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チラシの裏 3枚目

1むらま ◆vVmhS9Bdr2:2009/03/29(日) 19:47:59
ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに

301俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第六話前半:2009/05/04(月) 14:10:19
「サイバーエルフは、プログラムの生命体。
 100年前にはあったのか解らないんだけど…小さな光のように見えるけど、よく見て…」

ゼロが助け出した光を覗き込むと少女の姿。
「ゼロ…! ありがとう!」

「…こうやって、実は姿もあるし話も出来るの。」
「面白い世界になったものだな」

「彼女達は、EC…エネルゲン水晶を食料にして生きているの…
 あなた達とそこは変わらないかもしれない。」
「…お前もレプリロイドだろう?」

シエルは言う。
「……ごめん。実はメンバーの中で私だけは…人間なの」
「…謝ることはないが、驚いたな」
ゼロは表情一つ変えずに言う。

「驚いてる…の?」
「…見えないか。」

シエルは目を逸らす。
「…まだ説明して欲しい所はある?」
「…パンテオンのことだ。…アレは一体何者だ」

青き兵、パンテオン。ネオアルカディアの主力兵である
様々な能力を持ち、大量に配備されたレプリロイド。
「…あれはね、実は…エックスなの」
ゼロはまたも驚く。
「………トップがエックスなら部下もエックスか。」

「機械的にクローニング、量産されたエックス達。
 あなた達レプリロイドもエックスを「参考にした」ものだから、
 ある意味、レプリロイドよりレプリロイドらしいレプリロイドと言えるかも。」
目が一つしかない、口もないあのレプリロイドが…?

「覚えておこう。俺は青いヤツを倒すことになる…そういうことだな」
「…ええ。」
しかし、シエルには… 彼が、あの余りに強大な力を持ったエックスを倒せるとは、到底思えないのだった。
いずれ…彼は強くなれるのだろうとは思いつつも。

パンテオンコアの列車のあった地下鉄跡から登るとそこは工場。
「これを敵から奪うのが今回のミッションだな」
「ええ。頑張って、ゼロ!」

光の盾を構え飛行するメカニロイドを背後から斬りつけ、または正面から撃ち、
わざとカウンターを行わせた上で斬る。

「正面から行くと警備が厳しいだろう。俺は上から行くぞ」
折れたパイプを登り、タンクの上へ。浮遊砲台を破壊、タンクを渡り歩き工場の通気口を破壊、
ファンを斬り侵入、蜘蛛型メカニロイドを斬る。

「侵入に成功した」
「有難う。ここからエレベーターで降りていって」

エレベーターのスイッチをバスターショットで攻撃、下がっていく。
そこにはまた蜘蛛型メカニロイド。これも破壊、一気にエレベーターホールを落下していく。
「…随分な穴だな」
運搬メカニロイドがアームで運搬する資材に乗って進む…ということか。
「そして、随分なことを要求するものだな」
「…難しい?」
「問題ない」

資材へと足を乗せ、そのままメカニロイドの動くまま進んでいく。
電撃をまとった棒がゼロのいる位置に当たるが、それも飛び越えてメカニロイドの上へ再び着地。

資材から資材へ、跳び移り再び進んでいき……終着点で梯子を登る。
トラップが発する電撃をかわして更に先へと進み…いよいよ最上階。

302俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第六話後半:2009/05/04(月) 14:11:07
「このフロアでメカニロイドを倒せば終わりよ 頑張って!」
歩いていった…その先には。

(馬鹿デカいのが出てきたな)
奇妙な形をしたメカニロイドが落下してきた。
8つの首を持ち、中心に丸いカバーが見える。その下が恐らくコアだろう。

その敵は工場の守護に当たるメカ、『ガード・オロティック』…。
「これがあるからレジスタンスの他のメンバーは工場を制圧できないの…頑張って、ゼロ!」


オロティックはゆらゆらと飛行…
したかと思いきや、突然コアからエネルギーの弾を乱射してきた。
「嘘…」
シエルが言葉を詰まらせる。

「報告にはそんな攻撃方法があったなんて記述ない!…一体どうして」
それは、オロティックが一定以上の戦闘力を持つと判断した者にのみ使う機能であるから。

(隙がなくなるというわけだな…)
弾を誘導しつつチャージショット。


敵のボディがコアを中心として45度回転、左右の首を伸ばす。
(緑色か…)

オロティックの首は持ち上がり、電撃を放射する。
これをかわしオロティックのコアにセイバー。

またコアからの連射攻撃。そして…また45度移動。今度は…
(赤か)
パンテオンコアのような火炎放射。
これも距離をとり回避、チャージショット。

コアからの連射、そして次は…
(青色…となると)
冷気を噴出す。
コアへ向かいバスターショットの通常弾、そして体重をかけたセイバーでの一撃へ繋げる。


もう少しで倒せる。連射をかわし、そして最後は…
(オレンジ色…?)
首を伸ばしての直接攻撃。首を二段切りで破壊、そして…
チャージショットで攻撃。8つの首は次々ともげて行き……爆発。コアは吹き飛んだ。

「……チップの破片を回収、帰還する」
「ありがとう。そのチップについて説明するわね」

303俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第七話 前半:2009/05/04(月) 16:54:48
「…列車のエンジンはヤられちまうし、工場は奪われちまった……どうなってるってんだ?」
赤いレプリロイドは首をかしげる。
「俺の部下の死に際の報告にあったが… どうやら、レジスタンスに最近赤いレプリロイドが手を貸しているらしい」
ハルピュイアが言う。

青いレプリロイドが身を乗り出す。
「…それって…ミュートスレプリロイドを倒せる実力があるってことよね!?」
赤いレプリロイドが言う。
「あー…一人でやったのか、複数人でやったのか、それは解らねーからなァ…」
そして緑色のレプリロイド。
「それにあの時のアステファルコンは戦闘を想定してはいなかったため、ハートタンク(ライフアップ)の付加なしで動いていた。…言い訳ではないがな」

青色のレプリロイドは乗り気だ。
「とりあえず、大型メカニロイド程度では倒されてしまうわけよね」
「そうなるな…今度はこちらから、ミュートスレプリロイドを向かわせることにしよう」


誰の部下を行かせるか。その話へと続いていく。
「お前んトコの部下はとりあえず負けたみてぇだし、その前は人間を殺しちまって失敗もしてる…
 まーとりあえず次は俺らに任せな!」
「私の部下も向かわせることにするわ。それで様子を見てみましょう!」

そんな様子の二人にハルピュイアは呆れ顔だ。
「お前達、部下の負けを願ってはいないか…?」

「ダイジョーブだよ!万全の準備はさせとくからよ!エックス様には内緒だからな!?」
「それに、ここではレプリロイドの復活も出来るじゃない?」
「お前、機密事項をベラベラと…」


一方、レジスタンスベース。
「アステファルコンのときも拾ったが…この、『チップ』とは何だ」
破片を手にして言う。

「『エレメントチップ』…ネオアルカディアでも希少価値の高いものでね。
 これ一つつけるだけで攻撃に炎や氷や雷の力が付属されるという代物よ」
「……それは弱点も生むことにはならないのか」

「多分。あくまで攻撃だけだから…ボディまでには影響はないと思うの。
 けどとても高い技術が要るから、レジスタンスベースじゃ絶対1から作ることが出来ないし
 ネオアルカディアでも属性そのものを純粋に取り出して作り出す技術なんてトップシークレットとされている。
 …おまけに『手に出来たとして』誰もがそれを使えるわけじゃない…ミュートスレプリロイド以上の高性能機に限られるかも。
 ううん…それでも完全に使いこなせるとは思えない」
「…すまなかった」

「それでも重複含め2つ以上を所持することは許されない…
 …3種全てを所持でき、その全てを使いこなせるなんて者はいない。
 ………たった一人を、除いてね」
「エックス…か」



次なるミッション。
「仲間の乗った輸送機が砂漠に墜落したらしいの…お願い、助けにいってあげて!」
レジスタンスベースの真上は地上都市。東へ進むと地下鉄跡や工場があり…… そこから西へ進むと…そこは砂漠。

「この島の中でここは一番西側にある場所なのよ」
「島…だったのか、ここ」

東の海からは列車で大陸と繋がっており、
そこはかつて…エックスが戦った場所でもある。


鳴き声をあげて砂漠に来る者を襲うコンドル型メカニロイドを倒し、
砂から顔を出すモグラ型メカニロイド砲台も倒し…壊れた道路を渡り西の方角…砂漠の奥へ進んでいく。

…すると突如砂嵐が。
「コイツのせいだな…」
強風で砂を巻き上げていたメカニロイドを破壊、トラップも破壊し更に先へと進む…と。

304俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第七話 後半:2009/05/04(月) 16:55:25
「…輸送機の不時着地点にミュートスレプリロイドの反応……気をつけて、ゼロ!」

墜落機体を背にするは…杖を回し、宙に漂う犬面のレプリロイド。
「そなたか……レジスタンスに肩入れしているという赤きレプリロイドは」

セイバーを構える。
「我は、大地を司る偉大なる、四天王『ファーブニル様』に遣わされし者
 アヌビステップ・ネクロマンセス3世。
「この先で死を待つレプリロイドを冥界へつれ行くべくやってきた。そなたも参るか…?」


戦闘開始。
まずは通常弾を放つが…杖でガードされる。
「蘇れ…!」

地面の下から、死したパンテオンが蘇る。
「これに掴まれたら厄介だな…」
チャージショットで攻撃。
ネクロマンセスが投げてきた杖をゾンビごと飛び越えてセイバーで一撃。


ネクロマンセスが地中に潜り、ゾンビが力を失う。
「…!!」


今度は砂の中から二つの柱が出現。
「それがそなたの棺となろう!」

ゼロを押しつぶしにかかる。
ゼロは柱を蹴り飛び越える。

今度は出現位置を予測、挟まれる範囲にすらいないことで出現前に回避。
そして最後に遠くから柱がやってきたので、再び蹴って飛び越える。

「生にしがみつく愚か者め!」
砂の中から姿を現す。

「死へ急ぐことに意味などない」
チャージショットを1発、時間を置いて2発目。再び砂へ潜る。

「時間がかかりそうだな…」

大型メカニロイドとは戦闘のレベルが全く違い『技』を用いるのがミュートスレプリロイド。
その戦いは…実に長くに渡った。


「…土に還るんだな」
チャージ…更にチャージ。

「ぬっ…」
2段階目のチャージをしてのチャージショット。
「………………くうっ……!!」

腹を貫かれ、そのまま下半身からボトリと砂の中に落下。
消滅していった。


ネクロマンセスのすぐ後ろには

「ゼロ…ゼロ!大丈夫!?」
「こちらゼロ。時間がかかってしまった… これより生存者の救助を行う
 …歩けるか」
「ゼロさん!? ああー…助かった…! は、はい…なん、とか…」

トラップもメカニロイドも多く存在するこの砂漠。彼は生存者を連れて注意深く砂漠を戻った。


「……ゼロ……ゼロ…だと…?」


通信を入れる。
「おう、根暗ナントカ!」
「ネクロマンセスです、ファーブニル様」


「…ああー、すまねえすまねえ!で、ネックレス、赤いヤツとは戦えたかぁ!?」
「ネクロマンセスです、ファーブニル様…
 赤いレプリロイド… ええ、戦いましたとも…… …申し訳ありません、敗れ申した…」


「おおお!戦ったかーー! あー。けどライフアップを持ってもダメだったかー… しゃあねえな。
 …で、相手は何人で来たんだ?ミクロマンセス!」
「ネクロマンセスです、ファーブニル様…
 …いえ、一人…で御座います。力押しというわけでもなく… 我が技は全て通用せず… 一方的な敗北で…」

「うおおお…! 強ェみたいだな! よっし、解った!お前を今転送するから
 ちょっと待ってろ! …えーっと…」

「いえ…もう結構です。それより…お伝えせねばならぬことが」
「どした、ネ…クロ……マンセス!」


「正解!! …ああ。 いえ、私が交戦したその赤きレプリロイドの名前ですが……」

305俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第八話 前半:2009/05/04(月) 21:59:38
「そういえば…戦争終結から100年くらいになるわねー …はいお茶」
お茶のような色をしたハルピュイアにお茶を勧め、青いレプリロイドは言う。

「…いきなりどうした。」

「ほら。赤いレプリロイドで思い出したけれど、
 『ゼロ様』って確か100年の眠りについてるじゃない?
 そろそろ目覚める頃かなーと思って」

そこに突然声がする。
「忍び部隊に身を置いていらっしゃった時期もあるのは有名…
 だが、ゼロ様を赤いイレギュラーから連想するなど、余りに不届きであるぞ…」
「ちょっ…と!」

黒いレプリロイドが気配を消していたのだ。
「お前はいつの間に……」
「いるなら早く言いなさいよー…」

「茶を置いたのは誰だと思っている。…拙者に気付いていないなら飲むでない。
 ウイルスが仕込まれていたらどうする」
「こんな安全な場所でそんなのないわよ。
 …で、目覚めたらやっぱりネオアルカディアに招くのよね?
 エックス様のお友達でしょ?実力が伯仲していたっていう」

「無論。ゼロ様が加わってくださればエックス様の築いた平和がより磐石なものと…」


能天気なファーブニルが駆けて来る。
「おーい、ハルピュイアー!お前の部下殺したヤツ、『ゼロ』っていうらしいぜー!」

お茶を噴き出す男、お茶を詰まらせる男、即座に振り向く女の姿がそこにあった。



「おお、ゼロかい。少しワシの…昔話を聞いてもらえるかのう」
老人レプリロイド・アンドリューはゼロに話しかける。
「…ああ。いいだろう」
「私も聞くーー!」
アルエットも加わる。


それから暫くしてシエルがやってくる。
「ゼロ。少し頼みたいミッションがあるんだけど…」
「………『R』が頭文字の軍にいた黄色い船の乗組員で、人間に恋とやらをした、ということか…」
「うむ。どうじゃったかな…お前さんみたいな若いモンにも解ってもらえると思ったがのう…」

「いや、興味深い話だった。」

アルエットをアンドリューに預け、シエルの元へ。

「あなた、子供好きなのねぇ…」
「多分、あの爺さんよりも生きているとは思うが」
「…けど…何だか…」

「まぁ、今の俺は全ての記憶を失った。ある意味、アルエットより幼いとも言える。
 …さて。ミッションとは何だ」



またも砂漠へ。
「敵のアジトが恐らく、砂漠のどこかに…。」
今回のミッションは、部下の捕らえられているというネオアルカディアの基地捜索。
恐らくは砂漠にあるとされている。


それはすぐに見つかった。
蟻地獄型のメカニロイドを倒すとそこから巨大な穴が開いたのだ。
(…怪しいな)

即座に穴を落下。
…落下するうち、音が聞こえてくる。ジジジジ…という、電磁バリアの音だ。


「…シエル。行けそうか」
「解除してみる…… どうかしら!?」
バリアが消える。
更に下へ。
地下鍾乳洞。自然の針がゼロを襲う。


壁をゆっくりと滑り、蹴り…。安全にゼロは下層へ降りた。
(どうやら敵のアジトで間違いないらしいな…)

エネルギーチャージ砲を破壊、蝙蝠型メカニロイドを倒すと…
(地下水…か)
「凍ってる………!?」

凍った地底湖を歩く。どうやら下まで凍っている模様。
安全に地底湖を渡れるのだが…どこか不自然。

「梯子がある。どうやら基地の入り口みたいだな…登るぞ」

カメ型のメカニロイドを倒し、梯子を登ると…
「入り口の解除を頼む」
「は、はい!」

306俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第八話 後半:2009/05/04(月) 22:03:35
基地内へ侵入。パンテオンがうろついているのが解る。
壁へ張り付きサーチライトをかわす。
背を向けた瞬間、飛び降りて一撃。
梯子から小部屋へ。…イレギュラーを収容するための牢らしい。

セイバーでスイッチを斬る。
「…あ、有難う…! 全部で7人ここに掴まっているんです、どうかお願いします!」
そして彼は脱出していく。
続けて見回りのパンテオンを撃ち殺し、次の部屋に。
「有難うゼロさん! あと6人よ、頑張ってください!」
「有難うゼロさん!俺らは奥で待ってますんで!」
上へ。立ち並ぶ梯子の上の部屋を、パンテオンを撃破しながら進んでいく。
「有難う、ゼロさん!」
「わざわざごめんねゼロさん…」
「…お前……はパンテオンか」
ダミーもある。

「ありがとう、ゼロさん!あと2人です!」
「後一人です、お願いします!」
シエルの声。
「次が最後…頑張ってね、ゼロ!」

歩いていき…斬る。
「有難うー、ゼロさんっ!ステキっ!!」
チュッ。
最後のレジスタンス兵は…ゼロに何かをして去っていった。
「よし、これで全員だ」

「ゼロ、今の音は何?」
「ゼロ、説明しなさい」
「ゼロ、話してよ」
「ゼロ、報告を、ゼロ」
「? 何って…女兵が唇を俺の唇に」
その瞬間ゼロの耳をブチッという音での攻撃し、シエルは通信を終えた。

「ゼロさん、有難う! でも、ここの基地を任されているミュートスレプリロイドがいるらしくて…そいつを倒さないと出られないの」
「…解った。待っていろ」
扉を潜る。

「ムフー… お前がレジスタンスに手ぇ貸してるゼロってやつかぁー」
冷気を鼻から吹き出す巨体。
「俺様はぁ、海を司る四天王『レヴィアタン様』の部下、『ブリザック・スタグロフ』だぁ…
 ゼロ様の名を騙る不届き者は俺様が氷付けにしてやるぜぇー…ムフー!」

「グォオ!」
その声とともに拳と拳を胸の前でガツンガツンとあわせ…
スタグロフは跳び上がった。
(…コイツは…。パワー系か)
氷の爆弾を床へ投下、床を凍らせる。氷を斬り…スタグロフへ近づく。
距離をとりダッシュ斬り。後ろへジャンプし二段階目のチャージショット。
「むはぁぁぁぁ!!」

続けて近づきセイバーで攻撃。
横に払う。
斜めに斬る。
両手で持ち、真上から敵を床に対し垂直に斬る。
『三段斬り』まで彼は習得していた。
「おぁぁあ…!!」
スタグロフも負けてはいない。そのまま腕からブリザードを発射する。
「凍っちまえええええ!!」
ゼロはブリザードの流れに乗りスタグロフから遠ざかり、壁を蹴りブリザードの範囲外へ。

「踏み潰すぜええええ!」
回避。そのままジャンプ斬りで迎撃。
「まだまだーー!!」
今度は更に強力なブリザード。吹雪に乗せて氷の矢を乱射するもの。ゼロは遠ざかりまたも壁へ逃げ…
「ぐぉおおお!!」

跳んできたところをチャージショットで撃ち落とし…飛び降りて斬る。

「ウッシッシ!そこを待っていたのさあああ!」
氷の角を武器とし、飛ばす。
それも急げばかわせるレベル。遠ざかり…
「…お前は鹿じゃないのか」
跳びあがり一刀両断。
「そうだあああああああああああああああああ!!!」
氷の角が粉々に砕け……爆発。皮肉にも冷たい体が死を迎えることで暖かくなっていった。

「こちらゼロ。…チップを手に入れたのでこれを持って帰還する… …シエル、聞こえているのか?」


そしてその後…。
「スタグロフー…迎えに来たわよ」

スリムながら出る所の出た肢体。青きおかっぱの頭。彼女こそ四天王の一人。

「れ、レヴィアタン様ぁ……」
「随分なやられ方ねー…それで、レジスタンスのゼロの腕はどうだった?」
「ありゃあ……もしかすると………」

「うん。特徴を言ってもらえればそれでいいわ。伝説と合っているか確かめるから。」


そして一方レジスタンスベース。
「はいはーい。シエル様、私を呼んで一体どうしたんですか?」

307乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/05/04(月) 22:57:06
CoD4でマクミラン大尉を見ていたらモリゾーに見えた、と言ったら驚きますか?

あかり「驚かへんなぁ、うちもモリゾーやと思ったもん」

308俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第九話:2009/05/04(月) 23:33:25
「おお、ゼロかい 来てくれたか」
「ああ、またチップを壊してしまった…」

セルヴォはゼロに一つのチップをここで渡す。
「ゼロ。今回のは修復可能な範囲だったよ」

エレメントチップの一つ…『アイスチップ』。
「…スタグロフの物は壊れていたはずだが…」
「ああ。それが、アステファルコンの所にあったものとオロティックのものの破片を組み合わせて
 何とか一つのチップの復元に成功したんだよ。」
ゼロはアイスチップを受け取る。
「…すまない」
「これが何かに役立つといいのだが……」

アイスチップを手に戻ると…シエルが慌しくしていた。
「ゼロ、ゼロ!!」
「どうした」
「敵の大型ヘリが近づいているの、迎撃して!」
「…解った」

転送地点はアステファルコンのいたレプリロイド処刑場。
外に出るとすぐ上空にヘリ。プロペラの音が大きく聞こえる。
「……?」
上を見上げると、誰かがゼロのことを見下ろしていた。

…黒きレプリロイド。
「……ふむ。奴が『ゼロ』を騙った者か… その力、見せてもらおう。」
その声はゼロには届かない。
「…行け 『ヒッタイト・ホッタイド』よ」
そして…落下してきたのは巨大なメカニロイド。
モグラのような形をし、頭は回転する掘削機の車輪、腕は土を砕き、掻き出す仕組みで、
背中、尻部、後部にそれぞれハッチを持つ巨大なキャタピラで動くもの。

それは、レジスタンスベース強襲用の戦車であった。
「巨大メカニロイドね… 随分硬いけど…倒せるはず! 頑張って倒して!」
「作戦を開始する」

扉から飛び出し、ホッタイドの後部ハッチにセイバーで斬りかかる。
続けて払い、袈裟斬り、真上から叩き斬る動作を三連続で。
それから体重を乗せひたすらジャンプ斬り。

ホッタイドは偵察メカニロイドを発射したり、後部ハッチから地雷を射出したりする。
地雷を発射されたらターゲットを変え、
尻部ハッチと背中ハッチに向かいチャージショットを放つ。
地雷発射を終えたところで飛び越えてまた三段斬り。後部ハッチを破壊する。
「時間を取られてしまったな」

続いて残り二つのハッチの破壊へ取り掛かる。これはチャージショットしか方法が存在しない…
だが案外早く決着がついた。ゼロの攻撃力が圧倒的に高いため。

最後のハッチを破壊すると…内部からパンテオンが顔を出す。
(コイツは…)
彼こそが、乗組員でありホッタイドの頭脳でもあった。

銃を向け、マシンガンで攻撃したり拘束弾を放ってくる。
だがこれもチャージショットで攻撃を数発食らわせた後……
最後に一撃、セイバーを振り下ろすと敗れた。
「停止したか…。」

レジスタンスベースまではまだまだ距離がある。どうやらヤツもまたゼロの敵ではなかったようだ。
…だがそこで事態が動く。
「ホッタイドも最早これまで!」
黒き影が跳び…
「さらば!」
忍者刀を片手で柄を握り、もう片方の手で柄の端に沿え…落下。
「!!」
ホッタイドのボディに落下、そのまま忍者刀を突き刺し、抜き、飛び降りる一連の動作を素早くこなし…
「ゼロ…今の………!!」
ホッタイド以上の凄まじいエネルギー量を持ったソレは、そのまま忍者刀を一振りし……
爆ぜるホッタイドの破片を全てゼロの方へと吹き飛ばした!
「……………。」
セイバーでそれを細切れにする。

「……………人間型…」
舞い散り、ガシャンと音を立てて落下するホッタイドの欠片の中……
火花をバックに振り向く影が一つ。

白の仮面から除く鋭い目、漆黒のアーマー、靡かせるは血の色のマフラー………
「…四天王か」

明らかに今までの敵とは一線を画すその相手。
「名乗る名などない 堕ちたものだな、英雄よ」
彼は確信していた。彼こそが…英雄ゼロその人であると。
「ファントム様! お戻りください!」
甲高い声に呼ばれ、ファントムはヘリに戻る。

「これより我々『四天王』はお前をイレギュラーとみなし…全力で当たらせて貰う。」


「全ては…貴様に記憶から追いやられてしまわれた…エックス様が為!」
マフラーをなびかせ…ファントムは空へと消えていった。


陸のファーブニル、海のレヴィアタン、空のハルピュイア、影のファントム。
いよいよ…来るのだ。  『四天王』との戦いが。

309俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十話 前半:2009/05/05(火) 00:54:30
そしてその時はやってきた。

「コルボーが、…調査に出かけたコルボーが帰って来ないの…!
 お願い、ゼロ! コルボーを探してきて!!」

コルボーは、

場所は地下鉄跡……海に面した、線路の跡。
そこは何者かによって破壊され尽くしていた。


「…こんな所をよく行けたものだな…」
敵を撃ちながら、駆け、跳ぶ。

リフトに乗り、敵を撃ち落とし、乗り継いで破損部分を乗り継いでいく。



整った線路へ降り立つと…そこには倒れたレジスタンスたちが沢山。
「……」
そしてその先には…。


緑色のレプリロイドが背筋を伸ばし真っ直ぐに立ち…班のリーダー、コルボーに対し剣を突きつけている。

チャージショットを発射。
「!」
緑色のレプリロイドは剣でそれを弾く。
「ぜ、ゼロさああああああん!」
その隙にコルボーが走り出した。

…これでこの場にいるのは二人。ゼロと、緑色のレプリロイドのみ。
線路のバックには旧都市跡。

青い空に白い雲。湿り気を帯びた空気、潮の匂いの中……
戦いが始まろうとしていた。
緑のボディの少年は高い声を発した。
「お前がゼロか…。」
「だったらどうする」
セイバーを抜く。

「俺はネオアルカディア四天王の一人『ハルピュイア』
 エックス様と並び立っていた英雄でありながらイレギュラーに肩入れするとは何たる愚かな…」

「その罪、その命で払ってもらおう」
ハルピュイアが両腕の短刀、『ソニックブレード』の刃を出し…
「罪ならお互い様ではないのか」

四天王との戦いが始まる。


「フゥッ!!」
放物線を描き空へ舞う。
その際、二つのブレードを交差させて衝撃波を発生、巨大な刃としてゼロへと放つ。
「!!」
不意を突かれた。いきなりダメージを負う。

「行くぞ!!」
ハルピュイアはそのまま横に8の字を描き飛行。上昇のタイミングでソニックブレードを交差、衝撃波を放つ。
「くっ…!」

左右へ移動するが衝撃波をかわすのが精一杯。

「手も足も出ないようだな!!」
雷を纏ったビットを射出。自在に飛行させる。

「ハッ!」
それを破壊。
だがそのタイミングでハルピュイアは衝撃波を発生させる。

「…!」
ここで再び8の字飛行。だが今度は手は考えている。
一度衝撃波を放ったタイミングでそれを飛び越し…背後からハルピュイアをセイバーで斬りつけたのだ。

「ううっ…!!」
落下。

「フッ!」
片手で前方へ衝撃波、ゼロはそれを跳んでかわす…が。
「フッ!!」
もう片方で斜め上へ衝撃波。ゼロはそれに直撃。
「はあぁあ!!」
そのまま前方へクロスさせて放った衝撃波を発射…
ゼロは紙一重でそれをかわす。

「…クソッ…!!」
一気に体力を削られた。あと一発耐え切れるかどうかは微妙な所だろう。
再び二つの刃を交差、衝撃波を放たれる。

「くっ…」
それを一歩退き回避。

ここで通信が入る。
「ゼロ、ゼロ!!大丈夫!?」

「シエルか …今は話している暇はない」
8の字飛行を回避しながら。

310俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十話 後半:2009/05/05(火) 00:56:37
「なら一方的に言っておくわ 貴方は今、有利に立てる相手と戦っている!」
「……」

「シエルは生きていたか。ならよかった…」
8の字飛行のまま、体勢を低くし…ゼロを掴みにかかる。
「!!」
つかまれる。

「部下が危うく…」
そのまま上昇。
「処刑されるところだった!!」
叩き付ける。
「ぐあっ…!!」

満身創痍のゼロは立ち上がる。
「まだやるつもりか」

息を荒くし立ち上がる。
「ゼロ… ハルピュイアは風や雷を使っているのね」
「ああ…」

「ならアイスチップを使って! 弱点を突けるはずだから!!」


シエルからの思わぬ情報。
「雷には氷、氷には炎、炎には雷。そうやって属性は出来ているの
 貴方は今、氷の属性を持っている! …使って、その力を!」

アイスチップを装着…ゼロのセイバーとバスターショットが青く輝く。

「ハルピュイア!!」
チャージ。青き輝きが銃口にこめられ…

「何!?」
掴みに低空飛行に入ったハルピュイアは最大級のチャージショットを受けることとなる。
青きチャージシショットを。
「うううっ…!!」

ぐるりとハルピュイアの体が回転、そのまま地面へと落下。
「その一つで俺を倒せると思うな!!」
三段衝撃波を放つ。
距離をとり一発目を避け、二発目をダッシュで回避、三発目をかわした…所で
「行くぞ!」
払う、袈裟切り、振り下ろし。三段斬りがヒットする。
「くそっ!!」

衝撃波を放つ。ゼロは後ろへ跳んで回避、そのまま氷のチャージショットを放つ…が
「おおおおおおおお!!」
ハルピュイアのオーラにかき消される。
緑色のオーラ。これが示すものは…?

四天王クラス以上のみが持つ、強大なエネルギーの放出。
奥義を放つときのみの…それは特別なもの。
「エックス様の『ファルコンアーマー』から生まれし、空を任された俺の力を舐めるなよ!!
 『マグネットタイフーン』!」

その技は左右に高圧電流の壁で檻を作り中央の竜巻でそれにぶつけるというもの。

「………一定以上の速さがあるものなら避けられる…お前ならわかるだろう」

ゼロは竜巻に抗った。それならばと反対側へ打ちつけようとするが、それも察して反対側へ。
そうやっているうちに…ビットの効力が尽きた。
「……しまった……!!」


青きチャージショットでハルピュイアを狙い撃つ。
「くっ…!!」
そしてそのまま三段斬りを回避、こちらの三段斬りを当てる。
「くそぅ…!!」
そして上昇のタイミングで飛び越えジャンプ斬り。
「くはっ…!!」
今度は更に三段斬りを回避し……ハルピュイアの背から氷のチャージショット。
「うぉおあああああああああああ…!!!」

ハルピュイアが膝をついた。
「クソッ…… エックス様の…DNAを継いだ…俺達が…貴様如きに…」
ファルコンアーマーから生まれた?エックス様のDNA?
「お前は…一体何者だ」
だがそれに答えるはずもなく。
「…くっ… 今日の所はここで引き上げるとしよう。 …だが次はない!!」
転送装置で姿を消していった。

「…大丈夫、ゼロ…!? …やっぱり四天王はあなたには…!」
「………今までの中では一番の敵だったが…」

「…アイスチップを持っていたからよかったけれど…残りの3人の弱点は持っていないのよ」
「………そうだな」
「お願いだからゼロ、今度はレジスタンスのメンバーも連れて…」
それは死者を出すだけだと解っている。


「…シエル。…俺を、お前に起こされた場所まで転送できるか」
「えっ…?」

「腕を磨く必要と、記憶を取り戻す必要がある。」

311俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十一話:2009/05/05(火) 01:51:44
「いよいよ四天王の中から敗北者…ってわけね」
こつんと冷気をまとった武器で傷口を染みらせるレヴィアタン。
「うあぁあっ…!! …お、お前!」
ビットの電撃を放つが…レヴィアタンは指先でそれを受け止める。
「アハハッ…ごめんなさい、悪かったわ」

「さて。…ゼロもあまり大したことはなさそうね…キザ坊や相手に苦戦してるようじゃ」
「お前は単に俺相手には属性の関係で有利なだけだろう…俺達3人の力は均等なはずだ」
「まぁそれもそうだけど…私ファーブニルの馬鹿に負けたことないわよ?」
「………細かいことはいいんだ。」

「ひとまず…ゼロが今以上の力を手に入れるのを阻止する必要が出てきた」



ゼロが眠っていた場所…忘却の研究所。ゴーレムの残骸の残る部屋を通過、シエルの落下した縦穴へ。
「…トラップがあるな」
「ネオアルカディアも多分…感づいているのね」
電撃トラップを避けて縦穴を登り…研究所内へ。顔ぶれの変わった敵達を倒して先へと進んでいく。

開け放たれた扉を先へ、先へと進む…ゼロが眠っていた場所へたどり着いた。
「そこで何をしている」
セイバーを一振り。丸々としたレプリロイドの象の姿がそこにあった。
「麻呂はミュートスレプリロイド『マハ・ガネシャリフ』でおじゃーる
 もうお主のデータは巨大サーバーでもある麻呂の腹の中でおじゃーる…回収不能でおじゃるよ。」
「盗まれるくらいなら俺自身で俺の記憶を破壊させてもらおう」

「力づくで来るでおじゃーるか?」
張り手をかます。戦いが始まる。

「はっ」
ガネシャリフへセイバーで一撃。
「行くでおじゃるよ!」
高速回転、ゼロへと向かってくる。

それを飛び越えて一撃。
「うぬっ…!!」
象牙のブーメランを飛ばす。それを回避してまた一撃。

「流石に体は硬いか?」
チャージショットで攻撃。
「硬いからだの攻撃、食らうでおじゃるか?」
体を縮め…球にし、頭の部分からワイヤーを天井へ伸ばし…ぐらんぐらんと振り子の要領でぶら下がり、自分を放り出す。
「フンッ!」
後ろから横、斜め、縦の3段斬り。
「おおおお…!?」

最後にチャージショットで頭を撃ちぬき…ガネシャリフはあっさりと真っ二つに。
「…悪いが、もうネオアルカディアへデータは送信済み…残念でおじゃったな」
…最早ゼロの敵ではなかった。


「……こちらゼロ。これより封印装置から俺の記憶を…」

その瞬間…爆発音がこだまする。
「……吹き飛んでしまえでおじゃる!!」
アラートが鳴り響き……岩盤が落下する。
「くっ……!」
データ受信の途中だったというのに。

取得を中断、ゼロは脱出に入る。
「ゼロ、急いで!!」

言われなくてもそのつもりだ。 
崩壊していく研究所から脱出、緊急用シャッターがゼロを閉じ込めようとするが、これもゼットセイバーで破壊、先へ進む。

2枚、3枚、4枚、5枚……
シャッターを破壊し続け…最後の縦穴を落下した瞬間…ドスン、という音がし…研究所は完全に埋まった。
「…ごめんなさい、ゼロ…いつも危険な目に遭わせてしまって」
「いい。今回は俺から言い出したことだ」
脱出。


「データはやっぱり…ほとんど何も残っていなかったわ。…巧妙な暗号まで施されている。
 多分、ネオアルカディアには全てのデータが残ってるだろうから… いつか解読されてしまうかもしれない。」
「…いや、いい。 …では何も得られなかったんだな」
「ううん。そうでもないの」


技術室にて。
「おお。ゼロ …これを見てごらん」
そこには一本のゼットセイバーに似た武器が。
「これはトリプルロッドと言ってね。君の記憶の中から出てきた武器なんだよ」
「…トリプルロッド?」

「ああ。3段階に伸びるからトリプルロッドと呼ばれると思うんだが…使ってごらん」
どうやら槍である模様。 …しかし…1段階しか伸びない。
「……これもセイバーやバスターショットと同じか」
「ああ。多分君の技はこれを使いこなすことにも含まれているはずだ。腕に馴染ませ、それを使いこなしてみるんだ」
「……解った」

そして司令室へ。
「シエル」
「は、はい!?」


「何かどうしても俺に頼むべき事が出たら言え…それまでは俺は、修行に入る。」

トリプルロッド、バスターショット、ゼットセイバー。これらを今まで以上に使いこなせるために…。
ゼロは、通信機器をつけたまま、トランスサーバーへと向かうのだった。

312俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十二話前半:2009/05/05(火) 02:34:38
ゼットセイバーが風を斬る。
バスターショットが壁へ突き刺さる。
トリプルロッドが大地を貫く。

「…こんな所か。」
対四天王戦用のゼロの出来上がりであった。
無論、それだけではない。身のこなしも見違えるようであり、ゼロの能力は格段に上昇していたのだった。

「…呼んだか」
「ええ、ゼロ…。 とうとう来るみたい。敵の地上部隊が…」
砂漠の西から上陸してくるは敵の大群。
「正直、不安… あなたに勝てる相手なの…?」

「…やってみるしかないだろう。」
セイバーをしまい、戦いの場へと赴く。


「さーーーー!やってきたぜーーゼローーーーーー!
 俺を楽しませてくれよなぁ!!」
彼の前方には…無数のヘリの姿があった。


地響き。無数の機械音、それから発せられる熱が砂漠を更に熱くする。
真っ黒な影…おびただしい数のイレギュラーだ。

ゲート前には沢山のレジスタンスの姿。その先陣を切るはもちろん。
「来る!! …お願い、なるべく数を防いで、ゼロ!」

セイバーを抜き……
駆け出した。

「行くぞ」
無数のパンテオンが向かってくる。
斬る、払う、跳ぶ、撃つ、突く。
一撃たりとも食らうことなく鉄壁の守りを展開するゼロ。
それだけではない。

ゼロは先へと進み、無数の軍勢を一気に押し返しにかかる。


だが敵は増える。
どんどん次から次へとパンテオンは押しかけ、走行レプリロイドは一直線に走り、
砲台メカニロイドは次々とゼロにエネルギー砲を浴びせにかかる。

回避、攻撃、三段斬り。
跳び、撃ち、低姿勢ダッシュからの一閃でパンテオンを両断。
現れる砲台の弾を回避しそのままチャージショットで破壊。
空から襲い掛かるコンドルも襲う前に地上から跳び斬り落とす。

ヘリが増員にかかる。
だがパンテオンは降りて早々ゼロにより大量に切り刻まれ、その全てが一瞬にして連鎖爆発を起こし、散っていく。
ヘリから現れたタイヤ付きのメカニロイドもトリプルロッドで突かれ、動きを止め崩壊し続ける。

そしてどんどん先へ…先へ。
「…オイ……… アレ、敵の全力だよな」
「………俺達の所にまるで…敵が来ないぞ」
黒い群れが次々に動きを止め、赤い炎へと変わっていく。赤い小さな影が駆け回るその場所から次々へと。


一切の傷を負うことなく、ものの2分もせぬ内に…砂漠を覆う軍勢は一体残らずゼロにより死の海へと変えられていったのだった。


「…………ゼロさん、一体どうなっちまったんだ?」
敵すらも恐れるその力の前に、ようやっと対等な力を持つ者が現れる。
「ハーッハッハッハァ!」

ヘリから飛び降りたのはがっしりとしたボディの、赤いレプリロイド。
「よお、お前がゼロか!!」

「…四天王だな」
「おう!俺は四天王の一人、『ファーブニル』!
 レジスタンスに凄腕が現れたってんで、はるばるネオアルカディアからやってきたぜ!!
 『ガイアアーマー』から作られたこの俺様を満足させてくれよ、英雄さんよォーーーー!!」
そして拳を振り上げ…
「ぬぉおおおおっ!!!」
己の士気を鼓舞する。

賢将ハルピュイアに続き現れるは闘将ファーブニル。無数の軍勢を纏め上げる実力者がここで戦いを挑んできた。


「オラぁああ!!」
ジャンプ…そこから拳を地面へたたきつけ、衝撃波を発生させる。

これを飛び越えて…一撃…から
ゼロは目にも止まらぬ速さで円形に回転、ファーブニルを斬りつける。
「なっ!!」
そこから派生させるは三段斬り。体重を乗せ落とす、断つ、払う、斬る、叩く。

一気に繰り出されたのは5連撃。
「て、テメェ…!?」

両腕のバスターから炎のショットを放つ。
これも潜りチャージショット。以前より数段早い。
「のぁああ!!」

「や、やるな…!!」
ダッシュするが…これもかわしてトリプルロッドの三段攻撃がファーブニルに届く。
「ごああああ!!」

だが…優勢はそこまでだった。

313俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十二話後半:2009/05/05(火) 02:35:37
「…や、やるじゃねえか……」
ファーブニルが両腕を持ち上げる。

「少し燃え上がってきたぜええ!!!」
チャージに入る。 …そう。彼もまたエックスのDNAを継いでいたのだ。

「いっくぜえええええ!!」

目にも止まらぬ速さでジャンプ、拳を叩きつけ、比べ物にならぬほどの高い衝撃波を発する。
「ぬっ…!!」

「オラオラ!!!」
続けてチャージショットを腕から放つ。
「なっ…!!」

吹き飛ばされる。
「まだまだ行くぜーーー!」

ジャンプ…跳び越す瞬間にゼロに向かいチャージショットを投下する。
これをゼロは回避。
「ハァ!!」

負けじとチャージショットを一撃。
「チィッ!!」

そしてそのまま体重をかけジャンプ斬り。
「うぉっ…!!」

ゼロは機動力攻撃力では圧倒的に勝っているものの、体力に乏しい。
事実、戦いは互角といえた。

「や、やるじゃねえか…!」

通常バスターでファーブニルを撃ち、そこへまた近づきダッシュ斬り、そして跳び退く。
「いい動き…!!」
だがファーブニルはそれを負い…
「すんじゃねえか!!」
アッパーで打ち上げる。


「………うっ!!」
青空の上へと一気に持ち上げられ…日の光をゼロのボディが覆う。
そして……

「食らいなああ!!」

そこへ恐るべきジャンプ力で跳びあがったファーブニルが掴み…砂漠の砂の上へと落下…叩き付ける。
「ごほっ………!!」
「ど、どうでい…!!」


息のあがる両者。恐らく次決めた側が勝つことだろう。


「だが俺にはまだこんな手が残ってるのさああああ!!!」
バスターへの最大チャージ。

「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!」
オーラに包まれる。ファーブニルの奥義だ。

「メテオレイン!!」
空へ無数のチャージショットを放つ……


それは炎の雨となって青空から降り注ぐ。
「ハーーッハッハッハァ!熱いだろ熱いだろーーーー!!」
「うっ… く!!」

回避が精一杯。細かく動いて避けるしかない。
「さぁ、最後だああああ!!」

チャージショットを一発、ゼロへと放つ…が。
「なっ…!?」

ゼロはそれをダッシュで潜り…
「ハァ!!」

ファーブニルの腹を斬りつける。
「うぉおおおおおおおお……おおおおおお…!!」

ガクンと四肢が砂に落ち…頭のその角はガツンと腕にぶつかる。

「ああっ…うあぁああ……!! や…やるな…!」

腕を庇い、ゼロはファーブニルの体躯を見下ろす。
「…ま、まぁいい…今日の所はこれくらいにしといてやる!!
 いいな!この先誰にも負けんじゃねーーぞ!」

またも転送装置で去るファーブニル。
…決着は、ついた。


ゼロは、四天王クラスの実力を確実につけていた。

314乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/05/05(火) 12:56:34
我が家の声優一覧表
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 林原めぐみ
あかぎ 富山あかり
アリシア・メルキオット 井上真理奈
一条あかり 麻績村まゆ子
イツ花 吉田古奈美
カリス・フィリアス 白石涼子
シーナ・カノン 水樹奈々
ロジーナ 富山あかり

315乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/05/05(火) 13:11:15
のわー!表記ミスだべし!orz
井上麻里奈でしたorz

316俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十三話:2009/05/05(火) 14:33:54
シエルは映像を確認してみる。

…敵の群れの中を突っ切り、その全てを炎へ変え、
斬り、撃ち、突き、破壊し続けるゼロの姿。
……有り得ない。
ゼロが、もしこれでもなおイレギュラー戦争時代の力を出し切っていないというのならば…
一体、イレギュラー戦争とは如何なる戦争だったのだろうか。
そして、それに匹敵する四天王の力。更には、恐らくそれを超えるであろう…最強の存在、エックスが持つ力。
最早、シエルの想像のつかない戦いへと局面は進んでいき始めているのだった。


「へぇ…今度は弱点チップなしでファーブニルを倒したって訳?」
「ち、ちっと手加減したんだよ!!」
「手加減なんて言葉アンタ知ってるの?」


「…うっ。 …まぁー…ここだけの話、楽しかったぜ♪」

「まぁアンタがこれだけコテンパンにやられる相手となるとね…
 さて。残るは私とファントムだけど…どちらが先に行く?」
「拙者は綿密な計画を立てる故。」

「そう、なら次は私の出番ね。 …どんないい男か楽しみ♪」

「おう、写真見せてやろーか?」
「いらないわよ。 …こういうのは直に会ってみるのが一番なんだから」



そしてまたも技術室。
「おお、ゼロか! ロストデータから手に入れたもう一つの武器が完成したぞ」
小さな円盤が一つ。円には一本の棒が持ち手として存在する。
「これを持った腕を前に突き出し、力をこめてご覧」

「…ふむ」
握り、力を込めるとすぐにそこから回転する円形の光の刃が展開する。

「それは、シールドブーメランといってね。
 敵の攻撃を防ぐことも、チャージして投げることも出来る代物だ
 …悪いが、ちょっと扱いが難しそうだからあまり近づけないでおくれよ…?」

セルヴォはじりじりと後退する。
「今、チャージと言ったか…?」
「…ああ。そうだな」

セルヴォが説明を続ける。
「どうやらチャージ能力は何もバスターショットに限った話ではないらしい。」

「最強の力を持つ『ゼットセイバー』は流石に不可能だろうが…
 『トリプルロッド』はチャージ可能なようだし、『シールドブーメラン』は元から可能なことが前提の『武器』だ
 『防具』というわけではない。」

「そしてエレメントチップは腕に仕込むもので、君の腕が持つその、チャージ機能と直結している…
 即ち、チャージ攻撃でなければ敵の弱点を突くことは不可能ということだね。」

「……セイバーは4つの武器の中では最強の破壊力を持っていると見られるが、
 属性を持った敵が相手ならば他の武器の方が攻撃力は高いのかも知れないな」

セルヴォの話はそこまでだった。
「わざわざすまない…。…練習を行っておく。」


そしてシールドブーメランを使いこなす訓練の開始。
チャージ…そして投げる。楕円軌道で相手の胴を切り裂き、ゼロの元へ戻ってくる。
「……。」
また投げる。
そしてトリプルロッドの訓練も怠らない。
敵に突進して突き、背後に回り突き、宙から相手の頭蓋を砕く刃を突き出す。

…日付は進み…。
ゼロはシエルに呼ばれることとなる。

317俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十四話 前半:2009/05/05(火) 14:34:40
「ゼロ…新しい武器の練習をしていたの?」
「大体使いこなせるようにはなった。」
シエルの目の前で刃を出さずトリプルロッドをぐるりと3回転。


「…次のミッションをお願いしたいの」




ミッション内容はハッキングの阻止。
ガネシャリフから得たデータは昔のデータ。今のゼロのデータではない。

恐らくはそれを得るべくなのか、レジスタンスベースのコンピュータが何者かにハッキングされた形跡が見つかったらしい。
勿論犯人はネオアルカディア。

そしてネオアルカディアが付近に作った基地となると…?


「電磁バリアが復活している…やっぱり!」
機能が制限されたレジスタンスベースのコンピュータで何とか電磁バリアを解除。
再びスタグロフのいた基地へと向かう。


「あの氷はスタグロフによるものだったらしいわね…」
地底湖の氷が溶けており…目の前には黄色い潜水艦が二隻。


(ここから侵入してきた…と見るべきか)
水中に潜り、魚型メカニロイドを破壊。岩場を進み、潜水艦に潰されないように調節して潜水艦の背後へ。

そして潜水艦に跳び乗る。 ミサイルが次々に発射されるが、これも回避、または斬り崩して前方に。


…基地にたどり着き、シエルの協力で扉を開けてもらう。
再び基地へ侵入、メカニロイドやパンテオンを斬って上のフロアへ。


「この扉が怪しい。…開きそうか、シエル」
「コンピュータがもう持たないの… 最後の力を使ってやってみるわ… …どう!?ゼ」
通信が切れる。

扉の先には…立ち並ぶコンピュータが6基。
セイバーで叩き斬り続ける。サイバーエルフの力で動いているものも見られた。
「…どうだ?」

全部を破壊した時、レジスタンスベースのコンピュータは自由になった。
「うん、今までどおり使えるようになった! …有難う、ゼロ! …でもエスケープユニットが使えないみたい。
 …無事に帰ってきてね」

言われるまでもなく。 …帰りは簡単。
セイバーで敵を倒し、基地から落下。…水中に沈んでいく。


「…巨大なエネルギー反応!! …敵よ、ゼロ!気をつけて!!」
シエルの慌てよう。
…解っている。ミュートスレプリロイドクラスではないこと位。


「あらあら…いい男じゃない♪」
すいすいと水中を泳いで現れたのは青きレプリロイド。…人間型だ。

「私の名前は四天王の『レヴィアタン』 一応妖将って呼ばれていて、エックス様に仕えているのよ。
 キザ坊やや戦闘馬鹿があなたに負けて、大層嬉しそうにしてたわ♪」
「…お前は何を言っているんだ」


「やっといい喧嘩友達が見つかった、ってね。
 あまり早くに負けちゃダメよ?」
目にも止まらぬ速さで二つの棒が回転する。


一つは戦闘体勢に入ったゼロのトリプルロッド。
もう一つはレヴィアタンの武器『フロストジャベリン』。

槍と槍の戦いがこうして始まりを告げる。

318俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十四話 後半:2009/05/05(火) 14:35:44

「お得意のセイバーは使わないの!?」

水を蹴り素早くゼロの背後へ。
「ハッ!!」
ぐるりと回転させたジャベリンから発するは氷の輪。

ゼロはそれを飛び越え、レヴィアタンの頭をトリプルロッドで一撃。
「ったぁ!!」

そのまま浮力に任せて移動、バスターショットのチャージショットで追撃。
「うっ…!!」

そのまま泳ぎ…今度は壁を蹴って移動するゼロのように、水中で水を蹴りジグザグに移動。
何かをばら撒き、生成していく。
「何だ…」

「逃げ切れる?」
レヴィアタンの得意技・マリンスノー。水を一瞬で凍らせる超低温結晶を水中に射出、
氷で刃を作りそのまま落とす… 即席の氷の機雷。

「ね?こういうの綺麗じゃない」
氷の合間を縫ってトリプルロッドで腹をひと突き。
「きゃあっ!!」
そのまま離れる。

「いったいわね…!」
遠ざかり氷の輪を出す。
「…!!」
今度は回避できず、被弾。
「うっ……」

「さぁさぁまだまだ行くわよ!」
無限に補充されるジャベリンの先を3回続けて射出、ゼロを高速で負わせる追尾弾とする。
「ハッ…!!」

これを巧みに回避、そのまま水底近くに浮くレヴィアタンをセイバーで三段斬り。
「きゃっ!やっ!!あああああ!!」
横、斜め、縦へと裂き…そのまま回転斬りで反撃を作らない。
「うっ!!」
反動で遠ざかり、チャージの準備。

ここでレヴィアタンの奥義が炸裂。
青きオーラから出現したのは…
「出ておいで! スピリット・オブ・ジ・オーシャン!!」

マリンスノーの応用…氷の龍。
とはいっても意思を持っているらしい。…というより、レヴィアタンそのものであるようだ。
レヴィアタンの意思に従い、上下左右自在に泳ぎ、身動きの取れない水中でゼロを追い詰める。

「うっ…」
チャージショット。ただの氷ではないらしく、それで壊れることもない。
「はぁ…!!」
続けてセイバーで回転斬り。ここでやっと氷の龍の破壊に成功。
「さぁ最後よ!!」


底の方からレヴィアタンが3つの刃先を飛ばしてきた。
ゼロはこれを、真っ向から向かい全て回避し……
「はぁああああああああああ!!」

両手の捌きでトリプルロッドを高速回転。刃先が何度も何度もレヴィアタンの胴体を斬り付ける。
「きゃああああぁっ………!!」

レヴィアタンの体が水面近くへと放りだされる。
「…うっ…!!」

エネルギーが底をつき、レヴィアタンがジャベリンをしまう。…決着がついた。
「…どうして殺さないのかしら」
「今の俺から見ればお前達の技術はまだまだ未熟。
 そして…俺が殺すターゲットは『エックス』ただ一人…」
セイバーに持ち替え、水を切る。

「…途方もないことを言い出したものね、ゼロ…
 エックス様は私達四天王全員が本気で戦っても傷一つつけられなかった相手よ?」

「…まぁいいわ。次こそあなたを倒してみせる…いいわね?」
「…一つ聞かせてもらえないか」
レヴィアタンはきょとんとする。
「?」

「お前達四天王とは何者だ」

「4人中3人が負けたわけだし…こちらはあなたの情報を得た。いいわ、教えてあげてもいい。
 こんなことハルピュイアは教えるわけもないし、ファーブニルは説明できっこないんだからね?」


「私達は『エックス様の子供』」
「………」
疑問はすっきりすれど、意外ではなかった。何故だろう。



「私から言えるのはそれだけ …じゃあね、パパのお友達さん♪」

319俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十五話 前半:2009/05/05(火) 23:16:12
「やられてきたわ…… なかなか…ゼロったら強いわね……ったた……」
「はいはーい。ハルピュイア、ファーブニルの二人は外に出ててね?」
扉を閉める。アーマーとスーツを脱ぎ、裸の状態でメンテナンス用カプセルの中へ。

レヴィアタンは女性なので、彼女の回復担当は男性技術者ではない。
「ゼロ相手によく頑張ったわ さ、回復するわね… まぁまずこれ飲んで」
飲料式エネルギー缶を渡す。
「コーラの方がよかったのに…」
しぶしぶ口に含む。

「これで4人中3人がゼロに挑んでいったのね………。さて。ファントムはどう出るのかな」
顔以外カバーに覆われる。
「ファントムにはもう伝えてあるわよ?…斬影の人たちってどう戦うのかしらね」

「……わっかんない。それより姉さん姉さん。ゼロって…強いの?」
「言うとすれば…早い内に仕留めて置くべきだった、かしらね…勝つつもりなら」

「ハルピュイアにアイスチップを使ってギリギリで勝ったと思ったら、
 ファーブニル相手に正々堂々といい勝負して勝って、
 私相手には、水中という不利な状況で割りと危なげなく勝ってる。
 ………どうなってるの?やっぱり本来の力に近づいてるのかしら。」
女性科学者は何も言わない。
「…あなた達が危なくなったら、すぐに私が転送しますからね。」
「何そのお母さんみたいな言い方ー…」

「立場的にはそれに近いでしょう? …さ。私エックス様に呼ばれてるようだから行かなきゃ」




そしてレジスタンスベースでは。
「お疲れ様。…ゼロ、段々メンテナンス時間が少なくなって行ってるみたいね」
時間が取れない訳ではない。傷が浅いのだ。
「だが四天王はやはり強い…。次は恐らくヤツが来る。ホッタイドにトドメを刺した奴が。」
「ファントム…だったわね」

「奴は今までの奴とは、何か違うものを感じる。四天王の中でもな」
「………。」

「また、頼みたいことがあれば言え。それまでは俺は腕を鍛えておく」


それから7日が経過……ゼロは寝ずの鍛錬を行っていた。
…そして声がかかる。

「…ゼロ。ちょっと来てくれないかしら。」
「…ミッションだな」



8日目の夜中だった。
「…何だ」

次なるミッションは、工場防衛。
オロティックのいた工場区画に行ったきり、丸3日メンバーが帰ってきていないのだという。
今回はその捜索。


「………。」
ゼロは工場の外観を見回す。…真っ暗で何も見えないが。
工場内に閉じ込められたか、或いは足場を踏み外したか…
そんな可能性も考慮に入れながら歩く。


…あくまで『そんな可能性』。一番に考えていたのは…これだった。
「…。」

投げられたクナイを軽々回避。
「…奇襲を避けるとは敵ながら見事」

闇の中に赤い揺らめきを残し白い仮面が落下してきた。
……ファントムだ。
「拙者の名は四天王『ファントム』」
体勢を整える。
「美しき表の世を守るがエックス様ならば、」
忍者刀を取り出す。
「汚れし裏の世は拙者が裁く」

右手からは巨大な手裏剣。
「エックス様にあだ名すイレギュラー・ゼロ…」
体勢を低くし、戦いを始める。
「拙者がその影一つ残らず斬り捨ててくれようぞ」
金の髪と赤のマフラー。共に黒が入ったボディ。

320俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十五話 後半:2009/05/05(火) 23:18:50
ファントムは忍刀を手に駆け出す。
「斬!」
飛び越えると同時にセイバーで一撃。
「ぬ」
武器を持ち替え、バスターショットの連射で動きを止める。
「くっ!」

その間にチャージ。
「ゆけ」
「ハッ!!」
チャージしたシールドブーメランを投げる。
と同時にファントムも手裏剣を投げる。
「ゆくぞ」
戻ってきた手裏剣に乗る。
ゼロは手裏剣を回収しセイバーに持ち替えてファントムを斬る。
「とう!」
手裏剣に乗り、ゼロへ向けてクナイを落下させる。
1回、2回、3回…
だがどれも回避。落下してきたところに回転斬り。
(流石にお前相手には三段斬りをかます余裕はない)
ファントムの体が大きく縦に裂かれる。
「ぬうっん…!」

ファントムがポーズを取り、影に隠れる。
「…」
4つのファントムの影が現れ、ゼロを囲む。
「その手には乗らん」
影の一つを攻撃した瞬間…
「かかったな!!」
それはニセモノ、パンテオンの一体に過ぎなかった。

ホッタイドにしたように上から落下、串刺しにしようとするファントム。
「…」
敢えてニセモノを突いたのだ。一歩避けてそれを回避。
「… 何時の間に!」
シールドブーメランが落下直後のファントムを襲撃。
「うっ…!!」
わき腹を抉る。
「貴様…」
ゼロへ向かい駆け、忍者刀で斬りかかる。
ゼロはまたも飛び越え、向きを変える瞬間を後ろからチャージショット。
「………ならば…」

黄色のオーラが発生。
「滅!」
ファントムの体を中心に、闇が広がっていく。
「………何だ?」
ファントム自身も姿を消す。

「是ぞ我が必勝の型『朧舞 月無』」

どこからともなく声がし、クナイを投げる。
「…!」
これを回避するが反対側からクナイが投げられる。完全に姿を消す攻撃のようだ。

どこにいるか全く目で追うことが出来ない…。
攻撃の出所を見極めた上で高速で迷いなく移動、攻撃を放てるかがポイントとなる。

ゼロは…それが出来た。
1回目はチャージショット。
2回目はシールドブーメランの返しで攻撃。

3回目…いよいよ「その攻撃」が放たれた。


ゼロの体に光が集中。…その手にはゼットセイバー。
そう。…可能だったのだ。不可能とされていた、セイバーのチャージ攻撃が。

それは、ゼロのかつての大技、アースクラッシュを得意の剣技と組み合わせ放つもの。

闇の中に光を放つゼロの体が舞い……セイバーを両手に構え…
出始めたクナイを全て空中でかわした上でそこにいるファントムへと力の限りに振り下ろし……
床を破壊。瓦礫を巻き上げ……巨大な穴を生成する。
「はああああああ!!!」

エネルギーがセイバーの刀身だけに留まらず、あふれ出て飛散。闇を…晴らした。

「ぬうううっ…ぐ!!」
ファントムは膝をつく。


「…やるな… …だが」
…「だが」。
「だが、この工場内にはすでに大量の爆弾が仕掛けてある…」

それはファントムの二重の策。
「後数分もすればその全てが爆発する… 解除できるものなら、やってみるがよい …さらば!」

ファントムは姿を消した。
「…ゼロ、ゼロ!!大変…そこから逃げて!
 EC生産よりもあなたの命が大事なの、そこから逃げて!!」


とシエルが言っている間にも、ゼロは迷わずに工場内へと向かっていっていた。
「…………解った。…私、サポートするわ。時間がなくなったら強制転送するけどね」
「いいだろう。それまでに全て…俺が解除しよう」

321俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十六話 前半:2009/05/05(火) 23:21:14
「今のが最後の爆弾だったな?」
「ええ。全て解除成功! …有難う、ゼロ!」

ほっと一息ついて、レジスタンスベースに帰ろうとした…その時。



「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「うああぁあああああああああああああ!!」
「のあああああああああああああ!!」
「助けてええええええええええええええええええええええええ!!」
「やめろおおおおおおおおおおおおお!!!」

…断末魔の声。
「……え?」
「何だ…」

「ベースで何かが起きてる、私、見てくっ…んん!!んーーーーーーーーーー!!」
破砕音で通信が途切れる。


ファントムが直接戦いを挑みに来たのも、

その後わざわざ爆弾の存在を知らせ、時間に余裕を持たせ解体させたのも…


全てはこのため。


ファントムは時間をかけ、3重の策を練ってきていたのだ。

ベースから遠く離れた工場に意識を集中させている間に兵を侵入させ、
レジスタンスのシエル以外のメンバーを皆殺しにするための作戦。

「くそっ…やられたか!」


ベースへ戻るとそこは死傷者の山。
「……急がなければ」


パンテオンの強襲部隊を次々に斬る。
メカニロイドがいればそれを攻撃、ベースの隅々を回り生き残りがいないか確認していく。
「おお、ゼロ!! 助かった… どうやら敵は食料庫に向かったようだ
 エネルギーを奪ってここを爆破するつもりだ! お願いだ、助けてくれ…!」

セルヴォにエスケープユニットをつけ、避難所へ転送。
エレベーターの動力が動いていることを確認、上へと移動。


食料庫にて、敵は現れた。
「ウキキキキキキキキ! 馬車馬のようなご活躍ですね、破壊神ゼロ様!」
頭に輪をつけ、棒を構えたサル型レプリロイド。

「ワタクシめの名は、『ハヌマシーン』。ファントム様の片腕を努めさせて頂いております。いざ尋常に勝負!」
如何に時間を短くして戦うか。

「ウキキキキ、ウッキー!」
チャージしてジャンプ。手の棒を伸ばしてゼロへと突進してくる。
それを回避、三段斬りへとつなげる。

「燃えつきなさい!」
炎の弾を3発放つ。
これを回避してチャージ斬り。
「きいいいいいいいいいい!!」

ハヌマシーンが吹き飛ぶ。
「全く驚きました!」
頭の毛は極小カプセルとなっていて、投げると自動的にメカニロイドが生成される仕組みのようだ。
その形は…ハヌマシーンを小さくしたもの。

バスターショットのチャージショットで一気に貫き、攻撃。
「ウキキ…!?」

そのまま通常弾で怯ませ、そこにチャージ斬り。
「や、やりますねゼロ様……!!」

ハヌマシーンが倒れ、ゼロは部屋を脱出。
これで後は問題ない…かと思いきや。
「ゼロ!! ゼロ!!」
シエルの通信。
続いてセルヴォの声。
「おお、ゼロか!生きていたようだな!
 どうやらレジスタンスベースの一番奥に、アルエットが敵に襲われているようなんだ、
 行ってやってくれ!! 頼む…!!」

322俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十六話 後半:2009/05/05(火) 23:23:00
レジスタンスベースを再び飛びまわる。
「奥に誰か居るかもしれん……」

エレベーターで下階へと下がった…その時である。
「貰ったわ!!」

上から落下してきたのはレヴィアタン。勿論手にはジャベリン。
「はっ!」
セイバーでチャージ斬り、レヴィアタンを壁へ叩きつけ奥へ。
転送装置があればまだ奥に居る誰かが助かるかもしれない…


レヴィアタンは後回しにしてレジスタンスベース奥へ。
最下層、最深部。イブーのよくたむろしている箇所だ。
「どこだ、どこに……」
そこにいたのは…


黒い布。恐らくアルエット… 布をどけると。


「…………!?」
それはファントムから回収した、工場爆発用の爆弾。
「……………なんだ…!?」
「よーーーーー ゼローーーーーーーーーーー!!」

レヴィアタンが追ってこなくなったと思ったら今度はファーブニルの声が背後から。
「それじゃあ…な!!」

チャージショット。そして逃走。
「!!」
爆弾へ向けられる。シールドブーメランを展開するが…間に合わず。



爆弾に着火。旧都市の地下は巨大な爆発を起こし………
一瞬にして直径1kmほどの大きなクレーターになったのだった。



「…やったか」
上空からそれを見下ろすハルピュイアの姿があった。






「…ゼロ、ゼロ…!!だいじょうぶー!? ゼロってばああああああ!!」
幼い声が聞こえる。
目を覚ますと、そこには…。

「おお、若いの!大丈夫じゃったか!? 若いモンは頑丈じゃのー…」
「みんな……」


起き上がるとそこには……レジスタンスみんなの姿。
死んだと思われたメンバーも… どうやら生きているようだ。

…彼は…… 全員、助け出したのだ。


「よかった…… 心配したのよ、ゼロ…」
シエルの姿。

「いやぁ、よかったよかった……」
若いレジスタンスらに肩を貸されたセルヴォの姿。




だがその瞬間。
「手間が省けた」
肩を貸したレジスタンスの顔面から刃が突き出る。

「キャハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

1人、2人、4人、6人、10人。
レジスタンスのメンバーの腹に次々と穴が。シエルの持った銃だ。
「あああああっ…!!」
「シエル…さま…!?」
「セルヴォさん… …!?」

倒れたその頭をグシャリと潰すシエル。…何かが飛び出る。
続けてシエルは女性レジスタンスの首をその腕で引きちぎり投げ捨てる。


「……………」
アルエットの目を覆う。

「めでたい奴らだ。…狂ったイレギュラーどもに、狂う演技がここまで通用するとは不思議なもの」
セルヴォの手にはクナイ。
シエルの体がグニャリと歪む。


「……………斬影軍団!」

武器は遥か彼方に見える。
「シエル博士とセルヴォとやらはもう居らぬ。…諦めることだ、レジスタンスども」

323俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十七話 前半:2009/05/06(水) 00:21:30
「くっ…!」
ファントムを相手に、アルエットを庇いながら武器のない戦いは流石にきつい。
クナイを思う存分投げられ、抵抗することもできない。

「ゼロおおおおおお!」
倒れたゼロをアルエットが庇う。

「邪魔だ」
アルエットの体を忍者刀が貫こうとした…その時。

「ゼロ!」
強烈な光が辺りを照らし…ファントムを吹き飛ばす。
「………お前はセイバーを投げてよこした…」

「ええい何奴………!」

力が入らないらしい。
その隙にゼロはセイバーを取り戻し…
ファントムの眼前に突きつける。

「…戦うか」
「…止むを得ん」
ファントムが姿を消す。シエルに化けた何かも消えていった。
「………恩に着る」
セイバーを戻す。
「…ここは僕が守っておく。ゼロ。君は早く行くんだ。
 足は…用意してある」

目の前にはトランスサーバー。
「………まさか」
「…そのサーバーにネオアルカディアの座標を入力しておいた。 …頼んだよゼロ」
背を向ける。
「……『エックスを殺す』 ひとまず今出来るのはそれだけか」
「うん。 …エックスを、倒さなきゃ」

「ゼロー!」
アルエットが現れる。 …アンドリュー爺さんは気を失っている。
「何だ」
「お願い、帰ってきてね!私、ゼロのことお兄ちゃんだと思ってるから!」
「? …ああ。何とでも思うといい」
「それと、ちょっとこれはシエルお姉ちゃんから聞いたんだけど……。」




ネオアルカディア中心地『聖域』
その隅の部屋のトランスサーバーが動作、一人のレプリロイドのシルエットを映し…実体化させる。
「…。」
ゼロ。…彼は、走り出した。

向かう方向は…上。
小部屋を抜け、狼型メカニロイドとコンドル型メカニロイドを撃破。扉の先の神殿区域を進んでいく。
彼は、行く。
エックスの作り出した理想都市の中をイレギュラーとして。
そして、それがエックスとの遠い約束を果たしに行くことになるのだとは…知ることなどなく。


「ゼロ。 …もし、俺がイレギュラーになったら… その時は君が、俺を倒して欲しい」

エイリアの答え。
「馬鹿…!」

ゼロの答え。
「何を言っている」

…だがこうやって、約束を果たすときがやってきたのだ。

324俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十七話 後半:2009/05/06(水) 00:22:18
「…石像か」
神殿フロアの中で実体化した石像、門番パンテオン・エース。
特別製の2体のパンテオンが宙を飛びまわり、ゼロを攻撃する。
ゼロは問題なくそれらを斬り、床へと落とす。

そして更に上へ。


「何だ?」
見ると、細身で四本腕の…剣を持ったミュートスレプリロイドが行く手を阻んでいる。
「私は!アスラ・バスラ!聖域に侵入する者を!排除せよと!仰せ遣っている!!」
一言一言を大きな声で区切ったそのレプリロイドの体が回転、戦闘体勢に入る。


これもまた敵ではなく。ゼロの三段斬りの前に4本腕全てを斬り落とされ、爆発していった。
そして更に上へ進んだ所で……


赤いレプリロイドが行く手を阻む。
カブトムシの形をした…ごつごつとしたレプリロイド。

「この地はネオアルカディアの深部、聖域。
 …そしてワシはハルピュイア様の部下『ヘラクリウス・アンカトゥス』 
 汚れたイレギュラーが入ることは許されん…このワシの刃の錆となるがいい!」
角と角の間から電撃を発し、闘志をアピール。
ゼロはといえばアイスチップを装備。
「行くぞ!」
電流で接合された腕を伸ばし、壁へ刺し…突進を行う。
ゼロは腕を伸ばした段階でそれを回避、後ろから三段斬りを行う。

ヘラクリウスは無駄な突進を行った結果となる。
「そらそら!!」

電撃の弾を角から連射。ゼロへと向かい放っていく。
間を縫って、氷属性のチャージショットを放つ。

「あぁっがががが…!!」
何せ敵は雷属性であることが一目瞭然である。ハルピュイアの部下であるという言葉からも。


「ならばこれなら!」
今度は大きな電撃。それはゼロをゆっくりと追い始める。
「フンッ!!」
腕を伸ばすことなく突進。小さく回避すると電撃の餌食なので大きく回避、そのまま再び氷のチャージショット。

「うっ…おおおお…!!」

電撃で繋がった羽根を部屋の中心で展開、弾を乱射し始める。
ゼロはシールドブーメランでそれを跳ね返しヘラクリウスへ当て…

落下してきたところをチャージシールドブーメランで真っ二つに。
「……弟よ………強く生きろ…!!」
青きボディをした弟の幸せを願い、ヘラクリウスは二つに分かれたその体を弾けさせていった。


「…ゼロー、ゼローーーー!お願い、一度戻ってー!」
アルエットの声が聞こえる。
「休みは大切じゃぞー!!」

だが聞かない。
ゼロはそのまま、先へと進んでいった。 …聖域フロアを抜けたようだ。
雰囲気の変わった通路が続き…… その先は。

325俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十八話 前半:2009/05/06(水) 01:23:25
「この塔は一体どこまである…」
このさきは、きどうエレベーターっていうんだって! …アルエットは言っていた。

軌道エレベーターの意味が理解できないゼロは、ひとまず足場に乗っていく。
敵の攻撃も何のその。
戦争時代の力を取り戻したゼロの敵ではなく…

エレベーターはすぐに止まった。


「……」
だがおかしい。扉も何もここにはない…
「…………そうなると」
壁だけが続いている。
上を見上げようとしても、最上階が見えない。
「…こうするしかないか」

壁を蹴り、登り始めた。


軌道エレベーターは実に、地上3万km以上もの高さを持っている。
青空の中だった聖域からは…後どれほど登らねばならないか?
そう、『壁を蹴って』。
…ゼロの力が試される時だ。



「…時間の感覚がなくなってきたな。」
途中作業用リフトの力なども借りつつ、砲台を破壊したりなどしつつ。
有り得ない速度で登り続けたゼロは…何時しか、ネオアルカディアの塔と呼ばれる
この起動軌道エレベーターの、最上階にまで達していた。


衛星軌道上に作られた巨大施設…エリアXの入り口にて。
二人のシエルと、縛られたセルヴォがそこにいた。
「ゼロか…!?」
「……セルヴォ…。 シエルはどっちだ」

振り向く。
「ゼロっ!」
「ゼロォ…」
右のシエルは目に涙をため、左のシエルはグニャリと歪む。

「キェヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!」
左のシエルの腕が縦1mほどに肥大化、右のシエルの体を一掴みにする。
「あぁあっ……!!」

セルヴォが説明する。
「こいつは…レインボーデビルだ! ファントムのいる部隊の兵器で…!
 ロストデータを使っているようだ… コアを…コアを狙うんだ!」

顔部分はパンテオン。レインボーデビルはそのまま色が変化…ぶくぶくと膨れ上がり虹色のスライムへと変化。
シエルをその内部へと取り込む。

「…! むー! …むぐ!!」
セイバーを構え、戦闘を開始する。


「厄介な相手だな」

326俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十八話 後半:2009/05/06(水) 01:25:32
チャージショットでレインボーデビルのコアを攻撃。
「ぶも!!」

ぐにょりぐにょりと移動…飛沫を吹き飛ばす。
「ぶもももももももー!もー!」
これを回避。レインボーデビルの顔をトリプルロッドで上から突き、反動で跳びあがる。

「食らえ!」
高さを調節し、シエルに当たらないようにしながらチャージ斬り。
「ぶもっも!」
レインボーデビルが跳びあがり…部屋を跳ね回る。
「うかつには攻撃できないな…」

バウンドするレインボーデビル。コアを狙い撃ち…更にセイバーで攻撃。
「もーっ!?ぶもも!!」

分裂したボディは4つに分かれる。ギリギリシエルのボディがスライム内に収まっている状態だ。
そしてすべてが集まり…復活。

「ぶもおおおっ!!」
ゼロへ向かい硬質化したスライムボディの腕でパンチを放つ『ナイトメアブロー』
回避、壁へ登り………蹴り、宙へ舞う。

「はぁああああああ!!」
再びチャージ斬り。

「ぶもーーーーーーーっ!!」
パンテオンの顔が消滅。レインボーデビルの体が飛び散る。


「………大丈夫か」
シエルはその場に倒れる。どうやら気を失っている様子。

「ぜ…ゼロ………。」
シエルへ近づきつつアルエットへ報告。
「こちらゼロ。シエルの救出に……」

だがその瞬間。
「待て!!」

ゼロとシエルの間に現れたのはアステファルコンとハヌマシーン。
「…すまない。阻まれたようだ   …邪魔をするな」
「ウキキキキ。そう申されましても、それがワタクシの使命でして!」
「そういうわけだ。まずは俺と戦ってもらうことになる」
復活アステファルコン戦。


「ハァ!」
氷属性を持ったトリプルロッドを振り回すチャージ攻撃。
「がはっ……ハルピュイア様…!!」

続けて、エックスの元へシエルを運び終わったハヌマシーンが登場。
「いざ、再び勝負!!」


「キッキキーーーー! いい勝負をさせてもらいましたよ、破壊神様!!」
ハヌマシーンも消滅。


縄をセイバーで切る。
「時間を取られた…セルヴォ。お前は戻っていろ」
「……こんな所まで一人で来させてしまった… 申し訳ないと思っている」


「いい。そんなことよりまずはシエルを取り戻すのが先だろう」
「ああ。そうだな…… 私にとってシエルは娘のような存在でもあるんだ。…宜しく頼むよ」

頷き、扉を潜る。…この先に待つのは恐らくハルピュイア、ファーブニル、レヴィアタン、ファントム、
そして…。


「………」
彼はもう、振り返らない。

327俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十九話 前半:2009/05/06(水) 02:14:36
「古き者よ、そろそろお主も土へ還るがよい」
アヌビステップ・ネクロマンセス3世改め4世。

「よもやお前のような者にこのワシが敗れたとは…」
早くも復活したヘラクリウス・アンカトゥス。

「麻呂のデータにお前の戦いは記録されたでおじゃーるよ」
マハ・ガネシャリフ。

「むふー!今度こそお前を氷付けにしてやるぜえ…」
ブリザック・スタグロフ。

エリアXの4つの部屋にて4人、計6人の復活ミュートスレプリロイドを倒したことになるゼロは
再び同じ形の扉を潜る。

「ここはお前のような者がいていい場所じゃないんだ。 身の程を知れ、ゼロ!」
ハルピュイア。
「クソッ…キサマだけは許さん」

「さーさー、またやってきたなーゼロ!ちったぁ楽しませてもらおうじゃねえか!!」
ファーブニル。
「ちっきしょー、足が動かねえ…!まぁいい、通してやるよ!」

「…ちょっと私、あなたの強さが病みつきになっちゃったみたい♪」
レヴィアタン。
「うっ… いいわ、その力… 私、あなたのような人を待っていたのかもしれない……」

「人類に光を、イレギュラーに死の影を。」
ファントム。
「…レジスタンス達の仇は討たせてもらう。」

だがコイツだけは違った。
「うっ……!! 拙者が敗れるとは… だが、貴様だけは… エックス様の下へは…!!」
『エックス様』への四天王一の忠誠心が行わせた行動。
「無念!」
自爆を行ったのだ。

爆風から逃れ…最後の一人を倒したことでいよいよエックスへの扉が開かれる。
この時代において最強の力を持つとされる…エックスへの。


開けた部屋に出た。

「そこまでだ!!」
「こっから先はぁ通さねえ!」
「覚悟なさい!」
またも現れたハルピュイア、ファーブニル、レヴィアタン。
エックスとの戦いの前哨戦となるか…


だが。
「…待て」

転送装置で光の柱となって現れたのは…青いレプリロイド。
整った丸いヘルメットと顔立ち、青いボディ。


…彼こそがエックスだ。
そして…傍らにはシエル。
「ゼロ!!」


そしてエックスは3人に言う。
「…お前達が束になって敵う相手じゃあない… 下がれ。」

「ですが……」
ハルピュイア。
「…解りました」
レヴィアタン。
「チィッ!」
ファーブニル。


ここで部屋にいるのは3人だけになる。

328俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第十九話 後半:2009/05/06(水) 02:15:48
シエルがゼロの元へ走ってきた。
「…アルエットがお前から聞いたということを一つ確かめたい」


「…」
シエルも予想がついていた。 …エックスも。


「お前の隣にいるそれは… エックスのコピーだな?…お前が作り出した。」
エックスの表情は変わらない。

「…ええ。 エックスのコピーを作り出し…ネオアルカディアをこんなにしたのは… 私よ。
 …全部、私の責任なの」

エックスがここでフッと含み笑いをする。
「僕の生みの親であるあなたに感謝するからこそ、僕はこうやって
 あなたを許そうっていうんじゃないか。」

「…レジスタンス全員の命と引き換えに…。」

「でなければ、僕に完全なエックスの記憶を授け、
 ゼロをネオアルカディアの一員として加えることを…条件にね」


「名実ともに本当のエックスになるためには記憶は不可欠だし…
 彼なら四天王を補って余りある働きをしてくれそうだ。」
そしてシエルを上を向き気味な顔で見下ろす。
「でなければ…」


「…粛清者としての功績を挙げることがいいかもね。」


誰からも本物のエックスだとされても、極一部の者と自分のみが知ることから来る苛立ちの解消。
それがエックスの目的だった。
「……さぁ、どうする。
 ゼロ。それとは関係なく君にもこちらへ来てもらってもいいんだ
 このネオアルカディアの美しい聖域を見て思っただろう?」


「昔の君や、オリジナルのエックスですら作れなかった理想郷がやっとここ、ネオアルカディアに実現したんだ」


「…いいんだ、こちら側に来ても。
 わざわざ世界の敵になる必要なんてない。 …ここが英雄の居るべき場所なんだ」
くすりと笑う。


ゼロはその言葉、喋り方で何かエックスの何たるかを思い出しはしないか。
目を閉じて聞いていたが……。

結論が出る。


「紛い物だな」

エックスの目が細まる。
「…」


「下らない偽物に過ぎないと言ったんだ。 …お前も、この世界も」
シエルも、彼の肩を強く掴み…エックスを睨んだ。



エックスの目元がピクリと動く。
「シエル、君も同意見か。………へぇ」


「やっぱり面白い人だったよ、君は。まぁ、楽しい話が出来ただけ…貴重な体験だった。」



腕をクロスさせる。
エックスに膨大なエネルギーが集中。施設全体がガタガタと揺れ始める。



「それじゃ…」
光がエックスを包む。


腕を解き、アルティメットアーマーを生成。
「仕事を始めますか。」


機械翼のデザインが真っ白な翼へ変化、カラーリングは白、腰周りは動きやすいようスーツのみ。
100年前のオリジナルエックスのそれとは違うものだった。

「イレギュラーハンターの、ね」

329俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第二十話 前半:2009/05/06(水) 20:54:39
アルティメットアーマーに身を包んだエックスは宙へ浮く。
「何だ…?」


「ノヴァストライク!」
光に身を包み、ゼロへ向かい突進してくる。

これを壁を蹴り回避…
壁に衝突したところで飛び越える。
「甘いね!」

飛行の一環としてエックスはそれを使いこなしていた。
エックスは斜め下、ゼロの居る位置に向かってエックスバスターを放つ。


青いバスターで、ゼロのものよりも勢いの強いもの。
ゼロはそれを潜り……
払う。袈裟切り。振り下ろす。三段斬りをエックスに浴びせる。


「へぇ…?」
色が変化する。

「エレメントチップか…」
赤色になったエックスは炎のバスターを放つ。
「…!」

宙から放たれる連なる炎は放物線を描き飛んでいく。
「ハッ!!」
距離をとりチャージショット。
次の攻撃に備える。

「僕の力を侮ってはいけない…」
チャージを始める。そしてゼロの目の前に跳び…
「炎の雨というわけさ」
天へ向かいチャージショット。

炎の塊が上に撃ち出され、降り注ぐ。
「ハァ!!」
「うぐっ…!!」
チャージ斬りでエックスを吹き飛ばす。

またもカラーチェンジ。
「今度は何で来る」


緑。
「さぁどう出るかな」
またもノヴァストライク。
「ぬ…」
壁の上で回避。

そのまま今度は雷の弾を2,3個放ち、またノヴァストライク。
緩急差の激しい追尾攻撃を使うということか。

「食らわん!」
雷の弾を回避し…更にノヴァストライクも回避。エックスをセイバーで叩く。


「………それなら!」
チャージし、拳を下に突き出す。高圧電流の波が床を伝い流れる。


「ハッ…!!」
エックスを避け、壁へ。

330俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第二十話 後半:2009/05/06(水) 20:56:09
「さてお次は…」
水色…氷属性。


「さぁ、苦しむがいい…」
斜め上、横、下。様々な方向に氷の弾を発射、衝突させて細かな粒として散乱させ始める。

ゼロはそれを巧みにかわす。
「そこを狙っているのさ!」
チャージショット。氷の竜巻がゼロ目掛けて飛んでいく。

「その速さでは俺を追うことは出来ん!」
エックスを飛び越え回転斬り。
「ぐふっ…!!」


エックスが飛びのく。
「……もう許さん!」

エックスに力が集中し…光が立ち上る。
エックスともなると流石に奥義の幅も異なり… 見る見るうちに傷がふさがり、再生していく。

色が青になる。 …戦闘体勢だ。
「受けてみるがいい!」

ノヴァストライク。
ゼロはチャージ斬りでそれを向かえ撃ち…チャージ斬り叩き落とした。
「なっ!?」
そのまま飛び越えて回転斬り。
「はあっ!!」
エックスバスターの連射。これもかわして三段斬り。

「ふざけるな!」
バックステップからのダッシュは攻撃能力を持つスライディングに変化。

「悪いがそれでは的だな」
チャージ斬りで再び叩き斬る。

「舐めるな!!」
特大のチャージショット。青紫色のエネルギー弾が発射されていく。

「…それはどちらだ」
回転斬りで飛び越し、向きを変えて…
「ハッ!!」
ダッシュ斬り。

エックスの膝から肩にかけてを切り裂く。
「くううっ……!!」



…人間であるシエルには全くわからない。

先ほどまで四天王と戦っていたはずのゼロが、どうしてあのエックスを相手に…傷一つ負うことなく優勢に持ち込めている?
今までと比べ、あまりにも速い。あまりにも力が強い。
エックスの間から見た様子では、四天王の撃破に…一人当たり20秒も費やしていたというのに。

そもそも、弱きパンテオンをセイバーの一振りで倒せないこともあったのに、
どうしてゴーレムは一撃で倒せたのか?

そしてシエルは一つの考えが浮かぶ。
…彼は無意識に… 力をコントロールしているのではないかと。

…もし、今彼が戦争時代の力を100%取り戻していて、
相手に合わせてた出力に本人の意思と関係無し制御されているのだとしたら。




「……弱いな」
膝を突いたエックスに向かい話す。


「…オリジナルのエックスもそんなに弱かったのか?」
「何…!?」


いや 結論は出ている。
「…違うな。
 記憶が覚えていなくとも…」


「体はかつての友を覚えているようだ。」


「『エックスは、もっと強かった』」

331俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第二十一話 前半:2009/05/06(水) 20:57:07
その言葉は彼の逆鱗に触れる。


「…よし、いいだろう。 僕の本当の力というものを…見せてやろう」
宙へ跳びあがる。


「危険? …ああ、承知の上さ!」
誰かと話しているようだ。


「はあああああああああああああ!」


エネルギーの解放。
エックスの体が、光に包まれ、光となって散っていく。
…一つの、小さなコアのみが残る。


そしてそのコアを中心に光が集結… 新たなる体を生成していく。
アルティメットアーマーの上を行く、エックス最強の能力。



巨大な6枚の翼に、宙へ浮いた白い爪、脚のない下半身。通常状態のままのヘルメット。
エックスが体を伸ばすと、光の輪が頭に現れる。

「ゼロおおおおおおお!!」
「下がれ、シエル!」

エスケープユニットをつけ強引に転送させる。

そして、どこからか落下してきた二つの棒が床へ打ち付けられ……沈む。
砕けて宇宙の塵となる。


残るはゼロのいる、エックス直下の小さな床のみ…。


背景のパネルは透明なものへと変化…宇宙を映し出す。

最後の戦いの後半戦。




「光よ!!」
両腕から放たれるはレーザーの雨。
床へと撃ちつけられるが…ゼロはそれをギリギリで回避。
チャージ斬りを食らわせる。
「うぁっ…!!」

「けどそれで避けたつもりだというのか!!」
更に光の雨を降らせる。
ゼロは相手の動きを誘導するようにして、間を縫って回避。

「ちょこまかとしつこいな」
頭の光の輪を上空から降らせる。

エックスによるコントロールを可能にするものだ。


「うっ…!!」
棒を蹴っていたところから回避するも…輪に閉じ込められる。動けない…
「裁きだ!!」

床をレーザーが通り… その通り道が遅れて灼熱の地獄と化す。
「うぉああああああああああ……!!」


「まだまだ…」
レーザーの雨。

これを避けて上から回転斬り。トリプルロッドで腕を攻撃。
「その程度の攻撃を食らうと思っていたかな」

腕を弾き、トリプルロッドで高く跳びあがり…

「ハァ!!」
またもチャージ斬り。
「ぐはっ…!!」

「はははは…ハハハハハハハ!!!!」
左右の柱が消滅。

それは彼のもう2つの腕だったのだ。

床を叩き、粉々に粉砕しようと動き続ける。
「スクラップになってしまえっ!スクラップになってしまえ!!」

振り下ろされる超重量の柱。

光の輪で固定し、更に破壊を続ける。
「塵に!!」
ゼロを貫くべく。
「クズに!!」
ゼロを粉々にするべく。
「ゴミに!!
ただの鉄の塊にするべく。
「屍を晒すんだ!!」

332俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第二十一話 後半:2009/05/06(水) 20:58:23
「ハーーッハッハッハッハ!!!」

自在に動かすその力。 …だが所詮は小さな床の中。 …所詮は、柱程度。
「……何」

ゼロは…攻撃全てを受けながら立っていた。

だがエックスにはまだ数発分の時間がある。ゼロは対してあと一撃でもすれば粉々だろう。
「おのれ…!!」
光の雨を誘導、回転斬りで反対側へ。

「くっ…!」
エックスの攻撃が当たらぬことがそれから暫く続く。

女性の声がエックスの耳元から。
「エックス様、 …エックス様!!」
「黙れオペレーター!後で君も処刑されたいかな!?」

再び光の雨を降らせる。

音量が上がる。
「滅相も御座いません!!」

更に音量が上がる。
「私は、エックス様のオペレーターですから!!」

「ですから、私はエックス様の有利になる情報しかお伝えはしません!」
「黙れと言っている!気が散るな!!」


二つの柱でのプレス攻撃を再開する。
「ですから!! 私からエックス様に!! 少しばかり情報を!」


そして音量が最大に。
「エックス様、今のあなたは属性のバランスが崩れております!!
 ですから!!」

炎の海を作りながら。
「…何が言いたい?」


音量が最大。…エックスも気付いた。
「ゼロが持っているアイスチップを使われては危険!
 絶対にその攻撃を食らわぬよう!!」
「!?」


「黙れ!!貴様!! 貴様ぁあああああ!!」
「ああ、ゼロよ! 絶対にアイスチップの力を使わぬよう!!」


それは…応援という反逆だった。
「オペレーター…!黙れ!黙れ…!!何を言っている!?」
「ええ、氷属性だけは使われては危険!!」


レーザーが灼熱の炎でゼロを焼きにかかる。
「黙れ!!オペレーター!!」
「大丈夫です、そんなことがなければエックス様の勝利は確定!」

青きセイバーを手にしたゼロは、柱を蹴り…冷気のエネルギーを最大までチャージし…
「…黙れエイリアあああああああああああああああああああ!!!」


そしてそれは力いっぱいに振り下ろされた。
「……………………!」

333俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第二十ニ話 前半:2009/05/06(水) 20:59:24
エックスの頭から、顔面、胸のコア、脚なき下半身までが一筋に青き光により刻まれ……

体の各所から…爆発を起こす。
6枚の美しき翼はバリンバリンと割れ…
顔面がひび割れ、仮面のように内部機械を露出。


翼を支える骨組みだけの状態となり、腕は力を失い床へ落下、爆発…そして……


「がはっ…!!」
床へ叩きつけられ、崩壊した。


上半身だけの状態。ひび割れ、眼球となるアイカメラを露出した目、
骨組みだけとなったその翼は半分骨組みすらも粉々に砕け、
下半身は完全に潰れ… その体はガクリと傾いたまま。


「……………なぜ………    …なぜ…… 僕が…… こんな… 目に」



戦いの後の余韻。
その顔を見下ろし、ゼロは静かに呟く。
「…今、少しだけ思い出した」

「…エックスは、お前のように単純な奴じゃない」


「いつもグズグズしていて…キッパリと答えの出せない、
 悩んでばかりの… 意気地なしだったさ」

目を閉じる。
「だが」


「…そんな奴だからこそ」

開く。
「…アイツは英雄になれたんだ。」




エリアX・オペレーター室にてデスクに座り…その言葉を聞く女性が一人。
レヴィアタンの友達であり、エックスと最も親和性の高いDNA構造を持ち、
シエルのエックスのコピー技術から、四天王を生んだ一人のレプリロイド。

…結局したのは汚い仕事に終わってしまった…一人の女性。
「……………エックス、様…か」
いつぞやは彼女は星空を見て、エックスは宇宙を見ていた。
…今は、彼女が宇宙を見ていた。


そこに小さな光がやってくる。…戦いを見守るがてら、顔を出したのだろう。
「…!?」
気付く。
「あなた……は………」


…目が潤む。唇が震える。
「エッ…………」




「…お前だけは…許さない…! お前だけは…道連れに… して……… や……………」
エックス自らが、爆破を指令を出したからだ。



「緊急事態、緊急事態。 イレギュラーが最終防衛ライン『エリアX』を突破。
 これより該当エリアを爆破、イレギュラーの排除を開始します」
アラートと、警告の音声。
「……間に合うか…!?」
部屋から脱出、全速力で駆け始める。



白き光……爆発が広がる。
エリアXは消滅。 残っていたレプリロイド全てが宇宙の塵となり消えて行った。

334俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1 第二十ニ話 後半:2009/05/06(水) 21:01:37
砂嵐。 ……風の音。  …真っ暗闇。


そこに、懐かしき声がこだまする。
「君が、僕を残し この地上を去ってから…」

ゼットセイバーを投げてよこした者の声。
「僕はたった一人、100年近くもの間、途方もない数のイレギュラーと戦っていたんだよ」


「それは、辛く悲しい  孤独な戦いの日々だった」
…ネオアルカディアの冷たい君主の声のようでもあったが…

違う。
「でも、何より一番 辛かったのは」
それは……


…友の声だった。
「段々何も感じなくなっていく、自分自身の心だったんだ。」



彼はわかっていた。

命を奪うことに、何も感じなくなること…それはイレギュラーであると。
そして…コピーエックスがそうであり、自分もまた…そうなるところであったと。
「………ゼロ。」


聞こえているのか、聞こえていないのか…分かりなどしないが、
確かにそこにいる赤い彼に向かい一言を告げる。

「君にこの世界を預けてみたい」
人と、機械のために戦う者の称号…
『ロックマン』

「…僕を、もう少しだけの間…眠らせておいて欲しい」

思いは託され、ここに…生まれの異なる新たなるロックマンが一人、誕生した。
…ロックマン・ゼロ。

最後に一言。
「ごめんね…」

彼は姿を消した。

「………」
起き上がる。

「……全く、我侭な奴だ…」


しかし、彼にはわかっている。その理由も。
「…だが、そんな奴だからこそ 共に戦うことが出来たんだったな」



ふと、気配を感じ振り返る。
「………。」



そこにいたのは、彼を出迎えるレジスタンスの仲間達…


…ではなかった。
おびただしい数の、無数のネオアルカディアの軍勢。


コピーエックスは、最も彼に近いパンテオンでしかなかった。
四天王もまた、エックスの子供。

逆に言えば、彼を殺さんとする、世に犇くコピーエックスはまだ… こんなにも沢山いたのだ。



…戦いは、まだ何も終わってなどいやしない。
「…我侭は聞いてやろう
 暫くは俺に任せてゆっくり休め…」



目を閉じる。
「…俺は悩まない。」


呼吸を整える。
「目の前に敵が現れたのならば……」


見開く。
「叩き斬る…までだ!」



そして彼は戦い続ける。

335俺的アレンジの入ったロックマン3 OP:2009/05/06(水) 23:01:52
「すまなかった、今度こそ世界征服は諦めるから、お願いだロックマン!!」

「……本当にもう」

Drワイリーは、監視の意味も含めてライト博士に協力してもらうこととなった。
これできっと、改心してくれるはず。

協力とは、宇宙開発のこと。
土地を開発するが如く、遠い宇宙の惑星を…今、様々な形でその星の特性を活かし、開発を行っているのだ。

開発先となるのは8つの星達。
それぞれには特有のエネルギーがあり、
それらを集めることで新しいエネルギーを作り出せるとされている。


8基のロケットに8体のロボット。人類の夢は、こうして打ち上げられたのだった。
Drライトと、Drワイリーの共同作戦によって。

…8体目の打ち上げの瞬間を見届けた二つの背中。
「いやー…お前が協力してくれて助かったよ、ワイリー。」
ライト博士は言う。
「なぁに。気にすることはないわい。散々迷惑をかけてしまったのだからな」

その様子を見ているのはロックマン。手にはロケットの巨大フィギュア。
「……よかった」


「ロック、そろそろ帰る?宇宙グッズとかも貰ったことだし!」
ロールちゃんが、どっさりと宇宙グッズを貰ってやってくる。

「ど、どうしたのそんなに…」
「タダでもらえたんだし、いいじゃない。
 要らないなら誰か友達にあげることも出来ると思うしね」

無駄遣いをしないロールちゃんにしては珍しく。

彼女は機嫌がよかったのだ。そろそろ…カットマン達の修復が最終段階に入っていたからだ。
「…そうだね」


帰りの電車を待つ。
「Drワイリーはどこへ行ったんですか?博士」
「ああ。少し航空宇宙局に呼び出されているようだから、後で来るそうじゃよ」



しかし静寂はすぐに破られる。
慌てて飛び込んできたDrワイリーの声によって。
「たたたたた、たたたたた大変じゃああああ!!」

「ど、どうしたんじゃワイリー!」


駅に緊張が走る。
「最初に宇宙へ向かった第一号のタップマンが…」

「タップマンが、タップマンが暴れておるらしいのじゃ!」

タップマンが向かったのは、植物の生育に適した土の組成をした惑星。
そこは宇宙開発の第一歩として、人工温室を作り上げ、
植物の光合成により人間の住める環境を作り出す試みの行われている星。

巨大な温室ドームの中で、彼が暴走を起こしたというのだ。

「…急がなきゃ……!」
他7人のロボットは多忙な上…直接の転送は不可。
……ロケットを使い宇宙へ旅立つこととなる。

「行ってきます、博士!」
二人の博士が声援を送る。
「頑張るんじゃぞー、ロックマン!」

かくして、9つ目のロケット打ち上げの手続きは行われた。
皮肉にもその間に、ロボット暴走のニュースは次々とその件数を増加させていた。
「…どういうことなんだろう。」

新たなる戦いの始まり。しかし…ロックの思考は、口笛により中断される。
「…誰だ!!」

336俺的アレンジの入ったロックマン3 ジェミニマン前半:2009/05/07(木) 00:21:17
あの日、彼の目の前に現れたのは赤いロボット。
その名は『ブレイクマン』

黒いサングラス型のバイザーと、赤いヘルメット、黄色いマフラーが特徴のロボット。
タップマン達宇宙開発のロボットは、一つの場所に集まっているというのは彼の情報。


そして彼らの人数は9人。…8人のロボットに彼を足した数。
彼は一体何者なのか? 武器を放ってきた彼に、ロックマンは応戦し、倒した。


初めにタップマンを倒したロックマンは次に訪れた、鉱物資源の豊富な鉱山惑星にて彼と再び出会う。
「ブレイクマン!」
「俺の名前、覚えてくれたようだな」


彼の武器は…ロックバスターのそれと同じだった。
エネルギーの弾を腕から発射する。小刻みに跳び、回避しづらいパターンでロックマンを追い詰める。
「うっ…!」
段差を利用した戦いとなると更にそれは強烈。

だが、ある程度戦ったところで姿を消していく。
そしてその次も。

その、次のときというのは…シャドーマンのいた惑星。
シャドーマンは宇宙から飛来してきたロボットである。恐らくは暴走する要因があるとすれば彼…

元凶である彼が起こした事件は、液体燃料資源に恵まれた惑星での…その全てに火を放つというもの。
地下油田に落下してきてすぐ、ブレイクマンが現れた。


シャドーマンを倒しても、暴走はすでに始まってしまったわけで…
止まることはなかった。


磁力惑星でのブレイクマンの戦いを経て、スネークマンが築き上げたロボット達のアジトも破壊。
…それでも暴走は止まらない。


7人のロボットが倒された所でブレイクマンは、いよいよロックマンを呼び出した。
場所は…… ロボットの反応がなかったはずの惑星。

不明な点が多い、高いエネルギー反応を持つ惑星で、
一説には星を構成する結晶型の物質は、生命ではないかともされている…神秘の惑星。


「…よく来たな」
ブレイクマンはいつもの通り、口笛を吹いてやってくる。

「いよいよ決着をつける気になったんだな」
バスターを構える。だが…

「今回は戦わねえよ… お前を奴らのリーダーの所へ案内するために来た」
爆弾を仕掛け、星のエネルギーを吸収している、足元にある装置を破壊する。

「!」
装置の下には底の見えぬ空洞。
「その中が奴らのアジトだ… さて。お前に奴が倒せるか?」

ブレイクマンは姿を消し、ロックマンは下の空洞へ潜る。


不思議な場所だった。呼吸をするように輝きを変えていく洞窟。
洞窟内にひしめく無数の泡の中からは謎の生命体。

深部には…水。一体この惑星は何であるのか…?


「面白い場所だろう」
最深部で同調するかのように輝くロボットが居た。

確か彼は…。
「ジェミニマン!」

「……この深部は惑星の頭脳とは遠いな…ここでよかった」
「ここで…よかった…?」
意味が解らず、バスターを向ける。

ジェミニマンは部屋を舞い始める。
「…!?」

だが宙を舞い部屋の反対側へ回ったはずのジェミニマンが…まだそこにもいる。
「9人… ブレイクマンを含めてではなく、そういう意味だったのか!」

ジェミニの意味。…ジェミニマンは、二つのボディを持っていたのだ。

337俺的アレンジの入ったロックマン3 ジェミニマン後半:2009/05/07(木) 00:28:31
「悪いなロックマン!」
「頑張ったようだがここまでだ!」
左右から。


「はぁあ!」
バスターを向ける。
「おっと!」

一体には当たるが一体はかわしていく。
「うあぁああ!!」
背後からのもう一体のバスター。


「…はっ!」
1体が攻撃するたび、2体は揃って攻撃を仕掛ける。

「………」
バスターを撃つと同時に跳んで避ける。
パターンを変えて、2対1での戦いに慣れなければならない。
幸い…敵は一発しかバスターを撃てない。
…それを考慮しても、ほとんどの能力でロックマンはジェミニマンに敗れているのだが。


「…はぁ、はぁぁ…」
大分削ったはず。
エネルギー缶を使用、体力を回復…

一撃を見舞う。
「いっけぇ!!」
ジェミニマンのうちの1体が…消えた。

「ホログラフ…?そんな、はずは!」
ただのホログラフが攻撃してくるとでも言うのか。
だがどの道、もうジェミニマンは一人しかいない。

「そう。ただのホログラフじゃなくなった。俺がこの星に来て手に入れた能力だ」
敵のバスターが部屋を真っ白に照らす。
ホログラフ機能に回していたエネルギーを使い、レーザーを放つ。
「!!」
轟音と共にレーザーは一本の矢となり、ロックマンへ向かってくる。
「うぁーーーーっ!!」
襲い掛かる。
壁までロックマンの体は押され、叩きつけられる。
腹はそのままゴリゴリと抉られ……大きな穴となる。
「げぇほっ…………!!」
口から、腹から…オイルが噴出する。レーザーの出力が…あまりに強い。
ジェミニマンの体が紫色に怪しく輝き始める。

「コイツは『ジェミニレーザー』 …思った以上のパワーアップだ 実験体になってくれてありがとよロックマン。」
「…それは…!?」
よろけながら立ち上がる。

「この星は生物惑星。 …その深部に行った俺は、驚いたことにこの惑星と同調したんだ…」
またその銃口が輝き、部屋の全体を照らす。

「そしたら、気がついたらもう一人、ああやって同じ自分が出来ていた!」
もう一発撃つ。
「…!?」
解らないことだらけ。だが…ひとまずしなければならないことは。

「わぁあああ!!」
放たれたジェミニレーザーを避けることのみ。

壁へ、天井へと反射、ロックマンを追う。
「この惑星が持つエネルギーの特徴は意思を持つことだ。 …だがそれ自体では思考せず、
 手にしたものの意思を反映することで初めて生命として機能する」

反射してロックマンの肩を貫き、今度は床へ叩き付ける。
「ぐあああああ!!」


「思考する生命体にしか貫通しない、対生命体武器・ジェミニレーザーがこの星で反射するのもそのせいだろう。
 現に…壁や天井はレーザーを反射し、お前はそれに貫かれている」
「………!?」

心を反映し自律する未知のエネルギー、
反射する高出力レーザー・ジェミニレーザー。

戦いは第二ラウンドにもつれ込んだ。

338俺的アレンジの入ったロックマン3 VSドクロボット序盤:2009/05/08(金) 00:51:00
ジェミニマンを死闘の末に撃破。

その内部にあったものと同じ、この惑星のエネルギーを回収…
ロックマンは地球へと帰還していく。


というのも、この戦いにはもう一つ意味があったためである。


「困ったのう…そうなると8つのエネルギーが…」
ライト博士が言う。
「そうじゃな。8つの星のエネルギーを集めないことにはガンマは動かん…」
と言うのはワイリー。


ガンマとは?ロックマンはライト博士に聞いてみた。
「……ああ。お前には説明していなかったな」

「ガンマとはな、宇宙開発用の搭乗型ロボットでな…
 だがなにぶんとてもエネルギーが要るもので、8つの星に散らばるエネルギーを各部で動かさねば
 動かすことが出来ないのじゃ」
どういう仕組みなのかはあまり説明はもらえなかった。
だが取り敢えずは作業用ロボット達のいる8つの星のエネルギーを8つとも集めなければならなかった。


そしてそれは達成された。

地球行きのロケットに乗り、亜空間へとワープ。
何時間かの飛行のあと、地球付近の宙域に出現。

それからまもなく大気圏へ突入、切り離し作業を以って地球へ帰還。


落下先は太平洋上。
サイズの小さな最後のエネルギーは6時間先にのライト博士の元へ直接転送されていた。

後はガンマの雄姿を見るだけ。



そう思われたのだが…。
「えっ……!?」


博士の研究所に大きな穴が。
「…ラッシュ!」

今回の戦いから加わった犬型サポートロボットの力で空を飛び、上空から確認してみる。


アスファルトの道路が凹み、車が潰れ、ビルが粉々に粉砕されたり倒壊したりしている。
なんと……町の通りを、破壊の後が一直線に貫いている。
少し先で、煙の発声した地点があったのを最後に、その先は破壊されていない。

これは…まさか。



「おお、ロックマンか!!…ガンマが、ガンマが…!!ワイリーに奪われたんじゃ!」
「…ガンマが!?」

「ワイリーはワシらを利用しておったんじゃ… 完成したガンマを使って、
 世界征服を実行に移すと言っておった!!」
ワイリーは、諦めてはいなかったのだ。


「博士、ワイリーの研究所へ転送してください!」

しかし。
「転送装置を破壊されてしまった…
 幸い、ワイリーの研究所はそこまで遠い場所ではない。
 急ぐんじゃ、ロックマン!」

再びワイリーの計画を阻止するべく彼は動いた。

339俺的アレンジの入ったロックマン3 VSドクロボット中盤:2009/05/08(金) 00:52:02
エネルギーを大量に搭載し、町の中をラッシュジェットで飛行。
町から海へ…海はラッシュマリンで水中へ。

そして水面からあがり……ワイリーの研究所のある島へたどり着く。
波の打ち寄せる砂浜に飛び出す。遠くに、巨大なワイリーの研究所が見える。


「あれか!!」
そう思った瞬間…背後から圧縮された水の弾丸が発射される。
「!」
避けきれない…そう思った瞬間。
「アイススラッシャー!!」

後ろを振り向く。 …そこにはドクロ型のロボットと、アイスマンの姿。
「アイスマン!!」

「ロックさん、ここはボクに任せて早く行って下さいでありますっ!」
「せっかく水の中で待ち伏せたのにい…」
姿に似合わぬ声が発せられる。


浜辺から森の中へ。

また先へと進むと炎の壁が。止まった瞬間…周りを取り囲み始めた。
「さー、この先には行かせないよロックマン!!」
高い少年の声が聞こえる。…先ほどの声といい、聞き覚えがある。

…すると斜め背後から、今度は荒々しい、汗臭い声が響いてきた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
奴だ。
「何だ何だあああああ今の可愛い声はああああああああああああ!」
炎の壁を突き破って現れる。
「萌えるロボットのためならばああ!!」
ファイヤーマンだ。
「例え火の中、炎の中、マグマの中あああああ!」
「わっ!」
ロックマンを担ぎ、
「どこだああああああ!!」
可愛らしい少年声のした、前方へと走っていく。これは重症だ。
「何だああああ!?」
また待っていたのはドクロ型のロボット。
思わずロックマンを放り出す。

「た、助かったよファイヤーマン!」



先へと進むと…
爆弾が左右から現れ…衝突、爆発。
「てやんでぇ!ワイリー製にもハジケた奴がいんじゃねえか!!」
右からはボンバーマンの声。
「お前っ!!」
左からはまたもドクロ型のロボットの声。
「グズグズしてねーで先いけロックマン!」

右から来たのはボンバーマンのハイパーボム。
そして左から来た爆弾の形状もロックマンは知っていた。

…ロックマンは確信する。


ひた走る。森から、崖へ。

「そこまでだ、止まれ止まれええ!」
「オウ、こっから先は通せねえなあ!」

低い男らしい声が二つ。またドクロ型のロボットだ。
「フラッシュマンにウッドマンか!!」

そう。彼らはワイリーナンバーズ。
前回の戦いで敗れたのを、共通したドクロ型のボディでワイリーが復活させたのだろう。

340俺的アレンジの入ったロックマン3 VSドクロボット終盤:2009/05/08(金) 00:52:44
「タイムストッ…」
「そうはさせないよ?」
エレキマン。
「リーフシールド!!」
「そんなの切っちゃうッス!」
カットマン。
二人の助けをもらい、更に先へ。


崖をラッシュの助けもあり順調に登った…そこには。
「残念だが落ちてもらおうかあああ!」
竜巻を発生させるはエアーマン。

「おらっしゃあああああああ!!」
野太い声。ガッツマンだ。

岩をエアーマンとロックマンの間に配置、風避けとする。

風を避けたロックマンは岩を登り、エアーマンごと飛び越える。
「有難う!」
「ガッツ、ガッツ、ロックマン!」


敵も必死、仲間のみんなも必死。
ここで自分が倒れるわけにはいかない。


「でやぁあ!!」
メタルブレードが飛んできた。
「ロック、危ないっ!!」
ロックの前に現れ、超合金の歯車を箒で弾く赤いワンピース。

「ロールちゃん!」
「メタルマンは私が倒すから!ロックはこの先に行って!研究所はもうすぐそこよ!」
至近距離で向ける笑顔。
「…うん!」
そして彼は走り出す。
目を閉じ、箒を振り下ろし、地を砕く。
「………」
振り上げ、メタルマンに向かって突きつける。
「来なさいっ」


最後に待ち受けるのは勿論この男。
「よう、待ってたぜっ!」
着地、ドクロの体をぐるりと回転させる。

脚にブレーキをかけ、眉を寄せ、バスターを構える。
「クイックマン」

…戦いのときだ。
「また、お前と戦えるなんて夢のようだ…」
「そんな体で戦っても、君は満足なのかい」

クイックマンはやれやれ、と息をつく。
「以前以上のスピードに耐久力に攻撃力。
 …お前と思う存分戦える体なら、なんだっていいんだよ!」


そして研究所のバルコニーからその様子を見る影。…ブレイクマン。
「そろそろ俺も準備か」

341俺的アレンジの入ったロックマン3 VSブレイクマン序盤:2009/05/08(金) 02:02:07
再び現れたクイックマンとの決着をつけ、ワイリーの研究所へ。

「水の中での戦いか…」
「侵入、ヨクナイカメ!」
いつぞやのように、水中で大量のメカと戦い、

「ぶも、ぶもももももも!ぶも!」
「イエローデビル!!」

復活した黄色い悪魔と戦い、

「よう、」
「オリジナル!」
「兄弟が一気に3人も増えた気分は」

「「「どーーだい!」」」
3人のコピーロックマンとの対決。
だがそのうちの2人はホログラフだった。


「ぐるるるるー!今度こそやっつけるよロックマン!」
タップマン。
「ウッス!」
ハードマン。
「お前の体は、どうして思うとおりに動かない!」
マグネットマン。
「スパーーークショォオオック!」
スパークマン。
「先日は不覚を取ったが…二度も我が刃避けられると思うな」
シャドーマン。
「シャァァァ…歓迎するぜぇ」
スネークマン。
「串刺しにしてくれるわ!!」
ニードルマン。
「ガンマにはもう8つのエネルギーは送られた…お前には何も出来ないのさ」
ジェミニマン。


8人のロボットを倒し、いよいよ彼はワイリーの元へと向かう…
だがやはりまだ戦っていない相手がいる。


大量のスクラップに埋もれた部屋で彼は現れる。
「ブレイクマン!」

赤いバイザーのロボット、ブレイクマンは会うなり
その顔面パーツを変化させる。
「今回は悪いが本気でお前を止めさせてもらうぞ」


バイザーの中心に黄色い点が一つ。赤いフェイスマスクで全身全てを覆い…
彼のバスターが輝き始める。
「容赦なく行くぞロックマン」

小さく跳びバスターを放つ。
大きめのバスターが二発、ロックマンに向かい飛んでくる。
「うっ!」

回避。
「どうした!」
連射に入る。

「待ってくれ!」
それを飛び越えてバスターで一発。
「僕の話を聞いてくれ、ブレイクマン…」

「…ライトのロボットと話すことなど何もないな」
その言葉尻に篭った力。
それは彼の言葉とは逆に、ロックマンにそれを聞くよう決めさせた。

「…君は一体何者なんだい」
バスターを下ろす。
ブレイクマンはあらかじめ用意されていた定型の答えを話す。
「俺はお前を元にして作られた戦闘用ロボットだ」

その言葉では満足しない。
「どうやって」
ブレイクマンのバスターが頬を掠める。
「…そんなこと俺が知ったことか」
「…………じゃあ!」

342俺的アレンジの入ったロックマン3 VSブレイクマン中盤:2009/05/08(金) 02:03:47
ロックマンはバスターをブレイクマンのバイザーめがけ放つ。
「あの口笛は一体何なんだよ!」
バイザーにヒビが入る。
「……」
バスターを膝、肩に向かい放ち続ける。
…一瞬の間をおいて。

「ライト博士に聞いてみたんだ 妙な口笛を吹くロボットがいるって」
「ワイリー博士が気に入ったフレーズだってだけさ!」


「そのマフラー、そのバイザーの下のサングラス、その赤いボディ!
 そのバスター!」
ブレイクマンのバスターをロックバスターで弾く。
「もう…解っているんだよ」


「……あの日、僕が改造されたあの日、テーブルの上にあった
 戦闘用ロボットのセットは、君のスペアだったこと位!!」


ブレイクマンが床に転がるスクラップに向かいバスターを放つ。
「……全て知ってて言ってたのか 意地の悪い………」


「…意地の悪い弟だ」
白状した。
「僕が今使っているロックバスター、それにこのボディ。
 …全部、君が持っていたものの流用なんだ この動力炉もね…。」

「…何があったんだい ブレイクマン。 …いや
  ドクターライトナンバーズ・000番…『ブルース』」
脳裏によぎる光景。


博士の笑顔。
頭を撫でるしわくちゃの手。
窓の外の原っぱ。
博士が食べるおいしそうなハンバーグ。
置かれたエネルギー缶に持った不満。
エネルギー缶を頑張って飲んでみせようとする博士。
それを止める自分。

一生懸命に見せられた弟達の設計図。
いつか実現させたいその夢。
ラジオで聴いたメロディ。


そのラジオをにぎわせる物騒なニュース。
関係ない、という言葉。

見てしまったグシャグシャの設計図。
大きく真っ赤な×の字。
表題にあった「戦闘用」の文字。

話しても向けられなかった博士の顔。
心臓の痛み。
薄れ行く意識。


縛られた体、
向けられたアーム。
背後のスクラップ。


「…ハッ、何でもねえよ」
ブルースは腕を持ち上げバスターを構える。

「……話してくれないのかい」
バスターを片手で支え構える。

343俺的アレンジの入ったロックマン3 VSブレイクマン終盤:2009/05/08(金) 02:05:57
「お前はちょっと頑張りすぎたんだよ『ロック』
 …お前達はどう思う?失敗作君たちよ」
そのエネルギーの高まりに呼応するように、スクラップが動き始める。
「!?」

「あぁあ、あああ」
立ち上がる。
「うぅうう、うううう」
よろける。
「うげえええええ」
崩れる。

目の飛び出した、スクラップ達。

繋がり、合わさり、人型ロボットの形を形成…同じスクラップをかき集め、投げ始める。


「コレが…人間のすることさ。」

「ああああああ」
力なく投げ始める。

「わいりーさま」
ロックマンに向かい突進しようとするが途中で崩れる。
「はかせのため」
爆発する。
「ろっく、たおす」
ひたすらジャンクを投げ続ける
「あおいの、たおす」
死体を投げ続ける。
「ああああああああああああ」
壊れた声だけを出す。


「…」
目を背けるロックマン。
「気持ち悪いだろ? …見てられないだろ?」


「それでいい」


「コレが…『戦闘用』の真実さ」
彼のバスター…『ブルースストライク』が彼の腕へ向け火を吹いた。

344俺的アレンジの入ったロックマン3 ED:2009/05/08(金) 03:10:52
「最後だワイリー …タップスピン!!」

巨大なガンマの腕から作業台リフトへと飛び乗り、そこからガンマの頭へ
タップマンから得た特殊武器を発動。

高速回転を開始。頭脳部分からコックピット後部、首、胸までを抉り、外へと出、回転を止める。

「…な、何でじゃあああああ!?」


ガンマが崩壊。搭乗席からワイリーが投げ出される。
「す、すまなかった!ワシが悪かったーーーー!」

土下座で謝るワイリー。
…もうロックマンは知らんぷりを決め込んでいた。


だがそこに…
「…な、し…しまったぁ!!」

ガンマが崩壊したことで研究所自体が崩れ始めた。
「どうすれば…」


瓦礫が落下してくる。
「わ、わああああああ!?」
ワイリーの頭にも。
「ぐえ!!」

「っ………!!」
そしてロックマンにも。
脳天に瓦礫が落下、強烈なショックで意識を失う。
「うっ……あぁ… …ああ…」
そのまま瓦礫の下敷きに。



こうしてロックマンとワイリーは共に研究所の下敷きに……
いや。それを許さない者が一人いた。
「ロックマン、大丈夫か!!」
瓦礫を破壊。救出する。だが……
「Drワイリーは… ダメだ、間に合わない!!」



ライトのことは許せない。許す気もない。
…だが、弟達になんら罪はない。

だが彼は結局、ロックマンの意思に敗れた。
スクラップになっても、いずれ滅びる運命にあっても
それでも戦いたい、守りたい者達がいる…ということ。

…ならば、その様子を遠くから見守ろうと決めたのだ。



「ロック、ロックーーーー!!」
ロールちゃんの声。

…目を開ける。
ライト博士が喜ぶ。
「…おお、ロック、目覚めたか!!」
目を開ける。
「…はか…せ…?」


そして6人の弟達の歓喜の声。
…嬉しそうだ。…こんなにも自分は恵まれている。

そして、それを作ったライト博士が…あんなことをするはずがない。
ブルースとも、きっと…。

「しかし、一体誰がお前を助けたというんじゃ……?」
「…さぁ……。」


すると、口笛が辺りに鳴り響く。
「ん…あれは…?」
「!!」

「誰の口笛かしら……」

ロックマンは走り出した。…その口笛の奏でられる方向へ。


息を切らして走る。走り続ける…。ただ一言、有難うを言うために。

…そして、いつか帰って来るように彼に言うために。


ロックは走り続ける。しかし……

口笛は、いつしか止んでいた。彼はもう近くには居ないのだろう。
でも、いつかきっと会える。 …自分が守り通した、自分の色の空を、
ロックマンはただ見上げるのだった。

…木陰のUFOに気付くことなく。
そして、そのUFOに搭載されていた…ガンマの中に納まっていた8つの星のエネルギーがいずれ引き起こす事態を、何も知ることなく。

345俺的アレンジの入ったロックマンゼロ1→2:2009/05/08(金) 03:42:42
軌道エレベーター最上階にて…
宇宙空間へ浮かぶエリアXの残骸を見つめる3人のレプリロイドの姿が。
「……………まさか」
ハルピュイアが唇をかみ締める。

「ゼロの奴、やってくれたなぁ………こりゃ大事だ」
ファーブニル。

レヴィアタンはと言えば、ここで死を迎えた金髪の女性のことを思っているのだった。
…彼女の母親的存在であり、彼女の姉のような立場でもある…エイリアのことを。

「…ゼロ……か」
ハルピュイアは再戦を決意する。
だが…彼らにもコピーエックスへの疑問がなかった訳ではない。

「……取り敢えずこの事は表沙汰にはするな」
「勿論よ。エックス様が死んだなんて言えるわけないじゃない」
「レジスタンスも随分やってくれるぜ、ったく…。」


「……奴らの考えも一つあるが……甘すぎる…。」
そこに、通信が入る。
「何だ」


ガネシャリフから得たデータの解析が進んだとのこと。
「よし…今行く。」


ネオアルカディア・聖域内の神殿にて。
「…どういう情報が得られた」
「はーい。これなんですけどー…見てもらえますかー?」
呼び出したのはパレット。

「…………。」


まずはガネシャリフの目線で捉えた視界の映像。
「あん?何だ…この、【ΣV】って文字…」
「途切れているようだな」
「…何の意味かしら」

続いて映し出されたのは、ガネシャリフから得られた、羅列された情報の文字列。
「Dr.W LAST No.【No∞ ZERO】…?」
「…お、オイオイ…コレやべえんじゃねえのか」


青き英雄エックス様の元、人類の生存圏再生と
平和を脅かすイレギュラーから人々を守るため、粉骨砕身し励むこと……。


目の前のその目標に突き進むだけだった彼らに、その日変化が見られた。



「……レヴィアタン、ファーブニル」
「指図すんなよピュンパぁ」
「誰がピュンパだ」

「えらそうな口利かれるのは嫌だけど、何となくアナタの言おうとすること解るわね」
「皮肉にも、エックス様がいないことで、俺達の権限は増えたはずだ」

机を叩く。
「………奴について、ネオアルカディアの隅々を調べて、情報を集めるんだ。
 そして、今までの何倍にもましてゼロ撃破へ向け腕を磨くこと!」

「へっ!」
「言われなくても、よ」

そしてそんな彼らをよそに…
その日、一人の男がゼロなきレジスタンスベース跡へと帰ったのだった。
「シエルさん ただいま戻りました…お久しぶりですね」

「……あなたは…!」

346Aria:2009/05/08(金) 23:53:59
今日は俺の誕生日でした
というわけで擬人化竜達からプレゼントをry

ルルカ「バ…っ! 今日はお前の誕生日だろうがっ!!」
http://imepita.jp/20090508/852760

ガノ「ダークお兄ちゃんお誕生日おめ〜w わたしの誕生日は倍返しでお願いね?」
http://imepita.jp/20090508/852990

ナッチ「これ…、サイズ合うかどうかわからないけど…」
http://imepita.jp/20090508/853240

バサル「おっおおっお誕生日おおおおおめでtr△めるぽξ・∀・)☆@くぁwせry!!///」
http://imepita.jp/20090508/853480


おまけ、ルルカに余計な事を言ってしまったが為に…(未完成)
http://imepita.jp/20090508/853780

347俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第一話 前半:2009/05/09(土) 00:15:03
乾き、ひび割れた地面……赤々と燃える夕日。


薄茶色のぼろ切れをマントにして砂嵐の中を歩くレプリロイドが一人。
一歩、また一歩と歩き続ける。


彼は体力を減らさぬよう走ることなく、ゆっくりと歩みを続ける。風避けになるような場所は…ないから。

何故歩かねばならないのか?彼を追うもの達が彼を追っているかも知れないから。



風が止む。

…彼の背後から、青き集団…ネオアルカディアがやってくる。
その足音を聞き…彼は歩みを止める。



口を覆う布を外す。

マントを投げ捨てる。


…傷だらけの顔で振り返り、きつく睨みつける。



最強のレプリロイドはここに…しっかりと生きていた。



ネオアルカディアの君主が倒された初夏のあの日から一年と少しが過ぎ、今の季節は秋。
その間、誰にも頼らず、何処にも立ち寄ることなく…


彼はずっと、ネオアルカディアに見つかっては戦い、逃げ続ける逃亡生活を送っていた。

彼の栄養源は日光の他は敵から奪ったエネルゲン水晶や、敵から奪った動力パーツのみ。


戦争時点までの力を取り戻した彼に与えられた1年以上もの過酷な戦いは、彼にとって更なる鍛錬の日々となった。

少ない体力で、強力な一撃を繰り出す。
エネルギーを減らして長い距離を走り、短い休息で体力を最低ラインまで取り戻す。



「…しつこい奴だ」
連なったその頭をチャージショットのエネルギー弾で串刺しするように貫き、
彼は逃げ始める。


前方に現れたパンテオンを気付く暇さえ与えず斬る。
大声をあげて飛び立つ鳥メカニロイドを地上付近で両断。

サボテン型のメカニロイドは上下に斬り、素早く倒す。

そして真っ直ぐに駆け抜ける。大きく跳ぶ。


見つからないよう、浪費しないよう、時間をかけぬよう。
最小限のエネルギーで戦うことを心がけた結果、彼は一撃で敵を倒すよう第一に心がけるようになった。


「…懐かしい敵だ」

懐かしくも新しい顔ぶれの敵が現れる。
ゴーレムの強化版、ゴーレム・タイプE。

レーザーの発射位置を予測し回避、頭へ着実にチャージショットを当て続ける。
撃破。

少し進んでもう一体。これも撃破。


また走る。
ひたすら走る。
段差、谷すら構わずに跳び続ける。

残された体力は僅か。全力で戦えるほどのエネルギーは3ヶ月前にとうに尽きている。


前方からパンテオン。だが彼の意識はそこへは向かっていない。

「………誰だ、そこにいるのは」
巨大なハサミが飛んでくる。それを飛び越す。
パンテオンはハサミの餌食になる。

348俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第一話 後半:2009/05/09(土) 00:16:11
「逃がしてはくれないか」
背後の岩壁を粉々に粉砕し、現れる。


追跡軍の切り札、巨大メカニロイド…『メガ・スコルピア』だ。
100年前、ある組織が使っていたメカニロイドの兄弟機である。


その腕のハサミでバスターはガードする。
ハサミのガードがない所を見計らいチャージショットを放つ。


尾がゼロ目掛けて地面に突き刺さり、その周囲を粉砕する。
そのタイミングでゼロはスコルピアの頭へと近づき、セイバーで一撃、同時に戻る。

ハサミが飛んでくる。これは先ほどと同じように大きく跳んで回避。

セイバーを頭へと直撃させる。戻ってきたところをまた跳び…
バスターを一発。ハサミで防がれる。その間にチャージ。

ハサミによる防御が解けた瞬間…トドメの一発、チャージショット。


尾が力なく落ちる、動きが止まる、そして爆発。
「………」

気は抜かない。…爆発に紛れて何が来るか解らない。

…だがそのまま爆発。辺りに静寂が戻る。



…5秒。 …何も起こらない。やっと彼は安堵する。


…だが今度は、脚が動かない。
まぶたが重くなる。体が重くなる。

「……さすがに、限界…か」
そして…彼は倒れた。

風が彼の姿を消していく。 …また強い風が吹き始める。


「……居ましたね」
すっと、スムーズな動きで地面に柔らかく落下する4つの脚。
……蘇ったかつての敵…『アステファルコンR』だ。

そして…それに乗るは四天王の一人、ハルピュイア。
「ご苦労」


…あれから1年以上。彼らはネオアルカディアを任され、
色々なことを調べて回った。

そしてその中に、彼らが仕えていた、ゼロが倒した『エックス様』についてのことも知った。
だが、本物であろうとなかろうと。 彼が仕えるべき相手が増えただけである。

…もっとも、その二人ともが今は亡き存在なのだが。

主君の仇が目の前に倒れている。
「…見つけたぞ、ゼロ」

アステファルコンRが爪で地面を踏みしめる。
…ハルピュイアにとっても、かつて自分を負かした相手。憎き敵。
「…さて。このまま殺してしまうか」


「…それとも………」

349俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第二話 前半:2009/05/09(土) 01:16:16
「それでは、作戦の説明を終わらせたいと思います。
 エックスのいない今がチャンス!
 皆さん、それぞれの任務に励むように!」

「おおおーーーー!『明るい未来をーーーー!!』」


『明るい未来を』。
レジスタンスベースの合言葉となった言葉。

提唱したのはシエル。
だが今、そうして作戦会議を執り仕切ったのは…

「…エルピス。本当にそれで大丈夫? …あまり、やり過ぎないでね」


綺麗に整備され、最新設備の整った新レジスタンスベース司令室の中心に立つは
紫の派手な服に身を包み、片目の隠れた帽子つきヘッドパーツをつけた…

くるりくるりと巻いた長い金髪の、華奢な長身レプリロイド…『エルピス』。
…男性である。

「ええ、解っていますともシエルさん!」
声のトーンが上がる。


「あくまで、シエルさんの研究が完成するまでの時間稼ぎ…ですよね?」
爽やかな笑顔を向ける。
「……。」
シエルは怪訝な表情で見つめる。
「…それなら、いいんだけど」

「…まぁけれどそうですね。
 わかってほしいのです。我々は十分に力をつけました 英雄に頼っているしか出来なかった頃とは違うんですよ」

エルピスというこの男は、自分の任務中に現れ、エックスの首を取ったとされる
伝説のレプリロイドをライバル視していた。


「…しかし、本当に彼が力を貸していたのですか?
 ネオアルカディアのトップの…あのエックスの親友なのでしょう
 今どこで何をしているやら。或いはそんな者が本物のゼロだったのやら…解ったものでは。」

シエルは真っ直ぐな目で彼を見つめて言う。
「………そうかもしれない。けれどね、彼は生きているし、私達に力も貸してくれている。」
「……シエルさん」

「私にとっては、あの人こそがゼロなのよ。」
…彼が戻ってきたら彼にその言葉を言おう。彼女はそう思っていた。


「…………ま、…まあそういうことでしたら私はそれ以上は言いませんよ
 私から何か言ってもアナタの機嫌を損ねるだけだ」
機嫌を悪くしているのは本当はどちらなのだろう。
「うん…ありがとうね、エルピス」
彼女は全く気付いていない。

「………しかし、あれから1年以上しますしねぇ」
指をとんとんと鳴らす。


気まずい空気が流れた司令室に……叫ぶような大声が響き渡る。
「おおおおおおおおおおおおおおい!!
 おおおおおおおおおおおおおい!!
 みんなーーーーー!!みんな聞いてくれーーーーーーーーーーーーー!」

一人のレジスタンスがどたどたと走ってくる。
「ゼロさんが!! ゼロさんが表で倒れてるぞおおおおお!」
「!?」
一同が振り返る。

ゼロの帰りを待っていた者、ゼロの帰りを絶望視していた者、ゼロを話でしか知らなく、見てみたいと思っていた者。


「ゼロが!? …うん、今行く!」

シエルが走り出す。
「………」
エルピスが無言になる。

「…エルピス司令?」
オペレーターの声。
「…ああ、ははは…お気になさらず。感激のあまり少し言葉が出なく、ね…」
ならば拳は作らない。
「ゼロさん…か」

350俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第二話 中盤:2009/05/09(土) 01:16:54
「ん…」
まぶたが動く。
「………。」
首が動く。

「!!」
カバーが取り外される。
「…ん!?」
ゼロが起き上がった。

「ゼロ…!」
不安に満ちていたシエルの表情が崩れる。
「………おお、ゼロ!! 本当にお前は無茶をする…!…心配していたんだぞ」
セルヴォも。
「……お前達… …ここは一体」

「ここは新しいレジスタンスベースよ。新しいメンバーも沢山来てくれた。
 …みんな、あなたのことを待っていたのよ…… 本当に…よく帰って来たわ…。 …おかえり、ゼロ」
肝心のゼロはぼやっとしている。
「…ああ。」

「目覚めたばかりだ…もう少し寝ていた方がいい。私達は邪魔になるから下がってることにするよ。シエル、来なさい」
「ええ。 …あ、後で私達の部屋に寄って行ってね」
未だ呆けているゼロを尻目に。

「…………」
起き上がる。


「わーーーー!ゼローーーー!おかえりなさーい!」
アルエット。
「おお、新入りかね?」
アンドリューは残念ながら忘れていた。

「やあ、君がゼロかい?思っていたイメージと違うんだね もっとガタイのいいレプリロイドかと思ってたよ」
新しく入ったレジスタンス、イロンデル。
「あ、ゼロさんですね!はじめまして!わたくしぺロケと申します!」
眼鏡の少年レプリロイド。
「あらー、アンタよく生きてたわねー!」
恰幅のいいおばさんレプリロイド、ロシニョル。


「…………ここは本当にレジスタンスベース…のようだな」

司令室へ向かう。
「フフッ…」
「…」
セルヴォの部屋へ直行。

「!? ま、待ってください、挨拶くらいはさせてくださいよゼロさん」
エルピスが呼び止める。

「…すまない」
「レジスタンスを救っていただいた伝説の英雄ゼロさん、お話は聞いていますよ。
 この度、レジスタンス指揮官の任を受けました、エルピスと申します。以後、お見知りおきを。
 共にネオアルカディアを倒しましょう。」
握手を求める。
だがゼロはこれに応じない。
「倒して終わりなら… シエルも悩まないだろうな。」

すたすたと歩く。
「…………ははは… ならばアナタならどうするっていうんだ」

351俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第二話 終盤:2009/05/09(土) 01:17:32
セルヴォの部屋。まずこれがなくては始まらない。
ゼットセイバーとバスターショットを渡される。

「ほれ、直しておいたぞ」
「すまない」
セイバーを受け取り起動させる。

「…しかし、以前と形状が変わった気がするね」
「確か…コピーエックスとの戦いの最中に変化したようでな」

真っ直ぐな直線の刃から、広がった刃へと。
そのセイバーは個性的な形状へと変化していた。

「そして、シールドブーメランも直しておいたが…
 トリプルロッドはダメだな。私が改造を加えておいたよ 『チェーンロッド』と名づけた」

「…ほう」
上へ伸ばすと鎖が伸びる。そのまま天井に刺さり…
「あ」
セルヴォが細かなことを気にする中、鎖をよじ登り、ぶらぶらとターザンごっこをしてみる。
「…なるほど。耐久性は確かだ」
刃を外し、しまう。
「すまないな」

続いてシエルの部屋。…何か気配がする。
「…ん?」

見ると、シエルが向かっているデスクトップ式コンピュータに直結した
カプセルの中に何かが浮いている。
気配の正体…丸い球体。
「…アレは……何だ」
「あ。」

シエルが気付き、振り向く。
「…ゼロ。改めておかえりなさい。…どう?新しいレジスタンスベースは」
「慣れるまで時間がかかりそうだ。よくこんな所を見つけたものだ
 …それはそうと。」

「ああ。これはね 前に言った、エネルギー問題を解消するための研究に使っている子なの」
「子。」

よく見ると中には閉じられた目が。
「……サイバーエルフか」
「ええ。…ベビーエルフ、って呼ばれているらしいの。エルピスが見つけたみたいでね」
「…そうか」

「この子からは特殊な反応があるみたいで、
 それを使えば…もしかしたら、新しいエネルギーを作り出せるかもしれないのよ。
 …痛いこと、辛いことはしないようにしているわ」
「なら安心だ」

そして話は切り替わる。
「…エルピスのことなんだけどね。」
ゼロの表情が変わる。
「あの人、悪い人じゃないのよ?信じてあげて。
 …少し、平和を求めるあまり先走ってしまうところはあるんだけど」

「…そうだろうな」
「彼を支えてあげて。お願いだから…」
「ああ…」

そんな所にベース内の放送が入る。
「ゼロさん、ゼロさん 至急司令室までお越しください」
すぐさま向かう。


「…なんだ」
「作戦の実行に移ります。 ゼロさんにも何かお手伝いしていただきたいのです、が…
 そうですね」

ゼロの実力はある程度わかっている。
エルピスは少し意地悪に、危険なミッションを彼に差し出すのだった。
「ではこのミッションに向かっていただけますか?」

352俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第三話 前半:2009/05/09(土) 03:24:41
ついた場所は南極。
「………敵の基地破壊、ということらしいが」

オペレーターからの説明。
「基地内のコンピュータを破壊してください、全部で5機存在し
 冷却機能も兼ねているため、破壊することで基地内の温度が上がるので解りやすいかと」
「…了解した」

メカニロイドの反応がある。水面上に居ては狙われるだけ。
水中に潜り、水中の魚型メカニロイドを回転斬りで倒しながら先へ進む。

「…基地は近いか」
大きな柱を登り、空中砲台メカニロイドを斬りながら落下。基地内へ潜入する。


「…」
ゼロは逃亡生活の間に、ある力に目覚めていた。
それは、先ほど挙げたように『ゆっくり地道に進み』、『敵を素早く一撃で倒すよう心がけ』
『エネルギーを無駄にしない戦い方』をした結果、
発現した一つの能力。

「……『エナジーフォーム』」
ゼロのボディカラーが黄色に変化する。
メカニロイドをいつも以上の攻撃力でスパッと一撃で刻み、足を運んでいく。


そう…これはゼロの覚醒。
自らの戦い方に合ったようにその能力をある方向へ伸ばしていく…
その形態一つ一つは『フォーム』と呼ばれる。

その内のひとつを彼は得ていたのだ。


エナジーフォームのゼロは歩みが遅い。それ故、
滑る氷の上では安全に動け、且つその高い攻撃力で敵を着実に仕留めることが可能。
少ないエネルギーをノーマルフォーム以上に多く摂取することが出来るが…ダメージを負わないこの戦いでは意味はなかろう。

パイプの上を走る砲台を斬り破壊、
氷を押すメカニロイドも破壊…そしてその奥にあるコンピュータを斬る。
「1機目を破壊した」

水中へ潜り魚レプリロイドを始末し
「2機目」

「この棟にあるコンピュータはその2機です、残りの2機を破壊するため、
 隣の棟に移ってください」


指示に従い、敵を倒して渡り廊下へ。
窪んだその通路で……何かが現れる。

「種類は増えたようだな」
ゴーレム・タイプI。

ツララを生成し、撃ち出して来る。
これを回避してチャージ斬りを2回…あっという間に沈んだ。
「だが以前は一発だったはず……どうしたものだ」

隣の棟へ…
そこにはパンテオン兵が大量に配備されている。

353俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第三話 後半:2009/05/09(土) 03:25:18
ここもエナジーフォームのまま、高い攻撃力を活かしパンテオンを切り刻む。
機動力が少ないのが難点だが、トラップを抜けるには十分な速度。

大きく跳んで飛び越し、敵を倒してまた飛び越える。
「3機目」
登る、降りるといった行程を繰り返す。
「4機目」
後は基地を管理するミュートスレプリロイドを破壊するのみ。


「ボファー!? 暑い、体が暑いボファー……!!」
巨大な白熊型レプリロイドが暑がっている。…室温5度。

「オデの基地に何しただゼロー!」
「お前は…属性から言ってレヴィアタンの部下か」

「んだど!レヴィアタンざまに任せられだだ!ボファー…
 お前、この『ボーラー・ガムベアズ』が氷漬けにしてやるど!」

正しくは『ポーラー・カムベアス』との戦いの始まりである。


どすんどすんと移動してくる。
これは多分、見た目と打って変わって素早い敵…という可能性はなさそうだ。
壁を蹴り、飛び越し背中を斬りつける。
「ボファー!?」

勿論手持ちのアイスチップは通用しない。
氷の柱を避け、切り刻む。

だが、このセイバーは一撃の攻撃力は高いものの、連続して斬るのは向かない。
氷の弾をよけて一撃。更に向かってきたところをチャージショットで一撃。

「ボファーー!ごどー、ごどー!!(このー、このー!!)」

大きな氷の柱を作り出し、上下に叩き砕く。氷の破片が飛んでくるもこれをかわす。
「さぁ、行くぞ…」

壁を蹴り…大きく跳び、大きくセイバーを振りかぶり一撃。
「ボファーーーー!?」


大きな体が真っ二つに切れる。
「……………!」
司令室にいたエルピスも思わずその様子を見て唖然とする。

「ボファーーーー!? お、オデが…こんな奴に……!? ボファーーーーー!!」


むふーに続きボファー。レヴィアタンの部下は変わった口調の者が多いのだった。

354俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第四話 前半:2009/05/10(日) 22:30:48
「……………」
あまりのゼロの強さ…沈黙するエルピス。

ゼロの帰還。
「…ははは。素晴らしい実力ですね… ご苦労様ですゼロさん」
「ああ」
ミッションはその翌日、また言い渡されることとなる。


「…ゼロさん、今日のミッションは物資の強奪です。
 ネオアルカディアの貨物列車に潜入し、物資を奪ってきて頂きます」

さらさらと簡単な説明だけをし、オペレーターはゼロを転送する。
「3………2………1…… 転送!」
しかし違和感を覚える。 …コンピュータが何かおかしい。
「…………やけに動作が重いような」


着いた先は列車の上。主に貨物の積まれている車両まで一気に走る。
走るためにはエナジーフォームでは向かない。ノーマルフォームに切り替える。

いつぞやのようにタイヤ型メカニロイドを投下してくる運搬メカニロイドを回転斬りで対処。
先へと進んでいく。

ドップラー効果でサイレンの音が前から後ろへ高低をつけ流れていく。
1,2,3回…そして…
「!」
列車ギリギリのサイズのゲートが通過。列車の屋根上に居たパンテオンはゲートに激突、粉砕される。

先へとまたひた走る。
列車内へ落下、ヤドカリ型メカニロイドを倒し、更に先の車両へ向かい進んでいく。
パンテオンは一気にチャージショットで撃退。


そしてたどり着いた貨物車両。この先、ゲートは存在しないようだ。
「…来るか」
メカニロイドの影。
「巨大な貨物コンテナの転送までは時間がかかります、
 荷物を移されないように運搬メカニロイドを破壊してください!」

戦闘開始。
前から後ろから上から。飛んでくる運搬メカニロイドを回転斬りで次々斬り刻んでいく。
「大分かかりそうか」
「ええ…1分ほど」

際限なくやってくるメカニロイド達。チャージショットでは撃退は難しい。
ひたすら斬り続ける。

何体も斬り続け…
「転送準備完了いたしました、有難う御座います!」
敵の方も止んだ模様。転送ポイントである先頭車両へと進んでいく。

二つの路線が並び…列車がやってくる。同じく先頭にはメカニロイドが乗っている。
「…ミュートスメカニロイドか」

爪の目立つ、黒い豹。
「ここぁハルピュイア様の部下、『パンター・フラクロス』様の領域
 入ってくるとは活きのいいレジスタンスだ 可愛がってやるぜぇ!」


「いくぜぇ!」
戦いが始まる。

「らぁああ!」
まず爪から発した電撃を弾にして放つ。
これを二つまとめて飛び越えてチャージショット。
「うぉああ!?」

爪からブーメラン軌道の衝撃波を放つ。
これもまとめて飛び越えてフラクロスの背後へ。
払う、袈裟斬り、振り下ろす三段斬り。
「うぬううっ…てんめぇえ!!」
「…」

ゼロのいた車両へジャンプ、空中から爪の衝撃波を放つ。これは戻らず別々の方向へ放たれる。
間を縫って回避、チャージショットで攻撃。
「うがぁああああ!!」

そろそろ追い詰めてきたようだ。
「頭くる奴だぁ!!」
跳びあがり、ゼロに向かい蹴る。100年前のドラグーンのように。
これを寸前で回避、チャージ斬りをフラクロスに放つ。
「ぉあああああああああああああああ!!」

355俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第四話 後半:2009/05/10(日) 22:31:56
フラクロスが離れていく。
やはりミュートスレプリロイド程度ではゼロの敵でもない。
「その程度か」

「………ちっ」
その瞬間…


「…!? た、大変です!コンピュータが何者かにハッキングを受けています!!
 …ど、どうすれば…!?」
レジスタンスベースにてオペレーターが騒ぎ始める。

「こんなこともあろうとなぁ…アステファルコン様はレジスタンスベースへお前を送り届ける時、
 装置を取り付けていたのさぁああ!!」
「……俺をレジスタンスベースに送ったのは奴だったか」


ゼロとフラクロスは転送…レジスタンスベースへ。
「ちっ…」

「ゼロ!?…まさか!!」
「逃げろシエル!」

「何てことだ…」
エルピスが頭を抱える。シエルがレジスタンスを避難させ始める。
フラクロスはベースを駆け回り、レジスタンスたちを追い続ける。
一箇所へと追い込もうとしている。ゼロはそれを追う。


…そして1Fへ…外へ。 
レジスタンスベースは崖の上にある。…コンテナ置き場からは地は続いていない。
シエルを含めたレジスタンスたちは崖っぷちへと追い込まれたのだ。

「オラオラあああああ!!
 コイツらの命が惜しければ俺に従えゼロおおお!」
息の上がるフラクロス。

「…………」
黙るしかない。
「オラぁあ!」
尾からの電撃がゼロへと打ち込まれる。
「…!!」
ゼロの体が痺れる。
「ハーーーーッハッハァァ!!」
「…!」
そのまま壁に叩きつける。
「エックス様を前にしておきながら、
 レジスタンスの救出を優先して逃げ去った臆病者だと聞いているぞ!?
 人質取られたらすぐそれだ!ザマぁねえな英雄さんよ!」

エックスがいなくなった、というニュースはネオアルカディアには流れていないのだ。

…どちらのエックスにしても。
「そんな約束、守ると思ったか?バーーーーーカ!」

何も知らぬフラクロスが口を広げ…レーザー砲を構える。
「ハルピュイア様が目ぇつけるまでもねえ!」
ターゲットは…シエル。
「さらばだ、ゼロおおおお!」
「!!」

その時…
「んな!?」

ゼロの色が変化。…エナジーフォームへ。
「のああああああああああああああ!」

フラクロスの体が吹き飛ぶ。
「…ゼロ。」
月夜をバックにチェーンロッドを舞わせるゼロ。
「調子に乗りすぎたようだな。」

フラクロスが四つんばいになり、体を起こそうとし始める、が。
「て、めぇ…!?」

先端を投げつけ…突き刺す。
「ごああああああああああああああああああああ!!!!」
貫通…破壊。

フラクロスは月夜のレジスタンスベースで散っていったのだった。

356俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第五話 前半:2009/05/11(月) 00:26:38
「…まさかレジスタンスベースがハルピュイアの奴に狙われていたとは…。」
エルピスが爪を噛む。
「俺が追ってきたゴーレムは雷属性に改造されたタイプだった。
 ハルピュイアの手の者達だろうとは思っていたがな…」

そこにセルヴォが現れる。
「おお、いたかゼロ! もうミッションへ行ってやしないかと思っていた所だ」
「…セルヴォか。どうした」

彼がゼロに手渡すは黄色のチップ。
「……それは…」
「サンダーチップだ。フラクロスを回収してみたら見つかってね」
「……2つ目のエレメントチップ、という訳か」

氷に続き雷。二つ目の力を手に入れたゼロは
次なるミッションへ。
「…今回のミッションはパンテオン製造基地の破壊となります
 工場を動かす動力炉は全部で4基 全て破壊すれば工場の動きは止まると見ています」


転送される。
パンテオンが大量に存在しているのが見てとれる。
チャージショットで貫き、工場内へと。

「何だ?」
テリーボムと呼ばれる200年前から存在するメカニロイドの亜種が飛んでくる。
バスターショット一発で簡単に吹き飛ぶ。そして壁にぶつかると…

派手な爆発を起こす。
「危険なメカニロイド…だが」
工場の破壊にも使うことが出来る。


壁をテリーボムで破壊、床を破壊、天井を破壊。
次々に進み続け…地下のパイプが張り巡らされた部屋にたどり着く。
「下に何か反応があるな」
テリーボムを誘導、ジャンプして上から叩き落とし、床を破壊。

「…何だこの敵は」
その先に待っていたのは赤いゴーレム。…ゴーレム・タイプF。

「コイツからはエレメントチップは出そうか」
「…難しいが、まずは倒してみてくれ」
バーナーで作った炎を輪にして飛ばしてくる。
これを潜り雷のチャージバスターを2発。…すぐに倒すことが出来た。
「…ここは外れか?」

とにかく複雑なこの工場内。
レールを伝ってくる敵の電撃を避けて梯子を登り、動力炉の1つ目を破壊、扉を潜り2つ目を破壊。
戻って一つ破壊、最後に足場についたトゲをテリーボムで破壊、安全にして進んだ先に…

「こんなところか」
防衛機能を破壊して4つ目も破壊。

エルピスの通信。
「…ミッション完遂、有難う御座います。
 …しかしどうやら、ミュートスレプリロイドの反応がある様子。転送の妨げとなっているようです
 …ゼロさん、お願いできますか」
「…ああ」

長く流れる、輝くものとそれに反射する光が正反対の位置で、円を描き飛ぶ。
そのまま空高く舞い上がり……燃え上がる。鳥の形。
輝いていたのは尾。
「我が名はファントム様の部下だった者『フェニック・マグマニオン』
 不死鳥たる私が貴様の罪を燃やすため舞い降りてやった… 感謝するがいい」

戦いが始まる。
マグマニオンは構えている。その体勢からならセイバーでの一撃は回避される…そこで。
「ふん」
バスターショットを一発。
「甘いっ!!」
体を斜め後ろへずらし回避。そのまま炎を纏い突進攻撃へと移ってきた。

「やはりな」
サンダーチップの効果を発動。雷属性のチャージ斬りだ。
「おおお!?」

357俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第五話 後半:2009/05/11(月) 00:27:46

姿を消す。ワープ機能があるようだ。
「ファントムの部下は炎を使う者が多そうだな」
ハヌマシーンもそうだった。

「喋っている場合かな!?」
上からの急降下。
一歩退きチャージ斬りで対応。
「おあああああ!?」

また待機に入る。バスターにチャージ斬り。同じことを繰り返す。

「うっ…ならばこれなら!」
前、後ろ、前上方、後ろ上方。4人のマグマニオンがゼロを取り囲む。
「…そうきたか」
4方向からの一斉攻撃。

だがゼロは慌てず、自らの向いている方へ向かいチャージ斬り。
正直、分身を見破ることは出来ない。 …だがこの攻撃をマグマニオンは退くことなく耐え切ることは不可能であり、
前方に跳びながら放てば後方だった場合の攻撃を食らうこともない。

「ちっ…」
一瞬にして判断、マグマニオンの攻撃を避けたゼロ。
またも待機の姿勢に入るが…
「3度目で通用すると思うか」
バスターで一発。…だがここで。

「甘い」
マグマニオンが揺らめく。
「…!?」

炎を纏ったまま、マグマニオンが高速でゼロを追い回す。
「どういうことだ!?」
バスターも通用しない。逃げ続ける。


「追いつけませんか…ならこれならどうです!」
マグマニオンが高速化、光となってゼロを貫く。
「…!」

痛みはない。だが…
「さぁ、痛いのはこれからですよ」
マグマニオンの周囲から何かが生成される。
「あなたには自らの罪と戦ってもらいましょう」

揺らめく影が…ゼロへと突進を始める。
「ハーーッハッハッハ!100年ぶりだなゼロ!」
VAVA。
「私の剣技をもう一度ご覧に入れましょう」
アジール。
「博士の仇だ…行くぞゼロ!」
ヴァジュリーラ。
「まさかジェネラル様のみならず    を貴様が殺すとは!!」
カーネル。

「…誰だ…!?」

VAVAは炎の壁を発生させる。
「なっ…」
超えたところにアジールの高速剣。
「速い…!?」
ヴァジュリーラが輪を放ちゼロを拘束しようとする。
「厄介な奴だ…」
カーネルが目の前に現れ一撃を見舞う。
「!!」
一歩退きこれを避けると今度は回転ブレードの嵐。
「やーあゼロの旦那ぁ!」
エネルギー球が地面を転がる。
「デスボール!」
ノヴァストライクがゼロに向かい突き刺さる。
「行くぞゼロ!!」
「お前…エックスか!」
上から剣が3回にわたり振り下ろされる。
「フハハハ、ゼロよ!!食らえええええええ!」


8人に囲まれた。
「これは私としても驚くべき結果… あなたの罪がこれほどまでとは」
8つの影が…一つに重なる。最後の一人が現れる。

…それは一人の少年の姿。
「やぁーゼロ!僕だよ僕。忘れたかな? アク」
斬る。

「な!?」
マグマニオンの動揺。

「誰だかは解らんが……余計なことをしてくれたな」
過去を切り捨て走る。

「…わ、私の技…が!?」
チャージ斬りを放つ。
「あああああああああっ……!!
 …貴様の罪は消えない…私は、何度でも蘇る…貴様を地獄で裁くため…!!」

358俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第六話 前半:2009/05/11(月) 01:51:49
「…皆、覚えのある声だったな」
転送される。

エルピスとセルヴォが頭を悩ませている。
「…ダメージが激しいようですね…」
「うむ。少し残念だが、ゼロならきっとやってくれるさ」
「…どうした」

「マグマニオンからフレイムチップを取り出せればと思っていたのですが…
 どうやらそれが出来そうにないらしいのです」
「…すまない」
取り敢えず暫くはアイスチップとサンダーチップで進むこととなりそうだ。
「…次のミッションの説明に入ります。実際に向かっていただくのは明日で結構です」



そして翌日向かったのは…デュシスの森。
「救出ミッションだそうだな」
「厳密にはレジスタンスメンバー救出より優先すべき事項がありますが…あなたならどちらもこなせるでしょう」


ベビーエルフを手に入れること。
…シエルの部屋のカプセル以外にもいたのだ。
「…クリエ?」
「ええ。アルエットが名づけてくれたらしいの」

ゼロは森の中を進む。
蜂型メカニロイドを斬り、食虫植物型メカニロイドを飛び越えて先へと進んでいく。
モグラ型も倒して更に先へ。

「遺跡の中か」
チェーンロッドを使って渡り遺跡へ近づく。
遺跡の中は入り組んでいる。
蜘蛛型メカニロイドを倒して下層へと進んでいく。

「遺跡とは言っても…まだ新しくも見えるな」
「戦争時代の封印施設ですしねぇ。…ゼロさんよりも若いのでは?」

エルピスの嫌がらせに気付かずに扉を潜る。
「………よく出来たトラップだ」

壁にある巨大な、一つ目顔の口からトゲの生えた床が伸びてきた。
「飛び越えさせも落ちさせもせずに…」
弾力のある酸の塊と、反射ビームを放つ。
「ひたすら嬲り殺すつもりか」

エナジーフォームへ変化、チャージショットを撃つ。
「…水攻め…」
部屋を水浸しにし始める。
ならば好都合。もう一発チャージショットを撃った後に
ゼロは浮力を使い一つ目の顔へと跳び…チャージ斬り。
「倒したか…」

トゲの床も破壊、そのまま落下。遺跡の先へと進むと…
「ああ、ゼロさん!ありがとうございます…
 まだ自分の他にも仲間がいるんです、助けてやってください!」
レジスタンスだ。続けて…
「…すけてー……」
小さな声のSOS。
チェーンロッドを壁に突き刺すと…
「…」
引っ張るとすぐに取れた。…違う。これは壁に紛れた立方体のブロックだ。
「ああ、ありがとうございますゼロさん!」

落下したり戻ったりしているトゲつきの天井でレジスタンスを1人助ける。
「来たはいいけど、罠が作動してどうしていいか解らなくて…」
最後にトゲだらけの部屋の隅で発見。
「まさか助かるなんて思っていませんでした!」

最後の一人はどこへ…?そう思い、最深部へ。

茶色い遺跡の中、うろこのような模様をした一直線のタイルを進むと…いた。レジスタンスだ。そこにはベビーエルフも。
「あ、ああ…ああああ…」
震えている様子。
「何だ…渡さないのか、ベビーエルフを…渡せば命だけは助けてやるというのに」

359俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第六話 後半:2009/05/11(月) 01:52:29
エルピスの通信。
「ゼロさん、ベビーエルフを回収してください、さぁ!」
「仲間を助けろ、の間違いだろう」

チェーンロッドを伸ばす。
先端は床を跳ね返り…レジスタンスを脅している、背後の敵の体へと絡みつく。
「!!」
…引く。
「げぇええっ…!!」

「ぜ、ゼロさん…!助かったぁ…」
レジスタンスは速やかに逃げ出した。
「…お前の相手は俺だ」
「貴様、ファントム様の仇ゼロ…!余計なことをしやがって… 後悔させてやるよ!!」

床が崩れる。広大な下の空間へと落下………うろこ型のタイルが一つに繋がる。
それは…メカニロイド。

蛇の形だった。…彼の前に現れたそのミュートスメカニロイドと同じように。
「俺はファントム様の部下だった『ヒューレッグ・ウロボックル』!
 ここは俺の独壇場だ、死んでもらおうかぁ!」

うねり出す蛇型のメカニロイド……戦いが始まる。
「しゃーはははぁ!」

ゼロが剣を構え呟く。
「……『ライズフォーム』」

白く体が変化する。…剣での近接戦闘に適したそのフォームへ。
「行くぞ」

まずは一発チャージ斬り。
敵のしなるパンチを一歩退き避け、バスターで一発。
そのまま跳ぶ相手を潜り、方向転換し着地地点を狙い攻撃。
「何!?」

ライズフォームは速いのだ。
「うっ!!」
ジャンプ、回転斬りをしながら遠ざかる。
「…くそっ…!」
手足をしまいより蛇に近い形に変形、蛇型メカニロイドの上を走る。
これをかわして…チャージショット。
「おぉあああ!」

足場が変化…階段状になる。
「20世紀のおもちゃをご覧アレ!!」
ばね型をした、飛び跳ねる爆弾を投下する。階段に沿って動き、敵に触れると爆発する仕組み。

これを斬って、メカニロイドからのレーザーもかわして階段の最上部、ウロボックルの元へ。
「テイッ!」
払う。
「ハッ!!」
袈裟切り。下へ持ってきたセイバーをそのまま…
「デアッ!!」
更に下へ持ち、上へと斬り上げる。
「のがああああああ!!」
これがライズフォームの由来であり、その最大の能力。
速さを高めるだけでなく、下から上へ切り上げるときにセイバーが鋭さを増す。
三段斬りの際上へ切り上げることでそれが作用するのだ。


「…べ、ベビーエルフを取られてさえいなけれ…ば………!!」
どうやらベビーエルフの、レプリロイドを強化する力は強いらしい。

ウロボックルは蛇型メカニロイドと連動、両方爆発に飲まれていった。
「…」
そのまま下へ落下。その場所はトゲだらけで、崩れた蛇型メカニロイドの残骸が足場となっていた。


「……ゼロ」
降りてくる一つの小さな光。
「エックスか」

「ああ。…どうやら僕も、ゆっくり眠ってばかりは居られなくなってきたよ」
「何…?」
エックスが不安そうな顔をしている。
「2人のベビーエルフ達を止めてあげてくれ。…彼女達を会わせては…危険だ。」
ベビーエルフが危険…エックスは忠告する。
「説明してもらおう」

「時間はないんだ… …ベビーエルフは、探しているんだ…母親を。
 ……封印された存在 『ダークエルフ』を」
「…………『ダークエルフ』?」
頷く。

「…お願いだ。彼女が目覚めるのを絶対に阻止しなくてはならない」
飛び立つ。
「彼女は、この世界で永劫眠らされるべき……禁忌の存在」
「………待て、エックス」
だが彼は姿を消した。
「ゼロ… 君に、力を授けよう。 …この力、役立てて欲しい」


「どうやら、ミュートスレプリロイドも倒したようですね
 ご苦労様です …ベビーエルフはシエルさんに預かってもらうことにしましょう」
「ねーねー!新しいベビーエルフは『プリエ』って名前はどうかなぁ?」
エルピスにアルエット。 …彼らは…いや、ゼロもまだ、ベビーエルフの危険性を知らないのだ。

360俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第七話:2009/05/11(月) 02:54:17
「お願いエルピス、考え直して!この作戦は危険すぎるわ!!」
司令室のエルピスに向かい訴える。
「その作戦はあまりに無謀で危険すぎる…もう少し機会を見た方がいい」
「今までどおりのゲリラ作戦でいいはずだ。シエルのエネルギー研究ももうじき完成する」
セルヴォとゼロもまた。

「うるさい!!」
エルピスが吼える。
「…… …すみません」

エルピスから別の本音が漏れる。
「…私だって… 私だって皆さんのことをこうやって考えているつもりなんだ
 なのにどうして……」
エルピスの気持ちは真っ直ぐ……だが、色んなことを見落としていた。
考えてもどうしようもないことが堆積し、いつしか一つの目的のみに動いていた。

「……全軍、…作戦開始!」
通信で、持ち場についたレジスタンスたちに命令を下す。
「ネオアルカディアを倒せ!!」

「はっ!!」
足並みを揃え、全員揃っての敬礼。…そして彼らは突撃を始める。
「私も向かいます。シエルさん、私の戦いを見ていてください!」
エルピスもまた…姿を消した。


「お願い、ゼロ!エルピスを止めてあげて!」
「私からもお願いします。ゼロさん、どうか…」
「そのつもりだ」
ゼロが転送される。



…その先はネオアルカディア・市街地。
「………!」

辺りはすでに死体の山。そしてパンテオンたちがひしめいている。
「……」
解っていたことだった。

レジスタンスの生き残りを探すべく、彼は力を発動する。
ゼロの体が…青く変化する。
「『エックスフォーム』!」

町を駆け抜ける。バスターショットを乱射、パンテオンを撃ち倒していく。
チャージショットを一度放てばあらゆる敵が一撃の下に沈んでいく。

エックスフォームの能力はバスターショットの強化、連射力、攻撃力共に増加するというもの。
敵のボディに弾丸を撃ち込み蜂の巣に変える。
更に先へと進む。段差のある町をバスターショット一つで潜り抜けていく。

「…」
だが生きているものは…いない。
扉の奥にいたのはゴーレム達。
「貫け!」
氷の力を纏ったチャージショットでタイプEを倒す。
「痺れろ!」
電撃の力を得たチャージショットでタイプFを倒す。
「…」
タイプIには弱点はない。その雪玉を回避、ツララの刃を回避、チャージショットを頭へと当て続け…倒す。
「こんなところだな」

まだタイプIの作った雪玉が残っているが…問題なく飛び越えようとした時。
「おじゃーーーーーる!!」
巨大な雪玉が割れ、聞き覚えのある声がこだまする。
「麻呂の名は『マハ・ガネシャリフR』! 前回のような不覚は取らないでおじゃーるよ!」

彼のパワーアップは思った以上であった。
上下に爆発する爆弾をばら撒きながらの突進、突進のパターンも跳ねるものが追加され
張り手をしながら前進するため、バスターショットなどで押し返す必要が出てくる。
ぶら下がっての攻撃は、以前以上に重くなったボディでのものであるため、落下の際に地震を発生させる。
Rと名乗るだけはあり、純粋強化とは言え中々の実力。
…しかし、ゼロの攻撃の前に沈むのであった。
「……」

扉を潜ると、そこには軌道エレベーターが見える天窓のある部屋。
「おいおいゼロー!ちょっと遅かったんじゃねえのか!?」
腕をガツンとあわせるはファーブニル。
「レジスタンスは、ここにいる元ネオアルカディアの落ちこぼれ以外みーんなやられちゃったわよ」
レヴィアタンの足元には倒れたエルピス。
「…ゼロ。コイツを助けに来たのか」
そしてハルピュイア。

エルピスへと近づく。
「その通りだ。 生きているようだな …ベースへ運ぶ」
「…いいのか こいつを助けることで、こいつの作戦のせいでまた沢山のレジスタンスが犠牲になるんだぞ」
「ハッキング装置をしかけたお前に言われたくはない」
「それはすまなかったな …なら詫びるついでにもう一つ忠告しておこう」
「何だ」

「お前達のベースへ向けて、特殊爆弾を搭載した爆撃機が向かっている」
「こんなやり方、私達も大嫌いなんだけどねぇ」
「俺らより格下の癖に、やるやるってウルサい奴がいてよー!」
「…俺の命令でも責任でもない。 『奴』が覚悟してのことだ」

「………オペレーター、急げ」
「了解しました」

361俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第八話 前半:2009/05/11(月) 23:51:14
「爆撃機に乗り込む!? …本気で言ってるの、ゼロ…」
シエルはハラハラしている。
「他に方法はないだろう」
「じゃあ、じゃあ私も連れて行って!」

シエルは突然突拍子もないことを言い始めた。
「!? …シエル、何を言っている」
「爆弾の解除なんて私にしか多分出来ない… お願い、私を連れて行って!」

「…簡易転送装置を使え 俺が深部まで乗り込む」


彼はレジスタンスの飛行機へと乗り込んだ。
「…雲の上まで来たな」
操縦はロシニョルおばさん。
「あいよ!この直下に爆撃機があるみたいだねぇゼロさん!」
「よし、落ちる」
「ぇえ!?ちょっと、ゼロさん!?」

雲を突き抜けゼロは一人落下。
雷雲の中を飛行するネオアルカディアの小型機に着地する。

「任務実行に移る」
ミッション開始。

まずは空を覆う無数の小型機を乗り継ぎ、先頭にある爆撃機本船へと移動する。

「侵入者ゼロ発見、迎撃体勢に移る」
てんとう虫型の小型機の戦闘に特化した機体がゼロへと飛来してくる。
「…」
撃ち出されたミサイルごと本体をチャージ斬りで迎撃。
絨毯爆撃はライズフォームに変化し、その機動力で回避する。

「終わりだ」
氷属性のチャージ斬りにより小型機はあっけなく沈められた。


だがその間にすでに敵は準備を整えていた。
甲板にはパンテオンが配備され、内部には電磁トラップが張り巡らされている。

雲の流れる中を駆け、敵を斬り裂く。梯子から落下、爆撃機内部へ。
電磁トラップのスイッチに衝撃を加えると一定時間の間、電磁バリアが解ける。

氷属性のチャージショットでスイッチを凍らせ、その間に移動。
氷が割れ、衝撃でスイッチが入る。

これによってタイムロスは少なく、電磁バリアを余裕を持って潜り抜けることが出来る。
「ここでまたお前か」
現れたのはゴーレム・タイプE。
氷属性のチャージ斬りで難なく沈め、小型機の格納庫を飛び降り船体下部へ。
更にバリアを解除、3属性砲台や盾を持ったパンテオンを倒して更に下へ。

…船底へと到着。扉を潜り、爆弾とコントロールパネルを前にしてシエルを呼ぶ。
「有難う。 …それじゃ、解除作業を始めるわね
 大体90秒かかると思うの …それまで、敵を引き付けておいて!」
シエルが人間の科学者だと知る者はそう居まい。
「ああ」

90秒の間、押し寄せる敵たちからシエルを指一本触れさせないこと。それが彼の役目となった。
早速、奇襲用パンテオンの影が見えてきた。

「『イレイスフォーム』」
ゼロの体が赤紫色に変化する。このフォームは如何なる能力を持っているのか?

答えはやはり名の通り。
敵の弾を消し、シールドブーメランの力を上昇させる機能。防御力も高い。

パンテオンを敵メカニロイドが撃ってくる弾と共に破壊する。
ゼロの攻撃の前ではこの場合、斬れない攻撃など存在しないことになる。

それでも間に合わない場合にもシールドブーメランが存在する。
近づく弾は破壊する、通り抜けた弾は跳ね返す。

鉄壁の守りの中、45秒が経過。
「あと半分くらいだから頑張ってね、ゼロ!」
回転斬りで応じ、時にダッシュ斬りで近づくパンテオンを攻撃。
余裕を持って倒し続け…
「あと10秒!」

あと少し。シエルの背中には激しい戦闘が繰り広げられ…そして。
「終わったわ!! ゼロ、有難う!」
「安全を確認、転送を開始します」

シエルから転送。だが…
「ら、乱気流に入りました!」
「転送できんか…まぁいい。下で待っていろ この機から飛び降りる。」

362俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第八話 後半:2009/05/11(月) 23:51:46
貨物庫へ。
盾を持ったパンテオンらを倒し、更に下へ。ハッチから下を除くとすでにレジスタンスの輸送機がスタンバイ。
飛び降りる。
「ごめんね、ゼロ…これからレジスタンスベースに戻…」

だが…前方に何かが見える。青いボディ…
「待て。…コックピットの真上辺りに誰かいるぞ」

その何者かが振り向く。
「やってくれたな、ゼロ…」
その姿は…誰かに似ていた。色は違えど…そう。

「『ヘラクリウス・アンカトゥス』の名、忘れたとは言わせない
 俺はその弟、『クワガスト・アンカトゥス』だ!!」


会話を思い出してみる。
「こんなやり方、私達も大嫌いなんだけどねぇ」
「俺らより格下の癖に、やるやるってウルサい奴がいてよー!」
「…俺の命令でも責任でもない。 『奴』が覚悟してのことだ」


…レジスタンスベースを攻撃しようとうるさかった…『奴』。
「復讐か」

どの道戦う運命。…どちらもそれは解っている。
「かくなる上は俺自身の操作で俺が爆撃機と共にお前達のベースへ突っ込むのみ!
 …来い、ゼロおおお!」
イレイスフォームのまま、戦闘を開始。

「行くぞぉおおおお!」
4本の腕からレーザーを発射。
それは腕の高さを変えて様々なパターンで撃ち出される。

飛び越えながら氷属性のチャージショットで迎撃。
「ぉあっ!!」

怒りにかられ、そのままダッシュ。
「…」
素早いその突進を避けると同時に一撃。

「…ううっぐっ…!」
クワガストが怯む。

「…こちらから向かう攻撃は…意味がないか」

ゼロが距離を取る。攻撃は予想がついた。
「さぁコッチへ来いよゼロおおおお!」

兄と違い二つある角を勢いよく回転させ、磁力の竜巻を発生させる。
捕まれば…恐らく。

「そうは行くか!」
竜巻から飛びあがり逃れ、氷属性を持ったチャージ斬りをクワガストへ向かい振り下ろす。
「あああああああああああああああああああっ!!!」

輸送機全体が揺れる。
「…な、ならそれなら…!」

また竜巻を発生させる。今度は…流す方向へだ。
「どういうつもりだ…?」

風に乗り、電撃の弾がゼロを襲ってくる。
「…なるほどな」

そしてクワガスト自身が高速で突進………ゼロを突き落としにかかる。
「終わりだ…!兄者の仇いいい!」

冷静に氷のチャージバスターを撃つ。
だが……

「ん?」

撃ち出したのはいつも以上に冷たい氷のバスター。
「………!!」
クワガストの青き体に刺さる氷の弾。

「ががが……!!」
そして…割れる。撃った弾、食らった者の両方が。
「うががががーーーー!! …また、また失敗かよおっ…!!」

そう。ハルピュイアの部下としてあの日、シエル達を追いかけていたのも彼。

「…兄上… あなたの仇は… 討てませんでしたあああああああ!!」
氷が砕け、槍となってクワガストの体の隅々を刺し…貫いていく。

そして爆発。…風に乗り、曇天の中へ消えていく残骸。
後に残ったのは、煙たそうにしながら口を塞ぐゼロの姿だけだった。

「…………ミッション終了だな」

363俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第九話:2009/05/12(火) 01:56:46
「シエル。サイバーエルフの反応はもう残っていないようだ」
今までのミッションで向かった場所のサイバーエルフを全て回収。
大分時間がかかったがひとまずは、救出すべきエルフは全て揃ったこととなる。
ゼロのバックパックから、サイバーエルフが溢れだし…シエルの元へと集う。
「うん。みんなゼロに感謝してるわ…エルフ達の世話は私に任せてね」

戦士系、魔法使い系、動物型、天使のような格好のもの。
…様々なサイバーエルフが存在し、その用途も様々。

「まぁ、力を使うことなんてないから…そんなの関係ないんだけどね」
「ああ」
それは死を意味するから。
「でも私達、何とかしてゼロの役に立てないかなー」
「そうですねー………」

シエルはその様子を見て何か嬉しそうではある。
「…何とか研究をこの前から始めてる。安全に、ゼロの役にいつか立てるといいわね」

エルフ達も喜ぶ。
「うん!!」
「私も、是非ゼロさんのお役に立てればと…」
「はぁ…それよりエックスの場所が私は知りたいわ」
口々に話し始めるエルフ達。賑やかなことである。

「所で、クワガスト戦で俺が使った力は何だ?…チャージショットが変化したようだが」
シエルはそれを聞くのを待っていた。
「エックスと同じならそれは多分…『EXスキル』だと思う」
「EXスキル…?」

イレギュラー戦争時代における、エックスの『特殊武器』
ゼロの『DNAラーニング』そのままである。

その違いは…技術の進歩により、高度なDNAデータを持つため
英雄達のボディにすぐに認識され、倒すのみで感知するため
科学者の存在を必要とせず、より本人の能力の一部として扱いやすくなったこと。
反面、面倒な点もある。
高度なDNAデータを持つことで、その損傷が起こりやすく、
純度の高いDNAデータを感知することが難しいらしいのだ。

現在手に入れているDNAデータは3つ。
ウロボックル、フラクロス、カムベアス。

失敗したのはマグマニオンとクワガスト。
「クワガストへトドメを刺したあの一撃は、カムベアスから手に入れたEXスキルだと思うわ」
「なるほど…」

「ためしにバスターショットで試してみて」
「やってみよう」

その時。
「た、たたた、大変だよぉ聞いておくれゼロさん!」
「大変なのーーー!!」
ロシニョルとアルエットが駆け込んできた。

「どうした。」
「エルピス司令官が行方不明なんです…」
オペレーターがやってきた。
「………エルピスが?」

記録されていたのは、落ち込んだエルピスの顔。
「……ハハハ… …本当に… 私はバカな男です」

がっくりと膝をついたエルピスの、力ない顔。
「…全ては私の責任。…私に力がないためです
 私の作戦のせいで… 皆さんを不幸に追いやってしまった」

そのまま、床へと体を落とす。
「…力が欲しい………」
拳を握る。
「力が欲しい…」
再び体を持ち上げ、その両掌を見つめる。
「何者にも負けない力が欲しいよ……………!!」

「……ここまでです」
「転送記録があるはずだ。俺が向かったものは避けて他の記録を当たってみろ」
「…はい。そうなりますと…」

364俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十話 前半:2009/05/12(火) 01:58:43

転送先はノトスの森。
「……エルピス!」

彼はすぐに見つかった。
……だが様子がおかしい。
「うっくくく… やぁゼロ君、ごきげんよう!
 どうしたんですか?私を追ってきたのかな」


…その両肩には『クリエ』と『プリエ』二人のベビーエルフ…
「シエルさんが散歩させている時に私に声をかけてくれましてね。
 …ちょっと今からお二人の探検に付き合うことになりましたよ ウックククク………」

…ベビーエルフに精神を蝕まれている。
「…お前一人で何が出来る。」
「出来るんですよ!これから私が、あるものを手に入れれば!
 ゼロ君、君と肩を並べるほどの力を、ね!」

「…『ダークエルフ』だろう」
「よく解ってますねえ。
 それなら話は早い。この先の遺跡まで…競争といきましょう、それではごきげんよう」

陽気にエルピスは森の奥へと消えていった。
「ダークエルフを手に入れられてはまずい、行くぞ」

配備されたのは大量のメカニロイドに、盾を持ったパンテオン。谷を越えることも含め、
チェーンロッドが大活躍する局面であった。

ここはデュシスの森と同じ構造をしていた。
ロッドを使い続け遺跡の深部にて…現れたのは。

「やぁーゼロ君。どうやら勝負は僕の勝ちのようだねー… お先に♪」
一体どのようにしてここまでやってきたのか?
解らないまま、エルピスは笑い声をあげて奥へと潜っていったのである。


「グワ?」
エルピスを受け入れ、閉まった扉の上から落下してきたのは何かの物体。…メカニロイドだ。
「ワタスはこの森の管理を任されているファントム様の元部下『バーブル・ヘケロット』
 今奥に誰か入っていった気がすたけども…気のせいってことに…しておくグワ」

「思い切り背後をエルピスが通って行ったぞ」
「グワアアアア!? …な、何も聞いてないグワよ!?」


戦闘開始。
「ケロケロケロロ!」
壁へ取り付き、揺さぶり始める。
「何だ、そのパワーは…」

明らかにおかしいと思いつつ、バスターショットのEXスキルでヘケロットを撃ち落す。
「グワーーー!」
それは貫通性の高いチャージショット。真っ直ぐにレーザーはヘケロットを貫いていく。
…落下。そこを見計らってライズフォームへ変身、強化した三段斬りを食らわせる。

「何するー!」
舌を伸ばし、ゼロへ突き刺そうとし始める。
「ハッ!」
壁へ逃げ、壁からチャージ斬り。
「グワワーーー!!」

この様子で行けばすぐに勝てる…そう思ったときである。
「ケロケロケロロ!」

今度はとめられなかった。…揺すられた壁から、何かが落下してきた。
「メカニロイドか…」

芋虫型メカニロイド。
だがこれの始末も簡単。すぐにセイバーで一閃…だが。
「うまいケロ♪」
残ったメカニロイドを食べてしまった。

食べてどうする…?そう思っていたが…間違いだった。
「みなぎってきたケロロロロロロロ!」
膨張。
「…!?」
一気に増加する質量。…おかしい。
更に膨張。


「ゲロー!!」
超重量級の体となったヘケロットが部屋全体を揺るがし、
口から泡を吹き始める。
「何だ…?」

365俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十話 後半:2009/05/12(火) 01:59:16

泡程度なら軽く叩き割れるのだが…それからが問題。
「イ”グゲロ”ーーー!」
「させるか!」
チャージショットも効かない。…床に沿いごろごろと回転を始める。
「…何?」

壁から天井の草の中へ。草の中から現れまた高速回転。
「厄介な敵だな…」

落下。ドスンと大きな音が鳴り響く。
「ハァ!!」
その一瞬を突きチャージ斬りを一発。ヘケロットの体が縮む。
「どういう仕組みだ…?」
ウロボックルの軽いフットワークも気になりはしたが。

更にチャージショットを見舞う。
「ケローー!!」
元の小さなボディに戻った。


「……随分派手にやってくれたな」

草へ隠れ、脚を伸ばしてきたヘケロットの攻撃をかわし…
「だが相手をしてる暇はない、これで勘弁してもらおう」

脚を破壊。
「ハルピュイア様ーーーー!どうして…どうしてワタスをこんな…重要場所に…?
 グワワーーーー!!」
小さな体が弾け飛んだ。

…質量を操っていたようにすら思える謎のレプリロイドの最後だった。
それよりも、である。

「エルピス!」
遺跡の奥には…

「…!」
動けずに床へ這い蹲るエックスの姿。そして…二つのベビーエルフ。

「うわぁーい、ママー!ママー!」
「やっとあえたー!」
歓喜の声とともに、怪しげな光をエックスに落とす。 …エックスはそれにより力を押さえつけられているのだ。

「………。」
そして…丸く、サイバーエルフとしてはあまりに巨大なその光。
紫色の光に包まれた…
「ダークエルフか!」

「…やぁ、ゼロ君。少し手間取っていたようだねぇ」
けらけらと笑うエルピス。
「そんなに心配しなくてもいいですよ、ゼロ君」

その拳に力が入る。
「私はですね。 …何も、この力を…危ないことのために使用しようっていうんじゃないんです」
へらへらと笑う。
「…全ては、世界のため……」

そして見開き、怒鳴る。
「シエルさんのためなんだっ!!!!!」

くわっと見開いたその目。その振りかざされた腕。
…彼は消えていった。


「…とうとう、ダークエルフが復活してしまう…」
「エックス、大丈夫か」

エックスは弱っていた。
「…ああ、ごめんね…
 …これからエルピスが目指す場所は多分わかっている………
 そして、そのために彼が何をするかも。…僕に、協力させて欲しい」
「ああ」

「幸い…ダークエルフはまだ復活し切れていない…半分なんだ。今のままじゃ何も出来ない…
 ……止めよう、ゼロ。 …エルピスを」

「…そうだな」
「…エルピス………。」

新たなる戦いが、ここに幕を開けた。

366俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十一話 前半:2009/05/13(水) 00:25:08
そして、エルピスを追ってのミッションが始まる…。


北国の夜風が吹き抜ける、雪の積もる屋上。
「ゼロ、ここにエルピスが行っているはずなんだけど…」
「オペレートを頼む」

潜入ミッションとなる…ここではライズフォームを選択。
狼型メカニロイドを蹴散らし、斜面を登っていく。


「気をつけて。敵の仕掛けた爆弾が地面に大量に埋め込まれてる」
(…随分用意周到なようだ)

だが如何せん間隔が短過ぎた。ひとたび端にセイバーを振り下ろせば、
連鎖的に爆発…一気に安全地帯となる。
「気をつけて、ゼロ…」

飛び降り、狼型メカニロイドを破壊。回転砲台も続けてタイミングを見計らいチャージショットで破壊。
雪玉を投げるメカニロイドも、雪玉を飛び越えて破壊。

…だが、相手も手を打っていた。
連鎖爆発を狙おうにも多くの狭い足場にびっしりと配置すれば破壊は困難となる。
「困ったわ…ここから落ちていくんだけど、その間の斜面全てに爆弾が仕込まれているの。」
左へ落ちる斜面の次は右へ落ちる斜面へ。

…しかし……

「…この雪玉を活用する」
斜面の上にはメカニロイド。雪玉を投げるものだ…
「…まさか」

敵を引き付け…斜面に向かい雪玉を投げさせる。
斜面を転がっては落ち、次々に爆弾を破壊、下へと落ちていく。

転がっては落ち、爆弾を破壊しながらどんどん雪玉が大きく成長していく。


「……よし」
落下しきった後で敵を飲み込み、巨大な雪玉はその役目を終えた。
「………この先か」
扉を潜る。

コンピュータを守るセキュリティルーム。…窓の中のチューブに、青きレプリロイドが映る。
「…!」
そして部屋が水で覆われ…四天王・レヴィアタンの登場だ。

「ここのコンピュータの情報、エルピスにすでに奪われちゃってたみたいね
 …エルピスを追わなきゃいけないから、あなたとの戦いも手短に済ませないといけないの…」


「まぁけど、戦うからには楽しみましょう!」
ぐるりとジャベリンを回転させる。

「やっ!やっ!やぁ!!」
刃先の射出を3回…勿論潜って一撃。
「あぁうう!」

距離を取って…冷気をまとわせたジャベリンを回転させ…
「フッ!!」
氷の輪を撃ちだす。…今度はそれは広がっていく。
「…!」
レヴィアタンは腕を上げていた。

367俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十一話 後半:2009/05/13(水) 00:25:57
だがゼロの成長はそれ以上。
「『ディフェンスフォーム』」
文字通り防御特化のフォーム…
攻撃を防御し、ダメージを最小限に抑える。
「や、やるじゃない…!」

またも水を蹴り移動…チャージ斬り。
「うっ…!」

水底へ。…ディフェンスフォームの欠点は手数が要ること。
その上、圧倒的にスピードでは遅くなる。

「甘いわよゼロ!」
レヴィアタンは急降下、槍で突き刺そうとする。
「その戦い方…」

一歩避けて回避、そのまま三段斬り。
「覚えがある!」

回転斬りで吹き飛ばす。
「…言っていなかったかしら?
 私が水を蹴る力は……マッハダッシュの力よ!」

その瞬発力で水を連続で蹴り、水面近くへとジグザグに上昇していく。
「逃がさない!!」

いつぞやのように氷の機雷を降らせる。
「逃げはしない」
回転斬りで対処。

「だがその力をまず教えてもらおう!」
水面に向かいチェーンロッドを伸ばす。
「きゃああう!!」

真上のレヴィアタンへと刺さる。
「うっ……」

縦横無尽に水を蹴るその力で下へ。
「ええ。忘れてるかもしれないから、教えてあげるわゼロ…
 私が持つ力は…エックス様のアーマーのうちの一つ……」

青きオーラを纏い…奥義を放つ。
「『ブレードアーマー』の力!! 大気を蹴る力を水を蹴る力へと、私は変えた!」
渦潮を作り出す。

「とくとご覧あれ、この私の水中ショー!!」

渦潮で吸い寄せ、動きを乱しつつジャベリンの雨を降らせる。
「!」
細かな動きで回避しなければならない。

吸い寄せる流れに抗い、乗りを繰り返しジャベリンの刃先を回避。
「フィナーーーーーーレ!」
ジャベリンで床へ落下、砕いて氷を舞わす。


「……」
心の奥でニヤリと笑う。

「ハッ!」
確信したのだ…この大技を避けきったことを。

彼女へと向かってくるゼロに……レヴィアタンは構え、小技でありながら強烈な一撃を放つ。
「ハァアアアア!!」
なんということはない。ジャベリンを最大限のスピードで一回転させ、ゼロをなぎ払うのだ。
「くっ!!」
レヴィアタンの表情が明るくなる。 …当たった。

「行くわよ!」
ゼロの真上へと蹴り跳び、ジャベリンによる急降下により刺し貫こうとする。
「くっ…!」
紙一重で回避…そして…
「きゃあああっ…!!」
チャージ斬り。…決着の瞬間だった。

「ハァ…ハァ…… ファーブニルのバカが感染っちゃったみたい…」

「あなたと戦えるならなんでもよくなってくるわ………」
息の荒いレヴィアタン。
「…ひとまず、今回はここまでね… 次に戦うときを… 楽しみにしていてね」

368俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十二話 前半:2009/05/13(水) 01:18:58
レヴィアタンはゼロの強さに心酔していた。
「…フフッ… ごめんね、姉さん」

四天王を作り出すのに必要なのは素体としてのエックスのクローン幼体、
体内に埋め込むエレメントチップ、そして成長の方向性を定めるアーマー。
エックスはアーマーにより自らの能力をある方向へと覚醒させていった。

アルティメットアーマーを使うためには、ファーストアーマーからフォースアーマーまでの
段階を経て、バランスよい成長をさせなければならない。

それをしたのがエックス、その段階を経なかったのがコピーエックスであった。
初めから凄まじい力を得たが、成長が早すぎ体も心も追いつかず、結果器用貧乏へと。
全ては、完全な統率者の復活のため。

だがもし…生まれたときから一つの属性、一つのアーマーだけを装着させたとしたら?
…恐らく、一つのアーマーの目指す方向にのみ偏った能力を得た……
そう。アーマーに最大限に適応する存在になれるであろう。
それはきっと…エックス以上にアーマーを使いこなすことが出来る。

エックスのDNAに刻まれた、ライトナンバーズ達の遺伝子もまた、それにより発現するのだ。


ハルピュイアはエックスの中の風の力を操るロボットの遺伝子を発現させ、雷の力を持ち、
ファルコンアーマーに最大限に適した体を手に入れたもの。

ファーブニルはエックスの中の火の力を操るロボットの遺伝子を発現させ、火の力を持ち、
ガイアアーマーに最大限に適した体を手に入れたもの。

ファントムはエックスの中の影と刃を操るロボットの遺伝子を発現させ、闇に紛れる力を持ち、
シャドーアーマーに最大限に適した体を手に入れたもの。

だがファントムの前に、空、陸と来て海を支配出来るレプリロイドも作りたくなった。
…だが、壁にぶち当たる。
エックスには氷の力はあっても水の力はない。…発現させるには…男性の体では不可能なのだ。
有り得ない事態。 …エックスの「女」の性別を獲得して生まれた幼体でなければ…水の力は扱えない。

大きな差異があってはならない。女のエックスの幼体を得るため……ネオアルカディアは女性レプリロイドのDNAを探し続けた。
エックスのDNAと近い、『適合者』を探す為に。

…そしてそれは見つかった。エックスの、最も近い場所で。

レヴィアタンはいよいよ、エックスの死の後にその事実を知ったのだ。
「……私だけが本当の子供ってわけか。 …とんだ相手を好きになって…ごめんなさいね」

星空で散っていった…母であった姉を思い、岸辺で彼女はジャベリンを砂浜に突き立てた。

レヴィアタンの想い人は一体今どこへ?
…輸送機工場内にいた。

「よーーーーーーーーーう!
ゼロじゃねーーーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーー!」
ゼロは呆れていた。
(声が大きくはないか)

ファーブニルは満面の笑みで彼を迎え討った。
「待ってたぜーーーー!さぁさぁー!
今すぐやろーーーすぐやろーーー!いっくぜーーーー!」

369俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十二話 後半:2009/05/13(水) 01:19:35
チャージ。飛びあがり、拳を地面に叩き付ける。
ゼロは一歩避けると、衝撃で土が盛り上がる。
「随分なパワーだな」

雷を纏ったチャージ斬り。
「おぁっ!」

そしてまたチャージし、ファーブニルはチャージショットを撃つ。
「吹き飛べえ!」
これもかわし、再びチャージ斬り。
「んごお!?」
掴みにかかる。ゼロはそれを飛び越え、後ろから三段斬り。
「う!あ!ぐはっ!!」

ファーブニルが怯む。
「これならどーだーーーー!」
手を大きく広げ、チャージショット。それは宙を舞い、空中で炸裂。破片へと散らばる。
「…」

新たに得たその技も避け…
「行くぞ…『パワーフォーム』」
「何だぁ!?」
ディフェンスフォームの緑色から青紫色へと変化。
「のわぁあああああ!」
チャージ斬りを叩き付ける。

「うっ……やるな……」
パワーフォームは最大の力を持ったフォーム。
ファーブニルも流石に堪えた様子…


しかし。
「お前…強ぇな、ゼロ!」
よろけながら立ち上がる。
「で、でもよ…」
両腕のバスター、ソドムとゴモラを構える。

「このパワーに勝てるかってーの!」
赤いオーラがファーブニルを包む。…奥義だ。

「来るか」
両バスターを地面へと向け、最大限のチャージショットを連続して撃ち込む。
「でやあああああああ!!」

地面に撃ち込まれた凄まじい熱エネルギーは地に留まることなく、炎の柱として噴出し始める。
「そらそらそらああああああ!」

間を縫って回避。ファーブニルのオーラが解除されるのを待つ。そして…
「ハッ!!」

チャージ斬り。
「んっ…… クソぅぅぅ…!!」
ファーブニルは諦めたか…?と思いきや。

「まーーーだまだーーー!」

ファーブニルは大きく跳び、真下にいるゼロに向かいチャージショットを放つ。
「!」
これを僅かな差で回避。
「もう一丁!!」

往復するように同じ軌道でもう一度飛ぶ。
…だがゼロにそれは見切られていた。

「ハッ!!」
ゼロもまた跳んでいた。

投下される炎、パワーフォームの一撃。
交差する二つのアーチ…  …相手に当てたのは…

ゼロだった。
「ちっきしょおおおお!!」

ガスンガスンと地面を叩く。
「……やるなぁ、ゼロ… まぁいい…俺ぁ満足したから…ハァ…ヘァ…
 次ん時は全力でやらしてもらうぜ!!」

370俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十三話 前半:2009/05/13(水) 22:01:10
エルピスは全員で迎えに行こう。
…そう思ったレジスタンスは、一丸となってある場所に集結していた。

クリスタルの洞窟。
エネルゲン水晶が採掘される巨大鉱脈だった。

…他のメンバーがいない。ゼロは捜索を始める。
「随分な坂道だな」
急な坂道を転げ落ちるメカニロイドをゼロは破壊、山を越えて洞窟内へ入っていく。

「…何だ?」
トゲだらけの洞窟。床は見えない…

飛来してきた赤い物体を倒してみる。チャージショットで。
…すると…
「!」
中から赤い蛍型のメカニロイドが登場。それと同時に、トゲを赤色の光が覆う。
「…水晶が見えるようになるのか」

物体が青色に変わったので撃つと青色の蛍型が登場、トゲを青い光が照らした。
要するにその上ならば歩くことが出来る。

洞窟内の水晶の床を渡り続ける。
蛍型メカニロイドを倒して撃破数の評価を上げながら。


飛び降り、水晶の床を跳び移り続け…


いよいよ洞窟の外へと出る。
「…何だ?」

「う、うう…」
「ああぁ…」
見ると、レジスタンスたちが頭をぐらぐらさせながら立っている。
「…誰の仕業かしら。…操られてるみたいね
 ゼロ、彼らを殺さないようにして先へ進んでみて」

足元にバスターショットの小さな弾を一発。
「うっ……!」

足止めだけをし、進んでいく。
「…あれは」


目の前に現れたのは…
「なるほど、確かにここになら…」

墜落した爆撃機。
「ええ。エルピスが何か必要なものをここに取りに来るかもしれないから…」

梯子をよじ登り、今もなお活動を続ける三色砲台を破壊。これから再び爆撃機に…
「待ってゼロ! …ベビーエルフの反応がある! …この先よ!」

入り口を通り越し爆撃機の向こう側へ。
紫色の影が見える。…飛び降りると…金色の髪も見えた。

「クーーーックックック… そうだ、これだ… これがあれば私はネオアルカディアに…」
「エルピス!」

「ククク…」
うすら笑い、そして…エルピスは消えていった。
「………すまない。エルピスに逃げられた」
「…何をするつもりなのかしらね…」


帰ろうとしたその時、上空から声が。
「お前達の指揮官はネオアルカディアの敵味方認識装置を奪って行ったようだが」
ゆっくりと降りてくる…ハルピュイアだ。

「…奴は何をしようとしている? エルピス…TK31の奴は」
「俺たちが知りたいくらいだ。 …何をしにきた、ハルピュイア」


「クワガストの死体回収と…奴を発見したから倒しに来たまで。
 …俺はな、ファントムと違いレジスタンスを皆殺しにすることが正義だとは思っていないんだ」

そう言いつつソニックブレードを出す。
「だが人間の生活を脅かすことは許せん。…お前らが奴を庇うというなら…お前も斬ることになるぞ」

ハルピュイアの言葉がおかしい。
「…元より俺はお前達にとってエックスの仇だろう」

371俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十三話 後半:2009/05/13(水) 22:01:51
戦闘が開始される。
「行くぞ!!」

前回と同じく、開始の合図は急上昇と同時の衝撃波。
「はっ!」

それを避けて即チャージ斬り。氷属性の力も持っている。
「うぁあっ!!」

落下。そしてハルピュイアが得意とする三段斬りへと移る。
「ハッ、ハァ!!食らえ!!」
以前の戦いとは3段の間隔が異なる。だがそれに惑わされず回避。
そしてまた跳びあがると同時にソニックブーム。

これもまた回避。
「サンダーーーボルト!」
2本のソニックブレードを交差させ、雷を落とす。
1発、2発、3発目をかわしたところで再びチャージ斬り。
「うっ…」
落下。だが…ハルピュイアは学んでいた。
「はああああああああ!」

目にも止まらぬ速度で緑の風が大気を斬る。
ハルピュイア自身が剣を手に高速で平行移動したのだ。

「…!」
ゼロは反射的にそれをかわす。
「ちっ!」
剣を手に垂直に跳びあがるハルピュイア。…初めて繰り出すこの技も当てることは出来なかった。
それだけではない。
「うぁああああ!」
ゼロの武器はセイバーだけではない。
ハルピュイアは垂直斬りで跳びあがり切ったそのタイミングで、
背中からバスターショットのチャージショットを食らったのである。

「うぐっ…!」
バランスは崩さない。そのまま衝撃波を放つ。
だが勿論それもかわされ、再びチャージの時間を与えただけとなり…

「あああーーー!!」
叩き落とされる。

そしてハルピュイアは奥義を放つことにした。
緑色のオーラがハルピュイアを包み込む。

「流石にこの技は見切れまい…見切れはしない!!」
ハルピュイアにエネルギーが集まる。


「覚悟しろ!」
先ほどの要領でハルピュイアが今度は空中で高速移動。
剣をそのまま振り、衝撃波を直下のゼロに向かい放つ。

これはペースで畳み掛ける技。…往復を始める。
「ハァ!」
1発
「ハァア!」
2発
「フンッ!」
3発
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
4発、5発、6発、7発…
「最後!!」
8発。


最強の技を放ったハルピュイアは、傷だらけとなったゼロを見下ろす。
……だが…
「!?」
ゼロがいない。…あまりの衝撃にまさか吹き飛んだか?いや…。
「!!!」
ハルピュイアの背後だった。
氷の刃が…振り下ろされる。
「があはっ………!?」

地面へ打ち付けられる体。
「…………」
ゼロを見る。……オレンジ色の体。
「…なんだ……それは …それが俺の技をかわした…その能力というわけか」
「…『アクティブフォーム』 …最大限まで動きを速めるフォームだ。
 まさかこれを使わせるとは大したものだ」
「…なるほどな」
ハルピュイアにはそう言ってみせる。…だが彼がそれで満足するわけはない。

速さに特化したハルピュイアが速さで敗れ…それまでは手加減をしていたと明かされた。
ハルピュイアに…『悔しさ』を通り越し、ゼロの実力に対する素直な賞賛が芽生える。

力を出し切ったことでの爽やかな疲れが体を緩め始める。
「…そうだ。それでいい…」

倒れそうになり、剣を突き立てる。
「……お前と戦っているときだけ、俺は全部、忘れられるんだ…」
ハルピュイアは去っていった。

372俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十四話 前半:2009/05/13(水) 23:04:57
「…ファントム、すまねぇ 俺らみんなゼロに負けちまった」
闇の神殿にてファントムの墓前へと報告。
「結局、ゼロには遠く敵わないみたいよ」
「俺たちにはまだ秘策もある …次は全力で行くつもりだ」

一言ずつ話したところで…レヴィアタンが一言言い始める。
「…でもね、私実はちょっとだけゼロにダメージ与えたのよ」
その言葉にファーブニルの眉が動く。
「お前はゼロに弱点突かれなかったし水の中っていう不利な条件だからだろー!?」
ハルピュイアが口を挟む。
「俺だって、フォームチェンジとやらをされなければあの技は多分当たっていた」

「いやけどよ、やっぱお前らと戦ってるときより俺と戦ってるときのゼロは全力だったぜー!?」
ガツンガツンと拳をあわせる。
「何言ってるのよ。追い詰められた状態で戦ってこそゼロは力を発揮するんじゃない。」
やれやれとため息をつく。
「エックス様を継いだのは俺だぞ、俺がゼロの好敵手の座を引き継ぐんだ」
一人背を向ける。

「あぁ!?何言ってやがるハルピュイア!一番爽やかに戦ったのは俺だぜ!?」
「私が一番ゼロのライバルに相応しいに決まってるでしょ!?ねえファントムはどう思う!?」

最後までゼロを憎んでいた者を前とした会話ではない。
…その時…突如としてクナイが落下してくる。
「痛っ!」
「うぉお!?」
「うっ!」

「…ファントムが仕掛けていたトラップか…」
「全く罠だらけでろくな場所じゃねえ…暗いしよ」
「何かじめじめしてるしねえ… …ま、いいわ 帰りましょ」

「………何か嫌な予感がしねぇか」
「…確かに。罠でも仕掛けていたのか…いや、それよりも嫌な予感だ」
「……………まさか」

3人の心臓を貫かれるような重く鈍い痛みが走る。
「ううっ…………」

「な、何だよこりゃあ」
「…まさか」
「…奴だ」


一方レジスタンスベース。
「…まさか」

画面一杯に、見開いた目が映し出される。
「やーーーーーあゼロくーーーーーん
 とうーーーとう私をとめられなかったようだねええええええ」

エルピスだ。
「ねえゼロ君。私は今どこにいると思うーーーー?
 ネオアルカディアだよーーーー!」

「…何をしようとしている バカな真似はやめろ」


「いやですねぇー 私はこの世界をこれから平和にしようと思っているだけさぁぁぁぁ
 ダークエルフの素晴らしい力を手に入れてね!!」
エルピスは隈の出来た目を見開き、大手を広げる。

「今封印施設の扉を開いてきたよーーー
 これで私も力を手に入れられるんだ それではまた会おう! クーーックックック…!」


封印施設へと向かおうとしている…そこでダークエルフの封印を解く。
それがエルピスの目的。

「…封印施設とは何だ」
ネオアルカディアで生まれ育ったシエルならば当然知っているはずのことだろうと、聞く。
だが…

「…ごめんなさい …解らないの」
「…そんな危険なものを封印している施設のことが、ネオアルカディアの中心機関で育ったお前でもわからないのか…?」


シエルは俯く。
「ごめんなさい」
「心当たりはないか」

「ちょっと、待ってて…」
手を口に当て、1分ほど考える。


そしてそのままシエルはきつく目を閉じた。
「………もしかしたら」
「…ああ」

「もしかしたらアレかも知れない」
「そこへ転送してくれ。…俺なら大丈夫だ」

373俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十四話 後半:2009/05/13(水) 23:05:44
転送先はネオアルカディアの都市部から離れた巨大な門。
ゼロは走り出した。

「…もしかしたら、私が昔聞いたお話の場所かもしれない」
「…お話?」

「世界のどこかにあるっていう、大きな大きな…樹の話。
 根で世界各地へと繋がっていて、そこには様々な知識が集められているって聞くの」

「そしてその樹の根元には、何か大切なものがあるみたい。
 …実はね、私その場所に行ったことがあるの …それは、ネオアルカディアの端にあるのよ!」
「その名前は…?」


『大樹ユグドラシル』   そこが彼がこれから向かう場所だった。
パンテオンたちの警備を強行突破、単純構造のその門を奥へ、更に奥へと進み続ける。
「そろそろか…?」
門の出口にて…彼を待っていたのは一人の女性だった。

「ゼロさん!!」
「…お前、…誰だ?」
目まで覆う紫色の髪に褐色の肌

「私です、『レイヤー』です!」
長身の体に目立つは大きな胸。
「ネオアルカディアは栄養が行き届いていると見る」
シエルが通信を切った。


「…あの、ゼロさん… 私、ここにいたらきっとゼロさんに会えるかと思って待っていたんです」
「…俺を殺しに来たか」

「ち、違います!
 …私、ずっと前からゼロさんを尊敬していたんです …私、もうネオアルカディアには居たくないんです!
 どうか、ゼロさん! 私を、レジスタンスに……」
ゼロの手を握る。


「ゼロさん…私、 ゼロさんのことが……

 『ぶも』…あら?」
ゼロがセイバーを取り出す。
「…結局、お前か」


「え、あのこれは、その口癖でぶも、ぶもも…あの、私その、こんな喋り方じゃあ…」
「誰に化けたかは知らないが、危うく騙されるところだったぞ」

「あっちゃー…もう少し演技指導しとけばよかったかなぁ」
パレットの声だ。
「…ま、まぁとにかくバレたら仕方ないし…ハイ、作戦変更変更ー!」

レイヤーの体が崩れる。 相変わらず、変身を解くと話が出来なくなるらしい。
「ぶも…ぶも、ぶもももももーーーー!!」
「ごめんなさいゼロさん!やられちゃってくださいね!」
レインボーデビルMk2。

「行くぞ!」
跳びあがりレインボーデビルへセイバーを当てる。
「ぶも!?」
腕を固め、反射的にゼロに殴りかかる。
だがゼロはそれを避けてレーザーチャージショット。
「ぶもぉ!?」

液状になり移動。高速回転し飛沫を付着、爆発させる。
「…!?」
炎の力を持っているようだ。

飛沫がまた、レインボーデビルへと集まっていく。
吸収されるところを見計らい、払う、袈裟斬り、振り下ろすの三段斬り。
「ぶももも…!」

レインボーデビルは跳びあがり、巨大な顔の形になって落下、ゼロに襲い掛かる。
「!」
これを回避。レインボーデビルは氷のように砕け、破片となり飛び散る。
レインボーデビルの欠片がまた一箇所へと戻っていく…そこを狙いまたも払い斬り叩く。

「ボディ硬化プログラム開始!!」
「…ぶもっもーーーーー!!」
レインボーデビルがいよいよ怒り出した…腕を振り上げ、体全体を硬化させ始める。
「もっ、もっ、もっ…」

ドシンドシンと動き、部屋を崩し…瓦礫をゼロへと落下させてくる。
これを全て小刻みな動きで回避、レインボーデビルの背後へと周る。
「まずいっ!」
「ぶもももー!!」
レインボーデビルが再度大きな顔の形になりゼロへと落下する。
ゼロはこれを回避、飛び散ったところでまたレインボーデビルへと接近…
「ハァ!!」
チャージ斬りを食らわし、戦いに終止符を打った。
「ぶもー…も………」

「…まぁ、無理ですよね…… …ハルピュイアさんに少し報告しなきゃです」

374俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十五話 前半:2009/05/14(木) 23:06:59
ユグドラシルを守るのは4つの施設。
闇の神殿、炎の神殿、水の神殿、風の神殿。

それぞれを四天王の住まう場所であり、それら全てを通過しないとユグドラシルへの扉は開かれない。
闇の神殿はファントムが担当していた場所であり、主不在の神殿を彼はあっさりと通り抜けた。
そして炎の神殿。

マグマの煮えたぎる神殿を落ちて行った先に待っていたのはもちろんファーブニル。
「よーーーゼローーーー! エルピスっていう奴が俺のいないうちに通ってったみたいだが、
 まぁ俺らは俺らで楽しもうぜ! いっくぜーーーー!?」
セイバーを構える。 …だが、ファーブニルのポーズがおかしい。両足を踏ん張り、両腕を広げ始めた。
「ぉおおおおお!!」
ファーブニルが赤い光に包まれ…光の粒がファーブニルへと集中、ファーブニルを変えて行く……

そこにいたのは、上2門下2門の4門砲台が4つ首のようになった、龍のような戦車。
「さぁーー行くぜゼロぉおおおお!」
ファーブニルの第二形態。
「エックスのと同じ能力か…!」

アームドフェノメノン。腕を磨き続けた四天王らが神殿と一体化して手に入れた、エックスのものに近い第二形態への変身能力…。
炎の神殿の最深部、長い円形通路で彼はゼロを追い始めた。


ゼロはすぐさま雷のチャージ斬りで対応。
「燃え尽きろ!!」
戦車のバーナーから炎を吹き出す。
「オラぁ!!」
戦車の上の2門から爆弾を放る。それは床へと落下、爆発する。

「ハッ!」
チャージ斬りで破壊。続けてまた破壊。

「やられるかよぉ!!」
崩れた4門の砲台から撃ち出すは小さな弾だけ…最早、ゼロと戦うにはこれしかなくなった。

無論、その技一つでどうなるわけもなく…ファーブニル第二形態は、あっという間にゼロに敗れていったのだった。

「……ちっきしょおおおおおお!! …どうして勝てねえんだよーーーーー! …仕方ねえ、次会ったときは勝つからなぁ!?」


続いて水の神殿。
「んふふ…」

笑い声を水に響かせるレヴィアタンがそこにいた。
「私ね… あなたと戦うことが出来れば、ダークエルフだの世界だの、
 そんなのはどうでもよくなってくるのよ……さ、行くわね」

らせん状に光が集まる。
「もっと… もっとよ!」


青い光から現れたのは真っ青なボディをした、エイのような潜水艦……
レヴィアタンの第二形態だった。

「ハッハァ♪」
陽気な声を発して水中を高速回転するレヴィアタン。
「!」

体勢を低くしてまずはその突進を回避する。
「ハァ!!」
チャージ斬りで対応。
「んう…!
 弱点がなくても痛いわね… こちらの番よ、出ておいで!」

いつぞやのような氷の龍が、今度は2頭登場。
「くっ…」

回転斬りで対処。
「それならコレでどう!」

375俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十五話 後半:2009/05/14(木) 23:07:30

頭から超低温のレーザーを発する。
そこから吹き出すように水面上に氷の機雷マリンスノーが生成され…床へと降り注ぐ。
「…」
かわすも、身動きを封じられる。
だが跳びこせる高さまで来た所で跳び、チャージ斬り。
「あぅん…!」
氷と氷の間へ着地。床に付着した氷は氷の柱となり、水面へ上昇していった。

「流石にやるわね…!!」

またも後ろへ下がり…一気に回転し、突進。
「飾りもつけてきちゃった!!」

レヴィアタンの尾が長くなった…? いや、それは氷の刃。
いくつもチェーンのように連なっている。
「…!」
チャージ斬りで破壊。
だがいくつかはレヴィアタンの後ろを離れ、ゼロを襲ってくる。
「フンっ!」

回転斬りで破壊、またもチャージ斬り。
「さっきからそればかりね…水中でのこの私を相手にしたら…
 それ以外、技が見つからないということかしら!?」

レヴィアタンは更に技を放つ。
「さぁ、出ておいでっ!!」

氷の龍を2体。
「………速い!?」
龍の破壊を諦め、レヴィアタンへと攻撃を加えようとする…だが。

高速で迫ってきた龍は、直角に向きを変え…頭と頭を激突させる。
その瞬間…
「!?」
広がった冷気がゼロを包む檻へと変化した。
「いっくわよーーーーーーーーーーー!!」
「…!?」


突進、氷の檻を粉々に粉砕した…
そしてその中のゼロは。
「くっ…」

やはりディフェンスフォームで持ちこたえていた。
「最後だ!!」

フォームチェンジ。パワーフォームでの一撃を…レヴィアタンに叩きこむ。
「ああああああっ…!!!」

体中から小さな爆発が頻発………

変身が…解ける。



「ハァ…ハァ…」
またも息遣いの荒いレヴィアタン。
「ああ…私、 どんどん愚かな女になっていく…」

沈んでいく。
「あなたと戦うこと以外、考えられなくなっていく」

そして頬を染め口元をゆがめる。
「でも、幸せよ♪」


「…暫くは、あなたをこの手でバラバラに引き裂くことを夢見ながら…
 生きていくことにするわ じゃあね」
愛の形も様々…。

376俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十六話 前半:2009/05/14(木) 23:46:01
「シエル…って言ったかな」
サイバーエルフ化したエックスがレジスタンスベース司令室に降りてくる。
「…あなたは…エックス!」


「ああ…ゼロを、ユグドラシルに向かわせたそうだね」
「ええ…」
「…正解だよ …あそこに、ダークエルフが封印されているんだ」

「やっぱり…」
「……君があそこに行った経験があって、よかったよ」
「そう、ね… でも、どうして私はあそこに連れて行かれたんだったかしら…」


「…理由は二つある」

「二つ?」


「一つは、君はダークエルフを作った科学者の子孫だからだよ」


風の神殿・最深部にて…対峙する二人。
ハルピュイアと、エルピスだ。
「ベビーエルフ!!」
エルピスが体内に取り込む。…戦闘開始だ。


「行きますよ『ハルピュイア様』!!」
ビームレイピアを手に、エルピスはハルピュイアを一突き。
「うっ!!」

ソニックブレードでは押さえきれず…ハルピュイアは突き飛ばされる。
ハルピュイアは空へ飛びあがり…同時に衝撃波で斬りつけるが。
「おっといけない♪」

エルピスのレイピアにより防がれる。
「私を見下ろす時はもう終わったんだよ!!」

エルピスは上へレイピアを突き上げる。
「ぐぁあーーーーー!!」

地へと落ちる。
「情けない声をお出しになる!」
レイピアを構えるエルピスに、
ハルピュイアは跳び退き、そのまま遠く飛んで距離を取る。
「小癪な…」


飛びまわるハルピュイア。
高速移動でエルピスをかく乱する………だが。
「そこですか!」
飛びあがり、衝撃波を放つ。

「ぐふっ…!!」
落下。

「おっと…手元が狂ったよ」
そしてレイピアを天へ放り投げる。
くるりくるりと回転し…
「ぁ……………………!!!!」
重力により落下、そのままハルピュイアの背へと命中……胸までを貫く。

ハルピュイアの敗北だった。

「…ネオアルカディアにいた頃は、よくゴミを見下す目で私を見てくれたものだが…」
刺さったままのハルピュイアを蹴り飛ばす。オイルが流れ出る。

「今はどうだ」
引き抜く。
「ぐああああっ…!!」

「…いい表情だハルピュイア。私を今のうちに崇めてやれば助けてやらないこともないぞ?
 私はこれから英雄を超えた… 神にも等しい力を手にするのだからな」
ベビーエルフから得た力でエルピスの体を縛り付ける。

「ハルピュイア!!」
ゼロがやってきた。
「…だがこれではまだまだ…ゼロには敵わない…」


「…何を企んでいる」
ゼロの言葉。
「私はこれから世界を救いに行くんだ、邪魔立てはしないで欲しかったが…
 まぁいい、お前は後でたっぷり相手してやる」

そしてエルピスは口をゆがめる。
「おお、よく見れば前には私、後ろにはゼロか。…可哀相なことになったものですね、ハルピュイア様」
「…何…?」
「少し、かつての上司に恩返しでもしなければね…」

「…あなたの傷を治してあげましょう」
ベビーエルフを乖離させ、指でハルピュイアを指すと… 彼女達はそこへと向かった。
「それではーーーー、ゼーーーーーーローーーーーーーー」

377俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十六話 後半:2009/05/14(木) 23:46:31
残されたのは、ベビーエルフに取り付かれたハルピュイアのみ。
「…ゼロ……」
見る見るうちに、傷が回復していく。

「俺はもうじきベビーエルフに乗っ取られる…
 俺を…… 俺を倒せ!!」

跳びあがる。
「ぅおおおおおおおおおおお!!!」
変身……
巨大なワシの形をした戦闘機へと変身。

これが…ハルピュイア第二形態だった。


「やめろぉ!!」
ベビーエルフに乗っ取られた体は、ミサイルを大量にゼロへ向け放つ。
ゼロはこれを最小限の動きで回避、ハルピュイアにアイスチップをつけたチャージセイバーを食らわせる。
「ぐぁあ!!」

竜巻を起こし、ゼロを突き落とそうとする。
ゼロは竜巻を起こす瞬間にチャージ斬り。
竜巻がゼロに迫ってきたときにもう一度チャージ斬りを食らわせる。
「ぐあぁあああ!!」
だが竜巻は消えず。
ゼロはダッシュで竜巻を通り抜ける。

「よ、避けろおおおおお!」
奥からやってきたハルピュイアが、ゼロへ向け突進する。
「うっぐうう!」
ゼロの寸前で横へと軌道を逸らす。

「そ、その技は避けられない…!!」
電撃を二つぶら下げ、爪のようにして振り子状に揺らしゼロへ向かってくる。
「問題ない」

チャージ斬りで対処、タイミングを見計らい電撃も回避。
「ど、どうやって…!?」
「黙っていろ… 乗っ取られたお前は普通に戦うお前より弱いはずだろう」

そして跳びあがり、一撃を放つ。
「…問題ない」


ハルピュイアの体が…地へと落ちる。
変身解除。
「……うっ…!!」
ベビーエルフが離れていく。

「……ゼロ… エルピスを、エルピスを追ってくれ…
 …ネオアルカディアに手出しされては困るんだ…」
「…解った」

「どうやってあの場所を知ったのかは解らないが…
 ああ、合っている …ダークエルフは…この先の大樹、ユグドラシルに居る!!」
「…エルピスを見つけた時点で解っていた しゃべるな」


ゼロは…いよいよ大樹の元へと走っていった。


レジスタンスベースからも。
「……ゼロ。オペレート再開するわね」
「丁度ユグドラシルの前までやってきたところだ」

エルピスを止めて、ダークエルフの復活を阻止する。
そうすれば…… シエルの研究はもうじき完成し、ネオアルカディアとの戦いは終わることだろう。


平和を勝ち取るための、最後の戦いが…今、始まろうとしていた。

378俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十七話 前半:2009/05/15(金) 00:46:48
最後の戦いの地、ユグドラシル。
「間違いない、その施設の一番上にダークエルフがある!」

今居るのは…下層、中層、上層と分かれた根の部分の下層。黒きフロア。
並み居る敵を倒し、上へ上へと向かっていかなければならない。

待ち受けるは復活したミュートスレプリロイド達。
「エルピス様と、ダークエルフの元…新しい世界が始まる…のだ」
マグマニオンはノーマルフォームのまま撃破。
「くっ、あんなものに心を操られてしまうとは…」

「エルピス様と、ダークエルフの元…新しい世界が始まる……シャアア」
ウロボックル戦でディフェンスフォームへと変化、倒していく。
「うわあああ!何で俺こんなことに!?」

「ボファー…エルピス様ど、ダークエルフの元…新しい世界が始まるボファー」
ディフェンスフォームのままカムベアスを倒す。
「ボファー、エルピスのヤツどこへ行ったど…!?」

下層から中層へ。灰色のフロアの中を
イレイスフォームへと変化。敵の弾を消しながらひたすら…上へ。

「大いなるものが…この世に目覚めようとしているケロ。閉じられた歴史がまた開かれるケロ
 新たなる秩序、新たなる世界 エルピス様に栄光あれ…ケロロン」
エナジーフォームへ変化、ヘケロットを斬る。
「ワタスは一体何をしてたダスかーーー!? ケローーー!」

「大いなるものが…この世に目覚めようとしている。閉じられた歴史がまた開かれる
 新たなる秩序、新たなる世界 エルピス様に栄光あれ…行くぜぇ!!」
戦闘の途中でエナジーフォームからパワーフォームへ。フラクロスを撃破。
「エルピスの野郎ーーーー!」

だがいつも通りなのはここまでだった。
地に打ち付けられる二色の雷。
「大いなるものが…」
「この世に目覚めようとしている」

「閉じられた歴史が」
「また開かれる」

「新たなる秩序」
「新たなる世界」

「エルピス様に栄光あれ… 行くぞ、弟よ」
「はい、兄上!」

現れたのは…ヘラクリウス・アンカトゥスRに、クワガスト・アンカトゥス。
アンカトゥス兄弟二人同時にゼロへ戦いを仕掛けてきた。


「ワシから行くぞ!」
羽を広げ、そこから弾を撃ち出す。
チャージ斬りで冷静に攻撃、弾はシールドブーメランで防ぐ。
「兄上!今度は俺が行きます!」
角を回転させ竜巻を発生させる。最後までゼロに逃げられてしまう。
「や、やるな!!」
「ドンマイだ弟よ!」
兄弟の交差攻撃。
そのタイミングを利用し、クワガストはチャージショット、ヘラクリウスはチャージセイバーを同時に食らう。
「兄上!今こそ俺らの絆がヤツを倒す時だ!」
「そうだな弟よ!行くぞぉおおおお!!」

電撃を発する腕を兄弟で繋ぎ、一直線の雷で繋ぐ。
ぐるりぐるりと回転し、電撃にゼロを巻き込もうというわけだ。

「…!」
兄弟の力が合わさる中心部分を斬り、飛び越えることで対処。終わった所で二人を同時に攻撃。
「うっ」
「ぬぉお!」
バランスが崩れ… 高低で交差する予定だった突進は、高すぎ&低すぎで、同じ高さにて衝突。
ゼロにそれも避けられ…二人で頭を打ち付けあう結果に。

「兄上ーーーーー!何が起こったんだーーーー!?」
「ウガガガガー!ワシらはーーーーー!操られていたんだーーーー!」
爆発。
「「アンカトゥスの絆も永遠なれ!」」


そして…後はエルピスのみとなった…上層。真っ白なフロア。
最後はアクティブフォーム…敵を倒しながら上へ、更に上へと進んでいく。


そしてとうとう。

379俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十七話 後半:2009/05/15(金) 00:49:42
「やぁーーー、よく来たねゼーーーローーーー! やっぱり最後の仕上げは君の前で行わないとねーーーーー!」

ユグドラシルの幹へとたどり着いた。
その根元にあったもの…シエルが幼い頃ここへつれてこられたもう一つの理由がそこにあった。


戦いに疲れ、その体を永遠の休息に宛てたもの
世界を片隅から見守り続けるもの
永劫のときを、平和を願い眠り続けるもの…

そこにあったのは青き人型レプリロイドのボディ……
…エックスだった。

シエルは、エックスをコピーする元となるデータを得るべくユグドラシルへ連れてこられていたのだ。
「私は、これからこの憎きエックスのボディを破壊し…
 ダークエルフを復活させ、究極の力を手に入れるのだあああああああああ!!!」
「させるか」

ゼロは走る…だが。
「うっ!!」
電撃の檻に閉じ込められる。

「お前は指をくわえて見ておれ、ゼーーーーローーーー。
 …お前の親友とやらが破壊されるところをなーーーー!!」

エルピスがビームレイピアを巨大化させ始める。
「さーーーーーーあ!!
 死ーーーーーーーーねーーーーーーーーー エックスーーーーーーーー!!」
ゼロには…何も出来ない。

放る…その胸へと突き刺す。力が足りない…柄を持ち、深く深く押し込む。
「ハァアアアア!!」

砕ける……幹が爆発する。


…エックスの肉体が……死を、迎える。



そして、この世界のどこにも…ロックマンエックスなるものの体は存在しなくなった。

…静寂に響き渡るのは…ただ一つの声。

「うっくくくくく…」
代わりに現れたのは紫色の光。
「…クーーーーーッハッハッハッハッハーーーーーー!
 やったーーーーーーーー!やったぞーーーーーーーーーーーーーー!
 この私が、私が!! エックスを倒したのだーーーーーーーーーーーーーーー!」
ただただ、歓喜の声が響き渡る。
ダークエルフの二つの体が…結合する。


…その体に、翼が生えていく…。
「…さぁ、ダークエルフよ…!! 私の力となれ!!」

淀んだ光がエルピスへと降り注ぐ。
エルピスは…直立したまま両手を広げ、十字架のようなポーズをとっていた。

ベビーエルフ2体、そしてダークエルフが…… エルピスへと取り込まれていく。
「………ウォオオ…ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

胸が。
「アアアア!」
脚が。
「アアアアアアアウウウ!」
腕が。
「ガガガガガガガガ!!」
そして顔が。
「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

…覆われていった。 …白き、鎧に。


生まれ変わった、自身の姿。
「………………」
エルピスは恍惚とした表情で、そのビームレイピアの刃を見つめる。
「………」

口を開く。
「…待たせたな、ゼロ」
刃を揺れさせる。
「ここで、お前を血祭りにあげ……」
少しずつ歩いていく。
「それから、ネオアルカディアを…人間を、皆殺しにするとしよう。」

口元がグニャリと歪む。
「…なあゼロ」

そして…その口から
「…人間の居ない世界、」
彼の真の目的がこぼれる。
「レプリロイドだけの世界はさぞかし……」

レイピアを突き上げる。
「平和になると思わないか……?」

380俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十八話 前半:2009/05/15(金) 01:21:47
「エックスの仇は取らせてもらう」
ライズフォームへと変身、
エルピスとは近距離戦に持ち込む。

「おっといけない!」
エルピスはバックステップで回避、
「行きますよ!」
そのまま突きへと移行。

ハルピュイアに使ったものは一回の突きのみだったが…そんなものではない。
何度も何度も連続し、高速で駆け抜けながら突きを行うものだ。
「!」

飛び越して後ろからチャージ斬り。
「うっ…!!」

だがエルピスは持ち直す。
「失礼!!」

ビームレイピアを突き上げる。
ハルピュイアのときのように単なる突きではない。
その刃先から、闇のエネルギーを次々放射するのだ。

「な!?」
その力は外側へ向かって広がっていく。エルピスの近くは最も安全。
懐へと飛び込み…
「テイ!!」
払う。
「フッ!」
斬る。
「デアァ!!」
下から上へと斬りあげる。

「やりますね!」
バックステップで回避。
「まだ食らい足りないようだな」
ダッシュ、そのまま斬りの体勢へ。

「甘いですよ!!」
エルピスの手が歪み…その前方から、パンテオンが登場。
ゼットセイバーはそのパンテオンを切るに留まった。

「ククク…!」
「…」

エルピスは跳んで距離を取るが
そのままチャージ。

再び跳んできたところをチャージ斬りで迎撃する。
「ハァ!!」
「ぬあああああ!!」

1、2度床を蹴り体勢を整えるエルピス。そして…
「そこですか!!」

跳びあがり…今度は衝撃波でなく、紫色の、数珠繋ぎの輪を放ってきた。
「!?」

まとわりつき…
「あなたの力を糧としましょう」
一つ一つがゼロのエネルギーを奪い、エルピスの元へ戻っていく。


「それ以上の力はお前には要らないはずだ!」
回転斬りでエルピスを払う。

「くっ…!!」

381俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十八話 後半:2009/05/15(金) 01:22:35
飛びのく。
「あなただってなかなかやるではないですか。
 腹立たしいくらいですよ!! …まぁいい、せっかくこうして戦えたんだ」

黒きオーラにエルピスが包まれる。
「楽しんでください!!」

エルピスの奥義は、ハルピュイアにトドメを刺した剣を放り投げる技の強化版。

放り投げたレイピアは…
「!!」
ゼロに避けられ、地面へと突き刺さり……

「ハッ!」
そのまま力を発動、凄まじいエネルギーで地面を吹き飛ばし、瓦礫を吹き飛ばしてくる。


「…」
それを全て回避、剣はエルピスの手元に戻ってくる。
「つまらん…」
呟いたエルピスにチャージ斬り。
「くっ……!!」

そのままバックステップ、そして突きの連続攻撃へとつなげる。
ゼロはそれを回避…
エルピスへと近づく。
「おっと!!」

今度はレイピアで攻撃を防御。
だが…それでセイバーは防げてもこれは防げない。

「これはエックスの分だ」

エックスフォームへ変身… レーザーチャージショットを放つ。
「!!!」


それはレイピアを貫き……エルピスの胸へと命中する。
「ガハッ………!?」



膝をつく。
「…バカな…バカな…バカな!!」

「…有り得ない…」


「…私は、かつて世界を滅ぼしかけた力を手に入れたんだぞ…
 …なのにどうして…!?」

それでも超えられなかった力の差。

…エルピスが…吼える。
「クッソーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
 こんなものでは足らんぞダークエルフーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
 もっと力をよこせーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


その叫びに呼応するかのように…
エルピスの体が…

真っ黒な闇に包まれる。四天王やエックスのそれと同じように。



「ギェアアアアアアアアアアアアアアーッハッハッハーーーーーーーーーーーアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

断末魔の叫びのような、湧き上がる力への歓喜の声のような。

混ざり合ったその『叫び』の中から、それは姿を表した。


真っ黒な花のような4枚の翼の中心に、細く長く変化したエルピスの上半身。
ぐにゃりぐにゃりと触手のように、そのブロンドの髪をうねらせる。


「モットチカラヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!!!」


ダークエルフからもたらされた、更なる力の代償。

それは最早、ダークエルフを手に入れたエルピスではなく……
エルピスという体を媒体としたダークエルフだった。

382俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十九話 序盤:2009/05/15(金) 02:25:20
現れたのはエルピス第二形態。


「モットチカラヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!」

その腕の間から目玉型のエネルギー球を発生させ、それは辺りを暴れ回る。
「!!」
それに直撃され、ゼロはバランスを崩す。


だがゼロはエルピスへと向かっていく。
「ワビテクチローーーーーーーーー!」
続けて腕からビームを発射。
「うっぐ…!」
これもゼロへ直撃。

ビームが撃ちこまれた場所からはまた、目玉の形をしたエネルギー体が。
「何なんだ…?」
ノーマルフォームへと変化、エルピスごとチャージ斬りで叩き斬る。


「ニンゲンドモメエエエエエエエエエ!!!!」

金色に輝く、とげのついた壁が登場……ゼロを壁へと押しつぶし、串刺しにしようとする。
だがゼロにとってはいい足場。これに乗り、エルピスを攻撃。


「ジャマヲスルナアアアア!」
再びエネルギー弾を放ってくる。これも回避。


「どうやら力は手に入れたようだが…
 その様子では力を使うだけのようだな」

だがその言葉はエルピスに聞こえていた。
「ズニノルナァァァ!」


揺らめき、ワープ。
「オワカレデス!!」


4枚の翼からエネルギー弾を自在に放り続ける。
「……!!」

正直、この状態ではエルピスに手出しが出来ない。
「アーーーーッハッハッハッハァァァァ!!」
更に同じ技を繰り返す。
「……」

これではうかつに手出しが出来ない。



そしてもう一度ワープをした時…いよいよエルピスの様子がおかしくなる。
「ウ…ウウウウ…ウオオオオオオオオオオ!」

その腕から放たれたビームは…今度は台座を作り出した。
「…なんだ?」

明らかに意味のわからない攻撃。
空を飛んでいるエルピスへ攻撃するのにはうってつけだ。


…だがどうして?
「…お前」

崩壊が近づき…エルピスがもし正気に戻りかけているのだとしたら。


「我慢しろ、エルピス!!」
チャージを始める…その時。


「!?」
ゼロの体が突然…あらゆる色に輝き始める。

白、黄色、青、赤、緑…オレンジ、青紫、紫、黒。
「………これは」

そして………赤へと戻ったところで光がゼロを包み込み始める。
「……何だ、これは」

紫色がかった赤色へと変化する。

その形態の名前が…ゼロの脳裏に焼き付けられる。
「『アルティメットフォーム』…!?」

383俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十九話 中盤:2009/05/15(金) 02:26:55

全ての力を備えた、究極のフォーム。
ダークエルフの力に呼応したのか…あるいは。

「行くぞ、エルピス…!!」

台座に跳び乗る。
8の字を描きながら上昇する台座。

そして…跳びあがり…エルピスを頭から……切り裂く。
「ハァァァァァァァ!」

「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
眩い光に包まれ…エルピスが…堕ちていく。


…後に残ったのは、残骸…そしてそれにもたれかかり横たわるエルピス。
「……ありがとう、ゼロ君…
 私は、もう少しでとんでもないことをしでかすところだった……」

ダークエルフはエルピスから遊離している。
つまらない手駒を失ってしまった、といったところか?


「…私は、バカな男だ… 自分の非力を憎むあまり、こんなことを…
 …自分の失敗を認めるのは、勇気が要ること… これで私も少しは… 変われただろうか」


…最期の時だ。
頭にあるのは、ゼロに申し訳ないと思う気持ちと…そして。
「…有難う、ゼロ君…
 …さよなら………シエルさん…」


その時だった。
…ダークエルフが突然、色を変えた。…闇ではない。…光だった。
「お、お母さん…!? わ、わぁああーーー!!」
「何か変だよーーーーーー!」

二人のベビーエルフが逃げ出す。
様子がおかしい。


白くなったダークエルフは……エルピスを慰めるように、光をもたらす。
「…ああ、暖かい………」


そして…エルピスの体はみるみるうちに溶け…… 消滅。

…そして、なんとサイバーエルフへと変わっていた。
「………」


ふわりと空へと飛ぶ。
「………… 彼女は、私を助けてくれたのか…
 …もしかすると、彼女は…邪悪な存在ではないのかもしれない。
 …さようなら、ゼロ君…」

エルピスはそうして…どこかへ旅立っていった。



「……!?」
ダークエルフが色をまがまがしい黒へと戻そうとしている。

だが…その瞬間…彼は確かに聞いた。
「ゼ………ロ……」

彼の名を呼ぶ声。…ひどく、懐かしい声。


ダークエルフは、そして翼を背に去っていった。

384俺的アレンジの入ったロックマンゼロ2 第十九話 終盤:2009/05/15(金) 02:29:29
十字のポーズ、鎧をまとう変身、黒き花、目玉のエネルギー、倒れた姿、レプリロイドだけの世界、そして最期に心の中にあったもの。

……何かがゼロの心をかき乱す。…記憶が… 魂にある何かが。


「………彼女は昔から、ダークエルフと呼ばれていたわけではない」
エックスが降りてきた。

「…彼女はかつて、世界を救うために生まれてきた」

「その時は別の名前で呼ばれていた」


遠まわしな、もったいぶるようなエックスの言葉。…ゼロの心が更にじらされる。
「…だけど」

いや。そもそもダークエルフはいつから存在していたというのか。
「…彼女の力が、世界を滅ぼしかけたその時から……」

アンドリュー爺さんから聞いた話では、ヤコブ計画の中心人物、
ルミネとの戦いの物語で終わっていた。

「彼女の名前は、『ダークエルフ』と呼ばれるようになったんだ」

そんな名前は、出てきていない。
「…そう、『ドクターバイル』に呪いをかけられた…その時からね」

その名前を、ゼロは忘れない。忘れたとしても、後に忘れられなくなる名前となっていくのだが。


エックスは去る。
「…シエル」
「あ、ああ…聞き覚えがあるわ。ドクターバイルは、確か…戦争を起こした科学者レプリロイドのことね」

「…それもいいが、それより聞きたいことがある」

ゼロの心に生じた、明らかな焦り。

「……今はいつだ」
「…えっ」
それは何か、不安に駆られるように、何かを求めるように、急かすように。

「ネオアルカディアが出来てから100年か?
 イレギュラー戦争が始まったときから100年か?
 イレギュラー戦争が終わってからの100年か?
 俺が封印されてからの100年か?
 ダークエルフが封印されてからの100年か?」

『100年』…
前世紀という言葉で覆い隠され、丸められ捨てられてきたあらゆる事柄。
「俺が眠ってから一体何があった?」


「ルミネという、そりゃあべらぼうに強いイレギュラーを倒した後にな…
 …ゼロっていうお前さんと同じ名前の英雄は、カプセルの中に入ったんじゃ…」

アンドリューの話。
…聞きたいのはその後だった。

「…今は…何があってから100年なんだ …俺が眠ってから何があった!」

シエルは…言葉に詰まる。
自分が、ネオアルカディアから与えられた表層の情報しか持って居なかったことに。
ゼロに…どこか、何かを思い出すだろうと期待して、自分は何もしていなかったことに。

そのゼロに、今…何も知らない自分が、情報を求められていることに。
…唇が、震える。
「………今は」

戦いは終わらなかった。

100年の言葉の前に捨てられてきた、歴史の闇に葬られた空白の期間。
世界が抱えた、忘れられぬ痛み、悲しみが…… 彼らに、牙を剥こうとしていた。

そして始まるのだ。未来をかけた、過去との戦いが。

「今は、『妖精戦争』が終わってから100年後の時代よ」






「クーックックック…ダークエルフが目覚めたようだぞ
 会いたいだろう… お前にも、動いてもらわねばならんな… 

 『オメガ』…」

385俺的アレンジの入ったロックマン4 前半:2009/05/16(土) 02:48:06
ガンマと共にDrワイリーの研究所は倒壊
博士はその下敷きとなり…その生涯を終えた。

彼は…ロックマンは、一層強く生きなければならなくなった。
兄ブルースに、彼を拾ったDrワイリーより優先して助けられたことに意味を感じながら。


新たなる改造を施されたロックマン。
ブルースにはついていて、ロックにはついていなかった、ある機能。

それを手に入れたら…もう彼は後には引けなくなるが。


「ニューロックバスター?」
「うむ。…以前、ヒートマンの武器を、エネルギーを高めて
 放つことが出来るようになったことがあったじゃろ」

クイックマンとの対決のときだ。
「あれと同じじゃよ…あれをうまく扱えるお前なら、
 きっとこの能力も使えると判断した」

ロックバスターは威力が弱い武器だ。
連射してマシンガンのような攻撃として使う方法もなくはないが。

「これを使うことで、お前は特殊武器に頼ることなく、
 立派な戦闘用ロボットとして機能を果たすことが出来るようになる…いいな」

逆を言えば…
「僕の戦いが認められた…一つの証だと思っておくことにします」



そんなある日である。
「ごめん、何か故障みたい」
「どうしたのロールちゃん」
ごそごそと背を向けて機械の調整をするロールちゃん。

「うん。転送装置の故障が起こったみたいで…」
「え!?」


これでは何かあってもすぐに現場には駆けつけられない。
「あ。そうそう…サポートメカも今作ってる最中だから、
 次の事件からはこれも持って行ってね」

事件は、ワイリーの絡む事件だけではないのだから。

…だが、ワイリーに並ぶような大きな事件は一つもない。
いつか戦いも終わりを迎える…そう思っていた。
「それはともかく…転送装置がないのは不便だね…どうしたら……」
そのとき。
「あ!!」
「ピピーーーー!」

突如として、謎の翼の生えたロボットがロールちゃんの手にあった
サポートメカ2機を奪っていった。
「フフフフフフ、その必要はないよ、ロックマン君」

小鳥型のロボットは、その主の肩へと戻っていく。
ライト研究所の扉の前に現れたのは……

「…あなたは…」
「コサック博士!」
「君が一体何をしに来たんじゃ!?」


ミハイル・セルゲイビッチ・コサック。
ロシアの、30代にして地位を築き上げた若き天才科学者だ。
「世界は君に注目しているようだね、ロックマン」


「…君はいまや世界のヒーロー。
 君のことを世界中が注目しているといっていいかもしれないね」
「……」

「…逆に言えば、君を倒せば世界征服の夢は半分以上完成するといっても過言ではない
 …違うかな。 あのワイリー博士でさえ成し遂げられなかったのだからね」

鳥型ロボットに掴まり、大空へ飛んでいくコサック博士。

「さあ、勝負のときだロックマン!私は世界の各都市を占拠した…
 取り戻したければ各施設にいる我がロボット達を倒してみたまえ!!
 …待っているぞ!」
サポートメカを取り戻すこと。ロボットを倒し、町を開放すること。

「…行ってくるよ、ロールちゃん」
待っている、の本当の意味を彼は知る由もなく。
彼は…髪をなびかせて列車に乗るのだった。

トンネルを抜けるまでの間に…彼はヘルメットを被る。
新たなる戦いのときだ。

386俺的アレンジの入ったロックマン4 後半:2009/05/16(土) 02:52:54
「…ロック! 転送装置の故障が直ったわ
 これで、コサック博士の研究所に乗り込める…!」

8体目のロボット、ファラオマンを倒した所で
彼は研究所へと戻る。
「…」
結局、以前と変わらぬ戦いだった。
彼は、コサック博士の研究所へと乗り込む。



「………これが僕の戦いか」
それから更に2つのエリアを抜け、夜が明けて視界を覆うは青空……
巨大なコサック研究所のテラスへと出た。
「…」

結局、戦いは終わらなかった。
ワイリーからコサックへ…敵が変わっただけである。
『悪い人間』は…一人ではなかった。


それも、二人揃って優秀な科学者である。
…彼の戦いは果たして終わるときが来るのか?

…人間という生き物にとって、自分は何であるのか?

自分の戦いは、本当に人を救うことに役立つのか?
彼は、疑問に思い始めていた。
…戦いを決意させたのと同じ、青空を見つめながら。



コサック研究所最深部。
とうとう現れたコサック博士との対決。
「さあ、勝負だ!!ロックマン!
 …私は、負けるわけにはいかん!」
…彼は本気だった。必死でロックマンに戦いを挑んでくる。
…何故?


「このマシンは私の趣味が反映されているが…気にしないでくれたまえよ!」
だが、まずは目の前のコサック博士のマシンを破壊することだけを考えた。
UFOキャッチャーのようなそのメカは、ロックマンを掴んでは落とす。


こちらも全力で挑む。
そして、チャージショットがコサックのマシンを貫通したそのとき…
「ううううっ……!?ま、まだまだ…!!」

「お願い!! やめて、ロックマン!」



…そして明かされた真実。
コサック博士は、ワイリーに脅されていたのだ。娘カリンカを人質に取られて…。
…彼は、生きていた。ブルースと共に。

ブルースはカリンカを救出し、そして…ワイリーの元を去っていった。


「…有難う、ブルース」

抱き合って喜ぶ父コサックと娘カリンカの姿。
…人間同士の親子愛の前に、ロボットは立ち入れないような、そんな気がしていた。

自分の戦いで、二人は救われた…。 その事実だけを噛み締めながら。


ワイリー研究所には入り口はない。
彼は…カリンカの掴まっていた地下室から侵入、

2体の大型ロボットを倒し、いよいよもってワイリーの部屋を目指す。
…準備は全て完了した。後は彼の野望を食い止めるのみ…!

387俺的アレンジの入ったロックマン5 OP:2009/05/16(土) 22:26:15
「これで……」
「最後じゃああああああああ!!!」


暗闇の中で、目からオイルを流すロックマンと
いよいよ追い詰められた、カプセル一つに乗ったワイリーとの
最後の戦いがいよいよ始まり……

「チャージ…ファラオショット!!」
「何っ!?」

勝てないと思われたその戦いもとうとう幕を閉じた。そして…ワイリーは逃げた。


「ピピピーー!ピー!」
「…すまなかったね、ロックマン…これではお詫びにもならないだろうが…」
「…! 前にワイヤーとバルーンを盗んでいったあの!」
「うむ。君のヘルメットをパーツとして改造を施してみたんだが…どうだろうな
 『ビート』という名前なのだが」

「ビート… 有難う御座います、コサック博士!」
それから時は流れた。


あるロボット達の起こす事件がニュースを騒がせていた。
「『B』の文字…か」

「どうやら、またみたいッスねー…」
「何だか怖いでありますぅ…」

世間を騒がせていたのは謎の破壊工作を行う革命集団…
9人のメンバーにより構成されているとされる。
「『B』の文字か………」


そして彼らは、いよいよ表立った動きを見せた。
「それじゃあ僕は重力研究所に行って来るよ」
「頑張って来いやぁぁぁ!」
「おう、留守の間は俺らがしっかり見張ってるからよ!」
重力に関するあらゆる研究を行っている場所であり、
反重力ユニットの開発にも成功しているとのことだ。


「…これは一体!?」
そこはロボットに占拠されていた…。
「…例のロボット集団か!」
ロールちゃんにも通信が繋がらない。
…彼はただ一人で、重力研究所を奥へと潜っていった。


最深部にて現れたのは…。
「わざわざ俺のアジトにまで来てくれたんだな!」
「…君は!?」

彼の名はグラビティーマン。その胸には…『B』の文字。
「俺たちは人間達への復讐のため戦っている
 人間に従うお前は俺たちにとってはジャマなのさ!」


彼は重力を操るロボット。ロックマンが床にいるときは天井にいて、ロックマンが天井にいるときは床に。
グラビティーマンは斜めにもバスターを撃てるため、一方的な攻撃も可能。

しかしロックマンをそれでは倒せない…
重力反転のときの交差が、唯一のお互いの攻撃チャンス。
重力により交差をしながらの変則的な戦いとなったが… ロックマンはそれに勝利した。
だが。
「…へへ、時間は稼いだぜ…リーダー…」
「リーダー…お前達のリーダーは一体何者だ…!」
「ああ! 今頃お前の所の研究所にいるころさ…! ぐはぁあっ…!!」

こうしてはいられない。ライト研究所へひた走るロックマン。

…だが…彼がの視界に白い白衣と赤い影が見えたと思ったその瞬間、
それは彼方へと飛び去ったのである。 …ライト博士を誘拐して。

ふわり、ふわりと落ちてくるは黄色いスカーフ。
これをつけていた赤いロボット…一人しかいない。

嫌な予感が…こみ上げる。
ワイリーの手を離れた、彼の復讐は…ライト博士だけに留まらなかったのだ。

「…ブルース…!?」


彼を待つは人間の追放を目的とした、リーダーの名をとったロボット集団『ブルース』
世界各地で破壊工作を行う彼らとの戦いが今…始まる。

388俺的アレンジの入ったロックマン5 8ボス前半:2009/05/16(土) 23:45:38
事態は思った以上に深刻。
9人で集中して大都市の中心部を占拠、
1つの地区を丸々自分達の城塞へと改造してしまったのである。

そんな彼らがまず起こした行動は巨大鉱山の爆破。
鉱物資源に富んだ連なる山々を爆破し、ふもとの都市を岩の下敷きにしようというものだった。

その阻止を依頼されたロックマンは
メットールたちに占拠されたその山へと登り、ロボット達を倒していく。
待っていたのはブロックで出来たようなストーンマン。

崩れては再生するそのボディと、大きく暴れ回る岩パワーストーンに苦戦しつつも
勝利を掴み取る。


そして、2人のメンバーを倒されたリーダー、ブルースから招待状が届く。
どうやら、彼は建設途中の空中都市を占拠した模様である。

作業用リフトに乗り高所へ。
高所での敵との戦いを乗り越え、トラップをも乗り越えた先にいたのは
ブルース、そしてワイリー。
もちかけられたのは…2択。

「…仲間にはならないよ、ブルース」
「…こうやっても、か?」
「や、やめるんじゃブルース…ぐあああああ…ああああああああああああ!!」
遥か空の上から突き落とされるワイリー。
「…!?」
「安心しろ、ライトにはまだ協力してもらわなきゃならないことがあるからな」
 …それで、これでお前の敵は殺してやった訳だが…」

ロックマンが喜ぶ訳がない。
「…尚更…君のことがよくわからなくなってきた。
 …目を覚ませ!!」
バスターを向けるも盾で弾かれ…
フッと笑い、ブルースは消えた。

「なら、仕方ない… 相手してやってくれ、ジャイロマン」
現れたのはブルースのメンバーの一人…ジャイロマン。
雲に隠れながらジャイロアタックで攻撃する卑怯な戦法であるが、
ジャイロマン自体が雲の中ではロックマンを捉え切ることは出来ず…雲から姿を現したところを倒された。

こうして、全面的にロックマンは彼らと対決する姿勢をとることとなる。


彼らの行動はエスカレートしていく。
今度は宇宙ステーション占拠。彼らの目的は一体何であるのか。
ラッシュを改造、宇宙へ進出したロックマンはそのステーションでメンバーの一人、スターマンと出会う。

重力が少ないことを利用して、大きく動くスターマン。
周囲にバリアを張ることで防御力と同時に広い攻撃範囲も得る。
しかしバリアを弾として放ったことがきっかけで、ロックマンに敗れ…
カリンカが宇宙ステーションにあった宇宙開発用アイテム、スーパーアローを発見した。

389俺的アレンジの入ったロックマン5 8ボス後半:2009/05/16(土) 23:46:08
だが…事態は更に悪化する。
宇宙ステーションからの電磁波が影響を及ぼし、ライト研究所の通信設備は封じられただけでなく…
なんと、軍事衛星がジャックされ…某国の密林内にある基地の兵器が暴走を始めたのだ。

人間は退去、ロボットも衛星からの信号で操られ、ブルースの手に落ちる。


ロックマンは地上へと降り、基地の中へ。
密林の中、そしてその基地の中での警備ロボットや兵器ロボットとの戦い、そしてその末に待っていたのは
体全体に兵器を満載しているナパームマン。

ミサイルを乱射したり、重量の重いボディをキャタピラで動かしながら破壊力が桁違いのナパームボムを放ってくる。
ロックマンはチャージショットで対抗。火力と火力のぶつかり合い…そして撃破。

だがそこで政府から彼へのメッセージが。
何と、国家の命運をかけて行っていた、新たなロボットのエネルギー材料開発プロジェクトが行われていた区域が
ブルースらに狙われているとのこと。


向かったのは真っ青に輝く水晶だらけの水晶の畑…洞窟内は上を見ても下を見ても輝いている。
美しい洞窟の最深部で待っていたのはクリスタルマン。
クリスタルアイと呼ばれる、クリスタルを励起させ発射、部屋中を際限なく暴れ回らせる能力を持っていた。
真っ青な中で、青きロボット二人により死闘は繰り広げられ…クリスタルマンも撃破。

なんとかエネルギーを奪われずには済んだらしい。


だが…ブルースをこれ以上野放しにはしていられない。
ロックマンはロールちゃんをリーダーとしてライトナンバーズ達に応援に向かわせ、
ブルースのアジトへ乗り込むことを決意する。


まずは海を乗り越えなくてはならない。
港へと移動、海水から真水を作り出す巨大施設からウォーターバイクに乗り、
海を渡る。

途中、巨大ロボットの妨害もありながらなんとか突破、渡った先の港でウェーブマンとの戦闘。
碇を撃ち出してきたり、自在な位置から水を噴出させるその力は強力だったものの、何とかこれも乗り越え…


いよいよブルースの城塞都市までは線路一本という所まで来た。
このまま、都市内部へと入っていく貨物列車へと乗り込む。
「この列車の者以外には気付かせていない…感謝してくれよ、ロックマン!」


ブルースの居城までを守るはチャージマン。
機関車型ならではのハイパワーの突進攻撃、石炭を打ち上げ、隕石のように降らせる攻撃が主。
意外に小回りも効き、ボディ自体も大きめなため、思わぬところで苦戦を強いられる相手であったが…
これも撃破。

たどり着いた場所は…
紫色の空に照らされた城壁、並ぶ小型タンク、
監視メカ、白い虎型の警備ロボット、侵入者を探す爆撃メカ。

…かつてない万全の警備の、ブルースの都市。…そこはもう、敵の本拠地だった。


聞きたいことが、山ほどある。

390俺的アレンジの入ったロックマン5 ラストステージ前半:2009/05/17(日) 00:22:48
「侵入者を発見、直ちに排除致します」

ブルースの本拠地は広大。
警備メカの目を掻い潜り、または破壊しながら先へと進む。

爆撃メカの爆弾を超えてスーパーアローを壁に突き刺し、壁を乗り越える。
まとわりつく小型メカに気も止めず進むと頭脳パーツがガラスで覆われた謎のロボットが。

ダークマンと呼ばれるそのロボットを倒し、一度地下へ身を隠す。


身を隠すと同時に、それは中心部へ進むのに最もいい手段とも言えるからだ。

だがやはり警備は地下にも行き届いていた。
敵を倒し、危険な地下道を潜りながら…またもダークマンを破壊。

エレベーターに乗る。


夜空にきらめくは星、月…そして明かり。
サーチライトが辺りを照らし、建物の先端からは信号を発している。
金色に輝く城には謎の線状装置が行き交う。

いよいよ、ブルースの近くまでやってきたのだ。


警備というレベルではない。…ロックマンを殺しにかかる部下達。
ヘリや砲撃、または押しつぶしにかかったり。


何重もの防壁を抜け、移動用装置であった線状装置に導かれた先では再びダークマンとの戦い。
これで3体目…


これを倒すといよいよブルースの部屋までの最後の一つの塔。

エレベーターを阻む柱を破壊、どんどん上階へと登っていく。
…そして…彼がいた。

「ブルース!!」
「来たな…ロックマン」


…彼は兄…辛い過去も聞いた。…戦いたくはない。
「…話は聞いてくれないか」
「俺の話を断ったのはお前の方だろう…」

にじり寄る。

「お願いだ、こんなことはやめてくれ、ブルース!!」
「…言えるのは所詮その程度か!」

エネルギーチャージ。
「や、やめてくれ…!」

更にチャージ……
「これはお前を倒すために取っておいた取って置きの攻撃だ…
 …俺の部下にはなってくれないか、ロックマン」


これを撃たれたら勝てないとは解っている…けど。
「…嫌だ」


ブルース最強の攻撃、ビッグバンストライクが発動…
「ぁあああああああああああああああ!!!」
エネルギーの巨大な塊がロックマンを壁へと叩き付ける。

…もしダメージを少しでも負っていたら、この攻撃で完全に粉砕されていたことだろう。
…かろうじて、彼は立っていた。だが…その時。

口笛が鳴り響く。
「!?」


現れたのは…赤いロボット。…なくしたはずの黄色いスカーフをつけたままの…。
「…そんな!?」

「……フフ、ハハ、アハハハハハハハ!」
スカーフのないブルースが突然笑い始める。

「目立つ真似は俺は嫌いでな」
ブルースストライクをかわしこちらもブルースストライク。
「ぐっ…!?」

スカーフのないブルースが…吹き飛ぶ。
…大きなメカの形へと変化する。
「ヤツはダークマンの完全体…気をつけておけ
 これを受け取れ、ロックマン」

謎のアイテム『L缶』を渡し、彼は姿を消す。
「…… 有難う、ブルース」

「バレたら仕方ないな…!」
腕からのバスターでL缶のあった床を破壊…
戦いが始まる。

391俺的アレンジの入ったロックマン5 ラストステージ後半:2009/05/17(日) 00:23:18
「ガーッハッハッハ!ライトを助けたければ、ワシの所まで来てみることじゃな、ロックマン!!」

結局、ダークマン達を使ってブルースだけでなく、世界を陥れようとしたのはワイリーだった。
あの時、ダークマンに突き落とされたと思われた彼は、下で待機していたジャイロマンに助けられていたのだ。
…台本どおりに。


そしていつものようにワイリーの研究所へ。
だが…今回は戦う意味が違う。

ロックマンは、ライト博士を助けるために進むのだ。

以前にもまして強力なトラップに屈することなく、ただ、ただ…ただひたすら、彼は進む。
博士のために。

カリンカを助けるため、コサックは悪役を演じた。
コサックを助けるため、カリンカはブルースに懇願した。

人間同士の親子の絆は、美しいものだった…
今は…
「…関係ありません!今度はあなたがお父さんを助ける番です…行って下さい、ロックマン!」
ロックマンがライト博士を助ける。

世界のためにもなるであろう。だが…それよりも、彼には大きな意味があったのだ。

ロックをロックマンに改造するとき、どれほど辛かったか。
ロックマンにサポートメカを沢山作ってくれた博士に報いるためのこと。

…いや、そうでもないかもしれない。彼がワイリーに立ち向かい続けたことでこうなったのであれば。
考えるのはそれまでにして、彼は戦いへと集中する。
たった一つの、目的のために。


そして、彼はやっと知る。ワイリーナンバーズたちの気持ちを。

今回のロボット達を作ったのもワイリー。
ワイリーが世界征服をしようとしている?ワイリーは世間的に極悪人である?ワイリーが元々ライト博士を浚った?
そんなことは関係ない。
彼らは…彼らはただ、自分の製作者のために戦っているに過ぎないのだ。


だから、彼は全力で相手するつもりでいる。…数なんて関係ない。
お互いの製作者のために、全力を尽くすだけなのだから。


そうしているうちに…彼の周りを8つのカプセルが囲いだした。
その中には彼を倒さんとする8つの命。

…戦いのときだ。

392俺的アレンジの入ったロックマン6→7:2009/05/17(日) 01:05:55
ワイリーは如何にして、毎回大量のロボットを作ったり
毎回巨大な研究所を作って世界征服へ乗り出していたのか?

その資金は一体どこで手に入れたのか…?

その理由がとうとう明らかになった。


ロボット達との共存社会の足がかりとして、第一回ロボット選手権が開かれた。
その主催は、世界中の科学者達を支援している巨大企業『X財団』


そのトップたる、MrXは謎に包まれた人物だったのだが…
彼がなんと、世界各地の代表選手ロボット8体を盗み、世界征服に出たのだ。

「今こそ明かそう…この私こそが、Drワイリーを影で操る支配者だったのだよ!
 勝負だ、ロックマン!」


…何ということはない DrワイリーこそがMrXその人だったのだ。
彼は社会で犯罪者として名を馳せ、影を与える傍ら、X財団のトップとして社会に光を与えていたのだ。
そして、とうとうDrワイリーはロックマンによって逮捕される運びとなる。


これにてアルバート・W・ワイリーという世紀の科学者による犯罪は終わりを告げる。
…かと思いきや。


世界一の科学力を持つ彼はどうしてコサック博士にわざわざ世界征服の真似ごとをさせたのか?
ロックマンをおびき出すそれだけのためにライト博士を浚ったのか?

その理由が…ここにある。



「全く……Drワイリーの考えることはわかんねーな」
「ガルルルルル…」

狼型ロボットを引き連れた、黒きロボットが一人。髪を模したヘッドパーツに、頭と胸のクリスタル。


彼は誕生したばかりの…ワイリーによって作られたロボットである。


コサック博士に世界征服をさせている間、
彼は何をしていたか?

…あるエネルギーを合成していたのである。

ガンマに搭載した8つの星のエネルギー。
人の心を反映する機能もあるジェミニマンのいた星のエネルギーも勿論混ざっている。


それを核としてあらゆる力を集中させ、かつコサック博士が取り扱っていたあらゆるエネルギーを混ぜることで…
偶然、強大な一つのエネルギーを合成するに至ったのだ。
彼はそれに特徴的な名前をつけた。


そしてその強大すぎるエネルギーを使いこなせる最強のロボットを作ろうと…
彼は考えるようになった。
最強のそのエネルギーをもし、ロックマンのような能力を持ったロボットに組み込んだら?
ロックマンが最強でないならば、その問題点全てを挙げ、その問題点を解消できる更なるロボットの製作に当たるまで。
…まずはロックマンのデータが必要となる。


…だから彼は、ライト博士を誘拐したのだ。

彼の目論見は当たった。
ライト博士が持っていたロックマンの設計図から、彼は同じような構造のロボットを作ることに成功する。
製作者の心を反映、増幅させる力をも持つ
内臓したエネルギー『フォルテニウム』に似た名前を、そのロボットはつけられることとなった。

彼の名は「フォルテ」。
強力な悪の心を持ち、そして…ロックマンに対する何よりも強い敵対心を持つ、誰かに似たロボット。


そしてワイリーは、後に彼とロックマンの戦いから…最高傑作の足がかりを掴むこととなる。

393俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第一話序盤:2009/05/18(月) 21:37:00
「ダークエルフ… …か」

エルピスを旅立たせ、自らもどこかへと旅立っていったダークエルフを探すため
ゼロたちは戦いを続けていた。

同時に、2匹のベビーエルフからヒントを得ていたシエルの研究『無限のエネルギー』は
みるみるうちに進み……完成へとこぎつけた!


あれから2ヶ月、時は冬。
『その日』は…とうとうやってきたのだ。



「ネオアルカディアからの返事、どうかしら…」

雪の降り積もる中を歩くレジスタンス。
先頭はゼロ、その後ろにレジスタンス達、そしてシエル、またその後ろにレジスタンス。

「大丈夫ですよ!すぐにいい返事もらえますって!
 『もうエネルギー問題は解決した、戦いをやめよう』ってね!」
「そうだといいけれど…」


話が一区切りしたところでゼロが言う。
「…任務の途中だ …黙って歩け。」
「ご、ごめんなさい…」


そんなやり取りのさなか。
「……む」

ゼロの脚が止まる。
続いてシエルの脚も。
「何、この反応…」

「まさか!!」
…ダークエルフだ。


「…呼んでいるのか、俺を」


反応が感じられたのは遠くに突き刺さる謎の巨大な鉄塊。
よく見るとそれは… 宇宙船だった。

「…お前達はそこで待っていろ。俺が調査して来よう」
宇宙船の墜落で地形の変わった雪原に、ゼロが駆ける。


だがゼロが去ったそれからすぐに…シエルたちは包囲された。
「…わ、わわわわわわわわ!!」
「ね、ネオアルカディア…!?」
パンテオン達の軍だった。


黒きゼロは白き雪の中を歩む。

アルティメットフォームと同時にゼロが会得していた最後のフォーム…
『プロトフォーム』
防御を捨てて攻撃へと転化し、腕も重くなり連続斬りさえ不可能な、それは限られた力のフォーム。


それはゼロが更なる修行を積むためにはこれ以上ないフォームと言えた。
そして、全力で相手をすべき相手が現れたときにアルティメットフォームに切り替える。
彼は今の所、戦闘となればプロトフォームへと変化しており、アルティメットフォームを使うべき相手は現れていない。
だが、これから次第では…。

394俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第一話後半(前レスはミスで):2009/05/18(月) 21:38:00
そして、彼の前に緑色のレプリロイドが。
「止まれ」
「…ハルピュイアか。この宇宙船について教えてもらおう」

ゼロも、本当に教えてもらえるとは思ってはいないのだが。
「機密だ、お前達に教える訳にはいかん
 …一つ教えるならここは『危険』だ
 お前達のためにも、ここは退くんだな …お前の仲間も俺の部下が包囲しているところだ」

「このまま引き下がれば、俺は何もせん」
そして、止まれといいながらそう残してハルピュイアは去った。


しかし…ダークエルフが目の前。止まるわけにはいかない。
…チャンスだ。

「行かせてもらうぞ」


ダークエルフ戦を予期してフォームを変更。

目にも止まらぬ、見えぬその動きの速さで敵の攻撃を避け、敵へと一瞬で近寄り
何者をも粉砕する攻撃力で敵を欠片一つ残さず消滅させる。
そして万一ゼロに攻撃を当てることが出来ても、鉄壁の防御により阻まれる。
それがアルティメットフォーム。

敵は次々に砕かれ、そして…爆炎は最上階まで一気に線のように続いていった。


「……」
近い。

意を決し、扉を潜ろうとした…その瞬間。
「……!?」

青きボディが扉から飛び込んでくる。
パンテオンたちが吹き飛ばされたのだ。
大爆発を起こし四散。

…ダークエルフとは違うような気がした。


「きゃあああああっ………!!」
続いて轟音。
悲鳴と共に青き女性レプリロイドが大きな、手のような何かに壁に叩きつけられたのだ。

「んぉおおおおおおおおおおお!!」
ゼロの前に突き飛ばされてくるは赤きレプリロイド。

「ふっ……、ふっとべえええええ!!」

最大出力でチャージショットを放つ。…身の丈ほどの赤き巨大な弾が放たれる。
「ぐああああああああああ!」
だが物ともせずに、もう一つの腕は赤きレプリロイドを伏せさせる。
「…ファーブニルにレヴィアタンか」

…そして、とうとうゼロは『彼』の姿を捉えた。
「グォォォオオオオ…!」


10mはあろうかというその巨体、
肩の出っ張った、白き甲冑騎士の如きデザイン、
背には剣とそれを包む鞘、
紫色の長髪、

そして黒く閉ざされたその顔。


ファーブニルの口から
「コイツは『オメガ』
 存在自体が滅茶苦茶なんだよ…」
レヴィアタンが続ける。
「…物凄く強いんだけど… …もえないのよね」



セイバーを振る。エネルギーをチャージする。
「…お前か、俺を呼んだのは」

395俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第ニ話 前半:2009/05/18(月) 22:46:47
ダークエルフと同じ反応を持つ謎の巨大レプリロイド。

ダークエルフと誤認したのは反応の種類…雰囲気の近さだけが要因ではない。
そのエネルギー反応の大きさもダークエルフに比するそれであるからだ。

「行くぞ」
「グォオオオ…!」

ゼロはまずダッシュ、目の前で三段斬りを食らわせようとする。

「セイ!!」
払う。
「フッ!」
袈裟切り。
「ハッ!」
振り下ろす。


…効かない。
「ぐうううっ…!!」
その腕でゼロが吹き飛ばされる。

「やはり重要なパーツに攻撃を加えるべきか」


そしてすぐさま跳び一撃を加えようとするが…
「うっ…!?」

目から目にも止まらぬ速度でのレーザー射撃。
ゼロは撃ち落される。

「くっ…」
続けて2発、3発。
レーザーはゼロを狙い撃ち…全てゼロへと命中した。

(…俺の動きを捉えた…か)
敵は素早い。


意を決して駆ける、跳ぶ…剣を振りその反動で距離を取る。
「…」

傷は浅い。
「グオオオオ!」

二つの腕が分離…輪状のショットを放ってきた。
「!!」

四天王より格上とは認識されている模様。
上から、奥からそれぞれ分離した腕によるフープショット。
「うっ…!」
それも飛び越えられず、フープショットに衝突…

ゼロは一気に後方へと吹き飛ばされる。


体勢を整え一撃。
「グォオオオオオ!」
更にチャージ…
「ハァ!!」
また一撃。


「グォォォォ…」

まだ動く。

またもレーザーを放つ。今度はゼロを目掛けて撃ってきたのでそれをかわして距離を狭める。
それに従いレーザーも2発目、3発目と近づいていく。

そして跳び…
「ハァ!!」

チャージセイバーを振り下ろす。
だが同時に目からのレーザーを直に食らう。…相打ちだ。

「く…!」
巨大な甲冑騎士、オメガの腕が落下…激震を起こす。
「…まだ、やるか…?」
息を荒くしつつ、睨みつける。


だが。
「グォオオオオオ!」
腕は再び持ち上がった… まだ一撃足りなかったらしい。
「…!!」


だがその瞬間…
「食らえ!!」

396俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第ニ話 後半:2009/05/18(月) 22:49:29
弱点が頭となれば話は早い。
逃げながら頭だけに集中的に攻撃を加えればよいのだ。
雷が何発も何発も、オメガの頭に撃ち込まれた。

「…妖精戦争の悪魔、オメガ… そこまでだ」
ハルピュイアのチャージ・サンダーボルトであった。

オメガの腕が再び落下。
…だがオメガは一向に崩れる気配を見せない。
そのときだった。
「クヒャーーーーッハッハッハ!! それくらいにしておけ、オメガよ」
老人の声。

特徴的なカプセル型の頭をした、機械仕掛けの老人が目の前に現れる。
「…貴様は…!!」
ハルピュイアが声を荒げた。
「『ドクターバイル』!!」
妖精戦争を引き起こしたとされる…レプリロイドの科学者だった。

ゼロを封印したとされるシエルの先祖によって作られながら、
同じく作られたダークエルフに呪いをかけ妖精戦争なる戦争を引き起こしたとされているイレギュラー。

「これから共に戦う仲間を殺してはいかんだろう、オメガよ…」
そんな者と、妖精戦争の悪魔オメガがどうしてここにいるのか?
「貴様…何をしに来た!」
ゼロは黙って様子を見守る。
「………」


その時。
「僕ガ呼んダんだヨ… ハルピュイア」
まさかの声が後ろから。
「!」
今度はゼロが反応する。


ハルピュイアも反応する。
「…エックス様…!」
ユグドラシルでボディを破壊された、オリジナルエックスではない。
…ゼロにあの日倒された、コピーエックスが…
今、彼の目の前に現れたのだ。

「バイルは僕ノ恩人ナんダ… そウ怒らナイでくレタまエ」
「…しかし!」
「…ナんダイ?」

「…いえ」
そう。宇宙に漂っていたコピーエックスの残骸はバイルにより修復され…
コピーエックスMk2となっていたのだ。

「やア、ゼロ… 久しブリだネ… あノ頃トは大分状況ガ変ワッただロウ?」
「………ダークエルフを探しているんだ。お前とは戦っている場合じゃない」

クスリと笑う。
「ヤだナァ… 僕モダークエルフを探しテイるに決マッていルじゃナイか…
 …どウダい、ここは一つ… 競争ト行こウじゃナイカ!」
「いやはや、わざわざ我々の不手際で申し訳ございませぬエックス様。
 このバイルめが全力を以ってダークエルフを手に入れてご覧にいれましょうぞ!」
コピーエックスが姿を消す。
「…」
ハルピュイアはゼロに何かを訴えかけるようにして、姿を消す。
オメガも光の柱となって消えていく。
バイルも転送装置で去っていった。

「…シエル、聞いていたか」
ダークエルフを巡る戦いの後半戦が、幕を開けた。


ネオアルカディア内部にて…8人の人間型レプリロイドが円卓に腰をかけていた。

ヘッドギアに目から上を全て包んだ華奢な男が体を痙攣させ言う。
「ヒヒヒヒ!アイツが動き始めたようだぜ!ヒヒヒヒ!狂ってやがる、ヒヒ!」
頭の尖った、また細身の男が彼に返す。
「狂ってるってのは誰のことだぁ?ギチッ…」
小柄な少年が脚をばたつかせてイラつく。
「考えりゃゼロのことに決まってるだろー、『デスタンツ』のノロマー!」
紅茶を飲むは、派手な髪型の気障な男。
「まぁ、オメガのことかも知れませんがね…『チルドレ』」
巻き髪のスレンダーなレプリロイドが異論を唱える。
「あーらあら。『シルト』、それはいささか失礼じゃなくって?」
首にアクセサリーをつけた男は豪快に笑う。
「でもよっ!でもアイツの強さは正直、狂ってる以外にいい様がねーよな…?」
肩の出っ張った大男がドッカリと構えている。
「ゴルルァ…『ブレイジン』、貴様は見たことがあるってぇのかぁ?」
弁髪の真ん丸い太った男は腕を組む。
「伝説に聞くだけでも恐ろしいものであーる… ヤツが目覚めただけでこの有様である」

「ククク…オメガの話じゃな?」
空間の歪みが発生していた。…バイルが現れる。
「世界どこもかしこもこの状態でな…おかげで転送も楽ではないわ」

8人が一斉に姿勢を正す。
「さて…出番のようだぞ?『ネオアルカディア八審官』
 …いや。『バイルナンバーズ』よ」

397俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第三話前半:2009/05/19(火) 23:15:11
近づくだけで吹き飛ばされそうになる圧倒的エネルギー。
オメガは、ネオアルカディアの広大なエリア内でバイルのメンテナンスを受ける。
「グオオオオオオオ…」


バイルがスイッチを押すと…8つの画面が表示された。
上段、下段に分かれ…それぞれ4つの画面が並んでいる。
「クーックック…コレは奴らバイルナンバーズの目に同じ…
 これからヤツが我がシモベと戦っていくことだろう…」

上段、右から2段目の画面がズームされる。
「…さあ、お前はこれを見てやつの姿、戦いぶりを目に焼き付けておくのじゃぞ…?
 クックック…クヒャーーッハッハッハッハ!」



レジスタンスベースにて…
こちらもダークエルフとベビーエルフを捕らえる算段を練っていた。
しかしながら…ネオアルカディアはエックスが前面に進出し…いや、本当は復活を遂げたのだが、
そのせいもあり勢いを強めており、油断もならない。

ネオアルカディアを攻めつつ、ダークエルフを追う…これをどこまで出来るか。
「ゼロさん、至急司令室までお越しください」
「…ゼロ、呼んどるようだぞ」
セルヴォと新しい武器の話をしていた彼は、足早に立ち去る。
「…ああ」

だが別れ際にセルヴォに一言。
「リコイルロッド…使いやすそうだ、感謝する」

その背中を見送りながら…セルヴォはつぶやくのだった。
「世界はまだシエルには荷が重い… 支えてやってくれ、ゼロ…」


司令室…シエルはこう、話を切り出した。
「ゼロ…そろそろ、八審官が動き出したみたい」


「…今まで動いていて、四天王とは戦っても、彼らとぶつからなかったのが不思議なんだけど」
「……教えてもらおう」

シエルがネオアルカディアにいた頃から彼らはいた。
「えっとね…顔写真ならあるの」
並べられたのは個性的な8人の人間型レプリロイドの顔。

「名前の通り、8人居るネオアルカディアの犯罪を裁く者たち。
 けれど、戦闘にも長けた強敵だって話よ…
『ブレイジン』『チルドレ』『シルト』『デスタンツ』
『キュービット』『グラチャー』『ヴォルティール』『トレケスタ』
 …8人に8つの武器。それぞれが、異なった武器の使い手。」

だが、紹介された所で…エックスさえ倒す段階となっても

名前も出なかった者がどれほどの物だというのか。

「…それが、四天王より戦力になるというのか?」
「それはないと思う。 …けれど一応気をつけて。
 何か、様子がおかしいから」
そして、彼はミッションへ向かうこととなる。

「…戦うしかないのかな、結局…」
シエルは呟く。


「お前はお前のするべきことをやっているだろう、俺もそれをするまでだ」
場所は……再生兵器工場。
「動きが確認されたというからには…そこに審官がいるんだな」
「ええ。8人の一人、『シルト』が夜にその工場の外にいるのが確認されたの」


スクラップから新たなるレプリロイドやメカニロイドを生産する工場。
破砕のためのハンマーが動作していたり、工場の隅の穴を利用してネズミ型メカニロイドを忍ばせていたり…油断ならぬ場所であった。

蜂の巣型の防犯装置を破壊し、ベルトコンベアに流れるスクラップを破壊、
振り子のように揺れるワイヤーは、そう見えてその実、侵入者撃退用のメカニロイドであったり。


トラップが満載のその工場を軽々と切り抜け、
工場の最深部へと到達する。


バサリ、と音がする。
「ノックをお忘れですよ」
「!」
セイバーで防ぐ。 …何を?
腕により翻された…異常に硬質化したマントだ。

398俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 後半:2009/05/19(火) 23:15:45
「防御、ファッション、攻撃…全てを兼ねたマントでしてねぇ」
シルトは跳び退くがゼロはバスターショットを乱射する。


「こんなものを隠すことも可能だ」
マントの裏に隠したナイフでそれを受け止める。

「…」
お互い一つは命中しなかった。
ゼロはその一つを首を動かし、回避。壁へ突き刺さる。
シルトはショット1発をマントで弾いていた。

「実にマナーのなっていないお客様だ… 私がその身にお教えする必要があると見る」


マントを翻す。
「聖なる戦士といわれた彼を少しは見習いなさい」

彼の手にはサンダーチップ。
「照れるではないか、シルトよ!」

…その声は聞き覚えがある。
「ヘラクリウスか」

「雷の力を彼から頂戴しようと、ね」
コイントスのようにヘラクリウスの人格が植えつけられたサンダーチップを指で弾き、宙へ飛ばす。
チップから雷の力があふれ出す。

自らも跳びあがり…天井へ張り付きそれをキャッチ。…マントで自らの身を包む。
「はっ……!!!」

雷が彼を包む。
マントが変化…紫色になる。
…そして、その姿自体も大きく変化。
大きく立った髪は耳へ、脚は広がり…
…それはまるで。
「ご存知ではなかったかな?
 私はネオアルカディア八審官シルト、そして…」

マント…いや、翼を翻し己が身を晒す。
「バイルナンバーズ『ヘルバット・シルト』! あなたは騒がしく…」

バイルが施した改造は、その内面に応じた動物型レプリロイドへの変身機能。
雷の力を受け彼は蝙蝠型レプリロイドへと変化したのだ。
「目障りだ!」


シルトは天井からゆっくりと床近くへと降下。
「しもべよ!」

マントを開き、中から大量の蝙蝠型メカニロイドを飛び立たせる。
「その羽音は騒がしくないのか」
背後へ周りアイスチップを使いチャージ斬り。
「キヒッ!?」

シルトが大きく仰け反った。
「いちいちうるさいお方だ…!」
天井へと張り付き、体を揺らめかせワープ。

ゼロから遠ざかったところで再び現れ、地上へ落下。
「全て避けてご覧なさい!」
マントから、大量の雷の弾を発射。それは壁に向かった後、反射、戻ってくる。
このときシルトに近づいては思う壺。ゼロは氷のバスターショットを放つ。
「キキイッ…!!」

そして電撃の弾を壁へ逃げて回避。天井へ逃げたシルトを撃とうとするが…
「連続では食らいませんよ」
再び姿を消す。
「自在に姿を消せる私に勝機があるのは明らか…」


分身し、地上に雷を落とし始めた。
「許しを請うのです」


だがゼロは本物を見極め、バスターショットで一発。
「おのれ…!?」

あと1発という所か。
「…ここまで私を追い詰めた私からのプレゼントです、受け取りなさい…!」
姿を消す。


「私服の音よ!!」
部屋の中央に現れ、マントを開き、超音波を発生させる。
それは壁へ天井へと反響、増幅されありとあらゆるものを破壊する…

のだが。
「キキッ!? そんな…!?」

ゼロはそれを難なく間を抜け、シルトを叩き落としたのだ。
「うっ……!!」

床へと激しく叩きつけられる体。
マントがガシャリと音を立てて割れる。
「…マナーがなっていない…お前のような者がバイル様にたてつくなど…き、キキキーーーーー!?」

399俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第四話 前半:2009/05/20(水) 00:37:35
次なるミッションは生い茂る緑の中。

「……密林…のようにも見えんな」
木や草花が生い茂っているのは…ビルだからだ。
旧市街地…植物ユニットの暴走が起こしたことであろう。
「…気味の悪い場所ね」

そんな場所にいる理由はといえば、ダークエルフの反応をオペレーターがこの場所に発見したため。


ダークエルフはネオアルカディアも捜索している。
パンテオンや植物メカニロイド達がゼロの前に立ちはだかる。

だが…ゼロが通り過ぎた跡には誰一人残らず。


…反応の正体もすぐに見つかった。
「お前は…」


「アハハハッ!ここにもお母さんいないね、プリエ!」
「キャハハッ!うん、そうだね、クリエ!」

「もっと奥に行ってみようよ!」
「うん、きっとお母さんがいる!」

…反応はここで正しい。つまり…
「ダークエルフの反応ではなく、ベビーエルフの反応か」
「あの子達も危険よ…ゼロ、追いかけて!」

ムカデ型メカニロイドを倒し更に深部へ。


ビルの窓から爆弾を投げつけるパンテオン、柱の影から現れショットを放つ砲台。
次々に乗り越えて行ったその先には。


「はぁ!!」
飛び降り、ゼロを突然鎌で斬り付けて来た。
「…」
ゼロはセイバーでそれを真っ二つにする。
「ギチギチギチ…やるじゃねえかゼロ…」
「細長いその体…お前がデスタンツか」


「もう遅いぜ…ベビーエルフはすでにこの奥へ行った!」
もう一つの鎌を取り出す。
「通してもらう」
ゼロはセイバーを片手に駆ける。

「最新鋭の刃を舐めるんじゃねえぞ!!」
さらりとかわして背後から一撃。
だがゼロはその場で跳んで回転斬り…デスタンツの刃をデスタンツごと弾く。


「ギチチチチ…流石に俺の力一つじゃ難しいみてぇだなぁ…」
緑色のチップを取り出す。
「…緑色?」

「シャアアア… コイツだ、コイツだぜ俺を殺したのは!
 俺もコイツとベビーエルフを取り合ったんだ!」
ウロボックルの声。


「だが今度はエルフはこっちの手だ!」
デスタンツが鎌を振り回し、宙を切り裂く。

その軌跡が一つの線となり…ガバっと開き、亜空間を映し出す。
「はぁっ!!」
その中へと飛び込み…瞬時に反対側から何かが現れる。

両手に鎌を持った、緑色の体。 …極限まで細くなった、鎌二つを重ねて棒のような頭をつけた姿。
「ギチギチギチギチーーー!!
 俺の名はバイルナンバーズの一人『デスタンツ・マンティスク』 俺の鎌で刻んでやる…!」
鎌を回転させる。デスタンツは…蟷螂型のレプリロイドに変身したのだ。

400俺的アレンジの入ったロックマンゼロ3 第四話 後半:2009/05/20(水) 00:38:05
「ハァ!!」

腕を飛ばしてくる。鎌は…閉じている。 つまりは…
「まずは小手調べと言った所か?」
ダッシュしてバスターショットを数発、そこから更にダッシュ斬り、弧を描くように戻ってくる鎌を飛び越えて回避。
「ちぃいいっ…!!」

壁で様子を見るゼロに対し、高速回転する鎌を壁へ投げつける。
…だがそれは壁に届いて終わりではない。

壁へ届いた後、回転したまま壁を駆け上るのだ。
「厄介な技もあったもんだな」
「もう一発う!」
もう片方の鎌を壁に走らせた所で回避、チャージ斬り。
「ごわぁ!?」

これも壁に張り付くことで範囲が変わるが、大差なし。
どちらもかわされ、またも一撃を見舞われた。
「ギチチチ……!!」

悔しがっているデスタンツの背に回り回転斬りを見舞う…が
「そこだぁ!!」
ゼロへ向けて後ろ突きを繰り出してきた。

「危ないな…」
ゼロはそれをダッシュで回避、チャージショットで追撃。
「…ちきっしょおおおお!」

ゼロの冷静は崩れない。
「ならこれは…避けんなよおおお!?」

ビームを放った。 高い天井へ。
そう思うと、岩の塊が落下…
「ハァァァァ!」

それを鎌で三等分、ゼロへと飛ばしてきた。
「!」
これをかわしてチャージ斬りを一発。
一瞬怯んだ後、デスタンツは壁へ張り付いた。 …先ほどよりも高い位置に。
「ハァ!!」
そしてゼロ目がけ鎌で斬りかかる。

そしてまた跳びあがり…急降下、2発目。
「ハァァ!!」

だが。
「その技はさっき使っただろう」
細いデスタンツの胴体に…何かが突き刺さる。
「ヒギェアアアアアアアアアアアア!」
とてつもない力で吹き飛ばされ…壁に激突…崩壊。

大爆発を起こしていった。
「…うむ。やはり使いやすいぞ、セルヴォ」
威力はセイバーに劣れども、その敵を弾き飛ばす力にかけては右に出る武器はない。
それがリコイルロッドの力だった。


「アハハッ、おじいちゃんだーーれ?」
「キャハハッ、面白い頭してるねー!」
クリエとプリエ。そして彼女達が話している相手は…

「フォッフォッフォ。ワシはお前さん達のお母さんを作った者…
 そう、お前さん達のお爺さんじゃよ…」
「アハハッ! ねえ聞いたクリエ?お爺ちゃんだってー!」
「キャハハ! うん聞いたよプリエ!お爺ちゃんなんだねー!」

ゼロは睨みつける。
「ドクターバイル…!」

「あ、怖いレプリロイドがきたよー」
「お母さんをいじめたやつだー!」

「おお、怖いのう… クリエ、プリエよ、お爺ちゃんの所へ来なさい…」
そういうと、バイルは二人のベビーエルフ達を連れて消えていった。


「…取られたままか…。」
「ベビーエルフ… 1匹だけで、1年前の四天王に匹敵する力を持っているわ。
 あの子達に何か吹き込まれなければいいけど…」

…十中八九、吹き込まれることだろう。




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