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チラシの裏 3枚目
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ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに
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時間を止めて2get
言ってみたかっただけですすいません
紫魔氏乙
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>>1
乙です!
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>>1
グッショブ、えっとね…ガッポイガッポイガッポイ
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「…兄を止めて欲しい?」
「ああ。兄さんはシグマ軍の中での結構な立場にいるはずだ…
情報を得るためにも、頼むよエックス。
ゼロさんがこのミッションを受けたら…多分兄さんを殺してしまうだろうからな」
「…解った。クワンガーのことはゼロの方に話をしてみよう」
ハンターベースで彼を待っていたのは、
シグマの元へ行った兄クワンガーを止めて欲しいという弟だった。
ゼロが向かう筈だったこのミッションを請け負い、
必ずやクワンガーを殺さずに取り戻すこと…。相手を殺さない戦いはエックスとしても望む所。
断る理由はなかった。
「お前が自らクワンガーの奴を倒すと言い出すとはな…
いいだろう、やってみろ。タワーの最上階にいるが
クワンガーのことだ、塔のあちこちを改造してお前を待ち構えていることだろう」
タワーには地下から潜入する。
まずは地下部分から地上1階まで梯子を伝って昇ったエックスは
1階で一旦踏みとどまることとなる。
「…赤外線センサーね こちらから遠隔操作を割り込ませているから
僅かな間だけ、動作が停止する仕組みになっているわ
感知されればレーザー射撃よ、気をつけて!」
センサーの切れ目を見計らい、イレギュラーを破壊しつつ先へ進んでいく。
「ここから上には中型メカニロイドが沢山いるわ
それを抜けたらエレベーター。これで一気に上まで昇るわよ」
敵のボディを次々にストームトルネードで抉りつつ上のフロアへ。
「! エレベーターホールにトラップが仕掛けられているわ!
針に当たらないよう気をつけて!」
そしてエレベーターが止まった所で一度外部へ。
非常用に用意されていた外部の梯子を伝い更に上へ。
そしてイレギュラーの群がる上部フロアを壁を蹴り昇った先に…
「…ほほう…君が来ましたか、エックス
願ってもない事だ」
「クワンガー、弟からはお前を生かして帰すよう頼まれている。
抵抗しないで同行してもらいたい」
細身の男が姿があった。彼こそが第17部隊所属の特Aハンター、ブーメル・クワンガー…。
バスターを降ろし、エックスはクワンガーを相手に説得を始める。
だが…。
「君は解っていないようだ私がどうしてシグマ隊長の反乱に従ったか…」
レプリロイドの可能性、人間より優れていることの証明。
そんなものは今までに何度も聞いた。
「それは何も、シグマ隊長の可能性を見るためだけではない。
…貴方の力を見たかったからですよエックス」
「!?」
思わぬ言葉に耳を疑う。
「戦いの中でレプリロイドの可能性が開花するというのならば、
それは君とて同じこと…。その力を私に見せていただこう!」
-
速めの速度でエックスの方向へ突進してくるクワンガー。
だがエックスやゼロのそれと比べ微妙に遅い。
冷静にバスターを構え、クワンガーへと走り、撃つ…だが。
「消えた…!」
「こちらですよ」
気がつくと背後にいた。
「食らいなさい!」
彼の得意技、頭のV字パーツをブーメラン化し低速で飛ばすブーメランカッター。
それ自体の回避は簡単…のはずだったのだが。
「フンッ!」
クワンガーもまたエックスへ近づく。
微妙な速度差には慣れることは難しい。その上先ほどのようなテレポートも持ち合わせている。
どの動作にしても速い部類に入るエックスのような者には見極めづらい戦法。
「…そこだ!」
「クッ…」
バスターの衝撃により僅かに後退する。
だがクワンガーが移動してきたのは至近距離。
そこから近づけば…どうなるか。
「はぁあ!」
「うっ………がはっ!」
その瞬間、カッターで体を挟み、そのままその細身からは想像もつかない力で
天井上へ放り投げたのだ。
そしてエックスはそのまま床へと重力によりたたきつけられる。
「グッ…う…うう…まだまだ!」
バスターは当たる。そう能力的に強い訳ではない。
だが…2度、3度と投げ続けた。
…力が残っていない。次投げられたら恐らくエックスの体は持たない。
「まだ…だ…!」
「エックス!跳べ!奴は空中での戦いを不得意としている!」
ゼロからの通信だった。
クワンガーが特意とするのは投げ。その手は空中では使用できず、
またブーメランを見切ることも容易い。
地上戦では追い詰められがちだが、高いジャンプ力を活かし戦えば…
だが。
「………けど、そうしたら…」
「イレギュラーであるクワンガーを生き延びさせるため…
お前は死ぬつもりか!」
…迷っては居られない。後一発…あと一発でクワンガーが諦めてくれれば。
エックスは大きく跳び、クワンガーを飛び越え、一撃を放つ。
「くっ…!」
「もう諦めるんだ!」
「解っている筈だ、私は君達の可能性を見てみたいと!」
「弟の気持ちを無視するつもりか!」
通じる相手ではなかった。クワンガーは壁へエックスを追い込もうとする。
そんなクワンガーの動きより何より、クワンガーの弟との約束が彼を何より追い詰めていた。
けど…負けられないのだ。
エックスは壁に足をかける。
そしてダッシュの力でその壁を力いっぱい蹴る。
そして部屋の中を大きく飛び…
着地と同時に身体を捻り…
渾身の一撃を叩き込んだ。
「流石だ………!」
「………まだ言葉は話せるな クワンガー…ハンターベースへ戻るんだ」
「…エックス。貴方はやはり只者ではなかったようだ。私に出来ることはシグマ隊長の下へ導くことのみ。
…海です。…我々のアジトは…海に沈んでいる。そこを調査させなさい…」
「クワンガー、いい加減弟の言葉に耳を傾けろ!」
「それでは…さらばです」
「クワンガーーーーー!!」
そして彼の体は炎に包まれ…消滅した。
「……」
エックスはただ、黙ってその場を立ち去ることしか出来なかった。
「エックス…今日は取り敢えず休みなさい」
「…ホラ御覧なさい? ハンターって言うのはネ…やっぱりこういうモンなのヨ」
「…………………」
「…お兄さんの事は仕方ないものと諦めなさい。
ま…ワタシもきっと同じ立場にこれからなるんでしょうケド…」
-
「海を探せ…ね
でも今、海もシグマの部下が固めてるから
それどころじゃないのよ…」
「…俺が行くよ。もう、この戦いを早く終わらせるしかないんだ」
「指揮しているのは第6艦隊所属だったランチャー・オクトパルドよ。
…第6艦隊も離反者が多いわ…」
「他にも居るのか…」
敵の居場所は浅い海に存在する海底油田。
警備の薄い浅瀬を見つけ、そこから侵入する。
「大型メカニロイドの反応が5つもあるわ。相当警戒してるみたいね…」
「先へ進むのに障害になるのはそのうちのいくつだい」
「3つって所かしら… 水中ではファイアーウェーブは使えないからストームトルネードで乗り切って!」
アンコウ型の大型メカニロイドが二度行く手を阻む。
性能は後に出てきたものの方が上で、また足場も狭かったものの、
ストームトルネードの威力の前では敵ではなかった。
「水面に注意して!鯨型の大型クルーザーからの魚雷ね」
「追って来ることはないだろう…合間を縫ってすり抜けるよ」
そしてその次に現れるはウツボ型の大型メカニロイド。
水中を自在に泳ぐこのメカニロイドは行く手を阻む以外、特にこれといって障害ではない。
「体から振り落とされないように頭に攻撃をし続けて!」
そして岩場の中に隠れた油田内部に居たのはランチャー・オクトパルド。
「私は悔いてなど居ませんよ。同じ部隊の友である『彼』には悪いことをしたとは
思っていますがね… しかし彼も恐らくハンターのやり方には不満を持っているはず。
私のした事もいずれ理解してくれると信じています…
さぁエックス。私のこの芸術的な力…見せてあげましょう…!」
「行きなさい!」
オクトパルドが一斉にミサイルの乱射を行う。
「何!?」
オクトパルドは大量の魚雷ホーミングトーピードで敵を押し潰す戦法を得意としていた。
「くっ…!避け…きれない…」
オクトパルドから放たれ、広範囲に広がる魚雷。
オクトパルド自身が大きく動く以上、これから逃れるのは難しい。
そしてその上…
「どうです!!」
更に追尾性能を高めた魚型の魚雷がエックスを文字通り包み込み…
一斉にエックスの体に衝突。エックスの体はたちまち爆発に包まれてしまう。
「ぁああああああああああ!」
…動きが複雑だという問題などではない。
動いて魚雷を乱射する、酷く単純な戦い方である。
だが…並みのレプリロイドでは考えられない量を無尽蔵に生産し、その火力で押しつぶしにかかるのだ。
「さぁこっちへ来なさい…」
続けて体を高速回転させ、渦潮を作り出し…
エックスを捕らえる。そして6本の腕をエックスへと刺し込み…
「…お前…エネルギーを!?」
「私の糧となってもらいますよ!」
削られた体力が更に抜けていく。これほどまでに一方的にペースを握られるとは。
だが…そこまでだった。
「ブーメラン・カッター!」
クワンガーから得たブーメランでオクトパルドを刻む。
弱点とはいえないが、複数ある腕を刻むことは十分に出来た。
「…な、何ですと…私の、私の腕が!!」
「ここまでだ、オクトパルド!」
6本の腕がなくては彼は魚雷を撃つしかない。
その勢いも減り、大幅にパターンも少ない。戦術の少なさでは最早、メカニロイドと大差なかった。
「芸術は…爆発なのです!」
攻勢に転じたエックスのバスターの前に、とうとうオクトパルドも敗北を喫した。
-
「お疲れ様、これで漸くこの地域の近海を調査できるようになったわ」
「…でも見つかるまでにはまだかかるだろう
それまでの間、俺は森の方に行ってみようと思う」
「前線基地のある場所ね。あそこにも古い物体の反応を感知しているのよね…
そうそう。今その森には水が溜まっているみたいだから足元に注意してね」
「洞窟の上に反応があるわ…ただし誰かが守ってる様子。大きめのエネルギー反応よ」
「…どんな敵だろう」
「どすこぉおおい!」
待ち受けて居たのはロボット大相撲の横綱といわれた巨漢メカニロイドRT55-J。
半端ではない耐久性、パワー、伸縮自在のアームが武器の巨大メカニロイドだ。
「この洞窟の崩落は彼が原因かもわからないわね…」
「かなりの長期戦になりそうだ…」
いくら攻撃しても減らない耐久力に圧倒されつつも彼を倒し、
現れたカプセルでエックスはボディパーツを入手する。
「このカプセルではボディパーツを授けよう。
これを装備することで、ダメージを半減できるようになるはずだ」
そして崩落の止まった洞窟を抜け、崖を昇った…
だがそこには沼が。
「エックスだけで戦うには不利な場所ね
ライドアーマーがあるからこれを使ってみて!」
いつぞやVAVAが使用していた改造型とは異なる通常のライドアーマーだが
戦闘力は十分に高い。
「操作は… 良し。行くぞ!」
沼地におけるライドアーマー同士の対決も制し、最深部の…金網の部屋で
この森を占拠するハンターとついに対面することとなった。
「第9レンジャー部隊の隊員、スティング・カメリーオ。
シグマの下についた13人の中でも特に異彩を放つ戦い方をするとされているわ」
「…何処に居る、カメリーオ!」
「ににに…エックスか。
俺は悪いがハンターには嫌気がさしてこっちにきたんだ。
邪魔はさせないよ…ににに…」
「…変わった奴だったが、悪い奴とは思ってなかった…」
「今更そんな言葉は要らないぞエックス!ににーー!」
言うと同時に金網へ張り付くカメリーオ。
そしてすぐに体を背景へ溶け込ませる。
「!?」
「ここだぁ!」
すぐに姿を見せ、その長い長い舌でエックスを刺す。
「アァーーー!!」
「まだまだいくぜぇー! ににに!」
気の抜けた声と共にまた姿を消す。居る場所はわかっている。
バスターを撃ちさえすれば…!
「食らえ!! …?」
「ににに!こっちだぁ!」
部屋の端から姿を現したカメリーオは
尻尾から3方向へ拡散するレーザーを放つ。カメレオンスティングと呼ばれる彼特有の武器だ。
「くっ…!」
「しゃーっ!」
柔らかい舌がしなり、今度は鞭のようにしてエックスを薙ぎ払う。
「うぁぁああ!」
-
どこにいるか全くわからない。姿を現すときは攻撃のときのみ。
これでは埒が明かない…
そこで思いついた。カメリーオは姿を隠すとき彼特有の声を出している。
彼が攻撃するのと同じタイミングでこちらが攻撃すればきっと。
「ににに…」
そう言って姿を消す。
次に声がする所が、出現の場所、攻撃を叩き込む場所だ。
「ににに!」
伸ばされた舌を紙一重でかわし、チャージショットを放つ。
「にぁああ!!?」
そして直接攻撃するべく床に落ちるカメリーオ。
これを逃さない手はない。槍のように真っ直ぐ伸びる舌を飛び越え、
背後から一発。
壁へ逃げ、カメレオンスティングを放とうとしたところを一発。
カメリーオの動きにも大分適応できるようになってきた。
だがここでカメリーオにも奥の手があった。
「ほれほれぇえ!」
舌を天井に引っ掛け、そのボディを左右に揺することで天井全体を揺らすというもの。
この前線基地もただの部屋ではない。
鋭い針が天井に備え付けられた、カメリーオが戦いを想定して作った部屋だったのだ。
「まさか!!」
「にーにーにー♪」
天井から針の雨が降り注ぐ…半端な数ではない。
全てを回避するのはとても難しい。
舌をどうにかして…
「ブーメランカッター!」
カメリーオの胴体、顔、舌の3箇所を切り刻むべく、ブーメランを放る。
「にぃいい!?」
切れはしなかったものの、カメリーオの体には切れ跡がつき、天井からは大きく弾き飛ばされた。
続いてそのカメリーオに向かい、大きく跳んだエックスはブーメランを放つ。
今度は性能を対空から地上へと変えたブーメランカッターがカメリーオの後頭部、背を抉るように切る。
「にぃいいいいいいいいいい!」
カメリーオが天井の隅へと移動し…カメレオンスティングを放つ動作をする。
バスターに切り替えたエックスは壁を蹴り、空中でカメリーオを仕留める最後の一撃を見舞った。
「にゃ!?にゃにゃにゃぁあああああ!?」
壁に大きく体を打ちつけ、カメリーオもまた炎に包まれていった。
「ハンターの中でも嫌われ者とされていた彼だけど… これほどまでに高い能力を持っていたのね」
「あまり知らないが…変わり者とは感じたけど…悪い奴には俺には見えなかったな」
そして。
「任務が終わったようだな、エックス。 ようやっとシグマのアジトが発見された。
海の中から姿を現した巨大な要塞で、一筋縄でいくものではないだろう」
「私の率いる第0部隊の部下にも潜入させてみましたが…
先ほどから連絡がありません。
そこで、今度は貴方とゼロとで潜入を行ってもらいたい」
「俺達で一気に決着を着けに向かう。解ったな、エックス」
「…ああ。待っていてくれ、ゼロ!」
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ら氏、埋め乙です
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スレに規制でいけないのでここでシステムアルファ公式
萌え萌え二次大戦人気ランキングBest10
1位 あかぎ 日本:航空母艦赤城
2位 ベローチェ イタリア:L3軽戦車
2位 ふがく 日本:重(戦略)爆撃機富嶽
4位 レイ 日本:零式艦上戦闘機
5位 チハ 日本:九七式中戦車
6位 エイミー アメリカ:M26パーシング重戦車
7位 てんざん 日本:艦上攻撃機天山
8位 レント ドイツ:Ju88
9位 ロジーナ ソ連:T-34
10位 シン アメリカ:M4シャーマン中戦車
10位 ルーデル ドイツ:Ju87スツーカ
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鋼の乙女たちの独断と偏見での胸の大きさ
爆
ロジーナ ソ連:T-34
あかぎ 日本:航空母艦赤城
フェイ ドイツ:5号戦車ティーガー1
ラン イギリス:重爆撃機ランカスター
マチルダ イギリス:歩兵戦車マチルダ2
巨
ミハエル ドイツ:3号突撃砲
エーリヒ ドイツ:Bf109
ルーデル ドイツ:Ju87スツーカ
ナナ 日本:九七式艦上攻撃機
やまと 日本:戦艦大和
ふがく 日本:重(戦略)爆撃機富嶽
ハイネ アメリカ:SBDドーントレス
クレア アメリカ:P-40
フェアリー イギリス:フェアリー・ソードフィッシュ雷撃機
普
レント ドイツ:Ju88
エイミー アメリカ:M26パーシング重戦車
ネコ アメリカ:F4Fワイルドキャット
ルリ アメリカ:航空母艦エンタープライズ
燕 中国:I-16
マーリン イギリス:スピットファイア
貧
レイ 日本:零式艦上戦闘機
てんざん 日本:艦上攻撃機天山
チハ 日本:九七式中戦車
ベローチェ イタリア:L3軽戦車
アリス&クラレンス アメリカ:P-38ライトニング
シン アメリカ:M4シャーマン中戦車
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「それでは以上だ。
明日に備えて諸君は早く体を休めるように」
明日の戦いについての作戦会議。
エックスとゼロは他のハンター達から遅れて内部へ潜入することとなった。
「エックス、どうやらシグマのアジトは電波が遮断されているようだから
私はサポート出来ないようだから…
明日、貴方をシグマのアジトに転送して以降、一応はミッションの最後まで待機することになるけど
それからは貴方とのミッションは無いことになるわね」
「研究所に戻るのかい」
「ええ。大体報告書も纏めたし、そうするつもりよ
もう人手不足ということにもならないでしょうし。
まぁ貴方なら何とかなると信じてるわ。また会うことがあれば宜しくね」
金色の長髪を靡かせて、彼女は部屋へ戻ろうとドアを開ける。
「研究所で同僚に言っておくわ、ゼロ以外にも目を付けるべきハンターがまだいるって。
…そうそう。研究と言えば、イレギュラー研究の第一人者の博士が貴方に話があるらしいわ」
「…あの人か。テレビでたまに見るよ」
「来たかねエックス君。
明日、シグマのアジトに潜入するそうだね、頑張ってくれたまえ」
「…はい」
「この話はゼロ君にはもう言ってあるのだが、
…不可能ならそれでも構わないが…出来るなら、シグマを倒したら
彼のボディは君が持ち帰り、私の元へ届けてくれないかね」
「…と言いますと」
「私はイレギュラー化という、レプリロイドを冒す病について研究を進めている。
今回の事件は…未曾有のイレギュラー事件だ。
そしてそれを引き起こしたシグマは最早ただのイレギュラーでは…ない。…解るね」
「………はい」
「彼という存在は、私にとっても非常に貴重な研究材料になる。
第二第三のシグマを出す前に…イレギュラーに悩まされる日が、二度と来ないために…
…ああ、いやすまない。これは君らには失礼だったかな」
「いえ。きっとみんな…同じ気持ちです」
「…そうか。だとするなら、そうなることがきっと…
イレギュラーという病に冒されたが為、世界の敵と成り果ててしまった
君らの上司『シグマ隊長』の望みでもあるのだろう」
「…そうですね。解りました シグマのボディは私が回収します」
「ケイン博士にも宜しく伝えといてくれ。」
シグマの思惑がよく解らない。本当に、博士の言っているように、イレギュラー化はただの病なのだろうか。
イレギュラーと一口に言っても沢山いる。これまでに倒した8人のハンターは
どれも自分の意思を持ったままイレギュラー化していた。狂うとか、故障とか…そういうもので済ませるものなのだろうか。
…悩んでいても仕方ない。戦いに備えるべきだ。明日は…長い。
そして翌日
とうとうその時がやって来た。
「二人とも、気をつけて!」
「行って来るよ」
「3…2…1… 転送!」
PM5:30.
夕日に染められた赤い空、立ち上る煙、鉄の焦げる匂い…メカニロイドやレプリロイドのおびただしい残骸。
他のハンター達がシグマ軍の戦力を減らすべく戦った跡…
そこは…もう、戦場だった。
「敵の勢力を分散するために二手に分かれるぞ、エックス!
俺は先に行く。お前は後からついて来い!」
ゼロが相変わらずの高速ダッシュでエックスから離れ、そして恐ろしい速度でその先からは爆炎の花が咲く。
ゼロはやはり…強い。
一呼吸をつき、エックスも進む。
ストームトルネード、ホーミング・トーピード、ブーメランカッター。
様々な武器を駆使し、道を塞ぐ敵、空から奇襲する敵を次々破壊していく。
少しはゼロに近づけただろうか。そんな事を思いながら。
小さなリフトを次々に乗り継ぎ、崖の上のシグマのアジトへと足を踏み入れる。
今は戦闘のため岸に近づいているだけのことであり…
すぐに陸からは離れるであろう。引き返す道は…もうない。
狭い通路にひしめき合う敵を倒しつつ先へ進むと、天井が高い部屋に出た所で、
上から赤と紫、二つの光が降って来た。
「エックス、お前は下がっていろ。こいつは俺が倒す!」
「ハッ、一人で粋がるねぇ…」
ゼロが構える。
…と、その瞬間、背後の扉が開き、VAVAがその先へと逃げていく。
「逃がすか!」
ゼロもすかさず追う。
…どの道、エックスにはここしか進む道は無い。
少し待ってからエックスもゼロを追うように先へ進む。
-
通路の先は大部屋でゼロはとうとうVAVAを追い詰めた。
そこにはカプセルと…ライドアーマー。
すばやい動作でVAVAはライドアーマーに乗り込む。
前回のそれと同じようなデザインをしているが…果たして違うのは色だけか。
「ハハハハハ!悪いなぁ、ゼロ!アンタとの戦いは楽しかったが、
コレでおしまいにさせてもらおう!」
「ほざけ、そのアーマーの腕を俺に折られたことを忘れたのか?」
いつぞやのように青き矢のようなチャージショットを放つ。だが。
「忘れたな!」
ダッシュでゼロとの間合いを詰め、ゼロをその腕で殴ったのだ。
「くっ…」
「まともに動けないんじゃあないのか?
今搭乗席に上手く当てていれば俺を倒せたかも知れないのになぁ…」
一撃だけだが結構な痛手である。だがゼロは力を振り絞り…跳んだ。
「消し飛べえぇええええええええ!」
「何ィ!?」
まだ跳べる体力があるとはVAVAは予想してはいなかった。
搭乗席めがけチャージショットを再度放つ。
だが…
「チッ…アブねえじゃねえかよ!!」
「ぐああああああ!」
わずかに体をずらすVAVAの操縦技術に、ゼロの攻撃は阻まれ、
その腕でゼロは振り払われた。
「さて…お前は大人しくしていてもらおうか。最強のハンターさんよ…」
「ぐ…あぁあああ!ああぁあああああああああ!ああああああああああ!」
強力な電流の流れる捕獲用カプセルの中にゼロを押し込む。
ふと、目の前の扉が開く音がする。
そして入ってきたのは…。
「ゼロ!?」
エックスだった。
「おお、お前が来たかエックス。
ゼロの命が惜しければ俺の命令に従え…。」
「エックス、俺に構わずコイツを殺れ!」
「く……」
一瞬の後、エックスはバスターをVAVAのライドアーマーへ向ける。
「ほう、俺とやろうっていうのか?
随分姿が変わり、強くもなったつもりだろうが…
俺のライドアーマーもまた、格段にパワーアップしている!
どこまでやれるか見てやろうか!」
「うっ…がはっ………!ぁ…!! …うっ」
結果は言うまでもない。
ゼロのバスターをもって、ゼロの俊敏性をもっても尚敵わなかったVAVAのライドアーマーに、
エックスが通用するはずなど…なかったのだ。
「ハハハハハハハハハハ!!!!」
超硬質のボディを持つ黒光りするライドアーマーの肩を震わせ笑うVAVA。
最早、エックスに成す術はない。
「う……ぐ……ぬううう…!」
「?」
「うぉおおおお!!」
カプセルが割れる。獣のようにライドアーマーの操縦席に赤きボディがしがみつく。
「貴様!! ゼロ、お前まだそんな力が!!」
そして腕にチャージを行う。
振り払おうと体を揺する。
「VAVA!」
腕でゼロの体にパンチを見舞う。
「お前の相手は…」
壁へぶつける。
「この俺だ!!!」
チャージをまだ続ける。限界まで力を貯め…そして。
「エックス…お前にしてやれるのは…これまでだ!!」
ゼロは自らのボディにバスターを撃ちこみ…そして。
…エックスもこれまで8度に渡り見た光景が展開される。
ボディの中心部から閃光が放たれ。
ボディの各所から炎が上がり…爆炎に包まれ。
そして…全てが真っ白な光に包まれる。
…特Aクラスのハンターの最期。9回目に見たのは…ゼロのものだった。
「ゼロおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
-
妖Luna85%でクリア。ここがHardとLunaの境界という気がする
多分90%はまだ無理。あと15%がこんなにも遠いとは
今Hardやったら簡単に感じるんじゃなかろうか
-
「全く、手間かけさせやがって。」
視界が開け、煙の中から姿を現したのは…
生きていたゼロなどではなく、VAVAだった。
「さぁ、次はお前の番だ。準備はいいか?」
「う…うぅ…ううう…」
「何だ、泣いてやがるのか?
いい、いい。すぐに犬死したゼロに会わせてやるさ…」
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「!?」
VAVAの拘束弾で身動きを封じられた上、
瀕死の重傷を負っていたはずのエックスがなんと立ち上がった。
「な…何!?」
エックスが物凄い速度で向かってくる。
「勢いだけで俺を倒せるかよ!」
得意の電撃弾を肩から放つ。
だが…エックスはすばやくそれをかわし…
VAVAの背後からゼロ距離でチャージショットを放つ。
「なぁっ!?」
「ウォオオオオオオオオオオ!」
距離をとろうとするVAVAをバスターの乱射で追い撃つ。
「チィッ!!」
部屋の上を高く跳び、拘束弾を撃ち着地する。
これにはエックスも足を絡め取られる。
「ウァアアアアアアア!」
お構いなしにエックスはVAVAを撃つ。
「化け物めええええ!」
それを自力で振りほどき、また一発。
「ぐ…て、てめぇ!」
もう形振り構わない。エックスに向かい突進を仕掛ける。
ゼロと互角なこの速さならエックスも…。
「!?」
だがエックスはまたもチャージショットを撃つと同時に飛び上がり、
VAVAを飛び越し…
そしてまた向き直り、ダッシュによる加速をつけて最後の一撃をVAVAへと見舞った。
「死ねえええええええええええ!!」
「なあっ!?」
このときVAVAを支配していたのは…
自分を破ったB級ハンターへの憎しみのみであった。
「エックス……如きにぃいいい!」
VAVAの体から閃光が放たれ、辺りが真っ白な光に包まれた。
「ゼロ…ゼロ!」
上半身だけとなったゼロの体を揺さぶり、声をかけ続ける。
「お前にいつも、油断をするなと言っていながら…このザマだ
…随分、強くなったな…。」
この状態になっても尚口を開くゼロにエックスは言葉を被せる。
「ゼロ、もう話さないでくれ!俺がハンターベースまで運ぶ!」
「フッ…エックス…もうそんな時間はないぜ…
シグマは…見た目からは想像もつかないような力を手に入れている…。
俺の…アームパーツを持っていけ。お前の力はこれで格段にアップするはずだ」
「でも…!」
「俺のことはいい…」
そしてゼロから、最期の一言がエックスに託される。
「さあ…行け、 イレギュラーハンター・エックス!」
エックスの孤独な戦いの幕開けであった。
-
ずーっと、ずーっと前から言いたかったことを言います!
…新ジェームズ・ボンド、これなんてプーチン?
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さーて、萌え萌え2次大戦のほうですがただいま太平洋戦線編、
戦績オールA&トゥルールート入りました!
一同「おおーっ!」
そりゃ最初からレベル27のレイがいれば戦績オールAも当たり前なんだけどね
アルファ「私たちの影がすっかり薄くなりましたね、シャーリィ」
シャーリィ「ああ、レッドフォックス倒してからじゃねーのかおい」
…一撃で1600のダメージを出してくる人と対等に戦えるかっつの!
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妖Luna90%クリア記念sage
残機0、ボム0の滑り込みセーフ。反魂蝶は冷や汗モノ
みょんで死にまくった分、ゆゆ様で神回避できたのが勝因だったかしら
あと10%。ようやくゴールが見えてきた
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「チャージ・ホーミングトーピード!」
無数の魚雷が再生クワンガーを囲み、一気に爆発する。
「チャージ・ファイヤーウェーブ!」
炎の龍を腕から放ち、瞬く間に再生ペンギーゴに炎となって絡みつく。
「チャージ・カメレオンスティング!」
姿を消したエックスは再生イーグリードの至近距離で拡散レーザーを撃つ。
「チャージ・エレクトリックスパーク!」
電撃の壁が鎧を失った再生アルマージに迫る。
「チャージ・ブーメランカッター!」
エックスを中心として4つの巨大な刃が縦横無尽に暴れまわり再生カメリーオを切り刻む。
「チャージ・ショットガンアイス!」
氷の像を再生マンドリラーの頭へと落とす。
「チャージ・ローリングシールド!」
無敵のシールドでミサイルを無力化し、弾になったバリアが再生オクトパルドの身体をその回転で抉る。
「チャージ・ストームトルネード!」
飛び上がった再生ナウマンダーを巨大竜巻が持ち上げ、そのボディを360度包み込む。
「…またこのエリアのエネルギー反応が消えると同時に通信が出来るようになったわ
シグマの居るエリアはその真上。最後のエネルギーを転送したわ。受け取って」
「ああ。助かるよ」
8体の特Aクラスレプリロイドの再生体との対決。
巨大な高性能メカニロイドとの対決を行うこと3回。
戦いを潜り抜けたエックスは、
最後の回復を終え、暗闇の中最後の縦穴へと向かっていた。
いや…これは穴ではない。れっきとした通路なのだ。
壁蹴りという、選ばれし者のみが使える…選ばれし者のみ立ち入ることを許される
シグマの間への通路。
連続した壁蹴りでエックスはその道を進んでいき…
そして部屋へと出た。待っていたかのように床の扉が閉まる。
「…………」
「待っていたぞ、エックス。
君一人でここまで来るとは、大したものだ。」
主人の前に立ち、主人を守るべく白い息を吐き威嚇する紫色の狼。
その背後にはマントに身を包んだ緑色のボディ。
顔に傷のあるこのスキンヘッドの男こそ…シグマだ。
真っ直ぐにシグマを見据え、睨む。かつての上司だった男を。
「…いい目だエックス。迷いがない。だが…少し待ってはくれないかね
私のペットがさっきから黙っていなくてね…
何せ、裏切り者の始末は全て彼に任せているものだからな」
そう言うとシグマは後ろへ下がる。
それを合図とし、紫色の狼型メカニロイドが小さく跳び、地面を足で鳴らす。
「ウォオオオオオオン!」
シグマのペット、ベルガーダーとの戦いが始まる。
始まるや否や、ベルガーダーはエックスに向かい飛び掛る。
エックスはそれをダッシュで潜り、チャージショットを放つ。
「ギャゥン!」
遠くにいるエックスに向け氷の息を吐き出す。
だが壁を蹴りエックスは回避。
「アォオオオオオオン!」
それを見たベルガーダーは今度は炎を吐く。
床を伝い、壁へと昇る火柱。
冷静に壁を飛び降りたエックスは後ろからショットガンアイスを放ち、
またもチャージショットを放ち、反対側の壁へ。
ならばとベルガーダーも壁へとジャンプし、
壁を蹴り反対側の壁へ跳ぶ。
…特Aランクの一部しか使えない三角跳びを彼はシグマの手で習得させられていたのだ。
だが。
「行けぇええ!」
彼の放ったチャージショットによりベルガーダーは吹き飛ばされ、地面へ落下…
砕け散った。
-
「見事だ、エックス。流石はあのゼロが見込んだだけはある。
いいだろう、それでは…この私が相手しよう。」
飛び上がり、一瞬でマントを脱ぎ捨て…エックスの知っているシグマの格好を取る。
光の剣、ビームサーベルを抜き、そして…
戦いが始まる。
「行くぞエックスゥウウウ!」
「行くぞシグマアアアアアア!」
かつてない気迫でシグマが叫ぶ。
一瞬の間にシグマはエックスに近づき、剣を振るう。
だがエックスはその一瞬の間で壁を蹴り、最小限の動きでシグマの背後を取っていた。
「エレクトリックスパーク!」
「ぬう…!」
それでも大したダメージにはならない。
「えぇい!」
サーベルを振るうシグマから距離をとり再びエレクトリックスパーク。
距離をとるべく壁の上へ。
「そこだ!」
額から発せられる光のマシンガン。
だがエックスは僅かに身体をずらし回避。
シグマは目にも止まらぬ速さで三角跳びをし、これに応じる。
シグマが近づくのを待ってチャージ・エレクトリックスパークを放ち、床へ垂直に落ちる。
また三角跳びを用い下へ落ちるシグマに低速のエレクトリックスパークで連続ダメージを図る。
「ぬぐぐ…!」
そしてまた剣を振るいに近づいた所にエックスもまた近づく。
「何をしているぅう!!」
考えられない動きをしたエックスを斬ろうとする…が、チャージ・カメレオンスティングを発動。
これによりエックスは一時的に何者をも透過する透明な体となり、シグマの剣も通用しない。
そしてシグマの体を突きぬけ、カメレオンスティングを放つ。
効果時間が切れる前にまた壁の高い位置へ。
「同じ手は二度も通用せんぞ!!」
そしてチャージを始める。
1段階目。
三角跳びを多用しエックスへ近づくシグマ。
2段階目。チャージ完了を意味する黄色い光に包まれる。…以前ならば。
今のエックスはそれ以上の力を得ていた。
更にエネルギーを貯め続け…赤色に。
ここで勝負は決した。
「これがゼロから受け継いだ力だ… 終わりだ!シグマ!!!」
エックスの背後にまで衝撃が及ぶ紅色のチャージショット。
無数の赤きエネルギー弾が螺旋の形を取り、シグマへと注がれていく。
「……………」
目が生気を失ったように活動を停止し、
ピクリとも動かぬシグマの体から閃光が発せられ、炎が上がり…
シグマの体は跡形もなく消えていった。
-
ずっと『風と共に去りぬ』を見てたけど、ダメだ、ダム崩壊寸前だ…orz
-
部屋の中心には、シグマの首…
にやりと口元が笑ったシグマの首がある。
「クククク…」
首がひとりでにどんどん部屋の上部へと浮き、持ち上がっていく…そして…
何かと結合した。その瞬間…部屋から闇が消え去った。
「!!」
そこにあったのは…部屋全体を覆う、巨大な狼を模した巨大な狼の上半身。
そしてその頭部にはシグマの首が収まっている。
巨大なメカニロイドであろうか。
いや、しかしこのボディを動かすのが最強のレプリロイド・シグマの頭脳であるならば…
メカニロイドとレプリロイドの定義から考えるに…
この巨体は、シグマというれっきとしたレプリロイドであるといえる。
「さあ、始めようではないか!
戦いを!
苦痛を!!
破壊を!!!
その先にお前はレプリロイドの進化の可能性を見出すであろう!!」
このときを待っていたとばかりに歓喜の声をあげるシグマ。
「イレギュラー・シグマ!
お前の野望もここまでだ!お前を…倒す!」
まさにシグマの内面そのものを呈した姿といえよう。
ちっぽけな少年と、巨大な狼。
全く異なる大きさの二人の戦士の…同じ大きさの魂を持った戦いがここに始まった。
「あああああああああーっはっはーーっはあああああぁあああああああああああああああ!」
「これから…新しいレプリロイドだけの世界が…始まるという…の…に…!
エックスぅうううううううううううううう!!!」
崩れ行くシグマの体。
最早ボディの回収は不可能であろう。
…エックスは一人、脱出した。
爆発が各所から生じ、
沈みゆくシグマのアジト。
その様子を岸からじっと見つめ続けるエックスの姿がそこにあった。
「お前が倒したのは、私自身ではない。
バラバラになった機械は私の分身のようなもの。
私は再び力を蓄え、実体を持って復活することが出来る。
エックスよ、また会える日を楽しみに待っているぞ、ハハハ……」
「如何なされました、シグマ様」
「ハンターベースのエックスに宛ててメッセージを送ってきた所だ。
それで…準備は進んでおるかね」
「13人のハンターの現存する残り4人は着々と腕をあげております。
新型レプリロイドの研究は…5体のうち、4体は順調に進んでおりますが…
1体は失敗作ですなぁ。処分しておきました。後、そのうちの1体にはまだまだ…時間がかかりそうですじゃ」
「ふむ。
それで…アレは回収したか」
「ええ、もちろん。
ハンターからのスパイの方も洗脳が完了しております。」
「シグマ様、俺らはいつ暴れられるんですかい」
「そうだな…半年、といったところか。その頃に活動を再開しようではないか。」
「だそうですよ。イーグリードの仇はそれまでお預け、といったところで。」
「…………」
-
それから半年。
エックスはシグマに代わる第17精鋭部隊をまとめる隊長に昇格し、
ゼロのいない世界で彼は、シグマの残党との戦いに追われていた。
その日は巨大メカニロイド生産工場を停止させるべく動いていた。
荒地に作られた工場へはハンターもよく使用するバイク、ライドチェイサーで急行する。
レーザーの雨。これを潜りぬけることは至難の業だ。
「エックス隊長!
見てばっかりなんて居られませんよ!俺にも一緒に行かせてください!」
「ダメだ、攻撃が激しすぎる!君は戻って…あっ!!」
「ぐああああああああああ!!」
エックスレベルの者でなければ、無理に突っ込むとこうなる。
エックスはレーザーの雨を潜りぬけ…
工場の入り口でウィリー走行、そのまま突き飛ばすような形で降り、
入り口を守る大型メカニロイドに車体をぶつける。
そしてバスターの乱射でこれを破壊、先へ進む。
バーウェインと呼ばれるメカニロイドのシャッターを破壊し、
先へとまた進む。
生産され続けるメカニロイドを始末し続け、
上フロアへの縦穴では分厚い壁が迫り来る所を壁蹴りで昇る。
上のフロアの奥の穴から落下した所で工場の最深部にたどり着いた。
そこに落下してきたのはこの工場で生産されている超巨大メカニロイド・CF−0.
エックスの体の10倍はあろうかという巨体の持ち主だ。
しかしその耐久力は半年前に戦った特A級レプリロイドと比べると大したことはない。
力任せなパンチ、大きくジャンプしてのボディプレス、どちらも軽々とかわし
頭にバスターを何発か撃ちこんだ後チャージショットを一撃放てばすぐに…
そのボディは大爆発を起こし、残骸が宙に舞っていった。
「成る程。あれがあのエックス…。」
「ヘッ、大したことないぜ!」
「…少し様子を見ましょう。
それより、例のレプリロイドの方ですが…
扱いは解っていますね」
「ふむ。パーツはほぼ揃っておるんじゃが…まだコントロールが不完全でのう。
もう暫くかかりそうじゃ…」
「解りました。では暫く時間稼ぎは部下の方に任せておきましょう。急がなくては…」
「…君は。また呼ばれたのかい」
金髪にピンク色のアーマーに身を包んだ女性の姿がそこにあった。
以前エックスを担当したオペレーターだ。
「ええ。貴方のおまけで前回のことを褒められて…また何かあったら、ってね
以前は仕方なく人員が足りないから貴方の担当になっていただけなんだけど」
「…でも今回どうしていきなり」
「シグマ軍が活動を活発に行っている地域が見つかったのよ
シグマの側近と見られるレプリロイド達が多分そこに潜伏していると、ケイン博士も言っていたわ」
「…北極も近い寒い地域か」
「今回も前回同様気が抜けない戦いになりそうよ。
何せ…今回は前回見つからなかった4人の特Aランクのハンターがいるし、
それに…」
「…?」
「……後々話すわ。
とりあえず最初はこのミッションからね」
-
「最初のミッションは…気象コントロールセンター。そこに行きましょう」
「了解」
転送先は温室のような暖かな部屋。
「エックス、気をつけて。ここにはイレギュラーが沢山いるわ」
「…了解。」
巨木の形をした建物の中には水晶玉のような装置があり、
そこを超えると天候が変わる。むし暑い。
地面から顔を出し、ソーラーレーザーを発射するメカニロイドや
暑さで生命維持が困難になっている蛙型メカニロイドを撃破しつつ進む。
「雨!?」
「さっきの蛙が元気になるわね ここはウェザークリスタルを使って
天候を制御できる場所なのよ」
視界の悪い中、彼は何かを発見する。
「…これは…?」
「サブタンク。エネルギーを貯蔵して回復することも出来る代物ね
……前回、ナウマンダーやイーグリードやアルマージやマンドリラーのミッション先の施設に
配置されていたようなのだけど……」
「…まぁ、過ぎたことを悔やんでも仕方ないさ。取っておこう」
エレベーターで2Fへ。
「ここからターゲットの場所まではウェザークリスタルの連続よ」
「つまり…天候が連続で変化し続けるってことだね」
「そういうことになるわ。クリスタルを破壊しても天候は設定したとおりになって
そこから変化させられなくなるだから無意味って覚えておいて」
「了解」
晴れ…猛暑のときは敵の落とすサボテン型メカニロイドの成長が早く、
ソーラーレーザーのメカニロイドが本領を発揮する。
雨…豪雨のときは敵の落とす避雷針メカニロイドに雷が落ち、
蛙型メカニロイドは活発に活動する。
そんな中を駆け抜けて最深部のセンター中央部へとたどり着く。
「この先は到着地点と同じく温室よ。ここにいるレプリロイドは…手ごわいわ。
予想できない攻撃をしてくるかもしれない。気をつけて」
「ああ。久々の特Aクラス戦だ、気を引き締めておくよ」
「動くな!」
「やーーーだーーー。」
気の抜ける声がする。
…暖かい部屋をいかにも好みそうな、植物のような珍妙なレプリロイドがそこにいた。
「まず名前を教えてもらおう」
「ワイヤー・へチマールだよーーーん」
間延びした声。だが…これもシグマの部下には違いない。何か意図があるはず。
バスターを構えたまま。
「では、お前の所属はどこだ」
「? なーにかなーそれー…」
「お前のイレギュラーハンターでの所属はどこだったかと聞いている…。」
だが帰ってきた答えは
「しーらないよーーーー?イレギュラーハンターって悪い人ってことしか知らないよーーー」
「……ごめんなさい、エックス」
「説明してくれ」
「…彼は……ハンターじゃないの」
「!?」
「シグマのアジトには再生レプリロイド達が居た場所があったって言ったわよね
あそこは研究施設だったのよ」
「……まさか」
「ええ。彼はそこで生まれたレプリロイド。
シグマによって作られた…『イレギュラーによって作られたイレギュラー』よ」
「…!?」
その言葉に…驚きを隠せない。
「何話してるのーーーー?」
「…彼自体がすでに危険ということか」
「違うわね。多分彼はこの様子だと上からの命令にしたがっているだけ…」
「…保護しよう。」
「イレギュラーによって作られたレプリロイドもまた、イレギュラー。危険な存在とされているわ
「生まれながらのイレギュラー…だというのか」
「………。」
-
「何やってるのーーーー!?」
へチマールの体からムチが伸びる。
「!!」
エックスはそれを軽々とかわす。だが…
「エックス、ごめん…今ので…確定してしまったわ」
「くっ…」
再びバスターを構える。
「んーーーー?」
「すまないっ!!!」
踊りが大好きなだけの、ただの子供レプリロイドにどうして。
迷いの中、エックスの戦いは始まった。
「わわ!!? ストライクチェーーーン!」
ツルの形をしたムチをぐるぐると回す。
エックスのチャージショットはそのムチに吸収されてしまう。
「えぇええええい!」
そして彼はチェーンを伸ばす。貫通力の高いこの攻撃はカメリーオのソレほどの速さはないものの…
リーチがあまりに長い。
エックスはチェーンをくぐり、チャージショットを再びへチマールに当て、
チェーンが縮む直前に後方に向かいジャンプ、距離を置くと同時にチェーンをかわす。
「これならどうかなっ」
ツルを天井へと刺し、ぶら下がり…種を体から投げる。
その種は壁や床へくっつき、トゲのついた植物メカニロイドへと成長する。
「くっ!!」
エックスはぶら下がるへチマールにチャージショットを食らわし、
メカニロイドはバスターで潰す。
「チェーンにはこんな使い方もあるんだよっ!!」
再びチェーンを伸ばしてきたへチマールにバスターを食らわせる…が。
「えい!!」
チェーンを壁に刺し、急速に縮ませることで自らが体当たりする作戦に出たのだ。
だが速度もたかが知れたもの。そのまま飛び越し、後ろからチャージショット。
と、ここでへチマールの様子がおかしくなった。
「い…いたい…痛い…痛いいいいいいいいいいいいいい!」
へチマールの体がみるみるうちに赤く変色し…
頭がトゲに変化した。
「コレは!?」
「シグマはただのレプリロイドを作ろうとしていたわけじゃない…
特殊能力を持ったレプリロイドを作っていたのよ!!」
「となると…」
「恐らく彼の能力は…」
「天候制御か!」
時すでに遅し。雷が至るところに降り注ぎ、エックスはガックリと膝をついてしまった。
1発、2発、3発、4発。
彼は雷を自在に落とす、恐るべきレプリロイドへと変化していた。
「うっ……」
「…やるしかないわ。この痛みを忘れないようにしながら…」
「……すまない…!」
もう一度彼に謝りながら、駆け抜け…そして貫いた。
「やあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
幼い声が響き渡り、へチマールは消滅していった。
「………戻ってきて、エックス」
「ああ」
-
「エックス、エックス!」
「…?どうしたんだ」
オペレーターの様子がおかしい。なにやらあわてている様子だ。
「いいから来て!モニターを見て欲しいの」
「なっ……!?」
見ると、白昼堂々、町の中心を全長200mはあろうかという巨大空母が悠々と浮かんでいる。
足元に位置する道路はその重さで潰れている。
「今度はこれを止めるのを貴方にお願いしたいんだけど」
「解った。これは黙ってみては居られない」
すぐに転送を行う。
「中は沢山のメカニロイドが待ち構えている上、足場も悪い部分もある。
そこはリフトで移動してみて」
「解った!」
最下階まで降りたが、そこに道は無い。
かといって、前部と後部を繋ぐ通路なども特に見当たらない。
「後部へ移動するには…これしかないわ そこは倉庫よね エックス、ライドアーマーに乗って!」
「これは…新型!?」
VAVAが生きていたら喜んでいたであろう、強化されたライドアーマーだ。
背中にはジェットブーストがつき、腕には3本のドリルが装着されたライドアーマー『ラビット』。
「オラオラあああああああああ!」
人が変わったようにライドアーマーを使いこなし、行く手を阻む敵を破壊するエックス。
「…ふぅ。さあ、先へ進もう」
「………」
ライドアーマーから降りた後、エックスはリフトでの空中戦をこなし、
外部ではメカニロイドの発生を食い止めたりもしながら空母後部のオイルプールのある部屋へとたどり着いた。
「何だこの部屋…オイルだらけ…」
「随分趣味の悪い部屋ね…」
「ガハハハハハハハ!俺様の城へようこそエックス!
お前のオイルもここに全部流してくれや!」
「…アリゲイツ!」
「オクトパルドと同じ所属の乱暴者ね
副隊長なんだけど凶暴で残忍。…イレギュラー化は…彼には少し納得かしら」
「オイオイ、随分言ってくれるじゃねえか!?
ハンターベースにこのまんま進路変更してやろうか?アァア!?」
「エックス、やられる前に!」
「解った。」
「ハッ、生意気な口利きやがってんじゃねえぞ小僧!」
そういうとアリゲイツはいきなりプールの中に飛び込んだ。
「下から来るつもりね」
「解りやすい戦法だ」
壁の上へ逃げ、敵が水面に出るのを待つ。だが…
「何!?」
突然、鋭いトゲつきの刃に包まれた車輪が壁を登ってくる。
スピンホイールだ。
「危ないっ」
とっさに下に下りてしまう。だが…
「かかったな馬鹿めがあああああ!」
そのときを見計らい水中から大口を開けてアリゲイツは飛び掛る。
「ああ、少し危なかったよ!」
アリゲイツから遠ざかると同時に彼に向かってチャージショットを放つ。
「ぬがああああああ!」
続いてアリゲイツは口から弾を乱射する。
「遠距離攻撃に関しては穴があるようだな、アリゲイツ!」
隙の多い攻撃は容易くかわし、バスターを見舞う。
「てんめぇええええ!」
肩についたホイールを飛ばす。水上版のスピンホイールだ。
「まだまだまだまだ飛ばすぜオラオラあああ!」
刃のついた車輪が水面を走り、壁を走り、天井にぶつかりエックスの上へ降り注ぐ。
それを連発するものだから、ジャグリングの中にいるような感覚になる。
だが攻撃の手は一切緩めない。早く奴を仕留めなければ、町の危険は恐るべき速度で拡大していくのだから。
「貫かれちまえやああああああああ!」
水面から大きくジャンプ、体を高速回転させ、その口をドリルにして壁へ突撃する。
まさにパワーの塊と言える。
だがこれもかわし…
「ストライクチェーン!」
へチマールから貰った武器がここで役に立った。真っ直ぐに伸びるチェーンは
アリゲイツの頭を的確に捉え貫いた。
「エッ…クス…キサマあああああああああああ!!!」
横暴な男、アリゲイツの最期だった。
「空母の動きは止まったみたいね…エックス、有難う」
-
「おお、エックスか!」
「お呼びですか、ケイン博士。」
ハンターベースで彼を待っていたのはレプリロイドの生みの親とされる
人間のケイン・クライン博士。
「実は先ほど、『カウンターハンター』と名乗る
謎の3人組のレプリロイド達から通信が入ったのじゃ…」
「…カウンターハンター…。」
「半年前から、薄々シグマの側近がVAVA以外にも存在するだろうということは
解ってはいたのじゃが…」
「とうとう動き出したのですね」
明らかになった、今回の敵。
その敵の声に、エックスは聴覚を研ぎ澄まし、注意深く耳を傾ける。
「(ガー)…ロック…(ガガ)…エッ…クス…」
ノイズ混じりな老人の音声はエックスの名を呼ぶ。
…エックス、の前は一体何を意味しているのだろう。
続いて粗暴な男の声。
「ゼロのパーツは俺達が手に入れた!
帰して欲しければ…」
そして冷静な中年紳士らしき声。
「貴方一人で取りに来てください。
ゼロをもし、復活させたいのであれば、ですがね…
待っていますよ、エックス」
ここでメッセージは途切れた。
「…カウンターハンターは3人で構成されているのですか」
「うむ。シグマが居ない今、シグマ軍を指揮しているのは恐らく彼らだろう。
ゼロのパーツを人質としおびきよせ、奴らはお前を倒すつもりなのじゃ。」
「敵が指定してきた場所はどこですか!?」
「待って、エックス!
罠よ。今は力をつけるべき期間。焦って戦ってしまっては…」
オペレーターの説得。
「それに今日は、緊急で片付けなければならないミッションが1つあるのよ」
「…解った。そのミッションを優先しよう」
「有難う、エックス
…場所は砂漠よ。ターゲットのいる場所は妨害電波が発せられて近づくことが出来ないから
付近のレンタルチェイサーショップに転送することになるわ」
「チェイサーの扱いなら任せてくれ。行ってくるよ」
着いた先もまた、シグマ軍により襲撃されていた。
「メカニロイドが数体か…」
バスターの連射でこれを難なく破壊。
地下のチェイサーに跨る。
「ここから一気にミサイル基地まで進むわよ、砂漠を突き抜けて!」
急加速で地下駐車場から飛び出し、
砂漠の谷を越える橋を備え付けの小型ショットで作動させる。
「砂嵐!?」
「急にイレギュラーも襲ってきた…
どうやら人工的なもののようね…でも気にしては居られない。先へ進んで!」
「うっ…視界が…」
「行けない、衝突するわ!!!」
「うわああああ!?」
あわててチェイサーから飛び降りる。
チェイサーはそのまま高速でどこかへ走り去っていき…大爆発を起こした。
「…ごめん」
「砂嵐が収まったわね…。発生装置にでも当たったのかしら」
「……」
「ひとまず、次のチェイサーを探しましょ」
運よくそばにチェイサーを見つけたエックスはまたチェイサーで行く手を阻むメカニロイド達を倒しながら走行。
そして…
「ミサイル基地はもうすぐ…急加速して!この谷越えは厳しいわよ!」
対岸との高低差のある大きな砂漠の谷。今回は橋などはない。
谷から落ちぬよう設置された柵をショットで倒し、ジャンプ台代わりにしながら…
「うぁあああああああああああ!」
エックスは巨大な谷を無事飛び越え、ミサイル基地へと潜入することに成功した。
「そのまま最深部まで…あ!」
「どうしたんだい」
「奥に…恐らくカプセルの反応がある!そこでチェイサーを降りて!」
サソリ型メカニロイドにぶつけ、チェイサーを飛び降りる。
「スピンホイール!」
その先で待っていたのはやはりカプセル、そして謎の老人。
「エックス…ここでは新たなるフットパーツを授けよう。これにより、お前の力は更なる覚醒へと向かうはずだ。
新しい能力は『エアダッシュ』。上手く使いこなしてくれ…」
またも光が彼を包み、彼の頭に電撃と共に知識が打ち込まれ…新たなパーツが生成された。
シグマとの戦いで壊れた物より更に上の、新たなるパーツを入手したエックスは
その下階でミサイルを発見する。
-
「これよりミサイルの破壊に入ります」
「発射時刻になったわ、急いで!」
バスターを乱射するがミサイルはなかなか壊れない。
「ダメ、発射するわ!」
「…なら空中分解だ!」
そして空高く舞い上がり…
間一髪、間に合った!
「よし!」
ミサイルの爆発から逃れるべく、ミサイルの側面を大きく蹴り、退避する。
そして閃光が視界を包む中、彼は砂の上へと着地した。
「やるようだな、エックス」
「…オストリーグ!」
ソニック・オストリーグ。イーグリードの率いていた第7空挺部隊の隊員で、
鳥型レプリロイドでありながら飛行機事故により飛行能力を失い脱退したが…
その驚異的脚力をシグマに買われたという者だ。
「俺が何のためにここにいるか、わかってるな?」
「…俺からは弁解する事もない。俺は…イーグリードを殺した。
…戦おう、オストリーグ」
「そう言われると却って腹の立つものだな…
だが例え隊長が生きていても俺はシグマ軍の一員であることに変わりはない
全力で行かせてもらうぞエックス!」
戦闘態勢に入り…オストリーグは一直線に駆け抜ける。
この一帯は凹凸の激しい地形となっていて、戦うにも走るにも難のある場所だ。
だが…オストリーグの脚力は物ともせず、エックスを突き飛ばすべく猛スピードで突き進む。
「ハァアア!」
オストリーグが低い場所にいる時に高いところから飛び越し振り向きざまにチャージショットを食らわす。
逆は確実に跳んでも突き飛ばされる。ある程度はエックスの脚力も重要となる戦いだ。
「!? 居ない!」
すぐにオストリーグは姿を消した。
…よく見ると遥か彼方に砂煙を撒き散らす影が見える。
「であああああああ!」
エックスを踏み潰しにその距離を一跳びで飛び越え、エックスを踏み潰しにかかる。
「させるか!」
とっさの回避でまた一撃。
「ソニック・スライサー!」
オストリーグは口からブーメランを射出する。
「!」
ブーメランと交差する形で、オストリーグの側にダッシュしこれを避ける。
「かかったなエックス!」
「げふっ!!」
とび蹴りが待っていた。
まるで大きな何かに投げられるかのように放物線を描き、10mほど後方まで突き飛ばされる。
「くっ…」
負けてはいられない。突き飛ばすべく大股で走り続けるオストリーグを潜り、高く跳んでまた一発。
「しつこい野郎だ…!」
太陽を背に、高く飛び上がるオストリーグ。
「まさか!」
大量のソニックスライサーを一度に射出したのだ。
それらは空中で分かれ、翻り…
刃の雨となり降り注ぐ。
「これで終わりだあああ!」
しかしこれもまた、体を僅かにずらし…刃と刃の間に身を置くことで回避していた。
「…チッ、隊長やシグマ様を倒しただけはあるな…化け物かよ
だが気を抜くなよ、俺は何度だってこの技を使える!」
「二度は使わせない!」
オストリーグは高く飛び上がる。
エックスはそれを追うべく、高い位置からジャンプ…そしてエアダッシュ。
「なっ!?お前、空中を…!!!」
「うぉおおおおおお!」
オストリーグの首に零距離のチャージショットを見舞う。
「…くっ……流石……は…!」
首を反動で捻じ曲げながら、オストリーグは地に落ち、炎に包まれた。
「ちっ…俺様の招待を無視するとはエックスの野郎、いい度胸してやがる…
或いは俺を恐れたか?」
「タイミングが悪かったようじゃな『バイオレン』。お前さんはそこで待っておるがよい」
「まぁすぐに我々が始末しますがね。…恐らくは8人のうち、彼とでも戦えば
エックスの気持ちも変わることでしょう。」
-
うー、ドンパチがしたいドンパチがしたい、
第二次世界大戦時(特に海戦兵器)の兵器を使ってドンパチしたい!
艦砲射撃で米国籍艦艇沈めたいーっ!
シャーリィ「だれか止めてこい」
アルファ「わかりました、シャーリィ」
-
>>30
諦めて、スター・デストロイヤー VS デス
TIEハンター VS ビックバイパー
フォース VS リークパワーやろうよ…。
-
>>31
いや、たまにはSFから離れたいのですよ
-
「…この施設がなにやら怪しいのよね」
「…あれか」
「地図の上からでもはっきり見えるでしょう
この島が世界に誇れる施設、中央コンピューターね」
「そこは敵に占拠されているんだろうか?」
「警備はきちんとしているはずなんだけれど…
なにやらおかしな事件が内部で起きてるらしいのよね
夜、何かの人影が見えるような気がしたけど誰もいないとか。
いつの間にか人が倒れたり、見回りのポイントを忘れていたりとか…急病にかかっていたりとか。」
まるで怪談か何かのように語るオペレーター。
エックスは首をかしげる。
「君にしては珍しいね…」
「変だと思っているのは確か。だから何か裏にあるんじゃないかって気がしたのよ
エックス、調査をお願いできるかしら」
「了解。」
中央コンピュータ内部に足を踏み入れるエックス。
エレベーターで上層部の機密フロアへと昇る。
数段階のレベルに分けられており、そこには
「ここにどれだけの情報が詰まっているんだろう。
全部を調べさせてくれるとは思えないけど…」
巨大な球形モニターの部屋に到着する。
「綺麗な夜景が見えるでしょう?
…私の調べによると、外からはどうやらその部屋に人影が見えるといううわさがあるらしいの。
外からは高さからしてよくは見えないはずなんだけどね…」
そのときである。
「よく来ましたねエックス」
けたたましい警報音と共にシャッターが閉まり、どこからか声がした。
「…カウンターハンターか!」
「ご名答 これは貴方をおびき寄せるための罠ですよエックス。
貴方を殺すのにここの警備はこれ以上ない武器となる。
残念ですがここで死んで貰いましょう」
「エックス!警備システムは貴方を攻撃対象として見ている。
最深部に逃げて!」
「最深部!?」
「セキュリティの中枢まで行けばなんとかなると思うの!」
バリアを展開し、警備メカニロイドがエックスに近づいてくる。
チャージショットでバリアを破壊、機能を数秒間ストップさせている間に飛び越す。
サーチライトに当たるとその瞬間警報音が鳴り響き、天井のブロックがメカニロイドとして機能し
エックスを排除すべく攻撃をはじめ、フロアとフロアを繋ぐ橋も落下する。
その先ではまたもブロックが行く手を遮るべく、またはエックスを押しつぶそうと移動を始める。
「耐久力の少ないものを見分けて破壊して、早く先へ!」
「解った!」
その先、会議室のような部屋である機密レベル2への入り口でプロジェクターから現れたのは
可視プログラム体で構成されていると思われる謎の剣。
「何だ、こいつ!?」
「自動攻撃システムね…こんな技術、私見た事ない!」
チョップレジスターと呼ばれるそのプログラムは縦横無尽に動きまわり、
エックスを切り刻むべく斬撃を繰り出す。
「柄の部分が弱いみたい!攻撃してみて!」
「了解!」
それを倒した後は深い深い縦穴を降りることに。
サーチライトに3回当たり、警報音が多重に鳴り響く。
「今度は…なんだ!?」
「エックス…上!」
降りた先の巨大な広間にて…なんと粘土のような形をしたブロックがエックスを押しつぶすべく落下してくるではないか。
「何だ!?何なんだ!?」
そして床へ付着すると同時にフロアと一体、複雑な地形を形成。それはまるで、さっきまでもずっとそんな形の部屋であったかのように。
「最新の技術というのはこんなに厄介なものなのか… わっ!?」
続けて謎のフレームがエックスを捕獲する。これもまた、可視プログラムらしい。
「エックスを解析するつもりね!?」
「そんなことをしてどうするつもりなんだ!?」
そのフレームに解析されること3回。
答えは部屋の出口で明らかになった。
-
エリアとエリアを繋ぐ、空洞に架けられた橋の上。恐らく機密レベル3はこの先であるのだろう。
そこで何者かが無から生成されたかのように、現れた。
ゴツゴツとした胴体に細く長い手足、裂けた口に目は一つ。
中央コンピュータが自慢する最強のセキュリティのようである。
「レイダー・キラー…内部職員からはそう呼ばれているみたい」
「すまないが、破壊させてもらおう。 ん…?」
ふと、先ほどエックスを追い回したフレームが現れ、レイダーキラーの体に吸い込まれるように近づいていく。
「まさか…」
カタタタタタ…システム音が鳴り響くと共に、レイダーキラーは輝き、その姿を変える。これは…データ送信だ。
またフレームが現れ、レイダーキラーにデータを送信する。…またも色が変化する。
3度目の送信が終わったとき、レイダーキラーの黄色は紫へと変化していた。
「…侵入者の戦闘データにあわせ、最適な戦闘方法を計算するプログラム!?」
「そうなると…つまり!」
「恐ろしい強敵が出来上がってしまったわ… エックス、戦える!?」
「それしか道なんてないんだろう!」
バスターを構え、チャージショットを放つ。
だが…
「バリア!?」
続けて上下に撃ち分ける高速ショット。
飛び越し、潜り…攻撃を加える。
レイダーキラーは大きくジャンプし、3方向にレーザーを放射する。
「くっ…」
そしてまた上下に撃ち分けるショット。
「見切った!」
だが。
「!!」
同じパターンは2度繰り返されることはなかった。
今度は低空のジャンプでエックスを素早く踏み潰しにかかったのだ。
「お前…!」
バスターを撃つがバリアにより阻まれる。
「…戦いは長引きそうね」
戦いが終わった頃にはすでに満身創痍。
サブタンクで回復の後、機密レベル3へと向かう。
踏み入れた瞬間止まらぬ警報音が鳴り響き、全力でシステムがエックスを殺しにかかる。
だがそれに負けることなくエックスは突き進み続け…そして。
「ここよ!ここがシステム中枢。ここでセキュリティを無効化すれば貴方は脱出できる」
「……オペレーター、ここにいるシグマの部下は?」
「ここはカウンターハンターが指定してきた場所ではないし、特にこれといって反応は…
…あっ… 今反応が出てきたわ!」
そうオペレーターが告げた瞬間、部屋の隅に黒き砂のようなものが集まり、レプリロイドの形を取った。
「…………エックス、コロス…。」
「…君は!」
「…あったわ!…第0部隊隊員…マグネ・ヒャクレッガー…!」
-
310 :名無しは無慈悲な夜の女王 [sage] :2009/04/01(水) 18:22:26
ウーキーペディアのエイプリル
「コルサントはエンドアの戦い後、すぐに帝国から解放されました」
「オーダー66を生き延びたのジェダイはヨーダとオビ=ワンしかいません!」
「シス・オーダーはダース・シディアスの死を最期に消滅しました」
「最近のニュース:エピソードⅢが劇場公開されました」
…ナイスジョーク!w
-
「半年前、確か俺とゼロが突入する前、
確か第0部隊のハンターが一人潜入して通信が途絶えたと言われていたが…」
「ええ、ヒャクレッガーの事ですよ」
オペレーターの横から通信に割って入ったのは第0部隊の隊長だった。
「…彼はとても有能な隊員です。
故に、敵に回れば恐ろしい敵となるのは間違いない。…エックス隊長、お気をつけて」
「……いいんですか」
「第0部隊は通称『忍び部隊』任務の途中でこうなることは覚悟の上です
それに、きっと私が彼でも同じことを望むことでしょう…」
「…解りました。では…」
「ウウウ…グガガガガガ!」
戦闘態勢に入る。ヒャクレッガーが砂のように消え、別の場所で再構成される。
場所は天井の上だ。
「手裏剣…!」
弧を描き飛ぶ、同時に放たれた3枚の手裏剣。
壁を蹴り、天井のヒャクレッガーにチャージショットを見舞いつつそれを飛び越す。
またも姿を消し、移動するヒャクレッガー。
今度は長い尾をブロックごとにわけ、飛ばしてきた。
「ビット攻撃か…!?」
2つのトゲ付きのビットがエックスの動きに同調し周りを囲う。
「バスターもかき消された…」
ヒャクレッガーの尾の硬度の高さが伺える。
「強力な磁力で挟み込むつもりよ!」
二つのビットが止まった瞬間、磁石としての性質が働きエックスの体を貫くべく作動する。
こうなったらエックスの動きには同調しない。
タイミングよく切り抜け、ヒャクレッガーにまた一発。
「グオォオオオオオオオ!」
負傷したヒャクレッガーは今度は尾全体の磁力でエックスを引き付けにかかった。
エックスの体は浮き上がり、どんどんと吸い寄せられている。
「何をする気だ…」
「アレは…!エックス隊長、離れてください!」
「どうなるんですか!?」
「それは…」
エックスの首をがっしりと掴む。
そしてそのまま首筋に尾の先端の針で刺し…
「あああああああああ!!!」
何かを注入した後、エックスを放り投げた。
「…何だ…?」
「何か身体に違和感はないかね」
「問題ありません。ヒャクレッガーへの攻撃を再開します」
バスターを構え…チャージを…
…おかしい。チャージ…が出来ない!
「それなら!!」
通常のショットをヒャクレッガーに撃ちこむ。
効いてはいるようだが…チャージショットと比べると格段に威力は落ちる。
「グオオオオオオオオ!」
またも注入。
…今度はバスターの連射が効かなくなった。
「グオオオオオオオ!」
今度はダッシュが出来なくなり…
その次には最早ジャンプ力まで低下する始末。
「…これがヒャクレッガーの能力…!?」
「コンピュータウィルスをレプリロイドの体内に注入する…
こうなるとレプリロイドの病もまるで人間のそれと同じね」
天井へ逃げ、手裏剣をばら撒き始めるヒャクレッガー。
確かにこうすれば今のエックスでは太刀打ちしようがない…どうすれば…
しかしエックスもまた、諦めてはいなかった。
壁を少しずつ、且つ素早く蹴り、昇っていく。
「グオォオオ!?」
「少しばかり…遅すぎたようだなッ!」
そして…壁を蹴り身を投げ、なけなしの一発の弾丸を天井に張り付くヒャクレッガーの額に撃ちこんだ!
その瞬間。
「あっ…うううぐっ… ああぁっ!!」
脳天を打ちぬかれた形となるヒャクレッガーは
体をのけぞらせ、目は天を仰ぎ、ビクビクと痙攣した後…
青き炎に包まれながら跡形もなく散っていった。
「エックス隊長。」
「はい…」
「ヒャクレッガーを救って頂いたこと、感謝致します。」
「………いえ。俺は……」
警備システムを停止させ、エックス自身からの危険が去った後、エックスはまた、黙り込んだ。
「…では、こちらはこちらで用事がありますのでこれで…失礼。」
第0部隊隊長は去っていった。
「エックス。ヒャクレッガーのこと、第0部隊の隊長が少し話しているの聞いちゃったのよ」
「…やっぱり、俺のこと恨んでるかな」
「それはないわ。ただ… ヒャクレッガーはゼロを尊敬していたそうよ。…是非自分達の部隊に入って欲しかった、とも。
ゼロは戦闘時、激しい戦いをする事もあるけれど、反面気配を消しての行動も得意だったと聞くし。
隊長もそれを本気で考えていたみたい。それなりのポジションを用意することも考えて。」
「…………そうか。」
「ヒャクレッガーの最後の願い、叶えてあげましょう… ゼロを、復活させて。」
「…ああ」
-
「お、おお…!これはこれは『アジール』様…お越しになるなら一言
おっしゃってくれれば宜しかったのに。如何なさいましたかブク?」
「そうですねぇ…貴方の所は実に適当と言える。少し使わせてもらいますよ」
「ああ、エックスを!いえ、アジール様自らお出ましにならなくとも 私めが一ひねりで始末致しますので…」
「ほほう 我らがシグマ様を一度とは言え破った彼を、貴方が一ひねりできる…と申しますか」
「あ、い…いえいえそんな滅相も無い!!」
「かといって、戦ってつまらぬ負け方をされても困りますがね…何より私が戦いたいのですよ、彼とはね」
「次の指定場所は海中か…」
「元特A級ハンター、バブリー・クラブロスが占拠している海底基地…
水中メカニロイドの格納庫が彼の指定してきた場所になるわ」
「二人を相手か…やってみるよ」
夕日に照らされた海辺の洞窟。
「ここら辺は水族館があることで有名なのよね…エックス、知ってる?」
「確か…腕の立つ館長がいるって噂なんだったかな…。」
洞窟の中から海水へ飛び込む。
水中を泳ぐサメ型メカニロイドを手早く始末し、また潜っていった所で…
「巨大メカニロイドね…」
腹部のサーチライトで海中を照らす巨大魚型メカニロイドに遭遇する。
「破壊…はどうしよう」
「構わないわ。先へ進みましょ」
メカニロイドは無視して基地へと海中を歩いていく。だが…
「…扉か」
「ここは洞窟内を締め切るための仕切りの役割もしているわね…
恐らくは基地の中もこういった扉がある。これがある限り、海には出られないわ…」
「別の道を探そう」
そう言ってエックスが引き返した瞬間……。
ガガガガガガ…と大きな音がする。振り返ると…
先の巨大メカニロイドが扉の上で航行を停止した瞬間、
その扉が独りでに開いたのだ。
「…このメカニロイドだけは通すのか…」
「メカニロイド用格納庫……これよ!」
「…?どういうことだろう。」
「このメカニロイドのコアチップを認証して開く仕組みだと思うの。
だから…このメカニロイドを破壊してしまえば!」
「! 俺が格納庫に入ることが出来る…!
…よし、試してみるよ」
「このメカニロイドは鋭い刃に弱いわ。」
「それなら…ソニックスライサー!」
オストリーグから得た武器で巨大魚を切り刻む。
まずは尾びれ、次に背びれ、次に小型メカニロイド達を追い抜き前方から頭を狙う。
続いて海底近くに下りてきた際に胸びれ、そして最後に腹のサーチライトを…
「まずい!」
サーチライトにエックスが当たってしまった。その瞬間、メカニロイドはレーザーをサーチライトの範囲と同じ範囲に発射し始める。
「一時距離を置きましょう」
レーザーをかわし、くらげの形をした小型メカニロイドを始末した後、またサーチライトへのソニックスライサー。
「破壊成功!!」
メカニロイドは煙を吐き海底へ沈んでいった。
「…これだな」
「急ぎましょう、基地へ!」
コアチップを手に水中基地へ向かう。
岩壁を登り、基地の正面入り口を通り越し更に上へ。
水面に近づいたところで…見えた。
硬い天井が水面の遥か上で揺らめいている。
水面から勢いよく飛び出し、着地。
倉庫というだけあり、そこそこは開けた部屋だ。
床の扉が閉じ、完全な四角部屋となった所で…彼は姿を現した。
「よかった、私の趣向をご理解いただけたようだ。
ククク…」
どこからか空間が裂け、紫色の残像が真っ直ぐに地面に降りてくる。
「ようこそエックス。
私はカウンターハンターの一人…アジール。
お相手致しましょう…」
ンフフ…と、肩を上下させオーバー気味に笑う。
-
「ゼロのパーツを返せ!」
勿論戦闘の用意はとうに出来ている。ダッシュし加速で威力を強めたチャージショットをアジールへと放つ。
だが…
「おっと!」
アジールはその倍しようかという恐ろしい速度で剣を左右にスパスパと振るいチャージショットを切り刻み、
エックスへ向かってきたのだ。
「なああっ!?」
とっさにジャンプして回避。
「いい動きです!」
続けて部屋の端まで到達した瞬間に体を目弐も留まらぬ速さで翻し、垂直に飛び上がる。
体と同時に無論、両手で持った剣も天井近くまで突き上げられ、エックスへと向かい、エックスの体の4倍はあろうかという巨大な衝撃波を発する。
「ぐあぁあああああああああああああああああああ!」
エックスの体に、床に対して垂直な一本の傷が付けられる。
「エックス!!!」
「大丈夫だ。見た目ほど傷は深くない…」
「…驚きましたねぇ。私の剣を食らってもその程度とは…
しかし続けて回避はできますまい!」
二度、三度。恐ろしい速度で垂直に跳び、落下しを繰り返し衝撃波を発生させる。
だがこの技はアジールの腕の位置より下には発生しない。垂直跳びの力のみで衝撃を発生させているためだ。
下から上へと腕まで振るってはここまで真っ直ぐに空気を切れはしない。
だから体勢をそれより低くすれば当たらない。
ダッシュで衝撃波を潜り抜け、アジールの体にチャージショットを放つ。
「くっ…」
続けてバスターを連射し撃とうとするが、これは初めの際の高速剣にて弾かれる。
そしてまたかわす。
だがバスター攻撃の隙を与えないため、アジールは今度は往復して高速剣を繰り出す。
「あまりに強力な攻撃だ…だが…。見切ったぞアジール!」
「痛い所を突かれたものですねぇ…。もう一度仰られたら私とて心が折れそうだ…
だが、次は全てかわしきってから仰るように!」
高速剣、高速剣、衝撃波、衝撃波、高速剣……
恐るべきペースで技を繰り出すアジールの猛攻。
これを破ることが出来ず、幾多のイレギュラーハンターが彼の前に刻まれていったのだろう。
対応できるかどうか。戦いはそこにかかっているといっていい。
一度食らえば最早相手のペース。
回避しながらチャージショットを放ちを続け…
エックスの動きがとうとう止まる。
「お疲れですか!?」
またも高速剣でエックスに近づく。
「そうでもない」
垂直に跳び、軽くかわしたエックスはアジールの背中に最後の一撃を…「置いた」。
「攻撃の手が緩んでいるようで…す…がはっ!!?」
言いながらアジールは気づいた。エックスのボディカラーが変化していることに。
そして、そのときにはすでに遅かった。 …ヒャクレッガーの尾を模したその武器、マグネットマインがアジールの背に付着、
起爆する瞬間だったのだから。
この攻撃が恐らく通常のバスターでも、今の様子からすると自分は負けていた。
アジールは半ば悔しそうに苦笑した。
「ククク…。私を…ここまで追い詰めるとは…信じられん!
…次にお会いするときを楽しみにしていますよ…」
空間を切り裂き、紫色の残像は消えていった。
ゼロの、パーツを残して。
「…ゼロのレッグパーツか…」
「さぁ来るブク!!オクトパルドやアリゲイツのようにはいかないブクよ!」
「スピンホイール!」
「何!?」
口から放たれる泡バブルスプラッシュも、小蟹攻撃も、泡のバリアも…
肩から生えた蟹鋏を模したビームカッターも通用せず。
クラブロスはエックスによって、水中で華麗に燃え尽きたのであった。
「エックスか…カウンターハンターに勝ったそうじゃな…」
「ええ。ヒャクレッガーのように特殊能力はない分、単純に戦闘能力が恐ろしく強力な敵でしたが…
何とか勝利を収めました。…どうしたんですかケイン博士。浮かない顔ですね」
「エックス、お前こそどうしてそんな顔をしておる?
…手に入らなかったんじゃろう、ゼロのパーツ等…」
「…いえ、手に入りましたよ。約束は守る敵でした。この通りです」
「…なんじゃと…?」
-
「残る敵は3人。クラブロスは弱かったけれど…残りはどれも強敵よ
気を引き締めて行きましょう、エックス」
「ではカウンターハンターの残り1人の指定場所へ向かおう。
そいつを倒せばきっと以前無視してしまった1人も姿を現すはず」
「………敵の指定場所は…火山。
そこにいる特Aハンターはあまりに強いと聞くわ。
カウンターハンターも一緒に相手にさせるなんて出来ない。…どちらか選んで」
「……スクラップ置き場と…エネルゲン鉱山か。エネルゲン鉱山だな。住人の生活がかかっている」
そしてエックスはエネルゲン水晶が採掘される鉱山へ向かった。
エネルゲン水晶とは、レプリロイドの動力源となるもので、後の時代ではEクリスタルと略されることもある。
「ここを占拠すると言うことは余程の食い意地の張ったイレギュラーなんだろうね…」
「…あまり考えないほうがいいわ。純粋な敵ほど…貴方倒すのいやなんでしょう
ここの風景を見てリラックスしながら…というわけにはあまり行かないかもしれないけど」
鉱山内部がすでに綺麗な水晶で構成された空間。
地面も、壁も、天井も…全てが水晶で構成された美し過ぎる場所だった。
「ライドアーマー。手早く頼むわ」
「ああ!」
「オラオラあああああああああああああ!」
美しい水晶の中、メカニロイドを粉砕するエックスのライドアーマー。
ライドアーマーを降り、
巨大なクリスタルに埋まったメカニロイドを破壊した先で彼は更に下層へと降りることとなる。
「…見下ろすと結構な坂だね」
「勢いがつきすぎて敵と衝突しないようにね…」
「…!」
そう言った途端である。
水晶の坂を巨大な結晶が滑り降りてくるではないか。
「まずい、さっきもあったけどこれほど長い坂となると…!」
「急いでエックス!」
追いつかれぬように全速力で走り、水晶を飛び越す。
間一髪で水晶によって潰されずには済んだ。
「…待ってエックス。その下…」
「谷じゃないか、ただの。」
「ここからは見えづらいけど、谷の対岸から見ると貴方の立ってる位置のずっと下に、
横穴が見えるのよ。そこに…カプセルの反応を感知したわ」
「…降りてみよう」
壁に脚をつけ、滑り降りる。
メカニロイド達が密集したその中に、カプセルを発見した。
「来たか、エックス。ここではお前のサーチ能力を覚醒するヘッドパーツを授けよう。
これで目には見えにくい通路や特殊な場所などを探し当てることが出来よう…」
頭にパーツが生成された。
坂道を今度は上から滑り降りてくる結晶を回避したりなどしながら
最深部でターゲットを発見する。
「ここにいるのはシグマによって作られた5体のレプリロイドのうちの一人、
クリスター・マイマインよ」
「彼もまた……」
「仕方ないことよ…。 エックス、今度はコアチップを持って帰るから
死なせない程度に頑張って!」
「…ああ!」
「あ、そうそう…へチマールのも何とか回収に成功したわ」
「そうなのか…!」
助けるための戦いになる可能性が少しでもあれば。エックスは扉を潜る。
-
「…な、何だよ…!俺に何かしようってのか…」
「………」
「へチマールを倒したのはお前なんだろう!?俺聞いちゃったぞ!」
「…子供…か。」
「今回放たれたレプリロイド3人は皆そうよ。」
「少しの間、眠っていてもらう!」
迷うことはない。マイマインに向かいバスターを放つ。
「わああああああああ!」
マイマインはとっさに殻に篭りこれを遮った。
「…アルマージ級の殻か…!」
首を大きく振り、口から粘液を撒く。
「く、食らえ!」
その瞬間を狙ってバスターを撃つも、粘液を直に浴びてしまう。
異臭がするのか?それとも溶かされてしまうのか?
どちらでもなかった。エックスはその瞬間、粘液に囲まれ結晶化したのである。
「……!! …!」
「え…ぇえええええええええい!」
殻に篭り、高速の体当たりを食らわす。相当な重量をもっての体当たり。
水晶は粉々に粉砕され、エックスの体は青き輝きと共に部屋の端へと弾き飛ばされる。
「ガッ…!」
「…あ、当たった!当たった!もう一度!」
殻に包まっての突進。
さすがにエックスの方が速い。これを余裕で回避する。
「攻防一体か…強力な攻撃だが…すぐに見切る事ができる! マグネットマイン!」
マイマイン本体に磁力攻撃を当てる。
「ひゃあああああああ!!」
マイマインの体が痺れたと思うと、急に殻からマイマイン自身が弾き飛ばされてしまった。
「いたぁっ!」
「今よ!」
「マグネットマイン!」
丸裸になったマイマインに磁力の機雷を撒き続ける。再び殻に篭られないよう、殻を蹴りながら。
「これは…アルマージのと比べ軽量化にも成功しているから、すぐに俺の力で飛ばせる!」
「相手は強い能力は持っていても素の能力は低いようね」
「返してぇえええ…!」
サッカーボールの要領で殻を蹴りつつマイマインを攻撃する。
そんなやり取りをしているうちに…マイマインがとうとう殻をキャッチしてしまった。
「お…おおお、俺の…!」
もう二度と殻から離させるものか。殻に篭ったマイマインはそのまま天井近くへと跳びあがり、高速回転をし始めた。
「高速の突進か…でも、アジールほどの速さを持つわけも無い!」
「……何か嫌な予感が…」
「俺の勝ちだあああああ!」
触覚に高圧電流が流れた…。かと思うと、突然目の前が歪み始めた。
「こ………れ………は……」
「ええええい!」
マイマインは再び殻に篭っての突進を始める。
「え………いっ」
突進にあわせジャンプで回避。…だが、体が浮くのが物凄く遅い。
…体が動かない。着地も…遅い。そして、そのときに気づく。回避行動が早すぎたと。そして…
「ぐ…あ…あ…あ……!」
ゆっくりと部屋の端まで飛ばされる。
「マイマインの能力…まさか、範囲内の自分以外の存在の時間を遅らせる…時間操作!?」
エックスは倍の速度のマイマインと戦っているようなものだ。
しかもその上、自分の感覚そのものは正常だから動きは数段遅れている。
これでは…エックスに勝ち目は…
「逃げて、エックス!」
ゆっくりと頷いた。なんとかこの速度でもマイマインの動きを回避できるようだ。
紙一重で攻撃をかわしながら…暫くの後。
「…! 時間が元に戻った!」
「あぁああ!ど、どうしよう…! もう一回!」
空中での高速回転から動作を再スタートする。
だがエックスは二度もその手は食らわない。
「大人しくしていてもらう…マイマイン!」
顔を出し、時間操作を始めるその瞬間…エックスは空中を滑走し、マイマインの腹を吹き飛ばした。
「ぎゃああああああああああああ!!」
青き炎が辺りを覆いつくし、マイマインの体が弾けた。
「よし!」
そして頭の辺りから飛び出てきたマイマインのコアチップを手に、彼はハンターベースへと帰っていった。
-
「敵の指定した場所は?」
「火山。…こうなったら確定のようね
サブタンクは貯蔵してきたからきっと勝てるわよ…エックス」
「ありがとう。」
マグマの煮えたぎる活火山。ここで一体誰が何を企んでいるというのか。
「13人いた特Aランクハンターも後一人。 …エックス、貴方ならきっと誰だか解る」
「……ああ。」
カブトムシ型の大型メカニロイドを撃ち落とし、火山に開いたほら穴から火山内部へ。
狭い洞窟に群がるイレギュラーを倒しながらマグマ溜りへ。
「…嫌な予感がする」
「的中よ、マグマが噴火へ向けてせり上がってくる!飲み込まれないように早く上へ!!」
もう元の入り口からは出られない。火口から脱出する他ないと判断し、
ひたすら壁を蹴って上へ。
マグマが追う中をイレギュラーを倒しつつ、必死に上へと駆け上がり…
「今よ!」
火口からマグマがあふれ出す寸前でエックスは火口から飛び退いた。
天に向かいまっすぐに突き上げる炎の柱がすぐ傍に。
「ここは小さなほうの山。…ここから先は別の山で、さっきとは比べ物にならないマグマが溜まっているわ」
溶け行く岩の柱を伝いながら岩壁へ。洞窟にはここから入っていくようだが…
「さっきと同じカブトムシ型のメカニロイドか!」
「待って。カウンターハンターの指定位置はこの上にある部屋よ。
そこに行くには洞窟の壁を破壊しなきゃならない…もっと上へ!」
壁を蹴り上方へ。
「そこ! …相手が狙いを定めるまで待って」
エックスをそこから動けないと判断、突進のモーションに入る。
「跳んで!」
壁を突き破り爆発するメカニロイド。土と一緒に破片が下に落ちていくのが解る。
今開いた穴から入ればすぐ先に扉がありその先が…
「フォッフォッフォ…手荒い方法で入ってきたのうエックス。」
カプセルの底だけを削り取ったような乗り物に乗り、
黒きマントとシルクハットを模したヘッドパーツ、ルーペのようなカメラアイと
特徴的な格好をした白髭のレプリロイドが現れた。
「…カウンターハンター!」
「サーゲスじゃ。お前さんのその体が、どこまで持つか…楽しみじゃわい」
マントを脱ぎ捨て、戦闘が始まる。
「フォッフォッフォッフォ!」
始まるなりサーゲスは高くジャンプ、回転しながらシルクハットからエネルギー弾を撒き散らし始めた。
「!?」
「驚いたかの?フォーッフォッフォッフォ!」
空中回転射撃をまたも行う。
弾と弾の間を見て、着地した瞬間を狙う…が。
「惜しいのう?」
カプセルの底の淵に沿って光の壁が発生、バスターを吸収してしまった。
これではどちらかというと、カプセルから蓋のみを取ったような形といった方が正しい。
3度目の回転、それならばと空中にいる間にサーゲスの身体にバスターを撃ち込む。
光の壁が発生していないところを見計らい、着地してすぐにまた一発。
「ハーッハッハ!思わず尻餅をついてしまったわい…
じゃが、一つ対処を覚えた程度でいい気にはならん方がよいぞ!」
カプセルの底から床へ向かって何かが落下した。薄く丸い形をしていて赤く光った…
「地雷か!」
「お前さんの戦える範囲はどんどん狭まってゆくぞ?さぁ、どうするエックス!フォーッフォッフォッフォ!」
続けてジャンプしての回転射撃。そしてまた地雷。
「どうすれば…!!」
2個、3個、4個と増え、対処ができなくなってゆく。
そしてどんどん行動範囲を狭められ、弾を回避できなかったり、地雷を踏んだりする。
「エックス!敵も地雷を置くのに少し時間がかかるはず。地雷を一気に破壊する手段を考えて!」
「…そうか スピンホイール!」
地形に沿いその刃を走らせるスピンホイールなら!
効果は覿面。スピンホイールは一気に地雷を切り刻み、爆発させていった。エックスはその間爆発の及ばない高いところで待機。
「行くぞサーゲス…!」
着地した瞬間を狙い放たれた一撃。再びサーゲスに尻餅をつかせた。
「ガッハッハ…なかなかやりおるわい…次会う時が楽しみじゃなあ…」
声が少し若返った気がしたが…気のせいだろうか。
そしてゼロのヘッドパーツ。
「…ゼロの顔ね」
「…すぐに元に戻すからな、ゼロ!」
-
サブタンクにより回復を行った後。
ガスが吹き抜ける狭い洞窟内を上へと昇り続け、外へ出たエックスは
マグマを制御するコントロールルームへの扉を開いた。
扉の先にはなんと足場が無い。
真っ直ぐに落下したエックスは、縦長の大きな部屋で彼の名を叫ぶ。
「出てきてくれ… スタッガー!!!」
その瞬間、小刻みに部屋が揺れた。
ダンッ、ダンッ…と、確かな音を響かせ、降りてきたのは…
「フレイム・スタッガー…特Aランクのハンターね 第17部隊きっての格闘家!」
「炎を使う、も入れておいてはくれねえかな。
ナウマンダーのような奴よりかは使い慣れてると俺は思うがなぁ…
まさか、お前がシグマ隊長を倒すとは思わなかったぜ。」
「スタッガー。もう、マンドリラーもクワンガーも倒した。残るはお前だけだ!」
「ハッ、俺を倒せる気でいるのか?お前は確かにシグマ隊長を倒した。
一方の俺はお前にあっけなく倒されたマンドリラーと互角な仲と以前は言われていたよ。
だがな…俺はこうやって生きて、俺の力だけを信じ、ひたすらに腕を磨いてきた!
今の俺を越えられる奴がいると思うなぁ!」
スタッガーの拳が炎に包まれる。
「お前を倒したらこの装置を破壊する。あらゆる火山を制御するこの装置を破壊したら、どうだ?
すぐに各地で噴火が起き、空も陸も地球全て火山灰で覆われる、氷河期が来るのさ!
この世で一番熱い奴ァこの俺様だ!」
「…そんな事が本当に出来るのか」
「俺が勝ったらお前にいくらでも見せてやるさ!
ああ、だからってわざと負けるなんて冷めるこというんじゃねえぞ!」
「エックス…彼が持つエネルギー、半端なものではないわ!気をつけて!」
その瞬間、スタッガーの体が爆発した。…かのように見えた。
とてつもない勢いの燃え盛る炎を纏い、スタッガーがエックスに突進してきたのだ。
残り火が地面をも焦がす程の灼熱。
「わぁあっ…」
「情けねえ声出してんじゃねえ!」
スタッガーのアッパーがエックスに命中。
「うぐっ!」
「どうしたどうしたぁ!」
エックスは壁を蹴り、反対側の壁際へ移動。
「当たれ!!」
チャージショットを放つ。
「なかなか痛いじゃねえか!」
スタッガーはそう言って拳を振るうと両手から離れた炎が弾となりエックスまで届く。
拳を飛ばしているかのようだ。
1発目は飛び越し、二発目をくぐりまたショットを撃つ。
「ほう、やるねぇ!」
炎を纏いまたエックスを追いにかかる。
三角跳びの習性はエックス自身よく解っている。
同じ壁をけり続けるなど、シグマにも出来やしない。
だから、それが出来るエックスにとっては無駄の多い三角跳びは取るに足らない能力だろうと。
だが。
「何怠けてやがる!!!」
壁を垂直にスタッガーは登ってきた。炎を纏い地面を焦がしたのと同じく、今度は壁で。
燃え盛るアッパーを食らい、エックスは空中へ打ち上げられ、床へ叩き落される。
「さっきからだらしねぇ奴だな、もっと楽しませろよ!」
床へと飛び降り、また炎の拳を繰り出す。
エックスはまた壁へと逃げ、スタッガーはそれを追う。
今度もまたアッパーを繰り出す…が、今度はエックスはそれに反応し、壁を蹴り、空中からアッパー中のスタッガーへ向けてショットを撃つ。
「いい動きすんじゃねえか!」
今度はハイスピードで壁を蹴り上がる。
スタッガーもまた三角跳びを駆使し上へ上がる。
そして交差したところでチャージショット。
「なっ!?」
相手が降り出したところで向こうの壁を滑り、飛び降りながらもう一発。
「うぉおおおおおおお!」
-
「や…やるじゃねえか………まだ……だ…」
これほどのダメージを与えて、平気なわけがない。
蓄積された痛みが、ようやく響いてきたか。
息が上がり、よろめき、スタッガーの炎が弱まる。
「終わりだ、スタッガー」
「まだだァァァァァァァァァァァ!!!」
青き爆発がスタッガーを包む。
…青い程の高熱の炎は消滅の証のはず。
「まだ終わりじゃねえ!!」
体の各所が焦げて来ている。とうに倒れているはずなのに…。
青き炎はスタッガーを纏い、スタッガーを限界を超えて立たせていた。
「行くぜエックスううううううううう!」
腕からは青き炎の拳。突進で纏うのも青き炎。
高速で昇り、またスタッガーが並んできたら撃つ。
アッパーが来たら避けてチャージショット。
することは同じだ。でも…エックスが押されていた。
一瞬の動揺が…命取りになった。
「さあああ!」
スタッガーが爆発のように炎を纏い…エックスを掴んだ。
そして
「行っくぜえええええええええええええ!」
エックスの首を掴んだまま、遥か上の火口近くまで上昇する。そして…
「オラあああああああああああぁ!」
そのまま重力による加速と下方向への噴射もあわせた超スピードで床へと下降、エックスを叩きつけた!
「………………………………っ!!」
これほどまでの力を秘めていたとは。エックスは激しく打ち付け、息すら出来ない。
「…エックス!!!」
オペレーターも思わず声をあげる。
「俺自身これほど力が湧いてきたのは初めてだ…さぁ、立ちな…これで終わりだぜ!」
サーゲス戦で使い切ってから、なけなしのタンクでの回復。
少しだけ体力を取り戻したエックスは…壁を駆け上る。
「こんなトコで追いつかれんじゃねえぞ!」
三角とびを繰り返し上へと昇るスタッガー。
エックスも負けじと上へ、上へ。
そして部屋の最上部。
エックスは左の壁から、スタッガーは右の壁から。それぞれが跳び、空中で二人は激突した。
「うぉおおおおおおおおおおお!」
「行けええええええええええええええええ!!」
ドスッ、と大きな音がする。それはスタッガーの拳がエックスを貫いた音…
ではなく、エックスがスタッガーの胸元でチャージショットを爆発させた音だった。
辺りから音がなくなる。
胸に穴の開いたスタッガーと、満身創痍のエックスはそのまま垂直に床へと落ちて行き……
青き炎に包まれ…スタッガーが今やっと、燃え尽きたのだった。
「ハァ……ハァ…」
「ハンターの中でも炎使いの上位は
恐ろしい域に達することがあると言われるけど…これほどまでとはね」
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最後に残ったのはスクラップ場。
シグマが作った3人のレプリロイドの最後の一人がここにいるということらしい。
スクラップ場…人間にとってはゴミ捨て場のようなところだろうが、
レプリロイドにとっては死体の山以外の何物でもない。
死に切れぬメカニロイドやレプリロイドを相手にする戦いとなる。
「スクラップ吸引装置か…」
「エックスの体も引っ張られるみたいね」
「おや…? 何かおかしい…サーチしてみるよ。」
「?」
オペレーターでも見つけられない場所がそこにはあった。
「ここの床の下に、通路がある!」
スピンホイールで削り、隠された地下室へ。
「…ここは古いものだらけだからカプセルがあっても見つからないわね…」
「…行って来るよ」
「エックス、ここではお前に新しいボディパーツを授けよう。ダメージを半分に出来るだけでなく
新たな力を使えるはずだ。」
「…なるほど」
「試してみるよ」
「え、ちょっ…と、エック…ス…?」
ノイズが混じり、通信機器が繋がらなくなる。
エックスに力が集中する。そして…その技の「試し撃ち」が行われた。
通信は途絶えたが、恐らく大事には至ってないだろう。
エックスはまた一つ強くなり、任務を再開する。
「? 何だ、アレ…」
開けたスクラップまみれの部屋の中央に、妖しく光るカプセルが。
何かの影が映ったそのガラスにはヒビが入り……
勢いよく割れると共に何かが飛び出し、近くにあったスクラップメカニロイドを起動させ始めた。
「…操っているのか!?」
ぎこちない動きながら、壊れんばかりの勢いで襲い来るメカニロイド。
心臓部を攻撃するとスクラップは瓦解、中からは先ほど飛び出してきた何かが飛び出す。
よく見ると虫の形をしたメカニロイドのようだ。よく敵に憑依するメカニロイドの一種ではあるが、
色が違う。…特別種であるのだろう。
また憑依されては困る。今度はきっちりそれを破壊する。
そこから先は憑依型の虫メカニロイドが沢山存在するフロアとなっていた。
そうして二度目の赤い憑依メカニロイドを倒してすぐ、
エックスはスクラップ場の最深部に出た。
窓からはスクラップの山が見える。
「………何だ?」
天井から糸で吊るされた奇怪なメカニロイドがそこにいた。
恐らくはシグマ製レプリロイドが置いた、イレギュラー発生装置。
「破壊する!」
ゆらゆらと揺れてスクラップの破片を散らかすメカニロイド。
この中にどれだけ多くのスクラップを収納しているというんだろう。
「行けええ!」
バスターを当て、メカニロイドを攻撃する。
段々と勢いを増すスクラップを必死でかわしながら、またも攻撃。
揺れ続け、いつしか壁や天井にぶつかる。
すると天井からの糸を断ち切り、今度は床のスクラップを撒き散らし始める。
「高速回転…この状態じゃバスターは通用しないか」
回転が止まるとまた糸が天井に向かって伸び、元の体勢へ。
「また撒き散らすか?…いや、もうそんな量もないだろう」
実際なかった。
メカニロイドは恐ろしい勢いで今度はスクラップを吸引し始める。
自分も吸引されないよう、或いは吸引されているスクラップに当たらないように素早く、且つ慎重に回避する。
「食らえ!!」
トドメの一撃。
メカニロイドが吹き飛び、床に落ちる。
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…そして糸が天井へと伸び…天井を突き破り、遥か上方へと逃げていった。
「倒したはずじゃ…」
そのときである。突如として、屋根が破壊され、辺りが外気に晒される。
そして、先ほどのメカニロイドが真っ二つになって落下してくる。
「………え?」
エックスも思わず目を疑った。その上から降りてくるものに。
風を切る大きな羽音と共に、羽を持ったレプリロイドが舞い降りてくるではないか。
「ようやく言葉を話すことが出来た… 僕の名はメタモル・モスミーノス」
「…レプリロイド…だったのか」
彼は今まで吸収してきたスクラップから、自らの新たなる体を構成する材料を探していたのだ。
「…吸収能力…それが君の能力か」
「そうなるね。人間や君達が捨てているものの力が…これだ!」
手をかざすと掌から虹色の光が発せられ、辺り一帯を焼き払う。
「…どういう能力だ…」
破壊の方法としてはあまりに無駄が無い。これほどまでに恐ろしい特殊能力を持つレプリロイドが居たとは。
「…だが生成したばかりでボディ自体はそう硬くは無い…そうだろう!」
壁を蹴り、モスミーノスの体を撃つと今までの敵よりも通りがよく、一瞬動きを止める。
「君がこれ以上強くなる前に、ここで倒す!」
「やってみるがいい!」
360度意図した方向にレーザーを放ち、自由自在に飛び回る脅威のレプリロイド。
羽から生じる特殊な粉は強力な電磁波を発生させ、レプリロイドを内部から破壊する作用を持つ。
スタッガーのように空中で迎え撃とうにも何処に居ても同じ。
ならばと地上でモスミーノスのレーザーをかわしながら、反撃の隙を見つけることにした。
念じてからレーザーを撃つまでにはやや時間が生じる。そこを利用して…
「ラッシングバーナー!」
うねる二つの炎の弾がエックスから放たれモスミーノスを焼く。
「うわああああああ…!!」
「今だ!」
壁を蹴り、空気を蹴り…モスミーノスに至近距離でチャージショットを直撃させた。
「そんな………!」
モスミーノスの体は墜落し、強力なエネルギーを体内から発し炎に包まれ…その体はスクラップに還って行った。
「エックス…エックス!」
ここでやっと通信が繋がる。
「エックス!大変なの、ハンターベースに戻ってきて!」
その慌てぶりはただ事ではなかった。
「了解」
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「…カウンターハンターの最後の一人が襲ってきた!?」
ハンターベースのあちらこちらに破壊された形跡やオイルの跡が。
「…酷い… …のは、俺か」
「幸い、皆軽症で済んで死者は出なかったみたいだけど…私達の責任ね…」
重苦しい空気が辺りを包み込む。
「奴は、カウンターハンターのバイオレンと名乗っておった。
凄まじいパワーの持ち主でのう…ゼロのヘッドパーツとレッグパーツを奪い返しに来たんじゃ
タイムオーバーだ、と大声で叫んでな」
「…くそっ…」
握り拳を作るエックス。
「エックスと通信が繋がらない間、私達でバイオレンには応戦したわ。
だから、何とか死者を出さずに引き上げてもらうまでは出来たの。
引き上げる前にバイオレンは…自分達のアジトの場所を告げていったわ」
「本当か!?」
このとき、エックスの気持ちが一気に切り替わった。
「行って、くれるな?」
「はい!必ずや俺がゼロを助け出します!」
「アジトの場所は今言うけど…向かう前に少し、寄って欲しい所があるの。
行ってくれるかしら。戦いを万全にするため…」
「解った。」
「有難う。…カウンターハンターのアジトは…
『ダブルゼロポイント』。…緯度と経度が…共に0になる地点よ」
「…北極点!」
北極海の中心に作られたあまりに巨大な施設…北極基地。
彼はそこを自らのものとし、長い間世界の目を騙し自分達のスペースに潜み、
表向きは平常を装いつつ、内部から占拠し続けてきたのだろう。
地上3階。壁の一部の凍りついた広い入り口に彼は立っていた。
カプセルにより生成された、腕の白きバスターを携えて。
友を助けるべく…彼は進む。
「ヘッ、ノコノコ来やがったな…エックスの奴」
「彼を侮っていては行けませんよバイオレン。」
「テメェは遊びすぎたんだよ!俺様がブチのめし、奴を極寒の水ん中に沈めてやらぁ!」
迫り来る壁を登りに登り上層とを繋ぐ転送カプセルの前まで来た。
そこで憎き敵、バイオレンは待ち構えていた。
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「ハハハハハ!俺を無視したことを後悔したか、エックス!」
「お前がバイオレンか!」
赤く、ごつごつとしたボディ。頭からは人間の弁髪のように頭の頂点から繋がった鎖…
そしてその先には2mはあろうかという巨大な鉄球。
カウンターハンターきってのパワーファイターたる所以が見て取れる。
「俺様のパワーでぶっつぶしてくれるわ!覚悟しなぁ!」
そう言うと拳を振り上げ叫ぶ。
「うぉおおおおおおおおお!」
戦いへ向け感情を高めるためではない。
この怒号をスイッチとし、部屋内に変化が起こるためである。
部屋内にブロックが生成されたのだ。
サーゲスによる改造により得られたこの力により、バイオレンの戦いは凶悪性を増す。
「死ねやあああ!」
頭を思い切り振り乱し、鉄球で戦いの場ごと、敵を粉砕する。それが彼のバトルスタイル。
そのパワーだからこそ可能な、あまりに重いその鉄球の乱舞。
そう。部屋内がブロックによりめまぐるしく変化することで、鉄球の軌道は
バイオレン自身すら予測不能なものとなるのだ。
「何て奴だ!」
力任せ過ぎるその戦い方に半ば呆れつつ、エックスはバイオレンへ近づき特殊武器を浴びせる。
「バイオレンの弱点はバブルスプラッシュよ!」
「食らえ!」
「んおお!!」
あっという間に懐へ近づかれ強酸の泡を見舞われる。バイオレンにとっては屈辱であり、
それはバイオレンの攻撃をいっそう激しくする。
「潰れろ潰れろお!」
鉄球を避け、距離を置いて今度はバスター。1発、2発と鉄球を避けながら撃ちこんでいく。
「ぜぇ…ぜぇ…
お前っ、ちょこまかとぉおおお!」
片手の5本の指先からマシンガンを乱射する。だがこれもエックスにとっては容易く回避できる代物。怖くはない。
また鉄球の攻撃へ移る。
攻撃をこまめに当てながら鉄球を潜ったり跳んだりしながら当て続ける。
そして彼の鉄球がブロックに引っかかり、身動きが取れなくなった所で…
「バイオレン!」
チャージを最大限にまで強化してのエックスの攻撃が始まる。
「くっ…! 何だ、失敗かぁ!?さっきと変わらないじゃねえか!」
バイオレンに当たったのは普通のチャージショットだった。
だが。
「腕をよく見ろ!」
「! …右腕!?」
「そうだ。俺の利き腕は…こっちだ!」
「エックス、ここでは新しいアームパーツを授けよう。
両腕での二連続で放つ、強力なダブルーチャージショットが使えるようになるはずだ」
この地を訪れる前のライト博士の言葉だった。
エックスの左腕から今…より強力になったチャージショットが放たれる!
「お前のパワーが…!! この俺より…!優れているというのかあああああああ!」
巨体を捻り切るように、青いエネルギーを纏った真紅のチャージショットはただ真っ直ぐに延びていった。
「バイオレンが敗れたようじゃの。それではワシも待機するかの…作業終了じゃ」
「…おお…お目覚めのようですね、シグマ様!」
「ふむ。アジールか…この新しいボディの性能実験として、カウンターハンター最強であるお前に協力して貰いたい。」
「私が…ですか?」
「何…遠慮などはすることはない。全力で来なさい…」
「ぎあぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
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バイオレンを倒した先には転送カプセル。
その先はアジールの待ち受ける上層…のはずだったのであるが。
「…これは… 海水?」
そう。エックスは地下階へと移動させられてしまったのだ。
「次の相手はサーゲスかアジールね。戦い方、覚えてる?」
「どちらが来ても問題ない。相手も結構アレで本気だったみたいだからね」
「…そうね。でも、それにしては相手はあまりに強気すぎる気がしない?」
「…それもそうだね」
極寒の海水の中を、メカニロイドを蹴散らし、トラップを避けながら進む。
「…ここは本当にトラップだらけの階だな。本当に罠でこの地下まで飛ばされたんだなって気がするよ」
針だらけの壁を、上下移動する柱のようなマシンに乗って上へと登るが
その最中には猛烈なバーナーの炎。
避けるものなら避けてみろという、いっそ遊び心すら感じられる罠の数々を抜けると
またもや不可思議な部屋にたどり着いた。
床は針だらけ、遠くまでずっと針だらけで、小さなリフトが4台並んで浮かんでいるだけの部屋。
こんな所に一体何が?そう思い、身体をリフトに乗せた瞬間。
「ガーーーッハッハッハ!! よく来たのうエックス!さぁ年貢の納め時じゃよー!」
縦長の、1列に4門の砲台が並んだ戦車の中から声がする。
以前の落ち着いた老人の雰囲気とはうってかわって、陽気な老人がそこにいた。
「この『サーゲスタンク』でお前をケチョンケチョンのギッタンギッタンにしてくれるわぁ!」
「…大丈夫かしらこのお爺さん。」
「ヒッヒッヒ…」
笑い出したそのタイミングで戦車が動き出し、エックスの足元にも異変が起こった。
リフトが上下に動き、4つの砲門の前へと次々とエックスを差し出してくるのだ。
「何!?」
「まーずはこれじゃよ!」
ぼよん、ぼよん…。 一番上の砲門からはラグビーボールのような形をした、妙なバウンド弾が上下に大きく部屋を跳ねる。
しかし…面白いだけで終わった。
「お次はコレじゃあ!」
3番目の砲門からは鋭いフリスビーのような青いエネルギー弾が飛んでくる。リフトの高さにより
エックスの頭すれすれまで来て当たらず、砲台へ戻っていった。
「何!?…まぁよい、次!」
4番目の砲門からは円柱形の極太ビーム。敵を貫くその攻撃はあまりに強力…なはずなのだが、低すぎて失敗に終わる。
「中々うまくいかんなぁ…」
最後に2番目の砲門から追尾弾。しかし、先へしか進めず、且つゆっくりなその軌道からエックスに交差するようにかわされ、失敗。
「スクラップシュート!」
砲台それぞれに、エックスはモスミーノスから得た特殊武器をぶつけ破壊する。
4つ全てが破壊された時…戦車の前面が爆発した。
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「エマージェンシー機能発動!」
戦車が壊れ、サーゲス自らの搭乗席が露になる。
どうして砲門は4つもあるのに同時に使えなかったか?その理由がここにある。戦車の中をサーゲスが搭乗席ごと上下に移動し、
手動で搭乗席からエネルギー弾を放ち、それを砲台で別々の弾に変換していたからだ。
「ハッハッハ!どうじゃ、このリフトはさぞかし辛かろう!その上下に動くリフトとワシの分裂エネルギー弾!
この組み合わせにお前は果たしてついてこれるか!?」
サーゲス自体もう攻撃方法は一つしかない。搭乗席から放つ弾を分裂させ、エックスに当てることだ。
罠もあり、熟練されたその技術はエックスを追い詰めていく。避け切れないのだ。
「くうっ…」
どんどん弾を発射するペースをあげていく。彼も動きに同調し、高さをあわせてはバスターをサーゲスに叩き込んでいく。
しかし…じわじわと嬲り殺すようなその戦い方は確実にエックスの体力を奪っていった…。
「…なかなかしぶとい奴じゃが…ここまでじゃ!
さーらーばーじゃ!ロックマンエックス!」
エックスを妙な呼び方で呼び、エネルギーを込めるサーゲス。だが…
「エックス!あの技を使って…!」
「あの技…」
「ボディパーツの力よ!どんなものだか私は解らないけど…」
「いや、あの技なら… よし、今なら行ける!」
「無駄な抵抗はやめることじゃな!」
エックスがリフトから飛び降りる。
「死にに来たかぁ!」
そして空中へと浮かび…身体全体の力を胸部に集中させる。
辺り全ての光が失われ真っ暗な闇の中心、エックスに集まる。
そしてエックスからまばゆい光が発せられ…叫んだ。
「ギガクラッシュ!!!」
その瞬間辺り一帯全てが光に包まれ、超高熱の光によって焼き尽くされる。
これが…エックスの持てる力を全て解き放った超爆発…「ギガクラッシュ」だ。
搭乗席とタンク本体を繋ぐアームが溶け、鈍い金属音と共に戦車の底へと叩きつけられる。
しゃがれたような声がその、焼けた口から発せられる。
「ワシは…滅びるのか………?
ライトの……忘れ形見のロボットに…二度も敗北するとは………無念じゃ…」
サーゲスの体は蒸気を発し、緩やかに炎の中にその身体を包んでいった。
「…………その技術力。やはり、ただの科学者ではなかったか」
かつてライト博士の研究所を掘り起こし、エックスを見つけた者は呟いた。
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余りに強力すぎる攻撃、ギガクラッシュ。
オペレーターは…エックスにある疑問を抱いていた。
…彼は一体何者なのだろう。
へチマールの雷、マイマインの時間操作、モスミーノスの吸収など。
変わった能力は今までも見てきた。けど…エックスのそれは明らかに異質だ。何か…底知れないものを感じる。
彼は…本当にレプリロイドなのか?…いや、レプリロイド以外の何者でもない、それはわかる。
けれど…何かが違う。
「さて。無茶を言ってすまなかったな」
シグマは首だけになり、オイルを滴らせるアジールの生首を腕で持ち上げる。
「いえ…有難きお言葉……」
床には刻まれたアジールの体が。
「というのも…アジール、お前には新しい身体を用意している。
気に入ってもらえると嬉しいのだが」
サーゲスの罠を抜けるとカプセルは正常作動。上層部へと一瞬でエックスを連れて行った。
敵も総力を尽くしエックスを倒しに向かってくる。強力なメカニロイド達を倒した先、
開けた部屋でその奇怪な存在が姿を現した。縦長なその部屋の上がきっと最上階であろう。
「…お前……」
「ククク……エックス。御覧なさいこの姿を。
戦うことだけを考え作られたこのボディこそが私の新しい体だ…」
「…どうしてこんな」
「我が名はアジール・フライヤー!」
横長の飛行する筒にアジールの頭が乗せられた奇妙な物体。いや、紛れもなくこれはアジールなのだろう。
だが…こんな戦い方を果たして奴が望むのだろうか?エックスは疑問に思っていた。
「全てはシグマ様のため…!押しつぶして差し上げましょう…!」
壁に身体を激突させるアジールフライヤー。その衝撃からか、壁からは電撃が走る。
「わっ…」
真っ赤に変色し、続けて横長なアジールの体からトゲのついた板が出現。よく見るとエックスが今いる床と似ている。
「何…?」
「食らいなさい!」
トゲのついた板がエックスの頭上に降る。しかしこれはアジールの体の左右から発せられたもの。
勿論、アジール自身の真下には降らないのだ。
「私が得た力はこれだけではありませんよ!」
左右に小刻みに動くとどこからかミサイルが飛来し、エックスを追い詰める。
そう、アジールフライヤーはミサイルを自在にコントロールする力を手に入れたのだ。
「うっ……」
「そこを待っていましたよ!」
ミサイルに混じって、高速で接近する影が。真っ直ぐに飛ぶ小型ミサイル? いや…縮尺が違う。
…そう。大量の火薬を搭載した巨大ミサイルだ。
「わぁああああ!」
辺りを火の海に変えるそのミサイルに直撃され、エックスは壁へ身体を打ち付ける。
「さぁ、行きますよエックス…!」
空中からの一方的な攻撃。これでは勝ち目は薄い。そこで…
「上下に自在に撃ち分けられる武器を使って!」
「マグネットマイン!」
「!」
以前アジールを倒した、ヒャクレッガーから得た磁力爆弾を上方コントロール、アジールの体にぶつける。
今回のアジールは攻撃のみで、防御を一切考えて作られていない。回避力もたかが知れたもの。
……まるで捨て駒のようなものではないか。顔だけが、以前のシグマのような狼型でもない、こんな珍妙なボディに据え付けられ、
手に入れた能力は相手を倒すそれだけの単調なもので、人間型だった頃の能力は何一つ生かされてはいない。
そして、防御の一つもまともに出来ないその体…。
「……お前…」
「貴方に情けをかけられる謂れはない!私はシグマ様のため、貴方を倒すべくこの姿を選んだのだ!」
ミサイルを乱射し、針のついた板を落下させ続ける。そんなことは最早エックスの前には無意味であるのに。
「…チャージ・マグネットマイン」
小型ブラックホールが出現し、通常のマグネットマインと同じように上方へと移動、強力な磁力でアジールを狂わせる。
「ぐぐ…あがががががががががっががががががが!!!!!!!!
ししししし…シグマ様!!! どうか…どうか我々の仇をををををををををを!」
アジールの顔が歪み、機体が捻じ曲がり…爆発と共に粉々になっていった。
「この上か…」
いつぞやのような、壁蹴りのみで進む縦の通路を進んでいくとそこには二つのカプセルが。
転送用のものと思われるが、一つは破壊されていて、転送不能となっている。もう一つのカプセルしか道がないのならば…
「行きましょう」
「うん」
着いた先には8つのカプセル。それが意味するものは…
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「待ってたぜ、エックス!今度こそお前を突き飛ばしてやる!」
オストリーグ。
「グオオオオオオ!」
ヒャクレッガー。
「噛み砕いてくれるぜぇえええ!!」
アリゲイツ。
「今度は以前のようには行かないブク!」
クラブロス。
「イレギュラーハンターは許さないよー!」
へチマール。
「こ…今度こそ結晶漬けにしてやるぞ!」
マイマイン。
「…。」
モスミーノス。
「よお!今度は最初から全力で行かせて貰おうか!」
スタッガー。
エックスは待ち構えていた全員を、今まで得てきた特殊武器を駆使し難なくねじ伏せていった。
最早、敵はない。
…しかしこのフロアの上に通じる道がない。先ほどのカプセルだったのだろうか?
考えていると………突如として大きな縦揺れの地震が起こった。
…いや、違う。これはこのアジトの崩壊だ。
「…?」
「久しぶりだな、エックス」
聞き覚えのある声が部屋に響き渡る。
「…シグマか!」
「カウンターハンター達を使った作戦は失敗したが、
彼らは大きな仕事を成し遂げてくれたよ。お前のためにある趣向を凝らしてある。
中央コンピューターで待っているぞ……ハハハハハハハ!」
決戦の地は中央コンピュータに移った。
そこにきっと…シグマがいる。この事件の黒幕が。
「…ククク…素晴らしい。素晴らしいぞ…!」
北極のアジトはその日、大爆発を起こし海の藻屑となっていった。
戦いの準備は万全。
全ての力を出し切り、戦いに勝つ。そう心に決め、過去に通った道を再び行く。
もう警備システムには引っかからない。華麗に警備網を潜り抜け、
以前剣の形をしたプログラムと戦った間へ足を踏み入れると…扉が閉まった。
…来る。バスターを構え、じっと睨み付ける。
新しいボディを持ってシグマが現れた。
「…ようこそ、エックス。また会える日が来るとは…嬉しいよ。
アジールの奴の姿にびっくりしただろう?これの性能をテストしていたら、こんな事になってしまってな………」
これ、とは武器のことだろう。そう思っていたが…そうではなかった。
彼の傍らにいたのは…
「う… そだ」
「………………」
エックスもオペレーターも言葉を失った。
それは…黄金に輝く長き髪を靡かせた赤き剣士。
背筋を伸ばし、背中に交戦剣ビームサーベルを背負い、
新たな身体を得た……冷たい目をした、彼の…親友だった。
「彼が私の新たなパートナーだ。」
そう。ケイン博士は、ゼロのコントロールパーツをバイオレンに奪われていたのだ。
カウンターハンターがゼロのパーツをわざわざ取り戻しに来た理由は、ゼロを人質にするためではない。
ゼロを…最強の切り札とするためであったのだ。
やっと出会えた友が目の前にいる。
「昔の仲間同士、存分に戦ってくれたまえ」
-
やるしかない。
最大限までチャージされたバスターをゼロへと向け左腕からチャージショットを放つ。
だがそれは同時に放たれたゼロのチャージショットにより相殺される。
ゼロは…チャージを一切行っていない。オペレーターは驚愕した。
続けて二発目のバスターを左腕から放つ。
だが…なんとゼロももう片方の腕からチャージショットを放ったではないか。
そう…ダブルチャージ。だがエックスのバスターの方がやや上回り、
ゼロのチャージショットを打ち消しゼロへと命中する。だがゼロは顔色一つ変えることなく…
3撃目を放ったのだ。
1発目を放った腕で背中からサーベルを抜き、目いっぱい振ることで斬撃を飛ばす。
「うああああああっ…!!」
エックスでさえようやっと習得したダブルチャージを超える…それは『トリプルチャージ』だった。
大きな傷が残るエックスに、またもチャージ無しで…チャージショット1発目、2発目、そして3発目に斬撃。
エックスはその攻撃をダイレクトに食らい…
「……………!」
エックスの口からオイルが噴出する。
「…あ…あああ…!」
オペレーターも最早声が出ない惨状。
オペレーターはエックスのことを、レプリロイドの域から遥かにかけ離れた存在としていた。
だが…怪物はもう一人いたのだ。エックスの…すぐ傍に。
「くっ………」
サブタンクで早くも回復を行う。だがまたもトリプルチャージをゼロは放つ。
間一髪これを避け、壁へ逃げる。何とか距離を置けば…
だがゼロは物凄い速度のダッシュでエックスに近づく。
エックスはゼロを引き付け壁を飛び降り、通常バスターをゼロに浴びせる。
…しかし何とゼロは光の弾丸を素手でガードした。
チャージを行わなければゼロに対しては攻撃としてすら機能しないというのか。
ゼロはお構い無しにエックスへと近づき…拳を勢いよく地面へ叩きつける。
辺り一面の、地に繋がるものが爆発を起こし、床が弾け飛ぶ。
瓦礫もまたゼロを中心に大きな波となってエックスの体に次々と刺さって行く。
その技の名前は『アースクラッシュ』。
「ク…………ッソおおお…!」
ゼロに向かい渾身の一発を放つ。
2発目は当たったものの今度は1発目のチャージショットも防御されてしまう。
ゼロの隙を狙わなければ攻撃すらも当たらないというのか。サブタンクでもう一度回復する。
今度はまたトリプルチャージ。1発、2発、3発。
腕の勢いに任せた驚嘆すべき速さの三連撃を飛び越し回避する。
「チャージ・ストライクチェーン!!」
チェーンがエックスの腕以上の太さとなり、ゼロへと勢いよく伸びていく。
「チャージ・マグネットマイン!」
高磁力で出来たブラックホールでゼロにダメージを与えようとする。
「チャージ・スピンホイール!」
スピンホイールが撃ち出してすぐに拡散。車輪を包む針が飛び散る。
…しかし…ゼロには何一つ通用しない。
またしてもゼロのトリプルチャージ。
1発目は相殺、2発目でゼロの体に命中させ、3発目はかわす。
そしてエックスを追い詰めるべくゼロは距離を詰める。
「チャージ・クリスタルハンター!」
マイマインの時間操作能力そのものだ。自分以外に緩やかに流れる時間の中でエックスはゼロを飛び越す。
そしてバスターに持ち替えてまた一撃。
だがその次の瞬間、ゼロはアースクラッシュを放ちエックスを圧倒的パワーで吹き飛ばいていた。
「うぁああああああ!!」
「チャージ・ソニックスライサー!」
オストリーグがしたそれと同じように、天井高く刃を放り上げ…空中から雨のように降らせる。
だが…これもゼロの防御の前に、刃の折れる音が不発を告げた。
そしてゼロは両腕と剣を用いトリプルチャージを始める。
「チャージ・バブルスプラッシュ!」
無数の特殊な泡がバリアの役割をしエックスを守る。
だがものの一発で破壊、2発目3発目を続けざまに食らってしまう。
最早、止むを得ない。エックスはその技をシグマ用に取り置くのをやめ、開放した。
「ギガクラッシュ!!」
全エネルギーを開放し、辺り一面を焦がし尽くす死の光がゼロを襲う。
…しかしゼロは………それを凌いだ。
-
「まだ……まだだ!」
3本目のサブタンクを使用する。
トリプルチャージとダブルチャージの撃ち合いをまた撃つ、撃つ、避けるのパターンで制し、
ゼロのダッシュを今度は特殊武器なしでかわし、零距離でチャージショットを撃つ。
するとゼロは一瞬で振り向きチャージショットを放ってきた。
…今度は普通のチャージショット。それも一発だ。
「うっ…!!」
だがそれでもあのゼロの矢の如きショットには変わりない。エックスの肩をかすめ、抉っていった。
そしてその隙をゼロは逃さなかった。
そのままエックスの腹へとビームサーベルの刃で串刺し、
高速で壁へとたたきつけた。腹に深く深くサーベルが食い込む。
そして…あろうことかそのままサーベルを引き抜き、そのままアースクラッシュへ移行したのだ。
「うああああああああああああああああああああああああ!」
軽々と吹き飛ばされるエックスの体。
最早ゼロの力の前に成す術はないのか…。
…いや、まだ試していない武器が2つある。
エックスは腕に力を込める。
すると…バスターの発射口にゼロの破壊した部屋の瓦礫が次々と集中していく。
スクラップシュートの発射速度、及び威力は半端なものではない。
サーゲスタンクの砲門を一撃で破壊できるほどにだ。
それが今…エックスの腕にその10倍はあろうかという量が集まっているのだ。
全てが腕の中で一つとなり…大きな武器となった。
ゼロに向かい、その巨大な質量を勢いよく放つ。
「チャージ・スクラップシュート!!」
超高速で発射されたそれはゼロの体へ命中。勢いよく砕け散り、大爆発を起こす。
だがその煙の中……ゼロは平然と立っていた。
衝撃を隠せないエックス。だが、最早あきらめるわけにはいかない。
「エックス! …やっと解析できた…ゼロの弱点は炎よ!」
戦闘中にオペレーターも絶句しているだけではなかった。
ゼロをスキャンし、弱点となる武器を調べ上げていたのだ。
「エックス…お願い!死なないで…勝って!!」
そうだ。ここで負けては世界が救われない。そして…ゼロも救えない。
ゼロの体力も、エックスのサブタンクでの回復量を足したものと比べると割りには合わないものの
確実に削ってはいるはずだ。
エックスは最後の賭けに出た。まずは腕に再び、瓦礫を集める。
「チャージ・スクラップシュート!!」
放ったと同時に素早く武器を変える。
大爆発と共にゼロの動きが止まった所をまた素早くチャージ。
赤きエネルギーがエックスへと収束していく。
「ゼロ…こんな形では戦いたくはなかった。」
壁を蹴り、大きく部屋を飛ぶ。そして…
「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」
チャージ・ラッシングバーナー。
その実態は、エックス自らを燃え盛る炎の矢となるものだった。
急激に加速したエックスの体は一瞬でゼロのボディへ到達。
その体を炎に包み、壁の端まで一気に叩き付けたのだった。
-
「…う………くっ………」
ゼロの動きが停止した。力がまるで入らない…。
ゼロは、自分の力をエックスは遥かに超えたと言った。
だが…自身の本当の力を知らなかったのは、ゼロの方だったのかもしれない。
「………エックス、か?」
むくりとゼロが身体を起こす。頑丈なものだ
「…ゼロ…ゼロ!記憶が戻ったのか!」
ゼロの身体を揺する。だがゼロはすぐに立ち上がった。
「ああ…エックス、お前には随分世話をかけちまったようだな」
記憶が戻った。つまり…さっきまでの洗脳の状態もまだ記憶にはあるということ。
蘇生させられた後、ここへ連れて来られてからのことも克明に記憶している。
ゼロはエックスから離れ、アースクラッシュを床に見舞う。
部屋全体が大きく揺れ、床が崩れ大きな穴を作り上げる。
「エックス。ここだ! この下にシグマの本体がある!」
最後のサブタンクを使い切り、エックスは立ち上がり、下を見下ろす。
「俺はここのメインコンピュータを破壊する。エックスはシグマを倒しに向かえ!」
「ゼロ、死ぬ気か!」
サブタンクを使い切ったのは別に自分だけが回復しようとしたためなどではない。
ゼロはこの後ハンターベースへ戻り、戦う必要など何もないと判断したためだ。
「俺のことなら心配するな さあ…行け!」
ゼロは先へと進み、すぐにレイダーキラーとエックスが格闘した部屋までたどり着いた。
しかしそこにいたのは…シグマだった。
「何だ、エックスを恐れて逃げても来たか。」
「お前が裏切るとは思っていなかったよゼロ…
お前より強いとは勿論思っていないが…一応これが私の試作品だ。お前の今の体力で勝てるかな?」
目の前には、赤きブレインに銀の髪を持つ…シグマの作り出した黒きボディのゼロがいた。
「それではさらばだ、ゼロ。私はエックスの元へ向かわねばな」
「行くぞ!」
エックスはゼロが開けてくれた穴へと飛び込む。
そこは何もない空間。「シグマの本体」という言葉に少し違和感を持ちながら
エックスはただただ、空中を落下していく。
エックスとゼロそれぞれの最後の戦いが、始まろうとしていた。
通信すら繋がらぬ中央コンピュータ最下層で現れたのは新たなるシグマ。
「どこまでも私を追い詰めようというのだね、エックス。
ならばこのパワーアップしたシグマ自らが、お前を葬ってくれよう」
手甲から巨大な爪が生え、戦いが始まった
シグマの体から電撃の弾が発射される。
追尾機能を持つその弾を軽々とかわすとエックスはダブルチャージをシグマに見舞う。
「ぐごぉおお!!」
続けてシグマはダッシュし、エックスを斬るべく腕を振るう。
だがその余りに強い力はエックスを斬るのではなく、吹き飛ばした。壁、天井、床へと次々に打ち付けられるエックス。
しかし彼はすぐに起き上がった。
「フンッ!」
壁蹴りをしたかと思うと姿を消す。
だがエックスにはそのシグマが持つ強い殺気が見えていた。奴は上から来る。
「チャージ・ソニックスライサー!」
シグマの上からの襲撃に合わせ、上空へと刃を放つチャージソニックスライサーで対抗、そして回避。
シグマは身体を刻まれ、窮地に追い込まれる。
「舐めるなぁ!!」
シグマが体にエネルギーを蓄え…巨大な電撃の壁を二つの爪で作り出し、飛ばす。エレクトリックスパークのようだ。
それも飛び越えるとエックスは再びダブルチャージをシグマに見舞う。
「そこまでだ!」
…またもシグマはそのままの体勢で火を吹き、崩れていった。
-
今度は首すら残っていない。残骸しかない。けれど解る。シグマはまだ生きている。でも何処に…?
「ハハハハハ」「ハハハハハ」「ハハハハハ」
「ハハハハハ」「ハハハハハ」「ハハハハハ」
「ハハハハハ」「ハハハハハ」「ハハハハハ」
シグマの笑い声が木霊する。上から、下から、右から、左から、前から、後ろから、斜め前方から、斜め後方から。
周囲全体から不気味なシグマが声がしたかと思うと、
目の前にあるこの建造物の心臓であり頭脳である巨大コンピュータから何かが現れた。
ワイヤーフレームで構成されたシグマの顔。…以前ここに来たときに戦ったようなものだ。
「これは………」
ヒャクレッガーの事件の際、人影が見えたり、ヒャクレッガー自身が自由に行動できた理由がここで理解できた。
異常が一切見当たらないからだ。厳重なセキュリティであるからこそ、それを信じきり、疑うことをしなくなる。
中央コンピュータの窓に映っていた人影はカウンターハンターの特徴と一致する。なのに侵入者の形跡もない。異常の一つもない。
当然である。…コンピュータ自体が、シグマになっていたのならば。
「これが…お前の本当の姿だったんだな」
中央コンピュータの心臓部として各所とワイヤーやケーブルで繋がる最高性能のコンピュータに向かい呟く。
「レプリロイド、メカニロイド、コンピュータ…お前は恐らくそのどれでもあり、どれでもないのだろう。
お前は… イレギュラーだ!」
「グアアアアアアア!」「ヌオオオオオオオ!」「ギエエエエエエエ!」
「エックスウウウウ!」「貴様アアアアアアア!」「ウオオオオオ!」
「ガァァァァァァァ!」「おのれええええええ!」「何故だあああああああ!」
戦いは長きに及んだ。終わりがないかと思われたその戦いの決着は
多重に重なった、エックスの聴覚を刺激する耳障りな断末魔だった。
それとは別にジジジジジジジ…という音がする。異常動作を示すノイズだろう。
血のような色になったワイヤーフレームのシグマは苦しみだし…消滅。
コンピュータが勢いよく炎を吹き上げる。
「エックス…。 どうやら今回も私の負けのようだ」
「…………」
「だが…私は何度でも復活し、その度に新たなる力を手に入れることが出来る。
貴様の勝利など、ほんのひと時のものでしかないのだ!!」
シグマの言葉からは余裕はなく、悔しさしか感じられない。堕ちたものだ。
「だが…ゼロは何故…。」
「?」
「………誰も修復できないと思っていたあのゼロを一人で修復するとは。
サーゲスという科学者を舐めておったわい。…じゃが…納得がいった。奴が…あの科学者の成れの果てであるならば。」
同時刻。ケイン博士は一人、ハンターベースの中で呟いていた。ゼロを一目見たその時のことを思い出しながら。
「…ゼロは…奴は…
最後の……ワイ……ナン……ズの……」
「…ワイ…何といった、シグマ!」
「グオオオオオオオオオオ!」
コンピュータから閃光が発せられる。もう聞き返す時間はなかったようだ。
レプリロイドとしてのシグマのボディを回収。エックスもゼロも、間一髪脱出に成功した。
「…ここか…。エックス君とシグマが戦った場所は」
「足場は劣悪…お怪我などなさらぬよう」
「以前のように海に沈んだアジトではありませんので、ここでは心置きなく回収作業が出来るかと」
ヘリから降りたのは一人の科学者。
彼のガードを勤めるは二人のレプリロイド達。
「エックス君が言っていた通りだ。ここを調べれば必ずやボディを調べる以上の成果が得られるだろう」
-
「あら?今日は随分と可愛い子がいるじゃない。どうしたの?」
シグマとの2度目の戦いが終わり、シグマ軍が完全に壊滅してからも
時折ハンターベースに遊びに来るはオペレーター。
彼女はオペレーションルームで背の小さな、茶色の長髪の少女を発見した。
赤い服に身を包み、ふわりとしたスカートのよく似合う女の子だ。
「もしかして迷子か何かじゃないでしょうね…
貴方、どうしたの?」
「は、始めまして!あなたがエックス隊長のオペレーターさんですか?」
「え?シグマ軍との戦いの間でならそうだけど…基本は科学者の卵よ、私。」
「そうなんですか!?二つの仕事をこなせるなんて…」
「まぁ同時進行するわけでもないし…大したことじゃないわ。
エックスの才能におんぶに抱っこって形ですもの……あなた、名前は?」
あれから実に5ヶ月。
ゼロはイレギュラーハンターに復帰、第0部隊隊長ホーネックの意向で
新第部隊隊長のポストへと就いた。ホーネックは副隊長へと自ら降格したこととなる。
一方、社会での大きな出来事といえば一つはイレギュラー研究家Drドップラーが
シグマ軍のアジトを調査した結果作り上げることに成功したとされる対イレギュラー用ワクチン。
これにより、イレギュラー発生率は0%にまで押さえられ、歴史に変革を起こした偉大な科学者として一躍有名となった。
一方、大規模なイレギュラーによる犯罪が増加傾向にあったため、
そういったイレギュラーへ対抗する「軍」、レプリフォースが結成されたことだった。
「あ。ここに居たのかい。」
ミッションを終えたエックスが入ってくる。
「あらエックス。ドッペルタウン会議まで後1ヶ月になるわね。準備の方、大丈夫?」
「いや…それがね。ハンターには1通しか来ていなかったんだよ。
第0部隊隊長ゼロ様、ってね。ゼロは…強いよな…。あれからめきめきと成果を上げ続けている
俺は…まぁ、ああいうのは似合わないから」
「ゼロは多分もっと似合わない人種だと思うわ。
そういえば…聞いたわよエックス。この子レプリフォースとの交換研修生なんだってね」
「ああ。世界最強の軍隊の第一期オペレーターか……滅多な事はさせられないね」
「所であなた、誰の担当になるの?新人のDランクハンター?」
「それは流石に最初は任せられないよ。テストでもあるからね、ある程度経験を積んだハンターだと思うけど…」
「ええと…実はもう、私担当のハンターさんが決まっていて…」
もじもじとする少女。緊張のためか?
「俺が受け持つこととなった。」
続けて入ってきたのはゼロだった。
「ゼロ!?」
「…これは聞いてないや」
少女はゼロを見つけるなりしゃきっと向き直る。
「少しわけがあってな。俺の方から担当を請け負う事にしたんだ」
「………へぇ」
オペレーターの中でのゼロ像が変化した瞬間であった。
「何だ」
「…いえ、別に……」
「まずはそうだな、ミッションがあるまでは待機になる。したいことはあるか」
「あの、ゼロ隊長!この本部って広いくって…案内、してもらえませんかっ!」
「そうだな…解った。ただし今は何かと混んでいるはずだ、離れるんじゃないぞ」
「何とか上手くやっていけそうだね」
「そうね…さ、私達もお茶でも飲みに行きましょ」
オペレーターの頭の中には、ある一つの言葉が浮かんでいた。
「………ここ……は…」
体全体が燃えるように熱い。…灼熱のマグマの中にいるかのよう。
そんな『彼』を、遥か彼方から呼ぶ声が聞こえる。
「…何だ。…どこから話しかけてやがる。」
…そして、目を覚ました。
「目を覚ましたか、おはよう。新しい体の調子はどうかな…?
『VAVA』」
-
むぅちゃん、スレ立てられないよorz
-
>>57
ゴルベーザ「私がスレを立てに行こうか…?」
-
>>58
先生!お願いします!
前999
以後、気をつけます。
ああ、遭難したっていう…私はここでバカンス中なんだよ。
(ハイビスカスやヒマワリなどが植えられたプール付きの庭園が窓から見える)
-
エクスデス「パワーをスレ立てに!」
ゴルベーザ「いいですとも!」つ【Wスレ立て】
【http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/computer/28177/1238819403/】
-
これからの社会を話し合うため開かれた、近未来都市・ドッペルタウンでの会議。
世界中から各界から優秀なレプリロイド達が集められて開かれるそれには
イレギュラーハンターからは第0部隊隊長ゼロに代わり副隊長ホーネックが出席。
ドップラー博士主導のもと、やっと平和が訪れると…誰もが思っていた。
だがしかし…。
ドップラー博士により発明されたワクチンにより沈静化したはずのイレギュラーは
次々にイレギュラー化を再発。
博士に責任が集まる中、博士は…驚くべき声明を発表した。
「私はDrドップラー。これからこの世界を導くものである。」
「博士に従う者には幸福を約束しよう。従わない者は…」
黄色いボディのレプリロイドの言葉の後、カメラを向けるとそこには手足を拘束され、叫ぶ各国マスコミの姿。
博士の指令と同時に、彼らは巨大な蜂の形をした小型爆弾に群がられ…
針を首筋に刺され… 炎と煙に包まれた。
「……私とて実はこのようなことはしたくない、が…これにより諸君らの考えが変わることを祈ろう
私はここに……選ばれし者のみで構成された軍『ドップラー軍』を結成する事を宣言する!」
「…ゼロ……今の」
「……『パラスティック・ボム』。ホーネックの得意技だ。
…エックス。俺はドップラーの奴に会ったことはないが…お前は奴から何かを感じなかったか」
「…あの時はまさか…こんな人だったなんて思わなかったんだけどな…」
そこに高い足音が聞こえてくる。茶色い髪の幼い少女が息を切らせて扉から飛び込んできた。
「ゼロ隊長、エックス隊長!
出動命令が出ています…ドップラー博士を捕獲するようにって!」
「行こう、ゼロ!」
「ああ!」
博士の研究所へと直に転送されるエックスとゼロ。
だが…
「こんなに早く来てもらえるとは思っていなかったよ…エックス君、ゼロ君。」
話すことなど何もない。ゼロは一言も口に出さず、
ドップラーに向かって斬りかかる…が。
「………」
その攻撃は阻まれた。
髪を頭の横で結んだ、古代日本の戦士のようなレプリロイドの持つ盾によって。
「邪魔はしないでもらえるか」
「博士を守ることが私の使命。…相手になろう」
「それなら俺が……!」
エックスもバスターを撃つ…が、その瞬間突然バスターが極端に重くなり、チャージショットは床へ向かい放たれていった。
「…何?」
床に何かが仕込んである。…マグネットマイン以上の強力磁石のようだ。
「…体すら動かせない…!」
「残念だったね、エックス君ゼロ君。私の体は一般レプリロイドとなんら変わりない非力な者なので…
部下の彼らの力を貸してもらったよ。それでは、私に危険が及ぶ前にお暇させてもらおう。さらばだ」
白衣を翻し、ドップラー博士は転送装置でどこかへと消えていった。
「待…て!ドップラー!!」
一方ゼロと盾のレプリロイドも戦いを続ける。だが…戦いはここで動いた。
「ハァ!」
ゼロのサーベルが敵の盾を粉砕。
「…ば、馬鹿な………この盾を破壊できる者など…!」
「さて。お前は…この盾より頑丈な自信はあるか?」
サーベルを敵の眼前に突きつけるゼロ。
「時間はもう十分稼いだ。…お前は余りに危険だ…次に会った時は必ず殺させてもらう」
敵は去っていった。
ゼロにより床に仕掛けられたトラップを破壊し、エックスは助け出される。
「大丈夫か、エックス」
「ああ…。それよりドップラーを追わないと!…ん?」
通信が鳴り響く。
「…ちょう……隊長!ゼロ隊長!エックス隊長!」
オペレーターの少女だ。
「…お前か。どうした」
「…ハンターベースが!ハンターベースがドップラー軍に襲撃されているんです!
ベース内のハンターで対応していますが…あまり長くは持ちません!早急に帰還してください!」
「行こう、ゼロ!」
-
ドッペルタウンから飛び立った、蜂の形をしたヘリに飛び乗り襲撃。
ハンターベース寸前で叩き落とす。
「遅くなったわ!エックス、ここからは私がエックス、
あの子がゼロをそれぞれオペレーションすることになるわ」
「ああ。度々すまないね」
「エックス、また二手に分かれるぞ。
俺は近辺で敵を食い止める、お前は内部を頼む」
「解った!」
ミッション開始。
内部で好き放題に暴れるイレギュラーを更に強化されたバスターで破砕、下階へと降りていく。
第7部隊の戦闘機格納庫まで来たとき、あるハンターに出会った。
「君は行方不明になっていたマックじゃないか。」
自分の部下との再会に喜ぶエックス。笑顔で近寄るが…
特A級ハンター・マックからの挨拶は拘束弾だった。
「甘いなエックス。俺はもうドップラー軍の一員だ
悪いがお前を捕獲する」
「や、やめろ…マック!!」
ライドアーマー固定用の強力なメカニロイドにより、
エックスはそのまま連れ去られていった。
「はい、そこです!」
その声と共に突然天井が爆発、ゼロが降って来た。
以前エックスとの戦いで多用した技、アースクラッシュだ。
「…あの、申し訳ありませんがその技は被害が激しいので
あまり多用しない方が…」
「…そうだな 控えよう」
「エックス隊長は司令室へと連れ去られていた模様です!」
「ゼロ、お前……!!」
それから司令室まで全てのイレギュラーを破壊し2分。
マックとの戦闘時間実に3秒。
バスターで軽々と拘束機を破壊し、ゼロは手早くエックスの救出に成功した。
「実に的確なオペレーションだった。ご苦労」
「い、いえ……」
「…大丈夫か、エックス。油断はしないことだ…
俺は今度は周辺のイレギュラーを迎え撃つ。お前はこのまま屋上へ向かえ」
「ああ…有難う、ゼロ」
「ゼロに久しぶりに恥ずかしいところ見せちゃったみたいね…」
「…ああ。これから取り返さないと」
司令室のすぐ隣には屋上へのエレベーターがある…が、機能していない。
壁を蹴り最上階へ移動する…と。
「…なんだ!?」
バイオレンが装備していたような鉄球を腕につけた、超大型メカニロイドが空に浮かんでいた。
「エックス、準備はいい?」
「ああ!」
メカニロイド・マオー・ザ・ジャイアントが腕を振り下ろし、大きな穴を作る。
エックスはすぐさま避け、そのまま跳びあがり顔にバスターを発射。
「効いてる、そのまま!」
破壊用メカニロイドであるため、それ以外の攻撃方法など持ち合わせてはいない。
腕を引きつけ、撃つ。その行程を数回繰り返すとすぐにマオー・ザ・ジャイアントの巨体はエックスのバスターを通していった。
空を閃光が覆い尽くす。
「やったわね、エックス!」
「…今となっては敵じゃないよ」
辺りが静まったことを確認し、息をついたところにゼロが現れた。
「どうやら敵は片付いたようだな…。俺は本部の修復を頼まれた。」
「エックス隊長はドッペルタウンへの潜入調査をお願いします!」
「解った。構成メンバーはどれくらいわかってる?」
「ドップラーを守護するレプリロイドは3人」
「いずれもドップラーによって作られたレプリロイドのようです。
他には招待客のうちの6人がドップラーの背後にいたのを確認しました…
その中にはイレギュラーハンターやレプリフォース所属の者も居たようです」
「…また、キツい戦いになりそうだね」
-
「あ。そういえば君、髪型変えたみたいだけど…どうかしたんだい?」
「…イメージを変えてみただけよ。気にしないで」
オペレーターは以前とはうって変わって、カールしていたセミロングの髪を後ろで束ねていた。
以前の方がやや女性的な印象を受けていたが、今度は仕事のために生きるといった様子だった。
「近々、ハンターに就職するかも…。まあ…その時は宜しくお願いね」
「研究の方、上手く行っていないとか…?」
「…あまり聞かないで」
オペレーターは言葉を濁したまま。
深く追及は行わず、今は目の前のミッションに専念することとした……お互いに。
「転送!」
着いた場所はドッペルタウン中心都市部。
ただし…気温はマイナス50度。季節はずれ所の問題ではない、すべてが凍りつく極寒の町となっていた。
「………この氷を早く溶かす必要があるわね。
ドップラーの研究所までは地下道を通るわ。急いで!」
ドッペルタウンは大平原を中心とし、
都市を中心に生活と関わる小型施設の多いイーストブロックと
スペースを要する大型施設の目立つウエストブロックに分かれている。
氷で滑る都市の地下に差し掛かり、大きな部屋を超えた辺りで通信が鳴る。
「そこから暫くは俺が交代しよう」
その高い攻撃力で地下に潜む敵たちをなぎ倒すゼロ。
マンホールから脱出、ドップラー研究所近辺まで来た所で猛吹雪が視界を覆う。
「降雪機の暴走のようです!ゼロ隊長、降雪機の場所まで案内しますね」
「頼もう。」
スノーバイクを乗り回すレプリロイドも何のその。
ゼロのビームサーベルにより、人工雪を発生させていた装置はすぐに破壊された。
「それでは向かうとしよう。正面入口から堂々と入ることもない
3階の窓から侵入するぞ」
「…無理です。塞がれていて、1Fの正面玄関以外は…
あ。けれどどうやら3階のその部屋には何か古い物の反応があるみたいですよ」
「俺では開かんな…すると、ここまでか。エックス、交代するぞ」
ゼロに代わり、エックスがその場へと転送される。
「エックス。ここではお前をまた覚醒させるべく、フットパーツを授けよう。
以前のパーツでは出来なかった「バリアブル・エアダッシュ」が使えるはずだ」
またも力を得たエックスは、バリアブルエアダッシュという機能を試してみる。
なるほど、今回はジェット噴射の力が強まり、上にもダッシュできるというわけだ。
窓から地面へと飛び降り、改めて1階からドップラー研究所へと突入する。
「フロントから高エネルギー反応を感知。特Aクラスのレプリロイドね」
玄関を潜るとそこには巨体のレプリロイドがいた。
「……ブモオオオ…」
-
「………言葉は通じるか」
「え…エックスか、アンタ…」
頭を抱えながら蹲るレプリロイドが一人。
「フローズン・バッファリオ…スキー場の整備用レプリロイドね。
…氷像アーティストとしても有名よ」
「…バッファリオ。動けるか」
「…む、無理だ……俺はアンタが来たのを見てやっと自分を取り戻してるだけだ…
頼む、他の奴らは助けてくれよ……
「お、俺は…もう…俺じゃあなくなる…う、グアアアア…ブモオオオオ!」
頭からバチバチと電気を発しているのがわかる。
…痛みをこれ以上引きずらせるのが一番、バッファリオにとって辛いだろう。
「彼を助けるわよ」
「……ああ!」
広いロビーの端からバッファリオがエックスに向かい突進を始める。
壁を使いこれをかわしチャージショット。
バッファリオの動きが僅かに止まる。
「フロ、フロスト…シールド!」
腕から氷の塊を射出し、付着した場所に美しい氷を生成する。
それはエックスの戦いにくい状況を生み出す。
「く…!」
逃げられない。チャージショットで動きを止めようとするも僅かに後退したのみ。
壁に向かい跳び、壁の氷を砕くと同時に壁を蹴り、バッファリオを跳び越す。
「ブモオオオオ!」
光る角が頭から突き出る。気が立っている証拠だ。
「当たったら壁に叩きつけられる!急いで避けて!」
バッファリオは突進を多用するものの動きそのものは遅い。
またも飛び越え一発。このまま行けばすぐに勝利をつかめる…と思ったが。
エネルギーが高まる音が聞こえる。…チャージだ。
「モオオオオオ!」
「…何!?」
直径3mはあろうかという巨大な冷気がロビーの端から端までを覆う。
床をも凍りつかせ、エックスをすぐさま覆い…氷付けにする。
「ウオオオオオ!」
エックスを砕くべくバッファリオが動く。
「エックス…!」
必死でもがく、もがく…もがき続け、やっとのことで氷が割れた。
だが…バッファリオは目の前。もう壁へ逃げる時間もない。
「…よ、避けろ…避けろエックスウウウウウウウウウ!」
体が完全にイレギュラーとなってしまったバッファリオから発せられた彼の言葉。
その力がエックスを突き動かした。
エックスは垂直へ跳び…そして真上へのダッシュ。バッファリオを跳び越した!
「バリアブルエアダッシュね!」
壁へ激突するバッファリオ。今だ…!
「ごめん…!」
バッファリオの背をチャージショットがくり抜き…程なくしてバッファリオは砕け散っていった。
「…すぐに終わらせるよ、バッファリオ」
ドップラーはこの上にいる。戦いはすぐに終わるはずだ。
…でもおかしい。ドップラー研究所だというのに、これだけ暴れても誰も気付かない。
まさか…。
そのまさかだった。
この研究所は最早もぬけの殻。一人も残ってはいなかった…。
「ドップラーが研究を放棄するとは思えない。どこかにもう一つ研究所があるってことね」
「今俺に出来ることは…何だろう」
「まずは…この町の氷を溶かすこと。一人でも多くの命を救いましょう」
-
ドッペルタウンは電力すらストップしていた。
発電所を何者かが占拠しているためだ。
町を暖めるべく、今度は電気を取り戻すべく向かう。
「侵入者用のセンサーが張り巡らされてるわ。うまく潜り抜けて!」
センサーは敵を感知した瞬間エネルギー弾を放つ砲台へと変化する。
敵を倒しながらセンサーを一瞬で潜り、エレベーターに乗り上の階へ。
この繰り返しが今回のミッションの流れとなった。
「ここは発電所の心臓部じゃない。発電機のある建物は連絡通路で繋がっているわ」
上の階から、発電所の心臓部へ移動し、1つの部屋を潜ったところでゼロと交代。
「見るからに危険なエリアだな…」
「至るところでむき出しのケーブルに電流が流れていますね。
ゼロ隊長、当たらないように気をつけてください」
むき出しのケーブルに当たらないようにしながら壁を滑り降りる。
相変わらず多いイレギュラー達を破壊し、一番奥のフロアでまたもエックスへと交代。
「エレキテル・ナマズロス…動く発電所とされていたレプリロイド。電気の使い手よ…」
「来おったなイレギュラーハンター!」
ユーモラスな姿をしたレプリロイドがそこにいた。
「動く発電所と言われいて、人々から親しまれやすいように
こういうデザインで作られたと言われている。
…バッファリオと違って、こちらは完全に洗脳されているみたいね」
「ここの電気はワシとドップラー様のものじゃあ!お前らには渡さへん!
ドップラー様に逆らうとどうなるか教えてやるでえ!」
挨拶代わりに尾から電気の弾を床に沿い走らせる。
「行くでぇええ!」
これをかわしたところにナマズロスが飛びかかって来る。
弾力のあるボディはエックスに避けられ、床をドインドインとバウンドする。
「しっかり見とけやぁ、トライアードサンダー!」
ナマズロスが巨大な口から3つのビットを放る。
「危ない!!」
ビットの間をエアダッシュで縫うように避けると
今度は電撃を口から放る。
「!?」
3機のビットは電流を帯びたところでナマズロスはこれを再び吸い込む。
「しまった…」
ビットとナマズロスの間に位置するエックスはこれを避けることは出来ない。
ナマズロスに吸われるか、ビットの餌食になるか。
…だがエックスはそのどちらも選ばなかった。
上方向へのエアダッシュで飛び越え、ナマズロスに一撃。
「中々しぶとい奴っちゃなぁ!もう…泣かしたるわ!」
天井まで跳びあがるナマズロス。
部屋の中央に着地すると強力な内部放電を開始した。
「これは…!?」
「危ないわエックス!」
火花がナマズロスの体のあちこちから飛び出す。
「でも最後までやらせはしない!」
チャージショットをナマズロスの体に放つが…吸収される。
「この状態になったらエネルギー攻撃は一切効かないみたいね…」
壁に逃げるしかない。
電撃の波がどんどんエックスを追い詰める。ここまで及ばないように祈りながら
部屋の角に逃げ続けるしか手がない。
「どらっしゃぁああああ!」
放電をやめた瞬間、エックスに向かい突撃する。
「今よ!」
飛び降り、背後から一撃。
「のわあ!」
もう一回攻撃…だが時すでに遅く、またもナマズロスは部屋の中央で発電を始めてしまった。
「何かいい手は…」
「残念ながらないわ。相手が発電をやめたところをこうやって狙うしか私達に勝てる可能性は…今ない」
電撃が自分に当たらないよう、必死に回避し続ける…相手をイラつかせ、精神的に追い詰めるこの戦法は非常に強力。
根気のいる戦いとなっていったが…
「な、ワシは一体何を…!? んごあああああああああ!!」
最後にこの戦いを制したのはエックスであった。
-
ドップラー秘密研究所にて。
ドップラーは一人、エックスの戦いの様子を眺め、ため息をついていた。
「あの時…マックが捕まえ損ねたハンターがこれほどの力を持っているとはな…
…ヴァジュリーラ!マンダレーラ!」
手を叩くと、先日盾を破壊された黄色いレプリロイドと、その相棒と思しき赤い巨体のレプリロイドが姿を現す。
「お前達『ナイトメアポリス』に命令する。エックスを捕まえて来たまえ…。なるべく、生け捕りでな…」
「はっ」
「全ては、偉大なるドップラー博士のために!」
作り主に忠実な二人の戦士は姿を消した。
その会話を快く思わない者が、部屋の外で聞いていた。
「…まどろっこしいな、 生け捕りとはね…」
「VAVAか。…いい加減私の言う通りに動いてはくれないかね」
「俺を復活させ、パワーアップまで施してくれたアンタには感謝しているよ
だが…悪いがシグマの下でも俺は俺のやり方で動いて来たんでね。…何、以前のようなヘマはしねぇさ」
「電力も回復。氷が自然に溶けるまで持ちそうだね」
「次は…そうね。鉱山に行ってみてくれないかしら マイマインと同じ、エネルゲン水晶の鉱脈があるのよ。」
「町、電力、動力…東側は生活に繋がる場所が確かに多いな」
「水もね。鉱山の近くにはダムもあるのよ」
到着した場所はごつごつとした岩の目立つ山。
同じエネルゲン水晶を採掘する山でもマイマインの場所とは全く違う一般的な鉱山だ。
「これくらいの方が鉱山らしい気もするかしら」
鉱山内部には通路の狭さを利用した攻撃を行うイレギュラーが多く、
非常に窮屈なものとなった。
下層に降りてきた所で休憩所と思われる部屋を発見、入ってみるとそこには…
「来たな、エックス」
「…お前は!」
黄色いレプリロイド。ゼロに盾を破壊された、ドップラーの右腕のような存在だ。
「私は、ヴァジュリーラFF。
博士の世界中のレプリロイドの研究成果として生まれた存在だ」
バッファリオやナマズロスとは違い、久々に自分の意思で戦う敵が目の前に現れた。
手加減などは当然行ってなどはくれない。増してや博士の自信作となれば、全力で挑むべき強敵になるだろう。
「博士の命令は絶対。世界に博士の力を知らしめるには…お前達の敗北は丁度いい!」
引き抜かれた赤いサーベルの刀身にヴァジュリーラの顔が照らされる。
一方、所変わってここはウエストブロックの兵器工場。
「ゼロ隊長、一体ここに何が?」
「…ホーネックのことだ。俺の代理として奴が出席した結果がこれならば、
それを始末するのは俺の役目だろう」
「そう…ですか。エネルギー反応をスキャンしてみます」
ベルトコンベアに流れる敵を次々破壊し、工場内から外へ出るといくつもの倉庫が並ぶ。
「これだけ広いと何処にいるか解りはしない…」
「ゼロ隊長!」
「…居たか?」
「いえ、この工場内には特A級クラスのエネルギー反応は感知できませんでした。
ですが、何か怪しい反応が…地下に」
「…地下?」
壁をサーベルで切り刻み内部へ。
コンテナで隠された、地下へ降りる縦穴がそこにあった。
-
「……何だってこんなものが」
地下には吊るされたライドアーマーが一機。
「ここまで丁寧に隠しておくほどの物なのか?
…ここで開発されたようだが………」
「私達が使っているものより少しばかり地味な気がします。
見た目は一般的なライドアーマーに見えますが……」
「うっ…!」
膝をつくエックス。
ヴァジュリーラはそれを見下ろす。
「手間をかけさせてくれたが……ここまでだ」
ヴァジュリーラを光の輪が囲い、光の弾が周りを漂い、手の中にも一つ。
ヴァジュリーラ自身は大して優れた能力の持ち主ではなかった。
だが、1対1で確実に仕留めることを考えての戦いには秀でていた。
「私にはお前達のような戦い方は、どうやら理解できぬようだ…
力で潰す、速さで圧倒する、特殊な能力を使う…。くだらないな。
こうすれば済むものだというのに」
エックスは光の輪によって動きを封じられている。
放られた光の弾はエックスに向かい飛んでいく。
そして…エックスを斬りに地面を蹴り、地面すれすれで地面に対し水平にサーベルを構え、飛ぶ。
「諦めるがいい!」
「…嫌だ!」
「…!?」
光の輪がエックスにより砕かれる。
エックスは跳びあがり、ヴァジュリーラをかわしてダッシュ、加速し威力を増したチャージショットを見舞う。
「……………」
焼けた背を向けながらヴァジュリーラは動きを止めた。
「一体、何処にそんな力を隠している…。」
「お前こそ、お前の力はそんなものなのか?」
明らかにエックスには、ヴァジュリーラの戦い方は小手先のものに感じた。
力強さを全く感じない。感情の篭らぬ、作業的な戦い方だ。
「まあいい。次に戦うときはこうは行かんぞ…」
向き直り、ヴァジュリーラはそのまま姿を消した。
ドップラー研究所に戻ってきたヴァジュリーラを、マンダレーラが迎える。
「ヴァジュリーラ!大丈夫か…」
「いや…問題ない。少しばかり気に食わないことがあっただけだ」
「うむ…そうか」
巨漢の男を横に、ヴァジュリーラは自室へ戻るべく足を進めた。
「…やっぱりお前も奴を侮っていたようだな…あの手の奴にはイライラさせられる」
「何?」
「エックスはそういう奴だ。殺すなら念入りにやる必要があるだろうよ
アンタそのまま力を出さずにいたら…死ぬぜ」
「次は出すと言っているだろう」
「どうだか…」
「それに…一度死んだ奴には言われたくはない」
「貫かせろオオオオオオオオオオ!」
体が輝き、表面が硬化…右腕のドリルを手に突進する。
だが…あっけなくかわされ、後ろから撃たれる。
破壊欲の権化となったスクリュー・マサイダーの最期だった。
「…ふぅ。これでエネルゲン水晶も確保できたわね」
「ああ。イーストブロックは次で最後だ。行こう」
-
一昨日駅の階段ですっころんで頬ぶつけたら、今朝になって目の周りに黒いアザが!
ゼロツー「なんだか喧嘩に負けました的な顔になったな」
職場でおもっきし心配されるわ、マスク取れないわで最悪ですはい
ゼロツー「最近夜勤続きでフラフラしてたしな、それもあるんじゃないのか?」
多分ねぇ、とりあえず主任から慣れるまでは日勤にしてもらったけど…絶対何か勘違いされとるわ
ゼロツー「荒れて喧嘩でもしたと思われてそうだな、その…目つきがあれだし」
しくしく、どーせ目つきの悪い暗い子ですよ
ゼロツー「どんまい」
-
仕事キツい時は何とかしてでも休んだ方がいい
それが簡単に叶わないのがリアルなのはわかってるが
自分の体調は何よりも優先することを心がけるに越したことはない
-
「東ブロックはここでラストか…」
「ええ。巨大なダム…ここを占拠され続けたら人命に関わるわ
…ここには厳重な警備が強いられているはず」
まず目に飛び込んできたのは緑色の人型メカニロイド。
人型とはいってもエックスの2倍半はあろうかというサイズだ。
「何人も配備されているな…早く先へ進まないと」
水が流れ落ちる中を駆け上がる。
「この上には行けないみたいだね…」
「そうね、ここがダムの最上部。ここから一気に…
水の中に飛び込んでいくわよ!」
そして溢れる水の中へ。
水中ではカメ型のメカニロイドを破壊し、
スクリューに弾き飛ばされない高さでギリギリの戦いを強いられたがエックスは難なく切り抜け
その後に現れた機雷を使う巨大なイカ型メカニロイドをも軽々と破壊した。
「エックス、その敵を倒したお陰でダムのシステムへアクセス出来るようになったわ!」
「水を下流へと流すんだね!」
扉を潜った途端、みるみるうちに水が引いていく。
これでひとまずは安心。後はここを占拠していたレプリロイドを倒すだけだ。
「さ、気合入れていきましょ!」
オペレーターの指示の下、再びダムの上部へと移動し…
敵を倒してまた最深部へ。
「最下層にエネルギー反応…間違いないわ!」
何もない最深部で声のみが部屋に響く。
「…ククク…待ちわびたぞエックス」
「…その喋り方…お前は招待客じゃないな。何処にいる!」
あるのは奇妙な色をした水溜りだけ。
「エネルギー反応はその部屋から出ているんだけど…」
すると突然、その水溜りの水が縮まり盛り上がり…
レプリロイドの形を取り、濡れたような格好で姿を現した!
「俺はアシッド・シーフォース…
世界の指導者ドップラー博士を生みの親に持つ…
このイーストブロックの管理者だ」
「ドップラー製…ヴァジュリーラたちと同じという事か。」
「……特殊なレプリロイドだと純粋な性能勝負とは行かないわ。気をつけて!」
-
シーフォースが液状になり姿を消したところから戦いは始まった。
床のどこから湧いてくるか。それを見極めなければならない…
だがまず壁や天井から発生することはまずない。壁に避難する。
「そんな手が通用すると思ったのか!」
床から現れたシーフォースは口から酸の塊を吐き出した。
「アシッドレイン!」
壁へと一直線に進む酸は壁へ衝突し、飛沫を散らして動きを反転、反対の壁へと向かっていく。
そして反対の壁へぶつかっても消えることなく、また反対の壁へ…
そう。壁に逃げていてはこの攻撃の対処は出来ない。
仕方なくエックスは飛び降り、シーフォースにチャージショットを当てる。
「チッ…頭上に注意するんだな!」
「!!」
見ると酸の大きな飛沫がエックスの真上に降ってくるではないか。
「まだまだ行くぞ!」
アシッドレインは次々に撃ち出される。
動きが制限される中、シーフォース自体もエックスを踏み潰しにかかるなどして攻撃してくる。
「なるほど、確かにヴァジュリーラに似ているな…」
とは言うもののエックスの方が現時点では優勢。アシッドレインは全て避け切ることが出来、
攻撃もまずまずシーフォースには通用しているからだ。
だがいよいよもってシーフォースも本気を出し始めた。
まず一つはこちらの攻撃にあわせ液状化を行うことで、こちらの攻撃を防御する手に出たこと。
もう一つは…
「溶けてしまえ!」
酸の塊、アシッドレインを下方向に勢いよく二つも吐き出す攻撃を増やしたこと。
床を勢いよく転げ回る酸。当たれば体はシーフォースのように溶けてしまうことだろう。
それに加えこれまでのような浮遊するアシッドレインも撃ち分けてくる。
彼に死角は極めて少ないといえる。
「エックス、フロストシールドを使って!」
「……え?」
「液体なら、温度が低くなることで固体に近づくわ!」
「一瞬で敵を凍らせる力を持つフロストシールドなら可能ってことか!」
勝利を得る方法は解った。それならばもう敵の攻撃をそう避ける必要などはない。
こちらがやられる前に倒せばいいのだから。
床へ落下、シーフォースへ突撃。大量の酸を浴びつつフロストシールドを放つ。
「お…!? おのれ…!」
飛び上がるシーフォース。着地してそのまま地面への逃走を決め込むつもりだ。
「逃がすか!!」
再度フロストシールド。氷の矢はシーフォースの細い胸部へと刺さり、シーフォースを氷付けにする。
「う…ああああああ!!」
そして液状化ならず、心臓に当たる動力炉はダイレクトに貫かれ、低温になった体が今度は崩壊を始め…
今度は超高熱に包まれ…
「博士…俺の…俺の能力をおおおおおおおおおお!」
彼の体はみるみるうちに蒸発。後に残ったのは金属成分のみだった。
「俺の能力を… 何だろう?」
「……考えてみても仕方ないわ…さ。ゼロが待つウエストブロックに行きましょう」
「ああ、解っているよシーフォース。
リキッドメタルの研究は私もまだまだ進歩の余地があると見ている。お前はいい試作品だった…
お前の能力を活かし、更なるレプリロイドを私は作り上げよう」
-
「…エックスがこちら側へ向かっている様だ」
「ああ。マンダレーラさんか わざわざ済まないな」
「この戦いが終われば今度はハンターやレプリフォースとの全面戦争であろう…
其方は復讐よりも先ず、準備に専念するように。」
「…解ってるさ。早く終わらせなくちゃ」
「どう?これだけ長い距離をチェイサーで思う存分飛ばせるっていうのは」
「気分悪くはないね!」
鼻歌交じりで大平原の真ん中をチェイサーで突っ切るはエックス。
遥か遠くに山々、氷の溶けたドッペルタウン、工場などを臨みながら
エックスはただただひたすら…1時間ほど走り続けた。
「エックス…珍しく元気なようだけど、その歌は?」
「ああ。事件が片付いて暫くしたら教えるよ!」
自分もいつか、こんな風に走ってみたい…。そんな風に思いながら、ひとまずはエックスの笑顔に安堵するのだった。
「ゼロ隊長!」
「隊長はやめろとさっき言った。」
「…ゼッ…ゼロさん!エックスさんがこちらへ向かってきている模様です!」
「…二人で同じミッションを遂行する意味は特にない。
そちらからエックスを担当しているオペレーターに伝えておけ。造船場に向かうようにとな」
「…え?」
「目的地変更ね、さ、飛ばして飛ばして」
海を臨む大規模な造船場。潮の匂いが鼻をくすぐる。
「ここには一体誰が…」
「シザーズ・シュリンプァー。……あの子は彼を招待客の中の一人と言っていたけどこれ、間違いね。
ドップラーの後ろにいたけど、あれは違うわ…。
レプリフォースは実力重視で集められただけあり、結構イレギュラーすれすれの危険なレプリロイドが多いと聞くわ。
…彼はきっとそれ。あまりに危険行動が多いため…隔離されたのよ。ドップラーの所に」
「聞こえるか、エックス。
ホーネックがいると思われる工場で見つけたライドアーマーについて調べた結果が出た
それは改造データにより自在に姿を変化させることが出来る…ドップラー軍の新型ライドアーマー『キメラ』だ」
「………物騒なものを持っているな」
「こちらの物になったんだ、力強いものだろう。そこで起動させてみろ」
ライドアーマー転送装置のコントロールパネルでNの文字をタッチすると…
現れた。何の変哲もないライドアーマーだ。
そしてまたテンションの上がったエックスにより敵は薙ぎ倒され、すぐさま造船場の奥へ。
「少し調子に乗っちゃったかな…」
「降りてからダメージを食らってしまったみたいね…何か回復できるカプセルでもあればいいんだけど…」
ふと見ると、少し離れたところに回復用のカプセルが置いてあるのがわかる。
「…これだ!」
エックスは走り、それを取ろうとする。だが…
「うわ…!!」
「え?」
突然床が開き、下へと転落してしまう。
「…何だよこれ…」
「………転送カプセルがあるわね これは…」
紫色のもの。パーツをくれる青色のものとは全く持って違う。
「行ってみる」
「えっ、あの…エックスー!」
「ここは…?」
換気をしていないのか、空気が悪い。
今はもう使われていない廃工場と見られる謎の場所へ転送されてしまった。
「オペレーター!オペレーター!……通じない…」
敵を警戒しながら先へと進む。機械の破片が上から降り注ぐ縦穴では
エレベーターを使い安全に登ったりしながら、工場の一番上のフロアまで到達。
小さな部屋に出たところで扉が独りでに閉まる。
「………誰かいるのか!」
そして、姿を現すは巨大なライドアーマー。腕にドリルの爪をつけたパワータイプだ。
それに搭乗するは青いアーマーで顔までを覆った…ボディカラーこそ違えど勿論ここまで来ればエックスにだって解る。
「お前…VAVAか!? 生きていたのか…!」
あの時、ゼロに命を犠牲にしてもらってまで勝利を得たあのVAVAが…目の前に現れた。
「久しぶりだなァ…エックス。」
その口調は憎しみの炎から来る熱を帯びていた。
「何で俺をここに連れてきた。他のレプリロイドと戦っているときにでも挟み打ちにすればよかっただろう」
「これが俺のやり方なんだよ…見ろ。」
3分30秒。
「……なんだ、このカウントは」
そう言いながらエックスは薄々気付いていた。
「解ってるんだろう?爆弾だよ…これが0秒になった時、ここは大爆発だ
俺が地獄から戻ってきた代わりに、誰か地獄に送らなきゃならなくなってな…。
お前の地獄行きにはこのオンボロ工場が付き合ってくれるとよ。爆発までの間は俺が相手をしてやろう…感謝しな!」
ライドアーマーが蒸気を上げ、エックスへと近づき、勢いよくパンチを繰り出した!
-
「VAVAからのメッセージが来た?
…となるとそのカウントは工場の爆弾のものだろう。…罠にまんまと嵌ったわけか」
「どうすればいいかしら、ゼロ…」
「先輩!私と一緒にこのカプセルにアクセスを試みてみましょう!」
「……え?」
「このカプセルは今、エックスさんを送って動きが止まっています。
もう一度作動させることが出来れば、対応する帰還用カプセルもきっと動くはずです!」
「…やってみましょう」
30秒。
「なかなかうまく行きませんね……」
1分。
「エックス……」
1分30秒。
「もう少し。もう少しなんだけれど……」
2分。
「…完了しました!後は対応カプセルの応答を待つだけです!」
2分22秒。
「…あちらのカプセルも作動しました!」
「エックス…」
2分30秒…カプセルは爆発。それは工場の爆発も意味する。エックスの姿は、なかった。
「間に合わなかったか…エックス…!!」
「そんなぁ…エックスさん…」
「エックスーーーーーーーーーーーーー!!!」
オペレーターは…叫ぶしかできなかった。
そしてその後…力なくただただデスクに突っ伏していた。
「…ど、どうしたんだい…!?」
「…む?」
「………まさか」
「ああ。何故か脱出用のカプセルが用意されていたみたいでさ。
俺、VAVAを追い払って…大体あと5秒くらいの所で脱出したら、同じ造船場でも
遠いところに転送されてさ。だからこうやって一人で戻ってきたんだ」
「……………一歩も動いていないが、少し疲れたぞ」
「私もですよ…」
「……………」
「お前のオペレーターは気付いていないようだな。
もう少しの間、エックス殉職のショックに浸らせてやろうか。」
「いいですね、こっそり通信とか切っちゃって……」
「トライアードサンダー!」
「ォオオアアアアアアアア!イレギュラーハンター…貴様…ああああああ!」
磁力でくっつけられていた腕のハサミが離れ、敏感に反応するその2本の髭に電流がまとわりつく。
荒くれ者は激しい咆哮を残し、破壊されていった。
「ご苦労様です、エックスさん!」
「……あら?」
-
帝国統治評議会
帝国の中央行政府。グランド・ヴィズィアーを最高責任者とし、各省庁の大臣・長官達で構成される。
グランド・ヴィズィアーはセイト=ペスタージュ。
【一時間スレ的に著名なメンバー】
ケリスラー通産大臣
グランド・モフ中央委員会
帝国の地方行政府。委員長を最高責任者とし、各宙界を統括するグランド・モフ達で構成される。
委員長はアーダス=ケイン。
【一時間スレ的に著名なメンバー】
ジャジャーロッド大総督、ヴィリム=ディズラ大総督
帝国元老院
帝国の立法府。最高議長を最高責任者とし、帝国領の星系や同盟国、巨大組織から選出された
議員たちで構成される。最高議長はシム=アロー。
【一時間スレ的に著名なメンバー】
ヴァルトラウテ=デス=コア=ニーベルング議員、ティータ=ルーヴェンス=ピエット議員
ゼルダ=ハイラル=十条議員
帝国最高裁判所
帝国の司法府。最高裁長官を最高責任者とし、最高裁判事達で構成される。
最高裁長官はレイトン公爵。
【一時間スレ的に著名なメンバー】
なし
帝国軍参謀本部
帝国の軍事府。軍事エグゼキューターを最高責任者とし、統合軍参謀総長と各軍の参謀総長、
幕僚長達によって構成される。軍事エグゼキューターはモーラドミン=バスト。
【一時間スレ的に著名なメンバー】
スローン大提督、ギラッド=ペレオン大提督、フレジャ大将軍
-
「次の目的地は森林内の基地ね…動物型のイレギュラーが多いかもしれない」
「カメリーオの時みたく面倒な戦いになるのかな…」
そして彼らは夕暮れのサファリパークの門を潜った。
「静かだな……動物はいないんだろうか」
「これといって動物を模しているように見えるのはトンボ型メカニロイドだけね」
鉄球メカニロイドなど、行く手を阻む敵達を倒し、サブタンクを回収しながら
上部へと進んでいく。
「……待って、隣の部屋にカプセルの反応が」
「久々だね……どうやって入ろう」
「ヒビ割れがあるみたい、ドリルファングで破壊をお願いね」
マサイダーの武器は分厚い壁をアッサリと破壊。その先にあるカプセルへの道を開いてくれた
「エックス。ここではお前を更に覚醒させるアームパーツを授けよう。
これによりお前は更に強化されたダブルチャージショットを使えるようになるはずだ」
強化されたダブルチャージとは…一体どういうものなのか。
梯子で地下まで降りた先に、木の根に囲まれて何かエネルギー体が見える。
…結局それが何なのかは解らないのだが、そこで百足型の巨大メカニロイドを破壊。
「エックスか。いいだろう、交代だ」
高耐久力メカニロイドがひしめくエリアをゼロに交代することとなった。
「…これは手ごわいですね」
「回避しようなどと思わず、全て破壊するのが一番だ。」
まず手持ちのサーベルで一撃粉砕。続けてチャージショットで小さなメカニロイドを蹴散らしながら
また高耐久力メカニロイドをサーベルで粉砕。
ゼロの後ろには炎と煙と破片が道を作っていた。
「さて。ここで交代の時間か…」
「…例によってまたターゲットの目の前まで到達した…」
「さあ、これから先は貴方の仕事よエックス
…ここにいるのはシャイニング・タイガード。
元々サファリパーク警備用のレプリロイドらしかったわ」
「ということは元々戦闘には慣れている…」
「気をつけるべきね」
「…お前がエックスか」
しなやかな動きで草むらから飛び出してきた。彼がタイガード…
「手に爪…か。シグマを思い出すね」
「しかもレーザークローね。それでも勿論、シグマほどのパワーは感じられない…
けど逆に、彼のように力任せな戦いは行わない。爪での戦いが本分な敵は初めてよね」
「そうなるな」
「…何を話している」
敵はすでに戦闘体勢に移っていた。
…だが、こちらはとうにいつでも攻撃できる状態にあったのだ。
「行けええええ!」
すぐにチャージショットを撃ち出す。
「……」
「速い…!」
だがこれはあっけなく弾かれる。
寸前で弾いたのではない…。撃ち出す瞬間、構えた瞬間にすでに。
「レイ・スプラッシャー!」
お返しに、とばかりに尾の先端から光の弾丸が噴水のように湧き出る。
「エックス!」
弾丸が収まったとき、爆発音がこだました。
…一瞬にしてエックスの体は蜂の巣に…
-
いや…なっていなかった。
なんと、エックスはレイスプラッシャーのその弾全てを小さな動きで避け…
タイガードにバスターを突きつけ、攻撃が終わる瞬間を見計らい零距離チャージショットを放っていたのだ。
「何…!?」
しかしこの距離からでもタイガードは爪でそれをガードしていた。
隙は攻撃の後も生じない。チャンスはレイスプラッシャーを放っている間のみだったのだ。
「だが…爪でガードしきれない攻撃だってある!」
腕を小刻みに動かし、タイガードの体の各所に通常バスターを見舞う。
「ごああああ!!」
「冴えてるみたいね…エックス」
「さっきまで休んでいたからね」
数で攻めれば得意の爪も機能しない。
そうして戦いは、エックスの回避とタイガードの防御によるマラソンマッチと移行していった。
「食らえ!!」
壁の上から、飛び降り様に大きく振りかぶり喉元を裂こうとするタイガード。
だが勿論そんな直線的な動きではエックスを捉えることは出来ず。
またもタイガードの膝、胸、腕にエックスの弾丸が命中する。
「…ま…まだ…まだまだあああああ!」
タイガードが赤い熱を帯びたかと思うと怯まなくなり…バスターを弾き始めた。
「これは…」
「マサイダーのそれと同じよ!短時間の間にエネルギーを外部に放出して硬化するの!」
そうと解ればすることは一つ。
壁に向かい突進してくるタイガードを避け、壁へ逃げるのだ。だが…
「うらぁあああああああ!」
突進のみだったマサイダーとは違い、タイガードは爪を振り上げ跳び上がってきた。
紙一重でこれをかわす。
そして…
「終わりだ!」
部屋の真ん中へと飛び降り、タイガードの体に連射。
硬化の終わったタイガードの体にそれは次々と突き刺さり…最後には貫いていった。
「グァオオオオオオオオオオオオゥ!」
「戦いを続ける内に理性を失っていく…これがイレギュラー化なのかしらね」
「終わったね……。次が最後の一人だ。…行こう ホーネックのいる兵器工場へ」
-
「お前がホーネックを倒すのか」
「…ごめん。ダメかな」
「……ヒャクレッガーの件もある、いいだろう
…ただし今回は俺がお前のオペレーターを務める。」
ゼロはすでに工場内に再潜入し、キメラライドアーマーを見つけた倉庫の辺りへとやって来ていた。
エックスはゼロのいた位置へ、ゼロはハンターベースへ。
「…エックスの様子が気になるだろうが…寝てろ」
「…いや、寝るってあなた。」
ふと見ると、ゼロの担当のオペレーターはゼロの帰還に安堵したのか、ゼロの近くですっかり眠っている。
その場所が場所で、ゼロもゼロな気はするが…ひとまずオペレーターは仮眠室へと移動した。
「その場所のイレギュラーは空から攻撃してくる。
あまりに急なようならばコンテナを盾にするのも手だ」
「解った。」
立ち並ぶ倉庫での戦いを制し、エックスは開けた場所へと降りる。
ふと辺りが暗くなる。太陽が雲で遮られたか?そう思うのも一つであろう。
…轟音と熱風がなければ。
「…何!?」
「…何かあったかエックス」
「何かって…これ!」
そう。エックスの真上に貨物機が着陸していたのだ。
「…兵器を積み込む気だ!」
「よし、止めろ!」
バスターで運搬メカニロイドの腕ごとコンテナを破壊し続ける。
何度も何度もそれを繰り返すと…
「敵も諦めたみたいだ!」
「よし。飛び立ったな…」
逃げる貨物機をよそにエックスはもう一つの工場の扉を開いた。そこには…
「待っていたぞエックス。」
「…ヴァジュリーラの仲間か!?」
赤いボディに、鉄色の顔。背負った金の輪が特徴的な巨漢だ。
「我が名はマンダレーラ。研究所では姿を見せず卑怯を犯した事を謝りたい」
「……戦いだ、そこは別にいい。」
「かたじけない。では参る。ヴァジュリーラを苦戦させたその力、我に見せてみよ!」
その巨大なボディを見た時からこちらが使う手は決まっていた。
面積の広い体を満遍なく狙うことの出来るこの武器をまず使おうと。
「レイスプラッシャー!」
目にも止まらぬ光の散弾銃がマンダレーラの体のあちこちに激突、マンダレーラの体を後退させる。
「ぬぐぐぐぐぐ…!!」
やはり通用している様子だ。ならば次は…。
そう思っていると、研究所で床に設置していた強力磁石を壁へ投げる。
「どらっしゃあああああああああああ!」」
その巨体を存分に生かした突進攻撃。
避ける方法は…壁を蹴りマンダレーラを飛び越すこと。しかし…
「うぐ…!」
体が壁に引き戻された。思った以上に磁石は強力。そしてそのまま…
「ほああああああ!」
「ああああああ!!」
ぐるんぐるんと高速回転させた腕によって天井へと殴り飛ばされ…
「げほっ」
落ちてきたところを
「ぬんっ!!」
掌を叩きつけ
「がはあ…!!」
壁へ叩きつけられる。
「其方がこの攻撃を避けることはまかり通らぬ。其の武器は確かに強力なり。
だが其方の命が尽きる方がよほど先であろう!」
今度は最大限に力を溜め…新しいチャージショットのお披露目となった。
「左腕!」
まずは右腕。二重螺旋形のエネルギーの鎖が放たれる。…通常のものより遅い。
「ぬ…?」
「右腕!」
これはまた、普通のチャージショットだ。以前は強化されたものが右腕から放たれていたはずだ。
だが…左腕のチャージショットが右腕のチャージショットを追い抜いた瞬間。
「…何と…」
二重螺旋のチャージショットは単発のチャージショットによって砕かれ…
縦に5つ並び、更に強化されて、速度を増して一斉に光の壁としてマンダレーラを襲ったのだ。
「ぐおおおおおおっ…!!」
怯んでいる間にまたレイスプラッシャーを放つ。
「くぅっ…」
磁石を投げ、またも突進するマンダレーラ。
だが彼の唯一にして最大の、必勝の技であるそれも二度は食らわない。
バリアブルエアダッシュで真上に避け、一度壁について今度はエアダッシュで避け、マンダレーラを飛び越える。そして…
「レイスプラッシャー!」
今度は背中に見舞う光の弾丸。その勢いはマンダレーラを壁へと打ちつけていった。
「ぐおおおおおおおお…!まさか…この我が…敗れるとは………!」
勢いよく向き直る。まだそんな力が残っていたのか。慌ててバスターを構えるエックス。
だが…マンダレーラはそのまま膝をつき、腕を大きく広げ叫んだ。
「天晴れなり、エックス!!」
-
敵を称えたその格好のまま、マンダレーラは燃え尽き…散っていった。
「ナイトメアポリスの片割れを倒したか…
一つの戦法にこれだけの自信を持てるっていうのも凄いと思える。
エックス。この先にホーネックがいる。解っているな」
「回復は怠らないよ。」
そして最深部にて現れたのはホーネック。
「……ゼロ隊長にエックス隊長…」
「ホーネック…話せるのかい」
「ええ。私は…イレギュラーとなってしまった。報道関係の者たちをこの爆弾で吹き飛ばしてしまった。」
「…全てはドップラーのせいだよ」
「それだけでは…最早済まされない事になっている。」
「………」
「自殺するための方法は全て奪われました。
せめてもと思い私は、自らの体に備わったこの針とパラスティックボム以外、持っていた武器を全て捨て…
自ら腕との連結を絶っておきました」
「…いい心がけだ。戦いが楽になる」
「そろそろ…また私は私でなくなる。最後の最後まで…申し訳ない!!」
「謝るなホーネック!!」
その言葉は僅かに遅く、ホーネックは瞳孔から光を失った。
……戦いが始まる。
「針での攻撃は一度狙いを定めたらそれ以降全く動きがブレない。
逆に言えば狙いを定められた時点で動けば確実に避けられる」
ゼロの言葉通り、エックス部屋の対角線を縫うように動いてきたホーネックの針を難なく避け、
チャージショットを近距離で見舞う。
「パラスティックボムは一箇所から一気に放たれる。
どうすればいいかわかるな!」
ホーネックの尻からパラスティックボムが放たれる瞬間を狙いチャージショット。全てのボムを巻き込みホーネックを攻撃する。
「パターンが変化したな」
8の字を描きホーネックが辺りを飛ぶ。パラスティックボムが次々とホーネックの周りを囲い、
ホーネックは赤き照準を合わせに入る。
「それでお前をターゲッティングし、パラスティックボムの集中砲火を行うつもりだ!
何としても避けてホーネックを狙い撃つんだ」
クロスチャージショットを別々に放つことでダメージを稼ぎながらホーネックの照準をかわし続ける。
「行け、エックス!!」
『第0部隊は通称『忍び部隊』任務の途中でこうなることは覚悟の上です
それに、きっと私が彼でも同じことを望むことでしょう…』
半年前のヒャクレッガーに対するホーネックの言葉を思い出す。
「うぁあああああああ!!」
エアダッシュによりホーネックとの距離を一気に縮め、その一撃は放たれた。
ホーネックの中にある無数のパラスティックボムが一気に誘爆を起こし…
ホーネックは下半身から吹き飛んでいった。
「有難う御座います…エックス隊長。そして…我らが隊長。」
「…ホーネック。最後に言うことはあるか」
「誰も……あの場ではドップラーの洗脳を逃れることは…出来なかった。」
その言葉から導き出される彼の最後の言葉。
「…ここで討たれるのが、私で………よかった。」
「…俺からも礼を言う。…エックス。有難う」
「………俺は何もしてない。…いい仲間を持ってたんだね…ゼロ」
「お前にも居るだろう。」
彼は目をこすり部屋から出てきた一人と…
「俺にも…まだ居る。」
自分の膝の上で寝ている一人を見て呟いた。
-
「……マンダレーラが敗れたというのか」
「ああ。情けねぇやられ方してたぜ…なんなら博士にも聞いてみな」
「…………。」
「どうだ、戦う理由が出来ただろう」
寝起きのオペレーターが席につき、伸びをする。
「ドップラーの研究所は見つからないようだね」
「ええ…これからどうすればいいかしら」
ひとまずチェイサーに乗ろうと工場を出たその時。エックスの前に何者かが現れる。
「おい、小僧!」
「お前がエックスか。」
「何だ何だぁ?ガキじゃねえかよ!」
妙な3人組が現れる。
そして彼らを取りまとめる者が空の上から現れる。
「我々はレプリフォース!誇り高き世界最強の軍隊である!」
そしてハンターベースにもレプリフォースの者が。
「ゼロ。妹が世話になっているな……
……!? 何をしているゥゥゥゥ!」
「お前の妹が少し働きすぎたようだから寝かせているだけだ。」
「…そういうことではないッ!」
ゼロを担当しているオペレーターは研修生、それはエックスたちも知る所である。
だが、彼女がここに来た理由が、彼女の兄がゼロの親友であったことも一つであったのだ。
彼らは何度か親善試合や個人的な特訓目的で剣を交えており、
その実力は両者とも認めている所であった。
「…ふぁ… に、兄さん……ゼロさん…あれ、ここは…」
「もう起きるのか。」
「? え…ぇええええええ!?」
驚き飛び起きる。
「どうした。エックスが順調にミッションをこなしていたから問題はないぞ」
そういう問題ではなかった。
「俺もそろそろ動くとしよう。ドップラーの研究所を探す。
それで…お前たちは一体どうしたんだ?」
「ドップラー軍はドッペルタウン以外にも基地を作り、攻撃を行って来ている。
我々はそれと戦い、勝利し、後は奴を追い詰めるだけになったというわけだ。
アジトの捜索は陸海空それぞれが団結して行い、災害対策チームも被災者を救助すべく活動している」
「それとは関係ないんだけどよ。入り口にこんなものを見つけたぜ」
レプリフォースの者は青い紙をエックスへ渡す。
「これは…。」
……内容は、エックスにドッペルタウンの空港へ来るようにというものだ。
「差出人は………」
「…どうしたの、エックス。誰からの挑戦状だったの?」
「…実は」
おかしいと思っていた。操られたイレギュラーで構成されているこのドップラー軍において
イーストブロックには、ドップラーの忠実な部下シーフォースが指揮を執っていたが、
ウエストブロックには今の所操られたり問題のある者しか居なかったためだ。
マンダレーラやヴァジュリーラは常に移動する、ドップラー直属の者であるとするならば…。
そしてエックスは空港へ足を運んだ。
「空母のブリッジに居るのね…… それにしてもやっぱり敵が多すぎるわ。」
空港の倉庫の中をミサイル搭載メカニロイド達と戦いながら上へ。
空母内部へと移動し、外では空から襲い来るメカニロイドを撃ち落とし
内部ではエレベーターホールでの戦いを制しながら上へ。
転送装置で呼び出したライドアーマーで暴れていると何やら赤いカプセルが目に付く。
「………パーツのものなら青いはずだし…敵の罠か?」
近づくと開き、ライト博士が現れる。
「エックス。ここではアームパーツの能力を更に拡張する、アームチップを授けよう
だが…ヘッド、ボディ、アーム、フットの4種のチップの中で
付けられるチップは一つだけなのじゃ…考えて選んでみて欲しい。」
パーツの機能拡張チップ…今現在手に入れているパーツはアームとフットの二つのみ。
他2つのパーツを手に入れてからでも遅くはないだろう。
ひとまずは保留とし、エックスはブリッジを目指した。
そしてたどり着いた。青い鎧の如きボディで身を固め、立派な角を持つレプリロイドの元へと。
「よお…エックス。いや、今はアンタのことは隊長って呼ぶべきなのか…?まぁ、死んでも呼びやしないが」
「ビートブード。」
ウエストブロックを統括していたのはシグマの最初の反乱以降姿をくらましていた
グラビティ・ビートブード…クワンガーの弟だった。
「俺はテメェを絶対許せないし…かといってシグマの奴も気に食わない。
ドップラー博士の反乱に乗じてお前に復讐させてもらうことにしたよ」
-
「聞きなさいビートブード!…あの時、エックスだってクワンガーを救おうと…」
「いや…彼は間違っていない。
…けど、一つ聞かせて欲しい。今ドップラーがしていることと…シグマがしていることにどう違いがあるんだ?」
「……うるせぇ」
「君がドップラー軍に入ったことも、復讐を行おうとしていることも俺は別に咎めない。
けど……17部隊から君がいなくなることで、クワンガーを失った君と同じく悲しんでいる仲間が沢さ…」
「うるせぇええええええええええええ!!」
ビートブードはその怪力で壁を叩いた。
「……うるせぇよ…テメェらみんなウルセェよ!!」
「…すまない。」
矛盾を抱えていること。自分がおかしいことをしていること。…恐らくはエックスが正しいこと。
それら全て…彼は解っているのだろう。けれど……けれど…。気持ちが…最早収まらず、
取り返しのつかない域に来てしまっていたのだ。
「死ねよ…死ねよエックス!!」
腕から空間の歪みを生じさせ、エックスへと力いっぱい投げつける。
ビートブードの能力、バグホールだ。
「俺も全力で相手しよう…」
即座にエックスはカラーチェンジ。バグホールを飛び越えレイスプラッシャーを放つ。
ビートブードは感情に任せ床を踏み、揺らしている。
「食らいなっ!」
マサイダーやタイガードがしたのと同じ硬化。エックス目掛け突進を始める。
エックスは冷静にそれをかわし、クロスチャージショットを放つ。
「ちきしょお……ちきしょお!」
ビートブードの怒りが頂点に達する。ビートブードを中心に空間がぐにゃりと曲がる。そして…
「何もかも吸い込まれちまえってんだ!」
上空に巨大なバグホールを発生させる。辺りのものを全て飲み込まんとする巨大なバグホールだ。
「これに吸い寄せられたら一巻の終わり。早く決着を!」
「つけてやるよ!エックス、お前をその中に放り投げてな!」
再び硬化、地面をガリガリと削り猛スピードで突っ込んでくる。エックスの足元を掬うためだ。
上にはバグホール、下にはビートブード。高さの調整が困難な闘い…しかし。
エアダッシュで回避、こちらも部屋の上部へ打ち上げる技を使った。
「チャージ・レイスプラッシャー!」
光を取り込むブラックホールの如きバグホールとは真逆。
光を放出する強力な光の球が部屋の上へと打ち上げられ…そこから無数の光が降り注いだ。
「…俺の力が効かない…!!」
「…本物のブラックホールは光すら追い出せないと聞くわ。
けど………半端な闇では光は吸い込めない。
あなたの生む不安定な闇では…未来のため戦うエックスは超えられない。」
眩い光に包まれ…ビートブードは消滅した。
「…止してくれ。不安定なのは…俺の方だ」
一方、大平原。ゼロはヴァジュリーラと長き攻防戦を行っていた。
-
ドッペルタウン大平原の真ん中。
乾いた地面の上で剣を交えるゼロとヴァジュリーラの姿があった。
「そんな剣では俺を倒せんぞゼロ!」
ビームサーベルをひらりとかわし、遠距離から追尾弾や剣撃を飛ばすなどして戦うヴァジュリーラ。
ゼロはダブルチャージでの戦いを強いられるが、剣で跳ね返されたりすることも考え、通常弾とも使い分ける。
遠く距離を取り、二人は長いこと戦いを続けた。
この戦いで浮き彫りになったゼロの弱点。
ゼロの剣は通用しない相手がいるということ。
レプリフォースにいたあの男にも効きは悪かったがヴァジュリーラの場合もだ。
振るうことに全力を注ぐが故、ゼロのサーベルは強くともあまりに隙が大きい。
柔軟な動きが出来なければ戦いは困難になるだろう。
「これで最後だ…ゼロ!」
ビームサーベルをかわすと共に舞い上がり、体重を乗せ垂直落下、剣でゼロを串刺しにしようとするヴァジュリーラ。
だがヴァジュリーラは知らなかった。ゼロにはまだ技があることを。
「吹き飛ぶがいい………アースクラッシュ!!」
ゼロが拳を地面へ叩きつける。
ゼロを中心として乾いた大地が凹み、吹き飛ばされた土が舞い上がりヴァジュリーラを攻撃する。
…はずだった。実際はそうではなかった。
「何?!」
「しまった…!!」
地面はそのままひび割れ…崩壊、巨大な穴を形成。ゼロもろとも深く深く落ちて行ったのだ。
そう…この下には空間があった。
ゼロは何とか受身を取り、ダメージを最小限に抑えた。だが…
「…ゼロ…貴様……」
ヴァジュリーラはそのまま地面に体を打ちつけ、下半身を損傷してしまう。
「さて。聞こう…………ここは何だ?」
大平原の地下空間…そこには巨大な建造物があった。
「エックス。ここではボディパーツを授けよう。これによりお前の耐久力は上昇するだけでなく、
青きバリアフィールドがお前を守ってくれることだろう」
「エックス。ここではヘッドパーツを授けよう。これによりお前は衛星とリンクし
行き先の情報を得ることが出来るようになるはずだ」
ここに4つのパーツが揃った。
サブタンク、体力拡張パーツも手に入れ、
今度はライドアーマー改造チップの収集を始める。
「ライドアーマー…カンガルー!」
これはVAVAのものと同じ、強力なパンチが特徴の破壊力特化型。
「ライドアーマー…フロッグ!」
これは水中用のライドアーマーのようだ。
「ライドアーマー…ホーク!」
これはブーストにより飛行可能であり、射撃能力も備えている。
「チップはどれを選ぶべきか…悩むね」
「えーっと…4つの能力ね…どれにすればいいかしら。」
「…………うーん」
決めかねていると…
「エックス隊長、ゼロ隊長!至急ハンターベースへ戻ってきてください!」
待っていたのはケイン博士。
「…ドップラーの研究所が発見された。場所はドッペルタウンのポイントD…大平原の中心じゃな。
ゼロがヴァジュリーラと交戦中、偶然見つけてしまったそうじゃ」
「……あそこにあったのか…。」
「必ずやドップラーを倒してきて欲しい。それと…少し、調査の結果を話したいと思う」
一方。
「ヴァジュリーラ…やはりお前でも辛かったようだな」
「…申し訳ありません…。」
「脚は修復は出来る…だが完全とは行かんな。戦いは無理だ」
「……肝心な所でお力になれず…申し訳ありません」
「………」
「博士を守るため生まれた私がこの様では最早私に生きる意味などありません。…博士、私を処分してください」
「……戦士としてのお前は死んだ、と申すか」
「はっ」
「……面白い ならば、死んだ者同士、もう一度仲良くしてもらおうか」
-
ドップラー研究所に突入する。そこにはおびただしい数のスクラップがある。
「ゼロさとの合流ルートは上の階よ。メカニロイドの数も多いけど何とか乗り切って!」
そう。ここは敵の本拠地。敵の数も多く、エックスを串刺しにすべくドリルのついた天井が下がるなどの罠も満載。
上の階でもエックスを押しつぶすべく天井が動く部屋があった。そしてそこがゼロとの合流ポイント。
「エックス!俺は後ろからトラップを破壊する。お前はコイツを倒せ!」
「なるほど…こいつはシグマのアジトにいた巨大メカニロイドを小型化して歩行可能にしたものね
大した攻撃方法は持たないわ すぐに倒せる!」
ミサイル射撃、口からのマシンガン。どちらも問題になどならず、エックスのクロスチャージショットの前に沈んだ。
「エックス。ここはドップラーの奴に改造されたイレギュラーがウヨウヨいやがる。気を抜くな!」
そしてゼロはまた去っていった。
それから下のフロア。スクラップ排出口から、代わりに鉄球が転がるフロアにてオペレーターが口を開いた。
「エックス!その下に空間があるわ、カプセルの反応もする!」
「カプセル…?」
カプセルの色は赤。…意味するものはチップだ
「エックス。とうとうここまで来たか…ここではお前にハイパーチップを授けよう。
ヘッド、ボディ、アーム、フットの全ての能力を一つにしたものじゃ。
…だが、このチップは…今のお前には少し無理がある。…90分の間だけしか効果が続かない。
もしその時間を越えて着用すれば……アーマー自体が崩壊を始める。いや、それだけではない。
お前の体や精神をも蝕む可能性もある。…考えて使うことじゃ」
アーマーが壊れるのならば過去2回とて同じこと。決着をつける時間が早まったのみ。
…あと90分の間に決着をつける。果たして、出来るのだろうか。
いや、つけるしかない。エックスはひとまずスクラップ場から抜け出しに先へと進む。
そしてスクラップ場の最深部にてするりと着地して現れたのは。
「ヴァジュリーラ…!」
「すでに死んだ俺も、これから死ぬお前にもこの墓場は相応しい。」
ゼロが一度倒した相手だ、新しい力を持った自分ならばきっと…だが。
「全力を出しても俺はゼロに敗北した。
ならば…新しい力を手に入れたお前には全力以上で相手をしてやろう!」
たん、と地面を蹴り、ヴァジュリーラの体が宙に浮く。
「マンダレーラの仇は、共に討たせてもらう!」
ヴァジュリーラの体が眩い光に包まれ…エックスの視界全てを覆い尽くす。
その真っ黒な中でヴァジュリーラのシルエットだけが黒く映る。
そのヴァジュリーラに何かがガシャガシャとくっつき…一つになっていく。
そして…光の中から現れたものは。
「…その姿は!!」
マンダレーラの首から下が腹、脚となり…
ヴァジュリーラの上半身とマンダレーラの首とが腹で結合。
ヴァジュリーラの頭と胴体の間をマンダレーラの顔が首として融合し…
マンダレーラの背負っていた金の輪はヴァジュリーラの背に注す後光となり。
ヴァジュリーラの顔は……美しき純白の狐の面へと進化していた。
そして人やレプリロイドのものではなくなった声が響き渡る。
「…我こそは、業深き者より生でし鋼鉄の神。
新たなる存在となった我が力、とくと見るがいい!!」
-
「ヴァジュリーラが変身した… エックス、気をつけて!」
新たなる体を得たヴァジュリーラが剣を構える。
マンダレーラから得た力でその剣は大幅に長くなり、巨体に見合う長剣となっていた。
「跪け!」
ヴァジュリーラは在り得ないほどの速さで剣を振るい、衝撃波を発する。
直径3mほどはあろうかという斬撃が放たれエックスを斬り…壁へ衝突、部屋全体に激震を巻き起こす。
「…くっ…!」
クロスチャージショットをヴァジュリーラへと放つ。だがマンダレーラのボディ部分に当たり、ビクともしない。
壁へと逃げ、上からヴァジュリーラの顔面を狙い撃つ。
「レイスプラッシャー!!」
当たるが…あまり大したダメージにはならない。
ヴァジュリーラはマンダレーラの四肢を前足後ろ足へと変化させている。
その巨大な4つの脚で跳びあがり…ヴァジュリーラの両腕でまたも剣を振るう。
「ああああああああああ!」
吹き飛ばされる。
この部屋の中ではヴァジュリーラがあまりにスペースをとっているため、うまく立ち回りが利かない。
ヴァジュリーラの上半身にマンダレーラの体が用いていた莫大なエネルギーが集中しているのだろう。
「…我が手の中で踊るが良い!」
凄まじいパワーを持ったヴァジュリーラの左手がエックスの頭を掴む。
身動きが取れない…体が吸い寄せられているようだ。…そうだ。これは…
マンダレーラの使った強力な磁力と、ヴァジュリーラの拘束輪の作用。
「うあぁああ!!」
そして天井へとそのまま突き上げる。
「うぐっ…!!」
ヴァジュリーラの眼前まで下ろされるとそこには右腕が。
「!!!」
「哀れなり!」
そのまま右腕が作る拳がエックスの体をそのパワーで壁まで突き飛ばし、エックスの腹を潰す。
「ゴホッ…………!!」
今度は頭を狙うつもりだろう。
エックスは再びバスターを構え、ヴァジュリーラに向かいチャージショットを放つ。
「まだ足掻くか…」
腕を振るい、サーベルでエックスを斬る。
ハイパーチップがなければ死んでいるところかもしれない。
エックスも立ち上がり、レイスプラッシャーを放つ。
そして今度はフロストシールドに変えて、ヴァジュリーラを貫こうとするが…効かない。
そもそも全然ダメージを食らっている様子がない。…そんなはずはないのに。
どれほどの耐久力を持ち合わせているというのだろうか。
斬られながら一発、また一発と攻撃を放っていく。
「これで終わりだ…イレギュラーハンター!」
-
合体してからヴァジュリーラの言葉がここで初めて出た…。
戦いを終わらせるべく、ヴァジュリーラはまたも腕を使いエックスの頭を掴み…
天井へぶつける。
「うぅううううっ!!!」
…そう、怒りに満ちた声だ。
彼は新しい存在でも神の類などではない。仮面の奥で…マンダレーラの敵を取るべく憎しみを燃やし続けている
ヴァジュリーラそのものでしかないのだ。
…ビートブードの暴走を思い出す。彼は一体どうしてああなったのか?
………憎しみに囚われてしまったのだろう。
その深い憎しみに打たれ、エックスは力を失う。
「エックス…しっかりしてエックス!!」
オペレーターの声も届かない。
そしてまたもヴァジュリーラの眼前へ。
そこに通信が割り込む。
「エックス!!何をためらっている…!」
「…ぜ、ゼロ…」
「ビートブードと戦ったのだろう…
解っているはずだ!奴らは復讐を遂げようとしている以上に…
憎しみに囚われた自分をも憎んでいるんだ」
「でも…」
「奴を殺すしかないんだ!…仕方ないことだ!
例えお前が死んでも、これから奴は次々とお前の仲間を、人間を殺し続ける。
殺せ!…それしか憎しみを終わらせる手段などありはしない!」
その言葉は何より強かった。ゼロにもまた、守りたい仲間がいるから。
力を振り絞る。
「死ね…エックス…!」
右腕が近づく。
「うぉおおおおお!!」
左腕、右腕とチャージショットを放ち、クロスさせる。
クロスチャージショットの完成。
5つの弾が一列に並び、ヴァジュリーラの体へと当たり…狐の面を貫く。
その瞬間、腕がボトリと落ちる。
「……な……なに…?」
力が入らない。動かぬまま、体の各所から煙が生じ、火花が散る。
…ヴァジュリーラは全ての痛覚を遮断していたのだ。
故に、どれだけ攻撃を食らっても…何も痛みも感じず、自分の傷もわからなかった。
自分が…どれほど憎しみを持っていたかも解らぬまま。
二人の戦士は、地獄へと引きずりこまれていった。
「………すまない、ゼロ」
「いや、いい。先へ急げ。俺は上のフロアで待っているぞ」
ここへ忍び込む前のことだ。
「エックス、ゼロ。お前達が倒してきたレプリロイド達の
記憶チップを抜き出し、解析してみた結果なのじゃが……
奴はレプリロイドが持つ『特殊能力』に目をつけているらしい」
-
咲おもすれー
麻雀まったくわからなくても楽しめる
これは久々の原作衝動買いかも
-
「俺は先へ進んでいる。ついて来い」
ドップラー研究所の上のフロアへと足を踏み入れる。
そこは破壊されつくした…なんとも痛々しい場所だった。
レプリロイドも装甲を削られ、天井も壁も床もボロボロ。
「ゼロ………」
「俺じゃない!!」
…本気でそう思っていたエックスは、ならば誰がこれを行ったのかと
敵たちの中から考えてみた。
…凶悪な敵がまだ一人居た。VAVAだ。
「その下は足場が不安定よ 飛ぶ方法があればいいんだけれど…」
ここで集めたライドアーマーが成果を発揮する。
「ライドアーマー…ホーク!」
「撃ち落とせえええええ!」
敵を射撃しながらライドアーマーは空を飛んでいく。
更に上まで行くと針の壁が。
カタツムリ型メカニロイドの殻を外し、出てきた棒を足場に上のフロアへと登って行った。
大きな開けた空間の先で…彼は待っていた。
「VAVA…」
「ククク…よく来たなエックス。この俺が最新式ライドアーマー『ブラウンベア』でお前を捻り潰してやる」
ラビット、カンガルー、フロッグ、ホーク。
動物の名前がついたこのライドアーマーの最も強いとされるものは熊だった。
「死ねえぇえエックス!」
ブラウンベアは物騒なその腕をエックスへと向け、突撃をしてくる。
ライドアーマーが変わってもすることは同じ…。
クロスチャージショットを放ち、上方向へのエアダッシュでブラウンベアを高さを稼ぎ、続けて横方向へのエアダッシュで交差する。
これがフットチップの能力だ。
ライドアーマーの攻撃を回避することは容易。そう思い、間髪入れず次の攻撃を追わせる。
「甘いんだよエックス!」
ブラウンベアの腹から何かが発射され、エックスを弾き飛ばす。
…チャージショットだ。ライドアーマーにバスターが装備されたのだ。
またもブラウンベアは腕でエックスを潰しにかかる。
エックスは敵を壁に追い詰めようとする…が。
「面白い機能を見せてやろうか!」
ブラウンベアから何かが放たれる。
回転する小さな筒がいくつも。
「?」
その筒は床と垂直な方向で止まると壁を生成する。
そう…生半可な攻撃では壊れず、ブラウンベアの攻撃では一瞬で壊れるこの壁は
ブラウンベアの餌食となる敵を逃がさないようにするためだけのものなのだ。
「回りくどい戦い方だな」
シュリンプァーの能力、スピニングブレードを放つ。
赤き二つの回転する刃がブラウンベアを刻み…刺さった。
派手にライドアーマーが爆発する。既存のライドアーマーとは比べ物にならない量。
特Aランクのレプリロイドに値するほどだった。
-
「そう来なくっちゃあ面白くねぇな…エックス!」
ライドアーマーの残骸の中でVAVAが立っていた。パワーアップ後の前回も戦った相手だ。
「食らいな!」
エックスの体を飛び越すと同時に彼の膝から何かが飛び出る。
床へ衝突すると同時にそれは渦巻く炎の柱となって走り、壁まで追い続ける。
「速い…!」
そう。本気を出したVAVAは自分の武器を改造していた。
本来なら在り得ないほどの速度で走る炎にエックスは包まれた。
「うぁあああ…!」
「そらそら!!」
空中から指のバルカンを放ち、エックスを狙う。
絶えず走ることでこれを回避し、VAVAへスピニングブレードを当てる。
回転する刃が今度はVAVA自身を襲う。
「少し黙ってな!」
跳びあがり肩から強化された拘束弾が散らばる。
「動けない……!」
そしてまた炎の柱でエックスを包む。VAVAは思わず笑みを浮かべる。
「うううぅうっ…!」
そしてVAVAはまた空を飛び、バルカンを見舞おうとする。
だが…エックスはこのときを待っていた。
「チャージ・スピニングブレード!」
バスターから棒を射出、先端から巨大なチェーンソーが生成される。
「ま、まさかお前…!!」
「食らええええええええ!」
刃がエックスの周囲をぐるりと回転し…
軌道上にあるVAVAの股から左肩までを深く深く斬る。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
そのまま落ちてきたところに…
「チャージ・ドリルファング!」
エックスの腕そのものがドリルに変化し…
VAVAにそのまま突進していく。
「エックス、キサマアアアアアアアアアアアア!!!!」
スピニングブレードによりバッサリ斬られた傷をドリルで広げる。
VAVAの体全体にヒビが広がり、砕け始める。
VAVAは最早動けないまでになっていた。
エックスは右腕の螺旋状のチャージショットをVAVAに当てる。
だが…VAVAも諦めない。
肩に大量のエネルギーをチャージし……痛みに体を引き裂かれそうになりながら
エックスを焼き殺す準備をしていたのだ。
「これで最後だ!!」
二人が声を合わせる。
エックスはVAVAへ跳びかかり、その右肩の砲身へとバスターの口を合わせる。
VAVAもそんなエックスのバスターの口へと砲身を向ける。
そして…
「うぉおおおおおおおおお!」
VAVAは肩を中心に円形に、胸までが大きく奪われる形となった。
原型を留めていない、かつてないまでの酷いやられ様。
機能そのものが停止しそうになりながら。
「これで…終わりと思うな……」
エックスは腕を下ろす。
「お前を殺すまで、俺は地獄から…何度でも…」
エックスは黙って見つめる。
「よ…み…が…え…っ…て」
「…………や……………る……………」
ぴくりとも動かず。静かにVAVAの体に火がついた。
「…レプリロイドの特殊能力を…ですか?」
「うむ。どうやらドップラーは、それを集めて
『究極の戦闘用レプリロイドボディ』を作ろうとしているらしいのじゃ」
「究極のボディ…!?」
-
ドップラー研究所の上層。厳重なセンサーによる警備が強いられ、
いよいよもってドップラーが近づいてきたことを確認する。
扉を潜った先は9つのカプセルが待ち受ける。そのうちの一つはアイテムカプセルだ。
残り8つが一体何を意味するかは…容易に想像がついた。
復活した8人のレプリロイドをそれぞれに対応した武器で制し、
エックスはいよいよもってドップラーの前まで来た。
「…究極のレプリロイドボディ…ドップラーがそんなものを」
「…ドップラーは戦闘用レプリロイドではない。
だから、ドップラー自らが使うためにそれを作っていると…思っていた。
だが…どうやらそれは間違いらしい。
ドップラーは…誰かに命令されそれを作らされているらしいのだ。」
「…ようこそ、エックス君。我が側近を倒しここまで来るとは…流石だな」
研究所の最深部。背後に巨大な謎の装置の見える部屋に、彼はいた。
「ドップラー……!」
「エックス君。君のその力は実に素晴らしい…
どうだね…」
ありきたりな台詞をエックスに投げかける。
「私の元で動く気はないかね?
私の右腕となって、…我らと共に『シグマ様の下で』世界を平和へ導こうではないか」
そう。ドップラーにボディを作らせていたのは他でもない。
シグマだったのだ。
「黙れ。お前も、シグマの計画も…ここまでだ!」
「フン…ならばお前には消えてもらう他ないな…
さらばだ、エックス!シグマ様のボディパーツとなるがいい!」
白衣を脱ぎ捨て、ドップラーが自らを改造し作った戦闘用ボディを露にした。
「食らいたまえ!」
指から大きな電撃球を生成、エックスに向かい飛ばしてくる。
1発、2発、3発。
単純な軌道のその攻撃の回避は容易。
続けて空へ飛び上がるドップラー。腕から高熱のバリアを生成し、エックスに向かい突進してくる。
軽々と回避しチャージショットを撃つ。
最早敵ではない。降りてきたタイミングでもう一度クロスチャージを放つ。だが…
「ははははは、甘いぞエックス!」
緑色の何かを両腕の間に作り出し、クロスチャージを吸収する。
「さぁ私の番だ!」
ダメージがみるみる塞がっていく。
「私の回復力と君の戦闘力、どちらが持つか…いい勝負になりそうだよエックス君」
攻撃されては回復され。戦いは長引くがドップラーは一撃たりとも食らわせることなどできず。
ドップラーはクロスチャージの前に敗れていったのだった。
体がスクラップと化したドップラーは呟く。
「…よくぞ…私を倒してくれた、エックス君」
「………正気が戻ったんですかドップラー博士!」
戻ってきたドップラー博士に対し敬語に戻るエックス。
「君にも、ゼロにも、部下達にも、招待客にも、世界中にも…私は大変なことをしでかしてしまった…。」
だが謝罪より聞きたいことがある。それはドップラーもわかっていた。
「……シグマは……悪性のコンピュータ・ウイルス…『シグマウイルス』なのだよ。
奴は…私に作らせたボディで…世界を襲うつもりだ…」
「そのボディは一体どこに!」
「アレは…地下ある。…頼む、エックス君……シグマの手に渡る前に…」
「はい……。解りました!」
-
地下室。シグマの入ったカプセルが目の前にあるが、恐らくシグマ自体は目覚めていない。
「エックス。俺はこのまま、ドップラーの研究室へ向かう。お前はシグマのボディを破壊しろ!」
「ゼロさん…大丈夫ですか?エックスさんにシグマの相手を任せても」
「俺も後で加勢するつもりだ…それと、やっぱりさん付けも堅苦しくて好きじゃない」
「…ではやはりゼロ隊長に?」
「…それはもっと要らん。…呼び捨てにしろ。エックスに対してもな」
「ええええっ…!?」
エックスは縦穴を登っていく。だがその瞬間…カプセルが割れる音がした。
嫌な予感をしながら、ボディの安置されているはずの場所へ行くとそこには。
「やあエックス…また会ったな」
2度死んだ男の姿がそこにあった。
蜘蛛のような飾りを背負った、目覚めたばかりのシグマがそこにいた。
「ドップラーを利用しここまで来たが…お前のせいで全て台無しになったよ。
やはり、レプリロイドの進化を賭けお前とは戦う運命にあるようだ…行くぞ!」
今回のシグマの武器は火炎弾と盾だった。
上下に癖のある弾道を持つ火炎弾を撃ち分けるシグマの攻撃を避けてスピニングブレードを放つ。
「何っ…」
跳びあがり、真下へ向けて炎を撃ち続けるがこれも隙がある。スピニングブレードで追撃。
「おのれ…!」
盾を飛ばし、エックスを刻もうとしてくる。だがその程度の攻撃は効かない…
チャージショットを盾が戻る間に撃つ。
「貴様、どこまで私をコケにすれば済む!!」
壁に逃げるエックスに今度は8の字を描くように盾を飛ばす。
だがこれも避け…
「チャージ・スピニングブレード!」
円形のチェーンソーはシグマを頭から真っ二つにしていった。
…シグマは毎回の通り、魂が抜けたかのようにして消滅していった。
…実際、このボディからシグマ本体たるシグマウィルスが抜けていった後なのだろう。
「………ククク。これで終わりと思うなエックス。
ドップラーに作らせたこの、究極のレプリロイドボディの力…今ここで見せてくれるわ!」
-
「エックス…まさかこんなのに勝ってしまうなんて…」
戦いはかなりの激闘となった。
だが決め手はアームチップの力、クロスチャージのストック。
これにより、次から次へと連射されるクロスチャージで究極のボディを持ったシグマを圧倒することができた。
「シグマ…諦めろ。お前はもう俺達の敵じゃない。」
「…まさか…こんなはずは!!!」
明らかに焦っているシグマ。
再び、以前のようにワイヤーフレームだけのウィルス体でエックスの前に現れる。
「…ええい、ならば…お前の体を私が乗っ取り、再び世界を手に入れてくれる!!」
噴出した炎に飲み込まれる研究所の中、シグマはエックスを追い始める。
炎に飲み込まれないようにしながら、シグマに乗っ取られないようにしながら。
全力で逃げ続けるエックス。
一本道をどんどん逃げ続けるが…
「しまった…行き止まりだ!!」
「道…道は…ないわ!!」
壁を叩いてもどうにもならない。一体どうすればいいのか……
「今です、ゼロ!」
その瞬間、天井に穴が開き剣を振り、彼は現れた。
「ゼロ…どうやってシグマを…!?」
「待たせたな、エックス…。
どうだ、シグマ。ドップラーが開発したシグマウィルス用抗体の味は!」
「ゼロ…貴様…またも!
ぐあああああああ!!!!!
…き!消えていく…!私の…!データ…が…!」
シグマウィルスが歪み、消滅していく。
透明なシグマの顔が…歪んでいく。
「さ、脱出よエックス!」
大平原へと降り立ったエックスとゼロは遠くから燃え盛るドップラー研究所を見つめる。
エックスはそして…目を閉じる。
あの時のことを思い出していた。
「シグマ隊長、何を!」
「ぐあああああああ!」
「どうしたエックス!私を撃って見ろ…さぁ!」
シグマはゼロの頭を持ち、彼を持ち上げている。
「さぁよく狙え!さもなくばゼロは死ぬぞ?フハハ、フハハハハハ…!」
第17部隊隊長シグマが豹変した日のことだった。
「エックス。この世に…犠牲のない進化など…」
…この先は思い出したくもない。
エックスは引き金を引くのをずっと躊躇っていた。
人質を取られると自分は弱い。殺してしまうことばかり考えて。
…事実、そうである。同僚のハンターが巨大メカニロイドに捕まった際、
エックスは撃てなかった所をシグマ隊長が攻撃したのだが…人質は死ななかったにせよ無事ではなかったのだから。
…ゼロでも無理だったと聞いている。
果たして…今の自分ならそれが出来るのだろうか。
そんなことを…考えていた。
「え…っく…す…」
声が聞こえる…シグマの声だ。
…いつの声だろう。1度目か、2度目か?さっきのことを思い出しているだけか?
いや、違った。
「エックスうううううう!!」
「!」
気がつくと、シグマを斬ったゼロのセイバーに小さくシグマの顔が浮かんでいる。
「ゼロ!ビームサーベルを投げろ!…早く!」
「ああ…!」
シグマの取り付いたビームサーベルを力いっぱい投げるゼロ。
「終わりだ…シグマ!!」
空に向かい放たれたエネルギーの塊の中で……ゼロの剣ごと、シグマは今度こそ消滅していった。
新しい剣など、また作ってもらえばいい。
「…ゼロぉ…。」
安堵するゼロのオペレーターの声が聞こえる。続けてエックスのオペレーター。
「…帰ってきて、エックス!」
「行こう、ゼロ!」
「…ああ」
澄んだ気持ちの中、彼はゼロを呼び…走っていく。
ハンターベースへと……帰っていく。
やがて訪れる…ゼロとの戦いを、今はまだ何も知らないまま。
-
「………………。」
夕方のハンターベース。
…そろそろだ。ベッドから起き上がり、シャワーを浴びる。
…そしてスーツ、続けてアーマーを着、髪を束ね、部屋を出て歩き始める。
ドップラー軍との戦いからもう1年半が経過した。
自分が居ない間に、エックスとゼロと…
あの時の研修生オペレーター・『アイリス』はまた一つ事件を解決したらしい。
ラグズランド島での、ベルカナと呼ばれる女性科学者との対決だったという…
『イレイズ事件』。
シグマはその事件で復活してしまったといわれているが…
…今はとりあえずは平和。
もう平和を守るのはイレギュラーハンターだけじゃない。レプリフォースもいるのだ。
それはそうと…。ハンターに就職することとなった彼女は挨拶をすべくエックスの帰りを待っていた。
この日もハンターベースは多忙。イレギュラーは尽きることがないからだ。
もうそろそろ帰ってくるだろうか?
ロビーで待っていると…来た。
「エックス?」
「…ああ、オペレーターか。また遊びに来ていたのかい?」
疲れた様子のエックスが歩いてきた。
「…私ね、明日からイレギュラーハンターの正規オペレーターをすることになったの。
今日は…、その挨拶。」
「へぇ…そうなんだ」
「…あら。ゼロは?」
「ああ。ゼロ?ゼロならアイリスと一緒にいるはずだけど。」
会話に耳を傾けてみる。
「新しいビームサーベルなの?それ…」
窓際に座り、アイリスがゼロの隣で話している。
「ああ。ゼットセイバーだ。
ビームサーベルと比べ軽量で扱いやすい。威力は格段に落ちるが…これで思うとおり動ける」
「で、でも凄く危険そう…」
「オペレーターのお前が心配しなくてもいい。」
セイバーを収めてゼロが言う。
アイリスは実の所新しい剣など眼中にない。うっとりとゼロを見つめていた。
…それにしても目立つ部分がある。
「アイリス…あの子、なんだか成長したわね」
「そうだね。落ち着きが出てきて。彼女無しではイレイズ事件は辛かっただろうね」
「…いえ…そうじゃなくてね。…やっぱりゼロは女の敵ねって話」
オペレーターの視線はアイリスの胸部だった。それが何を意味するか、彼女には想像がつく。
「…そうかなぁ。」
「私にとっては十分イレギュラーよ」
「そうそう、話を戻すけど、担当は出来れば………。」
「ああ。新しい子を担当してくれよ。君に担当してもらえば俺も確かに安定はするけど、一人で大丈夫だし。
君のオペレーションの腕で、新しいハンター達を育ててあげてくれ!」
にこやかにエックスは去っていった。
「…………」
続けてケイン博士の元へ。
…以前から気になっていた事を相談するためだ。
「…おお。君か………」
生命維持装置の繋がるケイン博士のベッド。
「ケイン博士、お久しぶりです」
「……ハンターへの就職が決まったそうじゃね…おめでとう……」
「……いえ。 …少し、お聞きしたいことがあってお伺いしました」
「…エックスの、事かね。」
ケイン博士には解っていた。
「……ロックマン・エックス。」
その単語にケインがニヤリとする。
「…カウンターハンターのサーゲスが使っていた言葉ですよね。
…心当たり、在りませんか」
「…君は、全てを知りたいのか」
「………はい。」
「よいだろう………
私も、もう長くない………君に、昔話をしよう。私の知る…エックスのこと…。 そして、シグマとゼロの事を、な」
-
「ゼロ、倒せ…アイツを!ワシの敵…ワシのライバル!ワシの…… 生き甲斐!」
老人の声で目が覚める。ここの所、ずっとその夢が続いていた。
「……またあの夢か」
ゼロは呼び出し命令を聞き、司令室へと向かっていった。
「空中都市スカイラグーンにてイレギュラーによる破壊事件が発生。
暴れているメカニロイドはレプリフォースのものであるという噂があり……」
レプリフォースが…?
そんな筈はない。そう思いながら、ゼロは現場へ向かうこととした。
遡ること5分前。
スカイラグーンでの異変を最初に聞きつけたハンターが
いち早くスカイラグーンへとたどり着いていた。エックスだ。
「スカイラグーンと言えばゼロとアイリスのデート先だとよく聞いていた…。」
綺麗に整備されたスカイラグーンの外部通路を進んでいると突如としておびただしい数のイレギュラーがこちらへ向かってきて、
爆弾を投下して飛び去っていく。
これがレプリフォースのものなんだろうか。
その先で巨大メカニロイドと格闘し、退けた末にエックスはスカイラグーン内部へと侵入していく。
メカニロイドを退け、動力室へ。そこには…14部隊のハンターがいた。
「ドラグーン!どうしてここに…!?」
「エックス!ここはもう無理だ…事情は後で説明する!今はお前も逃げるんだ!」
「くそっ…!」
スカイラグーンは地上へと落下してしまう…エックスはとりあえず避難することとなった。
スカイラグーンが落下してすぐ。その下敷きになった町に急行した一人のハンターの姿があった。ゼロだ。
「まだ生存者がいるかもしれない…クソッ、レプリフォースを騙るなど許せん…!」
地形がまるまんま変化したその町は最早火の海…。
イレギュラーが破壊の限りを尽くし、歩けば瓦礫が上から降ってくる。
愛刀ゼットセイバーでイレギュラーを切り刻む。
飛んで一撃、走って一撃。素早く敵を斬りながら先へと進むと…そこには。
「アイリス!」
道路で倒れている少女を発見する。ドップラーの事件でゼロを担当したオペレーターでもあった…
レプリフォースのオペレーター、アイリスだ。
「大丈夫か、しっかりしろ!」
「ゼロ…急に巨大なメカニロイドが襲ってきて…。」
「…解った。お前はここで待っていろ。イレギュラーは俺が倒す!」
アイリスを庇っての戦闘。
そこにはエックスがスカイラグーンで倒しきれなかった巨大イレギュラー・イレギオンがいた。
強力なイレギュラーのようだ。
爪で攻撃したり、口からビームを吐くなどして攻撃してくる。
だがゼロの敵ではない。こまめに近づき、胸部へとダメージを与えていき…
すぐにイレギオンはゼロの攻撃の前に沈んでいった。
-
アイリスは保護され、安心かと思われた時…駆けつける者がいた。
共にドップラーとの戦いに尽力したレプリフォースの最強の男…アイリスの兄、カーネルだ。
「ゼロ!アイリスは何処だ!」
「アイリスならさっき俺が保護した…お前はどうしてここにいる。
これはレプリフォースの仕業なのか?」
友の言葉にカーネルは声を荒げる。
「お前、何を言っている!?私はアイリスを救出しに来ただけだ!
我々とてたった今到着したばかりなのだぞ!」
「…実はお前達にイレギュラーの疑いがかかっている。
武器を捨てて、同行してもらいたい」
その言葉にカーネルは激昂した。
「ふざけるな!!武器は軍人の誇り…!捨てるくらいならば死ぬ方がマシというものだ!
イレギュラーと呼ぶなら勝手にするがいい!さらばだ!」
「待て、カーネル!」
カーネルは姿を消した。
「…クソッ、このままではレプリフォース自体が本当にイレギュラーと認定されてしまう!」
そしてスカイラグーンの事件の翌日。世界中に中継されたのは…世界最強の軍隊・レプリフォースの独立宣言。
レプリロイドだけの国を新たに作ろうという、レプリフォース長官ジェネラル及びカーネルの言葉であった。
「……………。」
「兄が、独立を宣言しました…」
「知っている…。保護された身のお前はともかく、他のレプリフォースとは戦うことになるかもしれんな…」
「…そんな!やめて、ゼロ!お願いだから兄さんとは戦わないで!」
「…出撃する」
一方エックスもまた、その様子を見ていた。
「大変なことになったデシね隊長…」
エックスの目の下に、小さな男がいた。
黄色いまんまるいボディに愛嬌のある憎めない顔立ち。
「17部隊のハンターか。お前、名前は?」
「ダブルデシ!エックス隊長、宜しく頼むデシ!」
「ダブルー、貴方は早く情報の整理をお願いね」
ダブルを担当することになった、オペレーターの声が聞こえてくる。
「…それにしても大変なことになった。
イレギュラーハンターとレプリフォースの戦いか…」
後にレプリフォース大戦と呼ばれる戦いの火蓋は、こうして切って落とされたのだった。
-
ハンターベースの中が慌しくなってきた。
シグマについていったもの、洗脳を受けたもの…。
イレギュラーハンターはあまりに多くの実力者を失っていた。
世界の頂点たる英雄・エックスとゼロは居るもの…
彼らの体は残念ながら一つしかないのである。
「ダブルといったか。レプリフォースの情報は集まっているか」
「は…ハイ。これがレプリフォース内の実力者のリストデシ」
ダブルから手渡された資料に目を通すゼロ。
「…なるほどな。オペレーターを呼べ。出撃する」
突き抜ける青空。生い茂る緑。
虹のかかるジャングルの滝の上に立つゼロの姿があった。
「ではゼロ、これからは私がオペレーションを勤めます
ここでは半漁人型の戦士レプリロイドが主力となっているようです。武器は槍…近距離戦になりますね」
「問題ない。全て俺が切り伏せるのみだ」
滝から飛び降り、川に沿いメカニロイドとレプリフォース兵を破壊していく。
「…カプセルがあるな。だが俺では開かないだろう…エックスに後々来させよう」
滝を流れる流木を乗り継ぎ、半漁人兵の待ち構える中滝を登り…
いよいよ森林内の基地への入り口が現れる。
「邪魔だ…」
兵を連続で斬りつけ、続けて扉を破壊。
トンネルの奥へと進んでいく。
光が差し込んだ先は…
「大分森の深くまで来たようだな…」
「蜂型の迎撃メカニロイドや蛇型の追尾メカニロイドが目立ちます。」
「近距離で何とかできる俺には打ってつけというわけか」
高さは問わずに目の前に現れたら即切り刻む。
チャージショットを多用し、対処までに時間のかかり上下からの攻撃に弱いエックスには向いていないだろう。
緑が揺れ、葉が落ち…基地内に入ってすぐに敵は姿を現した。
レプリフォースゲリラ部隊隊長だ。
「…久しぶりだなスパイダス」
「へっ…優先的に俺を倒しに来たってワケかい、アンタは」
そう。スパイダスは元イレギュラーハンター第0部隊隊員だ。
かつての部下を真っ先に止めてやるのが上司の務め…
ゼロはすぐさまセイバーを構えた。
「アンタに何を言われようと、俺はレプリフォースを信じさせてもらう!
ここを通すわけには行かんのだ!」
ゼロが飛び、スパイダスの胴体を一閃。
「ぐえええ!」
「シャッシャッシャッシャ!」
糸を巻き取り、緑の中に隠れる。
やはりサーベルと違い効きが悪い。
「それええっ!」
素早く落下、それと共に蜘蛛の巣を吐き出す。
ただの糸の塊ではない。敵を痺れさせる電流網『ライトニングウェブ』だ。
勿論捕まりはしない。
敵を誘導する性質を持つそれを飛び越えると同時にスパイダスの背を斬りつける。
「うげえええ…!」
スパイダスがまたも体から直結した糸を縮ませて逃げる。
次に来る手も予想している。彼は用意しているのだ。
「焦っているか?
…全力で来い、スパイダス。悔いの無いよう戦え」
-
スパイダスは少しの間を置いて落下してきた。
巨大な蜘蛛の巣で部屋を包んで。
スパイダスが自由自在に動ける場が出来上がった。
「行けぇえ!」
尻のハッチが開き、子蜘蛛型爆弾が射出される。
だが地上に落ちるまでもなくゼロはそれをスパイダスもろとも斬る。
「ぬ…ぬうう…!!」
スパイダスの顔から余裕が消えていく。
どうした。それでも元忍び部隊の者か……とは言わない。
追い詰めるだけだからだ。
罠を張り、戦闘では攻撃してすぐ逃げるヒット&アウェイ。
自分の有利に進むよう努力したのはゼロも認める所であった。
「く、くそぅ!!くそぅ!!!!」
ライトニングウェブを撒き散らす。
一発を避けて斬る。また一発避けて斬る。
ゼロも勿論容赦はしない。
そして…
「無念ーーーーーーーーーー!」
スパイダスの体が燃え尽き、蜘蛛の巣に引火。巨大な灰が出来上がった。
-
「やっと会えたか、エックス。
ここではお前を更に覚醒させるフットパーツを授けよう」
いつものようにライト博士がエックスに遺したメッセージを再生する。
「それにしても、戦いがとうとうまた始まってしまったな…
この戦いは、起こってはいけない戦いだ…早く終わらせるべきだ。」
……何かがおかしい。
ライト博士のホログラフィが…現状を知っている?
「………どうした、元気がなさそうじゃなエックス」
その時に気付いた。
「………ま、まさか!! …博士、博士ですか!!」
「…おお。やっと言葉を返してくれたか、エックス。」
初めて実現した、自分の生みの親との対話。
エックスはまずはその疑問を彼にぶつけた。
「…しかしどうして博士は俺の目の前に現れるように?」
「……うむ。それなんじゃがな」
博士は重い口を開いた。
「……お前は私の設置したカプセルをほとんど訪れてくれていたが…
過去2箇所、お前が訪れなかったカプセルがあったのじゃ。
アルマージの居た鉱山と…カウンターハンターのアジト、北極点じゃ」
…なんだってそんな所に。
「修行を積んだお前のためにと、厳しい条件を課した上で現れるよう細工をしておいたんじゃ。
…じゃが。…居るものなんじゃな、それをこなす者がこの世にお前以外に。」
ライト博士の口から驚くべき言葉が。
「待ってください。それじゃあ…つまり、俺以外の誰かが修行を積みカプセルを開け…パーツを手に入れたと」
「いや違う…私がそのカプセルでお前に渡そうとしていたのは知識じゃ。
私からお前に、ある技のヒントをな。…つまり、ワシの技を覚えた者が二人、世界のどこかにいるということになる。」
「二人…」
「だから私は、こうしてお前の顔を直接見てパーツを渡すことに決めたんじゃ。
…お前とはそろそろ話をする頃と思っておったしな」
「……お会いできてよかった。」
「また、会えるじゃろ。この話はここまでじゃ…パーツを受け取るがよい」
エックスは新たな力を得て次のミッションへと進む。
「兵器製造はここでも行われていたか………。
すまないな、バッファリオ。戦いは…まだ終わりそうもない」
極寒の中、自らが氷像となったバッファリオのスクラップを見上げて呟く。
そう、彼はレプリフォースが引き取り、こういう形で墓標としたのだった。
イエティ型レプリロイドの警備を強引に突破し、吹雪の森の中を進んでいく。
すぐに崩れる氷の橋を走り渡り…
たどり着いた場所は氷の洞窟。
「これは長丁場になりそうだな………」
レプリフォース基地の入り口を守る大きな一つ目のメカニロイドは氷を纏って攻撃してくる。
ツララを落としたり、氷を飛ばしてきたり、爪の形になり刺そうとしてきたり。
長い戦いの末それを撃破したエックスは、基地内へと入る。
基地の中は人工氷のバリケードで来訪者を阻んでいた。
懐かしきメットールなども蹴散らしつつ、切り崩し先へと進んでいく。
開けた通路に出たが…何かが怪しい。
「?」
ふと見るとそこには鳥型メカニロイドが飛来してきて…何かエネルギーを溜め始めている。
「まさか…!!!」
そのまさかだった。鳥は冷気を放ち、一瞬にして部屋を凍らせ、戦いづらい環境へと作り変えてしまうのだ。
とはいっても範囲は割りと狭く、一度に全てを凍らせることはできない。
鳥型メカニロイドを優先的に倒しながら先へと進んでいくと…
冷気から発せられた霧が床に溜まった開発室で待っていたのは以前出会ったレプリフォースのレプリロイドだった。
「…キバトドス。勝負だ」
「ヘッ、あのときのガキか!根性叩きなおしてやるぜぇ!!」
冷気を吐き、左右の拳を突き合わせ、自分のパワーをアピールする。
事件はレプリフォース関連のみでは決してない。
バイオ研究所でのイレギュラーの暴走鎮圧を担当したのはゼロだった。
「長い螺旋階段だな…」
「今日は月が綺麗って聞いたわ。」
「…それが、どうかしたか」
「そう言えば…ゼロも上のフロアまで行く気になるかなと思ったんだけど…ダメだったかな」
「…いや、意図があってのことなら俺は咎めん。進むぞ」
階段の上を転げ落ちてくるイレギュラー達、壁や天井を容赦なく破壊する、暴走した装置たち。
「床の下にイレギュラー反応が!」
外部通路で蛍型大型メカニロイドを切り捨てて、隣の棟へ。
同じことを繰り返し、巨大エレベーターで暴走する植物ユニットを破壊してバルコニーへ上がると…
-
「巨大なエネルギー反応。ゼロ、多分この暴走の犯人よ!」
ぐるんぐるんと回転して落下してきた謎の物体が。…声がする。
2回のバウンドの後、毒を撒いて姿を現した。…レプリロイドだ。
「名前を聞かせろ」
「ボクー?ボクはスプリット・マッシュラムだよー。
何かね、おじさんに頼まれてゼロって人と遊ぶように言われたんだー。遊んでくれるよね?」
「…ほう。それは誰だ」
「いいから遊ぼうよー?ヒーローごっこしよう。君が悪者ね?」
壁へと飛びつくマッシュラム。腕から自分の分身を作り出し、突進させてくる。
「な…!?」
沢山のマッシュラムが回転し、ゼロを襲ってくる。
「…クソッ…避けられたものじゃない!!」
斬ろうとしても斬れやしない。次々とゼロの体へとぶつかっていく。どうやら実体を持っているようだ。
「ぐうう…」
高く跳び、月をバックに回転するマッシュラム。
レプリロイドを狂わすウイルス入りの毒が撒き散らされる。
「何……を…!」
「どうしたの、ゼロ!」
「…気にするな」
マッシュラムが二人に分かれる。恐らくはゼロの感覚を狂わせて見せる幻覚だろう。
…長いこと戦っていれば自分自身がイレギュラー化しかねない。
誰かさんが好みそうな特殊能力持ちのレプリロイドだ。
ゼロの周囲を高速回転するマッシュラム。
こういったときは迷ってはいられない…重なったところをまとめて斬るのがセオリーだ。
どんどん動きを速める二人のマッシュラムに剣を振るう。
だがマッシュラムはぐるんぐるんと回転、壁を三角跳びの要領で跳びまわり、地面へ落下、毒を撒く。
遊んでいるだけなのに…全く隙を感じさせないこの攻撃。しかも…分身から貰う痛みは本物と来ている。
「…ゼロ、一体どうしたの…」
アイリスにはゼロの動きが全く理解できない。モニター越しなのだから。
…しかしゼロにはそんなアイリスが待ってくれているだけでも、戦いを見てくれているだけでも十分に意味がある。
平常心を保てるのだ。
ゼロは痛みをこらえ…スパイダスから得た技を繰り出す。
セイバーの刀身を消し、体勢を低くし…
一直線に刀身を腕ごと突き出す!!
「あぁああああああああああ!」
雷神撃と呼ばれるこの技はマッシュラムの体を一気に串刺しにした。
「あ!あ!あ!あ!あ!ひゃぁああああ!?」
マッシュラムの毒が無力化され、ゼロの意識が強烈な電撃と衝撃により目覚める。
そして…マッシュラムはセイバーを通した穴を中心に焼け焦げ爆発した。
「……任務完了だ。クソッ頭が痛い……」
一方のスノーベースでも。
「終わったか…。 戻ろう」
-
「エックスは…動いているな
アイリス、悪い…俺は少し休む。具合が……悪い」
「大丈夫!?」
ゼロは真っ直ぐメンテナンス室の扉に入っていった。
「エックス。これ…ゼロがミッションで貰ってきたDNAデータです。」
…半端な言葉遣いだなぁ。そう思いながら
エックスはアイリスからマッシュラムのデータを手に入れる。
「ソウルボディ…か」
手に入れたのは分身攻撃。エックスは次なるミッションへと進んでいく。
「………ついでにこれも借りていこう」
新型ライドチェイサー・アディオンに跨りレプリフォースが活動しているとされる都市地下へと急行する。
「やはり誰かいないと物足りないな」
「…今なら暇デシからオペレーションできるデシよ?」
不安な男が出てきた。
「ダブル!お前は仕事がないなら休んでいていい!」
「先輩が心配デシよー」
しかし思ったとおり、ダブルは当てにならない。
指示がものすごく遅く、ダブルの言った方向が敵の仕掛けた爆弾の場所だったりも度々。
「ゲホッ…ゴホッ… いい。後は俺一人でやるよ…」
バリケードを突き破り、外へ。
外は…港。水上走行へと切り替わる。
「チッ、追ってきたなエックス…!」
ターゲットが現れる。ジェット・スティングレンだ。
「ここで止まってもらう!」
アディオンの追加機能、ウィリー走行により発動する車体下部のビームサーベルでスティングレンの背中をバッサリと斬る。
爆発を起こし、スティングレンは退避していく。
続けてまた敵が現れ、エックスへと射撃を行う。
これもまたうまく回避し、チェイサーに搭載されたショットで破壊。
「クソッ…舐めやがって!」
またもスティングレンが現れた。突進攻撃を見舞おうとする…が。
「もう一発!」
ウィリー走行、そしてビームサーベル。スティングレンは頭をバッサリと斬られた。
「わ、わわ…!」
見るとそこには壁。
「先輩ーーーーー!」
「でぇええい!」
間一髪それを飛び越える。そのまま車体から離れ…壁へと叩きつける。
「…ふぅ」
「それじゃボクはここで仕事が入ったからここまでにしますデシ!頑張ってくださいデシー!」
ダブルは何をしにきたかわからないが…まぁ出来の悪い部下だが面白い奴ではある。エックスはリラックスした状態で
敵の待つ扉を開いた。
「…どこまで追ってくる気だ、お前…!」
「ここで大人しく捕まる気はないか、スティングレン!」
「ふざけるな…ここまでやられて引き下るワケには行くまい。軍の誇りをかけて貴様を倒す…!」
脚からエイ型の機雷を発射するスティングレン。地面を這うこの武器はグランドハンターと呼ばれていた。
一方、ゼロもアイリスに看病されながら着々と回復していた。
「くっ…、お前はそろそろ戻れ。休むにしても俺から離れることだ…感染るだろう…!」
「ダメよゼロ!安静にしてないと…」
そこに、スティングレンとの戦いを終えたエックスが駆けつける。
「何だ…。お前まで来たのか、エックス」
「ゼロ、ゼロ! …実は…」
カーネルが、レプリフォース独立宣言の場所、メモリアルホールで彼を待つとのことだった。
「…なるほど。どの道、カーネルとは戦わなければならない相手だ…。 行ってくる」
-
「………まだか、ゼロは。」
「見損なったぞ、カーネル!」
ホールの上部入り口から、ステージ中央のカーネルに呼びかけるはゼロ。
有無を言わさずカーネルに切りかかる。
「今からでも遅くない!クーデターを中止しろ!」
だがカーネル相手には流石に本気にはなれない。
「…断る。」
「そうか…!」
その言葉を合図にカーネルに向かい斬りかかる。
思えば、カーネルがスカイラグーン事件のときに大人しく武器を捨てていれば今頃は…。
自らが斬り捨てたスパイダス。
そしてあの日あの場に倒れていた傷だらけのアイリスの姿。
それを思うとセイバーを握る手にも力が篭る。
「ぬ…!」
「ぐう……!」
レプリフォース最強とイレギュラーハンター最強である両者の力は伯仲…。
交わる二本の剣が悲鳴を上げる。
その時である。
「やめて!!兄さんやめて、ゼロは私の命を助けてくれたのよ!」
兄と、仲間。二人ともアイリスに割り入られては戦いを続けることはできない。
「ここは引こう。だが…次は容赦しない!」
カーネルは去り、ゼロもそれを追うことはしなかった。
「ゼロもお願い!兄さんと戦わないで!二人が戦えば、どちらかが…!」
だが…勿論それをゼロは最早聞くつもりはない。
「…だが。誰かがレプリフォースを止めなければならない。止めなければ行けないんだ。」
ホールの外に向かい、ゼロは歩いていった。…たった一人で。
-
スパイダス、キバトドス、スティングレン。
レプリフォースの幹部が次々と倒されていく中、
病み上がりのゼロはエックスに提案をする。
「…レプリフォースとの全面的な対決がもしあったならば…俺はその時はお前に頼みたいんだ」
「…そうか。ゼロはアイリスの所に居てあげないとね」
「………だからお前はそれまでの間、任務より先にお前自身の強化を優先しろ。
レプリフォースの他幹部は俺が倒す」
「解った。有難う、ゼロ」
部屋から出て、オペレーションルームへ向かう。
アイリスにかける言葉が見つからない。彼女の背中を見ながら黙って立ち尽くしていると…
「ゼロ。」
女性の声がする。ダブルを今担当している、金髪のオペレーターだ。
「…貴方、変わったミッションへ向かう気はない?」
「…ここに…何があるって言うんだ」
「とりあえずこの転送装置にあがってみてよ。大丈夫、行き先は通信が通じるから…」
「俺に行かせる理由は何だ」
「…危険だからよ。とてもね」
転送装置に脚を踏み入れると…いつもと様子が違う。
ゼロの体が光に包まれるのは同じだが…何か違う。
「!?」
いつもはワープするための光だが、今回は違う。
ゼロの体が光に包まれたまま、光の粒になり……
その光が一箇所に集まり、光の球となりそして…機械に吸い込まれていった。
…ついた先は奇妙な空間の中。
コンピュータの内部のような…それでいて、不可思議な物体が蠢く場所。
「うわぁ、凄い…物理原則を無視したような場所ね…」
他人事のようなオペレーターの声が聞こえる。
「そこは…サイバースペースよ。プログラムの世界…電脳空間。
貴方は今、データに変換されて電子の世界にいるのよ」
なにやら頭が痛い。…マッシュラムのそれを引きずっているのだろうか?
「さて…それじゃ私はここまでよ、後はオペレーションお願いね、アイリスちゃん」
「は、はい…!」
オペレーターが去っていき、アイリスが受け継いだ。
「…大丈夫なのか、お前」
「私、レプリフォースと戦うことは出来ないけれど…そうじゃないなら戦うゼロの役には立ちたいの!」
「…すまない。この世界の仕組みは俺にはわからない…オペレーション、頼むぞ」
「…はいっ!」
あたりをうろつく監視プログラムは黄色い目玉の形をしている。
これはエックスのバスターやゼロの通常のセイバーでは切り刻めない。一発では…。
「空円舞!」
マッシュラムから得た回転斬りでそれを一刀両断、先へと進んでいく。
警備プログラムが正三角形の形をしゼロを襲うがこれもまた斬り、先へと進んでいく。
「…電脳空間での戦いはこちらではどういう扱いになるんだ」
「あなたというプログラムが敵のプログラムをデリートした形になるわ」
「…デリートか。いい響きだ」
敵を素早く倒し、巨大なモニターの前に立つ。ランクS…という表示。
「何だこれは」
「サイバースペースを暴走させている犯人が、侵入してきたものを戦闘能力で振り分けているみたい…。」
「通過基準は…何かあるのか?」
「ランクA以上…みたいよ」
スペアボディを手に入れて更に先へ。
色んなパターンを組み襲いかかるプログラムを消しながら先へ。
3つ目のモニターでランクSを取ったとき、第2エリアへの扉が開く。
第二エリアの重力反転の罠を潜り抜けた先が、サイバースペースの最深部だった。
何もない空間に、何かのフレームが現れ…その姿を画像として表示し始める。
「…レプリロイドが入っていたのは俺だけではないようだな」
「レプリロイドではないみたい。これは…プログラム。暴走しているから…ウイルス!」
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