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貧困スレ

950 チバQ :2019/10/30(水) 22:26:33
付き合っていた女性との間に子どもができた
しばらく体を休めた後、交通警備などを行う警備員として勤務。正社員がちょっとしたミスで解雇されるなど優良とはいえない会社だったが、月収は約30万円と悪くなかった。

このころ、付き合っていた女性との間に子どもができたことをきっかけに結婚。子育てがしやすいという評判の近隣都市に引っ越すため、独学でパソコンの知識を身に付けると、収入水準は維持したまま、コンピューターの保守管理などを担う派遣社員へと転職した。

教育格差も、貧困、暴力の連鎖も何とか断ち切ったかのように見えた。しかし、新たなつまずきは夫婦関係のほころびから始まった。

タロウさんによると、専業主婦の妻はほとんど家事をしなかった。絵を描くことや、ミニチュア模型作りなどの趣味に精を出す一方で、万年床に、洗濯は1週間に1回、台所には汚れた食器が山積み――。話し合いをしても、それらが改められることはなく、口論のさなか、タロウさんは妻を平手打ちしてしまう。結局、タロウさんから離婚を切り出し、親権も手放すし、養育費も払うからと告げて家を出た。10年足らずの結婚生活だった。

妻の反対を押し切って離婚を決めた理由について、タロウさんは「罪悪感」だと説明する。「嫁さんに暴力を振るってしまった。実は、子どもが幼かった頃にも、一度、おしりをぶったことがあるんです。どちらもひどくたたいたわけではありません。でも、衝動的に手を上げていた。私も父と同じ種類の人間だとわかってしまったんです」

いつか、自分も父親と同じ仕打ちをしてしまうかもしれない――。その恐怖と不安に、打ち勝つことができなかった。「幸せでいてくれれば。私のことは、忘れてくれていればいいなと思います」。今は音信不通だという妻子について語るタロウさんの口調は、またしても淡々としていた。

離婚後、タロウさんの暮らしが安定することはなかった。月収30万円の派遣先は、派遣期間が3年を越えるという理由で雇い止めにされた。新たな派遣先では、収入が半減。養育費の支払いは滞り、自己破産を余儀なくされたという。その後、業務委託契約に切り替えることで、収入はいったん持ち直したものの、再びメンタル不調に陥ってしまう。

取材で話を聞いたタロウさんは語彙(ごい)も話題も豊富で、立ち入った質問にも終始穏やかに答えてくれた。尋ねてみれば、派遣先などからの評判は悪くなかったという。タロウさんの人柄もあり、仕事自体は順調だったのだ。にもかかわらず、メンタルは悪化した。リストカットを繰り返し、前回と同じく夜道をさまよっていたところを、警察に保護された。

「カッターで傷をつけて血が出ると落ち着く。落ち着きたいからカッターを手にしてしまう」。タロウさんはそう言って、傷跡が何本も交差する左腕を見せた。

業務委託契約の更新を諦め、蓄えが尽きたころ、生活保護の利用を申請。ケースワーカーの勧めで精神科を受診したところ、「重度のうつ病」と診断された。

さらに、不運は続く。40代後半になったころ、脊髄を支える靭帯の一部が骨のように硬くなる難病「後縦靭帯骨化症」であることが判明したのだ。手術は成功したものの、下半身に麻痺が残った。現在、タロウさんは歩行が難しく、杖が手放せない。日々の暮らしは、毎月約12万円の生活保護で賄っている。

タロウさんは自らの半生をこう振り返る。

「(メンタル不調のたびに)自分は『ぐうたら病』だと思ってきたので、うつ病とわかってよかったです。ただ、うつ病と父親の虐待は関係ないと思っています。派遣社員だったときは、人並みに稼ぎもありましたから、貧しい生い立ちや学歴のせいでちゃんとした仕事に就けなかったわけでもない。難病は不運としか言いようがないです」

だから――。タロウさんは、自らの貧困は「誰のせいでもない」という。


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