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レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
1
:
tun
:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。
478
:
1/7
:2012/04/30(月) 11:25:12 ID:???
・男と離れて初めて男の大切さが分かったツンデレ
「ね、ね。かなみちゃんも帰りミスド寄ってこうよ。友ちゃんもさっちゃんも渡辺さん
も来るしさ」
「うん。行く行く。ちょうど、小腹空いて来た所だし」
新しいクラスで出来た友達に誘われて、私は席を立つ。中学時代以来の親友であり、
コミュ力は私と比較にならないほど強い友子のお陰もあってか、新しいクラスでの滑り
出しはなかなか良好だった。
「よっし。そんじゃいこ。もうみんな廊下で待ってるよ」
半ば引き摺られるようにして教室を出て他のみんなと合流する。しかし、私の視線は
自然と、昇降口と反対側の隣りのクラスに吸い寄せられた。
「どしたの、かなみ? みんな行くよ?」
友子に声を掛けられ、私はハッと振り向いた。
「ううん。何でもない。いこ」
歩き出そうとした私の横に並んだ友子が、軽く肘で小突く。
「何よ?」
怪訝に思って横を向くと、友子が意味ありげな笑顔を浮かべて、囁いてきた。
「気になるんでしょ?」
「何がよ?」
質問に、私は突き放すように問い返す。友子が何を言いたいかなんて、重々承知の上で。
「またとぼけてる。別府君のことに決まってるじゃない」
「何であたしがあんな奴のこと、いちいち気にしなくちゃいけないのよ。バカバカしい」
友子の追及に、私は不満気に睨み付けた。しかし友子の顔に張り付いたイヤらしい表
情は消えない。
「だって、違うクラスになっちゃったから、今までみたいに学校でおしゃべりとか出来
なくなっちゃったもんね。何してるのか、気になるのかと思って」
「あんな奴が何してようが、あたしの知った事じゃないわよ。ぜーんぜん、気にもなら
ないんだから」
「ふーん」
479
:
2/7
:2012/04/30(月) 11:25:35 ID:???
友子は生返事をしたが、その顔は明らかに信じてませんって顔だ。しかし、ここで怒
ると友子のペースに嵌まると気付き、私はぶっきらぼうにそっぽを向く。
「フン。信じようが信じまいが友子の勝手だけどね。とにかくあたしは、全然アイツの
事なんて、考えもしてないんだから。いい?」
すると友子が親しげに私の肩を抱き、耳元で言った。
「いいわよ。その辺も含めて、これからバッチリ聞かせてもらうから」
これから、と聞いて私はそれが、ミスドでお茶しながらという事に気付き抗議の声を上げた。
「ええ? ちょ、ちょっと止めてよ。前のクラスの時だってアンタのせいでタカシなん
かと夫婦扱いされて凄い迷惑したのよ? また新しい友達に変に誤解させるようなこと
言う気なんでしょ。絶対ダメ!!」
こういう尋問は、あたしがタカシの嫁という前提で話を振って来るから、どう答えて
も絶対納得しないし、答えないと勝手に話を盛り上げられるしでどうしようもない。もっ
とも、幼馴染のタカシとは、実際恋人同士に見えるような事もやってはいるから、自
業自得でもあるのだけど。
「ダメと言われてはいそうですかと素直に従う友ちゃんじゃないことは知ってるでしょ?
新しい友達と親睦を深める為にも、そういう事はちゃんと知っておいて貰った方がいいじゃない」
「何が、そういう事、よ!! あたしをダシに話を盛り上げたいだけでしょが。絶対ヤ
ダってば!!」
無駄だと分かっても断固拒否する。するとそこで、廊下の端から声を掛けられた。
「おーい!! 友ちゃーん!! かなみちゃんも早く行こうよー!!」
「あはっ!! 今行くってば」
笑って手を振ると、友子は私の腕を取り、グイッと引っ張って走り出した。
「ちょ、ちょっと!! 自分で走れるってば!!」
「アハハ。まあ、いーからいーから」
何がいーからよ、と思いつつ、仕方なく引き摺られるようにして私は、友達の輪に入
り、ミスドに向かったのだった。
480
:
3/7
:2012/04/30(月) 11:26:06 ID:???
「疲れた……」
部屋に入るなり、私は制服のブレザーをベッドに放り、そのまま自分も倒れ込んだ。
「友子の奴め…… ある事ない事、ペラペラペラペラと調子に乗りやがって……」
語気も荒く、そう文句を吐き捨てると私はスカートのポケットに手を伸ばす。携帯の
着信メールが幾つか来ているのを確認して、私は携帯を開く。さっきまで一緒にお茶し
てた友達からのメールと、前のクラスの友達からのメールが少し。でも、肝心のアイツ
のは、ない。
「タカシの奴め…… サボってやがんな……」
悪態を吐きつつ、まずは来たメールから処理する。新しい友達にはキチンと。前から
の友達には気楽に、友子には適当に返してから、タカシへのメールを打つ。
[一日一通くらいはメール寄越せって言ったじゃない。このバカ!! 何してんのよ]
絵文字を取り混ぜて怒っている事を強調した文を送信する。
「うー…… いかん…… 着替えないと、せーふくのスカートに皺が…… お母さんに
怒られちゃう……」
しかし、疲労した体で一度寝転がってしまうと、なかなか起き上がることは出来ない。
そんな葛藤で悶々としていると、携帯が着信音を鳴らした。
「き……来たっ?」
ガバッと起き上がってメールを開く。
「……何だ。さっちゃんか……」
律儀に返信くれる友達はありがたいが、それでもがっかりした気持ちは否めない。気
を取り直して返信してから、また寝転がる。
「うー……しまった。せっかく起きたのに、また寝てしまった……」
起き上がったのなら、部屋着に着替えるくらいすれば良かったのにと後悔するがもう
遅い。再び襲い来る疲労感と戦っていると、また着信音が鳴った。
「今度こそアイツよね。じゃなかったら承知しないんだから……」
今度はさっきほど勢い込まず、寝転がったままメールを開く。
「……友子か…… 後でいーや」
ベッと携帯を放り捨てると同時に、もう一通メールが来た。
「次こそは……あのヤロー……」
481
:
4/7
:2012/04/30(月) 11:26:32 ID:???
しかし、今度もまた別の友達だった。この子はまだ知り合ったばかりだから気力を振
り絞って愛想のいいメールを作って送る。さらにさっちゃんからの再返信メールだった
り、今日遊んでない子からのメールも来たりしたが、肝心のタカシからは、一向に来ない。
「いい加減にしなさいよね!! 全く……っ!!」
我慢しきれず、もう一通催促のメールを作る。
[何やってんのよこのバカ!! このあたしがメールしてやってんだから、さっさと寄
越しやがれーっ!!]
ビシッという効果音が付く勢いで発信させる。と、1分経たずに着信音が鳴った。
「はやっ……って、どーせ違うんだろうけど」
それでも僅かな期待を無視することが出来ず携帯を開く。From:タカシ。
「やっとか……ホント、何やってたのよアイツ。あたしからのメール無視するなんて最低」
ぶつくさと文句を言いつつメールを開いた。
[ゴメン、寝てた。新しいクラスだと、色々と気疲れしちゃってさー かなみへのメー
ルの文面考えてたらいつの間にか……]
忘れられていなかった事に、私はちょっとホッとする。もっとも、やきもきさせられ
た怒りが全部消え去った訳じゃないので、嫌味の一つや二つでも言ってやらないと気が
済まないと私は返信メールを作る。
[なーにが気疲れよ偉そうに。日頃ダラダラし過ぎてるから、ちょっと慣れない環境に
なっただけで疲れちゃうんじゃないの? だらしないわね、全く]
そんな文章を打ちつつも、気が付くと私の表情は緩んでいたのだった。
「ハァ……」
それから数日後の放課後。小さくため息をつく私を見逃さず、友子が絡んで来た。
「どしたの? ここんトコ、別府君に会えてないから、禁断症状でも出てるとか?」
「何でもかんでもアイツに絡めようとするな。このバカ!!」
てい、とばかりにバッグを友子に振り下ろすが、友子はそれを素早くキャッチする。
「あっぶないわねー。こんなもん直撃したら、頭はともかく首がおかしくなっちゃうじゃない」
「フン。大人しく食らった事なんて一度だってないじゃない」
しかめっ面で舌を出して見せると、友子は軽く笑った。
482
:
5/7
:2012/04/30(月) 11:26:55 ID:???
「だーって、かなみの攻撃ってすぐ先が読めるんだもん。避けるの簡単だし」
「人を鈍いみたいに言うな。友子が特殊なだけでしょーが」
新聞部一のゴシップ記者を自認する友子の反射神経は異様なほどに良い。それを指摘
すると、友子は両手を腰に当て、胸を張った。
「まーねー。いちお、鍛えてますから」
自慢する事じゃないだろ、と私は軽くこめかみを抑えた。友子の暴露記事が原因で失
墜した者や破局に追い込まれたカップルは何人もいる。
「んで、その新聞部の方はどうなのよ? 新入部員とか入ったわけ?」
私の質問に、友子は思い出したように顔を上げてポン、と拳を打った。
「そうそう。今日はその新人に校内極秘スポットを教え込まなくちゃいけないから、か
なみとは遊べないよって言いに来たんだった。そんじゃ、また」
シュタッ、と手を上げて挨拶すると、友子は消え去るような素早さで教室から出て行
った。残された私は、深々とため息をつく。
「全くもう…… さすがゴシップばっか扱ってるだけあって、ホント変なトコばっか気
が付くんだから……」
「あ、そうそう。忘れてた」
いきなり傍で友子の声が聞こえ、私は思わず絶叫した。
「うわあああああっ!! どどど、どっから出てくんのよアンタわ!!」
ドキドキする心臓を抑えながら文句を言うと、友子はフフン、と得意気に笑う。
「この業界で生き残るには、神出鬼没さは必須だからね。と、言いに来たのはそんな事
じゃなくて」
途中で言葉を切ると、友子は顔を私の傍に近づけ、耳元でそっと囁いた。
「別府君の事が気になるんだったら、自分から積極的にならないとダメだよ。うかうか
してると、いつの間にか他の子が取ってっちゃうかも知れないからね。気を付けなよ」
「なっ…… 何言ってんのよアンタはっ!!」
思わず友子に向き直って怒鳴ると、友子は素早く距離を取って私からの攻撃に備えつ
つ、真面目な顔でチラリと背中を――タカシの教室がある方を――一瞥する。
「単なるおせっかいだから、聞くも聞かないもかなみ次第だけどね。でも、新しいクラ
スでも、別府君結構人気だよ。それじゃ」
483
:
6/7
:2012/04/30(月) 11:27:41 ID:???
そう言い置いて、友子は再び、私の視界から消え去った。しかし、友子の言葉が、私
の胸には錐のように突き刺さっていた。
「自分から積極的にって…… そんな事出来たら、苦労しないのに……」
誰にも聞こえないように小さく、口の中で私は呟いたのだった。
今日は、特に他の子たちとも遊ぶ約束がなかったため、私は一人教室を出た。
「こういう時、大体タカシが隣にいてくれたのにな……」
今にしてみると、タカシは結構マメに私の相手をしてくれていたような気がする。メー
ルとか電話は無精者だが、いて欲しいと思う必要がないくらい、いつだって傍にいて、
構ってくれていたから、寂しいだなんて感じた事なんて一度もなかった。
「べ、別にあんな奴いなくたって…… 寂しいとか思わないし」
小さく、自分の想いにツッコミを入れる。そんな事をしても全然気は紛れなかったが、
いないものは仕方が無い。バッグを持って、教室を出る。もしかしたら笑顔のタカシが
そこで待ってて……なんて一瞬期待したがそんな事は全然無く、私は一人、昇降口へ向
かおうとした。その時だった。
「ほらほら。別府君、早く早くーっ」
背後から聞こえた女子の声に、私は咄嗟に立ち止まって振り向いた。自分のクラスを
挟み、二つ向こうの教室がタカシのクラスだ。その入り口に知らない女子がいて、何か
を引っ張り出そうとしている。
「ちょっちょっちょ…… 待てってばおい!! ちゃんと行くから引っ張るなって」
慌てた男子の声が続いて聞こえる。それは紛れも無く、タカシの声だ。
「ダメダメ。そんな事言って、逃げようとするんでしょ? 約束なんだから、果たすま
で帰さないんだからね」
えいっとばかりにタカシを引っ張り出したその子が、親しげにタカシの腕に腕を絡めた。
「だから待てって。つか、離せ。そんなガッチリ捕まえなくたって逃げたりしないってば」
「いーじゃん別に。それとも、あたしと腕組むのイヤとか?」
484
:
7/7
:2012/04/30(月) 11:28:19 ID:???
見ていられなくなって、私は二人から背を向けた。友子の言葉が脳裏にリフレインす
る。まだ新しいクラスになってひと月も経っていないのに、いつの間にあんな親しい娘
が出来たんだろう。確かに、タカシは人付き合いが得意で、前のクラスの時も男女区別
無く友達は多かったが、あんな風に馴れ馴れしくするような子はいなかったのに。
「そんな……嘘……」
もう一度振り返る勇気なんて無く、背後から聞こえる二人の声から逃げるように、私
は耳を塞いでその場から走り去ったのだった。
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