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貧困スレ

385とはずがたり:2014/01/28(火) 08:34:57
>>384-385
 対外援助に関するよくある不満の1つに、その一部が汚職のせいで無駄になるという議論がある。もちろんそうだろう。ところが、われわれがよく耳にするひどい話――援助は独裁者が新しい宮殿を建てる資金の足しになるだけ――のほとんどは、人々の生活を改善するための援助ではなく、冷戦時代に同盟関係を築くために行われた援助に関するものだ。

 今日、そうした問題はかなり小さくなっている。政府高官が出張費を水増し請求するといった小規模な腐敗は援助に課される非効率な税金なのだ。それを減らす努力はすべきだが、それを完全になくすことはできない。すべての政府プログラム、さらに言えばすべての企業から無駄をなくせないのと同じである。仮に1人の命を救うのに、小規模な腐敗の税金が2%かかるとしよう。われわれはその税金を撤廃しようとすべきだが、撤廃できないからといって救命活動をあきらめるべきだろうか。

 1ドルでも腐敗が見つかると、多くの人々が援助プログラムの停止を声高に求めてきた。だが、それは理にかなっていない。過去7人のイリノイ州知事のうち4人が汚職で有罪になったが、イリノイ州の学校や幹線道路の閉鎖を要求する人などいないではないか。

 対外援助を受ける国々は外国の好意に依存し続けてしまうという不満を口にする人々もいる。しかしこれは、今も自立できずに苦しんでいる最も困難な国々のみに当てはまる主張だ。ブラジル、メキシコ、チリ、コスタリカ、ペルー、タイ、モーリシャス、ボツワナ、モロッコ、シンガポール、マレーシアなどはかつて巨額の援助を受けていたが、その後に急成長を遂げ、今ではほとんど援助を必要としていない。

 対外援助は長期的な成長と強い相関関係がある医療、農業、インフラの改善も促進する。1960年に生まれた赤ん坊が5歳の誕生日までに死ぬ確率は18%だった。今日ではその確率が5%未満になっている。2035年には1.6%になるだろう。対外援助が無駄だというのはとんでもない話である。

誤った通念その3:命を救うことは人口過剰につながる

 人々は少なくともトーマス・マルサスが『人口論』を著した1798年から、食糧供給が人口増加に追いつかなくなるという世界滅亡のシナリオを心配してきた。こうした考え方は世界に多大な迷惑をもたらした。世界の人口規模に関する心配には、それを構成する人間に対する心配よりもはるかに大きなものになるという危険な傾向がある。

 あとで飢えることがないように、子供たちを今死なしてしまえという考え方は冷酷なだけではない。ありがたいことに、そううまくはいかない。

 これは直観に反することかもしれないが、世界で最も多くの人が死ぬ国は、人口が最も急速に増加する国の1つでもある。そうした国の女性たちは最も多くの子供を生む傾向があるからだ。

 より多くの子供が生き残れば、両親は多くの子供を産もうとはしない。タイはその好例である。同国の乳幼児死亡率が低下し始めたのは1960年ごろだった。政府が家族計画政策を強力に推進した後の1970年前後、出生率が低下し始めた。その後わずか20年の間に、タイ女性の1人当たりの出産率は6人から2人に低下した。今日、タイの乳幼児死亡率は米国のそれに近い低さで、タイ女性1人当たりの出産率は1.6人となっている。死亡率の低下に続いて出生率の低下が起こるというこのパターンは、世界の大多数の国にも当てはまる。

 命を救うことは人口過剰につながらない。むしろその逆である。持続可能な世界を実現するには、人々が基本的な健康、それなりの豊かさ、基本的平等、避妊具へのアクセスを享受する社会を作り上げるしかない。

 より多くの人々、特に政治リーダーらがこうした誤った通念の背後にある思い違いについて認識する必要がある。この問題を個人として見ても、政府として見ても、国際的に健康や開発を促進させるための貢献が驚くべきリターンをもたらすのは事実である。極度の貧困が普通ではなく例外である世界を作るチャンスはわれわれ全員が手にしている。

(本稿は近く発表されるビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次レターから抜粋した。ビル・ゲイツ氏はマイクロソフトの会長)


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