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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
787
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/05/07(火) 15:58:23 ID:1dXFnXow
「うん」
『あれはな、この家が建った時から、ああして滴り落ちる雨水を受けて、長い長い時間をかけて、ああして抉れていったのじゃ』
その声は、昔を懐かしむような老獪さと、少女のような無邪気な色をはらんでいて、聞いていると不思議な気分になる。
更にそれはとても透き通っていて、まるで雨音と奏でる音楽のようだ、と思った。
『この家の初代はなんやら物好きでのう。あの石畳だけは、末代まで剥がしてくれるなと言うたんじゃ』
「へぇ……」
『自分の存在がいつか誰からも忘れられようと、自分が残したその言葉で、何かが残っておるのが嬉しいのだとさ』
少女の声が、どこか愁いを帯びたそれに変わる。
思い出しているのだろう、その男の事を。
なんせ、彼女はその初代とやらに会っているのだから。
どころか、二代目も三代目も……俺自身、顔も知らない俺の両親にさえ、少女は会ったことがあるのだ。
それは、彼女が人の身ではなく、妖怪だから。
所謂、座敷童と言うやつだ。
気に入った家に住み着き、少しの悪戯と引き換えに、その家に幸運を齎す。
彼女は何百年とこの家に住み続け、この家、ひいては一族の繁栄を見守り、そして、現在の衰退を見てきた。
『思えば出会った時から死ぬ時まで、変なトコロに拘りを見せるやつじゃった。石畳然り、この家も…………儂も、な』
「……そうか」
『ま、化生の身であるである儂にはわからぬことじゃがなぁ』
そう言うと、先程までの愁いを帯びた顔から一転、意地悪そうに笑って、こう言った。
『儂にわからぬと言うことは、儂よりももっとへんちくりんなお主には、もっとわからぬことじゃろうがな』
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