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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

5572/4:2012/06/04(月) 00:54:23 ID:???
 今にも掴みかからんばかりに詰め寄る私に、別府君はたじたじとなってニ、三歩交代
しつつ、何度も頷く。
『本当よね? 約束だからね?』
 それに頷くのを確認して、ようやく私は元の落ち着きを取り戻し、彼との距離を離す。
それを見て取り、別府君がホッとため息をついた。
「で、二つ目の条件は何?」
 それを聞かれ、私はドキリと心臓を高鳴らせる。これは私の人生の中で、かつて無い
ほど大胆なお願いだったからだ。一瞬、気持ちが萎えてやっぱりいいと言いそうになる。
しかし、今のチャンスを除いては、二度と私がこんなお願いをするなんて出来ないかも
しれない。そう思い直し、私は無理やりに気持ちを奮い立たせた。
『……二つ目の条件はね……』
 緊張で口が上手く動かない。それをもどかしく思いつつ、私はゆっくりと、一言ずつ言葉を続けた。
『その……別府君の……家での、姿を……私に、見せてちょうだい』
「へ……?」
 呆然とした顔の別府君に気付き、私は何かの糸が切れたように、言い訳を始める。
『ち、違うのよ!! 別に、別府君の家に行きたいとか貴方と二人きりになりたいとか、
そういう訳じゃなくって!! ただ、その……ズルイじゃない!! 私の事ばかり貴方
に見られて、私が素の別府君を見れないって言うのは、だから、その……釣り合いが取
れないじゃない。そんなの不公平よ!!』
 怒涛の如くしゃべりまくってから、私はハアハアと荒い息をついた。もはや、普段の
取り澄ました私なんてどこにもいなくなっている事にすら気付かず。別府君はしばし、
呆然と私を見つめていたが、やがておかしそうに笑い出した。
『なっ……何がおかしいのよ!!』
 恥ずかしさと怒りがない交ぜになって、私は怒鳴る。すると別府君が手を振ってそれを退けた。
「いや、ゴメン。あんまり必死だったからさ。大丈夫。変な期待とか勘違いはしないか
らさ。いいよ。いつだってウチに来ても」
『あ、当たり前でしょうそんなの!!』
 いささかまだ興奮気味ながら、ようやく私は、自分を取り戻す。もっとも、もはや意
味のない演技だけれど、それも素の自分の一つになっているのだから仕方が無い。
「じゃあ、それは今度、また話をするとして。これで全部条件が整ったわけだけど?」


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