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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

5583/4:2012/06/04(月) 00:54:49 ID:???
 別府君に促され、私は小さく頷く。これ以上、もう何も引っ張る条件はなかった。もっ
とも、もう答えは決まっているし、ここまでくれば肝も据わった。私は彼の顔を見上げ、
もう一度、コクリと頷いて答えた。
『……信じるわよ。ここまで来て……信じないわけにはいかないもの……』
「ありがとう。嬉しいよ」
 ニッコリと微笑んでくれる彼にキュンとして、同時に酷く気恥ずかしくて、私はその
感情をごまかすためについ、怒って彼を睨み上げる。
「わっ……笑わないでよ。バカ!!」
 そのまま彼の胸を両の拳で叩く。彼は何も言わずにそれを受け止めた。見上げる私に
微笑み返して、頷く。
「でも、本当に嬉しいから」
 そう言って、私の両肩にそっと手を置く。すると不意に、すごく甘えたくなって、私
はそのまま彼の胸に、頭を預ける。すると別府君の手が両肩から背中に回り、優しく、
しかししっかりと私を受け止めた。
『や、やだ……こんなの、恥ずかしい……』
「大丈夫。俺だって、恥ずかしいから」
 私の感情を、そのまま受け止めて返してくれる。そんな優しさが嬉しくて、彼を見上
げる。別府君の私を見つめる目に吸い込まれそうになり、そのまま背伸びして顔を近付
けた。とその時、微かに、何かが軋む音がした。
『待って』
 あともう数センチで私と別府君の顔がくっ付くところで、私は手の平で彼の顔を押し止めた。
「何?」
『今、何か音がしたの』
 そう言って、私は別府君から体を離す。うかつだったと自分を呪う。ここは自分の家
なのだ。そして今日は家族がいた事に、今更ながらに気付かされた事を。また何か物音
がする。私は確信して階段の所まで飛ぶように駆けた。
『お母さんっ!! 大輝っ!!』


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