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貧困スレ

343とはずがたり:2013/05/26(日) 20:31:58
>>337
>文部科学省によると、12年の初年度納付金は国立大学で入学金28万2000円と授業料53万5800円。私立大学の平均は入学金、授業料と施設設備費で131万5882円。不況、デフレなのに右肩上がりだ。
大学は無闇矢鱈と増えてるのにどうしてそんなに強気の価格設定!?

344チバQ:2013/05/31(金) 00:10:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130530-00000020-mai-soci
<脱法ハウス>突然閉鎖を通告 利用者に退去迫る
毎日新聞 5月30日(木)7時0分配信


完全に板張りされた中野区のハウスの出入り口
 ◇ネットカフェ大手「マンボー」運営の施設

 狭い居室が密集し危険な「脱法ハウス」を巡り、東京都中野区の施設で消防法違反を指摘されたネットカフェ大手「マンボー」(新宿区)が、同区以外で運営する類似の施設も閉鎖するとして利用者に退去を迫っていることが分かった。突然の通告に利用者は困惑しているが、施設の利用契約は通常の住宅の賃貸借とは異なり、同社の判断で即時解約できるとの書面に署名押印させていた。専門家は「借り主の権利を守る借地借家法も脱法している」と批判している。【加藤隆寛】


 退去を求めているのは、同社が千代田区神田美倉町で運営する施設。6階建てオフィスビル全体を改装して約80室を貸す。中野の施設と同様に「レンタルオフィス」と説明する一方、「シェアハウス」とホームページなどでうたっていた。

「6月30日まで」 利用者によると、多数が事実上の住居として寝泊まりしていたが、24日に1階フロアに「閉館」という紙が張り出され、「大変急ではありますが6月30日までに退去をお願いしたい。7月1日から解体工事の予定」と記されていた。27日には利用者約30人とマンボーの話し合いの場が持たれ、突然の通告に抗議の声が上がったが、同社は「決定事項」と繰り返し、平行線だったという。

 消防法違反が指摘され、21日に「閉鎖方針」を示した中野区の施設については、少なくとも一部の利用者には通告がないまま、出入り口が板張りされ、出入りできなくなった。

 通常の借家契約では借り主は借地借家法で守られ、家主は契約期間満了まで一方的に解約できず、満了時も正当な理由がなければ更新を拒めない。同社は、部屋を貸す際に利用承諾書と利用規約に署名押印させているが、規約には「当社が即時解約が妥当だと判断した場合、解約できる」と記載していた。

「転居資金ない」 千代田区の施設を利用している男性は「実際には普通のアパート契約と変わらない。急に『出て行け』と言われても転居資金もない。時間的猶予がほしい」と困り果てた表情で話す。

 マンボーの利用契約について、住宅問題に詳しい大谷郁夫弁護士は「借り主を弱い立場にとどめておく横暴な振る舞いで、借地借家法の脱法行為だ」と批判。「実態として賃貸契約なら同法が適用される。『任意で退去しないなら実力で』と強制排除すれば、明確な違法行為になる」と指摘する。

 マンボーは、都内約10カ所で同様の施設を運営。千代田区の施設の住民の一人は「このうち5分の3を閉鎖する」と説明を受けたという。

 今後の対応などについて毎日新聞は再取材を申し入れたが、同社は29日現在、応じていない。

345チバQ:2013/06/01(土) 15:41:42
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130601/dms1306011449006-n1.htm
ワタミ会長「ブラック企業じゃない」 批判に大反論!2013.06.01


渡辺氏は出馬会見で、政界進出への強い意欲を語った【拡大】
 夏の参院選で自民党から比例代表で立候補する飲食チェーン・ワタミ会長の渡辺美樹氏(53)が、自らのホームページで、一部から同社に向けられる「ブラック企業」との批判に大反論した。安倍晋三首相が進めるアベノミクスに経営者の視点を取り込むために白羽の矢が立ったとみられるが、この問題は選挙戦にどう影響するのか。

 「私が創業し、取締役会長をつとめるワタミグループが一部で『ブラック企業』と呼ばれることについて、一度きちんと皆様にお話させて頂きたいと思っていました」

 渡辺氏は出馬会見を行った5月31日、HPでこう切り出した。

 1984年に居酒屋「和民」を展開するワタミを創業、居酒屋以外にも介護事業などを手がけ、学校理事長なども務めてきた渡辺氏。2011年4月の東京都知事選に立候補し3位で落選したものの、約101万票を獲得した。自民党は渡辺氏の経験と集票力を期待しているとみられる。その一方で、ワタミにはネットを中心に「ブラック企業」との批判があり、これに反論したのだ。

 ブラック企業とは、低賃金、長時間労働など社員に過酷な負担を強いる企業の総称をいう。

 自民党にはブラック企業の企業名を公表する動きがあるが、渡辺氏はこれに「大賛成」とした。また、自らのブラック企業の判定基準について(1)離職率(2)年収(3)時間外労働時間(4)メンタルヘルス不調による休業・退職の人数−を列挙し、自社の外食産業の実態を説明した。

 (1)については、「離職率(平成24年4月入社社員の3年以内離職率42・8%)は、厚生労働省公表(平成23年統計、以下同じ)の宿泊業・飲食サービス業の離職率(同48・5%)を下回っています」と説明した。「飲食サービス業の離職率は、全産業(同28・8%)と比べると高い水準」として、「単純に、ほかの産業と横並びで論じることは、適切ではありません」とした。

 (2)については、「年収は、平成24年度において433万円であり、厚生労働省公表の宿泊・飲食サービス業平均年収370万円を上回っています」と述べ、(3)は「平成24年度月平均は38・1時間。これは、36協定で定めた上限45時間を下回っています」。(4)も低水準だと主張している。

 そのうえで、ブラック企業批判を「到底、受け入れられるものではありません」としている。

 ブラック企業は大きな社会問題となっており、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、朝日新聞のインタビューで、自社へのブラック企業との批判を「誤解だ」と否定している。

 政治評論家の浅川博忠氏は渡辺氏の行動について、「今度こそ当選したいという強い意欲の表れだ。反論することで、かえって若者の反発を招く恐れもあるが、先入観を持っている人たちのうち、一定数の認識を改めさせる効果はあるだろう」と話している。

346チバQ:2013/06/01(土) 18:58:26
http://mainichi.jp/select/news/20130601ddm041040103000c.html
脱法ハウス:窓なし3畳半が2人部屋 退去強要、行き先なく−−40代男性
毎日新聞 2013年06月01日 東京朝刊


 ◇食い物にされた
 「3畳半」の窓もない部屋で、素性も知れぬ同居人と2段ベッドを分け合う。「下見もせず契約し、初めて部屋を見た時は引いてしまった」。狭い居室が密集する「脱法ハウス」の一つ、ネットカフェ大手のマンボーが東京都千代田区で運営する施設の内部を、利用者の一人が証言した。「火事は怖い。でも他を選ぶ余裕はなかった」。懸命に働くが、収入は乏しく、転居費用もままならない。【加藤隆寛】

 千代田区神田美倉町の施設は計約100室で、1人部屋と2人部屋がある。現時点でほぼ埋まっているが、マンボーは6月末で閉館するとして利用者に退去を迫っている。

 取材に応じた男性は40代で、2人部屋にいる。利用料は光熱費込みで月額2万8000円。白壁に窓はなく、4畳に足りない床の半分ほどを2段ベッドが占領する。自分の寝床である下段が唯一の占有空間だ。

 上段で暮らす同居人は、入って間もない若い男性。「ゴキブリが出ないように部屋で物を食べない」「一方が寝ている時は電灯をつけない」。最初に二つのルールを決めた。その後、会話はない。壁は薄く、隣室の冷蔵庫の開け閉めも聞こえる。他の2人部屋ではささいな理由からけんかが起きる。「狭いので余計にストレスがたまるのでしょう」

 千代田区によると、住人のうち27人が住民登録している。70歳近い年金生活者や有名私立大の大学院生など身の上はさまざまで、東南アジアから来た留学生も約20人いる。10人いる生活保護受給者のほとんどは1人部屋を使う。広さは2人部屋と同じで利用料は倍の5万6000円。東京都区部の生保住宅扶助の上限額(単身5万3700円)に見合う。

 この男性は九州の私立大を出て工業ゴムの会社に8年勤めた。「教師になる」という夢を果たそうと、勉強時間を得るためトヨタ自動車の期間工となり、7年働いたが、かなわなかった。

 正社員に戻ろうとしたがリーマン・ショック(2008年)後で職はなく、3年前に上京した。ネット検索でヒットした最も安い物件が今の施設だった。居室を見てたじろいだが、我慢するしかなかった。

 わずかな貯金やアルバイトで食いつなぎ、昨年やっと団体職員として正規採用された。月給は手取りで約18万円。「私だって結婚もしたいし、子供も欲しい。でも、貯蓄などできない」。以前から火災の不安もあり、出たいと思ってきたが、果たせていない。

 ◇高齢女性「次は墓地」

 ある日、共有スペースで密談を耳にした。「日当9000円でパチンコの打ち子(出玉をだまし取る行為)をやらないか」。生保受給者2人が話に乗ったようだった。男性自身も「200万円貸すから会社をやらないか」と、詐欺まがいの話を持ちかけられたことがある。

 マンボーが、消防法違反を指摘された中野区の類似施設を「住居ではなく貸事務所だ」と主張していたと、報道で知った。「(マンボーは)住居として危険だと分かっているから、そんなことを言うのだろう」。施設閉鎖を突然通告されたが、行く当てはない。「私たちは食い物にされていたのでしょうか」

 男性は70歳近い女性の住人を気にしている。わずかな年金とパートで暮らすが、明るい性格で、周囲から「お母さん」と呼ばれている。だが、退去通告でふさぎ込み、自分の行き先についてこう言った。

 「次は墓地だわ」

347とはずがたり:2013/06/04(火) 16:50:00

生活保護関連2法案が衆院通過 子どもの貧困対策法案も
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20130604560.html
2013年6月4日(火)14:14

 不正受給対策を強化する生活保護法改正案と生活困窮者向けの自立支援法案、貧しい家庭の子どもの教育支援を柱とした子どもの貧困対策推進法案は4日の衆院本会議で可決され、衆院を通過した。参院での審議を経て、3法案とも今国会で成立する見通し。

 生活保護法改正案は、不正受給の罰則を強化。受給者が働いて得た収入の一部を積み立てて、保護対象でなくなったときに渡す給付金も創設する。

 受給申請の際、資産などを記した書類を提出できない人は口頭での申請も可能。書類は保護決定までに提出することで受理される。自立支援法案は、地方自治体に生活困窮者向けの相談窓口を設置するよう規定した。

 また、子どもの貧困率削減の数値目標設定を見送った貧困対策推進法案には、政府が策定する大綱に貧困率の指標と改善策を盛り込むことを定めた。

348チバQ:2013/06/09(日) 09:24:28
http://mainichi.jp/select/news/20130609ddm041040155000c.html
脱法ハウス:116室備える東京・墨田の「倉庫」、半数超が住民登録 区「就職に必要、拒めない」
毎日新聞 2013年06月09日 東京朝刊

 「倉庫」と称する狭い空間で利用者が過ごす東京都墨田区の施設について、同区窓口課が「住居」と判断し、100人超とみられる利用者のうち半分以上に当たる69世帯の住民登録を認めていることが分かった。施設は住居なら建築基準法令や都条例に違反するが、同課は「働こうとする生活困窮者の届け出は拒めない」と説明。危険な「脱法ハウス」が困窮者の受け皿となり、規制だけでは解決できない現状が浮かんでいる。【加藤隆寛】

 オフィスビルを改装した施設は116室を備え、各室とも1畳半ほどで大半に窓がない。運営業者は広告で「住所利用OK」とうたうが、取材には「郵便物を受け取れるという意味。住居ではなく倉庫だ」と主張する。だが、東京消防庁は共同住宅と認定し、消防法違反を指摘した。

 この建物に住んでいるとする住民登録は69世帯分受け付けられており、ほぼ全世帯が1世帯1人とみられる。住民登録を認める理由について、同区窓口課の幹部は「過去に現地調査し、利用者の居住実態を確認した」と説明。「違法建築物に住む者の登録を禁じる法令はない。働いて納税義務を果たそうとする人々を、入り口で追い返すことはできない。違法建築を容認していると受け取られるのは悩ましい。新しい課題だ」と苦しい胸のうちを明かす。

 住居として住民登録が受理されていることに関し、運営業者は「自治体の管轄であり、当社は関知できない」としている。区に対しても「倉庫」と主張しているとみられ、区建築指導課は「住居」を前提とした指導ができていない状況だ。

 住民登録について、都内の別の区の幹部は「(居住実態が疑わしければ)施設の所有者や運営者に『本当に住んでいるのか』と確認している」と手続きを説明。住民登録の可否の細かな判断は自治体間で差があり、墨田区もネットカフェへの住民登録は「常駐できる場所ではない」として認めていないという。

 ◇専門家「困窮者に公的住宅を」
 入居時の初期費用を安く抑え、保証人は求めず、利用料(賃料)は光熱費込み−−。こうした「脱法ハウス」への低所得層のニーズは大きい。職探しは住所が無いと不利にもなる。住民登録を受理する墨田区窓口課の幹部は、言外に「救済」のニュアンスもにじませた。だが、こうした施設は安全上必要な工事や設備を省いたリスクの上に成り立っている。専門家は「本来は国や自治体が住宅政策によって受け皿を準備すべきだ」と指摘する。

 困窮者支援を続けるNPO法人「もやい」の稲葉剛代表理事によると、東京都のネットカフェ規制条例が施行された2010年以降、シェアハウスやレンタルオフィス、カプセルホテル、路上などを行き来しながら暮らす相談者が増えてきた。「『路上一歩手前』の人々がいろんな場所に拡散し、どこにいるのか見えにくくなっている」と話す。

 都心ですらビルや大きな民家の空きが目立っている。うまみのある「脱法ハウス」の拡大も予想され、法令整備は急務だ。しかし、住宅政策できちんとした受け皿を作らず、建築物への消防や自治体の規制のみを強めれば、困窮者の再起の機会を奪いかねない。

 稲葉氏は「多くの自治体では、公営住宅に高齢者が優先的に入るため、働く世代の単身者は排除されている」とセーフティーネットの貧弱さを指摘。「住まいではないとされる場所に多数が暮らしている。国や自治体はこの現実を直視することから始めるべきだ」と注文する。

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 ■ことば

 ◇住民登録
 住民からの居住地の届け出を受けて、市区町村が住民票(氏名や住所、性別、生年月日、世帯構成などの記録)を作成すること。住民基本台帳法に基づく制度で、住民票をもとに台帳が作られ、就労や選挙、納税など社会生活を営む土台となる。

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 情報やご意見、体験談をメール(t.shakaibu@mainichi.co.jp)、ファクス(03・3212・0635)、手紙(〒100−8051毎日新聞社会部「脱法ハウス」係)でお寄せください。

349名無しさん:2013/06/11(火) 00:08:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130606-00000006-mai-soci
脱法ハウス>1.6畳「住所OK」 記者が滞在してみた
毎日新聞 6月6日(木)9時0分配信



電灯やマットを持ち込み、記者が過ごした1.6畳の空間。東京拘置所の独居房(3畳余)のおよそ半分だ=東京都墨田区で2013年5月撮影
 開業1年の新名所、東京スカイツリーの足もとに、蜂の巣状に116室に区切られ、人々が息を殺して夜を過ごすオフィスビルがある。運営業者は「倉庫」と言い張るが、実態は1畳半ほどの居室を並べた「脱法ハウス」だ。実際に記者が契約し、滞在してみて感じた。火災が起きたら大惨事になるのではないか。そもそも、こんな現実がなぜ許されているのか。【加藤隆寛】

【写真特集】あまりに狭い室内を写真で…

 施設は東京都墨田区にある。徒歩圏内のJR錦糸町駅前に広告看板があった。「敷金・礼金・保証人不要」「激安ワンルーム」「住所利用OK」。アパートを連想するが、小さな字で「多目的レンタルスペース」とある。ビルは6階建てで、以前入居していた繊維会社の名が壁に残る。私が訪ねた時、空きは3室だった。

 契約には、現金(初回登録料2万1000円と日割り計算した当月分の利用料)、身分証明、印鑑、顔写真1枚が必要だ。館内規則は「住居や宿泊施設ではない」とうたい、契約書の使用目的欄に「倉庫」と自筆で記入させられた。

 「本当に住んではだめ?」。念を押すと、担当者は「24時間いたら住居になっちゃうかもしれない。人間だったら寝てしまうこともある」。私は居住を暗に認めていると受け取った。手続き中に「テレビやラジオを持ち込むならイヤホンを。携帯電話は外で」と何度も注意された。

 夜、作業着姿の男性たちが1階のコインシャワー(4分100円)を盛んに使う。裏手の外階段で若者が服に洗剤をこすり付け、手洗いしていた。

 私の場所は1階で広さ2.5平方メートル(1.6畳)。東京都条例が定める居室の最低面積(7平方メートル)の約3分の1だ。利用料は月2万9000円(光熱費込み)。3万円台後半の部屋もある。各室に鍵がかかるが、ベニヤの壁は天井まで届いていない。備品はゼロで電灯も持ち込んだ。

 床はコンクリートにカーペットを敷いただけで、硬く、冷たい。量販店で購入したマットを敷き、横になって息を殺した。寝返り、せき払い、菓子を食べる音……みな筒抜けだが、総じて静かだ。建物内は禁煙なのに、たばこのにおいが漂う。防火面は大丈夫だろうか。午後10時ごろ、携帯電話で話す女性の小声が響く。「ハローワーク……明日、待ち合わせて……」。すぐに静寂が戻ったが、その後もかなりの人数の気配を感じた。

 「チン」。午前3時過ぎ、共有スペースの台所で誰かが使うレンジの音で目覚めた。午前5時過ぎに部屋を出る人もいる。

 生活して3日目を迎えると、体の節々が痛み始めた。ドアの開け閉めが気になり眠りが浅い。当初は館内にすえた臭いが漂い、不快だった。すぐに慣れたが、衛生面が心配だ。

 「住んでいる人などいませんよ。ちゃんと取材したんですか」。新聞記者であることを伝え実態を問いただすと、電話口で運営業者はそう言った。「住所利用OK」は「郵便物の受け取り可能」の意味だという。だが、そこに暮らす人々は確かにいた。

 館外に設けられた喫煙所で、初老の男性からこう聞いた。

 「生活保護をもらいながら1年ほど住んでいる。前はネットカフェにいたが、こっちの方が静かでいい。上の階に『何年も住んでいる』という人もいるよ」

350とはずがたり:2013/06/20(木) 12:00:23

邦人男性、米で「ヒーロー」に 人身売買防止に貢献で
http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013062001000985.html

 19日、ワシントンの米国務省で取材に応じた鳥井一平さん(共同)

 【ワシントン共同】米国務省が19日発表した2013年版の人身売買に関する報告書で、東京の非政府組織(NGO)「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」の事務局長、鳥井一平さん(59)が日本人として初めて、人身売買と闘う「ヒーロー」に選ばれた。

 劣悪な環境で働く日本の外国人労働者の保護や未払い賃金を取り戻すための支援活動が評価された。

 鳥井さんは、不正の横行が指摘される日本の「外国人技能実習制度」について「(雇用者側に問題があっても)他の企業に移る権利がないのが最大の問題だ」と指摘。「日本政府はしっかりと(対策に)取り組んでほしい」と訴えた。

2013/06/20 09:45 【共同通信】

351チバQ:2013/07/07(日) 13:08:59
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130707/trl13070707000000-n1.htm
窓なし激狭の“偽装シェアハウス” 行政指導で住宅難民1万人発生? 広がる波紋
2013.7.7 07:00 (1/4ページ)[事件・トラブル]

約3畳の広さで、ベッドが部屋の半分を占める“偽装シェアハウス”に生活する男性。退去通告を受け、上段ベッドを使用していた同居人はすでに転居した=東京・神田
 表向きは「レンタルオフィス」などと装い、実際には小分けした部屋にたくさんの人が住む“偽装シェアハウス”。東京都内にいくつか存在するが、窓がなく迷路のような作りになっているなど、防火態勢の不備が発覚。消防当局や自治体が改善指導に乗り出したが、追加負担を避けたい業者が突然閉鎖を決め、住民に退去を求めるケースも。居住者には生活保護受給者なども多く、専門家からは「今後1万人規模の住宅難民が発生する可能性もある」との指摘もある。(時吉達也)


「人の住む所ではない…」


 平成23年秋。地方から上京してきた介護施設職員の男性(42)が生活拠点に定めたのは、東京・神田にある共同住宅だった。

 建物内には、3畳ほどの広さの部屋がいくつも並んでいる。そのうちの一部屋が、男性の“家”だ。2人部屋で、2段ベッドが部屋の半分を占める。賃料は月2万8000円。男性は「兄弟の病気などで貯蓄もなく、都心なのに破格の条件にひかれた」という。

 洗濯物を部屋干しするスペースも、ベッド内にしかない。隣室との仕切り壁は薄く、話し声やテレビの音声は一言一句はっきり聞き取れるほど。入り口の上部に通気口があるだけで、窓はない。暑さで眠れない夜も続いた。

 もし火事になったら、とても逃げられそうにない。「人が住む所ではない。資金がたまれば引っ越そう」と考えていたが、自分の住まいが実際には「住宅」でないことを知ったのは、入居から数カ月後のことだった。

 洗濯機やシャワー室が設置された地下の共有スペースにある日、別の部屋で暮らしていた住民の家財道具一式が置かれていた。他の住民の話などから、この物件は「レンタルオフィス」としての契約で、入居者側は契約上、賃貸住宅の借り主の扱いをされないとわかった。賃料を半月滞納すれば部屋のカギが替わり、強制的に退去させられることも知った。男性は「契約時に、そういう詳しい説明を聞いた覚えはない」という。


「ネカフェ生活」にないメリットも


 シェアハウスをはじめとした共同住宅は、火災の危険などを考慮し、通常の建物に比べ高い耐火基準が設けられている。一方で、最近はこうした条件を満たさず、低所得者に向けに「レンタルオフィス」「貸倉庫」などの名目で賃貸に出される物件が目につくようになった。いわゆる“偽装シェアハウス”だ。

 住居としての耐火基準は満たしていないが、借り手側には高額の敷金や保証人も不要な上、ネットカフェ生活並みの低家賃で入居できるのが魅力。さらに、就労に必要な住民登録を行えるメリットもある。

 貸し手側にとっても、多くの住民を「詰め込む」ことで収入を増やせるという商売上のうま味がある上、家賃の滞納などがあれば住民をすぐに追い出すことができる。借地借家法は、一定の猶予期間や正当な理由のない賃貸借契約の解除を禁じているが、こうした法令を適用する必要がないと判断しているためだ。

 借り手側、貸し手側双方メリットのある偽装シェアハウスは、各地で年々増加。シェアハウスの業界団体などによると、推計で全国2000棟にも上るという。

352チバQ:2013/07/07(日) 13:09:22
無言の「退去通告」


 男性はその後、約半年かけて月収17万円ほどの介護施設に就職。結局、転居を検討する余裕もないまま2年近くを過ごしていた。日常に激震が走ったのは今年5月下旬。退勤後に自宅に戻ると、「6月30日閉館」と書かれた紙が前触れもなく部屋のドアに貼られていた。与えられた転居の猶予は、わずか1カ月だった。

 シェアハウスを運営していたネットカフェ大手「マンボー」(東京)が施設閉鎖を決めた発端は、一件の119番通報だった。経営する都内の別の施設で救急車の出動要請があり、駆けつけた消防隊員が防火態勢の不備を確認。東京消防庁が改善指導を続ける中で、マンボー側は都内約10カ所の運営先のうち数カ所を順次閉鎖することを住民側に通告した。マンボー側は住民らの抗議に対し「『レンタルオフィス』として契約を結んでおり、こちらの判断で即時解約できると入居時に合意している」と主張した。

 突然「退去せよ」といわれても、同じくらいの賃料の物件が近所ですぐに見つかるわけもない。男性ら住民6人は東京地裁に利用継続などを求める仮処分を申請。「違法」な住居を維持する「適法」性の確認を裁判所に求める、という苦境に置かれた。その後、9月末まで退去期限を延長し、猶予期間内の家賃を減額する内容でマンボー側と和解が成立したが、男性は「仕事の兼ね合いもあり郊外には移りづらく、周辺では今以上に劣悪な住宅しか見つからない」と、今後への不安を吐露する。


行政の現場で漏れる「本音」


 低所得者が住まい探しに難航し、基準を満たさない劣悪住宅に行き着くという構図は平成21年、入所者10人が死亡した群馬県の老人施設「たまゆら」での火災を思い起こさせる。惨事の再発を防ごうと、国土交通省は6月10日、各都道府県などに該当住宅への是正指導を行うよう通知した。

 しかし、行政指導の強化に対する困惑は業者や住民ばかりでなく、生活保護受給者らの住居確保を担当する“身内”の行政の現場にまで広がる。ある区役所の担当者は「今回の問題発覚で、ただでさえ少ない紹介先の選択肢が狭まってしまった」と本音を漏らす。「違法住宅を活用することが許されないのは当然だが、現実としてその日の寝床が見つからない相談者がいる。どう対応すればいいのか…」

 市民団体「国民の住まいを守る全国連絡会」の坂庭国晴代表幹事は「同種施設への行政指導が進めば、1万人単位の住民が路頭に迷う事態も想定される」と指摘。「住居の規制強化のみを進めても、需要があれば新たな違法住宅が登場するだけだ。貧困問題の解決に向けた総合的な対策が求められる」と話している。

 防災上の問題がある施設に行政指導すると、住民が追い出され路頭に迷うという現実。今のところ、明確な解決策はない。

353とはずがたり:2013/07/25(木) 09:55:40
「生活苦しい」4割、収入減も5割…12年調査
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20130724-567-OYT1T01052.html?fr=rk
読売新聞2013年7月24日(水)20:48

 今の暮らし向きを「苦しい」と感じる人が約4割に上ることが24日、国立社会保障・人口問題研究所が発表した2012年の「生活と支え合いに関する調査」でわかった。

 前回(07年)より微増した。収入が減ったという人も増えており、長引く景気低迷の影響の可能性がある。

 調査は、福島県を除く全国の20歳以上の男女を対象とし、2万1173人が有効回答を寄せた。

 現在の生活状況に関する質問では、前回より3・1ポイント高い27・9%が「やや苦しい」と回答。「大変苦しい」は10・5%と前回より2ポイント減ったが、「やや」と「大変」の合計は前回比1・1ポイント増の38・4%となった。5年前と現在の収入を比べた質問では、「減った」は同11・8ポイント増の50・7%、「増えた」は同3・6ポイント減の12・6%だった。

354チバQ:2013/07/25(木) 21:08:58
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130725-00000027-mai-soci
<脱法ハウス>都内マンション 規約を無視し無断改築
毎日新聞 7月25日(木)8時16分配信



工事途中の室内の様子。上下2段の専有スペースがこの部屋に2カ所、別の部屋に1カ所設けられている=2013年2月25日撮影、管理組合提供
 ◇37平方メートルに6人 管理組合に無断

 東京都文京区音羽の分譲マンションの一室(2DK、37平方メートル)が、管理組合に無断で6人用の「シェアハウス」に改築されていたことが分かった。改築に気付いた組合側が管理規約に基づき不承認としたが、工事は進み、入居募集も始まっていた。都内では、同様の無断改築物件は毎日新聞が確認しただけで他に3件あり、組合が規約をたてに抵抗しても脱法ハウス化を防げない現状が浮かんだ。

 音羽の物件を手がけているのは東京・赤坂のシェアハウス運営業者。都内では江戸川区で3LDK(62平方メートル)を12人用に改築する計画が所有者と組合の対立でストップしていることが判明している。赤坂の業者は江戸川区の物件の改築を主導する東京・銀座の業者と関係が深く、銀座の業者のホームページ(HP)では赤坂の業者の物件も紹介されていた。

 音羽のマンションの4階で管理規約に定める事前申請がないまま工事が始まったのは昨年12月。今年2月にあった建物全体の排水管清掃時に組合役員が立ち入ったところ、カプセルホテルのような上下2段の専有スペース(高さ約1.2メートル、広さ約1.3〜2.7畳)計6室を見つけた。

 業者は部屋を昨年6月に購入。工事自体は昨年12月のうちに中断していたが業者は立ち入り後に事前申請を怠ったことを謝罪。「社員寮にする」と説明し、改めて改築を申請した。

 これに対し、組合側は今年4月、「寮以外の用途にしない」という誓約書の提出を求めた。業者が応じなかったため、同19日の理事会で不承認を決議。さらに同27日の臨時総会で管理規約の細則に「シェアルーム禁止」を盛り込んだ。

 ところが、組合への通告もないまま5月9日に工事は再開され、12日後には完了。銀座の業者のHPなどで入居募集が始まった。組合側は、今月上旬に取材を受けて募集開始を知ったといい、役員の70代男性は「業者が強引に出てくる場合、法的措置も辞さない」と憤る。

 赤坂の業者は事前申請をしなかった点について「施工業者に丸投げしてしまったのが原因」と説明。居室としては極端に狭く、建築基準法令違反が疑われる専有スペースについては、「ベッドブースであり居室ではない。江戸川のように12人は詰め込みすぎだが、6人なら適正だと思う」と主張する。

 一方、赤坂と銀座の業者がそれぞれ都内で運営する3件(台東区、中央区、調布市)では管理組合や管理会社に取材したところ、「シェアハウスになっているとは初耳だ」と存在すら知らなかった。このうち台東区の物件の管理会社は「部屋の改修や賃貸先の把握は古いマンションの組合ほど『なあなあ』になっている」と語り、管理意識の低さに付け込まれている可能性を指摘した。【加藤隆寛】

355チバQ:2013/07/25(木) 21:09:42
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130714-00000017-mai-soci
<脱法ハウス>「シェアハウス」類似28件 23区内に集中
毎日新聞 7月14日(日)10時48分配信



東京・銀座の業者が「シェアハウス」を手掛けているとする物件の所在地
 東京都江戸川区の分譲マンションの一室で浮上した「シェアハウス」改築計画で、主導する東京・銀座の業者が都内や近県で手掛けているとする類似31物件の詳しい所在地が、業者作成の資料から分かった。都内区部に28件が集中。繁華街の多い新宿、渋谷両区と下町の台東区に4件ずつあり、区外では多摩地域2件、埼玉県1件となっている。今後これらの物件でも江戸川区のケースと同様、消防法令上の問題などが浮上する可能性もある。


 このシェアハウス運営業者は江戸川区のマンション管理組合との5月の話し合いで「150室を管理している。今まで消防から問題にされたことはない」などと説明。6月には手掛けているとする31物件の資料を提示していた。

 国土交通省はこうした「脱法ハウス」の調査を全国の自治体に指示しており、一部の物件については自治体が把握し、消防・建築基準法令を満たしているかどうか調査に乗り出しているとみられる。

 また、国交省はこの調査指示に加え、江戸川区のようなマンション改築型の物件も法令違反の疑いが強いとして、マンション管理会社の団体に情報提供を求めている。だが、同様の住宅ビジネスを展開する業者は他にもいるとみられ、国や自治体の調査は難航も予想されている。【加藤隆寛】

356とはずがたり:2013/08/05(月) 14:51:27

脱法ハウス:増える女性専用…元住人「低収入、親頼れず」
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20130805k0000m040088000c.html
毎日新聞2013年8月5日(月)01:10

 居室が狭く危険な「脱法ハウス」に関し、女性限定物件が増えている。業者側は「男性がいる物件よりトラブルが少ない」とアピールし、厳しい雇用環境を背景に女性がターゲットになっているとみられる。そうした物件に3月まで1年暮らした女性(33)が取材に応じた。部屋は2畳で、ネズミが走り回る劣悪な環境。それでも「脱法ハウスは生きるために必要でした」と言う。他に受け皿はないのか。【加藤隆寛】

 女性が暮らしたのは東京都新宿区上落合の「女性専用シェアハウス」。2階建て一軒家を改築し、天井に届かない壁で14室に仕切る。賃料は光熱費込みで月2万〜3万円台。江戸川区で分譲マンション管理組合と対立する中央区銀座のシェアハウス業者が運営する。この業者がインターネットで宣伝していた約20物件は全て女性限定だ。

 「発達障害で、仕事はすぐクビになる」。1カ月〜半年で勤め先を転々としてきた。事務が苦手で長時間座っていられない。今は電話業務や試食販売など短期のアルバイトでつなぎ、月収は約9万円だ。

 両親は別居中で、いずれとも関係はうまくいっていない。昨年2月までは働きながらデンマークに滞在。帰国後は母親と同居するつもりだったが、関西の家に行くと、こう言われた。「ここは私の家。あんたはいらない」。心を病み、家はゴミであふれていた。誰も頼れない−−。現金5万円を手に上京。「初月無料、敷金礼金なし」。ネット上で物件を見つけた。

 入居女性は18〜34歳(当時)で、敷金が準備できないなど普通のアパートを借りられない事情を抱える。水商売など夜の仕事と昼の仕事が半々。昼勤務も非正規雇用がほとんどでパニック障害など精神的に不安定な人も少なくない。

 昨夏はネズミの大量発生に悩まされた。「駆除してくれれば家賃を優遇するよ」。運営業者の社長(38)の誘いに乗った。ネズミを捕まえるたび、粘着剤で固まった足にオリーブ油を塗り、近くの公園に放した。それだけ劣悪な住環境でも「家族的な安心感があった」と振り返る。青い顔で具はキャベツだけのお好み焼きを食べ続けている入居者がいると知らせると、社長は飛んできて食事をおごった。寂しい時は愚痴も聞いてくれた。「彼がいなければどう生活していいか分からなかった」と振り返る。

 「あの家があったから頑張れた。夢を追いかけている子は他にもいる」。独学でイラスト画を描き続け、昨冬、初の個展開催にこぎつけた。「人は『脱法ハウス』と呼ぶけれど、法律も親も私を守ってくれない。あの家で実際に多くの人が守られ、助かっている。規制されれば行き場をなくす」

 入居者の2度の自殺未遂騒動などでつらくなり、都内の類似施設に移った。専有スペースは2段ベッドの下段のみ。規制の前に住宅施策を充実させてほしい。「ただ、安く長く入れる公営住宅があったら甘えてしまうかも」。ネズミ駆除で家賃を優遇されていた時期、バイト量が極端に減少。ある種の居心地の良さに慣れていく感覚を味わった。「狭い部屋でボーッと天井を眺めていると、どんどん無気力になる」

 何よりもまず居場所が必要だ。そして、「このままじゃダメだよ」と言ってくれる誰かが、そばにいてほしい−−。「そんな場所、他にありますか」。答えを誰も教えてはくれない。

357とはずがたり:2013/08/05(月) 14:52:34

脱法ハウス:大阪にもあった 市が立ち入り調査
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20130802k0000m040125000c.html
毎日新聞2013年8月2日(金)01:07

 居室が極端に狭く、火災時に危険な「脱法ハウス」を巡り、大阪市が7月下旬、建築基準法違反の疑いがあるとして、同市北区の4階建て雑居ビル内の「シェアハウス」を立ち入り調査していたことが、市への取材で分かった。国土交通省は先月30日、同法違反の疑いがある物件が全国に398カ所あると発表したが、首都圏以外で具体的物件が浮かんだのは初めて。脱法ハウスが全国の大都市部に広がっている可能性が強まった。

 このビルは各階とも1室(約30平方メートル)からなり、1階にテナントが入居。2〜4階がシェアハウスで、各室を四つに切り分け、カプセルホテルのベッドのような上下2段の個室を計八つ設けている。

 個室は約2.5畳(幅約1.8メートル、奥行き約2.3メートル)で、窓がない。天井高は1.2メートルで立ち上がることもできない。各個室にテレビや布団、照明器具がつき、外出時は南京錠で施錠し、入室時も内側から鍵がかけられるが、個室を隔てる壁は薄い。共有スペースには台所やトイレ、シャワー室がある。インターネット上で入居者を募集し、毎月の賃料は2万9800円、光熱費は5000円。

 建築基準法令は、居室に採光窓を設け、天井高を2.1メートル以上と規定。各個室を居室とすれば、同法に違反する。同市は近隣から情報提供を受け、7月19日に立ち入り調査を実施。市建築指導部監察課は「(シェアハウスの居室に)明確な定義がなく、国交省と連絡を取りながら違法性の有無を検討している。近く判断を出したい」としている。

 シェアハウスを運営する兵庫県尼崎市の業者は、空室だった2〜4階を借りて改修し、今年2月に入居募集を始めた。業者は取材に「個室が『居室』に当たるかどうか我々には判断できない。法的な問題があれば是正したい」と説明。「今はすさまじい格差社会。家賃が100円でも安ければ助かるという人も多い。入居者も喜んでいるはずだ」としている。

 同社によると、入居者はフリーターが多く、長期出張のサラリーマンもいたという。フリーターで音楽活動をしているという20代の男性は「インターネットで見つけ、1カ月前から住んでいる。火災が起きたらどこから逃げたらいいのか。建築基準法などを考えればどうなのかなとは思う」と不安を漏らすが、その一方で「カプセルホテルと同じ感覚。お金もためたいし、僕らも助かっている。あと2〜3カ月くらいは住みたい」と話した。【松井聡、遠藤孝康】

358とはずがたり:2013/08/05(月) 14:53:48

脱法ハウス:アパート入居困難で代替に…民間団体調査
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20130802k0000m040089000c.html
毎日新聞2013年8月1日(木)21:52

 居室が狭く危険な脱法ハウスを巡り、入居者を対象にした初調査の結果を市民グループが1日公表した。保証人の確保や敷金・礼金など初期費用の支払いが壁となりアパートを借りられない人も多く、グループは「公的な支援施策がないため、脱法ハウスが受け皿の役割を果たす皮肉な現実がある」と指摘する。

 NPO法人代表や弁護士らで作る「住まいの貧困に取り組むネットワーク」が先月後半に11人(男性8人、女性3人)から調査した。20〜30代が8人で、職業は、自営業1人、常勤4人、アルバイトなどの「不安定就労」5人、無職1人。収入は15万〜20万円が4人、5万〜10万円が2人だが、25万円以上も4人いる。

 脱法ハウスに入居する前の住まいは「民間アパート」が6人で最多。退去の理由は「家賃が払えなくなった」が3人、「利用期間満了・利用資格喪失」「就職・転職」が2人ずつだった。

 脱法ハウスを選んだ理由(複数回答)は、「家賃が安い」が7人と最多だったが、「アパートを借りられなかった」も5人いた。借りられなかった理由では「保証人がいない」「初期費用が払えない」が4人ずつ、「仕事が不安定で断られた」も1人いた。

 脱法ハウスでの居住期間は1年半以上が2人、1年以内が8人。次のアパートが見つかるまでの「つなぎ」ではなく、定住者が相当数いることがうかがえる。

 分析を担当した首都大学東京の小田川華子非常勤講師は「一定の収入があっても、保証人や初期費用の問題でアパート入居が難しい人がおり、脱法ハウスに流れている。特に家族関係の希薄化や、父母の側の経済的困窮などが保証人の壁になっている」と語った。

    ◇

 一方、同ネットは建築基準法違反が疑われる物件は少なくとも東京都内22区3市で251棟あり、このうち戸建て住宅を改造したものが146棟(58%)に上るとの独自の調査結果を公表した。運営するのは86業者。これ以外にさらに約100棟の違反情報を精査中という。【加藤隆寛】

359チバQ:2013/08/11(日) 14:08:56
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130811/CK2013081102000131.html?ref=rank

「1日1食に切り詰め」 生活保護の減額 受給者切実














2013年8月11日






ホットラインで生活保護受給者の相談に乗る弁護士=千葉市で


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 生活保護費の減額が今月から始まり、受給者の生活に影響が出始めている。県内の弁護士らが開設したホットラインには「1日2食を1食に切り詰めている」「携帯代が払えない」など多くの相談が寄せられた。全国の支援団体と連携し、集団訴訟も視野に、自治体へ不服を申し立てる「審査請求」を準備する動きが、県内でも出ている。 (白名正和)


 「心臓病を患っているが、食事の質を落として光熱費も節約を余儀なくされている」「携帯代が払えなくなった」−。千葉市中央区の県弁護士会館の一室で六日、ホットラインとして設けた四台の電話が次々と鳴っていた。


 「ガス代を節約するため毎日風呂に入れない」「今後、保護費が一万円も下がると聞いた」と、受給者らの声は切実なものばかり。「国はほかの無駄遣いをたくさんしているのに」「視覚障害があるのにどうすればいいのか」など、弱い立場を狙った引き下げを批判する声もあった。


 ホットラインには六日だけで三十八人から相談が寄せられた。電話相談にあたった常岡久寿雄弁護士は減額について「ただでさえギリギリの生活をしている受給者を、さらに困窮に追い込むことになる」と指摘した。


 保護費の減額は、デフレによる物価の下落に実態を合わせる名目で行われた。今後は三年かけて段階的に、国全体で6・5%にあたる六百七十億円が削減される。


 これに伴い、特に大きな影響を受けるのは子育て世帯だ。厚生労働省の試算によると、都市部に住む四十代の夫婦と小中学生の子ども二人の世帯の場合、二〇一五年四月までに月額で二万円、三十代の母親と四歳の子どもの母子世帯の場合でも約九千円減額となる。


 これに対し、「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」は、千葉など各地の弁護士らと連携して、全国一斉のホットラインを実施し、受給者一万人規模の審査請求を目標に掲げている。千葉県のホットラインへの相談者も、多くが審査請求の提出に賛同したという。


 審査請求は行政不服審査法に基づく手続きで、今回は各受給者の引き下げを決めた県内の福祉事務所の決定に対し、不服を申し立てることになる。県内では九月中旬ごろにまとめて申し立て、退けられれば集団訴訟へと発展させる考えだ。


 常岡弁護士は「一人で声を上げても制度はなかなか変わらない。できるだけ多くの受給者とともに行動し、引き下げの撤回を実現させたい」と意義を強調した。

360チバQ:2013/08/11(日) 14:09:47
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130801/CK2013080102000182.html

若者の貧困 目立つ 路上生活者支援市川ガンバの会 20代の男性2人保護














2013年8月1日






3年間の路上生活を経験した男性。1人暮らしを始めて自立を目指す=県内で


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 路上生活者を支援するNPO法人「市川ガンバの会」(市川市)で、二十代の男性二人が相次いで保護された。昨年度受けた支援相談も三分の一は三十代以下が占め、若者の貧困が目立つ傾向にあるといい、日本の相対的貧困率の拡大を裏付けている。同会は保護した二人を「家族関係がなくなり孤立に陥る若者の貧困の典型」と指摘している。 (白名正和)


 保護された千葉市出身の男性(25)は、二〇〇八年から愛知県の自動車工場で契約社員として働き始めたが、直後にあったリーマン・ショックの影響で一〇年に解雇。千葉市に戻ったものの、実家の住所には誰かの家が建っていた。父親は母親に家庭内暴力(DV)を振っていて、「仲が悪いとはいえ、家族が迎えてくれる期待感がありショックだった」という。直後に路上生活を始め、公園ベンチや高架下の柱の陰で風雨をしのぎ、三年を過ごした。


 もう一人の都内出身の男性(22)は、中学時代から友人への傷害事件などで、児童保護施設や少年院への出入りを繰り返した。親と過ごしたのは中学以降、延べ数カ月間だけだ。


 二人はいずれも、最終的に保護観察所から会の紹介を受け、昨年末から今年にかけて支援を受けるようになった。今は生活保護を受けながら途切れた家族との交流を考えたり、ビル清掃の仕事を始めたりするなど生活再建を模索している。


 市川ガンバの会によると、会の事務所に支援の相談に来た路上生活者は、二〇一二年度は百五十人。うち三十代は三十八人、二十代は十五人と三十代以下で全体の三分の一を占めていた。それ以前の統計はないものの、年を追うごとに路上生活者が若年齢化していると現場で感じている。


 会の副田一朗理事長は「経験上、ここに来る若者は家族と縁が切れていることが多い」と指摘する。社会の規範を教えたり、困った時に助言したりする人がおらず、社会的に孤立して犯罪や路上生活に至るケースが多く、「社会性を身に付け、再び貧困に陥らないよう助言していく」と話した。


<相対的貧困率> 2009年は16・0%で、前回06年の15・7%から悪化し、国が公表する1985年(12・0%)以降で最悪の水準となっている。年間所得が、全人口の可処分所得の真ん中に当たる中央値(09年は1人当たり224万円)の半分に満たない人の割合。国民の中で生活に苦しむ人の割合を示し、3年ごとに厚生労働省が算出している。


 18歳未満の子どもが生活の厳しい家庭で育っている割合を示す「子どもの貧困率」も、09年は15・7%と過去最悪の水準だった。

361杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2013/08/14(水) 00:10:22
昨年末だったんだな、これ掲載されたの。このレス http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1143711594/737-739 の原文を見ていて気付いた(汗

ロボットと「泥棒貴族」
http://nyti.ms/TWsFRF

 大方の指標によれば、アメリカ経済未だ回復せず、だったりする。それなのに企業収益は最高を記録しているのだ。こんなのありなの?答は簡単だ。国民所得の中で利益が増えようが、給料やその他人件費は下がっている http://www.bls.gov/opub/mlr/2011/01/art3full.pdf のだから。全体のパイはあるべき姿──労働の費用が(利益の増大で)更に多く配当される素晴らしき資本主義──で増えていないのだ。
 だが、ここでちょっと待って欲しい。労使関係についての言説について、我々は本当に振り返ってみたんだろうか?それは現代の情報経済より遥か以前のマルクス主義の昔ながらの俗説だったのではないか?まぁ確かに、多くの人々はこう考えているだろう──過去における不平等の議論は労使間の分配ではなく労働者間の公平さに多くが割かれ、高学歴者と低学歴者の間の問題や金融その他に於ける一握りの「スーパースター」とその他大勢との問題が中心だ──。しかし、こうした議論はもはや過去の話でしかない。
 もっと具体的な話をしよう。金融屋は今でも泥棒の如く稼ぎまくっているし、その理由の一つとして御存じの通り彼らの中に実際に泥棒だったりするのが存在するというのは確かだ。でもその一方で、1980年代と1990年代初めに著しく拡大した学卒者と非学卒者の賃金格差は、その後も大きくは変化しなかった http://www.epi.org/press/wages-young-college-graduates-failed-grow/ というより具体的な事実がある。実際のところ金融危機以前でも大学の新卒者の給与は停滞していたし、労働者全体──今日の経済で成功を約束されるはずのスキルを持つ者まで含めて──の犠牲を尻目に、企業収益は、ますます膨れ上がっているというのだ。
 なぜこんなことが起こっているのか。私が言える限り、妥当と思われる解釈は2つあり、その何れにもにもそれなりの真実性がありそうだ。ひとつはテクノロジーが労働者を不利にする方向へ転じた、とするもの。もうひとつは独占力が急激に増大した結果が現れている、というものだ。これら2つの説明は、一方はロボット、他方は「泥棒貴族」(ブラック企業家)に焦点を当てたものと考えてほしい。

362アーバン:2013/08/14(水) 01:27:14
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130813/biz13081319210016-n1.htm
非正規労働者、過去最多の1881万人
2013.8.13 19:20
 総務省が13日発表した労働力調査の詳細集計によると、パートや派遣社員など非正規労働者の数は、平成25年4〜6月期平均で前年同期比106万人増の1881万人となり、統計を取り始めた14年以降、過去最多を更新した。

 正規と非正規を合わせた雇用労働者(役員除く)の総数は5198万人で過去4番目の水準に増えたが、正社員雇用は53万人減った。非正規の割合は1.7ポイント増の36.2%だった。

 非正規の男女別内訳は、男性が603万人、女性が1278万人。非正規の仕事に就いた理由は、男性では「正規の職員・従業員の仕事がない」との回答が最も多い168万人、「自分の都合のよい時間に働きたい」は111万人だった。

 女性は「家計の補助・学費等を得たい」が331万人と最多で、「自分の都合のよい時間に働きたい」が301万人と続いた。ただ、正社員の仕事がないことを理由に挙げたのは175万人で少数派だった。

363杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2013/08/14(水) 11:31:22
>>361
 先ずはロボットについて述べておこう。幾つかの注目されている産業では、テクノロジーが全て、とはいかなくても殆ど全ての労働者を置き換えてしまっている。例えば、最近になってハイテク企業が幾つかアメリカに戻ってきたのは、コンピューターの最も重要な部分であるマザーボードがここ最近は基本的にロボットによって製造されているからであって、もはや海外で生産する理由にはならないからでしかない。
 MITのエリック=ブリニョルフソンとアンドリュー=マカフィーは、最近出版された『機械との競争』 http://amzn.to/1cKxPgr に於いて同じ様なことが翻訳や法務調査といったサービスを含む多くの分野に見られると論じている。彼らが挙げる例で特筆すべきは、ロボットで置き換えられている仕事の多くが高技術で且つ高賃金であるという点だ。テクノロジーの負の側面は、単純労働者への悪影響だけという訳ではない。
 それでもやはり疑問は残る。本当のところイノベーションや進歩は、多くのどころか全ての労働者が割を食うものなのだろうか?――そんなことは起こり得ないという主張は、しばしば私も見受けられる。だが実際のところ、そうしたことは起こったりするし、真面目な経済学者たちは大凡200年にわたってその可能性を認識してきた。19世紀初頭のデヴィッド=リカードは自由貿易における比較優位の理論で有名だが、産業革命による資本集約的な新技術が実際労働者に打撃を与える可能性がある、と1817年に出した著作(「経済学及び課税の原理」)で言及しているのだ。少なくとも現代の奨学金では、それが数十年の間に起こってたかも知れないと示唆していたりする。

364杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2013/08/14(水) 12:09:28
 「泥棒貴族」の件はどうなんだ?ここ最近は独占力のことが話題になっていないが、独占禁止法の執行はレーガン政権の8年間でその殆どが破壊的なくらいに削減され、未だにそれ以前の水準に戻っていない。それでも新アメリカ財団のバリー=リンとフィリップ=ロングマンは、ビジネスでの集中の進行は労働者の懸案に対する強力な要素たり得るとともにその独占的な力を以て従業員への分配を抑えつつ価格を転嫁できる、と(お説にあまり同意できない)自分から見ても説得力を以て力説している。
 技術革新と独占のどちらが労働価値に如何程の打撃を与えたか?ってことは自分にも解らない。何が起こっているのか?って議論が余りに少ないってこともあるからだ。だが、国民論議の中で収入が労働側から資本側へとシフトしていくってことがまだされていなかった、と言うことは真っ当であると思う。
 それでも、このシフトは続いているし、それには大きな含みがあったりする。例えば法人税の減税によって惜しげもなく莫大な金融支援が行われたが、我々が利益を労働者の人件費に分配せよと望んでいた際にやるべきことだったのだろうか?あるいは相続税の免除や減税という奮発だって、技術や教育ではなく金融資産で収入が決まる世界への逆戻りってことになるし、富の相続を容易にすることを我々はホントに望んでいるのだろうか?
 今言及した様に、これはようやく辛うじて始まった議論だ。だがロボットやブラック企業が我々に仇なす様になるまで、そう時間は残されていない。

365とはずがたり:2013/08/24(土) 17:41:43

健康にも格差…幼児の入院、貧困家庭は1・3倍
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20130824-567-OYT1T00510.html
読売新聞2013年8月24日(土)14:35

 所得の低い家庭の子どもは入院する割合が高く、病気からの回復力も落ちるなど、所得による健康格差があることが、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障応用分析研究部長の調査でわかった。

 2001年に生まれた子ども約5万人を対象に、毎年健康状態などを追跡している厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」の7年間のデータを分析。子どもがいる家庭を貧困層(4人家族で年間世帯所得250万円未満)と非貧困層に分け、毎年の入院の有無、ぜんそくやアトピー性皮膚炎など六つの慢性疾患の通院の有無を比較した。

 その結果、2歳時点で貧困層は非貧困層より1・3倍も入院する危険性が高かった。ぜんそくによる通院割合は1歳時点で貧困層が非貧困層より1・35倍高かった。

 また、3歳時に入院経験のある子どもが、6歳時に入院する確率は所得が低いほど高く、過去の病気の影響をその後も引きずっていることも示唆された。

 阿部部長によると、所得の低い家庭の子どもは食事の栄養バランスや住環境が悪いことなどから病気になりやすく、回復力が低い可能性がある。生活に追われる親は、子どもの体調の変化に気づきにくく、入院するほど悪化する前に医師に診てもらう時間的余裕がないことなども原因と推測されるという。

366とはずがたり:2013/08/25(日) 09:02:44

「独り勝ち」の裏で低賃金労働者 ひずみ解消も課題
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130824/erp13082420340004-n1.htm
2013.8.24 20:33
 【ベルリン=宮下日出男】債務危機に見舞われた欧州で「独り勝ち」といわれてきたドイツだが、国民が広くその恩恵を享受しているわけではないようだ。強い競争力や低失業率の裏側には、増加する低賃金労働者の存在があるとされ、ひずみの解消も課題となっている。

 ドイツ北東部ブランデンブルク市の労働センターでは5月、「公序良俗に反する」賃金の対処を始めた。過去の司法判断に照らして不当に低い賃金を支払っていた雇用主に対し、労働者が国から受け取った生活補助の過払い分を返還させる取り組みだ。返還に応じなければ裁判を起こす。

 これまで28件を調査し、5件を提訴。「1.5ユーロ(約198円)の時給、交通費を引けば実質無給という例もあった」。センターの担当者マルチン・ブラット氏はため息をつく。

 「雇用主が労働者の窮状を利用した例もある」(ブラット氏)という。仕事があるのに生活補助を受ける労働者は全国で130万人おり、過払い分を返還させる取り組みは旧東独で目立つ。

 デュイスブルク・エッセン大の調査によると、国際基準に合わせて低賃金を時給9.15ユーロ未満と設定した場合、2010年の低賃金労働者は全体の約23%、792万人に上り、10年前から約2割増えた。

 「過当競争に勝つため、企業は人件費を圧縮しようとしている」。サービス関連の産業別労組ベルディで小売業部門の責任者を務めるウルリヒ・ダリボール氏はこう訴える。

 ダリボール氏によると、小売業では企業が賃金が安くてすむ派遣労働者を使い、それに規制がかかると、次は業務を下請けに出す形態にして賃金を抑制するケースが目立つという。

 ドイツでは昨年、複数の仕事を持つ労働者が約270万人に上った。1つの仕事では生活をまかなえないからともされる。中流層の減少を指摘する研究機関の調査結果もある。

 2000年代前半まで「欧州の病人」といわれたドイツは労働市場・社会保障改革で競争力を回復し、失業率は05年の11%超から半減したが、一方で低賃金労働者が増えたとの批判は強い。

 最大野党の社会民主党は現政権下で「格差が拡大した」と批判し、法的に一律の最低賃金制度を導入するよう主張するが、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟は一律ではなく、労使ごとの導入促進を訴えている。

367とはずがたり:2013/09/02(月) 14:02:33

いったい何故?日本で増殖し続ける50代前後の中年「ニート」―華字紙
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76199
配信日時:2013年8月31日 2時45分

2013年8月30日、ニートと言えば、一般的には働く能力があるにもかかわらず衣食住を全面的に両親に頼って養われている若者のことを指す。しかし、日本ではこの概念が一変する可能性がある。近年の日本のニートには新たな変化が現れ、50代前後の人が主力軍となりつつある。華字紙・日本新華僑報が伝えた。

内閣府統計局の労働力調査によると、2012年に45〜54歳のニートは45万人を突破、彼らはニートの「先駆け」と呼ばれている。その規模が拡大するにつれて、彼らの状況を日本の各界も関心を持つようになってきた。20数年前、日本では各種の「ニート」対策を実施。計算すると当時30歳前後だった彼らはいまや50歳前後となっている。彼らの両親は80代の老人だ。さまざまな対策が実施されたにもかかわらず、なぜ彼らはずっとニートだったのか?

54歳の男性は、34歳の時に会社をリストラされて仕事を失ってから妻にも逃げられた。彼は実家に戻って母親と一緒に生活を始め、すでにニート歴は20年を経過した。母親は今年で79歳。最近では「もし自分が死んだら、息子はどうなるのだろう?」との心配がますます強まっている。

そこで、母親はあらゆるつてを頼りに息子の仕事を見つけようと行動を開始。娘に履歴書の作成を手伝わせるが、学歴や特技を偽って上手く並べ立てた内容に娘もあきれ顔だ。友人や地域の職員も「そういうことは息子自身にやらせるべき」と言うが、「あの子は繊細で感性が強く、人と接するのが苦手。私が望んで手伝っているの。息子のことには口を出さないで」と耳を貸そうとしない。

しかし、もしこういう50代のニートたちは両親が亡くなったら一体どうするのだろう?長期にわたって「ニート」を指導してきた人物は「この問題については実は心配する必要がない。それは、50歳過ぎのニートは経験豊富で、ちゃんとした対応策を持っているからだ」と語る。日本には生活保護があるし、貯蓄大国だ。高齢者は節約しながら暮らして死後に多額の資産を残すので、ニートたちは10数年〜20年くらいは生活していける。さらに、たとえ両親がお金を残さなくとも、彼らには裏技がある。父母が亡くなったことを隠し、遺体を埋めたり隠したりして両親の年金をもらい続けるのだ。年金事務所の職員が家を訪問しても「親戚のところへ行っている」などとうそをつけば、形式的な訪問なのでそれ以上は詳しく調査されない。だから、あるニートは両親の死後10年以上にわたって親の年金をもらい続けていたという例もある。

これらの例から分かるのは、両親の溺愛、生活保護制度に存在する欠陥、無責任な職員、これらが50代過ぎのニートたちが悠々自適に暮らせる主な原因となっていることだ。一見すると、ニート問題は家庭内の問題のように見えるが、ひとたび大きな範囲に広がって法律の最小限度を超えてしまった場合、社会の公平に影響をもたらし、各種の問題を引き起こす可能性がある。日本政府は何らかの対策を取るべきだろう。(翻訳・編集/碧海)

368アーバン:2013/09/06(金) 10:04:08
http://www.j-cast.com/2013/09/05183056.html
生活保護世帯数、6月で158万3308世帯に 過去最多を更新
2013/9/ 5 15:21

全国で生活保護を受けている世帯は2013年6月時点で、前月比1242世帯増の158万3308世帯となり、過去最多を更新した。9月4日、厚生労働省の集計でわかった。受給者は前月比694人減の215万3122人で、2か月ぶりに減少した。

厚労省は「高齢者を中心に単身世帯の受給者が増えている」とみている。

世帯別では、高齢者世帯が71万2198世帯で最も多く、働ける世代を含む「その他の世帯」が28万7804世帯、傷病者世帯は28万4632世帯となった。

369チバQ:2013/10/12(土) 09:37:24
http://mainichi.jp/select/news/20131012ddm008020040000c.html

所得格差:過去最大に 社会保障での改善、最高−−11年ジニ係数

毎日新聞 2013年10月12日 東京朝刊


 厚生労働省は11日、社会保障の給付が国民の所得に与える影響に関する所得再分配調査(2011年、3年に1度)の結果を公表した。1に近いほど所得格差が大きいことを示す「ジニ係数」は、給付前の当初所得で平均0・5536。前回08年調査(0・5318)より0・0218ポイント悪化して過去最大を更新し、格差の拡大を裏付けた。一方、年金など社会保障給付後の係数は0・3791と前回(0・3758)より0・0033ポイント悪化したが、社会保障による改善度は31・5%で過去最高だった。

 「自助努力」で得た当初所得のジニ係数は、1984年以降上昇し続けている。厚労省は主な原因を高齢化の進展とみている。これに対し、税と社会保険料を差し引き、年金、恩給、医療などの給付を反映させた後の所得(再分配所得)の係数は、ほぼ横ばいで推移している。2011年調査は07年の所得を基に推計しており、1世帯あたりの平均当初所得は前回比9・1%減の404万7000円。一方、再分配所得は6・2%減の486万円だった。

 当初所得のジニ係数を世帯主の年代別にみると、65歳以上は全世帯で平均の0・5536を超え、75歳以上は0・8109と全世代を通じて最も格差が大きい。ただし、再分配所得でみると75歳以上も0・4146に下がる。厚労省は年金受給世帯の増加が原因と分析し、「当初所得こそ格差は拡大傾向にあるが、社会保障が機能して給付後の再分配所得の格差は拡大していない」と説明している。

 とはいえ、経済協力開発機構(OECD)基準のデータでは、00年代後半の日本のジニ係数はOECD加盟34カ国中、格差の大きい方から11番目。千葉県の年金生活者の男性(77)は「暮らし向きはじりじりと悪くなっている」と話す。「反貧困ネットワーク」代表の宇都宮健児弁護士は「非正規雇用労働の広がりで労働分配率が減り、利益は企業の内部留保や株主への配当に移転した。ジニ係数が悪くなるのは当たり前だ。改善には高額所得者への課税を強化し再分配を進めるべきだが、現実は全くそうなっていない」と指摘している。

 調査は11年7〜8月、岩手、宮城、福島の東日本大震災被災3県を除く44都道府県から無作為抽出した世帯を調べ、5021世帯から有効回答を得た。【佐藤丈一、遠藤拓】

==============

 ■ことば

 ◇ジニ係数

 0〜1の間で所得の均等度を示す指標。1に近いほど格差が大きいことを示す。全国民の所得が等しいなら「0」、1人の国民がすべての所得を独占している状況なら「1」となる。

370杉山真大 ◆mRYEzsNHlY:2013/10/17(木) 23:51:48
フードスタンプなどにも言える話なんだけど、兎角「潰しが利く」現金給付に偏っているあまり貧困ビジネスなど中間搾取され易くなってしまっているって気がするな。


大阪市:狭小住居 生活保護認めず 「理念反する」
http://mainichi.jp/select/news/20131017k0000e040233000c.html
毎日新聞 2013年10月17日 15時00分(最終更新 10月17日 15時13分)

 大阪市西成区で今年6月、男性3人が生活保護費受給を申請する際、簡易宿泊所を改装したカプセルホテルのような部屋(1.5畳)を居住用「アパート」と申告し、市が「狭すぎて危険がある」として支給を認めない異例の決定をしていたことが分かった。専門家は「劣悪な住環境を防ぐ弾力的な対応」と評価し、厚生労働省も「全国でも珍しい対応」としている。「アパート」経営者は市の指摘で部屋を改装したが、生活保護法には受給者の住居に関する規定はなく、専門家は改善を求めている。

 市福祉局などによると、アパートは西成・あいりん地区にあり、簡易宿泊所だった木造3階建てを改装した。各階にカプセルホテルのような部屋(高さ約1.7メートル)が上下2列に棚状に約10室ずつ並ぶ「脱法ハウス」のような構造だった。

 各部屋に窓があり、風呂、トイレは共同。上層の部屋は、はしごで出入りする構造だった。家賃は同市の単身世帯への住宅扶助の上限額(4万2000円)に近い4万円だったという。民生委員から連絡を受けた市が6月に現地調査。出向いた職員は「カイコ棚のようで非常に狭く、靴を脱ぐ場所もない。出口から急にはしごになっており、危ないと感じた」と話す。

 生活保護法には受給者の住居の広さなどに関する規定はないが、市は「健康で文化的な最低限度の生活」を目指す同法の精神に反するとして、3人に生活保護を支給できないと通知し、アパート経営者には改善を促した。

 これを受けて経営者は従来の上下2室ずつ計4室を1室にまとめる改装を行った。現在、3人のうち1人がここに、2人は別の場所に住んで、いずれも生活保護費を受給できるようになったという。

 報道で「脱法ハウス」が問題化した後の今年9月、国土交通省はカイコ棚状の狭小住居などを規制する基準を出した。市は「事後的に基準に照らすと、このアパートは脱法ハウスに該当した可能性がある。今後、同種の建物が貧困ビジネスに悪用されないよう注意したい」としている。

【茶谷亮】

 ◇大阪市の対応は評価できる 生活保護制度に詳しい吉永純・花園大教授(公的扶助論)の話

 劣悪な環境に生活保護受給者を住まわせるのは生活保護法の精神に反しており、弾力的に運用した大阪市の対応は評価できる。保護制度には支給額に関する規定しかないが、国は受給者の住居の面積や設備についても基準を設けるべきだ。

371とはずがたり:2013/10/21(月) 11:47:38
暴力団員による生活保護斡旋業を公認すれば?彼ら貧困層を扱うノウハウあるやろうし高コストの市役所職員増員して対処するよりもよっぽど効率的であるし暴力団員の社会復帰・更正にも役立つ♪

「2千人囲っていた」 生活保護費詐取容疑、組員ら逮捕
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/OSK201310190016.html
朝日新聞2013年10月19日(土)18:24

 生活保護受給者をマンションに住まわせ、賃貸保証金名目で現金をだまし取ったとして、大阪府警は19日、大阪市生野区新今里4丁目、山口組系暴力団組員の伏見泰和(やすたか)容疑者(46)=別の詐欺罪で公判中=ら4人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。伏見容疑者は実質管理する大阪市内のマンションやアパート約70棟に受給者を入居させていたといい、「約2千人を囲っていた」と供述しているという。

 捜査4課によると、逮捕容疑は2010年10月〜12年3月、大阪市内のマンション3カ所に、生活保護受給者の男性3人を入居させ、保証金名目で計5万円を詐取した疑い。府警は、西成区の路上生活者らを誘って保護費を申請させ、住居をあっせんして住宅扶助費などを吸い上げる「囲い屋」グループとみている。

372とはずがたり:2013/10/21(月) 11:48:28
>>371

詐欺容疑:生活保護費から保証金差し引く「囲い屋」逮捕
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20131020k0000m040061000c.html
毎日新聞2013年10月19日(土)20:43
 生活保護受給者を管理する物件に住まわせて架空の保証金をだまし取ったとして、大阪府警は19日、住宅管理会社役員で指定暴力団山口組系組員の伏見泰和(46)=別の詐欺罪で公判中=と、同社元従業員、清水邦夫(67)の両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。2人はホームレスらに声をかけて生活保護を申請させ、自社の管理物件に住まわせて保護費から費用を差し引く「囲い屋」で、約2000人を囲い込んでいたとみられる。

 逮捕容疑は、2010年10月〜昨年3月、生活保護受給者の男性3人(67〜37歳)に対し、家賃の支払いが滞った際の契約を保証会社と結ぶと偽り、計5万円を詐取した、としている。支払先として説明していた保証会社は架空だった。伏見容疑者は容疑を認め、清水容疑者は「だまし取っていない」と否認しているという。

 府警捜査4課によると、伏見容疑者らが管理するマンションなどの物件は大阪市内に70棟あり、囲い込んだ生活保護受給者らを分散させて住ませていたとみられる。府警は、2人が今回の逮捕容疑と同様の手口で数千万円を詐取した疑いがあるとみて、経緯を調べている。

 伏見容疑者は今年6月、経営する介護サービス会社で生活保護受給者に介護サービスを提供したように装い、介護報酬を不正に受給したとして、詐欺の疑いで逮捕されていた。

373とはずがたり:2013/10/21(月) 12:11:23
>>371
役人に任せといてもこんなの起きる訳やし。。

生活保護費2.6億円不明 市職員聴取 大阪・河内長野
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/OSK201310200122.html?fr=rk
朝日新聞2013年10月21日(月)03:04

 大阪府河内長野市の40代の男性主査が、生活保護費約400万円を着服したとして、市が業務上横領容疑で府警に告訴していたことがわかった。府警は20日、市役所や主査宅を家宅捜索し、主査から任意で事情を聴いている。市の調査では、被害総額は2009年1月〜11年3月で約2億6千万円にのぼるという。

 市関係者によると、主査は10年5月〜11月、生活保護費を扱うシステムに架空の保護費の支給額を入力し、複数回にわたり計約400万円を着服したとして、今月4日に告訴された。

 主査は01年から生活保護を扱う部署に在籍し、ケースワーカーとシステムのメンテナンスを兼務。09年1月〜11年3月には、産休・育休中の職員に代わり経理担当も兼務した。

374とはずがたり:2013/10/22(火) 12:30:58
やくざを手下にどころかNPOも目の仇にしているようではなかなか遠いな(;´Д`)

ただ共産党系の団体は名目的に政党支持の自由を謳いながら非(反ではない)共産党系の人間を粛清する独裁性があるから余り信用は出来ないけど,まあ良いことはやってると思われる。

【政策ウォッチ編・第41回】 2013年9月27日
みわよしこ [フリーランス・ライター]
生活保護当事者への弾圧がついに始まった!?
“不正受給”の疑いで行われた家宅捜索の中身
――政策ウォッチ編・第41回
http://diamond.jp/articles/-/42223

2013年9月12日、「全大阪生活と健康を守る会連合会」および「淀川生活と健康を守る会」事務局等6ヵ所に対し、大阪府警による家宅捜索が行われた。理由は、1人の女性の生活保護費不正受給であった。ちなみにこの日は、9月17日に予定されていた生活保護基準引き下げに対する一斉審査請求の5日前であった。

今回は、この家宅捜索についてレポートする。なぜ、このタイミングで、生活保護費不正受給を理由とした家宅捜索が行われたのであろうか?

「会員の生活保護法違反」を理由とする
市民団体への家宅捜索

2013年9月12日午前10時、「全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)」および「淀川生活と健康を守る会(淀川生健会)」事務局など6ヵ所に対し、大阪府警が家宅捜索を行った。理由は、淀川生健会の女性会員が生活保護法に違反したことであった。このことは、一部メディアで以下のように報道されている(容疑者とされている女性会員の氏名はイニシャルとした)。

生活保護費:58万円を不正受給の疑い 大阪・淀川の女逮捕――府警?/大阪
毎日新聞?2013年09月13日?地方版
収入があるのに生活保護費約58万円を不正受給したとして、府警警備部は12日、飲食店アルバイト、S容疑者(32)=大阪市淀川区=を生活保護法違反の疑いで逮捕した。逮捕容疑は昨年3?6月、ラウンジでアルバイトしていることを隠し、保護費約58万円を受給したとしている。容疑を認めている。
府警によると、S容疑者が2012年6月に淀川区に保護費を申請した際、同区の福祉団体「淀川生活と健康を守る会」の幹部が同席していた。府警は12日、関係先として同会など計6カ所を家宅捜索し、詳しい経緯を調べている。
記事を一読するだけでも、いくつかの疑問を感じる。この記事から読み取れるのは、

「容疑を認めている女性Sさんを逮捕し、逮捕と同日に家宅捜索を行った」

である。家宅捜索によって証拠を確認した後での逮捕でもなければ、逮捕して取り調べが行われた結果、自白などの内容を確認する必要が発生して家宅捜索が行われたわけでもなさそうだ。何が起こっていたのか、この記事だけでは良く分からない。ちなみに、大生連・淀川生健会以外の家宅捜索先4ヵ所は、明らかにされていない。

現在までに判明しているところでは、女性の生活保護法違反は初めてであったという。ちなみにこれまでは、初犯かつ金額が100万円以下の場合、78条返還(不正受給としての生活保護費返還)が適用されてきた。いきなり逮捕されることはなかった。

突然の家宅捜索

大生連会長の大口耕吉郎氏によると、同日の様子は以下のとおりである。

「その日、私と事務局次長は、会議のため、不在だったんです。事務所にいたのは、事務局長1人だけでした。そこに、午前10時、刑事たちがやってきました」

刑事たちは、女性の不正受給の件とは関係のない資料を持って行こうとしたので、事務局長は

「これは、不正受給と関係ありません」

と主張したが、押収された。

375とはずがたり:2013/10/22(火) 12:31:28

刑事たちが押収したものは、生活保護制度に関する一般的な手引や、学習会資料など、どう考えても生活保護法違反と結びつけることが不可能なものばかりであった。生活保護基準引き下げの審査請求に関する資料も含まれていた。

逮捕されたSさんと淀川生健会の関係は、

「2013年6月、Sさんが生活保護を申請する際に、淀川生健会の事務局長が同行した」

のみである。

ちなみに、家宅捜索が行われた9月12日の5日後である9月17日には、生活保護基準引き下げに反対する全国一斉審査請求が予定されていた。大阪府も含め、全国22都道府県において、審査請求は予定通りに行われた(前回参照)。なお、2013年9月26日現在、審査請求を行った生活保護当事者の総数は、1万人を突破している。

文字通り「生活と健康を守る」
生健会の日常

全国各地に存在する「生活と健康を守る会(生健会)」は、1954年に設立された。当時のモットーは「仕事と生活と医療の保障」。当時の主要な活動は「保育所入所」「公営住宅の建設と入居」「安価な入院助産の実施」であった。

生健会は生活保護問題に関して注目を受けることが多いけれども、生活保護だけを守備範囲としているわけではない。各地の生健会を取りまとめる「全国生活と健康を守る会連合会」によれば、活動の範囲は、

・子どものためのイベント
・育児支援
・生活を支える各種制度の活用・改善・新設
・健康維持・増進を支える(健康診断・健康相談会など)
・地域環境の改善(道路整備、信号機等の設置、公営住宅の修繕やバリアフリー化)
・日常的なコミュニティ活動(誕生会・お見舞い・産直活動・バザーなど)
・文化・レクリエーションの充実
・共同墓地建設
・墓参

と、極めて幅広い。

大口氏によれば、会員には相当数の生活保護当事者や、各種減免申請を行っている世帯が含まれている。税金の自主申告運動も、生健会の中心となる活動の一つである。税と生活保護は密接に関係しており、いずれも国民生活の基盤である。生健会は、その両方から生活を支える活動を行っている。「生活と健康を守る」という目的から見て、極めて自然なことであろう。

ちなみに生健会は、「共産党の支持団体」「共産党から資金を受けている団体」と見られていることが多い。この点に関して、大口氏は、

「そうではありません。生活と健康を守る会は会員の政党支持の自由を保障しています。私たちは会員の一致する要求で連帯して、その実現のために運動している市民団体です」

という。しかし生健会に関しては、選挙での協力が取りざたされることも多い。そこは、どうなのだろうか?

「政党選挙、たとえば総選挙や参議院選挙、地方選挙では、繰り返しますが、会員の政党支持の自由を保障し、会ぐるみで応援することはありません。一方、知事選挙や市長選挙で多くの団体や政党が支持して応援する場合があります。私たちは、その候補の政策が私たちの要求と一致すれば、党派を越えて応援しています。また、政党と協力する基準は、その政党が『社会保障について、これまで何をやってきたか』です。私たちは、協力できる政党と協力します」(大口氏)

376とはずがたり:2013/10/22(火) 12:32:05
>>374-376
淀川生健会の家宅捜索は
どのように行われたか

9月12日の家宅捜索に、話を戻す。

前述のとおり、同日、淀川生健会事務所にも家宅捜索が行われた。同じ午前10時のことであった。

家宅捜索は、事務局員と淀川生健会顧問2名の立ち会いのもとで行われた。

大口氏は、この一連の家宅捜索について、

「今後の対応については、顧問弁護士と相談して、法的手段も含めて検討中です」

という。

生健会が家宅捜索を受けたのは、今回が初めてではない。

2013年2月14日、淀川生健会事務所に対し、家宅捜索が行われた。理由は、9月12日と同様、会員の生活保護法違反であった。この会員は、大阪市の繁華街で飲食店を経営していたが、自営業での収入があることを隠して生活保護を申請し、逮捕された。

申請時には、淀川生健会の事務局長が同行していた。本人からの依頼を受けて申請に同行しただけで、不正受給に関与しているわけではない。申請に同行するのは、そうしなくては水際作戦が懸念されるからである。生活保護の申請を決意する人々のほとんどは、まぎれもなく困窮状態にある。

逮捕された会員は、

「腰を痛めて働けなくなった」

と、淀川生健会に相談したという。それで、申請への同行が行われた。生存権を守るためには、必要なのに生活保護を利用できない状況へとつながるリスクは避ける必要がある。

「ちなみに、2月の家宅捜索のとき、警察と一緒に、マスコミがいっぱい来てたんです。警察がリークしたんでしょうね」(大口氏)

9月12日の家宅捜索の際には、大生連にはマスメディアは来なかったそうだ。

2月14日の家宅捜索の対象となったのは、生健会関連では、淀川生健会事務所だけであった。府内の生健会を取りまとめる立場である大生連は対象とならなかった。大生連は、各会員への支援活動を直接行っているわけではないからだ。

「会員が生活保護法に違反した」という理由で、単に申請同行などを行ったにすぎない生健会への家宅捜索が行われるようになったのは、大口氏によれば「今年になってから」ということだ。それ以前には、まったくなかったという。ちなみにその直前である2013年1月には、生活保護制度の見直しに向けた政府の動きが活発化し、生活保護基準の見直し(引き下げ)方針が明らかにされている。ここで、政府の意図を勘ぐらずにいることは、筆者には難しい。

では、会員の不正受給について、大口氏はどう考えているだろうか?

疑いや厳罰化で
不正受給はなくせない

「まず、はじめに言っておきたいことは『不正受給』は絶対にやってはいけないことだということです。『不正受給』で逮捕されるケースは、3つあります。不正受給とされる行為に対して福祉事務所に指導を受け、従わなかった場合。何度も繰り返された場合。それから貧困ビジネスです。

今回のように初犯で、しかも金額も比較的少ないケースで逮捕されることは、過去にはありませんでした。これまでは『不正受給』は生活保護法78条で対応されていました。全額返還です。よほど悪質でないと、福祉事務所も刑事告発をしませんでした。2010年度の大阪市の『不正受給』件数は保護世帯比で約2%です。このうち告訴件数は16件で、検挙が6件です。

『不正受給』をした中には保護開始時に権利と義務のことを知らされていなかったために、『やってしまった』というのもありました。しかし、もちろん貧困ビジネスなどの悪質なものに限っては、きっちり対応すべきです」(大口氏)

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380とはずがたり:2013/11/08(金) 08:38:24

生活保護却下は違法=「求職努力していた」−大阪地裁
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013103100791&rel=m&g=pol

 大阪府岸和田市が「就労が期待できる」として生活保護の申請を却下したのは違法だとして、同市の男性(40)が却下処分取り消しと100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であった。田中健治裁判長は「生活保護法の解釈を誤り違法」として取り消し、市に約68万円の支払いを命じた。
 受給要件の稼働能力などを最大限に活用しても生活に困窮するケースに男性が該当するかが争点。田中裁判長は、男性がハローワークや広告を利用して求職活動をしていたことから、「稼働能力を有し活用の意思もあったが、就労の場を得られる状況になかった」と述べた。
 判決によると、男性は2008年6〜12月、5回にわたり生活保護を申請したが、健康状態に問題がなく年齢も当時30代と若かったため、「稼働能力が未活用」として却下された。(2013/10/31-17:01)

381とはずがたり:2013/11/10(日) 17:20:14
>>371

ホームレスの生活保護ピンハネで2億円...西成の貧困ビジネスで組員逮捕
2013年10月28日
http://n-knuckles.com/street/downtown/news000588.html

 西成を舞台にした「貧困ビジネス」で、暴力団組員が相次いで逮捕された。生活保護受給者から家賃保証名目で現金を詐取したとして、大阪府警捜査4課は19日、山口組系暴力団組員で、不動産会社「住宅管理ビックライフ」(大阪市西成区)の実質経営者・伏見泰和被告(46)(別の詐欺罪で公判中)ら4人を詐欺容疑で逮捕した。府警は、一部が暴力団の資金源だったとみて調べを進めている。

 ここで改めて、西成という街の特殊性を紹介しておきたい。「西成」とは大阪市西成区にある日本最大のドヤ街、日雇い労働者が多く集まる街だ。あいりん(地区)とも釜ヶ崎とも呼ばれ、新今宮駅(JR/南海)、南霞町駅(阪堺電軌)、動物園前駅(地下鉄)の南側から萩ノ茶屋駅(南海)、今池駅(阪堺電軌)辺りまでの一帯が該当する。町名で言うと萩之茶屋、太子を中心に周辺の花園北、天下茶屋北、山王の一部の地域となる。

 ホームレスが多く、衛生環境もすこぶる悪い。そのためか、この地域の結核の感染率は南アフリカ、ジンバブエに次いで世界第3位だとする珍説まであるほどだ。

 その800メートル四方の小さな街に2万人とも3万人とも言われる労働者が暮らしている。西成警察署の南にある三角公園は、労働者の憩いの場であると同時に、その日の仕事にあぶれた人や宿が無い人が集まる場所である。今も三角公園の脇では昼間からサイコロ賭博、違法賭博場が行われていて、その多くは暴力団が絡んでいるといわれている。

 三角公園の周辺にはいつも場違いな数台の高級車が停められている。暴力団関係者が賭場の見張り役として目を光らせているからだ。この地区には現在約20近くの暴力団が事務所を構えている。過去、最も多い時には70近くの組事務所があった。

 西成の労働者全体の1日の稼ぎは一説に2億円以上といわれている。この地区に事務所を構える暴力団のほとんどが、その金を虎視眈々と狙っている。

 今回逮捕された伏見被告らは大阪市内でマンション約70棟の部屋を借りあげ、受給者約2000人にまた貸しして、家賃の差額などで年間約2億円の利益を上げていたという。受給者の多くは、ホームレス生活をしていた際に同社側から声をかけられ、住居のあっせんを受けていた。これはホームレスを集めて生活保護を受給させた上で生活費をピンハネする「囲い屋」といわれる典型的な手口だ。

 この西成には暴力団関係者によって運営される懇親会が存在する。それはこの「美味しい町」で揉め事を起こさず、旨味を分け合い、共存すべく機能しているのだ。今回の「囲い屋」はあくまでも氷山の一角であり、これによって貧困ビジネスが衰退するような事態にはならない。彼らがこれほど美味しい利権を手放すはずがないからだ。

382とはずがたり:2013/11/25(月) 11:17:17
区画整理の罔掛けて綺麗にしちゃえないのかね?まあこういう猥雑さも都市の懐だとは思うけど。。

「朽ち果てた放置空き屋に誰かがいる!?」東京・足立区に“廃屋シェアハウス”があった!
日刊サイゾー 2013年11月24日 12時00分 (2013年11月25日 10時51分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20131124/Cyzo_201311_post_1130.html

 普段は気に留めないが、よく目を凝らして街を歩くと、住宅地などで明らかに人が住んでいない廃屋が目についたりすることはないだろうか? 実は昨今、朽ち果てるままに放置されている古い空き家が急増しており、倒壊や放火などを懸念する声が高まっている。

 いわゆる「放置空き家」「迷惑空き家」の問題で、過疎化が進む地方ではすでに顕在化しているのだが、最近では東京都内の一部のエリアでも放置空き家が急増しているのだという。東京・足立区では一昨年、都内で初めて老朽化した家屋に解体や改修を義務づける条例を制定している。
 そこで、足立区の某ターミナル駅周辺を歩いてみると、駅前はデパートや商店街などで賑わっているが、繁華街を抜けると古くからの住宅街が現れる。何よりも、目についたのが路地の多さだ。

 それも幅の狭さがハンパない。建物と建物との間の、ようやく大人一人が通ることができるほどの狭い入り組んだ路地へ入っていくと、ボロボロの老朽化した家屋が寄り添うように密集している。

 しかも、その多くは雑草が伸び放題で荒れ果てていたり、雨戸が閉め切られていたりして、明らかに人が住んでいない様子。こんなに入り組んだ路地にある住居だと、改修はおろか解体して更地にするのもほぼ不可能。そして、これが放置空き家が急増している原因なのだ。

 さらに足を進めると、思わず絶句してしまう光景が眼前に広がる。普通の住宅地の一角であるにもかかわらず、そこには昭和初期に建てられたとしか思えないような荒れ果てた“廃屋”があった。窓ガラスはところどころ割れ、空き家であることをいいことに政党やらピースボートやらのポスターが所狭しと貼られている。とにかくボロボロというしかなく、ここまで来ると放置空き家というよりも「巨大な粗大ゴミ」。繰り返すが、ここは普通の住宅地である。

 裏手に回り込むと、ドアが開いており中が丸見え。野良猫が住みついているらしく、糞の悪臭が鼻をつく。割れた窓ガラスの隙間から屋内を覗き込むと荒れ放題で、明らかに人が住んでいないし住めない。ちなみに、この家屋は狭い路地に立地しているわけではなく、その気になれば取り壊して更地にすることも可能。なぜ、こうなるまで放置されてしまったのか。近隣の住民に話を聞いた。
「私もまさか人が住んでいるとは思っていなかったんだけど、なんだか夜中に人が出入りしている気配があるんですよね。それも大人数の人たちが出入りしているような雰囲気。
気持ち悪くてしょうがありません」

 えっ、住んでんの!? 住人がいるとはにわかには信じがたいが、もう一度確認すべく、くだんの家屋に戻り裏手に回ってみると、ドアが壊れており、中に入ることができそう。土間にあった靴箱を見ると革靴やスニーカー、サンダルなどがズラリ。やはり人が住んでいるのか? 声をかけてみるが、応答はなし。中に入ってみようかとも思ったものの、悪臭と埃だらけの室内の空気を吸い込むと病気になってしまいそうで、突入は断念。しかし、こんな家、よく住めるな。というか、本当に住んでいるのか? 住んでいるとすれば、どういうつもりなのか?
 地元の不動産会社によると「恐らく、“脱法シェアハウス”じゃないでしょうかね。放置空き家を勝手に占拠して、カネを取って人を住まわせているのでは。靴箱にある靴の多さは、そうとしか考えられませんよ。まあ、ここまで不衛生だと日本人は住まないでしょうから、外国人がたむろしているのかもしれません。いずれにせよ、犯罪とか違法なにおいがしますよね。近づかないほうが得策です」。
 近づくなと言われても、普通に住宅地の一角なのだが……。放置空き家ではなく、脱法シェアハウスなのか、謎が謎を呼ぶミステリースポットではある。二度と行きたくけど……。

383とはずがたり:2013/12/08(日) 22:01:49

英の新措置法「貧乏な移民は来ないで」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131208-00000509-san-eurp
産経新聞 12月8日(日)11時47分配信

 英国のキャメロン首相が11月末、他の欧州連合(EU)諸国からの移民に対する失業手当など社会保障費の支給制限を来年1月1日から実施すると英BBCテレビに語ったことが、英国などEU内で波紋を呼んでいる。

 キャメロン氏が明らかにした“新措置法”は、不就労のEU移民は英入国から3カ月は社会保障支給の対象とならない▽明確に就労できる証明がない場合、6カ月で社会保障サービスの提供を打ち切る▽新規移民は住宅手当の申請ができない▽路上生活者や物ごいは強制送還する▽最低賃金を支払わない雇用者には4倍の罰金を科す−というもの。

 同氏は「これはしっかりと働き、正しいことをしている人たちと公平に扱うための措置だ」と述べ、新措置法の導入を正当化。「EUが保証する移動や移民の自由の理念は大切だが、手当が目当ての移民に厳しく対処できるよう、EUは変わらなければならない」と強調した。

 しかし、EUの政策執行機関である欧州委員会の委員の一人が「英国は厄介な国だ」とかみついた。キャメロン氏はこれに「委員たちは、彼らの給料が英国の納税者からも支払われていることを忘れてはいけない」と反論した。

 ただ、英国と同じように貧しい移民流入の問題を抱えているドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領は英国に理解を示していると伝えられており、今後もこの問題をめぐる論争は収まりそうにない。

 自由や民主主義、平等、人権の尊重などの価値観を高らかにうたうEU加盟国はいまや28カ国。しかし、「EU域内の移動は自由でも、お金のない貧しい移民には来てほしくない」という英国人のホンネを反映した新措置法は、EUの理念と現実の難しさを浮き彫りにしている。(ロンドン 内藤泰朗)

384とはずがたり:2014/01/28(火) 08:34:14

2014年 1月 21日 13:45 JST
【寄稿】世界の貧困に関する3つの誤解―ビル&メリンダ・ゲイツ夫妻
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303572904579333662450287246.html?dsk=y
By BILL AND MELINDA GATES

 ほぼどんな基準に照らしても、世界の人々の暮らしぶりはかつてないほど良くなっている。過去25年間で極度の貧困は半減し、乳幼児死亡率は大きく低下。長く外国の援助に依存してきた多くの国々は今や自立している。

 それでも、状況が悪化していると考えている人はかなり多いようだ。その理由の大部分は、あまりにも多くの人々が世界の貧困と発展に関する3つの誤った通念にとらわれているからである。そうしたものにだまされてはいけない。

誤った通念その1:貧しい国々はそうあり続ける運命にある

 実際にはそんなことはない。所得や全般的な福祉の水準は、アフリカを含むほぼすべての地域で向上している。

 たとえばメキシコシティーについて考えてみよう。1987年に私たちが最初にそこを訪れたとき、大半の世帯には水道が引かれておらず、水瓶を持った人々が徒歩で水を汲みに行くのをよく見かけた。それはアフリカの田舎のような光景だった。マイクロソフトのメキシコシティー支社の責任者は、健康診断のために自分の子供たちをよく米国に帰国させた。スモッグによる健康被害がないか確かめるためだった。

 今日のメキシコシティーはショッキングなほど当時と異なっている。高層ビルがそびえ、空気は澄み、新しい道路や現代的な橋が建設されている。貧困もまだ一部に残っているが、「すごい、ほとんどの人々が中流層になっている。なんという奇跡だろうか」と思ってしまう。同じような変貌ぶりはナイロビ、ニューデリー、上海をはじめとする世界中の多くの都市でも見られる。

 私たちが生まれてからのわずかな期間で、世界の貧困地図は完全に塗り変えられた。トルコやチリの1人当たり所得は、1960年の米国と同じ水準に達した。マレーシアやガボンもそれに近づいている。1960年以来、中国の1人当たり実質所得は8倍に拡大している。インドは4倍、ブラジルは5倍近く、そして鉱物資源をうまく管理した小国ボツワナは30倍にもなった。50年前にはほとんど存在していなかった新たな中所得諸国には、世界の人口の半分以上が暮らしている。

 しかも、これはアフリカにも当てはまる。アフリカの1人当たり所得は、1998年以降、3分の2ほど増加している。当時は1300ドル強だった所得が、現在では2200ドル近くになっている。過去5年間の経済成長率では、上位10カ国のうち7カ国がアフリカ諸国である。

 私たちは次のように予測している。2035年には、世界に貧困国はほとんど残っていないだろう。確かに、戦争、政治情勢(北朝鮮など)、地理的条件(中央アフリカ地域の内陸諸国など)によって開発が進まない不幸な国もいくつかあるだろう。それでも、南米、アジア、中米(ハイチは除くべきかもしれない)のすべての国々、アフリカの沿岸諸国のほぼすべてが中所得国になるだろう。70%以上の国々の1人当たり所得は、今日の中国を上回るはずだ。

誤った通念その2:対外援助は大きな無駄である

 実際は素晴らしい投資である。海外からの援助は人々の命を救うばかりか、長期にわたって継続する経済発展の下地も作る。

 多くの人々は富裕国の予算に占める対外援助の割合を大きいと考えている。世論調査会社が米国民に予算のどれぐらいが援助に割かれているかと質問すると、「25%」が最も一般的な回答だという。ところが、実際には1%にも満たない(世界で最も気前の良い国、ノルウェーでさえ3%未満である)。米国政府は海外への医療支援予算の倍額以上を農業助成金に費やしている。防衛費にはその60倍以上を注ぎ込んでいる。

385とはずがたり:2014/01/28(火) 08:34:57
>>384-385
 対外援助に関するよくある不満の1つに、その一部が汚職のせいで無駄になるという議論がある。もちろんそうだろう。ところが、われわれがよく耳にするひどい話――援助は独裁者が新しい宮殿を建てる資金の足しになるだけ――のほとんどは、人々の生活を改善するための援助ではなく、冷戦時代に同盟関係を築くために行われた援助に関するものだ。

 今日、そうした問題はかなり小さくなっている。政府高官が出張費を水増し請求するといった小規模な腐敗は援助に課される非効率な税金なのだ。それを減らす努力はすべきだが、それを完全になくすことはできない。すべての政府プログラム、さらに言えばすべての企業から無駄をなくせないのと同じである。仮に1人の命を救うのに、小規模な腐敗の税金が2%かかるとしよう。われわれはその税金を撤廃しようとすべきだが、撤廃できないからといって救命活動をあきらめるべきだろうか。

 1ドルでも腐敗が見つかると、多くの人々が援助プログラムの停止を声高に求めてきた。だが、それは理にかなっていない。過去7人のイリノイ州知事のうち4人が汚職で有罪になったが、イリノイ州の学校や幹線道路の閉鎖を要求する人などいないではないか。

 対外援助を受ける国々は外国の好意に依存し続けてしまうという不満を口にする人々もいる。しかしこれは、今も自立できずに苦しんでいる最も困難な国々のみに当てはまる主張だ。ブラジル、メキシコ、チリ、コスタリカ、ペルー、タイ、モーリシャス、ボツワナ、モロッコ、シンガポール、マレーシアなどはかつて巨額の援助を受けていたが、その後に急成長を遂げ、今ではほとんど援助を必要としていない。

 対外援助は長期的な成長と強い相関関係がある医療、農業、インフラの改善も促進する。1960年に生まれた赤ん坊が5歳の誕生日までに死ぬ確率は18%だった。今日ではその確率が5%未満になっている。2035年には1.6%になるだろう。対外援助が無駄だというのはとんでもない話である。

誤った通念その3:命を救うことは人口過剰につながる

 人々は少なくともトーマス・マルサスが『人口論』を著した1798年から、食糧供給が人口増加に追いつかなくなるという世界滅亡のシナリオを心配してきた。こうした考え方は世界に多大な迷惑をもたらした。世界の人口規模に関する心配には、それを構成する人間に対する心配よりもはるかに大きなものになるという危険な傾向がある。

 あとで飢えることがないように、子供たちを今死なしてしまえという考え方は冷酷なだけではない。ありがたいことに、そううまくはいかない。

 これは直観に反することかもしれないが、世界で最も多くの人が死ぬ国は、人口が最も急速に増加する国の1つでもある。そうした国の女性たちは最も多くの子供を生む傾向があるからだ。

 より多くの子供が生き残れば、両親は多くの子供を産もうとはしない。タイはその好例である。同国の乳幼児死亡率が低下し始めたのは1960年ごろだった。政府が家族計画政策を強力に推進した後の1970年前後、出生率が低下し始めた。その後わずか20年の間に、タイ女性の1人当たりの出産率は6人から2人に低下した。今日、タイの乳幼児死亡率は米国のそれに近い低さで、タイ女性1人当たりの出産率は1.6人となっている。死亡率の低下に続いて出生率の低下が起こるというこのパターンは、世界の大多数の国にも当てはまる。

 命を救うことは人口過剰につながらない。むしろその逆である。持続可能な世界を実現するには、人々が基本的な健康、それなりの豊かさ、基本的平等、避妊具へのアクセスを享受する社会を作り上げるしかない。

 より多くの人々、特に政治リーダーらがこうした誤った通念の背後にある思い違いについて認識する必要がある。この問題を個人として見ても、政府として見ても、国際的に健康や開発を促進させるための貢献が驚くべきリターンをもたらすのは事実である。極度の貧困が普通ではなく例外である世界を作るチャンスはわれわれ全員が手にしている。

(本稿は近く発表されるビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次レターから抜粋した。ビル・ゲイツ氏はマイクロソフトの会長)

386とはずがたり:2014/01/29(水) 23:06:00

2013年 12月 09日 13:53 JST
貧困から抜け出せぬ南アの黒人や若者―マンデラ後は改革が停滞
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304468904579247172153211050.html?dsk=y

 【ソウェト(南アフリカ共和国)】ネルソン・マンデラ元大統領が刑務所から釈放され、南アフリカが政治的な自由化に向かい始めて20年以上経つが、多くの若者たちは依然として貧困にあえいでる。

 セロ・ヌシンヤさん(21)は、乗用車の警備と庭の手入れの仕事で1日数ドル(数百円)を稼ぐ。ダニエル・シマンゴさん(22)は大学に通う金銭的余裕がなかったため、趣味であるCDコレクションをパーティーで演奏することを仕事にしている。フランク・マソテさん(22)は近くのバーへの仕入れで月に200ドル(約2万円)稼いでいる。

 マンデサ・ムンゴメズルさん(20)は「われわれはマンデラ氏について心配していない」と述べ、「むしろ南アの将来を心配している」と語った。既に母親になっている彼女は助産婦になりたいと思っているが、学校の勉強を修了できず、他の仕事も見つけられずにいる。

 ソウェトの多くの若者は定職にありつけていない。25歳未満の若者のうち3分の2も同様だ。ヨハネスブルク南西に広がるソウェトはマンデラ氏が刑務所に入れられるまで彼の居住地で、アパルトヘイト(人種隔離政策)抵抗運動の中心地だった。しかし、今の若者たちはマンデラ氏が主導した解放運動を全く知らず、1994年に同氏が南ア初の黒人大統領になった当時すら知らない。

 彼らにとって、マンデラ氏が5日に95年の生涯を閉じたことは、人種的な平等を経済的な原動力に変えるというマンデラ氏の誓約を、後継者たちが実行しなかったことを意味する。

 南アの多くの人々にとって、生活は厳しさを増している。黒人の失業者は4分の1(約25%)に達している。通貨ランドは週末6日、米ドルに対して4年半ぶりの安値に落ち込んだ。経済成長率は今年、わずか1.9%にとどまると予想され、失業率を低下させるために不可欠と当局者がみる5%を大幅に下回っている。

 有力調査会社キャピタル・エコノミクス社のアフリカ担当エコノミスト、シラン・シャー氏は「アパルトヘイト後にとられた当初の措置の後、改革プロセスは停滞した」と述べ、「政策決定者は、マンデラ氏の指導の下で実現した経済的な発展を損なうリスクを抱えている」と語った。

 マンデラ氏によって権力の座に押し上げられたアフリカ民族会議(ANC)は、アパルトヘイト終了後、重要な前進を遂げた。経済は鈍化しているとはいえ、世界的な金融危機の発生した直後の2009年を除き、20年間近く成長した。識字率と電力利用率は急上昇。大規模な低価格住宅プログラムと、貧困な母親など弱者に対する社会保障手当を受け、ほぼ全ての南ア国民は悲惨な貧困状態から脱出できた。

 ズマ大統領は道路や鉄道、港湾の新設や改修に1000億ドル以上を投資する計画を強調している。同大統領は、自らの国家開発計画(NDP)はお粗末な教育制度を改善し、混乱している労働市場を改革するためのロードマップ(行程表)だと述べている。野党のメンバーの多くも、このプランの概要を支持している。

 だが、ズマ大統領はポピュリスト(迎合主義者)的な左翼や、企業寄りの穏健派を怒らせる恐れがある厳しい決定を避けていると批判する向きもある。その結果、同大統領の同盟グループ内部での微妙な均衡が崩れかねないという。

 野党である民主同盟(DA)の国会議員、ティム・ハリス氏は「彼の唯一の関心は政治的な生き残りだ」と批判、「これが南ア経済を停滞させている」と語った。

387とはずがたり:2014/02/05(水) 22:48:33
日本でも貧しさから立身出世するには(斎藤道三じゃないけど)2世代くらい掛かるけどそれは可能な気がする。
社会の閉塞感があるとするならば,戦後70年くらい安定的な社会が継続したお陰で,有能な遺伝子(それは現代社会に特有のと云う有能さに過ぎないのであるけど)の登用が終了して身分の固定化が進んでいるように感じられるからかも知れない。

2013年 11月 12日 16:01 JST
アメリカンドリームは消えたのか?―貧乏世帯からの立身出世は困難
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304368604579193030118110094.html?dsk=y
By LAUREN WEBER

 米小説家ホレイショ・アルジャーの立身出世物語――勤勉さと困難な状況での勇気は人を悲惨な状況から誰もがうらやむ成功へと導く――は150年以上も前に書かれたものだが、そこで語られた神話は今でも信じられている。貧しい環境に生まれた人が勤勉に働き、最終的に経済的な階層のトップに上り詰めることはよくあることだと米国人の40%が思っている。

 しかし、現実には無一文から大金持ちになった米国人は全体のわずか4%しかいないことが非営利NGO組織ピュー・チャリタブル・トラスツによる新たな調査で分かった。これは社会的流動性を経済面から調査したものだ。この調査では最貧困層に生まれた人の大部分が一生同じ階層にとどまることも分かり、米国は社会的流動性を向上させるために多くの取り組みを行う必要があることが示唆された。

 世帯収入を5階層に分けた最下位層で育った米国人の43%がひと世代後も同じ階層にとどまっていることが分かった(2009年で2万8900ドル=約287万円未満の世帯収入、家族数調整済み)。下から2番目の階層に上がる人は27%、ちょうど中間の層に上がるケースが17%、下から4番目の階層に上がる人は9%だった。

 大学教育の価値をめぐる議論はあるものの、大卒資格は依然として上位層への移動の可能性を予測する唯一最大の要因だ。最下位層から上の階層へ一気に移動した人の86%が大学を卒業している。大学を卒業していない人の中で上の階層に上がったのは55%だ。だが、最下位層で育った人の中で大卒の資格を持っているのはわずか7%だ。

 ピューはミシガン大学による調査プロジェクト「パネル・スタディー・オブ・インカム・ダイナミクス」の約40年に及ぶデータを使って調べた。同大学のデータは1968年から現在まで、対象となる世帯を追跡調査したものだ。今回の調査はサンフランシスコ地区連銀による12年の調査と合致するものだ。同連銀は同じデータを使い、5階層に分けた最下位層の44%がひと世代後も同じ階層にとどまっていることを発見した。

 ピューとは異なり、連銀の研究者は米国人全体の社会的流動性を調べた。そこで分かったことは、人がそれぞれの階層にとどまる顕著な「硬直性」だった。つまり、貧しい家庭もしくは裕福な家庭に生まれた子供たちは大人になっても同じような環境にいる可能性が高いということだ。ただ、中間層には大きな流動性があり、人は上の階級にも下の階級にも流れやすい傾向がある。

388とはずがたり:2014/02/05(水) 22:51:48
>>387-388
 では、ピューや連銀の調査結果を祝福すべきなのか、それとも嘆くべきなのか。サンフランシスコ連銀のエコノミスト、メアリー・デーリー氏は厄介で一筋縄ではいかないと話す。

 生まれながらに持つ権利の生得権がベースとなっている経済――インドの古いカースト制度を考えてほしい――では、全ての個人は自分が生まれた階層にとどまる。一方、「平等な機会」をベースにした経済では、社会経済的なステータスは不規則だが予測可能な方向に変化する。20%の人が同じ階層にとどまり、残りの80%が20%ずつ他の4つの階層に移動する(100個のボールが入ったくじ引きの機械があり、20個ずつランダムに5つの階層に入れられるようなものだ)。

 対照的に米国は名目上、才能や勤勉さが表向きは報われる実力主義社会だ。デーリー氏は「パーセンテージで言えば、真の実力主義社会はどれくらいのものをもたらすのか」と疑問を投げかけ、「正しい基準が何かを理解するのは難しい」と話した。

 しかし、「無一文から大金持ち」という神話にとりつかれた米国人は、諸外国の方が持たざる者の間で、より大きな流動性があることを知って落胆するかもしれない。

 スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマークそして、英国では、最下位層にとどまる人の割合が25〜30%だ。一方、米国では44%だ。

 デーリー氏は「これは私たちが『ペアレンタル・ペナルティー(親世代の報い)』と呼ぶものだ」と述べ、「(米国では)最下位層に生まれたら、底辺にとどまる可能性がかなり高いということだ」と語った。

 ピューの調査では、ほかのいくつかの要素が所得上位層への移動を助けていることが分かった。

 結婚やパートナーシップが流動性にとっては有効であることが分かった。自分に加えて配偶者もしくは同じ世帯の誰かが働いている貧困層の84%が最下位層から上位層へ移動していることが分かった(一方、働き手が1人だけの世帯で上位層へ移動したのは49%だった)。

 アフリカ系米国人の貧困層で上位層への移動を経験したのは45%で、白人では68%だった。また、継続して雇用されていた貧困層のうち64%が上位層へ移動した。それに対して、どこかの時点で失業していた貧困層で上位層へ移動したのは34%だった。

 ピューの調査員ダイアナ・エリオット氏は、調査によって貯蓄や住宅といった資産の重要性が浮き彫りになったと述べた。最下位層から上位層へ移動した米国人はそうでない人に比べて少なくとも9倍の資産を持っていた。最下位層にとどまっていた人の資産は8892ドルで、1つ上の階層へ移動した人の資産は7万8005ドル。少なくとも中間層まで移動した人の資産は9万4586ドルだった。

389とはずがたり:2014/02/22(土) 19:29:36

お金が無くても保険証が無くても病院受診する方法を教えます!
http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujitatakanori/20140221-00032867/
藤田孝典 | NPO法人ほっとプラス代表理事、社会福祉士
2014年2月21日 12時49分

社会福祉法第2条3項の九では『生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業』を第二種社会福祉事業として位置付けている。
政府は、病院事業者に対して、生活に困っていて医療費が払えない、あるいは医療費を払う余裕が無い人々を受診させてもらえるように事業を設けている。
この届出をした病院は、無料又は低額で医療行為を一定数行うことと引き換えに、税制上の優遇措置を受けることができる。

この届出を行い、いわゆる無料低額診療事業を実施している病院が皆さんのまわりにたくさんあることをご存じだろうか。

390チバQ:2014/02/23(日) 11:01:05
http://news.kanaloco.jp/serial/article/1308140001/
やさしくない公共(上) 街は悪意に満ちている 「最悪いす」の意味

2013年8月14日

 そのベンチは「最悪いす」と呼ばれている。肘掛けが付き、一人分のスペースに仕切られ、傍らには荷物を置く台もある駅のベンチ。一見、座る人に配慮している。でも…。

 「最悪」と名付けたのは貧乏旅行を好む旅人たちだった。ろくに宿にも泊まらず、夜汽車で移動し、時に無人駅で寝る。1990年代の初め、そんな旅行者を閉め出すかのように、ベンチに肘掛けが付き始めた。これでは横になれない。

 「嫌な感じですよねえ」。各地を旅しながらミニコミ誌「野宿野郎」を編集している横浜出身の野宿愛好家・かとうちあきは言う。「でも、無理やり体をはめ込んで寝てる人もいますね。克服しているようで、ちょっとうれしい」。旅人は静かに闘っている。



 建築史家の五十嵐太郎・東北大大学院教授は、肘掛け付きベンチのような存在を「排除オブジェ」と捉え、背景にある「排除の思想」を読み解く。例えば、駅や公園にある奥行きの狭い腰掛けは、長時間居座れなくするため。地下通路に置いてある観葉植物は、立ち止まるのを防ぐため。

 「人々の行動を無意識のうちに、物理的に統制している」。五十嵐は、公共空間が次第に不寛容の度を増していると感じる。疲れたら横になってもいいじゃないか、貧乏旅行者が寝ていてもいいじゃないか−。それを許さない「空気」が今、ある。

 分岐点は、95年の地下鉄サリン事件にあった、と五十嵐はみる。「それまで、ちょっと変わった人がいても、それが都市のにぎやかさ、豊かさだと思われていた。そこに冷や水を浴びせられた」。高まる防犯意識と引き換えに、異質な存在の排除にまで行き着く街の姿を、五十嵐は「過防備都市」と名付けた。



 「排除オブジェ」が排除しようとするのは、旅人だけではない。むしろ、主な対象は路上生活者だといわれている。かとうは、各地の公園を肘掛け付きベンチが「席巻した」時期を覚えている。駅の「最悪いす」の登場から数年後、2000年前後のことだ。

 同年、路上生活者の実態調査の過程で、相模原市内の公園のベンチに「仕切り」を見つけた寿支援者交流会(横浜市中区)のメンバーによると、市担当者は「寝させないようにするため」と明言したという。設備メーカーのカタログの中には、肘掛け付きベンチの機能について「浮浪者対策」と明記する例もある。

 ただ、近年は「体の不自由な人のため」「健康増進のため」といった、聞き心地の良い説明文も多い。

 オブラートに包まれた「真意」。その象徴といえるのが、1996年に東京都の新宿駅西口地下街に設置された「トゲトゲ」だ。

 直径45センチ、高さ50センチほどの、アートともオブジェともつかない無数の円筒は、路上生活者の住居が撤去された跡に置かれた。円筒の上部は斜めになっていて、腰掛けることはできない。都第三建設事務所の担当者は「景観の向上のために設置した」と説明する。

 五十嵐は言う。「街は悪意に満ちている」

 一見、意味のなさそうな物体が、人の行動を統制する。あるいは、「自粛」の名の下に、表現が制約される。私たちは、本当に自由だろうか。「公の秩序」を理由に、国民の自由を制限するような改憲案を政権与党・自民党が提示する今、まずは公共空間の「異変」を通して、背後にある「不寛容」を考える。

【〈不寛容〉の現場】かとうは、野宿の趣味が「アンダーグラウンド」であると自覚している。公園で寝ていたとき、不審者と思われ通報された経験もある。一方で、気軽に日常から脱却しようと、近所の公園や広場で野宿に目覚める仲間がいる。セキュリティーか、開放感か。「野宿をしやすい社会は住みやすい社会だと思う」と、かとうは言う。

391チバQ:2014/02/23(日) 11:01:27
http://news.kanaloco.jp/serial/article/1308140002/
やさしくない公共(中) 良いことを「強制」する それと見えない形の権力

2013年8月14日


 「幸福であることを夢見られるぐらいの生活が保障される。それが幸福追求権ではなかったか」

 横浜市中区の簡易宿泊所街・寿町で、路上生活者の支援を手がける寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は、憲法にある生存権、幸福追求権の意味を考える。

 しかし現実は…。「1997〜98年ごろ、野宿者が一気に増えた。その層も変わった」。それまでは、日雇い労働者などが次の仕事に就くまでの「つなぎ」として路上で暮らす例が一般的だったが、近年は長期化・固定化するようになったという。その上、路上生活者の分布も、横浜・川崎から県全域へと広がった。

 グローバリゼーションによる国内経済の空洞化、失業者の増加が背景にある、と高沢は考えている。



 経済のグローバル化と規制緩和を推し進め、90年代に「新自由主義の優等生」と称されたのがアルゼンチンだった。だが、必ずしも一人一人に幸福をもたらしたわけではない。失業率は95年、20%にまで上ったといわれている。

 2004年のアルゼンチン映画「今夜、列車は走る」(ニコラス・トゥオッツォ監督)はその「陰」を描いた物語の一つだ。鉄道の民営化や不採算路線の廃止に伴い、自主退職を迫られた5人の鉄道員は、地域からも家庭からも疎外されていく。「失業は経済的な打撃を与えるだけでなく、自信や尊厳まで奪う」と、トゥオッツォ監督は出口の見えない苦悩に寄り添う。

 映画配給会社アクション(東京都渋谷区)を経営する比嘉セツは同年、キューバ・ハバナの映画祭でこの作品に出合い、日本公開を決意したという。脚本や演技、撮影といった作品の持つ力はもちろん、「人ごとではない」という思いにも後押しされた。

 「アルゼンチンを見ていると、日本は次にこうなる、ということが分かった」。中南米社会の実情を知る比嘉は、当時を振り返る。映画が日本で封切られたのは08年5月。その年の秋にリーマン・ショックが起こり、日本では「派遣切り」が社会問題になった。



 その08年、横浜市営地下鉄の車内で、一つの取り組みが始まった。ボランティアが乗客に対し、優先席のマナーなどを呼び掛ける「スマイルマナー向上員」(12年に廃止)だ。教育社会学が専門の渡部真・横浜国大教授は、そこに窮屈な「時代の気分」を見いだした。

 席を譲ること自体は良い。けれども、自発的にすべき行為を誰かから「奨励」されることには、違和感がある。「一見すると強制ではないが、行動を統制しようというムードがあるように思う」

 フランスの哲学者ミシェル・フーコー(1926〜84年)は、日常生活の隅々にまで浸透した現代社会の権力を「牧人型権力」と名付けた。牧人とは羊飼いのこと。快適な環境で飼いならされることで、羊たちは従順になる。その中で人々が意識すべきは、権力が「それと見えないような形」で遍在する、という現実(「政治の分析哲学」、78年)だ。「良いことの奨励」の背後に、権力が潜んでいるかもしれない。

 渡部は危惧する。「自由にものを考えて自由にものを言える、そんな雰囲気が失われつつある」

【〈不寛容〉の現場】「段ボールハウスが強制排除された周辺では、その後に必ずと言っていいほど襲撃事件が起こっている」と高沢は指摘する。少年が路上生活者に暴行するケースも。「無自覚ながら、子どもたちは感じ取っているんです。『排除されるような弱い者はいじめていいんだ』と」。少年たち自身もストレスにさいなまれている。弱者が弱者をたたく構造があるという。

392チバQ:2014/02/23(日) 11:02:13
http://news.kanaloco.jp/serial/article/1308140003/
やさしくない公共(下) 浸潤する「自粛」の圧力 自由は、国民の努力で保持

2013年8月14日

「お断りします」。映画監督の想田和弘は、川崎市内で街頭演説していた県議、市議に撮影を拒否された。2011年4月、統一地方選の選挙運動期間のさなか。想田の元にはその日のうちに、両議員が所属する政党の代理人から、映像を使わないよう求める通知書が届いたという。

 公開中のドキュメンタリー映画「選挙2」に、両議員とのやりとりが記録されている。「公道で公的な運動をする公人を、なぜ撮影できないのか」と反論する想田の声は、少し震えていた。「正直、怖かった」。顔をのぞかせた権力を、直感的に悟ったのだ。



 想田は今も「圧力」に立ち向かっている。今月2日、東京都千代田区立日比谷図書文化館で行われた前作「選挙」(07年公開)の上映会。参加者約200人、満員の盛況だったが、一時は開催が危ぶまれた。同区が「参院選前に、選挙制度に一石を投じる映画を上映し、議論が起きるのは好ましくない」と懸念を示したためだという。

 「法的根拠もなく『自粛』を求められるケースが全国で目立っている」。横浜市で活動する弁護士・太田啓子は指摘する。最近では今年4月、福井市の公立施設での展覧会で、憲法9条の条文を記した美術作品が「政治色が強い」として撤去された例がある。

 川崎市中原区の市平和館で毎年開かれる「平和をきずく市民のつどい」の実行委員会事務局長・田辺勝義は、市の担当者からよく「お手柔らかにお願いします」とくぎを刺される。

 つどいは市の「核兵器廃絶平和都市宣言」(1982年)の趣旨に沿い、30年にわたり核廃絶や憲法の意義を伝えてきた。しかし、今はその内容に市がピリピリしている。2007年、それまで毎年認められていた市の後援が「政治的中立性を損なう」として中止に。08年以降も、年によって後援が許可されたり取り消されたりと揺れている。「行政が市民の言葉を一語一句チェックするようになった」と田辺は感じる。



 表現、言論を抑圧する力が、形に表れた事件がある。

 1998年6月6日、日中戦争の、いわゆる「南京大虐殺」を題材にした香港・中国合作映画「南京1937」の公開初日。横浜市中区の映画館シネマ・ベティで、右翼を名乗る男がスクリーンを切り裂いた。

 街宣車は日に日に台数を増し、実弾やカミソリが送りつけられた。それでも、当時経営していた中央興業の専務・福寿祁久雄は、スクリーンをテープで補修しながら上映を続けた。「映す自由がわれわれにはある」という一念だった。

 事件の数日後に同館で観賞した立教大の服部孝章教授(メディア社会学)は、隣に座った右翼団体の男性が、上映後に「いい映画だったね」と涙を流していたのを鮮明に覚えている。「見る機会があるからこそ議論が生まれるのだ」

 一方で、街宣車がうるさいという苦情が、同館に相次いだ。結局、14日間の予定だった上映は9日目で終了。その後、街宣車の男たちは近所の飲食店を借り切り、「バンザイ」と凱(がい)歌(か)を上げたという。福寿は後日、「迷惑をかけた」と近所に謝罪して回った。

 「やっぱり、負けたんだと思う」。15年後の今、福寿はそう考えている。

 「自由は自然に生まれてはこない」と田辺は言い、福寿は「民主主義は自分でつかみ取るものだ」と言う。想田は今、憲法12条を読み返している。「自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」

【〈不寛容〉の現場】「今、僕の表現を守ってくれているのは憲法21条です」と想田。表現の自由を保障した条文だ。自主規制を強いる「空気」に「不戦敗したくない」。米ニューヨークに暮らす想田は、現地で交流している中国やイランの作家にメールを送るとき、慎重に言葉を選ぶ。「彼らの国では表現の自由が制限されている。当局が検閲しているかもしれない」。決して人ごとではない、と感じている。

393名無しさん:2014/02/26(水) 12:10:14
お前は、喫煙して「他人に迷惑をかける」から死んでくれ!!

http://www.youtube.com/watch?v=sixBUhZbJqo

車内や密室での喫煙を全面禁止!! 窓等を開けて喫煙も、全面禁止!! 煙!の匂いが、髪の毛や他に染み着く!!
屋内喫煙の全面禁止!、屋内喫煙場所は撤去!、屋内に喫煙場所は設置しない!
喫煙者の為に、灰皿を準備するな!! 喫煙を推奨してるのか!

喫煙者は、絶対に屋外喫煙!! 屋外の野天のみ!!、喫煙可能で後始末の義務化!!
喫煙者に、灰皿等の持参と後片付けを義務づけ!! 強力な罰則規定を!

全ての煙草、一律に1箱1000円へ!!

宜しく!!

394チバQ:2014/03/12(水) 21:11:55
http://mainichi.jp/select/news/20140312k0000e020251000c.html
春闘:非正規の命つなぐ要求…誰もが時給1000円なるか
毎日新聞 2014年03月12日 12時46分(最終更新 03月12日 15時53分)


春闘での賃上げについて話し合う加藤義紀さん(右)と出版労連の平川副委員長=東京都文京区の出版労連で、東海林智撮影
拡大写真 「満額回答」「過去最高水準のベースアップ(ベア)」など景気のいい話も出始めた2014年春闘。アベノミクスの掛け声の下、新たな政労使の枠組みも誕生し、ベア実現に注目が集まる今春闘だが、労働者の4割近くを占めるに至った「非正規」の待遇改善が日本のカギになるとの声も多い。長年デフレ下で耐えてきた人たちに本当の春は来るのか−−。

 「500円のワンコインランチを嘆く人がいるけど、私は100円のワンコインで昼食を済ませています」

 出版労連の個人加盟労働組合「出版ユニオン」(約250人)に参加している加藤義紀さん(37)=東京都北区=は、生活の苦しさをそう訴える。

 加藤さんは2009年3月から書籍取り次ぎ大手の物流センターで契約労働者として働いている。仕事は注文のあった本のピックアップや入庫作業。午前8時から午後4時まで働き、休みは週1日しかない。それでも月収は約16万円。家賃や社会保険などを払うと、生活に使えるお金は5万円程度しか残らない。食事を含め1日に使えるお金は1683円にしかならない計算だ。昼は100円ショップのカップ麺などでしのぐ。親から3万円の仕送りを受け、ぎりぎりの生活を続ける。

 雇い止めを心配しながら、2カ月ごとに契約を更新して働いてきた。仕事を始めた時890円だった時給は、この間一度も上がっていない。少しずつ上がっている東京都の最低賃金(869円)にいつの間にか近付いてきた。

 加藤さんのような非正規労働者は、12年の総務省調査で労働者全体の38.2%、約2043万人にまで達した。連合は、非正規の待遇改善が労働界全体の課題として、今春闘で「誰もが時給1000円」を掲げる。

 加藤さんは、長く働いても有給休暇もないことに疑問を持つなどして昨年10月、同ユニオンに加入。ようやく社会保険加入や有給休暇取得を認めさせた。そして、大手企業がベアを打ち出した今年の春闘で初めて賃上げも求めた。時給が1000円になれば、収入は月1万9300円増える。消費税が上がることを考えれば、「生活を破綻させないようにするぎりぎりの額」に過ぎないが、「親からの仕送りを減らしたい」という。

 12日に集中回答を迎えた金属労協の幹部は「正社員のベア獲得の報告が次々入っているが、連動する形で非正規の賃上げの報告も入っている」と手応えを語る。だが、どこまで他の産業や中小企業に広がるかは未知数だ。加藤さんの交渉を支援する出版労連の平川修一副委員長は「物価、消費税が上がろうとする中、命をつなぐための要求だ。声を上げた彼らの切実な要求を全力で支援したい」と話している。【東海林智】

395とはずがたり:2014/04/01(火) 22:52:55
アベノミクスで貧困拡大、生活保護制度改悪で餓死者増?企業優遇で労働環境は劣悪に...
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140401/Bizjournal_201404_post_4502.html?_p=1
ビジネスジャーナル 2014年4月1日 13時00分 (2014年4月1日 22時08分 更新)

「特定秘密の保護に関する法律」(秘密保護法)が昨年12月6日に成立したのをはじめ、安倍政権は暴走し続けている。安倍政権の経済政策・アベノミクスの下で貧困者が激増する中、戦争準備体制に向けて驀進し、諸外国とのトラブルは続発、国際的にも奇異の目で見られ始めている日本。秘密保護法廃止運動など、安倍政権に対する反発の声も高まっているが、暴走を止めるには何が必要なのだろうか?
 日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児弁護士に、貧困拡大・秘密保護法・憲法・集団的自衛権をめぐる現状と課題について話を聞いた。

●生活保護費削減で3日分の食費失う
「実は、昨年の国会では、秘密保護法以外にも重要な法案がいくつも可決されています。前回の通常国会で生活保護基準が変更され、昨年8月1日から生活保護費が引き下げられました。3年間で670億円削減させる予定になっています。生活保護に関しては、03年に0.9%、04年に0.2%と、過去2回基準が引き下げられていますが、今回の引き下げ幅は平均が6.5%、世帯によっては最大10%の支給額引き下げになっており、制度利用者が大変なダメージを受けます。
 支給額の見直しは、物価下落を大きな理由とするものですが、物価が下がっているのはパソコンや家電製品などで、生活必需品、水道光熱費、公共交通機関の料金、灯油などの生活に直結する費用は円安の影響等により、むしろ上がっています。そういう中で生活保護世帯の生活費を670億円も削減するのです。
 ある生活保護受給者から、私は手紙を受け取りました。昨年8月から受給額が2000円下がったそうです。その人の食費は1日700円くらいで、2000円は約3日分の食費に相当します。その2000円の痛みが国会議員はわかっていないのではないかと、手紙は訴えています。
 また、生活保護に関しては、改悪となった問題がほかにもあります。そのひとつは、申請方法の変更です。それまで口頭でも可能だった生活保護申請は、書面で申請しなければならなくなりました。その際に、収入や所有財産を証明する資料を添付しなければならないのですが、路上生活者やDVの被害者などは、収入や財産を証明する資料がない方が多く、書類不備を理由に窓口ではねつけられる可能性があります」

●英独は生活保護受給者9%台、日本は餓死者多発
「それから扶養義務者の調査を強化することになりました。例えば、生活困窮者が生活保護を申請する場合に、実家にどれだけ扶養能力があるかなど、扶養義務がある親族の収入や資産が徹底的に調査されます。

 12年の4月頃、ある人気お笑いタレントの母親が生活保護を受けていたことに対してバッシング報道がありました。現在の生活保護法では、扶養義務者の扶養能力は生活保護受給の要件になっていないにもかかわらず、あたかも不正受給のように報道されていました。
 さらにワイドショーなどは、生活保護受給者がパチンコ屋に行っているところを隠し撮りして放送し、生活保護受給者が働かずに遊んで暮らしているかのようなイメージをつくりました。
 このような生活保護受給者バッシングを利用して、安倍政権は生活保護制度を改悪しています。いま日本では、生活保護受給者が約215万人おり、全人口の約1.7%ですが、ドイツは同9.7%に当たる約790万人、イギリスは同9.27%に当たる570万人が生活保護制度を利用していますが、これらの国々ではバッシング報道など起きていません。

396とはずがたり:2014/04/01(火) 22:53:14
>>395-396
 日本では生活保護受給資格のある人のうち、実際に制度を利用しているのは、学者の調査では2割以下です。厚生労働省の調査でも3割くらいです。
 そのために孤立死や餓死が多発しています。昨年5月24日に、大阪で28歳の母親と3歳の男の子の遺体が発見されたと報道されて注目を集めましたが、捜査官の話によると、公共料金の請求書に「おなか一杯食べさせられなくてごめんね」という書き置きがあったといいます。この母子が生活保護制度を利用していれば命は助かったと思うのですが、実際にこういうことが多発しているのです。
 生活保護受給者数は過去最多を更新し続けていますが、受給者が増えている理由は、格差が広がって生活困窮者が増えているにもかかわらず、社会保障が不十分だからです。このような根元的な原因を手直しするのではなく、生活保護受給者をバッシングして生活保護を受けにくくするのは、弱者切り捨ての政策といえます。
 安倍政権はさらに、医療・介護・年金などの社会保障制度全体に変更を加えようとしていますが、それは憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を空洞化させようとするものです。これは低所得者にとって非常に厳しい政策といえ、さらに4月からは消費増税により、ますます格差と貧困を拡大させてしまいます」

●大企業優遇政策
「労働問題では、雇用破壊が進められています。リーマンショック後、派遣切りされた労働者が寮や社宅を追い出されて、貯金を使い果たし、野宿を余儀なくされる人がたくさん出ました。

 私たちは08年暮れから09年始めにかけて日比谷公園にテント村を設置して、野宿者たちの支援活動をしましたが、それが大きく報道されたことで、自民党政権による失政の象徴のようになりました。その後に民主党政権が成立し、不十分ではあったものの労働者派遣法が改正されましたが、今度はまた全面的に派遣労働の規制を緩和しようとしています。
 派遣の場合は、現在は専門26業種に限って期間の制限がないのですが、それを全業種期間の制限を撤廃しようとしています。また、限定正社員制をつくり、正社員でも解雇しやすいようにしようとしているのです。
 国家戦略特区構想は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と密接な関係があります。韓国では、アメリカとFTA(自由貿易協定)を締結する前に特区制度がつくられており、医療や教育などについて規制緩和が行われています。
 国家戦略特区は、雇用・医療・教育・農業などの分野にまたがり、関連の法案も出されています。一番の問題は、雇用特区においては、簡単に解雇でき、残業代を払わなくてもいいような制度の導入を目論んでいることです。
 しかし、このような雇用特区構想は、実質的に“解雇特区”であると批判されたことで先送りにはなりましたが、安倍政権は、基本的にこのような考え方を変えていません。
 安倍首相は、『企業が世界一活動しやすい国をつくる』というスローガンを掲げ、労働者を解雇しやすく、残業代も払わなくていい制度をつくろうとしています。確かに、そういう特区ができれば企業には天国ですが、働いている人にとっては地獄です」

●国会が博打を推奨する異常事態
(以下略)

397チバQ:2014/04/08(火) 22:49:19
http://mainichi.jp/select/news/20140408k0000e040232000c.html
求人票:職安に苦情年7700件 実際の条件とかけ離れ
毎日新聞 2014年04月08日 15時00分(最終更新 04月08日 16時35分)


東京都内のハローワークに掲示されている求人票=8日午前9時、東海林智撮影
拡大写真 ハローワーク(職業安定所)に掲示された求人票の労働条件が、実際の労働条件とかけ離れているという苦情が後を絶たない。厚生労働省が2012年度の1年間に全国のハローワークに寄せられた苦情を調べたところ、件数は7783件に上った。事態を重くみた厚労省は先月、常設の相談電話「ハローワーク求人ホットライン」を設置。改善への対応に乗り出した。【東海林智】

 不当な長時間労働や賃金不払いを常態化させる「ブラック企業」が社会問題となる中、求人票との食い違いがブラック企業への入り口になっているとの指摘があり、調査した。厚労省がハローワークの求人票に対する苦情件数をまとめたのは初めて。

 苦情を類型別でみると、「求人票に比べて実際の給料が低い」などの「賃金」関係が2031件で最も多く、全体の約4分の1を占める。これに「労働時間」の1405件、「選考方法」の1030件などが続いた。

 東京労働局に寄せられた苦情の中には、ある運送会社の求人票に「基本給30万円」と記されていたが、実際の給料30万円には60時間の残業代が含まれており、本当の基本給は13万円程度だった−−という事例があった。また飲食業のある企業は「勤務先は都心部の店舗」として募集していたが、実際には都心から遠く離れた郊外での勤務を提示されたという。「経理事務」を募集している製造業の企業で面接を受けたところ、「営業しか採用はない」と言われたというケースもあった。

 ハローワークを通じて求人を行う場合、企業は、その所在地を管轄するハローワークに事業者登録をしたうえで求人を申し込む。ハローワークは申し込みを受理した企業に求人票を渡す。求人票には仕事内容や労働条件を記載する欄があり、企業が書き込む。北関東のハローワーク職員は「おそらく苦情は氷山の一角だ。企業側にだます意図があっても、求人票の書式が整っていれば掲示せざるを得ない」と打ち明ける。

 厚労省はホットラインに寄せられた苦情をもとに企業に対する指導などを行う。是正がみられない場合は求人票の受け付けを拒否することもあるという。電話相談は平日午前8時半から午後5時15分まで、03・6858・8609で受け付けている。

 ◇厚労省が相談を呼びかけている主な事例
・面接に行ったら、求人票より低い賃金を提示された

・仕事の内容が求人票とかけ離れていた

・「正社員募集」だったのに非正規雇用だった

・採用直前になって求人票にない勤務地を提示された

・始業時間よりずっと早い時間に出社を求められた

・求人票に反して社会保険や雇用保険に未加入だった

.

398チバQ:2014/06/09(月) 20:21:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140609-00010000-qbiz-bus_all
賞味期限切れ迫る食品、困窮者に 北九州の団体
qBiz 西日本新聞経済電子版 6月9日(月)11時27分配信

施設の担当者にパンを手渡す原田昌樹さん(中央)
 食べられるにもかかわらず廃棄される食品をメーカーや小売店から譲ってもらい、生活に困っている人などに提供する取り組みが、北九州市でも広がりつつある。手掛けているのは、任意団体「フードバンク北九州 ライフアゲイン」(八幡東区)。ただ食品提供者が少ないなど課題も多く、同団体代表の原田昌樹さん(49)は「協力事業者を増やし、生活に窮する人たちの支援や自立につなげたい」と話している。

 「今日はパンが多いんで、みんなで分けて食べてください」。今月初め、家庭の事情などで親と暮らすことのできない子どもたちが身を寄せるファミリーホーム「やまだホーム」(小倉北区)に、原田さんの元気な声が響いた。コッペパン、コーンパン、チョコパン…。どれも、おいしく食べられる目安の賞味期限が切れる前に大型小売店から提供されたものだ。パンなどの食材を受け取った、ホームの施設長、山田ゆう子さん(53)は「食費に当てる予定にしていたお金は、運転免許や資格など子どもたちの将来につながるものに回すことができる。助かっています」と感謝する。

 原田さんが活動を始めたのは、生活困窮者の自立支援をしていた約2年前、個人商店やスーパーが厚意で、廃棄前の食品を分けてくれたのがきっかけ。「大量の食品が廃棄されていることに驚いた。私たちの都合で廃棄される食べ物と、世の中の都合で隅に追いやられて生活に困った人たちが重なって見えた」と憤る。

 テレビで取り組みを知った原田さんは、東京の団体からアドバイスを受けながら、昨年7月、任意団体を立ち上げた。月〜土曜日、賞味期限切れ前の食品を譲り受け、北九州市内を中心とした児童養護施設や依存症のリハビリ施設など約20カ所のほか、生活に困窮する20軒ほどの個人宅にも配給する。1人で始めた取り組みは今、約30人のボランティアが配給を手伝っている。

 ただ、定期的に食品を提供してくれているのは、八幡西区の大型小売店1店舗のみ。いろんな種類の食品を安定的に提供するためにも、今後事業者を訪問して協力を呼び掛ける考えだ。運営資金も乏しく、今は個人の寄付などでまかなっている。原田さんは「活動を多くの人に知ってもらいたい」と話している。

 フードバンク北九州=093(672)5347。

400アーバン:2014/07/04(金) 00:47:21
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014070400007
独下院、最低賃金導入を可決=来年から時給8.5ユーロ

 【ベルリン時事】ドイツ連邦議会(下院)は3日、法定最低賃金の導入に関する法案を賛成535、反対5、棄権61で可決した。連邦参議院(上院)での採決を経て、2015年から全国で時給8.5ユーロ(約1200円)の最低賃金制度が実施される。
 連立与党による協議の結果、一部業種には導入まで2年間の猶予期間を付与。また、18歳未満の労働者や、就職するまで長期失業状態だった人は適用外となる。このため、労働組合からは不十分との声が上がっている。一方、最低賃金の導入は企業の競争力低下や失業者の増加につながるとの批判もある。(2014/07/04-00:18)

401チバQ:2014/07/09(水) 23:28:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140709-00000013-jij-n_ame
日本の外国人実習に懸念=「強制労働の温床」―米大使
時事通信 7月9日(水)6時42分配信

 【ワシントン時事】人身売買問題を担当する米国のシデバカ無任所大使は8日、上院外交委員会の小委員会で開かれた公聴会で証言し、日本政府が運営する外国人技能実習制度が「強制労働」の温床になっていると改めて懸念を示した。
 シデバカ大使は「人身売買業者は(外国人を)強制労働に服させるのに同制度を利用し続けている」と指摘。日本政府が運用を十分に監督できていないところに問題があるとした上で、「われわれは監督機能を強化するため、日本政府と緊密に協力していくつもりだ」と語った。

402アーバン:2014/07/15(火) 19:54:15
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140715/k10013033873000.htm
最低賃金の逆転現象は5都道県
7月15日 17時53分


最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の受給額を下回る、いわゆる「逆転現象」が起きている自治体が、北海道や広島、東京など5つに上ることが、15日開かれた厚生労働省の審議会で示されました。

企業が従業員に最低限支払わなければならない最低賃金は、毎年、厚生労働省の審議会が示す目安を基に都道府県ごとに決められていて、全国の平均は時給で764円となっています。
15日開かれた審議会では、最低賃金で1日8時間、週5日働いた場合の1か月の収入と、12歳から19歳の単身の世帯を基準に算定した生活保護の受給額の比較が示されました。
それによりますと、最低賃金が生活保護を下回るいわゆる「逆転現象」が起きている自治体は、北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5つに上ったということです。
差額が最も大きかったのは北海道で、生活保護の受給額およそ10万9000円に対し、最低賃金の収入は10万8000円でした。逆転現象を解消するには、最低賃金の時給を、北海道で11円、広島で4円、宮城と東京、兵庫で1円以上それぞれ引き上げる必要があります。
逆転現象については、働く意欲をそぎかねないとして、生活保護の水準に配慮して最低賃金を決めるよう7年前、法律が改正され、去年、北海道を除く都府県で解消されましたが、その後、生活保護の住宅手当などが増額されたため、再び逆転する地域が出たということです。

403アーバン:2014/07/20(日) 00:15:50
http://www.asahi.com/articles/ASG7L4JY0G7LULFA01Q.html
働く障害者393人が「虐待」被害 最低賃金未満は8割

2014年7月19日17時00分

 企業で働く障害者のうち2013年度に経営者や上司から「虐待」を受けたと国が認定した人が393人いたことが、厚生労働省の調査でわかった。国が定める最低賃金未満で働かせていた事例が全体の8割を占めた。虐待があった253事業所のうち従業員30人未満の事業所が3分の2を占めていた。

 12年10月施行の「障害者虐待防止法」に基づいて厚労省が集計し、18日に発表した。1年を通した件数が明らかになるのは今回が初めて。

 虐待の内容別では、最低賃金未満で働かせたり、残業代を払わなかったりした経済的虐待が最も多かった。続いて、ミスに対して「頭が悪くなっている」と上司が発言するなどした心理的虐待と、棒でたたくなどの身体的虐待が多かった。

405アーバン:2014/07/29(火) 22:25:12
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140729-00000101-mai-soci

<最低賃金>16円上げ…全国平均 2年連続2桁

毎日新聞 7月29日(火)21時41分配信



 あらゆる労働者の賃金底上げにつながる今年度の「最低賃金」の目安となる額について、厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」(会長、仁田道夫・国士舘大教授)の小委員会は29日、全国平均で16円引き上げることを決めた。日額から時給に変更した2002年度以降、最大の上昇幅で、2桁の引き上げは、昨年度の14円に続き2年連続。目安を参考に各都道府県が新しい最低賃金を決め、今秋から実施する。目安通り実施されると、最低賃金の全国平均は現行の764円から780円になる。

 ◇「生活保護と逆転」解消

 小委員会は経済指標を基に各都道府県をA〜Dのランクに分け、Aは19円、Bは15円、Cは14円、Dは13円と、引き上げ額の目安を示した。人口を加味した全国平均(加重平均)では16円となる。目安通りなら、最も高い東京が888円、最も低い島根、沖縄など9県は677円。差額は211円で、前年度の205円より拡大する。

 最低賃金で稼げる金額が生活保護水準を下回る「逆転現象」は現在、北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5都道県で起きている。差額を最低賃金に換算すると、北海道が11円、その他の4都県は1〜4円で、今回の目安に沿った引き上げが実現すれば、すべて解消される。

 小委員会は労働者側、使用者側双方の委員などで構成される。労働者側委員は、物価上昇や春闘などでの賃金引き上げ、企業利益の改善などを理由に大幅な引き上げを求めた。有効求人倍率が高い水準を保っていることなどから、経済の好循環を考慮し田村憲久厚労相も今月15日の記者会見で「昨年度並みか、それより良い成果を」と述べていた。ただ使用者側の委員が「中小企業まで業績改善が波及していない」などと難色を示し、28日午前から始まった協議は29日未明にいったん終了。29日午後から再度協議してやっと決着した。

 2桁の最低賃金引き上げは、目安ベースでは2年連続。各都道府県が実際に定める最低賃金(実施ベース)は、2012年度は前年度から12円上がり749円、13年度も15円上昇し764円となっており、今回も2桁上昇すれば、3年連続になる。ただ、消費増税や物価上昇の影響もあり、5月の毎月勤労統計調査(確報)で物価上昇を除いた実質賃金指数が1年前より3.8%減っている。今回の16円は比率にして約2%増に過ぎず、目安通り賃金が増えても必ずしも実質賃金増とは言えない。【東海林智】

 【ことば】最低賃金

 事業者が労働者に支払わなければならない最低時給の金額。正社員、非正規、パート、派遣といった雇用の形態にかかわらず、すべての労働者に適用される。各都道府県は物価や所得などの経済指標をもとにA〜Dの4段階に分けられ、国がランクごとに目安となる引き上げ額を示し、都道府県の労働局がその目安額を参考に金額を決める仕組み。毎年改定され、10月をめどに新最低賃金が適用される。最低賃金未満で雇用することは許されず、違反すると事業者に罰金が科される。

406チバQ:2014/07/31(木) 22:21:20
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140731-00000048-asahi-bus_all
24時間連続勤務・2週間帰れず…すき家第三者委が報告
朝日新聞デジタル 7月31日(木)21時30分配信

会見するゼンショーHDの小川賢太郎社長(右)=31日、東京都千代田区、北村玲奈撮影
 牛丼チェーン「すき家」で退職者が相次ぎ、多くの店が休業に追い込まれた問題で31日、運営するゼンショーホールディングス(HD)が設置した第三者委員会の報告書がまとまった。長時間残業を強いられ、違法な労働環境が日常化していた。経営陣は労働条件の見直しを約束したが、報酬返上などによる責任の明確化は考えていない。


 すき家は今年2月、「牛すき鍋定食」の販売を始めたが、店舗の業務量が増えて退職者が続出した。人手が足りず、4月にかけて247店舗が一時休業などに追い込まれた。

 ゼンショーはこれを受け、4月末に久保利英明弁護士を委員長とする第三者委を設置した。第三者委はすき家の社員・バイト計3万人のうち、社員561人、バイト468人へのアンケートなどを実施した。

 報告書によると、社員やバイトの残業時間が「過労死ライン」とされる月100時間を超えることが多かった。ほとんどの社員が24時間連続で働いた経験があり、2週間、自宅に帰れなかった社員もいた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140731-00050163-yom-bus_all
「すき家」ゼンショー、深夜1人勤務解消の方針
読売新聞 7月31日(木)21時19分配信

 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)は31日、深夜に1人勤務になっている状態を解消する方針を発表した。

 長時間労働の見直しなどにも取り組む。

 外部の有識者でつくる第三者委員会が同日、「過重労働問題に対する麻痺(まひ)が社内で蔓延(まんえん)していた」などと批判する報告書を提出した。これを受けて記者会見した小川賢太郎会長兼社長は「真剣に受け止め、速やかに是正したい」と述べた。

 ただ、具体的な改善内容は今後の検討として、明言を避けた。すき家では今年4月、人手が足りず、最大で123店舗が店を開けられない状態となっていた。

 報告書は、ゼンショーが2012年度以降、時間外労働などで労働基準監督署から受けた是正勧告書が64通に上っているとした。恒常的に月500時間以上働いた例や、家に2週間帰らなかった従業員がいたことも指摘した。

407チバQ:2014/08/03(日) 21:11:02
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140801-00000507-biz_fsi-nb

過酷…すき家元社員の“悲鳴” 「20キロ痩せた」「24時間連続勤務」

SankeiBiz 2014/8/2 10:02





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ゼンショーが運営する「すき家」は長時間勤務などの労働問題が指摘されている

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 牛丼チェーン最大手「すき家」の過剰労働問題をめぐり、ゼンショーホールディングス(HD)の第三者委員会(委員長・久保利英明弁護士)が7月31日提出した調査報告書。かねて深夜の「ワンオペ」と呼ばれる1人勤務体制は知られていたが、従業員への匿名アンケートなどに基づく報告では、その労働環境の過酷な実態と背景が詳しく指摘された。
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 「理不尽なことが多い。サービス残業が多く、未払いになっている」「年末親に会い、20キログラム痩せてみてられない、辞めてくれと頼まれた」「居眠り運転で交通事故を3回起こした。人が取れず、金曜から月曜は回転になる」
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 事業会社のゼンショーを2013〜14年に退職した社員らが上げた“悲鳴”の一部だ。「回転」とは、店舗での24時間連続勤務を指す同社独自の隠語で、調査委がヒアリングした現場社員の大半がこれを経験していた。恒常的に月500時間以上働いていたり、多忙で2週間帰宅できなかったりした従業員もみられたという。
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 その一因が、定着率の低さによる社員の慢性的な不足だ。すき家の今年4月の店舗数は1986店と3年前より414店増えたが、契約・シニアを含めた社員数は9人増の584人とほぼ変わっていない。新卒社員の離職率は、10年入社組の約33%から11年組の約40%、12年組の約46%と年々悪化していた。
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 退職社員らの“悲鳴”は会社側も把握していたはずだが、是正されなかった。その背景には、1982年の創業からわずか30年で外食最大手に急成長した同社の企業文化がある。
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 調査委の久保利委員長は「会社が短期間で急成長を遂げた成功体験から、創業メンバーら経営幹部の間に長時間労働を容認する考え方が根強く、法令を軽視していた」と指摘した。
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 報告書では、深夜時間帯の「ワンオペ」についても厳しく言及。強盗事件の頻発の頻発で社会的批判が高まったことをうけ、ゼンショーは2011年に複数勤務態勢へ改善する方針を発表したが、「3年近くそれを実行していない会社の対応は問題だ」「店舗が不衛生になり、あまりにも客を待たせる」と批判した。
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 ワンオペ解消について、会社側は「2人体制を目指しているが、今のところ半分しかできていない。1日も早く100%にしたい」(興津龍太郎・ゼンショー社長)と会見で述べたものの、時期については「1日も早く適正な人員配置ができるように努力する」と繰り返すのみで、明快な答えを示さなかった。
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 ゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長は「『人手が足りなければ店を閉めろ』というのは乱暴な話だ。1店舗で働く人は15〜20人おり、彼らにとってかけがえのない職場でもある。従業員やその家族からは店を開けてくれという声もある」と釈明。
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 さらに「ワンオペは、時間当たり売上高に対する適切な労働力投入、という考え方だ。クルーを増やせば顧客満足度が上がり売り上げも上がるが、経営が立ちゆかなくなっては(元も子もない)」と本音をのぞかせた。
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 「『顧客第一主義』を貫いてきたが、『従業員満足度』とのバランスが欠けていた」と反省し、「すき家以外の『ココス』や『はま寿司』などグループ3千店についても『問題があるのでは』という観点からチェックを進めたい」と語る小川氏。年間4600億円以上の売り上げを誇る外食最大手として、業界をリードする是正の取り組みが求められる。

408チバQ:2014/08/04(月) 21:25:53
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140804-00000512-san-bus_all
「世界最悪の経営者」に選ばれたアマゾンCEO…“元祖ブラック企業”に強まる逆風
産経新聞 8月4日(月)12時10分配信

 米IT大手アマゾン・コムが激しい逆風にさらされている。労働組合などから「元祖ブラック企業」とやゆされる職場環境の厳しさが、メディアの潜入ルポなどを通じて世界中で社会問題化。さらに、ゲームソフトを購入した子供が高額請求される問題で当局が同社を提訴し、「子供を食い物にしている」との批判も高まっている。いずれもアマゾンは「法律は守っている」と反論しているが、非難の声はにわかにおさまりそうにない。

 ◆潜入ルポ「10時間労働17キロ歩かす物流センター」

 日本ではほとんど報じられていないが、ドイツ発のあるニュースが世界の労組関係者や経営者の間で最近ずいぶん話題になった。

 労組の国際組織である国際総連合(ITUC)が五月にベルリンで世界大会を開催したのだが、そこでのアンケートで、「世界最悪の経営者」に、アマゾンの創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が選ばれたのだ。

 ベゾス氏は、米新聞・雑誌大手ニューズ・コーポレーションを率いるルパート・マードック氏らノミネートされた他の8人を抑え、約23%の得票率でトップだった。ITUCのバロー書記長は「アマゾンは従業員をロボットのように扱っており、ベゾス氏は雇用者としての残虐性を象徴している」と痛烈に批判した。

 昨年末の年末商戦では、そのドイツで、アマゾンの従業員が大規模なストライキを実施した。ドイツはアマゾンにとって本国の米国に次ぐ大市場で、労組幹部は「アマゾンの制度は低賃金と短期契約で特徴づけられる」と切り捨てる。

 ジャーナリストの潜入ルポが数多いのもアマゾンという企業の特徴だ。最近では英BBCの記者の潜入取材が話題となった。

 BBCの記者は英ウェールズ南部のアマゾンの物流センターで働き、台車を押して商品を収集する作業に従事した。記者によると、従業員は「想像を絶する」重圧の中で仕事を強いられ、「精神的および身体的疾患を招きかねない」ほどという。10時間強に及ぶ夜間の1回の勤務シフトで従業員が歩く距離は17キロにも達する。作業が遅いと、「訓練の必要がある」と警告を受けるという。

 もっとも、アマゾンは「従業員の安全を最優先にしているし、法律も守っている」と反論している。作業自体は他の多くの業界と同様で、「第三者的な立場の専門家から整然かつ法律に準拠しているとの評価を得ている」し、精神的・肉体的な病気を招くとの指摘もあたらないという。

 ただ、米国やフランスでも、アマゾンの苛酷な労働現場を伝える報道が相次ぎ、「足が水ぶくれになった」といった健康被害を訴える報告が絶えない。

 ◆当局とも対決

 米連邦取引委員会(FTC)は7月10日、アマゾンをワシントン州の連邦地裁に提訴した。

 当局がやり玉にあげたのが、アマゾンがスマートフォン(高機能携帯電話)など携帯端末向けに展開しているゲームなどのアプリ配信だ。このサービスでは、一度パスワードを入力すると、しばらくの間は無制限でクレジットカードでアイテムなどが購入できる。これに目をつけた子供が親に無断で利用しまくり、後から目が飛び出るような高額請求で腰を抜かすといったトラブルが多発している。

 FTCは、数百万ドルにも上る請求は違法であるとして、代金の返還と、子供の利用を監視し消費者保護につながる仕組みの改善をアマゾンに求めた。

 実はこうした事例が米国では社会問題化しており、アップルもゲームでの課金をめぐって、代金を利用者に返還することで1月にFTCと和解した。

 しかし、アマゾンは「違法ではない。裁判でわれわれの立場を主張する」と真っ向から争う姿勢だ。これが教育関係者や消費者団体などからの批判も招き、騒ぎが大きくなっている。

409チバQ:2014/08/04(月) 21:26:15
◆広がる軋轢

 さらにアマゾンを非難する声は近年、各方面から上がっている。たとえば、米IT企業が各国の課税制度の違いを利用し、節税にいそしんでいるニュースが話題になったが、アマゾンの場合は低税率国のルクセンブルクを経由し、たとえば欧州では税率の高い英国などで現地法人が大幅な税の支払いを免れている。

 アマゾンが「脱法行為ではない」と主張しているように、こうした手法は合法的な節税手段ではある。それでも、欧米の議会で「課税逃れ」と反発する声が高まり、経済協力開発機構(OECD)などが国際的な税制の調整や見直しを提言する事態へと発展した。

 また、最近では、フランスで、小規模書店の保護を目的に、オンラインの書籍販売で配送無料のサービスを禁じる法案が可決された。法案が電子書籍市場の巨人であるアマゾンを狙い撃ちしているのは明白で、アマゾンは規制強化の動きに、「消費者に不利益をもたらす」と反発していた。

 アマゾンの総帥であるベゾス氏は「顧客中心」主義を掲げ、そのために自社の方針を守るためなら、社内外で軋轢を恐れぬ企業文化を持つとよく指摘される。

 ただ、ベンチャーだった時代とは違い、ネット通販の覇者として巨大企業となった今、摩擦をどう乗り越えて成長を続けていくか、正念場を迎えている。
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410とはずがたり:2014/08/06(水) 12:37:53
自助独立の国アメリカの印象だけど随分貧困層対策にお金を投じてはいるんだな。。
>庶民の生活レベルの比較だけは、かなり慎重を要する。米国では月収1174ドル(約8万9000円)または年収1万4088ドル(約107万円)以下の低所得層は食糧配給券がもらえるが、中国の貧困ラインは月収100元(約1190円)または年収1196元(約1万4000円)だ。つまり、中国では4300万人以上の低所得層が肉も食べずにじっと我慢しているのに対し、米国では4600万人以上の低所得層が冷蔵庫をファーストフードで買ったチキンでいっぱいにしているのである。そのチキン1つにつき、中国は8%も貢献している。この数字は中国が保有する米国債の比率である。

中国は潤沢な資金有るんだから共産党幹部から税金ちゃんと取って貧困層に手厚くばらまきすればもうちょっとマシな国になりそうなもんだが。

中国は公務員のメンツ、米国は庶民の尊厳=政府が最も優遇しているもの―中国掲示板
http://www.recordchina.co.jp/a54554.html
配信日時:2011年9月23日 5時41分

19日、中国では公務員のメンツが最も優遇され、米国は庶民の尊厳が最も優遇されていると論じたコラムが、中国大手メディアの掲示板に掲載された。写真は3月、西安市で新規採用された公務員約500人の宣誓式。
2011年9月19日、中国では公務員のメンツが最も優遇され、米国は庶民の尊厳が最も優遇されていると論じたコラムが、環球網の掲示板「環球社区」に掲載された。以下はその内容。

中国人は祖国と米国を比較することが大好きだ。最近では、「中国では、ケンタッキーが1回30元(約350円)、レストランは100元(約1190円)、リーバイスのジーパンが1本400元(約4770円)、シャレードが1台3万元(約35万円)。米国はケンタッキー4ドル(約300円)、レストラン40ドル(約3000円)、リーバイス20ドル(約1500円)、BMWが3万ドル(約228万円)」との比較がネット上で大流行し、集団で高インフレに対する焦りを語り合った。

その勢いは止まるところを知らず、ついには政府の統率の下でこの高インフレに打ち勝つという自信すら揺るがすほどに。そしてこれが、中国共産党機関紙・人民日報の注意を引いた。同紙は混乱を鎮めるため、「中国では海外ブランドなど高級品は確かに高すぎるが、海外での理髪代は中国の5倍、地下鉄は10倍だ」とする記事を掲載。これにより、少々冗談めいた米中の物価比較がたちまち威厳を帯びてきた。

だが、結局は100%客観的に両国の物価を比較することなどできない。要するに各々が欲しい結果に合わせた比較をしているだけだ。その比較の仕方は主観的な色彩が相当濃い。だから、祖国の偉大な繁栄ぶりを感じたければ、国営テレビのニュース番組を毎日視聴すればよいし、祖国を悪者扱いしたければ、米CNNを視聴すればよい。

ただ、庶民の生活レベルの比較だけは、かなり慎重を要する。米国では月収1174ドル(約8万9000円)または年収1万4088ドル(約107万円)以下の低所得層は食糧配給券がもらえるが、中国の貧困ラインは月収100元(約1190円)または年収1196元(約1万4000円)だ。つまり、中国では4300万人以上の低所得層が肉も食べずにじっと我慢しているのに対し、米国では4600万人以上の低所得層が冷蔵庫をファーストフードで買ったチキンでいっぱいにしているのである。

そのチキン1つにつき、中国は8%も貢献している。この数字は中国が保有する米国債の比率である。米国政府は対外債務の60%を民生や教育につぎ込んでいるそうだ。これはつまり、GDPの成長率や財政収入の伸び、公務員の無駄遣いという面では明らかに中国の方が米国より「メンツ」を保っているが、庶民の生活レベルで比較すると、米国の民衆の方が中国の人民より尊厳が保たれているということを意味する。

今、最も重要な使命は意地になって張り合い、米国を圧倒したと言い張ることではない。問題意識を高め、改革の深化を通じて、公平で正しい社会を実現し、大衆に改革と発展の成果を享受させることである。(翻訳・編集/NN)

411とはずがたり:2014/08/30(土) 09:32:12
子どもの貧困対策、政府大綱が決定 実効性に不安の声も
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASG8X72P2G8XUTFL00C.html
朝日新聞2014年8月30日(土)08:53

 政府は29日、子どもの貧困対策の「大綱」を閣議決定した。親から子への「貧困の連鎖」を防ぐために、初めて重点政策をまとめたものだ。ただ数値目標はなく、新規の取り組みも乏しい。関係者からは「不十分」との声が出ている。

 「子どもたちが夢と希望をもって成長していける社会の実現を目指していく」。安倍晋三首相はこの日開かれた子どもの貧困対策会議でこう述べた。

 16・3%。18歳未満の子どもの貧困率(2012年)は過去最悪を記録した。貧困率とは、世帯収入から子を含む全員の所得を仮に計算し、真ん中の人の所得の半分に満たない人の割合だ。大綱は、貧困の連鎖を防ぐ対策を国の責務とする「子どもの貧困対策法」(1月施行)で策定が義務づけられ、「教育」「保護者の就労」など4分野の支援策をまとめた。教育分野では、学校を支援の「プラットフォーム」にするとうたう。スクールソーシャルワーカーの増員、卒業後の収入に応じて返還額が抑えられる所得連動型奨学金の検討などを打ち出した。

412アーバン:2014/08/30(土) 22:35:26
http://mainichi.jp/select/news/20140829k0000m040062000c.html

最低賃金:平均780円 「逆転現象」全都道県で解消

毎日新聞 2014年08月28日 20時43分(最終更新 08月29日 00時22分)


 厚生労働省は28日、2014年度の47都道府県の最低賃金改定の答申状況をまとめた。全国平均は780円で、平均引き上げ額は16円となった。最低賃金が2桁の増額となるのは3年連続。生活保護水準を時給に換算した額を下回る逆転現象があった都道県5カ所は全て解消した。08年度に比較を開始して以降、逆転現象がなくなったのは初めて。

 厚労省のまとめによると、各都道府県の引き上げ幅は13円から21円。改定後の時給が最も高いのは東京都の888円、次いで神奈川県887円だった。昨年は800円台が3都府県だったが、埼玉、愛知県が加わり5都府県となった。一方、時給が最も低いのは鳥取、高知、長崎など7県の677円で、東京との差は205円から211円へと拡大した。

 改定された最低賃金は10月1日から順次発効し、10月中に全都道府県で改定される。

 最低賃金法は、最低賃金以下で人を雇うことを禁じており、改定はパートなど非正規労働者の賃金に直接影響を与える。今回の改定について労働組合幹部は「消費税や物価上昇分には追いついていない」との見方を示しており、「最低賃金で生活できるかどうかの議論が欠けている」との指摘も出ている。【東海林智】

413アーバン:2014/08/30(土) 22:37:28
都道府県 新最低賃金 引き上げ

☆北海道  748 14

 青 森  679 14

 岩 手  678 13

☆宮 城  710 14

 秋 田  679 14

 山 形  680 15

 福 島  689 14

 茨 城  729 16

 栃 木  733 15

 群 馬  721 14

 埼 玉  802 17

 千 葉  798 21

☆東 京  888 19

 神奈川  887 19

 新 潟  715 14

 富 山  728 16

 石 川  718 14

 福 井  716 15

 山 梨  721 15

 長 野  728 15

 岐 阜  738 14

 静 岡  765 16

 愛 知  800 20

 三 重  753 16

 滋 賀  746 16

 京 都  789 16

 大 阪  838 19

☆兵 庫  776 15

 奈 良  724 14

 和歌山  715 14

 鳥 取  677 13

 島 根  679 15

 岡 山  719 16

☆広 島  750 17

 山 口  715 14

 徳 島  679 13

 香 川  702 16

 愛 媛  680 14

 高 知  677 13

 福 岡  727 15

 佐 賀  678 14

 長 崎  677 13

 熊 本  677 13

 大 分  677 13

 宮 崎  677 13

 鹿児島  678 13

 沖 縄  677 13

全国加重平均780 16

注・☆印は生活保護水準との逆転現象があったが解消した都道県。10月1日から順次発効する

414とはずがたり:2014/09/04(木) 14:46:05
「ぐるぐる病院」中止を 生活保護受給 流山市の男性、国と千葉県に指導要望 5年間で20回以上転院
http://news.goo.ne.jp/article/chiba/region/chiba-29346576.html
千葉日報2014年9月4日(木)10:16

 不必要な転院の即時中止と退院などを求め、東京都足立区内の病院に入院している無職男性(59)が生活保護機関の流山市を指導するように国と千葉県に要望書を出したことが3日、関係者への取材で分かった。生活保護受給者が短期間で頻繁に入退院を繰り返させられるケースは「ぐるぐる病院」と呼ばれ、国が実態把握に乗り出している。男性は5年間で20回以上転院させられている。
 「ぐるぐる病院」をめぐっては、8月、総務省が実態把握と改善を厚労省に勧告。生活保護受給者の医療費は保護費から支出され、受給者に負担は生じない。一方、病院側は入院が長期化すると診療報酬が下がる仕組みになっているため、たびたびの転院は高額の医療費目的との指摘もある。
 要望書などによると、男性は2007年10月、全身の筋力が低下する病気を発症し、都内の大学病院に入院した。当初の病状は深刻だったが、次第に回復し、09年1月、流山市内の病院に転院。住民票を同市に移し、同市から生活保護を受けるようになった。
 その後、1〜3カ月間ごとに県内や群馬、栃木、埼玉県などの病院を転々とさせられ、同じ病院に間隔を開けて複数回入院したことも。転院のたびにレントゲン検査などを受けたが、短期間で移動するため効果的なリハビリが受けられず回復が遅れたうえ、中にはリハビリ施設のない転院先もあった。
 男性は現在、車いすでの移動に支障はなく、介護サービスを利用すれば自宅での生活も可能とされる。流山市の担当者に「退院したい」「障害年金を受けたい」などと連絡したが、市側は「前例がない」「(自分で)居宅を探せば支援する」などと退院をさせず、男性は長期の入院を余儀なくされている。
 要望書で、男性は生活保護法に基づき流山市に対し、短期入退院の実態報告とともに、不必要な転院の即時中止と、住宅確保と必要な介護サービスの手配を行い居宅での生活支援の実施を指示するように国や県に求めている。
 男性の代理人で、医療扶助・人権ネットワークの内田明弁護士(36)は「行政の支援がないと、自立は事実上できない。男性が自立した生活を実現できるように、行政に動いてほしい」とコメント。男性は氷山の一角で類似のケースは多くが埋もれたままになっていると推測できるという。
 流山市は「詳しい内容が確認できないので答えられない」としている。

415とはずがたり:2014/09/16(火) 15:20:25

「ニート」は“40歳”がターニングポイント
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1398669980653.html
Excite Bit コネタ 2014年5月7日 08時00分

416チバQ:2014/10/29(水) 06:31:19
http://mainichi.jp/select/news/20141029k0000m010153000c.html
労働者派遣法改正案:「正社員への希望消える」労働者反発
毎日新聞 2014年10月29日 00時06分(最終更新 10月29日 00時23分)
◇衆院本会議で審議入り

 28日の衆院本会議で審議入りした労働者派遣法改正案について、政府は「派遣労働者の能力向上を図り、正社員への転換を促す」と説明している。しかし、企業は運用次第で派遣労働者をずっと使い続けることが可能になるのが実態だ。労働組合は「生涯派遣、正社員ゼロ法案」と強く反発。派遣労働者からは「正社員として働く希望さえなくなる」との声も上がっており、審議を通じて問題点が浮き彫りになりそうだ。【東海林智、吉田啓志】

 現行法は派遣労働の固定化を避けるため、一般事務など大半の仕事は派遣労働者を3年しか雇えない。一方、高い技量が必要で企業側の需要が高い専門26業務は、この規制がない。ただ、こうした労働者保護の規定も、力関係の強い派遣先企業との間で十分には守られていない。

 派遣で7年間働く東京都内の女性事務員(32)は、仕事は一般事務だが、派遣先では専門26業務の一つ「OA機器操作」要員とされる。今の職場は3年の上限を上回る5年目で「派遣は立場が弱く、違法でもモノが言えない」と漏らす。

 改正案が成立すれば、専門26業務は廃止され、全業務とも派遣期間の上限が3年となる。その一方で、労働者を3年ごとに入れ替えれば、どんな仕事でも永久に派遣に任せられるようになる。

 専門職でも、派遣労働者は3年で仕事を変わることを迫られる。女性事務員は「頑張っていれば、いつか正社員に」とボーナスがない仕事に耐えてきた。成立すれば、職場で3年ごとに派遣労働者が入れ替わる事態も起きかねない。

 厚生労働省の調査では、派遣労働者約116万人のうち6割以上は、正社員登用を望んでいる。改正案は正社員化を後押しするため、派遣元企業に対して労働者への計画的な教育訓練や、派遣先に直接雇用を求めることなどを義務づける。同省は「派遣が増えることはない」と語る。

 ただ、改正案が実際に安定雇用につながるかどうかは懐疑的な見方が強い。大卒後に派遣で働き続けてきた女性(42)は、商業英語を学ぶなど能力を磨いてきたが、正社員にはなれていない。派遣社員と企業の発言権の大きさはかけ離れており、「会社は使い勝手がよくなったと思っただけ。私たちは都合のいい部品なのか」と憤る。

 若手では派遣と正社員の賃金に大差はないが、40代後半の派遣の平均は時給換算で1200円台で、正社員の4割にとどまる(同省調べ)。連合の古賀伸明会長は「賃金格差をなくすこともなく、やみくもに派遣を増やす改正は絶対に認められない」としている。

 ◇審議入り遅れで、成立は微妙な情勢

 労働者派遣法改正案は、企業が派遣労働を活用しやすくするもので、安倍内閣は成長戦略の一環として成立を図る方針だ。ただ「政治とカネ」をめぐる混乱で、審議入りは当初目指した14日から2週間ずれ込んだ。野党が対決法案と位置付ける中、今国会での成立は微妙な情勢だ。

 安倍首相は28日の衆院本会議で「『生涯派遣』の労働者を増やすとの指摘は当たらない」と成立に理解を求めた。一方、民主党の海江田万里代表は東京都内で記者団に「首相は派遣の立場を全く分かっていない。格差が固定化され、派遣労働者の数が増える」と廃案を目指す姿勢を強調した。

 政府は当初、今年の通常国会で改正案の成立を目指したが、法案に誤記が見つかり、一度は廃案になった。ただ、労働規制の見直しは第1次政権以来の首相の宿願で、改めて今国会に提出した。

 自民党の佐藤勉国対委員長は28日の記者会見で「遅くとも11月7日の参院本会議で趣旨説明をしたい」と審議を急ぐ考えを強調。党関係者は「少しでも遅れたらだめになる」と危機感を強めている。【水脇友輔、佐藤慶】

417名無しさん:2015/02/05(木) 21:22:15
http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujitatakanori/20150204-00042801/
家を借りることがリスクの時代:檻のない「牢獄」と化した実家
藤田孝典 | NPO法人ほっとプラス代表理事、社会福祉士
2015年2月4日 16時30分

ビッグイシュー基金住宅政策提案委員会で発表した原稿をYahoo!でも掲載します。

また、この報告書の発表シンポジウムも以下の通り、まもなく予定されていますので、よければ参加ください。

『市民が考える若者の住宅問題』『若者の住宅問題』―住宅政策提案書[調査編― 発表シンポジウム]のご案内
日時:2015年2月8日(日)14時〜16時半(13時半より受付開始)
場所:損害保険ジャパン日本興亜 本社ビル2F 大会議室

ビッグイシューとは、2003年9月に創刊したホームレスの人々が路上で販売できる雑誌です。
救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供しホームレスの自立を応援する事業です。

厚生労働省の調査(2012年)では野宿生活者の約6割を超える人が働いており、約3割の人は仕事をして自立したいと思っています。
『ビッグイシュー日本版』は働き収入を得る機会を提供します。

出典:ビッグイシューHP
家を借りることがリスクの時代:檻のない「牢獄」と化した実家
今回の住宅に関する調査結果には、想定を超える衝撃があった。それは実家を出ることが最大のリスクであるということだ。
親と同居する理由で約半数を占めるのは、「家賃が負担できないから」であった。
賃金や収入が低く、家賃を払いたくても払えない若者は、親に依存しなければ生きていけない状況が見えてくる。

特に、低所得であればあるほど、親と同居している。
そして、所得が低く、親と同居しているほど、結婚の予定がないと回答している。
若者自身が実家を出ることを賢明ではないと判断し、そこに居続けること以外に選択肢がないと考えている。
家を借りられないから実家から出られない。

これは実家がある最低限の生活は保障するが、自由な生活を奪う「牢獄」として機能しているといっても言い過ぎではないと感じる。

そして、若者が結婚できない理由も少子化の原因も、不思議なことに住宅に関する質問から浮かび上がることが興味深い。
低所得層に対する家賃補助制度がほとんどない日本における課題といえる。
住まいは、まさに人々の生活の基礎で、それが侵されると健康で文化的な生活を送ることができない状況が見えてくる。

さらに、学歴が関係ないということも新しい発見であった。
一般的に、低学歴の若者は、所得が低く、学歴と所得の相関関係は極めて高い。
だから、人々は一般的に、可能であれば大学など、高等教育を受けて、収入を得られやすい仕事に就くため、有利な条件を整えようとする。しかし、低所得で親と同居している若者にとってはあまり関係がないようだ。

大卒でも低所得であり、住居を自由に選択し、自分らしい生活をおくる選択肢が提供されていない。
これは非正規雇用の拡がりによる低所得が要因だが、大学など高い学費を求める教育機関の意義を問う内容でもある。

要するに、若者は大卒でも貧困に至っている。
これは事実である。そして、その貧困に大学ではなく、親がともに対抗し、サポートをしている。

そして、学齢期のいじめや不登校などの経験を有する人が多いということにも驚きだった。
フランスでは、このいじめや不登校の問題を社会的排除という用語で説明し、その状況が続くと、貧困や低所得と密接な因果関係を有するようになるとみている。
学齢期や幼少期に社会的排除を受けると、まさに自立を阻害する要因として、根深くその傷跡が人生に突き刺さることを意味している。

418名無しさん:2015/02/05(木) 21:22:27
>>417

私が所属するNPO法人ほっとプラスには、親が子を支えきれなくなり、親子で相談に来られる事例がある。
あるいは親から「出て行け」と言われて、ホームレス状態になって相談に来られる若者もいる。
親のサポートがなければ、なすすべなく容易に貧困に至る若者の姿が見えてきた。
今回の調査ではそれが裏付けられる結果となった意義は大きい。

同時に、低所得層の若者は、精神疾患や生活課題を抱えており、住宅について考える余裕がない。
約3割の若者は、うつ病などの精神疾患を抱えていると回答している。
すでに働いて生計を維持することに困難な要因を抱えており、住宅だけでなく、生活全体を親が支えている。
親がいなくなった後の生活を想定すると、何らかのサポートが必要となるのは明らかだ。

しかし、日本の社会福祉制度は、この現役世代あるいは稼動年齢層ともいうべき、若者に対する支援が極めて弱い。
若者の貧困対策は、概ねとられておらず、企業に委ねてきた。
その企業が十分な賃金を払わず、身分が不安定だとしたら、ということは想定していない。

ただし、希望がないわけではない。
これらの若者を含むようにして、2015年4月から生活困窮者自立支援法が施行される予定だ。
この法律はこのような若者を包摂し、支援できるだろうか。

この法律をきっかけにして、さらなる社会福祉制度の充実、すなわち若者が潜在的に求める一般的な家賃補助制度の創設や低家賃の住宅創出という新たな支援策を構築することができるだろうか。
実態に即した支援を展開できるように、その法律の運用を注意深く見守りたい。


藤田孝典
NPO法人ほっとプラス代表理事、社会福祉士
1982年生まれ。埼玉県越谷市在住。社会福祉士。首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャルワーカー。生活保護や生活困窮者支援の在り方に関する活動と提言を行う。NPO法人ほっとプラス代表理事。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。著書に『ひとりも殺させない』『反貧困のソーシャルワーク実践』など。

419名無しさん:2015/02/07(土) 10:33:59
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2015020600787
共産吉良氏が「ブラック企業」追及=安倍首相も一定理解−参院決算委

 6日の参院決算委員会で、共産党の吉良佳子氏が劣悪な労働環境が社会問題になっている「ブラック企業」の実態を取り上げて政府の対応をただし、安倍晋三首相も取り締まり強化の必要性に理解を示す場面があった。

 吉良氏は若者の雇用環境改善を訴え、2013年夏の参院選で初当選した。首相と委員会で論戦を交わすのはこの日が初めてで、複数の大手外食チェーンの企業名を挙げながら「ブラックバイト」と呼ばれるアルバイト現場の状況を告発。「行政は悪質企業の社名を公表すべきだ」と迫った。
 塩崎恭久厚生労働相は公表に慎重な答弁を繰り返したが、吉良氏は食い下がり、最後は首相が「例として挙げられた企業は相当悪質だ。指導に従わせるために、さまざまな手段を検討する必要がある」と引き取った。 (2015/02/06-20:29)

420名無しさん:2015/02/08(日) 19:47:40
2030年、老人も自治体も"尊厳死"しかない
湯浅誠×やまもといちろう リベラル対談(後編)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1148427444/976-981

421チバQ:2015/02/08(日) 20:46:30
http://dmm-news.com/article/915384/
アルミ缶集めに苦戦…変わりゆく労働者の街・山谷の今
2015.02.07 16:50 DMMニュース
 山谷は東日本を代表するドヤ街である。僕は15年以上山谷を取材しているが、取材をはじめた時にはすでに寂れていて、その後取材をするたびにどんどん寂れていく印象を持つ。いつまでも生々しい活気がある、大阪の西成(釜ヶ崎、あいりん地区)とは、対称的な雰囲気だ。

50年以上回復しない景気

 早朝は仕事に行く労働者の姿を見るが、昼ごろになると、酔っぱらいがポチポチいる程度で人影がなくなる。昔から山谷にいる人に話しを聞くと、

「山谷に一番活気があったのは1962年のオリンピックの前。オリンピック以降は下がりっぱなし」

 と決まって言われる。50年以上下がりっぱなしというのはすごい。

 山谷最寄りの商店街『いろは会商店街』は、山谷から吉原まで続く全長300メートルの大商店街だが、軒並み閉店していて、シャッター商店街と化している。

 商店街入り口には酒屋があって、泥酔したホームレスが座り込んでいる。シャッターの前では、ホームレスが布団を敷いて寝ていたり、賭け花札をしていたりしている。なんとも荒んだ雰囲気だ。

 2011年には山下智久が矢吹丈を演じた『あしたのジョー』が公開されたのにちなんで、まちおこしキャンペーンが行われた。聖地巡礼的な盛り上がりを期待したんだと思われる。

 現在でもいたるところに『あしたのジョーのふるさと 俺はこの街に帰ってきたぜ!』と書かれた垂れ幕や、ポスターが飾ってあるが、どう見ても効果をあげていない。等身大のジョー人形が寂しく微笑むばかりである。

 最盛期には数万人の労働者がいて、すごい活気があったらしい。その頃の活気が戻ってきて欲しいと、住人も思っているのかと思いきやそうでもないらしい。60歳ぐらいの女性の住人に話を聞くと、

「山谷に活気があった頃は、景気は良かったけれど、治安も悪かった。毎晩酔っぱらいが暴れていたし、時には暴動も起きていた。商店やホテルの人は活気があった方がいいだろうけど、普通に暮らしてる住人は静かな方がいい。だから活気は戻らないほうがいいね」

 と意外な返事がかえってきた。住人の多くは、なんのへんてつもない静かな住宅街になってほしいと思っているようだ。

 ドヤ街のドヤは「宿」の隠語。つまりホテル街という意味だ。そもそもは山谷に住む労働者が泊まるホテルだったが、景気が悪くなるにつれ労働者の数も減り、ホテルも大幅に数を減らした。

 しかし未だに数十件のホテルが営業を続けている。それどころか、新築されたホテルもある。なぜ営業を続けられるのかと言えば、ターゲットを変えたのだ。

 山谷を歩いていると、外国人の姿をよく目にする。海外から東京観光に来ている人たちだ。東京のホテルは高く、ビジネスホテルでも5000円近い値段がする場合が多い。山谷のホテルは昔ながらのドヤの場合は2200円くらいが相場、新築のホテルが3500円くらいが相場とだいぶ安い。

 看板を英語表記にしたりしてターゲットを外国人に寄せたホテルも多いが、『東京バックパッカーズ』など、初めから外国人の客を狙ったホテルもある。

 そもそも山谷は上野や浅草などの観光地が近かったが、スカイツリーもできてますます観光に便利な街になった。また、日本人でも、仕事の出張や、高校の部活の遠征でも使われる場合が増えている。

 山谷と言えばスラム街の印象もあるが、海外の本格的なスラムに比べれば大したことはなく、外国人の人の中にはスラムと気づかない人も多いという。

 全体的に綺麗なホテルが多くなった山谷だが、『いなりや』という名のホテルは素晴らしい外観を保っている。

 夏場は建物全体が緑で覆われ、まるで天空の城ラピュタのような雰囲気だ。現役のドヤなので一度泊まってみたいのだが、残念ながら断られてしまった。

 日雇い労働に代わるビジネスとして福祉ビジネス、介護ビジネスがある。ドヤを改装して、生活保護対応のアパートにしている物件は多い。また大規模な、特別養護老人ホームも多い。『NPO法人(特定非営利活動法人)』や『ヘルパー』の看板もよく見る。山谷は労働者の街から、福祉の街になったのだ。

定番のアルミ缶集めは苦戦

 先ほど山谷は外国人から見たらスラムではないと書いたが、とはいえスラム的要素が全くなくなったわけではない。あしたのジョーにも出てくる玉姫公園は、公園の周りをガッチリ柵で囲まれ、ただならぬ雰囲気になっている。公園内には、ホームレスの荷物が大量に積まれている。子供が遊ぶ公園という雰囲気ではない。

422チバQ:2015/02/08(日) 20:46:41
 ホームレスの仕事と言えば定番なのが、アルミ缶集め。テントの横には集めてきた空き缶が積まれている。買い取り値段は、時期によって多少変動するが、大体1キロ100円程度である。ホームレスに話を聞くと

「一日中自転車で集め回ってやっと3000円いくかいかないか。上手い人だと、マンションの管理人と仲良くなって、アルミ缶を回してもらったりして、効率よく稼ぐ人もいる。ただ最近はアルミ缶を集めるのを商売にしている業者もある。彼らは軽トラを使って根こそぎかき集めていくので、勝負にならない」

 とのこと。なかなか厳しい世界である。週刊漫画雑誌を集めて古本屋に売る人もいて1冊、50円で買い取ってもらえる。駅のゴミ箱で拾ったり、電車の網棚から拾ったりして集める。人気漫画雑誌が出た翌日は、3000円ほどは稼げるらしい。

 ビジネス……とは少し違うかもしれないが、玉姫公園あたりは露出モノのアダルトビデオが撮影されることが多いという。ホームレスの中には、出演しないか? と声をかけられたという人もいた。山谷にはマンモス交番と呼ばれる大きな交番もあるし、警察の監視が薄いとは思えないのだが、それでも普通の住宅街よりは撮影しやすいのかもしれない。

 最後にドヤ街の食事事情に触れたい。ドヤ街と言えば、量が多くて安い食堂や、ホルモン焼き、おでんなどのお店が多い印象だ。確かに山谷にも、そういうお店はあるのだが、昔に比べると随分数を減らした。山谷に行く度に足を運んでいたお店も、ほとんど潰れてしまった。ドヤ街名物の激安弁当もあるのだが、基本的には300〜350円前後のお店が多い。しかし中には100円台のお弁当を販売して話題になったお店もありネットで話題になった。



 いろは会商店街にある、お弁当屋さん『卯USAGI』ではなんと120円のお弁当が売られていた。その名も『おかゆ弁当』。歯のない老人が大半を占める現在の山谷を象徴するようなメニューだ。ちなみにおかずも100円で売られているので220円で食事をとることができる。

 アベノミクスのトリクルダウンの最下層にいる人々の生活は相変わらずだが、訪日外国人の増加による恩恵を受けている側面もある。そんな光と影が交錯する街になりつつあるようだ。

(取材・文/村田らむ)

423とはずがたり:2015/02/10(火) 19:22:57

奨学金返せず自己破産、40歳フリーター 月収14万円「283万円払えない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150210-00010000-qbiz-bus_all
qBiz 西日本新聞経済電子版 2月10日(火)11時17分配信

 高校、大学時代に借りた奨学金を返還できないとして、北九州市小倉北区のフリーターの男性(40)が福岡地裁小倉支部で自己破産の手続き開始決定を受けたことが分かった。男性には延滞金を含めて約283万円の返還義務があるが、「奨学金のために消費者金融などで借金しても返せない。そもそも多額の金を貸してくれない」と説明。識者は、非正規雇用などで若者の貧困が拡大すれば、今回のように奨学金返還のみでの自己破産申請が増える可能性を指摘している。

 男性は父親が事業に失敗した影響で、1990年の高校入学時から大学卒業まで日本学生支援機構から無利子の奨学金を借りた。高校時は毎月1万1千円、大学時は同4万1千円で、当初の返還期間は93年12月から2012年9月。多いときで年約16万円を返還する計画だった。

 だが、大学3年時に精神疾患を患ったこともあり、大卒後に就職できず、計9万2千円を支払っただけで滞納。アルバイトをして生計を立てる生活で、返還期間の猶予も受けたが、返せなかったという。昨年8月、返還を求めて機構が提訴。同11月、未返還の奨学金と延滞金の計約283万円の支払いを命じられた。

 男性は現在、二つのアルバイトをしており、収入は手取りで月約14万円。光熱費や家賃、家族への仕送りなどを差し引くと、生活費は2万円ほど。貯金はなく、返還のめども立たないことから、自己破産の申請に踏み切った。開始決定は今月4日で、債権者から異議申し立てなどがなければ4月にも破産が決まる。

 学識者や弁護士などでつくる「奨学金問題対策全国会議」(東京都)によると、奨学金返還のために消費者金融から借金するなどして多重債務に陥り自己破産にいたるケースは以前からあったが、最近は奨学金だけで自己破産するケースが出始めているという。

西日本新聞社

424名無しさん:2015/02/13(金) 05:58:53
https://twitter.com/spkgo/status/565891294572990464

425とはずがたり:2015/02/15(日) 17:42:19
その貧困化した若者層が一時的でも景気浮揚効果からのおこぼれがあってアベノミクスによろこんでいる悲劇的な構図があるんだけど・・。

2014.01.15
アベノミクス、なぜ若者の貧困化を加速?景気回復が格差拡大・非正規雇用を増長
http://biz-journal.jp/2014/01/post_3862.html

 2013年、アベノミクスによって日経平均株価や有効求人倍率などの経済指標は改善した。日本経済団体連合会(経団連)の調査によると、東証一部上場企業76社の冬のボーナスも前年比5.8%増と、バブル期以来の増加となった。

 さらに、政府は4月の消費税増税による景気回復の腰折れを防ぐため、5兆円規模の経済対策を実施する。そろそろ景気回復を実感できる時期に差しかかっている。

 しかし、残念ながら、アベノミクスの恩恵は若者(特に非正規労働者)には回ってこないかもしれない。そう悲観的にならざるを得なくなるのが『増補新版「格差」の戦後史』(橋本健二著/河出ブックス)だ。本書は、データを駆使して日本社会の階級構造を浮き彫りにしてきた早稲田大学人間科学学術院教授(社会学)が、若者の貧困、格差の始まりがバブル期だったということを明らかにする。

●若者の経済格差は、バブル期に始まった

 1980年代のバブル期は、70年代前半までの高度成長が終わり、労働需要が減少し失業者が増加。円高を背景に、東南アジアなどから安い製品が大量に流入し、競合する国内の中小企業の経営環境は厳しくなった。急激な円高の進行に対応するため、企業の生産拠点の海外移転、下請け企業に対する徹底した単価切り下げも行われ、中小企業労働者の賃金水準は抑制、大企業と中小企業の賃金格差は拡大するようになった。さらに、80年代に「雇うなら非正規雇用」というスタイルが始まり、非正規雇用が増大したのだ。

「一般労働者の求人倍率がわずかな回復にとどまったのに対して、パートの求人倍率は急上昇し、80年には前年比1.43倍(一般労働者0.75倍)、85年は同1.53倍(同0.64倍)、89年には同3.75倍に達する(同1.04倍)に達する。コスト削減が至上命題になっていたことから、企業は労働力を非正規雇用に頼ったのである。その結果、85年から90年の間に正規労働者が145万人の増加にとどまったのに対して、非正規雇用者は226万人増えて、役員を除く雇用者の20%を初めて突破した」(同書)

 当時、非正規雇用者は、女性を中心に増加。92年の段階で女性748.0万人、男性229.1万人、合計977.1万人だった(総務省統計局「就業構造基本調査」より)。97年には、それまで先送りされてきた不良債権問題が一気に噴出し、企業の大型倒産、経営破たんが相次ぎ、目の前の収益の改善を最優先とする企業側は大企業、中小企業を問わず、コスト削減で労働力の非正規化を進め、非正規雇用者は男性266.2万人、女性847.0万人、合計1113.2万人と1000万人を超えるまでに増加した。

 02年初めから07年10月までの69カ月の景気回復を記録した、「いざなぎ景気」を超える「いざなぎ越え景気」の期間中の02年でも、男性380.8万人、女性997.6万人、合計1378.4万人と非正規化の流れが加速する。男性非正規労働者も増加しており、それは世帯収入の格差拡大に直結する。

 貧困化も進み、05年の非正規雇用者の貧困率は10年前の95年調査と比べても22.4%から29.2%と増加(6.8ポイント増)。労働者階級(従業員規模1〜29人)の8ポイント増(14.3%→22.3%)に次ぐ高い伸びを示しているほどだ。なお、貧困率にいう“貧困”とは「所得が国民の平均値に満たない。目安として約137万円以下」のことを指す。「いざなぎ越え景気」は当時から「実感なき景気回復」と揶揄されたが、国民の大多数の財布が冷え切ったままで大企業だけが潤う景気回復だったことがわかる。

426とはずがたり:2015/02/15(日) 17:42:44
>>425-426
 08年のリーマンショック、11年の東日本大震災を経た12年には、非正規雇用者は男性526.5万人、女性1186.9万人、合計1713.4万人となり、92年の1.7倍になった。

●景気が上向くほどに格差は拡大する

 この間、政府の労働法規の規制緩和の動きも非正規雇用化を後押しした。86年には労働者派遣法が施行され、それまで認められていなかった、ほかの事業者へ労働者を派遣する事業が認められた。当初、派遣対象は専門性の高い業務を中心に狭く限定されていたが、99年の改正で原則自由化。03年改正では製造業への派遣も解禁されて、派遣労働者は一気に増加した。すなわち、派遣労働者を安価で雇用できるようになったのだ。

「失われた20年」ともいわれる長引く不況の中で、国を挙げてグローバル経済下で企業としての生き残りが最優先されるようになる。高コストの終身雇用、年功序列の日本から、安価の非正規雇用に頼るビジネスモデルに変わったのだ。

 これは企業にとっては都合のいいビジネスモデルで、景気と雇用の関係でいえば、非正規雇用は景気が良くなれば雇用されるが、悪くなれば切られていくだけ。いくら景気が良くなっても、金は経営者、正社員にまでしか回らない構造になっているのだ。つまり、好景気の時期こそ、大企業の経営者、正社員だけが潤い、格差は進行するというわけだ。

 実際に、内閣府の「今週の指標 No.1084 最近の賞与の動向について」(13年12月2日)でも、13年夏のボーナスでは経団連の東証一部上場企業76社の調査では、前年比5.0%増とバブル期以来の増加を示したが、「毎月勤労統計の夏季賞与の事業規模別を見ると、500人以上の大規模事業所では、前年比2.6%増と大きく増加したものの、それより規模の小さい事業所ではマイナスか低い伸びにとどまった」ことを指摘しているほどだ。

 13年、アベノミクスでも労働の規制緩和の流れを加速させる動きがあった。医療、雇用、農業などの法律を「岩盤規制」として、その緩和の検討を政府の産業競争力会議や規制改革会議で議論。特区内の基準を満たした事業所について、解雇の要件・手続きを契約条項で明確化して解雇しやすくしたり、休日や深夜労働の規制を緩和する「解雇特区」も議論してきたが、批判が集まり、成長戦略の柱となる「国家戦略特区」の規制緩和概要からは「労働時間法制」と「解雇ルール緩和」が外された経緯がある。

 しかし、政府は12月20日、地域を限って大胆な規制緩和などを行う「国家戦略特区」について、具体的な特区の対象地域を決める「国家戦略特区諮問会議」の民間議員に、慶応大学の竹中平蔵教授ら5名を選出した。竹中氏といえば、2000年代の小泉政権下で構造改革を唱え、規制緩和を推進してきた人物だ。竹中氏は労働規制の緩和についても「岩盤規制を崩していく」と述べており、積極的だ。

 ますます、簡単に解雇できる環境が整い、企業にとっては理想的な規制緩和が進む。それはつまり、若者の格差、貧困が進みかねないということだ。
(文=編集部)

427名無しさん:2015/02/19(木) 01:12:05
貧困の再生産

http://dot.asahi.com/aera/2015021600044.html
日本の識字率は100%じゃない? 男性教諭の実感

 じわじわと広がる日本社会の格差。それは教育にも多大な影響を与えている。

「日本は識字率100%ではないのではないか」

 関西の公立中学校で社会科を教える男性教諭Aさん(39)は、そんな疑問を持っている。 授業で生徒に教科書を音読させると、漢字をほとんど読み飛ばす。自分の住所も書くことができない。そんな生徒はクラスに1人、2人ではない。

 感じるのは、そうした生徒たちは、生活保護を受けるなど貧しい家庭の子が多いということ。夜に親が家にいない子も多い。ひとり親で、生活費を稼ぐために夜も働いているからだ。

「経済的に恵まれた家庭とは、本など周囲においてあるモノ、日常的に接する文字がまったく違う。文字をちゃんと読めないまま卒業しても、健全な社会人になるとは思えない。まさに負の連鎖です」(Aさん)

 この教諭が見ている世界は、特異なものではない。生活保護を受けるなど、生活が困窮している家庭には、子どもが小中学校に通えるよう、学用品費や通学費、学校給食費を国、自治体が援助している。文部科学省の調べによると、こうした就学援助を受けている児童・生徒は、この15年間で倍増。2012年度は155万人に上り、公立学校の児童・生徒の15.64%を占めた。

 家庭状況と学力の関係についての調査がある。文科省の「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」では、小学6年生と中学3年生の保護者にアンケートし、親の学歴、家庭所得といった「社会経済的背景」と、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)における国語と算数・数学の成績との関係を分析した。

 結果は、社会経済的背景が高い児童・生徒の方が、各教科の平均正答率が高い傾向にあった。また、学習時間が長いと正答率が上がる傾向にあり、学力には児童・生徒の「努力」の効果も大きいことがわかった。

 しかし、学習時間の効果も不利な環境を克服するのには限界があった。主に知識を問う「国語A」の正答率をみると、社会経済的背景が最も低い層で一日3時間以上学習した児童は平均58.9%だが、最も高い層の児童は全く勉強しなくても60.5%だった。分析したお茶の水女子大学の耳塚寛明教授は言う。

「努力して追いつける差ではないとしたら、格差以外の何ものでもないですよね」

※AERA 2015年2月23日号より抜粋

428名無しさん:2015/02/19(木) 23:48:20
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150219-00000091-mai-pol
<首相>「私の境遇にはアドバンテージ」
毎日新聞 2月19日(木)20時56分配信

 安倍晋三首相が19日の衆院予算委員会で、自らの政治家としての境遇について「大きなアドバンテージがあった」と語る一幕があった。「父親も祖父も政治家で、多くの方に最初から巡り合えるチャンスをいただいていた」と振り返った。

 民主党の岡田克也代表が「頑張れば報われる社会を実現する」などとする首相の答弁を引き合いに「首相は、今の立場は頑張った結果のみだとお考えか」と質問。首相は「私はそれほど傲慢な人間ではない。政治はかなり運によって左右されるものがあり、そもそもいろいろな方に巡り合えるかどうかだ」とした上で、自らの境遇を語った。

 これに対し、岡田氏は「私も運が良かったと思う。野党の代表ではあるが、先祖、両親、家族、支持者らいい方に恵まれて今日まで来られた」と同調した。岡田氏はイオングループの創業家出身で、親族に国会議員がいる。【中島和哉】

429名無しさん:2015/02/20(金) 00:21:45
>>428
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150219-00000539-san-pol
安倍首相VS岡田代表 「報われる社会」で奇妙な同調
産経新聞 2月19日(木)16時25分配信

 19日から始まった衆院予算委員会には、民主党の岡田克也代表が質問に立ち、安倍晋三首相と事実上の「党首討論」を展開した。政治信条が異なることもあり、まったくソリの合わない2人だが、その政治信条をめぐり、珍しく議論がかみ合う場面があった。

 岡田氏は、首相が過去に「頑張れば報われる社会の実現に向けて尽力していく」と発言したことについて「私も全く同感だ」と同調。その上で「問題は『貧困に陥っているのは頑張らなかった結果だ』という議論に結びつきかねないことだ。首相の今の立場は頑張った結果のみだとお考えか」と質問した。

 これに対し、首相は「私はそれほど傲慢な人間ではない。政治はかなり運に左右される。そもそも色々な方に巡り合えるかどうかだ」と答えた。

 さらに首相は「私の場合は父親も祖父も政治家だった。多くの方々に巡り合えるアドバンテージがあったのは事実だ。うまくいっていない人は頑張らなかったというわけではない。頑張ったら報われる可能性がなければ活力ある社会にならない、という意味で申し上げた」と真意を説明した。

 岡田氏は答弁に満足したようで「私も随分、運がよかった。野党の代表ではあるが、先祖、両親、家族、何より支持者の皆さん…。本当に良い方々に恵まれて今日まで来られた。その気持ちに立ったとき、所得の格差がついている現状に対して何とかしなければいけない」と語った。

430名無しさん:2015/03/02(月) 23:07:15
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150302-00000059-mai-soci
<派遣法改正案>厚労省課長「ようやく人間扱い」発言
毎日新聞 3月2日(月)19時41分配信

 今国会に提出予定の労働者派遣法改正案を巡り、厚生労働省の担当課長が業界団体の新年会のスピーチで「(派遣労働者は)モノ扱いだったのが、ようやく人間扱いする法律になってきた」と発言したことが2日、明らかになった。民主党の西村智奈美議員が衆院予算委員会で取り上げ、「こんな考え方で改正案を出しているのか」と追及。塩崎恭久厚労相は「派遣の立場を強化しようとの意味で言ったのだろう」としたうえで「しっかりと調べたい」と答弁した。

 関係者によると、1月27日に東京都内で開かれた日本人材派遣協会の新年賀詞交歓会でスピーチした厚労省の富田望・需給調整事業課長が派遣法改正案に言及し、「派遣労働は期間がきたら使い捨てだった。モノ扱いだったのが、ようやく人間扱いする法律になってきた」と話した。富田課長は毎日新聞の取材に発言を認めたが、真意については「衆院予算委の協議事項になったので控える」としている。

 派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「労働者をモノ扱いにする派遣法を30年も推し進めてきたのは厚労省だ。その責任を考えての発言なのか」と批判する。連合の新谷信幸総合労働局長は「モノ扱いから人扱いへの改正案になんてなっていない。まともな改正案を出すべきだ」と話している。

 派遣法を巡っては、企業が実質的に期間の制限なく派遣労働者を使い続けることを可能にする改正案を政府が今国会に提出する方針。労働側が「生涯派遣、正社員ゼロ法案」などと批判している。【東海林智】

431とはずがたり:2015/03/10(火) 13:21:35
不正受給数が最悪更新ではなく不正受給発覚が最悪更新=厳しい取締の実行だから表題はちょとミスリーディングかも。。。

不正受給無くす為に水道メーター監視員が有効なんじゃないかと思う。
先日,引っ越した日に神戸市の水道局に電話したらもう遅い時間で繋がらなかったからもう明日でいいやと思ったらピンポーンとベルがなって出てみると水道メーター監視員だった。ナップサック背負った貧相なおっさんであった。

検針代はやたら高く,批判を受けた東京都かなんかが特殊な技能が必要でして,と言い訳してて何をいうかクソめがと思ってた(当時の筑波の住居でもやたら検針代が高かった)けど,引っ越し当日に引っ越した人間を見つけるとは可成りの手練れ,そんな技能有るなら生活保護の受給世帯の監視もさせたらたちどころに摘発可能であろう。東大阪の一部地域では2号さん(愛人)が多くて,名目上母子家庭としてガンガン受給しているけど実は旦那がいるという話しも聞くけど,神戸市は水道メーター検針員を派遣すべきであろうw

生活保護不正受給数が最悪更新 4万3千件、金額は減少
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150309/Kyodo_BR_MN2015030901000987.html
共同通信 2015年3月9日 18時22分 (2015年3月9日 18時24分 更新)

 厚生労働省は9日、2013年度の生活保護費の不正受給が4万3230件に上り、過去最悪を更新したと発表した。前年度から1321件増えた。金額は前年度から約3億6千万円減の186億9033万円だった。

 福祉事務所が受給者の収入状況の調査を徹底していることが早期発見につながり、1件当たりの金額は43万2千円と過去最少。厚労省は「受給者数の増加に伴い不正受給も増えているが、防止の取り組みが功を奏している」と分析している。

 内訳は「働いて得た収入の無申告・過少申告」が合計で57・1%、「年金受給の無申告」が21・3%で続いた。

432名無しさん:2015/03/14(土) 16:44:38
少子化スレかもしれませんが。

寛容さが失われた社会では誰も子供を産まないし産んでも苦労するだけのような。
社会的に少子化対策が叫ばれているのに社会の憎悪はシングルマザーに向けられている気がします。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150313-00062827-toyo-soci
「シングルマザーの貧困解決」ひとつの道筋
東洋経済オンライン 3月13日(金)5時40分配信

 ひとりで子育てをしながら家計も支える。シングルマザーの経済的な困窮が話題になっている。

 NHKが報道したネットカフェで生活する母子の話。また、『ひとり親家庭』(赤石千衣子著、岩波新書)、『シングルマザーの貧困』(水無田気流著、光文社新書)、『最貧困シングルマザー』(鈴木大介著、朝日文庫)など、一般向けの書籍でその困難が伝えられている。シングルマザー家庭を貧困に陥れる背景には、日本社会の持つさまざまな問題があることを、今では多くの人が知っている。

■ よくあるパソコン教室では不十分

そういう中、ひとつの処方箋になりそうな事業がある。岩手県のひとり親支援NPO「インクルいわて」が手掛けた再就職支援事業「インクルーム」だ。専門用語では「中間的就労支援モデル」とか「包括的就労支援事業」と呼ばれるやり方で、もともと主婦だったり、外で働いていなかったなどのシングルマザーを精神的に支援し、職業訓練を施して再就職に至る道筋を包括的に支援する。 主婦向けの再就職支援講座やシングルマザー向けの職業訓練は、すでに星の数ほどある。「要するに、パソコン教室でしょう?  何が新しいの?」と思う人もいるだろう。確かにパソコンの使い方も教えるが、それは「インクルーム」の機能の一部でしかない。

 全体の仕組みを説明しよう。インクルいわては、平成24年10月〜平成25年3月までの6カ月間、シングルマザーの「中間的就労」の場として、就業支援室「インクルーム」を開設した。「研修生」となった6人のシングルマザーは半年間、可能な頻度と時間「出勤」する。「週3回、3時間ずつ」など、心身の状態や家族の事情に応じて選べるようにした。

 研修生であるシングルマザーは、インクルいわてに送られてきた支援物資の仕分けや、エクセルでの在庫リスト表作成といった、事務仕事を手掛けた。

 研修生は全員、パソコンに触るのは初めて。それでも、電源の入れ方から習い始めて、半年後にはパワーポイントによるプレゼンテーション資料作成や、デジタルカメラで撮影した写真を画像加工ソフトで加工して、お礼状のカードを作ることまでできるようになった。

 これらの作業は、実際にインクルいわての運営に必要とされるもので、実務経験として身に付く。テキストに沿ってパソコン操作を習うのに比べると、実践的である。

■ 報酬を払い、履歴書に書ける職歴に! 

 また、パソコンスキルの中には生活支援を入れて、家計管理のための家計簿付けも習得してもらった。収入が少ないから、面倒だから家計簿はつけないのではなく、少ないからこそ、面倒でないその人にあった方法でおカネの使い方を体得することが、本当の生活再建につながる。

 最大の「発明」は、この研修に報酬を払い「仕事」にしたことだ。おカネをもらうことでシングルマザーの自己肯定感を醸成できた上、履歴書の空白を埋めることができ、再就職面接でも有利になった。「研修を有償にしたらよいのでは」と提案したのは、インクルームでスタッフとして働いていた、深川紗絵子さん。

 深川さんは、簿記講師の経験があり、これがシングルマザー支援に活かされた。「簿記を習う受講生の中には、資格を取って再就職をしたい、と希望する主婦の方が多くいらっしゃいました。ただ、仕事から離れる期間が長くなると、優秀な方でも、なかなか就職に結びつかないのです。企業が中途採用で重視するのは、資格より直近の実務経験なので……」。

 そこで思いついたのが「インクルームでの研修に時給をきちんと払って“仕事”にしてもらったら、就職面接でアピールできるのでは」というもの。実際、研修生たちが就職面接を受けた時は「インクルいわてって、どんな会社ですか」とか「どんな仕事をしていましたか」と尋ねられたそうだ。

 インクルームでは、深川さんが簿記を、もうひとりの女性がパソコンを教えた。「わからないことがあったら、何度でも聞いてください」がモットー。安心して尋ねられる優しい雰囲気は、誰にでも持てるものではない。インクルいわて理事長の山屋理恵さんも「インクルームは深川さんの能力と頑張りで、うまくいったと思います」と評価する。

433名無しさん:2015/03/14(土) 16:46:54
>>432

■ 敷居が高いハロワにはみんなで行く

 実際、細かいところに工夫が行き届いている。たとえば「みんなでハロワに行く」取り組み。インクルームに通い、スキルが身に付いてきても「ひとりでハローワークに行くのは不安」という研修生がいた。

 そこで深川さんは、ハローワークの担当者に事前連絡を入れた上で、スタッフと研修生全員でハローワークを訪問、その場で求職登録や個別面談をしてもらった。その結果、まもなく1人の研修生の就職が決まったという。その後さらに2人が就職、3人が社会参加できるまでになった。新卒でも中途でも、就職活動は不安がつきもの。「気持ち」に寄り添った支援が実を結んだ。

 求人情報の探し方もていねいにアドバイスをした。当初、研修生の中には就業時間や職種の希望を狭く設定する人もいた。その結果、ハローワークの求人情報で検索をすると、条件に合う求人がゼロ件になることもあった。

 「がっかりされているのを見て、少しだけ、条件を緩くしてみたらどうでしょう? と提案しました」と深川さん。「とりあえず、どのくらいの求人があるか見るだけ見てみませんか」とゆるやかに持ちかけたのだ。たとえば「週3日、1日3時間で土日休み、家から近い仕事」を探しても見つからなくても「土曜日は保育園を利用できるかもしれないから、働けるかも……」などと考えて条件を緩めると、求人が見つかることもあった。

■ 少しずつ生まれる「できるかもしれない」の気持ち

 深川さんはあきらめず、コミュニケーションを続けた。「どんな仕事か、求人の中身だけでも、見てみませんか?」「もし、この会社で働くとしたら、何がネックになりますか?」といったように、不安の理由を具体的に一緒に考えていった。

 もし、パソコンスキルが足りないことが不安なら、今受けている研修で身に付ければよい。もし、勤務日数が多すぎるのが理由なら、まずインクルームに通う頻度を増やして慣らせばいいかもしれない。

 元気で自己肯定感の高い人なら、自分の心の中で自動的に処理するやり取りをサポートすることで、少しずつ「できるかもしれない」という気分が生まれてきた。これは、ジェンダー専門家が「エンパワーメント」と呼ぶ支援のあり方だ。

 就業継続の支援も丁寧に行った。就職が決まった後、入社する際、不安を訴えていた人には「ちょっとしたエクセルやワードの使い方なら、いつでも質問してください」と伝えた。勤務先の秘密に触れない範囲で就業後もサポートを続けた。

 もうひとつ、大事なことがある。対象となったのは、シングルマザーの中でも、すぐに就職をして働くのが難しい人たちだったということ。インクルいわて理事長の山屋さんは「たとえば、東日本震災によって夫と死別した方などは、ショックが大きく、喪失感を癒すのに時間がかかります。すぐに求職活動ができなくても、当たり前です。また就職した後、働き続けていくことが大事なので、そのために問題を解決したり続けていける力をつけていくことが先です」と言う。

 また、震災前まで働いていても、震災の影響で収入が減ったり、震災を理由に雇止めにあったりした女性も少なくなかった。

 こういう女性たちに、ハローワークで職を探してください……というのは酷であるだけでなく、現実的ではない。やはり、まずは心の回復や生活面での安心確保が不可欠だ。

 インクルいわての活動を、設立当初から財政面などから支援してきた国際協力NGOオックスファム・ジャパンでプログラム・オフィサーを務める高橋聖子さんは言う。

 「インクルいわての行った『包括的就労支援』インクルームが特に優れているのは、『生きていくこと全般』をサポートしたことだと思います。人が困難な状況に陥ると、心身、家族関係、経済的な課題が絡み合い、その方が本来持っている力を出しにくくなってしまいます。絡まりあった課題を解きほぐし、経験豊かなスタッフが寄り添うことで、その方が持つ力を発揮できるようになり、やがては、就職にもつながっていったと思います」

434名無しさん:2015/03/14(土) 16:47:33
>>433

■ 「費用対効果」は非常に高い

 キーワードは「生活支援」だ。インクルームは「パーソナル・サポート」と呼ばれるサービスを提供し、子育てや家庭内の悩みを聞き取り、必要な折は支援につなげていった。生活上の不安を出来る限り減らしていくことで、働くことへの意欲が湧いてくる。

筆者の手元には、深川さんが執筆した「インクルいわて 中間的就労支援モデル 包括的就労支援事業 報告書」がある。岩手大学の大学院で経済学を専攻し、男女共同参画について学んだ深川さんの力作で、岩手県内の母子世帯の現状や被災後の状況がデータでわかりやすくまとまっている。インクルームの事業紹介に加え、目をひくのは、この事業の費用対効果に関する分析だ。 報告書24〜25ページによれば、就労支援事業の総経費は478万1000円。研修生1人当たりに直すと、1カ月11万9000円となる。半年で約71万円、1年間に約142万円だ。一方、同じ地域で35歳と子ども2人のひとり親家庭が生活保護を受けると月額約18万円になるという。平均的な生活保護受給期間7.7年と比べると、1世帯あたり1600万円に上る。

 インクルームの事業費用は決して安価ではない。けれど、参加した研修生は数カ月の間に心身状態が回復し、大きく前に進むことができた。最終的に6人中3人が就職でき、ほかの3人も就職活動を続けたり、簿記の資格を取得したりと、社会に出ていくことが困難な状況だった全員が社会参加できるようになった。

 「仮に半年から1年程度の期間で就職されることになれば、生活保護費の節減だけでなく、ご本人とご家族の尊厳、社会への人材面の貢献の点においても、費用対効果は非常に高いと考えられる」という指摘には説得力がある。

 インクルームの成功を踏まえ、山屋さんは、こんな目標を掲げる。それは「被災地をシングルマザー包括的就労支援のモデル特区にしたい」ということだ。

 「予算は半年で1000万円、1年間で2000万円もあれば足りるでしょう。被災地復興にもつながりますし、被災地で成功すれば、日本全体にとって励みになるはず。岩手県の女性は全国平均と比べて進学率が半分に留まります。政府が掲げる“すべての女性が輝く”社会実現のために、ぜひ、私たちにシングルマザー特区をやらせてほしい。そこから、本当の復興が生まれると思います」。

治部 れんげ

435名無しさん:2015/03/14(土) 16:51:16
>>432

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150227-00000004-sasahi-soci
広がる「子どもの貧困」 ひとり親世帯では2人に1人〈週刊朝日〉
dot. 2月27日(金)7時15分配信

「子どもの貧困」が広がっている。厚労省が毎年行っている国民生活基礎調査に「相対的貧困率」によると、2012年度の調査では、子どもがいるひとり親世帯に限ると54.6%で、実に「2人に1人」という状況だ。

 NPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」が運営する「夜の児童館」に通う小学6年生の女子児童(12)は、親にお金のかかることを求めないという。母子家庭で、生活保護を受けながら区営住宅で暮らすが、「うちは貧乏なんだ」と気づいたのは3歳のころだ。

 病気がちの母(50)が、「お金がないなあ」とため息をついた。友達が自動販売機で缶ジュースをポンと買ってしまうことに驚いた。必要な費用が払えず、大好きだったチアリーディングも続けられなかった。常に周囲との差を感じてきた。

「友達みんなが持ってる雑誌を読んだこともないのに『持ってる』とウソをついたこともあります。学校で自分の意思をちゃんと表現できないかんじ」。だんだんと内にこもるようになり、不登校になったこともある。

「本当はもっといっぱいやりたいことがある。でも母には言いません。恨んだこともない」

 国際的に見ても、日本の子どもの貧困率は高い。経済協力開発機構(OECD)の10年のまとめによると、日本は加盟34カ国中、10番目に高い15.7%。子どもがいるひとり親世帯に限ると、事態はより深刻で、50.8%に跳ね上がる。加盟34カ国の中で、ワースト1だった(平均31.0%、韓国は未算出)。

 こうした「貧困」を裏付けるデータがあっても、まだピンとこない人は多いだろう。その理由について、同NPOの事務局長の天野敬子さんがこう指摘する。

「日本の貧困は、途上国の貧困とは違います。とりあえず服を着ているし、義務教育だから学校にも通っている。雨風をしのげる家もある。だから現実感が乏しい」

 夜の児童館の無料塾に集う他の子どもたちも、見た目は「ふつう」だ。

「安いファストファッションがいくらでもあります。コンビニに行けば100円で大きめのパンも買える。けれど、わずかでも費用のかかる課外活動に参加できない、栄養バランスの高い食事が取れないなど、落ち着いて暮らせる状態にはありません」(天野さん)

 だが、NPOなどの活動に「つながる」ことのできる人や、わずかでも収入がある人は、貧困層でも恵まれているほうだという。

 13年5月、大阪市北区天満のワンルームマンションで、母(28)と男児(3)の遺体が見つかった。死後数カ月が経過していた。部屋に冷蔵庫はなく、食べ物は食塩だけ。電気、ガスは止められていた。財布に現金は一円もなく、預金の残高は数十円。「おなかいっぱい食べさせたかった」と書かれたメモが残されていた。

 12年9月には、東京都小金井市で、生活保護を受けていた無職女性(43)が長女(12)と無理心中を図り、死亡する事件もあった。天野さんは、こう指摘する。

「保護者に社会とつながる力がない場合、働くこともできず、どんな行政支援があるのかも知らない。親も子もどんどん孤立していく。見えない『貧困』はもっとあると思います」

※週刊朝日 2015年3月6日号より抜粋

436名無しさん:2015/03/14(土) 16:52:44
>>432

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150313-00000008-pseven-soci
生活厳しかった川崎殺害被害者家族 生活保護は受けてなかった
NEWS ポストセブン 3月13日(金)7時6分配信

 神奈川県川崎市の多摩川河川敷で中学1年生・上村遼太さん(享年13)が遺体で発見された事件で、17才から18才の不良グループのメンバー3人が逮捕された。

 昨年4月に中学に入学してから元気に登校していた上村さんが、昨秋以降不良グループとつきあい始めたことで部活を休みがちになった。そして、年が明けてからは不登校に。そんな変化に対応できなかった学校や遺族への批判も根強い。特に上村さんの母親への意見は辛辣だ──。

 報道には「夜中に自宅マンション前で不良グループが上村さんを大声で呼び出したとき、“近所迷惑でうるさいから早く行ってきなさい”と促した」や「事件当日、朝まで帰らなかった上村さんを捜そうともしなかった」などもあり、上村さんのSOSを見逃した母親に大きな責任があるかのようないわれぶりだ。

 だが、一家が置かれた環境は苦しいものがあった。一家が暮らしていたのは、川崎市内にある家賃10万5000円、3LDKのマンション。ここで、母親、高校生の兄、上村さん、小学生の妹2人、保育園に通う弟の6人で生活していた。

「母親は、毎朝7時過ぎに家を出ていちばん下の子を保育園に送ってから、介護の仕事に向かっています。上村さんたちは、そのあと8時過ぎに自分たちで玄関の鍵をかけて登校していました。夕方には、保育園でお迎えをした彼女が帰ってきます。途中スーパーに寄って、お総菜を買っている姿を何度も見かけましたね。

 上村さんが妹を連れて買い物にきていたこともありましたが、その時もお総菜と菓子パンを手にとっていました。その日の夕食と、次の日の朝食だったんでしょう。今となっては、母親は忙しくて食事の準備もままならなかったんじゃないかと思うんです。夜は近くのスナックで働いていたみたいですし、育ち盛りの子供を5人も育てていくには大変な毎日だったと思います」(マンション住人)

 3月2日に営まれた通夜の場で、彼女は息子の異変に気づけなかった後悔を明かしたが、彼女は、以前から苦しい生活を強いられてきた。

 一家が川崎に移り住む前に暮らしていたのは、島根県隠岐諸島・西ノ島。上村さんが5才の時に父親が漁師になるため島へ渡ったが、両親は上村さんが小学3年生のときに離婚した。

「離婚の原因は、父親のDVだったそうです。離婚時、彼女はいちばん下の子を妊娠中だったんですが、あまりの暴力に耐えかねて子供みんなを連れて家を出ました」(島民)

 その後、島内にある町営の一戸建てで5人の子供を抱えるシングルマザーになった。

「部屋に遊びに行ったことがある人の話では、足の踏み場がないくらい散らかっていたと…。上村さんの祖母が川崎から頻繁に手伝いに来ていて、出産後、介護の仕事で朝から晩まで働く母親に代わって、長いときには1か月ほど島に滞在して子供たちの世話をしていましたが、生きていくのに精一杯という感じだったと思いますよ。母親自身の収入だけでは生活が成り立たなかったようで、“生活保護をもらっている”と言っていましたね」(前出・島民)

 また、西ノ島では生活保護を受けていたが、祖父母を頼って川崎に出てきたことで、祖母に加え祖父の力も借りられると思い辞退したのか、あるいは打ち切られたのか、生活保護は受給していなかった。

「でも去年の秋頃、祖父が体調を崩して、その看病に祖母がつきっきりになってしまった。母親は、忙しい合間を縫って祖父の介護もしていたそうです」(別のマンション住人)

※女性セブン2015年3月26日号

437チバQ:2015/03/26(木) 22:56:09
http://mainichi.jp/select/news/20150326k0000e040187000c.html
貧困の若者:過半数家賃払えず…実家に「居候」
毎日新聞 2015年03月26日 09時35分(最終更新 03月26日 09時40分)

深刻な実情報告と提言がされた、若者の住宅問題に関するシンポジウム=東京都新宿区で
深刻な実情報告と提言がされた、若者の住宅問題に関するシンポジウム=東京都新宿区で
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 低所得の若者の7割超が「家賃を払えない」などの理由で実家で親と同居している−−。市民団体「住宅政策提案・検討委員会」が行った調査からそんな現実が見えてきた。2月に同団体とNPO法人ビッグイシュー基金が東京都内で開いたシンポジウムでは深刻な現状も報告された。同居の場合、親が年を取れば、経済的にも介護面でも若者を取り巻く問題が一気に顕在化するとされる。出席者からは住宅政策の転換を求める声が上がった。

 ●過半数家賃払えず

 「両親から『自立しろ』といわれるが、家賃を負担できるか不安で踏み出せない」(埼玉県の20代男性)、「過労で退職した30代の息子と同居しているが、ストレスから暴力をふるわれる」(東京都内の80代女性)−−。シンポジウムでは、同委員会メンバーで、若者の貧困問題に取り組むNPO法人「ほっとプラス」(電話048・687・0920)の藤田孝典代表理事が、日ごろの活動の中で受けた相談例を紹介した。いずれも低所得の若者が親と同居した場合に見られる深刻なケースの一端だ。

 同委員会の調査は、年収200万円未満の20〜30代を対象にし、1767人から回答があった。「親と同居」は77・4%に上り、同居する理由は、「住居費を負担できない」が53・7%と過半数に。職種別では「無職」が39・1%で、パート・バイトが38・0%。これに対し正規雇用は7・8%に過ぎなかった。

 対象者のうち、年収「なし」が26・8%、「50万円未満」が22・8%で、2人に1人が家賃を払う余裕がないことがうかがえる。

 最終学歴でみると、大卒以上が37・2%もいる。ただ、大学を出ても、希望通り就職できなかったり、勤務先で過労や人間関係のトラブルによって退職したりすることも珍しくない。

 また、学校生活でいじめを受けた経験のある人が3割、不登校・ひきこもりの経験があった人も2割を超えるほか、ホームレス状態の経験がある人も6・6%いた。

438チバQ:2015/03/26(木) 22:56:26
 ●行政の支援少なく

 将来も厳しい。親の年収と合わせた世帯年収で、200万円未満が4割に上る。所得が低いと親の退職や介護、住宅の修繕などができない可能性も高い。さらに、結婚できると思っている人は6・6%、予定がある人は2・5%しかおらず、配偶者ら家庭の支えも期待できない。

 市民レベルでの支援活動をするNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事は、住居のない生活困窮者のために東京都中野区のビルを改装して、個室シェルターを提供する団体「つくろい東京ファンド」を昨年、設立したことを紹介した。会場からは、不動産投資をしているという男性から、低所得の若者向けに部屋を提供したいとの提案もあった。

 一方で、行政レベルの動きは鈍い。住宅政策提案・検討委員会委員長の平山洋介神戸大大学院教授(土木・建築工学)は「かつては大学を出て正社員となり、家庭を作って家を買うのが普通であり、住宅政策も家族がある人の住宅購入を助けることが中心だった。その前提が崩れたのに、単身者や低所得者向けの政策が少なく現状についていけていない」と指摘し、「住まいがないと雇用が不安定になる。家賃補助や低家賃の公営住宅整備の促進などの政策が必要」と訴えた。稲葉さんも「現状で使える制度は少ない。失業中であれば就労支援があるが、低所得でも職があれば難しい。4月以降、生活困窮者自立支援法施行に伴い、福祉事務所で相談が可能になればよいが」と話す。

 ●過労で「出戻り」

 親と同居中の若者はどう考えているのか。東京都八王子市のフリーライター、浅野健太郎さん(33)は、専門学校卒業後、非正規で映像関係の仕事をしながら1人暮らしをしたが、過労のため1年でダウン。親元に戻り、現在はライターだけでなく、チラシ配りのアルバイトなどをする。収入は月17万円ほど。3万円を家賃として親に渡している。

 「親との関係は良好だけど、立場としては居候のようで気を使う。家を出られるなら出た方がいいのだけど……」。無理をすれば1人暮らしも可能だが、その場合、生活を切り詰めなければならない。特に「交際費を削りたくない。人とのつながりは保っていきたい」という。

 自営業の親はまだ60歳で元気だが、高齢になるにつれ、収入減が懸念される。先行きは不透明だ。

 そんな自分の体験を基に「脱貧困ブログ」を書き、同世代の若者と情報共有をしている。「収入が増え、いつかはシェアハウスのようなものを作って、家のない人を救えれば」と夢を語った。【柴沼均、写真も】

439チバQ:2015/03/26(木) 23:01:54
http://www.sankei.com/premium/news/150308/prm1503080015-n1.html
2015.3.8 07:00
【新人記者奮闘す】
これが「貧困ビジネス」の実態…「無料・低額宿泊所」劣悪環境と抜け出せぬ仕組み、自治体も“もたれ合い”





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埼玉県内の無料・低額宿泊施設。外からは一つの部屋を板で仕切って使用している様子がうかがえた(画像を一部修正しています)
 埼玉県内では昨年10月、生活困窮者のための「無料・低額宿泊所」の売上金を隠し、所得税約6300万円を脱税したとして、低額宿泊施設「ユニティー出発(たびだち)」を運営する和合秀典被告=所得税法違反罪で起訴=が逮捕された。記者は、いわゆる「貧困ビジネス」トラブルの被害者を支援する団体が主催した「貧困ビジネスツアー」に参加。宿泊所を訪れ、元居住者の話を聞くことで、改めて貧困ビジネスの仕組みの「巧妙さ」に驚かされた。(さいたま総局 菅野真沙美)

■部屋を仕切るベニヤ板

 「ここもそうです」。貧困ビジネス被害者の支援などを行う、弁護士・司法書士・社会福祉士などの有志で構成されている市民団体「反貧困ネットワーク埼玉」の案内で、戸田市内のとある宿泊所の側に車を止めた。

 ツアーで訪れた他の数カ所の宿泊所も同様だが、施設は一見すると普通のアパートに見える。周囲もごく普通の一戸建てや工場が並び、劣悪な環境という印象は全く受けない。

 しかし「あそこから中が見えるでしょう」。そう示され窓に目を向けると、さほど広くないと思われる薄暗い室内を、ベニヤ板のようなもので仕切っている様子がうかがえた。また、ほとんどの部屋にカーテンがかけられておらず、干した衣類が丸見えなのも印象的だった。

■「上の者に確認します」

 反貧困ネットワーク埼玉のスタッフが入り口で声をかけると、一人の男性が現れた。居住者だという。スタッフが「無料電話相談のチラシを入居者に配らせてほしい」と申出ると、応対した男性は「上の者に確認してみないと。一応受け取っておきます」と答えた。「中を見せてもらえないでしょうか」。報道陣が声をかけると再び「上の者に確認してみないと」。しばらくやりとりは続いたが、結局中に入る許可は得られず、その間に初老の男性が2、3人、うつむいたまま足早に横を通り過ぎていった。

■「何のために生きているのか」

 さいたま市見沼区内の宿泊所に入居していた60代の男性は、「何のために生きているのかという気持ちになった」と入居当時を振り返った。男性は支給される生活保護費約12万円のうち、約11万円を施設に支払っていた。施設ではそのカネのうち、保護費支給日に1万円、その後は2日に1回1千円が支給されるという。「仕事を探すためのカネだと説明されるが、実際は部屋でじっとしているぐらいしかできない」

 同市岩槻区の施設で生活していた40代後半の男性は、仕事に失敗しホームレス生活をしているときに宿泊所職員に声をかけられた。施設の環境は「プレハブを改造した3畳程度のスペースに生活していた。夏が暑く、冬は寒い」。風呂は週に3回、決められた時間のみ許されていたという。

440チバQ:2015/03/26(木) 23:02:12
■二言目には「出て行け」

 男性らは一度施設に入ってしまうと抜け出すのが困難な状況についても語った。40代男性は「もう一度定職につこうとしても、ホームレスだった時期があると書類だけで不採用にされてしまうことが多い。施設は何もサポートをしてくれない」。面接に行くカネを工面できないこともある。60代男性も「二言目には職員から『出ていけ』と言われる」と話す。「『住所がないと公的支援を受けられなくなるが、それでもいいのか』と脅される。そう言われてしまうと、頭の中は『今晩どこに行けばいいんだろう』という思いでいっぱいになってしまう」

■被害解決に向けて

 反貧困ネットワーク埼玉は「行政の側も悪質な無料・低額宿泊所を便利に使ってしまっていて、居住者の劣悪な環境に目をつぶっている点があることは否めない」と指摘する。貧困が拡大する中で、福祉事務所のケースワーカーが不足し、自立支援が十分にできないなどの悪影響が生じている。一般のアパートへの入居となれば、ケースワーカーは家庭訪問を行って状況の確認を行い、トラブルに対処する必要があるが、宿泊所にいれば施設が代行してくれることも貧困ビジネスを助長させる要因となっている。

 同団体は貧困ビジネス被害者に対する相談や、アパートへの入居斡旋(あっせん)などを行っている。しかし、宿泊所側が団体の発信している情報を遮断し、入居者に知らせないことも多いため、福祉事務所へ協力を求めるが、拒絶されることもあるという。「一部自治体は宿泊所と悪い意味でのもたれ合いの関係になってしまっている。負担増を覚悟で対応に当たらなければ貧困ビジネスによる被害は拡大し続ける」と行政に対しても改善を求めた。

441名無しさん:2015/03/29(日) 11:08:35
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150328-00050053-yom-pol
貧困家庭の子供を支援、政府が基金新設へ
読売新聞 3月28日(土)15時32分配信

 政府は、貧困家庭の子供を支援するため、自治体や財界などと連携して企業や個人に寄付を呼びかけ、基金を新設する。

 厚生労働省が昨年7月に発表した子供の貧困率は16・3%(2012年)と過去最悪の状態で、金銭的な事情から、塾に通う余裕のない家庭の子供の学習を支援する団体や、スポーツ・芸術分野で能力があっても活動を続けることが難しい子供を支援する狙いがある。

 安倍首相が4月2日、自治体や財界、マスコミなど幅広い分野の代表を首相官邸に招き、官民一体で貧しい家庭の子供を支える「子供の未来応援国民運動」(仮称)の発起人集会を開く。基金を設置することも申し合わせる。

 新基金については、今夏をメドに事務局を発足させ、寄付の呼びかけを本格化させる方針だ。政府は基金の設置や運営面で関与していく。

最終更新:3月28日(土)15時32分

442名無しさん:2015/04/05(日) 15:04:19
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150405-00065321-toyo-bus_all
6人に1人が貧困という日本の不都合な真実
東洋経済オンライン 4月5日(日)1時35分配信

 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が記した『21世紀の資本』。ピケティ氏は欧米を中心に一部の富裕層がさらにリッチになる格差の構造をあぶりだした。一方、現在の日本で問題視される格差は大衆層の貧困化だ。

 2012年の日本の相対的貧困率は16.1%と過去最悪を更新した。相対的貧困率とは、国民の所得分布の中央値の半分(2012年は122万円)未満である状態を示す。相対的貧困率には所有する資産は考慮されていないが、誤解を恐れずに単純化すると日本人の6人に1人が貧困状態にあるということだ。今年1月時点の生活保護受給者も217万人と過去最多に上る。

 「貧困は自己責任」「本人の努力が足りない」――。

 貧困世帯には時として厳しい批判が飛ぶ。だが本当にそうなのか。病気、ケガ、介護、転職、失業……誰にでも起こりうる事態をきっかけに、人々は「安定」からいとも簡単に滑り落ちていく。

■ 年収1200万円から生活保護寸前に

 「まさかこんなことになるなんて……」

 50代の男性はそう嘆く。彼はかつて誰もがうらやむエリートビジネスマンだった。外資系IT企業を渡り歩いてキャリアアップ。ピーク時の年収は1200万円に上り、充実した生活を送っていた。ところが、現在の年収は約300万円と4分の1に。一時は生活保護の申請に足を運ぶなど、生活に困窮していた。彼の身に一体何が起こったのか。

 最初のきっかけは病気だった。2005年頃に大手通信会社系企業に転職。その後、スマートフォンの新商品発売に向けた連日の激務がたたり、脳の病気で倒れた。3カ月で復帰すると、今度は職場でパワーハラスメントを受けた。「いつ倒れるかもわからない人に年収1000万円ものコストをかけたくないから、早くやめさせたかったんじゃないか」と男性は振り返る。

 さらに不幸は重なる。しばらくして今後は母親が心臓の病気で倒れた。都内のマンションから東京郊外にある実家に戻り、看護をしながら通勤する生活に。通勤時間は片道2時間半。終電に間に合わず、週の半分はサウナに寝泊まりしていたという。それでも親の看護と仕事の両立は簡単ではない。自分が倒れたときに有給休暇を使い切っており、欠勤扱いになる日が増加。2011年末に会社を解雇されてしまった。

 解雇と同じくして母親は他界。さらに父親にも肺がんが見つかり、母の死から数カ月後になくなった。精神的にはどん底だったが、それでも働かなければ生活できない。実家暮らしで家賃負担はなかったが、希望の仕事を見つけるのは難しい。コンビニのバイトを始めた。生活保護の申請にも行ったが、持ち家と数十万円ほどの貯金があるから認められないと担当者はにべにもなかった。

 その後、家を300万円で売却。友人たちの誘いなどもあり、貯金を元手に都心に戻ってきた。現在はITの知識を生かしてフリーのコンサルタントとして生計を立てている。だが病気などで働けなくなったらどうなるのか、老後はどうするのかを考えると不安は募る。

443名無しさん:2015/04/05(日) 15:28:08
>>442

■ 手薄なセーフティネット

 経済学に「貧困の罠」という言葉がある。本来は税制や社会保障制度などの欠陥によって貧困から抜け出せない状況を意味する。ただこの男性のように普通に生活をしていても、貧困に陥る「罠」は少ない。

 転落者を受け止めるセーフティネットも手薄だ。雇用保険や医療保険、年金などのように保険料を支払い、いざというときに給付を受ける社会保障制度はそれなりにある。が、それら防貧ネットからこぼれ落ちた人たちの受け皿となるセーフティネットは生活保護しかないのが実情だ。

 その生活保護への風当たりは強い。もともと受給者の負担のない救貧施策のため、批判を浴びやすいが、保護費負担金は3.8兆円(事業費ベース)に膨らんでいることもあって、予算削減の動きが加速している。生活費にあたる生活扶助は今年4月からカットされた。これで2013年から3度目の切り下げだ。7月以降は家賃に当たる住宅扶助や暖房費などの冬期加算も削減される見込みとなっている。

 生活保護世帯は過去最多を更新し続けているが、構成比を見ると高齢者と障害者・傷病者が多く、全世帯の7割超を占める。これらは事実上働くことができない 世帯だ。保護費の内訳を見ると医療費にかかるものが半分を占める。生活保護というと不正受給に注目が集まりがちだが、生活保護費の総額に占める割合は 0.5%前後で推移しており、多いとはいいがたい。

 高齢者が増えるに伴って、今後も生活保護受給世帯が増え続けるのは間違いない。生活保護費だけに着目して予算を削減するのではなく、約30兆円に上る社会保障関係費全体の中で議論すべきだろう。国もセーフティネットの拡充に向けた問題意識は持っている。今年4月から生活保護に陥る手前で支援するために「生活困窮者自立支援法」を施行した。

 もはや貧困は人ごとではない。女性、高齢者、子どもなどにもその闇は広がり、日本を覆いつつある。まずはその事実にきちんと向き合うこと、そしてどのような対策を打つのか考える必要がある。

中島 順一郎

444とはずがたり:2015/04/11(土) 21:04:34
どうも基本的な所で人生舐めている様な。。

終電まで働いても生活苦…40代で貧困に陥る人の現実
2014.01.21 R-30
http://nikkan-spa.jp/569898

大野忠明さん(仮名・46歳)は、現在、NPO法人のパートスタッフとして働いている。元々、ボランティアとして参加していたが、有給スタッフとして誘われたという。時給は1000円、月収20万円前後で年収は260万円だ。

就労条件などは詰めていなかったのですが、たまたま忙しい時期が来てしまったうえに、人員も足りないので、とにかくフル回転しています」

そもそも、生活が苦しくなったのは2006年頃、39歳のときに6年勤めた会社を辞めてからだ。ピーク時には月収40万円も稼いでいたが、2002年に病気で体調を崩し、会社を休みがちになった。

会社をやめた途端、転職話がご破産に。その会社が買収されてしまい、知人に人事権がなくなってしまったんです

30歳手前で一念発起、調理師を目指して上京し、その学費が必要だったため。学費が高額で有名な超大手専門学校に300万円かかった。

「儲かるから」と、とうもろこしの先物取引を持ちかけられ、騙されて250万円損したのも痛かった。

445とはずがたり:2015/05/04(月) 16:54:09
時々浮浪者がなんか売ってるけどこれだったのか。

ビッグイシュー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC

ビッグイシュー(The Big Issue)は、ホームレスの社会復帰に貢献することを目指すとする企業であり、またイギリスを発祥に世界で販売されるストリート新聞のことである。

446とはずがたり:2015/05/04(月) 17:15:21

部落解放・人権研究所
http://blhrri.org/info/koza/koza_0129.htm
ホームレスの自立支援のための新しい試み
佐野章二((有)ビッグイシュー日本代表)

法律問題と交渉

  また、路上販売には2つ程規制する法律と、担当する機関があります。
  例えば路上に台を設けて、路上を占拠してビッグイシューを売るには道路管理者である都、府、市など行政の道路占有許可が必要です。
  その点、ビッグイシューは胸からポスターをさげて売るので道路の占有はしないので問題はありません。

  むしろ、行政当局は私たち民間の試みを歓迎してくれ、側面から協力を頂いています。問題は使用許可を担当する警察です。

  使用許可は、道路交通法77条第1項の3号に、移動しないで露天屋台もしくはそれに類する物を出そうとするときには許可を要すると書いてあり、78条には許可条件が書いています。

  法律的には申請すれば問題のない限りは原則許可だと考え、府警本部の交通規制課に道路の使用許可を簡便に取る方法がないかと相談に行きました。
  私たちは法律的には原則許可だと思いましたが、警察は法律を事実上運営していく上で物売りについては原則禁止にしていました。
  運用上の原則禁止は法令違反ではないかと言うと「佐野さんのいうことも正しいが路上で一斉に物を売り始めたら収拾がつかないし、我々の人手も足りないからそういう処置をしています。だから佐野さんたちだけを認める訳にはいきません」という形で壁にぶち当たりました。

  交通規制課はガードが固いですが、彼らなりに困っているのではないかと想像できました。それは不許可にした場合2つ問題があるからです。
  1つは2002年の7月に、ホームレス自立支援特別措置法が作られているように、社会にホームレス問題を何とかしなければという追い風が吹き始め、不許可にすると社会的な批判を浴び、政治問題にされるかもしれません。

  そこでビッグイシューとして知恵を絞って、目次の横に書いてある、販売員が守らなければならない8つの行動規範の5つ目に、「他の市民の邪魔や通行を妨害しません。特に道路上では割り当て場所の周辺を随時移動し販売します」と書きました。
  道路交通法には、移動しないで露天屋台もしくはそれに類する物を出そうとする時には許可を要する、とありますが、私たちは生身の人間ですから、露天屋台もしくはそれに類する物ではありません。

  また、休憩する時は場所を離れてどこか見えない所で休むので随時移動している訳ですから道交法に該当しません、というふうに言いました。警察はどう守りますかと聞くので、この雑誌には「行動規範に違反すれば市民の皆さんから電話してください」と書いています、と言いました。

  市民の監視に耐えない、あるいは支持が受けられないということであればこの事業自体が成立しません。それから相談員を置いていると説明したら、向こうは指導員を置かれているのですね、と言いました。行動規範で通行を邪魔しないと書き、指導員を置いているということで、売ることができるようになりました。この他に、例えば商店や路上で売っている人と争わないといったことが行動規範に書いています。

  路上で売るということは、それなりのルールを自覚して、路上での新しい文化を作っていく、ルールを新たに作っていくということを自覚しながら初めて販売できます。

  東京、特に新宿の場合は、地回りのやくざが警察よりも勢力を張っていて3、4回遭遇しましたが、基本的に私たちからは接触しませんが彼等から接触してきた時は誠意を持って話し合い、今の所はトラブルも起こっていません。
  そういう形でも日本でもビッグイシューを売る事が可能になりました。

447とはずがたり:2015/05/04(月) 17:20:25
ビッグイシュー日本とは
http://bigissue.jp/about/

2.路上の雑誌販売、四重苦に挑戦

ビッグイシュー日本は100%失敗するといわれました。日本では、1.若者の活字離れ、2.雑誌の路上販売文化がない、3.優れた無料誌が多く有料では買ってもらえない、4.ホームレスからは買わない、という四重苦があるからです。創刊から10年余、多くの市民とともに、この常識に挑戦し、累計593万冊、ホームレスの人に8億3492万円の収入を提供しました。

4.ホームレス、自立への3つのステップ

自立は人それぞれ、人の数だけかたちがあります。私たちは、自立とは自らの力で生活を立てているという“自覚”と“誇り”ではないかと考えています。自立へ、私たちは次の3つのステップを考えています。
第1ステップ 簡易宿泊所(1泊千円前後)などに泊まり路上生活から脱出
(1日20〜25冊売れば可能に)
第2ステップ 自力でアパートを借り、住所を持つ
(1日25〜30冊売り、毎日1,000円程度を貯金、7〜8ヶ月で敷金をつくる)
第3ステップ 住所をベースに新たな就職活動をする
今、販売者の多くは第2ステップに挑戦中です。

5.認定NPO法人ビッグイシュー基金

自立の第2、第3ステップを支援するため認定NPO法人ビッグイシュー基金と協力し、市民が市民をサポートする“再チャレンジ”応援事業を行います。
認定NPO法人ビッグイシュー基金は、社会とのつながりを回復できる生活自立や就業トレーニング、生きる喜びを感じられるスポーツ・文化活動、ホームレス問題の解決や予防についての政策提言、市民とともに社会を変える市民参加の4つの応援事業を行っています。
(詳細はビッグイシュー基金サイトにて)

448名無しさん:2015/05/10(日) 19:02:59
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150507-00070950-diamond-soci
資産・雇用・教育の「三大格差」をどう減らすか
ダイヤモンド・オンライン 5月7日(木)8時0分配信

   ピケティ以来、「格差」という言葉が、一種のブームのようになっている。わが国は、アメリカや中国に比べれば、相対的に格差の小さい社会であると言われているが、格差の問題はどう考えればいいのだろうか。

● 「資産格差」はアメリカに 比べればはるかに小さい

 格差という言葉から、人々が反射的に連想するのは、おそらく資産の格差であろう。アメリカの資産格差については、よく、上位1%が全米資産の3分の1を、上位10%で7割を、上位20%で9割を保有、と言われているが、わが国ではどうだろうか。野村総研のレポート(2014年11月)によると、わが国では次の通り、上位2%で約2割弱を、上位20%で6割弱をという結果となり、しかも2000年から時系列で見てもさほどシェアは変わっていないのだ。

 もちろん、大きな資産格差があることは決して好ましいことではない。では、資産・所得の再分配を上手に行うためにはどうしたらいいのか。

 わが国の所得税は既に累進税率が導入されているので、これからの税制は消費税を基幹として考えるべきだろう。サッチャー元首相がいみじくも述べたように「われわれが汗水たらして働いた結果得られる所得に課税するのは、勤労を罰することになる。それよりも、個人が選択的に消費をする際に課税するほうがずっと公平」なのである。富裕層といえども消費をしなければ、およそ人生を楽しむことはできないのだから、サッチャー元首相の指摘は的を射ている。

 資産の再分配については、当欄で以前にも述べたように、相続税率を100%とする方向で検討を行ってはどうだろうか(もちろん、配偶者には相応の配慮があって然るべきであるが)。国家に吸い上げられるのがいやであれば、血縁の有無を問わず、生活費や教育費がかかる子育て世代である20代30代に対する贈与に限って贈与税率を0%とすればいい。そうすれば、例えば20代の若者が代表を務めるNPOやNGOにも高齢者の金融資産を移転することができるようになり、「金は天下の回りもの」が文字通り実現できるのではないか。

449名無しさん:2015/05/10(日) 19:03:17
>>448
 なお、このような政策を採れば、シンガポールや香港などへの移住者が増えるのではないかと危惧する向きもあろう。キャピタルフライトを助長するのではないかと。しかし、そもそもの原点に戻って考えてみれば、人間の歴史には「代表なくして課税なし」という金言があった。日本国籍、パスポートを持ち投票権がある以上は、その人の資産・所得課税はわが国が行うのが本来の姿ではないのか。将来的には、パスポートを発行する国が、その国のパスポートを持つ人がどこに住んでいようと課税を行えるシステムに、世界が協調して変えていくべきだと考えるがどうか。

● 雇用格差の是正には 被用者保険の適用拡大がベスト

 資産格差に次いで問題となるのが、雇用格差、即ち正規雇用、非正規雇用の問題である。この問題については、早くも1994年に国際労働機関(ILO)が「パートタイム労働に関する条約」を採択しており、パートタイム労働者にフルタイム労働者と同等の労働条件を求めているが、わが国は批准していない。

 ところで、この問題の核心は、社会保険制度を適用するか否かにあるのではないかと思料する。最近はわが国でも、脱時間給制度の導入が始まろうとしているが、働いた時間ではなく成果が問われる時代に入りつつあるのだから、社会保険についても、勤務時間に係わりなく思い切った適用拡大を早期に行うべきではないか。

 厚生労働省が2014年に行った年金の財政検証では、いくつかのオプション試算が行われているが、その中に、一定以上の収入(月5.8万円以上)のある全ての雇用者に適用拡大を行えば、約1200万人の被用者が、厚生年金・健康保険の世界に組み込まれるケースが提示されている。

 わが国の非正規雇用労働者の総数は2000万人弱なので(正規雇用労働者は3300万人弱)、適用拡大を行うだけで、6割以上が救われる計算になる。より正確に言えば、非正規雇用労働者の中で、少なくとも、派遣社員120万人、契約社員290万人、パート940万人については、大半が救われるものと思われる(残りはアルバイト400万人、嘱託その他200万人など)。

 このような形で、セーフティネットの裾野が広がれば、安心して労働の流動化も図れよう。以前にも述べたことがあるが、世界でも高齢化社会の先頭に立つわが国においては、まず健康寿命を伸ばすために、定年を廃止する(働くことが健康寿命の延伸にはベストであると多くの医者が指摘している)。つまり、アングロ・サクソン国家のように年齢フリーの労働慣習を導入する。

450名無しさん:2015/05/10(日) 19:03:37
>>449
 そうなると企業は自ずと、年功序列賃金から同一労働・同一賃金へと移行せざるを得ない。その一方で、労働の流動化と被用者保険の適用拡大がなされているので、企業は労働力の需給の調整が自由に行える。中長期的に見れば、企業のメリットも大きく、また労働者の側に立っても、ライフワークバランスにあった労働の選択肢が拡がるというメリットがある。

 以上の政策パッケージが、雇用格差を解決する王道だと考えるがどうか。

● 教育格差については 子どもの貧困から着手を

 資産格差、雇用格差の次に市民の関心が高いのは、おそらく教育格差の問題であろう。近代の社会では、子どもの教育のレベルとその子どもの生涯所得はほぼ比例する。たとえ義務教育が無償であっても、付随して子どもを育てるためにはさまざまな費用がかかるのだ。

 2012年のわが国の子どもの貧困率は、過去最悪の16.3%となったが、これは実に子どもの6人に1人が貧困に喘いでいることを意味する。特に世帯の1割弱を占めるシングルペアレントの世帯では実に約6割の子どもが貧困に喘いでいるという。子どもの貧困は、子どもの将来の幸せな人生の可能性の幅を狭めるだけではなく、(そうした子どもは生涯所得も低くなるので)社会全体のセーフティネットのコストも嵩むことになり、社会にとって2重の損失となることを忘れてはならない。

 子どもの貧困については、どのような世帯であれ、安心して義務教育を受けられるレベルまで給付を増やすなど、早急に手を打つ必要があろう。子どもは私たちの未来である。世界第3の経済大国が、私たちの未来の6分の1を貧困のままに放置しておいて、未来が良くなるわけがない。

 次に、義務教育を終えた後の高等教育についてはどうするか。公立学校(大学)の無償化がやはり本筋だと考えるが、若者の学習意欲を高めるためには、何がしかのインセンティブも必要であろう。

 わが国の銀行は貸出先がなくて困っているのだから、大々的に無担保の教育ローンを始めてはどうか。そして、政策パッケージとしては、採用は通年採用とし、学校を卒業してから、企業は成績表を重視して採用を行うという習慣を定着させる。国は、成績優秀者に対して教育ローンを代位弁済することで報いることにする。

 もちろんこの仕組みは、社会人がローンを組んで大学院に進学する場合にも適用されるものとする。そうすれば、学生は元を取るために必死に勉学に励むようになるのではないか。また、ローンの返済を考えれば、安易な進学にも自ずと歯止めがかかることになり、神の見えざる手が働くことになる。なお、奨学金も、もちろん増やすべきであるが、その財源については、冒頭で述べた富裕層の贈与を充てることが望ましいと考える。

 (文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)

出口治明

451名無しさん:2015/05/10(日) 21:45:27
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150501-00070894-diamond-soci
貧困状態でも生活保護を選べないシングルマザーの葛藤
ダイヤモンド・オンライン 5月1日(金)8時0分配信

 2人の親がいても、育児は難事業。ひとり親家庭には、育児という難事業を一人で行う困難がある。さらにシングルマザーに対しては、女性ゆえの不利や困難が加わりやすい。

 今回は、生活保護より幅広く利用されている児童扶養手当を中心に、シングルマザーの置かれている状況を大づかみに見てみたい。どのようなシングルマザーがいて、どのような経済的支援を利用しているのだろうか? 

● シングルマザーが支える 母子の「暮らし」とは? 

 「子どもの貧困問題との関連で、『シングルマザーは、こんなに大変で悲惨』というトーンの報道、あるいは支援者からの訴えが増えています。シングルマザーの困窮はひどくなっていますが、そうかといって、全てのシングルマザーがそういう目で見られたいと思っているわけではありません」

 赤石千衣子さん(「NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長)は、「性差別に抑圧され続け、貧困状態にある母親と子ども」というイメージに傾きがちな私に、にこやかにクギを刺す。

 「私たちのところ、『しんぐるまざあず・ふぉーらむ』に来るお母さんたちの状況は、本当にさまざまです。子どもさんの数と年齢、職業、収入、学歴、DV被害に遭ったことがあるかどうか……など。私たちは当事者の団体なので、『生活困窮者支援』を前面に出している支援団体に相談に行くシングルマザーの方々に比べれば、平均年収は高いです」(赤石さん)

 1980年代初頭、自身もシングルマザーである赤石さんが設立した「しんぐるまざあず・ふぉーらむ(以下、ふぉーらむ)」は、2003年にNPO法人格も取得。調査研究・政策提言などを行う一方、電話相談・直接支援・交流会・相談会・支援者育成・親子の旅行など、さまざまな直接・間接の支援活動を展開している。

 約400人の会員は、多数のシングルマザー・若干のシングルファザー・支援や応援を行う賛助会員から成っている。シングルマザーたちの背景は、ひとり親になった経緯だけでも、離婚・非婚・未婚・死別とさまざまだ。

 「ふぉーらむ」の事務所は東京にあるため、会員の居住地も活動も、関東が中心になりやすい。しかし、年4回発行される会報とインターネット上の交流の場がある他、北海道・岩手・福島・関西・出雲・松山・福岡・沖縄に姉妹団体がある。

 2015年3月10日、「ふぉーらむ」と姉妹団体の全国的な連携により、「子どもの育ちを保障し居場所を広げる支援を求める声明」が発せられた。

 「(川崎中1殺害事件の被害者)上村遼太くんのお母さんの『遼太が学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、遼太が日中、何をしているのか十分に把握することができていませんでした』『今思えば、遼太は、私や家族に心配や迷惑をかけまいと、必死に平静を装っていたのだと思います』という言葉は、多くのひとり親家庭の親と子が置かれている状況を伝えており、私たち母子家庭の親として、いつ私たち親子に起こってもおかしくない事件だと感じ、胸が張り裂ける思いです」

 という書き出しで始まるこの声明は、子どもの貧困・ひとり親家庭の貧困・母子家庭の貧困をデータによって示し、ついで、

 「子どもの貧困対策推進の大綱では、保護者の就労支援として、「家庭で家族が接する時間を確保する。また、貧困の状態が社会的孤立を深刻化させることのないよう配慮する」とありますが、実効的な施策は不十分です」

 と、政府施策の不備を指摘する。

452名無しさん:2015/05/10(日) 21:45:47
>>451
 さらに、

 「ひとり親家庭の子どもたちの健全な育ちが保障されていないために起きるこうした事件が続けば、社会全体を不安定化させることにつながりかねないのです」

 と、決して「母親の自己責任」と放置するわけにはいかない社会的問題であることを示している。最後に、児童扶養手当の増額・生活保護の漏給問題(利用資格がありながら利用していない人々が多数存在する問題)の解決・スクールソーシャルワーカーを活用できる体制の整備・学習支援のみならず子どもたちの居場所を確保することの4点を提言している。

 ひとり親世帯・特に母子世帯に対する公的支援のメニューは、これまでも「ない」わけではなかった。昭和20年代、「近代国家にふさわしい社会保障とは? 」が政治の大きな課題であった時期、第二次世界大戦によって生み出された多数の孤児・寡婦・戦争による死別母子世帯の救済は重点的課題の一つであった。

 戦後、GHQは戦死遺族への給付を禁じていたが、日本の独立後は、遺族年金が戦死遺族に給付されるようになり、続いて死別母子家庭にも遺族年金が支給されるようになった。全国未亡人連絡協議会が活発に活動し、母子福祉年金(1986年以後は遺族基礎年金)などを政府に要求してきた。しかし、しかし、あくまでも死別母子家庭中心の制度であった。遅れて1961年、生別母子家庭にも児童扶養手当が給付されるようになっていった。

● 「児童扶養手当」が ひとり親世帯の命綱? 

 「まず、現在の制度とお母さんたちのニーズの間に、大きなギャップがあるんです」(赤石さん)

 現状、制度の利用状況は、どのようになっているのだろうか? 

 「厚労省の最新の調査結果(平成23年度全国母子世帯等調査結果報告)では、シングルマザーの14.4%が、生活保護を利用しています。8.5%は、公的年金を利用しています。死別だと遺族年金を受給できることがあり、シングルマザーの6.4%は実際に利用しています。死別だと、遺族基礎年金または遺族厚生年金(夫が厚生年金に加入していた場合)を受給できます」(赤石さん)

 この他に、シングルマザー自身が障害者である場合もある。シングルマザーの1.5%は障害年金を利用している。

 遺族基礎年金額は。子どもの加算が加わると年間で100万円程度となり、児童扶養手当の満額支給の額(2015年4月現在、4万2000円)の2倍程度となる。遺族厚生年金があれば、かなり「生活は保障されている」と言うことができ、母親がパートで働いても生活は成り立っていく。死別母子家庭と生別母子家庭には、給付額でも大きな差がある。ちなみに、公的年金と児童扶養手当の併給は認められていない(2014年12月、児童扶養手当以下の低年金である場合は、児童扶養手当との差額が受給できるようになっている)。

 「児童扶養手当は、シングルマザーの圧倒的多数、73.2%に利用されています」(赤石さん)

 ひとり親世帯に対し、子ども1人の場合は1ヵ月あたり最大4万2000円(満額)が支給される「児童扶養手当」は、現在のところ、ひとり親世帯の「命綱」なのだ。なお、1961年の制度創設時は母子家庭に限定されていたが、2010年以後は父子家庭も対象とされている。

453名無しさん:2015/05/10(日) 21:46:10
>>452
● なぜ、シングルマザーたちは 生活保護を選ばないのか? 

 ひとり親家庭の相対的貧困率は54.6%(2012年、厚生労働省の調査[PDF]による)。シングルマザーに限定すれば、さらに高いだろう。児童扶養手当が、シングルマザーの73.2%に利用されている一方で、生活保護を利用しているのは、シングルマザーの14.4%。母子家庭の相対的貧困率を60〜75%と控えめに見積もれば、生活保護の捕捉率(利用資格のある人のうち利用している人の比率)は20〜25%程度であろう。

 なぜ、シングルマザーたちは生活保護を利用しないのだろうか? 

 一例として、東京都に住む、子どもが2人いるシングルマザーを考えてみよう。母親は38歳、子どもは中学生1人・小学生1人とする。

 母親自身は、非正規雇用ながらフルタイム雇用で「社保完」とする。収入は額面で19万、手取りは15万円といったところだろうか。これだけなら、生活は「カツカツ」だ。

 しかし、児童扶養手当3万7000千円(年収が130万円を超えているので減額され、子ども2人でこの金額となる)・東京都の児童育成手当2万7000円(子ども2人分)を加えると、毎月の収入は21万4000円となる。しかし、生活保護費(生活扶助・住宅扶助・母子加算・児童養育加算)は26万7000円。生活保護基準以下の生活であることは間違いない。

 「生活保護基準以下の収入ではあるけれども、生活保護を受けたいと思っていない、といいますか、考えたこともない方は、たくさんいると思います」(赤石さん)

 理由は? 

 「健康保険証が使えず、医療券で医者にかかるなど『制約が大きい』と思っているんです。スティグマの問題もありますし。だから、望まないんです」(赤石さん)

 「その判断は、間違ってはいない」と認めざるを得ない。「自立支援」の名のもとに、行政に痛めつけられる可能性もある(前回参照)。やっと就労でき、就労を継続したら、次は生活保護基準以上に稼げる職業に就くことを求められる。子どもが2人いれば、東京都で手取り年収350万円程度が目安となる。可能性はゼロではないだろう。でも、生活保護を必要としているシングルマザーの多くにとって、実現可能性はどの程度だろうか? 

 さらに地方では、「生活保護か、車か」の究極の選択となりやすい状況がある。もちろん生活保護を利用していても、職業・障害などの理由によって自動車の保有・運転を許可される場合もある。しかし、そのような運用は極めて限定的かつ例外的だ。

 生活保護制度は、「最低限度だけど、健康で文化的な生活」、つまり「ゼイタクではないけれど、普通の暮らし」を実現するためにある。しかし現在では、利用しないでいれば苦しく、利用しても苦しい。「利用しないでいれば苦しい」を少しでも緩和できるのは、児童扶養手当。

 本来ならば、困難な状況にあるシングルマザーに「究極の選択」を迫る状況自体が、解決されるべき問題だ。しかし、目の前の子どものためには、その解決を待っているわけにはいかない。

454名無しさん:2015/05/10(日) 21:46:30
>>453
● 「母親の自己責任なら給付されない? 」 児童扶養手当の不適切な運用

 児童扶養手当は、シングルマザーたちにとって、生活保護よりは利用しやすい制度である。しかし、生活保護の「水際作戦(申請権侵害)」と同様に、行政によって不適切な運用がされることも多い。

 「たとえば、結婚しないで子どもを産んで児童扶養手当を申請した場合、申請時に妊娠の経緯などを聞かれてプライバシーが侵害され、申請をあきらめるようなこともあります」(赤石さん)

 この他、「子どもの父親が近くに住んでいるので、偽装離婚と疑われて児童扶養手当が給付されない」といった事例もある。「ふぉーらむ」では、このような扱いを受けたシングルマザーに対し、受給を支援する活動も行っている。

 2014年12月、子とともにシェアハウスに住んでいたシングルマザーに対し、「シェアハウスに親族ではない男性がいる」を理由として、国立市が児童扶養手当を支給停止としたことが報道された。報道は広い議論と批判を呼び、2015年4月17日、厚労省による課長通知へとつながった。報道(朝日新聞記事)によれば、

 「ひとり親に支給される児童扶養手当について、『事実婚』の状態かどうか生活実態を確認して判断し、適切に支給するよう求める通知を厚生労働省が各都道府県に出した。シェアハウスに住んでいる場合など、自治体が判断に迷うケースが増えているためで、判断の具体例も示した」

 ということだ。

 未だ不適切な運用も行われている現状はさておき、児童扶養手当が「子どもの貧困」のある程度の緩和に対し、大きな役割を果たしていることは間違いない。

 「繰り返しになりますが、シングルマザー全体を見ると、生活保護を利用しておられる人が、約14%。児童扶養手当を利用している人が、約73%。年金を利用している方々、就労収入・養育費・実家からの援助などだけでやっていけている人もいます。生活保護を受給している人は、DV被害、子どもの病気、子どもの障害などなんらかの困難が重複していることが多いのです」(赤石さん)

 ひとり親世帯の公的支援に関する状況を少しでも正確に理解するためには、この図式を念頭に置いておく必要がありそうだ。

 次回は引き続き、赤石千衣子氏のインタビューを紹介する。不完全で本人のニーズに沿っていないことも多いとはいえ、行政は、現金給付以外にも数多くの支援メニューを用意している。それらの支援メニューは、どのように「自立支援」の役に立っているのだろうか?  政策決定のあり方に、問題はないだろうか? 

みわよしこ

455とはずがたり:2015/05/16(土) 18:40:47

都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150516-00851952-sspa-soci
週刊SPA! 5月16日(土)13時51分配信

 早朝の新宿歌舞伎町。出勤する会社員に交じり、足早にネットカフェに入る一人の女性がいた。名前はユミ(27歳)。彼女に自宅はなく、ネットカフェなどを転々とする生活を、なんと5年間も続けている。

「この時間は空いているから広い部屋に入れるんだ。これから夕方まで寝る。デイユースのパックで1000円くらいかかるけど、ホテルとかに比べたら安いから」

 所持金は3000円。口座残高はゼロなので正真正銘の全財産だ。持ち物もバッグ一つで、洋服はコインロッカーに預けてあるという。

「よく延滞して業者に持っていかれちゃうけど、そのたびにGUとかで安い服を買うしいいかなって。今日は少し熱っぽいんだよね。保険証もないから気合で治すけど」

 そう笑う彼女は一見、普通のOLのようだ。小奇麗な服装にきっちりしたメイク。容姿を見ただけで放浪生活を送っていると気づく人は恐らくいないだろう。

 生活困窮者を支援する側のなかで、彼女のような存在は「見えないホームレス」とも呼ばれている。住居を持たないにもかかわらず、路上で暮らす男性ホームレスのように目につくことが少ないからだ。

「生活に困窮する若年層の女性の場合、多くは家庭の貧困やトラブルが発端です。そして、そういうコは出産が早くなる傾向がある」

 そう話すのは自立支援団体「インクルージョンネットよこはま」の鈴木晶子氏だ。

「そうなると正規雇用にも就けず、大学を出たコに比べて、その後の数年間で人生が決まるほどの差ができてしまう。そして社会からも孤立する。私たちとしても彼女たちの支援は課題で、そういった女性と繋がることは難しいのです」

◆家のない女性同士のいびつなコミュニティ

 昨夏からネットカフェを常宿とし始めたアケミ(32歳)の場合、もともとは保育職に就いていた。だが薄給なうえ激務で体を壊して退職。しばらくは貯金で凌いでいたがそれも底をつき、ネットカフェで寝泊まりする生活を始めた。

「最初は次の職場までの繋ぎのつもりだったんですけど、住所もないのでまともな会社は雇ってくれない。でも、ここにはシャワーやコインランドリーもあるし、なんとか暮らせますから」

 そのうち、同じような境遇の女性たちと知り合いになったという。

「住んでいる人はスウェット姿とかでいるからすぐわかる。なかには50代くらいの人もいますね。そのうちの一人の若いコと話すようになって、彼女から教わって“ワリキリ”もするようになった。出会い系で連絡を取って、ネカフェブースまで来てもらってエッチしたり……。でも、少し前にそのコから『病院に行きたいから保険証を貸して』と言われたけど、悪用されるのが怖いから断ったんです。それから気まずくて会ってない」

 困窮した女性はどうしても売春という手段をとりがちになる。だがそんな生活が長く続くわけもない。NPO法人「もやい」の大西連氏によれば、年間3000件ほど来る同団体への相談のうち、女性からのケースは約2割。年齢層は20代から70代まで幅広いという。

「かつては相談者のほとんどが野宿者でしたが、今では4割ほどに減り、ネットカフェなどで暮らす人に変わっている。女性の相談者の場合、精神的疾患を持つ方も多いですね。DVから逃げてきた人もいて、そういった場合、役所から家族への照会を恐れて生活保護を拒否する人もいます。また若い人などは、そもそも自分が生活保護を受けるべき生活水準だということに気づいていないこともある」

【鈴木晶子氏】
臨床心理士。一般社団法人「インクルージョンネットよこはま」理事。若い世代を中心に、ソーシャルワークや就労支援、地域コーディネートなど困窮者の支援をする

【大西連氏】
認定NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」理事長。新宿ごはんプラス共同代表。生活保護や社会保障削減などの問題について現場から声を発信している

取材・文/青山由佳 加藤カジカ 姫野ケイ 平野友季 山田文大 西澤まどか
日刊SPA!

456名無しさん:2015/05/16(土) 19:57:55
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150512-00047767-playboyz-bus_all
アベノミクスがもたらす中間層の没落で、日本はアメリカと同じ道をたどる?
週プレNEWS 5月12日(火)6時0分配信

異次元の金融緩和で市場に大量の資金を投入することで、デフレからの脱却と円高是正を図り、日本経済を一気に立て直そうという通称“アベノミクス”がスタートしてから約2年半が過ぎた。

その結果、円は大幅に下落し、日経平均株価は安倍政権成立前の2倍近い2万円前後まで高騰(こうとう)したが、「株を持っている人は儲(もう)かったかもしれないけど、それ以外の人には景気回復の実感があまりない……」というのが正直なところだろう。

日本経済はどこに向かっているのか? そんな日本の未来を、格差大国アメリカがたどった道と重ねながら「21世紀型のインフレ」というキーワードで読み解くのが『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』だ。著者の中原圭介氏に聞いた。

―「アベノミクス」に対する厳しい批判を展開されています。今、あえてこの本を書かれた動機はなんだったのですか?

中原 私は第2次安倍内閣が誕生した当初、世の中にアベノミクスという言葉が浸透する以前から、「異次元の金融緩和政策がもたらす結果は見えている。一部の富裕層の富がさらに膨らみ、インフレで一般庶民の暮らしが厳しくなる」と言い続けてきました。

なぜなら、アベノミクスはアメリカの政策の「後追い」でしかないからです。日本と同じように金融緩和によるインフレ政策を取り続けてきたアメリカの実情は、中間層が没落し、格差が広がっています。そうである以上、誰かが「間違いだ」と積極的に発信しなければ、間違った政策がそのまま進んでしまいかねない。そうした強い危機感から本書を書きました。

著名な経済学者たちは、アベノミクスで「輸出も増える、経済も良くなる」と無責任なコトを言い続けてきました。しかしふたを開けてみれば、私が考えていたとおり、円安になっても輸出は伸びていません。金融緩和によって大企業や富裕層が豊かになれば、その富がやがて中小企業や一般庶民にも落ちてくるという、いわゆる「トリクルダウン」も起きていない。当然です、アメリカでもトリクルダウンなんて起きていないんです。
―では実際に、アメリカでは何が起きているのでしょう?

中原 先に述べたとおり、2000年以降、アメリカで顕著なのは格差の拡大です。その原因のひとつを、私は「21世紀型のインフレ」と呼んでいます。

従来の20世紀型インフレは消費の拡大によって物価が上昇してゆく古典的なインフレです。多くの場合、経済が成長するに応じて国民の生活も次第に良くなってゆく。「インフレを誘導すれば景気が良くなる」という人がいるのはそのためです。

一方、21世紀型インフレとは原油など資源・エネルギー価格の高騰がもたらすインフレのことを指します。これによって、「資源消費国」であるアメリカや日本など多くの先進国の所得が、資源国へ急激に移転します。企業や家計の貯蓄が国外へ流出し、結果として中間層以下の国民に苦痛をもたらします。

2000年からの13年間を見ると、アメリカはインフレ目標政策によって、年平均2%超の物価上昇を達成していて、トータルのインフレ率は約35%です。しかし、名目の平均所得はどうかというと2000年からの13年間で上がるどころか、2.1%も下がっている。

経済学者は「GDPは伸びているからいいじゃないか?」と言うけれど、実質所得を計算すれば同期間で3割近くも落ちているのです。つまり日本にたとえると、500万円の年収が13年間で350万円に下がったのと同じことが、アメリカの庶民に起こっているわけです。

―大幅な金融緩和で株式市場が高騰し、インフレでGDPが上がっても、所得の上昇が伴わなければ結局、格差が拡大するだけ……ということですね。

中原 ところが、日本では今でもアメリカのインフレ政策が成功していると考えている人が多い。それに私は、アメリカと違って、日本ではそのインフレすら維持できないと見ています。

その理由は日本とアメリカの文化的な背景の違いです。アメリカ人は「インフレになると貨幣価値が落ちるから、その前に使わなきゃ……」という発想をするので消費が拡大し、インフレを加速させます。

一方、日本人は「インフレがくると実質所得は目減りするから、もっと節約しよう」というマインドです。これではインフレの維持すら難しい。

457名無しさん:2015/05/16(土) 19:58:08
>>456
―では、アメリカのように格差が拡大するとどんなことが起きるのでしょうか?

中原 戦後、日本の繁栄と安定を支えてきた分厚い「中間層」が没落し、日本の国力を急速に失わせることになるでしょう。

そこで、21世紀型のインフレと並び、格差を広げるもうひとつの要因となるのがアメリカ型の「株主資本主義」です。

日本の企業は伝統的に社員の雇用を大切にして、よほどのことがない限り大量解雇はしなかった。そのため日本は、先進国の中で最も失業率の低い国であり続けてきました。

ところが株主資本主義は豊かな中間層の雇用を削ってでも利益や効率を優先し、それを株主に分配することを要求します。アメリカでは普通に働く人たちの賃金や雇用を犠牲にして企業の業績や効率を守ることが経営者の仕事になり、政・官・学が一体となってそうした流れを推し進めた結果、「中間層」が崩壊しかけています。

日本経済の停滞を「失われた20年」と呼びますが、これはある意味、欧米の価値観の押しつけで、日本の企業は利益や効率をある程度犠牲にしても、雇用を守ってきたとも言える。

その国によって価値観、生活スタイル、宗教が違うのにアベノミクスを支持する経済学者たちはそうした違いを考慮せず、経済指標だけを単純に比較してしまう。しかし、それでは経済の現実は見えてこないのです。

「アベノミクスによって、2%のインフレを実現すればすべてがバラ色」みたいなことを言っていた経済学者が、最近になって「物価目標にこだわりすぎる必要はない」と言いだしたのを見て私は呆(あき)れました。リフレ派の罪は非常に重い。

こうした経済学者にミスリードされ、日本の経営者が巻き込まれてしまえば、格差は急速に拡大し、日本の中間層、つまり社会の中心を成す「普通の人たち」の生活は大きく傷つけられてしまいます。中間層の没落が国の衰えにつながることは、これまでの歴史がハッキリと証明しているのです。

●中原圭介(なかはら・けいすけ)
1970年生まれ。経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行なう傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。主な著書に『2025年の世界予測』『シェール革命後の世界勢力図』『これから日本で起こること』『これから世界で起こること』などがある

■『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』
(朝日新聞出版 1500 円+税)
空前の好景気に沸くアメリカだが、その実態は中間層のない富裕層と庶民で構成された格差社会になっているという。その原因となったのが、金融緩和政策。21世紀型のインフレによって中間層は没落し、企業経営者が株主の顔ばかりをうかがう株主資本主義が横行する。アベノミクスでアメリカの後を追う日本経済の未来は?

458チバQ:2015/05/17(日) 09:55:19
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150516-00851952-sspa-soci
都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
週刊SPA! 5月16日(土)13時51分配信

都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
(日刊SPA!)
 早朝の新宿歌舞伎町。出勤する会社員に交じり、足早にネットカフェに入る一人の女性がいた。名前はユミ(27歳)。彼女に自宅はなく、ネットカフェなどを転々とする生活を、なんと5年間も続けている。

「この時間は空いているから広い部屋に入れるんだ。これから夕方まで寝る。デイユースのパックで1000円くらいかかるけど、ホテルとかに比べたら安いから」

 所持金は3000円。口座残高はゼロなので正真正銘の全財産だ。持ち物もバッグ一つで、洋服はコインロッカーに預けてあるという。

「よく延滞して業者に持っていかれちゃうけど、そのたびにGUとかで安い服を買うしいいかなって。今日は少し熱っぽいんだよね。保険証もないから気合で治すけど」

 そう笑う彼女は一見、普通のOLのようだ。小奇麗な服装にきっちりしたメイク。容姿を見ただけで放浪生活を送っていると気づく人は恐らくいないだろう。

 生活困窮者を支援する側のなかで、彼女のような存在は「見えないホームレス」とも呼ばれている。住居を持たないにもかかわらず、路上で暮らす男性ホームレスのように目につくことが少ないからだ。

「生活に困窮する若年層の女性の場合、多くは家庭の貧困やトラブルが発端です。そして、そういうコは出産が早くなる傾向がある」

 そう話すのは自立支援団体「インクルージョンネットよこはま」の鈴木晶子氏だ。

「そうなると正規雇用にも就けず、大学を出たコに比べて、その後の数年間で人生が決まるほどの差ができてしまう。そして社会からも孤立する。私たちとしても彼女たちの支援は課題で、そういった女性と繋がることは難しいのです」

◆家のない女性同士のいびつなコミュニティ

 昨夏からネットカフェを常宿とし始めたアケミ(32歳)の場合、もともとは保育職に就いていた。だが薄給なうえ激務で体を壊して退職。しばらくは貯金で凌いでいたがそれも底をつき、ネットカフェで寝泊まりする生活を始めた。

「最初は次の職場までの繋ぎのつもりだったんですけど、住所もないのでまともな会社は雇ってくれない。でも、ここにはシャワーやコインランドリーもあるし、なんとか暮らせますから」

 そのうち、同じような境遇の女性たちと知り合いになったという。

「住んでいる人はスウェット姿とかでいるからすぐわかる。なかには50代くらいの人もいますね。そのうちの一人の若いコと話すようになって、彼女から教わって“ワリキリ”もするようになった。出会い系で連絡を取って、ネカフェブースまで来てもらってエッチしたり……。でも、少し前にそのコから『病院に行きたいから保険証を貸して』と言われたけど、悪用されるのが怖いから断ったんです。それから気まずくて会ってない」

 困窮した女性はどうしても売春という手段をとりがちになる。だがそんな生活が長く続くわけもない。NPO法人「もやい」の大西連氏によれば、年間3000件ほど来る同団体への相談のうち、女性からのケースは約2割。年齢層は20代から70代まで幅広いという。

「かつては相談者のほとんどが野宿者でしたが、今では4割ほどに減り、ネットカフェなどで暮らす人に変わっている。女性の相談者の場合、精神的疾患を持つ方も多いですね。DVから逃げてきた人もいて、そういった場合、役所から家族への照会を恐れて生活保護を拒否する人もいます。また若い人などは、そもそも自分が生活保護を受けるべき生活水準だということに気づいていないこともある」

【鈴木晶子氏】

臨床心理士。一般社団法人「インクルージョンネットよこはま」理事。若い世代を中心に、ソーシャルワークや就労支援、地域コーディネートなど困窮者の支援をする

【大西連氏】

認定NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」理事長。新宿ごはんプラス共同代表。生活保護や社会保障削減などの問題について現場から声を発信している

取材・文/青山由佳 加藤カジカ 姫野ケイ 平野友季 山田文大 西澤まどか

459とはずがたり:2015/05/17(日) 20:15:52
川崎火災 簡易宿泊所、新たに2人死亡 死者4人に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150517-00000531-san-soci
産経新聞 5月17日(日)17時28分配信

川崎火災 簡易宿泊所、新たに2人死亡 死者4人に

捜索活動に当たる消防隊員ら=17日午前、川崎市川崎区(川口良介撮影)(写真:産経新聞)

 川崎市の簡易宿泊所から出火し、焼け跡から2人の遺体が見つかった火災で、川崎市消防局は17日、新たに焼け跡から心肺停止の2人が見つかり、いずれも死亡が確認されたと発表した。この火災による死者は計4人になった。

 火災は17日午前2時すぎごろに発生。川崎署と市消防局によると、簡易宿泊所「吉田屋」から出火し隣接する宿泊所に延焼、木造の2棟延べ計約1000平方メートルが全焼した。やけどなどの重軽傷を負った男女18人が病院に搬送されたほか、まだ数人の行方が分かっていないとみられる。

460とはずがたり:2015/06/01(月) 17:20:33
貧困と教育ネタとその関連リンクなど

優秀な遺伝子も打ち負かし得る貧困―知能を左右するのは環境
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/2538

心理学者たちが双子たちの研究を開始してすぐ、同じような水準のIQを持っている可能性は二卵性双生児よりも一卵性双生児の方がずっと高いということがわかった。IQは「遺伝性」が高く、その差は遺伝的違いによるものだ、と彼らは結論付けた。

貧しく、SESの低い家庭で育っている双子たちの状況はかなり違っているということに気付いた。そうした一卵性双生児と二卵性双生児のあいだにはほとんど差がなかったのだ。IQにはほとんど遺伝性が見られなかった。優秀な教師に付きっ切りで教わったかどうかといった環境の違いの方がよっぽど重要なようだった。

461とはずがたり:2015/06/01(月) 17:22:19
脳と学力と貧困の悪循環
http://jp.wsj.com/articles/SB12387842356326593464804580639910093690070
By Alison Gopnik
2015 年 5 月 14 日 14:11 JST

 国勢調査によると、米国の5分の1ないしそれ以上の子どもは貧困の中で生活しており、状況は2000年以降、悪化の一途をたどっている。それと同時に、教育研究家のショーン・リアドン氏が指摘しているように、「収入による成績の格差」は広がっている。つまり、低所得世帯の子どもの学校での成績は、高所得世帯の子どものそれをかなり下回っているということだ。

 教育の所得水準に及ぼす影響が、かつてないほど大きくなっている中で、貧困の循環に陥る子どもが増えている。この循環がいかに機能しているのかを理解し、それを終わらせようとするプロジェクトほど重要なものは思いつかない。

 神経科学はこのプロジェクトに貢献できる。マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・ガブリエリ氏率いるチームは、「心理科学」に掲載された新たな論文で、イメージング技術を使い、14歳の公立学校の生徒58人の脳を計測した。被験者のうち23人は給食費が免除ないし減額されている子で、残りの35人は中間層の世帯の子だった。

 チームはこの2つのグループの間に脳の違いがあることを発見した。チームは脳のさまざまな場所で、脳の表面を覆っている皮質の厚さを計測した。低所得の世帯の子供の皮質は、高所得の世帯の子供よりも薄かった。

 低所得の世帯には民族・人種のマイノリティがより多く含まれていたが、統計の分析から、民族や人種の違いは脳の皮質の厚さと関係ないことが分かっている。また、皮質の薄い子どもは、皮質の厚い子どもより成績が悪い傾向にあった。これは高所得世帯の子でも、低所得世帯の子でも変わらなかった。

 もちろん、脳に差があることの発見から分かることはそれほど多くない。本質的に、子どもの脳に関することはそれぞれの子どもによって違うはずだ。なぜなら、彼らのテストの際の行動もさまざまだからだ。しかし、発見したこの脳の違いからは、少なくともいくつかのことが浮かび上がってくる。

 脳は地球上で最も複雑なシステムであり、脳の発達には、遺伝子と物理的・社会的・知的環境との間の複雑なやりとりが関わっている。脳には、われわれがまだ知らないこともたくさんある。

 しかし、われわれは脳に神経科学者が言う「可塑性」があることを知っている。進化の過程で、脳は外部世界によって変化するようになったのだ。脳を持つ意味はここにある。この形成過程でとりわけ重要な役割を果たしているのが2つの補完プロセスだ。1つは神経科学者が「プロリフェレーション(増殖)」と呼ぶプロセスで、脳の神経細胞間に多くの新たな結合が作られることを意味する。もう1つは「プルーニング(刈り込み)」と言うプロセスで、一部の既存の結合が強くなる一方で、一部が消滅することを意味する。体験はこのプロリフェレーションとプルーニングの両方に大きな影響を及ぼす。

 発達の初期段階では、プロリフェレーションが勝っている。小さな子どもは成人よりずっと多い、新たな結合を作る。発達の後期の段階になると、プルーニングが重要になってくる。人間は、柔軟性があり記憶力の良い若い脳から、より効果的、効率的かつ硬直的な大人の脳にシフトする。皮質の厚さの変化は、この発達によるシフトを反映しているように思われる。皮質は小児期に徐々に厚くなるが、青年期には逆に、薄くなっていく。おそらくプルーニングの結果だろう。

 この研究に参加した低所得世帯の14歳の子が小児期に皮質を厚くできなかったのか、それとも、彼らの皮質が青年期に、より迅速に薄くなったのかは分からない。

 低所得世帯と高所得世帯の間には、収入以外にも多くの体験上の違いがある。栄養、ストレス、学習の機会、家族構造など多くのことが違っている。これらの違いのうちどれが皮質の厚さの差につながっているのかはわれわれには分からない。

 ただし、動物の研究からいくつかのヒントを得られる。豊かな環境(探索するものが多くあり、学ぶ機会も豊富な環境)で育てられたラットはより多くの神経的な結合を作る。ストレスにさらされたラットが作る結合は少ない。ストレスが動物の成長を過度に早めることを示す証拠もいくつか存在する。この場合、悪影響が生じることが多い。また、栄養状態は全ての動物の脳の発達に影響する。

 だが、重要なのは、ありがたいことに脳の可塑性は失われないということだ。脳は生涯を通じて変化を受けることが可能であり、われわれが学び、変化する力が完全に失われることはない。ただし、それと同じくらい重要な点は、小児期は最も可能性に満ちた時期であり、最もリスクの大きな時期でもあることだ。われわれは毎日、何百万人もの米国の子どもの脳の可能性を失っていると言える。

462とはずがたり:2015/06/06(土) 10:12:32
昔仕事で一寸こういう事例絡みの補助金目にしたなぁ。。どうだっけかな?

親の経済格差で子どもの肥満が3倍に…日本医科大調査
リセマム 2015年6月5日 18時45分 (2015年6月6日 09時38分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150605/Resemom_24959.html

 親の経済状態が子どもの肥満に影響を与えることを明らかにする研究結果が発表された。家計支出が下位3分の1の世帯での青年期の肥満の割合は、上位の世帯の約3倍だった。

 調査は、日本医科大学の可知悠子助教らが「親の経済格差が子どもの肥満に及ぼす影響」に関して、全国から無作為抽出した学童期(6〜11歳)と青年期(12〜18歳)の子ども各397名を対象に行った。日本疫学会が公式に発行するオープンアクセスの学術雑誌「Journal of Epidemiology」に5月23日発表されている。

 肥満に該当したのは、全体では学童期で12.3%、青年期で9.1%だった。

 論文では、世帯人数を調整した月間の家計支出額をもとに世帯を3群に分け、それぞれの肥満の割合を調べた。学童期では、家計支出が下位3分の1の世帯(平均家計支出額15.0万円)での肥満は14.1%、上位の世帯(39.0万円)では12.0%と、世帯間に大きな差は見られなかった。

 青年期では、下位3分の1の世帯(平均家計支出額16.5万円)での肥満は15.1%、上位の世帯(45.2万円)では4.8%となり、調整後オッズ比では3.4倍の差があることがわかった。

 欧米では親の経済状況が子どもが肥満リスクにつながるという報告が多数あるが、日本でも同様の傾向にあることが明らかになった。

463名無しさん:2015/06/14(日) 13:41:14
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150609-00000005-sasahi-bus_all
生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が上? 〈週刊朝日〉
dot. 6月9日(火)7時7分配信

 格差社会が進む日本。政府も格差是正に動いているが、その方法がおかしいと指摘するのは、“伝説のディーラー”藤巻健史氏だ。

*  *  *
 モルガン銀行勤務時代、ニュージーランドのヘッジファンドオーナーの英国の別荘を訪問した際、建造中のヨットの設計図を見せてもらった。別荘には、なんと、ヘリポートと潜水艦の収納庫もついていた。別荘のすごさに驚いている場合ではなかった。さらに息子と娘の成人祝いにおのおのジェット機を買い与えた話を聞いてズッこけた。

 また英国人のファンドマネジャーが「趣味は農場経営だ」と言うので「家庭菜園に毛が生えたものか」と思っていたら「南アフリカに4千人の従業員を雇ってやっている。その農場の作物の生育状況を1日30分聞くのが私のリラックスタイムだ」という。

★   ★
 私が見ている限り、外国にいるような大金持ちなど日本にはいない。それなのに格差是正と称して小金持ちを引きずり下ろそうとしているのが日本社会だ。本来、格差是正を言うなら、低所得者層を引き上げることに焦点を置くべきだ。なぜ他国では法人税率の引き下げに対して、日本ほど反対が起きないのか? なぜ日本だけが相続税増税に走り他国は相続税を軽減ないしは廃止する方向に向かっているのか?

 外国人にいろいろ聞いてみたら、どうも法人税や相続税は二重課税だからのようだ。二重課税だと「合成の誤謬(ごびゅう)」が起きてしまう。格差是正の名目でただでさえ累進性のきつい所得税をよりきつくし、相続税も重税化した結果、日本は、小金持ちにとって並外れて厳しい国になってしまった。

 所得税+住民税の最高税率55%、相続税の最高税率55%だから、ある一定以上の収入を稼ぐと、さらに100万円を稼いでも子供に20万2500円しか残せない(100万円×45%×45%)。これでは、その段階に達した時点で働くのをやめてしまうだろう。そこから失敗して大損の可能性がある一方、成功してもリターンが少ない「ハイリスク・ローリターン」の世界に突入するなら当然の判断だ。

 これでは産業の新陳代謝を促し、将来の労働場所を提供してくれるベンチャーは育たない。経営者がすぐ降りてしまうからだ。

 ところで、4月13日の参議院決算委員会で国税庁に聞いたところ、勤労者の平均年収は414万円だが、年収400万円の人の手取り額(税金と社会保障費を引いた額)は、配偶者と高校生の子供2人がいる家庭では、330万円だそうだ。

 次に厚労省に「配偶者と高校生の子供2人がいる50歳代の生活保護者への給付額」を聞いた。東京都三鷹市では340万円だという。税金や社会保障費は払っていないだろうから、勤労者の平均と同レベルの手取り額だ。さらには、弱者救済ということで、生活保護家庭は医療費、介護費用、都営地下鉄、バスなどが無料だそうだ。勤労者は当然これらのコストを自分で払う。生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が多いことになる。

 健康を害して働けない人ならともかく、働く能力があるのに職が見つからないという理由で働かない人が平均的勤労者より手取り額が多いのは、明らかに間違いだ。自衛隊の定員不足や介護要員の不足のニュースを聞くたびに疑問に思う。これでは誰も働かなくなる。各役所が「弱者救済、格差是正」を金科玉条にバラバラに優遇措置をつけるせいでは?

※週刊朝日 2015年6月12日号

464名無しさん:2015/06/14(日) 13:42:08
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150602-00043487-gendaibiz-bus_all
50,000人の子どもたちが親元で暮らしていない今。子どもたちが暮らす8つの形態、全て言えますか?【前編】
現代ビジネス 6月2日(火)11時1分配信

 前回は児童虐待が発見された後どうなるのか、児童相談所の役割や現状について書かせていただきました。今回は保護された後に、子どもたちが家の代わりに暮らす児童養護施設や里親をはじめとした「社会的養護」というものについてです。普段なじみがない領域である分、より多くの方の目にとどまるようにNAVERまとめ風にタイトルをつけてみたのですが、センスの問題か、少し攻撃的なタイトルになりました(苦笑)。

「社会的養護」って知ってますか?
 さて、社会的養護とは、保護者のいない児童や被虐待児など、家庭環境上の理由で養護を必要とする児童に対して、公的な責任として養護を行う事を指します。つまり、家庭に代わって、社会保障費(我々の税金等)で子どもたちを育てることを指します。

 社会人になるまで親と暮らすことがなんとなく当たり前だと思って暮らしている人も多いと思いますが、実は約50,000人の子どもたちが、そのほとんどは親がいるにも関わらず、親元で暮らすことができていない状況です。東京だけでいうと約4,000人の子どもたちが親と暮らしていません。

 以下が、虐待等で保護された子どもたちがその後に暮らす社会的養護の各種形態になります。

 
芦田愛菜ちゃんが主演した『明日ママがいない』(日本テレビ)や、ランドセルを匿名で寄付する「タイガーマスク現象」などによって「児童養護施設」の認知度は上がったかもしれません。しかし、その中身を詳しく知る人は少なく、また児童養護施設以外の施設についてはほとんど聞いたことがないのではないでしょうか。「里親」についても、googleなどで検索すると、ペット里親がトップにあがってきます。ペットではない、子どもの里親制度について日常生活で耳にすることはほとんどないのではないでしょうか。海外のドラマや映画、里子を受け入れているブラッドピットとアンジェリーナジョリーのゴシップニュースで聞く頻度の方がおそらく多いのではないかと思います。

 しかし、約50,000人の子どもたちはほとんどの大人が知らない、この社会的養護下で現に暮らしているのです。社会的養護といえども、(金銭的なもの以外は)あまり社会が育てている状況ではなく、子どもたちが困ってSOSを出しても、そのSOSが届かない距離で私たちは暮らしています。

 これは児童養護施設等の慢性的な人手不足や、子どもの安全のための個人情報の保護などの理由もあり、私たちが興味を持てばよいという単純な話ではないありません。しかし、いずれにせよ大人や社会側の都合ではあるので、本来は言い訳にしてはならず、一刻も早く解消していくべき点だと個人的には思います。とはいえ、単純な話ではないということは現場近くにいて感じています。

465名無しさん:2015/06/14(日) 13:42:29
>>464

「家庭養護」の2つの形態?①里親
 社会的養護は、家庭の中で育てる「家庭養護」と、施設の中で育てる「施設養護」の2種類に分かれます。日本の場合、保護されたほとんどの子どもたちが施設養護の形態で暮らすことになります。先ほどの社会的養護の表からも、約5万人のうち、家庭養護で育つ子どもたちは5千人ほどで1割程度となっています。以下は家庭養護の内、里親の下で暮らす子どもの割合を海外と比較した図です。いかに日本の状況が特殊かがわかるデータではないでしょうか。

 里親と養子縁組の違いがわかりづらいという質問を受けることがあるので、ここで簡単に説明します。養子縁組は戸籍上も子どもとして育てることであり、実子として受け入れる制度を「特別養子縁組」と呼び、養子として受け入れる制度を「普通養子縁組」と呼びます。普通養子縁組は「家の存続等」が目的の制度で、特別養子縁組は「子どもの福祉、利益を図る」ことが目的の制度となっています。つまり、子どもの養子縁組という場合には、「特別養子縁組」のことを指すことが一般的です。

 それに対して里親は行政から養育費をもらいながら、わかりやすくいえば、個人で子育ての委託を受けながら育てている形を指します。里子の場合、戸籍上は何も影響はありません。

 里親の中にも個人間の同意で行う「私的里親」、児童福祉法の下で行う「養育里親」と「専門里親」、3親等以下の親族が行う「親族里親」があります。また、一般的に里親のくくりからは外れますが、児童養護施設などから週末だけ家庭を体験するために訪れる「週末里親」という制度もあります。近年は「里親」というと、一般的に「養育里親」を指します。

 「養育里親」と「専門里親」は、里親となる本人がどのように思い育てているかは別として、仕組みとしては自分の子どもとして育てるのではなく、委託を受けて育てている制度であるため、「里親手当」と、各種経費(生活費、教育費)が支給されます。養育里親の場合には月額7万2千円(2人目以降は3万6千円)で、専門里親の場合には月額12万3千円(二人目以降は8万7千円)となっています。また両方とも、生活費が1人当たり約5万円(子どもの年齢によって異なります)と、学校に通う等の教育費が基本的には実費で支給されます。

 里親手当の金額の違いは、専門里親の場合、子どもの問題に対処するため専門知識・資格・実務などがある人が里親ということです。資格などがなくても、養育里親の経験がある人が、発達障害や、非行・問題行動が目立つ子どもを育てる仕組みになっています。要するに、制度上は、責任や難易度が上がったことによる「昇給」という位置づけといえるかもしれません。

 ここまで書くと里親はドライに仕事として子どもを育てている印象を持つかもしれませんが、あくまで制度上の話であり、実際はわが子のように育てている里親は少なくありません。

 そして里親委託数は、ここ数年で少し増加ぎみにあるものの、戦後の大きな流れで見ると減少しています。その理由には諸説ありますが、里親が減り始めた1950年代から児童福祉施設を作るための補助が充実し、収容人数という視点から児童福祉施設のニーズが増えたことで、社会的養護の主な担い手が児童福祉施設に代わったままになったとのことです。

466名無しさん:2015/06/14(日) 13:43:14
>>465

「家庭養護」の2つの形態?②ファミリーホーム
 2009年4月に制度化された新しい家庭養護の形です。こちらは概念としては、すでに夫婦などで暮らしている家に、養育補助者を1人以上を置いて、合計3人以上で、5,6人ほどの子どもを預かる制度です。大規模里親制度といえるかもしれません。里親同様に、職業として運営できるよう人件費をまかなえる費用を行政が支払います。その金額は子ども1人当たり月約20万円となっています。5人以上を育てるので、月約100万円ほどで、こちらに3人の人件費や子どもたちへの生活費なども含まれるといった形です。

 ファミリーホームを運営するのは、夫婦に親族やアルバイト等を雇って運営する家族経営型と、法人などが複数のファミリーホームを運営する法人経営型があります。5人以上の子どもが暮らせる住居が必要であったり(修繕費などは出るもののそれだけの土地を持っている人も少ない)、色んな用件や書類を提出しなくてはいけないことから、現実的には家族経営は厳しいともいわれています。そうすると、法人が経営する児童養護施設などにも6人ほどが家庭に近い住居でグループホームとして暮らしている場合も多く、ファミリーホームとの違いがあいまいになってしまうことも問題視されています。

 後編につづく。

森山 誉恵

467名無しさん:2015/06/14(日) 20:43:46
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150612-00000002-mai-soci
<生活困窮>強制退去の日、娘を殺害 千葉地裁で12日判決
毎日新聞 6月12日(金)3時0分配信

 ◇母「誰かに相談すればよかった」

 生活に困窮して家賃を滞納し、公営住宅から強制退去させられる当日、中学2年の一人娘を殺害したとして起訴された母親の裁判員裁判の判決が12日、千葉地裁(佐々木一夫裁判長)で言い渡される。別れた夫は借金を残した。娘の制服を買うためにヤミ金融にも手を出したが、生活保護は受けられなかった。「なぜ殺してしまったのか。誰かに相談すればよかった」。法廷で涙を流して悔いる母の言葉を、裁判員はどう受け止めたのか。

 殺人罪などに問われているのは千葉県銚子市のパート従業員、松谷美花被告(44)。起訴状によると2014年9月24日午前9時ごろ、県営住宅の自室で長女可純(かすみ)さん(当時13歳)の首を絞めて窒息死させたとされる。

 月1万2800円の家賃の滞納が約2年間続いたため、県が住宅明け渡し訴訟で勝訴、事件当日は立ち退き期限だった。午前11時10分ごろ、鍵を開けて立ち入った地裁の執行官らが、布団の上でうつぶせになった可純さんの遺体を見つけた。

 被告は放心状態で座り込み、可純さんの頭をなでながら4日前に撮ったビデオを見ていた。体育祭で赤い鉢巻きをして走る娘の姿が映し出されていた。「これは私の子。この鉢巻きで首を絞めちゃった。ビデオを見終わったら自分も死ぬ」と話したという。

 今月8日に始まった公判で、生活の様子が明らかになった。会社員の夫は結婚当時から数百万円の借金を抱えていた。その返済や生活のために被告名義でも消費者金融から金を借りた。02年に離婚し、06年から学校給食のパートをしながら返済を続けてきたが、12年5月から家賃を払えなくなった。

 可純さんの中学入学直前の13年春、制服や体操着を買うためにヤミ金から7万円を借り、少なくとも5業者から違法な高金利で返済を強いられた。国民健康保険料も滞納した。パートの時給は850円、月給は4万〜8万円。ただ、事件を起こした14年9月は夏休み明けだったためゼロだった。事件当時の預金残高は1963円しかなかったが、被告人質問で「市が雇っているので掛け持ちのアルバイトは無理と言われていた」と説明した。

 実家の土地を無断で借金の担保にしたため両親とは絶縁状態だった。友人からも借金を重ねたが、事情は話せなかった。生活保護の相談で銚子市役所を訪れたが「仕事をしているなどという理由で断られ、頼ることができなかった」という。

 困窮した親子を救う手立てはなかったのか。市社会福祉課は取材に「制度の説明を聞きに来ただけだったので、詳しい事情の聞き取りはしなかった」と説明した。立ち退きを求めた県住宅課も「被告の生活状況は把握していなかった」という。

 「本当は私が死ぬはずだった。可純に本当に申し訳ない」。松谷被告は法廷で涙を流した。自分の腹を切るため、台所のテーブルの上に一番切れる包丁を用意したとも明かした。量刑以外に争いはなく、検察側は「被害者に責任は全くなく、犯行は身勝手だ」と懲役14年を求刑した。弁護側は「事件の経緯は同情に値する」として執行猶予を求めている。【川名壮志】

 ◇行政側が積極的な情報提供を

 専門家は事件をどうみるか。吉永純・花園大教授(公的扶助論)は「事情も聴かずに立ち退きを強制した千葉県にも、経済状況を聴取せずに生活保護の申請を受理しなかった銚子市にも問題があった」と話す。そのうえで「どこででも起こりうる問題だ」と指摘し、「困窮者は貧困から抜け出すために必要な情報を得る手立てを持てない。だからこそ行政側が積極的な情報提供やアドバイスをする必要がある」と語った。

 事件を受け、千葉県は県営住宅の明け渡し訴訟を起こした場合は、福祉担当者や民生委員が対象者を訪ねて家賃を滞納している理由などを聞き取るよう関係市町村に要請する対策を取った。銚子市は国民健康保険の未納情報を生活保護担当者が把握できるようにし、支援の手から漏れた人がいないか確認しているという。

468名無しさん:2015/06/14(日) 20:44:10
>>467

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150611-00000051-san-l12
千葉・銚子の娘殺害 母親に懲役14年求刑「悪質で短絡的」
産経新聞 6月11日(木)7時55分配信

 生活苦で家賃を滞納し県営住宅からの立ち退きを命じられ、強制執行当日に中学2年の長女、松谷可純さん=当時(13)=を絞殺したとして、殺人罪などに問われた母親の美花被告(44)=銚子市豊里台=の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、千葉地裁(佐々木一夫裁判長)で開かれ、検察側は「ヤミ金の返済のために詐欺も行っており、犯行は悪質で強く非難されるべきだ」として懲役14年を求刑した。判決は12日。

 松谷被告は9、10日の被告人質問で、犯行当時の手口や動機などについて「思いだせない」と供述。一方、犯行後の県警の取り調べには、「住宅を追われそうになり、将来を悲観して自殺を考えた。『(可純さんを)1人では置いていけない』と思い犯行に及んだ」と話していたことが供述調書などから明らかになっている。

 検察側は論告で、「家計を見直せば家賃は支払えた。誰にも相談せず殺害に及んだことは短絡的」と指摘した。弁護側は、「生活に困り追い詰められた上での犯行で同情に値する。正常な精神状態での犯行ではなかった」として、執行猶予付きの判決を求めた。

 松谷被告は最終意見陳述で「なぜ娘に手をかけたか分からない。これから生きていく中で理解していきたい」と涙を流した。

 起訴状などによると、松谷被告は昨年9月24日午前9時ごろ、自宅で可純さんの首を鉢巻きで絞めて窒息死させたとしている。

469とはずがたり:2015/06/17(水) 13:43:28
小1「貧困」把握、親の年収・学歴調査…足立区
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150616-OYT1T50190.html?from=ycont_top_txt
2015年06月17日 07時25分

 子供の貧困の実態を把握するため、東京都足立区は7月、区立小学校69校のうち数校の小学1年生の家庭を対象に、保護者の年収や学歴、子供の生活環境を尋ねるアンケート調査を実施する。

 効果的な貧困対策の材料とするのが目的で、10月にも残る全小学校を対象にする予定。区によると、子供の貧困に関する調査で、これほど大規模に家庭へのアンケートを実施した例はないという。区では「無記名とはいえ、プライバシー保護を心配する区民がいるかもしれない。調査の目的をぜひ理解してもらいたい」と呼び掛けている。

 厚生労働省の調査では、2012年の全国の子供の貧困率は過去最悪の16・3%で、ほぼ6人に1人の割合だ。足立区では、小中学校の給食費などの就学援助を利用する世帯が13年度は37%と、全国平均の約2倍。13年の18歳未満の生活保護受給者数は00年の約1・5倍となり、貧困の広がりが懸念されている。

 そこで区は7月に、区立全69校のうち数校で、小学1年生の家庭を対象にした調査を試験的に実施。10月に残りの学校で行い、最終的に小学校1年生のいる約5400世帯全てで調査する考えだ。

470とはずがたり:2015/06/26(金) 06:48:10
だれも知らない みやざき子どもの貧困
http://www.the-miyanichi.co.jp/tokushu/category_144/

【第1部・小さな叫び】(1)栄養不足
http://www.the-miyanichi.co.jp/tokushu/category_144/_3695.html
2014年1月20日
■成長の遅れ顕著 冷たい食事、一日2度

生活保護を受け、4人の子どもを育てる児湯郡の家庭。低栄養状態のため、優人の足にできた水疱の痕はなかなか回復しない=昨年11月、児湯郡内 看護師の田口美保(50)は訪問看護の依頼を受け、2012年8月、渡辺優人(2)の家を訪ねた。皮膚の難病である先天性水疱(すいほう)症を患う優人が10カ月の入院を経て自宅に戻ったのがきっかけだった。訪問目的は優人の入浴介助と皮膚の手当て。美保の職場である訪問看護ステーションのスタッフが2人一組のローテーションを組み、毎日の訪問が始まった。

 優人は4人兄弟の一番下、両親と家族6人で児湯郡内に暮らす。築30年以上という古い木造アパートは6畳の部屋が二つ、台所と浴室がある。台所はごみや汚れた食器が山積みで、部屋中に脱ぎっぱなしの洋服が散乱。歩くと靴下がべたつき、異臭が鼻を突いた。

 昨年12月。午前10時半ごろ、美保がいつものようにドアをノックして中に入ると、優人の兄寛人(5)が駆け寄ってきた。「おなかがすいたよぉ」。寛人が甘えるようにすり寄り、美保に食べ物をねだる。優人はベビーベッドの中で転がっていた。精神障害のある30代の父親はまだ起きてこない。

 美保が食事を促すと、20代の母親は無表情で台所に立った。間もなく差し出された皿には、冷やご飯の上に袋からそのまま掛けただけのレトルトカレー。よほどおなかがすいていたのか、寛人は何も言わず手づかみでかきこんだ。

 寛人の様子を横目に、美保は浴室に向かう。家族はほとんど入浴しない。そのためカビだらけになった浴槽の上にたらいを置き、湯を張る。それから、やせ細った優人の体を優しく洗った。

 兄弟の父親は6年前に精神を患った。治療しているが体調に波があり、働けない。母親も「4人の子どもの子育てで忙しく、ぜんそくなど持病がある」という理由で働いていない。約4年前から生活保護を受給、障害年金と保護費の毎月計約17万円で生活している。

 光熱費に2万円、車を所有していないため交通費に1万円、インターネットで買う子ども服代に2万円以上が消え、食費に使えるのは2万〜3万円。母親は「夫の体調が悪く、優人の看病に忙しくて外出できない」と話す。月1〜2回、ドラッグストアに行き、保存の利く缶詰やレトルト食品をまとめて山ほど買ってくる。

 食卓に上るのは、皿に移しただけのサバのみそ煮缶やレトルト食品…。スナック菓子で空腹を満たす時もあれば、しょうゆをかけた魚肉ソーセージだけの日もある。ほとんど朝食は食べない。そんな冷たい食事が1日2度という。

 一日中ベビーベッドに寝転がっている優人はいまだに粉ミルクしか飲まず、離乳食を食べない。美保はこれまで何度も栄養指導を行ったが、母親は瓶詰めの離乳食を何度か与えただけで諦めてしまった。

 美保は「離乳食から固形食へ、つかまり立ちから一人歩きへという通常の発達が見られず、皮膚の水疱もなかなか回復しない。低栄養状態が悪影響を及ぼしている」と話す。現在、優人は体重8キロ。2歳児の平均体重12キロに満たない。頬はこけ、手足は棒のように細い。キャッキャッとはしゃぐ声も聞こえない。(文中仮名)

×    ×

 今年は、高鍋町出身で児童福祉の父といわれる石井十次の没後100年に当たる。近年深刻化する子どもの貧困を掘り下げるシリーズ「だれも知らない」の第1部では子どもたちの現状を見つめ、彼らの小さな叫びに耳を傾ける。

471とはずがたり:2015/06/26(金) 08:06:00
高齢者の9割が貧困化 「下流老人」に陥る5つのパターン〈週刊朝日〉
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150625/asahi_20150625_0002.html
dot. 2015年6月25日 07時08分 (2015年6月25日 12時52分 更新)

 高齢者の貧困が問題になっている。内閣府調査の<世帯の高齢期への経済的備え>で、60?64歳で貯蓄が「十分だと思う」と答えた人は3.6%。「かなり足りないと思う」と答えた人はその10倍、35.5%だった。

「老後の貧困は、ひとごとではないのです」

 そう警鐘を鳴らすのは、生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」の代表理事で社会福祉士の藤田孝典さんだ。6月半ばに出版した新刊『下流老人』(朝日新書)で、「このままだと高齢者の9割が貧困化し、貧困に苦しむ若者も増える」と書く。

 藤田さんは貧困高齢者を下流老人と名付けた。普通に暮らすことができず下流の生活を強いられる老人という意味で、日本社会の実情を伝える造語だという。

「年収が400万円の人でも、将来、生活保護レベルの生活になる恐れがあります」(藤田さん)

 実際に生活保護を受給する高齢者は増加中で、今年3月時点で65歳以上の78万6634世帯(受給世帯の約48%)が生活保護を受けている。昔なら子ども夫婦に扶助してもらうことが当たり前だったが、今は核家族が多い。頼りの子どもは派遣切りやニート。高齢で大病して貯蓄も尽きたら……。

 藤田さんは、『下流老人』の中で高齢者が貧困に陥るパターンを五つに大別した。
【1】本人の病気や事故により高額な医療費がかかる
【2】高齢者介護施設に入居できない
【3】子どもがワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる
【4】熟年離婚
【5】認知症でも周りに頼れる家族がいない

 本人の病気と家族の介護をダブルで抱える人もいれば、60歳を過ぎて妻と別れ、途方にくれる男性もいる。

「1部上場企業で働いてきた男性が、離婚してから食事や趣味にかけるお金を節約できず貧困になる人もいます」(同)

 こんな例もある。藤田さんが警察で保護した60代の男性は、不動産会社社長で、バブル期は資産が2億円あった。だが土地が転売できず破綻。それでも社長っ気が抜けなかったらしい。

「6年前に彼がお弁当とお茶をスーパーで盗んで捕まったとき、所持金が100円なのに、スーツを着込んでいました」(同)

 この元不動産会社社長は「食いっぱぐれるはずがない」「老後の心配無用」と年金も払っていなかったという。

 80歳の老母と45歳の息子のこんな生活苦もある。福祉施設に勤める息子の給与は手取り23万円。亡き夫の会社が傾いたときに息子が借金を被り、返済が毎月数万円ある。築40年の賃貸マンションの家賃を息子が払い、母親が光熱費と食費を払う。母親は病院通いをしながら、息子の大学時代の奨学金も年金から返し続ける。

「奨学金は息子名義だが、何年か払えない時期があり、親の私に支払い通知が来た。額は多くはないが息子からも頼むと言われて、この先十何年は私が払わないと」

 母は息子がいないと年金だけでは住めず、その息子が母に寄りかかる。

 関西で生活困窮者の支援をする生田武志さんは、貧困から人が落ちていく様子を、「カフカの階段」として図式化した。

 労働、家族、住居を失い、金銭を失い、ついには野宿という究極の貧困状態に。生田さんによれば、落ちるときは一段、一段落ちるが、最下段まで落ちると、簡単には上に上がれない。住所がないとハローワークで職も得にくく、生活保護を受けるのに時間がかかることも。

「生活保護の申請をしなかったり、申請しても追い返されて野宿になる高齢の方にもたびたび出会います」(生田さん)

※週刊朝日 2015年7月3日号より抜粋

472名無しさん:2015/06/27(土) 22:58:08
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150626-00000541-san-soci
生活保護搾取「貧困ビジネス」脱税 宿泊所運営者に有罪判決 さいたま地裁
産経新聞 6月26日(金)14時14分配信

 低額宿泊所の入居者から生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」で得た所得から約6184万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた宿泊所運営者で元機械製造会社社長、和合秀典被告(73)の判決公判が26日、さいたま地裁で開かれた。栗原正史裁判長は懲役1年6月、執行猶予3年、罰金1500万円(求刑・懲役1年6月、罰金2千万円)を言い渡した。

 判決で栗原裁判長は、和合被告の脱税率が99%を上回り、国の課税権を著しく侵害していると指摘。一方で、前科がなく、事実関係を争わずに反省していることなどを執行猶予の理由とした。

 判決などによると、和合被告は平成21〜22年に宿泊所の運営による所得が計約1億6900万円あったのに、大半を知人や親族名義の複数口座に預金するなどして隠し、所得税計約6184万円を免れたとしている。

473名無しさん:2015/06/27(土) 22:59:28
>>468

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150626-00073910-diamond-soci
中2娘を殺害した母親を、私は責める気になれない
ダイヤモンド・オンライン 6月26日(金)8時0分配信

 2014年9月、千葉県銚子市で県営住宅に住んでいた43歳(当時)のシングルマザーが、家賃未払いによって強制退去となる当日、中学2年生(当時)の娘を殺害した。この事件は、2015年6月12日の判決(母親に対して懲役7年)ともども、大きな反響を呼んでいる。漫画家・さいきまこ氏の思いを紹介した前回に引き続く今回は、法律家から見た問題点を、事件の詳細とともに紹介する。

● 「粛々と」実行されるしかない 強制退去の手続き

 2014年9月24日、千葉県銚子市で県営住宅に住んでいた43歳(当時)のシングルマザーが、中学2年生(当時)の娘を殺害した。母親は、2年にわたって家賃を滞納していたため、その日、強制退去となる予定であった。母親自身も自殺する心づもりであったが、自殺を決行する前に強制退去の執行官らが来訪し、呆然としている母親と息絶えた娘を発見した。逮捕された母親は殺人罪等で起訴され、2015年6月12日、一審判決が言い渡された。求刑は懲役14年であったが、判決は懲役7年であった。

 今回は、社会保障・住宅の安定・労働問題を専門とする弁護士・林治氏から見た事件の問題点を、強制退去に至るまでの経緯の詳細とともに紹介する。

 今回の事件で、多くの人々が疑問を抱いているポイントの一つは、

 「県は、母子の年齢や家族構成を把握しており、当然、中学生の娘がいることも知っていた。家賃を払えない状態であることも、当然、把握していた。それなのに、居住していた母娘からの状況の聞き取りや調査はなく、いきなり強制退去させていいのか」

 という点であろう。

 ちなみに、強制執行(民事執行手続)は、

 「判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する」(裁判所サイトによる)

 というものである。この記述を見る限り、家賃を滞納している債務者であった母親から何らかの申し立てが行える可能性はなさそうだ。

 「その通りです。この場合では債権者である千葉県が申し立て、地裁が裁判を行います。その際、居住者からの聞き取りや状況把握はありません」(以下、林治氏)

 とはいえ、「いきなり強制退去」というわけでもない。

474名無しさん:2015/06/27(土) 22:59:53
>>473

 「強制退去の裁判が確定すると、一度、執行官が家に来ます。その際、『期限までに明け渡すように』『期限までに明け渡さないときには強制執行をします』という通知文(催告書)を貼っていきます。そして、期限までに退去がなければ強制執行の手続きをする、という流れです。この時、強制退去の際に用意する必要のあるトラックの台数を見積もったりするために、屋内の状況を見ることはありますが、居住者から意見を聞くことは基本的にありません」

 もちろん、判決後の事情により、「強制退去の執行は不適切」とされる状況が発生すれば、異議申立ての訴えを行うことができる。しかし今回の場合、母親は家賃を滞納したままだったので、当然ながら、「強制退去の執行はやめてほしい」という訴えを行う権利はなかった。 もちろん千葉県としては、家賃を支払っている他の入居者との公平性という視点からも、強制退去を執行しないわけにはいかないところであろう。

 しかし、事実関係を丹念に確認してみると、「お役所」の立場の中で、千葉県は可能な限り、柔軟な対応を試みていた様子ではある。不十分すぎたことが事件につながったのは事実ではあるけれども。

● 可能な限りの配慮は試みた?   なぜ千葉県は家賃の減免をしなかったか

 では、千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団(代表・井上英夫金沢大学名誉教授、以下、調査団)による資料と、傍聴者による公判メモ(林氏提供)から、問題点を一つ一つ検討してみよう。 

 県営住宅の家賃は、基本、月末払いである。公判メモによれば、千葉県の県営住宅の場合、家賃未払いの際に通常とられる督促手順は、

 1.1ヵ月分滞納で、翌月上旬に督促状が発送される
2.2ヵ月分滞納で催告書が発送される
3.3ヵ月分滞納で連帯保証人に請求書を送る
4.4ヵ月分滞納で督促状が発送される
5.6ヵ月分滞納で出頭を要請する督促状が発送される

 となっている。今回の事件の母娘宅でも、捜査により、督促状が合計9通発見されたという。

 この手続とは別途、千葉県の条例に基づく約定があり、家賃滞納3ヵ月で入居許可が取り消しとなる。本来ならば、3ヶ月滞納で入居許可を取り消してよいのである。しかし、督促手順によれば、6ヵ月滞納で出頭を要請することになっている。

 2007年、県営住宅に入居した母娘は、直後から家賃の支払いが不安定になっていたようである。家賃は、当初は1ヵ月あたり1万2900円、2009年4月からは1万2800円であった。母親の所得状況を考慮して、家賃は減額されていたようであるが、その減額された家賃でも支払えなかったのである。

 2009年11月には、連帯保証人となっていた母親の元夫(夫の多額の借金を原因として離婚)のもとに、上記手順の「3」によって督促状が送付されたが、住所不明のため届かなかった。

475名無しさん:2015/06/27(土) 23:00:56
>>474

 2013年3月、千葉県から母親のもとに、「滞納家賃11万5000円を3月末までに支払わない場合には入居許可を取り消す」という内容証明郵便が送付された。しかし受取人不在のため、届かなかった。このため、県職員が母娘の住む県営住宅に行き、郵便受けに書面を入れた。この際、電気・ガスの供給が確認されている。

 2013年3月31日、ついに入居許可が取り消されている。この後、母親は家賃2ヵ月分にあたる2万5600円を支払っている。

 2013年7月には、千葉県が強制退去の訴訟を開始した。千葉地裁は2013年9月に、母親に出頭を求めている。また2013年11月までに反論するよう、母親に指示している。しかし母親の出頭や反論はなく、2013年11月18日に判決が言い渡された。

 2014年5月、県職員が県営住宅を訪問し、ポストに催告書を投函した。その後、母親は県に電話し、「8月に退去するので、強制執行はもう少し待ってほしい」と申し出たという。しかし退去しなかったため、8月20日に強制執行の公示を行い、9月24日に強制執行となった。

 最終的に滞納されていた家賃は、2013年6月以前に滞納されていた8ヵ月分・10万2400円に加え、2013年6月〜2014年8月の14ヵ月分にあたる28万1600円であった。強制執行に際しては、明け渡しに関わる費用も含めた「損害金」を加え、約148万円が滞納されたこととなっていた。

 給食センターにパート勤務していた母親には、夏休み明けとなる9月の就労収入はなかった。娘を殺して逮捕されたとき、母親の所持金と預金残高の合計は4680円であった。

 千葉県の対応からは、母娘の状況を可能な限り汲み取り、柔軟に対応しようと試みた形跡は読み取れる。しかし、最も重要な「家賃の減免」が行われていなかった。

 母親の就労収入は、平均して1ヵ月あたり7万円程度。千葉県に申請すれば、家賃は80%減額され、1ヵ月あたり2560円となっていたはずである。しかも、児童扶養手当・就学援助などの手当、夫からの養育費の支払いも合計すると、1ヵ月あたり14万円程度の収入はあった。1ヵ月あたり2560円の家賃が「どうしても支払えない」ということはなかったであろう。

 なお、調査団資料によれば、千葉県住宅課は、減免制度について説明しなかった理由を「相談がなかった」としているということだ。

● 娘のためにヤミ金にも… 担任教師も困窮を把握できず

 母親は、娘に対しては「お金の不自由はさせない」という方針であったようだ。住まいには、ややゼイタク感のあるAV機器があった。また娘には、「中学1年生向けの参考書5冊+資料1冊」で約35万円という教材を買い与え、娘の趣味であるアイドルのファンクラブ会費・イベント参加費・グッズ代、バレーボール部に所属して活躍していた娘の部活費用なども支払っていた。裁判での尋問では、「娘に我慢させることも教育では? 」という質問も行われたようである。公判メモには「我慢させることも教育だとは、当時考えなかった」という母親の回答がある。

 いずれにしても、「中学入学準備に費用が必要だった」「元夫からの養育費の振り込みが遅れた」といった事柄によって、母親の資金繰りサイクルが乱れ、ヤミ金・社会福祉協議会・「ママ友」などを含めた多重債務状態へと陥った。さらに母親は家賃を滞納し、強制退去の対象となった。

476名無しさん:2015/06/27(土) 23:02:29
>>475

 これらの点が、論告では、

  「身の丈に合わない浪費をし、ヤミ金や友人からお金を借りるなど計画性がない」
「仕事を増やすべきだった」
「元夫や県の担当者、弁護士にも相談できた」

 という非難の対象となり、懲役14年の求刑へとつながっている。

 裁判では、娘の中学校の担任であり、所属していたバレーボール部の顧問でもあった教員も証言を行っており、

 「明るく元気、礼儀正しい、前向き」

 という娘の性格面での長所を、学習面での真剣な取り組み、バレーボール部での活躍とともに語っている。また家庭環境については、

 「とても仲良く、娘は母親が大好き、母親も娘の幸せを強く願っているように感じられた」

 という印象を、母親が試合の送迎を行い、大会の応援にも来ていたエピソードとともに語っている。

 母娘の暮らしぶりについては、携帯などの持ち物・アイドルイベントへの参加から、「困っていないのかな」と思っていたという。就学援助を受けていることは、もちろん担任教員として把握していた。集金が遅れることもときどきはあったが、「そういう家庭はたくさんある」という認識であったという。

 母親は、「娘が楽しく学校生活を送り、幸せになれるように」と願い、必死の努力を重ねたのであろう。結果として、娘の担任教員にも困窮を気付かれないまま、悲劇的結末へと至ってしまった。母親の努力の方向性は、いささか見当外れであったかもしれない。しかし、母親を責める気持ちには、私はどうしてもなれない。

● 生活保護は2回の水際作戦に 間に合わなかった民間「セーフティネット」

 シングルマザーであるゆえの困難に加え、多重債務、家賃滞納、そして強制退去。このように「煮詰まった」状況への救いとなりうるものは、現在の日本には、生活保護しかない。

 母親は2回にわたり、生活保護を申請するために、銚子市役所を訪れている。母親の記憶によれば、1回目は2008〜2009年ごろである。前述のとおり、県営住宅に入居した翌年ごろから家賃の支払いは不安定になっていた。母親自身も困窮を自覚していたようだ。

 2回目は、母親が「(娘の中学入学費用確保のために利用した)ヤミ金の返済に追われているころ」と語る2013年4月である。しかし2回とも、「仕事をしているから、申請してもお金がおりない」「申請してもいいけど、支払われる額はない」という説明を受けたという。

 銚子市役所による2回目の聴取記録は、調査団の請求により開示されているのだが、収入・試算に関する欄のほとんどが「未聴取」となっている上、面接結果は「申請意思なし」とされている。1回目については、聴取記録さえ開示されていない。

 全く救いの見えない成り行きの末、「母親による娘殺し」という悲劇が起こった。公判メモによれば、母親は、

 「ぎりぎりまで娘と一緒にいたかったので、明け渡しの日に死のうと思った。自分だけ死んで娘は国に保護してもらうつもりだった。娘を学校に送ってから死ぬつもりだった。娘が自分の体調を心配し学校を休むと行ったので計画が狂った。当日のことは、今は全く覚えておらず、なんで娘を殺すことになったのか分からない」

 と述べたという。

477名無しさん:2015/06/27(土) 23:03:44
>>476

 悲劇が起こったその日、執行官とともに、催告や強制執行の補助のため、業者・S氏がやってきていた。S氏の業務は、執行官を守り、強制執行ならば荷物の梱包・運搬などの実務を遂行することである。

 S氏は日常、催告にあたっては、強制退去させられかねない居住者とコミュニケートし、任意退去が可能なように県に働きかけることもあった。また、転居先探し・生活保護申請の手伝いも行っていた。「病気などで歩行の不自由な居住者に対しては、市役所まで一緒に行って、福祉やNPOの人と話をすることも」あったそうである。そのような支援を行うことになるのは、催告・強制執行となる担当ケース全体の2〜3割だったそうだ。モチベーションの源は、

 「最悪の事態、追い詰められて命を亡くす、そういった事態を避けたい」

 である。

 しかし今回、S氏は催告には関わっていなかった。「母子家庭で連絡が取れない」とだけ県から申し送りを受け、強制執行という形で母娘の住まいのドアを開けて入ったS氏は、息絶えた娘の第一発見者となった(以上、公判メモによる)。

 林治氏は、

 「2012年、餓死・孤独死事件が相次ぎましたが、その後、行政の対応が改善されているとは思えません。この母子も、この痛ましい事件が起きなければ、餓死・孤立死していたおそれもあります。私のところには、家賃が支払えなくて困っている人の相談が多数あります。公営住宅の家賃の滞納もあります。しかし、行政がこれをキャッチして対応したという例は皆無です」

 と前置きし、千葉県の対応に対しては、

 「この事件で、千葉県と銚子市に申し入れと面談を行った際、千葉県は『減免制度のお知らせは、毎年、翌年度の家賃を通知する時にしているし、ホームページにも載せている』と説明していました。でも、これで居住者の方々に、充分に伝わるとは思えません。まして、家賃を滞納している状況で、大家さんである千葉県に連絡するなんて……『家賃が払えないと言ったら、出て行けと言われるのでは』と心配してしまい、自分から話をすること自体が難しいはずです。でも、行政は、こういう心情が想像できないようです」

 と、「抜け」「漏れ」を指摘する。さらに、

 「今回の事件でも、行政があてにならなかったわけです。法律家に繋がれば、ヤミ金の対応や生活の立て直しのお手伝いができたと思うと……」

 と残念がる。

 善意の人々は、そこかしこにいた。強制執行のためにやってきた業者にまで、救いの手を差し伸べる用意はあった。しかし、届かなかった。

 この悲劇を繰り返さないために何が必要なのか、私には想像もつかない。何もかもが不足している。少なくとも、行政が役割を果たすことは、もっと強く求められてしかるべきであろう。しかし、ケースワーカーの人数も生活保護費予算も、拡充される見込みはまったくない。

 次回は、2015年7月1日から施行される、生活保護の家賃補助(住宅扶助)削減についてレポートする予定だ。生活の根幹である「住」は、どうなろうとしているのであろうか? 

みわよしこ

478名無しさん:2015/06/28(日) 09:38:22
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150626-00000001-sasahi-soci
下流老人になるのは一般論信者 必要なのはお金より◯◯〈週刊朝日〉
dot. 6月26日(金)7時12分配信

 高齢者層の貧困が際立っている。生活困窮者を支援している認定NPO法人、自立生活サポートセンター「もやい」では年間3千人の生活相談を受けており、平均年齢は45歳だが、80歳からの相談もあるという。大西連理事長はこう話す。

「高齢で働けなくなれば、貯蓄を使うか、家族の扶養か、社会保障に頼るかしかない。この2年間で生活保護が増えているのは高齢者世帯だけです。今の若者は非正規労働者が多く、貯蓄ができないので貧困化していく。核家族化も進んでいるので頼れる家族も少ない。将来的に貧困の高齢者が増えるのは必然です」

 高齢者の貧困は、就労困難だけが原因ではないという。

「年間600世帯の入居支援のうち、男性の一人暮らしが圧倒的に多い。高齢になって働けなくなると孤立しがちで、経済的な貧困と人間関係の貧困はリンクしている。両方に対する支援が必要です。そこで私たちは居場所づくりのために交流事業もしています」

 老後にも何らかのコミュニティの中で人間関係をつくることができれば、少なくとも、認知症に気づき始めても誰にも相談できないという状況だけは避けられるはずだ。

 病気や事故により、高額医療費に苦しむリスクは誰にでもある。備えとしては民間の医療保険があるが、もっとも困るのは、働けなくなって収入が途絶えることだろう。そんなときに所得を補償する保険もある。

 損保ジャパン日本興亜や富士火災海上保険が出している「所得補償保険」が有名だが、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏はライフネット生命の「就業不能保険」をすすめる。

「ライフネットのものは65歳まで毎月給付金が支給されるうえに保険料がリーズナブル。ただ、この分野は支払い条件が厳しいせいか、あまり商品が増えていません。住宅を購入する人には、該当する病気になった場合に住宅ローン残高と同じ金額の保険金が支払われる生前給付型の団体信用生命保険が人気です。最近は7大疾病や8大疾病までカバーするものもあります」

 保険は大切だが、下流老人にならないためにすべきことはまだまだあると畠中氏は言う。

「老後に必要なお金は、その人の年間支出で決まるものです。まずは1年分の特別支出の総額を出してください。それは固定資産税や自動車税、冠婚葬祭費といった出費です。月々の生活費は年金暮らしになれば、それに合わせて少なくできますが、特別支出は減らすことが難しいのです。『5千万円は必要だと言われているし……』と一般論で考えるタイプが貧困化しがちです」

 畠中氏は老後の生活不安や将来的な介護施設入居への不安を解消するうえで、即効性があるのは住み替えだと話す。

「ケアハウスなら食費(3食)と住宅費込み1カ月7万〜8万円で暮らせるところもあります。70代になって貯金が減って不安になってきたら、ケアハウスへの入居もありですね。また、実際に入居するかしないかは別にして、60歳を過ぎたら見学してください。共同生活が苦手な人もいるでしょうが、下流老人にならないための選択肢は多いほうがいいはずです。介護付き有料老人ホームだって地方に行けば入れる可能性がある。老後の住み替えは情報戦。お金のない人ほど情報が必要なのに、積極的に取ろうとしないですね」

 ケアハウスは原則として自立した高齢者が入居する住まいで、自治体からの補助があるために利用料が安い。例えば、東京23区内にある某ケアハウスでも、収入によって月の利用料は変わるが、7万5310円〜となっている。都市部を離れれば、さらに格安のところが見つかるだろう。

※週刊朝日 2015年7月3日号より抜粋

479チバQ:2015/07/01(水) 18:44:32
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150701-00000069-nksports-soci
他に行くところがない 火災の川崎簡易宿泊所街ルポ
日刊スポーツ 7月1日(水)12時35分配信


京浜急行の線路沿いに簡易宿泊所が密集する一帯があった=川崎市川崎区日進町
 5月17日未明、川崎市の簡易宿泊所2棟が全焼し10人が犠牲となった。現場付近は、簡易宿泊所が立ち並ぶ一角で、今も多くの簡易宿泊所が営業を続けている。火災から1カ月、火災当日に全焼した吉田屋の3階に宿泊し、命からがら窓から飛び降りて助かった男性(79)の話を聞いた。男性によると、この町で生活する多くの人が高齢者で生活保護受給者だという。

【写真】市役所複雑…地図を渡すことも/簡易宿泊所ルポ

 「パンツ1丁で飛び降りるしかなかったんです」。火災が起こった5月17日午前2時ごろ、男性は偶然にも尿意で目を覚ましたという。トイレに行こうと部屋のドアを開いたところ、火災による熱風に襲われた。「逃げる場所がなくて窓から飛び降りるしかない」と、3階から飛び降りた。あばら骨骨折や、やけどで5日間入院した。男性は、取り壊し中の火災現場を見守りながら振り返った。

 簡易宿泊所が立ち並ぶ川崎区日進町で生活するようになって7年になる。以前は都内で建築関係の仕事などを転々としていたが、体調を崩し、仕事で縁のあった川崎市に移り住んだ。住居のない状態で市福祉事務所に生活保護の申請に訪れたところ、簡易宿泊所の地図を渡され、火災のあった吉田屋で生活していた。

 「この街は今、生活保護をもらっている高齢者ばかり。働いている人はほとんどいない」。男性によると、簡易宿泊所に住む人の多くが60代以上だという。火災で10人亡くなったが、知り合いはいなかった。「部屋にこもりっぱなしの人もいるし、仲の良いグループみたいのはあるが、基本的に交流がない」と話す。

 簡易宿泊所の1泊の料金は約2000円前後。生活保護費は約14万円支給され、そのうちの約6万円が宿泊費。残り8万円が生活費となる。「食費とか考えるとギリギリ」だという。

 退院後、福祉事務所に相談に行くと、再び図を渡された。今は別の簡易宿泊所で寝泊まりをしている。「今度は2000円のところに住んでいるけど、トイレとかが汚くて前の方が良かったね」と苦笑いした。

 火災で、少しばかりの現金、衣類など全てを失った。退院する際、病院側が衣類や靴などを用意してくれた。県や市、赤十字などから見舞金も5万円出たという。「夏物は買いそろえたけど冬物がない。これから買わなきゃいけないけど、冬物は値段が高いので大変だよ」と声を落とした。

 男性は1人暮らしをしている理由については多くを語ろうとしなかった。名前も過去も話したがらなかった。今後のことを聞いた。男性は、少し考えてから「どこか安いマンションみたいなところに入れたらいいねぇ。火事になりにくいし」と、しみじみと答えた。そして、また少し考え込んで、「ここら辺の建物はどこもボロボロ、そりゃ火災になれば燃え上がってしまうよ。でもね、多くの人がこの街以外に行くところがないんだ。だから騒がないし、受け入れているんだよ」と話し、その場を後にした。【上岡豊】

 ◆川崎簡易宿泊所火災VTR 5月17日未明、川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所「吉田屋」から出火し隣接する宿泊所「よしの」に延焼、2棟延べ計約1000平方メートルが全焼し、10人が亡くなった。吉田屋の玄関付近が激しく燃えていたという証言もあり、川崎署は失火と放火の両面から調べている。2棟の宿泊所とも、建築基準法上、木造2階建てと申請していたが3階建ての構造だった。

480とはずがたり:2015/07/03(金) 10:30:52
マイナンバーで資産の捕捉が可能になるので,高齢者富裕税でも設けて後期高齢者医療保険の特定財源にして老人から老人への助け合いシステム作れば良いかもね。

トマ・ピケティ氏、「日本の富は高齢者に集中、若い人たちに利する税制を」
http://news.mynavi.jp/articles/2015/01/31/ThomasPiketty/
鈴木ともみ  [2015/01/31]

481名無しさん:2015/07/03(金) 20:30:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150702-00000105-jij-pol
生活「苦しい」、過去最高62.4%=平均所得は1.5%減―厚労省調査
時事通信 7月2日(木)17時38分配信

 2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%減(8万3000円減)の528万9000円となったことが2日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は14年7月時点で過去最高の62.4%に上り、同省は、同年4月に消費税率を8%に引き上げたことなどが影響していると分析している。
 1世帯当たりの平均所得はここ10年で最も低く、データが残る1985年以降では4番目の低さ。非正規雇用の増加などが背景にあるとみられる。
 世帯種類別の平均所得は、65歳以上の人のみか、65歳以上と18歳未満で暮らす「高齢者世帯」は2.8%減の300万5000円。18歳未満の子供のいるすべての世帯で見た場合は3.4%増の696万3000円だった。
 生活意識は、「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%。両者の合計が「苦しい」で、今回までの最高は11年7月時点の61.5%。一方「普通」は34.0%で、「ややゆとりがある」3.2%、「大変ゆとりがある」0.4%だった。

482とはずがたり:2015/07/07(火) 13:10:04
この手の話しを聞く時に一番重要なのは(二つ挙げるけど)客観性と思いやりだ。印象論で話しては行けないけど,冷静にコストから見るべきだからこそ,貧困家庭の窮状への共感も重要である。

>小学6年生の、学力テストの点数は親の収入ときれいに比例しています。子どもの学力は、義務教育の時点で、すでに格差があるのです
貧乏人は塾へ行けないってのもあるけど,塾へ通わすって習慣がないのかも。子どもの教育にしか使えないクーポンがあってもいいかもね。

【連載】ニッポンの貧困
1 「ニッポンの貧困」について知っていますか?--6人に1人が"相対的貧困"
http://news.mynavi.jp/series/hinkon/001/
阿部彩  [2015/05/26]

『日本の貧困』ってどういうこと?

「近頃、『貧困』という言葉がニュースでもたびたび聞くけど、『日本の貧困』ってどういうこと?」そう思っていらっしゃる読者も多いのではないでしょうか。貧困を、飢えたアフリカの子どもや、戦後日本の食べ物も配給に頼っていたころのことと思っていたら、確かに、現在の日本に貧困なんてないと思われるかも知れません。しかし、このような『貧困』は『絶対的貧困』と呼ばれるもので、日本をはじめ、先進諸国において問題とされる『相対的貧困』とは異なります。

「相対的貧困」とは、その時代の社会において、一般市民が「当たり前」とおもっているような生活をおくれないことを指します。例えば、日本の現代社会では、就職活動をしたり、親戚の結婚式に出席したり、友人と交流したりということです。

対して、「絶対的貧困」は肉体的・心身的なサバイバルが不可能な状態を言います。相対的貧困では、飢え死にしたり、野宿したりすることはありませんが、夕食はカップラーメン1つだけ、就職活動をするまともなスーツがない、結婚式のお祝儀が払えない、家賃や公共料金さえも滞納してしまう…このような状況です。最新のデータによると、このような「社会の当たり前」の生活ができない確率が高まるのが、年間手取り所得が122万円(一人世帯)以下の人々となります。

6人に1人が相対的貧困の状況

いま、日本の相対的貧困率は16%です(厚生労働省推計)。つまり、6人に1人が相対的貧困の状況と言うことです。特に、近年、急激に貧困率が増えているのが、20歳代。そして、一人暮らしの女性、男性です。勤労世代(20〜64歳)の一人暮らしの女性の3人に1人、男性の4人に1人は相対的貧困状況にあります。

若くて、元気であれば、年間所得122万円以下でも、それほど問題を感じずに暮らせるかもしれません。しかし、いったん病気になってしまったり、職を失ってしまったりすると、たちまち貯蓄は底をつき、日々の暮らしにも困るようになります。また、将来へのキャリアアップや、家族形成(結婚や出産)、老後のための年金保険料といった、ライフプランも、立てにくいことも事実です。実際に、所得が低い非正規労働者は、正規労働者に比べて未婚率が高く、家族形成が難しいことがわかっています。

巷では、景気回復の兆しが新聞等を賑わせていますが、貧困層の人々には、その恩恵は遠く感じられるでしょう。なぜって、日本の貧困率は1980年代から、ずっと、悪化し続けているからです。1980年代から2010年代まで、好景気の時期もありましたが、貧困率の減少は見られませんでした。日本だけではありません。先進諸国においては、1970年代から見ると、経済成長が、社会の底辺の人々の勤労所得を増加させなかったという研究が発表されています。アベノミクスだけでは、だめなのです。

483とはずがたり:2015/07/07(火) 13:10:31
相対的な貧困は、人々の健康や人間関係にも影響

日本の相対的貧困率は16%。
全国民の6人に1人が貧困です。

しかし、これは「相対的貧困率」。途上国の難民や、戦後の日本において、食べ物や住むところにもこと欠く状況は「絶対的貧困」。「絶対的貧困」は、現代日本には限られたケースしかありません。

「相対的貧困」とは、その時代の社会において、一般市民が「当たり前」とおもっているような生活をおくれないことを指します。でも、この定義で見ると、この豊かな日本においての「相対的貧困」って、そんなに厳しい状態ではないと思うかも知れません。「そりゃあ、比較の問題で、ほかより多少収入が低かったって、たいしたことないだろう」と思われる人も多いかも知れません。

しかし、相対的な貧困は、人々の健康や人間関係にも影響してきます。成人のうつの状態は、低所得層ほど悪くなっています。糖尿病や脳血管疾患(脳梗塞など)の死亡率も社会経済階層が低いほど高くなります。また、「2週間に1度以下しか人と話さない」などの極端に孤立している人の割合も、低所得層の人ほど高くなっています。高齢者においても、低所得層ほど健康状態が悪く、また、孤立しがちです。なんと、誰にでも等しく起こり得ると思われがちな転倒についてまでも低所得層ほど、その頻度が高いことがわかっています。

相対的貧困の影響は、子ども期から表れる

相対的貧困の影響は、子ども期からすでに表れます。小学6年生の、学力テストの点数は親の収入ときれいに比例しています。子どもの学力は、義務教育の時点で、すでに格差があるのです。学力だけではありません。貧困は、子どもの心にも大きな影を落とします。「自分が価値がある人間と思わない」「将来には夢がない」と考える子どもの割合は、相対的貧困の子どもに特に高くなっています。

相対的貧困が恐ろしいのは、このように、経済的に低い位置にあることが、その人の健康や精神状態、能力、人間関係、そして、最後には自分自身をどう評価するかという自己肯定感まで低めてしまうことです。

誰にとっても、生きにくい社会

よく、「報酬は、会社や社会からの評価の現れ」と言われますが、これは、ひっくり返せば、報酬が低い人は社会からの「評価」が低いとみられても致し方がないということです。悲しいことに、今の日本の競争社会においては、所得が低いことや、失敗することが、「負け組」とされて、「負けた」人が悪いんだという自己責任論がはびこっています。そして、子どもにおいても「負け組」は「自分は価値がない」というように、自己責任論を内面化していきます。

このような社会は、誰にとっても、生きにくい社会です。近年わかってきたのは、格差が大きく、「負け組」が貧困に陥ってしまうような社会においては、「勝ち組」の人たちの状況も悪くなるということです。「勝ち組」であっても、「負け組」になっては大変と、大きなプレッシャーを感じ続け、自分の地位を守るために常に躍起になっていなければなりません。

「この頃、生きるのがしんどいな」
そう感じているあなたも格差社会の犠牲者かもしれません。

グローバル経済に晒されているのは、日本だけではない

日本の貧困率は16.1%。

この値は、先進諸国32か国の中では、6番目に高い数値となります。日本より、貧困率が高いのはアメリカ、イスラエル、メキシコ、トルコ、チリだけです。日本は、決して貧困が少ない国ではないのです。
「だけど、これって仕方がないんじゃない?」という声をよく聞きます。
「経済がグローバル化して、競争が激しいから、日本の貧困率があがっても、どうにもならない」そう思っている人は読者の方にも多くないでしょうか。

484とはずがたり:2015/07/07(火) 13:10:50
>>482-483
しかし、ちょっと考えてみましょう。
グローバル経済に晒されているのは、日本だけではありません。<図1>の国々だって、グローバル経済の影響を受けているはずです。ですが、多くの国は日本よりずっと低いレベルに貧困率をとどめています。


日本では、「再分配機能」があまり働いていない

実は、これらの多くの国は、市場所得、すなわち税金や社会保険料を払う前、また、年金や児童手当、生活保護などの政府からの給付を受け取る前の所得で見ると、日本より高い貧困率なのです。しかし、税金・社会保険料、そしてさまざまな給付を通じて、政府が介入したあとの所得、すなわち手取り所得で見ると、貧困率はずっと低くなります。このような機能を、政府の「再分配機能」と言います。

日本では、この「再分配機能」があまり働いていないために、市場所得での貧困率はさほど高くないのに、手取り所得での貧困率が高いのです。

もちろん、再分配をするために、各国の政府は多大な財源を要します。そのために、国民からたくさんの税金も取ります。しかし、結果として、貧困層の人々の生活が楽になるのであれば、と国民は納得して税金を払います。

一方、日本は再分配をするのが難しい状況に陥っています。日本の財政は、支出が収入(税金等)を大きく上回り、大幅な赤字だからです。この赤字は、国債、すなわち借金で埋めており、現在、国の支出のなんと4割が借金でまかなわれています。この借金は、いつかは日本国民が払わなくてはならないものです。政府が無駄遣いを減らす努力も必要ですが、それだけではこの借金はなくなりません。こんな財政事情の中、貧困層への「再分配」などできないのです。

日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるもの

日本の貧困率が高いのは、「経済のグローバル化」といった日本の外にある「いたしかたがない」要因によるものではありません。日本の貧困率の高さは、日本自身の身から出た財政状況によるものなのです。財政を改善するには、全国民が腹を据えて、負担を引き受けるしかありません。国民が一丸となって負担を分け合い、一番必要な人々に再分配できるように、政治に求めていくか。それとも、あきらめて、貧困と格差のはびこる社会を受け入れ、自分の保身だけに走るのか。今、国民につきつけられている問いです。

<著者プロフィール>
阿部 彩(あべ あや)

首都大学東京 都市教養学部 教授。MIT卒業。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士号・博士号取得。国際連合、海外経済協力基金を経て、1999年より国立社会保障・人口問題研究所にて勤務。2015年4月より現職。厚生労働省、内閣官房国家戦略室、内閣府等の委員歴任。『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、2008年)にて第51回日経・経済図書文化賞を受賞。研究テーマは、貧困、社会的排除、生活保護制度。著書に、『子どもの貧困』『子どもの貧困II』(岩波書店)、『弱者の居場所がない社会』(講談社)など多数。

485とはずがたり:2015/07/08(水) 10:41:25
新幹線焼身自殺テロ 年金を35年間払っても生活保護以下〈週刊朝日〉
dot. 2015年7月8日 07時01分 (2015年7月8日 07時52分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150708/asahi_20150708_0001.html

 6月30日午前11時半頃、男は神奈川県小田原市付近を走行中の東海道新幹線「のぞみ225号」の先頭車両でガソリンをかぶり、焼身自殺を遂げた。一種の“自殺テロ”といえる行為で、炎は天井が焼け落ちるほどだった。逃げ遅れた女性1人が死亡、28人が重軽傷を負う大惨事となった。

「男は黒焦げで、指紋と運転免許証で身元が判明した」(神奈川県警関係者)

 男の名は東京都杉並区西荻北の無職、林崎春生(はるお)容疑者(71)。犯行前には周囲に、繰り返し年金の受給額の少なさと保険料や税金の高さへの憤りをぶつけていた。林崎容疑者とは、かつて飲食店を経営していたときから40年来の付き合いがある男性(73)は言う。

「今年の春ごろに空き缶回収の仕事を辞めて、6月から年金だけの生活になると話していました。『年金が少ない』とよく言っていて、滞納があったのか、国民健康保険や住民税で6万円も払わないといけないと怒っていました」

 自殺をほのめかすような発言もしていた。

「『区役所に縄を持って行って首を吊ってやる』という話もしていた。実際、区役所に行って自殺の話もしたようです。すると、職員から『本当にそんな覚悟があるんですか』と言われ、ハヤシさん(林崎容疑者の愛称)は『お前も一緒に死んでくれるか』と言い返したと話していました」(同)

 杉並区の生活保護基準は14万4430円だ。しかも、生活保護の場合は国民健康保険や住民税などの負担が減免される。つまり、林崎容疑者は35年間も真面目に年金を納めたにもかかわらず、生活保護水準以下の12万円の支給しか受けられない「下流老人」だった。

 アパートの大家によると、1年ほど前に「生活が苦しいから家賃を下げてほしい」と言われ、千円下げたという。ただ、支払いは2カ月分のまとめ払いだったが、「遅れたことはなかった」と話す。

 6月12日には、区議会議員に電話で生活相談をしていた。応対した議員は、

「『年金が少なくて生活が大変だ』と言っていました。生活保護の申請ができるか、今度会って話をしましょうと言いました。後日に日程調整をしようと携帯電話に連絡を入れたのですが、そのときは留守だったんです。折り返しの連絡を待っていたのですが、こんなことになるなんて……」

 区議会議員によると、林崎容疑者は数年前にも借金の返済について相談をしていたという。

 6月中旬ごろには、林崎容疑者のおかしな言動も確認されている。…

近所のスーパーの店員が証言する。

「店ではいつも練乳入りのかき氷アイス2個とタバコを買っていました。酒を一緒に買うときは発泡酒やカップ酒が多かったですね。それが事件の2、3週間前に来たときは『これ(酒)がないと眠れないんだよ』と、独り言みたいに小さな声でつぶやいていました」

 林崎容疑者の姉(75)を直撃すると、生活苦の悩みを打ち明けられていた。

「6月中旬に電話がありました。年金は月18万円ぐらいもらえると思っていたら、12万円だった。年金のことでうつになっていたと思う。『国会の前で自殺でもしようか』とも言っていました。最後に話をしたのは事件の1週間前。『アルバイトがまだ見つからなくて』と。お金を貸してほしいと言ってくれれば、貸してあげたのに……」

 貧困に苦しむ高齢者の実態を記した『下流老人』の著者で、生活困窮支援のNPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典さんは言う。

「彼は典型的な下流老人です。現役時代の収入が多くなく、貯蓄も底をついた。生活の助けを求めることのできる家族や友人関係もない。こういった人たちが、いざ年金だけで生活する年齢になると、突然貧困層に落ちる。これはまれなケースではなく、私の試算では、高齢者の9割が下流老人になる可能性があります」

 林崎容疑者の生い立ちは戦後日本人の典型だけに、他人事ではない。

(本誌・上田耕司、西岡千史)

※週刊朝日 2015年7月17日号より抜粋

487名無しさん:2015/08/10(月) 16:06:25
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150808-00908764-sspa-soci
低所得よりも怖いのは“精神的な貧困”
週刊SPA! 8月8日(土)13時51分配信

「未婚化が進む日本では、高齢男性の“おひとりさま”世帯はより増えていきます。経済的な貧困の解決は政治の問題ですが、“精神的な貧困”に陥らない方策を提示することが社会学的な課題です」

 そう語るのは社会学者の阿部真大氏。精神的な貧困の代表である孤立化は未婚化が進む現代人にも悩みの種だ。

「老人ホームの調査をする際、たむろしておしゃべりしている女性に対して、男性は独りぽつねんとしている姿を目にします。別に『男もおしゃべりのスキルを』と言っているわけではなく、“独りでいても孤独を感じない”ということが重要です。これは“他人志向型”――つまり他者からの評価を価値基準とする出世競争に邁進してきた人ほど陥りやすい。精神的貧困を避けるためには、自分だけが楽しめる価値観を持った、“内部志向型”の人間を目指すべきです」

 定年後、おもむろに趣味を持ち始めようとして挫折する高齢者は多い。現役世代のうちに、仕事とは別の趣味や生きがい、人的ネットワークを持つことが大切なのだ。

「高齢化社会というとマイナス面ばかりが取りざたされますが、見方を変えれば、“知恵を持ち、落ち着いて物事を見れる”人が多い社会ともいえます。成熟した高齢者の知恵とは生きるための工夫や、人付き合いのスキルである“生活知”のこと。コンテンツばかりが高齢化している今の消費社会では見えづらいですが、老後は消費することが豊かさには直結しません。そのために必要なインテリジェンスは、今からでもカネをかけずに身につけることができます」

 カネがすべての価値観が閉塞感を生み格差を感じる。ボロを着てても心は錦の精神が重要だ。 <取材・文/スギナミ>

<3か条>

1 孤立しても孤独を感じない内部志向型の人間を目指す

2 現役世代のうちに仕事とは別の趣味、仲間を見つける

3 生活知を磨くことが尊敬される老人への第一歩

【阿部真大氏】

社会学者。甲南大学准教授。労働社会学を専門とし、現代日本の労働現場を分析する。近著に『「破格」の人―半歩出る働き方』(KADOKAWA)

日刊SPA!

488とはずがたり:2015/09/01(火) 12:10:06
>大阪府によると、門真市の受給割合は今年3月時点で、府内では大阪市に次いで多かった。
やったもん勝ちの大阪気質だからなぁ。。
此処はケースワーカーの数増やしてコストを掛けてでも受給者の実態を暴いていかないと正直者がバカを見る。

2015.9.1 05:00
生活保護、打ち切りも2日後再開→再び廃止 大阪・門真、4年で1600万円不正受給 市が告訴へ
http://www.sankei.com/west/news/150901/wst1509010009-n1.html

 生活保護を受けていた大阪府門真市内の30代の男性に対し、同市が車の不正使用を理由に保護を打ち切った2日後に保護費の支給を再開し、4カ月後に再び不正が発覚して受給廃止となっていたことが31日、分かった。市の調査で、男性が4年間にわたり会社員としての収入を申告しておらず、不正受給額が約1600万円に上ることが判明。市は詐欺罪で男性を大阪府警門真署に告訴する方針だ。

 市によると、男性は持病があるため働くことができないとして、市に生活保護を申請。平成22年8月から受給を始めた。しかし、25年11月に「男性が車やバイクを所有し、仕事もしていて収入がある」との情報が市に寄せられ、男性の妻が車の運転を繰り返していたことが発覚。車の使用は原則、他人名義でも認められておらず、市は文書で再三指導したが、男性側が従わなかったため、26年3月1日に保護を打ち切った。

 男性は直後、「病気の妻の収入と児童手当だけでは生活が困難だ」として、再び生活保護を申請。市は打ち切りから2日後の3月3日に支給を再開した。

 ところが、今度は男性が大阪府内の葬儀会社に勤務していながら市に収入を申告していなかったことが発覚。市は再開から4カ月後の同年7月に再び支給を打ち切った。

 その後の調査で、男性は22年8月〜26年7月、会社員としての収入計約1540万円を市に申告せず、生活保護費計約1600万円を不正に受け取っていたことが分かった。

 関係者によると、男性は仕事を辞め、現在は家族とともに鹿児島県内に居住しているという。市は男性に返還を求める方針だが、被害が多額で内容も悪質として告訴することを決めた。

「働いてないという先入観あった…」背景に人員不足

 「チェック態勢に限界があった」。大阪府門真市の生活保護の担当者は、2度も不正受給を許した今回の事態をこう釈明する。全国の生活保護受給世帯が過去最多となる中、不正を見抜けなかった背景には、保護行政の一線で働くケースワーカーの恒常的な不足という事情も垣間見える。

 門真市では年2回、受給者に対し、収入の過少申告などの不正がないか調査しているが、今回の不正を許した。担当者は「医師から病気で『稼働不可』と診断されており、働いていないという先入観があった」と強調する。一方で、受給者と定期的に面談し、生活や就労の状況をチェックするケースワーカーの業務量が多いことも要因に挙げた。

 厚生労働省が8月に発表した全国の生活保護受給世帯(5月時点)は、162万2525世帯と過去最多を更新した。門真市の7月現在の受給状況は4534世帯6298人で、市民千人のうち約50人が受給している計算。大阪府によると、門真市の受給割合は今年3月時点で、府内では大阪市に次いで多かった。

 門真市のケースワーカーは約40人で、1人で約110世帯を担当。社会福祉法が標準と定める1人80世帯を大幅に上回っているのが現状だ。厚労省の担当者は門真市の現状について「不正受給が起こらないよう、状況に応じてケースワーカーを増やすなどし、業務量を減らすことが必要だ」と話した。

489とはずがたり:2015/09/01(火) 12:13:14

2015.3.2 21:04
京都府庁の臨時職員しながら生活保護 「減額や停止されるので黙ってた」 不正受給の疑いで元職員逮捕
http://www.sankei.com/west/news/150302/wst1503020070-n1.html

 京都府庁の臨時職員として働くなどして収入を得ながら、無収入と偽って生活保護費を不正受給したとして、山科署は2日、詐欺の疑いで、京都市中京区の無職の女(47)を逮捕した。同署によると、「正直に言うと減額や停止をされるので黙っていた」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は平成25年5月〜26年5月、生活保護費約120万円を不正に受給したとしている。

 京都市が行った生活保護受給者に対する課税調査で発覚。今年2月、市が同署に告発した。女は25年2月〜9月までの間、府の臨時職員として勤務。その後も派遣社員として働くなどしていた。

2015.1.30 17:13
生活保護費から天引き 田辺市職員を停職 和歌山
http://www.sankei.com/west/news/150130/wst1501300058-n1.html

 和歌山県田辺市は30日、生活保護受給者2人の保護費から一部を天引きするなどしたとして、保健福祉部福祉課の女性主査(43)を停職1カ月の懲戒処分にした。

 市によると、主査は平成24年5月〜26年2月、国民健康保険料と医療費の計約15万円を滞納していた受給者に対し、本人に相談の上で22回にわたり滞納額を上回る計66万円を天引きした。医療費の支払い処理を怠った上、過剰分を受給者に返金せず、他の受給者の生活費として貸し出した。

 主査は別の受給者からも25万円を天引きした上、同様に事務処理を怠るなどしていた。

 真砂充敏市長は「公務員として絶対にあってはならない行為で、深くおわびする」とのコメントを出した。

2015.1.29 18:01
「ホストに貢ぐため」 生活保護の不正受給で41歳の風俗嬢を逮捕 京都府警
http://www.sankei.com/west/news/150129/wst1501290063-n1.html

 収入を隠して生活保護費を不正受給したとして、京都府警山科署は29日、詐欺の疑いで、京都市伏見区に住む風俗店従業員の女(41)を逮捕した。同署によると「ホストに貢ぐため金が必要だった」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は平成26年6月〜27年1月、生活保護費約87万円を詐取したとしている。

 同署によると、女は20年9月から生活保護を受けていた。26年4月から派遣型風俗店で勤務し、約500万円の収入を得ていたが、無収入と申告していた。1月8日、自分名義の携帯電話を他人に譲渡したとして、携帯電話不正利用防止法違反で逮捕され、その後の調べで発覚した。

490名無しさん:2015/09/02(水) 19:58:56
http://news.livedoor.com/article/detail/10542299/
下流社会が二極化…大阪・あいりん地区で“超エリート”と呼ばれる人々
2015年9月2日 15時0分 dot.(ドット)

 やはり働く人がいちばん偉い――日雇い労働者やホームレスの人たちが集う、大阪市西成区・釜が先のあいりん地区では、“白手帳”と呼ばれる「日雇労働被保険者手帳」を持つ労働者がここに住む人たちからもっとも尊敬のまなざしでみられている。

「あいりんの職安におる奴らは、俺らから言わせると“お堅い勤め人”や。白手帳持ち、それだけで尊敬されるで。なかでも手に職のある工員ゆうたら俺らとは別世界の人間や。超エリートやな。奴らが街なかを歩いとったら、まるで後光が差してるようにみえるで」

 “三角公園”の通称で知られる釜が先の中心広場である萩の茶屋南公園を根城にするホームレスのマサヨシさん(仮名・58歳)は、JR・南海線新今宮駅西口から徒歩1分にある「あいりん労働福祉センター」に集う日雇い労働者たちについて、こう話す。

「夏の暑いときも冬の寒いときでも、朝3時や4時から白手帳持ちは動いとる。朝6時には、もう奴らはマイクロバスに乗って現場や。お日様が照ってるうちはどこぞの工事現場でシノギしたはる。俺はそういうことがでけへんねんな。手に職もない作業員の仕事やと人に使われる。それが耐えられん」

 ホームレス生活約20年のベテラン、マサヨシさんが、この釜が先に流れ着いたのは数年前のことだ。九州、宮崎県の中学校を卒業後、就職のため大阪に出てから、10代半ばの数年は、中華料理店や寿司屋、スナックなど、飲食業を中心に職を転々としてきたという。

「いろいろやったよ。でもな、結局、どこも“見習い”のままやねん。一丁前になるまで続かんのや。上の奴からあれこれ言われるのがどうも好かん。せやから、ちょっと偉そうに言われると頭に血が上ってな。そのまま喧嘩別れや。ホームレスやる奴のほとんどがそうや。誰かに束縛されたり指示される。それが嫌なんや」

 マサヨシさんは自身の経験に重ねてホームレス生活を送る人の心理をこのように問わず語りに語った。飲食業で身を立てたいと思っていたマサヨシさんだが、職人の世界は若いうちからの修行がモノをいう。さすがに25歳を超えると、見習いとして雇ってくれるところはもうなかった。

「仕方ないから日雇いでずっと食いぶちを稼いどった。でも、毎日稼がんでも何とかなるもんやで。空き缶や雑誌拾うて売ったり。そんなこんなで気がついたらこの歳になってたゆう感じやな。なんぼも稼ぎにはならんけど。食うにはそんなに困ってへん」

 ホームレス生活も長いマサヨシさんを行政やホームレス問題を取り扱っているNPOも放ってはいない。時折、生活保護受給を申請しアパートの世話もしようとの声がかかる。

「生活保護ちゅうんは、国に日和るゆうことやろ。保護受けると市役所の役人からあれこれ指図されるて聞く。そんなんは俺、耐えられんで。これまで好き勝手に生きてきて、この歳なって人のゆうこと聞いて食べさせてもらう。それ、筋通らんとちゃうか?」

 三角公園ほか、西成のホームレスには20代はもちろんのこと、30代、40代の年齢層の者をみることはめったにない。マサヨシさんはその背景をこう明かす。

「若い子ほどあれこれいわれるんは好かんやろ。ホームレスにもモラルゆうか秩序があるんや。たとえば公園でやな。誰がここに寝る、座るとか暗黙の了解がある。新参者が入り込むのは難しいもんや。せやから、若い子はここ西成に来てもすぐ保護に頼って出て行くんや。そら保護受けたら雨露しのげる屋根付の家に住める。役人にあれこれ言われることさえ我慢したら快適やろう」

 このマサヨシさんの声を裏付けるように、3か月前に西成にやって来たという大阪府出身の30代後半のホームレスは次のように語る。

「もう出て行きます。公園でブルーシートを張って寝られるまで何年かかるやわからへん。ベテランがぎょうさん詰まっとるし。夏場、路上で寝たけど暑さに耐えられんかった。財布も取られたし、明日にでも生活保護受給の相談に行きますわ」

 こうして20代から40代前半の若年ホームレスは西成を去り、生活保護受給へとなびく。二度とホームレス生活に戻りたくないとの思いもあるが、同時に、恵まれた生活保護受給生活で、働きたくないとの思いもまた強くする。西成でのホームレス生活から、現在は、生活保護受給を受けている40代男性のひとりがいう。

「元は消費者金融の営業マンでした。どこかお金をなめてたところがあった。ホームレス体験や生活保護受給によって、お金のありがたさが身に染みたけれども、これほど自由で快適で、穏やかな日々を手放したくはない」

491名無しさん:2015/09/02(水) 19:59:31
>>490

 西成の“お堅い勤め人”、白手帳持ちの日雇い労働者たちは、ホームレスたちを尻目に今日も建設現場で汗を流す。

「朝6時から夕方日没時まで働いても1日6000円しかもらえへんこともある。公園でブルーシートで寝泊まりするほうが楽といえば楽やろうな」(日雇労働被保険者手帳を持つ日雇い労働者・58歳)

 大阪市関係者によると、「将来的には三角公園のブルーシートを全面撤去、夜、公園での寝泊りを禁止する方向で調整」しているという。

 だが、懸念されるのはブルーシートの撤去によって、生活保護受給の申請が増えることだ。大阪市は生活保護受給率全国ワースト、これ以上の生活保護受給者増は行政としても耐え難い。ホームレスたちが大阪市以外の地方自治体に行けばいいという訳にもいかない。

 しかし、この生活保護受給の問題。世論の盛り上がりは大きいが、解決策となるといまだ見えてこないという現状がある。

 そもそも現行の生活保護申請のシステムに制度上の穴がある。大阪市によると、「申請時、大阪市に住んでいるという証明さえ出せれば受給は可能」だという。たとえば賃貸アパートの契約書といったものでいいという。申請者の本籍地も住民票も関係ない。

 もっとも生活保護受給が決まれば、「住民票を大阪市に移すよう指導する」(大阪市)という。だがこれは強制ではない。なので、東京都に住民票、本籍地を置いたままでも大阪市から生活保護費の受給も認められるのだ。

 前出の大阪市関係者は、「生活保護受給者の多くは大阪以外の地方出身者だ」とその実情を明かす。こうした傾向は、産業経済が発展した首都圏や中京圏でもみられる。

 生活保護費は国がその4分の3、地方自治体が4分の1を負担している。財源の乏しい自治体よりも「都市部のほうが受給申請が認められやすい」のではないか、という申請者側の心理も働く。その結果、申請者は3大都市で保護受給を申請する。

 大都市に保護受給申請が集まれば、おのずとその財源は疲弊する。生活保護費を大都市にのみ負担させる現行のシステムは、今こそ見直さなければならない。全国の自治体すべてで取り組むべき問題だ。

(フリーランス・ライター 秋山謙一郎)

492とはずがたり:2015/09/08(火) 06:01:03
>学校で教えられる抽象的な知識に親しみやすいのは、どんな家庭の子どもか。先程の<図1>でいうと、おそらく右下に分布するホワイトカラー層の子弟だ。
娯楽的趣味からも抽象的な知識を抽出出来ないとね〜。

ひそかに進む日本社会の「階層化」
文化活動を媒介にした親から子への地位の再生産は日本でも起きている
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/08/post-3838.php
2015年8月11日(火)18時20分 舞田敏彦

親の地位が子供に? 階層別の趣味や嗜好の違いは日本でも見られる Valentinrussanov-iStockphoto.com

 フランスの社会学者ピエール・ブルデューは『ディスタンクシオン』(「差異」の意味)という著書の中で、社会階層によって趣味や嗜好が異なることを明らかにしている。たとえば購読雑誌の傾向をみると、知識階層は文芸誌、労働者階層は大衆誌を好んで読む。絵画、映画、スポーツなどについても、何を好むかは階層によって違ってくる。

 これはフランスの話であって、「一億総中流」と形容される日本には当てはまらないと考えるかもしれない。しかし統計によると、その「差異」は実は日本でも見られる。

 総務省『社会生活基本調査』では、様々な趣味の実施率(過去1年間)を職業別に調べている。横軸に美術鑑賞、縦軸にパチンコの実施率をとった座標上に31の職業を配置すると、<図1>のようになる。美術鑑賞とは、テレビやDVDによるものは含まない。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/fukushi/maita20150811-chart1-2-thumb-550x751.jpg

 ホワイトカラー層は美術鑑賞、ブルーカラー層はパチンコの実施率が高い。クラシック音楽の鑑賞やテレビゲームなど、他の項目も合わせて考えると、ホワイトカラー層は芸術趣味、ブルーカラー層は娯楽趣味を好む傾向が見える。日本でも、趣味と社会階層はある程度結びついていると言えるだろう。

 もちろんこれは個人の好みの差で、どちらが良いという問題ではない。しかし子どもの教育との関連で言うと、ある問題が提起される。学校で教えられる抽象的な知識に親しみやすいのは、どんな家庭の子どもか。先程の<図1>でいうと、おそらく右下に分布するホワイトカラー層の子弟だ。

 こうした家庭では、美術品や蔵書などが相対的に多くあり、それに囲まれて育った子どもは、学校の抽象的な学習内容への親和性も高いはずだ。結果として学校で良い成績を収め、親の「高い」社会的地位を継承しやすくなる。このような文化資本を媒介とした、親から子への地位の再生産過程を、ブルデューは「文化的再生産」と呼んでいる。日本でもこのような現象が実際に起こっていると考えられる。

 さらに、知見や視野を広げる「文化的な」体験をする子どもの割合も、階層によって異なっている。下の<図2>は、小学生の美術鑑賞と海外観光旅行の経験率を、家庭の年収別に見たものだ。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/fukushi/maita20150811-chart2-2-thumb-550x542.jpg

 両方とも、年収が高い家庭の子どもほど経験率が高い。美術鑑賞は、年収300万円未満の家庭では5.1%であるが、1500万円以上の家庭では28.6%にもなる。海外旅行は300万円未満の家庭で0.6%、1500万円以上の家庭では17.7%と、30倍近い差がある。こうした「体験格差」が、学校の成績の差となり、子どもの将来の地位に影響する可能性は否定できない。

 <図2>のような傾向は、収入差だけでなく、それ以上に保護者の文化嗜好の差の影響が大きいのではないだろうか。最近、子どもの学力格差の問題が取り沙汰されているが、家庭の経済資本だけでなく文化資本も要因となっていると考えられる。例えば、通塾費の援助のような経済的支援だけで、簡単に解決する問題ではない。

 現代の日本でもヨーロッパと同様の「差異」は存在し、それに由来する子ども世代の不平等が生じている。また今後移民の増加などで人口の多国籍化が進めば、問題はさらに複雑になる。様々な階層、文化的背景を持った子供たちの、文化的「差異」をどう埋めることができるかは、これからの学校教育で重要な課題になるだろう。

(資料:総務省『社会生活基本調査』〔2011年〕)

<筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」>

493名無しさん:2015/09/08(火) 20:10:31
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150908-00053230-playboyz-soci
『下流社会』の著者が明かす格差固定の現実。絵空事ではなく男性が“逆玉”を狙うのもあり!
週プレNEWS 9月8日(火)6時0分配信

日本社会はこの10年で確実に“下流化”が進み、“格差”が固定されつつあるーー。

『格差固定 下流社会10年後調査から見える実態』では、そうした事実を著者の三浦展(あつし)氏が主宰するカルチャースタディーズ研究所と三菱総合研究所による2段階のアンケート調査によって判明したデータを用いながら提示する。

巧妙に設定されたアンケート項目によって、現代社会の知られざる一面をあぶり出した三浦氏が見つめる、日本の実態とは?

―本書で示されるデータには、非常に辛辣(しんらつ)なものが少なくありません。4年制大学を出ても必ずしも階層を上げることにつながらない現実や、正社員の雇用枠が増えていないため学歴を上げても正規雇用につながらないという事実には目を背けたい読者も多いでしょう。

三浦 そうかもしれません。しかしデータを見れば、学歴というものに世間が期待しているほどの意味がないのは明らかなわけです。本来は大学に進む能力のない人まで進学できるようにさせている現在の教育行政は、不要な道路をつくり続ける道路行政と同じ。どちらも不要なものをつくって維持管理に多額のコストを投じ続けるという、実に無駄なことをやっています。学費を稼ぐために苦労している親は大変だし、女子大生が風俗で働くことも多い。

―しかし、そのロジックを理解していても、わが子を大学に進学させないというのはなかなか勇気のいる決断です。

三浦 そうでしょうね。結局、世間の意識というのは、制度によってしか変えられないということです。大学に行かなくても安心して就職できる制度をつくらないと大学進学熱は下がらない。だから私は、高校をなくすのがいいと思っています。

―高校を? それはなぜでしょう?

三浦 中学2年生と高校2年生の学力テストの結果を比較すると、高校2年生のほうがわずかに低いという研究結果があるんです。高校では、一部の有名大学進学者以外は勉強してないんですね。それなら、世界史などはあくまで教養として楽しく学び、その代わりに簿記、英会話、パソコン操作、プログラミングなどの知識を習得させたほうが、よほど将来の役に立つのではないでしょうか。その分、長く働けることになりますから生涯賃金も上がります。

―今回の『格差固定』は、三浦さんが10年前に発表された『下流社会 新たな階層集団の出現』(光文社新書)に書いた“予測”の的中ぶりを、まざまざと伝えています。早い段階で下流化現象を指摘したことは予想以上の反響を呼んだのではありませんか?

三浦 『下流社会』は20万部売ることを目標に書いた新書でしたが、最終的には80万部を超え、昨年もまた重版がかかっています。世間にはすでに「下流」という言葉に驚きはなく、定着してしまった印象を受けますよね。

―やはり、異論や反論もありましたか?

三浦 思っていたほどではなかったですが、中には私の調査法に対して、統計学的な正確さに欠けるという意見もありました。しかし、再検証した上で誤りを示した人はいません。面白かったのは、当時は小泉政権下の好景気に沸いていたため、「下流だと指摘されても笑い飛ばせるくらい日本は成熟してきた」と論じる批評があったことですね。もっとも、2008年のリーマン・ショック以降は、派遣切りが起こって決して笑い事ではなくなるのですが。

―今回の本の特徴として、調査対象者の支持政党を明らかにしている点があります。SNSユーザーは意外にも保守派に偏っている、などというデータはことさら興味深いですね。

三浦 これは私も少々意外でした。「ネットが政治を変える」と頑張っている人たちもいるが、それ以上に保守もネットを利用しているんですね。インターネットではどうしても自分と似たような意見ばかり受け取りがちですから、異なる価値観が見えなくなってしまうのかもしれません。

―「タイムマシンがあったらどの時代へ行きたいか?」というのもユニークな設問でした。この問いの目的は?

三浦 前提として、8割以上の人が「自分の子供の世代には大変な時代が来る」と考えている結果を提示していますが、それなら未来より過去へ戻りたがる人のほうが多いのではないかと私は予測したんです。実際には思っていたよりも過去へ行きたがる人は少ない印象ですが、いろいろクロス調査してみると、これは一概には言えないテーマでしたね。現状が良くないから未来へ逃げたいと考える人もいれば、現状に満足しているからこのまま未来へ行きたいと考える人もいる。

494名無しさん:2015/09/08(火) 20:10:48
>>493

―また、共産党支持層は、縄文・弥生時代以前など原始共産制に近い時代に行きたがる、という考察は秀逸でした。

三浦 アンケートをつくるたびに、何か面白い相関を見いだす変数を設定することが大切だと考えているんです。今回は投票政党の項目を設定したことで、社会の意識の新たな一面が見えてきました。

―では、今回まとめられたデータを受けて、これから先の10年で日本の社会はどう変わると予想しますか。

三浦 今回は70歳以上を調査対象から外していますから、国民全体の傾向を語ることはできませんが、母数の多い団塊ジュニアが10年後にはより格差が開く年代である55歳になり、危機感は今よりも増すはず。

一方で、労働力不足が顕著になることにより、若い世代が重用される時代になるかもしれません。現在の若者よりも希少価値が高く、企業側から高待遇で迎えられるなど楽に生きられるようになっていることも考えられます。いずれにしても団塊ジュニア以上にとっては、いっそう苦難の時代を迎えている可能性は否定できないですよね。

―結局のところ、現在下流に甘んじている人たちが階層アップを図るためにはどうすればいいでしょうか?

三浦 うーん。難しいですけど、男性は“逆玉”を狙うのもいいのでは? これは決して絵空事ではなくて、今回の調査でも女性の年収が男性より多い夫婦はたくさんいましたから、そのチャンスは増えているはず。そのチャンスをものにするために家事くらいできるようになっておくのは重要ですよ。

●三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ、新潟県出身。社会デザイン研究家。一橋大学卒業後、株式会社パルコに入社し、情報誌『アクロス』編集長を務める。99年、カルチャースタディーズ研究所を設立し、家族、若者、消費、都市、階層化などを研究。主な著書に『下流社会』『日本人はこれから何を買うのか?』(ともに光文社新書)、『第四の消費』(朝日新書)、『新東京風景論』(NHKブックス)ほか多数

■『格差固定 下流社会10年後調査から見える実態』
この10年間に人々の下流意識は進み、格差の固定が明らかになった―。年収1000万円以上の32%が自民党に投票し、年収100万円未満の34%が無投票。ベストセラー『下流社会』から10年を経た現代の実態を、2段階のアンケート調査によって鋭くあぶり出す一冊

495とはずがたり:2015/09/13(日) 21:34:46
>こんなにまで、貯蓄ができないのはどうしてなのでしょうか。
>その主な要因は、「住宅ローンによるマイホーム取得」「生命保険加入」「マイカー所有」という人生の3大無駄遣いにありますが、最近とりわけクローズアップされているものとしては、「過剰な教育費」が挙げられるでしょう。

貯蓄3千万でも老後貧困の危険!子供への過剰な教育費、ローンでの住宅購入が家計を破綻させる!
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20150812/Bizjournal_mixi201508_post-3831.html
ビジネスジャーナル 2015年8月12日 06時10分 (2015年8月14日 06時00分 更新)

 このところ、「老後貧乏」「老後破綻」「下流老人」といったキーワードをよく目にするようになりました。高齢者世代の貧困が増えているからにほかならないでしょう。

 現在日本の高齢者世帯(65歳以上)において、年収が200万円以下は39.46%、100万円以下は13.2%も占めているのです(2014年国民生活基礎調査)。つまり、高齢者世帯の4割が、生活保護レベルもしくはそれ以下の生活水準に陥っているのです。本連載前回記事でもお伝えしましたが、なまじ貯蓄があったり、住宅ローンで購入したマイホームという資産があるために、老後に貧窮しながらも生活保護の給付がなかなか受けられない世帯は多いのです。

 総務省の家計調査によると、高齢者夫婦が最低限必要な生活資金は月額27万円となっています。これで、節約してのカツカツの生活がなんとか保てる水準なのです。ただし、これも持ち家で住居費が月額1万円程度しかかからないことが前提となっています。たまに夫婦で旅行をしたり、外食が楽しめるといった、少しゆとりのある生活なら月額37万円が必要とされています。

 厚生労働省のデータによれば、夫がサラリーマンで妻が専業主婦だった高齢者夫婦の厚生年金平均受給額は、月額約19万円です。一方、夫が自営業者で妻が専業主婦だった夫婦の場合、国民年金の月額平均受給額は9.8万円にしかなりません(満額でも13万円)。

 いずれにしても、月額最低必要生活資金27万円には、厚生年金夫婦の場合でも月額8万円(年額96万円)が不足し、国民年金だけの夫婦は月額17万円(年額204万円)も不足するわけです。ゆとりある生活の月額37万円には、さらに10万円必要となります。

 このように、年金以外からの収入がなければ、生活費の不足分は貯蓄を取り崩すほかないのが現実なのです。

 こうした現状に鑑みると、65歳以降年金収入しかない夫婦は、貯蓄がたとえ3000万円あってもそれを取り崩した時点で、地獄のような老後生活が待っていることになります。将来は年金額も減らされ、支給開始年齢も繰り延べされるのは確実ですから、老後資金は3000万円程度では到底足りないことが明白でしょう。

●貯蓄ゼロ世帯

 では、各世帯の貯蓄額はどうなっているのでしょうか。平均値ではなく、多い額から少ない額に並べた時の真ん中の数値、つまり中央値が実態を表わしているので、世帯主の年代別に中央値をみてみましょう。

「家計の金融行動に関する世論調査2014」(金融広報中央委員会)によれば、30代は405万円、40代は640万円、50代は900万円、60代は1398万円となっています。これが実態だとすると、高齢者世帯の9割が、貯蓄が尽きた時点で生活保護レベル、もしくはそれ以下の水準に転落してしまうのは確実といえるでしょう。男性の平均寿命は80歳、女性の平均寿命は87歳といっても、この年齢でも2人に1人以上は生き続け、90歳時点でも男性は23%、女性は47%の生存率です。現役時代にどんなに高収入だった人でも、65歳以降に働かなくなれば、たちまち貯蓄を食い潰して「地獄の老後」が待っているわけです。

 さらに衝撃的なデータがあります。「貯蓄ゼロ世帯」の占める割合を世帯主の年齢別にみてみると、20代で35%、30代で33%、40代で33%、50代で30%、60代で30%も占めています。また、年収別でみると、年収300万未満は53.3%、年収500万未満は42.6%、年収750万未満は22.9%、年収1000万未満は19.7%、年収1200万未満は9.3%、年収1200万以上は10.6%です。

 かつて日本の家計貯蓄率は、1970年代半ば頃には20%を超えていましたが、近年は下降を続け1〜2%台がやっとという状況ですから、無理もないわけです(内閣府「国民経済計算」より)。ちなみに家計貯蓄率とは、世帯の手取り年収(可処分所得)に占める貯蓄の割合をいいます。

496とはずがたり:2015/09/13(日) 21:35:08
>>495-496
●過剰な教育費

 では、こんなにまで、貯蓄ができないのはどうしてなのでしょうか。

 その主な要因は、「住宅ローンによるマイホーム取得」「生命保険加入」「マイカー所有」という人生の3大無駄遣いにありますが、最近とりわけクローズアップされているものとしては、「過剰な教育費」が挙げられるでしょう。

 子供を無理して私立の中学や高校へ進学させると、塾などの習い事と合わせると高コスト世帯となり、ますます貯蓄ができなくなります。子供を高学歴にするために投資しても、大学を出たのち非正規雇用(雇用者の約38%)となってしまい、挙げ句にニートになって親元でゴロゴロされたら、老後世帯の家計は間違いなく破綻するでしょう。

 文部科学省のデータでは、塾や習い事の費用も含めた教育コストは、幼稚園から大学まですべて公立なら約800万円ですみますが、高校と大学が私立なら1080万円となり、幼稚園から大学まですべて私立だと2212万円もかかります。これに何年かの留学費用などまで加えたら、べらぼうな金額にまで膨らみます。こんな不確実性の投資には、できるだけコストをかけないことが大事なのです。

●住宅ローンは損をする?

 日本は人口が急速に減少していきます。今は1億2700万人ですが、20年後は1割減って9割となり、30年後は今より2割減って8割の1億160万人です。住宅もすでにあり余っており(13年の空き家率は13.5%)、30年後の空き家率は40%台というシンクタンクの推計もあります。

 これから住宅ローンでマイホームを取得しようという方は、ぜひおやめになることです。金利が低いといっても、4000万円を全期間元利均等・固定2%の35年ローンで借りたとすれば、総返済額は5565万円と借入額の1.4倍にもなります。一戸建てでも35年後には土地代も購入時より3割は下がり、建物価値はボロボロでゼロ査定です。マンションでも購入時の半額以下の価格となり、これらでゆうに3000万円以上も損をすることが明白なのです。これからは、ますます安くて良質な賃貸物件が増え、老後にはもっと安い金額で家も購入できるはずだからです。

 生命保険も世帯平均で年間41万円も払っていますが、純粋な補償に回る金額は3割そこそこで、7割近くが保険会社の粗利益で消えていきます。健康保険の傷病手当金制度、高額療養費制度、企業の死亡退職金や障害年金制度などの代替手段の充実を勘案すれば、生命保険加入の意味はなくなります。

 またマイカー所有には、膨大な税金が諸費用に加重されていて大きなマイナスになります。こうした費用を貯蓄に回し、利殖を図れば、軽く5000万円ぐらいは生み出せると考えるべきでしょう。ゆえに著者はこれらを「人生の3大無駄遣い」と呼ぶゆえんですが、くわしくは拙著『40代から知っておきたいお金の分かれ道』(フォレスト出版)をご参照ください。

 なんといっても、現役時代にも老後にあっても、頼れるものは「価値ある資産とお金」です。

 価値がなくなるマイホームを借金で購入するのは、途方もない無駄です。また、ほかに合理的な代替手段が充実しているのに生命保険に加入するのも二重三重の無駄です。そして多重税金の塊となるマイカーも大いなる無駄といえるのです。

 楽しい現役生活と豊かな老後生活を送るためにも、くれぐれもあざとい商業主義に惑わされないようにすることです。お金を有意義に蓄えていきましょう。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)

497とはずがたり:2015/09/13(日) 21:35:55
2014.12.01
住宅ローンは危険すぎる?破綻者急増の実態 退職金減額、病気…売却しても巨額借金
http://biz-journal.jp/2014/12/post_7526.html
文=松井克明/CFP

498名無しさん:2015/09/19(土) 19:08:30
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150919-00940183-sspa-soci
行く末は孤独死…社会から孤立する「下流中年」
週刊SPA! 9月19日(土)13時51分配信

◆ふとした要因で簡単に孤立化。負のスパイラル

「年収は300万円。暇はあっても友達と飲みに行くお金はありません」

 そう語るのは、IT企業に勤める佐藤大輝さん(仮名・37歳)。新卒で入った会社は、毎日終電のブラック企業。35歳で体を壊し、退職したのが運の尽きだった。再就職先はなかなか見つからず、年収を妥協して今の仕事に就いた。

「社会人になってからは仕事人間でしたから。大学時代の友人とも疎遠になっていた。気づけば周りの友人は結婚して家族持ち、飲み仲間なんてつくるお金もない。30代後半になって、猛烈な寂しさに襲われるようになりました」

 昨今、下流老人が注目を集めているが、その序曲は35〜49歳の中年時代から始まっている。給与が横ばいの働き盛りの世代が今、下流中年化するケースが増えているのだ。そして彼らを下流化させる引き金となるのが、孤立化である。

 SPA!が行なったアンケート「孤独を感じたことはありますか?」によれば孤独と感じる人は30.5%とまだ少ない。しかし、予備軍も含めると潜在的な孤立化する下流中年は、多いと見られている。ジャーナリストの溝上憲文氏も、労働環境の変化で「今後は下流中年の孤立化に拍車がかかる」と警鐘を鳴らす。

「IT化によって昔ながらのビジネススキルが通用しなくなるなか、今や大量採用の恩恵を受けた40代の半数はリストラ対象と言われています。一方、転職市場では年収3割減は当たり前で、一度でも非正規になれば正社員に戻ることは限りなく難しい。また、妻が自立している共働き世帯では、夫のリストラや親の介護が離婚に繋がるパターンも多く、ある日突然、人間関係が崩壊するリスクが40代に急激に高まるのです」

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

Q1:孤独を感じたことはありますか?

YES:678人(30.5%)

NO:1547人(69.5%)

※全国都市部在住の35〜49歳(正社員・契約・派遣・公務員)で個人年収400万円台以下の男性2225人アンケートで「孤独」を感じたことのある678人(30.5%)から無作為に300人を抽出し、Q2のアンケートを実施

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 また、「いないと『孤独』を感じる対象は?」というアンケートでも65%の人が「友人がいない」ことが孤独を感じる要因と回答。友人形成は学生時代など過去からの積み重ねであり、中年になってから実行するのは難しい。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

Q2:いないと「孤独」を感じる対象は?(複数回答可)

友人:65.0%

彼女:41.0%

家族:33.3

仕事仲間:28.3%

先輩:11.0%

後輩:10.3%

親:6.3%

その他:0.3%

※中年にも差しかかれば友人関係は構築済みで、家庭に愛着を持つ頃合いかと思いきや、友人が65%と突出。字面以上の“孤独の中身”の深刻さを物語る結果となった

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

499名無しさん:2015/09/19(土) 19:08:40
>>498

 そして、下流中年の末に待ち構えているのは「孤独死」という冷たい現実だ。

「低年収でも社会と繋がっていれば問題ないのですが、企業が利益至上主義によって労働者の教育を放棄したことで『挨拶ができない』など“マナーの貧困”が深刻化しています。その結果、“なるべくしてなった孤独死”という側面も強くなってきた。この状況が改善されない限り、社会人として未熟にもかかわらず自立していると思い込み、孤独死に至るケースが減ることはないでしょう」(社会福祉学者・結城康博氏)

 社会からの孤立化が働き盛り世代を下流中年の闇へと陥れ、それがまたさらなる孤独感を生むのだ……。

◆母親の介護のために、見知らぬ土地で孤立。メールも一切届かない

〜 白沢 譲さん(仮名・41歳)/食品工場社員/年収280万円 〜

「5年前、北海道に住む母親が倒れ、介護のために仕事を辞めて東京を離れました。以来、友人との付き合いはほとんどありません」

 白沢さんは生まれも育ちも東京。父親が定年を機に移住した北海道とは縁もゆかりもなかった。

「父親は移住して間もなく亡くなり、東京の自宅は処分したので戻ることもできない。私は一人っ子ですし、自分以外に母親の面倒を見てくれる人もいないので……」

 仕事もそれまでのSEから食品会社工場スタッフとなり、年収は150万円のダウン。ただし、それ以上にキツかったのは、見知らぬ土地での孤独感だったとか。

「職場は年上のパート女性ばかりで、数少ない同年代の男性社員は地元出身の既婚者。独身でヨソ者の私とは話が合わず、仕事以外での付き合いはほぼ皆無です」

 現在、母親は日常生活を送れるまで回復したが、「今さら一人にはできない」と話す。介護負担は軽減されたが、逆に休日などの時間を持て余すようになった。

「お金も友達もいないので、いつも低価格パチンコで時間をつぶしていますね。虚しさを感じるのは昨夏に機種変した携帯にメールが一切届かないこと。どうせ誰とも繋がらないので、LINEもフェイスブックも未加入です」

 親の介護を言い訳にしたくない。その葛藤が白沢さんを苦しめる。 <取材・文/宮下浩純 高島昌俊 撮影/西田 航>

※この記事は週刊SPA!9/22・29合併号特集『下流中年の危機』より抜粋されたものです。

【溝上憲文氏】

ジャーナリスト。経営、人事など労働問題、労働環境をテーマに活躍。著書に日本労働ペンクラブ賞受賞の『非情の常時リストラ』(文春新書)、『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)など

【結城康博氏】

社会福祉学者。地域包括支援センターで社会福祉士、ケアマネージャー、介護福祉士として勤務後、淑徳大学教授。著書に『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護―現場からの検証』(岩波新書)など

日刊SPA!

500とはずがたり:2015/09/23(水) 09:06:15
奨学金から塾代、生活保護費減らさず 厚労省が見直しへ
http://www.asahi.com/articles/ASH9L4WC0H9LUTFL00H.html
久永隆一
2015年9月22日11時25分

生活保護費を減らされない使い道は…
 生活保護を受けている家庭の高校生がアルバイト代や奨学金を塾代に使うと保護費を減らされるルールが、10月から見直されることになった。政府は子どもの貧困対策に力を入れており、親から子への「貧困の連鎖」を防ぐ狙い。塾代にあてる場合は生活保護費の減額対象外とするよう、厚生労働省が運用を変える。

 生活保護費は最低限の生活に必要な費用に対し、世帯収入や資産をあてても足りない分が支給される。収入が増えると、その分は支給額が減らされる。

 収入には子どものアルバイト代や奨学金も含まれる。だが、昨年夏に政府が閣議決定した子どもの貧困対策大綱に「進学費用の経費にあてられる場合は収入と認定しない」と盛り込まれ、厚労省はルール変更を決定。今年10月以降は塾の授業料や模試代、入会金、教材費、塾に通う交通費に使う分は収入として扱わないことにする。

501名無しさん:2015/09/24(木) 22:15:44
>「昔はこうした親を、子どもや同居家族が支えたが、
>雇用が崩壊し3割以上が非正規になり核家族化が進んだ状況では、
>親は子どもたちに頼ることができなくなっています」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150923-00000003-sasahi-soci
「普通の老後」が難しい 年収700万円でも老後は「ギリギリ」〈AERA〉
dot. 9月23日(水)7時12分配信

 今、年齢を重ねてからの「貧困」が大きな問題になりつつある。それは「普通」と思われていた人々にとっても、もはや無縁の話ではない。

 6月、高齢者の貧困実態を著した『下流老人』(朝日新書)という本が出た。著者で、生活困窮者を支援するNPO「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典(33)は、下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義。現在推定600万〜700万人で、高齢者人口の20%近くに及ぶという。

 病気、失業、借金、離婚、介護……。貧困に陥る要因は複雑だ。藤田によれば、以前は日雇い労働者のように若い時から貧困で老後も貧困に陥るケースが多かったが、近年は「普通の人」が増えていると話す。

「無計画で放蕩な暮らしをしていた人ばかりが下流老人になっているわけでは決してない」(藤田)

 築30年の2LDKの都営団地に病気の妻(77)と暮らす芝宮忠美(72)は、部屋に上げてくれるとこう話した。

「生活に、まったく余裕がありません」

 同志社大学を卒業後、外資系ホテルに入社。アブダビ、イギリス、スウェーデン……。会社員人生の大半を海外で働いてきた。会社員時代の年収は約700万円。当然、「普通の老後を送れる」と思っていた。

 しかし落とし穴があった。海外勤務時に国内の年金に未加入だった期間があり、年金受給額は月7万円足らずだったのだ。収入は妻の障害年金(約10万円)とあわせ月約17万円。東京都の2人世帯がもらう生活保護費とほとんど変わらない。

 そこに、妻の介護費が重くのしかかる。週2回のデイケアで月3万円近くかかり、食事制限のある妻に特別な献立を作るため食費は月約6万円。収支は毎月ぎりぎりだ。

「家賃が4千円だから、何とかやっていける状況です」

なぜ、「豊か」と思われていた高齢者が厳しい状況に追い込まれているのか。

「昔はこうした親を、子どもや同居家族が支えたが、雇用が崩壊し3割以上が非正規になり核家族化が進んだ状況では、親は子どもたちに頼ることができなくなっています」(藤田)

※AERA  2015年9月28日号より抜粋

502名無しさん:2015/09/27(日) 12:51:27
>>500

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150925-00078909-diamond-soci
高1女子に奨学金を返還させた福島市の非情
ダイヤモンド・オンライン 9月25日(金)8時0分配信

 2014年4月、母親と二人で生活保護を利用して生活している福島市の女子高校生が、得られた給付型奨学金を全額、自治体に収入認定され、返還するよう求められた。しかし2015年8月、厚労省は福島市の決定を不当とする裁決を下し、女子高校生はやっと、経済的な困難の少ない高校生活が送れるようになったところである。

 今回と次回は、この問題についてレポートする。まず、出来事の背景は何であり、母親はどのような半生を送ってきたのだろうか? 

● 奨学金は「収入」だから取り上げる!?  高1女子を待ち受けていた衝撃

 2014年4月16日。福島県内の公立高校に進学して間もなかった長門アスカさん(仮名・15歳)は、いつもと同じように学校生活を送り、帰途についた。住まいである福島市内の県営住宅に帰宅すると、母親・ミサトさん(仮名・37歳)がただならぬ表情で、

 「奨学金、全部、取り上げられちゃうって! 」

 とアスカさんに告げた。「取り上げられる」は、正確に言えば「収入認定」という意味である。

 小学6年のときから、母親とともに生活保護に支えられて暮らしているアスカさんは、中学3年生のとき、新高1を対象とした給付型奨学金の募集に応募しており、うち2件で採用となっていた。その2件で得られる年間合計17万円を、全額、自分の学業に用いることはできなくなってしまったのである。

 取材当日、私の目の前にいた細身のアスカさんは、知的な雰囲気を漂わせ、シャープなイメージの衣服に身を包んでいた。アスカさんは、その時、

 「は?  なんなの? 」

 と叫んだところまでは覚えているそうだ。

 「家に帰って、母からそのことを聞いた時に、理解できなくて……絶望というか、怒りがこみあげてきて、わめき散らしてました。その時の記憶は、それくらいです」(アスカさん)

 今回は、アスカさんが生活保護利用の母子世帯の子どもとして直面した問題を理解するため、最初の足がかりとして、ミサトさんの半生に焦点をあてて紹介することとしたい。

 まず、今回の問題の背景には、どのような事情があったのだろうか?

503名無しさん:2015/09/27(日) 12:53:28
>>502

● 生活保護基準の二面性の理解が重要 「収入認定」とは何か? 

 今回の問題を理解するには、まず、生活保護基準の二面性を理解する必要がある。生活保護制度には、重要な原理4つと原則4つがあるのだが、今回は「最低生活保障の原理」と「基準及び程度の原則」が主に問題となっている。

 まず、「最低生活保障の原理」により、生活保護基準は「健康で文化的な最低限度の生活」を実現できるものである必要がある。実際に実現できた時期があったかどうかはともかく、日本国憲法第25条と生活保護法の建前はそうなっている。これが、生活保護基準の「下限」としての側面である。

 一方で、「基準及び程度の原則」により、生活保護利用者の生活は「健康で文化的な最低限度の生活」を超えてもならない。本人の就労・他制度の活用などがあっても、なおカネ・モノ(医療・介護・教育・就労など社会生活を含む)が生活保護基準より不足していたり欠落していたりするのならば、生活保護制度によって補われる。しかし、本人の自助努力の結果であるとしても、収入が生活保護基準以上となるのであれば、超えた部分は「収入認定」されてしまう。これが、生活保護基準の「上限」としての側面である。

 このため、生活保護基準を上回る収入があったら、原則として「収入認定」を受け、福祉事務所へ返還する必要がある。勤労収入の場合は、必要経費(交通費・作業服など)の実費分の補填は認めたうえで、「働き損」にならないように本人の可処分所得を若干は増やす配慮も行われているが、原則として取り扱いは同様となっている。
 
 今回、最大の問題点となったのは、生活保護世帯の子どもが自らの努力によって獲得した給付型奨学金が、「世帯の生活保護基準の範囲を超えた」という理由によって取り上げられる、いや、収入認定されることの是非だ。

 ミサトさん・アスカさん母子は、支援者・理解者たちの協力を得て、2014年6月、福島県に審査請求を行ったが、2014年11月に却下された。2014年12月、厚労省に再審査請求を行い、並行して2015年4月、福島地裁で取り消しと慰謝料支払いを求める訴訟を開始していた。

 先月の2015年8月6日、厚労省が福島市福祉事務所の取り扱いを取り消す裁定を行ったため、収入認定されたアスカさんの給付型奨学金は、本来受け取るべき本人のもとに返還されることとなった。アスカさんの高校生活が、既に概ね半分終わった時期のことである。

 なお、厚労省の裁定理由は生活保護世帯の子どもの進学や進路を切り開くための努力を全面的に認めるものとはなっておらず、福島市の手続きを主要な問題としたものであったため、その点を争う目的で、訴訟は現在も継続されている。

 そのアスカさんの母、ミサトさんは、どのような半生を送ってきたのだろうか?

504名無しさん:2015/09/27(日) 12:54:51
>>503

● 親や教員への不信が募った子ども時代 定時制高校で未来は開けたが…

 ミサトさんは1978年、福島県内で3人きょうだいの末子として生まれ、2歳上の兄・1歳上の姉がいた。サラリーマンの父親と専業主婦の母親は不仲。父親は、外で働いて給料を母親に渡すことはするものの、家庭には無関心だった。母親は、物心ついた子どもたちに夫の愚痴を垂れ流しては「アンタたちがいなければ、私はさっさと離婚してたのに」と嘆息していたそうだ。

 「正直、『そんなに人のせいにするんじゃない! 』と思っていました。自分も母親になり、年子の子どもが3人いて大変だったのはわかるんですが、だからって、それを子どもに言っちゃいかんだろう!  と思います」(ミサトさん)

 その後、ミサトさんが10歳のとき、父親は会社を退職し、自営業者となった。母親は父親とともに、自営業の事務や手伝いをするようになった。バブル崩壊直前の時期にあたっており、事業は順調だった。

 しかし子どもたちにとっては、「家に帰っても母親はいない」ということでもあった。学校で何があったか話そうとすると、母親は「うるさい、ジャマ! 」と言う。中学時代のミサトさんは、「お母さんは話を聞いてくれないから、何も話さない。もういいや」と達観していた。すると母親は「私はアンタの母親なんだから、アンタの考えていることくらい、分かるわよ! 」とぶつかってきた。

 「母親は、なにもかも『自分は正しい』という感じでした。『自分はなんでもやってきた』という奇妙な自信と、押し付けがましさがありました。大人の自分だからやれることを『アンタもやれるでしょ』と中学生の私に言い放ったり、よその子や兄・姉と比較して『なんでアンタは』と言ったり」(ミサトさん)

 中学時代のミサトさんは、高校に行きたいと考えていなかった。数学の授業についていけなくなり、大人への不信感から、

 「どうせ先生は、できる子にしか教えないんだから。私が分からなくても、勝手に授業は進んでいくんだから。だったら、もういいや、という感じで過ごしていました。もう、勉強というより、学校に興味ありませんでした。どうせ、どこでも先生って、こんなものなんだろうと。とにかく『自分は何がしたいんだろう?  何のために生きているんだろう? 』ばかり考えていました」(ミサトさん)

 しかし、母親に「とにかく高校だけは卒業しなさい」と言われ、中学の先生に「とりあえず面接だけだから受けてみては」と勧められて受験した定時制高校の3次募集に合格して進学したミサトさんを、思わぬ出会いが待っていた。

 「先生たちが、中学までのイヤだった先生たちとは全然違っていて、伸び伸びしていて。友達のような感覚で話ができたんです」(ミサトさん)

 学校生活だけではない。

 「数学、何もわからなかったのに、小学生に教えるように、わかるまで、ゆっくり説明してくれたんです。『こんな簡単なことが、なんでわからなかったんだろう? 』と、初めて思って、楽しくなりました。そして『定時制に来て良かった』と思いました」(ミサトさん)

505名無しさん:2015/09/27(日) 12:56:30
>>504

 ミサトさんは中学時代から、英語が得意だった。学校がイヤになっても、英語だけは勉強し続けていた。

 「定時制高校では、英語は自分だけ別メニューで、他の生徒と違う教材で勉強していました」(ミサトさん)

 コンビニ・ガソリンスタンド・スーパーの惣菜製造などのバイトを掛け持ちし、「時給550円程度」ではあるが1ヵ月8万円程度の収入を得つつ定時制高校で頑張るミサトさんに、高校教員が、学校推薦を受けての海外でのショートステイの話を持ちかけてきた。ただし費用は自費である。

 「とても、行ってみたかったです。日本から出たら何か変わるかも、という漠然とした思いもありました」(ミサトさん)

 しかし小さくない自費負担額がネックとなった。バブル崩壊後、家業の自営業も危機的な状況が続いていた。ミサトさんは教員に「お金がないので、行けません」と告げた。結局、その機会は後輩のものとなった。「切なかったです」とミサトさんは言う。

 高校時代のミサトさんは、将来について落ち着いて考えることが可能になりはじめていた。「人の役に立つ仕事をしたい」という気持ちが芽生えていたミサトさんは、介護の専門学校に進学したいと考えた。しかし、あまりにも学費が高額なため、断念せざるを得なかった。

● 元夫や親きょうだいから身を守る日々 しかし力尽きて生活保護を申請

 高校卒業後のミサトさんは、実家に住みつつ、温泉の宴会コンパニオンと工場での派遣労働を掛け持ちしていた。ほどなく、きょうだいの友人として知り合った男性と交際するようになったミサトさんは、アスカさんを懐妊し「俗に言うできちゃった結婚」をした。

 「とにかく、家を出たかったんです。居たくないから。自分の居場所がないから。『だったら、さっさと結婚しちゃえばいい』と考えました。今から考えたらバカみたいですが。そのタイミングで妊娠したので、『じゃ、結婚しよう』と」(ミサトさん)

 現実のものとして「自分で仕事をして一人暮らし」という選択肢を考えるには、地方の高卒女子の賃金は低すぎた。

 しかし、元夫の収入は手取り15万円。親子3人が暮らしていくには厳しい金額だ。さらに元夫は、結婚前に購入した四駆の自動車をどうしても手放さなかった。その自動車のローンなどの借金の支払いが、1ヵ月あたり合計8〜9万円にも及んでいた。

 「支払いを済ませたら、手元に5000円くらいしかなかったんです。産婦人科に行ったら食べられないくらいでした」(ミサトさん)

506名無しさん:2015/09/27(日) 12:59:21
>>505

 2歳上の元夫は、父になるには幼すぎたのかもしれない。

 「彼は、母親に『お前はかわいいなあ』と、私の前で頭を撫でられていました。彼も、お母さんも(私に見られていても)平気でした」(ミサトさん)

 ミサトさんは、アスカさんを出産して間もなく、クラブで働くようになった。保育園を探してから仕事を探していたのでは間に合わないほど、状況は逼迫していた。元夫は、アスカさんの世話はしたものの、ミサトさんの手取り月14万円の収入、家にいず外で働いていることに不快を示し、「クラブで男を作って浮気しているのでは? 」と邪推した。

 毎晩、「私は子どもを守る義務と責任があるんだから、あなたは文句を言うな」と元夫を怒鳴りつけて働くミサトさんだったが、ストレスから出たアトピー湿疹の掻き傷を元夫が「キスマーク」と思い込んだことから、アスカさんが生後10ヵ月のとき、同居生活の終わりとなった。

 その後のミサトさんは、家業不振・兄の引きこもりから不安定な状況の続く実家に身を寄せたり、実家の倒産の影響を受けたり、姉の男性の友人たちに翻弄されたりしながら、工場・クラブ・保険の外交員と数多くの仕事をこなしつつ、アスカさんを育てつづけた。

 しかし、アスカさん小学3年の冬、ミサトさんを異変が襲った。

 「家から出られない状態になったんです。高校時代の友達のアドバイスで、付き添ってもらって精神科に行ったら、うつ病ということでした」(ミサトさん)

 この時のことを、アスカさんは、

 「私が小2のときから、様子がいつもと違うのは感じていました。でも母は、私には、いつもと変わらない感じで接していましたから、私もいつもどおりに母に接していました。それまでの母は、必要に迫られてのことだとは思いますが、いつもキビキビ動いていて、仕事熱心でした」

 と語る。

 その後も無理に働き続けていたミサトさんのもとに、離婚した母親・交際相手と別れた姉が転がり込んできた。精神的負荷から体調を悪化させたミサトさんは、仕事を辞めざるを得なくなった。障害基礎年金(2級)と児童手当を受給して県営住宅で暮らしながら、やっとのことで母と姉に出て行ってもらうことに成功したミサトさんだったが、アスカさん小6の夏、障害基礎年金の更新が行えなかったことから、支援団体からコメなどの食糧支援を受けつつ、生活保護を申請。数日後に保護開始となった。

 生活保護についても母親の説明を受けた娘のアスカさんは、

 「このとき、はっきり『変わった』と感じたことはありませんでしたが、生活保護が始まって、『少し、余裕ができたかな? 』という感じでした」

 という。

 次回は、アスカさんの視点から、中学・高校時代、奨学金収入認定問題、今後の進路への見通しを紹介する予定である。娘と母それぞれにとっての生活保護の意味・「健康で文化的な最低限度の生活」の意味が浮かび上がってくるはずだ。

みわよしこ

507とはずがたり:2015/09/29(火) 12:39:01
文科三類は入学するもので卒業するもんじゃないだろ。。

東大卒で年収220万円。高学歴プアの実態
SPA! 2015年9月29日 09時02分 (2015年9月29日 09時10分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20150929/Spa_20150929_00947541.html

長谷川さんのキャリアパス。2002年、大手商社に就職→2005年、中堅商社に転職→2014年、勤務先が倒産→2015年、日雇いアルバイト

 東京大学の文科三類を卒業後、晴れて大手商社に入社した長谷巧さん(仮名)だが、入社早々自信を失った。

「自信満々で入社したものの、仕事が全然できなかったんです。同期と比べても覚えが悪かったし、いろいろ融通が利かなくて。ハーバードとか海外の名門大学を出た人間も何人もいましたから、東大卒といっても特別ではなくて、“そこそこ勉強できたヤツ”という程度。自分の唯一の武器だった学歴は何の意味も持ちませんでした」

 自分より学歴の低い同期も、問題に直面した時の対応力やメンタルの強さなどは、自分と比べ物にならなかった。

「総合的な人間力の差を感じました。特に関西の某名門私立のアメフト部出身の奴は凄かったです。みんなを引き付ける魅力を持っていて。プロジェクトを引っ張るような人間は、ああいう男なんですね。“勉強はもちろん、ほかの面でも自分を高めてきた奴ら”ばかりで、そりゃ勝てないよ、俺は勉強しかがんばったことないもん、と思いました。周囲との差に負い目を感じて、3年で退社しました」

 退社後、数か月の転職活動を経て中村さんが入社したのはまたも商社。とはいえ、一社目のような総合商社ではなく、文具などの消耗品を扱う商社だ。

「社員数は百数十人でしたけど、事業規模は前の会社と比べ物にならない小さな会社でした。“何でうちに来たの?”って1000回くらい聞かれたかな。年収は3分の2以下になりましたけど、緊張感のない会社だったので毎日気楽でしたね。二流、三流大出身者が大半で、以前のような劣等感も無ければ血の気が引くようなプレッシャーもなく、楽しかったですよ。“東大出て何してんだ”って気持ちはありましたが、それでも今よりはマシでしたね。今では毎日高卒や中卒の人たちと働いてますから」

 そう語る長谷川さんは現在日雇い派遣労働者だ。昨年、10年近く務めた二社目の商社が倒産した。

「業績が悪化していたので早くほかへ移っておけば良かったのですが、頭ではわかっていても面倒で。なんか、努力するスタミナが残ってないんです。大学受験と就活で使い果たしちゃった気がして。今は日給1万円のバイトで年収は220万円ほど。独身なので生活は十分に成り立ちます。それゆえに、ますます次の仕事を探す気力もわかないんです」

 毎日ヘルメットを被り工事現場などで汗を流す長谷川さん。国内最高学府卒の面影はどこにもない。9/29発売の週刊SPA!では、「低学歴ハッピーと高学歴プアの境界線」という特集を組んでいる。「学歴とはいったい何なのか……?」――いま一度考えさせられるのであった。 〈取材・文/週刊SPA!編集部〉

508チバQ:2015/10/10(土) 13:10:27
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151010-00087614-toyo-bus_all
「中年フリーター」のあまりにも残酷な現実
東洋経済オンライン 10月10日(土)6時0分配信

 アルバイト、パート、派遣、請負など非正規労働者の増加が止まらない。平成元年(1989年)に817万人で全体の約2割だった非正規労働者は2014年に1962万人まで増加。全体の37%と4割近くに迫っている。今や労働者の実に3人に1人が非正規だ。


 中でもこれから深刻な問題として顕在化してくるのが「中年フリーター」の問題だ。その中心は1990年代半ばから2000年代半ばに新卒として社会に出た「就職氷河期世代」の非正規労働者だ。氷河期最初の世代はすでに40代に突入。年齢的に正社員に就くのが困難であるだけでなく、体力の衰えとともに働けなくなってくる。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員の試算によると、35〜54歳の非正規(女性は既婚者を除く)の数は2000年から増加、直近では273万人に上る。

■ 親のためにUターンも派遣社員を転々

 「本当は正社員として働きたかった。安定した生活が保障された中で、自分の人生を設計したかったです。振り落とされないように必死になって、社会にしがみついている状態です」

 兵庫県に暮らすAさん(42)は就職氷河期世代。工業高校を卒業後、大手流通企業に正社員として就職したものの、家庭の事情から非正規労働者になり、職を転々。今はセールなどの掘り出し物を見つけてはネットオークションで売りさばき、生計を立てている。

 Aさんの人生が狂いだしたのは1996年、23歳のとき。母親の面倒を見るために兵庫に帰郷し、派遣会社社員として大手メーカーの系列会社で働き出した。

 最初の派遣先は半年ごとの更新だったが、わずか1年で雇い止め。Aさんは実家を離れて近隣県に「出稼ぎ派遣」に行く。仕事の内容はガラス工場のオペレーターだった。ただ3カ月で雇い止めに遭い、実家へ出戻り。近所の食品会社工場の契約社員になった。それも2年後に過労で辞職。しばらく休養した後、別の派遣会社に登録し、再び大手メーカー系列の会社で仕事した。

 正社員を募集していた職場では、次々に落とされた。「社員にならないか?」と誘う企業がなかったわけではない。リフォーム会社の訪問販売で給与は出来高制。ネットで調べてみると、“ブラック企業”だった。

509チバQ:2015/10/10(土) 13:10:48
 結局、阪神大震災の翌年である1996年から約10年間で、派遣や契約社員、嘱託などの非正規待遇で10社ほど渡り歩いた。時給はだいたい900〜1200円だった。

 さらにAさんを苦しめたのが2006年のライブドアショック。少ない資産を少しでも増やそうと株式投資をしていたが、裏目に出てしまった。これを機に残った株をすべて処分。現在は前述のようにネットオークションで生計を立てるようになった。

 「地元で面接受けられる会社はすべて行ってしまっていたので、事実上、就職できなくなった。車の免許を持っていないので、遠くに行くこともできない」

■ 人手不足でも正社員の求人は少ない

 オークションの1カ月の利益は「生活保護費の少し上くらい」と多くはない。母親と2人で住む公営住宅の家賃が安いから何とか成り立っているのだ。「今怖いのは、親が急に死ぬこと。公営住宅では配偶者であればそのまま住めますが、子どもが単身になると生活保護受給者や障害者以外は退去を求められる。もしそうなった場合は貯金をすべてはたいて、安い住宅でも買わないとやっていけなくなるかもしれない」

 足元では景気回復に伴って人手不足が叫ばれている。それに合わせて大きく期待されているのが非正規の正社員化だ。確かに8月の有効求人倍率(季節調整済み)は1.23倍と23年ぶりの高い水準だ。

 ただし正社員に限ってみると有効求人倍率は0.76倍と1倍を下回る。回復傾向にあるとはいえ、求人数が求職者数より少ない状況はいまだ変わらない。ずっと非正規で専門的なスキルも経験もない人になれば、なおさらハードルが高くなる。

 中年フリーターの「下流化」は今後ますます加速する。非正規の平均月収は約20万円。体力のある若いときは低賃金でも仕事の掛け持ちなど量でカバーすることができたかもしれないが、それができなくなってくる。

 貯蓄も少ない。連合総研「非正規労働者の働き方・意識に関する実態調査」によると、非正規が主たる稼ぎ手となっている世帯のうち「貯蓄なし」が28.2%、「100万円未満」の世帯も26.6%に上る。

 また社会保険の加入率が低いのも特徴だ。厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査報告」によると、雇用保険の加入率は65.2%(正社員99.5%)、健康保険52.8%(同99.5%)、厚生年金51.0%(同99.5%)と正社員を大きく下回る。

■ 企業のコスト削減が社会の負担に

 病気などで働けなくなり、社会保険などのセーフティネットからもこぼれ落ちると、最後に頼れるセーフティネットは生活保護しかない。生活保護受給者は7月時点で216万人と過去最多を更新。それに匹敵する中年フリーター273万人が生活保護予備軍として存在しているといっても過言ではない。

 厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、非正規を活用する理由について「賃金の節約のため」と回答した企業が4割超と最多。企業が非正規を活用してコスト削減した分が、将来的に行政の負担として跳ね返ってくるようにも映る。

 Aさんのように親元で暮らしているから生計を維持できている人も少なくないだろう。親の高齢化するとそれが難しくなるのは必至。それどころか親の介護が必要になってくる。また自らの老後にも不安を残す。国民年金のみの場合、満額で6.5万円。保険料未納の期間があると受け取る額は減る。老後は今以上に厳しい生活になってしまうのだ。

 低い賃金、不安定な雇用、教育訓練機会の乏しさ……。非正規をめぐる問題は以前から指摘されてきたことだ。これまでにも氷河期世代をはじめとした若いフリーター層に対する就労支援も行われてきた。だが目立った成果が上がらないまま、中年フリーターたちは年齢を重ねてきた。これからますます苦しい立場に追い込まれていく中年フリーターをどうサポートするのか。手を打たなければ事態が悪化していくことだけは確かだ。

ジャーナリスト:池上正樹、週刊東洋経済編集部

510名無しさん:2015/10/10(土) 14:52:03
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151008-00000104-san-soci
「中国人居酒屋」急増100軒…あいりん地区、新たな悩みの種
産経新聞 10月8日(木)14時54分配信

 全国有数の日雇い労働者の街・大阪市西成区の「あいりん地区」周辺で、若い中国人女性がカウンター越しに接客する「カラオケ居酒屋」が増えている。3年ほど前から出店攻勢が続き、今や約100軒に上る。中国人女性の人懐こさや安価で楽しめる手軽さが人気を呼び、“あいりんのガールズバー”としてすっかり定着した。一方、生活習慣の違いなどから地元住民とのトラブルも目立ち、関係者は街の行く末を懸念している。(矢田幸己)

 ■空き店舗に続々

 9月下旬の週末の夜、萩之茶屋本通商店街の一角にある居酒屋。キャップ帽をかぶった男性(53)が、カウンター越しにアルバイトの中国人女性(23)の手に触れ始めた。女性から片言の日本語で注意されても、ほろ酔いの男性が意に介す様子はない。

 あいりんで長年暮らしているという男性は、1年半前の開店当初から通い詰めるという。理由は「女の子のレベルが高いから」。にやりと笑った男性はこう続けた。

 「けどな、あいりんはもう中国人に乗っ取られているようなもんや」

 同商店街や周辺の動物園前1番街(飛田本通商店街)、今池本通商店会などを歩けば「呑(の)んで、歌って、楽しんで」など似た文言、デザインの看板が目につく。飲食にカラオケ付きで3千円前後。客の多くは生活保護受給者か日雇い労働者だ。

 西成区商店会連盟会長の村井康夫さん(64)によると、店は約3年前から増え出した。中国人が経営するあいりんの不動産会社が、商店街の空き店舗を次々と買い取り、中国人コミュニティーの人脈で店の経営者を募ったという。中国人留学生がアルバイトで働く店も多いらしい。

 村井さんは「店舗跡地の買い手が見つかれば、後継者不足に悩む商店街のにぎわいにつながる」と話す。

 ■「やりたい放題」

 ただ、地元住民にとって中国人女性の居酒屋は悩みの種でもある。客引き行為や大音量のカラオケ、ごみの不始末…。今池本通商店会協同組合理事長の岸本人志さん(66)は「中国人女性の居酒屋は規範意識が乏しい。やりたい放題だ」と嘆く。酔客相手に堂々と料金をぼったくろうとする悪質な店もあった。

 カラオケの音が漏れる店のほとんどは、費用面の問題からか防音ドアでなく、単なるガラス戸。客さえいれば、明け方近くまで営業を続けているとみられ、周辺住民にとって騒音はとりわけ頭の痛い問題という。

 岸本さんは「注意しても『ニホンゴ、ワカリマセン』と言い逃れる。月々の商店会の会費(約6千円)を払わないぞ、といわれたこともあった」と明かす。

 中国人女性の居酒屋の急増で、街並みが激変したことを懸念する声も少なくない。今後は「コミュニケーションを取りながら、地道に信頼関係を築いていくしかない」(岸本さん)のが実情だ。

 ■生活保護狙い?

 行政や警察も見過ごしているわけではない。9月には、大阪市環境管理課や市保健所が、管轄の大阪府警西成署と合同で87軒への立ち入り検査を実施した。店員の在留資格を含め明らかな法律違反はなかったが、騒音・衛生面から指導を継続するという。

 あいりんでなぜ、中国人女性の居酒屋が爆発的に増えたのか、府警としては今一つ理由をつかみきれていないが、「(生活保護)受給者相手の営業なら、食いっぱぐれることはなく、一定の売り上げが見込めるからではないか」との見方が出ている。

 近隣住民とのトラブルが重なり、暴力団や犯罪組織と結びつくなどすれば、治安の悪化が懸念されることから府警は警戒している。

511名無しさん:2015/10/25(日) 12:10:38
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00010000-yomidr-soci
貧困と生活保護 扶養義務ってどういうもの? 生活保護との関係は?
読売新聞(ヨミドクター) 10月25日(日)11時40分配信

 2012年、人気お笑いタレントの母親が生活保護を受けていたことをめぐって、一部の雑誌、民放テレビ、国会議員などが激しい生活保護バッシングを繰り広げました。その結果、2013年12月に行われた生活保護法改正では、扶養義務に関する行政の調査権限の強化が行われました。

 しかし、この問題は冷静に考える必要があります。

 法律上の扶養義務は、広範囲の親族に無条件に要求されるものではないこと、お笑いタレントのケースは、法律に触れる「不正受給」ではなく、道義的にどうかというレベルにとどまること、生活保護に関して親族の扶養義務を強調していくと、いろいろなマイナスの問題が生じることを、理解していただきたいと思います。

 今回はまず、法律的に見てどうなのかを確認していきましょう。

◆民法はどうなっているか

 扶養について定めているのは、民法のうち、いわゆる家族法の部分にある以下の条文です。


◇民法752条

 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。


◇民法877条

 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。


2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。


3 前項の規定による審判があった後、事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。


 その次の878条では、扶養の順位、扶養の程度・方法について協議がととのわないか協議できないときは、家庭裁判所が定めるとしています。その場合、扶養の程度・方法については、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して定めます(879条)。

 したがって、民法上の扶養義務が一般的にあるのは「夫婦、直系血族、兄弟姉妹」の範囲です。このうち直系血族というのは、親、子、祖父母、孫といった縦の関係です。

 それ以外の3親等内の親族が扶養義務を負うのは、特別な事情があって家庭裁判所が審判で定めた場合だけなので、例外的なケースです。たとえば過去に本人から多額の生活費援助を受けていためいが、何らかの理由で大金持ちになったような場合でしょう。

 前者(夫婦、直系血族、兄弟姉妹)を絶対的扶養義務者、後者(それ以外の3親等内の親族)を相対的扶養義務者と呼ぶことがあり、厚生労働省が定めた生活保護の実施要領にも登場しますが、これらは非常に誤解を招きやすい用語です。以下で説明するように、前者は、けっして「絶対的」な義務ではないし、後者は「例外的な扶養義務」とでも呼ぶほうが内容に合うからです。
 法学用語はいったん使われると、意味に問題があっても、漢字がむずかしくても、なかなか変わりませんが、民法関係の学会は、早急に用語を改めるべきだと思います(たとえば尊属、卑属という用語もそうです)。

512名無しさん:2015/10/25(日) 12:11:04
>>511

「生活保持義務」と「生活扶助義務」
 夫婦、直系血族、兄弟姉妹の扶養義務は、「生活保持義務」と「生活扶助義務」に分けて考えるのが民法学の通説(一般的な考え方)です。過去の判例でも、その考え方が確立しています。生活保護の実施要領や、実務用に出版されている『生活保護手帳 別冊問答集』も、同じ考え方に立っているのですが、ていねいな説明が書かれていないため、よく理解していない福祉事務所の職員もいます。

 「生活保持義務」は、夫婦間と、未成熟の子に対する親からの扶養が対象です。自分と同程度の水準の生活をできるようにする義務があるとされています。これは内容的に「強い義務」だと言えます。ただし、自分の健康で文化的な最低限度の生活に必要な費用(生活保護基準額)を削ってまで援助する必要はないという解釈が一般的です。

 「生活扶助義務」のほうは、成熟した子と親の関係、祖父母や孫との関係、そして兄弟姉妹の関係が対象です。自分が健康で文化的な最低限度の生活水準を超えて、しかも社会的地位にふさわしい生活を維持したうえで、なお経済的余力があるときに、援助する義務があるとされています。簡単に言うと、余裕があったら援助するべきという「弱い義務」です。

 改めて整理すると、民法上の扶養義務は、次の3段階に分かれるということです。



◇生活保持義務:夫婦間、未成熟の子に対する親=自分と同程度の生活水準を提供する

◇生活扶助義務:成熟した子と親、直系血族、兄弟姉妹=自分の生活に経済的余裕があるとき

◇例外的な扶養義務:3親等内の親族で、特別の事情がある=家庭裁判所が審判で定める


◆民法上の義務は、当事者間の問題

 勘違いしてはいけないのは、民法上の扶養義務は、基本的には当事者間の問題であって、第三者がどうこうできる筋合いのものではないということです。

 生活に困った人は、扶養義務者に対して扶養を請求する権利を持ち、話し合いで決まらないときは家庭裁判所に申し立てて扶養の実行を求めることができます。もしも審判や調停で確定した内容を相手が実行しないときは、裁判所を通じて強制執行することもできます。よくあるのは、別居中または離婚した妻が、子どもの養育費を夫に請求するケースです。未成熟の子に対する親の生活保持義務が、請求の重要な根拠のひとつになります。
 とはいえ、権利があっても扶養を請求しないのは自由です。また、扶養義務を果たさないからといって、公的に責められることはなく、刑事罰はありません。

513名無しさん:2015/10/25(日) 12:11:30
>>512

扶養は保護に優先するが、要件ではない
 では、生活保護との関係はどうなるのでしょうか。

 民法の扶養義務は、まともな公的扶助制度のなかった明治時代に作られた民法から引き継がれてきたもので、生活に困った人が私的扶養と公的扶助(生活保護)のどちらを選ぶべきかという規定は、現在も民法にはありません。つまりは本人の自由です。

 けれども、生活保護法には「補足性の原理」があります。民法にもとづく扶養は、保護に優先します。「優先」とは、実際にあるならば、そちらを先に使うという意味であって、保護の「要件」とは違います。したがって、生活に困っている人の身内に経済力のある扶養義務者がいても、実際に援助を受けていないとき、援助の確実な約束と準備がないとき、援助の金額が保護基準額に足りないときは、保護を受けることができます。

 実はかつて、扶養の請求が生活保護の要件であるかのような解釈を旧厚生省が示し、それに沿った運用が行われていたのですが、2008年度から2009年度にかけての実施要領の改正で、要件ではなく「優先」であることが明確にされました。扶養は自分の努力だけで得られるものではないので、活用すべき「あらゆるもの」には含まれないというのが厚労省の現在の見解です。

 生活に困って福祉事務所に来た人に対して、窓口担当者が「生活保護より先に身内に援助を頼んで」などと言って申請させずに追い返すケースがしばしばありましたが、扶養の位置づけを取り違えているという面でも、申請権の侵害という面でも、間違っています。

◆福祉事務所は何をできるか

 生活保護の申請があると、福祉事務所は、扶養の可能な近親者がいるかどうかを調査します。そして、扶養を期待できる扶養義務者がいれば、扶養を求めるよう本人に促します。正確に言うと、保護申請中の段階では「助言」しかできず、保護を開始した後に初めて「指導」できます。

 とはいえ、扶養を求めるかどうかを決めるのは本人であり、応じるかどうかを決めるのは相手です。福祉事務所が強制することはできません。お金の援助について、法律をタテにして扱うと、人間関係が壊れてしまいます。できるだけ当事者間の話し合いによって円満に解決するべきだ、と厚労省は説明しています。

 では、扶養義務のある近親者の中に大金持ちがいても、何もできないのか。生活保護法には次の条文があります。行政から、その近親者に対して事後的に費用を請求できるという規定です。

514名無しさん:2015/10/25(日) 12:12:05
>>513

お笑いタレントの件は、不正受給ではない
◇生活保護法77条

 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

2 前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。


 徴収と言っても、税金のように行政による強制徴収はできません。また、「生活保持義務」の関係にある場合を除いて、こういう強硬手段を取りうるのは、相手が明らかに富裕で、本人との関係も特に悪くない場合ぐらいでしょう。

 ここまで説明してくれば、お笑いタレントの母親のケースが不正受給にならないことはわかるでしょう。扶養は、保護の要件ではなく、実際にあったら「優先」されるという位置づけのものだし、子どもから親への扶養は、弱い義務にとどまるからです。このタレントは、お笑いの世界に入ってから貧しい時代が長く、収入が多くなってからは福祉事務所と協議して母親に仕送りを行い、途中で増額したそうですから、法律上の問題は何もない。あるとすれば、仕送りの額が当時の収入に照らして妥当だったかという問題だけです。

 不正受給とは、収入、資産、必要経費などを偽って保護費を得ることです。いいかげんな法律知識のまま、不正と印象づける報道や発言は、名誉毀損きそんにあたるし、母親の生活保護に関する情報の出所によっては、地方公務員法の守秘義務違反(刑事罰あり)かもしれません。(原昌平 読売新聞大阪本社編集委員)


 *参考文献:近畿弁護士会連合会編『生活保護と扶養義務』(民事法研究会)、二宮周平『家族法第4版』(新世社)

515名無しさん:2015/10/25(日) 18:37:50
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151023-00080434-diamond-soci
「生活保護で子だくさん」は罪なのか?体験者だから語れる本音の解決法
ダイヤモンド・オンライン 10月23日(金)8時0分配信

 生活保護利用者は、毎月、「過去最多」を更新し続けている。生活保護を必要とする人々が増加し続けている以上、致し方のない成り行きである。では、「生活保護が必要」という事情を少なくするためには、何が有効だろうか?  生活保護世帯で育った女性のインタビューを通して、考えてみたい。

● 「生活保護で子だくさん」は許されない?  「生活保護の子が大学」は高望み? 

 10年来の友人であるエツコさん(仮名・40歳)は、10代後半の約3年半、家族とともに生活保護を利用していた。

 エツコさんと私は、生活保護利用者に対する見方では、意見が合わないことも多い。たとえばエツコさんは、

 「このごろ、『生活保護のリアル』で、子だくさんの生活保護家庭を、よく取り上げてるでしょ?  でもさ、たくさん産むからいけないんじゃないの?  立て続けに生まれてるとき、医者が『おかしい』と思って強制的に避妊リング入れるくらいのことは、すべきなんじゃないの? 」

 と言う。私は返答に詰まってしまう。1996年、優生保護法が母体保護法へと改正されて以後、医師の判断により強制的に不妊・断種手術を行うことは許されていない。それに、親には生まれた子どもを養育する義務もある。自分の経済力だけで養育できない場合、生活保護を利用して悪い理由があるだろうか? 

 「生活保護に頼らないで暮らして子だくさんだった人が、何かの事情でどうにもならなくなって生活保護なら、しかたないと思うよ。でも、生活保護なのに子どもをたくさん作るのは、どうもね」

 エツコさんのその主張を、私は理解できない。2012年、京都府宇治市で、生活保護利用者に対し、

 「前夫・内縁の夫・異性の友人や知人などと生活を伴にしないことを誓います。保護受給中の妊娠・出産については母子世帯・夫婦世帯に関わらず相手にしっかりと話をしたうえで相手に経済的・精神的な責任をとってもらい、生活保護に頼ることなく養育することを誓います」

 という文言を含む「誓約書」を提出させたことが問題となった(誓約書全文)。行政は、各家庭の「家族計画」に干渉すべきではないし、生まれた子どもに罪はない。

 さらにエツコさんは、生活保護世帯の子どもが高等教育を受けたがることに対しても厳しい。

 「どうしても大学で学びたいなら、方法はあるでしょう?  学生支援機構の奨学金とか、新聞奨学生になるとか。私、その高校生たちに聞きたいよ。『今、家にお金がないのは、あなたのせいじゃない。でも、お金がないのに大学行かなくちゃいけない理由はあるの?  大学行かなかったら、就けない仕事はあるの?  夢とか希望とか言う前に、生きるために稼ぐのが先で当たり前じゃないの? 』って」

 私はふだん、原則として友人は取材対象にしない。でも、生活保護を経験したエツコさんが、現在の生活保護利用者に対して厳しくなる理由は理解したい。生活保護制度の現在の「煮詰まり」を解決するヒントも得られそうだ。そこで、10年来の友人に、改めてインタビューをお願いした。

516名無しさん:2015/10/25(日) 18:38:12
>>515

● 問題はあっても裕福な生活から 中学の制服も買えない状況に

 エツコさんは、溶接工の父親と病弱な専業主婦の母親の長子として、1975年、関東北部の中都市で生まれた。

 「ベビーブームの最後の年に生まれて、就職氷河期に当たっちゃって。人生、いつもストレートじゃなかった」

 2年後に妹、4年後に弟が生まれた。腕がよく、船の先端など困難な溶接をこなせた父親は、一軒家や外国車が買える収入を得ていたが、

 「酒飲みで、生活考えずに競馬に給料全部賭けちゃったりすることもあって」

 父親の当時の勤務先の社長は状況を熟知しており、父親には小遣い分だけを渡し、給料のほとんどは母親に渡していた。母親も、エツコさんが小学2年のころから、近所の工場でパート労働を続けていた。

 「暮らしぶりは、むしろ裕福で、憧れられるようなライフスタイルだったと思うよ。一軒家に外車、庭に白いバラを植えて」

 しかしエツコさんが中学校に入るころ、給料をすべて自分で使いたくなった父親が転職し、家庭に生活費をもたらさなくなった。エツコさんは、「給食費が払えない」「学校の修学旅行積立が払えない」「体操服が小さくなってるのに買い換えられない」といった問題に、妹・弟の分も合わせて悩むことになった。

 「私が中学に入るときは、制服を買うお金を捻り出すのが大変だった。学区の再編成があって、新しい制服になったばかりで、お下がりやリサイクルという方法がなかったし」

 あんなにお金のあった家が?  という近所の視線に耐えかねた母親は、パート労働を続け、就学援助も児童手当も利用し、さらに自分名義で借金を重ね、生活レベルを維持しつづけた。

 中学に入ったエツコさんは、柔道部に入った。中学1年で県大会に出場できるほどの実績を挙げ、周囲に将来を有望視されていたという。しかし顧問教師が問題を起こして退職し、柔道部は廃部に。ついで「とりあえずの現実逃避の術」として演劇部に入ったエツコさんは、またもや頭角を現し、文化祭で主役を演じた。しかし、悩みでいっぱいの中学時代だった。

 「貧困にも悩んだけど、自分の人生に悩んだ。『中卒で働きたい』と先生に言ったら、『頭いいんだから、とりあえず高校は出といたほうがいい』と反対されて。でも、先生がお金出してくれるわけじゃないからね」

 エツコさんだって、高校に行きたかった。

 「勉強は好きだったよ。読書が好きで、図書館が居場所だった。読んでた本は、人付き合いの本とか、人の騙し方とか、自己啓発とか、法律とか、福祉とか。可愛げのない中学生だよね」

517名無しさん:2015/10/25(日) 18:38:43
>>516

 その間にも、家庭の状況はさらに悪化していった。自慢の一軒家を売って借家に引っ越し、外国車も売った。それでも家計は火の車。父親が家にいるのは1ヵ月に1日か2日。家にお金を入れるのは「たまに」だ。エツコさんが中学2年の12月まで、なんとか工場で働き続けてきた母親も、中学3年の4月、持病を悪化させて入院。一家は、同居していた母方祖母の老齢年金と、母方叔父からの仕送りと、父親の当てにできない生活費だけで暮らし続けた。

 「母親の医療費が大変で、医療費貧乏だったよ。でも、母親が入院するちょっと前から、福祉の相談員のような人が、しょっちゅうウチに来るようになった。たぶん母親が民生委員さんか誰かに、『生活が立ち行かない』と言えたんだと思う」

 しかしエツコさんは、家事や妹・弟の世話を担いながら、乏しい生活費から母親の治療費の工面に苦労する中学3年生だった。

 「『お姉ちゃんなんだから』って期待されるのが、もうイヤで苦痛で、足かせで。逃げたかった。『親父を殺したら、どんなに楽になれるだろう』って、何回も思ったよ」

 エツコさんが中学3年の10月、母親は病院で亡くなった。エツコさん一家には、母親の遺体を家まで運ぶための搬送車を依頼する費用もなかった。母親が生活のために積み重ねた借金は、700万円にまで膨れ上がっていた。その借金を相続した父親は、しばらく逃げ回った末、結局は自己破産した。同居していた母方祖母は、父親とのトラブルから「泣きながら家を飛び出した」そうだ。

● 貧困の中での高校進学が 生活保護利用のきっかけに

 混乱の中でも希望を失わなかったエツコさんの行きたかった高校は、自転車で片道2時間の距離にあった。通学の交通費を考えると、断念せざるを得ない。エツコさんは、自転車で通える範囲にある「ヤンキー高校」を受験し、首席で合格した。しかし、高校進学に必要な制服など数多くの費用を用意することは困難だった。そこでエツコさんは中学校に事情を話し、生活保護ケースワーカーと面談。実情を話し、父親と子どもたち3人で生活保護の利用を開始することになった。

 エツコさん中学3年の3月だった。近隣の住民から相談を受けていた児童相談所も助言を行い、父親は別世帯扱いとなった。エツコさんを「世帯主」とする姉弟3人の世帯に、生活保護で給付された生活費は、1ヵ月11万5000円。なんとか暮らしは成り立つはずの金額だった。生活保護の医療扶助が利用できるようになったので、治療できずにいた弟の虫歯も治療を開始できた。

 「ケースワーカーは中年の男性で、よく相談に乗ってくれる、いい人だった。最初から『いつかは脱却するための生活保護だから』と言って、ウチの収入の状況がどうなったら生活保護を切られることになるのかを教えてくれて。高校時代の私のバイトも『働き損』にならないように、『収入認定で持っていかれないように、この金額までセーブして働いて』とかアドバイスしてくれてた」

 エツコさんは家庭を支えながら高校に通い、マクドナルドで毎日、1日3時間、時給1000円のアルバイトにも励んだ。しかし父親は、たまに帰宅してはエツコさんにお金をせびり、しばしば酒に酔って他人の車や塀を壊した。エツコさんは、生活保護費から弁償費用を工面することになった。

 「何回も、『高校辞めて働きたい』と、ケースワーカーに言ったよ。すると『でも、女の子が家族を養う仕事をするのは大変だよ。結局は水(水商売)になる。おじさんの目の前で、水はやってほしくないなあ。高校を出たら、事務でもなんでも、会社に入ればいいんだから』って言われて」

 エツコさんが高校を卒業した1993年は、「バブル経済」が終わり、就職氷河期にさしかかったところだった。正社員としての就職が叶わず、しかたなく派遣社員になったエツコさんは、仕事ぶりを認められて正社員になったが、結局「派遣上がり」は正社員と差別されつづけることに嫌気がさして退職。その後、さまざまな職業を転々とし、新聞販売店の正社員となった。

 その間に、2歳下の妹が中学を卒業してクリーニング工場に就職。4歳下の弟も、中学を卒業してスーパーに就職した。エツコさん18歳の11月、姉弟3人の収入で、一家は生活保護から脱却した。

518名無しさん:2015/10/25(日) 18:39:10
>>517

 「でも、子どもの労働だからね。定着して安定するまで、ケースワーカーが心配して、いろんな人とやりとりしてくれてたみたい。私の高校時代、バイト先に様子を見に来てくれたことがあった。妹や弟の就職先にも頭下げてくれた。私たち3人が仕事に就くとき、雇用契約とか、労働時間とか社会保障とか、親代わりにチェックしてくれたよ。私たちが生活保護を抜けるときは、『ダメ親父を捨てる気で働けよ、状況は、いくらでも自分たちで変えられるんだから』って言ってくれた。歪んでない、まっとうなケースワーカーだった」

 エツコさんはその後、約20年間、新聞販売店に勤務していた。20歳を過ぎた頃、生育環境との関連が疑われる精神疾患を発症したが、仕事は辞めなかった。新聞販売店では突出して優秀な営業成績を維持しつづけ、37歳で同業の夫君と結婚。38歳で男の子を出産した後も仕事を続けた。さらに仕事と育児のかたわら、通信制大学で法律学を学び、6年かかったが2014年に見事卒業。しかし優秀なエツコさんは、営業成績が良く報酬が高かったことから、職場で人件費削減のターゲットとされ、2015年5月に退職。現在は精神疾患の治療を続けるかたわら、失業給付を利用して、求職しながら起業準備を行っている。新聞の営業を通じて見た低所得層の困難を、法律の知識も活かしながら解決することを仕事にできればと、リサーチ・事業計画づくり・求職に余念がない毎日だ。

● 生活保護への「スティグマ」と 生活保護を必要とする状況をなくすには? 

 努力してきたとはいえ、就職氷河期に社会に出ることになったハンデを今も背負い続けていると自覚しているエツコさんは、

 「氷河期40代ニートが、『働けない』『結婚できない』、あれもこれもできない、と生活保護を利用する気持ちは、わかる」

 と言いつつも、生活保護を利用しているシングルマザーたちには、

 「生活保護があるから離婚できる、とか思わないでほしい」

 と厳しい。私が「わかるから共感してる一方で、わかるから反発してる感じがするんだけど? 」と言うと、「あ、それだ! 」という答えが返ってきて、会話の流れが変わった。

 「初めて『生活保護』という言葉を聞いた時、『ウチは自己破産よりひどい貧乏なのか』という絶望感があった。生活保護を受けていたころは、普通の生活をすることに、変な罪悪感を感じた。申し訳ないとか、情けないとか、苦しいとか、悔しいとか。『こんなものを貰わないと、暮らせないのか』って。でも、自分一人じゃ何もできなかった。だから、屈辱的だと思いながらも、自分の人生を変えて、ここまで来れた」

 では、経験者として、生活保護に望むことは? 

 「(生活保護という)名前が悪いから変えてほしい。病気の人・障害者・高齢者など、働けない人が認められた権利の中でちゃんとした生活をすることを恥じなきゃいけないのは、おかしいと思う。働けない理由に合わせて、それぞれ別の名前の制度にしてほしい。子だくさんの家庭に対しても、『生活保護』ではなく『育児支援給付』とか、別の制度にしてほしいよね」

519名無しさん:2015/10/25(日) 18:39:54
>>518

 働ける人に対してはどうだろうか?  たとえば、失業から生活保護に至ってしまう例は少なくない。

 「失業者の場合は、失業給付の『自己都合退職なら3ヵ月待機』が問題だと思う。あの3ヵ月を持ちこたえられなくて生活保護しかなくなる人は、結構いるから。雇用保険の穴が、生活保護に押し付けられているわけでしょ?  労災の場合も、労災認定を受けられるまでの期間の生活や裁判費用で持ちこたえられなくなって、生活保護しかなくなる人がいるわけだし」

 よく言われる、社会保障のセーフティネット3層構造(雇用のネット・保険のネット・扶助(生活保護)のネット)で言うと? 

 「雇用のネットと保険のネットの穴をなくして丈夫にすればいいんだと思う。それで日本人は、自主防衛できるようになって、憲法25条が機能するようになるんじゃないかと思う。蜘蛛の巣みたいな見えないネットでも、セーフティネットは必要だから」

 雇用保険の対象にならない人々も多い。

 「それがいけないんだよ。どんな仕事でも、パートでもアルバイトでも、雇用保険は全員強制加入にして、働けてないときは失業給付を受け取れるようにしないと。健康保険と年金は『国民健康保険と基礎年金でも、ないよりマシ』と割り切っていいと思うけど」

 それが実現すれば、働ける年齢層にとっての生活保護の必要性は、かなり少なくなりそうだ。でも今、雇用・保険のセーフティネットは脆弱で穴だらけだ。

 「だから、そこを『ナマポで勝ち組』とかいう言葉で終わりにしてほしくないんだ。生活保護は、決められた最低基準の暮らしのための支援金。マイナスをプラスにするものではなく、マイナスをゼロにするもの。プラスにするのは自分の力。それを日本人が理解したら、蔑みの言葉になるわけがない。でも、『生活保護』という言葉に染み付いたスティグマは、本来の意味に、もう全然合ってないけど」

 では、働ける年齢層の人々にとっての生活保護は、今、どのような存在になっているだろうか?  2013年の生活保護法改正以後、「就労促進的になった」とされる生活保護制度は、実際に就労を促進するものになっているのだろうか?  次回は、生活保護と就労の「今」をレポートする予定だ。

みわよしこ

520名無しさん:2015/10/25(日) 18:47:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00000038-jij-soci
防げるか、薬の違法転売=生活保護制度悪用、大量処方―把握困難、新たな取り組みも
時事通信 10月25日(日)14時18分配信

 生活保護受給者が複数の医療機関を受診して入手した大量の向精神薬を転売していたとして、マンション経営の女(55)が受給者2人とともに麻薬取締法違反容疑で兵庫県警に逮捕された。
 受給者は原則的に無料で医療を受けられる制度を悪用した事件だ。薬の不正取得を把握するのは困難といい、行政や医療機関は頭を抱えるが、薬局や薬剤師と協力する新たな取り組みも始まっている。
 「自宅にはまだ数千錠の向精神薬があった」。京都市に住む受給者の女(31)を逮捕し、自宅を家宅捜索した同県警の幹部は、あきれたように話す。女は複数の精神科などを受診し、大量の向精神薬を入手。インターネット上で買い手を募っていた。
 マンション経営の女は、この女から買い取った向精神薬などを転売していた。ほかの受給者にもメールで「余裕があったら売ってくれませんか」などと持ち掛けていたという。
 受給者の収入や生活状況を監督するのは自治体の福祉事務所。京都市地域福祉課は逮捕された受給者の女について、「レセプト(診療報酬明細書)の調査を行い、向精神薬の処方はチェックしていたのだが」と困惑気味に話した。
 受給者の急増で事務所職員の仕事量は限界に近い。この地域の事務所は、約4500の生活保護世帯を55人で担当。薬の転売による収入増などについて、同課職員は「把握して指導する余裕はない」と説明する。
 新たな対策を打ち出す自治体も出てきた。青森市は、レセプトの確認に薬剤師を入れ、転売が疑われる処方などをチェックしている。大阪府東大阪市は、受給者ごとに薬局を決めて不要な処方を防ぐようにしている。

521とはずがたり:2015/10/26(月) 14:44:30
クインさんに幸あれ。

結婚式ドタキャンされた女性、料理をホームレスに提供 米
http://www.cnn.co.jp/fringe/35072236.html
2015.10.21 Wed posted at 10:38 JST

522名無しさん:2015/10/31(土) 11:58:29
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151030-00080822-diamond-soci
「このままでは生きていけない」生活保護削減で厚労省に涙の訴え
ダイヤモンド・オンライン 10月30日(金)8時0分配信

 2015年10月28日午後、日比谷野外音楽堂で、より劣悪になろうとしている生活保護政策に反対する集会が行われた。今回は、多様な4000名の人々が集まったこの集会と、集会後に行われた厚労省への申し入れの様子をレポートする。

● 多様な4000人が 「生活保護」のために集まった午後

 2015年10月28日木曜日の午後、日比谷野外音楽堂において、「人間らしく生きたい。」というスローガンのもと「10.28 生活保護アクションin日比谷 25条大集会(以下、25条大集会)」が開催された。

 「午後より小雨」という天気予報に反し、晴れ渡る秋空の下、日比谷野外音楽堂には約4000人の参加者が集まった。13時30分〜15時30分にかけて開催された「25条大集会」の終了後、日比谷公園から銀座方面へのパレードが開催され、参加者のほとんどがパレードにも参加した。またパレードと並行して、16時より、「25条大集会」実行委員の法律家・作家・支援者・研究者および生活保護利用者たち合計約15名によって、厚生労働省への申し入れが行われた。

 「25条大集会」は、弁護士の尾藤廣喜氏(当連載「政策ウォッチ編」第36回参照)による実行委員会を代表しての開会挨拶で開始された。20代のころ、厚生官僚として生活保護制度を「健康で文化的な生活」のために運用する努力を重ねていた尾藤氏は、格差の拡大と貧困の深刻さが進行し続ける日本の現状に対し、雇用・年金・医療・障害福祉・教育・住生活、もちろん生活保護そのものに対し、幅広く本質的な対策を行う必要性を訴えた。さらに労働社会福祉中央協議会事務局長の大塚敏夫氏が壇上に立ち、

 「国民の最後のセーフティネットをボロボロにして、政府は何をしようとしているのでしょうか?  安倍首相は『一億総活躍社会』というけれど、セーフティネットがボロボロなら死しかありません。貧困対策は政府の役割です」

 と述べた。

● 「飢えず凍えず」で充分なら奴隷と一緒 和田秀樹氏の「右翼」としての主張

 ついで、「25条大集会」呼びかけ人代表として挨拶した精神科医の和田秀樹氏は、自らを「右翼」と自己紹介し、「右翼の立場からも生活保護の引き下げは許せない」「同胞が1人でも死んでいくことは許せない」と述べた。さらに、消費が冷え込んで景気が悪化している日本の現状に対し、景気対策としても生活保護を改悪すべきでないことを指摘した上、精神科医として、生活保護を利用している精神疾患の患者が「生活保護だから」と差別や疎外の対象となりがちなことに対して、

 「屋根があってご飯があればいいというのは奴隷と一緒」

 と述べ、
 
「この国が文化的で、先進国でありつづけることが、右翼としての私の願いです」

 と発言を結んだ。

523名無しさん:2015/10/31(土) 11:59:39
>>522

 呼びかけ人の一人である経済学者の金子勝氏は、おそらく思想信条においては和田秀樹氏と真逆であろうと思われるが、発言を安保法制やTPPに対する批判から始めた後、

 「高齢者・障害者・失業者などが国民の半数近くになっているのに、生活保護の切り下げなどあり得ません。一方で、企業は史上最高益を上げています。ある種の詐欺です」

 と述べ、

 「多くの人が参加して、自立して社会に関われる仕組み作りが、本当の、一億総活躍社会ではないでしょうか?  そのために闘わなければならないのが今の社会ですが、連帯して闘っていきましょう」

 と結んだ。多様な「呼びかけ人」全員のリストは、「25条大集会」サイト内にある。

 壇上で発言やアピールを行った人々は、生活保護利用者や支援者にとどまらず、障害者・年金受給者・非正規労働者・法律家・研究者・政治家など極めて多様だった。訴えた内容は、生活保護制度そのものはもちろんのこと、年金制度・非正規労働・最低賃金・教育・高齢者や障害者に対する福祉サービスの提供など多岐にわたった。私は、生活保護をメインテーマとする集会に、これほど多様な人々が集まった風景を、過去に見たことがない。

 国会議員による挨拶は「先着順」で行われ、発言順は小池晃氏(共産党)・山本太郎氏(生活の党と山本太郎となかまたち)・川田龍平氏(維新の党)・吉川元氏(社民党)・山井和則氏(民主党)であった。私は、

 「なぜ、自民党と公明党からは一人も参加していないんだろう? 」

 と思った。自民党議員の一人一人に個人モードで話を聞いてみると、「社会保障に対する『タダ乗り』は良くないと思う」は概ね共通しているものの、「生活保護しかなくなる人を減らすために、雇用も税制も年金も医療も少しずつでも改革し、働けて稼げて納税できる状況を数多くの人々に拡大し、社会状況全般を『生きやすい』ものに変えていくことが必要だ」と考える人は少なくない。「25条大集会」で挨拶した国会議員の中には、日本という国の存続と将来・雇用の低迷と景気の関連について触れた人もいた。もし自民党・公明党の議員が来場して発言したならば、「生活保護などなくし、貧乏人は勝手に死んでもらおう」といった暴言の類でない限り、受け入れられ歓迎された上、「自民党も公明党も捨てたものではない」という認識を持つ有権者を少しは増やせたかもしれない。

 「25条大集会」は最後、「貧困は、お金だけの問題ではない」ではじまり「誰一人、貧困に殺されない社会。そんな当たり前のために、私たちは声を上げ続ける」で終わる集会アピールを採択して終了し、15時30分過ぎ、参加者のほとんどが銀座方面へのデモへと出発した。デモの様子は、朝日新聞などの記事(「いのちを守れ」生活保護費の削減反対訴え 銀座でデモ)で紹介されている。

 なお「25条大集会」では、2回にわたって、来場者に対するカンパの依頼が行われた。笑いを交えた「なるべく、軽いお金(紙幣)でお願いします」という依頼に応じて集まったカンパは、総額73万251円であった。生活保護利用者など貧困状態にある人々多数による、「このカンパの代わりに何を削ろうか? 」と考えながらのカンパに硬貨が交じることは、致し方ないであろう。

 以下、本記事では、現在のところほとんど報道されていない、パレードと並行して行われた厚労省への申し入れについて述べる。

524名無しさん:2015/10/31(土) 12:08:00
>>523

● 生活保護利用者たちの涙の訴えを 厚労官僚たちはどう受け止めたか? 

 「25条大集会」当日、16時より行われた厚労省への申し入れに対応した厚生労働省側の人々は、社会・援護局保護課の鈴木建一氏・保護課長補佐・保護課基準係長の3名の管理職に加え、保護課基準係員の4名であった。

 実行委員会が挨拶したあと、2名の生活保護利用者がそれぞれ、厚生労働省への要望書(全文)および大会アピールを音読し、保護課長の鈴木氏に手渡した。

 厚生労働省への要望書を音読したのは、病気のため働けない状況にある稼働年齢層の男性であった。要望の中心は、生活保護基準を2013年の引き下げ以前に戻すことである。

 「健康で文化的な生活」の最低ラインは物議をかもしがちであるが、その内容や必要な費用は、数多くの研究者が研究してきている。2012年時点の生活保護基準は、稼働年齢層の単身者の場合で、それらの研究結果から1万円〜1.5万円程度不足していた。その不足分は、たとえば回復しつつある傷病者が、就労への復帰訓練を兼ねた短時間のアルバイトで、大きな無理をせずに埋められる金額であった。生活保護基準の引き下げは、就労で「健康で文化的な生活」を送ることも困難にしている。

 大会アピールを音読したのは、精神障害を持つ夫と暮らす、自身も精神障害者である女性であった。女性は「25条大集会」で、福祉事務所のケースワーカーに就労を求められ、ハローワークで就労の努力を重ねたものの、「精神障害だから」「生活保護だから」と断られた悔しさを語っていた。その悔しさが込み上げてきたのか、厚労官僚の前で大会アピールを音読しながら、女性はむせび泣いた。

 引き続き、生活保護利用者の男性2名・女性1名が、

 「生活保護費が全く足りないため、まず食費を削っています。電気ストーブしか使えない住まいに住んでおり、電気代が冬季には6万円かかります。電気代のため、食事ができないこともあります」

 「生活保護費がまったく足りない状況を何とかしようと、また将来は脱却しようと、アルバイトをしています。しかし収入認定される金額が大きく、働けるだけ働いても、せいぜい2万円程度しか手元に残りません」

 「生活保護費が削減されたため、まず近所付き合いをやめ、町内会費がかかるので町内会からも退会しました。ついで食費を減らしました」

 「生活保護費を減らすことで、国は私たちをどうしたいのでしょうか?  単なる弱い者イジメに見えてしかたがありません」

 「生活保護の暮らしを見た上で、政策を決めてください」

 「今、生活保護基準引き下げに対する訴訟に原告として加わっていますが、厚労省さん側は、『資料は次回に出します』といって、いつも出してくれません。『物価は下がった(だから、生活保護費を引き下げた)』とおっしゃいますが、物価は下がっていません」

 と、実情を口々に訴えた。

 また実行委員会の人々は、厚労省の再三の通達にもかかわらず現在も行われている「水際作戦(生活保護の申請妨害)」、2013年以後の生活保護基準引き下げによる一年間の生活費の減額が既に10万円前後に達していること、一般就労できない障害者の10%が生活保護を利用していること、福祉労働への悪影響が懸念されることなどを訴えた。

525名無しさん:2015/10/31(土) 12:08:37
>>524

 保護課長の鈴木氏は、以上の訴えを受けて、

 「生活実態の貴重な話に感謝します。重く受け止めていきたいと思います。生活保護基準は、審議会の議論を経て、十分、慎重に議論して決めてきました。これまでもそうでした。これからも慎重な議論をしながら検討したいです。でも全体の消費の実態なり、そういうことも踏まえていく必要があります。そういう中で、いかにして全体の制度を作っていくかということです。今日いただいたご意見、要望書、アピールは、検討させていただきます。生活保護基準の議論はデータにもとづいて、進めていきたいと思います」

 と述べた。

 申し入れの最後に、「25条大集会」実行委員会の弁護士・尾藤廣喜氏が、

 「生活保護基準が、審議会(社保審・生活保護基準部会)を受けて決まっているという話は、裁判で私たちが主張している点です。でも、部会と違った形で引き下げされたという事実があります」

 「生活実態と生活保護基準が合わないために当事者が苦しんでいることは、(厚生労働省の)事務当局として実態を調べて、実態に合わせて対応してもらわなくちゃいけません。基準係は、そのためにあるんですから」

 と苦言を呈し、

 「財務省の圧力は、今の状況の中では、強いと思います。でも、国民生活を考えて検討し、必要ならば厚労省の立場で国民の生活権利を守ることこそが、厚労省の役割です。保護課長と基準係の役割は、重大です。厚労省をあげて考えて、取り組んでほしいです。今日(25条大集会に)これだけ多くの人が集まったという思いを、真剣に受け止め、いい制度にするために努力してください」

 と、元厚生官僚ならではの意見を述べた。

 この後、厚生労働記者会で行われた記者会見には、私を含めて6名の報道関係者が参加した。生活保護利用者たち・実行委員会関係者たちは、より具体的に言葉を尽くして、現在の状況と生活実態を語った。

526名無しさん:2015/10/31(土) 12:09:18
>>525

 記者会見の最後、直前の厚労省への申し入れを受けて、尾藤氏は、

 「日本は、貧困化が進んでおり、生活保護が唯一の砦です。でも、(政府は)崩そうとしています。何がこの国の地盤を支えるのでしょうか?  崩壊しかかっている状況です」

 「社会保障全体の底上げをはかることこそが、今の日本に求められていることです。当事者は、それを自覚しています。しかし政府には、自覚がありません」

 「今日(の申し入れ)も、課長さんと基準係の方がいらっしゃいました。私は『財政当局は、いろんな圧力をかけてくるかもしれませんが、厚労省は生活を守ることが役割です、生活を底上げするべきではないでしょうか』と言いました。でも(厚労省職員には)真剣な眼差し、真剣な気持ちが認められませんでした」

 と述べた。

 数多くの子どもが、育ちと学びの機会を得て力ある大人となり、大人になった後は「自分の力を使って、働いて貢献を認められ、稼いで、納得できる納税をしたい」と考え、実際に実行できること、それを支えることこそが、政府の役割であろう。

 厚労省に足繁く出入りし、顔見知りの職員が多数いて言葉を交わす機会も多い私は、厚労省職員に対して「真剣でない」と言う気にはなれない。しかし、自分たちの行う政策の結果が何をもたらしているのかには、もう少し関心を抱いていただけないかとは思う。帳簿上の数字の問題ではなく、場合によっては人の生き死にを左右する問題であるという実感を持った上で、政策を決定していただくことはできないものだろうか? 

 なお、記者会見終了後、記者たちは実行委員や生活保護利用者たちに対し、熱心に直接の取材を行っていた。取材の結果が、遠からず記事として多くの方々に読まれることを願う。

 次回は、生活保護利用者に対する就労促進の「今」についてレポートしたい。2013年の生活保護法改正と生活困窮者自立支援法は、どのように就労促進を進めているのだろうか?  期待された成果は、実際に挙がっているのだろうか? 

みわよしこ

527名無しさん:2015/11/03(火) 15:21:53
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151030-00090574-toyo-soci
「ひとり親を救え!」運動はなぜ炎上したのか
東洋経済オンライン 10月30日(金)15時0分配信

子どもの貧困率の高さにおいて、先進国の中では抜きん出る日本。背景にある、ひとり親世帯の困窮状況を改善するため、子どもが2人以上の世帯に支給される「児童扶養手当」の増額を訴えるキャンペーンがスタートしました。すると、意外なところから反対の声が上がりました。
■ 1人目は最大4万2000円、2人目は5000円!? 

 「児童手当」ではなく、「児童扶養手当」。聞き慣れない方が多いでしょう。これは、離別・死別・非婚(未婚)の「ひとり親」世帯に支給される手当のこと。母子家庭・父子家庭、どちらも対象となります。

 現在の支給額は、第1子で月額最大4万2000円(年収に応じ10円刻みでスライド)ですが、第2子は一律で5000円、第3子以降は一律3000円。1子目と比べ、2子目以降の額がたいへん少ないため、子どもが多い世帯ほど厳しい状況となり、「ひとり親家庭の子どもの54.6%が貧困」(国民生活基礎調査)という深刻な状況を生み出す原因のひとつとなっています。

 日本の母子家庭(約124万世帯)の就労率は「81%」と世界トップクラスであるにもかかわらず、平均年収は223万円(児童扶養手当や児童手当、養育費、年金なども含む)と低く、子どもがいる一般世帯の平均年収658万円と比べて、大きな格差がある状況です。

そこで、第2子以降の児童扶養手当の増額(複数子加算)を実現するため、支援団体らによるオンライン署名活動がスタートしました。 ちなみに、筆者が初めてこの事実を知ったのは約10年前。自分の離婚を機に、子連れ離婚の実用書を作り始めた頃でした。

 第2子以降の支給額があまりにも少ないのに驚いて、「もしかして、2人目以降の大学の学費は1人目の10分の1になる、という新制度でもあるのかな?」と思い、人に尋ねてしまったほどです(もちろんそんな制度はありません)。

 1子目に比べれば、2子目以降の養育費用は多少下がるかもしれませんが(洋服や学用品などを使いまわせる)、最もおカネがかかる教育費や食費については、1子目も2子目以降も同じです。支給額にこれほど差があるのは、不合理と言わざるをえないでしょう。

528名無しさん:2015/11/03(火) 15:22:13
>>527

 キャンペーンの開始から9日目となる現在、すでに署名数は3万筆を突破。この問題に対する世間の関心は高く、かつ賛同者も多いようです。

 しかし、意外なところから反対の声も上がりました。

■ 「配慮が足りない」ことを指摘する声も

 キャンペーンが始まった翌朝、政治家の橋下徹氏は、「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」とツイート。

これに対し、キャンペーン呼びかけ人のひとりである乙武洋匠さんは、「所得を基準とすべき」という橋下氏の考えを認めつつも、少しでも迅速に貧困の現状を改善するためには、今ある児童扶養手当制度の中でできることに取り組む重要性を伝え、橋下氏もこれに理解を示しました。
(橋下氏・乙武氏のツイートまとめはこちら)さらに大学講師の常見陽平氏も、ツイッターやブログでキャンペーンに対する違和感を表明。自身は裕福なひとり親家庭に育ったものの、周囲から「母子家庭だから貧乏」などと決め付けられて傷ついた子ども時代の体験を振り返り、「ひとり親=貧困」を印象づける本キャンペーンは「当事者への配慮が足りないのでは」と指摘しました。 これに対し、キャンペーンの旗振り役である駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス代表)が当初、やや感情的に応戦したため、両者が炎上する展開に。

その後、駒崎氏はブログ上で常見氏に謝罪。そのうえで、あるカテゴリーの人々に多く見られる問題点を指摘した際に、該当しない当事者が「傷ついた」と主張するのは、問題解決を遅らせてしまう面があることを示しました。 このやり取りについては、筆者もいろいろと思うところがありました。

 まず、常見氏の気持ちも、当事者としてよくわかります。「貧困(貧乏)だと思われたくない」という気持ちは、貧困に該当しない当事者だけでなく、貧困のさなかにある当事者の中にもあるでしょう。

 けれど、そこに“配慮”して何も言わなければ、困っている人たちがいつになっても救われない、という駒崎氏の主張も正しいと感じます。そのようなシーンは実際、さまざまな分野の支援の現場で見かけます。

529名無しさん:2015/11/03(火) 15:23:47
>>528

 キャンペーンの共同呼びかけ人のひとりで、長年にわたって児童扶養手当の問題に取り組んできた赤石千衣子氏(NPO法人しんぐるまざぁず・ふぁーらむ代表)は、この件について、以下のようにツイートしました。

■ 「貧困と思われたくない」当事者の気持ち

 “常見陽平さんのコメントを読んで。ひとり親も子どもたちも、自分が貧困だと思われたくない、そのお気持ちをひしひしと感じる。わたしもそうだったから。”

 “私自身月収10万円で4歳の息子と暮らしていたとき、自分が貧困だと思っていなかった。それどころか『ゆたかに暮らしている』とインタビューに答えた覚えもある。相対的貧困率の定義にあてはめれば貧困だった。あなたは貧困(である)と言われれば傷つく。”

 “なぜひとり親の貧困という言葉を使うのか。なぜなら、(ひとり親の)半分以上が相対的に貧困である、ということは先進国で異常な事態であり、多くの人に知ってもらうことが必要だからだ。貧困はあなたのせいではない。社会のしくみが凝縮している。”

 “あなたのせいではない「ひんこん」「貧困」を解消するには声をあげなければ、変わらない。傷つけていたなら、ごめんなさい。声をあげずに傷ついている人たちもいるよね。でもあなたがつらかったり、生きにくい状況を変えたいのです。”

 “貧困だなんていわれたくない。自分でがんばるしかないという気持ちは結局、社会保障なんかに頼らないで自分でがんばろうにつながる。そして(それでは現状が)何も改善されない。自分がおかれている現状はなぜなんだろう、(と考えること)で解決をめざしたいと思う。”

 筆者も、この赤石氏の考えに同意します。

 同時に筆者は、橋下氏と同様、手当の支給対象は「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」だとも思います。今回の児童扶養手当の複数子加算には賛同しますが、将来的には、対象枠を「ふたり親」の家庭にも広げてほしい。そのほうが、理にかなっていると思うからです。

 そもそも経済的理由で離婚する夫婦も多いので、結婚している家庭に支給枠を広げれば、離婚増加の歯止めにもなると考えられます。すぐには難しいかもしれませんが、遠くない将来、枠の拡大が実現することを望みます。

 さらに、所得を基準とすれば、居心地の悪さを感じるひとり親家庭当事者も減るでしょう。

530名無しさん:2015/11/03(火) 15:25:45
>>529

 ただし、私たちが「低所得」「貧困」=「恥ずかしいこと」「自己責任」という認識を改めない限り、新たに受給対象者となった当事者も「傷つく」可能性はあると思います。

■ 各界の専門家が、支援の必要性を指摘

 さて、炎上した部分ばかりが注目され、今回のキャンペーンの趣旨がまだ周知されていない面もありそうなので、ここであらためて紹介しておきます。以下に引用するのは、各界専門家が発表したコメントです。これを読めば、なぜ児童扶養手当の複数子加算が必要であるか、理解しやすくなるのではないでしょうか。

 会見で、低所得家庭の子どもたちへの学習支援を行うNPO法人キッズドア代表・渡辺由美子氏は、利用者の多くがひとり親家庭の子どもであることや、学力が上がっても経済的な理由から望む進路に進めない子どもが多いことなどを指摘。「この少子化の時代に、お子さんをたくさん育てている方は褒められるべきなのに、現実にはそういう方たちがいちばん大変な状況にある。これは非常におかしいこと」として、支援の必要性を訴えました。

 ジャーナリストで相模女子大学の客員教授の白河桃子さんは、ひとり親支援は少子化対策としても重要であることを解説。出生率が回復したフランスでは、子どもがたくさんいるひとり親は働かなくても手当だけで生活できることを挙げ、日本も「“どんな形で子どもを持っても安心安全に暮らせる”という社会にすることが必要」と指摘しています。

 児童養護施設に暮らす子どもを支援するNPO法人タイガーマスク基金代表・安藤哲也氏は、ひとり親家庭が経済的に安定すれば、施設に入らなければいけない子どもが減り、社会的擁護の予算抑制にもつながること、また父子家庭の中にも母子家庭と同様の窮状があるので、支援が必要であると述べています。

 さらに会見では、ひとり親当事者である田中直子さん(仮名)もコメントを発表。田中さんは日々、発達障害のある高校生のお子さんにかかりきりで、仕事に就くこともできない状況にあります。ただし、食べ盛りの4人の子どもたちのお腹を満たすことを何より優先し、「そこ(食費)だけは節約しない」と決めているとのこと。

 第2子以降の児童扶養手当が「1回の食費ですぐ終わってしまう」額であることや、子どもたちに「もうちょっと、いいものを食べさせたい」という思いがあることを、控えめな様子で語っていました。

 田中さんのような人が、安心して堂々と、子どもたちを育てられる社会がいいな、と思います。ひとりでも多くの方がこの問題に関心を持ち、一緒に考えてくださることを願っています。

大塚 玲子

531名無しさん:2015/11/07(土) 15:16:22
>>510

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151107-00000103-san-pol
「ポスト橋下」揺れる西成 どうなる暮らし、就労支援…立候補予定者の訴え注視
産経新聞 11月7日(土)15時0分配信

 8日に告示される大阪市長選(22日投開票)を控え、日雇い労働者の町「あいりん地区」を抱える西成区の民意が揺れている。就労支援施設の建て替えや他区に比べて高い生活保護受給率など課題が山積する中、西成区を「えこひいき」すると宣言して予算を投下した橋下徹市長(大阪維新の会代表)が12月に退任するからだ。住民たちは「ポスト橋下」をめざす立候補予定者たちの訴えを注視している。

 「兄ちゃん、仕事行かんか」。まだ夜が明けきらぬ午前5時。日雇い労働者支援の複合施設「あいりん総合センター」1階の「寄場」に集まる男性たちに、求人業者が声をかけていた。土木や鉄筋工などの日雇い仕事を斡旋(あっせん)し、契約が成立すれば現場へ連れて行く。

 センターは、高齢者や生活保護受給者らが暮らす市営住宅、医療機関も入るあいりん地区の中核施設。ホームレスが段ボールを敷いて体を休める「最後の砦(とりで)」(60代の求人業者)でもあるが、昭和45年築の13階建てビルの天井を伝うパイプや階段の手すりは赤茶色にさび、老朽化が著しい。

 平成21年には耐震性に問題があることが発覚し、建て替え論が浮上した。ただ寄場や職業安定所を管理する国と、労働福祉センターを管理する府、市営住宅や医療機関を管理する市の3者間の調整は難航。建て替え後のあり方をめぐり、地元の住民と労働者支援団体の間でも意見が分かれる。

 地元自治会の男性は「センターの建て替えは西成最大の課題。ただ、課題は他にも山ほどある」と話す。

 26年に区が取りまとめたデータによると、生活保護受給者の割合は23・1%でほぼ4人に1人。65歳以上の高齢者率37・2%と結核の発生件数237件も市内24区で最悪だ。中国人女性が接客する居酒屋が急増するなど、文化や風習の違う外国人との共生も新たな課題として浮上する。

 この4年間、橋下氏は西成区を大阪全体の縮図ととらえ、「西成が変われば大阪が変わる」として、特区扱いして福祉などの予算を重点的に配分。大阪府警と連携し、不法投棄対策や薬物取り締まりを強化してきた。

 その橋下氏の後継指名を受け、市長選に大阪維新の会公認で立候補する元衆院議員、吉村洋文氏(40)は「特区構想を引き継ぎ、地元の声を聴きながら発展させたい」と強調する。

 一方、自民党推薦を得て立候補する元市議、柳本顕氏(41)は西成区の出身。区長の権限を強化する「総合区」を28年春に導入して「課題を解決し、大阪全体の発展につなげる」と訴える。

 市長選にはほかに、元北区長の中川暢三(ちょうぞう)氏(59)と、テーマパークアルバイトの高尾英尚(ひでひさ)氏(33)も立候補を表明。あいりん地区内で衣料品店を経営する角田昇さん(73)は「西成の改革は道半ば。誰が市長になっても、この街のことをよく考えて市政に取り組んでほしい」と期待を込めた。

大阪市長選立候補予定者

吉村洋文(40)大阪維新公認、新人、元衆院議員

柳本 顕(41)自民推薦、無所属、新人、元市議

中川暢三(59)無所属、新人、元大阪市北区長

高尾英尚(33)無所属、新人、アルバイト

                 (敬称略)

最終更新:11月7日(土)15時11分

532とはずがたり:2015/11/12(木) 13:04:43
ADSLスレよりこちらか?なんか出来そうだけどほんとに居るのか??

ニコ生でカンパ300万円ゲット!一切働かずに暮らす女性たち
女子SPA! 2015年11月5日 16時11分 (2015年11月5日 16時42分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20151105/Joshispa_20151105_00352855.html

 今、20代など若い世代のあいだで、モラルや金銭感覚などが一般的な感覚から大きくズレた女性が増えているという。なかでも注目されているのが、ネットの生放送を通じてカンパを募り、生計を立てている女性たち。

 90年代にはネットの掲示板や街中でのナンパをきっかけに行われる援助交際が問題になったが、それから10年の時を経て、“援助”のテクノロジーはかなり進んでいるようだ。

 一切働かずに暮らす彼女たち。そのうちの一人に詳しい話を聞いた。

◆労働収入ゼロ。ネットのカンパと“彼氏”の援助で生活

 ふじこさん(27歳)は、2年前にニコ生を通じてカンパを始め、これまでに総額300万円近くを集めたという。

「口座番号を公開して、『お金ください』って言っていたら、いつの間にかそれくらいになっていました(笑)。数十円を振り込む人もいれば、数万円振り込んでくれる人もいるし、金額はバラバラですね。でもある日突然、知らない人から10万円振り込まれたときはさすがにびっくりしましたね」

 それまでシェアハウスで生活していたふじこさんだったが、カンパが集まったのを機に引っ越し。念願の一人暮らしが叶った。

 現金だけではなく、物資などのプレゼントも届くという。

「アマゾンの『ほしい物リスト』を使っていて、そこでは主に水などの生活用品が届くようにしています」

 もともと、お金はあればあるだけ使ってしまうタイプだったというふじこさんは、カンパされたお金も振り込まれるそばから使ってしまっていたというが、最近はいかにうまく節約するかということに目覚めたという。

「どうやって無駄を省こうかと考えた結果、彼氏をたくさん持てばいいんだって気づいたんです。使うお金がかなり抑えられますよ」

◆愛人も分散投資の時代?

 ふじこさんは現在複数の男性と交際しており、それぞれを「家賃彼氏」、「お小遣い彼氏」、「送迎彼氏」と呼び、援助してもらっている。これはまさしく「愛人」とも言えるものだが、貢がれている額は最高額でも「家賃彼氏」が払う8万5000円。分散投資の低額愛人契約スタイルだ。

「『ご飯彼氏』と外食するときはただ奢ってもらうだけじゃないです。必ずタッパーを持っていって、余った料理を持って帰るようにしています」と浅ましさはプライドレス。それぞれの彼氏にバレる心配はないのだろうか。

「バレても別にいいです。バレたら、別れてまた新しい彼氏をつくるだけ。私にとって彼氏って消耗品なんですよね」

 20代の若いうちはいいが、年をとるごとに投資してくれる男性も減ってくることを考えると、今から働く準備をするか、“消耗品”より耐久性の高い品を探しはじめるかした方がいいのではないか、とお節介ながら思ってしまう筆者だった。

―女性たちのド底辺生活【2】―

533とはずがたり:2015/11/18(水) 12:37:12
本来母の介護の為に仕事辞めて(多分それで)困窮して死後遺体放置ってどうなってんのかねぇ。。

「葬式費出せず」母親の遺体放置に猶予付き判決 静岡
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e3%80%8c%e8%91%ac%e5%bc%8f%e8%b2%bb%e5%87%ba%e3%81%9b%e3%81%9a%e3%80%8d%e6%af%8d%e8%a6%aa%e3%81%ae%e9%81%ba%e4%bd%93%e6%94%be%e7%bd%ae%e3%81%ab%e7%8c%b6%e4%ba%88%e4%bb%98%e3%81%8d%e5%88%a4%e6%b1%ba-%e9%9d%99%e5%b2%a1/ar-BBn6KDQ?ocid=spartandhp
朝日新聞デジタル 11 時間前

 母親の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄罪に問われた静岡県中部の無職男性(54)に対し、静岡地裁(川畑薫裁判官)は17日、懲役1年執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。

 川畑裁判官は「遺体を放置したのは事実だが、経済的に苦しく葬儀費用が出せないなど動機は消極的だった」と量刑理由を説明。その上で男性に「困ったときは周りの人に相談すれば助けてくれることを忘れないでほしい。仕事に就き、生活を立て直すことを期待している」と説諭した。

 判決によると、男性は2月中旬ごろ、自宅で病死した同居の母親(当時86)の遺体を埋葬することなく部屋に1週間放置した。男性は病気の母親を介護するため、約5年前に仕事をやめていた。

534とはずがたり:2015/11/26(木) 11:06:37
フィリピンのホームレス邦人は日本社会の犠牲者か? 矛盾を照らす真摯なルポ
http://ddnavi.com/review/64942/a/
2012.6.21

日本を捨てた男たち ― フィリピンに生きる「困窮邦人」
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:水谷竹秀 価格:1,296円
※最新の価格はストアでご確認ください。

果たして彼らは日本を捨てたのか、それとも日本に捨てられたのか。そんな疑問が読みながら頭の中を行ったり来たりした。女性を追って、借金から逃れて、自由を求めて…それぞれの極めて個人的な理由でフィリピンにわたった男たちが資金を使い果たし、「困窮邦人」とよばれるホームレスになり、心やさしい比人の貧困層に助けられているという状況が、現在静かに社会問題化しつつあるという。日本ではあまり知られていないその実像は、まさに日本社会の「矛盾」のふきだまり。正直なところ、自業自得、他人(比人)の親切心につけこむ、日本人の「甘え」では? と、そのダメさ加減を断罪するのは簡単だ。

だが、彼らが日本に「置いてきた」現実はどれも行き場がなく、いまどき1度ボタンの掛け違いが起きてしまうと一気に「転落人生」というのはお決まりのルートなのか、誰もが血縁者にも拒否され、日本に帰ったところで「厄介者」になるしかない現実を抱えている。彼らにしてみれば、ホームレスをするのが日本かフィリピンか、そんな究極の状態なのだろう。どちらにせよ八方塞がりなのだ。

ちなみに登場するのは、ほぼ男性ばかり。一応、比人男性を頼って海を渡った邦人女性も出てはくるものの、彼女たちは自分のポジションに対してかなり客観的で、たとえば騙されている、とわかったら、その時点であっさり身を引く。だからそこまで最悪な状況に陥りにくいが、なぜか男性は未練故かプライド故か、最悪の状況でもかの国で「ただ生きている」状況を選択する。その現実のしょうもなさに脱帽しつつ、どこかやはりと納得。女たちのたくましさ、男たちの悲哀に、なんかホントに大変、とため息も出てしまう。

なお、時に同情し、時に距離をおき、答えのでない問題に、とにかく真摯に対応しようという著者のスタンスは正直で好感がもてる。今回、電子書籍で社会派ノンフィクションを読んだのは初体験だが、容易に自分の立場が決められない問題に対峙する場合、電子書籍という「重みを感じない」メディアのせいか、リアルな本よりも、読みながらスタンスを自在にスイッチできる感じもした。こういう感覚、困難な現実を相対化するにはグッドなのかも

535とはずがたり:2015/11/26(木) 11:13:31
法学スレ相当か?

圧倒的経済弱者である若者が、圧倒的経済強者である高齢者に反逆の刃を向けているという構図 ー「老人喰い」の真実
http://ddnavi.com/news/229811/a/
2015.3.5

 警察庁のまとめによると、「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」「架空請求詐欺」といった「特殊詐欺」の年間被害総額が、2014年、ついに500億円の大台を突破したという。これは2004年に統計を始めてから最悪の数字で、被害者の約8割は60歳以上の高齢者である。また催眠商法やリフォーム詐欺などの「悪質商法」で高齢者が契約当事者となった割合も全体の7割以上に上る。こうした高齢者を狙う犯罪“老人喰い”の手口は、日々巧妙化しており、今や「うちは大丈夫!」と自信を持って言える人などいない状況だ。

 『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』(ちくま新書)は、高齢者を騙して大金をむしり取る“裏稼業”に生きる犯罪者たちを取材し、その実態をあぶり出した興味深い書籍である。著者は『最貧困女子』(幻冬舎新書)や『出会い系のシングルマザーたち』(朝日新聞出版)など、裏社会や触法少年少女にスポットを当てたノンフィクションで定評のあるルポライター・鈴木大介さんだ。その衝撃的な内容を、少しだけ紹介したい。

“老人喰い”の犯人は「渇ききった若者の反逆」

 本著によると、特殊詐欺をはたらく犯人たちのほとんどは20代から40代の最貧困層の若者たちだという。見た目はどこにでもいるサラリーマンそのもので、高齢者を騙すために「(株)詐欺本舗」とでもいうべき組織をつくり、やり手営業マンさながらの高いモチベーションで詐欺を行っているというのだ。

 しかし「弱い高齢者が襲われている」という構図ではなく、そこには「圧倒的経済弱者である若者が、圧倒的経済強者である高齢者に反逆の刃を向けている」という構図があるのだという。これを著者は、高度成長期の時のように働けば豊かになれた時代と違い、働いても将来に希望を持てない若者たち(=砂漠の中で水に飢えた者)が、豊かな高齢者(=たくさんの水を持つ者)を襲うようなもの、と表現している。

一度ひっかかると、10年以上も狙われる!

 ターゲットを選び出す方法としては、かつては「名簿屋」から買い取ったDM用などの名簿を使い、かたっぱしから電話をかけまくっていたが、今ではまず公的機関名をかたって下調べの電話をかけ、「支払い能力があるか」「健康に不安があるか」といった情報を追加した“最強名簿”を作り上げてから、組織的に落としにかかるというのだ。

 特に狙われやすいのは言うまでもなく「資産があり消費・投資行動をしている人間」だが、一度被害にあった人の名簿「ヤラレ名簿」も狙われやすく、また合法的に営業展開しているDM系名簿業者の名簿に載っている人も、油断はできないという。

 しかもこれらの大量に出回っている名簿はストックされ、ことあるごとに情報が強化されて、将来的に使用される可能性があるというからゾッとする。実際、すでに10年以上前の名簿に載っていたために詐欺にあったケースも出ているので、まだ現役世代の人にとっても老後の詐欺被害は他人事ではない。

 筆者の両親のもとにも最近、「息子さんが事故で…」という電話があったのだが、幸い“息子さん”は在宅中だったため事なきを得た。その後しばらくは「どこぞのチンピラが電話してきたのだろう」と、家族間で話題になっていたのだが、本著を読んで「その考えは激甘だ」と分かった。徹底的に・かつ能動的に“騙そう”としている集団から身を守るには、いったいどうすれば良いというのか…?

 本著には、様々な“老人喰い”の手口が再現ドラマのようにリアルに描かれている。そこには具体的な防御策は書かれていないが、裏稼業に身を置く若者たちの心理を知る手がかりが散りばめられている。一読しておけば、自分や家族がターゲットになった時、被害者にならずにすむきっかけを得られるのではないだろうか。

文=増田美栄子

536とはずがたり:2015/11/30(月) 10:41:38
>米国の『ハウジングファースト』が素晴らしかったのは、1990年代にデータを集め、コストを明確にしたことです。そして、ブッシュ大統領がハウジングファーストを推進しました。ブッシュ大統領が、優しい人、人を助けたい人ではないことは、みんな知っています。我々の時も、サルコジ首相でした。」(Girard氏)そして「日本の現在の首相は、ブッシュ大統領に似ています」


>困窮者支援プログラムに対しては助成金が出にくいほどの状況となっている。
資金獲得が競争的な枠組みになってるのかな?

生活困窮者に「家」を提供すれば、社会保障費は削減できる
みわよしこ [フリーランス・ライター]
http://diamond.jp/articles/-/82306?page=4

「ハウジングファースト」は安上がり
米国では助成金の条件にも

?今回は、注目を集めている「ハウジングファースト」について、開始されて20年以上が経過している米国・展開しようとしているフランスでの状況を中心に紹介する。

「ハウジングファースト」は、住居を含む困難を抱えた人々に対して「安定した恒久的な住まいをすぐに提供する」ことを意味する。対象は、ホームレス状態にあったり、重度精神障害・薬物依存・アルコール依存などの問題を抱えていたりする人々だ。もちろん、一人の人に重なっていることもある。

?このような人々の「社会復帰」に際しては、10〜15年の時間をかけ、「シェルターなどの施設や病院からグループホーム、クスリも酒もやめて仕事ができることを認められたら、グループホームから一般の住まいへ」というステップを踏むことが一般的だった。しかし、「グループホームへ」「一般の住まいへ」というステップを上る前に脱落し、いつまでも一般の住まいへたどりつけないままの人々が多かった。

?発想を逆転し、「まず一般の住まいを提供する」ことを試みたのは、米国の精神科医・Sam Tsemberis氏だ。1992年、Tsemberis氏はニューヨーク市内でホームレス状態にある重度精神障害者や、同じくホームレス状態にある依存症患者に対し、シェルターではなく通常の住まいを提供した。「住まいがあればホームレス状態は終わる。簡単なことだよ」とTsemberis氏は語ったという(「Pathways to Housing」サイト内、「Pathways National History」による)。

?このアプローチは治療・社会復帰のいずれの面からも良好な成績を挙げ、その上にコストも減らせることが判明した。アパート家賃など住まいそのもののコストに生活を支援するための多様なコストを含めても、シェルターの74%、刑務所の25%、精神科病院の8%以下なのである。このことが広く評価されたため、2010年以後の米国では、「ハウジングファースト」の考え方を取り入れていない困窮者支援プログラムに対しては助成金が出にくいほどの状況となっている。

?今回は、2015年10月14日、東京・市ヶ谷の「JICA地球ひろば」で、医療・支援の専門家を主対象として開催された「ハウジング・ファースト国際シンポジウム ?なぜ住まうことから始める(ハウジング・ファースト)と回復(リカバリー)するのか?〜世界と日本の現場から〜」で発表された、米国ワシントンDCとフランス・マルセイユ市での実践から、米国とフランスでの状況を紹介する。

537とはずがたり:2015/11/30(月) 10:42:01

Amanda J. Harrisさんは、ワシントンDCで「ハウジングファースト」に取り組む「Pathways to Housing DC」の最高責任者だ。ソーシャルワークと公共政策の2つの修士号を持つHarrisさんは、「ハウジングファースト」の特色を、
「『ハウジングファースト』では、生活困窮者に対して最初に恒久的な住居、シェルターのような一時的な住居ではない住居を提供するわけですが、その際、条件を設けません。(アルコール依存症者が)断酒を誓ったりしなくていいんです」

?という。もちろん、依存症者が酒や薬物に手を出してしまい、住居や近隣との関係で問題を起こしてしまうことは起こりうるのだが、自分の行為の結果に責任をもつことも含めて「地域生活」だ。それにしても、シェルター・施設・病院の中ならば、被害は「一般市民」には及ばないかもしれないが、Harrisさんは、
「シェルターは、あまり良い場所ではないんです。自分の荷物が盗まれたりしますし」
?という。確かに、路上生活者向けシェルターにせよ、DV被害者のためのシェルターにせよ、シェルターを経験した人々が「良い場所だった」「快適だった」「楽しかった」と語るのを聞いたことはない。たいていは大部屋で、隣のベッドに来る人を選ぶことはできない。自分が数日ぶりの入浴と食事で一息ついたところに、妄想を語り続ける人がやってきたり、長期の路上生活で不潔な状態になった人がやってきたりする。ベッドには南京虫もいたりする。屋根があって食事は出るし、シェルターの外から危険がもたらされることはないが「短期間の仮の暮らしなら耐えられるかもしれない」という性質のものであるようだ。

?私は、自分なら耐えられそうにはない暮らしを、自分より悪条件にある人に「死ぬよりマシなんだからガマンすべきだ」と言う気にはなれない。自分より悪条件にあるということは、健康でいようとする力・ポジティブになる力・ガマンする力・そこでもできることを考える力・抜けだそうと考えて実行する力など、全ての力が発揮しにくくなっているということだからだ。

Harrisさんによれば、Pathways to Housingの活動のきっかけは、創設者である精神科医・Tsemberis氏が、刑期を終了して出所する人々や、精神科病院に入院している長期入院者に「何をしてほしい?」と尋ねたことであるそうだ。答えは、「アパートに住みたい」だった。Tsemberis氏は、その希望を叶えた。すると良好な結果につながり、コストも削減できることが判明したわけである。
「道義的に正しいだけではなく、安く上がるんです。病院・シェルター・刑務所にお金使うのは賢くないと社会が学習しました。2010年ごろからは、ブッシュ大統領が大きく後押ししてくれるようになりました。ハウジングファーストを取り入れていないプログラムには『費用対効果が悪いから』と資金が出なくなるほどの変化が起こりました」(Harrisさん)

?しかしながら、住宅手当とともにアパート探しを支援し、契約できたら「今日から、ここがあなたの住まいです」と支援終了、というわけにはいかない。… 「何年もホームレス状態だった人は、家族と縁が切れていますし、友人も少ないんです。コミュニティとのつながりを作るサポートも必要です」(Harrisさん)

「もちろん、リスクも与えることになります。失敗する権利も与えることになります。サービスを供給する側にとっては、怖いことです。でも、人間はすべてリスクや失敗とともに生きています。同じ権利は、すべての人に与えられなくてはなりません」(Harrisさん)

?80年代までの米国では、麻薬への依存は、脳に影響が加わったことによる身体の反応と考えられていた。しかしラットを使った実験で、そうではないことが判明した。ラットを麻薬依存症にした後、より魅力的な選択肢とともに麻薬を並べておいたら、ラットは麻薬を選ばなかったのである。

538とはずがたり:2015/11/30(月) 10:42:19
>>536-538
「なぜ、成功しやすく安上がりなのか」
フランスの調査研究からも明らかに

?フランス南部・マルセイユ市で「ハウジングファースト」を実践している精神科医のVincent Girard氏は、マルセイユ市とフランス全体での状況について講演した。Girard氏は移民が多い地域で育ち、移民の子どもが数多く通っている公立学校に通った。

?約6600万人の人口を抱えるフランスでは現在、全土で約14万人が「家がない」という正真正銘のホームレス状態にあり、350万人が「適切な住宅がない」という状況にある。ホームレス状態の人々は2001年から2012年にかけて44%増加し、うち30%は精神疾患を抱えており、平均寿命は一般の人々より30年〜35年程度短いそうだ。

「米国とは状況が異なります。比較的強固な福祉制度があるという意味では日本と似ていますが、米国・カナダのような公衆衛生文化は不在で、医師の権限が非常に強いです」(Girard氏)

?そのフランスでは、「いつかホームレス状態に陥るのでは?」と思っている人が多数いて、増加中ということだ。日本の場合、多様な差別とバッシングの対象となる生活保護受給者が、フランスの「ホームレス」と同様の位置づけにあるのかもしれない。そのフランスでは、どのような対策が取られているのだろうか?

「フランスのホームレス対策費は年あたり30億ユーロ(約4000億円)で、英国に次いでEU圏内で2位です。この他に、普遍的な住宅扶助があります。『社会政策は予防、医療政策は治療』と呼ばれています」(Girard氏)

?そのフランスで、ハウジングファーストの取り組みが始まったのは2006年のことだ。民間の運動体から始まった動きだったが、2010年には国の政策にも取り入れられた。

「ホームレス状態の人は、深刻な精神症状があっても回復できます。何年も路上生活ができた人は、とても賢明なんです。だから生き延びられたわけです。精神症状が出ていても回復する力がありますし、『自分の住まい』を手に入れて維持する力もあります」(Girard氏)

?現在、フランスの4都市で、ハウジングファーストの効果を評価する調査が進行中だ。対象となりうる人々を半分に分け、片方にはハウジングファーストの考え方に基く支援、片方にはこれまでの通常の支援を提供し、結果を検討するというものだ。2011年に始まったこの調査の結果は、今年、2015年に判明する。

「『世界を変える夢を見る』で終わらないためには、科学的な裏付けが重要です。米国の『ハウジングファースト』が素晴らしかったのは、1990年代にデータを集め、コストを明確にしたことです。政策立案者が知りたいことは、コストです。そして、ブッシュ大統領がハウジングファーストを推進しました。ブッシュ大統領が、優しい人、人を助けたい人ではないことは、みんな知っています。でも、そうしました。我々の時も、サルコジ首相でした。ブッシュに似ていました。似た人、世界中にたくさんいます」(Girard氏)

?そして Girard 氏は、「日本の現在の首相は、ブッシュ大統領に似ています」と言って、会場を笑わせた。

539とはずがたり:2015/12/02(水) 14:56:21
>厚労省は、「年金だけでは足りない1人暮らしの高齢者が増えている」と分析しています
下流老人ってやつか。。

生活保護受給世帯、過去最多を更新
TBS News i 2015年12月2日 13時51分 (2015年12月2日 14時50分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20151202/Tbs_news_47127.html

 全国で生活保護を受けている世帯が今年9月の時点で162万9598世帯となり、過去最多を更新したことがわかりました。
 厚生労働省によりますと、今年9月の時点で生活保護を受けている世帯は前の月と比べて874世帯増え、162万9598世帯でした。統計を取り始めた1951年以降で最も多くなっています。

 母子世帯や現役世代では減少傾向にありますが、65歳以上の「高齢者世帯」が増加していて、80万301世帯と全体のおよそ半数を占めています。

 厚労省は、「年金だけでは足りない1人暮らしの高齢者が増えている」と分析しています。(02日12:33)

540名無しさん:2015/12/07(月) 20:05:35
若年フリーターがそのまま高齢化しただけかと。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1207.html
急増する「中年フリーター」
12月7日 18時20分

いま、中年のフリーターが急増しています。
35歳から54歳までの非正規労働者は、この15年間で2.5倍に増え、273万人に上っています。この中には、正社員になりたくてもなれず、アルバイトを転々とするなど不本意な形で働いている人も少なくありません。こうした「中年フリーター」とも呼ばれる人たちが高齢化する近い将来、社会的な負担が増えることも懸念されています。将来の生活に不安を抱える中年フリーターの実態と求められる対策について社会部の津武圭介記者と松尾恵輔記者が解説します。

中年フリーターの実態は

急増している中年フリーター。私たちは、都内の飲食店でアルバイトをしている38歳の男性から話を聞くことができました。
男性は、毎晩遅くまで働いて帰宅するのは午前0時過ぎですが、日当は7650円。週に5日ほど働いて年収は250万円余りです。

生活はギリギリで貯金をする余裕はないといいます。
男性がフリーターになったのは、大学時代の就職活動につまずいたのがきっかけでした。都内の有名大学に通っていましたが、就職活動を行ったのはITバブル崩壊で“氷河期”と言われた2001年。希望する会社から内定をもらうことはできなかったといいます。その後、引っ越しやビラ配りなどのアルバイトをして生活し、これまで正社員として働いた経験は一度もありません。
最近、長年交際していた女性とも別れることになり、男性はこうした生活から抜け出そうと正社員での就職を目指しています。しかし、40歳を前にして、アルバイトの経験しかないことが高い壁になっていると感じています。
男性は「学生時代は、将来、会社に勤めて家庭を築いていると自分の姿を思い浮かべていたが、こうした生活になるとは想像してもいませんでした。正社員になりたくても、年齢や経歴がハードルになってきて、このまま年を取ったらどうなるのか、とても不安です」と話していました。

支援に乗り出す東京都

総務省の調査によりますと、35歳から54歳までの非正規労働者(学生・既婚女性は除く)は規制緩和による働き方の多様化や、企業側が人件費を抑えようとしたことなどを背景に増え続け、ことしの時点で273万人と、この15年間で2.5倍に増えています。

国は、全国のハローワークなどを通じて支援に取り組んでいますが、企業は、若い人材を求める傾向が強く、30代以上のフリーターは敬遠されがちなのが実態です。

こうした状況を打開しようと、東京都は、ことしに入り、30歳から44歳の人を対象にした独自の就職支援に乗り出しました。そのひとつがビジネスマナーなど基礎的な訓練や企業訪問をしてもらい、3か月後に正社員になってもらおうというものです。先月下旬、都内の会場を取材すると、20人余りが新聞を使ったトレーニングに取り組んでいました。

配られた新聞から企業に関する記事などを選び感想を発表。みずから考え、表現する力を鍛えるのがねらいです。プログラムで講師を務める人材派遣会社の担当者は「アルバイトや派遣など非正規雇用の経験が長い人たちは指示待ちや受け身の姿勢が見られ、こうした課題の改善に力を入れている」と話していました。
また、企業訪問では希望する職種以外にも視野を広げてもらおうと、金融や建設、介護などさまざまな業種を訪ねていました。

受講者の42歳の女性は「自分には向いていないと思った業種でも実際に話を聞いてみると、興味が沸いてくることもあり、就職活動の幅を広げることにつながっています」と話していました。

541名無しさん:2015/12/07(月) 20:05:46
>>540

企業への働きかけも

東京都では、さらに、若い人の採用に偏りがちな企業側への働きかけも行っています。正社員を希望する中年の非正規労働者を試しに雇ってもらおうという取り組みで、期間となる1か月、東京都が給料を負担します。
この取り組みで働き始めた男性を取材することができました。坂元竹秀さん、41歳です。

坂元さんは、オフィス機器のシステム開発会社で営業社員として働いています。これまでアルバイトとしてコンピュータ関連の会社で作業員をした経験はありますが、営業の経験はありません。このため、当初は、営業の仕事は希望していませんでしたが、東京都の担当者から勧められ、今回、チャレンジすることにしたといいます。
一方、坂元さんの紹介を受けたシステム開発会社では、営業社員を募集していましたが人材が集まらず、頭を悩ませていたといいます。東京都からの申し出を受け入れ、営業経験のない坂元さんを試しに雇うことにしました。この会社の牧野幸雄社長は「営業経験がないために仕事を覚えるまで時間はかかるが、本人のやる気を評価して思い切って決断した」と話しています。

坂元さんは1か月の試用期間を経て、正社員として採用されました。慣れない仕事ながらも、これまでにない前向きな気持ちで働いているといいます。坂元さんは「今までは1年後に自分がどうしているかもわからなかったが、今は、仕事に励んでいる姿を思い描くことができる。正社員になれたことで安心感とやる気を感じています」と話していました。

問題解決に向けて

労働市場は今、人手不足と言われていますが、中年フリーターはその経歴や年齢から、いわば取り残されているというのが、今回の取材を通しての実感です。東京都は、人手不足のいまこそ、企業に対し中年の非正規労働者にも目を向けてほしいと変化を促しています。取り組みはまだ始まったばかりで正社員として採用されるケースはそれほど多くはありませんが、坂元さんのように働く側がこれまでの経歴にとらわれず、新しい仕事にチャレンジし、企業にとっても新たな人材の獲得につながるということになれば、ひとつの解決策になるのではないかと思います。
フリーターは多様化する働き方のひとつではあるものの、社会への影響も少なくありません。将来、高齢化した際に生活保護に陥るリスクも高く、社会保障などにかかる費用が14兆円に上るという試算もあり、より本格的な対策が求められていると思います。

542とはずがたり:2015/12/16(水) 02:56:15

年収600万円以上の大企業正社員が突然、貧困に! 低所得者を「自己責任」と突き放している中流クラスが危ない
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20151215/Litera_1783.html
リテラ 2015年12月15日 08時00分 (2015年12月16日 01時56分 更新)

『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)

 格差の広がりや社会保障の削減、競争の激化で、貧困層が急速に拡大している。本サイトはこれまで、高齢者、シングルマザー、奨学生、子ども、障がい者などの貧困についてレポートしてきたが、今や貧困はそういった社会的弱者だけのものではなくなってしまったようだ。

『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)では、学歴もあり、新卒で正社員として就職できたフツーの人たち、ある時期までは中流以上だった人たちの"貧困"が赤裸々に描かれている。

 大学を卒業後、広告代理店に勤務した山口拓男さん(50歳)は順調に出世し、制作部長となった。もちろん賃金も高かったという。

 会社は各種企業のカタログ、ポスター、パンフレットなど紙媒体の広告宣伝物の企画、デザイン、制作や地方テレビ局のCMまで手掛けていた。

「社員の総数は20人の小所帯なんですが常にライター、デザイナー、カメラマン、映像作家、たまにですがタレントさんも出入りしていていつも賑やかでした」

 そんな山口さんだったが、東日本大震災で状況は一変する。企業の経費削減傾向が強まり仕事が減り、会社の資金繰りが逼迫。事業を停止する事態となり失業した。そうなると家計は途端に苦しくなる。住宅ローン、税金、2人の子どもの教育費。解約した定期預金は200万円になった。しかし50歳間際では再就職もままならない。

「失業手当が切れてからは、アルバイト、パート、期間限定の非正規労働を継ぎはぎして日銭を稼ぐような感じだね。(略)時給はどれも1000円が目安ですね」

 妻もパートを始めたというが生活費として使えるのは12〜13万円。家族4人ではかなりギリギリの生活だ。高脂血症で通院していたが、しかし月4800円ほどかかるので通院をやめたという。

 また工業系大学の情報工学科を卒業した垣沼寛貴さん(44歳)も、卒業後ソフトウェア開発会社に就職し、その後同業他社に引き抜かれ年収600万円ほどの給与を貰っていた。妻もインテリアデザイナーとして働いていたので世帯収入は1千万円以上。しかし勤務から10年目の2008年頃にリストラにあい失業してしまう。

 通算15年のキャリアがあった垣沼さんだが、再就職の活動をする中で糖尿病を発症していたことが判明。このことで、再就職は困難を極めた。そのため健康食品のフランチャイズに手を出したがこれも失敗。

「蓄えを取り崩すだけでなく、子どもの学資保健まで解約したりカードローンで借金を作ってしまったものだから妻がブチ切れてね。小学4年生の娘を連れて実家に帰ってしまった」

 その後離婚となった垣沼さんだが、仕事は月16万円ほどのパートのかけ持ち。家賃も滞納して家を追い出された。

543とはずがたり:2015/12/16(水) 02:56:31
>>542-543

「とりあえず手持ちのお金約2万円とスーパーのポイントカードで貯めた8000円を現金化してここ(山谷)に来たのが去年(13年)の8月でした」

 こうして日雇い労働者が集まる山谷で日雇い労働で月10万円ほどを稼ぎ、ベッドハウスや、マンガ喫茶で生活をする日々だという。 

 数年前まで、IT企業の一線でプログラマーとして年収600万円も稼いでいても、リストラ、そして健康問題が重なればたちまち行き詰まり、家も無くし日雇い労働に頼るしかなくなる。

 また意外に思えるかもしれないが銀行マンも貧困とは無縁ではないという。

 大学を卒業して、中京地域に本社を構える地方銀行に就職した永島圭介さん(26歳)の手取り給与は17万円。ボーナスを含め年収は280万円ほどだ。銀行は初任給が抑えられるが、順調に昇格すれば30代前半で500万円、40代では700万円ほどの年収になる。

 だからといって安泰とは決して言えない。

「1年上の先輩の代は80人中12人くらい辞めているらしい。ノイローゼになったり失踪した人もいるという噂です」

 銀行の仕事は決して奇麗ことばかりではない。プレッシャーも大きい。そのために辞めていく人も多いのだ。そうしたことを見てきた永島さんは切り詰めた生活を送っている。さらに将来にも漠然とした不安さえある。

「お上は地銀は1県1行体制にする構想を持っている。そうすると下位行のうちなんか飲み込まれる方だからリストラされる確率が高い。そうはならなくともある年齢に達すると関連会社に出されたり取引先に転職させられることもある。最後まで銀行員でまっとうできるのは一握りですから」

 他にも日本郵政の社員アルバイトとなったが5年経っても年収230万円ほどで正社員になれない30代男性、公立図書館に務めているが民間委託された管理運営会社の社員で年収200万円。そのためスーパーでパートもこなす30代の女性など、一見安定して堅い仕事だと思われている職業、職種にも貧困は大きな口を開けて立ちはだかっている。

 本書では34人の様々な"貧困"にスポットを当てた上でこんな指摘がなされている。

「問題なのは中流以上のポジションにいて危機感の希薄な人たちだ。『ふーん、世の中にはこんな貧乏人がいるのか』『こんな稼ぎで恥ずかしくないのかね』『自分の毛並み、経歴は一級品。間違ってもこんな惨めな人間に落ちぶれることはない』『ただ文句を言っているだけ、自己責任でしょ』。こんな感想を持つ人が多いのではないかと思うが、実はこういう人がデッドラインにいることがある」

 しかも彼らはそのことに気づかないばかりか、消費増税、法人減税、社会保障や生活保護の削減といった、自分たちのセーフティネットを断ち切るような安倍政権の格差助長政策を積極的に支持し続けている。

 彼らに、自分たちこそが将来、強者の餌食になってしまうということをわからせるためには、いったいどうすればいいのだろうか。
(伊勢崎馨)

544とはずがたり:2015/12/20(日) 00:34:01

高齢者の「貧困率が高い国」 1位韓国、日本4位
Forbes JAPAN 12月15日(火)13時30分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151215-00010540-forbes-bus_all

OECD加盟国の65歳以上人口のうち、12.6%が相対的貧困層に属することが最近の調査でわかった。相対的貧困層とは、所得がその国の世帯平均の50%に満たない集団を意味する。統計全体では高齢の女性は男性よりも貧困状態に陥るリスクが高い。この傾向は75歳以上のグループをそれ以下の年齢集団(66歳以上75歳未満)と比較した場合に、明らかになっている。

OECDのレポートによると、65歳以上の貧困率が最も高い国は韓国で、その割合はなんと50%にのぼる。オーストラリアとアメリカでも年金生活者の貧困率が高く、それぞれ35.5%、21.5%となっている。一方、年金生活者の貧困率が低いのはオランダとフランスだ。韓国では年金制度が十分に整っていないことが、高齢者の貧困率の高さにつながっていると、レポートは述べている。

OECD加盟国の65歳以上の貧困率

データ出典元:Pensions at a Glance 2015, OECD and G20 indicators

Niall McCarthy

545名無しさん:2015/12/20(日) 13:32:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151217-00000002-jct-soci
「生活保護者が朝からパチンコはよくない」 別府市の「巡回」「支給停止」にネットで称賛相次ぐ
J-CASTニュース 12月17日(木)18時22分配信

 大分県別府市がパチンコ店など市内の遊技施設に「生活保護受給者」がいないか巡回調査し、見つけた受給者の支給額を減額していた。ネット上では「どんどんやれ」「当然ですな」と称賛の声が巻き起こっている。

 今から2年前にも、生活保護費の不正受給やギャンブルへの使用を禁止した「小野市福祉給付制度適正化条例」が兵庫県小野市で施行されたことで、多くの賛辞が寄せられた。

■「市民感覚からすると、受け入れられないでしょう」

 別府市の調査は、2015年10月の計5日間、市職員35人が市内にある13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。見つけた生活保護受給者25人を一人ずつ市役所に呼び出して注意し、次の巡回で再び見つけた場合は1か月分支給額を大幅に減らした。

 市によると、こうした調査は少なくとも25年前から年1回のペースで実施されていた。巡回する時間帯は10時頃から16時頃まで。3回以上見つけた受給者については、2か月にわたって支給額を減らした。

 これまで大きな問題は起きておらず、「パチンコ店からも苦情は来ていない」という。ただ、その調査内容自体は12月15日の市議会で初めて外部に明かされ、16日付け朝日新聞電子版に報じられた。

 調査を始めた理由について市の担当者は、「別府市は他都市に比べて生活保護の受給率が高く、遊興施設も多いです。市民感覚からすると、受給者が昼間からパチンコ店に入り浸る様子は受け入れられるものではないでしょう」と話す。

 実際、受給者が遊技施設に出入りする様子を見た市民から頻繁に苦情、抗議が寄せられていたようで、「(苦情が)来ない日はないくらいでした。今でも週に2〜3回は受けています」と明かした。そのためか、朝日新聞の報道後に寄せられたメールのほとんどが市の取り組みを「励ます」ものだったという。

市担当者「人権には十分配慮していると考えています」
 また、以前から生活保護制度そのものに否定的な意見が多いネットでも

  「どんどんやれ」
  「これを皮切りに全国展開だ」
  「当然ですな」

と別府市の対応を評価し、応援する声が湧きあがっている。

 ただ一方で、「受給者への人権侵害になるのでは」との指摘も上がっているのも事実。報道によると、厚生労働省は「調査は適切でない」との見解を示している。

 前出の別府市担当者にこの点をぶつけると、「人権には十分配慮していると考えています。受給者がパチンコを一切してはいけない、と言っているのではなく、『朝や昼間からパチンコ店に入り浸るのは良くない』というだけです。職員の巡回しない夜間については、あえて勧めませんが、(受給者が)気晴らしで行くことを厳しく咎めません。もちろん受給者にも楽しみが必要だと認識しています。ただ、出来れば地域活動やボランティアなどギャンブルとは違う部分で発揮して頂きたいとは思っていますが」との答えが返ってきた。

 実は、2013年にも今回と似たような議論が巻き起こっている。きっかけはこの年に兵庫県小野市で施行された「小野市福祉給付制度適正化条例」だ。同条例は、生活保護や児童扶養手当の受給者が過度の浪費で生活できなくなる事態を防ぐために作られ、生活保護費を不正受給したり、ギャンブルに使ったりするのを明示的に禁止する珍しい内容だった。

 支給の厳格化を目指すものと受け止められたためか、ネットでは称賛の声が比較的多かった。

546とはずがたり:2015/12/20(日) 19:25:36
沖縄の貧困率は全国平均の2倍、その深刻な理由
ダイヤモンド・オンライン 12月18日(金)8時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151218-00083468-diamond-soc

戦後70年。沖縄の本土復帰からは43年が経過した。しかし沖縄は現在もなお、深刻な貧困問題を抱える。特に、沖縄の子どもの貧困の「これから」と「いま」には、どのような特徴があるのだろうか? 

● 戦後70年の節目に 全国のケースワーカーが沖縄へ

 2015年11月27日・28日・29日の3日間、沖縄県宜野湾市において、全国公的扶助研究会の主催する「第48回全国公的扶助研究会全国セミナー」が、「戦後70年 今問われる 貧困・格差・不平等 〜沖縄で考える『命・くらし・平和』」というテーマのもとで開催された。参加者は約450人。うち約150人は離島も含む沖縄県からの参加者だったが、約300人は沖縄県以外からの参加者だった。

 「全国公的扶助研究会」は、前身から数えて50年の歴史を持つ研究会で、中心となっているのは福祉事務所で働くケースワーカーたちだが、会員の中には、関連する福祉職・公的扶助の研究者なども多数含まれている。…日本の生活保護・日本の貧困の「今」を知り、「どう解決していくことができるのか? 」を公共の果たすべき役割とともに知ろうとするならば、毎年晩秋〜初秋に開催されるこの全国セミナーは、絶好の機会なのである。
 この全国セミナーでは、毎年、初日に全般的な問題に関する基調講演などがあり、2日目・3日目は個別具体的な問題(例:就労支援・政策研究・子どもの貧困対策・精神障害者支援……)をテーマとした分科会の数々が開催される。

 今回は、基調講演で語られた沖縄の背負ってきた歴史と現在の沖縄の貧困の関係、2日目の「子どもの貧困」分科会で自らの経験を語った20代女性の話を中心に紹介する。

● 子どもの貧困率は全国で一番 貧困が止まらない3つの背景

 初日の2015年11月27日、プログラム全体の冒頭に、山内優子氏(沖縄大学非常勤講師)が記念講演を行った。1947年に石垣市で生まれた山内氏は、1970年に沖縄県庁に就職し、以後、女性相談所や児童相談所に30年間勤務。沖縄県中央児童相談所長を最後に沖縄県庁を退職し、その後も、沖縄の子どもの貧困問題への取り組みを続けている。2012年に制定された「沖縄振興特別措置法」に子育て支援・困難な状況にある青少年の支援に関する条文(第84条の4)が含まれたことも、山内氏の熱心な働きかけの成果として知られている。

 山内氏は最初に、概況から語りはじめた。県別の貧困率に関する最新データは2007年のものだが、全国の相対的貧困率が14.4%であったのに対し、沖縄県は2倍以上の29.3%だった。母子世帯率・児童扶養手当の受給率も、沖縄は全国の概ね2倍にあたる。生活保護率は全国で5位。10代女性が母親になる若年出産率は11.7%。いずれも、貧困の深刻な状況を伺わせる数字である。

 ついで山内氏は、

 「ひとり親世帯の貧困率は全国で54.6%ですけれど、沖縄県は全国で一番、貧困の子どもが多いんです」

 と、沖縄の子どもたちの貧困の状況を語りはじめた。高校進学率・大学進学率では全国を下回り、高校不登校率・高校中退率では全国を上回る。非行少年の補導率は全国の6倍。中卒後・高卒後の進路未決定率は全国の3倍という。深刻な状況を物語る数字の数々に、会場から重い溜息が漏れた。私も溜息をついた。この状況で生活保護率が高くならないわけはないのである。

 山内氏は、そのうち大きな背景は3点であると考えているという。

 1点目は、第二次対戦末期の沖縄戦が地上戦で、子どもも巻き込まれたこと。沖縄戦では県民12万人が犠牲になり、人口比では4人に1人である。犠牲者を年代別に見ていくと、10歳未満が2万4000人、10代が2万人、20代が2万8000人。合計で7万2000人。死者の60%は20代以下だったということになる。

 この事実を山内氏は「これからを担う世代と子どもが数多く死んでいるんです」と伝えながら、写真を何点か紹介した。米軍が設置した孤児院に収容されている子どもたちが全員、子ども服が用意されていなかったために全裸でいる写真・下半身に着るものがない孤児院の男の子が、局所を隠すために脚を組んでいる写真。もちろん、住環境も行政機能も何もかも、戦争で失われた。役所が爆撃を受けて戸籍が消失したことによる問題も発生する中での「すべて焼き払われた中からの、ゼロからの出発」(山内氏)だったという。

 2点目は、米軍の統治が1972年まで続いたことである。まず、沖縄戦で孤児となった子どもたちを米軍は一時的に孤児院に収容したが、養育し続けるつもりはなかったらしく、その後は県内で引き取り手を探した。簡単な手続きで子どもたちは引き取られていき、「新たな悲劇」(山内氏)につながったという。

547とはずがたり:2015/12/20(日) 19:25:49
>>546-547
 子どもの育ちを守るための法制度整備の動きも、占領下の沖縄では遅れざるを得なかった。本土ではGHQの指令により、1947年には「保護を必要とする子だけではなく、すべての子どもが対象の素晴らしい法律」(山内氏)である児童福祉法が制定され、同法に関連して授産所・母子寮・児童館が開設された。家賃無料の母子寮の中に学童保育があり、働く母親の帰りを子どもたちが待つための場が設けられたりもした。

 しかし沖縄県では、すべてが1953年に琉球政府が成立して以後のこととなった。基地は作られたが、学校は毎年の台風で飛ばされる劣悪なもの。児童相談所の設置は1954年のことであった。この後、捨て子・家出児童・浮浪児・人身売買の問題が表面化する。子どもが米軍基地内の食糧を盗もうとし、射殺されたり軍法会議にかけられたりすることもあったという。人身売買や家出児童の問題1955年以後に増加した。山内氏は「引き取った孤児を育てられなくなったのでは」と見る。

 この他、本土では1956年に制定された売春禁止法が沖縄にはなかったことから、「性的問題児」も発生した。1969年に122件があったという。米軍相手の管理売春に少女が巻き込まれており、幸いに保護されれば、本人が「問題児」とされるのである。また青少年非行・長期欠席児童の問題も大きく、1964年には長期欠席児童が小中学合わせて913人。学校に行きたくても行けないことから「親のある孤児」と呼ばれていた。この時期、山内氏は高校生で、小学校にも中学校にも行けない子供がたくさんいることにショックを受けたという。

 山内氏は最後に、1972年の本土復帰後についても述べた。戦後27年間の格差是正のための経済復興計画に、実に8兆円が投入されたが、対象は主に「道路・ダム・箱もの」。沖縄の地元に還元されなかったため「ザル経済」と呼ばれ、その間にも子どもの貧困は深刻化し、格差は拡大していった。…

● 「大学生がまぶしかった」 貧困の連鎖から脱出しつつある女性

 現在の沖縄県が抱えざるを得ない構造的・歴史的な問題に引き続き、沖縄県の20代女性・Sさんの話を紹介したい。Sさんは2日目の2015年11月28日、「子どもの貧困」に関する分科会で、貧困家庭に生まれて乳児院・里親・社会的養護のもとで育った自らの体験を話した。7人きょうだいの6番目にあたるSさんは、小学4年だった10歳から大学生だった20歳までの時期を、兄姉・弟たち6人とともに養護施設で過ごすことになった。

 Sさんは、養護施設の学習ボランティアだった琉球大学の女子学生に、
 「きれいで優しくて、『大人になったら、あんなお姉さんになりたい』と憧れた」
 という。学校で「施設の子」と差別され、施設にもなかなか馴染めず孤立しがちだったSさんは、「話を聞いて、自分のために時間を使ってくれる、初めての大人」であったその女子学生に、多大な影響を受けた。女子学生は、小学生だったSさんに、
 「勉強すれば選択肢が広がる。あなたも選べるようになる。選べるようになるための力をつけよう」
 という言葉をかけつづけ、Sさんの大学入学後まで寄り添い続けた。Sさんは見事、琉球大学に入学した。

 ところが大学で思い知ったのは、「自分は困窮している」という事実だった。20歳までは施設にいられるものの、その後はアパート生活。生活のためにバイトが不可欠、多い時には4つのバイトを掛け持ち。同級生の多くは、親の援助があり、バイトをしなくても生活ができ、運転免許も自動車も親の援助で所有していたりする。Sさんは、
 「友達と遊べないし、飲み会にも行けない。同じ社会に生きているはずだけど、違う社会の気がしました。同じ琉大生だけど、同じ学生と思えなくなりました」

 という。Sさんはその後、いったん大学を除籍となったが、「その後」を気にし続けていた施設職員・経済的支援を提供してくれた人々などの人的・経済的援助のもと復学。しかし、やはり居心地の悪さがつきまとう大学生活だった。

 そのころ、生活保護を利用していた両親が病気で入院。兄姉たち・弟は、結婚した相手や子どもと一緒に生活保護を利用して暮らしており、両親のために動けるのはSさんだけ。必死の対応を続けているうちに、結局は退学に至った。…

 この後、バイトでの仕事ぶりを評価した上司から「正社員になっては」という話があり、現在のSさんは、沖縄県の大手企業に正社員として勤務を続けている。…

 Sさんに、紆余曲折はあったとしても正社員としての現在があり、希望と実現を積み重ねていけそうな将来があることを、私は心から喜びたいと思う。しかし、Sさんの現在は、幸運と本人の努力によってご本人一人にもたらされた例外的な「まずまず」である。どのような状況の子どもにも「希望に向かって歩む」が可能になるために、誰が何をすることが必要だろうか? 

みわよしこ

548チバQ:2015/12/21(月) 21:58:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151220-00000042-asahi-soci
「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
朝日新聞デジタル 12月20日(日)23時22分配信

「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
保育園が閉まる直前に駆け込む北海道の女性。「おなかすいた。早くおうち帰ろう」と息子たちは車へ急いだ=内田光撮影
■子どもと貧困 シングルマザー編

 ジリリリリリリン。

 午前5時45分、携帯電話のアラームが鳴り出す。聞こえてはいるが、体は鉛のように重い。5分後、また鳴る。10分後。3度目のアラームで、北海道に住む介護職の女性(43)は体を布団から引きはがす。

 高1の長女(16)は部活の朝練へ。女性は長男(6)と次男(2)に食パン1枚を半分ずつ食べさせ、保育園に送る。7時半には職場の介護つき住宅に着く。

 職場では一日中立ったり座ったり。病院や役所にも足を運ぶ。甲状腺に持病もあり、調子が悪い日は汗が止まらない。職場の食堂で午後2時に食べる200円の定食が一番まともな食事。朝は食べず、夜も自分はご飯と砂糖だけだ。

 保育園が閉まる直前に滑り込む。帰って夕食を食べさせ、午後10時までに寝かしつける。洗濯と翌日の夕食の準備をし、持ち帰った仕事をこなし、午前2時すぎに眠りにつく。

 長女を連れ27歳で離婚。資格を取って働けば安定すると思い、介護の職場で長くパートなどで働いた。月収は手取りで約18万円。別の男性との間に長男、次男が生まれたが、結婚はしなかった。子どもが小さいうちは夜勤をやめ、手取りは一時11万円に減った。

 今年10月、正社員になったが、月収はパートの時とほぼ変わらない。正社員は全員ひとり親。パートも含め、子どもの病気で急に休むことも少なくない。勤務変更に追われ、土日出勤も多い。

 そんな暮らしの中で、諦めさせたこともある。

 長女は小1から校区のミニバスケットボールチームに所属。全国大会に行くほどの強豪で、小5でレギュラーになった。月謝の4千円に加え、遠征費が年15万円以上かかった。他の親のように遠征に同行できない代わりにと、夜練習の送迎を任された。1年は踏ん張ったが、小5の3月、長女に伝えた。

 「全国大会行けるけど、うちは、これ以上は無理なんだよね。6年生から転校しない?」

549とはずがたり:2015/12/23(水) 16:46:45

就職率はハローワークの2倍以上 横浜のジョブスポット
http://news.goo.ne.jp/article/kanagawa/bizskills/kanagawa-34066127.html
12月20日 12:09神奈川新聞

 横浜市がハローワークと連携して生活保護受給者らを就労支援する「ジョブスポット」が各区役所内に順次開設され、就職率を着実に上げている。2015年度は60.7%(9月末現在)でハローワークの約2.6倍に上る。利便性の良さに加え、専門の職業相談員がマンツーマンできめ細かい相談に応じられることなどが要因。市は本年度中に全18区で設置を完了する。
 ジョブスポットは2013年にスタート。区役所内の一角にハローワークの職業相談員3人が常駐している。生活保護受給者らは、日ごろ相談を受けている区の就労支援専門員を通じて、最寄りのジョブスポットを利用できる。相談は原則予約制で週1回程度。自己分析や書類記入、面接のアドバイスのほか、事業所とのマッチングなども行う。
 市によると、ジョブスポットでの就職率は13年度が48%、14年度が56・5%、本年度は60%台と堅調に推移している。今月には港南区と緑区でスタート。残る西、金沢、南の3区も本年度中に開設する。
 就職率がハローワークに比べて高い要因について、港南区の男性相談員は、同じ担当者がマンツーマンで定期的に対応できるため、相互に信頼関係を築けることが大きいと指摘。一方、ハローワークの個別相談は予約待ちになることもあるという。男性相談員は「これまでの経験を生かし、相談者の特性を把握して一日も早く就職につなげたい」と話す。
 9日に行われた市会本会議で高橋徳美氏(自民党)の一般質問に対し、林文子市長は「区役所内に設置されているため、支援を受けている人が利用しやすい。(区の福祉サービスとジョブスポットによる)一体的な支援が実績に結びついた」と述べた。

550チバQ:2015/12/26(土) 12:46:34
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151226-00504429-shincho-soci
中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に いま政治家が取り組むべきは「中年フリーター対策」だ
デイリー新潮 12月26日(土)7時30分配信

 少し前まで夢ある子育て世代だったはずの中年の間に、フリーターが激増している。滅入る話は、そこに止まらない。彼らが老後を迎えたとき、一斉に「老後破産」状態に陥って、生活保護費が今の何倍にも膨らみかねないという。日本を覆すような話なのだ。ノンフィクション・ライターの白石新さんがリポートする。

 ***

 フリー・アルバイターを縮めた造語であるフリーターとは本来、少年や青年、いずれにせよ若者を対象とした言葉だったはずだが、最近、“中年”と呼ばれる世代のフリーターが激増している。

 彼らの収入は月15万から20万円程度と、生活保護受給者とあまり変わらず、家賃と光熱費を支払ってしまえば、やっと食べていける程度しか残らない。もちろん、年金を納める余裕などないし、それどころか、健康保険料すら支払えない。

 そんな人たちが増えているのはなぜなのか。そのことは近い将来、想像を上回る「老後破産」社会が到来することを暗示しているのではないだろうか。

■中年フリーター高田さんの場合

「不安は、ないんです。ただ……」

 と言葉を濁したのは、45歳になる高田淳史さん(仮名)だ。ある離島出身の高田さんは、高校卒業と同時に神戸にある石油関連企業に就職した。まだ、バブル真っ盛りの時代である。だが、それから数年して、

「阪神大震災があって、会社の先行きがあやしくなったんです。なにもかもが壊れてしまったあの地震のあとは、ぼくの価値観も大きく変わってしまって」

 勤め先の将来に不安をおぼえて退職し、東京に出てきたという高田さん。いったんは、ある会社に正社員として入社したものの、すぐに退職してしまった。それ以来、ずっとフリーターである。いろんな仕事をしてきたが、ここ5年ほどは、百貨店などの催事で使う冷蔵庫などの什器をリースする会社で働いている。といっても、日雇いである。おもな仕事内容は、冷蔵庫などの設営と撤去だという。

「早くて2週間前に、急なときは当日なんてこともありますが、会社から〈○月○日に○○百貨店○○店へ行けますか〉といった内容のメールが届くんです。自分の体力と相談して、1日にどれだけの仕事を掛け持ちできるか考えてから返信します。賃金は1現場につき4500円です」

 平均すれば、1カ月に30カ所ほどの現場を回る。4500円の“基本給”は1現場につき5時間までの金額で、労働時間がそれを超過すれば1時間1000円の残業代が支払われる。こうした合計で、手取りの月収は多いときで15万円ほどになるという。

「まず家賃を払います。次に光熱費。残りのお金でなんとか生活するという感じですかね」

 高田さんの自宅は東京都内にある。ひとり暮らしだから、なんとかギリギリの生活はできると語るが、

「蓄えはありませんし、年金も払っていません。病気になったりケガをしたりすれば、立ち行かなくなるのはわかっています」

 仕事は軽くない。生活にもまったく余裕がない。しかし、意外にも会社からは、それなりに“いい扱い”も受けているという。

「設営場所の周囲には高価なモノも置かれたりで、それなりに緊張感がある現場なので、なにも考えないで労働できる、というわけではないんです。それに、慣れる前に辞めてしまう人も多いだけに、長続きすると、会社も優先的に仕事を回してくれたり、仕事内容が比較的ラクなところを斡旋してくれたりするんです」

■ブラック企業の正社員にはならない
 会社から一定の評価を得ているのだろう。そうであれば、正社員にならないかと打診されたりしないのだろうか。

「そういう声をかけられることもあります。でも正直なところ、ぼくのような立場の、会社が責任を負わずにすむ人間を大勢雇っている会社は、本質的にブラック企業なんですよ。一部のポストに就ける人は潤っていますが、そうでない人は、精神を病むほど異常な量の雑務をやらされ、追い込まれているのを見ていますから。安易に正社員になったりすれば、それこそ病気やケガをするのと同じ結果が待っていると思います」

 そう冷静に分析する高田さんだが、その口調は重くはなく、意外なほど飄々としている。ただし、達観しているのではない。諦観しているのである。

「この時代にいまから正規雇用されることなんて、まずないと思っていますから。独身ですし、最後は国のセーフティネットに頼るしかないですよね」

551チバQ:2015/12/26(土) 12:46:56
■失われた20年で非正規雇用が爆発的に増加

 高田さんのような非正規雇用の、いわゆるフリーターが目立ちはじめたのは1990年代半ばごろのことだった。以来、その数は増えつづけている。

 厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、80年代半ばには十数%だったものが、今年は40%近くにまで達している。いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。

 労働経済ジャーナリストの小林美希氏によると、

「80年代後半、自由な働き方を示すものとして“フリーター”という言葉が誕生する一方、労働者派遣法などが改正され、企業が責任を負わずに簡単に労働力を確保できるようになりました。その後、折からのバブル崩壊で、93年大学卒業組からはじまる、いわゆる“就職氷河期組”がどっと社会に出ました。彼らが不本意ながら非正規雇用で就労した結果、非正規雇用者は爆発的に増えたのです」

 それから、およそ20年が経過したが、

「景気は回復せず、“失われた10年”が“失われた20年”になるとともに、フリーターたちは中年世代にさしかかっています。彼らの多くは、老後を考えて生活を変えたくても、いまの職場から動けないという状況におかれている。休んで収入がストップしたら、生活が立ち行かなくなるからです。ほかの可能性を考える精神的な余裕もなくなっています」(同)

■中年フリーター馬場さんの場合
 続いて紹介する馬場弘明さん(仮名)は、現在46歳。すでに同じ仕事を10年以上つづけている“熟練”の中年フリーターである。九州出身で、大学を卒業すると、いったんはコンピューター関連企業にSEとして就職したそうだが、

「企業体質が合わなくて、研修期間中にやめてしまいました。以来、フリーター暮らしで、もう15年間、空調設備のメンテナンスをやっています」

 メンテナンスと一口に言っても、その内容は細分化されており、およそ100項目にものぼるという。仕事に赴くのは都内が中心だが、時に地方への出張もあるそうだ。

「空調設備が置かれているのは、狭い場所がほとんどなので、無理な姿勢がつづくのがつらいですね。時間帯も、相手先の都合などによって早朝から深夜まで不規則なので、体力的には最近、かなりきつくなってきました。そのうえ老眼がすすんできたので、細かい作業の時は、目がつらくて本当に困ります。近視なのでコンタクトレンズを使っているのですが、老眼になると、近くを見るのが本当に難しくなるんです」

 そう言って笑う馬場さんの表情からは、苦悩が透けて見える。それでも、15年間、この仕事ひとすじに磨いてきた腕をもってすれば、それなりの見返りは得られるのではないだろうか。

「毎月、1カ月ほど前に提示される予定表に、働ける日を書き込みます。1現場あたり1万円の日雇いです。夜勤の時は1万2000円になりますが、体力的にきついので、あまりたくさんの仕事を詰めこむことはできません。毎月、だいたい12から13カ所の現場に出ていて、それでなんとか生活できる感じですかね」

 むろん、生活できると言っても、ギリギリである。

「年金も払ってないし、生活に余裕はありません。好きな音楽活動をつづけるためには、自由な働き方はいいんですが、時々、ひとりっきりになると、いろいろ考えますね。友人からはよく“孤独死するよ”と言われるんです」

 それでも馬場さんに、いまの生活を変えようという気持ちはない。

「実家の両親は、僕に結婚してほしいと思っているみたいなんですが、いまは交際している女性もいないし、結婚なんてまったく考えていません。この仕事をやめて、ほかになにかがあるという気もしませんね」

 そこまで語って、馬場さんはぽろっと漏らした。

「“日本は厳しいな”とは思います」

552チバQ:2015/12/26(土) 12:47:21
■簡単に立ち行かなくなる
 たしかに、日本の状況は日に日に厳しくなっているが、そのことは、中年フリーターの増加と軌を一にしていると言っていい。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、35歳から54歳までの非正規雇用者(女性は既婚者を除く)の数は今年、273万人を超えた。これは大阪市の人口を若干上回る数字である。前出の小林氏はこう指摘する。

「デフレがつづいているかぎりは、彼ら中年フリーターも、たとえギリギリであっても、衣食住をまかなって生活を維持することができます。しかし、一度物価が上昇すれば、たちまち立ち行かなくなります。それに、いまは働いているからなんとか生活できていても、老後になればすぐに限界が訪れます。たとえば、健康保険料を払っていないから、体調を崩してもなかなか病院に行かない。病状が悪化してようやく医者にかかったときには、自己負担の医療費が大きくのしかかってくる。年金も払っていないから受給できません」

 その結果、どうなるのかと言えば、

「将来、生活保護などの社会保障費が、爆発的に増えることになってしまうと思います」(同)

■中年フリーターの増加で生活保護費が5倍に

 まさに「老後破産」へと向かってひた走っている感のある中年フリーター。これまで時代に翻弄されてきた彼らだが、将来、「老後破産」を迎えるようになった時、日本の社会保障費はいったいどれほど嵩むことになるのだろうか。小林氏はこう予測する。

「2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう」

 ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。17兆円といえば、先ごろ新規上場した郵政3社株の時価総額と、ほぼ同額であるが、それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だと言ったほうが、より衝撃的かもしれない。

 それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの“老後破産対策費”と呼ぶべきものなのである。

■非正規雇用者を正社員にできないのか? 
 ところで、先に紹介した2人の実例には、驚かれた読者も多いと思うが、

「1カ月で十数万円稼げる中年フリーターは、実はまだ勝ち組なんです」

 そう語るのは、一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英氏である。不登校、ニート、引きこもりから貧困問題まで、長年、子どもや若者の支援活動に従事してきた田中氏は、中年フリーターに接して、こう実感するという。

「ようやく仕事に就けても、時給800円程度のアルバイト。グローバリゼーションのなかで、一度この流れにはまってしまったら、もう正社員にはなれないし、月収が手取り15万円を超えたらラッキー、という人々が、非正規雇用者のなかにはかなりいます」

 このような流れを変えるべく、行政も取り組みはじめてはいる。たとえば東京都は、今年から「東京しごと塾〜正社員就職プログラム〜」を開始した。30歳から44歳という、まさに中年フリーター世代を対象に、3カ月の職務実習を経験させ、正社員として働けるようにうながす、という支援活動である。

 それに対して、前出の小林氏は、

「企業にとって、非正規雇用の労働力はメリットが大きく、大幅に控えることはできませんが、その一方で、雇用の分かれ目が人生の分かれ目になっているのが現状ですから、行政が乗り出して正社員化をうながすことは必要でしょう」

 と、一定の評価をしながら、続けてこうも言う。

「こうした支援に積極的に参加できるのは、おそらくなんらかの方法で、自ら現状を打開できるような人が多い。ですから、むしろこうした取り組みに挑めない人を支援する方法がないかぎり、中年フリーターが減るようなことにはならないと思います」

553チバQ:2015/12/26(土) 12:47:42
■最後は国のセーフティネットに

 このままでは中年フリーターと、彼らが行き着く将来の「老後破産」は、増える一方にならざるをえないのか。冒頭で高田さんが「不安は、ないんです」と言って言葉を濁したことに触れたが、彼の言葉は、実はこうつづいていた。

「なんというか、本当に不安は、意外なほどないんです。ただ、それ以前に、希望が、ない」

 その言葉を、田中氏はこう読み解いた。

「いまの若者は、たとえ低収入でも幸福感をおぼえている人が多い。一方、バブルの時代に、それを享受していなくても、少なくとも空気に触れた経験がある人たち、つまり、主として就職氷河期世代の中年フリーターは、いまの日本を見て絶望してしまうんです」

 激増する中年フリーターたちは、こうして絶望しながら「最後は国のセーフティネットに頼る」という流れに逆らえずにいる。このままの状態がつづけば、彼らはそう遠くない将来、具体的にはあと20年もすれば、一斉に「老後破産」状態に陥ることになるだろう。

 だが、そうなったときには、「希望」は中年フリーターのみならず、この国に暮らすあらゆる人たちの前から失われてしまいかねない。だからこそ、いま国家が、政治家が急いで取り組むべきは、中年フリーター対策なのである。

「特別読物 急増の『中年フリーター』で空前の『老後破産』――白石新(ノンフィクション・ライター)」より

白石新(しらいししん)
1971年、東京生まれ。一橋大学法学部卒。出版社勤務をへてフリーライターに。社会問題、食、モノなど幅広く執筆。別名義、加藤ジャンプでも活動し、マンガ『今夜は「コの字で」』(原作)がウェブ連載中。

「週刊新潮」2015年12月24日号 掲載

554チバQ:2015/12/27(日) 22:53:05
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213139
【貧困の現場から】(1) 母と子3人、所持金200円
2015年12月15日12時30分 (更新 12月15日 13時00分)
 街がイルミネーションで彩られ始めた11月中旬の夜。九州のある街で、母の梓(42)と小学6年の美雪(12)、小3の直樹(9)、小2の沙織(8)=いずれも仮名=の3きょうだいが「子ども食堂」ののれんをくぐった。
 入るとき梓は少しうつむいていた。子どもたちを「ただで食べられるレストランがあるんだ。ママも料理作らなくて楽だから行こう」と連れ出した。「家が貧乏だと思われたくない」から、ごまかした。子どもたちは、食堂の和室に座ると「レストランじゃないじゃん」と口をそろえた。
 でも、ミンチカツの載ったカレーライスとナシが運ばれると、子どもたちは「すごーい、ナシだよ。カレーだよ」と声を上ずらせた。無言でカレーをかき込み、カチカチとスプーンが皿に当たる音が響いた。
 元気な声で「おかわり!」。美雪は3杯、直樹も2杯をたいらげた。「おなか、ぺこぺこで来たんです」と梓は涙声になった。
 来たときは緊張した様子だった子どもたち。カレーを食べ終わると、沙織が「しちろく しじゅうに」と学校で習ったばかりの九九を唱え始め、みんなの笑い声が上がった。久しぶりのだんらん。「おなかも心も満たしてもらった」と梓は感謝した。
   □    □  
 夫とは数年前に離婚。パート従業員としてスーパーで働き、賞味期限が切れた食品をもらっていたため、食べるものには困らなかった。
 ところが夏にスーパーが突然閉店し、働き口を失った。貯金もなく、月に16万円あった収入は10万円程度の失業保険だけになった。
 就学援助を受けて小学校の給食費は免除されているが、アパートの家賃に光熱費、持病を抱える子どもの通院代などの支払いは待ってくれない。豆腐ばかりの鍋やキャベツの千切りで我慢し、食費を節約してぎりぎりの生活を続ける。
 子どもたちは、給食以外に食べ物を口にできない日もあり、「おなか減ったよ」と繰り返した。
 そんな時、インターネットで子ども食堂の取り組みを紹介する本紙の記事を読み、「自宅近くにもないか」と探して見つかった。すがる思いで運営者にメールを送った。「財布に小銭しかなく、悩んでいます。子どもたちだけでもご飯を食べさせてください」
 初めて子ども食堂に来た日、梓の財布には200円ほどしか入っていなかった。
   □    □   
 「またレストランに行こうね」「今度はどんなごちそうが出るのかな」。子どもたちも食堂を気に入った。あれから何度か通い、古米をリュックサックいっぱいに詰めてもらったこともあった。美雪が熱を出して寝込んだ時は、家で雑炊を食べさせることができた。
 だが、失業保険はあと数カ月で切れる。来年、美雪は中学生になり学費もかさむ。せめて高校までは行かせたい。美雪と直樹が夢中になっているサッカーも月に4千円ほどかかるが、続けさせてあげたい。
 ハローワークで再就職先を探す日々。子育ての制約があり条件がなかなか合わない。ほかの公的支援が受けられないか福祉関係者に相談しながら、なるべく早く生活を立て直したいと思っている。
 「子ども食堂に偶然出合えて、ありがたい。生活が安定したら私が子ども食堂に寄付して支えたい」
 この子ども食堂が開かれるのは週に1度。梓のような親子のほか、住む家がない少女、子どもたちだけで暮らす少年たちが訪れ、寄る辺ない生活の中でひととき、空腹を満たす。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/15付 西日本新聞朝刊=

555チバQ:2015/12/27(日) 22:54:04
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213343
【貧困の現場から】(2) 公園で夜風に凍えた16歳
2015年12月16日 12時00分
 11月の夜風にさらされ、公園のベンチで震えていた。福岡県内に住む優(19)=仮名=は16歳だった3年前、公園で寝泊まりするホームレスになった。
 朝起きると当てもなく街を自転車でさまよう。夕方には高校に通う中学時代の友人と合流して遊ぶ。友だちが帰った後は、公園のテーブルに突っ伏して眠った。
 怪しまれないよう、近くの三つの公園で順番に寝泊まりした。風が強い日はトイレの壁際でうずくまる。おなかがすけばコンビニでおにぎりを盗んだ。ジャンパーとジーパンは着たきりだったが、下着だけは友だちが時々、洗濯してくれた。約60キロあった体重は1カ月で50キロを切った。
 「もう限界だ」。わざと事件を起こして、温かいご飯と寝る場所がある少年院に逃げ込もうと考え始めた時、見かねた地元の先輩(22)が手を差し伸べた。
 「俺の家に来い。遠慮しないで甘えろ」
    ◇   ◇
 床一面に弁当の空き容器や服が散乱し、食べ残しの酸っぱいにおいが鼻を突く。大量のコバエが部屋を飛び回る。小学生のころの優は、自宅だった市営住宅の押し入れに隠れて、毎日のように泣いていた。
 物心が付いたころから両親は離婚し、母は家にいなかった。父と、10歳以上離れた「腹違い」の兄の3人暮らし。父はわずかな収入もパチンコにつぎ込み、兄を殴ってはバイト代を奪っていた。「夕食も朝食も食べられず、学校の給食しか口にしない日が珍しくなかった」と振り返る。
 家に帰るのが嫌で暗くなるまで校庭で遊ぶ優に、事情を知る先生がこっそり給食のパンをくれたり、「ごみ屋敷」のような自宅を片付けに来てくれたりしたこともある。同級生の家に泊めてもらうことも多かった。お風呂と温かい夕食はうれしかったが、「俺んちがいかに駄目かを思い知らされた」。
 母と会えるのは年に1度、運動会の時だけだった。
    ◇   ◇
 中学に上がったころ、父が事故で働けなくなり、里親の元へ。居心地が悪く、中2の時に暴走族に入る。高校受験にも失敗。里親も手を焼き、16歳の春、児童相談所の仲介で再婚していた母に引き取られた。
 初めて暮らした母は豊かな生活ぶりで、広いマンションに高級バッグや時計がたくさんあったのを覚えている。当たり前のように与えられた1日3食と自分の部屋。だが、「勉強して高校に入れ」と繰り返す継父になじめず、2人の義弟妹にも気後れした。わずか1カ月で母の家を出た。
 所持金1万2千円はすぐに底を突く。「初めは友人宅を泊まり歩いたが、すぐに行き場がなくなった」。廃業した観光ホテルに忍び込み、寝泊まりしたこともある。やがてたどり着いたのが公園だった。
    ◇   ◇
 優はいま、少年の立ち直りを支援する団体の紹介で、契約社員として小さな事業所で働く。朝8時半から夜9時まで働き、給料は手取りで約20万円ある。義兄と2人でアパートも借りた。
 1カ月前、上司から「正社員になるチャンスがある」と告げられた。あの時、先輩から救われ、支援団体とも出合い、どん底から助けてもらえた自分は幸運だと思えるようになった。
 「今まで、その日生きていればいいという気持ちしかなかった。彼女もできて、ちょっとだけど、家族を持つことも考え始めた。子どもには自分のような経験を絶対させたくない。だから、正社員になりたい」
 かつて寝泊まりした公園で優は力を込めた。
 ひとり親家庭と離婚 ひとり親家庭となる原因の8割は離婚。厚生労働省の調査によると、年間の離婚件数は1950年代は7万台で推移していたが、2002年の約29万をピークに、14年も約22万2000と高い水準にある。11年度の調査で、母子家庭は約124万世帯、父子家庭は約22万世帯。一般世帯の男性の平均給与所得(10年)は507万円だが、母子家庭の母親の平均年間就労収入(11年度)は181万円。母子家庭の場合、パートやアルバイトなど非正規の割合は47.4%に上る。父子家庭の父親も360万円にとどまる。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/16付 西日本新聞朝刊=

556チバQ:2015/12/27(日) 22:54:49
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213774
【貧困の現場から】(3) 支援つながり母子再起
2015年12月18日 12時00分
 中学1年の海斗(13)は学校を休んで毎日、母陽子(46)の世話をし、料理を作り、洗濯もした。「お母さん、俺がおらんとトイレもいけんから」
 小5の美咲(11)=いずれも仮名=も学校に通いながら手伝った。陽子は重い糖尿病を患い、動けなくなっていた。収入は途絶え、冷蔵庫にあるのは卵とふりかけぐらい。海斗が安いもやしを炒め、美咲は文句も言わず我慢した。
 昨年暮れから今年春にかけ、母子3人の暮らしは追い詰められていた。
    ◇   ◇
 陽子は20年以上看護師として働き、建設関係の仕事をする夫と4人で普通に暮らしてきた。暗転したのは4年前に陽子の実父が亡くなってからだ。
 実母に認知症の症状が出始め、世話が必要になった。陽子自身も持病の糖尿病が悪化し、3年前、患者を抱えるような力仕事が難しくなり、仕事も辞めざるを得なくなった。
 同じころ、夫は酔うと陽子に手を上げるようになり、生活費を渡すこともほとんどなくなった。自宅マンションを売却したが、ローンの借金が残った。陽子はスナックでアルバイトし、何とか生活費や教育費を稼いだ。
 糖尿病のためインスリンを1日4回注射していたが、自己負担は月に2万数千円。どうなるか分かっていたが、お金がなく、注射をやめた。
 今年正月を迎えるころには足が痛くて外出もままならなくなり、スナックも辞めた。住民税も滞納し、1年近く支払いが滞っている水道がいつ止められるか-。
 「もう、母子で心中するしかないのか…」
 今年6月、陽子はつえをつきながら町役場の窓口を訪ねた。生活保護の受給を相談するためだ。
 「ここでは何もできませんよ」。役場の担当者からは受給資格がないと告げられた。代わりに、施行したばかりの生活困窮者自立支援法に基づいて、行政から相談業務を委託された民間団体の連絡先を教えられた。
 「生活保護も受けたいし、病院にもかかりたい」。陽子はすがる思いで民間団体を訪ねた。
    ◇   ◇
 対応は素早かった。困窮者に無料で食料を提供する福祉団体を教えてもらい、その日のうちに米などを受け取ることができた。
 離婚は成立したが、陽子には行き場がなく、前夫との同居を余儀なくされていた。これが、生活保護受給の妨げとなっていた。団体の担当者は初期費用なしで入居できるアパートを紹介し、すぐに母子で転居した。
 保護の申請方法も、身体障害者手帳の受け方も、担当者が付きっきりで教えてくれた。間もなく生活保護の受給が始まった。
 医療費の自己負担分も免除され、糖尿病の治療を再開させると足が少しずつ動くようになってきた。美咲が熱を出しても看病もできる。海斗は「料理の道に進みたい」と夢を口にするようになった。
 自立支援法は4月に施行されたばかり。従来のセーフティーネットでは網からこぼれ落ちていた母子は、ぎりぎりで救われた。
 「もしこの団体に出合わなければ、本当に心中していたかもしれない。私のように、どこに相談していいか分からない人は少なくないのでは」と、陽子は同じ境遇の人を思いやる。
 かつては家事もできなかったが、九州北部の町にある2DKの部屋は今、掃除が行き届く。「普通の生活がありがたい。海斗と美咲が元気であれば十分です」。母子3人は前を向き、新たな歩みを始めている。

 生活困窮者自立支援法 家計が苦しい人の生活再建を支援する制度を盛り込み、「第2のセーフティーネット」と呼ばれる。各県や福祉事務所を持つ自治体に、就労や住居など幅広い相談を引き受ける総合窓口を設置するのが柱。自治体が直接実施するケースと、民間団体などに委託するケースがある。
 ほかにも、子どもの学習支援や親の就労準備支援などのメニューもあるが、各自治体で差があり、支援の質の向上が課題だ。総合窓口の連絡先は自治体に問い合わせれば分かる。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/18付 西日本新聞朝刊=

557チバQ:2015/12/27(日) 22:55:43
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213997
【貧困の現場から】(4) 未婚の母夜の街に生きる
2015年12月19日 12時00分

 夜も9時を回ると、通りにはミニスカートのキャバクラ嬢や黒服のボーイが立ち始める。
 福岡県警の捜査員が踏み込むと、店内では16歳の少女が接客していた。県警は先月、福岡市内のスナック経営者を風営法違反(無許可営業、年少者雇用)の疑いで逮捕した。珍しい事件ではない。
 「今は暴力団対策の影響で警察の取り締まりが厳しく、未成年者は無許可の店で働くしかない」。九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の事情通はこう明かし、「そういう子たちは18歳を過ぎて、九州各地から稼ぎのいい中洲のキャバクラに出てくる」と声を潜めた。
 そんなとある盛り場の一角。ラウンジのボックス席で奈央(仮名)は焼酎の水割りを作っていた。
    ◇   ◇
 「君、いくつ?」
 「21でーす」
 正直に答えられるようになったのは最近のこと。5年前、16歳から歓楽街で働いてきた。「ハタチ」と偽って。時給は2千円。客の勧めで酒を飲めば「ドリンクバック」は1杯200円、「同伴出勤」すればさらに加算され、一晩で1万5千円以上になる。
 奈央が小学2年の時、父親の暴力に耐えかねた母が自分と弟の手を引き、家を出た。縁もゆかりもない土地で、母は飲み屋で働き2人を育てた。奈央には、貧しかったことと、学校で方言が分からず苦労した記憶がある。
 中学入学後に母は再婚。継父は優しかったが、新しく弟や妹が生まれると、奈央は「居場所がない」と感じるようになった。友達の家を転々とし、中学卒業後、ラウンジでアルバイトを始めた。
 17歳のとき、同じ年の恋人との子を妊娠。中学時代に2度中絶手術をしており、「もうおろしたくない」と出産を決めた。客には「カクテルいただきまーす」と言いながらジンジャーエールを飲み、おなかの膨らみを隠して妊娠8カ月まで店に出た。
 女児を出産。恋人とは別れ、ラウンジは週2日に減らして居酒屋、エステ店、祭りの夜店と四つの仕事を掛け持ちして娘を育てる。「ほんとはもっと一緒にいたい。超かわいい。まじ親ばかになります」
 娘は昼は保育園、夜は近くに住む祖母宅で過ごす。生活保護で暮らす祖母も余裕はなく、「おむつ代」として月4万円渡す。残った分は娘の将来のために貯金に回す。もし祖母が体を壊したら、貯金が底を突いたら-。そんな不安が時折頭をもたげるが「立ち止まってはいられない」。
    ◇   ◇
 奈央が働く盛り場には、中卒で働き、10代で出産したシングルマザーが少なくない。彼女たちの多くもまた、母子家庭育ちだ。
 行き場のない少女を、時に法を犯しながら受け入れる夜の街。「みんな頑張って育ててる。でもどうしても駄目で、乳児院や児童養護施設に預けた人もいます」
 出勤前、アイラインを強調したメークの奈央に、3歳の娘が「ママー」と無邪気に駆け寄った。
 若年出産と貧困 人口動態統計によると、2014年の出生児のうち母親が10代なのは1万3011人(全体の1.3%)。その約8割は婚前妊娠。労働政策研究・研修機構の調査では、出産年齢が若いほど母子世帯、低収入となる割合が高い。子の養育環境も厳しいことが予測され、児童虐待が起きやすいと指摘される。
 DV被害者や子どもの支援に取り組む北九州市のNPO法人「FOSC」によると、貧困家庭で育つ少女は生活のために歓楽街に働きに出て、若年出産する傾向がみられる。野口真理子理事長は「寮を完備し、孤立した少女を迎えている性産業もある。彼女たちがそこに流れざるを得ない現状を改めなければ、貧困の連鎖は止められない」と指摘する。
 関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/19付 西日本新聞朝刊=

558チバQ:2015/12/27(日) 22:56:24
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/214350
【貧困の現場から】(5) 引きこもり15歳「夢ない」
2015年12月21日 17時00分


中学卒業資格で働ける求人情報を検索する彩と母親。条件に合うものはなかなか見つからない
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 彩(15歳、仮名)は毎日昼すぎに万年床から起き出す。母と2人、九州のある街に暮らす。自宅アパートは2DKで家賃4万5千円。収入は母が受給する生活保護費と児童扶養手当などの約16万円だけだ。
 毎朝、母が中学校の担任教諭に「今日も休みます」と電話を入れる。学校からは、そろそろ進路を考えてと言われている。
 しかし、もう2年間も学校に行っておらず、公立高校は受かりそうもない。私立は経済的に難しい。「小学生のころはイラストレーターになりたかったけど、もう忘れちゃった。将来の夢なんて、ない」。彩は、衣類や雑貨が積み重なり、足の踏み場もない部屋で力なく語った。
    ◇   ◇
 彩が記憶をたぐる。小学校低学年のころは幸せだった。父は会社に勤め、マンションも買った。
 だが、やがて父の母に対する暴力が始まり、それは激しくなる一方だった。「夜、ふすまが飛んできても目をつぶり、寝たふりをした」。父はギャンブルにも手を出し、約500万円の借金を抱えて自己破産。心を病んでしまった母は、彩が小学3年の冬に1人で家を出た。
 父はタクシー運転手となったが、手取りは10万円前後。家事を全くせず、食事は彩が見よう見まねでカレーやパスタを作った。そうしないと生きていけなかったから。家にはごみが散乱。頭にシラミが湧いていることに気付いた先生が、見かねて家の掃除に来たこともある。
 小5の春、親戚の家に引き取られることになり、クラスでお別れ会まで開いてもらった。だが親戚間でもめて、話が立ち消えになると「いまさら学校に行けない」と登校しづらくなった。その年の冬から小6が終わるまでは、ずっと学校の保健室通い。中学生となり、数カ月は教室に通ったがなじめず、以来ずっと引きこもったままだ。
    ◇   ◇
 中学進学と同時に、生活保護の受給が決まった母と一緒に暮らし始めた。母の精神状態は安定せず、パニックを起こして児童相談所の一時保護所に入れられた時は「捨てられた」と怖かった。
 母からは「あんたは私を恨んでいるんやろうね」とよく言われる。「恨みはない。母も大変だったのは知ってるから」。母が、自分を置いて家を出たことに苦しんでいるのを、彩は分かっている。一方で「大人は勝手だ」という拭いがたい不信感もある。
 彩は先日、がんばってハローワークに行き、「定時制高校に通いながらできるバイトを探したい」と相談した。この家を出て、アルバイトしながら学校に通いたい。そうしないと、このまま一生抜け出せない気がするからだ。
 しかし、職員からは「引きこもりなのに働けるの」と言われた。何も言い返せず、落ち込んだ。「将来」が見えないまま、彩は今日も、散乱した部屋の中で過ごす。
 精神疾患と貧困 精神疾患と貧困 貧困の背景には、ひとり親や低学歴、非正規雇用などさまざまあるが、病気で働けなくなった結果によることも少なくない。特に親に精神疾患などがあり、適切な支援が受けられなければ、子どもの生活や命にまで影響を及ぼしかねない。
 厚生労働省が2005年1月〜14年3月に子どもが虐待死した777事例を分析したところ、実母に「育児不安」があった事例が25%、「精神疾患」と「うつ状態」がそれぞれ15%(複数回答)みられた。
 一方、東京都の05年の調査では、育児放棄などの児童虐待が行われた家庭のうち、3分の1が貧困状態だったことが分かっている。子どもを守る観点から、精神科などの医療機関と保健所、生活保護担当部署、学校、児童相談所など相互の連携が求められている。
=2015/12/20付 西日本新聞朝刊=

559チバQ:2015/12/27(日) 22:57:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/214349
【貧困の現場から】(6) 働きづめが「養育放棄」に
2015年12月21日 17時00分
 麻衣(34)=仮名=は毎朝、小学生の3人の子どもを学校に送り出す時、千円札をそれぞれに渡す。午前中はコンビニのアルバイト。午後からはパチンコ店で働く。仕事が終わるのは毎日未明だ。休みはほとんどない。
 小学4年の聖也(9)、3年の広志(8)、1年の恵美(6)=いずれも仮名=は学校から帰ると、テレビを見て時間をつぶし、コンビニやスーパーで弁当を買って夕食を済ます。子どもたちだけでスープを作ることもあった。心配した担任の先生が時々様子を見に来た。母が帰るころには、3人とも眠っていることが多かった。
 2年ほど前に離婚して以降、こんな生活が続いた。
    ◇   ◇
 麻衣が無理をして長時間働くのには理由がある。かつて生活保護を受けていた時、役所の担当者から「ゲームなど売れるものは全部売ってください」と繰り返し言われたからだ。自分が働けば子どもたちが窮屈な思いをしないで済むと考えた。
 だが、働き始めてしばらくすると、子どもたちは親がいない家を抜け出し、深夜のスーパーやコンビニ、ゲームセンターをうろつくようになる。遠い母の勤務先の方向に足が向いていることもあったという。
 聖也が同級生の所持品を勝手に家に持ち帰り、麻衣は学校から呼び出された。そして今年の春、聖也はぬいぐるみを万引し警察に補導された。
 通告を受けた児童相談所の担当者が麻衣たちのアパートのドアを開けると、部屋にはペットボトルが散乱し、弁当の空き箱が押し入れの中にまで積み重なっていた。子どもたちはほとんど風呂に入らず、着替えもせずに寝起きしていた。
 収入は20万円以上。生活保護よりも多かったが、一日中働いた麻衣には家事をする余裕がない。児相は「養育放棄」と判断し、子どもたち3人は施設で一時保護された。
    ◇   ◇
 広志が算数の問題を解き、ボランティアの大学生と答え合わせをする。聖也と恵美は、同年代の子どもたちとのおしゃべりに夢中だ。母子4人はこの秋、九州南部のある街のアパートで生活を再スタートした。子どもたちは、地元のNPO法人が運営する学習支援の会に通う。
 一時保護された後、児相は子どもたちを里親に預けるか児童養護施設に入れようとしたが、旧知の支援者が自宅に母子を引き取った。支援者の家族が、麻衣に料理や掃除、洗濯の仕方を教えた。
 当初、子どもたちは支援者宅でお金を盗むこともあった。子どもたちが通う小学校の先生は支援者宅を訪ね、定期的に子どもの状況について情報交換した。学校では校長や担任らが3人を見守った。
 生活保護を申請する際には、校長が役所に「母親には当面、仕事より子どもとの生活を優先させてほしい」と頼んだ。受給が決まり、しばらくは子育てに専念できる環境が整った。
 多くの人に見守られながら支援者宅で数カ月間暮らすうち、子どもたちの表情は目に見えて明るくなり、問題行動もなくなった。「ぬいぐるみを万引したのも寂しかったからだろう」と、支援者は思いやる。
 3人とも勉強する習慣が付いておらず、学習支援でもボール遊びをしてしまうこともある。ただ、いすに座る時間は少しずつ長くなってきた。「子どもが宿題をするようになった」と麻衣は喜ぶ。
 その麻衣も、掃除、洗濯ができるようになった。子育てと家事のバランスを取りながら、母子で生活再建を目指す。「次は無理のない範囲で働き、生活したい」。そう再起を誓った。
 無料塾と学習支援 無料塾と学習支援 文部科学省が2014年に公表した調査結果では、学習塾や習い事などへの年間支出額(学年別)は、公立学校では中学3年が最多で36万4000円、私立学校では小学6年が最多で72万4000円に上る。受験競争が過熱する一方、貧困世帯の子どもたちが取り残される「教育格差」の拡大が指摘される。一方、各地の自治体やNPO法人が相次いで無料や低料金の塾を開設し、ボランティアの元教師や大学生らが勉強を教える活動が広がっている。4月に施行した生活困窮者自立支援法の事業としても、自治体や、自治体から委託を受けた団体が困窮家庭の子どもへの学習支援を実施できるようになった。
 =おわり
=2015/12/21付 西日本新聞朝刊=

560チバQ:2015/12/27(日) 22:58:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/206287
子どもに居場所を 善意の食堂、九州にも広がる
2015年11月10日 11時14分
連載「子どもに明日を」
子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市
子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市
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 経済的貧困や親のネグレクト(育児放棄)など、さまざまな事情で十分な食事を取れない子どもたちのための「子ども食堂」が、九州でも広がっている。ひとり親世帯の3割が経済的理由で食料を買えなかった経験がある、との調査結果もある。気軽に立ち寄って、悩みを相談できる居場所づくりを兼ねている場所も多い。だが、運営は自費や寄付で賄うところが大半だ。善意が、子どもたちの空腹を満たしている。
 「おかわり」「僕も」。ちゃぶ台を囲んだ子どもたちが元気な声を上げる。10月25日、福岡県久留米市の「くるめこども食堂」。商店街のイベントスペースで8月に開設され、毎月最終日曜日にカレーライスを提供している。子どもの負担は300円だが、絵を描いたら100円引きで、おかわり自由。この日は約40人に100皿を提供した。4皿平らげた母子家庭の子どももいた。
 運営する河野大助さん(38)は子どもたちにあえて事情は聞かない。「自分が子どものころは近所のおっちゃん、おばちゃんが何も聞かずに世話を焼いてくれた。そんな大人が必要」と思うからだ。
 子ども食堂は2012年8月に東京都大田区の青果店が始めた取り組みで、全国に広がっている。河野さんは今年7月、ニュースで取り組みを知り、電気やガスも止められ、満足な食事にありつけなかった自分の少年時代を思い返した。
 「同じようにおなかをすかせた子は今も大勢いる。見過ごせない」。支援者などから野菜の提供を受け、足りない分は自費で運営を続けている。
 国立社会保障・人口問題研究所の12年7月の調査によると、子どもを抱え、過去1年間に経済的な理由で食料が買えなかった経験のある世帯は、ひとり親世帯で32%、両親がそろう世帯でも16%に上る。福岡県の教育関係者は「給食頼りの小中学生で、夏休み明けにげっそりとやせてくる子もいる」と明かす。
  ◇  ◇  ◇
 長崎市の中心街近くのうどん屋を改装した「夢cafe…ひまわり」。昨年11月から、毎週木曜日の午後6時半〜9時にカレーを無料提供している。「今日初めてのごはん」とうれしそうに食べる子どももいる。今月5日夕、記者が足を運ぶと、女の子3人が黙々とカレーを食べていた。
 自費で運営している川井健蔵さん(68)は、子どもから相談を受け、学習会も開いている。「問題山積の子どもにも夢や目標を持ってほしい。必要な支援へと、子どもをつなげる場を目指したい」
 福岡市博多区の板付北公民館では、食育活動などに携わる人たちが今月28日から、毎月第4土曜日に昼食を出す準備を進める。子どもが持ち寄る200円と公の基金を活用するという。
 若者の貧困や孤立問題に取り組んできた、福岡市の一般社団法人「ストリート・プロジェクト」も昨年4月から、JR博多駅前のマンションで15〜25歳を対象に無料で食事を提供。支援者が寄付した食料を利用したり、古本の売却益を活用したりして賄い、これまでに31人が利用した。
 坪井恵子理事長(55)は「ここに来る子たちは虐待など重い課題を抱えているが、まずはおなかを満たしてほっとしてもらわないと本音も聞き出せない。『ご飯を与えれば解決』ではなく、長い目で多方面から支援していきたい」と語った。
=2015/11/07付 西日本新聞朝刊=

561チバQ:2015/12/27(日) 23:10:37
http://www.asahi.com/articles/ASHD36QRRHD3UUPI001.html
ひとり親 波打つ収入、綱渡り 児童扶養手当4カ月ごと
錦光山雅子2015年12月27日09時49分
困窮するひとり親世帯への公的手当は、数カ月分がまとめて支給されるため、家計に激しい収入の波をもたらす。その支給方法によって、貧困から抜け出せなくなる家族の姿を追った。

 大阪府の30代女性は11日、中学生の長男と外へ出かけ、串揚げを食べた。

 この日は待ちに待った、児童扶養手当の支給日だ。約17万円が振り込まれた。前日まで所持金数百円。1週間近く、ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいできた。

 昨年末、体の不調で失業。今は月5万円の養育費と、2、6、10月に入る児童手当(4万円)と、4、8、12月に入るひとり親世帯が対象の児童扶養手当で暮らす。手当の入る偶数月と入らない奇数月で、収入は激しく波打つ。

 電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に支払うのも、手当の支給日だ。これで手当の半分が消える。

 手当で一息つくものの、長くは続かない。どの料金を滞納するか払うかで、じきに頭がいっぱいになる奇数月が、やって来る。「手当の支給前が、一番しんどい」

562名無しさん:2015/12/31(木) 09:41:58
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151231/k10010357381000.html
子ども貧困対策の基金 寄付呼びかけ強化
12月31日 5時01分

政府は、子どもの貧困対策を強化するため、子どもたちを支援しているNPOなどを助成する基金を創設しましたが、これまでに集まった寄付は600万円余りにとどまっていて、今後、企業などに対し寄付の呼びかけを強化していくことにしています。
政府は、いわゆる貧困状態の家庭における17歳以下の子どもの割合が、統計を取り始めた昭和60年以降、もっとも高い16.3%となっていることなどから、子どもの貧困対策を強化するための基金を創設し、集まった寄付の総額に応じて、助成する団体の数や助成額を検討することにしています。
しかし、基金の創設から2か月余りたった今月22日の時点で、寄付の総額は644万円5641円にとどまっています。寄付の内訳は、個人が218件だった一方、企業は4件となっていて、政府は、基金の創設に経団連の幹部ら財界人も関わっていることを踏まえ、今後、直接、企業を訪問するなどして寄付の呼びかけを強化していくことにしています。
内閣府の担当者は「寄付が十分に集まらなければ来年度の助成事業を十分に行えなくなる可能性があり、多くの人に関心を持ってもらい寄付を増やしていきたい」と話しています。

563チバQ:2016/02/08(月) 20:20:33
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160208-00000012-sasahi-soci
増殖する「中高年派遣」34万人の悲鳴 法改正を逆手にとった「派遣切り」も〈AERA〉
dot. 2月8日(月)16時12分配信

増殖する「中高年派遣」34万人の悲鳴 法改正を逆手にとった「派遣切り」も〈AERA〉
中高年の男性派遣社員が就けるのは現場の仕事ばかり。Cさん(54)は、写真の安全靴とゴム手袋を使って倉庫内でピッキング作業をする(撮影/写真部・植田真紗美)
リストラなどで増え続ける中高年の派遣社員。その数は34万人と、派遣全体の約3割に達した。人格まで否定されるブラックな現場では、法改正を理由にした雇い止めの動きも出始めている。(編集部・野村昌二)

「じゃあ、いつ辞める? 今月? 来月?」

 関東地方の派遣社員の50代男性Aさんは昨年9月、職を失った。その約1カ月前、派遣先のリーダーの男性社員(40)に事務所内のロッカールームに呼び出されて叱責された後、別の社員から突然そう切り出され、契約を切られたのだ。

 都内の有名私立大学を卒業後、正社員として流通関係の企業や学習塾で働いた。だが、40歳を前に勤めていた塾が廃業。必死に仕事を探したが、中高年に正社員のイスはなく、生活のため派遣会社に登録した。しかし、紹介されるのは警備、引っ越し、倉庫作業といった「3K」と称される仕事ばかり。15社近い派遣会社に登録し、倉庫を中心に働いてきた。

●パワハラを告発したら

 昨年3月から派遣されたのは、神奈川県内にある倉庫。医療品の「ピッキング」と呼ばれる作業だった。小学校の体育館くらいの広さの倉庫で、棚から商品を取り出し、箱に入れ、梱包し、配送の準備をした。倉庫では14〜15人が働いていたが、リーダーを除いて全員が中高年の派遣社員だった。

 Aさんの時給は、県の最低賃金ぎりぎりの900円。毎月の手取りは15万円にも満たず、交通費も支給されない。それでも、朝から夕方までまじめに一生懸命働いた。それが突然、契約終了を告げられたのだ。

 思い当たる節はあった。リーダーの社員は自分が気に入った派遣社員ばかりをひいきし、気に入らない派遣社員には仕事量などで露骨に差別した。たとえば、商品情報を読み取るスキャナーを気に入った派遣社員にだけ使わせたり、逆に気に入らない派遣社員の仕事を減らしてやる気をそいだり。少しでもミスをすれば「お前、飛ばすぞ」と怒鳴られた。そうしたパワハラに我慢できず、Aさんは会社の役員に訴えたのだ。

 ロッカールームに呼び出されたのは、その日の夕方だった。リーダーは、「不満があるなら直接自分に言え」と言った後、別の社員と相談するよう告げた。すると、いきなり冒頭の通告──。

 この社員は保身から、面倒な問題を背負いたくなかったようだ。後日、Aさんは派遣会社の営業マンに「どうにかならないですか」と頼んだが、翌月いっぱいで一方的に契約を打ち切られた。のちに理由は、役員に告げ口をしたことだと聞かされた。

「ショックでした……。お前は派遣だからさっさと辞めろといわんばかりですよね」(Aさん)

564チバQ:2016/02/08(月) 20:21:00
●部長の執拗なセクハラ

 労働者派遣法(派遣法)が施行されたのは、今からちょうど30年前の1986年。当初は、「専門知識を生かして自由な働き方ができる」として働く側からも歓迎された派遣社員だが、企業側からは契約期間終了で「雇い止め」にできることから、人手不足のときだけ一時的に雇える「雇用の調整弁」として扱われるようになった。その間、勤め先の倒産やリストラなどで正社員の地位を追われたり、親の介護のため仕事を辞めたりする中高年の失業者が増加。そうした人たちが働き先を求め、派遣市場に流れ込んだ。

 総務省の労働力調査によれば、中高年(45〜64歳)の派遣社員の数は2014年平均で34万人と、04年の2.4倍に膨らんだ。約119万人いる派遣社員の3割近くを占めるに至っている。

 だがその現実は厳しい。40歳を過ぎると仕事は極端に減り、職種はキャリアを問わない単純労働ばかりになる。提示される時給も、低くなる一方だ。現場では、派遣社員の経験やスキルばかりか、人格すら軽視した事態が広がっている。

 都内の大手飲料メーカーで、一般事務の派遣社員として働いていた女性Bさん(41)は、50代後半の男性部長から、たび重なるセクハラを受けた。14年8月から働き始め、翌15年1月に別の部署の仕事も兼任することになった。セクハラをしてきたのは、兼任先の部長だ。

 懇親会の席で、部長はBさんの年齢や結婚歴はおろか、夫婦生活にまで言及し、

「子づくり、がんばりなさい。年齢的にもあと1年くらい大丈夫だろう!」

 と言い放った。隣に座っていた男性社員には、

「なあ、子づくり教えてやれ!」

 などと、お開きまで2時間近く繰り返した。部長は勤務中も、

「ご主人と、年に数回は、ねえ?」

 など性生活を示唆する質問をしつこく続けた。

「不妊と絡んでいるので、私の中では笑って聞き流すことのできない話でした」(Bさん)

 精神のバランスを崩し、夫に声を荒らげたり、突然涙があふれて止まらなくなったりした。やがて、激しい頭痛にも見舞われ、脳神経外科を受診すると、ストレスからの「緊張型頭痛」と診断された。抗不安薬や睡眠薬が手放せなくなった。

●苦情の半数は人間関係

 派遣会社に環境改善を求めたが、対応は鈍い。そればかりか、処遇面で不利益を被らないよう、派遣先へは匿名で対応するよう強く求めていたにもかかわらず、実名を告げられてしまった。そのせいか、Bさんは週5日勤務だった契約を週3日に減らすと一方的に通告された。

 Bさんは昨年4月、1人でも入れる労働組合「派遣ユニオン」(東京)に加入した。派遣先と派遣会社を相手に団体交渉を行い、前者から和解金、後者からは和解金と謝罪文を勝ち取った。昨年5月で職場を離れ、問題も解決していくうちに、薬を飲まずにすむようになった。現在は別の派遣会社に登録し、別の派遣先で働くBさんが言う。

「いつも笑顔で正社員に気を使う一方、契約を切られたり、仕事を紹介されなくなったりするのではという不安から、何かあっても泣き寝入り。そんな派遣社員は多い」

 厚生労働省が4年に1度実施している「派遣労働者実態調査」(12年)によれば、派遣社員の苦情の内容(複数回答)は、「人間関係・いじめ」が51.7%、「セクハラ」も2.6%ある。派遣労働の現場で、「精神的に追いつめられる」「ストレスを感じる」「尊厳を傷つけられる」と嘆く中高年は少なくない。

「正社員は、僕たちが派遣というだけで頭からなめてかかり、バカにしています」

 そう話すのは、神奈川県内の男性派遣社員Cさん(54)だ。

565チバQ:2016/02/08(月) 20:21:31
●若い社員からモノ扱い

 大学を卒業後、正社員として学習塾などで働いた。だが、35歳の時に勤めていた会社が事実上倒産。正社員の仕事を探したが見つからず、アルバイトでつないだ。40歳で結婚して子どもが生まれ、少しでも収入がいい仕事に就こうと思い、3年前に派遣会社に登録した。以来、倉庫内での作業、引っ越し、事務所移転の現場などで働いている。

 派遣先ではプライドを傷つけられることばかりだ。親子ほど年齢が離れた正社員からモノ扱いされる。名前で呼ばれることはなく「お前」と呼ばれ、「使えないヤツだな」などと罵倒される。口にこそ出さないが、「派遣の分際で」と見下しているとしか思えない。

 今は倉庫で物置資材のピッキングの作業をしているが、毎日のように「スピードが遅い」と年下の正社員から怒鳴られる。決して遅いわけではないと思うが、言い返すことはしない。黙々と作業を続けるだけだ。

「バカなヤツを相手にしても仕方ないと思ってます。でも、そう割り切らないと、派遣ではやっていけないです」

 派遣法は施行以来、規制緩和の流れの中で幾度となく法改正されてきた。派遣業務の原則自由化(99年)、製造業への派遣解禁(04年)……。その都度、政府は「多様な働き方に対応できる」とうたったが、実態は企業の思いのままに低コストの労働力を調達できる歪んだ労働市場を生んだのではなかったか。昨年9月には、中高年の派遣労働者をさらに追いつめる改正派遣法が成立、施行された。

 今回の法改正最大のポイントは、業務内容を問わずすべての派遣社員が同じ職場で働ける期間の上限が「最長3年」になったことだ。それまで秘書、通訳、財務処理などは「専門26業務」と呼ばれ、派遣社員として同じ職場で期限なく働くことができたが、それ以外の業務と同様、最長3年になった。同じ派遣先でも違う部署に移らなければ、4年目以降は就業することができない。

●3年後の雇い止め通告

 これにより派遣社員は、正社員への道が狭まっただけでなく、失業して無職になってしまうリスクが高まった。求人の少ない中高年の派遣社員にとっては「死刑宣告」にも等しい。法改正を奇貨とした「派遣切り」の動きも出始めている。

「私がホームレスになろうが、行き倒れになろうが、餓死しようが、会社はそんなことおかまいなしってことですよね」

 都内に住む女性Dさん(56)は怒りをあらわにする。16年間働いてきた派遣先から、3年後の雇い止めを通告されたのだ。

 26歳で離婚し、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきた。00年に派遣会社に登録すると、都内の大手コンサルティング会社に派遣された。業務内容は、専門26業務の一つ「事務用機器操作」だった。

 派遣先とは3カ月単位の契約を繰り返し更新し、ずっと同じ部署で働いた。今の時給は1830円と、16年前から100円アップしただけ。月収は手取り22万円程度で、ボーナスはない。月1万円近い定期券代は自腹を切っている。幸い実家に身を寄せているので家賃はかからないが、老いた母(86)と契約社員の娘(32)と暮らしているので、生活はぎりぎりだ。

 派遣会社から昨年5月ごろ、法改正などを理由に、3年後には契約が更新できないかもしれないと聞かされた。驚いて部長時代から知っている派遣先の社長に直談判した。事実なのかと問い詰めるDさんに、社長は言い放った。

「派遣でも人によっては部署を替えて残ってもらう人もいる。しかし、あなた、今56歳でしょう。3年後は59歳。60歳間近で、同じように使うということはありえない。よっぽど特殊技能とかあれば話は別だが、あなたはそこまで優秀じゃないんだ」

 一瞬、頭の中が真っ白になり、何を言われているのかわからなかった。我に返って抗議すると、社長はこう言った。

「3年あれば、辞めた後の準備期間としては十分だろう」

 後日、このことを派遣会社に伝えると、しれっと言われた。

「先様がそうおっしゃっているので、私どもは法令に則っているだけの話ですから」

「先様」とは派遣先のことだ。

566チバQ:2016/02/08(月) 20:21:45
●資格が10件あっても…

 Dさんは証券2種外務員、ビジネス能力検定2級、秘書技能検定2級など10件の資格を持っている。だが、いくら資格を持っていようが、還暦間近になったDさんに今と同じような派遣先があるとは考えにくい。3年後、仕事はあるのか、体力的に働けるのか、医療費が余分にかかるのではないか。日雇い派遣でつないでいくしかないのか──。日々、不安に押しつぶされそうになりながら暮らしている。家族には心配させたくないので、あまり詳しくは伝えていない。Dさんはこう話した。

「仕事を奪われるということは、収入が途絶えて生活の基盤を失うということです。法律が改正されたからといって、今まで頑張ってきた人間を切るのは、非人間的な行いだと思います」

 中高年派遣社員は今後も増えるだろう。これは、明日の正社員の問題でもある。

※AERA 2016年2月15日号

567名無しさん:2016/02/13(土) 11:24:12
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010406261000.html
子どもの貧困対策強化 超党派の議連発足へ
2月12日 5時34分

子どもの貧困対策を強化しようと、超党派の国会議員の有志が近く議員連盟を発足させ、学習の支援や生活援助、それに親の就労支援などの提言をまとめ、政府に実現を求めることにしています。
内閣府などによりますと、貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は平成24年の時点の推計で16.3%と、調査を始めた昭和60年以降最も高くなっていて、背景には所得の低いひとり親家庭の増加などが指摘されています。
こうしたなか、子どもの貧困対策を強化しようと、自民党の田村前厚生労働大臣ら与野党7党の国会議員の有志の呼びかけで議員連盟が発足することになりました。議員連盟では、各地の支援活動を視察したり、当事者から話を聞くなどして実態を把握したうえで、▽学習や進学の支援や▽食事などの生活援助、それに▽親の就労支援など具体的な対策を検討することにしています。
議員連盟は今月下旬に設立総会を開き、ことし夏をめどに提言をまとめ政府に実現を求めることにしています。

568とはずがたり:2016/02/13(土) 19:51:13
>>561

児童扶養手当の「まとめ支給」に隠された恐るべき貧困への罠
http://diamond.jp/articles/-/84310
みわよしこ [フリーランス・ライター] 【第35回】 2016年1月8日

2015年12月24日、政府予算案で児童扶養手当の増額が決定された。ひとり親家庭の一部しか対象にならず、金額も十分とはいえず、しかも政府予算案では「不正受給対策の強化」がセットにされている。

福祉給付、特に現金給付を増額するのは、容易なことではない。増額以外の方法で、「優しさ」「絆」「民間の力」といった精神論によるのでもなく、厳しい状況にある人々を経済的に助ける方法は何もないのだろうか?

?年明け早々の2016年1月4日、通常開会が開会された。審議の大きな柱の一つは、2016年度予算案だ。
?政府予算案には、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当の36年ぶりの増額が盛り込まれた。しかしながら増額幅は「充分」とはいえない上、ひとり親世帯に対する「不正受給対策の強化」がセットにされようとしている。児童扶養手当の「不正受給」とは、事実上、ほぼ「事実婚の疑い」。。

?さて、この政府予算案が発表された3日後の2015年12月27日、児童扶養手当をテーマとした記事が、朝日新聞の1面・2面に掲載された。デジタル版では、児童扶養手当を受給している世帯の収入が不安定であることの問題点を浮き彫りにした「ひとり親?波打つ収入、綱渡り?児童扶養手当4ヵ月ごと」、2013年9月に起こった関東地方の母親による女子中学生殺害事件を、母親の収入状態の変動から検証した「強制退去の日に娘殺害?収入波打つ中、借金重ね生活破綻」、低所得世帯への現金給付を「渡し方」に着目して経済的破綻を防ぐ方法を提示した「(視点)低所得世帯への公的手当、毎月支給が有効策」の3本となっている。いずれも、錦光山雅子記者の手になるものだ。ひとり親家庭が、貧困の上に数多くの問題を積み重ねてしまう構図が、背景とともに浮かび上がってくる記事に、私は強い衝撃を受けた。

ひとり親家庭へのダブルパンチ
収入の低さと激しい波

?最初の記事では、大阪府で中学生の息子と暮らす30代女性の暮らしぶりが描かれている。2014年、体調不良で失職したままの女性の収入源は、元夫からの月額5万円の養育費・月額1万円の児童手当・月額4万2000円の児童扶養手当。月あたりの収入は10万2000円。同じ家族構成に対する大阪市の生活保護費は、家賃補助を含めて約20万円。「持ち家に住んでいる」などの理由で住居費負担がないのであれば、「月あたり10万2000円」は「暮らせないわけではないけれど、苦しい」という金額であろう。

?ところが記事によると、児童扶養手当の支給日直前の1週間を、母と息子は「ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいで」、支給日前日の所持金は数百円。「待ちに待った、児童扶養手当の支給日」、約17万円が振り込まれると、外に出て親子で「串揚げを食べた」。同じ日、「電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に」支払うと、「手当の半分が消え」、「手当で一息つくものの、長くは続かない」。

?なぜ、ここまで苦しい生活になってしまうのか。児童手当が4ヵ月に1回(2・6・10月)、児童扶養手当も4ヵ月に1回(4・8・12月)のまとめ支給だからだ。記事には、母親の月ごとの収入の激しい変動が、グラフで示されている。4ヵ月分の児童扶養手当が支給される月には22万円、手当支給のない月は5万円。同記事によれば、家計相談員養成講座の講師は

「収入が極めて少ないので、手当なしには生計が成り立たない。何らかの事情で滞納が生じ、その解消を数ヵ月おきの手当に一度頼ると、その分後で生活費にしわ寄せが来て、また滞納を繰り返すようになる」

?と語り、また九州地方で困窮者の家計再生事業を展開する生協「グリーンコープ連合」の乗務理事は、

「家計を支えるための公的手当がまとめ支給であるがゆえに、公共料金などの滞納とまとめ払いを繰り返す不健全な家計運営を余儀なくされている」

?と、公的手当を受けている低所得世帯に現れがちな「自転車操業」のメカニズムを、原因とともに指摘している。

?県営住宅を家賃滞納によって強制退去となる日にシングルマザーが中学2年生の娘を殺してしまった関東地方の事件で、追いつめられていく母親の姿を家計から浮き彫りにした2本目の記事にも、母親の収入のグラフが示されている。冬休み明けでパート収入が減り手当支給もない2013年1月、および児童手当4ヶ月分4万円が支給される2013年2月、中学に入学する娘の制服などの費用を工面するために厳しいやりくりを強いられた母親は、「ヤミ金」から借り入れてしまい、返済に苦しんだあげく、経済破綻に追い込まれ、娘殺しの悲劇へとつながっていく。…

569名無しさん:2016/02/23(火) 21:58:27
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419281000.html
子どもの貧困対策で超党派議連が発足
2月23日 20時43分

子どもの貧困対策を強化しようと、23日、超党派の議員連盟が設立総会を開き、ことし夏をめどに、学習支援や生活の援助、それに親の就労支援などについて提言をまとめ、政府に実現を求めていくことになりました。
議員連盟は与野党7党の国会議員の有志が呼びかけて発足し、国会内で開かれた設立総会にはおよそ50人の議員が出席しました。
会長を務める自民党の田村前厚生労働大臣は「子どもの貧困が解消していないのは、うまく支援が行き渡っていない点があるからだ。問題点を探り、早急に貧困を解消したい」と述べました。
貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は、所得の低いひとり親家庭の増加を背景に、平成24年の時点の推計で16.3%と、調査を始めた昭和60年以降、最も高くなっています。
議員連盟では、学習や進学の支援や食事などの生活援助、それに親の就労支援などについて、ことし夏をめどに提言をまとめ、政府に実現を求めていくことにしています。

570チバQ:2016/02/26(金) 00:45:11
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/s/224803
いま、学校で(1) 生徒の食「配給」が命綱
2016年02月16日 03時00分
生徒指導室の食料は生活が厳しい生徒に提供したばかり。米を残すだけで、段ボール箱は空だった
生徒指導室の食料は生活が厳しい生徒に提供したばかり。米を残すだけで、段ボール箱は空だった
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 高校3年の大樹(18)はカップラーメンをリュックサックにいっぱい詰め込んでもらうと、頭を下げた。
 
 「先生、ありがとうございます」
 
 福岡県のある公立高校。「生徒指導室」に置かれた段ボール箱にはパック入りのご飯やカップラーメン、レトルトのカレー、缶詰が入れられている。家で十分な食事が取れない生徒が持ち帰る。他の生徒には知らせていない。
 指導室に米やカップ麺
 大樹は生活保護を受ける父親と2人で暮らし、奨学金をもらい高校に通う。生徒支援を担当する教諭の田中幸四郎(31)が大樹の異変に気付いたのは2年生の時。修学旅行費の積み立てなど、月に約1万円の校納金がまったく入金されなくなった。
 家庭訪問しても、父親は居留守。何度も通うと「うるさい! せからしい!」と怒鳴られた。父親は息子に食事を全く与えず、大樹の奨学金も流用していた。
 大樹は週に数回、夕方飲食店でアルバイトをし、店のまかないで食いつなぐ。生徒指導室の食料は、大樹の「生命線」だ。
 間もなく卒業。本当は専門学校に進学したかった。学力は申し分なかった。だが、田中はこう伝えた。
 「1年間で100万円かかる。奨学金をもらっても、お父さんが流用する。就職したほうがいい」。大樹は泣く泣く進学を諦めた。
 田中が生徒指導室で食料提供を始めたのは約3年前。生徒の相談に乗っているうちに、経済的な理由や養育放棄で食に困窮するケースが少なくないことに気付いた。がりがりに痩せ、「最後に何を食べたか覚えていない」と話す生徒もいた。
 民間の支援団体代表にそうした現状を話すと、「私たちが食品を提供しましょう」と申し出てくれた。これまで継続的に受け取った生徒は約10人。田中の個人的努力と民間団体の取り組みが、子どもたちの食をかろうじてつなぐ。
 「学校は子どもを救う最前線。子どもたちが抱える問題は、目を凝らさなければ見過ごしてしまう」
 家庭や行政の福祉部局を日々、走り回る田中は自らにこう言い聞かせる。
   ◇   ◇
 小学2年の葵(8)は、母子家庭で中学1年の兄と3人暮らし。母親は精神疾患を抱え、育児もままならない。自宅アパートは脱ぎ捨てた服やごみ袋であふれ、足の踏み場もない。
 母親は、体調がいい日は食事を作るが、それ以外はコンビニ弁当か菓子パン。一日の食事が給食だけの日も珍しくない。教師たちがおにぎりやパンを買い、職員室で隠れて食べさせるのが日課だ。
 スクールソーシャルワーカーの山田由希子(50)によると、葵がある日、口元に前日の給食で飲んだ牛乳の跡を付けて登校した。顔を拭きながら「ちゃんと顔を洗っている」と聞くと、葵は「顔とか洗ったことないよ」。「歯磨きは?」と聞くと、「保育園のときにしたことがある」。
 様子を見かねた山田が昨年夏、母親に「夏休みの間だけ、児童相談所の一時保護施設に預けませんか」と提案すると、母親は二つ返事で応じた。
 寂しい思いをしているだろうと山田が施設へ面会に行くと、葵は「ご飯が3回あって、おやつも出るとよ」「お部屋がきれいで、お布団も1人ずつにあるんよ」と満面の笑みで話した。
 「食事を満足に取れない子には、児相の保護施設ですら天国なんです」と山田は言う。
 葵にとって、1カ月間の施設生活は楽しい思い出。 「またあそこに行きたいんだけど、どうしたら行けると?」。葵が山田に尋ねる。「もう行かん方がいいよ」と諭すと、葵は不満そうにつぶやく。
 「なんで? また行きたいなぁ」 (登場人物はいずれも仮名)
   ◇   ◇
 深刻化する子どもの貧困。その現実を教育現場から報告する。
=2016/02/16付 西日本新聞朝刊=

571チバQ:2016/02/26(金) 00:45:33
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225035
いま、学校で(2) 制服買えず入学式欠席
2016年02月17日 03時00分
福岡県古賀市教育委員会の窓口前に掛けられたリユース用の制服。希望者は名前や連絡先を届け出て、サイズを選ぶ
福岡県古賀市教育委員会の窓口前に掛けられたリユース用の制服。希望者は名前や連絡先を届け出て、サイズを選ぶ
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 3年前の春、九州北部のある公立中学校。入学式に新入生の陽介(仮名、12)の姿はなかった。2日目も、3日目も。母親は電話で「体調が悪いから」と説明するばかり。ぴんときた担任教諭は学校指定の制服業者に電話した。
 「ああ、その子、受け取りに来てませんよ」
 採寸して注文はしたが、約3万5千円のお金がなくて取りに行けず、登校させられなかった-。母親は、そう打ち明けた。
 校長が立て替え、制服を陽介の家に届けた。担任の勧めで母親は就学援助を申請し、校長に少しずつ返済すると約束した。
 4日目、陽介は真新しい制服に身を包み、ようやく校門をくぐった。
 翌年からこの中学では、制服を取りに来ていない生徒がいないか、入学式前に制服業者に確認するようにした。スタートから子どもがつまずくようなことがあってはならない。
   ◇   ◇
 「制服だけじゃない。収入のある家庭には何でもないことも、貧しい家庭の子にとっては関門なんです」。福岡市の学校関係者は打ち明ける。
 市立中学校に修学旅行をためらっている佳純(同、14)がいた。担任が「旅行代は就学援助で賄えますよ」と説明すると、母親は消え入りそうな声で答えた。
 「でも、きれいな下着やパジャマをそろえてあげられない。お小遣いも1万円なんて無理。惨めな思いをさせるくらいなら」。佳純は結局、参加しなかった。
 〈男子11万2972円。女子12万1572円〉
 福岡市のある市立中学校で、入学前後にかかる制服や運動着、通学かばん、校納金(テスト代など)の保護者負担金の合計だ。就学援助を受けても、1年生への年間支給額は約4万8千円で約4割しか賄えない。さらに部活に入れば、例えば野球部ならスパイク、グラブなどで初年度に約15万円かかる。
 「義務教育は、これを無償とする」。憲法26条はこううたうが、実際は公立校であっても保護者の負担は重い。家庭の懐事情によって学びの場に格差が生じる。それを防ぐため、対策に乗り出した自治体もある。
   ◇   ◇
 福岡県古賀市は2007年度から、中学、高校の卒業生に制服を無償提供してもらい、買うお金がない生徒に回す「制服リユース」の取り組みを続ける。毎年100人前後が制服を残し、すぐなくなってしまう。「小さくなった」と2、3年生がもらいに来る場合も多いが、新入生も30人前後が利用する。
 同県嘉麻市では、小学校で行う単元テストや、年間約4千円かかる中学校の学力分析テストを11年度から全額公費で行っている。部活のユニホームや中学の体育で使う柔道着なども学校が購入して、貸与する。
 旧産炭地の嘉麻市で、小中学生の就学援助率は41・6%と県内2番目の高さ。生活保護家庭も1割近い。
 「家庭環境が厳しい子が途中でつまずくことのないようにしたい。そのために公でできることはする」。同市教育委員会の木本寛昭教育長は力を込めた。
=2016/02/17付 西日本新聞朝刊=

572チバQ:2016/02/26(金) 00:45:53
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225259

いま、学校で(3) 貧困が招く「10歳の壁」
2016年02月18日 03時00分
九州のある高校が実施する検定試験。小学生レベルの問題から始まる
九州のある高校が実施する検定試験。小学生レベルの問題から始まる
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 〈次のひらがなをカタカナにしなさい〉
 
 (1)ばなな(2)あいすくりーむ(3)しゅーくりーむ…
 
 これは、九州北部の高校が、全校生徒を対象に実施する検定試験の実際の問題だ。この学校では高校の授業と同時に、小学1年〜中学3年レベルの基礎的学力の埋め合わせを進める。
 きっかけは、10年前に行った学力調査。当時の3年生に小学校の問題を解かせたところ、6割の生徒が小学3〜4年レベルでつまずいていることが判明した。
 「このレベルが解けない生徒は、基礎的学力を身に付ける時期に両親が離婚したり、家庭の経済状況が苦しかったりするなど、何らかの要因を抱えていることが多い」。同校教諭の加藤信介(60)は言う。
 加藤の言葉をデータが裏付ける。全校生徒の約4割がひとり親家庭。低所得のため税金が免除される非課税世帯は3割超に上る。
 加藤は今年、3年生が進学のため日本学生支援機構に奨学金を申請した書類を見て驚いた。
 〈生活保護世帯 父の年収0 中学生の姉妹あり〉〈母子家庭 母の年収30万円 兄弟2人〉〈母子家庭 母の年収85万円 小中学生の妹、弟あり〉
 行政関係者からは「こんな学生を進学させてどうするんですか」と言われた。進学しても学費を稼ぐためアルバイトに追われ、疲れ果てて中退する卒業生は少なくない。
   ◇   ◇
 「10歳の壁」。多くの教師がこう呼ぶ現象がある。
 子どもは幼少期、親や周囲の大人から話しかけられたり、本を読み聞かされたりしながら言葉を学ぶ。養育を放棄され、大人との関わりが極端に少ないと語彙(ごい)の習得が遅れ、抽象的な概念や複雑な問題を考える能力が育ちにくいとされる。
 文章の読解や分数などが登場し、学習内容が難しくなる小学3年、4年時に、こうした問題が表面化することが多いという。背景に、貧困が横たわることも少なくない。
 九州中部の公立中学校に通う3年生の浩輔(15)も、そんな一人だ。
 〈王はりこうになりたかった〉。浩輔は授業の音読で、「走れメロス」のこの一節をうまく読めなかった。「利口」という言葉を知らなかったからだ。
 浩輔が小学校に入って間もなく、両親は離婚。母子家庭になり、母は昼間は仕事、夜は飲み歩いた。浩輔と3歳下の妹は「公園や商業施設のフードコートで夜遅くまで過ごしていた」。小学校からの申し送りには、こう記されていた。
 「幼いころから積み上げるべき思考力が育っていない」と浩輔を見守ってきた教諭の田尻和夫(55)は思う。中学卒業を目前に「俺、どうせばかやけん」と口癖のように話し、生活すべてに投げやりになっているような姿が、何よりも気にかかる。
 専願で私立高校に合格した浩輔。「このまま行けば高校を中退してしまいかねない。何とか踏ん張って卒業し、安定した職に就いてほしい」。祈るような気持ちで送り出す。
(登場人物はいずれも仮名)
=2016/02/18付 西日本新聞朝刊=

573チバQ:2016/02/26(金) 00:46:23
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225523
いま、学校で(4) いつか高校に行きたい
2016年02月19日 03時00分
作業着のまま定時制高校で授業を受ける潤。1人暮らしのための蓄えは70万円を超えた
作業着のまま定時制高校で授業を受ける潤。1人暮らしのための蓄えは70万円を超えた
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 16歳の朱美は昨年3月に九州北部の公立中学校を卒業し、今はアルバイトをしながらお金をためている。
 
 2年前の春。スクールソーシャルワーカーの佐藤真由子(38)は、いつも黒ずんだブラウスを着ている3年生の朱美の姿が気になった。声を掛け続けると、1カ月ほどたったころ朱美が打ち明けた。
 
 「うちには、お金ないけんさ」
 派遣労働者の父親と2人暮らし。借金取りに気付かれないよう、公営団地の部屋の電気をつけず息を潜める夜があること。
 食事は、給料が出たときに父親が買い込んだカップ麺と菓子パンばかりで、制服のブラウスも1着しか持っていないこと。
 朱美が徐々に心を開いてきた1学期のある日、佐藤が家庭訪問すると、「暇だから勉強しとった」。手には使い古した参考書。朱美の成績は学年で中の上。生活は苦しくても勉強は欠かさず、公立の普通高校に合格する学力があった。
 担任は奨学金を借りて進学するように説得した。だが、父親は「奨学金も借金やろ。高校なんか行かんでいい」と拒み続けた。
 2学期に入り、3年生は進学の話題でもちきりになる。朱美は「学校は嫌いだから、高校には行かん」と言い張り、やがてほとんど登校しなくなった。結局、進学せずに卒業した。
 でも、朱美は進学をあきらめていなかった。卒業後しばらくして、佐藤の携帯に連絡してきた。
 「すぐに進学しなくても、高校に行けると?」。働きながら通える定時制高校があると伝えると、「お金をためていつか行くよ」。
   ◇   ◇
 朱美が目指す定時制高校。そのうちの一校に通う潤(17)は朝5時半に家を出て建設現場で働き、学校へ着くのは午後5時半ごろ。作業着姿で9時まで授業を受ける。
 「早く自分の力で生活できるようになりたい」。潤の表情は明るい。
 母親と2人暮らし。毎月約13万円の生活保護費が暮らしを支える。潤は毎月10万円の給料から7万円を蓄え、1人暮らしに備える。
 潤の頑張りには理由がある。従来、生活保護世帯の高校生が収入を得た場合、保護費が減らされていた。だが、国は、2014年度から進学や自立のための預貯金であれば、保護費は減額されない、と実施要領を改正した。
 そのことを潤は入学した2年前の春、担任の橋田進一(49)から教えられた。
 ただし、卒業後に就職しても、1人暮らしをしない限り「世帯収入」とみなされ、母親の保護費が減額される。蓄えは母親のためでもあり、「建設会社を起こして家を建てたい」という自分の夢のためでもある。
 この定時制高校で、生徒の3割は生活保護世帯。ただ、潤のように預貯金ができている生徒はまだ3人にとどまる。
 橋田は言う。「預貯金ができるようになり、貧困の連鎖を断ち切るチャンスが広がった。生徒たちを後押ししていきたい」
(登場人物はいずれも仮名)
=2016/02/19付 西日本新聞朝刊=

574チバQ:2016/02/26(金) 00:47:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225746
いま、学校で(5) 担任が教室で子守代行
2016年02月20日 03時00分
教諭の合田は通帳を預かり、校納金の納入計画書を作って卒業まで支える
教諭の合田は通帳を預かり、校納金の納入計画書を作って卒業まで支える
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 「進級が厳しいから、面倒をみてもらえないか」
 
 九州北部の私立高校。昨年1月、同校教諭の合田保(52)は、1年生の担任から望(16)について相談を受けた。
 望は、ひと月約3万円の奨学金を受けているが、1月までに振り込みがあった学費などの校納金は、2カ月分の約6万円だけ。3月までに残額の約30万円を納めなければ進級ができず、退学処分になる。
 望は母子家庭で、母親は無職。生活保護を受けているが、奨学金も生活費に充てていた。「支払う金がない」と途方に暮れる母親に、合田は提案した。
 「奨学金の通帳と印鑑を私に預けませんか。学校側と掛け合って、何とかお子さんを卒業させます」
 合田はいま、望を含めて5家庭から通帳と印鑑を預かる。親から委任状をとり、卒業までの納入計画書を学校側に提出し、奨学金のやりくりを代行する。これまで、十数人の生徒を同じ方法で卒業させた。
 当初、学校側はトラブルを恐れて合田の活動に難色を示していたが、今では認めている。「本当はやってはいけない事かもしれないが、生徒を卒業させるためにはやむを得ない。親からも感謝されている」
       ‡
 九州のある小学校。4年生の担任教諭、大迫裕子(48)は、生後10カ月の赤ちゃんを抱いたまま、5時間目の授業をしていた。机に向かう児童の間を行ったり来たり。幸い、赤ちゃんはずっと寝息を立てている。
 赤ちゃんは、このクラスの遼(10)の一番下の妹。ほかに小2、保育所の年長、年中がいる5人きょうだい。生活保護を受ける母親と暮らす。大迫が教室や職員室で赤ちゃんを預かるのは、これで5回目。理由はこうだ。
 1学期、母親からたびたび「給食を食べたら遼を家に帰して」と学校に電話がかかり、やむを得ず帰していた。
 母親は子守を長男の遼に任せて、通院や買い物のため外出していた。遼は朝も弟妹を保育所に送ってから登校するため、たびたび遅刻。成績は落ち、友達は離れ、クラスでも浮き始めた。
 「どうしても出掛けなきゃいけないときは、学校に連れてきて」。昨秋、大迫がこう伝えると、母親はさっそく赤ちゃんを職員室に連れてきた。
 遼の早退は次第に減ってきた。休み時間に計算や漢字に取り組み、勉強の遅れを取り戻そうとしている。
 赤ちゃんが教室に来たことで、家庭事情を知った級友は「大変やな」と遼に声を掛けるようになった。昨年末には母親のパートが決まり、赤ちゃんも近く保育所に入ることが決まった。
 教師がそこまでする必要があるのか、と言う同僚もいる。大迫は、遼の母親も貧しいひとり親家庭に育ったことを知っている。教師にとって「困った親」も、かつて救われなかった子どもかもしれない-。「家庭が荒れていたら、子どもは救えない。家庭を変えていかないといけないんです」
 合田と大迫。一教師の踏み込んだ行動が、子どもたちを支えている。
 (登場人物はいずれも仮名)
 =おわり
=2016/02/20付 西日本新聞朝刊=

575とはずがたり:2016/02/26(金) 19:26:30
貧困の逆の話しだけど

北京に住む億万長者は100人、ニューヨークを抜き世界1位に=米国人は困惑「中国って共産主義国だよね?」
http://www.recordchina.co.jp/a129902.html
配信日時:2016年2月26日(金) 12時10分

25日、AFP通信によると、中国で富裕層を対象とした雑誌を出版する「胡潤百富(Hurun Report)」は、米ニューヨーク市を抜いて中国北京市が世界で最も多くの億万長者が住む都市になったと発表した。資料写真。
2016年2月25日、AFP通信によると、中国で富裕層を対象とした雑誌を出版する「胡潤百富(Hurun Report)」は、米ニューヨーク市を抜いて中国北京市が世界で最も多くの億万長者が住む都市になったと発表した。

胡潤百富がこのほど発表した調査結果によると、2015年に資産総額10億ドル(約1100億円)を持つ億万長者の数が、北京では100人、ニューヨークでは95人だった。北京の億万長者の数は2014年から32人増えたが、ニューヨークではたった4人しか増えなかった。3位はロシアのモスクワで66人の億万長者が在住している。また、40歳未満の億万長者の40%以上は中国在住だという。

576とはずがたり:2016/02/27(土) 13:05:34
2016年02月24日(水) 週刊現代
「たった62人」の大富豪が全世界の半分の富を持つ
?あまりにも異常な世界の現実ピケティ、クルーグマンも警告
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47989
賢者の知恵
週刊現代コラム一覧

大富豪が巨万の富を握り、庶民は重労働と薄給にあえぐ。そんな100年前の世界に、私たちは逆戻りしている。富める者はますます富み、一度落ちれば這い上がれない。これでいいわけがない。

ユニクロ柳井社長もその一人

もし、日本国民の半数が持っている資産と同じ額を、たったひとりが独占しているとしたら?多くの人は「いくら何でも、それはおかしい」と思うだろう。

実際には、日本でこのようなことは起きていないが、スケールを地球全体に広げてみると、あながち絵空事でもない。

世界経済に不穏な影が差し始めた今、国際貧困支援NGO「オックスファム」の報告が、各国に衝撃を与えている。

「世界のトップ62人の大富豪が、全人類の下位半分、すなわち36億人と同額の資産を持っている」

大ざっぱに言えば、1台の大型バスに収まる程度の金持ちが、世界の人口の半数を養える額、約180兆円を持っているということ。気の遠くなるような話だ。

現在、世界の総資産額ランキングのトップは、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏の約9兆1000億円。以下、メキシコの通信王カルロス・スリム氏の8兆9000億円、投資家ウォーレン・バフェット氏の8兆3000億円……という具合に続く。

日本のトップであるファーストリテイリング・柳井正社長は、資産総額約2兆3000億円で第41位と、日本人ではただひとり、この「金持ちバス」の乗客名簿に名を連ねる。

上位10人の中には、米財閥一族のコーク兄弟や、ウォルマート創業家のウォルトン一家のように、家族・親族で複数ランクインしている金持ちもいる。まさに彼らは、生まれながらの「世界の支配階級」たちだ。

「この10年、世界中で金持ちと庶民の格差が広がり続けています。特に米国は経営者の年俸がうなぎ上りで、以前は100万ドル(約1億1500万円)もらっていた人物が、今は1000万ドルもらっているというケースも珍しくありません。

でも、いくら会社が儲かっていたとしても、社長の給料が10倍なんて、何を根拠に決めているんでしょう。説明がつかないと思いませんか」

こう肩をすくめるのは、'14年、著書『21世紀の資本』が日本を含め世界中でベストセラーとなった、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏である。

ピケティ氏は、同書の中で「資本主義社会では、長い目で見ると、格差がどんどん広がってゆく」「20世紀は、戦争などの影響でたまたま格差が小さくなっただけ」と、科学的裏付けをもとに主張し、大反響を呼んだ。

「彼らのような大富豪の資産は、世襲による相続分や、金融資産もかなりの部分を占めています。

ビル・ゲイツ氏やアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のように、一般家庭に生まれ、何か新しいものを生み出して一代で大金持ちになった人は、まだいいでしょう。

例えば世界2位のスリム氏は携帯電話を作っているわけではなく、国営電話セクターの民営化で巨万の富を得た人物です。また、ヨーロッパ屈指の大金持ちであるフランスのリリアンヌ・ベタンクールは、化粧品会社『ロレアル』創業者の娘というだけで、経営者としての実績はまったくありません。こんな状況は、あまりにも不公平だと思います」(前出・ピケティ氏)

577とはずがたり:2016/02/27(土) 13:05:44

ビル・ゲイツだけで1億人分

ゲイツ氏ら世界のトップ中のトップが持つ資産額は、ギリシャやデンマークの国家予算にも匹敵する。夏には貸出料が週5億円のクルーザーに乗り、家族とバカンスを楽しむゲイツ氏は、現在軽井沢に要塞のような「別荘」を建設している。

また、総資産2兆6000億円を誇る世界34位の富豪・サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子は、一機あたり400億円の最新鋭旅客機・エアバスA380の内部を一流ホテルのように改装し、プライベート・ジェットとして使っている。

さらに東京・渋谷にある柳井氏の自宅は、周囲に高さ4m近い塀がぐるりと巡らされ、中にはテニスコートもあるという、まさに「城」だ。

彼ら大富豪が、スーパーで買い物でもするような感覚で数千万円、数億円を使える一方で、世界には1日100円足らずの生活費で暮らす極貧層が約12億人、200円以下で暮らす人がおよそ30億人いる。全人類の半分近くは、雀の涙のような収入で何とか糊口をしのいでいるのだ。

ゲイツ氏の全財産を使えば、単純計算で日本国民よりも多い、1億3000万人の貧困層を1年間養うことができる。だからといって、当然ながら、彼の命に貧しい人々の1億倍の価値があるわけではない。それに、ゲイツ氏に普通のサラリーマンの何百万倍も能力があるとは考えづらい。


これからの「正義」の話をしよう
はたして、一人の人物が億単位の人を養えるほどの大金を手にすることに、妥当性はあるのか。著書『これからの「正義」の話をしよう』がベストセラーになった、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が言う。

「普通に考えれば、数千億円、数兆円という富を一人の大富豪が独占することには、意味がありません。到底使い切れないですからね。せいぜい数十億円もあれば、一人の人間が満足できないということはないはずです」

'10年に来日して東京大学で授業を行った際、サンデル氏は学生に「イチロー選手の年俸はオバマ大統領の年俸の42倍(当時)だが、これは妥当か否か」という問いを出し、大激論となった。

影響力や責任の重さを考えれば、オバマ大統領の年俸はイチローより高くてもおかしくないだろう。しかし実際には、人は必ずしも世の中への貢献に見合った報酬がもらえるわけではないし、生まれた瞬間に莫大な資産を相続する者もいる。大企業の創業者ともなれば、自分の報酬額を自分で決めることさえできる。

日本もすでに超格差社会

その一方で、働けど働けど貧しいままの人は、世界中に数知れない。

「『カネを持っている』ということが、『休暇のあいだに贅沢をしたり、豪華なヨットや自家用飛行機を持つ権利がある』ということだけを意味するのであれば、あまり大した問題ではないでしょう。

でも実際には、高度な教育、手厚い医療、安全な暮らしといったものも、金持ちほど手に入れやすいわけです。政治権力への影響力もカネ次第です。事実、大富豪がやると決めた戦争で、今も庶民や貧困層が死んでいる」(前出・サンデル氏)

サンデル氏が教えるハーバード大学でも、学生の親の平均年収は約5000万円。金持ちの子は最高の教育を受けてエリートになり、ますます富と権力を得る。貧乏人の一族は、何代経っても貧乏なまま。今や、それが米国の常識だ。

金持ちと貧乏人の格差が、日に日に大きくなってゆく。すでに日本も、そんな「超格差社会」へ突入していると、前出のピケティ氏は警告する。

「日本の場合、少子化で人口が減っていることが大問題です。子供の数が少ないということは、これからは相続のとき、一人の子供に多額の資産が集中するということ。当然ながら、金持ち一族に生まれた子と、庶民の家に生まれた子では圧倒的な差が出てきてしまう。

出生率を上げない限り、日本国内の格差は今後、広がり続けます」

578とはずがたり:2016/02/27(土) 13:05:57
>>576-578

日本では今、上位1%の富裕層が、国富のおよそ1割を持つようになった。豊かな「1億総中流社会」が終わりつつあることは、国民も気づいている。何かと外国人を非難したり、かと思えば「日本はやっぱりすごい」と自画自賛したりする近年の風潮にも、もうすぐ「繁栄の終わり」がやってくるという心細さがかかわっているのだろう。

不安を紛らわそうとするように、日本政府は「トリクルダウン(富の浸透)が起きるから、心配はいらない」と連呼してきた。グラスタワーのてっぺんに注がれたシャンパンは、グラスのふちから溢れ出し、やがて最下層まで流れ落ちる。同じように、大企業が潤えばカネは末端まで行きわたり、庶民も豊かになる、と。

だが、アベノミクスの主唱者の一人、元経済財政担当相の竹中平蔵氏が、この年明けに突如「トリクルダウンはない」と発言。安倍総理以下、政権幹部もトリクルダウンを否定するようになり、国民を唖然とさせた。

ノーベル経済学賞受賞者の、ポール・クルーグマン氏が解説する。

「トリクルダウン説を支持する保守派の政治家や学者は、『富裕層の税金を軽くして、貧困層への福祉は削るべきだ』『さもないと、富裕層は働くのがバカバカしくなり、経済全体の成長が妨げられる』と主張してきました。

しかし、時が経つにつれて、トリクルダウンなど起きないということが次第に明らかになってきています。かくなる上は、高額所得者に重税を課し、その税収を貧困層支援に回すしか手はありません」

例えば、今春から所得の低い65歳以上の高齢者に配られる「臨時福祉給付金」は、予算額およそ3600億円。これで1250万人に一律3万円を支給できるというのだから、柳井氏が持つ2兆3000億円のうち、何分の1かだけでも召し上げて国民のために使うことができたなら、救われる人もいそうなものだ。

カネを転がすだけの人たち

とはいえ、相続で億万長者になった富豪ならまだしも、柳井氏のように、自らの才覚で富を築いた人物からウン千億円も巻き上げるのは、少し理不尽な気もする。日本の格差研究の第一人者で、京都大学名誉教授の橘木俊詔氏が指摘する。

「私は、自力で成功した経営者は世の中に貢献しているから、たくさんもらう資格があると思います。彼らは大きな会社を作り、何万人という雇用を生んでいますからね。

ただ、日本では所得税の最高税率が下がり続けています。30年前は最高で70%取られていたのが、今は45%。金持ちが税金を払うことを嫌がり、政府も彼らの言い分を認めているのです。

海外の富豪のように寄付をするなど、儲けた分だけ社会に還元するという文化が根付いていないことが、日本の金持ちの最大の問題点でしょう」

いつからか、日本人の間でも常識となった「自己責任」という考え方。これはつまり、「オレが手に入れたカネは、オレの才能のおかげだから、独占して当然だ」という論理の裏返しである。

しかし、どんな億万長者も、その事業にカネを払ってくれる庶民がいるから暮らしてゆける。それに、汗水流して働かず、他人のカネを転がして大金を得ているような人々は、本当に世の中を豊かにしていると言えるのか。格差・貧困研究が専門で、昨年度のノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン氏も言う。

「大富豪といえども、全員が自分の力だけで地位を築いたわけでは決してありません。たまたま金持ちの家に生まれた人もいる。単に運がよかっただけの人もいる。逆に、彼らに劣らぬ才能を持っていたのに、環境やチャンスに恵まれなかったために、消えていった人もたくさんいます。

このまま格差が拡大し続け、すでに地位を得た富裕層だけが世の中のルールを作るようになるのは、非常に危険です」

ごく少数の人々が、圧倒的な富と力を独占している??世界を覆うテロの恐怖も、そんな庶民の怒りが形を変えて噴出したものだとも言える。

少なくとも、この「異常な社会」がまだまだ続くことは、目の背けようのない事実である。

「週刊現代」2016年2月27日号より

579名無しさん:2016/03/12(土) 16:03:41
http://www.afpbb.com/articles/-/3073560
世界の最富裕層1%の保有資産、残る99%の総資産額を上回る
2016年01月18日 14:02 発信地:パリ/フランス

【1月18日 AFP】世界人口の1%にあたる富裕層が保有する資産は、それ以外の99%の人々の資産全てを合計したよりも多いとの報告を、英非政府組織(NGO)「オックスファム(Oxfam)」が18日に発表した。

 貧困撲滅を掲げるオックスファムは、「世界経済フォーラム(WEF)」年次総会(ダボス会議)がスイス・ダボス(Davos)で開幕するのを前に、報告書「最も豊かな1%のための経済(An Economy for the 1% )」を発表。「悪化の一途をたどる不平等は、62人が所有する富と、世界人口のうち所得の低い半数の人々が有する富とが等しい世界をつくり出した」と述べた。

 オックスファムによると、この62人という数字は「ほんの5年前には388人だった」という。

 また報告書は、世界の不平等の影響を受けるのは、圧倒的に女性が多いとも指摘。「悪化する不平等の背景にある主要な傾向の一つとして、ほぼ全ての先進国と大半の発展途上国で、労働者に分配される国民所得が減少していることが挙げられる。世界の低賃金労働者の大多数は女性だ」と説明している。

 その上でオックスファムは、経済的不平等への取り組みの重要性を指摘する声は世界の首脳レベルでも増しているが、「貧富の差は過去12か月間で劇的に拡大した」と指摘。前年のダボス会議に先立って発表した、世界の富裕層1%の持つ富はもうすぐ残る99%の持つ富の合計を上回るとの予測について「2015年中に現実のものとなった」と述べた。

 報告書によれば、世界の極貧層は1990年から2010年の間に半減したが、世界でも所得の低い10%の人々の平均年収は過去25年間で3ドル(約350円)も増えていないという。(c)AFP

580チバQ:2016/03/15(火) 00:23:52
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/229361

公立中の制服“経済格差” 素材、機能2万円違い 同級生との「比較」不安も
2016年03月08日 03時00分
福岡県内の公立中学校の新入生保護者説明会で配布された学生服のチラシ。高いものと安いもので2万円程度の価格差がある(写真の一部を加工しています)
福岡県内の公立中学校の新入生保護者説明会で配布された学生服のチラシ。高いものと安いもので2万円程度の価格差がある(写真の一部を加工しています)
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 教育の場に貧富の差を持ち込まない-。それが、学生服を公教育に導入した理由の一つとされる。九州の各教育委員会によると、8政令市・県庁所在地の市立中学校は全て制服を導入。多くは「標準服」と呼ばれる詰め襟やセーラー服だが、同じように見えてもブランドや素材などで価格に開きがある。同じ自治体で標準服、ブレザー型と学校で異なるケースも。義務教育の制服にも少なからず経済格差が生じている。

 「夏服を涼しく改良しました」「ブランド製品で高級感が違います」

 福岡県粕屋郡の女性(42)は2月、長女(12)が今春進学する公立中の新入生保護者説明会に参加して驚いた。同中は標準服を採用しているが、学校が指定する四つの制服業者から、それぞれ取り扱う標準服の特徴説明があったのだ。

 抗菌、瞬間消臭、形態安定、洗濯機で丸洗いOK、撥水(はっすい)、UVカット、ストレッチ素材…。各業者が3〜4種類の商品を扱い、価格で着心地やポケット数も違う。詰め襟の上下セットは一番安いもので2万4750円。最高値は大手スポーツメーカーの「数量限定品」で4万4千円だった。

 女性は「家計の状況に応じて選べるのはいいけど、友達と比べられてしまうのでは」。セーラー服のリボンも価格で光沢や質感が違い、ある女児(12)は「リボンだけでもいいものを買ってほしい」と話した。

 一方、ブレザーの採用校には、服装の乱れを防ぐために標準服から切り替えた学校もある。ただ独自のデザインが多く、同じ自治体の公立中でも進学先によって価格が異なっている。

 制服メーカー大手「トンボ」(岡山市)ユニフォーム研究室の佐野勝彦さんによると、現在の制服の始まりは、新たな学校制度が始まった昭和20年代。導入に法律的根拠はなく、物資不足のころ、子どもが日々の服装を気にせず、学校に行きやすいようにと、当時の文部省が「標準的な服の導入を」と提案したという。

 私費での購入は今も昔も変わらない。兄弟、親戚での「お下がり」も一般的な制服。支給品という考えもあるが、佐野さんは「現在まで、支給品にするかどうかを議論した形跡は見当たらない」と説明した。

 義務教育の現場で標準服に“貧富の差”が生じていることについて、文部科学省児童生徒課は「課題として認識はしているが、制服は校則に基づくもので国として一律の対応は難しい。貧困世帯への配慮など、自治体でも対応を検討してほしい」としている。

=2016/03/08付 西日本新聞朝刊=

581とはずがたり:2016/03/21(月) 23:27:36
ギャンブルやセックスそしてアルコール以外に,もしかするとジャンクフードみたいなささやかなものにしか楽しみがない貧困者の行き着く先の心の闇に理解を示さないとただ抑圧するだけではダメだと思うけどサンケイはその辺を思いやる優しさは無いようだ。。
その上で,甘えがあるならちゃんと正す方向にいけないと思うが,現代社会は行きにくく,心の優しい人間心が折れやすくなっているのは困った事だ。。

「することはセックスだけ」米国もか…生活保護を食い荒らす低所得者層の実態
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/130924/evt13092415350048-n1.html
2013.6.8 12:30

 米フロリダ州が今年4月、低所得者に対して発行する生活保護費の支給のための「デビットカード」の使用制限を条例化した。来年2月から実施され、禁止されるのはカジノやストリップ、酒屋での使用。もちろん、生活保護者がそれらを利用していい理由は一切ない。公的扶助が少ないと思われがちな米国だが、生活保護を“食い物”にしたり、まるで自身が稼いだ金のように遊興費にあてる不届き者は少なくない。それは米国だけでなく、日本に共通する問題でもある。


 ■何でも使える“食料支援カード”

 「EBTを使用するのは自由だ」

 「あなたがすることはセックスをすることだけ。そうすれば9カ月後に大金が手に入れられる」

 これは、2011年夏にインターネット上で全米で話題となったビデオクリップ「Its Free Swipe Yo EBT」の歌詞だ。歌っているのは、チャプターという黒人女性歌手。EBTと呼ばれる生活保護費が振り込まれるデビットカードのありようとともに、子供を産めば働けないため低所得者として“保護”される米国の現状を揶揄(やゆ)してもいる。

 内容は過激だ。ビールを片手に、他の母親たちとタバコを吸ったり、ハンバーガーなどの高カロリーで栄養価の低いジャンクフードを買いにいく場面があったり…。「税金の行き着く先はここです」などといった指摘さえある。

 自助努力の国、低福祉国家と思われがちな米国だが、実はそうでもない。食料や住宅、医療などで支援制度は少なくない。

 そのうち食料支援は、低所得者向けの食料品購入補助制度「フードスタンプ」と呼ばれる。正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(SNAP)。州によって基準は異なるが、目安は4人家族で月収入2500ドルとされ、月100ドルが支給されるという。

 この生活保護費が振り込まれるのがEBTカードだ。複数の米メディアによると、フロリダ州議会が条例で禁じたのは、ストリップやカジノなどの遊興費、ビールなどのアルコール類、タバコなどの購入にこのカードを使うことだ。

 同州議会は昨年、同様の形で、カードによるケーキやクッキーなどのお菓子類の購入を禁ずる案を提案している。いずれも栄養確保に悩む低所得者というよりは、過度な栄養摂取であったり、栄養とは全く関係のない、むしろ不健康になるための不正使用だ。

582とはずがたり:2016/03/21(月) 23:27:50
>>581-582

■増える受給者と生活保護詐欺

 これはフロリダだけでなく、米国内で全体の問題でもある。EBTをめぐっては、食料購入時に名前や住所の提示が必要ではなく、カード転売をはかる不届き者も多いとされる。

 例えば、今年4月、フロリダ州で、客からEBTカードを購入し、商品に変えていたコンビニエンスストアのオーナーと息子が詐欺容疑で逮捕された。覆面捜査官を使った捜査では、210ドルのEBTカードを安く買い、2人はそれを使ってビールやタバコなどを購入。2人は同様のやり方で8万8千ドル(約880万円)を詐取していたとされる。

 また、今年3月にはニュージャージー州の安売り店の店主が2年半もの間、EBTでは買えないような商品を客に購入させたとして詐欺容疑で取り調べを受けた。その額は520万ドルにも及ぶという。

 確かに、フードスタンプの受給者は増えている。

 受給者は2013年3月時点で4767万人。総人口が約3億1400万人で、その約15%が受給者になる計算だ。09年の受給者は3300万人だったから、約4年で1300万人も増えている。

 米農務省の統計によると、その経費は12年会計年度(11年10月〜12年9月)が746億ドル(約7兆6100億円)。ほぼ毎年、過去最高を更新し、13年は2月までの5カ月間で318億ドルに達した。低所得者対策が、その時の政権の政策として扱われてきたため、受給者の条件が緩和されてきたという経緯もあるが、増え方は尋常ではない。

 また、低所得者の増加は、一部の富裕層と貧困層との“格差”が広がっているという現実が理由だとしても、使い方のルールまで緩めて、甘やかす必要はない。

 ■10カ月連続で過去最多を更新

 一方、日本でも生活保護費の不正使用は問題化している。

 厚生労働省は5月22日、全国で生活保護を受けている人が2月時点で215万5218人(前月比1576人))となったと発表した。10カ月連続で過去最多を更新しており、受給世帯も157万4643世帯となった。

 都道府県・政令市別では、東京都が29万720人で最も多く、大阪市15万2321人、大阪府8万7763人が続く。

 生活保護費の不正受給が増加。平成23年度は全国で3万5568件、金額は173億1299万円で過去最悪となった。働いて収入があるのに申告しなかったケースが約45%にのぼる。生活保護受給者が多い関西圏でも不正受給・使用は問題化している。

 生活保護とギャンブルをめぐっては、兵庫県小野市が今年4月1日、生活保護費や児童扶養手当をパチンコなどのギャンブルで浪費することを禁止する条例を施行した。

 政府は、不正受給の罰金を30万円以下から100万円以下に引き上げるなど、生活保護法改正法案を国会に提出。今国会中に成立する見通しだ。

 もしこれらが“効力”を発揮しなければ…。ギャンブルや飲酒、ストリップの禁止など実にバカバカしい規制だが、米国を見習うべきかもしれない。

583とはずがたり:2016/03/23(水) 14:46:47
スタバが売れ残り寄付
飢餓撲滅へ米7600店で
http://this.kiji.is/85201362969313286?c=49769094296027144
2016/3/23 11:39

 【ニューヨーク共同】米大手コーヒーチェーンのスターバックスは22日、複数のNPOと連携し、米国内の約7600店舗で売れ残った賞味期限切れなどの食品を寄付する取り組みを始めると発表した。廃棄食品を減らすとともに、安定的な食事ができない生活困窮者を救済する狙い。

 米農務省によると、米国民の6人に1人に当たる約5千万人が十分な食事を得られていない。

 スターバックスは、NPOを介して食品を届ける「フードバンク」と呼ばれる仕組みを活用。開始から1年で500万食を配布し、2021年までに5千万食に拡大、飢餓撲滅を目指す考えだ。

584チバQ:2016/04/06(水) 17:16:20
http://mainichi.jp/articles/20160305/k00/00m/040/077000c
子どもの貧困
.経済損失 最も深刻なのは沖縄県
毎日新聞2016年3月4日 20時20分(最終更新 3月11日 18時19分)

日本財団、深刻度を都道府県ごとに偏差値にして発表
 日本財団は4日、子どもの貧困問題を放置した場合の経済損失の深刻度を都道府県ごとに偏差値にして発表した。最も深刻になるおそれがあるのは沖縄県(偏差値13)で、損失が小さいのは福井県(同63.9)だった。

 日本財団は昨年12月、15歳の子ども約120万人のうち、1人親家庭の15.5万人、生活保護家庭の2.2万人、児童養護施設の2000人の計約18万人を対象に、貧困対策がないまま64歳になった場合の生涯所得や納税額などを推計した。対策が進み、高校中退率などの教育格差が改善された場合と比較すると、約4兆円の損失があると試算した。

 集団の平均からどれぐらい離れているかを示す偏差値を、都道府県の経済規模(県内総生産)に照らした損失額の割合や、山形大の戸室健作准教授がまとめた都道府県ごとの子どもの貧困率などを参考に、独自に「課題深刻度」として算出した。その結果、沖縄県▽大阪府▽高知県の順に損失が大きくなる可能性があった。

 また、15歳未満の子ども1人当たりの児童福祉費(医療費、保育園の運営費など)を都道府県ごとに調査。損失が深刻になるおそれが平均値より高いのに、貧困対策につながる児童福祉費が少ないのは北海道▽奈良▽埼玉▽宮城▽神奈川▽愛媛▽広島▽兵庫▽岡山▽大阪−−の10道府県だった。

 日本財団は「有効な対策に予算をかければ、経済的なメリットは大きい。特に就学前や小学生の子どもに対する支援が手薄で、官民を挙げて取り組む必要がある」と分析している。【黒田阿紗子】

585とはずがたり:2016/04/06(水) 19:01:33

生活保護の受給世帯、過去最多に 昨年12月の速報値
http://www.asahi.com/articles/ASJ32563NJ32UTFL004.html
2016年3月2日19時38分

 昨年12月に生活保護を受けた世帯は163万4185世帯だった。前月より1965世帯増え、過去最多を更新した。受給者も前月より1210人増えて216万5585人だった。ともに2カ月ぶりの増加。厚生労働省が2日、速報値を公表した。

 受給世帯(保護停止中を除く)の種類でみると、高齢者世帯が前月より1877世帯増の80万5723世帯で、全体の49・6%を占めた。

586とはずがたり:2016/04/06(水) 19:02:07


<NY外為>円急伸、一時109円台
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/160/962874ecad9769acfd4e543fc389b91d.html
(毎日新聞) 01:23

 5日のニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、日銀が追加の金融緩和を決めた2014年10月31日以来、約1年5カ月ぶりの円高水準となる1ドル=109円台に上昇した。

 原油安が進むなか、投資家の間でリスクを回避し安全資産である円買いが強まったとみられる。

587とはずがたり:2016/04/20(水) 11:05:56
震災で職を失いAV女優になった66歳の現実
日本の底辺でいま何が起きているのか
http://toyokeizai.net/articles/-/114395
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年04月20日

588とはずがたり:2016/05/08(日) 23:19:59
不況だなぁ・・・。

「格安デリヘル」に流れ着いた25歳女性の現実
「風俗嬢は超高収入」は過去の幻想である
http://toyokeizai.net/articles/-/115480
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年04月27日

「風俗嬢は超高収入」は過去の幻想

1980年代、1990年代の性風俗の全盛期を知る中高年の男性を中心に、この数年間の風俗業界の深刻な不況と、風俗嬢の収入の下落を理解していない方が多いです。たとえば「風俗嬢は超高収入で、ラクして稼いでいる。消費と遊びが大好きな女ども」みたいな意識は、過去の栄光に基づいた時代錯誤な認識です。

風俗業界に大打撃を与えたリーマンショック以降、その傾向は特に顕著となって、現在風俗嬢の大半は中小企業のサラリーマンと同程度か、それ以下の賃金でカラダを売っています。カラダを売って中小企業のサラリーマン以下の賃金とは夢も希望もないですが、本当のことです。

風俗嬢たちがそのような厳しい状況なので当然、経営者たちも儲かっていません。風俗嬢への誤解と同じく、たまに「風俗経営者は女性たちから搾取して暴利を貪っている!」みたいな批難をする人がいますが、大きな間違いです。この10年間ほど、風俗業界から景気のいい話はまったく聞こえてきません。

歌舞伎町などの繁華街の活気が失われた原因のひとつは、堅実になった風俗嬢たちがお金を使わなくなったからです。理由は単純で、風俗嬢の可処分所得が減ったからです。性風俗の単価が下がり、さらに男性客数は減ってしまいました。この数年の性風俗店は志願者の半数を断っている状態です。もう、人並みの女性では裸になっても稼げないのです。

589チバQ:2016/06/17(金) 23:36:21
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160616-00122821-toyo-soci
中学生が売春に走る沖縄の貧困の残酷な現実
東洋経済オンライン 6月16日(木)5時0分配信

中学生が売春に走る沖縄の貧困の残酷な現実
5歳の子供がいるシングルマザー、照屋由美子さん(33歳、仮名)
女性、特に単身女性と母子家庭の貧困が社会問題となっている。前回に引き続き、平均年収全国最下位、離職率全国1位に苦しむ沖縄で貧困に苦しむ女性のルポをお届けする。このルポは「総論」を語るものではなく、あえて「個人」にクローズアップしている。そこから浮かび上がってくる真実があると信じているからだ。われわれは、現実に起きていることから目をそむけてはならない。 

 沖縄最大の歓楽街・松山には、性風俗が密集する。路上にはスーツ姿の若い男性キャッチがあふれ、一晩中立ち、ひっきりなしに声をかける。歓楽街の真ん中にある雑居ビル前で、男性ピンサロ経営者・上地氏(仮名)を待つ。沖縄の住人たちの夜の始まりは、遅い。21時を過ぎてから、出勤する女性が続々と前を通り過ぎる。雑居ビルでは、数店の風俗店が派手にネオンを灯す。しかし、上地氏が経営するピンサロは、いくら探してもそのビルにはなかった。

 「うちは違法店だから、看板はないのですよ。空テナントに見えるここが、うちの店です。白看板の営業です」

 現れた上地氏は、恰幅のいい男性だった。3階の真っ白のプレートが掲げられた店を指して、そう言う。22時に開店、朝5時まで営業する。風営法でキャバクラや店舗型風俗店の営業時間は深夜0時か1時までと定められているが、松山では基本的に誰もコンプライアンスを守っていない。

■ 「本番」の価格は40分1万円

 エレベーターを降りると殺風景な扉があった。インターホンを押すと中から若い店員が鍵を開ける。1メートル先の人が見えないほど暗い。大音量の音楽が流れている。店内には、べニア板で仕切られたプレールームがあった。学園祭のような手作りだ。

 「店舗型ピンサロは風営法の許可を得ようがないので、無許可。完全な違法営業です。だから、沖縄のピンサロは看板出さない。税金も払ってないですね。お客さんはキャッチが集める。価格は時期によるけど、40分1万円が基本。本番で1万円です。観光客が多い時期や週末は、1万3000円とか値段を高くする。暇なときは40分9000円とか8000円まで下げることもある。それと地元の人間と観光客で値段を変える。沖縄の人間はカネがないから、値切りの交渉に応じることもある」

590チバQ:2016/06/17(金) 23:36:46
価格は観光客か地元住民か、そして季節、天候、人出によって変動する。40分1万円は、安価な価格帯だ。路上で声をかけるキャッチが観光客か地元住民かを見分け、価格交渉して客を看板のない店に誘導する。女性はシャワーのない狭い部屋で、40分以内で客と本番する。女性の取り分は売り上げの半分、キャッチは売り上げの1割、残った4割が店の収入となる。

 貧困が蔓延する沖縄出身の風俗嬢たちは、ほぼ全員が経済的な理由でその仕事に就く。夜の仕事は大都市圏と異なり、職種によって階層がある。上からキャバクラ→デリヘル→店舗型ヘルス→ソープ→ピンサロ(抜き屋)→ちょんの間、という順位で、キャバクラで働けるスペックの沖縄出身の女性が、違法店で本番を売ることはない。

 「その職種で働けるかは、年齢と容姿の問題。容姿がよければ、飲み屋(キャバクラ)ができる。容姿と体型が悪かったり、中年女性だったりすると、うちのような抜き屋(ピンサロ)しかない。抜き屋には飲み屋は当然、ソープもできない子が流れてくるわけ。うちは本番店だから、松山では最下層ですよ。うちにいる女の子たちは学歴ないし、容姿もよくない。みんなほかに行き場所のない子たちです。だから、店をやってしまった以上、女の子への責任はあると思っている。ほかに行き場所のない貧困の子たちがうちで働いているから、摘発されるまで続けるしかないですね」

 上地氏は高校中退によってレールから外れた。10代後半から雇用がなくて苦労している。さまざまな職種を転々として20代半ばに松山の夜の仕事に足を踏み入れ、31歳から風俗店経営をしている。

 「沖縄は、僕が子供の頃からずっと貧しい。観光産業が潤っても、基本的に内地の会社が儲かっているだけ。沖縄の人間はそういう会社に安くコキ使われているだけ。自分で商売しようという知恵も勇気もないし、本土の人間に利用されやすいわけ。自分もずっと貧しかったから、行き場所のない女の子たちには情が入る。貧しい女の子たちを助けているといっても、売春斡旋だから売春防止法違反。それと無許可営業だから風営法違反がつく。警察に捕まれば、よくて執行猶予、悪くて実刑1年くらい。それは仕方のないことですね」

 上地氏は那覇市内で飲食店と風俗店を3店舗経営する。容姿に恵まれない貧困女性たちが集まるこのピンサロは、ほとんど儲かっていないという。

■ 夜10時から子供を保育園に預ける

 22時半、照屋由美子さん(33歳、仮名)が出勤する。早足に待合室へ入ってワンピースの下着に着替える。照屋さんは5歳の子供がいるシングルマザーだ。週に何度かの出勤日は、21時過ぎに子供と一緒にアパートを出る。バスで松山へ向かい、繁華街の近くにある夜間営業する保育園に子供を預ける。子供が保育園で眠る間、22時半から閉店の朝5時までピンサロで本番を売る。

 沖縄の離婚率は全国1位だ。2013年は人口1000人に対して2.59組が離婚している。2位は北海道2.09組、全国平均1.84組で圧倒的な都道府県1位だ。繁華街近くにある保育園は、続々と風俗嬢やキャバ嬢のシングルマザーたちが子供を預けに来る。20〜21時半が保育園のピークとなる。照屋さんは「お客が来るまで」という条件で、取材に応じてくれた。

 「正直、疲れています。睡眠時間は毎日3時間くらい。お店は朝5時に終わる。私だけ送迎で帰って、朝起きるのは9時くらい。10時〜16時までグループホームで介護職して、保育園で子供を引き取るのは夕方17時以降です。翌日に介護の仕事がないときは朝5時半くらいに迎えに行けて、一緒に過ごせるけど、ダブルワークしているから子供は保育園で過ごす時間が長い。かわいそうだけど、仕方ないです」

 グループホームは時給720円。週3〜4日出勤しても、月収は6万5000円ほど。週3日平均で本番を売ることで、なんとか月収17万〜18万円を確保する。アパート家賃4万円、保育園代4万円の支出が痛い。児童手当1万5000円、母子扶養手当4万円が支給されることで、なんとかギリギリの生活を送る。彼女は童顔でかわいらしい顔だったが、体型はぽっちゃりだった。キャバクラやデリヘルで働けるスペックはなく、5年前からピンサロ勤めである。

591チバQ:2016/06/17(金) 23:37:09
 「出身は北関東です。16歳のときに家出して沖縄に来ました。親とは縁を切っています。お互い興味がないので、もう8年くらい連絡は取っていません。それに地元には友達はいない、ゼロです。地元に戻ることは一生ないと思う、これからもずっと沖縄で暮らします」

 16歳で家出して沖縄移住、親と絶縁、地元に友達はゼロ――とは尋常ではない。いったいなにがあったのか。

 「ずっと、イジメられていました。小学校低学年から汚いとか死ねとか、全員から言われ続けた。田舎の小学校で1クラスしかなくて、イジメは沖縄に逃げる16歳まで、ずっと。小学生の頃から自分が生まれてこなければよかったって意識があって、どうして私を産んだのって親を憎んだ。だから、人と付き合うのがうまくない。人が怖い。中学校に入ってから誰か友達が欲しいと思っても、同じ小学校だった人たちに邪魔された。悪いウワサを広められた。中学でも友達は全然できなかったし、なにもできなかった。本当に誰とも話さないで16年間を過ごしました」

■ 地元を捨てて沖縄に逃げた

 高校進学はしなかった。コンビニで働きながら、30万円を貯めて家を出ようって決めた。コンビニの同僚に「沖縄って楽しそう」と冗談半分で言われ、地元を捨てて沖縄に逃げることを決めた。

 「那覇の飲み屋で働くことにして、18歳って年齢をごまかしてキャバクラで働いた。時給2500円くらいだった。求人広告で面接に行って、そのまま事情を話した。年齢がバレないようにバイトをさせてもらって、寮みたいなところに住めた。沖縄は親切な人が多くて、助けてくれる人がいた。1年後にはアパートも借りることができました。18歳になって飲み屋の仕事を減らして、居酒屋とかコンビニとか、エイサーとかいろんなアルバイトを転々として、20歳で最初の結婚しました」

 19歳のとき、出会い系サイトで沖縄出身のサラリーマンと知り合った。恋愛関係になって20歳で結婚。安定した生活だったが、26歳のときに旦那が地元に近い北関東に転勤となった。「内地には絶対に戻りたくない」と、離婚している。

 「おカネに困るようになったのは、離婚後。ずっといろいろな昼の仕事と、水商売の仕事でダブルワークした。どんなに頑張っても稼げるのは17万〜18万円くらい。今と同じくらい。離婚して生活どうしようって不安になって、その頃にヘルパー2級も取りました。学歴がないと仕事がない、介護がいいかなって思って。6年前、スナックに客で来た沖縄の人と付き合った。寂しかったし、一人じゃキツイってことですぐに再婚した。最初はいい人と思ったけど、ふたを開けたらDVとか生活費くれないとか、ギャンブル好きとか借金まみれとか、メチャクチャでした。とんでもない男だった。息子は、その男との子供です」

 妊娠したことを男に告げれば、ギャンブルやお酒を控えて普通の生活をしてくれるかと期待したが、なにも変わらなかった。子供が生まれて半年後、離婚した。バツ2となる。

 「今のグループホームで介護職しながら、風俗を始めた。最初からピンサロです。太っているのでデリヘルは断られた。子供のためにも売春みたいなことはしたくないけど、仕方ないです。飲み屋ができる年齢じゃないし、それしか生活する手段がありません。介護で社員になるには介護福祉士を持ってないとダメだし、家賃と保育園と生活費でどうしても17万円くらいは稼がないとやっていけない。だからすごく無理してダブルワーク続けています。子供は5歳でまだまだ先は長いけど、ずっと風俗はやるしかないかな」

 照屋さんは何度もため息をつきながら、暗い待合室でそう語る。50分間くらい話しただろうか。キャッチが酔客を連れてきた。照屋さんは店員に呼びだされ、酔客の手を引きながら本番する部屋へと消えていく。後ろ姿は疲れ切っていた。

592チバQ:2016/06/17(金) 23:37:34
■ 中学生も働く、未成年専門の「抜き屋」

 「近くに18歳以下の子供ばかりの抜き屋がありますよ。場所教えましょうか?」

 上地氏は、そんなことを言う。白看板のピンサロから歩いて2分ほど、セクシー系の店舗が営業する同じようなビルがあった。空テナントのような白い看板の店が、その未成年専門店のようだった。はやっているのか、キャッチと男性客の出入りは多い。

 「あそこは未成年専門の抜き屋、当然、本番もさせている。未成年の中には、中学生もたくさんいますよ。沖縄では18歳以下の子供を雇用するのは、本当に簡単なの。口コミですぐに広がって、沖縄中から働きたいって女の子が集まる。違法店はそもそも地下に潜っているから、子供を雇用するかしないかは経営者の判断。未成年だからって値段が高いわけじゃない、うちと同じ40分1万円だよ。逆に女の子を安くたたいている。リスクある営業ってことで店側の立場が強いわけ」

 未成年ばかりの本番ピンサロは、沖縄以外には基本的に存在しない。2000年代半ば以降、全国的に摘発されているからだ。事実上の治外法権となっている松山でも未成年だけは即摘発のリスクがあり、極めて危険な営業だ。ここ数年はヒエラルキー下位の職種である違法ピンサロに未成年が集まっているという。

 「シングルやネグレクト家庭が多いから、一部の子供たちはどうしても中学生で自立を迫られる。中学生は普通のアルバイトはできないので、どうしても夜に流れる。10年くらい前まではキャバクラがそういう未成年の働く場所になっていたけど、条例(青少年保護育成条例)が厳しくなって、ちゃんと看板を掲げるキャバクラは未成年を雇用しなくなった。だから違法ピンサロに、どんどん流れるわけ。結局、中学生を雇うところは少ないから集中する。賃金を安くしてもほかに移る店がないし、辞めないから買いたたく」

 早くに自立を迫られる貧困世帯の未成年たちは、ピンサロや援デリ(売春組織)、個人売春などをして、なんとか収入を得る。16歳を超えれば飲食店やコンビニなどの仕事がある。未成年の中でも、特に貧困家庭の中学生が経済的に困っているという。

 「キャバクラが昔みたいに未成年を囲えば、売春する未成年は減りますよ。子供はカラダ売るより、キャバクラのほうがまだいい。いろいろな人との会話、接客することが勉強になるわけだし。一度、中学生を雇用しちゃうと、県全体から集まる。一人が働くとその友達に口コミで広がるから読谷の子が多い年もあれば、コザや宜野湾が多かったり、バラバラ。未成年は松山だけじゃなくて、仕事ができる場所と店に集まる」

■ 中学生の娘を売る母親も珍しくない

 貧困と格差が蔓延する沖縄の現実は、とんでもないことになっていた。本土で生活するわれわれには信じられない話だったが、上地氏は当たり前のように語っていた。

 「10日くらい前、うちで働く母親が娘を連れてきましたよ。中学2年だったかな。“娘がおカネを返さない、働いて返してもらう”って言っていた。もうメチャクチャですよ。未成年を雇うのは簡単だけど、うちはできるだけ長く営業したいから手を出しません」

 沖縄は産業と雇用の多くを米軍基地やその周辺のサービス業、観光業などに頼ってきた。民間投資が多くはないため、圧倒的におカネが足りない。いびつな状況は、すぐに繁華街の現実に表れる。違法店舗を摘発しても、経済的に困る女の子たちは別の場所に流れるだけだ。大人の女性はもちろんだが、特に子供たちには、売春してほしくない。それを止める手段は、今の沖縄のどこにあるのだろうか。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。 

中村 淳彦

593とはずがたり:2016/06/20(月) 15:17:07

米で路上生活86歳、帰国へ ネット募金、支援広がる
http://www.asahi.com/articles/ASJ6J62W9J6JULZU012.html?ref=goonews
平山亜理=ロサンゼルス、清川卓史
2016年6月18日11時43分

 米国で長年暮らし、数年前からホームレスになっている86歳の日本人男性が22日に帰国する。路上生活から救おうと、日米両国の支援者が連携。帰国費用を寄付で集め、日本で暮らす部屋もすでに確保した。

 男性は茨城県出身の宮田満男さん。日本の土を踏むのは44年ぶりで、「帰国したら親の墓参りをしたい」と話している。

 宮田さんは1970年代初めに渡米。和風住宅のリフォームを日本の会社に頼まれたからだったが、依頼主が倒産して帰国費用もなくなった。日本に残した妻と娘とは連絡がとれなくなり、米国にとどまった。

594とはずがたり:2016/06/29(水) 13:39:28
人間が人間らしく生きる為に暫くは正職について働くという行為が必要で非正規が増えて行く世界的な潮流は資本の論理と人間性が真っ向からぶつかる厳しい現実である。どうすりゃいいのかねぇ。。
世界的に共同して徴税しないと課税逃れを避けられないのと同様に労働者の搾取を避けるのも世界的に共通の基準を作らないとだめかも。
欧州は移民で低賃金労働を導入して社会の分断がテロをもたらした。日本は移民を排除してテロの風潮は起きていないが時折絶望する者による犯罪が発生している。。

やむなく非正規、ミドル男性の苦悩 気づけば40歳過ぎ
http://www.asahi.com/articles/ASJ2354NMJ23ULFA020.html?ref=goonews
古賀大己、北川慧一2016年2月3日22時04分

 契約や派遣社員など非正規の職から抜け出せない40歳前後の「非正規ミドル」が増えている。特に男性は「正社員の仕事がないため」が4割超と、「やむなく非正規」を続ける人の割合が他の世代や女性の同世代を上回る。低所得で老後への備えも十分積めないまま年を重ね、政府が1月末に打ち出した非正規支援策からも置き去りのままだ。

 昨年末、東京都内で開かれた就職面接会の会場。千葉県に住む41歳の男性が硬い表情でブースを回っていた。9月に派遣の仕事を辞め、正社員の職をつかもうと必死だ。だが、いまだ願いはかなっていない。

 1998年に九州の大学を卒業して18年。気づいたら40歳を過ぎていた。独身。結婚して子供を育てるという、若いころに思い描いた自身の姿は遠い。「ずるずると派遣社員で来てしまった」と肩を落とす。

 就職活動に取り組んだ90年代後半はバブル経済崩壊後の「氷河期」の真っただ中。地元の百貨店などを目指したがかなわず、地元の中小商社に入った。だが営業の仕事が合わず、転職するため3年で辞めた。パソコン関連の資格を取り、派遣で働きながら就活を始め、やっと東京のIT会社で正社員に。商社を辞めてから7年経っていた。

 ただ、喜びもつかの間。2008年秋のリーマン・ショックのあおりで、1カ月後に上司から突然、「来なくていい」。解雇になり、再び派遣社員としてコールセンターや携帯会社などの職を転々としながら、食いつないできた。「正社員の安定した職を得て、将来設計を組み立て直したい」。男性はつぶやくが、見通しは立っていない。

595チバQ:2016/07/03(日) 18:57:12
http://www.asahi.com/articles/ASJ6G0PCCJ6FPTFC036.html
「子ども食堂」全国に300カ所 開設急増、半数が無料
中塚久美子、河合真美江、丑田滋2016年7月1日21時50分
 地域の子どもに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」や同様の取り組みをする場所が、5月末時点で少なくとも全国に319カ所あることが朝日新聞社の調査でわかった。子どもの貧困への関心が高まり、今年に入って開設が急増。6月以降の開設も相次いでおり、今後さらに増える見通しだ。


 全国の子ども食堂を把握する組織はなく、各地の子ども食堂のネットワークや子どもの居場所づくりに取り組む団体などの情報をもとに、朝日新聞が1カ所ずつ聞き取った。困窮家庭の学習支援の場や、夜を独りで過ごすことが多い子どもの居場所などで、食事を共にする活動も数に含めた。

 調査の結果、都道府県別で最も多かったのは東京で50。滋賀29、神奈川、京都、大阪が22、沖縄17と続いた。全ての都道府県に最低でも1カ所はあった。

 2013年までに開設したのは21カ所だったが、この年に子どもの貧困対策法が成立。6人に1人という子どもの貧困率が14年に公表され、支援の機運が高まった。調理や食材提供、遊び相手など活動が身近で参加しやすいことを背景に、開設数は14年13カ所、15年100カ所、今年5月末までに185カ所と急増した。給食がなくなる夏休みを前に、6月以降も開設が相次いでいる。

 開催頻度は月1回が139カ所で4割を占めた。月2、3回が71カ所、週1回が57カ所。週5日以上も15カ所あった。時間帯は平日夜が目立つが、登校前の朝食のほか、給食がない土日の昼食や長期休暇中心に取り組むところもあった。

 子どもの料金は、「お手伝い」などの条件付きを含めて無料が175カ所で55%を占めた。有料の場合は50〜500円で、100〜300円のところが多い。保護者など大人については子どもより高く設定されているところが多かった。

596とはずがたり:2016/07/13(水) 13:35:54
会津若松市議の妻逮捕 生活保護費634万円を不正受給疑い
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00010001-minyu-l07
福島民友新聞 7月13日(水)11時4分配信

生活保護費を不正受給したとして、会津若松署は12日午前9時50分ごろ、詐欺の疑いで、会津若松市、フィリピン国籍、自称ホステスの容疑者(45)を逮捕した。容疑者は会津若松市議(55)の妻。同署によると、容疑者は容疑を認めているという。

 市議は福島民友新聞社の取材に対し、自身が生活保護の申請を手伝ったとした上で「妻が働いているとは知らず源泉徴収票を見て驚いた。私が不正受給に関わったとの誤解が生じているので公人としてきちんと釈明したい」としている。

 逮捕容疑は、会津若松市から生活保護を受給していた2011(平成23)年9月から14年2月までの間、飲食店で働いていたが、収入がないように装って市に生活保護費の給付を申請し、生活保護費約634万円をだまし取った疑い。

 同署などによると、市が14年6月、容疑者の勤務先から源泉徴収票などの提出を受けて不正受給の疑いがあることが判明し、同署に詐欺の疑いで告訴した。容疑者は10年12月から14年9月まで生活保護費を受給していた。同署は同日、市議から容疑者の生活保護申請の経緯など事情を聴いた。

597とはずがたり:2016/07/27(水) 03:00:05
結局難関私立中高一貫校に合格してたんだから頭は良くてそういう人が最終的に成功したからどうのこうの云っても余り説得力は無い様な気もするけど。。

勝ち組がつくる「普通」を放棄し、何度でも「人生をあきらめ」れば人生は楽しくなる!
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20160725/Bizjournal_mixi201607_post-7412.html
ビジネスジャーナル 2016年7月25日 06時01分 (2016年7月25日 21時10分 更新)

 本連載では、武蔵大学社会学部助教の田中俊之氏が「男性学」の視点から、「男」をめぐるさまざまな問題についてお伝えする。前回記事で、田中氏はお笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世が自身のひきこもり経験を書き綴った『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)を取り上げ、同書に描かれる「生きるとは何か」「普通の人生とは何か」といった問題について論じた。

 かつては、「大学を卒業→企業に就職→結婚して子供をもうける→住宅ローンを組んで定年まで働く」といった流れが「普通の男の人生」とされていた感があるが、男爵は「中学受験に合格→中学校で留年→引きこもる→苦し紛れに高校受験するも、不合格→五年間、二十歳まで引きこもる→大検取得→大学合格→二年足らずで失踪→上京→芸人として、下積み生活始まる→借金で首回らなくなる→債務整理→やっと一回売れる!!……そして、今」と、壮絶な人生を送っている。

 今回、田中氏と男爵が対談を行い、男性の生き方からお笑い界の裏側まで、語り尽くした。連載特別編として、お伝えする。

●「勝ち組」がつくる「普通」の恐怖

田中俊之氏(以下、田中) 以前、男爵のラジオ番組に出演させていただいた時にもお話ししたのですが、僕の問題意識として、「“普通”って、けっこう大変なんじゃないか」というものがあります。そして、前回記事でも紹介したように、中年男性の約7割が「毎日がつまらない」と感じている現実がある。…

598とはずがたり:2016/08/02(火) 01:04:56
貧困の多くは「脳のトラブル」に起因している
「見えない苦しみ」ほど過酷なものはない
http://toyokeizai.net/articles/-/127404
鈴木 大介 :ルポライター 2016年07月16日

私事になるが、ここ半年以上、僕は外出をする際に、必ず首からヒモで下げられるようになっているガマグチ財布を持ち歩いている。別に妙なファッションにハマってしまったわけではない。このガマグチは、昨年初夏に僕自身が脳梗塞で倒れてからの、お守りだ。

なぜ首から下げるガマグチがお守りなのか??詳しい経緯などは先日出版させていただいた闘病記である拙著『脳が壊れた』(新潮新書)に書いたが、端的に言えば脳梗塞によって軽い高次脳機能障害となってしまった僕は、買い物先のレジでの支払いができなくなってしまったからだ。

高次脳機能障害とは、脳細胞が外的ダメージや虚血(血流が悪くなること)によって壊死してしまった結果から起きる障害で、身体のマヒなどとは別に、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知や情動などにトラブルが起きることを言う。

僕の場合、注意欠陥や情緒の抑制困難(脳梗塞を起こした右脳には感情の抑制をつかさどる部位があり、そこにダメージがあった)、そして初期は極度の集中力低下という症状が出た。

結果、できなくなってしまったさまざまなことのひとつが、レジでの支払いだ。指の動きにもマヒはあったが、それ以前に極度に低下してしまっていた集中力と認知能力で、小銭を数枚数えると何枚数えたかわからなくなり、端数をどのように出すかを考えられない。加えて感情の抑制もできないから、レジ前の店員のいらだつ顔や後ろに並ぶ人の気配にパニックを起こしてしまう始末。

そこでガマグチである。これならば、もう自分でカネを数えるのをあきらめて店員に財布を差し出して数えてもらえばいいし、札で出してお釣りを財布に戻してもらってもいい。リハビリを経て現在ではほぼ社会復帰できているが、今でもガマグチをお守りとして持ち歩いている。

それなりに地獄のような苦しさを伴う経験だったが、この脳梗塞発症は、僕にとっては本当に僥倖だった。なぜならば、この小銭が出せなかったりレジ前でパニックや感情の爆発を起こしてしまうという人たちを、僕はそれまでの貧困者や面倒くさい人たちの取材の中で、何度も見てきたからだった。

話すことの順序が立てられず、声が出ない

高次脳機能障害になった僕の行動は、そして訴える苦しさの内容は、驚くほどに彼ら彼女らに酷似していた。僕を襲った症状は、いわば「貧困当事者あるある大事典」みたいなものだった。

心の中がつねに何かでいっぱいで、何を見ても号泣してしまう発作。発作の後に訪れる、身体を縦にしていることもまぶたを開けていることも困難な極度の疲労感や虚脱感、猛烈な睡魔。

人に何かを合理的に説明しようとしても、何から話せばいいのかの順序が立てられず、声が出ない。出ない声にまごまごしているうちに、相手に言葉をかぶせられて、焦りといらだちと情けなさと悲しさがごっちゃになった、もう意味のわからないパニックになってしまう。

長文を読むと3行で睡魔が襲ってくるし、漫画を読もうにもそのセリフ、そのコマの次にどこを読めばいいのかわからなくなる。

理由のない不安の発作が始まると、サランラップで全身をぐるぐる巻きにされたように息が詰まり、窒息しそうな苦しみから逃れられない。それが不安なのかもわからない。

こんな僕の症状は、僕がこれまでの貧困者取材の中でさんざん聞き取ってきたものだった。

リハビリや妻と友人の支えで、この苦しさは徐々に緩和されはした。が、僕のデジカメの中に、入院中の僕が自分自身を写した1枚の写真がある。幸い下肢にマヒの出なかった僕は、入院中から再発予防と減量のためのウォーキングを始めていたのだが、病院のガラス窓に映る自分を写したその写真の僕は、おそらく誰もが「健康体」と太鼓判を押しそうな姿だ。…

599とはずがたり:2016/08/03(水) 21:31:39


相模原19人刺殺 植松容疑者が「生活保護」受給できたワケ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/186994
2016年8月3日

 一体どんな手段を使って受給資格を得たのか。神奈川県相模原市で起きた45人殺傷事件で、殺人容疑で送検された植松聖容疑者(26)が市から生活保護を受給していたことが分かった。

 市によると、植松容疑者は今年3月24日から31日まで8日分の生活保護費を受け取っていたという。分からないのは、小学校教師の父親もいて、自動車も所有していた植松容疑者がなぜ、生活保護を認められたのかということだ。

 生活保護を受け取る場合、ケースワーカーによる生活実態の確認や収入の調査を経て、審査を通る必要がある。植松容疑者のケースは果たしてきちんと調査したのか。市に問うと「詳細は個人情報なので答えられません」(地域福祉課課長)と回答した。

「『生活保護をどうやったらもらえるのか』と聞かれました」

 植松容疑者から相談を受けた知人は日刊ゲンダイにこう打ち明けたが、実は相模原市では生活保護の不正受給問題がたびたび起きている。

「昨年6月、生活保護費の架空請求手続きで約266万円を着服した市のケースワーカーの男が懲戒免職されました。受給者に現金で直接手渡すと偽って、飲食費や借金返済に使っていたのです。今年5月にも市内で生活保護費を横領した不動産会社社長が逮捕されました。社長は市内の十数棟のアパートの1室に数十人を住まわせる『貧困ビジネス』を行っていたようです。このうち、入居者3人が失踪したにもかかわらず、市は昨年まで生活保護費を支給していた。いずれも『相模原市は生活保護の申請が通りやすい』との噂を聞きつけ、犯行に及んでいたようです」(相模原市内の福祉関係者)

 措置入院となった病院の検査で、植松容疑者の体から大麻の陽性反応が出たにもかかわらず、県警に通報しなかった相模原市。今回明らかになった生活保護費をめぐる問題でもしっかりとした検証が必要なのは言うまでもない。

600とはずがたり:2016/08/16(火) 17:34:18
“高学歴下流”34歳男性は人生をやり直せるか
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160719/biz/00m/010/011000c
2016年7月20日藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事

貧困は固定化している(4)

 私たちのNPO法人「ほっとプラス」(さいたま市)にある日、34歳男性から相談電話がかかってきました。「契約社員をしているんですが、仕事も暮らしも展望がないんです。話を聞いてもらせませんか」??弱々しい声でした。

 東京六大学の一つで法律を勉強し、学生時代は弁護士を目指していました。しかし、司法試験に何度も落ち、結局法律の道をあきらめました。ここ6年ほど、法律知識を生かせる実務書系の出版社で契約社員の編集者をしています。

妻と子供2人で世帯年収300万円

 給与は月平均でおよそ18万円、年収で約200万円。働き始めた当初は、がんばって働けば正社員にしてもらえるだろうと思っていましたが、会社には6年間何も言われず、契約も待遇も変わりません。

 妻と4歳、2歳の子供がいて、妻のアルバイト収入を合わせて世帯年収は約300万円。東京都内の2DKアパートの家賃が月10万円では家計にゆとりはありません。目の前の仕事と暮らしに追われながら、空回りした正社員登用への期待も捨て切れないでいます。

 「20代は司法試験を目指してがんばりました。でも、ずっと合格できず、生活のために受験をあきらめて働き始めました。夢を追ったのは自分で、合格できなかったのも自分の力のなさです。そのことはよく分かっています」

 彼が弁護士を夢見たことも、司法試験に合格できなかったことも、誰にでもある人生の一コマ。責められません。

 「最近、これからの子供の教育や、自分と妻の健康、老後のことを考えると、胸が締め付けられるような不安を感じるんです。今より収入の高い仕事を探さないと、暮らし向きが良くなる展望はない……ただ、この年齢で転職できるのか、正社員として働けるのか、不安ばかりで……」

 助けてほしいというよりは、誰かに話を聞いてもらいたかったのでしょう。とりとめもない話をじっと聞きました。その後、家賃を安く抑えられる公営住宅があること、仕事を探す場所はハローワークだけではなく、職業紹介・就労支援をする自治体運営のジョブカフェもあること、職業訓練プログラムがあることなどを説明しました。

601とはずがたり:2016/08/16(火) 17:34:32
>>600-601
34歳で非正規なら正社員はもう無理なのか

 契約社員としての職歴しかないことが、彼の正社員雇用への道を狭めています。非正規雇用が4割を超えてもなお、非正規の仕事は職歴とはみなされにくい現実があります。そこに34歳という年齢も加わって、彼は焦り、苦しんでいます。

 問題は失敗したことではありません。何らかの理由で新卒時に正社員になれず、非正規で職業人生をスタートさせた人が、その後の職業教育や職業選択をやり直す仕組みが、あまりに少ないことが問題なのです。その結果、ある年齢を超えた時点で低賃金や不安定雇用は固定化し、やり直せなくなります。

 就職氷河期だった1998年ごろ就職でつまずき、不安定な仕事に就いた若者たちがそろそろ40歳を超えます。そのまま非正規の仕事に就いている人は、年齢からいっておそらく今後も非正規のままの可能性が高い。年収が400万円に達することはなく、年を重ねるにつれて職を失うリスクも高まります。

 「努力が足りなかったのだ」「力がなかったのだからあきらめろ」と、彼らの雇用の不安定さと低収入を責めるのは簡単です。しかし、塊としての彼ら「貧困世代」が20年後、今度は生活保護を必要とする集団になる可能性があります。

不本意で不安定な働き方が続く

 厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」(2015年)は、最新データとして次の数字を挙げています(総務省の労働力調査を基に集計したもの。別の調査では非正規率が40%超の結果もある)。

 ▽非正規雇用労働者1980万人▽非正規率37.5%▽非正規雇用者の内訳パート981万人、アルバイト405万人、契約社員287万人、派遣社員126万人▽25歳から54歳の非正規労働者は計約1070万人??。

 1990年に881万人だった非正規雇用労働者は、25年間で1000万人も増えました。また正社員として働く機会がなく、不本意ながら非正規で働いている人の割合は25?34歳で26.5%、35?44歳で17.9%、45?54歳で16.9%もいました。

 経済的な余裕がなく、教育や職業訓練への投資もままならない層がどんどんふくらみ、年を重ねるうちに、中間層だった人たちがしだいに下流に向かう現象が起きています。

 この流れを押しとどめることは、20年後の社会に対する私たちの責任です。

602籐吉郎:2016/08/17(水) 01:21:42
>>601
44歳までなら大丈夫
各業界とも少子高齢化で人手不足が進んでる
今の時代経験がなくても極端に選ばなければ正規雇用で雇用されます

603とはずがたり:2016/08/17(水) 19:21:38
日本が「本物の格差社会」になるのはこれからだ
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/04/post-160.php
2010年04月08日(木)15時52分

 民主党が野党だったころ、「小泉改革のおかげで日本は格差社会になった」と自民党政権を批判するキャンペーンを張っていたが、最近はいわなくなった。民主党政権になっても、格差は縮小しないからだ。もともと所得格差の指標としてよく使われる「ジニ係数」でみると、日本はOECD(経済協力開発機構)諸国の平均より少し高い(格差が大きい)程度だ。見かけ上の所得格差が広がっている最大の原因は、高齢化による引退である。

 しかし世界的には、所得格差は拡大する傾向がみられる。特に英語圏では高額所得者の独占度が高まり、たとえばアメリカでは所得上位0.1%の高額所得者の所得総額は、1970年代までは全所得の2%程度だったが、2000年には7%を超えている。これに対して日本の独占度は、この30年間ずっと2%で、ほとんど変わらない。他方、所得格差の拡大した国ほど成長率の高まる傾向がみられ、この点でも英語圏が最高で日本は最低である。

 世界的な格差拡大の原因は、二つあると考えられている。一つはIT(情報技術)の普及によって知的労働者の情報生産性が上がったため、それに対応して高級ホワイトカラーの賃金が上がる一方、単純な事務作業がコンピュータに代替されて、ブルーカラーの賃金は下がったのである。逆に日本でこういう格差が広がっていないのは、雇用慣行が硬直的なためにITによる業務の合理化が進んでいないことが原因と考えられる。したがって成長率も上がらないわけだ。

 もう一つの原因は、グローバル化による新興国との競争で単純労働者の平均賃金が下がっていることだ。日本で起こっている「デフレ」の最大の原因は、実はこれである。中国のGDPは今年、日本を抜くとみられているが、人口は10倍だから、一人あたりGDPは日本の1割である。これが日本に追いつくには、少なくとも20年はかかると推定されている。逆にいうと、今後20年間は、日本の賃金は中国に近づく(下がる)傾向が続くわけだ。

 このような「格差拡大」は、グローバルにみると先進国と新興国の「格差縮小」なので、必ずしも悪いことではなく、それを止める方法もない。したがって日本がこれに対応する方法は、二つしかない。新興国と競合しない知識集約的な産業を発展させることと、新興国と競合しない内需産業に労働人口を移動することである。

 成長率を高める点では前者が重要だが、知識集約産業にはあまり雇用吸収力がない。日本の成長率が高まることが今後あまり期待できない以上、内需産業、特に福祉サービスの労働生産性を引き上げることによって、格差の問題にも対処することが賢明だろう。

 総合研究開発機構(NIRA)は、このような方向で福祉政策を効率化する提言を3月に発表した。日本の福祉システムは、老年世代への給付が手厚く巨額の政府債務も将来世代の負担になるなど、世代間の不公平が大きい。また「終身雇用」などによって企業が福祉コストを負担してきたため、見かけ上は「高福祉・低負担」にみえるが、このようなシステムは企業収益の悪化によって維持できなくなってきた。

 したがって現在の非効率な福祉システムを改め、年齢・地域・雇用形態・性別などに依存しないで低所得者を税で支援する「負の所得税」のような福祉システムが望ましい。日本の社会保障支出は、年間約30兆円に及ぶ。これだけの所得を合理的に再分配すれば、絶対的貧困を解決することは不可能ではない。必要なのは子ども手当のような無原則なバラマキではなく、福祉や税制の抜本改革である。

604名無しさん:2016/08/27(土) 10:54:42
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160824-00000059-mai-soci
<乳幼児栄養調査>ゆとりない家庭、魚や野菜少なめ
毎日新聞 8月24日(水)14時0分配信

 ◇菓子やカップ麺多め

 経済的な暮らし向きにゆとりがないと感じている家庭の子どもは、魚や野菜などを食べる頻度が低い一方、菓子やカップ麺などを食べる頻度が高い傾向にあるとの調査結果を、厚生労働省がまとめた。家庭の経済状況と子どもの食事内容の関連を調べたのは初めてで、24日公表した2015年度の「乳幼児栄養調査」に盛り込まれている。

 調査は乳幼児の食生活改善に役立てるため10年ごとに実施され、昨年度が4回目。全国の6歳までの子ども3871人の親から回答を得た。今回は初めて家庭の経済状況と、主な13品目を子どもが食べる回数の関連なども調べた。

 経済的に「ゆとりがある」(全体の8.4%)と「ややゆとりがある」(20.9%)と回答した家庭の子どもは、49.5%が魚を週4日以上食べていたが、「あまりゆとりはない」(28.3%)と「全くゆとりはない」(9.2%)とした家庭の子は34.7%にとどまり、15ポイント近い差があった。大豆・大豆製品▽野菜▽果物--も同様に約4〜12ポイント、ゆとりがない家庭の方が低かった。

 一方、菓子・菓子パン、インスタントラーメン・カップ麺は、ともにゆとりのない家庭の子の方がよく食べており、カップ麺などを食べたことがない子は「ゆとりあり」で24.7%、「ゆとりなし」で15.6%だった。厚労省母子保健課は「栄養バランスが取れていないとまでは言えないが、品目によっては比較的差がある」と分析する。

 調査では、子どもに増えているとされる食物アレルギーについても初めて聞き、23.6%がアレルギー症状が出る食べ物を食事から除いたことがあると答えたが、このうち42.1%は医師の指示を受けず自己判断していた。また「過去に除去していた」と答えた人の約6割は、医師の指示なく制限を解除していた。

 食物アレルギーは命に関わる場合があるが、保護者の自己判断で必要ない食品まで除くと、栄養バランスが崩れる懸念もある。同課は「医師の指示を仰ぐことが必要」と指摘する。

 朝食を食べないことがある子どもは6.4%で、対象年齢などは異なるものの、10年前と似た水準だった。ただし、保護者が「全く食べない」「ほとんど食べない」という世帯では、子どもが「必ず食べる」割合がいずれも約8割に下がり、親の食生活を反映していた。【堀井恵里子】

 ◇村山伸子・新潟県立大教授(公衆栄養学)の話

 小学5年生を対象とした厚生労働省の研究と同様の結果で、幼児の頃からの傾向だと確認できた。ゆとりがない層では大豆製品など安いものも摂取が少なく、お金がなくて買えないだけでなく、健康的な食生活のための知識や意欲、調理技術がないことが影響している可能性もある。

 ◇川端輝江・女子栄養大教授(基礎栄養学)の話

 生活にゆとりのない家庭は、ゆとりのある家庭と比べ、親の年齢が若く、共働きやひとり親も多いと考えられる。子どもの食事内容の差は、金銭的な問題だけでなく、親の食べ物の好みや栄養や健康に関する知識、調理にかけられる時間の差を反映しているのだろう。栄養バランスの偏りは年齢が低いほど将来の健康問題への影響が大きい。生鮮食品は買い物が重要なので、時間の余裕がない家庭でも買い物がしやすい流通システムがあるといい。

605名無しさん:2016/08/27(土) 11:06:38
>>604関連

http://news.livedoor.com/article/detail/11023256/
低所得者ほどカロリー過剰摂取…1日5000kcalな食生活
2016年1月3日 17時0分 デイリーニュースオンライン

 かつて肥満といえば裕福さの象徴だったが、今や肥満は貧困の象徴となった。厚生労働省は2015年12月初旬、「国民健康・栄養調査」で「低所得世帯は高所得世帯に比べて、肉や野菜の摂取が少なく、穀物の摂取が多く、栄養バランスが取れていない」と発表して話題となった。同報告書ではさらに、肥満者の割合でも男女とも低所得層のほうが高い傾向にあるとした。

 今や太っていると低所得者だと社会ではみなされるのだ。とりわけ日本、アメリカなどの先進諸国ほどその傾向が顕著だ。生活保護受給率全国ワーストワンを誇る大阪市役所の職員に聞いた。

「刑務所から出所したばかりの人を除けば、たしかに肥満傾向にあるという印象が強いです。気になるのはお子さん連れで来られる場合です。そのお子さんも例外なく肥満している。昔なら栄養状態がいいと我々も気にならなかったのですが……」

1日5000kcalも摂取する生活保護受給者の食生活
 貧困だからこそ太る。これはハンバーガーやファミレス、コンビニ弁当にみられるファストフードでの食事ばかり摂っているからだという。

「生活保護受給層の1日の食事を聞いてみました。30代女性ですが、朝、昼、晩と近隣で買ったコンビニ弁当3食、そしてインスタントの味噌汁です。これを毎日続けていたら、それは太りますよね?」(前出の大阪市職員)

 成人の男性で建築業や宅配業といった肉体労働をしている者ならば1日3500kal摂取しないと体力的にもきつい。だが丸1日家にいて動くことのない生活保護受給者が3食コンビニ弁当、それに加えてアイスクリームやチョコレート菓子を延々と食べ続ける。摂取カロリーは約3000kalを超える。これだけでも1日のカロリー摂取量は高い。太る原因がここにある。大阪市健康局に聞いた。

「成人男性なら1日に1800kal、成人女性なら1日1500kalも摂取していれば十分です。1日に3000kalの消費は明らかにオーバーです」

 先述した生活保護受給の30代女性の場合、コンビニ弁当3食に加えてチョコレート1枚、アイスクリーム1個は必ず1日に一回摂取しているという。消費カロリーは最低3500kalを超える。コンビニ弁当以外ではファミレスでの食事だ。高カロリーであることには違いはない。大阪市健康局関係者が語る。

「食事だけならいざしらず酒も呑み、つまみも摂っていました。1日の摂取カロリーは5000kal強。それでいて運動はしない。就職活動はできない状況だそうで。だから外にも出ない。太って当然です。そして太っているからこそ仕事も出来なくなる。悪循環です」(同)

子どもが過度に太っていればネグレクトとみなす
 こうした高カロリー摂取は大人だけでは済まない。生活保護受給者層ではその子どももまた大人と同じくジャンクフードにみられる高カロリー食品を摂取している。肥満傾向は増すばかりだ。大阪市子ども相談センター関係者は次のように証言する。

「小学校5年生児童で身長は140㎝ですが体重は55㎏という子がいました。もちろん虐待とかネグレクトではない。話を聞くと食事はファミレスかマクドナルドのハンバーガーばかりです。まずはカロリー面からのケアが大事と判断しました」

 児童相談所では現在、大人とまったく同じカロリーを摂取させるのも、「ネグレクト(育児放棄)」とみなすという。冒頭部で紹介した大阪市役所の職員が“太っている来所者”の印象をこう語る。

「太っている。つまりカロリー計算ひとつしない。これは金銭管理も出来ないことを現します。子どもがいること。これは自分の生活水準を考えず出産する、つまり避妊もしないわけです。すべての生活が無計画ということがわかります」

 今、日本、アメリカのホワイトカラー層では肥満、喫煙は、「自己管理できない」ことを現す指標とされている。都市銀行勤務の女性(35)が語る。

「禁煙は当然です。1日の摂取カロリーは1200kalに抑えてます。休日のジム通いはかかせません。健康であること、それが行内、ひいては社会人としての評価につながりますから」

606名無しさん:2016/08/27(土) 11:06:52
>>605

 この女性によると、今、都市銀行では太っている男性は管理職に就けず、若くして関連会社に出される傾向があるという。続けて都市銀行勤務女性が語る。

「都市銀行の頭取職を見て頂ければわかります。太っている人はいませんよね? 太っていること、それは自分を律することができないとみなされます。自律していない人を金融機関の管理職には据えられません」

 もちろん生まれながらにして肥満体質の人もいる。だがそれでも太っていることは、「自己管理出来ていない」ことを表に出すようなものだ。

「経済的に自立している人は、自分を律することができる。だから太らない。でも、自分を律することができない者は経済的にも自立できていない」(大阪市生活保護担当者)

 経済的自立と社会人として自律できているかどうか。ここを見極める鍵が、今、肥満かどうかであることのようだ。太っているだけで社会人としての信用にかかわる時代の到来だ。

川村洋(かわむらひろし)1973年大阪府生まれ。大学卒業後、金融業界誌記者、地元紙契約記者を経てフリーに。週刊誌や月刊誌で活躍中

607名無しさん:2016/08/27(土) 11:10:01
>>604関連

新たな飢餓…貧しいのになぜ太る?
米国をむしばむ貧困と高カロリー食品
トレイシー・マクミラン/ジャーナリスト
2014年7月29日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140722/268982/?rt=nocnt

貧困と肥満率の関係
2015/2/18
http://socius101.com/post-983/

アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ
2014/3/26
http://socius101.com/poverty-and-inequality-of-the-us/

608とはずがたり:2016/08/28(日) 19:36:59
貧困たたき
新宿で緊急抗議デモ 作家の雨宮処凛さんらも
http://mainichi.jp/articles/20160828/k00/00m/040/019000c
毎日新聞2016年8月27日 20時04分(最終更新 8月28日 13時46分)

 子どもの貧困問題を扱ったNHKのニュース番組で体験を語ったひとり親家庭の女子高校生がインターネット上で中傷され、人権を侵害された問題で、「生活苦しいヤツは声あげろ 貧困たたきに抗議する新宿緊急デモ」が27日、東京・新宿であった。最低賃金引き上げを求める若者グループ「AEQUITAS(エキタス)」が主催し、作家の雨宮処凛さんらも参加した。

 約500人(主催者発表)の参加者が「貧困たたきは今すぐやめろ」「貧困知らない政治家いらない」とコールしながら繁華街を歩いた。都留文科大3年、栗原耕平さん(21)は「当事者の女子高校生に見てほしいと思い、デモとスピーチをした。ものすごく生活が苦しい人しか声を上げられないというのではおかしい」と話した。

 番組に登場した女子高校生は、ネット上でプライバシーをさらされたうえに発言や容姿を中傷され、持ち物や趣味についても「ぜいたくだ」「貧困ではない」などと非難された。エキタスのメンバー、原田仁希(にき)さん(27)は「貧困状態にある人が抑圧されて声を上げられなくならないよう、バッシングを許さない人がいることを示したかった」と話した。平均的な生活水準を下回る「相対的貧困」では貧困とみなさないかのような風潮に対し、原田さんは「どこまで貧困だと声を上げられるというのか。貧困のラインが必要最低限の衣食住を満たせない『絶対的貧困』の方に引き寄せられようとしている」と危惧する。

 28日には名古屋市や京都市でも同様のデモが予定されている。【西田真季子】

609名無しさん:2016/09/03(土) 18:42:04
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160903-00000016-mai-soci
<貧困>「貧乏人らしく」女子高生たたきの大誤解
毎日新聞 9月3日(土)9時0分配信

 貧困について語り、NHKニュースで取り上げられた女子高生に対するバッシングが止まりません。そこには「貧困」の基準を巡る大きな誤解があります。人々の貧困への視線を読み解きます。【NPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典】

 ネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には今も「貧困をたたいてるんじゃない、貧困のふりをしてることをたたいているんだ!」「映画やランチを楽しんでいるのに貧困? 支援? ふざけるな」「NHKは捏造(ねつぞう)をやめろ」といった声があふれています。

 18日放送のニュースで女子生徒は、母子家庭の経済事情で専門学校進学をあきらめたことを明かしました。

 アパートの部屋に冷房がないこと、パソコンの授業のために母にキーボードだけを買ってもらって練習したことなど、番組は母と2人暮らしの女子生徒の暮らしぶりも伝えました。その映像にイラスト用の高価なペンが映ったことから、女子生徒のものとされるツイッターが特定され、1000円の昼食を食べていたこと、好きな映画を見に行っていたことが攻撃されました。

 女子生徒をたたく人たちは、「彼女は本当の貧困ではない。飢餓寸前になるまで助けるべきではない」と主張しているように見えます。ある国会議員もその論調に乗ったツイートをしました。ここに、貧困問題を考える上で重要なポイントがあります。

 つまり、「貧困とはどのような状態を指すのか」「貧困であるかどうかを決めるのはいったい誰か、そしてその基準は?」という問題です。

 ◇その社会の「普通の暮らし」ができているかどうか

 「貧困」の言葉から何を想像するかは人それぞれですが、多くの人は、貧困とはものを食べられず、服も買えず、住むところにも困っているという状態をイメージするでしょう。

 このように、肉体・生命維持で精いっぱいの極限状況を「絶対的貧困」と呼びます。発展途上国で見られるタイプの貧困で、国連は、低所得、栄養不良、健康不良、教育の欠如など、とうてい人間らしく生きられない状態と定義しています。

 貧困について、特に欧州では、19世紀半ばから議論が始まりました。絶対的貧困は社会が対応しなければいけないという認識が広がり、20世紀に入ると、社会保障で貧困をなくす動きにつながりました。その意味では、先進諸国では絶対的貧困は解決された、とも言われています。

 1960年代になって、英国の社会学者ピーター・タウンゼントが「相対的剥奪」(Relative Deprivation)という概念を提唱しました。「最低限のものを食べられて、着る服があれば貧しくないのか、人間的な生活と言えるのか」と問題提起をしたのです。これが「相対的貧困」という概念です。

 タウンゼントはいくつかの「剥奪指標」を示しました。ちゃんと食事をしているか、外食をしているか、友人関係を維持しているか、習い事や教育にお金をかけているかといった指標です。

 冷蔵庫を持っているか、ホームパーティーを開いているか、という項目もありました。国によって違いますが、通常の人が享受しているこれらの指標がもし剥奪され、その社会の人間が考える「普通の暮らし」ができていなければ、その人は「相対的に貧困である」と考えられます。

 社会生活から剥奪されたものをとらえ、先進国の貧困、普通の暮らしを定義しようとしたわけです。そして、国民の半数から60〜70%ほどが実現している指標が欠けている場合、何らかの支援、所得補償が必要と判断されます。

 この概念は「貧困を再発見した」と言われました。欧州ではこうした議論が半世紀以上続き、貧困を巡る議論はすでに成熟しています。絶対的貧困と相対的貧困の混同は起きません。

610名無しさん:2016/09/03(土) 18:42:14
>>609

 ◇「支援を受けたいなら貧乏人らしくしろ」は傲慢だ

 ところが、今回の貧困バッシングでは、女子生徒の1000円ランチがたたかれました。「貧困であることをアピールし、支援を求める高校生がランチに1000円もかけるとは何事か」という偏狭な批判です。貧困なのだから映画を見てはいけない、アニメグッズをそろえてはいけない、と求める批判者は、支援されるべき貧困を「絶対的貧困」と考えています。そして、「貧しい者は貧しくしていろ」という懲罰的態度を無自覚に相手にぶつけています。

 「貧乏人は貧乏人らしく」という目線は、貧者を「劣った者」と見なし、隔離した16世紀英国の貧者隔離思想に近いものです。

 昔の英国社会では貧困は罪でした。本人が怠惰で、なまけていて、努力する意思もないから貧しくなったのだと見なされました。貧困の「個人原因説」です。貧困者はムチで打ってでも働かせるべきだと考えられ、懲役にも近い形の収容所に送り込まれていたのです。

 日本の憲法第25条は、相対的貧困の考え方を先取りする形で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。にもかかわらず、日本ではいまだに貧困バッシングが続いています。2012年の生活保護バッシングも同じ構図です。

 誰もが何かのきっかけで、ある日貧困に陥るかもしれません。そのとき貧困バッシングは自分に向かってくるかもしれないのです。

611とはずがたり:2016/09/06(火) 22:54:03
江東区役所で包丁を持ち職員と口論、容疑の女を現行犯逮捕
TBS News i 2016年9月5日 15時01分 (2016年9月5日 16時20分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160905/Tbs_news_68280.html

 5日午前、東京の江東区役所で生活保護を受給する60代の女が、包丁を持って職員と口論になり警視庁に現行犯逮捕されました。
 5日午前10時45分ごろ、江東区役所で「包丁を持った女性が騒いでいる」と110番通報がありました。

 駆けつけた警察官が、包丁を持って職員と口論をしていた60代の女を現行犯逮捕しました。この騒ぎによるけが人はありませんでした。

 調べによりますと女は生活保護の受給者で、午前9時半ごろ、職員に電話をして「刺し殺しに行く」と話していたということです。警視庁は女が生活保護費をめぐるトラブルから犯行に及んだとみて、詳しいいきさつを調べています。(05日14:07)

612チバQ:2016/09/08(木) 22:35:41
http://toyokeizai.net/articles/-/134801
月収13万円、37歳女性を苦しめる「官製貧困」
公営図書館の嘱託職員は5年で"雇い止め"に
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年09月08日

この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、図書館で非正規雇用で働く女性だ。ごく一般的な女性である彼女が、なぜ貧困に苦しむようになったのか。



この連載の一覧はこちら
都内の閑静な住宅街、真夏の陽が痛い。アスファルトからは湯気のように気体が立ち昇る。門構えが立派な高級住宅が建ち並ぶ中に、公営の図書館がある。公園が隣接し、放課後に遊ぶ小学生や小さな子どもたちの声が聞こえた。

谷村綾子さん(37歳、仮名)は、この図書館に勤める図書館司書だ。館内に入ると神聖とも言える静かな雰囲気、司書たちはカウンターで貸し出し返却業務、カートを押して本の整理、カウンター奥の事務スペースでは黙々と事務作業をする。館内は広く、週刊誌や文庫本から専門書、地域の資料まで幅広い本がそろう。谷村さんの終業時間は17時15分。隣の公園で待つと、17時20分にはやって来た。黒髪、清楚で堅いイメージ、おだやかでまじめそうな女性だった。

「市の嘱託職員になります。図書館で働く司書の7割くらいは非正規雇用で、給与は安いです。未婚、ひとり暮らしなので正直、毎日不安と焦りばかりです……」

役所、義務教育機関、福祉施設の運営、公園管理、文化観光、清掃、防犯防災などなど、市区町村の仕事は幅広い。膨大な業務があり、とても正規採用された職員だけではこなせない。それぞれの公共機関で多くの非正規職員を雇用して、業務を回して運営している。

賞与はなく、年収204万円

駅近くの喫茶店で話を聞くことにした。駅に向かって歩きながら、給与明細を見せてもらう。支給総額は17万円。所得税、住民税、社会保険料を引かれて、手取り金額は13万3442円。賞与はなく、年収204万円である。非正規職員の平均賃金は205万1000円(平成27年賃金構造基本調査統計)、谷村さんは平均的な非正規労働者と言える。

年収204万円、手取り13万3442円で、家賃5万円のアパートでひとり暮らし。手取り給与から家賃を差し引くと、月8万3000円しか残らない。貧困では「相対的貧困」という概念が使われる。「相対的貧困」は国民1人当たりの可処分所得の平均の、さらに半分に満たない状態を言うが、家賃を引いた可処分所得が99万6000円の谷村さんは、実質的にはこの水準に近いといえるだろう。行政機関で通常の常勤職員として働き、非正規雇用の平均給与を稼ぐひとり暮らしの女性が「相対的貧困」に足を突っ込みかねない時代に突入している。

「その日暮らしは十分できます。もっと経済的に厳しい人がいるのも十分承知はしています。けど、ずっとギリギリの生活で、何のぜいたくもしていないのに貯金すらできない。嘱託は1年契約、更新は最長5年と決まっていて、今は4年目です。来年はすごく頑張っても、仕事で成果を出しても確実にクビになります。低賃金なので蓄えはないし、年齢ばかり重ね、私はいったいどうなってしまうのだろうって」

家賃5万円。自宅は最寄り駅から15分と遠く、都内ではかなり安い。仕事はシフトによって、終業は17時15分か20時15分。谷村さんはいつも仕事帰りに駅前のスーパーマーケットで割り引かれた食材や総菜を買い、帰宅する。部屋にはテレビもパソコンもない。調べものはスマートフォンでする。夕飯を食べて家事をして、休日や空いた時間は自宅で勉強をしている。

悩んだ末に今年4月から学芸員の資格を取得しようと、通信制大学の科目履修生になった。給与が安いので外食や交遊、買い物はほとんどしない。仕事、家事、勉強を繰り返す孤独で単調な生活で、毎日職場や自宅で何度か「私、これからどうなっちゃうの」と、不安になる日々という。

613チバQ:2016/09/08(木) 22:36:08
「図書館司書は専門職です。私は子どもたちのための児童書や児童文学に詳しくて、たまに自分が企画してフェアみたいな企画をやっています。でも役所は誰でもできるって考えているし、いくらでも交換ができる部品くらいにしか思われていません。だから、非正規なのでしょう。私は司書の仕事をどうしても続けたくて、今ここが2カ所目です。前は他県の図書館で働いて、満期5年で契約が切れてしまったので都内に引っ越しました。また、あと1年半しか仕事ができないって考えると不安で、たまに眠れなくなることもあります」

嘱託職員は最長5年と、労働する期間が定められる雇用だ。勤務先の公営図書館は嘱託職員が中心となって運営している。必要な人材であっても毎年、誰かが契約切れで辞めていく。非正規採用の職員が無期雇用となる道はなく、司書の仕事を継続したいなら、別の自治体が運営する図書館に非正規として再雇用されるしかない。

5年の契約が切れるときは40歳目前

「5年の契約が切れるとき、私は39歳です。すごく司書の仕事は好きで続けたいけど、またギリギリの生活から抜けられない覚悟をして、同じような非正規を渡り歩くか、またはほかに能力ないけど、もう少しまともな生活ができるような仕事をなんとか見つけるか。年齢もあるし、本当は将来がないなら今すぐちゃんとした仕事を探したほうがいい気もするし。悩みばかりです」

彼女はメールで応募してくれた女性だ。応募理由はどうやらまじめに働いても抜け道のない生活に悩み、取材というより、誰かに相談をしたくて応募をしたようだった。同じ司書の同僚は地方公務員だったり、非正規ならば親元で暮らしていたり、配偶者がいたり、ひとり暮らしという同僚はいない。

図書館などの公共サービスは、自治体が民間の指定管理会社に運営を委託する流れがある。将来的に賃金上昇や雇用改善が期待できない業種だ。私は「年収200万円は非正規の平均で決して珍しい例ではなく、むしろ一般的。40歳で異業種に転職しても、おそらく賃金は似たり寄ったり」「学芸員の資格を取得しても雇用は少ない。貧困から抜け出すキッカケにはならない可能性が高いのでは?」と伝えた。谷村さんは“やっぱり”という表情になってため息をつく。

「悩んでしまうのは、あと何年でクビという不安から逃れたいから。ひとり暮らしで貯金がゼロなので、働き続けないとホームレスになっちゃいます。だから、本当に、働ける期限があるのは怖い。やっぱり正社員として働きたいって思う。きっと、自分にもそういう働き方ができるというかすかな希望を持っています。あとは世の中にはボーナスがあると聞きます。もし、ボーナスをもらえるような職に就けたら、もっと人間らしい生活ができるのかなとか」

どうして、ただただまじめに勤労する女性が苦しむのか。単身で暮らす20〜64歳の女性の3人に1人(32%)が貧困状態にある(国立社会保障・人口問題研究所)。さらに65歳以上の単身女性になると47%と過半数に迫る勢いとなっている。

さらに公共機関で働く彼女は、残酷なほどの正規非正規格差の渦中にいる。全産業での正規職員の平均賃金は321万1000円(平成27年賃金構造基本調査統計)と比べると約6割の収入しかない。さらに職場の同僚にいる正規の地方公務員と比べると、正規は平均年収669万6464円(平成26年地方公務員給与実態調査)と好待遇で、非正規の賃金は正規の3分の1にも満たない。

努力や自身の成長、仕事の成果ではどうにもならない絵に描いたような官製貧困、官製格差だ。貧困から抜けて、普通の生活をするためには学芸員の資格取得ではなく、ダブルワークをして長時間労働によって差額を埋めていくしかない。実際に同じような官製貧困に悩む、介護職の女性たちのダブルワークは常識で、その一部は性風俗に流れている。

低賃金や格差の現実で精神的に追い詰められ、悩み、身動きが取れなくなるのは谷村さんのような、よりまじめな一般女性たちだ。いったい、どうしてそうなってしまったのか。

614チバQ:2016/09/08(木) 22:36:43
新卒入社の会社では長時間労働の末、倒れた

両親と妹は父親のリストラを機に地元の北海道に帰り、谷村さんは社会人1年目からひとり暮らしを始めた。中堅大学の文学部を卒業して、IT系の中小企業に就職する。

「新卒入社の会社は5年間ほど勤めました。残業は月100時間ぐらいあったけど、残業代は出ました。なので、手取り25万円は超えていました。実は、お酒飲むのが好きで、その時代はよく友達と飲みに行ったりした。すごく忙しかったけど、自分のこれまでを振り返ると、いろいろ友達もいたし、当時がいちばん普通の生活だったなって。そのような普通の生活ができたのは、当時だけ。結局、残業代はたくさんもらっていたけど、長時間労働の過労で倒れて体調を崩しました。精神科では抗うつ神経症って診断されて、働けなくなりました。両親のいる実家に帰って、しばらく休んでから大学時代に取った図書館司書の資格を生かそうと図書館に勤めた。今と同じ嘱託職員で、手取りは12万円程度でした」

実家から図書館に勤めていた頃は、手取り12万円の貧乏だった。貧乏ながら好きな本を買う、買い物する、友達と遊ぶ、休日に問題意識のある障害者分野のボランティアに行く、ということはできた。貧乏の領域を超えて、貧困になったのは図書館勤務を継続したいと、都内に引っ越してひとり暮らしを始めてから。最低限の衣食住で可処分所得は消え、一切の遊びや余暇活動ができなくなった。昔のように友達と会うこともなくなり、自宅で独り悩む時間が増えた。

学生時代から“まじめな普通の子”だった。恋愛は誰かが教えてくれるわけではない。気づいたら出遅れていた。初めて男性を好きになったのは20代半ば、現在の図書館勤めになってから出会いはないし、どこかに出かけるおカネすらない。

「25歳くらいのとき、飲み屋さんで、好きな人ができたことはありました。北海道のときに30歳手前、初めて男性とお付き合いしました。そのときの相手は好意を持ってくれるけど、なんとなくちょっと引っかかるみたいな。クセがある人でした。精神年齢が低いというか、自己中心な性格でたまに激高しちゃうみたいな。今まで誰かと付き合ったことがなくて、好きな人ができないままより、一度ぐらい誰かと付き合ったら、いい部分も見えてくるかもみたいな意識でしたが、さすがに結婚まではいきませんでした。男性経験みたいなものは、それだけです」

「結婚や出産は、収入がある人の特権」


飛行機代がなくて、実家に帰れないと言う谷村さん
高度経済成長以降の日本は、結婚前提、企業を通じて妻や子どもに再分配される制度設計だった。労働者派遣法改正による非正規化の影響によって、多くの労働者は収入が下がり、世帯主の収入だけでは生活を支えられなくなったのが現在だ。そして女性の単身世帯は3人に1人が貧困という、壮絶な貧困社会に突入した。

「結婚すれば、生活が変わるみたいなことはよく言われていますが、非正規で低収入な自分にまったく自信がないし、誰かが見初めてくれるとはとても思えない。やっぱり結婚とか出産は、普通以上の収入がある人の特権というか、自分にかかわることとはとても思えないです」

うつむきながら、悲観的なことを語り出した。

「うちの図書館、一緒に働く3〜4割くらいが正規の公務員の方々です。正規の方々が職場で話していることって買い物とか旅行とか、子どもの教育とか、そういう話。正規でちゃんとしたお給料があって、家族で暮らしている人たちは、子どもにたくさん習い事をさせて、年に何度か海外旅行に行くんだ……って。何か別世界というか。私は飛行機代がなくて、今の職場で働き出してから一度も実家には帰れていないのに。この差って、何なのでしょう? 仕事をまじめにやっているだけではダメなのでしょうか。正直、ずっとすごく苦しいです」

安倍政権は「働き方改革」「一億総活躍」などの指標を立て、さらなる女性の社会進出を後押ししようと動いている。しかし、全雇用者の4割を占める非正規職員や、貧困に近い状態の生活を強いられる非正規女性たちが、自分の力だけでその苦しい状態から抜け出せる道はほとんど用意されていない。それだけでなく、彼女がかかわる公共事業は民営化や非正規化による予算削減で、ギリギリの生活の現状維持すらできない状態だ。

谷村さんは貧困状態の現状維持すら否定される中で、かすかな希望をもって今日も学芸員の資格取得の勉強をする。

615チバQ:2016/09/08(木) 22:38:54
http://toyokeizai.net/articles/-/131513
「沖縄の貧困」を最底辺で支えるヤミ金の壮絶
那覇市内の"高齢売春特区"で起きていること
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年08月19日

沖縄の夜は遅く、ゆったりとしている。沖縄県那覇市の栄町と呼ばれる繁華街は夜9時過ぎから活気づく。住所は那覇市安里、ゆいレール安里駅の東側に妖光なネオンが広がる。

ヤミ金業で働く大城君(28歳、仮名)に呼ばれて栄町にきた。昭和にタイムスリップしたようなにぎにぎしい街に驚く。栄町中心部にある栄町市場には若者が集まり、隣接する栄町社交街は郷愁を誘う小さな旅館やスナックが密集し、旅館を掲げる店舗では平均年齢60歳ほどの高齢売春婦たちが客引きをする。

事実上の“高齢売春特区”

「おばさんたちは50〜70歳くらい。栄町周辺は元赤線で旅館は全部がちょんの間(性的なサービスをする風俗店)です。値段はどこも同じで、本番を売って15分5000円。おばさんたちの収入は15分3000円。旅館で届出をしているので摘発されることはないんですよ」

大城君は、そう言う。栄町社交街はもともと「ひめゆり学徒隊」で知られる第一高等女学校の跡地で、戦後に赤線となった。1958年の売春防止法施行で赤線は廃止されたが、飲食店や旅館として届出することで営業を続ける。本番を提供するちょんの間は違法風俗だ。2000年以降、全国的に風当たりは強く、沖縄も例外ではなく宜野湾市の真栄原新町、コザ吉原は摘発で壊滅状態となった。

しかし、栄町社交街は、そのまま生き残る。栄町で売春する女性たちは総じて高齢で、加齢によってどこにも採用されなくなった女性たちの働く場所となっている。沖縄はほかの都道府県と異なり、警察は売春防止法違反や風営法違反を基本的に見逃している。おそらく膨大な貧困層が行き場を失うことが理由だ。栄町で売春する女性たちは、本当に中年を超えた初老の女性ばかり。事実上の“高齢売春特区”といえる。

大城君は栄町が故郷だ。中学校時代の同級生、先輩後輩が何人もヤミ金業を運営し、さまざまな業者の債権回収や融資の手伝いをする。高校中退以降は地元の友達のツテで違法カジノや風俗店で働き、10年ほど前から仲間たちが続々とヤミ金に手を染めた。

ヤミ金とはヤミ金融の略称で、貸金業として登録をしていない金融業者である。法律外の暴利でおカネを貸し付けする違法ビジネスで、全国に存在する。ヤミ金はすべて現金、債権回収、電話1本で貸し付ける融資と人手がかかる仕事で、定職に就かない大城君に地元の仲間たちから声がかかる。

「売春婦とか水商売のおばさんは、その日暮らしですよ。ほとんどがヤミ金からおカネ借りてる債務者です。おばさんたちは夜9時くらいから客を取って、朝方4時くらいまで働いている。深夜1時あたりには売春したおカネを持っているので、栄町では深夜1〜2時くらいがヤミ金の集金時間帯なんですよ。0時を回ると、ちょんの間の前にバイクが何台か停まります。ヤミ金の取り立てですね。売春したおカネをすぐに返済させるわけ。ヤミ金は夕方から夜までは営業と融資、夜から深夜に掛けて集金に回って、1日の最後に栄町で集金する。それで1日が終わる」

沖縄特有のヤミ金システム

沖縄ヤミ金は週掛けと呼ばれる金利を採用し、本州をはじめとする他の都道府県のヤミ金とはシステムが違う。その仕組みを説明しよう。

10万円を貸すとする。沖縄では融資時に利息3万円を最初に差し引かれて、現金7万円と10万円の借用書を交換する。そして、その場で初回(1週間分)の返済を求められ、実際に手にするのは現金6万円。その日から毎週1万円を元金返済し、10週間続ければ完済となる。他の都道府県では一般的なトイチ(10日に1割)、トサン(10日に3割)など、元金が減らないシステムと比較すると暴利を貪るが、生かさず殺さずが続く、まだ良心的なシステムといえる。

616チバQ:2016/09/08(木) 22:39:19
「ヤミ金業者はみんな横でつながっている。約束の日に集金に行っておカネがないとなったら、あいつカネがないから、貸し付けてくれってほかの業者に頼む。追い込まれているから利息が高くても借りるんですよ。そうやって債務が雪だるま式に増えていく。栄町のおばさんたちは20社、30社から借りていますよ。1日4〜5社の返済がある。おばさんたちは売春しても15分3000円にしかならないから、1日の稼ぎはせいぜい1万2000〜2万円程度でしょう。売春しても解決しないわけですよ」

ヤミ金業者の多くは母子家庭育ち、中学時代にヤンキーだった者たちだ。大城君もそうである。中卒、高校中退して一度は働いてもすぐに辞め、夜の仕事を転々として20歳前後でヤミ金に落ち着く。

債務者はクレジットカードが作れず、消費者金融が貸し出さない風俗嬢や男性店員、違法風俗で働く売春婦、博打好きのおじさんなどで、似た者同士でおカネが行き来して、債務者は暴利をむさぼられている。底辺の貧困層の中に、さらに残酷な弱肉強食があるのだ。

「債務者はみんな学歴が低い貧困層です。普通の人は借りないですよ。だから何も考えていない人が多い。返済に困ってから現実に気づく人がほとんどで、司法書士に泣きついて債務整理が入っても一時的に取り立てをやめるだけです。ヤミ金は自宅に行ったり、旦那とか彼氏の職場とか行くから、結局、返してきますよ。債務者は優しい人とかまじめな人ほど、追い込まれますね。誰かから奪う、陥れるみたいなことは毎日なので、ヤミ金の人たちは普通の感覚じゃないですよ」

葬式にだって回収へ行く

全国どこもヤミ金を営むのは、地元の元不良少年たち。債務者は明日、明後日の生活が苦しい貧困層だ。おカネのない貧困層から奪う弱肉強食なので、追い詰められて自殺する債務者は定期的に現れる。悲劇には慣れている。葬式まで回収に行く者もいるという。

「これから回収ですけど、債務者を取材できたら5000円か1万円出せます? あの子は風俗嬢だったかな」

深夜23時ごろ、大城君はそんなことを言い出した。私がうなずくと、軽自動車で那覇の市街地に向かう。車で10分ほど、小さなアパートの前で停まった。大城君は1階の部屋のチャイムを押し、女性と話す。

1分もしないで話がまとまり、自宅アパートから平良瑠美さん(29歳、仮名)がやってきた。取材謝礼を1週間分の支払いに充てるとのことだ。平良さんは違法店のピンサロ嬢、体型は若干太くスペックは高くはない。4カ月前からヤミ金に手を出している。

「半年くらい前にお客さんが全然入らない店に移ってから、ドン底です。週末でもお客さん2人だけとか、平日ゼロとか。夜10時から朝6時までのオープンラストいても、全然稼げなくなった。1日6000円とかで、送迎代引かれて5000円とか。そんな状態が続いて、生活はキツイというか無理になりました。家賃を支払ったら生活費なくなっちゃうし、食べなきゃいけないし。家賃滞納すると、今度は出て行けってなるし。おカネが全然足りなくて、友達にヤミ金を紹介してもらった」

平良さんの月収は1日5000円×22日で11万円ほど。生活保護水準を下回るかなり厳しい金額で、ヤミ金の負債は現在進行形でだんだんと増えている。現在は4社から10万円、合わせて40万円の負債がある。一人暮らしで家賃、光熱費、携帯を合わせて定期的な支払いは6万円ほど。可処分所得は5万円しかないのに、ヤミ金に週4万円の返済をしなければならない。家計は完全に破綻していた。

617チバQ:2016/09/08(木) 22:39:37
「全然、おカネが足りなくて困っている最中です。もっと働くしかなくて、昼間働けるソープを探しています。なんとかおカネを作って返すしかないです。消費者金融とか銀行は、風俗嬢は無理、おカネを借りるのはヤミ金しかないんですよ。無駄使いをしたわけではないのに、ほんとうに大変なことになっちゃいました。もう自分でもわけがわからないです」

19歳の頃は1日2万5000円稼いだ

彼女は沖縄の離島出身。高校卒業後、福祉系専門学校への進学で那覇に出た。専門学校の学費と家賃は両親が支払い、生活費は自分で稼ぐというプランだった。19歳の平良さんが高収入求人情報誌にあった日給3万円の求人に応募したら、そこは真栄原新町のちょんの間だった。10年前の学生時代に売春を始めている。

「興味本位でした。求人見て、本当に3万円ももらえるのかなって。まだ学生だったので、すごいと思って面接に行っちゃった。離島には風俗ないし、友達にそういう人もいなかったし、全然わからなくて言われるままちょんの間に立ちました。即体験入店みたいな。それまで彼氏くらいしか経験なくて、何もわからなかったけど、1週間くらいで慣れちゃった」

両親や地元の友人は、離島。那覇に住み始めたばかりで、専門学校から離れていれば誰にもバレないと思った。当時、真栄原は盛況で19歳の平良さんにはお客がつき、1日2万5000円は稼いだ。学校に行きながら売春で月20万円以上を稼ぎ、それなりにゆとりある専門学校生活が続いた。

「1年くらいした頃、学校の同じクラスの男友達にバレちゃった。店の目の前にいて、“何しているの?”みたいな。一応、口止めしたけど、それから学校に行きづらくなった。沖縄は夜の仕事への偏見は、けっこうすごい。同じクラスだったし、徐々に学校に行かなくなって、最終的には辞めた。辞めてからは真栄原の仕事を続けて、地元と那覇を行ったり来たり。気づいたら10年とか経っちゃって、焦りばかり」

本当はどうしたいのか?を尋ねると、「昼の仕事をして普通の生活がしたい」と言う。彼女は風俗嬢を10年間続けているが、貯金があるどころかヤミ金の支払いで食事も満足に取れない状態だ。地元に帰ろうにも、ヤミ金の返済を終わらせないと身動きが取れない。違法風俗で本番を売っても貧困状態で、ヤミ金の負債は膨らむばかり。これから始めるソープランドとのダブルワークが、最後の手段となる。

「風俗の仕事はすごく疲れるし、嫌になる。だから精神的に疲れて、何年に1度か那覇を離れて地元に逃げちゃう。でも地元に帰っても最低賃金の仕事しかないし、希望みたいなのは何もない。昼の仕事に就いて普通の生活をするのが夢だけど、それはおカネがある人だけができること。私はいつまで経っても無理です。今は本当にヤミ金のおカネを返して、リセットするしかないです。今年中には何とかしたい」

彼女が溜息をつきながら語る「昼の仕事ができるのは、おカネがある人だけ」とは、風俗嬢たちがよく言う言葉だ。一般的な仕事に就くと、最初の給与の発生は就業初日から1カ月半〜2カ月先になる。手元に30万円はないと、その空白の期間を乗り越えることができない。

沖縄は基本的に最低賃金に張りついた仕事ばかりで、恋人ができてもDVが蔓延して、男もおカネを持っていない。手元に30万円という壁が乗り越えられず、日払いの売春の世界から抜け出すことができないのだ。平良さんは裸の世界に足を踏み入れてから、気がつけば10年間が経ち、栄町のおばさんたちは30年間以上が経ってしまっている。そこにヤミ金たちが付け入り、さらに貧困が深刻化している。

618チバQ:2016/09/08(木) 22:40:00
「1年前から彼氏がいます。半同棲みたいな感じ。いい人だけど、仕事を辞めないと結婚は考えられないってハッキリ言われています。とにかく借金を返さないと何も考えられない。彼氏に何言われるかわからないけど、ソープで稼ぐしか道はないです。本当にきつい、頭がおかしくなりそうです」

彼女は大城君の言う典型的な“優しい人、まじめな人”である。ヤミ金からは「返済踏み倒したら、実家に取り立てにいく」と言われている。離島で風俗嬢であることがバレると、あっという間に島中にうわさが広がって生きていけない。両親に迷惑をかけることになる。バレることは最も恐ろしいことで、法的措置をしても債務からは逃れられない。どこにも逃げ場はないのだ。

栄町に戻った。深夜1時半。大城君の言うとおり、旅館を掲げるちょんの間の前にバイクが停まる。おばさんたちはこの数時間で売春したおカネを、そのまま回収される。まさに貧困から抜け出しようのない無間地獄だった。

「かわいそうだけど、仕方ないですよね。おばさんたちは50歳、60歳になって、ずっと売春から抜け出せないし、抜け出しようがないんですよ。さっきのピンサロ嬢も借金は返せて、仮に昼の仕事でゼロからやり直しても、たぶんすぐに戻ってきますよ。債務者の女の子が夜を卒業して、昼の世界で幸せにやっているみたいな話は聞いたことない。彼女たちは学歴も手に職もないから、最低賃金の仕事しかなくて、それじゃあ生活できないですからね」

平良さんのような離島出身で一人暮らしする女性は、那覇にネットワークや人脈がないので、風俗か昼間の最低賃金の仕事か、その2択しかない。どちらを選択してもおカネが足りない。彼女が望む“安定した普通の生活”を手に入れるのは、非常に困難なのだ。

借金返済のため観光客からボッタくる


違法風俗だけでなく寂れたスナックが立ち並ぶ栄町社交街
昭和の雰囲気が色濃く残る栄町社交街には、違法風俗だけでなく、無数の寂れたスナックが営業する。スナックのママたちも売春する高齢の売春女性たちと同じく、その日暮らしの貧困層だ。売春女性と同じく、そのほとんどがヤミ金の債務者という。

「だから、ボッタくるんですよ。この辺の店はボッタくりばかり。客を見て高額請求するわけ。たとえば座っただけで、3人で6万円とか。カネがありそうな観光客だったら10万円とか。そうやっておカネを作ってヤミ金に支払う。あと看板も電気もつけないで営業している店があるけど、それはヤミ金の集金をかわすため。居留守を使う。もうみんな今日をどうやって切り抜けよう、それだけ。それが栄町の現状です」

栄町は、貧困という苦界に身を落として何十年も生き延びた高齢女性たちが漂流する最後の"特区"だった。そして貧困が蔓延する場所には弱者を食い物にする貧困ビジネスが蔓延する。

郷愁が漂う街には、日本の中でずば抜けて最悪の最貧困県沖縄の厳しい現実が詰まっていた。

619とはずがたり:2016/09/10(土) 19:19:29
最近,ベーシックインカム(昔田中康夫支持者さんが支持してた)を俺も潜在的可能性を認めつつある。なんか色々不透明すぎ。生活保護扱う公務員も首に出来るし支給するしないの不透明も解消出来る。

藤沢市 生活保護費が不正支出、金庫と壁の隙間から同額の現金
TBS News i 2016年9月10日 05時38分 (2016年9月10日 08時00分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160910/Tbs_news_68671.html

 神奈川県藤沢市で生活保護費およそ157万円が不正に支出され、担当する課の金庫と壁の隙間に同額の現金が見つかったことが分かりました。市は、職員による不正の可能性も高いとみて告訴する方針です。
 市によりますと、不正に支出されたのは生活保護受給者が鍼灸院で治療を受けた際に支払われる医療補助費で、2013年の1月から8月の間に受給者10人の名前を使い、合わせて19件の架空請求があったということです。受領証は、受給者の印鑑が押され偽造されていました。

 市が調べていたところ、担当の課にある金庫と壁の隙間を捜すよう促す匿名の投書などが寄せられ、指示通りの場所から不正に支出された同額のおよそ157万円が封筒19通に小分けされて見つかったということです。市は、職員による不正の可能性も高いとみて告訴する方針です。(09日23:24)

620とはずがたり:2016/09/10(土) 19:41:00
知り合いの財政学者に一寸議論挑んだ。ざっくりベースの数字を持ってるから頼もしい。

月7万を全国民1億2千万人にばらまくとすると7*12=84万で84万×1億2千万=100兆8000万。
消費税1%増やすと2兆増収と云われているけど彼は2.5兆位と睨んでるとのこと。このままだと消費増税50%〜40%が必要になるけど,生活保護費の支給額やその分の公務員の給料,稲作農民への生保的ばらまきや中心商店街への生保的ばらまきや過疎地への生保的ばらまきをけずればそんなに要らない。

生活保護だけで4兆円,農水省関連で2兆円とか支出してるんだから消費増税半分の20%ぐらいでいけるんちゃうか。残る50兆円は政府支出削減で対応(まあ50兆も削るのは大変そうだけど),まだ足りなければ富裕層への課税強化もOK。

勿論問題点はあって,皆が月7万貰う事で働く気を失ってしまうとモノの供給が滞って悪性のインフレに襲われる可能性がある。

http://lochtext.hatenablog.com/entry/20121110/1352531313
生活保護の給付総額は今年度、3兆7000億円を超える見通しで、この5年で約1兆円も増えている。
生活保護給付総額、3兆7000億円超へ

http://www.maff.go.jp/j/budget/2017/attach/pdf/index-60.pdf
農林水産予算総額 28年度予算額 23,091億円

621とはずがたり:2016/09/10(土) 19:43:59
とりま不要な財政支出50兆円分程募集しますw

622とはずがたり:2016/09/11(日) 00:18:57
>>620
>勿論問題点はあって,皆が月7万貰う事で働く気を失ってしまうとモノの供給が滞って悪性のインフレに襲われる可能性がある。
月七万,夫婦に子ども一人で月21万貰えるならとりま軽くバイトでもしながら結婚生活も出来そうで新しい需要が生み出され寧ろ雇用もGDPも増える可能性の方が高そうな気がしている。。

623名無しさん:2016/09/11(日) 16:48:11
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160911-00010004-newswitch-bus_all
中間所得層3分の2が貧乏になっている先進国の現実
ニュースイッチ 9月11日(日)11時23分配信

拮抗する米大統領選で待ち受ける答え
 9月2日に発表された8月の米国雇用統計では、新たな雇用創出件数が15万1000人と、予想の18万人を下回った。雇用の伸びは年ベース2・5%で上昇しているものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする3%を下回っている。また、賃金上昇が見られず、インフレ懸念もないことから、市場は20―21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ先送りと予想し、12月に利上げが実施されるかどうかに注目している。

 レイバーデイ休日が明けた6日からの米国市場では、ナスダック総合指数が過去最高高値を付けたが、地区連銀総裁2名が9月利上げに積極的な発言が引き続き、株価市場では様子見が続きそうである。そして、大統領選挙まであと2カ月となり、ニュースの焦点となりそうだ。

 民主・共和両党の候補者の第1回テレビ討論が26日に予定されている。世界のメディアがトランプ対クリントンの舌戦に集中するだろう。CNN/ORCの調査では、今のところほぼ五分五分の接戦で11州(オハイオ、フロリダ、バージニア、ノースカロライナ、ペンシルベニア、コロラド、ウィスコンシン、ミシガン、ネバダ、アイオワ、ニューハンプシャー)が勝敗のカギを握る。

 中西部オハイオ州のようにかつて鉄鋼業が栄え、地元経済を支えてきた中高年の白人労働者は、IT革命や新しい成長分野から取り残され、中間所得層から脱落しつつある。格差が拡大するなか、彼らのルサンチマンがトランプ支持のコアになっている。「米国を再び偉大にする」というトランプ候補のスローガンは、この支持層には効き目があるようだ。

 格差拡大が米国大統領選挙の根底にある。マッキンゼー・グローバル・インスティチュートのリサーチは米国経済は国内総生産(GDP)が伸びても中間所得層がその恩恵を受けない構造を指摘。中間所得層は1993年から05年にはGDP成長の約18%を配分されたが、その比率は05年から14年にはわずか4%に減少している。

 同リサーチによれば、この傾向は先進国25カ国5億人の人々の生活においても同様に、見られる。93年から05年までの期間で生活水準が以前よりも悪くなったのはわずか2%だったが、05年から14年までのグローバル化が進んだ10年間では、中間所得層3分の2の実質所得が減少したという。特に、若い世代、母子家庭、教育レベルの低い層に貧困が拡大している。

 米国のホスピタリティやサービス産業では雇用創出が見られるが雇用保障はなく、また専門性の高い職種では実質賃金の上昇が見られるが若い世代にエントリーレベルの機会が少なく、世代間での賃金格差に加え教育レベルでの格差も広がっている。

大井幸子(国際金融アナリスト兼SAIL社長)

624名無しさん:2016/09/19(月) 16:18:18
http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/15/_n_12038808.html
9年で平均所得73万円減、所得格差は過去最大 厚労省が調査結果発表
The Huffington Post | 執筆者: ハフポスト日本版編集部
投稿日: 2016年09月16日 18時54分 JST 更新: 2016年09月16日 18時54分 JST

公的年金などを除いた世帯間所得の格差が2014年に過去最大となったことが、厚生労働省が9月15日に発表した調査でわかった。高齢化で所得の少ない世帯が増えたことが主な原因という。

「所得再分配調査」はおよそ3年に1回実施されている。対象は約4800世帯。

1世帯あたりの平均所得は、392万6000円で、前回2011年より12万1000円の減少だった。2005年調査との比較では73万2000円減っていることも明らかになった。こちらも高齢化が影響している。

世帯間の格差を指数で表した「ジニ係数」(格差が大きくなるほど1に近づく)では0.5704で、前回よりも0.0168ポイント増えて格差が広がっている。調査を開始した1962年以来格差が最も大きくなっている。

■厚生労働省が「格差は拡大していない」と発表

こうした数字から、NHKを始めとする報道各社はこの結果を「格差拡大」と報道している。しかし、実は厚生労働省の発表資料を見ると、「格差は拡大していない」という部分が強調されている。これはなぜだろうか?

それは「格差」を、年金・社会保障などを再配分した後の数値で比較しているためだ。再配分後の所得では、1世帯あたりの平均所得は481万9000円。ジニ係数では世帯間格差は0.3759で、確かに前回より0.0032ポイント減った。

厚労省はさらに、再分配によって格差を縮める「改善度」について、過去最高の 34.1%となっているとし、「再分配機能の拡大により、格差の拡大を防止している結果」と概要に記している。

■最も再配分の恩恵を受けられない層が20?24歳

「改善度」が最高ということは、つまり年金など所得の低い世帯が受け取る社会保障費が増加しているという意味だ。世帯間の格差を縮めている代わりに、「世代間」の再配分には不均衡が生じているとも言える。

世帯間の比較は、年齢階級別の世帯員所得再配分状況で見ることができる。

平成26年所得再分配調査報告書(厚生労働省)より作成

再配分で得られた世帯員1人あたりの再分配後の所得と当初の所得を比較すると、60歳以上はプラス、59歳以下はマイナスになっている。(40?44歳では差し引きゼロ)この差額を当初の所得で割った「再配分係数」では、20?24歳の最も若い世代が、最も再配分の恩恵を受けられない層となっている。

625名無しさん:2016/09/22(木) 13:42:48
55歳元金融屋が貧困生活に転落した深刻理由
東洋経済オンライン 9月12日(月)5時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160912-00133939-toyo-soci

626名無しさん:2016/09/24(土) 16:25:56
http://www.sankei.com/west/news/160923/wst1609230052-n1.html
2016.9.23 16:50
「生活保護受け暇 時間つぶしに…」7年間のキセル乗車 容疑で59歳無職男を逮捕 大阪府警

 近鉄でキセル乗車を繰り返していたとして、大阪府警東住吉署は23日、電子計算機使用詐欺と鉄道営業法違反の疑いで、大阪市東住吉区住道矢田(すんじやた)、無職、下村聖一容疑者(59)を逮捕したと発表した。「生活保護を受けるようになり、金を使わず時間をつぶすためにやった。7年間の日課だった」と供述しているという。

 逮捕容疑は8月23日、近鉄矢田駅(同区)で150円の乗車券を購入した後、橿原神宮前駅(奈良県橿原市)を経て名張駅(三重県名張市)で折り返し、矢田駅隣の針中野駅(同区)で降車。翌24日も矢田駅から乗車し大阪阿部野橋駅(同市阿倍野区)で折り返して針中野駅で降車し、正規料金との差額計2260円をだまし取ったとしている。

 近鉄によると、下村容疑者は平成22年ごろから、駅や電車内の清掃状態や、駅員らの勤務態度についてクレームを繰り返していたという。今年2月、車掌が乗車中の下村容疑者に乗車券の提示を求めたが拒否したため、不正乗車の疑いが浮上。近鉄が7月になって同署に相談していた。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000084090.html
7年間ほぼ毎日“キセル” あらゆる駅でクレーム(2016/09/23 18:56)

 一番安い切符を購入し、あらゆる駅で降りては駅員にクレームを付けていたということです。

 逮捕された下村聖一容疑者(59)は先月、近鉄電車で150円の乗車券を購入し、大阪の「矢田駅」から三重県の「名張駅」まで乗車するなどし、乗り越し運賃1990円を支払わなかった疑いが持たれています。下村容疑者は7年間、ほぼ毎日、不正乗車を繰り返したとみられます。警察の調べに対し、下村容疑者は「やることも金もないが、150円で一日過ごせる。クレームを言うのが楽しかった」と容疑を認めているということです。

627とはずがたり:2016/09/24(土) 18:44:53
>生活保護になって時間ができた。金を使わずに時間が潰せた

近鉄の最安切符で不正乗車 男のあきれた言い訳とは?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160923-00000005-kantelev-l27
関西テレビ 9月23日(金)20時0分配信

電子計算機使用詐欺などの疑いで逮捕されたのは大阪市東住吉区の無職・下村聖一容疑者(59)です。

「男は自宅近くにある近鉄矢田駅からこの初乗り運賃の切符で電車に乗ったという事です。」

下村容疑者は8月23日、東住吉区の近鉄・矢田駅で、最も安い150円の切符を購入。

その後、本来2240円の乗車券が必要な三重県の名張駅まで行き、駅を出ずに引き返しました。

そして150円の切符の区間内である針中野駅で降りる不正乗車をした疑いなどが持たれています。

警察によると、「窓枠にホコリが付いている」などと近鉄の社員にクレームつけることもあったという下村容疑者。

不正乗車を7年もの間繰り返していたという事です。

調べに対し下村容疑者は、「クレームを見つけるのが7年間の日課だった。生活保護になって時間ができた。金を使わずに時間が潰せた」と容疑を認めています。

628とはずがたり:2016/10/03(月) 13:45:56
喜ばしい中国とインドネシアの改善を受けて,次はインドと行きたい♪

世界の貧困7.7億人に減少=13年、世銀報告
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E8%B2%A7%E5%9B%B0%EF%BC%97%EF%BC%8E%EF%BC%97%E5%84%84%E4%BA%BA%E3%81%AB%E6%B8%9B%E5%B0%91%EF%BC%9D%EF%BC%91%EF%BC%93%E5%B9%B4%E3%80%81%E4%B8%96%E9%8A%80%E5%A0%B1%E5%91%8A/ar-BBwUABZ
時事通信 8 時間前

 【ワシントン時事】世界銀行は2日、1日1.9ドル(約190円)未満で暮らす「極度の貧困」状態にある人口が2013年に全世界で約7億6660万人となり、前年に比べ1億1430万人減少したとする報告書を発表した。今週ワシントンで開く国際通貨基金(IMF)・世銀総会に合わせ、貧困に関する最新のデータを公表した。

 世界の総人口に占める極度の貧困者の割合は13年に10.7%で、前年比1.7ポイント低下した。中国とインドネシアの経済成長などを背景に、東アジア太平洋地域の貧困者が7100万人と、前年から半減した。一方、貧困者数が世界の過半を占める南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカ地域では改善が進んでいない。

 世銀は30年までに極度の貧困を事実上なくす目標を掲げている。世銀のキム総裁は、貧困が多い国の不平等な状況を解消し、「経済成長を促進する必要がある」と訴えた。

629とはずがたり:2016/10/10(月) 21:40:43
「最後の砦」救護施設の現実とは 厳しい社会復帰、進む高齢化
http://news.goo.ne.jp/article/fukui/nation/fukui-20161010174652166
17:43福井新聞

 日常生活を送るのが困難な障害のある人が生活保護を受けて入所する「救護施設」は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を守る「最後の砦」といわれる。福井県内唯一の救護施設「大野荘」(大野市)では、30?90代の143人(9月1日現在)が自立を模索しながら暮らす。高齢化が進み、人生の大半を施設で過ごしたまま生涯を閉じる入所者もいる。

 ■老いに直面

 午前11時半すぎ、大野荘の食堂に入所者が次々と集まってくる。がっちりした体格の中年男性、おしゃべりに興じる白髪の女性、車いすや歩行器を使っている人など年齢も障害の程度もさまざまだ。

 入所の問い合わせは県内市町だけでなく、県外からもあり、現在は男性89人、女性54人が2?4人の相部屋で生活している。1960年の開所当初から入所している人もいて、平均年齢は67歳。10年前に比べ約5歳上がった。食事や入浴などの生活介助が必要な人は全体の約3割いる。

 家族と分けて、施設の住所で住民票登録する「世帯分離」を行って生活保護を受ける入所者もいる。親が亡くなり、きょうだいやおい、めいが身元保証人の人も目立つ。保証人がおいやめいの世代になると、面会の回数も極端に減る。入所者の葬儀を施設で営む場合が年間3、4件あり、引き取られないまま保管し続けている遺骨もある。

 ■中間施設

 施設では一人一人に個別支援計画をつくり、部品加工や農作業などの作業訓練のほか、系列のグループホームなどでの自活訓練を提供している。自室でテレビを見てくつろいでいた男性(72)は、部品加工の作業を終えたばかり。「やっぱりもっと仕事をしたいよ」と笑う。

 施設長の木間幸生さん(66)は「救護施設はあくまで中間施設で、社会復帰や地域生活への移行を目指している。高齢などで寝たきりになれば養護老人ホームなどに移ってもらおうとするが、満室で移れない場合が多い」と説明する。

 生活保護法に基づいて設置される救護施設は「最低限度の生活」を提供する場所だ。他の福祉施設に比べて職員の配置基準などは低い。祖父母と同じ世代の入所者と接する若い職員の中には、信頼関係をつくるのに大きな負担を感じるという。

 ■精神障害6割

 近年は精神障害のある人の割合が増える傾向にあり、現在は約6割を占める。精神科病院への長期入院を減らす国の方針が背景にある。木間さんは「退院しても地域の受け皿が十分ではなく、救護施設と病院を行き来する人も少なくない。(障害者の)総合支援法や差別解消法など法整備は進んでも、制度のはざまに置かれる人は必ずいる」と指摘する。

 相模原市の知的障害者施設で入所者19人が刺殺され27人が負傷した事件から2カ月余りがたった。県知的障害者福祉協会の会長も務める木間さんは、障害のある人との共生が進まない現状に危機感を募らせる。

 「救護施設ができた当時、社会から隔離して収容するという発想があったことは事実。社会も企業も生産性ばかりを追い求め、障害のある人を排除する風潮が今も根強い。(容疑者の)障害を否定するような発言には、それを許していた社会のいろいろな問題が潜んでいる」

630名無しさん:2016/10/11(火) 06:20:13
http://news.mynavi.jp/news/2014/11/18/308/
アベノミクスで恩恵を受けたのは…"富裕層"と"超富裕層"が100万世帯超える
御木本千春
[2014/11/18]

野村総合研究所は18日、2013年の純金融資産保有額別世帯数と資産規模の推計結果を発表した。それによると、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」および同5億円以上の「超富裕層」の世帯数は計100.7万世帯となり、2000年以降のピークである2007年を10.4万世帯上回った。

純金融資産保有額の階層別にみた世帯数

内訳は、富裕層が95.3万世帯、超富裕層が5.4万世帯。前回調査の2011年と比べると、富裕層は25.4%増、超富裕層は8.0%増、合計では24.3%増となった。増加した理由としては、2011年時点では純金融資産が5,000万円以上1億円未満だった「準富裕層」268.7万世帯のうち、多くがこの2年間に資産を増やして富裕層になったためと推測している。

富裕層・超富裕層の保有する純金融資産総額は前回比28.2%増の241兆円。内訳は、富裕層が同16.7%増の168兆円、超富裕層が同65.9%増の73兆円となった。2007年の254兆円には届かなったものの、2009年(195兆円)、2011年(188兆円)の推計結果を大きく上回った。

同調査は、富裕層・超富裕層の純金融資産総額に関しては、リーマン・ショックや東日本大震災の影響から、ほぼ回復したと判断。純金融資産額の増加が著しい理由については、保有する金融資産に占める株式や投信の比率が高いことが考えられるほか、富裕層・超富裕層には、上場企業等のオーナー経営者や上場・非上場企業の株主が多く含まれるため、アベノミクスによる株価上昇がもたらした金融資産増加の影響が大きかったと分析している。

631とはずがたり:2016/10/14(金) 09:07:08

"自業自得な人工透析患者"批判が粗雑で残念な理由
藤田孝典/NPO法人ほっとプラス代表理事
2016年9月28日
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160927/biz/00m/010/006000c

632チバQ:2016/10/18(火) 02:53:26
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161017-00140240-toyo-soci&p=1
「若者の貧困」に大人はあまりに無理解すぎる
東洋経済オンライン 10月17日(月)6時0分配信

「若者の貧困」に大人はあまりに無理解すぎる
若者たちが働いても「しんどい」状況は、大人たちによって「つくられた」ものだった?(写真:AH86 / PIXTA)
生活困窮者支援を行うソーシャルワーカーである筆者は、若者たちの支援活動を行っていると、決まって言われることがある。「どうしてまだ若いのに働けないのか?」「なぜそのような状態になってしまうのか?」「怠けているだけではないのか?」「支援を行うことで、本人の甘えを助長してしまうのではないか?」などである。
要するに、"若者への支援は本当に必要なのか? "という疑念だ。これは若者たちの置かれている現状の厳しさが、いまだに多くの人々の間で共有されていないことを端的に表している。今回の連載を通して、「若者なんだから、努力すれば報われる」という主張など、ナンセンスであることを明らかにしていきたい。

■もはや通用しない労働万能説

 若者は働けば自立できる、働きさえすればまともな生活ができるという神話(労働万能説)が根強く存在している。働けばそれに見合った賃金を得られ、その賃金によってまっとうな生活を営めるというものだ。

 賃金を得るために、若者はどのような職場に入るか、どのようなキャリアを積むかで悩まなくてはならない。また、安定した仕事に就くように要請する社会的な圧力にも悩まされる。そのため、就職活動で人気があるのは、やはり一部上場企業であり、公務員志望の学生も増えている。

 しかし当然ながら、上場企業へ入社できたり、公務員になれる人数はもともと決まっている。すべての人がまともな賃金を得られる職業を確保することも、現実では不可能である。

 事実、働いてもまともな賃金が得られる保証がない職種も増えている。そして、その仕事はたいてい非正規雇用で、終身雇用ではないため、不安定な就労形態をとっている。賞与や福利厚生がない職場も多く、働いたからといって、生活が豊かにならないことが現在の労働市場で起こっているのだ。いわゆる「ワーキングプア問題」が注目されるようになってきた。働いても貧困が温存されてしまうのである。

 これは何も本人が低学歴であったり、コミュニケーション能力が低いということに由来しているわけではない。大学を卒業しても、普通に働いて生計を維持することが急速に困難になっているのだ。

仕事は選ばなければいくらでもある?
 労働社会学者の木下武男氏は、これらの若者の雇用について、「経済界・企業は、多くの若者を日本型システムから排除すること、つまり、若者を犠牲にしながら、日本型システムを温存しようとしたのです」(『若者の逆襲 ワーキングプアからユニオンへ』旬報社)と述べている。つまり、経済界や企業は、意図的に若者の雇用を崩壊させてきた経緯があることを的確に指摘しているのだ。若者たちが働いても「しんどい」状況は、労働社会学者が指摘するように、大人たちによって"つくられた"のである。

 ブラック企業の台頭も若者の困難に拍車をかける。普通に働きたいが、普通に働くことも許してもらえず、短期間で使い捨てにされてしまう。それによって、うつ病や精神疾患を発症してしまい、働けない状態に追いやられることも珍しくない。だから、「働けば何とかなる」という「労働万能説」はもはや通用しない。

633チバQ:2016/10/18(火) 02:53:59
■たとえ行き着く先がブラック企業でも…

 またこの労働万能説を論じる人々は、労働していない若者や、労働を望まない若者を怠惰だと見なす傾向がある。そのため、できるだけ早く労働するように、なかば「仕事は選ばなければ何でもある」と、労働に若者を駆り立てる。たとえ、駆り立てられた若者が行き着く先がブラック企業であったとしても─―。

 若者の一部は、望まない非正規雇用やブラック企業に長年、身を投じた揚げ句、「結局は報われない労働だった」とすでに体感していたり、今後もそうなりたくないと思っている場合が多い。だからこそ、働く先を選びたいのである。これはぜいたくでも何でもない当たり前の要求だろう。安心して働くことができない雇用が増え続けている中で、労働に対するインセンティブが湧いてこない若者たちが出てくるのも当然である。そして、彼らに強調しておかなければならないことだが、何でもいいからすぐに仕事に飛びつくことは、極力しないでほしい。

 劣悪な労働環境でも人が集まってくることがわかれば、その労働者の処遇はいつまでも良くならない。安心して失業し続けられる社会には、劣悪な労働環境がここまで拡散することはない。そもそも社会保障が充実している他の先進国では、賃金に依存しなくても、ある程度暮らしていけるため、過酷な労働にはそれなりの対価が支払われるし、ひどい企業も淘汰されていく。社会保障や社会福祉が遅れているからこそ、失業したときに困るし、早急に労働や労働市場へ駆り立てられることになる。

 たとえば、ブラック企業を辞めたが、すぐに仕事をしないと生活に困ってしまうので、急いで再就職をした別の企業も、またブラック企業であったという話はいくらでもある。じっくりと仕事を選び、準備をして余裕を持って就職をしてほしいし、その環境こそ整備していきたいものである。

 そして、労働市場の劣化は、若者の労働意欲を奪っていく。どのように働いていくべきかを悩み、資格をいくつも取る人々、自己啓発に関する書籍を読みあさる人々などをよく見かける。本質的には、この労働市場の構造を変えずに、彼らの苦悩は消えないのにもかかわらず、である。

 また、たとえ働かなくとも、若者たちには父母や祖父母がいるので、多少おカネに困ったとしても、家族が手を差し伸べてくれるのではないかという神話(家族扶養説)がある。

自分たちの生活だけで精一杯で…
 しかし、もうかつてのように、家族は若者を救えない。家族の世帯員が縮小し、相互扶助機能は前例がないレベルまで弱まっているからだ。世帯年収も減少傾向にあり、若者の親世代や祖父母世代は、自分たちの生活だけで精一杯であろう。

634チバQ:2016/10/18(火) 02:54:11
■家族への依存も、もはや困難に

 わたしは生活に困窮してしまった若者たちの相談を受けて、年間何十件も生活保護申請に同行する。NPO法人全体としては、なんと年間300件超(! )である。申請に行くと、福祉事務所職員は必ず、「頼れる家族はいませんか?」と聞く。

 しかし、家族が扶養できた事例には、残念ながら一件も出会っていない。若者が生活に困窮していたとしても、家族は頼れないのだ。そもそも家族を頼れる関係にあるのなら、NPOや役所には相談しないのではないか。

 奨学金を借りて大学に進学する学生の多くも、家族による学費負担や仕送りが十分に期待できない状況にある。家族相互に扶助が可能な世帯は、いったいこの日本にどれくらい残っているのだろうかと嘆息せざるを得ない。雇用の不安定化や賃金、年金の減少、物価の高騰などで自分自身の生計を維持することがやっとだという世帯が一般的であるように思う。

 また、悲しいことだが、家族自体が自らの子どもを、搾取の対象とする事例もある。

 長年、児童虐待を受けてきたり、十分な養育や教育を家族から受けることができなかった若者の存在だ。家族の存在自体が温かいものではなく、若者本人に対して、害悪を与える存在として機能する場合もあるということだ。社会的には"毒親"などと評する論調もあるくらいである。

 家族がいても期待される機能が発揮できない。あるいは家族関係自体にストレスを生じやすく、同居や支援を求めることによって、問題が悪化することもある。たとえば、精神疾患を有する若者が実家で生活している場合、疾患に対する理解が不十分な両親が、就労をしきりに促すことによって、過大なストレスを生じるといった相談事例は後を絶たない。

 彼らには、「家族の支援をきっと受けられるから大丈夫だよ」などとは口が裂けても言えない。このような家族と別居して暮らしたいが、生計を維持できないから、自由な暮らしを阻害されている。これに対してどうしたらよいかと相談を受ける。すなわち、「実家から出られない若者」の悩みである。

 いずれにしても、若者たちを取り巻く環境を見る際には、家族への依存は困難になっていると想定しておく必要があるだろう。さらに20歳を超えた成人に対して、家族がどこまで面倒を見るべきなのか、についても議論を進める必要がある。諸外国では当然であるが、成人した場合、血のつながりのある者同士でも、日本ほど扶養をすることはない。主に夫婦間や未成年の子どもに対する扶養義務くらいで、成人後は生活や就労を政府や社会システムが保障していく。「困ったら家族を頼る」ということが当たり前の社会でなくなることを示していきたいとも思う。

 つまり、困ったら家族が助けてやればいいという論調は、ややもすると社会福祉や社会保障の機能を家族に丸抱えさせることにつながってしまう。これでは家族が共倒れの状況を招きかねず、さらに社会福祉や社会保障の発展も妨げる。そういう点において、家族扶養説は危険な前近代の思想であると言えるだろう。

藤田 孝典

635とはずがたり:2016/10/24(月) 18:26:47
韓国の格差深刻、カースト制度みたい? 上位10%のエリートらに所得集中
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/161004/ecn16100412000001-n1.html
2016.10.4 12:00

【経済裏読み】

 韓国の労働市場階層は、「4階級」に固まった垂直構造からカースト制度と似ていると指摘されることが多いという。それはこの国の上位10%への所得の集中度が米国に次ぐ水準であることからもわかり、格差は深刻化している。

 賃金統計の結果からもうかがえ、一番上の階級の「大企業正社員」を100とすると、最下位層の「中小企業非正社員」は35。アジア通貨危機前の1995年には韓国の上位10%への所得集中度は30%未満だったことから、この間の経済成長の成果のほとんどが一部の“エリート”に集中分配されたことになる。

上位への所得集中は米国に次ぎ世界2位

 聯合ニュース(電子版)によれば、韓国国会立法調査処が世界トップ所得データベース(WTID)と国際通貨基金(IMF)の資料を分析したところ、韓国の上位10%への所得の集中度(2012年基準)は44・9%だったという。日本を含むアジアの主要国で最も高く、世界でも米国(47・8%)に次ぐ高い水準となった。

 所得集中度は所得上位の人たちが所得全体に占める割合を算出し、不平等の水準を判断する指標で、フランスの著名な経済学者、トマ・ピケティ氏らが提唱している。

 主要国の上位10%への所得集中度をみると、米国や韓国のほか、シンガポール(41・9%)、日本(40・5%)が40%を超えた。だが、韓国はアジア通貨危機前の1995年には上位10%への所得集中度は29・2%で、米国(40・5%)や日本(34%)、シンガポール(30・2%)に比べ低かった。

 それが通貨危機後、急速に所得集中度が上昇したのである。95年〜2012年の上昇幅は15・7ポイントで、シンガポール(11・7ポイント)、米国(7・3ポイント)、日本(6・5ポイント)などを上回り、所得不平等が最も深刻な国となってしまったわけだ。

映画「雪国列車」さながらの状況

 こうした現状を踏まえ、韓国経済新聞(電子版)は自国の労働市場階層について「4階級」に固まった垂直構造からカースト制度と似ていると指摘する。そして、上の「大企業正社員」から下の「中小企業非正社員」まで、厳格に分離された“雪国列車”のようだと表現した。

 「雪国列車」とは2013年公開の韓国のSF映画である。雪と氷に覆われてしまった世界でわずかに生き残った人類は、動き続ける列車「スノーピアサー」の中で生活。しかし前方車両に住む富裕層がすべてを支配し、最後尾に住む貧困層は奴隷同然の扱いを受けていた。そんな中、貧困階級の主人公が理不尽な支配に立ち向かうべく、仲間と反乱を企てる…。たしかに、韓国の労働市場階層の状況を彷彿させる。

636とはずがたり:2016/10/24(月) 18:27:12
>>635-636
 この国の労働市場階層の厳しさは賃金統計からもうかがえる。全労働者の10%にも満たない一番上の階級「大企業正社員」の賃金を100とした場合、上から二番目の階級「大企業非正社員」は62。三番目の「中小企業正社員」は全労働者の57%を占めるが、賃金は大企業正社員の半分程度の52でしかない。そして、最下位階級である「中小企業非正社員」の賃金は35に落ちる。労働者の30%がここに属する。

OECD平均より43日多く働く韓国人

 それでも、韓国人労働者1人当たりの年間労働時間は、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の中で2番目に長いのだという。一方、平均購買力評価基準賃金は、中下位圏(平均の80%)に止まった。仕事は多いが、収入は割合少ないのだ。韓国紙、東亜日報(電子版)が報じている。

 OECDが発表した「2016年の雇用動向」によると、昨年の韓国国内就業者1人当たりの平均労働時間は2113時間で、OECD34加盟諸国の平均(1766時間)より347時間も長かった。

 一日の法定労働時間8時間で割れば、韓国の労働者は年間264日を勤務し、OECD平均(221日)より43日多く働いたことになる。

 一方で韓国人労働者の賃金はOECDの平均より少なく、物価水準を考慮した購買力評価(PPP)を基準にすれば、韓国就業者の昨年の平均年間実質賃金はOECD平均(4万1253ドル)の80・3%の3万3110ドル。年間実質賃金を労働時間で割ると、昨年の韓国就業者の1時間当たりの賃金(15・7ドル)はOECDメンバー国の平均である23・4ドルの67・1%に過ぎなかった。

 韓国よりも労働時間が長い国は、年間2246時間を働いたメキシコだけで、日本の年間労働時間は1719時間で、世界17位だった。労働時間が最も少なかったのはドイツで年間1371時間。ドイツの労働者は、韓国の労働者より3カ月間(93日)も少なく働いたことになる。

 韓国の労働市場階層は、「4階級」に凝り固まったカースト制度と似ていると言われることから、どれだけ長時間働いても上位10%に所得が集中してしまう。

 その一方で、労働市場に柔軟性ができれば、正社員・非正社員の身分構造が崩れる。それを恐れる“特権階級”が存在することも確かである。新卒の学生が「公務員試験」に集中する現象も、結局は差別を受ける非正社員になることを恐れるからだ。

 突き詰めて言えば、国内の構造改革がなされなければ、労働者をめぐる環境は改善されないというわけである。今のところ、変わる兆候は見られない。

637とはずがたり:2016/10/28(金) 13:13:11

3歳児、おなかすいて盗んだ 両親は借金背負い不在
http://www.asahi.com/articles/ASJ4C3DS1J4CPTFC006.html
山内深紗子2016年5月8日05時02分

 万引きで補導されたのは3歳の保育園児だった。2012年春、西日本のスーパーマーケット。ズボンとシャツのポケットにあめとチョコを詰め込み、背中にロールパンの袋を隠していた。

 数カ月前から児童相談所(児相)が「経済困窮によるネグレクト(育児放棄)」の疑いで見守っていた家庭の次男。「一度にたくさん盗んでいるからこの子は初犯じゃない。食べさせて、きつく叱ってください」。警察官は母親(43)に言った。

 5歳上の長男、4歳上の長女も万引きでの補導歴が複数あったが、次男が補導されたのは初めてだった。

 トラック運転手の父親(50)は仕事で深夜まで帰らず、泊まる日も。母親は家政婦として住み込みで働き、ほぼ子どもだけでアパートで暮らしていた。

 料金滞納でガスは年中不通。水道、電気もよく止まった。子どもたちの食事は1日15分ほど戻る母親らが用意したカップ麺やそうめん。空腹を満たすため万引きした。小学校を休みがちになり、午前1時ごろまで遊ぶ日もあった。

638とはずがたり:2016/10/28(金) 13:13:29

「ティッシュって甘いんだよ」幼い姉妹、母と空腹の日々
http://www.asahi.com/articles/ASHDL4VDGHDLPTIL01K.html
足立耕作、山内深紗子2015年12月19日21時41分

 白飯、サラダ油、しょうゆ。

 2年前に生活保護を受けるまで、長野県に住む女性(30)の食卓に、しょっちゅう並んだ献立だ。ざっくり混ぜて食べると、油のコクで空腹が満たされる気がした。最初はツナ缶の残りの油をかけていたが、缶詰は買えなくなった。長女(9)と次女(8)は「おいしいよ」と食べた。

「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
孤立を防ぐために 母子家庭の主な相談窓口一覧
特集:子どもと貧困
 おなかをすかせた2人は当時、女性に隠れてティッシュペーパーを口にした。次女は塩をふってかみしめた。「ティッシュって甘いのもあるんだよ」。後になって長女が教えてくれた。いい香りのするもらい物のティッシュは、かむと一瞬甘いという。

 そんな困窮状態になっても、周囲に「助けて」とは言い出せなかった。

 2010年、夫の暴力に耐えきれず家を出た。派遣社員として工場で働き、月収は多くて15万円ほど。だが、うつ状態で休みがちになった。収入は落ち込み、光熱費を滞納し始めた。

 夫から「役立たず」「ダメなヤツ」と罵倒され続けてきたことで、「自分がすべて悪い」という心理状態が続いた。夏でも窓を閉め切り、買い物に出かけるのもためらった。

 国民健康保険料を滞納したために呼び出された役所では、「収入10万円でも払っている人はいるんだ」と職員に言われた。ぜんそくの長女が風邪をひき、手持ちがないまま訪ねた薬局で、「後日必ず払います」と懇願したが、「慈善事業じゃない」と断られた。

 親類や知人も生活は苦しく、「甘えるな」「節約したら」と言われた。「人を頼っちゃいけないんだ」。そう思い込んだ。

 2012年暮れ。次女が風邪をひいた。この状況を何とかしなければと訪れた病院で、小児科医らに生活保護を勧められた。だが役所では、うつだと話しても、「もう少し働いたら」と何度も促された。「やっぱり頼っちゃダメなの」。申請をあきらめた。その後、クレジットカードのキャッシング(借金)を繰り返したが、数カ月で返済が滞った。

 13年12月。電気の止められた部屋で、野菜の切れ端が入った薄い雑炊を3人で1杯ずつすすった。ろうそくの炎を見つめるうち、長女から「死んじゃうの?」と聞かれ、決意した。

 あのときの小児科医に助けを求め、福祉相談に応じている病院の職員に付き添われて生活保護を申請。うつが悪化し、就労は困難だとして認定された。

 今は月18万円ほどで暮らす。前は何も欲しがらなかった長女や次女が、「マック食べてみたい」「弁当にから揚げ入れてね」と言うようになった。

 女性は振り返る。「周囲の厳しい視線を感じて殻に閉じこもった。周りの人もがんばってるんだから自分だけ助けてって言うのは恥ずかしく、なかなか言い出せなかった」

639とはずがたり:2016/11/14(月) 11:36:43

日本の「最貧困地域」再生で見た甘くない現実 「西成特区構想」を率いた経済学者の奮闘
http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-143634.html
11月13日 15:00東洋経済オンライン

大阪・西成「あいりん地区」。ピカピカの超高層ビル「あべのハルカス」の足元、縦横1キロメートルの狭い三角地帯に、日雇い労働者、ホームレス、生活保護受給者、そして地元住民と2万人が密集する。これまで勃発した暴動の数24回。3人に1人が生活保護を受け、結核罹患(りかん)率は全国平均の28倍という世界最貧国並みの高さ。少子高齢化、貧困、治安、衛生、差別など社会問題が凝縮し衰退が進む地域の、まさに近未来像を一変させるべく、橋下徹前大阪市長が「西成特区構想」の大号令を発した。その陣頭指揮を託されたのが、学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏だ。『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』にはその奮闘が記されている。

衰退しきったどん底のスラムから
──2012年に着任されたときはどんな状況でしたか。

どん底でしたね。ホームレスがあふれ、不法投棄ゴミが散乱し、昼から酒飲んで立ち小便してる。町全体が臭気のドームでした。すべての社会問題を放り込んで、フタしてグツグツ煮えたまま放置されてる、まさに闇鍋状態。衰退しきったスラムでした。大阪万博を機に日雇い労働市場として発展してから50年近く経ち、みんな年取って暴動起こす元気がないだけ。人も減って簡易宿泊所や飲食店は廃れていく。ある意味、暴動がバンバン起きていた時代より問題は根深かったとも思いますね。

──そもそもあいりん地区が“闇鍋”で放置されてきた背景とは?

官も民も、地域内が利害関係者だらけと言っても過言じゃない。支援者組織、労働組合、普通の町内会、商店会に暴力団関係まで、とにかくあらゆる組織がせめぎ合っている。

大阪市側も福祉局あり建設局ありその他各局バラバラに入ってそれぞれの利害だけで動いてる。地域の象徴である「あいりん総合センター」という一つの建物内に国・府・市の管轄が混在する。要するに収拾がつかなくて、行政も避けて通ってきた。一人ひとりと向き合って、地道に合意形成をしていかないと何かの弾みで暴発しかねない状態でした。

──実際、本全体の8割が改革会議本番に向けた地域の根回しや、対役所工作の赤裸々な逸話です。

貧困者対策、不法投棄ゴミ問題、結核、治安対策など喫緊の課題解決と、観光や教育、町の活性化、子育て世代呼び込み策。痛みを伴う構造改革と、明るい将来像という両極を同時進行で議論していきました。

ただ、改革の中身以上にどう実行するかが重要と考えていました。本番の「あいりん地域のまちづくり検討会議」の前に、各組織へのドブ板行脚、顔見世興行に飛び回った。地域の事情に明るく、同じ思いの同志“7人の侍”で結束し、役所に都合のよいようにさせない、地域が長年望んできたボトムアップによる町づくり改革をねじ込んでいく準備を重ねた。行政と住民との仲は最悪でしたが、協力してプレーパークを作るとか合同会社を立ち上げるとか、町の改善の一歩となるような小さな成功体験を積み重ねていきました。お互い意思疎通できるようにしとかないことには何も始まりませんから。

お役所と地域住民のハブ役に徹して
──役人懐柔策、彼らが動く論理・動かない論理を知り尽くしての作戦の数々が、面白かったです。

鈴木亘(すずき わたる)/1970年生まれ。上智大学経済学部卒業後、日本銀行入行。98年日銀退職、大阪大学大学院経済学研究科入学、2001年博士号取得。日本経済研究センター、阪大助教授、東京学芸大学准教授などを経て現職。12年3月から15年11月まで大阪市特別顧問、16年9月に東京都特別顧問に就任。著書多数(撮影:梅谷秀司)

640とはずがたり:2016/11/14(月) 11:36:56
>>639-640
そう、結果的に物語の相当の部分が対役所工作の話になりましたね。

日本の行政ってデカいしやっぱりすべての中心。地域だけで大改革は進まない。いかに行政を絡ませるか、巻き込むか。むしろ行政を主役にして動かすくらいのことをやらなきゃいけない。だけど民間の活動家たちにその発想はなかった。

そもそも地域住民の合意を取らずに日雇い労働市場を町に固定させたのが行政。行政代執行や強行策が繰り返されてきた歴史に、今直面している問題の元凶はすべて行政にある、という怨念が地域に渦巻いていた。行政は行政でこの町の合意形成など不能だと思っている。

今回は行政と住民を絡めた改革にすることが最重要だったので、両者のハブ役に徹しました。役人を動かすため、時に華を持たせたり、貸し借り関係を作ったり損得勘定に訴えたり、黒子に徹して出世に一役買ったり便宜を図ったりと、あの手この手。自分が間に入ってリスクは取る責任も取ってやる、だから動けと。

──そしてついに、半年間計6回の検討会議本番にこぎ着ける。立場を異にするリーダーたちが一堂に会するのは、あいりん史上初だったとか。

無関心層や反対派にこそ参加を呼びかけ、全町内会長、労働団体にひざ詰めで参加を依頼しました。綱渡りで大変だったけど、傍聴人も含め毎回約200人余りが参加し、やって本当によかった。

行政がやると、自分たちの意に沿う人物だけ集めてオーソライズ(公認)してもらい、反対集団の怒声にはひたすら頭を下げて鳴りやむのを待ち、ちゃっかり議会に通して再生事業を強行するわけです。でもこの地区に限っては、もう全員集めてみんなで話し合おうと。最初は案の定、怒声・罵声が飛び交う大混乱でしたが、回を追うごとに何とか道筋ができみんな乗ってきて、最後はまとまった。やっぱり賛成派も反対派も様子見派も、みんな集まって話し合うのが民主主義の原点ですから。

活動家らは距離が近すぎるとヤジを飛ばしにくいらしい
──会議をかき乱す活動家対策ではいろいろ奇策も飛び出しました。

体育館を会場とした会議は完全な開放型で、35人の委員たちは傍聴席に囲まれてグループごとに議論していくのですが、活動家の怒声に委員が萎縮して議論に入れなかったりしたときは、私が傍聴席に上がっていってレクチャーしたり質問に答えたりして場を収めました。

ある回では傍聴席を最前列、委員席を後ろと逆にしたんです。面白いもので、活動家らは距離が近すぎるとヤジを飛ばしにくいらしく、委員たちをドツくのも首を後ろにひねってではやりにくい。おかげで静かに進行できました。回も最後のほうになると、傍聴席で騒いでた連中も話し合いの輪に取り込まれていき、単に妨害したいだけの連中にはほかの傍聴人から「オマエら邪魔だ」と声が飛んで、小さくなっていた。重要なのは意見する場を反対派にも作ったこと。みんなで決めたことだ、後になってから騒ぐな、と言える。

──でもその後、肝心の橋下さんは市長を降りてしまいましたが。

もちろん、改革は継続せざるをえないよう舞台装置を整えておきました。上からの号令方式だと、上が代わるやこれ幸いと手抜きしてしまう。だから下の役人から考えさせて下からの積み上げで全部やらせる形を仕込んだ。住民と共同でやる事業もたくさん作っといたので、途中で「イチ抜けた」はできない。だから橋下さんが辞め私が去った今も、改革は着々と進行中です。古汚い一大ドヤ街のイメージも10年後くらいには変わっているだろうと思います。

641とはずがたり:2016/11/14(月) 12:01:16
「沖縄の貧困」を最底辺で支えるヤミ金の壮絶
那覇市内の"高齢売春特区"で起きていること
http://toyokeizai.net/articles/-/131513
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年08月19日

642チバQ:2016/11/15(火) 22:55:50
http://mainichi.jp/sunday/articles/20161031/org/00m/200/009000d
貧困

「高学歴でも貧困」男性編 有名国公立、早慶MARCH出身でも路頭に迷う…

2016年11月1日

 本誌10月2日号で特集した「高学歴でも貧困 女性編」。一流大学や大学院を卒業しながら貧困にあえぐ女性をルポした。だが、男性の場合も他人事(ひとごと)ではない。食費も家賃も切り詰めながら生活する高学歴男性の取材から、女性とはまた違う側面が見えてきた。

 ▼一橋大卒、塾講師は年収200万円。食事は100円ショップの菓子パン

 ▼“自分探し”“生きがい探し”が貧困の温床になる

 就職氷河期で正社員になれず、年収300万円以下で暮らす名門大学院出身の女性。年収2000万円の男性と結婚しながら、夫が入れてくれる生活費はわずかという「経済的DV」の有名女子大卒――「高学歴でも貧困 女性編」の取材では、多くの女性が心のうちを明かしてくれた。

 彼女たちに共通するのは、三つの「ない」だった。「安定した収入がない」「いざという時の資金(貯金)がない」、そして「誰にも言えない」という孤立――。

 今や学歴と年収、そして生活水準は必ずしも比例しなくなった。では、高偏差値の有名国公立大や早慶MARCHを卒業した高学歴の男性はどうなのだろう。

     *

 超難関の中高一貫男子校から、東京六大学の経済学部を卒業した渡部努さん(仮名、32歳)。商社に入社して早々、一生の仕事ではないと失望した。そこで、卒業大学とは別の大学の教育学部に3年次編入、小学校の教師を目指す。だが、卒業後に受けた教員試験に何度も落ち続けた。そのため、やむなく非常勤で小学校の教員として子供たちを指導するが、年収は300万円以下だ。

 住まいは6畳一間、家賃5万円のアパート。週末は実家に戻ってくつろぐ。日曜の夜に実家の冷蔵庫から野菜や肉類を持ってアパートに戻り、月曜から非常勤の生活がまた始まる。アパートの玄関先には「35歳まで結婚して子供を作る!」という目標が掲げられていた。周囲から「痛々しい」と言われていることを彼は知らない。

 これまで本命の女性には打ち明けられず、合コンで知り合った複数の年上女性たちと性的な関係を繰り返している渡部さん。「早く生きがいとなる仕事を見つけるべきだった。このままだと結婚できない」と、嘆く。

 結婚における最大の心配がお金であることは、昨年実施された第15回出生動向基本調査からも分かる。結婚意思のある18〜34歳の未婚者に、1年以内に結婚するとして障害になることがあるかの質問に、男女とも「結婚資金」を挙げた人が最多で、4割を超えた。

 また、渡部さん同様、年収300万円未満の男性では未婚者が多い傾向もうかがえる。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の2014年の報告では、年収300万円未満(200万〜299万円)の30〜34歳の男性で配偶者がいるのは4割ほどという結果だ。渡部さんのように高学歴特有の専門性を生かしきれないまま貧困に陥るのは、なんともやるせない。

 1984年の開設以来、1万件以上のケースをカウンセリングした「東京メンタルヘルス」の武藤清栄所長は、高学歴男性の貧困の原因を次のように語る。

「高学歴女性は経済的なDVを受けたり、ブラック企業を辞めてから非正規雇用を余儀なくされるケースが多い。一方、高学歴男性はアルバイトや非正規雇用で働きながら“自分探し”をしたり、『なぜ家族を養わなければならないのか』という疑問から将来の展望を描けず、結果的に貧困になっていることが目立ちます」

 同所のカウンセリングは契約の法人と、無料電話相談による。大学院、東大や東京六大学、地方の高偏差値の国公立大学、医学部、歯学部、高偏差値の女子大の卒業者といった、いわゆる高学歴者が占める割合は、全体の2割。男女比は4対6だが、高学歴者に限定すると男性が6、女性が4と、男性の相談率が高い。

 また、貧困の高学歴男性には、専門性が高くても、対人関係を円滑に進めるといった社会性の希薄な傾向が目立つという。

「大学院卒で臨床心理士の資格を持つある男性は、専門性こそ高いが、経験やキャリアがないため、クライアントに自分の理論をぶつけてしまい、そのためクライアントが離れてしまった。自信を喪失し信用も失墜、孤立が深まって離職し、現在は非正規雇用者です。このような負の連鎖をストップするには、高学歴者の社会性を高めるような仕組みが必要ですね」(武藤所長)

 この提言は「女性編」で紹介した大学院卒、有川絹子さん(仮名、38歳)の「大学院生の希望者には、大学生のようにインターン制度を導入するなど、積極的に採用する企業が増えたら、貧困問題の改善も前進すると思う」という考えに重なる。

643チバQ:2016/11/15(火) 22:56:24
「あるべき自分」と「現実の自分」
 再び、武藤所長が解決策を次のように提案する。

「専門のスキルがあるのに、コミュニケーションのスキルが不足しているため仕事に就けない。そこで非正規雇用を掛け合わせてダブルワークで働くものの収入は低く、充実感がない。あるいは、やりたい仕事はやっても事務仕事や地道な仕事からは逃げることで、新型うつになるケースもあります。『あるべき自分』と『現実の自分』との大きなギャップを埋める訓練を増やすと精神が安定し、人間関係のスキルが磨かれる。高学歴者には特に必要です」

 だが、貧困は時代と密接につながっているため、社会性、専門性ともに兼ね備えていても、時代の波に翻弄(ほんろう)されることもある。

 加藤信也さん(仮名、43歳)は、関西の名門私立高から一橋大法学部に入学。地方の国立大大学院を卒業後は、大学の非常勤講師として働いていた。ところが、90年代に大学設置基準が緩和され、文部省が大学院重点化政策を推進したため、大学の新設と既存大学での大学院設置ラッシュが起こる。そのため院卒者が急増し、非常勤講師から専任教員になるのが、さらに狭き門となった。

「大学の仕事がなくなったので、大手進学塾で講師になりました。90年代当時は予備校講師のブームのおかげで、時給は5000円。夏期講習など授業が多い時期は月収50万円ほど稼いでいました」(加藤さん)

 ところが、少子化のあおりを受け、進学塾の生徒の奪い合いが起こり、過剰なサービスが必要になった。他の塾に生徒をとられないため、無給のボランティア補講が義務化され、結果的に講師の時給低下を招いた。

「時給換算すると1000円前後。7月、8月は夏期講習、夏期合宿などでほとんど毎日勤務なのに月収が20万円ちょっと。ほとんどブラック企業状態です」(同)

 現在の年収は200万円に届くか届かないかというところ。そのため生活費を払うと、残金はほぼゼロ。住民税などの支払いは、キャッシングして納税するという。

「食費を切り詰めたいのはやまやまですが、業務用スーパーで買い物したり、自炊したりする時間がないので、100円ショップの菓子パンなどで食いつなぎ、1日の食費を300円から500円にしています」(同)

大学准教授でも年収300万
 社会情勢が許せば、加藤さんは現在も大学に残り、今よりは豊かな生活をしていたかもしれない。だが、男性の非常勤をめぐる環境も決して甘くはないのが現実だ。首都圏大学非常勤講師組合委員長の松村比奈子氏は、「昨今になって女性非常勤のワーキングプアが注目され、当事者の発言の機会も増えていますが、そもそもこの問題がクローズアップされたのは、男性非常勤の貧困が増大・深刻化したからです」と明かす。

「小泉政権の大学院生増加計画は政策ミスです。世界に通用するためにと、理系のドクター増加に躍起になった。そのため文系のドクターが放置され、結果的に男女ともワーキングプアですよ。専任講師も非常勤講師も授業のクオリティーから生徒指導、テストの作成に至るまで仕事は同じなのに、年収差がはなはだしい。しかも学会の出張費も、専任は出るのに非常勤は自前と、格差が大きいのです」(松村氏)

 一方、専任講師であっても、必ずしも安泰ではない。有名国立大文系の専任講師・高橋泰智さん(仮名、47歳)は任期付きのため、現在も就職活動中だ。

「専任の定年は、早いところでは65歳を切っているので、一般企業より厳しい。給与も大学によっていろいろ。准教授で1000万円を超える大学や、700万円程度、さらに300万円程度のところもあります」(高橋さん)

 高橋さんによると専任の間でも給与の格差が歴然なら、研究分野での格差もあるという。

「専任で真面目な人は大学行政に追われて、研究する時間もない。非常勤の待遇改善をしたいと思っても、訴える時間すらないのが現実です。企業協賛がつかない分野の研究者が軽視される傾向も。昨今は私大に企業協賛がつきやすいので、結果的に旧帝大には研究費がつかず、給与も安くなりがち。大手私大に希望者が増えるため競争率が高くなっている影響で、今後はもっと国公立大への就職が難しくなると予想されます」

 今後は、一般企業や組織団体に就職する院生の増加も予想されるだろう。前出・松村氏に解決策を聞いてみた。

「文系の院卒を有効に活用する方法として、たとえば国会や地方議会の事務局スタッフに、法科の院卒を優先して採用するシステムを作るのはどうでしょう。多様なジャンルで仕事の選択肢が増えれば、文系ドクターの世界も少しは明るくなります」

644チバQ:2016/11/15(火) 22:56:34
   *

 それにしても、なぜ高い専門性や成功体験を持つ高学歴者が安定して暮らし、社会で存分に活躍することが難しいのだろう。

 その原因が日本人の意識に問題があるということが、次の調査で証明された。

 2007年の米シンクタンク調査「The Pew Global Attitudes Report」によると、「自力で生活できない人を政府が助けてあげる必要はない」と答えた日本人は38%。ドイツや中国の10%程度、28%の米国をも超えて、先進諸国ではダントツに高く、弱者を支え合おうという意識の低さが見える。日本のこの「不寛容」さが、貧困を加速させる大きな要因ではないか。『下流老人』(朝日新書)の著者でNPO法人ほっとプラスの藤田孝典代表理事は、日本の貧困支援に対する絶望感を露(あら)わにする。

「高学歴者の貧困を招く二つの大きな要素は、まず夢の実現に向け頑張っている人を支える社会の仕組みがないこと。それから、ブラック企業で過重労働を強いられた揚げ句、うつ病になって退職に追い込まれても相談する人がいないため、孤立してしまう。そのため非正規雇用を繰り返すうち貧困の連鎖が止まらなくなる。一度失敗した人が、社会に戻って活躍できる制度の改革、そして日本人の弱者救済の意識が必要です」

 淡々と語りながらも、その声には怒りが籠もっていた。

     *

 取材を通じ、高学歴男性が貧困に陥る理由は、冒頭で示した高学歴女性の傾向の「三つの『ない』」だけでは括(くく)りきれないと感じる。

 高学歴の女性に比べ、高学歴の男性は「夢=生きがいのある仕事」と「お金=望む生活レベル」とのズレに苦しんでいる印象が目立つ。男性は女性に比べ、「仕事をして当然」という社会圧が強いため、高学歴になればなるほど、自分の夢や、生きがいのある仕事を追いたくなり、それが貧困の温床へとつながっていくのかもしれない。

孤立しないで、誰かに話してみて
 もちろん収入が低くても夢を実現しながら幸せな生活を送っている男性もいる。東大法学部から国立大のロースクールを経て、弁護士になった岩見孝明さん(仮名、30歳)。企業法務を中心に年収700万円以上を得ていたが、弱者救済のために働きたいと、首都圏から地方の弁護士事務所に移った。年収は以前の半分以下。それでもDV夫に苦しむ女性を救うなど、やりがいのある充実した日々を過ごしている。

 ただ、男性であれ女性であれ、ある日突然、病気や事故など予想外のアクシデントが襲ってくれば、多くの場合、困窮を避けられなくなる。前出の藤田氏が指摘するように、一度失敗した人が社会に復帰しにくい現在の日本はまさに絶望的だ。では、どうしたらいいのだろう。

 実は筆者である私も07年の春、10万人に1人の難病ギラン・バレー症候群で生死の間を彷徨(さまよ)った。重篤患者だったが、奇跡的に後遺症なしに完治した。だが、その年の暮れに契約していた企業の制作の仕事を不当解雇された。まだリハビリ中だった私を救ってくれたのは、友人の「福祉課に行って!」の一言。そして、窓口で真剣に話を聞いてくれた自治体の福祉課の一職員のおかげだった。

 社会復帰した私は夕刊紙などの媒体で、老若男女の患者たちの取材を数多く手がけるうちに「人が人を救う」という言葉を数多く耳にした。体験や取材を通じて人生の尊さを経験した私だからこそ、貧困問題にも声を出して、こう伝えたい。「孤立しないで、まずは誰かに話してみて」と。

(ライター・夏目かをる)

なつめ・かをる
 コラムニスト、小説家。秋田県生まれ。2万人のワーキングウーマンを取材、執筆。『日刊ゲンダイ』にルポ「高学歴女子の貧困連鎖」を連載。難病克服などの経験と患者らへの取材を生かし、医者とのコミュニケーション本を刊行予定

(サンデー毎日2016年11月13日号から)



ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/sunday/articles/20161031/org/00m/200/009000d#csidx80ec320e23704109d362d8e6b6f5dfd
Copyright 毎日新聞

645とはずがたり:2016/11/16(水) 14:24:20

無料で散髪ハピハピカット 京都、子どもの貧困対策に
http://www.asahi.com/articles/ASJBS4TYKJBSPTFC00L.html?iref=com_alist_8_06
中塚久美子2016年11月16日13時49分

 髪を切る経済的余裕や機会のない子どもが見た目で不利益を受けないよう、無料でカットできる。そんな活動に京都市のNPOなどが取り組んでいる。

 京都市伏見区の美容室「ピースオブヘアー」。小学6年の女児(12)は、肩下10センチ以上に髪が伸びた状態で来店した。髪を切るのは10カ月ぶりという。美容師の赤松隆滋(りゅうじ)さん(42)は「絡まってるね。先に流そう」と促し、まずシャンプー。髪を20センチカットした。女児はあまり話さなかったが、サラサラになった髪を何度も触った。

 「普段髪をきちんと洗えていないと思う。利用する子はみんなシャイだけど、うれしそうな顔が鏡から見える」と赤松さんは言う。

 小学生は通常2160円だが、店は子どもから、代金でなく「ハピハピカットチケット」を受け取る。

 チケットは、NPO法人「そらいろプロジェクト京都」が発行する。赤松さんが理事長を務め、発達障害の子らの髪を切る活動をしている。

 子どもたちはハピハピカットをPRする缶バッジ作りなどを手伝い、NPOから報酬としてチケットをもらう。NPOは、店や赤松さんらの講演先、ウェブサイトで缶バッジ(1個500円)を販売。売り上げと寄付からカット代金を店に払う。講演で50個以上売れることもあるという。

 子どもを店に紹介するのは、大津市で困窮家庭の子の居場所づくりをしている幸重(ゆきしげ)社会福祉士事務所の幸重忠孝さん(43)。2年前から9人を紹介してきた。

 最初は、高校を1学期で中退した少年。小中は不登校で、ほったらかした髪は肩まで伸びていた。幸重さんは「清潔感も覇気もなく見え、仕事の面接もうまくいかないのでは」と心配した。NPOが高齢者施設へ訪問カットに行く際、車いすを押す仕事を少年に手伝ってもらい、そのお礼としてカットを提案した。

 少年は「別にええわ」と乗り気でなかった。カット後、周りに褒められ、冗談を言い始め、老人ホームを手伝うようになった。「髪の毛を切ると気持ちが上がって学校に行きたくなったり、人と交流したくなったりする」と幸重さん。

 赤松さんは「地域の人が買った缶バッジ代が、地域で困っている子どものカット代になるのが理想。子どもをつなぐ地域の支援団体と店が協力し、この仕組みが各地に広がってほしい」と話す。(中塚久美子)

646名無しさん:2016/11/20(日) 22:42:38
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161120/k10010776071000.html
安倍首相 「自由貿易が格差拡大は誤解」
11月20日 12時24分

ペルーを訪れている安倍総理大臣は、各国の首脳とともに、財界人などで作るAPECビジネス諮問委員会の会合に出席し、「自由貿易が格差を広げているという誤解を解き、経済政策を通じて格差を解消すべきだ」と述べ、自由貿易体制を重視する日本の姿勢をアピールしました。
APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席するためペルーを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の20日早朝、各国の首脳とともに、財界人などで作るAPECビジネス諮問委員会の会合に出席しました。

この中で安倍総理大臣は、世界的に保護主義的な風潮が広まっていることについて、「確かに自由貿易に対する非難はあるが、自由貿易は世界経済の発展の源である。自由貿易が貧富の格差を広げているという誤解を解き、経済政策を通じて格差を解消すべきだ」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「開かれた市場と包摂的な経済成長を実現することが不可欠であり、最近の調査で、日本では貧富の格差は縮小している」と述べ、自由貿易体制を重視する日本の姿勢をアピールしました。

647とはずがたり:2016/11/23(水) 22:21:32

学力足りても学費足りず…進学悩む子供たち
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20161123-00000046-nnn-soci
日本テレビ系(NNN) 11/23(水) 19:05配信

 返済の必要がない「給付型奨学金」。これまで国の制度がなかったが、与党は「月3万円を基準」として来年度から一部先行して導入することで一致した。背景にあるのは、経済的理由で進学に悩む学生たちの存在。その現状を取材した。

■学力は足りても、学費が足りず

 東京・八王子市の貸し会議室の一室で行われていた「つばめ塾」。経済的に苦しい子どもたちの学習を支援する「無料塾」だ。英語を教えてもらっているのは、高校1年生の女子生徒。父親がうつ病にかかって仕事を辞め、現在はその障害年金などで生活しているという。高校はより学費の安い学校を選んだという。大学進学を希望しているが、学費のために諦めることになるのは耐えられないと不安を感じている。

■「返済不要の奨学金」国が制度化

 こうした子どもたちの支えになるのが「給付型奨学金」だ。「給付型奨学金」とは、返済義務がある「貸与型」とは異なる、返済を必要としない奨学金のこと。しかし、現状では成績要件などのハードルが高い民間によるものしかなく、国の制度はない。

 今年9月、安倍首相は、国による「給付型奨学金」の実現を明言。そして、22日、自民・公明両党は、給付金額を「月3万円を基準」とすることなどで合意した。本格的な実施は再来年4月の新入生を対象としているが、経済状況が特に厳しい学生については、来年度から一部先行して給付を開始するという。

■父が自殺、母から虐待―

 都内で一人暮らしをしている、大学4年生の久波さん(23)。学費の全てを民間からの「給付型奨学金」でまかなっている。金額は、民間企業やNGOなど6つの団体から4年間で約250万円。奨学金を受けるようになった理由は―

 久波さん「小学2年生の時に父親が自殺しまして、そのあと母親から虐待を受けるようになって」

 親から虐待を受けているとみなされ、小学5年から高校卒業まで約7年間、児童養護施設で過ごしたという。

■大学進学の話題に加われず―

 高校2年生までは、行事などでリーダーシップを発揮していたという久波さん。しかし、高校3年になって、進学を意識し始めた頃、ある変化が起きた。

 「一番のひっかかりというのが、経済的な壁といいますか」「学校の話とか進学の話とかってなってくると、どんどん自分がこう…輪にも入れないし、入ろうともできないし」

■今度は自分が支援したい

 友達との間に生じた“疎外感”。欠席が続き、高校は卒業したが、大学進学を一度はあきらめた。しかし、1年後、久波さんは「お世話になった施設に恩返しがしたい」との思いから、児童福祉を学べる夜間の大学に行くことを決意。現在、経済的な理由で十分な教育を受けられない子どもたちを支援する団体でインターンをしている。

 「将来そういう仕事に就けたらいいなと思っている自分からしたら、ここでの経験が間違いなく糧になるだろうと」

 まもなく実現する、国による初めての給付型奨学金。ただ、現時点で財源確保のメドがついていないなど、課題も残されている。自民・公明両党は、11月中にも提言をまとめ、政府側に提出する方針だ。

648とはずがたり:2016/11/24(木) 15:19:31
忘れられる権利に基づいて削除依頼とか出されると消されちゃうので伏せ字でお届け。
マイナンバーとか使ってちゃんと把握・捕捉して欲しい所。

「ポルシェ」で乗りつけ万引、生活保護受給…49歳・韓国籍男の“仰天非常識”
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/140213/evt14021312000010-n1.html
2014.2.13 12:00
【衝撃事件の核心】

 いずれも似つかわしくない取り合わせだった。男が「万引」の犯行現場に乗り付けた車、そしてこの男は生活保護受給者…。男の愛車は、万引と生活保護という2つの言葉とは縁遠い存在のドイツの高級車「ポルシェ」だったのだ。兵庫県警長田署に窃盗容疑で逮捕、起訴された男は、韓国籍で神戸市長田区の無職、××被告(49)。

 さらに交通事故で1千万円超の保険金を受け取ったにもかかわらず、生活保護費を不正受給していたことも判明し、詐欺容疑で再逮捕された。原則、所有が認められない高級外車を生活保護の受給中に購入したという呆れた行動。だが、保護費を支給していた神戸市も、不正を見破る機会をみすみす逃していたという。

ポルシェで万引

 「生活保護をもらいながら外車に乗っている」。こんなフレーズは半ば都市伝説のごとく語られることはあったが、現実だった。

 平成25年10月、神戸市長田区のホームセンター。×被告は携帯型の発電機(約5万円相当)を店外に持ち出し、駐車場にとめていた愛車のポルシェに積もうとしていたところを、男性保安員に呼び止められた。

 保安員が×被告を取り押さえ、通報で駆けつけた長田署員に引き渡した。×被告は「買うつもりだった」と否認している。

 捜査の結果、×被告が生活保護を受給していることが判明した。生活保護の受給者は原則的にマイカーを持てないはずだ。なぜ、高級車のポルシェなのか。捜査員らが調べを進めると、×被告が以前に2度、交通事故で治療費を含み計1100万円超の保険金を受け取っていたことも分かった。この保険金をポルシェの購入資金に充てていたとみられる。

 
保険金と生活保護の“W収入”

 ×被告は保険金を2度に渡って受け取っていたが、1度目は23年12月に兵庫県西宮市で乗用車にはねられ、鎖骨を骨折した交通事故。治療費や見舞金などとして、保険会社から約1040万円を受け取った。2度目は24年4月に神戸市須磨区で乗用車と接触して軽傷を負い、約90万円を受け取ったという。

 朴容疑者に生活保護を支給していた神戸市などによると、本来、生活保護受給者が事故に遭った場合、生活保護窓口に報告しなければならない。その際に必要な治療費は、医療費として生活保護から医療機関に直接支払われるからだ。そのため、受給者が勝手に保険会社から治療費を受け取ることはできない。

 だが、朴容疑者が受け取った保険金は1千万超と多額だ。関係者は「市に事故の報告をするよりも、黙っておいて多額の保険金を受け取ったほうが得だと考えたのではないか」と推測する。

結局、万引に端を発した捜査は、事故で保険金を受け取ったことを市に届け出ないまま、生活保護を不正受給していたとする詐欺事件に発展。長田署は1月15日、×被告を詐欺容疑で再逮捕した。当初は「(保険金は)働いて得た金じゃないのに(申請しないといけないことは)おかしい」と否認していたが、その後一転して「申請しなくてはいけないことは知っていた」と認めたという。

649とはずがたり:2016/11/24(木) 15:20:29
>>648-649
高級外車など7台保有のケースも

 捜査関係者によると、×被告が生活保護を受給し始めたのは23年9月だった。病気を理由に働くことができないとして、当時住んでいた神戸市東灘区で生活保護を受け取っていたという。

 市によると、×被告と同じ48歳の単身男性の場合、1カ月に生活費として約8万円と、家賃として最大4万2500円が支給される。その他、医療費なども支給され、×被告も眼鏡や診察代、薬代などを医療補助費として受け取っていた。

 ポルシェを購入したのは、保険金を得た後の24年9月ごろ。車種は「911カレラ」というスポーツカータイプで、5〜10年までに発売された993型。中古車として購入したが価格は約300万円。「残りの金はパチンコなど遊興費や飲食代に費やした」と説明しているという。

 ×被告のように、生活保護を受給しながら、高級車を所有するケースは後を絶たない。

 札幌市で24年、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕された男が、生活保護費を受給しながらベンツなど高級外車や軽乗用車など7台を所有していたのを隠していたとして、北海道警に詐欺容疑で再逮捕された。

 福岡市では同じ年、生活保護費を受給しているにもかかわらず、高級車など3台を所有していた男が、調査中の市職員を「車のことを話したら殺す」などと脅迫したとして暴力行為処罰法違反容疑で逮捕されている。

 
見抜けたはずの不正

 身体障害者などを除き、原則的に生活保護受給者は車を所有することはできない。だが、×被告に車を所有する特段の事情は確認されておらず、市関係者は「生活保護の受給対象に該当しない可能性も高い」という。

 ただ、車を所有しながら生活保護を受け取ること自体は、刑事罰には問われない。今回のケースでは、交通事故による保険金を受け取っていたのにもかかわらず申請しなかったことが違法だったとされる。

 神戸市によると、市内で生活保護受給者が車を所有しているのは昨年3月までで171件。うち、57件が本来なら認められないケースだという。車を所有していた人が職を失い、生活保護を受給せざるを得なくなった場合が多く、職員も「悪質な例はほとんどない」と話す。

 しかしなぜ、職員は×被告のような事案を見抜けないのか。

 市などによると、24年10月、保険会社から市に「(×被告が)事故に遭った。生活保護を受け取っている人か」と問い合わせがあった。職員が×被告宅を訪問した際、×被告は「軽い事故に遭ったが大したことはない」と説明。保険金が出る場合は連絡するよう求めたが、その返事はなかった。

 職員は年に4回ほど自宅を訪問している。車は近くの月極駐車場を借りて止めており、車の購入や事故の話などもなかったため、不正受給には気付かなかったという。

 神戸地検は5日、×被告を詐欺罪でも起訴したが、不正受給額は約170万円に減額。減らされた約300万円分は、市が保険会社の照会で不正受給に気付けば、被害を防げた可能性が高かったと判断したとみられる。

 市はこの件について「通常なら気付くが、裁判への影響があり得るので詳しくは話せない」としている。生活保護の原資は税金だ。生活に困窮している人たちの手に渡るのは当然だが、支給する側の自治体には、せめて見抜ける不正は見逃さないという当たり前の手続きだけは怠らないでほしい。

650名無しさん:2016/12/07(水) 22:38:20
日本経済沈没寸前!? 激増する非正規残酷「下流中年」問題
週刊実話 2016年5月22日 17時00分 (2016年5月23日 16時34分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160522/Weeklyjn_10551.html

651名無しさん:2016/12/10(土) 15:23:00
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016120900402&g=pol
休眠預金活用で準備室=19年にも運用開始-加藤1億相

 加藤勝信1億総活躍担当相は9日、閣議後の記者会見で、金融機関の口座で10年以上放置されている「休眠預金」活用に向け、同日付で「休眠預金等活用準備室」を設置したと発表した。室長には浜田省司内閣府官房審議官が就任。早ければ2019年の運用開始を目指す。
 休眠預金をめぐっては、民間公益活動の財源として利用できるようにする法律が2日に成立。これを受け、政府は来春、新たに有識者らによる審議会を発足させ、基本方針を策定する。資金は子どもの貧困対策や若者支援、地域活性化などに活用される。(2016/12/09-11:52)

652名無しさん:2016/12/10(土) 23:36:52
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161209/k10010800951000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_023
休眠預金の活用 3年ほど準備し事業開始へ
12月9日 12時47分
加藤一億総活躍担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、いわゆる「休眠預金」を公共性の高い民間事業に活用するための法律が今月、成立したことを受けて、準備に3年程度かけたうえで、事業を開始する考えを示しました。
金融機関に10年以上預けられたまま取り引きがない預貯金、いわゆる「休眠預金」を金融機関から預金保険機構に移管し、地域の活性化や子育て支援などに取り組む民間団体への助成金などとして、公共性の高い民間事業に活用するための法律が今月、成立しました。

これに関連して、加藤一億総活躍担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、「安倍総理大臣の指示により、本日から休眠預金の活用に関する事務を担当することになった。金融庁などとも連携を図り、制度の円滑な運用に向けて万全を期したい」と述べました。

そのうえで、加藤大臣は、「来年春に『休眠預金等活用審議会』を発足させ、基本方針を1年程度かけて策定したうえで、指定活用団体の指定や基本計画の策定を経て、事業がスタートするという段取りになる。実際の事業がスタートするのは3年程度かかるというふうに見込んでいる」と述べました。

653とはずがたり:2016/12/23(金) 20:21:41
生活保護費から家賃天引き、導入へ 民間住宅借りやすく
http://news.goo.ne.jp/topstories/politics/66/ecc079ec50ec344472d905a3d3e7add5.html
(朝日新聞) 12月22日 23:09

 生活保護の受給世帯らが民間の賃貸住宅を借りやすくするため、国土交通省は市区町村が生活保護費から家賃を天引きしやすくする制度を導入する。家賃の滞納を心配して入居を嫌う大家に安心してもらう狙いがある。来年の通常国会に住宅セーフティーネット法改正案を提出する。

 まず都道府県などが、低所得者や高齢者、障害者らの入居を拒まない賃貸住宅を登録する制度を創設。居住面積25平方メートル以上といった条件もつける。その上で家賃滞納の可能性が高いなどと自治体が判断した場合は、天引きできるようにする。

 家賃は自主納付が原則。天引きは、障害を理由に支払いが難しいなど自治体が例外的に認めた場合に限られている。

654とはずがたり:2016/12/30(金) 11:17:24
文部と云うより貧困スレ対象なのかも。

「学歴」で分断される日本のリアル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161230-00010000-bfj-soci
BuzzFeed Japan 12/30(金) 8:00配信

「学歴」で分断される日本のリアル
「学歴」という最大の分断 大卒と高卒で違う日本が見えている

日本は学歴で分断される社会になっている。さまざまな「格差」の根にあるのも学歴だ。学歴分断から共生へ、舵をきれるのか?日本社会が抱える最大のリスクに迫る。【BuzzFeed Japan / 石戸諭】

「学歴」で分断される日本のリアル

岡山県の公立高校、いわゆる進学校ではなく、生徒たちの進路は就職と進学で50:50にわかれる。4年制大学進学は少数だ。教室の一角で女性教員は1時間ほど生徒とその母親を説得していた。

「いまの成績なら国公立大学の進学を狙えますよ。どうですか」
「はぁ。いやまぁ大学ですか……」
「いけるなら大学を狙ったほうがいいですよ。その先の可能性も広がります」
「はぁ。でも先生、あと4年も勉強するんですか?」

普通に考えれば、地方で国公立大学を卒業すれば、就職やその先の進路で可能性は広がる。この教員が以前、勤務していた進学校の生徒たちなら、親も含めて二つ返事で目標として決まるような大学だ。それでも、反応は薄い。

そこで、気がつく。この生徒の親や親族に、大学へ進学した人はいない。進学校の生徒たちとはその時点で、価値観に根本的な違いがある。大学進学のイメージがわかず、高校と同じような教室で勉強する生活があと4年続くと思っている。
教員はBuzzFeed Newsの取材にこう答える。

「進学校の両親はほとんどが大卒。この学校はシングルの家庭も多いし、親もほとんどが高卒。親の収入と学力格差が比例する問題はよく言われるけど、文化の違いもありますよ」

「大卒の家庭は大学のメリットを知っている。だから、最初から子供も進学させようとしますよね。でも大学のメリットを知らなかったら、進学のための貯蓄だってしない。学力以前に選択肢から消えるんですよ……」

「学歴」で分断される日本のリアル

大卒と非大卒 それぞれ偏った「日本」が見えている
「トランプ大統領誕生の背景には社会の分断が〜」。散々、こんなセリフを聞いた。「分断」をまったくひとごとのように語っているが、日本にも分断は存在している。最大の分断、それこそが学歴だ。

大卒は大卒同士で、非大卒はそこでかたまり、それぞれまったく違う文化のなかで生活をしている。いってしまえば、違う日本社会で生きている。自分とその周囲の視点だけでみる「日本」はかなり偏っている可能性がある。

「日本社会をケーキで例えると、下半分はスポンジケーキで、その上にミルフィーユがのっているんですよ。下は非大卒で、上は大卒ですね。大卒の人たちは細かい階層にわかれていて、どこの大学を卒業したかを学歴だと思っているんですね。それは『学校歴』であり、学歴ではありません。大きな勘違いです」

「学歴分断社会」などの著作がある、大阪大の吉川徹教授(計量社会学)はこう語る。吉川さんは、格差社会を読み解くための大規模面接調査「SSPプロジェクト」を率いるこの分野の第一人者だ。

出席した結婚式、そこが大卒ばかりなら偏った人間関係になっている
吉川さんの話をもう少し細かく見ていこう。大卒組は学歴をこんなイメージでとらえている。

「1番上には海外有名大や東大がいて、その下に早稲田大や慶応大があって……。自分はどこの階層にいるのかな」。ミルフィーユのように偏差値別に大学名が並んで、自分は何番目の層、ランクにいるかを気にかける。

「社会にでれば学歴は関係ない」という言葉もミルフィーユの階層での話だ。ミルフィーユの中での学歴と、社会的な地位とが逆転したとき、この言葉はリアリティーを持つ。しかし、その下にスポンジケーキがあることは見えていない。

655とはずがたり:2016/12/30(金) 11:17:47
学歴分断は、ミルフィーユのなかで生活する人たちが、スポンジケーキの存在を無視したときに起こる現象だ。

吉川さんは高卒(=非大卒。データ上、専門学校卒を含む)と大卒の間にある分断を「ガラスの天井」と呼ぶ。

「日本社会を調査データからざっくりと見ていくと、2人に1人は非大卒です。大学の定員もありますので、今後もこの数字は大きく変わることはないと予想します」

「では、この記事を読む方の周囲はどうなっているでしょうか?75〜80%の大卒は大卒同士で結婚し、高卒は高卒同士で結婚する。いま日本で進んでいるのは、大卒夫婦の子供は大卒に、高卒同士は高卒にという流れです」

例えば、結婚式を想像してほしいと吉川さんはいう。招待された式で、大卒ばかりが集まっているのか、高卒ばかりが集まっているのか。双方、バランスよくいるのか。

「ある式場で一つの部屋は大卒ばかり。もう一つの部屋は高卒ばかり。そんなことが現実に起きているわけです。それは、昭和の時代と異なり、学歴が再生産されるようになったからです」

かつて、昭和の時代には、自分たちは高卒でも、子供には大学をでてほしいというインセンティブが働いた。それは、社会全体が好景気で、上り調子だったからだ。

いまよりも次の世代で社会は良くなる、ならば子供には学歴をつけさせたほうがいい。しかし、現状はどうだろう。昔は少なかった大学も増え、大卒人口も増えた。なにより親も高学歴化し、大卒のメリットを知った世代が増えた。

「大卒というのは、18歳からの4年間で1000万〜1500万円くらい自分に投資をして、将来の成功のためのチケットを買うこと」だ。

最初から子供に投資をするメリットを感じないーーあるいはできないーー家庭もある。そこで生まれた子供には親の学歴を超える動機はない。そんな子供の割合が高いのが、高卒親の家庭になる。

吉川さんは親子で大卒、親が高卒→子供が大卒、親が大卒→子供が高卒、親子で高卒の4類型にわけて比率を分析している。
今後はこんな風に推移するというのが吉川さんの予想だ。

親子で大卒は35%
親が高卒→子供が大卒は15%
親が大卒→子供が高卒は15%
親子で高卒は35%

ちなみに、小中学校から受験をさせる家庭は大卒親家庭が圧倒的に多いという。早くから子供に投資し、大卒という切符を早めに買うというのが動機だろう。

分断線が見えてくると「自分の学歴は自分の努力だけでつかみとったもので、低学歴は努力不足」という考え方がとても陳腐に思えてくる。そもそも、勉強に対する動機付けがまったく違う。

自分の学歴は、たまたま、そういう環境に生まれたことに大きな要因がある。
「非大卒を低学歴ってバカにしたように言うでしょ。あれはとても信じられない話です。大卒エリートは大きな枠でみたときに、どういう環境で自分が育ってきたか、を考えないといけない」
「学歴分断線は、経済力、文化、政治参加にも影響を与えています。繰り返される格差社会論は、私の考えでは学歴分断のいろいろな側面を語っているものです」

過去分も含めた大規模な社会調査から見えてくるのはこんなデータだ。まず、非大卒は、雇用や景気の影響を受けやすい。

昭和の昔、「金の卵」といわれた高卒者にはこんな道が用意されていた。
大手の製造業、鉄道、電力やガスなどインフラ企業が用意した寮に大量の就職者とともに入る。ホワイトカラーが管理を担当し、ブルーカラーとして手を動かすのは高卒組。年を重ねると、社内恋愛やお見合いで結婚し、社宅に住み、家族が増え、やがて家を買う……。

中間層というのは「金の卵」的ブルーカラー労働者を指していた。しかし、いまは大卒ホワイトカラーが中間層だ。高卒ブルーカラーは下に押し下げられている。ロスジェネ世代(バブル崩壊後、就職氷河期に直面した世代)以降は、うまく就職できても、景気一つで離職の危機にさらされる。

656とはずがたり:2016/12/30(金) 11:18:26
>>654-656
「学歴」で分断される日本のリアル
少し古いが2005年にあった大規模社会調査プロジェクトの時点で、自分を「下流」だと答える若者のうち、非大卒は実に7割を占めている。非大卒、非正規、低収入……。経歴と実際の収入が下流意識と密接に結びつく。

「先が見通せないなか、若者たちは履歴書を何枚も書く時代に入っているんですよ。そこで高校の名前を書く。同じくらいの年齢なら、大卒のほうが優先して入っていく現実を何度もみせられるでしょう。自分は下層だと思うことは不思議でもなんでもない」

意欲の格差、希望格差と呼ばれた現象も学歴分断で説明ができる。同じ調査で、自分が頑張っても社会はよくならない、と答えた層は、「収入」や「正規社員/非正規社員」の違い以上に「大卒/非大卒」の違いで、明確な差がでている。
つまり、非大卒ほど、社会に対して絶望している。

政治参加にも影響している。大卒層は政治参加への意欲も高いが、「非大卒・低収入層」は政治参加への意欲が飛び抜けて低い。一番、救われないないといけない層なのに、彼らは政治からもっとも縁遠いところに置かれている。これも、生まれ育った環境影響が強いことを考えると、一概に自己責任とはいえないだろう。

こうした傾向は2016年も変わっていないだろう。いまの社会は、ケーキで例えるとこうなっている。
ミルフィーユ層は会社もしくはグローバル化した経済のなかで、ポジションをつかもうと椅子取りゲームをする。その下のスポンジ層では、流動化が進み、必死に職を得ようとしているが、振り落とされていく人が続出する。スポンジケーキはスカスカになり、やがてミルフィーユ層も沈んでいく……。

「日本経済の強みとは何かを考えると、私はボトムの高さにあったと思うんです。高卒だって世界的にみれば決して学歴としては低くないわけです。彼らが手を動かしているから、大卒は別の仕事に専念できた。いまの社会は日本経済の強みを手放していますよね」

では、どうしたらいいのか。いちばんシンプルな解は分断線を越えて、学歴をつけさせるというものだ。具体的には、高卒親→子供は大卒という層を増やすこと。

しかし、これは当然ながらうまくいかない。大学だって入学枠があり、みんなが大卒になれる社会は現実的ではないからだ。

学歴をつければ格差は解消される。こうした主張は突き詰めれば、誰かが学歴によって割りを食う社会を肯定するというだ。
大卒が偉くて、非大卒は下ではなく、翼の両翼と考える。大卒だけがうまくいく社会は、不安定どころか墜落しかねなない。
収入の大小ではなく、生活の基盤や安定が奪われるような格差を是正すること。これが必要なのだ、というのが、吉川さんの指摘だ。

キーワードは学歴分断社会から、学歴共生社会への転換だ。

「学歴」で分断される日本のリアル
大学合格発表を見守る受験生
「高卒者にだけ高いリスクを押しつける社会は、もう持たない」
「貧困と学歴が結びつくのは、学歴が足りないから、ではなく、貧困対策が足りないからです。そこを間違えてはいけない」
「格差も同じです。奨学金を出すのもいいのですが、生まれ育った家庭の文化的影響は0にはなりません。解決しないといけないのは、分断によって大卒だけが有利になる社会であって、全員が大卒になる社会ではないのです」
「例えば高卒の18歳を、いきなり流動化する労働市場にさらすのではなく、正社員として働いて、職能を身につけさせれば、社会にとって大事な力になります」
「求人を景気に左右されにくくするために、例えば企業が雇用したくなるインセンティブをもった政策をとる。必要なのは、昭和型雇用に代わる新しい雇用政策です」
分断もここまでくると、「高卒」というのは一つの「階級」、あるいはアメリカでいう「エスニシティ」に近いものに思えてくる。吉川さんの著作にある例え話が的確だ。
「もし、アメリカで、業績不振を理由にリストラをするとき、白人は対象から外し、黒人やアジア系だけ契約を打ち切る。これは許されないだろう」
しかし、日本では学歴分断線を積極的につかって打ち切り対象者を決める。割りを食うのは、非大卒層だ。学歴分断を暗黙の了解にして、流動化を特定の「層」に押しつける。このままだと社会はますます不安定になっていく。

「繰り返しますが、学歴で上下をつけるのをやめるべきです。対策を考えるのは、大卒エリートの大事な役目ですが、そこで現実を見誤ってはいけないのだ、と強く言いたいと思います」
「高卒者にだけ高いリスクを押しつける社会は、もう持たない。特定の層だけが割りを食う社会から、共生への道を探るために知恵をしぼること。それこそがエリートの役目なのです」

657名無しさん:2016/12/30(金) 16:17:29
>>654
同じ趣旨でこちらに。

2016.10.21
子の学力は親の経済力より、親の学歴が影響
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=9299

659とはずがたり:2016/12/30(金) 17:21:23
>>658-659
 6位は、横浜の高級住宅街として知られる青葉区。7〜10位は都内の区が続き、11位は川崎市の麻生区です。私が住んでいる多摩市の隣に位置し、小田急多摩線でよく通るのですが、小奇麗な家が並んでいるなという印象を持ちます。

 私の母校・東京学芸大学がある小金井市も、上位にランクイン。私は大学近くの安アパートに住んでいましたが、ちょっと自転車で走るとものすごい高級住宅地でした。こういう地域で子育てをしたら、わが子も自ずと「ハイソ」な色に染まるかしら、と思ったのを覚えています。

 「自分の地域が見当たらない」という方もおられるでしょうが、スペースの関係上、上位50位ほどしか紹介できません。後日、私の個人ブログで243市区町村の大卒人口率をアップしますので、興味ある方はご覧ください。

保護者の経済資本よりも文化資本が子どもの学力に影響

 以上のデータから、住民の階層構成は地域によってかなり異なることが分かりました。実は、この違いは子どもの学力に反映されており、子どもの学力テストの平均点は、住民の大卒率と非常に強く相関しています。

 以前、私は東京都教育委員会に情報公開申請をし、都の学力テストの地域別データを入手しました。都内49市区の算数の平均正答率(5年生)を、先ほど明らかにした大卒人口率と関連づけてみると、図3のようになります。

 大卒住民が多い地域ほど、小学校5年生の算数学力が高い傾向にあります。相関係数は+0.9135にもなり、非常に強い相関関係です。家庭環境とリンクした子どもの学力格差がいわれますが、こうした問題が厳として存在することをハッキリと思い知らされます。

 第22回の記事では、同じ都内49市区のデータにて、算数学力と平均世帯年収の相関をとりましたが、相関係数は+0.7569でした。年収のような経済資本よりも、保護者の学歴といった文化資本のほうが、子どもの学力に強い影響を与えるようです。

 自宅の蔵書数、親の芸術嗜好……。おカネよりも、こういうことがモノをいうのでしょう。この点は、ブルデューの文化的再生産理論でもいわれています。

学力テストの結果は社会経済条件に左右される

 先月、今年度の全国学力テストの結果が公表されました。各学校(地域)は平均正答率に一喜一憂し、全国平均(県平均)と比して高ければ教委から褒められ、逆なら叱られる。こういう光景が全国各地でみられることでしょう。

 しかし、図3のような現実があることを思うとき、学力テストの結果が振るわないことの原因を、教師の指導力不足だけに帰すことができるでしょうか。子どもの学力はまぎれもなく社会的規定を被っているのであり、それを知らずして、結果が芳しくないことを闇雲にとがめるのは、現場の教師を疲弊させるだけです。

 上記の散布図をみると、足立区は回帰直線よりもかなり上にあります。地域の大卒人口率から期待される水準よりも、高い結果を出しているわけです。地域の条件を考慮するなら、この区は「がんばっている」と評されます。不利な家庭環境の子どもに対する個別指導など、「下」に手厚い実践を行っているようですが、その成果といえましょう。

 こういう「草の根」の取り組みも評価されねばならない。そのためには、学力テストの結果を読むに際しては、各学校(地域)の置かれた社会経済条件を考慮する必要がある。教育行政の方々に、このような視点を持っていただきたいと思い、地域間で大卒人口率がこんなに違う、というデータをお見せした次第です。

 地域の大卒人口率や平均年収などの指標から、学力の期待値を出し、それを実際の結果と比べてみる。後者が前者よりも高い地域を「がんばっている」と評価する。こうした分析がされてもよいでしょう。第23回の記事では、その作業を実際にやっています。ぜひ、ご覧いただければと思います。

舞田 敏彦

1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。武蔵野大学、 杏林大学兼任講師。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。著書に『教育の使命と実態』(武蔵野大学出版会)、『教職教養らくらくマスター』(実務教育出版)など。近著は『平均年収の真実 31の統計から年収と格差社会を図解【データえっせい】』(impress QuickBooks)

660名無しさん:2016/12/30(金) 18:59:04
正視に耐えない残酷な現実「男性の年収と未婚率」
プレジデント 12/28(水) 9:15配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161228-00020926-president-bus_all

661二階席:2016/12/31(土) 11:14:57
年末にスマホから書き込みしてます。
仙台でちょっとだけホームレス支援
してきました。

夜になれば極寒の仙台ですが、昼間は何とか
いろんな場所をさすらいながら生きている、
という状況のようです。
少ないですが女性もいました。
ボランティアを含む支援団体がある程度眼を
光らせていないと、除染作業の「手配師」が
甘言を弄して福島へ連れ去ってしまうことが
あるようです。
(そろそろ下請けに金が廻らない仕組みに
メスを入れないと相当にマズイです、はい。)

春になればまた状況に変化もあるでしょう。
お約束はできませんが、何かあれば
また、レポートしますね。

662名無しさん:2017/01/01(日) 08:02:40
乃木坂46橋本奈々未「弟の学費負担」を美談ですませるな!「ロケ弁ほしさに芸能人になった」彼女が語る貧困の現実
2016.10.31
http://lite-ra.com/2016/10/post-2658.html

663とはずがたり:2017/01/10(火) 10:40:36
成功した韓国と失敗した北朝鮮という枠組みを韓国は一度リセットした方が良い。
貧富の格差がでかすぎだろ。

韓国で広がる所得格差、高所得者はよりリッチに、低所得者はより貧しく=「貧乏に生まれたら一生貧乏」「もっと格差が広がったら…」―韓国ネット
http://www.recordchina.co.jp/a148149.html
Record china配信日時:2016年8月23日(火) 5時40分

016年8月19日、韓国・ニューシスによると、韓国社会の所得格差が拡大しており、下位40%の所得が減少する一方、上位60%の所得は上昇していることが明らかとなった。

韓国統計庁が発表した「第2四半期の家計動向」によると、下位20%の世帯の月平均所得は139万6000ウォン(約12万5000円)で、前年同期比で6.0%減少。その上の20%の世帯も283万ウォン(約25万4000円)で1.3%減少した。

一方、上位20%の所得は821万3000ウォン(約73万7000円)で1.7%増。その下の20%の世帯も516万1000ウォン(約46万3000円)で2.4%増となり、さらにその下の20%も392万8000ウォン(約35万2000円)で1.3%増加した。つまり、上位60%は増加している一方で、下位40%は減少しているという好対照になったということだ。

…(翻訳・編集/三田)


韓国で危険なのに増え続ける「住居用ビニールハウス」の実態
レコードチャイナ 2017年1月10日 01時10分 (2017年1月10日 10時20分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20170110/Recordchina_20170110001.html

2017年1月4日、韓国・JTBCによると、韓国ではビニールで造った無許可の家で厳しい生活を行う世帯が増えている。

ビニールハウスには消防施設もなく、多くの問題を抱えているが、適当な対策がないのが現状だ。1日にも京畿道のあるビニールハウスで火災が発生した。ビニールはすべて溶け、骨組みだけが残った。その中を見ると、炊飯器やベッドなどさまざまな生活用品が焼け残っていた。この火事は農業用ビニールハウスを家に改造したものだったが、危うく人命被害が出るところだった。

最近になって、このような火災に脆弱な無許可の家が増えている。特に京畿道の場合、2014年には2100棟余りだった住居用ビニールハウスが昨年には3000棟近くまで増加した。新都市開発で追い出され、家を借りることができない住民が、1年間の土地利用料が数十万ウォン(10万ウォン=約9800円)のビニールハウスに移り住んだのだ。自治体も問題の深刻さは把握しているが、適当な対策が打ち出せずにいる。


(翻訳・編集/三田)

664とはずがたり:2017/01/10(火) 10:42:10
>>661
お疲れ様です。
偉いですね。
私はものぐさでなかなか社会活動できないです。。
またレポお待ちしております。

665とはずがたり:2017/02/13(月) 01:15:56
子どもの貧困:教員5割が痛感 山梨県内のNPOアンケ
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E6%95%99%E5%93%A1%EF%BC%95%E5%89%B2%E3%81%8C%E7%97%9B%E6%84%9F-%E5%B1%B1%E6%A2%A8%E7%9C%8C%E5%86%85%E3%81%AE%EF%BD%8E%EF%BD%90%EF%BD%8F%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1/ar-AAmQo7q#page=2
毎日新聞
11 時間前

 山梨県南アルプス市のNPO法人は「子どもの貧困」をめぐり県内の小、中学校教員に尋ねたアンケート結果をまとめた。5割は「子どもが貧困状態にあると感じたことがある」と答え、教育現場の課題になっていることを改めて印象づけた。ただ「学校が対応できた」との回答は約3割にとどまり、十分に手を差し伸べられていない現状を浮き彫りにした。【藤河匠】

子どもの貧困への対応はc 毎日新聞 子どもの貧困への対応は
 アンケートは「フードバンク山梨」が昨年9月29日〜10月20日に実施した。子どもの支援活動で関係の深い小中学校に、アンケート用紙を送った。計212人の教員のうち153人(回収率72%)から有効回答があった。

 「昨年度以降、子どもが貧困状態にあると感じたことがあるか」を質問したところ、53%は「ない」と答えた。47%は「ある」と回答し、ほぼ半数の教員が、貧しさに直面する子どもの存在を目にしていることになる。

 深刻な状況にあることに気付いた「場面・状況」を11の選択肢から複数回答で選んでもらったところ、最も多かったのは「支払い、集金の未納」の26%だった。これに「衣服の汚れ、ほころび」の18%が続いた。

 さらに「貧困状態にある子どもを発見した時、学校として十分な対応ができていると感じるか」と質問。五つの選択肢から選んでもらったところ、過半数の51%が「わからない」と答えた。

 次いで多かったのは「あまりできていない」の20%。「できていない」は5%だった。逆に「できている」は7%で、「ややできている」は18%だった。

 貧困が子どもに及ぼす影響については、8割が「学習意欲が低い」と回答した。7割は「自己肯定感が低い」と答えた。

 フードバンク山梨の米山けい子理事長(63)は「子どもたちが貧困から脱出できるよう、より一層、学習支援にも力を入れたい」と語る。そのうえで「活動には資金も欠かせない。行政だけでなく、多くの人たちに、この問題を理解してほしい」と話した。

666とはずがたり:2017/02/22(水) 23:01:12
「年金減額」高齢者の困窮は国会議員に伝わったか
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20161128/biz/00m/010/005000c
2016年11月28日 藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事

 年金制度改革関連法案が11月25日、衆議院厚生労働委員会で自民党や公明党などの賛成多数で可決されました。政府・与党は11月中に衆院を通過させ、今の臨時国会で成立させる方針ですが、私は、年金額の抑制が、ただでさえ生活に困窮している低所得者、低年金者の暮らしを直撃するので、改正に反対しています。
 25日の衆院厚労委員会に参考人として呼ばれ、反対の立場から高齢者の困窮について説明し、慎重でていねいな議論を国会議員のみなさんにお願いしました。その内容を紹介します。

衆院厚労委員会で私が国会議員に話したこと
 厚生労働委員のみなさまには、市民生活や福祉の向上にご尽力いただき、誠にありがとうございます。
 私はこの法案に反対の立場から意見を申し上げます。理由の一つ目は、かなり時期尚早ではないか、国民に法案が十分理解、周知されていないのではないかという懸念です。二つ目は、今の高齢者の生活困窮の実態がひどいことになっている現実です。彼らの生活は相当に逼迫(ひっぱく)しています。
 私たちのNPO法人「ほっとプラス」はさいたま市にあり、年間500件の相談を受けています。10代から80代まで、生活に困った人たちが相談に来ますが、そのうち半数は高齢者、年金受給額が足りない、という人たちです。
 もし、このまま景気浮揚がないまま年金が減らされたら、どうなるか。今相談に来る高齢者たちの多くは病院の受診回数、服薬回数を減らしています。年金が不十分な人は、本当は受診しないといけないのに、医師の指導に従えない状況になっています。介護サービスを入れないと生活できない要介護度4の女性は、年金額が少ないので要介護度1相当のサービスしか受けられていません。
 所得が低いほど、趣味や楽しみ、社会参加を抑制する傾向もみられます。すると地域社会との接点が減り、歩くなど病後のリハビリも不十分になります。外出しないと肉体的・精神的な健康状態も悪化します。これらの状況が将来の医療費、介護費増大につながらないか、心配です。

高齢者700万人が生活保護基準以下で暮らす現実
 所得に応じた健康格差が、今まで以上に拡大する恐れもあります。低所得の高齢者がいかに健康を害しているか、多くの研究者が指摘するところです。数千円、数万円の年金減額はわずかな額と思われがちですが、特に低所得者への影響は非常に大きいと言わざるを得ません。
 65歳以上の高齢者の相対的貧困率は18%と、高水準です。貧困ラインは1人暮らしで年間所得122万円、2人暮らしだと170万円です。それ以下で暮らしている人が18%います。1人暮らしだと貧困率は4〜5割という数字もあります。
 つまり、現行の年金制度、支給額でも生活できない人にとって、年金が生活保障となっていない実態があるのです。少なく見積もっても、約700万人の高齢者が生活保護基準、もしくは基準以下で生活していることになります。今の高齢者の年金水準は低い、というのが研究のスタンダードです。
 私は2015年に「下流老人」という本を出版し、現状に警鐘を鳴らすため高齢者の厳しい実情を紹介しました。
 相談に来た埼玉県内の男性(76)は長く飲食店に勤め、今は月額9万円の厚生年金で暮らしています。年金額がもし減らされたら、この男性の生活はいったいどうなるのだろう、と想像してしまいます。
 彼は、家賃5万円の民間賃貸住宅で暮らしています。年金額が足りないので、野草を食事にしていました。先進国の日本で、年金が足りない、野草を食べないと生きていけない人が現実にいるのです。彼は「野草には救われた。恥ずかしいがホームレス専用の炊き出しに並んだこともあった」と語っていました。

667とはずがたり:2017/02/22(水) 23:01:34
>>666-667
うつ病の娘を持つ3人家族の収入は年金17万円
 うつ病の娘の看病をしながら暮らす高齢夫婦は、月額17万円の厚生年金を受給しています。77歳の夫、74歳の妻、48歳の娘の3人暮らしで、男性は金型工として長く町工場で働いてきました。
 しかし、娘さんの治療、医療費があるため、1カ月の出費は26万円になるといいます。自宅を売却したお金と年金が命綱なんだ、と語っていました。でも年金は上がらず、下がる一方。そこに働けない娘もいる。17万円ではとても暮らしていけない。夫婦二人が健康なうちはなんとかなるが、どちらかが病気になったらおしまいだ、とも言っていました。貯金もできない暮らしだと。このような相談が毎日のように寄せられます。
 別の70代のご夫婦の場合、2人で国民年金が月額9万円。それでは足りないので、夫が新聞配達をしながらなんとかやりくりして暮らしています。医師には仕事を止められていますが、働かないと暮らせない状況です。
 相談の中には、自殺や一家心中、介護殺人を考えているという声も多くあります。年金減額がどのような影響をもたらすのか、このような実態を考慮しながら検討してほしいと思います。
 「最終的に生活保護を受ければいいじゃないか」という声がありますが、現在、生活保護は機能しているとは言えません。
 貧困状態にある約700万人の高齢者のうち、今生活保護を受給できているのは100万人程度しかいません。残る600万人は本当は生活保護を受けられるのに、受けていないのです。
 中には「生活保護は恥ずかしい」「生活保護を受けると(車を手放すなどの)さまざまな制限があるから嫌だ」という人もいます。生活保護を社会的スティグマ(烙印=らくいん)と考える人もいます。年金が少なければ生活保護を受ければいいのですが、これだけ捕捉率が低いと選択肢になりにくいのです。

低所得高齢者の支出を減らす政策導入を
 もし万一、年金減額となるのなら、高齢者の支出を抑える政策を導入する必要があるでしょう。そうでないと厳しい生活がさらに厳しくなります。高い医療費、介護費のほかに、住宅費も重い負担です。特に低所得であればあるほど、民間賃貸住宅の家賃負担は大きいものです。
 家賃を下げる、租税や保険料を下げる、さらに地方では欠かせない軽自動車の保有維持の負担を減らす、電気ガス水道の支出を減らすといった政策導入を、ぜひ検討していただきたいと思います。
 最後に、この年金法案は、高齢者とその家族の命と暮らしに重大な影響を与えます。しかし、この審議が国民に広く共有されているとは思えません。ぜひ時間をかけて、ていねいに審議していただきたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。

<年金制度改革関連法案>
 法案の柱は年金額の抑制で、毎年の年金額改定の新ルールを盛り込んだ。物価が上がって(現役世代の)賃金が下がった場合、現在は年金額を据え置くが、新ルールは賃金に合わせ減らす。また物価より賃金の下落幅が大きい場合は物価に合わせるのを改め、賃金に合わせる。
 さらに、年金額の伸びを賃金や物価の上昇分より1%程度抑える「マクロ経済スライド」を強化する。現在は物価上昇時にしか適用しないが、デフレで実施できなかった分は翌年度以降に持ち越し、物価上昇時にまとめて差し引けるようにする。
 年金額抑制で年金財政に余裕を持たせ、将来の年金水準が低くなりすぎないようにすることを目的とする厚生労働省に対し、民進党は「年金カット法案」と批判。安倍晋三首相は「将来の年金水準確保法案だ」と反論していた。

 <「下流化ニッポンの処方箋」は原則毎週1回掲

668チバQ:2017/02/23(木) 20:16:28
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170223-00000132-jij-pol
2割超が「生活困難」家庭=子どもの貧困で調査―東京都

時事通信 2/23(木) 19:22配信
東京都は23日、子どもの貧困をめぐる実態調査の結果を発表した。

 経済的な理由で塾に通えないなど、「生活困難層」に当たる家庭は2割を超えた。調査した首都大学東京の阿部彩教授は「困難層をターゲットにした施策が必要」と話している。

 調査は昨年8〜9月に、墨田、豊島両区と調布、日野両市で実施。小学5年生、中学2年生、16〜17歳(高校2年生)のいずれかの子どもがいる家庭約2万世帯を対象とし、42%が回答した。

 都は、生活困難層について(1)世帯年収が135万円以下である(2)水道光熱費や家賃の滞納などの経験がある(3)経済的な理由で塾に通えなかったり、本やおもちゃが買えなかったりした経験がある―家庭と定義。一つ該当すれば「周辺層」、二つ以上は特に生活が厳しい「困窮層」とした。

669チバQ:2017/02/23(木) 20:19:14
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170221-01289749-sspa-soci
42歳、年収170万円生活のリアル「両親が倒れてしまったら、生きていく自信がない」

週刊SPA! 2/21(火) 9:00配信

 近年はうつ病などを理由に会社を辞める人が多いが、再び働き始めても収入を大幅に減らすケースも目立つ。37歳のとき、うつ病で都内の大手家電メーカーのSE職を辞めた藤村陽介さん(仮名・42歳)は、茨城県の実家で2年間の引きこもりを経て3年前に在宅ウェブデザイナーとして社会復帰。しかし、年収は前職の680万円から170万円と75%の大幅ダウンだ。

「前の職場では24時間体制のシステム管理の担当で日勤と夜勤が交互にあり、トラブル対応で残業や徹夜は当たり前でした。でも、ある日を境に外出はできるのに、会社に行こうとすると玄関から動くことができなくなった。結局、会社は辞めざるを得ませんでした」

 実家に戻ったあとは、そのまま療養という名の引きこもり状態に突入。それは「仕事を再開した今も生活サイクルはあまり変わっていない」と話す。

 実際、昼過ぎに起きてからはカップ麺の遅い食事を取りながらネット動画を眺めているうちに夕方に。それからようやく仕事に取りかかるが、19時には同居する両親と夕食のためにリビングへ。

「正直、両親は今の僕の状態をよく思っていません。『できれば会社で働いてほしい』、『日中は近所の目があるからコンビニに行かないで』って。まあ、気持ちは理解できるので適当に受け流していますけどね。ただ、会社に勤めたり、在宅でも仕事量を増やすのは難しい。そうするとまた自分が壊れてしまいそうで怖いんです。年収170万円は確かに少ないけど、外で働けない今の自分がメンタルをこれ以上悪化せずに働けるギリギリの額なんです」

 仕事をするのは週5日。それも夜10時にはきっちり仕事を終え、それからはオンラインゲームを楽しむ。そして、明け方には床に潜る日々を送っているが、そんな生活をいつまでも続けるわけにいかないことは本人も自覚している。

「今は継続して仕事の依頼がありますが、5年後10年後も仕事があるとは思えません。幸い今は実家なので出費を抑えられ、年間50万円は貯金できるし、年金も一応払えています。でも、一番の不安は70代の両親の健康面。今は元気とはいえ、いつ介護が必要になってもおかしくありません。僕自身がこんな状態のうえ、親の介護なんてできる自信ありませんよ……」

 週刊SPA!2月28日号では「年収100万円生活」に密着した特集を組んでいる。いまの日本社会では決して他人事ではないリアルに触れてほしい。〈取材・文/週刊SPA!編集部〉

<家計表>

月収 14万2000円

住宅費 0円

食費 4万円

外食費 6000円

水道光熱費 0万円

通信費 8000円

その他雑費 3万円

ローン・借金 0円

こづかい 1万4000円

――――――――――――――――

収支 +4万4000円
.
日刊SPA!

670チバQ:2017/03/06(月) 20:02:27
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170117-00080153-okinawat-oki
25万円の給与が10万円以下に 元IT契約社員32歳【新連載「働く」を考える】

沖縄タイムス 1/17(火) 11:35配信
 これなら、バイトをやっていた方がましだ-。

 昨年夏の初め、IT企業に勤めていた山城雅之さん(32)は明細にあった給与額に目を疑った。10カ月前までは残業代を加えて25万円を超えることもあった給与が徐々に下がり、ついに10万円を切っていたからだ。

 東京に本社を置くIT企業の沖縄事業所にフルタイムの契約社員として昨夏まで約3年間勤務した。会社は業界の一分野で全国トップクラスのシェアがあり、急成長していた。

 仕事はパソコンを使った入力業務が中心だった。従来、本社が担っていた契約獲得後の入力作業を沖縄の社員が引き受ける形でグループ全体の業務を効率化し、業務量とともに売り上げも右肩上がり。1カ月の残業は多いときで100時間を超えることもあった。

 当初は、基本給15万円に残業代がきちんとついていた。「県内の他の企業に比べたら、だいぶましな給料をもらっていた」。だが、変化のスピードの速いIT業界。競合他社としのぎを削るようになり、成長に陰りが見え始めた。給与体系の見直しが言い渡されたのは、そんな時期だった。

■ ■

 新たに示された給与は、基本給を12万円に引き下げ、30時間分の「みなし残業代(固定残業代)」として3万円を加えた計15万円。30時間を超えた分から残業代が加算される仕組みに改められた。

 「一部には残業の合間に席を立って外出したり、くつろいだりしている人もいたけど、彼らにも残業代がついていた。会社はそこを改めたかったのかもしれない」。会社側のそんな意図をくみながらも、「何度説明されても、納得できなかった」と振り返る。

 会社は20〜40代の若手社員が中心。本社からの下請け業務だけにならないように、沖縄独自の営業でウェブ開発や企画制作の仕事を受注する努力をしていた。社の考え方に共感を覚え、技術が身につくにつれて仕事のおもしろさもわかるようになった。そこに降って湧いたような給与カットだった。

■ ■

 山城さんには妻と乳児を含む3人の子がいる。給与削減が始まった直後の一昨年末には、深夜から早朝まで働く貨物運搬作業のバイトを掛け持ちした。1時間ほど休んで会社に出勤する生活を2週間続け、体が悲鳴を上げていた。

 退職後、いったんは県外の「季節労働」に出ることも考えたが、子育てを考え、沖縄にとどまることを決めた。「ITは技術やセンスがあれば、努力次第でいい収入が得られる可能性がある」。求職しながら資格取得に向け勉強を続ける日々。給与ややりがいの面で一段階上の就職先を探っている。(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

 沖縄タイムスは、連載「『働く』を考える」に合わせ、働き方に関するアンケートをホームページで実施しています。あなたの働き方や不満、疑問に思っていることをお聞かせください。

671チバQ:2017/03/06(月) 20:02:56
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170131-00082127-okinawat-oki
「パートはごみ扱い」…16年働いても最低賃金のまま 元ホテル調理場67歳

沖縄タイムス 1/31(火) 18:15配信

【連載「働く」を考える】

 「おばあちゃん、16年も働いているのに時給が上がらないの?  高校生のアルバイトでも少しは上がるのに」

 昨年6月まで、ホテルの調理場でパート従業員として働いていた伊礼洋子さん(67)は、高校2年の孫にそう言われたと苦笑いした。

 勤めていたのは客室100室超、宴会場もある、地域でも名の通ったホテルだった。他に系列のホテルがあり、全体で200人超が働いていた。

 周囲からは「いい給料もらっているんじゃないの」と言われたが、伊礼さんの時給は16年間、その年の最低賃金だった。

 月の手取りは保険や税を引かれると9〜10万円台。ボーナスは年2回あったが、税引き後は合計3万円余りしかなかった。

 入域観光客数が過去最高を更新し、好調が続く沖縄観光。伊礼さんのホテルでも外国人客が増え、「業績は上がっているはずなのに給料は変わらなかった」。孫たちが好きなチーズケーキの値段が上がったときは「物価は上がるのに、なんで給料は上がらないの?」と割り切れない思いがした。

 伊礼さんは約10年前、調理師免許を取得した。自費で講習を受け、試験を受けた。ホテルから一緒に受けた正社員は試験に落ちたが、伊礼さんは合格した。会社に報告したが「パートは何の資格を取っても関係ない」と言われた。「パートはごみ扱い。頑張ったのに一切認めてくれなかった」。当時の悔しさを今でも覚えている。

■ ■

 ホテルの朝食バイキングの準備や片付けをするのが伊礼さんの仕事で勤務は週5日、午前4〜11時。

 自宅から職場までは5キロほどの距離がある。早朝は路線バスも走っておらず、通勤にはマイカーが必需品だ。約5年前に購入した軽自動車のローンが年に24万円、保険料や自動車税が3万円余りかかる。ガソリン代は月約1万円。数年ごとに車検代も出る。

 車の維持費は大きな額になるが、会社から出る通勤手当は1出勤日当たり200円。本来かかるはずのバス賃にも満たない金額だった。

■ ■

 伊礼さんは昨年、ホテルを退職した。勤務中に、料理長から「明日から来るな」と言われ、「解雇された」。会社側は「辞職の申し出があった」と主張。そこに至るまでの事実関係でも会社側と意見が対立した。伊礼さんは現在、不当解雇で裁判を起こす準備をしている。

 夫と娘夫婦、孫たちと同居する伊礼さん。これまでさまざまな仕事をしてきたがホテルは最も長い職場になった。

 「孫たちのためにも70歳まで働き、皆から、よく頑張ったね、おめでとうと言われて退職したかった」。だが、夢はかなわなかった。(文中仮名)(学芸部・高崎園子)
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あなたの働き方、教えて下さい

 沖縄タイムスは、連載「『働く』を考える」に合わせ、働き方に関するアンケートをホームページで実施しています。あなたの働き方や不満、疑問に思っていることをお聞かせください。(※沖縄県内で働く人が対象です)

アンケートのページはこちら​

672チバQ:2017/03/06(月) 20:03:24
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170201-00082284-okinawat-oki
けんかの始まりはいつも「お金がない」 夫婦共に働きづめ コンビニ・事務36歳

沖縄タイムス 2/1(水) 17:10配信
【連載「働く」を考える】

 「夫婦げんかはいつも『お金がない』から始まる」。夫婦共働きで、仕事を二つ掛け持つ城間友子さん(36)はため息をつく。子ども2人を保育園に預け、週6日働いて得る収入は月10万円前後。夫婦とも非正規雇用で、稼ぎは合わせて月22万円ほどだ。

 ホテルで契約社員として働く夫の収入だけでは足りず、知人の紹介で3年前、自宅から車で20分のコンビニエンスストアでパートを始めた。時給750円、1日5時間の週2日勤務。交通費は出ない。夕方には子どものお迎えがあるが定時に終わらず、母や妹に頼むこともしばしばだ。

 ■ ■

 共働きしても、子どもが成長するに連れ、間に合わなくなった。勤務日数を増やそうにも、「時給の割に仕事量が多くて体力的につらい」と断念。別のフルタイムの仕事を求めて派遣会社に登録しようとしたが、「子どもがいるから」「定時には終わることはないから」と断られた。

 昨秋、以前勤めていた会社とのつながりで、自宅近くの広告会社で事務の仕事を得た。時給750円で1日6時間半働く。コンビニは人手不足のため辞められず、広告会社に週4日勤務を願い出て、承諾を得た。週6日働きづめになるが「一つの仕事だけでは生活が苦しい」と思った。

 共働きで、仕事を二つしても「余裕はない」と城間さん。夫婦の手取り月22万円から家賃6万円を引いた16万円で全てをやりくりしなければならない。光熱費、食費、子ども2人の通園料、車2台の維持費…。自動車税の支払い月や車検の時期にはまとまったお金が必要になるが、車がなければ仕事はできず、2台持たざるを得ない。

 仕事帰りにスーパーで買い物をし、保育園に子どもを迎え、夕食から寝かしつけるまで慌ただしく過ぎる。「他のお母さんもそうかもしれないけど、子育てをしながら週6日働くと、時間の余裕も全くない」と話す。

 ■ ■

 夫は朝早くから夜遅くまで働きづめ。城間さんは「こんなに働いているのに給料が低すぎるのが問題。契約社員なのでいつ切られるかわからない不安もある」と打ち明ける。

 子どもが最近、水泳やピアノなど習い事に興味を示し始めたが、「『小学校に上がったらね』とごまかすしかない」という。「教育費はこれからどんどんかかるのに」と将来への不安も拭えない。

 「できることなら一つの仕事で生活できるくらいの収入がほしい」と城間さん。「掛け持ちしないと生活できないって、沖縄は給料が安すぎると思う」(文中仮名)(学芸部・榮門琴音)

673チバQ:2017/03/06(月) 20:04:04
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170206-00082929-okinawat-oki
横柄な本社 「人件費を抑えるための沖縄なんだ…」 元カスタマーセンター33歳

沖縄タイムス 2/6(月) 17:10配信
【連載「働く」を考える】

 「沖縄の人を下に見ているのか、カスタマーの仕事を下に見ているのか。東京本社の社員の態度にそんな意識が表れていた」。新城玲奈さん(33)は、一昨年末まで4年勤めた職場をこう振り返った。

 県内に拠点を置く外資系金融関連会社のカスタマーセンターで金融商品の利用客からの問い合わせに対応する業務を担当した。商品開発を担う本社社員とは電話やメール中心の顔が見えない間柄のため、連携は不可欠。しかし、敬語を使わない、メールの返信が1カ月以上ない、新商品の詳細な説明がないこともよくあった。本社派遣の上司の態度も同様で「仕事を丸投げされた上に、軽くみられている」と感じた。

 時給千円超のパートタイム勤務。福利厚生が手厚く、残業代も休日出勤の手当もついた。外資系らしいラフな雰囲気で、「県内の他のパートに比べたら働く環境は整っていた」。

 一方、東京との給与格差を痛感した。新城さんの月収は基本給15万円に残業代や契約数に応じた成果報酬を加えた手取りが18万〜22万円なのに対して、ライバル会社が東京で募集していた同じ職種の基本給は23万円。「人件費を安く抑えるための沖縄なんだ」。本社社員の態度がふに落ちた。

 ■ ■

 新城さんは本社社員や上司の言葉遣いへの不満を会社のコンプライアンス室に報告。さらに、顧客と接する沖縄のスタッフに商品やサービスの変更点を解説することや、業務全体の改善点を社内アンケートに記して提出した。「沖縄の人は陰で不満は言うのに、具体的な考えを言わないことが多い。意見が許されている場があるのに言わないともっといいように使われるだけ」と思ったからだ。

 新城さん自身、意見を言えるようになったのは県内の大学院のゼミで本土や海外出身の教授、学生らと積極的に討論する場に恵まれたからだと考えている。

 だが、大学院を卒業して最初に就職した県出身者が多く働く国の関係機関では、同僚がだらだらと働く雰囲気や男性優位の職場風土に耐えきれず意見すると、部内の上司から負担の大きい仕事を割り振られ、暴言を吐かれた。半年ほどで退職した。「声を上げる人をたたく空気があることも、沖縄の特徴だと感じる」

 ■ ■

 外資系の金融関連会社が国内企業に吸収合併されたのを機に退職した新城さんは、その後1年間海外に留学。視野が広がり、現在は職種や県内外の地域を問わず、経験や働く意欲を発揮できる仕事を探している。「どんなに忙しくても、やりがいが感じられる仕事がしたい」。自分の可能性に期待している。(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

674チバQ:2017/03/06(月) 20:04:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170208-00083260-okinawat-oki
「『ありがとう』の言葉だけが支え…」 命預かる仕事、見合わぬ給与 介護士37歳

沖縄タイムス 2/8(水) 17:10配信
【連載「働く」を考える】

 「人の命を預かっていて責任も伴うのに、処遇が追い付いていない」。特別養護老人ホームで働く介護士の新垣翔太さん(37)は、賃金の低さに首をかしげる。夜勤を中心に週5日働いて手取りは月15万円だ。

 入所者の食事・入浴介助やおむつ替えなど、体力も神経も使う。高齢者の体は軽くぶつけただけでうっ血するほど繊細だが、職場は慢性的な人手不足で、2人でやるべき入浴介助を1人でやることもよくある。

 別の施設の介護士に聞いても同じような処遇で、「フルタイムで12〜13万円はざら」。人手不足で働き口を探すのは容易だが「他の所に行っても同じ」と割り切る。

 ■ ■

 県外の介護士より手取りは10万円ほど少ないという。「介護報酬は全国一律で同じ仕事なのに、なぜこんなに違うのか。10万円はどこに消えているんだろう」

 介護保険制度では、介護サービスの対価が全国一律で決められているが、人件費比率は施設の経営状況や地域の最低賃金に左右されるという。国の介護職員処遇改善交付金として、新垣さんは月1万円ほど受け取っているが、仕事内容に見合った給料にはほど遠い。

 新垣さんは将来、看護師を目指している。学費をためるため、1年ほど前から空き時間に少人数の高齢者が共同生活を送るグループホームでも夜勤を始めた。

 老人ホームで午後3時〜翌午前9時まで働き、帰宅して炊事洗濯掃除を済ませ、寝る。早めの夕飯を食べ、グループホームで午後5時〜翌午前9時まで働く。1日休み、これを繰り返す。平均睡眠時間は3〜4時間だが「平気になった」。

 日勤もあるが、より給料のいい夜勤を多くこなし、手取りは合わせて20万円。在籍する老人ホームはダブルワークを認めていないが、伏せて働き続けている。

 ■ ■

 ストレスを上手に発散しないと体力も気力も持たない。「権利なのだから取るのが普通」と年休を積極的に取るようにした。

 新垣さんは「沖縄で働く人は権利に無頓着なところがある」とみる。「『働ければいいや』って何も言わない。中小企業が多いし、介護士の組合があるとも聞いたことがない」

 「今は入所者の『ありがとう』の言葉だけでやっているようなもの。やりがいがあって働くのは好き。一つの仕事で生活できるようになって、もっとゆとりのあるケアをしたい」。それが新垣さんの本音だ。

 国が推進する働き方改革に、「介護の人手不足やその人に合った働き方ができるようになれば」と期待している。(文中仮名)(学芸部・榮門琴音)

675チバQ:2017/03/06(月) 20:14:28
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00084111-okinawat-oki
「最低賃金以下おかしくない?」 炎天下の立ち仕事、時給600円 駐車場係63歳

沖縄タイムス 2/14(火) 17:10配信
【連載「働く」を考える】

 シルバー人材センターの会員である山田正彦さん(63)は、金融機関の駐車場案内係として働いている。

 勤務は週3日、午前8時〜午後3時。70〜80台が止まれる駐車場で、客を空きスペースに案内したり、長時間止まったままの車があれば店舗に連絡したりする。このほか、駐車場やロビー、ATMコーナーの清掃も業務に入っている。

 炎天下に立ちっ放しの仕事。4〜10月にかけての沖縄の暑さは特別で、アスファルトの地面は高温になり、汗だくで働く。

 体力的にきついと感じる仕事だが、山田さんの時給は、県の最低賃金714円を下回る600円だ。昼食を除き実働6時間。1日当たり3600円と交通費460円を合わせた4060円が「配分金」としてセンターから支払われる。月に入るのは5万円前後だ。

 山田さんは国家公務員として働いていたことがあるが、心を病んで退職した。年金は月8万円余りで、収入は配分金と合わせて13万円ほど。築20年以上の家賃3万5千円のアパートに住み、食費を切り詰めながら生活している。

 センターの入会動機は山田さんのように「経済的理由」が5割近くで最も多い。

 ■ ■

 「最低賃金以下というのは、おかしいんじゃないか」。山田さんはそう感じ、シルバー人材センターに問い合わせた。

 シルバーの仕事は、発注者から受けた業務を会員に「委任」「請負」する就業形態で、会員は自らの裁量で働く個人事業主のようなもの。雇用関係が生じないため、労働基準法は適用されず、最低賃金の対象外。シルバーはもともと生きがいづくりなどが目的で、生計維持のために働く人を対象にしているわけではない-などの説明を受けた。

 山田さんは労働基準監督署も訪れた。労基署でも、契約形態が雇用契約ではなく委任の形のため、労基法や最低賃金法は適用されず、労基署が行政指導することはできない、と言われた。

 ■ ■

 山田さんはセンターを通して、金融機関にも委任料を上げるよう求めたが、断られた。

 労働法を勉強し、個人事業者か労働者かは契約の形式ではなく、労働関係の実態で判断されると専門家が指摘していることを知った。

 「同じ業務で、警備会社なら最低賃金以上が支払われるはずだ。僕らは一定時間拘束され、業務内容も決まっている、紛れもない労働者。実際の労働実態を見て対価が支払われるべきだ」と訴えた。(文中仮名)(学芸部・高崎園子)

676チバQ:2017/03/06(月) 20:16:40
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170215-00084284-okinawat-oki
「休憩すると給料減る」実働11時間、食事も早々 タクシー運転手63歳

沖縄タイムス 2/15(水) 17:35配信
【連載「働く」を考える】

 「休憩すると給料が減るからね」。タクシー運転手の金城勉さん(63)は、食事もそこそこに長時間、ハンドルを握る。3日夜勤に出て1日休む生活を続けて12年。休日返上で働くこともあり、月25日出て手取りは17万円程度だ。

 夜勤は午後5時〜翌日午前5時の12時間。労働基準法は労働時間が6時間を超える時は45分以上、会社の就業規則でも12時間内に4時間の休憩を定めているが、金城さんは「1時間も休んでいない」と打ち明ける。

 週末には多い時で25〜30回、客を乗せる。走行距離は一夜で約200キロ。食事は車内で弁当を食べるか、食堂で早々と済ませる。こうした休憩は1時間足らずで、実働は11時間に及ぶ。

■ ■

 ところが、「会社の日報では4時間休んだことになっている」。売り上げのうち運転手が受け取る割合は地域や会社によって異なり、首都圏では65%の所もあるが、金城さんは50%前後。売り上げが1万6千円なら給料は8千円で、10時間で最低賃金すれすれになる。会社が実態通り「11時間」と書けば、割る日が出てくる。

 金城さんは「会社が労働時間を削って、最賃割れしていないように見せかけている」と指摘する。

 働き始めて2年ほどたったころ、「おかしい」と気付き、日報とは別に自分で労働時間を記録し始めた。客が乗り降りするたび、時間と場所を書き留める。会社が給与明細に記した労働時間と比較すると、「一目瞭然」という。

 長時間労働は常態化し、「仕事終わりには頭がふらふらする」。健康診断では毎回、中性脂肪や血圧でひっかかるようになった。「前のホテルの仕事ではなかったことなのに。不規則な生活が原因だと思う」

■ ■

 それでも売り上げは伸びない。「自家用車もレンタカーも増えて客が減った」と感じる。1カ月当たりの年金は4万5千円。「これでは家賃も払えない。年金だけで生活するのは絶対無理」とハンドルを握り続ける。

 年金だけでは足りず、定年退職後に運転手として働き始める人は多いという。職場の平均年齢は60歳に近く、最高齢は75歳。慢性的な人手不足で、「会社もよっぽどのことがない限り雇う」のが現状だ。

 同僚の中には、午前7時〜午後5時の日勤後、午前0時まで残業し、翌朝また出勤する者もいた。「売り上げが下がれば運転手から搾取する。殺人的なスケジュールで働いている人がいっぱいいる。人を乗せているという責任があるのに」。疑問が拭えない。(文中仮名)(学芸部・榮門琴音)

677チバQ:2017/03/06(月) 20:17:06
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170220-00084932-okinawat-oki
「どこまでも追い込むのか」工場と主従関係、旧態然 ダンプ運転手47歳

沖縄タイムス 2/20(月) 17:35配信
【連載「働く」を考える】

 10トンダンプの運転手をして20年以上の上原正人さん(47)は生コン工場の会社からコンクリート資材の運搬を請け負う個人事業主だ。工場側から1トン当たりの運搬単価が設定されていて、1日にどれだけ運搬できるかが収入に直結する。

 本部町の採石場と那覇市の工場を1日2往復した日当は3万4千円。20日間仕事があれば、ガソリン代などの経費を除いた月収は40万〜50万円ほどになる。しかし、これには規制量を超えて資材を積む法令違反の「過積載」をした場合、という前提がつく。

■ ■

 2013年秋、上原さんの月収は10万円を切り、4分の1になった。「ダンプ過積載常態化/生コン工場から『指示』/運転手『断ればクビ』」。13年8月22日の沖縄タイムスにこんな記事が掲載された。公共工事が減る中、建設業界が生コン会社を買いたたき、生コン会社は採算が合わずダンプに過積載をさせるという構図が報道で浮き彫りになった。重量超過で車体はブレーキが効きにくくなり、タイヤの消耗も早いが「だましだまし使っている」危険な状態だった。

 上原さんはその問題の渦中にいた。中古でも600万円前後する車両のローン返済に加え、年40万の車検など維持費がかかる。運搬の単価は県が公共工事で見積もる単価の約半値だったが、過積載することでどうにか収支を保っていた。

 問題発覚を機に、約50人のダンプ運転手が団結。過積載なく収入を確保できるよう単価引き上げを要求した。ダンプの労働組合を通して交渉を重ね、工場側は1トン当たり200円の単価引き上げに応じた。

 だが、その間に工場側はダンプに代わる運搬手段を確保しようとトレーラー業者と契約。1台当たりのダンプ運搬はそれまでの1日2往復から週1〜2往復に激減した。「会社に盾突いたことへの報復に感じた」

■ ■

 運転手仲間の多くは、別の工場に仕事を求めた。だが、先回りした工場側がバイト先に運転手名を挙げ「仕事をやるな」と“布令”を出していた。「工場の経営者一族は高級車や豪邸をたくさん所有し財を築いている。それなのに、苦しい俺らをどこまでも追い込み、殺すつもりなのか」。あまりに冷たい仕打ちに、ぼうぜんとなった。

 生活が苦しくなった運転手が次々とダンプを手放していく中、上原さんは公共工事や別の民間工事でなんとか食いつないできた。「工場とダンプの主従関係は昔から変わらない業界の体質。弱い立場の運転手がまとまって条件改善を訴えていかないと、体質は変えられない」。業界の不条理に、声を上げ続けていく覚悟だ。(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

678チバQ:2017/03/06(月) 20:18:17
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170222-00085295-okinawat-oki
膨大な仕事量「頭が常にパンパン…」 買収先も驚く給与の低さ 映像配信会社45歳

沖縄タイムス 2/22(水) 17:05配信
【連載「働く」を考える】

 「いくら給料がよくても、東京ではもう暮らせない。沖縄の安い賃金で、我慢するしかないのかな」。九州に本社を置く動画コンテンツ配信会社の沖縄支社に勤務する安谷屋尚吾さん(45)は膨大な量の業務を目の前に、ふとそんな徒労感にさいなまれる。

 東京の大学を卒業後、アクセサリーの企画販売会社の経営に関わった10年間を含め、20年以上東京で過ごした。3年前、70代の両親の要望で帰郷した。本土の友人は親のために退職したことに驚いたが「自分にとっては自然なこと。放っておけないから仕方ない」。求人広告から比較的賃金がよさそうなこの会社を選んだ。

■ ■

 全国約700軒のホテルに映像を配信する事業で、配給会社から買い付けた動画データを各ホテルの仕様に合わせて書き換え、処理する業務を担当している。沖縄の正社員は安谷屋さんとシステム管理者、ウェブデザイナーの3人。毎月新規に送られてくる映像は100本以上で、「頭が常にパンパンの状態。胃をやられてしばらく通院していたこともある」。前任者はうつを患って辞めた。

 勤務は午前9時〜午後6時。日ごろ2〜3時間ある残業は締め切りが迫るとそれ以上になり、休日出勤することも少なくない。残業代はなく、月給は手取りで約20万円。一度だけ、残業申請を提出して残業代が支払われたことがあったが、出張で沖縄に来た本社の上司から「だれも残業申請なんか出さないから」とくぎを刺された。

 「全国のホテルの映像配信をコントロールしているという自負がある。けれどこの給料じゃ割に合わない」。経営者の縁故者だった前任者の月給が30万円だったことを後で知った。「現地採用された自分は沖縄の相場に合わせて安く使えると思ったんじゃないかな」。何度も上司に賃上げを訴えたが、聞き入れられなかった。

■ ■

 以前いた東京の会社では東南アジアから天然石などの材料を仕入れてアクセサリーをデザインし、小売店や通販ショップ向けに販売していた。月給は20万〜70万円。波はあったが、楽しくて苦にならなかった。一方で「自分の根っこは沖縄の人。もう東京のせわしい環境には戻れない」と感じている。暮らしていくと決めた沖縄で「会社の待遇にぜいたくは言えないのかな」とため息をつく。

 映像配信会社は昨年、大手企業に買収され、事業効率化のため、沖縄支社は今年末頃の閉鎖が決まった。「仕事を失うことになるけど、安く使われる作業から抜け出せる」。ほっとしたのが本音だ。安谷屋さんの給与の低さに驚いた買収先の幹部が賃金を引き上げる条件で東京転属を打診してきたが、受けるつもりはない。沖縄でも、ものづくりに関わった以前の経験を生かせる仕事がないか、アンテナを張る日々だ。(文中仮名)

(学芸部・座安あきの)=月-水曜日掲載

679チバQ:2017/03/06(月) 20:22:51
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170306-00087192-okinawat-oki
会社は「残業するな」「事故を起こすな」と言うけれど… 元郵便配達員63歳

沖縄タイムス 3/6(月) 17:10配信
【連載「働く」を考える】

 「果たしてこれは人間的な労働だろうか」。2年前に郵便局を退職した照屋一夫さん(63)は、大学ノートに目を落とし、ため息をついた。当時の働き方の問題点が細かく書き留められている。今も、「若い人がつぶされていないか」と気をもむ。

 郵便局に38年勤めたが、2007年の郵政民営化以降、働き方に違和感を覚えた。

 業務が増え、激務で離職者が相次ぎ、残った社員の業務が増える-の悪循環。郵便物の配達と集荷に販売ノルマが加わり、心身共に疲れ切った。

■ ■

 始業は午前8時。朝礼が終わると、駐車場でバイクの走行訓練が始まる。「ただでさえ時間がないのに」と焦りながら、荷台に砂袋を積み、直線やS字カーブをゆっくり走らせる。うまくできず、配達の出発時間が遅れる人もいた。「とにかく無駄が多かった」

 終業の午後5時15分まで、配達と集荷を同時にこなす。配達と一口に言っても、はがきや速達、転送など種類は多岐にわたり、時間がかかる。少しでも時間を確保するために、食事はコンビニエンスストアのおにぎりで済ませ、10分足らずで仕事に戻る。それでも間に合わず、翌日に持ち越すことはざら。残業は「自己責任」で、3時間でも1時間分しか出なかった。

 販売ノルマも大きくのしかかった。ギフトパック1箱3千円を月3件、年賀状やゆうパックの販売も合わせると、年間20万円のノルマが課された。ペナルティーはなかったが、「無言の圧力があって会社にいられない」。自腹を切ってノルマを達成する「自爆営業」は当たり前で、照屋さんも10万円出したことがある。「年間20万円は正社員の1カ月の手取りに相当する。自爆営業したら1月分が丸々なくなる計算だ」

■ ■

 焦りから業務中の事故も相次いだ。照屋さんはバイクの転倒で骨折し、労災を申請した。しかし、申請すると「給料が下がる」「くびになる」と思い込んで諦めたり、週休2日と年休20日をつなぎ合わせて療養したりする人もいた。「会社は『残業するな』『事故を起こすな』と言うが、物理的に無理がある。忙しくて焦るから事故になると訴えたが、駄目だった」

 激務に耐えかね、再就職先も狭まる50代前半で辞める人を見るたび、「無念だった」という。退職後の今も、照屋さんのもとには後輩が相談に訪れるという。「体がもたない」「家族がいるから辞められない」。体も心も疲弊した後輩を見ていると、過労自殺した電通社員のことを思い出す。

 「健康と引き換えの労働とは何なのか」と照屋さん。「社員をぎゅうぎゅうに締め付けるのではなく、働き方を変えなければ問題は解決しない。働く場がこのような状況で本当にいいのだろうか」(文中仮名)

(学芸部・榮門琴音)=月〜水曜日掲載

680チバQ:2017/03/07(火) 19:14:38
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170307-00000062-mai-soci
<不利益変更>時給、突然引き下げ…拒否したら出勤停止
毎日新聞 3/7(火) 15:00配信

<不利益変更>時給、突然引き下げ…拒否したら出勤停止
調理師の男性に対し店側が送ったLINEの一部=男性提供
 ◇事例、相次ぐ

 居酒屋やアパレル業界などで、店側が人手不足の時期に高い時給で雇った有期雇用の労働者に対し、一方的に時給の引き下げや勤務日数を減らす「労働条件の不利益変更」を強いる事例が相次いで報告されている。労働組合は「弱い立場につけ込み、悪質だ」と指摘する。【早川健人】

 東京都多摩地区の調理師の男性(42)は昨年11月末、求人サイトを見て、同地区の大手居酒屋チェーン店と時給1600円で今年3月末までの「準社員雇用契約」を結んだ。正社員の料理長は「年末年始の繁忙期は時給1200円で募集しても人が集まらなかった」と言い、男性は大みそかも元日も勤務した。

 今年1月7日になって、料理長は「本部が2000万円の赤字を出したので、時給を9日から950円に下げさせてほしい」と言ったが、男性は「約束が違う」と拒否して働き続けた。すると、料理長から同28日朝に「突然ですが、人件費が収まらないです。今月は働いてもらうことができなくなりました」と無料通信アプリ「LINE(ライン)」で連絡があり、同31日まで4日間決まっていた出勤を断られた。

 料理長に「その気がありましたら、来月(2月)もお願いしたい」と時給950円での勤務を頼まれたが、男性は断った。男性は「あまりに一方的。高時給で釣って、賃下げする予定で募集したのではないかと疑いたくなる」と憤る。

 労働組合「総合サポートユニオン」には、同じ居酒屋グループの別の店で働く40代女性から「店に『ランチ営業をやめるので、時給1500円を950円に変更する。同意するか、退職か』と言われ、やむなく同意した」という相談が寄せられた。ランチタイム勤務は短時間のためバイトが集まりにくいが、女性は高い時給にひかれて応募した。この店は女性の時給引き下げ後も、ランチ営業を継続しているという。

 ◇居酒屋運営会社「同意得ている」

 居酒屋グループの運営会社は、毎日新聞の取材に「同意を得ずに不利益変更したことはない」としている。

 労働契約法は「使用者は、労働者と合意することなく、労働者の不利益に労働条件を変更できない」と規定する。だが、同ユニオンによると、「不利益変更」に関する相談はアパレル業界でもあるという。同ユニオンの池田一慶さん(37)は「法律に詳しくない人は雇い主につけ込まれるが、労働契約法に基づいて損害賠償の請求もできる」と話し、相談を呼びかけている。

681チバQ:2017/03/08(水) 21:34:47
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170308-00087523-okinawat-oki
「最低賃金以下だったんですよね…」 働く意味を考えたコンビニ、時給664円 大学生22歳
沖縄タイムス 3/8(水) 17:10配信

「最低賃金以下だったんですよね…」 働く意味を考えたコンビニ、時給664円 大学生22歳
当時の給与明細を見ながら「最低賃金以下だったんですよね」とつぶやいた
連載「働く」を考える
 「最低賃金以下ですね」。大学4年生の平良美咲さん(22)は、アルバイトをしていた大手コンビニエンスストアの給与明細を握り、つぶやいた。働いていた2014年度の沖縄県の最低賃金は677円のはずだが、給与明細には前年度の最低賃金、「664円」とある。「おかしいと思っていても言えなかった」

 生活費に充てるため、土日を含む週3日、午後5時から4〜5時間のシフトに入った。バイトを始める際、口頭で簡単な説明はあったが、労働条件通知書はなかった。大学の掲示板で「最賃677円」のポスターを見て、「最賃より低い」と知った。

■ ■

 定時に帰れず、夏休みに22日連続出勤になったこともあったが、「給料がどれくらいになるか楽しみだな」と期待を膨らませ、働いた。ところが、月末になると店主が「時間調整」と称して実働時間を削ってきた。平良さんは「明らかに130時間は働いたのに、給与明細では106時間に書き換えられていた。働くって何だろうと思った」と振り返る。

 深夜手当や時間外手当も一切なかった。クリスマスにはケーキ、節分には恵方巻きの購入ノルマがあった。シフト終わりのレジ点検で金額に誤差があると、帳尻合わせで自腹を切るルールもあり、多い時には2千円出した。5時間働いて得られる給料3320円から引けば、そんな日は1680円しか稼げなかったことになる。

 平良さんは「ブラックバイトだと思うけど、だんだんまひしていった。労働に関する知識がなくて、言っても言いくるめられると思っていた」と話す。

■ ■

 別のコンビニでは、安い時給でも学費を稼ぐために昼夜働き、講義に出られなくなって退学した学生がいたと聞いた。多くの学生が奨学金をもらっていて、借金を抱えて社会に出る。「勉強に専念できればいいけど、学費や奨学金を返済するために貯金している人もいる。働かないと学校に通えないし、生活できない人もいる」と打ち明ける。

 バイトを始めて半年たったころ、「留学するので辞めたい」と前もって店に伝えたが、慢性的な人手不足で引き留められ、「代わりの人を探してきて」とも言われた。希望退職日の2カ月前だったが、「早く言って」と叱られた。結局、辞めるまでに3、4カ月かかった。

 「口に出して就活に影響したらどうしようと不安があった。今なら異常だと思うことも、働いている時は気付かない。そうやってバイトしている学生は多いと思う」と平良さん。春には社会人になる。「後味は悪かったけど、働き方に目を向けるきっかけになった。頑張れば評価してくれる場所で働きたい」と思っている。(文中仮名)

(学芸部・榮門琴音)=第1部おわり

682とはずがたり:2017/03/09(木) 20:07:33
2016-09-28
【リアルでガチなレポート】年収600万円サラリーマンが住宅ローン3000万円借り、子ども3人を育てる暮らし
http://www.sekkachi.com/entry/income600_3chilldren_loan3000

2016-10-12
平均的な世帯年収500万円で、平均的な暮らしはできるのか?
http://www.sekkachi.com/entry/Ave_income_Ave_living

683チバQ:2017/03/15(水) 19:18:48
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170225-00119219-diamond-soci
白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(上)

ダイヤモンド・オンライン 2/25(土) 6:00配信
 入院患者が路上で酒盛りする姿も見られる西成「あいりん地区」。はたからは自堕落に見えるだけの光景だが、ホームレスたちや、彼らを支援する行政、NPO関係者から話を聞いていくと、貧困ゆえに社会生活を営む上で最低限の知識すら身につけられていない彼らの哀しみと絶望が垣間見えた。(写真・文/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

● 点滴しながら酒をくらう 酒は西成住民の必需品

 「わいらにとって酒は万能の薬なんや!なんか文句あるんかい!!」――。

 大阪・西成「あいりん地区」の玄関口ともいえる場所にある「あいりん労働福祉センター」。地元民の間では“センター”と呼ばれるここには、病院も併設されている。

 平日の日中、記者がこの辺りを歩いていると、この病院に入院中の患者と思しき人たちが車椅子に点滴を携えて路上で“酒盛り”しているところに出くわした。

 「(酒を飲んでも)ええんですか?ご主人、入院中とちゃいますの?」と声掛けすると、そのなかの1人から、「なんやオノレ?行政か、医者か?堅いことゆうとったらシバキ廻すど。アホンダラ!」と、早速、「西成」ならではの“洗礼”を受けた。

 もっとも文字にするとキツく聞こえるこの言葉も、標準語に訳すと、「あなたはどちら様でしょうか?行政関係者、それとも医療関係者です?あまり堅いこといわないでくださいね」という意味である。「シバキ廻すど」や「アホンダラ!」は、「こんにちは」「お元気ですか?」などの挨拶に相当する親しみを込めた言葉だ。

684チバQ:2017/03/15(水) 19:19:09
 なぜそう言い切れるのか。彼らから、「まあ、一杯」とばかりにワンカップ酒が記者に手渡されたからだ。記者に洗礼をしてくれたのはユタカさん(66)。西成での酒について、早速講釈が始まった。

 「ここ西成ではな、風邪引いたら喉を酒で消毒する、病気して痛みがあれば酒をかっくろうたら体中、消毒できるがな。怪我してもキツめの酒飲めば一発で治るんや……」

 たしかに、西成と酒は、切っても切れない関係にある。早朝8時から開店している居酒屋もあるし、至る所にアルコールを扱った自動販売機が設置されている。その周囲では、簡易宿泊所(ドヤ)で寝泊まりすることもできない日雇い労働者たちが酒を呷って、そのまま路上で寝ている。


● “訳あり”の路上生活者 西成の死亡率はダントツ

 「このおじさんにとってはお酒を飲んで路上で寝ている時こそ天国なのでしょう。起きてお酒が切れたら地獄でしょうから」

 西成のメインストリーム「三角公園」近くの路上で寝ている60年配の男性を見回っていた、ホームレス等の支援活動をしているシスターはこう語った。

 もはやアルコール中毒患者といってもいい人たちが、この西成には数多くいるとされている。だが大阪府・市などの行政や支援NPO関係者の間でも、その正確な数字はわからないという。

 「西成で暮らす人たちと一口に言っても、そもそも彼らの多くは全国の建設現場などを廻っている人たち。移動が多い彼らの状況を把握するには無理がある」

 西成事情に詳しい大阪市関係者はこう前置きし、続けて次のように語った。

 「もちろん西成に住み着いている人もいる。ただ、それは長年、西成で商売を営んでいる人、自宅がある人、もしくは生活保護受給者といった人たち。こうした人たちの状況は把握できる。でも、それ以外の路上生活者については、アルコール中毒者の人数や、その健康状態を把握することが非常に難しい」

 無念といった表情で前出・大阪市関係者は語る。西成の路上生活者の多くは、みずからの氏素性を語りたがらない“訳あり”の人たちなのだ。そんな彼らは、行政はもちろん、支援NPOにすら自身の経歴を嘘偽りなしに話すことはない。

 だが、実態の解明が難しいこの西成に居つく日雇い労働者やホームレスの人たちの「病」について、ひとつのヒントをこの大阪市関係者から得られた。

 「西成区の死亡率は他の大阪市各区に比べても断トツに高い。その死因と医療関係者、そして当の日雇い労働者やホームレスたちの生の声を聞けば何かが見えてくるかもしれない――」
.

● 亡くなっても発見されず 白骨化やミイラ化遺体も

 この大阪市関係者のヒントをもとに、大阪市西成区の死亡率や死因に当たってみた。

 事実、「あいりん地区」を擁する西成区の死亡率(人口千人あたりの死亡数)は、2013(平成25)年時点で21.1‰、第2位の大正区の12.9‰と比べるとその約2倍という高さだった(大阪市調べ)。1位の西成区、2位の大正区、ともに住民の高齢化が著しく、生活保護受給率も他の大阪市各区に比して高い区だ。経済苦と病、そして死は、やはり密接な関係にあるのかもしれない。

 その西成区での死因は、男女とも1位はがん、2位は心疾患、3位は肺炎、4位は脳血管疾患となっている。さらに10位以内には高血圧性疾患、肝疾患といった疾患のほか、自殺、不慮の事故などが並ぶ。

 地元医療関係者によると、このうち「不慮の事故」とは、事故死ではなく餓死や凍死を指すのだという。

 生活保護受給者や、地元支援NPOといった支援団体などセーフティネットの網にかかっている人ならば、誰かが声掛けをする。だから何らかの疾病を抱えていても、その発見が早く、死には至らないことも多い。

 しかし、そうではない日雇い労働者やホームレスの場合、誰も声掛けする者がいない。だから、病気の発見が遅れることはもちろん、亡くなった場合もすぐには発見されないのだという。

 「ご遺体となって発見された場合、多くは腐敗が進んだ状態です。白骨化したのものも珍しくはありません。まれにミイラ化された状態での発見もあります」。こう語る医療関係者は、その発見が遅いのは生活保護受給や地元支援NPOとの繋がりがないだけでなく、家族との縁が薄いという事情もあると話す。

 「彼らの多くは40代から60代の独身男性です。そのうち約6割ないし7割弱が婚歴なし。残りはその回数を問わず離婚経験者。行政や支援NPOはもちろん、家族とも連絡を取っていない。声掛けする人もいないので、こうした状態での発見になるのです」

685チバQ:2017/03/15(水) 19:33:47
http://diamond.jp/articles/-/119309
2017.2.25

白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(下)


秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]+
死期を悟った路上生活者の
不思議な行動

 だが西成は都会のど真ん中。路上生活をしているなら、腐敗が進んだ状態、もしくは白骨化での発見というのは、どこか腑に落ちない。これについて前出・地元医療関係者はこう解説した。


500円、800円といった格安ドヤ(簡易宿泊所)すら、一部の人にとっては贅沢。死ぬときくらい…そう考える路上生活者も少なくないという

「人目につかない路上、もしくはドヤに長期間滞在している人たちです。もっとも西成には1泊500円からドヤがありますから。カネを少し貯めて1ヵ月程度、ドヤに宿泊して、そのまま亡くなるという話はよく耳にするところです」

 カネがなく、人目につく路上生活のほうが、いざという時、毎日見回りを行っている支援NPOや行政、消防といったセーフティネットの網にかかりやすい。だが、なぜか亡くなる直前に路上生活から足を洗い、ドヤに住む人が少なくないのだという。

 自らの死期を悟ってのことなのだろうか?それまで路上生活をしていた人が、無茶なスケジュールを組み、働き、収入を貯めるようになると、「ちょっとアイツ、大丈夫か?」(地元ホームレス・60代)と、日雇い労働者やホームレスたちの間で話題になるという。

 前出・医療関係者が続けて語る。

「死ぬときくらい、畳の上で死にたい……本能的にそうさせる何かがあるのかもしれませんね。彼らの多くは発見時の所持金は1000円以下。死因は心疾患、肝硬変、肺炎が主なところです。日頃の不摂生にもかかわらず適切な治療を受けず、酒を呷っていたことがわかるご遺体もありますね」

 さて、そうした大阪市に住民登録がない日雇い労働者やホームレスの人たちは、実年齢を聞くと10歳から20歳くらい上に見える人が多い。これは背が低く、歯が欠けている人が多いからだろう。地元支援NPO関係者が声を荒げる。

「子どもの頃から栄養を摂っていないからです。ちなみに彼らのなかで高卒者はほとんどいません。中卒ばかりです。40代でもそう。貧困家庭に生まれ育ち、ロクな教育機会、医療機会に恵まれず、社会とはいえない就労の場に出た人たち――そんな彼らにとって最後に行き着く場所、それが“西成”なんです」

被害に遭っても「酒で治す」
貧困家庭出身者の絶望

 路上で寝ている日雇い労働者やホームレスにバットで襲い掛かる、火を放つといった、心なき者たちもいる。だが、被害者である路上生活者たちは病院を受診することもなければ、警察に被害を届けようともしない。


病気や怪我をしても、しばらく休むことしか考えられない路上生活者たちも少なくない。重症化すれば打つ手がなくなり、危険だ

「病院に行くという発想がないからです。だから怪我をしても患部に酒を吹きかけて、そのまま日雇いに出ようとする。あるいはしばらく休んで自然治癒を待つのです。早い段階で保護されれば、まだ手の打ちようはあるのですが、人目を避けた場所に隠れられて重症化すると、もう打つ手なしです」(大阪市関係者)

 警察への届け出をしないのは、身元を明かしたくないという理由と、こちらも病院への受診同様、「そもそも警察に相談するという発想がない」(前出・同)という事情が大きい。

 そのため骨折や火傷の後遺症が残ったまま、就労を余儀なくされる日雇い労働者やホームレスもいるくらいだ。そんな彼らにとっての憂さ晴らしは「酒」に尽きる。やがて、その度を超えた酒量が体を蝕んでいく。

 ともすれば、自堕落な生活の末に、酒に溺れて……と見られがちな「西成」と「酒」の関係。しかし、舞台裏を取材すればするほど、生まれ落ちた瞬間から貧困に苦しんできた彼らの絶望が浮き上がってくる。

「彼らの事情を聞くと、酒に走る気持ちもわからなくはないのですが…。それでも度を超えた酒量は体のことを考えると看護師としては止めなければなりません」(地元病院・看護師)

686チバQ:2017/03/15(水) 19:34:14
 今、「西成」に携わる行政、医療関係者の間で、酒以上に深刻な問題として捉えられているのが「結核」である。

 厚生労働省の「結核新規登録患者数・罹患率」や医療関係者が持つ資料によると、2014(平成26)年、新規登録患者数は全国で1万9615人、国内での罹患率は15.4だった。都道府県別では大阪府が1位、大阪市の新規登録患者数は988人、罹患率は36.8と国内罹患率を大きく上回っている。

 もっともこの大阪市の新規登録患者数と罹患率は、西成「あいりん地区」に限ると、新規登録患者数は99人、罹患率は383.7と驚異的な数字を示す。これでも多少マシになった方で、2010年には600を超えていたし、それ以前には700を超えていたという。

“訳あり”な人が頼る
3人の闇医者

 西成「あいりん地区」に結核が蔓延するのには理由がある。前出・地元医療関係者が語る。


現実生活の痛みを忘れるのは酒が一番――自販機のそばで眠る人たちの心には、そんな絶望が隠れているのだろうか

「栄養状態が良くなく、生活が不安定、かつ日雇い労働者として建設現場やシェルターといった場所での共同生活の場での寝泊りの機会も多い。それで結核が蔓延しやすい」

 咳、痰、微熱が長く続く結核の症状も、「医療機関で診察を受ける」という習慣のない日雇い労働者やホームレスたちならば、「泥棒市(詳しくはこちら)で風邪薬でも買おうかいな…」で済ましてしまう。これが症状をさらに悪化させ、感染を拡げていく。

 もっとも早朝に路上で商われる「泥棒市」でも、風邪薬の代金は500円から1000円程度と、彼らからすると決して安い値段ではない。その額を薬代として出費するくらいなら、「酒でも飲んだほうがマシやで!」(地元ホームレス・本人によると50代)というのがもっぱらの声だ。

 これではとても真っ当な医療を受けることは考えられない。

 病気や怪我が重症化した場合、 “訳あり”の人は窮地に陥る。正規の医療機関では身元を明かす必要があるからだ。それができない彼らが頼るのが、「闇医者」だ。

 地域住民らの話によると今、あいりん地区には3人の闇医者がいるといわれる。この闇医者は、かつて医師免許を持っていたが何らかの事情で医師免許を剥奪された元医師や、現役医師がこっそりと医業を行う2つのケースにわかれる。どちらも医者としての腕は確かだという。

 だが、この闇医者への受診は、諸説あるものの、「薬代込みで1回の診察で1万円。手術が必要となれば5万、10万円という単位で受診料は変わってくる」(前出・地元ホームレス)というから、経済的に逼迫している日雇い労働者やホームレスの受診は難しいのが現状だ。

「たとえ保険証がなくとも『無料低額診療』という制度がある。体調が良くないと思えば、すぐに病院に駆け込んでほしい」(大阪市本庁係長)。行政側とて、ただ現状を放置しているわけではなく、こうした対応メニューを用意している。しかし、行政や地元支援NPOですら把握が困難な、住民登録をしていない日雇い労働者やホームレスにこの声ははたして届くのだろうか。

 社会の片隅で身元を隠しながら生きている、あいりん地区の“訳あり”住人たち。生まれた環境ゆえに十分な教育も社会性も身につけられなかった彼らに対しては、ただ支援メニューを作るだけでは到底役に立たない。それでも日々、彼らに支援の手を差し伸べる関係者たちの努力には頭が下がる思いがした。

 あいりん地区の問題は、日本が抱える貧困問題、それも最底辺の人たちの窮状に他ならない。貧困問題を放っておくと、どういった事態になるのか、政治家たちにも目を向けてもらいたいと強く感じた。

(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

687チバQ:2017/03/15(水) 19:34:56
http://diamond.jp/articles/-/115782
2017.1.28

500円売春に不正入手薬…西成あいりん地区の貧困とカオス(上)


秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]+
路上生活者たちが大勢集う大阪市西成区の「あいりん地区」。年末年始、真冬の寒空の下でも、多くのホームレスたちが暮らしている。彼らの暮らしぶりは、どのようなものなのだろうか?(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

ブルーシート暮らしが
許されるのは特権階級!?

 大阪市西成区北部にある「あいりん地区」。通称・釜ヶ崎、または“西成”とも呼ばれるこの一帯は、寒風吹きすさぶ真冬であっても路上生活者たちがそこら中にいる。


路上暮らしには、どこに布団を敷くかなど、“住民”同士の暗黙のルールがある。西成ならではの秩序があるのだ (写真:秋山謙一郎、以下同)

 人が寝ている路上には、乾いた吐瀉物、未だ乾いていない立小便の跡、そして明らかに人のものと思われる糞便があちこちにある。辺りには、これらにアルコールとタバコが入り混じった、むせぶような匂いが立ち込めている。

 数年前に比べると随分と薄くなったといわれるその匂いは、鼻腔と喉の奥からしばらくの間、取れることはない。何度すすいでも丸一日残っていた。もちろん服にもこびりつく。記者の場合は2度洗濯してやっと取れたくらいである。だが今、その時着ていた服を見る度に、あの「西成の匂い」が鼻腔の奥から蘇ってくるのが不思議だ。

“西成”は、大阪の新名所・あべのハルカスのあるJR「天王寺」駅から、大阪環状線外回りに乗ること約2分、一駅目のJR「新今宮」駅西口を降りてすぐだ。日雇い労働者や路上生活者の求職の場である「あいりん労働福祉センター」や簡易宿泊所がある。今では随分と整備され、その街並みはかつてとは比べ物にならないほど綺麗になったという。それでも、一歩足を踏み入れると、まるで中学校の歴史の教科書に出てくる「戦後すぐの日本」のような光景が目に飛び込んでくる。


ブルーシート暮らしは、ベテランのみに許される特権だ

 公園に目をやればブルーシートで作られたねぐら、路上で布団を敷いて寝ている人、酒盛りをする人、ゴミを漁って食料を求める人、仕事を求める人…、とても平成の日本の今とは思えない。

 このうちブルーシートのねぐらに暮らせるのは、長年、西成で暮らす“ベテラン”のみが許される特権だという。路上で暮らすにしても、どこに布団を敷くか、暗黙のルールがある。従わなければ「身ぐるみ剥がれても文句は言えない」(路上生活者・50代)のだそうだ。

熟女AVから児童ポルノまで
泥棒市のカオス

 そうした西成ならではの“秩序”に従えない者が、「(生活)保護に日和る」(前出・路上生活者)のだという。そのため、このあいりん地区では生活保護受給者は侮蔑の対象となっているという。


泥棒市に並ぶ衣類や靴はどれも中古品ばかり。児童ポルノや不正入手した医薬品も売られている

 労働者と路上生活者の街・西成の朝は早い。早朝4時頃、住民の間では“センター”と呼ばれる「あいりん労働福祉センター」脇の路上では露店商が所狭しと並んでいた。かつては、「もっと大勢の露天商がいた」(地域で暮らす路上生活者・60代)というが、今では行政や警察による取り締まりもあってか、その数はめっきり減ったという。

 この露天商は、「昨日奪われた服を、今日売っている」という、冗談とも本気ともつかぬ戯言から、“泥棒市”と呼ばれている。ここでは労働者の街らしく作業着や作業用ヘルメット、安全靴といった建設道具各種のほか、洋服、靴、時計、CDにDVDなども売られていた。

 地域住民によると中古車が売られていることもあるという。露天商の1人に写真撮影はいいかと尋ねると、真顔で「100万円出せ」と言う。もし隠し撮りがバレると「誰かにボコボコにされるで!」と忠告された。周囲の人たちも黙って頷く。

 そんな泥棒市を廻っていると露天商の1人から声をかけられた。

「お兄ちゃん、DVDどうや?若いのは高いけど熟女やったら1000円でええで!」

 手作り感溢れるそのDVDには、「綾乃・71歳」というタイトルが付けられている。「若い子のないの?」と記者が問うと、その露天商は心なしか困惑した表情を浮かべ、「ちょっと高いで…」と言いながら鞄の中からDVDを取り出す。「2500円や!」と露天商は言う。

 そのタイトルは、「こころ・10歳」と書いてある。あきらかに10歳前後と思われる女児の全裸写真がDVDに貼り付けてあった。これは違法DVDではないか。記者がそう問うと、この露天商は記者に諭すような静かな口調でこう言った。

「ここに法律なんてあらへんわ。堅いことゆうたらあかん。ストレス溜まるで!」

688チバQ:2017/03/15(水) 19:35:23
泥棒市では風邪薬から
勃起薬まで手に入る!

 そんな会話をしていると、病院で処方された薬ばかりと思われる薬品各種を並べ出す露天商が現れた。その品を見ると、「ロキソニン(鎮痛剤)」「PL(風邪薬)」などに交じって、「タダラフィル」という薬も並んでいた。これを記者が手に取ると、店主がすかさず語り掛けてきた。

「それか?バイアグラみたいなもんやな。効能はいっしょやで。(生活)保護受け取る奴がやな、病院で『小便が出にくい』ゆうたら、まず『前立腺肥大』ちゅう診断が下される。それで処方された薬がコレちゅうわけや。2000円でええで。元気なるで!」

 ロキソニンは500円、PLは800円。これら病院で処方される薬品の仕入れ先は「すべて生活保護受給者だ」(西成を根城にする露天商)という。医療費・薬代無料の生活保護受給者のなかには、小遣い欲しさに病気でもないのに病院を受診、そこで処方された薬品を転売する。こうして正規の医薬品が泥棒市に並ぶのである。

 朝5時過ぎ、泥棒市をひやかすことなく、パリッとアイロンを効かせた作業服を着た人たちが、センターや新今宮駅の方向へと歩いていく。彼らは何者なのか。露天商に風邪薬を買い物に来たという路上生活者(60代)が教えてくれた。

「あれは、“白手帳持ち”やな。手に職のある職工が多いんや。ご苦労さんなことやで……」


一般土工のみならず、手に職を持つ「白手帳持ち」ですら、十分に報われる給与額とはとても言えない。

 ここ西成では、「日雇労働被保険者手帳(通称・白手帳)」を持つ労働者は、もっとも尊敬される存在だ。彼らの多くは長年現場で地道に働き、電気工、給排水衛生工、昇降機工、空調工…と、何がしかの専門性高い技術を身に着けている。

 だが路上生活者たちは、心なしか投げやりな物言いで白手帳持ちを語る。それもそのはず、西成の超・エリート、白手帳持ちですら、その給与額は決して高いものではなく、彼らの真面目な仕事ぶりが十分に報われることがないからだ。

 ここ10年で「高くても1万5000円だった」(日雇い労働被保険者手帳を持つ日雇い労働者・50代)という白手帳持ちの職工の給与は、今では平均して日給1万2000円くらいだという。

 朝5時にマイクロバスに乗り建設現場などに赴き、概ね7時から日が暮れるまで作業に従事する。昼食時に1時間、午前と午後にそれぞれ15分程度の休憩があるものの、体力的にはとてもきつい仕事だ。

缶ジュース1本50円でも
西成では「贅沢品」

「雑工」や「土工」と呼ばれる、手に職を持たない(白手帳持ちではない)日雇い労働者となれば、その給与額は「1日当たり7000円から1万円」というのが相場だ。“白手帳持ち”と3000円から5000円程度の開きがある。


ラーメンやうどんは200円。西成にある食堂は、労働者たちの低賃金を反映した値付けになっている

 それに宿泊を伴う現場であれば、そこから食費・住居費合わせて1日当たり3000円から3500円程度が差し引かれる。そうすると日給7000円といってもその手取り額は4000円程度にしかならない。

「疲れてるから一杯飲むにしても、コンビニで130円で売られてる発泡酒が、200円とか、ひどい現場やったら500円ゆうところもある。手元にいくらも残らんわな」(西成を根城にする路上生活者・60代)

 西成から「通い」で行ける現場にしても、朝、現地にはマイクロバスで連れて行ってもらうにせよ、帰りは自腹を余儀なくされることがほとんどだという。もっとも、そうそうそんな「通い」の現場はない。

「せやから路上で寝てるのがいちばんええんや!炊き出しもあるし。週に1日か2日働けば1週間は何とか食うてけるしな」(前出・路上生活者)


缶ジュースも「西成価格」。なんと1本30円のジュースもあった

 実際、西成では1日働いてもらえる手取り額の4000円もあれば、路上生活なら贅沢しなければ1週間は暮らせる額だ。先に触れたあいりん地区内にある公園で行われる炊き出しなら無料、うどんやラーメン、弁当も100円から200円だ。時折、車で売りに来る「コンビニ廃棄の弁当」であれば、100円で弁当に加えて「(コンビニ販売の)おにぎり」が5つ付く。

「ここでは缶ジュースが1本50円で売ってるけど、それでもこの辺りで暮らす人にとっては、その値段でも高いんや。1本30円でも高いかもしれん。贅沢品なんよ…」(コンビニ廃棄の弁当を売る業者)

 住民たちが仕事に出払う朝8時を超えると、あいりん地区にも静寂が訪れる。残っているのは仕事にアブレた人たちか、はなから仕事をするつもりなどない人たちだ。

689チバQ:2017/03/15(水) 19:36:20
http://diamond.jp/articles/-/115785
2017.1.28

500円売春に不正入手薬…西成あいりん地区の貧困とカオス(下)


秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]+
生活保護は受けたくない…
申請を拒む人の理由

 仕事にアブレた人たちの過ごし方は様々だ。


「白手帳持ち」たちが泊まるドヤ。一泊1200円でも、西成では“高級ホテル”扱いだ

 お堅い勤め人である白手帳持ちたちが、ここ西成では“高級ホテル”の扱いである1泊1000〜1500円のドヤ(簡易宿泊所)で作業服を洗濯してアイロン掛けし、次の派遣先での仕事に備えるのに対し、手に職を持たない路上生活者たちは、朝からあいりん労働福祉センターで寝袋や布団を敷いて寝るか、近隣の飲み屋で一杯引っ掛ける。そして西成のメインストリートである「三角公園」や「四角公園」で仲間たちと憩いの一時を過ごす。

 その三角公園に集う、路上生活者の1人で「たぶん、今年、65歳やと思う」と語るシゲルさん(仮名・本人によれば鹿児島県出身)に話を聞いた。

「兄弟も多いし家は貧乏やった。中学出てすぐ大阪に出てきたんや。ヤクザの使い走りもやったけど、根性のうて続かなんだ。もうこの年やから体もきつい。せやから(生活)保護受けよかて思うこともあるんや。でもな、それしたら“家族やった人”に迷惑かかるやろ?」

 生活保護受給申請を拒み、路上生活を送り続けるのは、このシゲルさんのように残された家族・親族に行政から連絡が行くことを恐れているというケースの他、路上生活者間でのコミュニティから逸れてしまうことを嫌ってというケースもある。シゲルさんの路上生活者仲間のカズオさん(仮名・70)は言う。

「(生活)保護受けたら、“福祉アパート”ゆう名のドヤで暮らすことになる。そしたらもう仲間とは会いにくいわな。それがな…。辛いんや」

 実際、寄る年波に勝てず、路上生活を諦めて生活保護受給を申請、「福祉アパート」を兼ねる簡易宿泊所に住んだはいいが、かつての仲間たちとの連絡を断ち、孤独死に至ったという話は西成ではよく耳にするところだ。

 一方、受給したくとも申請できないケースもある。俗に「“手配”がかかっている」と呼ばれる状態にある人だ。

 この“手配”には2つの意味がある。ひとつは何らかの犯罪に関わり警察から指名手配されているというもの。そしてもうひとつは、暴力団組織と関わり、そこで下手を打ち(失敗し)、逃げているというケースだ。

「警察、暴力団どちらを問わず、手配がかかっている人は、足がつくことを嫌い生活保護受給を申請することはまずない。また警察や暴力団の目に付かないよう、西成でもおとなしく暮らしていると聞く。そういう人が路上で亡くなると、もう家族はその人の行方を探すことはまずできない」(大阪市関係者)

西成の最危険区域は
なんと警察署付近!


西成の住民たちの多くは、行政や警察といった“官”を毛嫌いする。夜のあいりん地区で、もっとも治安が悪いのは、この西成警察署付近だという

 静かに暮らす“手配中”の住民とは違い、多くの住民は行政や警察といった“官”を毛嫌いし、徹底的に反抗する。過去、幾度となく警察相手の暴動も起こしてきた。

「西成署の警察官が暴力団から賄賂をもらっていた」(1990年)、「大阪市による資金貸付を資金枯渇を理由に中止」(1992年)、「飲食店への支払いを巡るトラブルで日雇い労働者が警察に連行されたこと」(2008年)などなど、暴動のきっかけはさまざまだが、いずれも行政や警察への不満を露わにしたものだ。

 今でも、1990年の暴動時、テレビの全国ニュースでも放映された、怒る住民たちに土下座する西成署員の姿を捉えた映像が残されている。その西成警察署の建物は、こうした西成の住民性に配慮したのか、まるで要塞のような作りだ。地域住民らによると、夜、あいりん地区では、この西成警察署付近がもっとも危険な場所なのだという。

「公園でモノ盗られたとかチンコロ(密告)しよるヤツがおる。その前にいてまえ(やってしまえ)ってことやな」(70代路上生活者・日雇い労働者)

 年が明けてすぐのある日の夜19時過ぎ、その西成警察署付近を歩いていると、「ウー」「ワー」と叫ぶ声が聞こえた。地域住民は、「シャブ中(覚せい剤中毒)やろう」と、何をごく日常のことを聞くのかという口調で記者に話す。

690チバQ:2017/03/15(水) 19:37:05
 この地域住民によると、あいりん地区周辺のあるコンビニのトイレには、「便器に注射器を捨てないで下さい」という張り紙がしてあるという。

 事実、覚せい剤とあいりん地区は“相性がいい”。同じ日の夜21時過ぎ、西成警察署裏の路上を歩いていると、目が合った60代と思しき男性が「元気になるもんいる?」と声掛けしてくる。記者が「もしかしてシャブ?」と問いかけると、こう返ってきた。

「いや、バイアグラの代用品やけどシャブがええん?せやったら今週はあかんな。来週くらいにまたこの辺いてくれるか」――。

 真に受けていい話なのか、それとも西成ならではの“ジョーク”なのかはわからない。それでも住民たちの話によると、ここ西成に何度も夜通っていれば覚せい剤を手に入れることはさほど難しくはない、ということで一致していた。

1000円の売春婦に遭遇
「それでも吹っかけている」

 深夜23時を超えて、四角公園近くの路地を歩いていると、70歳は優に超えていると思われる女性に出くわした。その化粧はまるでドラマで描かれる戦後すぐの時代、米兵を相手にしていた「日本の売春婦」のようなド派手なものだ。だが服装は、年齢相応の地味で質素ないで立ちである。ただ洗濯していないのか、どこか薄汚れた感じが暗い夜道でもわかる。甘苦い体臭、そこに風呂に入っていないのか垢と安もの化粧品の匂いが入り混じっている。


ホームレスたちの家が集まる三角公園や四角公園。その付近の路上では年配の売春婦が活躍していた。

「お兄ちゃん、遊んでいかへん?“1本”でええで。お正月やんか。温めあおうや!」

 記者が、「1万円?」と問うと、「1000円や!」と言う。諸説あるものの、地域住民らの話では、西成で“立ちん坊”と呼ばれる路上売春婦の相場は、路上での行為で500〜800円だが、最初は1000円と吹っかけてくるのだそうだ。もっとも「350円まで値切ることができる」(路上生活者・64歳)という声もあった。その路上売春婦に遭遇したというわけだ。ちなみに350円という額は、西成ではカレーライスを食べてもお釣りがくる額である。

 この立ちん坊女性の申し出を記者は丁重にお断りしたが、それでも「800円でもええ!」「もう、正月やから大サービス、500円でええで!遊んだって」と必死で営業してきた。

 記者はその営業を振り切り走って逃げたが、その立ちん坊女性はすぐに息を切らし、路上にへたり込んでいくのがわかった。後になって振り返ると、取材費の名目で500円渡し、何か話でも聞けば良かったと悔やまれる――そんな記者の思いを、三角公園にいることが多いという路上生活者(43)に打ち明けると、予想もしなかった話を聞くことになった。

「その婆さんも行為しようとは思うてへんと思うよ。ただ寄って行って、それだけで500円もらえれば御の字、350円もらえればよしゆうとこちゃうかな。それに話なんて聞いたら後ろにどんな人間がついとるやわからん。きっとその500円か350円にも“ショバ代”がハネられるとるはずや。逃げるのが正解やで」

 年末年始、ここ西成・あいりん地区にいるのは、生活保護のみならず、この時期だけ用意される行政からの宿泊施設への斡旋も拒み、「頑張っている人たち」(支援NPO関係者)ばかりである。

 西成ではヒエラルキー上位に位置する超エリートの白手帳持ちや、逆に最底辺にランクされる生活保護に“日和った”者たちが、年末年始、暖房の効いた部屋で温かい料理を食べて過ごすなか、路上生活者たちは彼らなりに周囲に迷惑をかけず、必死で生きているのがわかった今回の取材だった。

691とはずがたり:2017/03/22(水) 15:24:58
一部の悪質な奨学金受給者と一部の低レベルな奨学金受給者のせいで大多数の奨学生と機構がババ引いてる感じ。

但し,貧困家庭に育つと勉学する力も形成し損ねて折角借りても巧くマネジメント出来ずに終わる可能性もある。その辺の教育も必要かも。

後は殆ど巧く機能してるんちゃうか。──と思ったけど構造は一部の悪質な受給者の存在する生保の制度と似ている。。

となると色々改善も必用なのか?どっちがどうなんだろうか。。

奨学金が「貧困ビジネス」と言われる根本原因
日本の「教育の機会平等」がはらむ歪みとは?
http://toyokeizai.net/articles/-/102020
関田 真也 :東洋経済オンライン編集部 2016年01月26日

「50歳を越えても返済が続く。とてもではないが、結婚や出産は考えられない」

「返済のためにアルバイト漬けになってしまうので、大学を中退せざるをえなかった」
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奨学金の貸与を受けた人から、こうした悲痛な声が上がっている。本来人生を豊かにするはずの教育への投資が、逆に人生の選択肢を狭めることになっているという、深刻なものだ。

奨学金と言えば、世界標準ではスカラシップ、すなわち返済不要の給付型のものを指すのが一般的だ。しかし、日本の場合は海外留学向けのもの以外は原則として貸与。平たく言えば、学生個人が負う借金である。

日本において、高等教育における費用は、それぞれの家庭が負担することが普通だ。もし家庭に経済的余裕がなければ、学業と平行して自力で資金を捻出しなければ、学生生活を送ることは難しい。日本の奨学金事業の9割近くを担う独立行政法人日本学生支援機構は、「『奨学金』は、自分の力で有意義な学生生活を送り、将来の夢をかなえるための貴重な手段です」と学生向けガイドブックの中で強調する。



もし、高等教育の資金援助といった公益性の高い業務で、効率性をミッションにすることがおかしいと批判するのであれば、そもそも独立行政法人に任せるべきでなく、国がやるべきということが真剣に議論されなければならない。柴田教授は、「入口は奨学金事業の性格を持ちながら、出口は金融の論理で行われているというねじれ現象が、奨学金問題の本質」と指摘する。ただ、国が直接運営すれば、弾力的な財務運営や柔軟な人事管理は困難になり、効率化・サービス向上のインセンティブも働きにくくなるというデメリットもある。

また、奨学金事業に割り当てられる予算が少なすぎるのではないかという根本的な問題もある。限られた予算で運営している以上、ニーズを満たす資力がなければ、結局、給付にすることはおろか、無利子貸与である第一種奨学金の枠も少なくなることは当然だ。結果として、外部から資金調達をする金融的な手法を使わざるを得なくなる、というのが現実だろう。



692とはずがたり:2017/04/12(水) 13:10:53
5歳児を衰弱死させた父親の絶望的な「孤立」 「助けを求めることを知らない」親たち
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-165996.html?page=1
05:00東洋経済オンライン

2014年に神奈川県厚木市内のアパートで、幼い男の子の白骨遺体が発見された。父親が一審では懲役19年の殺人罪に問われたが、今年1月の二審判決ではその原判決が全部破棄され、懲役12年の「保護責任者遺棄致死罪」となった。

693とはずがたり:2017/04/13(木) 08:52:04
フジマキが格差是正を危惧 「行き過ぎ」は避けるべき
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1813
dot. 2017年4月6日 11時30分 (2017年4月6日 17時52分 更新)

694とはずがたり:2017/04/13(木) 08:52:36
おカネではなく仕事を与えるのは人間の尊厳の為にプラスだが,財源という実効可能性条件を考えると必ずしもベターとは云えない可能性もある。

新潟は新幹線有る癖に上位だが,整備が進みすぎて公共工事が減った見たいな記事を最近読んだ気がするけど何所だっけかな??

ワースト1は秋田、2位・島根…自殺率格差生む「新幹線仮説」とは?
https://dot.asahi.com/aera/2016061300129.html
by 編集部・宮下直之 (更新 2016/6/13 16:00)

 自殺者の多くがうつ病を患っているという。自殺を減らすための政策は、うつの原因を社会的に取り除くことにもつながるはずだ。 …  世界保健機関(WHO)は、自殺の多くは防ぐことができる社会的な問題と位置づけている。個人の人生観や選択の結果ではなく、社会的な問題に追い込まれた結果の死という捉え方だ。

 警察庁によると、2015年に2万4025人に上った自殺者のうち、原因・動機の上位を占めたのは、健康問題、経済・生活問題、家庭問題だった。 …社会問題の解決に向け行政が打ち出す政策は、自殺の抑止に効果をもたらすのか。大阪大学大学院の松林哲也准教授(政治学・公衆衛生学)は、06年までの25年間に各都道府県が支出した、さまざまな経済政策と福祉政策に関する住民1人あたりの金額と、自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数、以下「自殺率」)の関係を統計学の手法で分析した。その結果、経済政策や福祉政策に費やす金額の増加と、自殺率の低下との間に相関関係が見られた。

●公共事業で自殺率低下

 特に公共事業への投資や失業対策費は、65歳未満の自殺率を低下させる傾向があった。公共事業の投資額が10%増えた場合、自殺率は約1.1ポイント下がると推定されるという。また失業率の増加は、特に男性の自殺率を押し上げた。離婚率が増加すると自殺率も上がり、その影響を受けやすいのは女性だった。

 福祉政策に関しては、生活保護費が増えるほど、65歳以上の自殺率が低下する傾向があった。一方、65歳以上の自殺率は、公共事業投資額とは無関係だった。

 松林さんはこう指摘する。
「住民の年齢や性別によって、政策が自殺率に与える影響が違うことがわかった。都道府県により住民の年齢構成も違うので、個別の事情に応じた対策を進めることが重要だと思う。それが実現できれば、効果的な対策が実現できる」

●「秋田モデル」で5割減
 都道府県ごとの自殺率を見ると、15年は秋田県が26.8人で最も多く、島根県(25.1人)、新潟県(24.9人)、宮崎県(24.5人)、岩手県と山梨県(ともに24.4人)と続いた。順位は毎年変わるが、東北、山陰、南九州、北陸地方が上位に並ぶ傾向が浮かぶ。

「上位の県は、フル規格の新幹線が走行していなかったり、整備が遅かったりした地域という共通点があるのではないか」
 そう「新幹線仮説」を唱えるのは、自殺総合対策推進センター(東京都小平市)の本橋豊センター長(公衆衛生学)だ。新幹線の整備状況は地域のどんな事情を反映しているのか。

「経済的な発展が遅れ、過疎化や高齢化が進んでいる。産業が乏しく、失業率が高くなることで平均所得も低くなり、経済的な困難を抱えやすいという構造的な問題があると思います」

 本橋さんは、14年まで20年近く秋田大学医学部で教授を務め、行政や民間団体とともに自殺対策を進めてきた。その取り組みは「秋田モデル」と呼ばれ、対象となった町は、取り組み前に比べて自殺者数を5割近く減らすことに成功した。

 政府の自殺総合対策大綱などによると、自殺を図った人の多くがうつ病などの精神疾患を患っていた。本橋さんは、うつ病の早期発見・早期治療をめざすネットワークづくりにも取り組んだ。力を入れたのは相談体制の充実、予防意識の啓発、コミュニティーづくりなどだった。

「自殺する方の多くは、その直前にうつ的な状態になっているが、経済的な問題や家族間でのトラブルを解決しなければ、治療薬を飲んでも根本的な解決にはならない。住民が直面している社会的な問題を解決するため、気軽に相談できたり、周囲に助けを求めたりできることが大切だと考えました」(本橋さん) …
(編集部・宮下直之)
※AERA 2016年6月20日号

695とはずがたり:2017/04/15(土) 12:53:18
>>694
>新潟は新幹線有る癖に上位だが,整備が進みすぎて公共工事が減った見たいな記事を最近読んだ気がするけど何所だっけかな??

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1419422882/1422だ。
ここhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1105074193/1815にも転載しといた。

696とはずがたり:2017/04/24(月) 18:16:41
32歳で年収140万円フリーターの転落人生「父の蒸発で大学進学を断念、就職先も倒産して…」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170422-01321561-sspa-soci&pos=2
週刊SPA! 4/22(土) 9:00配信

32歳で年収140万円フリーターの転落人生「父の蒸発で大学進学を断念、就職先も倒産して…」
夕食の冷凍食品を働くスーパーで購入。300円、700gのチャーハンを社割で購入。これが2日分の夕食に
5年連続で上昇している日本人の平均年収は420万円(’16年国税庁統計)だが、非正規雇用に限れば170万円まで落ち込む。もはや珍しくない年収100万円生活者の日常に密着。限界の生活を余儀なくされる人々の、その知られざる苦境とは?

◆父の蒸発で進学を断念、就職先も経営破綻に。2度の転落で人生を達観

●白川貴文さん(仮名・32歳)

年収140万円/不動産会社フリーター

 高校は都内の進学校で中央大学にストレート合格。しかし、思いもよらぬ落とし穴が待っていた。

「父が入学金を持って蒸発し、進学できなくなったんです」

 そう話すのは都内で家賃5万円のアパートで暮らすフリーターの白川貴文さん(仮名・32歳)。高校卒業後は不動産会社に就職したが、経営不振で入社6年で倒産。それでもまだ24歳、再び正社員を目指すこともできたと思うが……。

「父親が蒸発した理由もリストラ。僕自身も会社勤めへの不信感が強まったことで、もういいかなって。目に見えるものを売り、時給で確実にお金がもらえるコンビニやスーパーで働くようになりました」

 現在働くスーパーでは夕方からの遅番勤務で、11時頃に起床。13時には外出し、アイスコーヒーが216円と安いサンマルクカフェへ。そこで朝昼兼用のパンを食べながら、図書館で借りたミステリー小説を読むのが楽しみだという。

「外食は吉野家などスマホのクーポンで割引の店だけ利用します。夜は冷凍食品が多く、自社スーパーのクレジットカードと社割を使い、10%引きで買っています」

 帰宅後も深夜まで、カネのかからない娯楽を楽しむ。

「ラジオが好きなので、基本はそれを流しっぱなし。あと最近はNetflixやHuluの入会時の無料期間で海外ドラマも見ています。母名義も含めてクレジットカードは6枚あるので、半年以上は無料期間で見続けられます」

 格安SIMを使っているのでスマホの料金は月2000円ほど。月収は12万円だが、お金を使う趣味もないため、貯金も30万円ある。

「今は生活に困っていないし、自由時間を奪われるので会社勤めはしたくない」と話す白川さん。淡々としたその表情は30代前半にして達観の域に達していた。

<1か月の家計表>

月収(手取り) 12万円

住宅費 5万円

食費 1万円

外食費 1万3000円

水道光熱費 1万円

通信費 8000円

交通費 2000円

娯楽費 1万円

その他雑費 1万5000円

収支 +2000円

― 密着ルポ[年収100万円生活]の恐怖 ―

697とはずがたり:2017/04/28(金) 15:12:48

母子世帯57%が夜間も勤務 盛岡市と県立大が調査
https://news.goo.ne.jp/article/iwate/region/iwate-81379316
04月27日 10:45岩手日報

 児童扶養手当の受給資格を持つ母子世帯のうち、働く母親の57%が午後6時以降も勤務し、小学生の3人に1人が放課後1人で過ごしている―。盛岡市は県立大と共同で、ひとり親世帯の生活実態について初めて調査し、結果を発表した。貧困が深刻とされる母子世帯を取り巻くさまざまな課題が浮き彫りとなった。  母親の就労率は91・6%で、そのうち土日勤務のある人が76・8%を占めた。午前8時以前に働く早朝勤務は27・9%で、午後6時以降に働く夜間勤務の割合は57・6%に上った。  子どもが塾や習い事をしていない人の中で、その理由に「経済的理由」を挙げる人は66・0%。「過去1年間に家族が必要とする食材を買えなかったことがあった」世帯は「よくあった」「時々あった」「まれにあった」を合わせると47・4%に上り、経済的に厳しい状況が裏付けられた。  0?6歳の子どもが思い通りにならない時、「怒鳴る、手を上げる」といった不安定な養育態度をしてしまう人の中で夜間勤務をしている割合は高く、相関関係が見られた。夜間勤務をしながら食事や入浴、寝かしつけなどをする負担は大きく、時間に追われて余裕がない状況が示された。  小学生の児童のうち32・4%が放課後1人で過ごしている現状も明らかになった。こうした子どもたちの居場所づくりも課題と言えそうだ。

698チバQ:2017/05/05(金) 08:31:36
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170505-00000004-mai-soci
無料低額宿泊所>行政処分予告に恫喝 国会議員秘書が同席

毎日新聞��5/5(金) 7:30配信

 無料低額宿泊所の大手運営団体「FIS」幹部らが2012年、千葉県船橋市の宿泊所への行政処分を市から予告された際、衆院議員の秘書を同席させて市の担当者を「なめるな」などと恫喝(どうかつ)し、処分を回避しようとしていたことが市への取材で分かった。団体側はその後も市を提訴して処分の取り消しを求めた。自治体が悪質と判断した場合でも、容易に処分できない実態が浮かんだ。【大場弘行、山本将克】

 船橋市は「FIS船橋寮」(定員138人)を立ち入り調査し、6畳間を板で約3畳に仕切ったプライバシーのない居室で4万6000円の入居費を徴収している▽年5000万円以上ある利益の処理が不明--などの問題点を指摘。計7回是正指導したが改善がみられないとして、12年7月13日に「事業の制限や停止を命じる場合もある」と警告した。

 これに対し、FISの実質経営者である顧問と代表が1週間後、公明党幹部で当時落選中だった同党衆院議員の私設秘書(現在は公設秘書)を伴って市の担当者3人と面談。市は団体本部の収支報告の提出を求めていたが、顧問は「市が独自に調べればいい」と拒否し、「処分したら好き放題やってやる」「うちらをなめないで」「笑ってられるのも今のうちだ」などと発言した。秘書は顧問の横に黙って座っていたという。

 顧問はFISの事業で得た約3億円の所得を申告せず、約1億円を脱税したとして所得税法違反で10年に有罪判決を受け、面談当時は執行猶予中だった。

 市が12年9月、船橋寮の新規入居者の受け入れを禁じる行政処分をしたところ、団体側は「裁量の乱用、逸脱がある」とし、処分の取り消しを求めて千葉地裁に提訴した。

 訴訟で市側は団体側が面談時に「恫喝に終始した」と主張。団体が「外圧に対する防衛」などの名目で顧問に20年間にわたって月最大2000万円を渡す業務委託契約を結んでいたことも挙げ「まさに貧困ビジネス」と指摘した。1、2審とも処分は適法と判断。昨年3月に団体側の上告が退けられて市側の勝訴が確定し、船橋寮は廃止された。

 FISは以前は任意団体として約20宿泊所を運営。現在は複数のNPO法人で宿泊所を運営する形を取っているとみられる。

 ◇議員事務所「圧力なかった」

 議員の事務所などによると、秘書は議員の地盤である東京都内の知人から顧問を紹介され、市側との面談設定を依頼された。秘書は当時は船橋市議だった別の公明党衆院議員に市への取り次ぎを要請。顧問の求めで約30分の面談に同席。市側と名刺交換しただけで発言はしなかった。

 事務所は「市側が圧力と感じるようなやりとりはなかったと承知している」と説明。「議員は当時落選中であり、その秘書の立場で圧力をかけるのは不可能」とする一方で、団体の運営内容を知らずに依頼に応じたなどとし、「今後は要請は受けない」とした。献金を含む金銭のやりとりはなく、面談の仲介や同席について、議員本人の指示や了承はなかったという。

 これに対し、市幹部は「脅迫に近いと感じたが、訴訟では市の総意として『恫喝』という言葉を選択した」と指摘。実際に対応した職員3人は取材に「秘書の同席は政治的圧力をかけるためと受け止めた」と話した。

 取材に対し顧問と団体は「個別の契約、取引は正当な対価で行われており、不当なものはない」と説明したが、「恫喝」の有無については回答しなかった。面談を仲介した衆院議員は「秘書と市をつないだだけ」と答えた。

699チバQ:2017/05/05(金) 09:19:39
太田昭宏と角田秀穂でしょうね

700とはずがたり:2017/05/14(日) 19:43:49

命つなぐ食、ピンチ 資金難で倉庫の確保難航 芦屋
https://news.goo.ne.jp/article/kobe/region/kobe-20170514000.html
08:52神戸新聞

 大型スーパーなどの余剰食品を譲り受け、福祉施設などに提供している認定NPO法人「フードバンク関西」の活動がピンチだ。この10年で食品取扱量が2倍を超え、倉庫を兼ねた兵庫県芦屋市呉川町の事務所は既に収容能力が限界に達していたこともあり、家主からの退去の求めに応じて来春、退去することになった。ところが、移転先探しは資金などの条件に合う物件がなく難航。同法人は「移転準備もあり、今夏までに見つからなければ活動に影響が出かねない」と危機感を募らせる。(竜門和諒)

 同法人は、2003年に芦屋市の米国人が設立した。包装の傷やラベルの印字ミスなどの理由で商品価値を失った食品を、「イオントップバリュ」(千葉市)などの食品企業などから回収。事務所で一時保管し、児童養護施設やホームレス支援団体、母子家庭などに提供している。

 12年度からは、市役所などに生活保護の申請に来た人に対し、一時的に食料を提供する「食のセーフティーネット事業」を開始。16年度時点で芦屋、尼崎、伊丹、西宮、川西、宝塚の6市と提携を結んでいる。

 さらに、自宅で食事を取れない子どもたちに温かい食事を提供する「子ども食堂」の支援を16年度に始め、今年4月末時点で10団体に食品を提供。2月には、兵庫県内各地の子ども食堂と、それぞれの課題解決に向けて協力する「兵庫子ども食堂ネットワーク」を設立し、同法人が事務局を担う。

 同法人が現在の事務所に移転したのは06年。同年度の食品取扱量は70トンだったが、15年度には185トンとなり、食品の受取団体数も同時期の27団体から102団体に増えた。

 現在の事務所は、会員から月約10万円で借りている木造2階建て民家。2階は事務スペースとして使っているため、倉庫として使えるのは実質1階だけとなっている。広さは30坪弱で、段ボール箱は天井に届きそうなほど山積みに。場所を確保するため、13年からは近くのアパートの1室も借りている。

 同法人は会費や寄付金で運営し、行政からの補助金などはほとんどない。移転先は阪神間で50坪以上の平たんなスペースがあり、月の賃料は20万円まで?などを条件に探しているが、今も見つかっていない。

 全国フードバンク推進協議会によると、全国には約80のフードバンク団体がある。近年、各地で子ども食堂の設立が相次ぎ、各団体が食材の供給源として大きな役割を果たしているが、資金不足は共通の課題だ。

 同法人代表の浅葉めぐみさん(68)は「私たちが活動をやめるわけにはいかないが、このまま移転先が見つからなければ、活動に支障が出るかもしれない」と指摘。「CSR(社会的責任)活動の一環で倉庫を安く貸してくれる企業はないかなど、あらゆる可能性を探りたい」と話す。


 【フードバンク活動】国連世界食糧計画(WFP)によると、食べられるのに廃棄される食品ロスは2014年度、全国で621万トンに上り、世界の食料援助量の2倍に相当。その一方で、子どもの貧困率が「16・3%」(12年、厚生労働省調べ)に達しており、食品ロスを有効利用するフードバンク活動は全国各地で盛んになっている。

701とはずがたり:2017/05/18(木) 08:51:22
沖縄にばらまきするのでは無く貧困を削減するという明確な目的持って支出して欲しいね。
沖縄に赴任した友人も結構物価高いのに給料安いと怒ってた。

沖縄の「子どもの貧困率」は全国平均の約2倍。原因にある沖縄特有の構造とは?
http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/15/diamond-online-okinawa_n_16617898.html
ダイヤモンド・オンライン
投稿日: 2017年05月16日 08時00分 JST 更新: 2017年05月16日 08時00分 JST OKINAWA CHILD

日本国内における子どもの貧困率の2倍近い、沖縄県の子どもの貧困率。全国でもっとも高く、より深刻な状況となっている。沖縄県の貧困の連鎖の実態と、求められる対策について、NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」沖縄代表の秋吉晴子氏に話を聞いた。(取材・文/松原麻依[清談社])

全国で一番低い平均所得 一方で生活コストは割高

2016年4月に公表された沖縄県の子どもの貧困率は29.9%(沖縄県(2016年4月)『沖縄県子どもの貧困実態調査結果概要』より)。これは全国平均、16.3%(内閣府(2015年6月)『平成27年版 子ども・若者白書』より)の約2倍の数値である。

2017-05-15-1494888282-7950911-dol_logo2.jpg本記事は「ダイヤモンド・オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
貧困問題は決して単独で見ることはできず、その人の生まれた地域や家庭、教育環境など様々な要因が絡み合っている。

沖縄県では貧困率そのものも34.8%(戸室健作(2016年3月)『都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討』より)と高く、ワーキングプア率も25.9%(同)。全国の貧困率の平均は18.3%(同)、ワーキングプア率は9.7%(同)で、やはり沖縄県は全国で突出して高い割合を示していることが分かる。そして、県内に困窮した児童が多いのも、こうした環境の連鎖の結果だと考えられる。

「ここ最近の貧困報道で、私たちも自分たちの置かれている状況の厳しさに気づきはじめた」と、語るのは「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」沖縄代表として、13年以上シングルマザーの支援活動を続けてきた秋吉晴子氏だ。秋吉氏の出身は大阪府。1999年に沖縄に移り住み、自らもシングルマザーとして働き家族の生活を担ってきた。そうした中で、島で生活することの厳しさを実感したという。

「まず、沖縄の最低賃金は714円と全国で一番低く、この金額ではフルタイムで働いても生活保護以下の額にしかなりません。その一方で、車社会なので車の維持費にもお金がかかりますし、都市部の住居費も高い。所得の低さと生活コストが比例しているわけではないのです」(秋吉氏、以下同)

沖縄県の平均賃金は23万6300円(厚生労働省『平成28年 賃金構造基本統計調査』より)と全国で最も低いが、那覇市の住宅地の平均地価は福岡市と同じ水準で、家賃も決して安くない。また、都市ガスの普及率が低く、ほとんどの世帯がプロパンガスを導入しているため、公共料金も高くなりがちだ。加えて、生鮮食品をはじめとするさまざまなものは、県外から海を渡って卸されるので、本土の価格より高くなる品も多い。低い所得に見合わない生活コストだ。子どもの貧困問題は、こうした沖縄をとりまく現状の先にある。

貧困家庭に生まれた子どもは、経済的な理由から高等教育を受けるチャンスが減り、学歴はその後の収入に大きく影響する。生まれた時点でついてまわる格差は成人後もその子を貧困に陥れ、さらに次の世代の貧困へとつながっていく。そうした子どもの貧困の連鎖の構造は、ほかの地域でも見られることだが、沖縄県における貧困の連鎖はそれだけでは語れない部分があるという。

連鎖の出発点は沖縄戦 沖縄特有の貧困の構造とは

「沖縄が抱える貧困問題については沖縄戦の時代まで遡って考える必要があると思います。そこが連鎖の出発点ではないかと」(同)

県民の4分の1が死亡した沖縄戦は多くの戦争孤児を生んだが、それにもかかわらず、戦後は米軍の統治下となり児童福祉法の制定や必要な施設の建設などが本州よりも遅れて導入された。そうして最低限の福祉すら受けられずに育った子どもたちがそのまま大人になり、今に続く貧困の遠因になっていると指摘する専門家もいる。

702とはずがたり:2017/05/18(木) 08:51:38
>>701-702
「また、これだけ本州との距離も離れており歴史も違うことから、風土や人々の気質も当然ほかの都道府県とは異なります。本来なら教育にしろ、経済にしろ、その地域にあったシステムで運営されるのがベストですが、沖縄県は1972年の復帰後、すぐに中央の枠にはめられた。そうした歪みが沖縄を取り巻く困窮の原因の一つではないでしょうか」(同)

また、現在に至るまで続いている基地問題についても、秋吉氏は貧困問題の解決を阻むひとつの原因だと考える。

「米軍基地の存在は、沖縄でもっとも優先すべき問題のひとつとして扱われてきました。毎日のように基地問題が議論されていくなかで、人々が子どもや女性の暮らし、教育の問題に目を向けることはあまりなく、つい最近まで子どもの貧困が周知される機会がありませんでした」(同)

「何もかもが不利な状況で、沖縄では、なるべくして貧困が拡大していった」と、秋吉さんは語る。

対症療法では手に負えない 貧困問題は根本的な治療が必要

ますます貧困問題が深刻化する沖縄において、どのような対策が求められるのだろうか。自らもシングルマザーとして働きながら、10年以上支援の現場に立ち続けてきた秋吉氏は「子どもの貧困の解決には、“社会全体の底上げ”が必要」だと話す。

「たとえば、給食費や制服代など、子どもの学校にかかる費用の無償化を、所得にかかわらずすべての世帯に適用させるという手段もあります」(同)

中間所得層が減り、多くの人の生活水準が落ちている今、支援の対象外であってもそれなりに厳しい家庭が多い。より困窮している人のみに支援を投入することは批判を招く可能性がある。それは社会全体を不寛容にし、貧困の自己責任論が蔓延する原因にもなる。その点、すべての子どもを対象とした支援は、より多くの人の賛同を得やすいだろう。

「さらに、全体的な底上げという意味では『労働単価の引き上げ』が重要です。今の賃金で家賃・公共料金・医療費など必要最低限の支払いができて、それでも子どもを大学に行かせるまでの貯蓄が果たしてできるのか。そこから議論し対策を講じるべきだと思います」

秋吉氏の指摘する「子どもの教育の無償化」や「賃金の引き上げ」といった対策はすべて、貧困問題の根幹にかかわるものだ。沖縄県では、「子ども食堂」の設置やソーシャルワーカーの増員、児童館の設置など様々な問題解決策が提案されている。もちろんそうした対症療法的な支援も大切だが、それ以前に貧困問題には「根本的な治療が必要」だという。

「たとえば、頭が痛いからと言って頭痛薬を処方しただけでは症状は緩和されるかもしれませんが、頭痛の原因は取り除かれません。病気と同じで、貧困問題も本当に健康な体になるためにはどうしたらいいのか考える必要があります。対症療法と同時に、貧困を生じさせる原因となっている社会の仕組みや制度について、いま一度見直し、変えていくという、根本治療をする必要があると思います」(同)

「貧困問題の根本的な治療」は、沖縄県に限らず格差が拡大している日本全土に言えることだ。目に見えやすい対症療法的な支援は、支持も得やすいし資金も付きやすい。しかし、子どもの貧困問題は、もはやそれだけでは手に負えなくなっている。自治体や国が主体となって具体的施策を打ち出していくことが必要だろう。

(松原麻依:清談社)

703とはずがたり:2017/05/19(金) 19:59:47
2年前の記事
ホリエモンは頭が良いからなぁ。偽悪的に煽って話題作って行かないと喰っていけないからやってる部分強い様に見える。
結構本質的な事突いてるんだけど偽悪的に云ってしまうからやっぱり不愉快。

ホリエモン「貧困問題はやっぱり自己責任だろう」
https://dot.asahi.com/wa/2015040800110.html
(更新 2015/4/10 11:30)

 多くの貧困者が存在している日本社会。生活保護など救済システムはあるが、全面的な解決にはならないと、堀江貴文氏は指摘する。

*  *  *
 先日出演した「朝まで生テレビ!」で、私が失業者を擁護するジャーナリストとのやり取りの中で「完全に自己責任じゃん」と発言したことが話題になっているようだ。

 貧困者対策を喧伝するジャーナリストは全ての貧困者を等しく助けるべきであるという論理を展開しがちである。日本には生活保護制度などが整備されており、適切に運用されれば、ホームレス生活になったり餓死したりするような事態にはならないはずだ。そういう人たちが存在しているのは果たして行政の責任と言ってしまっていいのだろうか。

 この発言の前段階で、ジャーナリストが例としてあげた、横浜のみなとみらい建設に関わった労働者が今は貧困に陥っていることについて、本来であれば景気が良かったころに資産形成をして年老いても収入があるような人生設計をすべきであったと私は思う。

 努力して人生設計をして悠々自適の生活をしている人がいる一方、そういうことをしなかった人が貧困に陥っているのは、ある意味自己責任ではないだろうか。

 とはいえ生活保護制度があるのだから、それは制度の範囲で助ければいいだろう。それには異論はない。ただし、資産形成をしようとしない人に、それを促したとしても実行するのはごく少数の人だろう。大半は景気が良い時期に散財して、後には何も残らないという状況になるのがオチだろう。しかしホームレスになってしまうというのはそれ以外にも本人たちにも原因があると私は思う。

 他人に頼ることができないというプライドの問題も考えられる。義務教育の過程の中で親や先生に「他人に頼ってはダメだ」と教育されるだろう。子どもたちはそれを真に受けて何でも自分で解決しようとする。窮地に陥ったとしても人様に頼るのは良くないことであるという刷り込みを受けているのである。

 従ってホームレスになるような事態があっても友達や知人に頼ることができない。見ず知らずのホームレスを家に泊めることができる人は相当な博愛主義者だと思うが、友人が路頭に迷おうとしていたら、少しの間でも支援しようと思うのが人情というものだろう。

 しかし、コミュニケーション能力が不足していたり、プライドが高かったりして、他人に頼れない人たちは生活保護を受けることすら拒否、あるいは二の足を踏むのだという。そういった人たちを救うのは果たしてカネの問題なのだろうか?

 私は違うと思う。普段から他人の信頼を得るような行動を取り、コミュニケーションを面倒臭がらずに取って、常に困ったときは相互扶助できるような体制を取ったらどうだろうか、と思うのだ。

 今や近所付き合いはあまりなくなったようだが、それにかわってソーシャルネットワークがある。趣味や考え方が合う友人たちと簡単に仲良くなることができるのだ。金銭的なセーフティーネットよりも、もっと根源的な人と人との信頼関係のセーフティーネットのほうがよほど強固であるし、長続きするのである。

※週刊朝日 2015年4月17日号

704とはずがたり:2017/05/19(金) 22:20:19

子どもの虫歯二極化、口腔崩壊も 経済格差背景か
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170519-00000002-kobenext-life
神戸新聞NEXT 5/19(金) 8:00配信

 兵庫県内の小中高・特別支援学校で2016年度に行われた歯科検診で、虫歯などが見つかり「要受診」とされた約3万5千人のうち、歯科の受診が確認できない児童・生徒が約2万3千人、65%に上ることが県保険医協会の調査で分かった。未治療の虫歯が10本以上あるなど「口腔(こうくう)崩壊」の子どもがいる学校の割合も35%に上った。同協会は「全体的に子どもの虫歯は減少傾向なのに二極化が進んでいる。背景に貧困などの厳しい社会状況がある」と指摘する。(森 信弘)

 調査は17年3月、医師や歯科医師らでつくる同協会が初めて実施。県内の1409校を対象に行い、19%に当たる274校(11万415人分)から回答があった。大阪府や長野県などでも各保険医協会が同様の調査を行ったが、似たような傾向があるという。

 受診が確認できなかったのは、小学校が46%、中学校で64%、高校は84%と年齢を経て高くなり、特別支援学校は62%だった。

 口腔崩壊の児童・生徒がいる場合、家庭状況について尋ねた(複数回答)ところ「一人親家庭」が37%で最も多く、「保護者の健康への理解不足」(33%)、「経済的困難」(32%)などが目立った。口腔崩壊は調査で計346人おり、同協会は「単純計算で県内に1500〜2千人程度と推定できる」としている。

 口腔崩壊の児童・生徒が1人でもいる学校は、中学では19%だが、高校は47%と増加。中学生は永久歯に生え替わるのに伴って減っているとみられるが、高校生の場合は一生使う歯が使えなくなってしまうことになる。特別支援学校も47%と高く、受け入れる医療機関が限られることも影響しているとみられる。

 同協会の足立了平理事は「仕事が忙しく、子どもの歯磨きに気を使ってやれない親もおり、家庭状況にあった保健指導や働き方の改革なども必要」とし「今後も調査を続けたいが、できれば行政が取り組んでほしい」としている。

 【口腔(こうくう)崩壊】 明確な定義はないが、10本以上の虫歯や歯根しかないような未処置の歯が何本もあり、食べ物をうまくかめない状態を指す。栄養状態が悪くなり、体の成長やあごの発達などに影響する恐れがある。歯科を受診できない背景として貧困問題との関連からも注目され始めている。

705とはずがたり:2017/05/19(金) 22:21:00

子どもが不幸になるのが一番哀しい。

2017/2/23 20:13
東京、子どもの生活困難2割超 食料買えない家庭も
https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201702/0009941349.shtml

 東京都内の小学5年、中学2年、16〜17歳の子どもがいる親計約8千人を対象とした都の実態調査で「生活困難層」の割合が全体の2割超に上ったことが23日、分かった。都がこうした貧困実態を調べたのは初めてで、金銭的な理由で食料が買えない家庭や、親子で海水浴に行ったことのない家庭もあった。

 世帯所得が約135万円未満や、公共料金滞納など三つの要素のうち、一つ以上に該当すると「生活困難層」、そのうち二つ以上該当すると「困窮層」と分類。

 海水浴に行ったことがない割合は、困窮層では小5と中2のいずれも3割前後。全体の約1割で過去1年間に食料が買えなかった経験があった。

706とはずがたり:2017/05/21(日) 22:12:28
アメリカの話

高卒以下の4割「生活困難」=学歴で格差鮮明―米調査
時事通信社 2017年5月20日 08時02分 (2017年5月20日 23時57分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170520/Jiji_20170520X320.html

 【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が19日公表した2016年の調査によると、学歴が高卒以下の40%が生活が苦しいと回答した。大卒以上は17%にとどまっており、学歴による格差が改めて浮き彫りとなった。ブレイナードFRB理事は「多くの世帯が金銭面で困難を抱えている」と述べ、対策を訴えた。
 調査によると、生活は「余裕がある」「賄えている」との回答は全体で70%を占め、前年から1ポイント上昇した。このうち、大卒以上は82%と2ポイント上昇したのに対し、高卒以下は60%で1ポイント低下し、残り4割が生活困難と回答した。
 人種間では、「余裕がある」「賄えている」との回答が白人で72.1%だったのに対し、黒人は64.0%どまり。地域間でも都市部の70.3%に対し、地方は67.5%と差があった。

707とはずがたり:2017/06/01(木) 08:08:52
医療費全額無料の生活保護受給者との格差が酷すぎる。。

<国民健康保険>貧困で無保険に 福岡県で1年間に9人死亡
毎日新聞社 2017年5月31日 09時01分 (2017年5月31日 09時33分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20170531/Mainichi_20170531k0000e040223000c.html

 福岡県民主医療機関連合会(県民医連)は、昨年1年間に系列医療機関を受診した患者のうち、国民健康保険料が払えず「無保険」状態になるなど経済的な理由で受診が遅れて病状が悪化し、死亡した人が少なくとも9人いたと発表した。系列27病院・診療所を調査。4病院の9人中8人が、がんで死亡していた。県民医連は改善を求める要望書を県に提出した。

 県民医連によると、9人は40?80歳代で北九州市や大牟田市などに住み、うち7人が一人暮らしだった。無保険は5人、保険料の滞納で有効期限が限定された「短期保険証」が2人。他は検査の自己負担分が払えないなどの理由でがんの発見が遅れた。

 県民医連の洗川和也事務局長は「貧困が拡大する中で手遅れとなった例は氷山の一角。がん治療で医療費が高額になる場合の減免制度を県は周知してほしい」と話す。県医療保険課の山崎義弘企画監は「要望の内容を読み、検討したい」と話した。【吉川雄策】

708とはずがたり:2017/06/01(木) 08:09:42

日本おもちゃ大賞2017発表!進化し続ける最新おもちゃを一挙紹介
https://news.goo.ne.jp/article/walkerplus/trend/walkerplus-110684.html
05月30日 20:12Walkerplus

日本玩具協会が主催する「日本おもちゃ大賞2017」の授賞式が5月30日(火)、東京国際フォーラムで開催。7部門の大賞が発表された。

全42社、335アイテムの中から大賞に選ばれたおもちゃを部門別に一挙紹介!

■ ボーイズ・トイ部門「ベイブレードバースト 新シリーズ」

ベーゴマを現代風にアレンジした、「世代や国境を超えて遊べる」タカラトミーのバトルホビー。スプリング内蔵で、戦いの後半に再加速する、ローラーで相手の攻撃をいなす、ラバー素材で相手の回転を吸収するといったギミックにより、遊びがさらに面白くなった点が評価された。

■ ガールズ・トイ部門「ラブあみボンボンメーカー」

株式会社アガツマの、いろいろなサイズのボンボンとタッセルグッズが本体1つで作れる女児向けのおもちゃ。サイズ調節機能を使うことにより、大小問わず簡単に作れる機能性と、毛糸のほか、羊毛フェルト・チュールなど素材を変えて作れるのが魅力だ。

■ コミュニケーション・トイ部門「地球まるごとすごろく」

世代や性別を問わず楽しめるおもちゃが選ばれるコミュニケーション・トイ部門では、球体の巨大な盤面のすごろくが大賞に選ばれた。地球儀がモチーフとなっている50センチの球体という斬新なデザインで、吸盤のコマを張り付けて遊ぶことができる。51種類の世界遺産カードや豆知識など、つい誰かに話したくなるような楽しい内容満載のすごろくだ。

■ エデュケーショナル・トイ部門「アンパンマン おしゃべりいっぱい!ことばずかんSuperDX」

シリーズ累計110万台の「ことばずかん」が、子供の成長の証とも言われる「二語文」を追加してパワーアップした商品。日本語だけでなく英語も遊びながら学べる教育性と、おしゃべりの数が2200種類以上という豊富さで、今までよりもっと深く言葉を学べるよう進化している。

■ 共遊玩具部門「くみたてDIY はしるぞっ!ねじねじアンパンマンごう」

ハンディキャップを負った子どももそうでない子どもも隔たりなく遊べるコンセプトで作られたおもちゃを評価する共遊玩具部門では、お子様サイズのカラフルなねじと電動ドライバーを使って、バラバラなパーツから「アンパンマンごう」を組み立てて遊べるDIYおもちゃが選ばれた。スイッチ部分の凸点、各ネジ留めの箇所のガイド、部品の安全への配慮、ねじの統一などにより、視覚に障害があっても不自由なく遊ぶことができる。

■ イノベイティブ・トイ部門「蒸気がシュッシュッ!トーマスセット」

プラレールトーマス25周年記念商品である本品は、煙突からまるで本物のような蒸気が出るのが最大の特徴。「タンクレス蒸気システム」により、さわっても熱くなくカビにくいという安全性と、原作と同じように給水塔から水をトーマスに補給できるというディティール、水の量によってトーマスが発するセリフが変化して本物と遊んでいる気分になれる点が評価された。

■ ハイターゲット・トイ部門「FORMANIA EX ν(ニュー)ガンダム」

大人世代にも今なお絶大な支持を受ける「νガンダム」を、各種素材、技術を多用し精緻なイメージを余すところなく表現。圧倒的な作りこみの完成品ディスプレイモデルが、目の肥えた大人のガンダムファンをもうならせるクオリティに仕上がっている。

そのほか、前年度ヒット・セールス賞として、仮面ライダーエグゼイドの変身ベルトを再現したバンダイ「変身ベルト DXゲーマドライバー」が、特別賞にタカラトミー「リカちゃん」と、パイロットインキ「メルちゃん」がそれぞれ選ばれた。日本おもちゃ大賞に選ばれたおもちゃは、6月3日(土)・4日(日)に東京ビッグサイトにて一般公開される「東京おもちゃショー2017」にて展示される。気になったおもちゃを見つけたら、ぜひ足を運んでみては。【ウォーカープラス編集部/国分洋平】

709チバQ:2017/06/02(金) 18:56:17
https://this.kiji.is/243283864056399355?c=77955783816085513
困窮世帯の父半数が正社員 沖縄県の貧困実態調査
2017/6/2 17:00
 沖縄県は2日、沖縄子どもの貧困実態調査事業の報告書として、15〜16年度に県内小中校生とその保護者を対象に、経済状況が日常生活や進路に与える影響を把握しようと実施した調査の追加分析を発表した。国や県が困窮の基準とする等価可処分所得122万円未満の「困窮世帯」のうち、小1の母親の13・6%、父親の46・2%は「正社員」と答えており、正規雇用でも十分な収入を得られない沖縄の厳しい雇用環境が明らかになった。

 小中学生を対象にした「子ども調査」は15年度、県内全域の公立小学校32校の1年生の保護者、23校の5年生とその保護者、公立18中学校の2年生とその保護者に、学校を通して調査票を配布・回収した。各対象者とも有効回答数は約1200票で有効回答率は約7割。16年3月に結果の概要版を発表した。「高校生調査」は16年度、県立全60校の2年生とその保護者を対象に行い、4311組の親子から有効回答を得た(有効回答率59・1%)。17年3月に中間報告を行った。

 今回、小中と高校それぞれで分析を進めることで子どもの成長段階による特徴も明らかになった。通常の家計を「赤字」と答えた保護者は高2では32・9%に上り、小1の25・1%より厳しい世帯が増えた。食料を「買えなかった経験がある」とする世帯は小1の25・0%から高2で29・9%、衣料が買えなかった世帯は小1で33・1%から高2は39・2%に悪化した。世帯所得は300万円未満が37・1%から32・2%に減るなど、やや増加しているものの、子どもの成長とともに増える出費に追いついていないとみられる。【琉球新報電子版】

710とはずがたり:2017/06/19(月) 08:14:24
病気ならなおさなかんし,病気じゃ無い(働くのが嫌だけど資産は無い)とするならばのたれ死にさせるしか無いのが原則論か。
この人手不足の時代になんとか働かせたいけえが。。神経図太くする治療みたいなのはないのかねえ。。

「60代のひきこもり」が増えている
プレジデントオンライン 2017年6月18日 11時15分 (2017年6月19日 07時50分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170618/President_22364.html

「親亡き後」に突入するひきこもりの当事者が増えています。もし、何の対策もしなければ親の支援がなくなった途端、生活は行き詰まり、住まいも追われかねません。「働けない子どものお金を考える会」の代表を務めるファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんが、ひきこもりの子どもを持つ家庭の実態と対策について解説します――。

■79歳男性のSOS「私が死んだら息子は……」
関東に地方に住む79歳の男性はこう言います。
「母親(妻)が亡くなって、働けない息子と2人暮らしをしています。もともと息子と会話する機会は少なかったのですが、この1年くらいは、お互いの顔もろくに見ていない状態です。私ももうすぐ80歳です。息子はひとりっ子、私が死んだら路頭に迷わせてしまうのでしょうか……」
独り言とも、SOSとも取れる、しぼり出すような声でした。
私は「働けない子どものお金を考える会」の代表を務めています。この会は、ひきこもり、ニート、あるいは障がいをお持ちのお子さんを抱えるご家族の家計を考える、ファイナンシャル・プランナーの集まりです。
親だけでなく、お子さんの生涯、とりわけ親亡き後をどう生き抜いていくかを模索する「サバイバルプラン」を中心に資金計画を立てるお手伝いをしています。
高齢化した「ひきこもり」が着実に増えている
その活動もはや25年。四半世紀が過ぎました。
アドバイスを始めた頃は、ひきこもりのお子さんの存在が世の中に認知されていたとはいえず、生活設計のアドバイスをすること自体、奇異な目で見られることも少なくありませんでした。…

同時に、「親が死んだ後の話をするなんて、縁起でもないことを言うな」と、当事者の家族から怒られたこともありました。
25年という時間が流れ、「ひきこもり」という言葉が理解されるようになった今では、私たちが提唱している「サバイバルプラン」を受け入れ、具体的な計画を立て、実行に移してくれるご家庭が増えてきています。
とはいえ、それは、ひきこもりのお子さんの数が増えている現実を表すだけではなく、後述するようにひきこもりの状態から抜け出せないまま、お子さん自身が高齢化している現実も意味しています。

■「50代はもう珍しくありません。最近は60代もいます」
私たちが提唱する「サバイバルプラン」とは、働けない状態がこの先も続くと仮定して、親が持つ資産でどうやって生き抜いていくかを考え抜くプランです。
親が持つ資産というと、金融資産だけをイメージする人が多いのですが、不動産活用も重要なポイントです。親亡き後も、住み続けられる住まいを確保できなければ、生活は行き詰まってしまいます。
住まいを確保する方法として、都市部では賃貸併用住宅への建て替えが選択肢になります。一方、地方在住の場合は、老朽化した家から築浅の家への住み替えを促します。また、親に介護が必要になった場合に備えて、親子別居のプランを立てるケースもあります。
サバイバルプランの具体的な手法については、この連載で徐々に触れていきます。なかでも最近、深刻化しているのは「働けないお子さんの高齢化」です。

711とはずがたり:2017/06/19(月) 08:14:40
>>710-711
親は80代以上というケースが増加「待ったなしの状態」
私のご相談者の中には、お子さん側がすでに60代に入られたケースが何例も出てきています。50代のご相談者は、もう珍しくありません。ご相談者の親御さんの年齢が80代というケースも増えていて、中にはすでに「親亡き後」へ突入している人も出てきています。ひきこもりの高齢化は、待ったなしの状態になってきているのです。
ひきこもりのお子さんが高齢化すると、「就業は絶望的であり、お子さん自身の生活設計など立てられない」と考えるのが一般的かもしれません。しかし、「早めの対処・対策」を立てることによって、親も子もサバイバルすることは可能です。

■「全く働けない子ども」が2人以上いる家庭も増えた
「高齢化」のほかに見逃せない問題は、ひとつのご家庭に、「働けない状態のお子さんが複数いる」というケースのご相談が増えていることです。2人とも働けないだけではなく、中には3人や4人のお子さん全員が働けない状態のご家庭もあります。
働けない状態にあっても障がい年金を受給することなどで、サバイバルプランが成り立つケースもありますが、本来なら「親亡き後」に手続きなどで力を貸してくれるはずのご兄弟がいないという、別の問題を抱えていることになります。
さらに親側にとっても子ども側にとっても厳しいのは、親が持つ資産が減ってきていることです。企業業績は改善していますが、給与相場はそれほど上がっていませんし、年金受給額も減っています。ひきこもりの子を支える親の資産は減っている
私が相談を受け始めた25年前は、ご相談者の多くが、親(お子さんにとっての祖父母)の持つ資産でサバイバルプランが成り立ちました。ところが、時間が経過するごとに親側の資産に余裕のないご家庭が増え、現在、サバイバルプランが成り立つのはご相談者の半分程度に減っています。
サバイバルプランが成り立たないと思われるご家庭こそ、先ほど申し上げたように早めの対策が必要になります。
資産の少ないご家庭は、厳しい現実に向き合わない傾向があります。「子ども自身がなんとか収入を得てくれれば……」といった現実的とはいえないプランしか立てていないケースが多いのです。厳しい現実から逃避しても、明日や明後日の生活に困るわけでもありません。しかしそれは、いつか訪れる「親亡き後」について先送りしたまま、あるいは考えることをフリーズしたままにしているだけです。
「親亡き後」のお子さんの生活を守るためには、この先も働けない状態が続くという現実を受け入れる勇気が、何よりも重要です。資産が少ないご家庭ほど、1日も早くサバイバルプランづくりに取りかからなくてはいけません。

■今、働いている子が突如、働けなくなる日
また、ひきこもりの問題というと、ごく一部のご家庭の問題であり、自分の家庭とは関係のない話だと捉える方も多いでしょう。ですが、ひきこもり状態ではなくても、フリーターやニート(仕事も通学も求職もしない)のように、定職についていないお子さんが増えている現状*を考えれば、ひきこもり家庭の状況は決してひとごととは言い切れないはずです。
[その他の写真を見る]

(*編注)2017年版「子ども・若者白書」によれば「ニート」を含む若年無業者数(15〜39歳)は2016年で約77万人と依然高い水準にある(ニートの割合は男性2.8%、女性1.6%)。この白書は調査対象の年齢が39歳までであり、実際は40歳以上の者もかなりの数にのぼると推測できる。
「新卒で働き始めた会社で、老後の手前まで働く」というのは、親の世代には常識として通じても、お子さんたちの世代にとっては難しい現実になってきています。「一生働ける仕事に就く」という願いでさえも、かなわない現実があるのだと受け入れる覚悟が必要です。「働けない状態の子どもを抱える」というリスクは、どのご家庭にも起こりえます。そうした現実を、一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。
(ファイナンシャル・プランナー、「働けない子どものお金を考える会」代表 畠中 雅子)

712とはずがたり:2017/06/19(月) 18:31:55
難関大学を出て金融機関に就職した兄弟が突然40過ぎに引き籠もり化してもそれはそれとして受け入れて設計するのか!?
まあその親の育て方になんか問題があったとしてももうやり直せないだろうけどね。

ニート高齢化で迫られる"老後設計"大修正
無職の子供を抱えるリスクとは
http://president.jp/articles/-/16675
マネー 2015.11.16
畠中 雅子
ファイナンシャル・プランナー、「働けない子どものお金を考える会」代表 畠中 雅子
PRESIDENT 2014年10月13日号

自慢の子供たちが突如ひきこもりに
難関国立大を卒業後、銀行員となった兄。難関私立大を卒業後、証券マンとなった弟。両親の気がかりと言えば、40代になっても結婚していないことくらいだった。それがある日、原因がわからぬまま、兄が一歩も家の外へ出られなくなり、翌年には弟も同じ状態に。

これはファイナンシャルプランナーである畠中雅子氏が目の当たりにした実話である。
「特殊なケースと見られがちですが、ひきこもり予備軍や、働けない予備軍はいま、確実に増えていて、ニートの高齢化も進んでいます。無職の子供を抱えるリスクは、どの家庭にもあるのです」

文部科学省が発表した2014年度学校基本調査(速報値)によると、13年度の「不登校」を理由とする長期(30日以上)欠席者は、小・中学校合わせて約12万人。前年度と比べ、約7000人も増加しているのだ。不登校からそのままひきこもりにつながり、仕事に就けないケースも多い。

「就職難が続いた社会背景も見逃せません。たとえ仕事に就けても、やりたい仕事でないうえに条件も悪く、働き続けにくい状況が生まれています。フリーターや派遣労働者も無職予備軍。『家事手伝い』も隠れた無職です」

一方、親の財力も近年、子供を十分に守れるだけの力を失っているようだ。
「大学生の奨学金利用者は増え続けていて、いまや2人に1人。申請を希望する家庭は、3人に2人ともいわれています。大学の資金ですら支払えない家庭がそれだけ多いということです」

とはいえ、子供を救える一番手は親。親亡き後を見通した、具体的な子供のサバイバルプランを考える必要がある。まず、いつ立てるかがポイント。これは子供の年齢が40歳のときだ。

「30代までは、親御さんも社会復帰の望みを捨てたくないでしょう。また、お子さんが若いとプランが長期にわたって必要金額が高額になり、現実味が薄れます。ただし年金だけは将来子供が受け取れるよう、若いときから支払いが滞らないようカバーしてください」

子供のサバイバルプランとは、親の資産の洗い出しをして、どれくらい貯金や不動産などが残るかをチェックし、それで子供ひとりでどこまで生きられるかを考えていくプランだ。

「盲点となるのが、夫婦のどちらかに先立たれた後。年金収入が減ったり、1人分の生活費が割高になったりして、赤字が増える可能性があります」

現状把握ができたら、子供がひとりで暮らしていくにはどのような財産が、どれだけ必要かを考える。最も重要なのは、親亡き後に子供がひとりで生活しやすい「家」を確保することだ。

家さえ確保できれば、家計は年金中心に立てやすくなる。とはいえ、親が元気なうちにこづかいをあげすぎていると浪費癖がつく。少ないお金でやり繰りする習慣をつけさせておきたい。

ファイナンシャルプランナー 
畠中雅子(はたなか・まさこ)
各種メディアに多数の連載をもち、セミナーや講演でも活躍。著書に『ひきこもりのライフプラン』(共著)、『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』など。

713チバQ:2017/06/21(水) 22:04:41
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170620-00522744-shincho-soci
「派遣のくせに」「立場をわきまえろ!」非正規で働く中年男性に投げかけられる無慈悲な言葉
6/20(火) 6:20配信 デイリー新潮
「派遣のくせに」「立場をわきまえろ!」非正規で働く中年男性に投げかけられる無慈悲な言葉
「派遣のくせに」
 はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり、とは石川啄木の歌だが、まさにそんな立場の人は、現代の日本でも数多くいる。厚労省が5月30日に発表した4月の有効求人倍率は1.48倍で、1990年7月に記録したバブル期最高数値を突破。しかし、よく言われるように、そうした数値ほどに好況を実感している人は多くない。

 たしかに新卒の学生の就職率は、数年前と比べたら圧倒的に良くなったとされている。一方で、「生まれた時代」や「再就職の時期」が悪かった人は、いまでも理不尽な目に遭っているというのが実態かもしれない。

 自身、中年になってからの再就職で苦労をして、さまざまな非正規雇用の現場を経験してきた中沢彰吾氏は、どんなに成果を上げても認められない非正規雇用労働者の悲惨な実情をレポートしている(以下、中沢彰吾著『東大卒貧困ワーカー』より抜粋、引用)。

 神奈川県に住む山田信吾さん(54歳・仮名)のケースは、理不尽の極みといってもいいだろう。

 ***
  山田さんは、35歳まで中小企業の管理職を務めていたが、会社が倒産。再就職には微妙な年齢で、すぐに仕事ができる人材企業に登録し、翌日から派遣先の企業で働くことにした。

 奇しくもその年、1999年は労働者派遣法が大幅に規制緩和された年だった。

 プロの画家を目指していたこともある山田さんは、色合いを見極める目と感性があり、そして細かい作業が得意だった。その特技を生かし、ほどなくして、神奈川県にあるプラスチック部品製造工場で、パイプなどの色を決める染料の調合や、火災の危険がある電炉の管理を任されるようになった。管理職が出勤しない休日に率先して出勤し、工場長代行のような業務もこなした。社員全員が不在のお盆休みには、中国人研修生7人のめんどうを1週間ひとりで見た。

 当然、勤務表は残業や休日出勤で真っ赤になったが、諸手当は満額支払われ、山田さんの年収は500万を超えた。現場の上司からもねぎらいの言葉をもらった。ただ、3年間働いても正社員化の話は出なかった。山田さんも収入には満足していたので、あえて正社員化は望まなかった。

 しかし、そのことを後悔する日は突然やってきたという。社長が経営効率をアップさせるため、外部のコンサルタントを招き入れ、組織改革の全権を委譲したのだ。そしてそのコンサルタントから、山田さんは思わぬ攻撃を受けることになる。

「派遣のくせに残業が多すぎる」「重要な仕事は正社員がするものだ。派遣のあんたがやってること自体おかしい」「派遣に専用デスクなどいらない」

 残業も休日出勤も禁止され、平日は仕事が終わってから自分のスケジュール管理についての反省文を書かされ、改善策を提示するまで退社できなくなった。
 
 毎晩、終電の時間まで無意味な作文を書かされることに耐えられず、山田さんは自らその会社を去った。

 山田さんは次に派遣として働いた企業でも、実績を上げた。彼の目と技術によって、検品の精度が上り、返品が大幅に減ったのだ。

 ところが、新人の正社員に軽く注意をしたことを根に持たれ、人事部に呼び出され「立場をわきまえろ」と叱責されたことがきっかけとなり、会社にいづらくなり、結局任期切れで雇い止めとなった。

 山田さんを派遣していた人材企業は彼が不当な雇い止めにあった際、法律的には自ら矢面に立って彼を守らなければいけなかった。だが2度とも動かなかった。

714チバQ:2017/06/21(水) 22:04:59
 ***

 中沢氏は、「山田さんが、もし正社員であったなら、前記2社のいずれでも解雇されることなく、業績向上に貢献し、部長くらいに出世したのではないか」と述べた上で、非正規というだけで、優秀で実績を上げても、評価が得られないシステムの問題点を指摘している。

 もっとも、この山田さんのケースには、オチがついている。最初の会社は、業務縮小で一時的に利益率が高くなったものの、結局は売上高がジリ貧に陥って、資産の切り売りでしのいでいるという。

 任期切れで雇い止めとなった2番目の会社は、山田さんを解雇して間もなく倒産した。その一因は、検品のクオリティが下がり、返品が増加したことにあるという。

 正社員だろうが非正規だろうが、人材を大切にしない企業は長続きしないということか。

デイリー新潮編集部

2017年6月20日 掲載

715とはずがたり:2017/06/26(月) 16:43:11
>これまで日本では、女性は未婚時代には親に、結婚してからは夫に養われる前提で、安く働く存在として扱われてきた。
>それは未婚化が進む中で、未婚のまま、不安定な非正規雇用にしかつけず、十分な収入が得られずに貧困状態にある女性が増えている、ということなのだ。

>筆者がかつて勤めていた横浜市役所では、2000年代当初から、話題になりだしていたことがある。それは、「この子は一度も働いたことがないのですが、親が亡くなった後、どうすればいいですか」と、40?50代の娘を連れて、高齢の親が区役所の窓口にくるというのだ。

>だが、30代の間は、本人も親も「結婚すれば問題はなくなる」と、問題を先送りにする場合が多い。ところが、未婚のまま40代になって、いよいよ「このままではずっと未婚・無業のままかもしれない」と親子ともども不安になり、役所に相談に来る、ということだ。
>しかも残念なことに、働いている女性の方が結婚する可能性が高い。

>厚生労働省が独身者のその後の10年間の継続調査を実施している(『21世紀成年者縦断調査』)が、それによると、結婚や出産する確率が高いのは正規雇用の女性だった。

>さらに内閣府の調査(『少子化と未婚女性の生活環境に関する分析』)によると、正規雇用者より無業の女性の方が「特に異性との交際を望んでいない」者の割合が高く、「いずれ結婚するつもり」という意欲を持つ者の割合も低くなっている。
>なぜか無業の女性の方が、交際や結婚への意欲を失っているのである。つまり、無業の女性が結婚によって状況を変える可能性は高くない、ということになる。

>2010年から関西の大学で教員になって驚いたのは、「結婚がゴール」「どうせ結婚するのに、勉強する意味がわからない」と言ったり、就職活動に行きづまると「したいことがわからないから、しばらくアルバイトでもいいかなあ」と、平気で話す女子学生が少なからずいたことだ。

社会保障・雇用・労働人口・少子高齢化格差・貧困ライフ
「一度も働いたことない40?50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中
「花嫁修業」「家事手伝い」弊害も
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51910
前田 正子甲南大学マネジメント創造学部教授
プロフィール

女性活躍の時代に「無業」の女性たち

日本では少子高齢化が進むとともに、現役世代、つまり働き手が減りだしている。

1995年に約6700万人いた労働力人口は、2015年には約6075万人となり、600万人以上減少した。

現在、男性のほとんどはすでに働いているので、新しい労働力として期待できるのは女性しかない。そういう背景もあり、アベノミクスでは一億総活躍・女性が輝く社会の実現が掲げられ、女性の就業継続を図るだけでなく、管理職比率を上げる動きなども見られる。

世はまさに、女性の活躍ブームであるが、ほんとうに社会は活躍する女性で溢れているだろうか?

一方で、最近では「女性の貧困」も社会的な課題として取りあげられるようになっている。

これまで日本では、女性は未婚時代には親に、結婚してからは夫に養われる前提で、安く働く存在として扱われてきた。

その状況はいまでも変わらず、「女性の活躍」と言われながらも、働く女性の非正規雇用比率があがっているのが現実である。実際、2015年の国民生活基礎調査によると、働いている女性のうち半分近くが非正規雇用である。

それは未婚化が進む中で、未婚のまま、不安定な非正規雇用にしかつけず、十分な収入が得られずに貧困状態にある女性が増えている、ということなのだ。

さらに、世の中には働きたくても働けない人や、そもそも働く気のない女性もいる。こうした無業の女性たちは、働く必要のない人たちなのだろうか。彼女たちは、なぜ働いていないのだろうか。例えば、未婚で無業のまま親元にいる「家事手伝い」と呼ばれる女性は、「いずれ結婚すれば問題は解決する」と思われがちだが、本当にそうなのだろうか。

716とはずがたり:2017/06/26(月) 16:43:38
筆者がかつて勤めていた横浜市役所では、2000年代当初から、話題になりだしていたことがある。

それは、「この子は一度も働いたことがないのですが、親が亡くなった後、どうすればいいですか」と、40?50代の娘を連れて、高齢の親が区役所の窓口にくるというのだ。

彼女たちが学校を卒業したころは、就職せず、花嫁修業と称して、家でお稽古などをして過ごし、それなりの時期が来たら結婚することは珍しいことではなかったのだろう。だが、たまたま縁なく結婚せず、就業経験もないまま40?50代になった女性たちは、もはや外に出て働く、他人と交わるということも難しそうな状況だったという。

当時は若者への就労支援が始まりだしたころであったが、無業のまま40代になった女性には支援の仕組みもなかった(いまでもほとんどない。多くの就労支援は30代までである)。

この女性たちが次に公的サービスにつながるときは、親が要介護状態になるときか、親が亡くなって年金収入も絶え、生活に行きづまって生活保護の窓口にくるときだ、という危機感を生活保護課では持っていた。

10年か20年後には、50?60代の就業経験のない未婚女性の生活保護受給者が増えるのは避けられないだろう、とも予測していた。

上がる未婚率

こうした女性たちが見過ごされている中、未婚率は上昇している。

図は生涯未婚率(簡略化して言うと、50歳時点で一度も結婚していない人の比率)をまとめたものである。

2015年の国勢調査を見ると、生涯未婚率は、全国では14.1%、東京都では19.2%、大阪では16.5%となっている。全国で見ると、7人に1人の女性は独身で生きていくということなのだ。

果たしてこの未婚の女性たちは、ちゃんと経済的に自立して暮らしていけているのだろうか?

先に述べたように、未婚で無業のまま40代になってしまった女性も少なくないのではないかと思われる。30代など、もう少し早い時期に、何らかの外部の支援とつながることができていれば、ボランティアから始めて仕事へ移行する、といったその人に合わせたゆっくりとしたペースで自立へのステップを踏めたかもしれない。

だが、30代の間は、本人も親も「結婚すれば問題はなくなる」と、問題を先送りにする場合が多い。ところが、未婚のまま40代になって、いよいよ「このままではずっと未婚・無業のままかもしれない」と親子ともども不安になり、役所に相談に来る、ということだ。

しかも残念なことに、働いている女性の方が結婚する可能性が高い。

厚生労働省が独身者のその後の10年間の継続調査を実施している(『21世紀成年者縦断調査』)が、それによると、結婚や出産する確率が高いのは正規雇用の女性だった。

非正規雇用や無業の女性は結婚する確率も低い。特に無業の場合は、無業状態が長期化する中で、社会的ネットワークも失い、出会いの機会もなくなるからであろう。

さらに内閣府の調査(『少子化と未婚女性の生活環境に関する分析』)によると、正規雇用者より無業の女性の方が「特に異性との交際を望んでいない」者の割合が高く、「いずれ結婚するつもり」という意欲を持つ者の割合も低くなっている。

なぜか無業の女性の方が、交際や結婚への意欲を失っているのである。つまり、無業の女性が結婚によって状況を変える可能性は高くない、ということになる。

無業のまま卒業する女子学生

このように、女性にとっても仕事に就き、経済的な基盤を築くことは、現在不可欠になってきている。仕事に就くことによって、経済的安定と自信を得て、社会的ネットワークを広げることが可能になり、出会いの機会にも恵まれることになるからだ。

親はいつまでも生きているわけではない。無業であることは、女性にも大きなリスクであることを、社会として認識するべきなのだ。

だが、2010年から関西の大学で教員になって驚いたのは、「結婚がゴール」「どうせ結婚するのに、勉強する意味がわからない」と言ったり、就職活動に行きづまると「したいことがわからないから、しばらくアルバイトでもいいかなあ」と、平気で話す女子学生が少なからずいたことだ。

717とはずがたり:2017/06/26(月) 16:43:53

実は大学全体で見ると、大学卒業時に無業で卒業する者は少なくない。

例えば2012年の3月に大学を卒業した女子卒業生の状況を見ると、派遣や契約社員など正規職員でない者が5.8%、アルバイトなどの者が4%、進路が不明のままか、就職もせず進学もせず卒業していった者(その多くが無業者)は15.8%もいた。

その女子学生たちは、2017年には卒業から5年経つ。彼女たちはその後、どうなったのだろうか。新卒一括採用が主流の日本では、卒業時にそのルートを外れると、正規の就職はぐっと難しくなる。

就職状況が好転した2016年3月に大学を卒業した女子でも、派遣や契約社員が4.5%、アルバイトが1.9%、無業者が8.7%であり、人数にすると約2.2万人となる。人手不足だというのに、大卒女子の約11人に1人は進路未定のまま卒業しているのである。

2016年には高校を卒業した女子の57.3%が4年制大学や短大に進学している(この他に専門学校への進学者は約20%)。もはや大学進学者の方が多数派になりつつある中で、その大学を無業で卒業する女子学生がいる。

しかも大学進学率の高い大阪では(2016年に62.6%)、同年の大学卒業生の状況は、派遣や契約社員が5.4%、アルバイトが2.3%、無業者が9.6%と全国平均を上回っている。

実は関西では大学卒業時の無業者の比率が高いだけでなく、女性全体の就業率が低い。2015年の国勢調査から25〜44歳までの女性の就業率を県別に比較すると、神奈川県が最も低いものの、兵庫県・奈良県・大阪府はそれに次いで低い。

未婚無業女性は増えている?

そこで、関西で4年制大学を卒業した後、無業状態でいる20から30代の女性9人にインタビューを試みた。うち3人は若者サポートステーションという就労支援機関の支援を受けている人であったが、他の6人はまったくどこにもつながっていなかった。

最も多かったのは、大学在学時に働くことや将来について深く考えることなく、準備なしに就職活動をしたため、就職できなかったケースである。

そのまま無業状態で30代になっている人もいた。

また初職が非正規であったり、職場環境がひどかったりなどで、仕事を辞めることになり、そのまま無業状態という人たちもいた。中には、30代後半になり、もう働きたくないという人もいた。

高学力であるがゆえに、進路に悩み、転部と転学を繰り返し、12年近く大学に通っていた人もいた。

大学をいったん卒業してしまうと、こうした女性たちを見つけ、支援するすべがない。一方、彼女たちも、無業期間が長期化するにつれ、友人との関係も切れ、社会とのつながりを失っていく。

友人たちが就職・結婚とそれぞれのライフコースを歩むにつれ、例えば「こちらから話すこともないので、メールの返事も返さない間に、連絡も来なくなる。向こうにすればこっちが無視していることになるので」と言う。

そうやって次第に彼女たちは、孤立していき、ますます誰にも相談できないままの状態が続くのである。

じつは、彼女たちのような長期間無業状態にある人たちを支援する機関もあるが、その存在は広くは知られていない。そのうちの一つ、若者サポートステーションという就労支援機関につながった人たちは、偶然のような幸運に恵まれて、支援機関につながったと言っていいだろう。

女性の活躍と言いながら、未婚で無業の女性たちが社会から気づかれないまま、見えない存在になっているのだ。インタビューした全員にはほとんど収入はないが、親元で暮らしているので、生活には困っていない。だが一人でみると貧困状態である。

「将来どうするのか」という問いかけに、「どうせ長生きしないから」、とまで答えた人もいる。しかも、親元が裕福という人はおらず、普通の世帯か、むしろ経済的には苦しい世帯もあった。

これは関西の問題だけでなく、こういう女性が全国的に増えているのではないか、と思われる。

718とはずがたり:2017/06/26(月) 16:45:32
>>715-717
表2は2015年の国勢調査の速報集計から未婚女性の労働力状況をまとめたものだ。未婚女性全体の人口は総数で示されるが、それは大きく3つ、労働力人口と非労働力人口、そして労働力状態不詳に分けられる。さらに非労働力人口は「家事」「通学」「その他」に分けられる。

この「その他」というのが働いてもいないし仕事探しもしてないが、家事もしていないし、学校にも行っていない、「無業」の人たちだと考えられる。

そういった「その他」の人たちは、25?29歳で1.7%の約3万人。30〜34歳で3%の約3.5万人、35?39歳の3.7%の約3.5万人いることがわかる(年齢が上になるほど総数が減っているのは、結婚によって未婚から抜けていくためである)。しかもその比率も人数も2010年の国勢調査の結果より増えている。

「家事手伝い」は問題がない?

さらにここにはもう一つ問題がある。いわゆる自分を「家事」つまり、「家事手伝い」と答えている女性たちである。

『就業構造基本調査』では、「家事手伝い」と答えて、働いていないという人に、さらに「なぜ無業なのか」を聞いている。すると驚くべきことに、「家事や介護のため」と答える15?44歳までの女性は2割前後に過ぎないのだ。

「家事手伝い」と言いながら、働いていない理由が「仕事をする自信がない」人が1割おり、「特に理由はない」という人が3割近くを占めている。最初に述べたように、女性は無業であっても「家事手伝い」と言えば、本人も周りも安心してしまう。だが、それではいずれ、彼女たちの人生が立ち行かなくなる。

実はこの『就業構造基本調査』を見ると、全国では大学・大学院卒で未婚無業の女性が25〜44歳の年代で約12万人いる(短大高専卒は約10万人)。そのうち2割は働くことを希望していない。働きたいという人でも、実際に求職活動をしているのは、就業希望者の7割に過ぎない。

これまで大卒の女性は恵まれた存在だと思われてきた。だが現状では、その人たちが何万人単位で、無業で未婚のまま過ごしている。

彼女たちを「自己責任だから」「見えない存在だから」とほっておかず、社会とのつながりを持てるようにし、就労意欲を持って求職活動に踏み出せるように支援することが必要だ。

あっという間に親も本人も年を重ねてしまう。貧困状態の中高年女性が増えてからでは遅いのである。

人口減少時代に掲げられた「一億総活躍社会の実現」という政策目標。労働力として注目をされ始めた女性たちの置かれた本当の姿とは?
前田正子(まえだ・まさこ)甲南大学マネジメント創造学部教授。1960年、大阪府生まれ。商学博士。1982年早稲田大学教育学部卒業後、公益財団法人松下政経塾を経て、1992年〜94年まで米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院に子連れ留学。慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程修了。1994年〜2003年までライフデザイン研究所(現第一生命経済研究所)勤務。女性の就労や子育て支援の研究を始める。2003年〜2007年横浜市副市長(医療・福祉・教育担当)。2007年〜2010年公益財団法人横浜市国際交流協会理事長。2010年より現職。主な著書に『大卒無業女性の憂鬱』(新泉社、e-honからの購入はこちら、hontoからの購入はこちら)、『保育園問題』(中公新書)、『みんなでつくる子ども・子育て支援新制度』(ミネルヴァ書房)などがある。

719チバQ:2017/06/27(火) 19:43:31
https://www.moneypost.jp/158838
貯蓄なし世帯が30%超 「貧困化ニッポン」の実態
Tweet Facebook 2017年6月25日 17:00
 日本の家計に異変が起こっている。手取り額は過去20年間で月7万円近く減少し、エンゲル係数も29年ぶりの高水準となっている。日本の貧困化はどこまで進んでいるのか? 家計の見直し相談センター・藤川太氏が「貧困化ニッポン」の現状を解説する。
* * *
 収入が減って負担ばかりが増える──そんな「貧困化ニッポン」がひたひたと迫っている実態は、次のようなデータからも窺えます。手取り減少時代に家計で何が削られてきたかを見ると、それは顕著です。

 総務省統計局がまとめている家計調査ではお小遣いを含む「その他の消費支出」という項目があり、1997年は9万4543円でしたが、その後、減少の一途を辿り、2016年は6万1533円と20年前より3万円近く削られています。

 他にも衣服代は2万264円から1万3153円へとカットされています。つまり、お小遣いを減らして衣料品などを買い控えるなど、生活レベルを下げて我慢を強いられているのが現状なのです。

 そうなってくると、貯蓄に回す余裕はどんどんなくなっていきます。金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」によると、1997年は10%だった「貯蓄なし世帯」は、アベノミクスが本格化した2013年以降、30%を超える水準で高止まりしています。

 いまや3軒に1軒の世帯で貯蓄のない「貧困化」が進んでいるのが実態なのです。問題は、それに歯止めがかかるかどうかですが、残念ながら、税金や社会保険料が今後も増大するのは人口動態からも明らかといえます。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の総人口は2053年までに1億人を割り込み、2060年には9284万人まで減ると見られています。そうしたなか、65歳以上の高齢者は2015年の3387万人から2040年には3900万人台まで500万人も増えて総人口の3割を超え、2060年には4割近くに上る見込みです。

 一方で15〜64歳の生産人口は2015年の7728万人から2040年に5978万人と1700万人も減り、2060年には5000万人を割り込むと予測されています。このままでは現役世代の負担を増やさない限り、増大する社会保障費を賄うことができないのは必至の情勢です。

 しかも、一人ひとりの負担は着実に増えているのに、国家財政はよくなっていない。2015年度の社会保障給付費(年金・医療・介護など)が116.8兆円であるのに対し、国民から集めた社会保険料収入は60兆円余りにすぎず、その差額は公費負担(税金や借金、資産収入など)で補填しています。

 その差は今後、現役世代の負担を増やすだけでは縮まらないことも確実視されています。これまでは若者を中心に非正規雇用を増やしたり、現役世代の税金や社会保険料負担を増やしたりしてきましたが、それもやがて限界に近づき、今後は社会保障を受ける側、つまりは高齢者がターゲットになる可能性が高いでしょう。年金の支給開始年齢が引き上げられたり、介護や医療費の自己負担が増したりすることも十分に考えられます。

 そう考えていくと、皮肉なことに、その割を食うのも、将来、高齢者になるいまの現役世代となってしまいます。現役時代に大きな負担を強いられたのに、いざ高齢者になっても支払った分がもらえない恐れもあるのです。「貧困化」は今後ますます進むと見て間違いないでしょう。

【PROFILE】ふじかわ・ふとし/1968年生まれ。生活デザイン株式会社代表取締役。「家計の見直し相談センター」(http://370415.com)で個人向け相談サービスを展開する“お金のお医者さん”。『1億円貯める人のお金の習慣』ほか著書多数。

※マネーポスト2017年夏号

721チバQ:2017/06/27(火) 19:52:37
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062702000243.html
「子どもの貧困」7人に1人 母子家庭「生活苦しい」82%

2017年6月27日 夕刊


写真
 厚生労働省が二十七日発表した二〇一六年国民生活基礎調査で、「子どもの貧困率」は一五年時点で13・9%(七人に一人)だった。三年おきに調査しており、過去最悪だった前回から2・4ポイント下がった。改善は十二年ぶり。厚労省は「雇用状況が良くなり、子育て世帯の所得の増加が主な要因」と分析している。ただ先進国の中では依然として高めの水準。特にシングルマザーなどひとり親を取り巻く状況は厳しく、引き続き対策が求められそうだ。
 子どもの貧困率は、平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす十八歳未満の割合を示す。同じ方法で算出した全世代の「相対的貧困率」も0・5ポイント減の15・6%。世帯類型別では、大人一人で子どもを育てる世帯の貧困率が50・8%と極めて高かった。
 経済協力開発機構(OECD)の直近のデータでは、加盟国など三十六カ国の平均は子どもの貧困率が13・3%、相対的貧困率が11・4%で、日本はこれらを上回っている。
 一五年時点で全世帯の平均所得額は一二年比1・6%増の五百四十五万八千円。子育て世帯は七百七万八千円で5・1%増えた。生活状況は「大変苦しい」「やや苦しい」との回答は計56・5%だった。
 子どもがいる女性のうち、仕事がある人は67・2%で、前回調査から4・1ポイント増。子どもの年齢が上がるにつれ、働く割合は増えるが、非正規雇用が大半を占める。
 調査は全国世帯(震災があった熊本県を除く)を対象に一六年六、七月に実施。世帯構成は約二十二万四千世帯、所得は約二万五千世帯から有効回答を得た。
<解説> 悪化が続いていた子どもの貧困率が十二年ぶりに改善した背景には、景気や雇用状況の好転があるとみられる。だが、ひとり親家庭の貧困率は依然50%を超えており、きめ細かい実態把握と対策が求められる。
 貧困率は所得の状況を表すものだが、今回の国民生活基礎調査でローンを含む借金や貯蓄の状況を見ると、母子家庭では二〇一三年の前回調査に比べ、「借金がある」「貯蓄がない」と答えた割合がいずれも増えた。「生活が苦しい」という割合も母子家庭では82・7%に上り、厳しい状況に置かれていることが分かる。
 政府は一四年に子どもの貧困対策推進法を一五年には生活保護の手前の人向けに生活困窮者自立支援法を施行。対策が進んでいるが、一方で見かけ上は他の子と同じような物を持っていても、百円ショップの商品ばかりといったように、現代の貧困は見えにくいと指摘される。
 経済状況だけでなく、社会的なつながりを持てているか、適切な食事が取れているか、教育の機会は均等に与えられているかなど多角的な視点で取り組む必要がある。 (共同・市川亨)

722チバQ:2017/07/13(木) 18:04:37
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-180022.html


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妻からも見放された34歳男性派遣社員の辛酸 家賃は3カ月滞納、主食はモヤシ

05:00

妻からも見放された34歳男性派遣社員の辛酸

(東洋経済オンライン)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は派遣専門の介護職員として働く、サトシさん(34歳)のケースに迫る。

通過する特急列車に飛び込もうとした。そのときだ。すぐ隣で、影のようなものが一瞬早く身を躍らせるのが見えた。スーツ姿の女性だった。今年4月、関東近郊のあるJR駅構内。まさか、先を越されたのか? 呆然としていると、あっという間に周囲は野次馬たちで騒然となった。彼らは遺体や駆け付ける駅員の様子をスマートフォンで撮影し、SNSへと投稿し始めたという。

朝から雨が降る、肌寒い日の出来事だった。派遣専門の介護職員として働くサトシさん(34歳、仮名)は、この日のことをこう振り返る。「リクルートスーツを着た、たぶん、若い女性でした。自分も自殺していたら、こんなふうにさらし者になるんだと思ったら、(死ぬのは)やめようと……。今はただ生きることを頑張る毎日です」。

貯金通帳の残高は「0円」

サトシさんとは自宅近くのファミリーレストランで会った。見せてくれた貯金通帳の残高は「0円」。今年に入ってからは日々の食費にも事欠く状態で、「主食」はモヤシと賞味期限切れ間近で値引きされた豆腐だという。スーパーの試食品コーナーを回ったり、100円ショップでそろえた釣り具で、近くの海で魚をとったりすることもある。ここ数日は、自販機の下に落ちていた100円で買ったパスタを塩ゆでにして腹を満たしている。

水道代を節約するために、用を足すときは最寄り駅に隣接した商業施設内のトイレを、シャワーは派遣先の介護施設に設置された浴室を使う。そこまでして切り詰めても、現在、アパートの家賃は3カ月滞納しており、立ち退きを迫られている状態である。

「ガスはしょっちゅう止められます。水道は最後まで止められないんですが、以前、止められたときは、警察が(安否確認のために)自宅までやってきました」


自殺未遂の話や壮絶な貧乏暮らしを語っているのに、人懐っこい笑みを絶やさない。昼時だったので、会計はこちらで持つので一緒に食べましょうと誘っても、もう済ませてきましたからと、丁寧に断ってくるところにきまじめな人柄がうかがえる。

関西出身で、元は両親と弟の4人家族。最初のつまずきは、高校卒業後に進んだ介護専門学校の実習先でイジメを受けて退学、それが原因でうつ病を発症したことだ。

ちょうど介護保険制度が始まった2000年。ちまたでは、介護専門学校が相次いで開校し、「未来のある仕事」として多くの学生も集まった。しかし、サトシさんが実習で訪れた施設は、職員のほとんどが中高年女性。事あるごとに「こんなの男のする仕事じゃない」とバカにしたように言われたうえ、さらには、声が小さいとしかられたので声を張ると、うるさいと遮られ、質問をすれば「そんなこともわからないの」と怒鳴られ、見よう見まねでやって失敗すると「こんな簡単なこともできない」と陰口をたたかれたのだという。

「男子学生がターゲットにされがちで、結局、クラスメートの4人に1人が退学しました」

介護保険制度が始まった当初は、今と比べて女性職員が多かったのは事実。それまで自身の経験や技術で現場を切り盛りしてきた彼女たちの中には、新制度に戸惑いを抱く人もおり、時にこうした感情の矛先が若い専門学校生に向かうことは、あったのかもしれない。

723チバQ:2017/07/13(木) 18:05:20
両親とは縁を切り、ひとり上京

うつ病は退学後も悪化し、ついに措置入院をすることになった。学校を辞めることに反対していた両親との関係もこじれる一方。入院中に見下したように「そこまで落ちたのか」と言われたことがきっかけとなり、両親との縁を切り、東京に出ることを決めたという。

ちょうどこの頃、小泉政権によって製造業派遣が解禁。身ひとつで夜行バスに乗り、東京・新宿に着いたサトシさんは程なく工場派遣の仕事に就いた。派遣労働の規制緩和については、不安定雇用を増やすだけだとの批判もあったが、彼は、このときが人生でいちばん楽しかったという。

「収入は(手取りで)15万円ほどでしたが、安定していましたから、仕事仲間と飲みに行く余裕もありました。3年後には正社員になれるという話もあったので、“そのときまでみんなで頑張ろう”と励まし合ったりして。フィリピン人や日系ブラジル人の同僚が“帰国したら商売を始めるんだ”“家族のために家を建てる”と夢を語るのを聞くのも好きでした」

この頃、工場で出会った女性と結婚もした。ただ、彼女の両親は、サトシさんが派遣社員であることを理由に結婚に猛反対したという。妻の実家は代々続く資産家。両親からはひたすら「派遣じゃ、いつ失業するかわからないし、給料も上がらないでしょう。将来厳しいよね」と諭された。彼らはサトシさんの人柄ではなく、「身分」にダメ出しをしたのだ。彼にできたのは、ただ頭を下げ続けることだけ。最後は、彼が妻側の姓を名乗ることを条件に、両親が折れた。後ほど彼女から「(姓が変わることで)娘の結婚を親戚や近所に知られるのが嫌だったみたい」と説明された。理由はもちろん「相手が派遣だから……」。


そして、幸せは一瞬で暗転した。娘が生まれた直後、リーマンショックに襲われたのだ。サトシさんは最悪のタイミングで派遣切りに遭った。やむなく介護の仕事に就いたものの、うつ病が再発。妻の両親からは連日のように責められ、ついには彼女からも「安定した生活がしたい」と離婚を切り出された。条件は、養育費はなし、その代わり、今後、子どもにはいっさい会わないこと。両親からは「娘と孫は責任をもって面倒を見る。孫が大きくなったら、君は死んだと説明するから」と告げられた。

「パパ」という言葉を覚えたばかりだったという娘の写真は1枚もない。未練が残らないようにと、妻がアルバムのたぐいはもちろん、携帯電話の写真データもすべて回収、削除されてしまったからだ。離婚後、1度だけ、彼女の携帯に電話をしたことがある。しかし、すでに番号が変えられていた。このとき「本当に縁が切れたんだな」と実感したという。

「子どもがおカネに困らない暮らしができるならと思って離婚しました。自分は子ども1人育てられない人間なんだと痛感させられました。結局、お義父さんの言うとおりだったんです。嫁にも実家にも迷惑をかけました」。離婚の経緯を語るサトシさんは、最後まで一言も恨み言を口にしたり、周りを責めたりすることがなかった。

難病「ギランバレー症候群」と診断

その後、しばらくはアルコールに頼るなど自暴自棄になったものの、運よく看取りケアを行う介護施設の正社員に。この施設が2年ほどで閉鎖した後は、派遣専門の介護職員になったが、毎日仕事があるわけではないので、年収はわずか100万円ほど。さらに、うつ病の影響からか、時々ひどく身体がだるくなり、思ったように動けない。生活保護の申請は取りつく島もなく門前払いされ、今年初め、ついに下半身が動かなくなり、高熱を出して玄関で倒れていたところを友人に見つかって救急搬送された。異常な状態に最初は危険ドラッグの服用を疑われたが、ほどなくしてギランバレー症候群と診断。これまでの体調不良も、この病気が原因だった可能性があると説明された。「腑に落ちた部分もありましたが、それ以上に将来の不安のほうが大きかったです」。

四肢の麻痺などを伴うギランバレー症候群はいわゆる難病だが、医療費助成の対象となる「指定難病」ではない。医師からは、生活保護を受けられるよう口添えするので、2週間は入院して安静にするよう言われたが、入院費が払えないからと、2日で退院。サトシさんは「生活保護になれば医療費はかからないのに。このときはとにかく働かなきゃ、家賃払わなきゃと、必死すぎて冷静な判断ができませんでした」と言う。

退院後、かろうじて症状は安定しているが、いつまた倒れるかもしれないと思うと、少人数態勢になる夜勤には怖くて就けない。夜勤に入れないと、派遣先を紹介してもらえず、収入は減る一方。ひもじいし、孤独だし、立ち退きの期限は刻々と迫ってくるし――。

724チバQ:2017/07/13(木) 18:06:00
こうした極限状態の中で迎えた今年4月。衝動的に飛び込み自殺を思い立った。気分転換になればと、JR駅に隣接する商業施設に出かけたのに、楽しそうなカップルや家族連れや、何ひとつ手の届かないショーウインドーの商品を見ているうちに、ふいに死にたくなったのだという。結局、すぐそばにいた女性に先を越され、自殺はかなわなかったが、もはや、喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない。

ここで少し政治の話をしたい。私は、リーマンショックで使い捨てにされ、いまだに人生を立て直せずにいる彼が今の政治に何を望むのか知りたいと思い、選挙には行くのかと尋ねた。すると、彼は「必ず行きます。自民党に投票します。以前は維新の党に入れたこともあります」という。工場派遣を解禁した結果、大量の派遣切りを生み出したのは自民党政権ではないのかと問いかけると、彼はこう答えた。「派遣という働き方を選んだのは僕自身ですから。それに、自民党は子どものための政策に力を入れているように感じます。娘のためにも、未来志向の政治を応援したい」。

自分たちに煮え湯を飲ませたかのようにも見える政治に文句を言うわけでもなく、、変わらず支え続ける――。私には理解できないが、実際には、飽きるほどに見かける光景でもある。

「正社員への誘い」という光明

ただひとつ、最近、サトシさんとって一筋の光明とも思える出来事があった。派遣先の施設から正社員にならないかと誘われたのだ。先日、入居者が亡くなったときの落ち着いた対処が評価されたようだという。「前に働いていた看取りケアの施設では、何人もの高齢者の最期を見守ってきました。(吐血による)血を浴びたこともありますし、呼吸困難に苦しむ人への対応も学びました。ここの看護師から“人の死を扱う仕事なんだから、自信を持ってやりなさい”と言われたことを肝に銘じています」

夜勤がこなせるか、まだ自信はない。しかし、かつて実習先でのイジメにおびえていた頃の自分とは違う。光明というには、まだ心もとない兆しだが、再生のチャンスをつかめるなら、もう一度だけもがいてみようか。そんなふうに思っている。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

725チバQ:2017/07/13(木) 18:08:01
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-177772.html
年収200万円、32歳男性を苦しめる「官製貧困」 「生活困窮者自立支援制度」相談支援員の悩み

06月29日 05:00

年収200万円、32歳男性を苦しめる「官製貧困」

(東洋経済オンライン)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は「生活困窮者自立支援制度」の相談支援員、ソウタさん(32歳)のケースに迫る。

「月収20万円? 俺より稼いでるじゃないか」「転職先はボーナスがあるのか……。俺が代わりに行きたいよ」

「生活困窮者自立支援制度」の相談支援員ソウタさん(32歳、仮名)の心の声である。生活に困っている人たちの話を聞き、支援プランを提案するのが仕事だが、彼自身の年収は約210万円。精神保健福祉士という資格に対する手当1万数千円を除くと、毎月の手取りは、自身が暮らす関東近郊の生活保護水準と変わらない。自分より高収入の人に節約のアドバイスをしたり、担当した人の再就職先の待遇が自分より恵まれていたりといったことはしょっちゅうだ。彼はこう言って皮肉る。

「生活に困っている人を助ける仕事が、生活に困る人を生み出しているのです」

自治体は業務を外部委託している

生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至る前の「第2のセーフティネット」として、2015年度にスタート。就労支援や家賃補助、家計相談、子どもへの学習支援など、貧困にかかわる問題をワンストップで相談することができ、窓口業務は、福祉事務所を持つ自治体が実施している。

一方、多くの自治体は業務を社会福祉協議会やNPO法人などに外部委託しており、同制度の主事業である「自立相談支援事業」を直営で行っているのは4割に満たない。委託先の窓口で対応する相談支援員の身分は公務員ではなく、委託先事業者の職員。一部は年収200万円クラスで、ソウタさんがそれに該当する。貧困問題を解決するための制度が、新たな官製ワーキングプアを生み出す温床になっているのだ。

ちなみに、官製ワーキングプアには2つのタイプがある。国や自治体が直接雇用する非正規公務員と、自治体の外部委託先の企業や事業者が雇用する社員・職員だ。前者の低賃金や雇い止めも問題だが、後者の実態はさらに劣悪である。財政難にあえぐ自治体は委託費を切り詰める傾向にあるうえ、委託先の労働実態を把握する義務もないため、一部の職場は最低賃金を下回る時給や賃金未払い、不当解雇などが横行する無法地帯と化している。

いずれにしても、生活保護水準でやり繰りしなければならないソウタさんは、1週間の食費は5000円以内と固く決めており、給料日前はコメだけで食いつなぐこともある。出費を減らすため、家賃がより安いアパートへと引っ越しもした。最近、歯の治療で奥歯を抜いたので、本当なら仕上げに「ブリッジ」を付けなくてはならないが、家計のことを考えると到底無理。いっぱい、いっぱいの生活は心の余裕も奪う。

「自分より高収入の相談者が外食をしていることがわかると、“俺のほうが切り詰めてるのに”と腹が立つし、低収入の人が来ると、“俺はまだマシだな”と安心する。担当した人が好条件の会社に就職が決まっても、喜ぶのではなく、ねたんでしまう。福祉の仕事にかかわる人間がこんなんじゃダメだと、最後はそんな自分が心底、嫌になります」

726チバQ:2017/07/13(木) 18:08:50

求人票に「賞与あり」と書いてあったが…

同制度の相談支援員として働く前は、希望する仕事に就けず、事務系の派遣社員をしていた。だから、ハローワークで相談支援員の求人を見つけたときは、ようやく精神保健福祉士の資格が生かせると気持ちが高揚したという。「求人票に“賞与あり”と書いてあったのも、とてもうれしかった。自治体の仕事なので安定しているというイメージもありました」。

ところが、ふたを開けてみると、ボーナスはなし。上司からは「業績に応じて支給する」と説明されたが、同僚でボーナスをもらっている人はひとりもいない。身分は正社員だが、年度末に自治体との委託契約が更新されなければ、自分も即失業する可能性が高い。これでは、細切れ雇用におびえていた派遣社員時代と変わらない。一方で、窓口にやって来る相談者には、ソウタさんも公務員に見えるのだろう。「あんたらだけ賃上げしやがって」などとののしられたことは1度や2度ではないという。

理想と現実のギャップに、自己嫌悪にさいなまれる日々。働き始めてすぐ、夜眠れなくなり、洗髪時に髪の毛がごっそりと抜け、円形脱毛症になった。何回か心療内科に通ったが、こちらも治療費と薬代が続かず、今は通院をやめている。

これでは、医療費が無料になる生活保護を受給したほうがよほど人間らしい生活ができる――。以前、職員向けの研修で「僕たちが生活に困ったら、誰が助けてくれるのですか」と不満をぶつけてみた。うんうんとうなずく参加者が何人も視界に入ったことを覚えている。これに対し、厚生労働省から派遣された講師はにこりともせずにこう答えたという。

「生活保護を申請してください。それから、おカネのためにこの仕事をしているのなら、ほかの仕事を探したほうがいいのではないですか」

最近、ソウタさんの失望に追い打ちをかける出来事があった。

職場の共用パソコンで調べ物をしていたときに誤って開いたファイルの中に、自身の雇用主である受託事業者が自治体に提出した見積書を見つけたのだ。そこには、1人当たりの人件費が年間約350万円、賞与2カ月との趣旨の記載があった。事業者は、実際にソウタさんらに支払っている年収よりも150万円近く高い金額で自治体と契約を交わしていたことになる。

しかし、ソウタさんはこのことを告発するつもりはないという。なぜなら、もし不正と判断された場合、事業者は契約更新ができなくなり、自分は失業してしまう。不当な低賃金に泣き寝入りするか、失業覚悟で告発するか――。そんな究極の選択の末の決断だった。

仕事には「ノルマ」もある

仕事には「ノルマ」もあるという。厚生労働省は、新規相談受付件数の目安を人口10万人当たり月24件としており、自治体からは支援員自らが要支援者を発掘して新規相談につなげるよう、ハッパをかけられるのだ。

「窓口で訪問を待つだけでなく、例えば、引きこもり家庭への訪問や、公園のホームレスとの関係づくりなどを積極的にやってほしいと言われます。自治体にしてみると、年収350万円分の仕事をしてくれ、ということなんだと思います。人手不足の問題もありますが、生活保護水準の待遇では、正直、そこまでの要求に応えるだけのモチベーションは保てません」

貧困の現場を歩いて感じることのひとつは、ハローワークの窓口や自治体の生活保護課などで、相談業務に携わる人々の待遇の劣悪さである。ハローワーク相談員の大半は1年ごとの契約を繰り返す非正規職員でたびたび雇用の調整弁にされてきたし、一部の自治体は生活保護のケースワーカー(CW)に人件費の安い任期付き職員や臨時職員を導入、行政の中でも過酷な業務を非正規公務員に押し付けようとしている。

私には、市民と直接向き合う、専門性の高い大切な仕事が、ないがしろにされているようにもみえる。鳴り物入りで始まった生活困窮者自立支援制度だが、肝心の人材の待遇を生活保護水準に置き去りにしたまま、期待した効果を得られると、国や自治体は本当に思っているのか。

727チバQ:2017/07/13(木) 18:09:30
話をソウタさんに戻す。

待遇への不満が尽きないソウタさんだが、仕事で手を抜くことはない。中でもいったんかかわった相談者への情熱の傾け方は、こちらが少し心配になるほどである。

窓口にやって来るのは、借金を抱えた人やメンタルを患っている人、家賃滞納者、DV被害者、障害者、外国人、刑務所を出所したばかりの人などさまざま。このため、連携先も自治体の福祉部門やハローワーク、不動産会社、医療機関、入国管理局、矯正施設、民間シェルターと多岐にわたる。専門知識よりは、経験と臨機応変な対応が求められるといい、自分のスマートフォンを使い、相談者と一緒に何か使える制度がないか、長時間にわたって探すこともある。職場はWi-Fi環境にないため、携帯電話は月末には決まって通信制限がかかってしまう。

また、ソウタさんは相談者の何人かと「LINE」でも連絡を取り合っている。眠れないという深夜の相談から、冷凍食品の賞味期限まで、さまざまな悩みや質問に、時に丁寧に、時に親密に答えを返している。ごくまれに家計に余裕があるとき、若い相談者を自宅に招き、食事をふるまうこともあるという。

しかし、これでは、公私の区別がつかなくなるのではないか。私がそう尋ねると、ソウタさんは「のめり込みすぎるのはよくないとわかっています。でも、この仕事にはゴールがないなとも思うんです」と言った。条件のよい就職先が見つかるなどのまれなケースを除き、相談者の貧困状態や悩みは24時間続いており、業務時間外だからシャットアウトという線引きは、自分には難しいのだという。

悩んだ末、ソウタさんは、おカネは貸さない、生活保護の不正受給など制度の悪用には加担しないといった約束を自身に課したうえで、いわゆる「共依存関係」に陥らないよう気をつけながら、相談者との交流を続けている。

「中でも、自分と似たような恵まれない子ども時代を送った人を、見過ごすことができないみたいです」

ソウタさんがそれまで避けてきた話題に、さりげなく触れた。言葉少なに振り返った彼の生い立ちは壮絶だった。

親戚の家を転々とし、虐待も受けた

父親の失業をきっかけに両親は離婚。親戚の家を転々とする中で、顔や身体に傷跡が残るような虐待も受けた。彼は多くを語らないが、高校からは生活費も学費もすべて自分で稼がなければならず、賄いがつく弁当店や居酒屋、ファミレスを中心に、時には住み込み仕事も含め、昼夜を問わず、あらゆるアルバイトをこなした。1週間の食費5000円という離れ業ができるのは、この頃に飲食店で覚えた格安レシピが役に立っている。

「荒れた時期もありましたが、大学には進学したかったので、友達と遊ぶのは受験までと決めていました」と言いながら見せてくれた10代半ばの写真。髪の色はど派手で、顔には複数のピアスがついていて、人好きのする笑顔を絶やさない現在のソウタさんとは別人にしか見えない。当時は理系の大学への進学を希望しており、成績は合格水準に達していたが、奨学金の仕組みを詳しく知らなかったという。結局、第1希望は断念、代わりに通信制の福祉系大学に進み、精神保健福祉士の資格を取った。

塾にも行けず、勉強の時間もろくに取れない逆境の下、いくら荒れても決して一線は超えることなく、目標を果たす――。頭がよく、どこか冷めたところのある少年像と、プライベートな時間を削ってまでも相談者とかかわろうとする熱血ぶりは、アンバランスにも見え、なぜか私を不安にさせる。

ソウタさんは人並み外れた意志の力で、貧困の連鎖を断ち切ったかに見えた。しかし、今再び、国と自治体が生み出す貧困に足をすくわれようとしている。現在の年収や両親の離婚のことを考えると、結婚をして子どもを持つことは「怖い」という。

生活困窮者自立支援制度の相談支援員を続ける以上、「明るい未来はひとつもない」と断言する。一方で、いつか「自分の家を持つのが夢」と語った。幼い頃から、親戚の家などをたらい回しにされ、住み込みのアルバイトを繰り返し、最近もまた引っ越しを余儀なくされた。とにかく、ひとところに落ち着いて生活した記憶がないのだ。夢を実現するため、今は毎月3万円を貯金することを目標にしている。もちろん、できる月もあれば、できない月もある。

「アパートでも、戸建てでも、田舎に自分で建ててもいい。将来、安心して暮らし続けることができる自分の家を持ちたい」。その希望だけがソウタさんを支えている。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

728チバQ:2017/07/13(木) 19:29:02
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「追い出し屋」に全て奪われた50歳男性の苦悩 家賃滞納を機に部屋だけでなく家財も失った
06月15日 05:00東洋経済オンライン

「追い出し屋」に全て奪われた50歳男性の苦悩 家賃滞納を機に部屋だけでなく家財も失った
「追い出し屋」に全て奪われた50歳男性の苦悩
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は家賃滞納で住んでいたアパートから突然、締め出され、家財を撤去されるという被害に遭ったケイタさん(50歳)のケースに迫る。

何かが違っている。家賃滞納でアパートを締め出されて1週間あまり。路上から、2階にある自室の窓を見上げたとき、違和感を覚えた。「あれ、カーテンがねぇな」。慌てて玄関まで駆けつけてみると、以前、入室を阻んでいた特殊な施錠具はすでに取り外されていた。恐る恐る扉を開けると、室内はもぬけの殻。テレビに電子レンジ、食器、掃除機、衣類、布団、すべての家財道具が持ち去れていた。

東京都内に住むケイタさん(50歳、仮名)は2年前、住んでいたアパートから突然、追い出され、家財を撤去されるという被害に遭った。「(亡くなった)両親の写真も、母の形見で僕が普段から使っていたマグカップも。すべてのものを持っていかれました。両親の写真はあれっきりだったのに」。

アルバイトや日雇い派遣で両親の面倒を見ていた
専門学校を中退後、自動車部品やコンピュータ関連などいくつかの工場に勤務。長時間残業で体調を崩したこともあったが、いずれも正社員で、生活に困らない程度の収入はあった。しかし、長引く不況で当時勤めていた工場が閉鎖、遠方への転勤か、退職を迫られる事態に。この頃、母親ががんを、父親が認知症を発症したこともあり、ケイタさんは仕事を辞め、アルバイトや日雇い派遣をしながら両親の面倒を見ることにしたという。そして、相次いで2人を看取った後、遭遇したのがリーマンショックによる派遣切りである。

ちなみに、両親の家は持ち家だったが、この家には兄とその家族が住むことになり、ケイタさんは賃貸アパートへと移った。彼は多くを語らないが、兄は両親の介護に一切かかわろうとせず、そのことをめぐって関係がこじれた。ただ、生来、他人と揉めるのが好きではない性格で、結局は兄の望みどおりに実家を譲り、代わりに一切の縁を切ったのだという。

派遣切りに遭い、賃貸アパートに移った後は、介護の仕事に就いて資格も取ったが、ストレスが多く、2年前、突然、持病の糖尿病が悪化。いったん退職して1カ月ほど自宅療養した後、別の職場を探すつもりだったが、折悪しく、正規採用の求人が見つからなかった。やむなく日雇い派遣で食いつないだが、交通費が自腹のうえ、仕事にありつけない日も多く、あっという間に、水光熱費の支払いにも事欠くようになり、2カ月分の家賃計8万円を滞納する状態に追い込まれたのだという。

追い出し行為は一方的で、性急で、悪質だった。

ある日の夕方、日雇い労働から帰宅すると、玄関に特殊な補助錠が設置され、部屋に入ることができなくなっていた。驚いて、賃貸借契約時に大家側から契約するよう求められた家賃保証会社に電話し、すでに新しい仕事を見つけたことや、分割で家賃を支払う意思を伝えたが、対応した男は早急に8万円全額を払うよう求めるばかりで、それができない場合は家財を撤去すると告げてきた。

「なーんで払えないんですかぁ」「そんなに待てませーん」という、終始こちらを見下した物言いに対し、普段、穏やかなケイタさんは家財の撤去は違法で、弁護士に相談すると語気を強めた。すると、男は「そんなの知らない。勝手にすれば」と言って、一方的に電話を切ったという。「最初から追い出しありきの対応でした」。

こうして着の身着のままでアパートから締め出されたケイタさんは、最初、ネットカフェや24時間営業のファストフード店を利用したが、所持金が底を尽いてからは、コンビニエンスストアや公園で夜を明かした。食事は、スーパーの試食コーナーで空腹を満たし、「1日1食、食べたり、食べなかったりの状態」。季節は初夏で、汗ばむ陽気の日もあったが、替えの洋服も下着も買えない。歯磨きやヒゲ剃りは公園のトイレやデパートの障害者用個室トイレで済ませたが、次第に仕事に行くどころではなくなったという。

729チバQ:2017/07/13(木) 19:33:39
それでも、そのときは「家財までは持っていかれないと思っていました」と言う。ところが、郵便物を確認するためにアパートに立ち寄ったところ、窓にカーテンがないことに気がつき、確認すると、室内は空っぽ。締め出されてから荷物の撤去まで、わずか1週間あまりの出来事であった。

現代の日本で、雨露をしのぐ住まいから突然、放り出され、家財まで奪われる――。「“まさか”という驚きと、“やられた”という怒りが半々でした。このまま路上生活になるしかないのかと思うと、惨めでしたし、不安でした」。

誰もが同じ被害に遭う可能性がある
ケイタさんの経歴を見ると、工場勤務時代の長時間労働や、親の介護のために仕事を辞めた後、なかなか再就職できない「介護離職」問題、リーマンショックによる派遣切りなど、本人の能力や努力ではいかんともしがたい社会的、構造的問題に翻弄されてきた様子がうかがえる。彼自身、「巡り合わせの悪いことが重なったという思いはあります」としたうえで、追い出し被害について「それだけに、(巡り合わせ次第で)誰もが同じ目に遭う可能性があると感じました」と言う。

話は少しそれるが、ここで、ケイタさんがリーマンショック後に就いた介護労働が抱える問題について触れておく。それは、これまでさんざん指摘されてきたサービス残業や低賃金、慢性的な人手不足などではない問題。高齢者から介護職員への「虐待」である。

ケイタさんによると、身体介助などの際、主に認知症の高齢者から蹴られたり、引っかかれたり、かみつかれたり、つばを吐きかけられたりすることは日常茶飯事。「僕ら介護職員の間では、打撲やひっかき傷は珍しくありません。かみつきによる肝炎のリスクもありますが、上司に訴えても、“うちはサービス業だから”の一言で一蹴されてしまう」。認知症ではない人から理不尽に怒鳴られたり、話しかけても手で追い払われたりすることもあるという。

確かに、マスコミなどで話題になるのは、必ずと言っていいほど職員から高齢者への虐待で、高齢者から職員への暴言、暴力に関心が寄せられることはあまりない。

介護業界で働き始めて10年たらず。ケイタさんは両親の面倒をみる中で、介護の仕事を身近に感じるようになったといい、きっかけは派遣切りによる失業だったが、転職は自然な流れだった。身体機能が回復していく入居者を見るとやりがいも感じるという。一方で、心身ともにしんどい仕事なのに、社会の評価は低く、報われない。追い出し被害に遭う端緒となった糖尿病の悪化について、彼は「(入居者による暴言、暴力をきっかけとした)精神的ストレスが原因だったのではないかと思います」と打ち明ける。

話を家賃保証会社による「追い出し行為」に戻す。

はたしてこれは許される所業なのか。結論としては、住まいからの一方的な締め出しや鍵の交換、家財の処分は原則、違法である。確かに、ケイタさんは家賃を滞納したが、関連の現行法には、相対的に弱い立場にある借り主を保護する目的もあり、相当程度の事由や裁判所からの許可などがなければ、貸し主側は借り主を簡単に追い出すことはできない仕組みになっている。もし、「滞納するほうが悪い」という自己責任論だけがまかり通れば、世の中は弱肉強食の無法地帯となり、ホームレスが急増することになりかねない。

一方、家賃保証会社がかかわるトラブルは、リーマンショックの頃から増加しているとされる。家賃保証会社は連帯保証人に代わって滞納家賃を肩代わりするほか、家賃の督促も行う。雇用や収入が不安定化する中で、アパートなどを借りる際、大家側から家賃保証会社との契約も併せて求められるケースが増えており、これに伴い、一部業者による違法行為が横行しているのだ。こうした業者は「追い出し屋」とも呼ばれ、社会問題となってきたが、直接的な法規制や監督制度はないのが実態である。

730チバQ:2017/07/13(木) 19:34:54
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-171536.html
広告代理店から介護に転職した男性の苦悩 正社員だがボーナスも交通費もナシ
05月18日 07:00東洋経済オンライン

広告代理店から介護に転職した男性の苦悩 正社員だがボーナスも交通費もナシ
広告代理店から介護に転職した男性の苦悩
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は中堅広告代理店をリストラされ、その後、介護の世界へと入ったノリオさん(64歳)の苦悩に迫る。

典型的な「求人票詐欺」である。

東京都内の高齢者向けデイサービスでケアマネジャーとして働くノリオさん(64歳、仮名)が見せてくれたのは、施設を運営する有限会社がハローワークに掲示していた求人票。

「就業時間」の欄に「〜17:00」とあるが、採用後に捺印を求められた雇用契約書には「〜17:30」と記されていたという。また、「休日」は「土日祝他」とあるが、実際は土日だけ。「年末年始休暇」も「〜1月4日」とあるが、休めるのは1月3日まで。「時間外なし」とあるが、残業は毎月20時間以上で、残業代は一部しか支払われない。

もはや「真実」が書かれている箇所はあるのかと突っ込みたくなる代物だが、「うそ」はまだある。

全社員が最低水準の月収19万円
「月平均労働日数」は「20日」とあるが、実際は「22日」。月平均労働日数は、時間外や休日労働に対する割増賃金を算出する際に必要な1時間当たりの賃金の基となる。労働日数が多いほど労働時間も多くなり、所定賃金から割り出される1時間当たりの賃金は安くなる。つまり、月平均労働日数が多いほど割増賃金は低くなる仕組みなのだ。また、「賃金」は「19万〜30万円」とあるが、ノリオさんが知るかぎり、すべての社員が最低水準の19万円にとどまっているという。

以前、就業時間が求人票と違うことを社長と役員に指摘したことがあるが、「わかっていて(雇用契約書に)ハンコ、押したんでしょ」と言い返された。残業代不払いについても「うちは時間ではやってないから」とかわされた。

「だまされたほうが悪いと言わんばかりでした。時間でやっていないなら、何でやっているのかと聞いたら、“件数だ”と言うんです。要はノルマ。もっとたくさんの利用者を連れてこい、ということです」

正社員とはいえ、ボーナスも、住宅手当も、交通費も出ない。仕事に必要な自転車の購入代も、電話代も自腹なのだ。「これでは生活できない」と辞めていく同僚たちは後を絶たず、ノリオさんは勤続2年半にして5人のケアマネジャーのうち、いちばんの古株になってしまった。

会社側にも社員に長く働いてもらおうとの考えははなからないようだという。最近、同僚で正規雇用のシングルマザーが非正規雇用に転換するよう持ちかけられた。シングルマザーなどの「就職困難者」を継続雇用すると、国から助成金が支給される制度があるが、転換話が持ち上がったのは、まさに支給要件を満たす雇用期間が「満了」するタイミングだった。女性が拒否すると、社長はほかの社員らに「(女性の働きぶりに)問題があったら報告して」と言ってきたという。

ノリオさんは「(解雇の難しい)正社員から非正規に降格し、その後で辞めさせようという魂胆が見え見え。降格する理由を見つけるために、私たちに告げ口させようとしているんです。彼女をクビにした後で別のシングルマザーを雇えば、また助成金がもらえますから」と言い、わが事のように憤る。

守銭奴のような経営者にみえるが、彼を絶望的な気持ちにさせるのは、多くの高齢者介護施設の実態が似たり寄ったりだという現実だ。

731チバQ:2017/07/13(木) 19:35:32

年収は900万円から200万円へ
中堅広告代理店の営業社員だったノリオさんは40代半ばで、経営悪化を理由にリストラ。その後、介護の世界へと入った。ちょうど介護保険制度が始まった2000年のことである。年収900万円から、年収200万円へという落差は衝撃だったが、仕事にはすぐなじんだという。

「最初にオムツの交換をしたときには、“こんなことまでやるのか”とショックを受けましたが、もともとおばあちゃん子で、人とかかわる仕事が好きだったので。利用者さんが話してくれる第2次世界大戦時の学徒出陣の体験談や、(移民政策が進められた中国東北部の)満州からの逃避行の話は、臨場感があって聞きごたえがあります。営業マンのころは接待漬けの毎日で、これからもこんな日が続くのかと、ふと疑問に思うこともあったんです」

エリート会社員だったノリオさんがリストラのターゲットにされた当時は、それなりに思うところもあったろう。しかし、高齢者との交流を満足気に話す様子からは、今は介護の仕事に出合えたことを幸せに感じていることが伝わってくる。

問題は労働条件である。

ノリオさんはさまざまな施設で経験を積むため、これまで5〜6回の転職を重ねてきた。結果的にまともだったのは、いちばん初めに無資格で飛び込んだ、設立から40年近い歴史を持つ社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームだけ。

その後に勤めた土建業者が運営にかかわる施設では、当然のように「残業をするときはタイムカードを押してからにして」と指示された。また、株式会社によるデイサービス施設は、人員基準を満たしていないのに、行政側に虚偽の報告をして人件費を浮かしていた。現場の介護職員の月収は20万円前後なのに、経営者や役員だけが2倍、3倍の報酬を得ている有限会社もあった。こうした問題を施設内外で問題にしたこともあったが、改善されることはなかった。

この間、ノリオさん自身、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取り、「施設長」などの肩書きを得たこともあったが、結局、年収が300万円に届くことはなかったという。

広告代理店を退職時にマンションを買ったため、貯えはほとんどなくなった。リストラのごたごたなどで、結婚の機会も逸してしまった。独り暮らしで家賃負担がないので、なんとか生活できているが、貯金をする余裕はない。

認知症の高齢者への「虐待」が横行
悩ましいのはカネの問題だけではない。ノリオさんは「(被害を訴えられない)認知症の高齢者への虐待が、特に若い職員の間で目立ちます」と打ち明ける。それは殴る蹴るといった暴行というより、たとえば、お笑い芸人のはやり言葉を言わせては皆でゲラゲラと笑ったり、おむつ交換のときに局部についての冗談を言い合ったりといった虐待。劣悪な待遇に対するストレス発散を兼ねた「娯楽のような軽さ」が、かえって闇の深さを感じさせる。

経済的な貧しさが、人権意識や責任感の貧しさ、やりがいの乏しさにもつながっていく。「リーマンショックのとき、介護業界を大量の失業者の受け皿とするような安易な政策が進められるのを見て、自分の仕事が雇用の調整弁にされていると感じました。これではスペシャリストが育つはずもないし、仕事に対するプライドも育たない」。

実はノリオさんは年明け以降、職場でのっぴきならない事態に直面している。

きっかけは、非正規雇用への転換を迫られたシングルマザーが労働基準監督署に駆け込んだことだった。このとき、労基署側は残業代未払いも悪質だとして併せて指導。ところが、これを受けた会社側は、あろうことか就業時間を30分延長して18時とするよう就業規則を変えてきたのだ。これまでは時間外に当たっていた時間帯を就業時間内にすれば、残業代の支払いを少しでも抑えられるとの浅知恵だが、これでは時給換算すると70円の賃下げになってしまう。ほとんどの職員がしぶしぶ了承する中、ノリオさんはこれを拒んだ。

732チバQ:2017/07/13(木) 19:36:19
ちょうどこの頃、ノリオさんはあらためて福祉学を学ぶため、4月から聴講生として大学に入学する準備を進めており、会社側から短時間勤務への変更許可も得ていた。

ところが、会社側は彼が就業時間の延長に応じないとみるや、短時間勤務は認めないと、手のひらを返してきたという。「初めのうちは社長から“頑張ってください”と言われていましたし、業務の引き継ぎも始めていたんです」。

このままでは入学をあきらめるか、会社を辞めるしかない。しかし、爪に火をともすようにして捻出した数十万円の授業料はすでに納めてしまった後である。堪忍袋の緒が切れたノリオさんは現在、地域ユニオンに加入、会社側と団体交渉を重ねている。

我慢することが美徳という価値観
一連の出来事を通し、あらためて痛感したのは、これまでの職場を含め、介護業界の仲間たちが自らの賃金や待遇改善について声を上げることに及び腰であるということだ。

声を上げないどころか、今回、会社側と交渉を始めたことについて、ある同僚からは「利用者さんのことは考えないのですか」と非難された。そのほかの同僚たちもノリオさんのことを腫れ物に触るようにして遠巻きに見ているだけだという。

いちばん悪いのは法律を守らない一部の経営者だし、それを野放しにする行政の不作為であることはわかっているとしたうえで、ノリオさんは「(介護業界には)利用者のために我慢することが美徳であるかのような価値観が強いと感じます。でも、きちんとした労働条件で働くことこそが、利用者さんのためにもなると、私は信じています」と言う。

幸い、職場で同僚たちから村八分にされ、おしゃべりができなくなったからといって嘆く年頃でもない。「声を上げられる人が上げればいい」。それが、第2の生きる場所を与えてくれた介護の世界への恩返しだと思っている。

733チバQ:2017/07/13(木) 19:37:06
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-169661.html
47歳難病男性が「障害者手帳」を熱望する事情 難病が原因で転職のたびに条件が悪化した
05月05日 05:00東洋経済オンライン

47歳難病男性が「障害者手帳」を熱望する事情 難病が原因で転職のたびに条件が悪化した
47歳難病男性が「障害者手帳」を熱望する事情
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

長年、再生不良性貧血を患っていると聞いていた。しかし、待ち合わせ場所に現れたのは、背が高く、がっちりとした体つきの男性だった。東京都内の学習塾に勤めるマモルさん(47歳、仮名)はこう言って苦笑いする。

「昔、柔道や水泳をやっていたからでしょうか。周りからは病人に見えないみたいで……。実際は、平らな道でもすぐに息切れしますし、地下鉄を乗り換えるだけで貧血で倒れそうになります。いったん出血したら止まらなくなるので、医者からはどんなに小さなケガも絶対にするなと言われています」

いつ脳出血を起こしてもおかしくない
病気がわかったのは20年ほど前。この分野の医療技術が今ほど進んでいなかった当時は、「5年後の生存率は5割」と告げられた。現在は技術が進歩したとはいえ、病状はじわじわと悪化している。最近の血液検査では、赤血球とヘモグロビンが基準範囲を大きく下回ったうえ、血液を固めて出血を止める働きをする血小板は「1万5000/マイクロリットル」と、基準範囲の10分の1に届かなった。医師からはいつ脳出血を起こしてもおかしくないと警告されている。

妻と2人の子どもがいる。主たる家計の担い手として何としても働き続けなければならないマモルさんが、今、のどから手が出るほど欲しいのは「身体障害者手帳」だという。

「ハローワークで仕事を探すとき、手帳があれば専門の相談窓口で条件のよい仕事を紹介してもらえます。でも、血液疾患の場合、手帳はエイズ(患者)にしか交付されません。一般窓口でも求人はありますが、病気のことがわかるとほとんどの会社は採ってくれない。残るのは、誰も行きたがらないブラック企業ばかりです」
障害者の雇用をめぐっては、障害者雇用促進法で企業に対し、労働者の2%に当たる障害者を雇用することが義務づけられている。法定雇用率を達成している割合は大企業のほうが高く、ハローワークのある相談員は「一般窓口に比べ、障害者などを対象にした窓口“専門援助部門”のほうがいわゆる有名企業の求人が集まりやすく、賃金や福利厚生面で条件のよい仕事を紹介しやすいのは確かです」と言う。

長時間労働や低賃金に、体力的・家計的に耐え兼ねて転職するものの、その先にあるのはさらにろくでもない会社ばかり――。「ブラックからブラックへと流され、落とされていく感じ」と嘆くマモルさんはこの20年間、そんな悪循環から逃れられずにいる。

印刷会社の営業社員だったときは、顧客の都合に合わせ、商談や打ち合わせは夕方から深夜にかけて集中したが、月収は約25万円。「残業代も深夜割増手当もほとんどつきませんでした」。塾講師として働いていたときも残業代はゼロ。社会保険への加入義務のある法人だったが、厚生年金や健康保険などは未加入だった。

外資系保険会社では社員と変わらない働かされ方なのに、雇用形態は個人事業主。完全歩合制で、辞める直前の月収は6万円だった。ある検索大手企業の関連会社でもノルマが厳しく、暴言、暴力こそなかったが連日、「もっと単価を上げてください」「できないのは君の能力のせいでしょう」と言われ、真綿で首を絞められるように退職へと追い込まれた。

ある同族経営の会社では、社長がエレベーターから降りてくるたびに社員が拍手で出迎えるという意味不明の習慣があった。お辞儀する社員らの間を歩いていく社長を見送りながら、「ここは北朝鮮かと思いました」と言う。この会社には社員はエレベーターを使ってはいけないとの「規則」まであり、体力的にもたなかった。

現在、勤めている学習塾も、パソコン関係の親会社が税金対策の一環として新たに発足させた一部門だという。正社員とはいえ、学習塾部門が廃止されれば解雇される可能性が高い。何としても採算を上げなければと、休日返上で営業のためのビラ配りに奔走している。

マモルさんが目の当たりにしてきた労働現場は、無法地帯そのものだ。政府は、残業上限「月100時間」をめぐって賛否もある「働き方改革」を進めているが、彼にしてみれば、そんなことより「今そこにある不正」を正してくれと、叫び出したい気持ちである。

734チバQ:2017/07/13(木) 19:37:31
最終面接通過後の健康診断で「不合格」
マモルさんが絶望したのは、ある会社を、最終面接を通過した後の健康診断で落とされたときだ。面接官たちの反応はよかったから、原因は健診結果にあったとしか思えないという。「僕にはハンデがあるんだと痛感しました。(就職活動において)対等な競争ができないのです。それなのに、制度も法律も助けてはくれない」。

身体障害者手帳の交付基準について東京都福祉保健局は「具体的な障害の程度や、生活への支障を見て判断している」とし、再生不良性貧血だからといって除外はしていないという。が、実際に窓口で交付業務に就いているある担当者は「再生不良性貧血の方には原則、手帳は交付していない」と打ち明けるので、マモルさんの思い込みとは言えないようだ。

また、厚生労働省障害者雇用対策課は「手帳の有無に関係なく、再生不良性貧血のような難病の方もハローワークの専門援助部門を利用することはできる」とするが、マモルさんは「求人票に“身体障害者手帳〇級以上”と書いてあるんです。相談員からも“この求人は手帳のない人には紹介できません”と言われました。これでは利用できないのと同じこと」と憤る。

マモルさんは現在、障害年金を受給しているが、支給が決まるまでの経緯も一筋縄ではいかなかった。

「初めて社会保険事務所(当時)に行ったとき、担当者から“あなた、自分の足でここまで来たんですよね。それだけお元気な方に年金をお支払いするわけにはいきません”と門前払いされました。診断書や保険関係の書類も持参しましたが、専門用語をまくしたてられ、とりつく島がありませんでした。その後、あちこち調べたところ、社会保険労務士を通して申請すると認められやすいという話を聞いたので、なんとか依頼料を工面してもう一度申請したんです。そうしたら、あっけないほど簡単に支給が認められました」

行政担当者の話を聞くかぎり、病気や障害のある人は、手厚く、公平に保護されているようにも見える。しかし、現実には、マモルさんは身体障害者手帳を持つことはかなわず、ハローワークの障害者向けサービスを利用することもできない。障害年金の支給をめぐっては危うく泣き寝入りを強いられるところだった。

「生活への支障というなら、(身体障害者手帳が交付される)発症前のエイズの人に比べ、階段の昇り降りにも苦労する僕のほうが、支障が少ないとは思えないんです。不公平だと感じます」。マモルさんは理想と現実のギャップを前に途方に暮れる。

結婚して1年足らずで病気が発覚
再生不良性貧血と診断されたのは、結婚して1年足らずの頃だったという。新婚の妻は「なっちゃったものは仕方ない」とさらりと言っただけで、その後は何ひとつ変わることなく接してくれた。子どもができたときも、どこかで調べてきたのか「(再生不良性貧血は)遺伝はしないんだって。何とかなるよ」と背中を押してくれた。専業主婦になることを望んでいたが、病気がわかってからは共働きで家計を支えている。

当時、親戚や知人が彼女に離婚するよう勧めていたことを知ったのも、ずいぶん後になってからだったという。「彼女にはっきりと言ったことはありませんが、“不良品”をつかませちゃったなという気持ちはあります。(彼女には)感謝――、それしかないですね」。

現在、一家の収入はマモルさんの月収20万円余りや障害年金、妻のパート収入などを合わせても40万円を超える程度。病気がわかる前に購入したマンションのローン月9万円や家族4人分の光熱水費、食費、通信費、各種保険を払うと、生活はカツカツで貯金はできない。最後に家族で旅行したのは6年前の東京ディズニーランド。「東日本大震災の前日だったので、よく覚えています」と言う。

子どもたちは何とか大学に進ませてやりたい。「できればそこそこいい学校に。できれば国立大学に」と希望はするものの、塾に通わせる余裕はない。長女は、地元自治体が貧困世帯などを対象に行っている無料の学習支援を受けることができたこともあり、今春、何とか希望どおりの公立高校に進学した。

735チバQ:2017/07/13(木) 19:37:58
2人の子どもたちがいずれも、遠征費や備品代などの負担が少なくて済む文化系のクラブに入っているのは、「おカネのことで気を使ってくれているのかな」とも思う。

刻一刻と体調が悪化していることは、自分がいちばん、よくわかっている。今は通院と投薬で済んでいるが、輸血が必要になる日まで、そう長くはかからないだろう。

「せめて死ぬときはポックリと逝きたい」
マモルさんは「死ぬときはひと思いに逝かなくてはなりません」と言う。団体信用生命保険に加入しており、死亡時にはマンションのローンが全額弁済されるからだ。「今よりも血液の状態が悪くなったり、脳出血を起こしたりして働けなくなってからも生き続けてしまうと、家族に迷惑をかけてしまいます」。

現在のように問題のある企業でしか働けない以上、長患いする余裕はない。せめて死ぬときはポックリと逝かなければ、というのだ。

マモルさんは駅前の待ち合わせ場所まで自転車でやってきた。自宅からは距離があり、体力的にはスクーターのほうが便利なのだが、ケガが怖くて最近は乗っていないという。帰り際、彼が自転車にまたがると、体格がいいので車両が小さく見えた。かすり傷も致命傷になりかねないので、転倒はもちろん、壁や人にぶつかってもいけない。慎重に、ゆっくりと――。駅前の商店街の人波の中へ、肩幅の広い大きな背中が吸い込まれていった。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

736チバQ:2017/07/13(木) 19:38:49
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-168102.html
46歳貧困男性が自己責任論を受け入れるワケ 怒りも不満もなければ夢や希望もない
04月20日 06:10東洋経済オンライン

46歳貧困男性が自己責任論を受け入れるワケ 怒りも不満もなければ夢や希望もない
46歳貧困男性が自己責任論を受け入れるワケ
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

「苦しまないで死ねる施設をつくってほしいです。たとえば、“何月何日に終わりにしたい”と連絡したら、安楽死とか、尊厳死とかさせてくれるようなシステム。そうしたら、電車に飛び込む人も減るんじゃないでしょうか」

千葉県の派遣社員・カズマさん(46歳、仮名)は、自身が望む「死にざま」について穏やかに語った。その口ぶりからは奇をてらう気配も、かといって絶望に打ちひしがれた様子もうかがえない。

年収は約240万円、貯金はゼロ
180センチ近い身長に、すらりとした体型。デニムとベージュのカットソーという服装には清潔感があり、白髪が目立ち始めてはいるものの、30代といっても通用しそうな見栄えである。

しかし、実際の生活は苦しい。年収は約240万円、貯金はゼロ。親から相続した木造の家屋は気密性が低く、夏は暑く、冬は寒いが、電気代を節約するため、もう何年も冷暖房のたぐいは使っていない。夏は水風呂で身体を冷やす。冬はセーターとダウンジャケットを着て乗り切るのだが、今年も両手がしもやけになったという。

一時、食費を1日300円に抑えることを目標にしていた。そのために、近所の大型スーパーの特売日に、大量の冷凍食品と、2.7リットルのペットボトルに入った1900円ほどのプライベートブランドの格安ウイスキーを買う。昼は「白米8割、残りの2割に冷凍食品のミニハンバーグとかカニクリームコロッケを詰めた弁当」を持参し、夜は夕食代わりにウイスキーを飲んで眠る。「お酒が強いわけではないので、(ウイスキーを)飲む量はそれほど多くありません。だから、1本で2カ月近くもつ。寝つきもよくなりますし、食費の節約にもなるんですよ」。

ところが、1年ほど前に急に抜け毛が増えたほか、前歯の付け根部分が虫歯になるなどの異変が現れ始めた。原因は栄養の偏りである。このため食費1日300円はいったん中断。とはいえ、今も朝はファストフードの100円ハンバーガー、昼は社員食堂の500円のカツカレー、2日に一度は夕食がウイスキーというから、食生活の改善にはほど遠い。

「最近、景気がよくなったと言われているそうですね。それが派遣の給料に反映されることはありませんが、物価が高くなったとは感じます。スーパーの精肉売り場で(値段の高い)和牛売り場のスペースが増えたと思いますし、卵の特売がなくなりました。だから、最近は卵を食べていません」

健康診断はしばらく受けていない。「悪いところが見つかったら、治療におカネがかかるじゃないですか。だったら知らないほうがいい」ということだ。

派遣の給与はよくて横ばい、残業が減った最近は右肩下がりで、自分の生活水準もそれに合わせて切り下げていくしかない。ずいぶん前に新聞の購読をやめ、最近はNHKの受信料を浮かせるため、テレビを捨てた。次は車を手放すしかないが、住まいは千葉の郊外であり、車は必需品でもある。簡単には決断できそうにない。

737チバQ:2017/07/13(木) 19:39:38
「自己責任と言われれば反論できない」
しかし、過酷な現実に反してカズマさん本人に切迫感はないようにみえる。「困っているというより、あきらめているという感じです。(日常生活や働き方への)不満や憤りはありません。自己責任と言われれば、反論できませんし、言われても仕方ないと思っています」。

彼が実年齢より若く見えるのは、あらがうことなく、早々に現実を受け入れてしまったからなのか。とにかく、貧困にあえぐ一部の人たちがまといがちな焦りや陰りを感じさせないのだ。

父親は霞が関のエリート官僚で、どちらかと言えば教育熱心な家庭で、身分証明を兼ねて持参してくれた中学と高校の卒業証書は、いずれも名の知れた進学校だった。しかし、「勉強は高校で燃え尽きた」と言い、大学は私大の夜間に進学。卒業前に就職先は決まっていたのだが、単位が足りずに留年が決まった。ちょうどバブル経済がはじけたころで、次年度の就職活動はあきらめ、卒業後はアルバイトや契約社員として働いた。

私にはそうは見えないのだが、カズマさんは「自分はコミュ障のところがある」と言う。数年間のアルバイト生活の後、人と接する機会の少ない経理業務なら向いているのではと、簿記やビジネス実務法務の資格を取って面接に臨んだが、経験のない20代半ばを過ぎた男性を正社員として雇ってくれる会社はなかった。

ならば、自営業はどうかと、将来は独立開業できるとして社員を募集していた自転車販売・修理会社に正社員として入った。ところが、そこも6年ほどで退社する。業務の一環として各地の販売店で店長として働いた際、「街の自転車屋さんは思ったよりも来店者とのコミュニケーションが必要な仕事だと気づいてしまったから」だという。

30歳を過ぎた後は、通信関連会社の派遣社員として3カ月ごとの契約更新を繰り返した。不安定雇用ではあるが、今まで雇い止めや長時間のサービス残業、パワハラといった被害に遭ったことはない。リーマンショックのときも契約は切られなかったというから、多分、まじめで優秀な人材なのだろう。

とはいえ、必要な人材をいつでもクビにできる非正規雇用で使い続け、キャリアも評価しない、ボーナスなどの福利厚生もゼロといった働かせ方は十分に理不尽だと思う。

当のカズマさんは淡々と「仕方がないことです。どうしても正社員になりたいわけでもない」と言う。彼は取材中、何度も「しょうがない」「受け入れるしかない」と繰り返した。

欲がないというのか、覇気がないというのか――。そんなカズマさんがただひとつ、意志らしきものを持って語って希望は、意外にも家族との縁を切ることだった。

「自分がこんなに欲のない人間になったのは、物心ついた頃から家族に抑圧されてきたからかもしれない」と言うから、具体的な経験を尋ねると、父親から食べ物の好き嫌いをとがめられ、風呂の残り湯に頭を突っ込まれたことが1〜2度あったことや、姉に頼まれたテレビ番組の録画を忘れたときにひどくしかられたこと、テレビのチャンネル争いに負けたことなどを挙げた。

しかし、当時は、善しあしは別にして親による体罰は珍しくはなかったし、姉とのトラブルにいたってはごく普通の兄弟げんかの域を出ないようにもみえる。

738チバQ:2017/07/13(木) 19:39:54
自宅の相続をめぐって兄弟とトラブル
両親はすでに亡く、「2人とも腫瘍っぽいもので亡くなったらしい」と言う。筆者には彼の子ども時代の経験より、親の正確な死因を知らないことのほうが驚きだった。理解できたのは、家族と縁を切りたいという彼の願望が、「憎悪」というよりは、「無関心」からくるものなのだということだけだった。

最近、両親が残した自宅の相続をめぐって兄弟ともめた。カズマさんは3人兄弟の末っ子。自宅には独身の彼が住み、評価額の3分の2に当たる金額を兄弟たちに支払うことまでは決まった。

問題は、この価格算定の基準をどうするか。できるだけ低く見積もりたい彼と、そのほかの兄弟の間で折り合いがつかなかったのだ。結局、調停を経て解決。その後、一括支払いのための銀行ローンを組み、現在は毎月約6万円を返済している。事実上の家賃である。

一連の遺産トラブルを振り返るときもカズマさんが口にするのは、兄弟への恨みつらみではなく、「これで家族の縁が切れると思って(調停を)頑張りました。ようやくしがらみから卒業できました」という安堵の言葉なのである。

家族に関心がないから、結婚願望もまったくない。これまで付き合った女性は皆、彼に結婚する気がないとわかると、自然に離れていってくれたという。

カズマさんは敬語もそつなく使えるし、話を聞いた喫茶店では、店内が込み合ってくると隣席に置いていた鞄を動かして席を空ける気遣いを見せることもできる。自炊もしようと思えばできるし、簡単な家屋の修繕や錠前の交換くらいなら自分でできるという。ただ、家族や自分自身、社会、政治など、あらゆることへの関心が薄いのだ。

海外旅行にも興味がないから、パスポートは作ったことがない。選挙にも1度も行ったことがない。選挙に行かない理由について「僕ひとりが行っても結果は変わらないのだから、やっぱり行っても、行かなくても同じ。もし、僕のような人間が全員、投票に行ったとしても投票率が上がるだけで結果は変わらない。そもそも与党にはうんざり、野党にはがっかりしています」と説明する。

「与党うんざり」の理由を問うと、彼はロッキード事件や東京佐川急便事件を挙げた。しかし、時代は大きく変わっている。そんな大規模な疑獄事件を持ち出されても違和感がある。すべての国民が社会や政治に関心を持ち、投票の権利を行使したとき、本当に結果は変わらないのだろうか。カズマさんの主張はどこかで聞いたことがあるような内容でもあり、空疎な響きがしてならなかった。

「死にたいとも生きたいとも思わない」
怒りも不満もなければ、夢や希望もない――。貧しい暮らしにも早々に順応し、あきらめる。それが、生来の性格なのか、カズマさんが言うように生い立ちに起因するものなのか、それとも、社会でもまれる中で培われたある種の防衛本能なのか。筆者にはわからない。ただ、社会を作る多くの人々は、彼のような考えなのかもしれないとも思った。

カズマさんと会ったのは、サクラが満開を迎える直前の頃だった。すべてに諦観していても、サクラは不思議と人に対して”生き死に”について語ることを促すものらしい。淡くほころび始めた並木の下、彼はこう言った。

「死にたいとも思わない。でも、生きたいとも思わないんです」

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

739チバQ:2017/07/13(木) 19:40:34
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-165371.html
母の治療に全て捧げた55歳男性の貧困と苦悩 飲食業界を転々とし身体はボロボロになった
04月04日 11:31東洋経済オンライン

母の治療に全て捧げた55歳男性の貧困と苦悩 飲食業界を転々とし身体はボロボロになった
母の治療に全て捧げた55歳男性の貧困と苦悩
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

誰かが痛みに身もだえている。たぶん、男だが、顔がよく見えない。「痛い! 痛い!」と訴える声が耳障りで、「やかましい!」と怒鳴りつけたところで、目が覚める――。

東京都23区に住むトオルさん(55歳、仮名)さんが、肩から指先にかけての痛みに悩まされるようになって以来、よく見る夢だ。痛みの原因について、医師からは長年、飲食業界で体を酷使してきたためだろうと言われたが、肝心の病名がなかなかわからない。

自分の声にびっくりして飛び起きる日々
「痛がっているのは僕だったという……。いつも、自分の声にびっくりして飛び起きます。そういうときは、痛みのせいで肩から先が固まった状態になっています。こんなふうに――」。そう言って、まるで手錠をかけられるのを待つ犯罪者のように両手首を体の前でそろえて見せた。

生まれ育った地方都市で調理の専門学校を卒業した後、上京。最初に勤めたそば店では毎日13時間近く働いて、賃金は額面で30万円を超えた。住み込みだったこともあり、趣味の洋服にカネをかけても、まだ、貯金に回せる余裕があった。「しだいに仕入れから仕込みまで任されるようになりました。大変でしたが、自分のペースでできるところが性に合っているとも思っていました」。

第2次オイルショックなどを経てバブル経済の足音が聞こえつつあった時代。何もかもが右肩上がりで満ちていく社会の気配は、厨房にいても感じることができ、将来は自分の店を持てると信じて疑わなかったという。

そんな中、故郷の母親ががんになった。離婚して家を出ていった父親や、長じて後は疎遠になった弟に代わり、治療や看病にかかる費用はすべてトオルさんが負担した。がん治療は上を望めば切りがない。彼は多くを語らないが、かかった費用は合わせて1000万円ほど。そば店の店主からはのれん分けを約束され、見合い相手を紹介されるほど目をかけてもらったが、貯めていた開店資金を取り崩してまで母親の面倒を見ていたことをそれとなく批判されて以後、関係がぎくしゃくするようになり、結局、十数年勤めた店を辞めた。

そういえば、当時、付き合っていた女性からは「優しすぎるんだよね」と言われて振られた。今、振り返ると「母親のことが原因だったのかもしれない」と思う。亡くなる直前、母親からも「あんたの人生を壊してごめんね」と言われた。結局、貯金はほとんど底を突いたが、トオルさんは「僕が後悔していないんだから、それでいいんです」と言う。

740チバQ:2017/07/13(木) 19:40:55
深夜勤務の間は休憩時間もなし
その後は居酒屋や弁当店などで働いた。当初は住宅手当などがつく福利厚生の手厚い職場もあったが、長引く不況とともに労働環境も劣化。ある居酒屋では、経営悪化を理由に、クビになりたくなければ、約10万円の給与カットと、社会保険の適用をなくすことに同意するよう迫られ、やむなく書類に署名したこともある。

また、ある弁当製造会社では、深夜、ミャンマーや中国出身の外国人労働者を指示しながら総菜を作ったが、賃金は12万〜13万円と低く、深夜勤務が明けた後、そのまま別の飲食店でアルバイトをして生計を立てた。ところが、会社側が無理に利益を上げようとしたため、1日の弁当製造個数が突然200個から1000個に増加。注文に間に合わせるため、夕方に追加で数時間出勤しなくてはならなくなったうえ、深夜勤務の間は休憩時間も取れなくなり、土日の休みもほとんどなくなったという。

この頃は、アルバイトも合わせると連日18時間近く働いた。夕方の追加出勤と深夜勤務の間にできたわずかな合間を縫って1日1度の食事を取り、その後、缶チューハイなど酒の力を借りて強引に数時間仮眠する。そんな生活が1年半ほど続いたが、弁当製造会社での給与は据え置き。残業代も休日出勤手当もなし、給与総額を勤務時間で割ると最低賃金をはるかに下回る「無法地帯」である。たまりかねて、同僚1人とともに個人加入できる労働組合(地域ユニオン)に相談したところ、未払い賃金などは約400万円に上ることがわかった。が、結局、会社が倒産。手にすることができたのは、たったの十数万円だった。

体に異変が現れたのは、その後に勤めた別の弁当店でのこと。主な仕事は毎日100キロの唐揚げを業務用フライヤーを使って揚げることだったが、ある日突然、右鎖骨付近がはれ上がり、首筋がつった。次第に痛みとしびれは両肩、腕、指先にも広がり、今では上着を羽織っても、電車の吊り革をつかんでも悲鳴を上げるほどだ。胸鎖関節炎、リウマチ、線維筋痛症――。さまざまな病名を疑われたが、いまだに原因は不明。医師からは「とにかく飲食業界での無理がたたったことだけは間違いないから、飲食店では働かないように」と命じられ、ここ1、2年は生活保護と週2〜3回の清掃アルバイトで生計を立てている。

トオルさんは母親の病気のことや働き詰めの日々を振り返るときも、「人生、何があるかわからないね」などと言って穏やかな表情を崩さない。そんな彼が唯一、ストレスだと訴えるのが、月1回、生活保護費の支給日に行われるケースワーカー(以下、CW)との面談だ。

「いつも“もっと仕事しろ”と言われます。こっちの話はあまり聞いてくれません」

給与明細を見せながら行われる面談は1分ほど。担当CWは同世代の女性だという。

「もっと仕事をしてください」「生活費くらい自分で稼いでもらわないと困ります」「来月は何回くらい、アルバイトに入れそうですか?」「先月、アルバイトの回数をもっと増やすって言ってたのに、約束と違うじゃないですか。どうするんですか?」

言葉遣いは丁寧だし、声を荒らげられることもない。しかし、彼が体の不調を訴えようとすると、女性は書類を閉じて立ち上がり、無言で「面談終了」を告げてくる。あるとき、隣のブースで、窮状を訴えようとしたお年寄りが孫にあたるような若いCWから「困っているのはあなただけじゃないんですよ」と遮られているのを見て以来、CWの話はただ黙って聞くしかないのだと悟ったという。

働けない人にもっと働けと言ってどうするのか――。

741チバQ:2017/07/13(木) 19:41:12
ケースワーカーの対応は「水際作戦」ではないのか?
長らくデフレにさらされてきたうえ、文句を言わずに従うのが美徳であるかのような悪しき習慣が一部に残るともいわれる飲食業界では、低賃金で限界まで働き続ける人も少なくない。トオルさんのケースは業界を象徴する問題だし、ひいてはそれを野放しにしてきた社会の責任ではないのか。何よりCWの対応は、行政が生活保護を受けさせなくする、いわゆる「水際作戦」に当たるのではないか。

私は憤りを覚え、トオルさんに水を向けてみた。が、彼の受け止め方は少し違った。

「僕も何とか働きたいんです。でも、掃除機やモップをかける動作はけっこう肩に負担がかかります。本当に体がついていかないんです。僕の周りにもうそをついて生活保護をもらっている人がいますが、まったくふざけたやつらだと思います。

飲食業界への不満ですか? 性格的に仕事が残っているとやっちゃうんですよ。(こんな働き方は)おかしいと、ちゃんと言わなかった僕も悪い。反省しています」

なるほど、トオルさんの言う「ストレス」とは、生活保護行政に対する憤りというよりは、思うように働けない自分に対するふがいなさからくるもののようだった。

少し話がそれるが、ここで生活保護についての持論を述べたい。

一定の条件下にある国民が生活保護を受けることは憲法で保障された権利であり、国の義務でもある。現在、生活保護受給者へのバッシングは苛烈だが、取材をしていると、確かに不正受給をしている人にも出会うが、一方で、受給条件を満たしているのに生活保護を受けることは「恥」だと考えて申請をしていない人にも出会う。

不正は個別に厳しく取り締まればいい。が、解決すべき構造的な問題は、捕捉率(生活保護を利用する資格のある人のうち実際に利用している人の割合)の低さである。弁護士や研究者、生活保護を受けている当事者らでつくる生活保護問題対策全国会議によると、日本の捕捉率は2割程度で、ドイツの6割、フランスの9割など諸外国と比べて極端に低い。

いくら受給者や制度をたたいても、もともと不正を働くような厚顔な人間が改心するとは思えない。むしろ、バッシングは人々に「スティグマ(世間から押し付けられた恥や負い目)」を植え付け、捕捉率の低下に拍車をかけるだけだ。そして、それは今も各地で起きている餓死や孤立死、心中といった事件を誘発することになるだろう。

「主張する弱者ほどたたかれる」
ふと、以前、ある識者が取材に対し、現在社会を取り巻く空気について「主張する弱者ほどたたかれる」と言っていたことを思い出した。過重労働の末に何百万円もの未払い賃金を踏み倒され、体を壊し、さらには生保保護のCWからもっと働けと迫られて――。それでもなおトオルさんは「反省」と「自己責任」を口にした。まるで、バッシングの標的とならないすべを本能的に知っている「弱者」であるかのように。ろくでもない社会である。

トオルさんと会った日。この日の朝も、痛みと自分の叫び声で目が覚めたという。

深夜1時すぎ、医師から処方された痛み止めや睡眠導入剤を飲むが、だいたい2〜3時間で効果が切れてしまう。そんなときは、いつも厨房に持ち込んでいたという旧式のラジオのスイッチを入れ、ニッポン放送の番組「あさぼらけ」を聞く。アナウンサーの上柳昌彦さんの落ち着いた低音ボイスを耳にすると、心身が静まるのだという。

飲食業界を選んだことも、結婚をしなかったことも、後悔はないという。ただ、生活保護を受けることも、体が動かなくなることも、すべてが若い頃は想像もしなかった、初めての経験なのだという。

「今はとにかく痛みの原因を突き止め、体を治して働きたい」

胸中の不安と戸惑いは消えない。それでも、おぼろに明けていく朝の気配を感じながら、自分の人生にも再び夜明けが訪れることを信じている。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

742チバQ:2017/07/13(木) 19:41:44
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-163070.html
生活保護63歳独身男性を苦しめる腰痛と貧困 定職には付けず週末の日雇いで糊口を凌ぐ
03月20日 05:40東洋経済オンライン

生活保護63歳独身男性を苦しめる腰痛と貧困 定職には付けず週末の日雇いで糊口を凌ぐ
生活保護63歳独身男性を苦しめる腰痛と貧困
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

※筆者留学の事情により一時中断していた本連載ですが、今回から再開します。

乾燥機の中を紺色のジャージや下着がぐるぐると回っている。週に1度利用する自宅近くのコインランドリー。埼玉県内で生活保護を受けながら、独り暮らしをするタイゾウさん(63歳、仮名)は、単調な動きを眺めながらよくこんな物思いにふける。

「女房がいれば、洗濯はきっとやってくれたんじゃないか。そうしたら、私は(彼女の)そばで好きな本でも読みながら過ごしていたかもしれない。結婚、しとけばよかったなぁ……」

たそがれ時、わずかな洗濯物を抱え、痛めた腰をかばいながら猫背ぎみに歩いていく後姿は、頭髪の白さもあって実際の年齢よりもずっと年上に見えた。

高校卒業後、大学受験に向けた予備校に通うため、故郷の秋田から上京。日本はちょうど高度経済成長期の終わりに差し掛かりつつあった。結局、希望する大学には受からず、そのまま東京で働き始めた。飲食店や健康器具販売、警備会社、運送会社――。20代のころのアルバイトから最近の日雇い労働まで含めると、これまでに20近い仕事に就いてきた。

営業ノルマをこなせずに解雇されたこともあれば、人間関係に嫌気が差して正社員の仕事を自ら辞めたこともある。そうかと思うと、アルバイトとして入った会社の上司から「正社員にならないか」と誘われたことも何度かあるが、いずれも断った。

バブル景気で仕事はいくらでもあった
30代のころはバブル景気真っただ中。往時を「今とは違って探せば、すぐにまともな仕事が見つかる時代でした」と振り返り、正社員になる機会を逃したことについて「働くというのは、大きな建物のきれいなオフィスに出勤するものだという、根拠のない思い込みがあったんです」と後悔をにじませる。

「いくらでも仕事があった」時代の潮目が変わったと実感したのは、2000年ごろ。長年、倉庫整理のアルバイトをしていた会社をリストラされたのだ。気がつけば年齢は40代半ばを超えていた。以降は望んでも正規雇用の仕事は見つからず、さまざまなパートやアルバイトの掛け持ちに加え、複数の派遣会社に登録して日雇い労働をこなした。

几帳面なタイゾウさんはこの頃、勤務先ごとに労働日数や賃金などがわかる自前の「出勤簿」をつけていた。大学ノートの記録を見ると、勤め先には派遣会社のほか、場外馬券場の警備員や公園の巡回監視員、郵便局でのアルバイト、斎場の駐車場などがあり、つねにダブルワーク、トリプルワークの状態だったことがわかる。手取りに当たる毎月の「支給額」は合計でおおむね十数万円にはなったが、日雇い労働しかない月などは「勤務日数」がわずか「3日」「4日」で、手取りが3万円を切ることもあった。

家賃の安いアパートに移り、夏場の暑さは扇風機でしのぎ、冬場は石油ストーブで沸かした鍋の湯で身体を拭いて風呂代わりにするなどして電気代や水道代を節約したが、生活はカツカツ。将来への不安が募る中、ある運送会社の倉庫で、重さ50キロ近い商品のバスタブを持ち上げた瞬間、腰に痛みが走った。いわゆるぎっくり腰である。すぐに病院には行ったものの、クビが心配で会社にはしばらく報告することができず、週末に入れていた別会社の警備員の仕事もだましだまし続けたという。

その後、運送会社の担当者から「腰を痛めたその日に申告しないと労災にはならない」と言われ、困り果てたタイゾウさんは個人加入できる労働組合(地域ユニオン)に相談。言うまでもなく、会社側の説明は虚偽であり、この労組とともに交渉したところ労災は認められた。が、腰痛を抱えながら働き続けることは難しく、契約の更新はかなわなかった。このため、生活保護を申請したのだが、今度は週末の勤務先から「生活保護を受けるなら、そっちで(面倒を)見てもらえばいい」などと言われ、こちらも雇い止めされた。

743チバQ:2017/07/13(木) 19:42:01
毎月の収入は11万円前後
腰痛は完治せず、ここ5年ほどは生活保護を受けながら、週末だけ各地の住宅展示場で案内看板を掲げる仕事をしている。保護費と週末のアルバイト代を合わせて毎月手にできるのは11万円ほど。ぜいたくはできないが、「毎日、温かいシャワーを浴びられるようになった。ぜいたくなことです」。腰痛を押してでも週末に働くのは、「(国民年金の保険料を支払うことができる)65歳まで保険料を払ってできるだけたくさんの年金をもらいたいから」だという。

かろうじて生活が安定する一方で、平日は自宅に引きこもることが増えた。

「1週間くらい誰とも口をきかないことがあります。そんなときは、頭がおかしくなりそうになる。結婚? そりゃあしたかったですよ。でも、手元にまとまったカネもないような男が、結婚なんてできないと思っていました」

これまで、結婚を考えるほど深い付き合いをした女性はいないという。私が、おカネは結婚後に共働きしながら貯めてもよかったのではないか? まとまったおカネを得るためにも、「きれいなオフィス」などと言わずに正社員になればよかったのではないか? そう問いかけると、タイゾウさんはしばらく考えた末、こう答えた。

「“小学生までは女の子のほうが男の子より優秀なこともあるけど、高校くらいになるとだいたい逆転するもの”だって。刷り込みとでもいうんでしょうか。小さい頃、両親からこう言われたことが忘れられないんです」

そういえば、彼はよく「男として」という言葉を口にした。「男として家庭を持つ」「男として経済力があれば」「男としての世間体が」――。現代の若者からは一蹴されそうだが、昭和20年代生まれのタイゾウさんが幼い頃に植え付けられた「男性は女性より優れていなければならない」とも聞こえかねない価値観に縛られたとしても、それは仕方がないことなのかもしれない。一方で、彼は最近、こんなふうにも思うようになったという。

「若い頃に住んでいたボロアパートの隣人で、私よりも稼ぎの少ない男の人でも結婚して子どもを育てている人はいました。あの頃、いくら貧乏でかっこ悪くても、今、彼らには(老後の)面倒をみてくれる子どもがいる。子孫を残してる。世間的に見ても普通。結局は彼らのほうが“勝ち組”だったんだと、この年になってようやくわかりました」

子どもが老後の面倒を見てくれるとはかぎらないし、家族のあり方を勝ち負けで評価することには違和感もあるが、それでも、取り返しのつかない過去を、ただ振り返ることしかできないやるせなさは、少しわかる気がした。

それにしても、タイゾウさんが「まとまったおカネ」を得られず、結婚できなかったのは本当に自己責任なのか。何度かあった正社員になれるチャンスを棒に振ったのは事実だが、彼は決して怠け者ではない。途切れることなく働き続け、特に40歳代半ば以降は複数の仕事を掛け持ちして生きてきた。

744チバQ:2017/07/13(木) 19:42:20
1990年代初めまでは「厚生年金」に加入
タイゾウさんが見せてくれた「年金加入履歴」からは、むしろ「雇用の質の劣化」がうかがえる。1990年代初めまでは転職先ごとに「厚生年金」に加入していたことがわかるが、バブル景気崩壊以後は、国民年金加入を示す「第一号被保険者」という記載だけになるのだ。当時は非正規雇用とはいえ、勤務時間は正社員並みであるなど厚生年金の加入条件を満たしていた職場もあった。にもかかわらず、厚生年金への加入履歴がないのは、タイゾウさんの勤務先が保険料負担を避けるため、非正規労働者を厚生年金に加入させなかった可能性が高い。

その後は、短時間の仕事を掛け持ちせざるをえなくなり、厚生年金どころではなくなるのだが、月によっては合わせて30日近く働いたり、身体に負担のかかる夜勤続きだったりもした。にもかかわらず、ボーナスや住宅手当といった福利厚生はゼロ。タイゾウさんが腰を痛めたのは、こうした無理がたたったせいかもしれないのに、会社側は当初、労災を認めようとしなかった。

国や経済界は非正規労働の増加を「働き方の多様化」だという。しかし、そこまでして非正規労働を増やしたいなら、タイゾウさんが出合ったような社会保険料の負担を逃れたり、労災隠しをしたりするような企業は野放しにするべきではない。そもそも、掛け持ちしなければ生活できないような働き方が「多様化」と言えるのか。

社会や会社から絞り尽くされたようにもみえるタイゾウさんだが、本人は「年金のことも、労災のことも私に知識がなかったんです」と言って身を縮める。彼は自身を「見栄っ張り」と分析するが、私には超がつくほど「まじめ」にも見えた。

秋田に残った兄はずいぶん前に亡くなり、天涯孤独となった。もう何十年も故郷には帰っていない。最近、無性に故郷が懐かしくなることがあるが、「生活保護の身では何かと世間体が……」と言葉を濁す。年金保険料を払い終え、生活保護ではなく、年金で暮らしていけるようになってから、故郷に帰ることが、今の夢だという。

「これをもらってほしいんです」
タイゾウさんには自宅に近い私鉄駅前の喫茶店で話を聞いた。取材を終えようとしたとき、彼が「これをもらってほしいんです」と言って、私に1枚の白黒写真を手渡してきた。

河原だろうか。パーマっ気のない髪に、ずいぶん昔にはやったすその広いパンツを履いた少女たちが座って弁当を囲み、屈託のない笑顔でこちらを見つめている。その後方ではにかむ男の子が1人。太い眉毛にタイゾウさんの面影がある。高校時代の遠足のスナップ写真だという。

「知り合った人に時々、(写真を)お渡ししているんです。私が死んだという知らせを聞いた人のうち、100人に1人でいいんです。ああそんなやつがいたなと、思い出してくれる人がいればいいなと思って」

写真は彼の生きた証しなのか。果たせないことが多かった過去への後悔、朽ちていくだけの将来への怯え――。そんな気持ちが少しでもやわらぐなら、と私は写真を受け取った。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

745チバQ:2017/07/13(木) 19:42:51
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高学歴56歳男性が「孤独な貧困」に陥った顛末 「本当は東大医学部に行きたかった」と後悔
05月31日 05:00東洋経済オンライン

高学歴56歳男性が「孤独な貧困」に陥った顛末 「本当は東大医学部に行きたかった」と後悔
高学歴56歳男性が「孤独な貧困」に陥った顛末
(東洋経済オンライン)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は双極性障害があり、生活保護を受給して生活するケンさん(56歳)のケースに迫る。

男は店先の路上にしゃがみ込み、たばこをふかしていた。猫背でひどくやせている。フィルターをつまむ指の爪は長く伸び、黒い汚れがたまっていた。待ち合わせをした人だろうか。多分、違う。なぜかそう思い、男の前を通り過ぎ、約束していたファミリーレストランへと入った。しかし、やや遅れて現れたのは、まさにその男性だった。

障害年金と生活保護費で暮らしている
ケンさん(56歳、仮名)。東京都内の私大を卒業し、何度か仕事を変えた後、介護関連会社で人事・経理の職に就いた。年収は800万円ほどあったが、繁忙期は明け方3時、4時ごろまでの残業が当たり前。40代の頃、ストレスからアルコール依存症と双極性障害を発症して失業した。その後は、ローンが残っていた持ち家を手放し、離婚、自己破産――。1人娘は親族の養子となった。現在、仕事はなく、障害年金と生活保護で暮らしている。

テーブルに着いたケンさんはやおら、元妻への批判を始めた。

「15歳年下なんです。大学の卒論を書くのを、僕が助けてあげたら、うちに入り浸るようになってしまって。できちゃった婚です。好みのタイプじゃない。家事も何ひとつ、やってくれなかったし。一度、(出演料で)小遣い稼ぎでもしようと思ったのか、テレビのゴミ屋敷特集の取材を受けていましたね。リポーターが“ああ、ゴミの中に赤ちゃんがいます!”と言っていました。離婚の原因? 僕が30歳年下の子と仲良くなったから。キャバクラで出会った子です」

元妻とは、インターネット上のQ&Aサイトを通じて知り合った。結婚生活は10年ほど。専業主婦だったが、たびたび子どものせいでキャリアを台無しにされたと不満を口にしていたという。

私「離婚の直接の原因はケンさんの不倫ということですね」

ケンさん「不倫じゃないです」

私「肉体関係はなかった?」

ケンさん「それは、ありました」

私「それは不倫と言うのでは」

ケンさん「倫理って何ですか? 彼女も別の男と関係がありました。(彼女の)SNSを見たときにわかりました。お互いさまじゃないですか」

私「……」

表情や語り口の抑揚が乏しいのは、障害の影響もあるだろう。ケンさんは時々、たばこを吸うために席を立った。いわゆる安煙草のひとつ「エコー」を、1日に2箱吸うという。戻ってきた彼に今度は子どものことを尋ねた。

高校生になる娘の親権は元妻が持つが、さまざまな事情で同居が難しくなったため、ここ1年ほどはケンさんと一緒に暮らしていた。しかし、彼が毎日、料理を作ることは難しく、食事は出来合いの総菜や弁当を別々に取ることがほとんど。会話もない日々に嫌気が差したのか、娘は突然、家を出て母親側の親戚の元に身を寄せると、そのままその親戚と養子縁組をしたという。

「(娘から)1度だけ電話があり、“養子になるから”と言うので、“そうしたければ、そうすればいい”と答えました。僕がおカネを渡さなかったことが原因だそうですが、そういうことは言ってくれないとわからない。(親戚たちが)僕を非難しているのは知ってますが、あんたたちよりは、子どものことはわかってると言いたい。絵が得意でね。将来は東京芸大に入ってほしい。写真? ないです。一緒に撮ったことがないので」

746チバQ:2017/07/13(木) 19:43:09
大事なのは娘より「日本の将来」
娘と離れ離れになって寂しいかと尋ねると、寂しくはないが、生活保護の支給額を減らされたことが不満だという。子どもを親元で育てられなかったことへの後悔や、親戚への感謝の言葉はない。面倒は見られないが、大学の進学先は気にかかる――。ちぐはぐにもみえる主張に戸惑っていると、ケンさんがなぜか突然、森友問題や憲法改正について語り出し、安倍政権の批判を始めた。

たまりかねて「日本の将来と、娘さんの将来、どちらが心配ですか?」と尋ねると、しばらく考えた後にこう答えた。「日本の将来ですね」。

悪いのは自分ではなく、周囲の人たち――。ケンさんの話は終始、そんなふうにも聞こえた。大学卒業後、いくつかの会社を辞めた理由も、上司のパワハラや、サービス残業を告発したことだという。しかし、あらゆる局面において自分だけが正しいなどということはありえない。

生活保護と障害年金を合わせ毎月17万円を超える収入があれば、なんとかやり繰りできるのではないか。足りないと思うなら、なぜ自炊をしたり、たばこ代を節約したりしないのか。年頃の娘と暮らすのに、どうして爪くらい清潔にしないのか――。気がつくと、私の質問はずいぶんと非難がましいものになっていた。

これに対してケンさんは変わらず、淡々と答える。「体調が悪いときは、本当に動けないんですよ。自炊するくらいなら、食事を抜いたほうが楽。格安スーパーで400円の弁当と飲み物を買って、1日1食という日も珍しくありません。そんなときはね、身だしなみなんて、どうでもよくなるんです」。喫煙については、「生活保護を受けていても、たばこを吸う幸せを求める権利はあります」と返された。

反論の余地がない。私には双極性障害のある知人がおり、この病気の過酷さはある程度、知っている。「動けないときは、動けない」というのは決して大げさではない。生保受給者の喫煙については、反論どころか、私の考えとまったく同じである。それに、冷静に考えると、ケンさんは生活保護費が少ないことに文句は言っても、遊興費につぎ込み、生計が立てられなくなっているわけではない。

長時間労働の犠牲者であることは間違いないが…
彼の話がすべて本当だとは思わない。一方で、介護関連会社で明け方まで残業をした後、キャバクラや居酒屋で深酒をしてストレスを発散。気がついたときには肝機能の状態を示すガンマGTP(基準値50以下)が600を超えていたことや、体重が20キロ落ちて最後には布団から起き上がれなくなったという話はリアルだった。彼が異常な長時間労働の犠牲者であることは間違いない。こうした構造的な問題に目を向けず、彼は妻や娘たちにもっと申し訳ないと思うべきで、生活保護の支給額に文句を言うべきではないなどと考えるのは、本末転倒な話だし、取材する側の傲慢だろう。

これらのことを頭ではわかっているのに、なぜこんなにも釈然としないのか。

ケンさんは取材前、私や編集部と交わしたメールの中で「学歴」を詳細に記載してきた。それによると、都内の進学校を卒業後、いったん国立大学に進み、その後で有名私大の法学部に入り直している。卒業証書も持参してくれた。本人は「共通一次(当時)は9割くらいできていたんです。本当は東大の医学部に行きたかった」と言う。「過去の栄光」は輝かしく、懐かしいものなのか。その頃に戻りたいかと尋ねると、彼はこう答えた。

「いいえ。戻れるとしたら、小学生くらいでしょうか。好きな女の子がいたんです。勉強ばかりするのではなく、彼女にきちんと気持ちを伝えていれば――。大切にしたいと思う人がいたら、もっと周りとケンカをしないようにして、体も大切にする、そんな人生を送れていたかもしれない」

ファミリーレストランを出ると、ケンさんが立ち止まり、「僕はここで」と言った。最初にたばこを吸っているのを見かけた場所である。よく見ると、灰皿が設置されている。喫煙スペースだったのだ。それでも、彼がいわゆるヤンキー座りをして煙をくゆらせ始めると、通り過ぎる人が時々、ギョッとしたような視線を投げかけていく。

貧困にあえぐ人や、障害のある人すべてが清く、正しいはずがない。いつも空腹にさいなまれ、住む場所もない――現代の貧困はそんな単純な姿をしていないことも知っている。しかし、娘より、日本の将来と言ってのけるケンさんを、私はいまだに受け入れることができない。貧困とは何か? 障害者とともに生きる社会とは? 私が思っている以上に「答え」は遠いのかもしれない。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

747チバQ:2017/07/13(木) 19:45:39
http://toyokeizai.net/articles/-/176507
スマホ販売員が風俗で働かざるをえない事情
3カ月更新の派遣で将来を考えるのは難しい
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2017年06月21日
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、家電量販店で派遣社員として働く、32歳の女性だ。彼女は足りない生活費を賄うため、風俗で働いている。



この連載の一覧はこちら
ある大手家電量販店で携帯電話販売員をする佐伯百合さん(仮名、32歳)は、清楚でかわいらしい女性だった。年齢より若く、20代半ばにみえる。2年半前に離婚、店舗近くにある県内ワンルームマンションに一人暮らしをしている。

「私は仕事をしているので、世間で言われる貧困ではないかもしれません。ですが、女が単身で自立して生きていける世の中とは思えません。いろいろ厳しすぎます」

26歳で結婚、DVとモラハラで離婚

待ち合わせ場所で会うなり、窮状を訴える。大学を卒業して上京、派遣会社に登録して販売員をする。26歳で結婚、DVとモラハラが原因で離婚し、現在に至る。給与は基本給19万円に固定残業代6万円、社会保険が引かれて手取りは21万円ほど。家賃は7万2000円。手取りから家賃を差し引いても、余裕のない生活だが、相対的貧困には該当しない。

喫茶店に入ると、周囲を見回しながらスマホを取り出す。「おカネをあと少し稼ぐために風俗始めたんです」と言い、携帯画面を見せてくれる。卑猥な単語が重なった店名のホームページに、顔にモザイクのかかったネグリジェ姿の女性が写る。ネグリジェをまくり、ヘアーを見せている。ノーパン姿の艶っぽい女性は、目の前にいる佐伯さんだった。

彼女は本業である大手家電量販店の仕事内容と、その収入に不満を持っているようだった。家電量販店1階にある携帯電話売り場で、ある大手キャリアの担当している。

「休憩がなかったり、トイレにも行けなかったり。立ち仕事で休憩なしでずっと接客。新しいiPhoneが出たときとかは、本当に朝5時から夜11時まで働き詰め。私が働いているところは人員不足もあってキツイ。現場で接客するのはほぼ全員が派遣社員で、量販店社員はレジ近くで監視しています。簡単に言えば、派遣の私たちは奴隷とか部品とか、そんな扱いです」

某家電量販店は販売する商材によって編成が分かれ、量販店社員を頂点にして厳然なヒエラルキーがある。派遣販売員の人事の権限は担当社員にあり、彼女が「奴隷か部品」と感じるように、職場はどこに配属されても総じて人間味はなく、販売店社員によるパワハラの温床となっているという。

「たとえば社員が聞いたことに対して答えられなかったら、もう明日から来なくていいよって即クビになります。私たちは“出禁”って呼んでいます。直接雇用されているわけでないから、そういう扱いが当たり前。社員の命令どおり、言い訳せず、絶対服従して動くしか選択肢がないわけです」

絶対権力のある量販店が彼女ら派遣社員に求めるのは、誠意ある接客ではなく、売り上げだ。携帯電話になると本来の目的である本体にプラスαで、何を買わせることができたかを厳しく問われる。

748チバQ:2017/07/13(木) 19:46:12
高齢者や無知な人に不要な商品を売りつける

「ちょっと前に行政指導を受けて問題になった商品があるのですが、それを売れとか。なるべく高額なSDカード売れとか、量販店のクレジットカードを作らせろとか。お客さんのほうで買いたいなと思ってもらったならいいけど、ノルマがあるのでたとえば“これを買ってくれたら、私が携帯の設定やりますよ”とか、売り場全体が変な方向に進んでいます。携帯とかパソコンに詳しい人には余計な商品を薦めずに契約をすぐ終わらせて、高齢者とか無知な人にはどんどんさまざまな物を売りつけます。私も含めてみんな嫌々売りつけています。正直、すごいストレスです」

無知な客や高齢者に売りつけやすいのは、128GBのSDカードだという。ネット通販などで買えば7000円程度、キャリア経由で買うと倍以上の金額になったりする。高齢者に128GBは必要ないとわかっていても、心を痛めながら適当な言葉を投げかけてどんどん買わせる。

派遣社員と量販店の有期雇用契約は3カ月ごとに更新される。言われたとおりに商品を売らないと、すぐに職を失い生活ができなくなってしまうという。

「無理な販売が多すぎます。クレーム対応に追われているので、数字を出せないスタッフ=結果を出さないスタッフという風に量販店の人間から見られて、みんな無理やり必要ない商品を売り付ける習慣が日常化しています。後日、説明不足だというクレームが多発して、その対応に日々追われて長時間労働になるという悪循環です」

繁忙期になると、トイレにも行けなくなる。多くの派遣販売員たちは、1日トイレに行けないので水分を採らないようにする。

「頭が痛くなって視界が揺れたり、脱水症状っぽくなったり。この前、量販店社員が実績出せなかったキャリアの営業を呼び出して、靴に強力なセメダインをつけて長時間立たせるなんてこともありました。量販店社員からのパワハラはすさまじくて、私はけっこう長く我慢して続けているけど、とても長くできる仕事じゃないです」

現在の職場を語る佐伯さんは、何度も深いため息をつき、表情は終始うんざりしていた。

23歳で社会人になってから、ずっと派遣販売員をしている。家電量販店での現在の日常にはウンザリすることばかりだが、派遣社員はどこに配属されても将来的な展望や希望はなく、日々、心を殺しながら目の前の日常を乗り切るだけとなる。

26歳。結婚すれば、違う風景を見ることができるかもと結婚をしている。たまたま酒場で知り合って、勢いで付き合った5歳上のサラリーマンと入籍。販売員の仕事は継続して、共稼ぎ世帯となった。

「延々とDVされました。記憶がないくらい嫌な思い出で、どうしてあの人と結婚したのかとかは詳しくは覚えていないくらい。結婚して同居初日で、おかしいと思いました。すごくこだわりが強い人で、料理にいろいろ文句つけて、全部手作りじゃないと嫌みたいな。私は仕事をしていて本当に時間がないし、家事も洗濯も文句言われて本当に理不尽だと思いました」

元夫と彼女は同じ週5日勤務で収入も同程度だったが、家事はすべて妻である彼女がやらされた。また、金銭管理は夫で自分の給与は全額夫の通帳に振り込まされた。母親と同じような料理を作れと要求され、給与を取られ、不満が大きくなりすぎ、だんだんと精神的に追い詰められていった。

結婚初日で不満を抱え、1カ月で軽率な選択を後悔した。元夫は結婚生活に満足していたが、だんだんと深い不満を抱える妻と亀裂が生まれる。

佐伯さんは結婚生活のストレスで、体調を崩すことが日常となった。旦那は妻の体調が悪くなると舌打ちして、実家に行くことも病院に行くことも許さなかった。

749チバQ:2017/07/13(木) 19:46:40
土下座させられて朝まで怒鳴られる

「とにかく、怒る。怒ると止まらなくなっちゃう。私はどうして怒られているのかわからなくて、いつもちょっとしたこと。会話をすると、私が発言した意図とは全然違うとらえ方をして、ずっと朝まで怒鳴り続けるみたいな。土下座をさせられる。具体的なやり取りの詳細はどうしても思い出せないけど、要は自分の思いどおりに動かないとキレて怒鳴って、延々土下座をさせるわけです」

フローリングの硬くて冷たい床に正座して頭を下げながら、朝まで怒鳴り声を聞き続ける。病的なモラハラと気づいて、いくら怒られても自分を責めることはなかったが、精神的にはとことん疲弊した。睡眠時間も減り、日常生活にも支障をきたすようになった。

「最後に朝方まで土下座させられた日、“ちょっとお腹痛いからトイレ行かせてください”って携帯を隠し持ってトイレから110番しました。助けてって警察呼びました。すぐに警察は来てくれて、別々の部屋に移されて、朝方だったので私は自分から頼んで警察に保護してもらいました。それが元夫との最後です。事情を話して仕事は何日か休んでいったん実家に戻りました。それで離婚しました。2年半前です」

実家から職場は2時間以上、とても遠くて通えない。元夫に給与全額を振り込む夫婦生活だったので、おカネはない。クレジット会社から50万円を借りて、現在居住する月7万2000円のアパートを借りた。

「もう、結婚はいいです。これから独りで生きていくって考えると、将来のことも考えます。とても人間扱いされない派遣販売員を一生やる気にはなれないし、そんな人生嫌です。何かしようと思って、離婚後からデザイン系のパソコンスクールに通い始めました」

手取りは月21万円。家賃7万2000円、医療費パソコンスクール2万3000円、借金返済2万円、光熱費1万5000円、携帯代1万円、医療費(DVの影響で精神科へ通っているため)5000円を支払うと、6万5000円しか残らない。仕事で疲れ果てるので外食が多くなる。なんの無駄使いをしなくても、おカネが足りない。

「休日にテレアポのバイトを試してみたけど、疲れるし、稼げないしダメでした。それで数カ月前、サイトで仕事を探していたら人妻風俗ってあるのを見つけて、悩んだけどやってみようって応募しました」

佐伯さんは年収300万円。女性の平均年収276万円(国税庁平成27年分民間給与実態統計調査結果より)より若干高い。元夫も含めた性体験人数は5人で、最終学歴は大学卒、今までに風俗や水商売経験はない。どこにでもいる普通の女性といえる。

日本は高齢者優遇や雇用政策の影響で晩婚化が進み、離婚も増えている。現在、働く時間の融通が利く性風俗は、彼女のような普通に働いても普通に暮らせない女性を続々と飲み込んでいる。風俗嬢の8〜9割は正業を持つ女性のアルバイトと言われていて、その多くは佐伯さんのような一般女性なのだ。

「人妻デリヘルですね。指定されたラブホテルに行って、水着とかナースとかセーラー服とかコスチュームの指定があって、男性がシャワー浴びている間にコスチュームに着替えて待つ、みたいな。基本的にもう相手の好きなようにさせています。店長に“未経験だったら相手に任せて、ダメなことはダメって言っていいよ”って言われているので、そのとおりにしています」

彼女は現在、休日のたびに風俗店に出勤して、見知らぬ男性たちと性的類似行為を繰り返している。風俗で稼いだおカネをメモしていた。見せてもらう。4月2日23500円、4月5日22500円、4月11日20500円、4月14日14500円、4月18日22500円、4月26日23500円。4月は12万7000円を稼いでいる。佐伯さんは、なぜか風俗の話になってから表情は明るい。

「本業と違って、風俗は自分が頑張っただけ、明確に収入が増えるのでやりがいはあります。派遣販売員はどんなに自分が、自分たちのコーナーでいちばんの成績を取ったとしても、1円の還元もない。派遣なので昇進も、人脈が広がることはない。ただただ社員に怒られないで、明日も仕事ができるってだけ。そういう意味では、風俗は自分が評価される。楽しいです。勤めているお店は働いている女性が多い。いつも待機所に人が入りきらないくらい女性がいます。みんな普通の女性ですね」

750チバQ:2017/07/13(木) 19:46:50
仕事をしながら働けるのは風俗だけ

現在の収入は、手取り21万円に風俗で稼いだ12万円を加え、月33万円。休日を潰して風俗バイトに勤しみ、性的行為を繰り返して、ようやく男性の平均賃金(520万5000円、国税庁平成27年分民間給与実態統計調査結果より)に近づくという計算だ。

「結婚生活のとき、本当に男女が不平等だと思いました。これから独りで生きていくとなると、女性に与えられる賃金では生活はできません。雇用の保証もないし、何度も絶望的な気分になりました。仕事をしながら働けるのは風俗だけだし、風俗はずっと続けようと思っています」

佐伯さんは、童顔で清楚でかわいらしい。とても30歳には見えない。職場ではまじめなベテラン販売員で通っているようで、風俗勤めをしているとは誰も夢にも思わない。

卑猥な単語が重なる風俗店のプロフィールを、もう一度見せてもらう。「若くかわいらしい若妻、正真正銘の素人さんです。美形でお色気も満点!すぐに吸い付きたくなるようなプルンとしたオッパイはたまりません!!スタイル抜群で甘えん坊♪♪」と書いてあった。

経済的な行き詰まりは、すぐに風俗の女性たちの傾向に現れる。もう10年ほど前から、裸の世界は彼女のような普通の女性ばかりだ。女性の平均年収を稼ぐ佐伯さんが、生活に苦境に感じて風俗で働く――その現実は、現在の日本の苦しい状況を写し出す鏡といえる。

751チバQ:2017/07/13(木) 19:48:05
http://toyokeizai.net/articles/-/166937
一流大卒「官僚の元妻」が貧困に苦しむワケ
15年前の離婚を機に転落が始まった
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2017年05月25日
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、一流大学卒でキャリア官僚元夫人という経歴をもつ55歳の女性。彼女は離婚を機に貧困に陥った。



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「人生、何もかも、うまくいきません……」

東京下町。植草紀子さん(仮名、55歳)は、待ち合わせ場所で顔を合わせるなり、深いため息をつく。表情は疲れ、「美容院に行くおカネがない」ので毛髪はボサボサ。白髪が多く、年齢よりも老けて見える。15年前に離婚、それから転落の一途をたどっているという。

近くに生活する部屋があるというので、見せてもらう。数分歩き、商店街の外れにある小さな学習塾で立ち止まる。建物は木造。小中学生向けの小さな学習塾の中に入り、教室を通り抜け、はしごを上る。なんと学習塾の屋根裏に6畳ほどのスペースがあり、現在、そこに居住しているという。きれいに整頓されているが、狭すぎて満足に生活できる空間ではなかった。高さは女性がギリギリ立てる程度の160センチほど。さらに屋根の形に沿って傾斜している。

違法建築の「屋根裏」に住む

「学習塾の経営者とたまたま知り合いで、塾の手伝いをすることを条件に住まわせてもらっています。2年前、妹の家を追い出されて路頭に迷っているとき、助けてもらいました。屋根裏の部屋は違法建築、出入口ははしごだけ。天井の斜めに沿って足を向ければ、眠れます」

元夫は、なんとキャリア官僚。離婚前までは世帯年収2000万円を超える富裕層で、長年、海外に赴任していた。部屋に昔の写真があった。色あせた紙焼き写真には、きれいに化粧して着物やドレス姿で華やかに着飾る30代の植草さんの姿があった。

華やかなドレスを着ていた植草さんが違法建築の屋根裏に住んでいることのギャップに驚く。明らかに普通の生活を送れていない植草さんは、本人が言うように本当に「転落」していた。

「今がどん底の状態です。今月も電気代とガス代を払えませんでした。ガスはカセットボンベがあるので、何とかなりますが、情けないです。生活は本当に苦しい。それに苦しさは、誰にも話せない。友達だとどうしても同情されてしまうし、同情されても何も解決になりませんし」

外見は疲れていたが、仕草やしゃべり口調に当時を思わせる育ちのいい品性を感じる。

ビジネスホテルの夜勤と学習塾のダブルワーク

今年1月までビジネスホテルの夜勤と、居候する学習塾でのダブルワークをしていた。夜勤は最低賃金に近い給与で、夜10時〜朝8時勤務で日給1万円程度。週3日で12万円ほどになった。もうひとつの学習塾は学生講師の欠勤の穴埋めや清掃をして、平均して月7万円程度を稼いだ。しかし、3カ月前にビジネスホテルに退職を説得されて仕事を失う。理由は夜勤に若い女性が入職したこと。収入は月7万円のみになり、現在は経済的に窮地に陥る。月々の電気代もまともに支払えなくなった。

「電気が使えないと、屋根裏の部屋は真っ暗。小さな窓がひとつだけで、もう本当に暗闇です。情けなくなります。私の人生、どうしてこんなことになったのだろうって。自分自身ではそこまで転落した理由が、わからないのです。気づいたら転がり落ちて、真っ暗な部屋にいました。ホテルを辞めさせられてからは、食べ物も満足に買うおカネがない。食べないと生きていけないので、閉店間際にスーパーに行って、安くなった食べ物を1日1食とか。ガスボンベを使って野菜を煮るとかしています」

年収換算すると84万円しかない。家賃がかからなくとも、最低限の生活すらできようがない。電気を止められると、暗闇に近い冷暖房のない部屋で何日も過ごす。冬になると凍えそうになり、毛布をかぶって朝を待つ。

生命の危機を感じて、一刻も早く仕事を見つけなくてはと思った。ビジネスホテルの仕事を失ってから3カ月、ハローワークやフリーペーパーで求人情報を探し、手当たり次第に応募している。

752チバQ:2017/07/13(木) 19:48:33
「これ見てください。全部、不採用の通知です。メールもたくさんです」

テーブルの下にА4サイズの書類の山があった。本当にすべてが不採用通知で、メールと合わせると50社は超えていた。履歴は華麗だ。都内にある偏差値70を超える超一流大学を卒業、上場企業に就職。そして、結婚して夫の海外赴任を機に退職する。資格は英検1級。職探しの面接では、そのままの履歴書を提出している。

「最初は得意の英語を生かせる仕事をしたいという希望がありましたが、そんな仕事はありません。だいぶ前にあきらめました。だからホテルの日勤夜勤、近所のスーパーのレジ、コンビニの夜勤、働ければなんでもいいです。でも、全部断られました。本当に全部が全部不採用。年齢以外の理由は、わかりません。もうこのまま死ねってことかもしれません。絶対に採用を断らない風俗店が鶯谷にあるみたいで、最近はそこに応募するか真剣に悩んでいるくらいです」

真剣に「風俗」と言っているので、55歳で風俗嬢になっても何も解決しないことを伝えた。おカネにならない。「……そうですか」とため息をついていた。

「結局、私が積んできたキャリアは、元夫と結婚して海外に行っている間に、ないも同然になったということです。その現実は自覚しているので、キャリアがどうこうより、生きていくおカネを稼ぐ、今望んでいるのはそれだけです。時給換算して、何時間働けば月にいくらになる、来月も生きていけるという安定が欲しい。英検1級すごいね、〇〇大学卒すごいねって言われても、まったく仕事がないので意味ありません」

小さな窓がひとつしかない学習塾の屋根裏に、明日がまったく見えない中年女性の厳しい現実があった。

屋根裏部屋は狭く、暑い。換気もできないので、複数の人間が長居できる場所ではなかった。駅前に戻り、どうして苦しい現状を迎えることになったのか聞く。

「本当に甘やかされて育ちました。バブルでしたし。父親は大企業勤めで、おカネはあって、ピアノが欲しいって言ったら翌日ピアノがあったり。大学も“おまえにぴったりの大学がある”と父親が言うので、そこに進学しました」

同級生の彼氏がキャリア官僚に

大学で同じクラスにいたのが元夫だった。在学中から付き合う。卒業後、彼女は外資系の民間企業に就職、元夫は中央官庁のキャリア官僚となった。結婚し、28歳のときに長女、32歳のときに長男を出産する。海外赴任が決まり、会社を辞めた。

「向こうは家賃が高くて月80万円ほどしました。ただし海外赴任は家賃も含めて手当がたくさんつくので、年収2000万〜2500万円くらいだったと思います。夫婦関係がおかしくなったのは、私の母親ががんになってからです。日本と赴任先を行き来するようになって、私は家庭が不穏になっても母親の看病を優先しました。それで元夫の心が離れちゃったのです」

がんの母親のために何でもしようと、医師が勧める先端医療を全部母親に施した。医療費は極めて高く、2年間で1000万〜1500万円ほどを母親につぎ込んだという。

「全部、夫のおカネです。最初は“手術どうだった?”って心配してくれたけど、だんだん“もう、戻ってきてもいいんじゃないの”って。そのときは、母に何でもしてあげたくてたくさんおカネを使いました。最先端医療と言われるものも試しましたし。夫に甘えて母親の治療をやりすぎて、家庭も二の次にして、最終的に離婚したいと言われました。40歳のときです」

753チバQ:2017/07/13(木) 19:48:56
いくらおカネをつぎ込んでも、がんは進行するばかりだった。最初は見守っていた元夫も、やがて「人間はあきらめることも大切」と言うようになった。それでも夫の元に戻らずに治療を続けた。あらゆる手段を尽くしたが、母親は亡くなった。夫婦仲は戻ることはなく、数カ月後に離婚届けにハンコを押した。

長女は父親と海外に残り、長男は植草さんと帰国して日本で暮らすことになった。日本でシングルマザー生活が始まった。

「前にいた会社の社長がいい人で、戻っていいってことになりました。でも出戻ると、昔と状況が全然変わっていた。とにかく長時間労働で、朝から終電が当たり前。2年間くらい続けましたが、まだ小学生だった長男が“どうして帰って来ないの”“どうして僕ひとりなの”という状態になってしまって、会社は辞めました。家庭の事情を考慮してほしい、ということを言える雰囲気ではありませんでした」

受験戦争に勝って一流大学を卒業し、社会人としても得意の英語を武器に結果を残した。海外経験もあり、それなりに仕事はできる自負はあった。夫に離婚を切り出されたとき、自分ひとりでも働いて長男を育てることができると思った。最初は何も不安はなかった。

東京で家賃8万円の部屋を借り、長男と2人暮らしを始めた。手取り26万円程度の給与に児童扶養手当4万2000円、夫からの養育費月7万円。経済的に困ることはなかった。しかし、子育てと両立できず退社。それから深刻な貧乏、そして貧困が始まる。

英語を生かせる仕事は「学習塾」だけ

「40歳過ぎて正社員の仕事はまったくありません。英語を生かせる仕事は学習塾しかありませんでした。学習塾で講師をするようになって、年収は3分の1くらい。それから生活するおカネが足りなくなりました。小学校の給食費が払えなくて頻繁に小学校に呼びだされたり、家賃を滞納したり。子供の頃から貧乏の経験はないから、おカネがないという生活は初めてです。どうしていいかわかりませんでした」

学習塾は1コマ1500円程度の収入。頑張って働いても月10万円ほどしか稼げない。毎月数万円が日常的に足りなくなった。

「家賃が払えなくなって、追い出された。長男が中学2年のときから妹夫婦と私と長男で一緒に暮らし始めました。月15万円の一軒家で、私は5万円を負担して食費はそのたびみたいな共同生活です。しばらくは普通に暮らしましたけど、長男が公立高校に落ちて私立高校に進学したのです。同時期に元夫から日本に戻って収入が減るから養育費を減らしてほしいと言われて、家計は本当に苦しくなりました」

私立高校の学費は入学時100万円の納入を求められて、授業料は毎月4万円ほど。養育費が7万円から4万円に減り、しばらくすると元夫からの振り込みはなくなった。長男の高校進学から本格的に生活費に困るようになった。入学金は海外時代に持っていたブランドバッグや、母親の形見の宝石を売ってなんとか切り抜けた。しかし、その後に悲劇があった。

754チバQ:2017/07/13(木) 19:49:14
「カードを不正に使用される詐欺のような被害に遭い、借金を背負ってしまった。本格的におカネが足りなくなって、毎月何万円かを妹から借りるようになった。それで姉妹関係はおかしくなりました。最終的にはもう一緒には暮らせないということになって、長男の卒業と同時に追い出されました」

長男は奨学金を借りて、地方の私立大学に進学する。学習塾時代の経営者に家のない苦境を相談したら、屋根裏のスペースを提供してくれた。3年半前のことだ。

長男は親元を離れて大学近くのシェアハウスで生活する。長男が大学に入学してからしばらくした頃、成績が悪かった。執拗に注意をしたら「もう、俺にいっさいかまわないでくれ」と絶縁を突き付きられた。長男とはそれから2年半、会っていない。連絡先も住所もわからないという。日本に戻ってきた長女とも久しぶりに会ったが、弟のことで口げんかになり「親と認めてないから」と突き放された。

「屋根裏で暮らすようになってから、年に数回、電気が止まります。真っ暗なところで自分を振り返るのですが、いったい自分の人生ってなんだったんだろうって、いつも思います。家族は崩壊して、子供にも姉妹にも見放されて、レジ打ちの仕事すらさせてもらえない。こんな生活がこれからずっと続くと思うと、気が滅入ります」

話は終わった。一筋の希望すらない厳しい現状があった。

働く意欲はあっても仕事はない

「屋根裏の生活はツラい。狭くて満足に立ち上がれなくて、冷暖房のない暑いし寒いという生活は、私も人間なのでツラいです」

最低限の生活を送れていない。母親のがんの治療に執拗にこだわったことがきっかけで自分の家庭が崩壊し、最終的には仲がよかった妹にも、懸命に育てた長男にも見放された。

「苦しくても、誰も助けてくれない。それに屋根裏から抜け出したくて、どんなに働く意欲があってもどこにも仕事はない。海外にいるときは、20万円を稼ぐのがこんなに大変なこととは思いませんでした。今は1週間後の想像すらできません」

現在進行形でパートを断られ続けている。一昨日もファミリーレストランから不採用の通知があった。

「学習塾は私が住み込み、講師のピンチヒッターや清掃をしているから都合がいい部分もあります。ですから、外に出て普通の暮らしをしたらクビになるかもしれません。若い頃からそれなりに一生懸命勉強して、成果も残した。社会人になってからも、頑張っていました。日本は専業主婦を経験した女性やシングル家庭に厳しすぎます。最低限の暮らしもできないのですから」

最後、小さな声でそう言っていた。家族を失い、キャリアを誰にも認められず、とにかく苦しい。経済的に追い詰められて、自分自身から表情が失われていくのがわかる。最後に少額だが謝礼を渡すと「これで電気代が払えます」と、今日初めて笑顔を見せてくれた。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

755チバQ:2017/07/13(木) 19:50:10
http://toyokeizai.net/articles/-/166937
売春で学費を稼ぐ貧困女子大生の悲しい現実
カラダを売らないと学生生活を維持できない
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2017年04月12日
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、児童養護施設育ちで私立大学に通う20歳の女性。彼女は売春で学費と生活費を賄っている。


東京・池袋。中堅私立大学の夜間部に通う、菅野舞さん(仮名、20歳)と待ち合わせた。文化系サークルに所属し、昼間は中小企業でデータ入力のアルバイトをする。アルバイトは時給1000円だ。後期試験が終わった晩冬は、稼ぎ時となる。いつものように夕方までアルバイトし、さらに20時からお小遣いをくれる中年男性に会う。

「その男性に合わせるからわからないですけど、たぶんエッチもすると思いますよ」


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彼女は当たり前のように、そう言う。風貌は茶髪、地味な服装で、どこにでもいる普通の女子大生だ。大学近くの家賃7万円のアパートに1人暮らし。親はいない。児童養護施設育ちで仕送りはなく、どうしてもおカネは足りない。悩んだ末に大学1年春から性風俗、そして2年から特定の中年男性を相手に売春する。

「仕送り」額は減少を続けている

彼女は今年1月25日にアップされた記事(21歳医大生が「売春」にまで手を染めた事情)を読んで、われわれに連絡をしている。

「あの医大生の女の子の記事に対して非現実的、ウソみたいなコメントがたくさんあった。私もそうですけど、今の大学生とか若い子たちの中では、効率的におカネを稼ぐ、稼がざるえないって環境って普通にあることじゃないですか。全然、特別なことではない。だから、私も今の状況を話したら、作り話とか言われるのかなとか。そういう興味で連絡しました」

現在、私大生の貧困は深刻だ。全学生の51.3%(平成26年度学生生活調査)が奨学金を借り、親からの仕送り額は減少を続ける。自宅外学生の親の仕送り額は、1994年の12万4900円から2016年には8万5700円と減少し(東京私大教連調べ)、仕送り額から家賃を引いた平均生活費は1日当たり790円となっている。

親元を離れる地方出身の大学生、特に私大生はアルバイトをしないと生活どころか、生きていけない状況なのだ。そのような厳しい状況の中で、親世代の世帯収入は下がり続け、学費の上昇は続き、授業の出席は厳しい。経済的に追い込まれている大学生を理不尽に使うブラックバイトが大問題となっている。現在の大学生には、“レジャーランド”と揶揄されたかつてのように遊びほうける余裕はない。

「詳しくはないですけど、コメントされている方々の時代は恵まれていたんですよね。だから、学生が風俗に身を落とす意味がわからないというか。風俗で働いていると、中年のお客さんですごく見下してくる人は多い。“どうして、こんな仕事をするの? ブランド物が欲しいの?”みたいな。そんなのおカネのために決まっているじゃないですか。わからないなら、わからないで別にいいし、理解してほしいとも思わない。けど、違和感はありますよね」

菅野さんには、親はいない。仕送りはゼロ円だ。大学を卒業するためには、4年間の学費と生活費のすべてを自分で稼がなければならない。高校2年生のときに進学を決意して、アルバイトをして貯金した。高校と児童相談所の反対を押し切って、上京。受験して、進学した。夜間部を選んだのは授業料が安いからだ。

756チバQ:2017/07/13(木) 19:51:03
入学してすぐに風俗に行った

一般的な大学生が時給アルバイトで稼げるのは、せいぜい月10万円が限界だ。菅野さんの収入は奨学金と合わせて月16万4000円、家賃を支払ったら残るのは9万円程度。そこから携帯、光熱費、交通費、食費を支払えば、おカネはほとんどなくなる。親のいない彼女は、さらに学費がかかる。

「アルバイトだけでギリギリの生活はできます。けど、どうしても学費が払えない。それは高校生の頃からわかっていたことなので、1年生の春には風俗に行きました。池袋のデリヘルです。1本1万円の店で、出勤は週1日くらい。稼げるのは月6万〜10万円程度かな。風俗で稼いだおカネは、全部貯金して学費にしました」

地元は地方。経済的に無理して上京、進学した。それなりに覚悟があったので、18歳で風俗嬢になっている。その事実を淡々と語るが、知らない男性に性的サービスをする風俗の仕事は精神的に厳しいという。

「1日出勤するだけで精神的にきます。もう、次の日は動けなくなるほど、疲れる。割に合わないです。やっぱり後ろめたさがあって、おカネのためだから仕方ないとか、売れるもの売って何が悪いっていう言い分もあるけど、やっぱり社会的に認められていない一面が居づらくさせるというか。知らない男性を相手に、こういうことしなくちゃ自分は生きていけないって現実が苦しい。あと、カラダが痛い」

デリヘルが提供するサービスは疑似性行為である。知らない男性を相手に会話して愛撫され、欲望の的にされる。精神が削られるだけでなく、10代のまだ成長途上のカラダも疲弊したという。

「つかみ方がひどい人とか、あとヒゲでこすられて痛いとか。胸の上とかすれて、血が出たりすることもあって、すごく疲れるし、1日働いたら次の日はアルバイトに行くのがツライ。カラダを休めたいけど、そんな休んでいる時間はないし。それで、大学の友達からTwitterで男性を探す方法を教えてもらった。まあ、売春ですけど、今はSNSで男性を見つけておカネをもらっています」

この数年、Twitterで援助交際や売春相手を探すことがはやる。未成年の少女が手を染めるケースも後を絶たない。売春防止法違反の容疑で、不特定多数に売春を勧誘した未成年少女が逮捕される事件も起こっている。

「違法ってことは自覚しています。とりあえずTwitterで援助用のアカウントを作る。パパとかパパ活とか援助とか、そういうタグをつけてつぶやく。自然とフォロワーが増えて、どんどんダイレクトメッセージがくる。買いたいって。この人だったら大丈夫かなって人と会う。私だけじゃなくて、そういうアカウントは何千、何万ってありますよ。エッチするときは3万円以上欲しい。1年間くらいやって何人か定期的な人ができました。風俗よりも楽チンです」

彼女はTwitterで3つのアカウントを使い分ける。ひとつは本名で自分の大学名や所属を出す、もうひとつは風俗嬢の名前で愚痴をつぶやく。そして、もうひとつが援助用のアカウントだ。それぞれにまったくつながりはなく、書いている彼女以外には同一人物であることはわからない。

DMの文章を見て「相手」を選ぶ

「メッセージがきたら、言葉遣いをみる。文章がちゃんと書けているかって。普通の人を選びます。あとはおカネを稼ぐことだけが目的なので、10代とか20代前半の若い人は無視。若い人はおカネがないだろうし、値切られたり、恋愛みたいなことを求められるかもしれないから。知らないおじさんと会うのは、嫌だし、怖い。けど、仕方ないことです」

現在、特定の中年男性が3人いる。それぞれ求められる日数が違う。時間を見つけて待ち合わせをする。その日にセックスすれば3万円以上、食事だけならば5000円か1万円をもらう。大学2年以降はTwitter経由の援助交際と個人売春で、10万〜12万円を稼げるようになった。もらったおカネはそのまま学費用の普通預金口座に入金する。4月半ばまでに納入しなければならない数十万円は、もう貯まった。

日本学生支援機構の奨学金が「実質学生ローン」という批判を受けてから、彼女のように風俗や売春に手を染める女子大生はさらに増えている。経済的に追い詰められると稼ぐための手段は、その個人の属性や性格や趣向などを軽く超えてくる。たとえば、処女や彼氏との恋愛を大切にする普通の女子学生が風俗を選択し、普通の男子学生が違法なスカウトや詐欺の手伝いに走ったりする。

普通の女の子が生きるためにカラダを売る――日本の若者の貧困、そして世代間格差、男女格差は深刻だ。現在、風俗客はおカネを持つ層なので中流以上の中年男性がメインとなる。彼女は「違和感はある」とクビをかしげたが、恵まれた時代に育ってさまざまな恩恵を受けてきた中年男性が、学生生活維持のために裸になって必死に稼ぐ若い女の子に説教をしても、その言葉はむなしく響き、相手を傷つけるだけなのだ。

757チバQ:2017/07/13(木) 19:51:19

彼女は2歳から児童養護施設で育っている。両親は何かの理由で育児放棄し、一人娘を施設に入れた。20〜30人の小さな施設で、主に親から虐待された子どもが入所する。

「虐待の子が多い。ひねくれた子が入ってくるので、子ども同士のいがみ合いばかり。虐待された子はヒステリーを起こしやすいとか、怒りっぽかったり、やっぱり自分も殴る、蹴るって乱暴だったり。あと自傷行為。私は親の育児放棄なので、そういう子とはやっぱり自分は違うって感覚はありました。施設の子はほとんどうまく社会生活を送れていません。仕事に就けなかったり、続かなかったり。その日暮らしで転々としている人が多いですね」

菅野さんは小学校に上がった時点で、自分が普通の育ちでないことを知る。習い事ができない、誕生日やクリスマスに何も買ってもらえない、お年玉がもらえないなど、周りと違うことに悩んだ。自立しないと生きていけないことに高校時代に気づいた。高校を卒業したら、もう誰も助けてくれる人はいなくなる。高校1年のとき、児童相談所に里親制度を薦められて施設を出た。

「過保護で厳しかった。子どもが欲しかったけど、流産して子どもに恵まれなかった夫婦。家庭というのはこういうものとか教えられても響かなくて、気遣いとか助け合って生きるとか、まったくわからなかった。今まで自分だけのことをすればよかったのに、いきなりそんなこと言われてもという感じで。買い物とかしたことがないし、家事もわからないし、家電の使い方とかもわからない。いちいち“どうしてできないの?”って責められた。自分が全否定されたみたいな感覚でした」

里親からは生活や態度の隅々まで注意された。褒められることは何もなく、ストレスばかりがたまった。精神的に不安定になって、学校をさぼるようになった。菅野さんは髪の毛をかき上げて、耳を見せてくれる。耳たぶだけでなく、耳全体にピアスの穴が開いていた。

「自傷的なものです。耳にピアスの穴を開けて止まらなくなった。両耳だけだと15〜16くらいで、それと舌の裏の筋とかおへその周りとか。全部で30。ピアス用のニードルを買って、カラダに刺して開けるんですよ。深夜にやっていました。リストカットとか好きじゃなくて、ピアスの穴を開けて人に見せて怖がられたり、すごいとか言われたりして、ちょっと満たされたみたいな感じがありました」

里親とは家族になれない。高校2年のとき、東京の大学に進学すると決めた。児童相談所と高校の進路担当の先生は「無理です、働きなさい」と止めたが、聞かなかった。放課後近所のコンビニで働いて、稼いだおカネを全部貯金して進学と上京の費用にする。おカネを稼がないといけないので受験勉強の時間はそんなに割けない。国公立はあきらめて、私大夜間部を志望校にした。合格して、里親に丁重にあいさつをして上京した。2年前のことだ。

「もう誰も守ってくれない」という不安

「大学生になってからは、もう誰も守ってくれない。誰も知っている人がいない。全部自分でやらなきゃいけないし、健康をちょっと崩しただけで生きていけなくなる。プレッシャーはあるし、普通に精神的に厳しいです」

一番のプレッシャーはおカネのことだ。学費と上京の費用で、2年間のアルバイトで貯めた130万円はほぼなくなった。預金がほぼゼロから東京で学生生活が始まって、半年ごとに数十万円の学費の納入期限がある。家賃は7万円と高く、不安しかない。すぐに風俗嬢になった。知らない男性への性的サービスはできればやりたくないことだが、そんな自分の好き嫌いを言っているような状況ではない。

大学ではある文化系のサークルに入った。そこで知り合った同学年の男子学生と付き合うようになった。菅野さんはカバンからiPhoneを取り出した。画面を見せてくる。男性の名前が書いてあり、LINEで通話がつながっている。なぜか通話中だった。

758チバQ:2017/07/13(木) 19:51:44
「彼氏。1年前から一緒に暮らしていて、離れるときはずっと通話中。はい、共依存です。その人も父親にDVされた経験があって、似たような依存タイプで誰かに必要とされたいみたいな。ずっとつなぎっ放し、向こうがバイトしていたら、終わってからずっと会話する。家に一緒にいる以外は、つなげたまま。もう、ずっとそう。ちょっとでも離れると、自分が不安になっちゃって発作を起こしちゃうし」

自分のことを好きと言ってくれる男性に依存するようになったのは、東京で一人暮らしを始めてから。突然泣いたり、過呼吸が起こるようになった。彼氏と一緒にいるときだけ、不安定が収まる。安心ができる。

「風俗勤めは、すぐバレました。向こうが私の携帯を見た。共依存していると、お互い携帯を見るんですよね。風俗嬢は写メ日記を投稿するじゃないですか。それを見つかって話し合いになったけど、相手も学生だし、辞めたら生きていけなくなる。仕方ないって話して、相手もうつむいて何も言わないので、そのまま無視して働いています。私だって風俗とか売春しないで生きていきたい、でも、今はどう考えても無理です」

彼女がカラダを売ったおカネは、そのまま学費になっている。もし、給付型奨学金があれば、少し不安は取り除かれ、カラダを売らなくてもなんとか学生生活を送ることができる。

同じ境遇の人に「売春やれば」とは言えない

「でも、私みたいな親がいない人間は、たぶん“大学なんかに行くな!”ってコメントでたたかれますよね。たとえば、養護施設出身で大学に行きたいと言った子に、じゃあ、あなたも売春やれば?とか言えないじゃないですか。その子がどうすればおカネを工面して、学費を積み立てられるかを考えたとき、とても自分がやっていることは勧められない。やっぱり給付型の奨学金があればいいのに、とは思いますよ」

大学奨学金が社会問題になり、返済不要の給付型奨学金の必要性が叫ばれた。安倍政権は2017年度から給付型奨学金を新設したが、予算はわずか70億円だった。

カラダを売らないと学生生活を維持できない苦境にいる女子大生は、彼女だけではない。その苦しい状況は、まだしばらく続きそうだ。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

759チバQ:2017/07/13(木) 19:52:45
http://toyokeizai.net/articles/-/163061
シングル母は「介護業界」にズタズタにされた
「唯一正社員で働ける業界」のはずが…
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2017年03月24日
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。今回紹介するのは、介護業界を渡り歩いてきた、東京多摩地区の団地で暮らすシングルマザーだ。



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東京多摩地区のベッドタウン。駅からバスで坂道を上ると、大きな団地群が見える。篠崎千尋さん(46歳、仮名)はシングルマザー、一角にある団地の最上階で家族と暮らす。決して狭くはない2DK。笑顔で部屋に迎えてくれたが、表情は若干引きつり、正常な状態ではないことはすぐにわかった。

さっそくDV体質だった元夫が暴れて空けた壁と冷蔵庫の穴、勤めている介護事業所からの給与不払いを宣言する内容証明、重度ストレス反応と書かれた診断書を見せてくれる。貧困に加えて、さまざまな不穏が重なって追いつめられた状態だった。整理して順番に話を聞くことにする。

「子どもの年玉を使ってから出直せ」

「先月1月10日まで東京都世田谷区の訪問介護に勤めていました。で、1月25日に給与が支払われなかった。催促したら給与を払わないって。おカネは本当にギリギリ、ずっと綱渡りみたいな生活なのでパニックです。それに重度ストレス反応って診断も出て、働くことはしばらく止められています。仮に今から仕事を探しても、どうしても今月と来月の生活は乗り切れない」

つい1週間前。わらにもすがる思いで、生活保護の申請のために福祉事務所に行っている。

「たまたま4カ月分の児童育成手当が出たばかりでした。“育成手当、それに子どものお年玉も、全部使ってから出直すように”と追い返されました」

現在、収入は児童扶養手当月5万2330円と児童手当月2万円、児童育成手当月2万7000円。それに元夫からの養育費6万円。合わせて15万9330円。それに、手取り月12万円ほどの給与を予定していた。介護事業所の通告によって突然12万円が入ってこなくなり、一家は混乱状態になっていた。当たり前だが、給与の不払いは完全に違法である。

「本当にどうしていいか、わかりません。いろいろなことが、あまりにひどすぎます」

現在、預金残高は10万円ほど。おカネがなくなったからといって、生活保護制度が使えるかわからない。育ち盛りの子ども2人を抱え、混乱する彼女の表情は青ざめていた。

「その訪問介護は2カ月で辞めました。何もかもが異常でした。雇用契約書を5回も6回も書かされたり、契約書の金額と給与が違ったり、メチャクチャ。あと事業所のパソコンは個人情報があるので、絶対にエロサイトとか見ちゃダメじゃないですか。女の管理者とその内縁の夫で運営していて、男のほうが1日中エロサイト見ている。私が“やめたほうがいい”って何度言ってもダメ。書類も請求もヘルパーも私ひとりでやらされて、とても続けられないと思った」

760チバQ:2017/07/13(木) 19:53:11
実態のない勤務表などを作らされた

2000年4月に介護保険制度が始まり、公的機関が担っていた介護が民間に委譲された。特に訪問介護、通所介護の在宅分野の認可基準は極めて低く、介護とはまったく関係ない零細事業者の参入が激増した。素人が高齢者の命を預かる介護事業所を、順調に運営できるケースは少ない。

昨年10月から勤めた訪問介護事業所は、新規参入で立ち上げから数カ月、婚姻関係のない中年カップルが運営していた。介護経験者である篠崎さんに実務を全部押しつける、というマネジメントだった。素人が介護事業所に手を出すと、まず介護保険請求や行政から求められる複雑な書類整備に混乱する。書類に追われて現場の介護がおろそかになる。そして不正請求や虐待、違法労働の温床に、という負の連鎖が起こりがちだ。

「介護だけではなくて、ケアプランの作成から請求まで全部。実際はサービスしていないのに、生活保護受給者にサービスしたという書類を作らされました。あと実態のない勤務表とか。勤務表は常勤7人にしてくれって、知らない人の名前を教えられた。実際に事業所で働いているのはその2人と私の3人だけ、おかしいなって。おそらく訪問介護事業所としての申請から国保連への請求まで、全部不正ってことです。公金詐欺に加担したくないのも、すぐに辞めた理由でした」

書類と請求を担当した彼女の話によると、その訪問介護事業所は人員基準違反に加えて、家族がいない生活保護受給者で不正請求を繰り返したようだ。生活保護の単身世帯は、まずキーパーソンがいない。多くの利用者は、介護事業所が求めればハンコを押す。本人が理解していないので、架空のサービスでも保険請求ができる。介護報酬の50%は国、都道府県、市区町村の税金だ。このように不正する介護事業所に、税金が無限に垂れ流される現実がある。

「辞表を出しても、断固として“辞めさせない”って。脅しみたいに言ってきたのも、常勤の私がいなくなったら誰もいない事業所になるから。それに介護保険だけじゃなくて、雇用系の助成金も不正受給しようとしていたみたいで、私に辞められたらダブルで困る。だから給与払わないって嫌がらせするし、いくら要求しても離職票をもらえない。籍が残ったままなので転職もできない。そんな詐欺のために、自分が利用されて生活がメチャクチャになるとか、本当に耐えられないです」

篠崎さんは崩壊状態の介護事業所に勤めたことでさらに精神状態が悪化し、離職票がないので職探しはできず、給与支払いを拒否されて経済的に追いつめられた。雇用契約書の控えが数枚あった。給与額がすべて異なる。1度だけ支払われた給与は、額面13万3000円。手当はない。東京都の最低賃金割れで、年収換算で159万6000円にしかならない。

「高齢者と介護の仕事は、好き。けど、介護の仕事をしてから、人生がおかしくなりました。負の連鎖がずっと続いています」

彼女は2度結婚に失敗している。10代でできちゃった結婚して、33歳で離婚。離婚理由は旦那の浮気とギャンブル、子どもが高校を卒業するまで毎月養育費はもらえた。離婚をキッカケにヘルパー2級を取得、13年前に大手有料老人ホームに非常勤介護職として入職する。

「介護を始めたキッカケは、子どもにちゃんとした姿を見せたかったから。安定する介護の現場で働いて、子どもをちゃんと育てようと思った。でも、介護がこんな危険な世界とは夢にも思わなかった。今回も含めていろいろな失敗をしています。本当にひどい業界です」

介護は深刻な人手不足が延々と続いている。リーマンショック以降、厚生労働省の雇用政策によって失業者が介護現場に誘導され、昨年からは法務省が主導する刑務所出所者を介護職にするプロジェクトも始まっている。介護保険によって素人経営者が集い、雇用政策によって社会から弾かれた人材が集められ、著しい質の劣化が進むのが現在の介護現場だ。

篠崎さんは有料老人ホームで頑張って介護をした。38歳のとき、同僚の年下の介護職と職場恋愛、妊娠する。再婚、出産となった。そのとき産まれたのが、現在小学3年生の子である。

761チバQ:2017/07/13(木) 19:53:34
「出産でホームは退職した。育児しながら、近くのスーパーで短時間のパートです。出産してから、旦那の浮気がすごくなった。介護の世界は不倫がすごくて、男も女も旦那がいようが奥さんがいようが、すぐ肉体関係になる。夜勤中にやっちゃったりとか。旦那が休憩中、職場の同僚とラブホテルに行っていることを人づてに聞いた。ホームの向かい側にラブホテルがあって、そこにホームの女の子と。不倫カップルは私が在職中も何十組も見たし、もうムチャクチャですよ」

介護現場の不倫は、どこでも耳にする話だ。特に24時間営業の居宅型の施設は時間が不規則、職員たちの生活は閉塞する。多くは家庭もうまくいかなくなる。つねに一緒にいるのは同じ施設の同僚で、ほかに出会いはない。閉じられた中で、恋愛関係になりやすいのだ。不倫で慰謝料を請求される可能性があることを知らない職員も多く、とにかく乱れた関係に走りやすい。

「ひどかったのは離婚調停中に、旦那とホームの男性職員たちとのハメ撮り写真交換が問題になったこと。休憩中に女性職員とラブホテルに行くのがホームの男性の中ではやって、ハメ撮り写真を撮ってメールで交換みたいなことをしていたみたい。ゲーム感覚で過熱して、最終的にひとり女の子が自殺未遂して騒ぎになった。人手不足だからそんな問題を起こしても、誰もクビにならない」

浮気が発覚してから夫がキレやすくなった

介護職の夫の浮気、不貞行為が発覚したのが結婚3年目。子どもが2歳のとき。そこから家庭での壮絶なDVが始まった。

「最初はメールを見ちゃった。夜な夜ななんかやっているので、見たら、女の子とお風呂に入っている裸の写真で。彼に聞いたら、浮気ってわかった。その子を連れてきて、と話をしたら逆切れ。“はあ? てめえ、俺が謝っているのに何様? てめえ、なんだよ、その態度”って始まった。子どもが小さかったから危険と思って、その場でやめたけど。そこから日々の暴力が始まった」

浮気が発覚してから夫はキレやすくなり、すぐに暴力を振るうようになった。成人した前夫との子どもが家に遊びにきたとき、夫が突然暴れたことがあった。

「なぜか私に暴力を振るいだした。子どもが“暴力はダメだよ”って夫に言った瞬間、沸騰して、子どもの髪の毛を引っ張って引きずりまわした。このタンスにガタガタ、ガタガタ頭をぶつけて、私がかぶさってかばっても暴力をやめない。子どもが警察に電話したら“てめえ、俺を警察に売りやがったな”って発狂して連続キック。でも最終的に、ベランダで泣いているんですよ。俺のことをわかってもらえないって」

夫のDVは、やがて保育園に行くようになった子へ向かった。子への暴力が止まらなくなり、そして彼女の精神状態もだんだんとおかしくなる。恐怖に支配されて、不眠が始まる。言葉使いやささいな仕草、家族の何かが気に食わないと、すぐに怒鳴って暴れた。

「子どもは保育園から小学校1年生まで、本当にずっと暴力をふるわれた。夫は体が大きくて、子どもを平気でフルスイングで殴る。殺される寸前みたいなことも何度もあった。理由は本当にささいなこと。薬を飲まなかったからとか。子どもってかわいがってくれると、親に寄っていくじゃないですか。けど、かわいがっていたかと思うと、突然怒鳴りだして殴るんです」

2DKの壁は所々に穴がある。すべて夫が暴れたときにできたものだ。夫は不貞行為が妻にバレた後も、職場でハメ撮り写真を収集、不貞行為ざんまいで、家に帰ると妻と子への暴力で気を晴らした。数年間、手に負えない状態が続いた。

762チバQ:2017/07/13(木) 19:53:57
離婚を申し出て、2年前に成立。夫はこの団地の部屋を出ていき、現在は隣の市のアパートで独り暮らしをする。離婚後、篠崎さんと2人の子は夫には会っていない。毎月6万円の養育費は、今のところ月末には振り込まれている。

殴られなくなると不安になる

暴力を振るう夫、父親がいなくなってから、さらなる不幸が始まった。子の様子がおかしくなり、不安定な状態になった。小学校でクラスメートとのケンカやトラブルが絶えなくなり、親からの苦情が殺到して、篠崎さんは現在進行形で学校に何度も呼び出されている。

「DVをされている間は、恐怖で支配されている。それがなくなると、逆に不安になる。悲惨な生活から平穏になって、なにかポッカリ穴が開いたような。私も似たような感覚がある。だから、子どものことがわかる。怒鳴られようがひっぱたかれようが、子どもにとっては、それが普通の生活だった。“殴られることはないんだよ”って環境になった途端、本当に不安になる。先生から頻繁に電話がかかってくるようになったのは、離婚してからすぐ。子どもはDVの影響で、人の気持ちがわからない。やり過ぎちゃう」

トラブルが頻繁に続き、副校長から「DVを受けた子どもは、将来的に性犯罪者になる確率が高い」とまで言われた。児童相談所に行け、特別学級がある学校に転校してほしいなど、学校はもうお手上げといった状態のようだ。

「テスト用紙にバカとか死ねとか書くとか。先生にひたすら暴言を吐くとか、そんな状態みたいです。私も精神科に行ったら、重度ストレス反応って診断。DVの影響で眠れなくなったことが原因で、子どもだけでなく、私もいろんな人とトラブルが絶えない。人間関係がうまくいかなくて。人のせいにしてはいけないけど……」

小学校の先生たちの辛辣な言葉は、彼女自身が先生との人間関係が悪化した末の状態のようだった。

離婚後、再び経験のある介護現場に戻った。非常勤で入職した特養老人ホームは1年半働いた。半年前、入浴介助で転倒しそうになった高齢者を支えたとき、左足を骨折して働けなくなった。労災をもらいながら実務者研修に通い、そのとき、同じ生徒だった前職の訪問介護の管理者に入職を誘われた。そして、不正請求を手伝わされた。

「今日いちばん言いたかったのは、介護事業所はもっとちゃんとしてほしいってこと。特別な能力のないシングルマザーが、唯一、社員として働ける可能性がある業種が介護だから」

圧倒的に女性が多い「介護業界」

介護職は女性の比率が70〜80%と、圧倒的に女性の職場だ。施設系介護職員の平均賃金は正規職で19万3016円、非正規で13万2221円(日本介護クラフトユニオン2015年3月調べ)と圧倒的に安く、シングルマザーたちのセーフティネットとなる反面、低賃金、違法労働を強いるなど、女性の貧困を牽引する業種となっている。

「私が被害に遭った事業所みたいなところを野放しにしていたら、また同じような境遇の女性が被害に遭う。シングルマザーは本当に大変なの、ほんの少しつまずいただけで生活できなくなる。だから介護現場が普通に働ける場所になってほしいんです」

篠崎さんは最後に強い言葉で、そう言う。介護保険がうまく機能しない介護業界の闇は深い。不正する訪問介護事業所を罰するためには、役所の介護保険担当が監査して、不正の証拠をつかまなければならない。数人がかりで準備、調査、結果を精査するので人員と時間がかかる。さらに不正請求や労働基準法を意図的に違反する事業者はもはや膨大で、キリがないのだ。

3時間くらいしゃべり続けただろうか。窓の外は暗くなり、子どもたちが学童から帰る時間だ。言いたいことを吐き出し、すっきりしたのか何度かお礼を言われた。バス停まで送ってくれて、「私には介護の仕事しかない、今度こそちゃんとした事業所を見つけて頑張る」と、笑顔で言っていた。

763チバQ:2017/07/13(木) 19:55:10
http://toyokeizai.net/articles/-/160604
不倫夫と別れた専業主婦が直面する「貧困」
子どもは小さい、手に職はない
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2017年03月03日
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。今回紹介するのは、2人の子どもがいるシングルマザー40歳。貯金がある彼女は現在は貧困ではないが、「貧困予備軍」だ。



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2人の子どもがいるバツイチシングルマザー渡邊真由美さん(仮名、40歳)の自宅に足を踏み入れた瞬間、不穏な雰囲気にゾッとした。カーテンが閉めっぱなしで薄暗く、家中の壁の所々に穴が開く。そして、リビングに飾られている何枚もの幸せそうな家族写真は、どれも色あせてホコリをかぶっていた。

「上の中学校3年生の子が引きこもりです。もう1年以上、この家から出ていません」

渡邊さんはあきらめきって苦笑をした。自宅は、東京から電車で1時間以上かかるベッドタウン。最寄り駅から20分以上歩くと、農地の奥に突然、華やかでヨーロピアンな住宅が建ち並ぶ。まるで遊園地のようだ。違和感があった。18年前に30棟以上の戸建てが強引に開発され、その1棟が彼女の自宅だった。

「見てのとおりです。うちはこのありさまで、荒れ果てています。うちだけじゃなくて、両隣も家庭崩壊みたいな状態。もう、狂いそうです」

20畳あるリビングには大理石のテーブルに大型テレビ。窓際にある昔の家族の写真。ホコリを払って眺める。ユニバーサルスタジオジャパン、京都、北海道、海水浴など、幸せそうな家族写真だ。どれも渡邊さんと恰幅のいい男性、真ん中に小さな子どもが笑顔で写る。

現在のところは貧困ではないが…

現在、渡邊さんは収入ゼロだ。月2万円の児童手当と月5万2330円(2016年7月までは4万7000円)の児童扶養手当だけが収入である。2年前の離婚のとき、旦那からこの自宅と高級車、600万円の養育費を一括でもらっている。

渡邊さんは切り崩す貯金があるので、現在のところ貧困ではない。しかし、完全に破綻した生活環境だ。小学校低学年の下の子は社交的な性格で、まだ取り返しのつかない家庭崩壊を理解していない。ひとりでも明るい家族がいることが、彼女の救いとなっている。

「元旦那は年収3000万円くらい。たまたまうちに所得証明みたいなものが送られて、年収は離婚してから知りました。義父が地元では有名な会社社長で、家族経営みたいな感じで旦那は役員。月の生活費は70万円くらいもらっていたので、ずっとおカネのことは考えないで普通に生活していました。元旦那には働くのは絶対ダメだって言われていて、結婚以来ずっと専業主婦です」

15年間、専業主婦を続けた。毎月おカネを預かって家事と育児、家族の日常を支えた。家族でいちばん早く起きて、朝食の準備をする。給食のない上の子のお弁当を作って会社と学校、幼稚園に送り出す。掃除、洗濯をして幼稚園に迎えに行き、夕飯の支度と後片付け、それに寝るまでの子どもの面倒をみていれば1日が終わってしまう。離婚するまで、そんな日々が続いた。

「専門学校を卒業して、すぐに結婚しているんです。旦那が見えっ張りな性格で、専業主婦でいてほしいという人。だから働いた経験はほとんどない。突然、離婚を突き付けられて、働けって言われても本当に難しい。下の子は小学校低学年だし、手に職もないし。本当に私、これからどうすればいいのでしょうか。それに子どもがいるから、働けるのはせいぜい9〜14時くらい。そんなんじゃ、パートも雇ってもらえなかった」

2年前に離婚したとき、それまでの余った生活費の貯金と旦那から一括でもらった養育費600万円が通帳にあった。2年間の生活費でその半分近くが減った。毎月減っていく残高を眺めながら、不安ばかりが膨らむ。このペースだと、あと2年でゼロになる。

「最近、怖くてパニックになる。旦那に専業主婦を強制されて、子どもの育児や家事をさせられて、揚げ句に向こうだけの都合で離婚されて30歳台後半で放り出された。それで先月40歳です。働きたくても仕事はないし、専業主婦だったから、何の仕事もできない。離婚してから自分は社会の誰にも必要とされてないし、死んだほうがいい邪魔な存在なのかなとか、よくそう思う」

764チバQ:2017/07/13(木) 19:55:39
減る預金通帳を眺めながら、日々焦る。家も車も維持できるのだろうか。家を売ればあと5年くらいは生きることができるだろうかとか。つねに気分は落ち込んでいる。

「2年前に離婚してから、ずっとそんな感じ。上の子は月に何度かは暴れて壁に穴が開くので、家もいつか壊れちゃう。子どもの部屋はゴミ屋敷みたいな感じで、昼夜逆転していて風呂も歯磨きもたまにしかしない。友達も1人もいなくて、学校もお手上げな感じで高校受験は無理。そんな子ども2人抱えて再婚なんて夢みたいな話だし、働くこともできないし、もうどうしていいのか……」

20代前半の女性と浮気、隠し子も…

ヨーロピアンな自宅は一歩踏み入れれば、不穏な雰囲気が広がる。富裕層の平穏な家庭が暗転したのは、離婚が原因だ。どうして、夫婦と家庭は破綻したのか。

「元旦那は6年くらい前から、20代前半のスナックの女と浮気していた。浮気どころか子どもも作って、家庭が2つある。今は不祥事を起こして会社もクビになって、義父も元旦那がどこにいるかわからないって。本当なのかわからないですけどね」

同じ市内にあるスナックを会社は接待でよく使っていた。元旦那はそこで働く20代前半の女性と恋愛し、やがて頻繁に外泊をするようになった。最初は「出張」という言葉を信じていたが、だんだんと疑うようになった。

「義父が6年前に都内に家を買って、それから“東京にいるから夕飯いらない”とか“大阪に出張”みたいなことが増えた。最初はそうかと思っていたけど、朝帰りが続いた。それまで出張なんてなかったのに、急にそんな感じになった。たまに香水のにおいがするとか、口紅がついていたとか。そんなことが増えて、疑って問いただすと“探偵でもなんでもつけろ!”みたいな恫喝。そこまで言うんだったらと、信用するしかなかった」

朝帰りは外泊になり、最終的には毎週のように金、土、日、月を出張と言って家を空けるようになった。3年前、社長である義父が孫の顔を見に来たとき、出張について尋ねた。会社の業務で出張は一度もないことを聞き、浮気が発覚した。

「浮気がバレてからいっさい帰ってこなくなった。2度、旦那がうちに戻って話し合った。旦那はひたすら離婚したい、離婚したいって。私はどうして?って、やり直そうよって何度も言ったけど、もう“別れたい、別れたい”の一点張り。最後の最後、2度目に戻って来たとき“実は子どもがいる。もう2歳”って。浮気したのは3年前、2歳の子どもがいた。妊娠期間含めたらすぐに子どもを作ったってことですよ。ちょっと、どうですか?」

渡邊さんの口調はエキサイトする。離婚が成立して3年間が経っても、到底、納得がいっていないようだ。

「言われて、びっくりしましたよ。えっ!って大声を上げた。そんな状態じゃ、もう、しょうがないじゃないですか。“じゃあ、私たち家族より、そっちの不倫女のほうを選ぶってこと?”って聞いたけど、“そうだね”だって。もういいやって。浮気相手の女は当時20歳ぐらい、今23歳じゃないですか。元旦那は当時、40代後半です」

4年前に浮気が発覚してから、元旦那が戻ってきたのはたった2度。3年前に離婚が成立してから、携帯はつながらなくなって電話の1本すらなくなった。渡邊さんと2人の子どもは、完全に捨てられた。

765チバQ:2017/07/13(木) 19:56:16
浮気するまでは、まじめな人だった

「浮気するまでは、まじめな普通の人だった。会社のため、社員のため、家族のために仕事していると思っていたのに。不倫して若い女と子どもを作って、二重生活していたなんて。まさかと思いました。当時は現実として理解することに精いっぱいだったし、今も正直信じられない。子どもたちには、まだ本当の理由は伝えていない。“何でパパ帰ってこないの?”って、今でも言う。特に上の子は執着心がすごくて、“パパはどうしたの? パパはどうしたの?”って。それで、またイライラして下の子にあたる」

上の子の異変が始まったのは小学校5年のとき。元旦那が帰ってこなくなった時期と重なる。年の離れた弟へのイジメ、学校での対人トラブルが絶えなくなった。

「上の子は本当にパパっ子だった。元旦那がいたときは怒られるのがこわいから、ブレーキが利いた。いなくなったら、もう好き放題。元旦那はたまにしか帰らなくても、言うこと聞かないと、もう髪の毛ガーッと持って引きずったり。怒る理由は下の子をしつこくイジメるから。嫌がらせばかり。5歳以上離れているのに、自分の機嫌が悪いと本当に徹底的にやる」

上の子は好きだった父親に捨てられた現実を、だんだんと理解した。中学生になって精神的に不安定になる。

「2年前。上の子が中学1年のとき、父親がいなくなったことや、ほかにいろいろ重なって神経性胃炎になり、学校を1週間休んだのがキッカケで、不登校が始まった。学校に行かせたくても、叫ぶし暴れるし、どうにもならなかったです。2学期から行かなくなって、2年生になったら行くって約束したけど、6月くらいにトラブル起こしてまた不登校。だから修学旅行も行ってないし、卒業アルバムにも載ってない」

精神科に行っても、何も好転しなかった。最近1年間、外に一歩も出ないで引きこもる。イライラしっぱなしで家の壁を蹴る、叫び声を上げるなど、状態は悪化の一途となっている。

「暴れても、力は私のほうがまだ強い。ご飯も大して食べないからカラダも小さいし、弱い下の子に当たり散らすだけ。私には歯向かってこない。いや、もう。私は早く自立して出て行ってくれぐらいの気持ち。でも学校すら行けない、外出すらできないのに、自立なんてしようがないですよね。社会に適応できない。普通に自立する妄想すらできない。もう、いろいろあきらめました……。だって、どうにもならないから」

766チバQ:2017/07/13(木) 19:56:31
「孫の面倒は一生みる」と言ってくれた義父も…


渡邊真由美さん(仮名、40歳)は「働きたくても仕事はない」と言う(写真:編集部)
別に家庭を作った元旦那は消えてしまった。同じ市内に住む資産家の義父も、離婚のとき「孫の面倒は一生みる」と言ってくれたが、上の子の深刻な状況を目の当たりにして近づかなくなった。渡邊さんは窮地に陥った現状に絶望し、これから生きることを半分あきらめてしまっている。

「惨めです。本当に惨め。元旦那とか義父とか見返してやりたいみたいな気持ちがあったから、引っ越しはしなかった。でも、もうダメ。すべてを忘れて、この街から出ようかなって」

朝、下の子を小学校に送り出し、昼近くになると引きこもる上の子がイライラして床をたたく。ドン、ドン、ドドドンという音が天井から聞こえてくると、渡邊さんはうんざりして外に出る。高級車でスーパーへ行き、買い物をして、娘が起き出す14時頃に自宅に戻る。

帰路はいつも足が重い。農地を越えてヨーロピアンな街並みが見えてくると、いつも気分が沈む。玄関を開けて、穴だらけの家に一歩入る。そして、深いため息をつく。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

767チバQ:2017/07/23(日) 18:25:49
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170723-00721413-jspa-life

ユニクロも高くて買えない正社員OL。「実家を出たとたん、生活苦に…」
7/23(日) 8:50配信 女子SPA!
ユニクロも高くて買えない正社員OL。「実家を出たとたん、生活苦に…」
写真はイメージです。
 貧困や賃金格差がニュースで報道されていますが、他人事だと感じている人も多いのではないでしょうか?

 ところが、何不自由なく暮らしていた人であっても、ちょっとしたきっかけで急に貧困状況に陥(おちい)ることもあるようです。詳しく話を聞いてみました。

「中小企業の一般事務として働き11年。なかなか昇給がなく、いまだに手取り月収15万円という厳しい収入ながらも、実家暮らしのためなんとかやってこれました。

 でも、家を出て一人暮らしをしなければならなくなった途端、想像以上に生活が苦しくなってしまって……」と話す、山中沙希さん(仮名・31歳・メーカー/未婚)。

◆母親の熟年再婚きっかけで家を出ることに

 家を出るキッカケとなったのは、母親の熟年再婚だったそうです。

「両親は私が高校生のときに離婚したのですが、『妻と娘が二人で暮らしている限りは無償』という条件で、父親名義のマンションにずっと暮らしていたんです。

 でも、母が再婚しマンションを出ることになったところ、『まだ値が付くうちにマンションを売りたいので、これを機に沙希もマンションを出てくれ』と言われてしまって。

 金銭的に余裕がないので私だけでもマンションに残りたかったのですが、もともとシビアな性格のうえ10年以上ろくに会話をしたこともない父親に甘えることなどできず、仕方のない状況でした」

◆手取り15万円で家賃6万5000円は高すぎた…

 山中さんが引っ越し先として選んだ場所は、勤務先まで電車で40分の郊外ターミナル駅。駅から20分ほど歩くアパートなら家賃6万5000円で1DKの部屋に住めるので、都内に住むよりずっとお得だと思ったとか。

「でも、いま考えれば手取り15万円で家賃6万5000円は高すぎですよね。もっと不便で狭くても、家賃4万円程度の部屋にすべきだったんでしょうが、これまで都内の広めのマンションで生活していたのでいきなり感覚を変えられなかったんです」

 実家暮らしのときは生活費を3万円入れているだけで、そのほかの固定費はスマホ代1万円くらい。贅沢はできずともオシャレも遊びも不自由を感じることなく楽しめていたそうですが……。

「いまは家賃6万5000円に加え水道光熱費とスマホ代で月に8万円以上は飛んで行ってしまうので、自由に使えるのは7万円弱。しかも、これまでは私が入れた生活費と母のパート代でやりくりしていた食費と日用品代も、全部自分で払うとけっこうかかってしまって。

 やれ米だ水だ洗剤だティッシュだと、節約しているつもりでも月に2〜3万円はなくなってしまいます。実家暮らしの頃は母がパート先のスーパーから食材をいろいろもらってきていたので、あれで得しているぶんも大きかったんだなぁと」

◆病気で将来が不安。豆苗を育てておかずに…

 そんな山中さんに追い打ちをかけるように、先日甲状腺の病気が発覚。生活に支障が出るほどの病状ではないものの、2週間おきの通院で月5000円〜1万円はかかってしまうとか。

「通院費も痛いですが、『もし悪化して働けなくなってしまったら』と思うと怖くて怖くて。通院費をのぞいても月に3万円程度は自由になるお金がありますが、少しでも貯金に回したいのでもう外食なんかできません。

 夜はほぼ自炊で、安いうえに2〜3回は再生できる豆苗にめちゃくちゃ助けられてます。食べた後の根と豆を水に付ければ1週間ぐらいでまた食べ頃に育つので、常時4〜5個は同時に育て、サラダや炒め物、みそ汁と何にでも使っていますね」

 また、これまで昼食は月の半分は同僚と1000円程度のランチ、もう半分は500円程度のコンビニご飯で済ませていたそうですが、いまは毎日お弁当だとか。

「中身は豆苗炒めなど夕飯の残り一品に卵焼き、ごましおご飯という毎日同じ質素な内容ですが、『病気になっちゃったから健康のために』というとみんな納得してくれるので助かっています」

768チバQ:2017/07/23(日) 18:26:08
◆洋服代は郊外型の大型古着屋で購入して節約

 そのほか、大幅に節約するようになったのが洋服代。

「以前は月に1〜2万円は洋服代にあてていましたが、いまは無理。プチプラと言われるユニクロすら手が出ないので、家の近くの古着屋で今年流行りの色やデザインの服を血まなこで探し買っています。

 郊外って、“ビンテージっぽい古着”ではないフツーの今風の服が一枚数百円で買える大型の古着屋があるんですよ。この点は郊外に引っ越してよかったですね」

◆もっと若いうちにスキルアップ転職しておけばと後悔

 ただ、このように頑張っても貯金できるのは月にせいぜい1〜2万円。もっと安い家に引っ越したくても先立つものがなく、不安で眠れない夜も少なくないとか。

「派遣のほうが月々の収入はよかったりするので転職も考えましたが、病気になってしまったし、やっぱり給料が安くても正社員の立場を手放すのは怖い。実家暮らしでなんとかなっていたからって、どうしてもっと若いうちにスキルアップ転職をしておかなかったんだろう……と後悔ばかりしています。

 しかも、病気の症状はまだ軽いのに、飲み会も『お酒は病気によくないから』と断り、お金がなくてネイルができないのも『病気で爪が弱ってるから』と言い訳し、何でもかんでも病気のせいにしているうちに鬱々としてきてしまって……。明るい未来を思い描けません」

 たまに母親を頼りたくなるけれど、再婚相手との生活を邪魔するのが申し訳なく頼れないという山中さん。なかなか厳しい状況のようです。

―お金がない…女の生活苦シリーズ vol.5―

<TEXT/丸本彩乃>

女子SPA!

769チバQ:2017/07/23(日) 18:26:52
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170722-01366308-sspa-soci
東京に流れ着いた貧困女子のリアル ネットで出会った男と駆け落ちした末に…
7/22(土) 8:50配信 週刊SPA!
東京に流れ着いた貧困女子のリアル ネットで出会った男と駆け落ちした末に…
※写真はイメージです
「ワーキングプア」や「ネットカフェ難民」という言葉が登場したのが約10年前のこと。その頃、少年少女だった今の「若者」たちは貧困という状況をより身近なものとして育った世代であり、そしてその問題は今、彼ら自身にも降りかかっている。「失われた20年」のなかで生まれ育った世代の苦悩を探った。

◆ネットで出会った男性と駆け落ちした末に……

 樋口美里さん(仮名・28歳)は昼は事務職、夜はスナック、土日はキャバクラという3つの仕事を掛け持ちしている。そんな彼女が東京にたどり着くまでの道は、まさに波瀾万丈だった。

「親とウマが合わず、二十歳のときに東北の実家を出て、ネットで知り合った彼と岡山県で暮らし始めました。でも彼は定職に就かず、私だけがバイトで働き詰めになって……その結果、過労で卵巣が破裂して鬱病も併発。長期入院することになったんです」

 その後、彼と別れた樋口さんは新たな男性に出会い、岡山県から遠く離れた神奈川県で再び同棲を開始。だが結婚も秒読みかと思われた矢先に破局してしまい、着いた先が現在暮らす女性限定シェアハウスだった。家賃は光熱費を含め4万50000円。10代から30代まで10人の女性が暮らしているが、住人同士の仲が悪く「四畳半の個室に寝に帰るだけの場所」だという。

「23時半までスナックで働いて帰るのは深夜なので、住民との会話もないですね。ほぼ毎日スナックの乾き物とビールを夕飯代わりにして食費も浮かせています。岡山時代の借金がまだ残っているし、一人暮らしの資金を貯めたいから。明日は土曜日なので、午後からキャバクラに出勤。昼職だけだと月15万円しか稼げないので」

 これだけ働いても月収が20万円を少し超えるくらいという厳しい生活だが「初めて自由に使えるお金ができたことがうれしい」と樋口さんは話す。取材当日に着てきたワンピースは、水商売の初給料で買ったものだという。

「同世代のコがオシャレを楽しんでいる20代前半に、自分は地獄みたいな生活だった。男は裏切るけど、お金は裏切らないです」

 苦しい生活ながら彼女はどこかふっきれた顔をしていた。

※写真はイメージです

取材・文/SPA!若者の貧困問題取材班

日刊SPA!

770名無しさん:2017/07/23(日) 18:48:02
当事者の自己責任で片付く話ばかりですね。

771チバQ:2017/07/29(土) 20:59:21
>>770
たしかに家賃が高額とか暮らし方を替えれば解決しそうな話もありますね

772とはずがたり:2017/07/30(日) 19:33:10
2017.07.26
早稲田大学で起こった「非常勤講師雇い止め紛争」その内幕
悲鳴を上げる大学雇用
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/3380-3384
田中 圭太郎 ジャーナリスト

773チバQ:2017/08/06(日) 17:51:28
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170805-01373977-sspa-soci
なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? “駅から徒歩7分以内か否か”で二極化する実態
8/5(土) 8:50配信 週刊SPA!
なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? “駅から徒歩7分以内か否か”で二極化する実態
時代に取り残されたかのような人けのなさ
これまであらゆる形態の貧困問題を見てきたSPA!だが、今回は貧困を生む“街”の構造を解き明かすべく取材を敢行。なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? そこから脱することは可能なのか? 住民の声とともに見ていきたい。

⇒多摩ニュータウン写真ルポ

◆日本全国の郊外で“富の二極化”が拡大

 週末にもかかわらず子供の姿さえ見当たらない無人の公園、人通りもまばらなうえ高齢者ばかりが目につく商店街、画一的に並んだ、空室の目立つ団地――。我々が訪れたのは、’70年代以降、首都圏で有数の新興住宅地として賑わいを見せた多摩ニュータウンの団地群。居住者の大半を占めた団塊世代の高齢化に対し、若い世代の流入は右肩下がり。“世代交代”が行われず、時代に取り残されたかのような物寂しい光景が広がっていた。

「こうしたケースは多摩ニュータウンに限った話ではなく、日本全国で起きつつある問題です。家を買う人も借りる人も絶対数が減っている今、活気があり富が集中するエリアと貧困が集中するエリアの“二極化”が進んでいるんです」

 そう語るのは、不動産コンサルタントの長嶋修氏だ。いわく、二極化の基準は“駅から徒歩7分以内か否か”なのだそう。

「多摩ニュータウンしかり、同じような問題を抱えて地価下落率がワーストとなった千葉県柏市の大室地区しかり、駅周辺は今でも大きなマンションが建ったりと活気があるんですよ。ですが2〜3km離れてバス移動が必須となると極端に人気がなくなり地価は下落する一方。ただでさえ空き家の増加が問題視されている今では、どうしても利便性の高い都心部、駅近の物件へと人口が集中します。こうした傾向が続けば、駅から距離のある郊外の住宅地はどこであれ、スラム化のリスクが高いんです」

 需要が減り、地価が下がると住宅価格や家賃も下落。そうなると新たに流入してくる若い世代はおのずと低所得者層ばかりとなり、その地域に貧困が集中する状態に陥ってしまうわけだ。

「いまや、田園調布のような高級住宅地も油断できない状況です。かつては富裕層が集まる街でしたが、車の送迎が前提じゃないと住めないためお金があっても若い層は寄り付きません。しかも最低敷地面積が定められているため、小さな家を建てられず、中流家庭も入ってきづらいんです」

 さらに、自治体の施策もこの二極化に拍車をかけているという。

「少子高齢化時代においては、自治体の税収はどうしても下がってしまいます。人がまばらにしか住んでいないエリアのためにインフラ施設を修繕・更新するのでは財政がもたなくなるため、コンパクトなエリアに住民を集めようと『居住誘導地域』を定め、そのエリアの開発に注力します。こうした『立地適正化計画』から外れた地域はインフラ修繕などが後回しになり、なかば放置されるように。結果的に、同じ生活圏であっても富裕層と貧困層の“二極化”が色濃くなっていくんです」

774チバQ:2017/08/06(日) 17:51:44
話を多摩ニュータウンに戻そう。この地域に36年住む田中明子さん(仮名・72歳)に話を伺った。

「ご近所さんは亡くなられる人も増えましたし、最近は別の棟で孤独死があったと聞きました。残ったお年寄りはみんな年金生活ですし、今さら出ていけない。ただ、ウチは4階ですがエレベーターがないから階段がツラくて……」

 続いて話を伺ったのは、商店街で買い物をしていた秋山正さん(仮名・36歳)。

「この団地で育ち、今は母親と二人暮らしです。緑は多いし団地内のスーパーで買い物もできるから生活しにくいってことはないんだけど、自分を含めリッチな人は住んでないですよね。新しく入ってくる家族もいますが、正直稼ぎが多そうには見えないし。言い方は悪いですが、新しい人はゴミ出しの仕方とかマナーが悪かったりね。あとはやっぱり建物が古いですよね。でも、建て替えはどうしても無理みたいで……」

 話を聞いた住民たちにはどこか諦観さえ感じられたが、こうした地域は黙ってスラム化するのを待つしかないのだろうか?

「北海道の下川町は人口3000人ほどの田舎ですが、バイオマス発電事業で公共機関の電気代や灯油代を大幅に削減し、浮いた費用を子育て支援に回すことで転入者が増えています。周辺地域の地価が大暴落するなか、昨年ついに下川町だけが下げ止まったんです。同じように千葉県流山市も住民の高齢化の進む街でしたが、駅の構内に子供を保育園まで送迎してくれる施設を造るなど、子育てしやすい街をアピールすることで最近は総人口が右肩上がりの状態です」

 自治体の方針で街の未来を変えることはできる。しかし、多くの地域は「地価の下落→低所得者の流入」という貧困のスパイラルから抜け出ることは困難なのだ。

【長嶋 修氏】

不動産コンサルタント。’67年生まれ。個人向け不動産コンサルを行うさくら事務所の代表取締役社長。近著『不動産格差』(日経プレミアシリーズ)が好評

― [新型貧困を生む街]潜入ルポ ―

775チバQ:2017/08/13(日) 15:04:55
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170811-01373978-sspa-soci
月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
8/11(金) 8:50配信 週刊SPA!
月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
(日刊SPA!)
これまであらゆる形態の貧困問題を見てきたSPA!だが、今回は貧困を生む“街”の構造を解き明かすべく取材を敢行。なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? そこから脱することは可能なのか? 住民の声とともに見ていきたい。

◆“新たなドヤ街”が都心の外縁部に出現

 労働者に日雇いの仕事を斡旋する「寄せ場」、日雇い労働者のための簡易宿泊施設が立ち並ぶ「ドヤ街」。過去の遺物のように思われがちなこれら地域だが、今も形を変えつつ残り続けているという。

 新宿駅近辺のネットカフェで出会ったのは田島明さん(仮名・30歳)。彼もすでに3か月以上家のない生活を続けている。

「友人とルームシェアをして家賃を折半していたのですが、彼が地元へ帰りひとり暮らしに。家賃の負担ができず、退去して新宿駅徒歩15分で月3万円のシェアハウスに転がり込みました。共用スペース以外はカプセルホテルの一室に近い寝床があるのみ。ただ、ほかの住民から嫌がらせを受けるようになり、2か月で退去。それ以降はネットカフェ生活です。仕事はずっと食品倉庫で働いています。同僚や上司には、家がないことがバレてないと思うんですが……。親を頼ろうにも、母が病気の自宅療養中で僕どころではありません」

 仕事が終わるのは20時頃。その後、ナイトパックが適用される22〜23時まで公園などで時間を潰し、今夜の寝床に入る。

「シェアハウス時代、自分の置かれた状況や寂しさで発狂しそうになっていましたが、今はこの生活にも慣れました。いつまでもこんな生活を続けたくないけど……少しずつ貯金するしかないですね」

 田島さんの月収は約13万円。そこから日々の宿泊費や通信費、生活費を差し引くと手元には毎月1万円が残るかどうかだという。NPO法人・もやい理事長の大西 連氏はこう語る。

「住まいを借りられるよう保証人になったり大家と交渉するなどの支援を我々も行っているのですが、こうした貧困は目に見えづらく、こちら側から積極的にサポートの声をかけにくいのが現状なんです」

 全労働人口における非正規雇用の割合は4割を超えたともいわれる昨今。今後も増加が続けば、それに比例するように“新たなドヤ街”が都心を取り巻くように増え続けていく可能性は高いだろう。

【大西 連氏】

もやい理事長。社会活動家。NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の理事長を務め、生活困窮者への支援のほか現場の声の発信に注力する

― [新型貧困を生む街]潜入ルポ ―

776名無しさん:2017/08/13(日) 18:45:28
東京ならスキル無しでも 寮付・月収13万以上の仕事なんて幾らでも見付かる。
深刻なのはそういう選択すら出来ない地方。

777チバQ:2017/08/16(水) 20:28:21
https://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/313647/
支援団体が「夜の世界白書」 風俗店勤め 限られる高収入 月12日で43万円 徐々に減少
2017年03月10日 14時33分

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 ●知られたくない 進む孤立化

 東京を拠点に、性風俗店で働く女性たちを支援する一般社団法人「Grow As People」(GAP、角間惇一郎代表理事)が、初の報告書「夜の世界白書」をまとめた。若いうちは高収入でも、年齢が上がると減少していくことや、職業が明らかになることを恐れ、孤立しがちな女性たちの姿が浮き彫りになった。

 調査は現状を把握して支援に生かす狙いで、2015年度にインターネット上で実施。女性がホテルなどで客と会う「デリバリーヘルス」といった関東の無店舗型風俗店などに勤める377人から有効回答を得た。

 実際に接客した実働日数と月収の全体の平均は、11・8日で43万995円。年齢別では18〜22歳が16日、81万9200円と最多で、43歳以上では7日で18万2千円と最も少なかった。

 風俗業を始めたきっかけ(複数回答)は生活費や学費、借金返済など金銭的な理由が延べ215人で最多。「仕事がない」(60人)「なんとなく」(47人)が続いた。「なんとなく」は27歳までが半数超、「仕事がない」は33歳以上が6割超を占めた。GAPは「20代でなんとなく始め、30代で他の仕事に移りにくくなり、40代になると収入が減っていくという姿が表れている」と指摘する。

 職業については「誰にも知られたくない」と答えた人が多く、仕事以外では外出を控え、家に閉じこもる傾向も強かったという。

    ★   ★

 GAPは全国の性風俗店で働く女性のトラブル処理や転職支援などに関わっている。

 九州北部の20代後半の女性からは、今年に入り相談メールが届いた。連絡を取ると、出産予定日が数日後に迫っていた。

 昨春から昼間の仕事と掛け持ちをしていて、店にも相手の男性にも妊娠の事実を「話せなかった」。GAPは店に連絡を取り事情を説明。出産後の行政手続きを含め、対応に奔走した。

 女性は「頼れる人がいなかった」と話し、支援に感謝しているという。

 転職支援では12年度以降、GAPを通じて37人が一般企業などに就職した。

 提携する関東のNPO法人でインターンとして働く20代後半の女性は高校卒業後、週3日ほど風俗店で働いていたが、昨夏「このままで大丈夫だろうか」と相談した。電話対応や資料整理などインターン先での経験を通じ「昼の仕事でもやっていけるかも」と自信がついてきたという。

 GAPへの相談はメール=info@growaspeople.org=で。

 ●セカンドキャリアは… 悩む「40歳の壁」 角間GAP代表理事に聞く

 GAPの活動について、代表理事の角間惇一郎さん(33)に聞いた。

 -支援のきっかけは。

 「2010年に風俗店のオーナーと知り合う機会があり、直後に大阪で(風俗店勤務の女性が子ども2人を餓死させた)事件が起きたことがきっかけ。何ができるか、実態を知るために風俗店で2年間働いた」

 -現場で見えたものは。

 「店で働く女性には他人に言えないことがあり、社会的に孤立しやすい。『男に殴られた』『借金でどうしようもなくなった』など、店にはトラブルの情報がある。その情報を行政や弁護士などにつなぐ支援ができると分かった」

 「抱える問題は人それぞれだが、引退する時が来るのは誰しも同じ。店でのキャリアは遅くても40歳ころには終わる。私たちは『40歳の壁』と呼ぶのですが、次の仕事、セカンドキャリアを支援することは活動の軸になると感じた」

 -活動して良かったと思うのは。

 「支援を続けるには、多くの人の関わりが必要。風俗店員やNPO、ボランティアと、いろんな立場で関わってくれる人が増えていくのはうれしい」


=2017/03/10付 西日本新聞朝刊=

778チバQ:2017/08/21(月) 19:52:48
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017080802000159.html
<脱 子どもの貧困>(上)「海水浴」の機会も調べよ 首都大学東京・阿部彩教授

2017年8月8日


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 子どもが、楽しい時間を過ごすはずの夏休み。近年は貧困問題が影を落とす。厚生労働省によると、二〇一五年時点の「子どもの貧困率」は13・9%で、過去最悪だった前回調査(一二年)より2・4ポイント改善したが、国際的にはなお高い水準だ。解決に向け、どのような取り組みが必要か、識者に聞いた。一回目は首都大学東京の阿部彩教授。親の所得だけでなく、「海水浴」などの指標を設け、子どもが経験する機会が奪われていないかにも目を凝らすべきと説く。
 「子どもの貧困率」が2・4ポイント減少したことは大きい。ただ改善は国の貧困対策の影響というよりも、景気が良くなり親の所得が回復したからだ。経済状況が再び悪くなれば、貧困率も悪化する可能性があり、景気に左右されない支援が求められている。
 特に、ひとり親家庭の貧困率は50%を超える状況で、そこに手を打つためには現金支給が欠かせない。政府は昨年、ひとり親家庭に支給する児童扶養手当を引き上げた。だが、対象は二人目以降に限られ、それほどのインパクトはない。
 厚労省の調査は、所得を基に貧困率を推計しているが、欧州では、子どもの具体的な生活状況を把握できる「剥奪指標」を使った調査を取り入れている。「海水浴に行く」「学習塾に通わせる」といった項目を聞き、子どもが経験する機会が奪われていないかを調べるものだ。
 全員が海水浴に行くべきだということではない。一般的な家庭で、少しでも金銭に余裕があれば子どもにしていることができないのは、家計の危機的状況を意味している。子どもの生活がどれほど脅かされているかがストレートに反映される。
 近年、民間団体による子ども食堂や学習支援がメディアで注目されている。重要な活動だが、そもそも公的機関が担うべきこと。週に一回、月に一回という支援よりも、全中学校で給食を始めるなど、継続的で漏れのない取り組みが先決だ。
 なぜ、ご飯を食べられない子どもがいるのか。なぜ、母親とご飯を食べられない状況なのか。子どもたちがそうならないようにするために、社会はどうするべきかという議論に至っていない。労働環境や学校での取り組みなど、社会の仕組みを変えなければ、根本的な解決にならない。
◆都の実態調査 食の困窮は中2で11%
 都は2月、阿部教授の研究室と連携して初めて実施した子どもの生活実態調査の結果を発表。「生活困難層」が2割以上に上った。
 4市区(墨田区、豊島区、調布市、日野市)の小学5年、中学2年、16〜17歳の子どもとその保護者を対象に実施。保護者と子どもそれぞれ約8000人から回答を得た。
 「生活困難層」は(1)所得が一定基準以下(2)家計の逼迫(ひっぱく)(「電気料金」「家賃」「食料」など7項目で支払えなかった経験が一つ以上)(3)子どもの体験や所有物の欠如(「海水浴」「クリスマスプレゼント」など15項目から三つ以上該当)-の三つの要素のうち一つ以上該当している家庭と定義。小5で20.5%、中2で21.6%、16〜17歳で24%に上った。
 中2でみると、食べ物に困窮した経験があるのは11.2%、経済的な理由で過去1年間、海水浴に行けなかったのは4.0%だった。
<あべ・あや> 米・タフツ大大学院で博士号取得。国際連合などを経て、現職。研究テーマは、貧困、社会保障など
<子どもの貧困率> 平均的な可処分所得(手取り収入)の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合。厚生労働省によると、2015年時点は13・9%で、7人に1人の割合になる。過去最悪だったのは12年の16・3%。経済協力開発機構(OECD)の直近のデータでは、加盟国など36カ国の平均は13・3%で、日本はこれを上回っている。

779チバQ:2017/08/21(月) 19:53:45
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081002000171.html
<脱 子どもの貧困>(下)「あれも、これも」の予算を 兵庫県明石市・泉房穂市長

2017年8月10日


写真
 子どもを核とした町づくりをしている。全ての子どもに対し、行政と地域が連携し、みんなで応援するというコンセプトだ。貧しい家庭の子どもだけでなく、誰ひとり見捨てずに支える。
 親の収入で線を引いて支援をすると、こぼれ落ちてしまう子がいたり、どこで線引きをするかで議論が複雑化したりする。明石市は中学生までの医療費と第二子以降の保育料を無料にしているが所得制限はしていない。
 相談のチャンスが失われると、問題は長引きやすい。支援は早期に、継続的にすることが大事だ。今年一月から、市が把握した妊婦全員への面談を始めた。早くに親の困り事を知り、フォローする。また児童手当は漫然と振り込まず、乳幼児健診などで本人の健康が確認できるまでは支払わない仕組みだ。
 子ども食堂は、小学校区ごとに一カ所できるように整備している。子どもの目線に立てば、市内に一カ所程度では通えない。二〇一九年春、市内に児童相談所を設置する予定で、食堂と連携する仕組みをつくり、子どもの危機にいち早く気付ける拠点としたい。子ども食堂はブームのようだったが、これからは実際の課題に向き合っていく時期に来ている。
 行政の政策で、予算を何に振り分けるかは「選択と集中」と言われる。子どもについては「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも」必要だ。子どもの貧困というのは、子どもを貧しさに追いやっている政治の貧しさの表れだと言える。
 明石市では、他の市に比べて、子ども施策に予算を投じている。結果として、人口は増加に転じ、新たに生まれる赤ちゃんが増え、税収も上がった。子どもにしっかりとお金を使うことは町の未来のためにもなる。予算をシフトすることで、子どもたちが救われる。
<いずみ・ふさほ> 53歳。明石市生まれ。東京大卒業後、NHKディレクター、衆院議員、弁護士などを経て、2011年より現職
<兵庫県明石市> 瀬戸内海に面し、大阪市や神戸市に通勤する人のベッドタウン。子どもの医療費の無料化や教育環境の整備など、子育て世代への支援を充実させているほか、障害者施策にも力を入れている。人口は4年連続で増加し、17年7月時点で29万5296人。子どもの出生数も15年以降、2年連続で増えた。市によると、20代〜30代の子育て世代の流入が進んでいる。18年度からの中核市移行を目指している。
◆学習支援で「連鎖」絶つ
 都内で就学援助制度を利用しているのは2015年度で16万2000人余りと、全体の20.4%を占める。13年度の22.3%と比べてやや減少している。首都大学東京の阿部彩教授(貧困・格差論)と都の16年調査によると、授業が分からないと感じる中学2年生の割合は全体で24%なのに対し、生活困窮層は52%と跳ね上がり、経済状況が子どもの学びに大きな影響を与えていることが浮かび上がった。
 都の主な対策は、生活困窮家庭やひとり親家庭の子どもを対象に、学習を支援する事業などがある。生活困窮家庭向けは、16年度は39区市と西多摩福祉事務所で実施され、本年度は46区市に拡大。利用者も年々増えている。
 「貧困の連鎖」を絶つ取り組みとしては、高校卒業程度認定試験の講座受講料を支援している。いずれの事業も、19年度末に都内全62自治体が取り組めるよう体制を整える目標を掲げている。 (木原育子)

780チバQ:2017/08/25(金) 14:03:06
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170825-00185474-toyo-soci
年収100万円「52歳ゲイ男性」の深すぎる苦悩

8/25(金) 5:00配信��
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「最近のLGBT運動は、同性愛者や性同一性障害者の中での勝ち組と負け組をつくり出している」と言うハルオミさん(筆者撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は都内在住で、非常勤や派遣講師で生計を立てるハルオミさん(52歳)のケースに迫る。彼は子どもの頃から、恋愛対象が同性だった。

 都心のビル街が虹色に染まった。横断幕や小旗、うちわが躍る。プラカードには「結婚したい!」「多様性=強み」「自分らしくいられる未来を」のメッセージ。風船で埋め尽くされたフロート(山車)から1970年代のディスコミュージック「セプテンバー」が流れる。若者はもちろん、車いすに乗った高齢者、家族連れといった参加者が沿道の人々とハイタッチを交わしていく。

 2017年5月、東京・渋谷。LGBTなど性的少数者への理解を訴える東京レインボープライドのパレードが開かれた。6回目となる今年は、過去最高の約6000人が参加。企業の出展ブースでは、博報堂DYグループのLGBT総合研究所をはじめ、ブライダルや美容、保険、アパレル、旅行業界などの各企業がLGBT向け商品やサービスを紹介した。

■「年収100万円のゲイには何の恩恵もない」

 ゲイのハルオミさん(52歳、仮名)は今年もパレードには参加しなかった。無精ひげを生やし、帽子からシャツ、パンツまで全身を黒で統一。冷めた口調でこう語る。

 「かつてないLGBTブーム。すてきなホテルで結婚式を挙げることができて、旅行や化粧品におカネをかけられるエリートにとっては、いいでしょうね。でも、私のような非常勤講師で生計を立てている年収100万円のゲイには何の恩恵もありませんよ」

 筆者は性的少数者への偏見をなくすためには、さまざまな手法のアプローチがあっていいと思っている。一方で、年を追うごとに広告代理店や企業の存在感が増していくイベントに対し、「企業は金儲けになるからやってるだけ」「LGBTへの理解が進んでいるとは思えない」といった批判が、当のLGBTたちの間から出ているのも事実だ。

ハルオミさんは続ける。

 「イベントがいくら盛り上がっても、いじめや差別がきっかけで貧困に陥ったり、セックスワークに就かざるをえなかったりするような最底辺の人たちは疎外されたまま。最近のLGBT運動は、同性愛者や性同一性障害者の中での勝ち組と負け組をつくり出してしまっているんじゃないでしょうか」

 ハルオミさんは、1990年に同性愛者の団体が東京都から公共施設の利用を拒絶されたことに端を発する「府中青年の家事件」の当事者の1人でもあった。事件は後に裁判に発展。20代の頃、ゲイやレズビアンたちの権利獲得のための運動に情熱を傾けた彼が、現在のLGBT運動と距離を置き、貧困状態に陥るまでに、どんな曲折があったのか。

 東京で自営業を営む両親の下で育った。比較的裕福な家庭だったという。幼稚園児の頃から、好きになるのは男の子。妹とは、当時の人気アイドルグループ「光ゲンジ」の中で、誰がかっこいいかという話で盛り上がった。深刻ないじめや差別に遭うことはなかったと言い、高校時代には米国に1年間留学。大学卒業後は都内の私立高校で英語教諭の職を得た。

 東京都の宿泊施設「府中青年の家」の利用をめぐる問題に直面したのはちょうどこの頃。ハルオミさんが所属していた同性愛者団体がこの施設に泊まった際、ほかの利用者から「ホモの集団」「またオカマがいた」などの差別発言を受けた。これに対し、都側に適切な対応を求めたところ、反対に「青少年の健全な育成に悪い影響を与える」として、以後の利用を断られてしまったのだ。

 この団体は1991年に損害賠償を求めて東京都を提訴した。ハルオミさんも裁判準備や支援集会への参加、海外の同性愛者団体との連携などに奔走。こうした活動と仕事の両立は難しく、英語教諭の仕事は辞めた。当時はバブル景気で、私塾の教師や翻訳などの仕事はいくらでもあり、収入はさほど落ちなかった。しかし、「身分の保証はありませんでしたから、精神的には不安でした」と言う。

■表に出せる“正しいゲイ”ではなかった

 定職がなくなった分、プライベートと活動の境目はあいまいになった。暇さえあれば事務所の電話番を務め、海外の団体との英語によるやり取りは一手に引き受けたという。一方で、仕事を投げうってまで貢献したのに、団体の中で自分が正当に評価されていないとの思いが、ハルオミさんの中ではくすぶり続けた。

781チバQ:2017/08/25(金) 14:03:54
 「裏方仕事ばかりで、いいように使われるだけ。まるで便利屋。理由はわかってます。私がめちゃくちゃな恋愛ばかりしていたからです。とにかく相手をとっかえ、ひっかえでした。私は、世間や団体が求めるような、表に出せる“正しいゲイ”ではなかったんです」

 いろいろなボタンの掛け違いがあったのかもしれない。公私ともに疲弊したハルオミさんが「少し休みがほしい」と申し出たところ、団体幹部から「(休んだ後に戻ってきても)もうあなたのポジションはない」と言われ、これがきっかけでうつ病を発症したという。

 ハルオミさんはこう言って当時を振り返る。「メンバーは滅私奉公して当たり前と言わんばかりの団体にも問題があったし、僕自身、カルト信者のようにのめり込んでいました。活動への思い入れが強かっただけに、あのとき、“もうお前の帰る場所はない”と言われて、目の前が真っ暗になりました」。

 また、裁判のさなか、母親にゲイであることを知られた。母親からは「せっかく五体満足に産んであげたのに」「こんなふうに育てたつもりじゃなかった」と泣かれたという。

 1997年、訴訟は原告側が勝訴。しかし、ハルオミさんに残されたのは、不安定な仕事と、慢性的なうつ状態と、疎遠になった家族――。団体には所属し続けたが、以前のような濃密なかかわりを持つことはなくなったという。

 そうした中、なんとか中国地方の大学で、正規採用の働き口を見つけた。そして、ほどなくして東京のLGBTの交流会で出会った東北出身の男性と恋愛関係になる。「ピアノを弾いている姿を見て一目でかわいい! と思ったんです」というハルオミさん。相手の実家に遊びに行ったとき、両親が「息子が2人できた」と喜びながら、次々とごちそうを振る舞ってくれ、それとなくゲイカップルを認めてくれたこともうれしかったという。

 ハルオミさんは恋人と東京で一緒に暮らすことを決意。大学の仕事は5年で辞めた。しかし、この頃すでに景気は悪化。東京では非常勤や派遣講師の仕事しか見つからず、500万円ほどあった年収は減り続ける一方だった。

 結局、恋人とは40歳になる直前に破局。ハルオミさんは「彼は私の収入が下がったことに文句を言ったことはありません。彼も喫茶店やパン屋でアルバイトをしていましたし。ただ、私自身に“自分が稼がなきゃ”という古臭い固定観念があって。焦りやイライラが彼に伝わってしまったんだと思います」と言って、かつてのパートナーをかばう。

 幸いだったのは、家族と十数年ぶりに連絡を取ったこと。自営で成功した両親はハルオミさんの窮状を見かね、アパートを買ってくれたという。母親との関係も往時ほど苛烈ではなくなった。ただ、いまだに息子がゲイだと知らない父親だけが「まだ、結婚しないのか」と聞いてくるという。

 「家賃がかからないので、年収100万円でも、病気さえしなければ、飢え死にしない程度には生きていけます。でも、8月いっぱいで今の仕事の契約が切れます。その後は無職。(扶養しなければならない)子どもがいないことが、孤立したゲイの数少ないメリットなのかもしれません」

■最大の後悔は、パートナーと別れたこと

 ハルオミさんは今も、人生で最大の後悔は、このパートナーと別れたことだという。しかし、私には、彼のつまずきは、彼自身も認めるその「恋愛体質」と関係があるようにもみえた。若い頃に全身全霊を注いだ同性愛者団体から認めてもらえなかったのも、安定した仕事を失ったのも、原因は恋愛だったのではないか。

 私は、ゲイやレズビアンに性に奔放な人たちが多いとは思わない。ただ、ストレートに比べて性的マイノリティのカップルは出会う確率自体が低いから、恋愛に積極的にならざるをえない面はあるだろう。また、いじめや差別、家族との不仲などから、精神的に不安定になり、恋愛に依存せざるをえない人も少なくないのかもしれない。

 恋愛をやめられないことと、自身がLGBTであることは関係があると思うかと尋ねると、ハルオミさんは「わからない」と言う。恋愛はやめられないのかと重ねて問うと、「『パリ、夜は眠らない。』という映画を知っていますか」と言ってきた。

 1980年代のニューヨーク・ハーレムを舞台に、黒人ゲイたちの姿を中心に描いたドキュメンタリー映画である。LGBTに対する風当たりは、今とは比べものにならないほど過酷だった時代。ダンスパフォーマンスの様子や、ゲイたちのインタビューで構成されている。中には命を落とす人も出てくるが、バッドエンドではない。

782チバQ:2017/08/25(金) 14:07:40
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170811-00183613-toyo-soci
26歳男性「正社員で年収200万は幸運」の真意

8/11(金) 5:00配信��
349

ダイスケさんは、正社員で年収200万円だった過去を「けっこういい給料をもらっていた」と話す(筆者撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は埼玉県に住む、現在は無職のダイスケさん(26歳)のケースに迫る。彼は農業を目指して四国に移住し、挫折した経験を持つ。

 源泉徴収票の支払金額の欄に「給料賞与 217万4200円」とあった。埼玉県在住で、今は無職のダイスケさん(26歳、仮名)。「ガス販売会社の正社員でした。この会社では、けっこういい給料をもらってたんです」と説明する。年収200万円が「いい給料」?  驚く私に対し、彼はこう続けた。

 「僕の同級生で200万円ももらっている人なんていないですよ。そもそもほとんどが非正規(労働者)ですし」

 ダイスケさんが別の源泉徴収票なども見せてくれた。以前、正社員として勤めていた農業法人は「給料 146万2434円」、現在、妻がフルタイムのパートで勤めている介護施設は「給与賞与 135万1277円」、飲食店アルバイト時代のある月は「総支給額 12万5650円」――。確かにこれらと比べると、年収200万円は恵まれて見える。

 「(ガス販売会社で)人生で初めてボーナスというものをもらったんです。うれしかった。住宅手当も家族手当も、交通費まで出ました。週休2日で、好きな本を読んだり、興味のあるイベントに行ってみたりという週末を初めて過ごしました」

■母親の再婚相手から虐待を受けた

 ダイスケさんの夢は農業経営だ。一時期、野菜の栽培と販売で生計を立てていたこともある。現在の失業状態に陥るまでには、想定外のトラブルなどさまざまな曲折があった。

 子どもの頃に両親が離婚。その後、母親の再婚相手から毎日のように虐待された。柔道の絞め技をかけられ、フライパンで殴られ、流血ざたや警察沙汰になったこともある。高校卒業後、学費が安く、寮生活ができる公立の農業専門学校に進んだのは、貧しさと暴力から逃れるためでもあった。

 農業は思いのほか性に合った。専門は野菜全般。中でも得意なのはナスとニンジンである。ダイスケさんは「施肥の管理や、脇芽などを間引くタイミング。頭を使って手間暇をかけると、ちゃんと成果が返ってきます。農業はクリエーティブな仕事ですよ」と言う。

 専門学校を卒業後、農業法人に就職した。正社員で、年収は約145万円。農作業のほかに直売店舗の切り盛りを任されることもあり、このときは、朝3時に起きて市場で野菜を買い付けると、夜9時の閉店まで、休みなく働いた。残業代はなし。はたから見ると、いわゆるブラック企業だが、ダイスケさんは「このときは楽しかったです。1ヘクタールの土地の管理をすべて任されたんですから。ニンジン栽培のコツを教えてくれたのも、ここの社長でした」と振り返る。同僚の女性と結婚したのも、この頃だ。

 2年後、妻とともに知人のツテがあった四国へ移住。地元の農業法人に勤めながら、独立のための資金を貯め、新規就農者向けの国の給付金を受けるための準備を進めた。

 しかし、ここで致命的なトラブルに見舞われた。給付金を受けるには事前に農地を準備することが条件で、通常は自治体や農業委員会などが間に入り、空いている民有の休耕地を紹介してくれる。ダイスケさんも地元の市役所から約1ヘクタールの借地を提示されたが、申請直前になり、そこが、元の所有者が亡くなった後の相続登記手続きが完了していない土地であることがわかったのだ。名義が未変更の土地では、給付金は下りない。

 「会社(農業法人)にはすでに辞めると伝えてしまった後でした。最初、市役所からはすぐに利用できる土地と説明されました。ところが、後になって相続者は複数おり、中には連絡が取れない人もいて、手続きが完了する見通しが立ちそうにない、という話になって……。給付金があれば、年間150万円を5年間にわたって受けることができたのですが、結局、自己資金100万円だけで見切り発車するしかありませんでした」

783チバQ:2017/08/25(金) 14:08:39
■「行政のミス」で貧困に転落

 複雑に入り組んだ土地の権利関係を、所有者でもない個人が整理することは難しい。穏やかな人柄のダイスケさんははっきりとは言わないが、完全に行政側のミスである。これを機に生活は貧困へと転落した、という。

 飲食店などでアルバイトをしながら、当初、予定していた借地でナスとニンジンを育てた。夜間も気温35度を超える四国の夏をエアコンなしで乗り切り、医療費を抑えるために歯痛をこらえながらクワを振るった。しかし、赤字はかさむ一方。貯金が20万円を切ったとき、「このままでは、再スタートも切れなくなる」と、四国からの撤収を決意した。移住からわずか2年後のことだったという。


 2015年2月、雲ひとつない快晴。軽自動車と軽トラックに家財道具を積み込み、東名高速上りをひた走った。正面に山肌の半分ほどが雪で覆われた富士山が見えたとき、「ああ、戻ってきたんだ」と、胸中に安堵と失望が交錯したことを今もはっきりと覚えている。

 関東圏に移った後の目標は、農業で再起すること。収入のことを考えて畑違いの仕事への転職も試みた。しかし、就職活動では、独立のために短期間で農業法人を退社したことや、農業収入の不足分を補うために就いたアルバイトなどの履歴が不利になったという。履歴書を見た面接官から「なんでこんなに転職してるの?」などと批判めいた口調で聞かれるのだ。現在、通っているハローワークの講習会の講師からも「履歴書に一貫性がない」「(四国での)自営業の期間が短いのは印象が悪い」と指摘される。

 「講師はハローワークに天下りした60代の元公務員です。アドバイスをしてくれているのはわかるのですが、あなたたちのときとは時代が違うと言いたくなります」

 ダイスケさんは「履歴書は妻のほうが悲惨なことになっている」という。彼が厳しい中でも正社員の仕事を探したのに対し、彼女は正規、非正規を問わず、働けるところで働いたからだ。履歴書の職歴欄は、薬局のアルバイトや市役所の契約職員、NPO法人の臨時職員など非正規雇用がほとんどで、雇い止めによる転職回数も多い。

 取材では、妻も話を聞かせてくれた。

 「この1年で20社くらいの面接を受けたでしょうか。面接官からはたびたび“あなたの履歴書からは、何の魅力も感じない”“契約社員とか、アルバイトが多いね”“勤続期間が短いね”と言われます。履歴書を見ただけで何がわかるの? と思いますが、不採用が続くと、今まで頑張ってきたことをすべて否定された気持ちになり、落ち込みます」

 夢に向かって挑戦し、努力を惜しまなかったという自負がある。それに、不安定な非正規雇用を増やしてきたのは社会のほうではないのか。たった一度、つまずいただけなのに、再起のチャンスをつかむことも許されない――。疎外感にさいなまれながら、ダイスケさんがなんとか職を得たのが、冒頭の年収200万円のガス販売会社だった。

しかし、ここでもトラブルに見舞われる。

■財布泥棒の「犯人」として疑われた

 入社から1年がたったこの春、職場でアルバイトの財布が紛失する事件が起き、ダイスケさんが犯人として疑われたのだ。盗まれたという時間帯に、事務所には彼しかいなかったなどの不利な状況に加え、事件前、上司から接待用にゴルフセットをそろえるよう言われたときに自腹で買うのかと尋ねたり、営業車のガソリン代は経費で賄えるのかと確認したりしたことも、周囲におカネに執着する人間という印象を与えてしまったようだ、と言う。

784チバQ:2017/08/25(金) 14:09:21
と言う。

 「同期入社の友人から“雇ってくれている会社におカネのことを聞くのはまずかったね”と言われました。でも、それって、ちゃんと確認しないといけないことですよね」とダイスケさんは途方に暮れる。会社からは退職を促され、結局はそれに応じた。

 現在、毎月の手取りはダイスケさんの失業保険と、妻のパート収入を合わせた28万円ほど。失業中につき、家事を引き受けている彼によると「肉類は格安スーパーで買うグラム40円の鶏むね肉だけ。果物はぜいたく品です。飲料水は大型スーパーで、無料でもらえるサービスを利用しています」。相変わらず歯の治療には行けないので、虫歯は抜けるに任せるしかない。

 国の福祉制度の利用も考えたが、生活保護はわずかながら貯金があるので使えない。第二のセーフティネットと言われる生活困窮者自立支援制度の住宅扶助も窓口で「一生に一度しか使えない制度」と説明され、断念。国による生活福祉資金貸付制度も返済時に利子が付くと聞いてやめた。

 せめて健康保険料と住民税の免除を、と役所に相談したが、「そのような制度はありません」の一言で終わり。ダイスケさんの前年の所得に基づき、今年は20万円近い税金を収めなくてはならない。「生活保護以外のセーフティネットはないも同然」と痛感した、という。

 若い夫婦にとって、唯一幸せなのは2人の絆に揺るぎがないことだ。ダイスケさんは「どんなときも否定的なことを言わない。いつも、“どうにかなるよ”と言ってくれます。妻には感謝しかありません」、一方の妻は「面接や職場でどんなに嫌なことがあっても、(夫のいる)家に帰ってくるとホッとします」という。仲のよい夫婦だが、子どもについては「欲しいけれど、今はとうてい無理」と口をそろえる。

 ダイスケさんはガス販売会社を不本意な形でクビになり、「心身ともに疲れ果てました」とうなだれる。ここなら独立資金を貯めるための余裕が持てそうだと、期待した矢先のトラブルだっただけに、なかなか気持ちが切り替えられないのだという。

■福祉関係の仕事に就きたいが…

 今も、工場勤務や飲食店など選ばなければ仕事はある。一方で、今度、農業を再開するときには、障害を持っている人や虐待に遭った子どもたちに就農機会を提供する「農福連携」を目指したいと思っているという。特色のある農業のほうか、生き残りやすいとの期待があるからだ。このため、次の就職先は福祉関係を希望しているが、福祉業界は賃金水準が低すぎて、今度は独立のための資金集めという目的が果たせない。

 「農業では採算が取れるまでに5年はかかります。もう一度、挑戦するのか、それともあきらめるのか。あきらめるなら、仕事は生活の糧を得るための手段と割り切って生きていくことになる。子どものことを考えると、決断までに残された時間はそう多くはないんです」

 この秋には失業保険が切れる。「それまで、もう少しだけ考えさせてほしい」。

 話を聞いている間、ダイスケさんは時々、手のひらを見つめ、指の付け根あたりを指先でなでるような仕草を見せた。触れさせてもらうと硬いマメができていた。

 「毎日、クワを握っていましたから。本当はもっと硬くて、黄色いマメだったんです」

 このマメが日ごとに柔らかくなっていく。そのことが悔しくて仕方ない、という。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

785チバQ:2017/08/26(土) 05:14:22
http://toyokeizai.net/articles/-/185051?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
「海外旅行格差」から見える日本の深い分断線
この10年で格差が拡大している
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「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部 2017年08月19日
若者の「海外旅行離れ」が言われるなか、全国の都道府県別の若者の海外旅行の実施率に大きな差異が出ている。世帯収入別に見た子どもの海外旅行の実施率もこの10年で格差が拡大した。


8月のお盆休みを海外で過ごす人も多いだろう。1973年以前の固定相場制の時代では、「1ドル=360円」の為替レートを受け入れられる富裕層しか海外旅行には出かけられなかったが、今では誰もが簡単に国境を越えられる時代だ。

若者の「海外離れ」が進んでいる


当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
2016年の総務省『社会生活基本調査』によると、過去1年間に海外観光旅行をした国民の割合は7.2%、およそ14人に1人だ。しかし時系列推移をみると、1996年の10.4%をピークに減少の一途をたどっている。20代前半の若者の経験率も、この20年間で16.4%から12.9%に下がっている。このような変化を指して、国民(若者)の「海外離れ」などと言われている。

不況で経済的ゆとりがなくなった、インターネットで国外の情報が容易に得られるので行く必要性がなくなったなど、要因はいろいろ考えられる。大学生の場合は、学業の締め付けが厳しくなっているので、時間的余裕がなくなっていることもあるのではないかと思う。若者の内向化といった精神論を振りかざす前に、客観的な生活条件の変化に注目する必要がある。

生活条件という点でみると、地域間の違いも見逃せない。同じ若年層でも、都市と地方では海外旅行の経験率に大きな差異がある。15〜24歳の海外観光旅行経験率を都道府県別に出し、高い順に並べると<表1>のようになる。

全国値は9.7%だが、県別にみると東京の18.2%から青森の2.1%までの開きがある。東京は5人に1人で、青森は50人に1人だ。時間的余裕のある学生が占める割合等にもよるだろうが、この違いはあまりに大きい。同じ国内とは思えないほどの格差だ。

高率県の多くは首都圏や近畿圏に位置し、そこから遠ざかるほど率が低くなる傾向にある。海外への玄関口(国際空港)へのアクセシビリティという地理的要因もあるだろう。

経済的要因も関与している

また海外旅行には費用がかかるので、経済的要因も関与しているとみられる。<表1>の海外観光旅行経験率は、各県の1人あたり県民所得(2013年)と+0.5669という相関関係にある。こうした社会的、経済的条件により、若者のグローバル体験の機会に地域格差が生じている。

家庭環境による差も大きい。とりわけ、生活の全面を家庭に依存する子ども世代の格差が拡大している。小学生の海外観光旅行経験率を家庭の年収別に出した統計があるので、それをグラフ<図2>にしてみる。

年収が高い家庭の子どもほど経験率が高いが、注目されるのはこの10年間の変化だ。年収1500万円超の富裕層だけがグンと伸びている(12.0%→22.0%)。その一方で、年収300万円未満の貧困層では減少している。子どもの海外旅行経験の格差が拡大していることがわかる。

近年の学校現場では、グローバルな世界で通用する「生きる力」の育成が重視されているが、富裕層は同様の目的で国際体験を子どもに積ませようという意識が高いのだろうか。

こうした体験格差が、学校でのアチーブメントの違いに転化するであろうことは想像に難くない。大学入試も人物重視の方向に転換されるが、そうなった時、幼少期からの体験の違いがモノを言うようになる。

面接での仕草、立ち居振る舞い、話題の豊富さ……。ペーパーテストにも増して、育った家庭環境の影響を受ける要素だ。学校の特別活動は、こうした体験格差を是正することを目指さなければならない。

海外旅行の経験率という指標から、地域格差や階層格差によって深く分断された日本社会を見ることができる。

786チバQ:2017/08/27(日) 09:13:34
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170826-00000080-jij-pol
生活に満足、最高の74%=「この先悪く」も2割強―内閣府調査
8/26(土) 17:06配信 時事通信
 内閣府が26日公表した「国民生活に関する世論調査」によると、現在の生活に「満足」「まあ満足」と答えた人は合わせて約74%に上り、調査項目に加わった1963年以来最高となった。

 一方、生活がこの先「悪くなっていく」とみている人も2割強いた。

 生活に満足しているとの回答は、前年よりも3.8ポイント上昇して73.9%となり、これまで最高だった95年の72.7%を上回った。所得・収入について満足と回答した人は51.3%(前年比3.2ポイント増)で、不満と答えた人の46.9%(同2.7ポイント減)と逆転した。所得・収入で満足が不満を上回ったのは96年以来。内閣府の担当者は「景気が緩やかに回復しているため」と分析している。

 生活はこの先どうなると思うかとの質問には、「同じようなもの」が65.2%で最も多く、「悪くなっていく」は23.1%。「良くなっていく」は9.4%にとどまった。

 長時間労働是正などを柱とする「働き方改革」に絡み、今回初めて「自由時間が増えた場合にしたいこと」を質問。トップは旅行の47.0%で、趣味・娯楽が34.8%、スポーツが18.7%だった。

787とはずがたり:2017/09/15(金) 13:08:30

米国の貧困率、改善も「数年内に悪化」か
Forbes JAPAN 2017年9月15日 10時45分 (2017年9月15日 12時46分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170915/ForbesJapan_17725.html

米国勢調査局は9月12日、「米国の所得と貧困」に関する年次報告書を発表した。米国では2016年、貧困率が前年から0.8%ポイント低下、12.7%となった。これは朗報だといえる(ただし、それでも貧困者数はおよそ4060万人だ)。

家計所得の中央値は前年比3.2%増となり、2015年の5万7230ドル(約631万円)から5万9039ドル(約651万円)に増えた。また、医療保険に加入していない人の割合は、9.1%から8.8%に低下した。

さらに、世帯所得のみから貧困率を割り出す際の問題点を補うために政府が採用している「補完的貧困値」で見ても、貧困率は14.5%から13.9%に低下している。

「貧困」の定義の問題点

貧困者数に関する調査については、長年にわたって結果の正確さが問題視されてきた。統計に用いるのはサンプル(約9万5000世帯)であり、例えば税務記録に基づく分析結果などとは異なる。貧困の唯一の尺度として世帯所得に頼るのは、あまりに短絡的だとの批判もある。

米国内では確かに物価が下落しているが、不動産や医療、教育にかかる費用は増加している。貧困世帯の子供が大学を卒業することがどれほど困難か(大学を卒業する人の数は、富裕層では貧困層の8倍)、学費負担の影響の大きさ、医療費の増加の仕方を考えれば、世帯の消費支出を把握するだけでは何を予測するにも十分だと言えるだろう。

「補完的貧困値」は、公式な貧困者支援の対象とはならないものの、「低所得世帯・低所得者を支援するための政府プログラムを利用している人」を考慮し、国勢調査局が発表している数値だ。
つまり、所得が公的貧困ラインを上回っていても、政府の支援が必要な世帯はあるということだ。

この補完的貧困値に基づいて考えると、2016年の貧困率は13.9%。2015年から0.6%ポイント低下しているものの、公式な貧困率をかなり上回っている。

医療費に絡む危機的問題

所得が貧困ラインを下回る世帯のうち、医療保険に加入している世帯の割合は、83.7%だ。貧困ラインを400%上回る世帯の医療保険の加入率は95.6%。そうした中で、トランプ政権は医療保険制度改革法(オバマケア)で定められた保険会社への補助金を突然、大幅に削減すると発表した。

グループ別に見た貧困

貧困率は人種によって大きく異なる。貧困ライン以下で生活する白人の割合は8.8%。黒人とヒスパニック系の割合はそれぞれ、22%、19.4%となっている。アジア系は10.1%だ。

また、人種を考慮しない場合の女性の所得は、男性の約83%。どの年齢層で見ても、貧困ライン以下で暮らしている女性は男性よりも多い。さらに、婚姻の有無を考慮すると男女差は一層拡大する。配偶者どうしが同居する世帯の貧困率は5.1%。だが、世帯主が独身男性の場合は13.1%、独身女性の場合は26.6%になる。

貧困も「循環」

貧困率は歴史的に見て、長期にわたって上昇を続けたことも、下落し続けたこともない。米国では1959年以降、貧困率は最も低かった年に約11%を記録。一方で1980年代以降は、何度か15%に達している。

最新の報告書では13%を下回ったが、再び上昇に向かう時期が来るのはそれほど先のことではない可能性がある。遅くとも数年後には、再び上昇し始めるかもしれない。
Erik Sherman

788とはずがたり:2017/09/17(日) 22:29:55

世界の9人に1人飢える=紛争などで増加―国連報告書
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170917-00000082-jij-int
9/17(日) 20:16配信 時事通信

 【パリAFP=時事】人類の11%、9人に1人に相当する8億1500万人が2016年、慢性的に飢える状況にあったとの報告書を国連がまとめた。

 世界の飢餓人口は過去10年、減少傾向が続いてきたが、報告書は16年について「前年から3800万人の増加に転じた。紛争と(日照りや豪雨といった)気象状況が主な原因だ」と訴えた。

 15日付で公表された報告書は、世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(ユニセフ)、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)の国連5団体が協力してまとめた。シリアや南スーダンといった戦闘が続く国々で5300万人が「食べ物に不安を抱きながら」今も暮らしている。

 世界では5歳以下の子供1億5500万人が栄養失調で、その後の人生の健康や学力への影響が懸念される。うち約5200万人は衰弱し、身長にふさわしい体重を伴っていない。その一方で、世界には肥満児が4100万人もいて、増加傾向にあるという。

789チバQ:2017/10/17(火) 20:22:13
貧困とは何ぞやということを誰かこの爺さんに説明してやってくれ
百田尚樹‏
@hyakutanaoki

「俺たちはワーキングプアだ。貧困だ!」と、ネットカフェに寝泊まりしている若者が言う。
しかし、世界のどこに、スマホをいじりながら漫画を読み、ネットカフェに寝泊まりしている貧困層がいるのだ。
17:59 - 2017年10月16日

790チバQ:2017/10/21(土) 10:22:16
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20171019ddlk08010072000c.html
<この国の片隅から>17衆院選で考える/上 貧困救済したい…「こども食堂」 遠ざけるジレンマ /茨城
10月19日 00:00毎日新聞

 「どうぞ」と差し出されたお盆に、所狭しと並ぶご飯とおかず。湯気と香りを鼻から吸い込み、「いただきます」と手を合わせる。記者の隣では、小学生の男児がみそ汁をかきこんでいた。

 毎月第1、3土曜日、茨城保健生活協同組合(水戸市城南)の一室で開かれている「にこにこ食堂」を訪れた。給食のない土曜日にも子供たちが栄養のある食事を取れるよう低価格の食事を提供する、いわゆる「こども食堂」だ。

 この日の献立は、サケのマヨチーズ焼き▽冬瓜(とうがん)と鶏肉の煮物▽野菜いっぱいみそ汁▽季節のサラダ--など。オープンから毎回通っているという女児(9)が頬張っていたインゲンは、隣に座るボランティアの男性が育てたものだという。女児は「苦手なホウレンソウも食べられるようになった」と喜んだ。

 にこにこ食堂は2016年7月、同生協がオープンした。中学生以下とその保護者は100円、その他は300円でおなかいっぱいの昼食を食べられる。

 長男(10)と共に来ていた水戸市の女性会社員(47)は「安いのがなによりうれしい。忙しくて家では作れない品数や料理が並ぶ。毎週開いてほしい」と話す。家庭環境を詳しく聞くことはできなかったが、夜遅くまで働いているらしく、子供に満足な食事を出せないやりきれなさがうかがえた。

       ◇

 厚生労働省によると、平均的な年収の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合を示す「子供の貧困率」は2015年に13・9%。一人親世帯に限ると5割以上になる。03年から悪化傾向で、12年には過去最悪の16・3%に達した。非正規雇用の増加などが背景とみられる。

 「こども食堂」は元々、貧困対策を主な目的に始まった。だが最近は貧困よりも「子供の居場所」や「地域の交流の場」としてアピールしている。

 県内の運営関係者は「食堂に通っていると、『貧しい子』と思われてしまうから」と明かす。だが、それは本来の意義を薄め、かえって貧困に苦しむ子供を遠ざけるジレンマにもなる。関係者は「本当に貧困で苦しむ子供たちのための場所になりきれていない」と声を落とす。

 子供たちが傷つかないよう、家庭環境にはあえて触れないようにしているが、同生協の岡部佳代子理事(63)によると、子供が「親が仕事だから昼食はお菓子で済ませた」「夜は親がいないから食べない」などと、貧困をのぞかせることもあるという。

 子供たちは食べ終わると、自転車にまたがり、「また来るね」と手を振った。こども食堂が根本的な解決にならないことは分かっている。それでも、どこかで泣いている子が救われるかもしれない。【玉腰美那子】

       ◇

 この国の片隅でもがきながら生きている人々の姿を通じ、この衆院選で問われているものが何か、改めて考えたい。

………………………………………………………………………………………………………

 ■ことば

 ◇こども食堂

 保護者の困窮や共働き世帯などの理由で、自宅で満足な食事がとれない子供に、地域住民やボランティアが無料、または低額で温かい食事を提供する取り組み。2012年に東京都大田区内で始まったと言われる。全国のこども食堂の取り組みを紹介する「こども食堂ネットワーク」(東京都)には、今年10月現在で約270カ所が登録されている。自治体が運営するケースもある。

791チバQ:2017/10/21(土) 10:23:47
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017101702000285.html
派遣労働者 描けぬ未来 「雇用改善」は遠い国のこと

2017年10月17日 夕刊


東京湾岸行きのバスを待つ男性。派遣で夜勤の仕事を始めて10年がたつ=千葉県船橋市で
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 大晦日(おおみそか)の東京・日比谷公園に「年越し派遣村」が設けられ、「派遣切り」で住まいを失った人が寝場所を求めて続々と集まったのは九年前。衆院選で安倍晋三首相は雇用の改善を強調するが、不安定な非正規雇用の割合は高止まりしたままだ。東京湾岸一帯の倉庫や工場で働く非正規労働者からは、将来を描けない不安の声が漏れた。 (中沢誠、写真も)
 東京湾岸から近い千葉県船橋市の西船橋駅周辺は、派遣会社の営業所が目立つ。駅南口の通りは午前七時すぎになると、送迎バスを待つ労働者が列をなす。
 仕事を終えた人たちで再び喧噪(けんそう)が始まる午後六時。バスから降りてきた三浦昭寛さん(38)=神奈川県座間市=に声を掛けた。
 日給七千円。この日はレーンを流れるペットボトルや生活用品を商品ごとに振り分ける作業だった。「六千八百円の原付免許の更新料を払わないといけなくて…」。普段は派遣で週五日、神奈川県内の倉庫で携帯電話の部品の仕分けをしているが、給料日は一週間先。蓄えもなく、派遣会社に日雇いバイトの仕事を紹介してもらった。
 高校でいじめを受け、中退してから職を転々としてきた。「四、五年前に比べれば、時給は百円ほど上がったかな」。月の収入は十六万円ほどで生活はギリギリだ。
 人手不足なんだろうな、とは思う。別の派遣会社からは一週間を置かずに「働きませんか」と連絡が入る。外国人も増えてきた。それでも非正規から抜け出せない。
 三年近く付き合っている彼女との結婚を考え、昨秋、正社員の仕事を探した。飲食店や電機メーカーなど、六社の面接を受けたが、いずれも不採用。「企業は必要なときに安く働かせられる人がほしいだけ」と思い知らされた。
 非正規労働者が雇用の調整弁という状況は、今も変わらない。有効求人倍率一・五倍、戦後二番目の景気拡大…。与党の訴えもどこか遠い国のことのように感じるが、衆院選の投票には行くつもりだ。
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 「すぐに金がほしいから」と話す男性(22)は、日雇いで働くようになって二年。衆院選投票日の翌日に誕生日を迎える。「同じ職場で働く四十、五十代を見ると、いつか自分も、と将来に不安は感じる。でも、今必要なのは明日を生きる金」。政治には期待しない。
 人通りが減った夜の八時前、男性が湾岸行きのバスを待っていた。六十四歳。十年前にリストラに遭った。再就職はかなわず、派遣で物流倉庫の夜勤を続ける。
 年金は月五万円にも満たない。重さ二十キロを超える家電製品を運ぶこともあり、「体中ガタガタだけど、生きるためには仕方がない」。いつまでこのまま働き続けるのか。見えない明日を憂い、つぶやいた。
 「今のままでは何も変わらない。どんなかたちでもいい、政治に変化を求めたい。選挙には行く」。この日も、朝五時までの作業が待っている。
<非正規労働者> 1999年の労働者派遣法改正で建設業や警備業など5業種を除くほぼ全業種が対象となり、派遣労働が広がった。2004年には5業種のうち製造業が派遣可能になった。リーマン・ショック後、不況で派遣労働者の契約を打ち切る「派遣切り」が相次ぎ、社会問題となった。その後も非正規労働者は増加し、06年の1678万人から16年は2023万人に。厚生労働省の調査によると、このうち希望しても正社員になれない人の割合は15・6%を占める。

792チバQ:2017/11/17(金) 23:07:51
http://toyokeizai.net/articles/-/196136?utm_source=Twitter&utm_medium=social&utm_campaign=auto
正社員になれなかった56歳男性の厳しい貧困
夕食は毎日、卵かけご飯か納豆ご飯だけ
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2017年11月09日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
おカネがなくて虫歯を放っておいたら…


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時々、どうにも言葉が聞き取りづらい。一緒に入ったファミレスで出されたハンバーグも半分以上が残ったままだ。なぜだろう――。不思議に思っていると、キイチさん(56歳、仮名)が教えてくれた。上あごの歯は奥歯数本を残してすべて抜け落ちてしまったことと、数年前に胃がんの手術を受けて胃の3分の2を摘出したことを。

「歯医者は高いから。虫歯を放っておいたら、抜けてしまいました。(口腔内を)見られたくなくて、最近はあまり笑わなくなりましたね。胃がんのときもおカネがなくて。医者から“このままだったら、死にますよ”と言われ、消費者金融で30万円ほど借金をして手術を受けました。以来、一度に食べられる量が減ってしまったんです」

貧困は健康格差を招く――。キイチさんの体がそれを物語っていた。

経済的な事情などで高校を中退。正社員として就職した地元の中小企業の月給は、わずか十数万円ほどだった。もともと車好きだったこともあり、よりよい待遇を求めて長距離トラックの運転手へと転職。稼ぎは倍増したが、労働条件にはさまざまな問題があった。

運送会社の管理の下で出勤時刻も乗車する車両も決められていたのに、雇用形態は個人事業主。走行距離は1回の乗務で往復約1000キロに上ったが、会社側からは経費節減のためにできるだけ高速道路を使わないよう命じられ、やむをえず、睡眠時間を削って一般道路を走った。バブルの崩壊とともに復路は積み荷がないことが増え、それにつれ給与もダウン。20年近く勤めた頃に腰痛が悪化し、退職を余儀なくされた。もちろん退職金はゼロ。

その後、派遣社員として群馬や埼玉などの工場で働いた。給与は、月100時間ほどの残業があれば最大で30万円にはなった。一方で派遣元から用意された寮は、隣の部屋との仕切りが障子1枚きりだったり、部屋干しした洗濯物のほとんどがカビだらけになったりするような物件ばかり。にもかかわらず、家賃5万5000円を天引きされた。あるとき、同じ仕事に就いている正社員にはボーナスがあることを知り、派遣元に正社員になりたいと相談したところ「年齢的に無理です」と言われてあきらめたという。

そして埼玉・上尾にある大手自動車メーカーの工場で派遣社員として働いているときにリーマンショックに遭った。大部屋にキイチさんら派遣社員100人ほどが集められ、雇い止めと退寮の通告を受けた。重苦しい空気の中、誰一人として質問や抗議の声を上げることはなく、失業保険の申請方法の説明に無表情で聞き入る同僚たちの姿を、今もよく覚えているという。

「テレビで『派遣切り』のニュースを見ていたので、不安に思っていました。ショックでした。何年も正社員と同じように働いたのに、おかしいなとも思いました。けど、どうにもならない。1人ではどうにもできないじゃないですか」

793チバQ:2017/11/17(金) 23:08:16
50社以上立て続けに不採用

寮を追い出されたのは冬の最中。カビだらけの服は捨て、残ったありったけのシャツやセーター、コートを着込み、駅前や公園で1カ月ほどホームレス生活を送った。その後、雇用促進住宅に入居。ハローワークに通い、紹介された会社の採用面接を受けたが、不採用が続いた。次第に気分が滅入り、「酒に逃げるようになってしまった」という。50社以上立て続けに落ち、1晩で焼酎2リットルを空けるようになった頃、ハローワークの相談員から医療機関を受診するよう勧められた。うつ病と診断された。

運送会社や派遣会社による理不尽な仕打ちの数々に、さぞ怒っているものと思いきや、キイチさんは意外にも穏やかな表情でこれまでの働き方をこう振り返る。

「トラック運転手の仕事は面白かったです。いったん出発してしまえば、車内で好きな音楽を聴くこともできましたし。どんな曲を聴いていたかですか? 私の世代のアイドル、明菜やキョンキョンですよ。派遣は立ち仕事のうえ、3交代で夜勤もあったので腰はつらかったですが、好きな車にかかわれる仕事でしたから。できるならもう一度工場で働きたいと思っています」

キイチさんはうつ病診断後も就職活動を続けている。給与や雇用形態に特に条件を付けているわけではないが、年齢のこともあるのか、なかなか定職には就けない。そうした中、雇用促進住宅の取り壊しが決定。不動産会社で賃貸アパートを探したが、入居には身元保証人が必要だと言われた。両親はすでになく、ほかに頼れる親族もいなかったので、やむをえず、1年ほど前にインターネットで見つけたNPO法人が運営する知的・精神障害者を対象としたグループホームへと引っ越したのだという。

この施設の入居費用は1日2食付きで月約8万円。ところが、キイチさんに言わせると、食事はすべてレトルト食品で、しかもブロッコリーや白菜の煮物など野菜ばかりだった。さらに職員は世話人1人が夕方から朝にかけて泊まっていくだけで、あとはほったらかし。終始温厚だった彼が珍しく不満をあらわにした。

「(食事は)肉なんて一度も出たこと、ありません。NPOっていうのは非営利なんですよね。なのに、法人の理事長はランクルとか、エルグランドとか、高級車をとっかえひっかえしていましたよ。後になってテレビで『貧困ビジネス』という言葉を知りました。この施設のことだと思いました」

結局、70万円ほどあった貯金は半年余りで底をつき、施設を追い出された。今年に入ってからは、付き合っている女性の賃貸アパートに「居候させてもらっている」。その女性もうつ病でフルタイムの就労は難しい。現在、毎月の収入は、最近支給が認められたキイチさんの障害年金と、女性の生活保護費を合わせて約13万円。いちばんの困りごとは、満足な食事ができないことだという。

うつ病の症状はさまざまだが、体調が悪くなると自炊ができないという人は多い。キイチさんたちも自炊は難しく、食費は割高になりがちだ。食事は基本、朝はコンビニの100円の総菜パン、昼はインスタントラーメン。夜は卵かけご飯か納豆ご飯を交互に食べる。たまのぜいたくが、格安のソーセージか豆腐を付けること。時々、精神障害者向けのデイケア施設に通うのは、無料で提供される弁当が目当てだと打ち明ける。

「総菜パンも、本当はコロッケやソーセージの入ったのを食べたいです。でも、それが買えるのは割引セールのときだけです。野菜を取ったほうがよいのはわかっているのですが、たとえばレタスを買っても、2人では食べきれず腐らせてしまいます」

794チバQ:2017/11/17(金) 23:08:36
おカネか命か、日々選択を迫られる

キイチさんは、自分が胃がんになったのは、失業してうつを患って以降、ろくな食事ができなくなったことと関係があるのではないかという疑念を捨て切れない。また、同居している女性は心臓に持病があり、医師からは塩分などを控えるよう指示されている。しばらく、医師から勧められた宅食サービスを利用したが、「1食500円以上かかるのでとても続けられませんでした」。結果、半年ほど前に心不全の発作に見舞われた。おカネか命か――。彼らの暮らしは日々、そんな究極の選択の繰り返しである。

企業による脱法行為や派遣切り、貧困ビジネス――。キイチさんの来し方から浮かび上がるのは、行政の不作為である。企業が社会保険料などの負担を避けるため、実質的な従業員を個人事業主として扱う手口は今に始まったことではない。しかし、行政が本腰を入れてこの問題の改善に乗り出したという話はついぞ聞いたことがない。また、工場など製造業への派遣は改正労働者派遣法による規制緩和で認められたが、雇い止め対策などに目が向けられることはなかった。貧困ビジネスも社会問題化して久しいが、野放し状態。彼が被害に遭ったと訴えるNPO法人は、今も厚生労働省所管の「福祉医療機構」が運営する情報サイトで入居者の募集を続けている。

不安定雇用を強いられながら社会や会社に貢献したキイチさんは、必要がなくなると簡単に切り捨てられた。戦後最長と称される「いざなみ景気」もアベノミクスも、彼の暮らしにはなに1つ恩恵をもたらしてはいない。

不思議だったのは、社会や政治に対する不満について尋ねたとき、キイチさんが「日本がアメリカに加担して戦争ができる国になってしまったことです。もう1つは、自宅前の道路の車の騒音がひどいので早く対策をしてほしいことです」と答えたことだ。安倍晋三政権下で成立した安全保障関連法と、地域の道路整備についての話である。どこか借り物のような言葉に違和感を覚え、働かされ方に不満はないのですかと水を向けてみると、まるで覚えた「答え」を思い出すように「白髪頭の何とかという総理大臣が……」と話し始めた。小泉元首相による一連の規制緩和政策のことだ。

「好きでこういう状態になったわけじゃない」

こうした「答え」は、雇用促進住宅への入居手続きを手伝ってくれた地元議員や、その議員が所属する政党の人たちが話していたことだという。10月に行われた衆院選でも、頼まれてこの野党政党の候補のビラ配りなどを手伝った。ただ、政策に共鳴したからというよりも、「ホームレスをしていたときに、お世話になったので」という感謝の気持ちが大きいようだった。

もしかすると、キイチさんは卵かけご飯しか食べられない現実に困ってはいても、怒ってはいないのかもしれない。私の戸惑いを気遣うように、彼が言った。

「私だって好きでこういう状態になったわけじゃない。それは確かですよ」

口元を隠した、独特の空気の抜けたようなしゃべり方。その言葉はやはり、耳を澄まさなければ聞き取ることができなかった。

795チバQ:2017/11/17(金) 23:10:10
http://toyokeizai.net/articles/-/193885
年収300万円「非常勤講師」が苦しむ常勤の壁
20年で100以上の大学の公募に応募したが…
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2017年10月25日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。



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秋の深まりは慌ただしく、そして唐突だった。前日までの陽気から一転、冷気を含んだ雨が、夏の名残をかき消したその日、JRの駅ホームのベンチでたたずむジロウさん(55歳、仮名)の姿があった。ディスカウントショップで買ったという紺色のジャケット。いつも重たいショルダーバッグをかける左肩部分が白く毛羽立っている。おもむろにバッグからおかかのコンビニおにぎりとスポーツドリンクを取り出した。これがこの日の昼食だという。

「時々、隣で女子高生たちもお昼ご飯を食べています。そんなときは、“なんなの?このおじさん”という視線を感じます」

任期付き教授から非常勤講師へ

ジロウさんは1年前まで、地方にある私大の任期付き教授だった。その後、大学での職を得ることができず、現在は、東京都内の私大と関東近郊の専門学校で非常勤講師として勤める傍ら、子ども向け福祉施設の指導員や高齢者施設の夜間受付などの仕事をかけ持ちしている。500万円以上あった年収は激減。今ではすべての仕事を合わせても300万円に届かない。

夜間受付の勤務を終えて深夜に帰宅した翌日に1時限目の授業が入っているときは、朝6時に出勤しなくてはならない。職場間の移動には2時間近くかかることもある。しかし、仕事によっては交通費も出ない。心身はもちろん、時間的にも経済的にも余裕はなく、昼食は駅のホームでおにぎり1個を食べるのが精いっぱいだ。

ジロウさんはこの20年間で100以上の大学の公募に応募してきたが、採用されたのはわずか5校ほど。採用の過程が不透明なことが、どうにも納得できないと憤る。

「大半が出来レース。公募の段階ですでに合格者が決まっているとしか思えないことがありました」

ある私大では、書類選考を通過し、事務担当者から面接日を指定された直後に担当教授から電話があり、「ご辞退いただけないでしょうか」と頼まれた。納得できずに食い下がると、すでに合格者が決まっていると打ち明けられた。

また、別の私大では、面接までこぎ着けたが、不合格。後になってその大学に勤める知人から「学部長の推薦を受けた人が選ばれた」と教えられた。論文や書籍などの執筆件数では断トツで勝っているのに、教授らと面識のある10歳以上年下の若手研究者にポストを奪われたこともある。

試験を受けても合否の連絡が来ないこともあったという。ある有名私大では、ジロウさんから何度も問い合わせをした結果、ようやく不合格と告げられたが、なぜか不合格通知は出せないと言われた。また、別の大学では採用試験から半年近く過ぎても合否が判明しないので、業を煮やして文部科学省を通して問い合わせたところ、ようやく走り書きのような手書きの不合格通知が届いた。

今年に入ってからも、ある地方の私大の公募の面接を受けた。このときは、模擬授業の手応えもよく、担当者からは業務内容や給与など採用条件について詳しい説明を受けたという。ジロウさんは「(担当者からは)“授業の時間割は、先生のご都合によって組み替えることもできます”とも言われました。十中八九、合格したと思いました」と振り返る。しかし、結果は不合格。理由はわからない。

796チバQ:2017/11/17(金) 23:10:33
研究業績を積んできたという自負がある

ジロウさんの専門は児童福祉で、共著なども合わせると20冊近い著作がある。フィールドワークにも積極的に携わり、児童虐待に関するユニークなアンケート調査を行った際には、テレビ局や新聞社から取材を受けたこともあるという。

相当の研究業績を積んできたという自負のあるジロウさんは「(選考の基準が)実力主義じゃないんです。大学も経費削減を迫られているので、(人件費が低くて済む)若手を雇うという判断はある程度理解できますが、こんなことばかりしていると教員の質は下がる一方だと思います」と訴え、その証拠として、ここ数年、大学教員によるアカデミックハラスメントをめぐる裁判ざたや懲戒処分が相次いでいることを指摘した。


大学の教員ポスト自体が減少傾向にある中、選考過程の不透明さを指摘する声は少なくない。大学院の博士課程を修了したポストドクターらの間では、公募にも、本当に一から選考する「ガチ公募」と、すでに内定者が決まっている「コネ公募」があるといわれる。文部科学省所管の科学技術振興機構が運営する研究者人材データベースで、多くの大学が教員採用の際に利用する「JREC-IN Portal」の求人にもコネ公募があるとされる。「コネをつくるのも実力のうち」との考えには一理あるが、すでに採用される人が決まっているのに、公正性という体裁を整えるためだけに公募をかけるのだとすれば、それは看過できない問題なのではないか。

コネで入ったら自由な研究ができなくなってしまう

ジロウさんは地方の進学校を卒業後、東京の私大に進んだ。大学の研究者になるのが夢だった。大学院などを経た後、全国の大学で任期付きの講師や准教授などとしてキャリアを積んだ。この間、人脈をつくる機会がなかったわけではない。若い頃、学会などに顔が利く教授から公募の際には推薦しようと持ち掛けられたが、断ったという。

「コネで入ったら、お世話になった人に頭が上がらなくなる。自由な研究ができなくなってしまうと思ったんです」

現在、妻と3人の子どもは地方都市で暮らしている。自宅は妻が両親から相続した持ち家だが、東京で生活するジロウさんには別途6万円を超える家賃がかかる。家族と離れて暮らす理由を「自己投資です」と言い、関東圏のほうが非常勤講師や教員の仕事を見つけやすいほか、参加したい研究会なども東京で開かれることが多いからだと説明する。

妻は嘱託の保育士で、年収は200万円足らず。夫婦の収入を合わせても家計は厳しく、ジロウさんは大学での仕事を失って以降、酒とたばこをやめた。食事はコンビニのおにぎりのほか、牛丼などのファストフードで済ませることがほとんど。食費は抑えられるが、代わりに持病の糖尿病の状態を示すヘモグロビンA1c(エーワンシー)の数値は、この1年間で「6.5」から「7.7」に急上昇した。

コネや人脈を利用する機会を拒んできたことに「悔いはない」と語る。その一方で、高校生になる子どもたちがアルバイトに精を出す姿を見たり、大学受験を控えた子どもが「国公立しか受けない」と言っているのを聞いたりすると、申し訳なく思うと言う。また、大学時代の同窓生たちがいわゆる大手企業に就職し、今は年収1000万円以上を稼ぐまでになっていると知ると、「もう少し賢く生きる道もあったのでは」と複雑な気持ちになる。

797チバQ:2017/11/17(金) 23:10:49
話を聞く中で、ジロウさんはこれまで希望するポストを得られなかった理由を「運が悪かったからだ」と嘆いた。一方、別の場面では「運のせいにはしたくない」とも言う。私がそのことを指摘すると、揺れる心の内をこんなふうに語った。

「自分が選んだ道なので、運のせいにはしたくない。運のない、かわいそうな人だとは思われたくないんです。でも、これまで数えきれないほど屈辱的な目に遭ってきたのも事実。運で片付けないとやりきれない気持ちになることもあるんです」

学生らしい理想に燃えた日々は今も彼の中にある

ジロウさんからは、取材場所として東京・高田馬場界隈の喫茶店を指定された。そこから程近い早稲田大学の出身なのだという。その喫茶店はサークル活動や飲み会の後などによく利用した。店内の深紅のじゅうたんやレトロな装飾を見て、学生時代とほとんど変わっていないと喜び、大学の4年間を「人生の中でいちばん輝いていた時代。まさに青春でした」と振り返る。

高校までは受験勉強一色。大学に入ってからはサークル活動の一環で、地域の子ども会でのボランティアに明け暮れた。その中で、発達障害や児童虐待に関するリアルな問題に触れるうちに、生涯の研究テーマとなる児童福祉に興味を持ったのだという。

ジロウさんによると、当時のサークルには「セツルメント運動」の名残があった。セツルメントとは、もともとは宗教家や学生らによる貧民救済活動の一種。日本では1920年代に東京大学の学生らが関東大震災の被災地域などに出向き、さまざまな救済活動を展開したことで知られる。今でいうボランティア活動の走りでもある。学生らしい理想に燃えた日々は今も彼の中で色あせることがない。

コネ公募がまかり通る世界で、理想を追い求めても幸せが待っているとは限らない。しかし、いまやその理想こそがプライドを支える拠り所なのだ。現在も別の大学の選考結果を待っている。絶望の一歩手前。「実力」が評価される未来を信じている。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

798とはずがたり:2017/11/18(土) 10:46:46
>「一般事務なんて贅沢だ。どんな仕事でもいいから働け」と言うなら、それは横暴というものです。「自由」を標榜する新自由主義者は、「田舎に住んでいるから仕事がないんだ。東京で働け」と言い、彼らは他者の自由は認めず、まるで全体主義的な発想です。……
みんなが一般事務しかやらなかったら社会は動いていけないし田舎で住むからカネ寄越せってのに一々答えてられないやろ。
寧ろ安倍は田舎に税金の無駄遣いして人手不足なのに仕事作りまくり。全然自由主義ではない。云ってる事がM,滅茶苦茶だ。

水野和夫 アベノミクスは完全に失敗した
http://gekkan-nippon.com/?p=12704
2017/11/9 水野和夫, 立ち読み

アベノミクスを見直せ

 日経平均株価が約26年振りに2万3千円台を回復したと報じられています。安倍首相はこの間、株価があがったことをアベノミクスの成果だとして強調してきました。しかし、株価があがったからといって国民生活が豊かになったわけではありません。実際、実質賃金は下落傾向が続いており、格差や貧困が拡大しています。こうした状況を転換するためにも、アベノミクスの見直しが必要です。

 ここでは、弊誌(とは註:月間日本)11月号に掲載した、経済学者の水野和夫氏のインタビューを紹介したいと思います。全文は11月号をご覧ください。

日本は階級社会になった

―― 安倍首相は解散総選挙にあたり、アベノミクスがいかに成果を上げてきたかということを訴えていました。この5年にわたるアベノミクスの評価を聞かせてください。

水野 安倍首相はアベノミクスによって企業収益が増加したことを強調しています。確かに企業の当期利益は2001年度をボトムに増加基調に転じ、2017年度の最終利益は過去最高益を更新する見込みです。しかし、その一方で、賃金は1997年から現在に至るまで下落傾向が続いています。国民総所得における賃金・俸給の割合は、1980年度には46・5%ありましたが、2015年度には40・5%まで低下しています。

 これは本来労働者が受け取るべき賃金が企業利益に付け替えられていることを意味します。労働分配率は、働く人の能力が低下しない限り、循環的な変動はあったとしても、大きく低下することはないからです。この労働者の「逸失賃金」はおよそ200兆円を超えるほどの巨額です。経済学者のトマ・ピケティは『21世紀の資本』(みすず書房)で、グローバル企業の経営者たちが「レジに手を突っ込んでいる」と言ったほうがいいと指摘していますが、同じことが日本でも起こっているのです。

 また、日本では金融資産を持たない世帯が急増しています。1987年には金融資産非保有世帯(2人以上世帯)は3・3%でしたが、2016年には30・9%となり、調査開始以来最高水準となりました。このうち40歳代の非保有率は35・0%で、リーマンショック以降の上昇幅を見ると、20歳代に次いで高いという結果になっています。40歳代は子育て中の人が最も多い世代です。この世代で格差が広がっているということは、子供たちの間で生まれたときから格差や不平等が生じているということです。

 このように、現在の日本では格差や貧困が拡大し、階級社会になってしまっています。なぜこれでアベノミクスが成功したと言えるのか、理解に苦しみます。

―― 安倍首相はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇したと主張しています。

水野 有効求人倍率が上昇した要因はいくつかあります。一つは、団塊の世代がごっそり退職したことです。団塊の世代の退職者のほうが新卒者よりも多ければ、人手不足になるのは当然のことです。しかし、これは人口構成の変化によって生じたことであり、アベノミクスのおかげではありません。

 もう一つは、建設業で人手不足が生じていることです。これは東日本大震災や熊本地震などの自然災害と、東京オリンピックによるところが大きいと思います。しかし、オリンピックの招致には安倍政権も関わっていますが、自然災害はアベノミクスとは何の関係もありません。

 また、有効求人倍率のデータを細かく見ると、最も希望の多い「一般事務の正社員」の有効求人倍率は1・0を大きく下回っています。つまり、労働者たちが最も希望する仕事は企業からほとんど提供されていないということです。それゆえ、全体の有効求人倍率が上昇したからといって、それほど自慢できることではないのです。

 「一般事務なんて贅沢だ。どんな仕事でもいいから働け」と言うなら、それは横暴というものです。「自由」を標榜する新自由主義者は、「田舎に住んでいるから仕事がないんだ。東京で働け」と言い、彼らは他者の自由は認めず、まるで全体主義的な発想です。……

799とはずがたり:2017/11/27(月) 10:59:36
学校法人潰したから貧乏なんであって国会議員やってたから貧乏ではないやん。

「おカネまったくないねん…」あの小泉チルドレンが貧困を告白!
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171127-00010000-gendaibiz-pol
11/27(月) 7:02配信 現代ビジネス

いまはシェアハウスに住んでいる
「元国会議員でホームレスになったりする方もいる」――。自民党総務会長の発言に世間が驚いた。いったい、ホームレス状態にまで追い込まれている元国会議員は実在するのか。

現在の井脇氏の姿はこちら

本日発売の週刊現代が、小泉チルドレンとして世間の注目を浴びた「あの人」の切実すぎる近況を報じている。

「元国会議員で生活保護を受けたり、ホームレスになったりする方もいると聞いている」

自民党の竹下亘総務会長の発言が話題だ。

国会議員の議員年金は、'06年に廃止されている。だが、

「このままでは有為な人材が集まらなくなる」

と、11月14日に開かれた自民党総務会で、議員年金復活が議題になったのだ。

村上誠一郎代議士が言う。

「国会議員の報酬は年間約2100万円ですが、私設秘書への給与や地元事務の経費でほとんどがなくなる。

議員年金がないと、引退すればホームレスになってしまってもおかしくないのです」

言及された「ホームレスになった元議員」とは誰か。「彼女では?」と記者のあいだで噂になったのが、この女性である。

井脇ノブ子。

「やる気、元気、井脇!」をキャッチフレーズに、'05年の郵政選挙で「小泉チルドレン」の一人として初当選(比例近畿ブロック)。

ピンクのスーツを着込み、中年のオッサンばりのルックスで知られていた。

'09年に落選後は、いつの間にか世間から姿を消していた井脇氏が、本誌の取材に答えた。

「おカネ、まったくないねん。持ち家ももちろんない」

井脇氏は、いま71歳。ホームレス疑惑は否定するが、都内のアパートで、元支援者の女性(76歳)と、「シェアハウス」状態で生活しているのだという。

「いまの収入は国民年金が毎月7万8000円。そこから毎月3万円だけ払って、(元支援者の)部屋に住ませてもろうとんねん。

選挙は何回も出たけど、費用は全部自己負担やった。ポスター代や宣伝カーのガス代といった借金の返済が、やっと来年の3月ごろ終わるのよ。ほっとするわあ」

生活のやりくりは大変のようだ。この日も着ていたピンクのスーツは、かつての教え子に送ってもらったものだという。

議員年金があれば……と思わないか?

「あったほうが助かるわな。私は保険もゼロや。死んでも一銭も出えへん。
だから月3000円の保険、あるやろ。あれを掛けようかなと思うとんねん。そしたら葬式代100万円くらい出るやろ」

井脇氏は、小学4年のとき、兄が殺人容疑で誤認逮捕された。真犯人が捕まるまで地元・大分で村八分同然だったという。

「村の人が通りかかって『殺人犯の妹や』というてくんですよ。私は『大人が何を言うか』と大声で言い返したよ。負けておれるかと思った」

母親に「差別のない社会をつくりなさい」と言われたことが井脇氏の政治家としての原点だ。

地盤も看板もカバンもないなか、代議士になった。

だが'11年には、経営していた学校法人が12億円もの負債を抱える。連帯保証人として、債務の返済に追われた。自宅は差し押さえられ、'15年には競売によって強制売却された。

それ以来のシェアハウス暮らしである。

「二世、三世の議員が多いことはおかしい。そりゃあ選挙は強いよ。だけどそれだけの情熱をみんなが持っているかというと、疑問やなあ。

小選挙区制は、政治家をダメにしたね。ペコペコ頭を下げる議員ばっかりになっちゃったよ」

今は政界引退の身だが、自民党二階派の「特別参与」の肩書を持ち、毎週の会合にも出席している。

今の彼女なら、弱者の視点に立った政治ができるかもしれない。

週刊現代

800とはずがたり:2017/11/27(月) 18:40:48
「低所得層」とは、どのくらいの収入の人たちのことなのか
https://thepage.jp/detail/20160421-00000008-wordleaf
2016.04.25 07:00

 ここ数年、ニュースなどで低所得者あるいは低所得層というキーワードに触れる機会が多くなっています。日本経済は長期的な低迷が続いており、相対的な豊かさが低下してきていますから、こうしたキーワードが目に付くのも無理はありません。しかし、低所得者とはイメージ的には分かりやすくても、実際、どの程度の収入の人のことを指すのかはっきりしていません。ここでは低所得者について少し詳しく解説したいと思います。

低所得層の定義とは?

 実は低所得者に関する明確な定義というものは存在していません。マスメディアなどでは年収300万円以下を指していることが多いようですが、統一された基準ではないと考えた方がよいでしょう。

 所得水準を考える際に注意する必要があるのは、個人の年収と世帯年収の違いです。同じ年収300万円でも、夫婦が仕事を持ちそれぞれが300万円を稼いでいる場合には、世帯年収は600万円となり、平均値は超えることになります。年収500万円で専業主婦の世帯よりも所得は多くなりますから、一概にどちらが豊かとは断定できません。

低所得層の世帯収入はどのくらい?

 厚生労働省など、福祉行政を担当する官庁では、世帯収入が生活保護水準に近いところを低所得者として位置付けることが多いようです。住民税が課税されない所得水準を基準にすることもありますし、相対的貧困率を計算する際の貧困線(可処分所得の中央値の半分)を基準にすることもあります。ちなみに、住民税が課税されない所得水準は、東京で夫婦と子ども一人の場合は200万円程度、相対的貧困率を基準にする場合には122万円となります。

 ただ、この水準では、子どもがいる世帯の場合、現実に生活するのが困難になってきますから、生活保護などの支援が必要となります。実際に生活が困窮している層と、先ほどの年収300万円以下の層を同じ所得階層として位置付けてよいのかは解釈が分かれるところでしょう。厚生労働省も、調査によっては200万円以下を低所得者とするなどケースバイケースの対応をしているようです。

公的支援を受けられる水準は?

 もっとも、税金という面から見た場合、所得水準の解釈は少し変わってきます。日本の所得税は累進課税制度となっており、所得の低い人からはほとんど税金を取らず、所得の高い人からたくさん徴収する仕組みになっています(所得税として徴収される税金のうち半分は、納税者の4%にすぎない1000万円以上の高額所得者からのものです)。累進税率の上昇ペースは、600万〜700万円、1000万〜1500万円を境にして大きく変化します。つまり税制の面では、600万円以下は所得が少ない人、600万〜1000万円を中間層、1000万円以上を高額所得者と見なしていると解釈することが可能です。

 総合的に考えると、世帯年収が300万円以下の場合には、低所得者と考えてよいかもしれません。しかし、公的な支援を受けることができる水準ということになると、200万円以下が基準と考えれば分かりやすいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

801とはずがたり:2017/12/03(日) 22:14:34

どうしたら偽名で年間200万も貰えるんだ?そんなんで行けるならおれだってやりてえぞ。ちゃんと困ってる奴の所へ渡るように制度設計せえや

うっかり実名…6年間で生活保護費1200万円“詐取”
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20171129-00000048-ann-soci
11/29(水) 18:44配信 テレ朝 news

 うっかり実名を書いてしまったことから不正が発覚しました。

 派遣社員の坂田智司容疑者(53)は、東京・江戸川区の福祉事務所で、実在しない「酒田明」という無職の人物になりすまして生活保護費約150万円をだまし取った疑いが持たれています。警視庁によりますと、坂田容疑者は他の給付金を申し込む際に実名を書いた書類を提出し、顔を知っていた職員が嘘に気が付いて不正が発覚したということです。容疑を認めていて、「6年間で1200万円ほど不正に受け取った」と話しています。

802とはずがたり:2017/12/10(日) 09:31:23

生活保護世帯の大学進学、一時金支給へ 政府方針
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171210-00000005-asahi-soci
12/10(日) 3:06配信 朝日新聞デジタル

 生活保護を受ける世帯の子どもの大学や専門学校への進学を支援するため、政府は来年4月から入学時に一時金を支給する方針を固めた。親元を離れる場合は30万円を配る。同居を続ける場合は10万円とし、さらに生活保護費の住宅費の減額ルールをやめる。来年の通常国会に提出する生活保護法の改正案に盛り込む。

 受給世帯の大学などへの進学者は昨年度で4619人。進学率は33%で、全世帯の73%を大きく下回る。この教育格差が親から子どもへの「貧困の連鎖」を生んでいるとして、対応を求める声が広がっていた。

 一時金の名称は「新生活立ち上げ費用」。パソコンや教材のほか、一人暮らしを始める場合は生活用品などに使うことを想定する。

朝日新聞社

803とはずがたり:2017/12/14(木) 21:26:24
生活保護費引き下げへ 都内4人世帯で13%減の試算も
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASKDG4WC1KDGUTFL00C.html
20:05朝日新聞

 厚生労働省は14日、生活保護費のうち食費や光熱費などの生活費にあたる「生活扶助費」を、来年度から引き下げる方針を決めた。地域や世帯類型によって増える場合もあるが、都市部や多人数の世帯の多くが減る見通しだ。厚労省が8日に示した原案では減額幅は最大で1割を超す。当事者や支援団体らの反発は強く、厚労省は減額幅を縮小した上で来週に支給水準を正式に決める。

 生活扶助費の支給水準は5年に1度見直されており、この日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会が大筋で了承した。

 生活扶助費は、生活保護を受けていない一般世帯の年収下位10%層の生活費とバランスを保つように決められている。厚労省は、世帯類型ごとに一般低所得世帯と均衡する扶助額を算出。特に多人数世帯や都市部の世帯で現在支給されている扶助額が、同じ類型の一般低所得世帯の支出より高い水準になっていた。

 扶助額は地域別には6段階ある。減額幅が大きい見通しの東京23区や大阪市など上位2段階の受給者が約6割を占めるため、生活扶助全体でも減額となる。

 原案では、東京23区で40代夫婦と中学生、小学生の4人家族は13・7%減の15万9960円、65歳の単身高齢者は8・3%減の7万3190円となる。一方、6段階で最も水準が低い地方に住む30代母と小学生の母子世帯は、13・4%増の10万5020円になる。(佐藤啓介)

804とはずがたり:2018/01/06(土) 16:46:12

中高年の引きこもり初調査へ=政府、40?59歳の実態把握
14:35時事通信
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-180106X956.html

 政府は、引きこもりの長期化を踏まえ、40?59歳を対象にした初の全国調査に乗り出す。人数を推計するほか生活状況などを把握し、今後の支援策に生かす。これまでは15?39歳を対象に調べていたが、対象者の加齢に伴い、中高年にも調査を拡大する必要があると判断。2018年度予算案に調査費2000万円を計上した。

 具体的な調査方法は、40?59歳の人が居る5000世帯を抽出。本人や家族に、外出頻度や引きこもりになったきっかけ、家庭状況、必要としている支援などを尋ねることを想定している。政府は調査結果を、まずは家族の支援につなげたい考えだ。

 政府は09年に成立した「子ども・若者育成支援推進法」に基づき、10年と15年に引きこもりの調査を実施。だが、引きこもりの長期化によって、「子ども・若者」に該当しない人が増えている。80代の親と50代の無職の子供が同居し、社会から孤立して困窮する状況は「8050」問題と呼ばれ、公的な支援を求める声が広がっている。

 長期化の傾向は、過去2回の調査結果に表れている。学校や仕事に行かず半年以上、自宅にこもる人は推計で、69万6000人から54万1000人へと減少。だが、引きこもりの期間については、最長の「7年以上」との回答が16.9%から34.7%と大幅に増加した。

805とはずがたり:2018/01/25(木) 19:18:58
これあるよね。高福祉を支持する左翼の一定層は恵まれたインテリ層である。俺はそれを恵まれた層が優しさを持ってるからだと解釈してたけど(逆が貧乏から自力でのし上がった橋下みたいな元貧困層が右翼になる),もっと構造は絶望的なのかも。。
>そのうえ大沢によれば、「負担分を無視して純粋に政府からの所得移転だけをみても、日本は一番豊かな上位二〇%のほうが一番貧しい二〇%よりも多く移転されている」。つまり今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く、「低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」だ。非正規雇用のひとり親家庭などは、「政府が所得再分配することによって却(かえ)って貧困が深まってしまう層もいる」という。
>そうだとすれば、高所得層が「高福祉高負担」を支持し、低所得層がそれを支持しないのは当然のことだ。現在の制度のまま「高福祉高負担」になったら、自分が得をするのか損をするのかを、人々はよく理解しているのだともいえる。

(論壇時評)福祉の逆説 充実を支持する層は 歴史社会学者・小熊英二
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13328706.html?rm=150
2018年1月25日05時00分

 福祉の充実が、貧しい人に支持されていない。嘘(うそ)のようだが本当の話だ。

 福祉の専門家である大沢真理・宮本太郎・武川正吾が座談会を行った〈1〉。そこで武川は、福祉に関する5年ごとの意識調査の結果を紹介している。

 それによると2000年には55%、2010年には7割近くが、税は高くても福祉が充実した「高福祉高負担」を支持していた。ところが問題は、「高福祉高負担」の支持者が、「比較的所得の高い人、負担を余(あま)り感じていない人」だったことだ。支持が多いのは高所得男性と高齢者で、低所得者、身体労働者、生産労働者、若年層は支持が相対的に低かった。

 これは逆説的な話だ。普通なら低所得層が福祉の充実を支持し、高所得層が福祉の負担を嫌うものだ。だが大沢はこの結果を、「ちゃんと国民は負担と給付の構造を実感していた」と評している。

     *

 どういうことか。高福祉高負担とは、負担は重くなるけれど、そのぶん見返りも大きくなることだ。いまの福祉が、所得の高い人から税や社会保険料を多めにとり、所得の低い人に重点的に給付する制度だったら、所得の低い人は「高福祉高負担」を支持するだろう。ところが、日本の制度はそうなっていない。

 大沢によれば「日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度が低」い。とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い。自営業や非正規雇用の人に多い国民健康保険や年金の一号被保険者の保険料は、「低所得者の当初所得の一〇〇%を超えてしまう状況」まである。また所得が高い傾向がある正社員と専業主婦の世帯は、年金や税控除の面で有利だ。

 そのうえ大沢によれば、「負担分を無視して純粋に政府からの所得移転だけをみても、日本は一番豊かな上位二〇%のほうが一番貧しい二〇%よりも多く移転されている」。つまり今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く、「低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」だ。非正規雇用のひとり親家庭などは、「政府が所得再分配することによって却(かえ)って貧困が深まってしまう層もいる」という。

 そうだとすれば、高所得層が「高福祉高負担」を支持し、低所得層がそれを支持しないのは当然のことだ。現在の制度のまま「高福祉高負担」になったら、自分が得をするのか損をするのかを、人々はよく理解しているのだともいえる。

     *

 貧しい人が福祉の充実を支持していないという状況は、選挙にも表れる。

 政治学者の西澤由隆は、1993年から2010年の国政選挙のパネル調査データを解析し、階層別の政治意識を検証した〈2〉。それによると、所得が下位30%の層は「福祉よりも減税」を求め、むしろ高所得層の方が「増税しても福祉充実」を望んでいた。そもそも下位30%の層は、福祉を政党選択の基準としていなかったという。

 西澤はこの調査結果をもとに、日本の論壇にみられる議論のあり方を批判している。論壇上には、「保守」「革新」に代わる対立軸として、税が重くとも福祉が充実した社会の是非を争点にできないかという議論がある。その前提は、欧米でそうであるように、低所得層は福祉充実をうたう政党を支持するはずという認識だ。だが西澤は、日本の有権者の意識は「経済学者・政治学者が想定する『前提』とは真逆(まぎゃく)」だというのだ。

806とはずがたり:2018/01/25(木) 19:19:21
>>805-806
 そのうえ近年では、社会全体が余裕を失い、これまで「高福祉高負担」を支持していた高所得層まで、そこから離れ始めた。武川の調査によると、2010年には7割近くあった「高福祉高負担」への支持は、15年には00年の水準である5割台まで下がり、かわって「低福祉低負担」への支持が上昇したという。

 この変化は、雨宮処凛(かりん)の感慨とも合致する。雨宮は09年の「年越し派遣村」には支持が集まったのと対照的に、12年には生活保護叩(たた)きが広がったことへの変化をこう述べる〈3〉。「多くの人がこの国の『格差と貧困』に麻痺(まひ)し、諦め、『そんなもんなのだ』と受け入れていく過程そのものに思えた」

 つまり問題はこうだ。もともと日本の福祉は、貧しい人の支持を得ていなかった。そのうえ近年は、社会全体が余裕を失うなかで、ますます福祉への支持が失われ、格差が拡大しているのだ。

 だが思うに、人々は格差と貧困を肯定しているわけではない。彼らが不信の目をむけているのは、福祉そのものではなく、本当に必要な人に恩恵がまわっていない現在の制度だ。それならば、まず制度の歪(ゆが)みを正すことが先決だろう。

 歪みを正すには、正確な現状認識をもたらす報道が必要だ。小林美希は保育士の待遇が悪いことを問題視し、東京23区内の私立認可保育所の財務諸表を調べ、「園長、事務長、用務員」の人件費率が異様に高い保育所、その保育所での活動以外に収入や補助金が転用されている保育所をリスト化した〈4〉。この調査報道は、23区だけで約85億円の公費が「本業」に使われていないこと、各種の歪みを是正すれば現在の補助金額でも保育士の待遇改善が可能なことを示している。

 働いて税や社会保険料を納めれば、それだけいいことがある。そのような「働いたら報われる」という実感が持てる制度への改革が急務だと大沢はいう。それは福祉だけでなく、日本の政治や社会への信頼そのものを取り戻す道だ。

     *

 〈1〉大沢真理・宮本太郎・武川正吾 座談会「本来の全世代型社会保障とは何か」(世界2月号)

 〈2〉西澤由隆 論文「世論調査による政治的格差の時系列分析」(http://www1.doshisha.ac.jp/~ynishiza/ynishiza2014/downloadables/jpsa16_NIshizawa_v160913_FINALa.pdf別ウインドウで開きます)

 〈3〉雨宮処凛「貧困は誰もが陥る可能性 『流行(はや)りもの』超え、構造解決を」(Journalism1月号)

 〈4〉小林美希「職業としての保育園」(世界2月号)

     ◇

 おぐま・えいじ 1962年生まれ。慶応大学教授。『生きて帰ってきた男』で小林秀雄賞、『社会を変えるには』で新書大賞、『〈民主〉と〈愛国〉』で大佛次郎論壇賞・毎日出版文化賞、『単一民族神話の起源』でサントリー学芸賞。

808チバQ:2018/02/14(水) 20:03:31
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180214-00000058-asahi-soci
奨学金受けた息子亡くし8年、夫婦に265万円の督促状
2/14(水) 17:41配信 朝日新聞デジタル
奨学金受けた息子亡くし8年、夫婦に265万円の督促状
手元に残る、月々2万円の振込伝票
■奨学金破産

 手元にはA4封筒の束がある。中には奨学金の貸与が決まったことを告げる、日本学生支援機構からの通知。埼玉県立蕨(わらび)高校の仲野研(けん)教諭(59)は高3の生徒たちに配り、呼びかけた。

 「開ける前に、自分が月々、いくら借りることになるのか封筒の端に書いてごらん」

 正しく書ける生徒は約100人のうち7割ほど。「じゃあ、大学を卒業したら、どれぐらいの金額になる?」「毎月、いくらずつ返す?」。ペンをもつ生徒たちの手が止まった。

 仲野教諭らが担う「奨学金」事務は、申請書類を集めて機構に送るなど、手続きを支えるのが役割だ。作業は単純だが、数百万円単位のお金に関わるだけに責任は大きい。

 「私が借りた40年前と違い、いまは利子がつく場合もあるし、回収は厳しい。借りるデメリットも知らせないと、子どもたちを窮地に追いやりかねない」。生徒や保護者には、「奨学金といってもローンです」と伝えている。

     ◇

 0・37%――。

 機構が2016年度、回収が難しいと見込んだ奨学金約1690億円のうち、実際に債権回収をあきらめた割合だ。同じように税金をもとに事業を運営する機関では、教育ローンなどを貸す日本政策金融公庫(国民生活事業)12・3%、個人向けに融資する商工組合中央金庫6・4%。比べると、桁違いに低い。

 機構は、債権放棄の基準をこう定めている。

 〈返還未済額が1万円未満でかつ2年以上無応答〉

 つまり、1万円でも残額があり、2年前まで連絡がついていれば請求を続ける。例外は自己破産、行方不明など。本人が死亡しても、債権を放棄するとは限らない。

 12年秋、北海道の港町に暮らす夫婦のもとに、265万円の一括返還を求める督促状が届いた。39歳の息子を膵臓(すいぞう)がんで亡くし、8年がたっていた。「なんで、いまごろ」。連帯保証人である夫宛ての書類を見ると、息子は借りた185万円のうち80万円ほど返していた。残金と利息の合計123万円に加えて、延滞金が142万円。延滞金は死後の分も含まれていた。

 妻(77)が機構に電話をすると、担当者は言った。「払えなければ裁判になります」。脅されているようだ、と感じた。

809チバQ:2018/02/14(水) 20:06:18
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00000004-asahi-soci
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる
2/12(月) 5:01配信 朝日新聞デジタル
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる
国の奨学金の保証制度
■奨学金破産

 国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚ら保証人だった。奨学金制度を担う日本学生支援機構などが初めて朝日新聞に明らかにした。無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いている。

【写真】父親「入学した時はこんなことになるとは…」

 機構は2004年度に日本育英会から改組した独立行政法人で、大学などへの進学時に奨学金を貸与する。担保や審査はなく、卒業から20年以内に分割で返す。借りる人は連帯保証人(父母のどちらか)と保証人(4親等以内)を立てる「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」を選ぶ。機関保証の場合、保証料が奨学金から差し引かれる。16年度末現在、410万人が返している。

 機構などによると、奨学金にからむ自己破産は16年度までの5年間で延べ1万5338人。内訳は本人が8108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7230人だった。国内の自己破産が減る中、奨学金関連は3千人前後が続いており、16年度は最多の3451人と5年前より13%増えた。

 ただ、機構は、1人で大学と大学院で借りた場合などに「2人」と数えている。機構は「システム上、重複を除いた実人数は出せないが、8割ほどではないか」とみている。破産理由は「立ち入って調査できず分からない」という。

 自己破産は、借金を返せる見込みがないと裁判所に認められれば返済を免れる手続き。その代わりに財産を処分され、住所・氏名が官報に載る。一定期間の借り入れが制限されるなどの不利益もある。

 奨学金にからむ自己破産の背景には、学費の値上がりや非正規雇用の広がりに加え、機構が回収を強めた影響もある。本人らに返還を促すよう裁判所に申し立てた件数は、この5年間で約4万5千件。16年度は9106件と機構が発足した04年度の44倍になった。給与の差し押さえなど強制執行に至ったのは16年度に387件。04年度は1件だった。

 奨学金をめぐっては、返還に苦しむ若者が続出したため、機構は14年度、延滞金の利率を10%から5%に下げる▽年収300万円以下の人に返還を猶予する制度の利用期間を5年から10年に延ばす、などの対策を採った。だが、その後も自己破産は後を絶たない。

 猶予制度の利用者は16年度末で延べ10万人。その期限が切れ始める19年春以降、返還に困る人が続出する可能性がある。(諸永裕司、阿部峻介)


     ◇

〈国の奨学金制度〉 1943年に始まり、現在は日本学生支援機構が憲法26条「教育の機会均等」の理念の下で運営している。2016年度の利用者は131万人で、大学・短大生では2・6人に1人。貸与額は約1兆円。成績と収入の要件があり、1人あたりの平均は無利子(50万人)が237万円、要件の緩やかな有利子(81万人)が343万円。給付型奨学金は17年度から始まり、新年度以降、毎年2万人規模になる。

 高校生向けの奨学金事業は05年度に都道府県に移管されており、全額が無利子の貸与となっている。大学生向けで給付型を採り入れている自治体もある。

810とはずがたり:2018/03/05(月) 16:24:02
「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか
100点満点のうち「平均20点」も低い現実
http://toyokeizai.net/articles/-/179582
橘木 俊詔 : 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授

教育の経済効果と貧困対策
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/bunka/dai3/dai5/siryou3.pdf
大阪大学 社会経済研究所
大竹文雄

811チバQ:2018/03/05(月) 18:32:15
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180305-00010001-doshin-hok
82歳母と52歳娘、孤立の末に 札幌のアパートに2遺体 「8050問題」支援急務
3/5(月) 10:01配信 北海道新聞
82歳母と52歳娘、孤立の末に 札幌のアパートに2遺体 「8050問題」支援急務
母親と娘とみられる遺体が見つかったアパート居室の玄関には、立ち入り禁止のテープがはられていた=1月、札幌市中央区
いずれも低栄養、低体温症
 80代の親と50代の子どもが身を寄せる世帯が社会から孤立してしまう「8050(はちまるごーまる)問題」―。全国で表面化する中、札幌市内のアパートの一室でも1月、2人暮らしの母親(82)と娘(52)とみられる遺体が見つかった。娘は長年引きこもり状態だったという。道警は母親が先に亡くなり、一人になった娘は誰にも気付かれずに衰弱死したとみている。専門家は「支援策を整えなければ同様の孤立死が増え続ける」と訴える。

【動画】笑っているの?テイネスキー場の看板犬ギン人気

 高層マンションの建設ラッシュが続く札幌市中央区の住宅街の一角。築40年の2階建てアパートの1階の部屋で2人の遺体は見つかった。道警の司法解剖の結果、2人の死因はいずれも低栄養状態による低体温症。母親は昨年12月中旬に、娘は年末にそれぞれ飢えと寒さで死亡したとみられる。捜査関係者は「2人は都会の片隅で誰にも気付かれずに亡くなった。何とか救う方法はなかったのか」と漏らした。

 道警によると、1月6日午後、検針に来たガス業者が異変に気付き、別室の住民が室内に入って遺体を発見した。ストーブには灯油が入っていたが、エラーと表示され停止していた。冷蔵庫は空で、床には菓子の空き袋や調味料が散乱していた。室内には現金9万円が残されていた。

 親子は週に1回だけ近所の銭湯に通っていた。銭湯の女性店主(78)は昨年12月26日、アパート近くの自動販売機でスポーツドリンクを買う娘の姿を目撃した。「ペットボトルを抱えて何度もしゃがみ込み、ふらふらしていた」

 女性店主の息子が駆け寄った。一言も話さなかったが、アパートの前まで送った。「もう少し手を差し伸べていれば…」。息子は今も悔やんでいる。

 近所の住民によると、母親は夫と死別後の1990年ごろに娘とアパートに入居した。当時、収入は年金だけで生活保護や福祉サービスは受けていなかった。娘は高校卒業後、就職したものの、人間関係に悩んで退職し、引きこもり状態になったという。

北海道新聞

812チバQ:2018/04/03(火) 20:10:35
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180403-00000028-mai-soci
<生活保護世帯>かすむ将来、春なのに 進学率3割の壁
4/3(火) 13:00配信 毎日新聞
<生活保護世帯>かすむ将来、春なのに 進学率3割の壁
高校2年の時にスケジュール管理のために女性が持ち歩いていた手帳。大学で学びたいという思いが記されている=大阪市で、大久保昂撮影
 生活保護世帯の子どもが大学に進学するのは、依然としてハードルが高い。小さいころから保護を受けて育った大阪府出身の女性(18)はこの春、関西地方の私立大に進んだ。貧困、虐待、家出--。数々の苦難の末に手にした切符だが、進学と同時に保護の対象から外れるため、台所事情は苦しい。「学校の先生になるのが中学校のころからの夢だった。でも、奨学金を返すの大変だろうな」。その胸には、期待と不安が交錯している。【大久保昂】

 3歳の時に両親が離婚。家計を支えようと、母親は二つの仕事を掛け持ちした。無理がたたったのか、小学校に入るころに母親は精神疾患を患い、生活保護を受けるようになった。母親は家事が手に着かなくなった。満足に入浴できず、何日も同じ服で登校した。学校で虐待を疑われ、小学3年の時、祖母に預けられた。

 待っていたのは「本物の虐待」だった。毎日のように「ブタ」とののしられ、暴力を受けた。約1年後、逃げ出すように母親の元へ戻った。

 小中学校で登校できたのは、通算3年ほど。私立の単位制高校に進んで勉強し直すことにした。将来、教育に携わる仕事に就く夢があったからだ。

 高校2年になると、母親の状態が悪化した。「家から出ないでほしい」と玄関に立ちふさがり、高校にもアルバイトにも行かせてくれなくなった。「きっと寂しいんだろうな」と受け入れた。しかし、携帯電話を止められ、食料も尽きて、児童相談所に駆け込んだ。母親は精神科に入院し、女性は一時保護された。退院した母親と一緒に住むのがつらくなり、家出して知人の家に身を寄せるようになった。

 高校からは授業料を請求されるようになった。出席が足りず、10単位以上も取りこぼしたからだ。大阪府では私立高校の授業料は無償だが、単位を落として追加履修する分は自己負担だ。家出後も母親と連絡を取っていたが、お金のことは聞けなかった。自分で工面しようと、「援助交際」を重ねた。1回2万円。紳士的な相手ばかりでなく、時に暴力を振るわれた。「お金以外は虚無感しか残らない。それでも、高校を卒業したかった」

 昨秋、推薦入試で私立大に合格。春からワンルームマンションで1人暮らしを始め、教員免許や保育士資格の取得を目指す。ただ、お金の心配は消えない。20万円の入学金は、社会福祉協議会から借りた。学費と生活費のために毎月12万円の奨学金を借り、月3万5000円の家賃はアルバイトで稼ぐつもりだ。「光熱費を節約し、自炊をすればきっと大丈夫」。自分を納得させるように言った。

 ◇一時金、識者「不十分」

 生活保護を受けながら大学で学ぶことは、現行制度では原則認められていない。高校卒業後は、自分で働いて稼ぐことが前提となっているからだ。大学に進む場合は保護世帯から独立させ、別世帯として取り扱うことになっている。

 専門学校や短期大学も含めた大学進学率が7割を超える一方、生活保護世帯の進学率は3割強にとどまる。国は今年度から最大30万円の一時金を支給する支援策を決めたが、世帯を独立させる仕組みは維持する。名古屋市立大の桜井啓太専任講師(社会保障論)は「保護世帯から進学した学生の生活苦は卒業まで続く問題で、一時金だけでは不十分。保護を受けながら通えるようにし、自立を目指せる環境を整える必要がある」と指摘している。

813とはずがたり:2018/04/17(火) 14:12:34
「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか
100点満点のうち「平均20点」も低い現実
https://toyokeizai.net/articles/-/179582
橘木 俊詔 : 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授 2017年07月13日

814チバQ:2018/04/22(日) 22:43:11
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180418-00216062-toyo-soci
シングル父45歳、非正規ゆえの壮絶3人子育て
4/18(水) 5:00配信 東洋経済オンライン
シングル父45歳、非正規ゆえの壮絶3人子育て
なぜタクヤさんはシングルファーザーになったのだろうか(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回取り上げるのは、「現在の給与では生活保護を受けないと生活できない」と編集部にメールをくれた、3人の子どものシングルファーザーだ。

■「学校くらい好きに行っていいよと言いたかった」

 大阪府内の公営住宅。子どもたちは壁際にしつらえた3段ベッドで、寝起きしている。普通より奥行きのある造りの押し入れが“勉強部屋”だという。外で拾ってきたカラーボックスを運び入れ、机代わりにしている。たくましくも見える子どもたちの様子を横目に、シングルファーザーのタクヤさん(45歳、仮名)はこう語る。

 「学校くらい、大学でも、専門学校でも。私立でも、公立でも、好きに行っていいよと言ってあげたかった」

 自治体の嘱託職員として障害者福祉にかかわる部門で働いている。月収は約17万円。

 父親の思いとは裏腹に、長男は高校卒業後、すぐに働き始めた。「『なんで大学行けへんの?』と聞いても、『働く』と言ってききませんでした」。

 次男は、授業料と昼食代、定期代は自分でアルバイトをして稼ぐからと言って昨春、公立大学に進んだ。それでも足りない分は、入学時に社会福祉協議会などから約80万円を借りた。学校は遠方にあり、実習なども多いため、朝6時に家を出て、帰ってくるのは夕方6時。その後、日付が変わる少し前までレジ打ちのバイトをし、遅い夕食を食べて眠るのは深夜2時ごろだという。そんな生活を1年、続けている。

 「18歳の子どもに借金を背負わせたんです。申し訳なくて死にたくなりました。本人は『電車の中で寝てるから大丈夫や』と言うんですが……。大学の友達と遊びに行くところも見たことないです」

 今春、高校受験を控えた末っ子には早々に「私立はあかんで」と伝えたという。府立高校なら入学金や授業料、制服代などを合わせても年間30万円ほどですむが、私立高校の場合、入学時だけで約60万円、年間だと100万円を軽く超えるからだ。

 幼い頃から、子どもたちに我慢をさせてきたことは「山ほどある」。一緒に買い物に出かけたときに「おやつ、買ってええで」と言っても、そろって「いらない」と首を横に振るばかり。気を使っているのだと気づいてからは、たとえば飴とチョコレート、せんべいを見せて「どれがええ?」と聞くようにしたが、それでもいちばん安い商品を選んできたという。

 あるとき、学校側から部活の遠征費が支払われていないと連絡を受け、「家じゅうをひっかき回しておカネを用意したこともあります」。遠征があるのに、家計が苦しいと思ったのか、親に黙って参加しなかったこともあったようだという。きょうびの連絡網にはLINEが使われることが多いのだが、子どもにスマートフォンを持たせる余裕はなく、タクヤさんのところだけは連絡先が自宅の固定電話だった。

 子どもたちが公園のビワの実やクコの実を食べているのを見たときは「たくましい子やなと思うと同時に、我慢させてんねんな、申し訳ないなと思いました」。今年の冬は野菜の値段が軒並み高騰し、生野菜をほとんど食べさせてやれなかったことも気がかりだという。

 「子どもたちに申し訳ない」――。取材中、タクヤさんは何度もそう繰り返した。

815チバQ:2018/04/22(日) 22:43:27
■20年近い結婚生活だったが…

 大学では、福祉を専攻。社会福祉士や障害者ガイドヘルパーなどの資格を取り、新卒で社会福祉法人に就職した。正社員で、月収約19万円。この頃、もともと面識のあった女性がメンタル面に不調があるというので相談にのったところ、それがきっかけで交際が始まり、結婚した。「話も合い、共通の趣味もありました。(メンタルの問題は)理解し合っていけると思っていました」。実際に結婚後、しばらくは共働きで、世帯収入は毎月30万円ほどあったという。

 その後、職場で起きた解雇問題などに反発して退職、障害者作業所に転職した。正職員で、賃金水準もほとんど同じ。人間関係にも恵まれる一方で、利用者の処遇改善などの業務を買って出たことで仕事が増え、帰宅が深夜になることが珍しくなくなった。同じ頃に妻の体調が悪化。家事と保育園の送り迎えなどはすべてタクヤさんが担うようになったという。

 職場から保育園に子どもたちを迎えに行き、家で夕飯を作り、再び職場に戻る――。こうしたハードワークを数年間続けた結果、心臓病を発症。手術を受けたが、施設や作業所など体力を使う現場への復帰は難しくなった。「上司は『早く帰れ』と心配してくれていました。やりがいのある仕事で、僕がつい頑張りすぎてしまったんです」。

 それからはタクヤさんが自治体の非常勤職員などとして働いたが、給与水準はダウン。妻は定職に就くことができず、最低生活費に足りない部分を生活保護で補うようになった。また、妻は仕事中に頻繁に携帯に電話をかけてきて不安を訴えるなどしたため、彼が転職を余儀なくされたこともあったという。

 「妻の面倒を見ることを苦痛だと感じたことは一度もないんです。不安定なのは病気のせいですし、病気も個性のひとつだと思っていました。(妻は)病院では感情性気分障害と診断されましたが、統合失調症の傾向もあったと思います」とタクヤさん。

 しかし、3年ほど前、妻が浮気をしていることがわかった。悔しい思いもあったが、「子どものことを考えると、これ以上(夫婦生活を)続けることはできない」と判断。親権はタクヤさんが持つことで早々に離婚を決めた。20年近い結婚生活を「子育ても家事も1人でやってきたので、ずっとシングルファーザーのようなものでした」と振り返る。

■「正社員で働けばええやん」

 厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、2016年度、父子世帯数は約19万世帯。母子家庭の約123万世帯に比べると少ないが、離婚が増えるのに伴い、ひとり親世帯は増加傾向にある。また、平均年収(父親もしくは母親自身の収入)は、父子世帯が420万円、母子世帯が243万円。シングルファーザーはシングルマザーよりも正規雇用の割合が高い一方で、子どもとのコミュニケーション不足や周囲のコミュニティからの孤立といった問題に陥りがちだといわれる。

 非正規雇用のタクヤさんが抱える問題は母子世帯のそれに近い。彼自身は、シングルマザーを含め、いわゆるママ友のコミュニティに入っていくことに抵抗はないという。「スーパーの安売り情報や節約料理の方法なんか、よく教えてもらっています」と屈託がない。

 それよりも、職場の同僚男性らから「正社員で働けばええやん」と、暗に「男なんだから」とのニュアンスを含んだ言葉をかけられることに戸惑うという。新卒で育児休暇や短時間勤務制度が充実した企業に正社員として入ることができたならいざ知らず、「残業も断れないような会社で、仕事と子育てを両立することは難しいと思うのですが、なかなか理解してもらえません」。

816チバQ:2018/04/22(日) 22:43:44
 仕事柄、妻の障害を冷静に理解し、「子どもたちとの生活自体は楽しい」というタクヤさんの話しぶりは、本人の穏やかな人柄もあり、あまり悲壮感を感じさせない。そんな彼が「死にたくなる」ほど打ちのめされたのは、子どもたちの高校卒業後の進路をめぐる選択だったという。

 児童扶養手当や医療費助成などを利用すれば、貧しいながらも暮らしていくことはできる。しかし、メンタルの不調や病気などでいったんつまずくと即生活保護を受けざるをえず、進学にそなえた貯金もままならなくなる。そうなると子どもは大学進学はあきらめるか、もしくは借金をして、なおかつバイト漬けの日々を送るしかない。長男と次男の現状がまさにそれだ。タクヤさんはこう訴える。

 「福祉の仕事の給与水準が共働き前提で、夫婦のどちらかが働けなくなると食べていけなくなるほど低いことや、生活保護が唯一最後のセーフティネットであることが問題なんだと思います。貧しかったり、夫婦のどちらかに障害があったりする場合は子どもを産まなければ、問題は解決するのか。そんなことはないですよね」

■生活保護を抜け出し「精神的に自由になれた」

 タクヤさんに会ったのは3月下旬。自宅近くの喫茶店で話を聞いていると、彼の知り合いの女性グループから声をかけられた。

 「聞いたでー。〇〇君すごいな。おめでとう!」

 この日は府立高校の合格発表の翌日。タクヤさんはママ友と思われる女性たちとしばらく世間話で盛り上がった後、「私立はあかんで」と伝えていた末っ子が府立高校に合格したことを教えてくれた。地域では最難関の学校だという。

 合格発表の日は子どもと一緒に学校まで行った。冷たい雨が降る中、渡り廊下に張り出された紙を見上げ、息子が先に自分の番号を見つけ、「あった、あった、あった」と歓声を上げたという。帰りしなに2人で食べたラーメンは、久々の外食だった。

 この頃、野菜の異常な高値もひと段落。その日の夜は、「野菜を食べたい」という子どもたちのリクエストにこたえ、キャベツを1玉使ってお好み焼きを作ったという。

 また最近、念願だった生活保護を抜け出すこともできた。上の子どもが保護の対象から外れたためで、食費が減るわけでもなく、かえって医療費は自己負担になるなど以前よりかかるようになり、暮らしが楽になった実感はない。ただ、これで貯蓄型保険に入ったり、自身の裁量で貯金したりできるようになるので「精神的に自由になれた」という。

 今は父子3人暮らし。近所で1人暮らしをしている長男がよく戻ってくるので時々4人暮らし。支え合ってきた家族に、ゆっくりと春が訪れているのかもしれない。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

817チバQ:2018/04/22(日) 22:44:37
https://toyokeizai.net/articles/-/210985?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
「日雇い派遣」で食い繋ぐ34歳男性の壮絶半生
年収は100万円に届かないのに「配慮」ばかり
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2018年03月07日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回取り上げるのは、「ブラック企業を渡り歩いてきた」「壮絶な人生で本が1冊できるのではないか」と編集部にメールをくれた34歳の男性だ。
「明日2/27(火)男性限定! 引越作業 神保町 9時〜18時」「宅配便の仕分け作業 22時〜30時・8160円 24時〜33時・9000円」「本日欠員のため今からお仕事できる方を探してます ピッキング作業 到着〜18:00まで 最低6000円保障 皆様のご応募お待ちしております!!」

この1年、日雇派遣などで食いつないでいるというユウスケさん(34歳、仮名)が、スマートフォンのアプリを開いて見せてくれた。宅配便ドライバーの助手、倉庫内での仕分け作業、居酒屋――。そこには、1日限定のさまざまな求人情報が掲載されていた。

日雇派遣は原則禁止されているはずだが…
あり得ない――。現在、日雇派遣は原則、禁止されているはずだ。リーマンショックが起きた際、不安定な日々雇用が社会問題となったことから、2012年に労働者派遣法が改正され、派遣会社との契約が31日以上、年収500万円以上などの諸条件をクリアするか、ソフトウエア開発といった専門性の高い業務でなければ、日雇派遣は認められなくなった。


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私がそう告げると、ユウスケさんは「ええー! そうなんですか。じゃあ、この仕事、全部、違法なんですか」と驚きの表情を見せた。

ユウスケさんの話では、日雇派遣にありつくまでの流れはこうだ。まず求人情報が掲載されているインターネットから応募する。いったん仕事をした後、募集企業である派遣会社に出向き名前などを登録して、専用アプリを利用するためのコードなどを入手。あとは、そのアプリに連日情報が送られてくるので「いつでも、どこからでも」応募できるようになる。

ざっと見ただけでも、男女雇用機会均等法で禁止されている性別を限定した募集はあるわ、都内の深夜労働なのに時給が最低賃金とほぼ同額だわで、脱法・劣悪の見本のような求人ばかり。「18:00までに来てくれたら6000円」という募集などまるでオンコールワーカーである。業種にしても、専門性が高いとは到底言えず、禁止された日雇派遣そのものだ。

一方でよく見ると雇用形態は「アルバイト」となっており、「派遣」とは書かれていない。しかし、募集企業の欄に記載されているのは、派遣会社である。派遣法改正をめぐっては、日雇労働で生計を立てている人がいるとの理由で禁止に反対する声も少なくなかったが、いずれにしても不安定雇用をなくそうという当初の目的は見る影もなく骨抜きにされているということだ。

818チバQ:2018/04/22(日) 22:45:01
長期派遣が決まったこともあるが…
ユウスケさんによると、ある派遣会社を通して営業職での長期派遣が決まったこともあったが、派遣先会社に携帯電話代を負担してほしいと求めたところ、ろくに出社もしないうちに雇い止めになった。その後、派遣会社の登録も取り消しを余儀なくされたという。

「同じ営業の正社員には携帯電話が支給されていたので、僕も電話料金を負担してくれるよう交渉したんです。すると自宅待機を命じられ、結局クビ。たくさん仕事を紹介してくれていた派遣会社だったのに、それ以降は電話で問い合わせても“仕事はないっすね”“今忙しいんで”と切られるようになってしまいました。ああ、ブラックリストに載ったんだなって……」

路上の落ち葉清掃の仕事では、現場を仕切っていた社員からユウスケさんら派遣労働者は事務所内のトイレではなく、近隣の公園の公衆トイレを使うよう命じられた。仕事中、暖を取るために設置されたストーブを囲む輪にも派遣労働者は近づくことを禁じられた。派遣労働を「多様な働き方」などと言う人もいるが、これではただの「身分差別」である。

この間、同じ仕事でもインターネットに掲載される給与のほうが、アプリに通知される給与より高いことにも気が付いたという。「たとえば、ネットだと日給1万円なのに、アプリでは7000円といった具合です」。事実なら、同一労働同一賃金の原則にも反するが、ユウスケさんが派遣会社に確認したところ、期日、内容ともに同じ仕事だと認めた。「(インターネットという)オープンサイトのほうには高い給与を提示し、できるだけたくさんの人を釣って派遣会社に登録させることが目的なんじゃないか」と推測する。

派遣労働の理不尽ばかりを経験したこの1年。年収は100万円に届かないという。

生まれも育ちも東京。物心ついたころから父親はおらず、母親は多くを語らなかったが、いわゆる非婚シングルマザーだったのではないか、という。中学生のころ、母親の再婚相手から心身ともに虐待を受けた。「飼っていたネコには刺身をあげるのに、僕にはビスケットしかくれなかったことを、よく覚えています」。

ユウスケさんは「(母親への)わだかまりは、もうないです。(継父とは)とっくに離婚してますし」と振り返るが、彼の肘には、この継父からダンベルを投げつけられて骨折したときにできた傷痕が今も残っている。
 大学は家計に余裕がない中で私大に進んだ。このため学校を1年間休学。アルバイトなどを掛け持ちしておよそ400万円を貯め、奨学金に頼らずに卒業した。

就職は、知人の紹介でイベント企画会社に入社。しかし、残業代も割増手当も付かない職場だったため、半年ほどで退職した。その後、別の会社でネットカフェ店長として複数店舗の切り盛りを任されたものの、あまりの忙しさで帰宅できたのは1カ月のうち数日だけ。自身もネットカフェに寝泊まりをしながら、アルバイトやパソコンの管理に追われた。

30歳で転職したが、ここでも一方的に業務を増やされて始発で出勤して終電で帰る日々が続く。その後に移った専門商社でも1カ月の残業時間が150時間に上ったことから、早々に辞めた。今から1年ほど前のことである。
これらの会社での雇用形態はすべて正社員だった。異常な長時間労働にもかかわらず、賃金は手取りで毎月20万円から、多くても二十数万円。「残業代は基本給に含まれていると説明されました。とにかくボーナスというものを一度ももらったことがないんです」。

819チバQ:2018/04/22(日) 22:45:28
「壮絶な人生で本が1冊できる」
ユウスケさんには、喫茶店で話を聞いた。不当な働かされ方にさぞ怒っているのだろうと思ったら、意外にも彼はネットカフェを訪れたさまざまな客についての話を始めた。

ブース内でアルコールランプを使って薬物をあぶっている男や、薬物の影響で下着姿で店内をうろつく女。中高年のサラリーマンと女子高生が利用した後に避妊具が放置されていたことや、寝泊まりしていた派遣労働者の「お得意さん」がいつの間にかブース内で冷たくなっていたこと。店舗によってはホームレスが多く、シャワー室の利用後は大小便が詰まるなどして掃除が大変だったことや、風営法に触れかねない実態を見逃してもらうため月1回、警察署にビール券を付け届けていたことを話してくれた。

ユウスケさんが働いていた2000年代なかば、会員制、本人確認義務などの規制が導入される前のネットカフェはたしかに社会問題の縮図のような場所だった。彼の体験談はユニークだったが、自分が売り上げを伸ばしたことや、「壮絶な人生で本が1冊できる」と話す様子はどこか武勇伝を語っているようにも見え、違和感を覚えた。だから、私は最後にこう尋ねた。

「こんな働かされ方はおかしいとは思わなかったのですか。労働組合が身近にないなら、今は若者たちによるデモもよく行われています」

これに対し、彼は「(会社の)代表には言いました。でも、変わらなかった。(それ以上訴えて)窓際に追いやられ、(クビになって)就職活動しなければならなくなるのも怖かった」と答えた。一方で若者たちによるデモについて、こう指摘した。

「ヒダリの人たちのパワーが強まっていると感じます。あの人たち、あんなふうに顔を出してますが、ちゃんと仕事をしているんですかね。背後に怪しい団体がひもづいてるんじゃないですか」

「ヒダリ」や「背後」の意味を聞くと、「中核」「韓国系」「朝鮮総連」という言葉が出てきた。若者たちによるデモとは、反原発運動を源流の1つとした若者グループ「エキタス」のことなのだが、私が取材した限り、メンバーに日本共産党の青年組織「民青」の関係者がいる一方で、政党や政治とは関係ないいわゆる普通の学生や非正規労働者も大勢いる。また、中核派や、民族団体である在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)がこうした活
動に組織的にかかわっているという事実も確認できなかった。ユウスケさんの主張は、黒を見て白と言っているに等しいのだが、彼は「そういう印象を持たれていることは事実」と譲らない。

そもそも私に言わせれば、残業代も払わないような中小企業の経営者に向かって文句を言っても、聞き流されるのがオチだ。「和を乱す」ことへの不安は理解できるが、おかしいと思ったなら、その怒りをエネルギーにして労働組合に加入するなり、法律を駆使するなりして闘わなければ、状況を変えることは難しいだろう。

子ども時代の虐待経験とうまく折り合い、過酷な社会を生き残ったユウスケさんはたくましく、賢い人だと思った。ところが、「こんな働かされ方はおかしいと思わないのか」という話になった途端、私たちの会話はかみ合わなくなった。

「自分を律して頑張るしかない」
ユウスケさんが「私がストイックに働いている間に、彼らは徒党を組んでラップとかでわちゃわちゃやっている」と言うと、私が「ストイックなのではなく、いいように搾取されただけ。徒党ではなく、会社に対して力が弱い労働者たちが連携しているのだ」と反論。彼が「中小企業では、オーナーとの距離が近いから、お互いに配慮しなくてはいけない」と言うと、私が「あなたは長時間労働に耐えて会社に『配慮』したかもしれないが、オーナーが昇給やボーナスで『配慮』してくれたことがあったのか」と問う。

同じ言語で話しているのに、言葉が通じない。明るかった店外の景色はとっくに夜景に変わっていた。もう潮時だ。

ユウスケさんはいま、正社員の仕事を探している。「次もブラック企業だったらどうしようという心配はあります。でも、自分を律して頑張るしかありません」。

今まで十分に律してきたし、頑張ってきたじゃないか。これから必要なのは……。私は言葉を飲み込んだ。

820チバQ:2018/04/22(日) 22:46:17
https://toyokeizai.net/articles/-/208228
59歳「派遣に堕ちた」困窮男性が見続ける夢
勤続10年、時給は「40円」上がっただけ
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2018年02月15日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
職場でモノを言うのはやめた
大みそか、街はどこも浮かれていた。札幌市内のある商業施設の駐車場入り口。家族連れなどを乗せた車両がにぎやかに行き交うそばで、案内板を掲げた誘導員のヨウジさん(59歳、仮名)は黙々と立ち続ける。気温は昼すぎには氷点下に。黒っぽいコートを重ね着し、分厚い手袋と耳あてで防寒しても、顔の筋肉はこわばり、足先の感覚はない。


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「人手が足りないので、年末は31日まで出勤でした。年始の休みも元日と2日だけ。帰省ラッシュがピークだとか、有休を組み合わせれば9連休になるとか――。シフト制の、時給制で働く契約社員にとっては、どれも無縁のニュースです。休日が少ないと収入は増えますが、体がつらい。かといって、休日が取れると体は楽になりますが、収入が減る。これも非正規労働者の“あるある話”です」

駐車場管理員として勤続10年。この間、時給は840円から880円に、40円上がっただけだ。年収は200万円に届かない。寒冷地手当もボーナスも住宅手当も家族手当もゼロ。あまりの待遇の悪さに、特に若者が定着しないという。1年間で職場の顔ぶれの半数が入れ替わることも珍しくない。

最近は募集をしても人が集まらないと言い、人員が足りないため、本来1時間の昼休が30分しか取れない。会社は商業施設を中心に複数の駐車場管理を請け負っており、ある現場では、10日連続の勤務を強いられた同僚もいるという。会社の方針が変わり、ここ数年は有給休暇も取れなくなった。

いずれも法律や就業規則に違反している可能性が高いが、職場で声を上げる人は誰もいない。かつてヨウジさんは職場環境について愚痴をこぼしたとき、そばで聞いていた年下の正社員から「契約社員が何言ってるんだ。二度とそういうことは許さない」と語気荒く、一蹴されたことがある。以来、職場でモノを言うのはやめた。不満のある者は黙って辞めていき、彼のように再就職口を見つけるのが難しい中高年以上の働き手はとどまる代わりに口をつぐむ――。いつのまにか、そんな「ルール」が出来上がってしまったのだという。

北海道内の産炭地で生まれた。兄弟が多く、経済的な理由から大学進学を断念。高校卒業後、札幌にある資材製造会社に就職した。技術系の正社員として、勤続20年を超える頃には年収は400万円を超えていた。帰宅は毎晩のように深夜近くで、結婚のタイミングは逃しつつあったが、暮らしぶりはおおむね順調だった。

安定した生活が一転したきっかけは、借金の連帯保証人になっていた友人と連絡が取れなくなったことだった。ヨウジさんは多くを語らないが、金額は自身の年収を軽く超えていたという。会社を辞めた退職金で穴を埋め、自己破産をして片をつけた。

このとき、すでに40代半ばすぎ。正社員の働き口はなかなか見つからなかった。折しも労働者派遣法が改正され、製造業への派遣が解禁。「やむをえず派遣会社を渡り歩くことになった」。

821チバQ:2018/04/22(日) 22:46:38
派遣に対する「差別と偏見」
「派遣に堕ちた」。正社員時代、短期間ながら役職者として派遣労働者を使う側にいたというヨウジさんは、自らが使われる側に転じたことをそう表現した。たぶん、彼に派遣労働者を見下す意図はない。確かに派遣労働者の中には、専門性の高い技術を武器に労働市場を生き抜くことができる人もいれば、それぞれの事情から短期雇用を望む働き手もいる。一方で規制緩和が進む中、彼のように安く買いたたかれ、理不尽な雇い止めに遭う「不本意派遣」が大量に生み出されたのも事実だ。これにより、多くの職場にいらぬヒエラルキーがもたらされたこともまた否定できない。

実際に多くの派遣先は差別と偏見にまみれていた。ヨウジさんが派遣されたある職場の仕事は、重さ20キログラム近い荷物をトラックから所定の場所まで移し変えることだった。期限は午前中いっぱい。多い日は1人で500個近くを運ばなければならないこともあった。

ヨウジさんは、正社員なら、荷物が多ければ人員を増やしたり、作業を午後に延ばしたりするなど臨機応変な対応がなされたはずだと言う。しかし、派遣労働者は代わりが利くとでも思っているのか、そうした配慮はない。昼前になって正社員が手伝いに入ることもあったが、それは同時に「時間内に仕事ができない使えない派遣」とみなされることでもあった。実際に仕事を失う仲間もいた。切られたくなければ、死に物狂いで終わらせるしかない。そんなとき、つくづく自分は「労働者」ではなく、「労働力」なのだと痛感したという。

ミスをしたときの風当たりも強かったという。工場内でフォークリフトの運転中、通路に放置された製品にぶつかってしまったときなどは、正社員から「これだから派遣は……」と言われた。ヨウジさんに言わせると、運転の不注意もあるが、荷物を放置しておくほうも悪い。派遣労働者を格下とみなすような物言いに、「ほとんどの職場で、正社員との間に会話がなくなっていきました」という。

正社員には正社員の言い分があるだろう。ただ、ヨウジさんがその後、駐車場管理の仕事に就いたのは、「派遣を渡り歩く」ことに心身ともに疲れ果てたからでもあった。

非正規労働者となってから十数年。60歳を前にして、健康格差も顕在化しつつある。

逆流性食道炎の持病があり、医師からは年1回の胃カメラ検査を指示されているが、実際に検査を受けるのは経済的な事情から2、3年に1度が限界。胸やけがひどくなるなど「本当に調子が悪くなってから」だ。歯科医師からは歯槽膿漏と言われたが、放置。健康診断で要再検査とされた項目についても「病院に行くと、(おカネがなくなり)生きていけなくなっちゃう」と、こちらも捨て置いたままである。

実は、ヨウジさんには職場以外にもうひとつ居場所がある。高校時代に兄の影響で、労働組合運動にかかわりを持つようになり、今も個人加入できる、ある地域ユニオンに加入しているのだ。最近は休日を利用して「働き方改革」に反対するデモなどに参加している。3年ほど前、東京で若者たちが「最低賃金1500円」を求めるデモを行うようになってから、札幌でも沿道の反応がよくなってきたという。

一方でユニオンへの理解はなかなか進まないと感じることもある。以前、ある女性が、退職金が規定どおりに出ないとユニオンに助けを求めてきたケースでは、交渉のかいあって退職金を得られたものの、それっきり女性と連絡が取れなくなった。かなり後になって再び女性から電話があったと思ったら、またしても同様の相談を持ちかけてきたという。

822チバQ:2018/04/22(日) 22:47:04
困ったときだけ頼られても「労組」の活動は続かない
労働組合は、言ってみれば会社側に対して弱い立場にある労働者同士の支え合いである。困ったときだけ頼られても、その活動は続かない。まるでユニオンを便利屋かなにかと勘違いしたかのような振る舞いに、ヨウジさんは「自分の問題が解決したら、それっきり。自分のことしか考えない労働者が増えたと感じます。ただそれは、学校で労働者の権利や労働運動の歴史についてちゃんと教えられていないことが原因だとも思います」という。

私的な付き合いの酒席でも、たびたび賃金や待遇の不満が話題になるので、1人でも加入できるユニオンがあると持ちかけてみるのだが、大抵の友人から「あ? 何よそれ。社会党系か? 共産党系か?」「そこに入ったら、俺の給料が上がるのか?」などと揶揄された揚げ句、拒絶される。「口を開けば仕事の不満ばかりなのに、いざ労働組合の話をすると『へー』『は?』で終わってしまう。不思議で仕方ありません」。

少し話はずれるが、私も、職場で雇い止めや賃下げに直面した知人に地域ユニオンを紹介したことがある。しかし、大抵の場合、彼らは「労働組合って、赤い鉢巻をまいて団結ガンバローと言わなきゃいけないんでしょう」「会社にけんかを売りたいわけじゃないんで……」など、正しいような、正しくないような理由で労組の敷居をまたごうとはしなかった。いずれにしても、彼らに団結権は憲法で保障された権利だという認識はない。

話をヨウジさんに戻す。私が、今の職場で労働組合はつくらないのかと尋ねると、彼はこう答えた。「無理だと思います。駐車場管理の業界は、警察OBや自衛隊出身者が多いんです。中でも労働組合への反発が強い人たちですから……」。

ヨウジさんの見立てが正しいかどうかは別にして、雇い止めと隣り合わせの契約社員が独りで行動することは、確かに難しいのかもしれない。

職場もユニオンも、現状は八方ふさがりに見えるが、ヨウジさんにはひとつ夢がある。それは定年退職後、ユニオンの労働相談員になることだ。派遣労働者に「堕ちた」悔しさも、職場で声を上げることができないふがいなさも――。すべて経験した自分ならではの寄り添い方ができるのではないかと思うのだ。

真冬の北海道の屋外で働くのに、時給880円は割が合わない。それでも、いつかこの経験が役に立つはず。そう信じて遠い春の訪れを待つ。

823チバQ:2018/05/06(日) 14:59:11
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180505-00055524-gendaibiz-bus_all
いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩
5/5(土) 11:00配信 現代ビジネス
いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩
写真:現代ビジネス
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近年、保育園や保育士に関するニュースが騒がしい。最近では女性保育士の「妊娠順番ルール」が衝撃をもって受けとめられた。今回は『ルポ 保育格差』著者のジャーナリスト・小林美希氏が、知られざる「男性保育士」の問題に迫る。
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ある男性保育士は「心が折れた」
 都内の認可保育所で働く木村俊宏さん(仮名、20代後半)は、「あまりのプレッシャーの大きさに、正職員はムリだと思った」と、今は派遣保育士として働いている。

 中学生の頃から保育士に憧れ、男性も増えてきたことで保育の道に進もうと踏み切った。新卒採用された保育所では1年目に2歳児クラスに配置され担任を任された。

 夢が実現して充実した保育士生活を送るはずだったが、まず、書類業務がネックとなった。

 日々、連絡帳の記入や日誌作りに加え、月案、週案、日案といって、月齢や年齢に応じた成長を促すためどのような保育を行うか狙いや計画を立てる書類業務もある。

 他にも「児童票」という子どもの成長と保育の課程を年に何度か記していく書類の作成もある。

 園児が怪我をすればインシデントレポート。保育士が書かなければならない書類は山のようにある。

 しかし、木村さんの職場では、ひとつひとつ教えてもらえるわけではなく、見よう見まねでパソコンに向かうしかなかった。なんとか書いたものはあっさりとダメ出しされる。

 そのうち、書類作成を意識しすぎて保育中にも気が気でなくなり、1年目の木村さんにとっては大きなプレッシャーとなった。

 保育についても先輩保育士は仕事を教えてくれない。新卒で右も左も分からないにもかかわらず、先輩が思うように木村さんが動けないと、「ちがう!」「まだやってないの!」と、ヒステリックに怒るばかり。

 「いったいどうすればいいのか」と右往左往する辛い毎日を送った。園児を連れて公園にお散歩に出る時、子どもがお漏らしをしたりした時のための着替えや、ケガをした時のための救急セットの入ったリュックを持つのは“下っ端”の役割。

 それに気づかずにいると「あんた、なにしてんのよ」と舌打ちされる。先輩の金切り声を聞く度に、「ポキッ、ポキッと音を立てるように心が折れていった」。

 そうした、いじめのような状態が続くと精神的にギリギリとなり、心療内科にかかるまで追い込まれた。医師からは休職を勧められた。

 勤め先の保育所には男性の保育士は木村さんのほか一人しかいない。職場はキツイ性格の女性の保育士ばかりで、「結婚願望がなくなった」と思うほどの女性不信に陥った。

824チバQ:2018/05/06(日) 14:59:37

保育士不足がもたらした現実
 筆者の知る限り、10数年ほど前までは「保育士は0歳児から5歳児まで全ての年齢の保育を経験して一人前」と言われていた。そして、新卒1年目はベテランや中堅の保育士と組んで経験を積みながら担任を任されていたはず。

 しかし、待機児童解消のため急ピッチで保育所が作られると保育士不足に拍車がかかり、そうは言ってはいられない。

 ここ数年で、経験2〜3年目でもクラスリーダーになり、20代のうちに主任や副主任になるケースは珍しくなくなった。保育所によっては、非正規でも担任をもつケースもある。

 正職員でいる以上、担任になることからは、ほぼ、逃れられない。

 木村さんは「自分にとって保育士は天職。他の職業なんて考えられない」と思いながらも、退職を決意。他の保育所で心機一転、リハビリを兼ねて非正規で働くことに決めた。

 何か所かの保育所を経て、今は、派遣保育士として大手が運営する認可保育所で勤務している。職場は男性保育士が半数近くを占め、働きやすさを感じている。

 時給1200円で1年契約。月収は10数万円だ。

 前に働いていた保育所では、1年契約が満了する3週間ほど前に突然「今月末で終わりです。更新はありません」と契約が打ち切られたこともある。

 それでも、木村さんは「いつ切られるかという心配があっても非正規でしか働けない。一人暮らしの身には厳しいが、正職員でも月収は19万円程度だった。好きな保育の仕事を完全に辞めるよりは、非正規で自分の心と体のバランスを見ながらでも働きたい」と話す。

いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩
〔PHOTO〕iStock
非正規で働くケースが目立ってきている
 全国福祉保育労働組合が行った認可保育所保育士の18年春闘に向けた「福祉職場で働くみんなの要求アンケート」では、仕事や職場で強いストレスを感じる原因について「責任や業務量の増加」(49.5%)に次いで、「職場の人間関係」(12.6%)が挙げられている。

 また、東京都が2014年3月に発表した「東京都保育士実態調査報告書」でも、退職理由のうち「職場の人間関係」が20.6%を占め、3位になっている(複数回答)。

 行政機関の労働相談員も「保育士からの相談には、職場で無視される、電話がかかっても内線を回してもらえないといった内容が多い」と話す。

 総合サポートユニオンに寄せられた相談のなかで多いのは「労働基準法違反」(72.2%)で、内訳は「賃金未払い」「休憩が取れない」「有給休暇が取れない」だった。

 次いで多いのが「パワーハラスメント・いじめ」(32.8%)となる(複数回答、2017年11月末現在)。

 人手不足の状態では、気持ちに余裕もなくなりギスギスしがち。保育所は閉鎖的になりやすく、よけいにパワハラやいじめも起こりやすくなる。

 同ユニオンの相談員である池田一慶さんは、「配置基準がギリギリだと過重労働となり研修や教育も受けられない問題がある。休憩時間も有給休暇も取れないなかで新人がつぶされ、30代の中堅も無理をしてバーンアウトして辞めていく。配置基準は保育士なら誰でもいいわけではなく、まだ何も知らない1年目を考慮してもいいのではないか」と憤る。

 保育士として働くものの、パートや非常勤、派遣など非正規で就労するケースはもともと子育て中の女性に多い。第一線で担任をしながら朝晩、遅番、残業をこなしながら育児と両立できないからだ。

 しかし、木村さんのように、いきなり現場に放り出されて新人のうちに精神的ダメージを受けて非正規で働くケースは、男女を問わずここのところ目立ってきている。

 これまで男性保育士の最大の問題といえば、低賃金で結婚に躊躇してしまう、いざ結婚が決まると収入の多い異業種に転身する「男の寿退社」だった。昨年の内閣府「経営実態調査」でも、保育士の平均年収は315万円にとどまっている。

 過去、筆者はそうした男性保育士ならではの問題も取りあげてきた。

 ある20代の男性は、「恋人がいて結婚したいと思っても、手取りが20万円を切るため自信がない」と、結婚に踏み切れないでいた。また、別の30代の男性も「結婚が決まって、他の職業に転職活動をしている」と、保育士に見切りをつけようとしていた。

 ところがいま、働き盛りの男性が、賃金を主な理由ではなく、業務や責任の重さを理由に非正規に転じるというのは、新たな問題として注視しなければいけないのではないだろうか。

 前述の木村さんは「保育という仕事が好きでやる気があっても、派遣や契約社員では評価されずにあっさりと切られてしまう。保育士不足が解消しないのは当然だ」という矛盾のなかでも保育士であろうと、もがいている。

小林 美希

825とはずがたり:2018/05/08(火) 08:00:03

貧困層の子、勉強時間が短い傾向 兵庫・尼崎で初調査
https://www.asahi.com/articles/ASL517HHLL51PIHB041.html?ref=tw_asahi
宮武努2018年5月8日07時44分

 経済的に恵まれていない家庭の子と、それ以外の子との間には、生活習慣の傾向に違いがあるのか――。兵庫県尼崎市が子どもの貧困対策に取り組むため、小中学生を対象にそんな調査を初めて実施した。勉強時間、ゲームへの依存度、虫歯の有無……。調査結果から様々な格差が浮かび上がった。

 市によると、「子どもの生活に関する実態調査」と名付けたこのアンケートは昨年9月、市立学校に通う小学5年と中学2年、その保護者を対象に実施した。

 収入を含めて回答した約2330世帯を、相対的貧困=キーマーク=の状態にある家庭(約230世帯)と、それ以外の家庭(約2100世帯)に分け、両グループの傾向を比べた。

 1日に授業以外でどのくらい勉強するかを尋ねた質問では、小中学生ともおおむね貧困層の子の勉強時間が短い傾向にあった。「まったくしない」と答えた子の割合を両グループで比べると、小学生では貧困層の方が4・5ポイント高かった。中学生ではさらに差が開き、10・8ポイント差となった。

 テレビやゲーム、携帯電話・ス…

826とはずがたり:2018/05/11(金) 13:39:05
沖縄に就職した友人が結構物価高いし(地域手当安くて)給料は安いからなと云ってた。
確かに田舎って特定のものは安くても一般工業製品(個人的経験だと玩具とか)は競争ないから結構高い。

沖縄の場合,域外から移入される生鮮食料品とかが更に安くて,結局沖縄の物価が安いってのは労賃が安いってだけなような。。

沖縄独自の財源使って生活保護とか出来ないのか?生活保護特区でも指定すればいい。

2018.5.11
沖縄の知るほどに驚く貧困、低収入・高コストで生活苦が止まらない
http://diamond.jp/articles/-/169625
みわよしこ:フリーランス・ライター? バックナンバー一覧へ

沖縄には深刻な貧困が存在する。人々の生活苦が止まらないのはなぜなのか。現地で生の声を聞くと、本土からはわからない実態が見えてきた(写真はイメージです)
沖縄の貧困率は全国平均の2倍!
貧しいのに生活保護を受給できない事情も
 沖縄に深刻な貧困が存在することは、もはや周知の事実だ。今回は、沖縄と生活保護の「いま」を紹介したい。国の制度である生活保護は、沖縄と全国の共通点、および沖縄の独自性の中で、どのように機能したり機能しなかったりするのだろうか。

 沖縄県の子どもの貧困率は29.9%(2016年、沖縄県調査)に達し、同時期の全国平均16.3 %(2015年、内閣府)の2倍近い数値だった。むろん、多数の子どもが貧困状態にあるということは、親など大人の貧困が存在するということだ。子どもに限定しない沖縄県全体の貧困率は34.8%であり、全国平均18.3%の約2倍であった(2016年、戸室健作氏)。

 沖縄県はこの深刻な貧困に向き合い、独自の実態調査(2015年度〜)、「沖縄県子どもの貧困対策計画」の策定と実施(2016年度〜2021年度)、30億円の独自予算措置(2016年度)など、スピード感のある施策の数々を実施している。また内閣府も、全国で最も深刻な沖縄の子どもの貧困問題にモデル事業として取り組むべく、「沖縄県子供の貧困緊急対策事業」(2016年度〜)を実施している。スピード感の維持と継続性が課題ではあるが、沖縄県は課題先進地であるとともに、取り組みへの先進地ともなっている。

 とはいえ、沖縄県の生活保護率は貧困率から見ると不自然なほど少なく、人口ベースで2.5%だ(2017年)、大阪府・北海道・高知県に続いて全国4位である。貧困率から単純に計算すると、生活保護の受給資格がありながら受給していない人々が、受給者の10倍以上存在することになる。行政側に尋ねると、「血縁や地縁の助け合いがあるから」「皆さん、生活保護より車を選ぶ」といった回答が多いのだが、どうも釈然としない。

 いずれにしても、貧困をはじめとする沖縄の社会問題は、一筋縄で捉えられるものではない。貧困一般との共通点もあれば、地理的条件や歴史的経緯と関連した独自の“貧困”もあり、それらが複雑に入り混じっている。「知ろうとすれば知るほど、わからなくなる」というのが、私の正直な思いだ。それでも無理やり要約すると、沖縄の貧困の特徴は、次の3点になるだろう。

【沖縄の貧困の特徴】

(1)収入が低く生活コストが高いため、必然的に貧困になる
(2)狭い社会・濃密な人間関係の中で、憎悪も偏見も濃縮されがち
(3)公共インフラが整備されにくい、あるいは充分に整備されていない

 公共インフラの問題は、旅行者としてホテルや旅館などに宿泊していると、気づきにくい。多くの場合、断水などのトラブルがない限りは水洗トイレが利用でき、浴室では温かなお湯を使ってシャワーを浴びたり入浴したりできるはずだ。しかしそれらは、公共インフラとしての下水道が存在することを、必ずしも意味しない。

 たとえば、竹富島・西表島・波照間島など魅力的な島々を含む沖縄県竹富町では、トイレの水洗化率は100%に達しており、全国(78.3%)および沖縄県(71.5%)よりも高い。しかし下水道の普及率は8%に過ぎない(沖縄県調査)。さらに、基地の影響もある。日本の公道・上下水道・送電線などは、基本的に他国の軍事基地の中を通過できない。このため、公共インフラの設置・整備がさらに困難になる。

 このような問題を念頭に起きながら、今回は主に、生活コストの問題を概観してみよう。

827とはずがたり:2018/05/11(金) 13:39:28

稼げない一方、生活コストは高い
移住者も音を上げる沖縄の生活苦
 観光で訪れた沖縄に憧れて移住を試みたものの、継続できずに撤退する人々は少なくない。充分な収入を得られる仕事は簡単には見つからず、生活コストは高い。「暮らして行けない」という理由によって撤退するのは、自然の成り行きであろう。

 現在、沖縄県の最低賃金は時給737円(2017年10月発効)で、全国最低ランクだ。2018年1〜3月の完全失業率は3.6%で、全国最高となっている。2017年〜2018年にかけては、全国的に失業率の減少が見られ、全国では2.9%→2.5%となっている。2017年、沖縄県と同等に高い失業率が見られた北海道では、1年間で3.8%→3.1%と減少している。沖縄県でも3.8%→3.6%と若干の減少は見られているものの、他地域に比べると減少幅は少ない(総務省統計局「労働力調査」による)。沖縄県の1人あたり年間県民所得は213万円で全国最下位、全国平均の306万円を大きく下回る。

 それでは、生活コストはどうだろうか。やや古いデータだが、全国の51政令都市を対象とした「地域差指数」(2013年、総務省統計局)を参照すると、全国を100としたとき、那覇市は101.2となっている。最も高いのは横浜市で106.0、ちなみに東京都区部は105.9だ。那覇市に対しては、「特に高いわけではなさそうだ」という印象を受ける方が多いだろう。

 しかし食料に限定すると、東京都区部(104.9)や横浜市(105.9)に比べて、那覇市は104.8。特に安いというわけではない。しかも所得が全国平均の3分の2に過ぎないことを考えると、「高っ!」と悲鳴をあげるべき金額だ。

 品目別に見てみると、県外から船や飛行機で運搬される品目で、特に高さが目立つ。代表的なものは白米だ。本土で1本200円のゴーヤが沖縄では2本100円であるとしても、本土では1800円で買えるコメ5キログラムを沖縄では2300円で購入せざるを得ないとすれば、地元農産物が安価に買えるからといって生活がラクになるわけではないことは明らかだろう(政府「小売物価統計調査」(2017年)を参照)。

 ちなみに福岡市出身の私は、沖縄に行く際、福岡市を経由することが多い。午後のフライトで福岡市を発ち、夕方に那覇市に到着すると、「さっき福岡市のスーパーで4個200円で売られていたのと同じトマトが、500円!」と驚くことになる。それでも私には「那覇での今晩のおかずは、福岡で買って行く」という選択肢がある。だが那覇市民は、その地での収入とその地の物価でずっと暮らしているのだ。

生活保護費では住める家がない
沖縄の離島の「住」は東京より深刻
 離島では、さらに状況が厳しくなる。週に数便の船便で運ばれてくる生鮮食料品を、島に1軒しかない商店から購入せざるを得ないとなれば、価格競争は起こりにくい。その商店にも、経営を維持するために値引き販売できない事情がある。したがって、生活コストは“高止まり“しやすい。

それなのに、沖縄県の離島は、生活保護基準では6段階の最低ランク「3級地の2」に位置づけられている。離島多数を含む竹富町を例にとり、41〜59歳の健常者の単身世帯として生活保護の生活費分(生活扶助)を計算してみると、6万4780円となった。ここから買い物に行くバス代や船の運賃を捻出し、水道光熱費を支払う。夏になればエアコンを使用しないわけにはいかない。「とても暮らせないだろう」というのが正直な実感だ。

 さらに、住まいの問題も大きい。前述の竹富町では、生活保護費の家賃補助(住宅扶助)の上限額は3万2000円なのだが、離島ではそもそも人が住める状態の賃貸住宅そのものが少ない。賃貸アパート検索サイトで探してみても、物件がヒットしないのだ。地域の事情を知る人によれば「少なくとも5万円以上だろう」ということである。

 たとえば5万円の賃貸住宅に済んで、差額の1万8000円を生活費から捻出するとなると、「とりあえず死なない」ことが精一杯という生活になるだろう。しかも福祉事務所からは、「家賃が高額すぎる」という理由による転居指導がなされる可能性があるし、従わない場合には生活保護打ち切りもあり得る。住み慣れた地域、これからも住み続けたい地域に公営住宅の空きがない限り、生活保護で暮らすことも難しい。

828とはずがたり:2018/05/11(金) 13:40:32

濃密な地域コミュニティでは
生活保護への偏見も増幅される
 沖縄で「ゆいまーる」と呼ばれる血縁・地縁の中での相互の助け合いは、徐々に薄れつつある。そういった助け合いが機能するということは、小規模で濃密なコミュニティが存在するということでもある。そこでは悪意も敵意も偏見も増幅される。生活保護で暮らすことは、偏見をぶつけられて排除される覚悟とセットになりかねない。地方では「車か生活保護か」の二択になりかねないのだが、生活保護に対する偏見が強いコミュニティの中では、「生命と引き換えに社会の一員であることを選ぶか、生命を守るために社会の一員であることを諦めるか」という究極の選択もあり得る。「血縁者が生活保護を利用し始めたので縁を切った」という話は、九州全域で頻繁に耳にする。

 人口が約30万人の那覇市は、賃貸物件もスーパーマーケットも多い。生活コストは安くはないが、離島ほど苛酷な状況ではない。しかし那覇市でさえ、生活保護では生活コストが高い方から3番目の「2級地の1」に位置づけられている。生活保護費の生活費分は、41〜59歳の健常者単身世帯で7万2450円、家賃補助の上限額は3万2000円。家賃がこの範囲におさまる賃貸物件は存在するのだが、おおむね「築年数40年以上、エレベータなし」。安全面に不安が感じられるし、疾患や障害を持つと暮らせなくなりそうだ。

貧困が連鎖する沖縄の歴史
低すぎる生活保護基準の見直しを
 沖縄県内の心ある生活保護ケースワーカーたちに「生活保護に関する最大の問題は?」と尋ねると、異口同音に「生活保護基準が低すぎること」と語る。さらに「これでは暮らせません」「非人道的です」「政府は、本土の人は、『沖縄だからこれでいいや』と思ってるんじゃないですか?」といった言葉が続くこともある。

 2013年以来、生活保護基準は全国的に低められすぎている。その上に2018年10月から予定されている引き下げが重なることになるのだが、本記事で具体例をいくつか挙げたとおり、沖縄県は全体的に生活コストが低く見積もられすぎている。生活保護制度が想定する地域の生活コストは6段階だが、那覇市が高い方から3段階目(2級地の1)、宜野湾市・沖縄市・石垣市・宮古島市など市部の一部が高い方から5段階目(3級地の1)、その他は最低ランク(3級地の2)だ。これが到底「暮らせない」ものであることは、すでに述べた。

 県全体の就労環境の問題、自動車を保有していないと事実上暮らせない生活環境の問題、貧困が連鎖した結果と見るべき子どもの貧困の深刻さなど、問題は数多い。

 沖縄本島で働く生活保護ケースワーカー・Aさんは、さらにアルコール依存症や生活習慣病の問題を挙げ、「沖縄は問題が山盛りといいますか……ひどい言い方ですけど、沖縄社会全体が、日本の中のスラムのような気もします」と語る。

 その背景にあるのは、27年間に及んだ米軍統治だ。当時の沖縄県民は、日本国憲法も社会福祉関連法規もない状況に置かれていた。

「基本的人権もない状態で必死で生きてきて、貧困の問題でやっとスポットライトが当たった感じがします」(Aさん)

 ケースワーカーたちは、国に実施要領を変えてほしいと訴えることができる。地域のニーズや住民の声を拾い上げ、国に伝えることもできる。

「役所の職員としての責務だと思います。しないのは業務の怠慢です」(Aさん)
 
 そういうAさんたちの粘り強さは、実際に生活保護の実施要領を動かしてきた。たとえば現在の生活保護制度では、DV被害者が心身と生命の安全を確保するために新しい住居に転居する場合、初期費用(礼金・敷金類)を給付できる。Aさんたちの働きかけによって、2015年に盛り込まれたものだ。

829とはずがたり:2018/05/11(金) 13:40:41
>>826-829

本土にいては見えにくい
沖縄の知るほどに驚く貧困

 そのAさんは、現在、国会で審議されている生活保護法改正と、10月から予定されている生活保護基準の引き下げを憂慮している。

「これ以上引き下げたら、セーフティネットになり得ないでしょう。生活保護法改正も、大学進学支援だけに焦点があたっているような気がします。進学が難しい子どもの支援は抜け落ちているし……と言いますか、ありませんし」(Aさん)

 心から「このままでよい」「これが正解だ」と考えている人々は、実のところ、それほど多くはないだろう。生活保護基準の「見直し」は、この数年、事実上「引き下げ」を意味するものとなってしまっているが、たとえば沖縄県で生活コストに見合うように引き上げが行われたら、沖縄県の最低賃金も上がり、「稼げない」「暮らせない」という悩みは確実に減少する。反面、リゾート滞在やレジャーの費用は若干高くなるかもしれない。

 本土の生活を享受している者として、ときには自分のために沖縄を訪れることができる者として、分配を是正するために投票などの手段を講じることのできる者として、引き続き、本土の大都市圏にいては見えにくい問題の数々に、目を凝らしていきたい。

(フリーランスライター みわよしこ)

830チバQ:2018/05/21(月) 21:14:47
https://joshi-spa.jp/749002
2018.05.20
性産業に飛び込む貧困女性「脱ぎたくても仕事がない…」
 家族や知人にバレる可能性があるリスクを犯しても、AV業界で働きたい貧困女性も多いという。AV事務所社長のミュウ氏に詳しく聞いた。
脱ぎたくても仕事がない女性も多い

「AVでも企画女優は3万〜6万円が相場。それでも女優志願者が多くて供給過多だから、不細工なコは『トイレのシーンを見せるだけ』というのような日当1万円のエキストラ仕事などに群がっています」とミュウ氏は言う。

 以前紹介した“風俗嬢をしながらAV女優を目指すも仕事がない女性”もそうだったが、「今は『脱ぎたくても仕事がない』という、女優未満の“セミプロ”みたいなコばかりですよ」と話す。

「この前もそんな女性が面接に来ました。たまにAVにも出ているけど、それ以外はコスプレして自作の少しエッチなDVDを売っているとか。しかもツイッターで声を掛けられた男性に『撮影込み1万円』でセックスまでさせているって……。

『なんでそんなことしちゃうの!』と説教したんですが、本人は安売りしている自覚もなく、それが普通だと思っているんです」

 若い女性でもそうなのだから、アラフォー以上のAV志望者の状況は推して知るべしだろう。

「そういう年齢の女性には『仕事はないから介護とかやったほうがいい』と勧めます。ただそれでもどんどん応募が来る時代なんです」

―女性の貧困と性 vol.6―

831チバQ:2018/05/21(月) 21:16:37
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/227790
足立区でひもとく「貧困」
中学で不登校…「禁煙」が読めずアルバイトをクビになった
2018年4月24日
「ファミリーレストランにアルバイトとして採用された22歳の女性がいました。しかし、ほどなくして解雇に。その理由は『禁煙』の漢字が読めず、意味も分からなかったためでした……」

 これは、ノンフィクション作家の黒川祥子氏が取材の過程で知った現実だ。22歳女性は生活保護世帯に生まれ、中学で不登校になり、漢字やローマ字すら書けなかった。

「働く意欲があればまだしも、そのマインドすらない子もいます。2014年に『子どもの貧困対策法』が施行され、貧困世帯の子どもは教育、生活、就労、経済的支援を受けられるようになりました。ただし、残念ながら一部の生活保護世帯の親は、“勤労”や“就学”の意識が著しく欠如している。親子2代、3代にわたって生活保護という負の連鎖も始まっています」(黒川氏)

 生活保護費の金額は自治体によって違うが、母子家庭で子ども2人がいると、生活扶助のほか、母子加算、児童養育加算が加わって、月額30万円以上の支給額になる。子どもがアルバイトしようものなら、その分の保護費が減額されるため、あまり働かせたがらない。また、上の娘が結婚してすぐに離婚。子連れで実家に戻り、さらに給付費が上乗せされることもある。加算金のために子を産み、産みっぱなしの親に子が育てられる。

■港区民との年収差は777万円

 都内23区で最も貧困が深刻なのが足立区だ。総務省統計(16年)によると、平均所得は23区最下位の338万円。港区民の1115万円の3分の1に満たず、世帯年収300万円未満の割合が37%を占める。16年の生活保護世帯数は過去最多の1万8986世帯。総扶助額は469億円に上り、一般歳出の約2割と予算を圧迫している。

 足立区では「あだちプロジェクト」という子どもの貧困対策も行っており、生活保護の対象世帯でなくても、低所得であれば修学旅行費(実費)や卒業アルバム購入費(6640円)などを免除している。朝食抜きで登校する児童・生徒も多かったため、給食にも力を入れている。

 ただし、学力試験は都内下位に低迷。小中校の不登校の割合は04年に比べて14年は倍以上の878人となった。

「都内有数の貧困地域で子どもをサポートしている女性によると、朝になっても親が子を起こさず、母親が料理する姿をほとんど見ない子もいる。菓子パンや弁当を与えておしまいです」(黒川氏)

 株価に一喜一憂する大人がいる一方、将来の希望が見いだせない子どもたち。「子どもの貧困対策法」は第1条で「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されてはならない」と基本理念を定めている。ところが現実は貧困世帯に生まれた子どもが、怠惰な親に引きずられて未来を閉ざしてしまっているのだ。

「日本の地域別将来推計人口」(2018年)によると、港区や渋谷区と違い、足立区の人口はこれから大幅減少に転じる。足立区の今は、少子化が進む日本の近い将来の縮図に過ぎない。

832チバQ:2018/05/21(月) 21:17:18
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/227842
足立区でひもとく「貧困」
貧困層と共働き世帯が利用する「子ども食堂」って何だ?
2018年4月25日
 生活困窮によって食事もままならない家庭が増加している。

 そんな子どもたちが利用しているのが、「子ども食堂」だ。

「こども食堂安心・安全向上委員会」の調査によると、地域の子どもに無料または低価格で食事を提供する「子ども食堂」は全国に2286カ所。年間延べ100万人が利用しているという。

「子ども食堂」は12年に東京都大田区の八百屋の店主がオープンしたのを機に全国的に広がった。対象は、貧困家庭の子どもやその親、または共働きで夜に親がいない家庭の子どもたち。定期的にバランスの取れた温かい夕食を食べながら、食事の場を通して地域の人たちと交流を深めるという。

 東京都には現在335カ所あり、足立区は11カ所だ。

 東京都「子供の生活実態調査」(小中高=2017年3月)によると、「過去1年間に、お金が足りなくて、家族が必要とする食料を買えないことがありましたか」との問いに、小学5年生の保護者の9.7%、中学2年生の保護者の11.2%、16〜17歳の保護者の9.8%が「あった」と答えている。約1割の子どもが食費もままならない環境に身を置いているのだ。

 また、16〜17歳の平日(学校や仕事に行く日)の一日の食事の平均回数は、2食以下が13.3%、困窮層に限れば2食以下は22.7%という。

 豊島区で4カ所の子ども食堂を運営する「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」では、毎月2回オープンする。

「大人は300円、子供は無料で利用できます。時間は17時半から20時ごろまで、食事は地域のボランティアが集まって作ります。要町と椎名町の2カ所は会場が大きいので、予約は要りません。それぞれ毎回50〜80人、多い時で100人。小学校低学年のお子さん連れの親子や小中学生が1人で訪れている。共働きだったり、シングルマザー世帯などが利用しています」(理事長の栗林知絵子さん)

■文京区では「こども宅食」がスタート


 子ども食堂は、自治体の補助を受けながら運営される。子どもと一緒なら親・祖父母などの保護者も一緒に利用できる一方、ボランティアの人手不足や予算が厳しく、運営危機の団体も少なくない。貧困家庭には、社会福祉協議会や民生委員らが、子ども食堂を利用するよう声掛けするという。

 文京区ではNPOなどと共同で、貧困世帯に直接食品を送る「こども宅食」事業を昨年10月にスタートさせた。

 東大やお茶の水女子大などが立地する文教地区で、平均世帯年収は500万円以上と比較的裕福な家庭が多いイメージだが、実は生活困窮家庭の子どもは1000人以上いるという。支援対象となる区内の「児童扶養手当」受給世帯は約700世帯、「就学援助」受給世帯は約1000世帯に上る。

「これらのひとり親家庭の受給世帯を対象に、2カ月に1回ペースで1年間、お米、パスタ、缶詰、レトルト食品などの保存食を中心に配送しています。17年は150世帯を募集したところ、458世帯の応募がありました」(子育て支援課の担当者)

 一体どこの国の話かと耳を疑うが、これが今の日本の現実だ。

833チバQ:2018/05/21(月) 21:18:18
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/227932
足立区でひもとく「貧困」
中学生の4割が誤答 タブレットのない子供は読解力が落ちる
2018年4月26日
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸警備を命じられた」

 おいおい、警備を命じられるのは幕府ではなくて、大名だろ! こんな一文を目にすると、そんなツッコミを入れたくなるが、キョトンとする中高生が少なくない。

 国立情報学研究所の研究チームが昨年11月、中高生の読解力を調査。冒頭の文章と対で「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」を示し、2つの文の意味を問うたところ、中学生は43%、高校生は28%が「同じ」と解答したというのだ。

 そんな時代を反映してか、「AIVS教科書が読めない子どもたち」がベストセラーに。読解力の低下は社会問題になっているが、にわかに浮上したわけではない。

 出版文化産業振興財団が2010年に1カ月に読む本の平均冊数と世帯年収の関係を調査。すると、最低3冊以上本を読むのは、世帯年収が「1500万円以上」の人が最多で40・5%だったが、「0冊」「読まない」と回答した人が最も多かったのは「300万〜500万円未満」で28・8%。読書量は、世帯年収と比例する傾向が見て取れる。おのずとその影響は子供に及ぶだろう。

■公立の中でも伝統校に“移民”する

 足立区の平均所得は、23区最下位の338万円で、5世帯に2世帯は300万円未満だ。そこで昨年度の全国学力・学習状況調査の結果を見てみると、小6の国語は知識力を問う「A」と活用力を問う「B」ともに、全国平均を上回り、Aは東京都平均と同じ76点で、Bは都平均を1・1点下回る58・9点。それが中3になると、「A」「B」ともに全国平均を下回る。中学に上がると、授業についていけない生徒が増えている。

 年収が下がると、なぜ読解力が低下するのか。大阪産業大元客員教授の八幡義雄氏は「iPadをはじめとするタブレットの所有台数が大きな要因です」としてこう言う。

「富裕層は、2〜3歳でiPadが与えられていて、子供は普通に使いこなすようになります。読み聞かせをしていたおばあちゃんの代わりをタブレットがしていて、子供は日本昔ばなしを見ていたりします。そして、タブレットでひらがなや漢字、計算の練習もする。子供をヤル気にさせる仕掛けがありますから、親が紙のドリルを『やりなさい』というより子供は楽しんでできるのです。子供はタブレットに触れているうちに探究心や好奇心を広げていきますから、ない子との読解力の差は広がる一方です」

 平均年収1000万円を超える千代田、中央、港の都心3区は、国立や私立の中学に進学する割合が3割を超える。が、足立区は1割に満たず、9割超が地元の公立中だ。しかも、教育熱心な都心3区のエリアだと、同じ公立の中でもより伝統のある学区に住もうと区内で引っ越しする“公立小移民”も生まれている。東京・千代田区の名門・番町小に娘を通わせた40代男性が言う。

「公立でも伝統校には、教育熱心な親が集まり、子供はその環境で育つので、いわゆる“学区年収”が高い学校は、“友達力”が違うと思います。ウチの娘も友達に感化されて、女子ご三家に匹敵する私立に合格できましたから。そういえば幼稚園に入る前から、タブレットで読み書き計算はやっていました」

 その番町小、今年の受験では、開成や麻布、桜蔭などの男女ご三家に複数の合格者を出すなど過去最高の進学実績だったという。幼少期の読解力の差は、子供の将来を大きく左右する――。

834チバQ:2018/05/21(月) 21:19:05
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/228008
足立区でひもとく「貧困」
23区内で最多「生活保護世帯」を狙う貧困ビジネスの魔の手
2018年4月27日
 貧困層や低所得者をターゲットに暴利をむさぼるビジネスを、貧困ビジネスと呼ぶ。借金がある人、若い非正規労働者、生活保護世帯、場合によっては年金生活者までもがターゲットにされるという。

 生活に余裕のない貧乏人から金が取れるの? そう思いがちだが、現実は違う。細く長く――。まるで悪代官が農民らから年貢を搾り取るように、貧困層から確実に金をむしり取っているのが現実だ。

「日本の『地下経済』最新白書」(SB新書)の著者で、経済学者の門倉貴史氏がこう言う。

「いい例が脱法ハウスです。役所へはレンタルオフィスで届け出を出しているのに、室内を3畳程度の居住スペースに区切り、共同住宅仕様にした一種のシェアハウス。非正規で働く未婚の単身者や、地方から出てきてアパートを借りるには予算的にキビシイ若者をターゲットに荒稼ぎをする。料金が安いとはいえ、間取りが狭い部屋の面積から考えたらメチャクチャ割高です。2016年度の国交省の発表では、全国に2004棟もあり、うち1527棟が東京に集中している。ざっと76%。新宿区や世田谷区に多いのも特徴です」

 生活保護世帯も貧困ビジネスの格好のターゲットだ。

 東京都福祉保健局の「福祉・衛生行政統計年報」(16年度)によると、23区内の生活保護世帯数は――。

①足立…1万8820
②江戸川…1万5383③板橋…1万4198
④大田…1万3561
⑤練馬…1万3106

 東京都の生活保護世帯は総数23万2042世帯あって、ここまでが上位5区部。総世帯数に占める割合では、山谷がある台東区、足立区、荒川区の順で多かった。

 どうやって、生活保護者が狙い撃ちされているのか?

「簡単に言うと生活保護費のピンハネです。ホームレスを簡易住宅に入れて生活保護を受けさせ、家賃としてその大部分をかすめ取ってしまう。背後には暴力団がいて、暴力団排除条例の施行でシノギが厳しくなったため、資金源のひとつにされているという見方もあります。定期的に安定した収入を得られますからね」(門倉貴史氏)

■簡易宿泊所は暴力団の資金源に

 ホームレスには家がない。住所不定では生活保護の申請が認定されにくい。

 これに目を付けた暴力団ら悪徳業者がボランティアを装って近づき、簡易住宅を提供して生活保護を申請させる。行政の審査が通ってしまえば、生活保護費の大半は悪徳業者の“取り分”という構図だ。

 家賃のほかに、光熱費、管理費、運営費などが次々加算され、10万円ちょっとある保護費のうち手元に残るのは2万円ほど。部屋はベニヤ板で仕切られた3畳スペース……。むごい話ではないか。

 暴力団の手先たちがホームレスを探し歩き、足立区や江戸川区の簡易宿泊所に入れている可能性もあるということだ。

 貧困ビジネスはコレだけじゃない。門倉貴史氏は、前出の著書の中で、礼金・敷金ゼロのゼロゼロ物件をはじめ、クレジットカードのショッピング枠を使って購入した商品のネットオークション出品、金に困った高齢者の麻薬の運び屋、臓器売買なども、その範疇だと指摘する。

 貧困ビジネスの闇は深い。

835チバQ:2018/05/21(月) 21:19:48
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/228117
足立区でひもとく「貧困」
対策待ったなし 虐待が見過ごされやすい地域は確実にある
2018年4月28日
 2014年、足立区の夫婦が3歳の次男にリードをつけてウサギ用ケージに監禁し、死に至らしめた上、その遺体を荒川に捨てたというショッキングなニュースが流れた。「足立区ウサギ用ケージ監禁死事件」である。この夫婦は次男の死亡後も、次男が生きているように見せかけて児童手当や生活保護費を受給していたという。

 当時の2人には、次男の死亡後すぐに生まれた子も含めて7人の子どもがいた。みんなで頻繁に外食に出かけるなど、円満な家庭として振る舞っている。家賃や駐車場料金を滞納していたが、周囲には困窮ぶりを見せていなかった。

 果たして、貧困が夫婦を子どもの虐待へと向かわせたのだろうか。

「『鬼畜』の家 わが子を殺す親たち」(新潮社)でこの事件を追ったノンフィクション作家の石井光太氏は、「必ずしも貧困が理由ではなく、夫婦の育った環境などさまざまな要因があります。ただ、竹ノ塚で働いていたホストとホステスが出会い、計画性もなく子どもをたくさん産み、2LDKのアパートに10匹以上の犬と暮らしていた。そんな状況でも周囲の人たちがおかしいと思いづらい地域だったということは言えると思います」と言う。

 平日の昼に子どもがフラッと歩いていても不自然とは思われない地域、途中で幼稚園に通わなくなっても特別視されにくい地域など、虐待が見過ごされやすい地域というのは、確実にあるという。

 そこで男女が結びつき、虐待が起こり、通報されることなく過ごして重大事案になるというケースは珍しくない。

■全国的に件数は上昇

 ただし低所得層が多いとされる足立区で特別に虐待件数が多いのかというと、そうとも言えない。

 足立区内の児童相談件数は2010年度の335件から、14年度には855件にまで上昇し、16年度では778件。数年で急上昇しているように見えるが、子育てなどの相談対応や家庭・学校への支援に虐待の通告先の役割も担う「足立区こども支援センターげんき」に聞くと、「虐待件数の上昇は足立区に限らず、全国的なもの。虐待への認知度の高まりも、件数増加の一因と思われます。また、世帯数に対する割合を見れば、足立区が特に虐待率が高いわけでもありません」(担当者)と言う。

836チバQ:2018/05/21(月) 21:20:27
 その上で、「低所得家庭への経済支援が不十分な今の段階では、経済状況を立て直せても虐待数が減るかどうかは分かりません。ただ、虐待には複合的な要因があるので、貧困の解決だけでは難しいとは思います」と話す。

 背景が複雑であるがゆえに、対策も困難を極めるのだ。

「貧困と虐待は、因果関係にはないけれど、相関関係はあると思います。きちんと社会と関わることができない男女が親となり、貧困に陥り、かつ人との関わり方や子育ての仕方がわからないゆえに虐待に至ってしまうという例は多い」(石井光太氏)

 足立児童相談所も「虐待が起こる要因はさまざまで、それらが複合的に絡み合っています。その中のひとつが貧困ですが、厚労省も子どもの貧困と虐待との関連性は示しています」(担当者)と言う。実際に厚労省は、子どもの貧困対策の中に、ひとり親や多子世帯などへの支援の充実と並べて、「児童虐待防止対策強化プロジェクト」を入れている。

「虐待は、子どもが“こうしてほしい”と訴えられず、介入が難しいケースも多い。養育力の低い家庭を生活再建させる法的な仕組みをもっと充実させていかなければ、虐待から救えない家庭をなくすことはできない」(足立区こども支援センターげんき)

 対策は待ったなしだ。 (おわり)

837とはずがたり:2018/05/22(火) 20:18:41
60代継続雇用の薄給を嫌う人は老後破綻
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180522-00025208-president-soci
5/22(火) 9:15配信 プレジデントオンライン

「65歳定年企業」が増えつつある。中には給与の激減を嫌って、「60歳で引退」を選ぶ人もいるようだが、これは非常に危険だ。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは「年金支給まで『無収入期間』が発生し、老後のマネープランを崩壊させるリスクがあります」という。ゆとりある老後のために「超重要」という60代のベターな生き方・働き方とは――。



838とはずがたり:2018/05/30(水) 20:36:32
017年04月25日
「独身・無職・中年」の絶望。生活保護で命をつなぎ、家でネットを眺める日々…
https://nikkan-spa.jp/1322031

839とはずがたり:2018/05/30(水) 21:19:54
これで人が育つ? 生活保護、3年で160億円カット 安倍政権で続く減額
https://mainichi.jp/articles/20180508/ddm/041/010/123000c
会員限定有料記事 毎日新聞2018年5月8日 東京朝刊


子育て世帯の生活扶助費の推移
 <access>

 政府は2018年度から、生活保護の生活費相当分を3年かけて減額する。その一方、「人づくり革命」の一環として、保護世帯の子どもの大学進学を支援する方針を打ち出した。こうした見直しは「子どもの貧困」にどう影響するのか、調べてみた。【佐藤丈一、西田真季子】

 見直しによる生活費本体部分の削減は180億円。加えて1人親世帯を対象にした母子加算を平均2割カットして20億円減らす。総額200億円を削減しつつ、中学生までの「児童養育加算」(月1万円)を高校生まで拡大するため40億円増額。全体では17年度比で年額1・8%、国費で160億円分のカットとなる。

 一方、安倍政権は昨年12月に経済政策パッケージを決定。人づくり革命で「子育て世代、子どもたちに政策…

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840チバQ:2018/06/05(火) 21:23:44
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180605-00223343-toyo-soci
48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻
6/5(火) 15:00配信 東洋経済オンライン
48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻
昼休みが10分しか取れないことも珍しくないというヨシツグさん(編集部撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは、「市の臨時職員として働いているが、市長が変わっても正規職員に登用される見込みもなく不安になっている」と編集部にメールをくれた48歳の男性だ。

 「すみません。年度末は時間が取れそうにありません」

 「今週、来週ですが、(4月に)異動してきた正職員の指導や、引き継ぎなどがあり日程的に厳しいです」

 首都圏のある地方自治体に勤める臨時職員のヨシツグさん(48歳、仮名)に、最初にメールで取材のお願いをしたのは2月下旬のことだった。仕事が立て込んでいるなどの理由で、何度か日程のキャンセルと再調整を繰り返した。ようやく会えたのは5月の連休明け。年度の変わり目とはいえ、非正規公務員もここまで忙しいものなのか。

 「忙しいです。昼休みが10分くらいしか取れないことも珍しくありません。弁当をかきこんで終わりです。昼ご飯を食べる時間もないような民間のひどい会社に比べたら、まだマシと言われてしまうかもしれませんが……」

■典型的な「官製ワーキングプア」

 税務部門で、土地や家屋に関する税額を算定する仕事に携わっているヨシツグさんはさらにこう続ける。

 「2月、3月は申告関係の書類が集中して提出され、案件によっては記載内容が正しいかどうかを電話などで確認しなければなりません。4月は記載に誤りがあったり、駆け込み申告されたりしたケースについて、納税通知書の差し替え作業に追われます。年度によっては(正規の)新人職員が配属され、教育係を任されます。残業時間はそう多くはないのですが、日中はつねに時間に追われている感じです」

 勤続10年以上。フルタイムで働きながら、年収は190万円に届かない。典型的な「官製ワーキングプア」である。

 ただでさえ忙殺される年度末、ヨシツグさんには、さらに非正規公務員ならではの大きなストレスがある。この時期、契約更新のための面接を受けなければならないのだ。「4月以降も自分はここで働けるだろうか――。毎年、不安で仕方ありません。3月中旬に面接が行われた年もあり、このときは本当に胃が痛くなりました」と振り返る。

ヨシツグさんにとっていちばんの不満は賃金の低さである。

 働き始めて1年目、上司から給与の引き下げを打診された。年収ベースで約20万円のダウン。このとき、「(引き下げに)同意するなら契約を更新する」と告げられた。一方的な賃金カットは法律でも原則禁止されているが、失業したくない非正規労働者にとって拒絶するという選択肢はない。ヨシツグさんもはらわたが煮えくり返る思いを押し隠し、賃下げを受け入れたという。

 ヨシツグさんは「正規職員と同じ仕事をしているんですから、同一労働同一賃金を守ってほしい」と訴える。

 総務省が実施した「地方公務員給与実態調査」に基づくデータによると、ヨシツグさんが勤務する地方自治体の職員の平均年収はおよそ700万円。1800近い自治体のうち上位100団体にランクインしている。残業は主に正規職員が担っているとはいえ、彼の年収は正規職員の4分の1ほど。「あまりにも差がありすぎます」。

841チバQ:2018/06/05(火) 21:24:03
■公務員試験合格は格差の根拠となるのか? 

 正規職員の中には、難関とされる公務員試験を突破したことをもって格差の根拠とする人もいるが、ヨシツグさんはこう持論を展開する。

 「肝心なのは、非正規も正規も日々の仕事に違いはない、ということです。試験に受かったのは事実でしょうが、それは通過点にすぎない。ここまでの格差を正当化する根拠にはなりません」

 正規職員の同僚らはボーナスの支給時、さりげなくその話題を避けるなど気を使ってくれるという。職場の人間関係には恵まれているが、それによって賃金格差への不満が和らぐことはない。「(職場には)1000万円プレーヤーもいます。私たちのような臨時職員を安く使いながら、彼らにさらにボーナスを支給する必要がありますか」とヨシツグさんは怒る。

 大学を卒業後、地元の金融機関に就職。年収は350万円ほどあったが、別の金融機関に吸収合併されたのを機に辞めた。

 ヨシツグさんに言わせると、合併相手の金融機関は、地元では融資の回収方法が強引などと評判が悪かったほか、同業者の間でもノルマが厳しいとのうわさがあった。合併に向けた準備は先方の金融機関社員の指示の下で進められ、このときは連日深夜までのサービス残業と休日出勤を強いられた。わずか数カ月で体重が10キロ落ち、これは体がもたないと、退職を決めたという。

 現在は両親と同居。自分の雇用形態や給与については詳しく話していない。自宅から電車の最寄り駅まで、バスなどを乗り継いで1時間以上かかるため車は必需品だと言い、車両の維持費や実家に入れる「家賃」などを差し引くと、貯金をする余裕はない。「1人暮らしは到底無理」。

 結婚については「願望がないわけではありませんが、今のままでは(相手に)絶対に迷惑をかけます」と躊躇する。結婚する場合、共働きが条件となる。ヨシツグさんは「生活のために働いてもらわなくてはならないというのが、どうにも申し訳なくて。どこかに、“家計を支えるのは男”という古い考えの自分がいるんだと思います」と分析する。

 また、子どもを持つことは「ギャンブルでしかない」と言う。「今の仕事だっていつまで続けられるかわからない。その先はもっとわからない。(非正規労働者にとって)子どもを育てることは、危険すぎるギャンブルです」。

 現在も定期的にハローワークに通うなど就職活動を続けている。条件は「生活できるだけの給料と、うつ病にならない程度の(業務の)密度」。誰もががむしゃらに働き、仕事で自己実現したいと思っているわけではない。ヨシツグさんの希望は当然で、簡単なことのはずなのに、実際にはこれらの条件を満たす仕事を見つけるのは難しいのが現実だ。

■「労働組合には不信感しかない」

 ヨシツグさんに話を聞く中で、どこまでも平行線をたどった話題がひとつあった。職場の労働組合をめぐる評価である。

 実は、ヨシツグさんの給与は今年4月から大幅にアップした。年収で約20万円の増加。自治体の正規職員らでつくる労働組合が市と交渉した結果だという。しかし、彼は「労働組合には不信感しかない。まったく信用していない」と突き放す。なぜなのだろう。

 「(勤続1年目で)賃下げされたとき、労働組合に匿名で投書をしたのですが、無視されました。世間で“非正規の待遇がひどい”と騒がれるようになってようやく動くなんて遅すぎます。それに、今回は(一部の嘱託員など)賃金が上がらなかった職員もいます。それなのに、労働組合はまるで非正規職員全員の賃上げを勝ち取ったかのように、ビラなどで大々的にアピールしたんです」

842チバQ:2018/06/05(火) 21:24:21
 ヨシツグさんによると、給与は今回の賃上げにより、10年前の水準に戻ったにすぎない。一方で職場の労働組合に加入している非正規職員はゼロで、彼自身も組合員ではないという。

 私はあえて彼に「正論」をぶつけてみた。

 ――労働組合は基本、組合員の利益のために賃上げや労働環境の改善に取り組む組織である。そして賃上げは本来、働き手が労働組合に入るなどして、自らが要求して勝ち取るものだ。今回、労働組合は自分たちの『取り分』を削り、組合員ではない非正規職員のために賃上げを実現させたのであり、ヨシツグさんは、組合に入って声を上げることもせず、組合費も払わず、利益だけを享受したということになるのではないか――。

 すると、ヨシツグさんはこう反論した。

 「労働組合なんて、入れるわけないでしょう。そんなことしたら即雇い止めです」

■「非正規」で働くことの現実

 十数年前、私が非正規労働者の過酷な働かされ方について記事を書くと、正社員を中心とした、主に企業内労働組合の組合員から「まずは正社員が直面している賃下げや不当解雇の問題について書くべきだ」「正社員の待遇が上がれば、それと連動して非正規社員の待遇も改善される」と指摘され、議論になったことが何度かあった。そして現在――。本音は知らないが、さすがに表立ってそのような物言いをする労組関係者はいなくなった。

 多くの労働組合が非正規労働者の組織化や待遇改善に取り組むようになった「変化」を、私は肯定的に眺めてきた。しかし、当の非正規労働者から見える景色は少し違うのかもしれない。長年にわたり無視され、冷たく見放されてきた恨みは簡単に払拭できない。「10年前の賃下げを行ったのは自治体であり、労働組合ではない」という「正論」はヨシツグさんにとってはさして重要ではないのだ。

 ヨシツグさんと会ったのは、彼の希望もあり、職場の最寄り駅からは5駅ほど離れた場所だった。理由は「職場の人に見られるとまずいから」。

843チバQ:2018/06/05(火) 21:26:02
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180515-00220027-toyo-soci
40歳非常勤講師、「夫婦とも雇い止め」の深刻
5/15(火) 16:00配信 東洋経済オンライン
40歳非常勤講師、「夫婦とも雇い止め」の深刻
ヒロキさんは2013年4月に採用され、1年ごとに契約更新を繰り返してきたが、今年3月に雇い止めされた(編集部撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

■2018年3月をもって一律雇い止め

 昨年10月末のことだった。大学構内にある非常勤講師の控室。フランス語の授業を終えたヒロキさん(40歳、仮名)が、いつものようにコーヒーを飲みながら一息ついていたとき、顔見知りの中国語講師から突然、こう言われたという。

 「さっき新しいフランス語の先生が大学の中を案内されているのを見かけたんだけど。大丈夫なの?」

 まさか自分はクビなのか――?  すぐに担当の専任教員の部屋に駆け込み、学科長も交えた席で説明を求めた。動揺するヒロキさんに対し、彼らはこう説明したという。

 「2013年以降に採用した非常勤講師は2018年3月をもって一律雇い止めとなります」

 来年3月となると半年もないではないか。生まれて間もない子どもや、初めての子育てに奮闘しながら共働きをしている妻の顔が頭をよぎった。次年度に向けた非常勤講師の求人件数が最も多いとされるのは8〜9月。転職のタイミングとしても最悪だ。

 「どうしてもっと早く言ってくれないんですか。こっちにも生活があるんですよ。よくそんな非人間的なことができますね!」

 ショックのあまりいつになく口調が激しくなった。しかし、学校側は「すでに契約書で合意がなされていること。もう決まったことだから、どうにもならない」と言うばかり。形ばかりの話し合いは30分ほどで打ち切られた。

 2018年3月をもって雇い止め――。実は全国で、ヒロキさんと同じような目に遭った非正規労働者は少なくないと言われている。背景にあるのは、改正労働契約法18条による「無期転換ルール」だ。

 労働契約法18条は、2018年4月から勤続5年を超える有期雇用労働者は、使用者に無期雇用への転換申し込みができると規定している。しかし、一部の企業や団体は、非正規労働者が無期転換申込権を獲得する前に雇い止めを強行。いわゆる「無期転換逃れ」である。ヒロキさんが採用されたのは2013年4月。そして、5年後の2018年3月、まさに無期転換申込権が発生する直前でのクビを宣告されたのだ。

 ヒロキさんの勤務先は首都圏のある短大で、1年ごとの契約更新を繰り返してきた。あらためて過去の雇用契約書を確認してみると、2014年4月以降、「2018年3月31日を超えて(契約を)更新することはできない」との文言が突然追加されている。これ以降の契約書も同様で、大学側はこれを根拠に「すでに合意済み」と主張しているのだ。

 不更新条項の新設は、働き手にとってきわめて重要である。しかし、このくだりが追加された理由などについて、大学側からヒロキさんら非常勤講師への説明は一度もなかったという。彼は当初、この文言が加えられたことに気がつかなかった。更新手続きは毎年なかば自動的に行われており、「隅々まで(契約書を)読んでいなかったんです」と打ち明ける。

 気がついたのは、2017年4月の更新時。驚いたものの、契約書とは別に交付される「労働条件通知書」には「契約を更新する場合がある」との記載があったほか、周囲には勤続10年以上の同僚がいたこともあり、まさか本当に雇い止めにされるとは思わなかった。幼い子どもを持つ自分がクビになるなんてありえないと信じたい気持ちもあったという。「どこかで事態を楽観視したい自分がいました」。

 しかし、仮にもっと早い段階で不更新条項を知っていたとしても、契約を更新するには、大学側が示した条件に従うよりほかはなかっただろうと、ヒロキさんはいう。一般的にも労働者個人と使用者の力関係は対等とはいえない。この時も一抹の不安を抱えながらも、契約書に署名、捺印をしたという。

844チバQ:2018/06/05(火) 21:26:40
■「人をモノ扱いするようなやり方は許せない」

 ヒロキさんは、ある地方都市で生まれ育った。高校生のとき、1990年代のフランス映画『ポンヌフの恋人』を観てパリにあこがれる「早熟な子どもだった」という。東京の有名私大に進み、フランス文学を専攻。大学院を卒業後、パリに留学した。勉学に費やした時間は充実していたが、博士号を取得するまでには至らなかった。

 30代半ばで帰国し、短大でフランス語を教える非常勤講師の職を得た。その後はこの短大を中心に複数の学校を掛け持ち。授業は合わせて週5コマで、年収は150万円ほどだった。私生活では、留学時代に知り合った女性と結婚、ほどなく子どもが生まれた。妻は都内の国立大学で非常勤職員として働いており、年収は約200万円だという。

 「専任教員になりたいわけではないんです。大学院時代の優秀な先輩たちもほとんどが非常勤講師のままですし」とヒロキさん。博士号を取っても専任教員になれない「ポスドク」や、「高学歴ワーキングプア」が社会問題となる中、高望みするつもりはないという。

 とはいえ、雇い止めを知ったのは、これから勤務する大学や授業のコマ数を増やし、翻訳などの副業にも力を入れ、収入を安定させていきたいと考えていた矢先の出来事だった。「ずっと雇ってくれとは言ってない」と話すヒロキさんは無期転換を心待ちにしていたわけではないという。「人をモノ扱いするようなやり方は許せなかった」。

 ヒロキさんは学科長らと話をした直後、大学非常勤講師らでつくる労働組合・首都圏大学非常勤講師組合に加入し、大学側と団体交渉を続けてきた。しかし、両者の主張は平行線のままだった。

■ヒロキさんの妻も9月末で雇い止め

 はたしてヒロキさんは3月末で雇い止めされた。これにより収入は半分以下に。さらに間の悪いことに、妻も9月末で大学非常勤職員の仕事を雇い止めになる。彼女の場合は、契約期間の上限は3年というのが採用時の条件となっており、その期限が9月なのだ。

 ただ、妻によると、3年上限について知ったのは勤務初日。面接などでは長く働き続けたいとの希望を伝えていたのに、おかしいなと思ったという。が、就職にあたり、世の中の子育て世帯の多くがそうであるように保育園探しには苦労した。ようやく子どもの預け先と仕事が決まったのに、初日から採用条件をめぐってもめる気にはなれなかった。

 不安を抱きながら働き続けてきたが、最近になって、上司から契約更新はないとあらためて告げられたという。「今の保育園はやっとの思いで見つけたんです。失業したら、追い出されるんでしょうか。また保育園を探しながら、仕事を見つけなくてはならないんでしょうか。正直、やっていける自信がありません」。彼女はそう言って涙を流した。

845チバQ:2018/06/05(火) 21:26:57
 ヒロキさんのケースは、短大側の「無期転換逃れ」に当たるのだろうか。

 改正労働契約法が施行されたのは2013年4月。大学側が「2018年3月をもって雇い止め」との文言を契約書に加えたのは2014年4月である。また、外国人向けに英語で書かれた契約書には、2018年4月以降は契約を更新しないなどと記した文章の冒頭に「In response to the 2013 labor law(2013年の労働法を受けて)」との記載がある。大学側が改正労働契約法の施行を受け、新たに不更新条項を設けたことがうかがえる。

 無期転換などに関する労働相談を受け付けてきた日本労働弁護団によると、使用者側が契約更新の際に突然、不更新条項を盛り込んでくるのは無期転換逃れの典型的なパターンのひとつであり、裁判では違法と判断される可能性が高いという。

 また、ヒロキさんの妻のケースは一見、無期転換逃れとは無縁に見えるが、そうとは言い切れない。彼女は上司から雇い止めを通告されたとき、契約終了から6カ月が過ぎれば再雇用が可能だとも言われたという。さらに「その場合は6カ月後に“たまたま”“偶然”もう一度働きたくなったという体裁を取ってほしい」との旨を念押しされたというのだ。

 改正労働契約法18条は、契約終了後に6カ月以上の期間が空いた後に再雇用された場合は、勤続5年の通算はリセットされるとしている。しかし、このクーリング制度を無期転換逃れのために悪用することは法律の趣旨に反する。彼女の話が事実なら、こちらも脱法行為の可能性が高い。

■社会にとって初めての試みの「無期転換ルール」

 改正労働契約法18条が制定された背景には、2008年のリーマンショックが引き起こした「派遣切り」がある。非正規労働者の大量雇い止めという深刻な事態を受けてつくられた法律が求めているのは、非正規労働者の雇用の安定であり、無期転換させないために雇い止めをすることではない。ヒロキさん夫婦が、この法律ができたばかりに仕事を失い、貧困へと陥るのだとしたら、本末転倒も甚だしい。

846とはずがたり:2018/06/05(火) 21:47:39

40歳非常勤講師、「夫婦とも雇い止め」の深刻
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1256129168/843-845
5/15(火) 16:00配信 東洋経済オンライン

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。…

■2018年3月をもって一律雇い止め

 昨年10月末のことだった。…まさか自分はクビなのか――?担当の専任教員の部屋に駆け込み、学科長も交えた席で説明を求めた。動揺するヒロキさんに対し、彼らはこう説明したという。
 「2013年以降に採用した非常勤講師は2018年3月をもって一律雇い止めとなります」

 来年3月となると半年もないではないか。生まれて間もない子どもや、初めての子育てに奮闘しながら共働きをしている妻の顔が頭をよぎった。次年度に向けた非常勤講師の求人件数が最も多いとされるのは8ー9月。転職のタイミングとしても最悪だ。…しかし、学校側は「すでに契約書で合意がなされていること。もう決まったことだから、どうにもならない」と言うばかり。

 2018年3月をもって雇い止め――。実は全国で、ヒロキさんと同じような目に遭った非正規労働者は少なくないと言われている。背景にあるのは、改正労働契約法18条による「無期転換ルール」だ。

 労働契約法18条は、2018年4月から勤続5年を超える有期雇用労働者は、使用者に無期雇用への転換申し込みができると規定している。しかし、一部の企業や団体は、非正規労働者が無期転換申込権を獲得する前に雇い止めを強行。いわゆる「無期転換逃れ」である。ヒロキさんが採用されたのは2013年4月。そして、5年後の2018年3月、まさに無期転換申込権が発生する直前でのクビを宣告されたのだ。

 ヒロキさんの勤務先は首都圏のある短大で、1年ごとの契約更新を繰り返してきた。あらためて過去の雇用契約書を確認してみると、2014年4月以降、「2018年3月31日を超えて(契約を)更新することはできない」との文言が突然追加されている。これ以降の契約書も同様で、大学側はこれを根拠に「すでに合意済み」と主張しているのだ。

 不更新条項の新設は、働き手にとってきわめて重要である。しかし、このくだりが追加された理由などについて、大学側からヒロキさんら非常勤講師への説明は一度もなかったという。彼は当初、この文言が加えられたことに気がつかなかった。更新手続きは毎年なかば自動的に行われており、「隅々まで(契約書を)読んでいなかったんです」と打ち明ける。

 気がついたのは、2017年4月の更新時。驚いたものの、契約書とは別に交付される「労働条件通知書」には「契約を更新する場合がある」との記載があったほか、周囲には勤続10年以上の同僚がいたこともあり、まさか本当に雇い止めにされるとは思わなかった。…30代半ばで帰国し、短大でフランス語を教える非常勤講師の職を得た。その後はこの短大を中心に複数の学校を掛け持ち。授業は合わせて週5コマで、年収は150万円ほどだった。私生活では、留学時代に知り合った女性と結婚、ほどなく子どもが生まれた。妻は都内の国立大学で非常勤職員として働いており、年収は約200万円だという。…

847とはずがたり:2018/06/05(火) 21:47:55
>>1752
 ヒロキさんは学科長らと話をした直後、大学非常勤講師らでつくる労働組合・首都圏大学非常勤講師組合に加入し、大学側と団体交渉を続けてきた。しかし、両者の主張は平行線のままだった。

■ヒロキさんの妻も9月末で雇い止め
 はたしてヒロキさんは3月末で雇い止めされた。これにより収入は半分以下に。さらに間の悪いことに、妻も9月末で大学非常勤職員の仕事を雇い止めになる。彼女の場合は、契約期間の上限は3年というのが採用時の条件となっており、その期限が9月なのだ。

 ただ、妻によると、3年上限について知ったのは勤務初日。面接などでは長く働き続けたいとの希望を伝えていたのに、おかしいなと思ったという。…

 ヒロキさんのケースは、短大側の「無期転換逃れ」に当たるのだろうか。

 改正労働契約法が施行されたのは2013年4月。大学側が「2018年3月をもって雇い止め」との文言を契約書に加えたのは2014年4月である。また、外国人向けに英語で書かれた契約書には、2018年4月以降は契約を更新しないなどと記した文章の冒頭に「In response to the 2013 labor law(2013年の労働法を受けて)」との記載がある。大学側が改正労働契約法の施行を受け、新たに不更新条項を設けたことがうかがえる。

 無期転換などに関する労働相談を受け付けてきた日本労働弁護団によると、使用者側が契約更新の際に突然、不更新条項を盛り込んでくるのは無期転換逃れの典型的なパターンのひとつであり、裁判では違法と判断される可能性が高いという。

 また、ヒロキさんの妻のケースは一見、無期転換逃れとは無縁に見えるが、そうとは言い切れない。彼女は上司から雇い止めを通告されたとき、契約終了から6カ月が過ぎれば再雇用が可能だとも言われたという。さらに「その場合は6カ月後に“たまたま”“偶然”もう一度働きたくなったという体裁を取ってほしい」との旨を念押しされたというのだ。

 改正労働契約法18条は、契約終了後に6カ月以上の期間が空いた後に再雇用された場合は、勤続5年の通算はリセットされるとしている。しかし、このクーリング制度を無期転換逃れのために悪用することは法律の趣旨に反する。彼女の話が事実なら、こちらも脱法行為の可能性が高い。

■社会にとって初めての試みの「無期転換ルール」

 改正労働契約法18条が制定された背景には、2008年のリーマンショックが引き起こした「派遣切り」がある。非正規労働者の大量雇い止めという深刻な事態を受けてつくられた法律が求めているのは、非正規労働者の雇用の安定であり、無期転換させないために雇い止めをすることではない。ヒロキさん夫婦が、この法律ができたばかりに仕事を失い、貧困へと陥るのだとしたら、本末転倒も甚だしい。

848チバQ:2018/06/21(木) 08:46:19
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180620-00000042-nnn-soci
月給5万、除染作業…苦悩する外国人労働者
6/20(水) 14:23配信 日テレNEWS24

Nippon News Network(NNN)

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「1年間で休み7日、でも我慢我慢」――福島県の一軒家、ここで寝泊まりしているのは、ベトナムから来日した14人の外国人たち。不当な賃金の未払いやパワハラを受けるなどしたため、職場を逃れNPOが運営する施設に駆け込んできたといいます。

生活する1人の過去の給料明細を見せてもらうと、1か月で19日間働いて、支給額が5万円という人も。基本給が低いだけでなく、天候不順などで現場が休みになったのに欠勤扱いにされ、給料を天引きされたことも低賃金の理由だと主張します。

建設会社の実習生として来日したカインさん(24)。両親を残して3年前に実習生としてやってきましたが、十分な説明もないまま福島第一原発の除染作業を命じられたといいます。

カインさん「直接、福島に行って、除染を手伝っていました」「(除染と知っていたら)絶対に日本に来なかったでしょう」

彼らは日本で働きながら、技術や知識を身につける技能実習制度で来日しました。しかし、この制度のもとでは、原則、職場を変えることはできず、仮に不当な扱いを受けても泣き寝入りせざるを得ないのが現状だといいます。

このような事態を受け政府は今年3月、技能実習生による除染作業を禁止。近い将来、日本の職場に本格的に加わることになる外国人労働者たち。課題への対応も急がれます。


【the SOCIAL viewより】

849チバQ:2018/07/11(水) 11:57:50
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180711-00056289-gendaibiz-bus_all
この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった
7/11(水) 11:00配信 現代ビジネス
この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった
写真:現代ビジネス
「子どもの貧困」再発見から10年
 2008年は、「子どもの貧困・再発見」の年と呼ばれることがある。

 拙著『子どもの最貧国・日本』をはじめ、数冊の子どもの貧困に関する書籍が、この年偶然同時期に発表されたこともあって、新聞やテレビなどマスコミがこの問題に注目を始めた。

 一方、今から振り返って見れば、社会的に刮目を浴びた理由のひとつには、当時の日本社会において「子ども」と「貧困」というふたつの言葉が、どうしても合致しないという思いが多くの人の中にはあり、ちょっとした驚きがあったからではないだろうか。

 日本は、先進国であり、教育制度は整備され、保育所はあり、医療は皆保険であり、子どもがいれば児童手当も利用できる。

 2000年代半ばにはワーキングプアや格差の問題がクローズアップされても、せめて子どもには優しい社会であるはずだという、(もしかしたら根拠はあまりなかったかもしれない)認識があったからではないか。

 しかし、現実は7人にひとりの子どもが貧困であり、ひとり親世帯ではその数値は半分に及び先進国で最も高いことがOECDの数値を基にエビデンスとして提示された。

 ただ、この数値がOECDのものであり、政府の公式発表のものではなかったことも今から見ると不思議なことだ。

 先述のように2008年にこの問題が関心を集めても、当初政府の反応は鈍かったのである(後述するが、現在はその姿勢は異なる)。

 すでに多くの人の記憶から落ちてしまっているように思えるのだが、公的な貧困率の発表すら政府は必要がないとして拒否していた。貧困率を政府が発表をするのは、2009年の政権交代後のことである。

 2008年当時の政府は、貧困率そのものを否定しようとやっきだった。

 現代の日本には格差は存在するが貧困は存在しないとか、貧困率だけで議論するのはいかがなものかとか(昨年貧困率の改善が発表されると、首相は自分の成果だと強調したのだが)、貧困率には資産の面が反映されていないとか(反映した指標を作るともっと厳しい子ども間の不平等が目立つのだが)。

子どもの貧困対策法のインパクト
 もう一点、政府が主張していたのは、貧困率にのみ目を向けると児童手当など現金給付サービスだけが焦点化され、教育や保育などの現物給付の施策の充実が反映されないというものであった。

 ただ、OECDによって指摘されたのは貧困率の高さだけでなく、日本の子どもや子育て家庭をめぐる予算の少なさでもあった。

 欧州などと比較すると、貧困率を下げるために有効な手段である現金給付に加え、現物給付サービスもかなり少ないことが示された。

 OECDの指摘を意識してのことだろうが、現物給付(公的教育支出)の少なさについては2009年の文部科学白書が特集として取り上げ、マスコミも貧困率の高さと同時にこうした点も報道し始める。子どもには優しい国と思われていた日本社会のさらなる暗部が見え始めた。

 確かに、ここ数年政権与党は、こうした教育費の私費負担の高さを意識した選挙公約や政策案を練り始めている(10年前には考えられなかった点である)。

 そのひとつが保育・幼児教育の無償化である。

 一方で無償化ではなく、待機児童問題など保育へのアクセス面を先行するべきだという反論もある。

 ただ、どちらを優先するのであれ、保育や幼児教育にかけられている資源量の少なさについての共通認識を持っておく必要はあるだろう。

 先にも触れたように、これまで日本社会は子どもや家族に税金をかけることに消極的だったのである。

 図1を見ても、保育や幼児教育に対する公的な社会支出は先進国の中ではまだまだ低いのである。

 確かにここ数年保育予算は増加している。保育は成長産業と言えるだろう。にもかかわらず世界的にみればまだまだ予算的には制約を受けている状況にある(逆に言えば、他の先進国は日本以上に保育の予算が増えているのである。その理由は別の機会に譲りたい)。

850チバQ:2018/07/11(水) 11:58:13
もちろん、2008年当時と現在の政府の動きは異なる。特に2012年末の政権奪還後、政府は大きな一歩を踏み出した。法律制定に向け動いたのである。

 生活保護の基準切り下げを進めるための弥縫策(びほうさく)としての意味もあったが、あしなが育英会などの当事者団体の声にも耳を傾けざるをえなくなっていたのであろう。

 2013年6月、子どもの貧困対策法が、すべての政党が賛成して成立した。

 法律制定のインパクトは大きかった。

 それまでその存在すら知らない人々の関心を、法律の制定、それに伴うマスコミ報道等がひきつけていった。

 私はある自治体の幹部から、「法律制定以前、うちの市に貧困な子どもが存在するはずがないと思っていました」と吐露されたことがあった。根拠はあまりないイメージはやはり存在していたのだと思う。

子ども食堂を始めた動機は?
 もちろん、法律によって刺激を受けたのは行政関係者だけではない。一般市民も触発されている。

 その代表格が子ども食堂の活動だろう。法律制定の翌年2014年ごろから、子ども食堂は全国各地で作られ一般市民の方を中心に運営がなされている。

 現在では、小さいものまで含めれば1000近く(またはそれ以上)に及んでいる可能性がある。一種のブームと言っていいだろう。

 子ども食堂(またはそれに類似の活動)を始めた方に会うといつも感じるのは、草の根的・自発的に動いたのは初めてという方ばかりであることだ。

 また、みなさん「いてもたってもいられなくなった」と自分たちの活動の始まりを語ることが多い。子どもの貧困をめぐるマスコミ報道に触れて、内発的な思いに突き動かされたという。

 子ども食堂は批判を浴びることもある。「それで子どもの貧困を解決できるのか」とか「子ども食堂に本当に困っている子どもは来ない」とか。

 しかし、子ども食堂などをやっている人はそうした批判はあまり気にしていないように見える。それは、彼らが子どもの貧困問題とも深くつながるある危機感を持っているからではないかと思う。

 ある子ども食堂を始めた年配の方からその活動動機としてこんなことを聞いたことがある。

 「俺たちが小さい時もご飯に困ることはあった。でもそうした時、昔は隣の人がご飯を食べさせてくれた。隣がダメだったらその隣だった」

 子どもの貧困は、ここ数年急上昇してきたわけではない。80年代から長期的な上昇トレンドにある。それと並行して進行しているのは、親族網の急速な縮小と地域コミュニティの関係の希薄化だろう。

 確かに、かつての地域や親族間には閉鎖的な縛りがあり、息苦しさを感じる場合も多かった。しかし、その協力関係があったから生活がなりたっていた部分もあったのである。

 今、親族はともかく地域のつながりは必要性そのものが薄まり本当に小さくなっている。子ども食堂はそうした地域社会が抱える課題を新たなムーブメントを起こすことで逆に照射しているようにも見える。

 少なくとも、子ども食堂を始めた人々はしんどい子どもたちの問題は自分の地域にもあるはずなのに、それが見えなくってしまったことに対する「やばさ」のようなものを感じているのではないか。

 一方で、経済的に困窮している方からすれば、このことは折り重なるハンディを彼らが抱えていることを意味する。

 先に述べたように、子どもや家族に対する公的支援(公助)は少ない、それに加え地域や親族網(共助)の減少が襲っている。

 共助は、全体でも減ってきたが、特に貧困を抱える家族に集中して少ないことが後述する沖縄などの各地域での子どもの貧困調査では見える。貧困な家族ほど、相談相手や頼りになる人が少なく孤立と向き合っているのである。

851チバQ:2018/07/11(水) 11:59:23
過労死ラインを超えて働く父親たち
 では、公も共も薄いのであれば、残りの「自助」はどうなのだろうか? 
 典型的な自助の方法とは、簡単に言えば働くことである。

 十分に働いていれば、貧困に陥らないで済むのではないか? 
 子どもを持つ家族の労働ということでは、日本社会は先進国の中ではやや異質だ。親たちは本当に良く働いている、つまり失業率が最も低いことが分かっている。にもかかわらず貧困率は高い。

 親たちの働き方の調査分析を試みているのが、国の補助金を活用し、各地で始まっている子どもの貧困調査の一部である(こうした調査も法律の成立がもたらした成果である)。

 これらの調査の嚆矢となったのは2015年から始まった沖縄での調査であるが、そこでは初年度、税務調査を基に貧困率を29.9%と提示し全国的にも注目を浴びた。

 沖縄の調査では親たちの働き方の調査を試みてきたが、3年目の乳幼児調査では、父親たちがかなりの長時間労働に従事していることがうかがえた。

 例として、図2において5歳児を持つ父親の1週間の平均労働時間を示す。全体と貧困ライン未満の世帯(低所得層Ⅰ)と貧困ラインの1倍から1.5倍の世帯(低所得層Ⅱ)、1.5倍以上の世帯(一般層)で区分して分析している。

 すると、全体では、週60時間以上(過労死ラインである)という極端な長時間労働をする父親が4分の1近くに及ぶことが分かった。

 さらに、こうした労働時間の長さには階層差があることもはっきり見える。低所得になるほど長時間労働に従事しているのである。

 低所得層Ⅰでは過労死ライン以上に働く父親は約3割に及んでいる。異常な数値ではないだろうか。

 これは沖縄という地域のみの問題ではないだろう。子どもを抱える親たちは日本社会では働きに働いているのである。自助による努力はもうこれ以上無理なのではないか。

 今、政府は働き方改革に取り組んでいる。しかし、こうした子どもを持つ世帯の経済状況ごとの分析などのエビデンスは寡聞にして聞かない。

 子どもを持つ親たちの場合、育児にかかる費用の高さのために長時間働かざるを得ないのである。

 だとしたら、彼らの労働時間を短くし(特に父親の)イクメンを促進するには、育児費用や教育費があまりかからないようにするなど経済的な支援(公助)を高めるのは必須ではないか。

852名無しさん:2018/07/11(水) 11:59:36
「何とかならないでしょうか」(高校生の声)
 さて、この10年で見えてきたことの最後に当事者や若者の声を上げてみたい。

 これは先述したように、法律制定にも影響を及ぼした。

 沖縄の高校生調査における自由記述欄(公表を前提に記述願った)からも、高校生自身のこの問題に対する関心の高さがうかがえた。いくつかを引用してみたい。

 「私の周りに進学してやりたいことがあるけれど、経済的に苦しく進学をあきらめる・自分のやりたいこととは違うものをする子が多い。ひとり親で多い。私も、家計が苦しいため、最悪夢は諦めて就職しないといけないかもしれない。これから沖縄を変えられる人材もいるかもしれないのに、経済的な理由で潰されるのはもったいないと思います」

 「なぜか不安になることがたまにあります。家計が苦しくて大学に行くべきか悩みます。親に無理させてまで夢を叶えたいのかどうかも分からないです」

 「私は両親にとても愛されていると自覚しているし、経済的にもあまり不安はありません。自分の環境がとても恵まれている事は十分理解しています。周囲の知り合いには、そうではない人がたくさんいます。助けてあげてください」

 「進路に不安はつきないけど、私は今のゆめを実現させたいです。ゆめがやっと決まったからです。ただお金がかかるとなると、このゆめもあきらめなくてはなりません。だから、そこに悩んでいます。支援があれば、私だけでなく、多くの人がゆめを叶えて、国のために良い働きをしてくれると思います」

 「私は県外の国立大学に行きたいと考えています。母は仕事を2つ掛け持ちして土日も働き、私の大学費用と兄の予備校費用を稼いでくれています。私もバイトをして自分の大学費用のためにこつこつ貯金しています。給付型の奨学金制度がもっと充実していれば…と、いつも思います。何とかならないでしょうか」

 「沖縄の貧困がいつかなくなってほしい」

 彼らは自分のことだけを問題としているのではなく、そこから仲間たち、親の暮らし、さらには社会や国全体のことを射程にしているのである。

 私たちは彼らの声にきちんと答える必要があるのではないだろうか。それができる土台はこの10年で少しずつそろってきたと思う。

山野 良一

853チバQ:2018/07/13(金) 20:39:35
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180713-10000001-mbsnews-l27
【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
7/13(金) 15:07配信 MBSニュース
働く親にとって、放課後子どもを預かってくれる「学童保育」は欠かせない場所ですが、そこで働く人たちの処遇は決していいものとは言えません。

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
多岐にわたる仕事内容
大阪・西淀川区にあるたんぽぽ学童保育。この学童で働くのは、44歳の森岡恵治さん。この道24年のベテラン指導員です。出勤は午前10時。子どもたちが来る前に事務作業に取りかかります。

「子どもたちが来る時間と帰る時間を(パソコンで)管理している」(森岡恵治さん)

この施設には、小学3年から6年までの12人の子どもたちが通っています。夏休みでも学童保育はあるため、アルバイトの指導員と夏の予定を打ち合わせします。

「プールじゃなくて、あそこ行ったらどうやと思って。ドラゴン公園のある川西市の川」(森岡恵治さん)

落ち着いて仕事ができるのは昼過ぎまで。ここからが本番です。

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
午後3時。放課後、次々とやってくる子どもたち。

<算数のプリントを前にして>
「ここが真っすぐな線やとしたら?こっからここまでなんぼ?」(森岡恵治さん)
「むずかしい」(男の子)

指導員としての森岡さんの仕事は多岐にわたります。1人1人の宿題を手伝だったり、外へお出かけして、みんなで遊ぶことも。

午後4時。子どもたちのおやつも用意します。きょうは手作りのホットケーキ。週に3日はおやつを作ります。

Q.どんな先生?
「やさしい。いろいろ教えてくれる。宿題とか」(男の子2人)
Q.好き?
「うん」
Q.どれくらい?
「(両腕を広げて)これくらい」

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
夕暮れ時の午後6時、ようやく子どもたちを家に送ります。

「ほんまに一生懸命生きてる子どもたちと関われる。すごく楽しい仕事で、やりがいのある仕事やと思ってます」(森岡恵治さん)

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
手取り月18万円、休みは日曜と祝日だけ
森岡さんが暮らしているのは大阪・西淀川区の市営住宅。結婚はまだ。家賃3万円の部屋にひとり暮らしです。

Q.給料はどれくらい?
「明細あるけど、これになります」(森岡恵治さん)

24年間働いてきた森岡さんの給料は、手取りで月18万円、年収は250万円ほどです。休みは日曜と祝日だけ、ほとんど遊びには行けません。

「自分はまだこの年やけど独身なので、単身やからこそ給料安くても生きていければいいかという感じでできてますけど。将来的な不安とか…すごく不安になってくる」(森岡恵治さん)

なぜ給料が安いのか。それは国が設定する運営費の低さにあります。例えば、19人の児童を預かる施設で常勤1人非常勤1人の指導員の場合、これに対し設定された運営費は約500万円で、補助金と保護者が支払う保育料で賄います。これが給料の元となるため、おのずと支給額は低くなります。

854名無しさん:2018/07/13(金) 20:39:57
「奥さんの理解があって仕事をさせてもらってる」
7月8日、年に一度の学童関係者が集まる研究会が行われました。

「インフルエンザにかかったときは、どう対応するつもりだった?」(男性指導員)
「週末については月曜からを乗り切るために調整する。熱出すのは土曜の晩みたいな」(男性指導員)

それぞれの学童の労働環境など話し合いましたが、ここでも指導員の処遇の悪さが浮き彫りとなりました。

「正直生活は贅沢はできないし、しんどい部分はありますけど。やり続けたいと思ってますので、この給料(20万円弱)でも頑張っていくしかないかな」(大阪市の指導員・39歳)

「手取りで13、14万円くらい」(寝屋川市の指導員・37歳)
Q.子どもは
「1人で、もうすぐ1人生まれるんで2人。奥さんの理解があって、なんとか仕事をさせてもらってるかな」

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
学童需要は高まるも…
そもそも学童は放課後の子どもたちを預かってほしいと地域の保護者が共同で作ったもので、当時は自らの家を開放し指導員を保護者が見つけ出して雇っていました。しかし時代は流れ、核家族や共働き夫婦も増え、子育て環境は大きく変わりました。学童保育は今の社会にとって欠かせない存在になっています。

「私にとっても子どもにとっても、よりどころ」(保護者)
「(年齢が)下の子の面倒をみたり、お兄ちゃんのいうことを聞いたりとか。小さな家族みたいな役割」(保護者)
「子どもを育てるチームの1人として、大事な機関だと思ってます」(保護者)

国も3年前から指導員の処遇改善のため新たに補助金を出すなど、動きはじめました。それでも高まる学童需要に追い付いていないのが現状です。そこには学童に対する根本的な意識の差があると専門家は言います。

「学童に対する見方。国の意識の低さ、自治体の意識の低さというところがあるのでは。指導員のやりがい思いが、行政に伝わっていないんじゃないかな」(労働法に詳しい 遠地靖志弁護士)

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
指導員たちの努力でギリギリ成り立っている学童保育
再び、たんぽぽ学童保育の森岡さん。午後7時。子どもたちが帰った後も仕事は続きます。

「きょうの1日の活動の日誌です」(森岡恵治さん)

日本の子育て社会を支えてきた学童保育。それは今、指導員たちの努力によってギリギリのラインで成り立っています。

「『預かっている』ということの責任ある仕事なんで、その責任に見合う、働き続けられるような、せっかく思いをもってやってる指導員は多いと思うんで。指導員が安心して働き続けられるような職場にしていけたらなと思います」(森岡恵治さん)

MBSニュース

855とはずがたり:2018/07/16(月) 22:28:40

実はみんな読み切れない トマ・ピケティ『21世紀の資本』を簡単図解 恥をかかないために
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1923-1925
週刊現代講談社

ポイント1『21世紀の資本』におけるピケティの3つの功績。

(1)最大の功績は、それまであまり注目されず、データも不十分だった「格差論」を歴史的なデータに基づいて示したことだ。約15年もの歳月をかけて、世界の税務データを収集した。

(2)そのデータを惜しみなく、インターネット上の「世界トップ所得データベース(WTID)」において無料公開している。これは、格差についての議論がより活発になることを願ってのことである。

(3)ピケティ教授は格差を是正するために、富裕層への累進課税を提唱している。いままさに、この是非を巡って世界中で大きな論争が巻き起こっているのだ。

ポイント 2財産の成長率は、労働によって得られる賃金の成長率を上回る。

株や不動産、債券などに投資することで財産は増えていく。こうした財産の成長率は、給与所得者の賃金が上がる率よりも、常に高くなる。これがピケティ教授の理論の核心である。(とは註:算術級数的にしか労働所得は増えないけど幾何級数的に資産は増えるという指摘ですな。食糧生産は算術級数的にしか増えないけど人口は幾何級数的に増えるから飢餓が発生する,故に晩婚と節制せよとマルサスは説いて予想を外した。)

では、財産の成長率が賃金の成長率を上回ると何が問題なのか。

主に資産運用によって財産を築いている富裕層は、株や不動産を保有しているだけで、多大な利益を獲得できる。一方、平均的労働者は働けども賃金はゆるやかにしか上がらない。賃金を貯蓄したところで大きく増えるわけでもない。こうして格差が広がってしまう。(とは註:労働者階級も貯蓄出来るなら同じ率で増える筈である。そうなってないとするならば利率が100万円よりも100億円の方が良いか,19世紀の労働者みたいに生存賃金で貯蓄が出来ないか,貯蓄出来ない性格のものが富裕層になれてなくてできる家計が富裕層になってるかのどれかである。此処はそう大した指摘でないような気がする・・。)

ポイント3「持てる者」はより豊かに、「持たざる者」はより貧しくなる。

こうした状況は今後も続 くのか。カギとなるのは技術革新である。将来的にバスが自動操縦になれば、運転手は不要になる。会計ソフトの導入で、経理事務員は減っていく。このよう に、最新技術を導入すると作業効率は上がるが、労働者は職を奪われる。富裕層はそうした技術に投資して、ますます儲かるばかりだ。(とは註:此処だな。儲かるなら投資すれば良いだけだが,労働者が失業して投資が出来ないまま固定化してる可能性がある。)

ポイント4 21世紀は「相続」によって格差がさらに肥大化していく。

「重要なのは、格差の大きさそのものではなく、格差が正当化されるかどうかだ」

ピケティ教授は、後述する東大の講義でも、そう強調していた。たしかに、機会が平等に与えられた上で、努力して得た財産に差が生まれるのは仕方ない。しかし近年は、働かずとも相続によって利益を増やしている層が増大している。

特に、先進国では少子化が進んでおり、祖父母や両親の財産を子息が一身に受け継ぐことも少なくない。裕福な家庭に生まれた人は、さらに裕福になることが約束されているということだ。こうした事態は、真面目に働いてきた労働者の不満につながる恐れがある。(とは註:日本は相続税が高いのに再配分効果が薄いそうな。相続税への信認はどうなのか?)

ポイント5 1910~1950年代は格差が小さかった例外的時代。

昔はそんな格差はなく、いまが「たまたま」格差社会なのだという意見もある。だがピケティ教授は、2度の世界大戦があった'10年~'50年代こ そ、「たまたま」格差が小さかったに過ぎないと反論する。インフレや急激な経済成長によって格差が拡大することを恐れた政府が意図的に経済に介入した結果 だというのだ。

856チバQ:2018/07/19(木) 16:17:26
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/433587/
「まさか」身近な貧困に衝撃 子ども食堂開設した主婦の思い [長崎県]
2018年07月18日 06時00分
子ども食堂の開設に向けて準備をする立石さん
子ども食堂の開設に向けて準備をする立石さん
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 子どもたちの第2の家に-。食事を十分に取っていない小学生がいることを知った佐世保市内の主婦が18日、同市三浦町に子ども食堂を開く。「都会のことだとばかり思っていた」子どもの貧困が身近でもあることに衝撃を受け、「温かい食事を出すことはできる」と主婦の経験を生かすことを決意。食事はもちろん、宿題や読書などもできるような場所を提供する。

 主婦は同市万津町の立石多恵子さん(60)。子ども食堂「宝ハウス」を毎週水曜日に開き、放課後の子どもを受け入れる。夏休み中は午前11時から午後2時まで開放する。

 きっかけは昨年11月、市内の小学校の教員から「育児放棄や経済的な問題で1日の食事が給食だけという児童がいる」という話を聞いたことだった。「まさか佐世保で」。身近にこんな悲しい現実があることにショックを受けた。

 1人で食事をせざるを得ない子どもや貧困で満足な食事ができない子どもに低額や無料で食事を提供する子ども食堂があることは知っていた。「ご飯を作ることはできる」。夫に相談すると「できる範囲でやりなさい」と理解を示してくれた。

 アパートの2室を借り、6月に改装。食事用のテーブルのほか、宿題や読書をするスペースを設けた。運営は主婦や元教員など5人ほどで分担。できたての食事の提供にこだわり、食器の片付けや掃除などは子どもたちも手伝ってもらう。

 月1回が多い子ども食堂だが「困る子どもがいるはず」と毎週開催。子どもに対する偏見を避けるため、誰でも来られるようにした。

 「その中に本当に困っている子どもが交ざってくれたらと思う。長く続けられる場にしたい。おばあちゃんたちと話す感覚で来てほしい」と立石さん。小中学生の食事は無料。大人は「気持ちで料金をいただく」。ボランティアや支援を募っている。

=2018/07/18付 西日本新聞朝刊=

857とはずがたり:2018/07/22(日) 21:49:36
勿論こんな男性職員言語道断で懲戒免職ものだが,女性としての魅力を持った女性が申請者だったと云う事だろうということで思い出したが,ほんとは愛人として扶養して貰ってるのにそれを隠して生保申請する連中も居るらしい。東大阪とか多いとか聞いた。そういうのってどうやって摘発すれば良いのかねえ。

生活保護受給の女性に「胸が大きいですね」。江戸川区の男性職員がセクハラ発言
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180722-00010001-huffpost-soci
7/22(日) 12:00配信 ハフポスト日本版

東京都江戸川区は7月20日、生活保護受給者を支援する男性職員が担当する複数の女性に、「胸が大きいですね」などとセクハラ発言をしていたと発表した。区は男性職員を停職3カ月の懲戒処分とした。(浜田理央 / ハフポスト日本版)

区によると、ケースワーカーを務めていた50代の男性職員は2016年4月から18年5月、生活保護受給者の女性6人に対して、性的な発言や業務に関係のない電話・メール連絡を繰り返した。

産経ニュースによると、「胸が大きいですね」と発言したり、食事に誘ったりしていたという。


被害を受けた女性が5月24日、「前担当者から言葉による性的な嫌がらせを受けていた」と区に相談し、事態が発覚。区は男性職員をケースワーカーの業務から外した。

NHKニュースによると、被害にあった女性の中には「生活保護が打ち切られてしまうと困るので言えなかった」と話している人もいる。

男性職員は事実関係を認め、「親しくなるための冗談だった。相手が不快になると思わなかった」「恋愛感情をもっていたのでやってしまった」などと話しているという。

江戸川区の岡村昭雄福祉部長は、「被害に遭われた方に誠に申し訳なく思います。今後は再発防止に向け、職員に対する指導を徹底し、信頼回復に努めてまいります」とのコメントを出した。

浜田理央 / ハフポスト日本版

858チバQ:2018/07/31(火) 22:16:21
有料記事だから、最初しか読めないけど美談系の記事なのか?これ
https://mainichi.jp/articles/20180704/dde/001/040/054000c

多様化する貧困 路上生活減り「ビッグイシュー」部数減
会員限定有料記事 毎日新聞2018年7月4日 東京夕刊
ホームレス状態にある人の生活再建を支える雑誌「ビッグイシュー」の販売者が減少している。求人倍率向上や生活保護の利用増で、販売する路上生活者が減少したことが主な理由だが、東京都府中市の駅前に立つ小沢佳子さん(69)は全国唯一の女性販売員として奮闘している。「お客さんとの交流で心が豊かになる」と生きがいを感じている。【蒔田備憲】

 「元気かい?」「今日も頑張っているね」。京王線府中駅前でビッグイシューを並べる小沢さんに通行人から…

859とはずがたり:2018/08/01(水) 18:23:37
60代女性が熱中症で死亡 電気止められ冷房使えず 札幌
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180731/k10011558201000.html?utm_int=all_side_ranking-access_004
2018年7月31日 20時08分

29日、札幌市西区のアパートで1人暮らしの60代の女性が倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。警察によりますと、死因は熱中症で、部屋にはクーラーや扇風機はありましたが、料金を滞納していたため電気を止められていて使えない状態だったということです。

29日午前11時半ごろ、札幌市西区琴似のアパートの部屋で、この部屋に住む60代の女性が倒れているのを、通報を受けて駆けつけた警察官が見つけました。

女性は病院に搬送されましたが、その後死亡が確認され、警察が死因を詳しく調べたところ、熱中症によって29日の午前に死亡したことがわかりました。女性は激しい脱水の症状が見られたということです。

警察によりますと、女性は5階建てのアパートの4階の部屋で1人で暮らしていて、部屋にはクーラーや扇風機はありましたが、料金を滞納していたため電気を止められていて使えない状態だったということです。

気象台によりますと、札幌市では29日は最高気温が前日より2度4分高い31度まで上がり、真夏日となっていました。

860チバQ:2018/08/08(水) 18:10:16
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00010002-asahit-soci
【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
8/8(水) 12:13配信 朝日新聞デジタル
【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
女性の趣味の水彩画。テーマを決めず、思いのまま筆を運ぶ=滝沢美穂子撮影
【アーカイブ:内容は2018年1月6日の初出時点のものです】

 非正規雇用で未婚、親と同居。収入は少ないけれど、友人はいて「生活は充実している」。平成に入り「男性稼ぎ主モデル」から「女性活躍」への変化の波があります。取り残されていると感じる非正規シングル女性の内なる声に耳を傾けました。(朝日新聞記者・山内深紗子)

【写真特集】産め圧力・男性不妊・タワマン保活……多様化する「平成家族」の風景

【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
新しいお弁当袋をミシンで縫う女性=滝沢美穂子撮影
弁当作ってもらうのも負い目
 関西地方の一軒家。契約社員の女性(45)は、年金暮らしの両親と同居している。

 昨年12月上旬の夕食後、食卓で母(78)が父(78)に漏らしたこんな言葉が偶然、耳に入ってきた。

 「あの子、弁当袋を新しく縫ったんよ。まだ私に作らせる気やわ……」

 女性は大手菓子店で働いている。短大卒業後に就職した会社は、女性の総合職がなかった。正社員だったが、29歳で退職した。その後、正社員としての再就職先を探し続けているが、年齢や経験不足が壁になり、ずっと非正規職を転々としている。いまの給与は、手取りで月12万円ほどだ。

 非正規になってから、母は「私が弁当を作るから、貯金にまわしなさい」と言って、弁当を作り続けてくれる。定番は、好物の卵焼きと俵型のおにぎり。それに、前の晩のおかずが入る。「500円弁当を買うから」と伝えても、母は用意してくれていた。

 母が漏らした言葉を耳にした日の夜、両親が眠っているのを確認して、食卓に置き手紙をした。

 「ダイエットにつき、もう弁当は必要ないです」

 それでも翌朝、食卓に少し小さな弁当箱が置かれていた。その日は無言で朝食を囲み、出勤した。

 「口実だったのに、心がズシンと重くなった」

【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
非正規シングル女性の数の推移
孤独ではないが、焦りも
 40歳を過ぎて、両親とけんかすることが多くなった。入浴する時間や掃除のタイミング……。生活のリズムが異なり、お互いの将来の不安も重なって、こらえきれずに感情をぶつけ合ってしまう。さっぱりした性格の母も、何かと心配してくれる父も、最近は疲れが目立つ。「もっとしっかりして」という小言に、返事ができない。

 本当は同居をやめて、自立したい。でも、この給料では家賃を払えない。自分が「半人前」のように感じ、現実逃避から休日は眠って過ごす日が少し増えている。

 半人前なのは、パートナーがいないからなの? 女性は35歳を迎えてから、こんな思いにとらわれるようになった。結婚願望は薄かったはずなのに。

 2004年に、酒井順子さんのエッセー「負け犬の遠吠(ぼ)え」がベストセラーになった。「30代以上、未婚、子どもなし」の女性を「負け犬」と呼び、論争を呼んだ。女性の生涯未婚率は上昇し続け、15年には14.06%になった。結婚することは、当たり前の時代ではなくなっている。

 女性は非正規で働くようになって給料は減ったが、時々行く一人飲みで20代から60代まで幅広い年齢層の友人ができた。決して孤独は感じない。美術を学んでいたので、仕事の傍ら版画や水彩画の制作も続け、充実していると思っていた。だが正社員の仕事につけない年月が長くなると、焦りもでてきた。

 恋愛は苦手で、男性とお付き合いをした経験は少ない。10年前から、インターネットの結婚相談サイトや婚活イベントで出会いの機会を増やす努力をしているが、成果はない。

 「婚活は、好きになれる気持ちがあるのかどうかのイメトレ」と言う。最近は婚活を「もはや実験」と考えるようになり、人を好きになるという意味が分からなくなってきた。

861チバQ:2018/08/08(水) 18:10:29
老いれば、経済力のない自分は
 実家から徒歩15分離れたところには、4歳上の姉夫婦が5年前に建てた住まいがある。天然木のドアを開けながら「ただいま〜」と声をかけると、小学生のめいとおいが「おかえり〜。待ってたよ!」と出迎えてくれる。

 正社員で働く姉の夫(47)も交え、週に1回は5人で夕食をともにする。両親との食事は年々軽めになり、女性には物足りなくなった。総菜を買うと高くつくし、栄養が偏らないようにと、姉が誘ってくれるようになった。

 姉の家では、めいやおいたちとトランプをしたり、宿題を見たり。習字の発表会に一緒に出かける機会もできた。めいは月に1回は実家に泊まりに来る。子どもたち2人は慕ってくれる。でも最近、それがつらい。もしこのまま独りで老いれば、経済力のない自分は、あの優しい子どもたちに迷惑をかけるのでは、と思ってしまうから。

 数年前、姉から真顔で「結婚しなくてもいいから子どもを産みなよ」と言われたことがある。必要とし、必要とされる人間関係にあこがれがある。だが、踏み込めない。心の中では「ネコみたいにひっそりと死にたい」と願っている。だが、めいやおいの顔が浮かび、すぐに打ち消す。

 食卓では、仕事のことや、子どもたちのその日の出来事が話題にのぼる。

 「店長が25歳の男性になって。うまく差配できずに現場は混乱よ」。一番キャリアの長い自分が、店長と契約社員をつなぐ役目になった。

 「どうしてこの給料でそんなことせんとあかんのかな」。ビールを飲みながら姉夫婦に愚痴ると、「うまく立てながら動かすしかないね」と率直な助言が返ってくる。硬くなっていた体や心が、「まぁいいっか」とゆるんだ。

【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
35〜54歳の非正規シングル女性に聞いたアンケート結果
非正規、主婦からシングル女性に拡大
 総務省の労働力調査によると、35〜54歳で非正規のシングル女性は2002年の約24万人が12年には約60万人に。この10年間で2.5倍と、大幅に増えた。

 16年の労働力調査では、働く女性のうち56%が非正規で、その約半数が35〜54歳だった。かつて非正規は主婦パートが中心だったが、製造業に派遣労働が解禁されたこともあってシングル女性にも広がった。

 公益財団法人「横浜市男女共同参画推進協会」などが実施した同じ条件の女性を対象にした調査(15年)では、年収250万円未満が約7割を占めた。非正規の理由を「正社員で働ける会社がなかった」と回答した人は約6割にのぼった。

 調査した福岡女子大の野依智子教授(ジェンダー)は「経済困難だけでなく、未婚や非正規であることで心理的な圧迫を受けている人が多かった」と指摘。そのうえで「国は最低賃金の引き上げ、非正規単身世帯への家賃支援、最低限の年金保障をすべきだ」と求める。

862チバQ:2018/08/20(月) 22:51:08
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180801-00176130-diamond-soci
副業でAV出演しても食べるだけで精一杯、地方出身OLのマイルド貧困
8/1(水) 6:00配信 ダイヤモンド・オンライン
副業でAV出演しても食べるだけで精一杯、地方出身OLのマイルド貧困
写真はイメージです Photo:PIXTA
 格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第3回は、本業だけでは生活が苦しく、副業としてAVに出演している、地方出身のOLたちを追った。(ライター 根本直樹)

● “ギリギリ女子らしい”生活が したくてAVに出演する女性たち

 昨年あたりからさまざまなメディアで取り上げられるようになった「AV出演強要問題」によって、アダルトビデオ業界を取り巻く状況は厳しいものになりつつある。だが、そんな世間の風潮に困惑する女性たちもいる。いわゆる「企画モノ」と呼ばれるジャンルのAV作品に出演する、素人女性たちだ。

 これまで20本近くの作品に出演したことがあるという、看護師の女性は言った。

 「だまされたり、脅されたりして出演させられる女性がいるのは事実だと思います。でも、大半の女性は必要に迫られて、自ら望んで出演しているんです。強要問題が騒がれ過ぎて仕事が減ったりしないか、すごく不安です」

 副業で企画モノ女優をしている女性の多くは、地方出身の首都圏在住者。OLなどの本業だけでは経済的に厳しく、AVの仕事を月に1〜2本入れることで「ギリギリ女子らしい生活が送れる」のだという。しかし、現実はそれすら厳しいようだ。

● 年収200万円の派遣OL キラキラ女子に囲まれる憂鬱な日々

 渋谷区に本社を構える、中堅IT企業に勤務する派遣OLの葉山瞳(仮名・27歳)も、そんな“副業企画モノ女優”の1人だ。

 「本業の月収は、だいたい手取りで18万円前後。家賃とスマホ代を払ったら、ご飯を食べるだけの生活しかできない。これじゃ、何のために東京に出てきたか分からないじゃないですか」

 彼女は訴えかけるような口調でそう言うと、すぐに寂しそうにうつむいた。

 目鼻立ちのはっきりとした、どちらかといえば美人だが、どことなく地味で暗い雰囲気が漂う。女優歴は約1年半。本業の派遣OLの仕事は週4日勤務で、年収は200万円強だという彼女の暮らしぶりを聞いてみた。

 「OLとしての仕事内容は、サイトの記事を入稿する作業です。社員の人から次から次へと送られてくる文章や写真データを、フォーマットに合わせて配置するだけ。慣れれば誰でもできる単純作業ですよ。毎日10時から18時まで、ひたすらパソコンに向き合うだけの退屈な仕事です。会社行って、帰って来て、冷凍庫にストックしてあるご飯をチンして食べたら寝るだけ。以前は、結構残業があって助かっていたんですが、最近は働き方改革っていうんですか。そのせいなのか残業がどんどん減っちゃって、貧乏になる一方です」

 西新宿の自宅は築30年近くで、外壁がけばけばしい原色に塗装されたマンションの一室。家賃は6万2000円。窓を開けると、隣の雑居ビルの壁がすぐ目の前まで迫り、エアコン室外機の鈍い音が流れ込んでくる。5畳半のワンルームにはベッドと机、ソファが置かれ、大量の洗濯物が…。

 「ほとんどゴミ屋敷ですよね。お金に余裕がなくなると、何もする気が起こらなくなっちゃうんですよね」

 北海道内陸部の地方都市で、3人姉妹の末っ子として生まれた彼女は、地元の高校を卒業するとすぐに札幌に出て、配管工事会社の事務職に就いた。

 「父親が、水道工事の仕事をしている関係で紹介されたんです。社員15名ほどの小さな会社でした。正社員採用でしたが、給料は手取りで16万円ほど。でも、家賃2万円の社員用アパートに住めたので、今より生活は楽だったような気がします。彼氏もいたし、わりと楽しかったかな。何より精神的に楽でしたね。私以外に女性は経理のおばさんが1人しかいなかったので、気を使わなくてよかった」

863チバQ:2018/08/20(月) 22:51:30
 彼女は、そう振り返った後、今の心境についてこう語る。

 「こっちに来てからは、周りはキラキラ系の女子社員ばかり。とくに実家住まいのOLとは大きな格差を感じます。自分だけが貧乏で、かわいそうな子みたいな気分になって、それがすごく辛いですね」

 札幌の会社には約5年間勤務したが、当時、付き合っていた彼氏が川崎の工場に働きに出たのを機に上京した。23歳になっていた。

 「当初は、蒲田にあった彼の部屋に転がり込んだ形ですね。貯金は300万円ほどありましたが、彼氏が職場で上司とケンカして仕事を辞めてしまい、最初の1年で貯金はほぼ底をついてしまいました。今ですか?私にもうお金がないとわかったら、すぐに別の女のところに行っちゃいました。いまさら田舎に帰る気にもならなくて、だらだらとこっちに居着いちゃった感じですね。今、恋人はいません」

● ハンド&フットのモデル面接 実はAV出演の勧誘だった

 そんな彼女が、AVの世界に入ったのは約1年半前のことだ。

 「同僚から女子会や合コンに誘われるたびに、今度はなんて言って断ろうと考えるのが辛くて。実際はお金がないだけなんですが。仕事して食べるだけの毎日じゃ生きてる意味がない。洋服やアクセサリーもほしいし、化粧品や美容院代だってかかる。月々数万円でいいから余計にあれば、少しは余裕のある生活ができるのになぁってずっと思っていて、ネットでアルバイトを探していたんです」

 働く女性の副業といえば、風俗やキャバクラなどが思い浮かぶが、本業でくたくたになった後、そうした店でさらに働く自信が彼女にはなかった。

 「だから、なるべく短時間でそれなりに稼げる仕事を探していたんです」

 あるとき、求人サイトで「ハンド&フットのみの写真モデル、日当3万円以上」という広告を見つけた彼女は、胡散臭いと思いながらも申し込みメールを送り、面接を受けたのだという。

 「清潔でオシャレな感じの事務所で、面接担当者はキャリアウーマン風の女性。それで安心していたら、私の手と脚を見て、『残念だけど、パーツモデルはちょっと厳しいかな。でも、もっと稼げる仕事がありますよ』と言って、AV作品への出演を勧められたんです」

 ここ数年、ありがちな「AV勧誘」の手法の一つである。

 「最初はびっくりしましたが、無理強いしてくる雰囲気でもなくて、安心感がありました。話を聞いているうちに、月に1、2回我慢して働けば10万円くらいになりそうだと思って、その日のうちに契約書にサインしちゃいました」

● 裸をさらしても生活は楽にならず 親や友人バレにおびえる毎日

 彼女は、現在までに計9本の作品に出演した。

 「毎月、最低でも2、3本は出演依頼があると言われていたんですが、土日の撮影は人気が高くて、申し込んでもあぶれることが多いんです。結局、2ヵ月に1本か2本ほどの仕事しか入らず、本番NGの私の出演料は、1本3万〜5万円。“脚フェチモノ”とか“マッサージモノ”なんかに出演しました。お金的には、完全にアテが外れちゃいましたね」

 生活費の足しになればと軽い気持ちで始めた副業だったが、次第に大きな不安に取りつかれるようになったという。

 「本番なしといっても、顔出しで全裸になるわけです。いつか、会社の人や田舎の友人、親にバレるんじゃないかと、それを考えると胃のあたりがきゅーっとしてきて、心臓がドキドキし始めるんです。普段はなるべく考えないようにしているんですが、AV始めてからは常に精神が不安定な状態。精神安定剤を飲まないと眠れなくなりました」

 裸をさらしてもなお生活は楽にならず、しかも“バレ”を恐れる毎日。

 「安易に足を踏み入れなければよかった」とも思うが、それでも彼女は「生活のためにも、もう少し続けるつもり」と語る。

 先の見えない、不安だらけの日々はいつまで続くのだろうか。

根本直樹

864チバQ:2018/08/20(月) 22:52:05
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180808-00176761-diamond-bus_all
59歳・年収500万円、突然雇い止めされた非常勤講師のマイルド貧困
8/8(水) 6:00配信 ダイヤモンド・オンライン
59歳・年収500万円、突然雇い止めされた非常勤講師のマイルド貧困
写真はイメージです Photo:PIXTA
 格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第4回は、突然雇い止めを通告された59歳の非常勤講師を追った。(ライター 黒田透)

● 日大の2学部で突然 非常勤講師15人が雇い止めに

 アメリカンフットボールの危険タックル問題で注目を浴びた日本大学。だが、実は、もう一つ大きな問題を抱えている。スポーツ科学部と危機管理学部で、英語の授業を担当する非常勤講師15人が、2018年3月で雇い止めとなったのだ。

 この二つの学部は、16年に新設されてばかり。非常勤講師らは採用時、16年4月から4年間の雇用を約束されていたにもかかわらず、昨年11月に大学側が突然、雇い止めを通告。首都圏の非常勤講師らで組織する「首都圏大学非常勤講師組合」を通して抗議したものの、最終的には解雇されてしまったのだ。

 背景には、今年4月以降、非常勤講師たちを容易に切れなくなるという“ルール”が適用されたことにある。そのルールとは、通算5年を超えて働く有期契約労働者が希望すれば、無期雇用にしなければならないというもの。そこで慌てて、雇い止めを強行したものとみられている。

 非常勤講師たちにとっては、突然、雇用を奪われ、収入が絶たれるのだから死活問題。現在、雇い止めにあった非常勤講師らが大学を相手取り、裁判を起こしている。

● 59歳にして2度目の雇い止め 収入は大幅ダウン

 真砂久晃さん(59歳)も当事者の一人。日大スポーツ科学部と危機管理学部で、非常勤講師として英語を教えていた。

 「昨年11月の説明会で唐突に通告されました。そんな時期に言われても、既にどの大学も翌年度の非常勤講師の枠は埋まってしまっています。失った収入をカバーするのは厳しい。住民税も、前年度の収入で計算されますから大変です。書類には、『20年3月まで継続して担当してください』と書かれてあったのに…」

 真砂さんは、昨年、約30年間勤めた日大の工学部でも雇い止めに遭っている。工学部から突然、「来年度は、契約を半期空けてくれませんか」と言われたのだ。理由はやはり継続雇用による無期転換を避けるためと見られる。 “クーリングオフ”を伝えてきたのだった。

 「嫌ですと断ったら、『お疲れ様でした』と記念品を送られてきました(苦笑)。こちらはクーリングオフが嫌だと伝えただけで、働くのが嫌と言ってはないのに。30年近く働いてこんな目に遭うとは…」

 工学部に続いて、スポーツ科学部と危機管理学部を雇い止めされた分、真砂さんの収入は大幅ダウン。それでも日大の別の学部や、他の大学で英語の授業を合計14コマ教えているため、現在は月給42万円ほど。年収にして500万円ほどだ。

865チバQ:2018/08/20(月) 22:52:20
 とはいえ、非常勤講師はしょせんバイト扱い。額面の数字ほど、いい生活は期待できない。

 「国民年金や国民健康保険など合わせて、年間50万円くらいの負担になります。また、家のローンが75歳まで残っています。非常勤講師なので、ボーナスが出るわけでも、退職金が出るわけでもありません。そういう意味で、老後はやはり不安です。年金も少ないでしょうし。ただ非常勤講師は、大学によって75歳や80歳まで働けます。私は70歳までは働くつもりです」

 既に、子どもが社会人になり働いてることもあり、学費や子育てにかかる費用はないのが救いだ。

● 研究を志して非常勤講師から 専任講師を目指すがかなわず

 真砂さんが非常勤講師の世界に入ったのは、大学時代に専攻していた英文学の研究者を志したから。ただ、周知のとおり、大学で研究者になるのは狭き門だ。その入り口となる専任講師にならないと、准教授や教授といったその先が見えない。非常勤講師として大学で働きながらそのチャンスをうかがった。

 「1990年、31歳のときに非常勤講師になりました。指導教授が、知り合いの日大工学部の先生から『うちに英語の授業に来てくれる人はいませんか』と聞かれ、私に話がきたのです。キャンパスが福島県郡山市で、自宅のある所沢市から遠かったので迷いましたが、結婚することが決まったので決断しました」

 当初は、非常勤講師勤めも待遇がよく、遠方からの通勤ということもあってか、グリーン車代が出ていたという。

 「郡山で朝、2コマ教えて、夜は東京の予備校で教えていました。平成の初め頃はまだまだ学生が多くて、大学の学部が次々と新設されていたこともあり、英語の非常勤講師の仕事は引く手あまたでした。その後、順調に他の大学でも担当することが決まり、非常勤講師として食べていけるようになりました」

 しかし、専任講師の夢には届かなかった。

 「論文を書いたり、何度か大学の専任講師に応募したりしたのですがダメでした。40代くらいまで頑張ってみましたが無理で、非常勤講師でやっていかざるを得ないなと思いました。不安ですか?そりゃ、少しはありましたが、ある程度授業のコマ数を持っていたので、なんとか食っていけるかなぁとは思っていました」

 それでも、非常勤講師の立場は不安定だ。雇用契約は基本的に1年契約、毎年更新するという。通常であれば、よほどの問題を起こさない限り更新されていくが、カリキュラムの変更でせっかく得た授業を失うこともあるし、今回のように突然雇い止めに遭う可能性もある。

 「例えば、月曜日に行っていた英語の授業を水曜日に変更しますと言われても、簡単には対応できません。他大学の英語の授業と被るケースもあるからです。過去に何度かそういうことがあり、担当コマ数が減りました」

● 30歳前からのスタートで 年収200万〜300万円がゴロゴロ

 非常勤講師の道を選ぶ人の多くが、研究者を志している。ただし、大学院の修士課程や博士課程で学んだ後に非常勤講師になるため、ほとんどの人が30歳前のスタートとなる。

 英語など語学系の講師ならコマ数をもらえるチャンスも多いが、それ以外の専門科目となると、そもそも担当できるコマ数自体が少ない。そのため、年収200万〜300万円の非常勤講師はゴロゴロいる。しかも、教授はおろか専任講師にすらなれる保証はない。

 「研究者、非常勤講師という選択をしたころ頃は、まだ若いってこともあったんでしょうね、楽天的でした。今、過去の自分に何か伝えることができるとしたら、『そんなに甘くないよ』と言いたい」(真砂さん)

 真砂さんはまだ恵まれている方だが、それでも常に不安が付きまとう。そのため老後の生活に備えて節約を心がける。

 「昼飯はコンビニ弁当を買うこともありましたが、今はウィダーインゼリーとかソイジョイといったもので空腹をごまかしています。交通費も出ますが、回数券を買うようにしていますし、買い物はポイントが貯まるものを使っています。服はほとんどユニクロです」

 仕事終わりの一杯がささやかな息抜きだったが、今では自宅飲みが多い。

 60歳は目の前だが、働き続けないといけない。「日々の授業で喉はかれますし、腰も痛めます。それでも働かないといけません」

 日大との裁判も続いている。真砂さんに、身も心も休まる日はまだまだ訪れそうにない。

黒田透

866チバQ:2018/08/20(月) 22:52:42
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180815-00177157-diamond-soci
年収420万円非正規、「キャリア断絶転職」を続けて陥ったマイルド貧困
8/15(水) 6:00配信 ダイヤモンド・オンライン
年収420万円非正規、「キャリア断絶転職」を続けて陥ったマイルド貧困
Photo:PIXTA
 格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第5回は、会社の経営危機などから異業種に転職せざるを得なくなった契約社員の男性を追った。(ライター 横山薫)

● 企業の経営不振をきっかけに スタートした転職人生

 埼玉県の地方都市に住む森田哲司さん(仮名・36歳・独身)は、ビルメンテンナンス会社で働く契約社員。ボーナス60万円を合わせた年収は420万円と決して「下流」や「ワーキングプア」ではないが、「中間階級」ともいいがたい。まさにその“狭間”でもがく「マイルド貧困」の1人だ。

 森田さんは大学卒業後、22歳で中小の広告代理店に入社した。森田さんは当時をこう振り返る。

 「年収は1年目から400万円でした。しかも経費も多少使えていたため、夜は『営業先の接待』と称して食事に行ったり遊んだりすることもあって、楽しい会社員生活だったし、ゆとりもありましたね」

 ところが、最初の転機は5年目に来た。

 「働いていた会社の経営危機がささやかれ、早期退職者を募集したり、実質クビになったりした上司や先輩もいました。僕も『このままこの会社にいても未来はない』と思い、転職を考えていました。そんなとき、東京の地元の友人が不動産仲介会社を起業するという話を聞き、友人と一緒に働きたいと思うようになったんです」

 27歳のとき、森田さんはこの友人の会社で働くことになった。

 「不動産業界での経験はもちろん、知識もまったくない、正直いって興味もありませんでした。でも、友人の会社で友人と一緒に仕事するなんて若いうちにしかできないから、今しかないと思って転職を決意しました」

● 休みは月に1日だけ 残業代なしで深夜まで働き詰め

 この会社の給料は、年俸300万円プラス歩合だった。

 「だいたい年400万〜500万円くらいもらっていて、年収400万円を切ったことはないですね。収入的には前職よりも増えていますが、経費を考えると実質的に使えるお金は減ったと思います」

 不動産仲介業は全くの未経験だったが、森田さんには「この世界でのし上がりたい」という“山っ気”があった。

 「不動産仲介の営業マンは、仲介手数料・管理手数料の一部を歩合としてもらえる仕組みになっています。自分が担当する物件を多く持てば持つほど収入も増えるので、担当物件を積み上げて地盤をつくり、報酬を上げていきたかったんです」

 休みは月に1日だけ、残業代もなしで深夜まで身を粉にして働いていた森田さんだが、またも5年後の32歳のときに転機が訪れる。

 「収入に対する不満は少しあったものの、仕事への不満はまったくありませんでした。楽しかったしやりがいもあった。でも、あくまで、友人の会社で働く非正規社員。自分も不動産仲介会社を経営してみたいという思いが強くなったんです」

 そんなとき、同じ会社の同僚と一緒に起業しようという話が出たという。

 「同僚の父も不動産仲介会社を経営していて、その関連会社としてスタートすることで、経営もスムーズにいくと思っていました。ところが、同僚が独立すること怖気づいてしまったんです…」

 結局、この同僚とも仲違いしてしまった。何事もなかったように同じ会社で働き続けることは可能だったが、「一度は社長を志したわけで、今さら同じ会社で働き続けるのもおもしろくない」という思いがあったという。

 「仕事に対する悩みが大きくなっていたころ、大学の部活の先輩に相談したんです。その先輩はビルメンテナンス会社を経営していて『ウチで働いてみないか?』と誘ってくれました。不動産仲介で一旗揚げたいという未練はありましたが、『転職するなら、楽しさを感じなくなった同業じゃなくてもいいかな』という思いもあり、転職することにしたんです」

867チバQ:2018/08/20(月) 22:53:02
● 半額になったスーパーの総菜に 自分でご飯を炊く節約生活

 現在の森田さんの月給は30万円で、手取り額は23万円程度。家賃6.5万円(駐車場代込み)の1DKに住んでいる。森田さんの収入の使い道は次のとおりで、1人暮らしのため確かに余裕をもってやり繰りできている。

 家賃=6.5万円
水道光熱費=約1万円
ケータイ・通信費=約1.4万円
ガソリン代=約1万円
食費=約5万円
交際費・遊興費=約5万円
貯蓄=約3万円
---------------------------------------
支出合計=約23万円

 「今は週に2日の休みがあるし、残業もなく毎日17時半に仕事が終わって家に帰っています。昔は毎日外食でしたが、今は週に5日は自炊しています。といっても、スーパーで値引きされている総菜を買ったり、レトルト食品を温めたりするだけですが。ご飯はお米を炊いて少しでも節約しています。総菜は揚げ物が多いし、米とパスタが主食なので、健康と体重が気になりますね(笑)」

 森田さんが現在働くビルメンテナンス会社は、オフィスビルや工場、マンション、学校、病院などの設備管理、掃除、警備などを請け負う企業だ。

 「毎日が同じことの繰り返しではなく、喜ばれることもあれば、クレームをもらうこともある。でも、そのクレームにも真摯に対応すれば喜ばれるし、業務も改善され、それなりに仕事にやりがいを感じています」

 生活に関しては、こんなふうに語る。

 「何か買いたいものがあるわけでもないから、月々わずかながら貯金をしています。結婚、住宅購入など考えられない。来年も再来年も、今と何の変化もなく同じ時間を過ごしているのではないか、という不安はありますね。唯一の楽しみは、月に数回、池袋や埼玉県内の繁華街で飲みに行ったり、遊んだりすることだけですね」

● 人材の流動化が避けられない 社会構造が生んだ「マイルド貧困」

 収入面について、森田さんは「まだ4年目だから不満はありません」と話すが、こんな不安も口にする。

 「ちょっと心配しているのは、僕は一つの会社に5年より長く働き続けたことがないということなんです」

 確かに森田さんは、1度目と2度目の会社は5年で転職、現在の会社は4年目だ。今は転職の意思はまったくないそうだが、もし次にまた未経験の業種に転職でもしたら、ますます「マイルド貧困」の泥沼から抜け出すことは難しくなる。

 昨今、「働き方改革」が声高に叫ばれ、「副業」も認められる時代になった。企業側も社員の一生の面倒を見ることが難しくなったり、大企業といえども経営破綻に追い込まれたりすることだってある。そういう意味で、定年まで一つの会社に勤め上げるだけがキャリアではなく、人材の流動化は社会構造上、避けがたい状況だ。

 とはいえ、22歳で広告代理店、27歳で不動産仲介業者、32歳でビルメンテナンス会社と転職を繰り返した森田さんのように、勤続年数が短くキャリアが断絶した転職を繰り返してしまうと、キャリアアップどころか収入増にもつながらず、「マイルド貧困」に陥ってしまう。そういう意味では、社会的な構造が「転職型マイルド貧困」を生み出しているとも言えるのだ。

 「今は建物の管理・保守の仕事がメーンですが、今後は営業もやって、管理・保守を請け負うビルの新規開拓もしたいと思っています。不動産仲介業のとき、たまに地主のおじいちゃんのところに顔を出して挨拶をしに行って、その関係がきっかけで、その方が所有する物件の仲介を任せてもらったことがありました。そういう意味で、広告代理店や不動産仲介業での営業経験は、今の会社でもきっと生かせるはずだと思います」

 そう仕事への意気込みを語る森田さんだが、果たして明るい未来は待っているのだろうか。

横山 薫

868チバQ:2018/08/20(月) 22:53:45
https://diamond.jp/articles/-/173993
018.7.4

国立大合格でもバイト生活、結婚もできない27歳の「マイルド貧困」
横山 薫 
格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、「新たな貧困層」が生まれてきた。それは、生活に困窮するほどではなく、好きなことに多少のお金を掛けることはできるものの、上の階級へ這い上がることができず、将来に希望が持てない「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第1回は、地方国立大学に合格したものの2年で中退し、アルバイト生活を渡り歩いている27歳の男性の実態に迫った。(取材・文/ライター 横山 薫、ダイヤモンド・オンライン編集部 田島靖久)

手取りは18万円でも
カードゲームに興じる金はある
 都内のキャラクター関連ショップに、3年近く勤めている遠山健二さん(27歳・仮名)。以前はキャラクター関連のカフェで働いていたが、新規開店スタッフの募集を見つけ、新天地で頑張ろうと応募し採用された。雇用形態はアルバイトで、時給900円からスタートし、今ではバイトリーダーのようなポジションで1200円台まで上がったという。

「主な業務は販売、接客、レジ、荷物管理、電話対応などの店頭業務全般に、キャラクターに関するイベント設営・運営なども行っています。9〜17時で働いて、残業もたまにします。それで額面23万〜24万円、手取りは18万円くらいですね。築35年、3DK(44平方メートル)、家賃12万円の部屋に彼女と同棲しています」

 手取り18万円は決して多くはないが、彼女が定職に就いており収入があるので折半していて、収入の中でうまくやり繰りしているという。

「僕の支出は家賃6万円、携帯代1万円、光熱費1万円弱。それ以外に共通の食費や生活費、自分の食費などで消えますが、毎月3万〜5万円くらいは残って、その範囲内で自由に使っている感じです。残ったら翌月に持ち越したり、貯金に回したりもしています」

遠山さんが毎月1万〜2万円は散財しているというカードゲーム
遠山さんが毎月1万〜2万円は散財しているというカードゲーム。レアカードをゲットするために、数万円つぎ込むこともあるという Photo by Kaoru Yokoyama
 遠山さんは、自由に使えるお金のうち1〜2万円を、幼少期から好きな「カードゲーム」のカードの購入に充てているという。

「DSもWiiもプレイステーションも持っていて、人気ゲームはだいたい購入して遊んでいますが、今ハマっているのがカードゲームです。1〜2ヵ月に1回、新キャラクターが出るから、そのたびに購入していますね。レアカードが出るまで数万円買ったりしたこともあります。スマホゲームの“ガチャ”と同じですよね。でも、形に残るだけマシかなと思っています。友達と対戦しているときが一番熱くなれます(笑)」

彼女との結婚を考えると
正社員登用されたい
 好きなキャラクターに囲まれて仕事をし、好きなゲームに興じて暮らしている遠山さん。しかし、将来に対しては漠然とした悩みを抱えている。

「3年付き合ってる彼女と将来は結婚も考えているけど、先の見通しは分かんないですよねぇ。僕の貯金は20万円弱。早く100万、200万と貯めて、指輪とか結婚式の費用をつくりたいと思っているのですが、手取り収入からの資金繰りを考えると、全然足りないんです…。そのためにも早く社員登用試験を受けて社員登用されたいし、将来は店長を目指しています。いずれは、本社勤務で企画などに携わりたいですね。親の面倒とかは、大変なのかなぁって漠然と思いますが、10年、20年以上先のことなんで、真剣には考えていません。あまり意識もしていませんよ」

 ただ、たまに連絡を取る地元や大学時代の友人の話になると、どこか偏屈さを感じさせる。

869チバQ:2018/08/20(月) 22:54:15
「大学を卒業した地元の友人の中には、公務員や大手企業で働いている友だちもいるけど、ソイツはソイツ、僕は僕です。僕は働いてきた経歴から、周りにはバイトとか、バイト上がりの社員とかが多いから、そんなに焦りは感じていませんよ。ただ、数年ぶりに友達と電話して、“昔と変わっていない”のを知ると、ちょっと安心する自分もいますね」

 かつての若者の貧困問題と比べると、遠山さんはわずかながら自由なお金もあり、生活にさえ困るような深刻な困窮状態には陥っていない。しかし、仕事や結婚といった将来への不安は感じつつ、「考えても意味がない」と真剣に考えることは避けている。これこそが、新たな問題として生じている「マイルド貧困」の実態である。

きっかけは大学中退
一念発起して上京するが…
小さいころからゲーム・アニメ・キャラクター好きで、今はアニメキャラクター関連ショップで働く
ゲーム機は一通り持っていて、人気ゲームはだいたい遊ぶという遠山さん。小さいころからゲーム・アニメ・キャラクター好きで、今はアニメキャラクター関連ショップで働く Photo by K.Y.
 遠山さんが、こうした状況に陥った原因は大学時代にある。遠山さんは西日本のある地方で生まれ育ち、地元の国立大学に進学する優秀な高校生だった。ところが、大学でサークルにのめり込みすぎて勉強がおろそかになり、2年生が終わったときに留年するか退学するかの選択を迫られたという。

「これといって大学で学びたいこともなかったし、留年したら学費が余計に掛かるから、退学することを決断しました。漠然と『このまま地方にいてもダメだ』『今の状況から脱したい』『人と同じことはしたくない』との思いから、中退して1年間フリーターをやって、上京資金を貯めたんです」

 遠山さんの両親は、準公務員と保育士の共働き世帯だが、決して裕福な家庭ではない。そのため、100万円の上京資金は実家に住みながらアルバイトで貯めたという。

「割烹料理店とチェーン系飲食店の掛け持ちで週5日、働いていました。割烹といっても調理補助で、盛り付けたり、配膳したり、食材の説明をしたり。料理なんてしたことなかったんですが、チェーン系の飲食店だったこともあってすべてがマニュアル化されており、それほど難しくはなかったので苦になりませんでしたね。昼間の時間帯はチェーン系飲食店で、その後18時から23時まで割烹で働いて月16万〜17万円、多いときで20万円くらい稼いでいました。それで年間100万円を貯めたんです」

 遠山さんは、100万円が貯まった段階で思い切って上京する。

「もともと東京に行こうと考えていたわけじゃないのですが、アニメキャラクター関連の専門学校の広告を見て、『これだ!』と。ただ、引っ越し代と学費で、100万円では足りなくて…。親に相談したところ、『やりたいことをやれ』と不足分を援助してくれたのは、ありがたかったですね」

 手元資金はほぼゼロの状態で、東京での生活をスタートさせた。東京ではカラオケ店でバイトをしながら専門学校で学び、無事2年で卒業。卒業後はキャラクター関連のカフェに就職することができたが、やはりここでも雇用形態はアルバイトだったという。

「正社員にはあまりこだわっていませんでした。小さいころからアニメやキャラクターが好きだったので、関連する飲食店で働けるという喜びだけでしたね。夢をつかんだような。しかも、立ち上げスタッフとして入店したため、まだ誰も接客や発注業務の経験がなかったんです。そんな中、発注業務や接客マニュアルの作成を任され、アルバイトという立場でしたが、やる気に満ちていました(笑)」

 売り上げ状況を見て、翌日にどんな食材をどれくらい仕入れなければいけないかなど、すべて手探り状態。ところがこの発注業務において、地元の割烹料理やとチェーン飲食店で働いていた経験が生かされたという。

「定職に就いたことがない僕ですが、アルバイトの経験だけは人一倍多い。それが生かされるとは思ってもいませんでした。3ヵ月もすると店長代理みたいな立場でリーダー的存在になり、多くの仕事を任されるようになって満足でした」

 キャラクター関連のカフェでやりがいを感じ、3年間働いた遠山さんだが、あるとき、冒頭で紹介したキャラクター関連ショップが新規開店することを知って応募した。今は、小さいころから好きだったアニメキャラクター関連ショップで働くことができている遠山さん。

870チバQ:2018/08/20(月) 22:54:35
「人手が足りず忙しかったり、人間関係の板挟みにあうこともあったり、つらいこともあります。でも、小さいころからの夢だったし、と自分に言い聞かせて頑張っていきたいですね」

困窮するほどではないが
這い上がれない「マイルド貧困」
「1億総中流」と呼ばれた時代は、はるか昔。「格差社会」も通り越して、今の日本には「現代版カースト制」さながらの「階級社会」が到来している。生まれた家庭や、就職時期の経済状況によって「階級」が決まり、しかも固定化してしまう。「格差社会」どころではない状況だ。

 早稲田大学の橋本健二教授によれば、一握りの富裕層である「資本家階級」(254万人、就業者人口の4.1%)を頂点に、エリート層である「新中間階級」(1285万人、同20.6%)、ホワイトカラーであるものの所得が低い「労働者階級」(2192万人、同35.1%)、そして最下層の「アンダークラス」(929万人、同14.9%)という階級が固定化しているという。

 シビアなのは、資本家階級を除き、今は新中間階級や労働者階級であっても、滑り落ちる可能性が極めて高いこと。そして、「大学をきちんと卒業し、新卒でいい会社に就職し、正社員として働き続ける」という“レール”から一度でも外れると、元に戻ることは難しいという、やり直しがきかない社会であることだ。

 こうした階級に加えて、『ダイヤモンド・オンライン』では、生活保護を受けるまでではないものの、その“予備軍”である「マイルド貧困」という階級があり、確実に増えているのではないかと考えている。橋本教授の区分でいえば、「労働者階級」の下の層と、「アンダークラス」の上の層とを合わせたイメージだ。

 ぜいたくこそできないものの、困窮するほどは切羽詰まってはおらず、趣味や好きなことに多少のお金を掛けることができる。だが、いったんこの階級にはまってしまえば、最下層に落ちることはあっても、社会構造上、決して上の階級に這い上がることはできない。それこそが「マイルド貧困」だ。

 ある意味で夢をつかんだ気もする。そう思い込みたい――。

 そう言い残して去って行った遠山さんの言葉から、新たに生まれた「マイルド貧困」の根深さが感じ取れる。今日、明日を生きることはできる。しかし5年後、10年後の将来は描くことができず、目を背けてしまう。そんな「マイルド貧困」の実態を、さまざまな角度から取り上げていくことにする。

871チバQ:2018/08/20(月) 22:55:18
https://diamond.jp/articles/-/174992
2018.7.18

年収350万円、子どもができて慌てる契約ライターの「マイルド貧困」
黒田透:ライター 
格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、「新たな貧困層」が生まれてきた。それは、生活に困窮するほどではなく、好きなことに多少のお金を掛けることはできるものの、上の階級へ這い上がることができず、将来に希望が持てない「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第2回は、結婚して子どもができたために、今後の人生を迷っている契約ライターを追った。(ライター 黒田透)

今のままでいいのか悩む
出版社の契約ライター
 国末融さん(36歳、仮名)は、都内の出版社で雑誌の契約ライターとして勤務する。既に5年近く、契約ライターとして仕事をしているが、この1年で取り巻く環境が大きく変わり、今のままでいいのか悩んでいる。

「仕事内容は、自分で提案した企画記事を執筆したり、担当の編集者から依頼のあったテーマを取材して記事にしたりします。また、不定期発行のムック本も年間数冊関わっています」(国末さん)

 そんな国末さんの収入はこんな感じだという。

年収は350万〜400万円
業務委託で定職に就けたと喜ぶ
「現在は、年収ベースでいうと350万〜400万円。業務委託契約なので、残業代やボーナスなどは出ません。ここから、国民年金、社会保険料、住民税など税金が引かれるので、月単位でいうと実質手取り22万〜23万円くらいでしょうか。業務委託契約なので、他の媒体の仕事も受けることはできるのですが、仕事が忙しくてそんな余裕はないですね」

 31歳の時、知人の紹介で、ある出版社の雑誌編集部に関わり始めた。当初は、提案したテーマで記事を書き、採用された場合だけお金を受け取る形だった。1本当たり1万6000円で、週に2〜3本書くことこともあれば、採用されず全く書けない週もあったという。収入の浮き沈みが激しい厳しい世界だ。

 国末さんは、1年間こんな形で働いた後、業務委託契約の提案を受け、受け入れた。

「編集部から、ムック本の制作で人が足りなくなったので手伝ってほしいと言われ、契約しました。こちらも“定職”に就けたと、願ったり叶ったりだと思いました。また、政治、経済、事件、スポーツ、芸能、生活とあらゆる取材をする機会がありますし、有名な方とお会いする機会もあるので、仕事自体は楽しいです」

 業務委託契約となれば、書いた記事の本数で給料が左右されるわけではなく、会社と取り決めた年間の固定給が月割りで銀行口座に振り込まれる。一見、会社の給与を受け取っている感覚に近い。だから国末さんが“定職”と感じるのは無理もない。

 だが、現実には業務委託契約なので、ボーナスが出るわけでもない。毎年契約を更新し、その都度、年棒を交渉する。編集部の責任者が、1年間の働きぶりがよかったと判断すれば年棒は上がるし、期待に沿えていないと判断されれば年棒は下がってしまう。

 さらに大変なのは、評価基準がそこまで明確ではないこと。つまり、気に入られるかどうかも重要な要素だということだ。となると、たとえどんな無茶な依頼でも断りにくい。

872チバQ:2018/08/20(月) 22:55:44
 本来、国末さんのような契約ライターは正社員ではないので、自分が持つ人脈や知識の中で記事化するのが難しいと思った場合は断ることができる。しかし、1回でも断ってしまうと、次の仕事の依頼がこなくなるのではないかと不安に感じ、結局は受けざるを得ないのが実態だ。その結果、それなりの記事はできるかもしれないが、浅く薄っぺらいものになってしまう可能性も高く、最終的には誰も得しないにもかかわらずだ。

実家暮らしで甘えて
30歳で貯金も人生設計もなし
 ライターになるまで、国末さんはどんな道を歩んできたのか。

 国末さんは都内の大学を卒業後、地方にあるメーカーの工場に就職した。ただ、仕事環境がブラックすぎて1年で退職。その後、実家のある都内に戻り、バイト生活を始めた。なぜバイト生活を選んだかというと、大学時代から一緒にやっていたバンド仲間たちと、プロのミュージシャンを目指そうという話になったからだ。バイトをしながら、日々スタジオを借りて練習し、ライブをするという生活を続けていた。

「苦しいとか考えてなかったですね。それにバイトは、保険会社のテレフォンオペレーターだったんですが、夜勤だったこともあって時給が高く、週3〜4日ペースで月に25万円以上は稼いでいました。稼ぎの大半はスタジオ代で消えていきましたが。ただ、年数を重ねていくにつれ、仲間内で『本気でプロになりたい派』と、『趣味で楽しむ程度でいい派』に分かれてしまい、結局自然消滅してしまいました。そんなフラフラした生活を見かねて、知人がライターとして声をかけてくれたのです。確かに30歳にもなって貯金はなく、人生設計も特になかった。実家暮らしということもあって、親に甘えていたんです」

 業務委託で契約ライターとして働き始めた国末さんだが、仕事の面白さを感じる半面、正社員たちとの格差や壁を感じることもあった。

「編集部に自分の席があり、正社員と肩を並べて仕事をしていますが、同じ仕事をしていても収入が倍以上違うことを知りました。残業することも多いのに、残業代が出るわけでもありませんし。また、出版社のデータベースや資料を調べる時など、正社員は自由にアクセスできても、私のような立場だとアクセス制限されます。初めてそれを知った時は悲しくなりました」

 待遇や職場環境が悪いとわかれば、その職場を離れてもいいと思うのだが、続けてきてしまったのには国末さんの育った環境もある。

「自分で言うのもなんですが、父親が大企業で働いていたこともあって、中流家庭で育ちました。小学校から大学までずっと私立でしたし。だからなのか、ハングリー精神があまりないんです。出世したいという欲も、お金を稼ぎたいという欲も、いい女を抱きたいという欲もなかった」

 年齢に対しての収入の低さや、契約ライターという不安定な立場を考えると、貧困層に足を踏み入れつつあると言わざるを得ないが、実家暮らしであったため危機感はあまり感じなかったという。

半年前に結婚して子どももでき
今の状況を変えたいと考え始める
 しかし、そんな国末さんも変わらざるを得ない状況になった。半年ほど前に結婚し、さらに奥さんが妊娠中なのだ。それまでは自分1人が生きていければよかったが、これからは家族3人の生活になる。

「守るべきものができて、さすがに意識が変わりました。これまでは、収入が少なくてもどうにかなるという楽観的な考えを持っていましたが、子どもができるとなると、少しでも収入があった方がいいし、会社が半分払ってくれる厚生年金に加入できるなど、さまざまな保証で守られている正社員の方がいいと考えるようになりました。もっといえば、妻も実は契約社員でして、育休や産休が取れないことも初めて知りました」

 国末さんが指摘するように、正社員と契約ライター(契約社員)では、例え毎日同じ職場で同じ時間働こうが、会社から受けられる保証が違う。例えば、国末さんが契約している出版社の正社員は、健康診断を年間2回受けることができる。しかし、国末さんは受けることができない。自分で予約し、1万円以上支払わないと健康診断さえ受けられないのだ。

「結婚し、生まれてくる子どものためにも、今のような状況を変えたいと思い始めています」

 こうした状況は、なにも契約ライターだけではない。派遣社員や契約社員に加え、パートやアルバイトといった非正規労働者は、2017年、2133万人となり過去最多を更新している。人手不足の折、非正規とはいえ仕事はあるため、生活自体は困らない。だが、結婚や子どもが生まれるといったライフイベントに遭ったとき、それまでの収入では到底足りない現状が待ち受けている。そうした「マイルド貧困」たちの将来は視界不良と言える。

873とはずがたり:2018/08/26(日) 20:00:31
日本の子どもの7人に1人が「貧困」…私たちができることとは?
https://www.excite.co.jp/News/column_g/20180826/TokyoFm_98auoF6nZR.html
TOKYO FM+ 2018年8月26日 19時00分

秋元才加とJOYがパーソナリティを務め、生活に身近な情報や政府の取り組みをわかりやすく伝えるTOKYO FMの番組「秋元才加とJOYのWeekly Japan!!」。8月25日(土)の放送では、内閣府・子どもの貧困対策推進室参事官の牧野利香さんに「子どもの貧困」をテーマに伺いました。

「貧困」と聞くと、一般的には食べるものや着るものがない状態をイメージしがちです。日本では、そういった目に見える貧困は少ないそうですが、政府が発表している子どもの貧困率は13.9%、「およそ7人に1人が貧困である」というデータがあります。「健やかな成長に必要な生活や教育の機会に恵まれない子どもは、日本でも相当数いる」と牧野さん。

さらに、数字上は貧困の枠に入っていない家庭でも、経済的な理由で進学をあきらめている子どもや、労働のために親が家にいないことが多い貧困家庭では、子どもが「居場所がない」と社会的に孤立してしまうことも多いのだとか。

また、「経済的理由で子どもの視野を広げる機会や人とのかかわりが少なくなることで、子どもが将来観を持てなかったり、自分の可能性に気付かないまま進学や就職のチャンスを逃してしまうことも問題の1つ」と、牧野さん。「進学のチャンスが乏しい子どもは、就職しても収入が低い可能性が高い」と貧困の連鎖についても説明します。

牧野さんは、こうした貧困状態に置かれている子どもを救うために、「国は経済的な支援をはじめ、就職や教育支援などさまざまな体制を整えている」と言います。しかし、保護者や子ども自身が貧困であるという自覚がない、自覚があっても周りを気にして声をあげられない、周囲が支援の必要な子どもの存在に気づいていないという課題も多いのだとか。

子どもたちに確実に支援を届けるためには、社会全体で子どもたちを支えていくネットワークを作り、情報を伝えていくことが大切だと牧野さん。そこで政府と民間企業などが連携して生まれたのが「子どもの未来応援基金」です。これは、企業や個人から寄付を募り、そのお金をNPOなどの民間団体の支援に充てる取り組みです。

例えば、塾に通えない子どもたちのために、無料もしくは低料金で学習をサポートする団体や、温かい食事と団らんを提供する子ども食堂を運営する団体があります。そのほか、絵を描いたり、物を作ったりと子どもたちに「体験」の機会を提供する団体、虐待にあった子どもや児童養護施設退所者に向けたキャリアサポートをする団体などさまざま。

民間企業だけでなく、個人がクレジットカードや銀行振込みで寄付ができたり、本や物、着られなくなった子ども服などを送ると換金され、基金として活用されたりする仕組みもあるそうです。

最後に牧野さんは「子どもの貧困をなくすことは子ども本人はもちろん、私たちの明るい未来を作るために大切なこと。できる範囲で参加してほしい」と協力を呼びかけていました。

JOYは「(約7人に1人の子どもが貧困と)日本も多いんだね……」と現状に驚き、「ちゃんとサポート体制があるということがわかった。すべての家庭がそれを知っているかと言えばそうではないと思うし、知るきっかけになってくれれば」と期待を寄せます。秋元は、「せっかくそうした体制があるので、受けられる支援は受けていただきたい。自分たちにできそうなこともあったので、できることから始めたい」と話していました。

874とはずがたり:2018/08/31(金) 16:18:32
京都は特殊事情やな。大家がガメっとる。

収入が減る一方で家賃は上がる──日本が過去20年で失った生活のゆとり
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/07/20-52.php
2018年7月18日(水)16時50分
舞田敏彦(教育社会学者)

家賃が若年層の生活を圧迫しているのは都市部だけではない nopparit/iStcok.

<生活費のうち家賃が占める割合は、93〜13年の20年間で大きく上昇し全国平均で2割近くにまで達している>

生活の基盤である住居は、持ち家と借家(賃貸)に分かれる。2013年の統計によると持ち家は3217万世帯、借家は1852万世帯となっている(『住宅・土地統計調査』)。比率にすると「3:2」で持ち家世帯の方が多い。しかし若年層では借家が多く、世帯主が20代の世帯の9割、30代の世帯の6割が借家に住んでいる。

持ち家は住宅ローン、借家は家賃という固定費用が発生する。生活のゆとりの度合いは収入と支出のバランスで決まるが、後者の代表格は住居費だ。食費や遊興費のように節約はできず、毎月定額を払わないとならない。住居費が収入に占める割合は、生活のゆとりの度合いを測る指標になる。

上記の資料から、借家世帯の月平均家賃と平均年収がわかる。2013年のデータだと前者が5.4万円(I)、後者が358.3万円(II)だ。家賃の年額が年収に占める割合は,(I×12カ月)/II=18.1%となる。20年前の1993年の12.9%と比べて大きく上昇している。収入が減る一方で(414.6→358.3万円)、家賃は上がっているためだ(4.5→5.4万円)。

地域差も大きい。地方より都市部で家賃が高いのは誰もが知っている。都道府県別に「家賃/年収」比を計算し、3つの階級で塗り分けた地図にすると<図1>のようになる。左は1993年、右は2013年のマップだ。

この20年間で地図の色付きのところが増えている。1993年では色が付いているのは都市部の9県だけだったが、2013年では全県に色が付いている。両端の値を示すと、1993年は8.6%(島根県)〜17.2%(東京都)、2013年は13.1%(青森県)〜22.3%(東京都)、となっている。

どの県でも収入は減り家賃は上がっているので、こういう結果になる。収入は減るが生活費は上がる。借家世帯に限ったデータだが、国民の生活にゆとりがなくなっていることがうかがえる。今年は『住宅・土地統計調査』の実施年だが、「家賃/年収」比が2割を超える県が多くなっているかもしれない(2013年では東京、京都、大阪のみ)。

これはあくまで全体平均で、分布をみると「家賃/年収」比が4割、5割を超える世帯もある。若年層では、こうした無理をしている世帯が多い。2013年の若年の借家世帯(世帯主が25歳未満)でみると、月平均家賃が4.6万円、平均年収が157.2万円なので、家賃年額が年収に占める割合は34.8%になる。地域別に見るともっと凄まじい値が出てくる。<表1>は、47都道府県を高い順に並べたランキングだ。
最高の京都府では、若年の借家世帯の「家賃/年収」比が50%を超えている。収入の半分以上を家賃で持っていかれることになる。その次が東京都の45.0%で、北陸の2県も4割を超える。京都府や東京都は単身の学生が多いためだろうが、勤め人であれば家賃を払うために働いているようなものだ。

住居費がここまで生活に重くのしかかると、実家を出て世帯を構えることは難しく、親元にパラサイトせざるを得ない。若者の自立を促し、未婚化・少子化に歯止めをかけるためにも、「住」への公的支援が必要だろう。

875とはずがたり:2018/09/02(日) 07:47:54
「冷房使用は福祉」 猛暑続く韓国、電気料金を値下げへ
https://www.asahi.com/articles/ASL874PSDL87UHBI00G.html
ソウル=武田肇2018年8月7日19時51分

 韓国で「暴炎」と呼ばれる猛暑が続いていることを受け、韓国政府は7日、7〜8月の住宅用電気料金を引き下げると発表した。国民が安心してエアコンを使えるための措置だとし、値下げで生じる見込みの減益分2761億ウォン(約273億円)は政府の予算や基金で補うことを検討する。

 今夏、ソウルで観測史上の最高気温を更新する39・6度に達するなど韓国でも記録的な猛暑が続く。熱中症による死者も42人まで増えていることから、文在寅(ムンジェイン)大統領はこの酷暑を「特別災難」と位置づけ、「冷房の使用は基本的な福祉」として引き下げを指示した。

 今回の措置で1世帯当たりの電…

876とはずがたり:2018/09/02(日) 09:57:27
乙武洋匡 作家
生活保護の受給者は、本当に「ラクをしている」のか?
https://www.huffingtonpost.jp/hirotada-ototake/welfare-japan_a_23312714/?utm_hp_ref=yahoo
2017年12月20日 19時25分 JST | 更新 2017年12月20日 19時25分 JST

生活保護の受給費削減について、思うところをつぶやいた。



かいつまんで言うと、生活保護は国民一人ひとりにとってのセーフティーネットであり、保険である。日本国憲法においても、私たち国民は「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることが保障されているのだから、そこはあまりケチるべきではないのでは、という意見だ。

これに対しては、「その通りだ」と賛意を示してくださる方もいれば、「今までがもらいすぎなのだから、下げられて当然」という意見もあった。実際に生活保護を受給している人々からの悲痛なリプライを読むにつけ、彼らが「もらいすぎ」だと断罪する気にはなれないが、しかし、批判をする人々の意見にも耳を傾けるべきものがある。

「あいつらは仕事もしないで、苦労もせずにカネをもらっている」

働けども、働けども、生活がラクにならない人々の心にこうしたネガティブな感情が芽生えることは、とても自然なことだと思う。その感情を真っ向から否定する気持ちに、私は、なれない。ただ、そうした感情を、そのまま生活保護叩きへと向けることには、「ちょっと待ってほしい」と思うのだ。

そもそも、生活保護受給者の人々は、本当に「ラクしている」のだろうか。私は、そうは思わない。もし、彼らの生活が本当に苦労のないものであるなら、生活保護叩きをしている人々もこぞって仕事を辞め、みずからが生活保護の申請をしているはずだ。だが、ほとんどの人はそれをしない。なぜか。それは、日本ではまだまだ生活保護を受給することがスティグマ(負の烙印)とされているからだ。

本来、生活保護の受給は、恥じるべきことではないように思う。ツイートでも書いたように、体を壊したり、精神を病んだりして仕事ができなくなる可能性など、誰にも等しくあるからだ。だから、そうした状況に陥ってしまった場合は、恥じることなく生活保護を申請できる社会にしていくべきだと思う。

だが、いまの日本では、そのスティグマを恐れて、多くの方が「ギリギリまで」頑張ってしまう。生活保護を受給することは一般社会からの「転落」と捉えられてしまい、それによって大いに自尊心を傷つけられてしまう可能性があるからだ。

だから、「生活保護の受給者はラクをしている」という考え方に、私は賛同できない。あらゆる出費を切り詰めて、切り詰めて、それでもどうにもならなくなった時に、仕方なく受給の申請をしている方がほとんどだろうと思うのだ。もちろん、一部にはそうした努力さえすることなく、安易に生活保護に頼っている方もいるだろう。しかし、だからと言って、受給者全体を指して、「あいつらはラクしている」と批判するには無理があるように思う。

もう一つ、散見された批判のなかには、「あいつらも頑張れば働けるくせに」というものがあった。これも気持ちはわからないではないが、ある意味、危険な考え方だと感じた。それは、相手が自分と同じ健康状況、精神状況であることを前提としているからだ。だが、「あなた」と「彼ら」は違う。健康状況も、精神状態も、さらには能力も。

立場を変えてみよう。必死に働けども、経済的に苦しい思いをしている人に、高所得者が「もっと給料の高い仕事に就けばいいのに。努力が足りないんじゃない?」という言葉をかけたとしたら、はたして前者の人々はどう思うだろうか。おそらく、怒り心頭。「それができたら苦労しねえよ」とでも吐き捨てたくなるだろう。

勤勉なことで知られる日本国民。ほとんどの人が、与えられた環境のなかで最大限に努力している。その時点での健康状態、精神状態、能力などを踏まえた上で、できるかぎりの努力をしている。しかし、所与の状況が異なるのだから、努力の結果が異なってくるのも当然だ。だから、高所得の人、そうでない人、働くことができない人が出てきて当然だと思うのだ。

さて、ここまでつらつらと長文を書き連ねてきたが、結局は"感情"の問題なのだろうとも思う。「おまえの言っていることは理解できなくもないが、それでも生活保護を受けているやつらが、どうしてもムカつくんだよ」という方もいらっしゃるだろうと思う。もう、それは仕方がないですよね。感情ですもん。理性とは別のところの。

でもね、最後にこれだけ。生活保護叩きをして、彼らの受給額を下げさせることに成功しても、結局は誰も得しないんですよね。一円の得にもならない。だったら、「生活保護ふざけんな」と叫ぶのではなく、「最低賃金を上げろ」と主張するほうがよっぽど建設的だし、私たちの利益につながると思うんですよね。

以上、無職のオッサンによる戯言でした。

877とはずがたり:2018/09/07(金) 10:19:06


生活保護の母子加算削減をやめて、ひとり親家庭にやさしい社会にしよう
https://news.yahoo.co.jp/byline/ohnishiren/20171220-00079495/
大西連 | 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長
2017/12/20(水) 8:00

生活保護の母子加算削減をやめて、ひとり親家庭にやさしい社会にしよう
現在、生活保護基準の引き下げの議論が進んでいます。

報道等によれば、12月18日に政府内での大枠の議論がまとまり、生活保護に関しては総額で160億円の削減方針が示されました。

生活保護費:年1.8%削減へ 18年10月から3年かけ - 毎日新聞

東京新聞:生活扶助、3年で160億円削減へ 政府決定 母子加算も減額:核心(TOKYO Web)

まだ、詳細な資料は公開されていないのですが、報道によれば以下の点が大きな変更です。

・生活扶助分(生活保護の生活費分)は180億円削減(平均1.8%減)

・母子加算は20億円削減(平均19%減)

・児童養育加算については3歳未満は15000円から10000円に減額。一方で、15歳から18歳までにも適用範囲を拡大(40億円の増額)

・削減幅は最大5%にとどめ2018年10月から3年かけて段階的に新基準を適用。

削減というのはつらい話です。削減幅が数百円の人から1万円以上になる人もいますが、当事者からすれば、みな一様に生活水準を下げることを強いられます。

生活保護基準の引き下げの全体の話は下記の記事で書きましたので、今日は母子加算の話をしたいと思います。

なぜなら、今回、最も削減されてしまうのが「母子世帯」だからです。

そして、この「母子世帯」こそが、もしかしたら日本で最も生活が苦しく、かつ、支援が届いていない人たちです。

そこを支援するのでなく削減するというのはやっぱりおかしい。そのことを解説したいと思います。

全体の話はこちら。生活保護基準の引き下げはやめてほしい(大西連) - Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/ohnishiren/20171215-00079311/



878とはずがたり:2018/09/10(月) 09:18:20
バブル崩壊直後は未だ給料が高かったんだなあ。。デフレで実質所得が下がってるとはいえ名目値でこんなに下がってる。
名目でやるとどうなるんだ?
40代前半は引用は省略したけど舞田さんも指摘してるけどロスジェネ世代。
人手不足とか云ってるけど単純労働層が人手不足で安定した仕事は人手不足になってないのが不十分だな。ちゃんと働き過ぎを改善して行かないと。まあ一部のエリートが猛烈に働くのはアメリカやフランスでもそうだけど日本はエリートじゃ無くても猛烈に働かされる。

2018年7月14日土曜日
40代前半男性の所得中央値
http://tmaita77.blogspot.com/2018/07/40.html

 2017年の『就業構造基本調査』の結果が公表されました。昨日の14:30でしたが,私は10分ほど前からパソコンの前にへばりついて,今か今かと待っていました。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html

 このブログでは幾多の官庁統計を分析していますが,『就業構造基本調査』は最も活用しているものの一つです。この調査の目玉は有業者の所得を調査していることで,所得をキーにしたクロス集計表も多数アップされています。性別・年齢層別の所得分布,所得階層別の未婚率など,いろいろなことを明らかにできます。

 本調査でいう所得とは,「賃金,給料,手間賃,諸手当,ボーナスなど過去1年間に得た税込みの給与総額」をいいます(用語解説)。税引き後の年収とは区別される概念です。

 私は,2017年のデータが公表されたら,今の自分の世代の所得がどうなっているかをまず明らかにしたいと考えていました。私の世代は,2017年では40代前半になっています。原資料の度数分布表に当たって,40代前半男性の所得分布を整理してみました。今の特徴を浮き彫りにすべく,過去との比較もします。そうですねえ。バブル末期の1992年と比べましょうか。

 所得が分かる40代前半男性有業者は,1992年では521万人,2017年では439万人ほどです。この人たちの年間所得分布を整理すると,以下のようになります。カテゴリーがちょっと粗いですが,1992年の原統計の区分に依拠しています。

 バリバリの働き盛りの男性ですが,この四半世紀で所得分布に変化が見られます。500万超の層が減り,代わって低所得層が増えています。所得200万未満には灰色をつけましたが,この層の割合は,1992年では4.8%でしたが,2017年では7.9%となっています。ワーキング・プアが微増しています。

 この分布から,フツーのアラフォー男性の所得がナンボかを,一つの代表値で可視化しましょう。高い順に並べた時,ちょうど真ん中にくる人の所得がいくらかという,中央値がベストです。右端の累積相対度数から,1992年は500〜600万円台,2017年は400万円台の階層に含まれることが分かります。

 按分比例を用いて,累積相対度数が50ジャストの値を推し量りましょう。

1992年:
 按分比=(50.0-46.3)/(77.0-46.3)=0.120
 中央値=500万円+(200万円×0.120)=524.1万円

2017年:
 按分比=(50.0-37.4)/(55.0-37.4)=0.717
 中央値=400万円+(100万円×0.717)=471.7万円

 はじき出された所得中央値は,1992年が524万円,2017年が472万円です。この四半世紀で,40代前半男性の所得中央値は50万円以上減ったことが知られます。蛇足ですが,私の所得は2017年のメディアンに遠く及びませんね。



投稿者 舞田敏彦 時刻: 14:58

879とはずがたり:2018/09/10(月) 09:21:30
貧困もまあ重要な問題だけど奈良・和歌山が沖縄と並んで下位3位を占めてる!?なんでだろ・・。

大竹先生が橘木先生を論破したのは格差拡大に見えるけど本当は人生の結果が出て格差が大きい老人世代が増えたからだって論理だったけど40代だけで見ても格差は拡大している様だ。

今回の結果だと,アラフォーの所得中央値を見ると和歌山は中〜下位で奈良は中〜上位なので奈良はその辺が違うのかも。

2018年9月8日土曜日
40代前半男性の相対的所得ギャップ
http://tmaita77.blogspot.com/2018/09/40.html

… 7月14日の記事>>878では,40代前半男性の所得が,90年代初頭に比してどう変わったのかを明らかにしました。所得分布から出した中央値は,1992年では524万円だったのが,2017年では472万円です。この四半世紀で50万円以上の減少。「失われた25年」にかけて,アラフォー男性の所得は大きく失われました。

 あまりに衝撃的な事実のためか,当該記事では本ブログで最も読まれています。今の40代前半といったら,世紀の変わり目に大学を出たロスジェネですが,この世代の関心をひいたのでしょう。76年生まれの私も,この世代に属します。

 今回は,両年の所得分布表を加工して,別の事実を浮き彫りにしようと思います。アラフォー年代内部での所得格差がどう変わったかです。所得が減っていることに加え,同世代内部での格差も広がっているのではないか。こういう仮説です。

 格差の指標といえばジニ係数で,これまで何度も計算したことがあります。ちょっとややこしい指標ですが,これよりもシンプルな尺度もあることを知りました。相対的所得ギャップというものです。
https://resemom.jp/article/2016/04/14/30905.html

 所得の下位10%値が中央値に占める割合です。下から10番目の人(プア)の稼ぎが,ちょうど真ん中の人(普通)の何%に当たるかです。

 両方とも,所得の度数分布表から割り出せます。2017年の40代前半男性の所得分布表から出してみましょう。出所は,同年の『就業構造基本調査』です。

 所得が分かる439万人の分布です。左端は人数,真ん中は全体を100とした相対度数,右端はそれを積み上げた累積相対度数です。

 累積相対度数から,下位10%値が200万円台前半,中央値は400万円台の階級に含まれることが分かります。按分比例を使って,それを推し量りましょう。もう慣れっこですよね。

下位10%値:
 按分比=(10.0-7.9)/(14.4-7.9)=0.3243
 下位10%値=200万円+(50万円×0.3243)=216.2万円

中央値:
 按分比=(50.0-37.4)/(55.0-37.4)=0.7169
 中央値=400万円+(100万円×0.7169)=471.7万円

 下位10%値は216.2万円,中央値は471.7万円と出ました。よって,上記の意味の相対的所得ギャップは,前者を後者で割って45.8%と算出されます。アラフォー男性でみると,プアの稼ぎは普通の人の半分弱というところです。

 1992年の所得分布では,下位10%値は253.4万円,中央値は524.1万円なので,所得ギャップは48.3%となります。プアが普通に占める割合は,この四半世紀でちょっと下がってますね。すなわち,所得格差が拡大している,ということです。

 これは全国値ですが,地域別の数値も出せます。47都道府県別にみると,相対的所得ギャップ値には幅があります。下の表は,高い順に並べたランキングです。

この四半世紀にかけて全国的に,プアの所得が普通に占める割合が下がっています。アラフォー男子の所得格差が開いている,ということです。

 1992年では31の県で50%(半分)を超えてましたが,2017年ではそういう県は10県しかありません。3分の1に減っています。逆に,プアの所得が普通の4割にも満たない県が出てきています(沖縄,奈良,和歌山)。奈良は,陥落が大きくなっています(51.3%→37.1%)。

 1992年では,分布の幅は「60.4%〜42.8%」でしたが,2017年では「55.4%〜36.6%」とやや広がっています。格差の大きい県と,そうでない県の分化が進んでいます。



880とはずがたり:2018/09/10(月) 09:29:26
色々統計的な扱いがヌルいので叩かれてる舞田さん。
それにしても非常勤講師の委嘱が終わってしまったせいなのかもしれないけど「元」教育学者は酷いだろ。
今も頑張っていらっしゃる。

因果関係を恣意的に取り上げてグラフで可視的に思わせるのは嫌う人は嫌うよねえ。。その辺の厳密さを棄ててマスコミ・言論に生きてくのか?

頑張ってるんで応援してあげたい。いくつか本買ってみるかねえ・・。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%9E%E7%94%B0%E6%95%8F%E5%BD%A6
舞田敏彦

舞田 敏彦(まいた としひこ、1976年 - )は、元・教育学者(博士(教育学))[1]。2015年まで半期1コマのみ武蔵野大学非常勤講師[1]を勤めていた。

略歴
1976年生まれ。鹿児島大学大学院修士課程を経て、東京学芸大学連合大学院博士後期課程に進学。陣内靖彦に師事。2005年に『高等教育就学機会の地域間格差に関する実証的研究』にて博士(教育学)。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A7%E8%AA%AD%E3%82%80-%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E8%AB%96%E7%82%B9-%E7%8A%80%E3%81%AE%E6%95%99%E5%AE%A4-%E8%88%9E%E7%94%B0%E6%95%8F%E5%BD%A6/dp/4794970323/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1536538921&sr=8-1&keywords=%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A7%E8%AA%AD%E3%82%80+%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E8%AB%96%E7%82%B9
データで読む 教育の論点 (犀の教室) 単行本(ソフトカバー) ? 2017/8/3
舞田敏彦 (著)

『教職教養らくらくマスター』&『教職教養よく出る過去問224』のご案内
http://tmaita77.blogspot.com/p/blog-page_28.html

881とはずがたり:2018/09/10(月) 09:42:59
ちゃんと相関があることと自分の予想を峻別して判ってるけど時間ないし統計的にちゃんとあるのは大変だし論説レベルだしえいやと行くよってスタンスでやれば叩かれないのかもしれないけどそれだと歯切れ悪いし信者が付いてこないか。。

よっき含めて頑張る不安定な40代を熱烈に応援するぞっ。

舞田氏のツイートも良く流れてくるけど(直接フォローはしてなかったような),フォローしてる馬氏も京大の社会学?の院卒みたいだ。しらんかったが奥さんもツイッターしててこの前公開夫婦げんかしてて知ったw
結婚して6年とか云ってたし40代にはなってなさそう(もっと若そう)だけど文系院卒非正規雇用組は基本応援したい。
そんな一人と思ってた『高学歴ワーキングプア』の水月昭道氏だけどなんと家業が筑紫女学園で今はその経営陣に収まってるようだ。なんだボンやんけ,とちょっとがっかり。まあ問題提起なんかは評価してるし学校法人評議員なんかに収まらずに活躍して欲しいところ。
筑紫女学園に高学歴OD沢山採るとかしたってくれ。

エクセル統計学者・舞田敏彦の光と影 - Togetter
https://togetter.com/li/1103576

舞田さんのミニ記述統計は面白いんだけど、何で折れ線グラフにするのかね。普通、棒グラフだと思うんだが. 山本一郎(やまもといちろう@告知用) @kirik 2017-07-29 14:29:06. また舞田敏彦さんか。交絡因子ばっかで相関語るのいい加減やめてくれねえかな.
舞田敏彦 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

【舞田敏彦】舞田敏彦のデマに気がついた500人の人たち - Togetter
https://togetter.com/li/1187992

まとめました。舞田敏彦のデマに気づいて、そのことをツイートした人だけで、500人ぐらいいます。実際に気づいてツイートしていない人も加えれば、数千人が舞田敏彦のデマに気づいていることでしょう。ブロッ..

水月昭道
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9C%88%E6%98%AD%E9%81%93

水月 昭道(みづき しょうどう、1967年 - )は、日本の環境心理学者・評論家・浄土真宗の僧侶、筑紫女学園評議員。福岡県生まれ。

882とはずがたり:2018/09/10(月) 14:29:36
https://twitter.com/OECDTokyo/status/1037811490789699585
OECD東京センター
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@OECDTokyo
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その他
各国平均に対する可処分所得の比率にみる地域差を比較したところ、メキシコの連邦直轄地とトルコのアンカラの平均所得は、それぞれチアパス、東アナトリアと比較して3.3倍高くなっています。「世界の地域格差2016」は医療、雇用など多様な分野を地域差の視点で分析しています??https://bit.ly/2Ch5rHj

14:15 - 2018年9月6日

883とはずがたり:2018/09/10(月) 14:30:43
https://twitter.com/OECDTokyo/status/1037454108410699776
@OECDTokyo
フォローする @OECDTokyoをフォローします
その他
【高齢者の貧困????】相対的貧困にある高齢者の割合を比較したところ、韓国(46%)、ラトビア(27%)、オーストラリア(26%)で高いことがわかりました。日本は19%、OECD平均は13%でした。また、調査国すべてで相対的貧困にある女性の割合は男性を上回っています??https://bit.ly/1NnijEq

14:35 - 2018年9月5日

884とはずがたり:2018/09/12(水) 18:01:02

二つの戸籍で不正受給…「いい生活したかった」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180911-OYT1T50018.html
2018年09月12日 17時39分

 不正に取得した戸籍名と、出生時の戸籍名を使い分け、生活保護費を不正に受給したとして、東京都町田市が市内在住の80歳代の男性を詐欺の疑いで、町田署に刑事告訴していたことがわかった。被害は計約1014万円に上る。市は生活保護費の返還を請求し、男性は分割での返済を始めているという。

 市生活援護課によると、男性は2009年9月から16年8月まで、約60年前に取得した戸籍の名義で年金を受け取る一方で、出生時の戸籍の名義を使い、市から生活保護を受けていた。年金の受給額は生活保護の対象基準を超えており、男性は本来、生活保護を受ける資格はなかったという。

 16年9月、男性が交通事故で市内の病院に入院した際、2種類の名前を使っていたことが判明。市は今年7月5日付で刑事告訴した。

 男性は一人暮らし。市によると、都外の裁判所に約60年前、出生時の戸籍が存在しないとする虚偽の申し立てを行い、新たな戸籍の取得を認められたという趣旨の説明をしている。市の調査に不正受給を認め、「少しでもいい生活をしたかった」と話したという。

2018年09月12日 17時39分 Copyright c The Yomiuri Shimbun

885とはずがたり:2018/09/12(水) 18:18:25

二つの戸籍で不正受給…「いい生活したかった」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180911-OYT1T50018.html
2018年09月12日 17時39分

 不正に取得した戸籍名と、出生時の戸籍名を使い分け、生活保護費を不正に受給したとして、東京都町田市が市内在住の80歳代の男性を詐欺の疑いで、町田署に刑事告訴していたことがわかった。被害は計約1014万円に上る。市は生活保護費の返還を請求し、男性は分割での返済を始めているという。

 市生活援護課によると、男性は2009年9月から16年8月まで、約60年前に取得した戸籍の名義で年金を受け取る一方で、出生時の戸籍の名義を使い、市から生活保護を受けていた。年金の受給額は生活保護の対象基準を超えており、男性は本来、生活保護を受ける資格はなかったという。

 16年9月、男性が交通事故で市内の病院に入院した際、2種類の名前を使っていたことが判明。市は今年7月5日付で刑事告訴した。

 男性は一人暮らし。市によると、都外の裁判所に約60年前、出生時の戸籍が存在しないとする虚偽の申し立てを行い、新たな戸籍の取得を認められたという趣旨の説明をしている。市の調査に不正受給を認め、「少しでもいい生活をしたかった」と話したという。

2018年09月12日 17時39分 Copyright c The Yomiuri Shimbun

886とはずがたり:2018/09/25(火) 09:37:49
厚労省
生活保護世帯子ども部活動 領収書なし精算可能に
毎日新聞2018年9月4日 18時27分(最終更新 9月4日 18時42分)
https://mainichi.jp/articles/20180905/k00/00m/040/048000c

 10月から生活保護世帯の子どもの部活動にかかる費用が定額支給から実費精算に変わるのに伴い、厚生労働省は4日、領収書がなくても精算は可能との見解を自治体向けの説明会で明らかにした。学校からの配布資料などで金額を確認できればOKという。「学校側から領収書をもらわねばならなくなると、子どもがみじめな思いをする」と与党内でも懸念の声が上がっていた。

 給付は小中高校生のいる世帯が対象で、部活動で使う用具や楽器の購入費、合宿費、部費などに使える。これまでは毎月定額の受給だったが、申請で上限額(高校生なら年間8万3000円)まで精算する制度に変更する。

 厚労省によると、申請には学校から配布されるチラシなど金額の分かる資料か領収書が必要。ただし、例えば遠征などの際に集団行動の中で一人だけ領収書をもらうのは難しく、交通費は経路を申請書に記載すれば認めるとした。部費についても、子どもが教員に領収書を求めるのは心理的な負担になるため、領収書は不要とする。【熊谷豪】

887とはずがたり:2018/10/01(月) 14:02:17
>今回は2018〜20年の毎年10月、3回に分けて見直す。
三回に分けて下がるって事らしい

生活保護、67%世帯で減額
10月から、食費や光熱費
https://this.kiji.is/417582440517813345
2018/9/26 16:23
c一般社団法人共同通信社

 生活保護のうち、食費や光熱費といった生活費に当たる「生活扶助」の支給額が10月から変わる。受給世帯のうち26%が増額となる一方、67%で減る。都市部の単身高齢者世帯や子どものいる世帯への影響が大きい。

 厚生労働省は5年に1度、一般の低所得層の消費支出額と比較し生活扶助を見直している。今回は2018〜20年の毎年10月、3回に分けて見直す。現在の支給額と比べ今年10月に最大1.7%、20年に最大5%の減額となるケースがある。

 65歳以上の単身世帯の76%、子どものいる世帯の43%で引き下げられる。受給者からは「さらに生活が苦しくなる」との声が相次いでいる。

888とはずがたり:2018/10/21(日) 17:52:46
>金にならない車も「資産」と言い張る厚労省の理不尽。

https://twitter.com/tetsurokokubo/status/1053610378620354560
小久保 哲郎
@tetsurokokubo

日本の特に地方には生活保護以下の収入で歯を食いしばっている母子世帯がいっぱいいる。それは生活保護を受けるとどんなポンコツ車でも処分しろと言われるから。金にならない車も「資産」と言い張る厚労省の理不尽。詳しくは→これがホントの生活保護改革 https://www.amazon.co.jp/dp/4750347167/ref=cm_sw_r_tw_awdo_c_x_neXYBbR5YANKW … @amazonJPさんから

4:34 - 2018年10月20日

https://twitter.com/shin2_ota/status/1053621719817060352
太田 伸二
?@shin2_ota

東北の方が生活保護の申請を躊躇する大きな理由の一つが自動車です。
鉄道は本数が少なく、バスは路線が減っています。子供や高齢者が居る世帯では必要性が高いです。
自動車か生活保護かを迫られている世帯が数多くあり、捕捉率を下げています。

889とはずがたり:2018/10/21(日) 19:29:02
https://twitter.com/tetsurokokubo/status/1053275587207282689
小久保 哲郎
@tetsurokokubo

日本は保護費1ヶ月分以上の預貯金があると生活保護は受けられない。でも仏、スウェーデンは預貯金を問わない。英国は約250万円、韓国は500万円以上(都市部)持っててもOK。破産しても99万円はOKなんだから、せめて保護費3ヶ月分位認めるべき。詳しくは→https://www.amazon.co.jp/dp/4750347167/ref=cm_sw_r_tw_awdo_c_x_rHDYBbYR5723G … @amazonJPさんから

6:24 - 2018年10月19日

890とはずがたり:2018/10/30(火) 21:16:13
生活保護、67%の世帯で減額 10月から「生活扶助」の支給額が変更
http://news.livedoor.com/article/detail/15360095/
2018年9月26日 16時23分 ライブドアニュース速報

生活保護のうち、食費や光熱費といった生活費に当たる「生活扶助」の支給額が10月から変更される。受給世帯のうち26%が増額となる一方、67%で減額。都市部の単身高齢者世帯や子どもがいる世帯への影響が大きいとされている。共同通信が報じた。

65歳以上の単身世帯の76%、子どもがいる世帯の43%で引き下げられる。受給者からは「さらに生活が苦しくなる」との声も出ている。

891とはずがたり:2018/11/06(火) 22:17:49
家賃が払えない場合に家賃を給付してもらう方法!〜住宅支援給付制度のすすめ〜
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20141225-00041793/
藤田孝典 | NPOほっとプラス代表理事 聖学院大学人間福祉学部客員准教授
2014/12/25(木) 12:33

892とはずがたり:2018/11/09(金) 08:59:27
2018年11月03日 12時00分 サイエンス
遺伝子研究で「才能ありで生まれるよりも金持ちに生まれる方がいい結果を生む」という結果が発表される
https://gigazine.net/news/20181103-born-rich-or-gifted/

893チバQ:2018/12/04(火) 17:26:32
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181202-01527252-sspa-soci
年収300万円未満の“ほぼ貧困”層におちいる3つの要因
12/2(日) 9:00配信 週刊SPA!
年収300万円未満の“ほぼ貧困”層におちいる3つの要因
(日刊SPA!)
 15%を超える貧困率(等価可処分所得が中央値の半分を下回る相対的貧困者の割合)が社会問題となっている日本だが、その予備軍の増加も深刻化している。

◆“ほぼ貧困”に陥ってしまう家族の共通点とは?

「すでにギリギリの生活を強いられ、少しのトラブルがあれば、一気に深刻な貧困状態に陥る。そんな瀬戸際にいる家庭は確かに増え続けています」

 世帯年収300万円未満の“ほぼ貧困”層の増加について、そう指摘するのは、社会福祉士の藤田孝典氏。その背景として「雇用の劣化」を藤田氏はまず挙げる。

「昨今、求人自体は正社員も含めて数多くありますが、あまりにも質が悪い。終身雇用を前提とした、いわゆる日本型雇用とは性質の異なる“名ばかり正社員”が大半。昇給も昇進もなければ、身につくスキルもない。会社側には長期にわたって雇い続ける気もありません」

 そうして20代のうちにまともな職を得られなかった人はその後、よくて現状維持。多くはより劣悪な就労環境を余儀なくされる。

「いまや共働きでなければ、まず家庭を支えられない社会環境にもかかわらず、いまだに30〜40代男性が『家族を一人で支えて一人前』といった旧態依然とした価値観にさらされる機会があります。そういったプレッシャーが家庭不和の原因となり、深刻な場合は家庭内暴力へと繫がってしまいます」

 さらに家族とのコミュニケーション不足もまた貧困を加速させる。

「本来は収入が十分でない人ほど周囲とコミュニケーションをとり、支え合う必要がある。にもかかわらず、知人はおろか家族とのコミュニケーションをとらず、残念ながら家計の計画的な運用がままならないケースもあります」

 さらに貧困化へのもう一つの引き金が予期せぬ病気だ。

「自分や家族がいつ働けなくなるかは誰にもわかりません。日々のストレスが多いのならなおのことです。介護のために離職を強いられることもあります。そうして収入を失うと、貧困化が一気に悪化することも」

 そして、何より恐ろしいのがこれらの要因が2つ以上合わさり、事態をより深刻化させ、困窮から抜け出せなくなることである。

「どこかの歯車が狂いだすと、ほかの問題も連鎖することは珍しくありません。貧困の芽は早めに取り除く必要があります」

 すでに一つでも身に覚えがあれば、“ほぼ貧困”は他人事ではない。

《貧困に至る3要因》

1.20代の就活失敗

2.自分or家族の病気

3.家庭内のコミュニケーション不足

 “ほぼ貧困”に陥ってしまうケースとして「20代での就活失敗」「家庭内のコミュニケーションの欠如」「自身or家族の病気」が数多く見受けられた。要因が複数になってしまうと貧困化に拍車がかかる傾向にある。

【藤田孝典氏】

社会福祉士。NPO法人ほっとプラス代表理事。貧困、ブラック企業問題に取り組む。著書に『続・下流老人 一億総疲弊社会の到来』などがある

― 年収300万円家族の苦悩 ―

894チバQ:2018/12/04(火) 17:27:28
https://nikkan-spa.jp/1517662
2018年10月16日
新卒での就活失敗を今なお引きずる40代非正規雇用者「年収240万…娘の進学希望も叶えられない」
 15%を超える貧困率(等価可処分所得が中央値の半分を下回る相対的貧困者の割合)が社会問題となっている日本だが、その予備軍の増加も深刻化している。“ほぼ貧困”状態にある[年収300万円家族]のリアルに迫った――

新卒就活失敗を今なお引きずる40代非正規雇用者
…遠山浩二さん(仮名・44歳)/世帯年収260万/家族構成:妻+子供(16歳)

 総務省の労働力調査によると、今年8月の時点で正社員として働く機会のない非正規雇用者は35〜44歳で約365万人。現在、埼玉県で非常勤の塾講師とアルバイトの家庭教師をかけ持ちする遠山浩二さん(仮名・44歳)もそんな非正規雇用者のひとりだ。

「今、満足に妻と娘を養うことができていないのは、関西大学時代、就職氷河期の影響で就活に失敗したのがすべての始まり。内定は1社ももらえず、卒業後にようやく見つかったのは、学習塾の非常勤講師でした」

 2年後には正社員として登用されたが、毎年のように生徒集めのノルマを課せられ、「講師なのに営業活動に割く時間のほうが多かった」と当時を振り返る。

年収300万円家族の苦悩
関西の人気私大に進むも’90年代後半の就職氷河期の影響で就活は全滅。教員免許を持っていたため、卒業後は特に興味のなかった塾講師の仕事を始めてはや22年。現在は埼玉県の県営住宅(3DK、家賃4万9000円)に住む

「志望校合格率や難関校への合格者数のノルマもありましたが、同じ地域には大手の学習塾や個別塾が次々と進出し、規模の小さなウチはジリ貧。ノルマは達成できないことのほうが多く、毎週本部に呼び出されてはダメ出しされるし、あまりのストレスで円形脱毛症ができるほどでした」

 当時は毎日、朝から深夜まで働いても年収はピーク時で400万円弱。次第に体の不調を訴えるようになり、逃げ出すように35歳でほかの学習塾チェーンに転職。だが、そこも似たり寄ったりのブラック職場だった。

「しかも、40歳のときに経営難を理由に複数の教室が閉鎖となり、リストラされてしまったんです。年齢的に正社員として採用してくれる塾はなく、非常勤講師の職を確保するのがやっと。家庭教師のアルバイトも始めたが、年収は240万円までダウンしました」

 スーパーでパートとして働く妻の収入を合わせても現在の年間収入は約260万円。

「その妻の勤務先がセルフレジを導入することになり、パートの削減を予定しているらしいんです。クビを想定して新しいパート先を探しているようですが、そこに頼らなければ生活できないのがツラい。夫として情けないばかりです」

 マイホームはとっくに諦め、ずっと団地住まい。遠山さんには高校生の一人娘がいるが、「このままでは娘が本当に志望する大学には行かせられない」と嘆く。

「娘は生徒会役員で学年でも成績上位の優等生ですが、『奨学金で看護学校に行くから』と言ってくれています。でも、本当は学校の先生になりたがっていたのを知っているんです。娘のそんなささやかな願いすら後押しできないのは親として失格ですよね。家計が苦しいのはお互いに知っているので、妻とも娘ともどこか遠慮がちで、家族なのによそよそしい会話をしてしまうのも辛いです」

年収300万円家族の苦悩
リクナビで条件を入力して調べたところ、塾講師で検索結果に引っかかったのは1社。これも異業種転職を考える理由になったという

 今さら営業やガテン系の肉体労働が務まる自信はなく、塾や家庭教師も若い人材が好まれる業界ゆえにこのまま続けるのも難しい。

「消去法で残ったのはタクシーの運転手くらい。でも、努力次第で稼げるとも聞きますが、実際はかなり不安定そうだし、そもそもペーパードライバーの自分に務まるかどうかも不安で……」

 しかし、転職しなければさらなる収入減は必至。もはや迷っている時間はない。

<遠山さんの苦悩>
今の仕事を続けるのも地獄、別の業種に転職するも地獄

【1か月の収支】
月収 19万5000円
家賃 4万9000円
食費 4万5000円
外食費 1万5000円
水道光熱費 1万円
通信費 1万5000円
その他雑費 2万5000円
ローン・借金 2万円
こづかい 4万円
収支 -2万4000円
(※こづかいは夫婦と娘の3人分)

<取材・文/週刊SPA!取材班>
― 年収300万円家族の苦悩 ―

895チバQ:2018/12/19(水) 11:42:11
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181219-00254453-toyo-soci
「ないない尽くし」非正規公務員の悲惨な実情
12/19(水) 5:30配信 東洋経済オンライン
「ないない尽くし」非正規公務員の悲惨な実情
東京都のある自治体で非正規公務員として働き、2年前に雇い止めに遭ったというリョウさん(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「私も非正規公務員として、司書の隣接資格である社会教育主事の資格で自治体の社会教育施設で働いてきましたが、パワハラなどでうつ病になり、次年度の雇用更新申し込みを拒否されました。これからどうすればいいのでしょうか」と編集部にメールをくれた、34歳の独身男性だ。

■「正規」と「非正規」を隔てる、大きな格差

 東京都内のある自治体――。正規公務員には、90日間の病気休暇に加え、3年間の休職が認められている。この間の収入は、傷病手当金などで8〜10割が補償される。

 これに対し、非正規公務員にあるのは、30日間の病気休暇だけ。収入は6割にダウン。休職制度はない。復職に向けた産業医のカウンセリングも、非正規公務員は受けられない。

 「正規」と「非正規」を隔てる、大きな格差。この自治体で、1年ごとに任用更新される社会教育指導員として働いていたリョウさん(34歳、仮名)が、こうした格差を知ったのは職場のパワハラなどが原因で、うつ病を発症したときだった。

 病気休暇を使い切った後は、欠勤扱い。一時は、少しずつ出勤できるようになるまで回復したが、結局、その次の更新時、雇い止めにされた。2年前の出来事である。

 リョウさんは「上司から指示された仕事を全力で誠実にやってきたのに、体調を崩したからといって、はい、おしまい、と言われるのは納得できませんでした」と言う。

 総務省によると、リョウさんのような地方自治体の非正規職員は、2005年の約45万6000人から、2016年には約64万3000人に増えた。10年余りで、4割も増加したことになる。また、この統計は、対象を「任用期間6カ月以上」に限定しているため、同6カ月未満の非正規職員も含めると、その実数は70万人を超えるとされる。

 いずれにしても、行政の現場はいまや、「5人に1人が非正規」。規模の小さい町村などでは、「3人に1人が非正規」「半数が非正規」というところもある。

 非正規職員が増えた背景には、自治体の財政難がある。2007年には、地方自治体財政健全化法が制定。都道府県や市町村などは、目に見える「成果」を求められるようになり、正規職員を、“安価”な非正規職員へと置き換えるようになった。

 自治労(全日本自治団体労働組合)の実態調査によると、非正規職員の7割が年収200万円以下のワーキングプアだという。ボーナスなどがある正規職員の3分の1以下である。低賃金で、いつ雇い止めに遭うかわからない「官製ワーキングプア」を、自治体自らが増やし続けているのだ。

896チバQ:2018/12/19(水) 11:42:35
■毎月の勤務日数は16日間で、月収は約20万円

 話をリョウさんに戻す。リョウさんは私大の大学院を修了。自治体で社会教育や生涯学習に関わる仕事に就きたいという希望はあったが、このころすでに、社会教育指導員の採用はほとんどが非正規だった。一方、当時はリーマンショックの直後で、周囲の友人たちは内定が取れずに苦戦していた。

 就職活動に、いたずらに時間と気力を奪われるよりは、非正規雇用でも、やりたい仕事に挑戦してみようと決意。雇い止めにされた自治体とは別の自治体の採用試験を受け、社会教育指導員として働き始めた。

 毎月の勤務日数は16日間で、月収は約20万円。フルタイムで働いても、ワーキングプアという典型的な非正規公務員と比べれば、年収はかろうじて200万円を超えた。仕事の面でも、高齢者や若者向け講座の企画、運営に携わるなど、着実にキャリアを重ねることができたという。

 数年後、社会教育行政に力を入れているという評判を耳にしていた、別の自治体に転職。リョウさんは「ステップアップのつもりでした」と話す。

 ところが、勤続3年を過ぎたころ、ある新規事業の立ち上げを任されることになり、業務が急増した。通常の仕事に加え、新規事業に必要な備品や消耗品のリストアップや、民間事業者との打ち合わせ、職員向けマニュアルの作成など、果ては議会に提出するための資料作りまで命じられた。

 転職先の自治体でも、リョウさんの勤務日数は、要綱で「16日以内」と規定されていた。連日で出勤できるとは限らず、正規公務員のように、その日に終わらなかった仕事を翌朝に片づけるといった、やり繰りができない。このため、いったん出勤すると、長時間勤務にならざるをえなかったし、休日のたびに持ち出しても支障がない資料を持ち帰っては、仕事を続けた。帰宅する電車の中でもパソコンを開き、作業に追われたこともあったという。

 後になって、こうした残業時間を計算したところ、1カ月で60時間を超えた月もあった。しかし、残業代などの手当は一切、支払われなかったという。

 「仕事の内容は、非正規の職務や責任の範囲を超えていました。仕事の量も、16日勤務でこなせる限界を超えていました。社会教育指導員には、昼過ぎから夜間までの遅番勤務があるのですが、休み明けの昼過ぎに出勤すると、夕方までに資料を作成しろという命令が下りてきているんです。到底無理。事業のスタートが近づくにつれ、期限に余裕のない、思いつきのような指示がポンポンとふってくるようになりました」

897チバQ:2018/12/19(水) 11:43:26
 次第に寝つきが悪くなり、酒量が増え、ついに限界がきた。

 またしても急な命令で開かれることになった会議で、資料作成や会場準備が間に合わなかったのだ。結局、会議のスタートが遅れるなどの支障が出た。さらに、後日、開かれた研修会の席で上司から「準備不足」「時間の無駄」などと叱責されたという。

 そしてある朝、布団から起き上がることができなくなった。初めての無断欠勤――。病院でうつと診断された。

 リョウさんの場合、残業が月60時間とはいえ、もともとの勤務日数が少ないので、過度の長時間労働があったとまでは言えない。ただ、残業代の未払いは法令違反だし、16日勤務ではこなせない量の仕事を押し付け、叱責するのは、典型的なパワハラのひとつ「過大な要求」に当たる。

 リョウさんは「限られた条件の下で、懸命に期待に応えてきたつもりです。(叱責した上司は)非正規の働かせ方も知らないんですよ。プライドが傷つきました」という。体というより、心が壊れた、ということなのだろう。

■「1カ月の勤務日数は16日以内」の違和感

 病気休暇に入ると、正規公務員の同僚の中には、リョウさんを心配してくれる人もいた。しかし、いったん雇い止めが決まった後は、それ以上抗議の声を上げてくれることはなかったという。

 要するに、メンタル不調に陥った場合、非正規公務員は事実上、即クビということだ。正規公務員なら、ブランクを重ねながらも、働き続けている人は少なくない。職場環境によるとはいえ、復帰を目指せる職場があるか、ないかとでは天と地ほどの差がある。

 話は少しずれるが、私が官製ワーキングプアの現場を取材していて、違和感を覚えることの1つは、「1カ月の勤務日数は16日以内」という、一部の非正規公務員に適用される勤務形態だ。これは、「勤務時間は、常勤職員の4分の3を超えない」という人事院規則に準じ、自治体側が持ち出した規定である。

 しかし、非正規公務員の中でも、「主たる家計の担い手」が増えるなか、自ら16日勤務を望む人がどれだけいるだろうか。一人暮らしをしたい、貯金をしたい、結婚をしたいと思えば、せめて任用期間中はフルタイムで働き、もっと稼ぎたいと考えるのではないか。

 実際、16日勤務の非正規公務員の中には、ダブルワークやトリプルワークをしている人もいる。いずれにしても、地方自治体はこんな中途半端な雇用を生み出し、いったい、どこへ向かおうとしているのか。

 リョウさんに話を聞いたとき、彼がいちばん初めにしたことは、自分がこれまでに執筆した記事が載っている専門誌や冊子などを、テーブルいっぱいに広げたことだった。

 男性を対象にした本連載では、自身が手掛けた書籍や論文、作品などの“成果物”を私に見せてくる人が時々いる。「履歴書代わりに」「私のことを知ってもらうために」など、理由はさまざまだが、担当編集者に尋ねたところ、女性の貧困を取材する現場では、そのような場面にはまず出合わないという。

 男性はプライドが高い、と言いたいのではない。

■かつて理不尽な差別に遭うのは「女性」だった

 かつて、非正規公務員として働き、理不尽な差別に遭うのはもっぱら女性だった。それがいつの間にか、公務職場に限らず民間でも非正規雇用で働かざるをえない男性が増えた。個人の努力や能力の問題というより、社会の構造が変わったのだ。

 取材で話を聞いた男性の多くが無能ではないことを、私は知っている。彼らが過去の成果物を見せるのは、彼ら自身が、いまだに『男は働いて家族を養うべきだ』といった、ジェンダー規範に呪縛されているからではないか。理想と現実のギャップが大きければ、雇い止めに遭い、貧困に陥ったことへの敗北感は強烈だろう。

 この2年間、リョウさんは傷病手当金を期限まで受け取った後、現在は失業保険を受けている。実家暮らしのため、生活は何とかなっているが、失業保険もまもなく受給期限を迎える。その後は、なんとか障害年金を受けられないか、考えているという。

 「就職活動もしています。でも、まだ働く自信がないんです」。そう語るリョウさんの表情は乏しく、怒りもなければ、覇気もないように見えた。心は今も、打ち砕かれたままだ。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

898とはずがたり:2018/12/30(日) 19:33:27
先進国で最悪レベル…。7人に1人の子どもが貧困状態な日本。
勉強する機会を奪われた子どもたちの現実とは?
http://gooddo.jp/nf/article-katariba-3/?from=gooddo_twt_nf3_pc_b_1

899とはずがたり:2019/01/08(火) 15:26:30
2016年の記事だが流石イタリア

2016年05月12日 00時28分 JST | 更新 2016年05月12日 00時35分 JST
「飢えた時、食べ物を少し盗むのは罪ではない」イタリア最高裁の判決とは
まるで「レ・ミゼラブル」の主人公ジャン・バルジャンのようなストーリー。
https://www.huffingtonpost.jp/2016/05/11/stealing-small-amounts-of-food-when-in-need-is-not-a-crime_n_9900552.html?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter
Dominique MosbergenThe Huffington Post

900とはずがたり:2019/01/10(木) 09:12:09
生活苦で税滞納、差し押さえで口座0円に…提訴
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190109-OYT1T50002.html?from=tw
2019年01月09日 11時18分

 生活の困窮により国民健康保険税などを滞納していた宮城県大崎市のパート女性(63)が、給料を口座から全額差し押さえられて生存権を侵害されたとして、県と市に220万円の損害賠償を求める訴訟を8日、仙台地裁に起こした。

 訴状によると、この女性は無職の40歳代の長男と2人暮らしで、1か月の収入は8万〜11万円程度。2017年5月時点で国保税や軽自動車税などを計約197万円滞納していた。

 これに対し、県と21市町村で構成される「県地方税滞納整理機構」は17年9月15日、女性の口座に振り込まれた給料約8万8000円全額を差し押さえ、滞納税金の納付にあてた。これによって女性の口座残高は0円になった。

 原告側弁護士は、生活保護が必要なほど困窮した世帯の財産を差し押さえることは生存権を侵害していると主張。また、国税徴収法では月収10万円以下の給料の差し押さえを禁止しており、支払い当日に給料を預金として差し押さえるのは「脱法行為」だと訴えている。

 提訴後に記者会見した女性は「給料が全部差し押さえられてどうしたらいいかわからず、死のうかと何度も悩んだ」と当時の心境を明かした。一方、機構は「現時点で訴状が届いていないため、内容が確認できない」とした。
2019年01月09日 11時18分 Copyright c The Yomiuri Shimbun

901とはずがたり:2019/02/03(日) 22:39:46

赤木智弘2019年02月03日 11:12企業活動は福祉を達成できるのか 1/2

https://blogos.com/article/355410/


大手コンビニチェーンのファミリーマートが「こども食堂」を実施するという。

902とはずがたり:2019/02/07(木) 20:40:41
生活保護 約164万世帯で過去最多 高齢者の貧困対策が課題
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190207/k10011806411000.html
2019年2月7日 4時07分

生活保護を受けている世帯は昨年度、およそ164万世帯とこれまでで最も多くなりました。1人暮らしの高齢者世帯が増加しているためで、高齢者の貧困対策が課題となっています。

厚生労働省のまとめによりますと、生活保護を受けている世帯は昨年度の1か月平均で164万854世帯と、前の年度に比べておよそ3800世帯増加し、これまでで最も多くなりました。

世帯の類型別では、「高齢者世帯」がおよそ86万4700世帯と最も多く、前の年度よりおよそ2万8000世帯増え、その90%余りが1人暮らしでした。

「障害者世帯」や「母子世帯」などそのほかの世帯では減少傾向が続いています。

国の研究所の予測では、日本の全世帯に占める1人暮らしの高齢者の割合は今後も増え続け、2040年には高齢の男性は5人に1人、女性は4人に1人が1人暮らしになるとされています。

家族の支援を受けられず貧困に陥りやすい人が多くなるとも指摘されていて、将来を見据えた高齢者の貧困対策が課題となっています。

903チバQ:2019/02/24(日) 23:55:00
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190224-01527574-sspa-soci
一度辞めると再就職先がない…地方在住・20代の悲鳴
2/24(日) 9:00配信 週刊SPA!
一度辞めると再就職先がない…地方在住・20代の悲鳴
家賃2万5000円のアパートで貧困生活を送る西田さん。3万円で買った中古のパジェロミニが仕事場と自宅を結ぶライフライン
 全国平均の有効求人倍率は上昇傾向も東京との格差が広がり続け、地方では職に就けないまま毎日をすごす若者たちの悲鳴がこだましている。

「東京に出たいけれど、そのお金も仕事だってない。この先どうしたらいいのか、正直考えたくない」

 そう語るのは茨城県在住の西田敏文さん(仮名・27歳)だ。高校を卒業後、憧れだったバイクの修理店に就職。しかし、そこで彼を待っていたのは過酷な現実だった。

「労働時間は一日20時間ほどで、仕事が終われば家で3時間ほど寝てまた仕事に、という生活でした」

 月の給料は8万円と交遊費すらままならなかったが、修業だと自らを奮い立たせ耐え忍ぶ日々を続けた。しかし、先に悲鳴を上げたのは体のほうだった。

「作業中、いつもなら簡単に締めているネジの回し方がわからなくなってしまって。どうしたら回るのかがいくら考えても出てこなくなった」

 病院で医師から告げられたのはパニック症候群。修理店も退職せざるを得ない状況になり、現在は近所の農家の畑仕事を手伝い、月10万円程度の給料でやり繰りしている。

「本当はバイク屋に戻りたいですが、地方では仕事がない。東京で仕事を探そうにも貯金もできないし引っ越すお金もない」と西田さんは言う。

 次の本橋良樹さん(仮名・22歳)も地方で苦しむ一人だ。

「工場などでバイトをしながら就活をしていますが、採用はゼロ」

 新潟県の高校を卒業後、そのまま地元のエンジン工場で契約社員として働くが、体を壊して離職。現在は趣味である車の運転を生かしたいとトラック運転手を目指し、就職活動をしてはいるが……。

「書類審査で落とされることがほとんどです。正直、就職活動を始めたときは2年以内には仕事が決まるだろうと思っていました」

 本橋さんもまた、東京での就職を夢見てもがき続けている。

「今は実家暮らしなので両親からも『就職活動は?』と聞かれるたびに申し訳なさで精神的にキツくなってしまって。とにかく東京で一人暮らしがしたいのですが、仕事が見つからない以上、そんなお金もなく、ここにいるしかない」

 ビッグイシュー基金が2014年に発表した調査報告書によると、未婚で年収200万円以下の20〜30代の約8割は実家に住んでいるという。本橋さんのような若者は日本全国、至るところにいるのだ。

― [若者の貧困]どん底ルポ ―

日刊SPA!

904チバQ:2019/02/25(月) 21:58:41
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190219-01551829-sspa-soci
月収20万円以下、20代独身OLが借金してまで東京で暮らしたい理由
2/19(火) 16:00配信 週刊SPA!
月収20万円以下、20代独身OLが借金してまで東京で暮らしたい理由
(日刊SPA!)
 物価の高い東京で暮らすのにはお金がかかる。単身女性の貧困問題などが取り沙汰されて久しいが、たとえ有名な企業に就職しても“満足に”生活できない場合だってある。

  某保険会社に務めるOLのなおみさん(27歳・仮名)は、「まるで、息をしているだけでお金がかかっているような気がして……」と溜め息をつく。給料だけでは生活レベルを維持できず、キャッシングにも手を出した。

 身長165cmで細身の美人。大学時代はイベントコンパニオンやレースクイーンをこなした経験もあるなおみさん。一見、何不自由なく暮らしていそうな彼女がなぜ?

◆手取り20万円以下、20代OLが借金してまで東京で暮らす理由

 なおみさんは高校卒業をきっかけに秋田から上京し、東京六大学を卒業。新卒で大手と言われる企業に就職するも生活は苦しいという。

「大手といっても手取りは20万もいきません。福利厚生はしっかりしてますが、家賃補助はないので、とにかく毎月手元にお金が残らないんです」

 現在、なおみさんは東京都内でユニットバス付き家賃6万円のワンルームマンションでひとり暮らし。彼女が困窮するようになったのは、就職して両親から“一人前”扱いされるようになってからだ。

「大学までは親から仕送りを貰っていました。月の家賃とは別に5万円。それでイベントコンパニオンやサロンモデルのバイトをしてたから、お金にそんなに困ってなかったんです。就職してからは仕送りがなくなったのですが、東京でひとり暮らしをするのにこんなにお金がかかるなんて思ってもいませんでした」

 月に20万の手取りに6万円の家賃。普通に計算すると暮らすのに困らないような気もするが……。

「毎月の美容院にネイルケアにまつげエクステにスポーツジム。これだけですぐに3万円は飛んじゃう。我慢すればいいのかもしれませんが、ずっとやってきてるから辞めれないんです。洋服やバックも女性は流行の移り変わりが早いじゃないですか。今、ファストファッションが流行ってるなんていっても、結局みんなどこのブランドのいつ買った服だとかはチェックしていて、自分より上か下かマウント取り合っているんですよ。カースト上位にはなれなくても真ん中ぐらいにはいたいなって……つい、無理しちゃうんです」

 まわりの目を気にしながら生きてきた彼女にとって、こうした美容・ファッション代は“必要経費”といっても過言ではないのかもしれない。必要経費はそれだけではない。

◆問題は、見栄を張りたい女性同士の付き合い

「彼氏や男の上司や先輩なら奢ってくれるからいいんですけど。問題は女のコとの付き合いなんですよね。同僚との女子会やランチ会のお金もバカにならない。会社以外にも友達はいるから、それも含めると本当にキリがない。給料日前のランチなんてカップラーメンとかで済ませたいのが本音ですが、あんまり断りすぎるのも気が引ける。でも、なんといってもSNSの問題が大きいですね。今、みんなインスタやってるじゃないですか。インスタに自分だけ写真が載ってないのって、寂しいなって。仲間外れみたいな感じがするというか……」

 なおみさんに限らず、インスタ映えする写真を撮影したいがためにお金を使う女性は少なくないだろう。一緒に女子会に参加している同僚も給料は変わらないはずだが、どうやりくりしているのだろうか。

「実家暮らしの子もいれば、いまだに家賃だけ仕送りしてもらってる子が多いんです。ひどい子は実家暮らしのうえに、お小遣いまでもらってます。家賃だけでも誰かが負担してくれたら本当に楽ですよ。私だって給料まるまるお小遣いなら余裕で生活できるのに」

 まわりの生活に合わせ続けた結果、なおみさんの収支はマイナスとなった。それでも断りきれない誘いを幼少期からの貯金を切り崩して支払っていたが、あっという間に底をついてしまった。そして、ついにはキャッシングに手を出してしまったという。

「ノリで週末2泊3日で同僚と台湾旅行に行く話が出て。もう『何の予定もない』って言っちゃってたから、断る理由がなかった。それがキッカケでキャッシングに手を出しました。最初は5万円。次のボーナスで返せば大丈夫だろうな〜って。安易でしたね」

905チバQ:2019/02/25(月) 21:59:06
 すぐ返すつもりの5万円だったが、ついつい利子を返してはまた数万円を借りて……を繰り返すうちに、50万円近い借金へと膨れ上がってしまった。

「キャッシングが癖になちゃってましたね。『1万円ならいっか』って。その繰り返し。途中から借金している感覚や罪悪感すら薄まっていった。で、“自分がどれだけキャッシングしているのか”ってことから、無意識に目をそらしていました。気がついたら満額近くなっていて。それで初めてヤバイなって」

◆借金が膨れ上がり、キャバクラで副業

 自身の借金額を知り、間もなく副業を考えた。

「風俗やパパ活はなんだか怖い気がして、キャバクラで働き始めました。うちの会社は副業禁止だし絶対にバレたくないから、あえてすごい田舎の店です。時給は2500円と安いんですが、週末中心に月4〜6回出勤して、約8〜10万円ほどにはなります。タクシー代飲み……いわゆる“ギャラ飲み”もたまにやってるんですが、これだと確実に最低月いくら稼げるっていうのが読めないから、アテにならない。だから、とりあえずキャバクラに在籍しておきたいなぁって」

 キャバクラのアルバイトを始めて2年。キャッシング分はほぼ返し終わった。そして「やっと東京で人並みの生活ができるようになった」と語るなおみさんだが、ここまでして東京で生活することに執着するのは何故なんだろうか――。

「何だかんだ東京の華やかな暮らしが好きなんでしょうね。親に頼ったら『地元に戻って婚活しろ』って言われるのが目に見えているというか。それも悪くはないかもしれないけど、田舎って刺激がないじゃないですか。東京に慣れてしまったからか、田舎暮らしはもう嫌なんです。かといってまだ遊びたいから、彼氏と結婚も考えられない。東京で特別何がしたいってわけでもないんですけどね、ただ東京にいたいんです」

 刺激をとるか、安定をとるか――。

 たしかに、東京は魅力に溢れた街だ。しかし、高額な美容代を支払い、インスタ映えを気にしながら、常に「お金がない」と口にする彼女の表情はとても幸せには見えない。彼女が求めるものは、一体どこにあるのだろうか。<取材・文/吉沢さりぃ>

日刊SPA!

906とはずがたり:2019/03/19(火) 12:20:27

ファミマが(企業イメージなど迄含めて)損しない形でやる事とボランティアを一緒にされて,ボランティアがダメだ(=サービス提供水準が低い)等と批判を受けるとなると危惧する権利があろうかと思う。

企業もこども食堂の商標がどこも保持してないから好き勝手出来るかというとそんな事は無い筈である。

とはいえ最終的には子どもが出来るだけ救われるのが最優先であり,親子同伴や店のアルバイトの体験とか貧困対策と直結するのかどうか疑問の余地もあるが,やるべきであるし貧困への対策が世間的に評価される事になるならいいだろうから,或る程度の調整しつつ断行して欲しいところ。

その後どうなったのかな?

ファミマがこども食堂やることに何故か文句つけた藤田孝典氏へ様々な批判が集まる
https://togetter.com/li/1315501?

907とはずがたり:2019/04/26(金) 22:34:54
2016年05月12日 00時28分 JST | 更新 2016年05月12日 00時35分 JST
「飢えた時、食べ物を少し盗むのは罪ではない」イタリア最高裁の判決とは
まるで「レ・ミゼラブル」の主人公ジャン・バルジャンのようなストーリー。
https://www.huffingtonpost.jp/2016/05/11/stealing-small-amounts-of-food-when-in-need-is-not-a-crime_n_9900552.html?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter
Dominique MosbergenThe Huffington Post

908チバQ:2019/05/27(月) 22:25:35
https://toyokeizai.net/articles/-/278638
日本のおかしさ映す「東京貧困女子」の問いかけ
幸せな青春を送った世代は現実に気づいてない
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印南 敦史 : 作家、書評家
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2019/04/30 16:00
『東京貧困女子。――彼女たちはなぜ躓いたのか』(中村淳彦著、東洋経済新報社)の著者は、1990年代半ばから20年以上、AV女優や風俗の取材をしてきたというフリーライター。2006〜2007年あたりから、「もしかして日本はおかしくなっているのではないか?」という違和感を抱くようになったそうだ。

自分のあられもない姿の映像を世間にさらして売るというリスクを抱えたAV女優に、「出演料が安すぎて、とても普通の生活ができない」という層が現れたというのだ。2000年代半ばから援助交際や売春の代金が大幅に下降し、体を売りたい女性が急増。その結果、価格が急降下したためだ。

人々が貧しくなる、お金がなくなることは恐ろしく、誰かを陥れるいがみ合いや犯罪が当たり前のように起こる。急激に景気が悪くなった裸の世界では、関係者が関係者を恐喝するみたいな事件が頻発して、私はウンザリして圧倒的な需要があると注目されていた介護事業所をはじめた。
介護という福祉事業に逃げれば、醜い諍いから逃れられると思っていたが、介護の世界はそれまで見たこともないような困窮した人々の巣窟だった。
介護福祉士という国家資格を持つ専門家が、行政の監視の下で手取り14万〜16万円程度の低賃金で労働をさせられて、「ご利用者様のありがとうが報酬です。高齢者様に感謝しましょうね。みんな、本当に素晴らしい仕事に就けてよかったですね」などといった信じられないロジックが正論として定着していた。(「まえがき――いったい女性たちになにが起こっているのか」より)
そんな現実を目の当たりにしたことから、最終的に中村氏は介護職から身を引く。しかし、社会と隔絶されたAVや風俗業界というグレーゾーンビジネスの渦中で取材を繰り返し、そこを抜けてからも目先の介護に忙殺されたその経験が、中村氏の内部に「(本当に)日本がおかしくなっている」ことを実感させたというのだ。

3年間の取材で明らかになった貧困の現実
かくして「女性の貧困」を目の当たりにすることになった中村氏は、古くからの知り合いである女性編集者との再会をきっかけとして、2016年4月から東洋経済オンラインで「貧困に喘ぐ女性の現実」をスタートさせる。いうまでもなく、本書のもとになっている連載である。

この連載では、女性、特に単身女性とシングルマザーの貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて取材している。貧困に苦しむ読者からの取材申し込みを随時受け付けており、その中から取材先を選定している。(「まえがき――いったい女性たちになにが起こっているのか」より)

貧困は生まれや育ち、家庭環境、健康状態、雇用、政策や制度、個人や配偶者の性格、人格など、さまざまな要因が重なって起こるものだ。現実は十人十色であり、同じ事例が重なるようなものではないということ。

だからこそ、問題解決の糸口を見つけるためには、ここの生活をつぶさに見ることで真実を浮かび上がらせるしかないと中村氏は考えた。取材は3年間に及んだ。

909チバQ:2019/05/27(月) 22:26:05
国立大学医学部の現役女子大生、その現実
読んでみてまず衝撃的だったのは、最初に紹介される国立大学医学部に通う現役女子大生の事例だ。「お金のためにパパ活をし、それとは別に歌舞伎町の風俗店でも働いている」とだけ聞けば、多くの人は「欲しいものを買うためのお金が欲しいから、好きでやってるんじゃないの?」というようなイメージを抱くかもしれない。

パパ活というものにかねて不快感を覚えていた私も、最初はそう感じた。ところが現実は、もっとシビアなものだった。

父親は数年前にリストラされた。両親は非正規の共働きだ。世帯収入はせいぜい500万円程度で、弟が2人いるので「高校と大学、私立は絶対に無理」と母親に何度も言われていた。小学校時代から必死に勉強して挫折することなく、高偏差値をキープしている。
国立大学なので医学部でも学費は高くはない。入学金28万2000円、年間授業料53万5800円で、学費は日本学生支援機構の奨学金を借りている。学費は奨学金、そのほかの費用はアルバイトで稼いでほしいというのは両親の意向だ。
入学前は実家からの通学なのでなんとかなると思っていたが、体育会系の部活に所属したことと、教科書や雑費が予想以上に高額で、時間とお金が足りなくなった。(30〜31ページより)
大学は朝9時の1限からで、部活は夕方から週2〜3日。スーパーマーケットでもアルバイトをしているが、部活のない日にしかできない。ただし大学の同級生や友人はみな家庭が裕福なので、経済的な苦境は誰にも理解してもらえない。だが、勉強では味わえない達成感がある部活は、大学でも続けたかったのだそうだ。

ところが、すぐ経済的に苦しくなる。大学1年の夏に教材費がかさんだうえ部費の支払いがあったため、どれだけ節約しても3万円が足りない。親に頼んで乗り切ったものの、すぐに夏合宿が待っている。親にはもう頼めないと悩み、高額求人サイトで風俗の仕事を見つける。

無駄遣いしないし、なにも欲しいものはないし、部活をやって大学を留年しないで無事に卒業したいだけです。それだけ。やっぱり月3万円くらい、どうしても足りない。風俗は気持ち悪くなってしまうので、本当はすごくやりたくない。やらなくていいなら、すぐに辞めたいです。なんていうか、自分がやっていることが気持ち悪い。自己嫌悪です。全然知らない人と裸で寝ているとか変だし、おかしいことをしているなって。彼氏にも悪いし、なにもいいことはないです。(36ページより)
この女子大生の話を読んでいて、わかることがいくつかある。まずは、貧しい家庭環境にありながらもきちんと勉強し、学生としての本分を全うしようとしていること。そして、風俗に嫌悪感を持っていること。

それでもやらざるを得ないのは、唯一の心の拠り所になっている部活を続けたいからだ。それが、彼女をギリギリのところでつなぎとめていることが、文字を追っているだけでもわかる。

誹謗中傷で埋まったコメント欄
ところがこの取材記事が東洋経済オンラインに掲載されると、コメント欄が誹謗中傷で埋まったというのだ。

売春の是非は論点ではなく、国の未来を支える優秀な学生が望まない換金をするしか勉強を続けられない、という現実に問題があるのだ。日本に取り返しのつかない異変が起こりつつあることに、幸せな昭和を送った世代を中心に大多数は気づいていない。
コメントをしている人々の年齢はわからないが、おそらく上の世代の男性の方々としよう。日本の1800兆円の個人金融資産(日本銀行調べ)の6割は60歳以上の高齢者が所有し、世帯平均貯蓄は2000万円を超えている(総務省調べ)と言われている。一方、奨学金を利用する大学生(昼間部)は半数近くになっている(日本学生支援機構調べ)。
さらに、貧困に苦しむ若者たちが学生生活の継続のために「選択肢がそれしかない」と誘導されている風俗や売買春の利用者は中高年層がメインだ。
妹、または娘や孫の世代にローンを背負わせた挙げ句、性的奉仕をさせる社会になってしまっている。自分たちが絶望の淵に誘導した娘や孫のような次世代を担う女の子たちに、気分に任せて誹謗中傷を浴びせて、自分がさらに気持ちよくなっている。どこまで都合がいいのだろうか。異常としか言いようがない。(43〜44ページより)

910チバQ:2019/05/27(月) 22:26:45
大学生の親世代が青春時代を送った30年前と比べ、現在は可処分所得が減り、子どもに必要なお金を出すことができないという状態になっている。そして、日本の未来のため若者たちに対して教育に投資すべき国も、奨学金制度、国立大学の運営交付金の削減による学費高騰、定員の厳格化など、大学生の貧しさに拍車がかかる政策をどんどん進めている。

当然の結果として大学生たちは困窮に陥っているが、大学時代に幸せな青春を送った親世代は、その苦境に理解を示さないまま、自分たちの価値観だけで判断し、若者をさらに追い込んでいるのだ。

テレビもパソコンもない家賃5万円の福祉物件
しかも、困難な状況は学生だけを苦しめているわけではない。たとえば読了後も頭から離れなかったのは、非正規雇用の図書館司書として働く37歳の女性のケースだ。図書館で働く司書の8割前後は非正規雇用で給与は安く、しかも未婚で一人暮らしであるため、毎日不安と焦りばかりだという。

給与の総支給額は17万円。所得税、住民税、社会保険料を引かれ、手取り金額は13万3442円。賞与はなく、年収204万円で手取りは160万円程度。東京で一人暮らしをするには厳しい金額だ。

その日暮らしは十分できます。もっと経済的に厳しい人がいるのも十分承知はしています。けど、ずっとギリギリの生活で、なんの贅沢もしていないのに貯金すらできない。嘱託は1年契約、更新は最長5年と決まっていて、いまは4年目です。来年はすごく頑張っても、仕事で成果を出しても確実にクビになります。低賃金なので蓄えはないし、年齢ばかり重ねて、私はいったいどうなってしまうのだろうって。(190〜191ページより)
最寄り駅から15分で築年数も古い、福祉物件と呼ばれる家賃5万円の部屋で暮らす。仕事帰りには、割り引かれた食材や総菜をスーパーマーケットで買う。低賃金でお金が貯まらないので、部屋にはテレビもパソコンもない。調べ物は、分割で買ったスマートフォンでしている。

不安しかない日々に悩んだ結果、学芸員の資格を取得しようと、通信制大学の科目履修生になった。中村氏によると、公的機関の非正規雇用に悩み、貧しさから抜けたいのに学芸員の資格取得を目指すというのは、真面目で貧しい人の行動パターンなのだそうだ。

図書館司書は専門職だ。「私は子どもたちのための児童書や児童文学に詳しくて、たまに自分が企画してフェアみたいな企画をやっています」という言葉からも推測できるように、彼女は自分の仕事にプライドを持って臨んでいる。

ところが、現場職員がどれだけ業務にプライドを持って前向きに取り組んだとしても、雇用主である自治体はそれを認めない。非正規は安く使える駒にすぎず、期間に上限のある有期雇用なので、決まった期間働いてもらえばいいだけだという考え方だ。だから彼女のような立場にいる人は、どうあがいても貧困から抜け出さない。

役所は誰でもできるって考えているし、いくらでも交換ができる部品くらいにしか思われていません。だから、非正規なのでしょう。私は司書の仕事をどうしても続けたくて、いまここが2カ所目です。前は他県の図書館で働いて、満期5年で契約が切れてしまったので都内に引っ越しました。また、あと1年半しか仕事ができないって考えると不安で、たまに眠れなくなることもあります。(196ページより)

911チバQ:2019/05/27(月) 22:27:12
結婚も出産も、貧しい自分には関係のないこと
悩んでしまうのは、あと何年でクビという不安から逃れたいから。ひとり暮らしで貯金がゼロなので、働き続けないとホームレスになっちゃいます。だから、本当に、働ける期限があるのは怖いです。(198ページより)
単身で暮らす20〜64歳の女性の3人に1人(32%)が貧困状態(国立社会保障・人口問題研究所)にあり、さらに65歳以上の単身女性になると47%と過半数に迫るのだという。そうでなくとも図書館は、財政難の自治体にとってはお荷物的な存在だ。女性が1人で生きていくには困難な材料がそろいすぎているが、そんな渦中にいる彼女に対して、中村氏は結婚する意思はないのかと尋ねている。

結婚すれば生活が変わるみたいなことはよく言われていますが、非正規で低収入な自分にまったく自信ないし、誰かが見初めてくれるとはとても思えない。やっぱり結婚とか出産は、普通以上の収入がある人の特権というか、自分にかかわることとはとても思えないです。(201ページより)
一緒に働く2割くらいが正規の公務員の方々です。正規の方々が職場で話していることは、買い物とか旅行とか、子どもの教育とか、そういう話です。正規でちゃんとしたお給料があって、家族で暮らしている人たちは、子どもにたくさん習い事をさせて、年に何度か海外旅行に行くんだ……って。なにか別世界というか。私は飛行機代がなくて、いまの職場で働き出してから一度も実家に帰れてないのに。この差って、なんなのでしょう? 仕事を真面目にやっているだけではダメなのでしょうか。(201〜202ページより)
とても真面目な人なんだなということがよくわかる。裏を返せば、いまの日本は真面目な人にとって生きづらいということになるのではないだろうか。

いったい日本は、東京は、どうなってしまうのだろうか。
たぶん、どうにもならない気がする。
東京の貧困女性のさまざまな声に耳を傾け、こうやって文章化することで一通り検証したが、ほぼほぼ国の制度と法律改定が原因だった。あとは男性からの暴力と精神疾患だ。自分なりに一生懸命に生きてきたが、理不尽に追い詰められてその絶望を「自己責任」という一言で封をしているのが、現状だ。(333〜334ページより)
貧困は、「欲しいものが買えない」「食べたいものが食べられない」という消費活動の鈍化だけでは終わらないと中村氏は指摘している。貧困が貧困を生み、世代を超えて苦しみが続き、逃れることができなければ、最終的に死という領域が見えてしまうとも。

つまり日本は、「安全と安心」などではなく、「不安と恐怖」を駆り立てることを推奨する社会になってしまったということだ。

やがて中年男性にシフトチェンジする?
しかも、見逃しがちなポイントがある。本書は女性に焦点を当てているものだが、それは現在、女性をターゲットに貧困化が進行しているからにすぎない。だから、中村氏の次の言葉をひとごとと考えるべきではないのだ。

国民の誰かを転落させなければ国がやっていけないならば、どこかのタイミングで女性から中年男性にシフトチェンジするかもしれない。私自身、取材で出会った彼女たちと遠くない未来の自分の姿がダブって怖くなった。(335ページより)
「母親から虐待を受けてうつ病になり、生活保護を受けて暮らす25歳」


『東京貧困女子。──彼女たちはなぜ躓いたのか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「有名女子大卒業後、上場企業に就職するも、精神的な問題を抱えた姉の介護のため離職をしたことで転落した53歳」

「冷暖房がなく、満足に光も入らない屋根裏部屋で暮らす、55歳のキャリア官僚元夫人」

「東京大学大学院卒という肩書きを武器に仕事をするも、パワハラで病に倒れ、電動車椅子の生活を余儀なくされる45歳」

本書に登場する女性たちはみな、こちらの想像をはるかに超える日常を生きている。だから読み進めていくうちに、どんどん気持ちは沈んでいった。しかし、それでもわれわれは、こうした現実から目を背けるべきではないのだ。なにしろ、決してひとごとではないのだから。

912チバQ:2019/05/27(月) 22:28:21
https://diamond.jp/articles/-/201832
貧困に喘ぐ大人たちの「10連休サバイバル」、働けず生存の危機に
みわよしこ:フリーランス・ライター
働けないと生活できない
大型連休が危機につながる人々
 2019年のゴールデンウイークは、4月27日から5月6日の10日にわたる大型連休となった。旅行などの消費によって、4月から6月までのGDPが0.2ポイント上昇するという試算もある。大型連休には、予算を必要としない景気対策としてのメリットも期待されている。

 しかし、10連休を喜ぶわけにはいかない人々もいる。たとえば貧困状態の子どもは、学校が休みになると、給食を食べる機会を失う。連休明け、家族で楽しんだ旅行やレジャーについて語るクラスメートの中で、肩身の狭い思いをするかもしれない。貧困状態の子どもたちの休暇中の生活は、数年前に比べると注意を向けられやすくなってきたけれども、まだまだ不十分だ。

 子どもたちよりも、さらに忘れられているのは、大型連休が生活や生存の危機につながる大人たちだ。彼ら彼女らは、今回のゴールデンウイークをどう生き延びたのだろうか。

 仙台を拠点に活動する個人加盟の労働組合「仙台けやきユニオン」は、連休中の5月1日と4日、「大人食堂」を開催した。時間帯は夕食時の2時間、食事と相談の機会が無料で提供された。対象者は、「18歳から65歳までの労働者および失業者とその家族」である。とはいえ、高校を中退して働いている16歳の少年や、無年金のため身体に鞭を打って働き続けている72歳の高齢者が訪れたとしても、歓迎されたことだろう。

 仙台けやきユニオン代表の森進生さんは、「大人食堂」を企画した意図について、次のように語る。

「ゴールデンウイーク中、派遣社員やアルバイトの方が、シフトに入れないという問題が起こるのではないかと考えました」

 実際に「大人食堂」を開催してみると、集まった人々の抱える困難は「お金がない」「働かなきゃいけないのに、働けない」といった単純明快な問題にとどまらなかった。

「本当に困っている人」でないと
助けてもらえない社会で良いのか
「大人食堂」を訪れた人々は、5月1日は3名、4日は10名だった。年齢層は幅広く、男女比では60%が女性だった。中には、森さんたちが当初想定していた「お金がない」「働けない」という状況にある人々もいた。

「所持金が1000円しかなくて、この数日、カップ麺しか食べていないという方がいました。この方は就労しているのですが、勤務先までの往復に1200円必要なので、連休後は仕事を続けられなくなるところだったんです」(森さん)

 この参加者には、連休明けまでの食糧などの緊急支援も行われた。

 ゴールデンウイーク中の勤務予定がなくなってしまった人もいた。労務担当者は休暇を取っているため連絡がつかず、日払いの仕事を探そうにも探せなかったということだ。でも、「大人食堂」を訪れた人々の多くは、「今すぐ生活が破綻しそうな方」(森さん)ではなかった。また、いわゆる「ネットカフェ難民」は、予想より少なかったという。

「生活が苦しいことは苦しく、『身体がきつい』『借金が』といった問題を自覚しているけれども、今のところ顕在化した問題はないという方が多かったです」(森さん)

913チバQ:2019/05/27(月) 22:29:10
 問題が顕在化して路上生活者になれば、行政のホームレス支援の対象になる。18歳未満なら、貧困状態の子どもとして支援対象になる。実際に生活が破綻すれば、生活保護の対象になる可能性がある。しかし公的支援は、顕在化した生活困窮者、言い換えれば「本当に困っている人」に対してもまだまだ不十分だ。

「来られた方々のほとんどは、非正規雇用でした。今、困っているわけではなくても、不安なので悩みを共有したい、というニーズが多かったです。宣伝に『なんでも相談』と書いてあるので来てみた、という方もいました」(森さん)

 孤立の解消は、行政も課題として認識している。しかし、「大人食堂」を訪れた人々の中には、親と同居している人々もいた。少なくとも、家に帰れば言葉を交わす相手がいるはずだ。とはいえ、親は老いていく。必要な医療費は増加するだろう。介護が必要になる可能性も高い。介護離職を強いられれば、高収入の正社員でも容易に貧困に陥る。低賃金の非正規雇用ならば、なおさらだ。

「かつて、成人して就労しているのに親と同居している子どもが“パラサイト・シングル”と呼ばれていました。現在も、親と同居している非正規雇用の子どもは、“パラサイト”の延長と見られていることが多いです。でも、親の経済状況も低下してきたので、子どもが親を支えている場合もあります。親も子も、老いが不安です。『親と子が助け合いながら縮小している』というのが実情で、“パラサイト”と呼べるものではありません。それが、はっきり見えてきた感じです」(森さん)

「今後も継続して欲しい」
大人食堂に寄せられた声
「お金がない」「仕事がない」といった困難は、背景によって生み出されている。はっきりした困難に達していないボンヤリした困難や、困難を生み出す背景への対策は、現在の日本にはほぼ存在しない。「大人食堂」は、そのニーズの一端を捉えた。

「参加者の方からは、『今後も継続してほしい』という嬉しい声がありました。今回、居場所を提供して孤立を解消するだけではなく、労働問題や貧困問題というところで皆さんとつながれたことは、良かったと思います。ふわっと集まりながら、対等にフラットに支え合ってエンパワメントしながら、具体的な困難の解決につなげられる場として継続できればと思っています」(森さん)

 気になるのは、「大人食堂」を実施するための人員だが、普段と同じように交代で休みを調整することで、無理なく行えたということだ。仙台けやきユニオンでは、30人ほどが運営にあたっており、連休中も労働相談や面談などの予定が組まれていた。「大人食堂」はその一部として開催された。連休明けには、必要に応じて生活保護申請などのフォローも行った。

シングルマザーたちの困惑
「しんどいゴールデンウイーク」
 非正規雇用かつ子どもを抱えているシングルマザーは、大型連休によって自分の減収と子どものケアの必要性の両方に直面する。特に、日給月給(月払いの日給制)の仕事に就いている場合、連休は収入減少に直結する。収入が激減するのは次の給料日以後ではあるが、子どものための出費が重なる3月・4月を必死で乗り切った彼女たちは、連休前に余力を失っている。

 シングルマザーと子どもたち・女性たちの支援を続ける「シンママ大阪応援団」は、今年の大型連休に向けて、数多くの取り組みを準備していた。連休前の4月24日には、食料品や子どもの本を含む物資を発送した。

 連休に入るとまず、母親たちに対する自尊感情プログラムを実施した。母親たちがプログラムに参加している間の子どもたちの保育、その夜の親子夕食会もセットだった。ランチ会や夕食会は、数回開催された。他地域のシングルマザー母子を拠点に迎えての「お泊まり会」もあった。また、貸切バスでの日帰り自然体験も行い、総勢約50人が参加したという。

 日帰りでの自然体験が企画されたきっかけは、寺内さんのところに、シングルマザーたちからの声が、数多く寄せられたことだった。「お金がないので、子どもたちをどこにも連れて行ってやれない。長期の休みなんてない方がいい」「連休には、親子連れが街にあふれて辛い」「休み明け、子どもたちが日記や作文を書かせられるときに、書くことがない」という声に応えた企画は、今年で2回目になる。

914チバQ:2019/05/27(月) 22:29:43
 これらの企画は、1つ1つが「食事」「回復プログラム」「小旅行」といった機会の提供であるとともに、孤立しやすいシングルマザーたちが互いに交流し、安心しておしゃべりを楽しむ機会でもある。子どもたちは、理解ある大人のもとで伸び伸びと安全に過ごすことができる。そういう信頼関係のもとで、やっと「生活が苦しい」と訴えられるシングルマザーたちもいる。

 もちろん、連休による給料激減の問題もある。連休中も母親の仕事がある場合には、子どもたちをどこに預ければよいのかという問題もある。保育所も学校も学童保育も休みになってしまうので、結局、子どもたちだけで留守番させるしかない。

「いずれにしても、しんどい連休であったことは確かです」(寺内さん)

 追い打ちをかけたのは、役所も10連休だったことだ。困窮して4月24日に生活保護を申請したシングルマザーは、連休のため5月20日まで決定を待つようにと言われたという。

辛い連休を打破するための
キーワードは「想像力」

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 もともと、年末年始に行政の窓口が開いていないことは、生存の危機に近い人々には深刻な問題だ。長年、支援活動を行っている団体は、今年のゴールデンウイークに際し、数ヵ月前から危機感を表明していた。

 厚労省は4月19日の事務連絡で、連休中も福祉事務所を輪番制や緊急連絡網などによって対応可能にしておくこと、衣食住の緊急支援、窓口の臨時開所などを求めていた。

 東京を拠点に活動するグループ「ホームレス総合相談ネットワーク」は、ゴールデンウイーク中も、フリーダイヤルでの電話相談窓口を稼働させていた。またSNSで、厚労省の「連休中も生活困窮への対応は受けられる」という事務連絡の周知を行っていた。同ネットワークの後閑一博氏(司法書士)によると、連休中も電話相談はあった。また、SNSで情報を見たという人からの連絡もあったという。

 電話相談だけとはいえ、連休中もストップしないことの意義は大きかったようだ。東海地方では、緊急に生活保護を必要としていた人が、連休中に最低限の支援を受けられた。役所の守衛を通じて、緊急連絡網で連絡を受けた福祉事務所職員が対応したのだった。

 誰かが笑えば誰かが泣くことは、世の中の摂理かもしれない。大型連休を誰もが笑える期間にすることは、不可能なのだろうか。想像力を少しだけ広げてみれば、異なる可能性が見えてくるはずだ。

915チバQ:2019/05/27(月) 22:31:28
https://www.asahi.com/articles/ASM4T747JM4TULZU017.html
40代、貧困ポスドクの悲哀 時給バイト以下、突然クビ
有料会員限定記事

編集委員・真鍋弘樹 2019年5月15日05時00分
ロスジェネはいま
 《大きな研究成果を上げ、将来を期待されていたにもかかわらず、多くの大学に就職を断られて追い詰められた女性が、43歳で自ら命を絶った。そんな記事が4月、朝日新聞に掲載され、大きな反響を呼んだ。自らも教育学で博士号を取得している舞田敏彦さん(42)は、その気持ちを「痛いほど分かる」と語る。大学院で学び、研究職に就くことを望みながらも、安定した職と生活が得られない。ロスジェネ世代の博士たちもまた、不安定雇用の壁に苦しんでいる》

 たいへんショックを受けました。私自身、大学院で博士号を取った後、5校ほどで非常勤講師を務めながら、40校以上の大学教員の職に応募しました。しかし、30代も後半になるとなかなか難しい。

 「貴意に沿えず」という返事を何度も受けていると、精神的に追い詰められます。方向転換するよう親に諭されましたが、諦められませんでした。

 1990年代の大学院重点化政策で博士が急増したのに、大学での働き口が絞られている。今、大学で教える人の3人に1人は非常勤講師と言われています。大学は人件費削減のために常勤の教員を減らしたわけで、その意味では非正規雇用に苦しむロスジェネと重なるかもしれません。

 非常勤講師の採用面接では、給与について怖くて聞けないんです。「もし給与について知りたいなら、他の人に頼みます」と言われたことすらある。

 現実は、週1コマの授業を月に4回担当して、月収3万円です。授業の準備をし、学生の質問に応じる時間を合わせると、学生アルバイトの時給以下で、ボランティアや名誉職に近い。

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

916チバQ:2019/05/27(月) 22:32:16
https://digital.asahi.com/articles/ASM4T7R8LM4TULZU01C.html?rm=932
使い捨て中年フリーター、雇用の流動化も「狙いは解雇」
有料記事

編集委員・真鍋弘樹 2019年5月14日06時30分
ロスジェネはいま
 《「中年フリーター」という言葉を広めた労働経済ジャーナリストの小林美希さん(43)は、同じ世代の一員として多くのロスジェネに話を聞いている。自ら就職氷河期の「厳寒」を体験した立場で、自己責任論は欺瞞(ぎまん)だと否定する》

 大卒就職率が6割を下回った2000年に大学を卒業しました。就活では金融、メーカー、食品など、業種を問わず約100社にエントリーし、50社の面接を受けました。男子よりも女子学生が特に厳しく、最終面接までしているのに、「女子は採用ゼロ」という方針だった会社もあったことを後に知りました。実際は採らないのに、女子を採用するふりをしていたわけです。

 周囲でも精神的に病んだり、引きこもったりする女子学生がいました。私たちが小学生の頃に男女雇用機会均等法が成立し、実際に女子の方が成績がいいことも多かったのに、就活で差別を受けたという思いでした。

 結局、内定は消費者金融の1社だけ。同じ大学でも男子ではメガバンクや商社に内定した人がいましたし、当時は社会のせいだとは気付きませんでした。当事者だった当時は、何が起きているのか、分からなかったのです。

 内定した消費者金融を辞退して証券専門紙の「株式新聞社」に入り、その後、毎日新聞の「週刊エコノミスト」誌で記者をしました。そこで企業の決算や会計の取材を続けているうちに、正社員の比率を下げている企業が多いことに気づいたのです。

 これは、企業が人件費を削って利益を確保しているだけではないか。そう考えて特集記事の企画を提案しましたが、なかなか採用されなかった。当時はまだ「若者の考えが甘い」「仕事を選んでいるだけだ」といった見方が根強かったためだと思います。小泉政権下で、いわゆる自己責任論が広がった頃です。

 諦めずに何度もデスクに企画の提案を続けて、04年にやっと、フリーターの実態に迫る特集が組まれました。これが、非正規雇用にこだわるジャーナリストとしての原点です。

 《就職氷河期と非正規雇用の増加について警鐘を鳴らした記事から15年。その後も継続してロスジェネ世代を取材してきたが、事態は悪化する一方だった。このままでは手遅れになりかねない、と小林さんは語る》

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

917名無しさん:2019/05/27(月) 22:32:32
取材で長年、話を聞いている40代半ばのフリーター男性で、もう正社員になることも家庭を持つことも諦めている人がいます。そんな「心が折れた」人たちの話を聞いていると、この世代にいったい何ができるだろうか、と絶望的になります。

 非正規で働いている人たちは、正社員並みに仕事をし、能力を向上させていても、次のキャリアにはなかなかつながらない。何か手を打たないと、不安定なまま、高齢化していきます。その結果、20兆円近くの追加の生活保護予算が必要になるという予測もあるほどです。

 派遣で働く女性たちもまた、使い捨てにされています。ある派遣の女性が妊娠したことが分かると「不良品」と陰で呼び、「返品したい」と派遣元にクレームをつけた、という話を取材で聞きました。この女性は妊娠中にもかかわらず、雇用継続のために100時間以上の残業を強いられました。

 第1次安倍内閣の「再チャレンジ」をはじめとして、いくつかの政策が打ち出されましたが、結果として就労支援の委託事業者が利益を得たに過ぎなかったように見えます。フリーターが食い物にされただけです。年齢を重ねると非正規労働者の支援は手遅れになりかねず、政治がもっと本気でやっていたらどうなっていただろうと思います。

 著書「ルポ 中年フリーター」の反響で、人手不足の中小零細企業の経営者から、そのように困っている人たちがいるならうちで働いてほしい、という連絡がありました。働き手が足りない企業があるのだから、行政によるマッチングなど、まだ手は残されているのではないでしょうか。

雇用流動化、企業の真意は?
 《ロスジェネ世代が生まれた背景にあるのは、新卒一括採用と終身雇用という日本型雇用システムだ。欧米のように流動性の高い雇用市場が実現すれば、非正規労働者は救われるという議論があるが、それに小林さんは反論する》

 企業側が主導する「雇用の流動化」の議論は、単に不要な人を簡単に解雇するのが目的だと見ています。経団連幹部などへの取材では、バブル世代やうつ病になった社員を切りたいという本音が聞こえてきました。実際、有能な人材はすでに流動化していますから。

 企業が自分たちの責任を棚に上げて、雇用の流動化を求めるのはおかしい。上の世代が既得権益を握っているからロスジェネが苦しんでいる、といった世代間格差をあおるような考えも間違っています。

 中国などへの工場移転によって産業が空洞化する日本で、新自由主義的に、低コスト低賃金によって労働条件を引き下げる流れよりも、好待遇で働いてもらい、高付加価値商品を生む方がいい結果につながるはずです。

 大手企業は、いい人材はいくらでも採れると最近まで思っていたのだと思います。嫌なら辞めてもらって構わないという態度でした。

 一方で、派遣労働が浸透したことで、経営者に人を見る目がなくなりました。派遣やアウトソーシングという形で人材選びを任せて、駄目なら代えればいいという考えが、人の「目利き」を失うことにつながり、現在の状況を呼んだのです。

 私の取材では、昔ながらの企業に業績がいい社が多い。それは、社員を大切にするからです。生活の安定がなければ、人は安心して働くことはできません。明日どうなるか分からないような働き方では、力を発揮できるはずがない。責任を持って雇用を維持することができないような企業は、市場から撤退してもらうしかないと思います。

     ◇

 小林美希(こばやし・みき) 1975年生まれ、労働経済ジャーナリスト。神戸大法学部卒、株式新聞社、エコノミスト誌編集部記者を経てフリーに。著書に「ルポ 保育崩壊」(岩波新書)「ルポ 中年フリーター」(NHK出版新書)など。(編集委員・真鍋弘樹)

918チバQ:2019/05/27(月) 22:33:15
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190501-00000002-moneypost-bus_all
博士号でも生活困難 非常勤から抜け出せない「貧困ポスドク」の実態
5/1(水) 15:00配信 マネーポストWEB
博士号でも生活困難 非常勤から抜け出せない「貧困ポスドク」の実態
博士号を取得しても就職難にあえぐ研究者が後を絶たないという(写真は東京大学・安田講堂)
 大学院を卒業し、博士号を取得しても常勤の職にありつくことができない──。いま、そんな“高学歴ワーキングプア”として苦しむ研究者が後を絶たないという。平成に入って「大学院重点化」の施策が講じられて以来、博士課程修了者の人口が増加する一方で、研究者の就職難という問題が浮上している。

 博士号を取得したのち、常勤職が得られるまでのあいだ非常勤講師などで生活している研究者を「ポスドク(ポストドクター)」という。そんな非正規雇用の研究者が日本の大学教育を支えている状況だ。研究活動以前に、「文化的な生活すら困難」と語るのは、近代日本文学を研究するポスドク・Aさん(男性・31)だ。

「大学院博士課程に入ってから日本学術振興会の特別研究員DC1という職に採用され、毎月20万円ほどの給与を得ていました。それが3年間続き、その間はどうにか生活することはできたのですが、DC1の任期が終わってからが地獄の生活でした。何年も非常勤講師を掛け持ちする生活を送ってきましたが、常にお金がない節約の日々。専門分野はアカポス(アカデミックポスト)が非常に少なく、文学部縮小の動きもあり一層就職が困難になっています。

 一番大変なのは、非常勤の給与だけでは資料が購入できないこと。地方出身なので東京で家賃を払って東京で生活するのは苦しいですし、もちろん恋愛や結婚など、研究以外の支出につながることは極力避けています。『文化的な生活』ができない、それを切り詰めて生活している自分が、豊かな日本の文学について研究することができるのか? そう自問自答で苦しむ日々です」(Aさん)

 歴史学系で非常勤講師を続けてきた研究者Bさん(男性・35)は、今年から非常勤講師の契約が切られたという。

「僕は東京大学の大学院を卒業してから、昨年まで非常勤講師を掛け持ちしてきました。講義は1コマ5000〜1万円あたりが相場。週にどれだけ頑張っても5コマか6コマが限界です。複数の大学と契約できていた年は良いのですが、突然、次年度の契約を切られることもある。非常勤講師は先輩研究者や教授からいきなり頼まれることもあり人脈がものを言う世界ですが、仕事が振られなければ収入もなくなります。

919チバQ:2019/05/27(月) 22:33:33
 でも、コマが増えても地獄。非常勤のコマ数が増えるとその準備に時間を取られ、自分の研究時間が確保できなくなる。とくに500人クラスの講義を複数担当すると、期末には膨大な量の採点が待っている。周囲の研究者は“採点地獄”と呼んでいます。

 そんな有様ですから当然、研究成果も出せません。学術誌への査読論文の掲載数、学会発表、書籍の執筆など成果の蓄積がなければ常勤職にはつけません。食べていくために非常勤を掛け持ちすると、自分の研究者としての未来が先細っていくジレンマがある。今年は、中学受験専門の塾に面接に行って、そこで新しくアルバイトを始めました」(Bさん)

女性研究者「結婚してすぐ別居生活というのは避けたい…」
 高学歴ワーキングプアとして苦しむ研究者は男性だけではない。妊娠、出産というライフイベントがあるという点で、女性研究者にはまた別種の困難が待ち受けている。映像文化に関する研究をしているというCさん(女性・33)はこう語る。

「現在、東京の大学に“任期なし”の常勤講師として就職するのはほぼ不可能。とくに初職の場合は、良くても地方のあまり知られていない大学への就職になります。私は29歳のときに大学時代の同級生と結婚したのですが、相手の職場が都心部なので、どうにかして都内で職を得たいと思っていました。でも指導教員には『そんな贅沢なことを言っていたら就職できないよ』と釘を刺される。

 私自身、子どもが欲しいので、結婚してすぐ別居生活というのは避けたいです。それでも研究者として生きていきたい。小学校から私立の有名進学校に通わせてくれた親のことを思っても、ここで夢を諦めるのは嫌です。ただ現実問題、このままでは研究する場が得られない」(Cさん)

 Cさんの悩みの種はほかにもある。それは研究生活の生命線ともいうべき「科研費」、つまり科学研究費に採択されないという現状だ。

「研究者は自分の研究に費用を出してもらうために科研費に応募します。それは理系も文系も同様。研究には資料購入、分析のコスト、執筆、出張費用など多くの費用がかかるため、自分のポケットマネーで払うのはほぼ不可能です。科研費は研究者の生命線となるものなのですが、ここ数年は応募しても採用されないため、研究するお金がないという辛い状況です。『お金を取ってくる研究者』が今の大学が求める人材ですが、それは研究者個人の自己責任論に結び付けられる危険性もある。制度で守らない限り、路頭に迷う研究者も増えつづけるでしょう」(Cさん)

 グローバル系学部の新設など大学改革が進められている日本の大学だが、それを支えているのは非正規雇用で研究生活もままならない“高学歴ワーキングプア”の研究者たちだ。この現状は、大学制度の基盤そのものの不安定さを露呈させているのではないだろうか。

920とはずがたり:2019/06/15(土) 17:02:41
これはひどい。海外のどっかで巧く行ってると聞く先ず家を与えるという方向性と真逆

https://twitter.com/fujitatakanori/status/1139459184909381634
藤田孝典
?@fujitatakanori
フォロー中 @fujitatakanoriさんをフォローしています
その他
生活困窮者が生活保護を受けて入所する埼玉県の無料低額宿泊所。入所者は保護費から月額約10万円支払う。「健康で文化的な最低限度の生活」を保障している施設ですかね?あなたはこんなところで生活できますか?福祉事務所も共犯関係。貧困ビジネスと非難されても仕方がない実態。

921とはずがたり:2019/06/16(日) 19:59:45
2019年06月16日 09時17分
給料の大半が家賃に消えてしまう…日本の住宅政策は大丈夫か? 藤田孝典さん持論
https://www.bengo4.com/c_23/n_9766/
藤田孝典さん(2019年6月12日、東京都内、弁護士ドットコム撮影)

生活に苦しむ人やシングルマザーが懸命にお金を稼いでも、収入の大半を住居費にもっていかれてしまう。日本の貧困は、住宅政策に問題があるせいではないかーー。

こうした問題意識を共有し、社会全体に課題解決の動きを広げようとする活動を「住まいの貧困に取り組むネットワーク」(世話人・稲葉剛さん=立教大学大学院特任准教授)などが続けている。

6月12日、同ネットワークらが東京・永田町の衆議院第2議員会館で会合を開き、貧困問題に詳しい藤田孝典さんが「現代の貧困と住宅問題ー課題と政策を考える」と題して講演した。

●英仏など欧州各国は手厚い住宅支援
藤田さんは、NPO法人「ほっとプラス」の代表理事で、年間500件前後の生活困窮者による相談を受けている。そのなかで「家賃さえなければ助かる」という声を聞く機会は多いという。「人間の生活に必要な住宅を、市場任せにしないことが大事だ」と述べた。

また、英仏など欧州各国は、日本よりも格段に手厚い住宅関係の支援政策を実施していることを紹介。「日本は、住宅は自分で確保するものという意識があるが、それを転換する必要がある」とした。

貧困問題と向き合ってきたなかで、住宅を確保できずに河川敷に暮らすことを余儀なくされる人たち、ネットカフェ難民、友人宅を転々とする人たちが少なくなかったということも指摘した。



●努力ではなく、社会の仕組みが足りていない
さらに、多くの人が非正規雇用で働き、実質賃金が上がらず、昇給も見込めない厳しい実態があることを問題視。日本の貧困率(相対的)はOECD諸国のなかで高い方で、特にひとり親世帯の貧困度合いは深刻な傾向にあるとした。

具体的には、狭い劣悪なワンルームに子ども2人と同居するシングルマザーがいたり、住むところが他にないため暴力を受けつつも女性が男性と同居したりするケースもあるという。

「貧困は、住宅政策が突破口になる。働いても働いても苦しんでいる母子家庭は少なくない。怠けているわけではないし、努力が足りていないのではなくて、社会の仕組みが足りていないということだ」

922とはずがたり:2019/06/21(金) 19:55:10
京都・向日市職員の死体遺棄容疑逮捕、市も問題を把握
毎日新聞2019年6月20日 18時37分(最終更新 6月20日 18時41分)
https://mainichi.jp/articles/20190620/k00/00m/040/222000c
京都府
事件・事故・裁判
社会
速報

女性の遺体が入れられていたとみられる冷蔵庫をアパート2階の部屋から運び出す捜査員ら=京都府向日市上植野町で2019年6月12日午後5時25分、添島香苗撮影
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 京都府向日(むこう)市のアパート駐車場で女性の遺体が見つかり、生活保護受給者の男と市の職員が死体遺棄容疑で逮捕された事件で、市は1年以上前から、男が元暴力団員だと話し、職員に威圧的な言動をしていると把握していたことが捜査関係者や市への取材で判明した。上司は複数で訪問させるなどの対応を取ったが、2人が主従関係に陥ったことはつかめず、事件を防げなかった。市は体制の不備などを検証し、再発防止策をまとめる方針だ。

923チバQ:2019/07/10(水) 00:36:09
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/524966/
社会
氷河期世代 遠い「普通」 派遣40歳「私って使い捨て?」
2019/7/7 6:00
西日本新聞 社会面
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福岡県中高年就職支援センターが開いたセミナー。履歴書の書き方や内定のこつを教える講師の話に、参加者が耳を傾けた


 「私って、使い捨てなんでしょうか」

 派遣社員として遊興施設の受付を担ってきた西日本地区の女性(40)から、あなたの特命取材班に落胆の声が届いた。6月下旬に突然、2カ月後の契約打ち切りを告げられた。経営難のあおりで「不要」になったらしい。インターネットで求人情報を探す女性の頭に、20年前の「悪夢」がよみがえってきた。

 女性が短大を卒業し、社会に出た1999年は「就職氷河期」だった。30社以上の採用試験を受けたが、内定にたどり着かない。深く考えずに短大の掲示板にあった求人に応募した。

 どうせ落ちると思っていたら、スーパーの正社員の内定を得た。業務はレジ打ち。入社式でわれに返った。「ここで全く働く気がないのに何やってんだろ」。その日に退社を申し出た。

 次の仕事は、大手化粧品メーカーの有期契約社員。週5日、ドラッグストアで接客し化粧品を売った。手取りは月13万〜14万円。担当する店舗の化粧品販売額を月30万円から200万円に伸ばしても、手当も月収も増えなかった。

 10年余り勤める間に結婚、出産、離婚を経験。退社したのは、小学生になった子を放課後に預かってくれる場所がなかったからだ。

 再び就職活動を余儀なくされた今、40歳の「壁」を実感する。条件に合う求人はなかなかない。その日はネットで10社ほど応募して疲れ果てた。「だめ人間の烙印(らくいん)を押されているみたい。普通に安定した職がほしいだけなのに」

      ■

 バブルが崩壊し、就職難に直面した30代後半〜40代前半は「就職氷河期世代」と呼ばれる。35〜44歳で派遣社員やアルバイトなど非正規で働く人は約371万人。この世代全体の約22%に上る。

 日本総研によると、この世代は正社員であっても解雇されて転職を繰り返したり、昇格ポストが空かずに昇給が抑えられたりしたことで、家庭を持つ世帯主の月収は、上の世代が同年齢だった時と比べ約3万〜5万円少ないという。

 政府は6月に閣議決定した骨太方針で、氷河期世代の支援策を打ち出した。だが、対象は非正規雇用や引きこもり状態にある人で、目標も3年間で正規雇用を30万人増やすにとどまる。就労支援のノウハウを持つ業者に教育訓練を委託したり、運輸や建設など人手不足の団体と連携し、短期間での資格取得を支援するといった内容だ。日本総研の下田裕介・主任研究員は「人手不足への対応として氷河期世代の人たちを労働力に使おうという政府の思惑が透けてみえる。一人一人の実情に寄り添う支援策が必要だ」と指摘する。

      ■

 非正規でビル清掃など二つの仕事を掛け持ちする福岡県内の男性(45)は半ばあきらめ顔だ。「政府に何か期待できるんだろうか」。平日は朝9時から夜10時まで、土曜も日中は働いて手取りは月20万円だ。

 高卒で勤めたアパレルメーカーが福岡から撤退し退職。清掃会社の現場監督として不規則な生活を送っていた29歳で、人間関係に悩んで心を病んだ。両親に退職を告げられず、「働かなければ」と思いつつも、公園や図書館で時間をつぶした。やがて面接も怖くなり、その後の10年間は短期のバイトで食いつないだ。

 同居していた両親の最期をみとり、何かが吹っ切れた。行政の相談窓口を訪れ、清掃の仕事に就いた。

 ただ持病を抱え、「今の働き方がいつまで持つか…」。正社員で働き、家庭を持つ生活はかすんで見える。歯車が一つでも狂うと「普通の暮らし」を送れない社会。そこで苦しんでいる同世代は、自分だけじゃないと思う。

924 チバQ:2019/07/13(土) 22:37:46
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190713-00010000-kyt-soci
少ない年金と「人生100年」 74歳、求職活動の風景

7/13(土) 10:20配信��
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年金を頼りに一人で暮らす女性。老後の安心を実感できない日々が続く(京都府福知山市内)

 また、断られた。「年齢不問って書いてあるのに」。京都府福知山市の女性(74)は電話を切って肩を落とした。求人情報誌で見つけた清掃のパートに応募したが、「その年で立ちっぱなしはしんどいやろう」と門前払い。調理や介護などさまざまな職を探すが、最近は年齢ではじかれてばかりだ。  年金頼みの1人暮らしが続く。2カ月に1度、介護保険料が天引きされると手元に残るのは5万2千円。光熱費の支払いもままならず、近くに住む娘や親類の援助でしのぐが、やり切れない思いが胸に残る。

【写真】葛藤 赤裸々にノート7冊

 30歳のときに夫が自死した。営んでいた飲食店を引き継ぎ、切り盛りしながら2人の子を育てる日々だったが、「国に勢いがあって、地域も人でにぎわっていた。老後はバラ色やと気楽に思ってた」。しかし、50歳手前で体調を崩して店を売却。数年前に両親も見送った。
 家族構成や働き方が変わる間、年金のことは深く気にしなかった。今になって支給額の少なさを疑問に思うが、「どこに何を聞けば良いかも、ややこしくて分からん」。制度の複雑さの前に立ちすくむ。
 年金への不満がくすぶる中、老後資金「2千万円」問題が起きた。金融庁報告書の受け取りを拒否し、「(私自身は)年金受給の記憶がない」とまで言い放った麻生太郎金融担当相の態度に、女性は「人ごとのよう。議員や官僚は国民の生活を知らない」と憤る。テレビで年金問題を目にすると不安がかき立てられるため、チャンネルを変えるようになった。「長生きの家系で、母は97歳まで生きた。でも私は長生きしたいとは思えない」
 暮らしの安心を求める声は世代を問わない。安倍政権は社会保障を高齢者重視から「全世代型」に転換すると打ち出したが、だれもが「人生100年」を不安なく見通せる社会には、ほど遠い。

奨学金を利用すると利子の返済 子どもの未来と重荷と
 滋賀県栗東市の主婦奥村知子さん(42)は昨年、当時高校3年だった長男(19)と電卓をたたいて驚いた。長男が望む柔道整復師の専門学校に通うには、奨学金を利用すると利子の返済を含め550万円必要で、学資保険でためた250万円の倍以上になった。「返せるかな」。話し合いの末、長男は就職を選んだ。「親が借金をしてでも学校に行かせるべきだったか」との思いが頭をよぎった。
 奥村家は5人きょうだい。長男は2010年に導入された高校無償化の恩恵を受けたが、次女(8)と次男(5)の幼稚園費が重なり、夫の収入の半分を教育費に使った。今年10月からは幼児教育・保育無償化が始まる。知子さんは「親の収入による教育格差をなくせる」と政策の流れは歓迎するものの、次男が通う幼稚園は開園日数などの条件で無償化の対象外だ。
 漫画家、パン屋さん、電車の運転手…。子どもたちは口々に夢を語る。「子どもが増えれば喜びも増えるのに、教育費は不安でいっぱい」。おなかにいる6人目の子が成人を迎えるとき、知子さんは還暦を過ぎる。「教育費さえためられないのに、自分たちの老後までとても考えられない」  今を生きる世代だけでなく、未来の担い手にも安心をもたらす給付と負担の姿をどう描くのか。責任ある政治の出番だ。
◇ 参院選では安倍政権の6年半をどう評価するかが問われる。年金や景気、憲法改正や教育…。争点となっている政策課題の現場を訪ねる。

京都新聞

925チバQ:2019/07/18(木) 11:40:03
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019071802000162.html
<参院選>隠れ住む「貸倉庫難民」 非正規労働者「ここは底辺」

2019年7月18日 朝刊


雑居ビル内の貸倉庫。ドアの向こうは2畳ほどのスペースで、人が寝泊まりしている=一部画像処理

写真
 階段を上り、二階のフロアに通じるドアを開けると、狭い通路の両側にドアがずらり。二畳ほどのスペースが薄い板で仕切られている。「グオーン」と空調の鈍い音が響き、踊り場にある共用のトイレや洗い場からはカビの臭いが漂う。

 ここは東京二十三区内にある三階建て雑居ビル。にぎやかな商店街にひっそりたたずみ、「レンタルルーム」や「レンタルスペース」と呼ばれる貸倉庫となっている。

 「非正規労働者が増え、貸倉庫にまで住むようになった」。生活困窮者の支援者からそんな話を聞いた。窓がない、仕切りの素材が燃えやすいなど住居としての建築基準を満たさないが、利用料金の安さから住み着く人が出てきたという。

 夕方、仕事終わりとみられる作業着姿の人や、弁当を手にする人がビルの鍵付きの玄関に吸い込まれていく。運営会社から住むのを禁じられており、利用者の口は一様に重いが、「絶対内緒ですよ」と、二十代の利用者が鍵を開けてくれた。

    ◇

 午後六時すぎ。幾つかの部屋から物音が聞こえる。Tシャツ、短パン姿の中年の男性はリラックスした様子で用を足しに出てきた。

 招き入れてくれた男性によると二十四時間出入りが可能でほとんどの部屋に人が住んでいるという。部屋の中を見ることは拒まれたが、ホームページによると約百室あり、窓がない部屋もある。一部屋の契約額は月三万円程度だ。

 運営会社は「物置」や「休憩室」としての用途を示し、住むことは禁じている。だが利用者にとってはアパートより月の支払いが安く、敷金や礼金もない。毎日、入退室手続きが必要なインターネットカフェに比べても、月単位で借りられ、荷物を置いて仕事に行けるため便利。職場の口コミなどで広がり、住む人が増えているという。

 男性は道路整備のアルバイトで日銭を稼いでいる。「住んで一カ月ぐらいだが、ここは底辺。狭いし、汚いし、早く抜け出したい」と吐き捨てるように言った。

 後日、都内で同じ会社が運営する同種の雑居ビルを訪ね、一階のコインシャワーから出てきた四十代男性に話を聞いた。定職がないため不動産屋からアパート契約を拒まれ、一年前から住んでいるという。今は知り合いの親方の下で建築現場で働き、月の収入は二十数万円。「親方からの仕事がなくなれば、働く場所もなくなる」と、髪を拭いていたタオルで顔を覆った。

 雇い止めされた非正規労働者らが寮などを追われ、インターネットカフェで寝泊まりする「ネットカフェ難民」が、世間に知られるようになって十年以上がたつ。生活困窮者を支援してきた立教大大学院特任准教授の稲葉剛さん(50)は「今はネットカフェだけでなく、貸倉庫やサウナ、二十四時間営業のファストフード店などに居住が広がり、実態が見えづらくなっている」と指摘する。

 安倍晋三首相は、完全失業率が民主党政権下の4%台から2%台に改善したことを「アベノミクス」の成果だと強調しているが、昨年の国の調査では、雇用者のうち四割が非正規だ。

 「団塊世代の大量退職で働き口はあるけれど、労働者は相変わらず低賃金で、雇用も不安定」と稲葉さん。「狭い部屋で寝泊まりすれば体を壊すし、孤立感からうつっぽくなる。生活保護に至る前に、低家賃の公営住宅や家賃補助制度を設けるなどの住居対策が選挙のもっと大きな争点にならないと」と訴えた。

 コインシャワーで出会った四十代男性は「頭が悪いから政治はわからない」と投げやりだが、将来は不安だ。最近、同じ現場で働く高齢者に自分の未来が重なる。「物覚えが悪く、作業も遅い。それでもうちで働けなくなればホームレスになると親方も分かっているから、クビにできない」

 「俺はそうはなりたくないけど、酒や遊びを控えても金はたまらないし、体もきつくなってきた。どうやってこの生活から抜け出せばいいのか」。力なく話し、倉庫への階段を上っていった。 (原田遼)

<生活困窮者の住居> 「オフィス」「倉庫」などとして貸し出され、実際には多人数が寝起きしている建物を、国土交通省は、住居の建築基準を満たさない「違法貸しルーム」と定義。昨年は防火や採光の設備が足りていないとして、全国の都道府県などが1458件の貸主に是正指導した。一方、東京都は2016年度にネットカフェやサウナなど夜通し営業する店舗で実態調査し、住居を失い寝泊まりしている利用者が都内に1日4000人いると推計を出した。

926チバQ:2019/07/26(金) 18:51:46
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190726-00293822-toyo-soci
「高学歴ワーキングプア」39歳独身男性の悲哀
7/26(金) 5:40配信
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

今回紹介するのは「大学教員になってしまったがためのキャリアの断絶もあり、再就職活動に悩んでいます」と編集部にメールをくれた、39歳の男性だ。

■席に着くなり、矢継ぎ早に話を始めた

 都内の有名私大を卒業後、大手銀行に就職したものの、双極性障害の父親のせいで退職に追い込まれたこと。最近まで、大阪の大学で専任講師をしていたが、母親の手術のため、東京に戻らざるをえなかったこと。「知的に遅れのある」兄の行く末が心配だということ。現在は都内の大学で客員教授をしており、月収は15万円足らずであること――。

 マコトさん(39歳、仮名)は喫茶店の席に着くなり、話を始めた。口が付けらないままのアイスティーのグラスが次第に汗ばんでいく。そしてこう言うと、ようやく一息ついた。

 「私のキャリアは家族のせいで失われました」

 珍しいな、と思った。本連載で話を聞かせてくれる人の多くは最初、口が重い。自分はどのように書かれるのか、取材を受けたことが周囲にばれるのではないか――。まずはそうした疑問や不安を口にした後、ようやくぽつりぽつりと自らの人生を語り始める。

 初対面の人間に自らの貧困について話すのだから、慎重になるのは当然のことだ。マコトさんのように、こちらが尋ねる前に、デリケートな家族関係にまで踏み込んだエピソードを、矢継ぎ早にしてくれる人は、多くはない。

 ただ、話を聞くにつれ、マコトさんの話には少なからず“ほころび”も見えてきた。

 新卒時は就職超氷河期時代。そんな中、希望通りの銀行に就職することができた。しかし、同じ頃、会社員だった父親の病状が悪化。突然、英語教室を開くと言ったり、選挙に出ると言い出した。実際に選挙に出馬、落選して供託金を没収されたという。

 双極性障害を患う人の躁状態は、同居する家族にも重い負担をかけるという。実家暮らしだったマコトさんはこのとき、父親の言動が家族に与えた影響について多くを語ろうとしない。ただ、「毎日毎日、狂った人の相手をするんですよ。心身ともに限界でした」。マコトさん自身、朝、突然、出勤できなくなるなど、勤怠に支障をきたすようになったという。

 「会社には『実家を出たいので寮に入れてほしい』と頼んだのですが、『この状況で仕事を続けるのは無理。まずは父親を入院させなさい』と言われました。だから、私は母に入院させようと言ったのに、世間体を気にする母は聞く耳を持ってくれませんでした」

 銀行では、PPPやPFIといった公民連携を進めるための投資業務に携わりたいと思っていたのに、異動で法人営業の担当になった。マコトさんに言わせると、その異動は家族のトラブルの影響を受けたものであり、また、その銀行ではいったん営業畑勤務になると、改めて投資部門に異動できる可能性は低い。結局、5年足らずで銀行を辞めた。

927チバQ:2019/07/26(金) 18:52:03
■前向きとは言えない転職が続いた

 その後、いくつかのシンクタンクなどに勤務。希望通り、地方自治体のコンサルティング業務や、アジア各国の公民連携事業に関わった。雇用形態は正規のことも、非正規のこともあったが、この間、働きながら大学院で経営学の修士号も取得。ただ、いずれも1年から5年で辞めている。それぞれの退職の経緯を、マコトさんは次のように説明する。

 「会社にとってよかれと思って大学院に行ったのに、社内にはよく思わない人もいたみたいでした。ちょうどリーマンショックの影響で会社の業績が悪化して、上司からは『君が辞めればいいんじゃないか』みたいなことを言われて……」

 「(アジア関連の仕事を任されたとき)航空券の手配や、現地での段取りがうまくいかないことがありました。周囲から『力不足』という評価を受けてしまい、次年度の更新は私から辞退しました」

 いずれにしても、前向きなステップアップのための転職とは言えないようだった。

 この後、霞が関官庁の非常勤職員に。それまで、かろうじて500万円前後をキープしてきた年収は、ここで一気に約200万円にダウンした。

 幸い、大阪の大学で任期付き専任講師のポストを見つけることができた。しかし、ここもマコトさんが思い描いていたような職場ではなかったという。

 着任時、学校側から「授業に出ない学生などは呼び出して説得してください。中学や高校の担任と同じだと思ってください」と言われ、耳を疑った。しかし、実際に一向に授業に出てこない学生や、試験でカンニングがばれた後も呼び出しに応じない学生は少なくなかった。そうした学生を捕まえるため、彼らが選択している授業の教室や、アルバイト先まで出向いて待ち伏せするという、およそ大学教員とは思えない仕事に忙殺された。

 「原因は、大学が学生を集めるため、合格水準に達していない学生まで入学させてしまったことです」とマコトさん。同僚との人間関係がうまくいかなかったことや、うつ病と診断されたこともあり、勤続3年目で、東京の実家へと戻った。1年前のことだ。

 あれ?  最初、母の手術のために仕事を辞めて東京に戻ったと言っていなかったか――。私がそう尋ねると、「タイミングがたまたま重なったんです」。

928チバQ:2019/07/26(金) 18:52:28
■目下の心配ごとは「兄の将来」と言うが…

 すでに父親は他界。実家では、母親と兄と同居している。今、マコトさんはこの兄の将来が心配でたまらないという。

 「兄は社会的なことが何もできない。『大人の発達障害』だと思うんです。仕事も、ハローワークで100社応募してやっと決まるという感じ。今のアルバイト先は月収20万円ですが、深夜まで働いても給料が変わらないようなブラック企業です。長く働き続けられるようなところじゃないんですよ。障害者手帳を取るべきだと思って、私が自治体に相談したりしてるのに、やっぱり母は協力的じゃない。家族は私の話を全然聞こうとしない」

 確かに、深夜手当を払わない悪質企業は許すべきではない。ただ、現時点の収入だけを比べたら、マコトさんよりも兄のほうが多いのも、また現実である。

 いずれにしても、現在の月収15万円では、マコトさん自身「どうしようもない」。大学の専任教員になりたいという夢はあるが、博士号がなければ難しいこともわかっている。そう思って、民間企業の転職サイトにも登録をしたが、早々にショックを受けた。

 「提案されるのが、中古車販売店の店長とか、警備員とか、チェーンの飲食店とか、工場内のクリーンルームでの作業とか――。そんな(自身の専門分野とは関係ない)仕事ばかりだったんです。長年、公民連携というテーマを持ってやってきたことを否定されたようで……。現実の厳しさに愕然としました」

 この後、大学での講義があるというマコトさんの予定に合わせ、取材を終えようとしたとき、マコトさんがこうつぶやいた。

 「川崎と練馬の事件以来、突然動悸がしたりして。あまり体調がよくありません」。

 「川崎と練馬の事件」とは、神奈川・川崎市で児童らが殺傷された事件と、東京・練馬区で父親が長男を刺し殺した事件のことだ。これらは、「中高年のひきこもり」が一気に注目を集めるきっかけともなった。

 「ひとごとじゃない。一度失敗すると、次は希望から外れた仕事しかなくなる。家族のために、私なりに考えてやってきたのに、うまくいかないことが重なって……。それなのに、(事件に対する)ネットのコメントを見てると、『努力が足りない』とか『甘えてる』とか、そんなのばかりで、つらい状況に対する理解や思いやりがないと感じます」

 マコトさんのキャリアのつまずきは、もしかすると「家族のせい」ばかりではないかもしれない。ただ、家族に問題があるなら、適切な距離を取るべきだったとか、転職先でもっと頑張るべきだったとか、“外野”が言っても、それは詮ないことだろう。

■再チャレンジ自体がままならない時代の課題

 何より、マコトさんが家族を心配する気持ちは本物だったし、しきりに「家族の問題」を持ち出すのは、マコトさん自身が誰よりも「自己責任」の呪縛にさいなまれていることの表れにも、私には見えた。

 話は少しずれるが、社会的ひきこもりの背景には、家族主義と儒教文化があるといわれる。子どもの面倒は親がみる、老いた親の面倒は子どもがみるといった家族観が、ひきこもりという状況を生み出すのだ、と。

 傾向として、日本と同じく中国や韓国などでも、ひきこもりが社会問題になっているのに対し、欧米では比較的少ないとされるのは、こうした価値観の違いがある。ただ、イギリスやアメリカなどで、若年層の問題がないかというと、そんなことはない。学校を卒業した後は、実家を離れるのが当たり前の社会では、会社などで不適合を起こした若者は「ヤングホームレス」になるしかない。

 ひきこもりか、ホームレスか――。どちらがよいとは簡単にはいえない話である。ただ、いったんつまずいた子どもが家族の元でやり直す機会を得ることができた日本の“システム”は決して悪いものではなかった。

 家族を見捨てられないマコトさん、ひきこもりの子を抱え込もうとする親。再チャレンジ自体がままならない時代、家族を思う気持ちがかえって足かせになっている。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

929チバQ:2019/07/26(金) 18:53:23
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010002-nishinp-bus_all&pos=5
認知症女性、かんぽに月25万円 収入13万円、貯金底つく…「これは犯罪だ」次男怒り
7/26(金) 12:08配信 西日本新聞
認知症女性、かんぽに月25万円 収入13万円、貯金底つく…「これは犯罪だ」次男怒り
女性宅に届いた約38万円の保険料の督促状。もう1枚の督促状と合わせると、請求額は約42万円に上った(写真の一部を加工しています)
 昨年6月、山口県山陽小野田市の女性(71)宅を訪れた親族男性が、郵便受けにあった2通の督促状を見つけた。送り主はかんぽ生命保険。滞納分の保険料約42万円の支払いを求める内容だった。

 女性は軽度の認知症を患い、小学校時代から引きこもりがちだった長男(42)と2人暮らし。親族男性が女性宅を探すと、保険証書が次々と見つかった。2017年5月に一度に5件、その後も契約を繰り返し、1年間で11件の保険に加入させられていた。うち5件は、ほとんど同じ内容の終身保険だった。

 女性の収入は年金など月約13万円。保険によって死亡や入院時の保障が受けられるとはいえ、月額保険料は支払い能力を大幅に超える25万円以上に上っていた。

 「分からない。郵便局の人に任せているから」と女性。通帳を確認すると、1年間で支払った保険料は200万円以上。貯金残高は底をつき、かんぽ生命から保険を担保に75万円の貸し付けまで受けていた。それでもすぐに残高不足に。そして督促状が届いた。

 近くに住む次男(37)は郵便局に抗議したが、担当者は「資産家だと思っていた」と釈明した上で「さらに貸し付けを受ければ、お支払いできますよ」と開き直った。半年間交渉した結果、かんぽ生命は昨年12月にようやく非を認め、全額返金に応じた。

 女性の亡くなった夫は郵便局の配達員だった。「郵便局員が人の財産を奪うようなことをするとは思わなかった。これは犯罪だ」。次男の怒りは今も収まらない。

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西日本新聞社

930とはずがたり:2019/08/11(日) 11:11:06

「貧困は暴力や薬物のせいだから自己責任? 日本を見よ!真面目だけど貧困だらけだ」米国メディアの記事に反響
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190807-00010000-finders-bus_all
8/7(水) 12:03配信
FINDERS

アメリカに蔓延する自己責任論を否定

アメリカの大手金融・経済メディアである『Bloomberg』に掲載されたオピニオン記事が、日本国内で大きな注目を集めている。

タイトルは「Stop Blaming America’s Poor for Their Poverty(アメリカの貧困を自己責任にするな)」。執筆したのは、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の准教授のノア・スミス氏だ。

アメリカの保守派は「人々が一生懸命働き、薬物や暴力に依存しなければ貧困にはならない」と自己責任論を展開するが、スミス氏はこの意見に、日本を例に挙げ異論を唱えた。日本人は真面目であるにも関わらず「日本は貧困な人で溢れている」と訴えた。

日本人の勤勉さを数字で解説

スミス氏はまず世界各国の10万人当たりの殺人件数を比較。アメリカは5.3である一方、日本は0.3。日本は暴力から縁遠い国であることが分かる。

また、日本で薬物の訴追は年間1万3000件に過ぎず、しかもこの内3000件は海外で合法化が進む大麻によるもの。片親の世帯も少なく、シングルマザーは約71万2000人で全世帯の2%未満。一方、アメリカは約850万人だ。就業率も77%以上であり、アメリカを上回っている。

真面目な国民性の日本は貧困率が低いと保守派は考えているかもしれないが、実際は真逆であるとスミス氏。日本は国民所得の中央値の半分未満しか稼げない人の割合、つまり相対貧困率が15.7%もあると指摘。この数字はアメリカ(17.8%)より多少低いものの、カナダ(12.4%)、オーストラリア(12.1%)、ドイツ(10.4%)、と比較するとかなり高い水準だ。

日本の抱える貧困問題がSNS上で話題に

スミス氏は「日本の貧困は静かな問題」と明かす。街を見ると一見清潔だが、貧困で苦しんでいる人が大勢存在していて、全体の約14%にあたる350万人の子供が貧困状態にあると述べた。

また、社会福祉に充てる国内総生産の割合を世界で比較すると、日本はほぼ中央にランクインしているものの、その多くは健康保険制度によるもので、福祉に関して日本はヨーロッパに大きく遅れを取っているという。

スミス氏は「アメリカの高い貧困率に対する解決策は、自己責任や道徳的な誠実さとは関係ないでしょう。アメリカは解決策のアイデアをヨーロッパやオーストラリア、カナダに求めるべきです。強力なセーフティネットに代わるものはありません」と結論づけた。

この記事は日本国内でも大きな話題を呼んでおり、SNS上には「貧困は自己責任じゃない」「日本は一部の富裕層を除いて、貧困国に入りつつあると思い知らされた」「こういう取り上げられ方をされる国になってしまったか」「貧困を根性論で片付けたい人もいますが、根本的な元凶は構造の問題」などの意見が挙がった。

世界第3位の経済大国である日本にとっての貧困問題は、とどのつまり格差社会の問題だ。大企業や高所得者優遇の政策は、問題をさらに深刻化させるだろう。貧困問題は政治が真っ先に対策を講じなければならない問題だ。

岩見旦

931チバQ:2019/09/04(水) 17:31:56
https://toyokeizai.net/articles/-/300119
「生活保護でも幸せ」を訴える33歳女性の半生
必要のない洋服や小物をつい買ってしまった
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中村 淳彦 : ノンフィクションライター
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2019/09/04 5:20

この連載では、女性、とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、「生活保護受給者の30代独身女性です。私も声を上げることで、何かの力になれないかと思い、送らせて頂きました」と編集部にメールをくれた33歳の女性だ。
鬱病の症状が悪化して入院
西田朋美さん(仮名、33歳)からメールをもらって、彼女の住んでいる神奈川県のある駅前にきた。西田さんは2年前から生活保護を受給、この駅から徒歩圏のアパートで一人暮らし。古い木造住宅で、家賃は住宅扶助の上限よりだいぶ安い。月3万8000円という。

「先月、鬱病の症状が悪化して入院をしたんです。死のうと思っていたのに、いろいろ人に助けられ、退院してからすごく元気になりました。先週、新しく仕事も見つかりました。記事を読んでいると、貧困に苦しんでいる女性たちには本当に苦しそう。でも、お金がないからって絶望しなくていいし、大丈夫だよって。そう、伝えたいんです」


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鬱病が悪化して、生活保護になった。この2年間は、月8万円弱の生活扶助で日々の生活をするが、どうしてもお金のやりくりが苦手だった。必要のない洋服や小物などを買ってしまって、お金を使いすぎてしまう。

いつもギリギリだったが、先月、月の半分もいかないうちにお金がなくなった。電車賃すらなくなって、食べるものをなにも買えなくなった。そのとき、絶望感に襲われて強く死にたいと思ったという。

「本当に死のうと思って、さあって直前に就労支援センターに電話したんです。すぐに駆けつけてくれて精神科の病院に連れていってくれた。手首の動脈を切ろうって決意して、切る直前でした。死なないで済みました。あぶなかった。それで入院して退院して、元気になって仕事が見つかった。再来月には生活保護から抜けることができそうです」

笑顔だった。退院後、希望が見えたようだ。生活保護受給になって、生涯、弱者として生きなければならないと絶望していたが、希死念慮をきっかけに就労支援施設のスタッフに支えられた。支えてくれる人の存在を知ることで、「自分は生きてもいい」と思えるようになったという。

死にたくなる希死念慮は鬱病の症状だ。自殺行為をしてしまって、本当に死んでしまう人も多い。西田さんにとって先月の自殺願望は大きな出来事だった。そのときの状況を詳しく聞く。

「お金がなくなって、もう死にたいと思いました。こんな人生いやだ、なんでこんなに苦しいんだ、もう死にたいって。私の人生、いつもお金がないことで苦しくなる。本当に苦しいことばっかりだって思ったんです。子どもの頃から一時期は回復したけど、ずっと病気があって人生が苦しかった。ずっと、自分ばっかりが苦しいって」

死のうと決意して、小さな包丁を持って洗面所にいった。水を出しっぱなしにして、手首の動脈を探して思いっきり切ろうとした。

932チバQ:2019/09/04(水) 17:35:45
就労支援センターにSOSをだした
「いま思いだしても、最初は本気で切ろうと思ってました。でも水がジャージャー流れているのをみながら、ちょっとだけ、いまおかしいんじゃないかって気持ちが芽生えた。いったん思考をストップして、落ち着こうって、就労支援センターに電話したんです」

平日の夕方だった。電話には職員がすぐにでた。西田さんは電話に出た相談員に「いま、死のうと思って包丁を持って洗面所の前にいます」と、そのままの状況を伝えた。

「その相談員さんは、もう、それはあぶないからすぐに病院に行きましょうって。家まで来てくれた。それで、病院に同行してくださった。診察されて、先生から入院したほうがいいって、即入院になりました。対応してくれた相談員さんがたまたま福祉歴が長くて、希死念慮があぶないって知っている方だったんです。本当に死んだ人も何にもいるって言っていました」

希死念慮は本当に死にたいけど、本当は死にたくない複雑な状態という。まだ、1カ月前の出来事なので記憶が鮮明にあった。

「どう死ぬのが一番きれいに死ねるか、みたいなことは鬱病になってから常日頃考えていました。希死念慮がはじまると、いつも手首を切る自分の姿が浮かぶ。浅はかな考えだけど、自殺するなら手首を切るって思っていました。あのときは自分には存在価値がない、そんなことを強く思っていた。だから死にたかった」

西田さんは就労支援センターにSOSをだした。そして、職員の適切な行動によって助かっている。彼女の命をつないだのは、人とのつながりだったといえる。

貧困は経済的貧困だけではない。人間関係を失う状態に陥る「関係性の貧困」がある。関係性の貧困は虐待、不登校、引きこもりなどで、家庭や学校、社会に居場所がない人々が陥りがちだ。経済的な貧困と関係性の貧困が合併すると、深刻な貧困状態に陥って命を失いうこともある。それが現代の貧困である。

彼女は生活保護になっても、通っていた就労支援センターに居場所があった。身近な人に電話でSOSの言葉を伝えただけで、自死を思いとどまり、治療する方向にむかった。

入院中、担当医を筆頭に、看護師やソーシャルワーカー、就労支援センターの職員たちが、状態が悪化した西田さんを支えた。すごく感謝をしていることが伝わる。

「生活保護まで落ちてしまって、ずっと自分には存在価値がないと思っていました。でも、そんな私のためにみんなが一生懸命動いてくれて、考えてくれた。入院しながら自分1人ではない環境があるってことに気づいて、だんだんと考えが変わったんです」

病院では服薬をしながらゆっくりと過ごした。彼女は就労支援センターでは最も優秀な利用者のようで、退院して就職活動を勧められた。先日、面接があり、ある企業の障がい者枠で採用が決まった。

933チバQ:2019/09/04(水) 17:36:04
10歳のときに両親は離婚
いま、駅前のカラオケボックスで話を聞いている。両隣から学校帰りの高校生たちが盛り上がる声が漏れてくる。テンションが高い。ここだけでなく、駅前や駅ビルには髪の毛をブリーチして化粧、短いスカートの女子高生がたくさんいた。男子も髪型を決め、制服を着崩している。東京から電車で1時間ほど、若者たちの雰囲気は東京とはまったく違った。

西田さんは子どもの頃から、この街で育っている。母親も近くに住んでいる。「子どもの頃から人生が苦しかった」という。10歳のときに両親は離婚。シングル家庭になって、母親は離婚をきっかけに福祉の仕事をはじめた。現在はケアマネジャーを統括しているという。

「離婚後、小児不安神経症になってしまったんです。母親から離れることができなくなって、仕事を休ませたりしていました。ある日、母親が怒った。ちょっと来いって大きな声で呼ばれて、アイロンを持って私の腰を焼こうとしたことがあった。泣いて家を飛びだして、お友達のお母さんの家に逃げました。母親がちょっとでも離れると、もうそれだけで不安でパニックになるっていう。母親は、本当に迷惑だったと思います」

小児不安神経症とは「子どもが親と離れ離れになることを極度におそれる」疾患で、家のなかでは母親に四六時中ついて歩き、トイレまでついて行ったという。朝、仕事にでようとすると泣いて暴れた。小学校にも行けなくなり、不登校になった。

「学校に問題はなかったけど、大人がいる場所にいたかった。大人が近くにいないと不安になる。学校に行くのもこわくて、不安になってしまう。だから保健室に行って、保健の先生に甘えてたというか。小学校5年、6年は不登校。よく覚えているのは、駐車場で母親だけ買い物に行って、不安になってしまって窓開けて『お母さん! 』って大きな声で何度も何度も呼んだ。それは記憶に残っています。結局、児童養護施設に行くことになりました」

児童養護施設には職員がたくさんいる。不安になる症状はおさまった。高校時代に自宅に戻って、学校にも普通に通学した。無事に卒業した。医療系の専門学校に進学、学費はすべて奨学金を借りた。借りたお金は元金だけで600万円を超えた。

児童養護施設以降は平穏な日常を送っていたが、再び問題が起こったのは専門学校に進学し、スナックでアルバイトをはじめてから。時給1800円で週5日働き、月10万円ほどを稼ぐようになった。

「自分で働くようになってから金銭感覚が崩れました。必要なお金は払ってたけど、お洋服を買うようになったんです。服をすごく買うようになった。貯めたりとかすることなく、全部使う。1万円前後の服をバンバン買って、お金のことはまだ苦しんでいます」

働いたお金を全部使ってしまうのは誰でもある一般的なことだが、本当に苦しんでいるようだ。専門学校を卒業していくつかの仕事を転々として、アパレルメーカーで働くようになって再び買い物に拍車がかかった。

雇用はずっと非正規で、どんな仕事をしても月15万円程の収入しか得ることができない。クレジットカードを使うようになって、奨学金の返済と洋服の買い物で少しずつ赤字家計になった。つねに借金を抱えていたが、アパレルメーカーで社員割引など購買意欲をそそられる環境になって破綻までいく。

934チバQ:2019/09/04(水) 17:36:27
1年間で100万円以上の借金をつくった
「店員は服をいくらか買わなきゃいけなくて、また洋服を買う日々がはじまりました。本格的におかしくなったのはそこから、1年間くらいで100万円以上の借金をつくって、夜スナックとかでバイトしていても追いつかなくなった。母親にバレて、そのときは母親が借金を全部払ってくれました」

借金を肩代わりした母親に徹底的に怒られたが、それでも買い物癖は治らなかった。


クレジットカードで200万円くらいの借金を作っていしまい、自己破産をした(編集部撮影)
「またクレジットカードで200万円くらいの借金を作ってしまって自己破産です。アパレルの後にチェーン系の飲食店で働いたんですけど、連日の長時間労働で重い鬱病になってしまって、カラダが動かなくなった。収入がなくなって、もうどうにもならなくなって2年前に自己破産して生活保護です」

就労支援センターは精神障害や発達障害をなどを抱えている者が、さまざまなとレーニングを受けながら就労を目指す通所施設である。挨拶からビジネスマナー、接客、文書作成、パソコンなどのトレーニングメニューがある。障害の重さはそれぞれなので通所して自主的に学ばなければならない。

「週6日、毎日通ってSSTというソーシャルスキルトレーニングやエクセルの勉強をしました。3カ月前に一度企業に就職できたのですけど、上司にイジメられて辞めました。3週間くらいしか続かなくて、そのストレスでまた鬱病の状態が悪くなって希死念慮が再発した。お金もうまく管理できなくて、どうしても余計な買い物をしてしまう。先月はスピリチュアル系の指輪を買ってしまって、まあ5000円くらいですけど。それで月半ばまでお金がもたなかった。それで自殺しようみたいな感じになってしまいました」

生活保護は8万円弱の生活扶助に家賃補助、就労支援センターへの支払いは教育扶助がでている。8万円弱の金額で光熱費、通信費、衣料、食費などを賄わなければならない。最低限度の生活ができる金額であり、無駄使いをしてしまうと、最低限の生活もできなくなる。

生活保護だと1000円、2000円の無駄使いがダメージが大きく、彼女のように命を捨てようとまで発展してしまうこともあるのだ。

最も問題視されたのは「お金使い」
最も問題視されたのは「お金使い」だった。先日、就労支援センターのセンター長、病院に同行した相談員、生活支援センターのソーシャルワーカー、それに西田さんが集まってカンファレンスが行われた。


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「月のお金の用途をすべて書きだして、1つひとつを検証するみたいなことをしました。携帯を格安に変えようとか、コンビニ弁当ではなく自炊とか。モバイルWi-Fiは解約するとか。それと2000円以上の物を買うときは、必ず誰かに報告して許可をもらうとか。いろいろ心配してくれて、助言してもらって、私はまだ生きていていいんだって前向きな気持ちになれました。自己肯定感がでた、というか」

彼女は貧困で苦しむ女性に、諦めないで誰かに頼れば救われることもある、ということを伝えたがっていた。

「就労支援センターの方々に支援をされたことで、お金があろうとなかろうと、生きていればそれでいいのかな。そう思えるようになりました」

洋服の物欲はなくなった。あとは細かい無駄使いをなくすだけ。就職も決まって、もう少しで生活保護から抜けて普通の生活ができる。生きていいと気持ちがポジティブになってから、日々が充実しているようだった。

935チバQ:2019/09/04(水) 18:15:32
https://toyokeizai.net/articles/-/295722
パワハラですべてを奪われた56歳男性の絶望
子会社へ転籍を命じられ、年収は200万円に
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藤田 和恵 : ジャーナリスト
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2019/08/08 5:30

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「以前より、この記事に取材していただいたら?と提案していた友人が、昨年12月に貧困とパワハラの果てに脳出血を発症して重度の障害者となってしまいました」と、友人の女性が編集部にメールをくれた、56歳の男性だ。
こわばった右手を、一回り小さな掌が包み込む。むくんだ指を1本1本もみほぐしていく。都内の、あるリハビリ病院の一室。右手の主である男性が「あーっ!」と声を上げると、マッサージをしている女性が「痛かった? ごめんね」と語りかける。

親しげな2人の様子は、父娘にも、恋人同士にも見えた。

会社にも社会にも居場所を失った
「友人が昨年12月、貧困とパワハラの果てに脳出血を起こして重度の障害者になってしまいました」


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編集部にこんなメールをくれたのは、会社員のミノリさん(39歳、仮名)。20年来の友人で、IT関連会社のシステムエンジニアだったマキオさん(56歳、仮名)は脳出血により、右半身麻痺や失語症などの後遺症が残り、今も会話が難しい状態だという。大病を患った友人が会社にも、社会にも居場所を失った顛末を、ミノリさんが代わって語ってくれた。

「理不尽だ。労働組合なんて、組合費だけ取って、何にもしてくれない」

いつもミノリさんの愚痴を聞いてくれるマキオさんが、仕事への不満を口にするようになったのは、2005年頃。関連子会社への一方的な転籍を命じられたことがきっかけだった。これにより、月数回の夜勤など業務内容は変わらないのに、600万円ほどあった年収は50万円以上ダウンしたという。

長引く不況の影響もあったのか、転籍後も、収入は右肩下がりの一途。そして、マキオさんは40代半ばで大動脈解離を発症する。さいわい、2カ月足らずで職場復帰できたものの、50歳を過ぎたとき、1度目の脳出血に見舞われた。このときは目立った後遺症はなかったが、会社側の産業医の復職許可が下りず、1年間の休職を余儀なくされたという。

ストレスを受けると、飲食が不規則になる傾向があったマキオさんは、ピーク時で体重が100キロほどあった。休職中は、日々の食事やリハビリ内容を事細かく上司にメールで報告するよう、求められていたという。

ミノリさんは「(会社からマキオさんへの)メールには『起きて行動している間の内容はすべて記載するように』と書かれていました。それに、何かとケチをつけては、報告のやり直しを命じていました」と話す。

あわよくば、このまま退職に追い込みたい――。ミノリさんには、会社側のそんな思惑が透けてみえたという。

936チバQ:2019/09/04(水) 18:15:50
復職したものの年収は200万円に落ち込んだ
なんとか復職を果たしたものの、配属先はマキオさんの専門とは無縁の庶務部門。実際の仕事はトイレットペーパーの補充やポットの給水、郵便物の発送といった雑用だった。400万円近くまで減っていた年収は、夜勤がなくなったことで、さらに200万円に落ち込んだ。

この間、マキオさんは出費を抑えるため、より安い賃貸アパートへの引っ越しを繰り返し、もともと7万5000円だった家賃を、最終的には6万3000円に切り詰めた。それでも、通院費用や薬代がかさんでいたようで、アパートの更新料の支払いや、定期券の購入など物入りの月は、ミノリさんからお金を借りることもあったという。

何より負担だったのは、配属先の職場が自宅から片道2時間もかかる場所にあったこと。病気で体力が落ちていたマキオさんにとって、往復4時間の通勤は相当にこたえた。ミノリさんはこの頃、マキオさんが「体がしんどい。会社は『もっと職場に近いところに引っ越せばいい』と言うんだけど、『引っ越し代は出るんですか?』と聞いたら、『それは出せない』って……」と途方に暮れていたように話していたことを覚えている。

そして、昨年暮れ、2度目の脳出血――。会社からは、病院で付き添うミノリさんの元に、同僚が1人、マキオさんの入館証の回収に訪れたきり。その後の休職手続きなどは、人事部と書類をやり取りするだけで、上司や同僚が見舞いに来ることはなかったという。

「比較的大きな会社なので、通勤時間がもっと短くてすむ職場はあったはずです。針のむしろのような職場に、どんな思いで通っていたのかと思うと……」。なんらかの配慮があれば、2度目の脳出血は防げたのではないか――。そんな思いがぬぐえないという。

ミノリさんは取材のために、マキオさんが元気だった頃の写真や、日記帳代わりにしていた大学ノート、給与明細、業務に関する書類などを持参してくれた。いずれも、マキオさんが倒れた後、自宅を整理していたときに見つけたものだという。

マキオさんが就職したのは、バブル景気真っただ中。ミノリさんが、健康的に日焼けした男性の写真を示しながら、「若い頃のマキオさんです。社員旅行で行ったグアムでスキューバダイビングをしたときのもので、費用はすべて会社持ちだったそうです」と説明する。

超氷河期時代に就職活動を強いられ、派遣社員として働くしか選択肢のなかったミノリさんにとって、会社が費用負担をしての海外旅行など、まるで別世界の出来事だった。マキオさんの旅先での写真は、このほかにもたくさんあったが、家計が厳しくなるにつれて減っていき、ここ10年はほとんどなかったという。

ショックだったのは、大学ノートに走り書きのような文字で「元に戻りたい」「不安」「プレッシャー」などと書かれているのを見つけたとき。「休職していたときのものだと思います。このころは、(上司らによる)面談の後、『能力不足だと言われた』『いつ復職できるのか、教えてくれない』と不安がっていましたから」。

また、給与明細や、賃貸アパートの契約書に設けられた年収欄の記載を年代順に眺めると、年収が次第に下がっていく様子が一目瞭然。直近の預金通帳を見ると、毎月振り込まれる給料はわずか15万円ほどで、さらにクレジットカードのキャッシングなどによる借金が200万円ほどあることもわかったという。

ミノリさんは「(脳出血で倒れてからは)夜勤のない職場になったとはいえ、あまりにも安すぎると思いませんか」と憤る。

マキオさんの意識が戻って以後、ミノリさんはほとんど毎日、会社帰りに病院を訪れ、リハビリを手伝ってきた。手指をマッサージしたり、一緒に童謡を歌ったり。最近は「ありがとう」などの言葉を発することができるようになったほか、箸を使って食事ができるようになったという。

937名無しさん:2019/09/04(水) 18:16:04
両親によって地方都市の施設へ転院
話を聞きながら、私が最も気になったこと。それは、マキオさんとミノリさんの関係だった。2人は20年ほど前、SNSを通じて知り合った。悩みを打ち明け合ったり、一緒にコンサートに行ったり。多くの時間を共にしたかけがえのない存在だが、恋人ではないという。

自分の両親との関係がうまくいっていないミノリさんにとって、17歳年上のマキオさんは「幼い頃に甘えられなかった父親のような存在」。出会った当時は、マキオさんがミノリさんを無条件に甘やかすことで「育て直し」をしてくれ、そして今は、ミノリさんがマキオさんを「赤ちゃんを育てるように」看病しているのだという。

ミノリさんは、あえて表現するなら2人は「大親友」だという。ユニークではあるが、そんな関係があってもいい。ただ、それは法制度の下では、はかなすぎる絆でもあった。

7月はじめ、マキオさんは、両親によって実家がある地方都市の施設へと転院させられた。リハビリ施設も豊富で、何よりミノリさんが毎日、看病できる東京のほうが、回復が見込めるというミノリさんの主張と、早く地元に連れ帰りたいというマキオさんの両親の主張は平行線のまま。両親は意見がかみ合わないミノリさんを敬遠したのか、最後は、転院の日取りすら教えてもらえなかったという。

リハビリの付き添いという日課がなくなってから10日あまりが過ぎた7月20日、参院選の選挙戦最終日。ミノリさんはふいに思い立ち、「れいわ新選組」の演説会に足を運んだ。同党が比例代表で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者である舩後靖彦さんと、脳性マヒで重い障害のある木村英子さんを擁立したことに興味があったという。

ミノリさんはこのときの光景をこう語る。「(演説後)ほとんどの人は、微動だにしない舩後さんをスルーして、山本さん(山本太郎代表)や、健常者であるほかの候補者のところに集まっていきました。中には、舩後さんの足元にぶつかりながら通り過ぎていく人もいて。すぐに山本さんが気がついて、スタッフに舩後さんの足元をガードするように指示してましたけど……」。

ミノリさんは「重い障害のある人が国会に行く。それだけですばらしいことだと思っています」とも言う。一方で、自分の大切な友人は障害を負ったことで、やりがいも、生きがいも奪われた。

もしかすると、人々が舩後さんを「スルーした」のはほんの一瞬のことだったのかもしれない。それなのに、その光景ばかりがやけに脳裏に浮かぶ。そして、会社からも、同僚からも、まぎれもなく冷たくスルーされた、友人の無念を思わずにはいられない。

938名無しさん:2019/09/04(水) 18:16:47
https://toyokeizai.net/articles/-/282822
12年勤続のアルバイト男性が笑顔を見せるワケ
発達障害で人間関係ではつまずいてばかり
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藤田 和恵 : ジャーナリスト
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2019/05/30 5:10

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「僕は高い能力がないので低収入です。大学の初任給が20万円を超えてましたが、年齢の割には一般よりずっと低いです」と編集部にメールをくれた、36歳の独身男性だ。
「どうして彼は生活保護と障害年金(の両方)をもらえるのか?」「(一般枠で採用された会社で働けないなら)障害者雇用枠のところで働け、と言いたいです」――。

コウタさん(36歳、仮名)は、以前、本連載に登場した、ある男性を批判するメールを編集部に送ってきた。この男性はアスペルガー症候群。子ども時代からいじめに遭い、働き始めてからも人間関係がうまくいかず、当時は生活保護と障害年金で生計を立てていた。

一方のコウタさんは20歳代のころに自閉症スペクトラムと診断。同じくいじめられた経験がある。正規雇用の仕事に就くことができず、現在は月収約19万円のアルバイトをしており、このままでは十分な貯金も、1人暮らしも無理だという。

理不尽な生きづらさを抱えている人が、なぜ、同じような生きづらさを抱えていている人をバッシングするのか――。本人に聞きたいと思い、取材を申し込んだ。

「暗黙のルール」がわからない
取材相手とは普通、数回メールをやり取りして日時と場所を決める。ところが、コウタさんからは取材前、10本近いメールが送られてきた。ほとんどが長文だが、論理的。中には、自らの生い立ちや仕事への不満だけでなく、好きなタレントの話や、待ち合わせのときの目印になるようにと、鞄に着けているマスコットの特徴などが書きつづられていた。


この連載の一覧はこちら
初対面の相手に対する独特の距離感の近さは、発達障害の特徴の1つである。私は面食らいながらも、懸念していたような攻撃的な人ではなさそうだと思い、ホッとした。

実際に会ったコウタさんも人懐っこく、話好きな印象。「大人の発達障害」と言われる人たちの多くが言うように、コウタさんも「(周囲の人間の)本音と建前がわからない」「『空気が読めない』と言われる」「暗黙のルールを察することができない」と言う。

小さいころから、私物を隠されたり、無視されたりするなどの陰湿ないじめを受け続けた。中学では、仲のよい者同士で集まって弁当を食べる習慣があったが、コウタさんはどのグループにも入れてもらえなかったという。「子ども時代にいい思い出はないです」。

専門学校を卒業しても、正社員になることはかなわなかった。やむを得ず、いくつかの会社でアルバイトをしたが、いずれも時給は最低賃金水準。雇い止めに遭ったこともある。

社会人になってからも、人間関係ではつまずいてばかりだという。

友人の長話に付き合ったことについて、SNSに「本当は早く家に帰りたかった」と書いたところ、後日、その友人から「直接言えばいいだろ」となじられた。友人らと食事をした帰り際に「また会おうね」と言われたので、具体的な日時を決めようとしたら、引かれた。女友達にLINEで「貧乳だね」と言ったら、ブロックされた――など。


穏やかな様子で取材に応じてくれたコウタさん(筆者撮影)
自分がされたら嫌なことをしなければいいのでは――。私がそう言うと、コウタさんは同じことをされても、自分は必ずしも不快ではない、という。確かに、コウタさんはいじめや雇い止めの経験を話すときも、どこか穏やかで、時に笑みさえ浮かべていた。よくも悪くも根に持つことがないのか。ただ「ほかの人にとって何が嫌なのか、ピンとこない」。

コウタさんは自らに言い聞かせるように「『またね』は『バイバイ』と同じ、ただのあいさつ。女性に外見のことを言ってはダメ」と話す。失敗のたび、学ぼうとしているのだ。

939名無しさん:2019/09/04(水) 18:17:02
仕事でも発達障害が妨げに
現在は、大型スーパーの物流倉庫内の作業を請け負う会社で働いている。細かいミスを繰り返し、上司からはたびたび「発達障害を言い訳にするな」「できないなら努力しろ」と叱責される。

例えば、荷物を搬送するベルトコンベヤーが停止してしまったときの対応が、コウタさんは苦手だという。コウタさんによると「(停止の原因になっている)荷物を取り除くとき、中でもある程度の重さのある荷物を選んで動かさなくてはならないのですが、その重さの目安がわからない」。軽すぎると、ベルトコンベヤーが正常に動かなかったり、最悪、荷物がつぶれるなどのトラブルにつながってしまう。

「何キロ以上という具体的な決まりがあれば、ちゃんとできると思うんです。でも、上司は『長年やっているんだから、わかるだろう』と。臨機応変な判断が苦手という発達障害の特徴を伝えているのに、配慮をしてくれません」

結局、ベルトコンベヤーの担当を外され、ピッキング作業に回された。
コウタさんはすでに勤続12年だが、この間、時給は下がったことはあっても、上がったことはない。

当初、時給は1000円だったが、大型スーパーが委託先を別の会社に切り替えたとき、コウタさんら従業員もその別会社に移籍、同時に時給が900円台に下げられた。下請け会社がより安い委託料で業務を受注し、労働者の雇用ごと居ぬきで引き継ぐ代わりに賃金をカットするのは、下請け現場の悪しき構図の1つでもある。

その後、しばらくして時給は1000円に戻ったが、再び900円台に。ミスが原因だと思う、という。いずれも事実上の「一方的な労働条件の切り下げ」である。労働契約法で規制された行為だが、いつ雇い止めされるかわからないコウタさんにしてみると、従うしかない。

940名無しさん:2019/09/04(水) 18:17:20
糖尿病が仕事の効率を悪化させる
また、コウタさんは1型糖尿病患者でもある。生活習慣と関連がある2型と異なり、自らの免疫が誤って膵臓を攻撃することで、インスリンが正常に作られない。1日4、5回、インスリン注射の必要があり、医師からは食間を4時間空けるよう言われているが、職場では、荷物の到着時刻に合わせて食事を早めにとるよう指示されることがたびたびある。さらに「怖がる人がいる」との理由で注射はトイレで打つよう命じられているという。

「(食間が短いと)高血糖状態が続くので、ボーッとします。注射のたびにトイレに行くのでその分、休憩時間も短くなります」

ミスが多いことはコウタさんも認めている。一方で、判断に迷ったときは、同僚や上司に確認するなど、彼なりに努力もしている。コウタさんは「優秀な人材」ではないかもしれないが、10年以上勤めても、貯金も、1人暮らしもできない賃金水準に据え置くのは、「障害者は生かさず殺さずでいい」と言わんばかりの処遇なのではないか。

ただ、コウタさんの主張で、1つだけ共感できなかったことがある。

ピッキング作業では、毎日荷物の取り扱い個数が違う。多い日はスピードを上げなければならないが、コウタさんはそのペース配分がわからないという。作業は数人1組で行い、コウタさんは最初にベルトコンベヤーに荷物を投入する係。荷物が多い日も、いつものペースで仕事をしていると、その先で待ち受ける同僚らからもっと急げと、文句を言われる。

私が、持ち場を交代すればいいのではと言うと、「荷物の投入作業は運動代わりにもなり、血糖値が下がるので、交代はしたくない」と訴える。さらに「同僚は、僕が糖尿病だって知ってます。なのに、『仕事は、あなたの血糖値を下げるためにあるわけじゃない』と言うんです」と続ける。私が、さすがにそれは同僚が正しいと思うと言うと、「うーん、そうでしょうか」と黙ってしまった。表情から納得してないのがわかる。

子ども時代に発達障害の専門支援を受ける機会を逸したコウタさんが、周囲の人たちの心情を忖度することは容易ではないのかもしれない。悪気があるわけでも、身勝手なわけでもないが、一緒に働く人もまたストレスを感じているだろう。

途中、気になっていたことを聞いてみた。なぜ、同じ発達障害の人を批判するのか――。

すると、コウタさんは、かつて本連載に登場した男性が生活保護を利用したうえで、さらに障害年金も受給している、つまり二重取りをしていると思い込んでいたことがわかった。また、生活保護は住む場所がない人が利用する制度だという誤解もしていた。

私が、生活保護は地域などによって金額の上限は決まっており、その男性は障害年金を受給し、足りない分を生活保護で補っていたことや、生活保護後は原則定住者しか利用できないことを説明すると、あっさりと納得した。コウタさんは2年前に障害年金の支給を打ち切られた。理由はわからない。そのことも「不公平感」に拍車をかけていたという。

結局、批判は「無知」や「誤解」によるものだった。ただ、「知らないこと」はすべての局面で、免罪符たりえるのか。コウタさんは、勤務先についてこんな話もしていた。

「あるとき、親に『有給休暇はないのか』と聞かれ、初めて有休というものを知りました。今の会社はブラックなので、そんなこと、一度も説明してくれたことがありません」

941とはずがたり:2019/09/06(金) 08:14:12
2018年10月2日 / 11:51 / 7時間前更新
*コラム:イタリア政府予算の「落とし穴」
https://blog.goo.ne.jp/amane-87saki/e/e86a5c96c42a0bc172a5cd9b1fb76965

942チバQ:2019/10/11(金) 10:11:00
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190929-00000004-moneypost-bus_all
ロスジェネ世代の貧困事情、40代ゲイ男性・ダイスケさんの場合
9/29(日) 16:00配信マネーポストWEB
ロスジェネ世代の貧困事情、40代ゲイ男性・ダイスケさんの場合
貧困を感じる時とは…
「ロストジェネレーション」と呼ばれる、就職氷河期世代(現在30代後半〜40代前半)の貧困が指摘されている。非正規雇用でなんとか食いつないでいるが、将来の展望が見えてこない──40代前半の男性・ダイスケさん(仮名)もその一人だ。ダイスケさんの場合、ゲイであることが「日々のむなしさに拍車をかけていると感じる」という。

 アメリカのデータだが、「全米家族調査」によると、異性愛女性の貧困率は21.1%、異性愛男性が15.3%であるのに対し、レズビアンは22.7%、ゲイは20.5%と、同性愛者のほうが若干貧困率が高くなっている。アメリカでは特に、いわれなき差別に遭いやすい地元を飛び出し、職がないまま都市部に流れ込む若年層の同性愛者が多いという事情もあるだろう。

 日本ではアメリカほどの事態は起きていないかもしれない。性的指向によって差別されることはあってはならないが、日本でも現実には、レズビアンにも、ゲイにも、相対的に余裕のない生活をしている人たちはいる。

 ダイスケさんは、年収約120万円とされる「貧困ライン」よりは少し上だが、年収は同年代平均の半分未満だ。

「とりあえず生活には困っていません」
 その日は彼の休日だった。カゴに溜まった洗濯物を持って、アパートの前にあるコインランドリーに向かう。

 ダイスケさんは渋谷区のはずれに住んでいる。家賃5万円のワンルームで、洗濯機置き場がない。ここには20歳頃から住み始め、もうすぐ25年経つ。

「引っ越すのが面倒というのもあるけど、引越代を工面するのが難しくて」

 古着が好きでよく買いに行く。オシャレな見た目で、そこそこモテるようだ。部屋の中もよく整理されていた。

「古い家のわりには小ぎれいでしょ? 家で友だちと飲むこともよくあるからね」

 そう言いながら、少し照れたように自分の坊主頭をなで回した。頭は自分で刈っているらしい。

 部屋にはテレビと大きめのコンポが1台ずつ。電気は床置きの間接照明のみだ。ユニットバスではシャワーを浴びる程度で、湯船に浸かりたいときは銭湯に行く。ひと口の電熱線コンロしかないので、自炊はあまりせず、夕食は牛丼屋やコンビニで買っている。

 台所に、巨大なプラスチックの容器が積まれていた。

「輸入ものの安いプロテイン。5kgで1万円弱」

 体はかなりデカい。トレーナーの上からでも筋肉の太さがわかるほどだ。ジムに行くのが日課で、用事がない限りは毎日足を向ける。東京都内に複数ある、月額1万円弱の24時間ジムだ。ほかに趣味もないし、やることもないから、と力なく笑った。

 ダイスケさんは、就職氷河期真っただ中に大学を卒業し、就職戦線で「敗北」して正社員になることができなかった。派遣社員や契約社員をわたり歩いて、気づけば40代になっていた。30代まではそれでもいくつか正社員の口を探していたが、いまや諦めの言葉ばかりが脳裏をかすめている。

 いまは、コールセンターの契約社員として雇われている。給料は手取りで17万円ほど、ボーナスはない。

「ぜいたくはできないけど、とりあえず生活には困っていないです」

943チバQ:2019/10/11(金) 10:11:14
「友だちの誘いは断りたくない」
 職場の同僚は20代の若者や女性が多く、話も合わないので、特に仲良くはしていない。

 40代の男が独身だと、ゲイなのかと執拗に勘ぐってくる人もいて面倒くさい。必要以上に体を鍛えていることを、ネタにされるのも嫌だ。そうした事情もあって、事務的な会話以外はしないようにしていた。

 ジムに行っても誰ともしゃべらず、黙々とトレーニングする。ゲイの出会い系アプリにメッセージが来て、帰りがけに会うこともあるが、ほとんど「処理」感覚だ。

 もう何年も恋人はいない。そもそも恋愛したいという気持ちになれない。だから、毎日のようにメールや電話のやり取りをする相手はいない。

「年下が好きなんだけど、ほかの40代より稼いでいないし、恋人との時間ってなんだかんだお金かかるから」

 そう言いながら、出会い系アプリの通知を消した。

 ストレスが溜まると、くだらない話をしたくなる。そういう時は、同じくゲイの友だちと居酒屋に飲みに行く。だいたい週1回程度だ。

「同世代でつるみます。そのせいかわからないけど、学生が行くような安い居酒屋にはみんな行かないんですよね。1人5000円はします」

 そのあとはもれなくゲイバーに寄る。そんなこんなで、ひと晩で1万円使ってしまうこともあるようだ。

「ほんとにつまんないことだと思うんですけど、安いところに行こうよとか、今日はバーに行かないで帰るとか、言いづらいんですよね。見栄っていうか。みんなと同じ土俵で生きている感覚でいたいっていうか」

 今月は少し金銭的に厳しいと感じても、誘われたら断れない。断りたくない。生活が苦しくなることはもちろんわかっている。ゲイバーで飲んでいるときは楽しいが、生産的な時間ではない。翌日、むなしさが襲ってくる時がある。

「居酒屋で自分がクレジットカード払いにして、その場をしのぐこともあります。その月は生活費が赤字ですよね」

背くらべからおりられない
 つい周りを気にしてしまうのは、居酒屋での支払いだけではない。

 同じ年代の友だちのなかには、都心の分譲マンションを購入していたり、広い部屋で彼氏と同棲していたりといった人もいる。まとまった休みには海外旅行をし、ブランド物の「かわいい」服を自由に買っている人を見て、うらやましくも思う。

「楽器をやっている友だちとか、カメラが趣味の人とかもいて、いいなあとは思うんですけど。どれもだいたい初期投資にお金かかるし、自分には無理ですね」

 自分の年齢から新しく趣味を始めるのにも、どこかハードルを感じる。「きらきら」とした周囲の生活に憧れ、嫉妬する自分がいる。くらべるものが無いのに、一生懸命背くらべしようとしてしまう。

「なんとなく生きてこられちゃった。でも、趣味もないし、このまま独りで大丈夫かなって漠然と考えることは増えた」

 ダイスケさんの友人に、急病で倒れて思うように動けなくなった人がいる。生活状態が悪くなり、実家に戻らざるを得なかった。何かがきっかけで仕事ができなくなったら、今の生活すら維持できなくなる怖さを感じた。

「自分の生き方のことでケンカしてから、何年も親とは疎遠。実家を頼ることはできない。不安が止まらない夜は、パタッと倒れて死ねたら楽になれるかなと思う」

 笑いながら言う彼の手は、固く握られていた。

◆取材・文/石田翼(ライター)

944チバQ:2019/10/21(月) 11:19:18
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191021-01611848-sspa-soci
マクドナルド難民になった40代、年収は頑張って110万円。求人はブラック企業ばかり…
10/21(月) 8:54配信週刊SPA!
マクドナルド難民になった40代、年収は頑張って110万円。求人はブラック企業ばかり…
ブラック企業を渡り歩き、中年マクドナルド難民に…平田正治さん(仮名・43歳)
 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円程度の人たちは、過酷な環境下でどのように過ごしているのか。今回は年齢とともに過酷さが増す中高年に注目。社会から見捨てられた漂流者たちのリアルを取材した。

リアル天気の子の末路は中年マクドナルド難民
 世の中に報われない努力があるのは事実だ。しかし、貧しい生活を強いられる状況は「努力不足による自己責任」と言い切れるのだろうか。日雇い労働などの不安定な雇用と低賃金を理由に、本来なら寝泊まりが禁止される貸倉庫やゴミ屋敷化したネットカフェに住む人々の存在を報じ、読者から「貧困は自己責任」、「役所を頼れ」といった厳しい声が多数寄せられるなど、多くの反響を呼んだ。

 貧困問題について年間500件の相談を受ける社会福祉士の藤田孝典氏は、雇用の質の低下が漂流に繫がっているとも話す。

「中高年の貧困者の多くは、職を失う恐怖があることから仕事に対してまじめな人が多い。しかし、有効な求人票はブラック企業ばかりなので、職場環境に耐えきれず、うつ病を発症したことで難民化するケースは数え切れません」

 大ヒット映画「天気の子」でも、主人公がネットカフェやマクドナルドを漂流するシーンが描かれていた。平田正治さん(仮名・43歳)は、運命の女性と出会わなかった場合の主人公の20年後か……。平田さんは専門学校卒業後、契約社員として複数のブラック企業を渡り歩いた。4年前、ついにうつ病を発症。現在、昼は派遣バイトで働き、夜はマクドナルドで寝泊まりしている。

=====

<平田正治さんの漂流年表>

20歳 専門学校卒業後、契約社員に

25歳 初めての転職を経験

26歳 ブラック企業を渡り歩く

38歳 パワハラが原因でうつ病に

40歳 シェアハウスに移り住む

42歳 マクドナルド難民を始める

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 マクドナルド難民といえば、’06年頃にコーヒー1杯で24時間営業の店で朝まで過ごす生活困窮者が増えたことで社会問題化したが、まだ根深い問題として残り続けているのだ。

「年収は頑張って110万円ぐらい。深夜の日雇い仕事を入れたいけど、ない場合は24時間営業の店で100円バーガーと水だけで過ごす。初めの頃は渋谷センター街にいたんだけど、早朝に『大丈夫ですか?』と声をかけてくるボランティアが苦手で……」

 そこで下北沢のマクドナルドを“定宿”にしたが、店内で寝泊まりする難民客が増え、深夜は着席できないシステムに変更されてしまった。ほかの店舗も続々と24時間営業を中止しており、平田さんはまたすみかを失いかけている。

「朝までいられる店があっても、横になると店員に起こされる。だから座ったまま寝ないといけないんで、首も肩もボロボロ。頼れる人もいないから、この生活を続けるしかない」

低所得者への家賃補助もない実情
 貧困に苦しみながらも貯金もなく民間の賃貸住宅を借りられない中高年。そんな彼らが公営住宅などに入ることはできないのだろうか? 藤田氏はこう語る。

「公営住宅が住宅全体の3%にとどまり、低所得者への家賃補助もないのがこの国の実情です。社会的な構造が貧困を生み出しているのは否めません。セーフティネットが著しく弱い社会にもかかわらず、転落のきっかけが無限に存在するのです」

貧困な人間関係が人生を追い詰める
 また藤田氏は、中高年の漂流者たちの“孤立化”についても指摘する。

「難民化する人の多くは、実家・親族と折り合いの悪い人が多く、人間関係も貧困。友人もなく、身近に救いの手を差し伸べてくれる人がいないんです」

 振り返れば断崖絶壁という絶体絶命のサバイバル生活を、中高年の漂流者たちは今日も目隠しのまま歩み続けている。

【社会福祉士・藤田孝典氏】
NPO法人ほっとプラス代表理事、反貧困ネットワーク埼玉代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書に『下流老人』など多数

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!10月8日発売号「年収100万円の絶望 漂流する中高年編」

―[年収100万円の絶望]―

日刊SPA!

945チバQ:2019/10/28(月) 14:27:07
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191027-01613588-sspa-soci
「車中泊難民」50代で家がない…年収100万円、介護離職の過酷
10/27(日) 8:54配信週刊SPA!
「車中泊難民」50代で家がない…年収100万円、介護離職の過酷
車上暮らしを始めて1年が過ぎた篠原雄二さん(仮名・52歳)
 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円程度の人たちは、過酷な環境下でどのように過ごしているのか。今回は年齢とともに過酷さが増す中高年に注目。社会から見捨てられた漂流者たちのリアルを取材した。

⇒【写真】3年前25万円で購入した軽自動車

介護離職から家を失い、車上暮らしに
 貧困問題について年間500件の相談を受ける社会福祉士の藤田孝典氏はこう語る。

「失業しても、家さえ失わなければ生活を立て直すことは可能です。しかし、一度ネットカフェ暮らしや車中泊を始めて住所不定となると新たに住宅を契約することは難しく、そこから這い上がるのは困難なんです」

 日雇い仕事で糊口をしのぐ埼玉県出身の篠原雄二さん(仮名・52歳)は、母親の介護のため正社員として勤めていた自動車工場を離職したが、母親の死後は25万円で購入した中古の軽バンで暮らしている。「車中泊は一時しのぎだ」と飄々と語るが、ストレスの多い車上暮らしも1年がたち、辛さが身にしみる。

「週の大半は、通勤に便利な大宮公園で車中泊してる。夕焼け空を眺めながら公園の水道で体を拭くのが日課だけど、冬は辛いね」

激狭シートで寝る“軽バン”車中泊難民
 愛車に家財道具と母親の遺骨を積み込んだ、篠原さんの車上生活。この夏は2度、熱中症になりかけた。公園の水道は、風呂代わりにも飲料にもなる生活必需品。猛暑日の夜は道の駅の障害者トイレにタオルを敷いて寝たこともあるという。

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<篠原雄二さんの漂流年表>

12歳 両親が離婚し、母子家庭に

15歳 中学卒業後、他県で溶接工になる

22歳 建設の現場を渡り歩く

46歳 介護のため退職。地元に戻る

49歳 母が他界し収入が消える

51歳 車中泊を始める

=====

 日雇い仕事には波があり、収入は10万円に満たない月もある。年収は100万円程度。節約のため、1箱のカロリーメイトを朝・晩の2回で分けて食べたり、ドラッグストアの格安菓子パンを食べ、ガソリン代を確保する。不衛生な環境での生活で虫歯も悪化しており、慢性的な歯痛に悩まされている。

生活保護の申請も門前払い
「生活保護の申請もしたけど、『もう一度ハローワークへ行って、それでダメならまた来い』と門前払い。もう行かないね」

 篠原さんのように、介護離職が漂流の引き金になるケースが増えていると藤田氏は指摘する。

「高齢者の介護保険は低所得者ほど利用料負担がのしかかり、自宅での介護が欠かせません。子どもが離職し収入がなくなれば、年金に依存した生活となり、親の死後は生活に困窮。廃墟化した実家からのSOSは後を絶ちません」

946チバQ:2019/10/28(月) 14:27:25
年間9万3000人が、介護・看護離職している
「介護離職ゼロ」を目標に掲げている安倍政権だが、実情は厳しい。平成29年に介護・看護のために離職した人は9万2900人で、10年間で2倍に増えている(厚生労働省「雇用動向調査」/平成29年)。男性3万5800人、女性5万7100人で、年齢では50代がもっとも多い(同)。
 
 費用負担の少ない公営の特別養護老人ホームに入れるのは「要介護3」以上で、都市部では数年待ちもザラだ。民間の有料老人ホームは、月20万〜30万円台かかる施設がほとんど。
 やむなく、親を自宅介護するために仕事を辞める人も多い。だが、50代で離職してしまうと、次の仕事を見つけるのは至難のわざだ。篠原さんのような「介護離職貧困」は、まったく他人事ではない。

 振り返れば断崖絶壁という絶体絶命のサバイバル生活を、中高年の漂流者たちは今日も目隠しのまま歩み続けている。

【社会福祉士・藤田孝典氏】
NPO法人ほっとプラス代表理事、反貧困ネットワーク埼玉代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書に『下流老人』など多数

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[年収100万円の絶望]―

日刊SPA!

947チバQ:2019/10/28(月) 14:28:21
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191013-01611690-sspa-soci
空き家に不法侵入して暮らす40代の貧困「ネットカフェにも泊まれなくて…」
10/13(日) 8:54配信週刊SPA!
空き家に不法侵入して暮らす40代の貧困「ネットカフェにも泊まれなくて…」
太田龍二さん(仮名・48歳)
 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円程度の人たちは、過酷な環境下でどのように過ごしているのか。今回は年齢とともに過酷さが増す中高年に注目。社会から見捨てられた漂流者たちのリアルを取材した。

息を潜めて眠る……やむにやまれず空き家に住む人たち
「NPOに届くSOSの中には、空き家から発せられたものも少なくありません。彼らは家賃も税金もかかないからと、勝手に住みついてしまうんです」

 と、社会福祉士の藤田孝典氏が話すように、実際に半年前から神奈川県東部のとある空き家に住みついているのは太田龍二さん(仮名・48歳)。飲食店の経営失敗による借金で首が回らなくなり、知人宅を転々とした後に、空き家に住むことを思いついたという。

「住居侵入罪ではあることは、重々承知している。ただ、家を借りるお金はなく、ネットカフェに泊まるのすら厳しい。逮捕されるのは怖いので、寝袋とリュック一つの『素泊まり』程度に滞在し、1か月住んだら次の空き家に移動しています。

 夜中にちょっと物音がするだけで、スグに起きるという習性が身についてしまいました。だから雨の日、台風の日などは誰も出歩かないから、ぐっすり眠れるんですよ(苦笑)」

 鍵のかかっている空き家が大半のため、ピッキング道具を安く買いそろえたという。

「自転車の鍵を開けるのと、コツは同じです。指紋を残したくないから、ビニール手袋をつけるのだけは忘れないようにしています。こんな生活は一刻も早く抜け出したい。宿泊料は“無料”だから、日雇いで敷金・礼金を貯められるように頑張りたいです」

 貯蓄に成功するのが先か、捕まるのが先か。追い詰められた彼の選択肢は少ない。
 

低所得者への家賃補助もない実情
 貧困に苦しみ貯金もなく民間の賃貸住宅を借りられない中高年。そんな彼らが不法行為に流れる前に公営住宅などに入ることはできないのだろうか? 藤田氏はこう語る。

「公営住宅が住宅全体の3%にとどまり、低所得者への家賃補助もないのがこの国の実情です。社会的な構造が貧困を生み出しているのは否めません。セーフティネットが著しく弱い社会にもかかわらず、転落のきっかけが無限に存在するのです」

 平成30年、全国の空き家率は過去最高の13.6%で846万戸に上り、東京都だけで81万戸もが空き家なのである(総務省「平成30年住宅土地・統計調査」概数集計)。各自治体は空き家の活用を検討しており、生活困窮者の支援に使えないだろうか、という声も挙がっている。
 そうすれば、やむにやまれず不法侵入する人も減ると思うのだが、実現への道のりは遠そうだーー。

 振り返れば断崖絶壁という絶体絶命のサバイバル生活を、中高年の漂流者たちは今日も目隠しのまま歩み続けている。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!10月8日発売号「年収100万円の絶望 漂流する中高年編」

日刊SPA!

948チバQ:2019/10/28(月) 14:28:51
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191008-01610869-sspa-soci
1時間200円のネットカフェに住んで2年目…年収100万・41歳の生活
10/8(火) 8:55配信週刊SPA!
1時間200円のネットカフェに住んで2年目…年収100万・41歳の生活
仮住まいのはずが……ネットカフェに2年定住!
年齢を重ねるほど過酷さが増す「住所不定」の中高年に密着!
 世の中に報われない努力があるのは事実だ。しかし、貧しい生活を強いられる状況は「努力不足による自己責任」と言い切れるのだろうか。週刊SPA!9月10日号に掲載された特集「年収100万円の衝撃」では、日雇い労働などの不安定な雇用と低賃金を理由に、本来なら寝泊まりが禁止される貸倉庫やゴミ屋敷化したネットカフェに住む人々の存在を報じ、読者から「貧困は自己責任」、「役所を頼れ」といった厳しい声が多数寄せられるなど、多くの反響を呼んだ。

⇒【写真】食事は専らスーパーの値引き品だ

「派遣や契約社員を含め非正規労働者は労働人口の約4割と年々増加しています。特に現在の30代後半〜50代は就職氷河期世代だけに、その割合は高い。中年フリーター、日雇いなど低賃金で厳しいけれど食べられる状況にはありますが、“定職”ではないため、何年働いても技術や知見がつかない、通称『非熟練労働者』なんです。

 そんな人たちが就職できるか、と問われたら難しい現状がある。彼らは高給な仕事を奪い合う残酷な椅子取りゲームに参加させられ、競り負けて貧困に陥った人たち。こんな社会状況で“自己責任”と切り捨てられるのはおかしなことです」

 と語るのは、貧困問題について年間500件の相談を受ける社会福祉士の藤田孝典氏だ。

「失業しても、家さえ失わなければ生活を立て直すことは可能です。しかし、一度ネットカフェ暮らしや車中泊を始めて住所不定となると新たに住宅を契約することは難しく、そこから這い上がるのは困難なんです」

低賃金を捨て上京しても貧困暮らしは続く
 都内のネットカフェを転々とし漂流生活を送っている山形県出身の森和也さん(仮名・41歳)は、まさに当事者の一人。高校卒業後に就職したホテルが倒産し肉体労働を転々とするなか腰を痛め、38歳から中年フリーターに。

=====

<森和也さんの漂流年表>

18歳 高校卒業後、地元のホテルに就職

27歳〜 両親が相次いでがんにより他界

30歳 ホテルが倒産。肉体労働に転職

34歳 椎間板ヘルニアで入院。貯金が底を突く

38歳 夜勤バイトを始めるが腰痛が悪化

40歳 新天地を求め上京。日雇いで働く

=====

「地元では仕事もないから東京に出てきました。ネットカフェは本来1〜2週間程度の“仮住まい”のはずでしたが、正社員にはなれずもう2年目を迎えます」

 彼の“自宅”は、1時間200円という価格の安さをウリにした店で、森さんのような“その日暮らし”の漂流者が多く集まるスポットだという。

「この店、シャワーが無料で利用できるし、ドリンクバーだけではなくアイスも食べられちゃう。部屋にジュースを持ち込んで、ペットボトルに詰め替えもしていますね(苦笑)。便利なんですけど、年齢的に体がキツい。ベッドで寝る暮らしがしたいですね」

 ネットカフェのシャワーでは、体と同時に服も洗うという。いま持ち歩いている荷物は「服ばかり。現場用の作業着も2着ある」。ほかの生活用品はネカフェで賄えるそうだ。

 現在は日雇いで時給1200円を稼ぐものの収入は安定せず、家を借りるお金は貯まらない。

「年収は100万円ぐらいだから食事は24時間営業のスーパーで、深夜になると半額になる200円弁当や50円のおにぎりです。増税でネットカフェの料金も上がるし、ますます生活は厳しくなりますね」

 森さんは今日も彷徨っているが、公営住宅などに入ることはできないのだろうか? 社会福祉士の藤田氏(前出)はこう語る。

「公営住宅が住宅全体の3%にとどまり、低所得者への家賃補助もないのがこの国の実情です。社会的な構造が貧困を生み出しているのは否めません。セーフティネットが著しく弱い社会にもかかわらず、転落のきっかけが無限に存在するのです」

 振り返れば断崖絶壁という絶体絶命のサバイバル生活を、中高年の漂流者たちは今日も目隠しのまま歩み続けている。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!10月8日発売号「年収100万円の絶望 漂流する中高年編」

日刊SPA!

949チバQ:2019/10/30(水) 22:26:09
https://toyokeizai.net/articles/-/310708
54歳男性の貧困は本当に誰のせいでもないのか
新聞配達を手伝わされ、高校も行けなかった
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藤田 和恵 : ジャーナリスト
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2019/10/30 5:25

「学校に行きたい」と言うと殴られた
いつの時代の話? それとも小説の中の出来事? そう思ってしまうほど、タロウさん(仮名、54歳)の少年時代は壮絶だった。

7人兄弟姉妹の長男。新聞販売店を営んでいた父親に、中学2年生のときから朝夕刊の配達を手伝わされた。父親は柔道の有段者で、ささいなことで子どもたちを殴る蹴るしては、止めに入る母親を投げ飛ばしたという。タロウさんにとって、部活も友達付き合いも、別世界の話。学校は休みがちで、なんとか入った高校も、父親から集金や営業の仕事もこなすように言われ、夏前には退学させられた。


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「『家族のために子どもも働かないと食べていけない』というのが父の口癖でした。台風の日に自転車ごと倒れたことや、40度近い熱を出しながらマンションまで行ったこととか、新聞配達には、苦しい思い出しかありません。『学校に行きたい』と言っても、殴られるだけ。顔や頭が腫れて登校できないこともありました。

父は酒もよく飲んだし、外に女の人をつくっては、家にお金を入れないこともしょっちゅう。給食費の滞納はざらでした。DVなんて言葉もなかった時代、母は『私さえ我慢すれば、いつかは……』という希望にすがるしかなかったと思います。いろんな宗教団体に入ったり、出たりを繰り返しては、(父に負わされた)ケガや腰の痛みに耐えながら仕事に出かけていった姿を覚えています」

結局、両親はタロウさんが18歳のときに離婚。当時、母親が入信していた新興宗教の関係者が父親を取り囲み、なかば無理やりに届けに判を押させたという。

「父は離婚を渋り、しばらく母に付きまとっていました。下の弟たちはかなり年が離れているのですが、今考えると、父は次々と子どもをつくっては、母が別れられないようにしていたのかもしれません。最低な人間でした。でも、今は憎しみとか、恨みとか、そういう感情はありません」

父親の消息は、何年も前、窃盗で逮捕されたという連絡が、ある温泉街の警察から寄せられたのが最後。タロウさんは「今は生死もわからないし、関心もない」と淡々と話す。

とにもかくにも、20歳を前に再出発の機会を得たタロウさん。学歴などのハンデもあったが、数年間の工場勤務を経た後、希望していた編集の仕事を得ることができた。ゲーム雑誌などを発刊する小さな出版社で、やがてライター業も任されるようになったという。

ただ待遇は劣悪だった。何週間も、社内で寝泊まりすることが当たり前だったが、毎月の手取りはたったの16万円。次第に不眠や倦怠感などメンタルに不調が現れ、ある日、下着1枚で車道を歩いているところを、警察に保護された。覚えていたのは「相模湖で入水自殺する」という目的だけ。なぜ半裸になり、どうやって自宅を出たのかといった記憶はまったくなかったという。仕事にも支障を来し、5年ほど勤めた会社をクビになった。

950チバQ:2019/10/30(水) 22:26:33
付き合っていた女性との間に子どもができた
しばらく体を休めた後、交通警備などを行う警備員として勤務。正社員がちょっとしたミスで解雇されるなど優良とはいえない会社だったが、月収は約30万円と悪くなかった。

このころ、付き合っていた女性との間に子どもができたことをきっかけに結婚。子育てがしやすいという評判の近隣都市に引っ越すため、独学でパソコンの知識を身に付けると、収入水準は維持したまま、コンピューターの保守管理などを担う派遣社員へと転職した。

教育格差も、貧困、暴力の連鎖も何とか断ち切ったかのように見えた。しかし、新たなつまずきは夫婦関係のほころびから始まった。

タロウさんによると、専業主婦の妻はほとんど家事をしなかった。絵を描くことや、ミニチュア模型作りなどの趣味に精を出す一方で、万年床に、洗濯は1週間に1回、台所には汚れた食器が山積み――。話し合いをしても、それらが改められることはなく、口論のさなか、タロウさんは妻を平手打ちしてしまう。結局、タロウさんから離婚を切り出し、親権も手放すし、養育費も払うからと告げて家を出た。10年足らずの結婚生活だった。

妻の反対を押し切って離婚を決めた理由について、タロウさんは「罪悪感」だと説明する。「嫁さんに暴力を振るってしまった。実は、子どもが幼かった頃にも、一度、おしりをぶったことがあるんです。どちらもひどくたたいたわけではありません。でも、衝動的に手を上げていた。私も父と同じ種類の人間だとわかってしまったんです」

いつか、自分も父親と同じ仕打ちをしてしまうかもしれない――。その恐怖と不安に、打ち勝つことができなかった。「幸せでいてくれれば。私のことは、忘れてくれていればいいなと思います」。今は音信不通だという妻子について語るタロウさんの口調は、またしても淡々としていた。

離婚後、タロウさんの暮らしが安定することはなかった。月収30万円の派遣先は、派遣期間が3年を越えるという理由で雇い止めにされた。新たな派遣先では、収入が半減。養育費の支払いは滞り、自己破産を余儀なくされたという。その後、業務委託契約に切り替えることで、収入はいったん持ち直したものの、再びメンタル不調に陥ってしまう。

取材で話を聞いたタロウさんは語彙(ごい)も話題も豊富で、立ち入った質問にも終始穏やかに答えてくれた。尋ねてみれば、派遣先などからの評判は悪くなかったという。タロウさんの人柄もあり、仕事自体は順調だったのだ。にもかかわらず、メンタルは悪化した。リストカットを繰り返し、前回と同じく夜道をさまよっていたところを、警察に保護された。

「カッターで傷をつけて血が出ると落ち着く。落ち着きたいからカッターを手にしてしまう」。タロウさんはそう言って、傷跡が何本も交差する左腕を見せた。

業務委託契約の更新を諦め、蓄えが尽きたころ、生活保護の利用を申請。ケースワーカーの勧めで精神科を受診したところ、「重度のうつ病」と診断された。

さらに、不運は続く。40代後半になったころ、脊髄を支える靭帯の一部が骨のように硬くなる難病「後縦靭帯骨化症」であることが判明したのだ。手術は成功したものの、下半身に麻痺が残った。現在、タロウさんは歩行が難しく、杖が手放せない。日々の暮らしは、毎月約12万円の生活保護で賄っている。

タロウさんは自らの半生をこう振り返る。

「(メンタル不調のたびに)自分は『ぐうたら病』だと思ってきたので、うつ病とわかってよかったです。ただ、うつ病と父親の虐待は関係ないと思っています。派遣社員だったときは、人並みに稼ぎもありましたから、貧しい生い立ちや学歴のせいでちゃんとした仕事に就けなかったわけでもない。難病は不運としか言いようがないです」

だから――。タロウさんは、自らの貧困は「誰のせいでもない」という。

951チバQ:2019/10/30(水) 22:26:48
非正規労働は働き手のメリットがない
はたして本当にそうか。私は専門家ではないので、貧困状態に陥るきっかけとなったうつ病と生い立ちの関係については言及しない。しかし、派遣や業務委託といった非正規労働は、タロウさんの生活を大いに脅かしたのではないか。

タロウさんは、勤続3年で待遇のよかった派遣先を雇い止めにされたが、労働者派遣法が派遣期間の上限を3年までとする目的は、雇用の安定である。同じ労働者を常態的に働かせるならば、企業にも直接雇用の責任を負ってもらおうという趣旨でもあり、3年を越える前にクビにしてよいということではない。

業務委託契約にしても、労災も時間外手当も最低賃金規制もない個人事業主契約である以上、実態が労働者であれば、働き手にとってのメリットは、まずないといっていい。

もし、タロウさんが正社員だったなら、いきなりの収入半減や、うつ病になったからといって即失業といった事態に至る可能性は低い。休職制度や傷病手当金を利用すれば、自己破産や生活保護以外の選択もできたのではないか。私が知る限り、現代の貧困の背景には、必ずといっていいほど、脱法的で、不安定な働かされ方がある。

そう指摘すると、タロウさんは、給与が高く満足していたので、自分が脱法的な働かされ方をしているという自覚はなかったという。ただ、同時に「正社員であることのメリットも感じなかったんです」と話す。

たしかにそうだった……。タロウさんが派遣社員になる前に働いていた工場や出版社、警備会社はいずれも正社員だった。しかし、ここでも、過労死レベルをはるかに上回る長時間労働や、サービス残業、安易なクビ切りは横行していたのだった。

取材中、タロウさんは「私は父と似ている」と繰り返した。父親は暴力を振るう一方で、海で溺れたタロウさんを必死の形相で人工呼吸したり、子どもの1人が幼くして亡くなったときに家族の誰よりも涙を流したりするような一面もあったという。

私には、タロウさんは暴力的な人間には見えなかった。ただ、ゆがんだやり方で“家族”に執着した父と、その父の二の舞になるまいと“家族”を遠ざけた息子と。親子の呪縛は、思うほど容易には解けないのではないかと思った。

うつ病の処方薬を飲みながら、漠然と死にたいと思う「希死念慮」をやり過ごす日々。不自由な体と、生活保護に頼る暮らしは「おそらく一生このままだと思う」と話すタロウさんは今、小説と短歌を書きためているという。

誰かを責めることなく、一貫して優しい語り口で話をしてくれたタロウさんの心の内を知りたくて、タロウさんが短歌を載せているネット上のサイトを訪ねてみた。先日、東日本に大きな被害をもたらした台風の後だろうか。こんな歌が詠まれていた。

「窓を打つ 激し風雨の 音は皆 我を責めると 思い止まらず」

952とはずがたり:2019/10/31(木) 14:35:33
シェアハウスはシングルマザーの助けになる? 母子家庭の厳しい賃貸事情
SUUMOジャーナル2019年10月31日 07:00 0
https://www.excite.co.jp/news/article/Suumo_168170/

シェアハウスはシングルマザーの助けになる? 母子家庭の厳しい賃貸事情
母子世帯は、公的な住まいの支援策も乏しく、収入が不安定とされるため賃貸の入居を断られるケースが少なくないという。そんななか、母子世帯の貧困や孤独を防ぐために、不動産事業や介護事業を担う企業や、自治体などが、空き物件などを活用してシングルマザー向けシェアハウス事業に乗り出している。実際のシングルマザーの住まい事情や、専用のシェアハウスについて、住宅福祉に詳しい日本学術振興会特別研究員の葛西リサさんにお話しを伺った。

953チバQ:2019/11/08(金) 16:58:18
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/556646/
期末手当新設で月給減 非正規公務員、悲痛な声 来春新制度 遠い待遇改善
2019/11/4 6:00
西日本新聞 一面 斉藤 幸奈
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自治体では非正規職員が多様な業務を担っている=福岡市の中央区役所

 「月給が減らされて生活ができなくなる」。福岡県内の自治体で非正規職員として働く女性から特命取材班に悲痛な声が寄せられた。いまや市町村で働く職員の3人に1人は非正規雇用。保育現場や図書館など住民とじかに接する職場に多く、非正規なしに公共サービスは維持できないのが実態だ。何が起きているのだろうか。

 女性は週5日フルタイムで働いて月給は10万円台半ば。来春から勤務体系が見直され、月給が1万〜2万円減る方向だという。「新たに期末手当(ボーナス)を出すから年収は変わらないと言われるけど、月給が減ると日々の暮らしが立ち行かない。正規職員並みの業務を担っているのに…。私たちは都合よく働くロボットじゃない」

 地方の非正規職員の制度は来年4月から大きく変わる。地方自治法などが改正され、期末手当が支給できるようになる。経験年数に応じた昇給も可能だ。「同一労働同一賃金」が進む民間以上に格差が指摘される非正規公務員の待遇改善が目的だった。

 給与体系を具体的に決めるのは各自治体で、制度設計が大詰めを迎えている。福岡市は期末手当を正規並みの2・6カ月分支給する。一方、月給は3万円ほど下がる職員もいる。市の担当者は「正規職員と業務内容を比較して適正な金額にした。年収で見ると改正前を下回らないようにしている」と説明する。

 期末手当を支給する代わりに月給を下げ、年収は変わらない-。

 「全国の自治体でこうした動きが相次いでいる。年収維持か、アップしてもごくわずか。待遇改善にはほど遠い」。非正規公務員の実態に詳しい地方自治総合研究所(東京)の上林陽治さんはこう指摘する。

 人件費上昇を抑えようとフルタイムをパートに切り替えるほか、正規と比べて初任給を低く設定したり、昇給を抑えたりする自治体が多くあるという。

 自治労総合労働局長の森本正宏さんは「年収がもう少し上がると期待していたが現状は厳しい」と話す。

    ◇    ◇

 自治体側にも事情がある。行政改革で正規の人員削減を求められる中、業務負担は増すばかり。人件費の安い非正規を増やすことでしのいできた。今回、国が先導する「待遇改善」だったはずだが、開始まで半年を切っても財源確保の具体的な形は見えてこない。

 長崎県佐々町は非正規(192人)の割合が日本一高く、全体の6割強を占める(2016年総務省調査)。来年4月以降、期末手当を支給し、試算では最大約5500万円負担が増える。町の予算規模は約60億円。担当者は「国の補助があるのか注視している」。

 他の市町村からも「財源が示されないまま待遇改善と言われても、対応には限界がある」との声が漏れるが、総務省の担当者は「補助については検討中」との説明にとどめる。

 上林さんが提唱するのが、自治体の貯金とも言える「財政調整基金」の活用だ。税収減などに備えたもので、16年度末で全国の基金総額は約7兆5千億円。10年間で8割も増えた。

 上林さんは「このままでは大事な役割を担う非正規職員が辞めてしまい、必要とする人に公共の支援が届かなくなる。待遇改善は公共サービスの質を維持する上での生命線だ」と強調する。 (斉藤幸奈)

【ワードBOX】自治体非正規職員の新制度

 自治体によってさまざまな任用がされていた非正規職員の大半を新設の「会計年度任用職員」に移行し、期末手当が支給できるようにする。2017年に地方公務員法や地方自治法が改正され、施行は20年4月。自治体の非正規職員は約64万人(16年総務省調査)で05年と比べて4割増えた。フルタイム勤務の年収は約200万円で正規職員の3分の1以下とする試算がある。

954とはずがたり:2019/11/14(木) 14:13:36
預貯金ゼロの世帯、単身だと5%超 日銀などが初公表
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https://www.asahi.com/articles/ASLC95216LC9ULFA01L.html
湯地正裕 2018年11月9日20時43分

 預貯金を含めて金融資産を全く持っていない世帯が、単身では5・6%、2人以上の世帯で1・6%にのぼる。金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)が、そんな調査結果を9日発表した。

 この調査は「家計の金融行動に関する世論調査」。6〜7月に計6079世帯から回答を得た。預貯金さえ全く保有していない世帯率を公表したのは初めて。

 預貯金はあるが、当面の引き落…

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955チバQ:2019/11/18(月) 11:09:48
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191118-00010000-nishinp-soci
郵便局の過剰ノルマ、死選んだ配達員 自殺の翌日に届いた自腹の購入商品…妻「何でここまで」
11/18(月) 9:34配信西日本新聞
郵便局の過剰ノルマ、死選んだ配達員 自殺の翌日に届いた自腹の購入商品…妻「何でここまで」
亡くなった夫の勤務状況について説明する女性=9日、大阪市
9年前、苦しんだ末に自殺
 「夫の死を無駄にしないでほしい」。9日、大阪市内であった郵便局員有志による集会。マイクを握った埼玉県の女性(52)が切実に訴えた。9年前の2010年12月、郵便配達員だった夫=当時(51)=は勤務局の4階窓から飛び降りて亡くなった。年賀はがきの販売ノルマ達成や時間内の配達を執拗(しつよう)に求められ、苦しんだ末の自殺だった。

 夫の様子が変わったのは06年。23年間勤めた埼玉県内の郵便局から、郵便物の取扱件数が首都圏有数の大規模局に異動したのがきっかけだった。

 「今日も昼ご飯が食べられなかった」。職場では残業を減らすよう求められたが、慣れない道で配達が思うように進まないと悩んでいた。交通事故などのミスを起こした局員は「お立ち台」と呼ばれる台に上がり、数百人の局員の前で謝罪させられた。「怖い。絶対に上がりたくない」と夫は漏らしていた。

真面目な夫、転売「俺にはできない」
 毎年、年賀はがき7千〜8千枚の販売ノルマが課せられた。金券ショップに転売する同僚もいたが、転売は禁止されており、真面目な夫は「俺にはできない」。自宅には、自腹で購入した年賀はがきが山積みになっていた。歳暮や中元、母の日…。歳事のたびにゆうパック商品も購入。夫は「時間内に配達するので精いっぱい。営業なんかできるわけがない」とこぼした。

 夫は次第に笑わなくなり、休日も外出しなくなった。心配した女性は08年、夫を心療内科に連れて行き、うつ状態と診断された。休職と復職を3度繰り返し、毎年異動希望を出したが、上司からは「病気を治さないと異動させられない」と告げられた。

「何でここまでしないといけなかったの」妻は涙
 10年12月、主治医が再度の休職を勧めたが、夫は「同じ班の人が2人も辞めたので、今は休めない」と断った。それから1週間後の朝、駅で姿が見えなくなるまで手を振って見送ったのが夫の最後の姿になった。

 亡くなった翌日、自宅に荷物が届いた。差出人は夫。自腹で購入したゆうパックの商品だった。「何でここまでしないといけなかったの」。女性は受け取りのサインを書きながら、涙が止まらなかった。

 女性と子ども3人は13年12月、夫が自殺したのは仕事上の心理的負担による精神障害が原因として日本郵便を提訴。会社側は「業務と死亡に因果関係はない」と争う姿勢を示したが、16年10月、異動希望がかなわなかったことや自殺に至ったことに遺憾の意を示した上、解決金を支払うことで和解が成立した。

 9日の集会では、今年3月に局内で自殺した関西の男性配達員=当時(29)=の問題が話し合われた。同僚の局員によると、男性は上司から業務上のミスについてたびたび叱責(しっせき)され、自殺直前に交通事故を起こしていた。

 女性は「社員を追い詰める会社の体質は、全く変わっていない。家族のため、一生懸命働く社員が報われる会社になってほしい」と語った。 (宮崎拓朗)

西日本新聞社

956とはずがたり:2020/01/19(日) 19:18:05

https://twitter.com/miyatachikaa/status/1218553150195585027
宮田知佳
@miyatachikaa
学校での生理用品の無料支給がイングランドとウェールズで開始。英国では女性は生理用品に生涯約55万円支払っているのだそう。生理用品が買えず、生理中に学校に行けない学生が増える近年のイギリス。
毎月くる生理。生活に欠かせない生理用品。毎月かかる出費。だからこそとても重要。#FreePeriods

957名無しさん:2020/01/23(木) 22:13:44
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-326106.html
43歳「非正規」の彼が人間扱いされないと憤る訳 翻弄された氷河期世代の今も続く塗炭の苦しみ
2020/01/23 05:35東洋経済オンライン

43歳「非正規」の彼が人間扱いされないと憤る訳 翻弄された氷河期世代の今も続く塗炭の苦しみ

43歳「非正規」の彼が人間扱いされないと憤る訳

(東洋経済オンライン)

「雨が降る中での渋滞に集中力が切れ、ふと気がついたら急ブレーキをかけて、原付バイクがスリップしてしまった」。昨年7月、飲食店の宅配代行「ウーバーイーツ」の配送員の男性Aさん(43歳)は、東京・世田谷区の環七通りで、転倒事故を起こした。

幸い後続車にひかれるようなことはなかったものの、自宅近くの整形外科に駆け込むと、右肩の亜脱臼、左手首の捻挫、そして全身打撲で全治2週間と診断された。別の病院でのCTスキャンなども含めて、1.7万円程度の治療費の支払いを余儀なくされた。その後社内規定に従い、ウーバーの担当部署宛に事故報告を提出すると、思いもかけない内容の返信メールが届いた。型どおりの見舞い文の後、こんな記載が続いた。

「不注意による事故の場合、配達パートナー様はウーバーシステムへのアクセスを失うことにもなりかねません。厳しい注意喚起ではございますが、今回のようなことが再度あれば、あなたのアカウントは永久停止となるかもしれませんのでご注意下さい」

1月20日発売の『週刊東洋経済』は「『氷河期』を救え!」を特集。バブル崩壊後の不況期に学校を卒業し、長年、就職や生活に苦しんできた就職氷河期世代の置かれた現状を多角的に取り上げている。

配達員は無権利状態
Aさんはこのメールを見たとき、「失笑するしかなかった」という。

「ねぎらわれているのか、脅されているのか……。いずれにせよ、配達中の事故への対応とは、到底思えなかった」

配達員はウーバーとは雇用関係にない個人事業主として扱われている。そのためAさんのように配達中にケガをしても、労災保険の対象外とされる。健康保険や年金など、社会保険料も全額自己負担だ。また警告のようにアカウントが永久停止となれば即座に仕事を失うことになるが、雇用保険の対象にもならない。

昨年10月からは代替策として配達員のケガを補償制度の対象としたが、他方で同11月末には報酬体系を見直して、基礎報酬の単価を引き下げた。Aさんは「ウーバーは手当の引き上げで補填できると言うが、手当は会社側が一方的に決められるもので、何ら収入保証とはならない」と憤る。

Aさんが大学を卒業した1999年は、まさに就職氷河期の真っただ中だった。学生時代のPCショップでのアルバイトをそのまま続け、その後は新聞広告の代理店へと転じた。アルバイトとはいえ、平日、土曜午前のフルタイムで働き、手取りは月に20万円超。社会保険も完備していた。

この仕事を長らく続けたが、業界環境が厳しくなったこともあり、30代半ばで転職を決意した。年齢のこともあり、安定した正社員の仕事を探そうとハローワークにも通ったが、結果は芳しくなかった。

「やってきた仕事内容には関心を持ってもらえても、正社員ではなくアルバイトだったと話すと、面接官はみな態度を一変させた。フルタイムであっても、職歴とは認められなかった」(Aさん)

958名無しさん:2020/01/23(木) 22:15:16
人としてみられなかった
介護業界に飛び込んだこともあった。ホームヘルパー2級(当時)の資格を取得し、デイサービスで入浴や排泄の介助、利用者の送迎の補助などに携わった。「気を抜くと人が死ぬ職場」という緊張感の一方、アルバイトのため手取りは月12万円程度で、貯金を切り崩しながらの生活を余儀なくされた。

精神的に追い詰められ、自転車で都内の職場に向かっていたはずが、気がついたら遠く相模湖にいたこともあった。しばらく欠勤が続くと、所長から携帯電話に連絡があった。「辞めるなら、私物を取りに来て」とだけ告げられた。

「大学を出てからずっと非正規労働者、そして個人事業主として働いてきたが、結局、人ではなく単なる労働力としてしかみられなかった。時代が悪かった、とだけで済まされる話なのか」(Aさん)

Aさんのように、雇用環境が厳しかった1993年から2004年の間に高校、大学を卒業した就職氷河期世代には、希望する就職ができず、現在も不本意ながら不安定な仕事を余儀なくされている人は少なくない。Aさんが卒業した1999年などは、未就職卒業者数は実に10万人を超えていた。

大卒以上に希望する就職やその後の転職が難しいのが、高卒や高校中退で社会に出たケースだ。

「高卒はそうとう不利なんだと痛感したのは、正社員の仕事に就こうとしたときだった」。

いまはフリーランスのデザイナーと訪問介護ヘルパーの掛け持ちで働く女性Bさん(42歳)は話す。

いじめが原因で私立高校を2年で中退したBさんは、最初はコンビニのアルバイトとして働き始めた。20歳になって深夜も働けるようになると、時給のよい居酒屋でのアルバイトへと移った。日中時間が空いたこともあり、単位制高校に通い、2年間で卒業した。

高卒資格を得たことで、25歳に初めて派遣会社に登録した。深夜の居酒屋が時給1000円だったのに対して、派遣の時給は日中の事務職で1500円前後。「月収ベースでは同世代の正社員よりもらっていたし、派遣ってすごい、と当時は思っていた」(Bさん)。

数年後、20代後半になり派遣の仕事が契約更新されず雇い止めされたときに、将来に不安を感じるようになった。そこで正社員の仕事を探したが、興味を持った仕事の求人はどれも大卒以上を条件とするものばかり。「このときに、皆が無理してでも大学に進学する理由がよくわかった」(Bさん)。

959名無しさん:2020/01/23(木) 22:16:24
あなたに戻る席はない
小規模な居酒屋チェーンの本部に正社員として雇われたが、終電近くまで働いても残業代はいっさい出ないうえ、試用期間に示された月収15万円が本採用になっても続く始末だった。

30代となり、また派遣社員に戻ったが、2008年秋のリーマンショックに見舞われる。事務職の時給の相場は大幅に下がり、新たな仕事もなかなか紹介されなくなった。「稼いでいた時代の貯金がみるみる減っていくのが怖かった」とBさんは当時の不安な心境を語る。

30代後半にはパチンコホール運営会社の事務職についたが、体調を崩し、急性気管支炎で10日間入院。退院して出社すると退職届が用意されており、「あなたに戻る席はない」と上司から退職を強要される形で職場を追われた。

今はダブルワークで月収15万円程度。メニエール病を患いめまいがひどく、「20代、30代の頃のように、あくせく働くのは難しくなった」(Bさん)ためだ。

社員でも派遣でも、面接のときには決まって結婚、出産の意向を聞かれることにも辟易とさせられた。

「女性が働いて1人で社会生活を送っていくことに、いったい何か問題があるのでしょうか」

リーマンショックによって、Bさんのような事務職以上に甚大な被害を受けたのが、製造現場の非正規労働者たちだ。

2008年秋以降、名だたるメーカーで急激な生産調整が行われ、派遣・請負労働者や期間工など、非正規の人員削減が容赦なく実施された。契約期間の途中で派遣を打ち切るような企業も続出し、「派遣切り」と大きく社会問題化された。

仕事と住まいを同時に失う
「その後もさまざまな仕事に就いたけど、あのクビの切られ方はいちばんショックだった」。現在50歳の男性Cさんは話す。当時、派遣会社から自動車部品メーカーに派遣されていたCさんは、契約期間途中での解雇を通告され、年の瀬に仕事と住まいを同時に奪われた。39歳の時だった。

従来から軽いうつ病だったが解雇後に症状が悪化。福祉施設で働き始めたが2度ほど倒れ、統合失調症と診断された。その後も、生活保護を受給しながら求職活動を続けたが、保護を抜けられる水準の仕事には就けていない。親との折り合いが悪く身元保証人を立てられないこと、そして40代という年齢も大きなハンディとなった。今は地元の福祉作業所に通っている。

「えり好みしなければ仕事なんていくらでもあるといわれるがそれは違う。派遣切りされてから10年強、自分のように今も苦しんでいる人は、少なくないはずだ」

『週刊東洋経済』1月25日号(1月20日発売)の特集は「『氷河期』を救え!」です。

著者:風間 直樹

960チバQ:2020/02/18(火) 15:43:28
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200216-01642744-sspa-soci

年収800万円から生活保護へ。38歳で「ゴミ屋敷から這い上がれません」


2/16(日) 8:55配信

週刊SPA!







年収800万円から生活保護へ。38歳で「ゴミ屋敷から這い上がれません」


大森雄二さん(仮名)38歳


 日本社会の格差がますます広がる中で、人間が安心して暮らすための基盤である“家”の存在が揺らいでいる。年収100万円台の人たちは、家すら失う事態に陥っているのだ。貧困に苦しむ人たちの住宅事情をリポートした。

⇒【写真】玄関脇の台所
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家賃4万円の木造アパートは腐乱臭が漂うゴミ屋敷

▼大森雄二さん(仮名)38歳 生活保護

「本当は社会復帰したい……でも、這い上がれないんです」

 蓄積した疲労は、思わぬ貧困をもたらすことがある。食品会社の正社員と配送業のWワークで年収800万円を稼いでいたという大森雄二さん(仮名・38歳)。人生が激変するきっかけとなったのは、10年前、残業が続いた冬の雨の夜だった。

「重い荷物を担いだまま路上で転倒し、股関節を骨折したんです。昼の職も失い、いまは生活保護を受給しています」

 大森さんの自宅を拝見するため、板橋区・大山駅からほど近い住宅街に佇む築51年、家賃4万円の木造アパートを訪ねた。天井からはクモの巣が垂れ、床にはなぜかビニール傘が散乱。壮絶なゴミ屋敷とは真逆の爽やかな笑顔で微笑む大森さんの姿は、雑なハメコミ写真を見ているようだった。

「物が多い部屋なので、土足で入っていいですよ〜」

 その言葉通り、玄関から続く4畳二間の部屋は間仕切りの戸が倒壊し、奥の部屋までビッシリとビニール袋や衣類が積み上がっている。ゴミの頂上に座るよう勧められるが、部屋中に漂う腐った卵のような臭いが気になる。

 玄関脇の台所には段ボール箱と衣装ケース、衣類が交互に積み上がる。洗い場の洗面器に入った濁った水は、いつのものかわからないという。

「東日本大震災のときに歪んで閉められなくなった窓のせいで、暖冬の今年でも部屋の中は極寒です。修理したいけど、生活保護にゴミ屋敷だから、大家さんとなるべく接触したくないんです……」

 過酷な環境でも大森さんが飄々としていられる理由は何なのか。
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後遺症と毒親に追い詰められうつ病に

「ここに住んで10年くらい。以前は自営業で年金未払いだった両親に仕送りをするために、がむしゃらに働いていました。今は受給額14万円とバイト代2万円を合わせても年収95万円程度。当然、仕送りできるはずもなく、100円おにぎりをかじる暮らしです」

 だが、働けなくなっても家族から仕送りの催促がやまず、ストレスでうつ病を発症。家族とは絶縁した。

「仕送りのため蓄えがなく、ケガの治療が終わった頃には無一文でした。ハローワークで求職活動は続けていますが、ブラック求人ばかり。昨年ようやくありついた不定期バイトで、糊口をしのいでいます」

 大森さんが“捨てられない”状態になったのは、現在のアパートに住んでからだ。後遺症の関節炎もあり、片づけられない家財道具とゴミが混然一体に積み上がる一方となった。ほかの住民も「全6室のうち5部屋は生活保護受給者。皆、声を潜め生きている」らしく、悪臭が漂っても苦情などはこないという。

「生活保護から抜け出したいけれど、若い頃のようには働けない。求人票を見つめる日々です」

 将来への不安とゴミが、今日も大森さんの部屋に積み上がる。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!2月4日発売号の特集「[年収100万円ハウス]の惨状」より

961チバQ:2020/03/29(日) 22:47:33
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200329-00010001-suitsw-life
【貧困女子】新型コロナウイルスで月収は1万2000円に…貯金ゼロインストラクターの生活崩壊
3/29(日) 10:04配信Suits-woman.jp
女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたはずが、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです 。

鈴木萌奈美さん(仮名・37歳)は、大手スポーツクラブのインストラクターをしており、今回の新型コロナウイルスの問題で、3月の収入が激減したといいます。

「それまで月18万円くらい振り込まれていたのに、3月分は1万2000円くらいになるそうです。しかも、私たち現場のインストラクターには、ジムが休業するとか、閉鎖されるとかそういう連絡が一切ないんです。会社は対応に追われていて、私たちまで手が回らないみたいでした」

それにしても1万2000円は、ひどい話です。

「会社は『お客さまと従業員の健康と安全のため』とか言っているけれど、従業員は収入がなければ死にますよね。その後、微々たる手当などで補填されるのでしょうが、次の支払日に入るお金が1万2000円では、生活できない」

萌奈美さんは離婚したばかりで、一人暮らしのために東京・練馬区内にアパートを契約しました。その直後のコロナショックで、現在、貯金はないとのこと。

「結婚していた元夫もジムインストラクターで、この人は誰にでもいい顔をして、優しい人だからめちゃくちゃモテた。8年間結婚していたのですが、お客さんが家に来たり、元夫のストーカーが、ウチの自転車やペットのワンコに危害を加えたりして、最悪でした。しかもだらしがないから生活費を入れてくれない。暴力も振るわれたし、子供も何回もあきらめた。やっと自由になった先のコロナです。泣くに泣けない」

【貧困女子】新型コロナウイルスで月収は1万2000円に…貯金ゼロインストラクターの生活崩壊
体育大学卒のインストラクターよりも、アメリカの専門学校で学んだインストラクターの方が人気があり、そのことに不満を持っていた。
元夫は別の女性との間に子供ができ、その女性の家でマスオさん状態で生活している
萌奈美さんの両親も離婚しており、どちらの家も遠くお金がないといいます。

「千葉県市原市で兄が食品関連の仕事をしているのですが、この兄も借金まみれ。前から節約に節約を重ねて生活していましたが、これ以上はどうやって切り詰めていいかわかりません」

ここ数年は1度も自宅で風呂に入らず、家の滞在時間を少なくしたり、ティッシュペーパーや砂糖などの消耗品は会社から余剰分を失敬していると語る萌奈美さん。コストがかさむ米は食べず、うどんか水戻しパスタが主食。まとめ買いした卵、胸肉、もやしばかりを食べているそう。

「同じものばかり食べてうんざりしても、それしか食べるものがない。学生時代の友達にも、お金がないことが知られているから、気の毒がって誘われない。友達はオゴってくれるんでしょうけれど、私は施しを受けるのが大嫌いだし、プライド的にも許せない。がんばって生きてきたのに、こんなことになるなんて……正直、死にたいです」

小柄で筋肉質、スリムな萌奈美さんは、37歳という実年齢より若く見えます。胸もお尻もキュッと上がって、スタイル抜群。それなのに肌はガサガサ、ボロボロ。ネイルアートは奇抜なものですが、セルフでやっているからガタガタ。

「生活に余裕は全然ありません。ぶっちゃけますけど、お金がなくて、ホームレス同様になったこともあります。元夫との生活でパニック障害になったこともあり、今でも定期的な診療は欠かせない。スポーツをハードにやっていたので、体はガタガタ。腰痛なども持っているので鍼に定期的に通うなど、メンテナンスも必要なんです」

今までのキャリアについて伺うと、高校生まで陸上をやっており、体育大学に進学。大学時代にダンスに目覚めたのだそう。

「勉強を全くしていないし、陸上もダンスもご飯は食べられない。柔道や剣道なら、警察庁に入る可能性もありますが、ダンスはムリ。同級生で優秀な人は、学校の先生や公務員、教育関連の仕事で正社員で働いていますが、ほとんどが私みたいな非正規です」

学費を出した祖父母から、「莫大な学費がかかったのに、リターンは少ない」と言われたそう。

「結局、私は邪魔者なんですよ。それ以来、祖父母とは絶縁しています。小学校の時、『好きなことや、やりたいことを仕事にしなさい』と言われて育ったけれど、あんなのうそっぱちですよね。好きなことをしていたらみじめな未来が待っているだけ」

不安定な雇用、身体を使う仕事の摩耗感、悪化する持病の腰痛、利用者のストーキング……スポーツインストラクターは、社会的な弱者だと感じている。続編に続きます。

962チバQ:2020/04/02(木) 13:21:53
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200402-00010008-nishinpc-bus_all

「仕事、今年はないかも」収入途絶え…女性の憤り コロナで“派遣切り”再来


4/2(木) 10:44配信

西日本新聞







「仕事、今年はないかも」収入途絶え…女性の憤り コロナで“派遣切り”再来


イメージ(写真と記事本文は直接関係ありません)


 新型コロナウイルスの感染拡大のあおりで、派遣社員やパート従業員など非正規労働者の雇用環境が急速に悪化している。観光業や製造業では、自粛による需要の「蒸発」で雇い止めや派遣切りの動きが出ており、労働組合への相談も急増。感染拡大の影響が長期化することで、2008年のリーマン・ショック後より厳しい状況に陥りかねないとの見方も出ている。

【写真】「侍マスク」口コミで広がり…静かな反響

 「今年は仕事がもうないかもしれない」。こう不安を吐露するのは、海外旅行の添乗員歴約25年の女性(55)。大手旅行会社の派遣社員として働いてきたが、3月に入ってからは予定していたツアーが全て中止になり、収入が途絶えた。

 旅行会社の傘下にある派遣元から補償の説明はなかった。掛け合うと、代わりに家電製品やランドセル販売員や引っ越しといった不慣れな仕事を勧められた。「派遣社員だからといって都合よく使うのか。一定の補償をしてほしい」と、女性は憤る。

 労働組合には、非正規雇用の人からのこうした相談が止まらない。3月30、31日に連合(東京)が行った緊急電話相談では168件のうち7割が非正規雇用。電話はひっきりなしに鳴り続け、取れなかった電話も約400件に上ったという。

 相談で目立つのは、無給で出勤停止にされるといった法令違反が疑われる事例。インターネットで加入できる「ジャパンユニオン」(東京)の菅野存(あり)執行委員長は「コロナ対策を名目にした不当な扱いは許されない」と語気を強める。

 非正規雇用はリーマン直後の09年の1727万人から増え続けており、19年は2165万人。近年は高齢者の割合が2割とリーマン時よりも増えている。

 厚生労働省によると、新型コロナ関連で解雇されたり雇い止めされたりする見込みの人は30日時点で正規雇用も含め1021人。日本総研の山田久氏は「リーマンよりも影響が長期化する可能性がある。1年はみておいた方がいい」とした上で「年金が少ないシニアもおり、政府はセーフティーネットをしっかりと張り巡らせる必要がある」と指摘する。 (一瀬圭司)

963チバQ:2020/04/08(水) 21:43:10
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9529c2056cc7fc1f46d30102e2d1604ccb8c8fc
このままでは4000人が行き場を失う。新型コロナ、東京都の住宅支援は500戸のみ
4/8(水) 16:22配信

BuzzFeed Japan
AFP=時事

政府の緊急事態宣言に基づき行われる東京都の緊急事態措置。ネットカフェに休業要請が出た場合、そこで生活する4000人が行き場を失うおそれがある。東京都は4月6日、補正予算12億円を計上し、住居を失った方への一時住宅等の提供を行うと発表。だが、この予算で確保できる一時住宅は500戸だけだ。今後さらに、職と住まいを失った人が増加することが見込まれる中、路上生活者や生活困窮者支援を行う現場では、500戸では「全然足りない」と懸念する声が上がっている。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】

ネットカフェで暮らす人も対象と都知事は言及

小池百合子東京都知事が4月6日、223億円の補正予算で取り組むことを発表した6つの支援策。そのうちの1つが、新型コロナウイルスの影響による失業等に伴い住居を失った方への一時住宅等の提供だ。

小池知事は会見で「今回ウイルスの影響で失業される方が多数出ておられる。住む場所も失ってしまう。そういった方々に一時住宅等を提供する」と説明した。

ネットカフェが休業した場合に行き場を失う4000人も今回の事業の対象となるのかという質問には、「まさしくご質問にありましたようなところで、実は寝泊まりもされておられるという方々がいる。こういった方々が仮の住まい、滞在できる場所を確保することを念頭に置いたものでございます」と回答している。

今回の一時住宅提供の対象には、現在生活保護を受けている人など、新型コロナウイルスの影響を受ける以前から失業していた人は含まれるのか?

BuzzFeed Newsの質問に対して、東京都福祉健康局の内藤淳局長は「今回のことはあくまで、コロナウイルスの関係でお住まいを失った方への措置です。そこに何らか区別をつけることはできないのかなと思っております」と答えた。

12億円、確保できるのはプラス400戸

12億円という限られた予算で都はどこまで対応することを想定しているのだろうか。

都の福祉健康局の担当者は、すでに確保している100戸にプラスして400戸確保し、合計で500戸の一時住宅を用意すると語る。

都はこうした一時住宅の確保を急ぎ対応しており、これまでの取り組みの中で連携してきた先や都営住宅の空室などを活用する方向で進めているという。だが、「まだ契約には至っていない」と担当者は取材に明かした。

東京都では「合計500室確保できるまでは、一旦ビジネスホテルを借り上げる形で対応を予定」しており、「現在、新宿区のビジネスホテル借り上げのめどが立っている」という。

路上生活者の支援団体は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、仕事と住まいを失う人が今後増えると警鐘を鳴らす。そんな中、確保を予定している500戸だけでは、行き場を失うことが予想される4000人に対しても支援の受け皿が足りない状況だ。

都の担当者も「昨日の会見で発表された補正予算でできる対応では足りない。足りない部分は増やさざるを得ない」と認めている。

964チバQ:2020/04/08(水) 21:43:30
支援受けるため、収入減少の証明も?
時事通信

担当者によると今回対象となるのは、「都内に直近6ヶ月以上滞在している方たち」。「すでに路上生活を送っている方は別のホームレス対策の支援で、生活保護を受けて生活している方もそちらの仕組みで対応する」という。

一方で、「ネットカフェで新型コロナウイルスが感染拡大する以前から収入不安定だった人はどうするのか。その点については線引きが難しいところ」と認識を示した。

「収入減少の証明については、ある程度聞き取りで確認する形になると思われます。ただし給与が手渡しだと確認できないためケースバイケースになると思われます」

「別々の枠組みで支援するのは非合理的」
4月3日、東京都に緊急要望書を提出する稲葉剛さん

一般社団法人つくろい東京ファンドの代表で、路上生活者の支援を続ける稲葉剛さんが指摘するのは、「東京都の住居喪失者への聞き取り調査でも、ネットカフェ以外に寝泊まりをしている場所として『路上』をあげている人は4割以上いる」という実態だ。

そのため、「両者を別々の枠組みで支援するのは非合理的」だと語る。

「支援策が従来の住居喪失者対策(東京チャレンジネット事業)の枠組みを踏襲しているため、都内に6ヶ月居住などの要件を満たすことができず、実質的に利用できない人が続出してしまう危険性があります」

「従来の枠組みに固執するのではなく、住まいに困っている人全般が活用できる対策にしてほしいと思います」

ネットカフェが休業した際、行き場を失う人を減らすために一般社団法人つくろい東京ファンドが他の支援団体とともに作る東京アンブレラ基金では、緊急宿泊支援費用を従来の「一泊3000円」から、ビジネスホテル利用を前提とした「一泊6000円」まで引き上げることを決めた。

公的支援が追いつかない中で、路上生活者支援の現場では、新たな取り組みが始まっている。

4000戸確保しても「全然足りない」
時事通信

認定NPO法人もやいの代表理事で生活困窮者の支援を行う大西連さんも、支援策が「足りないのは間違いない」と話し、支援の受け皿は最低でも4000人分は確保する必要があると強調する。

「これから経済状況が悪くなると、新たに住まいを失う人も一定数出てくることが予想されます。その点を踏まえると、4000戸でも全然足りません」

こうした取り組みは本来、緊急事態宣言が発令される4月8日までに準備をしておく必要があった。

「準備をしていないことで生じるタイムラグ」で、不利益を被るのは、「より困難な状況で暮らす人々」だ。大西さんは「そうした人々への想像力が欠けている」と言う。

大西さんはより一層の支援策が必要だと訴えている。

「いま支援にアクセスし始めているのは、日雇い労働や非正規雇用の方々。正規雇用で働いていた人の中から生活が困窮する人が出てくるのはこれからです。ゴールデンウィーク明け頃に実際に困り始める人が現れることが見込まれます」

「この先、困窮する人が出るのは間違いない。それを見越して、今からでも遅くないので行政は宿泊場所をちゃんと確保する必要があるのではないでしょうか」

千葉雄登

965チバQ:2020/04/09(木) 02:56:11
https://news.yahoo.co.jp/articles/74f6376b42955b8a6537a440ec05cff72373ff38
ブラック職場の隠れ貧困女子。電気代も払えず、冷蔵庫が使えない日々…
3/29(日) 8:55配信

週刊SPA!
日々の激務で疲れ切ってしまい、気力のない日々を過ごす……介護士の小谷香さん(仮名・34歳)

 日本社会の格差がますます広がる中で、人間が安心して暮らすための基盤である“家”の存在が揺らいでいる。貧困に喘ぎ苦しむ人たちの劣悪住宅事情をリポートした! 今回は普通のアパート生活でも光熱費が払えず電気が止められている女性を取材した。

ブラックな職場で疲弊し孤立…“普通の部屋”に住む隠れ貧困女性
▼小谷香さん(仮名) 34歳 非正規介護職員

 群馬県在住の介護士、小谷香さん(仮名・34歳)も貧困にあえぐ女性の一人。彼女が住む部屋は木造アパートの1階にある、家賃4万8000円のワンルームだ。

「狭い部屋ですが、ここが唯一安心できる場所。お金には困っているけど住む家がある分、私はマシなほうです。でも実は光熱費が払えず電気は止められています。冷蔵庫が使えないので、食事はスーパーの見切り品ばかり。ネットは隣の部屋のWi-Fiに無断接続しています」

 小谷さんの手取りは、資格手当込みで月15万円程度だが、その業務内容は過酷そのもの。

「夜勤は月3回、17時〜翌10時までの17時間勤務です。夜勤のときは一人で40人の施設利用者を見ているので、仮眠も取りづらい。暴言や暴力も日常茶飯事ですね。体力的にきつく、休日は夕方まで寝て終わってしまいます」

 日々の激務で疲れ切っており、仕事以外の時間は家で横になって過ごしているという小谷さん。新たな出会いを探す気力もなく、隣の家のWi-Fiを無断で使って見るYouTube動画が今の小谷さんの唯一の心の癒やしだという。

結婚なんて夢のまた夢……今日生きていくので精いっぱい
 異性との出会いはおろか、女友達に会う機会も激減、休日は常に一人で過ごしている。

「学生時代の友達は、結婚して育児やパートに忙しく、疎遠になってしまいました。女子会があっても着ていく服がないし、話題にもついていけないので肩身が狭い。“家の電気が止まっている”なんて絶対に言えません」

 電気が通っていないため、冷蔵庫はただの食料庫。菓子パンだけで空腹をしのぐこともあるという。

可視化されにくい女性の貧困
 脱法シェアハウス、ゴミ屋敷、車中泊……と劣悪な環境で生活する低所得者たち。女性の貧困の場合はまた違う事情がある。『東京貧困女子。』の著者で、これまで数多くの貧困女性の取材を行ってきたノンフィクション作家の中村淳彦氏は「貧困女性の住宅問題は男性よりも可視化されにくい」と指摘する。

「男性は住む場所がなくなれば、ホームレスになる人もいるので、かえって行政の支援も届きやすい。一方、貧困女性はどんなに困窮していても、セキュリティの問題から部屋だけは死守しようとすることが多いんです」

 彼女たちは、たとえば2階建ての小さな普通のアパートのようなところで暮らしており、一見すると生活に困っているようにはとても思えない。しかし、実際には、給与のほとんどを家賃にもっていかれ、生活が崩壊しているパターンも多いという。

「よくよく聞いてみると、公共料金を滞納して電気を止められていたり、洗濯機が壊れていて、洗濯板で衣類を洗っていたりと悲惨な状況でしたね。そうした女性の多くは、介護職や地方の団体職員として働く低賃金労働者でした」

 職場と家の往復のみの生活から人間関係が希薄になり孤立してしまうのは、小谷さんに限ったことではない。

「僕はこれまで、ラブホテルを宿代わりにしてカラダを売る中年女性軍団など極端な例も見てきました。それ以外にも月1万円強の公営団地に住むシングルマザーもいましたが、彼女たちは自分たちのコミュニティの中で助け合って暮らしているぶん、貧困女性の中ではいいほうかもしれません」

966チバQ:2020/04/09(木) 02:56:28
孤独な低賃金女性、結婚での貧困脱出も困難?
 一方、普通のアパートに暮らす低賃金労働者の女性は、孤独と過重労働のストレスで、人知れずメンタルを病んでいくのだという。

「圧倒的な孤立状態のせいで、生活保護制度を知らなかったり、そもそも自分が貧困であることを自覚していない女性もいます。結婚して貧困から脱する手段もありそうなものですが、疲弊しきっていて、そもそも結婚という発想に至らないようです」

 真面目に働いている女性が安く買い叩かれる――。彼女たちの貧困は、そんな歪んだ社会構造によって生み出されたものなのだ。

【中村淳彦氏】
ノンフィクション作家。貧困から介護、AV女優や風俗、虐待、借金などさまざまな社会問題について取材・執筆を行う。『東京貧困女子。』など著書多数。座右の銘は「口下手こそ成功する」

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[年収100万円ハウスの惨状]―

日刊SPA!

967チバQ:2020/04/10(金) 15:45:42
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200410-00234300-diamond-soci

コロナ失業と30万円給付の壁に悲鳴を上げる「夜の街」の女性たち


4/10(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン







コロナ失業と30万円給付の壁に悲鳴を上げる「夜の街」の女性たち


新型コロナの影響は、夜の街で働く女性たちにも脅威を与えている。生活不安の実態とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA


● コロナ禍で収入半減、そして休職 ベテラン風俗女性の3カ月

 カオリさん(仮名・41歳)は、18歳の時から九州の大都市の歓楽街で働いてきたベテランセックスワーカーだ。ヘルス、ソープを含め、幅広い形態の職業経験を積んできたが、近年はデリヘルを中心に働いている。新型コロナウイルスによる影響は、当初、客の変化として現れた。

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 「お客さんが職場でコロナ対策やクレーマー対策に追われたり、失業するかもしれない状況だったりして、ストレスいっぱいで。それで私たちのところに癒しを求めに来る、みたいな」(カオリさん)

 日本初の患者が確認されたのは、1月15日だった。1月中旬から下旬にかけての報道は、日本企業の中国工場の閉鎖、中国との輸出入の困難化が日本にもたらす影響、そして中国での徹底した都市封鎖や移動制限に集中していた。テーマパークなど接客業の一部では、従業員のマスク着用が認められ始めていたものの、いまだその是非が取り沙汰される状況だった。

 2月に入ると、マスクをはじめとする衛生用品の買い占めと品不足、そして高額での転売に注目が集まった。また、豪華クルーズ船内での集団感染が注目されたのも、同月であった。もしかすると、カオリさんの仕事にも影響していたのかもしれない。売上は1月の半分程度にまで減ったが、「もともと2月は閑散期だから、気にしていなかった」という。

 ところが、3月に入っても客足は回復しなかった。接客を全くしない日が、2日続いたりもした。

 「3月の始めは少しだけ持ち直したんだけど、新型コロナ騒動がニュースで取り上げられるたびに、お客さんが減っていった感じ。そのうちに新規のお客さんが全然来なくなって、本指名(リピーター)のお客さんがほとんどになった。気がついたら、お店全体のお客さんの数も減っていって、1月の半分くらいになっていて。『これは尋常じゃない』と気がついた」(カオリさん)

 報酬は、完全出来高払い。ベテランで常連客が多数いるカオリさんは“稼げる“風俗嬢だ。手取り収入は、1月が80万円、2月は落ち込んでも40万円だった。しかし、3月も40万円程度だったそうだ。

 「お客さんの数にも収入にも波のある仕事なのは、当たり前。2月は毎年のことだったから凌げたけど、3月になっても回復しなかったのは痛かった」(カオリさん)

 それでも、一般的には「高収入」と言ってよいはずだ。問題は、あまりにも不透明な先行きにある。

968チバQ:2020/04/10(金) 15:46:29

● 相手は正体不明のウイルス 志村けんさんの死で本当に怖くなった

 努力と工夫を重ね、平均して月70万円を稼いできたカオリさんにとっても、コロナウイルスの影響は、季節や時節による想定範囲の収入の波を超えていた。3月に入っても収入が回復しなかったことから、精神状態も悪化した。さらに、濃厚接触そのものである風俗の仕事に対して強い不安を抱くようになり、働き続けることが困難になった。

 「コロナのことはニュースで知っていたけれど、かかってもお年寄りが死ぬだけという認識だった。本当に『怖い』と思ったのは、3月29日に志村けんさんが呆気なく亡くなったとき」(カオリさん)

 相手は、いまだに正体が充分に判明していないウイルスだ。人間の平常時のプロ意識が通用するとは限らない。

 そして3月30日、東京都の小池知事は、バーやナイトクラブなど「夜の街」の産業の営業自粛を求めた。4月8日、東京都・大阪府・福岡県を含む7都府県を対象とした緊急事態宣言が発効するにあたり、東京都はバーやナイトクラブに休業を要請する方針とした。働けなくなったカオリさんは、このまま働く場も失う可能性がある。
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● 1世帯あたり30万円の給付に 立ちはだかる多くのバリア

 新型コロナウイルスの感染拡大により、減収や失業に直面している人々は少なくない。日本の「コロナ失業」の実態はいまだ明らかになっていないが、政府は多様な支援を用意している。「ツッコミどころ」は多いものの、とにかく、支援メニューは存在する。このことの意義は、過小評価すべきではない。

 収入が減少して生活が困難になった世帯に対しては、1世帯あたり30万円を給付する支援策が用意された。また、3月の臨時休校で仕事を休まざるを得なかった保護者に対する賃金保障は、早々と創設され3月18日から受付が開始された。

 当初、風俗業に従事する人々は対象外とされていたが、当事者団体をはじめとする団体の働きかけにより、見直しが行われた。本稿を執筆している4月9日現在は、いずれの制度も風俗業に従事する人々を排除していない。しかし、安心するのは早すぎる。

 政府への働きかけの中心となったSWASH(Sex Work And Sexual Health)代表の要友紀子(かなめ・ゆきこ)氏は、申請する手続きに含まれる多数のバリアを指摘する。

 「たとえば休校に伴う補償だと、就労場所や報酬の算出方法を具体的に書く必要があります。セックスワーカーの場合、まず、どう書けば良いのかという問題があります」(要さん)

 デリヘルのカオリさんの場合、就労場所は待機する店舗の事務所なのだろうか。それとも、接客を行うラブホテルなのだろうか。さらに報酬にも、同様の混乱が発生し得る。

 「『60分1本、8000円』とか書けばいいんでしょうか。刺激的な追加サービスは『オプションサービス3000円』とか……。そのままでは、役所に提出する文書に書けませんよね。しかも休校による補償では、子どもの氏名や通っている小学校や幼稚園の名前を書かなくてはならないんです」(要さん)

 役所は住民の個人情報を守ることになっているが、個人情報の漏洩や悪用は、しばしば起こっている。さらに、役所で業務に就いているのは、近所の顔見知りや、子どもの同級生の親かもしれない。それ以前に、「どう書けば良いのか」という具体的なバリアがある。

 要さんは厚労省に対して、「業務遂行の場はデリヘルの事務所で良いのか」「報酬算出方法はどう書けば良いのか」といった問い合わせを続けている。明確にならないと、セックスワーカーたちに「こういう制度がありますよ」と広く知らせるわけにはいかないからだ。

 「支給申請書が『こう書けば通ります』、あるいは『支給を認められた人がいます』と言える状態になれば、『自分にもできるかも』『申請してみよう』と思ってもらえます。そこまで、バリアを取り除く必要があります」(要さん)

 さらに、風俗業界には多様な業種があり、雇用形態も様々だ。大規模店舗に雇用されている場合もあれば、個人によるネット売春もある。同じ業種でも、経営者の方針や従業員の都合により、被雇用者であったり個人事業者であったりする。多様な事例のそれぞれで、適切な申請を行うこと自体が、巨大なバリアとなっている。

969チバQ:2020/04/10(金) 15:46:51
● 忘れられがちな人々を 非常時に完全に忘れ去らないために

 国際的な動きもある。4月8日、国際セックスワーカー団体であるNSWP(Global Network of Sex Work Projects)は、国連合同エイズ計画(UNAIDS)とともに、各国政府に対し、新型コロナウイルスの感染拡大に際して、セックスワーカーを置き去りにしないことを要求した。

 他のあらゆる人々と同様に、セックスワーカーも権利と健康を守られる必要がある。現金給付を含む政府の支援対象となるのは当然である。より忘れられやすい存在であるからこそ、救済のための臨時措置の対象外としないため、より一層の努力が政府に求められる。SWASHも、NSWPの加盟団体としてこの動きに加わった。

 しかし、支援を受けるにあたって申請手続きが必要だと、実質的に誰かを置き去りにすることになる。軽度知的障害のセックスワーカーもいる。支援者が寄り添えば申請できるかもしれないが、必要なときに支援者に近寄れる当事者ばかりではない。日常的に差別や偏見にさらされている人々は、困っているときほど、助けを求められなくなりがちだ。


 いずれにしても、申請手続きという高いバリアを乗り越えられない人々は、「自己責任で経済的支援を利用しなかった人」とみなされる。

 「そこですよね。結局は『一律給付しかない』と思っています」(要さん)

 いずれにしても、困窮の中にあるセックスワーカーたちが給付や補償を受け取れない状況が続けば、国連からの圧力が強まり、国際問題に発展する可能性もある。

● 社会における職業の1つとして セックスワークの健康と安全を

 1956年に制定された「売春防止法」は、おおむね制定時のまま、現在の日本に生き残っている。そこに「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と明記されている以上、売春は罪悪ということになる。しかしセックスワークに就く権利は、すでに国際的に確立された基本的人権の一部だ。1999年に設立されたSWASHは当事者団体として、身体的・精神的・性的な健康と安全を追求し続けている。

 その観点から、感染症や暴力被害や労働問題にも取り組む。あらゆる意味での健康と安全は、当然どのような職場でも追求される。セックスワークを例外にする必要はない。しかし、セックスワーカーに対する認識や支援は、あまりにも手薄だ。

 「お店の同僚でも、店長でも、ホストでも、困ったときに連絡を取れる人が誰かいれば、生き延びられると思います。人間関係は大切です。でも、現金給付は必要です」(要さん)

 人間を等しく襲う脅威に対して必要不可欠なのは、人間を差別しない普遍的な支援だろう。

 (フリーランス・ライター みわよしこ)
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みわよしこ

970チバQ:2020/04/14(火) 12:00:27
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200413-00000068-mai-soci

「生きていく上で欠かせない場所」 ネットカフェ難民、休業要請に不安の声


4/13(月) 21:16配信

毎日新聞







「生きていく上で欠かせない場所」 ネットカフェ難民、休業要請に不安の声


路上生活を送りながらインターネットカフェを時々利用する男性(右)。「安心して過ごせる場所を失い、不安しかない」と漏らした=大阪市で2020年4月13日午後3時26分、隈元雄太撮影


 新型コロナウイルスの緊急事態宣言から1週間となる14日、午前0時から大阪府による休業要請がスタート。対象の一つがインターネットカフェだ。安定収入がなく自宅のない人にとって、夜を過ごすだけではなく、自分の空間を確保できる貴重な拠点でもあった。大阪府は同程度の料金で宿泊できる施設を用意するが、利用者らの不安は消えない。

 「生きていく上で欠かせない場所。なくなるのは寂しい」。大阪市内で路上生活を送る50代の男性はネットカフェへの休業要請を知り、ため息をついた。

 警備会社に勤めていたが、人間関係に嫌気が差して退職。蓄えを失って家賃が払えなくなり、2年ほど前から路上で過ごす。今は路上生活者の自立を支援する雑誌「ビッグイシュー」を販売した利益が唯一の収入。その中から費用を捻出し、週に1、2回、ネットカフェを利用してきた。

 エアコンで室温が管理されてシャワー室も使え、野宿の疲れを癒やせる貴重な場。体を伸ばせる「フラットシート」を2000〜2500円で9〜12時間使うのが唯一のぜいたくだった。「我々は社会から切り離されて生きている。何が起きているのか、情報収集の場所でもあった」。新聞や雑誌を眺め、インターネットを閲覧するのはささやかな楽しみとも言えた。

 「感染拡大を防ぐため、やむを得ない」。大阪府の休業要請には理解を示す。だが、これまで身を寄せてきた場を失うことには「不安しかない」と頭を抱える。

 店側にも戸惑いや反発はある。大阪市内のある店の男性店長は13日、「運営会社から休業方針に関する説明がない」と話した。この店では2週間ほど前まで、店内で何日も過ごす客が複数いたが、最近は見かけなくなっていたという。「新型コロナによる不況で、利用する余裕もない人が増えているのかもしれない」

 一方、別の店は7日の緊急事態宣言を受けていったん自粛した営業を13日に再開したばかり。除菌剤なども用意して感染防止に努めてきただけに、40代の男性店長は「どういう基準で休業しないといけないのか。休ませているアルバイトへの補償もなく、納得できない」とこぼす。対応が間に合わないため14日も営業を続け、オーナーとも話して休業時期を決めるという。

 大阪府には府が把握するだけで115店ある。府は13日、それらネットカフェで夜を過ごす人たちのため、1泊2500円以下で宿泊できる施設の紹介をホームページ(HP)で始めた。吉村洋文知事が10日に施設を募集し公表する考えを示しており、13日までに受け入れ先となるホテルや民泊施設の計約1600室を確保した。13日午後5時半現在、1500円からの施設もある。府は宿泊施設の追加募集もしており、HP上で随時更新していく。

 ただ、ホームレス支援などに取り組むNPO法人「ホームドア」(大阪市北区)の松本浩美事務局長は「店でネットを使って職を探していた人もいる」と指摘。「休業により、仕事を得る機会が失われることもある」と懸念している。2007年の厚生労働省の調査ではネットカフェに週の半分以上泊まる人の数は大阪市で約1000人と推計された。【隈元悠太、上野宏人、藤河匠、柴山雄太】

971チバQ:2020/04/15(水) 23:06:52
https://digital.asahi.com/articles/ASN4H3R4SN42ULFA035.html?pn=9
コロナ生活苦で「給料の前借り」、ヤミ金並み利息が横行

笠井哲也、新屋絵理

2020年4月15日 19時00分
 新型コロナウイルスの影響でお金の悩みが増えるなか、ネット上などで広がる資金提供策「給料ファクタリング」に要注意だ。「給料の前払い」「ブラックでもOK!」などと手軽さをうたうが、多額の手数料をとられたり、違法な取り立てにあったりする被害が目立つ。「生活が破綻(はたん)する恐れがある」として、金融庁も警戒を呼びかけ始めた。(笠井哲也、新屋絵理)

 闇金被害などの相談に応じる「しもひがし法務司法書士事務所」(東京都)では3月以降、給料ファクタリングの相談が急増した。1〜2月の月50件ほどが、3月は112件に膨らんだ。

 「十数社取引してしまい、給料の額以上になった」「取り立てが闇金のようで怖い」などの声があり、新型コロナの影響で収入が不安定になって使う人が増えたという。下東洋介司法書士は「利用してはいけないと思いつつ、選択肢が他にない人もいる」とみる。事務所で確認している業者は現在60社超にのぼるという。

 3月30日〜4月3日にあった東京の弁護士による給料ファクタリングの被害相談には、全国から40件超の電話があった。「新型コロナの影響で残業手当などが減り、(お金を)返せなくなった」など感染拡大の影響を訴える人も。釜井英法弁護士は「給料ファクタリングは闇金並みの『利息』を払うことを頭に入れてほしい。借金があって苦しければ弁護士に相談してほしい。国の貸付制度もある」と訴える。

年利換算 利息1840%超
 ファクタリングのルールを直接定めた法令はなく、法的な位置づけがあいまいだ。昨年ごろから広がる資金提供手法で、業者は「合法」との立場。貸金業法などの規定の上限利息を超す「手数料」をとっている。

 全国の消費生活センターには昨年以降、相談が相次ぐ。「5万円借りる申し込みをして口座に2万4千円振り込まれた。差額は手数料と言われた。信用できる業者か」(50代男性)、「7万円受け取って半月後に12万円振り込んだ。会社や家族に知らされ、困った」(40代男性)などの声だ。

 トラブルから訴訟になるケースもある。この問題で関係者から注目された判決が、東京地裁(男沢聡子裁判長)で3月24日に出た。「給料ファクタリングの仕組みは、『貸し付け』に該当する」との司法判断だ。

ここから続き
 東京都内の業者が、利用者に未払い手数料を払うように求めた訴訟。利用者はネット上で給料債権買い取りを申し込み、4万円を受け取った。4日後に7万円を業者へ払う約束だった。

 地裁判決は、もともと業者は給料を払う会社からでなく利用者からお金を回収するねらいだったと指摘。このしくみは「貸し付けと同じ機能」とした。年利換算で1840%超の利息の契約となって貸金業法の年利上限を大幅に超え、「無効」と認定。「出資法にも違反し、刑事罰の対象となる」との判断を示した。

 業者は判決を不服として控訴しているが、今後、業者の敗訴が確定すれば、貸金業の登録が必要で、手数料も上限金利(15〜20%)内に抑える必要が出てくる。

972名無しさん:2020/04/15(水) 23:07:04
金融庁も異例の言及
 給料ファクタリングが貸金に当たるとの見解は金融庁も3月6日に公表。「高金利に加えて違法な取り立てもあり、悪質。個人が食い物にされていた」(担当者)と対策に動いている。

 金融庁が法解釈にまで言及するのは異例のこと。目をつけたのは、給料は会社が労働者に直接払うとする労働基準法の定めだ。給料日前に債権として譲渡しても、業者は会社に支払いを求められず、労働者に求める。金融庁はこの構図が「経済的に貸し付け(金銭の交付と返還の約束が行われているもの)と同様の機能を有しているものと考えられる」と指摘した。東京地裁の判決でも使われた論理構成だった。

 参議院厚生労働委員会では3月24日、平木大作氏(公明)が「給料ファクタリングはこれまで法的な位置づけがあいまいで、野放しになっていた」「きちんと貸金業法の対象として規制すべきだ」と指摘。金融庁は「捜査当局などと緊密に連携し、厳正に対処する」と答弁した。

 業者は今後どうなるのか。司法や行政の「包囲網」により、撤退を迫られるとみる関係者もいる。少額の貸し付けが多く、法律の上限金利内だと事業として成り立ちにくいためだ。利用者から不当利得返還請求訴訟を起こされると、利用者が払った全額の返還を求められる可能性もある。

 ただ、一部業者は金融庁の見解後も「(自社は見解に)当てはまらず、貸金と言いきれない」「具体的なスキームは様々」「司法の場で自らのサービスの適法性を訴える」などと主張する。業者のホームページには「勤務先にばれません」「スマホ一つで完結」などの文言が今も並ぶ。

お金に困ったら社協や弁護士に相談を
 生活資金に困った際、まず考えたいのが行政の給付金や貸付金制度の利用だ。

 各都道府県の社会福祉協議会は3月下旬から、新型コロナの影響で失業や休業した人への緊急の貸し付けを始めた。無利子で保証人不要。休業者向けは1世帯最大20万円、失業者向けは原則3カ月間で1世帯最大月20万円(単身世帯は月15万円)を借りられる。市町村には、お金や就職の悩みの無料相談窓口もある。

 東京の3弁護士会の弁護士は先月末にファクタリング被害対策弁護団を結成した。4月20〜24日午前10時〜午後6時には、ホットライン(03・5951・8555)で相談を受け付ける。(笠井哲也、新屋絵理)

給料ファクタリングを巡る考え方
【主な業者の立場】

○利息はとらず、金銭の貸し借りにあたらない(手数料は発生)

【金融庁の文書(3月6日公表)】

○給料ファクタリングの業者は貸金業に当たる

○この見解は捜査機関の判断や司法判断を拘束しうるものではない

【厚生労働省の国会答弁(3月24日)】

○賃金は労働者の生活の糧。使用者(会社)は直接労働者に払わなければならない。賃金債権の譲り受け人(業者)が使用者に支払いを求めることは許されない

【東京地裁判決(3月24日)】

○業者から労働者への債権譲渡代金の交付だけでなく、労働者からの資金回収が一体となって資金移転の仕組みが構築されている

○この仕組みは貸金業法や出資法の「貸し付け」に当たる

    ◇

〈給料ファクタリング〉 現金を早く手に入れるため、企業は販売先から代金を受け取る権利(売り掛け債権)を業者へ売ることがある。ファクタリングと呼ばれるこの取引を給料にあてはめ、給料をもらう権利を労働者が業者へ売り、お金を「前借り」する仕組み。手数料を引いた額を手にし、給料額を業者に後日払う。「貸金業ではない」として年利換算1千%超に当たる手数料をとる業者もある。

973チバQ:2020/04/17(金) 18:44:05
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e7%a6%8f%e7%a5%89%e3%81%ae%e3%83%80%e3%83%bc%e3%82%af%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%89%e3%80%81%e3%83%8d%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7%e9%9b%a3%e6%b0%91%e3%81%8c%e8%bf%bd%e3%81%84%e3%82%84%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%80%8c%e6%9c%ac%e5%bd%93%e3%81%ae%e8%a1%8c%e3%81%8d%e5%85%88%e3%80%8d/ar-BB12LAEJ?ocid=ientp

新型コロナ福祉のダークサイド、ネットカフェ難民が追いやられた「本当の行き先」







週刊女性PRIME [シュージョプライム]

2020/04/17 18:00
東京都は10日、緊急事態宣言を受けてネットカフェに営業停止を要請したため、都内では多くの店舗が休店。いわゆる「ネットカフェ難民」と呼ばれる、住む家を持たず、ネットカフェなどに寝泊まりする人たちが今、行き場を失って困っているのをご存知だろうか。

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 都内でネットカフェなどに寝泊まりしている(いた)人は4000人ほど。圧倒的に男性が多いとされているが、なかなか声をあげにくくて調査などからは漏れてしまう女性も多くいて、特に若い女性が目立つ。年代別では30代が最も多く、50代や20代と各年代に散らばる。

 そうした人たちはもともと、正社員で働いていたのに会社が倒産したり、派遣の雇い止めに遭ったりして、そこにたどり着いた。そういう事態は今や、誰にとっても他人事ではないだろう。

劣悪な環境に人を収容

 そこで東京都は、その人たちを一時的にビジネスホテルなどに無料で宿泊してもらう措置をとると発表し、やれやれこれで一安心……と思っていたら、実はそうは動いていないんだという話を、生活困窮者の支援活動を行っている一般社団法人『つくろい東京ファンド』の小林美穂子さんから聞いて、驚いた。小林さんはスタッフやほかの支援団体の人たちと一緒に、10日から支援のためにずっと忙しい日々を送っている。

「今、いちばんの問題はネットカフェから出されて福祉事務所に助けを求める人たちが、次々に無料低額宿泊所に送り込まれていることです。そこがどういう所かの説明も受けず、『迎えの車が来てるから、さぁさぁ』と連れていかれ、契約書にサインをさせられています」

 無料低額宿泊所。

 聞きなれない言葉だが、小林さんの説明によると、無料低額宿泊所、通称・無低は、生活保護受給者を中心に受け入れる、施設で、良心的な施設もいくらかはあるものの、その多くは、悪名高き「貧困ビジネス」の場になっていることが多いという。大部屋にぎっしり二段ベッドを並べたり、6畳ほどの部屋を3つに区切って敷きっぱなしの布団に寝かせるだけといった、劣悪な環境に人を収容する施設が多く、以前から問題になっている。

「しかも入居者が受給された生活保護費のほとんどを持っていかれます。門限もあり、外出外泊には許可も必要。場所によっては長くそこに逗留する牢名主みたいな人がいて、小銭やタバコをかすめとられたりもしますし、弱いものいじめはあたりまえ。人間トラブルから死亡事件が起きたこともあります。

 一般の人たちは、こんなところを役所が重宝しているなんて、とても信じられないでしょうが、そこに留め置かれ、いつまでもアパートへの転宅を許されない人達が全国で3万人いるといわれています」

 生活保護費のほとんどをむしり取り、自由も制限し、高齢者が多くて心身ともに治療が必要な人も放置される。これまで何度かニュースになってきたのに、現在も生活困窮者救済の対策として大手を振ってド真ん中にいる。福祉のダークサイドだ。

「大雨が降った月曜日、ネットカフェを出た青年が福祉窓口を訪れて、生活保護の申請をしたんです。ネットカフェを出てから2日間、野宿をしたあとだそうです。すると、何の説明もされないまま、彼は無低に連れていかれました。

 連れていかれた先は衛生面もひどく、高齢者がたくさんいて誰もマスクなんてしていない。咳き込む人も多い中、もちろん相部屋。そして風呂、トイレは共同。メンタルの問題も抱える青年は出された食事をひと口も食べられず、一睡もできずに朝を迎え、私たちにSOSの連絡をしてきました。しかも所持金がない彼に一週間分の昼食だとして福祉事務所の担当者から渡されたのは、ウイダーインゼリー2個だったそうです。こうした例は彼だけではありません」

974チバQ:2020/04/17(金) 18:44:22
東京都の“逃れよう”とする姿勢

 それでは感染防止のためにネットカフェをクローズした意味が全くない。東京都はビジネスホテルを2000室確保して、ネットカフェから追い出された人たちを無償で泊まらせると発表したのではないか。

 そもそも元からその無低を家として住んでいた高齢の人たちのところへ、もしや無症状で感染しているかもしれない新規の若い人たちを送りこむことは、感染リスクを高める最悪のやり方だ。クラスターになりえる。

「そうです。コロナ感染拡大を防止するためにネットカフェへの休業要請が出て、ネットカフェから出てきたみなさんが福祉事務所に行くわけですが、逆の結果になっています。

 なぜ、そんなことが起きるのかは、東京都が23区や市の福祉事務所に『一義的に無料低額宿泊所を使うべし』という通達をしているからです。感染拡大を止める気があるんでしょうか? ビジネスホテルを確保しているというのに、そこを使わせない。意味がわかりません。

 相談者からのSOSは日に日に切迫してきています。そこで私たちが何度も、何度も、何度も同行するわけですが、この動きを増やせば増やすほどに、感染は拡大します。そのリスクを何倍にも膨らませます。日本の医療にも、経済にも与える影響は甚大です」

 そこで『つくろい東京ファンド』代表の稲葉剛さんが東京都へ強く抗議し、16日夜になって東京都は「本人とのやり取りにおいて民間施設(無料低額宿泊所)等が困難と判断した場合は、ビジネスホテルを使う。民間施設を使う場合も、施設の感染症対策を確認した上で、可能な限り個室で対応する」と新たに発表したそうだ。

 しかし、予断は許さない。“困難と判断した場合は”とか“可能な限り”とか、逃れようとする姿勢が端々から見え、そこに“無低”がある限り、なんとしてもそれを利用しようとするんじゃないか。

 われわれ一般の都民からしたら、なんでそんなことをしたいのか全く意味がわからない。福祉事務所とは、いま困ってる人を助けるのが仕事だと思い込んでいたが、そうじゃないのか? せっかく泊まってもらうためのビジネスホテルを用意したのに、なんで使わないんだろう? ただ「やりました」感を出したいだけなのか? しかも、いざビジネスホテルに泊まれても、それは5月6日まで、それ以降はまた無料低額宿泊所へ逆戻りしろと福祉事務所の窓口担当者は迫るんだという。あまりに、ひどい話である。

「それならばアパートへ転宅をさせてくださいと話を進めますが、もう、いちいち闘わなくてはならない不毛さにウンザリします」

 小林さんとスタッフは、すでにクッタクタだ。家にいなければいけないこの期間、家にいるために取られたネットカフェ休業の措置から、逆に多くの人が東京中を駆けずり回らなくなっているなんておかしい。すみやかに全員をビジネスホテルに移動させてあげてほしいと強く願う。

新型コロナがパンドラの箱を開けた

 それでも小林さんたち支援者たちは屈しない。週末にはネットカフェを出た若い女性からのSOSも受けた。

「ネットカフェ暮らしだった若い女性は、前日から何も食べてないというから、ファミレスでご飯を食べてもらいましたが、『ジュースが飲めるのがうれしい。甘いの久しぶり』って。『もう首吊るしかないと思ったんですけど、私も人間なんですかね、生きたいと思ってしまったんです。それで連絡しました』と言われました。

 こんな思いを若い人にさせていること、こんなことを言わせてしまってることを、私たち年長者は心底、恥じなくてはいけないと思います。この過酷な日々がいつか過ぎたら、日本の人々が異なる価値観を持ち、これまでと違った形の社会形成を始めてほしい。

 そうならなかったら日本人に希望などありません。自己責任で弱者を見捨てることも、生産性で人の価値をはかることも、弱者同士を争わせる既得権を持つ者たちが責められることもなく、権力や経済力の上にあぐらをかき続けるさまも、ぜんぶ霞んで消えればいい」

 本当にそうだ。

 この新型コロナウイルスを生き抜くには、自分だけが助かればいい、では成り立たない。今は会えない人たちとも心の手を結び合い、物心共にシェアしていく以外、この時代を築いていくことは無理だ。自己責任論は最も忌むべき敵だと思う。

「コロナ禍を転機に、福祉を正常化させましょう。今後はネットカフェに暮らすような人がいない社会にしましょうよ」

 と、小林さんは言う。

975チバQ:2020/04/17(金) 18:44:35
「逆を言えば、新型コロナウィルスがこれまで行政が開けようとせず、私たち支援者も開けられなかった“パンドラの箱”を開けたんです。ネットカフェに暮らし、これまで毎日うつらうつらとしか睡眠は取れず、医療にもかかれず、節約のためにシャワーも毎日は使わず、カップラーメンばかり食べながら足も伸ばせずにいた人たちが、ふつうに人間らしい暮らしができるようになれば、禍も福と転じます。

 社会は、少し救われる。もっと早い段階で、支援しなくてはいけなかったことなんです。行政も、前線にいる都の職員も、福祉事務所のスタッフもいまは大変だと思う。でも、それは、これまでのツケが一斉に回ってきただけだから。もう、後戻りをしてはいけない。同じ過ちを繰り返したらダメ。社会もそうした人々をお荷物だと思わないで、一緒に生きていける未来を模索するようになってくれたらいいです」

 災い転じて福となす、にしよう! と必死に頑張る小林さんたちの活動は、いま、これからどうなるんだろう? と不安におびえる私たちに、こんな言い方はおかしいかもしれないが、勇気のようなものをくれる。

 人のためにいま動く人がいる。それを知るだけで少し安心し、よし、私も頑張ろうと思える。共に生きる方法を探れる。なお小林さんたち『つくろい東京ファンド』はホームページに、“相談受付フォーム”を開設しているのと同時に、広く寄付金を募っているのでチェックしてほしい。クレジットカードも使用可能だ。

<取材・文/和田靜香>

976チバQ:2020/04/20(月) 14:06:06
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200420-00010001-nishinpc-soci

「お米も買えない」1日1食…困窮するシングルマザー、涙の訴え


4/20(月) 9:56配信

西日本新聞







「お米も買えない」1日1食…困窮するシングルマザー、涙の訴え


支援団体から無料で食材を受け取るシングルマザーの女性(手前)。3月以降、食材を求める家庭は増えているという=3日、福岡市内


 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、ひとり親家庭の暮らしを直撃している。勤務先の休業や雇い止めを受け、日々の食事すらままならない家庭も出始めている。生活困窮者らを支援するフードバンクの関係者からは、懸念する声が上がっている。

【写真】「かわいい」ヘアゴムで作る“ハンカチマスク”

 「お金がなく、お米も買えない」。3月中旬、北九州市のシングルマザー(41)は区役所に駆け込み、泣きながら窮状を訴えた。

 コロナ感染が深刻化するまでは、身体障害がある長男(19)を市内の介護施設に預け、パーキングエリアの売店でパートをしていた。ところが3月以降、施設側から「感染の恐れがある」と預かりを拒否された。長男は手足が不自由で突然けいれんを起こすこともあるため、付きっきりの介護が必要。やむを得ず一時的に仕事を休んでいる。
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自身は1日1食

 離婚した夫から養育費はもらっておらず、借金もある。フードバンクからの食材を少しでも長持ちさせるため、自身は1日1食で済ませているという。

 次男(17)は通信制の高校に通い、今月末には授業料十数万円の支払いが迫る。「在宅ワークの仕事も見つからず八方ふさがり。どうやって生きていけばいいのか」と途方に暮れる。

 中学2年生と小学6年生の娘2人と暮らす福岡市のシングルマザー(41)は、勤務先のホテルの利用客が半減し、3月中旬から出勤が週1、2日に。9万円程度だった給料はさらに減る見通しだ。消費者金融からの借金も考えるが、返済に苦しんだ過去があるだけに二の足を踏む。「極力借金はしたくないが、このままでは先行きが見えない」

 「辞めてほしい」。小学生の長男(10)と保育園児の長女(5)を持つ熊本市のシングルマザー(34)は、勤務先の飲食店から退職を促され、職を失った。ハローワークに通うが、次の仕事が見つからない。小学校の臨時休校で給食がなくなり食費もかさむ。政府は1人10万円の現金給付を検討しているが、「一時的には助かるが、仕事が見つからなければ生活を立て直せない」とため息をつく。

「どこに頼ればいいのか分からない」

 コロナ感染拡大を受けた公的支援制度は、事業者対象が中心。臨時休校に伴う休業補償制度も、実際に従業員が補償金を受け取れるかどうかは企業側の対応にかかっている。社会福祉協議会の無利子の貸金制度もあるが、限度額がある上に返済も必要。食材を無償で配るフードバンクや子ども食堂がない地域もあり、熊本市のシングルマザーは「食費が浮くなら助かる。でも、どこに頼ればいいのか分からない」と訴える。

 NPO法人「フードバンク北九州ライフアゲイン」(北九州市)によると、食材を提供する生活困窮家庭の世帯数は3月に入って約3割増えたという。同法人の白浜貴子副理事長(58)は「以前はおやつなどのニーズが高かったが、今は米を求める家庭が増えている。企業に食材提供の協力を積極的に呼び掛け、支援態勢を強化していきたい」と話した。 (御厨尚陽)

977チバQ:2020/04/20(月) 15:32:25
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200420-00000006-jij-soci

バイト代激減、学生困窮 食費1日300円でしのぐ 学費払えず退学視野


4/20(月) 6:38配信

時事通信



 新型コロナウイルスの影響で、アルバイトの出勤が減らされた大学生らが困窮している。

 学生団体が実施した緊急調査では、複数の大学生が「学費が払えず、退学を検討している」と回答。収入が激減する事態に直面した学生は「1日300円程度の食費でしのいでいる」と深刻な状況を訴えた。

 埼玉県草加市の大学4年の女性(23)はアルバイト先の飲食店の営業日が少なくなり、3月下旬ごろから勤務に入れなくなった。同月の収入は3割減だったが、「4月はこのままだとゼロになる」と嘆く。

 現在は貯金を切り崩し、食費を1日200〜300円に抑えている。買うものは菓子パンや冷凍うどんばかりで、「野菜は高いので手が届かない。トイレットペーパーなどの値段も上がり、生活に響いている」と話す。

 生活苦から両親のいる山形県への帰省を検討したが、「同居する70代の祖母に感染させるかもしれない」と断念。「妹も大学生なので両親からの援助を受けずに生活してきたが、この状態が長く続いたら相談するつもりだ」と打ち明けた。

 関西圏の大学で構成する「大学スポーツコンソーシアムKANSAI」の実態調査によると、回答した大学生約1400人のうち、4月以降にアルバイト収入が減る見通しだと答えた学生は74.8%に上った。親など家族の収入が減少するとした人も55.6%を占める。

 学生団体「高等教育無償化プロジェクト」が実施中のアンケート調査では、「アルバイトや実家の収入減で退学を考えているか」との質問に数人が「考えている」と回答した。「自営業の父の収入が8割減った。大学を辞めざるを得ないか不安」などと切実な声が寄せられている。

 奨学金問題対策全国会議共同代表の大内裕和中京大教授は「緊急事態宣言で学習塾や飲食店など、学生アルバイトが多い業種に大きな影響が出ている」と指摘。「このままだと学費が払えないまま学籍を失う人が出てくる。大学側は延納や分納など柔軟に対応するべきだ」と訴えた。

978チバQ:2020/04/20(月) 20:35:04
https://news.yahoo.co.jp/articles/96ddadff96e03175ae2cac4f22cf35b377e3a577
バイト激減...嘆く学生 新型コロナ休業、収入断たれ「貯金崩す」
4/20(月) 15:07配信

福島民友新聞
アルバイトのシフトが削られ、収入が減少した男子大学生。今後に不安を抱えている=福島市内

 新型コロナウイルス感染拡大により、飲食店などが苦境に立たされる中、学生たちの間から「アルバイトができず、収入が減っている」といった声が聞かれる。次のアルバイト先を探そうにも働き先がなく、貯金を切り崩して生活する学生も。政府は一律10万円の現金給付をする方針だが、先の見通しは立たず、学生は不安な日々を過ごしている。
 「掛け持ちでアルバイトをしていたけど、両方とも出勤停止状態で...」。県内の大学2年の女子学生(19)は戸惑いの声を上げる。県内のレストランと居酒屋でアルバイトをしていたが、3月下旬ごろからシフトを削られるようになり、今月の出勤日はなし。居酒屋からは「次のアルバイト先を探してもいいよ」と言われているが、レストランからは今後に関する説明はなく、次のアルバイト先も見つかりそうにないことから「どうしたらいいのか」と悩みを抱えている。
 現在はアパートで1人暮らし。家賃は親が支払い、月に7万円程度のアルバイト収入を生活費などに充てていたが、今はゼロ。「仕送りと貯金を切り崩して何とか生活している」といい、「5〜6月くらいに終息すれば何とかなるけど、それを超え、長引けばどうしよう」と不安を口にする。友人たちも同様で「この状況では実家にも帰れない」という。
 県内の大学4年の男子学生(22)は小売業で週3〜5日のアルバイトをしていたが、現在は週1日あるかどうか。月の収入も2万円を切るまでに減少した。「(実家暮らしのため)生活できなくはないけど、かなり厳しい」と漏らす。一律10万円の給付は「もらえる分には良い」というが、「2カ月か、節約しても3カ月しか持たない」と話す。

979とはずがたり:2020/04/22(水) 22:41:31
「マスク1円セール」の日に起きた大阪・西成スーパー傷害事件《犯人の意外すぎる動機》
https://news.livedoor.com/article/detail/18153618/?__from=ln_am
2020年4月21日 16時0分 文春オンライン

「アベノマスク」の配布が開始された4月17日、大阪市西成区にある「スーパー玉出(たまで)天下茶屋店」の店先で客の男が男性店員を刃物で切りつける傷害事件が起きた。この日、同店では「マスクの特売セール」が行われており、「マスク不足がもたらした事件か」とネットは騒然。男は逃走している。「文春オンライン」特集班が現地を取材した。

現場となった「スーパー玉出 天下茶屋店」 c文藝春秋

1000円以上お買い上げで「マスク2枚が1円」
 スーパー玉出の広報担当者が話す。

「1円セールは日頃から、来てくださるお客様への感謝もこめて続けている企画で、たまたま1カ月ぶりにマスクが大量に入荷できたので開催しました。1000円以上お買い上げのお客様に限り2枚のマスクを1円でお売りする企画ですが、枚数も時期も安倍さんのマスクとかぶっていますが、こちらは1週間前から決まっており偶然なんです」

 低価格の簡易宿泊施設や激安の飲食店が並び、飾らない街として知られる大阪市西成区。現場となった「スーパー玉出」は阪堺電気軌道阪堺線、今池駅に隣接しており、周辺住民や付近の飲食店の支えとなっている。24時間営業し、激安で品数が多いことから「西成のオアシス」と地元住民はいう。

 事件が起きたのは午前9時、現場に居合わせた品出しの外国人スタッフが話す。

「オキャクサン、イツモヨリ、イッパイダッタ。ハンニン、オコッテイテ、Aサン(被害者の名前)ササレテ、チガ、ドバーットデタ。オマワリサン、イッパイキタヨ」

 被害にあったAさんは73歳、勤務歴15年のベテランスタッフだった。

「誰よりも正義感が強くて、これまでも癖のあるお客様とのトラブルでも『まあまあ』といって仲裁に入ってくれ、目下のアルバイト従業員からも慕われていた。家族もいて、日頃から高校生のお孫さんを可愛がっていた」(店舗幹部)

 防犯カメラの映像から犯人は70代前後の男と思われる。男は午前6時半に来店しサラダ油を購入。3時間後、再び店に現れた。

「オラ! 交換しろや。代わりのもん持ってこい」
「レジの若い女性スタッフに『サラダ油の蓋が開いていた』『交換してくれ』って言ってきたんです。完全な“いちゃもん”で、女性スタッフも困惑していた。そこにAさんが止めにいくと、『オラ! 交換しろや。代わりのもん持ってこい』『店長呼べ!』と口調が激しくなって、Aさんが『そんなん代えられへん』って言ったらまたガーッと(文句を)言いだしたのです」(同前)

 押し問答は10分以上続き、Aさんは結局、この迷惑客の要求を飲んだという。

「どうしようもないから、交換してあげようと、新しいサラダ油を持っていったのですが、なぜか犯人は逆切れ。Aさんの顔に唾をかけだした。店内だと他のお客さんもいるから、Aさんは『表に出てくれ』と言って店の入口へ移動して対応したのですが、その後もしばらくわめいていた。げんなりしたAさんがバックヤードに戻ってきた際、足が血まみれになっていた。本人は最初蹴られたと思っていたようで、血を見てフラフラになってしまった。血溜まりが出来て、従業員が救急車を呼びました」(同前)

 犯人は今も逃走し、大阪府警は行方を追っている。Aさんは幸い命に別状はなく、近所の病院に入院したという。

「時期が時期だけに、ネットではマスク特売との関連で起きた事件と書かれていましたが、マスク特売による大きなトラブルではありませんでした」(前出・広報担当)

 マスクの特売は、このご時世では信じられないことに完売とはならず、数十枚余っていたという。

980とはずがたり:2020/04/22(水) 22:41:50
>>979
マスクの在庫があっても買うお金がない
「多くの客は食料品や特売品が目当てだったと思います。うちのお店は、売れ筋がお惣菜やカップ酒で、客単価は700〜800円。今を生きることで精一杯のお客様も多いので、1000円分の買い物をして、マスクを求めるお客さんはそこまでいなかったわけです」(別のスタッフ)

 日々の生活に困窮する人達にとっては、マスクの在庫があっても、手に入れるカネがないのだ。40年以上、西成区のあいりん地区に住むBさん(60代男性)に話を聞いた。

「毎週火曜と土曜の昼11時にあった三角公園の炊き出しが中止になっちゃったんだよ。1カ月前くらいかな。みんな並ぶから。食べれない人もいて、西成は大変なことになっている。今の収入源は『特掃』(高齢者特別清掃事業)だが、3日に1回、5700円入る。金が入ったらそこの玉出で買い物するんだ。キムチとかバナナとか、後はフライとか。自分の好きなもん買って、それでも500円くらい。白飯買って、3日くらいは持つ。普段はギャンブルに使うんだけど、いまギャンブルの店が自粛でやってない。競馬もパチンコも。だから今は貯まった金を大事に使っている」

 Bさんは、ショルダーバッグから「特掃」の仕事で稼いだ封筒の束を見せてくれた。

「特掃も厳しいよ。仕事の前に体温はかって37.5度超えたら仕事ができなくなるんだよ。まだ周りでは1人も(陽性は)出てない。もし1人でも出たら終わっちゃう。ワシがコロナになったら、『お前のせいでえらいことに(働けなく)なった』って、みんなにボコボコにされちゃう」(同前)

 スーパーから徒歩5分の場所に「あいりん地区」はある。多くの住人が集まり公園で談笑している中、マスクをしているのは半数ほどだ。マスクの購入先を尋ねると、「たくさん持っている仲間からもらった」という。

「仲間内でうまく調達してくれるヤツがいるんだ。それを洗って何度も使っている。もしマスクがなくても体には自信がある! 外で寝てるし体は強いんだ。コロナなんて罹らないと信じたい。国からマスクが届くって言ってるけど、ワシらはもらえるのかな。どうせならやはり現金がほしい。でもありゃあ(給付金は)ワシは無理だ、住所がないから」(同前)

 現在、ウイルスの影響で失業者、一時休職者が世界中に溢れている。「ステイ・ホーム」のスローガンが叫ばれても、家がない人もたくさんいる。韓国では3月にはいり160万人が一時休職に入り、失業の危機にあるという。米国はさらに深刻で、米労働省によるとトランプ大統領が非常事態宣言を発令してから4週間で、新規失業保険申請数は2200万件に及ぶ。日本でも今後多くの一時休職者、失業者の発生が予想される。各国の惨状は対岸の火事ではないのだ。



「文春オンライン」では、新型コロナウイルスに関連する事件について情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式」ツイッターのDMまで情報をお寄せ下さい。

 sbdigital@bunshun.co.jp
 https://twitter.com/bunshunho2386

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

981チバQ:2020/04/23(木) 10:16:26
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200423-00000003-ibaraki-l08

《新型コロナ》雇用縮小、宿泊先が休業 行き場失う生活困窮者


4/23(木) 5:00配信

茨城新聞クロスアイ







《新型コロナ》雇用縮小、宿泊先が休業 行き場失う生活困窮者


NPOのシェアハウスに入居した女性。寝泊まりや食事を確保し、職探しを考えている=つくば市内


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、生活困窮者の日常が脅かされている。休業や営業自粛で雇用環境が縮小しているほか、ネットカフェなど低料金で宿泊に使える居場所も休業が相次いでいるためだ。こうした困窮者を支援するNPOや市民団体は、行き場を失った人に住まいや食事を提供する取り組みを進めている。

■所持金底突く

「住む所と食事を得られて一安心。ほっとしているし、ありがたい」

今月16日夜、つくば市内にある閑静な住宅街の2階建て住宅で、40代の無職女性は息をついた。

女性は2月いっぱいまで、県内で宅配便の荷物を仕分ける派遣労働者として働いた。深夜勤務は心身にこたえ、疲労も蓄積した。さらに新型コロナの影響が広がった3月になると派遣の仕事を切られた。

家庭の事情で県内の実家にいられなくなった。短期の仕事を繰り返しながら、県内や首都圏を転々とした。週単位の短期賃貸マンションにも滞在したが、管理会社から「次の予約が入っているため出てほしい」と言われ、泊まる場所がなくなった。

女性は、県南地域のネットカフェを探して寝泊まりした。ネットカフェの利用料金は24時間3千円。感染におびえながら、10日ほど過ごしたところで所持金が底を突いた。ネットカフェも営業自粛の対象になり、泊まれない。役所に相談し、シェアハウスを紹介された。

■衣食住を確保

シェアハウスの家賃は月3万円。敷金・礼金はなく、光熱費込み。保証人がいなくても入れる。

食事は、寄付された食品を提供する「フードバンク」を利用することができる。当面の衣食住には困らなくなった。

女性は今後、自立を目指すつもりだ。以前働いていた派遣の仕事に就こうと思ったが、「応募が殺到して漏れてしまった」。

現実は厳しい。「何とか生活していきたい」と前を向く。

■支援で再生を

住宅を提供したのは、県指定居住支援法人で、生活困窮者らを支える一般社団法人「LANS(ランズ)」(つくば市)。シェアハウスは4人が入居できる。現在、女性2人が生活している。2年間入居できる契約だ。

浅井和幸代表理事は「ここで支援を受けながら、生活を立て直してほしい」と希望する。

女性は昨年、長年勤めた仕事先で肋骨を折り、仕事を休んだ。労災も出ず、その後は短期の仕事が続いた。

「一度つまずくと仕事も生活も厳しくなり、困窮につながる」と浅井さん。生きていくには最低限の預貯金が必要となる。常勤で働けるよう後押しし、「その人にとってどんな生活がいいか、希望に添う形で支援できれば」と考えている。

国は、コロナ関連で収入が減った低所得者向けに、家賃などを補助する制度も用意する。しかし、補助の割合が国と自治体の折半のため、制度のない自治体では困窮者が補助を受けられない事情もあるという。

浅井さんは「本当に苦しい人にとって家賃補助は大事。国や自治体には迅速で柔軟な対応をしてほしい」と強調した。(綿引正雄)
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茨城新聞社

982チバQ:2020/04/27(月) 16:54:23
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200427-00010000-nishinpc-soci

所持金30円…「3日間何も食べていない」ネットカフェ難民の困窮


4/27(月) 9:32配信

西日本新聞







所持金30円…「3日間何も食べていない」ネットカフェ難民の困窮


支援団体からもらった炊き出しの弁当を大切そうに抱える「ネットカフェ難民」の男性=21日、福岡市


 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言でネットカフェが休業対象となり、そこで寝泊まりしていた、いわゆる「ネットカフェ難民」が行き場を失っている。行政側は宿泊施設を無償提供するなどの支援に乗り出すが、そもそも実態をつかみ切れていない現状も浮かび、関係者は危機感を募らせている。

【動画】「涙が出た」コロナ終息願う動画、ネットで話題に

 21日正午、福岡市博多区の美野島公園。NPO法人「美野島めぐみの家」が週1回開く炊き出しに、約40人の路上生活者(ホームレス)が列を作った。ネットカフェ難民だという50代男性も並んでいた。この日のメニューはハムカツやフライドポテトが入った手作り弁当に、菓子パンとバナナ。男性は「3日間何も食べていない」と、ありがたそうに受け取った。
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「これからどうして生きていけば良いのか」

 ネットカフェが軒並み休業した今月中旬以降、男性は市内で路上生活を余儀なくされている。日中はハローワークで仕事を探し、その後は市内の公園を回って時間をつぶす。入浴は週に1度、ネットカフェで知り合った知人宅で済ませている。寝床は雨風が防げる高架橋の下や地下鉄入り口の階段。「体中が痛いし、寒くてよく眠れない」。疲れた様子だった。

 福岡県内出身で、高校卒業後はブライダル会社で正社員として働いていた。30歳で離婚して妻、娘2人と別れ、市内のレジャー用品販売会社に転職。1年しか続かず、その後は原発や建設現場の作業員として全国を転々とした。2012年ごろから市内で派遣の仕事に就き、その頃からネットカフェで寝泊まりする生活を続けてきた。

 月に17万円ほどは稼いでいたが、新型コロナの影響で2月以降は仕事が激減した。この日、所持金はわずか30円。「これからどうして生きていけば良いのか」と深いため息をついた。
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「生活保護を申請すれば…」

 ネットカフェ難民は東京都だけで約4千人といわれる。担当者は「あくまで推計値で実数は不明」。福岡市も休業要請前に市内の店舗に宿泊客の状況を聞いたが「店側からは『数人程度』との回答だった。実態はよく分からない」という。

 東京都や大阪府、神奈川県はビジネスホテルや民泊のマンションを借り上げて無償・有償で提供したり、公共施設を無料開放したりするなどの支援策に乗り出す。福岡県も公共施設を1泊1700円で提供。福岡市は自立支援施設への入居を案内している。

 ただ男性は、こうした施設への入居に二の足を踏む。行政側から生活保護を勧められると思うからだ。「生活保護を申請すれば娘に連絡が行き、ホームレスなのが知られてしまう」。もし新型コロナに感染すれば重篤化が懸念される糖尿病も抱える。感染を恐れて人けのない場所でひっそりと過ごしながら、政府の現金給付に望みをつなぐ。

 「10万円でアパートを借りて生活を立て直したい。だんだん気力もなくなってきた。一刻も早く欲しい」

 美野島めぐみの家の瀬戸紀子理事長は「08年のリーマン・ショック時は3カ月後に一気に路上生活者が増えた。今は少数でも、新型コロナの流行が長引けばかなりの人が路頭に迷うだろう」と危惧している。 (御厨尚陽)

983チバQ:2020/04/28(火) 12:01:06
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200428-00000514-san-life

「ビッグイシュー」販売減 「路上で寝る日増えた」


4/28(火) 11:08配信

産経新聞



人通りの減った駅前で販売を続ける山田裕三さん=4月24日午後、大阪府高槻市のJR高槻駅前(薩摩嘉克撮影)


 ホームレスの人が雑誌の販売を任され、売り上げの一部を収入とすることで自立を目指す「ビッグイシュー」の販売員が、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で苦境に立たされている。NTTドコモの統計情報によると、大阪・梅田周辺では27日午後3時時点の人口が感染拡大前(1月18日〜2月14日の平日平均)に比べて73・1%減少するなど、主要駅の人通りは大きく減った。人がいなくなったことで路上での販売を基本とするビッグイシューの売り上げは大幅に減少している。

【写真】現在販売中のビッグイシュー最新号

 「おかげさまで最近、あたたかい。冬でなくてよかった」

 大阪府高槻市のJR高槻駅前で販売を続ける山田裕三さん(61)は、そういってほほ笑んだ。3月から販売数が減り始め、今月はほぼ半減。これまでは低価格で利用できるネットカフェで体を休めてきたが、店は休業要請を受け閉店してしまった。

 現在の収入では、府がネットカフェの代替とする宿泊施設を利用するのは難しい。「路上で寝る日が増えた」という。

 大阪市出身。高校を卒業後、和食の料理人として働き続けてきた。5年ほど前、90代の母親を介護するために離職し、最終的には生活保護を受けながら介護を続けた。母親が97歳で亡くなると、住んでいた家を出ることに。仕事も見つからず、ネットカフェを転々とした。

 やがてネットカフェに泊まる金もなくなったが、「そのへんに寝転んで寝るということができなかった」。夜は公園で休憩したり歩いたりし、昼間は図書館で寝た。その図書館で見つけたのが、ビッグイシュー販売員の仕事を紹介する冊子。すぐに販売員になった。

 販売歴は5年ほど。高槻駅前での販売は昨年8月からだが、毎号買ってくれる常連客もいる。買ってくれた人にプレゼントする自作の小冊子「路だより」には板前の経歴を生かし、毎号料理レシピを掲載している。「ビッグイシューの販売が好きだから続けている。冷たい目でみられることもあるけれど、応援してくれる人がいるという喜びが大きい」

984チバQ:2020/04/28(火) 12:01:20
 だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高槻駅前の人通りは激減した。いつもいっぱいだった駅前の自転車駐輪場は閑散とし、毎号買ってくれる常連客も通らなくなった。

 それでも、「今は無理して買いに来なくてもいい。自分を一番大事にしてほしいから」と語る。母親ら親族を亡くした経験で、命の大切さが身に染みた。自身も糖尿病や高血圧の持病があり、感染は恐怖だ。閉じ籠もっていたいが、それでは食べていくことができない。「販売をやめるわけにはいかないんです」

 ビッグイシュー日本によると、これまで、販売員はそれぞれ1号あたり平均約175冊を販売。月2回の発行で平均8万500円の収入を得るはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言を受けて人通りが激減したことで販売数は減り、収入も減少。販売員が危機に直面している。

 ビッグイシュー日本は10日から6月末まで、販売員を経済的に支えるための「特別通信販売」を実施。3300円を支払うと3カ月間、雑誌6冊を郵送し、代金のうち1380円が販売員に支給される。2千人が利用すれば、販売員60人に4万6千円程度の現金給付ができる。すでに6千人以上の申し込みがあったが、事務局は「外出自粛が長期にわたる可能性が高く、引き続き募集を続ける」という。

 一方、新型コロナウイルスの影響で、新たに仕事や住まいを失う人が出てくることが懸念されている。NPO法人「釜ヶ崎支援機構」などは今月、「新型コロナ・住まいとくらし緊急サポートプロジェクトOSAKA」を発足。23、24日に大阪市西成区で開かれた相談会には20〜80代の36人が訪れ、「アルバイト先の居酒屋が休業し、このままでは家賃が払えなくなる」などと苦境を訴えた。

 同プロジェクトはウェブ上でも相談窓口を開設。仕事の紹介や生活保護の案内などを行うとともに、寝る場所のない相談者が10日間、簡易宿泊所などに無料で宿泊するための資金を募るクラウドファンディングを実施している。

 相談窓口はhttps://peraichi.com/landing_pages/view/coronasoudan

 クラウドファンディングはhttps://camp-fire.jp/projects/261315

 ビッグイシュー 英ロンドン発祥の雑誌で、平成15年に大阪で日本語版の発行が始まった。販売員として登録したホームレスに、最初に10冊を無料で提供する。販売員が路上などで1冊450円で売ると、このうち230円が収入になる仕組みで、自立を支援する。現在は月2回発行。約100人が全国12都道府県で販売している。

985とはずがたり:2020/04/28(火) 15:28:35
一昨日だったか宣伝やってたモスのテリヤキバーガーが無性に食いたくなって(450円。残念ながら大したことなかった)生駒駅迄行ったが,頑張ってたので一冊(450円)購入した。
モスも大して美味くなかったしバーガー諦めてバックナンバー(\350)も買ってあげれば良かった。
対面手渡し現金のみは今日日厳しいだろうなとは思う。一ヶ月ぐらい前には本部?に寄付もしといた。
貧乏性のケチであんま大金寄付出来ない自分が恥ずかしい所だけど金持ち優遇な政府が無能であかん。

986チバQ:2020/04/30(木) 14:10:51
https://news.yahoo.co.jp/articles/de26026c23e49a3cf82ee53682ad0a77bd1a690e
「収入ほぼゼロ」苦境のフリーランス 安全網に不備、尽きぬ不安
4/30(木) 11:27配信

西日本新聞
ダンス教室を自粛し、1人で練習する講師の女性。「生徒さんが離れていかないか心配」と語った

 企業に雇われず個人で働くフリーランスが、新型コロナウイルスの感染拡大に悲鳴を上げている。イベント自粛や休校、休業要請で収入が激減し、国や自治体の緊急支援も終息に時間がかかると底をつくという。安倍政権は多様な働き方を進めてきたが、フリーランスは会社員に適用される労働関連の法や社会保障の保護を受けられず、代わりの安全網が整わない中で打撃を受けた形だ。

【写真】「侍マスク」口コミで広がり…静かな反響

 普段は熱気あふれる空間が静まり返っていた。15日、福岡市のレンタルスタジオ。ここで教室を開くダンス講師の女性(40)は「レッスンはほぼ自粛です。できないですよね…」。

 女性はスタジオ2カ所を借り、文化講座を開く企業とも業務委託契約を結んで約30人を指導する。だが、月20万円ほどあった収入はほぼ絶たれ、自営業の夫も収入が激減。スタジオの賃料は支払わなければならず、当面は蓄えに頼るという。

 同市のライターの女性(48)は、複数の契約先から業績悪化で仕事を断られた。子育て中のひとり親世帯。学童保育からも利用を控えるよう言われ、「この働き方で20年以上やってきたけど、廃業も考えました」

 フリーの人を支援する「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」(東京)が3月、会員に影響を聞くと300件以上の声が集まった。特に接客やイベント関連の人が収入減を訴えた。

987チバQ:2020/04/30(木) 14:11:42

もろいセーフティーネット
 フリーランスは個人事業主に当たり、企業に雇われている人よりセーフティーネットがもろいとされる。

 会社員とは加入する保険が異なり、病気で働けない時の傷病手当金は原則支給されない。使用者の都合で仕事を休んだ際の休業手当や、労災保険の休業補償も基本的に対象外。失業給付もない。

 最低賃金や労働時間規制といった労働関連法の保護もない。契約が突然解除されるリスクも。民間保険に入って備えるしかない。

 こうした安全網の不備をどうするか。フリーランスの中には、契約先から指揮命令を受けて収入面も依存するなど、働く形が雇用労働者と変わらない人もいる。国は副業や兼業といった柔軟な働き方を推進してきたが、対策が進まない中、コロナ問題は起きた。

 同協会は今回、自粛要請による苦境は不可抗力に近いとして給付型支援を求めてきた。そこで、収入が前年同月比で50%以上減った個人事業主に最大100万円を支給する政府対策が打ち出された形だ。

 それでも不安は尽きない。同市のライターの男性(31)は、取引先6社のうち2社との契約が打ち切られ、残りも受注が減った。年収は300万円前後。「去年の収入を考えると、100万円はもらえない」

 100万円の対象にならない人への福岡県の給付金や、1人10万円の政府支援もあるが、「企業も広告宣伝費を削ると思う。感染が長引いたらどうするか」

不当な扱いも明るみに
 浮かび上がった立場の弱さは、他にもある。

 (1)明確な契約ルールがないため、書面でなく口約束による発注が横行(2)一方的な契約変更(3)パワハラやセクハラ-。(1)では、仕事の発注やキャンセルが電話だけで済まされることがある。契約実績や見込み収入を証明するのが難しく、国の給付型支援の制度設計に時間がかかる要因になった。

 不当な扱いも明るみに。兵庫県の女性(39)は契約先の会社に出社して仕事をしていたが、正社員に許されたテレワークが1カ月以上も認められなかった。「私たちは休業手当も年休もない。感染して働けなくなったらどうするのか」

 同協会の平田麻莉代表理事は「今まで訴えてきたフリーランスの課題が、コロナで一気に顕在化した。フリーランスが今後増えると考えると、セーフティーネットの整備は必要」と語る。 (編集委員・河野賢治)

働き方に中立な制度へ
 大内伸哉・神戸大教授(労働法)の話 現行の労働法や社会保障法は、雇用労働者の方がフリーランスより恵まれている部分があり、中立的なものに改めるべきだ。その際、フリーランスには(1)経済的に特定企業に依存する人(2)そうでない人-がいることに留意する必要がある。(1)は、その置かれた状況に応じて雇用労働者に準じた扱いをする。(2)は、独立した職業人として自立するための教育が必要。技術革新で今後は雇用によらない働き方が増えると予想され、安全網の制度設計を急ぐ必要がある。

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【ワードBOX】フリーランス

 会社に雇われず、発注者から個人で仕事を請け負う人。会社員のように指揮命令を受けず、労働時間や場所にとらわれない自由な働き方とされる。開業届を出して独立する人や、会社勤めをしながら副業で業務を請け負う人がおり、職種もエンジニアやWEBデザイナーなどさまざま。内閣府の調査では、全就業者の約5%に当たる306万〜341万人いるとみられている。

西日本新聞

988チバQ:2020/05/01(金) 09:46:42
https://news.yahoo.co.jp/articles/93347fd3cacba58e8d3ba9e2bc777fb62832f303
倉庫勤務「今も休めない」非正規50歳の長い憂鬱
4/30(木) 15:31配信

東洋経済オンライン
工場での事故のせいで、手のひらの一部にはやけどのあとが残る。神経が切れて感覚のない指先もある。「自分なりに頑張って働いてきた」と言うタカノリさん(写真:タカノリさん提供)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「発達障害とうつで生きづらく、希望がない」と編集部にメールをくれた、50歳の男性だ。

■大手流通会社の倉庫で契約社員として勤務

 「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレワークにご協力ください」

 朝7時半すぎ、大阪市内を走る地下鉄車内に男性のアナウンスが流れる。タカノリさん(仮名、50歳)はそのたびに心の中でこう突っ込む。「お前に言われんでも、できるくらいならしとるわ」。

 大手流通会社の倉庫で働く契約社員。うつ病と発達障害の診断を受けており、障害者雇用枠での採用だ。車内の様子について「空気が重い。好きで出勤している人はいませんから。座っている人はみんな『俺の隣りには座るな』というオーラを出してます」と話す。

 週末の出勤日などは、大阪駅の改札に人っ子一人いない瞬間もある。「不思議な光景です。以前観た映画を思い出します。人類が滅んだ大都市で、男が1人生き残るやつ……、なんでしたっけ?」と言うので、私が「もしかしてウィル・スミスの『アイ・アム・レジェンド』ですか」と聞くと、「そうです、そうです」とうなずいた。

 倉庫内ではピッキング(商品を集める)作業などに就いている。庫内で働く人たちのほとんどは、タカノリさんと同じ非正規労働者。会社は朝礼を中止したり、ロッカーの使用を禁止したりするなど一定の3密解消のための対策は取ってくれているという。

 一方で退勤時は1つの出口に人が集中。ソーシャルディスタンスを取って並ぶよう指示されるので20〜30メートルの行列ができるという。その行列を監視する正社員の管理者が時々「そこ!  ちゃんと距離を取ってください」と注意する。「2回注意されると、出勤停止になると言われています」とタカノリさん。

 以前は倉庫内の机に準備されたマスクを自由に取ることができたが、マスク不足が深刻になるにつれ正社員による手渡しとなり、最近は自前で用意できないと申告しないと、もらえなくなった。「もらいづらい雰囲気。僕は自分で買っています。でも、もう残り20枚くらいかな……」。今は一度使ったマスクを干して、3日間ほど使い回している。

 「毎日、得体のしれない恐怖を感じながら、片道90分かけて電車通勤しています。会社はできる限りの対策を取ってくれてはいますが、感染リスクはゼロじゃない」

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「Stay Home」と言われても、それがかなわない人たちがいる。食品加工やゴミ収集、スーパーのレジ、倉庫内作業、ビル警備といった仕事は在宅ではできない。そして、これらの現場を支える労働者の大半は非正規雇用である。先日、コールセンターのオペレーターの職場が3密状態にあるという話を取材したが、オペレーターの9割は派遣、契約、アルバイトといった非正規労働者だ。

 公務員や医療従事者の一部が過重労働を余儀なくされているのは知っているけれど、彼らの安定した雇用や賃金水準に、非正規労働者のそれは遠く及ばない。同じく必要不可欠な仕事をしているのに、生活保護水準と変わらない月収の人もいるし、1カ月、3カ月といった「超細切れ雇用」を繰り返す人も少なくない。

■雇用による「リスク格差」という、最も醜悪な差別

 非正規労働の収入で家計を支える人もおり、休むに休めないという人もいる。雇い止めの不安があるから「職場の3密状態を改善してほしい」「危険手当てが欲しい」という声も上げづらい。市民の外出自粛や会社員の在宅勤務は、感染リスクに怯えながら黙々と働く低賃金、不安定雇用の労働者なしには成立しない。

 「多様な働き方」という美名の下、非正規労働者を増やし続けた結果がこのありさまだ。コロナ禍が雇用による「リスク格差」という、最も醜悪な差別を浮かび上がらせている。

 話をタカノリさんに戻す。

 生まれも育ちも大阪。両親はアパレル関係の小さな会社を営んでいた。小学生のころは授業中に教室内を歩き回ったり、友達と一緒に空き家に忍び込むなどのいたずらをしては、両親からこっぴどく叱られた。中学生になり、父親からガラスの灰皿で頭を殴られて大量に出血したときのことは、今もトラウマになっているという。

989チバQ:2020/05/01(金) 09:47:05
 「落ち着きがないと、しょっちゅう怒られていました。今だったら、発達障害かもと気づいてもらえたと思うのですが、当時はそんな言葉もなかったですから。ただ不良だとか、友達を傷つけたとか、そういうことはないんです。あそこまで怒られることだったのかなと思います。勉強も運動もできなかったから、できのよい姉とよく比べられました。親だけのせいにするわけではありませんが、今の僕に自己肯定感がまったくないのは、生育環境も関係していると思います」

 その後、大学に進んだものの、ある日唐突に「みんなに笑われているような気がして、人前に出るのか怖くなった」。授業はもちろん外出もままならず、1年あまりで退学。一時はひきこもり状態になりかけたものの、いくつかの会社でアルバイトや正社員などとして働きつつ、20代半ばで、折り合いの悪い両親のもとを離れて独り暮らしを始めた。

 「体育会系の上司とうまくいかなかったり、飲み会に自分だけ誘われなかったり、部下の派遣社員からバカにされたり」など対人関係につまずいて長続きしない職場もあったが、中には正社員として15年近く働いた会社もあった。

■怪我をしても「労災」にはならなかった

 15年近く正社員として働いたのは製造業の工場勤務。三交替で、夜勤もあったことから年収は500万円ほどあった。ただ、労働環境は劣悪。効率優先で機械の安全装置のセンサーが切られていたことが原因で、タカノリさんは左手のひらに大きなやけどを負った。また、自身の不注意で機械に指を挟まれ、中指の先端がちぎれかけたこともあった。

 ほかにも怪我をした同僚はいたが、いずれも労災にはならなかった。というか、本人たちが訴えなかったのだ。「工場内の壁には『無災害〇日』の看板が掲げられていました。この“記録”を途切れさせるのは申し訳ないと思って……」とタカノリさんは言う。

 夜勤続きによる疲れなどが原因で40代前半でうつ病を発症、会社を辞めた。その数年後、ADHDと診断された。「ネットで読んだ発達障害の特徴が、自分に当てはまると思って病院に行きました。周りとコミュニケーションが取れないとか、落ち着きがないとか――。実は自分の家に帰るのに、道に迷うこともよくあったんです。今思うと、工場で怪我をしたのもADHDのせいだったのかなと思います」。

 取材で話を聞く限り、タカノリさんは質問には的確に答えてくれたし、小説を読むことが好きというだけあって表現も豊かだった。ただ、ほかの人に比べて答えが返ってくるまでに時間がかかることはあったかもしれない。スピードや効率が求められる社会では、タカノリさんのような特性はコミュニケーション能力に難ありとみなされてしまうのだろう。

 タカノリさんによると、工場勤務を辞めてからの数年間が最も大変な時期だった。うつ症状がひどく仕事ができず、貯金は減る一方。家賃約7万円の家から、同2万円台のトイレ共同、風呂なしのアパートに引っ越した。インスタントラーメンが主食となり、体重は10キロ以上減った。クレジットカードによるキャッシングは60万円に上った。

 生活保護制度のことは知っていたが、両親に問い合わせをされるのが嫌で申請しなかったという。ネットで障害年金のことを知り、2年前から受給できるようになった。「障害年金がなかったら、死んでいたと思います」。

 両親への問い合わせとは、生活保護申請者の家族や親族に対し、養う意思や能力があるかを確認する扶養照会のことだ。現在、行政の現場では原則行われている。ただ法的な強制力はないし、生活保護利用の要件でもない。

 一連の生活保護バッシングの中で「扶養義務の強化」も叫ばれ、ケースワーカーたちもそれに沿った運用をしているわけだが、義務化などしたら、ただでさえ異様に低い捕捉率(生活保護を利用する資格のある人のうち実際に利用している人)を押し下げるだけなのではないか。実際、タカノリさんは扶養照会がネックになって申請を思いとどまった。

990チバQ:2020/05/01(金) 09:47:23
 タカノリさんは労災を訴えず、障害年金のことも命の危険を覚えるほどに追い詰められるまで知らなかった。貧困の現場を取材していると、自らの権利行使に消極的で、利用できる福祉制度についても知らなかったという人が少なくない。悪いのは、労働安全衛生上の義務を果たさない会社であり、障害年金などの福祉制度について十分な周知をしない医療機関や行政なのだが、当事者ももう少し自分の身は自分で守るべきなのではないか。

 私がそう言うと、タカノリさんは「言われてみると、そうかもしれませんね」という。まあ、後から“正論”を言われても、そうですねと答えるしかないかと、心の中で思う。

■恋愛は実らなかったけれど…

 タカノリさんには昨夏ごろから、半年ほど付き合った女性がいた。同世代で離婚経験のあるシングルマザー。ただ、女性が過去に付き合った男性のことがどうしても気になってしまい、結局、後味の悪い別れ方をしてしまったという。

 恋愛は実らなかったけれど、半年前に初めて障害者雇用枠で就労、現在の倉庫で働き始めた。手取りは月11万ほど。障害年金と合わせると月20万円を超えるが、うつ症状が改善傾向にあるので、近く支給停止か減額になるだろうという。

 私が、今自分が貧困状態にあることは自己責任だと思いますか、と尋ねると、タカノリさんはそれまでと同じようにしばらく考えた後、ゆっくりと話し始めた。

 「僕の人生を振り返って自己責任と批判されるようなことはほとんどないと思います。むしろ何のとりえもない、能力もない、こんなボロボロのスペックでよくここまで頑張ってきたと思います。

 もう50歳です。結婚もできなかったし、お金もためることができなかったし。終わってると思っているので、不満もない。死ねるわけではないので、生きている。ただそれだけです」

 今日もタカノリさんはJRと地下鉄を乗り継いで出勤する。最近は外出自粛や在宅勤務をする人による通販の利用が増えた。普段のノルマ以上に速く、多くの商品の処理をしなければ。半年後の契約更新のために。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

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991チバQ:2020/05/01(金) 19:19:47
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48511?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related

「下層風俗嬢」3500円でカラダを売る女たち
性のデフレ化が止まらない
中村 淳彦ルポライター
プロフィール
かつて性風俗は借金や精神疾患など、何か「特別」な事情を抱えた一部の女性が稼ぐ最終手段の場であった。しかし現在は経済的に困窮した「普通」の女性が、生活費を確保するためにカラダを売っている。性風俗業界の動向から日本の格差と貧困を読み解く『図解 日本の性風俗』を著した中村淳彦氏の特別リポート。

カラダを売っても稼げない
「もう、風俗歴20年になるかな。10年くらい前までは稼げたけど、今は1日1本つけばいい方。持って帰れるお金は1万円にはならないわ」

鶯谷の熟女デリヘルで働く渡部美幸さん(仮名・50)はこう話した。埼玉県某市のベットタウンで夫と2人暮らし。ごく一般的な主婦だったという渡辺さんは、結婚11年目で夫が個人経営する喫茶店が廃業、住宅ローンが払えなくなった。諸々の事情から購入した一軒家を手放すことができず、首が回らなくなり悩んだ末に風俗で働くことにしたという。

風俗嬢として働き始めた最初の5年間は、月50万円以上は稼げたという。ところが1999年の風営法改正でその風向きが変わる。デリヘルが激増し、客が徐々に減ったのだ。風俗だけでは収入が足りず近所のスーパーマーケットでパートを始めた。今も週3日はデリヘル、他3日はスーパーで働いている。



この数年間、風俗業界は深刻な不況と、風俗嬢の収入の下落にあえいでいる。いまや風俗嬢の「超高収入でラクして稼いでいる、消費と遊び好きな女性」というイメージは、80〜90年代の全盛期を経て過去のものとなった。ブランド物で着飾った派手な風俗嬢はほんの一握り、大半はバーゲンやアウトレットで買った洋服を着て、格安居酒屋で割り勘で飲むという地味な生活を送っている。

その傾向は、風俗業界に大打撃を与えたリーマンショック以降から特に顕著で、現在の風俗嬢のほとんどは中小企業のサラリーマンと同レベルか、それ以下の賃金でカラダを売っている。カラダを売っても中小企業のサラリーマン以下の賃金とは夢も希望もない話だが、これが現実だ。

風俗の下落はなぜ起こったのか
風俗嬢のセカンドキャリアを応援する非営利法人「GrowAsPeople」やセックスワーカー自助団体「SWASH(Sex Work and Sexual Health)」などのアンケート調査によれば、風俗嬢の現在の平均賃金は月33万円〜38万円程度で、2000年ごろの月70万円程度といわれていた頃と比べると半減している。世間の世帯収入の下落を大きく上回り、風俗嬢たちの収入は激減しているのだ。

風俗嬢が稼げなくなった原因は、性風俗のデフレ化によるものだ。00年代から社会全体がデフレに悩まされているが、「女性のハダカ」の価格はその実質経済を上回る勢いで下がり続けている。

デリヘルを中心に多くの風俗店が価格競争に巻き込まれ、サービスの単価を下げながら、集客も減らしている。社会と連動する形で、性風俗の世界でも格差が広がっているのだ。

性風俗のデフレ化の最大の要因は、従来であれば性風俗業とは無縁の一般の女性が続々とハダカになったこと、そしてデリヘルの激増によるものだ。

単身女性の3人に1人が相対的貧困に該当するという「女性の貧困」が深刻化したことで、一般女性の風俗志願者が増えた。さらに1999年の風営法でデリヘル(無店舗型)が実質合法化されたため、男性客が減り需要と供給のバランスが崩れたのだ。

それまでの店舗型性風俗は、違法か合法かわからないグレーゾーンの業種だったが、どんな業種でも合法化(規制緩和)されれば参入が増える。デリヘルも他に漏れず異業種参入が続き、現在警察への届出数は1万9000店舗超えた。

この数はセブン-イレブンの店舗数1万8572軒(平成28年2月現在)と同程度で明らかに供給過多といえる。限られた需要の中で店舗が増えれば、男性客が分散し稼動も下がる。その結果誰も稼げなくなってしまったのだ。

992チバQ:2020/05/01(金) 20:22:37
デフレが進んだ現在のデリヘルは、過半数以上が60分1万円以下という破格の価格帯で性的サービスを提供している。この価格帯は安すぎだ。そんな格安風俗店を支えるのは、若さでは勝負できない30歳以上の熟女たちである。

近年の人妻熟女の流行で風俗嬢の上限年齢はなくなったものの、労働者派遣法を代表とする格差に拍車をかける政策によって、現在、生活のために風俗を志願する一般の女性の増加が後を絶たない。風俗業界全体で需要と供給のバランスを完全に崩壊させたことで、単価は下落の一途を辿っている。

さらに、カラダを売っても貧困レベルの低賃金しか稼げないという女性も存在する。経済的な苦境に陥りハダカになった風俗嬢の中で、さらにその下層にいる稼げない女性たちの多くは40歳以上の熟女だ。

下層風俗嬢の多くは、未婚、バツイチ、シングルマザーなどの単身女性たちだ。彼女たちは自分の稼ぎで生活を支えなくてはならず、風俗店の増加による供給過多のため厳しい競争にさらされている。競争に負けた風俗嬢たちの収入は生活保護水準を下回り、「食べるのもやっと」といった危険な状態となっている。

ハダカの女性は社会を映す鏡
カラダを売って貧困レベルの低賃金しか稼げないという現実を信じられない読者のために、デフレの象徴である、激安デリヘルで働く女性を想定して収入を試算してみよう。

続々と競合店が増え続ける中、性的魅力が普通レベルの女性が働ける店は限られている。都市部デリヘルの値下げ競争の象徴とされている某老舗チェーンでは30分3900円、45分5900円という価格帯でサービスを提供しており、そのうち女性の取り分は2400円、3500円と異常なほどの低賃金だ。単価が安すぎるこの店には各種性風俗を断られた女性が集まってくる。

デリヘルはとにかく男性客が少なく、低価格の格安店でも女性1人あたりの客数は平均で3人、人気のある上位の女性でも多くて6人程度だ。3500円(1人あたりの単価)×3人で、日給は1万500円、週4日勤務でも16万8000円しか稼げない。東京都の最低賃金は900円なので、待機時間を含めれば、コンビニのアルバイト同等か、交通費なども入れればそれよりも低い賃金となる。

生活にお金のかかる東京で暮らすにはこの金額では最低限の生活もできないだろう。早朝に時給1000円程度の清掃のアルバイトをしてプラス月3万程度を確保し、なんとか凌いでいる女性もいるほどだ。

993チバQ:2020/05/01(金) 20:22:48
地方のピンクサロンも同様に厳しく、回転なしの30分5000円の店で時給は2000円、週4日勤務で日給1万2000円だ。雑費1000円と源泉徴収を引かれると、日給は9800円、月16日働いても15万6800円にしかならない。この収入は低賃金が社会問題となっている介護職と大して変わらない金額だ。

カラダを売ることは、性風俗が誕生した400年以上前から女性が稼ぐ最終手段であった。

日本が貧しかった戦後や昭和期に風俗や売春を覚悟した女性たちの月収は大卒初任給の数倍と大きなリターンを受けていたが、90年代後半の新自由主義政策以降は一般女性の大量参入によって「簡単に価値が認められる」という大前提が崩れてしまった。

社会のマジョリティに属する一般女性が風俗や売春をする覚悟を決めても、貧困から逃れられない層を生む社会は異常としかいいようがない。



多くの女性たちは月5〜6万円のお金が足りないがゆえに「ハダカの世界」に足を踏み入れている。これ以上「普通の女性」が風俗嬢にならないためには、最低賃金の上昇が不可欠だ。

現在と物価が変わらないことを前提として、その層の女性たちの収入が月5〜6万円アップすれば、おそらく風俗嬢志願者は激減する。時給に換算して最低賃金を約300円上げるだけで、カラダを売らなくても生活できる一般女性が大幅に増えるのだ。

東京都では時給1200円、大阪は1150円、沖縄は1000円。しかしシングルマザーら常勤が難しい層を加味すれば、500円程度まで上げるのが妥当だろう。

格差が広がり女性の貧困が進むほど、風俗志願者が増え女性が生き延びるための最終手段が崩壊してゆく。格差社会の煽りを受けた女性たちが性風俗の世界に足を踏み入れても、立ちはだかる「貧困」からは逃れられないでいる。ハダカの女性は、今の日本の姿を映す鏡なのだ。

風俗嬢30万人にみる「崩壊する日本」 貧困、格差、失業、デフレ……「あなたの友人、恋人、妻はなぜ、カラダを売るのか?」裸で稼ぐ風俗嬢30万人、2兆円市場の一大産業、そのリアルな実態を読み解く。
中村淳彦(なかむら・あつひこ)東京都生まれ。アダルト業界の実態を描いた『名前のない女たち』『職業としてのAV女優』『日本の風俗嬢』『女子大生風俗嬢』『ルポ中年童貞』など著書多数。フリーライターとして執筆を続けるかたわら介護事業に進出し、デイサービス事業所の代表を務めた経験をもとにした『崩壊する介護現場』が話題に。『熟年売春〜アラフォー女子の貧困の現実』(ミリオン出版)。最新刊は4月27日『図解 日本の性風俗』(メディアックス)

994チバQ:2020/05/03(日) 00:54:41
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce135f51db6785b06588338a3e935253c414e47d
「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱
5/2(土) 15:55配信

東洋経済オンライン
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う“しわ寄せ”は、日雇い労働者やホームレスに向かっている。炊き出しに並ぶ人たち=横浜・寿町(撮影:本間誠也)

 「ドヤ」とは宿(ヤド)の逆さ読みで、簡易宿泊所の俗称だ。日雇い労働者向けの宿泊所が集まるドヤのマチといえば、関東では東京の山谷地区と横浜・寿町が知られている。そこで暮らす住人や周辺のホームレスの人たちは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、どう過ごしているのだろうか。コロナ禍のしわ寄せは、社会的立場の弱い人たちにより深く及んではいないか。感染者の出ていない「ドヤのマチ」に足を運んだ。

【写真】山谷や寿町のいま

■コロナで変わる「ドヤのマチ」

 4月下旬ともなれば、山谷の朝は早い。

 ドヤの住人たちは三畳一間の居室から起き出し、山谷の中心部ともいえる「城北労働・福祉センター」周辺や自分のドヤの玄関先などで顔見知りと立ち話を始める。午前5時半、同センター正面の路上にいる人は30人前後。誰とも会話せず、1人で立っている人も少なくない。

 ホームレスの人たちも同じころ、玉姫公園などに設けたブルーシート小屋や段ボールハウスを出た。近くのブロックやアスファルトに腰を下ろしたり、タバコをふかしたり。回収してきたアルミ缶をビニール袋に詰めている人もいる。公園横の路上では、5、6人の業者がシートを敷き、古着や古雑誌、中古の腕時計などを並べて露天市を開いている。

 一方、玉姫公園から約200メートル離れた「ハローワーク上野 玉姫労働出張所」前には人影すらなかった。シャッターが開く6時40分が迫っても、この日は筆者しかいない。3月までなら、ホームレスの人や生活保護の受給者たちが順番待ちの列を作り、工事現場に労働者を運ぶマイクロバスも連なって停車していた。

 状況は、新型コロナの感染拡大によって一変した。

 山谷の日雇い労働者を対象にした東京都の「特別就労対策事業」が4月8日から、コロナの影響で止まってしまったのである。通称「輪番」と呼ばれるこの事業は、都の公共事業だ。公園や霊園の草むしり、ゴミ拾い、道路清掃などを輪番制で紹介し、日払いで7500円前後になる。民間の求人がほとんどないなか、月に2、3度、回ってくる「輪番」の仕事を唯一の収入源とする路上生活者は少なくない。

 「城北労働・福祉センター」付近を根城にする70代のホームレスの男性もその1人。グレーのダウンコート、数日前の新聞紙や衣服などを詰め込んだビニール製の大きなバッグ。前夜はブルーシートにくるまって寒さをしのいだという。

 「コロナで『輪番』を止めるなら、その分で2000円くらい俺らに払ってくれたっていいじゃねぇか。何も7000円くれと言ってるわけじゃねぇ。ひでぇもんだ」

 路上生活者を支援する山谷労働者福祉会館活動委員会の向井宏一郎さんは「ただでさえ減り続ける『輪番』の中止は、ホームレスにとって文字通り死活問題です」と憤る。

 横浜・寿町はどうか。

 日雇い労働者向け求人は、山谷に輪をかけて厳しい。寿日雇労働者組合の近藤昇さんによると、寿町にある日雇い専門のハローワークに求人が出たのは昨年末の2、3件が最後。「今年に入ってからは一件もないはずです」と言う。

 ボランティアとして、寿町でドヤの住人やホームレスへの医療支援などを行う看護師の森英夫さんは、こう話した。

 「例年なら、春先は花見会場の清掃など現金収入につながる仕事があったのですが、コロナで今年はダメだったはず。ホームレスの人たちに残された仕事はアルミ缶の回収くらい。高齢者にはきつい作業です」

995チバQ:2020/05/03(日) 00:55:29
■「ドヤ」の住人、山谷で3800人

 東京都の資料などによると、南千住駅に近い山谷地区(台東・荒川区)の簡易宿泊所で暮らす人は2018年末現在、約3800人を数える。そのうち、日雇い労働者は約150人ほどだ。生活保護受給者は90%近くを占め、その平均年齢は67.2歳になる。高度経済成長を支えた労働者は去り、残った人たちは高齢化。かつての「労働者のまち」は「福祉のまち」に姿を変えてきた。ホームレスも約160人おり、60歳以上が約120人。ホームレス歴が3年を超える人も約110人に上るという。

 山谷地区を含む城北旅館組合の広報担当で、「エコノミーホテル ほていや」の帰山哲男さんは、山谷地区で営業する組合加盟の宿泊施設は「現在約130軒」と言う。「ほていや」のように国内外の観光客やビジネス客を主な対象にする1泊3000円前後の施設は約30軒。「残る100軒前後が元労働者の生活保護受給者らを主な対象にした1泊1700〜2250円の簡易宿泊所です」と説明する。

 ヨコハマスタジアムも近い寿町では、約300メートル四方の中に120軒以上の簡易宿泊所がひしめく。部屋数は8000室超。減少傾向とはいえ、住人は約6000人に上る。

 前出の寿日雇労働者組合の近藤さんによると、住人の平均年齢は60歳以上で、8割以上が生活保護受給者だ。山谷とは異なり、寿町はインバウンドの外国人客やビジネス客らとも縁がなく、「典型的なドヤのマチ」という。ホームレスも50人近くに上る。

 日本経済から取り残され、社会も関心を失ったかのようなエリア。そこにも、コロナの影響は出始めている。

■施設は休止 ボランティアらは炊き出し拡大

 「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、娯楽室・敬老室を一時休止いたします。期間は4月3日から5月6日まで」。

 山谷の城北労働・福祉センターにこんな張り紙が出たのは4月2日の午後だった。テレビコーナーや図書スペース、将棋コーナー、広い炊事場を備える本館地下の娯楽室は、ホームレスらにとって昼間、体を休めることのできる貴重な場所だ。

 山谷や隅田川沿いでの野宿暮らしが10年近くになるという元鳶職の60代男性は「寒くて夜寝れなかった日は、娯楽室があったから助かった。インスタントラーメンを作ることもできるから、閉められて困ってる」と嘆いた。

 寿町も同じだ。緊急事態宣言によって4月8日から、横浜市寿町健康福祉交流センターのテレビラウンジや調理室、図書コーナーなどが利用休止になった。

 さらに、都内でも横浜市内でも、ホームレスを対象とした炊き出しや食事配布が相次いで中止になっている。「匿名で役所や保健所に電話して、炊き出しを止めさせようとする動きもあります。周囲の目が厳しいことは自覚しています」(都内のボランティア団体)。

 こうした中、山谷労働者福祉会館活動委員会は4月3日から、炊き出しを増やした。それまでの週1回を土曜日以外の毎日とし、城北労働・福祉センター前で実施。月〜金曜は午前8時から、日曜は午後3時からでマスクも配布している。

 同委員会の向井さんは「コロナによって山谷の人たちが食べること、生きることが困難な状況が生まれています。(炊き出しでの)行列は間隔を空けてもらうことを呼び掛けています」と言う。

 寿町でも炊き出しは続いている。

 寿日雇労働者組合や地元自治会などで組織する「寿炊き出しの会」が、毎週金曜の午後1時からの食事提供を切らさない。晴天に恵まれた4月24日は開始の1時間前から、寿公園を囲むように長い列ができた。200人近い人たちが雑炊をおかわりし、袋に入ったバナナなどを持ち帰った。

996チバQ:2020/05/03(日) 00:55:47
■「最近は初めて見る人も増えています」

 寿日雇労働者組合の近藤さんは言う。

 「派遣切りに遭ったのか、最近は初めて見る人も増えています。炊き出しへの批判的な声も聞こえてきますが、これだけの人が求めている。本来なら行政が担うべきことです」

 伊勢木町の地下街入り口の階段付近で野宿している「70歳」の元土木工の男性は「寿町の炊き出しもありがたいし、伊勢佐木町でも夜寝ているとボランティアの人たちが週に何度か、パックに入った食事を差し入れしてくれる。無一文に近いから、ほんとうにありがたい」と手を合わせた。

 山谷、寿町では幸い、これまで感染者は出ていない。

 山谷で支援活動を続けるボランティア団体幹部は「ドヤの住人の多くは決して健康状態が良好とはいえません。しかも大半が高齢者。『感染者が出たら』と思うと、平然としてはいられません」と不安を隠さない。

 寿炊き出しの会のメンバーで、会場の一角で血圧を測定したり、健康相談に応じたりしていた看護師の森さんはこう言った。

 「寿町は高齢者が多く人が密集しているので、ひとたび感染が広がれば大変なことになる。個室で過ごしてほしいのですが、三畳一間にじっとしていたら、そのほうが具合が悪くなりそう。今はただ、感染者が出ないことを願うのみです」

本間 誠也 :フリー記者

997チバQ:2020/05/08(金) 14:08:28
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200418-01659692-sspa-soci

月収70万円がゼロになったキャバ嬢、“細客”たちに足元を見られ…


4/18(土) 15:54配信

週刊SPA!


月収70万円がゼロになったキャバ嬢、“細客”たちに足元を見られ…


 緊急事態宣言が発令され、“接待を伴う飲食店”が一斉に営業自粛を余儀なくされた。そんななか、東京都内の高級キャバクラ店に在籍するユラさん(27歳・仮名)が「貯金はありますが、このままでは1か月半ぐらいしか生活できません」と肩を落とす。

 いま、収入源を失ったキャバ嬢たちの生活が追い込まれつつあり、Twitter上では“パパ活”に励む姿なども目撃されているが……。
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月収70万円からゼロに…高級キャバクラ嬢の生活が一転

 普段は少なくとも月収70万は超えていたというユラさんだが、それだけの収入がありながらも現在は「キツイ」と話す。

「そりゃ普通のOLさんよりは稼いでいましたけど、そのぶん出費も多かった。家賃は25万円だし、普段のエステ代や美容代、化粧品代も20〜30万円は使っていた。余った分を貯金って感じですから、実際は全然ないんですよ。いつまで店が休みなのかもハッキリしていないし、国から給付金がもらえるのかどうか……先行きが見えません」

 ユラさんが働くお店が営業自粛したのは4月頭だというが、実際はもっと早くにコロナの影響を感じていたそうだ。

「3月に入ってからなんか暇というか……。お金を持っているお客さんが全然来なくなりましたね。営業しても『会社から会食や接待を一切禁止されているんだ』って。客足が遠のいているのは感じていました。まあ、キャバクラに出勤していた私がこんなことを言ってはなんですが、危機感が全くない人もいたので、ちょっと怖かったです。なかには『コロナなんか関係ねぇ!』みたいな人もいましたから」
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パパ活の誘いに目がくらむとTwitterに晒される

 コロナの影響でキャバ嬢たちの収入が大きく減っている事実は、多くメディアでも取り上げられた。そんななか、ユラさんやまわりのキャバ嬢たちには思わぬ副業の誘いがきていたという。

「少し前にTwitterで、“コロナで稼げなくなったキャバ嬢にパパ活をもちかけてみた”的なツイートがバズりました。あれ以降、“ワンチャン狙い”みたいな客からめちゃめちゃLINEがきます(苦笑)。『どう? 元気してる? 生活大丈夫?』なんてライトなものから、『店が閉まっていて大変でしょう? パパになってお助けしましょうか?』『自宅に遊びに行ったり出来るなら、月40万でどう?』『1回5万でどう?」というストレートなものまで、とにかくたくさんきましたね」

 しかし、どれだけ高額の誘いがきてもユラさんは首を縦に振らなかった。彼女が援助を拒む理由とは――。

「やっぱり、結局はTwitterに晒されちゃうってこと。バズったツイートの主も1回成功したら、その後いろんなキャバ嬢にLINEを送って、その反応をスクショしてアップしていましたよね。パパ活をしようがしまいが、するような素振り見せたら終わりだなって思いました。あんなの晒されたら終わりですよ」

 こういったLINEを送ってくる人には共通点があったという。

998チバQ:2020/05/08(金) 14:08:40
「みんないわゆる“細客”(※普段はあまりお金を使わない客)の方々なんですよね。そもそも『1回3万でどう?』って人が多かったけど、私の働いてる店で指名すると、3万で飲むのは厳しいんです。そりゃ3万まるまるもらえるわけだから、3万ぶん飲んでもらったバック率と比べれば良いわけですが、身体の関係になって3万円では割に合わない。プライドもあるので。まあ、客からすれば、普段は飲むだけで最低5万かかる子と3万で最後まで出来たらコスパが高いと思うのでしょう」

 また、1度でも安価で身体の関係になってしまえば、その後は足元を見られてしまうだろう。逆に“太客”(※たくさんお金を使う太っ腹な客)からは連絡がないのだろうか?

「桁違いにお金持ちのお客さんは、色んな店の女のコから『パパ活して〜』っていう困窮LINEが殺到して困っているそうです。お金はあるけど、企業の社長とか、それなりの立場にいる人ばかりなので……今はそれどころじゃないと思います」

 現在は無収入の彼女。今後はどうやって生活するつもりなのだろうか。

「いつまで自粛しなければならないのかわかりませんが、まだキャバ嬢を辞める気はないので、様子を見るしかないですよ。うまくお客さんを繋いでおいて、早くコロナが収束するのを願うだけです。貯金が底をつく前には、なんとかなっていて欲しいのですが……」

 客からパパ活をもちかけられても気丈に断り続けているユラさん。希望的観測を口にするが、具体的な策は見えていないようだ――。<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。Twitter:@sally_y0720
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日刊SPA!

999チバQ:2020/05/08(金) 18:52:56
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200506-01663755-sspa-soci
コロナ貧困、さらに追い詰められる非正規労働者たち


5/6(水) 8:52配信


 新型コロナの影響が、過去に例のないスピードで拡大している。自粛、休業、感染リスク……今は全国民が何かしらの影響を受けている状況だが、なかでも大きな被害を受けているのが、以前からギリギリの暮らしを続けていた生活困窮者たちだ。元から脆弱だった生活基盤が、一気に崩壊しかけている。
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1000チバQ:2020/05/08(金) 18:53:08
追い詰められる生活困窮者たち

 生活困窮者支援を長く続けてきた自立生活サポートセンター「もやい」理事長の大西連氏が話す。

「支援現場ではさまざまな問題が噴出している状況で、連日、相談が後を絶ちません。特に日雇いで食いつないでいた人やフリーランス、自営業者からの相談が多く、新型コロナの影響で仕事や住居、生活が失われて『明日生きるためのお金すらない』という人が、急速に路上に追いやられています」

 新型コロナによる景気悪化では、飲食業をはじめサービス業やイベント関係の業種が軒並み大打撃を受けた。それはつまり、日雇いバイトなどこれまで生活に困る人がすがっていた仕事が、ほぼ消滅したことを意味する。

「日雇いバイトなどは完全になくならずとも、大幅に減っているので競争倍率が相当高くなっています。上流から人材が流れてきている状態なので、年齢や職歴など、弱い立場の人から“ところてん式”で押し出されてしまう。そうして仕事にあぶれた人たちは貯金もなく、今までのように“つなぎの生活費”を稼ぐこともできないので、生活が一気に苦しくなってしまう」

 さらに追い打ちをかけたのが、緊急事態宣言と、それに伴う自治体による休業要請だ。ネットカフェやサウナなどを寝床にしていた人たちがあぶり出され、「東京都だけで約4000人のネットカフェ難民が行き場を失う」と、大問題になった。東京都も対応すべく借り上げホテルなどを用意すると発表したが、実際には「無料低額宿泊所」と呼ばれる大人数で劣悪な相部屋に泊まる施設に案内されるケースが頻発。福祉団体からの要請もあり、個室を用意すると方針を変える事態になった。

「一番の問題は、今後の見通しがまったく立たないこと。一時しのぎの宿や生活費を得たとしても、新型コロナの終息が見えないので、いつ前の仕事や生活に戻れるかわからない。結局は生活保護にたどり着くしかなく、今後は申請数がどんどん増えていくはずです」


正社員はそのままで非正規だけが全員解雇

 また、労働環境に関する問題も急増している。労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」では、新型コロナ関連の相談が直近1か月で1000件を超えたという。代表の今野晴貴氏が語る。

「やはり多いのは非正規労働者からの相談で、約8割を占めます。内容は『休業補償や補助金』に関する相談が最も多く、次いで『雇い止め』や『感染リスクが高い職場での労働』が続く。最近では、コールセンターで働く人などから“3密環境”で出勤を強要されているといった相談も増えています」

 新型コロナは日本が抱える正規/非正規の格差という問題を、改めて浮き彫りにしたと言える。

「相談内容のなかには『正社員だけが休業補償の対象で、非正規は欠勤扱いで減給される』や『非正規社員だけが全員解雇になった』というものもありました。結局、急激な景気悪化のしわ寄せが弱い立場の人にいっている形です」

 では、今後はどのようなシナリオが予想されるのだろうか。

「直近の問題としては、5月から休業補償のトラブルが増加すると思います。4月の休業分は5月の給料に反映されますが、正規/非正規を問わず、『休業手当がどの程度給料に反映されるのか』をわからずに休んでいる人たちが多い。多くは6割補償だと思いますが、体力がない企業ではゼロというケースも出てくるでしょう。すると、6月以降になって急に生活が破たんする人が出てきてしまう」

 また、「大量解雇も加速しそうだ」と続ける。

「もともとコロナショック以前から『45歳以上が対象の早期退職募集』が増えていました。社内の年齢構造を調整したい企業が今回の景気悪化を利用して、リストラを加速させる……というのは容易に想像できるシナリオです」

 コロナショックが生む貧困は非正規だけの話ではなく、正社員にも他人事ではない。明日は我が身と、真剣に受け止めてもらいたい。

【「もやい」理事長・大西 連氏】
新宿ごはんプラス共同代表。日本国内の貧困問題や、生活困窮者への相談支援活動などに取り組む。著書に『絶望しないための貧困学』(ポプラ社)など

【「POSSE」代表・今野晴貴氏】
年間3000件以上の労働や生活相談に関わり、福祉政策についても提言している。著書に『ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器』(集英社新書)など

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!4月28日発売号の特集「[緊急ルポ]コロナ貧困の絶望」より

―[コロナ貧困の絶望]―
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日刊SPA!

1001チバQ:2020/05/08(金) 18:53:34
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200428-01663216-sspa-soci

コロナ失業でホームレスになった50歳、本当に仕事が見つからない


4/28(火) 8:55配信

週刊SPA!







コロナ失業でホームレスになった50歳、本当に仕事が見つからない


コロナショックで仕事を失った横田健二さん(仮名・50歳)。「体は元気なのでなんとか働き口を見つけたい」と、就労先について支援団体と相談していた


 新型コロナの影響が、過去に例のないスピードで拡大している。自粛、休業、感染リスク……今は全国民が何かしらの影響を受けている状況だが、なかでも大きな被害を受けているのが、以前からギリギリの暮らしを続けていた生活困窮者たちだ。元から脆弱だった生活基盤が、一気に崩壊しかけている。


緊急事態宣言で面接が消え八方塞がりで路上生活に

 新型コロナウイルスの影響が急速に広まるなかで、各支援団体も動きだしている。4月11日に取材班が訪れたのは、東京都庁のふもとで開催されていた、「認定NPO法人もやい」と「新宿ごはんプラス」による食料配給と相談会だ。

 開始時間の14時になると100人ほどの参加者が行列をつくり、スタッフから次々と食料が配られていく。以前から路上生活だった人もいれば、新型コロナの影響で路上生活になった人も参加。両団体の代表を務める大西連氏によれば、「4月は毎週土曜日に定期開催しているが、これまでの炊き出しでは見なかった顔ぶれが2、3割参加している」という。

 その参加者の中で取材班が出会ったのが、今年に入ってから職を失い路上生活になったという、横田健二さん(仮名・50歳)だった。
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コロナショックで警備の仕事がなくなる

 現在は上野公園で寝泊まりしているという横田さん。電車賃もなく、この日は歩いてきたという。

「昨年末までは働いていたキャバクラの従業員寮に住んでいたのですが、人間関係のトラブルで辞め、退職後は金銭的に家が借りられず、ホームレス状態になってしまいました。ただ、日雇いの警備の仕事をしていたので、少しでもお金があるうちはサウナに泊まっていたんです。

 けれど新型コロナの影響でそれもムリになって。なんとか頼み込んで知人の家で寝かせてもらうこともありますが、家主の都合もあるので毎日というわけにもいかず、今は野宿がメインですね」

 上野で野宿した際には先輩ホームレスから食料をもらったり、炊き出し情報も聞けたという横田さんだが、不自由な生活に変わりはないと続ける。

「さすがに何日かに一回は風呂に入りたいんで、たまに奮発してサウナに泊まっていたんですが、東京都から休業要請が出たのでそれもできなくなりそう。野宿で疲れると感染するリスクも高まるし、そもそも収入がないので病院にも行けないから怖いですよね」

 今後の見通しを聞くが「仕事がないので、まったく先のことを考えられない」と話す。

「肉体労働でいいから働きたくても、本当に仕事がないんです。警備員のアルバイトも、週末の自粛要請が出だした2月から軒並みキャンセルになり、その流れで僕ら警備員は事実上解雇。その後、ほかの面接が決まっていたんですが、面接会場に行ったら『緊急事態宣言が出たので、キャンセルになります。5月6日以降にまた問い合わせてください』と。

 どうやら携帯に電話してくれていたようなのですが、僕の携帯が止まっているので繫がらなかったんですね。少なくとも5月6日までは収入ゼロで過ごさないといけません」

 取材した4月11日からおよそ1か月、全財産の1万円で乗り切らないといけないという。

「だからこういう食料配布は本当にありがたくて。政府や東京都からは支援金が出ると言っていますが、なるべく早く欲しいです」
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ついに生活保護受給者

 取材の数日後、公衆電話を使って横田さんから近況報告があった。別の団体の炊き出しに参加して健康診断をすると、血圧が200を超える異常値だったという。電話口からは「急いで役所に相談しに行き、生活保護になりました。ついに僕も受給者ですよ」と自嘲気味に笑う声がむなしく響いていた。

【「もやい」理事長・大西 連氏】
新宿ごはんプラス共同代表。日本国内の貧困問題や、生活困窮者への相談支援活動などに取り組む。著書に『絶望しないための貧困学』(ポプラ社)など

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!4月28日発売号の特集「[緊急ルポ]コロナ貧困の絶望」より

―[コロナ貧困の絶望]―
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日刊SPA!

1002チバQ:2020/05/11(月) 11:26:28
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200511-00010001-nishinpc-soci

「3日間水だけ」ホームレス、細る“命綱” 炊き出し中止や回数減


5/11(月) 9:45配信

西日本新聞







「3日間水だけ」ホームレス、細る“命綱” 炊き出し中止や回数減


「昨日から何も食べていない」と、NPO法人「美野島めぐみの家」の瀬戸紀子理事長(右)から手渡された弁当を頬張る路上生活の男性=4月下旬、福岡市博多区


 新型コロナウイルスによる社会活動への影響が長期間に及ぶ中、公園などでの炊き出しを頼みの綱にしてきた路上生活者(ホームレス)が追い詰められている。感染防止のため、支援団体などが行ってきた炊き出しが中止や回数減に追い込まれているためだ。ネットカフェの休業が今後も続けば、さらに多くの人が路上生活を強いられる可能性もあり、関係者は「早急な支援が必要だ」と訴える。


 1日夜、福岡市・天神の一角。夜間に路上生活者を巡回訪問する同市のNPO法人「福岡おにぎりの会」のボランティアスタッフが、集まった人たちにおにぎりやゆで卵、菓子やマスクが入った袋を手渡した。炊き出しのスケジュールに加え、「何かあったときに」と事務局の電話番号が書かれた紙も添えた。

 「体が温まるね」。30年以上路上生活を続けている男性(69)は配られた温かいみそ汁を飲むと、ほっとした表情を見せた。毎日のように市中心部の各所である炊き出しに参加していたが、炊き出しが減った今では「3日間水だけで過ごすこともある」という。
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炊き出しは「命綱」

 寄る辺ない路上生活者にとって、炊き出しは文字通り「命綱」だ。だが、同市では、ほぼ毎日あった9団体による炊き出しが4月に半減。コロナの感染が市内でも広がり、大勢が集まる炊き出しは感染リスクが高く、中止はやむを得ない状況だった。

 それでも、おにぎりの会は普段は40〜50人いるボランティアを15人ほどに減らして活動を継続。従来4〜11月の夜回りは月1回だったが、炊き出し減少に加えて生活困窮を訴える相談が増えたことから、5月中旬以降は月2回に増やす予定だ。飛永薫事務局長は「いつも夜回りで会う人の顔が見えないと、コロナの影響で体調を崩したのかと心配になる」と話す。
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「あんまり接近しないでね」「体調はどう?」

 同市のNPO法人「美野島めぐみの家」も活動を続ける団体の一つ。3月からは一般ボランティアを受け付けずに同市博多区の美野島公園で開いており、毎週、30〜40人が列を作る。

 瀬戸紀子理事長は炊き出しで、「あんまり接近しないでね」「体調はどう?」と声を掛けながら一人一人にマスクを配布。同法人の中心メンバー9人が作ったおかずを詰め合わせたお弁当を手渡す。必要に応じて医薬品や衣類も提供する。

 福岡市は生活保護の申請などを案内しているが、借金や家族との問題で申請しにくい事情を抱える人もいる。博多区内の公園を転々としているという男性(60)は「自分は働いているからまだいいが、このままでは食えなくなる人もいるだろう」と先行きを不安視する。

 瀬戸理事長は、リーマン・ショックの影響で2009年3月ごろ、330人を超える人が炊き出しを求めて列を作った日を思い出し、頭を悩ます。「もし参加者が数百人になってしまったら…。路上生活者の生きる権利をなんとかして支えないと」(小林稔子)

1003チバQ:2020/05/11(月) 18:51:28
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200510-01660959-sspa-soci

月収23万円の40代契約社員、コロナショックでも悲観しないワケ


5/10(日) 8:55配信

週刊SPA!







月収23万円の40代契約社員、コロナショックでも悲観しないワケ


派遣社員だと職場の飲み会にもあまり誘われず、人間関係もサッパリしていられるとか


 国税庁の発表によると2018年の日本の平均年収は441万円だ。しかし今、非正規雇用で平均を大きく下回る低収入、貯金もほぼないが、その現実に危機感を持つこともなく好きなことをして暮らす無自覚な貧困層が増えているという。その実態に迫った!

▼瀬戸際に立つ40代のまったり貧困:小泉太一さん(仮名・43歳)
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資格のおかげで非正規でも重宝。夢は海外移住

「もともと飽きっぽい性格で一か所で働き続けるのが苦手なんです。それで正社員になることはあえて希望せず、半年や1年単位の契約社員で勤務しているんです」

 そう語るのは、契約社員として機械メーカーの工場に勤める小泉太一さん(仮名・43歳)。ただし、辞めてもすぐ次の職場で働き始めるわけではないという。

「一定期間働いて貯めたお金で、東南アジアのタイやマレーシア、カンボジアなどに行って1か月ほどのんびり過ごすんです。そしてまた帰国して働く生活を10年近く続けていますね。本当は向こうでリタイア生活をしたいですが、さすがにそのお金はないので短期滞在で我慢しています」

 非正規とはいえ、職場をコロコロと替えると次の採用時に不利になりそうな気もするのだが、本人はまったく意に介さない。

「更新しないだけで、契約満了までは働いていますから。それに僕は工業系専門学校の出身で、旋盤や金型などの工場勤務に役立つ資格を複数持っていて、それを生かした業務の経験も積んでいます。おかげで普通の契約社員よりも基本給が高く、正社員の誘いも何度かありました。そこで正社員になっていれば収入はもっと増えたでしょうけど、それだと簡単に辞められなくなりますからね(笑)」

 コロナショックで非正規労働者の雇い止めが起きているが、本人はそこまで悲観していない。

「リーマンショック後のひどい状況でも仕事が見つかったし、僕自身は今回も大丈夫かなと思っています。実際、今の工場とは3月末までの契約で、満了でそのまま契約が終了した人もいたのですが、僕はもう1年更新することができましたしね。本当はいつも通り東南アジアに行く予定だったけど、コロナのせいでしばらく無理なので、もうちょっと働きます(笑)。別に普段から物欲もないし、日本にいる間は社員寮で暮らせるので、その間に海外で遊ぶための貯金を増やせたらいいかなと思っています。老後のことは、そのときになったら考えようかな」

 やや楽観的に見えなくもないが、少なくとも、本人は今の暮らしに満足しているようだ。

【収入】
月収(手取り)23万4000円
――――――――――――
【支出】
実家に入れるお金 4万円
外食費 2万円
通信費 1万5000円
保険料 1万8000円
ジム代 6000円
海外旅行費 6万円
雑費 3万5000円
貯金 4万円
――――――――――――
収入-支出の合計 0円

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[まったり貧困で生きる]―
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日刊SPA!

1004チバQ:2020/05/13(水) 10:00:59
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200512-00000055-mai-soci

<明日へ・新型コロナ>「コロナで死ねない」 ネットカフェ閉鎖、受け入れ施設閉所 さまよう派遣労働者


5/12(火) 18:21配信

毎日新聞







<明日へ・新型コロナ>「コロナで死ねない」 ネットカフェ閉鎖、受け入れ施設閉所 さまよう派遣労働者


宿泊していたインターネットカフェが休業したため神奈川県の受け入れ施設に身を寄せ、差し入れの缶コーヒーを飲む朝生克也さん。この日の所持金は235円だけだった=横浜市港北区で2020年4月24日、喜屋武真之介撮影


 「野宿も覚悟していた。4月は寒い日も多かったし、凍死していたかもしれない」。派遣労働者の朝生(あさお)克也さん(56)は寝泊まりしていたインターネットカフェが新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月11日に休業し、一時受け入れ施設となった神奈川県立武道館(横浜市港北区)に身を寄せた。薄布に囲まれた2メートル四方の空間で簡易ベッドに横たわると、毛布にくるまって寒さをしのいだ――。

 故郷を離れ理容師として10年以上働いたが、離婚してからは職を転々とするように。約2年前から自動車部品の積み込み作業などに派遣されて働き、夜はネットカフェで体を休めた。「自由がきいた」が、貯金はほとんどしてこなかった。その中で、突然「住み家」を失った。「普通じゃない生活を選んだ自分の責任。誰を責めるわけでもない」

 自動車メーカーの生産が停止し、予想よりも早く4月半ばには仕事が途絶えた。知人にお金を借りるまで数日間ほとんど食べられず、差し入れの缶コーヒーで飢えをしのいだこともある。「いつ死んじゃってもいい。ただ、コロナでは死ねない。周りに迷惑はかけられないから」。言葉に、孤独感がにじんだ。

 大型連休明けに再び仕事が入るようになると、閉所された施設を出て、不安定な日常へと戻っていった。

     ◇      ◇     

 私たちの社会や行動を変容させる新型コロナウイルス感染拡大の波。その中で生きる一人一人の姿と声を伝えます。【喜屋武真之介】

1005チバQ:2020/05/14(木) 17:52:47
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200513-01664352-sspa-soci

ゴーストタウンと化した新宿・歌舞伎町、貧困者たちはどこへ…


5/13(水) 15:54配信

週刊SPA!







ゴーストタウンと化した新宿・歌舞伎町、貧困者たちはどこへ…


人けの少なくなった歌舞伎町。「ハイジア前など、定番スポットに立っているワリキリ(援助交際)嬢も客数は激減している」(仙頭氏)


 新型コロナの影響が、過去に例のないスピードで拡大している。自粛、休業、感染リスク……今は全国民が何かしらの影響を受けている状況だが、なかでも大きな被害を受けているのが、以前からギリギリの暮らしを続けていた生活困窮者たちだ。元から脆弱だった生活基盤が、一気に崩壊しかけている。
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ゴーストタウンと化した新宿・歌舞伎町

「緊急事態宣言後、しばらくは営業しているネットカフェもありましたが、今やマンボーを除いてほぼすべて休止になり、実質“最後の砦”のような状態になっています。休業要請直後に、ほかの店から出てきたネカフェ難民風の男性に話を聞くと『これからマンボーに移るよ』などと話していました」

 そう語るのは、歌舞伎町の貧困事情に詳しい『裏モノJAPAN』編集部の仙頭正教氏だ。

「3月末まではあのROLANDがオーナーを務める店など、有名店しか営業自粛しなかったのに対し、4月中旬からはほとんどの店が営業自粛に入りました。歌舞伎町は今、ゴーストタウンです。朝方歩くとカラスがドブネズミを襲っている光景を目にしました。彼らもゴミが減って食べるものが少なくなっているのでしょう」

 居酒屋、キャバクラ、ホストクラブ、風俗店……休業要請を受けた業態が苦しいのは言わずもがなだが、それ以外の営業中の施設でもコロナ不況は深刻だ。

「ラブホテルも軒並み客数は激減しています。特に割を食っているのが、ホテヘルに使われていた激安ラブホ。1時間ショートコースの利用が平常時の6分の1まで減っています。また、あるラブホテルではスタッフから感染者が出たそうです。それをオーナーが隠蔽していたので外国人清掃スタッフが大騒ぎ。外国人清掃員たちは一般ホテルでも掛け持ちで働く人が多いのですが、掛け持ちの受け入れ先が減るなかで『コロナ感染者がいるかもしれない』という噂が広まり、働きづらい状況に拍車がかかっているとか」

 また、往時の歌舞伎町にはネットカフェを“仕事場”にして、援助交際で生計を立てる女性も多くいた。歌舞伎町のある居酒屋で働くスタッフは、彼女たちが集団で追い出される光景を見たという。

「休業要請が始まる少し前の夜、キャリーケースを引いた女のコが十数人もネカフェから出てきて、TOHOシネマズの前で座り込んでいるときがありました。見た感じ、家出少女だと思います。そんな彼女たちにスーツ姿の中年男性が数人、声をかけて回っているんです。世も末だなと思いましたね」

 生活に苦しむ人たちにとって、歌舞伎町は一つのセーフティネットでもあったのだ。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[コロナ貧困の絶望]―

1006チバQ:2020/05/19(火) 15:06:41
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200519-00000031-asahi-ind

高リスクのネカフェ、営業続ける事情 行き場ない利用者


5/19(火) 12:24配信

朝日新聞デジタル







高リスクのネカフェ、営業続ける事情 行き場ない利用者


営業を続けるインターネットカフェでは、マスクの着用やアルコール消毒を呼びかけるポスターが掲示されている=2020年5月18日午後5時25分、前橋市内


 新型コロナウイルスの影響で、群馬県から休業を求められているインターネットカフェ。「感染リスクが高い」というのが理由だが、要請に応じず、営業を続けている店舗も多い。

 金曜日午後9時の前橋市。インターネットカフェ入り口の貼り紙には「マスク着用」の文字。その奥では、ダーツやビリヤードを楽しむカップルらの姿が見える。24時間営業のこの店の向かい側にはゲームセンターがあり、駐車場は8割近く埋まっていた。

 20〜30代くらいの若者客が多い店内で、高齢者の姿が目を引いた。

 「家族との関係がぎくしゃくして……。でも年金が頼りだから、毎日は来られない」。70代の男性はそう話す。軽乗用車の中で生活し始めて1年ほど。車内には着替えの服や、空のペットボトルが散乱する。

 週の半分はネットカフェで眠り、朝を迎えるという。ネットカフェはシャワーが使え、テレビやインターネットも好きなだけ見られる。足を伸ばして寝られるのも快適だ。ただ、1泊すれば、安くても1500円以上するため、残りの半分は車内で寝泊まりする。

 「ネットカフェで過ごす時間は気が楽。営業してくれているのはありがたい。いざとなれば家に帰ると思うが……」と話し、店内に入っていった。

 男性によると、感染が拡大する前と比べて、2割程度は客が減っているという。「感染する心配は特にしていない」と話す。

 この店でアルバイトしている男性は「周りのお店が休業していればその分、お客さんに来てもらうチャンスだと思う。バイトがなくなるのも困る」と話す。

 一方で、「家に帰って、家族にうつさないかが心配」とこぼす。不特定多数の人が出入りしているので、感染しないか不安だ。30分に1回は手を消毒したり、自主的に窓を開けて換気をしたりして注意している。

 全国に約460店舗ある「快活CLUB」の運営会社によると、県内の11店舗はいずれも営業を継続している。広報担当者は「休業しても家賃などの固定費はかかる。社会インフラとして利用されていることも考える必要がある」と話す。

 換気やマスク着用、入店時の消毒を促すなどの対策をとった上で営業しているという。感染防止策として企業で広まっているテレワークに店舗を利用することも呼びかけている。

 また、県内に3店舗あるインターネットカフェ「金太郎」も営業を継続。2店舗ある「自遊空間」は一時休業したが、大型連休明けの7日から営業を再開したという。

 県独自のガイドラインでは、ネットカフェは4段階のうち警戒度が2番目に低くなるまでは休業要請の対象になる。早くても5月末までは休業要請が続くことになる。県の担当者は「ネットカフェは3密の環境になりやすい。営業や外出の自粛を引き続き要請していく」と説明している。(森岡航平)

1007チバQ:2020/05/20(水) 14:32:55
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200520-00010008-nishinpc-soci

「打撃は平等でない」困窮者支援を続ける牧師 コロナ禍で感じること
5/20(水) 10:54配信

西日本新聞

「打撃は平等でない」困窮者支援を続ける牧師 コロナ禍で感じること


「絆(きずな)は傷(きず)を含む。人とのつながりは大変さを伴うけど、楽しいです」と奥田知志さん=北九州市の東八幡キリスト教会


 大型連休前の週末の夜、例年なら酔客であふれる小倉の街は静かだった。この地で困窮者支援活動を続ける牧師、奥田知志(おくだともし)さん(56)は普段通りに繁華街にいた。公園での炊き出しの後、ホームレスの見守りパトロール。「30年以上やってきたけど、こんな夜は初めて」。一変した街の空気を察知してか、ネズミの大群が目の前を横切っていく。


 「今は医療崩壊、感染を防ぐのが第一。ただ、私としてはコロナ関連死を危惧(きぐ)しています」

 経験に裏打ちされた言葉は重い。銀行や証券会社の経営破綻が相次いだ二十数年前の金融危機では自殺者数、ホームレスが急増した。2008年のリーマン・ショック後もひどかった。失業者が「年越し派遣村」に押し寄せた。今回はそれ以上とみる。
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 「災害や危機による打撃は平等ではない。もともと社会が持っていた格差、脆弱性が拡大して露呈するんです」

 政府が呼びかけた「ステイホーム」一つとっても、在宅勤務を選択できず、働かざるを得ない人がいる。ネットカフェが夜の営業をやめ、家のない人々はセーフティネットを失った。

 奥田さんは「ステイホーム」に加え「フロムホーム」を提唱する。家の中からでも支援はできる。理事長を務めるNPO法人「抱樸(ほうぼく)」では、緊急電話相談を実施。市内にワンルーム25室を借り受け、改修を始めた。1億円に設定したクラウドファンディング(CF)も始め、現在1700万円超の支援金が集まっている。

 ゴーストタウンと化した街で「さみしさ」も感じた。人と会わなくなり、飲みにも行かない。そんな状況にだれもが「あの日に帰りたい」のかもしれない。

 「でも戻れないし、もっと言えば戻ってはいけない。『戻りたい社会だったのか』と問うべきだ」
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1008チバQ:2020/05/20(水) 14:33:29

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 奥田さんが社会への違和を感じたのは関西学院大の学生だった頃。日雇い労働者が集まる釜ケ崎でボランティアをし、豊かだと思い込んでいた日本の別の側面を知った。大阪万博(1970年)で労働力の供給源として栄えた釜ケ崎は、奥田さんと無縁ではない。父が万博工事の多くを担った大手電気設備会社の社員で労働者を雇う側。不自由なく育った息子は、行き場を失った労働者であふれ、死にゆくホームレスもいる街から「自分は何者か」という問いを突きつけられた。

 「ひどい世の中で神様までいなくなっては困る」。牧師の道を選び、88年からホームレス支援を続ける。 その活動は自己犠牲、利他の精神という言葉で語られがちだが、否定する。


 「人間が出会いの中で立ち上がっていく。それは社会にとっても大事だし、僕の幸せにもつながる。自己と他者は分離できません」

 世の中は他者性を失いつつある。「自国ファースト」を標榜(ひょうぼう)する国。それに乗っかる市民の態度。トイレットペーパーの買い占めも「私たちの中から他者がいなくなったから起きた」。

 現代人はなぜ他者との関わりを避けるのか? 奥田さんに問うと「大変だから」と返ってきた。

 「でも」と続ける。「大変さは不幸ではない。人と出会って苦労するのは大変だけど面白い。そこにみんな気付いてほしい」
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     □  □

 心を寄り添わせ、一緒に泣き、笑う。奥田さんがやってきた「伴走型支援」は、感染拡大防止の「3密」と相いれない。炊き出しを中止する支援団体もある中、奥田さんは続けた。弁当に並ぶ列を増やすなど密集を避けた。会話しながら一緒に食べる「抱樸流の炊き出し」はできないが、代わりに弁当一つ一つに手書きメッセージを添えた。

 特別定額給付金の概要が発表された直後、初老の男性が教会を訪れた。10万円入りの封筒を手に「必要な人のために」。ほかにも「国が配る布マスクを託したい」との声も届いた。「社会は捨てたものじゃない」

 作家、五木寛之さんは「朝顔は闇の底に咲く」というエッセーで、朝顔は闇がなければ花を咲かせないと書いた。奥田さんはその文章が好きだ。


 「見える距離は遠くても、心の距離を近く。コロナのせいにするのではなく、夜明けに向けて備えることをしなければいけません」

 緊急事態宣言が解除されても、しばらくは「フロムホーム」の支援を余儀なくされる。ただ、コロナ後に訪れる新しい社会の萌芽(ほうが)も確かに感じている。

 (小川祥平)

   ◇   ◇

 北九州市のNPO法人「抱樸」の新型コロナウイルス感染拡大の影響で支援が必要になる人たちのためのCFは7月27日まで。サイト「READYFOR」で「抱樸 コロナ緊急」と検索する。

1009チバQ:2020/05/20(水) 14:33:52
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200519-00000044-mai-soci

10万円、受け取れない? 住民票ない路上生活者 自治体も対応に苦慮


5/19(火) 15:45配信

毎日新聞







10万円、受け取れない? 住民票ない路上生活者 自治体も対応に苦慮


都の事業が休止され、唯一の収入源を失ったという男性(左手前)。奥は男性や支援団体からの要望を聞く都職員=東京都新宿区で2020年5月1日午後1時54分、斎藤文太郎撮影


 新型コロナウイルスの流行で政府が全国民に10万円を配ると決めたが、受け取れないのではないか――。特別定額給付金を巡り、路上生活者の間でそんな不安が広がっている。対象は住民登録のある人だが、長く路上生活を続ける中で住民票がどこにあるか分からなかったり、居住が不明で市区町村の職権で抹消されたりした人もいるためだ。日雇いの仕事も減り、生活の困窮ぶりは深まっている。

【図解】現金給付10万円 どう受け取る?

 「所持金はもうない。本当に困った」。東京都台東区内の公園で暮らす男性(65)は日銭を稼ぐ唯一の手段だった都の事業が休止され、収入源を失った。政府の給付金に望みを託していたが、路上生活が長年にわたるため住民票がない可能性が高い。住まいを確保すれば改めて住民登録はできるが、手持ち資金がないため難しい。国は路上生活者対策として住居機能があり緊急的に住民票を置くことができる自立支援センターの活用を促しているが、近くに入れそうなセンターはない。

 北海道出身。中学卒業後に建築関係の仕事に就いた。複数の会社を渡り歩き、社員寮付きの会社を辞めた10年以上前に道内で路上生活者になった。5年ほど前に仕事を求めて都内に移った。しかし、年齢もあって思ったほど民間の仕事を受けられず、都が日雇い労働者向けに実施する「特別就労対策事業」で得る月3万円前後の稼ぎが唯一の収入になった。公園などの清掃を都が民間に発注し、労働者は受注企業に雇われ、8000円前後の日当を得る仕組み。求人に比べ求職者が多いため仕事は輪番制で、男性が現場に出るのは月3〜4回だった。

 都は4月以降、求職者の集合場所や現場までのバスが「密」になるなどの理由でこの事業を休止。男性は、体調が悪い日や風雨が強い日だけ利用してきた簡易宿泊所やネットカフェも使えなくなった。炊き出しに通いつつ、即席のラーメンやうどんを自分で買って食べるというささやかな楽しみも失った。「やむを得ないとも思うが、都は日雇い労働者のことなんてどうでもいいと考えているように感じる」と憤る。

 区の担当者は「一時的な資金として社会福祉協議会による貸し付けを利用してもらうことも可能」とするが、男性は「要は借金。仕事がない中で返せるはずがない」と諦め顔だ。生活保護にも拒否反応がある。「体が動くうちは働きたい」との思いに加え、扶養できるかどうかの確認のため区役所から家族に連絡されるのも避けたいという。

 「八方塞がりという感じ。これまでもその日暮らしだったけど、今まで以上にお先真っ暗です」。今は支援団体の炊き出しを頼りに命をつないでいる。

   ◇   ◇   

 一律10万円給付は国の事業だが、実務は市区町村が担う。路上生活者に対して、どのように給付するか。自治体も頭を悩ませる。

 都の2019年夏の調査によると、都内の路上生活者は少なくとも1037人。一方、国が住民票を置く場所として例示する自立支援センターは都内に4カ所あり総定員は約400人。運営する特別区人事・厚生事務組合によると、満床に近い施設が多く、受け入れ可能人数には限りがある。荒川区にも建設中だが完成は7月の予定だ。

 5月8日の新聞各紙には、10万円給付に関する路上生活者の手続きについて「できる限り早く、今お住まいの市区町村に申し出てください」とする政府広報が載った。しかし、台東区の山谷地区に暮らす路上生活者や支援団体がこの日、区役所で給付方法を尋ねると、担当者は口ごもった。「住民登録があれば給付対象になる、という通知しか来ていない。特別な対応が可能かどうかは何とも言えない」。区は近く、職員がチラシを路上生活者に配って住民登録を促す方針という。

 山谷地区を台東区とともに管轄する荒川区の担当職員は「路上生活者を漏らさず把握するのは難しい」と明かす。少なくとも約100人の路上生活者がいるとされる新宿区の担当職員は「住民票がどこにあるかの確認も含め、個別的な対応が必要。どうしたらよいか、庁内で調整する」としている。

 生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は「重複での給付を避けるため、住民票によらない給付金の手続きは現実的には難しい」と指摘した上で、「新型コロナは災害と同じ。行政は路上生活者も住民登録しやすいよう、災害時の仮設住宅のように大規模な住宅提供を行うべきだ」と話している。【斎藤文太郎】

1010チバQ:2020/05/20(水) 15:11:09
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200513-00000005-mai-soci

「アベノマスクもらえないよね」札幌のホームレス 支援団体「夜回り」同行ルポ


5/13(水) 8:02配信

毎日新聞







「アベノマスクもらえないよね」札幌のホームレス 支援団体「夜回り」同行ルポ


ホームレスの男性にマスクを手渡す「北海道の労働と福祉を考える会」のメンバー=2020年5月2日午後7時51分、札幌市中央区で真貝恒平撮影


 新型コロナウイルスの感染者が北海道内で確認されて3カ月あまり。この間も、街のホームレスの人たちに食料などを配り歩くボランティア団体がある。「北海道の労働と福祉を考える会」。週末に続ける「夜回り」に同行した。【真貝恒平】

 5月2日、土曜日。ゴールデンウイーク中にもかかわらず、静まりかえった札幌市中心部。ビルの間から漏れる夕日とわずかなネオンに彩られ始めた街に、人影はまばら。

 「それでは行きますか」。午後7時前、副代表の小川遼さん(27)ら3人は菓子パンなどが入った袋を手に、地下街に続く階段を下りていく。

 「こんばんは。お変わりありませんか」。3人はJR札幌駅南口周辺で声をかけながら、菓子パンや温かいお茶を配りながら地下街を進む。感染拡大を防ぐ配慮から、3人ともマスクを着け、距離を取りながら歩く。

 午後8時、ベンチに腰掛ける60代男性にマスクを手渡す。男性は「感染は怖いけど、マスクはなかなか手に入らなくて。ちょうど今使っているのが汚れてきたところで、助かったよ」とほほえんだ。

 さらに進むと、広場に出た。生活用品を詰め込んだキャリーバッグを脇に置き、ベンチで古新聞に見入る60代男性にもカイロやマスクなどを手渡す。「いつもありがとう」。男性は笑顔で受け取り、続けた。「俺のような、(自ら社会との関係を)はじいた人間には『アベノマスク』はもらえないよね」

 同会は1999年設立で今年で21年。大学生を中心に高校生や市役所の退職者ら約30人が登録する。毎月4週目を除く土曜日午後7時から約2時間、約20人が3グループに分かれて同駅や狸小路周辺などを回り、支援を続けてきた。

 ところが、新型コロナの影響で「外出自粛の中で活動するのか」「感染のリスクが心配」などの声がメンバーから上がった。そこで、4月から参加者数を絞り、できるだけ1カ所に集まらないよう3〜4人で移動するなどの対策を取り継続することにした。今月中には炊き出しも行う。

 夜回りを終え、小川さんがつぶやいた。「路上生活者も同じように困っている。こんな時だからこそ、味方であり続けることが大事なんです」。同会の20代の男子大学生も「(政府が配布する)マスクも給付金も今のままでは彼らに届かない。多くの人が余裕をなくしている今だからこそ、誰かが考えてやらないと」と話した。

 ◇一律10万円の給付金「受給のハードルが高い」

 ホームレスを巡っては、一律10万円の特別定額給付金は「受給のハードルが高い」との指摘もあり、「北海道の労働と福祉を考える会」は支援の必要性を訴える。

 路上生活者やいわゆる「ネットカフェ難民」は、居住している市区町村で住民登録を行い、住民票が作成されれば給付を受けることができる。だが、居住が安定していない路上生活者らにはそもそも住民登録が難しく、申請書が届かない。

 こうした懸念を受け、総務省は4月28日付で通知を出した。住民登録が難しい場合、自立支援センターなどの支援団体の住所も利用可能で、ネットカフェでは、店舗管理者が利用者の住所として住民基本台帳に記載することに同意すれば「住所」として認められるとしている。

 同会が札幌市の委託で今年1月に実施した調査では、路上生活者は市内に約40人。20〜30代の若年層が増え、ネットカフェに寝泊まりする人などは反映されておらず、実際はさらに多いとみられる。

1011チバQ:2020/05/20(水) 15:11:42
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200512-05110252-sph-soci

「本当に苦しい」月収200万円→15万円、食事はカップ麺1食…コロナに苦しむ風俗嬢の今


5/12(火) 8:00配信

スポーツ報知







「本当に苦しい」月収200万円→15万円、食事はカップ麺1食…コロナに苦しむ風俗嬢の今


日本有数の風俗街として知られる東京・台東区の吉原


 終わりの見えない新型コロナウイルスの感染拡大の中、全国の性風俗で働く女性たちが悲鳴を上げている。4月7日に厚生労働省が新設した個人事業主やフリーランスを対象とした小学校休業等対応支援金(1日4100円)は、風俗業従事者も対象とされたが、個人事業主に100万円が給付される持続化給付金は対象外となっている。「『身体を売る彼女たち』の事情―自立と依存の性風俗」(ちくま新書)の著者で、一般社団法人ホワイトハンズ代表の坂爪真吾氏(38)に業界の今を聞いた。

 首都圏の繁華街から少し離れた風俗街。5月の大型連休にもかかわらず点灯する看板は少なく、人通りもない。営業を続ける店舗も開店休業状態で、客寄せの「かわいい子いますよ、いかがですか」の声がむなしく響いていた。高級店の前には手入れの行き届いた送迎用の車。男性スタッフは「やることがなくて洗車ばかりさ」と顔を曇らせた。

 ソープランドで4年前からキャストとして働くAさん(25)は、「コロナの影響で他のグループ店も本当にお客が来ない。他の店で働いてる子も(客の指名がなくて)ヤバいって言ってた。そもそも店舗が休業してるところもあるし。(性風俗)一本の女の子は本当に苦しいと思う」と厳しい現状を語る。繁忙期の昨年末には12月だけで200万円稼いだというAさんだが、現在はコロナ禍で月15万円ほどに。同業者の中には東京では指名が取れず、食事はカップラーメン1食でしのぎ、地方都市に出稼ぎする女性もいるという。

 ホワイトハンズが運営し、性風俗従事者の無料相談を行っている「風テラス」によると、昨年2〜5月は296人だった相談件数は、今年は2月〜5月10日までで1239人に達した。「風テラス」発起人の坂爪氏は「圧倒的に多いのは生活困窮の相談で、来られる方の6割が専業で性風俗で働く方。ネットカフェもホテルも休業、雨風しのげる場所がない方もいます」と現状を語った。

 風俗情報サイト「シティヘブンネット」によると、性風俗従事者は全国に約36万人。中には望まぬ従事者もおり、夫のDVから逃げるために子供と家出し、性風俗で生計を立てる女性もいる。SNS上では、税金を納付していないと批判する意見もあるが、坂爪氏は「彼女たちは脱税しようとはしていない。自身が個人事業主であることを知らないことが多い。相談に来た方には、まず所得の申告を促してます」。

 終わりが見えない状況が続くが、坂爪氏は「もう生きていけないと悲観しないでほしい。自治体の生活保護や住居確保給付金など、制度を頼れば生活できる最低ラインは確保されている。悩みを抱え込まないでほしい」と早めの相談を呼びかけた。
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報知新聞社

1012チバQ:2020/05/20(水) 15:40:22
https://digital.asahi.com/articles/ASN5M6Q7DN5MUTFL00F.html?pn=4
子のため、ご飯は2日に一度 困窮ひとり親に手当増額を


有料記事 新型コロナウイルス

岡林佐和、伊藤舞虹
2020年5月20日 8時30分

 新型コロナウイルス拡大の影響でひとり親世帯などの収入が減り、食べるにも事欠く現状があるとして、支援する3団体が19日、記者会見を開き、低所得のひとり親世帯に支給される児童扶養手当を半年間、月4万円増額することなどを提案した。

「ライフライン止まった」「公園の水飲み節約」

 「想像を絶するような相談が相次いでいる。命を失っている方もいるのでは」。NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長は、会見で危機感をあらわにした。「子どもがおなかがすいても食べさせるものがない」、「ライフラインがすべて止まり、死ねと言われているよう」、「子どもに食べさせるため自分のご飯は2日に一度」、「節約のため公園の水を飲んでいる」といった声が連日、寄せられているという。児童扶養手当を受給する694人に聞いたところ、新型コロナの影響で約6割が収入減になり、収入が無くなった人も11%いた。

 同法人など支援団体が提案するのは、子ども1人の場合に満額で月4万3160円が支給されている児童扶養手当について、4〜9月の半年間、月4万円(子ども1人の場合)増額するというものだ。ひとり親でなくても困窮している世帯もあることから、高校生以下の子どもがいる住民税非課税世帯への給付も求めた。低所得世帯の子どもの学習を支援するNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長は「毎月、子どもに対してお金が出るということが親の安心につながる。継続的に支援してほしい」と話した。

手当拡充法案を野党提出 与党も前向き

 児童扶養手当の拡充をめぐっては、立憲民主、国民民主、共産、社民、日本維新の会の野党5党が関連法案を国会に提出。与党の自民、公明両党も前向きで、第2次補正予算に向けた検討が進む。加藤勝信厚生労働相は19日の会見で「(ひとり親世帯の)困難が増しているとの認識のもと、しっかりと検討していきたい」と述べた。

 子どもの貧困の問題は新型コロナウイルスの感染が拡大する前から、日本が抱える大きな社会課題として指摘されてきた。日本の子どもの相対的貧困率は2015年で13・9%で、ひとり親世帯に限ると50・8%にのぼる。

児童扶養手当 根本から見直しを

 子どもの貧困の問題に詳しい東京都立大学の阿部彩教授は「従来から貧困世帯を支えるしくみは不十分だった」と指摘。「新型コロナの緊急対策として支援策を打ち出しても、コロナが落ち着けばまた打ち切られかねない。そもそも、不測の事態があったとしても親子が貧困に陥らないよう、児童扶養手当の支給額そのものを引き上げるなど、制度を根本から見直して底上げを図るべきだ」と話す。(岡林佐和、伊藤舞虹)

1013チバQ:2020/05/23(土) 18:33:51
https://news.yahoo.co.jp/articles/cbbc5554f50acff441f8e85964b3fb0ddb76bf3d



寮追い出され、所持金わずか 追い詰められる非正規労働者 支援求める人急増
5/23(土) 7:02配信

時事通信
新型コロナウイルスの影響で仕事が見つからず、4月末に契約終了となった派遣先の寮を追い出された男性。かばんに2日分の着替えと洗面道具だけを詰め込み、寮を後にした=19日午後、横浜市中区

 新型コロナウイルスの影響で経済が厳しさを増す中、仕事を失った非正規労働者らが住まいを追い出される事例が相次いでいる。

 所持金も少なく、民間団体が東京都内で開催する食料配布には、感染拡大以降訪れる人が急増。支援者は「新たに困窮する人が出ている」と懸念を深めている。

 横浜市鶴見区で派遣労働者として働いていた男性(46)は4月上旬、月末までの契約が更新されず、会社の寮からの退去を迫られた。当初は「他に移ればよい」と楽観していたが、求人に応募しても対面での面接が受けられず、県外で探そうにも「感染拡大防止から他県の人は採用できない」と断られた。仕事を見つけられないまま、A4サイズのかばんに2日分の着替えと洗面道具だけを詰め込み、5月初めに寮を後にした。

 現在は横浜市中区の簡易宿泊所を仮住まいとしているものの、6月上旬までの宿泊料金を支払った後の所持金は8万円。新たな収入がなければ、続けて泊まることは難しいという。

 男性は生活保護を申請中だが、「約20万円の給料をもらっていたのに、いきなり生活保護になるとは思わなかった」と現実を受け止めきれない様子。「家さえあれば何とかやり直せるのに」と苦渋の表情を浮かべた。

 NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)などが東京都新宿区で実施している週末の食料配布や相談会には、3月以降から参加者が急増。5月16日には通常の2倍超となる約180人が食料を受け取りに来た。

 同法人の大西連理事長は「不安定な雇用環境で働く労働者ら仕事や住居、貯蓄を失った人が来ているのでは」と指摘。「(参加者は)雇用環境が回復するまで増加するだろう」と話した。

 9日の相談会に訪れた男性(57)は、日雇い労働で生計を立て、普段はネットカフェに寝泊まりしていたが、2月ごろから仕事が急減。4月以降は収入がゼロとなったため野宿生活を送っており、雨の日はジャンパーを布団代わりに人家の軒先で寝ることもあるという。「緊急事態宣言が解除されないと状況は変わらない。仕事があればやっていけるのに」と不安を募らせた。

1014チバQ:2020/05/27(水) 18:49:53
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b24caa47697d3ccf29d8a2ac7e495d500053c5f

新型コロナが追い打ち「月収10万円」貧しさの現実

5/27(水) 6:00配信


日経ビジネス


 日本も含めた先進国の貧しさは「目に見えない」。(写真:Shutterstock)
 数年前、40代の男性のインタビューで、思わぬ告白をされたことがあった。

 「お恥ずかしい話なんですけど……、僕、半年前はホームレスやってたんです」

【関連画像】ワーキングプア率=働いている層で世帯所得が相対的貧困線以下の人の割合。阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基礎研究(B))「「貧困学のフロンティアを構築する研究」報告書)より引用

 目の前に座っているスーツを着た男性は、ごく普通のサラリーマン。その彼から、「ホームレス」という言葉が飛び出して面食らった。というか、私は正直なところ、何の話をしてるのか一瞬分からなくなった。

 河合「えっ……と。それって……」

 男性「派遣切りにあって、次の仕事がなかなか見つからなかったんです。それで家賃も払えなくて、ひと月くらいですけどね」

 河合「で、そのあとが、今の会社ですか?」

 男性「はい。そうです。ハローワークに行くときに、昔、飲みに行ってた焼鳥屋のマスターにばったり会いましてね。『お客さんの会社で体調を崩して入院する社員がいて、時間をかけて採用してる余裕もないから仕事の一部をバイトに頼みたいと言ってた』と、すぐに連絡してくれたんです」

 河合「今、契約社員……ですよね?」

 男性「はい。バイトなのに、上司の人がすごく丁寧に仕事を教えてくれたんですよ。不思議なもんで、そうやって扱ってもらうと自分でもいろいろと工夫するようになって、ひと月後に『契約社員にならないか』って言ってくれたんです。時給が月給になったし、がんばれば正社員にもなれると言われました。生まれて初めて仕事って楽しいって思えました。僕は本当に運が良かった。ホント、運が良かったんだと思います」

 「貧困は簡単に外から見えない」。彼の話を聞き、強く実感した。

1015チバQ:2020/05/27(水) 18:50:13
●新型コロナの影響で貧困問題も表面化

 先週、NPO法人しんぐるまざあーず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長が、新型コロナウイルスの影響で困窮するシングルマザーについてコメントしていた。その内容があまりに衝撃的で、今回は「見えない貧困」を取り上げようと思った次第である。

 赤石氏によると、4月以降、シングルマザーからの相談が急増し、「子供がおなかをすかせていても、食べさせるものがない」「公園の水や野草で空腹を満たしている」などの、驚くべき内容もあったそうだ。

 多くがパートなどの非正規で雇用されているため、自宅待機で収入が減るという人が半数以上。中には、子供の保育園が休みになったと相談したら、「だったら来なくていい」と言われたケースもあった。

 「私たちの感触では、本当にいつ悲惨な事件が起きてもおかしくない」。こうコメントしていた(5月21日付朝日新聞朝刊)。

 新型コロナウイルス感染が拡大した当初から、「今起きている問題はこれまで見ないふりをされたり、だましだましやり過ごしたりしてきた問題が表面化しただけ」と書き続けているけど、貧困問題はその1つだ。

 しかしながら、貧困問題を取り上げると、「公園の水と野草食べるなんて人、本当にいるの?」「昔の方がもっと貧しい人が多かった」というリアクションが少なくない。

 そういった意見が出てしまうのは、貧困問題を語るときに、使われる「相対的貧困」という言葉のニュアンスにあると私は考えている。つまり、「貧困っていっても、相対的貧困でしょ?」と。「その日に食べるものがなくて困ってるわけじゃないだろ」と。つまり、「相対的」という言葉が、貧しさのリアルをぼやかしてしまうのだ。

 ご承知のとおり、相対的貧困は、絶対的貧困=1日2ドル未満で生活する人々(世界銀行の定義)とは異なり、「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」のこと。平たく言うと「恥ずかしい思いをすることなく生活できる水準」にない人々を捉えたものだ。

 その水準の目安となるのが貧困ラインで、日本の場合、122万円程度になる(国民生活基礎調査)。月額にすると10万円(単身世帯の場合)。たった10万円だ。月に10万円の収入では普段から貯金するのは難しい。となれば、今回のコロナ禍のような突発的な出来事に耐えられるわけがない。

 この10万円という金額を念頭に、改めて次の数字の重みを考えてみてほしい。日本の相対的貧困率はG7(先進7カ国)でワースト2位ひとり親世帯に限るとOECD(経済協力開発機構)加盟国35カ国中ワースト1位そして、日本の母子家庭の母親の就業率は、84.5%と先進国の中でもっとも高いにもかかわらず、突出して貧困率が高く、アメリカ36%、フランス12%、英国7%に対して、日本は58%と半数を超えている(OECDの報告より)

●相談に行ったことがさらなる貧困のきっかけに

 日本も含めた先進国の貧しさは「目に見えない」。とりわけ日本では、働いているのに貧困、すなわち「ワーキングプア」が多いので、余計に見えなくなる。

 さらに、貧困の問題は「そういう人はなぜ、生活保護を受けないのだろう?」「シングルマザーの貧困は養育費をちゃんともらえばかなり解決できるのでは?」といった疑問で矮小(わいしょう)化され、個人の責任にすり替えられがちだ。

 数年前、就職氷河期に非正規社員の道を余儀なくされた人たちが、「助けて」と言えずに孤立したり、食事も取れずに餓死するという事件があった。この時代に「餓死する」とは、信じがたい出来事だが、取材する中で、生活保護の相談に行ったことが、孤立の引き金になった人がいることがわかった。

 「まだ、若いんだから、もう少しがんばって仕事探してみなさい」──。

 こう言われたことで、二度とSOSを出せなくなってしまったのだ。

 彼らは一見すると健康に見える。何よりも若い。なので、相談された人も「もう少しがんばって」と励ました。

 だが、彼らの心は既にズタズタだった。藁(わら)をもつかむ気持ちで相談にいったのに、「がんばって」と突き放され、心も体も金縛りにあったように動けなくなってしまったのだ。

1016チバQ:2020/05/27(水) 18:50:33
 実は冒頭の「僕は運が良かった」と繰り返した男性も、そのひとりだった。

 彼は地方の有名国立大学に進学しながらも、就職できずにフリーターの道に進み、結婚もできずに30歳を過ぎてしまったという。

 「正社員の経験がないと、中途採用にも応募できない。年齢的にもどんどん厳しくなり、30を過ぎると応募できる会社自体がなくなる。周りの視線も厳しくなっていきました。『落ちこぼれ』『負け組』などと、自業自得と言わんばかりのレッテルを貼られ、自己嫌悪に陥りました。俺はなんてダメな人間なんだろう、って。ホント、最悪でした」

 生活や将来への不安と、自尊心が限りなく低下し、「もうどうにでもなれ」とホームレスになったときに、たまたま出会ったのが焼鳥屋さんだった。

 弱い立場にならないと見えない景色がある。彼が「僕は運が良かった」と繰り返したのは、その景色を見た経験があったからだ。

 そして、「私たちの感触では、本当にいつ悲惨な事件が起きてもおかしくない」という赤石理事長の懸念も、その景色を実感できるからなのだろう。

●格差拡大で80年代以降先進国の貧困が問題に

 そもそも先進国が相対的貧困を貧しさの指標に用いるようになったのは、1980年以降だ。それまでは絶対的貧困の方が重視されていたのだが、先進国で格差が広がり始めたことで、相対的貧困が注目されるようになった。

 絶対的貧困が「人が生きていく上で最低限必要な生活」を主要な論点にしているのに対し、相対的貧困は「貧困がどの程度社会に容認されているのか?」という問題意識が根底にある。すなわち「広がり過ぎた格差=相対的貧困率」を捉えれば、貧困の背後に隠された低賃金の労働要因、ひとり親世帯や高齢者世帯などの家族要因、病気などの医療要因、学歴格差などの教育要因などを、時代を追って分析すれば「私たちの問題」を具体的に知ることができる。

 例えば、経済格差が拡大し始めた1995〜2001年の厚生労働省の「所得再分配調査」から所得の中央値と貧困線、貧困率を推定すると、中間層の所得水準は、1995年の284万円台から01年は262万円台に落ち込み、貧困ラインは142万から131万円と10万円低下。相対的貧困率は、15.2%から17%に上昇していたことが分かった。

 そこで95年の貧困ラインを基準にして相対的貧困率を推定したところ、01年の貧困率は20%。なんと5世帯に1世帯が貧困ライン以下という、かなり衝撃的な状況になってしまったのだ(「日本の貧困と労働に関する実証分析」橘木俊詔、浦川邦夫)。

1017チバQ:2020/05/27(水) 18:50:52
 また、過去10年間における貧困率の上昇には、「単身世帯(主に単身高齢者世帯)」「高齢者の世帯」「大人1人と子供1人の世帯」の増加が影響していていることも分かっている(「相対的貧困率等に関する調査分析結果について」平成27年12月18日)。

 日本では貧困層の約9割が働いているので、ワーキングプアの割合を年齢階級と性別に見ると、もっと「今の日本社会の問題」が分かる。

 ご覧の通り、男性のワーキングプア率は20代後半から減少し、50代になると増加に転じ70歳で急増する。一方、女性は25〜29歳では低下するがそれ以外は一貫して男性より高く、70代になるとさらに差は広がっていく。

 別の調査からは、この30年間で働き盛り世代の非正規化の問題も指摘されている。男性の25歳〜34歳では4%から14.4%に増加し、そのまま高水準が続いている。

 このような年齢別、性別格差をもたらしているのは、第1に、正規雇用と非正規雇用の賃金格差。第2に、男性と女性の雇用格差による賃金格差だ。非正規社員男性の生涯賃金は約6200万円、これは正社員の約4分の1(正社員男性=約2億3200万円。みずほ総合研究所の試算)。非正規の年収では、男性229万円に対し女性はわずか150万円になってしまうのだ。


 ……とまぁ、数字を立て続けに紹介してしまったけど、とにもかくにも貧困ラインは年収122万円。月々の所得は10万円程度。その生活が、コロナ禍で突然途切れた。今すぐにでもお金が必要なのに、なかなか届かない。いつになったら次の仕事が見つかるか分からないのに、そのあとの支援は決まっていない現状がある。

 個人的には今こそ、「ベーシックインカム(最低限所得保障)」を導入したらいいと考えている。ベーシックインカムの考え方自体は18世紀に生まれたものだが、1980年代以降、格差問題から注目され、「ピケティに次ぐ欧州の知性」と称されるオランダ人歴史学者のルトガー・ブレグマン氏により、さまざまな国で「導入実験」の機運が高まった。

 ブレグマン氏は「Poverty isn’t a lack of character, it’s a lack of cash(貧困とは人格の欠陥によるものではない。貧困は現金の欠如によるもの)」と説き、ホームレスなどは最初から怠惰だったわけではないし、貧困層が薬物をより頻繁に使用するのは、基本的欲求(寝食住)が満たされていないからだと訴えた。

●現状はベーシックインカムを再考する機会

 2年前に、こちらのコラムで取り上げ、みなさんからご意見を募集したところ、たくさんの前向きな意見、懸念点などを書いていただいた(参考コラム下記:「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです)。

 残念ながら、サイトが変わってしまいコメント欄が削除されてしまったのでそれを見ることができないのだが、「財源の問題」が多かった。

 ならば、今こそ、困窮している人たちに焦点を絞った追加の経済対策を盛り込み、実証実験も兼ねてやってみてはどうだろうか。


河合 薫

1018チバQ:2020/05/27(水) 21:40:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/bebe1de7d067bc24c52393cf9ef3d5db42a26e52
【特集】仕事も住民票もないホームレスたちに“10万円”は届くのか...「西成・あいりん地区」で弁当配り見守る女性の活動
5/27(水) 16:51配信

MBSニュース
MBSニュース

新型コロナウイルスの感染拡大は、大阪市西成区にある日雇い労働者の街「あいりん地区」にも大きな影響を及ぼしています。日雇いの仕事が激減し、さらには住民票がないホームレスたちにどうやって10万円の給付金を支払うのか、街の現状を取材しました。

「今が一番大変」居酒屋の店主
居酒屋「集い処はな」の店主・尾崎美代子さん

大阪市西成区にある日雇い労働者の街「あいりん地区」で、居酒屋「集い処はな」を営む尾崎美代子さん。店内には手書きのメニュー表がかけられています。

「きょうのメニュー、毎日変えています。一番高いのは造りで350円、あとは300円とか200円です。」(尾崎美代子さん)

18年前に始めた店は、普段は日雇い労働者や地元の住民たちで賑わうのですが、4月以降は客足が激減しました。

「今が一番大変なんちゃう?今、大変よ。(Qお客さんは減った?)そう。(Q何割くらいの減少ですか?)半分くらいじゃない?」(尾崎さん)

店内の消毒を徹底し、客同士の距離を保って営業を続けていますが、会話はやはり新型コロナウイルス一色です。

(尾崎さん)「やっぱり第二波怖いな。また閉鎖になっているの?違うよね?」
 (男性客)「特定のクラブとかディスコだけや。」
(尾崎さん)「ふーん。」

“マスクをしていない人”が目立つ街
「あいりん地区」の様子

「あいりん地区の厳しい現状を知ってほしい」と尾崎さんが街を案内してくれました。

  (記者)「あんまりマスクしている人いないですね?」
(尾崎さん)「いないですね。『体を守らなくちゃ、大丈夫かな?』という気持ちも萎えているのかな。『それよりまず食うことだ』ということじゃないかな。」

萩之茶屋南公園(通称:三角公園)

外を歩くと、マスクをしている人はまばらで、街の中心に位置する萩之茶屋南公園(通称:三角公園)に居る人たちもほとんどがマスクをしていません。

三角公園で話を聞いた男性

男性に話を聞きました。

  (記者)「普段はマスクされますか?」
  (男性)「いや、普段は…。」
(尾崎さん)「しなきゃだめよ。」
  (男性)「第二波とか言ってますけど、この人まずいなと思ったら、僕は(その人の)風下には行かない。」

新型コロナウイルス感染拡大で“炊き出し中止”
尾崎美代子さん

この公園では長年にわたって支援団体が日雇い労働者たちのために炊き出しを行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大以降は中止されています。

(尾崎さん)「毎週火曜日と土曜日に炊き出しやるんですよ。それが大体300食から400食だったんですよね。知っている人がやっているんですけど、ばーっと並ぶので、三密になるから中止になったので、結構困っている人いるんじゃないかな。」

日雇い労働者が大半を占める街ですが、多くの建設工事がストップしている影響で、今は仕事がほとんど無いといいます。ある会社の扉には「コロナの影響で仕事はありません」と張り紙が貼られていました。

  (記者)「この会社だけの話じゃない?」
(尾崎さん)「じゃないと思いますよ、うちのお客さんもそうなので。ゼネコンでも止めているところもあるでしょ。新型コロナウイルスが出たっていうので。うちのお客さんのところの現場は、中国からの資材が入らないからストップしているとか。」

1019チバQ:2020/05/27(水) 21:42:22
弁当とマスクを「無償配布」
手作りのお弁当やマスクの配布を準備する尾崎さん

厳しい生活を強いられている日雇い労働者やホームレスたちのため、尾崎さんは5月初めから手作りのお弁当とマスクの無償配布を始めました。お弁当には白米に玉子焼き、肉団子や野菜炒めなどが詰められていました。

尾崎さん、路上で次々に声をかけ、お弁当とマスクを手渡します。

(尾崎さん)「お父さん、弁当食べ。」
  (男性)「ありがとうございます」
(尾崎さん)「お父さん、野宿している?」
  (男性)「うん。」
(尾崎さん)「この辺?」
  (男性)「うん。」

(尾崎さん)「お兄さん結構若いもんな。」
  (男性)「まあまあまあ。」
(尾崎さん)「まぁ10万円もらえるように頑張りましょうね。」

最近よく話題にのぼるのは10万円の特別定額給付金についてです。

(記者)「今はお仕事は?」
(男性)「仕事なんてあるわけないやんけ。現場全部ストップしている。」
(記者)「生活保護を受けていないのですか?」
(男性)「受けたくないもん、わしにも意地があるわ。」
(記者)「10万円は大きいですよね?」
(男性)「大きいよ、トクソウ(高齢者特別清掃事業)で3万円ちょっとくらい、月に。4万円も出ない。それでわしは生活している。(10万円は)3か月分だから。」

1020チバQ:2020/05/27(水) 21:46:25
遠い10万円給付…「住民登録がない」「どこに登録しているか分からない」「定まった住所がない」
MBSニュース

政府が打ち出した、全国民に10万円を支払う特別定額給付金。対象は「4月27日時点で国内に住民登録されている人」と規定されていますが、ホームレスの中にはそもそも住民登録がない人や自分がどこに住民登録されているのかわからない人がいるのです。

住民票がどこにあるかわからないと話す男性

尾崎さんが声をかけた男性に住民票について聞いてみました。

(尾崎さん)「住民票どこやったっけ?」
  (男性)「何十年もほったらかしのまんまや。」
  (記者)「住民票がどこにあるかわかりませんか?」
  (男性)「うん、最近の住所は堺やけど。本籍地に戻っているんちゃうかな。19歳の頃からほったらかしやから。」

政府はホームレスやネットカフェ難民など住民登録されていない人について、新たに登録を行えば給付を行うとしていますが、ホームレスには住民登録できるような“定まった住所が無い”という問題があります。

“住民登録を抹消させられた”2088人
“住民登録を抹消された”と話す男性

さらに、尾崎さんは「あいりん地区には住民登録を抹消された人が大勢いる」と話します。取材中に声をかけた中にも、実際にそう話す男性もいました

かつてあいりん地区では、約45平方メートルの土地などに3000人以上の住民登録が行われていました。これは日雇い労働者が失業保険の給付を受けるためで、区役所の担当者も黙認してきたものでした。しかし2007年、大阪市は他の場所へ移さなかった2088人の住民票を削除。それ以降、新たに住所登録せずにどこにも住民票がないままのホームレスが存在しているのです。

  (記者)「(当時削除された2088人の)住民票が今も無いかもれない?」
(尾崎さん)「そうですね。それから年も経っているので、亡くなった人もいるだろうけど。」

日本共産党 清水忠史衆院議員

住民登録がない人たちにどうやって10万円を給付するのか。5月20日、国会でもこの問題が取り上げられました。

「住民登録ができないという路上生活者の方々を、どう特別定額給付金からこぼれ落ちないように支えていくのか、支援していくのかっていうのは喫緊の課題。」(日本共産党 清水忠史衆院議員)
「現に居住している市区町村と認めていただけるように、必要な支援が行われるように総務省としても取り組んでまいりたい。」(総務省 斎藤洋明政務官)

1021チバQ:2020/05/27(水) 21:46:52
「住民票無い人にも給付を」大阪市に要望書を提出
尾崎さんらが大阪市に提出した要望書

尾崎さんは現在、支援団体らと共に給付の実務を担う大阪市に対して、「住民票を持っていない人へも支給してほしい」などと要望しています。一方、大阪市は「給付金制度は国の制度で、実際に住んでいる場所に住民登録がされている人にしか給付することはできない」として、話は前に進んでいません。

尾崎美代子さん

「働いていないから、税金も払っていないし、そんな人に(給付金10万円を)やらなくていいじゃないかって思う人もいるかもしれないけど。自分の仕事に誇りを持って何十年生きてきて、何の事情かわからないけど、色んな事情で野宿になったわけだから。住民票がないともらえないかもしれないっていうのは、ものすごく理不尽だと思います。貧しい人の方が今回の新型コロナウイルスも大変なんじゃないかな。」(尾崎美代子さん)

(5月26日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

1022チバQ:2020/05/31(日) 23:41:18
https://news.yahoo.co.jp/articles/ebcb289c89f775b12662ba72aa889227b6a6210e
コロナ失業で「所持金1000円」…生活保護の申請、各地で急増
5/31(日) 13:51配信

読売新聞オンライン
(写真:読売新聞)

 政府による緊急事態宣言が発令された4月、生活保護を申請する人が各地で急増していたことが明らかになった。外出自粛や休業で経済活動が停滞し、生活苦に陥る人が相次いでいる現状が浮かび上がった。宣言は解除されたが、経済の復調には時間がかかるとみられ、今後さらに申請者が増える可能性もある。 (田中文香、戸田貴也)

■イベント激減で警備の仕事減

 「仕事も住む場所もなく、不安だった。生活保護を受けられて安心した」。東京都内の警備会社で働いていたもののイベントの中止が相次ぎ、困窮していた男性(49)は、胸をなで下ろした。

 男性は、新型コロナウイルスの影響で警備の仕事が激減。別の仕事を探そうと3月末に会社を辞めた。ネットカフェやカプセルホテルを渡り歩きながら職探しをしていたが、4月に緊急事態宣言が発令され、転職先として期待していた企業の面接も中止に。所持金も徐々に底をつき始めた。

 東京都豊島区内の公園で行われた民間団体の相談会に参加したのを機に、区の福祉窓口に生活保護を申請した。現在は都の支援事業に頼ってビジネスホテルで暮らし、来月にはアパートに移る予定だが、仕事のめどは立っていない。

 男性は「他にも多くの失業者がいる今、仕事の奪い合いになるかもしれない」と不安を口にする。

 生活困窮の相談を受け付けるNPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京)など18団体が5月に行った電話相談では、相談者99人の2割が「所持金は1000円以下」と答えた。20〜30歳代の若い世代からの相談が目立つという。

 職業訓練校をやめて4月から働こうと考えていた都内の男性(28)は、緊急事態宣言の影響もあって仕事が見つけられず、ネットカフェで寝泊まりを続けた。今月、生活保護の受給が決まったが、「こんなに求人がなくなるとは思わなかった」と肩を落とす。

■京都、外国人客89%減…解雇や収入減に悲鳴

 京都市では、4月の申請件数が388件と、前年比で1・4倍に増加。市観光協会が市内のホテル59施設を対象に行った調査では、3月の外国人宿泊客数が前年比で89%減少したといい、タクシー運転手や宿泊施設の清掃員、飲食店経営者らの申請が相次ぐ。「解雇された」「月収が半減した」と、窮状を訴える声が後を絶たないという。

 仙台市でも、4月の申請は前年比1・4倍の193件に増えた。相談は826件で、前年の2倍以上となっている。市によると、2011年の東日本大震災後も、収入減などで生活保護の相談に来る人はいたが、当時は全国から多くの義援金が寄せられた。同市宮城野区保護課の担当者は「今回は収入の補填(ほてん)が少なく、申請や相談はさらに増えそうだ」と語る。

■夏に申請の「第2波」か

 厚生労働省によると、収入減で家賃を支払えなくなった人に一定期間、家賃相当額を支給する「住居確保給付金」の申請は、4月に8700件に上った。こうした公的支援に頼って生活を維持する「生活保護予備軍」は多いとみられる。

 貧困問題に詳しい明治大の岡部卓専任教授は「生活保護申請の4月の急増は『第1波』で、今後貯金を取り崩して生活する人が仕事を得られず、夏に申請の『第2波』が来る可能性がある。生活保護や給付金の相談を1か所で受け付けるワンストップ窓口を市区町村に設け、国や都道府県が財政支援や職員派遣をする仕組みが必要だ」と提言している。

■車所有でも容認 厚労省通知

 今回のコロナ禍で生活保護を申請する人の中には、緊急事態宣言を受けた休業要請などで一時的に困窮に陥った人も多い。収入が戻った時にスムーズに生活を再建できるよう、厚生労働省は、通常は認めていない車や店舗などの財産の所有を例外的に認めることを決定。4月に都道府県を通じて全国の市区町村に「柔軟な容認」を求める通知を出した。同省は当面、この方針を維持するという。

 また、通常は生活保護の申請があれば、市区町村の職員らが自宅を訪問して生活状況などを調査するが、今回は訪問を通じてウイルス感染が広がるリスクを考慮し、同省は電話での調査も認めている。

1023チバQ:2020/06/01(月) 18:53:45
https://news.goo.ne.jp/article/nishinippon/business/nishinippon-1000612953.html
「死にたい」コロナ雇い止め、底なし 矢面に立たされる派遣社員ら
2020/06/01 06:00西日本新聞

「死にたい」コロナ雇い止め、底なし 矢面に立たされる派遣社員ら

「死にたい」コロナ雇い止め、底なし 矢面に立たされる派遣社員ら

(西日本新聞)

 新型コロナウイルスの影響による雇用悪化が底なしの様相を呈している。厚生労働省によると、5月28日時点でコロナ関連の解雇や契約が更新されない雇い止めは見込みを含め九州7県で1356人、全国では1万5千人を超え、派遣社員らがその矢面に立たされている。企業などは休業を経て営業を再開したものの、本来の事業活動レベルには戻っておらず、事態のさらなる深刻化が懸念される。

 「『もう仕事がない』と派遣先の建設会社から言われ、寮を追い出された」(50代男性)、「仕事がなくなり、ご飯を食べるお金もない。親とも縁が切れていて頼れる人もいない。死にたい」(若い男性)-。失業者らを支援する福岡市の団体にはコロナの影響で職を失った人からの悲痛の声が連日、寄せられている。

 厚労省によると、解雇や雇い止めは、2月の282人から5月は1万2052人と大幅に増加。九州7県は、福岡447人▽佐賀89人▽長崎276人▽熊本76人▽大分109人▽宮崎62人▽鹿児島297人-だった。宿泊や飲食、製造業が多く、50人規模の大量解雇をした企業もある。

 「会社に尽くしてきたのに納得いかない」。派遣社員として九州北部の卸関係会社に勤める40代女性は、6月末での契約終了を突き付けられた。派遣社員は四半期ごとの契約が多く、7月からの四半期は、5月には更新の有無を言い渡す会社が多い。女性もその一人。事務職での契約を3カ月ごとに更新し、次回契約は7月からのはずだった。

 4月上旬に同僚が発熱で欠勤し、自身は勤務中に軽いせきが出た。熱は37度台前半。約1週間、自宅待機し、上司に在宅勤務を命じられた直後、派遣会社の担当者が自宅を訪れた。「熱が出ている人に仕事はさせられないと(派遣先が)言っている」。在宅勤務に差し支えはないと訴えたが、職場から持ち帰ったパソコンは取り上げられた。

 時給千円。ほそぼそと暮らしを営みながら、仕事は熱心にこなしてきた自負はある。「同僚は復帰したのに…。私が派遣だから真っ先に切られたのなら悔しい」と唇をかんだ。

 全国の労働局が2月に開設した特別相談窓口には、雇用調整助成金や解雇、雇い止めなどの相談件数が約54万8千件に上り、九州7県でも約6万4千件に上る。厚労省は「コロナの影響が顕在化しており、今後も増えてくると思われる」と話す。

 福岡市の飲食店の男性アルバイト(30)は、店の営業時間短縮に伴い、勤務がコロナ流行前の半分の週1〜3日に減った。最短で1時間勤務もあり、4月の給料は多い月から10万円ほど減り、1万4千円だった。

 同市中央区のハローワーク福岡中央に週2日通い、求人票に目を凝らすが、条件に見合う職はない。雇い止めなどの話を聞くたび、不安が襲う。「先が見えず、精神的にきつい。自分もいつ解雇されるか分からない」 (横田理美、小林稔子、郷達也)

1024とはずがたり:2020/06/04(木) 09:16:53
「口座ない人は反社勢力」と除外
高知市、10万円早期支給窓口で
https://this.kiji.is/641058105512051809?c=39550187727945729
2020/6/4 08:35 (JST)6/4 08:47 (JST)updated
c一般社団法人共同通信社

 国民1人に10万円を配る特別定額給付金を巡り、高知市が生活困窮者に早期支給するための特別窓口を設けた際、金融機関の口座を持たない人を「大半が暴力団などの反社会的勢力」との偏った認識で、除外したことが4日、分かった。申請書に口座がない場合に希望する別の受給手段を書く欄を設けていなかった。

 路上生活者や生活保護受給者の中にも身分証明書がなく、口座がない人はいる。実際5月1〜29日の申請期間中、十数人が訪れた。市は欄外に事情を記入することで受け付けたが、初旬には窓口をたらい回しにされた人もいた。担当者は「一部の人の申請機会を奪ったかもしれない」と不備を認めた。

1025チバQ:2020/06/04(木) 11:34:44
https://news.yahoo.co.jp/articles/f5b8db7d30c32e7c677ce48ae80fe1ec24057122

仕事失い炊き出しも減 月収3万円の路上生活者「食べられるだけマシなのか…」〈AERA〉




6/4(木) 9:00配信


AERA dot.







東京・山谷で5月下旬にあった炊き出し。新型コロナの影響で回数を増やして平日は毎日行っている。山谷周辺の炊き出しが減ったためだ(撮影/編集部・小田健司)
 緊急事態宣言が解除され、かつての「日常」が徐々に戻りつつある。一方で、雇用や教育格差などの社会の歪みは、今後、さらに表面化する可能性もある。AERA 2020年6月8日号では、コロナ禍であぶり出される格差や貧困を取材した。

*  *  *
 板で組み立てた簡易なテーブル。飯が盛られた容器が150個ほど並べられ、バケツに入った汁ものがひしゃくですくわれ次々とぶっかけられていく。

 5月22日の午前8時。東京・山谷地区の一角を訪れると、炊き出しが行われていた。路上生活者や「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所に身を寄せる人たちが大勢集まっている。

「距離をとって下さい!」
「マスクがない人はいますか」

 順番を待つ人たちに男性が声をかけていた。ただ、これはいつもの風景というわけではない。

「これまで週1で日曜の午後だけやっていたんですけど、4月からは平日も毎日やるようにしたんですよ」

 炊き出しを仕切っている山谷労働者福祉会館活動委員会・山谷争議団の向井宏一郎さん(48)は、そう話す。

 向井さんによれば、新型コロナウイルスの影響で生活困窮者向けの炊き出しは各地で減った。上野などを含めて山谷の付近であった炊き出しも、3分の1ほどになったという。「密」回避のためと言えばそれまでだが、向井さんは逆に増やした。

「仕事と炊き出しの両方が止まるとどうなるか。何とかしないと命がもたない」(向井さん)

■食べられるだけマシ

 15年ほど山谷で路上生活を続けているという男性(75)も話をしてくれた。

 九州出身。生活保護は受けず、周辺で寝泊まりする。都の清掃事業に月に何度か参加し、1回7千円ほど稼いでいた。だが、緊急事態宣言が発令された翌4月8日から事業は止まった。「感染拡大防止のため」(都担当者)だった。

 男性の仕事は今、空き缶を拾って売るだけだ。キロ単価が90円程度で、コロナ前より数十円下がったという。

「1カ月で手に入る現金は3万程度、あちこちの炊き出しに出向いて何とか食いつないでいる。食べられるだけマシだと思わなきゃいけないのか……」

 福岡県北九州市で32年間にわたりホームレスの支援を続けているNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の理事長で牧師の奥田知志(ともし)さん(56)が言う。

「ウイルスは金持ちも貧乏人も有名人も平等に感染します。ただ、そこから発生する被害は明らかに格差が出てくる。社会が以前から抱えてきた矛盾や格差、脆弱性(ぜいじゃくせい)が新型コロナのような災害時に拡張して露呈しているのです」

 路上生活者のケースでは、たちまち憲法で保障されている生存権が脅かされる。コロナ禍が社会の歪みをあぶり出しているかのようだ。

 それは、子どもの貧困問題でも同じことが言える。

■孤立しやすい貧困層

 5月下旬の夜、関東地方の母子家庭の困窮世帯で中学生と小学生の兄弟げんかがあった。母親は不在で、兄が刃物を持ち出すまでに発展した。幸い大事に至らなかったが、翌日になっても怒りが収まらない兄の様子を見て、母親が警察に届け出た。

 家族を知る関係者によれば、コロナによる学校の休校後、兄の精神状態が安定せず、母親は「最近は暴力が始まり、まずいと思っていた。次は本当に刺してしまうかもしれない、もう手に負えないと思い、通報した」と話していたという。兄は児童相談所に保護された。

 東京都の川野礼(あや)さん(31)が足立区で開いていた「あだち子ども食堂 たべるば」は、休校に伴い3月以降は区の要請もあって開けずにいる。学校も子ども食堂もない状況を憂う。

「富裕層と比べて社会との接点を持つ機会が少なく、孤立しやすいのが貧困層です」

 別の方法で支援が必要と感じ、川野さんは4月上旬までの1カ月以上、十数世帯に1日1回、昼間に弁当を届けた。それ以降は、孤立を防ぐためにiPadを公共施設から手配して特に生活が困窮している6人の子どもに貸与し、毎晩1時間ほど、テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」で話している。

 保護者が不在の日中、子どもたちは誰とも話をしない。家庭の中のことで、よほどのことがなければ公が介入することもない。川野さんが続ける。

「数カ月間もそうした状況に置かれることの心身への影響は大きく、それはセルフネグレクトや家庭内暴力などの形で表れます。最初から学校と連携して対応できたら良かったのですが、今後の課題にしたい」

(編集部・小田健司)

※AERA 2020年6月8日号より抜粋

1026チバQ:2020/06/15(月) 18:54:58
https://news.yahoo.co.jp/articles/e16ce34388a6974942460678b1c380e3b3b6bb4e

収入減なのに出費は増える…急を要するシングルマザーへの支援
5/24(日) 8:51配信

週刊SPA!


電話相談は週2回、年間500件以上もの相談が寄せられている
 新型コロナの影響が、過去に例のないスピードで拡大している。自粛、休業、感染リスク……今は全国民が何かしらの影響を受けている状況だが、なかでも大きな被害を受けているのが、以前からギリギリの暮らしを続けていた生活困窮者たちだ。元から脆弱だった生活基盤が、一気に崩壊しかけている。

⇒【写真】企業などから寄せられた物資



助けたいのに手が出せない。追い詰められる「支援現場」
 新型コロナの感染拡大は、シングルマザー世帯への影響も甚大だ。母子世帯を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」が会員へ行ったアンケート(調査期間’20年4月2〜5日、回答数215人)では、新型コロナの影響で約半数の世帯が収入減し、6%は収入ゼロという結果になった。同法人の小森雅子氏が話す。

「シングルマザーは就労人口こそ多いものの、そのうち6割以上がパートや派遣社員などの非正規で、雇用状況はきわめて不安定です。また、収入が減る一方で、子供の休校などで出費は増える。日頃からギリギリの世帯では、少しの負担増も大きくのしかかります。『食費や光熱費が増えた』『子供の入学費用とも重なり、生活費が捻出できない』『子供の預け先がないのでパートのシフトに入れない』という声が毎日何件も届くんです」

 政府の緊急経済対策支援では、一人あたり約1万円の児童手当の加算が決定している。

「ただ、児童手当の対象は中学生まで。家計の担い手になる高校生もアルバイトの機会が減っているため、食べ盛りの子供を抱える家庭への負担は大きいままです。不安のなかで労働と育児で疲弊した親からは『子供に手を上げてしまいそう』という相談もあります」

 また、一人親の場合、感染したときのリスクも大きい。

「『私が倒れたら子供はどうすれば』という不安も寄せられています。狭い家の中で子供を放っておきながら隔離できるわけがないし、もし入院となれば身寄りがない子供はどこで預ってくれるのか」

 これまではセミナーや面会を通じた支援も行ってきたが、感染予防の観点から直接会っての手助けができない。そこで、同法人では3月の初めから一斉休校を乗りきるための食糧支援を始めた。

「全国の支援団体と共に、1100世帯にお米を送りました。また就労支援セミナーやイベントが軒並みできないので、電話相談のほかに、Zoomを使って会員同士がおしゃべりする『ママカフェ』も始めています。母親が外に助けを求める機会が減っているし、少しでも息抜きをしてほしいので」

 感染リスクとも闘いながら、支援を続けるべく知恵を絞っている。

1027チバQ:2020/06/15(月) 18:55:11

「経済的に厳しい」「親の帰宅が遅い」など、さまざまな理由で満足に食事をとれない子供たちに対し、無料や低価格で食事を提供する「子ども食堂」にも新型コロナの影響が出ている。NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」理事の釜池雄高氏が現状を話す。

「小学校の休校要請が大きなターニングポイントでした。あれによって子ども食堂を休止、もしくは延期する場所が多く出てきた。それでも3割くらいの子ども食堂は継続していたのですが、緊急事態宣言でほぼ休止に。運営者の方々のなかには『苦しんでいる人たちがいるのに、助けられない』というジレンマを抱えている方が多いと思います」

子ども食堂も休業、無念な胸中
 西東京市にある子ども食堂「おひさまキッチン」もギリギリまで活動してきた一つだ。同食堂では中学生以下は一食10円で食事を提供してきたが、緊急事態宣言を受けてついに休業。代表の大熊英樹氏が無念な胸中を語る。

「悔しいですね。やっぱり子供たちを見ているとそう簡単に休みたくなかった。ウチは貧困などに関係なく“子供たちが楽しく集まれる場所”をテーマにしていますが、やはり中には家庭環境がいいとは言えない子や、母子家庭でお母さんが働けない状態の子もいます。どうにもできない今の状況を理解していますが、一度橋を架けておいて『緊急事態だから』という理由で急にやめるのはどうしても心苦しい。『あの子たちはどうしているかな』と、考えてしまう」

 ただ、食堂は開けられなくとも、食材や弁当を家庭に配布するなど、全国各地で、子供の食を守るための動きが出始めているという。

「子ども食堂は民間から始まったフレキシブルな活動なので、その柔軟さが生きている部分もある。今後も状況に応じて、各運営団体が動くと思います」(釜池氏)

「一刻も早く子供たちの“当たり前の日常”を取り戻したい」(大熊氏)

 一人でも多くの子供が、また笑顔になれることを願うばかりだ。

●支援の問い合わせは「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」まで。メール/cr@musubie.org
<取材・文/週刊SPA!編集部>

1028チバQ:2020/06/17(水) 19:35:14
https://news.yahoo.co.jp/articles/cccc56107080b8535db2ec6e1af5bae4d85424f1
年収300万円以下・貯金ほぼゼロでも焦りなし…まったり貧困の共通点
6/8(月) 8:53配信

週刊SPA!
※写真はイメージです

 国税庁の発表によると日本の給与所得者の平均年収は441万円だ(2018年)。しかし今、非正規雇用で平均を大きく下回る低収入、貯金もほぼないが、その現実に危機感を持つこともなく好きなことをして暮らす人が増えているという。その実態に迫った。

低価格サービスと働き方の多様化がまったり貧困を生む
 平成30年分の給与所得者の平均年収である441万円(民間給与実態統計調査)は、貧富の格差を含めた“平均値”であり、実際には年収300万円程度(あるいは下回る)の低所得者層が大きな割合を占めているのが現実。そのなかでも、貯金がほぼゼロでも好きなことをして暮らす、はたから見るといつ生活苦におちいってもおかしくない予備軍=“まったり貧困”が増えている。

 彼らに貧困の自覚はなく、むしろそこそこ楽しい現状に満足している様子が窺えるのだ。その理由を貧困問題に詳しい社会福祉士の藤田孝典氏が解説する。

「総務省が発表している『労働力調査』を見ると、非正規社員が労働者全体の約4割を占め、この割合は年々増加傾向にあります。つまり、“非正規雇用”で低賃金という働き方が当たり前になりつつあることが見て取れます。

 また、正社員でも2000年頃の氷河期世代に新卒採用された人は基本給が低く抑えられているため、年収300万円台はザラ。そして社会には、低所得者層をターゲットにした低価格のサービスや商品が溢れ、低収入でも生活するには十分な環境が整っています。結果、“低所得でも問題ない”というマインドが形成されたのです」

 加えて、長期デフレと経済の停滞で、“マシ”が蔓延し、「働けるだけマシ」と考え、低賃金でも納得する人が増えているという。

 また『労働力調査』によれば、非正規で働く主な理由としてもっとも多かったのが「自分の都合のよい時間に働きたいから」で、全体の約3割を占めた。自ら非正規雇用を選んでいる現状もあるのだ。

「終身雇用神話は崩れ去り、給料はほとんど伸びないのに責任だけが大きく、長時間労働や人事権による支配から逃れられない。そんな正社員に魅力がないと考える人は少なくありません。彼らが重要視するのは、プライベートです」

1029チバQ:2020/06/17(水) 19:35:24
まったり貧困が迎える未来は老後破産!?
 とはいえ、非正規雇用・低所得・貯金ナシで好きなことをできるのは“今”だけの話だ。

「日本の年金制度は、マイホームを持ち、老後は夫婦2人での暮らしをベースに構築されています。賃貸や独身という時点で、年金生活は成り立たなくなります。つまり、破産のリスクがあるのです」

 無自覚な貧困は、日本経済全体にも深刻な打撃を与える恐れが。

「今、中間管理職すら非正規社員が担う事例が増えています。中核的な正社員の育成を放棄すれば、当然企業の中長期的な成長はない。このままでは日本経済全体がスカスカになる危険性があります」

 では、そんなリスクを秘めた“まったり貧困”に陥りやすい人の共通点とは? これまで数多くの貧困予備軍の財務状況を改善してきたファイナンシャルプランナーの田中佑輝氏はこう語る。

「自由に使えるお金が多く、浪費癖がつきやすい実家暮らしや社宅族の独身者がまず挙げられます。続いて、“リボ払い”を利用している人も金融リテラシーが低く、貧困に陥る傾向があります。また、転職や引っ越しなどによって収支の状況が変わったのに、生活水準を変えられない人も同様です」

 最初の就職も重要だ。

「大卒なのに新卒一括採用を活用せず、非正規雇用から就職をスタートさせる人もまったり貧困化する可能性が高いですね。正社員という職位と待遇を経験して知っておいたほうがいいかと」(藤田氏)

 さらに、田中氏のところに来る相談者には、ある癖があるとか。

「『子供の養育費で』『部下には奢らなきゃいけないので』など、お金がないのを人のせいにしがちです」

 そんな“まったり貧困”の実態を収録。己の現状と比較してもらいたい。

●まったり貧困の共通点

□自由に使えるお金が多い。実家暮らしや社宅族
□生活が変化しても生活水準を変えられない
□リボ払いやキャッシングを利用している
□お金が足りないことを自分のせいではないと考えている
□大学卒業後に選んだ最初の就職が非正規雇用

【藤田孝典氏】
社会福祉士。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学心理福祉学部客員准教授。専門は現代日本の貧困問題と生活支援。著書に『棄民世代』(SB新書)など

【田中佑輝氏】
ファイナンシャルプランナー。アルファ・ファイナンシャルプランナーズ代表取締役。実践的な資産運用が好評。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』(アスコム)

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/渡辺貴弘>

―[まったり貧困で生きる]―

1030チバQ:2020/06/17(水) 19:36:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/32707ac495c217241b66dd95f9d95593cecb62c6
非正規雇用の40代・月収20万円…それでも正社員を目指さないワケ
6/14(日) 8:55配信

週刊SPA!
鉄道に乗って旅さえできれば満足という中野さんの旅費は5泊6日で3万円ほどだという

 国税庁の発表によると2018年の日本の平均年収は441万円だ。しかし今、非正規雇用で平均を大きく下回る低収入、その現実に危機感を持つこともなく好きなことをして暮らす無自覚な貧困層が増えているという。その実態に迫った!

非正規雇用でも趣味と貯金には十分で不満ナシ
▼瀬戸際に立つ40代のまったり貧困:中野伸弘さん(仮名・42歳)

 就職氷河期に就活で失敗し、非正規雇用のまま40代を迎えている人は多い。工場で派遣社員として働く中野伸弘さん(仮名・42歳)もその一人。大学卒業後の20年間、派遣社員や契約社員として職場を転々としている。

「今の月収は20万8000円。贅沢には程遠いけど、独り身なので生活には困っていません。現状車がなくても十分生活できているし、若い頃に比べると物欲もないのでおだやかな生活ですね(笑)」

 ギャンブルも一切せず、お酒も1〜2か月に一度、外で飲む程度なのだとか。

「アルコール自体がそんなに好きじゃないので、家飲みもしません。平日は職場と家を往復するだけの生活なので、安月給でも少しずつ貯金もできていて、300万円ほどあります」

 質素な生活を送る中野さんの唯一の趣味が、鉄道を使った旅だ。

「鉄道が好きで、3日以上休みが取れるときは乗り鉄の旅に出ていました。旅といっても移動はJRの普通列車乗り放題の『青春18きっぷ』や周遊券などの割安の切符だし、泊まるのもゲストハウスやネットカフェなので出費は少なめです。今は私のような契約社員でも有休が取りやすいので、旅にも出やすいですね」

 とはいえ、中野さんの職場では、同じ仕事内容でも非正規社員と正社員とで、年収で100万円以上も差があるという。正社員を目指す気はないのだろうか?

「30代半ばまでは何度か正社員を目指して就活もしましたが、失敗続きで諦めました。逆に今は、現状を受け入れたことで精神的に楽になりましたね。それに実家を相続する予定なので、この先も住むところには困らないし、いざとなったら売ってお金にすれば大丈夫かなって。あとは非正規なら雇ってくれるところはあると思うので、老後も細々働き続けますかね」

 相続予定の実家は、一軒家で地方ながら街の中心部から近いという。物欲がなく、淡々と働き続ける意欲がある中野さんならば、低所得でも安定した老後を迎えることができそうだ。

【収入】
月収(手取り)20万8000円
――――――――――――
【支出】
家賃 5万4000円
食費 3万5000円
水道光熱費 1万5000円
通信費 1万円
趣味(鉄道) 4万円
保険料 1万5000円
雑費 2万2000円
貯金 1万7000円
――――――――――――
収入-支出の合計 0円

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[まったり貧困で生きる]―

日刊SPA!

1031チバQ:2020/06/24(水) 10:44:33
https://news.yahoo.co.jp/articles/56570aedc5303c396e635bb08ed635376ffbf582
“自粛警察”が低所得層を苦しめる…広がるコロナの被害

6/24(水) 8:45配信

 富裕の懐にも低所得の懐にも、コロナ禍が大きな波を巻き起こしている。では、こうした中で最もダメージを受けるのは果たしてどの層なのか。マクロ経済学に詳しい経済学者の飯田泰之氏は、各層への影響をこう分析する。


資産家と叩き上げの経営者で明暗
「まず資産が1億円以上ある富裕層では、資産家と叩き上げの経営者でハッキリと明暗が分かれます。株や土地を受け継いでいる代々の資産家たちは株価が下がったとはいえ、全面的に資産がなくなるような資産価格崩壊は起きていないので、致命的な状況ではない。商売をしていても一旦はたたみ、資産保持に重点を置いています」

 一方、ビジネスで成功し、富裕層までのし上がった経営者たちは梯子を外された格好だ。

「一代で富を築いた経営者などの新興富裕層たちは、稼ぎを生み出す商売がすべて止まっていますからダメージはかなり大きいです。ますます純粋な資産家と自力で稼いでいる層で差ができてしまい、上流層が二分化しています」

 活発なビジネス展開で大きな雇用を生み出す新興富裕層の没落は、経済全体にとっても影響が大きい。ただ、彼ら以上に打撃を食らっているのは中流層だと、飯田氏は指摘する。



最も深刻な被害を被るのは中流層

「中流層は固定費の比率が大きいのが特徴です。例えば夫の給料が30万円、奥さんのパート代が10万円の典型的な中流家庭では、住宅ローンは月収の3分の1程度13万円ほどが平均的。子供の養育費、生活費などを含めれば毎月20万円は黙っていても出ていく。残り20万円しか余裕資金がない場合、3割でも収入が減少すれば生活は危機的状況となります」

 夫の給料が自宅待機により2割減少し、営業自粛で妻のパート代がゼロになれば、収入はあっという間に4割減だ。

「普通の不況では徐々に給料が下がっていくので、引っ越しなどで固定費を切り詰めることができますが、ここまで鋭角に減少すると節約する時間もなく、いきなり首が絞まる。ですから、現在は中流層が一番厳しいのです」


低所得層への影響はこれから





未熟練でもOK、過去や経歴を問われない飲食店や、水商売などが縮むと、生き延びるために働いている層の受け皿がなくなるという
 一見したところ影響を受けやすいと思われがちな低所得層については、今は影響の度合いが低いと飯田氏は話す。

「低所得層はもともとお金がないので固定費も低いことは有利に働きます。ただ、営業自粛を強いられている飲食店が軒並み閉店していることはこの層に甚大な影響を及ぼします。飲食サービスのように特別な技能を必要としない、未熟練労働市場が崩壊することは由々しき問題です。同様に、スナックや風俗などの夜の店も閉店が相次いでいますが、これらは都市インフォーマルセクターと呼ばれ、未熟練で経歴を問わず働ける点で、社会に必要なバッファーでした。要するに失業者や社会的弱者の受け皿が消滅しているのです」

 リーマンショック時には、飲食サービスが少なからず派遣切りされた人々の受け皿になった。それを発端に飲食店でのブラックバイトが明るみに出たが、コロナ禍ではそれすら消滅するのだ。

「未熟練労働者を吸収してきた飲食業が縮小すれば、あぶれた労働者が他業種に殺到します。彼らは低賃金でも働かざるを得ないので、この層が従事する職種で賃金の下降圧力が強まり、じわじわ低賃金化が進む可能性があります。このような状況を鑑みると、今最も厳しいのは中流層、そしてこれから徐々に悲惨な状況に追い込まれるのが下流層と言えるでしょう」



「コロナとの共存」というマインド

 緊急事態宣言期間は営業中の店を市民が非難するなど飲食サービスへの風当たりは強かったが、こうした“自粛警察”の善意がますます低所得層の行き場を失わせるというわけだ。

「ウイルスによる死者をゼロにすることはできません。インフルエンザや結核、さらには交通事故でも毎年多数の死者が出ている。それでも我々は経済活動を続けてきたわけです。しかし、“自粛警察”や“コロナ脳”などと言われる人々はこのような視点を持たない。彼らのように異常にコロナだけを恐れる行動は極めて危険であり、社会に悪影響を及ぼしていきます。政治にもこのような大きな声だけを拾わず、経済活動を再開させる決断が求められます」

 我々には「コロナとの共存」というマインドが求められている。

【飯田泰之】
経済学者。明治大学政治経済学部准教授。経済政策、マクロ経済学が専門。著書に『日本史に学ぶマネーの論理』(PHP研究所)など

<取材・文/真島加代・片岡あけの・山中千絵・沼澤典史・松嶋千春・野中ツトム(清談社)松浦達也 撮影/遠藤修哉(本誌)写真/アフロ 時事通信社>

1032とはずがたり:2020/07/14(火) 16:25:29
名古屋の名東区役所職員刺される 刺した60代を殺人未遂容疑で現行犯逮捕 愛知県警
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0714/mai_200714_4113355020.html
7月14日(火)13時33分 毎日新聞

男性職員が刺され騒然とする名東区役所=名古屋市名東区で2020年7月14日午後1時9分、兵藤公治撮影 写真を拡大
 14日午前11時半ごろ、名古屋市名東区上社2の名東区役所で、女性職員から「男性職員が刃物で刺された」と119番があった。男性は病院に搬送されたが意識はあるという。男性を刺したのは60代の男とみられ、その場で取り押さえられ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。


 愛知県警によると、男性職員は区役所にある生活保護を取り扱う窓口の近くで、背中と足を包丁で刺されたという。【井口慎太郎】

1033チバQ:2020/07/29(水) 10:33:29
https://news.yahoo.co.jp/articles/6edd2ca8162ed5eadfe39dc5638974f8ced50518
ロナ不況で「女性の貧困」が進む。パートや派遣にしわ寄せが
7/26(日) 15:47配信


(女子SPA!)
 コロナ禍で過去最悪の状況となりつつある「女性の貧困問題」。従来からの当事者はもちろん、貧困とは無縁だったはずの女性たちも窮乏に陥っている。本企画ではコロナ禍で経済的危機に瀕している女性たちに密着取材を敢行。彼女たちの切実な胸の内に迫った――。
コロナ禍で、非正規女性がますます貧困に
 コロナ不況は、女性の貧困にどんな未来をもたらすのか。『新型コロナと貧困女子』著者・中村淳彦氏、『ルポ貧困女子』著書・飯島裕子氏、貧困の現場を数多く取材してきたノンフィクションライターの2人がリモートで対談した。

中村:もともとコロナ禍以前から女性が供給過多で「稼げる仕事」でなくなっていた風俗業ですが、コロナ禍でセーフティネットとしての機能を失いつつあります。これからは客を自分で呼べる風俗嬢しか生き残れない。風俗業界内での格差も大きくなりそうです。

飯島:もともと賃金や待遇に大きな開きのあった正規と非正規の格差が更に広がったように感じています。例えば正社員は在宅勤務なのに派遣社員には認めず、緊急事態宣言下でも出社させられたり、休業補償は出せないから有給を消化しろと言われたり。

中村:これまで放置されてきた「女性の貧困」が、コロナでより顕在化した印象もあります。

飯島:そうですね。コロナ禍中の雇用などに関する相談も来るのは6、7割が女性と聞いています。
地方の実家に帰りたくても、コロナで「帰ってくるな」
中村:ルポの事例を読んでも思うけど、女性は真面目なので何事も自分で抱え込んで貧困に陥りやすい。彼氏や親族に背負わされた借金を地道に返したり、行政に相談に行っても追い返されたらすぐに諦めたりしてしまう。

飯島:無理しないで実家に帰れば? と言う人もいますが、虐待や毒親の問題を抱えていることもある。それにコロナだと実家に高齢者がいて、帰るなと言われた人も多かったはずです。

中村:特に地方は今でも男尊女卑の傾向が強いですね。

飯島:現代においても男性が大黒柱で女性のメインは家事育児、働いても家計補助に過ぎないという役割意識は根強く、これが非正規の低待遇や低賃金に結びついています。実際は男性雇用も限界で、共稼ぎでなければ稼げない世帯も多く、シングルマザー含め女性の世帯主が非常に増えているわけですが……。

役所に行って、どんどん支援制度を活用してほしい
中村:今回、かなり意外だったのはコロナ禍で行政がさまざまな支援制度を打ち出したこと。コロナ以前の政府は新自由主義の傾向にあったので、社会的弱者は軽々と見捨てると思っていた。コロナ禍では国民の訴えが届いているように感じましたね。

飯島:どうでしょう、私は単に弱った政権が流されているだけにも見えましたが……。

中村:そういう見方もありますか。

飯島:でも、支援制度の認知が高まり、利用者が増えれば自己責任論から脱する機会にもなります。

中村:自分から動いて、もらえるものはもらうべきですよね。

飯島:はい、どんどん制度を活用して欲しい。特に若者は役所に行くという発想があまりない。行政のほうから積極的な活用を促してほしいところです。
テレワークできない仕事は女性が多い
中村:コロナ禍で社会保障に関しては「大きな政府」になりつつありますが、コロナ収束後については不透明ですね。

飯島:労働市場では格差が広がると思います。テレワークも、できる仕事とそうでない仕事がある。コロナ禍では例えばスーパーの店員や介護職などが“エッセンシャルワーカー”として注目されました。多くは女性非正規ですが、リップサービスだけで賃金や労働環境は何一つ変わりませんでした。

中村:確かにそうした業種の労働環境は改善されていくべきです。ただ、労働市場の新自由主義の流れは止められない。コロナ禍でも稼げる風俗嬢が客を自分で引っ張り生き残ったように、介護職やサービス業も個人単位で仕事や顧客を開拓していく強さが求められると思います。

飯島:にわかに同意はできませんが、善かれあしかれコロナ禍を機会に働き方が大きく変わっていくでしょう。そのなかで誰が脆弱な立場に追い込まれるのか見極め、フォローしていくことが国に求められると思います。

【中村淳彦氏】

ノンフィクションライター。貧困や介護、風俗などの社会問題を取材。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書)

【飯島裕子氏】

ノンフィクションライター。『ビッグイシュー』等で執筆し、大学講師を務める。著書に『ルポ貧困女子』(岩波新書)

―「コロナ貧困女性」号泣ルポ―

<取材・文/週刊SPA!編集部、小野田衛、ツマミ具依、高島昌俊、吉岡俊>
女子SPA!

1034チバQ:2020/08/05(水) 00:00:36
https://diamond.jp/articles/-/242718
沖縄の貧困家庭からやる気を奪い去る「生活保護か車か」の二者択一
みわよしこ:フリーランス・ライター

ライフ・社会 生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ
2020.7.10 4:45
災害に覆い隠される「貧困」の実態
コロナ禍に襲われた沖縄県はいま
 7月の1日から10日までの間に、多様な災厄が日本を襲った。

 2日から始まった九州豪雨は現在も続いており、範囲は中部地方まで拡大している。影響の全貌が明らかになるまでには、数週間程度の時間を要しそうだ。豪雨に襲われている地域の中には、2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨の被災地も含まれている。

 9日朝には、茨城県南部を震源とする最大震度4の地震が発生している。2011年以来、日本周辺の地震や火山活動は活発化しており、6月25日には千葉県東方沖を震源とする最大震度5の地震が起こったばかりだ。6月には震度4以上の地震が7件発生しており、震源は奄美大島から十勝沖までの日本全国に分布している。

 緊急事態宣言が解除されて以降、新型コロナ感染者はジワジワと増加している。自然災害における避難も救助も、新型コロナ以前には考える必要がなかった数々の課題によって、困難化している。

 そして当然、天災は貧困をもたらす。天災は、もともと見えにくい貧困を、さらに見えにくくする。しかし、状況の理解を容易にするために留意すべきポイントは、いくつか存在する。

 今回は沖縄県を取り上げ、貧困に関連するデータを題材として、見えにくい貧困の実態を読み解いてみよう。沖縄県は貧困の深刻さで知られているが、地域による状況の違いが大きく、日本全国の縮図のような様相を呈している。沖縄県を理解することは、災害下の全国各地を理解するために役立つはずだ。

 沖縄県の深刻な貧困状況は、注目を集めやすい。しかし、必ずしもそれがデータに表れるとは限らない。たとえば生活保護率では、大阪府、北海道、高知県に続いて全国第4位である。沖縄県は第1位ではない。

 主要な背景は、大阪府では労働力の流入しやすい「寄せ場」があったこと、北海道では政策的に貧困が放置されてきたこと、高知県では高齢化と人口減少による影響と言えるだろう。沖縄県の場合、これらの要素がすべて揃っているのだが、各地域や各自治体単位で見た場合には、必ずしも明瞭ではない。

 2018年度、沖縄県の生活保護率は2.53%であった。全国の1.67%(2018年)に対して、約1.5倍に当たる。自治体別に見ると、那覇市(3.88%)と沖縄市(3.73%)が高い。しかし沖縄に限らず、生活保護率は概して都市圏で高くなりがちだ。

「車社会化」が
地方を追い詰めた
 都市圏で生活保護率が高くなる背景として、最初に考えるべきことは、生活保護のもとでは自家用車の保有や運転が認められない原則となっていることだ。むろん、自動車を保有していても、生活保護の申請はできる。また、預貯金がほぼなく、収入が生活保護基準以下なら、自動車があっても保護開始となる。

 さらに、「障害のため徒歩での移動が困難」「就労しており通勤に自動車が必要」といった理由があれば、自動車の保有が認められる。しかし、特別な理由がない場合、保護開始から半年を目処として、自動車は処分が求められることとされている。

 公共交通機関が充実している大都市圏では、車を手放しても生活は成り立つだろう。そもそも大都市圏では、一度も自動車を所有したことのない人々も珍しくない。大都市ではなくとも、ある程度は交通インフラが整備されている都市部なら、車を所有していないことによる問題は、「なんとかなるけれど、やや不便」程度のレベルに収まるかもしれない。しかし面積でいえば、日本のほとんどは、車がないと暮らせない地域である。

 ちなみに、今回の九州豪雨で深刻な被害を受けた地域の多くは、自然が豊かで風光明媚、市や郡全体では相当の生活インフラが存在するように見え、しかも人口密度は高くなく、まことに暮らしやすく見えるケースが多い。しかし、広い面積を持つ市や町の中に駅と役所と病院と銀行の集中する地域があったり、国道沿いに大規模なショッピングセンターがあったりする場合、事実上、車がなければ暮らせない。

 車があっても、高齢になって免許を返納する必要に迫られると、暮らしていけなくなる。とはいえ、公共交通網を整備するには、あまりにも面積が広すぎ、自治体に体力がなさすぎる。

1035チバQ:2020/08/05(水) 00:01:28
生活保護利用率が低い地域の
究極の選択は「生活保護か車か」
 貧困は深刻なのに、生活保護の利用が少ない地域がある場合、最初に考えるべきポイントは、「その地域では、車を手放すと暮らしていけない」という可能性だ。車を手放したら最後、就職活動を開始するために「まず車」というハードルを乗り越える必要がある。

 夜間に子どもが体調を崩すと、車で病院に連れていくこともできない。悩んだ末に救急車を依頼すると、「軽症なのに」と責められたり、逆に「なぜ、ここまで放っておいたのか」と責められたりする可能性もある。結局、「生活保護か車か」の究極の選択の末、「車はあっても生活保護以下」という厳しい生活しか選べなくなってしまう。

 しかし現在、厚労省はコロナ禍による失業や収入減少の増加を視野に入れ、生活保護のもとでの自動車の保有や処分について、条件を緩和している。自家用車は、公共交通インフラが住民の生活ニーズを満たせていないという課題を、個人や家族単位で解決する手段の1つである。生活保護世帯を含めて、低所得世帯に対しては公費による「自動車手当」があっても良いはずだ。

「生活保護は恥」という
地域の根深い思い込み
 貧困の深刻さや人口をはじめ、条件が似通っている2つの都市で、なぜか一方は生活保護率が高く、他方は低い場合もある。このような場合に考えるべきことは、「生活保護は恥」という感覚と自治体の姿勢だ。

「生活保護は恥」という意識が強い地域の小学校や中学校に通っている子どもを持つ親は、我が子が学校で生活保護を理由としたイジメに遭う可能性を考慮しなくてはならない。生活保護は世帯を単位として適用することとなっているため、「親は生活保護、子どもは他の制度で」というわけにはいかない。

 自治体は、「子どもさんのために、ぜひ生活保護を」と勧め、生活保護イジメから利用者を守ろうとする場合がある。逆に、「生活保護は恥」という地域の意識を、生活保護を利用させない方向で活用する場合もある。

 沖縄県の市部では、南城市の生活保護率が突出して低く、2018年に0.96%となっていた。ついで、豊見城市が1.16%となっている。また町村部・島しょ部の保護率は、軒並み1%台である。地域の人々に疑問をぶつけると、「この地域の人は働き者」「地域の支え合いが機能している」といった答えが返ってくることもある。しかし、「福祉を利用しにくくする方向に、何か見えにくい力が働いているのではないか」という想像も必要だろう。

就労機会が多い地域は
生活保護率も高くなる
 生活保護に対しては、「働けるのに働かない人が利用する」という偏見が非常に根強い。しかし、その偏見では決して説明できない事実がある。大都市には就労機会が多い。それなのに、大都市の生活保護率は高くなりがちなのだ。

 大都市は就労機会が多いため、地方から労働者を集めやすい。時間の経過とともに、労働者たちは高齢化する。働き盛りの時期の職場が「社保完」ではなかった場合、無年金・低年金高齢者となる。生活保護率が高くなるのは、当然の成り行きだ。

 全国的に、都市部で生活保護率が高くなる背景は、「車か生活保護か」の究極の選択を迫られないことに加え、そもそも就労機会が多いことだ。

 このことを念頭に置くと、沖縄県の中で生活保護率の高さが目立つ那覇市(3.88%)と沖縄市(3.73%)には、同様の背景がありそうだ。北海道や東北や九州や四国から、東京や大阪へと労働力が移動しやすいのと同様に、沖縄県の中では就労機会の少ない地域や島々から、那覇市や沖縄市へと労働力の移動しやすい可能性がある。生活困窮に陥った人々や支援者の話を聞くと、「可能性」ではなく、高い確率で現実である。

 都市には、都市型貧困の問題がある。都市が特有の貧困を生み出すことは、ほぼ宿命である。

1036チバQ:2020/08/05(水) 00:02:38
小さな自治体や区域ごとに
生活環境が全く異なる可能性も

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 さらに細かく見ていくと、陸続きの3つの自治体の中で、1つだけ保護率が非常に低い地域があったりする。保護率が低い地域の生活環境を見てみると、物価も家賃相場も高い。その理由は、リゾート開発の進行に伴う“観光地相場”化であったりする。

 所得が比較的高い人々は、その地域に住み続けることができる。しかし所得が低い人々は、他地域で暮らしながらリゾート地域に通勤していたりする。さらに極端な事例では、リゾート開発の進行があまりにも急激なため、もともとその地域に住んでいた低所得層が、事実上、そこで暮らせなくなる。

 沖縄県では、宮古市の事例が広く知られている。しかし緩やかな形で、類似の事態が進行している地域は少なくない。そしてコロナ禍が襲い、リゾートによって得られるはずの収入が失われたわけである。

 今回の九州豪雨は、沖縄県を襲わなかった。しかし、もともと存在した地域の多様な課題を、新型コロナ禍が深刻にした。観光地や保養地として知られていた地域では、豪雨以前に新型コロナ禍による収入機会の減少があった。また、過去の災害からの復興途上にあった地域もある。そこに、新たな災害が襲った。被災状況は、雨雲のわずかな気まぐれや地形によって大きく異なる。

 一般的に、被災からの復興は、もともとの格差を拡大する。災害前の地域の状況、小さな地域や世帯や個人ごとに異なる被災状況に、復興のスピードや内容の差が重なっていくからだ。ともあれ、スピード感を持って対応したくとも、当面は困難であろう。おそらく、10年単位の時間が必要になる。

 現在すでに取り残されがちな地域や人々を、そのままに取り残すのか。現在の格差をこのまま拡大するのか。被災していない地域の人々には、考える時間がある。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

1037とはずがたり:2020/08/21(金) 22:28:45
興味深い。

ドイツでベーシックインカム実験始まる…3年間、毎月15万円を支給。イギリスなどでも議論がスタート
8/21(金) 12:10配信https://news.yahoo.co.jp/articles/67304a061f90525a635bac8149f0be8bfab374ed
BUSINESS INSIDER JAPAN

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は5月、新型コロナウイルスのパンデミックにより壊滅状態となった経済を立て直す解決策として、ユニバーサル・ベーシック・インカムに言及した。

ドイツ経済研究所によるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)研究の一環として、120人のドイツ人が3年にわたって毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。

UBIは国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。

暫定的なUBIは、すでにアメリカ、スペイン、デンマークなどいくつかの国で実施されている。

ドイツの研究者グループが、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の効果を明らかにするための実験を開始した。UBIは、国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。

ドイツ経済研究所が8月18日にUBIに関する3年にわたる調査研究を開始したと、ロンドン・タイムズが19日に報じた。その一環として、120人が毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。研究者はその後、1380人の現金支給を受けていない人々の体験と比較分析を行うことになると、Business Insiderでも報じた。

他の国々でも似たような議論がスタートしており、パンデミックをきっかけとしてある種のUBIをすでに導入した国もある。

ロンドン・タイムズによると、5月上旬、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)首相は、全国民に政府から現金支給する形のUBIについて、真剣に検討すべき「時が来た」と述べた。同首相はこの件について「建設的な議論」をイギリス政府と行うとした。最終的に国家的な政策として実行するか否かはイギリス政府の判断によるからだ。

アメリカでは3月に連邦議会が「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法案(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security:CARES法)」を可決した。これは景気刺激策の一環であり、資格を満たすアメリカ国民に単発で最大1200ドルを支給するといった内容が含まれていた。だが、これでは十分ではないと指摘する議員もいる。4月には、民主党所属の連邦下院議員が、「緊急資金法案(Emergency Money for the People Act)」を提出した。これは、16歳以上で年収13万ドル未満のアメリカ国民に対し、少なくとも月に2000ドルを6カ月にわたって支給するというものだ。

スペインでは最貧層の100万世帯に対して毎月の収入を保障する計画だとロイターが報じた。同国の経済担当相、ナディア・カルビニョ(Nadia Calvino)は4月、民間テレビ局ラ・セクスタ(laSexta)に対し、政府としてはUBIを「恒久的な支援策」にしたいと語ったとBusiness Insiderが報じた。

その他の国々でも、暫定的あるいは緊急のUBIという形で同様の支援が行われている。例えばフランスでは、自営業者に最大1600ドルを支給している。香港では、6カ月にわたって労働者の給与の50%を政府が負担するとしている。デンマークでは、労働者が解雇されない限り、その給与の75%から90%を雇用者の代わりに政府が負担するとBusiness Insiderが報じた。

[原文:Germany gets a new universal basic income experiment as more countries consider cash handouts amid the pandemic]

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

1038チバQ:2020/08/26(水) 10:24:10
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb2532c252741c1fa63021d97b34b02456bcd419
「貯金は7月に尽きた」 50代女性 派遣終え5カ月 再就職めど立たず  <新型コロナと沖縄>
8/26(水) 6:04配信
205




生活が苦しくなる一方で「みんなが大変だから焦らない」と話した女性=那覇市おもろまち
 新型コロナウイルス感染症の影響が非正規労働者の不安定な雇用を直撃している。那覇市在住の50代女性は3月末に派遣の契約が切れた。求人が減る中、再就職先を見つけられずにいる。「貯金は7月に尽きた。いつ仕事に就けるか分からないから、借金は増やしたくない」。就職のめどが立たず、先行きが見えない不安を語った。 

 女性は母親と2人暮らし。20代から40代まではホテルで接客をしていたが、8年ほど前にうつ病を患い離職した。以降は生活保護を受給し、約10年かけてようやく働いたところだった。

 2019年9月から病院のデイケアで給食を作る派遣業務に従事し、20年3月末で契約満了となり退職した。感染拡大の影響で求人が減り、就職活動は難航している。以前の職場に戻ることも考えたが、感染拡大でデイケアは利用中止となり、仕事量や就業時間は半減した。「少ない時間を働くよりもスキルを身に付けたい」と別の道を考えた。

 現在、単発のバイトや日雇いの働き口を探しているが、仕事は見つからない。「スキルがないから仕事の幅も狭まる。コロナで現場も教える余裕はなく、企業は即戦力を求めている」と寂しそうに話した。

 離職を機に生活保護を申請したが、貯金や特別定額給付金で預金残高が増え、11月まで受給は先延ばしになった。同時期、県外で働く弟が派遣切りに遭った。「弟には読み書きができない障がいがある。再就職先を探すのは弟の方が大変だ」と、女性は母親の分と合わせた特別定額給付金20万円を弟に送金した。

 預金は7月に底を突いた。見かねた母親が那覇市社会福祉協議会から緊急小口資金を借り入れた。「旧盆が終わるまでの一時しのぎ」と女性はため息交じりにつぶやいた。昨年10月の消費増税、今年6月末までのキャッシュレス決済に伴うポイント還元の終了前にそれぞれ缶詰などの保存食を買い込んだ。光熱費数カ月分は手元に残している。「家賃は2カ月ごとで払うつもりだ。自分を少し追い込めば頑張れる。母の年金で食費はつなぐ。でも、家賃や光熱費は3カ月以上滞納はできない。その間に職を探さないと」と女性は前を見つめた。

 ハローワーク那覇には足しげく通っている。「冬までには仕事を見つけたい」。そう話した表情は期待と不安が入り交じっていた。 (比嘉璃子)
琉球新報社

1039チバQ:2020/08/26(水) 14:22:57
https://news.yahoo.co.jp/articles/efe50ff94442fe35d2f87887098abaa929464ac1
年収800万円男性と結婚した"セレブ妻"が築40年木造アパート暮らしに転落した顚末
8/26(水) 9:16配信
1221




電気代節約のために、やつれた表情で毛布に身を包み暖を取る - 撮影=週刊SPA! 取材班
高年収の男性と結婚し、専業主婦となっても一生安泰とは限らない。週刊SPA! 取材班が、暴力を振るう夫から逃げてレジ打ちのアルバイトをしながら一人暮らしをする元”セレブ主婦”に話を聞いた――。

 ※本稿は、吉川ばんび、週刊SPA! 取材班『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

■結婚後22年間不自由なく暮らしてきたが…

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木村 晶さん(仮名・46歳)女性
出身/和歌山県
最終学歴/短期大学
居住地/埼玉県
居住形態/賃貸アパート
年収/120万円
職業/フリーター
雇用形態/アルバイト
婚姻状況/既婚
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 単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困」というデータがある(国立社会保障・人口問題研究所調べ)。貧困女性といえば非正規雇用者やシングルマザーなど複雑な事情を抱えているケースが多かったが、千葉県に住む木村晶さん(仮名・46歳)は安泰と思われている専業主婦からある日、一気に転落した。

 「発端は、都内の中堅家電メーカーに勤めていた夫がリストラされたことです。夫は転職活動もむなしく20社以上落ち続け、そのストレスから私に暴力を振るうようになってしまいました。今は、夫から逃れてひとり暮らしをしています」

 結婚以来、専業主婦として22年間不自由なく暮らしてきた木村さんは、手に職をもたないまま転がり放り出されてしまったのだ。
■「24歳までに結婚を」と必死に合コンを繰り返す

 福岡県福岡市で厳格な両親に育てられたという木村さん。バブル景気を眺めて育った彼女は、「将来結婚したら専業主婦になることは当たり前だと思っていた」という。しかし、都内の短大を卒業する頃には就職氷河期に突入し、国文学科を卒業した木村さんの就活は困難を極めた。

 「6歳上の姉が話していた就活とは様子が違い、困惑しました。文系の短大卒では面接にこぎ着けることすら難しかった。でも、母親から『就活は婚活。職場で結婚相手を選び専業主婦になるべし』と教育されていたので、なりふり構わず教授に取り入り、必死で就活しました」

 希望する一部上場企業への就職は叶わなかったが、なんとか彼女は「丸の内OL」になる。

 彼女が就職した1995年当時には、女性の結婚適齢期を指す「クリスマスケーキ」という言葉があった。24歳までに売れないとダメ、25歳になると売れ残りという意味だ。

 「売れ残りの“ケーキ”になるまいと必死に合コンを繰り返しました。そして23歳の頃、5歳年上の男性と出会いました。のちの夫です。顔も学歴もまあまあいいし、中堅家電メーカーの正社員で福利厚生も充実している。この人なら私を幸せにしてくれると思い、必死でアプローチしました。交際から1年後、夜景を見ながらキスをした後、彼がひざまずいてプロポーズしてくれました。トレンディドラマのようなシチュエーションに興奮したのを覚えています」

■人もうらやむハワイ挙式で勝ち組主婦に

 友人・親戚を大勢招き、ハワイであげた挙式を「人生でいちばん幸せな日でした」と振り返り、微笑む。東京・中央区にマンションを借りると、当時の年収800万円代だったバブル世代の夫とともに、外車、高級腕時計を購入するなど、貯蓄よりも消費を優先した暮らしぶりを満喫。友人から「セレブ主婦」と揶揄されたが、木村さんは気にも留めなかった。ほどなくして第一子を妊娠すると、物欲はさらに加速していく。

 「結婚後は、夫の希望もあり家庭に入ることにしました。同期OLたちの『結婚おめでとう』という寄せ書きを見ては優越感に浸っていました。今思えば、あのとき退職せず、会社員を続けていればよかった……」

 2005年につくばエクスプレスが開業すると、夫は茨城県守谷市にある沿線の街へ引っ越しを決める。リーマン・ショックが起きるすこし前のことだった。

1040チバQ:2020/08/26(水) 14:23:16
■リーマン・ショックで夫に異変が…

 「息子も幼稚園に通う年齢になり、子育てするなら郊外のほうがよいだろうと家を購入しました。ニュータウンの中でも新築が立ち並ぶ新しい一画で、日当たりもよく庭の広い戸建て住宅です」

 しかし、転居の直後、夫の会社をリーマン・ショックの波が襲う。大口の取引先から次々と発注を取り消され、数十億円もの減収になったのだ。

 「総務部で社内改革に取り組んでいた夫は急に部署が異動になり、残業が続くようになりました。その頃から、夫の様子が徐々におかしくなりはじめました」

 夫は深夜11時すぎに帰宅すると缶酎ハイを何本も浴びるように飲みはじめ、言葉の暴力も増えていったという。木村さんの両親はすでに亡くなっており、姉は結婚して九州にいる。ママ友にも相談できず、悩みを誰にも打ち明けられないままだった。

 「翌年に、夫は都内の本社から千葉県の支社へ異動になりました。通勤時間は短くなったはずなのに、毎日『疲れた』と口にするんです。毎晩うなされるし、心配でした」

 そんな最中、息子の誕生日会を自宅で開くことになった。

 「お友達をたくさん招いて、楽しくやろうということになりました。息子はとても楽しみにしているのに、夫は仕事を優先して準備を手伝ってくれません。そこで『準備する気あるの? 』と確認すると、いきなり頰を叩かれました」

■結婚当初に夫と描いた未来予想図はすべて崩れ去った

 以降、夫は手こそあげないが、言葉の暴力は増えていった。帰宅時に風呂が沸いていない、味噌汁がぬるい、話を聞く顔の表情が気に入らない……と、難癖をつけては木村さんに乱暴な言葉を浴びせていく。コーヒーフィルターを買い忘れただけで、腕を強く摑まれて、青あざができたこともあったという。ちょうどこの頃、夫のボーナスは目に見えて減額し、経済状態はよくなかったのだが、夫はこれまでの浪費生活を改めようとはしなかった。

 「そこで家計を助けるためパートに出ることを提案したのですが、『俺の稼ぎが少ないってことか。おまえのやりくりが下手なんだよ! 』と激昂。どこに怒りのスイッチがあるのかわからない状態で、意見なんてできません。毎日、彼の一挙手一投足にビクビクしていて、落ち着く日はありませんでした」

 それでも、長く専業主婦生活を続けていた木村さんには、離婚の選択肢はなかったという。しかし、異動から1年後、ついに夫はリストラされる。その後も求職活動に失敗しては妻に暴言を繰り返す。都内の私立大学を目指していた息子は、「お父さんと一緒に暮らさなくていいならどこでもいい」と、学費が安く寮のある専門学校へ進学を決めてしまった。

 「結婚当初、夫と描いた未来予想図はすべて崩れ去ってしまいました。我が家にあったのは、理不尽な言葉の暴力と息子の失意の姿だけです。あの子は、家を出ていく日『お母さんも早く逃げないと殺されちゃうよ』と忠告してくれました」

1041チバQ:2020/08/26(水) 14:23:37
■リーマン・ショックで夫に異変が…

 「息子も幼稚園に通う年齢になり、子育てするなら郊外のほうがよいだろうと家を購入しました。ニュータウンの中でも新築が立ち並ぶ新しい一画で、日当たりもよく庭の広い戸建て住宅です」

 しかし、転居の直後、夫の会社をリーマン・ショックの波が襲う。大口の取引先から次々と発注を取り消され、数十億円もの減収になったのだ。

 「総務部で社内改革に取り組んでいた夫は急に部署が異動になり、残業が続くようになりました。その頃から、夫の様子が徐々におかしくなりはじめました」

 夫は深夜11時すぎに帰宅すると缶酎ハイを何本も浴びるように飲みはじめ、言葉の暴力も増えていったという。木村さんの両親はすでに亡くなっており、姉は結婚して九州にいる。ママ友にも相談できず、悩みを誰にも打ち明けられないままだった。

 「翌年に、夫は都内の本社から千葉県の支社へ異動になりました。通勤時間は短くなったはずなのに、毎日『疲れた』と口にするんです。毎晩うなされるし、心配でした」

 そんな最中、息子の誕生日会を自宅で開くことになった。

 「お友達をたくさん招いて、楽しくやろうということになりました。息子はとても楽しみにしているのに、夫は仕事を優先して準備を手伝ってくれません。そこで『準備する気あるの? 』と確認すると、いきなり頰を叩かれました」

■結婚当初に夫と描いた未来予想図はすべて崩れ去った

 以降、夫は手こそあげないが、言葉の暴力は増えていった。帰宅時に風呂が沸いていない、味噌汁がぬるい、話を聞く顔の表情が気に入らない……と、難癖をつけては木村さんに乱暴な言葉を浴びせていく。コーヒーフィルターを買い忘れただけで、腕を強く摑まれて、青あざができたこともあったという。ちょうどこの頃、夫のボーナスは目に見えて減額し、経済状態はよくなかったのだが、夫はこれまでの浪費生活を改めようとはしなかった。

 「そこで家計を助けるためパートに出ることを提案したのですが、『俺の稼ぎが少ないってことか。おまえのやりくりが下手なんだよ! 』と激昂。どこに怒りのスイッチがあるのかわからない状態で、意見なんてできません。毎日、彼の一挙手一投足にビクビクしていて、落ち着く日はありませんでした」

 それでも、長く専業主婦生活を続けていた木村さんには、離婚の選択肢はなかったという。しかし、異動から1年後、ついに夫はリストラされる。その後も求職活動に失敗しては妻に暴言を繰り返す。都内の私立大学を目指していた息子は、「お父さんと一緒に暮らさなくていいならどこでもいい」と、学費が安く寮のある専門学校へ進学を決めてしまった。

 「結婚当初、夫と描いた未来予想図はすべて崩れ去ってしまいました。我が家にあったのは、理不尽な言葉の暴力と息子の失意の姿だけです。あの子は、家を出ていく日『お母さんも早く逃げないと殺されちゃうよ』と忠告してくれました」

1042チバQ:2020/08/26(水) 14:25:12
https://news.yahoo.co.jp/articles/be5520b2227cf4ec77ec2e855a77e83a762dd06e
元ラガーマンの43歳が「100円で朝まで粘るマック難民」に転落したワケ
8/13(木) 11:16配信
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取材中「疲れた」とうたた寝を始めたが、すかさず飛んできた店員に起こされていた(撮影=週刊SPA!取材班)
24時間営業のマクドナルドで寝泊まりする人たちを指す「マック難民」という言葉がある。なぜ彼らは貧困に陥ったのか。週刊SPA! 取材班がマクドナルドで暮らす43歳の日雇い労働者に話を聞いた――。

 ※本稿は、吉川ばんび、週刊SPA! 取材班『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

■「平日は合コン、週末はクラブ」だった青春時代

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平田正治さん(仮名・43歳)男性
出身/福島県
最終学歴/大卒
居住地/東京
居住形態/ファストフードで仮眠
年収/110万円
職業/倉庫整理
雇用形態/日雇い派遣
婚姻状況/未婚
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 「マック難民」をご存知だろうか。2006年、ハンバーガーショップ「マクドナルド」が24時間営業を始めた頃に、ネットカフェより安いと“ホームレス未満”の貧困者たちが利用し始めて普及した言葉だ。2019年にはヒット映画『天気の子』でも、主人公がマクドナルドを漂流するシーンが描かれ、“見えない貧困”として現在も続いている問題のひとつである。

 2020年の1月、深夜11時、豊島区の繁華街にあるマクドナルドの片隅で、カラになったロゴ入りカップと、水の入った紙コップをいくつも並べたテーブルに頬杖をつき、平田正治さん(仮名・43歳)が取材に応じてくれた。

 「もともと自分はラガーマン。高校、大学とラグビーに打ち込み、名門校に推薦で入学できました。練習は本当にキツくて大変でしたが、平日は合コン、週末はクラブで遊んで彼女の家で眠る。あの青春時代が、自分の人生のピークだったかもしれませんね」

 強靭な肉体とメンタルが自慢の体育会系……だった。だが、現在は見る影もないほどに痩せ細った体形。聞けば、「この5年で20kgは痩せてしまった」という。
■パワハラ上司に目をつけられ、うつ病に

 「今振り返れば、働いた会社はだいたいがブラック企業でした。25歳で転職した飲食チェーン店では、毎日3〜4時間のサービス残業があり、休日出勤は当たり前。激務に疲れて脱落していく同僚もいましたが、自分は必死で耐え抜いた。でも、35歳のときに転職した、建築資材を扱う『B社』でパワハラ上司に目をつけられてしまったのが運の尽きでした」

 体の大きな平田さんが、体を丸めて頭を下げるほど、上司は上機嫌になったという。毎日のように無理難題を吹っかけられて、転職3年目で心が耐え切れず、平田さんは精神科でうつ病と診断される。

 「産業医の勧めもあり異動願を申請しようとすると、その上司に『俺の査定に響くからこのまま退職しろ』と脅されました。もう一切関わりたくないと思い、言われるがままに依願退職。当時は会社の寮に住んでいたので、住む家まで失ってしまったんです」

■貧困シェアハウスで摩耗する心

 4年前、39歳の平田さんは「すべてを変えたかった」と一念発起して上京。就職活動には新しい住所が必要と、東京都文京区にある古い戸建てを改装したシェアハウスに移り住んだ。8畳一室を薄いベニヤ板で4つに仕切った共同部屋。ひとり用スペースは布団一枚程度で、家賃は月2万5000円プラス光熱費だった。

 「築50年はたっていそうな古い家なので、隙間風がひどかった。僕がいたのは窓際の区画だったので、窓からの冷気で布団が冷え、なかなか眠れませんでした」

 このシェアハウスには年配のフリーターや日雇い労働者が多く、困窮して精神がすり減っているからか、トラブルがよく起きた。平田さんはかつての体育会系の勇ましさは消えて、「すいません」が口癖になっていたと話す。

 「ほかの住人たちがなかなか清掃をしないので、注意をしたら『殺すぞ』と凄まれたこともありました。怖かったですよ。次第にほかのシェアハウスのメンバーに無視されるようになり、風呂の順番を抜かされたり、冷蔵庫の食料を勝手に食われたりするなど嫌がらせが続いたので、半年ほどでシェアハウスを出ることにしました」

1043チバQ:2020/08/26(水) 14:25:32
 まだパワハラによるうつ状態から回復していなかった平田さんにとって、狭い家で見知らぬ人と暮らすという行為はハードルが高すぎた。狭い部屋で暮らしたおかげで、家財道具は片手で持てるほどに減っていた。運悪く、貯金が底をついたこともあり、一時的にネットカフェで暮らした。

 「日雇いをしながらネットカフェを利用しましたが、ここも長くは続きませんでした。そして肌寒い11月の深夜、寝場所を探してたどり着いたのは、明るくて暖かなマクドナルドでした。店内には、楽しそうに談笑する若者グループの脇で、帽子を目深に被って、ひっそりと携帯電話を眺める男が数人いました。前にテレビで観たことがあったんですよね。『行くあてのない者たちが深夜のマックで過ごす』という内容のドキュメンタリーを。あぁ、俺もそうしようと思ったんです」

 うつむいて席に着く彼らの様子に、流転の日々を送っていた平田さんはなぜか故郷に帰るような安堵を感じたという。

1044チバQ:2020/08/26(水) 14:26:10
 まだパワハラによるうつ状態から回復していなかった平田さんにとって、狭い家で見知らぬ人と暮らすという行為はハードルが高すぎた。狭い部屋で暮らしたおかげで、家財道具は片手で持てるほどに減っていた。運悪く、貯金が底をついたこともあり、一時的にネットカフェで暮らした。

 「日雇いをしながらネットカフェを利用しましたが、ここも長くは続きませんでした。そして肌寒い11月の深夜、寝場所を探してたどり着いたのは、明るくて暖かなマクドナルドでした。店内には、楽しそうに談笑する若者グループの脇で、帽子を目深に被って、ひっそりと携帯電話を眺める男が数人いました。前にテレビで観たことがあったんですよね。『行くあてのない者たちが深夜のマックで過ごす』という内容のドキュメンタリーを。あぁ、俺もそうしようと思ったんです」

 うつむいて席に着く彼らの様子に、流転の日々を送っていた平田さんはなぜか故郷に帰るような安堵を感じたという。

■日雇い派遣で働きマクドナルドで寝起き

 「マクドナルドはWi-Fiも使えるし、充電もできる。日中はここに座って、携帯電話で日雇いバイトを検索します。年収は、頑張っても110万円ぐらいでしょうか。時給が高い深夜の日雇い仕事を入れたいんですけど、なかなか巡り合えなくて。仕事のない夜は、24時間営業の店で100円バーガーと水だけで過ごします」

 日雇いバイトの内容は多岐にわたっており、都内であればイベント会場の警備から菓子の袋詰めまでさまざまだ。しかし、うつ病を抱えコミュニケーション能力に自信のない平田さんは、女性や若者の多い職場を避けていて、選択肢が少ない。棚卸しや梱包、警備といった職種を狙って応募を続けている。

 「でも、贅沢は言ってられませんよね。女性が多そうな仕事に行くときは、コインランドリーに併設されるシャワーで、溜まった汚れを落とすように気をつけています。家がないと知られたくないですし、衣服が汚れすぎているとマクドナルドにも居づらいですからね」

 当初は、せっかく上京したのだからと渋谷センター街の店で寝起きしていたが、ここも、うつ思考のため移動を迫られることになる。

 「早朝、机に突っ伏して寝ていると『大丈夫ですか? 』と声をかけてくるボランティアがいるんですよ。僕は初対面で身の上話なんてできないから、気安く確認してほしくない。ああいうの、疲れるから苦手なんです」

 そこで、渋谷に比べて比較的穏やかな下北沢のマクドナルドを“定宿”にした。しかし、平田さんのほかにも店内で寝泊まりする難民客が増えたせいか、半年前、深夜は寝転がる広さのシート席に座れないように変更になったという。

 「マック難民への目は厳しくなっていて、ほかの店舗でも次々と24時間営業を中止しています。横になると店員に起こされるから、寝るときはリュックを枕代わりに座ったまま寝たりします。おかげで、首も肩もボロボロです」

1045チバQ:2020/08/26(水) 14:26:55
■「足を伸ばして眠れることがどれだけありがたいことだったか」

 心身の消耗が激しい平田さんに生活保護など行政に頼る方法を提案すると、冷めた瞳でため息をつき、「何度か申請には行ったんですよ」と打ち明ける。

 「生活保護を申請しても、親類を頼れといって門前払いです。前職の給与は基本給が低かったため、失業保険もすずめの涙。失業してからこの状況に落ちてくるまでの間、どこかでひっかかることのできるセーフティネットがあれば頼りたかった。俺だって就職したい気持ちはある。でも、状況的にできないんですよ。最近は日雇い仕事にもありつけていない。『足を伸ばして眠れる』ことがどれだけありがたいことだったか、身に染みています」

 絶体絶命のサバイバル生活。平田さんは今日も、断崖絶壁の上を歩き続けている。
週刊SPA!取材班

1046チバQ:2020/08/26(水) 14:57:04
https://news.yahoo.co.jp/articles/70ea1ecc27a230318d1bdf2bde5fe922b7327371
非正規労働者がコロナ不況の餌食に。シフトを減らされ給与もカット…
8/24(月) 15:54配信
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(日刊SPA!)
 緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたら一段落……そんな安心感は幻想にすぎない。経済対策の効果が切れ、企業の体力が尽き、大量の失業者が生まれる「雇用崩壊」はむしろこれから本格化する。リーマンショックをはるかに超える「コロナ氷河期」。その最悪のシナリオと生き残る術を探っていく。
すでにコロナ氷河期の真っただ中にいる「非正規労働者」
 秋冬以降にリストラ、倒産、失業の波が押し寄せるコロナ氷河期だが、「非正規労働者の元には、すでに氷河期が訪れている」とは労働相談に取り組むNPO「POSSE」代表の今野晴貴氏。

「連携する『総合サポートユニオン』と合わせて年間1500件ほどの労働相談に対応してきましたが、今年は2〜5月末までにすでに約3000件の相談がコロナ関連だけで寄せられています。主な相談は『休業手当関連』『解雇・雇い止め』『3密下での危険な労働』の3点。相談者で最も多いのは40代の女性で飲食や観光といったサービス業が中心ですが、必ずしもそれだけというわけではなく、幅広い業種・年代に影響が出ています」

 同じく生活困窮者を支援するNPO「生活サポートセンター・もやい」にも相談が殺到していると同NPO理事長の大西連氏。

「4〜5月にかけて直接の相談が400人、電話・メールを合わせれば約1000人が生活困窮を訴えてきました。相談日や窓口を倍近くに増やして対応しましたが、こちらも人員的にはギリギリです。相談者はリーマンショックのときは製造業が中心でしたが、今回は業種も年代もさまざまですね」

 5月25日に緊急事態宣言が全面解除されて以降は、一段落したのだろうか?

「休業申請については、一時に比べれば落ち着きましたが、コロナ以前のようには働けない。今度はシフトを減らされたり、給与をカットされたという相談が増えています。もともと非正規労働者には経済的な余裕がありませんから、死活問題です」

 想定外の事態に国の支援も瀬戸際だと大西氏。

「厚労省の貸付事業に携わる全国社会福祉協議会の発表によれば、生計維持の特例貸付が始まった3月25日〜5月30日までの時点で約38万件の申請がありました。東日本大震災が起こった’11年の一年間の申請件数が約7万件。今回は2か月で5倍以上の申請があったことになります」

1047チバQ:2020/08/26(水) 14:57:22
最悪、借金を抱えながら生活保護
 この貸し付け、無利子ではあるが返済の義務がある。

「ですから、もし第2波が来た場合は最悪、借金を抱えながら生活保護を受けることになる。企業も限界で、社会福祉の現場も限界。今後、リストラや倒産などで非正規労働者だけでなく正社員にも生活困窮の波が押し寄せれば、社会福祉が崩壊するのではないかという危機感があります」

 福祉の現場はすでに手いっぱい。正社員が凍りつく頃には、受け皿が粉々になっている可能性もある。

【POSSE代表 今野晴貴氏】
ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書『ブラック企業』で大佛次郎論壇賞を受賞。新著に『ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器』(集英社新書)

【自立生活サポートセンター・もやい 大西連氏】
同NPO理事長。’10年よりもやいの活動に参加し、’14年より現職。新宿ごはんプラス共同代表。著書に『絶望しないための貧困学』(ポプラ社)など

取材・文/藤村はるな、谷口伸仁、藤野綾子

―[コロナ氷河期の衝撃]―
日刊SPA!

1048チバQ:2020/08/26(水) 14:58:16
https://news.yahoo.co.jp/articles/802098e8b862b67dcb4457777c33ed9acdf10fba
コロナ氷河期、30〜40代サラリーマンが生き残るためのキーワードとは?
7/28(火) 15:51配信
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(日刊SPA!)
 緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたら一段落……そんな安心感は幻想にすぎない。経済対策の効果が切れ、企業の体力が尽き、大量の失業者が生まれる「雇用崩壊」はむしろこれから本格化する。リーマンショックをはるかに超える「コロナ氷河期」。その最悪のシナリオと生き残る術を探っていく。
現役世代が生き残るには、「付加価値」がキーワード
 取材した識者が口を揃えたのが、「コロナ氷河期では10年かけて起こる予定だった変化が1年で起こる」ということ。人材育成コンサルタント・片桐あい氏は「この変化についていけない人と対応できる人で二極化していく」と予測する。

「まず身につけておくべきは、自分の成果をいかに可視化するかという“成果アピール力”。成果で評価するジョブ型雇用が浸透するということは、逆に成果が出なければ簡単にクビを切られるということ。日本では組織の調和を優先して個人の成果をアピールすることが好ましくないとする傾向もありますが、上司の顔を立てれば出世できる世界ではなくなります」

 片桐氏の周囲では、「労働時間の“量”でアピールしていた人が、テレワークでどうアピールすればいいのか悩んでいた」というが、それこそ本末転倒だと指摘。

「仕事の目標やゴールが変わったわけではないのに、上司に働いている姿を見せていないと認めてもらえないという働き方がそもそもの間違い。成果を出すということは、言われた以上に付加価値を加えて返せるということ。組織のために自分の強みを惜しげもなく投資し、成果を出して貢献する。そうした仕事の成果を誇れないというのであれば、それは会社にただぶら下がっているだけの人です」

 この点で、「仕事はカネのため」と割り切りすぎるのは危険だとも。組織人事コンサルタント・曽和利光氏は語る。

「ワークライフバランスは大切ですが、だからといって『与えられた仕事だけこなす』『給料分だけ働く』というのは極端。そもそもその『給料分』が、成果という質ではなく、労働時間という量に依存した話になりがちです。

 これからは会社員といえども、フリーランスに近いマインドが必要になる。どんな仕事に取り組み、どんな過程を踏んでいるかをアピールしつつ、最終的に成果物で周囲を納得させる。こうした仕事への向き合い方ができる人は、テレワークにもすんなり対応しています」

 テレワークで問われるのは「仕事のやり方」ではなく、実は「仕事への向き合い方」なのだ。

「逆に、そのマインドになっていないローパフォーマーに限って出社したがる。最悪のシナリオは、そうした人が集まってオフィスという密室で意思決定や合意形成が進んでしまい、その会社自体がコロナ氷河期で淘汰されてしまうことです」(曽和氏)

1049チバQ:2020/08/26(水) 14:58:36
現役世代の管理職に求められる人材は?
 だからこそ、現役世代の管理職に求められるのは、「理性的かつフェアで、情報共有の場づくりができる人材」だと片桐氏。

「出社、テレワークにかかわらず、社員が情報発信をしやすい場をつくれる人。そして、各人の成果を公平に評価し、それを上役に正当に報告できる人。こうした上司がいれば、そのチーム全体のモチベーションが高まり、信頼関係によって生産性が向上します」

 仏頂面で周囲を威圧し、手柄だけ横取りするような化石上司は、コロナ氷河期によって絶滅する。

▼コロナ氷河期で生き残る人
・ジョブ型移行にも柔軟に対応。仕事の成果をアピールできる
・自分の強みを仕事に投資し、付加価値を創出して貢献できる
・情報発信しやすい場をつくり、理性的でフェアな評価ができる

▼コロナ氷河期サバイバルの心得
・仕事のゴールとプロセスを開示し、周囲にアピールしつつ成果を出す
・仕事の「やり方」より「向き合い方」。単純労働から脱却すべし
・テレワーク組を放置して、出社組の村社会と化せば、会社ごと潰れる

【人材育成コンサルタント・片桐あい氏】
カスタマーズ・ファースト代表取締役、産業カウンセラー。外資系企業を経て独立。著書に『これからのテレワーク 新しい時代の働き方』(自由国民社)

【組織人事コンサルタント・曽和利光氏】
人材研究所代表取締役社長。リクルートの人事採用部門を経てさまざまな業種の人事・採用部門の責任者を担当。著書に『コミュ障のための面接戦略』(星海社)など

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/サダ>

―[コロナ氷河期の衝撃]―
日刊SPA!

1050とはずがたり:2020/08/31(月) 22:09:30
「好きな酒のためなら」 西成で障害者ら造るビール人気
2020/08/27 15:00
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/bizskills/ASN8W365SN70PTIL008.html

1051チバQ:2020/09/11(金) 11:21:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/8529e48fd932cccbef6c43fb84988be4e5394aaf
「食費切り詰めるしか…」40年続けた仕事失った80歳 コロナで貧困直面の高齢者
9/11(金) 10:16配信




8月のお盆前に福岡県高齢者能力活用センターで求職の相談をした元試食販売員の女性(手前)。仕事はまだ見つからない
 新型コロナウイルスの流行が高齢者の就労に深刻な影を落としている。全国の65歳以上の完全失業者数は7月まで6カ月連続で15万人超を記録。コロナ禍以前の13万人前後から急増した。高齢者は非正規雇用の割合が高いため解雇されやすい上、細った求人枠も下の世代に流れがち。感染への不安から求職活動をためらうケースも少なくないとされ、老後資金に乏しい人が収入源を断たれて貧困に陥る懸念が強まっている。

【動画】「涙が出た」コロナ終息願う動画、ネットで話題に

 「食費を切り詰めるしか…」。40年以上、なりわいとしたスーパーの試食販売員の職を失った女性(80)=福岡市南区=は漏らす。

 新型コロナの感染拡大で試食提供が難しくなり、3月に派遣元から休業を言い渡され、退職。すぐ職探しをしたかったが、高齢で感染すれば重症化しやすいと聞き、家にこもった。ようやく8月から求職を始めたが、年齢が壁となり新しい働き口は見つからない。

 夫を早くに亡くし、一人で娘と息子を育て上げた。貯蓄は家族の借金返済などに充ててきた。それでも、月7万円の年金と月10万〜15万円の給与で生活は困らなかった。だが、職を失ってからは一変。預金は底を突き、先月の家賃は滞納している。「接客は得意だし、体も元気。仕事がしたくてたまらない」

    ◇   ◇

 「人生100年時代」を掲げる安倍政権下、高齢者の雇用情勢も改善が続いた。総務省によると、2019年の65歳以上の就業者は892万人。12年から毎年37万〜55万人増え、1・5倍に増加した。だが、今年は7月時点で897万人にとどまっており、伸びの鈍化は明らかだ。新型コロナの収束が見えない中、2〜7月の完全失業者数も15万〜17万人と、過去10年と比べても高水準で推移する。

 高齢就労者の8割は、雇用の「調整弁」になりがちな非正規。企業の業績悪化に伴い、切られやすい立場にある。「その上、若い人たちが職にあぶれたことで高齢者がより働きづらくなっている」。主に60歳以上の就職を支援する公益社団法人「福岡県高齢者能力活用センター」(福岡市)はこう指摘する。

 コロナ禍以前、雇用の受け皿となってきた小売業にも陰りが見える。福岡県内のあるスーパーでは、毎月20人あった新規求人が4月以降、半数以下に。同センターの担当者は、スーパー側から「若い方がいい」と採用枠の大半を若い世代に切り替えたことを告げられた。7月の高齢者向けの就職講座には、想定の1・6倍の約80人が参加した。

 シルバー人材センターは家事や介護補助などの仕事を提供しているが、同県内各センターの4〜7月の入会者は1003人で前年同期に比べ475人減少。一方で、退会者は1769人で84人増えた。

 公益社団法人「福岡県シルバー人材センター連合会」は「感染を恐れたり、家族に仕事を控えるよう諭されたりして諦める人は多い。培った知恵や経験が生かされないのは残念だ」としている。 (大坪拓也)
「地域や自治体の目配り必要」
 戎野淑子立正大教授(労使関係論)の話 就業を諦め、年金で生活をつなぐ高齢者は貧困に陥っても顕在化しづらく、地域や自治体の目配りが必要だ。リモートワークなど新たな働き方に高齢者が対応し、能力を発揮できるよう就労支援の充実も求められる。
高齢者の就労状況
 2018年の就業者総数のうち高齢者は12.9%を占め、産業別では卸売業、小売業が127万人で最多。高年齢者雇用安定法は企業に65歳までの雇用継続制度の導入を義務付けており、法改正で21年4月からは70歳まで就業機会を確保することが努力義務化される。

1052チバQ:2020/09/14(月) 13:10:44
https://news.yahoo.co.jp/articles/7ae51faaaa238875f02fafe8ab8b7f53ae29dfe2

年金減額、消費増税、非正規雇用増… 生活弱者、一層苦しく 安倍政権7年8カ月




9/14(月) 6:05配信



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北海道新聞







札幌市東区の女性が付けている家計簿。「記入していると涙が出る時がある」
 公的年金の減額や消費税増税、非正規雇用の急増―。2012年12月に誕生し、歴代最長となった第2次安倍政権の政策は、道民の暮らしにどう影響したのか。高齢になっても働かざるを得ない年金受給者や、正社員になれず低賃金にあえぐ労働者ら、厳しい生活環境に置かれている人々の「7年8カ月」をみた。



首相の「成果」実感せず
 「暮らしは守られるどころか苦しくなった」。札幌市東区の女性(74)はそう漏らす。

 NPO法人で長年働く。政権発足時に年金受給者となったのを機に、年金を生活費に充て、給与を貯金しようと考えた。トラック運転手として働きづめだった夫(77)と少しでも余裕のある老後を過ごすためだ。

 だが現実は違った。年金から天引きされる介護保険料は2割増えた。医療保険料も適用されていた低所得世帯向け軽減措置が無くなり、消費税率は10%に。一方、年金は15年度以降に少子高齢化などを理由に計3回、支給額が抑制された。

 4年前に夫が脳梗塞で倒れた。月約10万円の年金は、夫の介護施設利用料も引かれて半分以上が消える。女性は法人からの給与と手元に残る年金の計12万〜13万円から、夫の治療費や生活費を捻出する。

 安倍晋三首相は昨年の所信表明演説で「1億総活躍社会」を掲げ「意欲ある高齢者の皆さんに70歳までの就業機会を確保します」と強調した。だが、女性は「意欲ではなく、生きていけないから仕事を辞められない。口先で良い印象を浸透させ、現実を覆い隠そうとしている」と憤る。

 首相は辞任表明時、「400万人超の雇用を生み出した」と成果を誇った。18年の働き方改革関連法の成立時には「非正規という言葉を一掃する」と宣言。だが生み出された雇用の大半は、12〜19年に約350万人も増加した非正規だ。

 「卒業して以来、私の給料ってずっと同じなんです」。札幌市の契約社員の40代女性はつぶやく。

 「就職氷河期」の02年に専門学校を卒業後、市内の手芸店でアルバイトを続けた。5年後に正社員になったが「固定給になっただけで、ボーナスも無かった」。2年前、パソコン関連企業で契約社員になった。週5日働き、月給は約14万円。時給換算で最低賃金程度の暮らしが20年間、続く。

 政府は昨年、就職氷河期世代の非正規労働者を支援し、正規労働者を30万人増やすと表明。女性も正規雇用の希望を会社に伝えたが、取り合ってもらえなかった。「企業は私たちのような駒をそろえておきたいだけ。国の政策も『はりぼて』ばかり」と諦め顔だ。

1053チバQ:2020/09/23(水) 11:24:19
https://news.yahoo.co.jp/articles/66c070ab4019828ac93084167841e4f7f9b2adb8
「貯金崩しているが…」大企業の非正規、国の支援置き去り
9/23(水) 9:44配信



制度の改正を求める声も

全国展開の飲食店に勤務する九州出身の男性は「この先どうなるのか。不安と焦燥感でいっぱい」と話した=8日午後、東京都内
 全国展開の大手飲食店などで働く非正規労働者が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業手当を受け取れない事態が置き去りになっている。企業側が負担感から支払いをためらうケースや、シフト制で勤務日が定まっていないことを理由に休業扱いにされないケースもあるという。労働者に直接支援金を給付する制度が7月に創設されたが、「大企業」は対象外。制度の改正を求める声も上がる。

【動画】「涙が出た」コロナ終息願う動画、ネットで話題に

 「どうやって生活していったらいいのか…」

 福岡や佐賀などにも展開する大手飲食店の東京都内の店舗で、アルバイトとして働く20代男性は話した。店は緊急事態宣言中の4〜5月は休業。6月に営業再開したものの、感染再拡大もあってシフトは半分以下に減らされた。もうすぐ振り込まれる8月の給料は、コロナ禍前の約20万円から激減し、2万円ほどになる見込みという。

 休業手当はシフトが決まっていた4月分に限り、6万円を受け取った。それ以降は「休業や時短営業は会社のせいではない」として拒まれている。支払いを求め続けるとシフトに入れてもらえなくなった。「貯金を崩して生活しているが、2〜3カ月で尽きる。不安でいっぱい」と漏らした。
 国は企業に休業手当の支払いを促すため、雇用調整助成金の対象に非正規労働者も加え、大企業への助成率を2分の1から最大4分の3まで拡充した。ただ、飲食業界は内部留保が少ないとされる。新型コロナの影響が長期化する中でコスト増を避けるため、支払いをためらうケースが少なくないという。

 労働政策研究・研修機構の調査では、勤務先から休業を指示された603人の24%に当たる145人が「休業手当が全く支払われていない」と回答。そのうち約70%を非正規労働者が占めた。業種別では飲食店、宿泊業が多かった。
 厚生労働省によると、労働基準法は企業の都合で休業した場合に手当の支払いを義務付けているが、緊急事態宣言や自治体の要請に基づく休業はこれに当たらない可能性もある。シフト制の非正規労働者は勤務日が確定していないため、企業に支払い義務があるとは言えず、労働基準監督署による指導も難しいという。

 7月、休業手当を受け取れない労働者に賃金の8割を直接給付する「休業支援金」制度が始まったが、対象は中小企業に限られる。労働組合「首都圏青年ユニオン」(東京)の担当者は「大企業20〜30社の従業員から相談を受けている。全国展開の飲食店は1社につき千人単位で非正規を抱えており、支援から漏れている人は数万人に上る可能性がある。正社員にだけ休業手当を払うなど非正規差別もある。国は休業支援金の対象を見直すべきだ」と話す。 (久知邦)

1054チバQ:2020/09/23(水) 11:25:06
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/643390/
「2日に1食が当たり前」働く女性の悲痛な声 コロナで解雇や雇い止め
2020/9/10 6:00 (2020/9/11 11:46 更新)
西日本新聞 一面 久 知邦
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働く人の5割が非正規、男性の2.5倍
 新型コロナウイルスの感染拡大が、働く女性に深刻な影響を与えている。女性は雇用者に占める非正規の割合が5割超と男性の約2・5倍高く、飲食店の休業などで解雇や雇い止めとなるケースが目立つ。女性の非正規労働は、アベノミクスの「雇用創出」を支えてきたが、コロナ禍で「雇用の調整弁」とされている実態が鮮明になった。専門家は「男女間の構造的な格差が改めてあぶり出された」と指摘する。
 「仕事が減り、この先どう生きていけばいいのか。子どもたちには2食で我慢してもらい、私は2日に1食が当たり前です」
 シングルマザーを支援するNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ(東京)には、母親からの悲痛な相談が相次いで寄せられている。同法人などが7月に実施した調査では、母子世帯1388人のうち61・5%が非正規で、半数が収入が減少したと回答。平均月収はコロナ禍前から1万2千円減り、10万9千円だったという。
 厚生労働省の集計では、感染拡大に関連する解雇や雇い止めは見込みも含め5万2500人を超えている。同NPOの調査に協力した立教大の湯沢直美教授(社会福祉学)は「生活難で子どもの学費のための貯金がなくなったという声もある。進学断念などで格差が拡大し、固定化する恐れがある」と懸念する。

 苦しいのは母子世帯に限らない。総務省によると、政府が緊急事態宣言を出した4月、国内の雇用者数は7年4カ月ぶりに減少に転じた。男性が前年比3万人減だったのに対し、女性は10倍以上多い34万人減。感染拡大の影響が女性に顕著に表れたのは、国内の非正規雇用者(約2千万人)の7割近くを女性が占めるためだと考えられる。
 個人で加入できる労働組合、総合サポートユニオン(東京)に2月末から寄せられている相談も約3千件の6割が女性だ。休業を余儀なくされた飲食、サービス業などの従事者が多い上に、学校が休校になった子どもの世話のために仕事を休まざるを得ない事情もあったという。
安倍政権「看板政策」かすむ
 統計上は2012年から19年にかけ499万人の新たな雇用が生まれており、安倍晋三首相はアベノミクスの実績としてアピールする。ただ、このうち226万人は非正規の女性。看板政策に掲げた「女性活躍の推進」はコロナ禍を前にかすんでいる。
 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「コロナの影響は長期化しており、女性の従業員比率が高い飲食サービス業などの需要は戻っていない。雇用維持策だけでなく、デジタル関連産業などにも対応できるような職業支援をすることが次の政権には求められる」と話す。
(久知邦)

1055チバQ:2020/09/25(金) 10:41:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/f34f1b7bcdb14d95dac43a95bdb37f7f37b7268a
「私たちは駒」成績トップでも…あっけなく解雇 非正規の苦しみ
9/25(金) 9:55配信




新型コロナウイルスの影響で雇い止めとなり「私たちは駒」と嘆く女性
 新型コロナウイルスの影響による雇用環境悪化の波が九州に押し寄せている。解雇や雇い止めが増えているのは、弱い立場の派遣労働者や契約社員など非正規の人たちだ。営業成績トップでも、残業をいとわず働いても、あっけなく職を失った。コロナ禍での企業の苦境を理解しつつも、突然職場を追われた悔しさと喪失感に苦しむ。「私たちは、人間ではなく駒みたい」

【画像】九州7県 解雇件数の推移の比較

 福岡市城南区の女性(41)は今年1月から商店街の個人商店などに電子決済の導入を促す営業の仕事を始めた。登録した派遣会社は「長く働ける職場」とアピールした。

 自転車で市内の商店街を巡り、飛び込み営業をした。「忙しい」と断られても粘り強く通った。熱心さが評価され、営業成績(導入店舗獲得数)は全国でもトップクラス。「人と話すのが好きだし、給料も良かった」
 政府が緊急事態宣言を出した4月、派遣先から在宅勤務を命じられた。ノルマは「家で1時間に20件以上の店舗に電話」。慣れない業務のため頭痛に悩まされるようになり、5月は3日間の病休を取った。月末、派遣先から「コロナで直接営業は厳しい。営業人員を半分にする」と告げられた。

 成果を出していたはずなのに、6月末に派遣は終了。「3日間の病休」が原因としても納得できない。「いくら頑張っても会社の都合でいつでも切られる存在」と痛感した。年末までは貯金と失業保険でしのげるが、その先は見通せない。思い切って起業するかどうか悩んでいる。
 韓国人の女性(27)=福岡市=は「日本で正社員になるのが夢だったのに」と肩を落とす。中学生の頃から日本に憧れ、昨年7月に市内の免税店で働き始めた。契約社員だったが、日本人の上司から「2年頑張れば正社員」と言われ、急な残業も積極的に引き受けてきた。

 2月ごろから日に日に客が減った。「3日後から来なくていい」。3月、上司にこう言われた。「頭が真っ白。大好きな職場だったのに一方的に解雇されてショックだった」
九州7県 解雇件数の推移の比較
 失業保険で食いつなぎ職探しに奔走するが、入管難民法の規定で働き口は限られる。訪日客が消えた今、あえて韓国人を求める会社はほとんどない。

 「日本にいたい。でも、どうやって日本で生きていけばいいのか分からないです」

(井崎圭)

1056チバQ:2020/10/08(木) 13:57:47
https://dot.asahi.com/dot/2020093000043.html
コロナバッシングされた41歳女性パチンコ店員が「パパ活」をした意外な理由


吉田みく2020.10.4 17:00dot.

 コロナ禍ではパチンコ店に激しいバッシングが浴びせられ、報道でも大きく取り上げられた。その時、従業員はどんな気持ちだったのだろうか。

「お子さんのいる家庭では、『お父さんは悪いことをしているの?』と聞かれたこともあったようです。同僚は『悔しい』と話していました」

 都内在住で、アミューズメント会社に勤務する伊藤文子さん(仮名・41歳)は当時をこう振り返る。伊藤さんの会社は主要都市を中心にパチンコ店を展開しており、4月の緊急事態宣言発令に伴い、全店舗が休業となった。休業補償や有給休暇などを充てることで給料は通常通り出たそうだが、今までに経験したことのない1カ月近い休業期間は、不安で押しつぶされそうだったという。

「このままコロナで失業するのかと、心の底から思いました。実際は、クラスターは発生していません。そもそも、パチンコ店は普段から換気は十分に行われており、3密の環境ではないんです。でも、メディアの刷り込みなどもあり、業界全体が悪者になってしまった。本当に悲しかったです」

 今でも、新型コロナウイルスは収束の気配をみせていない。アミューズメント業界も、今後は業績が大きく下がる可能性も少なくない。見えない敵との戦いに、誰もがおびえている状況だが、伊藤さん自身も考えに変化が出始めたという。

「来店型ビジネスの今後の在り方などを考えるようになりました。それに伴って、自分自身もスキルアップをして知識を増やしていきたいと思ったんです。学びは裏切りませんからね」

 そこで講習会やセミナーなどへの参加を考えているのかと思いきや、さにあらず。伊藤さんが目をつけたのは「パパ活」だった。以前から友人にパパ活の魅力を聞いていた伊藤さんは、このコロナ禍をきっかけに、思い切ってパパ活を始めてみることにしたという。

「経営者の視点を知ることは、私が来店型のビジネスを考えていく上でも重要なはず。パパ活は成功している男性が多く登録していると聞いていたので、私が求めているものとマッチしていると思ったんです」

 早速、伊藤さんはパパ活アプリに登録し、パパ候補の男性へ「いいね!」を押していった。スペック重視で選んでいたので、パパへのアプローチは10人くらいに抑えたという。

 ただ、実際にアプリを使ってみると想像と違うこともあった。ネットなどの情報から、パパ=落ち着いた年齢の紳士的な男性というイメージを持っていた伊藤さんは、想像以上に若い年齢のパパが多いことに驚いたという。

「パパ活のはずなのに恋人募集とか見ると、がっかりしました。私の目的はお手当ではなく、経験談から得られる学び。パパとの会話がかみ合わなくて……。体の関係や愛人探しばかりで疲れちゃいました」

 そんな状況ではあったが、わずかな期待を求めて、伊藤さんは尊敬できるパパ探しを続けた。

「私自身、コロナで先が見えない毎日が不安でした。だからこそ、普段以上に学習意欲が高かったんだと思います」

 しかし、マッチングはするものの、伊藤さんが求めるようなビジネス経験が豊富なパパとはなかなか出会えなかった伊藤さん。中には年収や社会的地位も高くない“普通のおじさん”も多かった。

 かなり難航したパパ活ではあったが、ついに、伊藤さんは1人のパパと食事に行く約束をとりつけた。男性は50代の会社経営者。オシャレなイタリアンレストランを予約してくれたが、正直、伊藤さんの収入でも十分に行けるクラスだったという。伊藤さんとしては、将来のビジネスにつながる体験談を聞けると思っていたのだが……。

「話題のメインは男性のパパ活事情について。『お気に入りの女の子には高額なプレゼントをした』とか『言い寄られて困る』などの自慢ばかりでした。自慢話ほどつまらないものはないですよね。正直期待外れで、私の求めていたものではありませんでした」

 ほんの少しビジネス絡みで聞けた話は、どこかで既に聞いたことがあるような内容ばかり。普段から学習意欲のあった伊藤さんからするとつまらないものだったそうだ。

「『メモは重要』、『多くの人に会って刺激を受けなさい』とか……。薄っぺらいアドバイスにがっかりでした」

1057チバQ:2020/10/08(木) 13:58:29
 男性は1万円程度の食事代を支払ってくれたものの、いわゆる“お手当”というものはくれなかったとのこと。

「もともともらうつもりはなかったので良いんですけどね」

 その後、このパパとは自然消滅。2度目はなかった。

「パパ活に夢を見すぎていたのかもしれません。今はパパ活はお休みして、自宅でビジネス書を読み込むなどしてスキルアップを目指しています」

 このまま会社に居続けることが正解なのか、それとも起業して独立するのが良いのか悩んでいるという伊藤さん。これからもさまざまなことにチャレンジして、自分の視野を広げていきたいそうだ。

 かつては疑似恋愛をして女性が男性からお小遣いをもらうシステムだった「パパ活」が、伊藤さんのように“ビジネス目的”でも利用する人が出てきたのは驚きだった。それほど、コロナは働く人々にとって大きな影響を与えているのだ。

 自分の将来を守るためにはパパ活でも何でも使う――そういう時代になってきたのかしれない。(取材・文=吉田みく)

1058チバQ:2020/10/16(金) 17:58:41
https://news.yahoo.co.jp/articles/07d22803784f8cfa0452d0c58961eb06f02587c8
「10社以上でクビ」発達障害46歳男性の主張〜上司から「高卒より使えない」と叱責され続けた
10/16(金) 5:21配信
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最近、またしても雇い止めに遭ったアキオさん。自らの仕事ぶりについて「障害者雇用でしたが、やはり作業が遅いと言われました」と話す(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「『早稲田政経卒「発達障害」26歳男が訴える不条理』を読んで自分とそっくりだと思いました。作業が迅速にこなせずクビを告げられるか自分から辞める事を繰り返しています。」と編集部にメールをくれた、46歳の男性だ。

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■「よくそんな暇あるね」と皮肉を言われた

 発達障害のアキオさん(仮名、46歳)は今年6月、働いていた会社を雇い止めにされた。実質的なクビだった。「作業を迅速にこなすことができないんです。気がつくと集中力が途切れて手が止まっていることがあります」。これまで、このようにして辞めさせられた会社は、アルバイトを含めると10社を超える。

 過去に強迫神経症と診断されたこともあり、さまざまな強迫行為を繰り返すことも作業の遅れに拍車をかけた。社内の郵便物を集配する仕事に就いていたときは、回収漏れはないと納得できるまで、空のトレーの前で2分以上確認を続けてしまう。トイレに行ったり、ウェットティッシュで手を拭いたりする回数が多すぎると注意を受けたこともある。実際にティッシュは1日約150枚は使っていたという。
 空気が読めない、明確な指示がないと動けないといった発達障害の特性による“失敗”もあった。仕事が遅れているのに、昼休みにソファーで新聞を読んでいて「よくそんな暇あるね」と皮肉を言われたことや、講演会の準備一式を任されたのに、肝心の講師への案内状を送り忘れたこともある。

 「せっかく大卒を採用したのに高卒より使えない」

 「伝票1枚入力するのに30分もかけないでよ!」

 「今日が初日の新人より(作業が)遅いって、どういうこと?」

 「別の仕事を探してくれないかな……」

 いずれも、アキオさんがこれまで上司や同僚から直接言われたり、偶然耳にしてしまったりした言葉だ。アキオさんが持参してくれた履歴書には「一身上の都合により退職」という言葉が並ぶが、実際のきっかけはこうした退職勧奨や陰口、叱責だったという。自分でも仕事が遅いという自覚はあったものの、自己肯定感は奪われる一方だった。

 アキオさんは千葉県出身。学校の成績は「中の上くらい」で、本や新聞を読むことが好きだった。一方で運動は苦手。引っ込み思案で友達は少なく、要領もよくはなかったという。子どもたちが数人の班に分かれて行う家庭科の調理実習では、何をやっていいのかわからず、てきぱきと役割をこなすクラスメートたちの横で、結局キュウリを洗うことしかできなかったことを覚えている。
 関東圏の私立大学を卒業後、最初に勤めた会社は1年もたなかった。短期間に転職を繰り返すアキオさんを心配した両親から「今回は土下座してでも、続けさせてほしいと会社に頼みなさい」と言われたこともある。

 ある会社を辞めたときは、両親に合わせる顔がないと思い、ネットカフェで夜を明かした。ところが、普段無断外泊などしないのでかえって心配をかけてしまった。翌朝、自宅に電話をすると、同じく一睡もしていなかった母親から「帰っておいで」と泣かれたという。
 学校を卒業するまでは大きな問題はなかったのに、社会人になった途端、歯車が狂い始める――。言い知れない不安はアキオさんだけでなく、家族をもさいなんでいた。

1059チバQ:2020/10/16(金) 17:59:13
■30代になり非正規雇用になることが増えた

 20代半ばで精神科を受診したところ、強迫神経症と診断された。しかし、処方薬の副作用が強く、困った揚げ句別の病院で受診。ところが、そこの医師からは「本当の強迫神経症は、部屋にひきこもって出られなくなってしまうもの。あなたはそこまでではない」という趣旨のことを言われ、診断そのものを否定されてしまったという。当時はまだ医療関係者の間でも「大人の発達障害」への理解は不十分だった。

 30代に入ってからは、転職先の雇用形態は非正規雇用になることが増えた。毎月の手取りは15万円ほど。実家暮らしだからなんとか生活できる賃金水準に落ち込んだ。

 ちょうどこのころ、発達障害のことを取り上げた新聞を読んだ両親から勧められ、再び精神科を受診。その後、数年間にわたっていくつかのクリニックに断続的に通い続けたところ、ある病院でようやく本格的な検査を受け、自閉スペクトラム症(ASD)の診断を得ることができた。
 「それまで、こんなに困っているのにどうしてとずっと悩んできました。(診断により)原因がわかってホッとしました」

 クビと仕事探しを繰り返す生活に疲れはてていたアキオさんは、障害者雇用枠で働くためにできるだけ早く障害者手帳を取得したいと考えていた。本来、手帳の交付には初診日から6カ月以上経過していなければならない。診断を出してくれた医師に相談したところアキオさんの通院歴を基に、可能な範囲で初診日をさかのぼってくれたという。
 早速、ある有名企業に障害者雇用枠で転職。ただ、その後も順調というわけにはいかなかった。実は今年6月に雇い止めにされたのは、この企業のことだ。1年更新の契約社員で勤続7年あまり。アキオさんのキャリアの中では最も長く働いた会社だった。

 アキオさんはここでも作業時間の短縮などについてノルマを課されたが、結局改善ができず、雇い止めを示唆された。これに対し、普段から新聞を読んでいたアキオさんは労働契約法に基づく「無期転換ルール」の知識があったので、ダメもとで会社に無期転換の申し込みをしてみたという。無期転換ルールとは、有期雇用契約を更新して通算5年を超えると、無期契約への転換を求めることができるというものだ。
 結局、抵抗むなしく雇い止めの決定は覆らなかった。しかし、本来無期契約申込権は5年を超えた時点で自動的に発生する権利であり、申し込みを受けた会社側は拒否することはできないとされている。会社がアキオさんをクビにするなら、いったん無期契約社員にしたうえで解雇をするのが、法律の趣旨に沿った対応のはずだ。

■「国民年金」と「厚生年金」の大きな壁

 アキオさんの月収は約15万円と決して高くはなかった。一方で障害者を雇用する企業にはさまざまな助成金制度など直接的なメリットも多い。会社は障害者を使い捨てたと言われても仕方がない。上司たちには後ろめたいことをしているという自覚があったのかもしれない。アキオさんは退職にあたり「一連の経緯を第三者に明かさない」といった旨の守秘義務を盛り込んだ合意書に署名するよう、求められたという。

 アキオさんは現在、失業保険を受けながら仕事を探している。年齢的に就職活動が厳しくなるにつれ、不安になることがあるという。発達障害に関する初診日の時点で加入していたのが国民年金だったことから、障害年金の受給が難しいのではないか、ということだ。

 障害年金は、初診日に加入していた年金が国民年金か厚生年金かで、対象範囲や受給金額に違いがある。障害年金の等級は障害の重さに応じて1―3級まであるが、3級があるのは厚生年金だけ。金額も1級の場合、国民年金は月額約8万1000円なのに対し、厚生年金は加入期間によっても異なるが、月額で15万円を超えることもある。
 アキオさんの場合、診断日は厚生年金だったが、初診日は失業中で国民年金に加入していた。初診日をさかのぼってもらったことが、あだとなったわけだ。障害者手帳と障害年金の等級の判定方法は別だし、手帳がなくても障害年金の申請をすることはできる。ただアキオさんの障害者手帳は3級。年金受給には、国民年金の「障害基礎年金2級」の判定を得る必要があるが、医師からはそれに相当する診断書を書くことは難しいとの説明を受けている。
 「障害者雇用の給料は高くはありません。わずかでも障害年金で補えると、少しは安心できるのですが……。(身体障害などと違って)発達障害の症状は基本的に変わらないと思うんです。初診日に加入していた年金の種類によって、ここまで手厚さに違いがあるのは、納得ができません」

1060チバQ:2020/10/16(金) 17:59:33
■「せめて同じ場所で息をすることを許してほしい」

 アキオさんにはファミリーレストランで話を聞いた。質問に対する答えはとても的確で流暢だった。一方でアキオさんは注文したドリアにいつまでも手を付けなかった。私が何度「冷める前に食べてください」と勧めても、スプーンを手に取ろうとしないのだ。話すことと、食べることの2つを同時にこなすことが難しい様子だった。
 また、取材後、アキオさんからは「取材時説明内容の補足」と題した長いメールが何通か届いた。上司らの発言のささいなニュアンスの訂正のほか、障害に対する配慮をしてくれたり、飲みに連れて行ってくれたりした上司もいたので、会社のことをあまり悪く書かないでほしいといったことがつづられていた。初診日をさかのぼってくれた医師についても迷惑がかからないよう、書き方に配慮してほしいとリクエストされた。

 そのたびに返事を書かなければならない私にしてみると、効率という点では決してよいとはいえなかった。一方でアキオさんの優しい人柄も伝わった。ただ10社以上も転職せざるをえなかったキャリアを考えると、こうした誠実さは現在の社会や会社が求めるものではないのかもしれないとも思う。

 発達障害の人の生きづらさについて記事を書くと、時々「発達障害の上司や部下を持つほうの身にもなってほしい」といった感想が寄せられることがある。そうした主張を理解できないわけではない。ただ、発達障害の同僚を持つ大変さに共感できたとしても、結局、社会がたどり着く先にあるのは“排除の理論”なのではないか。

 アキオさんは記事を通してこう伝えてほしいという。

 「面倒かもしれませんが、社会に居場所をつくってもらえると助かります。私のことを理解してほしいとは言いません。せめて同じ場所で息をすることを許してほしい」
本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 :ジャーナリスト

1061チバQ:2020/10/22(木) 10:35:37
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd6a9892845f72b7339a489f7c03869ca2e4150f
「食べ物ください」コロナで解雇、路上生活の末…恐喝未遂の30歳女に刑猶予
10/22(木) 9:38配信




被告が寝泊まりしていた警固公園。ベンチ(中央)近くにいたという=21日、福岡市中央区(撮影・穴井友梨)
 今年8月、福岡市・天神の真珠販売店。女(30)がカッターナイフを店員に向けて現金を脅し取ろうとした。結果は未遂。恐喝未遂と建造物侵入の罪に問われ、福岡地裁は21日、懲役1年2月、執行猶予3年(求刑懲役1年2月)の判決を言い渡した。新型コロナウイルスの影響で解雇され、路上生活を経ての犯行。相談は恥だと思っていたという。コロナ禍は弱い立場の人ほど追い込んでいく。福祉、行政は頑張りどころにきている。

【別カット写真】被告が寝泊まりしていた警固公園

 判決によると、被告は8月20日昼、店員の女性にカッターナイフを向け「お金を出してください、切りますよ」と脅迫。通報するそぶりに逃げ出した。判決理由で加藤貴裁判官は「被害者に相当の恐怖心を与えた」と指摘する一方、犯行直後に自首したことなどを踏まえ、執行猶予とした。

 公判での被告人質問などによると、物心がついた時には「久留米市の施設」にいた。中学卒業まで施設で過ごし、飲食店での勤務を転々とした。当時から現在まで、家族とはほぼ絶縁状態。父親の顔は知らない。
夜逃げ同然でアパートを出た
 「辞めてもらえないか」。2月、勤務先のうどん店の店長に告げられた。新型コロナで客足が遠のいていた。休業だと国の支援金制度の対象。解雇の場合は雇用保険などが受け皿になる。被告の保険の状況は定かではない。

 家賃が払えなくなり、相談相手もいないまま孤立を深め、夜逃げ同然で久留米市のアパートを出た。
「私は健康だし、恥ずかしい」相談できず
 福岡市に向かった。都会の求心力に引き寄せられた。中央区の警固公園や周辺で寝泊まりし、紙に「食べ物をください」と書いて路上に立つ日々。現金を差し入れてもらったときにはネットカフェで休んだ。居候をさせてくれた女性もいた。善意が染みた。

 公園を巡回する警備会社の女性(57)はベンチで過ごす被告の姿を覚えている。「ここで寝泊まりしていたら危ないよ」。声を掛けたが返事はない。通りすがった人が「福祉施設に入ったほうがいい」と話し掛ける様子も見掛けたが、しばらくして姿を見なくなったという。

 被告は福祉に頼ってはいけないと思い込んでいた。「私は健康だし、恥ずかしい」

所持金257円
 だが数カ月で限界がきた。所持金257円。「私もおいしいものを食べて、新しい洋服も買いたい」。カッターナイフを握った。高級感があり、店員が1人の店に狙いをつけた。ためらい、ためらい、3度目の入店で声を発した。未遂に終わると交番に駆け込み、一部始終を話し、逮捕された。公判で被告は店や被害者に謝罪した上で、「普通の生活がしたい」と打ち明けた。
届かなかった支援
 新型コロナに関する解雇や雇い止めは非正規社員を中心に6万人を超す。住まいを失うケースの増加も懸念される。自殺者は増加傾向にあり、30代以下の女性が目立つ。

 行政も路上生活をする人たちへの巡回支援をしているが、その網の目から漏れた。「支援が届かず、救えなかった」。国選弁護人を務めた若杉朗仁弁護士は言う。

 今後は一時的に宿泊場所や食事が提供される法務省の「更生緊急保護」制度で生活再建を目指すという。

 「自分で何でもできる人ばかりではないから、さまざまな支援制度がある。相談することを考えてください」。判決言い渡し後、裁判官の説諭にうなずいた被告。また、仕事をしたいと願った。

(森亮輔)

1062チバQ:2020/11/11(水) 10:17:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/c769deff192aeb62ba6d5bae5d97c71e982d6ba8
「水だけで3日」「冬なら死んでいた」コロナ禍に家を失う若年層増加の現実〈AERA〉
11/11(水) 7:02配信
 新型コロナが原因で、家をなくし、ホームレスになる若者が増えている。AERA 2020年11月16日号はその実情を追った。
*  *  *
「これから寒くなるのに、このままでは冬を越せない」

 10月下旬、東京・池袋の公園。男性(43)は、ホームレスになって痛めたという腰に手をやりながら疲れた表情でつぶやいた。

 九州出身で、長野県内の工場で派遣社員として働いていた。だが、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化すると、社員と派遣社員の半数ずつが「人員整理」されることになり男性は対象者になった。9月中旬、「雇い止め」となり職をなくした。

 仕事を求めて同月下旬、東京に来た。ネットカフェで暮らしながら仕事を探したが、年齢が壁となった。10月半ばにはお金が底をつきホームレスになった。公園などで寝泊まりを続けながら何とか暮らしていたが、所持金は100円を切った。

「今は、一日一日を生きるので精一杯です」

 家族とは決別しているので頼りたくないという。頼ったのが、池袋を拠点にホームレスを支援するNPO法人「TENOHASI」だった。冬物の衣類をもらえると聞き、配布場所のこの公園に1時間前から並びジャンパーをもらうことができた。だが、今後のことを考えると不安は尽きない。病気、食事、寝る場所。男性はこう話した。

「僕一人では、どうしようもできない」

■相談が再び増加の傾向

 コロナ・ショックが続く中、仕事をなくし住まいを失い、ホームレスになる人が増えている。

 先のTENOHASIでは月2回、池袋の公園で無料の医療・生活相談、配食などを行っているが、事務局長の清野(せいの)賢司さん(59)によれば、コロナ前、1度の相談で10人程度だったのが、4月と5月は一気に30人近くに増えたという。コロナの感染拡大でネットカフェが休業し、路上に押し出された人たちが多い。20代、30代の若年層が中心で女性も多かった。その後は少し落ち着いたがここ最近、再び増加傾向にあるという。清野さんは言う。

「これからますますコロナの影響で解雇や雇い止めが増えると考えられる。住まいは、生存と精神の基盤。早く手を打たないと、その基盤をなくす人たちが一気に増える」

 生活困窮者の支援活動を20年近く続けているNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」理事長の大西連(れん)さん(33)は、こう話す。

「今は、多くの方がホームレスになる一歩手前で何とか踏ん張っている状態です」

 大西さんは、生活困窮者の支援者・団体の集まり「新宿ごはんプラス」の共同代表も務めている。同団体は、毎週土曜日に新宿の都庁前で生活困窮者やホームレスに弁当を配り、健康・生活相談にも乗っているが、コロナ以前と後で相談件数は2〜2.5倍になったという。日雇いや派遣、アルバイトなど不安定な仕事に就いた非正規労働者が圧倒的に多く、20代、30代の働ける年代が中心。「まさか自分が困窮するとは思わなかった」と声を揃えるという。

■水だけで3日間過ごす

 住まいをなくした人は、命を削るようにして暮らしている。

 新宿でホームレスをしていたという男性(32)が取材に応じた。コロナによって職を失い、住む家がなくなり、2週間近く路上で暮らしていた。

「仕事もなくなって、つらくて、死にたくなりました」

 ホームレスをしていた時の心境をそう振り返った。実際、紐で首をくくったり薬を大量に飲んだりして死のうとしたが、死ねなかったという。

 東京郊外の電気メーカーの工場で派遣社員として働いていたが、8月に体調が悪くなるとコロナの疑いをかけられ、そのまま自己都合での退職扱いとされた。派遣会社が借りていた寮も出ていかざるを得なくなりホームレスに。新宿に来たのはホームレスが多いとネットで見たから。飲食店が集まる歌舞伎町の路上に寝て、体が汚くなったら近くのサウナに行く。お金はなくなり、3日間何も食べず、水だけで過ごしたこともあった。

「冬なら死んでいた」

 幸い、先の「もやい」につながり部屋を借りることができ、11月からは生活保護も受けられるようになった。

 今の望みは何ですか? 記者の問いに男性は、こう答えた。

「普通に生きて、普通に暮らしたいです」

(編集部・野村昌二)

※AERA 2020年11月16日号より抜粋

1063とはずがたり:2020/11/18(水) 20:34:32
貯金2000万円でも老後破綻の危機 ハロワ通い61歳男性の不安
https://news.infoseek.co.jp/article/postseven_1612959/
NEWSポストセブン / 2020年11月17日 16時5分

 コロナ危機の長期化は日本社会を「上級」と「下級」へと分断しつつある。中高年は「稼いで老後を乗り切れる層」と「稼ぎたくても職がない層」に二分され、“下級”に転落すると簡単には浮かび上がれないのだ。

 コロナリストラの影が忍び寄ってきている──。来年4月には改正高年齢者雇用安定法で70歳まで雇用延長が努力義務になるため、来年3月までに60代前半の再雇用社員と50代社員を一緒に人員整理したいという企業がこれから増えると予想される。

 あてにしていた再雇用(雇用延長)の収入がなくなれば生活設計が完全に狂い、蓄えがあるから“上級”だと思っていた人も、“下級”への転落が待ち受けている。

 人生100年時代、公的年金とは別に夫婦で2000万円の老後資産が必要──という金融庁の報告書が国民に衝撃を与えたのはほんの1年前。

 ちょうどその頃、大手流通グループ社員だったAさん(現在61歳)は定年を迎えて系列のホテルチェーンで再雇用され、1年更新の契約社員として働いていた。

「退職金と貯金で2000万円近い蓄えがあり、オレは大丈夫。70歳まで働けばあとは年金で生活できると考えていました」

 ところが、コロナの感染拡大でホテルの経営が大幅に悪化。この春、会社から「契約の更新は難しい」と他の正社員と一緒に退職を求められた。医療事務のアルバイトをしている妻も病院不況で月10万円ほどあった収入が3万円以下に減った。

「いまは失業手当をもらいながらハローワークに通っていますが、仕事は全然見つからない。住宅ローンも5年残っていて、年明けに失業保険が切れると、生活費とローンで貯金を月25万円くらいずつ取り崩す生活になる。このまま職がなければ年金をもらえる65歳までに貯金は半分、70歳くらいで底をつくんじゃないかとそんな計算ばかりしています。夫婦のどちらかが病気や要介護になれば老後破綻でしょうね」

 Aさんは諦めたような薄い笑みを浮かべた。

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号

1064名無しさん:2020/11/29(日) 12:18:39
https://news.yahoo.co.jp/articles/71e64eee3a5e8370cf4f5629e8f241d98540b0bc
190大学、年度末に休退学増加を予想 コロナで生活苦
11/29(日) 7:00配信

 コロナ禍の影響で、全国の国公私立大のうち少なくとも190大学が、「経済的理由による退学・休学者」が今年度末に増えると予想していることが、朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」でわかった。不況による学生の家計悪化が続き、今後、「経営が困難な大学が増加する」と予想する大学も回答者の8割を超えた。

 調査は9月25日〜11月24日、国公私立の767大学を対象に「新型コロナウイルスによる影響」などを尋ね、82%にあたる631大学が回答した。6〜7月の緊急調査と同じ「就職活動」「経営状態」など14項目の選択肢を示し、「現時点(10月上旬)」と「年度末ごろ(来年3月)」について、特に大きな影響があると考える問題を、学長に五つまで選んでもらった。

 10月上旬で最も多いのは「学生募集」で78%、「授業の実施方法」が60%、「就職活動」が57%で続いた。来年3月の予想については、卒業式などの「行事」75%に「学生募集」55%が続き、コロナ不況で採用を減らす企業が相次いだことを受け、54%が「就職活動」を挙げた。

 不況で家計が苦しくなり、学費を払えない学生が増えるとみる大学も多い。「退学・休学の増加」は緊急調査時の7月に9%だったが、今回は10月に15%、来年3月には30%に急増。特に、国公立より学費が高い私立大は35%に達する。岐阜県の小規模私立大は「すでに経済的理由で退学した者がいる。今後も同様の理由で退学・休学する者も出てくると考えられる」と危機感を募らせる。

朝日新聞社

1065チバQ:2020/12/06(日) 21:28:15
https://news.yahoo.co.jp/articles/5c4bfdf6107eca31026c69f02abb34e7c81128c7
自助圧力…追い込まれる困窮者 コロナ禍、相談ためらい支援届かず
12/6(日) 10:42配信

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西日本新聞
今年は感染防止のため炊き出しができず、支援団体は弁当などの個別配布を続けている=NPO法人自立生活サポートセンター・もやい提供

 長引く新型コロナウイルスの感染拡大が暮らしを直撃し、仕事や住居を失う人が増えている。困窮者にはこれまで公的支援とは無縁だった若年層や女性も目立つが、給付金などの支援策は相談までの心理的なハードルが高かったり、情報が届いていなかったりして救済につながらないケースもある。困窮の理由も一つではなく、識者は「伴走型」の支援の必要性を訴える。

【動画】「涙が出た」話題になったコロナ終息願う動画

 11月下旬、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい(東京)が都庁前で行った弁当配布に160人超が列を作った。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」で知り、初めて訪れた熊本県出身の男性(31)。この数年、日雇いの仕事をしながらその日暮らしを続けてきた。緊急事態宣言が出された春以降、仕事がなく、以前、リゾート施設に住み込みで働いてためたお金も家賃などで底をつきそうだ。記者が行政への相談を勧めても、「年内に仕事が見つかれば何とかなる」と拒んだ。

 同団体によると、毎週の弁当配布に並ぶ人は150〜180人。例年の約2倍で半年以上同じ状況が続く。若年層も目立つといい、大西連理事長は「ぎりぎりの生活をしてきた若者が今回初めて困窮している。これまで日雇いで何とかなった経験からまだ大丈夫と考え、支援につながらない」と危惧する。

 路上生活者らを支援するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」(同)によると、10月末までに相談があった165人のうち6割が30〜40代で、1割超が女性。例年は50代以上が大半で、女性はほとんどいなかったという。コロナ禍の困窮者は多様だ。

1066チバQ:2020/12/06(日) 21:28:41
 ◇    ◇

 厚生労働省によると、新型コロナの影響による解雇などは11月27日時点で約7万4千人。東京商工リサーチの調査では、関連する経営破綻も700件を超えた。第3波を受け、飲食店の営業時間短縮要請などが打ち出され、関係者からは悲鳴が上がる。雇用を取り巻く情勢は厳しい。

 非正規労働者の増加やリーマン・ショックによる派遣切りの問題などを受け、2013年に生活困窮者自立支援法が成立。最後のセーフティーネットである生活保護に至る前段階から公的支援を用意し社会復帰を促せるようになった。政府は新型コロナの感染拡大を受け、個人向けの給付金や家賃補助の要件を緩和するなど支援を強化している。

 ただ、こうした公的支援は当事者に必ずしも届いていない。TENOHASIの清野賢司事務局長は「料金滞納でスマホを止められ、無料Wi-Fiがつながる場所で日雇いの仕事を必死に探している人もいた。検索エンジンのトップニュースに上がらない限り、目にとまらない」と話す。

   ◇    ◇

 心理的なハードルもある。立教大の後藤広史准教授(公的扶助論)は「自立支援法は生活困窮が深まらないうちに利用することを目的に作られた制度。もっと気軽に利用していいはずなのに、最後の手段と捉えている人も少なくない」と指摘する。菅義偉首相が強調する「自助」の意識がすり込まれ、仕事をしていない負い目が利用をためらわせているとみる。

 新型コロナで困窮した福岡県中間市の101世帯の調査をした大阪市立大大学院の垣田裕介准教授(社会政策)によると、相談者に障害やその疑いがあったのは42人で、家族に障害があるケースも少なくなかった。以前から借金があったのは少なくとも69世帯、ひとり親は24世帯だった。

 垣田准教授は「困窮の要因は複合的に絡み合っており、相談につながっても減収に給付金や貸付金を充てるだけでは解決しない。継続的に寄り添い、問題を解きほぐすような支援が求められていることをコロナ禍は改めて浮き彫りにしている」と話す。

(久知邦)

困窮者への主な支援
 新型コロナウイルスの影響で困窮した人を対象とした政府の個人向け貸付制度(無利子)には、緊急小口資金(最大20万円を1回)と総合支援資金(最大月20万円を原則3カ月)の2種類がある。いずれも市町村社会福祉協議会が窓口で、年内までの申請期間は来年3月末まで延長される見込み。家賃を補助する住居確保給付金も4月に受け取り始めた人が12月に期限切れとなるため、受給期間は延長の方向となっている。厚生労働省は年末年始にかけて仕事や住居を失う人が増える恐れもあることから、全国の自治体に臨時の相談窓口を開くなど支援態勢の確保を求める通知を出している。

西日本新聞

1067チバQ:2020/12/16(水) 09:45:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/8af9cae214dd58a4351ee43ad081face29d0caad
母娘餓死 付近住民「生活に困っている様子なかった」 大阪
12/15(火) 23:04配信
2320




大阪府警
 大阪市港区のマンション一室で今月11日、女性2人の遺体が見つかり、司法解剖の結果、いずれも餓死したとみられることが15日、大阪府警港署への取材で分かった。1人は、住人で職業不詳の女性(42)と判明。もう1人は60代の母親とみられ、同署は身元の特定を進めるとともに2人が死亡した経緯などを調べている。

 同署によると、この部屋は母娘の2人暮らしだったとみられる。職業不詳の女性の死因は低栄養症による心機能不全、もう1人の死因は飢餓による低栄養症で体重は約30キロだった。いずれも死後数カ月程度が経過していた。

 マンションの管理会社から「部屋の郵便物がたまっている」と親族に連絡があり、同署員らが駆け付けたところ、2人が室内の床に倒れていた。冷蔵庫に食べ物は入っていなかったという。

 亡くなったとみられる2人の生前の様子を知る近隣住民からは、戸惑いの声が聞かれた。

 近くに住む女性(73)は「あいさつをするくらいの関係だったが、生活に困っている様子は見受けられなかった」と振り返る。

 この女性によると、2人は少なくとも十数年前からこのマンションで暮らしていたが、近隣住民と関わりを持つことはほとんどなかった。最後に見かけたのは今夏で、食料品を持って笑顔で帰宅していたという。

 近くの60代男性は「数カ月前、2人でテレビ番組を見て盛り上がっている声も聞いた」と話した。

1068チバQ:2020/12/23(水) 09:32:23
https://news.yahoo.co.jp/articles/46626fa2918e82582a55433b3261467faf84715e給付金も尽きLINEで「助けて」 コロナ禍の年末 食料配達ボランティアルポ
12/23(水) 6:36配信


訪問した理枝さん(左)に、長男を抱きながら「夫は金銭面の話をするとイライラする。毎日、明るく振る舞っている」と明かすユミさん=2日、本島中部
[新型コロナ 沖縄の今]

 新型コロナウイルス感染拡大で沖縄経済が急速に冷え込む中、観光・飲食関係で生計を立てる世帯を中心に「食べるものがない」という状況がじわりと広がっている。見えづらいSOSをどうすくい取るか。公的支援が途切れがちな年末年始を前に、相談支援窓口までたどり着けない子育て世帯とのつながりを求めて奔走する食料配達ボランティアの活動に密着した。(社会部・篠原知恵)

【写真】「生活できない」塩水飲んで空腹を満たす コロナで失われた日常

 ■運送業の夫、手取り15万円未満

 「2週間前に携帯がまた止まっちゃって」。本島中部の賃貸アパート。生後5カ月の長男をあやし、ユミさん(24)=仮名=が申し訳なさそうに頭を下げた。

 「LINE(ライン)」の未読状態が続くのを心配し、ボランティア団体「女性を元気にする会」代表のゴージャス理枝さん(49)が訪ねた2日午後。食材の詰まった段ボールを手渡すと、ユミさんは「息子の食事優先で1日1食の生活。助かる」と力なく笑った。

 夫(24)は運送業で働き、主な顧客は居酒屋。コロナ禍が直撃した今春から収入は安定せず、やっと自宅待機が解除された今も手取りは15万円を下回る。「来月はまた下がる」という。

 夫の給料日にミルクなど息子の必需品をまとめ買いし、家賃や大型運転免許の取得費用の分割などの支払いを済ませると、残るお金はわずか。夫婦の食べ物はほぼ買えず、理枝さんの食料配達や、妹からのもらいものでしのぐ。最近、携帯電話がよく止まるのは、ガスや電気料金も滞納しがちな窮状があるからだ。

 夫が仕事に出る日中は電話もインターネットもできず、部屋で独り、初めての育児に奮闘する。実家は車で1時間の距離だが車はなく、近所に知り合いはいない。出産直前まで食堂アルバイトでためた貯金も、夫婦の特別定額給付金も尽きた。「こんなはずじゃなかった。未来が見えない」。生活できなくなり、妹に送ってもらい母子で実家に数日間「避難」することが増えた。

 ただ、実家の両親も勤務する観光施設の休業で生活に余裕はない。夫の実家も似た状況で「みんな大変で頼りづらい」と顔を曇らせる。出産直後に訪ねてきた行政の保健師にも、認可保育所の申請手続きで接した行政職員にも、悩みを切り出せなかった。理由は「特に何も聞かれずタイミングが分からなかった」から。

 〈誰にも話していないのか泣きだす〉〈緊急小口資金なども知らない〉

 ユミさんを初めて訪ねた10月末の理枝さんたちの記録。同様に運送業の夫の収入減で困窮した臨月の妹がSNSで理枝さんの活動を知ってつながり、携帯が止まったユミさんの住所も教えていた。

1069チバQ:2020/12/23(水) 17:47:58
https://news.yahoo.co.jp/articles/92a86cee0b0983ab582fc294b50245578ec5a460
コロナ禍、届かなかった10万円 路上で聞いた諦めの声
12/23(水) 15:29配信
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横浜市西区にある公園のベンチ。中央に仕切りが設けられ、人が横たわれないようになっている=2020年12月18日午前9時24分、横浜市西区、土屋香乃子撮影
 街の様子を一変させた、新型コロナウイルスの感染拡大。神奈川県の路上で暮らす人々にどんな影響を与えたのか、春から取材を続けてきた。

【写真】「もう元には戻れない」コロナ感染、住吉美紀アナが流した涙

 緊急事態宣言が出された4月、生活困窮者を支援する団体の横浜市内でのパトロールに同行した。駅の地下街や公園、高架下などで路上生活者と話をした。炊き出しがなくなったり、図書館などが閉鎖されて日中の居場所がなくなったりと、影響は様々なところに及んでいた。

 ネットカフェで生活していたが、休業要請による閉店で行き場を失い、路上をさまよった男性もいた。5月に川崎市内で行われたパトロールに同行した際、出会った男性は、集めて現金化するアルミ缶の値段が下がったと話していた。

■「誰にでもクリスマスがあっていいじゃないですか」

 「住民登録がないから、10万円が受け取れない」。1人10万円の特別定額給付金の支給期間中、取材で出会った路上生活者の多くが抱えていた悩みだ。給付金を受け取るためには、住民登録をしている自治体から住所地に届いた書類で申請する必要があるが、路上生活者は住民登録をしている自治体を離れて生活していたり、そもそも登録地がなかったりする場合が多い。

 「仕方ないよ」「元々もらえると思ってない」。聞こえてくるのは怒りよりも、諦めの声だった。最も支援を必要とする人々に支援が届かない実態が、コロナ禍で浮き彫りになった。

 横浜市によると、今年1月時点で、約380人が市内の路上で生活。コロナ禍を経ても、その数が大きく増えたわけではないという。一方、家賃を補助する住居確保給付金の申請件数は4月以降激増した。目に見えないだけで、路上生活の手前で踏みとどまっている人は少なくないのだ。

 取材を重ねると、街の見え方が少し変わった。ひじかけを設置して人が横たわれないようになっているベンチや、フェンスで囲われた高架下のスペースなどが目に付くようになった。どれも、路上生活者を排除する役割を果たしている。ベンチで寝ることも許さないという街のあり方が、「10万円をもらえるわけがない」という諦めにつながっているようにみえる。

 今月上旬、藤沢市内の路上生活者の「クリスマス会」に参加した。教会の一室に15人ほどが集まり、カレーに舌鼓を打ったり、歌を歌ったり。ビンゴの景品として用意されたのは、保温効果のある下着やレギンス、靴下、カイロなどだ。銀色の保温シートをうれしそうに抱いて帰って行く男性の姿が印象的だった。

 「彼らはこういう季節のイベントからも排除される。でも、誰にでもクリスマスがあっていいじゃないですか」。支援団体の男性の言葉がずしりと響いた。彼らのために何ができるか、自問しながら取材を続けたい。(土屋香乃子)


■住む場所に困ったら相談を 横浜市が大みそかまで窓口

 新型コロナ感染拡大による経済不安が広がる中、年末にかけて失業したり住居を失ったりする人が出る恐れがあるとして、横浜市は初めて、通常の役所の窓口が閉じている年末の29〜31日に、住居相談などに応じる臨時窓口を開く。住居がない人のために、年を越せる宿泊場所(約60室)と食事も用意する。

 市によると、窓口は新型コロナの影響などで生活に困窮し、住む場所に困っている人が対象で、中区の市寿福祉プラザ1階に開設する。3日間限定で、午前9時半〜午後2時。各日5〜7人の市職員が対応し、生活保護や住居確保給付金を含む、生活困窮者自立支援制度などを案内する。住居確保給付金に関する相談では、申請書類の提出も受け付け、市役所が開く来年1月4日以降に審査できるよう手続きする。

 すでに住居を失い、寝泊まりする場所がない人には、宿泊場所と食事も提供する。

 市によると、今年5月の大型連休中にも臨時窓口を設置し、76件の相談を受け付けた。年末の閉庁期間中に大みそかまで対応する窓口を設けるのは初めてという。例年、年末が近づくとこうした相談は増えるが、担当者は「今年はいつも以上に多く、危機感がある。感染拡大が止まらない中、失業したり会社の寮から退出させられたりする人がいるのではないか。役所が閉まる年末も相談先を残しておくべきだと考えた」と話す。

 相談は電話やメールでも受け付ける。電話は045・641・0383、メールはkf-seikatsusodan@city.yokohama.jpへ。いずれも開設時間内の対応になる。(松沢奈々子)
朝日新聞社

1070チバQ:2020/12/27(日) 10:06:09
https://news.goo.ne.jp/article/nishinippon/bizskills/nishinippon-1000677047.html
「身を粉にして…」最低賃金レベルの給料に耐える非正規労働者
2020/12/26 06:00
 ぱさついた髪が波打つ。「少し天然パーマなんで。面接前に切らないと」。今月、転職を決意した匠(たくみ)さん(44)=仮名、福岡県久留米市=は頭をかいた。面接は身だしなみが大事だけど、理髪店には行かない。節約のため自分で切る。19歳からずっと。長く最低賃金レベルの給料で働き、そうしてきた。

 今の職場は佐賀県にある食品工場。今春から勤め、室温8〜12度の中で味付けのライン作業につく。次々と容器が流れてくるためトイレに行けず、水分は取れない。なのに塩辛い品の味見が多く、具合が悪くなる。

 時給は900円、賞与はない。病気で全盲に近くなった母(74)と暮らすが、年金は月1万円台で食費を1日1400円以下に抑える。親子2人でこの額だ。

 コロナによる不況で、早上がりが増えたため辞めることにした。給料も減り、9月は手取り12万円、10月と11月は14万円ほど。車はなく、通勤に月1万6千円かかるのが惜しい。1日3時間働いただけで帰らされる同僚もおり、決断した。

 新たな道も、険しい。ハローワークに行っても求人は39歳以下が多い。情報誌も「365日、ずっと載っている会社ばかり」。従業員がすぐに辞めていると思い、気が進まない。

 これまでは年末、本業と掛け持ちでアルバイトをしてきた。師走は時給のいい短期の募集があった。勤務先で有給休暇を取り、バイトしたことも。それがコロナの影響か、今年は数が少ない。最近の健康診断で精密検査が必要とも言われた。「もう無間地獄ですよ」。家計を考え、検査を受けるか迷っている。

 なぜこんなことに、と時に思う。高校生の頃に両親が離婚し、母と暮らし始めた。高校卒業後に就職すると、母が重い病気に。昼は通院に付き添うため正社員は望めなかった。これまで働いた12社は、1社を除き全て非正規雇用。社員登用があると聞いて入っても、実際はなかった。生活費を稼ぐだけで精いっぱいで、資格を取る余裕もない。約20年間、最低賃金に近い給料で耐えてきた。

 だから、今年は最低賃金のニュースに落胆した。コロナの影響で、金額は近年の大幅な増額から、わずかな引き上げにとどまった。「非正規の人は昇給がほぼない。最低賃金が上がらないと、給料が上がる可能性はゼロなのに」

 年が押し迫っても求人に目を凝らす。ある工場に電話し、早上がりがないか確認すると、担当者は口ごもった。「会社って、必要な時間帯しか人はいらないんですね。どこも生かさず殺さずですよ」。雇用の調整弁として都合よく扱われる非正規労働者の悲哀を感じる。

 高い給料も車もいらない。ただ母と静かに暮らしたい。「もうそれだけでいいんです」。新天地でかなうだろうか。 (河野賢治)

20年度は1円増

 最低賃金は全ての働き手がもらう給料の下限額のことで、都道府県ごとに異なっている。毎年度見直され、全国平均の時給は4年連続で20円台の増額が続いていたが、2020年度は1円増だった。匠さんの場合、家がある福岡県の最低賃金は時給842円(本年度)、勤務地の佐賀県は792円(同)と、居住地より安い地で働いていることになる。額を全国一律にするよう求める声もある。

1071チバQ:2020/12/27(日) 10:53:04
https://news.yahoo.co.jp/articles/20451cca4df15a3fde7739a59ad7245a11052106
沖縄で困窮相談が急増 昨年比で5倍のペース 全国よりも多い背景に「観光立県」が影響
12/27(日) 9:11配信

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沖縄タイムス
「自立相談支援機関」への新規相談件数

 生活困窮者の相談に幅広く対応する自治体の窓口「自立相談支援機関」への沖縄県内の新規相談件数が本年度上半期(4〜9月)に1万853件となり、前年同期の2千件に比べ5倍超に急増したことが、26日までに分かった。全国は前年同期比3倍で、県内の伸び幅が顕著。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、困窮の広がりが全国よりも深刻になっている恐れがある。

【沖縄で増える生活困窮者】家賃払えず退去、仕事が見つからない・・・

 沖縄県保護・援護課の担当者は「全国的に飲食・観光業界への打撃が大きく、観光立県の沖縄は全国に比べ、影響がより広く出ているのではないか」とみている。

 自立相談支援機関は県(町村部)と市がそれぞれ相談窓口を設け、県内16カ所ある。生活保護を受けていない困窮者のための「第2のセーフティーネット」とされ、生活や就労など幅広い相談に対応。必要に応じ別の支援機関につなぎ、生活の立て直しを後押しする。

 県内の新規相談件数は本年度上半期だけで例年の年間件数(3千〜4千件)を上回った。上半期の月別では5月の相談が多かった。

 厚生労働省によると、全国の上半期の新規相談件数は39万1717件で、前年同期(12万4439件)の3倍。同省担当者は取材に「新型コロナの影響で収入減や解雇、廃業で困窮する人が増えている。住宅確保給付金など支援制度に関する相談も多い」と答えた。

 政府は新型コロナ支援策で、家賃の支払いが難しくなった人に家賃を補助する住居確保給付金の対象を拡大。「離職」に加え「勤務先の休業などで収入が減った場合」に広げ、需要が高まっていた。今年の年末年始は仕事や住まいを失ったり、食料がなくなったりして行き場のない困窮者が増える可能性がある。

 厚労省は11月、各相談支援機関に臨時開所や年末年始の相談体制確保を検討するよう通知。県内は年末年始、石垣市が全期間、名護市が1月1、2日を除いた期間、臨時的に相談窓口を開所する方針を決めた。

(社会部・篠原知恵)

1072とはずがたり:2021/01/11(月) 23:25:04
沖縄タイムス+プラス 社説 社会・くらし 社説[コロナと生活保護]申請を促す発信もっと
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/689580
社説
2021年1月8日 07:34

 昨年10月分の生活保護申請が1万8621件となり、前年同月と比べ1・8%増えたことが、厚生労働省のまとめで分かった。新型コロナウイルスの影響で仕事を失う人が増える中、9月に続いて2カ月連続の増加である。

 生活保護申請は昨年4月の緊急事態宣言発令に伴う休業要請などにより24・8%増と大きく跳ね上がった経緯がある。きょう8日からは、首都圏1都3県に再び宣言が発令される。

 コロナによる影響は長期化しており、苦しい生活を強いられる人がさらに増えるのではないか。必要な人がためらわずに申請できるよう環境を整えなければならない。

 年末年始に民間の支援団体などが実施した相談会や食料配布には、暮らしが立ちゆかなくなった大勢の人が集まった。那覇市内であった恒例の炊き出しにも、普段より多くの人が訪れた。

 低所得世帯の暮らしを再建してもらう狙いで貸し付ける「生活支援費」の融資決定件数は、3月からの約9カ月間で50万件を超えている。リーマン・ショック時の12倍にもあたる。

 懸念されるのは、2人以上の世帯なら最大20万円を3カ月分まで無利子で借りられる生活支援費など特例制度の利用が限度額に達し、「今後の生活が見通せない」という相談が増えていることだ。

 専門家は「本来なら生活保護を受給した方がいい人が貸し付けを利用しているケースも多い」と指摘する。

 増えたとはいえ申請の数字には反映されていない、保護を必要とする人たちに目を向ける必要がある。

■    ■

 申請をためらうのはなぜなのか。

 思い出すのは10年近く前、人気タレントの母親が生活保護を受けていたことをきっかけに相次いだ「不正受給」報道や生活保護バッシングである。

 結果、貧困の広がりとは裏腹に、本当に困っている人が受けられない「漏給」が見逃され、受給者には厳しい視線が注がれた。

 根深い偏見と自己責任論が幅を利かせる社会のせいだろう。支援を受けることへの抵抗感は強い。 

 生活保護は憲法25条が保障する「生存権」を具体化したものである。

 コロナ禍ではこれまで貧困とは無縁だった働き盛り世代などからも「新たな貧困層」が生まれている。

 誰もが困窮するリスクのある時代なのだ。

■    ■

 田村憲久厚労相は、年末の記者会見で「生活保護を受けることは国民の権利だ。迷わず申請してほしい」と異例の呼び掛けを行った。同省のホームページでは「よくある誤解」として、別居している親族に相談しなくても申請できることなども発信している。

 コロナ禍によって照らし出されたのは、最後のセーフティーネット(安全網)が、きちんと機能していないという社会の脆弱(ぜいじゃく)性でもある。

 命をつなぐ制度の趣旨を社会全体で共有し、もっと積極的に利用を呼び掛けるべきだ。

1073チバQ:2021/01/12(火) 19:29:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/d06a473ca74953c8b30da78a14cdacc31610cb6d
コロナで「困っています」物乞いする35歳 うつむく困窮者に届かぬ支援
1/12(火) 16:04配信




通行人へ金銭の支援を求める男性(35)。「顔を写さないなら」という条件で撮影を許してくれた=東京都のJR新宿駅の西改札付近で2021年1月7日午後8時58分、黒川晋史撮影
 首都圏で新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出された今月7日夜。JR新宿駅(東京都)の西改札付近を歩いていると、一人の男性の姿が目に入った。雑踏の中で柱を背に座り込み、うつむいている。手に掲げていた段ボールの切れ端には「コロナ等で色々困ってます お願いします」と書かれた文字。通行人が「少ないですけど」と足元のおわんに小銭を入れていく。「ありがとうございます」。男性はやっと視線を上げた。

【緊急事態宣言】前回と今回の違いは?

 話を聞こうと声を掛けた。男性は35歳。コロナ禍で職を失い、再就職もかなわなかった。年末年始は友人宅に身を寄せたが、いつまでも頼るわけにはいかず、路上で過ごしながら「物乞い」をしているという。

 都は住まいがない困窮者向けに一時滞在用のホテル1000室を用意しているが、「知人から聞いた」という程度で、詳しい利用方法は知らないという。「とにかくコロナで仕事がない。それだけです」。再び顔を伏せた。

 いったんその場を離れたが、どうしても男性のことが気になった。20分ほど後、都の相談窓口の連絡先を記し、渡そうと現場に戻った。だが、すでに男性はいなくなっていた。「3日前にもいたし、けっこう前から見かけますよ」。そばで待ち合わせをしていた若い男女が教えてくれた。

 ◇都庁前の食料配布に200人超

 男性のような窮状はレアケースなのだろうか。困窮者の支援に取り組む認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長(33)は「同じように困っている人はたくさんいる。特に若い人に多い」と断言する。経済活動が停滞する中で、非正規雇用や日雇いなど不安定な働き方の人たちにしわ寄せが及んでいるのだという。

 厚生労働省のまとめによると、コロナ関連の解雇や雇い止めは8万人に上る。大西理事長が関わる都庁前の困窮者向けの食料配布では9日に利用者が初めて200人を突破。前年の同時期より2.5倍に増えた。

 国や自治体は対策を取っていないわけではない。東京都は12月21日から、年末年始にネットカフェで過ごす人などへ向けてホテル1000室を用意。さらに緊急事態宣言を受け、利用受付期間を2月7日まで延長すると決めた。

 ◇「貧困は自己責任」と考える日本

 田村憲久厚労相は12月25日の記者会見で、生活保護について「本当に困窮された方は受ける権利があるので、迷わず申請をしてほしい」と異例の呼びかけを行った。政府は各種の支援金制度も打ち出し、非常事態に対応する構えを見せている。

 しかし、そうした仕組みを作っても、困窮者本人に伝わらなければ支援にはつながらない。ホテル提供の制度を利用するのはネットカフェなどで暮らす人が多いとみられるが、都はこれまで、今回の提供に関する周知をネットカフェに依頼していない。「今後もする予定はない」(都地域福祉課)という。

 実際、支援現場では「ホテルに泊まれるとは知らなかった」という声が多く聞かれる。都によると、1月4日までのホテル利用者は235人に過ぎない。

 さらに困窮者自身の、福祉に対する忌避感も障壁となっている。大西理事長によると、支援機関へたどり着くことができても、生活保護などへ強い抵抗感を示すケースがあるという。

 大西理事長は「日本では貧困を“自己責任”と捉える人が多い。そうした人も安心して支援制度を使えるよう、説得や働きかけがなされるべきだ」と指摘。「相談窓口を開けて待っているだけでは限界がある。行政機関は民間の支援団体などと協力して、制度をより積極的に使ってもらう方向にかじを切ってほしい」と語る。

 「第3波」で世の中の混乱が続く中、果たして困窮者に支援は行き渡るのだろうか。9日夜、再び新宿駅を訪れたが、物乞いをしていた男性の姿は見つからなかった。【黒川晋史】

 ◇<困った時は>

 ◇東京都の相談窓口「TOKYOチャレンジネット」

(電話0120・874・225、女性専用0120・874・505)

https://www.tokyo-challenge.net/

※就労で自立を目指す人向け。それ以外の場合は地域の福祉事務所や自立相談支援機関へ

◇厚生労働省のリーフレット「生活を支えるための支援のご案内」など

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13694.html

1074チバQ:2021/01/19(火) 11:00:51
https://news.yahoo.co.jp/articles/da01bbd4fb38cbdeaf2ee67cc6552c6a479342e6
解雇・困窮・DV…コロナ苦境、女性を直撃
1/18(月) 21:36配信
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非正規労働者の減少数推移
 新型コロナウイルスの流行が長期化する中、立場の弱い女性たちが苦境に追い込まれている。生活困窮やドメスティックバイオレンス(DV)に直面し、自殺者も急増。行政支援が届かず孤立する世帯もあり、さらなる状況の悪化も懸念されている。

【表】「4人家族で1カ月に必要な金額」京都総評の試算と内訳

 「新型コロナの拡大は特に女性への影響が深刻で、『女性不況』の様相が確認される」。コロナ禍が女性に与える影響を議論してきた内閣府の有識者研究会は昨年11月に公表した緊急提言で危機感をあらわにした。

 女性たちをめぐる環境の悪化は統計からも明らかだ。昨年11月の総務省の労働力調査によると、アルバイトやパートなどの非正規雇用で働く人は2124万人で、同3月から9カ月連続で減少。同1月以降の減少数は女性が535万人で、男性(279万人)の約2倍となっている。

 厚生労働省によると、コロナの影響に伴う「解雇・雇い止め」は今年1月8日時点で累計約8万人(見込みを含む)に上り、このうち非正規が約半数を占める。外出自粛などにより、女性従業員の多い飲食・宿泊業などが大きな打撃を受けているという。

 特に所得の低いひとり親世帯への影響は大きく、支援団体には、当事者らから「子供たちには2食で我慢してもらっている」「米を買うお金もない」などと悲痛な声が届く。自粛生活で家事・育児や介護の負担増、DVにさらされるリスクも増大。内閣府の調査では昨年4〜11月のDV相談件数は、各月前年の1・3〜1・6倍となった。

 警察庁や厚労省によると、昨年1〜11月(暫定値)の女性の自殺者数は6384人で、前年同時期より752人増加。同6月から6カ月連続で前年を上回るペースで推移する。特に同10月は約9割増の879人に上り、40代が147人で最も多い。原因・動機では、健康問題や家庭問題の増加が目立つ。

 公共政策が専門で自殺問題に詳しい早稲田大の上田路子(みちこ)准教授は「コロナ禍では若い女性の自殺者が増えており、この層に経済的問題など打撃が集中している様子がうかがえる」と説明する。影響が長期化すれば、さらなる状況悪化を招きかねないとして「国は女性たちが直面している苦悩の実態を把握した上で、生活基盤を整えるための具体的支援策を早急に打ち出す必要がある」と指摘する。

■夫の暴力…実家も居場所なく

 「この先、どう生きていけばいいのか」。長引くコロナ禍に、西日本に住む40代の女性は苦しい胸の内をこう打ち明ける。発達障害を抱える幼いわが子2人とともに、夫の住む自宅を離れ、実家に身を寄せて暮らしている。

 女性は結婚を機に仕事を退職。自宅では家事と育児を一人で担ってきた。夫は感情の起伏が激しく、機嫌が悪いと些細(ささい)なことで激高。物を壊し、時に自分への暴力となって返ってきた。子供たちが標的とされることへの恐怖もあり、言われるがままの生活をこなすしかなかった。

 ある日、「口答えした」と難癖をつけられ、手が付けられなくなった。警察に助けを求め、実家に避難するよう言われた。だが、実家にも居場所はなかった。

 両親は「育児は母親がするもの」と支援の手を差し伸べてくれない。食事や洗濯などは別々。家賃を払うようにも言われる。仕事を始めたいが、子供たちが通う療育施設は不定期実施で、見てもらえる時間も短い。そんな苦境に追い打ちをかけたのが新型コロナの感染拡大だった。

 子育ての合間に情報誌やウェブサイトを通じて仕事を探してきたが、経済環境の悪化で求人は激減しており、短時間で柔軟な働き方のできるアルバイトは見つけることが難しい状況だ。夫は離婚に応じず、自治体に支援を相談しても、低所得のひとり親世帯が受け取れる児童扶養手当や、コロナ禍で国が支給を決めた臨時特別給付金も受け取ることはできなかった。

 現在は独身時代にためた貯金を取り崩し、子供の3食を用意するのがやっと。自分は夜に1食を残り物で済ませ、冬服も2着を着回している。DV被害者らを保護するシェルターへの入居を希望しているが、どこもいっぱいで受け入れてもらえない。「妻が子供を連れ去った」と主張する夫から脅迫めいたメールが日々届き、精神的に追い詰められる状況が続いている。

 夜中、子供たちを寝かしつけ、布団に横たわって天井を見上げるとふと思う。「首でもくくれば、楽なのかな」。だが自分がいなくなれば、子供たちはどうなるのか。「どこにも行き場所がない。先を見通すこともできない。死にたくなる思いを打ち消すのに精いっぱいの生活を送っている」。女性はそう訴えた。(三宅陽子)

1075チバQ:2021/01/20(水) 15:23:47
https://news.yahoo.co.jp/articles/27d091fd43709750973a5ed43799c664953f8b8d
所持金600円…「どん底」コロナで職失った33歳 奨学金返済も重く
1/20(水) 11:18配信




炊き出しに訪れた男性。「お金の管理の仕方も勉強したい」と現況を打開する方法を探し続けている(写真の一部を加工しています)
 新型コロナウイルス禍で職を失い、生活に行き詰まる人が後を絶たない。解雇や雇い止めのほか、勤め先の業績悪化でやむなく離職する人もいる。福岡市の支援団体に昨年末、SOSを寄せた男性(33)もその1人。かつて助けられた奨学金の返済で苦しくなり、コロナ禍で職も失って、命を絶つことを考えていた。 

【動画】「涙が出た」話題になったコロナ終息願う動画

 5日、路上生活者などを支援するNPO法人「美野島めぐみの家」が拠点とする同市の美野島司牧センター。新年最初の炊き出しで、男性は白玉ぜんざいや筑前煮をほおばった。「人が作ってくれた食事はおいしい」。卵かけご飯やレトルト食品で耐えてきた体に、温かさと栄養がしみた。

 めぐみの家に駆け込んだのは年の瀬、誕生日の前日だった。「毎年、誕生日にいい思いはしてないけど、今年が一番ひどい」。コロナ禍で失職し、1カ月分の家賃2万5千円を滞納していた。所持金は600円。公的な貸付制度は過去の利用で返済が滞ったことがあり、審査に通らなかった。

 重荷だったのは奨学金の返済。高校と専門学校で建築を学び、5年間で計150万円を借りた。関東で大工やトラック運転手など職を転々とするうち返済が滞った。給料を差し押さえられ、当時の職場を辞めた。

 消費者金融から借り入れて完済したが、生活費が足りずヤミ金へ。実家も困窮して頼れず、借金は170万円まで膨らんだ。2年前に福岡県内に移住。運送会社で正社員になり希望が見えたが、コロナ禍の受注減で退職勧奨を受けた。複数の社員とチームで働く勤務体系で、チームの同僚全てが退社に応じたため、やむを得ず昨年9月に職を離れた。

 唯一の頼りの失業手当は、借金の支払いに充てるため手元にほぼ残らない。家に1人で閉じこもり、業者が夜も取り立てに来る。楽に死ねる方法を何度も探し、精神的に限界になった。弁護士に相談して自己破産の手続きを始めた頃、めぐみの家に助けを求めた。
 寒波が襲っても暖房は使わない。「耐えるしかない」。安定した職を望む一方、できる仕事なら何でもしたい。家族が集まれる家を自分の手で建てる夢もある。だが感染の急拡大からか、仕事は見つからない。「今がどん底。あとは上がるだけ」。自分を鼓舞する。
「苦しいけど、お互いがんばろう」
 昨年末。誕生日の翌日に、無料でWi-Fiが使えるコンビニに向かった。料金滞納で使えなくなった携帯電話がメッセージを受信し始める。「誕生日おめでとう」。母と妹からだった。近況を伝えると母から返信がきた。「苦しいけど、お互いがんばろう」

 厚生労働省によると、コロナ禍に関連した解雇や雇い止めは、見込みも含め累計8万人を超えた。他にも、職を失って追い詰められた人は多いとみられる。

 めぐみの家の瀬戸紀子理事長(76)は「行政の支援が広がったおかげで、炊き出し利用者はさほど増えてはいない」と話す一方、「今後を見通せない状況は変わらない」と警戒を緩めていない。 (小林稔子)

1076チバQ:2021/01/24(日) 12:00:14
https://news.yahoo.co.jp/articles/47f56e4335dab9d6c190269fa21ee070a58e94c6
飲食店の時短営業で窮地に追い込まれる非正規雇用の人々
1/23(土) 16:05配信

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NEWSポストセブン
2度目の緊急事態宣言と飲食店への時短営業要請が出された東京の夜は早くから暗い(AA/時事通信フォト)

 子供から大人まで、すべての人が対象だった「特別定額給付金」について、新型コロナウイルスの再拡大による緊急事態宣言発令にあわせて、二度目の支給をという声が高まっている。2020年の緊急事態宣言時と異なり、今回は完全休業している店舗などは少ないから、そこまでの必要はないだろう、不満があるなら転職できたはずなどという声も上がるが、経済状況とは個人レベルでもそんな単純に解決できるものではない。ライターの森鷹久氏が、飲食店の時短営業によって窮地に追い込まれている人たちについてレポートする。

【写真】20時までの時短営業

 * * *
 一都三県に加え、大阪や愛知などにも拡大した「緊急事態宣言」。

 飲食店の営業を「午後8時まで」とするよう自治体からの「要請」もあり、多くの店がそれに従っている。売り上げが減るという飲食店には、補償金が支払われる、補償金が増額されるといった議論も具体的になされているが、全く置き去りにされている存在となっている、そこで働く非正規雇用の人たちがいる。

「学校は再開しましたが、バイトは急遽休みに。少しずつシフトに入れるようになり、多少はお金が稼げると思っていた矢先。正直、勉強にも身が入らないです」

 都内の国立大学3年・吉田京香さん(仮名・20才)は四国出身。大学進学のために上京すると、都下のアパートで一人暮らしを始めた。郊外のため家賃は4万円ほどで、実家の両親が負担してくれている。その代わり、家賃以外の食費、通信費、交際費などは、自身のアルバイトによって賄ってきたという。

「レストランと居酒屋のバイトを掛け持ちして、月に12万円程度の収入がありました。レストランは夕方から夜9時まで。そこから深夜の3時ごろまで居酒屋で働いていたんです」(吉田さん)

 学生の身分で月に12万円の金があれば、それなりに豊かな暮らしができた。年に一度は貧乏旅行だけど海外旅行にも行けたし、好きな物も自由に買え、憧れの「東京生活」を満喫できていたと話す。

 ところが昨年4月以降、バイトがゼロになった。原因はもちろん「コロナ」だ。

「3月にはシフトが半分に減らされ、一度目の緊急事態宣言が出された4月にはレストランも居酒屋も、バイトは一人もシフトに入れてもらえなくなりました。夏にはレストランが潰れ、私も学校にも行けず地元にも帰れず。アパートで一人、リモート授業を受けるだけの生活になりました」(吉田さん)

 収入は途切れたが、十数万円の貯金はある。実家からは「加勢しようか」と言われたが、家賃を払ってもらっている手前、また、独立心が高かった吉田さんは、貯蓄を切り崩しつつ、そして家に篭りつつ倹約生活を続けて乗り切ったのである。

 夏の終わり頃には、居酒屋が通常営業に戻り、少しずつではあるがバイトも再開。昨年の12月ごろには、コロナ前と同じようにシフトに入ることもできるようになり、通常授業が再開した大学にも通いながら、久々の日常を懐かしんだ。だが……。

「年明けの緊急事態宣言で、居酒屋は夜8時で営業をしなくなった。夕方までは大学があるし、事実上、またバイトがゼロになってしまいました。お店には補償金も出るんでしょうけど、そこで働いている人、特にバイトで生活しているような学生やフリーターは置いてけぼり。これが春以降も続くなら、学校に通い続けるのも厳しい。就活もあるのに、どうしようという感じです」(吉田さん)

1077チバQ:2021/01/24(日) 12:05:32
 吉田さんのような「一人暮らし」の学生だけが窮地に追い込まれているわけではない。神奈川県在住の浜田聡子さん(50代・仮名)は、認知症を患った母親(70代)と二人暮らし。日中は母親の面倒を見て、夜8時に母が就寝して以降、明け方近くまで近所の居酒屋でアルバイトをし、生活費をなんとか捻出するという生活を送っていた。

「母親は認知症ですが、体は元気。放っておけば家中のものをひっくり返したり、どこかへ出掛けて行ったりするものだから、日中はつきっきりで面倒を見ています。夜は一度寝てしまえば、こちらが起こすまで起きないから、その間に働きに出ていたんです」(浜田さん)

 浜田さん宅の主な収入は、母親の年金が月に10万円強と、浜田さんのアルバイト代が同じく7万円強、合わせておよそ17万円。あと10年ほど残った家のローンの支払いも月に8万円ほどあり、生活費に回せる金額は1ヶ月あたり9万円程度。母親用のオムツ代だけでも月に1万5000円かかるというから、生活はギリギリ。そこに、コロナが追い討ちをかけた。

「昨年春の緊急事態宣言で、当時働いていた居酒屋が潰れてしまいました。店長の計らいで系列の居酒屋になんとか雇っていただきましたが、シフトは以前の半分以下に。それでも秋以降は持ち直して、月に5万円は貰えるくらい働くことができていたんですが」(浜田さん)

 そしてやはり、感染者数が再び増え始めた昨年末ごろから、居酒屋の客足が目に見えて減り出し、またしてもシフトは削られた。年明けに「緊急事態宣言が出るかもしれない」という世の中の雰囲気を感じた頃には、店長から直々に「やめてほしい」と電話が入ったのだった。

「この状態では借金もできないし、借りられても返す宛がない。死んだ父が建てた家に、母親が逝くまでは住み続けたいと思っていましたが、もう売るしかない。築20年経っていて、上物(建物)の価値はほぼゼロ。土地代が数百万にはなると不動産屋に言われました。売却して、そのお金で母親には施設に入ってもらう予定です。でも、コロナだから、入所のハードルがどこも高くて」(浜田さん)

 自身の行く末についても、不安が尽きない。

「母のことが好きでしたから、なんとか最後までと思っていたので情けなくて……。私も一人暮らしとなりますが、収入はゼロになる。もうバイトができる年齢でもありません。恵まれた生活をしていたわけでもなく、静かにひっそり暮らしていただけなのに……。GoToイートが再開されるという報道もありましたが、世間の反応は冷ややか。私だってこの状況で、外食したいとは思わない。ワクチンがあれば、数ヶ月後には良くなっている……どうしてもそう思えず、それまで持たないんです」(浜田さん)

 緊急事態宣言下でも、都市には人が溢れ、通勤客や買い物客が行き交っている。感染が再拡大しているといっても、自分の周囲には感染して死にそうになった人はいないからたいしたことない、そう思う人が少なくないのだろう。本当は、交通事故に遭って救急車を呼んでも救急患者がたらい回しにされ収容先が決まらないなど「医療崩壊」が顕在化している現実もあるのだが、その深刻さは人々には届かない。この状況をよくするには、社会全体で感染対策を徹底するしかないのだが、少しくらい問題ないだろうと考える人が増え、もはや「感染爆発」まで秒読みの状態。同時に、困窮者の数も、爆発的に増えつつあるのだ。

 緊急事態宣言の深刻さを真面目に受け止める人が増えない限り、この不自由な状態は長引くことになる。そしてその裏では、声も上げられず、ひっそりと全てのことを諦めざるを得ない状況へ追い込まれる人が、続々現れ始めている。

1078チバQ:2021/02/03(水) 11:06:46
https://news.yahoo.co.jp/articles/dded716eb711efd6ab61b8ca781a9e55525de54a
路上生活者が建て替えに反発し占拠、駅前のあいりんセンター「まるで廃虚」「早く着工して」
2/3(水) 9:08配信
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(写真:読売新聞)
 大阪府や大阪市が、同市西成区で地域活性化の拠点にしようと計画している労働施設「あいりん総合センター」の建て替えが2年近くストップしている。路上生活者らが「建て替え後の具体像が示されていない」と反発して占拠を続けているためだ。府は昨年、立ち退きを求めて大阪地裁に提訴したが、路上生活者側は徹底抗戦の構えで、着地点は見えていない。
「まるで廃虚」
 関西空港に直結する新今宮駅周辺。外国人観光客を当て込んで、駅北側で星野リゾートの観光ホテル建設が進む一方、南側では、シャッターを閉めたままの「あいりん総合センター」(13階建て)が重苦しい静けさを保つ。敷地の一角では段ボールや毛布が積まれ、約30人が寝起きしている。
 「まるで廃虚。コロナが終息すればにぎわいが戻る場所なので、早く着工してほしいが……」。地元まちづくり団体の関係者がため息をついた。
 センターは1970年、府、市、国が建設。約6000平方メートルの広大な敷地に立ち、職業安定所などの労働機能のほか、病院や市営住宅が併設され、ピーク時は日雇い労働者2万人が利用した。だがバブル崩壊の求人減で路上生活者が増え、付近の治安や衛生状態は悪化した。
 その後、2012年に当時の橋下徹市長が「西成特区構想」を掲げ、建て替えを含めた見直し方針を表明。耐震性に問題があるセンターを再生し、西成活性化の核にしようと考えたのだ。
 14年から住民や有識者らで協議を重ね、病院、市営住宅は近くへの移転が決定。労働業務は別の建物に仮移転し、建て替え後の新施設に戻る案でまとまった。センターは19年4月に閉鎖され、当初は20年頃にも解体撤去し、25年に新施設が完成する予定だった。
募る不信
 ところが、路上生活者はセンター内を休息場所としても活用してきた実態があり、一部が「新施設で休息場所が失われる」などと計画に反発。建物周辺の敷地で寝泊まりを重ね、占拠するようになったため、市は解体工事の入札も実施できない状態に陥っている。

 新施設については、敷地内の南側に従来のセンター機能となる「労働エリア」を整備し、北側に多目的に利用できる「住民の福利・にぎわいエリア」を新設する方針が示されているが、規模や具体的内容は現在も検討中で、「労働機能が縮小されるのでは」との不信を招く一因ともなっている。
 市は占拠を続ける路上生活者に生活保護の受給を勧め、立ち退きを求めているが、「行政の世話にはなりたくない」などとして理解を得られていないという。

1079チバQ:2021/02/07(日) 17:40:24
https://news.yahoo.co.jp/articles/a711c97aac141f8892991acd61c86e94c612dcbe
「生きて苦しむより、死んだほうがマシ」就職氷河期世代、51歳男性の絶望
2/7(日) 11:16配信
希望しても正社員になれなかった就職氷河期世代をコロナ禍が襲っている。労働経済ジャーナリストの小林美希さんは「政府の対策は10年、20年遅い。不本意にも非正規で働いている氷河期世代は、『このままずっと非正規で働き続けるしかない』とあきらめている」という――。

■スキルを身に付けられず中年になった

 「コロナの影響でただでさえ仕事が減っているのに、年齢的に不利な私たちがどうやって正社員になれるのだろうか」

 小野明美さん(仮名、40歳)は諦め顔だ。2004年に都内の短大を卒業した明美さんは、新卒採用では事務職を希望していた。ところが当時は就職氷河期で事務職が非正規雇用に置き換わり始めた頃で、正社員の枠は少なく、エントリーしても全滅。それでもいったんは消費者金融会社に営業事務として正社員入社した。債務者に取り立て(債権回収)の連絡を入れる業務もあり、それがつらくなって入社2年目で退職した。

 「無職でいるわけにはいかない」と、学生時代に経験のあったアパレル販売のアルバイトでしのいだ。一人暮らしの生活費を稼ぐため、シフトがない時は日雇い派遣を入れるうち、本格的な再就職活動ができなくなるジレンマに陥った。そして2008年のリーマンショック。「なんのスキルもない私に正社員は一層とハードルが高くなりました」と明美さんは振り返る。

 アパレル店や飲食店で仕事を続けたが、そもそも正社員は店長など限られた人数しかいない。今はコロナでシフトが減り、いよいよ違う業界に目を向けなければ完全に職を失いそうな状況だ。明美さんは「事務職に転職しようにも経験がありません。今さら氷河期世代を支援するといっても、これから資格をとろうにも日々の生活で精いっぱい」と頭を悩ます。

■できるか?  3年間に30万人を正社員化

 国は就職氷河期の定義を「おおむね1993年卒から2004年卒。大卒でおおおむね37〜48歳、高卒で同33〜44歳」(2019年4月時点)とし、その中心層を「35〜44歳の371万人」としている。同世代は、1991年のバブル崩壊、1997年の金融不安、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどの影響を受けてきたうえ、今、コロナショックのさなかにいる。

 昨年6月に発表された支援策では、3年間で就職氷河期世代30万人を正社員に移行する目標を立てている。主な支援内容は、ハローワークに専門窓口を設置し、担当者によるキャリアコンサルティングや職業訓練などチームを組んで支援。専門窓口は全国69カ所から82カ所へ、就労・生活支援アドバイザーと就職支援コーディネーターはそれぞれ69人から82人へ、職業相談員は118人から144人体制に強化する。民間ノウハウも活用して正社員への就職につなげるが、どれも過去の施策の寄せ集めとなっている。

 目玉施策として厚生労働省がIT、建設、運輸、農業などの業界団体に委託し、「短期資格等習得コース」の講座を開講し、業界で必要な訓練と職場体験を組み合わせて正社員就職を支援する「出口一体型」を行う。建設や農業はもともと人手不足で外国人労働に頼っている業界だ。ほかにも、造船・舶用工業、内航船員、林業、自動車整備業など深刻な人手不足業界に就職氷河期世代を呼び込もうとしている。理想どおりにいけばいいが、中年層になってからのこれらの業界への転身が進むかは疑問が残る。

1080チバQ:2021/02/07(日) 17:42:53
■助成金受給や再就職に厳しいハードル

 雇用の受け皿を担ってきた飲食業や観光業が大打撃を受けるなか、国は「地域における観光産業の実務人材確保・育成事業」を掲げ、ポストコロナを見据えたワーク・ライフ・バランスの改善を図る。しかし、たとえコロナが収束したとしても観光業は他国の景気や政治状況にも左右されるため、今までインバウンドに依存してきたこと自体が危うかったと言えないか。

 帝国データバンクの「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)によれば、2月3日16時現在、全国で985件の関連倒産となっている。業種別の上位は、「飲食店」(158件)、「建設・工事業」(81件)、「ホテル・旅館」(77件)、「アパレル・小売店」(56件)という状況だ。このような厳しい状況を前提とした業界動向や収益構造のなかで正社員雇用ができるのかを問い直さなければ、国の支援策も絵に描いた餅になる。

 コロナで在宅ワークが進む中でIT業界への就職支援も強化するが、専門知識が必要だ。その場合は職業訓練を受けることになるが、受講中の収入減がネックになる。落ち着いて勉強して未経験の仕事に就けるよう、国は職業訓練受講給付金を「給付金支給単位期間」(訓練開始から1カ月ごとに区切った期間)ごとに10万円支給するというが、その要件に、①収入が8万円以下であること、②同居または生計を一つにする別居の配偶者、子、父母の世帯の収入が25万円以下であること、③世帯の金融資産が300万円以下であること――などがハードルとなって給付金を受け取りながら職業訓練を受けられないケースもある。

 また、人材ニーズがある業界は、シフト制で深夜、土日祝日の勤務があることが少なくない。子育て中はもちろん、就職氷河期世代の親は高齢で介護や日常生活のサポートが必要な場合もあり、不規則な時間帯の勤務や自宅から遠い職場で働けない事情も生じる。就職氷河期世代が中年となった今、こうした生活変化が起きやすくなっている。

 国は就職氷河期の「中心層」を35〜44歳と強調しているが、それは支援する対象者を少なく見せるもので、実際にはバブル崩壊後に社会に出た45〜49歳(2019年時点/1970〜1975年生まれ)も多く存在する。就労支援の専門家が「ただでさえ正社員採用は難しい」という45歳以上の存在を覆い隠すようなもので、本来は、より重点的に支援すべき年齢層だ。

■切り捨てられた45歳以上

 非常勤の公務員として雇用に関する部署で働く池野良太さん(仮名、51歳/2019年は49歳)も氷河期世代に当たり、「40歳くらいまでならチャンスがあるかもしれないが、45歳以降で正社員になるのは厳しい」と切実な思いを語る。

 西日本に住む良太さん。県内の正社員の有効求人倍率は1倍台であるものの、「就職氷河期世代を採用しようとする企業は、私が知る限り地元でブラックと呼ばれているとことばかり。これでは人が集まるはずがない」という。地元の大手優良企業が募集をかけると、その企業の退職者が手をあげたことで枠がすぐに埋まってしまい、氷河期世代向けの募集は取り消されてしまったという。

 自治体に公務員の氷河期世代の採用枠を作ってほしいと打診しても、「予算の都合でできない」という回答しか得られなかった。良太さんは「だったら、広報宣伝に俳優を起用する費用を削ってでも良い企業を開拓する費用に充てればいいのに。これでは、行政が『対策しました』という言い訳のための事業でしかない」と、いら立つ気持ちが抑えられない。

1081チバQ:2021/02/07(日) 17:43:46
 昨年度は、兵庫県宝塚市が就職氷河期世代を対象に正職員の採用試験を行うと、倍率が400倍超えとなって大きな反響を受けた。

 「これほど倍率の高い公務員試験になったのは、どれだけ多くの人が困っているのかを如実に表しているのだと思います。当事者としても、就職支援に関する立場としても、もっと公務員枠を増やしてほしい」

 2021年度、氷河期世代を対象にした府省の国家公務員の中途採用は157人が予定されている。各自治体でも中途採用がより進むことが期待されるが、地方公務員も年々と非正規雇用が増えているという状況だ。

 良太さんがより矛盾を感じるのは、氷河期世代を支援する年齢区分だ。良太さんは「35歳からの支援にすれば、確かに30代後半は救われるチャンスがあるだろう。この年になって畑違いのところで働くのは難しく、40代のうちとりわけ45歳以降は不利なまま取り残されてしまう」と懸念している。良太さん自身、現在の雇用は非常勤で、来年度の更新はない状態だ。正職員の求人募集を見つけては応募しているものの、決まらなければ4月から無職かもしれない。

 「昼ごはんはパン2つで出費を180円に抑える生活。明日どうやって生活しようという不安が絶えません。地方での生活には車が必要で、生活保護の申請は難しいと思います。政治はもっと本気で対策してほしい。もし仕事が決まらず路頭に迷えば、生きて苦しむよりも死を選んだほうがいい」

 緊急事態宣言下でも一人数万円もかけて会食する政治家に、良太さんら就職氷河期世代の現実は見えているのか。

■「非正規」を生まない抜本改革が必要

 大卒就職率が史上初の6割を下回った2000年からちょうど20年。

 当時、株主至上主義や自己責任論の拡大で若者の雇用問題は軽んじられ、氷河期世代の問題は置き去りにされた。第1次安倍晋三政権(2006年9月〜07年8月)で「再チャレンジ」施策が行われたが短命に終わり、2008年にリーマンショックが襲う。少なくとも就職氷河期世代がまだ30歳前後だった10年前にもっと救いの手が差し伸べられていたら、状況は好転していたのではないか。

 国が策定した「行動計画」は、既存の就職支援の焼き直しの部分が大半を占め、氷河期世代が中年となった今、通用しない面があることは否めない。コロナの打撃は計り知れず、雇用の受け皿が壊れてしまった今、他業界で働くことも視野に入れなければならない状態で、正社員化の即効性を求めることは難しい。じっくり職業訓練に取り組めるよう、氷河期世代の生活基盤を支えなければならない。

 新卒採用も徐々に厳しさを見せるなか、新たな氷河期世代を生まないためには、非正規雇用を生み出す構造そのものを変えなければならない。約20年前、1999年に労働者派遣法が改正され対象業務が拡大。2004年には派遣も含め非正規雇用の「3年ルール」ができて、企業は3年経ったら正社員にするのではなく、多くが雇い止めした。

 厚生労働省「労働者派遣事業報告書の集計結果」(2018年度)によれば、派遣労働者約123万人のうち3年が経過する見込みである人は約11万人。直接雇用の申し込みがあったのが約3万人で、実際に雇用されたのは1万4223人にとどまる。

 直接雇用を前提とする紹介予定派遣でも、実際に直接雇用されるケースは多くはない。同調査では、2018年度に紹介予定派遣で働いた派遣社員は3万6791人であるのに対し、直接雇用の紹介があった2万8120人のうち実際に直接雇用に結びついたのは1万9214人でしかないことが分かる。

 非正規雇用を生み出し、それを容認する制度を許す以上、いくら就労支援を行っても不安定な就労はなくならない。就職氷河期世代の支援は就労支援だけでなく、労働法制そのものを規制強化することが必要なのではないか。



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小林 美希(こばやし・みき)
労働経済ジャーナリスト
1975年茨城県生まれ。神戸大法学部卒業。株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年より現職。13年「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。著書に『ルポ 保育格差』など。
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労働経済ジャーナリスト 小林 美希

1082チバQ:2021/02/08(月) 19:03:02
https://news.yahoo.co.jp/articles/af681fdf536cbd075d9dd663fbb4502b26a8b302
氷河期世代にコロナの寒風 失職、再就職ままならず
2/7(日) 22:46配信
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キャリア研修で真剣なまなざしを講師に向ける参加者(手前)=1月15日、大阪市浪速区(須谷友郁撮影)
 新型コロナウイルスの影響で「就職氷河期世代」が苦境に陥っている。バブル崩壊後の厳しい経済状況のため、安定的な職業に就くことが困難だった40歳代を中心とする人たち。政府はこの世代の正規雇用を30万人増やすとの目標を令和元年に閣議決定したが、雇用環境の悪化で解雇される人も出てきた。関係者は「自信を失っていた人たちに、コロナが追い打ちをかけている」と危機感を募らせている。(加納裕子)

【グラフで見る】正社員有効求人倍率の推移

 ■派遣は真っ先に

 「書類選考で『会ってみたいな』と思う人が面接に呼ばれる。書類には自分の強みを書いて、ほかの人と差別化して」

 1月15日、大阪市浪速区で行われた氷河期世代向けのキャリア研修で、キャリアコンサルタントが真剣に語りかけた。参加者4人は深くうなずく。

 研修は厚生労働省の「不安定就労者再チャレンジ支援事業」の一環で、正社員としての就職を目指す35〜54歳が対象だ。オンラインと対面を組み合わせた2カ月間の研修の後、企業とのマッチングを行い、就職後の定着も支援する。

 大阪市内に住む40代男性は、昨年5月末に派遣会社から契約を打ち切られ、再就職先が決まらずに「わらにもすがる思いで応募した」という。それまでは派遣先でパソコンのセットアップの仕事をしていたが、昨年4月以降仕事が減り、業務が縮小されたあおりを受けた。「6月以降は失業保険で暮らしてきたが、今月で切れてしまう。派遣は真っ先に解雇されるので、正社員を目指したい」

 兵庫県伊丹市の40代女性はフリーのデザイナーとして長年働いていたが、コロナで急に仕事がなくなったといい、「正社員には保障があるがフリーにはない。有事に厳しいことを痛感し、雇用形態について考えるきっかけになった」と話す。違う職種も視野に就職活動を続けている。

 ■求人多い職種も

 氷河期世代は1990年代半ばごろからの雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った。不本意ながら非正規雇用で働いたり、就職できずに引きこもりになったりした人もいるとされる。政府は支援が必要な人を約100万人程度と推計、正規雇用者を30万人増やす目標を掲げ、令和元年に行動計画を策定。4年度までに650億円を上回る予算を投じる方針だ。

 だが計画の初年度となる今年度、コロナ禍により就職環境は悪化し、昨年8〜9月には正社員有効求人倍率(季節調整値)は0・78まで落ち込んだ。研修に参加した兵庫県内の40代女性は「昨年11月、経理事務の求人1人に4千人が応募しているのを見て『採用される気がしない』と思った」と打ち明ける。

 大阪労働局の担当者は「コロナ禍が続けば、雇用調整助成金を活用して雇用を維持している企業が倒産し、さらに状況が悪化する可能性もある」と懸念。一方で「介護や保安、建設など、人材不足で求人の多い職種もある」と強調し、ハローワークに氷河期世代向けの専門窓口を設けるなど積極的な支援を続ける。

 研修を請け負う大原学園就職支援センターの篠藤亮事業部長(60)は「不安定な雇用で長い年月を過ごし、能力があるのに下を向いてしまった人も多い。この世代の困難さに、コロナが追い打ちをかけている」と指摘する。研修の講師を務めるキャリアコンサルタントの松本英子さんは「現在の求人状況では自分がやりたい仕事ができるとはかぎらないが、過去の職種にこだわらず、変化を怖がらずに視野を広げてほしい」と強調。その上で「自分に自信を持ち、強みを見つけることが大切だ」と話している。

1083チバQ:2021/02/24(水) 00:15:04
https://news.yahoo.co.jp/articles/dd02430ad2e93ecf68ab2d579f15a5ae8955651a
【家族の貧困】非正規公務員のひどすぎる雇用の現実。“公務員”になった娘はカラカラの状態になるまで、働かされていた……
2/23(火) 19:04配信

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【家族の貧困】非正規公務員のひどすぎる雇用の現実。“公務員”になった娘はカラカラの状態になるまで、働かされていた……

取材・文/沢木文

親は「普通に育てたつもりなのに」と考えていても、子どもは「親のせいで不幸になった」ととらえる親子が増えている。本連載では、ロストジェネレーション世代(1970代〜80年代前半生まれ)のロスジェネの子どもがいる親、もしくは当事者に話を伺い、 “8050問題” へつながる家族の貧困と親子問題の根幹を探っていく。

* * *

東京都八王子市に住む秋元奈津江さん(仮名・70歳)は、35歳の娘がコロナ禍で非正規公務員を雇い止めになり、1月の緊急事態宣言後に、実家に戻ってきた。夫婦水入らずの生活と、年金と臨時収入があったときに贅沢をする生活がなくなったという。

【前編は関連記事から】

娘は1日中自室にこもっており、要介護状態だという
非正規公務員を雇い止めになった娘は、向上心が強く、厳しい条件の相談に対応すればするほど、自分が成長できるようでうれしかったという。

「給料が少なくても、自分がやりたい仕事ができている喜びと、上がっていくスキルに生きがいを感じていた。それが雇い止めになるってことは“あなたは不要です”と宣言されるようなもの。それでポキンと折れちゃった。今は一日中部屋で泣いていたり、寝たり、起きたり……2週間に1回、私と一緒に心療内科の先生のところに通っているけれど、社会復帰はまだ先でしょうね。そもそも娘にもプライドがあるでしょう。それを考えると、働ける就職先はない。まさか前期高齢者の私達が、娘の介護をするなんて思いませんでした」

娘が実家にいれば、なんだかんだとお金がかかる。それに、奈津江さんも夫も失業中だ。

「家族そろって非正規だから保証がないんです(笑)。そうやって笑っていられるのも今のうちですよね。夫は維持費がかかるクルマを手放しました。高齢者の交通事故が問題になっている背景もありましたが、やはりクルマがないと不便。終活がてら、フリマアプリでモノを売ったり、いろんなことをしていますが、働いて得るお金に比べれば微々たるもの」

2度目の緊急事態宣言が落とした生活の影は大きい。

「12月頭に、1月から飲食店の厨房で働くことが決まっていたんですが、緊急事態宣言で、その店の開店が無期延期になってしまったんです。とはいえ、切られたのではなく、待機状態なんです。“解除になったから来てください”と言われれば、行く。でも会社からは“別の就職が決まったらそれはそれでいいです”と言われている。どっちなの?って感じ」

聞けば、このことについて、何の保証もなければ、公的支援も受けていない。これは、最近話題の「実質的失業者」ではないか。

実質的失業者の存在が浮き彫りになったのは、野村総合研究所が20年12月に行った、パートやアルバイトで働く20〜59歳の女性5万5889人の就労実態の調査結果だ。ここから推計すると、仕事が5割以上減り、休業手当も受け取っていない「実質的失業者」は90万人に及ぶという。収入が大幅に減ったにも関わらず、非正規ゆえに公的な支援を受けていないので、統計上に現れなくなってしまったのだという。

1084チバQ:2021/02/24(水) 00:17:13
緊急事態宣言が明けなければ、どうにもこうにもならない
20年4月の1回目の緊急事態宣言は、仕方がないと諦められたし、企業側も余裕があった。

「私も夫も、非正規とはいえ、そこそこ大手だったから、宣言下でも満額の給料をもらえました。でもその後、社員食堂が閉鎖になり、私はクビ。夫は6月末で雇い止め。製造業も厳しいみたいです。2回目の緊急事態宣言は、私達みたいな時給で働く人を直撃したと思う。“ステイホーム”できる人は限られていますから。私達夫婦は、働けない娘を抱えているので、このままだと干上がってしまう」

娘が実家に戻ってきたのは、奈津江さんの呼びかけによるところが大きかった。

「自殺されたら困るから。私にとっては、何歳になっても心の底から愛している娘なんです。今でこそ、穏やかだけれど、夫は昔私に対して手を上げることがあって、夫から叩かれて泣いていると、“ママ、大丈夫?”って赤くなっている私の頬や背中をなでてくれた。いつも私の味方でいてくれたから、今度は私が娘の味方をしたい」

奈津江さんが夫から手を上げられていた年齢よりも、娘の現在の年齢は上だ。娘は子供を授かるどころか、結婚の気配もない。

「父親のDV、兄の無関心を見てきたし、非正規雇用で散々苦労してきたから、男性に対して失望しているんだと思います。恋愛よりも本に興味がある子だったので。私は結婚を機に、造船系の会社の事務職を寿退社しているのですが、今でもあの会社にいて、働いていたら、別の人生だったんじゃないのかな……と思います」

娘の姿を見ると、少子高齢化も仕方ないと思うと続ける。

「これだけ、非正規雇用が不当に扱われている現実を知ると、子供を作るどころか、結婚する気がなくなるんじゃないかな。娘の同級生を見ていても、結婚している人は本当に少ない。子供がいる人はさらに少なく、ちょっとヤンチャだった子だけが、親になっている。非正規が増えれば増えるほど、子供は生まれなくなると思いますよ。コロナになって、それまで“人手不足”と言われていた問題がなくなり、娘がプレッシャーを感じなくなって、よかったとは思いますが」

奈津江さんは、死ぬまで娘を支え続けたいけれど、先立つもの……つまりお金はどんどん減っていく。貯金が尽きる恐怖を感じながら、今日も就職活動をするのだという。

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

サライ.jp

1085チバQ:2021/03/04(木) 13:15:50
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20210304-00225645/
「性風俗を辞めて生活保護を受ける」新型コロナ禍を契機に新しい人生を歩み始める若年女性たちの闘い
藤田孝典 | NPO法人ほっとプラス理事 聖学院大学心理福祉学部客員准教授

3/4(木) 6:02
緊急事態宣言再延長で限界に近づく性風俗店に従事する女性たち
3月3日、菅首相が4都県を対象に緊急事態宣言再延長を検討していると発表された。
今回も2週間程度の営業自粛、行動自粛要請となりそうだ。人々の行動、経済活動にも更なる影響が出るだろう。

昨年からずっと深刻なダメージを受けている飲食店、宿泊、観光、その他サービス業には大きな影響が続いている。
これらの産業は、以前から非正規女性労働者を大量に受け入れているだけでなく、低賃金など不安定な処遇であることも特徴である。
なかには、いわゆる「夜職」という性風俗店などにも勤務しながら、生計を立てたり、子育てをしているひとり親世帯も珍しくない。

日経新聞が「2020年の自殺者数はリーマン・ショック後の09年以来、11年ぶりの増加に転じた。前年比750人増(3.7%増)の2万919人(速報値)で、女性や若年層の増加が目立つ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済的な困窮や外出自粛によるストレスなどが影響したと考えられる。」と報じている通り、女性を生活困窮が襲い、自死にも追い詰めている。

新型コロナ禍によって、もともと相談が多かったところ、今年1月から続く緊急事態宣言によって、主に女性たちからの相談が未だかつてないほどに急増している。
筆者は社会福祉士という相談援助の国家資格を持ち、約20年ほど生活相談を受けてきたが、経験上、これまでにないほど若年女性からの相談が多い。


毎日、筆者はTwitterなどSNSを活用して、生活相談を受け続けているが、少ない日でも20件程度、多い日だと100件を超える相談がある。そのほとんどは10〜30代の若年女性だ。

1086チバQ:2021/03/04(木) 13:16:16
「どうにもならない」と語る若い女性相談者たち
若年女性が相談に来られて話すことは「もうどうにもならない」ということである。

例えば、東京に住む20代女性は派遣社員として、複数の飲食店を経営する企業の経理を担当していたが、新型コロナ禍で仕事に入れる日が減少し続けた。
仕事は一応少ないながらあるので、新型コロナの終息を願いながら、一時的な収入減少を補う方法として、銀行のカードローン、クレジットカードのリボ払いなどで、生活費を工面してきた。
しかし、長期間続く新型コロナ禍によって、家賃滞納もあり、生活福祉資金も借りて生活してきたが「もうどうにもならない」ということで、自己破産手続きと生活保護申請を先月おこなった。

埼玉県に住む20代女性は、夫と2年前に離婚し、保育園に通う子どもを一人で育てている。飲食店でのパートで働いてきたが、生活が苦しく、離婚直後から土日だけ性風俗店で収入を得てきた。
しかし、昨年から新型コロナ禍で、パートの仕事もなくなり、土日の性風俗店も「お茶をひく」(お客が来ない意味)ことがほとんどの日々となった。
貯蓄もすぐに底をつき、子どもを連れて心中も考えたというが、相談に結びついて先月から生活保護受給に至っている。
困窮女性たちと生活保護制度
これまで若年女性が生活保護に頼ることは多くなかった。我慢させ続けてきたのである。
福祉課に頼っても、「若いんだから働きなさい」「夜の仕事でも何でもあるでしょう」「好きな男性いないの?結婚したらいいのに」「家族がいるでしょう。まずは家族に頼りなさい」などと言われ、生活保護は受給できないという相談も相変わらず多い。

以下のTwitterでの相談者の体験談は珍しいことではない。これが福祉の現実である。






当然、生活保護は仕事ができる状態であっても、仕事先がなかったり、仕事探しに困難が伴えば、受給可能である。
親族による扶養は保護に優先するが、扶養義務が果たせない事情があれば、保護申請上は何ら問題がない。
そもそも本人が生活保護を受けたいと申請意思を示せば、申請書を記載させるなどして審査を開始する義務が福祉事務所にはある。

それにも関わらず、福祉事務所は違法、不当に、年齢や稼働能力、親族扶養を理由にして、保護申請を拒絶してきた過去があるということだ。
性風俗に追いやってきた福祉に抗議して変革する若年女性たち
それゆえに、過去の困窮女性たちは誰にも頼れず、自分の身体を危険に晒しながら、性風俗店で病気や障害を抱えながら働いたり、死に物狂いで日銭を稼ぐために売春せざるを得ない環境に追いやられることになる。
援助交際、パパ活などマイルドな言葉で、売春や性の商品化が進んでいるが、そうしなければ生きられない福祉制度のずさんな実態が今でもある。

それに抗議を始め「生きさせろ」「もういい加減に生活保護を受けさせろ」という声が当事者から上がり始めている。
筆者ら福祉専門職も微力ながら、彼女らの生活保護申請に同行する取り組みを続けている。
申請に同行する理由は、常態化している福祉課による違法、不当な行為をその場で牽制、是正するためだ。


これら当事者の体験談は、SNS時代なので、一気に社会に拡散されていく。
若いから、働けるから、家族がいるから、などを理由に福祉課で保護申請をさせてもらえなかった女性たちが赤裸々に実態を語り、その声が同じ境遇にある女性たちに響く。
それによって、勇気づけられた女性や保護申請できるのかと理解した女性たちが福祉課の窓口に殺到し始めている。


虐げられてきた女性が生活保護受給し、保護費を原資に新しい仕事を探し始めたり、新しい人生をどう生きようかと模索する姿が新型コロナ禍で増えていることは希望の一つだ。



世界各地では、10〜30代の若年層、いわゆるZ世代、ジェネレーション・レフトと呼ばれる年代の若者たちが旧来の社会システム、政治システムに転換を迫る行動が活発化している。

社会福祉、生活保護の分野でも、困ったら生活保護を一時的に受けたらいいじゃないか、保護を受けることは何も恥ずかしいことではない、生活保護は生きるための権利だ、と従来の社会規範、市民意識を根本から変える原動力になっている。

若年層の言動は、とても頼もしいことであるし、これら勇気ある情報発信によって、社会や福祉制度をよりよく変えていくために大きな貢献をしてくれている。

もうこれ以上無理に働くことも、心身を酷使して生きる必要もない。
一時的に生活保護を受けようよ、という当事者の女性たちの語りはとても心強いし、これからも一緒に歩んでいきたいものだ。

いま苦しくて困っているのはあなただけではない。
仲間がたくさんいるから、遠慮なく相談してほしい。

1087とはずがたり:2021/03/15(月) 21:15:14

ママ友、母から男児の葬儀代も搾取か 福岡5歳児餓死
3/5(金) 10:46配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/3617f7a16ccf1b03ed2516f6b18242407e2a401f
毎日新聞

 福岡県篠栗(ささぐり)町で5歳男児を餓死させたとして母親と知人女性が逮捕された事件で、知人の赤堀恵美子容疑者(48)が2020年4月の男児死亡後も母親の碇(いかり)利恵容疑者(39)から生活費を搾取していたことが、捜査関係者への取材で判明した。搾取された生活費には公的扶助として支給された男児の葬儀代約20万円も含まれていたとみられ、県警は碇容疑者が男児の死後も赤堀容疑者を信頼し続け、要求されるままに金を渡していたとみて調べる。

 碇、赤堀両容疑者は、19年8月ごろから碇容疑者の三男の翔士郎(しょうじろう)ちゃんの食事の量や回数を減らし、20年4月18日に餓死させた疑いで今月2日、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。

 捜査関係者によると、両容疑者は16年4月ごろ、子供たちが篠栗町内の同じ幼稚園に通う「ママ友」として知り合った。しかし、碇容疑者は次第に赤堀容疑者の言いなりになり、貯金を取り崩すなどして多額の生活費を渡すようになった。19年5月には夫が浮気しているという赤堀容疑者のうそを信じ、離婚。翔士郎ちゃんと小学生の兄2人との生活が苦しくなると19年9月に生活保護を申請した。

 関係者によると、碇容疑者は、19年10月から翔士郎ちゃんが死亡する20年4月までの7カ月間で生活保護や児童扶養手当などに加え、家賃滞納による強制退居で支給される臨時の引っ越し費用など計約230万円の公的扶助を受給。同5月には事後払いの約20万円の葬儀代を含む50万円以上が口座に振り込まれた。

 しかし、これら収入の大半は、元夫に慰謝料を求める裁判や浮気調査の費用という名目で赤堀容疑者がだまし取ったとみられ、碇容疑者の手元に生活費はほとんど残らず、ガスが止められるほどだった。

 捜査関係者によると、赤堀容疑者は「(元夫に慰謝料を請求した)裁判で勝つためには質素な暮らしをしないといけない」などと言って19年8月ごろから碇容疑者と子供たちに過酷な食事制限を指示。一家は赤堀容疑者が時折差し入れる米やパン、菓子などを分け合ったが、翔士郎ちゃんは10日間水しか与えられないこともあったという。

 県警は、翔士郎ちゃんの死亡時の体重が平均の半分の10キロほどしかないなど不審な点があったことから捜査に着手。碇容疑者は20年6月以降に事情聴取を受けて初めて元夫の浮気調査や裁判が赤堀容疑者のでっち上げだったと知り、調べに対し「だまされた。絶対に許せない。(翔士郎ちゃんを)守ってやりたかった」と話したという。【浅野孝仁、中里顕】

1088名無しさん:2021/03/16(火) 18:49:20
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7e34f4bd047b9f1d19055aaa4aa605ceb03aa61
菅首相、低所得子育て世帯に5万円給付表明
3/16(火) 9:01配信
共同通信
 菅義偉首相は16日、生活困窮者らへの緊急支援策を取りまとめる関係閣僚会議で「未来を担う子どもたちを第一に考え、ひとり親や所得が低い子育て世帯に対し、子ども1人当たり5万円を給付する」と表明した。

1089名無しさん:2021/03/23(火) 06:16:14
https://news.yahoo.co.jp/articles/a271441c2f5421dc6c8c72258a9542e86b44f514
最低賃金、全国平均1000円早期に目指す=菅首相
3/22(月) 19:40配信
ロイター
[東京 22日 ロイター] - 菅義偉首相は22日の経済財政諮問会議で、賃上げの勢いを中小企業にも広げ、「非正規労働者の処遇改善といった構造的課題にも答えを出すため、最低賃金をより早期に全国平均1000円とすることを目指す」と強調した。今夏にも取りまとめる骨太の方針策定時までに議論する。

また、菅首相は「東京と地方の人の流れが23年ぶりに、7カ月連続で転出超過となった。このような動きを加速し日本全体を活性化し、大企業の人材を地方の中小企業に派遣するために、政府のファンドを通じて金融機関や商社などから、早期に1万人規模の人材をリストアップする」と述べた。「人材を自治体に派遣し、地元の企業を支援する仕組みも始める」という。

  *キャプションを修正しました

(竹本能文)

1090名無しさん:2021/03/30(火) 19:18:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/01bc8c09a59a7982823b8359744336c3491e55b0
生活保護"支給額引き下げ"訴訟…減額取り消しの「請求棄却」判決 札幌地裁
3/29(月) 14:08配信
北海道ニュースUHB
 国が生活保護費の支給額を引き下げたのは生存権を認めた憲法に違反するとして、北海道の受給者らが処分の取り消しを求めた裁判で札幌地裁は3月29日、原告の請求を棄却しました。

 この裁判は、国が2013年から2015年にかけて、生活保護受給者への支給額を物価の下落率などを考慮するなどし、光熱費や食費などの「生活扶助費」の基準額を最大で10%引き下げたことの妥当性を争っているものです。

 原告側は基準額を算定する起点を物価が上がっていた2008年にしたことが、その後下落率が大きくなるため合理的な根拠を欠くことや、生活保護世帯があまり購入しないパソコンやAV機器を指数に用いたことが実態とかけ離れているなどと主張しています。

 判決で札幌地裁の武部知子裁判長は、基準の改定による引き下げは、厚労相に「専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権がある」と指摘。

 その上で、「生活保護が租税を財源として実施されるものであり、基準の改定による財政効果がどのようなものになるかを試算することは不可避と言える。国の財政事情を踏まえた自民党の政策の影響を受けたものであったとしても、直ちに裁量権の範囲の逸脱又は乱用があるとはいえない」としました。

 原告の主張していたデフレ調整の計算方法の是非については「統計学上正当性を欠くとはいえないし、不合理であったと認められない」としました。

 さらに「処分決定後の原告らの生活が最低限度の水準を下回っているとまでは認められない」などとして生活保護法にも憲法にも違反しないとし、原告の訴えを退けました。

 国の削減額は総額670億円にのぼり、全国各地で受給者らが健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法25条に違反するなどとして、引き下げの取り消しや国に慰謝料を求める裁判を起こしています。

 北海道でも131人が国の決定に沿って扶助額を引き下げた札幌、小樽、岩見沢、江別、苫小牧の5市や北海道を訴えていました。

 原告側は、「司法の責任を放棄した不当判決」などとして控訴する方針を示しています。

 判決を聞いた原告からは、「悔しいし、怒りの気持ち。食べているから大丈夫ではない。1品じゃなく2品料理を食べて栄養をしっかりとる。健康に生きたい。しっかり私たちの生活の内容を見てほしかった」、「電化製品を私たちは新品で買えない。訴えたのにわかってもらえなかった」などと話し、悔しさをにじませました。

 この裁判は札幌を含め全国30か所で起こされ、判決の言い渡しはこれで3例目。2月に大阪地裁は違法と判断し減額決定を取り消していて、判断が分かれています。

UHB 北海道文化放送

1091とはずがたり:2021/04/01(木) 19:45:24
食事支援を再延長 貧困家庭の子ども救済へ米国農務省
2021年03月21日
https://www.agrinews.co.jp/p53779.html

 米国農務省(USDA)は、貧困家庭の子どもに無料の食事を提供する支援事業を再延長する。新型コロナウイルス禍の支援策として6月まで予定していたが、食料不安を抱える子どもがますます増え、9月まで延長する。関連事業として農家の余剰作物の買い上げも並行して進めており、好評を得ている。

 同事業は2020年2月に開始。18歳以下の子どもは、学校、公園、地域のコミュニティーセンター、図書館、教会などで食事を無料で受け取れるのが特徴だ。実施期間を21年6月30日までとしていたが、食料不安に直面する子どもの増加を受け、9月30日まで延長する。

 USDAによると、現在国内で約1200万人の18歳以下の子どもが食料不安に直面している。トム・ビルサック農務長官は「子どもが家族の経済状況に関係なく、健康的で栄養価の高い食事をできるようにするために、できる限りのことをする」と話す。

 関連事業として、農家が生産した農産物の余剰分を買い上げ、全国の自治体や学校組織と連携し、地場産農産物を使った食事提供を進めている。新型コロナ禍の影響で農産物の売り先を失った、農家の救済措置としても好評だ。

1092とはずがたり:2021/04/12(月) 14:54:50

人権問題でもあるなあ

孤立防げ、無戸籍の女性餓死 大阪・高石市が1万2000世帯訪問へ
https://mainichi.jp/articles/20210219/k00/00m/040/049000c
毎日新聞 2021/2/19 10:13(最終更新 2/19 10:13) 有料記事 597文字

 無戸籍の高齢女性が餓死した問題を受け、大阪府高石市は18日、学校や高齢者施設などの公的機関と接点がない約1万2000世帯を、4月以降に戸別訪問すると発表した。困窮した高齢者らが支援を受けず孤立するのを防ぐ狙いで、2021年度当初予算案に3000万円を計上した。市によると、全国的にも珍しい取り組みという。

 高石市内の住宅では20年9月、高齢女性が餓死し、同居の息子も衰弱しているのが見つかった。女性は戦災孤児で戸籍を持たず、息子は出生届が出されず小中学校にも通っていなかったという。

1093とはずがたり:2021/04/18(日) 19:47:40

2020-05-24
【最終話】私が釜ヶ崎から去った理由
https://kamakyou.hatenablog.com/entry/2020/05/24/191558

2016-11-17
#1 女子大学院生、大阪・釜ヶ崎へ行く。
https://kamakyou.hatenablog.com/entry/2016/11/17/043153

1094チバQ:2021/04/21(水) 21:49:23
https://www.tokyo-np.co.jp/article/91961?rct=shinjuku_k
貧困の形 コロナで多様化<新宿共助>
2021年3月17日 06時30分
◆新宿共助 食品配布の会場から
 男性が頭を抱えてスーツケースに座っている。しゃがみ込んだまま震えている女性は、何におびえているのだろうか。寄り添い合う若いカップルもいる。
 六日午後一時過ぎ。都庁前の通路に蛇行した長い列ができた。支援団体「新宿ごはんプラス」が毎週土曜日に無料で配る食品を受け取りに来た人たちだ。二度目の緊急事態宣言が出てから急増した。この日は、三百八人が並んだ。二〇一四年七月に活動が始まってからの最多記録となった。
 記者の私は、ここに一九年九月から通っている。
 今日、明日の食事に困る人たちから生の声を聞き、仕事に生かしたいと思ったからだ。スタッフやボランティアの学生らと一緒になって袋に詰めた弁当やパンを手渡したり、机やいすを並べて相談を聞いたりしてきた。
 しばらくは路上生活者や高齢者ばかりだった。ほとんどは男性。一日に並ぶのは六十〜八十人といったところ。それが、新型コロナの感染拡大で激変した。外見だけでは生活困窮者とは分からない若者や女性が姿を見せる。並ぶ人の表情も日に日に険しくなる。
● ● ●
 「仕事が全然なくなった。首をくくっちゃうよ」
 昨年四月ごろ、スマートフォンに公衆電話から着信があった。出ると、食品配布の会場で会った男性(39)からだ。建築現場で六年ほど派遣労働をしてきたが、コロナの影響で収入が三分の一になったという。悩みをもっと聞きたかったが、テレホンカードの残額がなくなったのか、電話は話の途中で切れた。
 コロナ禍で何が起きているのか。行列に並ぶ人たちに、これまで以上に真剣に話を聞くようにした。「ここに来た経緯を教えてください」「初めての利用ですか」。多くの人たちからは「話せる状態じゃない」「あんたに話して何になる」と拒絶された。あっちへ行けとばかり手を振られたこともある。
 十一月、食品配布の会場の前に工事現場で見るような三角コーンが登場した。都が、庁舎の敷地の範囲が分かるようにと置いたものだ。閉庁日の土曜日、あたりの人通りは少ない。誰かに迷惑をかけているようにはとても見えないのに、どうしてこんなことをするのだろう。無神経に感じた。
 新宿ごはんプラスの共同代表、大西連さんは「これでは、自分たちは排除される存在なのかと思う人が出るかもしれない」と話し、利用者の一人も「嫌がらせのようだ」と嘆いた。
● ● ●
 今年一月、列のなかに若い男性の姿を見つけた。二十八歳。歌舞伎町で五年前から経営していた居酒屋を昨年十一月に畳んだ。「夜の街」と呼ばれてイメージの悪化した繁華街は、GoToキャンペーンの期間中も客足は戻らなかった。「従業員には申し訳ない。感染症対策も経済対策も中途半端で、国には期待していない」。小さく声を振り絞った。 (中村真暁)
 ◇ 
 さまざまな背景の人々が集まる多様性の街に、困窮者の命をつなぐ食品の配布会場がある。貧困の現場を知ろうと、一年半前から通い続ける記者が、この場所にたどり着いた人たちの声を伝える。 (随時掲載)

<中村真暁(なかむら・まあき)>
石川県津幡町生まれ。2009年入社。富山支局、北陸本社経済部などを経て2017年から社会部。主に都内の街ダネを担当。台東区と荒川区にまたがり、生活困窮者が多く暮らす山谷地域での取材活動をきっかけに、貧困問題に関心を持つ。2020年貧困ジャーナリズム賞受賞。

1095チバQ:2021/04/21(水) 21:50:34
https://www.tokyo-np.co.jp/article/95358?rct=shinjuku_k
「もう2日間、何も食べていない…」コロナ禍で命綱求め集う人々 若者や女性も増え<新宿共助>
2021年4月2日 07時30分
 新型コロナウイルスによる二度目の緊急事態宣言が全面解除され初めての週末となった三月二十七日、にぎわっていたのは行楽客が集まる観光地だけではなかった。東京都新宿区の都庁前。生活困窮者の支援団体「新宿ごはんプラス」が開く無料の食品配布会場では、年齢もいでたちもさまざまな男女が長い列を作った。 (中村真暁)

 毎週土曜日に都庁前の通路が会場となる、困窮者向けの食品配布と暮らしのための相談会には、コロナ禍で仕事を失い、助けを求める人たちが増えている。
 キャップ姿の男性に声を掛けた。三十二歳で、派遣で運送会社の仕事をしてきたが、コロナの影響で、一カ月前に契約を打ち切られてしまったという。
 「会社の寮を退去させられ、友人の家やネットカフェを転々としてきましたが所持金が尽きて、今は三百円しかありません。もう二日間、何も食べていません」
 新宿の食品配布会のことをネットで知り、直前まで寝泊まりしていた江東区の個室ビデオ店から歩いてきた。パンとバナナ、ミニトマト、焼き鳥の缶詰、魚肉ソーセージ、シリアルバーなど栄養価の高い食品をたくさん受け取り、男性は「命綱です」と喜んだ。
 新宿ごはんプラスによると、この日の利用者は三百人。今年三月に入り三百人を超えるようになった。コロナ禍の前は一日の利用者は六十〜八十人ほどで、スタッフとは顔なじみの路上生活者や年配の男性が多かったが様子が変わった。
 若者や女性が増えた。
 大学生の袴谷(はかまや)直輝さん(24)が、携帯電話の料金が払えなくなった人のために設置した無料Wi-Fiの案内をしていた。ボランティア初日だった。「一目では困っているようには分からない人がいた」と意外そうに話した。同じくボランティアスタッフの会社員雨田春香さん(39)も「(コロナ禍で)自分が経済的な影響を受けなかった分、何かしなければと思っている」と、真剣な表情で話した。
 記者の私は、貧困問題を考える手だてにしようと二〇一九年九月から、この場所に通い、集まった人たちの話を聞き続けている。

1096チバQ:2021/04/21(水) 21:50:52
◆「先のこと全く考えられない」 コロナ拡大後、増え続ける利用者

「仕事がなくなり、首をくくっちゃうよ」。毎週土曜日、無料の食品が配られる東京都庁前の通路を訪れる人は、新型コロナウイルスの感染が広がった昨年三月下旬に百人を超えた後、右肩上がりが続く。利用者の表情も日に日に険しくなる。
 昨年四月の緊急事態宣言でネットカフェの休業が相次いだ。支援者団体の炊き出しも感染防止を理由に多くが中止に。居場所をなくした上、数日間、何も食べていないという人が増えた。
 「野宿するしかなくなった」。現場で悲鳴のような声を聞いた。一人一人の声にもっと真剣に耳を傾けなければいけないと思った。
 「ここに来た経緯を教えてください」。都知事選の告示を五日後に控えた昨年六月十三日、野宿生活をしている男性(58)に話を聞いた。「自業自得ですよ。先のことなんて、全く考えられない」と投げやりだった。
 この男性は四国出身。二十六歳で上京し、建築関係の日雇い仕事をしてきた。「路上とネットカフェの生活を繰り返し、もう三十年。頼れる人はいない」。以前、生活保護を利用したが、六畳一間をベニヤ板で仕切っただけの相部屋だった。「自分から出ましたよ。保護費から多額の利用料を引かれる『貧困ビジネス』でしたからね」
 転々としたため住民票がどこにあるのか分からない。十万円の特別定額給付金は受け取れていない。「ホームレスは後回しでしょう。だからもう、無理です」。大きなリュックを背負い、立ち去った。
 無料の食品を受け取る人たちが並ぶ場所に十一月、赤い三角コーンが登場した。都が、都庁の敷地の範囲を示すために置いたものだ。
 利用者からは「嫌がらせのようだ」「みんな歩きにくくなるのに、なぜ置くんだろう」と疑問の声が上がった。新宿ごはんプラスの大西連(れん)共同代表は「自分たちは排除される存在なのだと受け止めた人や、中止と思って帰った人がいたかもしれない」と嘆いた。
 コーンは本紙が報道後、置かれなくなった。理由について都は「コーンにぶつかる事故を未然に防ぐため」だった。
 二度目の緊急事態宣言が出た今年一月以降は、利用者が二百人台に急増した。三月十三日、文庫本を読みながら並んでいた新宿区の男性(62)は初めての利用だった。
 「六年間勤めた社員食堂の料理人を一月に辞めたばかり。ちょうど、都内の感染者が千人を超えていたころだね」
 シフトや収入が減り、若い同僚が辞めようとしているのを見て、たまらなくなった。「嫌な時代でも、続けていればなんとかなるでしょ。将来がある人が辞めちゃいけないよって、代わりにね」
 妻とは離婚し、子どもも遠い土地にいる。所持金が底をつき、最近、生活保護の利用を始めた。「政治家には他の人の立場に立ってほしいね。それができているようには見えないから」

1097チバQ:2021/04/21(水) 21:51:23
https://www.tokyo-np.co.jp/article/96761?rct=shinjuku_k
思い出が詰まった歌舞伎町で、またホストをしたい<新宿共助>
2021年4月9日 07時14分
◆新宿共助 食品配布の会場から
 二度目の緊急事態宣言の解除から三日後の三月二十四日、夜のとばりが降りたばかりの歌舞伎町で三十七歳の元ホストに取材した。「人とのつながりをくれた街。ここで、またホストをしたい」
 愛媛県出身。高校卒業後に上京した。「二十一歳のときホストになりました。経済的に自立して彼女を支えるためでした。それが、ホストになったらふられてしまいました」
 ホストは辞めた。以前から憧れていたボクサーを目指し、二十六歳でプロ資格を取得した。デビュー戦の会場は歌舞伎町だった。ホストクラブ時代の同僚や客ら知り合いが四十人も詰めかける中、見事、勝利を飾った。
 二十九歳のとき。元彼女が結婚したと知り、急に気持ちが冷めた。「この年になっても生活が安定してない。ダッセーと思った」。街から姿を消したくなり、愛媛県に戻った。
 実家で外出もせず、自室に引きこもる毎日。心配したホストクラブの元同僚が様子を見に来た。「話を聞いてくれて、また来いよって言ってくれた」。再びホストをやろうと思い、一昨年七月に上京した。だが年齢が壁になったのか、なかなか採用してもらえない。昨年三月、やっと働き始めることができたがタイミングが最悪だった。すぐに、緊急事態宣言が出た。
 「客が減り、売り上げに貢献できない情けなさや申し訳なさ、不条理さでいっぱいになり、店は六月上旬に辞めました。それから仕事は探していますが、まだ見つかっていません」
 都庁前の食品配布会場で彼に初めて会ったのは、一月二十三日。寒さの厳しい日に、スマートな黒のスラックス姿が目立っていた。ホストクラブの仕事をするつもりだったから、スーツ以外の服は一着しか持っていない。アパートでは、光熱費を節約するためシャワーを水で済ませている。
 「ボクシングで鍛えてきたから、一人でいるさみしさも耐えられる。ただ、朝起きて生きているだけなら、自分なんていなくてもいいんじゃないのかなって思うこともあるんです」 (中村真暁)

1098チバQ:2021/04/28(水) 22:47:41
https://news.yahoo.co.jp/articles/f3510a7710c5b5abca4aa3f830ca900330c50c5b
ホームレス、全国3824人 過去最少、最多は大阪 厚労省
4/28(水) 17:00配信

時事通信
 厚生労働省は28日、2021年1月時点で全国のホームレスの人数が3824人(前年同期比4.2%減)だったと発表した。

 03年の調査開始以降、最少となった。自治体による生活困窮者向けの自立支援策などに一定の効果があったとみられる。

 内訳は、男性3510人、女性197人、性別不明117人。都道府県別では、大阪が990人と最多で、東京が862人、神奈川が687人と続いた。東京23区と政令市で全体の8割弱を占めた。

 調査は、すべての市区町村で実施。自治体職員らが公園や路上などを巡回し目視で確認した。

1099チバQ:2021/05/05(水) 17:23:49
https://toyokeizai.net/articles/-/425660?utm_source=Twitter&utm_medium=social&utm_campaign=auto
51歳女性「年収200万の正社員」までの険しい道
コロナ禍で「ピッキング」の仕事がなくなった
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中村 淳彦 : ノンフィクションライター
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2021/05/04 9:00

この連載では、女性、とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、「コロナで派遣の仕事がなくなり、現在は施設警備の仕事をしています。でもキツいわりに給料が安く、毎日しんどいです」と編集部にメールをくれた51歳の女性だ。
コロナ禍で派遣の仕事がなくなった
三たび緊急事態宣言が発出されて、都内は街灯以外が消灯した。人の流れを抑制することで経済活動が鈍化し、まず生活に直撃するのは非正規で働く末端の労働者たちだ。ため息をついていたところ、山崎美恵さん(仮名、51歳)からSOSとも読めるメッセージがきた。

「コロナで派遣の仕事がなくなり、現在は施設警備の仕事をしています。でもキツいわりに給料が安く、毎日しんどいです。父親と折り合いが悪く、実家にも帰れません。バツイチ子持ちですが、子どもは自立していて頼りたくありません。年齢、体力的にしんどいことが多く、家で泣いてしまうことも。情けない限りです。持病があり、病院代もありますし、生活はキツキツです。お恥ずかしながら薄給のため、交通費も出せず、遠くには行けません」


この連載の一覧はこちら
美恵さんは、千葉県在住。持っているお金は数百円しかなく、定期券で行ける場所までしか行けないという。

シングルマザーだった美恵さんは、ずっと大手ECサイトの倉庫でピッキングや梱包する派遣労働者だった。コロナによって失業し、あらゆる非正規やパート労働を断られた果てに、昨年5月にようやく施設警備の仕事を見つけている。

「もうずっと収入が低くてボロボロです。コロナの時期に倉庫の仕事がなくなって、ほかの仕事もまったく見つからなかった。最終的に行政に貧困や就労の相談に乗ってもらって、ようやく警備の仕事が見つかって生き延びています。17年前、子どもが10歳のときに離婚して、元夫に養育費を踏み倒されました。それからずっと徹底的に貧しい。普通の暮らしはしたことがありません」

使い古した量産型格安ブランドの春物コートに身を包み、ボロボロのスニーカーを履いていた。お金がないことは見た目でわかった。彼女は賃金があまりに安いことで普通の暮らしができない典型的な非正規労働者だった。

「ピッキングの仕事のお給料は手取り12万円くらい。週4日とか5日やってそれくらい。交通費がでないので2、3万円は交通費です。最寄駅までバスを使って40分かかる団地に住んでいて、バスも1時間に1本とか2本しかない。始業は8時、朝4時に起きて5時12分の始発のバスに乗って通勤です。それで幕張本郷か海浜幕張駅から派遣会社が用意したバスに乗って、海沿いの倉庫に行くんです」

ピッキングとは企業の巨大な倉庫から品物を集める仕事で、企業が派遣会社に依頼して派遣労働者が従事する。労働条件は悪く、最低賃金に近い日当で社会保険は当然、交通費もでなかった。手取り12万円の賃金で交通費がでないと、生活保護の最低生活費並みの収入となる。

「時給は900円くらい。数年間続けたので最終的に1100円まで上がりました。当時は労働者派遣法が改正されてなくて交通費はでません。それで最低賃金に近い時給だったので、本当に苦しかった。ピッキングの仕事をはじめたのは43歳から。その年齢になると普通の仕事はなくて、コンビニもファミレスも断られます。派遣の仕事しかないんです」

1100チバQ:2021/05/05(水) 17:24:21
ずっと前から40代の女性からよく聞くのは「(コンビニ、スーパーなど)パートの面接に落ちる」ということ。人によっては何十件も落ちることもあるという。40歳を一線にして最低賃金に近い仕事でも、相手から選別される立場になるようだ。

美恵さんを含む派遣社員は、長年時給に交通費が含まれる労働条件で働いた。働き方改革で正規、非正規の格差が問題視され、同一労働同一賃金が進み、昨年4月に労働者派遣法が改正された。法改正によって派遣社員にも交通費が支払われるようになった。

「派遣社員は駅からバスで倉庫に運ばれて、言われたままピッキングの仕事をします。東京ドーム何個ぶんかの倉庫をずっと歩く。一日中、端から端まで歩く。終業時間まで延々。持病もあるし、年齢的にもツライ。お昼は食堂もあるけど、みんなお金がないからスーパーのおにぎりとかカップラーメン。お湯のでるところに並んで食べます。栄養のこととか考えたことないです。そんな余裕はなかったです」

コロナ禍で仕事は「週1」に
始発のバスに乗って集合の最寄り駅へ行く、派遣会社が用意するバスに乗って海沿いの倉庫に運ばれ、延々と商品を集める単純労働。派遣労働者に暴言や罵声を浴びせる担当者も多い。ポチるだけで商品が届く便利な社会になり、わかっていたことだが、改めて現場の話を聞くとなかなか過酷だ。そして交通費込み時給900円台、日給7000円台前半の最低賃金に近い報酬が振り込まれる。

派遣労働者は派遣会社に登録、電話かインターネットサイトから仕事の予約をいれる。ECサイトはコロナによる悪影響はなかったはずだが、美恵さんは昨年2月から思うように働くことができなくなった。毎日、黙々と単純労働するだけの派遣労働者には情報も人間関係もなく、どうして働けなくなったのか彼女にはわからない。

「ずっと週5日予約を入れてました。コロナの前は希望通り働けていたけど、コロナ禍になってから入れなくなった。週5日が4日になって3日になった。最終的には週1日に。月収にすると4万円とか。生活ができないどころか、生きていけません。ほかの場所を探して仕事があっても、大網とか館山とか、とても通えないところ」



非正規社員や派遣社員は、企業にとっては雇用の調整弁だ。有事が起こったときに真っ先に非正規や派遣の雇用を切って調整する。人手が足りなくなれば、膨大にある派遣会社に依頼すればいいだけ。支えてもらっているはずの労働者の生活は、企業は知ったことではないという立場になる。

家賃が収入によって変動する市営団地に住んでいる。実際に家賃1万4000円と安い。そのおかげで低賃金でもなんとか生きてこれたが、収入が4万円では家賃と光熱費ですべてなくなる。美恵さんはこのままでは餓死してしまうと恐怖にかられ、必死になって仕事を探した。


働ける場所は派遣しかなかったと話す美恵さん(編集部撮影)
「何件かのコンビニ、スーパー、喫茶店、あとファミレス、漫画喫茶に応募したけど、全部落とされました。たぶん、年齢が理由。働ける場所は本当に派遣しかなくて、派遣で仕事がないとどうにもなりません。最終的には食べ物は買えないし、交通費もなくて仕事もいけない、電気が止められて携帯の充電もできないみたいな状態に。どうにもならなくなって、ずっと折り合いが悪かった父親に、頭を下げてお金を借りました」

コロナ禍となった昨年3月〜4月、どれだけ応募しても最低賃金のパートすら決まらなかった。死も想定にはいってきて就労支援センターに相談、その場で警備の仕事を薦められた。現在は大学の施設警備をしている。

「いまも低賃金で手取り1日7000円くらいだけど、正社員です。すごく苦しいけど、なんとか生きていけています。こんなことになったのは、やっぱり女だからだと思う。離婚したシングルマザーで夫に養育費を踏み倒されたら、もうどうにもならない。死ねって言われているようなもの。普通に生きてきたはずなのに、自分が本当に無価値な人間だって嫌というほど思い知らされました」

先日、世界経済フォーラムが男女格差を測るジェンダーギャップ指数が発表された。日本は156カ国中120位と低スコアだった。相変わらず国際的に男性優位社会であると認められた。彼女は女性、中年、ひとり親と複数のマイナス要因を抱える。始発に乗って出勤して精一杯働いても、普通の暮らしもできない。そんな状況がずっと続けば「死ねと言われているようなもの」と思うのは無理はない。

1101チバQ:2021/05/05(水) 17:24:55
ある日突然、夫が帰ってこなくなった
彼女は地元の商業高校を卒業し、専門学校に進学。新卒で地元の中堅企業に入社している。入社してすぐ3歳上の同僚と社内恋愛し、21歳で結婚。寿退社して23歳のときに長男、27歳で長女が生まれた。

「33歳まで普通の家庭で収入も悪くなかった。ある日、突然夫が帰ってこなくなった。出会い系で知り合った女にハマった。いつもは19時には仕事から帰ってきたのが、帰ってこなくなった。次の日になっても帰ってこない。すぐに浮気と思いました。帰ってこない理由は、それしかないって」

夫は家にまったく帰ってこなくなった。家族は夫の親の持ち家に住んでいて、家賃はかからなかったが生活費がなくなった。小学生と幼稚園の小さな子どもが2人もいる。自分の親も、相手の両親も頼れない。途方に暮れた。


「専業主婦だったので収入が途絶えました。突然無収入です。働いても次の月じゃないと給料がでない。うちの親に子どもたちの食費って名目で借りて、幼稚園の園長先生の家に朝一番で子どもを預けてホテルで働きました。それで一番最後17時半くらいに娘を引き取って、みたいな。一番最初に預けて、一番最後に迎えに行ってました」

ベッドメイクの就労収入は手取り12万円ほど。それに子ども手当。家賃がなかったので、なんとか生活することはできた。

「まったく帰ってこなくなった夫と離婚ってなったのは、出て行ってから3年後です。離婚届のハンコを押しにも帰ってこなかった。離婚してないから児童扶養手当はもらえないし、本当に厳しい。やっと離婚ってなったとき長女が18歳になるまで、毎月5万円の養育費を振り込むという約束を書面で交わしました。届けを役所に提出したのが6月。養育費は7月、8月は払われたけど、9月から入ってこなくなった。連絡がとれない。電話もでない、メールも返ってこない。着信拒否されて、どういうことって」

相手の親に連絡すると、2回ほど肩代わりしてくれたが、すぐに払えないと言われた。家も出て行ってほしいと言われ、現在の団地に引っ越した。

「この頃は本当に苦しくて、悔しくて泣きました。子どもたちが眠ってから泣きっぱなし。ベッドメイクの仕事では2人は育てられない。長男は親に引き取ってもらって、ずっと実家で暮らしています。奨学金で大学に行って就職しました。長女も高校からバイトしながら専門学校で保育士資格をとって家をでました。それで働いても、働いても、まだ普通の暮らしができない私が残った感じです」

「女がそんな仕事してかわいそうに」
美恵さんは結婚し、子どもを生み、朝早く起きて働きながら子どもを育てた。でも苦しい、ずっと苦しい。いったい、なにが問題だったのだろうか。

「シングルマザーに優しい社会であってほしい。いまは別れた相手から養育費を強制的にとれるようになったみたいだけど、そういうことをもっと早くしてほしかった。給料差し押さえとか、徹底的にできるようにならないと、残されたひとり親の女は生きていけないです。世間では養育費を払っている男性が偉いみたいな風潮。とんずらして逃げ得みたいな男性が多すぎる」

いまは警備会社で勤務する。警備の仕事は男社会だ。居心地が悪く、働きづらい部分もある。男性が多い職場に女性が入ると、同僚や上司にマウンティングされ、パワハラを受けがちだ。そのような風景は容易に想像がつく。

「あと男性だから女性だからって言わないでほしい。女だからダメだってめちゃ言われる。女の警備員はダメとか。同僚の男性とか通行人とか。通りすがりのおじいちゃんとかおばあちゃんに、女がそんな仕事してかわいそうにとか。男とか女とか、仕事ができていれば関係ないじゃないですか。女のくせにって言ってくる人がたくさんいて、お前はダメだ、女だからダメだって何度言われたかわからない」

正社員になった今も年収200万円を超えるか微妙だ。餓死することは回避できたが、働いても苦しい低賃金は変わらない。そして、男性たちにパワハラされる悩みが増えた。ずっと社会の底辺近い場所で働く美恵さんは「これだけ男女平等って言われているのに、現実は全然違う」と言っていた。

1102チバQ:2021/05/06(木) 15:28:42
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad297efe5283eff25c1dce0d68116cf63b096e33
「コロナ感染でクビ」30歳男性が怯える理由
5/6(木) 10:01配信

児童養護施設で育ち、社会を独りで生き抜いてきたヒカルさん。コロナ感染を理由に解雇され、仕事も住まいも失った(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

28歳男性が東京で「ホームレス」に転落したワケ

■コロナ感染を理由にクビ

 新型コロナウイルスに感染してから1週間。ヒカルさん(仮名、30歳)は隔離された都内のホテルのベッドで天井を見つめていた。熱は39度。枕もとの携帯電話がなった。職場の上司からだ。そろそろかかってくるころだと思っていた。予想通り、上司は淡々と用件を告げた。
 「こういう状況なんで、今月末いっぱいで終わりということでいいかな。社員証とか保険証は後で郵便で送ってくれればいいから」

 ある大手チェーン系列のホテルで、契約社員として働いていたヒカルさんは今年1月、コロナ感染を理由にクビを切られた。療養中に上司からかかってきた解雇を伝える電話はものの2、3分で終わったという。ヒカルさんから特に質問も反論もしなかったからだ。

 「別の同僚も同じ理由でクビになっていたので。上司からの電話だとわかった瞬間、解雇の連絡なんだろうなと思いました。解雇は違法?  そうなんですか……。でも仕方ないです。昔から頼る人もいないので」
 2月なかば、コロナからは順調に回復したものの、収入が途絶えたことで家賃が払えなくなった。住まいは家賃5万8000円のシェアハウス。ホテル勤務時代の毎月の収入は手取り13万円ほどで、貯金をする余裕はなかった。ヒカルさんは自ら不動産会社に連絡し「来月の家賃が払えないので、2月いっぱいで退去します」と申し出たのだという。

 一般的に裁判などで住まいからの強制退去が認められるのは、家賃滞納が3カ月を超えた場合だ。大家側にとっては一定のリスクを強いられる基準とはいえ、借主側にとって住まいを失うことは即命の危険にさらされかねない事態である。昨今は家賃滞納に対して厳しい自己責任バッシングが向けられがちだが、借主側の弱い立場を考えると「滞納3カ月」は妥当な落としどころであろう。ましてややむをえない事情で滞納しそうになったからといって、自ら退去を申し出る必要は、本来はないのだ。私がそう指摘すると、ヒカルさんは「だって大家さんに申し訳ないじゃないですか」と言う。

 取材中、ヒカルさんは何度も「周囲に迷惑をかけたくないんです」と繰り返した。その考え方自体は立派かもしれない。ただ、周囲に迷惑をかけることと、法律や判例で認められた権利を行使することは別だと、私は思う。ヒカルさんは自らの考えを貫いた結果、仕事も住まいも失った。

 ヒカルさんは「他人は信用できないから頼れない」「人に何かを主張したり、求めたりという行為自体が嫌」とも言っていた。こうした価値観は、もしかすると自身の生い立ちとも関係があるのかもしれない。

1103チバQ:2021/05/06(木) 15:29:09
 ヒカルさんは児童相談所内にある施設と児童養護施設で育った。両親と暮らした記憶はない。施設に預けられることになった理由や経緯も知らないという。

 おぼろげに覚えているのは幼少時、自傷行為を繰り返しては病院に運ばれたこと。病院から児童相談所に戻ると、外鍵の付いた部屋に「閉じ込められた」。日々の記憶がはっきりと残っているのは、児童養護施設に移った小学校高学年からだという。

 周囲との摩擦を嫌う温厚なヒカルさんが児童養護施設時代、最も忌み嫌ったのは、誕生日に職員たちから「おめでとう」と言われることだった。自分など生まれてこないほうがよかったと思っていたからなのか、それとも施設を退去させられる18歳が近づいてくることのどこがおめでたいのかという反発心があったからなのか、理由は自分でもよくわからない。ただ、「おめでとう」と言われるたびに、抑えがたい負の感情がわいてきたという。
 「両親のことは戸籍謄本を取り寄せればわかると、聞いています。でも、両親のことを考えるだけで疲れ果ててしまうんです」とヒカルさんは話す。

■上智や立教に行きたかった

 学校の成績は優秀だった。塾など通ったことはなかったが、高校時代の数学は全国模試で全国トップ10に入る水準。ただ家庭環境にもよるが、家族や親族がいなかったり、音信不通だったりする場合、児童養護施設出身者が大学や専門学校に進むことはほぼ不可能である。奨学金を借りるのに必要な連帯保証人がいないからだ。ヒカルさんも大学進学は諦めた。

 「本当は上智や立教に行きたかった。記念にセンター試験だけは受けたんです。自己採点したら、希望する大学にはだいたい行ける点数でした」

 家族など頼れる人のいない児童養護施設出身者にとっての苦難は施設を出た後に始まる。まず賃貸アパートを借りることができない。連帯保証人や緊急連絡先を用意できないからだ。また身元保証人がいないので、就職活動もほかの学生らと比べて極めて不利だ。

 このため、中には施設退所後すぐに生活保護を利用する人もいる。また特に女性の場合、住み込みの風俗店で働き始めるケースも珍しくない。いずれにしても、児童養護施設の出身者たちは社会人生活スタートの時点から、一般的な家庭で育った人たちとは比べ物にならない苛烈なサバイバルを強いられるのだ。
 ヒカルさんの場合はどうだったのだろうか。ヒカルさんは高校時代からコンビニなどでアルバイトをして100万円ほど貯金をためた。しかし、賃貸アパートを借りるにあって、やはり壁にぶつかった。「携帯を2台用意しました」。元からささやくような話し方だったヒカルさんがさらに声を潜めて教えてくれた。

 要は、緊急連絡先に架空の名前と連絡先を記載し、自分がその人物になりすましたのだという。違法行為である。しかし、そうでもしないとアパートを借りられないのだ。私は、児童養護施設出身者へのアフターケアの絶望的なまでの乏しさについて考えさせられた。

1104チバQ:2021/05/06(木) 15:30:32
■正社員として採用されたが…

 ヒカルさんは施設退所後に就職活動をしたが、当時は折あしくリーマンショックの直後。なんとかインターネット関連の会社に正社員として採用されたものの、週の半分は会社に泊まり込まなければノルマを果たせない長時間労働を強いられた。やむなく数年で退職。その後は京都や熱海などの観光地にあるホテルで派遣労働者として働き始めた。住まいは派遣会社が用意した寮。いわゆるリゾート派遣である。
 まじめな働きぶりが評価され、たびたび「正社員にならないか」と声をかけられたという。しかし、ヒカルさんはいずれも断った。理由は「正社員になると責任が生じるから」。私に言わせれば、非正規労働者にも責任はあるし、昨今では非正規労働者が責任あるポストを担わされたり、過重労働を強いられたりすることも珍しくない。ただ雇用の現場を取材していると、「責任が生じるから正社員にはならない」と話す20代、30代の若者が少なくないのは事実である。

 いわゆる“名ばかり正社員”など、正社員のメリットがなくなりつつあることが原因のひとつではあるのだろうが、私には「正社員=責任」というロジックがいまひとつ謎だ。いずれにしてもその後引き抜かれる形で、契約社員として転職したのが、コロナ解雇に遭った大手チェーン系列のホテルだった。

 取材中、一貫して口が重く、表情も乏しかったヒカルさんが唯一生き生きとした姿を見せた瞬間がある。それは、児童養護施設出身者に対するアフターケアの必要性について語ったときだ。すでに施設出身者らでつくるグループLINEを立ち上げたり、自治体議員と連絡をとったりして、社会に向けて何かしらの発信をするための準備を進めているという。

1105チバQ:2021/05/06(木) 15:31:08
 具体的な支援としては、進学や就職、部屋を借りる際に不利にならない制度づくりは必須。そして何よりも「なんでも相談できるところが必要です」とヒカルさんは訴える。

 「専門的な知識や資格を持った人をそろえただけではダメです。施設で育った人たちは施設のことを話したがりません。いい思い出がないですから。だからまずは何時間でも、何日でも、ただ話し相手になる、ただ一緒にご飯を食べる、そんなふうに向き合ってくれる人が必要です」。そうした相談体制の実現が可能かどうかは別にして、施設出身者ならではの切実でリアルな指摘である。
■生活保護の利用を知られたくない

 週末の東京・池袋。ヒカルさんへの取材を終え、2人で駅に向かう交差点を渡っていたときのことだ。

 4月に入り、ヒカルさんはある市民団体に支援を求め、前日に生活保護の申請を終えたばかりだと聞いていた。だから私は何気なく申請は滞りなく終わったのかと質問した。すると、ヒカルさんが私への返答そっちのけで、行きかう人々の視線におびえるようにして身をすくめた。

 もしかして――、と私が声を潜めて尋ねる。「生活保護を利用していることを周りに知られたくないのですか?」。ヒカルさんが答える声はさらに小さかった。「そりゃあそうですよ。今だって本当は(生活保護を)受けようかどうしようか、まだ迷っているんですから」。

 私は、生活保護の利用は憲法で認められた権利なのだから、後ろめたいことでも、恥ずかしいことでもないと伝えた。ましてやヒカルさんは児童養護施設退所後、独りで生き抜き、悪質なコロナ解雇に遭ったのだ。自己責任うんぬんという話をするなら、ヒカルさんに責任は1ミリもない。

 しかし、ヒカルさんは頼むからこんな路上で生活保護の話題なんかを持ち出さないでほしいと、視線で訴えてくる。そして再びつぶやいた。「周りに迷惑をかけたくないんです」。私は「生活保護を利用することは迷惑ではない」という言葉を飲み込んだ。 
 「助けてほしい」と言えない若者が増えたといわれて久しい。自己責任論の内面化はいったいいつまで続くのか。

 生活保護という言葉に立ちすくむヒカルさん。「自分より下の世代に自分と同じ思いはさせたくない」。そう言って、児童養護施設退所後の支援の必要性について堂々と主張していた姿は、そこにはなかった。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 :ジャーナリスト

1106チバQ:2021/05/06(木) 15:32:26
 具体的な支援としては、進学や就職、部屋を借りる際に不利にならない制度づくりは必須。そして何よりも「なんでも相談できるところが必要です」とヒカルさんは訴える。

 「専門的な知識や資格を持った人をそろえただけではダメです。施設で育った人たちは施設のことを話したがりません。いい思い出がないですから。だからまずは何時間でも、何日でも、ただ話し相手になる、ただ一緒にご飯を食べる、そんなふうに向き合ってくれる人が必要です」。そうした相談体制の実現が可能かどうかは別にして、施設出身者ならではの切実でリアルな指摘である。
■生活保護の利用を知られたくない

 週末の東京・池袋。ヒカルさんへの取材を終え、2人で駅に向かう交差点を渡っていたときのことだ。

 4月に入り、ヒカルさんはある市民団体に支援を求め、前日に生活保護の申請を終えたばかりだと聞いていた。だから私は何気なく申請は滞りなく終わったのかと質問した。すると、ヒカルさんが私への返答そっちのけで、行きかう人々の視線におびえるようにして身をすくめた。

 もしかして――、と私が声を潜めて尋ねる。「生活保護を利用していることを周りに知られたくないのですか?」。ヒカルさんが答える声はさらに小さかった。「そりゃあそうですよ。今だって本当は(生活保護を)受けようかどうしようか、まだ迷っているんですから」。

 私は、生活保護の利用は憲法で認められた権利なのだから、後ろめたいことでも、恥ずかしいことでもないと伝えた。ましてやヒカルさんは児童養護施設退所後、独りで生き抜き、悪質なコロナ解雇に遭ったのだ。自己責任うんぬんという話をするなら、ヒカルさんに責任は1ミリもない。

 しかし、ヒカルさんは頼むからこんな路上で生活保護の話題なんかを持ち出さないでほしいと、視線で訴えてくる。そして再びつぶやいた。「周りに迷惑をかけたくないんです」。私は「生活保護を利用することは迷惑ではない」という言葉を飲み込んだ。 
 「助けてほしい」と言えない若者が増えたといわれて久しい。自己責任論の内面化はいったいいつまで続くのか。

 生活保護という言葉に立ちすくむヒカルさん。「自分より下の世代に自分と同じ思いはさせたくない」。そう言って、児童養護施設退所後の支援の必要性について堂々と主張していた姿は、そこにはなかった。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 :ジャーナリスト

1107チバQ:2021/05/07(金) 23:39:10
https://news.yahoo.co.jp/articles/525f9764e51bf71843dc4417108a6a537259c1c5「“異質で迷惑”と見られて…」コロナ解雇で所持金42円、30歳ホームレスの重い言葉
5/7(金) 10:21配信

西日本新聞
NPO法人「美野島めぐみの家」の炊き出しで食事を受け取る男性(左)=4月27日、福岡市博多区(写真の一部を加工しています)

 新型コロナウイルス禍が続き、経済的打撃が長期化したことで、雇用が不安定な非正規労働者にしわ寄せがきている。政府は「自分ができることは自分で」と強調し、今日の生活さえままならない人たちが置き去りにされている。職を失い、生活困窮に陥る人も増える中、憲法が保障する生存権とどう向き合えばいいのか-。

 4月27日正午、NPO法人「美野島めぐみの家」が福岡市博多区の教会で行った炊き出しには106人が訪れた。うち、ホームレスは57人。高齢者が目立つ中、若い男性の姿もあった。

 男性(30)は派遣切りに遭い3月下旬にホームレスになった。この日の所持金は42円。カレーライスをおかわりし、笑みがこぼれた。「本当に助かる。支えてくれるのは国ではなく、人のぬくもりだと感じます」

 派遣社員として2年半、福岡県内の倉庫で食料品を仕分ける仕事をしていた。巣ごもり需要もあって忙しく「コロナの影響はないと思っていた」。ところが、3月初め、職場でコロナ感染者が出て休業し、そのまま解雇された。4月の家賃が払えなくなり家を出た。

 料金滞納でスマートフォンは通話ができなくなり、連絡先が必要な日雇いの仕事に就けなかった。公園で寝泊まりし、値引きのパンを買って空腹をしのいだ。すがる思いで無料Wi-Fiに接続したスマホで「お金がなくても何とか食べていける方法」と検索。生活保護を知った。

 区役所では「住居を探して」と言われ、不動産業者から炊き出しを教わった。家が決まるまで約3週間、4月30日に保護費を受け取った。家賃を除くと約7万4千円。光熱費や日用品をそろえるとぎりぎりだが、「やっと布団でゆっくり休める」と胸をなで下ろす。

 ただ、割り切れない思いは拭えない。「一生懸命働いていたのに、コロナのせいで仕事がなくなった。家が見つからないと生活保護も受けられない。最低限度の生活を保障されているなんて全く思えません」
  ◇   ◇ 

 自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う。その上で、政府がセーフティーネットでお守りする

 昨年10月、菅義偉首相の就任後初の所信表明演説。野党や困窮者を支援する人から「公助よりまずは自助を求め、自己責任を強要している」と批判された。

 厚生労働省によると、全国のホームレスは3824人(1月現在)で、2003年の調査開始以来最少。福岡県は268人(前年同期は260人)だった。

 一方、「めぐみの家」の炊き出しの参加者は増加傾向で、今年に入り100人を超える日もある。コロナで職を失った30〜40代もいるという。瀬戸紀子理事長(76)は「既に困っているホームレスにできる自助って一体何なのか。特に孤立しやすいコロナ禍に自助ばかり強調するのはとても突き放した発言に聞こえた」と違和感を口にする。

    ◇   ◇ 

 憲法は生存権の実現を国に求めている。熊本大の大日方信春教授(憲法学)は「コロナ禍のような緊急時こそ、国の役割が問われる」と指摘する。

 菅首相は1月、国会で生活困窮者対策を問われた際に「最終的には生活保護という仕組みもある」と答弁した。厚労省によると、生活保護は申請から受給までは2週間〜1カ月程度かかる。大日方教授は手続きを簡素化し、行使しやすい環境をつくるのも「国の責務」と言う。

 「第4波」の到来で終息は見通せず、自助頼みの日々が続く。「ホームレスの自分は周囲から“異質で迷惑な存在”と見られ、なかなか助けてもらえなかった。コロナが長引き、自分と同じ境遇の人が増えたとき、国は手を差し伸べてくれるでしょうか」。苦境を経験した男性の言葉は重い。 (金沢皓介、小林稔子)

1108とはずがたり:2021/05/08(土) 16:43:25
ひとり親児童の10%超が体重減も 肉、魚「買えなかった」が5割以上 NPOがコロナ禍の影響調査
https://www.tokyo-np.co.jp/article/102780
2021年5月7日 20時30分

 新型コロナウイルス感染拡大の長期化が、ひとり親世帯の家計や健康面をより困難な状況に追い込んでいることがNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)と立教大の湯沢直美教授(社会福祉学)らの調査で明らかになった。育ち盛りの小学生の体重が減る傾向などが表れ「子どもたちの生活、成長、学びに人々の想像を超える多大な影響がある」と公的支援の充実を求めている。(編集委員・上坂修子)

1109チバQ:2021/06/01(火) 20:51:54
https://www.tokyo-np.co.jp/article/107080?rct=t_news
大阪に、はよ帰りたい<新宿共助>
2021年5月28日 07時17
◆新宿共助 食品配布の会場から
 背筋が伸びた姿勢のよい男性が目に入った。年齢を聞くと七十九歳。若々しい見た目の印象を告げると「鍛えてきたからね。今も毎日、朝と晩に腕立て伏せを三十回ずつしている」。
 都内に出ていた二度目の緊急事態宣言が解除されてからまもない四月十日、都庁前の食品配布会場で出会った男性に、寝泊まりしている高架下の段ボールハウスを案内してもらった。寝袋、靴、衣服が見えた。荷物は警備員に注意されるたび移動しているという。
● ● ●
 半年前、仕事を探して大阪から来た。「上野駅で寝ていたら携帯電話、財布、ロッカーの鍵が入った荷物を盗まれた。生活保護を申請し、施設に入ったが保護費から利用料などを差し引くと手元には月三千円しか残らなかった」。一月から野宿生活を再び始めた。
● ● ●
 大阪府出身。父が大衆演劇の劇団を率いていた。全国巡業のため、小中学校時代は十日ごとに転校する生活だった。自らも七歳のころから歌と踊りを教えられ、役者の道に進んだ。
 四十歳のころ、覚醒剤に手を出した。「副作用のせいか歯が抜け、せりふを話せなくなって劇団をやめた」。最近は旅館などで働いていたがコロナの影響で仕事がなくなった。
 五月に入り、再び男性を訪ねた。高齢者を対象に始まったワクチン接種をどうしているか気になったからだが「住所が無いからダメでしょ?」と逆に聞き返された。
 国は住まいのない人からのワクチン接種の相談に応じるよう自治体に連絡しているが、男性は「自分はワクチンがなくても大丈夫だと思うよ」と相談に行く気はない。仕事さえあれば、友だちもいる大阪に早く帰りたい。「年も年やしね。コロナは、はよ、終わってほしい」 (中村真暁)=随時掲載分

1110チバQ:2021/06/02(水) 20:07:26
https://mainichi.jp/articles/20210528/k00/00m/040/238000c?inb=ys
「五輪やってる場合か」広がる貧困 炊き出しの列、過去10年で最多
イチオシ 木許はるみ
社会

速報
毎日新聞 2021/5/29 10:00(最終更新 5/29 10:00) 有料記事 4235文字
 体重は17キロ減り、所持金は10円を切った。寝る場所はネットカフェから路上になった--。新型コロナウイルスの影響が長引く中、仕事を失うなどした人たちの生活がますます追い込まれている。東京・池袋の公園で支援団体が続けている「炊き出し」に集まった人数は今年に入ってさらに増えて過去10年で最多となり、リーマン・ショック(2008年)直後の水準に迫っている。苦境に耐えきれず、初めて支援を受ける人が目立つという。最近、路上で暮らすようになった男性(62)もその一人だ。緊急事態宣言下で、飲食店の清掃の仕事は2カ月近くない。「もう、もたない……」。宣言の延長が決まり、男性は絶望したように声を落とした。【木許はるみ/デジタル報道センター】

初めての炊き出し 1日1食で体重が17キロ減
 「こういうところ、来たことなかったんだ。会場のそばまで来ても、(恥ずかしくて)なかなか入れなかった。でも、さっきあいさつした人が『いいから』『いいから』って言ってくださって」。5月22日午後7時、池袋駅東口の公園。生活困窮者の支援を行うNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が約1時間の「炊き出し」を終え、片づけをしていた。炊き出しといっても、今は感染対策のため、個別包装された食料を配っている。公園の隅で、配られたパック入りのカレーを手にたたずむ小柄な男性がいた。紺色のジャンパーに同じ色のキャップ帽。記者が話しかけると、親しみやすい口調でここ数カ月の生活を語ってくれた。

 男性が初めて食料支援を受けたのは今年2月だった。公園から少し離れた場所から様子をうかがっていたところ、てのはしの支援者に声をかけられ、食事を受け取ることができたという。男性は取材中もその支援者を見つけると、帽子を取って、深くお辞儀をしていた。

 「あれからもう3、4カ月になるのか。冬はまだ日が短くて暗かったけど、今は明るいでしょう。だからこうやって帽子をかぶっている。やっぱりまだだめなんだね、羞恥心があるんだよね」。顔を隠すように帽子を目深にかぶり直し、こう続けた。「1日1食が続き、ここ1年で体重は17キロ減ったんです。そんな生活に慣れてしまいました」

子供の存在が励み コロナで転落
 男性は約10年前に離婚し、東京都内のアパートで1人暮らしを始めた。離婚のきっかけは、男性が知人の借金の連帯保証人になっていたために、持ち家などの財産を差し押さえられたことだった。かわいがっていた2人の子供とも離れざるを得なかったが、時々レンタカーを借りて息子や娘の家の近くまで行き、元気な姿をそっと見ることが唯一の楽しみだった。「子供たちが独立して立派に暮らしていることだけが励みで」と表情を緩める。

 一人になってからは、不動産業などを経てトラックの運転手になり、全国を回った。仕事で家を留守にすることが多かったため、アパートを引き払い、ネットカフェやホテルで生活するように。更新時期の勘違いから運転免許が失効して以降は、荷物の仕分けや飲食店の清掃で生計を立ててきた。

 男性は振り返る。「コロナの前は週に5日働いて、月収15万円くらいはあったんです。食うには困りませんでした」。新型コロナの感染が拡大した昨年春以降、徐々に仕事がなくなり、仕事は週に2回、月収は4万円にまで落ち込んだ。

 「それでも、12月まではまだよかったんです。…

1111チバQ:2021/06/04(金) 10:14:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/2160def088880d76a82ed06c3b424d54d5a22f48
退職で食費切りつめたら「ママ食べないなら僕も」…ひとり親、悲痛な声
6/4(金) 7:04配信
読売新聞オンライン
ひとり親家庭に送られる物資の在庫状況を確認する遠野理事長(郡山市で)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、シングルマザーなどのひとり親世帯が生活苦を強いられている。食料品などを届けているNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島」(郡山市)に寄せられた悲痛な声は、この1年間で前年の5倍となった。非正規雇用の親も多く、同法人は切れ目ない支援の必要性を訴える。(佐野泰

 「掛け持ちしていた飲食店、ホテルの仕事がなくなりアルバイト勤務となったが、こちらもシフトが削られた。月の収入は10万円ほどで食べ盛りの子どもに十分な食事が与えられない」

 「雇い止めに遭い生活は苦しくなるばかり。電気、ガス、水道全て止められて風呂にも入れない」

 同法人には、深刻な相談が次々と寄せられている。支援物資の申込件数も2019年度は約200件だったが、20年度は約1000件と5倍に跳ね上がった。今年4月は約60件、5月も約100件とハイペースが続く。

 同法人理事長の遠野馨さん(51)によると、ひとり親の女性は、多くが子育てと仕事を1人で背負っており、時間に拘束されにくい非正規雇用を選ぶ傾向にあるという。このため、雇い先が業績不振に陥れば「調整弁」として職を失いやすいと指摘する。同法人では、できる限りの支援をしているが、活動資金となる企業や個人からの寄付は減少。遠野さんは「寄付は先細りとなっていて、いつまで支援を続けられるかが心配」と不安を口にする。

 県によると、県内のひとり親世帯は2万941世帯(昨年6月時点)で、うち7割の約1万5000世帯が児童扶養手当を受給する。コロナ禍に入り、低所得の子育て世帯に向けて、子ども1人あたり5万円の特別給付金が支給されるなどしている。ただ、遠野さんは「年金暮らしの親と同居していると合算の収入により支給されないなど、幅広く救済できる仕組みにはなっていない。地域の実情に応じて誰も取りこぼさない支援制度を設計してほしい」としている。

 中通り地方の町で小学校低学年の息子と2人で暮らす40歳代の女性は、昨夏まで保険会社の営業として働いていた。だが、コロナ禍で訪問先から「もう来ないでくれ」と断られるなど仕事がうまくいかなくなり、退職に追い込まれた。今も無職のままだ。

 元夫から養育費などの支援はなく、今年3月で雇用保険の受給期間は切れた。児童扶養手当などで生活しており、「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島」から月1回届く米やレトルト食品、お菓子などの支援物資は助かっている。

 以前は息子だけにおかずを用意し、自分はご飯だけという食事もあったが「ママが食べないなら僕も食べない」と言い出したため、一緒におかずもとるようにしている。買い物を減らして光熱費も節約し、何とか家賃を滞納せずにいるが、これからも払い続けていけるか不安を感じている。

 県社会福祉協議会の離職者向け生活資金貸し付け制度を希望するが「手続きを地元社協で行わなければならず困っている。狭い町で職員に知り合いもいて、申請が知られてしまうのが怖い。県で直接申し込めればいいのだが……」と話す。

1112チバQ:2021/07/05(月) 22:31:07
https://news.yahoo.co.jp/articles/935e00f003e45d50cf20a194ad5ba0afa8368d7a
100円台の弁当買い…月給4万円に減、食を削る女性 生活保護は「連絡がいくから嫌」
7/1(木) 10:49配信

西日本新聞
携帯電話で新型コロナウイルス禍の支援を調べる50代女性。生活保護を受給する気にはなれない

 スーパーに行くと、値引きで100円台になった弁当を5、6個買う。冷凍しておき、食事時に解凍して口に運ぶ。ご飯は硬い部分も。「これで数日はもちますから。おいしくないですけど…」。福岡県内の50代女性は苦笑いした。


 女性は独身で1人暮らし。新型コロナウイルス禍で、パート先の飲食店が昨年春から秋まで休みになった。職場から出た休業手当は月2万〜3万円台だった。

 再開後も出勤は週1、2回。月給は平均4万円に減った。複数の医療機関に通うためお金がかかる。食を削り、体重は5キロ減った。

 困窮する人の家賃を公費で補助する制度や、公的な貸し付けで切り抜けてきたが、借り入れはいずれ返済を迫られる。仕事を掛け持ちしようにも見つからない。

 どうするか-。生活保護は扶養照会があるから避けている。「親族に連絡がいくから嫌です。一番知られたくないのが身内なのに」

      ◇◆◇

 家族に問い合わせがいくことを恐れて生活保護を受けない実態は、支援団体の調査でも浮かび上がった。

 路上生活者らを支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」は昨年の大みそかから今年1月3日までの4日間、相談会に訪れた人にアンケートを実施した。回答した165人のうち、受給していない128人に理由を聞くと、「家族に知られるのが嫌だから」が34・4%で最も多かった。

 法人は1月中旬、本人の承諾なしに家族に連絡しないよう求める署名活動を始め、3週間ほどで約5万8千人分が集まった。稲葉剛代表理事は「受給は高度なプライバシーであり、親族に漏らすのは自己決定権の侵害だ。今の仕組みが残る以上、生活保護は権利とは言えない」と指摘する。


 そもそも身内に問い合わせても、助けにつながることは極めて少ない。厚生労働省の2017年の調査では、扶養照会した約3万8千件のうち、金銭的な援助ができると答えたのは1%台の約600件にとどまる。

 自治体職員も実務に疑問を感じている。新潟大の中村健准教授(公的扶助論)が今年2月、福祉事務所の現役職員80人から回答を得た調査では、扶養照会を「やめた方がいい」「対象を配偶者などに狭めるべき」が53%を占めた。残る47%は「現行通りでいい」としたが、緊急連絡先の把握や本人の心の支えになるから、との理由が大半だった。

 中村准教授は昨年3月まで新潟市職員として生活保護業務に15年間就いた。「扶養照会で成果を得るのは金脈を掘り当てるようなもの。受給をためらうデメリットとてんびんにかけると、生存権を守ることの方が重要だ」。本人が拒むケースや、親族の助けを期待できない場合は控えるのが望ましいと指摘した。

1113チバQ:2021/07/05(月) 22:31:34
    ◇◆◇

 なぜ家族への連絡が徹底されるのか。背景には、法解釈のぶれや現場への周知不足がありそうだ。

 生活保護法は、父母や配偶者といった扶養義務者の扶助が、受給に優先して行われるものとする-と定める。ただ、厚労省はこの意味を「家族や親族から金銭的な援助があれば収入として取り扱う、ということ」と捉えている。身内の支えがあるかは受給の要件ではなく、判定にも影響しない。家族に相談してからでないと申請を受け付けないのは誤りで、扶養照会を一律に実施する義務はないという。

 一方、法の実施要領には、厚労省の見解と矛盾していると取られかねない記述がある。要保護者に扶養義務者がいれば、支援を求めるよう本人を指導すること-。各種団体が「誤解を招く」と批判する表記だ。

 さらに、制度の最前線で働く福祉事務所の職員が厚労省の監査官から指摘され、扶養照会を厳密にする傾向もあるという。

 中村准教授は「国の姿勢にぶれがあり、現場が混乱している面はある。一方で厚労省は生活保護の改善点を自治体に聞き、集まった意見に沿った通知を出すこともある。自治体も効果的な住民サービスを自分たちがつくる、という姿勢が必要だろう」と考える。

 今年1月の参院予算委員会。困窮者対策を問われた菅義偉首相は「最終的には生活保護という仕組みもある」と答えた。「それなら使いやすい制度にして」-。行き詰まった人はそう訴えている。 (編集委員・河野賢治)

扶養照会の緩和
 厚生労働省はこれまで扶養照会をしない例として、扶養義務者が社会福祉施設に入所▽長期間入院▽未成年者や70歳以上▽本人への家庭内暴力や虐待がある▽本人と音信不通が20年間続いている-などを挙げていた。これを今年2月、音信不通を20年から10年程度に▽交流が断絶しているかどうかにかかわらず縁が切れて著しく関係が悪い-などの場合も必要ないと例示した。3月には、本人が連絡を拒むときは特に丁寧に聞き取りし、支援の可能性がある家族や親族にだけ問い合わせる、との考えを示した。

1114チバQ:2021/07/26(月) 10:51:48
https://www.tokyo-np.co.jp/article/119239
生活困窮者「東京五輪は遠い世界」 食料支援に長い列 東京・豊島<ルポ コロナ禍のオリンピック>
2021年7月25日 21時00分
 新型コロナウイルス禍で仕事や住まいを失った人にとって、東京五輪は「遠い世界」だ。開会式翌日の24日夜、東京都豊島区の公園では、困窮者を支援するNPO法人「TENOHASI」が行った食料配布に、400人近くが列を作った。同法人によると、派遣切りなどが相次いだリーマン・ショック後の2009年に次ぐ人数だった。(中村真暁)

◆貯蓄切り崩して生活
 「勤めていた飲食店は閉まりました。新しいバイト先も見つかりにくいです」。90代の父親を介護しながら貯蓄を切り崩して生活している板橋区の男性(58)が、声を落とした。
 23日の開会式は、家事をしながら、つけていたテレビでたまたま見た。「都内の新規感染者が2000人に近い日もあり、五輪は必要ない。政府は他にすべきことがあると思います」
 路上生活をする男性(60)は、居場所がない人にホテルを提供する都の事業を利用していたが、4度目の緊急事態宣言が発令された12日に期限を迎え、退室させられたという。五輪について問われると「そういえば、そろそろかなと思っていました。自分とは遠い話題で、関心はないですね」とつぶやいた。
 同法人は03年から、主に池袋周辺で食料配布などの支援活動を続けている。リーマン・ショック翌年の09年5月の食糧配布には462人、同9月は435人が訪れた。
◆ワクチン接種も遠く
 24日は衣料品の配布や生活相談のほか、認定NPO法人「世界の医療団」(港区)も、住まいがないなどの理由でワクチン接種券が届かない人らの実態調査をしていた。5月の同様の調査では、「接種したい」と答えた人の3割が接種券を受け取れない状況だった。
 住まいがない人らのワクチン接種について、国は各自治体に対し、窓口に来るなど相談があった場合は接種券を発行するよう求める通知を出したが、現状では自治体側の対応が追いついていない。
 同法人の武石晶子さん(42)は、豊島区と具体的な接種方法の協議を重ねてきたとし、「誰もが享受できるはずの権利を奪われることがないよう、接種をあきらめなくてもいい方法を考えたい」と強調。
 五輪については「都内で開かれている実感は湧きません。仕事を失う人がたくさんいる中、それどころじゃないという心境です」と話し、アンケートやワクチン接種に関するチラシ配布に追われていた。

1115チバQ:2021/08/05(木) 15:54:42
https://www.tokyo-np.co.jp/article/121114
「コロナでどん底」1年無収入のシングルマザー 子は食パンと水道水で空腹しのぐ 一斉休校の余波は今も
2021年8月2日 06時00分
<民なくして 2021年夏>
 日本が新型コロナウイルス禍に見舞われてから、約1年半。東京都内に住むひとり親の40代女性は「コロナでどん底を見た。『ステイホーム』は地獄だった」と語る。今も生活は苦しい。(柚木まり)
 女性の家族を直撃したのは昨年2月27日、当時の安倍晋三首相が唐突に要請した小中高校の全国一斉休校だ。中学生の長男、小学校低学年の長女と3人暮らし。派遣社員として働いていたコールセンターは在宅勤務が難しく、子どもを自宅に残して出勤するわけにもいかない。有給休暇の取得で急場をしのいだが、勤務先から「いつ復帰できるのか」と繰り返し聞かれ、居づらくなって5月の大型連休明けに退職した。
◆ひとり親の子育て…職探し難航
 長女の小学校が通常の授業に戻った10月、職探しを再開したが、子育て中のひとり親という立場が敬遠されて難航。今年1月に新たな職を得たものの、東京都への緊急事態宣言の再発令で働き始めは3月にずれ込んだ。月給は前職の半分の約6万円。無収入の期間は1年近くに及び、子どもたちには食パンと水道水で空腹を満たしてもらった。
 一斉休校は、首相官邸が主導して猶予期間も短く、全国の学校や家庭に混乱が広がった。関係省庁との事前準備や専門家を交えた本格的な議論もなく、影響が大きい中小・零細事業者や子育て世帯への支援策の検討は後手に回った。安倍氏自身、休校発表後になって「十分な説明がなかったのはその通りだ」と認めた。
◆「政治に救おうという積極的な姿勢が見えない」
 貧困家庭の学習支援に取り組み、コロナ禍で食料の無償提供も始めたNPO法人「キッズドア」(東京都中央区)の渡辺由美子理事長は「今も一斉休校の影響はある。食べるものがない子どもたちがいるのに、政治に救おうという積極的な姿勢が見えない」と政府の対応に憤る。

 政府が昨年、子育て世帯の支援策を実施したのは、一斉休校に続いて4月に初の緊急事態宣言を発令した後。児童手当を受給する子ども1人あたり1万円の給付金などを実行した。キッズドアは保護者が休職・離職せざるを得ない状況に追い込まれているとして、安倍政権から菅政権に代わった後も対策の充実を何度も要請。困窮世帯への臨時特別給付金など複数の支援策につながった。
◆支援先の3分の2が年収200万円未満
 ただ、いずれも単発で、低所得世帯には一時しのぎにしかならない。キッズドアが支援先の家庭に調査したところ、約3分の2が年収200万円未満。学校はコロナ下で2度目の夏休みを迎え、給食がなくなるため子どもたちの体重減も懸念される。
支援を受けた子どもたちや家族から届いた感謝のメッセージカード
支援を受けた子どもたちや家族から届いた感謝のメッセージカード

 「ごはんありがとう」「おいしいものを食べると笑顔になれる」―。キッズドアには、食料を届けた家庭から、お礼のメッセージカードが続々と寄せられている。それだけ困窮していることの表れでもあり、渡辺理事長は「東京五輪にかまけて、政府は他のことは何もやらなくていいと思っているのか。私たちが言わなければ、絶望してしまう家庭がいっぱいある。声を上げ続けないといけない」と訴える。

1116チバQ:2021/10/18(月) 09:13:39
https://news.yahoo.co.jp/articles/d38799bded13f6af30c0703f1a571a4a3aca2072
「貧困層が液状化のように」都心の公園、20分で消えた弁当400食
10/18(月) 5:00配信
朝日新聞デジタル
生活困窮者の支援団体「TENOHASI」の炊き出し。並んだ人たちは次々と弁当を受け取った=9月25日、東京都豊島区の東池袋中央公園、五郎丸健一撮影

 週末の買い物を楽しむ家族や友だち連れ、コスプレイベントに集まった若者らが行き交う東京・池袋のサンシャインシティ。そのわきにある東池袋中央公園は、ここだけが別世界のようだった。

【画像】お金ないからナプキン買えない 生理の貧困「我慢する」

 9月下旬の昼下がり、人々が「ソーシャルディスタンス」で2メートルほど間を空けて列に並びだした。高齢の男性が多いが、中年の男女も目につき、中にはスマホをいじりながら待つ若者の姿も。日が落ちるころには、広い公園を埋める長蛇の列となった。

 彼らの目当ては、無料でもらえる弁当だ。生活に困る人を支援するNPO法人「TENOHASI」が、炊き出しや生活相談を月2回おこなっている。ここに集まる人たちは、どんな事情を抱えているのか。

 妻と一緒に列に並ぶ男性(54)は、ホテルの従業員。コロナ禍の影響で仕事がなくなった。会社は休業手当を出さず、収入が減った。妻は飲食店におしぼりを納入する会社でパートで働いていたが、その仕事も失った。今年2月ごろ、炊き出しのことをテレビで知り、訪れるようになった。

 最近はホテルの仕事が徐々に戻ってきたものの、勤務は週3日で、生活は苦しいという。「並ぶのは正直、恥ずかしさもあるけど、こういう場があるのは本当にありがたい」

 若い人にも話を聞いた。

 並ぶのは3回目という男性(32)は、派遣会社に登録し、ネット通販大手の倉庫で商品の棚出しの仕事をしていた。ところが、今年夏、雇い止めに遭った。ハローワークにも通ったが、コロナ禍以来の就職難で厳しい現実に直面した。興味を持った病院の清掃の仕事は、3人の求人に40人の応募があり、あきらめた。

 友人の家に居候し、冷凍食品の配送など日雇いの仕事で食いつなぐ日々だ。今の月収は7万円ほど。「収入を計算できる仕事を早く見つけて、炊き出しに頼らなくてもいい生活に早く戻りたい。今はとにかく粘るしかないですよ」

 ほかの人たちも、事情はさまざまだった。生活保護を受けているが、障害の加算分を減らされ、生活がいっそう苦しくなった人、専業主婦だったが、家で「いろいろあって」路頭に迷った女性……。よい仕事が見つからないという声も多く聞いた。

 午後6時、弁当の配布が始まると、並んだ人たちは次々と受け取り、どこかへと消えていく。用意された400食は20分ほどでなくなった。

 この日、炊き出しや生活相談に集まったのは416人。コロナ危機が本格化した昨年春以降は200人台が多かったが、今年に入って急増し、最近は300人台が続いていた。今回400人を超えたのは、リーマン・ショック後の2009年以来。最近は20〜30代が増え、コロナ以前はほぼ皆無だった女性も来るのが特徴だという。

 貧困の現場を長年見てきたTENOHASIの清野(せいの)賢司・事務局長(60)の表情には、危機感がにじむ。

 「コロナでぐらぐら揺れて、液状化現象のように貧困層が表面に出てきた。非正規雇用で、もともと弱い立場にいた人が失業保険や行政の給付金でもしのぎきれなくなり、真っ逆さまに落ちている。困窮する人に手を差し伸べるというメッセージを、今こそ国が発してほしい」

朝日新聞社

1117チバQ:2021/10/25(月) 16:37:33
https://news.yahoo.co.jp/articles/1f7d74e3529b0d67a89de4caa90c1026b0ebb374
「つらい役を任せてごめんね」…困窮の果て、生活保護を知らない長男は母の最後の願いに応えた
10/25(月) 9:28配信

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読売新聞オンライン
名古屋地裁

 経済的に困窮し、自分を殺してほしいと頼む母親の首を絞めて殺害したとして、嘱託殺人罪に問われた愛知県あま市、無職尾崎京介被告(26)に対し、名古屋地裁は15日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役4年)の有罪判決を言い渡した。被告は生活保護などの支援制度を知らないまま追い込まれ、深刻な結果を招いた。

【写真特集】女子刑務所の高齢受刑者たち…「塀の中のおばあさん」

 判決などによると、尾崎被告は8月5日、自宅で、同居する母親(当時50歳)に頼まれ、頭にビニール袋をかぶせ、両手で首を絞めて殺害した。

 中学生の頃、両親が離婚。母親は無職で病気を患っており、尾崎被告は一緒に暮らす弟とともに家計を支えていた。しかし、尾崎被告は昨年2月頃、新型コロナウイルスの影響もあり、勤務先を解雇された。

 祖父からの仕送りや弟の収入などで何とかやり繰りしたが、アメをなめて飢えをしのぐこともあった。そのうち母親は「これ以上、生きている意味はない」などと口にするようになった。

 事件の数日前から母親は自殺未遂を繰り返し、尾崎被告に「殺して」と懇願するように。そんな母親を、被告は「見ていられなかった」。弟を外出させると、「こんなつらい役、任せてごめんね」「出来の悪い親でごめんね」と謝る母親を手にかけ、自ら110番した。

 失業保険や生活保護などの制度を知らず、誰かに相談することもなかった尾崎被告。公判では「自分一人で抱え込み、他人に頼ることができなかった」と後悔を語った。

 県弁護士会の貧困問題・多重債務対策本部の安田庄一郎弁護士によると、コロナ禍で失業や貧困に関する相談が増えているといい、「生活保護制度をより知ってもらい、支援窓口を活用してほしい」としている。(薦田大和)

1118チバQ:2021/10/27(水) 13:31:10
https://news.yahoo.co.jp/articles/398182a0c9f3cfa3bf3c353d5301ab1568b8dd97
住む家もありません…コロナ禍で困窮極める「氷河期世代」の恨み節
10/27(水) 11:46配信

幻冬舎ゴールドオンライン
(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で雇用状況が悪化。休業や失業で生活が困窮する人が急増しています。特にそのあおりを受けているのが「非正社員」。行動制限が解除され、世間はどこか浮かれ気分ですが、その影で明日さえ描くことができない人たちがいます。

【年齢別・年収比較表】大卒男性「正社員」vs.「非正社員」

【関連記事】【年齢別・年収比較表】大卒男性「正社員」vs.「非正社員」

コロナ禍で生活困窮者が急増!救いの手を求めている
新型コロナウイルス感染症の拡大により、雇用情勢が悪化。生活困窮者が急増しています。

厚生労働省によると、生活困窮者から各自治体の「自立相談支援機関」への新規相談件数が、2019年度24万8,398件から2020年度78万6,195件(速報値)と、3.2倍増加しました。15年度の事業開始以降、新規相談件数は22万〜25万件で推移していましたが、一気に件数が増えたのです。



【自立相談支援機関への新規相談受付件数の推移】

2015年 22万6,411件

2016年 22万2,426件

2017年 22万9,685件

2018年 23万7,665件

2019年 24万8,398件

2020年 78万6,195件(速報値)

出所:厚生労働省生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会(第1回)資料『生活困窮者自立支援制度の施行状況について』より

また生活保護を受給していない人に対して家賃相当額を支給する「住居確保給付金」*の支給実績は、2019年5.8億円から2020年306億2,000万円と、実に34倍にも跳ねあがったといいます。

*生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)第6条に基づき、離職、自営業の廃業、またはこれらと同等の状況に陥ったことにより、経済的に困窮し、住居を喪失した方又は住居を喪失するおそれのある方を対象に、家賃相当額(上限あり)を支給する制度

その内訳を年齢別に見ていくと、「30代」が最も多く24.5%。「40代」23.1%、「20代」20.8%、「50代」18.5%。増減率では「20代」は前年から2.4倍、「30代」は3.2倍、「40代」は3.0倍、「50代」は2.9倍、「60代」は3.0倍と、各年代とも2〜3倍近くの増加となっています。

1119チバQ:2021/10/27(水) 13:31:23
コロナ禍で「正社員」と「非正社員」の格差がさらに鮮明に
コロナ禍で多くの企業が業績を下げ、わたしたちの給与にも影響を与えいます。民間企業の給与に連動する公務員の給与も同様で、先日、47都道府県の職員給与に関する2021年人事委員会勧告が出そろい、月給は据え置きながらもボーナスは全都道府県で引き下げとなりました。

またコロナ禍で改めて雇用環境による格差が浮き彫りになりました。

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』から算出した、「男性大卒正社員の平均年収」は654万4,000円。そのピークは50代前半で850万7,000円に達します(関連記事: 『【年齢別・年収比較表】大卒男性「正社員」vs.「非正社員」』 )。

一方で「男性大卒非正社員の平均年収」は409万3,800円。同じ大卒であっても、正社員かどうかで年収はおよそ250万円も変わってきます。また正社員が年収のピークを迎える50代、非正社員の年収は正社員の半分に満たない程度です。

バブル崩壊後、有効求人倍率が1を下回り、就職が困難だった「就職氷河期世代」。大学を卒業しても希望の企業、業種で正社員になれず、非正社員として社会人人生をスタートさせた人が多くいます。

厚生労働省では、「就職氷河期世代の方々へ」と称し、「安定就労」「就職実現」「社秋参加」に向けた相談・支援を行っていますが、実際はなかなか浮上できないのが現実。特に正社員としてマネージメント経験のない50代前半の氷河期世代の人たちは、これから正社員になれる可能性は低く、非正社員のまま定年を迎えることがほぼ確実。

定年まで仕事があれば、まだましかもしれません。このコロナ禍、困窮に陥っている人の多くは非正社員。いま「住むところがない」と救いを求めている人たちには、氷河期世代の50代という人も多いでしょう。

働けど、働けど、報われることのなかった氷河期世代。コロナ禍で住むところまで失う危機に直面しているいま、彼らの恨み節が聞こえてきそうです。衆院選投票まであと数日。どの政党も一斉に富の再配分を訴えていますが、選挙の結果はどうあれ、苦しんでいる人たちを救えるか、注目です。

1120チバQ:2021/10/29(金) 15:51:10
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20211028-00265348
トレンド入りした「手取り13万円」、転職での解決は"無理ゲー" 実態を解説

今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
10/28(木) 16:43
「手取り13万円」がTwitterでトレンド入りし、話題になっている。きっかけとなったツイートは以下のようなものだ。

 このツイートに対し、共感と批判が寄せられている。まず、自分自身も同じ境遇に置かれているという人たちからは共感が集まっている。

 就職先決まったのだが、給料を手取り計算サイトで計算したら13万くらい。「やっぱりキツイんですね…将来が不安です…」というものや、「国は本当に知らないんだろうけど、自分も契約社員だった時は給料が低くて常に人生詰みそうだった」という声などだ。

 他方で、このツイートに反発する意見としては、「転職すればいい」という意見が多くみられる。

 こちらも具体例を紹介すると、「自分も手取り13万円の時がありましたが、今は転職して給料は倍になりました。今の時代探せば色んな仕事があります。頑張って下さい」といったものや、「嫌なら転職すりゃあいい、給与上げるだけならそこかしこに求人あるんだから探しなさい」といったものだ。

 こうした意見に対しては、さらに、「違うんだよ。手取り13万に対して転職しろ、このバイトしろ、節約しろじゃねぇんだよ」、「個人の生活背景なんて誰にもわかんねぇ、口だしちゃいけねぇ。真っ当に頑張って働いても13万の人が多くいて、その日ぐらしで、明日のことなんか考えられない状況が今の日本だってことなんだよ」といった反論も寄せられている。

 以上の議論も踏まえ、今回は、データを参照しながら、手取り13万円がどれくらいの水準なのか、転職することで解決ができるのか、などについて考えていきたい。

「手取り13万円」は飢餓賃金
 まず、「手取り13万円」がどれほど低い水準の賃金なのだろうか。

 最新(2020年)の賃金構造基本統計調査によれば、正社員の平均賃金が32万4200円、非正規雇用の平均賃金が21万4800円であるため、「手取り13万円」は非正規雇用に多い可能性が高い。

 その上で、非正規雇用の消費実態を見ると、「手取り13万円」の水準の低さがわかる。全国消費実態調査によれば、最も支出が少ないのが男性の派遣社員で13万2911円、最も支出が多いのが女性の派遣社員で15万8773円である。

 つまり、「手取り13万円」では非正規雇用の平均的な支出さえ割り込み、貯蓄は当然無理であり、かなり切り詰めなければ生活ができないということを示している。

 さらに、生活の最低限に位置づけられるべき水準(最低生活費)とも比較してみよう。ここでは、実際の地域ごとの一般的な生活必需品を詳細に分析した静岡県立大学准教授の中澤秀一氏が試算した最低生計費を参照する。

1121チバQ:2021/10/29(金) 15:51:29
 ここで言う最低生活費とは、労働者・市民に対する「生活実態調査」「持ち物財調査」に基づき、7割以上の人が保有の品目を組み入れ、消費数量としては下から3割の人が保有する数を基準として算定している。

 中澤氏は、保有率が7割以上の品目をピックアップし、所得階層が下から3割の人が保有する数を消費量として算出している。このような方法で、被服・履物費以外の食費や住居費などを算出した結果が図2の通りである。

 さいたま市在住のケースでは、25の1DKのアパートに住み、家賃は更新料込みで5万2500円。冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、エアコンなどの家電は実際の買い物先である量販店の最低価格帯でそろえている。

 朝食は家で食べ、昼食はコンビニなどで弁当を買い(1食500円)、2か月に3回同僚や友人と飲み会・ランチに行っている設定だ。この金額を割り込むということは、本当に、物理的に生活困難になっていくという水準であることがよくわかる。

 例えば、埼玉県さいたま市在住の男性であれば、月額の最低生活費は税抜190824円で、うち食費38610円、住居費と水道・光熱を合わせて59367円となっている。その他の地域であっても、「手取り13万円」で足りるということはない。

図2 最低生計費調査結果
 最後に、法的に定められた最低生活費に基づいて支給される生活保護と比べるとどうだろうか。例えば、東京都内の単身者であれば、生活扶助(生活費)7〜8万円、住宅扶助(家賃)53700円を合わせて約13万円には達する。

 しかも、生活保護では医療費が無料となり、住民税や水道の基本料金、NHKの放送受信料などが免除される。その上、アパートの更新料や引っ越し費用などの一時的な出費についても保護費から支給されるのである。つまり、生活保護の方が高い水準であることは間違いないだろう。

 このように、「手取り13万円」は最低限度の生活すら不可能な、飢餓的な賃金水準だと言わざるを得ないだろう。

転職すれば解決するのか?
 それでは、批判者の言うように、転職すれば解決する問題なのだろうか。

 この点については、「雇用動向調査」の中にある「転職入職者の賃金変動状況」が参考になる。最新(2020年)のデータによれば、前職の賃金に比べ「増加」した割合は34.9%、「減少」は35.9%、「変わらない」は28.4%となっている。

 つまり、転職することで増収する可能性は3割強でしかなく、現状維持か減収になる可能性が圧倒的に高いのである。

 もし仮に、非正規から正社員に転職ができた場合でも、賃金が必ず上がるとは言えない。実際に、労働力調査(2020年)のデータでは、正社員のうち年収200万円未満(手取りの水準では13万円に近い)の割合が男性4.8%、女性16%に上っている)。

 さらに、社員を使い潰す「ブラック企業」の正社員であれば、時給換算すると最低賃金ギリギリで、過労死ラインを超える長時間労働の分、額面上の賃金が上がるに過ぎない。

 事例は枚挙にいとまがないが、一つだけ例を挙げよう。

 ある大手コンビニのフランチャイズ会社で「店長候補」として新卒で採用された労働者は長時間・低賃金労働だった。

 毎日8時から22時までの14時間勤務で、「基本給15万円、営業手当2万円、業務手当3万円、手取り17.8万円」しかもらえなかった。前述の非正規雇用の可処分所得の額とほとんど変わらない。

 現状を踏まえれば、飢餓賃金を耐えるか、過労死ラインの長時間労働を耐えるか、の二者択一になってしまう。転職などの自助努力で解決することはほとんど不可能に等しい「無理ゲー」状態が、現実なのである。

最低賃金1500円の実現を
 このように考えてくると、正規も非正規も、苦しい生活から脱却するためには、最低賃金のさらなる引き上げが必要である。

 非正規雇用の貧困を改善し、正社員の場合には過労死を予防するためにも必要だ。

 今年は最低賃金の全国加重平均が昨年の902円から930円に引き上げられた。それ自体は歓迎すべきことだが、最低賃金はまだまだ引き上げられる必要があるということだ。

 前述の中澤氏によれば、所定労働時間を173.8時間とすると、最低生計費を稼ぐには少なくとも時給1300円は必要だという計算になる。

 しかも、この所定労働時間はお盆もお正月も関係なく1日8時間週40時間で1年間働き続けるという想定なので、よりゆとりを持たせるためには時給1500円は必要とされるだろう。この水準は、最低限の「生存権」の水準にあるといえる。

 今回の選挙では、野党のほとんどが「最低賃金1500円」を公約に掲げている。これが実際に実現されるためには、社会運動による後押しが不可欠である。労働者自身が非正規・正規の垣根を超えて「生存権」を主張していくことが重要だ。

1122チバQ:2021/11/16(火) 19:17:22
https://news.yahoo.co.jp/articles/df46f1f62de347647c7eef25815ced37c5edebb7
若者に「親ガチャ」が流行語になるわけ。年収100万円の家庭で育った20代に聞いた
11/9(火) 8:46配信
 新型コロナは多くの失業者を出すなど、“貧困パンデミック”とでも言うべき状況が生まれている。若者たちも例外ではない、ニッポンの貧困のリアルを総力取材した。

若者を中心に流行する「親ガチャ」問題とは
 子供は親を選べない。どんな家庭環境に生まれるかは運任せだ。それをカプセルトイやソーシャルゲームのくじ引き(通称・ガチャ)に例えた「親ガチャ」という言葉が、若者を中心に流行している。

 自身も「父親の年収が100万円」の貧困家庭で育った、20代のフリーライターのヒオカ氏(@kusuboku35)に、若者たちの心境を聞いた。

「まず前提として、『親ガチャ』という言葉を使う若者は2パターンに分けられます。1つは、基本的に何不自由なく教育を受けられて、その中で親の経済力の差を競い合う若者たち。そしてもう一方は、豊かさを求める以前に、親の貧困や虐待、家族やきょうだいの介護を強いられるヤングケアラーなど、親から負の要素を受け継いで、スタート地点にすら立てない子供たちです」(ヒオカ氏、以下同)

「抑圧され続けると、無意識に諦める」
フリーライター・ヒオカ氏

「後者は深刻で、大学は贅沢品だし、教養や知識を深めたくても、教育は課金制だから習い事もさせてもらえない。選択肢を奪われ続けるのです」

 ネガティブな現実に触れ続けると、意思や気力を失い、思考停止状態になるという。

「私もそうでしたが、親から抑圧され続けると『希望を持つことすら許されないんだな』と、無意識に諦めるようになるんです。大きすぎる困難を背負わされると、この状況から抜け出したいとも思わなくなる」

貧困の当事者を追い詰めていく今の風潮
bizSPA!フレッシュ

「それに今の社会は貧困の原因を本人に見いだして、当事者を追い詰めていく風潮がとても強い。だから『自分なんかが助けられちゃいけない』『幸せになっちゃいけない』と、自己肯定感だけが下がり続けてしまいます。そんな深刻な状況や境遇を、匿名のネット上でしか吐き出せない若者もいるのです」

 大人にとっては耳が痛い言葉だが、なぜこんな言葉がはやるのか。「好き勝手言いやがって」と、一蹴してしまっては何も解決しない。彼らは必死に、SOSを発信し続けている。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

【ヒオカ】
フリーライター・1995年生まれ。「無い物にされる痛みに想像力を」をモットーに弱者の声を可視化するライターとして活動中。Twitter:@kusuboku35

bizSPA!フレッシュ 編集部

1123チバQ:2021/11/25(木) 15:18:48
https://news.yahoo.co.jp/articles/dbce0bf8e3318af70138d0a6b1e2444a5a44f5a2
手取りは11万円…「一番収入低い人に渡らない」国の制度 恩恵から漏れる人たち
11/25(木) 9:48配信

西日本新聞
高齢者施設で働く女性(63)。正社員に出ている処遇改善の手当をもらえず、不満を募らせている

 岸田文雄首相は、自らが掲げる「成長と分配の好循環」に向けた取り組みの一つとして、介護や保育現場で働く人の賃上げに着手した。19日に閣議決定した経済対策には、来年2月にも介護職や保育士の賃金を月額9千円引き上げることを盛り込んだ。ただ、過去の賃上げ策は全ての働き手には届いておらず、今回の対策も有効性を疑問視する声がある。労働組合関係者は、働き手全体の収入を底上げする新たなルールづくりを求めている。

【画像】職種別の月給(残業代込み)

 福岡県内の高齢者施設で働くパート雇用の女性(63)はこの秋、上司に詰め寄った。「国の制度で出るお金なのに、どうしてパートはもらえないんですか?」

 勤め先の事業所は、昇給につながる賃金体系整備などの条件を満たすと介護報酬が上積みされる「介護職員処遇改善加算」を受けている。2012年度、国が介護職員の給与を上げるため設けた制度だ。上乗せ分は従業員に配分する決まりだが、手当は正社員にしか出ていない。

 仕事は食事や入浴、トイレの介助、居室の清掃と幅広い。入浴は1日4人ほどを担当し、寝たきりの人も1人で介助する。毎日くたくたになる。

 仕事の内容は正社員と変わらないと思う。上司の返答は「雇用契約書には、そんな手当が付くとは書いてないでしょ」だった。

     ∞∞

 女性の時給は880円。福岡県の最低賃金870円と10円しか変わらない。月の手取りは11万円ほどだ。

 介護の仕事は3社目。前の二つの職場も処遇改善の手当はなかった。「収入が一番低い人に渡らない制度でどうするの、と思う」。独身で、仕事を掛け持ちして生計を立てている。

 処遇改善加算による賃上げは、パートなどの非正規労働者も対象となる。国の昨年4月の調査では、条件を満たして加算を受けた事業所は93・5%に上った。

 それでも恩恵から漏れる人がいるのは、上積み分を全ての介護職員に支給する決まりがないため。誰に、どのくらい配分するかは事業所に委ねられ、女性のような立場に陥る人がいる。
 手当があっても、生活に苦しむ人はいる。訪問介護の事業所にパートで勤める女性(58)=福岡市=は、時給が100円上がり、夏に寸志で3万円を受け取った。独身で月の手取りは約13万円。「これじゃ蓄えはできない。ずっと働かないといけないけど、体力が持つか」と不安を抱える。

 介護職などが加入する全国規模の労組「全国福祉保育労働組合」(東京)の民谷孝則書記次長は「介護事業所の全ての職員を対象とし、1人当たりの金額もきちんと決めて支給する形が望ましい」と異議を唱える。

 組合員からは、今回の経済対策で示された賃上げ額に失望する声も出ている。「月9千円ではあまりにも少ない。国が責任を持ち、国費による交付金で賃金をもっと上げる制度をつくるべきだ」と主張する。

1124チバQ:2021/11/25(木) 15:19:03
   ∞∞

 保育現場も厳しい。保育士が低賃金に悩むケースは依然としてある。

 福岡市の保育士の女性(39)は、正規、非正規両方の形態で保育所に勤務した経験がある。妊娠・出産を機に辞めたが、復帰を求められて悩んでいる。

 認可保育所は、条件を満たすと行政からの運営委託費に、保育士の処遇改善加算が上乗せされる。使い道は賃金の引き上げ。女性は正職員時代こそ月1万円ほどの手当が付いたが、非正規期間はほぼなく、一度時給が10円上がり、年度末に3千円弱を受け取っただけ。

 月給も正職員で手取り約17万円、パートは8万円足らず。「子どもが熱を出さないか、けがをしないか、いつも緊張しっぱなし。割に合わない」。収入面を理由に辞める同僚を何人も見てきた。

 低賃金の一因は制度面にあるとされる。現行では運営委託費のうち何割を人件費に充てるか、処遇改善加算の多くを誰にいくら分配するか、保育所が決める仕組みになっている。労働組合「介護・保育ユニオン」(東京)の三浦かおり共同代表は「委託費のうち最低でも何割は人件費に充てる、などの規制を設けるべきだ」と訴える。

 政府は賃上げに向け、委託費を計算する根拠となる公定価格の見直しを始めた。三浦共同代表は「公定価格の引き上げはもちろん、委託費の規制づくりと、職員を手厚く置いた際の人件費の拡充を同時に進めないと、賃金は上がらない」と指摘する。

■「全員に渡さない制度おかしい」
 介護と保育現場で働く人に話を聞いて回ると、誰もが声をそろえた。「仕事は本当に大変。割に合わないです」と。心に響いた苦悩を伝えたい。

 高齢者施設で働く女性(63)は、職員の給与アップに充てる処遇改善加算を「そもそも全員に渡さなくていい制度なのがおかしい」。今のやり方が続けば、国がいくら施策をしても給料は上がらない、と嘆いた。

 保育士の女性(39)の言葉も切実だった。「今、働いている保育士は仕事にやりがいを感じ、安い給料でも我慢している。行政はそこに甘えている」。この国は子どもをきちんと育てる気があるのか、とも。

 首相は介護職や保育士などの賃金引き上げを最優先課題に挙げた。これまでのような待遇改善の漏れはもう許されない。繰り返せば現場は落胆し、人手不足にも歯止めがかからないだろう。覚悟を見せてほしい。

(編集委員・河野賢治)

介護職員などの賃金
 厚生労働省の昨年6月時点の賃金構造基本統計調査(残業代込み、賞与は除く)によると、従業員10人以上の事業所で、介護職員の月給は25万2300円、保育士は24万9800円、看護師は33万8400円だった。全産業の平均は33万600円で、介護職員と保育士はこれを下回った。

1125チバQ:2021/11/29(月) 10:12:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/3606f8f970c0ede89efc483608ad649a4768227e
「コロナで路上生活」38歳元派遣の“10年前の後悔”
11/29(月) 6:31配信

東洋経済オンライン
コロナ禍の最中に雇い止めに遭ったツトムさん(仮名、38)(筆者撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大は日本経済に大きな打撃を与えている。経済的に困窮している人たちも多い中で、光が当たりにくいのが若者の貧困だ。市民団体などでつくるネットワーク「新型コロナ災害緊急アクション」はSOSを発した相談者のもとに駆けつけて支援する取り組みを行っているが、その駆けつけ支援の対象者の大半が20代、30代の若者だという。
その多くは非正規だが、東洋経済オンラインの連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」の著者で、貧困問題の最前線を取材するジャーナリストの藤田和恵氏は「彼らや彼女たちの中には、正社員にはなりたくないと語る人もいる」と言う。いったいどういうことなのか。


貧困に陥った若者たちの実態に4日連続で迫る特集「見過ごされる若者の貧困」1日目の第2回は、若者が正社員を拒む背景について、藤田氏がリポートする。

【特集のそのほかの記事】
第1回:「時給高いから上京」の21歳女性を襲った“想定外”
第3回:「親が学費負担放棄」学生を絶望させる新たな貧困
第4回:データで解明「コロナで階級社会化が加速」の衝撃

 派遣労働者だったツトムさん(仮名、38)は、正社員にならないかという誘いを断ったことがある。その直前に病気で2カ月ほど仕事を休んだからだ。今から10年ほど前のことだという。

 当時の心境について、ツトムさんは「会社に迷惑をかけてしまったという負い目があったんです」と振り返る。

 それからずっと同じ職場で派遣労働者として働いてきた。その後、新型コロナウイルスの感染爆発の兆しが見え始めた今年5月、雇い止めに遭った。

 ほどなくして路上生活となったとき、ツトムさんの胸中にはどんな思いが去来したのだろうか。

 仕事は倉庫内の家具家電などの搬出作業だった。労働基準法などまるで無視の職場で、月の残業時間が200時間近くになることもあった。睡眠をとる暇もなく、その代わり月収は多いときで60万円ほど。きつい肉体労働のうえ、異様な長時間労働だったので、派遣労働者は次々と入れ替わった。

 一方で“生き残った”働き手同士の間には、正社員も含めて妙な仲間意識も生まれ、人間関係はよかったという。

■派遣先の人事担当者から「正社員にならないか」

 働き始めて数年、体のだるさとむくみに悩まされるようになった。検査を受けたところ、国が「指定難病」と位置付ける疾患であることが分かり、休職を余儀なくされた。

 体調が回復すると、再び同じ工場に派遣された。派遣先の人事担当者から正社員にならないかと声をかけられたのは、ちょうどこのころのことだ。

 しかし、難病が完治する見込みは低い。ツトムさんは「これからも長期間休むことがあるかもしれない」とその誘いを断った。これに対し、担当者は「休職は労働者の権利。必要なら制度を使って休めばいい」と言ってくれたという。長時間労働を野放しにする一方で、雇用形態を見直そうとする会社側の対応は極めて良心的だった。にもかかわらず、ツトムさんは最後まで正社員登用の話を固辞した。

 このため、「同じ職場で3年を超えて働くことはできない」という派遣3年ルールが導入されてからは、倉庫内の担当メーカーを変えることで新たに採用したかのように見せかけた。脱法的だが、ツトムさんも同意のうえでの対応だった。

 風向きが怪しくなったのは働き方改革が始まってから。残業時間が激減し、そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。

 手取りは月16万円ほどと、かつての3分の1以下に落ち込んだ。まさかそんな事態になるとは思っていなかったので、貯金もない。正社員にはある住宅手当などの福利厚生もない。家賃と通院費を差し引くと、手元に残る生活費は生活保護水準と変わらなかった。結局家賃を滞納。2020年の暮れからネットカフェ暮らしになったという。

 そして5月の雇い止めである。理由は異動してきた上司と折り合いが悪かったからだと思う、とツトムさんはいう。上司の胸三寸次第でクビになるなど、正社員であれば少なくとも表向きにはありえない。

 かつて正社員にならないかと熱心に勧めてくれた人事担当者が手を差し伸べてくれることはなかった。すでにネットカフェ暮らしだったツトムさんが路上生活になるまでにそう時間はかからなかった。

1126チバQ:2021/11/29(月) 10:12:24
■意外と耳にする「正社員になりたくない」という声

 ツトムさんとは、市民団体でつくる新型コロナ災害緊急アクションの駆けつけ支援を取材する中で出会った。同アクションにSOSを発信してくる人の多くは派遣やアルバイト、契約社員といった非正規労働者だ。正社員だったというケースはほとんどない。ただ、正社員登用の誘いを断ったとか、あるいは正社員にはなりたくないという話は意外と耳にした。

 大手チェーン系列のホテルで働いていた契約社員の30代の男性は、正社員にならないかという誘いを何度か受けたが、そのたびに断っていた。その理由を「正社員になると責任が生じるから」と説明する。

 この男性は今年1月、コロナに感染したことを理由に解雇された。明らかに違法である。しかし、男性は「ユニオンや労働組合に相談して騒ぎ立てたくない。周りに迷惑をかけたくない」といって特に抗議や抵抗することなく、解雇通告を受け入れた。

 また、寮付き派遣で、大手自動車メーカーや精密機械関連の工場などを転々としてきた20代の男性はコロナ禍で仕事を失った。

 寮からも追い出され、生活保護の申請をしたところ、劣悪な無料低額宿泊所に入居させられ、新型コロナ災害緊急アクションに「豚小屋のようなところに入れられてしまった」と助けを求めるメールを送ってきた。

 散々な目に遭ったようにもみえるが、この男性はコロナが収まっても、正社員の仕事を探すつもりはないという。理由はやはり「正社員になると責任が生じるから」。

 別の20代男性はさまざまな観光地のリゾート派遣で働く中で、正社員登用の話を持ち掛けられたが、「長く働き続けるかどうかわからないので、会社に迷惑をかけてはいけないと思い、断った」という。結局、コロナ禍の中で路上生活となった。

 正社員の責任、会社に迷惑をかけたくない――。取材を続ける中で何度か耳にした言葉だ。

 たしかに正社員の中には長時間労働や厳しいノルマを課せられながら、賃金水準や待遇は非正規労働者と変わらない“名ばかり正社員”もいる。ただ彼ら、彼女たちに正社員の責任とは何かと尋ねると、明確な答えが返ってくるわけではない。

 責任というなら、非正規労働者だって出退勤時刻は決められているし、ある程度の作業効率も求められる。正社員になったとして管理職になるのが嫌なら、断ることもできる。もし異動が嫌だとしても、いつ路上に放りだされるかもしれないリスクと比べたら、まだましなのではないか。

会社に迷惑がかかるという理由にしても、無断欠勤や「今日辞めます」はご法度かもしれないが、ルールにのっとれば、辞める権利と自由は、いつでも、誰にでもある。

 私がそう指摘すると、先ほど挙げた寮付き派遣を渡り歩いてきた20代の男性は少し考えた末にこう答えた。

 「何もしなくても仕事を紹介してくれる派遣は正直楽というのもあるかもしれません。それに、中卒の僕にとっては派遣でも働き口があるだけありがたいです」

1127チバQ:2021/11/29(月) 10:12:43
■「正社員を雇うリスクも理解できる」と語る非正規

 リゾート派遣で働いていたという20代の男性は「いろんな職場で友達ができるので派遣も悪くない」という。そのうえで「経営者の立場で考えたら、正社員を雇うリスクも、僕には理解できます」という持論を語った。

 こうした若者たちに共通するのは、会社や企業に対してどこまでも対等であろうとする意識なのではないか。一見誠実にみえるが、ともすれば「働かせていただいている」という“下から目線”と紙一重でもある。コロナ禍のような不測の事態が起きても働き続けることは、企業や会社の温情によるものではなく、労働者の当たり前の権利である。

 取材で出会った若者たちにもう1つ共通するのは、生活保護を利用することへ忌避感である。先述した大手チェーン系列のホテルで働く30代の男性はコロナ解雇で失業し、家賃が払えなくなってシェアハウスを追い出されても「周囲に知られたくない」という理由で生活保護の利用を拒んだ。

 また、寮付き派遣を経て悪質無低に放り込まれた20代の男性は「生活保護を受けている人は、やっぱりそういう目で見られますから。寮付き派遣でもいいので1日でも早く仕事を始めたい」と訴えた。

 新型コロナ災害緊急アクションにSOSを求めるほど追い込まれているにもかかわらず、労働者の権利もいらないし、「国民の権利」である生活保護の利用も拒む。その権利行使にネガティブな態度は若者の貧困、そして日本の貧困の背景にある特徴の1つでもある。

 一方、冒頭で紹介したツトムさんは、新型コロナ災害緊急アクションの支援を受け、生活保護を申請。現在は賃貸アパートに入りなおし、仕事を探している。生活保護の医療扶助によって通院も再開することができた。

 意外なことにツトムさんは2020年の年末から今年5月までの半年間のネットカフェ生活について、「不思議なもので、賃貸アパート暮らしをしていたときよりも楽でした」と振り返る。

 ネットカフェ代は最低でも1泊1500円はかかるので、それまでの家賃よりも割高になった。かといって家賃の滞納歴があるので、新たに賃貸アパートを探すことも容易ではない。

■「その日暮らしは慣れてしまうと気楽」

 ツトムさんは給料日前に金欠に陥らないよう、月給制から日給制に変えてもらった。「手元にお金がなければ使いようがない」と考えたからだ。日給は8000円。週末は仕事がないので、1日に使えるお金は5000円ほどだった

 結果、1日の食事をカップラーメン1つや、お菓子だけですませることが増えた。通院もできず、服薬も中断せざるをえなくなった。そんなネットカフェ暮らしのどこが楽だったのか。

 「月給の中で家賃や光熱水費のやりくりを考えなくていいからですよ。目の前の1日を乗り切ればいいその日暮らしは、慣れてしまうと結構気楽でした。最近は、ネカフェも出入りが自由だったり、住民票が置けたり、郵便物を受け取れたりというところもありますし。高いですけど、カレーが食べ放題というとこもありますしね」。

 ネットカフェで住居喪失者向けのサービスが充実しつつあるという。

 ツトムさんは、正社員化の話を断ったことをどう思っているのか。今も後悔はないのだろうか。ツトムさんは迷いつつもこう答えた。

 「(30代後半という)年齢や病気のことを考えたら、なれるんだったら、なっておいたほうがよかったかな。今はそう思っています」

(第3回は「親が学費負担放棄」学生を絶望させる新たな貧困)

藤田 和恵 :ジャーナリスト

1128チバQ:2022/01/03(月) 23:34:29
https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2022010300014.html
「家もない、仕事もない」 小さな子どもを連れた母親も 年越し大人食堂
2022/01/03 17:39AERA dot.

「家もない、仕事もない」 小さな子どもを連れた母親も 年越し大人食堂

1月3日に開かれた「大人食堂」。開始前には200人近くが並んだ(撮影:野村昌二)

(AERA dot.)

「家もない、仕事もない。まさか、正月を路上で過ごすとは思いませんでした」

 1月3日、東京都千代田区の聖イグナチオ教会で開かれた「年越し大人食堂」。食料配布の最前列に並んでいた男性(58)は、思いつめた表情でつぶやいた。

 大人食堂は、新型コロナウイルスの影響で困窮する人を支援しようと、新型コロナ災害緊急アクションや反貧困ネットワークなど複数の団体が主催。弁当以外にも、おむつや生理用品なども配布した。

 正午開始の3時間ほど前から人が並びはじめ、開始30分前には200人近くが寒空の下、列をつくった。中高年男性が多いが、若い女性も少なくない。中には、小さな子どもを連れた母親の姿もあった。

 冒頭の男性は、半年ほど前に働いていた飲食店が倒産した。やがて家賃を払えなくなり、住んでいたアパートを追い出された。上野公園や池袋のガード下などで野宿をして過ごすという。

「寝袋があるけど、寒くて寝られない」

 この日も寒さで寝られず、上野公園から歩いて4時間近くかけ、ここに来たという。持ち物はリュックサックが一つで、所持金は1千円あるかないか。こうつぶやく。

「家があって、仕事があって、風呂にも入れて、人として最低限の暮らしをしたいです」

 コロナが長引く中、雇用情勢は改善傾向にあるものの、生活困窮の長期化が深刻になっている。厚生労働省の集計によると、全国の自治体に設置されている生活困窮者向けの相談窓口「自立相談支援機関」に2021年度上半期(4〜9月)に寄せられた新規の相談件数は30万7072件。これは、感染が拡大する前の19年度同期(12万4439件)の約2.5倍に上る。

 特に非正規雇用や女性の働き手が多いイベント関係や宿泊、飲食業などの苦境は継続している。

「一生懸命に働いて税金もちゃんと払ってきたのに。国は何もしてくれない」

 大人食堂に電車を乗り継いで来たという中野区に住む男性(53)は、怒りをぶつける。

 イベント関係の仕事をしていたが、コロナの影響でイベントは軒並み中止になり収入はほぼ途絶えた。フリーランスなので失業給付ももらえない。

ハローワークに行っても、年齢が壁となって仕事は見つからない。今は細々と友人の仕事を手伝っているというが、収入は以前の10分1以下。

 家賃は4万円。これに電気、水道、ガスなど公共料金を払うと手元にはほとんど残らない。男性は訴える。

1129チバQ:2022/01/03(月) 23:34:47
「先が見えない。何で、こんなことになってしまったのか」

 家族4人で暮らす都内の男性(40代)も、コロナ禍で仕事をなくした。今日は、2歳になる娘のおむつももらえたという。

「こういう支援は本当にありがたいです」

主催団体の一つ、一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さんは、こう指摘する。

「公助が十分に機能していない」

生活保護に対する偏見や、支援制度の条件の厳しさといった課題もあるという。

「感染の第6波への警戒感が強く、今も雇用が不安定化している。現金給付や家賃補助など、国の経済支援の拡充が必要だ」(稲葉さん)

(AERA編集部 野村昌二)

※AERAオンライン限定記事

1130チバQ:2022/01/03(月) 23:35:23
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20211230-567-OYT1T50112.html
コロナ禍で生活困窮、広がる支援の輪…「年越し大人食堂」に長い列
2021/12/30 23:19読売新聞

コロナ禍で生活困窮、広がる支援の輪…「年越し大人食堂」に長い列

「年越し大人食堂」の会場で食料などを受け取る人(左)(30日午後、東京都千代田区で)=和田康司撮影 【読売新聞社】

(読売新聞)

 新型コロナウイルス禍の長期化により、昨年に続き、今年も失業や収入減で生活が困窮する人が後を絶たない。各地の支援団体では、行政サービスを受けにくい年の瀬に、食料配布や生活相談などの活動を行っており、寒空の下、支援を求める人たちが列を作った。

 東京都千代田区麹町の聖イグナチオ教会では30日正午から、生活に困った人を支援する「年越し大人食堂」が開かれ、弁当やレトルトの中華丼、お菓子、缶詰などが配られた。コロナ禍で収入が減り、数日分の食料確保のために訪れたという江東区のパート女性(51)は「ありがたい、うれしいです」と笑顔を見せた。

 コロナ禍前は解体業などの日払いの仕事をしていたという男性(59)は「感染が拡大してからぱたっと仕事がなくなった」と語る。

 今は週に2、3日、清掃のアルバイトをして暮らし、年末年始は、都が一時的な宿泊場所として提供するビジネスホテルに滞在している。「自分は一人だからまだ何とかなるけれど、子どもや家族がいる人は大変。収束まで持ちこたえられればいいが……」と語った。

 この日の「大人食堂」に訪れたのは20歳代〜70歳代の278人。主催者団体の一つ、一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さん(52)は「感染の第6波への警戒感が強く、今も雇用が不安定化している」と指摘する。同教会での「大人食堂」は1月3日にも開く。

 厚生労働省の集計によると、全国約900自治体に設置されている生活困窮者向けの相談窓口「自立相談支援機関」に今年度上半期(4〜9月)に寄せられた新規の相談件数は、30万7072件に上った。コロナ禍前の2019年度同期(12万4439件)と比べると、約2・5倍に上る。

 同省は今月上旬、全国の自治体に向け、年末年始にも生活困窮者に対応できるよう、相談体制の確保などを求める通知を出した。

1131チバQ:2022/01/17(月) 13:14:05
https://news.yahoo.co.jp/articles/be49c7d3b6e344d0c7e856064820b1c4e413c97d
10日間飲まず食わずの失業者も…ホームレスにも広がる「貧困格差の実態」
1/17(月) 8:45配信
格差社会の拡大が叫ばれる現代、貧困の波はより一層の隔たりを生んでいる。そして、その波はホームレスにも広がっていた。ホームレスとひとくくりにされがちな人々の、生活格差を取材した。

YouTubeにも出演したホームレス歴3年半の男性
「俺、YouTubeに出てんだよ、40万回再生されてる」。世間が正月ムードに染まる頃、凍てつく寒さの中、新宿駅西口の路上に座り込んでいた男性、伊藤さん(76歳)。通行人が足早に歩く中、路上に段ボールを敷いて、足元には毛布をかけ、片手でスマホをいじっていた。

「10歳ほど歳ごまかさないと働けないよ、だからみつかる前に辞めないと……」と語る。以前は建築関係の仕事をしていたそうで、仕事を辞めてから新宿でホームレスをはじめて3年半になる。

「朝は5時頃に起きて、通路に移動する。それからずっと路上に座っている。人がひっきりなしに来るから忙しいんだよ」

 収入のほとんどは通行人からの寄付で、月に数万円を稼いでいるそうだ。取材をしている間も何人もの人たちが足を止めて寄付をしており、なかには千円札を入れる人の姿もあった。コロナ前は行列に並ぶ購買の仕事の依頼もあったそうで「主に中国人から依頼されたかな、月3回、4回ほど」と言う。並ぶ時間や購入するものによってもらえる金額は変動するが、金額は1回500円から2000円ほどになるそうだ。

他の人も養えるほど収入はある
1日の寄付金を持つ伊藤さん

「主な使い道は食費だね、まあ食う分には困らないね。今日も差し入れもらって、弁当3個。1個は他の人にもあげたよ」。長年ホームレスをしていると顔見知りも増え、よく差し入れをもらうそうだ。炊き出しを活用するのか聞くと「1か所ぐらいしかいかないね。1週間に1回だけ」と語る。

 伊藤さんのそばには、2年ほど前にたまたま新宿で知り合ったという女性のホームレスの方がおり、一緒に過ごしていた。また話を聞いている最中も時折LINEの通知音がなっていた。当然、携帯電話の通信料も支払っているそうで、「自分が食べる分だけでなく、他の人も養えるほど収入はある」という。それが本当だとしても、極寒の路上で冷めた弁当を食べる生活は、つらいだろうと思う。

 施設に入らないかと時折声をかけられるそうだが、その提案は頑なに拒んでいる。そのわけは「あんなんダメだよいい加減でダメ、いい加減なところは最初から入んない。生活保護なんてのはいかさまだよ。お金出す役所のほうもいかさま。もらうほうもいかさま」と語る。

 生活保護は生活を立て直すための当然の権利なのだが、当事者たちが受ける気になるような支援が必要だ。また集団生活が苦手で施設を嫌う人も多く、個室を借りられるようサポートする支援団体も出てきている。しかし、彼は「新宿はいいよ新宿は」と、そこに安住の地を見出していた。
長年培ったコミュニティを大切にする男性
 夜の池袋駅、足を引きずるようにして歩く男性に声をかけた。コンビニにカップ焼きそばを買いにいく途中だったAさんは「収入は全然ないよ。でも食べ物とかは炊き出しとかあるし、持ってきてくれる人もいる」と語る。

 たしかにその手には食料の入った大きな紙袋が握られており、十分な食料を持っていた。池袋駅に長年住んでいるAさんは、以前は別の地域を転々としていた。新宿にいた時は毎年、明治神宮まで初詣に行かれていたそうだ。東京にはお兄さんを頼って来たそうだが、音信不通となり今では池袋での生活が板についている。

「いつまでもこんな生活していられないけど、施設に入ったり、アパート借りたとしても1人だとつまらないから」

 長年ホームレスをしていると顔見知りも増え、なかなかよそにはいけないらしく、「誰かと話したいというのが1番だね。そうじゃないと変な事考えるから……おかしくなっちゃうからね」と、1人暮らしをしない理由を語ってくれた。

 炊き出しの利用頻度も低いそうで「大体みんなもらいにいかないよ炊き出し。あんまりおいしくないから。たまに好きなカップ焼きそばを買うのが楽しみ」と語る。

1132チバQ:2022/01/17(月) 13:14:22
20歳から路上生活、ホームレス歴40年
ホームレス歴40年の大ベテランの佐藤さん

 新宿駅南口、大型のショッピングモールが立ち並ぶ施設付近で路上生活をしていた男性・佐藤さん(62歳)。20歳の頃から仕事をしては辞めてを繰り返し、ホームレス歴は40年近くになる。

「収入のほとんどは通りすがりのひとからもらっていて、多い時だと日に3000円くらいかな。食べるものも差し入れてもらってるよ」と語る。月3万〜4万円の収入を得ているそうだ。路上生活をしていて困る事は特にないそうで、お金を使うのはタバコと食費のみ。今の生活が性に合っている様子だ。

10日間飲まず食わずだった男性
会社が倒産し、1か月近く前に路上生活を始めた沼野さん

 冷たい風が吹きさらす新宿中央公園。ただの広場に大量に敷き詰められた毛布の山が「宿のない人が一時的に泊まれるように」と解放されていた。そこで一夜を明かした男性、沼野さん。ホームレスになって1か月足らずだという。以前は埼玉県越谷市でトラックの運転手をしていたそうだが、会社が倒産して社長が雲隠れ。給料も振り込まれず、当てどもなくさまよって新宿に行きついたそうだ。

「越谷から練馬まで歩いて来たんだけど、歩き疲れちゃって。途中、交番でおまわりさんに交通費をもらって、新宿中央公園で炊き出しをやってるのを教えてもらった」。警察官に越谷から練馬まで歩いて来た事を告げると、大変驚かれたそうだ。

 2021年12月31日に新宿中央公園で行われた炊き出しに参加したそうで、それまで10日間近く飲まずくわず。「若い頃にレンジャーにいてね、飲まず食わずは慣れてるよ」と語る。当時演習で食料は与えらず、演習中は蛇などをさばいて食べなければならないサバイバル訓練を受けたていた。それを食べるのが嫌だったそうで、その経験のため食べない事には慣れているらしい。

 その後、沼野さんは大久保公園で行われた炊き出しにも参加した。その際に、今後の生活相談や食料品、現金4000円をもらっていた。数日後に一緒に役所への相談を付き添ってもらう。それまで、今回の現金支給で「しばらくネットカフェなどで一夜を明かす予定」だと言う。

ホームレスの情報格差からみる収入格差
沼野さんに炊き出しの食料を見せていただいた

 ホームレスになる人にはさまざまな要因があるが、首都圏のホームレス取材をしている筆者が見聞きした限り、そのほとんどが失業によるものだった。だが、ホームレスになった後の対応の違いによって、収入の格差は生まれてくる。

 公の制度に頼らず、路上生活で培ったコミュニティを活用するホームレスの方々は、さまざまな情報に触れる機会や差し入れをしてくれる顔見知り人も多く、どこにいけば炊き出しがあるかも知っている。一方、路上生活でのコミュニティに入れていない場合、炊き出しの場所や日時、差し入れてくれる人のいる情報など自分で調べなければならず、そこに収入の格差は生まれてくるようだ。

 国の統計上は数値で「相対的貧困」の基準を定めているが、その値だけでは必ずしも実際の貧困の度合いは計れないのではないだろうか。貧困の原因が生活基盤の不安定さにあるのだとすれば、人間関係や情報源といった基盤を構築できているかどうかも重要だ。そのためにも公的な支援やサポートの必要性を感じた。

<取材・文/酒井由和>

bizSPA!フレッシュ 編集部

1133チバQ:2022/03/21(月) 08:09:37

https://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASQ3K6QR5Q3KUTFL00Y.html
10万円給付は借金支払いや生活費に 困窮世帯の厳しさ続く
2022/03/19 10:00朝日新聞

10万円給付は借金支払いや生活費に 困窮世帯の厳しさ続く

「心もあたたまる」。認定NPO法人キッズドアの食料支援の感想にはシングルマザーからのものもあった=キッズドア提供

(朝日新聞)

 3割近くを未払い金や借金の支払いにあて、さらに3割超を生活費に回す――。政府が昨年末から配った18歳以下の子どもへの1人10万円の給付金について、困窮世帯での使われ方が支援団体の調査でわかった。2月までに全額使い切った世帯も4割に達し、進学シーズンなどを前に厳しい環境にあるとみられる。

 経済的に苦しい子育て家庭を支援する認定NPO法人「キッズドア」が2月中旬までアンケートし、1725世帯から回答を得た。うち9割は一人親で、1割はふたり親だった。

 結果によると、10万円の使い道は「生活費(食費含む)」が34%で最多。未払いの水道・光熱費(10%)や学校関係費(9%)、借金の返済(8%)を合わせると61%は足元の暮らしに必要な経費に回していた。

 一方、11%は入学金など半年以内に使う貯蓄と回答。将来の備えとして貯蓄するとしたのは7%だけだった。

1134チバQ:2022/05/13(金) 13:41:27
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1bfc2b238b89c2cd6bb669ac29653b53d4fd6f2
「大丈夫」の裏に「助けて」 札幌、再開発の片隅で…路上生活者は今
5/13(金) 13:19配信

毎日新聞
にぎやかな都会で、路上生活者に声をかけ、炊き出しの日時が記載されたビラを手渡す労福会のメンバー=札幌市中央区で2022年5月7日、真貝恒平撮影

 北海道新幹線の札幌延伸や2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指し、再開発が進む道都・札幌市の中心部。人々が行き交う都会のにぎやかな風景が広がる。だが、ボランティア団体「北海道の労働と福祉を考える会」(労福会)の「夜回り」に同行すると、雑踏の片隅で、人目を避けるようにひっそりと路上生活を送る人々の姿が目に付く。路上生活者の現状と支援のあり方について探った。【真貝恒平】

 7日午後7時半過ぎ、市中心部の地下歩行空間。新型コロナウイルスの流行後に迎える3度目のゴールデンウイーク(GW)は3年ぶりに行動制限がなく、自由な休日を楽しむたくさんの笑顔であふれた。壁に貼られているのは、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す札幌市のポスターだ。

 「こんばんは。お変わりありませんか」。にぎわいをよそに労福会のメンバーが地下歩行空間のベンチに腰掛けている男性に声をかける。フードバンクなどから提供を受けた菓子パンや飲み物、マスクを手渡すと、男性は目を細め、「いつもありがとうね」と感謝の言葉を口にした。再開発の進行とまるで関係なく続いている光景だ。

 労福会は1999年の設立。大学生を中心に高校生や市役所の退職者ら約30人がメンバーとして登録する。毎週土曜の午後7時から2時間、約20人が3グループに分かれて札幌駅や狸小路周辺などを「夜回り」し、路上生活者に生活必需品を配布。月1回、大通公園などで炊き出しも行い、路上生活者の支援を続けている。

 多くの路上生活者が身につけている服を見ると、行き交う人々とほとんど変わらない。ただし、ズボンの丈が短かったり、靴が汚れていたりというわずかな「異変」がある。メンバーはそれらを見落とさずに声を掛けている。自身の境遇に負い目があるのか、最初は声掛けを警戒され、無視されることもあるが、何度も会ううちに徐々に心を開いてもらえるという。

 この日、大通の地下街で出会った50代ぐらいの男性は「生活保護は拒否しています」ときっぱりと言い切った。仕事さえ見つかれば、「路上生活から抜け出せる」と説明する。地下街が閉まる深夜は路上を歩いて朝が来るのを待って、日中は地下街のベンチなどで休むという。労福会は路上生活者に生活保護の申請を勧めているが、「まだまだ大丈夫だ」と断る人もいる。「自分のことは自分で」という「自助」の意識が強く、他者の支援を受けることをよしとしない固定観念があるという。

 「優しい人ほど、自分が悪いという自己責任の意識が強い」。大学院で貧困問題について研究する大野慶さん(28)が言う。労福会の活動に参加して7年ほど。路上生活者と接し、その心の内がいくらか見えるようになってきたという。「大丈夫」と笑う言葉の裏に「本当にどうにもならない時は、助けてほしい」という思いがあることを知った。大野さんは「自分たちの活動は最後のセーフティーネットだと思っています」と力を込める。

 労福会が札幌市の委託で毎年、実施する調査で、21年の路上生活者は市内に約40人。08年のリーマン・ショック後に一時的に109人まで増えたものの、徐々に減り、最近5年間は30〜40人で推移する。

 ◇一緒に考える

 一方、札幌市ホームレス相談支援センター「ジョイン」のスタッフで、労福会副代表の小川遼さん(30)は路上生活者の人数が減少したと額面通りに受け取っていない。「20〜30代の路上生活者は増えているが、ネットカフェに寝泊まりすれば、数字に反映されない。実際はその倍以上いると感じる。『隠れホームレス』への支援が行き届いていないのが現状だ」と警鐘を鳴らす。小川さんは「一緒に困って一緒に考える。とことん付き合っていくことが自分たちの存在意義だ」と語った。

1135チバQ:2022/05/13(金) 13:51:23
https://news.yahoo.co.jp/articles/3fda253f8c33bebea8f6c4b94a48704c493a43ab
手取り22万円「非正規・氷河期世代」を襲う「一生氷河期」という悲劇
5/13(金) 11:16配信

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手取り22万円「非正規・氷河期世代」を襲う「一生氷河期」という悲劇

労働人口の減少がみえている日本において、如何にして人手を確保するかは、重要課題のひとつです。そのような議論のなか、初めてクローズアップされたのが氷河期世代。「辛酸を嘗め続けてきて、やっと……」という思いと、「いまさら手遅れ」という思いが入り乱れている、そんな現状をみていきましょう。


氷河期世代…いまだ50万人が不本意ながら非正社員
2019年4月に開催された第5回経済財政諮問会議。日本の内閣府に設置されている「重要政策に関する会議」の一つでのこと。そこで初めて問題がクローズアップされたのが、氷河期世代にまつわるものでした。

氷河期世代とは、厚生労働省が2019年8月に発表した『就職氷河期支援施策の取り組みについて』において「おおむね1993年〜2004年に学校卒業期を迎えた世代」と定義しています。高卒であれば、1975年から1986年に生まれ、2022年時点で36〜47歳になる人たち。大卒(ストレートで大学に入り、4年で卒業した場合)であれば、1971年から1982年に生まれ、2022年時点で40〜51歳になる人たち。つまりいまの40代はまるまる氷河期世代だといえます。

この世代は、学校卒業時に有効求人倍率は1を上回ることはなく、希望の職につくことが非常に困難だった時代です。文部科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』によると、1996〜2006年には、大学卒業者のうち、1万人以上が「一時的な仕事」、つまりパートやアルバイトに就くしかない状況でした。



【「大学卒業者数」と「一時的な仕事に就いた者」の推移】

1996年  512,814人/10,514人

1997年  524,512人/10,738人

1998年  529,606人/11,957人

1999年  532,436人/16,023人

2000年  538,683人/22,633人

2001年  545,512人/21,514人

2002年  547,711人/23,205人

2003年  544,894人/25,255人

2004年  548,897人/12,412人

2005年  551,016人/12,061人

2006年  558,18人/12,039人

出所:文部科科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』より作成

不本意ながらも正社員として採用され、社会人となった人たちはまだよかったのですが、そうではなかった人たちの多くは悲惨なキャリアを歩むことになりました。

雇用環境が改善したきた2005年以降、そこで正社員になれた人はよかったですが、その時点ですでに30代に達していた人たちは特に正社員へのハードルは高く、断念せざるを得ないという状況に。政府は氷河期世代に対して、正社員への道を支援していますが、企業側が正社員としてのキャリアのない人たちを採用するメリットがあるのか……疑問です。「生涯、非正社員」は氷河期世代・非正社員の人たちにとって、かなり現実的な未来なのです。

財務省の調査によると、就職氷河期とされる人は、およそ1,600万人。そのうち現在も約50万人が「望まずして非正社員」といわれています。

1136チバQ:2022/05/13(金) 13:51:42
40代氷河期世代…非正社員と正社員を比べてみると
厚生労働省『令和3年賃金構造基本調査』によると、大卒男性、非正社員の平均月収は31万1,400円、手取りにすると24万円ほどになります。

40代に注目すると、40代前半で月収28万9,200円、40代後半で28万6,900万円。手取りにすると22万円ほどです。また同時期の正社員をみていくと、40代前半で月収44万6,200円、40代後半で48万3,500円。

年功序列が根強く残る日本では、通常、年齢が上がるにつれて収入も上がっていくもの。正社員ではそのストーリーを描くことができますが、非正社員では難しいことがわかります。

また非正社員では賞与も期待できず、全体の全世代平均で推定419万円。40代前半では361万円、40代後半で365万円。同時期の正社員は40代前半で684万円、40代後半で748万円。少々、悲しくなってくる結果です。

そんな非正社員ですが、あえて正社員にはならず、高給を手にする人たちもいますので、大卒男性・非正社員の給与分布を確認してみましょう。

全世代で基本給20万円未満は26.8%。40代前半では27.3%、40代後半で28.2%。40代にして3人に1人弱が、大卒初任給以下の水準です。



【大卒男性・非正社員の給与分布】

20万円未満:27.3%/28.2%

20万〜22万円未満:12.8%/15.3%

22万〜24万円未満:16.5%/13.2%

24万〜26万円未満:6.4%/6.7%

26万〜28万円未満:4.6%/7.9%

28万〜30万円未満:8.2%/4.7%

30万〜32万円未満:4.8%/4.5%

32万〜34万円未満:2.3%/2.1%

34万〜36万円未満:2.6%/3.6%

36万〜38万円未満:5.0%/1.5%

38万〜40万円未満:1.9%/2.1%

40万円以上:7.7%/10.2%

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本調査』より算出

「大学を卒業しても、一生、非正社員でしかない……」。そんな諦めの境地にいる氷河期世代。仮に大学卒業後、65歳まで働いたとしたら、正社員との生涯年収の差は1.1億円にもなる計算。生まれた時代を恨みたくなるのも、仕方のないことかもしれません。

1137チバQ:2022/06/01(水) 16:20:19
https://news.yahoo.co.jp/articles/647a64bfb429c0246f3fdf1c049866ec61212004
「生涯で一番きつい」 月の手取り12万円から7万円に コロナ禍で3度転職 追い込まれるひとり親
6/1(水) 11:52配信
沖縄タイムス


 沖縄県が31日に公表した「沖縄子ども調査」で、経済的困難を抱える親子が、長引くコロナ禍や物価高騰でさらに追い詰められている実情が明らかになった。とりわけひとり親世帯の厳しさは増しており、収入が減った中2の保護者は51・7%。ふたり親世帯より10ポイント以上高い。国の全国調査と比べても17ポイント以上高く、シングルマザーからは「生涯で一番きつい」「受けていた支援が打ち切りになった」と切実な声が漏れる。(社会部・松田駿太、学芸部・嘉数よしの)

■追い込まれるひとり親

 沖縄本島南部で高校2年の娘を育てる女性(44)は、コロナ禍で3度の転職を余儀なくされた。腎臓に持病がある娘のため、長年勤めた雑貨店を辞めて実入りのいい夜の飲食店で働き始めた直後の2020年2月、県内でコロナ感染が確認された。

 マスクを外して接客しなければならず、勤務中は「ずっと不安」。重症化リスクがある娘が心配で、同年秋には弁当屋に転職した。感染が広がると客足は落ち込み、月の手取りは12万円から7万円に減った。別の飲食店に職を求めても、収入は月数万円。苦しくなる一方だった。

 ひとり親を対象にした県の家賃貸付制度や児童扶養手当を利用したが、貯金も切り崩さねばならず「絶対に触らない」と決めていた娘のための預金にも頼らざるを得なかった。お年玉もためていた口座。「伝えるのがすごくつらかった。この2年間は生活をどう守るかばかり考えていた」と声を震わせる。

 6月からサービス業の正社員として働くことが決まり、ようやく希望が見えてきた。収入は月16万円ほど。「娘が高校卒業後にやりたい道に進めるよう頑張りたい」と前を向く。

■弁当配布に希望者殺到

 中2の娘と中1の息子がいる本島南部の母親(48)は、20年5月に離婚した。精神障がいがあって働けないため、月約15万円の障がい年金が頼みの綱。貯金はほとんどできない。今春の息子の進学時には制服代などに約8万円かかったため、家賃を払えなくなり「待ってもらっている」

 相談機関を訪ね歩き、社会福祉協議会などから食料支援を受けるが、生活は苦しい。民間団体から受けていた週2回の弁当配布はこの4月、申し込み殺到で定員オーバーになり、受けられなくなった。

 「困っている人が増えているのだろう」と身につまされる。「支援は広がっているが間に合っていない。もっとうまく情報を届け、支えてほしい」と望む。

1138チバQ:2022/06/08(水) 17:25:21
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9b3c05a16655338a7552d718f5afefd85a8b98f
「もう消えたい」ゴミが散乱する四畳半の部屋で…62歳男性を襲う孤独
6/8(水) 15:55配信


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大手印刷会社などを経て、33歳で独立。風俗専門の広告会社を設立するが、2020年に廃業した。背後の窓は、酔って破壊したせいで段ボールで塞がれている

かつては”上がり”とされてきた還暦。人生100年時代という延長戦を迫られた今、おめでたいと手放しで喜べる余裕はない。ミッドライフ・クライシスの先に待ち受ける、60代の厳しい現実とは?

⇒【写真】玄関には大量の吸い殻が詰まった紙コップが放置されていた

「体も心も、毎日しんどい、ツラい」
鬼ころしの180㎖パックと食べかけのカップ麺が散乱する四畳半の部屋にはすえた臭いが充満している。東京都在住の横田智史さん(仮名・62歳)は消え入るような声で“変調”について語り始めた。

「ここ数年、もう消えたいって気分にしょっちゅう襲われるようになった。体も心も、毎日しんどい、ツラい」

約30年間、小さな広告代理店を経営してきたが、コロナ禍もあり、2年前に廃業。同じ頃、同年代の妻と離婚した。貯金を取り崩しながら暮らす現在は酒浸りの生活に。

「この1年は絶えず胃のあたりや背中が痛くて、しょっちゅう真っ黒なタール便も出る。でも今さら病院に行って体を治す意味が見いだせないから放置してるんだ」

「人とか行政に頼るのは一番の苦痛」
タレントの上島竜兵氏や俳優の渡辺裕之氏の死について尋ねると、横田さんの表情は一変。

 「ショックだったよ。でも彼らの気持ちはよくわかる。俺もかつては毎日死ぬほど働いて、夜は飲んで大騒ぎ。でも今はほぼ誰とも口を利かない日々。どんどん内にこもっていっちゃう」

50代までは感じなかった将来への漠然とした不安、現状への絶望感があるという。

「何を食っても、何を見ても感動しない。毎日がどんよりとしている。時折、強烈な寂しさに襲われるんだけど、それでも人と会う元気は湧かないし、そもそも人から求められることもない。今は顔を洗うのも、歯を磨くのも面倒。だからって人とか行政に頼るのは一番の苦痛だよね。哀れみ、蔑み。人間、それが一番辛いと思う。だから人恋しくても、死ぬまでひっそりと酒を友達に生きていくつもりです」

60代の危機はどこからくるのか
彼のように60代から危機的状況に陥るのは、偶然なことではない。

厚労省の調査によると、男性の年収は、多くの企業で定年となる60代前半で一気に減少。さらに、定年後の再雇用者のうち約5割は年収額が半分以下に減ることがパーソル総合研究所の調査でわかった。

変化するのは収入面だけではない。食品会社・味の素が実施した「60代以降の就業及び健康」の調査では、年代間の違いが明らかとなった。

「身体で気になること」では、40代が疲労感や疲れやすさが高いのに対し、60代では脚の筋力、握力の低下を実感。また「人生観や価値観」では、40〜50代が「仕事など、人生の成功を収めたい」と考えるのに対し、60代は「社会や地域の役に立ちたい」「人との出会いやつながりを大事にしたい」が多数派となる。

つまり、60代は定年による収入の急減と仕事の喪失が起こり、体力の急激な衰えを感じ、社会的に孤立しやすいとき――。40〜50代の中年期には、中年の危機=ミッドライフ・クライシスという言葉があるが、その先には60代の危機、いわば“シルバーライフ・クライシス”が待ち受けているのだ。

「#いのちSOS」
フリーダイヤル 0120(061)338
月・木:0時〜24時(24時間)
火・水・金・土・日:8時〜24時

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[60代危機]という新たな病]―

日刊SPA!

1139チバQ:2022/07/07(木) 21:18:02
https://www.tokyo-np.co.jp/article/187635
<この声を 参院選埼玉>(4)女性の貧困 「何かを考える余裕ない」
2022年7月5日 08時06分
 「一時金や支援物資はすごく助かる。でも一番必要なのは、安定した就職先です」。都内で就学前の子どもを一人で育てる二十代の茉優(まゆ)さん(仮名)は、そう話す。夫とは離婚調停中。夫が養育費の取り決めを渋り、半年以上長引いている。そのためシングルマザーとして行政に認められず、ひとり親手当も出ない。
 昼間は子どもを保育園に預け、メンズエステと呼ばれる男性向けの接客業で働く。キャバクラなどの接待を伴う飲食業や風俗業、いわゆる「夜職」と呼ばれる業種だ。健康保険や有給休暇などの保障はない。その代わり売り上げは店と折半で、即日支払われる。茉優さんは「子どもが急に病気になっても当日欠勤できる。生活保護を受けずに家賃を払える収入を得るには、結局こうなった」と話す。
 店では性的サービスは禁じられているが、客が直接交渉してくることも。「子どもの病気で長期間休まなきゃいけなくなったとか、経済的に苦しくてお客を拒めない人もいると思う」
 海外と比べた日本の母子世帯の特徴は、就労率が高いのに半数以上が貧困に陥っていること。離婚後に養育費を受け取る人はわずか24・3%。養育費不払いを立て替える自治体も出てきたが、養育費の立て替えや天引きをする国の制度は実現していない。
 さらに大きな要因は男女の賃金格差。子育てとの両立が難しく、低賃金の非正規労働に追いやられていることだ。
 茉優さんは妊娠・出産に加え夫の転勤もあり、仕事のキャリアを積めなかった。「子育ては立派な仕事なのに、社会で認められない。育児で一度仕事を辞めると、稼げる昼間の仕事に再就職するのは難しい」
 茉優さんは「容姿や年齢が稼ぎに直結する今の仕事は、いつまでも続けられない」とつぶやく。少しでも生活の安定につながればと、政治には「養育費の取り立て制度」を望む。だが、選挙があっても投票の整理券は直接手元に届かない。夫に現住所を知られないよう遠隔地の実家に住民票を移したためだ。「生活が落ち着かなくて何かを考える余裕がない。大変な人ほど投票できないのでは。ネット投票とか、良い仕組みはないのかなと思います」
 茉優さんや同じような境遇の女性たちを応援してきたのが、夜の世界で働くシングルマザーを支える民間団体「ハピママメーカープロジェクト」(川口市)だ。二年前に設立され、食料の無償配布や法律相談などをしている。
 運営者の石川菜摘さんは「夜職の女性は、コロナ禍の前から厳しい状況に置かれてきた。困り事があって警察や医療機関、行政に相談しても『そんな仕事をしているからだ』と蔑視されがち。そもそも相談窓口にどうアクセスすればいいか分からないことも珍しくない」と指摘する。
 活動では、子連れでの交流会など孤立しがちな当事者同士のつながりをつくることも大きな目標にしている。「公的支援がちゃんと機能せず、夜職が事実上のセーフティーネットになってしまっている現実はある。でも、それは政治や社会の問題です」
 石川さんは四日、こんなツイートを発信した。
 「風俗は、仕事であって、社会福祉ではないです 生活困窮していたり、どうしようもなく切羽詰まってたり:そういう時に行き着く先は、風俗ではなく、社会福祉じゃなきゃだめです」(出田阿生)=おわり

1140チバQ:2022/07/07(木) 21:19:39
https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/feature/CO058592/20220630-OYTAT50082/
【参院選2022 課題の現場】〈4〉ひとり親コロナ苦境…仕事、育児支え合う社会に
2022/07/01 05:00
 「ただいま」。6月上旬、花巻市の学生服リユースショップ「さくらや花巻店」に学校帰りの子どもたちの声が響いた。子どもたちは学生服や学生かばんが並んだ店内のレジ前にあるテーブルに座り、学校の宿題を広げると、黙々と勉強を進めていった。

期日前投票、前回比1.3倍…中間状況

 同店では今年4月から店主の多田真弓さん(41)が無料学習塾を開いており、毎週月曜夕方の閉店時間を過ぎると、店内は子どもたちの「教室」へと生まれ変わる。経済的な理由で塾に通えない小学4年生〜中学3年生が対象で、現在は母子世帯の子ども3人が通っている。漢字ドリルに挑戦していた小学5年生の女児(10)は「勉強は苦手だけど、ここだと集中して勉強ができる」と話していた。

 県が2018年に行った子どもの生活実態調査では、18歳未満の子を持つ母子世帯に「子どもの進学」について尋ねたところ、4割が「理想は大学まで進学させたい」と答えたが、現実的な回答を問うと、経済的な理由などで、その割合は約2割へと半減した。多田さんは「無料塾で少しでもひとり親の助けになりたいと思った」と話す。



 加えて、新型コロナウイルスの長期化で、ひとり親を取り巻く環境の厳しさは増している。母子世帯を支援する東京の認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」などが今年3月、全国のひとり親世帯約2400人を対象に行った調査では、働く人の平均月収は13・6万円。子どもの通う学校や預け先が休みとなって仕事に影響が出た人のうち、約6割が収入が減ったと回答した。また、米などの主食を買えない経験をした家庭は約5割、服や靴を買えない経験をした家庭は8割にも上った。

 こうした中、盛岡市ではコロナの影響で職を失うなどしたひとり親を市の臨時職員として採用する取り組みを始めた。対象は18歳以下の子を持つひとり親で、毎年20人程度、最長で6か月雇用し、働きながら次の就職先を見つけてもらうという。事業は20年度から始まり、昨年度は26人を採用。うち11人の再就職先が決まった。

 5月から働く女性(47)は、中学生の長男(14)と次男(13)の3人暮らし。再就職先を探そうと7社ほど申し込んだが、採用が決まらず、精神的に参っていた時に市の募集を知ったといい、「値上げで食費のやりくりが大変だが、働けることで心が軽くなった。市で働きながら長く働ける職場を探したい」と話した。



 仕事や収入の確保、育児の両立など、ひとり親世帯が抱える問題は様々だ。そうした悩みの受け皿の一つとして期待されているのが、NPO法人などが運営する「子ども食堂」だ。盛岡市の認定NPO法人「インクルいわて」の山屋理恵理事長は「何よりもひとり親を孤立させないことが重要。子ども食堂はそのための手段」と語る。同法人が行う子ども食堂では、参加するひとり親にアンケートを行い、抱えている問題や悩みについて聞き、スタッフが関係機関とつなげる取り組みを行っている。

 一方で、子ども食堂は困窮世帯支援というイメージが残り、参加しづらいという側面もある。そのため、同法人の子ども食堂では、フットサルやドミノ体験などのイベントを企画し、参加しやすいようにする工夫も行っている。山屋理事長は「ひとり親に必要な支援制度や公的な窓口の活用についての認知が進んでいない現状もある。子どもの貧困の問題解決には社会全体で考え、支え合う環境を作ることが必要だ」と指摘している。

1141チバQ:2022/07/07(木) 21:21:45
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20220706-OYT1T50140/
[参院選22 声]49歳非正規 結婚は夢…氷河期世代
2022/07/06 15:00
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 福岡県北部で高齢の母親と2人暮らしの宮原孝博さん(49)は3月まで、県の非常勤職員として2年間、新型コロナウイルス関連のシステム入力などを担った。

 契約は半年ごとの更新で、手取りは月約13万円。7月中旬からは、別の職場で非常勤職員として働くが、それも今年10月まで。「とても結婚など考えられない。高齢になった時に面倒をみてくれる家族もいない」と将来への不安を抱えている。

福岡県の非常勤職員時代の給料明細に目を通す宮原さん(福岡県内で)=大森篤志撮影
 1993〜2004年頃に社会に出た「就職氷河期世代」。98年に国立大大学院を修了時、製薬会社や商社など30社に応募したが、全て不採用。その後、採用試験に合格し大分県職員になったが、心労が重なり、10年に退職した。


 それからは大学や法律事務所のアルバイトなどを転々とした。氷河期世代を対象とした公務員試験も受けたが、限られた枠に応募が殺到し、不合格だった。

 ハローワークの氷河期世代の支援窓口を通じて企業の面接に進むと、「40歳以上は難しい」との理由で断られることも少なくない。

 今回の選挙で、氷河期世代の支援を訴える候補者は少ないと感じており、「少子化問題にも関連する世代だけに、真剣に向き合ってほしい」と求めた。

 神奈川県鎌倉市の英語通訳、 河野かわの ゆ子さん(49)は、高校2年の長男と小学4年の長女の教育費に頭を悩ませる。

 学費のほかに部活動、塾、習い事とお金は次々に出ていく。家計の足しにしていた通訳の仕事はコロナ禍でなくなり、負担感は増した。参院選では各政党が、教育費の負担軽減、教育環境の充実をどう進めるつもりなのか気になっている。

 結婚後、家庭優先の生活を送っていたが、約1年半前、思い切ってSNSを始めた。日々の出来事や興味のある美容の話など「自分」を発信すると、同世代から「私も新しいことを始めたい」などと反応が相次いだ。

 振り返れば、自分たちの世代は仕事への門戸が狭く、社会で活躍できる環境も整っていなかったと思う。「意欲も能力も高いのにチャレンジできない40歳代はきっとたくさんいる。もっと活躍できる機会を作ってほしい」と話した。

1142チバQ:2022/07/08(金) 20:27:48
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/573003
2022.06.22 08:35

【2022参院選 高知/徳島】ひとり親コロナで貧困化 食に苦労「消しゴムも買えず」 子ども食堂、生活支援―声よ届け
高知新聞社

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食料支援を行う子ども食堂。ひとり親家庭などの生活を支えている(高知市中万々)
食料支援を行う子ども食堂。ひとり親家庭などの生活を支えている(高知市中万々)

 新型コロナウイルス禍は、もともと社会で弱い立場にあった人たちの貧困を深刻化させた。県内のあるひとり親世帯もたちまち生活苦に陥り、途方に暮れた。参院選はきょう公示。セーフティーネット(安全網)は機能しているか。政治は寄り添えているか。

 高知市在住のA子さん(40代)は数年前に夫と離婚。パートの仕事を続けながら、小学生から20代まで4人の子どもと暮らす。

 介護業界で働くが、コロナ下の利用控えで仕事が一時期、激減。収入が10万円を切る月もあり、もともと苦しかった家計はさらに逼迫(ひっぱく)した。冷蔵庫の食べ物を巡りきょうだいげんかが起き、「子どもの消しゴムが割れても買ってあげられなかった」と言う。

 困り果てて昨秋、市の広報紙に載っていた相談窓口を訪ねた。ひとり親の自立支援を目的とした家賃貸付制度を利用できることになり、その償還免除要件として、新しいパート仕事の掛け持ちも始めた。

 午前4時に起きて朝食や弁当を作り、夕方まで一つ目の仕事へ。帰宅して子どもたちに晩ご飯を用意し、午後10時ごろまで別の職場で働く。家族分の洗濯や掃除、翌朝の準備をしてやっと就寝。「朝からフル回転です。睡眠時間は5時間あったらいい方」

 支援者の紹介で、昨年末から「こども食堂こうち実行委員会」が同市中万々で行っている食料支援も利用し始めた。県内の市場や企業などから寄付された野菜、果物、米、パンなどを週2回受け取りに行く。食費が約半分に減り、得意な料理の腕を生かしてたくさんのおかずが食卓に並ぶようになった。

 「これまで『ほかに食べ物ない?』って子どもに言われるのがつらかった。今はみんなが『あー、おなかいっぱい』って言ってくれる。最近うれしかったのが、上の子に5足398円の靴下を買ってあげられたこと。それぐらい生活が変わりました」

 ◆ 

 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、ひとり親世帯の「貧困率」(中間的な所得の半分である127万円に満たない家庭で暮らす人の割合)は、2018年時点で48・1%。コロナ禍による雇用悪化は、とりわけ非正規雇用が多い女性労働者に打撃を与え、シングルマザーの生活苦にも拍車をかけた。

 県が昨年8月に行った調査では、母子世帯の約3割がコロナで世帯収入が減ったと回答。家計が苦しいと回答した母子世帯は72%に上っている。

 「こども食堂―」でも、この2年余りで支援依頼が増え、現在食料支援を行う52世帯のうち母子が28世帯を占める。配偶者がいてもDV、コロナによる失職、病気などさまざまな事情を抱える女性から相談があり、「子どもは国の宝。育てゆうお母さんたちがこんな状況に置かれていいが?」と代表の秦泉寺あやさん(68)は嘆く。

 活動を支えるボランティアたちもほとんどが女性。「いらっしゃい」「これも持っていきや」と食材を取りに来た母親たちに声を掛け、必要な場合は役場窓口や福祉事務所につないでいる。

 コロナの影響が長期化する中、国も困窮するひとり親世帯への給付金を設けてきたが、家計の穴埋めに使うと「一瞬でなくなった」とA子さん。長い議論の末に時々もらえる一時的な支援より、定期的な食料支援によって毎日の生活が回っている。食堂関係者も「(困窮世帯の)状況は全く良くなっていない。お母さんたちの言葉が政治に届いてほしい」と切実な思いをにじませる。

 A子さんは子どもたちに「いろんな人に助けられゆうがで。ニンジン1本も無駄にしたらいかん」と伝えている。「普通に学校(高校)にも行かせてあげたくて。今後は学費の貯金もできるように生活を成り立たせたい」。そう前を向く。(松田さやか)

1143チバQ:2022/07/14(木) 09:19:16
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1d1a3bb39a550faefa916087cdc70c0dad421e1
感染しただけで退職を迫られる…「コロナハラスメント」の深刻な実態 労働組合に相次ぐ相談、裁判になるケースも
7/14(木) 7:02配信


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47NEWS
電話相談に応じる連合の職員

 「マスクを着用しないと懲戒処分になると言われた」「感染したら、会社から退職届けが送りつけられてきた」。職場で新型コロナウイルスを理由にした嫌がらせやいじめを受けたという「コロナハラスメント」の相談が労働組合に相次いでいる。2年以上にわたるコロナ禍での感染恐怖と疑心暗鬼の心理状態が生み出したと言えるだろう。自分がハラスメントの被害者や加害者になってしまったらどう対処すればいいのか。再び感染者数が増加傾向にある今だからこそ、考えたい。(共同通信=助川尭史)

 ▽ワクチン未接種で懲戒解雇、感染隠蔽も

 全国の労働組合の中央組織、連合に寄せられる労働相談の件数はコロナ感染が広がった2020年に2万828件。コロナ禍前の19年(1万5260件)から大幅に増加した。昨年は1万7607件とやや減少したが、依然として高い水準で推移している。

 共同通信はこのうち、2020年9月〜今年4月までに連合が電話やメールで受け付けた「コロナハラスメント」の相談92件の提供を受け、内容を分析した。

(写真:47NEWS)

 すると、コロナが登場した20年の相談内容は「10畳の部屋に20人が集まって朝礼をする」(製造業・30代男性)「発熱外来に勤務しているが、防護服もマスクも不足している」(看護師・20代女性)など、対策そのものが不十分という声が目立った。
 感染者が急増した21年からは、過剰なコロナ対策への悲鳴や抗議の声が増えた。「毎日上司から私だけでなく、家族の体温や体調を聞かれる」(製造業・40代女性)「コロナ禍での旅行を計画していたのを知られ、叱責を受け『給料を下げる』と言われた」(建設業・30代男性)

 一方で、マスクやワクチン接種の強要を訴える相談も後を絶たない。「マスクを着用できないなら医師の診断書を提出するように言われた」(警備会社・50代女性)「接種を受けなかったことを理由に懲戒解雇とされた」(介護職・60代女性)など、従業員への強要と言える内容も目につく。

 感染力の強いオミクロン株が席巻しはじめた22年1月ごろからは、クラスター認定による休業を恐れる余り、感染を隠蔽しようとする使用者側の対応も散見されるようになった。福祉施設を中心に「発熱するなどのコロナの症状が30人以上出たのにPCR検査を実施してくれなかった」(福祉職・30代男性)という相談が寄せられている。

 連合の担当者は「行き過ぎた対応は新たなハラスメントになりかねない」と警鐘を鳴らす。ただ、一方では「マスク着用を徹底してほしいが『効果がない』と聞き入れられない」(製造業・50代男性)などと感染への不安から対策の強化を訴える声も根強くあるという。「コロナへの反応は労働者間でもそれぞれ。一律の対応はなかなか難しい」と話した。
 ▽「周りを感染させるかもしれないから辞めてほしい」

 コロナ感染を理由に不当な退職勧奨を受けたとして、裁判になったケースも起きた。

 「周りを感染させるかもしれないから辞めてほしいと急に言われて…。いきなりの言葉で胸が苦しくなって手が震えました」 

大阪市の男性(39)は、コロナ感染を理由に突然退職を切り出されて精神的苦痛を受けたとして、今年2月、勤務先だった就労支援施設「アルファセブン」(大阪市天王寺区)に330万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。 

勤務先だった就労施設を提訴した男性

 男性は5歳の時に患った中耳炎が原因で聴覚に障害があり、知人の紹介で2019年5月からこの施設で勤務。菓子の包装箱の組み立てを担当した。しかし、光を感じる視細胞が失われる網膜色素変性症が次第に進行し、わずかな明かりしか感じることができない視覚障害を負った。通勤する際は近くに住む同僚が介助していた。

1144チバQ:2022/07/14(木) 09:19:38
 昨年9月、コロナに感染し、発熱やせきなどの症状で約1カ月の療養を余儀なくされた。退院後、職場に行くと別室に連れて行かれ、施設の責任者に「他の職員や利用者に感染させる可能性が高い。付き添い出勤が必要なら他に行った方がいい」「通勤中、事故があっても労災を申請しないと念書を書いてほしい」と何度も迫られたと明かす。強硬な姿勢に男性は恐怖を感じ、退職の意思を告げると退職届けを代筆され、自己都合退職扱いとされたという。

 

 「そもそも同行してくれた同僚への手当は全く無かったし、休職中の給与は一切支払われなかった。コロナを理由にしたハラスメント以外のなにものでもない」。4月にあった初弁論では「障害者を支援するはずの施設が差別的な対応をしたことに恐怖と怒りを覚える」と訴えた。

 一方、施設側は反論。同僚との付き添い出勤を禁止したのは保健所の指導によるもので「ハラスメントにはあたらない」と主張した。退職も男性が自ら申し出たもので、強要はなかったとしている。
 ▽「あなたのため」がハラスメントに

 コロナハラスメントの被害は、決してひとごとではない。もしも巻き込まれてしまった場合、どう対応するべきだろうか。労働問題に詳しい西川大史弁護士(大阪弁護士会)にハラスメントの背景や対処法を聞いた。

 ―コロナハラスメントが起きてしまう背景には何があるのでしょうか

 新型コロナウイルスが世界的に流行して3年目になります。未知の領域が多々ある中、多くの人が正確な情報をつかめておらず、科学的知見に基づかずに従業員のプライベートにまで介入するような過剰な対応につながってしまいます。賃金が未払いだったり、勤務シフトが削られたりしてもコロナを理由にすれば許されてしまう風潮も、過剰な対応を助長させている原因だと思います。

コロナハラスメントへの対処について語る西川大史弁護士

 ―通常のハラスメントと比べて対応が難しい部分はあるのでしょうか

 

 パワハラやセクハラは裁判例の積み重ねや、厚労省の指針もあって何が問題になるかはっきりしていますが、コロナハラスメントに関して指針になるようなものは現状ありません。部下や同僚のためを思って取った対策が結果的にハラスメントになってしまうこともあり、悪意による他のハラスメントより、ある意味たちが悪い部分もあります。

 ―政府が水際対策の緩和やマスク着用基準の見直しを打ち出す中で、今後どのようなことが問題になりそうでしょうか。

 厚生労働省の発表では、コロナの影響で解雇や雇い止めにあった人は約13万人で、そのうち約6万人が非正規雇用で働く労働者です。不安定な雇用条件で働く障害者や非正規労働者はコロナハラスメントの標的になりやすく、コロナを隠れみのに不当な圧力を労働者にかける行為は今後も表面化する可能性があります。

 マスクについても懸念があります。「ノーマスクは不安」と言う声がまだまだ根強く、基準の見直しが進んでもなお着用を強要するハラスメントは残っていくでしょう。

 ―もし自分がコロナハラスメントの当事者になってしまったらどう対応するべきでしょうか

 今年の4月からハラスメント規制法が中小企業にも拡大され、企業はハラスメントの相談窓口を設置することが義務づけられました。被害を受けたら、まずはそういうところに相談した上で、取り合ってもらえない場合は労働組合や弁護士に相談することが重要です。また、自分が気づかないうちに加害者になってしまうこともあるかもしれません。どのような行為がハラスメントになるのか日頃から職場で話し合うことが大切です。

1145チバQ:2022/07/28(木) 10:28:35
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb23e46310de10f73e8d543f69c8abeb90d6fce8
「脱落」したら這い上がれない 銃撃事件と氷河期世代に固定した“悲惨な状況”〈AERA〉
7/28(木) 8:00配信
山上徹也容疑者は「『最悪の時代』に社会に出た」と格差研究の識者は指摘する。凶行は決して許されるものでも正当化されるものでもない。日本を震撼させた事件の社会背景にあるものは何か。AERA 2022年8月1日号の記事から。

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*  *  *

「7月中には所持金がなくなってしまうので、その時には死のうと思った。死ぬ前にやろうと思っていたことをやるしかないと思い、安倍元総理を襲撃する決心がついた」

 山上徹也容疑者(41)は、奈良市内で7月8日、参議院選挙の応援演説中の安倍晋三元首相を銃殺した。当初は「政治テロ」が疑われ、凶行に対し「民主主義への挑戦だ」という声もあがった。しかし、その後の供述などから、母親の新興宗教への献金による家庭の経済的困窮が背景にあり、最終的に犯行の背中を押したのも貧困だった可能性が徐々にわかってきている。

「山上容疑者は、日本の資本主義社会における労働者階級のさらに下、『アンダークラス』という階層に入っていると見ていいと思います」

 こう話すのは、格差研究が専門の早稲田大学人間科学学術院・橋本健二教授だ。橋本教授が定義する「アンダークラス」とは、生きていくための最低限の賃金すら得られない非正規雇用労働者(パート主婦を除く)を指す。たとえば、フリーターや元フリーターを含め非正規雇用のまま年を重ねた人や、シングルマザー、年金を十分に受け取れず非正規雇用で働く高齢者などだ。1990年頃から増えてきたという。

「バブル期の雇用拡大で正規労働者とあわせて非正規労働者も増え始め、バブルが崩壊すると就職できない若者たちが非正規雇用に一斉に流入しました。98年、金融危機でその流れが一気に加速したんです」

■就職状況は最悪だった

 80年生まれの山上容疑者は99年に高校を卒業。大学には進学せず同年、公務員を目指すための専門学校へ。専門学校中退後は、2002年に海上自衛隊に任期付きで入隊したとされる。つまり、99年から01年頃にかけてが、社会に出るために職を探していた時期と考えられる。

「最悪の時代に社会に出た、と言えます。93年から07年頃までがいわゆる『就職氷河期世代』。中でも金融危機後の、99年から04年までに学校を出た世代の就職状況は最悪でした。大卒の就職率はバブル期には90%台、崩壊後も70%台を保っていましたが、98年を境に60%台前半まで急降下。高卒に至っては40%台前半まで落ち込みました。平均年収も他の世代と比べて極めて低く、厳しい世代です」。

 山上容疑者は、高校の卒業アルバムの「将来の自分」欄にひとこと、「わからん。」と書いた。卒業したのは県内有数の進学校だ。大学を目指さなかった理由は定かではないが、高卒時点で就職をしようにも、「厳しかっただろう」と橋本教授は言う。

「進学校なので就職実績がないんです。高卒で就職した先輩がいる会社もなければ、就職指導のノウハウもない。もし、容疑者が高校を出てすぐ就職をしたかったとしたら、進学校卒であることがマイナスに働いた可能性もある」

■悲惨な状況が固定する

 山上容疑者は海上自衛隊をやめてからも、アルバイトや派遣社員など複数の非正規職として働き続けた。たまたま「最悪の時代」に社会に出て非正規雇用になると、「這い上がれない」悲愴(ひそう)と鬱屈(うっくつ)。そんな苦境が事件に影響を与えなかったか。

「大いにあると思います。近年起きている凄惨(せいさん)な事件の犯人には、山上容疑者に近い世代が多いんです。秋葉原通り魔事件を起こした元派遣社員の彼(82年生まれ)しかり、京都アニメーション放火事件の彼(78年生まれ)もしかり。事件の背景に、この世代に特に顕著である『這い上がれない悲惨さ』があるのは間違いないと感じます」

 もっとも、長期雇用の慣行が比較的最近まで強かった日本では、最初についた職業がその後のキャリアを大きく決定づけてしまう傾向は以前からあった。

「しかし、バブル前の頃までは、正規労働者として働く機会はそれなりに開かれていました。たとえば零細企業の正社員だったとして、最低限生活できる賃金は得られた。けれども、非正規労働者にはそれさえかなえられない。非常に悲惨な状況のまま、階層が固定してしまっていることが問題です」

 さらに、山上容疑者の場合、母親の新興宗教への献金による貧困や、自らの自殺未遂、兄の自殺など、苦境が続いている。

「経済的な悲惨さを抱えた人が膨大な数いる。そこに何か偶発的な、個人的な要因が重なれば、当然、不満が暴発し、今回のような事件につながってもおかしくないと思います」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2022年8月1日号より抜粋

1146チバQ:2022/08/15(月) 20:55:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/03c506ad70879dc60f4d7867523f2c16a447d0c7
「毎日、地獄の苦しみ」 物価高騰 生活保護受給者、悲痛な叫び
8/15(月) 16:57配信


毎日新聞
生活保護を利用する女性(72)。支援団体の食料配布に並び、桃やパンなどを受け取った=東京都新宿区で2022年8月6日午後2時52分、黒川晋史撮影

 ウクライナ情勢を背景にしたエネルギー、食料などの価格高騰で、生活保護を利用する人々の暮らしが脅かされている。保護費は従来と変わらないのに、光熱費や生活必需品の高騰で家計が圧迫されるためだ。憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」が危ぶまれる事態に、利用者からは「どうやって生きていけばいいのか」と助けを求める声が上がる。


 8月6日午後、東京・新宿。じめじめした曇り空の下、都庁前の高架下に500人を超える行列ができ、支援団体がパンや米、果物などの袋詰めの食料を配っていた。新型コロナウイルスの感染拡大以降、毎週見られる光景だ。その中に、新宿区に住む女性(72)の姿もあった。

 女性は福岡出身で、静岡の機械工場で雇い止めに遭い、約10年前に仕事を求めて上京した。次第に持病の影響で体力が低下して働けなくなり、今は生活保護を受けてアパートに1人で住む。月の保護費から区役所や病院との連絡に使う携帯電話代や家賃を除くと、残る生活費は6万5000円ほどという。

 上昇する光熱費。なるべく部屋にいる時間を減らそうと、生活保護世帯に支給される無料乗車券で都営バスに乗り、暑さをしのぐこともある。コロナの感染状況を考えれば長時間の外出は避けたい。自宅にいればエアコンを使わざるを得ない。「今月の電気代はいくらか、請求書が来るのが恐ろしい」。財布を開くと1000円札が4枚と、小銭が少し。女性は「これでどうやって生きていけばいいの? 毎日、地獄のような苦しみだよ」と、涙声で訴えた。

 都庁前の支援現場では、高齢者以外の姿も目立つ。杉並区で1人暮らしをする男性(46)は心身の不調からタクシー運転手の仕事を辞め、生活保護を利用している。最近は閉店間際のスーパーで半額の弁当を買うことが増えた。「もともと保護費だけで暮らすのは厳しいのに、物価が上がったら暮らしていけない」。涼しいコンビニや図書館で過ごし、家では「暑くて頭がくらくらっとしてから」ようやく、エアコンをつけるという。

 精神障害があり、生活保護を利用する荒川区の女性(60)は電気代もガス代も払えていないという。「頂いたお金(保護費)で、なんとかやりくりしないといけないと思っています。でも、もう少しケアしてもらえないかな……と願っています」。そう話し、うつむいた。

 ◇「物価上昇だけを見て判断できない」

 2021年度の生活保護申請件数は22万9878件(速報値)となり、2年連続で増えた。一方、6月の全国消費者物価指数によると、総合指数(生鮮食品を除く)は前年同月から2・2%上昇。電気代は前年同月比18・0%増、都市ガス代も同21・9%増とエネルギーの価格高騰が目立つ。

 物価高騰は生活保護利用者の暮らしを直撃しているが、行政の対応は鈍い。政府が4月に示した物価高騰に対する「総合緊急対策」では、保護費の水準の引き上げや緊急の現金給付といった、生活保護に特化した支援策は盛り込まれなかった。厚生労働省の担当者は「保護費の基準となる最低生活費を計算するには、消費行動の分析も必要。物価上昇の面だけを見て引き上げの判断はできない」と説明する。

 緊急対策では、地方自治体がコロナ対策の「地方創生臨時交付金」を活用して「生活困窮者の必要な支援を行う」ことも可能としているが、独自支援の動きは乏しい。新宿区生活福祉課は取材に「生活保護は国の制度であり公平性が第一。自治体が独自に上積みをするのは難しい」。杉並区の福祉事務所担当者は、生活保護利用者が一律10万円の特別定額給付金に加えて、住民税非課税世帯を対象とした2度目の10万円給付も受けることができるとして「支援がなかったわけではない。追加で何かをする予定はない」と話す。

 生活困窮者支援に取り組む認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」は7月20日、保護基準の引き上げや追加の給付措置などを求める要望書を厚労省に提出した。「生活保護世帯の支出増が深刻化して、電気代の節約で冷房をつけず、熱中症のリスクにさらされる生活保護利用者が多く生まれてしまう懸念がある」と訴えている。【黒川晋史】

1147チバQ:2022/08/17(水) 08:33:39
https://news.yahoo.co.jp/articles/80cc04b50457e9e84b8887bd56c8db4f02670984
40代で手取り16万円…脱落し置いていかれた「氷河期世代」の悲惨な現在
8/17(水) 5:01配信
昨今、ロストジェネレーションとも呼ばれた「就職氷河期世代」に注目が集まっています。当の本人たちのなかには、「時代が悪かった」と運の悪さを強調する人も。実際に「就職氷河期」はどれほど悲惨なものだったのでしょうか。みていきましょう。

【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額

氷河期世代…「非正社員が多い」は本当か?
ーー本当に運が悪い

そう揶揄されることも、自らが言うことも多い、就職氷河期世代。2000年代に入り、メディアは「ロストジェネレーション(失われた世代)」という言葉で表現するようになりました。

そもそも氷河期世代は、1993年〜2004年に学校卒業期を迎えた人たち。高卒であれば、1975年から1986年に生まれ、2022年時点で36〜47歳。大卒(ストレートで大学に入り、4年で卒業した場合)であれば、1971年から1982年に生まれ、2022年時点で40〜51歳です。

どれほど運が悪いかといえば、有効求人倍率は大きく下落、特に2000年は大卒の求人倍率が1.0倍を下回りました。大学卒業者であっても、職がないという状況だったのです。仕方なく、「一時的な仕事」、つまりパートやアルバイトに就き、特に2000年〜2003年にかけてはその数は2万人を超えたのです。

就職できた人もすべてが安泰だったわけではありません。希望しない仕事でも就職できないよりはましだといって入社を決める人も多かったのです。しかし、希望しない仕事を続けることは難しく、途中で退職を決める人も。そこで雇用環境が好転していればいいですが、新たに職を就くこともできず、そのまま引きこもりになってしまうケースも。

昨今、社会問題化している「中高年の引きこもり」ですが、内閣府の調査では引きこもり状態になったきっかけとして、最も多く挙がったのが「退職したこと」。さらに「人間関係がうまくいかなかったこと」「職場になじめなかったこと」「就職活動がうまくいかなかったこと」も理由に挙げられています。

ただ就職氷河期世代のすべての人が、同じ道をたどったわけではないことは、会社内で活躍する40代〜50代前半がいることからも明らか。また氷河期世代は非正規雇用が多いというイメージがありますが、総務省の『労働力調査』によると、20代から年齢が上昇するごとに非正規雇用は減っていき、50代から高齢になるに従って再び増えるという傾向があります。むしろ、氷河期世代は正社員のほうが多いわけです。また大卒内定率にしても、たしかに就職氷河期だけがひと際低いわけではなく、いずれの年も90%は超えています。

大学でも正社員になれず、非正規社員になるしかない……というのはあくまでも一部の人たち。少々、言葉によるイメージが先行している感は否めません。

1148チバQ:2022/08/17(水) 09:51:00
問題は氷河期からこぼれおち、置き去りにされた人たち
少々、行き過ぎたイメージのある氷河期世代ですが、就職活動が厳しかったことは確かであり、不本意な就職をした人が多かったのも事実。ただ与えられた環境で、キャリアアップを目指し、いま活躍している人も多い世代、それが氷河期世代だといっていいでしょう。

ただそれは氷河期世代の光の部分といっていいでしょう。この世代に限らず、必ず影の部分はあるもの。それがいまなお、非正規社員に甘んじている人たちです。

厚生労働省『労働経済動向調査』によると、常用労働者の過不足判断D.I(人手が足りない企業から、人手が足りている企業を引いた値)は、1998年ごろからマイナスに転じ、人手余りの状態に。2004年以降はプラスに転じ、雇用環境は好転していきます。

この時点で、「雇用環境が良くなった、よし正社員を目指そう」と行動できたら良かったのかもしれません。しかし正社員を目指した人すべてが願いを叶えられたわけではありませんし、また非正規社員でもタイミング的に転職が難しいというケースもあったでしょう。

さまざまな事情から機会を逃すとどうなるでしょうか。たとえば30代になれば、それなりのキャリアが求められるようになります。なかにはマネジメント経験必須というケースもあるでしょう。そのようななか、30代にして正社員の経験のない、非正規社員は大きなハンデを抱えることになります。「就職しにくい」という問題が年を重ねるごとに深刻化していくのです。2019年に内閣府が発表した『就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料』によると、非正規社員371万人のうち50万人が、正社員を希望しながらも非正規社員として働いているとされています。

40代前半、非正規社員の月収は中央値で21万円、手取りで16万円ほど*。40代になっても大卒新卒者と変わらない程度の給与という、悲惨な状況にいます。

*厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

終身雇用制に年功序列……日本型の雇用形態が当たり前だった時代は、始まりがすべてでした。しかしいまは、その気になればいつでもチャンスが掴める時代とされ、転職でキャリアアップも当たり前といわれています。しかしそのようなチャンスさえ掴むことができないのが、就職氷河期からこぼれおち、そのまま置き去りにされた人たちなのです。

いまこのような人たちを救おうと、内閣府による「就職氷河期世代支援プログラム」や、厚生労働省による「就職氷河期世代活躍支援プラン」など、さまざまな支援制度が設けられています。ただ40〜50代、限られた人たちの就職支援が、どれほど社会に好影響を及ぼすのか疑問の声は大きく、彼らよりもより若年層への支援に予算をかけるべき、という声が大きくなっています。

課題山積の日本で、やはり氷河期世代は置き去りにされるしかないようです。

1149とはずがたり:2022/08/28(日) 20:29:02
「ふたりの人生は、何がちがったの?」。格差社会にメッセージを投げた漫画
A.Ikeda
2017/02/12
A.Ikeda (ライター)
https://tabi-labo.com/280195/on-a-plate

1150チバQ:2022/09/05(月) 07:21:14
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3695ab7d4512f95bea9dc2a4e961fd2f0bda799
「三重苦の夏休み」シングルマザーのSOS、悲鳴の現場を訪ねた
9/4(日) 10:00配信
朝日新聞デジタル
スマートフォンで「ポケモンGO」をする生活保護世帯の高校生の男の子=2022年8月24日、栃木県内、細川卓撮影

 困窮する子育て世帯にとって、この夏休みは三重苦だった――。ひとり親家庭の支援をするNPOは、こう訴える。国も支援策を進めているが、必要とする世帯に必ずしも届いていない。NPOの活動に同行し、さまざまな「三重苦」の現場を見た。

 8月下旬の夕方。NPO法人「ぱんだのしっぽ」(宇都宮市)の小川達也代表は、栃木県内のひとり親家庭に米、レトルト食品や生理用品などを配って回った。小学1年生と2歳の子どもを育てる女性(38)は4月に離婚したばかりで、初めて利用した。「冷凍食品で何とか学童のお弁当をやりくりしたけど、苦しかった。お菓子もあるのがうれしい」と喜んだ。

 別のシングルマザーの女性(54)は、小学5年生と高校3年生の2人の息子を育てる。元夫からの養育費に加え、旅館の清掃員としてほぼ休日なく午前9時から午後2時まで働き、月給は6、7万円。比較的安価な品ぞろえが魅力のスーパーが頼みの綱だが、約20キロ離れている。自家用車は車検代が払えていないため動かせず、電車で通う。

 夏休み中、子どもたちは「昼に起きていても行くところがないから」と夜通しスマートフォンでゲームをしていた。朝5時に寝て、夕方に起きるという昼夜逆転の生活。食事は1日1食だった。「規則正しい生活を送らせたいけど、いっぱいいっぱいです」とため息をついた。

 「ぱんだのしっぽ」には夏休み直後から新規相談が急増し、1カ月で普段の倍近い40件ほどになった。小川代表は「例年、給食がなくなる夏休みは困窮する世帯にとって生活が苦しくなる時期。今年はそこに第7波と物価高が重なり、三重苦になった」と振り返る。食料品だけでなく光熱費やガソリン代の高騰も家計を圧迫した。

 新型コロナウイルスの影響で休園や休校になれば、ひとり親家庭は仕事に行けなくなり、給料は大きく減少する。母親と子ども3人全員が新型コロナに感染し、「仕事に行けず、食費に回すお金がない」とLINEで相談が寄せられたこともあったという。

 8月上旬、小川さんはボランティアらと約70世帯に米やレトルト食品など約2週間分の食料を配布した。しかし、その後も「家を追い出される」「食べるものがない」など深刻な状況を訴える相談が寄せられた。

朝日新聞社

1151チバQ:2022/10/24(月) 19:41:23
https://news.yahoo.co.jp/articles/d727cddf682574439dc006f90ec3bb7cbb6d6df1
まさか自分が生活保護に…コロナ禍で月収7000円、疲弊し抑うつ状態に 35歳会社員が見つけた「人間らしい生活」
10/24(月) 8:00配信

まいどなニュース
「同僚に迷惑がかかると思うと、なかなか転職に踏み切れませんでした」そう言うMさんの肩は震えていました

新型コロナの影響が長期化し経済が低迷する中、生活保護に頼らざるを得ない人が増えています。共同通信などの報道によると、2021年度の申請件数は22万9878件(速報値)と前年度から0.8%(1776件)増加。コロナ感染が拡大した2020年度に続いて2年連続で増えているといいます。リーマンショック後の2009年度以来、生活保護の申請件数は減少傾向だっといいますが、コロナ禍の影響で増加傾向を示しているといいます。

【写真】実際の給与明細…固定給5万円から様々な控除を引かれ、振り込まれた額は?

2022年7月分の最新データによると、生活保護受給世帯数は164万2399世帯。申請件数は前年同月より1135件増えて2万2016件で、1万8489世帯が生活保護を受給し始めたといいます。

働き盛りでもひとたび体調を崩すと…
兵庫県で暮らすMさん(35)も体調を崩し、今年1月から生活保護の受給を開始した一人。単身者向けマンションで一人暮らしをしています。両親や兄弟は遠くに住んでいないものの、頼れる環境ではありません。特に兄弟は育ち盛りの子どもたちがおり、お金を出してほしいと言える状態ではなかったのです。

止む無く行政に相談し、生活保護を受給する運びとなりました。当時を振り返りMさんはこう言います。

「まさか自分が生活保護をもらうことになるとは、考えてもみませんでした。自分とはまったく関係のない世界だと思っていたんです」

働き盛りといえる35歳のMさんの身に、何が起こったのでしょうか。

月給7000円…もう起き上がれない
Mさんが勤めているのは人材派遣会社。リゾートホテルや工場へ人材を派遣しています。しかし、コロナ禍によりリゾートホテルへの派遣が激減。リゾートホテル部門の担当者だったMさんの収入は、月約7000円までに落ち込みます。

給料はもらえないにも関わらず途切れず舞い込む仕事に、Mさんはどんどん疲弊していきます。時に深夜まで続くミーティングでは、経営者や上司からの叱責ばかりで具体的な改善案など出されません。ようやくミーティングが終わったかと思いきや、今度は日付が変わってから届く経営者からのLINEに悩まされることになります。

そんな生活がコロナ禍から始まり2年弱。2021年12月上旬、Mさんは起き上がれなくなってしまったのです。「もう仕事も何もどうでも良い。自分の頭で考えるのも嫌だ」。このようなことを朝日が差し込む部屋の中で考えました。

そんな時、思い出したのが友人の一人の存在です。すがるような気持ちでLINEを送ったところ、すぐ返事が届きました。そこに書いてあったのは、「もう仕事に行かなくていい」。許された気分になりました。


「水際対策」を心配しながら申請へ
その後、精神科を受診し「抑うつ状態」の診断が下ります。診断書を会社に提出し、1カ月の休職をすることになりました。しかし状態は悪化の一途をたどります。医師からは休職期間を延長した方が良いと告げられ、新たな診断書を書いてくれました。

しかし働かないと、お金は得られません。貯金は底をつき、換金できそうなスポーツバイクや一眼レフカメラなどは全て手放し、ついに生活保護を受けることになったのです。

緊張をしながら市役所の窓口へ行き、現状を話します。生活保護を申請しようとする困窮者を窓口で追い返すような“水際対策”があることを噂に聞いていて、とても心配していたそうですが、相談員は真摯に耳を傾けてくれました。この相談員の姿にMさんが痛感したことがあります。

「自分が弱者になった」

強くありたいと思っていたのに、誰にも迷惑をかけずにいたいと思っていたのに…。

申請は受理され、2週間後には保護費が振り込まれました。ホッとしました。もういつ振り込まれるか分からない給料に、生活を振り回されることはありません。借金をして仕事をする、まるでギャンブルのような生活と縁が切れた瞬間です。

1152チバQ:2022/10/24(月) 19:41:39
人間らしい生活
この時を振り返りMさんはこう言います。

「誰にも優しくされず、経営者や上司に責め立てられている状態が普通だと思っていたんです。責められている間は、自分は”普通”だと。でも間違いでした」

現在、Mさんの「普通」は、誰にも邪魔をされず空を見上げられること。仕事を離れ、ようやく空や自然が綺麗だと思い出すことができるようになりました。もう一つ、思い出したことがあります。それは当たり前だと感じていた友人の存在です。

「ボロボロになった時、気付いてくれた友人には感謝しかありません。あと、生活保護を受給することになっても、親しい友人は誰一人として離れていかなかったんです。そのことにも感謝しています」

生活保護費は約11万円。家賃や光熱費など固定費を支払うと、食費や雑費として手元に残るのは約3万円です。友人たちと以前と同じように遊ぶことはできませんが、公園の散歩や釣りなどお金がかからない方法で交流を続けているそうです。一緒にいるのだから、一緒に楽しめるものをと。

会社員を続けながら生活保護
実はMさん、会社を退職していません。休職中に未払い賃金の請求をしたところ、懲戒解雇を言い渡され、現在係争中です。いずれ会社に戻るつもりで療養をしていたため、経営者のこの仕打ちには納得がいっていません。

ですが、懲戒解雇を受けた4月29日から景色が変わりました。重荷が取れ、視界がクリアになったのです。それもこれも、生活保護というサポートがあるから。会社員という肩書が奪われても、生きていて良い。胸を張っても良い。

「いずれ私は社会復帰します。その時は私が、誰かのサポートができるようになりたいですね。私がたくさんの人に支えてもらいましたから」

そう言うMさんの表情は晴れやかでした。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

まいどなニュース

1153チバQ:2022/12/12(月) 09:07:52
https://news.yahoo.co.jp/articles/54439c6cb86b65888975e0ee763594800222a9c4
入居6回断られ…シングルマザーが直面する「住まいの貧困」とは
12/11(日) 8:00配信
毎日新聞
賃貸物件の入居を6回断られたというシングルマザーの女性=神戸市で2022年10月31日午後4時半、中田敦子撮影

 家を借りたくても貸してもらえない――。家賃不払いの懸念や保証人がいないなどの理由で、住まいの確保に苦労する女性たちがいる。


 シングルマザーや頼れる人のいない若者、困窮する留学生……。そんな女性たちを支援しようと、低家賃の共同住宅(シェアハウス)を整備する計画が神戸市で始まった。NPO法人が発案し、生活協同組合が空き部屋を提供する異例の取り組みは「住まいの貧困」を救うヒントになるか。

 「やっぱり貸せない」。神戸市の女性(43)は2年前、アパートの賃貸契約を交わす直前で、大家から入居を断られた。女性はパート従業員で、小学生から高校生までの3人の子どもを育てていた。家を探していたのは、元夫のドメスティックバイオレンス(DV)から逃れるためだが、断られるのは6回目だった。

 元夫は定職に就かず、家事や育児は女性任せ。子どもが泣くと、壁をたたいたり暴言を吐いたりした。女性は知人から支援団体を紹介され、別居を決意した。

 20カ所以上の物件にあたり、ようやく家賃5万2000円のアパートに移り住むことができた。母子4人には狭いが、我慢するしかなかった。「金銭的な不安もある中、心と体を守れる安全な場所にたどり着くための負担が大き過ぎる」と女性は振り返る。

 ◇劣悪な住環境、行政「もっと働けば」

 兵庫県の自営業の女性(44)も数年前、元夫と別居するため長男を連れて家を出た。ホテルや民宿を転々とした後、家賃6万円のワンルームを借りた。保証人は不要だったが、築30年で床や水回りが汚れ、壁も薄い。幼い長男の泣き声が漏れないか神経を使った。

 当時の貯金は約100万円。食費は1日1000円に切り詰めたが、日々残高が減る不安でいっぱいだった。行政の相談窓口も頼ったが「もっと働けばいい」「(家を出たのは)ご自身の選択なので」と突き放され、孤立を深めたという。

 厚生労働省の国民生活基礎調査(2019年)によると、貧困層の割合を示す相対的貧困率はひとり親世帯で48・1%に上り、全世帯(15・4%)の3倍超。家賃不払いへの懸念などから、シングルマザーが入居を拒否されるなどの事例は後を絶たない。

 神戸市の認定NPO法人「女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ」は1992年の設立以降、こうした女性らを支援。19年には住宅セーフティーネット法に基づき、所得が少ない▽保証人を確保できない――などの理由で住居確保が困難な人を支援する「居住支援法人」の指定を県から受け、200件以上の相談に応じてきた。

 中には夫のDVや親の虐待から逃れて一時保護された後、落ち着き先を探している人もいるが、低家賃の物件は住環境が悪かったり、防犯対策が甘かったりして、安心して暮らせない場合もあるという。

 ◇住みたいと思える場所を

 「ここにしか住めないのではなく、ここに住みたいと思える住まいを作りたい」。代表理事の正井礼子さん(73)が新たなシェアハウスの整備を構想していたところ、神戸市東灘区に拠点を置く生活協同組合「コープこうべ」が21年、元女子寮の提供を申し出たことで計画が具体化した。

 対象をシングルマザーだけでなく、住居の確保に苦しむ若者や日本で留学中の女性にも広げ、留学生支援に取り組む公益財団法人「神戸学生青年センター」が趣旨に賛同して計画に加わった。朴淳用(パクスンヨン)館長(54)は「安い学生寮は1年間しか住めない場合が多く、部屋数も少ない。新型コロナウイルス禍で困窮する留学生も増え、安心して勉強できる生活の場を提供したい」と話す。

 シェアハウスは鉄筋コンクリート4階建て。98年から使われていない2階以上の空き部屋を改修する。風呂やトイレ、台所付きで広さ25〜57平方メートルの35戸と、単身用5戸の計40戸分を予定。家賃は神戸市の補助を見込み、3万〜5万円に抑えたい考えだ。

 入居に期限はなく、支援員が常駐して生活相談に対応する。2階には共同の台所や子ども用スペース、カフェなどの交流場所も設け、23年6月着工、24年4月オープンを目指す。

1154チバQ:2022/12/12(月) 09:08:04
 ◇増える空き家活用、カギは生活支援

 総務省の住宅・土地統計調査(18年)によると、全国の空き家は約849万戸、空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13・6%で過去最高となった。このうち賃貸用の住宅は約433万戸に上る。

 母子世帯の住環境に詳しい葛西(くずにし)リサ・追手門学院大准教授によると、不動産業者が空き家を活用するなどして、シングルマザー向けのシェアハウスは00年代後半から増えてきた。

 ただ、その総数は少なく、入居者の生活支援は不十分なことが多い。

 児童福祉法に基づく母子世帯向けの支援施設もあるが、入所は行政が判断し、施設によって住める期間や生活に一定の制限がある。葛西准教授は今回のシェアハウスについて「複数の事業主体が協力しあうことで、重層的な支援が期待できる。珍しい取り組みで意義は大きい」と評価する。

 NPO法人代表の正井さんは「民間の休眠施設を活用し、女性と子どもに安心な住まいを提供するモデルにしたい」と願う。

 改修工事費約2億円のうち、1億2000万円は国土交通省の補助金で賄う。残りは11月から、クラウドファンディングサイト「グッドモーニング」(https://camp-fire.jp/projects/view/633209)で3000万円を目標に寄付を募っている。

 問い合わせはウィメンズネット・こうべ(078・734・1308)へ。【中田敦子、稲田佳代】

1155チバQ:2022/12/20(火) 11:13:42
https://news.yahoo.co.jp/articles/2d64b2f91e03fa47c24f1ed1d592c454575c3ccd
ホテルの宴会場バイトで見た「スラム街」、エコでもSDGsでもない現実
12/17(土) 9:17配信
 「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

 近年、非正規労働の現場でしばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、たくましくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

 (若月 澪子:フリーライター)

■ おじさんに優しい副業バイトとは? 

 地球に優しく、かつ経済成長も可能な環境対策はあんまりなさそう。同じように、おじさんに優しく、かつ稼げる副業も世の中にそんなにないようだ。

 「これはおじさんに優しい副業かも……」と思って話を聞いてみても、実際は「グリーンウォッシュ」(内容が伴わない、うわべだけの環境対策)ならぬ、「おじさんウォッシュ(? )」だと思うことも多い。

 そんな折、「夜や土日の求人が多いホテルの宴会場設営は、時給が高く、中高年男性が比較的多い」というウワサを聞き、「すわ、おじさんに優しい副業か?」とバイトに入ってみることにした。

 コロナ禍といえども、年末は都内のどこのホテルも活況。宴会場は忘年会や結婚式、シンポジウムや会議の予約で埋まり、日ごろの人手不足がさらに加速する。

 「1日80名のスタッフを集めようとしても、半分も集まらない日もある」

 ホテルなどの飲食関係に人材を送り込む、とある派遣会社のスタッフが嘆いていた。

 筆者も都内にある高級ホテルの「宴会準備スタッフ/時給1500円/17〜22時」というバイトに申込んでみたところ、「明日来られるなら、来てください!」と即オンライン面接、即採用となった。

■ 外国人とおじさんは裏方担当

 当日、指定されたホテルの裏口から入ると、バイト専用の衣裳部屋に案内され、黒ズボン、ベスト、白シャツに着替えさせられた。

 集まったバイトの面々は、大学生らしき日本人の男女数名、若いアジア系の男女数名。このホテルで働く外国籍の人は、モンゴル人、ネパール人、ウズベキスタン人が多いという。

 そして、50代前後と見られる中高年男性が数名いる。すでにホテルの制服に着替えているので、どういう素性のおじさんかはわからない。

 ホテルの担当者が、筆者にこそっと話しかけてきた。

 「今日はウラの仕事だけど、今月空いている日があれば接客をやらない?  接客は日本人女性を優先するから。日本人が足りない時は、外国人の、日本語レベルが高い女性をオモテに出すことになるんだけど……」

 「私のような中年女でも、まだ高級ホテルのオモテの仕事で使ってもらえるのか……」と、一人ニヤける筆者。どんなに人手不足でも、日本人のバイトのおじさんが、オモテの仕事に回されることはないのだろう。

 最初の仕事は、深紅の絨毯にシャンデリアがきらめく大規模宴会場の片付け。何のパーティーかは不明だが、つい先ほどまで「宴もたけなわ」だった様子。

 人だけがいない会場には、真っ白なテーブルクロスに、食べ残しの皿と飲みかけのグラス、ビール瓶やワインボトルが放置されている。8人掛けの円卓がおよそ30卓はあるだろうか。

 特別な指示はなく、周りのバイトが動き始めたので、見よう見まねで食器を片付ける。残飯をカート付きの大きな容器に入れ、酒のボトルの飲み残しをバケツに流し込む。

 手つかずの料理がいくつもある。「野菜の皮までキンピラにする、エコロジー派の主婦(自称)」からすると、そんな日々の努力をあざ笑うかのような残飯の山には唖然とする。

 「このまま持って帰って冷凍すれば、少なくとも1カ月は我が家の夕食が賄えるな」などと貧乏くさいことを考えながら、料理を捨てまくる。

■ ホテル宴会場ウラのスラム街

 すべての皿や残飯が片付いたのは1時間後くらいだろうか。その後は、テーブルクロスをはぎ取り、机と椅子をバックヤードに運ぶ作業が始まった。おじさんがメインの仕事だ。

 「女性は力仕事をしない」と聞いていたが、この日は人手不足で、そこは容赦なし。自分の身長ほどもある丸テーブルを畳み、転がしながら宴会場の裏側へ移す作業を命じられる。

 テーブルを転がすと言っても、かなり重量があり、バランスが取りづらい。向こう側に倒れそうになりながら、自分の方に倒れてこないように転がすと、相当な圧が肩にきた。

 「とにかく怪我だけはしないで!」

 ホテルの社員から何度も釘を刺される。おじさんや若い外国人男性が積極的に動いてくれたが、この仕事は65歳を過ぎたら無理だと思う。肉体に限界が来た時、ここでのおじさんの商品価値は外国籍の青年以下になるだろう。

1156チバQ:2022/12/20(火) 11:14:04
 机を転がしながら宴会場のバックヤードにたどり着くと、そこにはどこの国のスラム街かと思うような光景が広がっていた。

 食器用のワゴンには、麻婆豆腐、ソースのかかったムースなどがべっとり皿にこびりついたまま。洗濯物のカートには、使用済みのおしぼりやテーブルクロスが山積みになっている。それらが狭い通路にいくつも放置され、残飯とアルコールの混ざった不快なニオイが充満していた。

 通路にはキッチン担当の外国籍の人の母国語が飛び交い、その脇を日雇いバイトのおじさんが額に汗を浮かべ、椅子やテーブルを運ぶ。

 「危ない、危ない!  そこ、通るからどいて!」

 ヘルメットにスタジャン姿のスタッフ、電気工事の作業服の一団、音響装置や大道具が次々と横切っていった。大規模宴会場で次のイベントのセッティングが始まったらしい。今度はとあるIT企業の展示会場に変身するという。

 華やかで広々とした宴会場のウラにある、狭く薄暗いスラム街。そんなパラレルワールドで、2年前から週末に副業バイトをしているという、会社員のUさん(52)に話を聞くことができた。


■ 宴会場で働く中高年の本音

 「本業でもシンポジウムや会議でホテルの宴会場に来ることがあって、ウラ側がどうなっているのか見てみたいと思っていました。たまたまアルバイトサイトで見つけて、月に数回働いています」

 聞けば、Uさんは誰もが知る有名企業のエンジニア。工場などで使用される自動システムを作っているという。年収もそこそこあるようだし、なぜ副業をしているのか。

 「30年同じ会社で働いてきましたけれど、50歳を過ぎて定年後のことを考えた時、今まで培ったスキルが外では通用しないのではと思うようになりました。退職したら、いっそ全く違う仕事をしてもいいのではないかと、副業を試しているところです」

 長年勤めてきた会社に最適化され、外で戦える武器が何もないと不安を感じている中高年は多い。Uさんは、ほかに「家庭教師のトライ」にも登録し、中学生に数学を教える副業ができないかと考えているが、そちらからはまだ依頼がないそうだ。

 Uさんにホテルの宴会場の仕事が、キツくないのか聞いてみた。

 「この年ですから、土日にバイトすると、水曜日くらいに疲れがきます。でも、机や椅子を運ぶ作業は、運動になっていい。スポーツクラブに行くより、お金ももらえるし。それより100枚以上のナプキンを折り畳む作業をやらされるのが一番イヤ。単純作業がつらい」

 宴会場設営は椅子やテーブルの移動が一段落つくと、ナプキンを畳んだり、ナイフやフォーク、グラスを磨いたりする仕事をすることがある。

 Uさんはこうした単純作業を通して、自分の本業について考えさせられたという。

 「会社では、単純作業を人の代わりに機械がやるシステムを作っている。世の中の仕事を単純化させている自分が、実は未来の自分の仕事を奪っているのかもしれない。皮肉だなと思って……」

■ 「持続可能」なおじさんを目指して

 休憩時間に、日雇いバイトにホテルからまかない弁当が出た。ウズベキスタン人の青年が、「豚肉ガハイッテナイ弁当、アリマスカ?」と尋ねてくる。イスラム教徒の彼は、豚肉が食べられないようだ。

 あいにく、用意された弁当は「味噌カツ」や「豚の生姜焼き」ばかり。ウズベキスタン青年は弁当を諦め、持参したリンゴをかじって飢えをしのいでいた。

 休憩後に、大規模宴会場をのぞいてみると、IT企業の展示会の設営がかなり仕上がっている。こういう会社は羽振りがよさそうだ。

 木材で作られたウッドデッキ調のステージを中心に、森の風景の映像がスクリーンに流れ、今流行のSDGsでエコロジーな雰囲気だ。SDGsのマークも、あちこちにプリントされている。

 このIT企業が使用した小宴会場で、弁当の山を片付けるように命じられた。手つかずの弁当20箱ほどは、このまま廃棄されるのだろう。弁当にありつけない人がいる一方で、弁当を捨てている現実。全くSDGsではないが大丈夫か。

 「ウラ側ってどこもこんな感じなんでしょうね。食べ残しの山を見ると驚きます」

 Uさんも乾いた笑いを浮かべていた。肉体労働も接客もできず、単純作業もAIに代わっていったら、いつかおじさんも捨てられてしまうのか。いやいや、経験豊富で忍耐強い日本のおじさんを捨てるのは「もったいない」。

 SDGsは2030年までに「世界の飢餓や貧困をなくす」「気候変動の緊急対策を講じる」など、壮大なゴールを目指しているようだ。ついでに「持続可能なおじさんの開発目標」も掲げてみてはどうだろう。本家より先に達成できるような気がするのだが。

若月 澪子

1157チバQ:2022/12/20(火) 18:07:25
https://news.yahoo.co.jp/articles/835d703781934fb33d9638ec4c74c741b61fdc22
【速報】渋谷区 VS 路上生活者 “10年以上一方的な要求”渋谷区が公園で強制代執行
12/20(火) 9:25配信
東京・渋谷駅近くで予定されている再開発に向け、渋谷区は路上生活者に退去を求めていた公園で行政代執行に踏み切りました。

渋谷駅近くの「美竹公園」では渋谷区の職員などおよそ100人が集まって行政代執行に踏み切り、公園に残されていた荷物を撤去しました。

渋谷区などは来年度から「美竹公園」のエリアに複合施設を着工する予定で、公園にテントを設置し生活している路上生活者に退去を求めていました。渋谷区は今年10月に公園の封鎖を始め、今月14日にも仮囲いの設置工事を行いましたが、支援団体などが強く反発していました。

支援団体は、「区が用意する生活施設の利用期間は原則3か月で路上生活に戻ることを憂慮した当事者が利用を躊躇している」などとコメント。渋谷区は「10年以上にわたり話し合いを継続してきたが一方的な要求を繰り返され、歩み寄っていただけなかった」などと説明し、主張は真っ向から対立しています。

1158チバQ:2022/12/21(水) 21:24:15
https://www.tokyo-np.co.jp/article/220169
小学生の「体験格差」が深刻 「年収300万円未満」の3人に1人が放課後「何もしていない」 支援団体調査
2022年12月16日 06時00分
 年収300万円未満の低所得世帯の小学生のうち3人に1人がこの1年、習い事や旅行などの体験活動を何もしていないことが、子ども支援団体が15日に公表した調査で分かった。団体は「『体験の貧困』は将来の職業選択、所得にも影響を及ぼす」として国に対策を求める。(榎本哲也)
 調査したのは公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC、東京都墨田区)。生活困窮家庭の子どもに学びや体験の機会を保障する活動をしている。
 調査は10月、小学生の子どもがいる全国の保護者2097人にインターネットで実施。スポーツや音楽など定期的な習い事、旅行や動物園など単発での体験の有無を聞いた。「体験格差」に焦点を当てた調査は例がないという。今回は中間報告で、最終報告を来年4月以降にまとめる。
 1年間、子どもが体験活動を「何もしていない」と答えた保護者は、①年収300万円未満の世帯が29.9%、②300万〜600万円未満の世帯が20.2%、③600万円以上の世帯が11.3%。3倍近い「体験格差」があった。

 体験させられなかった理由を複数回答で聞くと、①は「経済的余裕がない」の56.3%が最多。②③は「送迎、付き添いなどの時間的余裕がない」が48.1%、47.0%で最多だった。
 物価高騰が子どもの体験機会に影響したか、との質問に「機会が減った」「今後減る可能性がある」と答えた保護者は①50.6%②47.2%③34.7%—と大きな差があった。
 保護者自身が小学校時代に習い事などをしていたかを聞いたところ、「何もしていなかった」が①39.8%②31.1%③23.2%。経済状況が厳しい保護者ほど、自身も幼少期の体験機会が少なかった。
 CFC代表理事の今井悠介さん(36)は「国の対策では、学校外での体験活動は後回しにされがちだが、個性や強みの発見、自信や意欲の育み、学力の土台となる。『体験の貧困』は格差の固定化につながり社会経済的損失も大きい」と指摘。国に公費の投入、無償や安価で参加できる体験の場づくりなどの施策を求めるという。
◆「申し訳なく思う」「ひとり親は…」 保護者の自由記述から
 経済的に無理で、子供が「無理だよね」と、何も言わなくなった。申し訳なく思う。(愛媛県・小4・40代女性)
 ピアノや絵画教室に行かせたい。コストがかかり、行かせてあげられない。(東京都・小4・40代女性)
 野球チームに入らせてあげたいが、ひとり親で経済的に道具やユニホームが用意できなかった。(神奈川県・小4・50代女性)
 離婚し、幼稚園の頃から習っていたピアノをやめた。やりたがっていたギターも金銭的に厳しい。(愛知県・小6・40代女性)
 子供の将来の夢は保育士だったが、ピアノを習わせられなかった。きょうだいはスイミングに通っていたが、転居と転職で経済的に悪化し、小学生の子供は通わせられなかった。(山口県・小4・40代女性)
 スポーツ系は保護者の当番が必要だが、仕事でできない。ひとり親は金銭、時間的に何もさせられない。(鳥取県・小4・40代女性)
 海やプール、釣り、キャンプ、スキーなど経験させてあげられなかった。家庭状況、経済面などが理由。(兵庫県・小5・30代女性)
 ダンスを習いたいと言っていたが、経済的に厳しかった。(大阪府・小4・30代女性)

1159OS5(旧チバQ):2023/01/01(日) 21:21:55
https://news.yahoo.co.jp/articles/2f17da4694c6877039762da7ea962494abf0aefb
大みそかの食料配布に644人 支援団体「物価高騰で拍車」
1/1(日) 9:15配信
朝日新聞デジタル
生活困窮者らに配る食料を袋詰めする人たち=2022年12月31日午後、東京都新宿区、井手さゆり撮影

 コロナ禍と物価高が続く中、認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都)が31日、新宿区の都庁前で、仕事や住まいを失うなどして生活に困る人たちに食料品を無料配布した。大みそかのこの日は、もやいの配布としては前月下旬と同じく過去最多の644人が並んだ。

 もやいは新型コロナの感染が拡大し始めた2020年4月から、毎週土曜に都庁前で食料品を配布。31日はスタッフたちが果物や米、ビスケットなどが入った袋を手渡していった。理事長の大西連さん(35)は「コロナ禍で支援を必要とする人は増えていたが、10月以降は物価高騰で拍車がかかっている」と語る。

朝日新聞社

1160名無しさん:2023/01/10(火) 09:29:55
https://news.yahoo.co.jp/articles/2dae87a0b95bf3ee2eb921cd6fcbc9b474321dbc
年収400万円の生活実態とは? 安いスーパーでも節約、子どもが食べたいものすら買えない現実
1/10(火) 6:48配信
 平均年収443万円――これでは普通に生活できない国になってしまった。なぜ日本社会はこうなってしまったのか? 
 話題の新刊『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、〈昼食は必ず500円以内、スタバのフラペチーノを我慢、月1万5000円のお小遣いでやりくり、スマホの機種変で月5000円節約、ウーバーイーツの副業収入で成城石井に行ける、ラーメンが贅沢、サイゼリヤは神、子どもの教育費がとにかく心配……〉といった切実な声を紹介している。

【写真】マクドナルドもスタバも買えない日本人の衝撃…

「物価が上がるが給料は上がらない」国の生活
 マクドナルド値上げが大きなニュースとなっている。

 「物価が上がるが給料は上がらない」国で、平均年収前後で暮らす人々は何を感じているのだろうか。

 話題書『年収443万円』では、「『私は下のほうで生きている』コンビニは行かず、クーラーもつけない生活」というタイトルで、東京で年収348万円(世帯年収1000万円)で暮らす方のエピソードを掲載している。

 卵やチョコについて感じることとは――。

 〈例えば、トマトを買おうと思って、安いスーパーの「オーケー」に行くじゃないですか。卵は10個入りが198円だと買います。200円を切らないと買えない。なんか、これって不自由な気がするんです〉(『年収443万円』より)

 〈板チョコ1枚が350円かぁ。しかも、税抜き。あー、ダメ、ダメ。買えないです、買えないです。つい先日、買い物途中でお菓子を眺めていたら、ちょっと身震いしてしまいました。意外と、欲しいものって買えないんだなって。(……)フェアトレードで有名な「ピープルツリー」のチョコなんです。だから、板チョコが1枚350円もするんです。税込みだと388円かと思うと、買えないなぁ〉(『年収443万円』より)

マクドナルドも買えない……
写真:現代ビジネス

 『年収443万円』では、「子どもに知的障害、借金地獄……マクドナルドにも行けない窮状」と題し、世帯年収400万円の介護ヘルパーの方のエピソードも紹介している。

 〈「マクドナルド」でハンバーガーが食べたいと言われても、ダメ、ごめん、給料日前だから行けない、って。だって、マックも高いじゃないですか。

 セットを頼んだら800円くらいもするんですよ。平日のランチタイムで600円ほど。「ハッピーセット」じゃ量が足りないし、買えないですよ。家族で3000円も4000円もかかるから、「dポイント」を使って買うしかないです。

 そうした子どもの「行きたい」「食べたい」という願いを叶えてあげられる収入があったらなぁ。〉(『年収443万円』より)

 平均的な収入を得ていても、日常の些細なところで節約などが迫られる現実。

 「物価が上がるが給料は上がらない」国は、本当に変わることはできるのだろうか。

現代新書編集部

1161OS5:2023/01/20(金) 23:16:27
https://news.yahoo.co.jp/articles/a407c1bc50a6618eedb0993a2fb0535f81a6bd8b
年収450万→220万になった36歳男性。家庭なんて築けず…「政治に殺される」
1/20(金) 8:55配信
 多くの企業が業績悪化に苦しむなか、日本の「中流」と呼ばれた人たちの年収は未曽有のペースで減り続けている。さらにウクライナ問題や円安による物価高も重なり、生活を圧迫された人も少なくない。

 いまや全国民に襲いかかる年収100万円減の現実。多くの“沈みゆく中流”が直面する生活破綻のリアルを当事者たちの声とともに追った!

「#自民党に殺される」
●峰田 太さん(仮名・36歳)職種/清掃員アルバイト
230万円減(450万円→220万円)

 中流家庭が苦しむなか、昨年11月にツイッター上で、あるハッシュタグが日本のトレンド1位に躍り出た。

「#自民党に殺される」

 中間層の生活が苦しくても具体策を打たず、むしろ増税・社会保障費増によって国民の首を絞めようとする自民党政権を非難するものだ。

大げさでなく、僕らは政治に殺されてしまう
「僕らの悲鳴が少しでも届けばと思って、僕も『#自民党に殺される』のハッシュタグを引用してツイートしました。日本の雇用状況は悪くなる一方。賃金も全然上がらない。物価高の対策もしてくれない。

 そのうえ、国民健康保険の増額、道路利用税の新設、消費増税の検討……大げさでなく、僕らは政治に殺されてしまいます」

 そう語るのは峰田太さん(仮名・36歳)。昨年6月に5年勤めた外食チェーンを「業績不振」を理由にリストラされ、現在は清掃員アルバイトとして生計を立てる身だ。年収は450万円から220万円に半減したが、増税や物価上昇は収入の多寡にかかわらず家計にのしかかる。

「今の状況で家庭を持つのは無理」
「付き合って4年になる彼女との結婚を考えていましたが、この惨状では家庭なんて築けない。今は電気代がバカ高くなっているので暖房は一切つけず、家でもダウンを着て生活。

 会社員時代は刺し身が好物でしたが、倍近く値上がりしていてもう食べられない。年金だってこれから払える見込みは低い……。社会に出て一生懸命働いてきたつもりですが、“普通の生活”を維持するってこんなに難しいことだったんですね」

 平均年収を稼ぐ中流から、令和の日本では“下流”へと沈んでいく。

6000人アンケート結果
 峰田さんのようにコロナ禍や歴史的円安の影響まで重なり、年収が100万円単位で減少するケースも増加している。今回、全国の男女30〜64歳6000人にアンケートを実施したが「最近、家計が苦しくなった」と回答した人は75.1%と実に4分の3もの人が家計の逼迫を感じているという結果が出た。

Q1.最近、家計が苦しくなった

はい……75.1%
いいえ……24.9%

Q2.家計が苦しくなった原因(複数回答可)

物価の上昇……90.51%
自身の収入減少・横ばい……69.1%
パートナーの収入減少・横ばい……59.1%
税負担・社会保障費増……33.63%
教育費・介護費増……14.8%
失業……4.96%

できる対策は…
Q3.講じている対策(複数回答可)

家計の節約……73.88%
何もできていない……17.48%
副業……10.81%
借金……10.07%
本業をより頑張る……8.02%
ローンの見直し……3.31%

※全国の男女30〜64歳6000人にアンケート。調査期間:2022年11月11日〜20日

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[年収100万円減]社会の衝撃]―

日刊SPA!

1162OS5:2023/01/22(日) 19:54:41
https://news.yahoo.co.jp/articles/26dc7c37b4eec09ccbc4d2697a721704784bb399
「若者に風呂なし物件が人気」報道への違和感 女子学生は「『レトロブーム』で若者の貧困を片付けないで」
1/22(日) 15:15配信
最近、若者たちの間で「あえて風呂なし物件を選ぶ」というライフスタイルが人気化していると複数のメディアが報じ、注目を集めている。報道によると、レトロブームやミニマルライフなどがトレンドとなっていることを背景に、最小限のモノを中心とした“持たない生活”を送る若者が増えているのだという。家に風呂がなくとも近所の銭湯を利用したり、またジムなどの施設にあるシャワーを活用したりすれば困らない、という内容も紹介された。

【写真】「風呂なし物件」のセキュリティに不安を抱く人も

 こうした報道に対して、「若者の貧困」という社会問題を趣味嗜好の問題に転嫁し、経済的な課題を不可視化しているという批判も出ている。実際に一人暮らしをしている学生たちの間でも違和感は大きいという。

 北陸出身で、上京して都内の私立大学に通っている男子学生・Aさん(20歳)はこう語る。

「このニュースを見て最初に感じたのは、『いや、純粋に銭湯利用したら高くない?』ということです。仮に週5回利用したら、銭湯代だけで月に1万円かかりますよね。しかも銭湯のドライヤーって有料だし、飲み物とか買ったら1回500円以上の出費になりますよ。夏場は汗もかくし毎日利用したいけれど、銭湯にも定休日があるので、そうなると少し遠い銭湯まで足を伸ばさなければならない。

 大学生になると多少はオシャレにも気を使い始めるわけで、女子たちに『臭い』と思われたくないですし……。記事の中に『ジムのシャワーを利用』とありますが、そもそもジムの月額料金は高いですよ。それを払える人は、普通に考えて風呂なし物件を選びませんよね。記事の内容にはかなり違和感を覚えました」(Aさん)

「ミニマリストはお金持ちじゃないと無理」
 東北から大学進学のために上京し、都内のアパートに住んでいる女子学生・Bさん(19歳)は、風呂なし物件は不安が多いという。

「正直、『私はあり得ない!』と思いました。男子ならまだお風呂がないような古いアパートに住めるかもしれないけれど、セキュリティの問題もあるし、女子学生が満足に暮らせるとは思いません。私はいま奨学金を借りていて、飲食とアパレルのアルバイトを2つ掛け持ちして、どうにか家賃7万円のところに暮らしています。大学の課題も多くてかなりキツいので、遊ぶ暇もほぼないです。日々の疲れを取るという面でもお風呂がない物件はありえない。『レトロブーム』なんて言葉で、若者の貧困問題を片付けないでほしいと思います」(Bさん)

 大阪市内で一人暮らしをしている男子学生・Cさん(22歳)は、大学進学を機に九州から出てきた一人だ。

「コロナ禍も重なりアルバイトができない時期もあって、実家に頼み込んで月5万円の仕送りを10万円に増やしてもらって、どうにか暮らせた経験があります。実際に、周りの友人との会話でも『風呂なしが良い』なんて聞いたことないですよ(笑)。それなら風呂あり物件を借りて、友人とシェアハウスするほうがよっぽど現実的。

 そもそもレトロブームにハマったり、ミニマリストを自称したりする人って、むしろオシャレで趣味とかにお金を使えるイメージがある。大金持ちのイーロン・マスクだって、ミニマリスト宣言をしてるくらいですからね。インスタを見ても、そういうインフルエンサーってたくさんいますが、貧しい学生が再現できる暮らしではありません。だから若者の趣味嗜好と『風呂なし』を結びつけるのは、ちょっと違うのかなって思います」(Cさん)

「あえて風呂なし物件を選ぶ」という若者のライフスタイルを強調する報道に対して、実際に一人暮らしをしている若者たちからの反発は少なくない様子。「あえて」ではなく「仕方なく」風呂なし物件を選ばざるを得ない若者たちの経済状況も直視すべきではないだろうか。(了)

1163OS5:2023/01/25(水) 11:53:27
https://news.yahoo.co.jp/articles/24991ff48a2cda3429920476c4bc9d52211314e3
人生、狂わされた…月収26万円「氷河期世代の40代非正規」もう用済みで賃上げも対象外「またハブかれた」と怒り
1/25(水) 11:16配信
幻冬舎ゴールドオンライン
(※写真はイメージです/PIXTA)

異次元の少子化、賃上げ……よく耳にする2つのワード。どのような着地を迎えるが注目ですが、どちらの議論でも対象外なのが、40〜50代の氷河期世代。彼らの嘆きに耳を傾けてみましょう。


仕方なく非正規の氷河期世代…同年代の正社員とは200万円以上の年収差
――異次元の少子化対策

良し悪しは別として、すでに今年の流行語になりそうなフレーズ。まだ検討段階ではありますが、徐々に議論の中身が見えてくるに従い、「これで本当に異次元と言えるのか」という批判が高まっています。どのような内容に落ち着くかは別として、多かれ少なかれ、子育て世代には何かしらのメリットがあるのではないか、と期待が寄せられています。ただ浮かない顔の人たちも。

――またハブかれた

そう肩を落とすのは、40〜50代、いわゆる「氷河期世代」と呼ばれる人たち。就職氷河期は、バブル崩壊後の1993年から2005年の学卒者を指す場合が多く、留年や浪人等がなければ、高卒で今年38歳から49歳、大卒で今年41歳から53歳になります。

就職氷河期は「超買い手市場」。有効求人倍率は1.0を下回り、「大学を卒業したけれど職なし……」というケースも。希望業種・職種での就職を叶わず、フリーターや派遣などの非正規雇用で社会人をスタートした人も多くいました。

2000年代も中ごろになると雇用環境も改善。しかし既卒で非正社員の転職は不利で、希望してもなかなか正社員になれない……そうこうしているうちに、40代、50代に達してしまった、という人も大勢います。昨今、望まずに非正規のままでいる氷河期世代に対して、就労支援が行われるようになりましたが、キャリアに劣る人たちを採用する企業は少数派。うまくいっているとは言い難い状況で、時すでに遅し、という声があがっています。

氷河期世代内の格差も大きく、たとえば同じ大卒男性の平均給与を比べてみれば、正社員・40代後半で月39.1万円、年収で642.8万円。一方、非正規は月26.5万円、年収で365.5万円。1ヵ月に12.6万円、1年で277.3万円もの給与差が存在しています。



【非正規と正社員の給与差】

20〜24歳:21.3万円・282.6万円/ 21.8万円・340.1万円

25〜29歳:24.6万円・357.0万円/ 25.7万円・428.5万円

30〜34歳:24.9万円・358.6万円/ 29.6万円・498.8万円

35〜39歳:25.9万円・359.9万円/ 33.3万円・560.3万円

40〜44歳:26.1万円・364.1万円/ 36.5万円・606.0万円

45〜49歳:26.5万円・365.5万円/ 39.1万円・642.8万円

50〜54歳:34.3万円・463.4万円/ 42.3万円・692.7万円

55〜59歳:30.7万円・418.8万円/ 42.9万円・694.9万円

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より

※数値は大卒・男性・従業員10以上。左より非正規の所定内月給与額・年収/正社員の所定内給与額・年収

1164OS5:2023/01/25(水) 11:53:40

いつも蚊帳の外だった…ハブかれる氷河期世代、再び
就職難で人生が大きく狂った氷河期世代。そして、いま検討されている少子化対策は、結婚適齢期とされる人たちが中心ですから、氷河期世代である40〜50代はほぼ対象外。自身が結婚適齢期だったときは収入が低く、結婚など考えられず、いまや「生涯未婚」の一人としてカウントされる、そんな人たち。「いまさら少子化対策といわれても」「もっと前に真剣に議論してくれたら」というような思いがこみあげてくるに違いありません。

さらに少子化対策とセットで語られる「賃上げ」。ここでも氷河期世代の40〜50代は蚊帳の外となっています。

今回の賃上げのムーブメント、止まらない物価高への対応から、首相自らがインフレ率を上回る賃上げを要請し、大企業を中心にそれに応える動きが活発化しています。ただその多くが、初任給や若手社員のベースアップが中心。若くて有能な人材を高い賃金で囲い込むという意図がみえますが、先が限られている中堅社員ははっきりいって「用済み」。そんな思惑が見え隠れしています。

そこに少子化の議論が加わり「若年層の給与水準を上げることが、少子化対策になる!」と後押し。賃上げの中心は新卒者〜結婚適齢期となり、40代〜50代の氷河期世代は後回しにされるという構図が鮮明になってきています。

この世代をないがしろにしたツケで少子化は加速した……その反省から、今回の議論がなされているという側面がありますが、再び、氷河期世代を後回しにすることの弊害はないのでしょうか。

非正規の氷河期世代が賃上げの対象外となれば、さらに生活は困窮。浮上が難しくなることは確実です。さらに親となった氷河期世代、その子どもは、中学〜高校、そして大学生くらいですが、親の賃金があがらなければ、進学という面で影響が出る可能性があるでしょう。コロナ禍、親の収入が減少し、そのあおりで生活苦に陥る学生が問題視されました。なかには経済的な困窮から退学という選択をするケースも珍しくなく、「親の収入が減少→人生設計が狂う」という若者が増加したのです。同じようなことが、また繰り返されようとしています。

「親の収入が心許ないなら奨学金があるじゃない」という意見も。しかしこれは「卒業と同時に借金地獄」とイコール。結局、経済的な理由で結婚に踏み切れない若者を生むだけです。

今回もまた、蚊帳の外になりそうな氷河期世代。負の連鎖はその子どもにも及ぶと警鐘を鳴らす専門家も。少子化対策も賃上げも、多視点で検討・議論を進めてもらいたいものです。

1165OS5:2023/04/04(火) 22:27:25
https://mainichi.jp/articles/20230403/k00/00m/020/153000c
異次元の10年

働けど…急増する非正規の過酷な現実 大規模緩和の功罪、検証なく
杉山雄飛 辻本知大
経済

速報

雇用・就職・働き方
毎日新聞 2023/4/4 07:00(最終更新 4/4 16:18) 有料記事 2905文字
政府・日銀は、「異次元」と称された大規模な金融緩和、そしてアベノミクスによって日本の雇用環境は大きく改善したとアピールする。就業者数や有効求人倍率など政府統計の結果からは、確かに雇用環境は持ち直しているように見える。実態はどうなのか。現場から見えてきたのは数字の裏に隠された過酷な現実だった。
「昼食は毎日、パンだけ」
 冬の寒さが残る2月中旬、東京・門前仲町にある深川公園を訪ねた。遊具で遊ぶ子供たちの元気な声が響く中、6人の高齢者が黙々とホウキでゴミを集めていた。

 声をかけると、全員がアルバイトだという。朝8時から昼過ぎまで働き、月収は10万円程度。深川公園のゴミ拾いを終えると、すぐに別の公園に移動する。多い日には1日に5カ所以上を回り、空き缶や落ち葉など90リットルサイズのゴミ袋10個分以上を集める。

 屋外での肉体労働は、高齢者にはきつい仕事に見える。しかし、長年この仕事を続けているという男性(77)は「やめるわけにいかないよ」と力なく笑った。「年金だけでは食べていけないからね。80代になっても仕事をしないと」

 男性は長年、材木店で働いてきたが、10年ほど前に材木店の経営が悪化し仕事を失った。60代半ばで見つけたのが公園掃除のアルバイトだ。以来、雪の日も、猛暑の日も黙々とゴミを拾い続けてきた。

 男性が公園掃…

1166OS5:2023/04/07(金) 19:17:55
https://news.yahoo.co.jp/articles/8bd66423e43fd8fc75a5eb368253afee4ed52bb4
<産む、産まない、産めない>母子世帯の困窮 平均年収は一般世帯の半分以下 その背景は?
4/7(金) 10:00配信


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毎日新聞
経済的に余裕がない母子家庭は多い(イメージ=ゲッティ)

 母子世帯の平均年収は、子育て世帯全体の2分の1以下――。

 殴られても、束縛されても、「我慢するしかないと思った」。九州地方で暮らすタカコさん(仮名、52歳)は、子育て中の女性が離婚し、経済的に自立するまでの厳しい道のりを語った。

 厚生労働省の「2021年国民生活基礎調査」によると、全世帯の平均所得は564・3万円で、このうち、18歳未満の子供がいる世帯を対象にすると同、813・5万円だった。

 一方で、「21年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」によると、ひとり親世帯のうち、母子世帯の平均年収は373万円(児童扶養手当などを含む)。

 ほぼ同じ方法で算出している国民生活基礎調査で示す子供がいる世帯の平均所得と比べ、2分の1以下になる計算だ。母親だけの就労収入の平均は236万円で、中央値は200万円になる。

 父子世帯は606万円で、父親だけの就労収入は496万円、中央値は400万円だった。

 その背景を読み解くと、そもそも女性は非正規雇用の割合が多い。

 22年版男女共同参画白書によると、非正規労働者の女性は1413万人で、働く女性(2634万人)の半数以上を占めている。

 さらに、女性は20代後半をピークに正規雇用の比率が下がる傾向にある。正規雇用の仕事がなく、不本意ながら非正規雇用で働く「不本意非正規雇用労働者」の女性は約109万人。

 この109万人を母数に、年代別に見ると、最も多いのが40代後半〜50代前半の女性で約31万人。タカコさんのように子供が大きくなり子育てが一段落する世代とも重なる。

 男女共同参画白書によると、日本のひとり親世帯の貧困率は、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中35位だった。【菅野蘭】

1167OS5:2023/04/14(金) 22:05:20
https://www.sankei.com/article/20230402-4CLJ2TZUJ5IWNEIBWPBS245SSA/?outputType=theme_localelection2023
データで読み解く統一地方選
増加する相対的貧困世帯、スマホあっても遠い「普通」
2023/4/2 19:59
木ノ下 めぐみ
中間的な所得の半分に当たる127万円に満たない世帯の割合を算出した「相対的貧困率」という概念がある。最新の調査(平成30年)では、日本の子供(17歳以下)の13・5%が該当した。割合にして「約7人に1人」。

一般世帯の所得と比較し、あくまでも相対的に貧しいというカテゴリーだ。毎日の衣食住が苦しく、生存が危ぶまれる絶対的貧困とは異なる。しかし、だからこそ支援は届きにくい。習い事や塾に通えない、希望する進路を諦めざるを得ない…。相対的貧困は子供の将来を閉ざす恐れもある。


「物価の高騰で子供の好物もめったに出してあげられない。給料日前などの食材提供はとても助かる」。大阪府南部で子供3人と暮らすシングルマザー(37)は米や缶詰などの食材を受け取り、ほっとした表情を浮かべた。

これはNPO法人「キリンこども応援団」(同府泉佐野市)による支援活動の一つ。法人側は世帯年収などの制限を設けておらず、毎回利用者が殺到している。

時代とともに日本のような先進国における「貧困」の概念は変わりつつあり、法人の水取博隆代表(40)は「スマートフォンやテレビがあるから貧困じゃない、とは一律に言いづらい時代になった」。貧困世帯とのレッテル貼りを嫌がったり、制度への知識不足が影響したりし、支援につながらない人がどうしても出てくるという。


貯蓄に回せない
貧しさは子供のチャンスを奪う。前述の母親は手取り15万円に届かないパート収入で3人の子供を育てるが、「日々の暮らしは何とかなっても貯蓄にまでは回せない」。長男(10)はサッカーを習いたがっていたが、諦めた。

日本財団は28年、生活保護世帯や児童養護施設などで育ち、貧困状態にあると思われる子供の都道府県別推計を公表。最も貧困状態の子供の数が多かったのは大阪府で、1万7015人に上ると推計された。大阪市が塾代助成事業に取り組むなど対策を講じるが、支援が十分とはいいがたいのが実情だ。


子供の貧困率は、15年の13・7%から上昇を続け、24年には過去最悪の16・3%に。その後やや改善したものの、経済協力開発機構(OECD)の平均12・8%(2017年)を上回る高い水準で推移している。

負のサイクルに
日本の子供はなぜ貧困に苦しむのか。さまざまな要因が指摘されるが、今回はひとり親世帯の数に注目したい。

厚生労働省によると、ひとり親家庭、とりわけ母子世帯数はこの30年間で1・4倍に増加している。データが映し出すのは、母子世帯が抱える苦境だ。厚労省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査では8割超のシングルマザーが働いているにもかかわらず、正社員の割合は48・8%だった。平均年収は272万円にとどまり、父子世帯の518万円を大きく下回っていた。学童や保育所に空きがないなど育児支援の乏しさから、安定した職に就けない女性も少なくない。



貧困の放置は国をむしばむ。日本財団は平成27年、子供の貧困を放置した場合と、対策を講じて改善した場合の2つのシナリオを検証。それによると対策を怠った場合、生涯所得は改善シナリオと比べて約2・9兆円少なく、逆に社会保障費の増額などで国の負担が約1・1兆円増えると推計した。貧困による「負のサイクル」を断ち切ることは、日本の将来を考える上での急務といえる。

ベビーシッターや家事サービスを提供する「マザーネット」の上田理恵子社長(61)は、多数の母親の相談に乗ってきた経験から「子育てを1人で抱え込み孤立する母親が増えている」と指摘する。東京都の一部自治体で実施されているベビーシッター利用の支援事業を例に「就労の有無や家族形態にかかわらず、第三者の子育て支援を無理なく受けられる社会にならないと女性が働き続けることは難しい」と訴える。(木ノ下めぐみ)

1168OS5:2023/07/26(水) 15:42:45
https://news.yahoo.co.jp/articles/9331b77737eb26f67aa97b5e60b728b61fa1b5dc
「給食がなくなる」夏休みの困窮世帯の不安 一袋20円のうどんに草を分け合い、冷房もない〈dot.〉
7/26(水) 11:30配信


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AERA dot.
写真はイメージです(Gettyimages)

 子どもたちが待ちに待った夏休みが始まった。しかし、生活が困窮している家庭の子どもたちにとっては、学校給食がなくなることで栄養不足に、電気代を抑えようと冷房を使えない自宅では熱中症になりかねない「危険」な夏でもある。「無事に乗り切れるのか」「命の危険にさらされている」と、困窮する子育て世帯を支援する人たちは警戒している。

【写真】弱者に寄り添った「50円食堂」最後の日

*   *   *

「物価高騰と猛暑で、困窮家庭のお子さんたちは大変な目に遭っています。食費を削るのが第一で、次に電気代。でも、この気温では、エアコンを使わなければ家の中で熱中症になりかねない。そういった心配を抱えながら生活されている方がほとんどです」

 困窮する子育て世帯を支援する認定NPO法人「キッズドア」のファミリーサポート担当、渥美未零さんは、そう話す。

 育ち盛りの4人の子どもを育てる西日本在住の40代の女性から今月、キッズドアにメッセージが届いた。この女性は病気のために働きたくても働けず、川岸で採ってきた草を入れた1袋約20円のうどんを分け合って、1日1食もしくは2食で過ごしているという。

 キッズドアが今年5〜6月に実施した調査によると、回答した1538世帯のうちの約6割が、2023年の収入(予測)を200万円未満とした。回答者の9割が母子世帯だ。

 6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比3.3%上昇。特に「生鮮食品を除く食料」は9.2%も上昇し、約1年前から高止まりの状態が続いている。一方で困窮する子育て世帯の多くは全く賃金が上がっておらず、実質賃金は低下している。

 渥美さんは「物価高騰で、これまで積み立ててきた大学への進学費用を取り崩さざるをえない家庭もあります」と話す。賃上げやボーナス、株価上昇などのニュースが流れるたびに絶望的な気分になり、精神を病む人もいるという。

 コロナ禍を受けての国や自治体からの支援もほぼなくなり、困窮世帯は今、この3年間で最も厳しい状況におかれているという。

■「給食って本当に神」

 キッズドアの調査での回答には、「物価高騰により、食料の質をさらに落とすしかなく、育ち盛りの子どもに栄養不足を感じます。学校の健康診断でも、子どもの痩せすぎで注意を受けましたが、どうしようもない状態です」との「悲鳴」がつづられていた。

 そんな困窮世帯の子どもたちが栄養を摂れる重要な機会が、学校給食だ。

 女子栄養大学の石田裕美教授らの研究によると、収入が少ない世帯の子どもは欠食の割合が高く、栄養摂取量に対する学校給食の寄与も低収入世帯の子どものほうが高いという。

「給食って、本当に神」

 渥美さんも支援を受けている人から、そんな言葉を聞いたことがある。

 キッズドアの調査でも、給食がなくなる夏休み中の食事について「不安がある」と答えた人は91%にも上った。「子どもに十分な食事を与えられない」と回答した割合は、2021年の調査では46%だったが、今回は60%に増えていた。

 困窮する世帯では、食事は主食に偏り、副食はおろそかになりがちだ。

「食事はご飯にふりかけだけになり、米を買えない家庭ではめん類を食べる。つまり炭水化物ばかりで、タンパク質やビタミンがなかなか摂れない。以前は目玉焼きや卵焼きが食べられましたが、最近は卵でさえ値上がりして気軽に買えなくなった」

 と、渥美さんは言う。

1169OS5:2023/07/26(水) 15:43:09
 ビタミン欠乏に詳しい静岡県立総合病院リサーチサポートセンターの田中清・臨床研究部長によると、最近は栄養バランスの悪い食事による「隠れビタミンB1欠乏症」が静かに広まっているという。豚肉などに多く含まれるビタミンB1は、炭水化物などを分解してエネルギーに変えていく際に不可欠なビタミン。これが不足すると、倦怠感などの症状が表れる。

「体のだるさが抜けない、という保護者の声はすごくある」

 渥美さんは、そう指摘する。

「それでも、お母さんは自分の食事を1食にして、『私は水で全然かまわない』と言って、その分を子どもたちに食べさせる。そんな姿を見ていると、『体をこわしてしまっては元も子もないので、お母さんも食べてくださいね』と、お声がけするんですけれど、なかなか難しい」

 子どもの服や靴を支援した際、年齢から想像するよりもずっと小さなサイズで申請されているのを見て、子どもたちが必要な栄養が摂れていない現状を痛感するという。

■エアコン使わず保冷剤で

 食費もさることながら、困窮世帯は光熱費を削ってしまうことが珍しくない。

「もう何年も冬は暖房をつけていません、という声があるのと同様に、夏でも冷房を使っていない困窮子育て世帯は多いです」(渥美さん)

 現在、公立小中学校における普通教室の冷房設備設置率は95.7%(22年9月)。なので、学校にいる間はなんとかなる。ところが、キッズドアの調査では、回答者の64%が「(自宅で)エアコンをつけないようにしている」という。

「エアコンはアパートに備え付けですが、入居してから7年、1度もコンセントを入れたことがありません」

「熱中症が怖いのですが、なるべくエアコンを使わないで扇風機や保冷剤でやり過ごすようにしたい。けど去年も電気代が上がるということで、それをやったら娘が熱中症になり、点滴になったので、うまく考えたいです」

 調査の回答には、そんな言葉が並ぶ。

 日中は児童館や図書館を利用して暑さをしのぐ子どもたちもいる。

「都市近郊であれば、ショッピングモールのフードコートで1日過ごしたりするお子さんがたくさんいます。でも、地方だと、子どもだけで移動することがなかなか難しい」(渥美さん)

■無関心とバッシング

 そんな苦しい家庭の状況にもかかわらず、生活保護を受けていない世帯は多い。

「私たちも生活保護を受けたほうが楽なのではないかな、と感じることがよくあります。でもみなさん、踏ん張って生活している」

 困窮する子育て世帯は、

「もう本当にひっそりと暮している、というのをすごく感じます」

 と、渥美さんは言う。

1170OS5:2023/07/26(水) 15:43:30
 一方で、子育て世帯を支援しているキッズドアに対して、「何をやっているんだ」とバッシングするメールが届く。ネット上に支援の記事が出ると、「働かなくて楽をしている」というような非難のコメントが書き込まれるという。

「それを見て萎縮し、SOSの声を上げることを躊躇しながら暮らしている人が大勢いると実感します。ひとり親でも仕事をして税金を納めている人がいるし、すべてのひとり親家庭が児童扶養手当をもらえているわけでもありません。でも、働きたくても病気で働けない人もいる。そういう実態を知っていただきたいと思います」

 厚生労働省の「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の平均所得金額は、11年の697万円から20年の813万5000円と、16.7%増加している。

 一見すると子育て世帯の所得は増えているようだが、この数字を押し上げているのは主に世帯所得が1000万円以上の裕福な家庭。この世帯が占める割合は11年の15.6%から21年には24.8%に増加している。

 一方で、21年の年収800万円未満の子育て世帯は全体の59%を占める。つまり、この10年で、一部の富める子育て世帯と大多数の中間層以下の世帯との二極分化が著しくなっているのだ。

「子育て世帯の年収が二極化してしまったので、高所得の家庭の人たちは困窮している子どもたちのことが本当にわからないのだと思います。そのことが無関心やバッシングにつながっているのではないでしょうか」(渥美さん)

「異次元の少子化対策」を掲げる政府。しかし、その足元では、子どもたちを守る最低限のセーフティーネットすら機能していない現実が広がっている。(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

1171OS5:2023/07/27(木) 11:22:38
https://news.yahoo.co.jp/articles/156afcea13e40ff896c9596618692b8fdafe1cab?page=1
労働者を搾取する「A型事業所」のあきれた実態 労基署も機能しない、まさに「貧困ビジネス」
7/27(木) 9:41配信
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

■事業所側の都合で「早帰り」

 「午後の仕事はないので、もう帰ってもらって結構です」

 駐車場の草むしりを終えて事業所に戻ったところで、職員からこう言われた。9時半から働き始め、まだ2時間もたっていない。噴き出す汗や痛む腰以上にジュンヤさん(仮名、56歳)の心をざわつかせたのは、お金のことだった。

 「ああ……。また給料が減ってしまう」

 ジュンヤさんの勤務先は千葉県にある就労継続支援A型事業所。駐車場清掃や倉庫内での野菜・果物の選別のほか、部品組み立てや商品の袋詰め、シール張りといった軽作業など、仕事は日によって違う。時給は最低賃金と同額の984円。

 ジュンヤさんによると、一番の問題は事業所側の都合で「早帰り」させられる日が少なくないことだという。当初の求人票には就業時間は「9:30〜14:30 1日4時間」とあった。しかし、約束どおり働けるのは出勤日の3分の2ほど。残りは仕事がないなどの理由で定刻前に退勤させられる。ひどいときは1時間、同僚の中には30分で帰らされた人もいた。そのせいで、残業があれば10万円くらいにはなるかと期待した月収は7万円に届かない。

 「シフト表もなく、帰るときに『今日は2.75時間ね』『今日は3.5時間ね』と一方的に言われるだけです。休業手当が出るならまだ仕方ないと思えますが、それもありません」

 中でも納得できないのは、ノルマが達成できないという理由で早帰りさせられたことだ。その日の仕事は菓子や贈答品用の箱を組み立てる「箱折り」といわれる作業。職員から数値目標を課され、「午後も働きたければノルマを達成するように」と指示された。結果、ノルマをこなせなかったジュンヤさんを含む数人が午前中で退勤させられたという。

1172OS5:2023/07/27(木) 11:23:00
■就労継続支援A型事業とは? 

 ここで就労継続支援A型事業(A型事業)について説明しよう。A型事業とは障害や難病のある人が雇用契約を結んだうえで、職員によるサポートを受けながら働くことができる福祉サービスのこと。一般企業での勤務が難しい人が就労スキルを身に付けるために利用する。つまりジュンヤさんは労働者であると同時に、福祉サービスの利用者でもある。

 これとは別に、雇用契約を結ぶことが難しい人を対象にした就労継続支援B型事業というサービスもある。いずれも、事業所の売り上げは「利用者の労働による収益」と「サービス提供に対して市町村などから支払われる報酬」の2種類。報酬には基本報酬に加え、利用者のキャリアアップや一般企業への就労などについて一定の要件を満たした場合に付くさまざまな加算もある。ジュンヤさんの事業所では1人当たり毎月25万円以上の報酬が行政から支払われているケースもあるという。

 ノルマの話に戻すと、ジュンヤさんの事業所は福祉サービスの利用者にノルマを課したことになる。言語道断というしかないだろう。そもそもノルマ未達成を理由とした給与減額は一般企業でも違法である。

 一般的にこうした事業所では障害や病気の特性などにより、利用者の作業効率や得手不得手の個人差は大きい。行政からの報酬はそれらに応じた環境を整備し、専門の職員を配置するためのものだ。では、ジュンヤさんはなにかしらの配慮を受けたことがあるのだろうか。

 それまで口数が少なく、言葉を探すようにゆゆっくりと話していたジュンヤさんだったが、この質問に対しては「ないですね」と即答した。

 「(箱折りなど)手先を使った仕事はもともと得意ではありません。ノルマは、正確な個数は覚えていないのですが、どうあがいても私には無理な数でした。だったら私にできるような仕事をさせてくれるとか、あるいはできるように教えてくれるとかすればいいのですが、そういったフォローやサポートは一切ありません」

 ジュンヤさんは箱折りがうまくできないという理由でしばらくの間、1人だけ事務所のゴミ捨てや窓ふきをさせられた。「孤独でした。罰を与えられていると感じました」と振り返る。

 このほかにも、求人内容が実態と違う、仕事内容を当日の朝に指示される、職員による暴言など問題を上げるとキリがないという。

 「求人票に『パソコン操作』とあったので応募したのに、アンケートの入力内容をチェックする仕事が一度あっただけ。実際は単純作業や施設外での仕事ばかりです。駐車場清掃のときは暑さ対策をしたいし、倉庫内は10度以下とかなり寒いので作業用の防寒着や汚れてもいい服を用意したいのに、その日の朝まで仕事内容がわからないので、何も準備できないんです」

 ミスの多い利用者に対して職員が「ちゃんと話を聞いてるのか」「真面目にやれ」といった乱暴な言葉を使っているのを聞いたこともあるという。

1173OS5:2023/07/27(木) 11:23:18
■納得しがたい「労基署の対応」

 今年に入り、同じ不満を持つ同僚数人と労働基準監督署に申告をした。ジュンヤさんたちは何より給与に直結する早帰りをなくしてほしいと考え、そのためには実態を裏付けるシフト表が必要だと訴えた。しかし、申告を受けて監査に入った労基署側からは「事業所はシフト表は廃棄したと言っている。シフト表がなければ早帰りの有無は確認できない」という旨の説明をされた。

 ジュンヤさんたちは、もともとシフト表は作成されていないと食い下がったが、労基署側の回答は「シフト表がないことはただちに違法とはいえない」。それ以上のことは上部組織に当たる千葉労働局に相談するようにと言われたので足を運んでみたものの、ここでも「労基署に指導できることはない」と門前払いされた。絵に描いたようなたらいまわしである。

 ジュンヤさんは大学卒業後、大手メーカーの事務職として就職。結婚して子どもも生まれたが、40歳を過ぎたころに双極性障害と診断される。入院と休職を繰り返し、最後は通勤に片道1時間半かかる工場勤務を命じられ、数年前に退職を余儀なくされた。

 双極性障害のそう状態のときは自分の考えはすべて正しい、何でもできると思ってしまうのだと、ジュンヤさんはいう。「ささいなけんかから家内を叩いたり、200万円もする新車を突然買ったりしてしまったこともあります」と打ち明ける。

 現在のA型事業所は2年前にハローワークで紹介された。収入は半減したものの、マンションのローンは完済すみで、子どもはすでに社会人になっている。ただ、妻もメンタル疾患があって働くことができない。夫婦の生活費は、A型事業所での給料と毎月約10万円の障害年金と合わせた同17万円。

1174OS5:2023/07/27(木) 11:23:37
■持ち家があると貧困者ではない? 

 一方でマンションの管理費などとして毎月4万円が必要なうえ、病気の治療費もかかる。そうなるとジュンヤさんの暮らしは生活保護水準とほぼ同じだ。退職後は貯蓄を切り崩す生活が続いている。

 困窮状態の中で困っていることを尋ねると、ジュンヤさんが「私、ずっと口角を上げないように話しているの、わかりますか?」と切り出した。私も、ジュンヤさんは少し滑舌が悪いなと思っていたので続きをうながすと、前歯が6本ないという。状態に合った入れ歯を作り直したいのだが、経済的に余裕がないのだと、ジュンヤさんは説明した。

 マンションを売却して家賃の安い市営住宅に移りたいと考え、行政に相談したこともあるという。しかし、窓口の担当者からは「持ち家のある人は住宅困窮者には当たらないので市営住宅には入居できない。いったん賃貸住宅に移ってからあらためて申し込みを」と言われた。

 賃貸住宅に移ったとしても、その後市営住宅に入れる保証があるわけではないし、家賃が現在の管理費より高くつくことは間違いない。八方ふさがりの状況に、ジュンヤさんは「持ち家のある人は貧困者ではないということなんですね」とため息をつく。

 既存の福祉制度が十分とはいえない中、障害や難病のある人にとって就労継続支援事業は単なる福祉サービスではなく、労働者として生活の糧を得るために必要な手段であることも多い。事業所側は「今日は1時間で帰って」「午後の仕事はない」と言われた利用者たちがどんな思いをするか想像したことがあるのだろうか。ジュンヤさんたちが暑さや寒さに備えられるよう、せめて前日に仕事内容を伝えることがそれほど難しいことなのか。

 病気や障害に対する配慮もなく、ただ安く請け負ってきた単純作業を最低の条件で担わせる。一方で行政からは安くない報酬を受け取る。これでは「障害者ビジネス」と言われても仕方ないだろう。

■事業所が受け取る報酬こそ「公金の無駄遣い」

 事業所が受け取る報酬はもとをたどれば公金だ。持論になるが、私は安易に「公金、税金の無駄遣い」という批判をするつもりはない。特に最近、生活保護利用者や、助成金などを利用して貧困者や若年女性を支援する団体を攻撃する目的で、こうした物言いがなされることに対しては違和感しかない。しかし、今回は声を大にして言いたい。早帰りを強いたり、ノルマを課したりする“名ばかり福祉サービス”に報酬を垂れ流すことこそ、公金の無駄遣いだろう。

 就労継続支援事業所の中にも本来の趣旨に沿った施設もある。ただ、障害や病気のある人を食い物にしている施設が少なくないのも事実だ。こうした事業所はハローワークから紹介されることが多いうえ、利用には行政への申請が必要である。公的機関が障害者ビジネスにお墨付きを与えているという指摘も過言とはいえない。

 ジュンヤさんが途方に暮れたようにつぶやいた。

 「最終的には生活保護、ということになるんでしょうかね」

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

1175OS5:2023/07/31(月) 07:54:06
https://news.yahoo.co.jp/articles/db7d74d823bad30f675f9a6527c5853050f6575b
月収16万円「公園で水をがぶ飲み、空腹を満たす」生活苦の40代男性…最低賃金で働く「非正規たち」の絶望的未来
7/30(日) 11:17配信


幻冬舎ゴールドオンライン
(写真はイメージです/PIXTA)

白熱した議論が続いた「最低賃金の引き上げ」。物価高の影響により生活苦を訴える低所得者を救うためにも、継続的な賃上げが望まれますが、それでも低所得者の未来は希望に溢れているとは言えないようです。みていきましょう。


世界的にみると低すぎる「日本の最低賃金」
物価上昇を背景に、最低賃金の引き上げについて議論され、今年度の最低賃金について全国平均の時給で過去最大の41円の引き上げるとする目安をとりまとめました。最低賃金は、企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金として地域ごとに決められていますが、現在、全国平均は時給961円。それが全国平均で時給1002円となり、初めて1,000円を超えました。


最低賃金の議論では「格差是正」がセットで語られます。フルタイムの従業員と、最低賃金がひとつの基準となるパートタイマーなどの非正規従業員との給与差。これこそが格差拡大を助長しているという指摘がされています。

OECDによる世界主要国の最低賃金水準についてみていくと、調査対象31ヵ国中、フルタイム従業員と最低賃金との格差が最も少ないのは「コロンビア」で、フルタイム従業員の給与水準を100としたとき、法定最低賃金は92.31。以下、「コスタリカ」「チリ」「トルコ」「ニュージーランド」と続きます。



【世界主要国「最低賃金水準」トップ10】

1位「コロンビア」92.31

2位「コスタリカ」81.52

3位「チリ」71.96

4位「トルコ 」70.61

5位「ニュージーランド」67.61

6位「ポルトガル」66.29

7位「韓国」61.36

8位「フランス」60.97

9位「スロベニア」60.41

10位「イギリス」56.93

出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE

「日本」は全体26位。世界主要国の中でも格差の大きな国といえるでしょう。世界の基準でみると、確かに、最低賃金の引き上げは必要かもしれません。

1176OS5:2023/07/31(月) 07:54:30
20〜60歳まで「最低賃金」で働き続けたら…
最低賃金水準で働くパートタイマーなどの非正規社員。昨今の物価高により、その生活はますます厳しいものになっています。ネット上で自身をスーパー貧乏の非正規と例える40代の男性。やはり、昨今の物価高には頭を悩ませているといいます。

――腹が減るのは慣れた

――我慢できなければ、公園で水をがぶ飲みすればいい。水さえ飲んでいれば死なねぇよ

そんなつぶやきを繰り返しますが、最近の炎天下にはまいっているよう。昼間は仕事で留守にしているからいいけれど、夜は暑くて、冷房なしでも自宅にいられないといいます。しかし冷房代がもったいない……そこで、何かを買うわけでもなく冷房の効いたコンビニをはしごして、涼をとっているのだとか。

仮に男性が最低賃金で働いているとしたら。時給961円。一般的な会社員と同様、月に167時間*働いたとしたら、月収は16万円ほど。手取りでは12.5万円程度です。学卒以来、夢を追って非正規社員で働いているものの、正社員に登用されることなく現在に至るという男性。「夢を追えるだけ幸せ」と強がっていいますが、昨今の物価高の影響は、そうも言っていられないほどの厳しさだとか。

*厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より

仮に現在45歳、このような生活を20歳から始め60歳まで続けるとしましょう。仕事を始めた20歳、1998年の最低賃金は全国平均649円。年間2,000時間働いたとして、月収は10.8万円、年収は130万円ほど。25年で給与は1.5倍になった計算です。このままの上昇率で60歳まで働いたとしたら、最終的には月収は20万円に迫ることになります。

しかし問題は老後の生活。公園の水で空腹をごまかすほどですから貯蓄があるとは考えにくく、今後も資産形成を進められるとは思えません。また国民年金の保険料をきちんと払っているとしても、65歳から受け取れるのは、現状、月6.6万円ほど。2023年10月から、短時間労働者として働く従業員の厚生年金保険への加入義務が拡大されたので、15年ほど厚生年金に加入したとしましょう。65歳から手にする厚生年金は月1.7万円、国民年金と合わせて8.3万円ほどになる計算です。

もちろん、だいぶ前から厚生年金に加入しているかもしれませんし、いままでもこれからも国民年金だけかもしれません。さらに年金保険料を滞納していて国民年金すら受給できない……そんなこともあるかもしれません。どちらにせよ、十分な年金を手にする未来は考えにくく、生きていくために「一生働き続けることが確定」という、なんとも絶望的な未来しか描くことができないのです。

このようなワーキング・プアを根絶し格差是正を図ろうとする最低賃金の引き上げ。ただ企業、特に中小企業としては、難色を示すところ。

今後、深刻化する人手不足の問題からも、最低賃金を引き上げるのは自然な流れ。ただ体力のある大企業であれば賃金増分を吸収できるでしょうが、中小企業としては経営を圧迫する死活問題。しかもこの物価高。価格転嫁が進まないなか、最低賃金の引き上げとなると途端に経営破綻……そんな中小企業が増えると、専門家は警鐘を鳴らします。

ただ上げればいいという、単純なものではない最低賃金。あらゆる問題が改善の方向へと進めることができるか、という点でも目が離せません。

1177OS5:2023/09/10(日) 22:21:34
https://news.yahoo.co.jp/articles/6f113033d3cd3f67dfbaf04ae2e1d27092ffd542
「一杯無料のかけうどん」に込めた愛と恩返し 西成の元極道店主がドン底で見た人情
9/10(日) 9:00配信


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産経新聞
「周囲の人に恩返しをしたい」と語るうどん店「淡路屋」の大前孝志さん=大阪市西成区(彦野公太朗撮影)

「食事に本当に困っておられる方、かけうどん一杯無料」。日雇い労働者が多く集まる大阪市西成区のあいりん地区でこうした看板を掲げ、生活困窮者に一杯のかけうどんを無料で振る舞う店がある。立ち食いそば・うどん店「淡路屋」。店主の大前孝志さん(48)が、新型コロナウイルス禍の約4年前から始めたサービスだ。「うどん一杯で心に余裕ができたら」。無料提供は生活に行き詰まり犯罪に走った自身の経験から。空腹が満たされれば、心も落ち着く―。そう信じている。

【写真】客にうどんを振る舞う大前孝志さん

◆「本当に救われた」

飲食店や簡易宿所(簡易宿泊施設)が立ち並ぶ西成のあいりん地区。淡路屋はその一角にある。大人4人ほどが座ることのできる長椅子が設置され、まるで屋台のような店構えだ。

大前さんがこの地で店を始めたのは平成29年10月。それまでは紆余(うよ)曲折の人生だった。

高校を中退し、仕事を転々とした。暴力団に入り、けんかや恐喝を繰り返し、薬物に溺れて服役したことも。21年にはラーメン店を開業したが、人間関係のトラブルで閉店。その後、フィリピンへ渡った。

いつしか所持金も尽き、首都マニラ郊外の街で3日間、空腹に耐えながらうずくまっていたとき。高齢の女性が声をかけてくれた。「おなかが空いているでしょう」。ジェスチャー交じりでこういわれ、女性の家に招かれた。家に入ると山盛りの米と現地の肉料理をふんだんに振る舞ってくれた。

「本当に救われた」。涙をぼろぼろ流しながら食べたことを今でも鮮明に覚えている。

「受けた恩を今度は周りの人へ返したい」と決意。帰国して淡路屋をオープンさせた。

◆おなか満たせば心も…

「一杯無料のかけうどん」を始めたのは新型コロナウイルスが流行したころ。客足が遠のき、仕入れたうどんを廃棄する日もあった。「どうせなら」と生活が困窮している人を対象に無料提供を始めた。

鰹(かつお)風味のやさしいだしのうどんはほっとする味。かけうどんは250円で、一般客にとっても安価だ。

「おなかが減っていると『恐喝したろ、万引したろ』とか悪いことをつい考えてしまう。おなかが満たされ心に余裕ができれば、そんなことは考えへん」。自身の経験からこう力説する。

ある日、80代ぐらいの作業着姿の男性が店にやってきた。男性は店の前で帽子を脱ぎ、「一杯だけ食べさせてください」と頭を下げた。

泣きながらうどんを食べる男性。「自分の体が動くうちは国の世話になるのは筋違いだ」と生活保護を受給せずに、建設作業員の仕事を転々としていたが、3日間食事をしていなかった。

しばらくして男性はまた店にやってきた。「あれから仕事が見つかり、今は住む場所もあります。ありがとうございました」と礼を言われた。日焼けした男性の表情は気力にあふれていたという。「たかがうどん一杯やけど、それで元気に立ち直ってくれたら本望。いつでも食べにきてほしい」と振り返る。

1178OS5:2023/09/10(日) 22:21:44
◆ユーチューブ配信も

2年前からは「西成キンちゃんのワッショイTV」と題したユーチューブチャンネルを開設。地元の飲食店を紹介するなど西成の面白さや魅力を動画で伝えている。

今では大前さんと話すことを目的に店を訪れる若者も多い。「ゆっくり食べてってや。カップ麺のほうがうまいけどな」。冗談を交えながら気さくに笑う。ときには人生相談に耳を傾けることもある。

「西成は治安が悪い面もあるが、人情深い街。昔悪さをしていたが、今は再起を懸けて努力する前向きな人もたくさんいる。そんな『西成のいい部分』にもっと光が当たるよう、みんなで盛り上げていきたい」。かつて自分が励まされたように―。〝西成愛〟を胸に恩返しの日々は続く。(鈴木源也)

1179OS5:2023/10/13(金) 16:14:52
https://news.yahoo.co.jp/articles/43de0ff52c63a0bb9cc192f217c9f7e61c3130c5
呼び名は「タイミーさん」面接なし、履歴書なし 即時振り込みの「単発バイト」続ける51歳男性の悲哀
10/13(金) 10:32配信
東洋経済オンライン
スマホの単発バイトアプリで生計を立てているユウジさん。「働く側が安く使われがちな仕組みだと分かっていても、それに頼らざるをえない自分が情けない」と語る(写真:ユウジさん提供)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「かつては事業を営んでいましたが、過労で身体を壊すと一気にすべてがストップしてしまい、あれよあれよと言う間に貧困生活へと突入してもう何年も経ちます。」と編集部にメールをくれた51歳の男性だ。

■「タイミーさん」という呼び名

 「タイミーさん、今日は1番レジ入ってもらえます?」

 「タイミーさーん!  ちょっとこっち手伝って」

 日雇い仕事で食いつなぐユウジさん(仮名、51歳)はもうすっかりその呼び名に慣れてしまった。どの職場でも自分の名前を呼ばれることはほとんどない。最初は驚いたが、今はただ「私の存在はAさんでも、Bさんでも、なんでもいいんだな」と思うだけだ。

 「タイミーさん」とは、「Timee(タイミー)」というバイトマッチングアプリからくる呼び名である。地方都市で暮らすユウジさんがアプリに頼る理由は「すぐに給料が入るから」。たしかにアプリの公式サイトには「24時間・365日いつでも銀行口座へ報酬を振り込むことが可能です」との旨が書かれている。バイトが終わり、スマホ画面の「振り込み申請」をタップすると、10分もたたずにATMから現金を引き出すことができるという。

 「即日振り込み」どころか「即時振り込み」である。

 仕事はスーパーのレジ打ちや飲食店での皿洗い、工場内の作業など。ただユウジさんの経験からいうと、人間関係はおしなべてすさんでいるという。

 「あいさつをしても無視されることがほとんど。狭い通路をすれ違うときもよけたりしてくれません。『どうせ単発バイトで来るような落ちぶれた人間』と、見下されているように感じます。レジの仕事で誤ってお店控えをお客さまに渡してしてしまったときだけは、『ちゃんとしてよ』『困るんですよね』と、ここまで言う?  というくらいしつこく叱られました。最初に普通に教えてくれればいいだけなのに……」

■「どうせその日限り」で人間関係も希薄

 即時振り込みは魅力だが、今年のゴールデンウイークには、こんな“事件”もあったという。

 その日、所持金は1000円を切っていた。アプリから応募した仕事は飲食チェーン店での皿洗い。殺人的に忙しい夕方から夜にかけての5時間、汗だくになって洗い場に立ち続けた。これが終われば5000円が振り込まれるはず。しかし、コンビニのATMを何度確認しても入金はなかった。どうやら銀行のほうが、連休中は対応時間外だったらしい。

 帰りの交通費に70円足りなかった。「バイトが終わった時点ですでにヘロヘロのボロボロ」だったが、やむを得ず電車を途中下車。そこから6時間以上歩いた。以前バイク事故で痛めた左脚を引きずりながら、自宅に着いたときは深夜3時を過ぎていたという。

1180OS5:2023/10/13(金) 16:15:18
 「あの日はほんとに情けなかった。今思い出しても泣けてきます」

 話はそれるが、Timeeのような単発バイトアプリは、ほかにも「マッハバイト」「バイトル」「シェアフル」「ショットワークス」など数多くある。それぞれが「スキマ時間を利用」「即日払いOK」「面接なし、履歴書なし」などとアピールしている。

 学生や副業をしたい人にとってこれらのアプリは、さぞ使い勝手がよいだろう。原則禁止されている日雇い派遣とは違って直接雇用なので、違法性はないことも知っている。ただ貧困の現場を取材していると、こうしたアプリで生計を立てざるを得ない人が増えていることが気になっていた。本人たちの自己責任では片づけられない。容易に“その日暮らし”を選べる仕組み自体に危うさを覚えてしまうのだ。

 アプリの利用経験者からは「6時間という約束だったのに1時間で帰された」「集合場所まで行ったら、『もう定員に達したので今日の仕事はない』と言われた」「制服支給と書いてあったのに、買い取りさせられた」といったトラブルもたびたび耳にする。ほとんどが泣き寝入りしており、一般的な非正規雇用労働者以上にその立場は弱いのが現状だ。

 一部のアプリは労働者と企業がお互いに評価し合うシステムを売りにしているが、そもそも労働者個人と企業の力関係は対等ではないという“常識”が欠落しているようにもみえる。違法ではないとはいえ、究極の不安定雇用という点では日雇い派遣と変わらないし、「どうせその日限り」と思ってしまえば、人間関係も希薄になりがちなのではないか。

 話をユウジさんのことに戻そう。私が、将来を考えるとアプリで生計を立てる働き方はよいとは思えないと指摘すると、それまで穏やかだったユウジさんが打って変わって強い口調で反論した。「でも、私が首の皮一枚で生きていられるのはTimeeのおかげです」。

 ユウジさんがせきを切ったように続ける。

■屈辱的な日々に「もう殺してくれ」と願う

 「私だって、名前も覚えてもらえないような仕事がいいだなんて思ってません。でもそれが私の命綱なんです。惨めだし、屈辱的です。だから毎日、神さまにお願いしてますよ。『頼むからもう殺してくれ』って」

 気が付くと、ユウジさんはタオルで涙をぬぐいながら話していた。

 日雇いバイトの収入は月7万円ほど。家賃は水道費込みで4万3000円なので、残りの3万円足らずでやり繰りしなければならない。洗剤や石鹸、シャンプーはすべて重曹で代用。夏場はガス会社との契約を解約し、水シャワーとカセットコンロでしのいでいる。

1181OS5:2023/10/13(金) 16:15:40
 ユウジさんはなぜここまで追い詰められたのか。

 ユウジさんの生い立ちは過酷だ。両親は自営業者だったが、父親は酒浸りで母親とユウジさんに暴力をふるった。2人で逃げ出したものの、高校は中退。ユウジさんは働き始めたが、17歳のときに母親も出奔した。以来、「独りで生きてきました」。

 20代のころ、いくつかの会社で正社員として勤務。その後、熱中していたモトクロスバイクのレースに出場するために生活の拠点をアメリカやカナダに移す。本格的な移住も考えたが、結婚を機に帰国した。

 その後は子どもや女性を対象にした運動指導教室を主宰する一方で整体師として働いてきた。施術の評判はすこぶる高く、30代後半で本格的な店舗を構えてからは、月の売り上げが100万円を超えたこともあった。ユウジさんは「従業員も何人か雇いました。何時間もかけて地方から来てくれる方もいました」と振り返る。

 ユウジさんにとって利用者から「先生に会えてよかった」「先生でなければダメ」と感謝される日々は充実していた。しかし、皆の期待にこたえたいというがんばりが仇になる。

 早朝から深夜まで働き詰めで、1日中食事を取らないこともざら。深夜や未明に押し掛けてくる人にも対応し、店を持ってからは1日も休日はなかった。結局5年ほどで過労で倒れ、閉店を余儀なくされる。残ったのは数百万円の借金だった。

 「その後はあれよあれよという間に貧困生活へと転がり落ちました」とユウジさん。しばらくは妻の収入で暮らしたものの、結局離婚。海外では接客業に就いていたことから、その後は派遣労働者として全国各地のホテルで住み込みで働いた。しかし、観光シーズンのみの細切れ雇用なので年収は100万円ほどだった。

1182OS5:2023/10/13(金) 16:16:00
 安定した仕事に就こうと、ホテルでの派遣労働をやめ、就職活動をしながらアプリによる単発バイトで食いつなぐ生活に切り替えた。しかし、収入はさらに減り、暮らしは苦しくなる一方。最近になり、相談に訪れた行政から、住まいを失う恐れのある人に家賃を補助する「住居確保給付金」を紹介され、ハローワークにも通うようになった。ただ仕事探しは難航しているという。

 ユウジさんによると、就職活動では「求人票の内容と実際の仕事が違うことが多い」という。ホテルのコンシェルジュと書かれていたのに、清掃業務に回されそうになったり、なぜか介護業務をさせられそうになったりしたこともある。面接で初めて夜勤専門の仕事だと告げられたこともあった。夜勤専従は健康リスクを高めるとされる。待遇との兼ね合いもあろうが、ユウジさんがこの手の働き方を避けたいと思うのはやむを得ないだろう。

 「何十件面接を受けても決まらない」と報告するユウジさんに対し、行政側の窓口担当者は「今の収入だと生活保護(水準)より低いから、ホテルでの住み込み仕事に戻ってはどうか」と“アドバイス”してきたという。詐欺同然の求人を放置しながら、オフシーズンには収入が途絶えるようなホテル派遣に戻れという提案には耳を疑う。生活保護を持ち出すなら、制度を利用して暮らしを立て直すよう促すべきだろう。

 しかし、生活保護はユウジさん自身が利用したくないという。またしても生活保護は恥であるという「スティグマ(負の烙印)」が権利の利用を阻むのか――。

 ユウジさんは「生活保護は国民の権利だと頭ではわかっています。もし以前の私が知人に相談されたとしたら、恥じる必要はないと言っていたはず。でも、いざ自分がとなるとやっぱり嫌なんです。この気持ちは言葉では説明できません」と複雑な心境を打ち明ける。

 一方でつい先日は生活保護と同じくらい抵抗のあったという自己破産の手続きを済ませた。「(借金を)返したくないわけじゃなかったのに……。こんな自分が恥ずかしいです」。

 自身が貧困から抜け出せない理由について尋ねると、ユウジさんはしばらく考えた後、「男性性の強い社会が問題だと思います」と答えた。どういう意味か? 

■先の見えない絶望と希望が去来する

 「私が育った家庭では男である父親が不当に権力を振り回し、家族の人生をめちゃくちゃにした。今もがんばって働いた報酬と出ていくお金が不当に釣り合っていないと感じます。Timeeは一番忙しい時間帯だけ働かされることも多いので、(給料は)いつも『これだけ?』って思います。そもそも最低賃金って誰が、何を基準に決めたんですか?  家賃も物価もどうしてこんなに高いままなんですか?」

 ユウジさんは暴君だった父親を、働き手が搾取されがちな仕組みや、制度や政策を決める側の人間、問題を放置する行政や政治に重ねているようだった。「弱い立場になったことのない人が権力をふるっている」とも言っていた。

 ユウジさんは取材で話を聞く中で「死ぬ日まで生きるしかない」「今日で終わりにしたい」と希死念慮を隠そうとしなかった。一方で「家族がほしい」とも語っていた。

 実は今、ユウジさんには付き合っている女性がいる。ただ相手もシングルマザーで、ダブルワーク、トリプルワークをしながら子どもたちを育てている。お互いに今は再婚できる状況ではないが、いつか一緒になれればという夢があるという。

 先の見えない絶望と、いつか家族をという希望が去来している。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

1183OS5:2023/10/26(木) 11:05:16
https://news.yahoo.co.jp/articles/439a1ce887b598a81d6a28022382f52d385e9c2a
生活保護デモ「たまにはウナギも食べたい」なぜ批判? 20代受給者「救われた」「利用して休んだ後に再び社会に出れば大丈夫」当事者が語る実態と想い
10/26(木) 7:20配信
 今月、行われた「生存権を求める京都デモ」が波紋を広げている。2013年から段階的に引き下げられた生活保護の基準額について、受給者や支援者など100人が不満を訴えた。

【映像】20代受給者のしかまるさん(本人)

 様々な主張をする中で、物議をよんだのが「たまには旅行に行きたいぞ」「たまにはオシャレもしたいぞ」「たまにはウナギも食べたいぞ」というものだった。

 生活保護は、憲法で定められた“健康で文化的な最低限度の生活を保障するため”の制度である。そのためSNSでは「旅行に行きたい?それは本当に最低限度なの?」「一生懸命に働いててもウナギなんて食えない…」など非難の声が噴出。一方で、「メディアの見出しの付け方が燃料になってる」「デモの本質は“旅行”でも“ウナギ”でもないのでは?」との指摘もあった。

 なぜ生活保護はたびたび非難の的となるのか。『ABEMA Prime』では、受給者・支援者と議論をした。

20代受給者に聞く生活保護の実態と想い
【図】生活保護を受給するしかまるさんの収入と支出の内訳

 生活保護を受給するしかまる氏(20代)は「大学受験に失敗し、ひきこもった。その後に上京、バイトの面接に行ったが、全く受からなかった。日雇いで生活をしていた。そこからプログラミングを始めて、知人と立ち上げたIT系の企業も失敗。体調とメンタルを崩し、生活保護を受けた。周囲からは『働けるよね?』などと言われたが、働けるかどうかは生活保護の条件になっていない。スムーズに受給ができた」と答えた。

 今回のデモについては、「生活保護でもウナギを食べることはできるので、わざわざ訴える必要性はなかった。若者や生活保護を本当に必要としている人が”受給する”という選択肢を取りにくくなるのでは?」との見方を示した。

 また、「生活保護はメンタルや身体的な体力がない人たちが使っていき、回復した後に働きたいと思ったら、働くという形が良いと思うし、そのように使うべき。最初は負い目もあったが、次第になくなった」と述べた。

 2021年度から受給を始めたしかまるさんの生活状況を見ていきたい。詳細は【図】の通り。収入は夏季(4〜10月)の保護費が7万6420円、冬季(11〜3月)が7万9050円。YouTube等配信による収入は約8000円だ。一方、支出は食費が1日約700円で月約2万1000円、通信費(3300円)、光熱費(約5000円)と合計で約2万9300円とのこと。国が負担する家賃や水道代はここに含まれない。収入から支出を差し引いて余った分は貯金に回しているそうだ。

 こうした状況を踏まえて「YouTube動画作成のほか、国家資格の勉強もしている。物価が上がったので少し大変だが、それほど大きな影響はない。食費も厳しくない。ウナギも食べられるし、切り詰めたとしても、栄養のある食事は摂れると実感している」と答えた。

 基本的には自炊ということだが、「1週間に1度ほど外食する。自炊と同じ、1日700円計算の範囲内で使う」と明かした。「生活保護があって良かった。もし制度がなかったら、僕はこの場にいないし、生活保護に救われた。メンタルが病んで、体力が落ちている時は、目の前のことしか考えられなくなっている。長期的な目線を持つためには、まず体を休めることがとても重要だ。それで未来に向かって考えることができるようになる」と話した。

1184OS5:2023/10/26(木) 11:05:28
デモの実行委員会の回答は?
生活困窮者の支援を行う佐々木氏はデモに対する報道のあり方についても指摘

 今回、『ABEMA Prime』がデモの実行委員会に取材したところ、「たまにウナギを食べることは普通の暮らしだと考えます。決して贅沢をしたいのではありません。生活が苦しい人たちが生活保護を利用できない社会がおかしいのであって不満や怒りは政府や行政に向けられるべきです」との回答があった。

 NPO法人『あなたのいばしょ』理事長の大空幸星氏は「ウナギを食べることは最低限度の文化的な生活だと思う。それすらできない現状がおかしい。これで生活保護の受給額を下げると、密接に連動していると言われる最低賃金を下げる理由にもなる。暮らしへの影響は極めて大きい。エネルギーを政府に向けるべきだというのはその通りだ」と述べた。

 また、「内閣官房の孤独・孤立担当室は、明確には言わないもののSNSの盛り上がりを見て、生活保護は国民の権利だと言った。政府は生活保護をもっと受けてくださいという立場。政府と現場が言っていることに大きな乖離があるのが、問題だと思う」とした。

 生活困窮者の支援を行う『つくろい東京ファンド』の佐々木大志郎氏は「デモを実施したグループとは、交流がある。今回はメディアの見出しや報道が扇情的な部分もある。生活保護は今、物価の上昇に対して相対的に下がっている。デモのグループは活動家というより当事者運動だ。そのプリミティブな叫びが“ウナギ食べたい”なので、バッシングされることではない」との見方を示した。

必要な人が受給できているのか
生活保護から抜け出すまでの期間を示したデータ(厚労省「被保護者調杳」より)

 日本の捕捉率(権利がある人のうち利用できている人が占める割合)は2016年時点で22.9%と諸外国と比べて低い。佐々木氏は「資産を計算してるか否かで数字は異なるが、僕の知る範囲では働きたいという意欲を凄く感じる。シングルマザーの方や20代30代のネットカフェにいる方も、自分で働いて、生活したいと、志が高い方が多い。生活保護で一度休んで、敷金・礼金を出してもらってアパートに移った後に働くというのがスタンダード」と話す。

 実際の数字を見ると、受給中世帯の平均期間は9年3カ月(2021年7月時点)。終了世帯で廃止までにかかった平均期間は6年11カ月(同上)となっている。廃止理由の1位は「死亡」で実に44%を占めている。受給者の年代別割合は70歳以降が最も多い43.5%で、次いで60〜69歳が17.1%と共に高いが、20〜29歳は2.9%、30〜39歳では4.7%と低い(いずれも2022年7月末速報値)。

年代別の生活保護受給率(厚労省「被保護者調査」より)

 生活保護は入りやすくて出やすい制度が理想とされる。未だ根強い「抜けにくい」イメージは、受給者の約半数を高齢者が占めていることに起因し、若年層の割合は決して高くない。同時に平均期間から「一度受給したら抜け出せない」状態ではないことも読み取れる。若者については、佐々木氏が語った実態はデータにも表れている。

 最後に、しかまる氏は「今辛いと感じている人、もしパワハラを受けた状態で仕事を頑張っている方がいたら、生活保護を利用して一旦休んで体力を回復させた後に再び社会に出れば大丈夫だ。生活保護を受給する選択肢をぜひ選んでほしい」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

1185とはずがたり:2024/03/10(日) 23:09:35

2024/03/08 14:35
ここまで深刻だったとは…「韓国75歳以上の貧困率50%超」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/03/08/2024030880075.html

 【NEWSIS】韓国で75歳以上の高齢者のうち、所得中央値の半分に満たない貧困層の割合が50%を超えることが分かった。農村や漁村に住む80歳以上の場合、貧困率は67.5%に達している。

 韓国社会保障委員会は7日、2020年基準の社会保障行政データを分析した資料「韓国貧困老人の特性」を発表した。

 社会保障行政データは、韓国の全国民の約20%に当たる1000万人を標本とし、部処(省庁)別に分散している資料を集めて作成した統合データだ。

 資料によると、実質的に使うことのできる可処分所得を基準にした高齢者の貧困率は45.6%。高齢男性の貧困率は41.2%だが、高齢女性の貧困率は49.0%と高かった。居住地別で見ると、大都市の高齢者の貧困率は42.1%、中小都市は47.0%、農村・漁村は57.6%だった。

 年齢別でも差が見られ、初期の高齢者(65-69歳)の貧困率は35.0%だが、年齢が上がるほど貧困率が高くなり、70-74歳は44.2%、75-79歳は53.7%、80歳以上は56.6%だった。

 75歳以上の高齢者は大都市、中小都市、農村・漁村の区分に関係なく貧困率が50%を超えており、特に農村・漁村に住む80歳以上の貧困率は67.5%に達した。

 可処分所得は、全高齢者の平均が1170万ウォン(約130万円)であるのに対し、貧困の高齢者は804万ウォンだった。

 特に、事業や勤労などで自ら稼ぐ市場所得を見ると、高齢者全体の平均は625万ウォンだが、貧困層の高齢者は135万ウォンにとどまった。年金や給与など公的資源が投入される経常所得でも、高齢者全体の平均は1288万ウォンだが貧困層の高齢者は813万ウォンと差があった。

 社会保障委員会は「深刻な水準」だとして「国の介入を通じて700万ウォンほど平均所得が上がっているが、依然として低い水準」だと述べた。

 高齢者のうち土地・住宅・建築物などの資産を保有する割合は平均55.1%だが、80歳以上では46.2%で平均に届かなかった。

 社会保障委員会は8日午後、ソウル市内の再生医療振興財団会議室で第1回目の統計・行政データ専門委員会を開催し、社会保障行政データの構築および活用案などについて話し合う。

 イ・ヒョンジュ統計・行政データ専門委員長は「社会保障行政データは正確性・信頼性が高く、社会保障政策を企画する際の根拠資料として有用であり、標本の規模が大きいためさまざまな次元の細部分析が可能となり、制度の効果を具体的に把握できる」として「今後、社会保障行政データの活用が社会保障制度の発展に寄与することを期待する」と述べた。

ク・ムソ記者


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