチっぽい自作の付け耳をつける。
「あーっ!? もうっ、全然許可してないのに勝手に変なのつけないでくださいっ!」
「お、普通にくださいって言った」
「へ? ……あーっ! 今回はちゃんと言えました! えへへっ、すごい? すごい?」
「あーすごいすごい」
ぴょんこぴょんこ跳ねつつ、満面の笑みですごいか生徒に問いかける教師の頭をなでる。
「……なんか知んないけど、馬鹿にされた気分でいっぱいです」
折角なでてやったというのに、大谷先生は不満気に眉を寄せた。
「そりゃ馬鹿にしているからなあ。そんな気分にもなるだろ」
「やっぱりですっ! 別府くん、先生を馬鹿にしてはいけませんっ!」
「いや、教師という職業を馬鹿にしたんじゃない。大谷先生という一個人を馬鹿にしたんだ。勘違いさせたなら謝る。悪かった」
「謝られたのにより一層不愉快になる魔法をかけられましたっ!」
ぺこりと頭を下げたのに、先生は涙目で怒った。
「それより先生、折角マルチっぽくなったのだからはわわはわわと言いなさい」
「生徒が教師に要求することじゃないですっ!」
「言ったら大人扱いするから」
そう言った途端、先生の目が輝きだした。
「ほっ、本当ですかっ!? 先生のこと、尊敬しますかっ!? もー子供だ子供だって馬鹿にしませんか!? 胸が小さいことをいじりませんか!? 執拗に頭をなでませんか!? 意味もなく抱っこしませんか!?」
「質問が多い。一つにしてくれ」
358
:
2/3
:2012/01/22(日) 05:49:52 ID:???
「う……そ、それじゃ、本当に先生のことを大人扱いしてくれますか?」
「任せろ。約束しよう」
「わ、分かりました。それなら先生も我慢して言います。……は、はわわ!」
「…………」
「はわわ! はわわ! はわわ! はぁはぁ……ど、どですか?」
「なんかイマイチ。20点」
「えええええ!?」
「どーも先生にはマルチ感が足りない。ゲーム貸すからマルチシナリオをクリアし、きちんとマルチのキャラを把握すること」
「頑張ったのに! 折角言いたくもないのにはわわって言ったのに、20点って! 先生、非常に不本意です!」
「赤点なので、当然先ほどの約束も反故させていただきます」
「酷いです! 別府くん酷すぎです! 悪魔です! 悪魔超人です! いっそ悪魔将軍です!」
「地獄の断頭台!」
「わ、上手です! ぱちぱちぱち!」
隠れた特技、一人必殺技を披露したら、普通に感心された。
「……いやいや、違います。必殺技とかどーでもいいんです」
「全く関係ないが、口でぱちぱちって言う奴って馬鹿みたいだよな。いや、全く関係ないが」
「また馬鹿にされた!? もー! 別府くんは! やっぱり悪魔です!」
「人間です」
「うぐぐ……しかも冷静に否定するなんて、なんだか先生の方が子供みたいじゃないですか! どーゆーつもりですかっ!?」
「実際に子供だから、別に変なことじゃないと思う」
「こんなに言ってるのにまだ先生のことを子供扱いしますか!? どういうつもりなのですかっ!」
「だって、先生の幼女感ときたら尋常ではないのだから、仕方ないではないか」
「仕方ないではなくないですっ! 別府くんのばかっ!」
「ややこしい怒り方をするな。まあそういうわけで、引き続き子供扱いするのでそのつもりで」(なでなで)
359
:
3/3
:2012/01/22(日) 05:50:14 ID:???
「ほーら、早速先生の頭をなでなでと! 酷い扱いです! 頭なでないでくだたいっ!」
「お、例のくだたいが出た。さすが先生、自身のキャラをよく分かっていらっしゃる」
「そんなつもりないですっ! 別府くんのばかっ! 先生のこと馬鹿にしてばっかで! だいっきらいですっ!」
「これは悲しいことを。俺は先生のことを大好きなのに」
「はわっ、はわわっ!?」
「ん?」
「は、う、え、そ、そんなこと言われても、こっ、困ります、困りますっ! そ、そりゃ先生も本心では、その、アレですけど、……そ、そーゆーことは卒業してからですねっ!?」
先生はやたらと顔を赤くしながら、両手をぶんぶんと振った。
「ふむ……」
「……あ、あの、別府くん? ……あ、あの、どしてもって言うならですね、その……あの、えと。……み、みんなに秘密で、そ、その、……て、手とか繋いだりとかなら、ですね?」
「さっきの“はわわ”はなかなかの出来だった。なんだ、やればできるじゃないか!」(なでなで)
「…………」
「先生? 大谷先生?」
「もーっ! 別府くんは! もーっ!」
先生は両手をぐるぐると回転させながらこちらに突撃してきた。
「ひぃ、先生が急遽牛憑きに! なのに乳が依然平らとは、涙を禁じ得ない」
「今日も別府くんはいじわるです! いじわる王です!」
「王か。最近の俺は黄衣の王とかが好きだなあ。いあ! いあ! はすたあ!」
「ちっとも分からないですしなんだかちょこっと怖いですうわーんっ!」
「ああ今回も先生を泣かしてしまった。はいはい、泣かない泣かない。ごめんな、先生」(なでなで)
「ぐすぐす……今回も泣かされました。今日も別府くんは悪魔の御使いです」
「いあ いあ はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ! あい あい はすたあ!」
「本物っ!? はわっ、はわわわわっ!?」
ガタガタと震えながらSAN値を減らす大谷先生は可愛いなあと思った。
360
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/22(日) 08:32:40 ID:???
>>359
先生は相変わらずかわいいなwww
GJ!!
361
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/22(日) 09:20:08 ID:dF8QdGvA
久しぶりの先生が可愛すぎて面白すぎて!
にゃる しゅたん!
362
:
つーん
:つーん
つーん
363
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/22(日) 10:00:37 ID:GWgC1PVU
>>359
GJ!
364
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/22(日) 10:31:36 ID:???
しゃべるたびにバカっぽさを露呈をしていく先生が可愛すぎて死ぬwwwww
365
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/23(月) 01:50:13 ID:???
【】の人グッジョブ!クトゥルフ系にハマってるなら、是非「あぁ、ツンデレが窓に!窓に!!」
みたいなシチュでなんか書いてくれww
366
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/23(月) 16:18:15 ID:5HOtWzQY
内緒にしてってお願いしたのにばらされた感じ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2497.jpg
367
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/01/24(火) 07:00:36 ID:D54wChMw
とか言いながら内心早く告白してほしいかつみん可愛い
GJ!
368
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/03(金) 23:51:02 ID:???
短編供養
か「はいお疲れー」
タ「……毎度豆投げる力が強すぎるだろう、あちこち痛ぇ」
か「バカね、本気でやんないと厄は落ちないでしょ」
「それよりほら、早く入りなさいよ、暖かい空気が逃げるでしょ」
タ「はいはい、おー寒っ」
か「……福は内、と(ボソッ」
タ「ん、何?」
か「別にー」
369
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/04(土) 00:49:29 ID:dF8QdGvA
さりげないかなみさん可愛いなあ。GJ!
370
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/04(土) 22:25:45 ID:???
ヤバい
最後の一言で死ぬかと思った
GJ
371
:
1/4
:2012/02/10(金) 22:15:11 ID:???
【ツンデレに噂話について詰問されたら】
もうすぐバレンタインという噂を聞きつけた俺は、根回しに躍起になっていた。だが、どうにもうまくいかない。
そんなある日の放課後。今日はどこから行こうか教室でプランを練っていると、かなみが何やら不機嫌そうな顔をしてこちらにやってきた。とても怖いのでそーっと逃げようとしたら回りこまれた。
「くそっ! やっぱり大魔王からは逃げられない!」
「誰が魔王よッ! くだらないことしてないで、ちょっと顔貸しなさいよ」
「嫌な予感しかしねぇので嫌です」
「早く!」
「はいすいません」
叱られたので、素直に自分の席に着く。かなみは近くの机の上に座った。お行儀が悪いですよ?
「あのさ、なんか最近『放課後に色んな教室を練り歩き、食物を必死な顔でねだる妖怪が出る』って噂が流れてるんだけど、アンタなんかしたでしょ?」
「あー。多分その妖怪のモデル俺です」
「やっぱか! あたしも聞きながらアンタを想像したわよ! 勝手に学校の七不思議を増やすな馬鹿っ!」
かなみに思いの猛りをぶつけたら、罵声をぶつけられた。
「別に好んで増やしたわけではない。ただチョコをもらおうと必死だっただけなんです。それがよもや学校の歴史に名を刻む羽目になろうとは……」
「なんかかっこよさげだけど、どう考えてもかっこ悪いわよ」
ですよねー。
「んで、なに? チョコ? あ、バレンタインの」
コクリとうなずくと、かなみはいかにも馬鹿にした様子で俺に話しかけた。
「その調子だと、当然のようにチョコレートはもらえそうにないみたいね。ま、トーゼンよね。誰がアンタみたいな変人にチョコを渡すってのよ♪」
「今日もかなみは楽しそうに俺を罵倒しますね」
「罵倒じゃないわ、ただ事実を述べているだけよ。それが、どういうことか、罵倒になっちゃうのよねー。不思議♪」
「俺の魅力がなせる技だな!」
「けなしてるんだからそろそろ怒れッ! 何を全部吸収してるのよ!」
「なんで俺が怒られてるの?」
頬をぐにーっと引っ張られた。痛い。
「うー……ちっとも堪えてないし」
「いや、痛いんですよ? ただ、人より表情に出にくいだけで」
「あ、引き千切ったら流石のアンタでも痛がるかな?」
「助けてぇ!」
372
:
2/4
:2012/02/10(金) 22:15:36 ID:???
「叫ぶなッ! 冗談よ、冗談」
「なんだ。かなみのことだ、頬を引き千切るだけに飽きたらず、太ももとかつまんで引き千切るに違いない! と強く思ったんだが……いや俺の勘違いでよかったよかった」
「どこの花山と勘違いしてんのよッ!」
「握撃!」
「ふにゃあ!?」
わっしと顔を掴んだら、やけに可愛いリアクションをされて、俺は一体どうしたら。
「…………」
「…………」
どうしたらいいか分からなくなって、そっと手をのけたら、あらかなみさん顔真っ赤。
「……えーと」
「うるさい喋るな死ねッ! そしてさっきの忘れなさい!」
「ネコミミつけて『なでなでしてくださいですにゃあ』と媚っび媚びに言ってくれるなら忘れる」
「なんで恥ずかしいのを隠すためにより恥ずかしいマネしなきゃいけないのよ! するわけないでしょ、この馬鹿!」
「むぅ。しょうがない、さっきの『ふにゃあ』を脳内リピートして楽しもう」
「忘れなさいって言ったでしょ! 忘れろ、この馬鹿!」
「脳内リピート開始。ふにゃあふにゃあふにゃあ」
「アンタを殺してあたしは死なないッ!」
「ふにゃげげげ」
首を締められたので忘れることにする。そしてさっきのかなみの台詞だと、ただ俺が殺されるだけなので納得いかない。
「はぁはぁ……あのさ、死ぬから」
「それがあたしの望みよ」
「なんて酷いやつだ。チョコはもらえず、よもや死をもらう羽目になろうとは」(ドヤッ)
「うわっ、超うっとうしい。……そ、それで、やっぱりチョコはもらえそうにないの?」
興味がないのだろう、かなみは髪の先をいじりながら素っ気なく聞いた。ただ、視線だけが毛先と俺の間をせわしなく行き来していた。
「あー。なんかね、誰もくれないんですよ。俺も知らないことなんだが、どうやら俺には既に相手がいるからって」
「相手っ!? どっ、どういうことよッ!?」
「痛い痛い苦しいやめて誰か助けてぇ!」
「うるさいっ!」
がっくんがっくん揺さぶられたので、得意の萌えボイスで悲鳴をあげたら怒られた。
「いやね、なんか俺にはいつも側にいる奴がいるらしくて。仲が良さそうな悪そうな、一見するとよく分からない関係で、でもいっつも側にいるからチョコを渡すのもねぇ、という話なんです」
373
:
3/4
:2012/02/10(金) 22:16:04 ID:???
「だだだ誰よそれっ! 名前を言いなさいよ、名前!」
「俺も名前までは。ただ、容姿の特徴は聞いてきた」
「よしっ! 極々稀に役に立つわね!」
「でへへぇ」
「うわっ、気持ち悪ッ! 死ね!」
「…………」
折角のいい気分が台無しだ。
「はぁ……ええと、そいつの特徴なんだが、なんかいっつも俺をぽんぽん叩いてるらしい」
「ふーん。あたし以外にそんな殊勝な趣味を持った奴がいるのね。是非お友達になりたいわ」
「お前は一度殊勝という単語を調べなおしたほうがいいと思う」
「うっさい。ほらほら、早く次の特徴言いなさいよ」
「ん、ああ。でだな、身長はあまり高くないらしい。平均よりもやや低いとか」
「ふーん」
「これは俺様大喜びなんだが、胸はぺったんぺったんつるぺったんだとか。最高だよね!」
「…………」
「最高だよね!」(満面の笑み)
繰り返すと殴られます。要注意。
「まったく……ん? アンタをいっつも殴ってて、小柄で、胸がぺった……す、スレンダー? ……それって」
「あと、頭の両端から昆布が垂れてるらしい。ここまで変な奴は人間ではなく妖怪の一種だと思う」
「明らかにあたしのことじゃない! あと昆布じゃない! 髪! ツインテールだって何百回と言ってるでしょ! え、ていうか周りのみんなもこの髪形を昆布って認識してるの!?」
「いや、なんかツインテールとかなんとか訳の解らんことを言ってたから、きちんと意訳してあげた。こんな気の利く俺を褒めてはどうだろうか」
いや、殴るんじゃなくて。褒めるの。
「この馬鹿は……あれ? じゃあ、え? み、みんなあたしとアンタのこと……?」
何やらかなみの顔がゆっくりと赤くなっていきますよ?
「どうかしたか?」
「な、なんでもないわよ! うぅ……こ、こっち見るな馬鹿!」
「よく分からんが、大丈夫か? 保健室行くか?」
「そ、そういうんじゃないから、別に! 心配とかするな、ばか!」
「まあ、問題ないならいいんだけど。女の子なんだから、どこかおかしいと思ったら無理せず保健室へ行くんだぞ?」
「う、うるさいっ! 女の子とか言うな、ばかっ! ばかばかばかっ!」
374
:
4/4
:2012/02/10(金) 22:16:26 ID:???
「いやはや。ところでかなみ、俺にチョコをくれませんかね?」
「えっ?」
「いやね、この調子だと誰にももらえそうにないんですよ。俺の側にいる謎の人物は謎のままだし、ここはかなみに頼るしか」
「……ふ、ふーん。そなんだ。あたしのチョコが欲しいんだ」
「この際だ、多少なら異物が混入されていても文句言わない」
「込めないわよッ! 人をなんだと思ってるのよ!」
「隙あらば俺を殺そうとする暗殺者」
「違うわよっ! んなことしたことないわよっ!」
いやもう今日既に殺されかけたけど。
「ああもう、どっと疲れた……」
「まあそういう訳で、頼む。チョコくれ。いや、ください」
「……ふっふ〜ん。どーしよっかな?」
ニヤニヤと底意地の悪そうな笑みを浮かべるかなみ。本領発揮といったところか。
「分かった。どこを舐めればいい?」
「なんでよっ! 寄るな変態ッ!」
「いや、こういうシチュエーションなので、どっか舐めさせられるものかと。個人的にはおっぱいとかがいいです」
「はぁぁ……そうよね、こういう奴だったもんね。……あーあ、なんでこんな奴を……」
かなみは俺を見ながら何やらぶつくさ言っていた。
「うー……ちょっとこっち来なさいよ、ばか」
「馬鹿ではないが、了解」
てってこ近寄ると、何やら頬を引っ張られた。
「痛いのですが」
「ふん。冗談ばっか言ってるからよ、ばか。罰よ、罰」
「我々の業界ではご褒美ですよ」
「どこの業界よ! 全く……ばかなんだから。えいえいっ」
「ご褒美ではあるが、痛いのですが」
「チョコほしいんでしょ? だったら我慢することね。とーっ、やーっ♪」
そう言いながら、かなみは小さく笑いながら俺の頬をむいむいと楽しげに引っ張るのだった。
375
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/11(土) 04:23:20 ID:???
かなみさんが可愛すぎて今日も生きるのが楽しいGJ!
376
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/11(土) 09:36:04 ID:fS4R8Pbk
GJ!!
かなみさんアホ可愛いwwwww
377
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/12(日) 22:20:01 ID:???
2月12日の絵
「にぃに(2・12)の日」だからちゅんでれの絵を描こうと思ってググったらさらにブラジャーの日だった
それを見て即座に「新しく買ったブラを着けてみてる妹ツンデレの部屋に突入!?」と連想した俺の脳みそヤバイ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2510.jpg
>>374
GJ
かなみんアホかわいいよかなみんww
378
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/12(日) 22:37:45 ID:???
>>377
これはいい組み合わせだww
GJ
379
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/12(日) 22:53:42 ID:CSfrIMtI
>>377
ぺったんこの胸に無理してブラ着けようとしてるちなみん可愛い
380
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/12(日) 23:05:15 ID:???
これは良い
素晴らしいあばらだ
381
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/16(木) 00:57:50 ID:???
うっすら浮き出る肋骨とイカ腹
>>377
はロリがよくわかってる
382
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/18(土) 23:04:00 ID:1l1QX1Vc
なんかもうだらだらだらだら長くなっちゃった上、今更バレンタインネタという信じられない出来事なんじゃないカナなんじゃないカナ。
http://onyuu.zoku-sei.com/Entry/657/
383
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/18(土) 23:06:00 ID:1l1QX1Vc
って本スレあったのか。迂闊。
384
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/19(日) 04:06:25 ID:???
>>382
かなみ可愛いよかなみ
385
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/20(月) 01:05:56 ID:???
>>382
萌えてハゲしぬ
386
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/25(土) 05:01:49 ID:???
山「友ちゃん」
友「なに」
山「友ちゃんは、すべらないの?」
友「受験生に縁起悪いから、その言葉はNG」
山「いやその、スキーの話」
友「…寒いからいやなの」
山「…何しにきたの?」
友「そりゃ、タカシとかなみを撮りに」
山「二人とも、楽しそうに滑ってるよ。行かないと撮れませんよ?」
友「…あんたが行って来なさいよ」
山「…別にボクは」
友「役立たず」
山「ボクは友ちゃんの腰巾着だから、友ちゃんに着いて行くだけだなー」
友「…ずるい」
山「…ほんとのところは?」
友「…スキー滑れないの」
山「そんなかわいい友ちゃん大好き!」
ぎゅー
友「…うー!!!うるさいうるさい!!」
山「あ、なんか食べる?」
友「カレー食べたい」
山「はいはーい」
タ「…昼飯食いに帰ってきたら…スキーも滑らずにイチャつきやがって」
か「…あいつらを撮ってやろうかしら」
387
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/25(土) 09:02:04 ID:LKHxI9lM
大人しく山田にスキー教えてもらおうよ友ちゃん
388
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/26(日) 00:13:15 ID:???
本スレ650.3
>>20-21
というわけで食べてみた。
「はぐはぐ」
「きゃぁーーーー!!! なっ、なんですのーーー!!??」
「だってチョココロネが……」
「これはチョココロネじゃありませんわ! 私の髪ですの!」
「えーだってー……」
このツヤ……巻き具合……甘い香り……「頂きます。はぐはぐ」
「きゃー! きゃー!」
「こら! 暴れるな! 食べにくいだろうが!」
お嬢を取り押さえようとしたが、抵抗が予想以上に強く、二人まとめて転倒。
お嬢の上に馬乗りになるような体勢に。
「な……ぁ…………ちっ……近い近い! 顔が近いですわ! やめて!/////」
顔面を鷲掴みにされグイグイと押される。
しかし雄の本能か、獲物の抵抗が強いほど燃え上がるのもまた事実。
「ふぎぎぎぎ」
「きゃー! きゃー! ぎゃあーー!!」
力任せにチョココロネに食いつこうとしていると、その時タカシに電流走るっ……!
これは……。
この感触は……!
「おっぱいぷりん!」
「は!?」
「おっぱいぷりん! お嬢のおっぱいプリンペロペロ! お嬢のチョココロネもぐもぐ! ぺろぺろ! もぐもぐ! ぺろもぐもくぺろりん!」
「怖い! 怖いですわ! やだぁ! いつもの優しいタカシに戻ってぇ!」
何を言ってるんだ。俺はいついかなる時も紳士然としているじゃないか。
「だからおっぱいプリンぺろりんさせろ」
「やだやだ! こんなむりやりやだぁ! いつものタカシに戻って! こんなのタカシじゃない!」
「お嬢」
軽く発狂気味で暴れるお嬢の体を押さえつけ、できるだけ優しく耳元で囁く。
「ひっ……!? なっなに!?」
「ごめん……酷いことして……。お嬢があんまりにも魅力的で、自分が抑えられなかったんだ…………ごめん」
「ぇ…………ぁ……ぅ……/////」
耳まで真っ赤に染まるお嬢。可愛いなぁ。
「ほ……ホント……?」
「うん」
「私のこと……すっ…………スキ……なんですの……?」
「うん、大好き」
「ぁうぅ……/////」
「だからおっぱいプリンとチョココロネぺろもぐさせて!」
「もうやだー!!」
389
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/26(日) 00:13:36 ID:???
最近伸びないねー
困った困った
390
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/26(日) 04:11:57 ID:???
タカシ変態すぎワロタww
391
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/26(日) 14:41:26 ID:???
>>388
男の変態っぷりに注目してしまうが、お嬢可愛いよお嬢
392
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/02/26(日) 18:38:15 ID:bf/eCcmc
>>388
やべえ…やべえよ…
393
:
1/4
:2012/03/06(火) 19:23:40 ID:???
【ツンデレの家に居候したら】
なんかうちの親が海外に転勤とかいう話が出て、俺もついていかなくてはいけないとか。日本語しか扱えない俺には辛すぎる展開。
そんな愚痴をかなみにこぼしたら、あれよあれよという間に俺の所属が俺の親からかなみの親に移動していた。気がつけばかなみの家に居候してた。マジか。
「あ、アレよ。アンタみたいな変なの海外に輸出したら、日本人が全部こんなのばっかと思われるの嫌だからよ。……ほ、他に理由なんてないんだから!」
「何も聞いてませんが」
「うっ、うるさいっ、ばかっ!」(頬ぎゅー)
「ひはひ(痛い)」
そんなわけで、かなみと一つ屋根の下でキャッキャウフフという噂。
「ぐぅぐぅ。……ぐぅ?」
そんなこんなでかなみの家に泊まること一週間ほどになるのだが、今日もかなみはどういうことか俺の布団の中にいます。
「すぅすぅ……」
「うーん。今日もか。どういうことなんだ」(なでなで)
「ん、ぅん……んー♪」
寝てても分かるのか、かなみの表情が何やら嬉しげになってきた。これはなでなでの手が止まらない。
「黙ってる分には可愛いんだよなぁ……」(なでなで)
「んー♪ んぅー、んー♪ ……ん?」
「ハァハァ……」
「朝から変態が目の前にいるッ!?」
「待て落ち着け! 大丈夫だ、その変態は顔見知りだ」
「へ? ……あ、ホントだ。よく知ってる変態だ」
「そうそう、いつもの変態だ。息が荒いのは、お前をなでて興奮しただけだ」
「なるほどそっかあ。んじゃ、そろそろ殴っていい?」
「できれば手加減お願いします」
「うん、それ無理♪」
「うわ、今時ハルヒて。しかも、意気揚々と言ってるのがまた。黒歴史を築いてる真っ最中なのか」
394
:
2/4
:2012/03/06(火) 19:24:07 ID:???
「えい」(ぶすり)
「ぎにゃあ」
目潰しされた。とても痛いので布団の中をごろんごろん転がりたいところだが、あいにくとすぐ隣にかなみがいるためスペースを確保できず、狭い範囲を右往左往するばかりで痛みを誤魔化せない。
「ああもう狭いんだから暴れるな!」
「はい」
「思った以上に素直!? ていうかアンタ、目大丈夫なの?」
「このくらいなら、ものの数秒で治ります」
「アンタの回復力も化物じみてきたわねぇ……」
「ところでかなみさん、一応聞いておきますが、なんで今日も俺の布団にいるの?」
「うっ……そ、その、夜中にトイレ行って、自分の部屋と間違えてここに来ちゃったの! 寝ぼけてたの! しょーがないの!」
「昨日も一昨日もその前も似たようなこと言ってませんでした?」
「き、気のせいよ」
明らかに目が泳いでる。ただ、まあ、仮にわざとだとしても、俺には一向に問題がないというか「むしろかなみと一緒に寝るのはとても気持ちがいいのでありがたい話だ」
「なっ、何をいきなり言ってんのよっ!」
「え、あ。いかん、途中から考えが口に出てた」
「このエロが……」(頬ぎゅー)
「うーむ、痛い」
「あ、アンタのことだから、わ、私の胸がぽよぽよ当たって興奮してるんでしょ! この変態め!」
「いや、かなみのおっぱいは貧乳なので、ぽよぽよ当たるとかありえません」(即答)
「…………」
「しまった、本音が出た! しかし本当のことだし! ただ、寝てる時は俺にしがみついてくるので感触は味わえます。これが小さいなりにほにょほにょと結構柔らかくて、お兄さん実は楽しみにしてるんですよ?」
そうなるんじゃないかと思ったが、やっぱり殴られました。
「まったく……なんだって朝からこんな目に遭わなきゃいけないのよ……」
階段を下りながら前方のかなみが呟く。
「俺の布団に入り込まなければ済む話ではないだろうか」
「ね、寝ぼけてるから仕方ないの! 好きで一緒に寝てるわけじゃないもん!」
「へーへー」(ぷらぷら)
395
:
3/4
:2012/03/06(火) 19:24:28 ID:???
「あっ、こらっ! 人の髪で遊ぶな!」
かなみのツインテールを両手に持ってぷらぷらしたら怒られた。
「そうだな、食べ物で遊ぶなんて我ながら行儀が悪いな。すまん、謝る」
「だから、昆布じゃないって言ってるでしょうがあ!」
「朝からうるさいなあ。腹が減ってるのか? しょうがない、君の昆布を食べなよ」
「僕の頭を食べなよみたいに言うなっ! ああもう、アンタ明日から先に行きなさいよ、そしたら蹴り落とせるから!」
「そうならないために、いつもお前の後ろを心掛けているんです」
「それより私に余計なことしないことを心がけなさいよっ!」
「それは無理です」
「どんだけ嫌がらせが好きなのよ、アンタはッ!」
などとぎゃーぎゃー言い合い(というか、主に俺が怒鳴られている)ながら階下におり、すぐ側のダイニングに入る。
「二人とも今日も元気ねえ。ここまで声が届いてたわよ」
人の良さそうな笑顔を浮かべたおばさんが俺達を出迎えてくれた。
「やったな、かなみ。お前の腹話術が評価されたぞ」
「あらあら、うちの娘は知らない間にいっこく堂みたいになってるのね。こういうしっかりした芸がある方が、テレビに出てる芸人さんより将来安心ね♪」
のほほんとした笑顔でおばさんが俺の話を吸収発展させた。この女、やる……!
「違うっ! お母さんもコイツの話に乗らないっ!」
「全くだぞ、おばさん。俺は適当なことしか言わないんだから、まず疑うことを覚えないと」
「怒られちゃった。てへぺろ(・ω<)」
「アンタもちょっとは悪びれろっ! そしてお母さんは自分の年を考えろ!」
このように、俺とおばさんが揃うとボケの量が増えるのでツッコミ要員のかなみの労力が甚大になるので大変だと思った。
そんなこんなで朝の用事を済ませ、一緒に登校。
「はー……。朝から疲れるわ」
「大変だな」
「何を他人事みたいに……主にアンタのせいよ!」
「昆布が怒った」
「昆布じゃなくて私が怒ってるの! ていうか昆布じゃなくて髪! ややこしいボケをするなっ!」
396
:
4/4
:2012/03/06(火) 19:24:49 ID:???
「ひぃ。助けて昆布」(ぷらぷら)
「くどいッ! まったく……それより、アンタよく私の髪を触るわよね」
「あ、すまん。そう気安く触るものでもなかったよな。悪い悪い」
慌てて手を離す。どうもかなみ相手だとズケズケと入り込んでしまうな。いかんいかん。
「……べ、別にアンタだったらいいケド」
「ほう。きっと俺は評価に値しないレベルなんだろうなあ。はっはっは」
「……そ、そう。そんなとこ。それより、この髪形、好き?」
「ん、ああ。かーいーよね、ツインテール。ようじょにぴったり!」
「ようじょって言うな! 立派な高校生よっ!」
「ざんねん! 乳と背がたりない!」
「がーッ!」
「凶暴性は十分です」(たくさん殴られて半泣き)
「ふん。小さいのは分かってるわよ、ばか」
「でも、そのおかげで俺みたいな変態に大人気だよ?」
「自分で言うな! くらえ変態!」
かなみは自分の髪を持つと、その先端で俺をこちょこちょとくすぐった。
「これはこそばゆいが同時にとても嬉しい! ウヒヒィ!」
「しまった、変態だったから喜んじゃった! でも面白いからもっとやってやれ。うりうり♪」
「ウヒヒィ、ウヒヒィ」
などとやってたら遅刻した。廊下で立たされるという時代錯誤の罠が俺達を襲う。
「あーもー! 全部アンタのせいアンタのせいアンタのせい!」
「全部ではないと思う」
「アンタが変な声だして喜ばなかったらあんなにやってないもん! 全部アンタが悪い!」
「うーん。いや、やっぱり責任の一端はお前にもあると思うが」
「うっさい! くらえ馬鹿!」(こしょこしょ)
「ウヒヒィ、ウヒヒィ」
「お前ら、うるさい。あとそこの馬鹿、踊るな」
めんどくさそうに俺達を叱る担任だった。
397
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/06(火) 20:11:00 ID:???
>>396
乙もげろ
398
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/06(火) 20:34:57 ID:???
かーいーなー
399
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/06(火) 20:50:49 ID:???
>>396
GJ!!
400
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/07(水) 13:59:35 ID:???
>>396
相変わらずかなみさん可愛すぎるぜ
401
:
1/2
:2012/03/10(土) 17:52:50 ID:???
【ツンデレにジャッジメント待ち伏せをしたら】
超電磁砲のSSを色々読んでたら面白かったので、リナをからかおう。教室の隅に隠れて……来た! 今だ!
「ジャッジメントですの!」
最高のタイミングで姿を現してかっこいいポーズを決めたのに、ものすっごい冷たい目で見られた。
「じゃ、ジャッジメントですの!」
「…………」
「……じ、ジャッジメントですの?」
「なんで疑問形なんですの!? ……はっ、ついツッコんでしまいましたわ。わたくしとしたことが……!」
「俺の勝ち。ぷひぃー」
「うるさいですわっ! そのドヤ顔やめてくださいまし! そもそも何期前のアニメを引きずってるんですの!?」
「詳しいですね」
「興味がないというわたくしに、貴方が何度も何度も何度も何度も説明をするからでしょう!?」
「さて、ジャッジメントですのもやったし、そろそろ帰るか」
「帰ってどうするんですの! 今から授業ですわっ! ほらほら、早く席に着きなさいな!」
「任せろ、得意だ。こうして、こうだな!」
「どっ、どうしてわたくしを膝に乗せるんですの!?」
自分の席に着き、そしてどういうことかリナを俺の膝に乗せてしまった。
「ああしまった間違えた」(棒読み)
「明らかにうそ臭いですわっ! み、みんな見てますわ、見てますわっ!」
「こんな面白い見世物、そうそうないからな。俺だって他人事ならガン見する」
「見世物とか言わないでくださいましっ! 早く早く早くっ! 先生が来てしまいますわっ!」
「早く……? 挿入もしてないのに出せ、と? まあ、後ろから抱っこすることによってリナの感触は味わえているので、刺激は十分だから……まあ、いけるか。ただ、ちょっと尻をグラインドさせていただけると助かります」
「な、な、な、何を言ってるんですの!? え、えっちですの、えっちですの!」
「はい!!!!!」
「満開の笑顔ですの……」
なぜかぐったりしてるリナだった。
「うぅ……そうじゃなくて、早くわたくしを解放してくださいなと言っているんですの」
「精神的に? 別にリナは誰にも依存してない自立した立派な女性だと思いますよ? ただ、おんぶにだっこな関係も非常に憧れるので、どうでしょうか?」
「何の話ですの! そうじゃなくて、抱っこをやめてくださいましと言っているのです!」
「ああ、なんだ。だから立てなかったのか。そういや俺が後ろから抱っこして動きを制限してたなあ。俺としたことがこんなことに気付かないだなんて。あっはっは」
402
:
2/2
:2012/03/10(土) 17:53:12 ID:???
「い、いーから早く! 一刻も早く手を離してくださいまし!」
「ふむ。……それじゃ、ジャッジメントですのって言ったら解放する」
「……ほ、本当ですのね? 嘘はナシですわよ?」
「嘘なんて今まで一度も言ったことがない。これが証明にならないか?」
「なりませんわっ! 今まで何度となく嘘をついてますわっ! むしろ冗談と言う名の嘘は嬉々として使ってますわっ!」
「リナはちっこくて可愛いなあ」(すりすり)
「ちっとも人の話を聞いてないうえ、人の頭に勝手にすりすり!? 許しがたい事ですわっ!」
「じゃあ逆に聞くが、リナの許せるレベルってどんなの?」
「……ふむ、そうですわね。わたくしの半径1kmまでなら近寄ることを許可しますわ。貴方にはそれ以上の接近を禁止しますわ。すぐにわたくしにセクハラいたしますから!」
「でも今は接距離1mmですよね」(すりすり)
「すりすりしないでくださいましっ! ああもうっ、今日の洗髪は特別念入りにしないといけませんわっ!」
「わははは。リナかーわいーい」
「あっ、貴方なんかに可愛いと言われてもちっとも嬉しくないですわっ!」
「まあまあ。それより、ジャッジメなんとかを早く言ってくれ」
「そこまで言ったなら最後まで言えばいいのに……そ、それで、本当に言ったら解放してくれるんですのね?」
「嘘なんて今までい」
「無限ループはいいですから! じゃあ言いますから、貴方も約束は守って下さいましね?」
「任せろ。まもって守護月天が好きだった俺だ、守るに決まってるだろう。ただ、一言だけ言っておくなら、俺は嘘つきらしい」
「一切合切信じられませんわっ! ああもうっ、言うからちゃんと解放して下さいましね! ……じ」
「ジャッジメントですの!」
「なんで貴方が言うんですの!? あと少しでわたくしが言うところでしたのに! わたくしのジャッジメントを盗らないでくださいまし!」
「だって先生が既に教室に来ていて、ものすごい俺達を睨んでいるから、そのプレッシャーに耐えられなかったんだ」
「へ?」
「……気は済んだか、二人とも」
「どうしてわたくしまで一緒になって立たされるんですの!? 全く納得がいきませんわ!」
「そうだな、本来叱られるべきは素早くジャッジメントですのを言わなかったリナだけだ。俺まで巻き込まれるのはどうかと思うが、優しい俺様はリナに付き合ってあげるよ」
「何一つ分かってませんわこの方!? ああもうっ、腹立たしいですわっ!」(頬ぎゅー)
「わははは」
手馴れた感じで廊下に立つ俺達だった。
403
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/10(土) 18:37:30 ID:udaJngKc
>>402
相変わらず男がアホ過ぎるwwwww
404
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/10(土) 18:53:21 ID:???
>>402
このお嬢はアホ可愛いなww
GJ
405
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/11(日) 00:27:32 ID:???
いつもいつも二重の意味でニヤニヤするなあww
GJ!
406
:
1/2
:2012/03/11(日) 03:32:05 ID:???
【ツンデレにジャッジメント待ち伏せをしたら2】
今日もリナをからかおう。先日のように教室で待ち伏せして……今だ!
「ジャッジメントですの!」
「……おぉう」
失敗。相手はドリル髪ではなく、寝ぼけ眼娘であるちなみだった。
「……よく分からないが、間違えた?」
「そのようです。許せよ乙女」(なでなで)
「……ぜったいに許さんぞ、虫けらども。じわじわとなぶり殺しにしてくれる」
「そんなドラゴンボールを盗られるのと比肩するほど怒られることしましたっけ?」
「……しました、としましま、という言葉が似ている。……知らない間に私のパンツを覗いたことを暗に言ってきてるに違いない」
「明らかな言いがかりだ! しかし、ということは、しまぱんなんですか?」
「……見たい?」
「いいのっ!?」
「……特別だよ? ……でも、恥ずかしいから、こっち、来て?」
「なんという僥倖! 行く行く、パンツのためならたとえ火の中水の中! どこだって行くさ!」
恥ずかしげに頬を染めるちなみに吸い寄せられるように、彼女の誘導するまま教室の隅に移動し、何の疑いもなく少女の前に正座し、眼前にスカートを迎える。
「……じゃ、スカートめくるけど、恥ずかしいから、目、つむって?」
「任せろ!」
ぎゅっと硬く目をつむり、その時を待つ。まだか、まだか、まだか!
「……いいよ?」
がぶあっと目を開けると、眼前に──
「なんで本当にスカートの中に俺を入れてんだッ!」
「わあ」
全力でスカートから頭を抜く。びっくりした。びっくりした。
「目開けたらしましまがありましたよ! びっくりしましたよ! もう明らかな罠だったのでそれ用のリアクションを用意してたのに全部吹っ飛んじゃったよ! 逆にびっくりだよ!」
「……やったね。だーいせーいこーう」
407
:
2/2
:2012/03/11(日) 03:32:47 ID:???
「お前は……芸人じゃないんだからネタのためにそこまで体張るな」
「……えろいくせに、変な所で真面目だ。……これだから童貞は」
「どっ、どど、どどうど、どどうど、どどう!」
「……童貞ネタで返すと思いきや、まさかの宮沢賢治とは。これだからタカシは侮れない」
「実はよく知らないんだ」
「……実を言うと、私も。……それより、どだった? 興奮した?」
「びっくりしたあまり、ろくに見てないので正直よく分かりません」
「……折角合法ロリのパンツを拝めるチャンスだったのに。……タカシにはがっかりだ」
「自分で自分を合法ロリとか言うな。そういうのは自称大人のアレで十分だ」
廊下の遠くで可愛らしいくしゃみが聞こえた気がした。
「……なるほど、ガチロリの方がいいと。……今日もタカシは業が深いね」
「おまいはどうしても俺を犯罪者に仕立て上げたいようだな」
「……じゃっじめんとでーすの。逮捕でーすの」
やる気なさげに呟きながら、ちなみは俺の頭をぺちぺち叩いた。
「なんか違う。こうだ。──ジャッジメントですの!」
「……おお、かっくいー」
ぱちぱちと拍手された。これには俺も得意満面。
「でへへぇ」
「……オタク的なことはタカシにお任せだね?」
「…………」
間違っちゃいないが、どういうことかあまり愉快ではない。
「……じゃっじめんとでーすの。でーすの」
間違ったイントネーションのまま、ちなみが俺をぺそぺそ叩く。
「だから、違うっての。ポーズもきちんと。せーの、ジャッジメントですの!」
「……じゃっじめんとでーすの」
「馬鹿が増えてますわ!?」
偶然教室に入ってきたリナが、ポーズを決める俺達を見て何やら驚いていた。
408
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/11(日) 08:58:07 ID:???
ちなみさんマジ策士
409
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/11(日) 10:21:01 ID:cwIfbnfg
ちなみんは無敵だなぁwww
410
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/11(日) 11:42:23 ID:???
「椎水さん、おはよう」
━━━━━━
「椎水さん?おはよう」
━━━━━━
「…おはy
おはよう
〜椎水家〜
ほわあぁあぁあぁあぁ!!!!あぁあ!!あぁあ!!別府君が別府君が別府君がぁぁぁ!!!!挨拶してくれたぁ!!!!録音しておくべきだった一生の不覚!!録音して目覚ましの音声にすべきだった!SHIT!
毎日毎朝別府君の「おはよう」で目が覚める、濡れる!!
しかし毎朝「おはよう」と言って目を覚ましてくれるなんて、もやは夫婦ではないだろうか、夫婦夫婦夫婦って、別府君ちょっと段階飛ばしすぎだよ!!!
でも別府君がそうしたいなら私は何時でもOKだよ、愛しているよ別府君!この溢れる愛よ!!別府君に届けぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
〜別府家〜
「なんか寒気がする」ゾクッ
411
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/11(日) 13:45:34 ID:cwIfbnfg
>>410
かなみさん壊れすぎwwww
412
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/12(月) 12:51:35 ID:???
ホワイトデーでさ
俺は例年通りツンデレへのお返し何にするか考えてたの
というのもツンデレ優しくて、俺なんかにも毎年バレンタインチョコくれるんでさ
お返しとかいらねーよ、なんて断られながらも絶対受け取ってもらうの
そんな感じでお返し渡してたら徐々に受け入れられるようになってさ
今じゃツンデレ、もうすぐホワイトデー、なんて探り入れてくるようになったの
俺としては秘密にしておいて驚かせたくてさ、なぁなぁで誤魔化しつつ逃げるのね
そしたらツンデレ、俺の後ろチョコチョコ付いてきながら聞き出そうとしてきてさ
あんまりしつこいんで、内緒、ってツンデレの口元に人差し指近づけて黙らせようとしたの
それ、しぃってポーズだけのつもりだったのが距離感誤って唇に指当たっちゃってさ
俺必死に弁明したんだよ、わざとじゃないって
でもツンデレムスッとしちゃって聞く耳持たず
それでホワイトデー当日、お詫びにいつもより良いお返し渡したんだけど
意地悪いツンデレ、私の唇奪われて、とか周りにふれ回っててさ、良いじゃんもう許してくれよ、って話
413
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/12(月) 12:52:52 ID:???
ホワイトデーでさ
私は例年通りアイツお返し何くれるのかなって想像してたの
というのもアイツ毎年律儀にバレンタインのお返ししてくれてさ
最初はね、その度贈り物なんていらないって言ってたの、心配りが重い、僕と結婚して下さい、的な
それでも毎年貰ってるとだんだん、今年は何くれるのかな、なんて期待するようになってきてさ
今じゃ、もうすぐホワイトデー、なんてカマかけてみたりするようになったの
だけどアイツいっつも渡すまで教えてくれなくてさ、愛想笑いでのらりくらり逃げてくの
それで今回はね、ちょっと調子乗って後ろ付いていきながらしつこく嗅ぎまわってたら
アイツ突然振り向いて私の口元に人差し指近づけてきてさ
小さい子静かにさせるように唇に指あてがって、内緒、って囁いてね
もう急にそんな事されたもんだから、少し時間止まって周りの音もかき消えてさ
アイツ何か喋ってたけど全然聞こえねーわ
それでホワイトデー当日、アイツからはね、それはそれは美味しいチョコ貰ったんだけど
正直、チョコよりもアイツをからかえる材料貰えたことの方が私的に美味しかったわ、って話
414
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/12(月) 23:18:11 ID:???
ツンデレさん子悪魔な感じで可愛いですなあ
GJ!!
415
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/15(木) 01:27:11 ID:vgJceh6I
規制で保守できなかった。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2531.jpg
416
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/15(木) 02:17:02 ID:???
>>415
まじ天使
417
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/15(木) 03:19:35 ID:???
可愛すぎだろ女子高生
418
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/15(木) 05:52:21 ID:LduP4bbA
>>415
超久々wwwwww
419
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/15(木) 08:57:46 ID:???
>>415
本当に久々だな
そして相変わらずかわいいwww
GJ!!
420
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/15(木) 13:18:07 ID:???
>>415
久しぶりに見たけど相変わらず可愛いな
GJ!!
421
:
1/5
:2012/03/20(火) 12:43:44 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その1
『……暇……』
ベッドに仰向けに寝たまま天井を見つめつつ、私は一人ごちた。インフルエンザにか
かって今日で五日目。学校も、もう三日も欠席している。
『一応、今日まで様子を見なさいってお医者さんに言われたけど、もうほとんど健康なのよね……』
最初の二日間はそれこそ高熱と倦怠感と間接の痛みと咳が一気に襲って来ていて退屈
どころの騒ぎではなかったが、三日目になると嘘のように熱が下がり、昨日の朝にはも
うほとんど健康と変わりない状況だった。
『何か、病気で休んでるっていうのに勉強する気にもなれないしな…… だからといっ
て、遊ぶのも気が引けるし……』
よっこらせっと私は体を起こし、布団をめくる。手に届く位置に置いてあったカーディ
ガンをパジャマの上から羽織って、立ち上がった。
『テレビでも見てれば、気が紛れるかもね。どのみち寝ようったって、寝過ぎるくらい
寝たんだもの。ボーッとしてるくらいなら、世の中の情報を仕入れた方がマシだわ』
自分にそう言い聞かせて、リビングに下りる。
「げっ? ねーちゃん、もう起きて大丈夫なんかよ」
ソファーに寝そべってマンガ雑誌を読んでいた弟の大輝が起き上がって、不審そうな
目付きで私を見る。
『だってもう熱もないし退屈なんだもの。それよりアンタ、いつ帰って来たのよ?』
「ついさっきだってば。つか、ねーちゃん。今日まで絶対安静なんだろ? 大人しく隔
離されてろよ」
『何よ。人を病原菌みたいな扱いしないでよね。念のために今日まで休みなさいって言
われてるだけで、もうほとんど治ってるんだから』
「ちょっ!? 寄ってくんなってば。俺にまで感染したらどうすんだよ」
『だからうつらないって言ってるでしょ? ムカつくから、アンタの顔に向けて咳して
あげるわ。ゴホッ!! ゲホッ!!』
「やめろバカ汚ねっ!!」
すると、キッチンにいたらしい母親が怒鳴り声を上げた。
422
:
2/5
:2012/03/20(火) 12:44:05 ID:???
『何してるの、涼香っ!! 病み上がりなんだからふざけてないで大人しくしてなさい。
ぶり返したらどうするのよ』
『だってお母さん。ケンカ売って来たのは大輝の方なのよ? 何で私が怒られなきゃな
らないわけ?』
「ねーちゃんがインフルエンザなのに起き出して来るからだろ。もしうつったら責任取れよな」
『ホントにうつせるものならうつしてやりたいわよ。それで、私が苦しんだのと同じか
それ以上の苦しみを味わいなさい』
「だから寄ってくんなってば。きたねーから」
『誰が汚いっていうのよ? あんまり失礼な事言うと承知しないわよ』
『二人ともいい加減にしなさいっ!! 涼香は治りかけなんだから、大人しくしてるの。
あと、大輝もあまりお姉ちゃんをからかわない。分かった?』
母親のカミナリに、私も大輝もさすがに言い合いを止めて口をグッとつぐんだ。
「ちぇっ。ねーちゃんのせいで俺まで母ちゃんに怒られちまったじゃん」
小声で大輝が文句を言うのを、私は聞き逃さなかった。
『何言ってるのよ。アンタがいちいち突っ掛かって来るから――』
『コラッ!!』
私の抗議は、母の怒声に遮られた。
『いつまでやってるのよ。本当にいい加減にしないと、お母さん怒るわよ』
「もう怒ってるじゃん」
『ねえ』
私と大輝は、顔を見合わせて母に聞こえないようツッコミを入れる。
『あと、大輝!!』
「はいっ!?」
自分だけ名指しにされて、弟が思わずビクッと姿勢を正す。母がシステムキッチンの
向こうから、身を乗り出して睨んでいた。
『いつもちゃんとお母さんって呼びなさいって言ってるでしょう。今度母ちゃんって言っ
たら、一ヶ月お小遣い停止だからね。分かった?』
「はーい」
母の説教に、大輝は気のない返事をした。最近、この弟は中学になってから急速に生
意気になって来た気がする。小学校の頃は生意気でもまだ可愛げがあったものだが。
423
:
3/5
:2012/03/20(火) 12:44:27 ID:???
『涼香。これからちょうどお茶にしようかと思ってたところだけど、アンタも何か飲む?』
『え? うん。じゃあ、紅茶淹れてくれる?』
熱が出ていたから、ずっとスポーツドリンクみたいなのしか飲んでいなかった。こう
してようやく温かい飲み物が飲めるようになった事に感謝しなければなと、私はしみじみ思う。
「えーっ? おかーさん、いいのかよ。姉ちゃん起こしたままにしといてさ」
大輝が不満そうな声を上げるので、私はまた睨み付けた。しかし、私の抗議より早く、
母がたしなめる。
『大丈夫よ。もうほとんど完治しているんだから。先生も念のためって昨日言ってた位
だし。それに、感染してるならもうとっくにアンタにうつってるわよ』
すると大輝は不満そうに返事をして、私をジロッと見た。
「寄るなよ、ねーちゃん。菌がうつるから」
『何だったら、たっぷり可愛がってあげてもいいわよ。今日は特別にね』
まるで対戦前のプロレスラーみたいに、私はワザと大輝に顔を近づけて睨みつける。
と、その時出し抜けに、訪問者を告げる呼び鈴がなった。
『ちょっと悪いけど、出てくれる? 今、ガス使ってるから』
キッチンから母親の声がする。私はそれをそのまま大輝に投げた。
『じゃあ、大輝。行って来てよ』
「えーっ? 何で俺が」
不満顔の大輝に、私は自分の格好を指差した。
『だって私、パジャマなのよ? こんな格好で人前に出れる訳ないじゃない。ちょっと
は考えなさいよ』
全く、男ってこれだから困る。少しは乙女の恥じらいというものを理解して欲しいも
のだ。なのに大輝ときたら、私の格好を一瞥すると、バカにしたように鼻を鳴らして言った。
「バッカバカしい。そんな、恥ずかしがるほど大したもんじゃねークセに」
『う、うるっさいわね!!』
思わず蹴りを浴びせるも、大輝は軽く体をひねって避けると、そそくさと玄関に行っ
てしまった。
『ちょっと、涼香。体調が戻ったからって暴れたりしたらダメじゃない。ぶり返しでも
したらどうするの』
『だーって、大輝がひどい事言うんだもの。悪いのはあっちじゃない』
424
:
4/5
:2012/03/20(火) 12:44:47 ID:???
私ばかり叱られてるみたいで不満に思って口答えすると、母は私を厳しい視線で見つめた。
『だからって、涼香が暴れていいって事にはならないでしょう。少しは自重なさい。あ
なたはもう高校生なんだから』
『はーい』
あんまり口答えすると、せっかく準備してくれている紅茶が無くなりそうだったので、
仕方無しに大人しく頷くが、内心は不満たらたらだった。大体、母は二言目には高校生
だからとか、お姉ちゃんなんだから、とか女の子なんだから、とか言って私をたしなめ
る。男で中学生なら何やっても許されるなんて、理不尽も甚だしい。
「ねーちゃん。客だよ」
いつの間にか戻ってきていた大輝の声に、私の思いが破られる。一瞬その言葉を頭の
中で飲み込めず、私は思わず聞き返してしまう。
『は?』
「だから、ねーちゃんにお客さんだって。クラスの人だよ」
『クラスの人……? ああ』
ようやく得心が行った私は頷いた。そういえば、友人の友紀が休みの間、ノートやら
プリントやら持って来てくれてた事を思い出す。
「早く出なよ。玄関先で待ってんだからさ」
弟の言葉に、私はちょっと驚いて問い質す。
『ちょっと。何で受け取ってくれなかったのよ。出られるわけないでしょ? 私、イン
フルエンザなのに』
「だって、もうほとんど治ってるってさっき自分で言ってたじゃん。だったら、顔くら
い見せてあげた方がいいだろ。心配して来てるんだからさ」
まだ中学1年の弟に正論で押し返されて、私は返す言葉を失くしてしまった。確かに、
元気なところを見せて、明日から登校出来るよって教えてあげれば、きっと友紀も安心
するだろう。
『……私、パジャマなんだけど……みっともなくないかな……』
自分の格好を確認して、誰にともなく呟くと弟が口を挟んだ。
「その方が見栄え病人らしくっていいだろ? 誰もねーちゃんの格好なんて気にし――
あイテッ!! 何すんだよ!!」
425
:
5/5
:2012/03/20(火) 12:46:26 ID:???
余計な事を言う弟のおでこを、素早く指で弾くと、弟が額を抑えて軽く仰け反った。
睨み付けて抗議する弟を睨み返す。
『あのね。私だって花も恥らう17歳の乙女なんですからね。いくら姉弟だからって、
少しはデリカシーってものを持ちなさいよ』
すると、キッチンから母親の鋭い叱責が飛んだ。
『涼香。ケンカは後にしなさい。お友達、待たせてるんでしょ?』
『あ、そうだった。大輝ってば、後で覚えてなさいよ』
「知るか。ベーだ」
舌を出す弟をそのままに、私は急いでリビングから玄関に顔を出した。
そして、玄関先で待つクラスメートを見て――そのまま、固まった。
「……よ、よお」
ちょっと戸惑いがちな笑顔を浮かべながら挨拶したのは、女友達の友紀なんかじゃな
くて、男子生徒の、別府タカシ君だったからだ。
続く
うん。ただいいんちょに弟がいたらどんなんだろうなーって思って書き始めただけなのに、
何かやたら長くなったんだ。何故(´・ω・`)?
426
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/20(火) 13:16:25 ID:???
かかかわゆすGJ!!!
続き楽しみですなぁ!
しかし本スレが持たないな…
427
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/21(水) 00:05:48 ID:rZhzyyTk
続きわくてか!弟が主役かと思った
428
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/21(水) 00:12:10 ID:???
GJ
続き待ってるよー
429
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 21:30:46 ID:???
>>295
の続き
「…………」 カチカチ
「…………」
「…………」 カチカチ、ピッ
「…………」
「…………ん」 ウ゛ウ゛ウ゛、ピッ
「…………」
「…………」 カチカチ
「……それ男?」
「お兄に関係なくない?」 カチカチ
「……まあ……関係ないけど」
「うん」 カチカチ
「…………」
「……カオルは女」 カチカチ
「……ふーん」
「…………」 カチカチ
「…………」
「…………」 ピッ
「…………」
「……気になる?」
「膝の上でずっとメールされてれば気になるだろ」
「ふーん」 ウ゛ウ゛ウ゛、ピ
「…………」
「……勇気も女だよ」 カチカチ
「……別に聞いてねーよ」
「あれ、気になんないの?」 カチカチ
「別に」 プイ
430
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 21:31:14 ID:fF0eClK.
「…………眠いんだけど」
「このまま寝れば?」 カチカチ
「お前膝に乗せたまま?」
「別にいーじゃん」 カチカチ
「よくはねーだろ」
「しょうがないなー……これで動ける?」 モゾモゾ
「いやどけよ、ベッドで寝るんだから」 ペシ
「わがままだなー」
「はいはい……はー、ようやく寝れる」 ドサッ
「ちょっと、なに壁のほう向いてんの?」
「ん?」
「こっち向いて」
「えー、おれ右が下じゃないとダメなんだけど」
「いいから」
「はいはい」
「まくら」
「いやだから……俺寝たいんだけど」
「じゃあほら、腕」
「腕?」
「伸ばして」
「…………ほれ」
「んー」 ゴロン
「…………」
「お兄ちょっと汗臭い」 カチカチ
「…………こっち向かないでそっち向けよ」
「だって右が下じゃないとなんかヤダ」
「…………」
「…………」 カチカチ
「…………はぁ……飯できたら起こして」
「ん」 カチカチ
〜学校〜
「でさー、お兄がメールの相手が男が女か聞いてくんの。ヤだよねー」
「てかあんたのケータイ男のアドレス無いよね」
「…………そんなことないよー」
「そういうことにしといてあげる」
「いやマジで」
「てかお兄さんって良い匂いしそうだよねー」
「いや普通に汗臭いよ、腋とか。男だもん」
「ふーん、毎晩腕枕なだけあるね」
「まあね…………あっ……くそっ!」
「引っかかりやすいなー」 ケラケラ
431
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 21:31:46 ID:???
おわり
男だから臭いというのは偏見じゃないかなと思いますけどね
432
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 21:34:29 ID:???
>>430
の
>「まくら」
は
「あたしのまくらは?」
「しらん」
「それ貸してよ」
に差し替えてください
433
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 22:47:33 ID:???
>>432
特に差し替えなくとも脳内補完余裕でした
GJ!!
本スレ無いので、こっちで9レス貰います
ちょっとエッチなので注意
434
:
1/9
:2012/03/24(土) 22:47:58 ID:???
・ツンデレが入浴中に地震に遭ったら
「フゥ……いいお湯だった……やっぱ、久々の温泉はいいなあ」
浴衣に羽織をガッツリと着込み、タオルを肩に引っ掛け、着替えやら何やらを詰め込
んだビニール袋片手に、俺は旅館の廊下を自分達の宿泊部屋へと歩く。部屋の前に立つ
とドアを開け、中に声を掛けた。
「上がったぞ、ちな……みは、まだ風呂か。まあ、アイツは長風呂だしなあ」
部屋の中はガランとしていて人気がなかった。布団がちゃんと二組敷かれている。ど
うやら、風呂に入っている間に仲居さんが用意しておいてくれたらしい。一人であるこ
とを確認して、俺は何度目かになる愚痴を呟く。
「全くちなみの奴…… せっかく二人きりで温泉来たんだから、混浴にしようぜって言っ
たのに、誰がお前なんかに私の裸を見せるか、バカ。いい加減にしろこのスケベとかっ
て……ホント、つれないよな……」
今頃は鼻歌気分で露天風呂にでも浸かっているであろうわが婚約者を思って、俺はた
め息を吐く。もちろん婚約者である以上、キスはおろかエッチなことだって経験済みで
はあるが、ちなみは服を脱がす時は絶対に明りを消す事を強要する。
「もう婚約したんだし、もうちょっと甘えてくれてもいいと思うんだけどな。けど、ま
あこればっかりは焦っても仕方ないか。さてと、ロビーでビールでも買って来るかな」
湯上りといえば、やはりビールだろう。ちなみが上がって来たら、二人で飲もうと思
う。もしかしたら、酔っ払って大胆になり、普段しないような事もさせてくれるかも知
れないな、とちょっと淫らな期待を寄せてしまったりもする。そんな考えを抱きつつ、
立ち上がった時だった。
「ん? 何だ?」
思わず平衡感覚を失い、俺はよろめいて机に手を付いた。一瞬、のぼせて立ちくらみ
でもしたのかと思ったが、落ち着いて感覚を研ぎ澄ませると、床が小さく揺れているよ
うに感じられた。
「地震……か?」
一瞬、緊張して身構える。が、揺れは大きくなる事無く、次第に小さくなり、やがて
完全に感じられなくなった。
「フゥ…… ちょっと大きかったな。今の」
435
:
2/9
:2012/03/24(土) 22:48:19 ID:???
部屋に備えつけのテレビを点ける。NHKでは早速速報で地震のニュースを伝えていた。
「えーと、この辺は……震度3か。結構大きかったけど、まあそんなもんか」
テレビを見ながら一人ごちる。そしてふと、風呂に入っている途中の我が婚約者の事
が気に掛かった。
「ちなみ……大丈夫かな? アイツ、地震苦手だけど、驚いて滑って転んだりしてないだろうな」
様子を見に行きたいところだが、何せ女風呂に突入するわけにも行かない。はて、ど
うしようか。仲居さんにお願いしようかと考えあぐねていたら、唐突に部屋のドアが開いた。
「よう、ちなみ。無事だった……か……」
現れたちなみの姿に、俺は思わず途中で言葉を失った。一応、浴衣に帯は巻いている
ものの、どうやら風呂から部屋まで大急ぎで走ってきたのか、しどけなく乱れていた。
そして、裾からは白い太ももが露になり、胸元も大きく広がっているのを辛うじて手で
押さえている。そしてちなみは、唖然としている俺に構わず、そのままパッと布団を捲
り上げると、そのまま中に潜り込んでしまった。
「お、おい。ちなみ?」
様子を窺うべく声を掛けるが、全く返事がない。その代わり、中から何やらくぐもっ
た声みたいな音が聞こえるので、俺は布団に耳を近づけて聞いてみた。
『……地震……怖い……地震……嫌い……』
どうやら、突然の揺れにビックリして、一目散に部屋まで駆け戻って来たらしい。もっ
とも、浴衣を着るだけの理性があったのは救いだ。
「ちなみさん。おーい、ちなみってば。もう揺れ収まってんぞ」
『……揺れるの……怖い……地震……いやぁ……』
どうやら、恐怖のあまりに殻に閉じ篭ってしまったようで、安心させようと掛けた声
も全く耳に入っていないらしい。こういう時、取る手段は二つ。一つは相手が落ち着い
て出て来るのを待つか、或いはより強い恐怖を与えて隠れ場所から追い立てるか。
「けど……ちなみが落ち着くのを待ってたら、いつになるかわからんしなあ……」
半ば呆れ気味に、俺は呟いた。机の下に潜り込んだまま、一時間近くも出て来ないこ
となどよくあることである。
「仕方ないなぁ……」
俺は、ちなみの潜り込んだ布団の端を持つと、小さく左右に揺さぶった。
『ひゃあっ!!』
436
:
3/9
:2012/03/24(土) 22:48:39 ID:???
地震とは似ても似つかない揺さぶりだったが、それでもちなみは慌てて布団から飛び
出ると、そのまま俺に飛び付いて来た。慌てて受け止めるも、そのまま勢いに押されて、
俺はちなみを抱いたまま、尻餅をついてしまう。
「あいってっ!!」
思わず悲鳴をあげるが、布団の上だったので痛みはさしてなかった。体にかかる重み
に気が付き視線を向けると、ちなみが俺にしっかりとしがみ付いて震えていた。
『……また……揺れた……怖いよ……』
罪悪感を感じ、俺はポンポンと軽く背中を叩きながら宥める。
「大丈夫。揺れてないから、怖がらなくていいってば」
『……でも……今……確かに……』
顔を上げようとしないちなみに、怒られるだろうなとは思いつつ俺は本当の事を告げた。
「今のは俺が布団揺らしたんだよ。ちなみが全然出て来そうになかったから」
するとちなみがピクッと体を反応させた。少し間を置いてから、ゆっくりと顔を上げ
て俺を睨み付ける。同時に、起き上がった上半身を見て、俺は驚いた。浴衣の前がはだ
け、その中には何も着けていない、まっさらなちなみの素肌が覗いていたからだ。
『……ホントに?』
どうやらちなみは自分の格好に気付いていないらしい。俺も動揺してカクカクと頭を
上下に振りつつ、小さく返事をすることしか出来なかった。
「あ……ああ……」
するとちなみは、小さな手を俺の顔に伸ばすと、親指と人差し指でギュッと鼻をつね
り上げてきた。その痛みが、俺を正気に戻す。
「ちょ……ちょっと待て、待てって!!」
『……意地悪……人を脅かして……楽しむなんて……最低……死ね……』
悪態をつきながら、さらに指に力を込める。俺は必死に今の状況を伝えようと、呼吸
のままならない状況で必死に声を出した。
「違うってば!! それより前!! 前!!」
鼻をつねられているので顔が固定されてしまい、俺の視線がちなみの胸元に吸い付い
て離れない。
『……前……?』
437
:
4/9
:2012/03/24(土) 22:48:59 ID:???
俺を睨み付けたまま首を傾げ、それから俺の視線に釣られるように自分の体に視線を
落としたちなみは、その瞬間体が硬直した。顔がみるみるうちに耳まで朱に染まっていく。
『きゃあっ!!』
普段の眠そうな声が信じられないくらいの悲鳴を上げて、ちなみは体を反転させ、浴
衣を掻き合わせた。それから、背中越しに俺の顔を見て、小さな声で聞いて来た。
『……タカシ……その……見た?』
嘘をつくのは嫌なので、俺は正直に答える。
「ああ。つか、見なきゃ指摘出来ないだろ?」
その答えに、ちなみがビクッと体を震わせる。そして、堪えきれないといった感じで
体を前に折って丸めた。
『……タカシのスケベ……変態……エッチ……覗き魔……痴漢……死んでしまえ……』
恥ずかしさの裏返しなのか、怒涛のような暴言が口から飛び出してくる。それが一段
落するまで黙って聞いてから、俺は面白がるように言い返した。
「そんな事言っても、浴衣の前をはだけたままで飛びついて来たのはちなみさんなんですけど?」
ちなみがまたビクッと大きく体を震わせる。ややあって、返事があった。
『……だって……タカシが揺らすから……怖かったんだもん……』
「悪かったよ。それについては謝る。けど、お前も慌てすぎじゃね? 下着も何も着け
ずに、浴衣一枚で風呂場から飛び出て来るなんてさ」
よくよく見れば、長い髪の先の方は濡れたままだし、浴衣もところどころ濡れて体に
張り付いている。大慌てで拭いて、慌てて浴衣を着たのだろう。もっとも、全裸で飛び
出てくるほど理性を失ってはいなくて良かったとは思うが。
『……だって……地震……おっきかったから……崩れて……裸のまま下敷きとか……嫌
だもん……』
振り向いたちなみの上気した顔に、俺はドキリとした。前は合わせたものの、浴衣の
襟元から覗く白い素肌は、先ほどの小さいけれどしっかりと存在を主張している二つの
双丘を思い出させる。その欲望をグッと抑え、俺はちなみを慰めようとそっと頭を撫でた。
「……震度3だってよ。たいして大きくもないし、それにもう収まったから心配するな」
『……うん……』
生乾きの髪を指で優しく梳いてやると、ちなみが頭を俺の胸に持たれかけさせて来た。
口は悪いが、甘えん坊なのだ。
438
:
5/9
:2012/03/24(土) 22:49:21 ID:???
「落ち着いたら、風呂場に戻れよ。下着とか、風呂道具も置きっ放しなんだろ? それ
に、少し湯船に浸かった方がいいし」
しかし、ちなみは首をフルフルと横に小さく振った。
『……無理……』
「何で? 大丈夫だって。地震は――」
『……違うの』
俺の声を遮ってから、ちなみは恥ずかしそうに下を向いて、呟くように続けた。
『……その……全裸に……浴衣一枚で……なんて……恥ずかしくて……廊下……歩けな
いから……』
「何言ってんだよ。もう、その格好で部屋まで全力ダッシュしてきたじゃん」
ちょっとからかうように言うと、脇腹にげんこつが飛んできて、俺は呻いて顔をしかめた。
『……あれは……無我夢中だったから…… お願い……取って来て……』
「女風呂にか? 止めてくれ。婚約者が犯罪者になっちまうぞ」
いくら俺でも、女風呂に突入出来る度胸は持ち合わせていない。するとちなみは、ちょっ
と考えてから別の提案をして来た。
『……だったら……仲居さんに頼む……とか。同じ部屋なの……知ってれば……大丈夫
だと……思うけど?』
「あー…… そういう手もあるけどな。今度は別の意味で犯罪者になっちまう」
ちなみが無言で怪訝そうに俺を見る。あまり言いたくはなかったが、仕方無しに、俺
は下半身を指した。
「これがさ。どうにも治まりそうになくって」
俺の意思とは関係なく、下半身のアレが見事なまでに硬く屹立していた。予想通り、
ちなみが軽蔑したような目付きで俺を睨みつつ、ため息をつく。
『……さっきから……何か硬いものが……当たってると思ったら…… やっぱり……タ
カシは……筋金入りの変態だったのね……』
「仕方ねーだろ。付き合ってからずっと、お預け喰らってたちなみの胸を、初めて光の
中で拝む事が出来たんだ。興奮すんなって言っても無理だっての」
気恥ずかしさから、半ばやけっぱちに弁解する。ちなみは呆れたように肩をすくめる
が、何気にその顔は真っ赤だった。
『……本当に……タカシって……どうしようもないね…… 煩悩の……固まりみたい……』
439
:
6/9
:2012/03/24(土) 22:49:43 ID:???
浴衣にしがみついていた手が、俺の体をグッと鷲づかみする。痛みにちょっと顔をし
かめるが、同時にそれが恥ずかしさを耐える仕草なんだと思うと、物凄くいとおしくもあった。
「まあ、とにかくそんな訳だからさ。体離して、出来ればその……布団の中にでも入っ
ててもらえるとありがたいんだが。でないと治まりそうもないし」
ちなみが離れてしまうのはかなり残念だったが、この際致し方ない。しかしちなみは、
鷲づかみした手は離したものの、体は俺に預けたままで、ジッと俺を無言で見つめていた。
「えっ……と……何?」
無言の圧力に耐えかねて聞くと、ちなみは一瞬顔を伏せてから、上目がちに俺を見て、
小さくか細い声で呟いた。
『……えっ……と…………私が……静めてあげ……る……』
そして、ゆっくりと手を下に這わせると、浴衣の上から、いきり立った俺のモノを優
しく掴んだ。
「え? おい、ちょっと?」
唐突な行動に思わず動揺した声を上げると、ちなみは渋々といった顔つきで俺を睨んだ。
『……タカシは……スケベだから……治まるのなんて待ってたら……いつになるか……
分からないし…… だったら……私が……静めてあげた方が……早い……』
にぎにぎと動く指の感触は心地良いがじれったくもある。我慢し切れなくなり、俺は
ちなみの体を抱き寄せると、体を反転させ、布団の上に倒し込んだ。
『え……きゃあっ!?』
びっくりしたちなみが小さく悲鳴を上げる。布団の上に仰向けに寝かされたちなみが、
俺を睨み付けて文句を言った。
『……いきなり……何するのよ……』
「ゴメン。でも、どうせならちゃんとした方がいいと思ってさ」
俺の言葉に、ちなみの顔が紅潮する。プイと横を向いて、ワザとらしく口を尖らせた。
『……私は……したいなんて……思ってないのに……』
「嘘でしょ?」
即座に否定してみせる。すると、ちなみはビクッと体を震わせ、片腕で顔を覆って首
をイヤイヤするように振ってみせた。
『……違う……もん……そんな事ない……』
しかし、俺はさらに追及する。
440
:
7/9
:2012/03/24(土) 22:50:03 ID:???
「俺のがいきり立ってるのに気付いて、自分も興奮して来ちゃったんでしょ? でなきゃ、
ちなみから積極的に俺のを握ってくるなんてありえないし」
『う…………』
反論の声はなく、小さな呻き声だけが漏れた。どうやら、認めざるを得なかったらしい。
「だったら、俺だけじゃなくて、ちゃんとちなみも満足させてあげなきゃって思ってさ。嫌か?」
そう聞くも、返事はない。俺の下で、体をギュッと強張らせているだけである。ちょっ
と意地悪な気分になって、俺は敢えて逆の事を言ってみた。
「返事が無いってのは、嫌だって事? だったら、このまま止めるけど。無理やりって
のは好きじゃないからさ」
そのまま、ちなみの返事を待った。しかし返事がないので、わざとらしくため息をつ
いてみせる。
「そっか。だったらしょうがな――」
言葉を発すると同時に、ちなみが俺の浴衣を掴む。顔を上気させ、潤んだ目で俺を睨
んで、小さく悪態をついてきた。
『……タカシの……悪魔……外道……私から……おねだりさせようだなんて……卑劣に
も……程がある……』
「だって、言わなきゃオッケーなのかどうか分からないし。で、どうなの? したいの?
したくないの?」
俺の問いに、ギュッと唇を真一文字に結んで泣きそうな目で俺を睨んでいたちなみだっ
たが、やがて顔を逸らし、そして小さく頷いた。
『……お願い…………して…………』
「よし。そういう事なら、いっぱい気持ちよくしてやるからな」
浴衣をはだけさせようとした時、ちなみが思いの外強い力で俺の手を掴んで制止させた。
『……待って待って……電気……消してから……明るいの……恥ずかしい……』
しかし、今日の俺はどうにも止まりそうがなかった。どうしても、ちなみの素肌を明
りの下で見てみたい。だから俺は、ちなみの耳元で口を近付けてそっと囁いた。
「……ダメ。ちなみもそろそろ、恥ずかしさに耐える訓練しなきゃね」
俺の意図を察し、ちなみがビクッとまた体を震わせた。
『や……ダメッ……』
441
:
8/9
:2012/03/24(土) 22:50:25 ID:???
ジタバタする体を押さえ込むと、俺はちなみに激しく口づけをする。やがて抵抗が止
み、ちなみの舌が俺に応えるように蠢き始めてから、俺は出来る限り自然に、ちなみの
浴衣をはだけさせた。
「ちなみ。風呂行こうぜ。もう混浴でも大丈夫だろ?」
お預けを食らっていた混浴の露天風呂に誘うが、ちなみは布団を被ったまま出て来よ
うとはしなかった。
「どうしたんだよ。お互い、もうどこも隠す必要がないくらい見せ合ったんだからいいだろ?」
電気を点けたままでの交わり合いは、個人的にはかなり良かったと思うし、ちなみも
喜んでくれたと思っていたのだが、布団の中から聞こえて来たのは、怨嗟に近い声だった。
『……タカシに……死ぬほど恥ずかしい事……された……正直……死にたい……』
「何だよ。恥ずかしさを少しでも克服してやろうとしたのに、結局元の木阿弥か?」
あれだけやっても、ちなみの恥ずかしがり屋は克服出来なかったらしい。半ばからか
い口調で聞くと、ちなみは布団から、頭半分だけ出して俺を睨み付けた。
『……だって……丸裸にされて……あんなところやこんなところまで晒されて……お嫁
に行けない……体にされて……』
その言い草に、俺は思わず苦笑してしまった。
「おいおい。お嫁にいけないも何も、俺の婚約者じゃんか。将来の旦那が決まってるの
にお嫁に行けないってどういう事だよ?」
すると、ちなみは再び布団に潜ってしまった。
『………から……その……………………』
布団の中で何やらゴニョゴニョ言っているも、よく聞き取れずに、俺は聞き返した。
「何だ? 何て言ってるんだよ」
すると、ちなみが僅かに頭を出す。顔が真っ赤な所を見ると、自分でも言ってて恥ず
かしい事を言ったようだ。
『……だから……その…………あ……あと一回しか……言わないから…………』
そう言って、再び布団の中に潜り込んでしまう。このままだと聞き取れないのは明ら
かなので、俺は傍により、布団に耳を当てるほどに近付けてから、お願いする。
「じゃあ、今度はちゃんと聞くからさ。あと一回だけ、頼む」
442
:
9/9
:2012/03/24(土) 22:52:04 ID:???
『だ、だから……その……っ!!』
僅かに大きく、前置きをしてから少し経って、くぐもった小さい声が、しかし確かに、
布団の隙間から漏れ聞こえてきた。
「……せ……責任……ちゃんと……果たして貰わないと……困るんだから……」
この後、テンションが高まった俺が、強引にちなみを露天風呂に連れて行ったことは
言うまでも無い事実であった。
終わり
8レス目の空白分は個人で脳内補完ヨロです(*´∀`)ノ
443
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 23:20:28 ID:ejCDeJ0M
gj!
最近スレ立たないな…
444
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 23:29:45 ID:???
おっきっき!
445
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/24(土) 23:33:00 ID:???
えっちいのもいいもんだな
GJ!!
446
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/25(日) 00:02:10 ID:???
>>442
乙!
重箱の隅だが事後感を出すなら行間はもう少し空けた方が良かったかな
447
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/25(日) 00:25:59 ID:???
>>431
おお!まさかあの続きが見れるとは思わなかった
妹可愛いよ妹ww
>>442
なにこのエロ可愛すぎるフィアンセ
ちょっと俺のジョニーが治まりそうにないぜ
448
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/03/31(土) 19:50:50 ID:???
>>421-425
の続きなので、こっちに投下
449
:
1/6
:2012/03/31(土) 19:52:07 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その2
『な……な……』
思っていた言葉がなかなか出なくて、口を開いたまま喘ぐように動かす。取り乱しか
けた心をグッと抑え、深く息を吸い込んだ。一度視線を落とし、何も考えないように気
持ちを全部シャットダウンする。落ち着いたのを確認し、私は顔を上げて彼を見た。
『何で……別府君がウチに来たのよ。友紀は?』
冷静な声が出せた事に、私は内心ホッとする。本当に、こんな所で取り乱したりした
ら、私の学校でのイメージは台無しだ。
「ああ。何か今日はどうしても外せない用事があるから代わりに頼むって、これ押し付
けられた」
片手に持った手提げ袋を持ち上げて示す。私は、呆れた気分でため息を漏らした。
『友紀ってば……用事があって来れないのは仕方ないけど、何でわざわざ別府君なんか
に託すのかしら。意味が分からないわよ』
「うーん…… やっぱり迷惑だったか? いや、俺も言ったんだけどよ。俺なんかが委
員長の家に行っていいのかって。だけどアイツ、全然オッケーだし、そんな事気にする
必要ないって言うからさ」
私の脳裏に、友紀のちょっと含んだような笑顔が浮かび上がる。全く、おせっかい焼
きも程ほどにして欲しいものだ。
『迷惑といえば迷惑だけど、別に貴方のせいじゃないから。気にしないでいいわ』
正直な所、いきなり家に来られたくなかったのは事実だ。こういうのは、もうちょっ
とこう、親しくなってからというか、本当を言うと、順序だったお付き合いをして、デー
トとかもするようになってから、初めて招待をするものだと思っていたのに。こんな風
にいきなり来られると、心の準備だって出来てないのに。
「いやー…… 気にするなって言われてもさ。強く断われなかったってのは事実なわけ
だし……」
困ったような顔をする彼を前に、私は玄関先に正座して手を前に出して促す。
『もういいから、そこに座って、渡すもの渡してくれる? いろいろ説明、あるんでしょ?』
「あ、ああ」
450
:
2/6
:2012/03/31(土) 19:52:30 ID:???
ちょっと気を取り直したような返事をして頷くと、彼は靴を履いたまま、上がり框に
腰を下ろす。そして紙袋と自分のバッグを置くと、紙袋の方を漁り、中からプリントの
束を取り出した。
「えーと、これが今日のノートのコピーな。あと、これが世界史のプリント。期末の範
囲だからしっかり予習しとくよう先生が言ってた。で、これが来月頭の予餞会に向けて
の準備のお知らせと」
渡されたものを、一つ一つ確認していく。その場でしっかりと中を見て確認してしま
うのは、これはもう性分だった。
『どうでもいいけど、友紀のノートってば、落書き多すぎ。これじゃあ先生の話とか聞
いてるわけないわよね。それと世界史の青柳先生の字が相変わらず汚すぎなのに、友紀
ってば、さらに余計な落書き入れて訳わかんなくしてるし。全く……』
ぶつくさと文句を言っていると、別府君が小さく笑いを漏らすのが聞こえた。
『ちょっと。何がおかしいの? そういう笑い方って不愉快なんだけど』
ムッとした顔で聞き咎めると、別府君は何かを否定するように手を軽く振ってみせた。
「いや、ゴメン。いつもと同じ調子だったからつい。てか、その様子なら、大分具合良
くなったんだな。安心した」
『別に、別府君に心配して貰う謂れもないんだけど』
憎まれ口を叩きつつも、彼が私を気にしてくれた事を、ちょっと嬉しく思う。それか
ら慌てて、心の中でこんなのは社交辞令なんだと、自分に言い聞かせた。
「まあ、そう言うなって。俺もだけど、クラスのみんなで心配してたんだぜ。委員長が
いないと、どうにも締まらないし。それに、さっき顔出した時、マスクにパジャマ姿な
のを見て、まだ具合悪いのかなって思ってたから」
その言葉に、私はハッと気が付いた。別府君が来たって事自体で動揺して頭からすっ
飛んでいたが、そういえば自分はパジャマ姿だったのだ。羞恥で体がカアッと火照り、
思わず身を隠したくなる。しかし、今更そんな事出来る訳もなく、私は自分の腕で自分
の体を隠すように抱き締める事しか出来なかった。
『しっ……仕方ないでしょ。一応まだその……病人なんだから…… 明日には学校行け
るとは思うけど。あと、そんなにジロジロ見ないでくれる? はず……気持ち悪いから』
451
:
3/6
:2012/03/31(土) 19:52:50 ID:???
本当だったら、今すぐにでもこの場から駆け去りたいくらいに恥ずかしい。とはいえ、
ここで取り乱したら後で余計に恥ずかしくなるだけだし。とにかく、大輝の奴が全て悪
い。別府君が帰ったら絶対に説教してやろうと、私は心に誓った。
「ゴ、ゴメン。そんなに見てるつもりはなかったんだけど……まあ、何ていうか制服以
外の委員長って見たこと無いから、何か新鮮でさ。まあ、その……と、とにかく、気を
悪くしたなら謝るよ……」
別府君が申し訳無さそうな顔をして頭を下げるのを見て、いささか申し訳ない気分に
なる。不注意とはいえ、こんな格好で出てきた私が悪いのに、何だか彼のせいみたいに
なってしまったし。
『……も、もういいわよ。それより、渡すものはこれで全部かしら? だったら――』
とにかく、今は早くお引取り願おう。あれこれ考えるのは後からでいい。そう考えて、
彼に帰るように促そうとした時だった。
『あらあら。ゴメンなさいね。わざわざ、届け物して頂くなんて』
背後から唐突に母の声が響き、私は驚きでビクッと体を弾ませる。パッと振り向くと、
エプロンを外した母が、いそいそと廊下をこっちに向かって歩いて来ていた。
「え、えーと……」
別府君も驚いた顔で、私を見た。何となく答えは分かっているけど、言葉に出て来な
い。そんな感じに思えたので、私は彼の後を継いで言った。
『ええ。ウチの、母よ』
私の答えを聞いた途端、別府君がパッと立ち上がり、母に向かって深々とお辞儀をした。
「は、初めまして!! その……いいんちょ……いえ、静野さんのクラスメートの、えっ
と……別府タカシと言います。ほ、本日はその……」
『わざわざ涼香の為に、届け物しに来てくれたのね。ありがとう』
ニッコリと微笑んでお礼を言う母の前で、別府君がしどろもどろになる。
「ああ、いえそんな。俺もその、頼まれて持って来ただけなんで、お礼言われるとか、
そんなんじゃ、全然その、ないですから……」
『いいええ。わざわざ時間を割いてくれたんだもの。そんな事無いわよ。ねえ?』
謙遜する別府君の言葉を否定しつつ、母が同意を求めてくる。正直迷惑に思いつつ、
私は渋々頷いた。そして別府君を鋭く睨み付ける。私の意図を察したのか、別府君はか
まちに置いてあった自分のバッグに手を掛けて母に向き直る。
452
:
4/6
:2012/03/31(土) 19:53:11 ID:???
「いやその……静野さんには、その、いつも迷惑ばかり掛けているのでこのくらいは……
それじゃあ俺、そろそろ」
『別府君って言ったわよね? ちょっと、時間ある?』
また母がとんでもない事を言いかけている予感がして、私はハッと母を見た。それか
ら慌てて余計な返事をしないように別府君に視線を向けようとしたが、既に遅かった。
「えっと、別に特に用事とかはないですけど」
『あら、そうなの。ちょうど良かったわ』
両手を合わせ、首を軽く傾げてニッコリと微笑む母に、私は酷く悪い予感がしたが、
もはやそれを止める術を持ち合わせてはおらず、進んでいく事態を見守るしかなかった。
『今、ちょうどお茶を淹れたところなのよ。もし良かったら、別府君も少し上がって休
んでいかない? 外も寒いでしょうし、少し体を暖めていけば?』
『ちょ、ちょっと!!』
ここでようやく私は口を挟む事が出来た。とはいえ、慌てて出した声はみっともなく
も上ずってしまい、私は慌てて口を押さえる。二人の視線が私に集まった事に気付き、
小さく咳払いして、私は母に小声で抗議した。
『母さん、何考えてるのよ。私、インフルエンザで休んでいるのよ? 知り合いなんて
家に上げられるわけ無いでしょう?』
『あら? 大丈夫よ。先生だって念のためにあと一日様子を見なさいと言われただけで、
もうほとんど完治しているじゃない。さっき、自分で言っていたでしょう?』
一瞬、私は反論の言葉を失う。さっき自分で言った事が、こんな所で返って来るとは
思わなかった。とはいえ、別府君を家に上げてしまえば、ボロを出さない自信はないし、
大体こんな格好で男の子をお持て成しする訳にも行かない。
『それは、あくまで家族に対しての話よ。別府君は家に帰るんだし、外にまで菌を撒き
散らす訳には行かないわ』
我ながら、この言い訳なら母も言い返せるわけないと自負する。しかし、母はあっさ
りと反論して来た。
『何言ってるの。もし、それでうつる様なら、もうとっくにうつっててもおかしくない
わよ。これだけ玄関先で話ししているんだから。大体、私がダメだと思ったら、貴女が
出る前に止めるし、そもそもこんな風に起き出している事を許すわけ無いでしょう?』
『で、でもだからって……』
453
:
5/6
:2012/03/31(土) 19:53:35 ID:???
それ以上、決め手になるような理由を探し出せず私が言葉に詰まっていると、別府君
の方から助け舟を出してくれた。
「いえ。長々とお邪魔すると迷惑でしょうし、それにせっかく回復して来たのにここで
また体力使わせてぶり返したりしたら、僕の方も申し訳が立ちませんから」
彼の言葉に、私は心の中でよくやったと頷く。正直、声に出して褒めてあげたいくら
いの気持ちだった。これなら、母も無理強いはしないだろう。
と、思ったがそれはまだ、甘い考えだった。
『あら? 若いのにしっかりしてるのね。でも大丈夫よ。そこまで心配しなくても、こ
の子ってば、そこまでヤワじゃないから。もう食欲も回復してるし、どのみち夜まで起
きてるつもりだったんでしょ?』
その言葉は、言外にもしここで別府君を帰すようなら、私もそのまま病人扱いに戻し
て、お茶抜きでベッドに戻すと、そういう意味に取れた。しかし今の私は、仮に今日一
日の残りを全てベッドで過ごせと言われても、そちらを選択するだろう。
『そんな訳ないじゃない。少しの間だけ、起きてようと思っただけで……少しでも疲れ
たら、すぐにベッドに戻るわよ』
キッパリと母の言葉を否定するが、それはもはや、母の気持ちを代えるだけの力は持
ち合わせていなかった。
『じゃあ、別府君が帰ったら、寝ればいいじゃない。どのみち、お茶はリビングで飲ん
でいくつもりだったんでしょう? なら、一人くらい増えたって変わりないわよ。ねえ?』
『変わりあるわよ。よその人を呼び込むっていうのは、倍以上に体力使うんだから、身
内だけとは違うんだから』
しかし、母は私の言葉を無視し、どうしていいか分からずに戸惑った顔を見せている
別府君に向き直った。
『涼香の言ってる事は気にしないでいいわ。いろいろ理由を付けてるけど、単に家に男
の子を上げるのが恥ずかしいってだけなんだから。貴方はどうなの? 迷惑かしら?』
「いえ。別に俺自身は迷惑ってわけじゃ、全然ないですけど」
ほとんど誘導尋問のような母の問いを別府君が否定する。その瞬間、私はグッと小さ
く呻いた。ほぼ、敗北が決定した瞬間だった。
『なら、決まりね。どうぞ、上がって行って。大してお持て成しも出来ないけど、お茶
とお菓子くらいなら出せるから、ゆっくり休んでいって』
454
:
6/6
:2012/03/31(土) 19:54:14 ID:???
これ以上断わり切れなくなったと悟ったのか、別府君は軽く頭を下げた。
「すみません。それじゃあ、ちょっとだけ……って、いいよな?」
私に確認して来たので、私は不機嫌そうにそっぽを向くと、素っ気無く答えた。
『知らないわよそんなの。誘ったのは私じゃなくて母さんだもの。好きにすればいいじゃない』
こんな急展開なんて、望んでいないのに。私は恋愛にハプニングなんて望んでいない。
段階を踏んで、少しずつ前に進んでいくのが望ましいのに。何だか、友紀も母も、グル
になってるんじゃないかと疑心暗鬼になりつつ、私は仕方なく別府君をリビングに案内
するのだった。
続く
大分時期外れになってきたが
とりあえず、4月になったら本気出す
455
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/01(日) 01:17:53 ID:???
GJ!
続き期待
456
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/01(日) 03:16:23 ID:???
GJ
もう四月だぜ
457
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/01(日) 18:48:32 ID:???
>>454
4月だぞ起きろオラア!!!!!!!!
458
:
1/3
:2012/04/02(月) 20:39:50 ID:???
もう三月だというのに寒い。
俺は頬に当たる冷たい風を感じつつ歩いていた。大した用事ではなく、単にコンビニに行った帰りである。食料と雑誌の入ったビニール袋を提げて、
一向に咲く気配のない公園の桜を見ると、寒さがより一層、身に染みるようだった。
家に着くと、玄関に家人のものではない女物のスニーカーが置いてあった。台所には『買い物に行ってきます。ゆっくり買い物に行ってきます。ロ
マンスの神様はきっと二人を愛してるから……ね? 母』と書き置きがあった。余白には『タカシ』と『あずさ』で相合い傘まで書いてあるという
サービス振り。
――うちのかーちゃんあたまおかしい。
部屋のドアを開けると、果たして俺の彼女である梓ちゃんが寝転んで本を読んでいた。
「あ、おかえりー」
「くつろいでるな」
「いまさら遠慮してもしかたないでしょー。ボクが来たなら出かけてないでちゃんと出迎えなきゃダメじゃん」
「無茶言うなよ・・・・・・なに読んでるんだ?」
「エロ本」
「えっ」
「えっ」
きょとんとする梓の手元にあるのは、確かに私が厳重に隠蔽していたアハンウフン本!
「ば、ばか! お前、なにやってんだよ!」
「固いこと言うなって。大丈夫、ボクはちゃんとタカシの性癖を受け止めるつもりだから」
「やめろ・・・・・・その暖かい目で俺を見るのをやめろ!!」
「そっかー、タカシは傾向として、全裸に靴下とか、全裸に眼鏡とか、すっぽんぽんに何かワンポイント身につけてるのがいいんだね」
「分析するな!!」
459
:
2/3
:2012/04/02(月) 20:41:26 ID:???
閑話休題。
ショックから立ち直ると、俺は
「こほん、それで、何か用かね?」
と尋ねた。立ち直るのには20分ほど時間を要したが、ともかく。
「うん、それ渡しに」
先ほどと同じ姿勢で、しかしエロ本は取り上げたので普通の漫画を読みつつ、梓は答えた。顔はページから話さず、指だけで示す。その先には、不
器用な包装の包みがあった。
「……なに、これ」
「本当は、バレンタインにあげるつもりだったんだけど、間に合わなかったから今日になったの」
まるで台本を読み上げるかのように淡々とした梓に多少の違和感を感じつつ、包装を解こうとしてはたと思い出した。
「……あの、バレンタインに貰ったケーキみたいなことはないよな』
そう、あの狂乱に満ちたバレンタイン。
渡された箱の中身は製作者曰く『チョコレートケーキ』だったはずだが、『動く』『滴る』『発火する』という、およそケーキどころか食品とは思
えない特徴を備えた異形だった。無論、インポッシブルなミッションを伝え終えたように、自動的に消し炭になったケーキを食べられるわけもなく。
「あ、あれは、ちょっと失敗しただけだよ!」
「ちょっと……だと?」
あれが『ちょっとした失敗』なら、アメリカ大統領が間違って核ミサイル発射しても『けっこうな失敗』で済むだろう。
戦慄を禁じえない俺に、梓はマンガを放り出し、焦ったように続けた。
「それに説明したじゃん。『動く』のはケーキ内で発生した炭酸ガスの圧力のせいで、『滴る』のは単に生焼けだっただけで、『発火した』のは食用
油が酸化して熱を帯びたわけで」
「そこじゃねぇんだよ、説明が欲しいのは!」
「もー、いいじゃん! 代わりにこれ用意したんだからね。今度は食べ物じゃないから!」
「……解ったよ」
俺はそっと包装を解いた。包装の素人くささから、これも手作りの一品だろうという予測はできたが、それがもたらす結果は予測不能だ。
やがて、中から現れたものは、細長い毛糸の塊だった。
「これは・・・・・・マフラー?」
「マフラーだよ」
とそこまで言ってから、梓は早口で付け足した。
「質問は受け付けないから……!」
見れば、顔を漫画本で覆い隠している。
質問と言えば、まぁ、確かに客観的には、お世辞にもいい出来とは言えない。編み目も不揃いだし、全体的にでこぼこに歪んでいて、オレンジ色の昆
布みたいなフォルムだった。なるほど、そっけなかったのはこれが原因というわけか。
だが! 今この場で客観的な視点がどれほどの価値があるのだろう? そんなものはドブに捨ててしまえばよろしい。
重要なのは。このマフラーが、梓が俺のために苦労して作ってくれた一品(そして勝手に動いたり鳴いたりしなさそう)であるという、その事実のみ!
俺は颯爽とマフラーを首に巻きつけると、胡坐をかいた膝をぽんぽんと叩いた。
「うむ、とりあえず梓。俺の膝に座れ」
460
:
3/3
:2012/04/02(月) 20:41:57 ID:???
「うぇ!?」
その一言で、梓は弾かれた様に顔をこちらに向けた。
「い、いきなり何言ってんだよ!」
「いいから。俺のイチャラブしたいメーターが振り切ったのだ。予告するが、今からお前を膝の上に乗せて、首にこのマフラーを二人で巻いて、一緒に
アフタヌーンを読む。決定事項です」
抗議の声も無視して、俺は再度、膝をぽんぽんと叩く。
「ど、どんだけー・・・・・・」
呆れながらも、のそのそと動き出す梓を見て、顔が自然ににやけていく。
「そんなこといって、結局は俺の膝へ移動する梓が大好きです」
「そ、それは・・・・・・ だって、その・・・・・・タカシの部屋の漫画はもう読み飽きたから、新しいの読みたいし」
素敵な言い訳いただきました。俺の膝に収まった梓にマフラーをかけてやり、一方の端は俺の首に巻き付ける。
「本当はこういうのちょっと狙ってた?」
「そ、そんなわけないだろ!」
「でも、なんか妙に長めのような気がしますけど……」
「うっさい! ふん、まず最初は『無限の住人』読むからね」
「渋いっすね、梓さん。だが、俺はあえて『ラブやん』から読む派なのだ!」
「狭そうな派閥だねぇ・・・・・・」
「じゃぁ、間を取って、『謎の彼女X』から」
「それ単にページの話だよね」
「卜部さんの裸エプロンよかったなぁ」
「そうか、裸エプロンも『裸でワンポイントフェチ』に入るのか」
「まだ言うか。あ、そうだ、それならついでに言っておくけど」
「ん?」
「俺、『全裸にマフラー』って最高に興奮するんだけど、どうだろう?」
「はぁ!?」
「俺の性癖、受け止めてくれるんだよな?」
「げっ……う、うぅ〜、ずるい!」
自分の言った台詞を思い返し、顔を真っ赤にして悔しげにこちらを睨む梓でした。
あと、本人曰く『ちくちくしたのが擦れて新感覚』だったそうです。
461
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/02(月) 21:30:41 ID:???
あずさん可愛いしえろいし最高だなあ!
GJ!
462
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/02(月) 22:47:02 ID:???
裸マフラーやらすとかタカシもげろ
463
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/02(月) 22:56:08 ID:???
うげぇ!これは可愛いよ!
464
:
1/4
:2012/04/29(日) 03:53:54 ID:???
【ツンデレをしばらく放置してたら】
しばらくボクっ娘を放置していたら、何やら拗ねてる様子。
「…………」
ふくれっ面をしつつも、微妙に俺の視界に入る位置をキープしている。その程度の冷静さはあるようだ。
「はぁ……仕方ない、目を潰してボクっ娘を見ないようにし、このストレスから解法されよう」
「もうちょっとマシな解決方法あるだろっ! ていうかとっととボクに話しかけろっ!」
ものすごい勢い込んでこっちに寄ってきた。びっくりした。
「こんにちは」
「こんにちは! 挨拶は大事だけど、でもそうじゃない!」
「先手を打たれた。もうダメだ」
「いちいちくじけるなっ! とにかく、ずーっとボクを無視してた理由をお尋ね申すよ!」
「や、無視じゃなくて。何かと忙しくて放置してただけです」
「……ホントに? ボクに飽きたとかじゃないの?」
「不安げな表情がそそりますね!」
「ふ、不安なんてこれっぽっちもないよ! でも飽きたかどうかだけ一応聞いておくよ!」
「つーか、飽きるほどお前の身体を貪ってないぞ」
「かかかっ、身体って! 身体って! ま、まだそーゆー関係じゃないよっ!」
「まだ?」
「い、いーからいちいち食い付くなっ!」
「ふむ。まあいい、ともあれ、ようやっと暇になったのでまたお前と遊べるぞ。よかったな、梓?」
「うんっ!」(満面の笑み)
「…………」
「…………」(気がついた)
465
:
2/4
:2012/04/29(日) 03:54:19 ID:???
「……あー、その。さしもの俺も照れますよ?」
「ちっ、ちちちっ、違う違うよっ! タカシと一緒で嬉しいとかじゃないもん! ま、またタカシに嫌がらせできて嬉しいなーの方の嬉しいだもんっ!」
「あー、うん。そだな」ナデナデ
「そ、そだもん。それ以外ありえないもん」
「でも、今日は忙しいからまた明日な」
「え……」
「そんな地獄に落ちたみたいな顔するない」ナデナデ
「そ、そこまで絶望的な顔してないよっ! ……で、でも、本当に今日も忙しいの? どしても?」
梓は俺の手を握り、必死な顔で聞いてきた。心がぐにゃりとなる。
「……あー、や、どうしても、ではない」
「やたっ! じゃ、じゃあさっ、じゃあさっ、今日は一緒に遊んでも大丈夫だよね? ね?」クイクイ
「ま、まあ」
「じゃあ、じゃあ、うち来て、家!」
「はぁ」
というわけで、梓宅。
「えへへ、えへへへー。久しぶりだなー、タカシがこの部屋に来るの久しぶりだなー♪」
もう超ご機嫌な感じで梓が俺の隣でニコニコしているわけで。
「そんな久しぶりか?」
「一ヶ月ぶりくらいだよ! ちょー久しぶりだよ、ちょー!」
「言う程でもないだろうに」
そう言いながら、梓が用意してくれた茶菓子を手に取る。
「あっ、それね、それね、前にタカシが食べておいしいって言ってたお菓子だよ。ど、どかな? おいし?」
「もぐもぐ。まずい」
「ご、ごめんね……」(涙じわーっ)
466
:
3/4
:2012/04/29(日) 03:54:42 ID:???
「泣くなッ! 冗談に決まっとろーが!」
慌てて梓の頭をなでる。なんか今日のコイツおかしい。いや普段も結構な割合でおかしいが、今日はそれに輪をかけておかしい。
「うぅ……今日もタカシはいじわるだよ。いじわるサンバだよ」
「ヒッヒッヒ。さあ今度は誰の子を取り上げるかな?」
「産婆違いだよ! ……えへへ、こういうやりとりも久しぶりだよ♪」
「いちいち嬉しそうにするない」
「し、してないよ! ちっとも嬉しくなんてないよ! ……で、でもホントはちょっぴり嬉しいから、さっきみたいなのもっと言って」
何やら恥ずかしげに俺の服の袖をちょっと引っ張る梓。変なところで照れる奴だ。
「分かった。じゃあ何かボケろ」
「と、突然言われても……ど、どしたらいいかな?」
「じゃあ、思いつくまで適当に遊びましょう」
「そ、そだね、そだね! 何する? 何する?」
「うーん、そうだな……」
ぐでーっと横になって考えるフリをしてると、梓がすすすーっと寄ってきた。
「ん?」
「べ、別に?」
「ふむ。……梓、おいで」
「お、あ、う……ぼ、ボクは別にその、あの……えと。……い、いいの?」
何やら葛藤があったようだが、欲求の方が勝ったようだ。
「知らん。少なくともお前がいいなら俺は問題ない」
「じゃ、じゃあ、その、行くけど……べ、別にタカシのことを好きとかじゃないからね! 久しぶりで寂しかっただけだからね!?」
「それは言い訳になってるのか?」
「うっ、うるさい! で、いいのっ!?」
「ダメ」
467
:
4/4
:2012/04/29(日) 03:56:06 ID:???
「あぅぅ……」(涙目)
「すぐ折れるな。冗談に決まっとろーが」
「あっ……」
ぐいっと梓を引き寄せる。すっぽりと、梓の身体は俺の胸に収まった。こういう時、小さいと便利。
「……あ、あぅ」
「何を赤くなってるか」
「あ、赤くなんてなってないよ! ちょっとなんか泣きそうなだけだよっ!」
「なんでやねん」
「だ、だって、久しぶりに抱っこされたし……あ、あのさ、他意はないんだけどさ、ちょこっとだけしがみついていい?」
「他意しかねーだろ」
「い、いーじゃんよーっ! 久しぶりなんだしっ! ここまでしたら後は似たようなもんだよ!」
「あー、まあいいよ」
「うぎゅむーっ♪」
「言う前にしがみついてるし……」
「くんくんくん……はふぅ。タカシの匂いだぁ♪」
「嗅いでいいとは言ってないぞ、変態娘」
「へ、変態じゃないよっ! その勲章はタカシにこそ似合うんだよっ!」
「へーへー」ナデナデ
「あっ、なでられながら抱きつくのいいっ! もっとなでて、ボクがクンクンしてる間なでてて?」
「……まあ、放置してたのは俺だし、いいか。分かった、俺も気合を入れよう。フオオオオ!」ナデナデ
「ふおおおお!」クンクンクン
「何の集団だ、これ」
「手が止まってるよ!」クンクン
よく分からない休日だったという噂。
468
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/29(日) 10:53:12 ID:???
|з・`)b グッ!!
469
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/29(日) 11:07:19 ID:???
gj
470
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/29(日) 12:41:17 ID:???
>>467
ボクッ娘甘えん坊過ぎるwwwwww
471
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/29(日) 12:57:36 ID:???
>>467
なんだこのボクっ娘かわいすぎんぞおい!
472
:
1/4
:2012/04/30(月) 03:08:29 ID:???
【ふみをしばらく放置してたら】
「とー。とー。とー」
先ほどから知り合いの中学生であるところのふみが突然部屋にやってくるなり人の頭にチョップを乱打するので困っている。
「やめてください、このままでは首が埋まってしまいます!」
「そのくらい当然の罰です、おにーさんのばか」
「まあとりあえずその手を止めることから始めないか」
「知りません。おにーさんなんて首が埋まって人なんだか亀なんだか分からない存在になっちゃえばいいんです。おにーさんのばか」
「そう馬鹿馬鹿言うない。何がそんな気に食わないのか、お兄さんに言ってみてはどうだろうか」
そう言うと、ふみはぴたりとその動きを止めた。突然のことに、少し不安になる。
「ふ、ふみ……?」
「……おにーさんのせいです」
「はい?」
「おにーさんが、ずっとずっと、ずーっと私に会わないように避けているからです!」
「えええっ!?」
「おにーさんが私を嫌っているなんて、まるっとお見通しです。でも、そんなの知ったこったないです。どんなに嫌おうが、私はおにーさんに嫌がらせを続けます」
「いやいや、いやいやいや。嫌ってないぞ? むしろ逆というか、その、アレですよ?」
「……逆って、なんですか」
「だ、だから、そ、その、アレだよ、アレ。わ、分かるだろ?」
「……わ、分かりません。ちっとも全然分かりません。詳しく説明お願いします」
「嘘つけ。じゃあなんで顔が赤くなってんだ」
「っ! こ、これは違います。私の恐るべき攻撃により、おにーさんの目が完全におかしくなっただけです」
「おかしくてもなんでもいいから、見当がついてるなら、それだから。だから避けてるとか思われると、悲しいぞ、俺は」
「うー……。じゃ、じゃあ、仮に、仮に、です。それなら、どうしてずっと会わないようにしてたんですか。嫌がらせですか。大成功ですよ、おにーさんのばか」
「ちげー。ちょっと色々と忙しくてな」
「……これからも忙しいですか?」
「ふむ。どうだと思う?」
473
:
2/4
:2012/04/30(月) 03:08:55 ID:???
「内容次第では殺します」
「も、ものすごく暇です」(ガタガタ震えながら)
「そですか。……で、実際のところは?」
「ああ、幸いにしてもう大丈夫だ」
「……本当ですか?」
「ふみに嘘なんてつかねーよ」
安心させるため、ふみの頭に手をのせる。そして、ゆっくりとなでる。
「うりゅー……」
「うりゅー?」
「ち、違います。久しぶりの感触に泣きそうになっただけです。いや今のも違います。……ち、ちょっとこっち見ないでください、おにーさんの変態」
「あー……どうやら寂しい思いをさせちゃったみたいだな。ごめんな、ふみ」ナデナデ
「……ちょこっとだけ抱きつきます。目をつむって耳を塞いでください。しなかったら殺します」
とても怖いので言うことをきく。フリをする。薄目を開けて少しだけ耳から手を離す。
「ふえぇぇぇぇぇん……」
がっしと俺に抱きつき、静かに泣いてるふみ。
「よしよし」ナデナデ
「うぅ……おにーさぁん……」
思わず頭をなでてしまう。ふみはスリスリと俺の胸に頬ずりした。
「ぐすぐす……それで、なんで手を耳から離してるんですか」
「あ」
いかん、ばれた。殺される。
「……まあ、おにーさんのことですから、私の言うことなんてきかないと思ってたから別にいいです。なでなでしてくれたから許したとかじゃないです」
「なでなでが好きなのか」
「違います」
「よしよし」ナデナデ
「ち、違います。好きとかじゃないです。こんなので喜ぶほど子どもじゃないです」
「なるほど。ちなみに、他にされて嬉しいこととかあるか?」
474
:
3/4
:2012/04/30(月) 03:09:26 ID:???
「おにーさんの生命活動が停止する様を見るのは結構好きです」
「お前は俺に死ねと言うのか」
「虫ケラのように息絶えるおにーさん、素敵です」
「褒められても死ぬ気はない」
「残念です。……あと、まあこれはどうでもいいんですが、抱っことかされると、気持ち悪くて吐き気がします」
「なるほど、抱っこか」ギュッ
「おえーおえー」ムギューッ
「俺の三倍くらいの力で抱きつき返してませんか?」
「気のせいです」スリスリスリ
「あと、俺の胸にものすげー頬をこすりつけてません?」
「またしても気のせいです。あ、おにーさんもうちょっと屈んでください」
「はいはい」
言われたようにちょっと屈むと、ふみは俺の首に腕を回し、背伸びしながら俺に頬ずりした。
「ん、んぅ……おにーさん、もっと屈んでください。足がぷるぷるします」
「いつになったら中学生平均の身長に辿り着くんだ、ちび」
「うるさいですロリコン」
口では全く勝てないので、素直にさらに屈む。
「それでいいんです。まったく、おにーさんは今日もばかで困ります」
そんなことを言いながら、うにうにと頬ずりをするふみ。
「……なんですか」
自分でも思うところがあるのだろう、頬を染めながらふみが俺を睨む。
「ええと。また明日も会うか?」
「どうしても私に性的ないたづらがしたいんですね。他の女の子を被害に遭わせるのも忍びないですし、私が我慢しましょう」
「久しぶりだが、やっぱりお前は酷いな」ナデナデ
「……そう思うんだったら、そんな優しい顔でなでないでください。おにーさんのばか」
475
:
4/4
:2012/04/30(月) 03:09:47 ID:???
「お前と一緒で、天邪鬼なんだ」
「私は正直者です。天邪鬼なんかじゃないです」
「ところで、そろそろ帰らなくて大丈夫か?」
「……今日はちょっと遅くまでいます。理由は不明であり以後ずっと不明です」
「天邪鬼じゃない、と」
ぷにぷにとふみの頬を押す。不満そうな顔でふみは俺を睨んだ。
「今日もおにーさんはいじわるです。大嫌いです」
「いでいで」
がじがじと頬を噛まれた。
「……嫌いですが、ちょこっとだけ好きです」
「えっ?」
そう言った刹那、ふみは俺の頬にキスした。慌ててふみを見ると、その顔は真っ赤に染まっていた。
「う、うぅ……こ、こっち見ないでください。おにーさんのばか。えっち」
「い、いや、このバヤイえっちなのはふみではないだろうか」
「う、うるさいです。おにーさんは黙ってちゅーされてたらいいんです」
そう言いながら、再び俺の頬にキスするふみ。どうなっている。
「え、ええと。お返しをするべきであろうか」
「……べ、べきです。礼儀として、です。別におにーさんにちゅーされたいとかじゃないです」
「じゃ、じゃあ」
ちゅっ、とふみの頬に口づけする。弾力があり、同時にふにふにで、甘いような気がするようなふみの頬。
「……え、えっち。おにーさんのえっち。おにーさんはえっちです」
「そんな赤い顔でえっちえっち言うない。こっちまで恥ずかしくなってくる」
「う、うるさいです。と、とにかく、お返しのお返しをする必要があります。礼儀は大事ですから」チュッ
「な、なるほど。じゃあそのお返しを」チュッ
そのあとは、お返し地獄になったわけで。30回までは覚えてる。
「はぁ……はぁ……。お、おにーさんの、えっち……」
だから、俺の顔が涎まみれで、ふみも顔中涎まみれなのも、不思議な話ではないです。
476
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/30(月) 05:57:30 ID:???
>>475
ふみたん久しぶりGJ!!
477
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/30(月) 11:20:43 ID:???
>>475
涎まみれとか超エロいです
478
:
1/7
:2012/04/30(月) 11:25:12 ID:???
・男と離れて初めて男の大切さが分かったツンデレ
「ね、ね。かなみちゃんも帰りミスド寄ってこうよ。友ちゃんもさっちゃんも渡辺さん
も来るしさ」
「うん。行く行く。ちょうど、小腹空いて来た所だし」
新しいクラスで出来た友達に誘われて、私は席を立つ。中学時代以来の親友であり、
コミュ力は私と比較にならないほど強い友子のお陰もあってか、新しいクラスでの滑り
出しはなかなか良好だった。
「よっし。そんじゃいこ。もうみんな廊下で待ってるよ」
半ば引き摺られるようにして教室を出て他のみんなと合流する。しかし、私の視線は
自然と、昇降口と反対側の隣りのクラスに吸い寄せられた。
「どしたの、かなみ? みんな行くよ?」
友子に声を掛けられ、私はハッと振り向いた。
「ううん。何でもない。いこ」
歩き出そうとした私の横に並んだ友子が、軽く肘で小突く。
「何よ?」
怪訝に思って横を向くと、友子が意味ありげな笑顔を浮かべて、囁いてきた。
「気になるんでしょ?」
「何がよ?」
質問に、私は突き放すように問い返す。友子が何を言いたいかなんて、重々承知の上で。
「またとぼけてる。別府君のことに決まってるじゃない」
「何であたしがあんな奴のこと、いちいち気にしなくちゃいけないのよ。バカバカしい」
友子の追及に、私は不満気に睨み付けた。しかし友子の顔に張り付いたイヤらしい表
情は消えない。
「だって、違うクラスになっちゃったから、今までみたいに学校でおしゃべりとか出来
なくなっちゃったもんね。何してるのか、気になるのかと思って」
「あんな奴が何してようが、あたしの知った事じゃないわよ。ぜーんぜん、気にもなら
ないんだから」
「ふーん」
479
:
2/7
:2012/04/30(月) 11:25:35 ID:???
友子は生返事をしたが、その顔は明らかに信じてませんって顔だ。しかし、ここで怒
ると友子のペースに嵌まると気付き、私はぶっきらぼうにそっぽを向く。
「フン。信じようが信じまいが友子の勝手だけどね。とにかくあたしは、全然アイツの
事なんて、考えもしてないんだから。いい?」
すると友子が親しげに私の肩を抱き、耳元で言った。
「いいわよ。その辺も含めて、これからバッチリ聞かせてもらうから」
これから、と聞いて私はそれが、ミスドでお茶しながらという事に気付き抗議の声を上げた。
「ええ? ちょ、ちょっと止めてよ。前のクラスの時だってアンタのせいでタカシなん
かと夫婦扱いされて凄い迷惑したのよ? また新しい友達に変に誤解させるようなこと
言う気なんでしょ。絶対ダメ!!」
こういう尋問は、あたしがタカシの嫁という前提で話を振って来るから、どう答えて
も絶対納得しないし、答えないと勝手に話を盛り上げられるしでどうしようもない。もっ
とも、幼馴染のタカシとは、実際恋人同士に見えるような事もやってはいるから、自
業自得でもあるのだけど。
「ダメと言われてはいそうですかと素直に従う友ちゃんじゃないことは知ってるでしょ?
新しい友達と親睦を深める為にも、そういう事はちゃんと知っておいて貰った方がいいじゃない」
「何が、そういう事、よ!! あたしをダシに話を盛り上げたいだけでしょが。絶対ヤ
ダってば!!」
無駄だと分かっても断固拒否する。するとそこで、廊下の端から声を掛けられた。
「おーい!! 友ちゃーん!! かなみちゃんも早く行こうよー!!」
「あはっ!! 今行くってば」
笑って手を振ると、友子は私の腕を取り、グイッと引っ張って走り出した。
「ちょ、ちょっと!! 自分で走れるってば!!」
「アハハ。まあ、いーからいーから」
何がいーからよ、と思いつつ、仕方なく引き摺られるようにして私は、友達の輪に入
り、ミスドに向かったのだった。
480
:
3/7
:2012/04/30(月) 11:26:06 ID:???
「疲れた……」
部屋に入るなり、私は制服のブレザーをベッドに放り、そのまま自分も倒れ込んだ。
「友子の奴め…… ある事ない事、ペラペラペラペラと調子に乗りやがって……」
語気も荒く、そう文句を吐き捨てると私はスカートのポケットに手を伸ばす。携帯の
着信メールが幾つか来ているのを確認して、私は携帯を開く。さっきまで一緒にお茶し
てた友達からのメールと、前のクラスの友達からのメールが少し。でも、肝心のアイツ
のは、ない。
「タカシの奴め…… サボってやがんな……」
悪態を吐きつつ、まずは来たメールから処理する。新しい友達にはキチンと。前から
の友達には気楽に、友子には適当に返してから、タカシへのメールを打つ。
[一日一通くらいはメール寄越せって言ったじゃない。このバカ!! 何してんのよ]
絵文字を取り混ぜて怒っている事を強調した文を送信する。
「うー…… いかん…… 着替えないと、せーふくのスカートに皺が…… お母さんに
怒られちゃう……」
しかし、疲労した体で一度寝転がってしまうと、なかなか起き上がることは出来ない。
そんな葛藤で悶々としていると、携帯が着信音を鳴らした。
「き……来たっ?」
ガバッと起き上がってメールを開く。
「……何だ。さっちゃんか……」
律儀に返信くれる友達はありがたいが、それでもがっかりした気持ちは否めない。気
を取り直して返信してから、また寝転がる。
「うー……しまった。せっかく起きたのに、また寝てしまった……」
起き上がったのなら、部屋着に着替えるくらいすれば良かったのにと後悔するがもう
遅い。再び襲い来る疲労感と戦っていると、また着信音が鳴った。
「今度こそアイツよね。じゃなかったら承知しないんだから……」
今度はさっきほど勢い込まず、寝転がったままメールを開く。
「……友子か…… 後でいーや」
ベッと携帯を放り捨てると同時に、もう一通メールが来た。
「次こそは……あのヤロー……」
481
:
4/7
:2012/04/30(月) 11:26:32 ID:???
しかし、今度もまた別の友達だった。この子はまだ知り合ったばかりだから気力を振
り絞って愛想のいいメールを作って送る。さらにさっちゃんからの再返信メールだった
り、今日遊んでない子からのメールも来たりしたが、肝心のタカシからは、一向に来ない。
「いい加減にしなさいよね!! 全く……っ!!」
我慢しきれず、もう一通催促のメールを作る。
[何やってんのよこのバカ!! このあたしがメールしてやってんだから、さっさと寄
越しやがれーっ!!]
ビシッという効果音が付く勢いで発信させる。と、1分経たずに着信音が鳴った。
「はやっ……って、どーせ違うんだろうけど」
それでも僅かな期待を無視することが出来ず携帯を開く。From:タカシ。
「やっとか……ホント、何やってたのよアイツ。あたしからのメール無視するなんて最低」
ぶつくさと文句を言いつつメールを開いた。
[ゴメン、寝てた。新しいクラスだと、色々と気疲れしちゃってさー かなみへのメー
ルの文面考えてたらいつの間にか……]
忘れられていなかった事に、私はちょっとホッとする。もっとも、やきもきさせられ
た怒りが全部消え去った訳じゃないので、嫌味の一つや二つでも言ってやらないと気が
済まないと私は返信メールを作る。
[なーにが気疲れよ偉そうに。日頃ダラダラし過ぎてるから、ちょっと慣れない環境に
なっただけで疲れちゃうんじゃないの? だらしないわね、全く]
そんな文章を打ちつつも、気が付くと私の表情は緩んでいたのだった。
「ハァ……」
それから数日後の放課後。小さくため息をつく私を見逃さず、友子が絡んで来た。
「どしたの? ここんトコ、別府君に会えてないから、禁断症状でも出てるとか?」
「何でもかんでもアイツに絡めようとするな。このバカ!!」
てい、とばかりにバッグを友子に振り下ろすが、友子はそれを素早くキャッチする。
「あっぶないわねー。こんなもん直撃したら、頭はともかく首がおかしくなっちゃうじゃない」
「フン。大人しく食らった事なんて一度だってないじゃない」
しかめっ面で舌を出して見せると、友子は軽く笑った。
482
:
5/7
:2012/04/30(月) 11:26:55 ID:???
「だーって、かなみの攻撃ってすぐ先が読めるんだもん。避けるの簡単だし」
「人を鈍いみたいに言うな。友子が特殊なだけでしょーが」
新聞部一のゴシップ記者を自認する友子の反射神経は異様なほどに良い。それを指摘
すると、友子は両手を腰に当て、胸を張った。
「まーねー。いちお、鍛えてますから」
自慢する事じゃないだろ、と私は軽くこめかみを抑えた。友子の暴露記事が原因で失
墜した者や破局に追い込まれたカップルは何人もいる。
「んで、その新聞部の方はどうなのよ? 新入部員とか入ったわけ?」
私の質問に、友子は思い出したように顔を上げてポン、と拳を打った。
「そうそう。今日はその新人に校内極秘スポットを教え込まなくちゃいけないから、か
なみとは遊べないよって言いに来たんだった。そんじゃ、また」
シュタッ、と手を上げて挨拶すると、友子は消え去るような素早さで教室から出て行
った。残された私は、深々とため息をつく。
「全くもう…… さすがゴシップばっか扱ってるだけあって、ホント変なトコばっか気
が付くんだから……」
「あ、そうそう。忘れてた」
いきなり傍で友子の声が聞こえ、私は思わず絶叫した。
「うわあああああっ!! どどど、どっから出てくんのよアンタわ!!」
ドキドキする心臓を抑えながら文句を言うと、友子はフフン、と得意気に笑う。
「この業界で生き残るには、神出鬼没さは必須だからね。と、言いに来たのはそんな事
じゃなくて」
途中で言葉を切ると、友子は顔を私の傍に近づけ、耳元でそっと囁いた。
「別府君の事が気になるんだったら、自分から積極的にならないとダメだよ。うかうか
してると、いつの間にか他の子が取ってっちゃうかも知れないからね。気を付けなよ」
「なっ…… 何言ってんのよアンタはっ!!」
思わず友子に向き直って怒鳴ると、友子は素早く距離を取って私からの攻撃に備えつ
つ、真面目な顔でチラリと背中を――タカシの教室がある方を――一瞥する。
「単なるおせっかいだから、聞くも聞かないもかなみ次第だけどね。でも、新しいクラ
スでも、別府君結構人気だよ。それじゃ」
483
:
6/7
:2012/04/30(月) 11:27:41 ID:???
そう言い置いて、友子は再び、私の視界から消え去った。しかし、友子の言葉が、私
の胸には錐のように突き刺さっていた。
「自分から積極的にって…… そんな事出来たら、苦労しないのに……」
誰にも聞こえないように小さく、口の中で私は呟いたのだった。
今日は、特に他の子たちとも遊ぶ約束がなかったため、私は一人教室を出た。
「こういう時、大体タカシが隣にいてくれたのにな……」
今にしてみると、タカシは結構マメに私の相手をしてくれていたような気がする。メー
ルとか電話は無精者だが、いて欲しいと思う必要がないくらい、いつだって傍にいて、
構ってくれていたから、寂しいだなんて感じた事なんて一度もなかった。
「べ、別にあんな奴いなくたって…… 寂しいとか思わないし」
小さく、自分の想いにツッコミを入れる。そんな事をしても全然気は紛れなかったが、
いないものは仕方が無い。バッグを持って、教室を出る。もしかしたら笑顔のタカシが
そこで待ってて……なんて一瞬期待したがそんな事は全然無く、私は一人、昇降口へ向
かおうとした。その時だった。
「ほらほら。別府君、早く早くーっ」
背後から聞こえた女子の声に、私は咄嗟に立ち止まって振り向いた。自分のクラスを
挟み、二つ向こうの教室がタカシのクラスだ。その入り口に知らない女子がいて、何か
を引っ張り出そうとしている。
「ちょっちょっちょ…… 待てってばおい!! ちゃんと行くから引っ張るなって」
慌てた男子の声が続いて聞こえる。それは紛れも無く、タカシの声だ。
「ダメダメ。そんな事言って、逃げようとするんでしょ? 約束なんだから、果たすま
で帰さないんだからね」
えいっとばかりにタカシを引っ張り出したその子が、親しげにタカシの腕に腕を絡めた。
「だから待てって。つか、離せ。そんなガッチリ捕まえなくたって逃げたりしないってば」
「いーじゃん別に。それとも、あたしと腕組むのイヤとか?」
484
:
7/7
:2012/04/30(月) 11:28:19 ID:???
見ていられなくなって、私は二人から背を向けた。友子の言葉が脳裏にリフレインす
る。まだ新しいクラスになってひと月も経っていないのに、いつの間にあんな親しい娘
が出来たんだろう。確かに、タカシは人付き合いが得意で、前のクラスの時も男女区別
無く友達は多かったが、あんな風に馴れ馴れしくするような子はいなかったのに。
「そんな……嘘……」
もう一度振り返る勇気なんて無く、背後から聞こえる二人の声から逃げるように、私
は耳を塞いでその場から走り去ったのだった。
続きは夜にでも
485
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/04/30(月) 11:49:22 ID:Ob915XK2
>>475
ふみはやっぱり可愛いなあ
GJ!!
>>484
乙女なかなみさん可愛い
続き超期待
486
:
1/8
:2012/04/30(月) 22:10:49 ID:???
・男と離れて初めて男の大切さが分かったツンデレの続き(
>>478-484
)
家に帰ると、ただいまも言わずに部屋に駆け上がり、制服のままベッドに飛び込む。
ずっと走って来たから息も上がっていたが、それ以上に心臓が締め付けられるようで、
私はしばらくベッドに横たわりながら悶絶していた。
「嘘……タカシが他の子とだなんて……そんな……」
今まで、意識しなくてもタカシが傍にいた事に、今更ながらに気付かされる。それが
どんどん遠くなって行くのを感じていた。
「もし、タカシから彼女が出来たなんて言われたら……」
想像するだけで、涙が出て来る。布団で顔を拭い、まだ決まった訳じゃないと自分に
言い聞かせる。
「でも……このまんまじゃ……手遅れになっちゃう……」
友子の言葉が脳裏を過ぎる。あの情報通の友子が言った事だけに、今となっては真実
味を増して聞こえてくる。今日、タカシにベタベタしていたあの子は、間違いなくタカ
シに気があるのだろう。でなければ、あんな風に腕を絡めて甘えるような仕草を取ったりしない。
「……自分から積極的に……だなんてそんな……」
それは、他人に取られたくなかったら、自分から告白しなさいという事なのだろう。
でも、そんな事恥ずかしくて言える自信ない。むしろ恥ずかしさに負けて、ついつい面
罵してしまいそうだ。そもそも、タイミングをどうすればいいのだろう、とか、どうい
う言い方をすればいいのだろうか、とか想像しつつ悶々としていたら、不意に携帯が着
信音を鳴らした。
「こんな時に……って、タカシからだ……」
他にも複数件、メールが来ていたが、全然気付かなかった。他の子には後で言い訳し
ようと思いながら、タカシのメールを真っ先に開く。内容は、今見てるテレビのお笑い
番組についてだった。私も好きで、同じクラスの時はよく話題にしてた番組だ。
「全く、人が悩んでるってのに、アイツってばのん気に何書いてんのよ……」
文句を言ってから、私は気付く。このままだと、こんなメールすらもう来なくなるか
も知れない。来ても、私にはあくまで幼馴染の友達としてのメールで、他の彼女ともっ
と親密なやり取りをするのだろう。私を優先してメールしてくれるなんて、それがどれ
だけ幸せなことか、私は今まで、全く気付きもしなかった。
487
:
2/8
:2012/04/30(月) 22:11:16 ID:???
「今やらなきゃ……手遅れになっちゃう……かも……」
一日、一日、日が経つごとに私との縁は薄れ、今日の子との結び付きが強くなるかも
しれない。そんな不安が私を急き立て、私は決意してメールを打った。
[今日は気が乗らないから見てない。それより、見終わったらちょっと会えない? 少
しの時間でいいんだけど……]
一瞬、送信ボタンを押す時に決意が揺らぎそうになるが、グッと気を引き締めてから、
ボタンを押す。それから、ベッドにドサッと横になると、ギュッと体を丸めて、タカシ
からの答えを待つ。
「……もし、忙しくて出て来れないとか言われちゃったら……もう、勇気出せないかも
知れない……」
ただ待つのが、苦しい。まさか、タカシとの仲で、こんなにも辛い想いをするなんて
思ってもみなかった。時計をチラチラと見ても、全然針は進んでくれない。早く返事が
来てくれと、私はただひたすらに念じた。そして、ようやく着信音がなった時、私はも
どかしさを感じながら、急いで携帯を開く。
[何だよー、見てないのかよー。超面白かったのに。で、会えないかって何で? 出ら
れないこともないけど]
文面から漂うのん気さが、腹立たしかった。断わられなかった事の安堵と怒りのパワー
の勢いのままに、メールを打つ。
[テレビの話題とか今はどうでもいい!! とにかく出て来れるんだったらつべこべ言
わずに来なさいよ。いいわね?]
ためらわずにメールを送ると、私は立ち上がってジャケットを羽織ろうとして気付く。
「そういや、制服着たままだったっけ……」
一瞬、そのままでもいいかと思ったが、やはり思い直した。帰って何時間も経ってる
のに未だに制服着てたとか、何してたって思われるだろうし。まだ少し時間があるので、
私は急いで制服を脱ぎ捨てると、クローゼットから着替えを引っ張り出した。
4月といえ、夜はまだ肌寒い。もうちょっと厚着した方が良かったかなと思いつつ、
待ち合わせ場所の公園で、私はタカシを待った。
「わりぃ。待ったか?」
488
:
3/8
:2012/04/30(月) 22:11:36 ID:???
タカシの声に、振り向いて私は文句を言った。
「すごい待った。どんだけ待たせれば気が済むのよって言うくらい」
「だって、テレビ見終わってからでいいって言ったじゃん。それから速攻準備したんだ
ぜ? むしろお前の方が早く来過ぎだろ」
言い返されて、私はカチンと来てタカシを睨み付けた。
「しょうがないでしょっ!! こっちは居ても立ってもいられなかったんだから。のん
気なアンタとは違うのよっ!!」
「は?」
キョトンとするタカシに、私は自分が余計な事を口走ったのに気付く。
「な……何でもないわよっ!! 今のは忘れてくれていいから」
慌てて打ち消してから、私は顔を背けてうつむいた。腹立たしいけど、私の悩みなん
て理解出来る方がおかしいのだから。
「で、用事って何? 結構急ぎの事なんか?」
私の発言から、どうやらタカシは私が焦っているらしいと感じたようだった。確かに
焦っているといえばそうだけど、多分タカシが思っている事とは若干違うだろう。その
誤解を解く為に、私は一つ前置きする。
「……べ、別に焦ってる訳じゃないわよ。ただその……今日中に一つ、確かめておきた
い事があるってだけで……」
「確かめたい事? 俺に?」
鸚鵡返しに聞くタカシに、私は頷く。ドキドキする左胸に手を置いて、乳房の下の肉
をグッと鷲づかみに強く掴んで気持ちを落ち着かせようとする。そして、一つ深呼吸し
てから、私はしっかりとタカシを見て、口を開いた。
「……あのさ。今日の放課後……アンタといちゃついてた子、いたでしょ? その……
あの子と、どういう関係なのかなって……」
最後まで言い切ってから、私は急に臆病心に負けてうつむいてしまった。こんな質問
をしてしまって、タカシにどう思われるのだろうか? それを考えるだけで怖くて堪らない。
「放課後いちゃついてたって……誰と?」
何か分かってない風な返事に、私は思わず気が殺がれてガクッとなってしまう。それ
でも顔を上げることは出来ずに怒鳴った。
489
:
4/8
:2012/04/30(月) 22:11:56 ID:???
「や、やってたじゃない!! 誰だかなんて私の方こそ知らないわよ!! そ、その教
室から腕掴まれて引っ張られて、その後仲良さそうに腕組んじゃってたじゃない。知ら
ないとは言わせないわよ!!」
「ああ。天江さんか。あれはその、いちゃついてたって訳じゃなくて、むしろ連行され
たというか、まあ、単にそんな感じなんだけど」
「それにしては、随分仲良さげだったじゃない。まるで恋人同士みたいでさ」
自分が嫉妬してるのが露わになるような事を口走ってしまい、また恥ずかしさが増す
が、実際そうなんだから仕方が無い。
「そんな感じだったのかなぁ……? てか、お前見てたのか」
タカシの言葉に、私は不満そうな態度で顔を逸らした。
「……たまたま居合わせただけよ。まるで覗いてたみたいに言わないでよね」
「いや。そんなつもりで言ったわけじゃないけどさ。うーん……何て言うか……まあ、いいや」
困ったように答えるタカシの態度が気になって、私はチラリとタカシを見る。うん。
確かに何だか気まずそうだ。
「何よ。何か後ろ暗いことでもあるの?」
そう聞くと、タカシは慌てて両手でそれを否定した。
「ち、違うってば。天江さんとは単に席が隣りってだけだし」
「ふーん。席が隣同士なだけで、あんなに仲良くなるんだ?」
ジロリ、と半目で睨み付ける。すると今度は、タカシが顔を逸らして頭を掻いた。
「ま、まあその……彼女、明るくておしゃべりで、男女とか区別なく話しかけて来てさ。
俺とも話し合ったから、まあその……仲の良いクラスメートってくらいにはなったけど、
それ以上ではないし」
「ただのクラスメートってだけで、あんな風に男子とベタベタ出来るのなんて、あたし
的には信じられないんだけど」
まるで浮気を咎める嫁みたいな態度で、私はタカシと天江さんの仲を追及した。もっ
とも嫁どころか今のところは恋人ですらない、ただの幼馴染なわけでしかないのだけれど。
「本人曰く、スキンシップは好きだし全然抵抗ないんだってさ。女子に対してだと抱き
ついたりしてるし。むしろ俺に対してこういうのって苦手なの?って聞いて来てさ。そ
したらその……俺だって強がってみせるしかないじゃん」
ちょっと自棄になったような言葉でタカシが返す。それに私は、苛立たしげに鼻を鳴らした。
490
:
5/8
:2012/04/30(月) 22:12:20 ID:???
「フン。強がってるとか言って、ホントは嬉しいんじゃないの? あんな可愛い子にベ
タベタされてさ」
私の問いに、タカシが顔をしかめた。それを肯定と受け止めて、私は文句をぶちまけた。
「ほら、みなさい。スケベ。どうせ、胸の感触とか意識して、鼻の下伸ばしてたに決まっ
てんだから」
もっとも、私には本来、非難する資格なんてありはしないのだけど。そもそも、私は
一度だってタカシに甘えたり擦り寄ったりしたことあっただろうか? もちろん、した
いと思ったことはあるけど、せいぜい手を繋いだぐらいだったような気しかしない。
「うるせーな。女の子から親しげな態度取られたら、男なんて多少はドキッとするもん
なんだよ。女だって、イケメン男子に声掛けられたらドキドキするだろ? それと一緒だって」
いい加減苛立って来たのか、タカシの語気が多少荒くなる。しかし私も引っ込みが付
かなくなっているので、けんか腰でやり返した。
「あ、ほら。逆ギレした。やっぱり後ろ暗いところがあるから、怒るんじゃないの?」
「別に後ろ暗くなんて全然ないけどな。たかがゲーセンに遊びに行くのに引っ張られた
だけの事だし。つか、お前が確認したいってのは、その事か? 俺と天江さんが付き合
い始めたのかどうかっていう」
唐突に核心に触れられて、私は今までの怒りが一瞬で吹き飛んだ。ドキッと心臓が跳
ね上がり、体温が一気に上昇する。しかし、バツが悪かったので私は、わざと不機嫌な
態度のままで小さく頷いた。
「……そうよ。わ、悪い?」
強気な態度の私を、タカシが睨み返す。それから、フンと一つ荒く鼻息をついて、視
線を逸らした。
「別に悪かねーけど。ただ、何だってそんな事を気にするのかと思ってさ」
「……だって、ヤダもん」
咄嗟に出た言葉に、言った私自身が驚く。思わず口を押さえてどうやって弁解しよう
かと頭を巡らせる。だけど、そんな言葉は何も思いつかなかった。むしろ、本音の方ば
かりが、どんどんと溢れ出てきて、ついに私は我慢し切れなくなって、口から出してしまう。
「……タカシが、もしその子と付き合い出したりしたら……もう、こうやって会ってく
れなくなっちゃうでしょ? メールだって、今までみたいにくれなくなっちゃうでしょ?」
491
:
6/8
:2012/04/30(月) 22:13:06 ID:???
不安が、口を突いて出て来る。一度言葉を切って、私はタカシからの返事を待つ。タ
カシは、ちょっと考えてから、小さく肩をすくめて答えた。
「そんな事はないけどな。誰と付き合い出したって、かなみは昔からの幼馴染なんだし、
メールだって会うのだって、拒否はしないけど」
「でも、一番じゃないんでしょ?」
タカシの答えは予想の範疇内だった。だから私は即座に次の質問をぶつける。
「だって、やっぱり付き合い出したら、彼女の事が優先順位は一番になっちゃうでしょ?
会うのだって、彼女の方を優先するし、メールだって、彼女からのを先に返信して、私
のは他の友達同様に、後回しにするんでしょ?」
立て続けに聞く私を、タカシはちょっと呆気に取られた顔で見つめていた。言葉を切っ
て荒く息をつきながら、タカシの答えを待つ。ややあって、タカシは頷いた。
「……そりゃあまあ、彼女が出来たらそうなるだろうな。やっぱり、一番好きな子を最
優先にしたいし、そうでなきゃ彼女にも失礼になるだろうから」
「でも、私はヤなの!!」
タカシの返事に、私は感情を爆発させた。
「私が一番でなきゃイヤなの!! メールも、会うのだって……私だって、タカシが一
番なのに……だから、タカシも私の事を一番にしてくれなきゃ……イヤなの……」
感情が昂ぶりすぎて、目から涙が零れ落ちた。泣いてる暇なんてないのに。そう思っ
て、手で目を拭い、潤んだ瞳でタカシを睨み付ける。
「だから……もう一番じゃなくなったらイヤだったから……だからそれで……知りたかっ
たんだもん…… タカシがどう思ってるのかって……」
ここまで言い切ってから、私は顔を伏せた。目をギュッて閉じ、涙が溢れそうになる
のを必死で堪える。こんな所で泣いたら、泣き落としみたいになる。そんなのフェアじゃ
ない。そんなみっともない事したくない。拳をギュッと握り、肩を震わせ、私はただひ
たすらに我慢していた。
「……なら、付き合うか?」
「え?」
タカシの言葉に、驚いて顔を上げた。溜まっていた涙がまた一筋零れ落ちるが、そん
なの気にならないくらい、私の心はタカシの言葉に支配されていた。
「付き合うって……その……私が?」
492
:
7/8
:2012/04/30(月) 22:13:32 ID:???
「ああ」
顔を逸らしたまま、タカシは頷いた。何気ない風を装った口調ながら、タカシも恥ず
かしいらしい。もっとも、その時の私に、そんな事気付く余裕すらなかったが。
「俺は、女の子だったら最優先にするのはやっぱり彼女になると思う。だから、その……
かなみが、俺に自分を一番にして欲しいって思ってるんだったら……俺の彼女になれば、
自然にそうなるから……」
心臓がドッキンバックンとハードな鼓動を鳴らし続ける。体がヒートアップし過ぎて
いて、何だか思考が上手く定まらなかった。
「……っと、その……アンタは……いいの? あたしを、その……彼女認定なんかして……」
熱に浮かされたような私の問いに、タカシは頷く。
「そりゃまあ……嫌だったら、そんな提案しないし。もう十年来の付き合いだろ? 別
に、一歩先の関係になったって、どっちかっつったら、遅いくらいだし」
タカシの言葉をぼんやりと考える。つまり、タカシは前から私と付き合いたいと思っ
ていたのだろうか? 私がいっつも罵ってばかりで、全然甘える所を見せなかったから、
そういう関係になるのを躊躇っていたのだろうか?
「で、かなみはどうなんだよ? まあ、その……交換条件みたいで申し訳ないけどさ。
けれど、付き合ってくれないならやっぱりその……他に彼女見つけるしかないし、そう
なったらかなみを一番って訳にはいかなくなるけど……」
「そんなのはヤだ」
タカシの問いに、キッパリと私は答えた。そして、強く首を横に振る。
「タカシに、他の彼女が出来るなんて許せない。私が……ずっとタカシの一番でいたい
んだから……」
タカシが好きだ。失いたくない。ずっと一緒にいたい。ずっと傍にいて、ずっとおしゃ
べりして、くっ付いていたい。しかし、これだけタカシの事が好きで好きで堪らないの
に、私はやはり、意地っ張りだった。
「……だから、ずっと一番にしてくれるって言うなら……付き合ってあげても……いい……」
ほとんど私から告ったようなものなのに、肝心な所をタカシに言って貰って、しかも
それを渋々承諾したように言うなんて、全く持ってみっともない。だけどタカシは、小
さく笑って優しく言ってくれた。
「全く…… まあ、とにかく、今からはかなみは俺の彼女ってことで、公言していいんだよな?」
493
:
8/8
:2012/04/30(月) 22:14:07 ID:???
「それはダメ!!」
慌てて拒絶すると、タカシは首を傾げた。
「何でだよ? 今、付き合ってもいいって言ったじゃん。晴れて、カップルとして成立
したんじゃないの?」
「そ、それでも……公言されるのは恥ずかしいし…… だからその、必要に応じてって
事で……」
「つまり、俺にベタベタしてくるような子がいたら、そう言ってお断りしろってか」
正確に私の意をタカシが伝えてくる。無言で小さく頷くと、タカシが呆れた声を上げた。
「全くしょーがねーな。このヤキモチ焼きが」
「う……うるさいっ!! 仕方ないでしょこのバカ!!」
悔しくて罵りながら、私はタカシにしがみ付いた。
「お、おい? どうしたんだよ?」
動揺するタカシを抱き締めながら、初めて私は、小さく甘えた声を出した。
「……私だって……タカシに、スキンシップ……されたいんだから……」
「はいはい」
クスリと笑って、タカシが私の背に腕を回してしっかりと抱き締めてくれる。これで
ようやく、私は心から安堵して、タカシに身を委ねる事が出来たのだった。
終わり
かなみさんはヤキモチ焼き
494
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/01(火) 01:45:46 ID:???
おい!ニヤニヤが治らないぞどうしてくれる!!
かなみさんかわいすぎんだろチクショウ!
495
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/01(火) 07:36:36 ID:???
>>493
良過ぎ GJ!
496
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/01(火) 08:33:26 ID:???
やべー可愛いわーああ!あああ!!
497
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 00:14:10 ID:???
・ツンデレと戯れにつつきあいをしたら
男「うーむ……」
女「なに見てんだよ、タカシ」
男「いや……あのさ。なんかお前、太ってないか?」
女「はぁ? 俺のどこが太っただって? 舐めてんのかてめぇ」
男「ほら、腹のこの辺の肉が前よりぷにぷにと」ツンツン
女「ひゃうっ……! 脇腹弱いんだから気安く触んな!」
男「悪い、けど他意はないんだ。ただ勿体ないなと思うだけで」ツンツン
女「そういうのを余計なお世話っつんだよ、バカ」
男「このままでは、かつみの美腹筋がヤバいことになりかねんな」ツンツン、ツンツン
女「ひっ……だ、だからつつくの止めろってば!!」
男「女だから脂肪がつくのは仕方ないのかなぁ……あと、つつく度に体ビクビクさせて可愛いぞ」
女「てめっ……! 止めろっつってんのが分かんねーのか!」ビスッ
男「ぎゃ!!」
女「ふんっ、これでつつかれる方の気持ちが分かったかよ!」
男「目玉つつくのは反則だろ……」
女「自業自得だ、死ねバカタカシ」
498
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 00:21:17 ID:???
・ツンデレと戯れにつつきあいをしたら
男「うーむ……」
女「なに見てんだよ、タカシ」
男「いや……あのさ。なんかお前、太ってないか?」
女「はぁ? 俺のどこが太っただって? 舐めてんのかてめぇ」
男「ほら、腹のこの辺の肉が前よりぷにぷにと」ツンツン
女「ひゃうっ……! 脇腹弱いんだから気安く触んな!」
男「悪い、けど他意はないんだ。ただ勿体ないなと思うだけで」
女「そういうのを余計なお世話っつんだよ、バカ」
男「このままでは、かつみの美腹筋がヤバいことになりかねんな」ツンツン、ツンツン
女「ひっ……だ、だからつつくの止めろってば!!」
男「女だから脂肪がつくのは仕方ないのかなぁ……あと、つつく度に体ビクビクさせて可愛いぞ」
女「てめっ……! 止めろっつってんのが分かんねーのか!」ビスッ
男「ぎゃ!!」
女「ふんっ、これでつつかれる方の気持ちが分かったかよ!」
男「目玉つつくのは反則だろ……」
女「自業自得だ、死ねバカタカシ」
499
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 00:21:51 ID:???
間違って連投しちまったスマヌ
500
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 01:18:02 ID:???
かつみんカワユス
501
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/04(金) 00:29:21 ID:???
最近はこっちも賑わってていい感じだ
まとめてだけどGJ
502
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/05(土) 14:51:49 ID:???
>>421-425
,449-454の続き投下
4月になったら本気出すと言いつつ、5月にまたいでしまった
もうインフルの時期なんぞ遥か遠い昔なのに……
503
:
1/8
:2012/05/05(土) 14:52:36 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その3
『いいわ。適当に座ってくれる』
点けっ放しだったテレビを切り、私はソファに腰を下ろす。少し離れて、別府君が腰
を下ろした。
「えっと……その、本当にゴメン。委員長が迷惑だってのは分かってたけどさ……」
『いいわよ。強引に押し切ったのは母なんだもの。もっとも、キッパリ断わり切れない
貴方もどうかとは思うけどね』
別府君が悪くないのは百も承知だけど、それでも嫌味の一つや二つも言わないと、とっ
ても腹の虫が収まりそうになかった。
「いや、その……あの場じゃあれ以上断わりようがなかったし……つか、出来る限り長
居しないようにするからさ」
『当たり前でしょ? 病人の家に長居するなんて、常識で考えられるわけないじゃない』
情け容赦なく彼の言葉を切り捨てていくと、別府君がますます小さく体をちぢこませ
た。さすがに、これ以上いじめ過ぎるのも申し訳ないので、何か話題を変えようと、そ
う思った時だった。
「しつれーしまーす」
大輝がお盆に菓子を持った皿を乗せてリビングに入って来た。
「かーちゃ……おかーさんが先にこれ、持ってけって」
『分かったわよ。そこに置いといて』
テーブルを指して、さっさと出て行くように手で合図する。しかし大輝は、別府君の
前に立つと、ペコリとお辞儀をして挨拶した。
「初めまして。俺、弟の大輝って言います。ねーちゃんが、いつもお世話になってます」
「あ、どうも。こちらこそ初めまして。静野さんのクラスメートの別府タカシと言います」
挨拶を返す別府君を見つつ、私はきな臭い物を感じていた。大輝があんな風に礼儀正
しく挨拶をするなんて、何か腹に一物持っているような気がしてならない。すると案の
定、大輝は別府君に突っ込んだ質問をし始めた。
「あの、一つ聞きたいんですけど、別府さんってねーちゃんとどういう関係なんですか?
彼氏とか?」
『ちょっと大輝っ!!』
504
:
2/8
:2012/05/05(土) 14:52:58 ID:???
思わず大声で制止してしまってから、私はハッと我に返って別府君を見る。学校では
決して出さないような声に、別府君がちょっと驚いて私を見たのに気付き、私は素知ら
ぬ態度で、何事も無かったかのような態度を取って大輝を睨み付けた。
『全然違うわよ。ただのクラスメートで、友達でもないわ。それだけよ』
危うい所で、地が出てしまうところだった。別府君の前でみっともない所なんて絶対
に見せられないのに。
「へー。友達でもないのに、女子の家に届け物とかするかなぁ。俺なら絶対ゴメンだけ
ど。色々とめんどくせーし」
「仲立(なかだて)に……っと、静野さんと仲が良い女子に頼まれたからさ。どうして
も行けないから届けてよって。どーせ暇だから良いでしょとか言われてさ。断わるのも
面倒じゃん」
「ああ。何かやたらと用事押し付けて来るよな。女子って。あーいうの、超ウゼーよな」
納得したように頷く大輝に、別府君は愛想笑いを浮かべて返す。変に意気投合されて、
普段の私の事とかペラペラしゃべられると困るので、私は大輝に向けて鬱陶しそうに手
を払ってみせる。
『もういいでしょう? お客さんが来てるんだから、あなたはとっととあっちに行って
なさいよね』
しかし、大輝はそう簡単には引き下がらなかった。
「もうちっといいじゃん。ねえ、別府さん。ねーちゃんてさ。学校だとどんな感じなの?
やっぱおっかない?」
『余計な事聞かないのっ!!』
大輝の際どい質問に、つい声を荒げてしまい、私は慌てて口を押さえる。別府君がそ
れに、困ったような笑顔を浮かべつつ、手で私を制してから大輝の方を見て頷く。
「静野さんは……そうだね。大人しくて清楚な感じかな? 物静かで真面目でさ。さす
がは委員長っていう」
別府君の私に対する評価に、つい私は嬉しくなってしまう。そうか。別府君は私の事
をそういう風に見てくれていたのかと。それから、すぐに思い直した。弟の前での話な
んだから、社交辞令込みに決まっていると。
「へー。何かねーちゃんって、家と全然違うんだな。家だとこうもっと――あイテッ!!」
505
:
3/8
:2012/05/05(土) 14:53:20 ID:???
大輝に家での私の様子をバラされそうになって、慌てて私はチョコを一つ取って大輝
の顔に向かってぶつけた。頬を押さえた大輝が、私を睨み付ける。
「何すんだよ、ねーちゃん」
『あっちに行きなさいって言ってるでしょう? いい加減鬱陶しいのよ。分かる?』
澄ました顔でそう言うと、私はソファに落ちたチョコを拾って包みを開け、口に放り
込む。正直、今はまだ何とかなっているが、いつまで平静を装い続けられるのかは自分
でも自信が無かった。しかも、さらに大輝が追い打ちを掛ける。
「ふうん。初めて男を家に呼んだのに邪魔されたくないってか」
茶化すような笑顔を見せる大輝に、思わず手が出そうになるのを懸命に私は抑える。
そして大輝を無視すると、別府君に向けてそれを否定しておく。
『横で何か変な事を言ってるのがいるけど、気にしないで。間違いなく有り得ない事だから』
「へー。どうだかねえ。別府さんから見ても分かるでしょ? ねーちゃんってすっげー
奥手そうだからさ」
私はキッと大輝を睨み付けた。しかし、一向に平気そうな弟の顔に、これは何を言っ
ても無駄だと悟った。これはもう、多少のリスクは込みでも実力行使に出るしかない。
そう思って立ち上がった時だった。
『ちょっと大輝。いい加減にしなさい。あんまりお姉ちゃんの邪魔しないの』
キッチンから、呆れたように母が注意するのが聞こえた。
「ちぇっ。はーい」
意外と素直に、大輝は引き下がってダイニングルームへと姿を消す。私はホッとため
息をついてソファに腰を下ろす。正直、別府君の前で大立ち回りなんてしたくなかった
から、ここは母に感謝だ。
「委員長の弟さんって、よくしゃべるんだね」
別府君が、苦笑して肩をすくめる。それに私は、厳しい目付きで返した。
『何かおかしい? 私と正反対の性格で』
「いや、別におかしいって訳じゃないけどさ。ちょっと意外だなって思っただけで。そ
ういえば、お母さんもあまり人見知りしなさそうな感じだし」
『悪かったわね。私ばかり暗い性格で』
揚げ足を取るように言って、私はちょっと拗ねてみせた。それに別府君が慌てて弁解
しようとする。
506
:
4/8
:2012/05/05(土) 14:53:41 ID:???
「いや、別にそんな事を言うつもりじゃ――」
しかし、彼の言葉はお盆を持って入って来た母によって遮られた。
『ゴメンなさい、お待たせしちゃって。ちょっと電話入っちゃってね』
そう断わりを入れつつ、リビングボードの傍にしゃがみ込んで、お盆に乗ったティー
カップを別府君の前に置き、次に私のティーカップを置く。しかし、私の前に出された
のが、可愛らしい猫の形をしたマイカップだったので、私は思わず母に抗議する。
『お母さん。何で私のカップがこれなのよ』
『あら? だってあなたのカップってこれじゃない。何か不満?』
『だって、人が来てるんだから……』
こんな、子供向けみたいなカップは恥ずかしい、という言葉はグッと口の中に飲み込
んだ。そこまで言ってしまうと、却って余計に恥ずかしくなると気付いたからだ。
『何言ってるのよ。別に恥ずかしがるほどの事じゃないでしょう? それに、別府君が
来る前から準備してたんだもの。今更変えるのも面倒じゃない』
『……分かったわよ。もういいから、下がってよね』
諦めたように言いつつ、私はチラリと別府君を一瞥する。予想通りの微笑ましそうな
顔つきに、何だか酷く居心地が悪い気がする。
『はいはい。それじゃあ別府君。是非、ゆっくりしていってちょうだいね』
「あ、はい。ありがとうございます」
ソファに浅く腰掛けていた別府君が、そのまま頭を下げる。それに笑顔で軽く頭を下
げて応えつつ母が出て行くと、私は別府君に不満気な顔を向けて呟く。
『……何よ……』
「え? 何が?」
わざとなのか天然なのか、そのまま聞き返す別府君に、私はため息をついた。
『気付いてないの? さっきからニヤニヤ笑ってること。何か、気持ち悪いんだけど』
恥ずかしさを押し隠そうと毒を吐くも、全然役に立たない。そして、別府君の返事も、
予想通りだった。
「いや。何か委員長のカップが可愛いなって。あんまり学校でも可愛らしいグッズとか
使ってないからさ。何か意外だなって」
『悪い? 私だって女子だもの。可愛いものの一つや二つ持ってるわよ。ただ、お金掛
けて集めるほど執着はないってだけで、別にこだわりがあって使ってない訳じゃないわ』
507
:
5/8
:2012/05/05(土) 14:54:01 ID:???
いささか自棄になって、私は答える。これで一つ、別府君に対する私のイメージが崩
れてしまった。
「いや。別に悪いとか思ってないし。学校だと、そういう所が見えないからさ。意外だ
なとは思ったけど、でもいいと思うよ。うん」
『……何か、バカにしてない?』
「してないってば。むしろ委員長に似合ってて良いと思うよ。そのカップ」
『……フン……』
褒められて物凄く気恥ずかしくなり、私は鼻息も荒く紅茶に口を付ける。そして、砂
糖を入れてないことに気付き、思わず顔をしかめてしまった。
「どうかした?」
『何でもないわよ』
こんな風に動揺しているなんて悟られたら、さらに私のイメージが下がってしまう。
別府君の問いを軽く流すと、私は何事も無かったかのように、グラニュー糖を紅茶に入
れると軽くスプーンでかき混ぜる。
『で、学校はどうなの? 私の他にインフルエンザに罹った人とかいない?』
とりあえず当たり障りのない方向に持って行こうと、違う話題を振ると、別府君が頷
いて答えてくれた。
「ああ、それは大丈夫。クラスはいつも通り……というか、委員長がいないから、休み
時間の声が1.5倍くらい大きいかなって」
その状況を想像して、私はため息をつく。
『ハァ……やっぱりね。いくら休み時間だからって、騒ぎ過ぎないようにって言ってる
のに、私が見てないとすぐそうなるんだから。どうせ、ホームルームの前とかも全然私
語が止まないんでしょう?』
「正解。先生が教卓をバンバン叩かないと収まらないって感じかな。それでも、委員長
の一喝には敵わないかな」
普段は物静かな印象の私だけに、ごくたまに、どうしようもない時に出す一喝はそれ
だけで教室を静まり返らせる。今のクラスでは、一年間で二回ほどしか使っていない。
『あれはあれで、結構勇気がいるのよ。もっとも、大抵一度使えば、みんな気を遣って
そこまでの騒ぎにはならないから、まだ助かってるけど』
「だって、あれはビックリするもんな。委員長もあんな大きな声出せるのかって」
508
:
6/8
:2012/05/05(土) 14:54:21 ID:???
『別に好きでやった訳じゃないわよ。みんなが全然おしゃべりを止めようとしないから
仕方なくやっただけで。物凄く緊張するし、体力だって使うんだから……』
本当は、単にイライラし過ぎて地が出てしまっただけの話である。今言った事は、そ
の後でいろいろ聞かれた時に取り繕った答えを、そのまま繰り返しただけの話だ。
「いや、分かってるって。だから、ほら。他の女子どもも気を遣って、委員長に協力し
てんだろうし」
『で、私がいないものだから、たがが外れてやかましくなってると。ホント、どうしよ
うもないわね。大体、さっきから偉そうなこと言ってるけど、大体いちばんうるさいの
って別府君じゃない。いつも、先頭に立って騒いでるんだから』
私の指摘に、別府君は苦笑しつつ頭を下げた。
「いやー、申し訳ない。別にそんなつもりはないんだけどさ。何かしゃべってるとつい
つい盛り上がっちまうんだよなあ」
『言い訳なんてしてる時点で、大して反省してないじゃない。どうせ私がいないからっ
て、ここぞとばかりにはしゃいでたんじゃないの?』
「いやいやいや。そんな事ないってば。えーと……まあ、いつもと同じって感じかな?」
『ほら、やっぱり』
呆れて嘆息すると、別府君は頭を掻いて、もう一度軽く頭を下げる。紅茶を啜りなが
ら、そんな彼の姿を見て私は思う。別府君のそういう、気が付くと周囲も巻き込んでし
まうような明るさが、私の惹かれる所でもあるんだけどねと。
「ところで、本当にもう具合の方は大丈夫なのか? 見た感じはいつもと変わらなく思えるけど」
別府君が話題を変えてきた。本当に心配しているのか、それともこれ以上のお説教に
嫌気が差したのか。まあ、恐らくは半々くらいなんだろうなと思いつつ、私は頷く。
『見ての通りよ。熱ももう平熱だし、咳も落ち着いたわ』
「そっか。じゃあ、もう明日からは学校来れるのか?」
別府君の問い掛けに、小さく頷く。
『ええ。お医者さんから、今日一日様子を見て、問題ないようだったら明日からは普通
に登校していいって診断貰ってるから、あなたのお相手してぶり返す事がなければ大丈夫』
ちょっと意地悪に言うと、別府君が慌てて腰を浮かしかける。
「そうだよな。あまり無理させちゃいけないし、俺、早めに帰ったほうがいいよな?」
509
:
7/8
:2012/05/05(土) 14:54:42 ID:???
『冗談よ。この程度でぶり返すくらいだったら完治してないって事だし、お茶飲み終わ
るまでくらい、別にいてくれたって問題ないわ』
平静を装いつつ、内心少し慌てて私は答える。実は、こうして別府君と差し向かいで
お茶を飲んでいる事を、何気に楽しみ始めていたのだ。何故なら健康であれば、絶対に
こんな機会はなかっただろうから。
「悪いね。何かこう、無理やり居座るみたいな形になっちまったってのに」
『どちらかと言うと、無理やり居座らされたと言った方が正しいわね。うちのお母さん。
結構頑固だから言い出したら聞かないもの。本当に、困った人だわ』
申し訳無さそうな別府君を前に、私は軽く肩をすくめてみせる。その姿に気持ちが解
れたのか、別府君が笑顔を見せた。
「確かに。でも、委員長のお母さんって明るくって良さそうな人だよな。それに美人だ
し。何か羨ましいよ」
『……もしかして、別府君って熟女好き……とか?』
母の事を褒めたりするので、嫉妬も相まって私は胡乱げな視線を別府君に送る。する
と別府君は慌てて両手を振って、それを否定した。
「いやいやいや。客観的な目線で見てって感じで。さすがに俺は同世代くらいの子の方
がいいし。ただまあ、ウチの親なんて普通のおばちゃんだからさ。やっぱり毎日会う顔
なら、キレイな方がいいじゃん」
『そうかしら? 自分の親なんて特に容姿なんて意識しないもの。それに、明るくて良
さそうだなんて、そんなの外面に決まってるじゃない。ごく普通の、口うるさい当たり
前の親だわ』
「そうかなあ? まあ、隣の芝生は青く見えるって言うしな。そういうものかな」
『そういうものよ。私が別府君のお母さんにお会いしても、きっと良さそうなお母さん
だなって思うわよ』
「うちのお袋があ? いや、そりゃないと思うけどな。うーん……」
別府君が、唸り声を上げて考え込む。それを見て、私は内心微笑ましく思った。親な
んて多少煩わしく思える方が、きっといい親なんだろうと密かに思っていたから。もち
ろん、友達のように仲が良くてもそれはそれでいいのかも知れないが、口うるさく注意
してくれる親を煩わしいと思っても、同時に感謝もしているのだ。もっとも、おせっか
いなところはいただけないが。
510
:
8/8
:2012/05/05(土) 14:55:50 ID:???
「そういやさ。委員長って、弟さんがいたんだな。さっき会ったとき、ちょっと意外な
感じがした」
別府君の声が、私の物思いを破る。
『意外? 何が?』
咄嗟に聞き返すと、別府君は慌てて、何かを否定するように手を振った。
「ああ、いやその、変な意味じゃなくてさ。ただ、学校の印象だと一人っ子っぽいイメ
ージだったから。それに、普段あまり家の話とかしなくね? つっても、まあ、女子の
会話とか知らないから、俺のイメージが間違ってたら申し訳ないけどさ」
そう言ってちょっと照れたように頭を掻く彼に、私は頷いてみせた。
『確かに、あんまり家族の話はしないわね。別に自慢出来るような話もないし、むしろ
弟の話なんて、愚痴ばかりになっちゃうもの。そういうの好きじゃないから』
というか、弟の話をすると、自分のダメな面も引き出してしまいそうなので、避けて
いたのだ。せっかく大人しくて真面目で優秀なクラス委員長というイメージで定着して
いるのを、自分から壊すような真似は余りしたくない。
「もしかして、委員長って弟さんとそんなに仲良くないの?」
何だか探るような調子で聞いて来る別府君に、私は頷く。
『姉弟なんてそんなものでしょう? 大体、だらしないしやかましいしワガママばかり
だしで鬱陶しいだけだわ。弟なんて。ほら、やっぱり愚痴になっちゃった』
自らツッコんで、肩をすくめる。それに別府君が小さく笑った時、出し抜けに弟が声
を掛けて来た。
「何だよ、ねーちゃん。俺がどうしたって?」
続く
投下しようと思えば出来たのに、忙しさに紛れて放置してしまった。
511
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/07(月) 19:44:56 ID:???
おっつーん
委員長頑張れ
512
:
1/4
:2012/05/10(木) 18:43:12 ID:???
【ちなみは俺の嫁】
「……おい。起きろ。……起きろ」
「ん、うあ……ん、ん?」
ぺちぺちと頬を叩かれ、目を開ける。視界に映るはちなみのどアップ。
「うわあっ!?」
ものすっごい覗き込まれてた。超びっくりした。
「……人の顔を見て驚くとは許しがたい」
「あ、はい、ごめんなさい。ていうかなんでいるの?」
「……嫁だから」
「あ、あー」
そうだった。結婚したんだった。超寝ぼけてた。それにしても、学生だってのに結婚するとは……我ながらすごいな!
「…………」
寝ぼけた頭を起動させていると、何やら目の前のちっこい娘さんの顔が不機嫌そうなものへシフトしていた。
「どした、ちなみ?」
「……おはようのちゅーがない。……早くも倦怠期?」
「…………」
「……え、本当に? ……よもや、これほど早く裸ランドセルの出番が訪れようとは」
「ちげー! それの出番は今後な……あ、いや、ないとは言い切れないけど」
「……流石はタカシ、嫁への強制コスプレの最初が裸ランドセルとは。変態レベルがとても高い」
「おまいは結婚しても相変わらず毒舌なのな。ちょっとは甘々な感じになると思ったのだけれども」
「……つまりは、こんな感じ?」(猫耳を素早く装着)
「いみがわかりません」
「ふにゃふにゃ」
「いみがわかった! かわいい!」
513
:
2/4
:2012/05/10(木) 18:43:40 ID:???
「……ネコミミをつけることにより、甘えんぼうな子猫へと変貌を遂げる私の特殊能力に心胆寒からしめられるといい」
「可愛いなあ俺の嫁は可愛いなあ」(なでなで)
「おおおおお。おお。おおお。おおー」
「まあそれはそれとして学校に行かないとね」
「……あれだけ人の頭をなでておいて放置とは。……新手の焦らしプレイ?」
「焦れているのか」
「……実を言うと、焦れていない。ただ、未だちゅーがないのが納得いっていない」
「なるほど。んじゃ、おいで」
来い来いとやったら、素直に近寄ってきたので、ちゅー。そのまま頭もなでなで。
「……ちゅ、ん。……うーん、弱った」
「何が」
「……ハミガキがまだなので臭い」
「その辺りは愛の力でどうにかしてください」
「無理。……早く歯を磨く」
「俺の嫁はシビアだなあ」
洗面所へ向かい、シャコシャコ歯を磨く。ちなみとお揃いの歯ブラシで、バカップルっぽくて気に入っている。
「ぐしゅぐしゅぐしゅ……ぺっ。ふぅ、スッキリした」
「……本当にしっかり磨けているか、実験」
「お?」
ぐいーっと髪を引っ張られ、乱雑にキスされた。
「ちゅ、んちゅ……ちゅ。……ふむ、ミント味」
「歯の裏まで舐めないでください」
「……うーむ、朝から二度もちゅーをしたせいで、興奮してきた。……これも調教された身体故の悩みか」
「まだ調教してませんよ?」
514
:
3/4
:2012/05/10(木) 18:44:04 ID:???
「……結婚する前もしてからもいっぱいちゅーしておいて、調教などしたことねえとタカシはのたまう。貧乳は勝手に自分を慰めてろ、とタカシは言う」
「本当におまいは結婚しようがしまいが変わらないな」
「……そんなことはない。肩書きが可愛い学生から、可愛いお嫁さんになった。初めまして、新妻です」
「これはご丁寧に、……いかん、新妻に値する男性の呼称が分からない」
「やーいばーかばーか。おたーんちーん」
「ご注意ください。小学生の罵声にしか聞こえませんが、俺の嫁の発言です」
「……自慢の嫁。……照れ照れ」
「褒めてねえ。そんなことより、お腹が空きました」
「あ、ご飯はできてる。作った。……偉い?」
「ああ偉い偉い。いつもありがとうな」(なでなで)
「……これは、子作りフラグが立った?」
「立ってねえ! 卒業するまでは自重してるの!」
「……その割にはガンガンしてるよね?」
「ご、ゴム使ってるからいいの。妊娠しない分には大丈夫なの」
「……中出しが大好きなタカシにとって、それはまさに拷問と呼んで差し支えない行動だった。彼が廃人になるのも時間の問題だと言えよう」
「人の性癖を捏造するな」
「……おかしい。……タカシのパソコンには、嫌がってるちっちゃい女の子に注ぎ込んでる画像が大量にあったのに」
「セキュリティクリアランスUVを破っただと!?」
「ZAPZAPZAP。……はっ、まさか、嫌がっているのかポイントか? ……おなかくるしいからもう出さないでぇ?」(棒読み)
「そろそろ泣きますよ」
「……そういうプレイが好きだと思ったのに」
「フィクションだからいいんですよ。本当に泣かれたら萎えちゃいますよ。あと、棒読みに過ぎる」
「……まあ、そんなのはどうでもいい。早く飯を食え。湯気が消える」
「了解。今日のご飯は何ですか?」
ダイニングへ向かう途中、ネコミミの揺れる頭に問いかける。
515
:
4/4
:2012/05/10(木) 18:44:25 ID:???
「……白飯、味噌汁、目玉焼き。さらに海苔まで追加という豪華仕様」
「おお。THE・朝食って感じだな!」
「……じゃあ、今から裸エプロンの準備をするので、その間ご飯食べてて」
「結構です」
「……全裸? 春とはいえ流石に寒いけど、旦那の頼みだ。頑張ろう」
「違う。違うっての! 脱ぐな!」
「はぷしゅ。……寒い」
「ええい、鼻を垂らすな! 全く、ネタのためにそこまで頑張る必要ねーだろ」
「ふがふが」
袖でちなみの鼻を拭ってやる。
「むぅ。せっかく肌を露わにしてやったのに、ちっとも興奮してない。……飽きた?」
「飽きてねぇ。ずっと好きだよ」
「う。……た、タカシはずるいよね、そういうことを照れもせずに言うから」
「ただの事実だ」
「……む、むぅ。……わ、私も、そ、その。……好き、だったり?」
ちょこちょこっとこちらに寄ってきて、ちなみは頬を染めながらぼそぼそっとつぶやいた。それはいい。大変に可愛いし。ただ。
「いい加減服を着ろ。目に毒だ」
「……道理で寒いと思った」
「俺の嫁は少し頭が悪いかもしれないね」
「……失礼な。ふが」
またしても鼻を垂らす嫁の顔を拭う羽目になりました。でも可愛いからいいや!
516
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/10(木) 22:06:21 ID:???
いつ俺の日常を盗み見したんだ
GJ!
517
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/10(木) 22:35:02 ID:???
>>515
嫁ちなみんおバカで可愛いwwwww
518
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/11(金) 03:08:16 ID:???
>>515
新妻ちなみん可愛すぎるやろー!
519
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/11(金) 05:03:31 ID:???
>>515
GJ!
倦怠期の解消方法が裸ランドセルとかどんなww
520
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/11(金) 21:23:18 ID:???
>>515
これはバカかわいい嫁ちなみんwww
しかしせっかくなら裸ランドセルより裸ワイシャツの方が(ゲフンゲフン
521
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/12(土) 17:35:22 ID:???
>>502-511
の続き
522
:
1/7
:2012/05/12(土) 17:35:58 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その4
驚いて体をビクッと震わせてしまうが、何とか取り乱さずに私は弟に向き直った。
『何でこっちに顔出してくるの? 大人しく向こうにいなさいってば』
「だって、お菓子なくなっちゃったからさ。お母さんに聞いたら、ねーちゃんに断わっ
て、少し分けて貰って来なさいって」
私は、呆れてため息をつく。全く、母もこういう時くらい気を遣って大輝を寄り付か
せないようにしてくれればいいのに何で真逆な事をするんだろうと。
「あ、いいよ。好きなだけ持って行っても」
別府君がお菓子の盛ってある皿を差し出すと、珍しく大輝が礼儀正しく頭を下げた。
「あ、すみません。それじゃあ、ちょっと貰います」
大輝がチョコやらクッキーやらおかきやらを適当に自分が持って来た皿に取る。それ
を見つつ、私は小さく愚痴った。
『……大体、二人にしてはお菓子の量が多過ぎなのよ。お母さんってば何を張り切って
るんだか……ホント、バカみたいなんだから……』
どうせ男の子が初めて家に来たもんだから、テンション上がったに決まっている。本
当にそういう所は困った親だ。
「ん? ねーちゃん、今何か言った?」
どうやら、大輝に聞こえてしまったらしい。私は澄ました顔で首を横に振った。
『別に、何でもないわ。いいから、用が済んだらとっとと向こう行きなさいよね』
しかし大輝はリビングから出て行こうとはせず、私を無視して別府君に向き直った。
「あのさ、別府さん。ちょっと聞きたいんだけど」
『ちょっと、大輝』
何やら好奇心満々な大輝を制しようと、私は厳しい声を出す。しかし大輝はうっとう
しそうな顔で私の方を向くと、口を尖らせた。
「いーじゃんかよ。俺にもちょっと話させてくれたって。ね、いいでしょ? 別府さん」
「え? ああ。俺は構わないけど」
別府君がそう答えてから、私に向かって少し我慢していてくれというように頷いてみ
せる。私としては、大輝が何か余計な事を言い出しかねなくて嫌だったが、別府君にそ
う諭されては、黙るしかなかった。
523
:
2/7
:2012/05/12(土) 17:36:19 ID:???
「あのさ。ねーちゃんって、普段学校ではどんな感じなんですか?」
『ちょ、ちょっと、大輝』
質問の内容に、私はまた、慌てて止めようとした。学校での私を家族に知られるのも
嫌だったし、家での私を別府君に知られたくも無い。しかし大輝は私を全く無視して、
ワクワクした顔で別府君を見ていた。
「うーん…… 大人しくて、真面目で……友達と話してる時も、はしゃいだりする事は
なくて、休み時間も本とか読んでる方が多くて、イメージで言えば物静かな感じってと
ころかな?」
別府君が語る私のイメージに、私自身もついつい真剣に聞き入ってしまった。別府君
が見ていた私のイメージが、私がそうありたいと願っていた姿に近かったのでホッとす
る。しかし、次の大輝の一声が、またも私を慌てさせた。
「へーっ? ねーちゃんが、物静か……ねえ?」
「あれ? 何か意外だった?」
キョトンとする別府君に頷き、大輝が何故か得意そうな顔で答え始める。
「だって、物静かって…… ねーちゃんてさ。家では……」
恐れていた事態に、私は即座にチョコを一つ手に取ると、抜く手も見せずに大輝の顔
に向かって投げつけた。それは的確に大輝のおでこを捉える。
「あいてっ!!」
咄嗟におでこを押さえ、大輝が私に向き直った。
「何すんだよ、ねーちゃんっ!!」
『余計な事言わないの。人様に身内の恥を晒してどうするつもりなのよ。貴方は』
てっきり、まだ言い返してくるかと思ったのに、大輝はいきなりプッと吹き出した。
「……貴方……だって……普段ぜってーそんなこと……って……やっべ……超おもしれー……」
決めた。別府君が帰ったら、大輝は絶対にシメる。もうただでさえパジャマ姿での応
対で十分恥を晒しているのに、この上家での私をあれこれバラされたら、もう別府君の
顔をまともに見ることすら出来なくなってしまう。女の子の恥を、しかも密かに想って
いる人にバラそうとしたらどういう事になるか、大輝にはきっちり教育しなければ。
『勝手に笑ってなさい。いっそそのまま笑い死ねばいいわ』
そう吐き捨ててから、別府君を見ると彼は興味津々な様子で私達を見ていた。
『何? 私のことジッと見て。何かあるの?』
524
:
3/7
:2012/05/12(土) 17:36:45 ID:???
何か嫌な予感に駆られつつ聞くと、別府君はハッとした顔になり、それから慌てて答える。
「いやその……委員長がさ。何かこう……弟さんと絡むのって、何か意外な感じだな」
そう感想を漏らす別府君に、私はワザとらしく呆れたため息をついた。
『確かに、弟がいるなんて言った事はないけどね。でも別に全然意外でもないと思うけ
ど。というか、弟がいて何か悪い?』
厳しい言い方で相手の意見を封じ、同時に興味も殺ごうとした。別府君は急いで弁解する。
「ああ、ゴメン。気に触ったかな……? 今まで、委員長と弟っていうイメージが無かっ
たからさ。しかも、性格真逆で、快活な感じだし」
『真逆で快活って……じゃあ私は暗いってこと?』
揚げ足を取ってみせると、別府君は慌てて否定する。
「いや。暗いとはちょっと雰囲気が違うと思うんだけど……笑う時も絶対大笑いとかし
ないしさ。上手く言えないけど……」
その時、またしても大輝が口を挟んでくる。
「へーっ。姉ちゃんってさ。家だと普通にしゃべるんだけどな。ていうか、どっちかっ
てと怒ってばっかだけど。あ、あとお笑いの――」
調子に乗ってしゃべる大輝に、私は慌てて立ち上がって背後に回ると、手で口を押さ
えて封じた。もがこうとする大輝を押さえつけ、耳元に口を近付けると、別府君に聞こ
えないよう小声で脅した。
『アンタね。これ以上余計な事言ったら、絶対許さないから。後で死ぬほど酷い目に遭
わせるけど、いい?』
弟と姉とはいえ、大輝はまだ中学生でしかもすばしっこいが背も小さく力もそんなに
強い訳ではない。まだ、知恵を使えば色々と逆襲は出来るし、力技以外でも、弟を酷い
目に合わせる方法はいくらでもある。
『全く…… 病み上がりなのに余計な運動させないでよ』
大輝を放し、ソファに戻ると大輝がつまらなそうに文句を言った。
「ちぇっ。ゴメンね、別府さん。姉ちゃんの事、色々話したかったけど、言ったら殺すって」
『ちょっと、大輝っ!!』
瞬時に私は、大輝を睨み付ける。せっかく小声で言った事を一言でバラされたら、何
の意味もない。しかも、余計大げさに言ってるし。
525
:
4/7
:2012/05/12(土) 17:37:10 ID:???
「ハハハ。怖いな委員長」
冗談交じりに言って、別府君が笑う。ほら。変な印象植え付けられたじゃない、と私
は内心舌打ちする。
『もう、いい加減邪魔しないで向こう行ってなさい。いいわね?』
強い口調で大輝に命令すると、大輝は不満そうに口を尖らせた。
「何だよ。せっかく姉ちゃんの面白い話が出来ると思ったのに。つまんね」
『人をネタにして面白がるんじゃないわよ、このバカ!!』
リビングから出て行く大輝に後ろから怒鳴りつけてから、私は両肘を膝の上に乗せて
前屈みの格好でため息をついた。
「ゴメン。何か、余計な事色々話しちゃったみたいで」
済まなそうな顔で謝る別府君を見て、私は軽く首を横に振る。
『いいわよ。元々は家に上げた母と、余計な事ばかりしゃべる大輝が悪いんだから。も
っとも、それに乗った別府君にも責任ないとは言えないけどね』
それを聞いて、うぐ、と別府君が呻く。どうも私には、多少なりとも別府君のせいに
する癖が付いているようだ。これは少し、反省する余地がある。
「だからゴメンって。それより、委員長少し疲れてない?」
もう一度頭を下げてから、今度は気遣うような顔をして、別府君が私を見た。
『うーん……そうね。少しは……』
言いかけて、私ははたと迷う。ここで疲れたと言ってしまったら、別府君が帰ってし
まうのではないだろうかと。それは残念だが、しかし一方ではこのまま家にいられると、
私の本性がますます明らかになってしまう危険性も十分にある。葛藤の末に、私は決めた。
「どうしたの?」
途中で言葉を切った私を不審に思ったのか、別府君が聞いてくる。それに私は首を振っ
て言った。
『ううん。やっぱりちょっと疲れてるみたい』
口に出してしまってから、やっぱり少し後悔する。しかし、すぐに私は思い直した。
こんな状況で下手に本性を曝け出すくらいなら、今日は我慢した方がいい。これできっ
かけは出来たんだし、欲張らない方がいいと。
「そっか。やっぱり病み上がりだもんね。ちょっと、無理させちゃったかな?」
予想通り、申し訳無さそうな顔を見せる別府君に、私は首を横に振った。
526
:
5/7
:2012/05/12(土) 17:37:33 ID:???
『無理してるって思ったら、その時点で即、お帰り願ってるわよ。何で私が別府君相手
に無理して接待しなくちゃならないのよ』
「アハハ。そりゃ、確かにそーだ」
いつもと変わらぬ毒舌を吐いた私に、別府君が安心したように笑う。それから、傍に
置いてあったバッグに手を掛けて引き寄せた。
「でも、いつまでも委員長に相手させて、万が一ぶり返させたらマズイし。今日はここ
で失礼することにするよ」
『そう。なら、玄関まで送るわ』
努めて冷静に、私は頷いて立ち上がった。続いて別府君も立ち上がり、キッチンの方
に声を掛けた。
「すみません。今日はお世話になりました。お茶とお菓子ありがとうございました。美
味しかったです」
すると、母が顔を出し、笑顔を見せた。
『あら? もう帰っちゃうの。ごめんなさいね、大したおもてなしも出来なくて』
「いえ。とんでもないです。本当にご馳走になっちゃって」
ペコリと別府君が頭を下げた。普段、学校でしか見てないからか、私は意外と礼儀正
しい一面を彼が持っていることに驚くと共に感心する。
『いいええ。良かったらまた遊びに来て。涼香も喜ぶでしょうし』
「喜ばないわよ」
典型的な挨拶の言葉とはいえ、我慢出来ずに小さくツッコミを入れると、即座に母の
お叱りが飛んで来た。
『こら、涼香。そういう事は言わないのっ!!』
『知らないわよそんなの。大人の嘘に付き合ってられないわ』
ツン、とそっぽを向く私に、母が呆れた声を出した。
『全くこの子ってば、いつまで経っても子供なんだから。少しは別府君のしっかりした
態度を見習いなさい』
「あ、いえいえ。僕の方こそ委員長――涼香さんには、いつも迷惑ばかり掛けてますから」
私はチラリと横目ではにかんだ笑顔を見せる彼を見た。今ちょっと、名前で呼ばれた
事にドキリとしてしまったのは秘密だ。
『もういいでしょ。行くわよ』
527
:
6/7
:2012/05/12(土) 17:37:56 ID:???
別府君の方に手を伸ばし、手首を掴むと私は軽く引っ張って促す。
「あ、ああ。それじゃあすみません。今日はこれで失礼します」
もう一度お辞儀をする別府君に、母は微笑みながら頷いてみせた。
『ええ。じゃあまた、是非』
二人のやり取りを終えるまで待ってから、私と別府君は玄関に戻った。無言で靴を履
く別府君を、私も無言で見守る。それから立ち上がると彼は、私に向き直った。
「今日はゴメン。軽くお見舞いというか、様子窺うだけのつもりだったのに、却ってい
ろいろとお世話になっちゃって」
『……まあ、仕方ないわ。悪いと思ってるなら、私が学校に出てから、何か軽い埋め合
わせでもして。それで清算にしましょう』
無愛想な言い方をしたが、私はちょっぴり期待を込めてはいた。これでまた一つ、別
府君と繋がりが保てる。彼とこうして約束を続けていければ、少しずつ、親密度も増し
ていけるのかもしれない。
「了解。それじゃあ、委員長が気を遣わない程度のお礼を何か考えとくよ」
ニッコリと笑って頷く彼に、真顔で私も頷き返す。
『急ぐ必要はないわ。どのみちそんなに期待もしてないし』
「そんな事言わないでくれって。まあ、期待され過ぎても文句言われるから困るけど、
少しくらいは期待してくれた方が、こっちもやる気出るってもんだぜ」
『だから、そんなに、って言ったのよ。分からない?』
言い方によって受け止められ方が変わるけど、ほぼ同じ意味の事を言っていると仄め
かすと、それに気付いて別府君が頭を掻いた。
「いや、ゴメン。まあ、その……そういう事ならいいんだ。うん」
済まなそうな態度で謝る彼を見るといつも、もう少し柔らかな物言いすれば良かった
かなと反省する。しかし、いつもそれは、口に出してしまった後の事だ。軽く自己嫌悪
に陥りつつ、だから私はいつものように、それにはもう触れずに話を先に進める。
『まあ、明日からは普通に学校行けるから。もう安穏とした日々はないと思いなさいよね』
私としては冗談交じりに言ったつもりだったのだが、全くユーモアがなかったらしく、
別府君は慌てて手振りでそれを否定した。
「いやいやいや。今までもちゃんとやってたから。ホントだって。明日来れば分かるし」
528
:
7/7
:2012/05/12(土) 17:38:24 ID:???
私はフン、と鼻を鳴らす。半分はその言葉の信憑性を疑って。残りの半分は冗談が下手くそだった事に対して。
『そうね。じゃあ、明日を楽しみにしてるわ』
私の言葉に、別府君が頷く。それがキッカケになって、彼はバッグを肩に掛けて手を
軽く上げた。
「ああ。それじゃあ……また、明日な」
『ええ。また明日ね』
別府君がクルリと踵を返す。玄関のドアハンドルに手を掛け、回す。そして、私の見
ている前で、彼はゆっくりと外に出て、最後に私の方を振り返って笑顔で手を振ると、
ドアを静かに締めた。
続きます。
529
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/13(日) 01:11:15 ID:???
慌てるいいんちょは可愛いのう
GJ!!
530
:
1/3
:2012/05/20(日) 02:09:28 ID:???
【ツンデレと一緒に弁当を食べたら】
昼休み、とある人物を探して中庭をぷらぷら歩いてると、目的の人物を木陰で見つけた。
「よっす先輩」
「…………」
先輩は俺を一瞥しただけで、視線を元に戻してしまった。
小学生みたいな見た目だが、驚くべきことに年上だ。そんな先輩が足を投げ出し、芝生の上に座り込んでいる。そして、そのちんちくりんな体躯とは正反対の大きな弁当箱を広げていた。
「今日も弁当箱がでけーな。隣いいか?」
「…………」(ぷるぷる)
「許可を得たので座らせてもらおう」
先輩が『許可なんて出してない』という感じのじとーっとした視線を向けてきたが、気づかないフリをしつつ先輩の隣に腰を下ろす。
「俺も飯を食いに来たんだ。先輩、よければ少し俺の弁当と交換しないか?」
先輩はしばし逡巡すると、こっくりうなずいた。
「よし、この漬物を生贄に捧げ、先輩のハンバーグを召喚する!」
先輩が俺の手をかじりだしたので、トレードは拒否されたと見ていいだろう。この先輩は八重歯が異常に尖っており、野生動物に噛まれるが如き痛みなので噛まないで欲しい。
「あいたた……分かった、分かったよ。先輩、どれ食べたい?」
弁当箱を見せると、先輩は腕を組んでじっくりと考えだした。その隙に先輩の弁当を見る。なんか全体的に茶色い。女の子の食う弁当じゃない気がする。でも美味そうだ。コロッケをひとついただく。
「……? ……っ!!!」
ばれた。先輩は俺の口元のコロッケを見て、驚愕の表情を浮かべている。
「あ、いや、おいしそうだったので、つい。てへ、ごめりんこ☆」
「…………」
静かに先輩が涙をこぼした。
「うええっ!? ごっ、ごめん先輩! まさか泣くとは思わなくて! 俺が全面的に悪かった! だからどうか泣き止んで!」
「…………」
「えっ? 弁当全部くれたら許すって? ……いや先輩、流石にそれは……」
「…………」(涙じわーっ)
「分かった、分かったから泣かないでっ!?」
そう言うなり、先輩はニコーっと笑った。嘘泣きなのか。魔女め。
とはいえ、言ってしまったものは仕方ない。粛々と先輩の弁当箱を渡す。
「♪」
531
:
2/3
:2012/05/20(日) 02:09:49 ID:???
先輩はご機嫌な感じで俺の昼飯をもがもがと貪り出した。
「はぁ……なんてこった。折角先輩と一緒に飯を食おうと思ったのに、よもや昼抜きになろうとは……」
先輩の動きがぴたりと止まった。
「ん? どした先輩?」
「…………」
「え、わざわざ私とご飯食べに来たの、って? あー、うん、まあそのような感じ。結果はけんもほろろだけどな」
先輩はしばらく黙って何やら考えた後、俺の弁当箱を勢い良くこちらに向けた。慣性の法則により、中の漬物がどういうわけか俺の両目にうまいこと直撃、前が見えねえ。
「目が、目がぁ〜!」
「……! ……!」
痛くて目を開けられないが、何やら先輩が慌てている気配を感じる。
「大丈夫だ先輩。味は抜群だが目に入ると失明する恐れのある添加物を入れた漬物が目に当たってしまったが、大丈夫だ」
先輩の慌てっぷりが増した気配がする。
「嘘だよ、嘘。今日も先輩は騙されやすくていいなあ」ナデナデ
「…………」(がぶがぶ)
目を拭いて先輩の頭をなでたら、復讐とばかりに噛まれた。
「それにしても、よもや慣性の法則アタック(属性:漬物)をしかけてこようとは。今日も先輩は侮れないな」
ぽふりと先輩の頭に手を乗せつつうんうんうなずいてると、『そんなつもりじゃない』という呟きが耳に届いた。
「で、どしたんだ? 弁当箱をこっちに向けたりして」
「…………」
「え? 一緒に食べる? いやでも先輩、さっき俺の弁当全部よこせって」
「…………」(ぷるぷる)
「いや、ぷるぷるじゃなくて、さっき」
「…………」(ぷるぷる)
「……はぁ。言ってないのな?」
先輩は無表情にコクコクうなずいた。
「んじゃ、改めて一緒に食うか、先輩?」
先輩は小さな笑みを浮かべながら、再びコクコクうなずいた。
「相変わらずロリ心を刺激する物体だなあ、これは」ムニムニ
「……! ……!」
なんか可愛かったので先輩のほっぺを引っ張ったら怒られた。
532
:
3/3
:2012/05/20(日) 02:10:09 ID:???
「ロリ心なんて刺激するはずない? ないすぼでーなお姉さんをいじめるな? 先輩、無乳はないすぼでーではないと何度言ったら」
先輩の胸は貧乳を通り越して隆起など皆無と言っていいほどつるぺたなので、いつもこのように俺にいじられる。
「…………」(がぶがぶ)
「先輩、痛い」
そしていつものように俺の背後に回って頭をかじるので、やめてほしい。
「まったく、先輩には困ったものだ」
戻ってきた先輩の猿もかくやと思える動きで確保し、膝に乗せて抱っこ。しかるのち頭をなでなで。この一連の所作大好きです。
「…………」
「抱っこするな? そうしたいのは山々なんだが、断る」
「…………」
先輩が普通に絶句した。
「それにしても先輩は可愛いな。娘とかにしてえ」
「…………」
「娘じゃなくて彼女? いやいや、俺と先輩じゃどう見ても親子にしか見えないだろう。あ、大丈夫です、俺には娘萌えも備わっていますから!」
先輩が俺をクソ虫を見る目で見てきた。
「…………」
それどころか実際に言われた。
「なんでこの小さいのは見た目は可愛いのにこんな口が悪いかなあ」
とりあえず復讐とばかりに先輩のほっぺを引っ張る。
「…………」
「触るな変態? そう言うがな、先輩。俺はいつだって先輩を触りたいし、そして変態なのはもう諦めてください」
先輩の目と口の動きが俺をクソ虫だと言い切る。
「ええい、口の悪いちびっ子め。そんな口が悪いといたづらしないぞ!」
「……! ……」
一瞬焦った先輩だったが、好都合だったことがばれたようで、死ねと言われた。
「……分かった、俺も男だ。あと7、80年後に死ぬよ」
「…………」
「寿命禁止? なんて厳しい。とりあえず飯でも食いながら俺の死因を探さないか?」
といった感じで、今日も先輩と一緒に仲良く弁当を食ったのだった。
533
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/20(日) 10:22:02 ID:???
>>532
ロリッ娘無口先輩可愛いなあ
GJ!!
534
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/20(日) 14:56:37 ID:???
ロリっ子に腹上死しられるとか胸熱
535
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/20(日) 22:45:53 ID:???
週刊いいんちょ
>>521-528
の続きです
536
:
1/4
:2012/05/20(日) 22:46:20 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その5
『フゥ……』
緊張が一気に解け、私はその場に腰を下ろした。
『全く……生きた心地がしなかったわよ……』
何だか電池が切れたかのように疲れが襲ってくる。しかし、まだこの疲れに身を委ね
る訳には行かない。やる事がまだ残っているのだ。
『友紀に電話して、思いっきり文句言ってやらなきゃならないけど、とりあえずそっち
は後にして……と』
もう一度気力を奮い起こすと、私は立ち上がってリビングへと戻った。
『大輝っ!!』
私達が出た後で、リビングに戻ってマンガを読んでいた大輝に、私は怒鳴った。
「何だよねーちゃん、うるさいなー」
『うるさいな、じゃないっ!!』
つかつかと早足で大輝に近付くと、前屈みに睨み付けた。
『アンタね。何だってクラスの男子の前で、人のプライベートをいちいちしゃべろうと
すんのよ。デリカシーが無いにも程があるわっ!!』
「だーって、ねーちゃん面白かったんだもん」
マンガを置いて私を見上げた大輝の顔には、からかうようなニヤニヤ笑いが張り付いていた。
『面白いって何がよ?』
返答次第によってはただでは置かないと凄みを利かせるも、大輝は全く意に介す事な
く、人のモノマネをする。
「……別に。ただ面白いから面白いって答えただけよ。何か問題でもあるのかしら?」
『ぐぬぬ……』
澄ました顔で、クールな私を演技してみせる大輝に、私は思わず歯噛みした。大輝の
バカにした態度を、どうやってとっちめてやろうかと考える。
「ねーちゃんって、学校であんななんだな。お澄まししてれば美人に見えるってもんで
もねーのに」
その言葉に、ついに私の怒りは頂点に達した。
537
:
2/4
:2012/05/20(日) 22:46:42 ID:???
『この……大輝いーっ!!』
「おわっ!? な、何すんだよねーちゃん」
『何すんだじゃない!! 散々人をバカにしてっ!! 姉をバカにするとどうなるか、
思い知らせてやるわっ!!』
とにかく大輝をとっ捕まえて、痛めつけなければ気が済まない。スルリと私の腕を抜
けて逃げる大輝を、私は素早く追いかける。
「ちょっ!! ねーちゃん、まだ暴れちゃダメだろが!! 病人のクセに」
『うるさい知ったことかあっ!! そう思うんだったら大人しく捕まんなさい!!』
「冗談言うなよ。姉ちゃんてば、下手に手加減知らないんだから」
キッチンを抜けて廊下に逃げる大輝を、駆け足で追うと母の怒声が背中に飛んで来た。
『ちょっと!! 何やってんの二人とも!!』
「大輝捕まえるだけ!! すぐ済むから」
そう言葉を投げ返しつつも、私は手を伸ばして大輝を捕まえようとする。廊下の入り
口では失敗したが、玄関脇にある二階への階段を上ろうとしたところで大輝がけつまずく。
「あイタッ!!」
ぶつけた足を押さえたその瞬間を逃さず、私は大輝の服を掴む。そのまま引き寄せて
背後から抱きかかえる。
『さあ、捕まえたわよ。どうしてくれようかしら』
生意気な弟を〆るために、痛めつける方法はいくつも勉強している。その場で引き摺
り倒して私は、大輝をガッチリ捕まえる。
「離せよ、バカ。離せってば!!」
『自業自得よ。さあ、何がいい? こめかみに梅干しやってみる? それとも、顔面マッ
サージとか』
軽めに指で大輝の眉間の脇をグリグリマッサージしてやると、大輝が痛みで身をよじった。
「痛いってば、ねーちゃん!! 止めろよな」
『こんな程度で止めるわけないでしょ? クラスの男子の前で人に恥かかせるような真
似して、絶対に許さないんだからね』
「アイテテテテテ!!」
足で体をホールドしてから、背後から両手を使って顔面のツボを思いっきり押してや
る。これって自分でもやった事があるが、かなり痛いのだ。
538
:
3/4
:2012/05/20(日) 22:47:02 ID:???
『ほら。まずはキチンと謝れ。じゃないともっと痛めつけるからね』
「痛い痛い。痛いってば!!」
私に似て、大輝も結構頑固だから多少痛めつけたくらいじゃ折れないのは承知の上。
そう思って更に力を込めたところで、再び母の怒声が響き渡る。
『アンタ達いい加減になさいっ!! 玄関先で何ふざけてるの。特に涼香。アンタ病み
上がりなのよ? 分かってる?』
『分かってるってば。けど大輝が――』
言い返そうと口を開くが、途中で母の怒鳴り声にかき消される。
『けどじゃありませんっ!! 大体、玄関先でなんて、よその人に見られたら……』
母の声のトーンが急に下がり、言葉が掻き消えて行く。驚いたような母の顔に、私は
咄嗟に玄関の方に振り返り、そして凍りついた。
『あ……』
「す、すみません。あの、ベル鳴らしたんだけど……」
玄関先に立っていたのは、もうとっくに帰ったはずの、別府君だった。
『あ……あ……』
言葉が何にも出て来ない。思考が物凄い勢いでグルグルと回るが、上手く考えがまと
まらない。
「ちょっと、携帯忘れちゃって、それで……いや、あの、無断で入るつもりはなかった
んだけど……いるはずなのに、全く返事がなかったからおかしいなって……それで……」
言い訳めいた別府君の言葉も、全く私の思考に届かなかった。混乱した頭が徐々に一
つの重大な結論に辿り着く。それは――
――別府君に見られた。別府君に見られた。見られた。別府君に――
『い……やあああああああっ!!!!』
私は大輝の事なんて忘れて立ち上がると、早くこの場から消え去りたい思いで、一目
散に階段を駆け上がった。そのまま、自室まで辿り着くと、部屋のドアを開けて飛び込
み、勢いよくドアを閉めて外界を遮断してから、私はベッドに飛び込んだ。
『何で…… 何で別府君がいるのよ……信じられない……』
539
:
4/4
:2012/05/20(日) 22:47:32 ID:???
これで、クールで理知的なイメージは台無しになってしまった。別府君がみんなに言
うかどうかなんて問題じゃない。人前で話すのが苦手なのを逆手に取って、中学に入っ
た時から積み上げてきた学校での自分の姿。それをよりにもよって別府君の前で、崩壊
するような事をしてしまった。
『もうダメ……絶対変に思われる…… もし、別府君が今までの私を少しでも好きでい
てくれたとしたら、幻滅したに決まってる……』
恥ずかしくて恥ずかしくて、私は堪え切れずに悶絶した。自己嫌悪で死にたくて堪らない。
『あああああっ!! 友香にだって見せたことないのにぃ……何でバレるのが別府君な
のよ。もうヤダ……ヤダヤダヤダッ!!』
別府君の、驚いた顔を思い出す。その表情から察せられる彼の考えまでは分からない
けど、よく思うなんてないはずだ。
『うぐぅ…… 明日っから、学校行けないよ……もういっそ、このまま休み続けちゃおうかな……』
別府君の事だから、あからさまにはバカにしないだろうけど、もう彼の目の前で凛々
しい態度を取った所で、見せ掛けの演技だってのがバレバレになってしまう。それが分
かってるのに、今までのように接するなんて出来ない。
『どうしよう……それとも、いっそ転校とか……』
自分の思い付きを真剣に考えてみようと思った、その時ドアが静かにノックされた。
『うるさい。一人にして。今誰とも話したくない!!』
どうせ母親だろうと突っ撥ねたが、返って来たのは、意外な声だった。
「委員長。いい?」
その声は、別府君の声だった。
続く
540
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/21(月) 00:42:15 ID:V.joO6BI
GJ!
委員長かわいい
541
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/21(月) 00:54:59 ID:???
委員長かわゆいなあもう
542
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/21(月) 01:20:57 ID:???
怒った委員長もかわいいよちゅっちゅ
543
:
1/2
:2012/05/31(木) 19:30:51 ID:???
【ツンデレを後ろからなでたら】
だらりだらりと登校してると、見覚えのある頭がゆらゆらしてたので、後ろからなでてみた。
「……この手の動き、そしてこの放射される波動。タカシとみた」
「当たり」
頭がくるりと振り返る。見慣れたちなみの顔が現れた。そのままなでり続行。
「つーか、なんだ波動って」
「……タカシの手から放たれる殺人光線?」
「知らぬ間に殺人鬼に成り果てていようとは。ちなみ、俺がこれ以上罪を重ねないよう、その手で俺を止めてくれ……!」
「分かった。殺す」
「少しくらいためらいがほしいですよね」
「……うーん。よし、殺す」
「葛藤が軽い! 愛しの人を殺すのだから、もうちょっと悩んで!」
「……別に愛しくない。むしろ、タカシがいない方が世界のためだ」
「酷い言われようだ」
「……タカシがいないと、世界中のようじょがのびのび出来て幸せだ」
「別に今でものびのびすればいいのに。さんはい」
「……私はようじょではない」
「小さいのに?」
「……小さいのに」
そう言いながら、さりげに俺の足をグリグリと踏んでくる。気にしていないようで気にしているようだ。
「……中学生に間違われるのはともかく、小学生に間違われるのはありえない」グリグリ
「その怒りをここで発散しないで」
「……背か? 胸か?」
「どっちもです」
「…………」グリグリグリ
「そろそろ足の甲に穴が空きそうな具合です」
「……ヒモを通して携帯するのに便利」
「非常食扱いするのやめてください」
544
:
2/2
:2012/05/31(木) 19:31:11 ID:???
「……なら、いい加減私の頭をなでるのを止めるべき」
「ん? おお、そういえばずっとなでてたね」ナデナデ
「……無意識の領域か。今日もタカシは私が好き過ぎる。その想いが届くことなど未来永劫ありえないというのに」
「いや、別に好きではないです」
「…………」グリグリグリグリッ
「痛い痛い痛いっ! 踏むな! 百歩譲って踏んでいいとしても、踵で踏むな!」
「……私のことを好きなくせに好きじゃないフリをする。……ツンデレとでも呼んで欲しいのか」
「いや、だから別に」
「……やーいツンデレ。ばればれだっちゅーの」
「いや、古すぎるうえ、胸をよせてもお前には無理だ。0はいくらかけても0のままなんだ」
「……貧乳が好きなくせに、貧乳を貶める。……こんなところにまでツンデレの弊害が」
「お前もうツンデレって言いたいだけだろ」
「……少し」
なんでちょっと恥ずかしそうなんだ。
「まあいいや。ほれ、一緒に行こうぜ」
「……でも、一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし」
「ときメモるな。そして今は下校ではなく登校中だ」
「……じゃあ安心だ」ギュッ
「ええっ!?」
「……うるさい」
迷惑そうな顔でじろりと睨まれた。いやしかしそれどころではなくて!
「な、なんで手を握るのでせうか」
「……一緒に学校に行く場合は、友達に噂とかされないので恥ずかしくないから」
「いや、手を握ったりなんてしたら噂はされると思うのですが」
「……それは盲点だった」
「しまった、こいつ思ったより馬鹿だ!」
「……そういうこと言うと、手を離す」
「なるほど、じゃあ言わない」
「……ん」
そんなわけで、なんか知らんがおててつないで学校へ行くことになった。でもちなみの手がやわこいからいいや!
545
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/01(金) 00:16:20 ID:???
ちなみんは可愛いなあ
546
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/01(金) 23:32:49 ID:???
ふにふにのおててにぎにぎしたい
547
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/02(土) 11:39:51 ID:???
ちょっと間が空いたけど、
>>535-539
の続き
……先週投下した気でいたけど、投下準備だけして出掛けてしまった事にあとから気付いたぜと
548
:
1/5
:2012/06/02(土) 11:40:33 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その6
私はガバッと体を起こしてドアを見る。しかし、次の瞬間には再び、毛布を頭から被っ
て両耳をも覆った。
『良くない!! お願い、帰って。今、会いたくないの!!』
しかし、私に拒否されたくらいでは、別府君は諦めなかった。
「話がしたいんだ。その……何で逃げ出したのかとか、聞きたい事もあるし…… もし、
何か勘違いしてるんだとしたら、その……誤解は解いておきたいから……」
『別に誤解なんてしてないし、見ての通りよ!! もういいでしょ? 帰ってよ。ね……』
別府君の声を聞くと辛くて堪らなくなる。これ以上、傷口を広げないで欲しい。何で
学校では演技してたのかとか、事情を説明すればするだけ、自分のダメな部分を知られ
ていくだけだ。しかし、耳を澄ませても別府君が一向に立ち去る音はしなかった。
『……どうして帰らないのよ。帰ってって言ってるのに』
ドアの向こうの彼に問い質す。ややあって、別府君の答えが返って来た。
「……だってさ。このまま別れたら、明日から絶対気まずくなんじゃん。それはちょっ
とイヤだなって思って。だから、ちゃんと話しておかないと」
別府君が気にして声を掛けに来てくれたのは、それはそれで嬉しい。だからと言って、
気まずくならないなんて無理だ。彼はともかく、私の方が顔を合わせられない。だから
私は、無愛想な口調で突っ撥ねた。
『別に話す事なんて……何もないわよ。見ての通りだもの。好きに思ってくれていいわよ』
一瞬、彼の返事まで間が空く。このまま帰ってしまうのではないかとドキリとしたが、
少し経ってから、落ち着いた声で別府君の返事があった。
「……じゃあ、好きなように思っていることを話すからさ。独り言だから、委員長が聞
きたくないって言うのなら、聞かないでもいいよ」
こういう言い方ってズルイと思う、と内心私は愚痴を言う。だって、聞かなくていい
なんて言いながら、気を引く方向に持って行くんだから。しかし、私は何も言わずに黙
って次の言葉を待った。ややあって、彼が言葉を続ける。
「……委員長はさ。イメージが崩れたとか、そういうのを気にしてるんだと思う。いつ
も冷静で凛々しくて、キリッとしている女性に憧れていて、そうなりたいと思っている
から、理想から離れた、家での自分を見られたくなかったってそういう事なんだろうなって」
549
:
2/5
:2012/06/02(土) 11:40:53 ID:???
別府君の言い分は、当たらずとも遠からずという所だった。私は単に臆病な自分を隠
したかっただけで、彼の持つイメージは後から付いて来たものだ。だけど私は敢えて否
定しようとはせず、黙って彼の言葉を聞き続けた。
「けどさ。誰だって普通は、家と外では全然違う自分がいると思うんだ。もちろん俺だっ
てそうだし。だから、そんな事でおかしいとか、みっともないなんて、そんな事は全
然ないと思うよ」
『……本当に、そう思ってるの?』
私は立ち上がり、ドアの向こう側の彼に向かって聞く。少しでも動揺が声に出ている
ようなら、信用しないと決めて。しかし、彼の答えは明確だった。
「うん。思ってるよ。それに、素の自分を見られるのが恥ずかしいって言うのは、それ
も分かってるし。けれど、俺は委員長が家では弟とふざけ合ったりしてたとしても、そ
れはそれで当たり前の事だと思うし、そういう委員長も新鮮でちょっといいかなとも思ったり」
『え?』
褒められるとは想像もしていなかったので、私は驚いて聞き返した。すぐに別府君の
答えが返ってくる。
「いや。そういうギャップもいいかなって。学校ではクールで真面目な委員長が、本当
に親しい間柄の人の前では感情を表に出して笑ったり怒ったりするってのもね。それに、
根っ子の生真面目さは全然変わってないし」
最後の一言に、ちょっと笑いが含まれているのを敏感に感じ取り、私は少しムカッと
した気分になり、不機嫌そうに聞いた。
『……それって褒めてるの? それともからかっているの? どっちよ?』
すると一瞬間が空き、それから慌てたように別府君が弁解してきた。
「いやいやいや。可愛いなって褒めてるんだって。ただ、話してるうちに今日の委員長
の態度を思い出してさ。家での自分をダメだなんて思うところまで、いかにも完璧主義
の委員長らしいなって思ったら少しおかしくなっただけで」
『やっぱり、ちょっとバカにしてる。可愛いってごまかしてるけど、本当は面白いのが
正解なんじゃないの?』
可愛いと言われた気恥ずかしさから、それをつい否定して私の頭はバカにされてる方
へと転換してしまう。しかし、今度はすぐさま別府君も否定し返してきた。
550
:
3/5
:2012/06/02(土) 11:41:13 ID:???
「本当だって。今にして思えば、地を出すまいと弟さんの前で頑張ってたんだなって分
かるとさ。それも余計に可愛く思えてきて」
『嘘よ。絶対からかってるわ』
「嘘じゃないってば。ドアを開けて、俺の顔を見てくれよ。マジだって顔してるから」
その提案に、私は躊躇する。こんな状態で面と向かって別府君と相対したら、恥ずか
しくて死んでしまうかもしれない。けれど、このままじゃお互い譲れないまま、引くに
引けない状況が続くだけだ。
「大丈夫だって。俺は嘘は一言も言ってないから。せめて、俺の言う事を信用して貰え
ないと、俺もスッキリした気分で帰れないんだよ」
最後は懇願するような口調で、別府君が説得して来る。まだ心のどこかで――いや、
むしろ全てが、恥ずかしさから逃げ出したくて仕方が無いが、同じくらい別府君の顔を
見たくなっている自分もいた。少し葛藤した後、私は決意する。
『……分かったわ』
小さく、同意の言葉を口にして、私はドアに手を掛けた。恐る恐る、僅かにドアを開
け、隙間から別府君の姿を窺う。
「よう」
何だか、朝の挨拶をするような気軽な口調で、別府君が片手を上げる。
『……何それ? 今日初めて会った訳でもないのに』
「いや。何となく……」
『何となくって、意味わかんないわよ。それ』
つい、呆れたように言うと別府君は照れたように笑った。別府君も、あらたまって会
うのが恥ずかしかったのかも知れないなと思うと、何故か安堵の気持ちが湧き上がって
来る。
「ゴメン。で、どう?」
諸々省略して、いきなり答えを求めて来た彼を、私はわざと訝しげに見つめる。
『どう?って、何がよ』
すると別府君はたちまち困ったような顔になり、あたふたと周囲を見たり、頭を掻い
たりしてから、私の方を窺い見て、小さく聞いてきた。
「えっと、その……俺の事が信用出来るかどうかって話。もしかして……もう一度言わ
なきゃダメだとか?」
551
:
4/5
:2012/06/02(土) 11:41:33 ID:???
それに私は、もっともらしく頷いてみせた。
『当然でしょう? ちゃんと私の顔を見て、キチンと言ってくれなきゃ判断材料になり
はしないわよ。今のこの顔だけ見て判断しろだなんて、出来る訳ないでしょう』
我ながらちょっと意地悪いかなとは思う。しかし、あんな自分を見られてしまった後
で、こうして面と向かい合うだけでも、私にとっては相当恥ずかしいのだ。彼にだって、
同じような思いをしてもらわなきゃ、割りに合わない。
「……っと……分かったよ。じゃあ、もう一度言うからさ。ちゃんと聞いててくれよ?」
渋い顔つきで一言前置きをして、コホンと咳払いをしてから彼は顔を上げた。その顔
には、さっきまでの照れ臭そうな様子だとか冗談めかした様な様子は一切なかった。
「……少なくとも俺は、家での委員長もありだと思う。っていうか、普通だと思うし、
むしろああいう感情を表に出してる委員長も可愛いと思ってる。本当の事だし、信じて
欲しいとも思ってるよ」
全部を言い終えた後、別府君は僅かに視線を落とした。しかし、照れ臭そうに笑った
りはせず、むしろ不安げに私の様子を見守っていた。私はといえば、面と向かって可愛
いなどと言われ、恥ずかしくて全身が熱くて身悶えしたいくらいなのを、懸命に抑えていた。
「……どう? これでも、信じてくれないかな?」
私の返事が無い事に焦れたのか、別府君の方から答えを催促してくる。私はその間、
一生懸命彼の言葉を反芻し、答えを言おうと努力していたのだが、途中でふと、別の疑
問が湧き上がって来た。答えは決まっていたのだが、その前にまずそれを確かめてみよ
うと決意し、私は顔をうつむかせたまま、小さな声で言った。
『……答えを言う前に……一つ、聞いていいかしら?』
「何?」
反射的に答える彼の顔が見れないまま、私はそのまま質問に入る。
『……むしろ、普段の学校での私は……別府君にはどう思われていたのかしら?』
彼の姿を見ていないから分からないが、空いた間が、彼の動揺を窺わせた。少し経っ
て、彼の返事があった。
「えっと……でも、それはさっき弟さんがいる前でも話したと思ったけど――」
『あれはダメ!!』
強くキッパリと言い切ってから、私は顔を上げて彼を見た。
552
:
5/5
:2012/06/02(土) 11:42:08 ID:???
『だって、あんなのよそ行きの答えじゃない。今は私と二人きりでしょう? だから、
ちゃんと本音で話して。家での私を、認めてくれたみたいに』
「一応、嘘は言ってないつもり何だけどなぁ……」
困ったように、彼は頭を掻く。しかし、その言葉尻を突いて、私は更に追及した。
『嘘は言っていなくても、全部は話していないって事でしょう? なら、キチンと全部話して』
私をチラリと見て、それからまた、別府君は視線を逸らす。少しの間、迷っていたが、
やがて小さく首を振って顔を上げ、私を見つめて答えた。
「まあ、綺麗だよなって思ってた。目鼻立ちやスタイルがっていうのもあるけど、全身
にまとっていた雰囲気がさ。だけど、若干近寄り難いってのもあったかな」
近寄り難い、というのは正解だと思う。何故なら、人とのコミュニケーションが苦手
な私が、まさに身につけたかった事だから。それでも、別府君はかなりしゃべり掛けて
来た方だと思っていたのに、やはり彼でもそう感じていた事にちょっと驚く。
「まあ、そんな訳だけど…… 今日のでやっぱり、ちょっと印象変わったかな。うん」
『どういう風に?』
彼が言葉を切ったので、私が先を促す。少し間を置いてから、頷いて彼は答えた。
「昨日までより、親しみやすくなったなって。だからって、学校での付き合い方を変え
る気はないけどさ。何ていうか、こういう可愛い所もあるんだなって知ったおかげで、
気後れせずに話せるようになった気がする」
『……あんまり、可愛いとか言わないでよ。自分では似合ってないと思ってるんだから……』
不満気に文句を言うと、別府君は初めて、小さく笑った。
「ゴメン。でも、ホントだよ」
『バカ……ッ!!』
真顔でこんな事を言われて、嬉しくならない女の子なんていない。ましてや、以前か
ら気になっていた男子に言われたら余計だ。
「で、どう? 今のことも含めて、俺の言ってる事信じてくれたかな?」
もう一度彼が、今度は堂々と私の様子を窺うように聞いてくる。多分、恥ずかしい事
を言わされて却って気持ちが開き直ったのだろう。一方で私は、聞いたせいでより恥ず
かしくなってしまった。しかし、もう逃げる事は出来ない。それなのに、私はこの期に
及んで悪あがきをした。
『……答える前に、二つ……条件を付けてもいいかしら?』
続く
553
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/02(土) 15:38:21 ID:???
うへええええGJ!
554
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/02(土) 20:42:34 ID:???
いいんちょぺろぺろ
555
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 00:52:52 ID:???
先週サボったので、今週は二回目のいいんちょ
>>547-552
の続き
556
:
1/4
:2012/06/04(月) 00:53:46 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その7
「また?」
特に嫌そうでもなく、ごく自然な感じで首を傾げる彼に、こっちの方が恥ずかしくなっ
て、私はつい憤慨してしまう。
『いいでしょう別に!! こっちだってもう十分、知られたくないこと曝け出しちゃっ
ているんだから!!』
「分かった分かった。とりあえず言ってごらんよ」
両手で私を制し、別府君がなだめてくる。とにかくも、聞いてくれると言ってくれた
ので私は矛を収め、髪を軽くかき上げてから言った。
『……一つ目は、家での私の事は、誰にも話さないで。やっぱり、あんまり人に知られ
たくない事じゃないから』
これは即答で了承されるかと思ったのに、意外と別府君が難しそうな顔をしているの
で、私の心に疑念と不安が湧いた。
『どうしたの? まさか、誰かに話すつもりだったとかじゃないでしょうね?』
すると慌てて別府君がそれを否定する。
「いやいやいや。そんなつもりは無いし、決して揶揄したり面白おかしくうわさ話を広
めたりするつもりもないから」
『じゃあ、何で答えを迷ったりしたの?』
そこを追求すると、彼は少し気恥ずかしそうに顔を背けて、小さく答えた。
「いや、その…… もし誰かがさ。委員長って冷たくて近寄り難い感じだよなって言っ
たら、そんな事はないよって。委員長ってこういう可愛らしい所もあるんだよって反論
しちゃいそうだなって思ってさ」
『そんなの、絶対にダメ!!』
私は慌てて、別府君を制する。それならまだ、バカにされた方が余程マシだ。別府君
に可愛らしさを主張なんてされたら、本当に恥ずかし過ぎて学校に二度と行けなくなってしまう。
『いい、分かった? どんな状況であれ、家での私を人に話したりしたらダメだから
ね!! 条件云々係わらず』
「わ、分かった。分かったよ!! 何とか努力してみせるからさ」
557
:
2/4
:2012/06/04(月) 00:54:23 ID:???
今にも掴みかからんばかりに詰め寄る私に、別府君はたじたじとなってニ、三歩交代
しつつ、何度も頷く。
『本当よね? 約束だからね?』
それに頷くのを確認して、ようやく私は元の落ち着きを取り戻し、彼との距離を離す。
それを見て取り、別府君がホッとため息をついた。
「で、二つ目の条件は何?」
それを聞かれ、私はドキリと心臓を高鳴らせる。これは私の人生の中で、かつて無い
ほど大胆なお願いだったからだ。一瞬、気持ちが萎えてやっぱりいいと言いそうになる。
しかし、今のチャンスを除いては、二度と私がこんなお願いをするなんて出来ないかも
しれない。そう思い直し、私は無理やりに気持ちを奮い立たせた。
『……二つ目の条件はね……』
緊張で口が上手く動かない。それをもどかしく思いつつ、私はゆっくりと、一言ずつ言葉を続けた。
『その……別府君の……家での、姿を……私に、見せてちょうだい』
「へ……?」
呆然とした顔の別府君に気付き、私は何かの糸が切れたように、言い訳を始める。
『ち、違うのよ!! 別に、別府君の家に行きたいとか貴方と二人きりになりたいとか、
そういう訳じゃなくって!! ただ、その……ズルイじゃない!! 私の事ばかり貴方
に見られて、私が素の別府君を見れないって言うのは、だから、その……釣り合いが取
れないじゃない。そんなの不公平よ!!』
怒涛の如くしゃべりまくってから、私はハアハアと荒い息をついた。もはや、普段の
取り澄ました私なんてどこにもいなくなっている事にすら気付かず。別府君はしばし、
呆然と私を見つめていたが、やがておかしそうに笑い出した。
『なっ……何がおかしいのよ!!』
恥ずかしさと怒りがない交ぜになって、私は怒鳴る。すると別府君が手を振ってそれを退けた。
「いや、ゴメン。あんまり必死だったからさ。大丈夫。変な期待とか勘違いはしないか
らさ。いいよ。いつだってウチに来ても」
『あ、当たり前でしょうそんなの!!』
いささかまだ興奮気味ながら、ようやく私は、自分を取り戻す。もっとも、もはや意
味のない演技だけれど、それも素の自分の一つになっているのだから仕方が無い。
「じゃあ、それは今度、また話をするとして。これで全部条件が整ったわけだけど?」
558
:
3/4
:2012/06/04(月) 00:54:49 ID:???
別府君に促され、私は小さく頷く。これ以上、もう何も引っ張る条件はなかった。もっ
とも、もう答えは決まっているし、ここまでくれば肝も据わった。私は彼の顔を見上げ、
もう一度、コクリと頷いて答えた。
『……信じるわよ。ここまで来て……信じないわけにはいかないもの……』
「ありがとう。嬉しいよ」
ニッコリと微笑んでくれる彼にキュンとして、同時に酷く気恥ずかしくて、私はその
感情をごまかすためについ、怒って彼を睨み上げる。
「わっ……笑わないでよ。バカ!!」
そのまま彼の胸を両の拳で叩く。彼は何も言わずにそれを受け止めた。見上げる私に
微笑み返して、頷く。
「でも、本当に嬉しいから」
そう言って、私の両肩にそっと手を置く。すると不意に、すごく甘えたくなって、私
はそのまま彼の胸に、頭を預ける。すると別府君の手が両肩から背中に回り、優しく、
しかししっかりと私を受け止めた。
『や、やだ……こんなの、恥ずかしい……』
「大丈夫。俺だって、恥ずかしいから」
私の感情を、そのまま受け止めて返してくれる。そんな優しさが嬉しくて、彼を見上
げる。別府君の私を見つめる目に吸い込まれそうになり、そのまま背伸びして顔を近付
けた。とその時、微かに、何かが軋む音がした。
『待って』
あともう数センチで私と別府君の顔がくっ付くところで、私は手の平で彼の顔を押し止めた。
「何?」
『今、何か音がしたの』
そう言って、私は別府君から体を離す。うかつだったと自分を呪う。ここは自分の家
なのだ。そして今日は家族がいた事に、今更ながらに気付かされた事を。また何か物音
がする。私は確信して階段の所まで飛ぶように駆けた。
『お母さんっ!! 大輝っ!!』
559
:
4/4
:2012/06/04(月) 00:55:34 ID:???
リビングに逃げ込もうとする二人の姿を捉え、私は叫ぶとそのまま階段を飛ぶように下りる。
『盗み聞きってどういう事よ!! ちょっと待ちなさい大輝!! 覚悟しなさいよね!!』
「違うんだってば!! おかーさんがあいてててててて」
『あら? だって娘に彼氏が出来る瞬間でしょ? 見逃すわけには行かないじゃない。ねえ』
『しれっと言わないでよ!! ああもう!! 二人とも信じられない!!』
家族に最悪のシーンを見られた恥ずかしさと怒りがない交ぜになって、私は恥も外聞
も振り捨てて絶叫したのだった。
終わり
今週は週末スレが立たなかった(´・ω・`)
560
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 01:29:54 ID:???
委員長が可愛すぎて萌え死んだ
マジでGJ!!
561
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 02:13:18 ID:???
(`・ω・´)GJ!そして続け!
562
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 02:44:03 ID:V.joO6BI
すばらしい
是非とも続きをお願いしたい
563
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/05(火) 20:51:18 ID:???
おつ
後日談をば
564
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/18(月) 00:52:42 ID:O9opzTYo
唐突に湧いたけど本スレないしほのぼのは規制されてるしこっちでやる
・寝起きの歯磨きツンデレ
「ふぁ〜……おはようちなみ」
「んー…………」 シャコシャコ
「一緒に寝てたんだから、起こしてくれれば良かったのに」 シャコシャコ
「んー…………」 シャコシャコ
「ちなは朝本当に弱いなぁ」 シャコシャコ、ナデナデ
「んー……!」 ペシッ
「おっと、ゴメンゴメン」
「ん…………ん……?」 シャコシャ…
「ん? どした?」 シャコシャコ
「……おい…………その歯ブラシは……私のだ……馬鹿者……歯ブラシ交換とは……朝っぱらから……悪趣味な……変態め……」 ペチペチ
「それは俺のなんだけど? お寝ぼけさん?」
「ん……? えっ……! あ、こ……これは……!」 アタフタ
「いやー、ちなみが朝っぱらから歯ブラシ交換なんてバカップルみたいなプレイがしたいとなると今日は会社休まないといけないかもなー」 ニヤニヤ
「ぇっ…………ば、馬鹿者……タカシが……自分のと……私のを……すり替えたのだ……変態め……」
「そんなバカな、俺の方が遅く起きたんだぜ? て言うかちなみ、今、会社休むってとこに反応しただろ」
「…………っ」 ビクッ
「あーもー可愛いなぁー!」 ギュッ
「んっ……♡ …………ば、馬鹿者……まだ……口ゆすいでないっ……!」
「ゆすいでからならいいの?」
「ぅぐっ……! ……ば……ばか……」 プイッ
その日は結局仕事休んでずっと家でイチャイチャしてました
地方公務員万歳
565
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/18(月) 00:55:12 ID:O9opzTYo
おわり
寝起きのツンデレはいつもの鉄壁ガードが緩くなって簡単に落とせそう
鉄壁であって絶壁なんていってないよちなみん確かにちなみんのは絶壁だけど今は関係n(ターン
566
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/18(月) 09:14:35 ID:???
>>564
ちなみん可愛すぎて死んだ
567
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/28(木) 23:54:35 ID:1dXFnXow
>>220
「ちなー」
「……なに」
「最近なんか疲れてるよな」
「………………そんなことはない」
「嘘つけ、今の沈黙は少し長かったぞ」
「そんなことはない」
「沈黙がないときも嘘ついてる時だ」
「……むぅ……」
「つーわけで、マッサージしてやろう」
「……タカシはマッサージと称して……私にセクハラを敢行するつもり………………変態め」
「まあまあ。ほら、そこにうつ伏せになって」
「……ん」 ポスッ
「枕の臭い嗅いでもいいからないいからな」
「…………そんなことはしない……ばか」
「はいはい。んじゃ、始めっぞー」 ギュムッ
「んっ……!」
「あ、強かったか?」
「……別に……押されたから肺から……空気が出ただけ」
「そっか。じゃ、続けるからな。痛かったら言えよ」 ギュムギュム
「ん……ぅ……ふっ……」 ピクッ、ピクンッ
「なんだちなみ、お前肩は凝ってないけど腰ガッチガチだな」 ギュムギュム
「んっ……そ……そう……?」 ピクンッ
「ああ、気持ちいいだろ? さっきからピクピクしてるし」 ギュムギュム
「んっ…………そんなことない……下手く……そっ……!?」 ビクンッ
「ん? どした?」
「な、なんでもない…………(今……?)」
「そうかー?」 ギュムギュム
「んっ……ぅ……ふっ……」 ピクピク
「んー」 ギュムギュム、ムギュッ
「んっ……!?(またっ……!?)」 ビクッ
「はは、そんなに気持ちいいか?」 ムギュムギュ
「んっ……! ぁっ……! んぅ……!(っ……おしり……手……当たって……!)」 ビクッ、ビクッ!
「あんまり動くとやりずらいって。ちょっと我慢しろよー」 ムギュムギュ
「ぁっ……はっ……! ふぅっ……!(タカシの匂い……も……っ! これっ…………きも……ち……!)」
「ふんっ!」 ギュウッ
「はぁっ……! ぅんっ……! っ……ぁ!」 ビックンッ‼
「はいおわり。どうだ?俺のテクもなかなかだろ?」
「はぁ……はぁ…………うるさい……ばか……」 ビクッ、ビクッ
「ちなは素直じゃないなー」 ナデナデ
「………………ばか…… (……また今度……やってもらおう……)」
568
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/28(木) 23:55:13 ID:1dXFnXow
なんか避難所で連投規制食らったからこっちに書いた
ちなみん可愛いよちゅっちゅ
569
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/29(金) 00:14:31 ID:???
おっきっき
570
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/29(金) 13:07:00 ID:???
エロ――――――いッッッ!!!!!
GJぅ!!
571
:
ほのぼのの方>>426
:2012/07/29(日) 00:16:12 ID:AEPHrqiw
「ぅー……あっつぃ……」
「…………」
「……暑いー……ぅー……」
「…………」
「ぅー……」
「うーうー言うのを止めなさい!」
「……うるさい……ばか」
某うみねこの明言を突きつけたら馬鹿呼ばわりされた。くすん。
因みに、俺のベッドの上でうーうーごろごろしてるのは妖怪ちなみん。『因みに』だけに。
家主の知らぬ間に部屋に侵入し、ベッドを我が物顔で占領する妖怪だ。あといろいろ小さ「へぶっ」まくらが飛んできた。
「何をする」
「……失敬な」
日本語での会話が成立しない。さては日本の妖怪ではないな?
「……ばかの考えることなど……顔を見ればわかる」
「なんだと?」
ようし、その挑戦受けて立とう。エロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエエロエロエry(公共の電波には乗せられないため他の単語で代用してお送りしております)。
「……変態」
「妖怪ではなくサイキッカーだったか……」
「……そんな嫌らしい顔をしてたら……誰でも……こう言わざるを得ない…………変態」
二回も言われた。くすん。
「……そんなことより」
「ん?」
部屋の中をぐるりと見回すちなみ。
止せやい。恥ずかしいだろ?\(//∇//)\テレテレ
「……なぜこの部屋には……クーラーが無い」
「貧乏だから?」
「……今すぐ買って来い」
なん……だと……!?話が全く噛み合わないっ……!
「俺の話聞いてた?」
「……だって暑い」
ぐぬぬ。なんというお嬢様だ。
「それなら自分の巣に帰れよ。お前ん家は全室にエアコン完備だろーが」
そう、ちなみの家はお金持ち。トイレにすらエアコンがあるほどだ。そんなお金持ちと幼馴染な俺は幸運と言うべきか不運と言うべきか。
以前、長時間トイレに居座ることでお腹が冷えて腹を下し、さらに腹を下したせいで長時間トイレに篭ることになりまたお腹を冷やし……という無限ループにハマった時はもう終わりだと思った。
「……巣……?」
「そうだそうだー。巣に帰れー。この妖怪ちなみん」
「……私の巣は……」
「なんだ?ふてぶてしくもそのベッドの上が巣だとでも言うつもりか。この悪トゥめ!」
「ばっ……ばか……!」
な、なに顔真っ赤にしてんだよ!可愛いなぁ!
ちなみんは可愛いなぁ!
「ルパンダーイブ!」
「きゃっ……!?」
「ちなみんはかわゆいのぅかわゆいのぅ!」
「なっ……ば、ばか……あ、暑い……! 暑苦しいっ……! っ……離れろっ……!」
「むぎぎ」
むふふ……真っ赤な顔で抵抗しても説得力は無いも同然ですぞちなみん氏〜。
それに、オスの本能としては、獲物が抵抗するほど燃え上がると言うものっ!
「ほーれつかまえたー」
「…………暑い……ばか」
どうにか捕獲には成功したが後ろから抱えるような格好になってしまったのでこれではちなみの顔が見えない。どうしたものか。
ま、いいか。
柔らかくて小っちゃくてあったかくて抱き心地最強だし。
しかもこの体制なら
「ふー」
「にゃぁっ……!?」
ちなみの弱点である耳が責め放題だし。
「……ゃっ……!」
「あのさーちなみー」
「み……耳元でっ……しゃべっ……るなぁっ……!」
「俺も、ちなみの顔見ればなに考えてるかわかるよ」
「なんっ……の……っ……はなしっ……!」
ピクピクと痙攣するみたいに震えるちなみを抑えるように、ちょっと強めに抱きしめる。
代わりに耳元で話すのは止めて、つむじに顔をうずめて問いかける。くんくん。あーいい匂い。
「なんでだかわかる?」
「っ……?」
「わかんないなら『なんで』ってきいてみて」
「……な……なんで……?」
一拍溜めて、耳元で、止めの一言。
「ちなみのこと、好きだから」
「…………ぁ……」
耳どころか首まで真っ赤に染めて、ちなみが絞り出した台詞は
「…………あつい……ばか」
素直じゃないなぁ。
572
:
ほのぼのの方>>426
:2012/07/29(日) 00:16:33 ID:???
終わり
ちなみんもふもふ!
573
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 00:24:57 ID:E9yYo4hY
もふもふ
574
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 01:56:35 ID:???
これはもふもふせざるを得ないな!
もふもふ!!
575
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 22:25:34 ID:???
「……最近……モールス信号にはまっている」
「ほほう。何を隠そう、俺も中二病時代散々やったから覚えてるぜ」
「……ばかのくせに……いや……ばかだからこそ……?」
「なんという言い草。なんなら確かめてみるか?」
「……よろしい……なら……今から私が信号を伝えるから……それを解読しろ」
「伝えるって、どうやって?」
「……後ろ」
「うしろ?」
「……背中をとんつーするから……後ろ向け」
「ああ、なるほど。はいよ」 クルッ
「……ん。……じゃあ……いくよ」
「んー」
「…………」 ゴクリ
「? 早くしろよ」
「……うるさい……わかってる…………いくよ」
「ん」
「…………」 ドキドキ
・・
・-・・ --- ・・・- ・
-・-- --- ・・-
「……?」
「…………」 ドキドキ
「なぁ、これってもしかして……」
「……な……なに……?」
「…………アルファベットのほう?」
「…………は?」
「俺、五十音の方は完璧なんだけどアルファベットの方はちょっと……」
「…………はぁ……所詮は……バカシ」
「くっ、だ、だけどなぁ! 五十音の方は完璧なんだ! そっちでやってくれよ!」
「……いい……もう帰る」
「ちくしょー!」
「(……期待した私が……馬鹿だった)」
576
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 22:27:02 ID:???
終わり
唐突に湧き出る脳汁
577
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/31(火) 22:14:09 ID:???
予想はできるがちなみんはモールスでなんて送ったんだろうwwww
GJ!
578
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 02:14:11 ID:p4rk/rBA
「…………」 ガチャッ
「zzz」
「…………」 コソコソ
「zzz……ん……」
「……っ!」 ビクッ
「…………zzz」
「…………ホッ……」
「zzz」
「…………」 ジー
「zzz」
「…………」 ペタペタ
「zzz……ん〜……」
「!!」 ビク
「ん…………ちな……み」
「!?」 アタフタ
「ペタペタ……つるぺた…………ぷにぷに………………zzz」
「…………ハァ……」
「……zzz」
「…………」
「…………す……き……」
「〜っ!?」 ビクゥッ
「……ぅきすぎ…………ブラジャー……デカイの…………買うから……だぞ……」
「…………」
「……zzz」
「…………」 チラッ
「zzz」
「…………」 フニフニ
「zzz」
「ムフー」
「zzz」
「…………」 グイッ
「zzz」
「っ」 ギュムッ
「zzz」 …フニッ
「っ……」 ピクン
「zzz」 フニフニ
「っ……んっ…………!」 ピクッ
「zzz」 フニフニ
「んぅ……っ……!」 ピクピク
「zzz」 フニフニフニフニッ、ムギュッ
「っ!? ぁ……! ん……っ……!」 ビックンッ!
「……zzz」
「っ……ハァ……ハァ……」 ピクピク
「zzz」
「…………フゥ……」
「zzz」
「…………」
「zzz」
「…………」 モゾモゾ
「zzz」
「…………お兄ちゃん……」 ギュッ
〜翌朝〜
「おはようちなみ……ファ〜……」
「おはようございます兄さん。今日もだらしないですね」
「はいはい……」
「どうせ昨夜も夜更かしして嫌らしいコトシてたんでしょう? この変態」
「今日の朝飯は?」
「ベーコンエッグとサラダとトーストです。早く食べてください。それと、今日のお弁当は唐揚げとほうれん草、サラダとアスパラの肉巻ですから。残さず食べてくださいね」
「言われなくても、美味いもんは全部食うに決まってんだろ」 モソモソ
「そ、そうですか。ま、まぁ、私が作ったんだから当然ですよね」
「そうだよ」
「っ……そ……そうですかっ……」
「……ところで」
「えっ? な、なんですか?」
「ちなみ、昨夜俺の部屋に来た?」
「」 ビクッ
「なんか、起きたらちなみの匂いがすげーしたから……」
「き、気のせいじゃないですか!? わたっ、私今日日直なので先に行きますねっ!」 ガタタンッ
「あれ、昨日も日直だったんじゃ……」
「気のせいですよ! い、行って来ますッ!」 ドタドタ
「お、おー」
「戸締りしっかりしてくださいねっ!」 バタンッ!
「はいよー…………フッ……愛い奴め」
「(大丈夫お兄ちゃんは鈍感だから絶対気づいてないはずあぁでももし気づかれてたら恥ずかしくて死ぬ!)」
「ちなみは今日も一人百面相ねー」
「そうだね友ちゃん。一枚撮っとく?」
「せっかくの百面相なんだから百枚ぐらいいっときなさい」
「」 イヤンイヤン
579
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 02:15:21 ID:p4rk/rBA
おわり
敬語妹は秘密のおな(ゲフンゲフン)にハマって止められなくなる可愛い!
580
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 03:48:23 ID:???
>>579
敬語妹はやはり素晴らしいのう!超GJ!!
581
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 04:25:27 ID:???
最高です
582
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 06:28:08 ID:???
>>578
GJ!!
583
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/05(日) 14:40:30 ID:???
・敬語妹とラーメン食べたい
「ぁつっ!」
「あーほら、猫舌なのに無理するから」
「ひてまへん!」 ウルウル
「なにいってんだ涙目じゃん」
「麦茶いれるから待ってろ」
「……ひゅみはへん」 ウルウル
「はいはい……あれ?」
「?」
「麦茶無いぞ? 全部飲んだのか?」
「!?」
「つか氷もジュースもねーし……。水道水ってわけにもいかねーし……買ってくるか」
「ま、まてまひぇん! 今すぐひちゅようなんでひゅっ!」 ウルウル
「そんなこと言っても……」
「ぅう〜」 ウルッ
「…………しょうがない。とっておきの秘策を使おう」
「な、なんでひゅか!?」
「まず、目を瞑れ」
「ひゃ、ひゃい……ほうでふか?」
「次にベロをべーってしろ」
「? ……ほれでいいでひゅか?」
「ん、じゃあいくぞ」
「? ……ひゃい」
「んむっ」 チュルッ
「っ!?」
「ん、ぢゅっ、ん」 ヂュルレロレルチュウゥッ
「んっ!? むっ!? ふむぅっ!?」 バチィンッ‼
「ぐはぁっ!?」 ドサッ!
「なっ……ななななななななななになになにをぉっ!? 何をしてるんですか兄さんっ!?」
「いでで……なにって、怪我には唾つけとけば治るっていうから……」
「それとこれとは話が別でしょう!! いまっ……! 舌っ……ベロっ……ちゅって! ぢゅるって!!」
「だから唾つけたんだよ。直接な」
「ぁぁああああありえないですっ!! この変態!!」
「でもほら、治ったろ?」
「えっ? ……ぁ……。…………いやいやいや! 問題はそこじゃないでしょう!?」
「いいじゃん別に。治ったんだから」
「良くないですよっ! だって私っ……ふぁ、ファーストキs……ゴニョゴニョ///」
「キスなんて散々やってんじゃん。昔はお前からせがんて来てたくせに」
「ぃゃぁああああ!! 止めてください! 本当に!」
「それに今のはキスじゃないって。ベロ舐めまわしただけじゃん」
「余計に卑猥ですっ! 猥褻です! この痴漢! 大体それがキスじゃなくてなんなんですか!?」
584
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/05(日) 14:40:54 ID:SpqPIeKY
「あーもーうるさいな! 治ったんだからいーじゃん!」
「よくないですよ! こんな軽いノリでキスなんかして! ……ま、まさか……他の女の子にもこんなコトを……っ!?」
「し、しねーよ! お前だけだっつーの!」
「お、お前だけだなんてそんな……///」
「なっ、なんっ……なに赤くなってんだよ!/// そもそも今のはキスじゃねーし!」
「き、キスですよ! 兄さんに無理やり唇を奪われたんですぅ!」
「舌じゃん! ベロじゃん! 唇じゃないじゃん!?」
「お、同じようなもんですよ!」
「違うね! 断じて!」
「キスについてプロフェッショナルでも無いくせに偉そうなんですよこの童貞!」
「どどどどどどどど童貞ちゃうわ! お前こそ処女のくせになに偉そうに語ってんだよ!」
「しょっ……!/// とか……女の子に向かってなんてこと言うんですか!?」
「童貞とか口にしたくせに何言ってんだ!?」
「あーもう良いですよ唇とベロオンリーでどれだけ違うか試して比べてみようじゃないですか! 」
「は、……はぁっ!? 何言ってんだ!?」
「二人ともきちんとしたキスをしたことないんだから実際ここでやって見るのが一番手っ取り早いに決まってるじゃないですか!」
「それじゃあ本末転倒だろ! キスしたかキスしてないかだろ!? ここで本当にキスしてどうすんだよ」
「きっ、キスキスって連呼しないでください変態! 通報されちゃうじゃないですか! 大体論点はキスしたかしてないかじゃないくてさっきのはキスなのかどうなのかって話なんですよ!」
「はぁ!?」
「いいから早くしてください! ほら私が目を瞑ってる間に!」
「は、はぁっ!? ちょ、なんっ……!?」
「…………///」 ドキドキ
「……くっ……!」 チュッ
「っ!」 ビクッ
「ど……どうよ……さっきのはキスじゃねーべ?」
「ちょ、ちょっとよくわかりませんね……///」
「なっ……はぁ!?」
「だ、だって一瞬だったし……///」
「か、顔赤くすんなよぉ! 反則だぞお前それ!///」
「こ、今度はちょっと長めで……///」 モジモジ
「だぁああ!! もー目ぇ瞑れ!」 ギュッ
「ひゃぁあ……/////」
「な、なんっ……か、肩つかんだだけじゃん変な声出すなよっ……!///」
「……兄さん……/////」 ドキドキ
「……んっ///」 チュゥゥッ
「んむっ……/////」 チュウッ…レルッ
「んんっ!?」 ビクッ!
「ん……ふっ……んむっ……ふぅっ……/////」 チュムッ、チュ、レルッ、レロッ、ヂュルッ
「んんっ!? ふっ……んんん〜っ!!///」
「ちゅっ……ぷはっ……ハァッ……ハァ……/////」
「はっ……なっ……ハァッ……なぁっ……!?///」
「に、兄さんに口の中を犯されて仕舞いました……/////」 ポッ
「お、犯されたのは俺の方だろ! なっ、なにしてくれてんだ!///」
「こ、こんなの……妊娠しちゃいますぅ……/////」 モジモジ
「あぁ可愛いなぁもう!!///」 ガバッ
「ひゃぁん♡/////」
「(´༎ຶ༎ຶ) (;´༎ຶД༎ຶ`)」 ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ… (←ラーメン屋の店員&客)
585
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/05(日) 14:41:18 ID:SpqPIeKY
そんで最終的にこうなりたい
586
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/06(月) 05:30:19 ID:???
>>584
店の中で何やってんだよwwwww
587
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/07(火) 21:37:13 ID:???
>>584
通報されるだろこれww
末永く爆発しろ
588
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/10(金) 02:13:02 ID:D54wChMw
通報されちまえwwwww
GJ!!
589
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/11(土) 19:35:07 ID:EiU9WgCw
「ねー」
「あ?」 カタカタ
「彼女つくんないの?」
「うっせーボケ」 カタカタ
「お兄モテないもんねー」
「うっせーボケ」 カタカタ
「ふーん」 ゴロゴロ
「制服シワになるぞ」 カタカタ
「別に」 ゴロゴロ
「つーかヒトのベッドで寝んな」 カタカタ
「別に」 ゴロゴロ
「ったく……」 カタカタ
「…………」 ゴロゴロ
「…………」 カタカタ
「……、……ねー」 ゴロ…
「あんだよ」 カタカタ
「彼女つくんないの?」
「…………」 カタ…
「…………」
「……別に、お前がいるからいらねー」
「…………」
「…………なんつって」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………なんか言えや」
「…………馬鹿じゃないの?」 ゴロ…
「うっせ」 カタカタ
「…………」
「…………」
「……ねー」
「んだよ」 カタカタ
「いい加減枕洗いなよ」 ギュッ
「うるせーよ」 カタカタ
590
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/11(土) 19:35:29 ID:EiU9WgCw
おわり
微妙な距離感って好き
591
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/11(土) 19:52:51 ID:EiU9WgCw
「お兄」
「あ?」 カタカタ
「お兄はさー、長いのと短いの、どっち?」
「は?」 カタ…
「髪」
「ロングかショートってこと?」
「うん」
「そりゃお前……」
「……うん?」
「…………その人に似合ってりゃいいんじゃねーの?」
「…………ふーん」
「…………」
「…………」
「…………なんでそんなこと聞くんだよ」
「別に」
「……あっそ」
「……今度デートでもいこっかな」
「…………誰と」
「誰でもいいじゃん」
「あーそーですか」 カタカタ
「気になる?」
「うるせー」 カタカタ
「気になるんだ」
「……うっせーよ」 カタカタ
「…………」
「…………」 カタカタ
「……どんぐらいがいいの?」
「なにが」 カタカタ
「だから髪」
「…………」 カタ…
「…………」
「……お前なら似合うよ、どんな髪型でも」
「…………」
「…………俺の妹だかんな」 カタカタ
「…………」
「…………」 カタカタ
「……なにそれ」
「しらねーよ」 カタカタ
「…………」 ボフッ
「…………」 カタカタ
「…………」 ゴロゴロ
「…………」 カタカタ
「……枕洗った?」 ギュッ
「おめーがくせーくせー言うからだろ」 カタカタ
「ふーん」 ギュッ
「なんだよ」 カタカタ
「別に」 クンクン
「匂い嗅ぐな」 カタカタ
「なんでわかんの?」 クンクン
「本当に嗅いでんのかよ」 カタカタ
「…………ばーか」 ギュッ
592
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/11(土) 19:53:33 ID:EiU9WgCw
おわり
脳汁は出た分だけ回収するべしってばっちゃが言ってた
593
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/11(土) 20:12:23 ID:???
お兄って呼び方がいいなwwww
594
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/12(日) 07:10:55 ID:D54wChMw
GJ!この妹がデレるとこが見たい!
595
:
1
:2012/08/12(日) 08:30:40 ID:???
規制につき
タ「夏休みですね」
無「そうですね」
タ「海にでも行きませんか」
無「日焼けするから嫌」
タ「じゃあ山にでも行きませんか」
無「虫に刺されるから嫌」
タ「じゃあ何をしますか」
無「そうね・・・・・・クーラーにあたりましょう」
タ「要約するとこの部屋から出たくないということでよろしいですか」
無「だって暑いんだもの。この部屋の中が私の適温なの」
タ「そりゃあ長袖なんて着てるからじゃん。俺はむしろ寒いくらいだ」
無「忍耐力が足りないのね」
タ「いやいや、クーラー強すぎだって!省エネに少しは貢献しようよ?!」
無「コタツに入ってアイスを食べると幸せになれるでしょ?あれと同じようなものよ」
タ「・・・・・・妙に納得してしまった」
無「それにしても、急に外に出ようなんてどうしたの?珍しく」
タ「だって夏だもの。夏休みってのはもっとこう、若者は若者らしく青春を謳歌しないと」
無「・・・・・・昨日やってたサマーウォーズ、見たでしょ」
タ「え、なんで知ってるの」
無「ほんと影響されやすいんだから・・・・・・」
タ「まあ、そういうわけで。青春しませんか!」
無「その前に課題は?」
タ「そんなものは家に置いてきた」
無「一応、課題を手伝ってあげるっていうことで呼んでるつもりなんだけど・・・・・せめて持ってくるくらいの誠意は必要じゃない?」
タ「極力荷物を減らしたほうが体力の消耗もなくていいと思って」
無「そんなこと言っててアウトドア派な青春を謳歌できるわけないじゃない」
タ「確かに」
無「なのに勉強どころか課題すらしないなんて、休みというよりも時間の無駄遣いね」
タ「い、いいんだよ俺はこの時間の使い方で」
無「まあ、タカシの夏休みの浪費の仕方に興味はないけど。それに青春なら部屋の中でもできるでしょ」
タ「・・・・・・ごくり」
無「頭の中のそういう性的なのはノーサンキューで」
タ「じゃあ他になにやんのよ」
無「え、んー・・・・・・こうして何するでもなく、クーラーのきいた部屋でだらだらごろごろ高校野球を見たり」
タ「それも十分時間の浪費じゃないの」
無「だって毎日のようにタカシが来るんだから、仕方ないじゃない」
タ「それは萌茄ちゃんが僕を呼ぶからじゃないですか」
無「・・・・・・まったく、普通は他の理由も思い当たりそうなものだけれど」
タ「え?」
無「なんでもない。それより、もしかして課題まだ手をつけてないんじゃないの」
タ「ふふん、図星だ」
無「そこまで堂々と言い放たれるとさすがにむかつくわ。・・・・・・少しは手を出してもいいんじゃない?」
タ「いやー、なかなかやる気が出ないんだよね」
無「はぁ、最近よく聞くよね、何に対してもやる気のない若者世代ってやつ」
タ「いいよいいよ、どうせ僕は課題もしないクズ野郎ですよ」
無「わかってるなら良し。だから次来るときは課題ちゃんと持ってきてよ」
596
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/12(日) 08:32:35 ID:???
翌日
タ「もしもし?萌茄から電話なんて珍しい。今日はアンゴルモアでも降るのかな」
無『・・・・・・聞かなかったことにしてあげる。それより、なんで来ないの?もう甲子園も終わっちゃったじゃない』
タ「いやほら、行ったら課題をやらなきゃいけないわけじゃないですか。そしたらなんかこう、行く気がですね」
無『どれだけ勉強したくないの。まあ、来たくなきゃ勝手にすれば?夏休みの終わりに泣きつかれても絶対見せてあげないからね』
タ「萌茄ちゃん厳しいです・・・・・・。一応そうならないように努力はしてみるけど」
無『・・・・・・え、なに、ほんとに来ないつもりなの』
タ「いやあ、実は昨日僕の部屋にクーラーが設置されまして。ちょっとここ出たくないというか」
無『呆れた・・・・・・。私の家に来てた理由、まさかクーラーがあるからって言うんじゃないでしょうね』
タ「それが全部ってわけじゃないけど、でもまあそれもあるっちゃあるね。あ、それより明日」プッ
ツー・ツー・ツー
タ「なぜ切れたし・・・・・・」
小一時間後
ピンポーン
タ「うお、萌茄どしたの。汗だくじゃん」
無「・・・・・・そう見えるなら、すぐに飲み物とか出してくれるとすごく嬉しいんだけど」
タ「あー、はいはい。とりあえず部屋行っててよ、すぐに持ってくるから」タ「ほら、麦茶」
無「・・・・・・」ゴクゴク
タ「で、急にどうしたの。なんか急ぎの用でもあったっけ?」
無「・・・・・・」
タ「・・・・・・あ、えー?なんで喋らないの」
無「・・・・・・」バサッ
タ「・・・・・・ああ、これって課題のテキストですよね」
無「ほら、筆箱出して。課題開いて」
タ「え、ちょ、ええー・・・・・・?なんでそうなるの」
無「タカシが来ないからわざわざ私が来たんじゃない。なにか不満でもあるの?」
タ「いや、来てくれたのはすごく嬉しいんだけど、まあなんというかごにょごにょ」
無「・・・・・・タカシ、ちょっと腕だして」
タ「え、うん」
無「・・・・・・えいっ」グサッ
タ「いった!ちょ、なんでいきなりシャーペン突き刺すの?!グサッていったよ、グサって!」
無「私もいろいろとグサッときたからね。お互い様でしょ」
タ「俺何もしてないじゃん?!」
無「そうね、課題も、なんにもね。全く、毎日のように呼ばれてるのに本当に何もしないなんて、バカもいいところだわ」
タ「するって!ちゃんと課題するから!とりあえず振り上げたシャーペンおろそう?!」
人間誰しも期待するものです
597
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/12(日) 11:49:00 ID:???
>>596
無表情さんかっわいいなGJ!
598
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/12(日) 13:08:30 ID:???
無表情さんのジト目prpr
599
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/12(日) 18:20:27 ID:???
無表情さんかわかわ!
しかしこのタカシは刺されてもよし
600
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/16(木) 21:44:40 ID:???
ほのぼのの方のお題に投下したいというのに続く規制のせいで投下できないこの気持ち
いいたいことを素直に言えずにもやもやしているツンデレと通じるものがある
ああ、ツンデレはいつもこんなに苦しい思いをしているんだね、と妄想
601
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/16(木) 22:31:21 ID:???
代行スレというものがありましてですね
だから気にせず妄想しよう
そして書けたら依頼すれば、きっと誰かが転載してくれるさ
602
:
1
:2012/08/17(金) 05:04:19 ID:???
お題で書いてたら遅筆で日数経過したな上に話が冗長になってお題から逸れてしまったので
タ「バイトなんてよーやるわ、ほんと。勉強は大丈夫なの?」
無「課題はもう終わったし、前期の範囲の復習はちゃんと計画たててやってるもの」
タ「いや、すごい。ほんとすごい。その調子でもしよろしければ僕の課題も」
無「期末の成績悪かったんだから、すこしは反省して勉強する気にでもなるかと思ってたけど・・・・・・」
タ「やるやる。だが、まだその時ではない」
無「何も考えてないのに伏線張るような台詞はどうかと思う」
タ「や、俺も一応色々考えてはいるんだけどね。同じ大学に行きたいし」
無「そうすれば今みたいに色々と世話してもらえるだろうって魂胆?」
タ「え、あー・・・・・・ハハ」
無「・・・・・・まあ、いいけどね。勉強頑張ったご褒美ってことにしてあげる」
タ「あれ、てっきりバカじゃないのっていわれると思ったんだけど。いやー、言ってみるもんだなあ」
無「今のままじゃ絶対無理だけどね。でも、今からなら十分時間はあると思うし。落ちたらそのときは全力でバカにするわ」
タ「そこは慰めないんですか・・・・・・」
無「一年以上先の話じゃない。私だって受かるかどうかわからないんだもの、そこまで構ってあげられるかどうか」
タ「それもそうだ」
無「それよりも、タカシは勉強よりもっと今優先しなきゃいけないことがあると思うんだけど」
タ「勉強以上に優先しなきゃいけないって、きみがいったらそれ生きるか死ぬかの分水嶺くらい重要なことじゃないか」
無「んー、そうね、そうかも。だってほら、このお腹」ふにふに
タ「いやん」
無「何言ってんだこの着痩せ豚、って程度にはまずいと思うけど」
タ「その言葉地味にグサッとくるね」
無「どうしても青春したいっていうから、私は日に焼けるのを我慢して仕方なく一緒に海に行ってあげるわけだけど、そのお腹とは並んで歩きたくないからね」
タ「ど、努力します」
603
:
2
:2012/08/17(金) 05:04:55 ID:???
バイト中
無「いらっしゃいませ」
無「3点でお会計締めて567円でございます」
無「ありがとうございました、またご利用くださいませ」
店長「萌那ちゃん、おはよーす。ぼちぼちあがっていいよー」
無「はい、お疲れ様です。引き継ぎお願いしますね」
店長「いやー、ほんと萌那ちゃんが来てくれて助かったわ。覚えはいいし捌けるし可愛いし」
無「あ、う・・・・・・えと、可愛くはないと思います」
店長「赤くなっちゃってまあ。まさか言われ慣れてないの?はあ、周りの男共はほんと見る目がないなぁ」
無「私友達少ないですから」
店長「あー、あんまり表情ないから何考えてるかわからないもんねえ」
無「それ、けっこう気にしてるんですが」
店長「大丈夫大丈夫、少ないってことはいるんでしょ?友達なんてそういう繋がりから勝手に増えていくもんよ」
無「そういうものでしょうか」
店長「そういうもんよ。あ、あとこれ、バイト代ね」
無「・・・・・・あれ、なんだか多くないですか?」
店長「多い分はお礼兼お小遣いってところかな。シフト、けっこう無理目にいれちゃったし、なのに文句の一つもいわずあくせく働いてくれたし、可愛いし」
無「え、でも」
店長「いいっていいって。しかし、貰ってすぐに開くとは・・・・・・さては既に使い道が決まっているな?」
無「あ、そういうのって失礼なんですか、すみません。使い道は、・・・・・・まあ、ある程度は」
店長「なるほど、彼氏のために水着か」
無「ぶっ」
店長「わかりやすい反応だなあ」
無「違います」
店長「いやー黒の水着はやめたほうがいいと思うよ?」
無「ごふっ」
店長「マジでか」
無「ち、違いますってば」
店長「はーん、あくまでもシラを切るつもりか。いいよいいよ、それならこっちにも考えがある」
無「・・・・・・なんですか、そんなに凝視して」
店長「ちょっと黙って、いま萌那ちゃんの黒のビキニ姿を想像して」
無「やめてください」
店長「いいじゃない、実際にそんな格好をしてるわけじゃないんだし。ああ、でもちょっと大人すぎるかなー」
無「・・・・・・なんか嫌です」
店長「えー、じゃあ」ふにふに
無「・・・・・・」
店長「・・・・・・以外と着痩せするタイプ?」
無「・・・・・・」
店長「なかなかのボリューム感だこれ。この胸ならビキニも悪くないかも」もみもみ
無「・・・・・・」ぱしーん
店長「あたっ。そんながっつり叩き落さなくてもいいじゃない」
無「・・・・・・」すたすた
店長「あれ、怒った?」
無「知りません」プイッ
店長「もー、いいじゃない、減るもんじゃなし」
無「お疲れ様でした」すたすた
店長「ほんとに怒ったの?うわ、マジでごめんね・・・・・ありゃ、振り返らずに帰っちゃったよ」
店長「・・・・・・私といい勝負だな、うん」もみもみ
604
:
3
:2012/08/17(金) 05:05:16 ID:???
無(・・・・・・もまれた)
無(・・・・・・もまれた)
無(・・・・・・もまれた)
無(・・・・・・私の初もみが)
店員「いらっしゃいませー」
無「ああ、そうだ、水着・・・・・・」
無(・・・・・・黒ビキニ)
店長『でもちょっと大人すぎるかなー』
無(・・・・・・)
店員「その水着気になる感じですかー?こちらで試着できるんで、もしよかったらどうぞー^^」
無「え、は、はい」シャー
無「・・・・・・促されるまま入ってしまった試着室」
無「・・・・・・そして黒ビキニ」
店員「・・・・・・どうですかー?^^」
無「・・・・・・もう少しカップが大きいのってありますか?」
店員「えっとー・・・・・・あ、すみません、それ1サイズだけみたいですう^^;」
無「あ、そうですか・・・・・・」
無「・・・・・・もう少し大人しいほうが好きなのかな」
店員「でしたら、黒字に白のドット入ってるのとかどうですかー?ほら、大人っぽいけど可愛らしいっていうか。これとか、サイズもありますし、3ピースでスカートもついてますよ^^」
無「あ、じゃあそれでお願いします」
店員「ありがとうございまーす^^」
605
:
4
:2012/08/17(金) 05:05:43 ID:???
数日後、バイト先
無「おはようございます」
バイト「あれ、萌那ちん。おはよーす」
無「相変わらずゆるいですね」
バイト「いやー、そんなことないよー。これでも一生懸命働いてますん」
無「それカウンターの下でケータイいじりながらいう台詞じゃないと思います」
バイト「仕方ないよー。普段シフト入ってないからサークルの先輩からお誘いのメールが来てさー」
無「あれ、そうでしたっけ」
バイト「そうそう。じゃなきゃ私は多分まだ寝てると思うー」
無「寝る子は育つというのを体言するような台詞ですね」
バイト「やだなー、夏休みの間だけだよう。ていうか萌茄ちゃんこそ、わざわざ休みとったのにどしたのー?」
無「あれ、今日私休みでしたっけ?」
バイト「やだなあ、私と今日のシフト交替してくれって言ったの、萌茄ちゃんだよー?」
無「・・・・・・あ。」
バイト「・・・・・・もしかして忘れてたあ?」
無「あああああああ・・・・・・」
バイト「あれ、なんか焦ってる?」
無「い、いや、そんなことは・・・・・・すみません、お疲れ様です」
バイト「おぅ、全力ダッシュ・・・・・・これは彼氏も怒っちゃうだろうなあ、萌茄ちんふぁいとー」
606
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/17(金) 05:06:05 ID:???
同日、タカシ宅
タ「・・・・・・どしたの、そんなに汗だくで」
無「よ、よかったら、飲み物を出してくれると嬉しいんだけど」はーはー
タ「あ、はい。麦茶でいいよね?とりあえず部屋行ってなよ」
無「・・・・・・うん」
タ「少しは落ち着いた?」
無「うん」コクコク
タ「で、一体どうしたのさ」
無「ほら、その・・・・・・一応は、約束、してるじゃない」
タ「ああ、うん。海に行く約束ね」
無「ごめんなさい」
タ「あー、えっと、うん」
無「・・・・・・怒らないの?」
タ「別に何も怒ることはないと思うけど」
無「・・・・・・そう」
タ「あれ、なんか落ち込んでる?」
無「別に、どうもしてない」
タ「嘘だ、絶対嘘だ。目がものすごい速さで泳いでる」
無「・・・・・・一応は、約束したわけだし。なのに私は―――」
タ「それよりさ、見てよこれ」バッ
無「?! ちょ、なんで急に脱ぎ出し・・・・・・」
タ「この腹筋を見よ」
無「・・・・・・」ぺしぺし
タ「いやんっ」
無「ふにふにしてない」
タ「いやー、ストイックに頑張った成果だよこれは。あれから毎日腹筋してたからね。ある意味青春かも」
無「ちょっと待って。タカシが一人で謳歌しちゃったら、私の青春はどうなるの」
タ「それはそれ、これはこれでしょ」
無「でも、せっかく海に行くんだと思って、私も少しは頑張って・・・・・・」
タ「連日バイト漬けだったね」
無「・・・・・・ちょっと待ってて」
タ「あ、えっと、はい」
無「トイレ少し長く借りるけど、違うんだからね」
タ「あとで便座ぺろぺろしておきますね」
無「そうね、そしたら後でカビキラーがどんな味なのか教えてちょうだい」
607
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/17(金) 05:06:37 ID:???
数分後
無「ただいま」
タ「便秘ですか?」
無「・・・・・・」
タ「その握りこぶしを振り下ろすんですか?振り下ろしちゃうんですか?」
無「別に殴ったりなんかしないわよ」
タ「で、トイレを少し長く借りて何してたのさ。わざわざトイレで」
無「何って、途中で見られるのはさすがに嫌だし」
タ「むしろそれで喜んじゃってたらかなりアブノーマルな趣向の持ち主だと思う」
無「そこまでは言わないけど、やっぱりそれなりにちゃんとした関係になってからでないと」
タ「・・・・・・え、そういう趣味だったの?え?えぇ?」
無「バカな勘繰りはやめて。・・・・・・ああもう、ちょっとあっち向いてて」
タ「いや、ちょっとさすがにここで用を足すのはやめ」
無「早く」
タ「はい」
無「・・・・・・」ごぞごそ
タ「もういいですか」
無「待って」もぞもぞ
タ「もういいですよね」
無「ああもう・・・・・・向きたきゃ向けばいいじゃない」
タ「ではお言葉に甘えぶっ」
無「・・・・・・なに」
タ「・・・・・・ここ、室内ですけど」
無「当たり前のことを言わないで」
タ「・・・・・・室内で水着っていうのは当たり前のことじゃないと思います」
無「だって、せっかく買ったのに着ないなんて勿体ないじゃない」
タ「いや、それはそうだけど。まさかトイレに行ったときに着てきたの?」
無「そう」
タ「ははーん、さてはどうしても俺に水着姿を見て欲しかったんだな?」
無「・・・・・・」
タ「目が泳いだ。顔を逸らした。ほんのり桜色に」
無「ああもう、うるさい。タカシが蚊だったらすぐにでも叩き潰してるのに」
タ「ごめんなさい。でも可愛いと思うよ、うん。すごく」
無「・・・・・・ほんとに?」
タ「ほんとほんと。柄も可愛いし、すごく似合ってる」
無「・・・・・・そう」
タ「いやしかし、これはなかなか豊かに実ってますな」
無「うるさいバカ。あんまりじろじろ見ないで」
タ「じゃあなんでわざわざ着替えてきたのさ」
無「せっかく海に行く約束して、私もわざわざ代休まで取ってたのに、肝心の当日に忘れてて全部台無しにしちゃったから」
タ「あー、うん。なるほど。んで?」
無「・・・・・・タカシだって男の子でしょ。少しは期待してたと思うし、だからそのお詫びというか・・・・・・ああもう、うるさい。もう服着るから」
タ「水着の上に着るんだ。・・・・・・そういえば、なんでさっき俺に後ろ向かせたのさ」
無「下に水着着てても、服を脱いでるところを見られるのは恥ずかしいじゃない」
タ「顔に出さないだけで本当は色々考えてんだねえ」
無「私だって乙女だもの、当然でしょ」
タ「まあ、なんとなくわかるからいいけど。ああ、それとすごく大事な話があるんだけど」
無「大事な話?」
608
:
7
:2012/08/17(金) 05:07:19 ID:???
タ「そうそう、海に行く日のことなんだけどさ、どうも台風が上陸する日とドンピシャらしくて」
無「台風上陸って、冗談でしょ?快晴じゃない」
タ「うん、今日はね」
無「今日は、って、なによその言い方。台風が上陸する日が違うみたいじゃない」
タ「そうだね、だから海に行く日も今日じゃないね」
無「え?だって今日は水曜日でーーー」
タ「そうだね、海にいくのは来週の水曜日だね」
無「・・・・・・」
タ「・・・・・・」
無「・・・・・・」
タ「水着姿ごちそうさまでした」
無「・・・・・・!!!」
タ「そうだよね、冷静に考えたら何してるんだろうってなるよね」
無「やめて」
タ「予定の日取りを間違えて、約束も特に破ってなくて、なのにわざわざ水着に着替えて、しかも部屋の中でそれを見せて」
無「それ以上喋ると、今日のことを全て忘れるまで屋根から飛び降りさせるわよ」
タ「そこはせめて自分の労力を使おうよ」
無「いや。今日はもう、なんだか色々ありすぎて疲れてるんだから」
タ「そうですか」
無「私はもう寝るから。ベッド借りるからね」ぽす
タ「わざわざ来たのに寝るってどうなの」
無「確かにここはタカシの部屋だけど、私が何をしようと私の勝手でしょ?」
タ「ジャイアニズムに通じるものがあるね」
無「いいじゃない、あなたの我侭だってたまには聞いてあげてるんだから」
タ「右手で余裕で足りる数じゃないのそれ」
無「それなら、今何か一つ聞いてあげてもいい」
タ「う、急に言われると思いつかないって。じゃあ・・・・・・そうだ、おやすみのキスとか」
無「もし来年大学に受かれたら考えてあげる」
タ「今じゃないし・・・・・・」
無「そうね。でもそれで勉強をやる気が出たなら私は全力で応援するわ」
タ「ぼちぼち頑張るよ。しかし、萌茄が寝るんなら俺は結局暇なんだよなあ」
無「ならタカシも寝れば?」
タ「ベッドは萌茄が使ってるじゃん」
無「・・・・・・」
タ「どしたん」
無「・・・・・・床の上に寝ろというのはさすがに部屋の主に対してあまりに図々しいから言うけど、ベッド・・・・・・そうね、半分だけなら使ってもいいかな」
タ「それって要約すると添い寝ですか」
無「添え、とは言ってないじゃない。半分使っていいって言ってるだけ。それじゃ、本当におやすみ」ごろん
タ「ああ、はい、では遠慮なく・・・・・・いや俺の部屋だから遠慮する必要ないのか。おやすみ」ごろん
609
:
8(〆)
:2012/08/17(金) 05:09:11 ID:???
タ「いやこれやっぱ添い寝だよね」
無「・・・・・・」スー
タ「・・・・・・なんだ、もう寝てるのか」
タ「海に行けそうにはないけど、これはこれで青春だよなあ」ごろん
タ「しかし、こうして寝てれば特に毒もない普通の女の子なのに」
タ「・・・・・・おでこに髪の毛はりついてるし」さわさわ
タ「いや、普通の女の子というよりは小動物というかなんというか・・・・・・」なでなで
タ「・・・・・・吐息を唇に感じるのもれっきとした間接キスではないだろうか」
タ「・・・・・・寝てるし、今ならキスくらいはしても大丈夫なのでは」
無「・・・・・・」
タ「・・・・・・あの、萌茄さん、顔が赤くなってますよ」
無「・・・・・・タカシがいるから厚くて寝苦しいだけ」ぱちくり
タ「あ、じゃあやっぱり僕床で寝ますね」
無「そのほうが涼しくて快適でしょうね」
タ「少しは引き止めてほしいよまったく。よいしょっと、とと、と」ぼふ
無「もう、揺らさないでよ。眠れないじゃない」
タ「あの、シャツの裾を掴まれてたら体を起こせません」
無「じゃあベッドで寝るしかないわね」
タ「・・・・・・もうしばらくこのまま添い寝して欲しいと素直に」
無「おやすみ」
タ「ああ、はい、おやすみなさい。・・・・・・素直じゃないなあ」
無「まんざらでもないくせに」ぎゅう
610
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/17(金) 07:03:55 ID:???
>>609
GJ!! この無表情さん可愛すぎるwww
611
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/18(土) 02:06:53 ID:???
やべぇかわいい!!!目覚めが気になるな…
612
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/19(日) 23:29:39 ID:???
むはー
やっぱり無表情さんは至高やわぁ
613
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/23(木) 03:45:10 ID:cUj.fjsE
「ねぇ」
「あ?」
「なんでファミレス?」
「この時間ならいつまでいても文句言われないから」
「文句言われなくても迷惑じゃん?」
「大丈夫」
「なにを根拠に……」
「お前が外出たいって言ったんじゃん」
「……そーだけどさー」
「なんだよ」
「……別に」
「奢るからなんでも頼めよ」
「やだ。太る」
「ん、じゃあドリンクバーでいいか?」
「いらない」
「……じゃあどうすんだよ」
「お冷でいいじゃん」
「はいはい……じゃあ俺はポテトでも食おうかな」
「なにそれ。じぶんだけ?」
「おめーがいらねっつったんだろ」
「……ふん」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………なに」
「……はぁ」
「…………チッ」
「しょぉおーがねぇえなぁぁああ……!」
「うるさい」
「うっせー、ほれ行くぞ」 グイ
「は? どこに?」
「ドライブだよ。こんな時間じゃカラオケぐらいしかねーけど、お前音痴だし」
「……お兄に言われたくないし」
「うっせーよ。ほれ行くぞ」
「…………ばか」 ギュッ
614
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/23(木) 03:46:13 ID:cUj.fjsE
おわり
深夜のファミレスで見た出来事をアテレコしてみた
615
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/15(土) 02:06:14 ID:???
男「なあ女。こんなお土産を買ってきたんだが」
女「んー?なんねそれ?うわっ、なにこのもさっとると。……猫耳?」
男「そうそう。お前に似合うと思って」
女「に、似合うわけなかろーもん!こがんと恥ずかしゅうてつけれんよ!」
男「いや、絶対似合う。むしろ似合わないわけがない」
女「に、似合わんかったら今日の昼飯おごりやけんね?!」
男「いーから、さっさとつけなって。ほら」
女「………」
男「おお、似合う似合う」
女「な、なんかはずかしゅうて……これでよかとかにゃー……?」
男「いやもう、マジで完璧。それならどこに出しても恥ずかしくないよ、うん」
女「そがん褒められるとなんか照れるにゃー……///」
男「いやだってお前いつもにゃーにゃーって言ってるじゃん」
女「こ、これは方言やけん!仕方ないと!///」
後日
女「つかれたにゃー」
女「お腹すいたにゃー」
女「これでよかとかにゃあ……?」
男「猫耳つける?」
女「やけん、方言ってば!あーもう、うるさかにゃー!」
男「にゃー」
最近ようやくインターネットが普及しはじめたローカル地域
規制いつになったら解けるん・・・・・・?
616
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/15(土) 02:16:11 ID:???
俺の地元もこんな感じの方言だったら…!
素晴らしいにゃあ!
617
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/15(土) 08:34:47 ID:???
にゃあ可愛い!!
九州の方言かな
618
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/19(水) 08:49:43 ID:???
ぶっちゃけ方言いじられるのはかなり恥ずい
つまり羞恥プレイしたいほうだいってことだな
619
:
1/4
:2012/09/28(金) 20:23:43 ID:???
先週までのうだるような暑さはどこへやら。天候は九月が終わりかけだと気付くや否や、思い出したように寒々しい北風をふかし始める。
道行く人の服装も、もはや半袖姿が珍しいくらい。中にはコートを羽織る気の早い奴もいた。
そんな秋の日曜、昼下がり。
俺は猫又モドキのちなみさんから猫パンチを受けつつ、退屈な休日を惰眠して過ごしていた。
「………にゃ」
ちなみさんは明らかに眠ろうとしている俺の事など一切お構いなしに、
にゃあにゃあと口やかましく鳴きながらぷにぷにした肉球をスタンプのように押し当てる。
この人っぽいが猫っぽくもある生き物は100年生きただか油をすすっただか言われている猫耳少女で、名を椎水ちなみ。
今時珍しい平屋の我が家にいつのまにやら居つき始めた、それはそれは厄介な居候なのである。
「……てい、てい」
強引に瞼を閉じ続けるも、ちなみさんは構わず肉球で俺の顔を圧迫してくる。
大企業の社長ごっこでも始めたのだろうか。スタンプ押しがしたいなら、外に干してある布団の上でやってほしいのだが。
「…………」
尚も無視を決め込んでいると、やがてスタンプを押す手が止まる。
とはいえ、この様子じゃ諦めていないだろう。
長い付き合いだ。目を閉じていても、頬を膨らまし不機嫌になるちなみさんの姿が手にとるように想像できる。
さて、どう出るかと俺が様子を伺っていると──。
「…じゃきん」
「待て、爪を出すな」
流石にそれは洒落にならない。俺は慌てて飛び起き、まさに今爪を出し始めたちなみさんをどうどうと宥める。
「人が寝入っている隙に何をする気ですかちなみさん」
「……だって、起きないから」
「起きてほしいならそう言ってくださいよ。人語喋れるでしょう貴方」
とは言いつつも、もうすっかり起きてしまった事も事実。
俺は仕方なく布団替わりのタオルケットを畳み、枕を押し入れに押し込んだ。
620
:
2/4
:2012/09/28(金) 20:24:30 ID:???
「……で、どうしたんですか。俺と遊んで欲しいんですか?」
「なめるな。……あれ」
そう言ってちなみさんは、人の腕を上げてその先についた猫の手で指をさす。
そこは丁度、俺が枕をしまった押し入れ──の下段。あまり使ってないものを押し込んだスペースの一角に、こじんまりとした箱が閉じ込められていた。
「…七輪、ですか」
言いながら、俺はぼんやりと去年の秋を思い出す。
この七輪は親父の代から使っている年季の入った代物で、小さいころからこれを使い魚や肉、スルメ、海苔、おにぎりやパンなど色々な物を焼いて楽しんできた。
去年の秋も「消え行く日本の風景を復活させよう」と題し、庭でサンマを焼いて食べたものだ。
…そう言えば、ちなみさんと会ったのも去年の秋だっただろうか。
焼きサンマの匂いにふらふらと釣られ、庭に転がり込んできたのが最初だ。
「懐かしいですね」
そんな昔をしみじみと思い返していると、不意にかちゃ、と何かが開いたような音がする。
見ればちなみさんは器用に立って冷蔵庫を開け、中から何か細長い凶器のようなものを口に咥えた。
「それは?」
「ふぁ」
咥えたままもごもごと返事をし、俺の目の前にそれをぺいっ、と出す。
見ればそれには目があり、口があり、ヒレがある。
なんてことはない。昨日スーパーで買ってきた冷凍サンマだ。
冷たいものを咥えたせいか、ちなみさんは舌をぺっぺっと震わせていた。
「…あー、成程」
冷凍サンマと七輪。
これだけヒントを出されれば、普段鈍感と名高い俺でも何がしたいのかは容易に分かる。
「焼け、って事ですか」
「ん」
ちなみさんの簡素な答え。それに反論する理由も、特にはない。
俺は押し入れの前に屈み、七輪の入った箱を抜き出した。
621
:
3/4
:2012/09/28(金) 20:25:29 ID:???
それから1時間。
俺とちなみさんは庭に出て、煙立つ七輪の前に屈んでいた。
「……まだか」
ちなみさんは今にも「お魚くわえたドラえもん」と化しそうな程、食い入るようにサンマを見つめている。
「まだです。今食べたら中が冷たいですよ。」
俺はそんなちなみさんを片手で制しつつ、菜箸で焼き加減を確かめる。
今日の天気は爽やかな秋晴れ。色付き始めた空気に吹かれ、炭の火で暖を取りながら焼けるのを待つさまはまさしく秋。
ちなみさんのワガママとは言え、俺は今の雰囲気に充実した何かを感じていた。
「…そろそろ、ですかね」
言いつつ、サンマを皿に取り分けようと菜箸に取った瞬間。
「…んみゃっ!」
「あっ、コラ!」
その横を掠めるように、ちなみさんがサンマを奪い取った。
「欲張りは痛い目を見ますよ」
「………っ!? あ、あふっ!」
訳知り顔で言う俺と、サンマを口から離し悶えるちなみさん。
そう、猫人間たる彼女はまごう事なき猫舌。
焼けたサンマを直に咥えて、熱くないはずがないのである。
──ちなみに、口から離れたサンマは俺が奇跡の皿捌きでキャッチした。
622
:
4/4
:2012/09/28(金) 20:25:55 ID:???
「……去年もやりませんでしたっけ、このやりとり」
「………」
舌が痛いのがバツが悪いのか、だんまりのちなみさん。
俺はやれやれと肩をすくめ、サンマをごにょごにょと解体する。
箸に取りふー、ふー、と息を吹いて、ちなみさんに献上した。
「はい、あーん」
「……ばかにすんな」
──しかし悲しきかな。折角「あーん」とまで言ってやったのに、ちなみさんは口を開いてはくれなかった。
一人前に照れでもあるのだろうか。ぷいとそっぽを向き、皿に乗ったサンマの方におもむろに口を近づける。
「あ、そっちは…」
「ん……にゃうっ!」
忠告してやる暇もなく、ちなみさんはサンマの皿に顔を突っ込む。
予想通り熱にやられたどころか、もう一つ予想外に骨が顔に刺さったらしい。
ちなみさんは猫であれば面白ビデオ大賞に送れそうなリアクションで飛びのき、庭を転げた。
「…だから言ったのに」
俺は行き場をなくした哀れなサンマ一欠けを口に運び、改めて皿からサンマを取ってやる。
もう一度ふー、ふー、と息を吹き、ようやく立ち直ったちなみさんにもう一度差し出した。
「はい、あーん」
「………ん」
ようやく学習してくれたらしく、ちなみさんは頬を赤くしながらも俺の菜箸からサンマを食べてくれた。
その顔は幸福と気恥ずかしさの入り混じったような表情で──だからだろうか。俺はそんな彼女に、少しだけ意地悪をしてやりたくなった。
「ああ、ところでちなみさん」
「……んむ」
「さっき、俺も一切れサンマを頂いたんですが」
にやりと笑い、俺は菜箸をちょんちょんと指す。
「これって、間接キスですよね?」
「……っ!?」
ちなみさんの人間ヘッドによる頭突きが、晴れ渡る秋の空に響いたのであった。
623
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/29(土) 03:32:14 ID:???
猫又ちなみさんカワユスなあ
624
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/29(土) 15:58:38 ID:???
GJ!!
俺のところにも猫又ツンデレ来ないかな
625
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/09/29(土) 23:34:17 ID:???
猫ちなみんかわえええええ
626
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/09(火) 00:42:23 ID:???
かつみん の ゆうわく の こうげき !
18さい みまん は みちゃ だめだぞ !
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2639.jpg
昨日体育の日だったので、かつみんはタカシとたくさん運動したとかしないとか
627
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/09(火) 02:44:33 ID:???
なんという殺人級おっぱい
けしからん
ふぅ
628
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/09(火) 07:00:23 ID:???
これはけしからふぅ
629
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/09(火) 07:12:40 ID:???
なるほど
何でこっちかと思ったらそういうことかふぅふぅふぅ……
630
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/26(金) 13:53:04 ID:???
・僅かな時間でも男との時間を作ろうとするツンデレ
「ふぃー、出た出たっと……おや」
「…………」
「男子便の横でなにしてやがるちびっ子」
「……ちびっ子違う……世界が大きくて広いだけ……」
「なに壮大なこと言ってんだ。それにしても待ち伏せとは悪趣味だな」
「……待ち伏せでもない……たまたま校内を徘徊してて……たまたま休憩がてら座り込んでたら……たまたまそこが男子トイレの横で……たまたまタカシが出て来ただけ……」
「こんな校舎端で薄暗くてトイレと物置ぐらいしかなくて掃除もろくに行き届いてないような誰もこない場所にわざわざ散歩とな?ますます悪趣味だな」
「……うるさい……台詞が長い……早漏」
「女の子がそんなこと言っちゃいけません。そんで早漏でもねーし」
「……こんな辺鄙な場所のトイレを使うなんて……人に言えない……いやらしいことをしているに……違いない……そしてタカシはものの5分も待たずに……トイレから出てきた……つまり早漏……以上、Q.E.D」
「わけのわからん理屈を並べるな。そんでやっぱり最初から見てたんじゃねーか。まさか教室からついて来たのか?」
「……べ……べつに……」 プイッ
「ふーん」
「…………」 ツーン
「…………」
「…………」 チラッ
「あー……わかったわかった。それじゃあちょっとここで待ってろ」
「え」
「すぐ戻るから。ここで待ってろよ、いいな!」 タッ
「あ……ちょっ……」
「すぐ戻るからー!」 スタタタタタ…
「…………むぅ……」
631
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/26(金) 13:53:38 ID:VsIvxe0o
〜〜
「おまたせ。ほれ」
「……なにこれ」
「イチゴオレ。紙パックタイプだ」
「……そんなのは……見ればわかる」
「嫌いか? いらないなら返せよ、俺が飲む」
「…………飲むけど……」 プスッ
「いやさ、最近ちなとあんまり話してないなって思って」 ジューッ
「……それでなんでイチゴオレ……」
「長話には飲み物がいるだろ?」 ジルジルジル
「…………まぁ……うん……」 チュー
「で、最近どうよ」
「ん……、……SAOが……熱い」
「いや交友とか」
「……友ちゃん以外……友達いない……」
「あー……友子ともクラス変わっちゃったんだっけ……。つーか俺は?友達じゃないの?」
「…………タカシはただの……腐れ縁……調子に乗るな」
「ぐへぇ」
「…………」 チュー
「…………」 ヂルヂル
「…………タカシは?」
「俺? 俺は、この前赤点とった」
「……馬鹿」
「うるせーよ学年トップ。勉強ばっかしやがって」
「……他にすることないし」
「遊びに出かけたりしねーの? 買い物とか、カラオケとか」
「……店員さんが怖いから買い物は通販……そして私は音痴」
「お前実は弱点だらけな」
「……うるさい」
632
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/26(金) 13:54:05 ID:???
「…………」 ヂュー
「…………」 チルチル
「……ちなみー」
「……なに」
「呼んだだけ」
「……、……ばかじゃないの」
「うっせ」
「…………」
「…………」
「……おい、ばか」
「馬鹿じゃありませーん」
「……ばーか」
「知らねーの? 馬鹿って言った方が馬鹿なんだぜ」
「……ふーん」
キーンコーンカーンコーン
「む、もう昼休み終わりか」
「…………うん」
「あと1時間はあってもいいよな」
「……別に」
「えー」
「…………」
「んじゃ、教室戻るか」
「……ん」
「? ……行かねーの? 遅刻するぞ?」
「ん…………、あ、あの……さ」
「なんだ?」
「……っ……、……ぃゃ…………イチゴオレ……美味しかった……ありがと」
「ん、そっか。そりゃ良かった」
「…………うん……」
「…………」
「…………ぃ……行こっ」
「ちな」
「……っな…………なに……?」
「ん……今日、一緒に帰るか」
「……!」
「嫌か?」
「…………しっ……仕方なく……一緒に帰ってやる……だけなんだからっ……!」
「はは、なんだそりゃ」
「ぅ……うるさいっ……!」
「じゃ、さっさと教室戻るか」
「…………うんっ♪」
633
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/26(金) 13:54:30 ID:VsIvxe0o
おわり
634
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/26(金) 19:03:07 ID:???
可愛すぎて死ぬかと思いながらも必死に耐えていたが最後のセリフで死んだ
つまりはGJ!!!
635
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/10/27(土) 10:16:58 ID:???
ちなみん本当は寂しがりやなんだろうな……
切なくて可愛くてGJ!!
636
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/04(日) 20:49:16 ID:???
久しぶりにきたら板移動してて書き込めると思ったら結局規制されてたやつ。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2651.jpg
637
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/04(日) 21:12:46 ID:???
ホントに久しぶりだ!
そしてかなみさんかわいい!
638
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/04(日) 21:51:46 ID:???
久しく見ないと思ってたら規制されてたのか
相変わらず可愛いかなみさんだ
639
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/04(日) 22:53:30 ID:???
もっとくれください
640
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/04(日) 23:27:02 ID:???
>>636
久しぶりにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
相変わらず貴方の描くかなみさんは素晴らしく可愛いぜ!
641
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/04(日) 23:35:49 ID:???
>>636
ホントに久し振りだwwwww
あなたのかなみさんに会いたかったよ。・゚・(ノД`)・゚・。
気の向いた時にこっちでも代行スレでもまた投下して下さい
642
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/05(月) 00:03:51 ID:???
>>636
いやー、かわいいかなみん見られて眼福眼福w
GJ!!
643
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:18:15 ID:y2rILRRg
「お兄」
「あ?」
「ご飯まだ?」
「もうちょっと。テーブル拭いとけ」
「もうやったし」
「じゃあコップとスプーン並べとけ」
「やった」
「じゃあ座って待ってろ」
「…………」 ジー
「…………」
「…………」 ジー
「……なんだよ」
「別に」
「立ってないで座ってテレビでも見てろよ」
「……はーい」 スタスタ
「ったく……」
644
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:18:45 ID:???
〜〜
「ごちそうさま」
「……はや」
「お前の口が小せえだけだ」 カチャ
「ちょっと」
「ん?」
「おいといてよ」
「は?」
「お皿」
「なんで」
「……別に」
「これから洗濯とか風呂とかあるから、早く食器片付けたいんだけど」
「じゃあ先に洗濯してきてよ」
「なんでだよ」
「なんでも」
「…………どうでもいいけど、さっさと食えよ」
「置いといてよね」
「はいはい」
「……ふん」
645
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:19:10 ID:y2rILRRg
〜〜
「さてと……後は風呂沸かして食器片付けるだけ……」
<ガシャンッ、パリンッ!
「!? どうしたっ!?」
「ぁっ……!」
「な、なにしてんだ!」
「べ、別にちょっと手がスベっただけだし……」 カチャ…
「さわんな!」 ガシッ!
「っ……!?」
「……はぁ……お前あっちいってろ。割れた皿は俺が片しとくから」 グイッ
「……っ」
「…………」 カチャ…
「…………」
「…………」 カチャ、カチャッ
「…………」
646
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:19:39 ID:???
〜〜
「…………」
<コンコン
「…………」
「風呂湧いたぞ」 ガチャ
「……なに勝手に入ってきてんの?」
「返事しないのが悪い」
「…………。……今はいい。後で入る」
「あっそ、じゃあ先に入るかんな」 ガチャ
「…………」
「……布団にくるまったまま寝んなよ」
「……うるさい」
「はいはい」 バタン
「…………」
「…………」
647
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:20:29 ID:???
〜〜
<コンコン
「上がったぞ」 ガチャ
「…………」
「起きてたか。ほらさっさと入れ」
「……わかった」
「あっそ。じゃ、俺もう寝るから」
「…………お兄」
「ん?」
「こっち来て」
「なに?」
「ここ座って」 ポンポン
「…………」 ボスッ
「…………」
「……なに?」
「…………。……手」
「手?」
「マッサージしてあげる」
「なんで?」
「してあげる」
「…………じゃあ、左からヨロシク」
「ん」 ギュ
648
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:21:02 ID:y2rILRRg
「…………」
「…………」 ギュムギュム
「…………」
「…………。……気持ちい?」 ギュムギュム
「お前力弱過ぎ。貸してみ」 ギュ
「あっ」
「マッサージはこうやってするんだよ」 ギュッギュッ
「んっ……ん……」
「気持ちいか?」 ギュッギュムッ
「ん……ま、まあまあ」
「じゃ、さっさと風呂はいれよ。俺はもう寝る」 パッ
「ぁ……ちょっ」 ガシッ
「いでっ!」
「わっ、ごめ、ん?」
「……なんだよ急に。ビックリしただろ」 パッ
「…………」
「……なんだよ」
「…………。……右手」
「あ?」
「右手、まだやってない」
「別にイイって。お前力よえーし」
「大丈夫。早く」
「イイって」
「は、や、く」
「……はぁ」
「ん」 ギュ
「…………」
「……やっぱり」
「んだよ」
「指、切れてる」
「うるせー」
「……さっき?」
「ちげーよ」
「嘘つけ」
「…………」
649
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:21:27 ID:???
「……ごめん」
「……何が?」
「あたしが、お皿割ったから」
「お前のせいじゃねーだろ」
「…………ごめん」 シュン
「……はぁ」
「…………」
「…………」 ポンッ
「……?」
「…………」 ナデナデ
「……ん……」
「……今日は、手伝ってくれてありがとな」 ナデナデ
「…………」
「明日は、一緒に夕飯作るか」 ナデナデ
「…………」
「…………」 ナデナデ
「…………うん」
「ん」 ナデナデ
「…………」
「じゃ、さっさと風呂入れ」
「…………」
「……?」
「…………ぁむっ」 パクッ
「!?」
「ん……んむ……」 レロ…
「なっ! に、を……!」 バッ‼
「唾つけとけば治るって言うじゃん」
「は、……はぁ?」
「治してあげる」
「い、いやっ、いいから!」
「兄妹でなに恥ずかしがってんの?」
「いやいやいやいやそういうアレと違うしっ」
「いいから、早く」
「いや自分の傷は自分で舐めるって、ほらっ」 パクッ
「えっ」
「な? 別にお前に舐めてもらわなくてもいいだろ?」
「……〜〜〜〜っ……! ばかっ!」 ガチャッ、バタンッ‼
「……な、なんなんだ……?」
〜風呂〜
「(ぅうぅうううぅぅううう〜〜〜っ! お兄のバカッ! アホっ! エッチ!)」 ブクブクブクブク
「(ってかあたしもなにしてんだよもぉぉおおぉぉおぉおおお!!!)」 ゴボゴボゴボゴボッ
650
:
褒めてもらいたいお年頃
:2012/11/08(木) 03:21:51 ID:y2rILRRg
終わり
651
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/08(木) 03:32:52 ID:OwZ9zrvA
はい素晴らしいよー
652
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/08(木) 04:48:37 ID:gOI2tQZQ
これは素晴らしすぎる
653
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/08(木) 22:58:54 ID:???
妹可愛いよ妹
654
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/09(金) 02:02:52 ID:???
これ可愛くないって言うやついるのってレベルの可愛さ
655
:
合図は雷注意報
:2012/11/15(木) 16:27:46 ID:PFcoxlsM
>コンコン
「んー」 カタカタ
『お兄』 ガチャ
「んー?」 カタカタ
『外見た?』
「見てない。どうかしたか?」 カタカタ
『あられ』
「あ?」 クルッ
『あられ降ってる』
「マジ? まだ11月だぞ」 ガタ、ガラッ
『マジ』
「うわ、すげー降ってる。音楽流してたから降ってる音に気づかなかったわ」
『早く窓閉めてよ。寒い』
「そうだな」 ピシャリ
『…………』
「? それだけ?」
『は?』
「それ言うためだけにわざわざ俺の部屋きたの?」
『別に』
「別にって……まあいいけど」 クル、カタカタ
『あ、漫画読ませてよ』
「あ? ああ、好きなだけ持ってけ」
『ここで読むからいい』 ボフッ
「俺そろそろ寝るんだけど」
『ふーん』 ペラ
「…………」
『…………』
「……ったく」 カタカタ
『…………』 ペラ
「…………」 カタカタ
656
:
合図は雷注意報
:2012/11/15(木) 16:28:34 ID:???
>ピカッ! ドーン! ゴロゴロゴロゴロ…
「ぅおっ! 雷?」
『…………』
「今のはどっかに落ちたかもなー。距離は遠いだろうけど」
『…………』
「今の見たか? すげー雷だな」
『見てない』
「は?」
『見てないし』
「いや今すげー光ったべ。つかいつの間に毛布ん中に潜り込んでんだよ」
『見てないってば』
「…………」
『…………』
「……なに、こえーの?」
『はぁ? そういうのやめ』 バッ
>カッ!
『ひぅっ!?』 ガバッ
「…………」
『…………』
「今ビビったろ」
『そんなんと違うから』
「悲鳴あげたじゃん」
『違いますぅ、お兄の顔が醜悪すぎて驚いただけですぅ』
「んだコラ、毛布引っぺがしてやんよ」 グイ
『ちょっ、やめてよっ』 ギュゥ
「オラオラ」 グイグイ
『ちょっ、やだっ』 ギュゥウ
「ほれほれめくれちゃうぞー」 グイグイ
『やめっ』
>カッ! ドォーン!!
「うおっ」
『きゃあっ!!』
657
:
合図は雷注意報
:2012/11/15(木) 16:29:23 ID:PFcoxlsM
「今の近いな。大丈夫か?」
『…………』 プルプルプルプル
「……おい」 ポン
『ひっ!? え、な、なに!?』 ビクッ
「大丈夫か?」
『な、なにが? 別に? なに?』
「…………」
『…………』
「…………」
『……ちょ、ちょっと』
「あ?」
『な……なんかしゃべれ』
「は?」
『なんか話してよ』
「なんでよ」
『べ……別にっ』
「じゃあやめた」
『はぁ?』
「怖くないんだろ?」
『…………怖くない』
「じゃあいいじゃん」
『…………。…………コワイ』
「あ? なに?」
『かっ……! 雷怖いからっ、なんかお話してよっ……!』
「…………(なんだこいつ。可愛いな)」
『うぅ……』
「んじゃあもうちょっと詰めて」
『え?』
「ベッド。狭いっつーの」
『は? え?』
658
:
合図は雷注意報
:2012/11/15(木) 16:33:40 ID:PFcoxlsM
「いや俺もう眠いから。話しながら寝るわ」
『はぁあ!? ちょっ』
「はいはい詰めた詰めた」 グイグイ
『ひゃぁっ! どこ触ってんの!』
「毛布の上からじゃわかんねーよ。早くしろ」
『くっ…………これでイイ?』
「ん、で?」
『?』
「何話して欲しいんだよ」
『は? 私が決めんの?』
「当たり前だろ」
『えー……うーん……』
「…………」
『が……学校のこと、とか?』
「大学? そうだな……あ、この前合コン行ったわ」
『は!?』 ガバッ
「声でけぇよ。なんだよ」
『ご、合コンってアレでしょ? 男と女が集まっていろいろ……あ、アレなコトするやつでしょ?』
「アレなことってなんだよ……ちょっと飲んだり話したりしただけだっつーの」
『…………』 ジトー
「……なんだよ」
『め、メアドとか……交換した?』
「まあ、したけど。別に連絡取り合ったりとかはねーよ」
『ふ……ふーん……そっ、か』
「うん」
『……可愛い人とか、いなかったの?』
「は? うーん……そこまで……のは、いなかったな」
『へ、へー』
「…………」
『…………』
659
:
合図は雷注意報
:2012/11/15(木) 16:34:03 ID:PFcoxlsM
「……あー……」
『……なに』
「お前より可愛いのはいなかった、かな」
『』 ビクッ
「…………」
『…………』
「…………」
『…………。……もうねる』
「……おう」
『…………』モゾモゾ
「…………(言わなきゃよかっ、た?)」
『…………』 ギュゥ
「な……なんだよ」
『別に? ちょっと手触っただけじゃん』
「いや…………うん……(モロ握ってるけど……)」
『うん』 ニギニギ
「…………」
『…………』 グニグニ
「…………」
『……ちょっと』
「…………なんだよ」
『手汗、ペタペタするんだけど』
「……嫌なら握るのやめれば?」
『…………』
「…………」
『…………怖いから』
「…………」
『雷怖いだけだから』
「あ? ……あぁー……?」
『……あほ』 ギュゥ
「…………」
『…………』
「……もう寝るわ。おやすみ」
『ぁ……うん』
「…………」
『…………』
「…………」 ギュ
『!』 ビクッ
「…………」
『……ん……』
「…………」
『…………おやすみっ』 ギュッ
660
:
合図は雷注意報
:2012/11/15(木) 16:34:28 ID:PFcoxlsM
おわり
661
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/16(金) 00:21:47 ID:???
雷怖いの口実に甘える妹可愛い
662
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/16(金) 02:15:39 ID:???
この妹毎度可愛すぎるんですけど
そろそろ萌え死ぬぞ俺は
663
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/26(月) 07:27:39 ID:???
ツンデレ、というよりはツンツンと恋仲になるまでだろうか
ツンデレの素質は盛り込んだつもりだけどよくわからん
一人称小説形式
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2661.txt
664
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/26(月) 11:31:05 ID:???
はっはーん、続いて欲しい物だ!
可愛い!!
665
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/26(月) 17:14:45 ID:???
>>663
うわー、すっごい可愛い!
GJ!!
666
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/27(火) 03:13:19 ID:???
これは…良いものだ…
ぜひ続きを!
667
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/27(火) 03:21:16 ID:LbyOngmQ
>ガチャ…
『…………』 ソーッ…
「zzz」
『…………ホッ』
>パタン…
『…………』 ジー
「zzz」
『…………ヨイショ……』 モゾモゾ
「zz……ん」
『』 ビク
「ムニャ……zzz」
『…………フゥ』
「zzz」
『…………』 ジー
「zzz」
『…………』 フニフニ
「んぅ……zzz」
『』 クスクス
「zzz」
『…………』 ギュ
「zzz」
『……♪』
668
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/27(火) 03:21:42 ID:LbyOngmQ
〜〜
「ふぁ〜ぁ……おはよう」 ガチャ
『おはよう。早く朝ごはん食べてよね』 カチャカチャ
「んー……母さんは?」
『もう出た』 ジャー
「そうか……いただきます」 モソモソ
『…………』 キュッ、ガタ、ストン
「…………」 モグモグ
『…………』 ジー
「……なんだよ」
『別に。それより早く食べてよ。お皿洗えないじゃん』
「ん……」 モグモグ
『…………』
「…………」 モグモグ
『…………美味しい?』
「ん? うん」 モグモグ
『ふーん……』
「ん……(モグモグ、ゴクン)ごちそうさまでした」
『ん』
「じゃあ皿宜しく。着替えてくるから」 ガタ
『あ、ちょっと待って』 グイ
「あ?」
『ん、ほら、お弁当。ついてたよ』
「あ、本当だ。ありがと」
『ん、早く着替えてきなよ』
「はいはい」 スタスタ…
『…………』
『…………』 パクッ
『…………』
『…………んふっ♪』 ニヘ
669
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/27(火) 03:22:23 ID:LbyOngmQ
おわり
食べカスのことお弁当って言うの萌える
670
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/27(火) 03:58:37 ID:???
ツンケンしつつも面倒見のいい妹がこんなんだったらどれほど幸せなことか
というかこれもう新婚だろこれ
671
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/11/28(水) 16:50:00 ID:???
>>668
可愛いなあおい
672
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/03(月) 10:44:09 ID:???
男「なにその服。そんなに肩出して、寒くないの?」
女「これが最近のはやりなの。どうかな?可愛い?」
男「大きすぎてだるんだるんじゃん。二の腕まで襟垂れてるよ」
女「こ、これでいいの。着方はこれで間違ってないの!」
男「なんで顔紅くしてんのさ。そんなに恥ずかしいなら脱げばいいのに」
女「〜〜〜っ!」
男(襟引っ張って顔隠すのはいいけど、裾からくびれがちらついてますよ。眼福眼福)
女「・・・・・・なにニヤニヤしてんのよ」
男「殴られそうだから言わない」
女「あーもう、ほっといてよっ!」
男(そんな出してたらお腹壊しますってば)
男「はいはい、せっかくの可愛い服が雑誌裏のハイネック広告写真みたいになってますよ」
女「ちょっ、なんで手をつかむの?!さわんないでよ!」
男「はいはい、可愛い可愛い。可愛いからちょっと手を離そうか」
女「なんかいや!」
男「ふははー、よいではないかよいではないかー」ぐいっ
女「あっ」パッ
ストンッ
男(襟が広すぎて肩に掛からずそのまま落ちただと?!)
女「〜〜〜っ!」
男「これは不慮の事故だよ。まさか俺だってこんなことになるとは痛《い》ってえっ!」
女「しねっ!いますぐしねっ!」
女「ね、ねえ」モジモジ
男「なんですか」
女「ほ、ほんとにあの服可愛かった?おかしくない?」
男「うん、すごくいいと思うよ」
女「そっか、うん、ならいいんだ。うん」
男(下着、ピンクだったなぁ)
ドルマンニットで妄想ひろがりんぐ
673
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/04(火) 17:49:06 ID:???
可愛いGJ!!
674
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/19(水) 23:55:58 ID:???
お題
・上司、停電、雷
>ピカッ‼ ゴロゴロ…
「うおっ……雷すごいっすねー」 カタカタ
『そうね。別府がさっさ処理しないで仕事貯めるから、益々酷くなってきたわね』
「すんません……」
『いいからさっさとやっちゃいなさい。雷が落ちて停電なんてしたらたまったもんじゃないんだかr』
>カッ‼ ッドーン‼‼
>バツンッ!
『きゃっ!?』 ガシッ!
「え?」
『…………』
「あっ…………ぅうぉおおぉぉおぉぁおおあぁぉあ〜〜〜……」 ガクッ…
『っ!? べ、別府?』 ギュッ
「嘘だろ……あと5分もあれば終わったってのに……このタイミングで停電とか……死にたい……」
『な、なんだそんなコト……い、いきなり変な声出さないでよね……何事かと思うじゃない……』
「すみません……でもこれはちょっと精神的に……」
『さっきも言ったけど、さっさと処理しておかないあんたが悪いのよ。文句言わないの』
「それはそうですけど……」
『まったく……文句言う暇があるならどうにかして明かりを確保しなさい』
「それもそうですね。とは言ってもケータイは貴重品ロッカーに預けたままだし、業務用のPHSはライトなんて着いてないし……どうしますかね?」
『そんなモノなくても、確か廊下に非常用の懐中電灯が設置されてるでしょ。そんなことも覚えてないの?』
「そう言えばそんなのありましたね。まあ取り敢えず俺とって来ますよ。椎水さんはここで待っててください」
『わ……わかった……』
「はい」
『…………』
「…………」
『……?なにしてんの? 早く行きなさいよ』
「え?いや……手を……」
675
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/19(水) 23:56:34 ID:1dXFnXow
『手?』
「あの……椎水さんが、手を離してくれないと……動けないんです、けど……」
『っ!?な、なにヒトの手ェ握ってんのよ!』 バシッ
「いてっ! 違いますって! 停電して明かりがなくなった瞬間に椎水さんが咄嗟に俺の手を握ってきたんですって!」
『なによ! そんなことあるわけないでしょ!』
「ホントですよ……こんなどうしようもない嘘吐いてどうするんですか……」
『うるさい!いいから早く行きなさいよ!』
「わ、わかりましたって……ここで待っててくださいね」 クル
『…………』 グイ
「…………」
『…………』
「……椎水さん……?」
『こ、コレはアレよ……そ、そう。別府が迷わないように、つ、着いて行って上げようかと……』 ギュ
「…………」
『…………』
「……もしかして……暗いとこが苦手なんですか?」
『そっ……! ……んな、わけ……』 ギュ…
「はぁ、わかりました。取り敢えず一緒に行きましょう。懐中電灯のところまで案内してください」
『わ、わかった……』
「はい」
『…………』 ギュ
「…………。……あの、椎水さん?」
『? なによ、は、早く行きなさいよ』
「…………案内してくれるんじゃなかったんですか……?」
『ぁっ…………な、なによ!イイから先に行きなさい!男でしょ!(?)』
「はいはい……」
676
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/19(水) 23:57:11 ID:1dXFnXow
〜〜
「…………」 スタスタ
『…………』 ギュ、ギュ
「…………」 スタスタ
『…………』 ニギニギ
「…………」 スタスタ
『…………』 モミモミ
「…………」 スタスタ
『…………』 スリスリ
「……あの、椎水さん」
『? なに?』
「……くすぐったいんで、俺の手で遊ぶの、やめてもらえませんか……?」
『べ、別に遊んでなんか……!』
「…………」
『…………ふん……』
「(つーか手ェ離さねぇし……いつの間にか指絡めてくるし……)」
『…………』 サスサス
「(両手でしっかり捕まってるから身体近いし……オマケになんか体温高えよこの人……子供かよ!)」
『…………』 ギュー
「(そんなに俺の手が気になるのか……?ていうかこのくっつき様……暗闇だと怖がりな上に甘えたがりなのか……?)」
『ん……あ、コレよ、懐中電灯』
「あ、そうですね。暗くて気づきませんでした」
『それじゃあ戻りましょうか。ほら、灯りつけて』
「はい。それじゃあスイッチ、オン」 カチッ
677
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/19(水) 23:57:32 ID:1dXFnXow
>パッ
「ん?」
『え?』
「あれ、照明が……停電もう復旧したのか?でも丁度いいや。このまま戻りましょうか、椎水さ、ん?」 クルッ
『ぁ……』←顔真っ赤
「…………」
『ば、バカ!いきなりこっち見ないでよ!』 グイッ
「す、すみません(?)……」 プイッ
『…………』
「…………」
『…………』
「も、戻りましょうか?」
『…………うん』
678
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/19(水) 23:58:14 ID:1dXFnXow
おわり
暗闇になると途端に甘え出すとかポイント高いと思うの
679
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/20(木) 07:08:07 ID:???
こんな上司がいたら毎日会社行くのも楽しいだろうに……
GJ!!
680
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:14:07 ID:???
To:ばか
2012/12/24/22:27
件名:寝れない
本文:
相手しろ
from:ばか
2012/12/24/22:31
件名:Re:寝れない
本文:
俺はもう寝たい
To:ばか
2012/12/24/22:32
件名:Re:Re:寝れない
本文:
黙れ
なんかしゃべれ
from:ばか
2012/12/24/22:38
件名:Re:Re:Re:寝れない
本文:
眠い
To:ばか
2012/12/24/22:39
件名:Re:Re:Re:Re:寝れない
本文:
心頭滅却すれば眠気もまた涼し
681
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:15:01 ID:???
from:ばか
2012/12/24/22:41
件名:Re:Re:Re:Re:Re:寝れない
本文:
意味不明だ
To:ばか
2012/12/24/22:42
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:寝れない
本文:
ばーか
from:ばか
2012/12/24/22:46
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:寝れない
本文:
うっせーぞ最下位
To:ばか
2012/12/24/22:47
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:寝れない
本文:
黙れ
今回の期末は調子が悪かった
from:ばか
2012/12/24/22:49
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:寝れない
本文:
じゃあいつも調子悪いのか
682
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:15:27 ID:???
To:ばか
2012/12/24/22:50
件名:RE:寝れない
本文:
生理
from:ばか
2012/12/24/22:51
件名:Re:RE:寝れない
本文:
嘘つけ
To:ばか
2012/12/24/22:52
件名:Re:Re:RE:寝れない
本文:
セクハラ
訴えてやる
from:ばか
2012/12/24/22:55
件名:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
もうわけわからん
To:ばか
2012/12/24/22:55
件名:Re:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
うるさい
683
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:15:54 ID:???
from:ばか
2012/12/24/22:57
件名:Re:Re:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
うるさくねーよ
メールじゃん
To:ばか
2012/12/24/22:58
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
うっせばーか
from:ばか
2012/12/24/22:59
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
ばーか
To:ばか
2012/12/24/23:00
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
友ちゃんに小学校の卒アル見せてもイイの?
from:ばか
2012/12/24/23:01
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:寝れない
本文:
約束が違うぞ
684
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:16:37 ID:???
To:ばか
2012/12/24/23:02
件名:RE2:寝れない
本文:
じゃあなんかしゃべれ
from:ばか
2012/12/24/23:06
件名:Re:RE2:寝れない
本文:
何を
To:ばか
2012/12/24/23:07
件名:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
なんか
ご飯とか
from:ばか
2012/12/24/23:09
件名:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
今日ラーメン食った
To:ばか
2012/12/24/23:10
件名:Re:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
イヴに?
from:ばか
2012/12/24/23:11
件名:Re:Re:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
うるせーよ
To:ばか
2012/12/24/23:12
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
イヴに一人でラーメンとか
さみしいヤツ
from:ばか
2012/12/24/23:18
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
一人じゃねーし
To:ばか
2012/12/24/23:19
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
どうせ家族とでしょ?
from:ばか
2012/12/24/23:21
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE2:寝れない
本文:
彼女とですけど?
ですけど?
685
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:17:03 ID:???
To:ばか
2012/12/24/23:24
件名:RE3:寝れない
本文:
モニター持ち歩くのやめたほうがいいよ
from:ばか
2012/12/24/23:26
件名:Re:RE3:寝れない
本文:
ぶっ飛ばすぞ
To:ばか
2012/12/24/23:34
件名:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
いつの間に彼女できたん
from:ばか
2012/12/24/23:35
件名:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
お前の知らぬ間に
To:ばか
2012/12/24/23:37
件名:Re:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
ウチが知ってる人?
from:ばか
2012/12/24/23:38
件名:Re:Re:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
さあ?
To:ばか
2012/12/24/23:40
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
なにそれ
from:ばか
2012/12/24/23:41
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
だって嘘ですしおすし
To:ばか
2012/12/24/23:41
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
は?
from:ばか
2012/12/24/23:44
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE3:寝れない
本文:
彼女なんかいません
見栄張りました
コレで満足か
686
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:17:33 ID:???
To:ばか
2012/12/24/23:50
件名:RE4:寝れない
本文:
死ね
from:ばか
2012/12/24/23:51
件名:Re:RE4:寝れない
本文:
生きる
To:ばか
2012/12/24/23:53
件名:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
ばーか
from:ばか
2012/12/24/23:54
件名:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
うるせーよ
To:ばか
2012/12/24/23:58
件名:Re:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
あのさ
from:ばか
2012/12/24/23:59
件名:Re:Re:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
なにさ
To:ばか
2012/12/25/00:04
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
明日暇?
from:ばか
2012/12/25/00:06
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
どっちだ
To:ばか
2012/12/25/00:09
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
なにが?
from:ばか
2012/12/25/00:11
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE4:寝れない
本文:
25なのか26なのか
687
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:18:19 ID:???
To:ばか
2012/12/25/00:12
件名:RE5:寝れない
本文:
あ
今日で
from:ばか
2012/12/25/00:14
件名:Re:RE5:寝れない
本文:
暇ですが
文句あるか
To:ばか
2012/12/25/00:15
件名:Re:Re:RE5:寝れない
本文:
さみしいヤツ
from:ばか
2012/12/25/00:17
件名:Re:Re:Re:RE5:寝れない
本文:
(#^ω^)ビキビキ
To:ばか
2012/12/25/00:20
件名:Re:Re:Re:Re:RE5:寝れない
本文:
暇な
To:ばか
2012/12/25/00:20
件名:
本文:
違う
途中送信した
from:ばか
2012/12/25/00:21
件名:Re:
本文:
おう
To:ばか
2012/12/25/00:22
件名:Re:Re:
本文:
うっさい
from:ばか
2012/12/25/00:23
件名:Re:Re:Re:
本文:
なんも言ってねーだろww
To:ばか
2012/12/25/00:24
件名:Re:Re:Re:Re:
本文:
笑い声が聞こえた
688
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:18:48 ID:Xfe8tSyw
from:ばか
2012/12/25/00:26
件名:Re:Re:Re:Re:Re:
本文:
まあ笑ったけど
以心伝心か
To:ばか
2012/12/25/00:35
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文:
なにいってんの
ばか?
from:ばか
2012/12/25/00:36
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文:
うるせーな
そんで暇な俺に何の用
To:ばか
2012/12/25/00:41
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文:
クリパの買い出し手伝え
from:ばか
2012/12/25/00:43
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
本文:
えー
To:ばか
2012/12/25/00:46
件名:RE:
本文:
嫌?
from:ばか
2012/12/25/00:47
件名:Re:RE:
本文:
いいけど
To:ばか
2012/12/25/00:48
件名:Re:Re:RE:
本文:
じゃあ9時に駅
from:ばか
2012/12/25/00:49
件名:Re:Re:Re:RE:
本文:
了解
To:ばか
2012/12/25/00:51
件名:Re:Re:Re:Re:RE:
本文:
遅れんなよ
689
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:19:11 ID:Xfe8tSyw
from:ばか
2012/12/25/00:53
件名:Re:Re:Re:Re:Re:RE:
本文:
はいはい
To:ばか
2012/12/25/00:54
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:
本文:
また明日
おやすみ
from:ばか
2012/12/25/00:54
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:
本文:
今日な
To:ばか
2012/12/25/00:56
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:
本文:
うっせ
To:ばか
2012/12/25/00:56
件名:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:RE:
本文:
おやすみ
from:ばか
2012/12/25/00:57
件名:RE2:
本文:
おやすみ
from:ばか
2012/12/25/02:06
件名:
本文:
愛してるよ
from:ばか
2012/12/25/02:27
件名:
本文:
寝たか
To:ばか
2012/12/25/04:39
件名:Re:
本文:
ばか
690
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:19:52 ID:Xfe8tSyw
おわり
メールだと顔が見えない分余計に不安になるって話
691
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/25(火) 14:38:54 ID:???
これはいいニヨニヨ
692
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/27(木) 02:41:38 ID:???
メールの送受信BOXを友ちゃんに見られてめっちゃからかわれるとこまで想像したwww
693
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:25:16 ID:.CQGN/tc
「…………」 カタカタ
『…………』 ゴロゴロ
「…………」 カタ…
『…………』 ゴロゴロ
「……お前、予定とかねーの?」
『無い』 ゴロゴロ
「……クリスマスなのに?」
『……クリスマスだからなに?』
「アレだ…………彼氏、とか」
『いないし』
694
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:25:45 ID:.CQGN/tc
「友達とかで集まってクリパとかしねーの?」
『しない』
「なんでよ」
『皆彼氏いるし』
「……お前にはいないのに?」
『…………どーゆー意味?』
「……別に」
『……ふーん』
「…………」
『…………』
695
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:26:07 ID:???
「…………」 カタカタ
『……ねー』
「あ?」 カタカタ
『ケーキ食べたい』
「ねーよ。買ってこい」 カタカタ
『お兄買ってきて』
「やだよ。雪降ってんじゃん」 カタカタ
『えー』
「だいたい誰が金出すんだよ」 カタカタ
『ワリカン』
696
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:26:34 ID:.CQGN/tc
「ワリカンでいいのか」 カタ…
『なんで?』
「いや、別に」 カタカタ
『…………』
「…………」 カタカタ
『……ねぇ』
「んー?」 カタカタ
『お兄は、予定無いの?』
「……ねーよ」 カタ…カタカタ
『本当に?』
「なに疑ってんだ」 カタカタ
『飲みサーなのにクリパ無いの?』
「知んね」 カタカタ
『……お兄モテないもんね』
「うっせ……」 カタカタ
『…………』
697
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:26:57 ID:???
「……ケーキ」 カタ…
『ん?』
「ケーキ、コンビニでイイなら、買ってくるけど?」
『……ホント?』
「ん」
『やった♪』
「ん、じゃあ行ってくるから」
『うん』
「友達がバイトしてる方に行くから、ちょっとかかる」
『うん』
「じゃ」 ガチャ
『いってら』
「いってき」 パタン
『…………』
698
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:27:49 ID:???
『…………へへ』 ニヘ
『……へーえへへっ♪』 パタパタ
『……あれ、お兄、ケータイ忘れてる』
『…………』
『(メールチェック……なんちって)』 カチカチ
『…………』 カチカチ
『!』
699
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:28:09 ID:???
==========
クリスマス暇?
もし良かったらウチに来ない?
==========
『…………』
『…………』 カチカチ
==========
ごめん
25は予定あるからいけない
ケーキとかももう予約してあるから
また今度誘ってくれ
==========
『…………』
『…………』 カチカチ
700
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:28:36 ID:???
〜〜
「ただいま〜……さっむいわ外」
『お帰り』
「なんだ、部屋で待ってれば良かったのに」
『ん、別に』
「……なにニヤニヤしてんのお前」
『えっ』 パッ
「…………」
『…………』
「…………」
『……してないし』
「いやしてたろ」
『うるさい。それよりケーキ』
「はいはい……コンビニのやっすい奴だけどな」
『……ふーん』
701
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:28:56 ID:???
「はいよ」
『…………(……わざわざコンビニの袋に入れ直してるけど……コレは間違いなく……)』
「……お気に召さなかったか」
『……別に……早く食べよっ』
「?……おう」
『ん』
702
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:30:12 ID:.CQGN/tc
〜〜
「はー、食った食った……どうだった?」
『うん、美味しかった』
「ん、そうか」
『……流石、一番人気のスイーツ店のケーキだね?』 ニヤ
「なっ!?」 ガタッ‼
『』 ニヤニヤ
「…………なんで知ってんの?」
『ケータイ。置いてった』 ニヤニヤ
「……勝手に見たんか」
『うん』 ニヤニヤ
「……はぁ」
703
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:30:34 ID:???
『予定無いなんて、嘘つき』
「うるせー」
『あんな露骨に誘われておいて』
「うっせー」
『そのヒト、可愛くないの?』
「……まあまあ」
『ふーん』
「…………お前よりは、可愛くない」
『……ふーん?』
704
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:31:01 ID:???
「……なにニヤニヤしてんだよ」
『してないし』
「してるよ。鏡見てこい」
『ん……やっぱしてるかも』
「……なんだそりゃ」
『だって……、…………』
「……なんだよ」
『……ちょっと待ってて』
「は?」
『いーから』
「……はいはい」
『ん』 パタパタ
705
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:31:25 ID:???
『はい』
「……なにこれ」
『プレゼント』
「俺に?」
『うん』
「……ありがとさん」
『開けて』
「……おう」
『うん』
「…………!」 ガサ…
『…………』
「マフラーか……」
『うん』
「サンキュ」
『うん』
「…………」
『…………』
706
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:32:11 ID:???
「…………」
『……かして』
「?」
『巻いてあげる』
「……お前、なんか変だぞ」
『そう?ほら、かして』
「…………はいよ」
『ん』
「…………」
『……ん、できた』 キュ
「ん……あったけー」
『チクチクしない?』
「しない」
707
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:33:03 ID:.CQGN/tc
『ホント?』
「なんでそんなこと聞くんだよ。最近のマフラーなんてチクチクしないもんじゃ……あ……」
『気づいた?』
「……お前コレ…………手作り?」
『……うん』
「…………」
『…………感想は?』
「……いや……気づかなかったわ」
『…………ふーん』
「……っ……!」 バッ
『?』
「…………」
『……!……ねぇ』
「」 ビク
『なんで口元隠すの?』
「……別に」
『…………ニヤけてるでしょ』
「……うるせー」
『…………』
708
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:33:27 ID:.CQGN/tc
「…………」
『……嬉しい?』
「…………おう」
『……ん……あたし……』
「……?」
『…………あたしもさっき……ニヤニヤしてたよ、ね……』
「……!」
『……〜〜っ……! そういうことっ』 パタパタ、ガチャ、パタンッ
「…………」
「…………はぁ」
「……やられたよ……ったく……」
709
:
今更クリスマスネタ
:2012/12/27(木) 19:34:02 ID:.CQGN/tc
おわり
長文失礼
710
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/27(木) 20:03:18 ID:???
くそ
なんだこの兄妹!2828が収まらないじゃないか!
711
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/29(土) 19:04:53 ID:???
これは死んだ
712
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/29(土) 19:36:07 ID:???
はああああ妹かわええええ!!!!
713
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:21:54 ID:585bA45A
「ちなーっ!!」 ドアバーン‼‼‼
『っ……!?』 ビクッ‼
「助けてくれ!!」
『……は?』
「お前の事が好き過ぎてヤバい!!」
『でも……私たち兄妹なのに……』 モジモジ
「そんなのカンケーないさ!」
『そうね!』
「いざ行かん!」
『私達の、輝ける未来へ!』
【完】ババーン‼
714
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:22:50 ID:???
〜〜
チュンチュン
『…………』 ボー…
『(…………我ながら……なんつー頭の悪い夢を……)』
『…………』
《「好き過ぎてヤバい!!」》
『……ぁぅ……///』
『…………』
『(……まぁ……あり得ないけどね……)』
『…………はぁ……」
ドタドタドタドタ
715
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:24:09 ID:585bA45A
「ちなーっ!!」 ドアバーン‼‼‼
『っ……!?』 ビクッ‼
『(……こ、このシチュエーションは……!……まさか……まさかっ……!?)』
「助けてくれ!」
『……!(き……きたっ……!?)』
「ワイシャツのボタンが取れた!」
『…………』
716
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:24:50 ID:585bA45A
「やべえよただでさえ寝坊で遅刻必至なのに!」 アワワワワワワワ
『…………はぁ……』
「な、なんだよそのため息は!?しょうがないだろ!不器用なんだよ俺は!」
『……もう……わかったから……うるさい……黙れ……』
「頼むよちなみ!お前だけが頼りなんだよ!」
『……わかったから……直すから……そのみっともない寝癖を……直してこい……』
「おっけぇい!宜しく頼む!」 ドタドタドタドタドタ
『……はいはい…………はぁ……』
717
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:26:34 ID:585bA45A
『……一人で妄想して……ばかみたい……はぁ……』
『…………』 チクチクチクチク
「ちな!直せたか!?」 ドタドタドタドタ
『……ほれ……もってけ……』
「よっしゃー!ありがとうちなみ!愛してる!」 ギュッ‼
『…………………………キモい……手ぇにぎんな……』 ペシッ
「おっとすまん!じゃあいってきまーす!」 ドタドタドタドタドタ
『……いってこい……社畜様……』 バイバイ
718
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:26:55 ID:585bA45A
『…………』
『…………』 ペロッ
『…………』
『(…………流石に……手の味は……残ってないか……)』
『…………』
『…………あほくさ……もっかい寝よ……』 ゴロン
『…………』
『…………へへ……』 ギュッ
719
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/12/31(月) 02:27:16 ID:585bA45A
おわり
湧いたので出しただけ
720
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/01/01(火) 21:52:13 ID:0UgYNl0I
規制のせいでこっちに貼るけどくやしいからVIPにまた貼ったるわこんちくしょー
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2688.jpg
>>719
ちなみんの「へへ…」とか反則だろGJ!
721
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:30:36 ID:R/eaTdMY
「ちなみは、俺のこと嫌いなのか?」
『……当然……タカシのような木偶の坊を好きになる奴なんか……地球人類には存在していない』
「本当か?」
『…………しつこい……なんでそんなこと聞くの』
「いや……実は俺、今度、結婚するんだ」
『…………ぇ……』
「親が良い加減に身を固めろって……お見合いでさ、相手も結構良い人だったし、向こうも俺のこと気に入ってくれたみたいでさ」
『……ちょ、ちょっと……』
「本当はちなのこと、まだ諦め切れてなかったんだけど……今ので決心がついたよ」
『……ぁ、ち、ちがっ……』
722
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:31:09 ID:R/eaTdMY
「じゃあな、ちなみ。俺みたいな木偶の坊より、ちゃんとお前のこと幸せにしてくれる奴を捕まえろよ」
『ぁ……ぁ、まっ……!』
ガバッ‼
『っ……て…………?』
チュンチュン
『…………』 キョロ…
『…………』 キョロ
『……また夢オチか…………』 ハァ…
「なにが?」
『ひぅっ……!?』 ビクゥッ‼
723
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:31:38 ID:???
「おはようちなみ。あけおめ〜」
『…………不法侵入……通報した』
「まだ寝ぼけてんのか?ほら、そろそろ準備した方がいいぞ」
『…………なんの……?』
「忘れたのか?今日初詣一緒にいくからって昨夜俺のこと強引に引き止めたじゃんかよ」
『…………そんなことしてない……タカシが……泊めなければ犯すと脅してきたから仕方なく……』
「はいはい。ほれ、ちゃっちゃと支度しろよ」
『……ぅぃ』
724
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:31:58 ID:R/eaTdMY
〜〜
「流石に外はさみーなー」
『……早く帰りたい』
「まだ神社に着いたばっかじゃん」
『……人混み嫌い』
「ちなは昔からそうだよな。あ、おみくじだって。やってくか?」
『……お参りが先』
「ん、そうだな。じゃあ、この五円玉をっと……」 チャリン
『……お賽銭ケチると……寄るご縁も寄り付かない』
「そういうもんか?」
『……知らない』
725
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:32:53 ID:R/eaTdMY
「」 ペコリ、ベコリ
『』 ペコリ、ベコリ
「」 パン、パン
『』 パン、パン
「…………(今年も楽しく仲良く暮らせますように)」
『…………(今年こそ素直になれますように)』 ムー
「…………」
『…………(あと今年こそこのバカの鈍感が治りますように)』 ムムー
「…………」
『…………(それから初夢が正夢になりませんように)』 ムムムゥー
「…………(なにをそんなに一所懸命祈ってるんだ……?)」
726
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:33:13 ID:R/eaTdMY
〜〜
ジャラジャラ
「末吉か……しかも大したこと書いてねーな……ちなは何だった?」
『…………凶』
「うわ、ドンマイ。なんて書いてあった?」
『…………』
「……ちな?」
『…………相愛の仲でもつまらない嘘で別離することもあり……素直になることが肝要……』
「ふーん……ま、縁起も悪いし、結んでいくか?」
『……うん』
727
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:33:42 ID:R/eaTdMY
〜〜
「はー、甘酒うめぇな」
『……ん』 チビチビ
「そう言えばさっき、やたら真剣にお祈りしてたけど、何をそんなに頑張ってたんだ?」
『…………別に……なんでもない』
「……ふーん」
『…………』 ハッ
《素直になることが肝要》
『…………初夢……』
「へ?」
『……初夢が……本当にならないようにって……お祈りしてた』
728
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:34:04 ID:R/eaTdMY
「へぇ、どんな夢だったんだ?」
『…………』
『……大事な人が……どこかに行っちゃう……夢……私を置いて…………でも、それは私のせいなの……本当は大好きなのに……私はいっつも素直じゃなくて…………だから……』
「……そう、か……」
『……うん』
「…………」
『…………』
「羨ましいな、そいつ」
『…………は?』
729
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:34:37 ID:???
「つまりちなは、そいつにはどっかにいかないで、ずっと自分のそばにいて欲しいんだろ?」
『…………』
「だから、ちなにそんなに想われて、すげぇ羨ましいなって」
『…………はぁ……』
「え?な、なんか間違ってたか?」
『……もういい……ばか』
「なんだよ……ちなが言ってんのはそういうことだろ?」
『……そうだけど……そうじゃない……』
「……どういうことだ?」
『…………タカシ』
730
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:34:59 ID:R/eaTdMY
「ん?」
『…………目、瞑って』
「ん、こうか?」
『……うん……そのまま、ね……』
「?おう」
『…………』 ドキドキ
「…………?」
『…………ぇぃっ……』 ギュッ
「ぅおっ!?な、なんでいきなり手ェにぎんだよ?」
『……うるさい……まだ、目開けちゃダメだから……』
731
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:35:29 ID:R/eaTdMY
「わ、わかった……」
『ん…………タカシ……』
「お、おう?」
『……ん、その…………私のコト……おいていかないで……ね?』 ポソッ
「えっ……」
『…………なーんちって』 パッ
「え?」
『……ばーか……鼻の下伸びてんぞー』
「なっ……の、伸びてねぇよ!」
『……えへっ……ばーか♡』
732
:
初夢
:2013/01/08(火) 02:36:27 ID:R/eaTdMY
おわり
ちなみに初夢は1月2日と1月3日のあいだに見る夢のことを言うらしいですよ
733
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/01/08(火) 16:55:30 ID:???
おおおおおおおおおおお
734
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/01/09(水) 01:02:50 ID:???
悪夢を見て不安になっちゃって素直になるツンデレってホント可愛いよね
735
:
後輩と罰ゲーム
:2013/02/12(火) 01:20:36 ID:kNRu27YA
『ふふふ……ふははは……あははははははははは!!』
「…………」
『やった! やってやりました! ようやく先輩に勝ちましたぁー!!』 ヒャホー‼
「くっ……まさかこの俺がぷよぷよで負けるとはっ……!」 ガクッ
『ふふふ……その油断が運の尽きですよ先輩!』
「くぅっ……! あのお邪魔プヨさえ……!あれさえなければ……21連鎖を達成できたのにっ……!」
『しかし負けは負け……約束、もちろん覚えてますよね?』
「ああ……負けたら今日一日、なんでもいうことを聞いてやる……だったな」
『そうです……ではまず……めをつぶってください』
「くっ……わ、分かった……」
『ふふ……さーて……なにをしてやりましょうかねぇ……』
「好きにしろ……覚悟は出来てる」
『……今の言葉……忘れませんよ』
「ああ……男に二言は無い」
736
:
後輩と罰ゲーム
:2013/02/12(火) 01:22:06 ID:kNRu27YA
『…………』
「(後輩は一体俺になにをするつもりなんだ……さっきからずっと黙ってるし……それが逆に不気味でもある……)」
『(キッ、キタキタキタキター!!こっ、コレは!友ちゃんに言われた作戦を実行するチャンス!)』 ドキドキドキドキ
『(目は閉じてもらった……! あ、後は勢いでっ……ちゅ、ちゅちゅっ……ちゅーを!)』 ドキドキドキドキ
「お、おい……」
『はひっ!?』 ビクッ
「まだか……?なんかするなら、早くしてくれ……」
『ううううるさいですねっ! は、敗者が指図するなんて百万年早いですっ!』
「くっ、わ、わかったよ……」
『(ぅう……し、心臓が……!でもダメ!今ここで怖気付いたら、こんなチャンス次にいつ巡ってくるかわからないんだから……!)』 ドキドキドキドキ
『い……いきますっ!』
「お、おう……!?」
『(いけ、私!行くのよ!ぶちゅっと!)』 ドキドキドキドキ
「(なにやらタダならぬ気配を感じる……?)」
『ぇ……えいっ!』
「!?」
737
:
後輩と罰ゲーム
:2013/02/12(火) 01:22:35 ID:kNRu27YA
ぎゅっ
『…………』
「…………?」
『…………』
「……?おい、椎水……?」
『(ダメ……手を握るのが精一杯で……ちゅーなんかとても……/////)』
「お、おい……目ぇ開けるぞ……?」
『えっ!? あっ、だ、ダメです!!/////』 バッ
「え……?」
『み、見ないでください!! 私今すごい顔してますから!!/////』
「わ、悪い……もう目ぇ開けちまった、けど……な、なんでそんなに顔赤いんだ……?」
『ばっ……! だ、だから見ないでって言ったじゃないですかぁ!/////』
「いや……うん……」
『ぅう……/////』
「…………」
738
:
後輩と罰ゲーム
:2013/02/12(火) 01:23:03 ID:kNRu27YA
がばっ
『ひぁっ!?』
「…………」 ギュゥ
『あああああのあのあのせ、先輩ぃっ!?///////』
『(ぎゅってされてる先輩にぎゅって先輩の匂いが顔が私の顔のすぐ横にあってほっぺたがががががぁっ///////)』
「……いや……ごめん。こうでもいしないと……襲っちまいそうで……」
『は、はぇえっ!?/////』
「ちょっとこのままで……」 ギュ…
『はっ……はひ……///////』
「…………」
『…………///////』
「…………」
『……ん/////』 キュッ
『(幸せ……♡)』
739
:
後輩と罰ゲーム
:2013/02/12(火) 01:23:35 ID:kNRu27YA
おわり
初心な後輩は愛でるもの
740
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/13(水) 02:37:41 ID:???
なんて可愛いんだ……
GJ!!
741
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/14(木) 06:04:44 ID:???
100%ご褒美じゃねーかwww
GJ!!
742
:
2月13日
:2013/02/15(金) 03:15:23 ID:1dXFnXow
「ただいまーっと……お?」
『ん、おかえり』
「なに作ってんの?」
『見ればわかるでしょ?』
「いや……まあ……チョコだろ?」
『ん』
「…………」
『…………』
「……渡す相手でもいんの?」
『ん?……うん』
「……ふーん」
『気になる?』
「べっつに」
『…………』
「…………」
『……お兄こそ』
「あん?」
『貰えるアテはあるの?』
「さあ?」
『……なにそれ』
「……あるって言ったら、どうなんの?」
『…………別に?』
「なんだそれ」
『うるさい』
743
:
2月13日
:2013/02/15(金) 03:17:22 ID:1dXFnXow
「…………」
『…………』
「…………」
『……お兄』
「ん?」
『味見……する?』
「えっ?」
『…………』
「ん……す、る。うん、する」
『…………ん』 スッ
「……は?」
『味見、するんでしょ?』
「するとは言ったけど……」
『いちいちスプーン使うのもったいないし』
「いやだからって……」
『……なに?』
「お前の指ごと……チョコ舐めろって言うのか?」
『……うん』
「…………」
『…………嫌?』
「いやっ……じゃ、ない……けど…………別に……」
『じゃあ、ほら』 ズイッ
「……わ、わかったから」
『…………』
「…………い、いくぞ?」
『ん……』
「ぁむっ……」 パクッ
『んっ……』 ビク
744
:
2月13日
:2013/02/15(金) 03:26:41 ID:1dXFnXow
「んむっ…………ん」 チュポ
『…………ど、どう?』
「ん……う、美味い」
『そ、そう』
「お、おう」
『へへっ……』 テレッ
「…………」
『…………』
「…………」
『…………うるさい』
「別に何も言ってねーだろ」
『……照れてないし』
「はいはい」
『…………』
「……なんだよ」
『……あたしも味見したい』
「……? すれば?」
『…………させてよ』
「……は?」
『味見、させてよ』
「は……はぁ!?」
『ほら、早く』
「いやっ……!……いや……おう」
『ん』
745
:
2月13日
:2013/02/15(金) 03:36:56 ID:???
「じゃ、じゃあ……ほれ」
『うん……い、いただきます』
「……おう」
『はむっ……ンチュっ……』
「っ……!」 ゾクゾクッ
『ん……はぁっ……』 チュポ
「っ…………どっ、どうよ」
『ん…………熱い』
「あ……ま、まぁ、溶かしたチョコだしな」
『そっ、そうじゃなくて……』
「え?」
『…………なんでもない』
「……?」
『…………』
「…………」
『…………』
746
:
2月13日
:2013/02/15(金) 03:37:24 ID:1dXFnXow
「お、俺もう部屋いくわ」 クルッ
『……ん』
「…………」 スタスタ
『…………お兄っ』
「ん?」 クル
『ど……どっかにチョコついてない?』
「? 口の端しについてるけど?」
『ふ、ふーん……そ、そう』
「? おう」
『い、いやー……あの、さっ』
「……なんだよ?」
『…………あ……』
「あ?」
『……味見…………するっ?』
「なっ……!?」
747
:
2月13日
:2013/02/15(金) 03:37:57 ID:1dXFnXow
『ほ、ほら。キッチンだから鏡もないし、手とかで拭っても綺麗になるとは限らないし……だから、綺麗にするついでに……ね?』
「いやっ……バカおまっ……!」
『…………』
「…………」
『…………ねっ?』
「で、できるかバカッ!」 クルッ
『あっ……』
ダダダダダダッ…ガチャッ、バタンッ
『…………はぁ……』
『…………』
『…………ん……』 ペロッ
『(お兄の口と指……熱かったなぁ……)』
748
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/15(金) 03:40:25 ID:???
こ、これは確実に進んでいる…!!
749
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/16(土) 02:16:39 ID:???
ぬおおお妹かわええええええGJ!!
このシリーズ大好きだぜえ
750
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/16(土) 09:40:54 ID:???
そろそろ妹が引き返せない所まで来ているな……
次も期待するぜ
751
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:51:17 ID:XTdEC8T.
ほのぼの
>>602
『はぁ…………やってしまった……』
『(今日の放課後先輩のお家にお邪魔させてもらえることになって……)』
『(先輩がお手洗いにたった隙に部屋中物色して……)』
『(ついに見つけた……その、え、エロ本を……)』
『…………持って帰ってきちゃった……』
『…………』
『…………』 ゴクリ
『(……取り敢えず見てみるか……)』 ペラ
『…………』 ペラ
『……うわ、凄い格好……』 ペラ
『…………先輩、こう言うのが好きなの……?』 ペラ
『う、うわぁ……コレが……ぱ、パイズリ……』
『…………』 モニモニ
『(……無理だな)』
『…………』 ペラ
752
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:52:31 ID:XTdEC8T.
『…………』 ペラ
『(……ていうかこの……コレ……大きすぎない?)』
『(……このぐらい?)』
『…………』
『(……こんなん入らんだろ)』
『(だって……これ、ほら……おへそのちょっと下ぐらいまで……)』 サスサス
『…………』
『(……先輩のも……こんな……だったら…………私ヤバイかも……裂けちゃう……?)』 スリスリ
『ってナニ想像してんの私っ!?』 ブンブン
『(でも……もし先輩と、その……するときになったら……)』 ドキ…
『(ギュッてしてもらって……それから、胸とか揉まれたり……)』 ドキドキ
『(そんで……な、舐めてあげたり……舐めてもらったり……するんだよね……)』 ドキドキ
『(そしたら……ココに……先輩の……硬くて、熱いのを…………)』 ソッ…
753
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:53:10 ID:XTdEC8T.
『んっ……!?』 ビクッ
『はっ……はぁっ……(わ……私……ぬ、濡れて……!?)』
『ん……ふっ……』 ピクッ、ビク
『ぁ……せ……ん…………ふぁっ……』 ピクピク
『せん、ぱ……! 先輩……っ! せ、せんぱっ……ぃ!』 ビク、ビクッ
『ぁっ……! あっ……! 先輩ぃっ……!』
『(ぃっ……き、そ……!)』
『ぁあっ……!せんぱ「prrrrrrrrrrrr」っ!?』
『ひゃ、ひゃいっ!?もひもひ!?』
「お、おうっ!?し、椎水か?」
『せせせせ先輩!?ななななん、なんのご用でしょうか!?』
「あ、いや別に……用って程じゃなくて……」
754
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:54:29 ID:XTdEC8T.
『な、なんですかそれ……(おかげでこっちは寸止めで……)』
「いやー……ほ、ほら。椎水さ、いつもなら、一緒に遊んだ後とか、メールとか電話とかくれるじゃん?」
『え……?』 ドキ…
「それが今日は無いから……その、なんか怒らせちゃったかな〜、とか……なんか、事故にあったりとかしてないかなって……」
『っ…………!?(や、やばっ……!?)』 ゾクッ
「だ、だからさ……えーっと、その……」
『(だ、ダメ!今はダメ!電話の向こうには先輩がっ……!……ぁ…………でも……これ……先輩が耳元で囁いてるみたいでっ……!)』 ゾクゾクゾクッ
「椎水のことが心配で……さ」
『んんっ!?』 ビクンッ!
「ん……あれ?椎水?」
『ぁっ……!はっ……!(ヤバっ……とまんな、ぃっ……!)』 ビクビクッ、ビクンッ!
「お、おい?なんか苦しそうじゃないか?」
『ふぅっ……! ぁっ……! んぁっ……!? ふ……ぅ……っ!(せ、先輩の声だけで……イっちゃ……て、ぅ……!?)』 ビクンッ、ビクッ!
「だ、大丈夫なのか?おい?」
755
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:55:19 ID:XTdEC8T.
『ぁ……は……はぁっ……ふぅ……は、ぁ……』 ビク…ビクッ……ピク…
「おーい?椎水、返事しろー」
『はぁ……せ、先輩……』
「ん?なんだ?大丈夫なのか?」
『そ、その……凄く……良かったです……』 トロン…
「え、な、なにが?」
『い、いえ……なんでもないです……』
「大丈夫か? てかもう家には着いたのか?」
『はい……大丈夫です……』
「そ、そか。そんならイイけどさ」
『はい……(先輩……優しい……嬉しい……好き……大好き……大好きですっ……!)』
「あー、っと……長電話もアレだし……そ、そろそろ切るぞ」
『は、はい…………ぁ……先輩……?』
「ん、な、なに?」
『あの……な、名前……』
「え?」
『その…………名前……呼んでくれませんか?』
「え……お……し、椎水の……?」
『ぁ…………い、いえっ……! べ、別にやっぱり……!』
「お、おう……?」
『は、はい……』
「えーっと……そんじゃあ……もう切るぞ?」
『……はい』
「…………」
『…………? ……先輩……?』
「あー……っと………………か、かなみ……?」
756
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:56:32 ID:XTdEC8T.
『ぁっ』
「じゃ、お、おやすみっ」 ブツッ、ツー、ツー…
『…………』
『…………』
『…………えへ』 ニヘ
『えへへぇ……ぅへへへへへへ!』 フトンダーイブ!
『ぅー! ふふふふふふふっ♪』 ゴロゴロゴロゴロ
『んふふふふふふっ……ふふへへへへへへへぇ♪』 ギュー! ギュー!
『キャー! きゃっほーい!』 ドッタンバッタン
「ちょっと!お姉ちゃんうるさい!」 ガチャッ!
『あ、ちなみ聞いて聞いてー!』
「うるさい!今何時だと思ってんの!」
『先輩が……先輩が私のこと…………えへへへへへへぇ♪』 タハー♪
「なんなのもう……」
『ちょっとちな!私のことかなみって読んでみて!早く早く!』
「はいはい……かなみ?」
『なぁに? タ・カ・シ♡ ……なんつって!なんつって!! ヒャー!!』
「あーもうわかったわかった! わかったから取り敢えずもうちょっと静かにしてよね!」 バタンッ!
『はーい♪ ……うふふ♪ うふふ♪』
『はー……先輩……♡』
「はぁ……椎水の声だけでイくとか……俺って…………はぁ……」 ズーン…
757
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 11:56:59 ID:XTdEC8T.
おわり
なんかいろいろアレなんでこっちに
758
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/18(月) 17:04:18 ID:???
おっきっき
759
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/02/19(火) 23:33:24 ID:???
妄想がピンク色過ぎるwwwwwww
つか男こっそり抜いてんなwwwwww
760
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/03/29(金) 01:35:44 ID:???
突発的に沸いた。
つ・エスパー能力を手に入れたツンデレ
つ・男限定でテレポートさせる能力を手に入れたツンデレ
つ・男のことを考えるとその場で男を召喚してしまう能力を手に入れたツンデレ
761
:
3月14日、ポッキーは口の端で咥えるもの
:2013/03/29(金) 03:40:45 ID:???
<コンコン
「…………」 カタカタ
『……入るよー』 ガチャ
「ん……」 カタカタ
『…………』 ポスッ
「……うーん……」 カタカタ
『…………』 ゴロン
「…………」 カタカタ
『……なにしてんの?』
「……レポート」 カタカタ
『ふーん』
「…………んー……」 カタカタ
『…………』 ゴロゴロ
「……あー…………ん……?」 カタカタ
『…………』 ゴロゴロ
「…………」 カタカタ
『…………お兄ー』 ガサゴソ
「……なに」 カタカタ
『ポッキー食べる?』
「…………いらね」 カタカタ
『そ』
「…………」 カタカタ
『…………』 ポリポリ
「…………んー……」 カタカタ
『…………』 ポリポリ
762
:
3月14日、ポッキーは口の端で咥えるもの
:2013/03/29(金) 03:41:33 ID:ClywwdqQ
「…………」 カタカタ
『…………』 トテトテ
「…………」 カタカタ
『ん』
「あ?」 カタ…
『あげる、ポッキー』
「いらねーって……」
『食べさせてあげるから。そのままキーボード打ってなよ』
「あー……はぁ……んじゃくれ」
『ん』
「ん」 ポリポリ、カタカタ
『…………』
「…………」 ポリポリ、カタカタ
『…………』
「…………」 ポリポリ、カタカタ
『……なんか……餌付けしてるみたい』
「んー……」 ポリポリ、カタカタ
『(……聞いてねぇなこいつ)』
「…………」 ポリポリ、カタカタ
『…………』
「…………」 ポリポリ、カタカタ
『…………』
763
:
3月14日、ポッキーは口の端で咥えるもの
:2013/03/29(金) 03:42:42 ID:ClywwdqQ
「…………」 カタカタ
『!』 ティーン!
「…………」 カタカタ
『』パク、スッ
「……ん……」 パク
『(……咥えた……!)』
「…………」 ポリポリ、カタカタ
『(もうちょい……)』 ポリポリ
「…………」 ポリポリ、カタカタ
『(あと1センチ……)』 ポリポリ
「……ん?」 ポリ…
『(やべ、気づかれた)』
「……なにしてんの」
『……別に』
「……顔赤いぞ」
『…………別に?』
「…………あっそ」
『……ふんっ』 スタスタ
764
:
3月14日、ポッキーは口の端で咥えるもの
:2013/03/29(金) 03:43:06 ID:ClywwdqQ
「…………」
『…………』 ガチャ
「おい」
『……なに』
「ほれ」 グイ
『……なにこれ。くれんの?』
「おう」
『なんで?』
「…………ホワイトデーですけど?」
『あ』
「忘れてんなよ……お前が言ったんだぞ。『ホワイトデーは手作りクッキー』って……」
『…………』
「……なんかいえ」
『…………本当に作ったん』
「……おう」
『……だからここ最近顔合わせなかったん』
「…………おう」
『…………』 ジー
「……なんだよ」
『…………』 ポリポリ
「(……なんかポッキー食い始めた)」
『これで半分』 チュポ
「……?」
『……あげる』 グイ
「は?」
『いいから』 グイグイ
「な、なんだよ……」
『いいからあげる!』 パッ、ガチャッ
バタン!
「…………」
「…………」 パク
「…………」 ポリポリ
「……ある意味……ポッキーゲーム成功だわな」 ポリポリ
765
:
3月14日、ポッキーは口の端で咥えるもの
:2013/03/29(金) 03:45:05 ID:ClywwdqQ
おわり
ポッキーゲームのシチュはかなり萌える
766
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/03/30(土) 09:34:04 ID:???
>>764
やはりこのシリーズは良い
非常に2828する
767
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/03/30(土) 17:11:12 ID:???
何かドキドキしちゃった
GJ!!
768
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:33:56 ID:Rbe6cDaw
『ねぇ』
「んー?」
『嫌い』
「……は?」
『お兄なんか大っきらーい』
「…………」
『…………』
「……だからなんだよ」
『……別に?』
「…………はぁ」
『…………』
「……部屋戻るわ」
『あっそ』
<バタン
『…………』
『……気づいてないかー』
『ま、そんなに暇でもないよねー』
<ガチャ
「…………おい」
『ん?』
「……俺もお前なんか大嫌いだよ。バーカ」
『…………』
「…………」
769
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:34:28 ID:???
<バタン
『…………』
『…………』
『…………ぅ』 ポロ
『っ……ぅ……、……っく……』 ポロポロ
『ぅっ……ぁ……ふっ……グスッ……』 ポロポロ
『っ……ッグス……ふ……ぁ……ふぇ……』 ポロポロ
『ふぁ……ぁ、ぅぁ……ぅぅぅうううぅぅ……』 グスグス
<ガチャ
「ぅおっ……!?」
『っ!?』 ビク
「ちょっ……」
『ば、やだ、グスッ、こっち……ぅっ、く……くんなっ……!』 グスグス
「いやあの……」
『やめっ……てって、ばかっ……!こっち……グズッ……みんっ、なぁ……!』 グスグス
「だ、だからさ」
『なんっ……!グズッ……こっちくんなよぉ……!』 グスグス
770
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:35:00 ID:Rbe6cDaw
「いや、あの……う、うそ……なんだけど……」
『グスッ……、………………は?』 グスッ
「いやだから……さっきの……嫌いっての……嘘なんだけど……」
『…………』
「い、いやお前が嘘つくから……今日、エイプリルフールだし……ちょっとし返しっつーか……」
『…………』
「そんな……つもりで…………ハイ」
『…………』
「…………」
『…………バカじゃん?』
「……えーっと……」
『バカじゃん?』
「……はい」
『はぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁ……』 ボフッ
「いや元はと言えば」
『お兄』
「……はい」
『……あたしのこときらい?』
「……いいえ」
『……あたしのこと……、…………』
「…………」
『…………』
「…………」
『……もっとこっちよって』
「は?」
771
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:35:40 ID:Rbe6cDaw
『耳もっとこっち寄せてって』
「……なんでよ」
『なんか……大声で聞くことじゃないじゃん』
「お前が突っ伏してないで起きればいいじゃん」
『いいから』
「……はいはい」 スッ
『…………もっと』
「はいはい」 グー
『もぉっとぉー』
「あーはいはい」 ググッ
『ん』
「はいそれで?」
『…………そのまま答えてね』
「はいはい……」
『…………』
「…………」
『……あたしのこと………………スキ?』 ポショポショ
「あー……まあはい」
『ダメちゃんと』 ガシッ
「ちゃんとって……」
『どうなの?嫌いなの?』
「だから違うって……」
『じゃあなに?』
「あーだからぁ……」
『……だから?』
「…………好きだって」
『…………』
「…………」
『……ンふっ♪』
「なんだy」
772
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:36:23 ID:Rbe6cDaw
ちゅ
773
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:36:53 ID:Rbe6cDaw
「…………」
『』 パッ
「…………」
『』 タタタッ
<ガチャ、バタン
「…………」
<ガチャ
「」 ビク
『あたしのも嘘だからっ!!』
<バタン!
「…………」
「…………」 ピト
「…………」
「やっべ俺も顔あっつい……」
774
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:38:15 ID:Rbe6cDaw
終わり
つーわけで今更四月馬鹿ネタ
妹がキスしたのはほっぺでも唇でもないです嘘だけどね
775
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 01:58:11 ID:???
おいおいニヤニヤしすぎて顔が戻らないぞどうしてくれる
776
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/12(金) 18:45:39 ID:???
あああああ、勘違いして泣いちゃう妹かわいいいい!!
GJ!!
777
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 00:55:32 ID:Rbe6cDaw
「お嬢ぉぉおおおおおおおお!!!」
『喧しいですわよこのバカシ!!』
「うっひょぉお嬢だお嬢だー」 ヒョイ
『きゃあ!? ぃいきなり何をするんですのこの痴れ者!!///』
「ぅぇへぇへぇへへぇ……お嬢はちっちゃくて軽くて天使だなぁ」 プーラプーラ
『ち、ちっちゃいって言うな!あとプラプラするのをやめなさいっ!』 ジタバタ
「ぐへへぇ、おじちゃんは怖くないよお菓子あげるから一緒にお家に行こうネェ〜?」
『やっ!! はなしなさい〜っ!!』 ペチペチ
「うふふふぇ……お嬢のちっこい掌が俺の頭をぺちぺちするぅ……」 ウットリ
『こ、この変質者!!つ、通報しますわよ!』 ガクブル
「…………」 ストン
『……え?』 キョトン
「通報だなんて……ごめん、お嬢……そんなに嫌がってたなんて……俺、知らなかったよ……」
『えっ……え?』 オロオロ
「もう二度としないし、金輪際話しかけないよ……今まで嫌な思いさせて……ごめん」
『あっ、あの……』
「じゃあな……今まで、ありがと」 スッ
『あのっ!』 ギュッ
「え?」
『え、えと……その……』 モジモジ
「ああ……そうだね……逮捕されるまでが通報だもんね……」
『ち、違います!その……ぁぅ……』
「…………」
『だ、だからそのぉ……お、お菓子!』
「お菓子?」
『わ、私が満足できるような美味しいお菓子を用意していただけると言うのなら、まぁその……何と言うか……お家にお邪魔して……お、お邪魔して差し上げても宜しくてよ!?』
「ぉ……おぉ……」
『あ、貴方がどーしてもっ!どぉ〜しても!!と言うなら!!ですわ!!』
「うんうん」 ナデナデ
『こ、こら!勝手に頭を撫でるんじゃありません!!』 プリプリ
「おっと」
『ふん!』
「…………」
『…………むぅ』
「?」
『だ、誰が止めてイイといいましたのっ?』
「はいはい」 ニヤニヤ
『……ふんっ/////』
778
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 00:55:55 ID:Rbe6cDaw
終わり
なんかあふれるパトスを隠しきれなかった
779
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 00:57:18 ID:Rbe6cDaw
一週間近く経つのにID変わってない……だと……?
780
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/18(木) 03:12:10 ID:???
したらばはID変わらないよん
781
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/22(月) 03:15:41 ID:???
友「えへへー、やまだぁ♪」すりすり
山「と、友ちゃん、そんなにくっつかれるとやりにくいよ」
友「…私とくっつくの…嫌なの…?」
山「そ、そんなことないよ!だけどさ、部室に誰か入ってきたらまずいんじゃ…」
友「誰も入ってこないから大丈夫よ!」
山「そ、そうかなぁ…」
友「そうよ。だから大人しくすりすりされなさい」
山「うーん…」
友「うにゃー♪」むぎゅっ
山「うわ、と、友ちゃん…(柔らかいのが当たってる…)」
友「んー…」すりすり
山「参ったなぁ…」テレテレ
ガチャ
タ「おいーっす」
か「校内新聞に使う写真持ってき…」
友「…」
山「…」
タ「お、お邪魔だったかな…?」
か「…みたいね。写真は置いてさっさと行きましょ。話は後日ゆーっくり聞かせてもらうってことで」
タ「それじゃお二人さん…仲良くやれよ?w」
バタン
友「…」
山「…と、友ちゃ」
友「もー、ばかばか!!全部山田のせいだからね!!」ぽかぽか
山「いてて!!そ、そんなひどいよ!!」
友「これからどうすんのよ!!タカシくんにもかなみにもバレちゃったじゃないの!!」ぽかぽか
山「だからさっき言ったんだよー!」
友「うぅ…もぉ最悪…」
山「もうバレちゃったんだし、毒を食らわばってことで外でもイチャつけば…ぶげっ」
友「そんなことするわけないでしょ!!外でなんて…は、恥ずかしくて…死んじゃう…」
782
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/23(火) 01:34:19 ID:???
俺が死んじゃう
783
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/04/28(日) 13:27:18 ID:D54wChMw
大規模規制に巻き込まれたツンデレスレ民は多いのだろうか
こっちが盛んになるならそれはそれで嬉しいが
784
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:56:18 ID:1dXFnXow
久々の長文投下です
12レス頂きます
785
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:57:33 ID:1dXFnXow
雨。
この秋から冬に移る時分には、よく雨が降る。
雨の音は、それほど嫌いじゃない。
だが、雨戸を閉めなければ、流石にこの雨では家中が水浸しになりかねない。
俺の住まう古びた日本家屋は、田舎の村を更に外れ、辺鄙なところに建っている。
一族の初代が相当な変わり者だったらしく、こんなところにデカイ家をおっ建てたそうだ。
俺はそんな変人の血を引く末裔。
敢えて云えば、一族の最後の生き残りだ。
このデカイ家に一人は大き過ぎる、が。
この家に暮らすのは、人間だけでは無い。
「纏」
急に降ってきた雨を凌ぐため、家中の雨戸を閉めて回っていると、縁側に佇む、小さな背中が目に入る。
着物に羽織り、長く艶やかな黒髪をうなじで束ね、そこから覗く肌はいつか見た雪よりもずっと白く美しい。
まるで精巧に造られた日本人形のような少女に、俺は声をかけた。
「どうしたんだ雨の中そんなところに座り込んで。風邪引くぞ」
俺の忠告も虚しく、少女は飄々とした口調で応える。
786
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:57:58 ID:1dXFnXow
『儂は風邪など引かぬ。それより主よ、あれを見よ』
そう言うと、少女は縁側から広がる庭先に指を向けた。
「……どれ?」
『あれじゃ、庭の石畳じゃ』
「石畳? それがどうしたって?」
少女と目線の高さを合わせるように屈む。
少女は俺を一瞥すると、またその石畳の方を見て『よいか、見ておれよ』と言った。
「おう……」
ぽつ。
『…………』
「…………」
ぽつ。
『…………』
「…………」
ぽつ。
『…………』
「…………それで、なに?」
石畳に雨粒が滴り落ちるだけの変わり映えしない光景に早くも痺れを切らした俺は、少女に問うた。
少女は何枚かある石畳のうちの一つ、一番縁側に近い物を指差して、こう言った。
『アレじゃ、あの一枚だけ、真ん中が抉れておるじゃろう』
787
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:58:23 ID:1dXFnXow
「うん」
『あれはな、この家が建った時から、ああして滴り落ちる雨水を受けて、長い長い時間をかけて、ああして抉れていったのじゃ』
その声は、昔を懐かしむような老獪さと、少女のような無邪気な色をはらんでいて、聞いていると不思議な気分になる。
更にそれはとても透き通っていて、まるで雨音と奏でる音楽のようだ、と思った。
『この家の初代はなんやら物好きでのう。あの石畳だけは、末代まで剥がしてくれるなと言うたんじゃ』
「へぇ……」
『自分の存在がいつか誰からも忘れられようと、自分が残したその言葉で、何かが残っておるのが嬉しいのだとさ』
少女の声が、どこか愁いを帯びたそれに変わる。
思い出しているのだろう、その男の事を。
なんせ、彼女はその初代とやらに会っているのだから。
どころか、二代目も三代目も……俺自身、顔も知らない俺の両親にさえ、少女は会ったことがあるのだ。
それは、彼女が人の身ではなく、妖怪だから。
所謂、座敷童と言うやつだ。
気に入った家に住み着き、少しの悪戯と引き換えに、その家に幸運を齎す。
彼女は何百年とこの家に住み続け、この家、ひいては一族の繁栄を見守り、そして、現在の衰退を見てきた。
『思えば出会った時から死ぬ時まで、変なトコロに拘りを見せるやつじゃった。石畳然り、この家も…………儂も、な』
「……そうか」
『ま、化生の身であるである儂にはわからぬことじゃがなぁ』
そう言うと、先程までの愁いを帯びた顔から一転、意地悪そうに笑って、こう言った。
『儂にわからぬと言うことは、儂よりももっとへんちくりんなお主には、もっとわからぬことじゃろうがな』
788
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:58:48 ID:1dXFnXow
「……そうだな」
俺は肩を竦めてそう答えたが、それは嘘だ。
きっと彼は、初代は、少女に自分を忘れて欲しくなかったのだろう。
俺には痛いほどよく分かる。
俺もいつか死に、そうして誰もいなくなったこの家を少女は離れ、いずれ何処か別の家へ住み着くのだろう。
そうして時間の流れと共に、俺や、一族のことも、いつか忘れてしまうのだとしたら……。
『さて、主よ、儂は腹が減ったぞ。飯を持て』
彼女の陽気な声で、我に返る。
いつの間に立ち上がったのか、彼女はさっさと台所の方へと歩いて行ってしまう。
「はいはい……しょうがねぇなぁ」
『それでこそ我が主』
少女の陽気な声が耳に響く。
その後姿を眺めながら、俺は雨戸を閉める。
こんな風に、彼女の愁いを締め出すことが出来たなら……
789
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:59:14 ID:1dXFnXow
〜〜
「また負けた……」
『ふん、雑魚め』
俺たちは昼食後の日課である将棋の対局に勤しんでいた。
今日も惨敗だが、これももはや日課となりつつある。
「途中までは勝ってたのに……」
『ふん、先の先までは見通せておるが、その先の先までは見えておらぬ。まだまだ未熟じゃの』
ふん、と得意気に鼻を鳴らす様はまるで若き天才女棋士と言ったところだが、その実、齢300を超える婆だ。
亀の甲より年の功……積み重ねてきた技量の前には、たかが数年積んだだけの知識と戦術は虚しく崩れるのみ、と言ったところか……。
『なんやら無礼なことを考えておるのではあるまいな』
「別に。なんでもないさ」
俺は肩を竦め、将棋盤を片付ける。
どうやら年を取ると、勘も鋭くなるらしい。
『……まあ良いがの。あまり迂闊なことは考えんことじゃ』
「それが長生きの秘訣か?」
『戯け』
俺の冗談を一蹴すると、纏はそそくさとお茶の準備を始める。
お茶とは言っても、格式高い本格的な御抹茶などでは無く、急須で淹れるただの緑茶だが。
本人は隠したがっているようだが、どうにもあの抹茶の苦さが気に入らないらしい。
俺は趣味でやる分には、ああいった物を嗜むのも悪くないと思うんだが……。
790
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:59:36 ID:1dXFnXow
『ほれ、さっさと座らんか』
「はいはい」
将棋の後はお茶の時間。これも日課だ。
卓袱台の上に置かれているのは、それぞれの湯呑みとお茶菓子。
手前にはお茶菓子と湯呑みが一つずつ、卓袱台を挟んで向こうには小さめの湯呑みが一つと……今日はやけに多いな。
『なんじゃその目は。やらんぞ、一つたりとも、決してな』
俺の視線に気づいてか、纏はお茶菓子共を隠すように腕で囲った。
しかし、その小さな両腕では隠しきれないほどに大量のお茶菓子がそこにはある。
別にお茶菓子の量の差に文句を言いたいわけではない。
もともと将棋の勝敗によって取り分が決まる約束なのでそれについてはどうでも良い。
しかし……
「いらねーよそんなに大量に……どっから貰ってきた?」
『さあ?戸棚に入っておったわい』
湯呑みを上品に持ちながらお茶を啜る少女に溜息を吐きながら、俺は自分の前に置かれた湯呑みを手に取る。
お互いお茶を啜り、一息ついて、もう一度啜る。
そして、お互いが湯呑みを同時に下げ、お互いの湯呑みが卓袱台に着地した瞬間……!
「くっ……!」
791
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:00:04 ID:1dXFnXow
『はっ!』
俺は纏の膝下に置かれたお茶菓子の箱に掴みかかり、纏はそれを寸でのところで回避する。
俺の腕はさながらホーミングミサイルのように箱を追いかけ、纏の小さな腕からそれを回収しようと足掻く。
纏はその小さな体躯を活かし、あと僅かといったところでその追随を退け、箱を死守する。
小さな卓袱台の周りでの二人の攻防は10分近く続き、お互いに息を切らせ、肩を上下させながら睨みあいとなった。
「そろそろ……ゼェ……諦めろよ……」
『ふふ……息が上がっとるぞっ……ック……小僧……ッハァッ……その程度か……?』
「馬鹿言えよちんちくりん……ハァ……俺はまだまだ若いんだぜ……ハァ……」
『ふん……ヒヨッコが……ッゲホッ……それで言うなら、儂の方が……まだ若いじゃろ……』
「言ってろ……ハァ……」
『ふふ……』
「はっ……」
最早、お互い口で言い合うのも疲れて満身創痍である。
……不毛過ぎる……。
「……あーもうやめだ!疲れた!」
俺は時間と労力の無駄を悟り、半ばヤケクソ気味に畳の上に倒れこむ。
纏はそれを見て自分の勝ちを悟ったのか、余裕を繕った笑みをもって戦闘体勢を解除する。
『ふん、そんなものか小童が。最初から諦めておけば良いものを……』
「はいはい……はい……よっ!」
俺は大の字の体勢から脚を思い切り伸ばし、油断し切った纏の脚を勢いよく払い除けるっ!!
792
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:00:25 ID:1dXFnXow
馬鹿め!油断したな!!
『ひゃあ!?』
足元への攻撃は予想外だったようで、小さな体躯の少女は間抜けな声を上げながら宙を舞う。
俺は脚を伸ばした勢いのまま腰を軸に畳の上で回転し、倒れこむ纏の身体を受け止める。
勿論、突然のことに驚いて、纏が手放した茶菓子の箱もキャッチする。
実は、俺は最初から纏から箱を奪い取るつもりは無かった。
家にいくら物が少ないとは言え、流石に卓袱台の周りで暴れて怪我をさせたんでは話にならない。
暴れる纏を押さえ付け、箱を奪取する方法を合理的に考えた結果、こうなったのだ。
纏は暫く目を白黒させていたが、やがて状況を理解したようで、俺の腕の中で暴れ出した。
『も……もがぁー!!』
「はいはい捕まえたー。こら暴れんなって」
頭を抱え込む力を少しだけ強くすると、観念したようで直ぐに大人しくなる。
「どうだ?先の先は読めていても、その先の先は読めてなかったみたいだな?」
そう言ってやると、纏は悔しそうに『ぐぬぅ……』と唸った。
ずっと言ってみたかった言葉を口にするのが、こんなに快感だなんて……。
「うわっ……お前コレ超高いやつじゃん……どうやって買ってきたんだ?」
箱に書いてある銘柄と内容数から見て、高級品だとわかる。
『外は面倒じゃ。鉄の塊が走っておるし背の高い建物がたくさんある。それに何より人が多過ぎる。家の中の方がよっぽど快適じゃ』と言い張り、
家から滅多に出ないこいつが買いに行けるような場所に店は無いはずだが……。
793
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:01:00 ID:???
『……ウチの当主は脚が悪くて買いに行けぬ上に儂はそのお世話で手一杯。なのに当主はそちらの銘菓を大層気に入って買って来いと儂に駄々をこね……およよ……
と言ったら料金を多めに払う代わりに届けてくれたのじゃ』
「てめぇ……」
なんて捏造をしてくれる。
俺は脚も悪くないしそんな駄々を捏ねるほどもうガキじゃない。
恨みを込めた視線で纏のつむじを見つめていると、ポツリ、と纏が呟いた。
『……怒ったか……?』
纏は小さな指で俺の胸元を引っ掻くようにして、まるで甘える仔猫のようだ。
……いつにも無くしおらしい。
そんな雰囲気に呑まれ、ついつい《いたずら》を許してしまう。
「……これも、日課みたいなんだな……」
『ん?』
「なんでもねー、おこってねーって言ったの」
『ん……』
纏はその細い両腕を俺の首に回し、その柔らかな頬を俺の頬に擦り付けるようにして顔を隠す。
そして耳元で
『……そうかっ……』
と、安堵したような、怒ったような、微笑んだような、ともすれば、泣いているような……そんな声音で、呟いた。
それはまるで、あの抉れた石畳を見つめている時のような、そんな、音色。
俺は、そんな声がもどかしくて……
794
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:01:45 ID:1dXFnXow
「……お茶、冷めちまったなぁ」
『……お主が暴れまわるからじゃ』
「人のこと言えねーだろ……っと……」
俺は纏ごと、身体を起き上がらせる。
湯呑みに手をつけるとやはり、冷たくなっていた。
「淹れ直すか」
『うむ』
茶を一度飲み干し、急須にお湯を入れ直す。
湯呑みにお茶を淹れて、卓袱台に並べ『これ、儂の湯呑みをどこへ遣るつもりじゃ?』
「は?元の場所に……」
『こちら側で良い』
「なんでまた……」
俺の純粋な疑問に、纏は『んんっ』と一つ咳払いをする。
『あー汗を少しかいてしまって少し肌寒い上、運動したので背凭れが欲しいところじゃ。二つを一つで満たす物があるとなれば、使わぬ手はあるまい、のう?』
「……なるほどね」
卓袱台の向こう側に置きかけた湯呑みを、こちら側に置き直す。
ついでに大量のお茶菓子も回収し、手元に並べる。
『ん、その緑色のが食べたい』
「はいはい」
『ぁむっ……ムグムグ……んふっ♪』
795
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:02:11 ID:1dXFnXow
幸せそうに微笑む小さな少女と、それを支える青年。
二人の声は誰にも聴こえない音色となって紡がれる。
この時間が、長く……永く続けば良いと願う少年の想いと伴に。
796
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:02:33 ID:1dXFnXow
雨は、まだ、止まない。
797
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 16:04:57 ID:1dXFnXow
終わりです
エロパロ板のロリババア・合法ロリスレにも同じ物を投下しました
雰囲気的にはそっちの方が合ってるかもと思ったんですが、もともとツンデレスレに投下するために書き上げた物なんでやっぱこっちでも投下したいなと
長文失礼しました
798
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/08(水) 01:12:18 ID:???
GJですた
しかし萌えというより人生の儚さ感の方が強く感じてしまうのは、
わたくしがそういう年になってしまったからなんでしょうかねえ……
799
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/08(水) 15:00:27 ID:???
これはGJの一言で済ますには惜しいくらいのGJ
是非続きを読みたい
800
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/05(水) 11:33:35 ID:???
山「友ちゃん」
友「なによ」
山「何か飲む?」
友「要らない」
山「友ちゃん」
友「なに」
山「お腹空かない?」
友「別に」
山「友ちゃん」
友「うるさい」
山「友ちゃん、なんでそんなに機嫌悪いの?」
友「…」
山「ねぇ」なでなで
友「やめて!」ばっ
山「…ボクのせいなの?」
友「…ふん」
山「わからないから、教えてよ。ね?」
友「…ねこ」
山「ん?」
友「昨日…猫…いっぱいなでてた…」
山「…へ?」
友「私そっちのけで猫をいっぱいなでなでしてた!」
山「だから、機嫌悪いの?」
友「ん!」
山「…くすっ…なんだ、そんなことか」
友「そんなことじゃない!」
山「そっか、ごめんね。それじゃ…」
ぎゅっ
友「ひゃっ…」
山「お詫びも込めて、ね。」なでなで
友「はぅ…」
山「ぎゅってしながら、なでなでなんて、猫にはしないよ。友ちゃんだけだからね?」
友「ん…」
山「…これで、許してくれる?」
友「今日ずっとこうしてくれたら…許す…」
山「かしこまりました」
801
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/08(土) 16:35:57 ID:???
・普段上下ジャージな友ちゃんがおめかししてきたら
友「山田」
山「あ、友ちゃんおはよ…おや」
友「な、なによ」
山「友ちゃん、珍しいね。普段は上下ジャージなのに」
友「…私には似合わないって言いたいんでしょ。わかってるわよ」
山「…そんなこと言ってないじゃん」
友「じゃあ感想、正直に言ってみなさいよ」
山「…すごく似合ってるし、すごくかわいいよ」
友「う…そ、そんなのお世辞なのバレバレだし」
山「お世辞じゃないよ。ボクは友ちゃんはもっと女の子らしい格好したほうが良いって思ってたよ」
友「…なんで言ってくれなかったのよ」
山「…恥ずかしいじゃん」
友「ふん、ヘタレめ」
山「ま、まぁとにかく…あれ、友ちゃん、カメラは?」
友「…忘れてきちゃった」
山「忘れたって…一旦取りに帰る?」
友「…良い」
山「へ?じゃあどーすんの?」
友「…はぁ…ほんとこのバカは…」
山「…?」
友「…行くわよ!!買いたいものがあるから!山田荷物全部持ってよね!!」
山「な、なんで機嫌悪いんだ…?」
友「(山田のバカ!!私がなんでおめかしして、なんでカメラ忘れたのか、気づかないの!?)」
802
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/08(土) 16:44:41 ID:???
友ちゃんは実は一番乙女可愛い
803
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/06/10(月) 00:10:09 ID:???
可愛い
804
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/07/30(火) 02:48:27 ID:???
カタカタ…ッターン
山「ふう、これで今日の作業は終わりっと」
友「お疲れ」
山「あぁ、疲れたー」ぼふっ
友「ありゃ、もう寝るの?」
山「うん、さすがに今日はパソコンずっと見てたから疲れちゃったよ」
友「軟弱者め」
山「友ちゃんは指示出すだけだから良いよねぇ」
友「あんたに仕事やってんのよ。感謝しなさい」
山「へいへい…じゃ、おやすみ」
友「…」
ぽふっ
山「…おっ?…友ちゃん、膝枕とは珍しいね」
友「今日はちょっと頑張ってくれたから、ご褒美よ。友ちゃんの優しさにむせび泣くと良いわ」
山「…んー…太ももがふにふにしてて気持ちいい」
友「ふ、太ってて悪かったわね」
山「そういう意味で言ったんじゃないんだけど…ま、ボクは今くらいの友ちゃんが好みかな…」
友「…そーゆーの、セクハラになるのよ」
山「世知辛い世の中になったなぁ…」
友「ま、別に私は嫌じゃない…けど」
山「…ふふ」
友「…」なでなで
山「んっ…」
友「あんた、私の頭すぐなでなでするから、お返しよ」なでなで
山「…ありがと」
友「なんて顔してんのよ」
山「嬉しくて、幸せで、つい」
友「そ、そーゆーことすぐ言うの、反則」
山「あははっ…」
やがて自分の膝枕の上で寝付いた山田の頭をなでなでしながら、友ちゃんは山田の寝顔を自分の脳裏(あとデジカメ)に記憶するのでした。
山「友ちゃん、このデジカメの中身見ても良い?」
友「ダメ!絶対ダメ!!」
おしまい
805
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:03:55 ID:???
帰宅ラッシュのむさ苦しいおっさんどもの波に揺られ、営業回りで酷使されている脚に鞭打ちながら自転車で約20分の帰り道。
そして、家に着けば待っているのは……
「みこちーん!」
黒髪美人でグラマラス、ポニーテールと口元のホクロがチャームポイントの新妻。
みこちんこと我が妻、別府尊ちゃんだぁーっ!!
玄関まで迎えに出てくれるみこちんの胸にダイヴ!
ふかふかな感触と、甘いのにどこか爽やかな香りが俺を満たしてくれる。
腕を腰に回して頬を擦り付けると、美しいくびれと豊満なおっぱいがおれを包み込む。
「ああ……この瞬間のために生きている……」
『喧しいっ!!』
みこちんの肘が俺の脳天を貫く。
痛い。
806
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:04:36 ID:4SnLyINA
「痛い……」
『ふんっ!』
痛みに頭を抱えて蹲る俺を無視して、みこちんはさっさとリビングに消えてしまう。
ちょっとしたスキンシップなのに……んもぅ!
照れ屋さんなんだからっ!
産まれた病院も同じで、乳児室のなかですらお隣同士、ハイパー幼馴染である俺からすれば、こんなモノは慣れっこだ。
俺は決してMというわけではないが、みこちんに女王様プレイがしたいと言われれば喜んで犬になるし、
スカトロプレイが好きだと言われれば甘んじておしっこでもうんこでも受け入れる所存である。
そんなわけで昔からこんな攻撃を喰らいまくっていた俺の回復力も尋常ではなく、頭の痛みも引いたところでみこちんのあとに続く。
リビングのテーブルの上にはお米と汁物に焼き魚、その他諸々の付け合わせが栄養バランスを考慮した上で鮮やかに並べられている。
その見た目と旨そうな匂いに、仕事疲で機能が低下していた胃を叩き起こす。
しかしまだ我慢だ。
807
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:05:05 ID:4SnLyINA
みこちんはだらしない男が大嫌い。
仕事帰りのスーツのまま食事を摂るなど言語道断だ。
だから空腹を主張する胃袋を抑え込み、手早く着替える。
『ん』
「お、ありがと」
『……ん』
傍から着替えを用意して差し出してくれるみこちんに感謝の意を表しつつ、部屋着に着替えを完了する。
ここですぐさま食事に飛びつきたいところだがそうは問屋が卸しても俺がそうしない。
食事の前には手洗いとうがいをするモノだ。
液体石鹸をつけて掌から指、爪の間、手の甲までしっかり30秒。
もちろん手首も忘れない。
風邪予防の為にもイソジンを使ってきちんと3回うがい。
喉の奥までスッキリだ。
そこまでして漸く食卓につく。
きちんと手を合わせて、
「いただきます」
『うむ』
味噌汁、おかず、お米、とバランスよく食べ進める。
よく噛んでよく味わって食べることも忘れない。
ちなみに、俺は基本的に帰りが遅いのでみこちんは先に食事を済ませていることが多い。
今日もみこちんはお茶を啜りながらチラチラと俺の様子を伺っている。
一通り味わってから、みこちんの目をちゃんと見て、
「今日も美味しいよ。ありがとう」
ちゃんと言う。
808
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:05:32 ID:4SnLyINA
感謝の気持ちは日頃から言わないと腐ってしまうものだ。
腐ったものは取り出しづらくなる。
その前に、新鮮で美しいままに相手に伝えるのが一番だ。
『……そうか』
みこちんはそっぽを向いて、『当然だ』というような表情を作っているけど俺には判る。
これは照れと安心が折り混じったときの表情だ。
普段、尊大な態度を取りがちなみこちんだが、その実とても臆病で、更に照れ屋なのだ。
だからこそ、きちんと言ってあげるのが大事だとも言える。
みこちんは湯呑みに口づけてからその中身が無いことに気がついたようで、それを隠す為なのか照れているのか、湯呑みをくるくる回して弄んでいる。
「ごちそうさまでした」
食べ終わったら食器は自分で片付ける。
しかし洗いはしない。
なぜなら……
『今日も汗臭いぞ。さっさと風呂に入って来い』
「ん? そう?」
『ああ、オヤヂ臭がぷんぷんだ』
みこちんに言われるままお風呂へ向かう。
脱衣所には既に替えのパンツとバスタオルが用意されており、風呂場のドアを開けると柑橘系の入浴剤の匂いが流れてくる。
聴覚に意識を集中すると、キッチンから微かに水音が聞こえてくる。
みこちんが俺の使った皿を洗ってくれている音だ。
出迎えに食事、風呂場の用意の完璧さを見ても判るように、みこちんは元来働き者の上に尽くすタイプだ。
809
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:06:02 ID:???
結婚当初、働きたいと言っていたみこちんだが、(家でお前を待つだけの退屈な日々など真っ平だなどと言っていたが、本当は金銭面で俺に負担をかけさせない為だ。俺には判る)俺が頑として拒否した。
仕事などさせて出先で変な虫がくっついても困る……というのもあるし、女性に経済の一端を負担させてしまうというのは、俺のポリシーが許さなかったのだ。
幸い俺は一流とは言わないまでも大企業に勤め、収入も安定している。
上司とも後輩とも関係はうまく行っているし、契約先の役員の方にも顔を覚えてもらい、指名してもらえるぐらいにはなった。
そういうわけで、みこちんは俺がいない間随分暇だとも言える。
そんなみこちんから家事を取り上げようものなら、逆にちょっとしたストレスになってしまうだろう。
子供がいれば、俺がやってもいいだろうが、生憎まだ子宝には恵まれていない。
みこちんが照れてあんまりさせてくれないのもあるが、やっぱり大事なことは二人でゆっくり進めていかないとね。
そんなこんなでお風呂を堪能し、ほかほか上機嫌でリビングに戻る。
みこちんはテレビでニュースを垂れ流しており、俺に気づかぬまま、ソファの上で惚けていた。
810
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:06:36 ID:4SnLyINA
「今ですっ!」
『きゃあっ!?』
おっぱいを後ろから鷲掴みーっ!
柔らかいのう気持ちいのう。
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ。
ああ……癒しの時……。
『このっ……! 変態っ!!』
「ぎゃぶぅっ!?」
みこちんの鋭い肘鉄が俺を襲う。
レバーはらめぇ!!
みこちんは腹を抑えて蹲る俺から距離をとり、涙目で威嚇してくる。
『はーっ……はーっ……く……この、油断していれば……!』
「俺なりの愛だよぉ……」
しくしく、と泣き真似をしながら訴えるも虚しく、みこちんの顔は羞恥のそれから憤怒の赤に染まっていった。
あ、やばい。
これは相当お怒りですな。
くそうっ!
誘惑に勝てないこの両手が憎いっ!!
「み、みこちん? なんといいますかコレは夫婦のスキンシップでしてな……」
『離婚だ』
「はい?」
『次に許可なく私の身体に触れたら……離婚してやるっ!!』
「なっ……!」
なんだってー!!?
『ふんっ!』
みこちんは怒り新党、いやさ怒り心頭のまま、夫婦共用の寝室に消えてしまった。
寝室へ続くドアの向こうからは、阿呆だの助平だの変態だの性欲魔人だのと文句と呪詛が飛んでくる。
突きつけられた現実に少々呆然としていた俺は、ソファに倒れこんだ。
「(離婚かぁ……)」
そんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
みこちんは照れ屋さんなので、ちょっと強引な感じで攻めた方が受け入れ易いんだと思っていた。
しかし実際にそんな単語が出てくるということは、照れ隠しで攻撃してくるというのは俺の勘違いで、本当は嫌がっていたのか。
あんな巫山戯た感じではなく、もっとちゃんとロマンチックな状況の方が受け入れるのに抵抗が無いのだろうか。
俺は立ち上がり、垂れ流しのテレビを消した。
「ふむ……」
取り敢えず、寝る前に歯を磨こう。
811
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:07:16 ID:4SnLyINA
〜〜
「あだだだだ……」
翌朝。
ソファで寝たせいか俺の身体はバキバキだった。
時計を見るとまだ4時。
いつもより2時間も早い目覚めだ。
二度寝はみこちんに怒られるので決してしない。
立ち上がって伸びをすると、身体のあちこちがポキポキと小気味の良い音を鳴らす。
洗面所で顔を洗って、トーストとコーヒーを準備する。
起きてしまったものはしょうがないので、このまま会社に行こう。
いつもよりのんびり出勤できるだけ、得だとでも思っておこう。
朝食の後、歯を磨いてからスーツに着替える。
髭はあまり伸びない方なので、毎日は剃らない。
早めに起きてしまったので出勤する旨を書き置きして家を出る。
せっかくなので、自転車ではなく徒歩で駅まで行こう。
朝の4時過ぎともなると、流石に出歩いている人は殆どいなかった。
ランニングしている学生や、朝帰りなのか眠そうな顔をした女性がいるのみだ。
夏でもこの時間では陽は昇りきっておらず、風が吹くと少し肌寒くも感じる。
ふと、そういえば、婚約して、今の家に住むのが決まったとき、この辺を尊と一緒に散策したことを思い出す。
出勤ルートから少し外れ、通りを二つほど横断すると、ちょっと大きめの土手に出た。
幅も深さも大したことはない、小さな川。
そこに映る朝陽を見て、二人で手を握り合ったあの日。
あの日の尊は、昨夜のような不機嫌な顔ではなく、もっともっと、素敵な微笑みを見せてくれていた。
「……そうだよなぁ」
その俺の大事な人を、生涯守り切る。
あの日、この朝陽に俺は誓った。
だから、その誓いを、きちんと守ろう。
朝陽に向けて、俺は拳を握った。
812
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:07:51 ID:4SnLyINA
〜〜
いつも通りの家路を辿り、玄関の扉を開ける。
そして転んだ。
『えっ……』
頭上の尊は、不測の事態に頭がついてきていないようだ。
ふふふ……しかしそれは俺もだ……。
まさか、無意識に尊に飛びかかろうとして転ぶとは……。
だが甘いっ!!
尊に無意識に飛びかかる可能性を考え……
家の前でスクワット100回やっておいたのだ!!(クワッ‼
脚どころか腰までもうヘトヘト、これで尊に襲いかかることはもうできない……。
つまり、尊の嫌がることはできない=尊を守ることに繋がるのだっ!!
どうだ見たか? この完璧なロジック……。
「くっくっくっくっくっ……」
『だ、大丈夫か……?』
うつ伏せのままほくそ笑んでいると、心配気な声が頭上から降ってきた。
尊に無駄な心配をさせてしまったようだ。
さっさと起き上がり、スーツを軽く払って整える。
「ああ、大丈夫」
靴を脱いで尊の横を通り過ぎる瞬間、ふんわりとした良い香りが鼻腔をくすぐる。
すぐさま横っ飛びに抱きつきたいが、掌に爪を、唇に歯を食い込ませて辛うじて耐え切る。
別府タカシ、我慢の子!
いつも通り支度を整えて食卓につく。
……おや?
今日の食事はあまり栄養バランスが良くないようだ。
緑黄色野菜が添えられているものの、なんとなく肉料理が多く、味噌汁ではなくコーンスープ。
813
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:08:21 ID:4SnLyINA
どれもこれも、俺の好物ではあるが……うーむ。
…………。
…………生理かな?
女性は生理のとき、貧血になりがちだと聞くし、血を作る為に肉が食べたかったのかも……。
そう言う意味では、バランスの良い食事と言えなくもないだろう。
まあ、俺の好物でもあるのだし、感謝して味わうとしよう。
『ぉ……おい』
「んむ?」
夢中になって食べていると、尊が急に話しかけてきた。
顔を見てしまうと触りたくなるので、できるだけ顔は見ない。
『……どうだ?』
「ん?」
なんのことやら考えて見みると、そう言えばまだ感想を言っていなかった。
黙って食べているのを見て不安になったか。
ぐふふぅ、愛い奴よ。
「美味しいよ。いつも通りさ」
『…………そうか』
おや、なんだか不満気だな。
というより、拗ねているようにも感じる。
顔さえ見れればすぐに判るのだが、流石に声音と雰囲気だけで尊の精神状態を判断するのは難しい。
しかし自分の条件反射が怖くて尊の顔を見るわけにもいかず、その日はそのままろくに会話も無く、二人で床に就いたのだった。
814
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:09:04 ID:4SnLyINA
〜〜
『…………』
午前6時12分。
夫は出勤済みである。
私は朝に弱く、6時前にアラームをセットしても絶対に起きることはない。
これは二十余年の経験からもわかることで、性格というよりも生態に近く、自分でもどうしようもないのだ。
だから、ここ1ヶ月近く、早起きして出勤する夫の背中を見送ることすらできていない。
ついでに言えば1ヶ月近く夫の身体に触れておらず、さらに言えば、1ヶ月近くのセックスレスである。
『…………』
結婚数年にして、否それ以前から、夫が私に1ヶ月も触れること無く過ごすなど、もはや天変地異の前触れである。
…………。
……原因はわかっている。
私だ。
1ヶ月前のあの日、私は夫にこう言い放った。
次に許可なく私の身体に触れたら、離婚してやる、と。
それ以来、一度も私に触れてこない。
どころか、翌日からはろくに目も合わせてくれない。
だが待ってくれ!
私も私なりに謝罪の機会を作ろうと努力したのだ!
815
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:03 ID:???
・・・
離婚発言のその晩、私はベッドで夫がやってくるのを待っていた。
私にとってはちょっとした意地悪というか……否、それでも言い過ぎたのには変わりないが、そんなつもりで放った言葉だった。
だからそのうち、夫が私に謝りに来てくれればそれを許し、あわよくばそのままイチャイt……ゴホン。
それはそれとして、私はベッドで待っていたのだが夫はいつまでたってもやって来ない。
逆に不安になった私はベッドから起き上がり、リビングを覗いてみると、奴はソファで寝ていたのだ。
夫はとてもぐったりとしていた。
近づいてみると、寝言かうわ言か、私の名前をしきりに呼んでいた。
私は自分の発言の軽率と重さを実感し、夫が起きたらきちんと謝ろうと思った。
しかし翌朝。
起きてみれば夫の姿は無く、早めに出勤する旨の書き置きが残されていた。
私は事の重大さを思い知った。
夫はどうやら、酷く怒っているらしかった。
朝は私が起きるまで、横で頭を優しく撫でてくれている夫が、ベッドにいないどころか家にもいない。
それもそうだ。
奴は昔から、私に触れると癒されると言っていた。
いつも汗水流して私の為に働いてくれているのに、その癒しを私は奪おうとしたのだ。
下手をすれば愛想を尽かされても……最悪、他の女に……。
想像するだけで泣きそうだった。
私は商店街が開く時間になると身支度もそこそこに家を飛び出し、買い出しに向かった。
産まれた病院も同じで、乳児室のなかですらお隣同士、ハイパー幼馴染である私からすれば、奴の好みなどとっくの昔に把握済みだ。
奴が好んでよく食べる緑黄色野菜を八百屋で買い込み、肉屋で普段は買わないような高い肉を牛、鳥、豚、もちろん国産で揃える。
他にもコーンスープの材料など諸々を買い、家に戻る。
下拵えをしてから、洗濯やら掃除やらを済ませ、本格的に料理に取り掛かる。
手間暇をかけて渾身の夕食を作り上げると、丁度いい時間だった。
朝食も昼食も摂っていなかったが、空腹などどこかへ飛んで行ってしまった。
食卓に料理を並べる前に、部屋着ではなくきちんとした服に着替え、普段はしない化粧をする。
どれもこれも、奴と仲直りする為の計画の一部だった。
私の計画はこうだ。
==========
「ただいま」
『おかえり』
「わあ、今日は俺の好物ばかりだね」
『一生懸命作ったのよ』
「すごく美味しいよ! お化粧までして、いったいどうしたんだい?」
『その……昨夜のことで謝りたくて……言い過ぎだったわ。ごめんなさい』
「俺こそやり過ぎだったよ。でも、愛し過ぎるがゆえなんだ」
『わかってるわ。私も愛してるもの』
「尊……!」
『あなた……!』
キャッキャウフフ
==========
概ねこんな感じである。
馬鹿馬鹿しいかもしれないが、私はどうにも素直になれないのが悪い癖だ。
しかしそれを今すぐ直すのは難しい。
だから、自分で自分が素直になる為のお膳立てをしようというわけだ。
そして、あとは奴が帰ってくるのを待つだけだ。
816
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:25 ID:4SnLyINA
・・・
結果から言えば、その計画は失敗に終わった。
夫はなぜか玄関に入るなり盛大に転び、以来、私の顔すら見ようとしなかった。
私の横を通り過ぎるときは拳を固く握って歯を食いしばり、何かを必死に耐えているようだった。
食事中も、いつもなら向こうから目を見てはっきりと感想と感謝を言ってくれるのに、こちらが聞くまで無言の上、最後まで私の顔を見てはくれなかった。
寝るときは同じベッドで寝たが、寝ているときでさえも私に近づこうとはせず、奴の態度は徹底していた。
そんな馬鹿馬鹿しい計画を繰り返すこと約1ヶ月……。
今日もまた、夫は早朝出勤で、書き置きを残して行った。
正直、私の方はもう限界に近かった。
相手に触れることで癒されていたのは奴だけではなかったのだ。
『……今日帰ってきたら、素直に謝ろう……』
私は決意し、夕食の支度に取り掛かった。
そして、ようやく準備が終わったところで、奴から電話がかかってきた。
817
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:54 ID:4SnLyINA
〜〜
上司からの急な誘いで、飲み会に付き合わされて遅くなってしまった。
どうやら、ここのところ尊との触れ合いが欠乏し過ぎてやつれていた俺を心配してくれたようだったが、お酒はあまり得意ではないし、ありがたくもあったが実際遠慮したかった。
しかし後輩たちに押し切られ、女性社員にホステスされたりホストしたりしているうちにこんな時間になってしまった。
尊には途中で連絡したものの、『そうか』とだけ言って電話を切られてしまった。
また怒らせてしまったらしい。
ここのところ、できるだけ尊に嫌な思いをさせないように努力していたが、流石にこの身も限界が近いようだ。
顔色が相当悪いのか、取引先の方から「もっと待遇良くするからうちに来ないか」などと冗談だか本気だかわからないお誘いを受けるほどだ。
「帰ったら、土下座してでも抱きしめさせてもらおう……」
818
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:11:32 ID:4SnLyINA
〜〜
玄関を開けると、真っ暗だった。
「……?」
明かりをつけてみるが、やはり誰もいない。
いつもなら尊が俺を出迎える為に玄関の明かりをつけて待っているはずなのだが……。
リビングに進むと、ここも電気はついていなかった。
「あれ?」
食卓には夕飯がセットしてあるが、どれもこれもだいぶ前に準備されていたようで、茶碗を触ってみると、既に冷たくなっていた。
今日の夕飯も、豪華だった。
「…………」
やはり、怒らせてしまったらしい。
それもそうか。
いくら急な誘いとはいえ、これだけの準備をして待ってくれていたのを無駄にしてしまったようなものだ。
「(これも含めて、ちゃんと謝らなきゃな……)」
おそらく、尊は不貞寝でもしているのだろう。
寝室を覗いてみると、案の定、ベッドの上が盛り上がっていた。
カバンをベッドに置き、尊の側まで近づく。
まだお許しを得ていないので触ることはできないが、近づくぐらいならいいだろう。
「尊……? あのさ……」
と、そこで、毛布から伸びてきた腕によってベッドに組み伏せられた。
「痛っ……!?」
ベッドに叩きつけられた衝撃に視界が眩む。
『タカシ……』
その声に、ハッとして目を開く。
俺を押し倒したのは、尊だった。
長い黒髪が艶やかに流れ、俺の顔の横まで垂れる。
その瞳は怒りなのか悲しみなのか不安なのか、涙を湛えて充血していた。
月明かりが窓から差し込み、尊の白い肌を照らしている。
そう、尊はなぜか、全裸だった。
『タカシ…………タカシ…………タカシ……タカシ……』
尊は俺の名前をうわ言のように繰り返し、痛いほどに俺の肩を握りしめていた。
その鬼気迫る表情に、俺は言葉が出ない。
『タカシ……タカシぃ……! 他の、他の女のところになんて行かないで!!』
その言葉と一緒に、尊の瞳から、雫が零れた。
『わ、私ならお前を満足させられるぞ? お前のことはなんでも知ってるからな。感じるところも好きな食べ物も映画も漫画も女の好みも性格も全部全部全部だ! ほ、ほら今すぐ気持ち良くしてやるから……!』
「ちょっ……! み、尊っ!?」
尊が俺のベルトに手をかけ、強引にズボンを脱がそうとしてくる。
そこでようやく俺は思考を取り戻し、尊の腕を抑えて抵抗する。
『な、なんで……? わ、私の体じゃ満足できないか? な、なんでもしてやる今ならなんでもするから! ヴァギナでも口でも胸でも……お、お尻はちょっと怖いけど大丈夫だお前は優しいから……
そ、それとも私のせ、性格に愛想が尽きたか? な直す直すよ? わ、私もこんな性格に愛想がつきかけてたんだ。直すまで待てないなら……そ、それなら……ほ、他の女のところに行っても
しょ、しょうがない、しょうがないけど私のこと捨て、捨てないで傍にお前の、タカシの傍に置いてくれなんでもするなんでもするからお前がいないとダメなんだお前じゃないとお前に触れていないと
お前が一緒にいてくれないなら私…………死ぬ、しか』
819
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:11:57 ID:4SnLyINA
「尊っ!!!」
聞いていられなくて、尊を抱き締めた。
その身体は夏とは思えないほどに冷え切っていて、本当に死にそうだ。
尊はまるで魂が抜けたかのように身体はピクリとも動かず、さっきまでの狂ったような言葉も止まっていた。
怒るどころではなかった。
何を勘違いさせてしまったのか、尊は俺が尊を捨ててしまうと思っていたらしい。
「そんなわけねぇだろっ……!」
力強く、抱きしめる。
「俺が、この俺が……尊のハイパー幼馴染のこの俺がっ……!!」
この1ヶ月を埋めるように。
「尊から離れるわけ……ないだろっ……!?」
強く、強く抱きしめる。
骨が折れてしまうほどに。
肉が千切れてしまうほどに。
その奥にある、彼女の心に、俺の心を繋ぐ為に。
愛を、伝える為に。
『私のこと、愛してるのか……?』
彼女の身体が震える。
「ああ……」
『私と、ずっと一緒にいてくれるか……?』
彼女の涙が零れる。
「愛してる。頼まれたって、手放さないよ」
尊の泣き声が部屋に満ちる中、満月の明かりに照らされて、俺は。
二度目の誓いを贈った。
820
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:12:24 ID:4SnLyINA
〜〜
二度目の誓いをしたあの日、尊が何であんなことになったかと言うと、単純な勘違いだった。
俺はあの日、飲み会に誘われて帰りが遅くなる旨を尊に電話で伝えた。
その時、喧しい会場からは少し離れたところで電話をしていた。
しかしそこで運悪く、一人で席を立った俺の様子を見にきた後輩(女性)が、電話中の俺に絡んできたのだ。
どうやら尊は、その声を聞いて、俺が不倫だか浮気だかをしていると勘違いしたらしい。
ただ、原因は俺にもあったようで、衝動的に抱きついたりしないように俺は尊の顔を極力見ないようにしたり、
更に、朝早く出て例の朝陽を拝むことで自戒を強めたりしていたわけだが、
それらのせいで、俺が怒っていると尊に勘違いを与えてしまっていたのだ。
それが1ヶ月も続いてからのあの電話で確信した(勘違いだが)尊は、どうにか俺を引き止めようと必死だったのだ。
そんなこんなで、あれから一週間。
「いってきます」
『うむ』
午前6時40分。
出勤には良い頃合いだ。
『あ、ちょっと待て』
尊に引きとめられて振り向くと、襟と裾を直される。
『まったく、だらしのない』
「いやぁ、昨夜尊に絞られたからぼーっとしちゃって」
『そ、そういうことを外で言うなとっ……!!』
冗談めかして言う俺と、真っ赤になって怒る尊。
可愛らしい妻を持って、俺は幸せだなぁ。
『……ちょっと来い』
袖を引っ張られ、もう一度家の中に入り直す。
『ん』
そうして、ドアを閉めるや否や、尊が両腕を広げる。
「はいはい」
俺は尊を優しく抱きしめ、髪を梳くように頭を撫でる。
尊はそれに返事をするように、俺の腰に腕を回す。
そうしてしばらくすると、尊から、一際強く抱きしめられる。
それは、もう行かなきゃの合図。
「そんじゃ、いってくる」
『……ん』
お互いがお互いに名残惜しく、離れる最後まで繋がっていたいとばかりに少しずつ離れて行く。
手と手だけが残って、その手の淵で小指を絡め合う。
「今日も愛してるぞ」
『ばか……私もだ』
絡めた小指も離れ、俺は玄関のドアを開ける。
外に一歩踏み出すと、地球を蒸し焼くように輝く太陽が俺を照らしている。
それでもこの体を包むのは、太陽の熱なんかじゃない。
821
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:12:46 ID:4SnLyINA
これは、大好きな人の温もりだ。
822
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:13:25 ID:4SnLyINA
おわり
長文失礼
最近無駄に長くなりすぎ
823
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 01:28:27 ID:???
激しくGJ!!
824
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 02:22:26 ID:???
みこちんかわかわ
825
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 04:28:55 ID:???
これはやばい
みこちんが可愛すぎて俺の頬がやばい
826
:
1/5
:2013/08/14(水) 00:28:32 ID:???
【ツンデレとプールへ行ったら】
夏なのでプールに行きたい。暑いからね。それだけの理由だからね。別に肌色占有率の変遷とかに興味はなくてね。スク水がどうとかどうでもよくてね。個人的には旧スクが一番好きだけどそれはどうでもよくてね。
「……後半に行くに従って本音が漏れていくのはどういう仕様なのか」
いつもの半眼がジロリと俺を睨み上げる。今日もちなみは鋭くて困る。というより、気づくと考えをひとりごちている俺に問題がある。
「べ、別に本音というわけではなくてだな……あ」
軽く声をあげると、ちなみは不思議そうに小首を傾げた。
「こほん。……か、勘違いしないでよねっ! 別に本音なわけじゃないんだからねっ!」
「…………。ばーか」
たっぷり間をとったあと、ちなみは全力で俺を馬鹿にした。
「否定はできない。だけど、我慢できなかったんだ。どうしてもツンデレ語を使いたかったんだ……!」
「……どうしてタカシはこうも馬鹿なのか。夏か。夏のせいなのか。なら夏のない国へ行って戻ってくるな。迷惑だ」
言葉以上に迷惑そうなしかめっ面で、犬でも追い払うかのようにシッシってされた。シッシって。
「ウッシッシ。なんちて。うひゃひゃ」
「……そこまで追い詰められてたなんて。……私にできることなら、なんでもやる。……だから、リハビリ、がんばろ?」
結果としては大成功なのだが、ちなみの哀れみの視線がどうにも辛いよ。つーか、なんだ、リハビリって。
なんでもやるとか言ってたので、一緒にプールに来てみた。
「も、もちろん水着DEワッショイですからね! プールですから! プールなので水着も変じゃないですから! もちろん将来的には一緒にお風呂に入った時に水抜き穴から手を入れる予定ですから、これは予行演習ということでよろしいでしょうか」
プールの監視員達からのものすごい熱視線を受けながら、一人ちなみを待つ。女性の着替えは時間がかかるものだ、男たるもの、どっしりと構えていたいものだ。
「さてはて、ちなみはまだかな?」ソワソワソワソワソワソワソワソワ
「……その動きは法に引っかかる。即刻やめるべき」
「お、俺のどっしりとした構えが犯罪だと!? どういう了見……」
くるりと振り向くと、そこに紺色の人魚がいた。
「……いったいどこにどっしりなんて擬音が存在するのか。……外宇宙にまで探検しても見つからないに決まってる」
いた。ここに俺の天国が。旧スク天国が今ここに。
「……じ、じろじろ見ない。ばか」
「ああ。あああ。ああああ」
肩にかけてたパーカーを着られてしまった。うすぺたい乳を隠され、これでは魅惑のデルタ地帯を鑑賞することしかできない。
「まあ、それは、それで」
827
:
2/5
:2013/08/14(水) 00:29:03 ID:???
「……う、うう。一体どこまで変態なら気が済むのか」
「はっ」
気がつけば、ちなみの下半身に鼻息が届くほど間近に迫り、全力で凝視していた。恥ずかしげな顔でこちらをちらちら見ているちなみが可愛い。
「恐るべきは、スク水の魔力か……!」
「……いや、衆人環視の中、女の子の下半身を凝視できるタカシの精神力の方が恐ろしいと思う」
成る程ちなみの言う通り周囲は夏休みということで人でごった返しており、さらにこちらをちらちら見つつヒソヒソ囁き合っており、さらにさらに言うならちなみは一見小学生的であり、これはもう完全に俺が変質者。
「ち、ちなみ、友人のちなみ。向こうの人があまりいないプールに行こう、すぐに行こう。楽しく一緒に遊ぶんだねぇー」
「……ちなみに、また、あの白いの飲ませるの?」ウルウル
はい出た、出ましたよちなみさんの秘技、幼女変化! 子供っぽく振る舞い、俺に致命的ダメェジを与える秘技! 主に社会的に致命的な被害があり、結構な確率で通報されるのでやめてください。
というわけで、もう何を言っても俺が加害者のイメージは覆そうになかったので、ちなみを脇に抱えて全力ダッシュ。
「お。おお。おおおー」キラキラ
抱えられたちなみは楽しそうで何よりだが、監視員達が無線で何か連絡をとりあってるのが視界の端に映ってたのがどうにも気にかかる。
「はぁはぁ……。あのなあ、ちなみ。ああいう冗談はお前の容姿と相まって洒落になんねーから、なるべく抑えるようにしてくれませんかねェ……?」
「……善処する」
「この政治家め」
「……秘書がやりました」
「政治家だ!」
「……えっへん」
よく分からんが胸を張っていばってるちなみの頭をなでつつ、ふと先ほどの発言を思い出す。
「つーか、白いのを飲ませるってなんだ。そんな非道なマネしてねーぞ」
「……前に、タカシの家に行った時に、カルピス飲んだ」
「あー。なんつーベタな」
「……白くてベタベタした液体を、タカシが無理やり私に飲ませた」
「無理やりじゃねえ。おかわりしてたし」
「……普段飲まないから、結構おいしかった。次遊びに行ったら、また出せ。濃いのな、濃いの」
「あー分かった分かった」
なんとなくちなみをなでながら周囲を見回す。ここはただの大きなプールだ。しかも結構な深さがあるため、人影は先ほどのレジャープールに比べ、あまりない。
「俺なら肩まで浸かる程度で済むが、ちなみのような幼女気質の人間の場合、ものの数秒で頭まで沈み溺れ死ぬこと請け合い」
「……その場合、絶対に道連れにしてやる」
手近な椅子にちなみのパーカーをかけてから、暗い笑みを浮かべる死神を連れ、件の深いプールへ。
828
:
3/5
:2013/08/14(水) 00:29:24 ID:???
「おお。こりゃ結構深いな。大丈夫か、ちなみ?」
「……へ、へっちゃら」
と口では言ってるが、常に泳いでいないといけないため、結構大変そうだ。顔にいつもの余裕がない。
「大丈夫か? 他のトコ行くか?」
「へっ、へっちゃらと、言ってる!」
「へーへー。疲れたら早めに言えよ、素早く上から押さえつけるから」
「……今こそ、道連れの時……!」
「うわっ」
がしっ、とちなみが抱きついてきた。……いや、今の擬音は間違いだ。
ふにょん、とちなみが抱きついてきた。
「え、ええと、ええぇとだな、その、間違いでなければ、その、俺の、俺様の黄金の右腕にだな、その、ふにょりと柔らか物質的な物が」
「…………」
ちなみは黙って頬を染めている。困ったような顔で、こちらをちらりちらりと伺っている。そんなの、こちらも困ってますよ!
「まあ、その、事故的なものですし、ええと、その」
「……う、うぅ。貧乳のくせにあててんのよをするとか笑止、とタカシは言う」
「言ってねえ!」
「……え、ええと。……一応、私のおっぱいです」
「分かってるよ! 何の謙遜だよ! びっくりしてんだよ!」
「……あまりの小ささに?」
「女体の柔らかさに! あっ」
「…………」
言わなくていいことを言いました。なぜなら、ちなみの顔がもう目に見えて赤くなっているから、言わなくていいと分かったのです。
「……えろ。タカシのえろ。えろー」
片手で俺に抱きついたまま、空いてる手でちなみがパシャパシャと俺に水をかけてきた。
「すいません。すいません」
「……このままではプールの中で犯されてしまう。エロ同人みたいに」
「そんな同人見たことねえ。AVではあるが」
冷静になりました。色々どうでもいい。
「はぁ……何もしてねえのに疲れた。しばらく泳ぐのはいいや、ぷかぷかと漂うことにする」
「……さながらタカシの人生のよう」
829
:
4/5
:2013/08/14(水) 00:29:49 ID:???
「人の人生をクラゲみたく言うない」
「……ふふり」
薄く笑って、俺の隣にぷかりとちなみが浮く。……が、すぐに沈んでしまう。
「……むぅ。浮かない」
不満げな顔で、ちなみが浮上してくる。
「脂肪が少ないと浮きにくいらしいな。これは全く関係ないが、おっぱいってのは脂肪の固まりらしいな」
「…………」
ちなみが無言で自分の胸をぺたぺた触った。心なしか悲しげだ。だがそれも一瞬のことで、こちらを見るとニヤッと笑った。
「……そのおっぱいを、タカシは先程どう評価したっけ?」
「ぐぅ」
正直ぐうの音も出ないが、悔しいのでぐうの音を絞り出す。
「……ふふり」
満足げに微笑み、ちなみはさっきと同じように俺の腕に抱きついた。
「お、おい」
「……別に、抱きつきたいわけじゃないもん。……脂肪が少ない、スレンダーな体つきだから、無駄に脂肪がついてるタカシにくっついて、一緒に浮かんでるだけだもん」ギュー
「別に俺はデブじゃないデブー」
「……急にデブ語を駆使しだした。はろはろー」ムニー
「腹を押すない。あ、そだ。浮き輪でも買うか? それなら俺にくっついてなくても浮かぶと」
「いらない」
「え、いや、でも」
「節約は大事。いらない」
「や、そんな高いものでもないし、それくらいなら」
「いらない」キッパリ
「……まあ、そこまで言うなら」
普段のだらだらとした口調ではなく、はっきりいらないとちなみが言う。経済観念のしっかりした娘さんで感心する。将来はこういうのを嫁にしたいね。貧乳だし。
「ん。いらない。節約大事。ちょー大事」ギュー
「……気のせいか、それ以外の何らかの目的を感じるのだが、気のせいだろうか」
「気のせい。タカシは勘が鈍いのだから、気のせいに決まってる」ギュー
「そうなのだろうか」
「そうなのだ」ムギュー
830
:
5/5
:2013/08/14(水) 00:30:11 ID:???
「先程から抱きつくというよりしがみつくという方が相応しいほどくっつかれてるのだが、それは関係ないのだろうか」
「ない。一切ない。これはただの浮き輪代わりにタカシを利用してるだけ。まったく、すぐ勘違いをする。これだから童貞は困る」
「妄想の中では億を超えるほど女性と交わってますが!?」
「……それで、一体どういう反応を期待しているというのか」
「『超すごい。抱いて』という反応」
「…………。超すごい。抱いて」
一瞬ものすごい蔑みの視線を受けたが、それでも言ってくれるちなみの優しさに感激するが、それ以上のむなしさに襲われたのでどうにもできない。
「……期待通りの反応なのに、どうして悲しそうなのか」
「よく考えたら全然すごくない上に、こんなので抱いてと言う人間なんて存在しないと気づいたから」
「……当然だ、ばーかばーかばーか。どざえもんになって死ね」
「今この瞬間に僕土左衛門になったら、もれなくお前もぼくドラえもんの妹になるがよろしいか?」
「……脅迫された。……水中でえっちなことをされるに違いない」
「してねぇ」
などと益体もないことをのたのた言い合いながら、ちなみにしがみつかれたり背中に乗られたりされました。色々柔らかかったです。
831
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 02:07:17 ID:???
はうううううう!
うううううう!
832
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 03:23:12 ID:mHrZcYPk
ニョワワワワ
833
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 07:11:22 ID:???
これだからちなみんは可愛い!!
834
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 16:17:33 ID:???
ちなみんは可愛いなあ!可愛いなあ!
835
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/18(日) 19:51:19 ID:???
>>830
GJ
ちなみんのちっぱいに吸い付きたい!
836
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:04:54 ID:ye//j46.
(
>>742-747
>>761-764
>>768-773
とかの続き)
『お兄』 ガチャ
「の、ノックしろばか」 ビク
『……なにしてんの?』
「は? 別に」
『メール?』
「……別に」
『…………あっそ』 ボフ
「…………」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『…………』 グイー
「……覗くんじゃねーよ」
『気のせい』
「いや気のせいじゃねーから」
『気のせい』
「はいはい……」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『……お兄』
「んー?」
『ユキって誰?』
「…………は?」
『メールの人』
「は? なにお前勝手に見たの?」
『このまえちょっと見えただけ』
「いつだよ」
『このまえ』
「……あっそ」
『…………』
「…………」 ポチポチ
837
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:05:14 ID:ye//j46.
『ねぇ』
「……なに」 ポチポチ
『ユキって誰なの?』
「知らねーよ」 ポチポチ
『は?』
「ユキなんて名前のヤツのアドレスねーから」 ポチポチ
『……なんで嘘つくの?』
「ついてねーよ」 ポチポチ
『……このまえ見たもん』
「しらねーよ」 ポチポチ
『…………見た』
「はいはい」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『………………彼女?』
「……はぁ?」
『だって隠すから』
「だから彼女いねーから」
『……別に隠さなくてもいーじゃん』
「だからいねーって……」
『…………』
「…………」
『…………』
「……はぁー……お前さぁ」
『…………なに』
「自由の『由』に希望の『希』だろ?」
『…………』
「これ『ユキ』じゃねーから。『ヨシキ』だから」
『…………』
「わかった?」
838
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:05:34 ID:ye//j46.
『…………』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………マジ?』
「電話してみるか?」
『……しなくていい』
「…………」
『…………』
「…………」 チラ
『…………』
「……なに照れてんの」
『照れてない』
「耳赤いぞ」
『うるさい』
「勘違いしてごめんなさいは?」
『……うるさい』
「…………」
『…………』
「…………」
『……死にそう』
「…………」
『…………』 ムク
「…………」
『…………』 スタスタ
「……おい」
『…………なに?』
「枕は置いてけよ」
『うるさい』
「いやそれ俺の枕だから」
839
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:06:06 ID:ye//j46.
『……今顔見られたくない』
「…………ほーん」
『…………』
「…………」 スタスタ
『ぇ……? ……あ、ちょっと……』
「なに?」 スタスタ
『ちょっ、なに? こっち来ないでよ』
「気のせいだって」
『いやわかるから。お兄の気配がするから』
「忍者かよ……」 ガシ
『やめっ……ちょっとやめてって』
「枕取り返すだけだから」 ググ…
『わかったわかった返すから』
「から?」
『ちょっと目ぇつぶってて』
「なんで?」
『…………今顔見られたくないから』
「はい無理ー」 バッ
『あっ……!』
「…………」
『…………』
「……なにニヤニヤしてんの?」
『してない』
「すげーしてるよ」
『してないって』
「なに? 嬉しいの? 由希が彼女じゃなくて嬉しい?」
『うるっさい』
「じゃあなに?」
『お……お兄の顔面が破滅的に面白いから……』
「……へー……」
840
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:06:31 ID:ye//j46.
『……なに』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………?』
「…………なぁ」
『……なに』
「…………キスして良い?」
『……は? …………は!?』
「…………」
『……は……え?』
「…………」 ヒョイ
『ちょっ……!?』
「…………」 ポイ
『った……!』 ボフ
「ほら、目ぇつぶれ」
『え? え?』
「すっから目ぇつぶれって」
『な、なんで……?』
「お前が可愛いからだろ」
『ぇっ……』
「…………」
『ぇっ、ぁっ……』 キュッ…
「…………」
『〜〜〜っ……!』
「…………」 スッ…
ベチ
841
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:07:12 ID:ye//j46.
『った!?』
「嘘だバカ」
『…………は? ……はぁ!?』 バッ!
「なに本気にしてんだバカ」
『は!? なんっ……!? はぁ!?』
「うそでーす。キスとかしませーん」
『っ……!! ……っ……はぁあぁああぁあぁぁああぁぁぁぁ…………』 ボフ
「ばーか」
『…………ありえん』
「はいはい」
『ありえねー……』
「希望もたせてごめんねー」
『…………別に望んでない』
「へー」
『…………はぁ……』
「…………」
『…………』
「…………」
『……ねぇ』
「ん?」
『……誰にでもこんなことすんの?』
「は? しねーよ」
『ほんとに?』
「ほんと。マジ」
『…………なにそれ』
「別に」
『…………』
「…………」
『…………お兄』
842
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:07:50 ID:ye//j46.
「なに」
『……キスしよっか』
「したいの?」
『…………うん』
「ふーん」
『…………』
「……いいよ」
『…………はぁ』
「顔上げろって」
『どーせまたデコピンでしょ』
「しねーよそんなこと」
『……さっきした』
「さっきのは嘘だし」
『…………』
「…………」
『…………』 ムク
843
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:09:15 ID:ye//j46.
『』
844
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:09:38 ID:ye//j46.
「ん…………」
『…………』
「……なんか喉乾いたな」
『…………』
「麦茶飲んでくるわ」 スタスタ
『…………』
>ガチャ、バタン
『…………』
『…………』
『…………』 ボフッ
『…………』
『…………』 ピ、ピ、ピ、prrrrrr
『……あ、友?』
『なんかさぁ…………なんか……』
『……レモンみたいな味した……』
845
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:10:01 ID:ye//j46.
終わり
久々に湧いたので
846
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/30(金) 06:22:35 ID:???
相変わらずこの妹は可愛すぎて困るね!
ニヤニヤが止まらねえぜ!
847
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/15(日) 22:34:01 ID:???
久々に投下しようとしたら規制されていたので。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2805.jpg
848
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/15(日) 22:41:16 ID:???
おお、久しぶりや〜。相変わらず可愛い。
もっと描いて欲しいわぁ
849
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/16(月) 05:50:05 ID:???
>>847
超久し振り!!
かなみさん可愛いwwwwww
850
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/16(月) 11:26:59 ID:???
>>847
マフラーくんかくんかしてるかなみんくんかくんか
851
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/03/31(月) 18:53:55 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ
草木も眠る丑三つ時、俺はツンデレと怖い映画観てたの
というのもツンデレオカルト好きでさ
俺は逆に怖い奴苦手なのに道ずれにしてくるの
そんでわざわざ電気消して怖い映画見るのが最近の流行みたいでさ
最初は馬鹿正直に観てたんだけど今は違ってね
そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じたら夜食作りに台所逃げるの
そして出終わったの見計らってラーメン持って入室
すればツンデレ、おいしそう、言うから一口あげる訳
なら映画終わった後決まって、食った分やせる、って腹筋とストレッチしてさ
俺もプニプニの足とかふっくら背中押して補助すんの
だけど補助する度思うんだけどツンデレすぐ肉付く体なのかもね、気持ちいいからそのままでも良いけど
このまま一口ずつラーメンあげてたらゆっくりと、しかし確実に太っていくだろう
つまり、ツンデレは嫌がるだろうけど、俺と結婚するしか道は残ってないね、って話
852
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/03/31(月) 18:55:09 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど
草木も眠る丑三つ時、私はアイツと怖い映画観てたの
というのもアイツオカルト嫌いでさ
怖い心霊写真とか見て騒いでるの可愛いから道ずれにしてやるの
そんで雰囲気出しに電気消して怖い映画見るのが最近の流行でさ
最初はアイツ私の手ギュッと握って観てたんだけど今は知恵つけてね
そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じ取ったらラーメン作りに台所逃げるの
アイツの作るラーメンは煮込みすぎで麺ブヨブヨ、卵グチャグチャにかき混ぜて七味ぶっかけたヤツでさ
なのに何か不思議と妙においしそうで毎回一口もらうの
だから映画終わった後食った分やせるために腹筋します
すればアイツ足持ってくれて応援してくれてさ
ついでにふくらはぎ揉んで脂肪燃焼させてくれるし
だけどアイツと違って私太りやすいから、私の真横で夜食食べるアイツにも責任ちょっとあるよね
つまり、アイツは嫌がるだろうけど、私と結婚するしか道は残ってないの、って話
853
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/29(火) 23:31:48 ID:???
>>851
あなたの書くツンデレが大好きです!
・姉纏さんと職業意識
弟「うぁー……ダルかったぁ……」
姉「お帰り。何やら大儀そうにしておるのぅ」
弟「就活しんどい……説明会行っただけで死にそう……」
姉「なんじゃ、そんなことかえ。そのくらいお主と同い年の大学生なら誰でもやっとるじゃろうが。あまり甘えるでない」
弟「そりゃそーだけどさぁ……こっからさらに面接とかでふるいにかけられて、それでやっとスタート地点ってなぁ」
姉「人生は長いのじゃぞ?その程度のことでくじけてどうするんじゃ!」
弟「あーあ……姉ちゃんはいいよなぁ。家業さえ継げば後は何も言われないんだからさ」
姉「何をぬかすか。お主なんぞがうちの家元になりおったら、三日ともたずに挫折するわい」
弟「つーかさ、華道の家元ってどうやって稼いでんの?具体的な金策が全然見えないんだけど」
姉「そりゃあ華を活けて稼ぐに決まっておろう。茶会に呼ばれて華を活けたり、弟子の指導に当たったりの」
弟「それって、一回幾らくらいになんの?」
姉「俗な質問じゃのう……まぁ、羽振りの良い御家なら、一時に十人の諭吉を包むところはあるかの」
弟「うへぇ……なんじゃそりゃ。就活やる気無くすわー」
姉「その代わり、衆目監視の中で一息足りとも気の抜けぬ時間が、長い時では一日中続くこともざらじゃがの?」
姉「三十分も正座がもたぬ主にはとても勤まらぬ仕事じゃわい。諦めよ」
弟「……俺、やっぱり普通に就活するわ」
姉「そうせい、そうせい」
854
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/29(火) 23:47:34 ID:???
・姉纏さんとファンクラブ
弟「やっぱ楽に稼げる方法なんかねーかー」
姉「当たり前じゃ。地道が近道とよく言うじゃろが」
弟「へーい……」
姉「……しかしまぁ、儂の場合は後援会の援助なんぞもあるにはあるがのぅ」
弟「後援会!?姉ちゃん、後援会なんか持ってんの!?」
姉「うむ。何やら近所の有志が儂のために集まって、地域ぐるみで後押ししてくれとるようじゃの」
弟「知らんかった……姉ちゃん超有名人じゃん」
姉「うちのような小さな華道の家元がやっていけておるのは、ひとえにその人らの力添えがあったからじゃ」
弟「へぇー、姉ちゃんってすげぇや」
姉「じゃが……年寄りの性というのか、たまに儂を着せ替え人形か何かと勘違いして、なんやかやと儂に召し物を着せようとするのは正直参っとる」
弟「そんなことまでしてくんの?」
姉「日頃世話になっておるから無下にも出来ぬのよ……おかげでずいぶんと恥ずかしい格好もさせられたものじゃ」
弟「……たとえば?」
姉「白塗りで舞妓の衣装をやらされたり、その気もないのに文金高島田を着させられたり、時代劇のような姫の衣装を着させられたり……」
弟「……そりゃ大変だ」
姉「おまけにそれを写真に収めて保存しよるからのぅ……あまり良い顔ばかりもしたくないのじゃが、困りものじゃ」
弟「……姉ちゃん。それって後援会じゃなくて、ファンクラブっていうんじゃね?」
姉「……そうかもしれぬ」
855
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:36:49 ID:???
・姉纏さんと花嫁のヴェール
弟「姉ちゃん、いいもんやるわ」
姉「うん?なんじゃと?」
弟「ほら、これ。プレゼント」
姉「これは……?」
弟「いつも世話してもらってるお礼に。春物のストールだよ」
姉「ほ、ほほう……主にしては気が利くではないか。まさか儂に贈り物とはの」
弟「姉ちゃんに合いそうなのとかよく分かんなかったから、色は無難に白にしたけどそれで良かった?」
姉「う、うむ……」
弟「なに照れてんだよ、別に他意はないからな?」
姉「てっ、照れてなぞおらんわ!!馬鹿にするでない!!」
弟「あーはいはい……(こりゃ逆に地雷だったかな?)」
姉「……の、のう。タカシよ」
弟「ん?」
姉「これな、色が白じゃから、こーして頭から被ると、花嫁のベールのように見えぬか?」
弟「ん……まぁ、見えないこともないけど」
姉「そ、そうか!そうじゃよな!」
弟「……?」
姉「うむ、うむ!」ニコニコ
弟「なにあの笑顔……初めて見る顔なんだけど」
その日一日中、姉ちゃんはベールを被ったままやたらと俺にべたべた引っ付いて来て困りました。
856
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:48:18 ID:???
纏ねーさんかわいい。結婚するしかない。
857
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:55:46 ID:???
・キスの音
友「ねーねー、キスの時ってどんな音がすると思う?」
女「音?キスの音気にするなんて初めて聞いたわよ?」
友「ほら、チュッとかブチューとか、レロレロとかあるじゃん?あれ自分からはどう聞こえるのか気にならない?」
女「そんなこと考えるの友ちゃんくらいよ……」
友「だって私経験ないんだもん、やったことないことは気になるじゃない!かなみはどんな音だと思う?」
女「え、えーと……やっぱり漫画とかみたいにチュッて音がするんじゃない?」
友「ふんふん」
女「でも正直、いろんな感触とかで頭ごちゃごちゃして、音まで気が回らないってゆーか……あ、あくまで想像だけどね?」ゴニョゴニョ
友「なにそれ?まるでしたことあるみたいな言い方ね?」
女「そ、そんなワケないじゃん!!誰がタカシなんかと……」
友「……かなみ。私、タカシくんの名前出した記憶は一度もないんだけど」
女「えっ……あっ!?」
友「そっかぁー、かなみはすでにキス経験者なのかぁー、うっらやましーい。私も山田にでも頼んでやってみようかしらねー」ヲホホホ
女「ち、違っ……今のは言葉の綾だよ!!やってないから絶対!!」
友「語れば語るだけ泥沼じゃない……どんだけ嘘つけないのかしら、この娘」
このあと無茶苦茶チュッチュした。(タカシ談)
858
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 23:00:33 ID:???
>>857
は中学生くらいの年齢で補完していただければ。何にでも興味津々な年頃の女の子ってかわいいよね!
859
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 23:04:15 ID:???
中学生友ちゃんの唇奪いたい
860
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:56:09 ID:p8opL50k
『ただいまー……あれ?』
『(見慣れない靴……誰か来てるのかな)』
『お母さん、お客さん来てるの?』ガチャ
「お、久しぶり」
『……』
「……」
『……』パタン…
「おい」 ガチャ
『……兄貴?』
「あー……はい」
『……なに急に帰ってきてんの?』
「実家に帰ってきてわりーかよ」
『……』
「……」
『……久しぶり』
「おう」
『……いつきたの』
「お前が学校行ってる間」
『あっそ』
「……」
『……』
「びっくりした?」
『……しt、ない』
「どっちだ」
『うっさいばか』
861
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:57:29 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……」
『……』
「……いつまで後ろ向いてんだ」
『……別に』
「久しぶりに聞いたわ、それ」
『……ばか』
「こっち向いて」
『……なんで?』
「別に?」
『……』
「……」 グイ
『……』 クル
「……」
『……』
「化粧……するんだ、な」
『……悪い?』
「……いんじゃね」
『……』
「ピアスなんかつけちゃって」 スッ
『……穴開けたわけじゃないもん』 ペチ
862
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:59:01 ID:2LKzVuQw
「ふーん」
『……』
「……」
『……』
「……彼氏でもできた?」
『』 ビク
「―――……へぇ」
『!! ち、っが……!』
「やっとこっち見たな」
『!』
「……なに赤くなってんだよ」
『……違うし』
「なにが?」
『……』
「……」
『……なんもしてないもん』
「だからなにが」
『彼氏』
「でもいるんだろ」
『いるけど……20人目ぐらい』
「3年で……ビッチか」
『違うってば!!』
「ぅぉっ……」 ビク
『っ……』
863
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:00:01 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……」
『……』
<ガチャ
母『ただいまー……あら? あんた帰ってたの?』
「お? あ、おう。ただいま」
『……』 スタスタ
「……」 ガシ
『!?』
母『来る時は連絡ぐらいしなさいよ。材料買い足さないと……』
「あ、晩飯はこいつと食いに行くから」
『は?』
「いいっしょ?」
母『そうなの? じゃあゆっくりしてるわ』
『ちょっ……』
「じゃ、行ってきます」 グイ
母『いってらっしゃい』
<バタン
864
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:00:46 ID:2LKzVuQw
〜駅〜
『ちょっと』
「あ?」
『……どこまで行くの?』
「別に、考えてない」
『は?』
「……」
『ご飯ならその辺でいいじゃん』
「まだ昼過ぎじゃん。腹減ってんの?」
『そうじゃないけど……』
「いいから」 グイ
『……離してよ』
「逃げるじゃん」
『……、……離して』
「……」
『……』
「……俺のこと嫌いになった?」
『…………は?』
「……」 プイ
『……』
「……」
『……どういう意味』
「別に」 グイ
『ちょっと……』
「いいから」
『……ばか』
865
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:01:44 ID:2LKzVuQw
〜〜
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『……ナニコレ』
「ラブホ」
『(1時間も移動してラブホ……)』
『……なんでラブホ』
「……ラブホですることなんて一つだろ」
『は?』
「……」 グイ
『あっ』 ボス
「……」 ガシ
『!』
『(手首……抑えられて……)』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『…………?』
「……」
866
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:02:37 ID:2LKzVuQw
『……なに?』
「……いや……抵抗しないから」
『は? ……え?』
「……」
『……! ……っ』 プイ
「顔赤いぞ」
『別に』
「―――いな」 ボソ
『……なんtぇんぅっ……!?』
「……ん」
『……っ……は……ふ……』
「……」
『……いきなりすぎ』
「不意打ちじゃなかったらキスしてもいいのか」
『ばか』
「……」
『……』
「彼氏は?」
『……(今きくかフツー……)』
『……いる』
「どうする」
『……なにが』
「……する?」
『……なにを』
「セックス」
867
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:03:30 ID:2LKzVuQw
『……』
「メイクラヴ」
『……』
「子作り」
『……妊娠させんのかよ』
「したらどうする?」
『…………別に』
「……あっそ」 パ
『……』
「……」
『……手首痛い』 サスサス
「わり」
『……』
「……」
『……』 グイ
「ん?」
『……』 ポテ
「……」
『……』
「……俺の腕より寝心地のいい枕ならそこにあるぞ」
『うるさい』
「……」
『……ドキドキしてる』
「お前が?」
『お兄が』
868
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:04:37 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……お兄、って……懐かしいな」
『は? ……あっ』
「兄貴、なんて言うからびっくりした」
『……うるさい』
「俺のこと忘れたかと思った」
『……』
「俺のこと嫌いになったかと思った」
『……ばか』
「……」 ナデナデ
『……』
「……」
『…………お兄が……勝手にどっか行くのが悪い』
「……」
『……』
「……」 ギュム
『んむっ』
「……俺の心臓、わかるか?」
『……』 コク
「……」
『……ドキドキしてる』
「……他の女だったら、こんなんならねー」
『!』
「……」
『……』 ギュウ
「……」
『……』
「……」
869
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:05:25 ID:2LKzVuQw
『…………めっちゃドキドキしてる』
「……俺が?」
『………………あたしが』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」 クイ
『ん……』
「……―――」
『……―――』
『』
「……ん」
『ん……』
「かわいい」 ナデ
『……ばか』 ギュ
「……」 ギュ
『……』
「……」
『……お兄?』
「あ?」
『……他の女って……なに?』 ギロ
「えっ」
870
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:05:45 ID:2LKzVuQw
〜〜〜
〜〜
〜
「……はぁ」
『まったく……』
「お前だって彼氏つくってたじゃん……」
『あたしは手も握ってないもん』
「……でもいたんだろ」
『告られたから合わせただけ』
「…………はぁ……」
『……なんで出てったの』
「……」
『……』
「……」
『……言わないと嫌いになる』
「卑怯だぞ」
『ばか。はやく』
「……お前が大事だからだ」
『……』
「……」
『……』 ベシ
「いてー」
『ばか、あほ、死ね』 ベシ、バシ、ドス
「やめろボケ」 ガシ
『……』
「……なんだよ」
『……そんなこと言われたら……。…………怒れない』
「…………愛いやつ」
『…………うるさい』
871
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:06:10 ID:2LKzVuQw
おわり
長過ぎた…
872
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/02(金) 13:08:22 ID:???
実妹との恋愛とか……ふぅ
GJ
873
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/03(土) 12:41:33 ID:???
雰囲気がドキドキする
GJ
874
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:56:54 ID:PbNA3tb.
書き上がったら予想外に長くなってしもた。
14レスお借りします。
875
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:57:34 ID:???
・夢なら許される
ーーーー
ーーー
ーー
男(……あっるぇー?なんだここ?なんで俺こんなとこにいるんだ?)
男(ちょっと状況を整理しよう。俺は大学のサークル仲間と飲んで自宅へ帰ってきたはずだ)
男(たしか、けっこう酔ってたからそのまま部屋でバタンキューだったはずなんだが……)
男(……俺の部屋って、こんな真っ暗だったっけ?それとも酔っ払って部屋間違えた?)
男(自分の手先足先さえ見えん……どーなってんだこりゃ?)
女「……タカシ?」
男「その声……リナか!?」
女「そうですわ」
男「お前、なんで俺の部屋にいるんだ?」
女「いるに決まってますわよ。だってここは、タカシの夢の中ですもの」
男「……んん?」
.
876
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:58:20 ID:???
.
男「夢?これ夢なの?」
女「そうですわ。これは酔い潰れたタカシの見ている夢ですの」
男「あぁ……そうなんだ。だから周りが真っ暗なんだな……まるで俺の人生のようだ、ワハハハ」
女「……」
男(……ここで俺のことバカにしたり憐れんだりしない辺り、本当に夢なのかもしれん)
女「……タカシ。あなた今、私のこと考えていましたわね」
男「おえっ!?な、なんでそれを!?」
女「分かりますわよ。だって私は、あなたの夢の登場人物ですのよ?」
男「あぁ、なるほど……なんか一人でボケて一人でツッコんでるみたいだな、俺」
女「……ねぇ、タカシ」
男「お、おう。なんだ、リナ?」
女「これが夢なら、私がここで何をしても許されると思いませんこと?」
男「そりゃ、夢なんて人に許可を求めるようなもんじゃないしな……でも痛そうなのは勘弁して欲しい」
女「そう……そうですわよね」モゾモゾ
男「……なんかモゾモゾ動いてる気配がするぞ?」
女「……タカシ」ピト
男「うぇっ!?」
.
877
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:59:12 ID:???
.
女「……私、ずっと昔から、タカシとこうしたいと思っていましたの」ギュッ
男「リ、リナ?胸らしきものが当たってムニムニしてるぞ?いいのか?」
女「気にする必要なんかありませんわ。だってこれは、タカシの見ている都合の良い夢なんですもの」
男「いや、夢にしてはやけにリアリティーが……」
女「タカシ」
男「あ、はい。なんでしょう」
女「愛しています」
男「へ……?あ、え、っと。い、今なんて?」
女「愛していると、言いましたのよ。現実の神野リナが、こんなことを言うとお思い?」
男「……口が裂けても言わないだろうな。ってことは、やっぱりこれは夢なのか」
女「そう。やっと納得しましたのね」
.
878
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:59:55 ID:???
.
男「夢だと思うとちょっとほっとしたな……俺今どこにいるんだろうと思ってた」
女「あら。たとえどこにいようと、私からは逃れられませんことよ?」スリ
男「……夢ん中のリナって超デレデレだな。なんか逆に気味悪ぃ」
女「何をおっしゃってるの……夢の私がこうなのは、タカシが深層心理でこうなって欲しいと思っているからですわ」
男「あぁ……そうなのか。そう言われると心当たりがない訳じゃないけど」
女「でしょう?……だから夢の中でくらい、私をタカシの好きにしてよろしくてよ?」
男「え、そんなことまで言っちゃうワケ?」
女「もちろんですわよ。夢の中でしか叶わないことがあるなら、ためらう必要などありませんでしょう?」
男「そうか……そうだよなぁ。それなら……」
女「……!」ドキドキ
男「俺、昔っから決めてたんだ。夢で好きな女が出てきたら、おもいっきりキザな台詞で口説こうって」
女「……え?」
男「これはその願いを叶えろという天恵だと受け止めたぜ。覚悟しろ、リナ」
女「そういうことではなかったのだけれど……まぁ良いですわ」
.
879
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:00:19 ID:???
.
女「では、タカシ。私のこと、持てる全力で口説いてご覧なさい」
男「あぁ……リナ。俺さ、初めてリナに会った時から、お前のことずっと好きだった」
女「……はい」
男「ガキの頃は、なんて高飛車でイヤな奴だと思ってたけど、今思えば昔っから、それと同じくらいお前の魅力にやられてたんだよな」
女「……そうでしたの」
女「お前がコンプレックスだって言ってたそのブロンドも、お前が疎ましく思ってたその性格も、何もかも好きだ」
女「……うん」
男「リナ、愛してる。他の何にも例えようのないくらい、お前のこと大好きだ」
女「……うん、うん」
男「別府タカシは、たとえ砂を噛み泥にまみれても、神野リナのことを愛し続けることを、誓います」
女「……」
.
880
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:01:07 ID:???
.
男(……うおおおおお!!言い終わって冷静んなると恥ずかしいなんてもんじゃねえええええ!!)
男(もしかしてドン引きしてたりしないよな?してないよな!?)
女「……タカシ」
男「は、はい!!」
女「ありがとう……私、とても嬉しいです」
男「……え、マジで?」
女「ええ。まるでこの世が全て違ったものに見えるくらい、清々しい気持ちですわ」
男「……お前も俺に負けず劣らず恥ずかしい奴だな。いや夢の中なら当然なんだけど」
女「私も改めて、あなたに心を伝えることにしたいのだけれど、聞いていただけますかしら?」
男「あ……うん、どうぞ」
女「……タカシ。私も、あなたのことが好き。大好き!」
女「たとえ百年の時が経っても、私のこの気持ちを覆すことは、叶いませんわ!!」ギュゥゥッ
男「おおう……なんて情熱的な告白。お前こんなキャラだったんか」
.
881
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:01:38 ID:???
.
女「あぁ……胸がドキドキして止まらない。タカシにも聞こえていまして?」
男「いや……言っとくけど俺の心臓もすげぇバクバク言ってるからな。相殺されて何も聞こえん」
女「そう……私の言葉でそうなったのなら、女冥利に尽きますわね」
男「なぁ、リナ……お前今、どんな顔してる?」
女「……どんな顔、って言いますと?」
男「真っ暗でお前の顔が見えないから、本当に喜んでるのかワカンネーんだよ」
女「……喜んでますわよ。でも、嬉しいのと同じくらい泣きたいような気持ちにもなっていますの。なんでかしら?」
女「タカシには到底見せれない、泣き笑いみたいなおかしな顔をしていると思いますわ」
男「そっか……見たかったな、お前の顔。夢から覚める前にさ」
女「……あのね、タカシ」
男「なんだ?」
女「タカシがそこまで言うなら……私の顔、見せて差し上げてもよろしいですわよ?」
男「……え?」
*鼹鼹顥僖船鵐*
.
882
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:02:19 ID:???
.
男「え、ちょ、おま……」キョロキョロ
男「ここ、俺の部屋じゃねーか!?」
女「ええ」
男「ええ、じゃねーよ!!お前人の部屋で何してんの!?」
女「タカシが酔い潰れて玄関開けっ放しで寝ていたから、イタズラを仕掛けましたのよ?」
男「イタズラって……あれ!?よく見たら家具の配置とか変わってる!!それに窓も……」
女「もちろん私一人では手に余りますから、協力者はいますけれどね」
女「もう出てきてもよろしくてよ。友子、山田さん」
友「はいはーい」ヒョコッ
山「おーっす」ヒョコッ
男「げえぇっ!?」ビクゥッ
.
883
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:02:47 ID:???
.
男「お前ら……いつからここに?」
友「最初からに決まってるでしょ」
山「タカシの恥ずかしい台詞も全部聞いてたよー」
男「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
女「本当ですわよ。私が二人に頼んで、押し入れに待機してもらっていましたから」
友「そこの窓に貼ってある暗幕、私が写真の現像に使う時のヤツよ。光が外から漏れてこないように目張りしてたの」
山「あとは体に触れそうな家具をどけて、音の鳴る物を隠せば、夢を演出する真っ暗闇の出来上がりってことだよ」
女「それにしても、あそこまで簡単に夢だと信じるとは思っていませんでしたけれどね」
男「うるせー!!俺だって途中から薄々勘づいてたわ!!」
男「俺とリナしかいないと思ってたから、お前に乗っかってやったのに……」
女「あら、そうでしたの」
.
884
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:03:54 ID:???
.
男「だいたいなぁ、こういうイタズラは夢のままで終わらすもんだろーが!!ネタばらしまでしたら興醒めだろ!?」
山「なんかスッゴい理不尽な怒り方してるなぁ……」
友「でも、そこは私も不思議だったのよねぇ。たしか最終的にタカシを強引に寝かせつけて、夢だと思わせたまま帰るつもりじゃなかったの?」
女「だって……あまりにも喜びが勝ってしまって、夢で終わらせるのがもったいなく思えてしまったんですもの」
男「うぐっ……そ、そういう言い方をされると怒りにくいな」
女「けれど、イタズラの最中に私が口にした言葉に、嘘偽りはありませんわよ?タカシはいかがですの?」
男「そ、そんなもん……本心に決まってるだろーが……」ブツブツ
友「本心であんなこと言えるのってすごい才能よねー」
山「天然ジゴロだね、タカシは」
男「そこ!うるさい!」
.
885
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:04:38 ID:???
.
男「ああああ……いっそ全部本当に夢だったら良かったのにぃぃぃぃ……!!」
友「わー、すごーい。本物のレイプ目って初めて見た。写真撮っとこ」
山「友ちゃん……それはさすがにタカシが可哀想だから自重してあげよう?」
女「……私は、夢だったら良いなんて思いませんわ」
女「だって今夜は、私が長年胸に募らせていた思いが、叶った日ですもの」
男「お前はいいよ、イタズラ仕掛けた側だからダメージは少ないだろーさ……」
男「俺はこっ恥ずかしい告白の台詞聞かれて、半永久的にからかわれることが確定してるんだぜ……?」
女「全く、呆れたダメ人間ですわねぇ。そんなことでヘタレていて、私への責任が取れると思ってますの?」
男「……は?俺に何の責任取る必要があんだよ?」
女「分かっていませんわねぇ。それなら説明して差し上げますわ」
.
886
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:05:06 ID:???
.
女「いいですこと?これが夢の中なら、あなたも私も、何をしても許されますの」
男「あ、ああ……そんなこと言ってたな」
女「けれど、ここは夢ではなく現実ですわ。現実なら、自分の言動には責任を取れなければならない」
女「それくらいは、いくらあなたでも存じてますわよね?」
男「なんという我が儘な理屈……こっちはハメられただけなのに」
女「それが出来なければ、あなたの言う嘘偽りない言葉は、その程度の物だったということになってしまいますわよ」
女「あなたそれでもよろしいのかしら?」
男「ああ、分かった、分かったよ!!責任取って、俺がお前を世界一幸せにしてやるよ!!これでいいのか!?」
女「そんなヤケクソで、私を幸せになんか出来ると考えない方がいいですわよ」
女「だって私、もうすでにこの世で一番幸せな女に、なっていますもの」
男「ぐぬぅっ……そこまで言われちゃ、俺も腹括らない訳にはいかないじゃんかよ」
.
887
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:05:36 ID:???
.
友「あーあ、なんて言うか、私ら壮大なノロケを聞かされただけだったみたいねぇ」
男「の、ノロケってなんだよぉ!!こっちは被害者だっつーのに!!」
山「僕らはもうおいとまするから、タカシは神野さんと親睦深めてなよ」
男「うっせ!!二度とくんな!!」ペッペッ
友「あ、そーそー。それとねタカシ。リナは敢えて言わなかったけど、その娘ホントは今夜、あんたと既成事実作っちゃうつもりだったんですって」
女「と、友子!!それは言わない約束でしょ!?」
友「だってあんたたちばっかり幸せそうにして不公平なんだもーん」
山「もしそうなってたら、僕らはこっそり外出とくつもりだったんだけどね」
男「おいおい……お前らどんだけ用意周到なんだよ……」
友「でももしかしたら、リナはまだそのつもりでいるかもしんないわよー?」
山「殿、ゴムはこちらに。あとは貴殿の心次第にございます」スッ…
男「ここへきて山田もノリノリに!?お前らの用意したゴムなんざ怖くて使えねーよ!!」
友「ま、そゆことだからリナをよろしくねー!」
山「じゃあね。結果は明日聞かせてくれればいいから」
男「おい、待てお前ら!!おーーーーーーーーーい!!」
.
888
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:06:12 ID:???
.
男「バカ野郎どもが……ゴムだけ残して行きやがって……!!」
女「……」
男「あー、リナ。あいつらの言うこと真に受ける必要ないからな?告白した当日に関係持つなんてエロゲみたいな展開、いらんよな?」
女「……わ、私は……別に、構いませんことよ……?」
男「え、いやいや。そりゃお前はそのつもりだったからいいかもしれないけど……」
女「夢の中で致してしまうより、こうして現実でタカシを感じながらの方が、良いに決まってますわ」
男「お前なぁ……ちょっと落ち着け。俺だって酒抜けきってないんだから、何するか分かったもんじゃねーぞ?」
女「……意気地無し」グィッ
男「うおっ!?」
女「……私が良いと言っているのだから、私の言う通りにすれば良いでしょう!」ガバッ、チュウゥゥッ!!
男「んっ、んんーーーーーーーッッッ!!?」
……その日、俺の初めては、リナからの逆レイプで奪われました。多分世界一幸せな逆レイプだったと思います。
<了>
.
889
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:07:13 ID:???
おしまい。
>>881
の最後の行が文字化けしてますが、「パチン」という電気をつけた音が入ります。
もう少し夢の中でイチャイチャさせてみたかった。
890
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/05(月) 09:59:47 ID:???
GJ
夢オチの流れからの責任取らせるあたり周到だなww
891
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/06(火) 21:37:34 ID:???
>>870
すんばらしい……GJ!
>>889
リナ強引かわいいよリナ
892
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:36:15 ID:???
午後10時。駅前広場の中央、ヘンテコな形のオブジェの前。
そこがいつもの待ち合わせ場所。
「(……いた)」
コートのポケットから片手を出し、口元まで覆うマフラーを少し緩めて歩き出す。
10歩手前ぐらいのところで、少し背の高めの中年男性が、私に気付いて手をあげた。
「やあ、今日も寒いね」
「……ども」
気さくな雰囲気のおじさまは、地味な色のスーツの上に地味なコートを重ね、全体的にくたびれている。
顔の皺と頭髪に混じる白髪が、アンティークのような程良い年季を感じさせる。
私がこれからこのおじさまとしようとしているのは、世間で言うところの、所謂『援交』だ。
『援交』と言ったら、嫌悪感を示す人は少なくないだろう。
売女と蔑む人も、頭も股も緩い女と馬鹿にする人もいるだろう。
しかし一口に『援交』と言っても、その内容は二つに大別できる。
要するに、身体を『許す』か『許さない』かだ。
私がしているのは後者である。
お金のために身体を許すなんて馬鹿げてる。
でも、お金は楽に稼ぎたい。
一回会って、ご飯を一緒に食べたり、ちょっとお話するだけで5千から2万。
身体を使わない分貰えるお金は減るけど、それでも小遣い稼ぎとしては十分な金額。
世の中には性欲と金を持て余した変態だけではなく、ただ寂しさを埋めたいだけの大人もいるということだ。
「それじゃあ行こうか」
「うん」
他人からすれば、もしかしたら父娘に見えなくもない年齢差。
横に並んで歩く時の、赤の他人よりも僅かに近いその半端な距離が、そのイメージを更に強くさせる。
「今日の学校はどうだった?」
「別に、いつもどーり」
「そうかい」
歩きながら話すその内容も、簡素で他愛ない。
まるで、娘との付き合い方がわからない父親と、父親への反抗期が抜け切らない娘のような会話だな、と頭の隅で思った。
〜〜
893
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:37:18 ID:???
〜〜
駅前の通りから少し外れ、行きつけの24時間営業スーパーに入る。
何をするためかと言えば、もちろん買い物をするためだ。
とは言っても、出来合いのお惣菜と、お酒と、おつまみぐらいしか買うモノはない。
おじさまの持つ買い物カゴに選んだ品を放り込むと、カゴの中の品々を見ておじさまがポツリとつぶやく。
「久々に手料理が食べたいなぁ」
「ヤダ。めんどくさいもん」
……できないわけじゃないんだからね?
念のため。
残念そうな顔をするおじさまを置いてさっさと買い物を進める。そういえば洗剤も切れてたっけ?
他にも足りなくなっているはずの日用品をカゴに詰め込んでいく。
一通り揃えたら、結構な量になってしまった。
「持つよ」
「別に、平気」
レジのおばさんはにこやかに対応してくれた。
仲のいい父娘、とでも思っているのだろうか。
「レジ袋はご利用ですか?」
「……はい」
一応、顔を覚えられないように俯き気味に返事をする。
このスーパーはもう何度も来ているので、既に手遅れかもしれないけど。
スーパーを出てまたしばらく歩くと、おじさまの住むアパートに着く。
簡素で、外観は少し薄汚れた感じのアパートだが、内装は思いの外綺麗で、始めて来た時は驚いた。
コートを掛けて、荷物を部屋の隅に追いやると、キッチンに向かう。
冷蔵庫の中身を確認して、炊飯器を開いた。
「……ちょっと、お米炊いてないの?」
「ああ、済まないね。今朝は時間が無くて。今支度するよ」
「いい。私やるから、先に着替えてきて」
おじさまはもう一度、済まないね、と言って、奥の部屋に消える。
私は米びつからお米を出して、お米を研ぐ。
……この作業、地味にめんどくさいんだよね。
本来ならレンジでお手軽の某ゴハンでもいいのだが、なんでもおじさまの実家は農家らしく、作ったお米を毎年沢山送ってくれるんだとか。
894
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:38:12 ID:???
「ありがたいけど、一人じゃ食べきれないんだよね」とは、おじさまの言。
おじさまは、このアパートで一人暮らしをしている。
未婚なのか、それとも離婚したのかは知らない。
特別、知りたいとも思わない。
他人では無いけど、友人でも家族でも無い関係。
距離感は大切だ。
変に踏み入っても、お互い困るだけだろう。
研ぎ終わったお米を炊飯器に突っ込んでスイッチを入れる。
……暇になっちゃったな。
お惣菜を並べるだけなので、他の料理の下拵えも必要無いし、お米が炊き上がるまであと30分以上ある。
冷蔵庫からりんごジュースを出して、コップに注ぐ。
その場で飲み干して、もう一度注ごうとすると、丁度着替え終わったらしいおじさまから「僕にも貰えるかな」と注文があった。
「わかった」と一言だけ返事をして、食器棚からコップをもう一つ出す。
もはや、勝手知ったるなんとやら、だ。
家の中のことは、寧ろおじさまよりも把握しているかもしれない。
キッチンから出て、ダイニングへ。
おじさまはソファに座って、テレビを見ていた。
「ん」
「ああ、ありがとう」
コップを受け取ると、おじさまはジュースをちびちびと飲み始める。
私はおじさまの隣に座り、コップをくるくると回して弄ぶ。
テレビでは、殺人がどうの、海外がどうのと、アナウンサーが真剣な面持ちで報道していた。
この時間帯のニュース番組は、どれも暗い内容ばかりで楽しくない、と思う。
たまにはもっと明るいニュースでもやったらいいのに。
「チャンネル、変えてもいいよ」
不満が顔に出ていたのか、おじさまがリモコンを差し出してきた。
それを受け取り、私はチャンネルを回す。
しかし、どの局でも似たような内容のニュースが流れていて、私は無言でリモコンを突き返した。
「相変わらず、ニュースが嫌いなんだねぇ」
「暗い話が嫌いなの。真面目な顔して悪い報告ばっかして、馬っ鹿みたい」
「じゃあ、映画でも見ようか?」
895
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:39:36 ID:???
「昼ドラがいい」
「ドロドロしてて暗いじゃないか」
「アレはフィクションだもん」
おじさまの苦笑いが気に食わなくて、背中をバチンと叩いてやった。
ジュースが鼻に入ったらしいおじさまのしかめっ面が可笑しくて、少しだけ笑った。
〜〜
録画してあった(私が以前、勝手にやっておいた)昼ドラを消化していると、キッチンの方から機械音のメロディーが響いてきた。
正直、炊飯器にこの機能はいらないと思う。無駄に長いし。
「あとは僕がやるよ。座ってなさい」
腰を浮かした私を制して、おじさまが立ち上がる。
昼ドラもイイところだったので、私は画面に意識を戻した。
母親の不倫が娘にバレて、さらにその相手が娘の彼氏という展開だ。
なさそうでありそう、ありそうでなさそう、でも、ドラマとしてはありがちな内容。
だからこそ、フィクションと割り切って楽しめる。
ドラマも、小説も、漫画も、アニメも、そういうところが良いと思う。
現実のことは捨て去って、頭を空っぽにしていられる。
楽ちん、だ。
勉強も、仕事も、人生も。
楽ちんが一番だ。
それが、一番効率的ということなのだし。
「はい、どうぞ」
ご飯がほかほかと湯気をたてて私の前に置かれる。
テーブルを見ると、既にお惣菜も並び終えていた。
小鉢や小皿に取り分けられたその群れを見て、私は不満を漏らす。
896
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:40:20 ID:???
「わざわざお皿に盛り付けなくてもいいのに」
「食事は見た目も大事だからね」
のらり。
「洗剤の無駄じゃん」
「僕のお金だから」
くらり。
「環境破壊」
「この街の上下水道は優秀だから、きっと大丈夫さ」
ひらり。
おじさまには、何を言ってもこんな感じでふにゃふにゃと躱されてしまう。
そしておじさまは、「それに」と付け足す。
「お客様は、大事にしないと」
「…………」
……よく回る舌と頭だ。
何を言っても無駄と悟った私は、お箸を持って手を合わせる。
「……いただきます」
「いただきます」
インスタントの汁物は、ちょっとしょっぱい。
健康のことを考えると、味噌汁くらいはちゃんと作った方がいいかもしれない。
……別に、おじさまの話をしたわけじゃなくて、私の話ね。
高血圧とか、将来怖いし。
「だから手料理が食べたいって言ったんだ」
「……声に出てた?」
「いや」
おじさまはそこで言葉を区切ってから味噌汁を啜り、薄く笑う。
「そんな顔をしているよ」
「……」
見透かしたような態度に少しだけ腹が立つが、図星なのでこれ以上は何も言わないことにした。
おじさまは私の考えていることを言い当てることが多い。たまに外すけど。
昔、人間は歳をとると妖怪になると、ひいおじいちゃんに脅かされたのを思い出した。
897
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:42:37 ID:???
横目ででおじさまの顔を見ると、済ました顔でお惣菜に舌鼓を打っている。
……妖怪に見えなくもなくも、ない……かも。
そんな私の視線に気が付いたのか、おじさまと目が合う。
「こんな妖怪を眺めていないで、冷める前にご飯を食べた方がいいよ」
「……」
悔しいので、無視してお椀に口をつけた。
……やっぱり、味噌汁は作ろうかな。
〜〜
夕食後、お皿を洗い終わってリビングに戻ると、おじさまはソファに身体を沈ませていた。
テレビに目を向けてはいるが、ぼんやりしていて、おそらく眺めているだけなんだろう。
そんなおじさまの隣に、わざと勢いをつけて腰を落とす。
おじさまの腰がソファから少しだけ浮いて、着地する。
おじさまは一瞬驚いたような顔をしてから、ゆっくりとこちらを向いた。
「ああ、もう終わったのかい。ありがとう」
「別に。何見てんの?」
「え? ……ああ、えーと……」
やはり、眺めていただけのようだ。
おじさまは、うーん、と唸った後、何かを思いついたように顔を上げた。
「バラエティ番組じゃないかな。この声には聞き覚えがある」
「見覚えじゃなくて聞き覚えなんて、変なの」
顔を覚えてる、ならわかるけど、声を覚えてる、なんて。このテレビの時代に。
ラジオの時代の人かよ。
898
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:44:33 ID:QBUdmwBM
「髪、少し伸びたね」
そんなどうでもいい会話をしていると、おじさまの手が伸びてきて、私の肩にかかっていた髪を掬い上げる。
親指と掌に挟まれた髪は、するすると零れ落ちた。
別に、髪を触られることに嫌悪感はない。すごく嫌がる娘もいるけど。
何が面白いのか、おじさまは、髪を掬っては零し、零しては掬ってを繰り返す。
「綺麗だね」
「別に、手入れとかテキトーだし」
―――綺麗じゃない。
なんとなく、最後の一言は口の中で止めておいた。
そして、そんな私を見て、おじさまは薄く微笑む。
最後に一度だけ髪を梳いてから、おじさまは私の頭に手を置いた。
「綺麗だよ」
私の顔を見ながらそんなことを言うおじさまに、なんて返せばいいのかわからなくて、テレビに目を向けた。
画面の向こうではバラエティからニュース番組に変わっていて、アナウンサーが真面目な顔で原稿を読み上げている。
殺人事件がどうだの、白骨死体がどうだの、暴動が、テロが。
それらは、私には一切関係のない場所で回っている。
赤の他人の中年の家に上がり込んで、ご飯を食べて、頭を撫でられて、綺麗だって言われて。
退屈だけど、幸せなのか。
そんなことも、わからない。
「ばっかみたい」
誰に向けた言葉なのかすら、私にはわからない。
唯、おじさまの掌の熱を感じて、抱えた膝に顔を埋めた。
窓の外に、まだ、雪は見えない。
899
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:47:46 ID:QBUdmwBM
おわり
一昨年の冬とかに書き始めたやつなのでいろいろぐちゃぐちゃで推敲もまともにせすにこっちに投下
最近、幼馴染とか先輩後輩とか兄妹とかばっかなので、年の差もいいよねって話
学園ものだけじゃなくて、ファンタジーとかも久々に読みたいなぁ
900
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/20(火) 22:58:08 ID:???
オッサンになりたいと思ったけどたぶん俺だと手を出しそう……
901
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/20(火) 23:05:18 ID:???
援交と聞いてどうなるのかハラハラしたが和んだわ
GJ
902
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/21(水) 00:03:45 ID:???
文章上手だわ
GJ
> 最近、幼馴染とか先輩後輩とか兄妹とかばっかなので
スマンとしか言いようがないが、一人で出来る妄想の量は限られておるのだよ
つーかもっと燃料を……
903
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/22(木) 18:06:16 ID:???
最近ラノベとかアニメでも学園モノばっかだしそのせいもあるかと
904
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:14:35 ID:0.s18Cfc
>>899
の続きっつーか前日譚っつーか
ブラック注意
905
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:14:56 ID:0.s18Cfc
舞い上がった水飛沫が、スカートの裾を少しだけ濡らした。
少しだけなのはスカートだけで、膝から下はズブ濡れなのだが。
「……はぁ」
一つ溜息を吐くと、歩行者など自分以外には一人もいない大通りの歩道の真ん中で、私は傘を畳んだ。
途端に、土砂降りの雨が全身を激しく打ち、制服が水を吸って重くなっていく。
横を通る車が水たまりの水を跳ね上げ、また濡れる。
上を見上げると、どんよりと暗く、厚く広がる雲が見えたが、あまりの雨の激しさに、すぐに目を閉じた。
顔面に叩きつけるような水滴が、赤くなった頬を冷やしてくれる。
別に、赤面しているというわけではない。
赤くなった右頬は、殴られた痕だった。
暴行障害というほど、大袈裟なものではない。
クラスメイトの男子に告白されて、それを断わったら、その男子のことが好きだった友達に報復された。
ただそれだけのことだ。
なさそうでありそう、ありそうでなさそう、少なくとも、ドラマではありがちだ。
でも、これは現実。
クラスで1番仲が良いと思っていた友達――いや、友達ではなかったのかもしれないけど――にあっさりと縁を切られ、噂を流され、クラスで孤立した。
よくあることだ。
「ばっかみたい」
誰にともなく毒吐いて、傘もささないままに歩き出す。
風邪を引くかも、と思ったが、すぐにどうでもよくなった。
滅多に帰らない両親の夫婦仲は誰もが察するところで、同様に、親子の関係も推察するまでもない。
学校だけが居場所かと思っていたが――それも、もはや安住の場所とは言えなくなった。
906
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:16:00 ID:0.s18Cfc
暫く歩くと川が見えたので、欄干の上から傘を投げ込んでやった。
修学旅行のとき、皆で買ったお揃いの傘。
一瞬後悔が頭の隅を掠めたが、後の祭り。
濁流に呑み込まれ、どんどん壊れながら流れていく様を見て、少しだけ笑えた。
私と彼女の友情くらい呆気なく壊れた傘は、同じぐらい呆気なく見えなくなった。
誕生日にもらったヘアピンも投げてみた。
交換したシャーペンも捨てた。
落書きしあったノートを破いた。
一緒に選んだキーホルダーを千切った。
破られたり悪質な悪戯書きで使い物にならなくなった教科書をグチャグチャに踏み潰して蹴り飛ばした。
全部泥水に呑まれて、消えてなくなった。
後悔と同じぐらい、清々した。
そのままぼーっと川を眺めていると、バッグの中でケータイが震えているのに気がついた。
この土砂降りの中では取り出せないので、近くのコンビニに入る。
ズブ濡れの私を見て嫌そうな顔をしてくる店員の嫌そうな挨拶を聞き流しながらケータイを見ると、知らない番号からだった。
結果は分かり切っていたけど、一応出てみる。
『うわっ、本当に出た!』『マジ!? どう? 可愛い?』『電話でどうやって判断すんだよ』『いや声がさ……』『あのー、タダでヤらせてくれるってマジ?』
複数の、若い男の下卑た声。
おそらく、どこかの公衆トイレの落書きでも見て来たのだろう。
少し調べただけでも、学校周辺で三箇所。私の電話番号と、いつでもエッチができる、といった旨の落書きがされているのを見つけた。
最初の頃は落書きを消すために、どこでこの番号を見たのか聞き出そうとしたりもしたのだが、1週間近くも続くとさすがに辟易する。
耳に入ってくる音にイライラする。ムカつく。能天気でいかにも頭が悪そうな声音と馬鹿な喋り方。
「死ね」
一言だけ返し、ケータイの電源を切って、ゴミ箱に捨てた。
そのまま店を出ようとすると、ケータイを捨てたのを見ていたのか、それともさっきの一言が思ったより大きかったのか、周りの客も店員も私をチラチラと気にしていた。
でも、別にどうでもいい。
もう、どうでもいい。
907
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:17:39 ID:0.s18Cfc
またしばらく歩くと、スーパーがあった。
店先で、子連れの母親が、女の子に可愛らしいレインコートを着せている。
傘を忘れたらしいお爺さんが、空を見上げて困った顔をしている。
高校生のカップルが、肩を寄せ合って一つの傘に入って店を出て行く。
ありふれた光景。
ありふれた現実。
それなのに、今の私にとっては、こんなにも遠くて―――
「君、傘はどうしたんだい」
「―――は?」
顔を上げると、中年の男が私の前に立っていた。
「風邪を引くよ。ほら」
その男は私の手を取って、自分の傘を握らせた。
私は突然のことに何が何だか分からなくて、反応できない。
「あ、コーヒーは飲めるかな? ブラックだけど」
「の……飲め、ませ、ん」
「そうか、じゃあ少し待っていなさい」
彼は背を向けると、傘もささずに走っていく。
いや、彼の傘は私が持っているのだから、当然か。
そうして混乱していると、彼は小走りで帰ってきて、私の前で止まった。
「ほら、コレを飲みなさい」
また、勝手に私の手を掴んで、何かを握らせる。
見ると、アップルティーのようだった。
908
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:18:03 ID:0.s18Cfc
。
「ほら、そのまま飲みなさい」
「ぇ……え?」
「キャップは開いておいたから、そのまま飲みなさい。まずは身体を温めないと」
「は、はい……」
促されるまま、口をつける。
確かにキャップは開いていた。
少し傾けると、甘い液体が舌に触れ、喉を通り過ぎて行く。
一口飲んで、それからもう一口飲んだ。
……あったかい。
ペットボトルを見て、また一口。
口から喉、胃の熱が、身体を少しだけ温めた。
見上げると、彼はまだそこにいた。
雨に濡れながら、私をじっと見つめていた。
その顔を見て、瞳を覗いたとき、私の口からは勝手に言葉が出てきていた。
小さな声で、しかしはっきりと。
目の前の、このおじさまにだけ伝わるように。
「私を、あなたの家に連れて行ってください」
おじさまは、困った顔をしていた。
909
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:18:28 ID:0.s18Cfc
前半終了
910
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/24(土) 00:22:31 ID:???
うばぁぁぁぁぁ……乙
911
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/24(土) 01:13:24 ID:???
寒いんだ、僕にそのアップルティーを飲ませてはくれないか?
912
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/24(土) 17:50:00 ID:???
wktk
913
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/07/01(火) 20:10:01 ID:/WCPHDls
毛先から滴り落ちた水滴が、掌で弾ける。
少しだけ腕を伸ばすと、腕を伝って腋を抜け、お尻から脚まで、むき出しの肌の上を流れ落ちた。
私は今、全裸で立っている。
もちろん、屋外でストリップを始めるほど人間をやめてはいないわけで、ここは浴室だった。
頭の上から降り注ぐのは冷たい雨粒ではなく、シャワーから流れるお湯だ。
土砂降りの中、傘もろくに差さずに外をうろつき、酷く冷えてしまった私の身体を温めてくれる。
しかし私は、一息吐くどころか、心臓がバクバクと高鳴っていた。
なぜなら、ここが自宅ではないから。
しかも、
見ず知らずの、
中年の、
男の家、だ。
正直、どうしてこうなったのか、自分でもわからない。
「いや……自分で言ったんだけどさ……」
気づいたら、口から言葉が出ていたのだ。
考えるよりも先に、思うよりも早く、何かが口から零れ落ちたような、そんな感覚だった。
そして、その結果――
「バスタオル、ここに置いておくよ」
「はっ、はいっ!!」
浴室のドア越し、脱衣所から響く、中年男性の声。
私の反応を見て(ドア越しだが)、おじさまの気配が遠ざかって行く。
……不意打ちとはいえ、とてもいい返事をしてしまった。
学校でも、こんな返事はしたことがない。
一世一代、だ。
……少しだけ、恥ずかしい。
しかし、おかげで冷静さも少しだけ取り戻した。
状況整理をしよう。
まず、にべもなく告白を断って、報復された。
ヤケになって、土砂降りの中をアテもなく歩いた。
それを見かねたおじさまにアップルティーをもらって、家に連れて行けと頼んだ。
「……」
わけがわからん。
冷静になったところで状況が変わるわけでもなく、いつまでも浴室に篭っていないでさっさと帰ればいいと気づいたのは、それから30分も後のことだった。
914
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/07/01(火) 20:10:39 ID:???
まだ書き終わってないのに誤送信
ごめん
915
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/07/01(火) 20:52:09 ID:???
期待すんぞコラ
916
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/07/03(木) 21:52:15 ID:???
ふざけんな待ってんぞオイ!
917
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/10(日) 22:32:13 ID:lp9yHdLk
久しぶりにスレ投下しようとしたら当たり前のように規制だった奴。
8/10はハートの日らしいよかなみさん落書き。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2861.jpg
918
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/10(日) 23:25:48 ID:sxLhknqM
>>917
悶えた
919
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/10(日) 23:31:28 ID:???
久しぶりでつね。GJ!
920
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/10(日) 23:36:50 ID:???
このドヤ顔に勃起を禁じ得ない
921
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/11(月) 20:21:41 ID:???
GJ!
922
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/11(月) 21:16:34 ID:???
GJ!!
923
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/08/11(月) 22:48:02 ID:???
>>917
お久しぶり
かなみさん愛してるwwww
924
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/12/12(金) 17:12:09 ID:???
かなみいいい戻ってきてくれええええ
925
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/12/12(金) 18:26:18 ID:???
かなみさんならずっとお前のそばにいるだろ何言ってんだ
926
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2015/06/02(火) 03:46:14 ID:???
ロダ落ちてるね
927
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2017/10/17(火) 00:12:39 ID:Au0HuqbI
かなみ俺だ結婚してくれ
928
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/05/28(月) 18:10:16 ID:AEwvEyc.
久しぶりに戻ってきてしまった…
929
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/08/10(金) 23:47:14 ID:j/0eMZMI
俺さあ
今でも好きなんだよなあ
ツンデレがさあ
かなみも ちなみも
みんな好きなんだ
この想いを共有できる場所がもう無いんだなって思うと
凄く悲しい
930
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/10/02(火) 00:09:13 ID:YPE4nYRc
まぁ俺もキャラクリゲーでは今でも千奈美を作るよ
931
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/10/02(火) 01:34:46 ID:YPE4nYRc
だからお題をくれ
932
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/10/07(日) 04:00:31 ID:???
男が就職してしまいツンデレと会う機会が減ってしまったら
933
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/10/12(金) 15:19:45 ID:YPE4nYRc
「……今まで……どこに行ってた。……ばか」
数年ぶりに帰ってきた地元駅。
眼の前には、そんな俺を睨みつけてくる少女がいる。
眠そうな目と黒くつややかな長い髪。そして間延びした口調。
数年前、俺が就職してこの街を飛び出すまで仲良く……仲良く? していた子、ちなみさん。
「仕事だよ仕事。まぁ、それも辞めちまったんだけど」
「ふん……。おめおめと逃げ帰ってきた……か」
ひどい言い方もあったのだ、と思うが実際その通りだ。国破れて山河あり、夢破れておかえりなさいまし、ってな具合に。
「情けない。……私を……置いてった、くせに……」
そう言って睨みつける視線に、しかし当時のような気丈さはない。
ただ悲しみの色だけが色濃く出ていた。
「それは、仕方ないだろ。お前にも進路が……そういやお前今何してるんだ?」
思わず疼く胸に言い訳をしようとして、ふと口をつく疑問。
地元で生活をしているとして、この辺に良さげな就職口なんてあったか?
そう考えた俺に返ってきた言葉は、やはり彼女が常人ではないのだと思わせるものだった。
「去年、高校を卒業してすぐ……会社……作った」
「起業したのか!? すごいな! で、どんな会社なんだ?」
思わずテンションが上り、俺は前のめりになって聞く。
にんまりとして答えるちなみさんは、やはり、やはり常人ではなかった。
「……発明会社ちなみん」
…………。
「発明会社」
「……ちなみん」
思い返す。
彼女との毎日。
何があった?
色々あった。……本当に色々あったが、確かにあの技術力があれば会社の一つや二つ興せるのかもしれない。
「……ん? 去年卒業? あれ? その、俺がいたときってちなみさん何歳だっけ?」
「手が後ろに回るから……考えないほうが、いい……」
「…………はい」
曰く有りげなにやにや笑いを浮かべながらのちなみさん。ご忠告通り、考えるのはやめておこう。
「そんな犯罪歴あり現在無職でお先真っ暗な君だけど……どうしてもと言うなら、雇ってあげても……いい……よ?」
答えなんて一つしかない。
「まずは履歴書買わせてもらえませんか? 社長」
「…………ん。いい……よ。……ふふ」
満足そうにうなずく彼女。
今の今まで忘れていた甘い記憶が、日々が、再び動き出すのを感じた。
934
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2018/10/20(土) 10:41:02 ID:???
GJ
ほの板のスレもよろしく
935
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2019/05/18(土) 13:24:42 ID:ukZzbung
男が死んでしまう夢を見た後のツンデレの様子を見たいです><
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