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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
815
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:03 ID:???
・・・
離婚発言のその晩、私はベッドで夫がやってくるのを待っていた。
私にとってはちょっとした意地悪というか……否、それでも言い過ぎたのには変わりないが、そんなつもりで放った言葉だった。
だからそのうち、夫が私に謝りに来てくれればそれを許し、あわよくばそのままイチャイt……ゴホン。
それはそれとして、私はベッドで待っていたのだが夫はいつまでたってもやって来ない。
逆に不安になった私はベッドから起き上がり、リビングを覗いてみると、奴はソファで寝ていたのだ。
夫はとてもぐったりとしていた。
近づいてみると、寝言かうわ言か、私の名前をしきりに呼んでいた。
私は自分の発言の軽率と重さを実感し、夫が起きたらきちんと謝ろうと思った。
しかし翌朝。
起きてみれば夫の姿は無く、早めに出勤する旨の書き置きが残されていた。
私は事の重大さを思い知った。
夫はどうやら、酷く怒っているらしかった。
朝は私が起きるまで、横で頭を優しく撫でてくれている夫が、ベッドにいないどころか家にもいない。
それもそうだ。
奴は昔から、私に触れると癒されると言っていた。
いつも汗水流して私の為に働いてくれているのに、その癒しを私は奪おうとしたのだ。
下手をすれば愛想を尽かされても……最悪、他の女に……。
想像するだけで泣きそうだった。
私は商店街が開く時間になると身支度もそこそこに家を飛び出し、買い出しに向かった。
産まれた病院も同じで、乳児室のなかですらお隣同士、ハイパー幼馴染である私からすれば、奴の好みなどとっくの昔に把握済みだ。
奴が好んでよく食べる緑黄色野菜を八百屋で買い込み、肉屋で普段は買わないような高い肉を牛、鳥、豚、もちろん国産で揃える。
他にもコーンスープの材料など諸々を買い、家に戻る。
下拵えをしてから、洗濯やら掃除やらを済ませ、本格的に料理に取り掛かる。
手間暇をかけて渾身の夕食を作り上げると、丁度いい時間だった。
朝食も昼食も摂っていなかったが、空腹などどこかへ飛んで行ってしまった。
食卓に料理を並べる前に、部屋着ではなくきちんとした服に着替え、普段はしない化粧をする。
どれもこれも、奴と仲直りする為の計画の一部だった。
私の計画はこうだ。
==========
「ただいま」
『おかえり』
「わあ、今日は俺の好物ばかりだね」
『一生懸命作ったのよ』
「すごく美味しいよ! お化粧までして、いったいどうしたんだい?」
『その……昨夜のことで謝りたくて……言い過ぎだったわ。ごめんなさい』
「俺こそやり過ぎだったよ。でも、愛し過ぎるがゆえなんだ」
『わかってるわ。私も愛してるもの』
「尊……!」
『あなた……!』
キャッキャウフフ
==========
概ねこんな感じである。
馬鹿馬鹿しいかもしれないが、私はどうにも素直になれないのが悪い癖だ。
しかしそれを今すぐ直すのは難しい。
だから、自分で自分が素直になる為のお膳立てをしようというわけだ。
そして、あとは奴が帰ってくるのを待つだけだ。
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