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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

1tun:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。

sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。

535以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/20(日) 22:45:53 ID:???
週刊いいんちょ

>>521-528の続きです

5361/4:2012/05/20(日) 22:46:20 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その5

『フゥ……』
 緊張が一気に解け、私はその場に腰を下ろした。
『全く……生きた心地がしなかったわよ……』
 何だか電池が切れたかのように疲れが襲ってくる。しかし、まだこの疲れに身を委ね
る訳には行かない。やる事がまだ残っているのだ。
『友紀に電話して、思いっきり文句言ってやらなきゃならないけど、とりあえずそっち
は後にして……と』
 もう一度気力を奮い起こすと、私は立ち上がってリビングへと戻った。
『大輝っ!!』
 私達が出た後で、リビングに戻ってマンガを読んでいた大輝に、私は怒鳴った。
「何だよねーちゃん、うるさいなー」
『うるさいな、じゃないっ!!』
 つかつかと早足で大輝に近付くと、前屈みに睨み付けた。
『アンタね。何だってクラスの男子の前で、人のプライベートをいちいちしゃべろうと
すんのよ。デリカシーが無いにも程があるわっ!!』
「だーって、ねーちゃん面白かったんだもん」
 マンガを置いて私を見上げた大輝の顔には、からかうようなニヤニヤ笑いが張り付いていた。
『面白いって何がよ?』
 返答次第によってはただでは置かないと凄みを利かせるも、大輝は全く意に介す事な
く、人のモノマネをする。
「……別に。ただ面白いから面白いって答えただけよ。何か問題でもあるのかしら?」
『ぐぬぬ……』
 澄ました顔で、クールな私を演技してみせる大輝に、私は思わず歯噛みした。大輝の
バカにした態度を、どうやってとっちめてやろうかと考える。
「ねーちゃんって、学校であんななんだな。お澄まししてれば美人に見えるってもんで
もねーのに」
 その言葉に、ついに私の怒りは頂点に達した。

5372/4:2012/05/20(日) 22:46:42 ID:???
『この……大輝いーっ!!』
「おわっ!? な、何すんだよねーちゃん」
『何すんだじゃない!! 散々人をバカにしてっ!! 姉をバカにするとどうなるか、
思い知らせてやるわっ!!』
 とにかく大輝をとっ捕まえて、痛めつけなければ気が済まない。スルリと私の腕を抜
けて逃げる大輝を、私は素早く追いかける。
「ちょっ!! ねーちゃん、まだ暴れちゃダメだろが!! 病人のクセに」
『うるさい知ったことかあっ!! そう思うんだったら大人しく捕まんなさい!!』
「冗談言うなよ。姉ちゃんてば、下手に手加減知らないんだから」
 キッチンを抜けて廊下に逃げる大輝を、駆け足で追うと母の怒声が背中に飛んで来た。
『ちょっと!! 何やってんの二人とも!!』
「大輝捕まえるだけ!! すぐ済むから」
 そう言葉を投げ返しつつも、私は手を伸ばして大輝を捕まえようとする。廊下の入り
口では失敗したが、玄関脇にある二階への階段を上ろうとしたところで大輝がけつまずく。
「あイタッ!!」
 ぶつけた足を押さえたその瞬間を逃さず、私は大輝の服を掴む。そのまま引き寄せて
背後から抱きかかえる。
『さあ、捕まえたわよ。どうしてくれようかしら』
 生意気な弟を〆るために、痛めつける方法はいくつも勉強している。その場で引き摺
り倒して私は、大輝をガッチリ捕まえる。
「離せよ、バカ。離せってば!!」
『自業自得よ。さあ、何がいい? こめかみに梅干しやってみる? それとも、顔面マッ
サージとか』
 軽めに指で大輝の眉間の脇をグリグリマッサージしてやると、大輝が痛みで身をよじった。
「痛いってば、ねーちゃん!! 止めろよな」
『こんな程度で止めるわけないでしょ? クラスの男子の前で人に恥かかせるような真
似して、絶対に許さないんだからね』
「アイテテテテテ!!」
 足で体をホールドしてから、背後から両手を使って顔面のツボを思いっきり押してや
る。これって自分でもやった事があるが、かなり痛いのだ。

5383/4:2012/05/20(日) 22:47:02 ID:???
『ほら。まずはキチンと謝れ。じゃないともっと痛めつけるからね』
「痛い痛い。痛いってば!!」
 私に似て、大輝も結構頑固だから多少痛めつけたくらいじゃ折れないのは承知の上。
そう思って更に力を込めたところで、再び母の怒声が響き渡る。
『アンタ達いい加減になさいっ!! 玄関先で何ふざけてるの。特に涼香。アンタ病み
上がりなのよ? 分かってる?』
『分かってるってば。けど大輝が――』
 言い返そうと口を開くが、途中で母の怒鳴り声にかき消される。
『けどじゃありませんっ!! 大体、玄関先でなんて、よその人に見られたら……』
 母の声のトーンが急に下がり、言葉が掻き消えて行く。驚いたような母の顔に、私は
咄嗟に玄関の方に振り返り、そして凍りついた。
『あ……』
「す、すみません。あの、ベル鳴らしたんだけど……」
 玄関先に立っていたのは、もうとっくに帰ったはずの、別府君だった。
『あ……あ……』
 言葉が何にも出て来ない。思考が物凄い勢いでグルグルと回るが、上手く考えがまと
まらない。
「ちょっと、携帯忘れちゃって、それで……いや、あの、無断で入るつもりはなかった
んだけど……いるはずなのに、全く返事がなかったからおかしいなって……それで……」
 言い訳めいた別府君の言葉も、全く私の思考に届かなかった。混乱した頭が徐々に一
つの重大な結論に辿り着く。それは――
――別府君に見られた。別府君に見られた。見られた。別府君に――
『い……やあああああああっ!!!!』
 私は大輝の事なんて忘れて立ち上がると、早くこの場から消え去りたい思いで、一目
散に階段を駆け上がった。そのまま、自室まで辿り着くと、部屋のドアを開けて飛び込
み、勢いよくドアを閉めて外界を遮断してから、私はベッドに飛び込んだ。
『何で…… 何で別府君がいるのよ……信じられない……』

5394/4:2012/05/20(日) 22:47:32 ID:???
 これで、クールで理知的なイメージは台無しになってしまった。別府君がみんなに言
うかどうかなんて問題じゃない。人前で話すのが苦手なのを逆手に取って、中学に入っ
た時から積み上げてきた学校での自分の姿。それをよりにもよって別府君の前で、崩壊
するような事をしてしまった。
『もうダメ……絶対変に思われる…… もし、別府君が今までの私を少しでも好きでい
てくれたとしたら、幻滅したに決まってる……』
 恥ずかしくて恥ずかしくて、私は堪え切れずに悶絶した。自己嫌悪で死にたくて堪らない。
『あああああっ!! 友香にだって見せたことないのにぃ……何でバレるのが別府君な
のよ。もうヤダ……ヤダヤダヤダッ!!』
 別府君の、驚いた顔を思い出す。その表情から察せられる彼の考えまでは分からない
けど、よく思うなんてないはずだ。
『うぐぅ…… 明日っから、学校行けないよ……もういっそ、このまま休み続けちゃおうかな……』
 別府君の事だから、あからさまにはバカにしないだろうけど、もう彼の目の前で凛々
しい態度を取った所で、見せ掛けの演技だってのがバレバレになってしまう。それが分
かってるのに、今までのように接するなんて出来ない。
『どうしよう……それとも、いっそ転校とか……』
 自分の思い付きを真剣に考えてみようと思った、その時ドアが静かにノックされた。
『うるさい。一人にして。今誰とも話したくない!!』
 どうせ母親だろうと突っ撥ねたが、返って来たのは、意外な声だった。
「委員長。いい?」
 その声は、別府君の声だった。


続く


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