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貧困スレ
477
:
名無しさん
:2015/06/27(土) 23:03:44
>>476
悲劇が起こったその日、執行官とともに、催告や強制執行の補助のため、業者・S氏がやってきていた。S氏の業務は、執行官を守り、強制執行ならば荷物の梱包・運搬などの実務を遂行することである。
S氏は日常、催告にあたっては、強制退去させられかねない居住者とコミュニケートし、任意退去が可能なように県に働きかけることもあった。また、転居先探し・生活保護申請の手伝いも行っていた。「病気などで歩行の不自由な居住者に対しては、市役所まで一緒に行って、福祉やNPOの人と話をすることも」あったそうである。そのような支援を行うことになるのは、催告・強制執行となる担当ケース全体の2〜3割だったそうだ。モチベーションの源は、
「最悪の事態、追い詰められて命を亡くす、そういった事態を避けたい」
である。
しかし今回、S氏は催告には関わっていなかった。「母子家庭で連絡が取れない」とだけ県から申し送りを受け、強制執行という形で母娘の住まいのドアを開けて入ったS氏は、息絶えた娘の第一発見者となった(以上、公判メモによる)。
林治氏は、
「2012年、餓死・孤独死事件が相次ぎましたが、その後、行政の対応が改善されているとは思えません。この母子も、この痛ましい事件が起きなければ、餓死・孤立死していたおそれもあります。私のところには、家賃が支払えなくて困っている人の相談が多数あります。公営住宅の家賃の滞納もあります。しかし、行政がこれをキャッチして対応したという例は皆無です」
と前置きし、千葉県の対応に対しては、
「この事件で、千葉県と銚子市に申し入れと面談を行った際、千葉県は『減免制度のお知らせは、毎年、翌年度の家賃を通知する時にしているし、ホームページにも載せている』と説明していました。でも、これで居住者の方々に、充分に伝わるとは思えません。まして、家賃を滞納している状況で、大家さんである千葉県に連絡するなんて……『家賃が払えないと言ったら、出て行けと言われるのでは』と心配してしまい、自分から話をすること自体が難しいはずです。でも、行政は、こういう心情が想像できないようです」
と、「抜け」「漏れ」を指摘する。さらに、
「今回の事件でも、行政があてにならなかったわけです。法律家に繋がれば、ヤミ金の対応や生活の立て直しのお手伝いができたと思うと……」
と残念がる。
善意の人々は、そこかしこにいた。強制執行のためにやってきた業者にまで、救いの手を差し伸べる用意はあった。しかし、届かなかった。
この悲劇を繰り返さないために何が必要なのか、私には想像もつかない。何もかもが不足している。少なくとも、行政が役割を果たすことは、もっと強く求められてしかるべきであろう。しかし、ケースワーカーの人数も生活保護費予算も、拡充される見込みはまったくない。
次回は、2015年7月1日から施行される、生活保護の家賃補助(住宅扶助)削減についてレポートする予定だ。生活の根幹である「住」は、どうなろうとしているのであろうか?
みわよしこ
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