したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

1tun:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。

sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。

4211/5:2012/03/20(火) 12:43:44 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その1

『……暇……』
 ベッドに仰向けに寝たまま天井を見つめつつ、私は一人ごちた。インフルエンザにか
かって今日で五日目。学校も、もう三日も欠席している。
『一応、今日まで様子を見なさいってお医者さんに言われたけど、もうほとんど健康なのよね……』
 最初の二日間はそれこそ高熱と倦怠感と間接の痛みと咳が一気に襲って来ていて退屈
どころの騒ぎではなかったが、三日目になると嘘のように熱が下がり、昨日の朝にはも
うほとんど健康と変わりない状況だった。
『何か、病気で休んでるっていうのに勉強する気にもなれないしな…… だからといっ
て、遊ぶのも気が引けるし……』
 よっこらせっと私は体を起こし、布団をめくる。手に届く位置に置いてあったカーディ
ガンをパジャマの上から羽織って、立ち上がった。
『テレビでも見てれば、気が紛れるかもね。どのみち寝ようったって、寝過ぎるくらい
寝たんだもの。ボーッとしてるくらいなら、世の中の情報を仕入れた方がマシだわ』
 自分にそう言い聞かせて、リビングに下りる。
「げっ? ねーちゃん、もう起きて大丈夫なんかよ」
 ソファーに寝そべってマンガ雑誌を読んでいた弟の大輝が起き上がって、不審そうな
目付きで私を見る。
『だってもう熱もないし退屈なんだもの。それよりアンタ、いつ帰って来たのよ?』
「ついさっきだってば。つか、ねーちゃん。今日まで絶対安静なんだろ? 大人しく隔
離されてろよ」
『何よ。人を病原菌みたいな扱いしないでよね。念のために今日まで休みなさいって言
われてるだけで、もうほとんど治ってるんだから』
「ちょっ!? 寄ってくんなってば。俺にまで感染したらどうすんだよ」
『だからうつらないって言ってるでしょ? ムカつくから、アンタの顔に向けて咳して
あげるわ。ゴホッ!! ゲホッ!!』
「やめろバカ汚ねっ!!」
 すると、キッチンにいたらしい母親が怒鳴り声を上げた。

4222/5:2012/03/20(火) 12:44:05 ID:???
『何してるの、涼香っ!! 病み上がりなんだからふざけてないで大人しくしてなさい。
ぶり返したらどうするのよ』
『だってお母さん。ケンカ売って来たのは大輝の方なのよ? 何で私が怒られなきゃな
らないわけ?』
「ねーちゃんがインフルエンザなのに起き出して来るからだろ。もしうつったら責任取れよな」
『ホントにうつせるものならうつしてやりたいわよ。それで、私が苦しんだのと同じか
それ以上の苦しみを味わいなさい』
「だから寄ってくんなってば。きたねーから」
『誰が汚いっていうのよ? あんまり失礼な事言うと承知しないわよ』
『二人ともいい加減にしなさいっ!! 涼香は治りかけなんだから、大人しくしてるの。
あと、大輝もあまりお姉ちゃんをからかわない。分かった?』
 母親のカミナリに、私も大輝もさすがに言い合いを止めて口をグッとつぐんだ。
「ちぇっ。ねーちゃんのせいで俺まで母ちゃんに怒られちまったじゃん」
 小声で大輝が文句を言うのを、私は聞き逃さなかった。
『何言ってるのよ。アンタがいちいち突っ掛かって来るから――』
『コラッ!!』
 私の抗議は、母の怒声に遮られた。
『いつまでやってるのよ。本当にいい加減にしないと、お母さん怒るわよ』
「もう怒ってるじゃん」
『ねえ』
 私と大輝は、顔を見合わせて母に聞こえないようツッコミを入れる。
『あと、大輝!!』
「はいっ!?」
 自分だけ名指しにされて、弟が思わずビクッと姿勢を正す。母がシステムキッチンの
向こうから、身を乗り出して睨んでいた。
『いつもちゃんとお母さんって呼びなさいって言ってるでしょう。今度母ちゃんって言っ
たら、一ヶ月お小遣い停止だからね。分かった?』
「はーい」
 母の説教に、大輝は気のない返事をした。最近、この弟は中学になってから急速に生
意気になって来た気がする。小学校の頃は生意気でもまだ可愛げがあったものだが。

4233/5:2012/03/20(火) 12:44:27 ID:???
『涼香。これからちょうどお茶にしようかと思ってたところだけど、アンタも何か飲む?』
『え? うん。じゃあ、紅茶淹れてくれる?』
 熱が出ていたから、ずっとスポーツドリンクみたいなのしか飲んでいなかった。こう
してようやく温かい飲み物が飲めるようになった事に感謝しなければなと、私はしみじみ思う。
「えーっ? おかーさん、いいのかよ。姉ちゃん起こしたままにしといてさ」
 大輝が不満そうな声を上げるので、私はまた睨み付けた。しかし、私の抗議より早く、
母がたしなめる。
『大丈夫よ。もうほとんど完治しているんだから。先生も念のためって昨日言ってた位
だし。それに、感染してるならもうとっくにアンタにうつってるわよ』
 すると大輝は不満そうに返事をして、私をジロッと見た。
「寄るなよ、ねーちゃん。菌がうつるから」
『何だったら、たっぷり可愛がってあげてもいいわよ。今日は特別にね』
 まるで対戦前のプロレスラーみたいに、私はワザと大輝に顔を近づけて睨みつける。
と、その時出し抜けに、訪問者を告げる呼び鈴がなった。
『ちょっと悪いけど、出てくれる? 今、ガス使ってるから』
 キッチンから母親の声がする。私はそれをそのまま大輝に投げた。
『じゃあ、大輝。行って来てよ』
「えーっ? 何で俺が」
 不満顔の大輝に、私は自分の格好を指差した。
『だって私、パジャマなのよ? こんな格好で人前に出れる訳ないじゃない。ちょっと
は考えなさいよ』
 全く、男ってこれだから困る。少しは乙女の恥じらいというものを理解して欲しいも
のだ。なのに大輝ときたら、私の格好を一瞥すると、バカにしたように鼻を鳴らして言った。
「バッカバカしい。そんな、恥ずかしがるほど大したもんじゃねークセに」
『う、うるっさいわね!!』
 思わず蹴りを浴びせるも、大輝は軽く体をひねって避けると、そそくさと玄関に行っ
てしまった。
『ちょっと、涼香。体調が戻ったからって暴れたりしたらダメじゃない。ぶり返しでも
したらどうするの』
『だーって、大輝がひどい事言うんだもの。悪いのはあっちじゃない』

4244/5:2012/03/20(火) 12:44:47 ID:???
 私ばかり叱られてるみたいで不満に思って口答えすると、母は私を厳しい視線で見つめた。
『だからって、涼香が暴れていいって事にはならないでしょう。少しは自重なさい。あ
なたはもう高校生なんだから』
『はーい』
 あんまり口答えすると、せっかく準備してくれている紅茶が無くなりそうだったので、
仕方無しに大人しく頷くが、内心は不満たらたらだった。大体、母は二言目には高校生
だからとか、お姉ちゃんなんだから、とか女の子なんだから、とか言って私をたしなめ
る。男で中学生なら何やっても許されるなんて、理不尽も甚だしい。
「ねーちゃん。客だよ」
 いつの間にか戻ってきていた大輝の声に、私の思いが破られる。一瞬その言葉を頭の
中で飲み込めず、私は思わず聞き返してしまう。
『は?』
「だから、ねーちゃんにお客さんだって。クラスの人だよ」
『クラスの人……? ああ』
 ようやく得心が行った私は頷いた。そういえば、友人の友紀が休みの間、ノートやら
プリントやら持って来てくれてた事を思い出す。
「早く出なよ。玄関先で待ってんだからさ」
 弟の言葉に、私はちょっと驚いて問い質す。
『ちょっと。何で受け取ってくれなかったのよ。出られるわけないでしょ? 私、イン
フルエンザなのに』
「だって、もうほとんど治ってるってさっき自分で言ってたじゃん。だったら、顔くら
い見せてあげた方がいいだろ。心配して来てるんだからさ」
 まだ中学1年の弟に正論で押し返されて、私は返す言葉を失くしてしまった。確かに、
元気なところを見せて、明日から登校出来るよって教えてあげれば、きっと友紀も安心
するだろう。
『……私、パジャマなんだけど……みっともなくないかな……』
 自分の格好を確認して、誰にともなく呟くと弟が口を挟んだ。
「その方が見栄え病人らしくっていいだろ? 誰もねーちゃんの格好なんて気にし――
あイテッ!! 何すんだよ!!」

4255/5:2012/03/20(火) 12:46:26 ID:???
 余計な事を言う弟のおでこを、素早く指で弾くと、弟が額を抑えて軽く仰け反った。
睨み付けて抗議する弟を睨み返す。
『あのね。私だって花も恥らう17歳の乙女なんですからね。いくら姉弟だからって、
少しはデリカシーってものを持ちなさいよ』
 すると、キッチンから母親の鋭い叱責が飛んだ。
『涼香。ケンカは後にしなさい。お友達、待たせてるんでしょ?』
『あ、そうだった。大輝ってば、後で覚えてなさいよ』
「知るか。ベーだ」
 舌を出す弟をそのままに、私は急いでリビングから玄関に顔を出した。
 そして、玄関先で待つクラスメートを見て――そのまま、固まった。
「……よ、よお」
 ちょっと戸惑いがちな笑顔を浮かべながら挨拶したのは、女友達の友紀なんかじゃな
くて、男子生徒の、別府タカシ君だったからだ。


続く

うん。ただいいんちょに弟がいたらどんなんだろうなーって思って書き始めただけなのに、
何かやたら長くなったんだ。何故(´・ω・`)?


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板