Amanda J. Harrisさんは、ワシントンDCで「ハウジングファースト」に取り組む「Pathways to Housing DC」の最高責任者だ。ソーシャルワークと公共政策の2つの修士号を持つHarrisさんは、「ハウジングファースト」の特色を、
「『ハウジングファースト』では、生活困窮者に対して最初に恒久的な住居、シェルターのような一時的な住居ではない住居を提供するわけですが、その際、条件を設けません。(アルコール依存症者が)断酒を誓ったりしなくていいんです」
Harrisさんによれば、Pathways to Housingの活動のきっかけは、創設者である精神科医・Tsemberis氏が、刑期を終了して出所する人々や、精神科病院に入院している長期入院者に「何をしてほしい?」と尋ねたことであるそうだ。答えは、「アパートに住みたい」だった。Tsemberis氏は、その希望を叶えた。すると良好な結果につながり、コストも削減できることが判明したわけである。
「道義的に正しいだけではなく、安く上がるんです。病院・シェルター・刑務所にお金使うのは賢くないと社会が学習しました。2010年ごろからは、ブッシュ大統領が大きく後押ししてくれるようになりました。ハウジングファーストを取り入れていないプログラムには『費用対効果が悪いから』と資金が出なくなるほどの変化が起こりました」(Harrisさん)