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貧困スレ

744チバQ:2017/07/13(木) 19:42:20
1990年代初めまでは「厚生年金」に加入
タイゾウさんが見せてくれた「年金加入履歴」からは、むしろ「雇用の質の劣化」がうかがえる。1990年代初めまでは転職先ごとに「厚生年金」に加入していたことがわかるが、バブル景気崩壊以後は、国民年金加入を示す「第一号被保険者」という記載だけになるのだ。当時は非正規雇用とはいえ、勤務時間は正社員並みであるなど厚生年金の加入条件を満たしていた職場もあった。にもかかわらず、厚生年金への加入履歴がないのは、タイゾウさんの勤務先が保険料負担を避けるため、非正規労働者を厚生年金に加入させなかった可能性が高い。

その後は、短時間の仕事を掛け持ちせざるをえなくなり、厚生年金どころではなくなるのだが、月によっては合わせて30日近く働いたり、身体に負担のかかる夜勤続きだったりもした。にもかかわらず、ボーナスや住宅手当といった福利厚生はゼロ。タイゾウさんが腰を痛めたのは、こうした無理がたたったせいかもしれないのに、会社側は当初、労災を認めようとしなかった。

国や経済界は非正規労働の増加を「働き方の多様化」だという。しかし、そこまでして非正規労働を増やしたいなら、タイゾウさんが出合ったような社会保険料の負担を逃れたり、労災隠しをしたりするような企業は野放しにするべきではない。そもそも、掛け持ちしなければ生活できないような働き方が「多様化」と言えるのか。

社会や会社から絞り尽くされたようにもみえるタイゾウさんだが、本人は「年金のことも、労災のことも私に知識がなかったんです」と言って身を縮める。彼は自身を「見栄っ張り」と分析するが、私には超がつくほど「まじめ」にも見えた。

秋田に残った兄はずいぶん前に亡くなり、天涯孤独となった。もう何十年も故郷には帰っていない。最近、無性に故郷が懐かしくなることがあるが、「生活保護の身では何かと世間体が……」と言葉を濁す。年金保険料を払い終え、生活保護ではなく、年金で暮らしていけるようになってから、故郷に帰ることが、今の夢だという。

「これをもらってほしいんです」
タイゾウさんには自宅に近い私鉄駅前の喫茶店で話を聞いた。取材を終えようとしたとき、彼が「これをもらってほしいんです」と言って、私に1枚の白黒写真を手渡してきた。

河原だろうか。パーマっ気のない髪に、ずいぶん昔にはやったすその広いパンツを履いた少女たちが座って弁当を囲み、屈託のない笑顔でこちらを見つめている。その後方ではにかむ男の子が1人。太い眉毛にタイゾウさんの面影がある。高校時代の遠足のスナップ写真だという。

「知り合った人に時々、(写真を)お渡ししているんです。私が死んだという知らせを聞いた人のうち、100人に1人でいいんです。ああそんなやつがいたなと、思い出してくれる人がいればいいなと思って」

写真は彼の生きた証しなのか。果たせないことが多かった過去への後悔、朽ちていくだけの将来への怯え――。そんな気持ちが少しでもやわらぐなら、と私は写真を受け取った。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。


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