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チラシの裏 3枚目

1むらま ◆vVmhS9Bdr2:2009/03/29(日) 19:47:59
ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに

47俺的アレンジの入ったロックマンX2 10話後半:2009/04/03(金) 00:34:30
「ハハハハハ!俺を無視したことを後悔したか、エックス!」
「お前がバイオレンか!」

赤く、ごつごつとしたボディ。頭からは人間の弁髪のように頭の頂点から繋がった鎖…
そしてその先には2mはあろうかという巨大な鉄球。
カウンターハンターきってのパワーファイターたる所以が見て取れる。

「俺様のパワーでぶっつぶしてくれるわ!覚悟しなぁ!」
そう言うと拳を振り上げ叫ぶ。
「うぉおおおおおおおおお!」

戦いへ向け感情を高めるためではない。
この怒号をスイッチとし、部屋内に変化が起こるためである。

部屋内にブロックが生成されたのだ。
サーゲスによる改造により得られたこの力により、バイオレンの戦いは凶悪性を増す。
「死ねやあああ!」

頭を思い切り振り乱し、鉄球で戦いの場ごと、敵を粉砕する。それが彼のバトルスタイル。
そのパワーだからこそ可能な、あまりに重いその鉄球の乱舞。
そう。部屋内がブロックによりめまぐるしく変化することで、鉄球の軌道は
バイオレン自身すら予測不能なものとなるのだ。

「何て奴だ!」
力任せ過ぎるその戦い方に半ば呆れつつ、エックスはバイオレンへ近づき特殊武器を浴びせる。
「バイオレンの弱点はバブルスプラッシュよ!」
「食らえ!」

「んおお!!」

あっという間に懐へ近づかれ強酸の泡を見舞われる。バイオレンにとっては屈辱であり、
それはバイオレンの攻撃をいっそう激しくする。

「潰れろ潰れろお!」

鉄球を避け、距離を置いて今度はバスター。1発、2発と鉄球を避けながら撃ちこんでいく。

「ぜぇ…ぜぇ…
 お前っ、ちょこまかとぉおおお!」

片手の5本の指先からマシンガンを乱射する。だがこれもエックスにとっては容易く回避できる代物。怖くはない。
また鉄球の攻撃へ移る。
攻撃をこまめに当てながら鉄球を潜ったり跳んだりしながら当て続ける。
そして彼の鉄球がブロックに引っかかり、身動きが取れなくなった所で…

「バイオレン!」
チャージを最大限にまで強化してのエックスの攻撃が始まる。

「くっ…! 何だ、失敗かぁ!?さっきと変わらないじゃねえか!」
バイオレンに当たったのは普通のチャージショットだった。
だが。
「腕をよく見ろ!」
「! …右腕!?」
「そうだ。俺の利き腕は…こっちだ!」


「エックス、ここでは新しいアームパーツを授けよう。
 両腕での二連続で放つ、強力なダブルーチャージショットが使えるようになるはずだ」
この地を訪れる前のライト博士の言葉だった。



エックスの左腕から今…より強力になったチャージショットが放たれる!
「お前のパワーが…!! この俺より…!優れているというのかあああああああ!」

巨体を捻り切るように、青いエネルギーを纏った真紅のチャージショットはただ真っ直ぐに延びていった。


「バイオレンが敗れたようじゃの。それではワシも待機するかの…作業終了じゃ」
「…おお…お目覚めのようですね、シグマ様!」
「ふむ。アジールか…この新しいボディの性能実験として、カウンターハンター最強であるお前に協力して貰いたい。」
「私が…ですか?」
「何…遠慮などはすることはない。全力で来なさい…」




「ぎあぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

48俺的アレンジの入ったロックマンX2 11話前半:2009/04/03(金) 01:33:46
バイオレンを倒した先には転送カプセル。
その先はアジールの待ち受ける上層…のはずだったのであるが。

「…これは… 海水?」
そう。エックスは地下階へと移動させられてしまったのだ。

「次の相手はサーゲスかアジールね。戦い方、覚えてる?」
「どちらが来ても問題ない。相手も結構アレで本気だったみたいだからね」
「…そうね。でも、それにしては相手はあまりに強気すぎる気がしない?」
「…それもそうだね」

極寒の海水の中を、メカニロイドを蹴散らし、トラップを避けながら進む。
「…ここは本当にトラップだらけの階だな。本当に罠でこの地下まで飛ばされたんだなって気がするよ」

針だらけの壁を、上下移動する柱のようなマシンに乗って上へと登るが
その最中には猛烈なバーナーの炎。
避けるものなら避けてみろという、いっそ遊び心すら感じられる罠の数々を抜けると
またもや不可思議な部屋にたどり着いた。

床は針だらけ、遠くまでずっと針だらけで、小さなリフトが4台並んで浮かんでいるだけの部屋。
こんな所に一体何が?そう思い、身体をリフトに乗せた瞬間。

「ガーーーッハッハッハ!! よく来たのうエックス!さぁ年貢の納め時じゃよー!」
縦長の、1列に4門の砲台が並んだ戦車の中から声がする。
以前の落ち着いた老人の雰囲気とはうってかわって、陽気な老人がそこにいた。

「この『サーゲスタンク』でお前をケチョンケチョンのギッタンギッタンにしてくれるわぁ!」
「…大丈夫かしらこのお爺さん。」
「ヒッヒッヒ…」
笑い出したそのタイミングで戦車が動き出し、エックスの足元にも異変が起こった。
リフトが上下に動き、4つの砲門の前へと次々とエックスを差し出してくるのだ。

「何!?」
「まーずはこれじゃよ!」
ぼよん、ぼよん…。 一番上の砲門からはラグビーボールのような形をした、妙なバウンド弾が上下に大きく部屋を跳ねる。
しかし…面白いだけで終わった。
「お次はコレじゃあ!」
3番目の砲門からは鋭いフリスビーのような青いエネルギー弾が飛んでくる。リフトの高さにより
エックスの頭すれすれまで来て当たらず、砲台へ戻っていった。
「何!?…まぁよい、次!」
4番目の砲門からは円柱形の極太ビーム。敵を貫くその攻撃はあまりに強力…なはずなのだが、低すぎて失敗に終わる。
「中々うまくいかんなぁ…」
最後に2番目の砲門から追尾弾。しかし、先へしか進めず、且つゆっくりなその軌道からエックスに交差するようにかわされ、失敗。

「スクラップシュート!」
砲台それぞれに、エックスはモスミーノスから得た特殊武器をぶつけ破壊する。
4つ全てが破壊された時…戦車の前面が爆発した。

49俺的アレンジの入ったロックマンX2 11話後半:2009/04/03(金) 01:36:03
「エマージェンシー機能発動!」
戦車が壊れ、サーゲス自らの搭乗席が露になる。
どうして砲門は4つもあるのに同時に使えなかったか?その理由がここにある。戦車の中をサーゲスが搭乗席ごと上下に移動し、
手動で搭乗席からエネルギー弾を放ち、それを砲台で別々の弾に変換していたからだ。

「ハッハッハ!どうじゃ、このリフトはさぞかし辛かろう!その上下に動くリフトとワシの分裂エネルギー弾!
 この組み合わせにお前は果たしてついてこれるか!?」
サーゲス自体もう攻撃方法は一つしかない。搭乗席から放つ弾を分裂させ、エックスに当てることだ。
罠もあり、熟練されたその技術はエックスを追い詰めていく。避け切れないのだ。
「くうっ…」
どんどん弾を発射するペースをあげていく。彼も動きに同調し、高さをあわせてはバスターをサーゲスに叩き込んでいく。
しかし…じわじわと嬲り殺すようなその戦い方は確実にエックスの体力を奪っていった…。
「…なかなかしぶとい奴じゃが…ここまでじゃ!
 さーらーばーじゃ!ロックマンエックス!」
エックスを妙な呼び方で呼び、エネルギーを込めるサーゲス。だが…

「エックス!あの技を使って…!」
「あの技…」
「ボディパーツの力よ!どんなものだか私は解らないけど…」
「いや、あの技なら… よし、今なら行ける!」
「無駄な抵抗はやめることじゃな!」

エックスがリフトから飛び降りる。
「死にに来たかぁ!」

そして空中へと浮かび…身体全体の力を胸部に集中させる。
辺り全ての光が失われ真っ暗な闇の中心、エックスに集まる。

そしてエックスからまばゆい光が発せられ…叫んだ。
「ギガクラッシュ!!!」

その瞬間辺り一帯全てが光に包まれ、超高熱の光によって焼き尽くされる。
これが…エックスの持てる力を全て解き放った超爆発…「ギガクラッシュ」だ。


搭乗席とタンク本体を繋ぐアームが溶け、鈍い金属音と共に戦車の底へと叩きつけられる。
しゃがれたような声がその、焼けた口から発せられる。

「ワシは…滅びるのか………?
 ライトの……忘れ形見のロボットに…二度も敗北するとは………無念じゃ…」
サーゲスの体は蒸気を発し、緩やかに炎の中にその身体を包んでいった。


「…………その技術力。やはり、ただの科学者ではなかったか」
かつてライト博士の研究所を掘り起こし、エックスを見つけた者は呟いた。

50俺的アレンジの入ったロックマンX2 12話:2009/04/03(金) 02:48:21
余りに強力すぎる攻撃、ギガクラッシュ。
オペレーターは…エックスにある疑問を抱いていた。
…彼は一体何者なのだろう。
へチマールの雷、マイマインの時間操作、モスミーノスの吸収など。
変わった能力は今までも見てきた。けど…エックスのそれは明らかに異質だ。何か…底知れないものを感じる。
彼は…本当にレプリロイドなのか?…いや、レプリロイド以外の何者でもない、それはわかる。
けれど…何かが違う。


「さて。無茶を言ってすまなかったな」
シグマは首だけになり、オイルを滴らせるアジールの生首を腕で持ち上げる。
「いえ…有難きお言葉……」
床には刻まれたアジールの体が。
「というのも…アジール、お前には新しい身体を用意している。
 気に入ってもらえると嬉しいのだが」



サーゲスの罠を抜けるとカプセルは正常作動。上層部へと一瞬でエックスを連れて行った。
敵も総力を尽くしエックスを倒しに向かってくる。強力なメカニロイド達を倒した先、
開けた部屋でその奇怪な存在が姿を現した。縦長なその部屋の上がきっと最上階であろう。
「…お前……」
「ククク……エックス。御覧なさいこの姿を。
 戦うことだけを考え作られたこのボディこそが私の新しい体だ…」
「…どうしてこんな」
「我が名はアジール・フライヤー!」

横長の飛行する筒にアジールの頭が乗せられた奇妙な物体。いや、紛れもなくこれはアジールなのだろう。
だが…こんな戦い方を果たして奴が望むのだろうか?エックスは疑問に思っていた。
「全てはシグマ様のため…!押しつぶして差し上げましょう…!」

壁に身体を激突させるアジールフライヤー。その衝撃からか、壁からは電撃が走る。
「わっ…」

真っ赤に変色し、続けて横長なアジールの体からトゲのついた板が出現。よく見るとエックスが今いる床と似ている。
「何…?」
「食らいなさい!」

トゲのついた板がエックスの頭上に降る。しかしこれはアジールの体の左右から発せられたもの。
勿論、アジール自身の真下には降らないのだ。

「私が得た力はこれだけではありませんよ!」
左右に小刻みに動くとどこからかミサイルが飛来し、エックスを追い詰める。
そう、アジールフライヤーはミサイルを自在にコントロールする力を手に入れたのだ。

「うっ……」
「そこを待っていましたよ!」
ミサイルに混じって、高速で接近する影が。真っ直ぐに飛ぶ小型ミサイル? いや…縮尺が違う。
…そう。大量の火薬を搭載した巨大ミサイルだ。
「わぁああああ!」
辺りを火の海に変えるそのミサイルに直撃され、エックスは壁へ身体を打ち付ける。
「さぁ、行きますよエックス…!」

空中からの一方的な攻撃。これでは勝ち目は薄い。そこで…
「上下に自在に撃ち分けられる武器を使って!」
「マグネットマイン!」
「!」

以前アジールを倒した、ヒャクレッガーから得た磁力爆弾を上方コントロール、アジールの体にぶつける。
今回のアジールは攻撃のみで、防御を一切考えて作られていない。回避力もたかが知れたもの。


……まるで捨て駒のようなものではないか。顔だけが、以前のシグマのような狼型でもない、こんな珍妙なボディに据え付けられ、
手に入れた能力は相手を倒すそれだけの単調なもので、人間型だった頃の能力は何一つ生かされてはいない。
そして、防御の一つもまともに出来ないその体…。

「……お前…」
「貴方に情けをかけられる謂れはない!私はシグマ様のため、貴方を倒すべくこの姿を選んだのだ!」

ミサイルを乱射し、針のついた板を落下させ続ける。そんなことは最早エックスの前には無意味であるのに。
「…チャージ・マグネットマイン」

小型ブラックホールが出現し、通常のマグネットマインと同じように上方へと移動、強力な磁力でアジールを狂わせる。
「ぐぐ…あがががががががががっががががががが!!!!!!!!
 ししししし…シグマ様!!! どうか…どうか我々の仇をををををををををを!」

アジールの顔が歪み、機体が捻じ曲がり…爆発と共に粉々になっていった。



「この上か…」


いつぞやのような、壁蹴りのみで進む縦の通路を進んでいくとそこには二つのカプセルが。
転送用のものと思われるが、一つは破壊されていて、転送不能となっている。もう一つのカプセルしか道がないのならば…
「行きましょう」
「うん」

着いた先には8つのカプセル。それが意味するものは…

51俺的アレンジの入ったロックマンX2 12話後半:2009/04/03(金) 02:49:11
「待ってたぜ、エックス!今度こそお前を突き飛ばしてやる!」
オストリーグ。
「グオオオオオオ!」
ヒャクレッガー。
「噛み砕いてくれるぜぇえええ!!」
アリゲイツ。
「今度は以前のようには行かないブク!」
クラブロス。
「イレギュラーハンターは許さないよー!」
へチマール。
「こ…今度こそ結晶漬けにしてやるぞ!」
マイマイン。
「…。」
モスミーノス。
「よお!今度は最初から全力で行かせて貰おうか!」
スタッガー。

エックスは待ち構えていた全員を、今まで得てきた特殊武器を駆使し難なくねじ伏せていった。
最早、敵はない。


…しかしこのフロアの上に通じる道がない。先ほどのカプセルだったのだろうか?
考えていると………突如として大きな縦揺れの地震が起こった。
…いや、違う。これはこのアジトの崩壊だ。
「…?」
「久しぶりだな、エックス」

聞き覚えのある声が部屋に響き渡る。
「…シグマか!」

「カウンターハンター達を使った作戦は失敗したが、
 彼らは大きな仕事を成し遂げてくれたよ。お前のためにある趣向を凝らしてある。
 中央コンピューターで待っているぞ……ハハハハハハハ!」

決戦の地は中央コンピュータに移った。
そこにきっと…シグマがいる。この事件の黒幕が。

「…ククク…素晴らしい。素晴らしいぞ…!」


北極のアジトはその日、大爆発を起こし海の藻屑となっていった。



戦いの準備は万全。
全ての力を出し切り、戦いに勝つ。そう心に決め、過去に通った道を再び行く。
もう警備システムには引っかからない。華麗に警備網を潜り抜け、
以前剣の形をしたプログラムと戦った間へ足を踏み入れると…扉が閉まった。


…来る。バスターを構え、じっと睨み付ける。

新しいボディを持ってシグマが現れた。
「…ようこそ、エックス。また会える日が来るとは…嬉しいよ。
 アジールの奴の姿にびっくりしただろう?これの性能をテストしていたら、こんな事になってしまってな………」
これ、とは武器のことだろう。そう思っていたが…そうではなかった。
彼の傍らにいたのは…



「う… そだ」
「………………」
エックスもオペレーターも言葉を失った。

それは…黄金に輝く長き髪を靡かせた赤き剣士。

背筋を伸ばし、背中に交戦剣ビームサーベルを背負い、
新たな身体を得た……冷たい目をした、彼の…親友だった。

「彼が私の新たなパートナーだ。」

そう。ケイン博士は、ゼロのコントロールパーツをバイオレンに奪われていたのだ。
カウンターハンターがゼロのパーツをわざわざ取り戻しに来た理由は、ゼロを人質にするためではない。
ゼロを…最強の切り札とするためであったのだ。

やっと出会えた友が目の前にいる。



「昔の仲間同士、存分に戦ってくれたまえ」

52俺的アレンジの入ったロックマンX2 13話前半:2009/04/04(土) 01:39:21
やるしかない。
最大限までチャージされたバスターをゼロへと向け左腕からチャージショットを放つ。
だがそれは同時に放たれたゼロのチャージショットにより相殺される。

ゼロは…チャージを一切行っていない。オペレーターは驚愕した。
続けて二発目のバスターを左腕から放つ。
だが…なんとゼロももう片方の腕からチャージショットを放ったではないか。
そう…ダブルチャージ。だがエックスのバスターの方がやや上回り、
ゼロのチャージショットを打ち消しゼロへと命中する。だがゼロは顔色一つ変えることなく…

3撃目を放ったのだ。
1発目を放った腕で背中からサーベルを抜き、目いっぱい振ることで斬撃を飛ばす。
「うああああああっ…!!」
エックスでさえようやっと習得したダブルチャージを超える…それは『トリプルチャージ』だった。

大きな傷が残るエックスに、またもチャージ無しで…チャージショット1発目、2発目、そして3発目に斬撃。
エックスはその攻撃をダイレクトに食らい…
「……………!」
エックスの口からオイルが噴出する。
「…あ…あああ…!」
オペレーターも最早声が出ない惨状。

オペレーターはエックスのことを、レプリロイドの域から遥かにかけ離れた存在としていた。
だが…怪物はもう一人いたのだ。エックスの…すぐ傍に。

「くっ………」
サブタンクで早くも回復を行う。だがまたもトリプルチャージをゼロは放つ。
間一髪これを避け、壁へ逃げる。何とか距離を置けば…

だがゼロは物凄い速度のダッシュでエックスに近づく。
エックスはゼロを引き付け壁を飛び降り、通常バスターをゼロに浴びせる。

…しかし何とゼロは光の弾丸を素手でガードした。
チャージを行わなければゼロに対しては攻撃としてすら機能しないというのか。
ゼロはお構い無しにエックスへと近づき…拳を勢いよく地面へ叩きつける。
辺り一面の、地に繋がるものが爆発を起こし、床が弾け飛ぶ。
瓦礫もまたゼロを中心に大きな波となってエックスの体に次々と刺さって行く。
その技の名前は『アースクラッシュ』。

「ク…………ッソおおお…!」
ゼロに向かい渾身の一発を放つ。

2発目は当たったものの今度は1発目のチャージショットも防御されてしまう。
ゼロの隙を狙わなければ攻撃すらも当たらないというのか。サブタンクでもう一度回復する。

今度はまたトリプルチャージ。1発、2発、3発。
腕の勢いに任せた驚嘆すべき速さの三連撃を飛び越し回避する。

「チャージ・ストライクチェーン!!」
チェーンがエックスの腕以上の太さとなり、ゼロへと勢いよく伸びていく。
「チャージ・マグネットマイン!」
高磁力で出来たブラックホールでゼロにダメージを与えようとする。
「チャージ・スピンホイール!」
スピンホイールが撃ち出してすぐに拡散。車輪を包む針が飛び散る。

…しかし…ゼロには何一つ通用しない。
またしてもゼロのトリプルチャージ。
1発目は相殺、2発目でゼロの体に命中させ、3発目はかわす。
そしてエックスを追い詰めるべくゼロは距離を詰める。
「チャージ・クリスタルハンター!」
マイマインの時間操作能力そのものだ。自分以外に緩やかに流れる時間の中でエックスはゼロを飛び越す。
そしてバスターに持ち替えてまた一撃。
だがその次の瞬間、ゼロはアースクラッシュを放ちエックスを圧倒的パワーで吹き飛ばいていた。
「うぁああああああ!!」

「チャージ・ソニックスライサー!」
オストリーグがしたそれと同じように、天井高く刃を放り上げ…空中から雨のように降らせる。
だが…これもゼロの防御の前に、刃の折れる音が不発を告げた。

そしてゼロは両腕と剣を用いトリプルチャージを始める。
「チャージ・バブルスプラッシュ!」
無数の特殊な泡がバリアの役割をしエックスを守る。
だがものの一発で破壊、2発目3発目を続けざまに食らってしまう。

最早、止むを得ない。エックスはその技をシグマ用に取り置くのをやめ、開放した。
「ギガクラッシュ!!」
全エネルギーを開放し、辺り一面を焦がし尽くす死の光がゼロを襲う。

…しかしゼロは………それを凌いだ。

53俺的アレンジの入ったロックマンX2 13話後半:2009/04/04(土) 01:43:40
「まだ……まだだ!」
3本目のサブタンクを使用する。
トリプルチャージとダブルチャージの撃ち合いをまた撃つ、撃つ、避けるのパターンで制し、
ゼロのダッシュを今度は特殊武器なしでかわし、零距離でチャージショットを撃つ。
するとゼロは一瞬で振り向きチャージショットを放ってきた。
…今度は普通のチャージショット。それも一発だ。

「うっ…!!」
だがそれでもあのゼロの矢の如きショットには変わりない。エックスの肩をかすめ、抉っていった。

そしてその隙をゼロは逃さなかった。
そのままエックスの腹へとビームサーベルの刃で串刺し、
高速で壁へとたたきつけた。腹に深く深くサーベルが食い込む。
そして…あろうことかそのままサーベルを引き抜き、そのままアースクラッシュへ移行したのだ。
「うああああああああああああああああああああああああ!」
軽々と吹き飛ばされるエックスの体。
最早ゼロの力の前に成す術はないのか…。

…いや、まだ試していない武器が2つある。

エックスは腕に力を込める。
すると…バスターの発射口にゼロの破壊した部屋の瓦礫が次々と集中していく。
スクラップシュートの発射速度、及び威力は半端なものではない。
サーゲスタンクの砲門を一撃で破壊できるほどにだ。
それが今…エックスの腕にその10倍はあろうかという量が集まっているのだ。
全てが腕の中で一つとなり…大きな武器となった。

ゼロに向かい、その巨大な質量を勢いよく放つ。
「チャージ・スクラップシュート!!」
超高速で発射されたそれはゼロの体へ命中。勢いよく砕け散り、大爆発を起こす。



だがその煙の中……ゼロは平然と立っていた。
衝撃を隠せないエックス。だが、最早あきらめるわけにはいかない。

「エックス! …やっと解析できた…ゼロの弱点は炎よ!」
戦闘中にオペレーターも絶句しているだけではなかった。
ゼロをスキャンし、弱点となる武器を調べ上げていたのだ。
「エックス…お願い!死なないで…勝って!!」

そうだ。ここで負けては世界が救われない。そして…ゼロも救えない。

ゼロの体力も、エックスのサブタンクでの回復量を足したものと比べると割りには合わないものの
確実に削ってはいるはずだ。

エックスは最後の賭けに出た。まずは腕に再び、瓦礫を集める。
「チャージ・スクラップシュート!!」
放ったと同時に素早く武器を変える。
大爆発と共にゼロの動きが止まった所をまた素早くチャージ。
赤きエネルギーがエックスへと収束していく。

「ゼロ…こんな形では戦いたくはなかった。」
壁を蹴り、大きく部屋を飛ぶ。そして…


「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」
チャージ・ラッシングバーナー。

その実態は、エックス自らを燃え盛る炎の矢となるものだった。
急激に加速したエックスの体は一瞬でゼロのボディへ到達。
その体を炎に包み、壁の端まで一気に叩き付けたのだった。

54俺的アレンジの入ったロックマンX2 14話前半:2009/04/04(土) 02:46:53
「…う………くっ………」


ゼロの動きが停止した。力がまるで入らない…。
ゼロは、自分の力をエックスは遥かに超えたと言った。
だが…自身の本当の力を知らなかったのは、ゼロの方だったのかもしれない。


「………エックス、か?」
むくりとゼロが身体を起こす。頑丈なものだ
「…ゼロ…ゼロ!記憶が戻ったのか!」

ゼロの身体を揺する。だがゼロはすぐに立ち上がった。
「ああ…エックス、お前には随分世話をかけちまったようだな」

記憶が戻った。つまり…さっきまでの洗脳の状態もまだ記憶にはあるということ。
蘇生させられた後、ここへ連れて来られてからのことも克明に記憶している。


ゼロはエックスから離れ、アースクラッシュを床に見舞う。
部屋全体が大きく揺れ、床が崩れ大きな穴を作り上げる。
「エックス。ここだ! この下にシグマの本体がある!」

最後のサブタンクを使い切り、エックスは立ち上がり、下を見下ろす。
「俺はここのメインコンピュータを破壊する。エックスはシグマを倒しに向かえ!」
「ゼロ、死ぬ気か!」
サブタンクを使い切ったのは別に自分だけが回復しようとしたためなどではない。
ゼロはこの後ハンターベースへ戻り、戦う必要など何もないと判断したためだ。
「俺のことなら心配するな さあ…行け!」

ゼロは先へと進み、すぐにレイダーキラーとエックスが格闘した部屋までたどり着いた。
しかしそこにいたのは…シグマだった。

「何だ、エックスを恐れて逃げても来たか。」
「お前が裏切るとは思っていなかったよゼロ…
 お前より強いとは勿論思っていないが…一応これが私の試作品だ。お前の今の体力で勝てるかな?」
目の前には、赤きブレインに銀の髪を持つ…シグマの作り出した黒きボディのゼロがいた。
「それではさらばだ、ゼロ。私はエックスの元へ向かわねばな」

「行くぞ!」
エックスはゼロが開けてくれた穴へと飛び込む。
そこは何もない空間。「シグマの本体」という言葉に少し違和感を持ちながら
エックスはただただ、空中を落下していく。

エックスとゼロそれぞれの最後の戦いが、始まろうとしていた。



通信すら繋がらぬ中央コンピュータ最下層で現れたのは新たなるシグマ。
「どこまでも私を追い詰めようというのだね、エックス。
 ならばこのパワーアップしたシグマ自らが、お前を葬ってくれよう」
手甲から巨大な爪が生え、戦いが始まった

シグマの体から電撃の弾が発射される。
追尾機能を持つその弾を軽々とかわすとエックスはダブルチャージをシグマに見舞う。
「ぐごぉおお!!」

続けてシグマはダッシュし、エックスを斬るべく腕を振るう。
だがその余りに強い力はエックスを斬るのではなく、吹き飛ばした。壁、天井、床へと次々に打ち付けられるエックス。
しかし彼はすぐに起き上がった。

「フンッ!」
壁蹴りをしたかと思うと姿を消す。

だがエックスにはそのシグマが持つ強い殺気が見えていた。奴は上から来る。
「チャージ・ソニックスライサー!」

シグマの上からの襲撃に合わせ、上空へと刃を放つチャージソニックスライサーで対抗、そして回避。
シグマは身体を刻まれ、窮地に追い込まれる。
「舐めるなぁ!!」
シグマが体にエネルギーを蓄え…巨大な電撃の壁を二つの爪で作り出し、飛ばす。エレクトリックスパークのようだ。
それも飛び越えるとエックスは再びダブルチャージをシグマに見舞う。
「そこまでだ!」
…またもシグマはそのままの体勢で火を吹き、崩れていった。

55俺的アレンジの入ったロックマンX2 14話後半:2009/04/04(土) 02:47:58
今度は首すら残っていない。残骸しかない。けれど解る。シグマはまだ生きている。でも何処に…?




「ハハハハハ」「ハハハハハ」「ハハハハハ」
「ハハハハハ」「ハハハハハ」「ハハハハハ」
「ハハハハハ」「ハハハハハ」「ハハハハハ」

シグマの笑い声が木霊する。上から、下から、右から、左から、前から、後ろから、斜め前方から、斜め後方から。
周囲全体から不気味なシグマが声がしたかと思うと、
目の前にあるこの建造物の心臓であり頭脳である巨大コンピュータから何かが現れた。


ワイヤーフレームで構成されたシグマの顔。…以前ここに来たときに戦ったようなものだ。
「これは………」

ヒャクレッガーの事件の際、人影が見えたり、ヒャクレッガー自身が自由に行動できた理由がここで理解できた。
異常が一切見当たらないからだ。厳重なセキュリティであるからこそ、それを信じきり、疑うことをしなくなる。

中央コンピュータの窓に映っていた人影はカウンターハンターの特徴と一致する。なのに侵入者の形跡もない。異常の一つもない。
当然である。…コンピュータ自体が、シグマになっていたのならば。
「これが…お前の本当の姿だったんだな」
中央コンピュータの心臓部として各所とワイヤーやケーブルで繋がる最高性能のコンピュータに向かい呟く。
「レプリロイド、メカニロイド、コンピュータ…お前は恐らくそのどれでもあり、どれでもないのだろう。
 お前は… イレギュラーだ!」









「グアアアアアアア!」「ヌオオオオオオオ!」「ギエエエエエエエ!」
「エックスウウウウ!」「貴様アアアアアアア!」「ウオオオオオ!」
「ガァァァァァァァ!」「おのれええええええ!」「何故だあああああああ!」

戦いは長きに及んだ。終わりがないかと思われたその戦いの決着は
多重に重なった、エックスの聴覚を刺激する耳障りな断末魔だった。
それとは別にジジジジジジジ…という音がする。異常動作を示すノイズだろう。
血のような色になったワイヤーフレームのシグマは苦しみだし…消滅。
コンピュータが勢いよく炎を吹き上げる。

「エックス…。 どうやら今回も私の負けのようだ」
「…………」
「だが…私は何度でも復活し、その度に新たなる力を手に入れることが出来る。
 貴様の勝利など、ほんのひと時のものでしかないのだ!!」
シグマの言葉からは余裕はなく、悔しさしか感じられない。堕ちたものだ。
「だが…ゼロは何故…。」
「?」


「………誰も修復できないと思っていたあのゼロを一人で修復するとは。
 サーゲスという科学者を舐めておったわい。…じゃが…納得がいった。奴が…あの科学者の成れの果てであるならば。」
同時刻。ケイン博士は一人、ハンターベースの中で呟いていた。ゼロを一目見たその時のことを思い出しながら。


「…ゼロは…奴は…
 最後の……ワイ……ナン……ズの……」
「…ワイ…何といった、シグマ!」
「グオオオオオオオオオオ!」
コンピュータから閃光が発せられる。もう聞き返す時間はなかったようだ。
レプリロイドとしてのシグマのボディを回収。エックスもゼロも、間一髪脱出に成功した。






「…ここか…。エックス君とシグマが戦った場所は」

「足場は劣悪…お怪我などなさらぬよう」
「以前のように海に沈んだアジトではありませんので、ここでは心置きなく回収作業が出来るかと」
ヘリから降りたのは一人の科学者。
彼のガードを勤めるは二人のレプリロイド達。

「エックス君が言っていた通りだ。ここを調べれば必ずやボディを調べる以上の成果が得られるだろう」

56俺的アレンジの入ったロックマンX2→3:2009/04/04(土) 03:34:00
「あら?今日は随分と可愛い子がいるじゃない。どうしたの?」

シグマとの2度目の戦いが終わり、シグマ軍が完全に壊滅してからも
時折ハンターベースに遊びに来るはオペレーター。
彼女はオペレーションルームで背の小さな、茶色の長髪の少女を発見した。
赤い服に身を包み、ふわりとしたスカートのよく似合う女の子だ。

「もしかして迷子か何かじゃないでしょうね…
 貴方、どうしたの?」
「は、始めまして!あなたがエックス隊長のオペレーターさんですか?」
「え?シグマ軍との戦いの間でならそうだけど…基本は科学者の卵よ、私。」
「そうなんですか!?二つの仕事をこなせるなんて…」
「まぁ同時進行するわけでもないし…大したことじゃないわ。
 エックスの才能におんぶに抱っこって形ですもの……あなた、名前は?」


あれから実に5ヶ月。
ゼロはイレギュラーハンターに復帰、第0部隊隊長ホーネックの意向で
新第部隊隊長のポストへと就いた。ホーネックは副隊長へと自ら降格したこととなる。

一方、社会での大きな出来事といえば一つはイレギュラー研究家Drドップラーが
シグマ軍のアジトを調査した結果作り上げることに成功したとされる対イレギュラー用ワクチン。
これにより、イレギュラー発生率は0%にまで押さえられ、歴史に変革を起こした偉大な科学者として一躍有名となった。
一方、大規模なイレギュラーによる犯罪が増加傾向にあったため、
そういったイレギュラーへ対抗する「軍」、レプリフォースが結成されたことだった。


「あ。ここに居たのかい。」
ミッションを終えたエックスが入ってくる。
「あらエックス。ドッペルタウン会議まで後1ヶ月になるわね。準備の方、大丈夫?」
「いや…それがね。ハンターには1通しか来ていなかったんだよ。
 第0部隊隊長ゼロ様、ってね。ゼロは…強いよな…。あれからめきめきと成果を上げ続けている
 俺は…まぁ、ああいうのは似合わないから」

「ゼロは多分もっと似合わない人種だと思うわ。
 そういえば…聞いたわよエックス。この子レプリフォースとの交換研修生なんだってね」
「ああ。世界最強の軍隊の第一期オペレーターか……滅多な事はさせられないね」

「所であなた、誰の担当になるの?新人のDランクハンター?」
「それは流石に最初は任せられないよ。テストでもあるからね、ある程度経験を積んだハンターだと思うけど…」
「ええと…実はもう、私担当のハンターさんが決まっていて…」
もじもじとする少女。緊張のためか?

「俺が受け持つこととなった。」
続けて入ってきたのはゼロだった。

「ゼロ!?」
「…これは聞いてないや」

少女はゼロを見つけるなりしゃきっと向き直る。
「少しわけがあってな。俺の方から担当を請け負う事にしたんだ」

「………へぇ」
オペレーターの中でのゼロ像が変化した瞬間であった。
「何だ」
「…いえ、別に……」


「まずはそうだな、ミッションがあるまでは待機になる。したいことはあるか」
「あの、ゼロ隊長!この本部って広いくって…案内、してもらえませんかっ!」
「そうだな…解った。ただし今は何かと混んでいるはずだ、離れるんじゃないぞ」


「何とか上手くやっていけそうだね」
「そうね…さ、私達もお茶でも飲みに行きましょ」
オペレーターの頭の中には、ある一つの言葉が浮かんでいた。







「………ここ……は…」

体全体が燃えるように熱い。…灼熱のマグマの中にいるかのよう。
そんな『彼』を、遥か彼方から呼ぶ声が聞こえる。
「…何だ。…どこから話しかけてやがる。」
…そして、目を覚ました。

「目を覚ましたか、おはよう。新しい体の調子はどうかな…?
 『VAVA』」

57Galactic Emperor Piett:2009/04/04(土) 13:24:14
むぅちゃん、スレ立てられないよorz

58ZYLO ◆ZYLOGpljRY:2009/04/04(土) 13:26:30
>>57
ゴルベーザ「私がスレを立てに行こうか…?」

59Galactic Emperor Piett:2009/04/04(土) 13:26:56
>>58
先生!お願いします!

前999
以後、気をつけます。
ああ、遭難したっていう…私はここでバカンス中なんだよ。
(ハイビスカスやヒマワリなどが植えられたプール付きの庭園が窓から見える)

60ZYLO ◆ZYLOGpljRY:2009/04/04(土) 13:31:31
エクスデス「パワーをスレ立てに!」
ゴルベーザ「いいですとも!」つ【Wスレ立て】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/computer/28177/1238819403/

61俺的アレンジの入ったロックマンX3 0話:2009/04/04(土) 23:39:50
これからの社会を話し合うため開かれた、近未来都市・ドッペルタウンでの会議。
世界中から各界から優秀なレプリロイド達が集められて開かれるそれには
イレギュラーハンターからは第0部隊隊長ゼロに代わり副隊長ホーネックが出席。

ドップラー博士主導のもと、やっと平和が訪れると…誰もが思っていた。


だがしかし…。
ドップラー博士により発明されたワクチンにより沈静化したはずのイレギュラーは
次々にイレギュラー化を再発。
博士に責任が集まる中、博士は…驚くべき声明を発表した。

「私はDrドップラー。これからこの世界を導くものである。」

「博士に従う者には幸福を約束しよう。従わない者は…」
黄色いボディのレプリロイドの言葉の後、カメラを向けるとそこには手足を拘束され、叫ぶ各国マスコミの姿。
博士の指令と同時に、彼らは巨大な蜂の形をした小型爆弾に群がられ…
針を首筋に刺され… 炎と煙に包まれた。
「……私とて実はこのようなことはしたくない、が…これにより諸君らの考えが変わることを祈ろう
 私はここに……選ばれし者のみで構成された軍『ドップラー軍』を結成する事を宣言する!」

「…ゼロ……今の」
「……『パラスティック・ボム』。ホーネックの得意技だ。
 …エックス。俺はドップラーの奴に会ったことはないが…お前は奴から何かを感じなかったか」
「…あの時はまさか…こんな人だったなんて思わなかったんだけどな…」

そこに高い足音が聞こえてくる。茶色い髪の幼い少女が息を切らせて扉から飛び込んできた。
「ゼロ隊長、エックス隊長!
 出動命令が出ています…ドップラー博士を捕獲するようにって!」
「行こう、ゼロ!」
「ああ!」


博士の研究所へと直に転送されるエックスとゼロ。
だが…

「こんなに早く来てもらえるとは思っていなかったよ…エックス君、ゼロ君。」

話すことなど何もない。ゼロは一言も口に出さず、
ドップラーに向かって斬りかかる…が。

「………」
その攻撃は阻まれた。
髪を頭の横で結んだ、古代日本の戦士のようなレプリロイドの持つ盾によって。
「邪魔はしないでもらえるか」
「博士を守ることが私の使命。…相手になろう」


「それなら俺が……!」
エックスもバスターを撃つ…が、その瞬間突然バスターが極端に重くなり、チャージショットは床へ向かい放たれていった。
「…何?」

床に何かが仕込んである。…マグネットマイン以上の強力磁石のようだ。
「…体すら動かせない…!」


「残念だったね、エックス君ゼロ君。私の体は一般レプリロイドとなんら変わりない非力な者なので…
 部下の彼らの力を貸してもらったよ。それでは、私に危険が及ぶ前にお暇させてもらおう。さらばだ」
白衣を翻し、ドップラー博士は転送装置でどこかへと消えていった。
「待…て!ドップラー!!」

一方ゼロと盾のレプリロイドも戦いを続ける。だが…戦いはここで動いた。
「ハァ!」
ゼロのサーベルが敵の盾を粉砕。
「…ば、馬鹿な………この盾を破壊できる者など…!」
「さて。お前は…この盾より頑丈な自信はあるか?」
サーベルを敵の眼前に突きつけるゼロ。
「時間はもう十分稼いだ。…お前は余りに危険だ…次に会った時は必ず殺させてもらう」
敵は去っていった。


ゼロにより床に仕掛けられたトラップを破壊し、エックスは助け出される。
「大丈夫か、エックス」
「ああ…。それよりドップラーを追わないと!…ん?」

通信が鳴り響く。
「…ちょう……隊長!ゼロ隊長!エックス隊長!」
オペレーターの少女だ。
「…お前か。どうした」
「…ハンターベースが!ハンターベースがドップラー軍に襲撃されているんです!
 ベース内のハンターで対応していますが…あまり長くは持ちません!早急に帰還してください!」
「行こう、ゼロ!」

62俺的アレンジの入ったロックマンX3 1話:2009/04/05(日) 00:25:18
ドッペルタウンから飛び立った、蜂の形をしたヘリに飛び乗り襲撃。
ハンターベース寸前で叩き落とす。


「遅くなったわ!エックス、ここからは私がエックス、
 あの子がゼロをそれぞれオペレーションすることになるわ」
「ああ。度々すまないね」

「エックス、また二手に分かれるぞ。
 俺は近辺で敵を食い止める、お前は内部を頼む」
「解った!」

ミッション開始。
内部で好き放題に暴れるイレギュラーを更に強化されたバスターで破砕、下階へと降りていく。

第7部隊の戦闘機格納庫まで来たとき、あるハンターに出会った。


「君は行方不明になっていたマックじゃないか。」

自分の部下との再会に喜ぶエックス。笑顔で近寄るが…
特A級ハンター・マックからの挨拶は拘束弾だった。

「甘いなエックス。俺はもうドップラー軍の一員だ
 悪いがお前を捕獲する」
「や、やめろ…マック!!」

ライドアーマー固定用の強力なメカニロイドにより、
エックスはそのまま連れ去られていった。
「はい、そこです!」

その声と共に突然天井が爆発、ゼロが降って来た。
以前エックスとの戦いで多用した技、アースクラッシュだ。

「…あの、申し訳ありませんがその技は被害が激しいので
 あまり多用しない方が…」
「…そうだな 控えよう」
「エックス隊長は司令室へと連れ去られていた模様です!」



「ゼロ、お前……!!」
それから司令室まで全てのイレギュラーを破壊し2分。
マックとの戦闘時間実に3秒。

バスターで軽々と拘束機を破壊し、ゼロは手早くエックスの救出に成功した。
「実に的確なオペレーションだった。ご苦労」
「い、いえ……」

「…大丈夫か、エックス。油断はしないことだ…
 俺は今度は周辺のイレギュラーを迎え撃つ。お前はこのまま屋上へ向かえ」
「ああ…有難う、ゼロ」


「ゼロに久しぶりに恥ずかしいところ見せちゃったみたいね…」
「…ああ。これから取り返さないと」

司令室のすぐ隣には屋上へのエレベーターがある…が、機能していない。
壁を蹴り最上階へ移動する…と。

「…なんだ!?」
バイオレンが装備していたような鉄球を腕につけた、超大型メカニロイドが空に浮かんでいた。
「エックス、準備はいい?」
「ああ!」

メカニロイド・マオー・ザ・ジャイアントが腕を振り下ろし、大きな穴を作る。
エックスはすぐさま避け、そのまま跳びあがり顔にバスターを発射。
「効いてる、そのまま!」
破壊用メカニロイドであるため、それ以外の攻撃方法など持ち合わせてはいない。
腕を引きつけ、撃つ。その行程を数回繰り返すとすぐにマオー・ザ・ジャイアントの巨体はエックスのバスターを通していった。
空を閃光が覆い尽くす。


「やったわね、エックス!」
「…今となっては敵じゃないよ」
辺りが静まったことを確認し、息をついたところにゼロが現れた。

「どうやら敵は片付いたようだな…。俺は本部の修復を頼まれた。」
「エックス隊長はドッペルタウンへの潜入調査をお願いします!」

「解った。構成メンバーはどれくらいわかってる?」
「ドップラーを守護するレプリロイドは3人」
「いずれもドップラーによって作られたレプリロイドのようです。
 他には招待客のうちの6人がドップラーの背後にいたのを確認しました…
 その中にはイレギュラーハンターやレプリフォース所属の者も居たようです」

「…また、キツい戦いになりそうだね」

63俺的アレンジの入ったロックマンX3 2話:2009/04/05(日) 01:49:01
「あ。そういえば君、髪型変えたみたいだけど…どうかしたんだい?」
「…イメージを変えてみただけよ。気にしないで」

オペレーターは以前とはうって変わって、カールしていたセミロングの髪を後ろで束ねていた。
以前の方がやや女性的な印象を受けていたが、今度は仕事のために生きるといった様子だった。

「近々、ハンターに就職するかも…。まあ…その時は宜しくお願いね」
「研究の方、上手く行っていないとか…?」
「…あまり聞かないで」
オペレーターは言葉を濁したまま。
深く追及は行わず、今は目の前のミッションに専念することとした……お互いに。
「転送!」


着いた場所はドッペルタウン中心都市部。
ただし…気温はマイナス50度。季節はずれ所の問題ではない、すべてが凍りつく極寒の町となっていた。

「………この氷を早く溶かす必要があるわね。
 ドップラーの研究所までは地下道を通るわ。急いで!」


ドッペルタウンは大平原を中心とし、
都市を中心に生活と関わる小型施設の多いイーストブロックと
スペースを要する大型施設の目立つウエストブロックに分かれている。

氷で滑る都市の地下に差し掛かり、大きな部屋を超えた辺りで通信が鳴る。
「そこから暫くは俺が交代しよう」

その高い攻撃力で地下に潜む敵たちをなぎ倒すゼロ。
マンホールから脱出、ドップラー研究所近辺まで来た所で猛吹雪が視界を覆う。
「降雪機の暴走のようです!ゼロ隊長、降雪機の場所まで案内しますね」
「頼もう。」
スノーバイクを乗り回すレプリロイドも何のその。
ゼロのビームサーベルにより、人工雪を発生させていた装置はすぐに破壊された。

「それでは向かうとしよう。正面入口から堂々と入ることもない
 3階の窓から侵入するぞ」
「…無理です。塞がれていて、1Fの正面玄関以外は…
 あ。けれどどうやら3階のその部屋には何か古い物の反応があるみたいですよ」


「俺では開かんな…すると、ここまでか。エックス、交代するぞ」


ゼロに代わり、エックスがその場へと転送される。
「エックス。ここではお前をまた覚醒させるべく、フットパーツを授けよう。
 以前のパーツでは出来なかった「バリアブル・エアダッシュ」が使えるはずだ」
またも力を得たエックスは、バリアブルエアダッシュという機能を試してみる。
なるほど、今回はジェット噴射の力が強まり、上にもダッシュできるというわけだ。

窓から地面へと飛び降り、改めて1階からドップラー研究所へと突入する。
「フロントから高エネルギー反応を感知。特Aクラスのレプリロイドね」


玄関を潜るとそこには巨体のレプリロイドがいた。
「……ブモオオオ…」

64俺的アレンジの入ったロックマンX3 3話後半:2009/04/05(日) 01:49:51
「………言葉は通じるか」
「え…エックスか、アンタ…」
頭を抱えながら蹲るレプリロイドが一人。
「フローズン・バッファリオ…スキー場の整備用レプリロイドね。
 …氷像アーティストとしても有名よ」
「…バッファリオ。動けるか」
「…む、無理だ……俺はアンタが来たのを見てやっと自分を取り戻してるだけだ…
 頼む、他の奴らは助けてくれよ……
「お、俺は…もう…俺じゃあなくなる…う、グアアアア…ブモオオオオ!」


頭からバチバチと電気を発しているのがわかる。
…痛みをこれ以上引きずらせるのが一番、バッファリオにとって辛いだろう。
「彼を助けるわよ」
「……ああ!」


広いロビーの端からバッファリオがエックスに向かい突進を始める。
壁を使いこれをかわしチャージショット。
バッファリオの動きが僅かに止まる。
「フロ、フロスト…シールド!」
腕から氷の塊を射出し、付着した場所に美しい氷を生成する。
それはエックスの戦いにくい状況を生み出す。

「く…!」
逃げられない。チャージショットで動きを止めようとするも僅かに後退したのみ。
壁に向かい跳び、壁の氷を砕くと同時に壁を蹴り、バッファリオを跳び越す。

「ブモオオオオ!」
光る角が頭から突き出る。気が立っている証拠だ。
「当たったら壁に叩きつけられる!急いで避けて!」

バッファリオは突進を多用するものの動きそのものは遅い。
またも飛び越え一発。このまま行けばすぐに勝利をつかめる…と思ったが。

エネルギーが高まる音が聞こえる。…チャージだ。
「モオオオオオ!」
「…何!?」
直径3mはあろうかという巨大な冷気がロビーの端から端までを覆う。
床をも凍りつかせ、エックスをすぐさま覆い…氷付けにする。

「ウオオオオオ!」
エックスを砕くべくバッファリオが動く。
「エックス…!」
必死でもがく、もがく…もがき続け、やっとのことで氷が割れた。
だが…バッファリオは目の前。もう壁へ逃げる時間もない。
「…よ、避けろ…避けろエックスウウウウウウウウウ!」

体が完全にイレギュラーとなってしまったバッファリオから発せられた彼の言葉。
その力がエックスを突き動かした。

エックスは垂直へ跳び…そして真上へのダッシュ。バッファリオを跳び越した!
「バリアブルエアダッシュね!」

壁へ激突するバッファリオ。今だ…!
「ごめん…!」

バッファリオの背をチャージショットがくり抜き…程なくしてバッファリオは砕け散っていった。
「…すぐに終わらせるよ、バッファリオ」
ドップラーはこの上にいる。戦いはすぐに終わるはずだ。
…でもおかしい。ドップラー研究所だというのに、これだけ暴れても誰も気付かない。
まさか…。



そのまさかだった。
この研究所は最早もぬけの殻。一人も残ってはいなかった…。
「ドップラーが研究を放棄するとは思えない。どこかにもう一つ研究所があるってことね」
「今俺に出来ることは…何だろう」
「まずは…この町の氷を溶かすこと。一人でも多くの命を救いましょう」

65俺的アレンジの入ったロックマンX3 3話:2009/04/05(日) 02:55:20
ドッペルタウンは電力すらストップしていた。
発電所を何者かが占拠しているためだ。

町を暖めるべく、今度は電気を取り戻すべく向かう。


「侵入者用のセンサーが張り巡らされてるわ。うまく潜り抜けて!」
センサーは敵を感知した瞬間エネルギー弾を放つ砲台へと変化する。

敵を倒しながらセンサーを一瞬で潜り、エレベーターに乗り上の階へ。
この繰り返しが今回のミッションの流れとなった。
「ここは発電所の心臓部じゃない。発電機のある建物は連絡通路で繋がっているわ」

上の階から、発電所の心臓部へ移動し、1つの部屋を潜ったところでゼロと交代。


「見るからに危険なエリアだな…」
「至るところでむき出しのケーブルに電流が流れていますね。
 ゼロ隊長、当たらないように気をつけてください」

むき出しのケーブルに当たらないようにしながら壁を滑り降りる。
相変わらず多いイレギュラー達を破壊し、一番奥のフロアでまたもエックスへと交代。


「エレキテル・ナマズロス…動く発電所とされていたレプリロイド。電気の使い手よ…」
「来おったなイレギュラーハンター!」
ユーモラスな姿をしたレプリロイドがそこにいた。
「動く発電所と言われいて、人々から親しまれやすいように
 こういうデザインで作られたと言われている。
 …バッファリオと違って、こちらは完全に洗脳されているみたいね」
「ここの電気はワシとドップラー様のものじゃあ!お前らには渡さへん!
 ドップラー様に逆らうとどうなるか教えてやるでえ!」

挨拶代わりに尾から電気の弾を床に沿い走らせる。
「行くでぇええ!」
これをかわしたところにナマズロスが飛びかかって来る。
弾力のあるボディはエックスに避けられ、床をドインドインとバウンドする。
「しっかり見とけやぁ、トライアードサンダー!」
ナマズロスが巨大な口から3つのビットを放る。
「危ない!!」

ビットの間をエアダッシュで縫うように避けると
今度は電撃を口から放る。
「!?」

3機のビットは電流を帯びたところでナマズロスはこれを再び吸い込む。
「しまった…」
ビットとナマズロスの間に位置するエックスはこれを避けることは出来ない。
ナマズロスに吸われるか、ビットの餌食になるか。

…だがエックスはそのどちらも選ばなかった。
上方向へのエアダッシュで飛び越え、ナマズロスに一撃。

「中々しぶとい奴っちゃなぁ!もう…泣かしたるわ!」

天井まで跳びあがるナマズロス。
部屋の中央に着地すると強力な内部放電を開始した。

「これは…!?」
「危ないわエックス!」

火花がナマズロスの体のあちこちから飛び出す。
「でも最後までやらせはしない!」

チャージショットをナマズロスの体に放つが…吸収される。
「この状態になったらエネルギー攻撃は一切効かないみたいね…」
壁に逃げるしかない。
電撃の波がどんどんエックスを追い詰める。ここまで及ばないように祈りながら
部屋の角に逃げ続けるしか手がない。

「どらっしゃぁああああ!」
放電をやめた瞬間、エックスに向かい突撃する。
「今よ!」
飛び降り、背後から一撃。
「のわあ!」

もう一回攻撃…だが時すでに遅く、またもナマズロスは部屋の中央で発電を始めてしまった。
「何かいい手は…」
「残念ながらないわ。相手が発電をやめたところをこうやって狙うしか私達に勝てる可能性は…今ない」

電撃が自分に当たらないよう、必死に回避し続ける…相手をイラつかせ、精神的に追い詰めるこの戦法は非常に強力。
根気のいる戦いとなっていったが…

「な、ワシは一体何を…!? んごあああああああああ!!」
最後にこの戦いを制したのはエックスであった。

66俺的アレンジの入ったロックマンX3 4話:2009/04/05(日) 05:06:34
ドップラー秘密研究所にて。
ドップラーは一人、エックスの戦いの様子を眺め、ため息をついていた。

「あの時…マックが捕まえ損ねたハンターがこれほどの力を持っているとはな…
 …ヴァジュリーラ!マンダレーラ!」
手を叩くと、先日盾を破壊された黄色いレプリロイドと、その相棒と思しき赤い巨体のレプリロイドが姿を現す。

「お前達『ナイトメアポリス』に命令する。エックスを捕まえて来たまえ…。なるべく、生け捕りでな…」
「はっ」
「全ては、偉大なるドップラー博士のために!」
作り主に忠実な二人の戦士は姿を消した。

その会話を快く思わない者が、部屋の外で聞いていた。
「…まどろっこしいな、 生け捕りとはね…」
「VAVAか。…いい加減私の言う通りに動いてはくれないかね」
「俺を復活させ、パワーアップまで施してくれたアンタには感謝しているよ
 だが…悪いがシグマの下でも俺は俺のやり方で動いて来たんでね。…何、以前のようなヘマはしねぇさ」


「電力も回復。氷が自然に溶けるまで持ちそうだね」
「次は…そうね。鉱山に行ってみてくれないかしら マイマインと同じ、エネルゲン水晶の鉱脈があるのよ。」
「町、電力、動力…東側は生活に繋がる場所が確かに多いな」
「水もね。鉱山の近くにはダムもあるのよ」


到着した場所はごつごつとした岩の目立つ山。
同じエネルゲン水晶を採掘する山でもマイマインの場所とは全く違う一般的な鉱山だ。
「これくらいの方が鉱山らしい気もするかしら」

鉱山内部には通路の狭さを利用した攻撃を行うイレギュラーが多く、
非常に窮屈なものとなった。

下層に降りてきた所で休憩所と思われる部屋を発見、入ってみるとそこには…
「来たな、エックス」
「…お前は!」

黄色いレプリロイド。ゼロに盾を破壊された、ドップラーの右腕のような存在だ。
「私は、ヴァジュリーラFF。
 博士の世界中のレプリロイドの研究成果として生まれた存在だ」

バッファリオやナマズロスとは違い、久々に自分の意思で戦う敵が目の前に現れた。
手加減などは当然行ってなどはくれない。増してや博士の自信作となれば、全力で挑むべき強敵になるだろう。

「博士の命令は絶対。世界に博士の力を知らしめるには…お前達の敗北は丁度いい!」
引き抜かれた赤いサーベルの刀身にヴァジュリーラの顔が照らされる。



一方、所変わってここはウエストブロックの兵器工場。

「ゼロ隊長、一体ここに何が?」
「…ホーネックのことだ。俺の代理として奴が出席した結果がこれならば、
 それを始末するのは俺の役目だろう」
「そう…ですか。エネルギー反応をスキャンしてみます」

ベルトコンベアに流れる敵を次々破壊し、工場内から外へ出るといくつもの倉庫が並ぶ。
「これだけ広いと何処にいるか解りはしない…」
「ゼロ隊長!」
「…居たか?」

「いえ、この工場内には特A級クラスのエネルギー反応は感知できませんでした。
 ですが、何か怪しい反応が…地下に」
「…地下?」

壁をサーベルで切り刻み内部へ。
コンテナで隠された、地下へ降りる縦穴がそこにあった。

67俺的アレンジの入ったロックマンX3 4話:2009/04/05(日) 05:08:27
「……何だってこんなものが」
地下には吊るされたライドアーマーが一機。
「ここまで丁寧に隠しておくほどの物なのか?
 …ここで開発されたようだが………」
「私達が使っているものより少しばかり地味な気がします。
 見た目は一般的なライドアーマーに見えますが……」



「うっ…!」
膝をつくエックス。
ヴァジュリーラはそれを見下ろす。

「手間をかけさせてくれたが……ここまでだ」
ヴァジュリーラを光の輪が囲い、光の弾が周りを漂い、手の中にも一つ。

ヴァジュリーラ自身は大して優れた能力の持ち主ではなかった。
だが、1対1で確実に仕留めることを考えての戦いには秀でていた。

「私にはお前達のような戦い方は、どうやら理解できぬようだ…
 力で潰す、速さで圧倒する、特殊な能力を使う…。くだらないな。
 こうすれば済むものだというのに」

エックスは光の輪によって動きを封じられている。
放られた光の弾はエックスに向かい飛んでいく。
そして…エックスを斬りに地面を蹴り、地面すれすれで地面に対し水平にサーベルを構え、飛ぶ。
「諦めるがいい!」


「…嫌だ!」
「…!?」
光の輪がエックスにより砕かれる。
エックスは跳びあがり、ヴァジュリーラをかわしてダッシュ、加速し威力を増したチャージショットを見舞う。


「……………」
焼けた背を向けながらヴァジュリーラは動きを止めた。
「一体、何処にそんな力を隠している…。」
「お前こそ、お前の力はそんなものなのか?」
明らかにエックスには、ヴァジュリーラの戦い方は小手先のものに感じた。
力強さを全く感じない。感情の篭らぬ、作業的な戦い方だ。


「まあいい。次に戦うときはこうは行かんぞ…」
向き直り、ヴァジュリーラはそのまま姿を消した。


ドップラー研究所に戻ってきたヴァジュリーラを、マンダレーラが迎える。
「ヴァジュリーラ!大丈夫か…」
「いや…問題ない。少しばかり気に食わないことがあっただけだ」
「うむ…そうか」
巨漢の男を横に、ヴァジュリーラは自室へ戻るべく足を進めた。


「…やっぱりお前も奴を侮っていたようだな…あの手の奴にはイライラさせられる」
「何?」
「エックスはそういう奴だ。殺すなら念入りにやる必要があるだろうよ
 アンタそのまま力を出さずにいたら…死ぬぜ」
「次は出すと言っているだろう」
「どうだか…」
「それに…一度死んだ奴には言われたくはない」



「貫かせろオオオオオオオオオオ!」
体が輝き、表面が硬化…右腕のドリルを手に突進する。
だが…あっけなくかわされ、後ろから撃たれる。
破壊欲の権化となったスクリュー・マサイダーの最期だった。

「…ふぅ。これでエネルゲン水晶も確保できたわね」
「ああ。イーストブロックは次で最後だ。行こう」

68むらま:2009/04/05(日) 21:44:47
一昨日駅の階段ですっころんで頬ぶつけたら、今朝になって目の周りに黒いアザが!
ゼロツー「なんだか喧嘩に負けました的な顔になったな」
職場でおもっきし心配されるわ、マスク取れないわで最悪ですはい
ゼロツー「最近夜勤続きでフラフラしてたしな、それもあるんじゃないのか?」
多分ねぇ、とりあえず主任から慣れるまでは日勤にしてもらったけど…絶対何か勘違いされとるわ
ゼロツー「荒れて喧嘩でもしたと思われてそうだな、その…目つきがあれだし」
しくしく、どーせ目つきの悪い暗い子ですよ
ゼロツー「どんまい」

69いざます ◆AsumiJgBrc:2009/04/05(日) 22:32:20
仕事キツい時は何とかしてでも休んだ方がいい
それが簡単に叶わないのがリアルなのはわかってるが
自分の体調は何よりも優先することを心がけるに越したことはない

70俺的アレンジの入ったロックマンX3 5話前半:2009/04/06(月) 01:03:47
「東ブロックはここでラストか…」

「ええ。巨大なダム…ここを占拠され続けたら人命に関わるわ
 …ここには厳重な警備が強いられているはず」

まず目に飛び込んできたのは緑色の人型メカニロイド。
人型とはいってもエックスの2倍半はあろうかというサイズだ。

「何人も配備されているな…早く先へ進まないと」


水が流れ落ちる中を駆け上がる。
「この上には行けないみたいだね…」
「そうね、ここがダムの最上部。ここから一気に…
 水の中に飛び込んでいくわよ!」

そして溢れる水の中へ。

水中ではカメ型のメカニロイドを破壊し、
スクリューに弾き飛ばされない高さでギリギリの戦いを強いられたがエックスは難なく切り抜け
その後に現れた機雷を使う巨大なイカ型メカニロイドをも軽々と破壊した。

「エックス、その敵を倒したお陰でダムのシステムへアクセス出来るようになったわ!」
「水を下流へと流すんだね!」

扉を潜った途端、みるみるうちに水が引いていく。
これでひとまずは安心。後はここを占拠していたレプリロイドを倒すだけだ。
「さ、気合入れていきましょ!」

オペレーターの指示の下、再びダムの上部へと移動し…
敵を倒してまた最深部へ。
「最下層にエネルギー反応…間違いないわ!」


何もない最深部で声のみが部屋に響く。

「…ククク…待ちわびたぞエックス」
「…その喋り方…お前は招待客じゃないな。何処にいる!」

あるのは奇妙な色をした水溜りだけ。
「エネルギー反応はその部屋から出ているんだけど…」


すると突然、その水溜りの水が縮まり盛り上がり…
レプリロイドの形を取り、濡れたような格好で姿を現した!
「俺はアシッド・シーフォース…
 世界の指導者ドップラー博士を生みの親に持つ…
 このイーストブロックの管理者だ」
「ドップラー製…ヴァジュリーラたちと同じという事か。」
「……特殊なレプリロイドだと純粋な性能勝負とは行かないわ。気をつけて!」

71俺的アレンジの入ったロックマンX3 5話後半:2009/04/06(月) 01:07:47
シーフォースが液状になり姿を消したところから戦いは始まった。
床のどこから湧いてくるか。それを見極めなければならない…

だがまず壁や天井から発生することはまずない。壁に避難する。
「そんな手が通用すると思ったのか!」

床から現れたシーフォースは口から酸の塊を吐き出した。
「アシッドレイン!」

壁へと一直線に進む酸は壁へ衝突し、飛沫を散らして動きを反転、反対の壁へと向かっていく。
そして反対の壁へぶつかっても消えることなく、また反対の壁へ…
そう。壁に逃げていてはこの攻撃の対処は出来ない。

仕方なくエックスは飛び降り、シーフォースにチャージショットを当てる。
「チッ…頭上に注意するんだな!」
「!!」

見ると酸の大きな飛沫がエックスの真上に降ってくるではないか。
「まだまだ行くぞ!」

アシッドレインは次々に撃ち出される。
動きが制限される中、シーフォース自体もエックスを踏み潰しにかかるなどして攻撃してくる。
「なるほど、確かにヴァジュリーラに似ているな…」

とは言うもののエックスの方が現時点では優勢。アシッドレインは全て避け切ることが出来、
攻撃もまずまずシーフォースには通用しているからだ。


だがいよいよもってシーフォースも本気を出し始めた。
まず一つはこちらの攻撃にあわせ液状化を行うことで、こちらの攻撃を防御する手に出たこと。

もう一つは…
「溶けてしまえ!」
酸の塊、アシッドレインを下方向に勢いよく二つも吐き出す攻撃を増やしたこと。

床を勢いよく転げ回る酸。当たれば体はシーフォースのように溶けてしまうことだろう。
それに加えこれまでのような浮遊するアシッドレインも撃ち分けてくる。
彼に死角は極めて少ないといえる。


「エックス、フロストシールドを使って!」
「……え?」
「液体なら、温度が低くなることで固体に近づくわ!」
「一瞬で敵を凍らせる力を持つフロストシールドなら可能ってことか!」

勝利を得る方法は解った。それならばもう敵の攻撃をそう避ける必要などはない。
こちらがやられる前に倒せばいいのだから。
床へ落下、シーフォースへ突撃。大量の酸を浴びつつフロストシールドを放つ。

「お…!? おのれ…!」
飛び上がるシーフォース。着地してそのまま地面への逃走を決め込むつもりだ。
「逃がすか!!」


再度フロストシールド。氷の矢はシーフォースの細い胸部へと刺さり、シーフォースを氷付けにする。
「う…ああああああ!!」
そして液状化ならず、心臓に当たる動力炉はダイレクトに貫かれ、低温になった体が今度は崩壊を始め…
今度は超高熱に包まれ…
「博士…俺の…俺の能力をおおおおおおおおおお!」
彼の体はみるみるうちに蒸発。後に残ったのは金属成分のみだった。


「俺の能力を… 何だろう?」
「……考えてみても仕方ないわ…さ。ゼロが待つウエストブロックに行きましょう」



「ああ、解っているよシーフォース。
 リキッドメタルの研究は私もまだまだ進歩の余地があると見ている。お前はいい試作品だった…
 お前の能力を活かし、更なるレプリロイドを私は作り上げよう」

72俺的アレンジの入ったロックマンX3 6話前半:2009/04/06(月) 02:15:06
「…エックスがこちら側へ向かっている様だ」
「ああ。マンダレーラさんか わざわざ済まないな」
「この戦いが終われば今度はハンターやレプリフォースとの全面戦争であろう…
 其方は復讐よりも先ず、準備に専念するように。」
「…解ってるさ。早く終わらせなくちゃ」

「どう?これだけ長い距離をチェイサーで思う存分飛ばせるっていうのは」
「気分悪くはないね!」
鼻歌交じりで大平原の真ん中をチェイサーで突っ切るはエックス。
遥か遠くに山々、氷の溶けたドッペルタウン、工場などを臨みながら
エックスはただただひたすら…1時間ほど走り続けた。
「エックス…珍しく元気なようだけど、その歌は?」
「ああ。事件が片付いて暫くしたら教えるよ!」
自分もいつか、こんな風に走ってみたい…。そんな風に思いながら、ひとまずはエックスの笑顔に安堵するのだった。

「ゼロ隊長!」
「隊長はやめろとさっき言った。」
「…ゼッ…ゼロさん!エックスさんがこちらへ向かってきている模様です!」
「…二人で同じミッションを遂行する意味は特にない。
 そちらからエックスを担当しているオペレーターに伝えておけ。造船場に向かうようにとな」
「…え?」
「目的地変更ね、さ、飛ばして飛ばして」

海を臨む大規模な造船場。潮の匂いが鼻をくすぐる。
「ここには一体誰が…」
「シザーズ・シュリンプァー。……あの子は彼を招待客の中の一人と言っていたけどこれ、間違いね。
 ドップラーの後ろにいたけど、あれは違うわ…。
 レプリフォースは実力重視で集められただけあり、結構イレギュラーすれすれの危険なレプリロイドが多いと聞くわ。
 …彼はきっとそれ。あまりに危険行動が多いため…隔離されたのよ。ドップラーの所に」
「聞こえるか、エックス。
 ホーネックがいると思われる工場で見つけたライドアーマーについて調べた結果が出た
 それは改造データにより自在に姿を変化させることが出来る…ドップラー軍の新型ライドアーマー『キメラ』だ」
「………物騒なものを持っているな」
「こちらの物になったんだ、力強いものだろう。そこで起動させてみろ」

ライドアーマー転送装置のコントロールパネルでNの文字をタッチすると…
現れた。何の変哲もないライドアーマーだ。
そしてまたテンションの上がったエックスにより敵は薙ぎ倒され、すぐさま造船場の奥へ。
「少し調子に乗っちゃったかな…」
「降りてからダメージを食らってしまったみたいね…何か回復できるカプセルでもあればいいんだけど…」

ふと見ると、少し離れたところに回復用のカプセルが置いてあるのがわかる。
「…これだ!」
エックスは走り、それを取ろうとする。だが…

「うわ…!!」
「え?」
突然床が開き、下へと転落してしまう。
「…何だよこれ…」
「………転送カプセルがあるわね これは…」
紫色のもの。パーツをくれる青色のものとは全く持って違う。
「行ってみる」
「えっ、あの…エックスー!」


「ここは…?」
換気をしていないのか、空気が悪い。
今はもう使われていない廃工場と見られる謎の場所へ転送されてしまった。
「オペレーター!オペレーター!……通じない…」
敵を警戒しながら先へと進む。機械の破片が上から降り注ぐ縦穴では
エレベーターを使い安全に登ったりしながら、工場の一番上のフロアまで到達。
小さな部屋に出たところで扉が独りでに閉まる。
「………誰かいるのか!」

そして、姿を現すは巨大なライドアーマー。腕にドリルの爪をつけたパワータイプだ。
それに搭乗するは青いアーマーで顔までを覆った…ボディカラーこそ違えど勿論ここまで来ればエックスにだって解る。
「お前…VAVAか!? 生きていたのか…!」
あの時、ゼロに命を犠牲にしてもらってまで勝利を得たあのVAVAが…目の前に現れた。
「久しぶりだなァ…エックス。」
その口調は憎しみの炎から来る熱を帯びていた。

「何で俺をここに連れてきた。他のレプリロイドと戦っているときにでも挟み打ちにすればよかっただろう」
「これが俺のやり方なんだよ…見ろ。」
3分30秒。
「……なんだ、このカウントは」
そう言いながらエックスは薄々気付いていた。
「解ってるんだろう?爆弾だよ…これが0秒になった時、ここは大爆発だ
 俺が地獄から戻ってきた代わりに、誰か地獄に送らなきゃならなくなってな…。
 お前の地獄行きにはこのオンボロ工場が付き合ってくれるとよ。爆発までの間は俺が相手をしてやろう…感謝しな!」
ライドアーマーが蒸気を上げ、エックスへと近づき、勢いよくパンチを繰り出した!

73俺的アレンジの入ったロックマンX3 6話後半:2009/04/06(月) 02:16:03
「VAVAからのメッセージが来た?
 …となるとそのカウントは工場の爆弾のものだろう。…罠にまんまと嵌ったわけか」
「どうすればいいかしら、ゼロ…」

「先輩!私と一緒にこのカプセルにアクセスを試みてみましょう!」
「……え?」
「このカプセルは今、エックスさんを送って動きが止まっています。
 もう一度作動させることが出来れば、対応する帰還用カプセルもきっと動くはずです!」
「…やってみましょう」

30秒。
「なかなかうまく行きませんね……」
1分。
「エックス……」
1分30秒。
「もう少し。もう少しなんだけれど……」
2分。
「…完了しました!後は対応カプセルの応答を待つだけです!」

2分22秒。
「…あちらのカプセルも作動しました!」
「エックス…」


2分30秒…カプセルは爆発。それは工場の爆発も意味する。エックスの姿は、なかった。
「間に合わなかったか…エックス…!!」
「そんなぁ…エックスさん…」

「エックスーーーーーーーーーーーーー!!!」
オペレーターは…叫ぶしかできなかった。
そしてその後…力なくただただデスクに突っ伏していた。




「…ど、どうしたんだい…!?」
「…む?」
「………まさか」
「ああ。何故か脱出用のカプセルが用意されていたみたいでさ。
 俺、VAVAを追い払って…大体あと5秒くらいの所で脱出したら、同じ造船場でも
 遠いところに転送されてさ。だからこうやって一人で戻ってきたんだ」
「……………一歩も動いていないが、少し疲れたぞ」
「私もですよ…」


「……………」
「お前のオペレーターは気付いていないようだな。
 もう少しの間、エックス殉職のショックに浸らせてやろうか。」
「いいですね、こっそり通信とか切っちゃって……」



「トライアードサンダー!」
「ォオオアアアアアアアア!イレギュラーハンター…貴様…ああああああ!」

磁力でくっつけられていた腕のハサミが離れ、敏感に反応するその2本の髭に電流がまとわりつく。
荒くれ者は激しい咆哮を残し、破壊されていった。
「ご苦労様です、エックスさん!」

「……あら?」

74帝国の四権を司る組織:2009/04/06(月) 16:24:48
帝国統治評議会

帝国の中央行政府。グランド・ヴィズィアーを最高責任者とし、各省庁の大臣・長官達で構成される。
グランド・ヴィズィアーはセイト=ペスタージュ。

【一時間スレ的に著名なメンバー】
ケリスラー通産大臣

グランド・モフ中央委員会

帝国の地方行政府。委員長を最高責任者とし、各宙界を統括するグランド・モフ達で構成される。
委員長はアーダス=ケイン。

【一時間スレ的に著名なメンバー】
ジャジャーロッド大総督、ヴィリム=ディズラ大総督

帝国元老院

帝国の立法府。最高議長を最高責任者とし、帝国領の星系や同盟国、巨大組織から選出された
議員たちで構成される。最高議長はシム=アロー。

【一時間スレ的に著名なメンバー】
ヴァルトラウテ=デス=コア=ニーベルング議員、ティータ=ルーヴェンス=ピエット議員
ゼルダ=ハイラル=十条議員

帝国最高裁判所

帝国の司法府。最高裁長官を最高責任者とし、最高裁判事達で構成される。
最高裁長官はレイトン公爵。

【一時間スレ的に著名なメンバー】
なし

帝国軍参謀本部

帝国の軍事府。軍事エグゼキューターを最高責任者とし、統合軍参謀総長と各軍の参謀総長、
幕僚長達によって構成される。軍事エグゼキューターはモーラドミン=バスト。

【一時間スレ的に著名なメンバー】
スローン大提督、ギラッド=ペレオン大提督、フレジャ大将軍

75俺的アレンジの入ったロックマンX3 7話前半:2009/04/06(月) 21:32:30
「次の目的地は森林内の基地ね…動物型のイレギュラーが多いかもしれない」
「カメリーオの時みたく面倒な戦いになるのかな…」

そして彼らは夕暮れのサファリパークの門を潜った。

「静かだな……動物はいないんだろうか」
「これといって動物を模しているように見えるのはトンボ型メカニロイドだけね」


鉄球メカニロイドなど、行く手を阻む敵達を倒し、サブタンクを回収しながら
上部へと進んでいく。

「……待って、隣の部屋にカプセルの反応が」
「久々だね……どうやって入ろう」
「ヒビ割れがあるみたい、ドリルファングで破壊をお願いね」

マサイダーの武器は分厚い壁をアッサリと破壊。その先にあるカプセルへの道を開いてくれた
「エックス。ここではお前を更に覚醒させるアームパーツを授けよう。
 これによりお前は更に強化されたダブルチャージショットを使えるようになるはずだ」
強化されたダブルチャージとは…一体どういうものなのか。


梯子で地下まで降りた先に、木の根に囲まれて何かエネルギー体が見える。
…結局それが何なのかは解らないのだが、そこで百足型の巨大メカニロイドを破壊。

「エックスか。いいだろう、交代だ」
高耐久力メカニロイドがひしめくエリアをゼロに交代することとなった。

「…これは手ごわいですね」
「回避しようなどと思わず、全て破壊するのが一番だ。」

まず手持ちのサーベルで一撃粉砕。続けてチャージショットで小さなメカニロイドを蹴散らしながら
また高耐久力メカニロイドをサーベルで粉砕。
ゼロの後ろには炎と煙と破片が道を作っていた。

「さて。ここで交代の時間か…」
「…例によってまたターゲットの目の前まで到達した…」


「さあ、これから先は貴方の仕事よエックス
 …ここにいるのはシャイニング・タイガード。
 元々サファリパーク警備用のレプリロイドらしかったわ」
「ということは元々戦闘には慣れている…」
「気をつけるべきね」


「…お前がエックスか」
しなやかな動きで草むらから飛び出してきた。彼がタイガード…

「手に爪…か。シグマを思い出すね」
「しかもレーザークローね。それでも勿論、シグマほどのパワーは感じられない…
 けど逆に、彼のように力任せな戦いは行わない。爪での戦いが本分な敵は初めてよね」
「そうなるな」

「…何を話している」
敵はすでに戦闘体勢に移っていた。


…だが、こちらはとうにいつでも攻撃できる状態にあったのだ。
「行けええええ!」

すぐにチャージショットを撃ち出す。
「……」
「速い…!」
だがこれはあっけなく弾かれる。
寸前で弾いたのではない…。撃ち出す瞬間、構えた瞬間にすでに。

「レイ・スプラッシャー!」
お返しに、とばかりに尾の先端から光の弾丸が噴水のように湧き出る。
「エックス!」
弾丸が収まったとき、爆発音がこだました。
…一瞬にしてエックスの体は蜂の巣に…

76俺的アレンジの入ったロックマンX3 7話後半:2009/04/06(月) 21:33:57
いや…なっていなかった。
なんと、エックスはレイスプラッシャーのその弾全てを小さな動きで避け…
タイガードにバスターを突きつけ、攻撃が終わる瞬間を見計らい零距離チャージショットを放っていたのだ。
「何…!?」

しかしこの距離からでもタイガードは爪でそれをガードしていた。
隙は攻撃の後も生じない。チャンスはレイスプラッシャーを放っている間のみだったのだ。


「だが…爪でガードしきれない攻撃だってある!」
腕を小刻みに動かし、タイガードの体の各所に通常バスターを見舞う。
「ごああああ!!」

「冴えてるみたいね…エックス」
「さっきまで休んでいたからね」
数で攻めれば得意の爪も機能しない。

そうして戦いは、エックスの回避とタイガードの防御によるマラソンマッチと移行していった。



「食らえ!!」

壁の上から、飛び降り様に大きく振りかぶり喉元を裂こうとするタイガード。
だが勿論そんな直線的な動きではエックスを捉えることは出来ず。
またもタイガードの膝、胸、腕にエックスの弾丸が命中する。
「…ま…まだ…まだまだあああああ!」

タイガードが赤い熱を帯びたかと思うと怯まなくなり…バスターを弾き始めた。
「これは…」
「マサイダーのそれと同じよ!短時間の間にエネルギーを外部に放出して硬化するの!」

そうと解ればすることは一つ。
壁に向かい突進してくるタイガードを避け、壁へ逃げるのだ。だが…
「うらぁあああああああ!」

突進のみだったマサイダーとは違い、タイガードは爪を振り上げ跳び上がってきた。
紙一重でこれをかわす。
そして…

「終わりだ!」
部屋の真ん中へと飛び降り、タイガードの体に連射。
硬化の終わったタイガードの体にそれは次々と突き刺さり…最後には貫いていった。
「グァオオオオオオオオオオオオゥ!」


「戦いを続ける内に理性を失っていく…これがイレギュラー化なのかしらね」
「終わったね……。次が最後の一人だ。…行こう ホーネックのいる兵器工場へ」

77俺的アレンジの入ったロックマンX3 8話前半:2009/04/06(月) 23:06:10
「お前がホーネックを倒すのか」
「…ごめん。ダメかな」
「……ヒャクレッガーの件もある、いいだろう
 …ただし今回は俺がお前のオペレーターを務める。」

ゼロはすでに工場内に再潜入し、キメラライドアーマーを見つけた倉庫の辺りへとやって来ていた。
エックスはゼロのいた位置へ、ゼロはハンターベースへ。
「…エックスの様子が気になるだろうが…寝てろ」
「…いや、寝るってあなた。」
ふと見ると、ゼロの担当のオペレーターはゼロの帰還に安堵したのか、ゼロの近くですっかり眠っている。
その場所が場所で、ゼロもゼロな気はするが…ひとまずオペレーターは仮眠室へと移動した。

「その場所のイレギュラーは空から攻撃してくる。
 あまりに急なようならばコンテナを盾にするのも手だ」
「解った。」
立ち並ぶ倉庫での戦いを制し、エックスは開けた場所へと降りる。
ふと辺りが暗くなる。太陽が雲で遮られたか?そう思うのも一つであろう。
…轟音と熱風がなければ。
「…何!?」
「…何かあったかエックス」
「何かって…これ!」
そう。エックスの真上に貨物機が着陸していたのだ。

「…兵器を積み込む気だ!」
「よし、止めろ!」
バスターで運搬メカニロイドの腕ごとコンテナを破壊し続ける。
何度も何度もそれを繰り返すと…
「敵も諦めたみたいだ!」
「よし。飛び立ったな…」

逃げる貨物機をよそにエックスはもう一つの工場の扉を開いた。そこには…
「待っていたぞエックス。」
「…ヴァジュリーラの仲間か!?」
赤いボディに、鉄色の顔。背負った金の輪が特徴的な巨漢だ。
「我が名はマンダレーラ。研究所では姿を見せず卑怯を犯した事を謝りたい」
「……戦いだ、そこは別にいい。」
「かたじけない。では参る。ヴァジュリーラを苦戦させたその力、我に見せてみよ!」
その巨大なボディを見た時からこちらが使う手は決まっていた。
面積の広い体を満遍なく狙うことの出来るこの武器をまず使おうと。
「レイスプラッシャー!」
目にも止まらぬ光の散弾銃がマンダレーラの体のあちこちに激突、マンダレーラの体を後退させる。
「ぬぐぐぐぐぐ…!!」
やはり通用している様子だ。ならば次は…。
そう思っていると、研究所で床に設置していた強力磁石を壁へ投げる。
「どらっしゃあああああああああああ!」」
その巨体を存分に生かした突進攻撃。
避ける方法は…壁を蹴りマンダレーラを飛び越すこと。しかし…
「うぐ…!」
体が壁に引き戻された。思った以上に磁石は強力。そしてそのまま…
「ほああああああ!」
「ああああああ!!」
ぐるんぐるんと高速回転させた腕によって天井へと殴り飛ばされ…
「げほっ」
落ちてきたところを
「ぬんっ!!」
掌を叩きつけ
「がはあ…!!」
壁へ叩きつけられる。
「其方がこの攻撃を避けることはまかり通らぬ。其の武器は確かに強力なり。
 だが其方の命が尽きる方がよほど先であろう!」
今度は最大限に力を溜め…新しいチャージショットのお披露目となった。
「左腕!」
まずは右腕。二重螺旋形のエネルギーの鎖が放たれる。…通常のものより遅い。
「ぬ…?」
「右腕!」
これはまた、普通のチャージショットだ。以前は強化されたものが右腕から放たれていたはずだ。
だが…左腕のチャージショットが右腕のチャージショットを追い抜いた瞬間。

「…何と…」
二重螺旋のチャージショットは単発のチャージショットによって砕かれ…
縦に5つ並び、更に強化されて、速度を増して一斉に光の壁としてマンダレーラを襲ったのだ。
「ぐおおおおおおっ…!!」

怯んでいる間にまたレイスプラッシャーを放つ。
「くぅっ…」
磁石を投げ、またも突進するマンダレーラ。
だが彼の唯一にして最大の、必勝の技であるそれも二度は食らわない。
バリアブルエアダッシュで真上に避け、一度壁について今度はエアダッシュで避け、マンダレーラを飛び越える。そして…
「レイスプラッシャー!」
今度は背中に見舞う光の弾丸。その勢いはマンダレーラを壁へと打ちつけていった。
「ぐおおおおおおおお…!まさか…この我が…敗れるとは………!」

勢いよく向き直る。まだそんな力が残っていたのか。慌ててバスターを構えるエックス。
だが…マンダレーラはそのまま膝をつき、腕を大きく広げ叫んだ。
「天晴れなり、エックス!!」

78俺的アレンジの入ったロックマンX3 8話後半:2009/04/06(月) 23:07:38
敵を称えたその格好のまま、マンダレーラは燃え尽き…散っていった。
「ナイトメアポリスの片割れを倒したか…
 一つの戦法にこれだけの自信を持てるっていうのも凄いと思える。
 エックス。この先にホーネックがいる。解っているな」
「回復は怠らないよ。」


そして最深部にて現れたのはホーネック。
「……ゼロ隊長にエックス隊長…」
「ホーネック…話せるのかい」

「ええ。私は…イレギュラーとなってしまった。報道関係の者たちをこの爆弾で吹き飛ばしてしまった。」
「…全てはドップラーのせいだよ」

「それだけでは…最早済まされない事になっている。」
「………」
「自殺するための方法は全て奪われました。
 せめてもと思い私は、自らの体に備わったこの針とパラスティックボム以外、持っていた武器を全て捨て…
 自ら腕との連結を絶っておきました」
「…いい心がけだ。戦いが楽になる」
「そろそろ…また私は私でなくなる。最後の最後まで…申し訳ない!!」
「謝るなホーネック!!」

その言葉は僅かに遅く、ホーネックは瞳孔から光を失った。
……戦いが始まる。

「針での攻撃は一度狙いを定めたらそれ以降全く動きがブレない。
 逆に言えば狙いを定められた時点で動けば確実に避けられる」
ゼロの言葉通り、エックス部屋の対角線を縫うように動いてきたホーネックの針を難なく避け、
チャージショットを近距離で見舞う。
「パラスティックボムは一箇所から一気に放たれる。
 どうすればいいかわかるな!」
ホーネックの尻からパラスティックボムが放たれる瞬間を狙いチャージショット。全てのボムを巻き込みホーネックを攻撃する。

「パターンが変化したな」
8の字を描きホーネックが辺りを飛ぶ。パラスティックボムが次々とホーネックの周りを囲い、
ホーネックは赤き照準を合わせに入る。
「それでお前をターゲッティングし、パラスティックボムの集中砲火を行うつもりだ!
 何としても避けてホーネックを狙い撃つんだ」

クロスチャージショットを別々に放つことでダメージを稼ぎながらホーネックの照準をかわし続ける。
「行け、エックス!!」

『第0部隊は通称『忍び部隊』任務の途中でこうなることは覚悟の上です
 それに、きっと私が彼でも同じことを望むことでしょう…』
半年前のヒャクレッガーに対するホーネックの言葉を思い出す。

「うぁあああああああ!!」
エアダッシュによりホーネックとの距離を一気に縮め、その一撃は放たれた。
ホーネックの中にある無数のパラスティックボムが一気に誘爆を起こし…
ホーネックは下半身から吹き飛んでいった。


「有難う御座います…エックス隊長。そして…我らが隊長。」
「…ホーネック。最後に言うことはあるか」
「誰も……あの場ではドップラーの洗脳を逃れることは…出来なかった。」
その言葉から導き出される彼の最後の言葉。
「…ここで討たれるのが、私で………よかった。」


「…俺からも礼を言う。…エックス。有難う」
「………俺は何もしてない。…いい仲間を持ってたんだね…ゼロ」

「お前にも居るだろう。」
彼は目をこすり部屋から出てきた一人と…

「俺にも…まだ居る。」
自分の膝の上で寝ている一人を見て呟いた。

79俺的アレンジの入ったロックマンX3 9話前半:2009/04/07(火) 19:44:18
「……マンダレーラが敗れたというのか」
「ああ。情けねぇやられ方してたぜ…なんなら博士にも聞いてみな」

「…………。」
「どうだ、戦う理由が出来ただろう」



寝起きのオペレーターが席につき、伸びをする。

「ドップラーの研究所は見つからないようだね」
「ええ…これからどうすればいいかしら」

ひとまずチェイサーに乗ろうと工場を出たその時。エックスの前に何者かが現れる。

「おい、小僧!」
「お前がエックスか。」
「何だ何だぁ?ガキじゃねえかよ!」
妙な3人組が現れる。

そして彼らを取りまとめる者が空の上から現れる。
「我々はレプリフォース!誇り高き世界最強の軍隊である!」

そしてハンターベースにもレプリフォースの者が。
「ゼロ。妹が世話になっているな……
 ……!? 何をしているゥゥゥゥ!」
「お前の妹が少し働きすぎたようだから寝かせているだけだ。」
「…そういうことではないッ!」

ゼロを担当しているオペレーターは研修生、それはエックスたちも知る所である。
だが、彼女がここに来た理由が、彼女の兄がゼロの親友であったことも一つであったのだ。
彼らは何度か親善試合や個人的な特訓目的で剣を交えており、
その実力は両者とも認めている所であった。

「…ふぁ… に、兄さん……ゼロさん…あれ、ここは…」
「もう起きるのか。」
「? え…ぇええええええ!?」
驚き飛び起きる。
「どうした。エックスが順調にミッションをこなしていたから問題はないぞ」
そういう問題ではなかった。
「俺もそろそろ動くとしよう。ドップラーの研究所を探す。
 それで…お前たちは一体どうしたんだ?」

「ドップラー軍はドッペルタウン以外にも基地を作り、攻撃を行って来ている。
 我々はそれと戦い、勝利し、後は奴を追い詰めるだけになったというわけだ。
 アジトの捜索は陸海空それぞれが団結して行い、災害対策チームも被災者を救助すべく活動している」


「それとは関係ないんだけどよ。入り口にこんなものを見つけたぜ」
レプリフォースの者は青い紙をエックスへ渡す。
「これは…。」
……内容は、エックスにドッペルタウンの空港へ来るようにというものだ。
「差出人は………」

「…どうしたの、エックス。誰からの挑戦状だったの?」
「…実は」


おかしいと思っていた。操られたイレギュラーで構成されているこのドップラー軍において
イーストブロックには、ドップラーの忠実な部下シーフォースが指揮を執っていたが、
ウエストブロックには今の所操られたり問題のある者しか居なかったためだ。
マンダレーラやヴァジュリーラは常に移動する、ドップラー直属の者であるとするならば…。

そしてエックスは空港へ足を運んだ。
「空母のブリッジに居るのね…… それにしてもやっぱり敵が多すぎるわ。」

空港の倉庫の中をミサイル搭載メカニロイド達と戦いながら上へ。
空母内部へと移動し、外では空から襲い来るメカニロイドを撃ち落とし
内部ではエレベーターホールでの戦いを制しながら上へ。

転送装置で呼び出したライドアーマーで暴れていると何やら赤いカプセルが目に付く。
「………パーツのものなら青いはずだし…敵の罠か?」
近づくと開き、ライト博士が現れる。

「エックス。ここではアームパーツの能力を更に拡張する、アームチップを授けよう
 だが…ヘッド、ボディ、アーム、フットの4種のチップの中で
 付けられるチップは一つだけなのじゃ…考えて選んでみて欲しい。」

パーツの機能拡張チップ…今現在手に入れているパーツはアームとフットの二つのみ。
他2つのパーツを手に入れてからでも遅くはないだろう。
ひとまずは保留とし、エックスはブリッジを目指した。


そしてたどり着いた。青い鎧の如きボディで身を固め、立派な角を持つレプリロイドの元へと。
「よお…エックス。いや、今はアンタのことは隊長って呼ぶべきなのか…?まぁ、死んでも呼びやしないが」
「ビートブード。」

ウエストブロックを統括していたのはシグマの最初の反乱以降姿をくらましていた
グラビティ・ビートブード…クワンガーの弟だった。
「俺はテメェを絶対許せないし…かといってシグマの奴も気に食わない。
 ドップラー博士の反乱に乗じてお前に復讐させてもらうことにしたよ」

80俺的アレンジの入ったロックマンX3 9話後半:2009/04/07(火) 19:45:03
「聞きなさいビートブード!…あの時、エックスだってクワンガーを救おうと…」
「いや…彼は間違っていない。
 …けど、一つ聞かせて欲しい。今ドップラーがしていることと…シグマがしていることにどう違いがあるんだ?」
「……うるせぇ」
「君がドップラー軍に入ったことも、復讐を行おうとしていることも俺は別に咎めない。
 けど……17部隊から君がいなくなることで、クワンガーを失った君と同じく悲しんでいる仲間が沢さ…」

「うるせぇええええええええええええ!!」
ビートブードはその怪力で壁を叩いた。
「……うるせぇよ…テメェらみんなウルセェよ!!」
「…すまない。」

矛盾を抱えていること。自分がおかしいことをしていること。…恐らくはエックスが正しいこと。
それら全て…彼は解っているのだろう。けれど……けれど…。気持ちが…最早収まらず、
取り返しのつかない域に来てしまっていたのだ。
「死ねよ…死ねよエックス!!」

腕から空間の歪みを生じさせ、エックスへと力いっぱい投げつける。
ビートブードの能力、バグホールだ。

「俺も全力で相手しよう…」
即座にエックスはカラーチェンジ。バグホールを飛び越えレイスプラッシャーを放つ。
ビートブードは感情に任せ床を踏み、揺らしている。
「食らいなっ!」

マサイダーやタイガードがしたのと同じ硬化。エックス目掛け突進を始める。
エックスは冷静にそれをかわし、クロスチャージショットを放つ。
「ちきしょお……ちきしょお!」

ビートブードの怒りが頂点に達する。ビートブードを中心に空間がぐにゃりと曲がる。そして…

「何もかも吸い込まれちまえってんだ!」
上空に巨大なバグホールを発生させる。辺りのものを全て飲み込まんとする巨大なバグホールだ。

「これに吸い寄せられたら一巻の終わり。早く決着を!」
「つけてやるよ!エックス、お前をその中に放り投げてな!」

再び硬化、地面をガリガリと削り猛スピードで突っ込んでくる。エックスの足元を掬うためだ。

上にはバグホール、下にはビートブード。高さの調整が困難な闘い…しかし。
エアダッシュで回避、こちらも部屋の上部へ打ち上げる技を使った。

「チャージ・レイスプラッシャー!」
光を取り込むブラックホールの如きバグホールとは真逆。
光を放出する強力な光の球が部屋の上へと打ち上げられ…そこから無数の光が降り注いだ。

「…俺の力が効かない…!!」
「…本物のブラックホールは光すら追い出せないと聞くわ。
 けど………半端な闇では光は吸い込めない。
 あなたの生む不安定な闇では…未来のため戦うエックスは超えられない。」
眩い光に包まれ…ビートブードは消滅した。

「…止してくれ。不安定なのは…俺の方だ」


一方、大平原。ゼロはヴァジュリーラと長き攻防戦を行っていた。

81俺的アレンジの入ったロックマンX3 10話前半:2009/04/07(火) 20:58:19
ドッペルタウン大平原の真ん中。
乾いた地面の上で剣を交えるゼロとヴァジュリーラの姿があった。
「そんな剣では俺を倒せんぞゼロ!」

ビームサーベルをひらりとかわし、遠距離から追尾弾や剣撃を飛ばすなどして戦うヴァジュリーラ。
ゼロはダブルチャージでの戦いを強いられるが、剣で跳ね返されたりすることも考え、通常弾とも使い分ける。

遠く距離を取り、二人は長いこと戦いを続けた。

この戦いで浮き彫りになったゼロの弱点。
ゼロの剣は通用しない相手がいるということ。
レプリフォースにいたあの男にも効きは悪かったがヴァジュリーラの場合もだ。

振るうことに全力を注ぐが故、ゼロのサーベルは強くともあまりに隙が大きい。
柔軟な動きが出来なければ戦いは困難になるだろう。

「これで最後だ…ゼロ!」
ビームサーベルをかわすと共に舞い上がり、体重を乗せ垂直落下、剣でゼロを串刺しにしようとするヴァジュリーラ。
だがヴァジュリーラは知らなかった。ゼロにはまだ技があることを。
「吹き飛ぶがいい………アースクラッシュ!!」
ゼロが拳を地面へ叩きつける。
ゼロを中心として乾いた大地が凹み、吹き飛ばされた土が舞い上がりヴァジュリーラを攻撃する。
…はずだった。実際はそうではなかった。

「何?!」
「しまった…!!」
地面はそのままひび割れ…崩壊、巨大な穴を形成。ゼロもろとも深く深く落ちて行ったのだ。
そう…この下には空間があった。


ゼロは何とか受身を取り、ダメージを最小限に抑えた。だが…
「…ゼロ…貴様……」
ヴァジュリーラはそのまま地面に体を打ちつけ、下半身を損傷してしまう。

「さて。聞こう…………ここは何だ?」
大平原の地下空間…そこには巨大な建造物があった。


「エックス。ここではボディパーツを授けよう。これによりお前の耐久力は上昇するだけでなく、
 青きバリアフィールドがお前を守ってくれることだろう」
「エックス。ここではヘッドパーツを授けよう。これによりお前は衛星とリンクし
 行き先の情報を得ることが出来るようになるはずだ」
ここに4つのパーツが揃った。
サブタンク、体力拡張パーツも手に入れ、
今度はライドアーマー改造チップの収集を始める。


「ライドアーマー…カンガルー!」
これはVAVAのものと同じ、強力なパンチが特徴の破壊力特化型。

「ライドアーマー…フロッグ!」
これは水中用のライドアーマーのようだ。

「ライドアーマー…ホーク!」
これはブーストにより飛行可能であり、射撃能力も備えている。


「チップはどれを選ぶべきか…悩むね」
「えーっと…4つの能力ね…どれにすればいいかしら。」
「…………うーん」

決めかねていると…
「エックス隊長、ゼロ隊長!至急ハンターベースへ戻ってきてください!」

待っていたのはケイン博士。
「…ドップラーの研究所が発見された。場所はドッペルタウンのポイントD…大平原の中心じゃな。
 ゼロがヴァジュリーラと交戦中、偶然見つけてしまったそうじゃ」
「……あそこにあったのか…。」
「必ずやドップラーを倒してきて欲しい。それと…少し、調査の結果を話したいと思う」

一方。
「ヴァジュリーラ…やはりお前でも辛かったようだな」
「…申し訳ありません…。」
「脚は修復は出来る…だが完全とは行かんな。戦いは無理だ」
「……肝心な所でお力になれず…申し訳ありません」
「………」
「博士を守るため生まれた私がこの様では最早私に生きる意味などありません。…博士、私を処分してください」
「……戦士としてのお前は死んだ、と申すか」
「はっ」

「……面白い ならば、死んだ者同士、もう一度仲良くしてもらおうか」

82俺的アレンジの入ったロックマンX3 11話序盤:2009/04/07(火) 22:45:34
ドップラー研究所に突入する。そこにはおびただしい数のスクラップがある。
「ゼロさとの合流ルートは上の階よ。メカニロイドの数も多いけど何とか乗り切って!」

そう。ここは敵の本拠地。敵の数も多く、エックスを串刺しにすべくドリルのついた天井が下がるなどの罠も満載。
上の階でもエックスを押しつぶすべく天井が動く部屋があった。そしてそこがゼロとの合流ポイント。


「エックス!俺は後ろからトラップを破壊する。お前はコイツを倒せ!」
「なるほど…こいつはシグマのアジトにいた巨大メカニロイドを小型化して歩行可能にしたものね
 大した攻撃方法は持たないわ すぐに倒せる!」

ミサイル射撃、口からのマシンガン。どちらも問題になどならず、エックスのクロスチャージショットの前に沈んだ。
「エックス。ここはドップラーの奴に改造されたイレギュラーがウヨウヨいやがる。気を抜くな!」

そしてゼロはまた去っていった。
それから下のフロア。スクラップ排出口から、代わりに鉄球が転がるフロアにてオペレーターが口を開いた。
「エックス!その下に空間があるわ、カプセルの反応もする!」
「カプセル…?」

カプセルの色は赤。…意味するものはチップだ
「エックス。とうとうここまで来たか…ここではお前にハイパーチップを授けよう。
 ヘッド、ボディ、アーム、フットの全ての能力を一つにしたものじゃ。
 …だが、このチップは…今のお前には少し無理がある。…90分の間だけしか効果が続かない。
 もしその時間を越えて着用すれば……アーマー自体が崩壊を始める。いや、それだけではない。
 お前の体や精神をも蝕む可能性もある。…考えて使うことじゃ」

アーマーが壊れるのならば過去2回とて同じこと。決着をつける時間が早まったのみ。
…あと90分の間に決着をつける。果たして、出来るのだろうか。
いや、つけるしかない。エックスはひとまずスクラップ場から抜け出しに先へと進む。
そしてスクラップ場の最深部にてするりと着地して現れたのは。


「ヴァジュリーラ…!」
「すでに死んだ俺も、これから死ぬお前にもこの墓場は相応しい。」

ゼロが一度倒した相手だ、新しい力を持った自分ならばきっと…だが。

「全力を出しても俺はゼロに敗北した。
 ならば…新しい力を手に入れたお前には全力以上で相手をしてやろう!」

たん、と地面を蹴り、ヴァジュリーラの体が宙に浮く。
「マンダレーラの仇は、共に討たせてもらう!」

ヴァジュリーラの体が眩い光に包まれ…エックスの視界全てを覆い尽くす。
その真っ黒な中でヴァジュリーラのシルエットだけが黒く映る。

そのヴァジュリーラに何かがガシャガシャとくっつき…一つになっていく。
そして…光の中から現れたものは。


「…その姿は!!」

マンダレーラの首から下が腹、脚となり…
ヴァジュリーラの上半身とマンダレーラの首とが腹で結合。
ヴァジュリーラの頭と胴体の間をマンダレーラの顔が首として融合し…
マンダレーラの背負っていた金の輪はヴァジュリーラの背に注す後光となり。
ヴァジュリーラの顔は……美しき純白の狐の面へと進化していた。

そして人やレプリロイドのものではなくなった声が響き渡る。
「…我こそは、業深き者より生でし鋼鉄の神。
 新たなる存在となった我が力、とくと見るがいい!!」

83俺的アレンジの入ったロックマンX3 11話中盤:2009/04/07(火) 22:46:26
「ヴァジュリーラが変身した… エックス、気をつけて!」
新たなる体を得たヴァジュリーラが剣を構える。
マンダレーラから得た力でその剣は大幅に長くなり、巨体に見合う長剣となっていた。

「跪け!」
ヴァジュリーラは在り得ないほどの速さで剣を振るい、衝撃波を発する。
直径3mほどはあろうかという斬撃が放たれエックスを斬り…壁へ衝突、部屋全体に激震を巻き起こす。

「…くっ…!」
クロスチャージショットをヴァジュリーラへと放つ。だがマンダレーラのボディ部分に当たり、ビクともしない。

壁へと逃げ、上からヴァジュリーラの顔面を狙い撃つ。
「レイスプラッシャー!!」
当たるが…あまり大したダメージにはならない。

ヴァジュリーラはマンダレーラの四肢を前足後ろ足へと変化させている。
その巨大な4つの脚で跳びあがり…ヴァジュリーラの両腕でまたも剣を振るう。
「ああああああああああ!」

吹き飛ばされる。
この部屋の中ではヴァジュリーラがあまりにスペースをとっているため、うまく立ち回りが利かない。
ヴァジュリーラの上半身にマンダレーラの体が用いていた莫大なエネルギーが集中しているのだろう。

「…我が手の中で踊るが良い!」
凄まじいパワーを持ったヴァジュリーラの左手がエックスの頭を掴む。
身動きが取れない…体が吸い寄せられているようだ。…そうだ。これは…
マンダレーラの使った強力な磁力と、ヴァジュリーラの拘束輪の作用。
「うあぁああ!!」

そして天井へとそのまま突き上げる。
「うぐっ…!!」

ヴァジュリーラの眼前まで下ろされるとそこには右腕が。
「!!!」
「哀れなり!」

そのまま右腕が作る拳がエックスの体をそのパワーで壁まで突き飛ばし、エックスの腹を潰す。
「ゴホッ…………!!」

今度は頭を狙うつもりだろう。
エックスは再びバスターを構え、ヴァジュリーラに向かいチャージショットを放つ。
「まだ足掻くか…」

腕を振るい、サーベルでエックスを斬る。
ハイパーチップがなければ死んでいるところかもしれない。
エックスも立ち上がり、レイスプラッシャーを放つ。
そして今度はフロストシールドに変えて、ヴァジュリーラを貫こうとするが…効かない。
そもそも全然ダメージを食らっている様子がない。…そんなはずはないのに。
どれほどの耐久力を持ち合わせているというのだろうか。

斬られながら一発、また一発と攻撃を放っていく。

「これで終わりだ…イレギュラーハンター!」

84俺的アレンジの入ったロックマンX3 11話終盤:2009/04/07(火) 22:47:08
合体してからヴァジュリーラの言葉がここで初めて出た…。
戦いを終わらせるべく、ヴァジュリーラはまたも腕を使いエックスの頭を掴み…
天井へぶつける。
「うぅううううっ!!!」
…そう、怒りに満ちた声だ。
彼は新しい存在でも神の類などではない。仮面の奥で…マンダレーラの敵を取るべく憎しみを燃やし続けている
ヴァジュリーラそのものでしかないのだ。

…ビートブードの暴走を思い出す。彼は一体どうしてああなったのか?
………憎しみに囚われてしまったのだろう。
その深い憎しみに打たれ、エックスは力を失う。
「エックス…しっかりしてエックス!!」
オペレーターの声も届かない。

そしてまたもヴァジュリーラの眼前へ。
そこに通信が割り込む。
「エックス!!何をためらっている…!」
「…ぜ、ゼロ…」

「ビートブードと戦ったのだろう…
 解っているはずだ!奴らは復讐を遂げようとしている以上に…
 憎しみに囚われた自分をも憎んでいるんだ」
「でも…」

「奴を殺すしかないんだ!…仕方ないことだ!
 例えお前が死んでも、これから奴は次々とお前の仲間を、人間を殺し続ける。
 殺せ!…それしか憎しみを終わらせる手段などありはしない!」
その言葉は何より強かった。ゼロにもまた、守りたい仲間がいるから。

力を振り絞る。
「死ね…エックス…!」
右腕が近づく。

「うぉおおおおお!!」
左腕、右腕とチャージショットを放ち、クロスさせる。
クロスチャージショットの完成。

5つの弾が一列に並び、ヴァジュリーラの体へと当たり…狐の面を貫く。
その瞬間、腕がボトリと落ちる。

「……な……なに…?」
力が入らない。動かぬまま、体の各所から煙が生じ、火花が散る。
…ヴァジュリーラは全ての痛覚を遮断していたのだ。
故に、どれだけ攻撃を食らっても…何も痛みも感じず、自分の傷もわからなかった。
自分が…どれほど憎しみを持っていたかも解らぬまま。
二人の戦士は、地獄へと引きずりこまれていった。


「………すまない、ゼロ」
「いや、いい。先へ急げ。俺は上のフロアで待っているぞ」



ここへ忍び込む前のことだ。
「エックス、ゼロ。お前達が倒してきたレプリロイド達の
 記憶チップを抜き出し、解析してみた結果なのじゃが……
 奴はレプリロイドが持つ『特殊能力』に目をつけているらしい」

85いざます ◆AsumiJgBrc:2009/04/07(火) 23:03:03
咲おもすれー
麻雀まったくわからなくても楽しめる

これは久々の原作衝動買いかも

86俺的アレンジの入ったロックマンX3 12話前半:2009/04/08(水) 00:08:58
「俺は先へ進んでいる。ついて来い」

ドップラー研究所の上のフロアへと足を踏み入れる。
そこは破壊されつくした…なんとも痛々しい場所だった。
レプリロイドも装甲を削られ、天井も壁も床もボロボロ。

「ゼロ………」
「俺じゃない!!」

…本気でそう思っていたエックスは、ならば誰がこれを行ったのかと
敵たちの中から考えてみた。


…凶悪な敵がまだ一人居た。VAVAだ。
「その下は足場が不安定よ 飛ぶ方法があればいいんだけれど…」

ここで集めたライドアーマーが成果を発揮する。
「ライドアーマー…ホーク!」

「撃ち落とせえええええ!」
敵を射撃しながらライドアーマーは空を飛んでいく。

更に上まで行くと針の壁が。
カタツムリ型メカニロイドの殻を外し、出てきた棒を足場に上のフロアへと登って行った。

大きな開けた空間の先で…彼は待っていた。



「VAVA…」
「ククク…よく来たなエックス。この俺が最新式ライドアーマー『ブラウンベア』でお前を捻り潰してやる」

ラビット、カンガルー、フロッグ、ホーク。
動物の名前がついたこのライドアーマーの最も強いとされるものは熊だった。
「死ねえぇえエックス!」

ブラウンベアは物騒なその腕をエックスへと向け、突撃をしてくる。
ライドアーマーが変わってもすることは同じ…。
クロスチャージショットを放ち、上方向へのエアダッシュでブラウンベアを高さを稼ぎ、続けて横方向へのエアダッシュで交差する。
これがフットチップの能力だ。

ライドアーマーの攻撃を回避することは容易。そう思い、間髪入れず次の攻撃を追わせる。
「甘いんだよエックス!」

ブラウンベアの腹から何かが発射され、エックスを弾き飛ばす。
…チャージショットだ。ライドアーマーにバスターが装備されたのだ。

またもブラウンベアは腕でエックスを潰しにかかる。
エックスは敵を壁に追い詰めようとする…が。

「面白い機能を見せてやろうか!」

ブラウンベアから何かが放たれる。
回転する小さな筒がいくつも。
「?」

その筒は床と垂直な方向で止まると壁を生成する。
そう…生半可な攻撃では壊れず、ブラウンベアの攻撃では一瞬で壊れるこの壁は
ブラウンベアの餌食となる敵を逃がさないようにするためだけのものなのだ。

「回りくどい戦い方だな」
シュリンプァーの能力、スピニングブレードを放つ。
赤き二つの回転する刃がブラウンベアを刻み…刺さった。


派手にライドアーマーが爆発する。既存のライドアーマーとは比べ物にならない量。
特Aランクのレプリロイドに値するほどだった。

87俺的アレンジの入ったロックマンX3 12話後半:2009/04/08(水) 00:09:34
「そう来なくっちゃあ面白くねぇな…エックス!」

ライドアーマーの残骸の中でVAVAが立っていた。パワーアップ後の前回も戦った相手だ。


「食らいな!」
エックスの体を飛び越すと同時に彼の膝から何かが飛び出る。
床へ衝突すると同時にそれは渦巻く炎の柱となって走り、壁まで追い続ける。
「速い…!」

そう。本気を出したVAVAは自分の武器を改造していた。
本来なら在り得ないほどの速度で走る炎にエックスは包まれた。
「うぁあああ…!」

「そらそら!!」
空中から指のバルカンを放ち、エックスを狙う。
絶えず走ることでこれを回避し、VAVAへスピニングブレードを当てる。
回転する刃が今度はVAVA自身を襲う。

「少し黙ってな!」
跳びあがり肩から強化された拘束弾が散らばる。
「動けない……!」

そしてまた炎の柱でエックスを包む。VAVAは思わず笑みを浮かべる。
「うううぅうっ…!」


そしてVAVAはまた空を飛び、バルカンを見舞おうとする。
だが…エックスはこのときを待っていた。

「チャージ・スピニングブレード!」

バスターから棒を射出、先端から巨大なチェーンソーが生成される。
「ま、まさかお前…!!」
「食らええええええええ!」

刃がエックスの周囲をぐるりと回転し…
軌道上にあるVAVAの股から左肩までを深く深く斬る。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


そのまま落ちてきたところに…
「チャージ・ドリルファング!」
エックスの腕そのものがドリルに変化し…
VAVAにそのまま突進していく。
「エックス、キサマアアアアアアアアアアアア!!!!」
スピニングブレードによりバッサリ斬られた傷をドリルで広げる。
VAVAの体全体にヒビが広がり、砕け始める。

VAVAは最早動けないまでになっていた。
エックスは右腕の螺旋状のチャージショットをVAVAに当てる。
だが…VAVAも諦めない。

肩に大量のエネルギーをチャージし……痛みに体を引き裂かれそうになりながら
エックスを焼き殺す準備をしていたのだ。

「これで最後だ!!」

二人が声を合わせる。
エックスはVAVAへ跳びかかり、その右肩の砲身へとバスターの口を合わせる。
VAVAもそんなエックスのバスターの口へと砲身を向ける。
そして…

「うぉおおおおおおおおお!」


VAVAは肩を中心に円形に、胸までが大きく奪われる形となった。
原型を留めていない、かつてないまでの酷いやられ様。
機能そのものが停止しそうになりながら。
「これで…終わりと思うな……」

エックスは腕を下ろす。

「お前を殺すまで、俺は地獄から…何度でも…」


エックスは黙って見つめる。

「よ…み…が…え…っ…て」



「…………や……………る……………」

ぴくりとも動かず。静かにVAVAの体に火がついた。




「…レプリロイドの特殊能力を…ですか?」
「うむ。どうやらドップラーは、それを集めて
 『究極の戦闘用レプリロイドボディ』を作ろうとしているらしいのじゃ」
「究極のボディ…!?」

88俺的アレンジの入ったロックマンX3 13話前半:2009/04/08(水) 00:56:24
ドップラー研究所の上層。厳重なセンサーによる警備が強いられ、
いよいよもってドップラーが近づいてきたことを確認する。

扉を潜った先は9つのカプセルが待ち受ける。そのうちの一つはアイテムカプセルだ。
残り8つが一体何を意味するかは…容易に想像がついた。

復活した8人のレプリロイドをそれぞれに対応した武器で制し、
エックスはいよいよもってドップラーの前まで来た。



「…究極のレプリロイドボディ…ドップラーがそんなものを」
「…ドップラーは戦闘用レプリロイドではない。
 だから、ドップラー自らが使うためにそれを作っていると…思っていた。
 だが…どうやらそれは間違いらしい。
 ドップラーは…誰かに命令されそれを作らされているらしいのだ。」



「…ようこそ、エックス君。我が側近を倒しここまで来るとは…流石だな」

研究所の最深部。背後に巨大な謎の装置の見える部屋に、彼はいた。
「ドップラー……!」


「エックス君。君のその力は実に素晴らしい…
 どうだね…」

ありきたりな台詞をエックスに投げかける。

「私の元で動く気はないかね?
 私の右腕となって、…我らと共に『シグマ様の下で』世界を平和へ導こうではないか」

そう。ドップラーにボディを作らせていたのは他でもない。
シグマだったのだ。
「黙れ。お前も、シグマの計画も…ここまでだ!」

「フン…ならばお前には消えてもらう他ないな…
 さらばだ、エックス!シグマ様のボディパーツとなるがいい!」

白衣を脱ぎ捨て、ドップラーが自らを改造し作った戦闘用ボディを露にした。

「食らいたまえ!」
指から大きな電撃球を生成、エックスに向かい飛ばしてくる。
1発、2発、3発。
単純な軌道のその攻撃の回避は容易。
続けて空へ飛び上がるドップラー。腕から高熱のバリアを生成し、エックスに向かい突進してくる。
軽々と回避しチャージショットを撃つ。

最早敵ではない。降りてきたタイミングでもう一度クロスチャージを放つ。だが…

「ははははは、甘いぞエックス!」
緑色の何かを両腕の間に作り出し、クロスチャージを吸収する。

「さぁ私の番だ!」
ダメージがみるみる塞がっていく。

「私の回復力と君の戦闘力、どちらが持つか…いい勝負になりそうだよエックス君」



攻撃されては回復され。戦いは長引くがドップラーは一撃たりとも食らわせることなどできず。
ドップラーはクロスチャージの前に敗れていったのだった。

体がスクラップと化したドップラーは呟く。
「…よくぞ…私を倒してくれた、エックス君」

「………正気が戻ったんですかドップラー博士!」
戻ってきたドップラー博士に対し敬語に戻るエックス。


「君にも、ゼロにも、部下達にも、招待客にも、世界中にも…私は大変なことをしでかしてしまった…。」


だが謝罪より聞きたいことがある。それはドップラーもわかっていた。
「……シグマは……悪性のコンピュータ・ウイルス…『シグマウイルス』なのだよ。
 奴は…私に作らせたボディで…世界を襲うつもりだ…」

「そのボディは一体どこに!」
「アレは…地下ある。…頼む、エックス君……シグマの手に渡る前に…」
「はい……。解りました!」

89俺的アレンジの入ったロックマンX3 13話後半:2009/04/08(水) 00:58:01
地下室。シグマの入ったカプセルが目の前にあるが、恐らくシグマ自体は目覚めていない。
「エックス。俺はこのまま、ドップラーの研究室へ向かう。お前はシグマのボディを破壊しろ!」


「ゼロさん…大丈夫ですか?エックスさんにシグマの相手を任せても」
「俺も後で加勢するつもりだ…それと、やっぱりさん付けも堅苦しくて好きじゃない」
「…ではやはりゼロ隊長に?」
「…それはもっと要らん。…呼び捨てにしろ。エックスに対してもな」
「ええええっ…!?」


エックスは縦穴を登っていく。だがその瞬間…カプセルが割れる音がした。

嫌な予感をしながら、ボディの安置されているはずの場所へ行くとそこには。
「やあエックス…また会ったな」

2度死んだ男の姿がそこにあった。
蜘蛛のような飾りを背負った、目覚めたばかりのシグマがそこにいた。
「ドップラーを利用しここまで来たが…お前のせいで全て台無しになったよ。
 やはり、レプリロイドの進化を賭けお前とは戦う運命にあるようだ…行くぞ!」

今回のシグマの武器は火炎弾と盾だった。
上下に癖のある弾道を持つ火炎弾を撃ち分けるシグマの攻撃を避けてスピニングブレードを放つ。
「何っ…」

跳びあがり、真下へ向けて炎を撃ち続けるがこれも隙がある。スピニングブレードで追撃。
「おのれ…!」

盾を飛ばし、エックスを刻もうとしてくる。だがその程度の攻撃は効かない…
チャージショットを盾が戻る間に撃つ。

「貴様、どこまで私をコケにすれば済む!!」
壁に逃げるエックスに今度は8の字を描くように盾を飛ばす。
だがこれも避け…

「チャージ・スピニングブレード!」
円形のチェーンソーはシグマを頭から真っ二つにしていった。

…シグマは毎回の通り、魂が抜けたかのようにして消滅していった。
…実際、このボディからシグマ本体たるシグマウィルスが抜けていった後なのだろう。



「………ククク。これで終わりと思うなエックス。
 ドップラーに作らせたこの、究極のレプリロイドボディの力…今ここで見せてくれるわ!」

90俺的アレンジの入ったロックマンX3 14話:2009/04/08(水) 01:23:48
「エックス…まさかこんなのに勝ってしまうなんて…」
戦いはかなりの激闘となった。
だが決め手はアームチップの力、クロスチャージのストック。
これにより、次から次へと連射されるクロスチャージで究極のボディを持ったシグマを圧倒することができた。
「シグマ…諦めろ。お前はもう俺達の敵じゃない。」

「…まさか…こんなはずは!!!」
明らかに焦っているシグマ。
再び、以前のようにワイヤーフレームだけのウィルス体でエックスの前に現れる。

「…ええい、ならば…お前の体を私が乗っ取り、再び世界を手に入れてくれる!!」

噴出した炎に飲み込まれる研究所の中、シグマはエックスを追い始める。
炎に飲み込まれないようにしながら、シグマに乗っ取られないようにしながら。
全力で逃げ続けるエックス。

一本道をどんどん逃げ続けるが…
「しまった…行き止まりだ!!」
「道…道は…ないわ!!」
壁を叩いてもどうにもならない。一体どうすればいいのか……

「今です、ゼロ!」
その瞬間、天井に穴が開き剣を振り、彼は現れた。
「ゼロ…どうやってシグマを…!?」

「待たせたな、エックス…。
 どうだ、シグマ。ドップラーが開発したシグマウィルス用抗体の味は!」
「ゼロ…貴様…またも!
 ぐあああああああ!!!!!
 …き!消えていく…!私の…!データ…が…!」

シグマウィルスが歪み、消滅していく。
透明なシグマの顔が…歪んでいく。
「さ、脱出よエックス!」


大平原へと降り立ったエックスとゼロは遠くから燃え盛るドップラー研究所を見つめる。
エックスはそして…目を閉じる。
あの時のことを思い出していた。


「シグマ隊長、何を!」
「ぐあああああああ!」
「どうしたエックス!私を撃って見ろ…さぁ!」
シグマはゼロの頭を持ち、彼を持ち上げている。

「さぁよく狙え!さもなくばゼロは死ぬぞ?フハハ、フハハハハハ…!」
第17部隊隊長シグマが豹変した日のことだった。

「エックス。この世に…犠牲のない進化など…」
…この先は思い出したくもない。

エックスは引き金を引くのをずっと躊躇っていた。
人質を取られると自分は弱い。殺してしまうことばかり考えて。

…事実、そうである。同僚のハンターが巨大メカニロイドに捕まった際、
エックスは撃てなかった所をシグマ隊長が攻撃したのだが…人質は死ななかったにせよ無事ではなかったのだから。

…ゼロでも無理だったと聞いている。
果たして…今の自分ならそれが出来るのだろうか。
そんなことを…考えていた。


「え…っく…す…」
声が聞こえる…シグマの声だ。
…いつの声だろう。1度目か、2度目か?さっきのことを思い出しているだけか?
いや、違った。

「エックスうううううう!!」
「!」
気がつくと、シグマを斬ったゼロのセイバーに小さくシグマの顔が浮かんでいる。
「ゼロ!ビームサーベルを投げろ!…早く!」
「ああ…!」

シグマの取り付いたビームサーベルを力いっぱい投げるゼロ。
「終わりだ…シグマ!!」

空に向かい放たれたエネルギーの塊の中で……ゼロの剣ごと、シグマは今度こそ消滅していった。
新しい剣など、また作ってもらえばいい。

「…ゼロぉ…。」
安堵するゼロのオペレーターの声が聞こえる。続けてエックスのオペレーター。
「…帰ってきて、エックス!」

「行こう、ゼロ!」
「…ああ」
澄んだ気持ちの中、彼はゼロを呼び…走っていく。
ハンターベースへと……帰っていく。



やがて訪れる…ゼロとの戦いを、今はまだ何も知らないまま。

91俺的アレンジの入ったロックマンX3→4:2009/04/08(水) 02:08:29
「………………。」
夕方のハンターベース。

…そろそろだ。ベッドから起き上がり、シャワーを浴びる。
…そしてスーツ、続けてアーマーを着、髪を束ね、部屋を出て歩き始める。

ドップラー軍との戦いからもう1年半が経過した。
自分が居ない間に、エックスとゼロと…
あの時の研修生オペレーター・『アイリス』はまた一つ事件を解決したらしい。
ラグズランド島での、ベルカナと呼ばれる女性科学者との対決だったという…
『イレイズ事件』。
シグマはその事件で復活してしまったといわれているが…
…今はとりあえずは平和。
もう平和を守るのはイレギュラーハンターだけじゃない。レプリフォースもいるのだ。


それはそうと…。ハンターに就職することとなった彼女は挨拶をすべくエックスの帰りを待っていた。
この日もハンターベースは多忙。イレギュラーは尽きることがないからだ。

もうそろそろ帰ってくるだろうか?
ロビーで待っていると…来た。
「エックス?」
「…ああ、オペレーターか。また遊びに来ていたのかい?」
疲れた様子のエックスが歩いてきた。


「…私ね、明日からイレギュラーハンターの正規オペレーターをすることになったの。
 今日は…、その挨拶。」
「へぇ…そうなんだ」

「…あら。ゼロは?」
「ああ。ゼロ?ゼロならアイリスと一緒にいるはずだけど。」

会話に耳を傾けてみる。
「新しいビームサーベルなの?それ…」
窓際に座り、アイリスがゼロの隣で話している。
「ああ。ゼットセイバーだ。
 ビームサーベルと比べ軽量で扱いやすい。威力は格段に落ちるが…これで思うとおり動ける」
「で、でも凄く危険そう…」
「オペレーターのお前が心配しなくてもいい。」
セイバーを収めてゼロが言う。
アイリスは実の所新しい剣など眼中にない。うっとりとゼロを見つめていた。

…それにしても目立つ部分がある。
「アイリス…あの子、なんだか成長したわね」
「そうだね。落ち着きが出てきて。彼女無しではイレイズ事件は辛かっただろうね」

「…いえ…そうじゃなくてね。…やっぱりゼロは女の敵ねって話」
オペレーターの視線はアイリスの胸部だった。それが何を意味するか、彼女には想像がつく。
「…そうかなぁ。」
「私にとっては十分イレギュラーよ」

「そうそう、話を戻すけど、担当は出来れば………。」
「ああ。新しい子を担当してくれよ。君に担当してもらえば俺も確かに安定はするけど、一人で大丈夫だし。
 君のオペレーションの腕で、新しいハンター達を育ててあげてくれ!」
にこやかにエックスは去っていった。
「…………」

続けてケイン博士の元へ。
…以前から気になっていた事を相談するためだ。

「…おお。君か………」
生命維持装置の繋がるケイン博士のベッド。
「ケイン博士、お久しぶりです」

「……ハンターへの就職が決まったそうじゃね…おめでとう……」
「……いえ。 …少し、お聞きしたいことがあってお伺いしました」
「…エックスの、事かね。」

ケイン博士には解っていた。

「……ロックマン・エックス。」
その単語にケインがニヤリとする。
「…カウンターハンターのサーゲスが使っていた言葉ですよね。
 …心当たり、在りませんか」

「…君は、全てを知りたいのか」
「………はい。」

「よいだろう………
 私も、もう長くない………君に、昔話をしよう。私の知る…エックスのこと…。 そして、シグマとゼロの事を、な」

92俺的アレンジの入ったロックマンX4 1話:2009/04/08(水) 03:04:25
「ゼロ、倒せ…アイツを!ワシの敵…ワシのライバル!ワシの…… 生き甲斐!」

老人の声で目が覚める。ここの所、ずっとその夢が続いていた。
「……またあの夢か」
ゼロは呼び出し命令を聞き、司令室へと向かっていった。

「空中都市スカイラグーンにてイレギュラーによる破壊事件が発生。
 暴れているメカニロイドはレプリフォースのものであるという噂があり……」
レプリフォースが…?
そんな筈はない。そう思いながら、ゼロは現場へ向かうこととした。


遡ること5分前。
スカイラグーンでの異変を最初に聞きつけたハンターが
いち早くスカイラグーンへとたどり着いていた。エックスだ。
「スカイラグーンと言えばゼロとアイリスのデート先だとよく聞いていた…。」

綺麗に整備されたスカイラグーンの外部通路を進んでいると突如としておびただしい数のイレギュラーがこちらへ向かってきて、
爆弾を投下して飛び去っていく。

これがレプリフォースのものなんだろうか。
その先で巨大メカニロイドと格闘し、退けた末にエックスはスカイラグーン内部へと侵入していく。
メカニロイドを退け、動力室へ。そこには…14部隊のハンターがいた。
「ドラグーン!どうしてここに…!?」
「エックス!ここはもう無理だ…事情は後で説明する!今はお前も逃げるんだ!」
「くそっ…!」
スカイラグーンは地上へと落下してしまう…エックスはとりあえず避難することとなった。

スカイラグーンが落下してすぐ。その下敷きになった町に急行した一人のハンターの姿があった。ゼロだ。

「まだ生存者がいるかもしれない…クソッ、レプリフォースを騙るなど許せん…!」
地形がまるまんま変化したその町は最早火の海…。
イレギュラーが破壊の限りを尽くし、歩けば瓦礫が上から降ってくる。
愛刀ゼットセイバーでイレギュラーを切り刻む。
飛んで一撃、走って一撃。素早く敵を斬りながら先へと進むと…そこには。

「アイリス!」
道路で倒れている少女を発見する。ドップラーの事件でゼロを担当したオペレーターでもあった…
レプリフォースのオペレーター、アイリスだ。
「大丈夫か、しっかりしろ!」
「ゼロ…急に巨大なメカニロイドが襲ってきて…。」

「…解った。お前はここで待っていろ。イレギュラーは俺が倒す!」
アイリスを庇っての戦闘。
そこにはエックスがスカイラグーンで倒しきれなかった巨大イレギュラー・イレギオンがいた。
強力なイレギュラーのようだ。
爪で攻撃したり、口からビームを吐くなどして攻撃してくる。
だがゼロの敵ではない。こまめに近づき、胸部へとダメージを与えていき…
すぐにイレギオンはゼロの攻撃の前に沈んでいった。

93俺的アレンジの入ったロックマンX4 1話後半:2009/04/08(水) 03:05:53
アイリスは保護され、安心かと思われた時…駆けつける者がいた。
共にドップラーとの戦いに尽力したレプリフォースの最強の男…アイリスの兄、カーネルだ。

「ゼロ!アイリスは何処だ!」
「アイリスならさっき俺が保護した…お前はどうしてここにいる。
 これはレプリフォースの仕業なのか?」
友の言葉にカーネルは声を荒げる。
「お前、何を言っている!?私はアイリスを救出しに来ただけだ!
 我々とてたった今到着したばかりなのだぞ!」
「…実はお前達にイレギュラーの疑いがかかっている。
 武器を捨てて、同行してもらいたい」
その言葉にカーネルは激昂した。
「ふざけるな!!武器は軍人の誇り…!捨てるくらいならば死ぬ方がマシというものだ!
 イレギュラーと呼ぶなら勝手にするがいい!さらばだ!」
「待て、カーネル!」
カーネルは姿を消した。
「…クソッ、このままではレプリフォース自体が本当にイレギュラーと認定されてしまう!」


そしてスカイラグーンの事件の翌日。世界中に中継されたのは…世界最強の軍隊・レプリフォースの独立宣言。
レプリロイドだけの国を新たに作ろうという、レプリフォース長官ジェネラル及びカーネルの言葉であった。
「……………。」
「兄が、独立を宣言しました…」
「知っている…。保護された身のお前はともかく、他のレプリフォースとは戦うことになるかもしれんな…」
「…そんな!やめて、ゼロ!お願いだから兄さんとは戦わないで!」
「…出撃する」

一方エックスもまた、その様子を見ていた。
「大変なことになったデシね隊長…」
エックスの目の下に、小さな男がいた。
黄色いまんまるいボディに愛嬌のある憎めない顔立ち。
「17部隊のハンターか。お前、名前は?」

「ダブルデシ!エックス隊長、宜しく頼むデシ!」
「ダブルー、貴方は早く情報の整理をお願いね」
ダブルを担当することになった、オペレーターの声が聞こえてくる。
「…それにしても大変なことになった。
 イレギュラーハンターとレプリフォースの戦いか…」

後にレプリフォース大戦と呼ばれる戦いの火蓋は、こうして切って落とされたのだった。

94俺的アレンジの入ったロックマンX4 2話前半:2009/04/08(水) 23:05:10
ハンターベースの中が慌しくなってきた。

シグマについていったもの、洗脳を受けたもの…。
イレギュラーハンターはあまりに多くの実力者を失っていた。
世界の頂点たる英雄・エックスとゼロは居るもの…
彼らの体は残念ながら一つしかないのである。


「ダブルといったか。レプリフォースの情報は集まっているか」
「は…ハイ。これがレプリフォース内の実力者のリストデシ」

ダブルから手渡された資料に目を通すゼロ。
「…なるほどな。オペレーターを呼べ。出撃する」


突き抜ける青空。生い茂る緑。
虹のかかるジャングルの滝の上に立つゼロの姿があった。

「ではゼロ、これからは私がオペレーションを勤めます
 ここでは半漁人型の戦士レプリロイドが主力となっているようです。武器は槍…近距離戦になりますね」
「問題ない。全て俺が切り伏せるのみだ」

滝から飛び降り、川に沿いメカニロイドとレプリフォース兵を破壊していく。
「…カプセルがあるな。だが俺では開かないだろう…エックスに後々来させよう」

滝を流れる流木を乗り継ぎ、半漁人兵の待ち構える中滝を登り…
いよいよ森林内の基地への入り口が現れる。
「邪魔だ…」
兵を連続で斬りつけ、続けて扉を破壊。
トンネルの奥へと進んでいく。

光が差し込んだ先は…
「大分森の深くまで来たようだな…」
「蜂型の迎撃メカニロイドや蛇型の追尾メカニロイドが目立ちます。」
「近距離で何とかできる俺には打ってつけというわけか」


高さは問わずに目の前に現れたら即切り刻む。
チャージショットを多用し、対処までに時間のかかり上下からの攻撃に弱いエックスには向いていないだろう。

緑が揺れ、葉が落ち…基地内に入ってすぐに敵は姿を現した。
レプリフォースゲリラ部隊隊長だ。

「…久しぶりだなスパイダス」
「へっ…優先的に俺を倒しに来たってワケかい、アンタは」

そう。スパイダスは元イレギュラーハンター第0部隊隊員だ。
かつての部下を真っ先に止めてやるのが上司の務め…

ゼロはすぐさまセイバーを構えた。
「アンタに何を言われようと、俺はレプリフォースを信じさせてもらう!
 ここを通すわけには行かんのだ!」
ゼロが飛び、スパイダスの胴体を一閃。
「ぐえええ!」


「シャッシャッシャッシャ!」
糸を巻き取り、緑の中に隠れる。
やはりサーベルと違い効きが悪い。

「それええっ!」
素早く落下、それと共に蜘蛛の巣を吐き出す。
ただの糸の塊ではない。敵を痺れさせる電流網『ライトニングウェブ』だ。
勿論捕まりはしない。

敵を誘導する性質を持つそれを飛び越えると同時にスパイダスの背を斬りつける。

「うげえええ…!」
スパイダスがまたも体から直結した糸を縮ませて逃げる。
次に来る手も予想している。彼は用意しているのだ。

「焦っているか?
 …全力で来い、スパイダス。悔いの無いよう戦え」

95俺的アレンジの入ったロックマンX4 2話後半:2009/04/08(水) 23:06:31
スパイダスは少しの間を置いて落下してきた。
巨大な蜘蛛の巣で部屋を包んで。

スパイダスが自由自在に動ける場が出来上がった。
「行けぇえ!」

尻のハッチが開き、子蜘蛛型爆弾が射出される。
だが地上に落ちるまでもなくゼロはそれをスパイダスもろとも斬る。

「ぬ…ぬうう…!!」

スパイダスの顔から余裕が消えていく。
どうした。それでも元忍び部隊の者か……とは言わない。
追い詰めるだけだからだ。

罠を張り、戦闘では攻撃してすぐ逃げるヒット&アウェイ。
自分の有利に進むよう努力したのはゼロも認める所であった。
「く、くそぅ!!くそぅ!!!!」

ライトニングウェブを撒き散らす。
一発を避けて斬る。また一発避けて斬る。

ゼロも勿論容赦はしない。


そして…
「無念ーーーーーーーーーー!」

スパイダスの体が燃え尽き、蜘蛛の巣に引火。巨大な灰が出来上がった。

96俺的アレンジの入ったロックマンX4 3話前半:2009/04/09(木) 00:30:37
「やっと会えたか、エックス。
 ここではお前を更に覚醒させるフットパーツを授けよう」
いつものようにライト博士がエックスに遺したメッセージを再生する。

「それにしても、戦いがとうとうまた始まってしまったな…
 この戦いは、起こってはいけない戦いだ…早く終わらせるべきだ。」
……何かがおかしい。
ライト博士のホログラフィが…現状を知っている?
「………どうした、元気がなさそうじゃなエックス」

その時に気付いた。
「………ま、まさか!! …博士、博士ですか!!」
「…おお。やっと言葉を返してくれたか、エックス。」

初めて実現した、自分の生みの親との対話。
エックスはまずはその疑問を彼にぶつけた。
「…しかしどうして博士は俺の目の前に現れるように?」
「……うむ。それなんじゃがな」

博士は重い口を開いた。
「……お前は私の設置したカプセルをほとんど訪れてくれていたが…
 過去2箇所、お前が訪れなかったカプセルがあったのじゃ。
 アルマージの居た鉱山と…カウンターハンターのアジト、北極点じゃ」

…なんだってそんな所に。
「修行を積んだお前のためにと、厳しい条件を課した上で現れるよう細工をしておいたんじゃ。
 …じゃが。…居るものなんじゃな、それをこなす者がこの世にお前以外に。」
ライト博士の口から驚くべき言葉が。
「待ってください。それじゃあ…つまり、俺以外の誰かが修行を積みカプセルを開け…パーツを手に入れたと」
「いや違う…私がそのカプセルでお前に渡そうとしていたのは知識じゃ。
 私からお前に、ある技のヒントをな。…つまり、ワシの技を覚えた者が二人、世界のどこかにいるということになる。」

「二人…」
「だから私は、こうしてお前の顔を直接見てパーツを渡すことに決めたんじゃ。
 …お前とはそろそろ話をする頃と思っておったしな」
「……お会いできてよかった。」
「また、会えるじゃろ。この話はここまでじゃ…パーツを受け取るがよい」
エックスは新たな力を得て次のミッションへと進む。


「兵器製造はここでも行われていたか………。
 すまないな、バッファリオ。戦いは…まだ終わりそうもない」

極寒の中、自らが氷像となったバッファリオのスクラップを見上げて呟く。
そう、彼はレプリフォースが引き取り、こういう形で墓標としたのだった。
イエティ型レプリロイドの警備を強引に突破し、吹雪の森の中を進んでいく。
すぐに崩れる氷の橋を走り渡り…

たどり着いた場所は氷の洞窟。
「これは長丁場になりそうだな………」
レプリフォース基地の入り口を守る大きな一つ目のメカニロイドは氷を纏って攻撃してくる。
ツララを落としたり、氷を飛ばしてきたり、爪の形になり刺そうとしてきたり。

長い戦いの末それを撃破したエックスは、基地内へと入る。



基地の中は人工氷のバリケードで来訪者を阻んでいた。
懐かしきメットールなども蹴散らしつつ、切り崩し先へと進んでいく。

開けた通路に出たが…何かが怪しい。
「?」
ふと見るとそこには鳥型メカニロイドが飛来してきて…何かエネルギーを溜め始めている。
「まさか…!!!」

そのまさかだった。鳥は冷気を放ち、一瞬にして部屋を凍らせ、戦いづらい環境へと作り変えてしまうのだ。
とはいっても範囲は割りと狭く、一度に全てを凍らせることはできない。
鳥型メカニロイドを優先的に倒しながら先へと進んでいくと…

冷気から発せられた霧が床に溜まった開発室で待っていたのは以前出会ったレプリフォースのレプリロイドだった。
「…キバトドス。勝負だ」

「ヘッ、あのときのガキか!根性叩きなおしてやるぜぇ!!」
冷気を吐き、左右の拳を突き合わせ、自分のパワーをアピールする。



事件はレプリフォース関連のみでは決してない。
バイオ研究所でのイレギュラーの暴走鎮圧を担当したのはゼロだった。
「長い螺旋階段だな…」
「今日は月が綺麗って聞いたわ。」
「…それが、どうかしたか」
「そう言えば…ゼロも上のフロアまで行く気になるかなと思ったんだけど…ダメだったかな」

「…いや、意図があってのことなら俺は咎めん。進むぞ」
階段の上を転げ落ちてくるイレギュラー達、壁や天井を容赦なく破壊する、暴走した装置たち。

「床の下にイレギュラー反応が!」
外部通路で蛍型大型メカニロイドを切り捨てて、隣の棟へ。
同じことを繰り返し、巨大エレベーターで暴走する植物ユニットを破壊してバルコニーへ上がると…

97俺的アレンジの入ったロックマンX4 3話後半:2009/04/09(木) 00:31:48
「巨大なエネルギー反応。ゼロ、多分この暴走の犯人よ!」
ぐるんぐるんと回転して落下してきた謎の物体が。…声がする。
2回のバウンドの後、毒を撒いて姿を現した。…レプリロイドだ。

「名前を聞かせろ」
「ボクー?ボクはスプリット・マッシュラムだよー。
 何かね、おじさんに頼まれてゼロって人と遊ぶように言われたんだー。遊んでくれるよね?」
「…ほう。それは誰だ」
「いいから遊ぼうよー?ヒーローごっこしよう。君が悪者ね?」


壁へと飛びつくマッシュラム。腕から自分の分身を作り出し、突進させてくる。
「な…!?」

沢山のマッシュラムが回転し、ゼロを襲ってくる。
「…クソッ…避けられたものじゃない!!」

斬ろうとしても斬れやしない。次々とゼロの体へとぶつかっていく。どうやら実体を持っているようだ。
「ぐうう…」

高く跳び、月をバックに回転するマッシュラム。
レプリロイドを狂わすウイルス入りの毒が撒き散らされる。
「何……を…!」

「どうしたの、ゼロ!」
「…気にするな」
マッシュラムが二人に分かれる。恐らくはゼロの感覚を狂わせて見せる幻覚だろう。
…長いこと戦っていれば自分自身がイレギュラー化しかねない。
誰かさんが好みそうな特殊能力持ちのレプリロイドだ。

ゼロの周囲を高速回転するマッシュラム。
こういったときは迷ってはいられない…重なったところをまとめて斬るのがセオリーだ。

どんどん動きを速める二人のマッシュラムに剣を振るう。
だがマッシュラムはぐるんぐるんと回転、壁を三角跳びの要領で跳びまわり、地面へ落下、毒を撒く。
遊んでいるだけなのに…全く隙を感じさせないこの攻撃。しかも…分身から貰う痛みは本物と来ている。

「…ゼロ、一体どうしたの…」
アイリスにはゼロの動きが全く理解できない。モニター越しなのだから。

…しかしゼロにはそんなアイリスが待ってくれているだけでも、戦いを見てくれているだけでも十分に意味がある。
平常心を保てるのだ。
ゼロは痛みをこらえ…スパイダスから得た技を繰り出す。
セイバーの刀身を消し、体勢を低くし…
一直線に刀身を腕ごと突き出す!!

「あぁああああああああああ!」

雷神撃と呼ばれるこの技はマッシュラムの体を一気に串刺しにした。
「あ!あ!あ!あ!あ!ひゃぁああああ!?」

マッシュラムの毒が無力化され、ゼロの意識が強烈な電撃と衝撃により目覚める。
そして…マッシュラムはセイバーを通した穴を中心に焼け焦げ爆発した。


「……任務完了だ。クソッ頭が痛い……」

一方のスノーベースでも。
「終わったか…。 戻ろう」

98俺的アレンジの入ったロックマンX4 4話前半:2009/04/09(木) 01:28:08
「エックスは…動いているな
 アイリス、悪い…俺は少し休む。具合が……悪い」
「大丈夫!?」
ゼロは真っ直ぐメンテナンス室の扉に入っていった。



「エックス。これ…ゼロがミッションで貰ってきたDNAデータです。」
…半端な言葉遣いだなぁ。そう思いながら
エックスはアイリスからマッシュラムのデータを手に入れる。

「ソウルボディ…か」
手に入れたのは分身攻撃。エックスは次なるミッションへと進んでいく。
「………ついでにこれも借りていこう」



新型ライドチェイサー・アディオンに跨りレプリフォースが活動しているとされる都市地下へと急行する。

「やはり誰かいないと物足りないな」
「…今なら暇デシからオペレーションできるデシよ?」

不安な男が出てきた。
「ダブル!お前は仕事がないなら休んでいていい!」
「先輩が心配デシよー」


しかし思ったとおり、ダブルは当てにならない。
指示がものすごく遅く、ダブルの言った方向が敵の仕掛けた爆弾の場所だったりも度々。
「ゲホッ…ゴホッ… いい。後は俺一人でやるよ…」

バリケードを突き破り、外へ。
外は…港。水上走行へと切り替わる。


「チッ、追ってきたなエックス…!」
ターゲットが現れる。ジェット・スティングレンだ。
「ここで止まってもらう!」
アディオンの追加機能、ウィリー走行により発動する車体下部のビームサーベルでスティングレンの背中をバッサリと斬る。
爆発を起こし、スティングレンは退避していく。


続けてまた敵が現れ、エックスへと射撃を行う。
これもまたうまく回避し、チェイサーに搭載されたショットで破壊。

「クソッ…舐めやがって!」
またもスティングレンが現れた。突進攻撃を見舞おうとする…が。
「もう一発!」
ウィリー走行、そしてビームサーベル。スティングレンは頭をバッサリと斬られた。


「わ、わわ…!」
見るとそこには壁。
「先輩ーーーーー!」

「でぇええい!」
間一髪それを飛び越える。そのまま車体から離れ…壁へと叩きつける。
「…ふぅ」
「それじゃボクはここで仕事が入ったからここまでにしますデシ!頑張ってくださいデシー!」

ダブルは何をしにきたかわからないが…まぁ出来の悪い部下だが面白い奴ではある。エックスはリラックスした状態で
敵の待つ扉を開いた。


「…どこまで追ってくる気だ、お前…!」
「ここで大人しく捕まる気はないか、スティングレン!」
「ふざけるな…ここまでやられて引き下るワケには行くまい。軍の誇りをかけて貴様を倒す…!」

脚からエイ型の機雷を発射するスティングレン。地面を這うこの武器はグランドハンターと呼ばれていた。




一方、ゼロもアイリスに看病されながら着々と回復していた。
「くっ…、お前はそろそろ戻れ。休むにしても俺から離れることだ…感染るだろう…!」
「ダメよゼロ!安静にしてないと…」

そこに、スティングレンとの戦いを終えたエックスが駆けつける。
「何だ…。お前まで来たのか、エックス」
「ゼロ、ゼロ! …実は…」

カーネルが、レプリフォース独立宣言の場所、メモリアルホールで彼を待つとのことだった。
「…なるほど。どの道、カーネルとは戦わなければならない相手だ…。 行ってくる」

99俺的アレンジの入ったロックマンX4 4話後半:2009/04/09(木) 01:29:26
「………まだか、ゼロは。」
「見損なったぞ、カーネル!」

ホールの上部入り口から、ステージ中央のカーネルに呼びかけるはゼロ。
有無を言わさずカーネルに切りかかる。

「今からでも遅くない!クーデターを中止しろ!」
だがカーネル相手には流石に本気にはなれない。

「…断る。」
「そうか…!」

その言葉を合図にカーネルに向かい斬りかかる。
思えば、カーネルがスカイラグーン事件のときに大人しく武器を捨てていれば今頃は…。

自らが斬り捨てたスパイダス。
そしてあの日あの場に倒れていた傷だらけのアイリスの姿。
それを思うとセイバーを握る手にも力が篭る。

「ぬ…!」
「ぐう……!」

レプリフォース最強とイレギュラーハンター最強である両者の力は伯仲…。
交わる二本の剣が悲鳴を上げる。

その時である。
「やめて!!兄さんやめて、ゼロは私の命を助けてくれたのよ!」

兄と、仲間。二人ともアイリスに割り入られては戦いを続けることはできない。
「ここは引こう。だが…次は容赦しない!」
カーネルは去り、ゼロもそれを追うことはしなかった。

「ゼロもお願い!兄さんと戦わないで!二人が戦えば、どちらかが…!」

だが…勿論それをゼロは最早聞くつもりはない。
「…だが。誰かがレプリフォースを止めなければならない。止めなければ行けないんだ。」

ホールの外に向かい、ゼロは歩いていった。…たった一人で。

100俺的アレンジの入ったロックマンX4 5話前半:2009/04/09(木) 02:27:44
スパイダス、キバトドス、スティングレン。
レプリフォースの幹部が次々と倒されていく中、
病み上がりのゼロはエックスに提案をする。


「…レプリフォースとの全面的な対決がもしあったならば…俺はその時はお前に頼みたいんだ」
「…そうか。ゼロはアイリスの所に居てあげないとね」

「………だからお前はそれまでの間、任務より先にお前自身の強化を優先しろ。
 レプリフォースの他幹部は俺が倒す」
「解った。有難う、ゼロ」


部屋から出て、オペレーションルームへ向かう。
アイリスにかける言葉が見つからない。彼女の背中を見ながら黙って立ち尽くしていると…
「ゼロ。」

女性の声がする。ダブルを今担当している、金髪のオペレーターだ。
「…貴方、変わったミッションへ向かう気はない?」



「…ここに…何があるって言うんだ」
「とりあえずこの転送装置にあがってみてよ。大丈夫、行き先は通信が通じるから…」
「俺に行かせる理由は何だ」
「…危険だからよ。とてもね」


転送装置に脚を踏み入れると…いつもと様子が違う。
ゼロの体が光に包まれるのは同じだが…何か違う。

「!?」
いつもはワープするための光だが、今回は違う。
ゼロの体が光に包まれたまま、光の粒になり……

その光が一箇所に集まり、光の球となりそして…機械に吸い込まれていった。



…ついた先は奇妙な空間の中。
コンピュータの内部のような…それでいて、不可思議な物体が蠢く場所。
「うわぁ、凄い…物理原則を無視したような場所ね…」
他人事のようなオペレーターの声が聞こえる。

「そこは…サイバースペースよ。プログラムの世界…電脳空間。
 貴方は今、データに変換されて電子の世界にいるのよ」

なにやら頭が痛い。…マッシュラムのそれを引きずっているのだろうか?
「さて…それじゃ私はここまでよ、後はオペレーションお願いね、アイリスちゃん」
「は、はい…!」

オペレーターが去っていき、アイリスが受け継いだ。
「…大丈夫なのか、お前」
「私、レプリフォースと戦うことは出来ないけれど…そうじゃないなら戦うゼロの役には立ちたいの!」
「…すまない。この世界の仕組みは俺にはわからない…オペレーション、頼むぞ」
「…はいっ!」


あたりをうろつく監視プログラムは黄色い目玉の形をしている。
これはエックスのバスターやゼロの通常のセイバーでは切り刻めない。一発では…。
「空円舞!」
マッシュラムから得た回転斬りでそれを一刀両断、先へと進んでいく。
警備プログラムが正三角形の形をしゼロを襲うがこれもまた斬り、先へと進んでいく。

「…電脳空間での戦いはこちらではどういう扱いになるんだ」
「あなたというプログラムが敵のプログラムをデリートした形になるわ」
「…デリートか。いい響きだ」

敵を素早く倒し、巨大なモニターの前に立つ。ランクS…という表示。
「何だこれは」
「サイバースペースを暴走させている犯人が、侵入してきたものを戦闘能力で振り分けているみたい…。」
「通過基準は…何かあるのか?」
「ランクA以上…みたいよ」

スペアボディを手に入れて更に先へ。
色んなパターンを組み襲いかかるプログラムを消しながら先へ。
3つ目のモニターでランクSを取ったとき、第2エリアへの扉が開く。

第二エリアの重力反転の罠を潜り抜けた先が、サイバースペースの最深部だった。

何もない空間に、何かのフレームが現れ…その姿を画像として表示し始める。
「…レプリロイドが入っていたのは俺だけではないようだな」
「レプリロイドではないみたい。これは…プログラム。暴走しているから…ウイルス!」

101俺的アレンジの入ったロックマンX4 5話後半:2009/04/09(木) 02:29:06
美しい羽を持った美しい顔立ちのプログラムから発せられたのは極太の男の声。…オカマだったようだ。
「プログラム名…サイバー・クジャッカー!多分これが犯人です!」

「マァ、潜在能力未知数なんて驚いちゃうわね」
「………」
「大丈夫、震えてるわよゼロ」
「武者震いという奴だ。……多分」

「悪いけどアタシ、ある人から貴方を抹消するように言われてるのよ…死んでもらえないカシラ。
 お仕置きの時間よぉん♪」


姿を文字通り消滅させる。
「何処にいる…」

「何処見ているの?何処を見ているの?何処を見ているの?何処を見ているの?」

同じ言葉を繰り返し、虚空から現れては消えることを繰り返す。
やや素早いが動きは特別速くはない。敵の動きに対応し、セイバーで着実に斬る。

「これでどうぅっ!」
X字の脚で体勢を低くすると、クジャッカーの翼は剣と化して伸び始める。
「何!」
「ゼロ…!」

サイバースペース上では物理原則は必ずしも通用しない。
ゼロの防御もいとも簡単に破られ、剣が突き抜ける。

「くそっ…」


どこからでも現れ、どこへも消えるクジャッカーは空の上に今度は現れた。
「逃がさないわよっ?」

両手で球を包み込むような形に手を添えると、手と手の間にはフレームが現れる。
それはありえないほどの速さでゼロを捉えた。…照準だ。

「エイミングレーザーよぉん♪」
エイミングレーザー。照準を合わせてそこへ向けて翼を光に変えて飛ばす高度な技だ。
クジャッカーの主な武器は恐らくそれであろう。
「ぬううっ」
問題はその照準よりもその追尾能力。どこまでも追いかけ、ゼロを焼く。

何度も何度も連発するため、ゼロはその度にクジャッカーに近づき、斬ることとなる。
1発の攻撃を当てるために2発の攻撃を食らわなければならない。

ここはデータの世界、奴のホームグラウンド。
クジャッカーはここでは驚異的な防御力を誇るため、長期戦は間逃れられない。
そうなると…ゼロは追い詰められる。

…だが、この攻撃も当たらずに不発に終わることもある。
ただ、それまでに大分逃げ続けなければならないだけだ。

防御を先にした手堅い戦い方ならば勝てる。
そう確信したゼロはひたすら彼を避け、避けながらクジャッカーを斬る方法を取った。


「んもう。諦めたらいいのにっ。しつこい男ってアタシ嫌いよぉ…これでどう!」

痺れを切らしたクジャッカーは姿を消し、今度は羽を剣にしたこの攻撃を行う。
だが…ゼロは上にいた。
「氷烈斬!」

氷を纏ったセイバーが、その重みも加えて一気に床まで落下する。
「あらやだ♪」
プログラム・クジャッカーに爆発のエフェクトがかかる。
彼…女というプログラムがデリートされた瞬間だった。


「……任務完了だ」
「ご苦労様… 大丈夫だった?」
「…面白い場所だ。平和になったらお前も行ってみるといい」

102名無しさん:2009/04/09(木) 23:42:19
あいつのことか?ああ、知っている
話せば長い、古い話だ
グラディウスは3つにわけられる
最後まで楽しめる最高傑作、難易度は高いがマニアに好かれる傑作、
弾幕が展開される最新作だ この3つだ だが、あれは―

ビックバイパーパイロットへ、撤退は許可できない、ゴーファーを倒すのだ
だろうな、パワーアップカプセル上乗せだ!

数年前、グラディウスを巻き込む戦いがあった
グラディウス南半球で大規模な戦闘!上も下もバクテリアンだらけだ!

ビックバイパー、ヴェノム艦へ向かえ!
よう、2P お前のオプションは俺のものだ

彼は「ラーズ18世」と呼ばれたパイロット
ビッグコア接近!レーザーに武器換装、応戦しろ!
次ステージでお出迎えだ

私は彼を追っている
5速は今までより速すぎる!
誘導ミサイルだ!油断すんな!

あの動き、噂に聞いたスコアラーか
初級者には贅沢な時間だな
ここはゲーセン、初心者に時間なし

そして―――スコアラーの言葉で物語の幕は上がる

あれは雪の降る寒いプラントでのことだった

生き残るぞ、バートン!!

103俺的アレンジの入ったロックマンX4 6話前半:2009/04/10(金) 01:06:27
「……ドラグーンが…暴走を?」
「はい。彼を止められるのは今エックスしかいません。お願いします!」

ゼロの報告からサイバースペースへ向かい、ライト博士からパーツを得て帰ってきたエックスが
帰り際にアイリスから聞いたのは…ドラグーンによるハンター殺しと、
レプリフォース側につくと残し逃走した事実だった。

「ドラグーン…俺より早くスカイラグーン事件のときには急行していたくらいなのに…」

マグマード・ドラグーンと言えば、第14部隊の隊長である。
して、その14部隊とは…白兵戦部隊。直接戦闘のスペシャリスト。2年8ヶ月前の…あのシグマの反乱前の時点で、
隊長である彼の戦闘能力は隊長格の中では17部隊隊長シグマに次いで強かったとされている。
もっとも、同じ17部隊所属だったゼロにはやや劣っていたようであるが。

そして彼はそれからもその力を増し続けている。
イレギュラーハンター第三の実力者とされた彼のイレギュラー化は深刻な事態と言える。
…いや。そもそも、現在戦闘におけるイレギュラーハンターはエックス、ゼロと彼しか最早残っていないのだ。
…彼を失ってしまえば最早ハンターはこれからのハンターの成長に期待する他なくなる。


「ここか…。」
「イレギュラーがいなくとも危険な場所。気をつけて下さい」
場所はいつぞやのように火山。炎系のレプリロイドはよく火山で敵を待ち伏せるものだ。
燃え盛る岩が転がったり落ちたり、マグマが足元から噴出したりする。
蝙蝠型メカニロイド、バットンボーンをバスターで焼きながら火山を奥へ奥へと進んでいく。

レプリフォース兵がドラグーンを守るべくライドアーマーでエックスを襲ってくる。
とうとうマグマ溜まりの層までやってきた。
敵がライドアーマーに搭乗していたのはエックスを迎え討つためだけでなく、
マグマの中も歩行可能なその性能があるからだったのだろう。

格闘用ライドアーマー・ライデンに飛び乗りマグマの中を進んでいく。


「来たか、エックス」
ドラグーンだ。

「…何故イレギュラーハンターを裏切った、ドラグーン。」
「聞きたいか? …お前と戦いたかったからだ、エックス。」
エックスは確かに強くなっているが、戦いの度…手に入れたパーツを失っている。
ドラグーンはそれと関係なく、実力を増し続けている。
今ならば或いは、ドラグーンはエックスといい勝負が出来るのかもしれない。
「…それだけのために、裏切ったのか。」

「ここまでしてやっても嬉しそうじゃないな?エックス…」
「当然だろう。数少ない仲間をイレギュラーの道に走らせたのが自分だというんだ」

チッ、と舌打ちをするドラグーン。つまらない奴だ、とエックスを睨み付け、
次の言葉を発する。
「…それじゃ不足みたいだな。」
口元を歪め、呟く。
「なら…… スカイラグーンを落としたのが俺だと言ったら…どうする」

…燃え盛る炎の中で一瞬にして、エックスが凍りついた。
「……何だって」

聞き返す。
「もう一度言ってみろ、ドラグーン」
ドラグーンは易々と言ってのける。
「ああ、そうだ!スカイラグーンを落としたのは、俺だよ。」
そして高らかに笑う。
「ハハハハハハ!最高の気分だったぜ、町があんなに滅茶苦茶になるなんてな!」

体の震えが止まらない…ドラグーンへの怒りで。
そしてドラグーンもまた、震えが止まらなかった。エックスが自分に怒りを露にしようとしている。
これでやっと奴の本気が見られるのだと。
「…お前は」

声がうわずる。震える。喉の奥からひねり出した声を、煮えたぎる怒りを込めたバスターを、ドラグーンへと向けた。
「お前はドラグーンじゃないっ!!ただのイレギュラーだ!!」
ドラグーンのボルテージが最高潮に達する。
「そうだ、その通りだ!お前の力を見せてみろ、エックス!!」

104俺的アレンジの入ったロックマンX4 6話後半:2009/04/10(金) 01:07:38
「さぁ容赦なく行くぜ!波動拳!」
ドラグーンが両手首を合わせ前へと突き出し、熱エネルギーを放つ。
凄まじい威力の熱波がエックスへ放たれる。
それより…今ドラグーンはその技をなんと言った?
「波動拳?」

もう一度放ちながらドラグーンが話す。
「どうやら気付いたようだな!」
カプセルの中でエックスが聞いた技の名前だ。
「昇龍拳っ!!」
前方へと身を乗り出し、炎を纏ったアッパーをひねり出す。
「昇龍拳!?」
この技もだ。
「ああ、そうだ!2つのお前の製作者のカプセルを見つけ、開けたのは俺だ!」

また波動拳を放ちながら話す。
「それほどまでに修行を積むやつが誰かと思ったが…お前だったのか!」
バスターを放つ。
「ぐぉおおっ…!
 だが勘違いしちゃいけないぜ!俺は他人の技を受け継いでそれで満足はしねえ…!」
ドラグーンの昇龍拳をかわす。
「お前が受け継ごうとした技は確かに強力無比!最強の技だったさ!」
壁へと逃げるエックス。
炎の球を指先から作り出し、マグマへと放る。
容赦なくエックスはバスターを当てる。
「だが如何せん威力だけだった!」
マグマの流れがエックスを包み込もうとする。
そして回避。
「放つのにとてつもないパワーを要し」
そこを波動拳をまともに食らってしまう。
1発。
「ボディへの負担が大きく」
2発。
「隙が大きい!」
3発。そして昇龍拳へのコンボ。
「だから俺は負担を少なく作り変えたんだよ!自分の技にな!」

またも跳びあがり、超高速のキックをエックスに放つ。
「ぬああああああああ!!」
「カプセルを開けたときに思ったんだよ、お前に求められた強さ、
 お前がこれから得るであろう強さ!」
口を大きく開ける。
「シグマすら殺したお前と、一戦交えたくなってなぁ!」
圧倒的な炎エネルギーの塊がドラグーンの口から放たれ…通るもの全てを焼き尽くし、溶かし、飲み込む。

「だが…もうそろそろ決着をつけさせてもらう!」
口からマグマの弾を大量に噴射、ドラグーンが体からエネルギーを開放する。
すると炎の弾はまるで隕石のようにエックスの頭上へと降り注いでいく。
「…なんてパワーだ…」
「行くぜええええ!」
隕石に当てられたエックスに向かい波動拳を上へ、下へと撃ち分けるドラグーン。
エックスもこれをかわし、ダッシュ撃ちで対応、素早く距離をとる。
「これで最後だ…!昇龍拳!」
エックスを突き上げるべく強力な技を放つ。
エックスもドラグーンへ向かい跳びあがり…
「!!」
バスターを放った。
「ぐ…うぉおおおおおおおお!!」
一瞬満足気な笑みを浮かべた後、ドラグーンは光に包まれ、自らの体を炎へと変えていった。

上半身だけになったドラグーンを見下ろす。
「…それから俺はどうしても、お前に勝ちたいと願った。
 …どうやらその思いが奴を呼び寄せたらしい」
「…奴? …奴というのは誰だ!」
そして、その言葉に答えないまま…
「ドラグーン!!」
イレギュラーハンターはまた一人、実力者を失っていったのだった。

105俺的アレンジの入ったロックマンX4 7話前半:2009/04/10(金) 02:16:39
「ドラグーンの始末、ご苦労だった。…話は聞いている」

ハンターベースでゼロが出迎える。
「ゼロ。ドラグーンのDNAデータだ。これからまたミッションだろ?」
「すまないな。行ってくる」

今度のミッションはレプリフォースとの対決。
よってアイリスは今回は休みだ。
「ゼロ先輩ー、ボクがオペレートするデシ」
「通信オフ」



今度の行き先は軍用列車。兵器を積んだ長い長い列車の上だ。

「…何々。この先のトンネルの中で積み込みのため停止する…」
ターゲットが居るのはこことは別の列車だ。
兵器をその列車に積み込むべく、一時停止するというものだ。
その間にターゲットの居る列車へ乗り込む作戦。


「ハンターが来たぞ、切り離せ!」
「了解!」
目指すは先頭車両。
レプリフォース兵が前の車両から爆弾を投げ、後ろの車両を切り離しにかかる。
ゼロは前の車両へと跳び移り、敵を倒しながら進んでいく。

「む?」

後方から何かがやってくる。
3つのトゲのついたポールと、その上には砲台。戦闘用車両のようだ。
すぐ近くまで踏み込み、セイバーで切り刻む。難なく車両の破壊に成功すると
列車はトンネルの中に入っていった。

「ライドアーマーか…」
レプリフォースが配備している戦闘用ライドアーマー・ライデン。
これに乗り込み、拳をセイバーへと変形させて突っ込み、殴るような動作で斬って行く。
暫くして停車。穴だらけのレールの上を渡り、敵の居る車両へ。

走り出した列車の先頭車両近くまで来た。…相変わらず誰もいない。
サーチしてみても、先頭車両にエネルギー反応は見られない。

「……………」
どうしようもなく、辺りを見回してみると…
なんと後ろから凄まじい脚力で迫る一人のレプリロイドが。
高く跳びあがり、ゼロの居る車両へあがり、コンテナを踏み潰し現れた。
「お前がレプリフォース陸軍のスラッシュ・ビストレオか」

ホーネックのいた基地でエックスは会ったことがあるとされている。
「ああ、そうだ!小僧、随分俺様の部隊を滅茶苦茶にしてくれたみたいだなぁ!」
「陸軍…カーネルと同じ所属になるようだな。」

これまでセイバーで戦った相手は3人とも特殊な戦い方のもの。
パワー、防御、速さといった純粋な戦闘力の高い者はいなかった。ビストレオは恐らく後者。なので…

「いいだろう。カーネルとの戦いのいい練習になるかも知れないな」
セイバーを抜き、本気の構えになる。
「生意気なクチを利きやがる…!
 気に入った…超特急であの世に送ってやる!」

106俺的アレンジの入ったロックマンX4 7話前半:2009/04/10(金) 02:18:20
「ガアオオオ!」
士気を高めるべく雄たけびをあげる。

高く跳びあがり…体重をかけ、ゼロを踏み潰しにかかる。
「空円舞!」
跳びあがり、縦に回転し荒く切り刻む。マッシュラムから得た技だ。
そのまま、其の技の特性で宙を蹴り用い方向転換。
床に脚をつく。

「ガルルル!ツインスラッシャー!」
雄たけびの後、体を捻り二つの爪を勢いよく突き出し、衝撃波を発生させる。

これも避けて…
「テイ!」
横へ払う一段。
「ハッ!」
斜めに斬る二段。
「トウ!」
上から大きく振りかぶり3段。ゼロの得意技、三段斬りだ。
その3発は素早いビストレオでさえ全く感知できないほどの速さで行われる。

そして素早く飛び越え、次の体勢に入る。
「グァアアアアウ!!」
ビストレオはゼロを噛み千切るべく掴みに襲い掛かる。
「龍炎刃!」
両手で剣を力いっぱいに握る。
そして炎を纏い、高く高く跳びあがり、敵を斬り上げる。
ドラグーンのDNAから得た技だ。

「氷烈斬!」
そのまま今度は氷にセイバーを包み…
体重を乗せて急落下。ビストレオの背を貫く。キバトドスから得た技だ。

「てめぇええ…!」
また吼える。その隙を逃さず空円舞で刻む。

「ウォラアアアアアア!」
「飛燕脚!」
ゼロを貫くべく、腕の爪をビームクローに変え残像が出るほどの速度で猛突進。
ゼロもまた、空の上を滑走する技でそれを回避。スティングレンから得た技だ。
「ウォオオオオオオ!」
その技は往復。すぐさま向きを変えもう一度突進する。
「雷神撃!」
またも回避し、後ろから体勢を低くしセイバーを一気に雷と共に突き出す。スパイダスから得た技だ。


「次から次へと…!!」
ビストレオは列車に追いつけるほどに恐ろしく素早く、
コンテナを一撃で破壊できるほどに強力なパワーを持ち合わせ、
ゼロのあらゆる攻撃にも耐えうるほどに強靭な肉体を持っていた。
だが…その全てを上回っているゼロからすれば、全ては隙の塊。
特殊能力の持ち主でないことが却って裏目に出たのだった。

全ての技を回避、あらゆる技で反撃された。
怒りが頂点に達した瀕死のビストレオはまたも飛びかかる。
そしてゼロも最大の攻撃で迎え撃つ。

「落鳳破!!」
これはクジャッカーのDNAから得たもの…
アースクラッシュを更に強化したものだ。
拳を地面に突き出し、その余りあるエネルギー全てを一気に注ぎ込み…
一瞬にして爆発させる。
巨大なエネルギーの弾が鳥の羽のように辺り一面に散らばる。

反応すら出来ず、ビストレオの体は散り散りになって景色の中へと流れていった。

「…ふむ。カーネル戦でこの動きのどこまでを活かせるか」
ビストレオから新たなる技を習得し、ゼロは去っていった。

107俺的アレンジの入ったロックマンX4 8話:2009/04/10(金) 03:03:31
「巨大空母か……」

大事になってきた。ゼロは次のターゲットの顔写真を見ながら
転送装置へと向かっていく。

「ゼロ。少しビストレオのDNAデータを借りたいんだが」
「……ああ。いいだろう。次の相手にはあの技は役に立ちそうもない」


町明かりが豆粒のように見える。
高い高い空の上に浮かぶ沢山の飛行船の上にゼロは立っていた。
「空母そのものまではこれを乗り継いでいくしかないか…」
飛行船の背に立ち、空母へ近づくべく走り出した。

ふと、ライドアーマーを見つける。
「…レプリフォースはいいものを持ってる」

ホークの能力を強化したライドアーマー・イーグル。
腕からはショットを発射することは勿論、チャージショット、
ホバー、エアダッシュが出来るという優れものだ。エックスが見たら喜ぶことだろう。


「な…!?」
飛行船の船底から、地上へと直径数メートルはあろうかという巨大ビームが注がれている。
あまりに危険。早く空母の指揮官を探し出し倒さねば。

空母の中へ入り、ビーム砲メカニロイドを呼び出す目の形をしたセキュリティシステムを破壊し、空母の甲板へ。


…竜巻を巻き起こしそれは姿を現した。レプリフォース空軍、レプリエアフォースの責任者ストーム・フクロウルだ。
「…ストームとはあるが…イーグリードとは関係なさそうだな」

脚を持ち上げ、腕をあげ、敬礼。その敬礼一つでダァン!という大きな音を響かせ、空母全体を激震させる。
「よくも我々の軍隊を破壊してくれたな。我々を敵に回した報いを受けよォォ!」

小さな体だが戦闘能力は極めて高い。
空を悠々と飛び回るフクロウルを警戒しつつ、素早く近づき空円舞を当てる。

「ハァ!ハァ!ハァ!」
羽をはためかせ、腕からレーザー銃を発射する。見た目ほど速い動きでも、数を連射しているわけでもない。
発光する弾であるため、視覚を惑わしているに過ぎない。
弾のみを見極め、切り刻み…フクロウルへと三段斬り。

再びフクロウルはあたりを飛び回る。
声を出さず、無造作にゼロへと風を放っていく。ただの風ではない。発光体を中心にして風の刃が高速回転している…
ダブル・サイクロンと呼ばれるフクロウルの得意技のようだ。

「フォーッフォッフォッフォ!」
気配を殺して近づき、笑い声と共に急降下。ゼロを掴むつもりだ…。きっと掴まれればその圧倒的なパワーで
床へと叩きつけられることだろう。
すぐに回避、フクロウルのわき腹を龍炎刃で斬る。

「そこだ!!」
フクロウルがダブルサイクロンを連射し始める。気が狂ったわけではない。その証拠に、直線的に動くはずのそれは
一箇所に留まっている…配置しているのだ。

4つのダブルサイクロンが配置される。ゼロを囲うように。
…することは一つ。
何も言わずに翼を動かす。これを合図とし、サイクロンはゼロを刻むべく勢いよく飛ぶ。
「くっ…」
合間を縫って回避、またもフクロウルへ一撃。


「行けぇええ!」
フクロウルが風を巻き起こすと巨大な竜巻が3つ発生、ゼロを巻き上げ360度刻み付けるつもりだ。
勿論そんなものは効かない。発生の前に飛び越し、フクロウルの間近で技を放つ。
「落鳳破!!」
地面を叩き、エネルギーを巻き上げるこの技でフクロウルを焼く。
「フォーー!フォッフォーーー!!」
笑い声のようにも取れる絶叫をあげフクロウルが焼かれる。

「奥の手だ!!」
フクロウルは羽を動かし、自らを中心に巨大サイクロンを巻き起こす。
それは激しく動き、フクロウルの周り全てを塵に変えるだけでなく、フクロウル自体にも近づけない。
攻防一体のフクロウル最強の技だが、ゼロには関係ない。
ゼロなら風の動きにもついていける。風に乗って全てを回避…
「いい勝負だった」
空円舞でフクロウルの羽を捥ぎ、一刀両断したのだった。

108名無しさん:2009/04/10(金) 19:12:15
あいつのことか ああ、知っている
話せば長い そう、古い話だ
知ってるか?焼き肉は3つに分けられる
まだ赤見が残ってる焼けてない奴、ちょうどよく焼けた奴、
黒こげになっていて炭と化してる奴、この3つだ
あいつは―

彼は『生肉の妖精』と呼ばれたゲテモノ食い
『彼』の相棒だった男

よう相棒、いい匂いだ ここから見ればどの肉も大して変わらん

私は『彼』を追っている

あれは雪の降る寒い日だった

『三千里』で大規模な肉の取り合い!
宴会か?どこの会社だ!

―YAKINIKU ZERO―

パパへ、焼き肉店を目前にしての逃走は許可できない
だろうな、お小遣い減りまくりだ

こちら母、可能な限り食べる

タレを混ぜるなら俺の見えないところで頼む

焼き肉の取り合いには謎が多い
誰もが満腹となり、誰もが空腹となる
そして誰がカルビを取ったか、誰が通か
一体、『焼き肉』とは何か

焼き肉屋接近、店内に入って席と肉を確保しろ
金網でお出迎えだ

―THE ROUND TABEL 『円卓』―

―父親たちに与えられた家族との交流の機会―

肉争奪戦だ

上質の肉だ!油断すんな

ハチノスがなんだ!俺が食ってやる!

焼き肉にルールはない、ただ肉を食すだけ
この戦いはどちらか食い終わるまで終わらない

―人は彼らを『焼き肉の騎士』と呼んだ―

受け入れろ、小僧 これが焼き肉だ

―変化する肉―

―変われない消費量―

アメリカの肉が!

食えよ!お父さん!

YAKINIKU ZERO THE FAMILY WAR

―交戦規定はただ一つ、食べまくれ―

食べまくるぞガルム1!

109俺的アレンジの入ったロックマンX4 9話前半:2009/04/10(金) 23:51:20
エックスは準備に追われ、まだ帰らない…。

レプリフォースが宇宙港に集まり始めている。この情報を手に入れたゼロは、計画を変更…
自らがレプリフォース長官ジェネラルを倒しに行くことに決めたのだった。

「待ちわびたぞ、ゼロ」
「カーネル…そこをどけ」
以前から戦いに備え準備はしていたが……あくまで最悪の場合という話だ。
やはり…カーネルとは戦いたくはない。
「…お前が死ねば、アイリスが悲しむ。」
しかしカーネルは聞く耳も持たず。
「甘い…甘いぞゼロ。そんな台詞は私を倒してからにするんだな!」

彼の頭には、戦う以外の選択肢は最早用意されていなかったのだ。
「一度本気で戦ってみたかった。手加減無用だ……… 本気で来い!!」
カーネルが背景に溶け込み、消す。
ゼロの戦闘体勢に入る。抜いたセイバーの刃は紫色…ゼットセイバーの第二形態…天空覇だ。

どこから来る…?
「うぉりゃああああああ!」
ゼロの背後に現れ、思い切り斬りつける。
「ぐっ…!」
紙一重で避ける。
「でええええええええい!」
怒号と共に距離を置き…
「はっ!!はっ!フン!」
真空波を上下に撃ち分けてくる。上へ、下へ、上へ。ゼロにこれをかわすことは容易だ。
「疾風牙!!」
「ムッ…」
ビストレオから手に入れた技だ。ダッシュで近寄り、カーネルの足元を掬うように斬る。
そしてまた姿を消す。
「でりゃあああああ!」
今度はカーネルの斬撃をかわしつつ…
「空円舞!」
カーネルの胸から肩にかけてを斬る。

「まだまだ…!」
姿を消したと思うと天に向かいサーベルを掲げ、180度回転、床に対し垂直に下へと向け…
「これならどうだぁぁぁぁぁぁぁ!」

床へと突きたてる。一定間隔で雷がサーベルから放たれ…地から放射、天へと還っていく。
間を縫ってこれを避け…
「龍炎刃!」
力いっぱいに斬り上げる。

「やるな…」
またも姿を消すカーネル。この技はゼロにとって回避がギリギリのものであると解っているようだ。
だが。
「なっ!?」
「…」
ゼロは背から斬りつけようとしたカーネルのセイバーを振り向かずに受け止めた。

「3度も通じると思ったか!」
そのままカーネルを斬りつけ、反動で間合いを取ろうと…
「お、おのれ…!」
「雷神撃!」
下がろうとしたカーネルを追撃。ここでカーネルの奥の手が発動した。
カーネルの戦い方には特徴がある。地上でしか戦わないのだ。
だが…それが破られた。
カーネルは高く跳びあがり………
地上へとまっすぐに落下。サーベルを振り下ろし、大震撃を見舞った。
「グランドスラァム!!!」

サーベルから離れるにつれ威力を増し、大波となるこの衝撃波。
「飛燕脚」
ゼロは冷静にこれを避け…
「龍炎刃!」
力いっぱいに斬り上げ、上空へと飛んでいく。
「少しばかり距離が足りなかったようだなゼロ!」
当たってはいなかった。だが…それは狙い済ましてのこと。
この技へ繋げるためなのだから。

「氷烈斬!」
セイバーに氷を纏わせ、一気に落下する…カーネルの右肩、腹、右脚へと一気に貫く。
「ぬぐうううううううう…………!!!!!」

…カーネルが膝を突いた。

「…流石だなゼロ。 だが…もう遅い。我々レプリフォースは新たなる国を作り上げる…!宇宙でな!!」
「…待て、カーネル!まだ死ぬのは早い!」
「アイリスに伝えておけ… 兄は満足して死んでいったとな!!」
セイバーを地面に突き立てたまま、高熱に包まれてゆく。
レプリフォース最強の戦士はこうして敗れていった。

「………くっ!」
こうしては居られない…。アイリスの所に戻らねば。

110俺的アレンジの入ったロックマンX4 9話後半:2009/04/10(金) 23:51:52
一方ハンターベース。
エックスはゼロからの情報を聞きつけ、ゼロと交代し宇宙へ向かうこととなった。

「ダブル、貴方は今回の戦いには関係なくなったけれど…
 次の戦いでは実戦をすることになるかもしれないのよ、さあ、ボケっとしていないで働く!」
「すいませんデシー…」
「まずは持ってきてもらいたいものがあるの、技術班、医療班の所からそれぞれ取ってきてもらいたいものがあるの」
「解りましたデシ!」


ダブルは一生懸命だ。ダメながらも走り…そしてまたコケる。
「まーたお前か!まったくダブルはドジだなぁ」
何時の間にか彼は…ダメながらもみんなを和ませる、不可欠な存在となっていた。
だが…そんな日々は一瞬にして終わりを告げる。

「私だ。エックスに来られては困る…やれ!」
「…了解。」



「13人のハンターの現存する残り4人は着々と腕をあげております。
 新型レプリロイドの研究は…5体のうち、4体は順調に進んでおりますが…
 1体は失敗作ですなぁ。処分しておきました。後、そのうちの1体にはまだまだ…時間がかかりそうですじゃ」

サーゲスの言葉だ。
ヘチマール、マイマイン、モスミーノスの成功作3体と違い
まだまだ時間がかかるとされていた特殊レプリロイドの残り1体。

「ああ、解っているよシーフォース。
 リキッドメタルの研究は私もまだまだ進歩の余地があると見ている。お前はいい試作品だった…
 お前の能力を活かし、更なるレプリロイドを私は作り上げよう」

一年半前の…ドップラーの言葉だ。
…ドップラーはこの後、ヴァジュリーラとマンダレーラの融合機能の追加のみをし、
新たなるレプリロイドを作り上げることはなかった。
だが…彼が正気に戻る前。
彼は…シグマにシーフォースの作製技術を渡していたのだ。


「おい、ダブル、どうしたぁ?」
残りの1体を作り上げるにあたりサーゲスを阻んだ壁。
それが…ドップラーから得られた技術により取り払われ…シグマの手によって完成を見たのである。

「ぬぉおおおお……」
彼が目指したのは変身能力を持つレプリロイド。
ハンターベースに難なく忍び込むことが出来、且つエックスを騙し、その懐へ付け入ることが出来る…
今までの3体とは比較にならないほど残忍な内面を備えたレプリロイド。

「うおおおおおおおおおおおお!!!」
人懐っこい「おデブちゃん」の姿と…痩せた長身の、血を求めて止まない真の姿。
二つのボディを持つそのレプリロイドは……

「ぎやあああああああ!」
「うぁああああああああああああ!!」
「エックス隊長ーーーーーーーーーーーーーー!」
「ぬああああああああああああああああああ!!!!」

『ダブル』と呼ばれた。

「どうした、何かあったのか?」
エックスの通信の声だ。
「何でもないデシ、すみませんデシー…」
「ったく。任務のときは必要以外の通信入れるな。切るぞ?」
鮮血に染まるハンターベースの中、間の抜けた声が響く。

そしてそんなことを知らぬ者の声もまた。
「ダブルー?あなたまた他のハンター達に迷惑かけてー。
 全くいつになったら…」
「すいませんデシーーーー!」
「!!!」



「ゼロ!おい、ゼロ!俺だ!」
「…なんだ?技術班の…名前を忘れた。」
「ああ、そこは何でもいい!ダブルが…ダブルが!」


「…ダブルとアイリスが消えた!?…………まさか……人質か!」

111俺的アレンジの入ったロックマンX4 10話序盤:2009/04/11(土) 01:09:33
「………俺は今からこれに突入するのか…」

エックスの目に映るは宇宙に浮かぶ黒き花。
それは…レプリフォースがコロニーを改造して作り上げた…巨大なビーム砲だった。

ファイナルウェポン…最終兵器。
その中にレプリフォース長官、ジェネラルは居るのだ。

宇宙航行用一人乗りシップは一気にスピードを上げ…その中核近くへと突入していった。


「とはいってもジェネラルの居る位置までは大分あるな…流石の警備だ」
敵がひしめく中進んでいくと…


すぐそこに居たのはダメな部下…ダブルだった。
「! ダブル、お前どうしてここにいるんだ…」

彼に駆け寄る。
「実は、先輩が心配で追ってきたら突然レプリフォースの兵士に連れ去られたんデシ」
「…なんだってそんな事が…」
「先輩を探したくて色々聞いて周ってたんデシー…」


…馬鹿な部下を持っちゃったものだ。
エックスはため息をつくが、ダブルを見ていると不思議と心が落ち着く。
まぁ…いいか。

「? ダブル。何かついているぞ」
彼の足元に何か赤いものがこびりついているのを発見する。
…オイルのような。

…それでもエックスは見落としていたかもしれない。
ダブルは戦場に飛び込んできたならばそんなことがあってもおかしくはないと。


ダブルは震えていた。
「まぁ…解るよ。お前死ぬほど怖いんだろう」
死ぬほど笑いが止まらないのだ。

そして震えに身を任せ、ダブルは急速変化を内部から始める。
あと3秒もあればエックスを斬ることができる。

…だがその瞬間。
「エックス、避けてっ!!」
「!?」

オペレーターの声だ。
思わずエックスはその場から跳び退く。

「チィ!」
その瞬間、ダブルは変身を解き、ビームクローで飛び退く前エックスの胸のあった位置に向かい一突きにしていた。

「女ああああああ!
 余計なことをしてくれやがったなァ!!」


…これは…誰だ? エックスは呆然と目の前のレプリロイドを見つめる。
「…レプリフォースがダブルに化けていたのか!?」

エックスのためだ。この際鬼になるしかない。
「聞いてエックス! その敵を…『それ』を倒して!」


ダブルとアイリスが姿を消す少し前。
「すいませんデシーーー♪」
「!!!」
オペレーターに向かいビームクローで胸元を刻もうとするダブル。
だが…
「何するのよっ!」
オペレーターは即座に反応、ひらりと身をかわし…ダッシュで回避。
そしてダブルの背後に回りケイン博士から貰ったある武器で反撃。
…応戦していたのだった。


今、ダブルと戦っているのはエックス。
オペレーターは事実を言わない。ダブルだと告げることでエックスの戦いが楽になろうか。
「コイツは多分ドラグーンを唆した者やクジャッカーを暴走させた者、マッシュラムを復活させた者と
 同じ『誰か』の部下!」

「……待ってくれオペレーター。何を言っているのか解らない」
「解らなくてもいい、貴方にはここで死んでもらったら困るの!」

オペレーターはエックスに一言を刻む。
「目の前の敵を倒してっ!」
「………。」
バスターを向けた。

112俺的アレンジの入ったロックマンX4 10話中盤:2009/04/11(土) 01:11:19
「まぁいい、俺ぁ俺で戦いを楽しむだけさァ!」
エックスに向かい突進する。

「ダブル…お前なのか!?」
小さなチャージショットを1発放つ。
「だからそうだと言ってんじゃねえかエックスよぉ!」

勢いよく天井へと張り付き、床へまっさかさまに落下、
そのままバネのように跳躍、エックスに向かい爪で突き刺し突進する。
「げふっ…どうして…どうして!?」
チャージショットを2発、3発と食らわせる。
「エックス…」

悔しさより悲しさの方が大きい。
「ザマぁねえな!ヒャーーーーーーーッハッハッハァ!」

跳躍と同時に衝撃波を発する。アジールの如き動きだ。
上へ下へ。彼とは比較にならないペースで衝撃波を放つ。
「うあああああああ!!」

「いい顔すんじゃねえか!!
 待ってたぜぇ、貴様を切り裂くこのときをなぁ!!」

再びエックスに爪を向ける。
「…………オペレーター。」
「…何」

「もしかして…コイツ、ダブルなのか」
「…ええ、ダブルに化けた…敵よ」
「本当のことを頼むよ。」
「…」

凄まじいパワーで壁へと激突、激震を巻き起こす。
「…そうなんだね」
「………ええ。」


「そうか。なら…解ったよ」
「地獄へ行ってくださいよ先輩ーーー♪
 …なっ!?」

1発、2発、3発、4発。
目にも止まらぬ速度でチャージショットを放つ。
これがエックスが手に入れた新たなるアームパーツの能力、
「ストックチャージ」だった。

最大4発までチャージショットをストックしておき、好きなタイミングで放つ事が出来る。
新たなる強化のパターンと言えるものだった。

「俺は確かに悩んでばかりだ。けど…それは戦いの後にする!」
フットパーツの効力で宙に浮きバスターを構える。
エックスは…また悩んでしまう。オペレーターの胸中は複雑だった
けれど…戦ってくれるというならばそれを応援するのみ。
「行きましょ、エックス!」


「ダブル、お前を倒す。お前の弱点は…風だ!」
「何っ!?」
ダブルが動揺する。
「白々しいわよダブル」
「え?」

「私も試したもの。解っているわ
 エックス、コイツは貴方を倒すために作られたレプリロイドよ。
 つまり、貴方が弱点を突いて攻撃してくることも計算に入れている!
 ダブルサイクロンは確かに強力よ、ダブルの流体金属の体を切り刻める。
 けれど…彼は斬られたボディをビットとして射出、攻撃のために使えるのよ!」

「つまり…」
「弱点で突くのは相手の思う壺… 残念だったわね、ダブル!」
「どこまでも邪魔しやがって…!」

113俺的アレンジの入ったロックマンX4 10話終盤:2009/04/11(土) 01:11:52
「でも…弱点なしで勝てそう?」
「俺をそう甘く見られても困るよ。…あと一撃で終わらせる」
「…どうやって」
「君はまだ知らないんだったな」
ダブルがまたも突進攻撃に入る。天井に張り付き、天井を蹴り、床を蹴り…。

そしてエックスもまた、そんなダブルに向かい、何故か地面を蹴り、宙に浮き近づく。
オペレーターも理解できない行動だった。


…ロボット史には、こんな逸話がある。

かつて世界を何度も救った青きロボットがいた。
彼の代名詞と言える必殺技は有名なものだ。
だが…それも最初から覚えていたわけではない。彼はその4度目の戦いから使い始めたといわれる。
そして、その技の片鱗は2度目の戦いにおいて、炎を操る強敵から得たものが原型とされる。
偶然似ただけ、とも…言われているが。

それが…現在のチャージショットの始まりといわれているのだ。

…そして、歴史は繰り返される。
2度目の戦いにおいてゼロに勝った技、チャージ・ラッシングバーナー。
フレイムスタッガーから得たその技によく似たその技が…
4度目のこの戦いにおいて初めて放たれる。


22世紀の青き英雄、エックスの…後世に語り継がれる最強最大の技が、今ここに姿を現す。


エックスは光に包まれ…いや、彼自身が光の矢となり…ダブルの流体金属の体を一直線に突き抜ける。
まるで、間になにもなかったかのように鮮やかに。目にも止まらぬスピードで。


それが…『ノヴァ・ストライク』だった。


ダブルは顔だけを残し跡片もなく蒸発していった。
「……ダブル。どうして…信じていたのに」
「ヒャ…ハ…ハ…
 俺は…元からお前を殺すためにあの方からお前の元に…送り込まれてきたのさ…。
 地獄で待ってる…ぜぇ、エックス…!」
「………信じていたのに!」



…しかし、ダブルを倒してもそこにはアイリスの姿が見当たらない。
一体どこへ?


…一方、別の入り口からゼロは侵入を試みていた。全ては、アイリスを救うため。

114俺的アレンジの入ったロックマンX4 11話序盤:2009/04/11(土) 02:28:46
「アイリス!どこだ、アイリス! …クソッ、何処にいるんだ…」
最終兵器は左右対称な作りとなっている。
エックスがダブルを倒したのと全く同じ構造の通路がゼロの向かった側にもあったのだ。

「…だが。…会ったところで俺はどうすればいい。
 アイリスに…何て声をかければいい」

彼はひたすら走り続ける。懸命に…。

そして…彼の目の前にアイリスが現れる。何かを持ったアイリスを。
「! アイリス! 大丈夫かアイリス!」
「…ゼロ」

彼女の目は悲しみを湛えていた。そして…彼は何かを持っていた。紫色の球だ。


「…ロ! ゼ…! ゼロ!」
ノイズ混じりの通信が聞こえてくる。調整し、はっきりと聞き取れるようにする。


「こちらゼロ。…アイリスを発見した。あとはエックスに任せてもいいな?」
「………」

オペレーターは口を開く。
「……ゼロ 貴方に少し…話しておきたいことがあるの。
 同じことがエックスにあったら私はとても話せない。けど…」
「何でもいい、話せ」

そしてアイリスも重い口を開いた。
「ゼロ…兄さんを倒しちゃったのね」
「アイリス…すまなかった。でも…仕方のないことだったんだ」

「もう、後には戻れないのね…?」
「アイリス、…一体どうしたんだ!!」
ゼロの語調が強まる。


「…私は、力づくでもあなたを止めたい。さようなら、ゼロ!!」
紫色の球が宙に浮く。

「……あれは…」
何かもう一つの気配をあの球から感じる。まさか…あの球は。


その瞬間、球から雷が発せられ、アイリスの頭に落ちる。
手を真っ直ぐに伸ばし、体を十字にしたアイリスは目を瞑り、その雷を受ける…
「……どういうことだ」

アイリスを大きな翼を持った紫色の鎧が包み込む。
そして…正八方体の形を取った紫色の球体はそのまま、アイリスの体内へ吸い込まれていく。
「ごめんなさい、ゼロ!」

「……ゼロ、調べた結果よ。少し、聞いてくれるかしら。
 …どうしてカーネルが、最強であるはずの貴方と互角に戦えた程強かったと思う?」
「…」


レプリフォースという新たなる世界最強の軍隊を作り上げるにあたり。
科学者達は、ある一つのプロジェクトを立ち上げた。

『究極のレプリロイド計画』

エックス、ゼロと並ぶ、或いはそれを超えるようなレプリロイドを作る計画だ。
その究極のレプリロイドとは、他者を慈しむ慈愛の心と、悪を許さぬ勇気とを兼ね備えた…体のみでなく、完全な心をも持つレプリロイドのこと。
計画は、着々と進んでいた…だが…計画は破綻した。

一つのレプリロイドの中には、その相容れない二つの心は一つの体には収まらなかったのだ。
他者を愛する心と、他者を憎む心とでは…。


そして彼らは、それに対する手段として一つの方法を打ち出した。
二つの心を…二つのレプリロイドに分けてしまうことを。

結果、悪を許さぬ強き心を持った勇ましきレプリロイドと、
何者をも愛する心を持った、慈愛に満ちたレプリロイドとが生まれたのである。
そう。それが…


「…馬鹿な…!」
アイリスからの攻撃は無数のビット攻撃。敵を追い詰める無数の目玉がゼロにまとわりつき、誘爆を起こすのだ。
ゼロはその全てを斬り続ける。


「…カーネルが死んだ今、そのカーネルのコアを手に入れたことで…アイリス自身が壊れ始めている。
 そしてまた、戦いを続ける…愛するゼロを止めたいと思う心と兄を殺したゼロとを許せない気持ちが一つになり…」


「俺を倒すという行動で結びついた…」
その瞬間、ゼロの肩でビットが爆発を起こした。


そう。究極のレプリロイド『アイリス』は、ここに完成を迎えたのだ。

115俺的アレンジの入ったロックマンX4 11話中盤:2009/04/11(土) 02:31:17
「………待て。それでは…それではまるで」
片割れが死んだことでもう片方が暴走を起こした…それではまるで。

「嘘だ…嘘だ!!嘘だ!!!!」
「ゼロ!?」
ビットから逃げ続ける。ゼロの脚力を持ってその全てを回避する。

「ビートブードと戦ったのだろう…
 解っているはずだ!奴らは復讐を遂げようとしている以上に…
 憎しみに囚われた自分をも憎んでいるんだ」

「奴を殺すしかないんだ!…仕方ないことだ!」

「殺せ!…それしか憎しみを終わらせる手段などありはしない!」

過去の…エックスに投げかけた言葉全てが今…自分に向かい牙を剥く。
…自分がどれほど残酷なことを言っていたのか。
「…ゼロ…まさかあなた…。」
…仲間の死には慣れていた。イーグリードの死、ホーネックの死、スパイダスの死、カーネルの死。

目の形をしたビットは容赦なくゼロへと打ち込まれ、爆発していく。
その目その全てが…自分に向けられていること。それが何を意味しているのか。

「やめろ…やめろアイリス!」
アイリスの腕から巨大なビームが放たれる。
ゼロは真っ直ぐにそれに貫かれる。

「新しいビームサーベルなの?それ…」
「ああ。ゼットセイバーだ。
 ビームサーベルと比べ軽量で扱いやすい。威力は格段に落ちるが…これで思うとおり動ける」
「で、でも凄く危険そう…」
「オペレーターのお前が心配しなくてもいい。」

…今、自分が手に持っているものは…なんだ。
「う…うぉおおおおおおお!!」
ゼロはアイリスに斬りかかる。
要はカーネルが生成した鎧さえ破壊すればアイリスは無事なはずだ。
そうすれば…そうすればアイリスは助かる。

そう信じ、アイリスへと剣を振るう。
…だが力が入らない。…究極レプリロイドが持つ超硬度もあって、全く刃が立たない。
「………。」
オペレーターはゼロに話しかけるのをやめた。

「………俺は何もしてない。…いい仲間を持ってたんだね…ゼロ」
「お前にも居るだろう。俺にも…まだ居る。」

「………」
斬り続ける。
「龍炎刃!氷烈斬!雷神撃!」
技を繰り出し続ける。
…しかし…。
…ここでアイリスの体からカーネルのコアが離れる。
ゼロがそれを睨み付ける。

「食らえええええ!」
三段斬りを放つ。効いているようだ。

「落鳳破!」
コアに向かって放つ。だが…
「ごめんなさい!」
アイリスの声と共にまた巨大なビーム砲が発せられる。
ゼロは壁へと逃げる。だが…今度はカーネルのコアも射撃してくる。
隙のない十字砲火だった。

…何故自分はここまで追い詰められているのか。
何故アイリスだけは斬れないのか。…まだ助かるからであろう。
そう…そうに違いない。
助ける方法は一つ、カーネルのコアを破壊することだ。

ゼロは一心不乱に攻撃を仕掛け続ける。
「疾風牙!空円舞!」
またもレーザー。飛燕脚で回避するがまたも撃たれる。

ゼロは満身創痍。…相手が完全な力を手に入れているからか?違う…。アイリスとて悩んでいるはずなのだ。
…恐らくはゼロを引き下がらせるため彼女は戦っている。
だが…このままではアイリス自身が崩壊を起こすのだ。

それがアイリスを救う唯一の方法と信じ、攻撃を加え続ける。そして…
「ぬ…ううう…うぉおおおおおおおおおお!!」

両手にセイバーを持つ。
脚の下にまでセイバーを振り下ろす。
力強く握り…跳びあがり…
腕を力いっぱいに振り上げる。

最後の一撃、龍炎刃により…カーネルのコアは破壊された。

カーネルのコアが眩い光に包まれ爆発。アイリスのアーマーが砕け…
中からアイリスの細く小さな体が投げ出された。

116俺的アレンジの入ったロックマンX4 11話終盤:2009/04/11(土) 02:31:55
ゼロは…一心不乱に走り出していた。

「アイリス!! …アイリス!」
横たわるアイリスの元まで。

「ゼロ……」
弱弱しいアイリスの声。
「しっかりしろ…、アイリスっ!」
声が震えていた。
「…お願い。もう…レプリフォースに手を出さないで
 一緒に… レプリロイドだけの世界で…暮らしましょう?」

それはレプリフォースの理想だ。カーネルのコア越しに伝わっていたのだろうか。
…彼女の言葉は、もはや壊れていた。その気持ちは…ともかく。

不器用なゼロには、黙って真実を告げる他ない。
「…アイリス。レプリロイドだけの世界なんて、まやかしだ!」

アイリスの表情が暗くなる。
「…そうだね
 でも……信じたかった。
 レプリロイドだけの世界で…あなたと…」
弱弱しく手を伸ばす。

ゼロはその手をがっしりと掴み、目を見て語りかける。
「アイリス…!」

…そして…
「…えへ…」
アイリスは微笑み…息絶えた。

…ゼロは理解していなかったのだ。
カーネルとアイリスは、元々一つのレプリロイド。
同期し、合体したその時点で…コアは共有されていたということに。

「……アイリス?
 アイリス…アイリス! …アイリス!!
 アイリス…!」

肩を掴む。持ち上げる。揺さぶる。
名前を叫び続ける。上ずった声が枯れるほどに。
…そんなことをしてももう…命は戻らない。
「アイリス……」

「クソぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
アイリスの体を抱き上げ…吼える。


「俺は…!俺はっ…!?
 一体何のために…戦っているんだ……………!」


…その答えが出る日は来るのか。それは誰もわからない。



通信越しに聞こえてくる声。
「……ゼロ…一体…どうしたんだろう」
「…………エックスには…解らないわよね。」
オペレーターはただ、エックスに悲しい微笑を送ることしか出来なかった。

117名無しさん:2009/04/11(土) 12:03:25
知ってるか?餅を食べる奴は3つに分けられる
ただ焼いた餅に醤油をつけのりをくるむ奴、
煮物にとりあえずぶっこむ奴、焼かないでそのまま食おうとする無謀な奴、
この3つだ

俺は―

118名無しさん:2009/04/11(土) 12:12:16
エースコンバットって
1:ほとんどが最初の任務は爆撃機の撃墜任務
2:主人公たち途中からあだ名をつけられる(メビウス、鬼神、ラーズグリーズ、リボン付き)
3:それを倒そうとする敵エース部隊登場
4:ってかトンデモ兵器まで登場
5:レーザー兵器も意外と常連
6:そして最後の任務はトンネルに突っ込む無謀な任務 仲間もできないと嘆く
7:というより主人公神格化されすぎ…
8:ジャマーは思ってるより出ない…が、敵地への侵入は結構出る

119名無しさん:2009/04/11(土) 18:12:34
エース4:メビウス 敵味方からリボン付きと言われる
エース5:ブレイズ 味方からはブービーと、敵からはラーズグリーズと言われる
エース0:サイファー 味方からはガルム1、ウスティオの傭兵と、敵からは鬼神と呼ばれる
エースX:グリフィス1 味方からはグリフィス1、敵からはネメシスと言われる

共通点:無口

120俺的アレンジの入ったロックマンX4 12話:2009/04/11(土) 22:24:25
「革命に犠牲はつき物だと…?
 アイリスも…アイリスもそうだというのか!!」
「君とは、戦う運命にあったようだ…」

それから暫くして…最終兵器・玉座の間。
レプリフォース長官ジェネラルに怒りをぶつけるゼロ。
行き場のない力の前に、その巨体がたちまちねじ伏せられる。


だが突然、兵器全体が大きく揺れ始める。
「な、何だ…?」
「…馬鹿な、この兵器が動き出すはずなど…誰かが、動かしているというのか!?」

「…お前はここで待っていろ。俺が原因を突き止める」


そして動力部へ向かうゼロ。
動力室行きのカプセルは現在機能を停止していて…周りの8つのカプセルを停止させないと
起動しない仕組みとなっていた。

「この攻撃…かわせるかぁー!」
スパイダス。
「醜いモノは滅びておしまいっ!」
クジャッカー。
「目標捕捉!五分以内に撃破する!」
フクロウル。
「命がけで戦ってこそ意味がある!」
ドラグーン。
「さらばだ!海の藻屑に消えるがいい!」
スティングレン。
「早く遊ぼうよぉー」
マッシュラム。
「嬉しいぜぇ、久しぶりの戦いだぁ!」
ビストレオ。
「氷のベッドでお寝んねしな!」
キバトドス。


全てを倒したゼロは先へと進んでいく。
「…………大方予想はついているがな」



身を包む黒衣の奥から目を輝かせる、鎌を持った…地獄からの死神がそこにいた。
「シグマ…やはりお前か!」
セイバーを抜く。
「くくく…まさかカーネルやアイリスまで容赦なく殺せるとは思わなかったぞゼロ…」

全てを知るシグマはゼロの傷をいとも簡単に傷を抉ることができた。
「黙れ…黙れ!!お前がそうさせたのだろう!」

そしてシグマはその言葉を待っていた。
目しか見えずとも解る、彼の目が笑うのが。
「本当にそうか…?」
ゼロはその口調が気に入らなかった。
「何が言いたい…!」

「お前は戦いを望んでいるのだよ、ゼロ。
 私の目の前であれほど楽しそうに戦っていたではないか…」



「クソッ、ダメだ!カプセルがまるで起動しない!ゼロはこの先に居るんだろう!?」
「……ええ。今となってはもう、通信も繋がらないわ。
 …多分シグマよ、今回の黒幕も」
「…君もそう思うかい?」


「……ゼロとシグマの対決、か」
「?」
「……ねえ、エックス。ゼロを待ってみない?貴方はここで休んでいて。ゼロは勝てると思うし」
「…ああ。」
オペレーターは、ケイン博士からの話を思い出していた。


「そう、あれはお前と初めて会ったときだ。
 私がまだイレギュラーハンター17部隊隊長であった頃…」

121俺的アレンジの入ったロックマンX4 13話前半:2009/04/11(土) 23:05:54
「エックス。貴方とゼロが発見されたのは……『禁断の地』って…呼ばれているの」

岩がごろごろと転がる砂漠の工場。
その日……シグマ隊長は意気揚々とその場所へ向かっていた。

「し、シグマ隊長!」
「ガルマの部隊を全滅させたという、紅いイレギュラーがいるのはここか?」

頻発するイレギュラーの暴走事件。
その中でも身元不明の謎のイレギュラーの暴走だった。
イレギュラーハンターの一部隊を無傷で壊滅させるその、圧倒的戦闘力。

最強のハンターたるシグマがとうとう彼に目をつけた。理由は一つ。
「これ以上、お前達に死なれては困るのでな。」

その背中は、実に勇ましかった。
威圧感のあるその巨体と顔つきだが…目は優しかった。



扉を開き、放たれた日光が工場を照らす。…彼を照らす。
「…………」
獲物を、血を求めて止まないその目。
無限に戦いを続けられるかのようなその底なしの体力に、勿論エネルギー補給など必要ない。
捕食でもなんでもない。ただひたすら…戦いを求め続けるその…目。


「あの時のお前の目は実に素晴らしかったぞ…」



背を向けた紅きボディのイレギュラーがそこにいた。
「む…?」
シグマの姿を感知する。
金の髪を後ろへと流し、飛び込んでくる。
「フフ…」
いい闘志だ。シグマはイレギュラーの打撃をひらりとかわす。

「ウァアアアアアア!」
猛烈な勢いでラッシュをかけるイレギュラー。
シグマは心地よいその速さを頭一つの動きで避けていく。
「フンっ!」
隙を見て一撃を叩き込むとイレギュラーはいとも簡単に吹き飛んだ。
「グア!ガァァァァ!」

だがすぐさま起き上がりシグマに向かいパンチのラッシュを繰り出す。
「甘い!!」
シグマはイレギュラーを掴み、天井へと投げ飛ばす。
「ウォオオオオオアアアアア!」


…いい勢いではあったが、やはり最強のイレギュラーハンターに敵うはずもない。
そのイレギュラーは頭を天井にめり込ませ、動きを止めた。
シグマはそのイレギュラーを見上げる。


だが。
「ククククク…!」
天井のパイプに手をかけ、ニヤリと笑いながら天井から頭を出す。

「!?」

飛び降り、シグマに向かいパンチを放つ。
シグマも拳を突き出し…

二つの拳が衝突。火花が散る…。

そして互いに吹き飛ばされる。
どうやら互角な力を持っていたようだ。
今まで出していなかっただけなのか?


イレギュラーは突然楽しそうな表情になり、再びパンチのラッシュを繰り出し始めた。
「こ、コイツ…!?」

速い。先ほどとは別次元の速さにシグマは対応するのが精一杯。
一瞬で形勢が逆転した…『押されている』。

後ろへ跳び、間合いを取り。
「クソぉおお!」
ビームサーベルを抜く。

「フフフフフフ…」
イレギュラーもまた鉄パイプを握る。

…そんなものではビームサーベルに勝てるはずもない。
それを斬ろうとするが…何故か斬れない。


宙を跳びまわり、鉄パイプとビームサーベルでの斬り合いが始まる。
ぶつかり合う二つの武器。

だが…先端を破壊した。これで終わりだ…イレギュラーに向かいシグマは斬りつける。
…一刀両断。

122俺的アレンジの入ったロックマンX4 13話後半:2009/04/11(土) 23:07:14
しかし、それは…イレギュラーの体ではなかった。
…シグマの腕だ。
「な!?」

シグマがトドメを刺そうとしたその瞬間に、余裕を持ってイレギュラーは
シグマの目にも止まらぬ速さで彼の腕を斬りつけ、サーベルごと吹き飛ばしたのだ。


…互角などではない。イレギュラーはシグマを上回ったのだ。
そして、シグマが見誤ったのではない。戦いの始まりの時点でシグマに対し敵は本気を出していた。


…戦いの短い間で、イレギュラー自体がシグマを上回る『成長』をしたのだ。
…もうシグマは彼の敵ではない。
「フーーフフフフフフフフフ!」
イレギュラーが近づく。
シグマの顔に…恐怖が宿る。



…暫くして。
殴る、蹴る、踏まれる。
ボディが損傷し、皮膚が剥がれ、目に大きな大きな傷がついた。

…随分の間、シグマはイレギュラーのその強大な悪意に弄ばれていた。

「ッククク…!アーッハッハ!ギャーーーーハッハッハッハッハッハ!!!!」
「グアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
シグマのアゴを掴み持ち上げる。首が捥げそうなほどの激痛。
シグマにはもう、為す術がなかった…


しかし、その瞬間。
「ウ?ウァア…ガアアア!アアアアアアア!ハァアアアアアアアアアア!」


金色の髪を振り乱しイレギュラーが突然苦しみだす。シグマは目を疑った。
今にも自分を殺そうとしていた相手が突然のた打ち回り始めたのだから。

…見るとイレギュラーの頭には『W』の一文字。何を意味していたのか?そんなことは全く解らない。
とにかく…シグマにはこれしか解らなかった。「やるしかない」


「う、うおおお!うぉおおおおおおおおお!!」
イレギュラーの頭のクリスタルを砕く。

…イレギュラーの体が宙を舞い飛んでいった。



そして外へと出る。部下達の喜びの声が聞こえる。
「…おお、シグマ隊長だ!」
「やった、戻ってきた!!」
「Drケインに連絡を!あのイレギュラーを調査する!」

「さすがシグマ隊長だ!隊長に敵うレプリロイドなどいるわけが!」
「うるさいぃいいいい!!」

怒鳴りつけ、部下を突き飛ばし…シグマは消えていった。



「…………」
「オペレーター、それで…何があったんだい?シグマとゼロに」
「え? ああ…特になんでもないわ。ごめんなさい…」



「そう、お前こそがイレギュラーだったのだよ!」
「…そうか。そんな話で…俺が驚くでも思ったか」
「あの時の決着をつけようではないか…待っているぞ、ゼロ…」

…言葉ではそうは言った。
だが……ゼロは漸く知った自らの過去を前に、平静を装うのが精一杯だった。

123俺的アレンジの入ったロックマンX4 14話前半:2009/04/11(土) 23:39:22
「地獄に旅立つ準備は出来たかね?」
最終兵器・動力室。熱で満たされたその空間で、死神は戦いを始めた。


「…………なぁオペレーター。少し俺の話を聞いてくれないか」
「え…? …う、うん」
出口で待つことにしたエックスは、最終兵器を入り口へと向かい歩いていた。

「……君はイレギュラーハンターはイレギュラーを倒すことが当然だと思うかい」
「………。…いえ。殺すか殺さないか。そもそもイレギュラーかどうか判別するため
 逮捕の処置を取る場合だって多いわね。…どうしたの」
オペレーターは椅子に深く腰かけ…飲み物を片手に息をついた。



「フハハハハハハ、これで終わりと思うな!?これからだぞ…?
 お前と戦うのを待っていたのを待っていたのだからな!」
黒き衣がゼロにより焼き斬られ、シグマの顔が姿を現す。鎌を手に…戦いは次なる局面へと進む。
「黙れ。すぐに終わらせてやる」



「俺は…どんどん仲間を失って行っている。
 …でも、ダブルを倒して思ったんだ。俺はもう、仲間を失いたくない」
「…そうよね」
「そして、段々戦いに慣れていく自分にも気付いた。そして…思ったんだ。
 …何も感じなくなるのも、それは…イレギュラーじゃないのかって」

エックスは、宇宙を見ながら話を続け、窓の外の星空を見上げながらオペレーターはその話を聞く。
「…うん。それが故障なら定義的にはそうなるわね。でもそれを言ったらイレギュラーハンターは皆…」
「…それもそうか」

「ただ、悩むというのはいいことかも知れない。考えた末、また新しい答えが…出せるならね」
「…………。」
「ケイン博士も言っていたわ。それがエックスの最大の特性だって。」
「シグマもそれを聞いていたかな」
「…そう言っていた。…レプリロイドの可能性にかけていた彼が興味を示さない理由もないわね」


シグマの体は崩壊。床が崩壊し、ゼロは下へと落ちる。エネルギー炉の並ぶ、動力炉深部へと。
ワイヤーによって繋がれた巨大な人型の装置が現れる。その頭に供えられたのは…シグマの顔だ。
「ハーーッハッハッハッハ!死ね、死ねえ!死ぬがいいゼロ!
 あの世でアイリスが待っているぞぉ!?」
「その名前を出すな………お前をあの世に送ってやる!二度と蘇るんじゃない!」
「宇宙の、塵になるがいい!」

124俺的アレンジの入ったロックマンX4 14話後半:2009/04/11(土) 23:40:54
出口だ。青き大地に頭を向けた、小型シップが目に映る。
「少しゼロに話をしてみたいんだよ。…ゼロになら任せられると思うから」
「…何を?」

…もし自分がイレギュラーになったら、ゼロに殺してもらおう。
エックスは…そう言った。

「馬鹿…!縁起でもないことを言わない方がいいわ…あなたに限ってそれはないわ」
オペレーターは確信していた。…あるとすればきっとエックスではなく…。

「とにかく。…無事に帰ってきて。ハンターベースで待っているわ」
椅子を倒し、星空を見上げながら。


「ハハハハハ…少し遅かったなゼロ!この兵器はすでに地上へ向かっている!
 さらばだ…!ハーッハッハッハッハ!」
「クソッ、そうすれば…!」
走り出すゼロ。…だがコントロールを変えるには最早発射まで間に合わない。
地球に甚大な被害が出てしまう。…エックスには通信は繋がらない。

…頭を抱えるゼロの前に、汚れに汚れた巨大な将軍が現れた。
「………すまなかったな、ゼロ。」
「お前は…!」
「部下達に罪はない。全てはシグマの罠に嵌った私の責任だ…
 …私のボディを使えばこの兵器を止めることが出来る……」
「…早まるな、ジェネラル!」
「さらばだ…」


それから暫くして、最終兵器は爆発。ゼロも間一髪脱出に成功した。
「…………」
カーネルが自らに向けた刃。
結局哀れなシグマの被害者でしかなかったジェネラルとの戦い。
そのジェネラルに憎しみをぶつけ続けた自分。
そしてアイリスからの攻撃、アイリスの言葉、アイリスが最期に自分に伸ばした手。
…幸せだった頃のアイリスの、微笑み。
「…俺は…結局、何も守れなかった………」

そして待ち受けていたのはシグマ。…一番の元凶は笑いながら去っていった。
だが…シグマの話の通りならば…。
…シグマの話の通りならば…  シグマは…あの笑い声は…。

自分は何のために戦っているのか。ゼロの終わらぬ問いに悩まされる日が始まることとなる。



二つの流れ星がその日、流れていった。

125俺的アレンジの入ったロックマンX4→5 前半:2009/04/12(日) 00:39:40
「さぁ 南南西の、風を受けー!?
 曖昧なんて、はき捨ててー!
 パッション、セッション、グッドコンディション!
 セイ イェー! セイホー!」

ストレスを晴らすべく熱唱するはエックス。
技術班のダグラスが合いの手を打ち、ゼロは飲み物を頼み続ける。

エックスは意外に多趣味だ。
カラオケでこうして熱唱してみせたり、フィギュア集めが好きだったり、
ライドアーマーやライドチェイサーを乗り回して見せたり。

以前教えてもらったオペレーターはその歌を聞きながら、次の番を待つ。
「相変わらず凄いわねーエックスは……さ、次は私の番ね?誰か一緒に歌う人が必要なのだけど……」

レプリフォース大戦終結。…これにより、社会は大きな変化を見せた。

レプリフォースをイレギュラーと誤認し、甚大な被害をもたらしたこと。
イレギュラーハンターには大きな責任がある。

…これにより、イレギュラーハンターの総監は辞任。
ハンター全体の大きな体質の変化が要求された。
世界最高の頭脳を持つ若き新総監、シグナスの元で。

そして、エックス達とて例外ではない。
戦いにおいて尽力した彼らは株を上げこそすれ、批判の対象にはならなかった。
だが…エックス達の心中は複雑だった。いっそ、責められた方がまだマシだったというものだ。


その翌日。

126俺的アレンジの入ったロックマンX4→5 後半:2009/04/12(日) 00:40:45
「…そういうわけで。今日からは私が貴方達の正規オペレーターを担当させて頂くこととなりました。」
オペレーターがエックスの前で挨拶をする。
「…宜しくね、エックス。」
こちらが本当の挨拶というべきか。

「こちらこそ。だが…ゼロも担当するんだろう?」
「後々挨拶をしておくことにするわ…ゼロは何だか最近大変そうだし」
「以前と比べミスが増えたっていう風にも聞くね」
ゼロは…あまり成績が芳しくないらしい。今日もうっかり怪我を負ってしまった。
「そうねぇ…今はライフセーバーの所に行ってるんじゃないかしら?」

「そうそう。これから担当するというなら、もうオペレーターとばかりも呼んでいられないわね」
「…何て呼べばいい?」

少しの静寂の後、オペレーターは口にする。
「そうね…他のハンターベースの仲間と同じでいいわ。名前でお願い」
「そうか。解った」
思いがけずあっさり通ってしまったことに内心驚きつつ。だが…ここで思いがけないことが。

「それじゃあ今日から宜しく頼むよ…えっと……」
「? …もしかして恥ずかしいとか」
違った。
「君の名前、何だっけ?」
「………」
唖然とするオペレーター。
「…………え?話しているはずよ」
「…そうだったかな」

思い返してみる。

ハンターベースに、長く巻いた金髪の少女が入ってくる。
「対シグマ対策のため、本日から臨時オペレーターとして担当させて頂きます。」
「ああ、宜しくお願いするよ。まず、覚えてもらいたいことがいくつかある。
 仕事の内容も合わせて、少し俺の方から説明するよそれじゃあ あ。名前は?」

さばさばとした様子で少女は言う。
「ああ、いいですよ別に。すぐの間だけですし」
「そんなに畏まらなくていいよ。それじゃあオペレーター、まず画面の画面の見方からなんだけど」


「………あっ」
目を真ん丸くして驚く。
「多分、聞いてないな」
ばつが悪そうに頭を掻く。
「確か当時からすでに結構偉かったゼロには教えたと思ったんだけど…
 まぁあの人は覚えないでしょうしね。 …解ったわ。それじゃあ私の名前を教えるわね」

ホワイトボードに名前を大きく書いていく。


「エー…エル… …アイ… エー。…
 『Al鄯a』。」


「……エイリア?」
口からとうとう発せられた自分の名前。オペレーターの口元が少し綻ぶ。
「そうそう。…書いてみて」
「え?」
「まあまあ。いいから早く」

「………そう。…改めてまして。私は、あなた達のオペレーターを担当する…
 『エイリア』です。」

握手を交わす。
「…よろしくね、…エックス。」
「ああ、これからも頼むよ、エイリア。」

「ほほーう。エイリアの奴やっぱそーだったんだなぁ。堅物にもそんな所があるモンだねー」
丸い眼鏡をかけた緑色のボディの中年男がその様子を見ていた。

「何を見ている?ダグラス。メカニックのお前が何をそんなに興味を示すものがある。」
「ああ、ゼロか!すまねえすまねえ。お前には今はちょっと辛いもんかもだな。ま、とにかく何でもないよ」


…こうして、多忙なハンターベースは……その日を迎えるのだった。

127俺的アレンジの入ったロックマンX5 0話:2009/04/12(日) 23:42:52
時は数ヶ月前に遡る。

黒き花、最終兵器が散り…シグマは宇宙を漂っていた。

「ジェネラルによる破壊……これもまた私にとっては想定内でしかない。
 …しかしゼロの力はやはり凄まじかった。
 最終兵器のエネルギーを以ってしても敵わぬ相手だとは」
…体が動かない。次なる体を得るまでには時間がかかりそうだ。
彼は…眠ることにした。



どしゃぶりの雨が窓をを濡らし、何も見えない。
壊れた照明の中、雨音と雷のみが聞こえる静かな部屋。
上半身だけで目覚めた彼に声をかける声が。
「…お久しぶりですなぁ、シグマ様」

彼が以前聞いたことのある…それは老人の声。
「…お前は…… その声は、サーゲスか」

しかし、そのシルエットの丈は以前と比べ随分と伸びている。
「…私はその名を捨てましたわい。
 それよりも…私が復活させたあのゼロの力。如何でしたかな」
「なかなかのものだな…奴はやはり強い。」

眉を器用に動かし、彼は笑う。
「フム。…私の見立てによればあやつの力はあんなものではないでしょうな。
 いずれ本当の力を引き出せば…そう。
 エックスなど軽くひと捻りにご覧にいれることが出来ましょう」

「ほう…奴を目覚めさせる…と。……やはり、貴方だったのか」

カツ、と足音を鳴らし一歩近づく。
「プランはすでに練り、協力者も用意して御座います、ご安心あれ。」
曇天を貫く轟音。
稲光は、壁にもたれ掛かり彼らの話を部屋の隅で聞く長い髪を映し出す。

「…やはり、と言いましたな?貴方もなかなか鋭いようだ。
 そう、サーゲスの名も我が偽名の中の一つ…」

そしてバサッ…と白衣を翻し、ドアノブに手をかける。
「この通り…私は今、闇の世界に身を隠す身でしてなぁ。
 …そうですな、私は今こう名乗っております」

世界の影で蠢く悪は、新たな悪を引きずり込み…動き始める。


一方ハンターベース。
「エックス、どうだったかしら?」
「…ああ。いいトレーニングになったよ。有難うエイリア」

ゼロはパトロール中…エックスはハンターベースで別仕事。
エイリアが考案したトレーニングプログラムのテストだった。

「…でもね、言わなかったかな。あれ…ビギナーのハンター用のテストなんだよ」
「…ダメだった…?」
「ああ。壁蹴りを強制したり、弱体化させたドラグーン戦シミュレーションは幾らなんでも。」

エックスの口からのはっきりとした評価。
「あれじゃ現メンバーでは俺やゼロ以外は突破できないだろう…。俺達を基準にしすぎてる。」

…エイリアは頭を垂れる。
「でも、それ以外はいいんじゃないかな。
 新しくハンターに導入された道具の使い方も盛り込まれているし。
 …君自身、実際にやってみるといいと思うよ」
「………。」
突破できたなんていえない。


と、そんな所に通信が割り込む。
「オペレーター、オペレーター!」
「エイリアよ、いい加減覚えて」

「パトロール中にイレギュラー事件が発生した。……シグマだ!やつが現れた!」

「町中で!? …大変、エックス!」
「ああ。急ごう!」

128俺的アレンジの入ったロックマンX5 1話:2009/04/13(月) 01:20:18
「シグマは現在建設中の、沿岸部の女神像に移動した様子。
 ゼロは先に行って戦っているらしいわ。」

シグマとの戦いで使用したフォースアーマーを身に纏い、エックスは町へ降り立った。

陥没した道路。シグマに続けて現れたイレギュラーは勿論、
民間の乗用車もイレギュラー化し襲ってくる。

「そうそう。貴方の装備はストックチャージじゃない方のアームパーツだけどそれでよかったかしら?」
「いいよ。シグマ相手にストックチャージの火力では少し心許ないからね」


崩れゆく建設現場を乗り越え、新しくハンターに支給された道具、ハンガーを用い
ロープに掴まり町をショートカット。眼下に海の広がる町の中、
とうとう女神像までたどり着いた。

「ゼロ、大丈夫か!」
「すまないエックス。腕をやられてしまった…
 気をつけろ…姿を消しているが奴はすぐそこにいる!」
辺りを見回してもその存在は感知できない。だが…きっとどこかにシグマは存在する。

「…どこだ……」
「神経を研ぎ済ませろ。目やデータでは解らないものがある。…奴が持つ強い悪を逃すな……」

そう言いつつも、ゼロは悩んでいた。
追うもの、追われるもの。結局は破壊するのみの存在。
イレギュラーハンターとイレギュラーは…本当は似たもの同士なのではないかと。



その瞬間、背後の女神像の頬が剥がれ……女神の首が消し飛ぶ。
…そして中から巨大な顔が現れる。

「…シグマ!」
「愚かなイレギュラーハンター達よ!エックスの死を以って…ハンターの真の姿を知らしめてくれるわ!」

巨大な顔のみのシグマとの戦いが始まる。
「エックス、シグマを攻撃するときはうまくタイミングを見計らって!
 ボディ表面が物凄く硬いのよ。…内部から破壊するしかない。解るわね」
「口か!」

シグマは目から雷の球を発生させ、エックスを追わせる。
これを避けたところに準備を完了したシグマは口を開け、エネルギー弾を大量に撒き散らしてくる。
「今だ…」
チャージ。そして発射。

「食らええええええ!」
…エックスの腕から発射されるは、雷を纏った青きエネルギー。そのサイズはエックスの身長ほどもある。
その巨大な塊はシグマの内部を貫通していく。そして後に残るは電撃による追加ダメージ。

プラズマチャージショットと呼ばれる、ライト博士がエックスに用意した…エックスのチャージショットの中で最強のものの一つだ。

「ぐぉおお…!」
シグマが消える。

そして再度現れ…今度は口を開けたまま突進を始める。
これは明らかな隙。シグマに再びプラズマチャージを放り込む。


「これで…最後だあああ…!」
大口を開け、口のキャノン砲を最大限にチャージ…発射する。
エックスの身長の2倍はあろうかというサイズの巨大なビームが放たれる。
これをしゃがんでかわし…

「そうだな…終わりだ、シグマ。」
エネルギーが枯渇した瞬間を見計らいまたプラズマチャージショット。

129俺的アレンジの入ったロックマンX5 1話後半:2009/04/13(月) 01:22:00
その攻撃を当てた瞬間…何も言わぬままにやりと笑ったシグマの顔に亀裂が生じる。
「…まさか」
「しまった、…エックス、逃げろおおおおおおおおお!」


シグマは大破。
中から現れたのは無数のシグマウイルス。

「エックス…大変、大変よ!!」
…そのウイルスは遠くへと光の速さで世界各地に飛び去り…

凄まじい速度で増殖を始めた。

1体のシグマが死に10体に。
10体のシグマが100体に。
100体が1000体に………。


…在り得ないことが巻き起こっていた。
分裂が止まるまでは数分といったところだったが…

その間に無数のシグマウイルスは……あっという間に世界に広がっていったのだ。



…数分。

これまで、4度以上に渡りシグマから守ってきた世界が…数分でシグマに汚染された。

事態が全くつかめない。



「何てこった…」
「…それだけじゃないわ、見て……これ。」

エイリアはある画面を見せる。地球に謎の物体が接近しているとの情報だ。



「同時進行の作戦だったのよ。…あれは、スペースコロニー・『ユーラシア』。
 …ユーラシアは…すでにシグマウイルスの巣になっていて…コントロールも効かない。
 ……地球に向かっているの。」
高速で地球へ向かう巨大なスペースコロニーが地上へ落下したときの衝撃は計り知れない。
地球そのものに大きな損傷を与えると思われる。
…恐らく、世界中の陸地が裂ける程の大惨事。
そしてそれを生き延びたとしても……ウイルスが世界を覆い尽くす。

全くもって予測できなかった事態。
…冷静とか、興奮とか、そういう段階ではない。
誰もが、現実をどこか信じきれないでいた。


「…おいおいエイリア。そんなんじゃあ地球が危ないんじゃないのか?」
技術担当のダグラスが言う。
「………ユーラシア衝突までにどれくらいかかりそうなんだ」
続いて総監・シグナス。

「17時間。
 ………それまでの間に、ユーラシア破壊を実行しなければならない。
 みんな…いい? …1時間の間に……全ての作戦の案をまとめるのよ。
 エックスとゼロは戦闘の準備をお願い」

「解った」
「……………」

これが、地球最後の日など信じられるわけがない。
…かといって、信じる信じられないと言っていたら、それは確実なものとなるだろう。


悪夢の一日が…始まろうとしていた。

130俺的アレンジの入ったロックマンX5 2話:2009/04/13(月) 02:29:38
各国への対応、方法の模索、情報の収集、ウイルスの除去…

…1時間でまとまるわけなどなかった。
史上最悪のパニックの中、時間は刻一刻と過ぎていく。


…結局意見がまとまったのは、残り12時間のときだった。
あっさりと地球に残された時間はこんなにも切り捨てられていったのである。

エイリアがエックスとゼロを呼びつける。
「エックス、ゼロ。聞いて!ユーラシアを破壊する方法が見つかったわ…
 そのために貴方達にはミッションに行ってもらうことになる。
 悪いけどミッション中の説明になるわ。」
「いいだろう」
「解った!」

エックスとゼロはそれぞれの場所へ転送される。
新たなる戦いのスタートだった。


緑色のボディに身を包んだダグラスが彼らに語りかける。
「『エニグマ』を使うんだ。これは古い砲台でね。まさか使う事になるとは思わなかったんだ」
間を確認して、ダグラスは続ける。
「…だがな。エニグマを使うには資材が足りないんだ。」

そしてエイリアがリスト化したものを読み上げる。
「必要な物は『オリハルコン』『エネルギーカートリッジ』『レーザー装置』そして大量の『水素』。
 …そして調達手段もすでに調査してあるわ。」

そして、エックスゼロそれぞれに通信を切り替えて話しかける。
「形振り構っていられないからね…オリハルコンはゼロ、あなたに取りに行ってもらうわ。
 今あなたがいるトレーラーが向かう先、裏社会の武器のブローカーの所ね」
「…待て、このトレーラー…メカニロイドだろう」
「え、ええ…まさか!?」
「…イレギュラー化しているぞ!進路には問題ないが自爆する可能性がある!」
「先へ進んでゼロ!」


「水素はエックス、貴方に取りに行ってもらうことにしたわ。
 貴方が行った先は海洋博物館。そこに海の使用許可を貰って、大量の海水から水素を確保するの」
「…ここが博物館?」
「……ど、どうしたのエックス」
「…どう見ても海の中だよ。どうやら転送先がずれていたらしい」

二つの行き先に二つのトラブル。エイリアは…
「俺は一人で行ける、問題ない お前はエックスをオペレートしろ」

「そうさせてもらうわ。エックス!その場所は以前クラブロスのミッションで行った場所よ、覚えてる?」
「ああ。確かアジールと戦った……」

その前に巨大メカニロイドと戦った気もするが。
「転送装置自体が壊れているみたい…直すまでかかるから、エックスは自力で水族館まで行って!」

「…………!」
深い海の中、エックスの背後に巨大な魚が現れる。いや…これは…。
「…戦闘艦デスエベンジ…!耐久力だけは一級品の厄介な相手ね」
「エイリア、どうすればいい?」

そう言いつつもプラズマチャージをデスエベンジのレーザー砲たる口へと放つ。
「…倒すしかないわ。厄介な相手だけど。その後水族館へ向かいましょう」
海中の追いかけっこがここにスタートした。


海底の沈没船にはカプセル。現れたのは勿論ライト博士。
「おお。エックス……お前が来たか」
「ライト博士…」

「大変なことになってしまったようじゃな…
 地球を頼むぞ、エックス。
 …ここでは、お前の機動力を高めるアーマー…『ファルコンアーマー』のデータの一つを渡そう」
「…データ?」

「ああ。安全性を高めるべく、今回からワシはパーツを4つに分けてデータとして転送することにしたんじゃ。
 エイリア、と言ったかな?
 …あの子に頼めばデータを解析、4つ全て集めることで一つのアーマーに出来るじゃろう…。」
エイリアの名前はライト博士に覚えられていた。
「…すまんな。どうやらゼロに呼ばれているようじゃ」


武器ブローカーのアジトにてゼロもまた、ライト博士のカプセルを開いた。
「おお、ゼロ…よく来たのう」

「…エックスのためパーツを頂きたい。その前に一つ答えてもらいたい。」
もし、この老人がエックスを作ったとされる、遥か昔の偉大な科学者であるならば。

「…夢でよく俺はある老人に会うんです。心当たりは…ありませんか」
ゼロが珍しく敬語で話す。
「…残念ながら私には、よく解らんな…何かのデータの間違いじゃろう、気にしない方がいいだろう」

「…解りました」


ライト博士は無論、全てを知っている。…だが、ゼロの言う老人の話となると明言しようとしなかった。
「すまんのう」



そして、海の先で、武器ブローカーの根城で。彼らはそれぞれのターゲットと出会う。

131俺的アレンジの入ったロックマンX5 3話:2009/04/13(月) 23:48:15
「避けてみせてくれ!」

最深部でエックスを出迎えたのは水族館館長タイダル・マッコイーン。
彼との戦いは終局に差し掛かっていた。

彼が持つ技・水の力を操るジェルシェイバーの応用。
巨大な氷を口の中で一瞬にして作り出し勢いよく吐き出す。

その勢いも重量も凄まじい。一度当たってしまえば、壁際まで一気に押しつぶされ、
イレギュラー処刑用に設置された針の餌食となる。

だが反面、ジェルシェイバー自体の殺傷力は極めて低く、
エックスのフォースアーマーはおろか、ノーマルボディを損傷するにも到底至らない。
針の餌食にすれば一撃。そうでなければ一つの傷も負わせることも出来ず敗れる。

彼はそれを難なく潜り抜けるエックスの力を見たかったのだ。



「いい動きをしてくれるなぁ!」

ゼロの前に現れた、目に大きな傷をつけた兵器ブローカーのクレッセント・グリズリー。
ゼロとの過去の交戦での傷がうずくと、ウイルスに冒され死ぬ前に戦いを挑む。

右腕のドリルを使い、穴から穴へ。
爪でなぎ払うべく大きく腕を動かす。ドリルを突き出す…そういった隠れての戦法が破られたグリズリーは
爪を素早く振り、三日月型の衝撃波でゼロを追い詰めようとする。
クレセントショット。美しい弧の形をしたそれは部屋の向こう側へと真っ直ぐに飛び、壁に大きな傷をつける。


イレギュラーハンター、レプリフォース。
彼らの中の上位数パーセントに匹敵する実力者は世界にまだまだいたのだ。
しかし、エックス、ゼロの両名とも…最早彼らは敵ではなかった。

「大分腕をあげたようだな」
グリズリーの傷にもう一度剣を振り下ろす。

「食らえ!!」
ジェルシェイバーを貫通したプラズマチャージがマッコイーンを貫き、電撃がその体を包み込む。


それぞれの戦いの最後だった。

「…海水を確保するまで大分かかるんじゃないのかい」
「そうね…エックスは暫くそこで作業をしてて。ゼロを次のミッションに向かわせるから」

ユーラシア衝突まで…残り11時間。




「随分とクレイジーな作戦じゃないかい?シグマの旦那」
「自ら狂える者でなければ革命は起こせぬものだからな…」

「それも、そうかい。…ま、俺にとっちゃどっちでもいーんスけどね
 旦那に歯向かい続けるバカな連中もいたモンですね…とうとう本気にさせちまった。
 …さて。俺はちょっとハンターベースの皆さんにお手紙でもしたためますかね」

長い髪をなびかせた男は赤いバイザーを下げ、瓦礫から飛び降りた。
…それが数日前のことであった。

132俺的アレンジの入ったロックマンX5 3話後半:2009/04/13(月) 23:49:13
そして、30分前に届いたメッセージ。ハンターベースを襲撃するというのがその内容だった。


「ゼロ、奴が来たみたい。今はエックスがいないから…迎撃をお願い!」
「ああ…。」



長身の男がエニグマの前に姿を現した。
「やーやー、アンタ、ゼロさんだね。はじめまして、俺、ダイナモって言うんだ」
「シグマの部下か?VAVAのような真似をしやがって」
その名前を聞くや否や、情報通の彼は明後日の方向を向きため息をついた。

「VAVA−?あんな肩肘張った怖い人と一緒にしないでもらいたいなー
 自己流で戦うのはそりゃそーだけど、俺の場合はそういうんじゃないんだ。
 こうやってハンターベースにお邪魔したのも、ユーラシア落としたのも…お仕事だけど、遊びなワケよ。」

バイザーを落とし、くるりと指先で回した柄を手で持ち、セイバーのスイッチをオンにする。
「軽くやりましょーや、スポーツな感じでね!」

これから滅ぶ世界には表も裏もない。シグマの雇った闇の世界からの傭兵・ダイナモとの戦いが始まる。



「食らいなっ!」

くるりと回したセイバーを恐るべき速さでブーメランのように投げつける。
ゼロは勿論これをかわし、セイバーで攻撃。

「おーおー。殺気立ってるぅ」

戻ってきた刃をまたかわし、また一撃。だが…
「おーっと…」
セイバーを片手でグルグルと回転させ、それを弾く。


続けてダイナモは跳ぶ。
「へっへ!」

地面に向かって垂直にバスターを発射。それは地面で二つに分かれる。
隙だらけのその攻撃をゼロは跳びあがりかわすと同時に技を当てる。
「三日月斬!」

クレッセント・グリズリーから得たばかりの技。
空円舞の強化技であり、円形になるその剣の軌道には三日月が二つ。
鋭さを増したその剣は一瞬でダイナモの脚を裂く。


「イッテテ…ったく、マジかよ。」
「ふざけるなと言っている!!」

「…アンタさぁ。もう少し力抜かないといつか死ぬよ?マジで」
「本気を出さぬまま死んでいくお前よりはマシだ。」

やれやれ、といった表情で苦笑いし、ダイナモは去っていった。

「ハンターベース防衛を含め、どれくらいかかった」
「おおよそ1時間。エックスも帰ってきたみたいだし、次のミッションに進みましょう」

133俺的アレンジの入ったロックマンX5 4話前半:2009/04/14(火) 00:48:13
「ごめん、遅くなった!エイリア、状況は?」
「おかえりなさい、エックス。
 作業中に話していたシグマの傭兵だけど…ゼロが追い返してくれたわ」

まずは報告。
そしてそれが終わると今度は残る二つの物資、
エネルギーカートリッジとレーザー砲の入手方法についてだ。

「レーザー砲にはレーザー工学の権威に譲ってもらうことにしたわ
 エネルギーカートリッジについてはあるレプリロイドが持っているの。こちらもエネルギー工学の研究所ね」

「……心当たりがある。…俺にはレーザー工学の権威とやらの所に行かせてくれ」
「よし、それじゃ俺がエネルギーカートリッジ!」

二人がそれぞれミッションを決定する。
「…少し危険な場所なのよね…エックス、転送先にはアディオンを置いておくから、それで向かって。」

「所でゼロ。レーザー工学の博士とは知り合いなのかい」
「いや…そうじゃない。苦手なんだ、エネルギーカートリッジの持ち主が。」
「ゼロが苦手なタイプ……か」


そこはオストリーグのいた砂漠やスティングレンを追った水上都市とは比べものにならない悪路。
エックスの、ライドチェイサーの腕が問われる。


「……また俺は一人か。…しかしここは…何だ?
 エイリアの奴、過去へ転送した訳ではないだろうな。」
偏屈な博士の研究所は…中世ヨーロッパの城のようであった。老朽化していないことからも、
この城がかつてあったものを再利用したものでなく、博士の趣味で新しく作られた施設であることを意味している。


「………思ったより時間を費やしてしまったわ」
ハンターベースにて、エイリア、シグナス、ダグラスは顔を見合わせる。
「…正直、資材を揃えたところで必ず成功する訳ではないからな。…あ、いや…気を抜くなってだけだ。成功するさ」
「今はエックス、ゼロを信じる他ない。我々は見届けよう」

侵入者を押しつぶすつり天井、針だらけの床、レーザー装置。
螺旋階段を落ちる敵はマッシュラムのバイオラボを思い出す。
ありとあらゆるトラップの仕掛けられた城にもカプセルが存在した。
「先ほどもう一つあったカプセルでエックスにパーツを渡したよ。
 これでファルコンアーマーが完成することじゃろう」


一方エックス。電磁ロックで何重にも守られた面倒なセキュリティシステムを潜り、
いよいよ最深部へ到達しようとしていた。

「はぁい…。 アナタが来るとは思っていなかったわエックス。」
「…クラーケン………」

エネルギー工学の研究者ボルト・クラーケン。
イカのような姿をした彼…女が、細い体をくねらせて現れた。

「…エネルギーカートリッジの事とは関係ないが、オクトパルドのことを謝っておきたい。」

「…いいのよ。アナタ達イレギュラーハンターなんだから。
 それより…アタシを殺してちょうだい、エックス。」
「いきなりどうした、クラーケン」

「アタシね、もうハンターのやり方にはついていけなくなっちゃったのよね…
 これ以上本音ではモヤモヤしてる自分も嫌だし…私は…もう、ウイルスに…」

クラーケンの様子が変わる。

「正直早くしないとマズいわよ。みんなイレギュラー…に…イレギュラーニ…
 イレギュ、イレ、イレギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュ」
「…!」

「ミンナ死ンデシマウノヨ!オクトパルドノヨウニナ!!」


一方、ゼロはシャイニング・ホタルニクス博士の部屋へとたどり着いた。
「私は常々ハンターのやり方に疑問を持っていたのだ。力だけでねじ伏せるやり方はどうにも好かない。」
「…そう言っている場合か。何とかしてもらわないと困るんだ。」
「私の研究成果は君達には渡せない…。私から願うことがあるなら………
 ウイルスにかかった私を……助けてくれないか」
「………」

134俺的アレンジの入ったロックマンX5 4話後半:2009/04/14(火) 00:48:44
ウイルスは広がりつつある。協力者との戦いはここでも行われることとなった。


「う…ぐ…!体が動かない…!!」
戦いも後半。蛍型の誘導弾ウィルレーザーの使い手だった博士は手ごわい。高速移動を行い、光が消えるのを合図に姿そのものを消す。
そして尻からは極太のレーザーを発射。…己の研究成果を誰よりも理解する彼の、最も望まない戦いは続いていった。



一方クラーケンとの戦いも熾烈を極めた。
電撃を自在に放出し、上下左右に自由に動き回る強敵・クラーケン。
元イレギュラーハンターである彼…女の記憶を手繰り寄せ、ウイルスにより戦わされる。
足に似たようなワイヤーを張り巡らせての電流攻撃・トライサンダーは、死角の少ない実に厭らしい攻撃と言える。

クラーケン同様とても回避の難しい攻撃の数々だったが…
難なく二人は彼らを撃破し、資材を手に入れるのだった。


ペンギーゴ、ナウマンダー、クワンガー、カメリーオ、マンドリラー、イーグリード、アルマージ、クラーケン、
ヒャクレッガー、スタッガー、クラブロス、アリゲイツ、オストリーグ、ホーネック、ビートブード、ドラグーン、クラーケン、
マック、VAVA、ダブル、シグマ。

この、挙げられたイレギュラーハンターにいた実力者達のそのほとんど…
いや全て、彼が葬っていったのだ。

…シグマを信じた者、シグマのせいで狂わされた者、復讐に身を滅ぼした者、自らの意思で狂った者。
様々な者たちが居て…全てこの世から去っていった。
エックスが憎んだ者、悲しんだ者、怒りを覚えた者…沢山居た。


彼らの死を乗り越え、エックスは成長して行く。

「いよいよ…揃ったわね!」
「取り付けに入る。あと1時間待ってくれ!」
ダグラスが声を張り上げる。


1時間の後。エニグマ砲は…上を向いていた。

「漸くこのときが来たな…数時間しか経っていなくとも、長く感じたもんだ…」

「では行くぞ!」
エネルギーが一点に収束する。

「3…」
砲身がユーラシアを見据える。
「2…」
砲身が震える。
「1……」
エネルギーが高まっていく。そして…

「発射!」
前から。
「発射!」
後ろから。
「発射!」
横から。

…様々な角度から彼らはそれを眺めた。
爆発するかのような轟音を発して一筋の光が…宇宙へと放たれていくのを。
いや、実際爆発である。…とっさにこさえたこの材料では、一発が限界。

…ユーラシアに着弾。宇宙で大きな炎の花が咲く………





しかし。

「ダメ…!破壊率18%!…ユーラシアの軌道をずらして、衝突までの時間を遅らせたに過ぎない!」
エイリアがはっきりと正確に結果を告げる。

「…エニグマが………」
ガックリと膝を落とすエックス。
ゼロは、目を伏せていた。


「………ならば仕方ない。先ほど話していた最後の作戦を使う」

135俺的アレンジの入ったロックマンX5 5話:2009/04/14(火) 01:58:05
「…シャトルだな。」
「……出来れば使いたくなった作戦なんだけどね」


スペースシャトル作戦。
スペースシャトル自体をユーラシアに向け突撃させ…破壊するというものだ。

使用されるシャトルには脱出用ポッドが備え付けられているとはいえ
極度に危険なものであり、その上ユーラシアがある程度近づいていないとならないリスクが存在した。



「残り時間は後6時間。 エックス達に行ってもらうミッションが決まったわ」
「…ミッションという事は…足りないんだね、資材が」

ダグラスが頭を掻く。
「…すまねえ。」


エックスとゼロの二人が転送装置から放たれる。
「ゼロに行ってもらったのはオービターエンジンが設置された、密林内にあるレプリフォース施設。
 エックスに行ってもらったのはレプリエアフォース。そこにはオービターウィングがあるわ」

今回はどちらもレプリフォース関連の施設だ。



「さてさて…依頼のあった場所はここかな?
 あのボウヤがどれだけ慌てふためくか楽しみだなーコリャ」

自動操縦の戦闘機から見下ろすはダイナモ。手にはリモコン……


レプリエアフォースに、スタイリッシュなデザインに身を包んだエックスが降り立つ。
「なるほど。この装備があるから空中戦が有利になるというわけか」

エイリアがライト博士からのデータを解析し作り上げたファルコンアーマー。
特殊武器のチャージが出来ない欠点はあるものの、エックスの飛行能力を特化した強力なアーマーだ。

「レプリフォース兵もイレギュラー化しているか… …って何だ?この音…」
「エックス!部屋の隅に時限爆弾があるから!破壊して!…もう3秒しかない!」


「え、えええええ!?」
辺りが真っ白な光に包まれる。


「ゲホッ…ゴホッ」
「大変ね……エックス、まだあるわ。最優先で破壊するようにしましょう」

「! またあったわ!」
「あれか!!」
時限爆弾を見つけてはショットで破壊する。

「食らえ!」
エックスの腕の細い発射口から放たれたのは青く細長いショット。
貫通力と威力が高いそのショットは、昔のゼロを彷彿とさせた。

3個、4個、5個と次々に破壊していき、落ち着いた頃。
「エックス、上にカプセルがあるわ!」
「上…?何もないじゃないか」
「遥か上…空でも飛ばない限りはいけない場所になってるわ。付近に出入り口がまず存在しない。」
「…壁蹴りでもどうしようもないんだろ?諦めよう。爆弾から命を救うのが大事だ」

「それもあるけどカプセル、取ってみましょうよ。 …飛べるのよ?エックスは」
「………ファルコンアーマーの能力は伊達じゃない、ってことか?」

背中の翼から炎が噴出、体を青いバリアが包み込む。
時間以内なら上下左右自由自在に移動してしまうその能力は「フリームーブ」と呼ばれた。


「…エックスか。よく来てくれたな……。
 それでは次にお前にはガイアアーマーを授けよう。私がかつて試作していた…癖の強い戦闘用アーマーじゃ」
「…戦闘用…。それなら関心が持てますね」
「ゼロにもついさっき渡した所だ。さぁ、持って行きなさい」

136俺的アレンジの入ったロックマンX5 5話後半:2009/04/14(火) 01:58:36
そしてエックスは施設最上階にたどり着く。
しかし飛行機や空母には直結していない。その扉の先は…空だった。
眼下に見えるは戦闘機だ。…どうやらこの上へと降り立つらしい。

顔の整った、美形の青年が翼の上に降臨する。。
「……よく来たね、エックス。
 …俺はレプリエアフォース長官…スパイラル・ペガシオンだ。その節はハンター達に多大な迷惑をかけた」
「……俺達の方こそ、悪かったと思っている…」

そしてまた同じパターンは繰り返されてしまう。
ペガシオンもまたイレギュラー化していた。

「ジェネラル…サマノ…カタキ……う、うぁああ…あああああ!!」
「………ペガシオン。」
ウイルスにより…冷静な若き長官の、その心の内が開け放たれる。
「…………」


ゼロからの通信が入る。
「エックス!奴を倒せ…!前も言っただろう、奴は憎しみに囚われているんだ!」
「でも…!」
ペガシオンは続ける。
「ゼロ…ダマレ…ダマレ…アイリスヲ…アイリスヲ……アイリスヲ返セ…返セ…!」

「……」
ゼロも無言になる。
「おいおーい、いきなりどうしたんだ。俺に縛られたいのかーい?」
「なっ!?」
シグマウイルスと環境コントロールユニットが融合して生まれた奇跡のイレギュラー、
スパイク・ローズレッドはトゲのムチをゼロに伸ばす。



ゼロは戦闘に集中、あっけなく勝利を収めたが……
エックスはそうは行かず。
あのフクロウルの上司だ。風の扱いには彼以上に長けたペガシオンは強敵だった。

「…しかも…その戦い方は!」
「その勉強熱心な所はレプリフォース以外にも向けられていたみたいね」
翼で大空を舞い、敵を大きく囲いこむように何度も何度も空を切るその戦い方。
イーグリードのそれと全く同じだった。


「だから戦い方が解る……一番無防備なのはこのとき!」

ペガシオンの翼をチャージショットが貫通、穴を開ける。
落ちてきたところに…悩み苦しみ、怒り続けるペガシオンの頭へと一発。


…綺麗に、チャージショットはそれを貫いていった。

137俺的アレンジの入ったロックマンX5 6話前半:2009/04/14(火) 03:12:48
「やーやー、今度はエックス君が出てきたかー。また遊びに来ちゃったよ!」

ダイナモがまたも現れた。
「実はさー。あの後ちょっと後悔しちゃったんだよね、流石にうん…」

エックスは黙ってバスターを向ける。
「やっぱりほら……遊ぶのはいいけど、それなりにサッパリしたいじゃないか」
「…五月蝿い!」

チャージショットをダイナモに撃つ。
目にも止まらぬ速度でそれは風を斬り、ダイナモの首筋へと…だが。

「だからさ。今回、俺もちょーっとだけ、本気で行かせてもらいますわ。 …ね?」
手に持ったセイバーによりそれは弾かれた。


跳びあがり、エックスを斬りつける。器用に伸縮するそのセイバーが宙を舞う。
エックスはそれを潜り一撃。
「やるやるー」
そのまま反対側へ跳びあがり…地上へ向けてバスターを2発。
「さてさて、手品の始まりだー!」

グルグルとまたもセイバーを回転させる。
すると…何とそこからはセイバーの刃が次々と飛び出し、エックスを追ってくるではないか。
「何…!?」
「ほらほら、どうしたー?」

チャージショットを再び撃った…と、突然ダイナモが動きを止める。
「ちょっと痺れるぜーーー!?」

ダイナモが腕に力を込める。バチバチと電撃が球の形で腕に集まっている。
「せやぁああ!」

拳を床に叩きつけると床からは光の柱が。
エックスは僅かな柱と柱の間をぬって回避。
「2回目ー!」
ダイナモの近くに。
「3回目ー!」
ダイナモの遠くに。

「あ…あれれ…?効かなかった…? …まーいいや!もう一回だ!」
「そうはさせるか!」

エックスはフリームーブを用い空の上へ。そして…その技を放った。
「はぁああああ!!」

ギガクラッシュほどではないが、広範囲の技だ。
翼からエネルギーの弾を…チャージショットのように放つ。
数え切れない量を。

「ま、さかぁ…?」

拡散する。
「行けっ!」
「おいおーーーーい!」
青き矢となったチャージショットは地上へと降り注ぎ、地上からまた空へと戻っていく。
縦方向への…刃の雨。この技はダイナモに直撃。…刺さる。エネルギーの塊が…肩に、膝に、頭に。

「ったくこれだから嫌だよ…マジだもんなぁ………。」

…だがダイナモはここでシグマの言っていた言葉を思い出す。
「…ま、そんなんだからアンタらは早く死んじまうんだよ。」
また同じ台詞を吐く。
どうやら、彼の中でエックス達の死は確定らしい。

「せいぜい生き延びようとあがくこったな…
 俺は楽させてもらうぜ? 生き延びるために、な」

ダイナモは再び去っていった。

138俺的アレンジの入ったロックマンX5 6話後半:2009/04/14(火) 03:14:11
「エックス、有難う… 今ので時間がまた大分縮まってしまったわ。後…3時間!」
帰還したゼロも揃った。ここでエイリアはミッションの話に入る。

「必要なものは燃料タンク、後ブースターロケット。」
「ブースターロケットか……熱いところに行くことになりそうだな」

「そう。それならゼロは行ってくれるわね?ブースターロケットの保管場所、サンハウスマウンテンへ」
「…何故『それなら』なのか解らないが…いいだろう」
「そしてエックスだけど……燃料タンクのある場所は……」



エックスは星空の中に居た。
「…ここは」
「プラネタリウムよ。綺麗ねぇ… ただし…。ここにも多分細工をしてあるはず…気をつけてね」
一体どんなものなのか…?


「トゲ…!?」
そう。星空と星座の中を歩いていると突然上部からトゲが降り注いできた。
「……移動用リフトも通常のルートを全く通っていないわ。
 …敵の罠だらけだけど…頑張ってエックス!」


その先は何と重力反転フロア。
…あらゆるトラップを抜けたその最深部、タンクがずらりと並ぶ部屋にそれはいた。

蝙蝠型メカニロイド、バットンボーンの群れから現れた…それは奇怪なレプリロイド。
「…………お前は?」
「キキキキキ!世界がやばい中だけど、この環境…こりゃ心地いいなぁ…キキキ」
「…ウイルスに耐性を持っている?お前は…一体」

エイリアが割り込む。「こいつは…ダーク・ネクロバット。
大きな力を持ちながら、失敗作として見放された…
ヘチマール、マイマイン、モスミーノス、ダブルと同じ、3年前に製作されていたレプリロイドよ!」

天候操作、時間操作、吸収能力、変身能力。…では、ネクロバットの能力は?


「キキキーー!」
戦いが始まる。


ネクロバットの基本攻撃はバットンボーンの生成と、吸血…そして超音波。
さしあたって強力ではないその攻撃に、『楽勝だ』と安心しようとしていた…所に。

「かかったなぁぁあ!」

ネクロバットが翼を閉じると突然辺りの景色が歪み始める。そして…
「ダークホールド!!」
「何…?」

そう言った瞬間……
一瞬にしてエックスの体は傷だらけになっていた。
「うああああああああ!!」

…これは一体どういうことなのか。
一瞬で傷を作り出すダークホールドのその性能……


…そう。それが彼の能力だった。マイマインのそれと違う、『時間停止』。
スローに能力だけなら完全なものとしたマイマインとは異なったものだ。

要求されたものが大き過ぎると…失敗として判断されるラインが高くなる。
…そういうことなのだろうか。

再びダークホールドを発動、動きの止まったエックスに襲い掛かるネクロバット。
血を吸い、自らの糧とする。…戦いは長引くものと思われた。
…だが、能力は強力でも性能一つ取れば貧弱。そうそう連発できる能力でもない。
ガイアアーマーの最後のパーツを受け取ったエックスにネクロバットは倒されていったのだった。

一方その頃。
「……ネクロバット……あれは処分した筈ではなかったのか」
「いやぁ、捨てるのを思わず躊躇ってしまいましてな。
 ……ま、彼を外界へ放つことでいつか能力が開花するのを待っていた節も、勿論ありますがなぁ…
 …実に面白いレプリロイドでしたわい」
「……その眼力…。伊達に沢山の『ロボット』は見てきていない、ということか」
「まぁひとまずは待ちましょう。…奴らがネクロバットのDNAを背負ってやってくるところをね」


一方、ライドアーマー・ライデンに乗りマグマの中に潜り込んでいたゼロも、
パワー、スピード、耐久力全てを備えた炎使いの強敵…
レプリフォース災害対策チームのバーン・ディノレクスを撃破。
ここにやっと、シャトルの資材は全て揃ったのだった。


「……後1時間ね…ギリギリ……何とかシャトルの準備は間に合いそう。
 二人とも、お疲れ様!」

139俺的アレンジの入ったロックマンX5 7話序盤:2009/04/14(火) 21:42:57
そしてその時はやってきた。
ユーラシアを破壊すべく宇宙を破壊するロケットを打ち上げる時が。

「大分地球に接近している…十分な加速を得られるかしら」

ロケットの自動操縦システムはウイルスに冒されている。
誰かが乗り込まねばならない…。
その役を引き受けたのはゼロ。…彼は自ら志願した。
例え自分が死を迎えたとしても、確実にエックスは生きる。

アイツならこれからの世界を任せてやれると。

「ゼロ…今からでも遅くない、俺と代わるんだ!」
「…エックス。これからはお前がこの世界を背負っていくんだ。
 こんな所で喚いているんじゃない」

「ゼロ…!ゼローーーーーー!」
「…エックス」
エイリアに押さえつけられ、エックスは留まる。…後は、ゼロの無事を祈るのみだ。
シグナスはエニグマのときと同じように、ロケットへ命令を出す。
「………準備はいいな、ゼロ」
「…ああ。俺を信じろ。…絶対にユーラシアまで到達する」

彼には少しの迷いも、恐れも感じられない。…昔からそういう所は感じられたが。
「……いいだろう」
エンジンにエネルギーが収束する。
「3………」

ゼロは目を閉じ、深呼吸する。
「2……」


…そして目を見開く。
「1…」



「発射!」
「無事に帰ってきてくれ、ゼロ!!」
エンジンが火を吹く。
片道だけの燃料を乗せ、ロケットが今……重力に逆らい… 空へと…宇宙へと旅立っていった。
「信じましょう、ゼロを」

どこかの星へ着陸する訳でもない。破壊が第一。自らの命は二の次……
ゼロはひたすら加速を続ける。

「…………こちらゼロ。ユーラシアへ向かい加速中」
「ああ、順調に進んでいるな!頼んだぞ!」
ダグラスの言葉。
「…ゼロは助かるのか」
「……並大抵のレプリロイドなら即死でしょうな。
 …………しかし、彼ほどのレプリロイドなら、或いは。」
…『或いは。』それに賭けるというのは酷なものだが…今はそれしかない。

見えた。…恐ろしく巨大な物体…ユーラシアだ。
確かにこれが地球に落ちては…ひとたまりもないだろう。

シグマウイルスを大量に積んだそれは…ゼロには、ヤツに他ならなかった。
「……これで終わりだ……シグマ!」

更なる加速。そして…………。



地上からでも観測できた。大きな大きな…巨大な花火が薄暗い空であがるのを。
………ユーラシアの最期だ。
「破壊率92%… 成功よ」

140俺的アレンジの入ったロックマンX5 7話中盤:2009/04/14(火) 21:44:01
だが………エイリアの表情は暗い。
…………まさか。

「…遅かった……! …もうユーラシアは重力に引き寄せられてる!」

……それから暫くして…

無数の巨大な破片が地球に降り注いだ。
アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、太平洋、大西洋、オーストラリア、南極、北極。

…地球の全てに……拡散された破片は考えられない速度で急接近。

………炎の雨が降り注いだ。


空を貫き、大地を裂く。町が廃墟と化し、森は焼かれ、山は形を変え、海は暴れる。


…地球上からその日、いくつの生命が死を迎えたのだろう。
何千…?何万…?いや。


…何十億もの人間やレプリロイドの命が、その日……失われていったのである。
動物、植物などを含めればその数は…膨大な物だった。



何も言えない。…言葉が出ない。
…何のために、シグマはこんな事をしたのであろうか。

「……そうだ、ゼロは!」
…ユーラシアがそのまま直撃していたらきっとそれ以上の惨事だったに違いあるまい。
失われていった沢山の命を考えると、だからよかった、などと言う気にはとてもなれないが。
だがシグマウイルスは地球上から消えてなくなった。
…流石にもうこれ以上の惨事は引き起こされないであろう。

「………信号があるわ。生きてる…」
「行こう、ゼロを助けにいかなきゃ!」



ケイン博士がカウンターハンターに盗まれた、コントロールチップ。
これを抜き取られ、プロテクトをも施されていた彼は…
ずっと、一介のハンターで居られるはずだった。

だが…VAVAからエックスを庇い自爆した時にそれは破られた。
ビームサーベルを携え蘇り…悲しみを背負い、戦う意味を見失った。

そうして彼へと…いずれ訪れる日はとうとう足音を響かせてきた。
…覚醒の日だ。



痛みが感じられない…瞼が開かない。
…暖かさと、土の匂い、そして手の冷たさだけが感じられる。


…体を起こす。
暖かな感触はレプリロイドの血…オイル。
それに引火した炎が、辺りを包んでいた。
燃え盛る炎を彩るは沢山の血。

翼がばきばきと折れたイーグリード、腹に穴の開いたVAVA、尾の千切れたヒャクレッガー、
下半身の潰されたホーネック、四肢を断ち切られたスパイダス、粉々に砕け散ったジェネラル、
顔がグシャリと潰れたカーネル、以前戦ったときの様に脳が露出したシグマ、眼球に穴の開いたエックス。

…解らない。そこは…無数の死体の山だった。


……自分の左腕に冷たい手が重ねられているのが解る。
顔を動かすと傍らには、アイリスの死体。

幼く可愛らしい顔は笑顔のまま焦点の合わない目をしており…
豊かな胸の間にはゼットセイバーが突き刺さり、貫いている。

…戦いの果てに待っていた光景が…これだ。

自分は一体何のために戦っていたのか。
こんな光景を見るために、ずっと戦ってきたというのか。


「…ゼロ。 起きるのじゃ、ゼロ。
 忘れたのか…?お前が戦うその意味を。起きるのじゃ…目覚めるのじゃ、
 我が…最高傑作よ。」

炎に照らされ、ゼロに手を差し伸べる老人の姿。


「お前が戦うべき相手がいるはずじゃ…」
老人の視線の先を追うとそこには黒きゼロ。

「そう、一人は目覚めようとしないお前自身。もう一人は…」
その背後にいたのは…。



「ゼロ!!」
…エックスの声が聞こえ、ゼロは目を覚ました。

141俺的アレンジの入ったロックマンX5 7話終盤:2009/04/14(火) 21:45:43
「…エックスか。…俺は…」

「ゼロが目を覚ましたわ!」
エイリアの声はハンターベースの仲間達を呼ぶ。

視界がぼやける…どうやら夢だったらしい。
「よかった…ゼロ、本当によかった!!」
続けてダグラス。
「全く頑丈なヤツだよお前は…」


二人が喜ぶ中、
ライフセーバーはエイリアを呼ぶ。
「エイリアさん。少しお時間を頂けますかな」
「?」


医務室にてライフセーバーから驚くべき言葉が発せられる。
「…ゼロのボディを調査した結果、こんなものが…」
「まさかこれは…シグマウイルス…?」

「ウイルスのデータ…。 …ユーラシアにあったものを浴びたのかしら」
「…そう思いましたよ、初めはね。 …だが、これを見てしまっては……」

「………!」
シグマウイルスはゼロに感染することで形を変えていたらしい。
その形はまるで…。

「シグマウイルスを凌ぐ毒性を持つといわれております。
 あなたはこれを…何と名付けますか」

「……………『ゼロウイルス』…。」


「…でしょうな」
…その瞬間。

けたたましいアラートが鳴り響く。
「…!?」


エイリアはオペレートルームへと急ぐ。
「………これは」


ある一箇所のポイントに、突然強大なエネルギー反応が感知された。
常軌を逸したエネルギー反応。


…ウイルスの反応も見られる。
世界から姿を消したはずのウイルスが…一箇所にありえないほどの反応を作り出している。
「調査するのか」
「出来ないわよ!…転送禁止地域に指定するわ!絶対に誰も近づかせないで!」


あまりに危険すぎる。調査なんて今現在誰もさせられるわけがない。
……野放しには絶対に出来ないが…だが今は。

エイリアは今自分に声をかけたのがゼロだとその時気付いた。
「…あら?」

「おい、エイリア。ゼロは一体何処に行ったんだ…?」
ダグラスが飛び込んでくる。

「…え?今そこに居たと思ったんだけど……」


「大変だエイリア! …ゼロがいない! 消えてしまった!」
「そんな… みんな、ハンターベース付近をサーチして!」

…それから数分…。何処にもゼロの反応は見当たらなかった。


世界崩壊、ゼロウイルス、謎のポイント、ゼロの失踪。

…それはやがて全て、一つの単語へと繋がっていく。

142俺的アレンジの入ったロックマンX5 8話前半:2009/04/15(水) 08:16:34
「いやー、大変なことになっちゃったみたいだねー、ごめんごめん!」

ダイナモがハンターベースに3度現れた。
何だかんだ言いながら奴の妨害は成功したといえる。
「貴様…!」
エックスはダイナモに詰め寄る。
「今回、俺は戦わないよ?
 いやはや、皆さんはご無事のようで何よりでございますからねー、うんうん。」

チャージショットをひらりとかわして。
「…けどな。 …お前らん中の仲間、もうすぐ一人居なくなるぜ」


「…ゼロか」
「ハイ、エックス君正解」
癇に障る男だ。

「ゼロの旦那が例の場所につくまで、大体そうだな…3日って所か。
 せいぜい準備するこったな」
「……あなた、何を知っているの」

「聞きかじっただけだよ。ただ…ゼロはもうアンタらのトコには戻らないってことだ。
 そして…アイツはこれから、沢山の人間やレプリロイドを殺して廻るぜ
 コロニー落下で沢山の命が失われた…が、まーまだ幸せだったんじゃないのか?…一瞬で死ねた訳だから」

その言い方ではまるで。
「ゼロがイレギュラーになるとでも言うのか!」

「またもや正解。ハワイ旅行獲得まで王手だね
 ま…イレギュラーっていうなら…今までアンタらが知っていたゼロの方こそイレギュラーみたいだけど」
「何を言っている!!」

「まぁどっちでもいいか…。早い話がね。シグマの旦那はゼロをイレギュラーにするため
 こんな大掛かりな事を俺にやらせたんだ。本番はこれから、てこと」
そしてダイナモは背を向け、帰っていく。
「さーて。これからが楽しくなりそうだ」


「エイリア…。」
「…例の場所に近づいた者がいればすぐに反応に出るわ。今は…まだいない。
 あなたはガイアアーマーの性能テストを兼ねて各地に向かってみて。
 私は…ごめん。少しオペレーション出来なくなる」
「…ああ。」




「行けええええ!」
短いチャージ時間で若草色のチャージショットがイレギュラーを木っ端微塵に砕く。
力の壁に守られたエックスが敵を押しのける。針の上を難なく歩き渡りきる。
「な、何だこの癖の強いアーマーは……。」

ガイアアーマーは戦闘用アーマーとしては実に有能だった。そのパワーはかなり強力。
防御力においても他のアーマーより高いと思われる。


その様子をダグラスが観察する。

「…チャージ速度は格段に早く、攻撃力も高い。針の上にあろうと問題なく移動可能。
 バスターは遠くまで飛ばず……俊敏性はガタ落ち。
 …強くはあるが…用途が限られてやがるな」
そして結論。
「完全地上用…か。…だがどうやら、切り札はこれで決まりみたいだな」

そこに割り込む一人の男。
「果たしてそうか?」
「シグナス。」

「…総監なのに誰も敬語も役職で呼ぶこともしてくれないな。 …まあいい」

143俺的アレンジの入ったロックマンX5 8話後半:2009/04/15(水) 08:25:57
シグナスからの分析が行われる。
「エックスの戦闘における特性とは何だ?
 …多彩な特殊武器が使用できることではないのか」

「…ん?特殊武器…!?
 ……本当だ、このアーマーじゃ使えなくなってやがる」

「防御力も確かに高められた。…だが、考えても見ろ…
 俊敏性が低くなった時点で、
 元よりエックス以上の俊敏性を誇る相手とは戦いづらくなったとは思わんか」
僅かな速度の差が命取り。戦いは厳しいものとなるだろう。

「……まぁな。」
「そして強化パーツの取り付けも出来ない。
 チャージ速度の高速化は素直に評価できるが…
 それはパーツで行えることだしな」

シグナスはため息をつく。
「…これでは、通常のミッションだけならいいが……。」


シグナスからの結論。
「エックスになかった特性が付く代償は大きかったか。
 これはエックスの長所を殺し、エックスの短所を強めている」

ダグラスは頭を抱えていた。
「うぅううううーーーん………どうするかねコレ。
 誰か他の意見も聞いてみたいところなんだが……」

そこにエックスが帰ってくる。
「おう、エックス!そういやエイリアはどうした?」
「…エイリア?どうして俺に。」

「何となく知ってそうな気がしてよ」
うっすらニヤついた様子のダグラスに気付くことなく。

…ダイナモの言う通りなら、
ゼロが例の高エネルギーポイントに到着するのは恐らく明日。

「…エイリアなら…確か…」


その時、エイリアがエックスの前に現れた。
「エックス!」

「…驚いた。どうしたんだい」
「行くんでしょう、明日…」

「……ああ。」
「じゃあ…お願いエックス。後で、屋上に来てくれないかしら」
エイリアは真剣だった。

「…え? …ああ。」

ダグラスの顔は緩んでいた。



エイリアはエックスを待つべく、自室へと足を進める。
その間、手に入れた情報を整理してみる。

144俺的アレンジの入ったロックマンX5 9話前半:2009/04/15(水) 08:27:50
遡ること3日。
ゼロが失踪してからずっと…。
エイリアは自室に篭り、見ていたのだ。 …ゼロの戦闘データや、戦闘の映像を。
「……………」
レプリフォース大戦時の映像。
まずはスパイダス戦、次にマッシュラム戦…

ここからだ。ビストレオ戦、フクロウル戦、カーネル戦。

この戦いの中でフクロウルのみ、空中戦を強いられる相手だった。
空中での彼の戦いぶりを見てみる。
……やはり空円舞には隙が少ない。


それよりもビストレオとカーネル。
地上の戦いを行う相手にゼロは如何にして動くのか。

「強い………。」
…戦うほどに強くなっていくゼロの強さがそこで解る。
……答えはすぐに出た。彼の使う技はどれも敵のDNAから得たもの。
一見、エックスのそれとなんら変わらないように見えるかもしれない

…しかしエックスは、どれほど強くなっても本質的にすることは二つ。
撃つことと、チャージして撃つことだけである。

そのパターンが増えるわけであり、戦い方そのものは変化しない。
…だがゼロは違う。
手に入れた技は全て平常時の自分のものであり、その技は全て全く異なったモーションで繰り出すものであり…
それらを組み合わせて戦うことが出来る。龍炎刃→氷烈斬→雷神撃の3連撃のように。
そして彼は防御がエックスと比べ薄いものの、持ち前のセイバーで攻撃を対処できる点は高い。
…次に昨日までの1日の戦いぶりからだ。

グリズリー戦…これはスパイダス戦と比較してみる。
「やはり能力だけじゃない…か」
DNAデータのない状態での戦い同士。だが動きから隙がなくなっていっているのが解る。


ホタルニクス戦。
…三日月斬は空円舞の強化版であるらしい。円形の回転に2つの三日月が見える。
…威力は更に増している上、範囲も広がっている。
そして飛水翔というのは飛燕脚に水の刃がついたものだ。
…強い。敵との距離を構わず、攻撃をしつつ移動を行えるのだ。


…ローズレッド戦。


「しつこいなぁ、アンタも!」
植物型特有の柔らかい体をバネのように使い、細いボディで部屋を大きく跳ぶローズレッド。
そこでゼロは低めに跳び三日月斬で斬り、ローズレッドとは逆向きに跳ぶ。

「さぁかわせるか!?スパイクロープ!」
バラの弦を絡め作り出したような、毒々しい色をしたトゲの球を発射、部屋中に高速でバウンドさせ続ける。
だが…
「電刃」
ゼロはセイバーを両腕に持ち、力を入れてセイバーを力いっぱい振り上げ、スパイクロープを一刀両断、
加えてそのセイバーから発せられた高圧電流でロープ自体を感電させ、動きを止めたのだった。

「落ちてきたな、そん時を俺は待ってたんだぜ…?」

トゲの塊から生成されるはもう一人のローズレッド。この戦闘で幾度も繰り返されてきた光景だ。
だが今回は部屋の左隅にいるローズレッドの分身が右端に出来た。意味することは…
「さぁ叫んでもらおうか!」

バラのムチを両端から伸ばす。部屋のどこにいてもこの攻撃を避ける術は存在しない。
地上に落下して無防備なゼロは格好の的……しかし。

「滅閃光…!」
拳を地面へたたきつけ、エネルギーを放射する。
名前とはうってかわって、暗黒の力が解き放たれ、ローズレッドを黒き光が焼き尽くす。
「ぎやああああああああああああ!!!」
決着のときだった。

「………技は着々と強化されているってことね…。
 龍炎刃やアースクラッシュを更に強化するなんて」

145俺的アレンジの入ったロックマンX5 9話後半:2009/04/15(水) 08:29:48
ディノレクス戦。

「潰れちまいなぁぁぁ」
丸まって突進、壁に激突する。すぐさま回避、飛水翔で通り抜け滅閃光を浴びせる。
「うぉおあああ…!」

敵も諦めない。壁に張り付き、次々と炎を吐き出す。
「グランドファイア!」

地面に残り、次々と小さな炎を撒き散らす特殊なもの。どうやら…燃えてはじけ飛ぶ何か固形物を吐き出しているようだ。
「双幻夢!」

ゼロは自らの分身を生成、二つ分の体で大きく動き、三日月斬でその厄介な炎を斬り捨てる。
ショットイレイザーと呼ばれるパーツによる能力だ。

「さあクライマックスだああああ!」

高高熱の炎が口から床全体に吹かれる。床が全て火の海と化す。
「逃げる場所は壁っきゃねえよな!」
そして壁を蹴りその巨体で突進を放つ。

しかしゼロは飛水翔でそれをギリギリで回避。飛水翔には従来のエアダッシュと違い、
水平に飛ぶのみでなく、斜めに飛ぶことも可能になっているのだ。

「何…!?」
グランドファイアのように炎は地面には残らない。
ディノレクスは口から炎を放ったため、ディノレクス自身の近くの炎から早く消えていくのだ。
着地、そして…
「疾風!」
ペガシオンの技を繰り出す。高速でのダッシュから、それ以上の力で逆方向に力をかけ急停止。
その差で巻き起こった風はディノレクスを襲い、竜巻を生成する。

「な…なんだあぁあ!?」
風がディノレクスを巻き上げ彼の体を刻みつけながら天井へ叩きつける。
「おぁああああああああああああああ!」
ディノレクス自身が炎になっていった。


「……現在までで技は6つ。…この後シャトル作戦に入ったから
 ディノレクスとネクロバットの技は見れずじまいね…。エックスの特殊武器は全て見たけれど」

クレッセントショットは三日月型のショット。チャージすると刃がエックスを覆うバリアと化す。
ジェルシェイバーは地面を這う液体窒素。チャージするとエックスは左右に氷のブロックを巻き上げる。
トライサンダーは3方向へ進む電撃。チャージするとエックスの付近に雷が数発落下する。
ウィルレーザーは蛍型の誘導弾。チャージするとエックスの胴をすっぽり覆うほどの極太レーザーを腕から発射する。
ウィングスパイラルはエックスを中心として発生する竜巻。チャージすると敵へと走る巨大竜巻を発生させる。
スパイクロープはエックスの近くにトゲの球を撃ち出す。チャージすると辺りを跳ね回る紫色のトゲの球に変化する。
グランドファイアは地面に残り、炎を散らし続ける火炎弾。チャージするとエックスの左右からマグマの津波が発生する。
そして、ダークホールドは時間停止。

「…………」
続けてミッション中の様子をチェックする。
「…これは!?」

ゼロのエネルギーが一気に上昇していく時があった。
ホタルニクス研究所でゼロがウイルスにかかったときである。
「…信じられない」

エックスでさえ、ウイルスを浴び続けることで少しずつ衰弱していったというのにだ。
「………………嘘」
ウイルスを食らうほどに戦闘力を増したゼロは…とうとう、ウイルスに完全に感染した瞬間…。





…思い出すのはそこまでにしておこう。
もうすぐ待ち合わせの時間がやってくる。

146俺的アレンジの入ったロックマンX5 10話前半:2009/04/15(水) 19:23:50
「……………」
エックスの足音が聞こえて来た。

「…どうしたんだい、エイリア。」


来た。まずはエイリアから言うべきことを話す。
「…エックス。貴方は…止めたいのよね、ゼロを」

「ああ。危険な場所に行くというのならね。
 …その場所に一体何があるか…解らないけど」
「…そう。」


後ろめたげにエイリアは視線を逸らして言う。
「……なんとしてでも止めたい?」
「…勿論。」


背を向けて話す。
「………結論から言うわ
 ゼロを話し合いで止めることはもう不可能だと思うわ」
「………そうか」
「彼は……、多分しては行けないことに手を染めようとしている。
 …一切の通信を途絶えて姿を消したことからも…その危険さも解った上であることは明白。
 そしてそう彼を突き動かしているのは多分とても強い感情だと思う。」


夕焼け空に風が吹き抜ける。エイリアはエックスに…いつぞやの言葉と同じことを告げなければならなくなった。
「………戦えるの、仲間と」
「…ああ」

「…勝てるの、本気のゼロに」

そして彼はその時と同じように、しかし言葉を変えて返す。
「ゼロにはいなくなって欲しくない。…やらなきゃ。」

その目はとても強かった。

エイリアはエックスに近づき、その掌にそっと何かを握らせた。
「………これは?」
「…DNAデータよ。3種類のDNAデータが…その中に入ってる。
 レプリフォース大戦時に戦ったレプリロイド達の中からね」


「………どうして?」
「あなたとゼロは…互角な強さを手に入れていると私は思う。
 けど、貴方達が直接戦うのなら話は変わってくる。誰しも相性がある…」

自分がオペレートしたハンターだからこそ、穴が見えるのだ。
「残念ながら貴方とゼロとでは、ゼロに分があると言える。
 …ゼロの戦闘パターンを見た結果から言うとね。」
「……そうか」

「…これを、何処で手に入れたと思う?」
「…解らない。」
毎回、イレギュラーから手に入れたDNAデータはハンター上層部が保管、
もしくは処分してしまうからだ。




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