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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

6224/4:2012/09/28(金) 20:25:55 ID:???
「……去年もやりませんでしたっけ、このやりとり」
「………」

舌が痛いのがバツが悪いのか、だんまりのちなみさん。
俺はやれやれと肩をすくめ、サンマをごにょごにょと解体する。
箸に取りふー、ふー、と息を吹いて、ちなみさんに献上した。

「はい、あーん」
「……ばかにすんな」

──しかし悲しきかな。折角「あーん」とまで言ってやったのに、ちなみさんは口を開いてはくれなかった。
一人前に照れでもあるのだろうか。ぷいとそっぽを向き、皿に乗ったサンマの方におもむろに口を近づける。

「あ、そっちは…」
「ん……にゃうっ!」

忠告してやる暇もなく、ちなみさんはサンマの皿に顔を突っ込む。
予想通り熱にやられたどころか、もう一つ予想外に骨が顔に刺さったらしい。
ちなみさんは猫であれば面白ビデオ大賞に送れそうなリアクションで飛びのき、庭を転げた。

「…だから言ったのに」

俺は行き場をなくした哀れなサンマ一欠けを口に運び、改めて皿からサンマを取ってやる。
もう一度ふー、ふー、と息を吹き、ようやく立ち直ったちなみさんにもう一度差し出した。

「はい、あーん」
「………ん」

ようやく学習してくれたらしく、ちなみさんは頬を赤くしながらも俺の菜箸からサンマを食べてくれた。
その顔は幸福と気恥ずかしさの入り混じったような表情で──だからだろうか。俺はそんな彼女に、少しだけ意地悪をしてやりたくなった。

「ああ、ところでちなみさん」
「……んむ」
「さっき、俺も一切れサンマを頂いたんですが」

にやりと笑い、俺は菜箸をちょんちょんと指す。

「これって、間接キスですよね?」
「……っ!?」

ちなみさんの人間ヘッドによる頭突きが、晴れ渡る秋の空に響いたのであった。


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