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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

4513/6:2012/03/31(土) 19:52:50 ID:???
 本当だったら、今すぐにでもこの場から駆け去りたいくらいに恥ずかしい。とはいえ、
ここで取り乱したら後で余計に恥ずかしくなるだけだし。とにかく、大輝の奴が全て悪
い。別府君が帰ったら絶対に説教してやろうと、私は心に誓った。
「ゴ、ゴメン。そんなに見てるつもりはなかったんだけど……まあ、何ていうか制服以
外の委員長って見たこと無いから、何か新鮮でさ。まあ、その……と、とにかく、気を
悪くしたなら謝るよ……」
 別府君が申し訳無さそうな顔をして頭を下げるのを見て、いささか申し訳ない気分に
なる。不注意とはいえ、こんな格好で出てきた私が悪いのに、何だか彼のせいみたいに
なってしまったし。
『……も、もういいわよ。それより、渡すものはこれで全部かしら? だったら――』
 とにかく、今は早くお引取り願おう。あれこれ考えるのは後からでいい。そう考えて、
彼に帰るように促そうとした時だった。
『あらあら。ゴメンなさいね。わざわざ、届け物して頂くなんて』
 背後から唐突に母の声が響き、私は驚きでビクッと体を弾ませる。パッと振り向くと、
エプロンを外した母が、いそいそと廊下をこっちに向かって歩いて来ていた。
「え、えーと……」
 別府君も驚いた顔で、私を見た。何となく答えは分かっているけど、言葉に出て来な
い。そんな感じに思えたので、私は彼の後を継いで言った。
『ええ。ウチの、母よ』
 私の答えを聞いた途端、別府君がパッと立ち上がり、母に向かって深々とお辞儀をした。
「は、初めまして!! その……いいんちょ……いえ、静野さんのクラスメートの、えっ
と……別府タカシと言います。ほ、本日はその……」
『わざわざ涼香の為に、届け物しに来てくれたのね。ありがとう』
 ニッコリと微笑んでお礼を言う母の前で、別府君がしどろもどろになる。
「ああ、いえそんな。俺もその、頼まれて持って来ただけなんで、お礼言われるとか、
そんなんじゃ、全然その、ないですから……」
『いいええ。わざわざ時間を割いてくれたんだもの。そんな事無いわよ。ねえ?』
 謙遜する別府君の言葉を否定しつつ、母が同意を求めてくる。正直迷惑に思いつつ、
私は渋々頷いた。そして別府君を鋭く睨み付ける。私の意図を察したのか、別府君はか
まちに置いてあった自分のバッグに手を掛けて母に向き直る。


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