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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

5383/4:2012/05/20(日) 22:47:02 ID:???
『ほら。まずはキチンと謝れ。じゃないともっと痛めつけるからね』
「痛い痛い。痛いってば!!」
 私に似て、大輝も結構頑固だから多少痛めつけたくらいじゃ折れないのは承知の上。
そう思って更に力を込めたところで、再び母の怒声が響き渡る。
『アンタ達いい加減になさいっ!! 玄関先で何ふざけてるの。特に涼香。アンタ病み
上がりなのよ? 分かってる?』
『分かってるってば。けど大輝が――』
 言い返そうと口を開くが、途中で母の怒鳴り声にかき消される。
『けどじゃありませんっ!! 大体、玄関先でなんて、よその人に見られたら……』
 母の声のトーンが急に下がり、言葉が掻き消えて行く。驚いたような母の顔に、私は
咄嗟に玄関の方に振り返り、そして凍りついた。
『あ……』
「す、すみません。あの、ベル鳴らしたんだけど……」
 玄関先に立っていたのは、もうとっくに帰ったはずの、別府君だった。
『あ……あ……』
 言葉が何にも出て来ない。思考が物凄い勢いでグルグルと回るが、上手く考えがまと
まらない。
「ちょっと、携帯忘れちゃって、それで……いや、あの、無断で入るつもりはなかった
んだけど……いるはずなのに、全く返事がなかったからおかしいなって……それで……」
 言い訳めいた別府君の言葉も、全く私の思考に届かなかった。混乱した頭が徐々に一
つの重大な結論に辿り着く。それは――
――別府君に見られた。別府君に見られた。見られた。別府君に――
『い……やあああああああっ!!!!』
 私は大輝の事なんて忘れて立ち上がると、早くこの場から消え去りたい思いで、一目
散に階段を駆け上がった。そのまま、自室まで辿り着くと、部屋のドアを開けて飛び込
み、勢いよくドアを閉めて外界を遮断してから、私はベッドに飛び込んだ。
『何で…… 何で別府君がいるのよ……信じられない……』


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