したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

ライトノベル総合

1どるき:2009/11/07(土) 09:24:00 ID:WzPGfqK.
The 男爵ディーノ掲示板のノリでライトノベルを語りたい人とか
とにかくライトノベル総合

887まほろ:2017/08/15(火) 11:27:36 ID:gVk8kjHE
◆トイプー警察犬 メグレ
犯人臭をかぎ分けて、ずばり犯人を当ててしまう特殊能力持ちのトイプードルと訓練士早乙女が活躍する事件簿です。
はんにん
表紙が可愛らしいトイプーでほんわかコメディ系かなっと、自分には合わないなあと思って読んでみたら、いがいとハードでミステリーしてて、面白かったです。
いやあ、表紙で間違うされる系だなあ。主人公の早乙女がクールなブラックジャック系で、「メグレが犯人だと言ってるから間違いがない!」って頑固一点張りで、どんな完全犯罪でも、関係なく犯人が最初に分かっちゃうんで、笑っちゃいましたw
しかし、そこが既存のミステリーと違っていて面白かったですね。
続きがあるならぜひ読んでみたいです。まだ、殺された伝説の刑事の犯人がつじゃっまってないし。ただ表紙が可愛らしすぎて、女性向けみたいで読む人が限られるだろうなあw

888まほろ:2017/08/15(火) 11:51:40 ID:gVk8kjHE
◆先生、大事なものが盗まれました
凪の島を舞台にした、三つの特殊な高校の生徒たちが伝説の怪盗フェレスにかかわる謎に挑戦していくコミカルでホラーでなジュブナイル小説。
三つの高校とは「犯罪を発見する特殊な灯りを貰える灯台守高校・エリート官僚や探偵を育てる高校・特殊な能力を持った体に黒い痣を持った生徒が通う怪盗を育てる高校」である。

いやあ、清々しいほど現実に有り得ないファンタジーさに最初笑ってしまったwまあ夢があってこういうのもありかなって思って読み進めていたら、段々キャラクターに思い入れが出てきてはまってしまいましたw
特に、怪盗の高校の壁と壁に挟まって登場したおちゃめなコノミちゃんが好きだなあ。能力を使ったミステリー部分も意外と面白かった。
あとは、怪盗フェレスが嫌味にならない感じの無敵系なのもいいね。

ただ、「次元を盗む」てのは今一理解しにくく、今一楽しめなかったかなあ。

それにしても、探偵高校と怪盗高校の幼馴染チトセとシシマルはあまり役に立たないですねえw続巻があるみたいだからそこでは活躍するかな。集合写真の謎もまだ解いてないしね
漫画にすると結構面白いかもしれない、不思議な島の不思議で突飛な能力バトルもありなストーリーの小説でした。

889まほろ:2017/08/18(金) 21:06:50 ID:gVk8kjHE
◆少年Nの長い長い旅01
猫殺しの呪術?によって巻き沿いを食って「異世界」に飛ばされた6人の小学生の一人「五島野依」を主人公にした冒険ストーリー。
もう一つの異世界小説「少年Nのいない世界」の本篇。先に読むべきはこちらでしたねw

完全に小中学生向きのジュブナイル小説なんですが、心理描写が上手くて、大人が読んでも面白いです。異世界と言っても「剣と魔法と中世」の世界では無く、リアルな現実の延長と若干のSFが入ってます。実は〇〇規模の壮大な物語なんですけど、この一巻だけでは、古代文明に紛れ込んだ感じで、謎の高度文明人物「サット」さんが出るだけ、まさか〇〇規模になるとは思わないでしょうね。
冒険がリアルで、小中学生が読んだらショックを受けるのではないかと思うほど、古代都市に生きる人々の命がけの暮らしのかで、子供も簡単に死にます。それも結構むごい死に方です。ヒロインのバレエ少女も足に重りをつけられて湖に落とされます。
これが、あの「少年Nのいない世界」に続くのかと思うと感慨深いです。どっちも早く続きが読みたいかな。
テンプレの異世界ストーリーに飽きた人にはお勧めです。

890まほろ:2017/08/28(月) 03:01:09 ID:gVk8kjHE
◆青白く輝く月を見たか?

ウォーカロンシリーズの第六弾。危険な仕事を人間そっくりの人工生命体ウォーカロンにやらせるようになった世界。
いまやウォーカロンは人間より増えて、かつ見分けがつかない。主人公は人間とウォーカロンの区別をつける装置の研究をしているのだが、謎の組織命を狙われ始める。ってのが導入で、
6巻目となると、人は医療の発達により、長生きできる様になった代償に、子供が埋めなくなってしまった。このままでは人類は滅びてしまうのだが、主人公たちは色んな事件に巻き込まれ、その原因と解決方法ウィ知ることになる。
そして今回はあのマッドサイエンテスト「マガタシキ」博士(すべてはFになる参照)の依頼により北極海の海底に眠る核ミサイル搭載の潜水艦「青月」に搭載されている人工知能がおかしくなったのを、主人公ハギリ博士が何とかしようとする話です。

「マガタシキ」さんはまだあの「すべFの事件」で逃亡中だったのねん、ちょっと笑っちゃった(あの事件から何百年も経っていますから長生きにもほどがある)。そして一方では人類を導く神のような存在でもあります。

今回の話も面白かった。特にトランスファーと人工知能の対話(どっちもコンピュータだが、微妙に違う)、そして意志だけになったウォーカロンやら、ほんとごっちゃになりそうなのに良く書き分けるなあって感心しました。
そして、主人公とボディーガードのウグイさんとの掛け合い夫婦漫才もにやにゃして読みました。
描写は淡々としてるのに何このコーヒーみたいな深いコクのある内容は、ほんとこのシリーズは良い感じで成熟してるなあって思いました。(最初は単発で終わる内容かと思ったけどまだまだ続く)
早く次巻を読みたいです。

所で悲しいお知らせです。ウグイさんが出世してボディガードは解任、主人公から離れていきました。
もうほっこりツンデレ夫婦漫才が楽しめないのか・・・寂しいなあ。

891まほろ:2017/09/05(火) 01:35:08 ID:gVk8kjHE
◆D坂の美少年

別にBL物とか耽美物が好きで読んでるわけではない、あの西尾氏が美少年を題材にどんな物語を書くか興味本位で一巻を読んでんて、まあまあ面白かったので、
ズルズルと5巻目まで読んできたのだが、ちょっとマンネリ感を覚えてた自分はこの6巻も義務的に期待せずに読み始めた。
相変わらず表現が回りクドイなあ、言葉で遊んでるなあ、話が進まないなあって最初は感じてたけど、祭りにも終わりがあるように、楽しいバカ騒ぎにもいつか終わりが来る、そんな時間の流れを感じて、アレ?いつもと少し違うなあって感じてから面白くなりました。

副リーダーの生徒会長が卒業するので、自分の後継者を選挙で当選させようしたが、何者かの陰謀か?邪魔する対立勢力がいるのか?ただの勘違いか?といった内容です。
対立候補の目立たない存在の普通の生徒のはずの沃野君はイラストで見る限り、結構な美少年で全然普通代表じゃねえwそして何でリーダーは女装なのかwっていう腑に落ちない疑問はあるけれども、
一巻に続く面白い話でした。いつもこの位のミステリーだといいのに。
雪女は自演で学園側のスパイか?または電話してた友達が学園側の刺客か?髪飾中学の陰謀か?トゥエンティーズの仕業か?沃野の選挙妨害か?といかくミスリードが激しかったですねw

主人公はそれほどクズとは思わないけど、自分で自分の事をクズクズって言ってるので、不良ぶりたいのと同じでクズぶりたいのかな。果たしてクズの本懐は遂げられるのか?なんちゃって。
いやあ、急に次巻が楽しみになりましたよ。



892わんのねこ:2017/09/15(金) 20:41:08 ID:xa3xctJI
12月刊行予定の「半乳捕物帖」(花房観音‏)は、
永井豪、山田風太郎、岡本綺堂オマージュです。

この一文だけで買わざるえないよ

893ぺんぼー:2017/09/27(水) 05:56:49 ID:SqjS78/w
魔乳秘剣帖みたいなノリですかね

○サクラダリセット新装版第1巻
アニメにつられたニワカが衝動読書
出張中でヒマでもありましたし
ジョジョファンこの巻を読んだら、多くの方が村瀬さんに
「殺したなら使ってもいい」というツッコミを入れそう
アニメではこれほどのものだったとは伝わってきませんでしたが
ケイくんは菫さんの死にめっちゃダメージ受けてたのね

894まほろ:2017/09/28(木) 18:22:08 ID:gVk8kjHE
◆臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件
ユイカシリーズの第二弾。今回は予告連続殺人事件の真実に挑むストーリー。
ABXとは何か、第一の殺人が血液型A型の被害者、第二の殺人が血液型B型の被害者だったので、血液型順に殺していくと思いきや、X型というのは無い、そこの謎が最後に明かされるって感じです。

相変わらず主人公ユイカの口調が「否、絶望的に否」「諾、素晴らしく諾。」みたいな言い方をするのが特徴。でも二冊目となるともう慣れた、だんだんその口調も愛着がわいてきました。
しかし天才少女と冴えない男性助手、そして大学の小難しい講義という構成は「神様のパズル」を思い出すなあw
「神様のパズル」シリーズといえば「量子コンピュータ」。時代の先取りですねw

話はそれましたが、このシリーズの小難しい講義は臨床心理学になるのかなあ。三角形のABX図式ってのは勉強になり結構面白かったです。
あと、ミステリー部分はパズル本とかにある「論理パズル」をややこしくした感じなので、謎解きファンには好き嫌いが分かれるかも。こういうミステリーもあっていいと自分は思いますが。
もうひとつ、二重三重のどんでん返しがややこしくて、理解するのが大変でした。そこも魅力の一つだと思います。第四の殺人はユイカちゃんちょっと非情だなあって自分も思いました。
第3弾があればやっぱり読んでみたいと思います。

895まほろ:2017/09/28(木) 18:44:49 ID:gVk8kjHE
◆ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティブ・エゴの乱逆
ご存知ブギーポップシリーズの第20弾。今回は統和機構の中の派閥同士の戦いに巻き込まれた織機綺(おりはたあや)と谷口正樹の危機を描いたストーリー。
もうこの辺になると「炎の魔女」「フォルテッシモ」「オキシジェン」「リセット」とか出ないで、第二世代?「マキシムG」「ミニマム」「メローイエロー」とかが活躍する話がメインになるのな。
もう少し言えば「九連内朱巳」とか「カチューシャ」とか今までわき役ちょい役として出てたのがメインキャラになってきてますね。まあ強すぎなく動かし安いんだろうなあ。炎の魔女とかフォルテッシモは無双すぎるもんなw

ブギーポップ自体もすでに「観念的存在」「神的存在」になっちゃって、動かしにくいんだろうなあ。正体は狐憑きの高校生なんだけどね。しかし、話は広がる一方で、いつ締めに入るのか、このまま永遠に終わらないのか(終わりがないのが終わりw)。どうすれば終わるのか読んでて気が遠くなるシリーズです。

今回の話は前半やや退屈で、後半はそれなりに楽しめました。特にブギーポップが久々に強敵と飄々と戦うところ。さすが主人公ですね。腐れ縁、これからも出れば読みたいと思います。

896まほろ:2017/09/28(木) 19:12:20 ID:gVk8kjHE
◆ブギーポップ・ダウトフル 不可抗力のラビット・ラン

ご存知ブギーポップシリーズの第21弾。今回は「統和機構」の九連内朱巳と正義の味方「炎の魔女」の助手の羽原健太郎の対決も対なストーリーです。
炎の魔女やブギーポップは出るんだけどあくまでわき役なのがみそ。まあ一応ラストでは活躍するんだけどね。
いいのかこんな脇道ストーリーばかりでって思うけど、多分書きたい主題みたいなのがあって、ちょうどいい役者を選んでるみたいな書き方で、このシリーズを終わらせる気はないんだろうなあw
漫画で言うと「火の鳥」みたいな感じか。終わりがないのが終わり(二度目)なシリーズですね。今回の主題は多分「迷い・ブレ」なんだろうなあ。

久々に「ラウンダバウト」が出てきたけど、どんな奴か忘れちゃったわw人物紹介みたいなのが欲しいなあ。
あと前作に続き、天狗の精神汚染キャラが暴走パターンだが、今回は戦いは炎の魔女、ブギーポップは世界の敵に説教って感じですが。
まあ、ほんの少しずつだけど物語は動いてるからこのシリーズは気長に付き合うしかないかなw
あ、釘斗博士も出てきたから,「しずる」さんシリーズファンにも必見ですな(うーんマニアック)。次の話で物語が大きく動いてくれることを望んでます。

897まほろ:2017/09/28(木) 19:47:09 ID:gVk8kjHE
◆螺旋のエンペロイダー スピン3
ご存知(いやあまり知られていないかも)エンペロイダーシリーズの第3弾。統和機構が超能力者(MPLS)ばかりを集めて鍛える塾(スクール)でおこる
「エンペロイダー」(皇帝みたいなものかな?まだ謎です)に関する騒動を描いたシリーズです。

主人公や雰囲気が「ペルソナ」っぽいのが特徴。といっても「ブギーポップ」外伝みたいな感じ。今回は「オキシジェン」「パール」「ジィド」「ホルニッセ」「マキシムG」「カチューシャ」「釘斗博士」「九連内朱巳」が出てきます(名前だけの人もいます)。
主人公の能力が螺旋+時間操作って所がなんとなく「ジョジョ」を思い起こさせます。そして陰の主役?流刃昻夕が実は〇〇王だったというオチ。いや〇〇王ってなんだっけ?他小説の主人公だっけ?忘れたよー。
今回の話のメインは主人公と母の対決なんだけどね。

あと、今回も他人を小馬鹿にする精神汚染キャラが暴走して大活躍します(またかよw)。ブギーポップが出てきそう。ブギーポップ以上に理屈が難解なストーリーに好き嫌いが分かれるだろうなあ。で、結局エンペロイダーって何なの?
まあ、宇宙からの侵略者に対抗するものって話なら主人公の名前からも「虚空」シリーズにつながる話なんだろうなあって分かります。
これも最後まで付き合いますから、ちゃんとまとめてくださいね(希望)。

898まほろ:2017/10/07(土) 04:35:43 ID:gVk8kjHE
◆螺旋のエンペロイダー スピン4

知る人しか知らないエンペロイダー(作者によると「皇帝もどき」という意味)シリーズ完結編。
統和機構という巨大組織によって超能力をもつ少年少女が集められた塾を中心にして起こるエンペロイダーに関する事件を描いた物語。
今回は完結編ということで、ブギーポップ・ロストメビウスでも出てきた「牙の痕」の地で何かが起こります。エンペロイダーが誰なのかも何となく答えも出ます。そして未来の人類の天敵となるあいつも出ます。
さらに枢機王が実は〇〇だった、という事実も。あとは、ブギーポップ最強の強化人間のあいつも。
さらに、最近よく出る九連内朱巳(フライディ)も。お前よく出るなあw作者のお気に入りかよ。将来の統和機構の中枢候補らしい。たしか「物知り眼鏡っこ」も中枢候補だよなあ。
前回に引き続きパールさんオキシジェンさんも健在です。さすが最終巻。

ただ、ビートやヴァルプルギスシリーズにもいえるけど、結局元のさやに戻るだけで、ツケはみんな未来に持って行って、物語が先へ進まないんだよなあw元の日常に戻ってお終いなのがなあ。
いや、少しは進んだけど、このペースだと作者が絶筆するまでに上遠野ワールドは終わらないよねwどこかで、一旦一区切りしてほしいよなあ。
ディアゴスティーニの何時までも終わらない配本を買っている気分だぜ。でも自分の気力の続く限りは出たら読みたいと思います。

内容は完結編にふさわしい激しい戦いでした。ただ、ブギーポップ初期のパンドラ辺りのジーンとくる感動ものも読んでみたいなあ。厨二哲学ぬきでもう少しわかりやすいものを。

899まほろ:2017/10/11(水) 19:59:48 ID:gVk8kjHE
◆少年Nの長い長い旅 02
知ってる人知ってる「少年N」シリーズの第二巻です。猫殺し13キップ(JRの青春18切符みたいw)の呪い?の所為で異世界へ飛ばされた7人の小学生のうち少年N(野依)に焦点を当てた冒険ジュブナイル小説です。
もう一つのシリーズ「少年Nのいない世界」ですでにネタバレ読んじゃったから、文化レベルが古代世界の星に飛ばされた野依が実は〇〇規模の冒険に出る事になっても大体予想できたw
アニメに例えるなら「ID-0」っぽい雰囲気(雰囲気だけです)かな。でもこういう展開になるとは予想してなかったけどね。
いやあ、ネタバレ読んでいても、面白い!。十代前半向けなので、文字が大きくするする読めるのも爽快感に繋がったのかもしれない。少年Nを助けてくれる大人たちがみんな魅力的で仕事には厳しいがその他は優しいのが良い。読んでいて心地よい。
そして、十代向けだと舐めていると、心理描写の絶妙さにドキッとします。文章が上手い。
ただね、コアラの被り物で顔を隠している船員が出てきたときは、少年少女向けにサービスかなwって苦笑いしました。コアラくん(シーアール)には顔を観られたくない秘密がありそうだ。
主人公は連れ去られた嫁さんを探しに仲間と旅立つのだが、もう一つのシリーズでまだ出会ってないところを見ると、本当に長い長い旅になりそうだなあって感じですね。

題名で損してる部分があるから、中世異世界転生ものに飽きたら人におすすめです。この人の他のシリーズ「お面屋たまよし」「死神うどんカフェ1号店」も読んでみたくなりました。
もう3巻目も出てるらしいので、ぜひ読みたいですね。

900まほろ:2017/10/17(火) 22:55:00 ID:gVk8kjHE
◆少年Nのいない世界02
猫殺しの呪い?によって異世界に飛ばされた7人の小学生。異世界で生活を初めて17歳になった少年少女たち、彼らのその後を綴ったビタースイートな物語。

やばいね、このシリーズ面白いわ。世界名作劇場の異世界版を読んでるかのようです。それぞれに違った物語があり、それぞれに苦労してきた過去があり、凄くしっくりとくるほろ苦いストーリーでした。
異世界に慣れるため苦悩してある程度の安定した生活を築き上げたアーミーは、逆に小学の同級生と再会して、今の少し居心地のいい生活に別れを告げることを恐れる。工場エリアに飛ばされたアーヤは過酷な工場の労働から逃げるため体を売ってお金を貯める。
うーんビターだね。
その他の3人は結構恵まれた感じの成功と生活を手に入れていて、他の行方不明の同級生を探しているって感じだな。少年N(野依)はまだあいつらと一緒なのだろうかとか、猫殺しの和久田はどうなったのか、アーヤが連れて来られた研究機関は何なのか?二葉の<あの人>の正体とは?
未だ色々と謎を残しつつ次巻へ続くって感じでした。早く続きが読みたいですね。

で、一番メインで感動したところはやっぱりいじめ問題やドムド建設と食堂の仲間との別れかな。ちょっとジーンときましたね。でもその後の歩巳の気持ちの切り替えの早さはリアルで、リアルだなあって感心しました。安っぽい感動小説なら何時迄も過去を引きずるけど、きれいさっぱりだもんなあw
しかしいつか再会しそうですね。果たして元の世界に戻れるのか?その時戻りたがるのか?って所も興味津々ですね。

901ぺんぼー:2017/10/20(金) 07:55:17 ID:SqjS78/w
サクラダリセット読了
やばい、アニメの内容けっこう細かいところ忘れてたwwww

それにしても浦地さん、なかなかムカつかせてくれて、いいラスボスですね

ケイは、浦地さんと自分が
どちらが正義でどちらが悪、というわけではない
というようなことを独白してますが
自分的には浦地さんはとても横暴だわー
のでケイが勝ったときには凄くスッキリしました

しかし、この作品は構成がかなり図抜けている

気になるのは「。」と「けれど」の多用がくどい、というところですが
まあ完全に自分の個人的好みの問題

902まほろ:2017/10/23(月) 17:55:45 ID:gVk8kjHE
◆ベイビー、グッドモーニング
「サクラダリセット」で有名な作者の短編連作小説。可愛い死神が月に4個の魂ノルマ達成のため、死期の近い4人の主人公の人生にかかわる4つ物語です。

読み終えて、鈴木光司氏の「仄暗い水の底から」(映画の影響でみんなホラー小説だと思っているようですが、実は短編集で・・)と同じような感動がありました。うまく4つの物語が繋がっていてエピローグでさわやかな感動があるって感じでした。
文章に関しては読みやすくスッと感情が頭に入ってきて、「サクラダ」から少し上手くなってる気がしました。初期の上遠野浩二作品(ブギーポップとかブギーポップとか・・)みたいの透明感も感じました。
そうですねぇ一番印象に残ってるシーンは「馬鹿みたいで夢みたいな何かを一つ、最後まで諦めないでいることに決めたんです」から「馬鹿みたいで、夢みたいな何かを一つ、諦めないで死にたいだけだ。までのヘリコプター内のハラダとヒカリの会話ですね。

ゲームシナリオライターって聞いたから、ゲーム的な表現の文章だったらいやだなあって思ってたけれど、結構好きな文章を書くので、これから「階段島シリーズ」とか「北野坂探偵舎シリーズ」とかにも手を出してみようかと思いました(何時になるかは未定っす)。

903まほろ:2017/10/27(金) 01:14:26 ID:gVk8kjHE
◆トイプー警察犬メグレ 神隠しと消えた殺意の謎

知らない人は全く知らない、トイプー警察犬シリーズ第二弾。いやあ、これが本当にシリーズになってるとはちょっと意外でした。
でももうこのちょっと変わったミステリーにも慣れて、親しみが湧いて来ました。

内容は、犯罪のにおい「犯罪臭気」をかぎ分け、犯人の前に来ると尻尾を激しく振るトイプードル警察犬メグレと不愛想な訓練士早乙女が、事件の解決のきっかけを作るって感じの話です。
すぐに犯人が分かっちゃうところは、「刑事コロンボ」的な事件解決方法に似てます。ただ、捜査や証拠集めとかは、自分たちでやらないで警察に丸投げするところが面白いというか無責任というか、このシリーズの特徴ですね。
そのうえ、完全解決まではいかず、逮捕をにおわせて終わるところがこれまた特徴です(その後どうなったかは読者の想像に任せるって感じですね)。

ただ、一巻に続き、犯人が警察関係者って(今回は真の犯人では無かったけど)警察終わるぞwしょうがない事情はあるんですがね。ボリュームが短編と長編の間ぐらいで、「え?もう終わり」って位スルスル短時間で読めました。
文章も小気味良く、構成も途中で読み終えるのがもったいない位上手いと思います。この人の長編推理小説を読んでみたいなあって思いました。

出てくるキャラクターも自然な感じだけど、性格付けが上手くて映像が思い浮かぶくらいでした。「トイプー」シリーズ、出るならまた読みたいと思います。

後、あの父親はコートを間違えて持って帰ったと言ってましたが、多分高級ブランドだったので、盗んだのでは?(苦笑い)wまあそれは誘拐事件とは別の話。

904まほろ:2017/11/05(日) 01:51:16 ID:gVk8kjHE
◆おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱

ゲームシナリオライターが描いたホラーって事で、アドベンチャーゲームっぽい文章を書くのかなと心配したが結構文学的な面白い文体で安心した。
とはいうものの、出だしはやたら使い慣れてないなって感じさせる文飾を使ってる感じがして、ちょっと戸惑ったけど。

と言いたいことを書いたので、後は誉めます、誉めちぎりますよw

内容は両親を失って田舎に引き取られた主人公が、ある事情で暗い牢に閉じ込められている手足の不自由な少女と会い、彼女の友達となるべく彼女の好きな怖い話を毎週聞かせるが、ある日、田舎にやってきた怪しいおじさんと出会い、運命が思いもかけない方へ急転するというストーリーです。
まず、体の不自由な少女が屋敷の奥の暗闇に閉じ込められてるが、彼女は何も苦痛を感じていないという時点で、何なんだこれ?って思いました。そして、このことは秘密に、他人に漏らしたら取り返しのつかないことになるぞと脅される。その上、毎週必ずきて怖い話を彼女に聞かせろといわれ、10年間もそのことが続いてる、やめたくても辞められないって所がまた何なんだこれ?って疑問だらけの導入部。すぐ話に引き込まれましたね。
じわじわ来る田舎の閉鎖的な恐怖、そして章の合間に挟まれる、意味不明なあの世の者たちと思われる物語。実に不思議で独創的な物語、化け物達のネーミングも「かうけう」「とのとと」など、天才的なクリエイターだなあって感じました。
自分独自の世界観を構築でき、かつ読者に納得させる文章力がある作者だとも感じました。

もしかしたらホラーの傑作と出会ってしまったかも?って思いました。「京極堂」や「リング」とかに出会った時と同じような衝撃ですね。
この人のゲームを一回やってみたいなって思わせるほどです。

それで、この話は一巻で完結できないんじゃッて思ってたら、まとめるのも上手いです。読後感もホラーなのに爽やか、これは凄いと久々に思いましたね。思わね掘り出し物でした。

ただ疑問が一つ、お母さんが死んだ日エレベーターでみた赤鬼は何だったんでしょうか。恐怖する脳が作った幻影なのかな。続編?うーん続編を作って欲しいような、このまま完結したほうが綺麗のような。作品がチープになりそうで微妙ですね。

面白い怖い小説が読みたい人におすすめです!いやあ読んでよかった。

905まほろ:2017/11/12(日) 23:45:18 ID:gVk8kjHE
◆少年Nの長い長い旅03
知ってる人知っている少年Nシリーズの3巻目。<猫殺し13キップ>の儀式によって異世界にバラバラに飛ばされた7人の小学生。そのうち一人に視点を絞ったSF冒険物語です。
今回は主人公が2年間この世界で暮らして仕事にも環境にも慣れたころから始まります。行方不明の音色を探して宇宙に飛び出して新たな仲間とともに宇宙を旅してる途中、思いがけないトラブルに遭い、思いがけない人物と出会うストーリーです。

もう3巻目となると文体に慣れて来たのかスラスラ内容が入ってきて、暇なときに読むスタイルでも、約二日で読めちゃいました。一、二巻目の衝撃や意外性は感じなかったものの、それでもやはり面白かったですね。特にある知り合いとの出会いと別れのシーンの「え?そうなるの?」という衝撃と感慨(やっぱりそれなりの衝撃はありました)が凄かったです。
確かに、ああいう別れは後味が悪いですね。そして、謎の誘拐&強奪組織。謎の施設の存在。船長(店長)の過去と旧友に何があって、何を決意しようとしてるのか?
なぜ物語の発端の張本人はあんなに他人に壁を作って、殻に閉じこもっているのか?喫茶店で合っていた女性との関係は?色んな謎を伸したまま4巻へ続きます。

読みやすいので、読書になれてない人にもおすすめですね。しかし完結まで何巻かかるのかな(題名が長い長いとかつけてるしw)。

906まほろ:2017/11/17(金) 03:32:45 ID:gVk8kjHE
◆いなくなれ、群青
一部で結構有名らしい「階段島」シリーズの第一弾。主人公が意識を失い次に目覚めたら2000人が暮らす「階段島」にいた。帰ろうとしても「失くしたものを見つけるまで帰れない」ルールらしい。なぜここにいるのか、ここはいったい何の島なのか。
そして、ある日旧友の少女もこの島で目覚め、主人公と出会い、物語は動き出すといった物語です。

はっきり言います。あまり面白くなかったです。独語の満足感が得られないというか、推理物でも冒険ものでもなく、センチメンタルで胡乱なポエムって感じで、肩透かしを食らったからかなあ。満足度で言えば4,5点(10点満点)くらい。でも設定やアイデアの発想はなかなかでした。
感情豊かな10代の思春期に読めば、また違った面白さや感じるところもある気がします。感想など見ると大学生で結構読まれて高評価な人が多いみたいで、やっぱり10代の内に読むべき小説なのかもしれませんね。

と悪い点ばかり書きましたが、行間を読む、かなり何かを含んだ文章だったので、何度も読めばまた違った良さが分かるような気もします。これがシリーズになってるって事はまだ自分の理解が足りないのかもしれません。
機会があったら続編も読んでみたいと思います。

夢を観る時、記憶は整理され、いらない記憶は捨てられるという人間の生理現象がヒントになってる気がしますね。そこからこういう物語を作るところに感心しました。
主人公がやけにヒロインに冷たいそっけないドライなのも、捨てられた感情で・・(ネタバレ)・・なるほどねえ。
現実の世界で二人の間でなにがあったのか、子供の家庭で何があったのか、その問題は解決するのか、2巻目以降で分かるのかもしれないので、やっぱり読もうかな(二転三転)。
今の所、自分の中では自分が迷う意味での迷作ですが、続きを読むことによって名作のなることを期待します。

それから「いなくなれ、群青」という題名の意味が分からなかったなあ。某漫画「orange」という題名と同じくらいに、あやふやにしか分かってませんw本の中では群青とはピストルスターが照らす夜空の色?の事かなあ。いやあこの小説、考察好きにはたまらないかも。
最後に心に残ったフレーズ「極端な楽観主義と諦観は似ている」・・そうかもしれないし、そうじゃないかもしれません。良く分からないや、でもまあいいじゃん(上遠野さんごめんなさい)。ブギーポップ辺りが言いそうなセリフですねw

907まほろ:2017/11/26(日) 17:00:53 ID:gVk8kjHE
◆未来恐慌
これは思ったより怖い小説でした。これを読むと「人類は滅ぶしかねえ」って悲観主義になっちゃうかも。

ストーリーはウェブ万博に出展予定の「人類の未来」において、未来学の学者がスパコンでシミュレーションしたら、どんな好条件を与えても人類の文明の崩壊につながるという結果が出たが、スポンサー企業は無理矢理にでも「明るい未来」にしようとして、その結果を無視する。
ある日、急激な株価下落が始まって、その結果、人類文明は崩壊へと向かう。何とか食い止めようともがく主人公達って内容です。

いやあ、怖面白い。この人の書く小説は、専門用語や専門知識が無いと良く分からないのが特徴。今回は株についての知識が必要だったし、ペンディングとか会社用語?が飛び交って、辞書で調べながら読みました。しかし、調べなくても何度も読み返せば何となくわかるので気にはなりませんでしたが。
小松左京の「日本沈没」に影響されたらしく、人類の危機を描いたらしく、まさにその深刻さが伝わってきましたわ。
こういうのをアニメで膨らませてやって欲しいなあ。

あと、この本を読むと、日本の自給率はこのままで大丈夫なのか、日本の借金は大丈夫なのか、コンピューター任せの経済システムでいいのか?政府は肝心な事は隠して目を背けて、いい事ばっかりのように国民に伝えているのでは?って色々妄想が頭の中をよぎりますw
お化け心霊現象やサイコパスとかじゃなく、人間の本質に迫るホラーともいえますね。いやーおもしろかった。ただ、「田舎の素朴な生活に帰れ」ってのはちょっと安易ではないかなってもおもいました。

908まほろ:2017/12/04(月) 02:01:35 ID:gVk8kjHE
◆ウォーター&ビスケットのテーマ1 <コンビニを巡る戦争>

簡単に言えば、異世界なのか架空現実なのか分からないゲームのような世界<架見崎町>に迷い込んだ主人公達が、同じ巻き込まれた人間同士で能力を使って陣取り合戦をする物語です。
もちろん痛みを伴って死にますが、死んでも現実世界に戻るだけで、合戦範囲も街の中だけ、全領土を我が物にすれば勝利で好きなものを何でも一つ貰える。
細かいルールが多くて、全部書くととてつもない量になるので書けませんが、結構複雑で分かりにくく、ルールに穴がありそうです。大体の人は「チーム」を組んで戦います。
主人公は弱国のチームの一員となって、隣国と戦う事になります。そして、参加者は主催者に何らかの理由(主人公はいい事をした功績が認められて)で選ばれた者らしいです。

さて、感想ですが、いかにも架空現実バトルロイヤルTVゲームっぽくて、自分の嫌いなジャンル感じで、感動も心に残るものも得るもの無いですが、ゲーム実況を眺めてる感覚で読めばそれなりに面白かったです。
臆病で頭が切れる主人公を活躍させて凄い奴に見せかけるために、都合の良い設定を作った感じがして、少しわざとらしいと感じますが、別の意味でよくこういう細かいゲーム設定を作れるなあってゲームクリエイターとしては凄いと感心しました。

でも、殺し合いが嫌なら、さっさと負けるのが良いんじゃない?ってどこか冷めて読んじゃいますね。ただ、死んだら元の世界でまた暮らせるというのが嘘だと疑うなら、簡単には死ねませんし、死ぬのはやっぱり怖いでしょう。だから、真剣にバトルロイヤルをするってのなら分かりますけど。
やたら、人生哲学(厨二哲学かな)っぽいのが出てくるのはやっぱり「ブギーポップ」っぽいです。
まだ、一巻目なので、主人公の戦いが始まったばかり、これからどうなっていくのか、この世界が一体何のためにあるのか、主催者の正体は?友の裏切りは?弱小チームの行方は?
一巻目はまだ何もわからいまま唐突に終わりましたので、もやもやするので、機会があったら二巻目も読みたいと思います(TVゲームのような小説はあまり好きではないけど)。

909まほろ:2017/12/07(木) 23:21:56 ID:gVk8kjHE
◆製造人間は頭が固い

知る人ぞ知るブギーポップで有名な「統和機構」の一員<製造人間>と呼ばれてるムビョウと気まぐれ?で助けた少年ヒノオを巡るトラブル&哲学めいた話です。
ブギーポップと言えば、電撃文庫。しかしこれは早川文庫。早川文庫と言えば「グインサーガ」とかが有名。あと、「正解するカド」や「ID-0」も早川文庫だった(驚)。
だから、ブギーポップよりちょっと上の年齢向けな感じがしました。

もう少し内容を説明すると、ムビョウさんは、普通の人を合成人間にする液体を作ることができる能力があり、反組織や彼を妬むライバルたちが攫ったり襲ったりする対象となっているが、本人はどこ吹く風といった風に無関心。一方、助けた少年も合成人間液を注射したにもかかわらず、何の変化も見せず<無能人間>と呼ばれてムビョウさんと一緒に暮らしている。そこへ双極人間(リミット・リセット)や最強人間(最強さんといえばあの人)や奇跡人間や交換人間が彼らと対立するって感じですね。
はっきりいって、主役のムビョウさんはめんどくさい性格ですねw

感想・最近のブギーポップシリーズよりは面白かったです。また、独特の上遠野哲学も、今回はなかなかに、自分の思うところとマッチしていて、実に共感できるものが多かったですね。しかし、交換人間はちょっと気に入らなかったですね。もう能力が悪魔じゃないですか、倒しようがないじゃないですか、やっぱり高能力にはそれなりのハイリスクや弱点があって欲しいものです。結局最後まで読んでも、何も引かない何も足さない哲学っぽい言葉の応酬でほとんど状況が変わらないじゃ、超スローペースのスポーツ漫画とかを読んでるみたいで、終わりが見えなくて読んだ甲斐があまり感じられないですね。
まあ、上遠野哲学を披露するために、合成人間たちは役者(スターシステム的な)として存在すると思えば少しは納得しますが。

厨二っぽい哲学や理屈っぽいのが好きまたは霧間誠一(霧間凪さんの父)語録のファンならお勧めします。何度も書きますが、自分はそれなりに面白かったです。

910まほろ:2017/12/14(木) 01:19:01 ID:gVk8kjHE
◆パンゲアの零兆遊戯

サーカム財団が主催する「パンゲアゲーム」のプレイヤーはみんな未来を見通す能力者ばかり。その一人「宇多方玲唯」が他のプレイヤーにより引退そして何者かに殺害されてしまった。
彼女を信奉していた主人公「生瀬亜季」は復讐のため、伝説のプレイヤー「零元東夷」を連れてきてプレイヤー達と戦わせる。勝てば巨万の富を築くことができる「パンゲアゲーム」のプレイヤー達と「零元東夷」の駆け引きは意外な展開を見せて、主人公をも巻き込んでいく、という話です。

「ブギーポップ」または「統和機構」に関係ない新ジャンル話キターって喜んだんだけど、これ「みなもと雫」とか「サーカム財団」とか出てくるんで、「ペイパーカット」シリーズに繋がってるし、「しずるさん」「釘斗博士」にも繋がり、結局「ブギーポップ」の世界と繋がってるんだね(上遠野ワールド)w
ほんと、この人の小説を読むと心が荒むわーwまあ好きで読んでるからいいんだけど、言う事書いてる事が極端で厳しいんだよね。今回の主人公達も刺々しい性格で、勝負強くてその点ではカッコいいんだけど、絶対友達になれない、なりたくないなあ、なったとしても厳しい事ばかり言われて指摘されて、へこむし楽しくないだろうなアって感じですね。

上遠野哲学もいつもより全開で、辛辣で、なかなかに難解で極端で、一回読んだぐらいでは自分には理解不能で、何回も読まないと本当の意味はつかめない感じですね。でも最近のブギーポップシリーズよりは面白かったです。
「みなもと雫」ってペイパーカットに殺されたんだっけ?(忘れたw)。相手の弱点を突く「零元東夷」が「ペイパーカット」じゃないかなあって思ったけど、どうなんでしょうかね。初代「零元東夷」も「ペイパーカット」に殺されてたりしてね。
あと、「パンゲアゲーム」ってジェンガみたいなゲームって書いてあったけど、簡易版で777このピースを使うって事は一個一個のピースはかなり小さいんじゃないか、またはかなり積み木の塔は巨大なものになるんじゃ。架空のゲームだからもう少し具体的なイラストや表現が欲しかったかな。

自分は一回しか読まなかったけど、霧間誠一語録(上遠野哲学)ファンの人は何回も読んで意味をつかんでみてはいかが。

911まほろ:2017/12/18(月) 23:55:56 ID:gVk8kjHE
◆美少年椅子

美少年探偵シリーズ第7巻。ひょんなことから生徒会長になってしまった自称クズの主人公「瞳島眉美」の苦悩を面白おかくしく描いた、一応「日常の謎」を解くミステリー。

まず、美少年とついてるが、作者は男で耽美や腐向けとはちょっと違う破天荒コメディである事を断っておきます。広義で見れば耽美ものかもなあ。
次にラノベの重鎮が描いた作品の中でもライトオブライト、スナック菓子よりも軽い作品だと思います。漫画を読んでるかのようです。作者もさらっと書いてる感じで、あまり心に残らない代わりに御大層な哲学や難解なストーリーに悩まされなくてもいい、ティータイムのような作品ですねw
それでも、考える部分はあるかもしれませんが。

で、今回の主題テーマは「勉強は何のためするの?何の役に立つの?」かと思います。小中学生にとって、単純で奥が深い(のか?)疑問かと思います。一応この本の中で答えは出てるので気になった人はぜひ読んでくださいw

まあ、この作品どこまでがおふざけなのか、真面目なのかの境界線があやふやで、適当に距離を置いて生温かい目で読まないと、真面目な人は本を放り投げるかも知れませんね。他校へ生徒会長がバニー姿で訪問したり、副生徒会長がコスプレ好きの変身願望の強い人だったり、ライバル校の生徒会長がエリートヤクザや軍事産業みたいなマネをしていたり(みんな中学生ですw)。
そういうのを笑って許せるのなら、まあまあ面白いですよ。美少年探偵団のメンバーもリーダーが小学五年生(爽やかな変人)で、副リーダー(ロリコン先輩)が中学3年生。メンバーの中に料理の上手い常識人の皮肉屋の喧嘩番長や無口の経営と美術の天才くんや口の悪い冬でも半ズボンの陸上のエースがいたり、個性的で慣れれば面白いです。

今回新しい敵組織「胎教委員会」というのが出てきました(今回話が進んだのはこれだけ、後は言葉遊びとおふざけw)。次巻で対決するそうですが、期待せず待ってますw
アニメにしやすそうな、アニメ監督がいじり易そうなラノベです。たぶんそのうち・・。

912まほろ:2017/12/23(土) 12:02:12 ID:gVk8kjHE
◆イヴルズ・ゲート 睡蓮のまどろむ館

イヴルズゲートシリーズ第一巻。角川ホラー文庫。イヴルズとは、多分EVIL(イヴル:悪魔・邪悪な)から来ていると思われます。つまり、邪悪な扉ってことですね。

物語は霊感や学識のある4人の男女が、謎の超心理学者に招待され、非業の死を遂げたエジプト学者の建てた奇妙な家「埃及屋敷」と呼ばれる幽霊屋敷に集まるところから始まります。そしてこの屋敷の怪奇現象を解明するため実験をするのですが、そこには邪悪な者の陰謀が蠢いていたという内容です。
4人の男女は「飼い犬を連れたエジプト考古学者」「元サイコメトリー心霊少女で訳ありの女性」「元サイコメトリー少女で今はお金持ちの女性」「ワイルドで女たらしの比較宗教学者」で、その他にも館の食事係やメイドも出ますが、主な登場人物は10人足らずと少ないです。
あと、設定として面白いのは、この舞台となる日本は1999年から始まる大災害(地震や原子力発電所のメルトダウンなど)で首都東京が壊滅して本州は放射能汚染と無政府状態で治安が悪く、北海道が首都となり、日本人は外国か北海道か九州に避難・移住しているという所ですね。怖い設定ですね。

さて感想ですが、この作者の書く物語は相変わらず、どろどろした恐怖、人の嫌な部分を描くのが上手く、そして序盤に何気なく提示される一筋の希望(ココが怖いだけの物語ではなく何かヒーロー的なカタルシスを期待)がそれによって際立つという実に上手い構成だなあと感心させられた。表現も独特で熟達していていつも感心させられます。
そして、久々の建築関係の専門知識、あの「建築探偵」シリーズを思い出しますね。そういえば、桜井恭介や栗山深春っぽい人がいますねw少し「龍の黙示録」のセバスティアーノが混じっていそうですがwまた飼い犬「アヌビス」が霊障に強そうで頼もしい。そいうえば、本に掲載されている広告に「バチカン奇跡調査官」ってのがありましたが、まさにそれっぽいです。ただし、相手にするのは奇跡ではなく邪悪なものですけどね。

いやー怖かった、怖かったけど読まずにはいられない面白さがあって、最後まで一気読みさせられましたね。一番心理描写の多い(多分この話の主役)が段々闇に落ちて、館に取り込まれるところが怖かったですね。でも真の主人公が何とかしてくれる!って期待しながら読んでいたので、ワクワクが止まりませんでした。結果的にやや後味の悪いものになりましたが、悪い事をした人には相当の罰が下ったという事でしょうか。ヒーローも万能ではないって所でしょうか。
そういえば「黒い聖母」の活躍が見れなかったのが残念。だが次巻以降の隠し玉っぽくて期待できます。まだまだ、サイキックな人達が出てきそうです。次巻もぜひ読んでみたいと思います。最後に、こんな某「双亡亭」みたいな屋敷で毎日食事係をしていた多和田さん、あんたが一番心臓が強い、よく憑りつかれなかったねw

913めんたい:2018/01/02(火) 16:29:27 ID:gVk8kjHE
◆僕らの映画のつくりかた

映画関係の仕事に就きたい浪人生の主人公(女性)が、地元の映画製作サークルに入会して、四苦八苦しながらも映画製作を体験していく物語です。
感想から言うと、すごく面白かったです。映画製作って大変だなあって時感じさせてもらうと同時に、みんなで一つの物を作る面白さがたまらない小説でした。

まずお金、製作費100万円を稼ぐために、夜の仕事についたり、居酒屋のバイトをしたり、そして自主制作映画のテーマのためにもめて、テーマが決まったらシナリオ作成やロケハン、最初は6人しかいないので一人一人の仕事量が半端ないw
制作期限は約半年後、最初の内は余裕があったが、段々スケジュールが遅れて最後はボロボロになってまで働く目に。どれだけ頑張っても趣味なので、それによる収入はないし、将来に繋がるのかもわからない、休日もなくなり毎日(人生が)が映画製作のためにあるって感じになる。
とうとう、テーマが難しい「自分とは何か」という哲学という事もあって、ノイローゼになり離脱者も。
そして穴埋めとして主人公は助監督という雑用係に任命され、監督と製作スタッフの意見の食い違いなどの板挟みに。そして、カチンコや記録や編集やホームページ作成やで、製作費不足のため貯金も降ろすはめになり、受験勉強どころではなくなり、何のため映画製作してるのか分からなくなり、ノイローゼ気味に。

いやあ、主人公が貧乏くじすぎて、可哀想でしたw監督の我がままの所為でいつも最後まで作業居残りで体ボロボロ。

でも、昔の仲間や双子の女優の加入で、閉塞感が和らいだので、読んでる方もホッとしました。映画を作るには人手が足りな過ぎるんですねw
そんなこんなで、映画完成した時は、感情移入しすぎてで架空の話なのに、嬉しくなりましたねwいやあ、面白い小説でした。映画の作り方も大まかではあるけどなんとなく勉強になりましたね。

そしてもう一つ語っておきたいことは、「哲学」についてですか。この本を読むと色んな哲学者の名前が出てきて、いろんな考えが紹介されてます。作る映画のテーマ「自分とは何か」はキングオブリドル(謎々の王)って本当に言われてるのか知りませんが、
そんなのを考えて悩むより他人との関わりを考えろっていうのがなかなかに痛快でした。
自主映画のコンテストに出品した後の続きを読みたいけど、これで完結のらしく残念。こういうお仕事などを丁寧に面白く描いた小説は好きです。

914とんたく:2018/01/08(月) 21:49:57 ID:gVk8kjHE
◆神様が殺してくれる

外国での連続殺人事件と同部屋だった美青年を追うインターポールの主人公のサイコサスペンスミステリー。
日本人作者が外国人主人公を使って外国を舞台に描いたミステリーは篠田 真由美女史ぐらいしか知らないので、珍しいなあって思いながら読みました。

主人公は、殺人事件の関係者が、学生時代に偶然学生寮の同部屋になったゾッとする様な美青年だったことを知る。その美青年は、主人公が殺したと証言し、身に覚えのない主人公はその後起こる殺人事件にも巻き込まれていくというストーリーなので、
その美青年が嘘をついてないのなら、主人公が無意識の内に殺人を犯してるって、自分は最初に考えましたね。すると、作者もそういう風に読者をリードしていくので、なんだセオリー通りのミステリーかって思ったら、ラストでどんでん返しに遭いましたw
その結末に吃驚はしたけど、えーそりゃあないっすよって思いました。そんなの主人公がもうちょっと頭がよければ何となく分かったんじゃないのかなあ。

ということで、ミステリーとしては、なんだか肩すかしを食わされた感じで、あまり感心はしなかったです。
しかし、ホラーサスペンス、サイコサスペンスとしては、楽しかったです。最後まで面白く読ませていただきました。

しかし、ホモホモしい、女性にしか見えない容疑者の美青年が、主人公にキスしたり抱き合ったり、腐女子歓喜な内容で、最初はドウナルコトカ、これは篠田真由美さんが書いてるんじゃないかwって思いました。
でも、ホモっぽい行動にも、ちゃんと意味があったんですね。彼は主人公を魔法を使う独占欲の神(悪魔)と畏怖していたんですね。絶対かなわないと思った相手には、ああする(自分を捧げるとか)しか方法がなかったってのも何となく分かります。

フランス・ベルギー・イタリア・ドイツ・日本と世界を股にかけて犯人を追うって書くと、偉い壮大なスケールの華やかな小説にも感じますが、意外と、閉じこもった世界のちょっと怖い小説でした。あと、じっと見つめられる(たぶん作中の美青年の実写版)表紙がねっとりしていて怖いですw

915めんたい:2018/01/16(火) 21:42:19 ID:gVk8kjHE
◆ペガサスの解は虚栄か?

ウォーカロン(W)シリーズ第七弾。人間の代わりに危険な仕事に従事する人造人間とも言うべき「ウォーカロン」が人間より多くなり、人間との違いが分からなくなった世界。
人間は医療技術の発展により長寿を得た代わりに、子孫を産めなくなり、主人公はその原因と解決を探るため、またウォーカロンと人間の新たな関係を探るために、日夜研究を続けている。
そして新たに、人工知能やトランスファーという第3第4の知性体の出現により、世の中はさらに複雑になっていく。またそれらを巡って、いろいろなトラブルが主人公に降りかかり、それらに対処していくという物語である。

第7巻まで来ると、最初は単純だった構図も、かなり複雑になってきて、全巻までの内容を思い出すのも大変になってきました。あれ?人工頭脳とトランスファーって違うんだっけ?とかチベットのスーパーコンピューターの名前何だったっけ?とか、脳だけになってヴァーチャル村に住むの博士ってどうなった?とか、フランスの危険なコンピュータはどうなったっけ?とか。
でも面白いです。淡々と話は進むけど、この人の文章は読みやすいし、本は厚くないのですが、しっかり起承転結で話がまとまっていて、だらだらしてなく、文章にもキャラクターに文章にも独特の味独特の味わいがあります。

今回は日本が誇るスパコン「ペガサス」の奇妙な発言をきっかけに、インドの富豪の家に脱走したウォーカロンが潜伏しているらしいという噂を調査しにいくという内容です。今回のパートナーはウォーカロンの「キガタ」と人間かウォ-カロンか不明の「アネバネ」の3人で、前パートナーのウグイはお休みで、あの夫婦漫才がもう読めないのかと残念な気持ちでしたがと、ところがどっこい後半でまた主人公とウグイが組んで仕事をするということで、なんかホッとしましたw(いやあ感情移入してるなあ)。
やっぱりウグイはひと味違う。っていうか今回のウグイは上目遣いに舌出しペロッですよ。やばい想像しただけで萌え〜でした〜(感情移入しすぎだろw〜(感情移入しすぎだろ)。
しかし、長い付き合いのあの人がお亡くなりになるとは、そこは残念でならなかったです。それもかなりの悲劇で。あと、トランスファーのデボラの存在も頼もしいですね。いやあ、主人公の周りには「間賀田四季博士」を始めとして、スーパーパートナー揃いで羨ましい。ただし、プライベートも覗かれてるのは嫌ですけど。

次回作も二冊(「血か、死か、無か?」と「天空の矢はどこへ?」)ほど予定が決まっているらしく、この比較的まったりとしたSF物語はどこへ突き進んでいくのだろうって楽しみです。

916めんたい:2018/01/24(水) 05:03:58 ID:gVk8kjHE
◆少年Nのいない世界 03

知ってる人知ってる、「少年N」シリーズと対をなすもう一つ「N無し」シリーズ第3巻。
猫を13匹殺してそれとともに屋上から飛び降りることで、巻き込み、巻き込まれて異世界へ行ってしまった7人の小学生達。
7年も費やしてようやく異世界で数人が再会して、あと3人で飛ばされてきた全員が揃うって所から始まります。

今回は猫殺しの張本人「和久田悦史」(敵側)の物語から始まり、少年Nシリーズのキャラ、無限総合保管業(宇宙の運び屋・一応味方かな)のトワコや謎の研究機関(敵)に「エース」と呼ばれる謎の権力を持った社長(今のところ味方)、音色をさらった美術屋のボス(悪)、
そして「少年Nのいない世界」なのにその少年N(行方不明)まで出てきて、結構お話が進みます。そしてついに最後の一人が・・。

いやあ、大変よくできた漫画やアニメを観てるかのようで、読んでて楽しかったです。文章が相変わらず上手い。
ただ、ラストの音色のバレエ公演前がやたら諄くて、ここだけ話のテンポがゆっくりじっくりだなあって思っていたら、嫌な予感が的中してやっぱりそうなったかって感じでした。
果たしてエースがどこまで味方してくれるか、運送屋がお金にならないことにどこまで協力してくれるかに掛かってますねえ。

気になるのは、エースやトワコがなぜ少年Nを旧友の所へ連れて行かなくて隠すのか?ですねえ。
何か裏がありそうな予感もします。そして研究所が異世界(つまり元の世界)についてどこまで、何故、研究してるのか、も気になります。

次は「次は少年Nの長い長い旅」の4巻が先でしょうか。結構読みやすいので、たまには読書したいという人にもお勧めですね。

917めんたい:2018/02/01(木) 22:13:14 ID:gVk8kjHE
◆バビロンⅢー終ー

堅実な検事ミステリー物と思わせて、実は哲学めいたオカルトサイコホラー物だったというストーリーと衝撃のラストを迎えた第二巻、この後どうこの話の後始末をつけるのか、またどう続けるのか続けられるのか?って事が一番の関心で興味津々の第3巻でした。関心で

内容は、東京の町田、八王子と神奈川の相模原を合併して、ある種の条例の実験都市「新域」を作り、そこの域長となった齋氏は最初の条例として「自由に死ぬ権利(自殺法)」を発令する。それにより「新域」では自殺する者が増加する。事態を憂いだ日本政府は齋氏の確保に乗り出すが、謎の超能力女「曲世愛」の能力により彼に近づこうとする者は次々と自殺した。
そして話は世界へと肥大する。世界の六カ所(アメリカ・ドイツ・カナダ・イタリアなど)の地方都市が「新域」に誘発され「自殺法」を発令した。一方主人公「正崎善」は「曲世愛」に部下や友人を次々に催眠自殺させられて、復讐のためFBIの力を借りることにした。奇しくも七カ国サミットが行われ、当然「自殺法」についても話し合いが持たれようとしていた。
そこへ、齋氏は同時期に六カ国の六つの地方都市地方に「自殺サミット」を呼びかける。齋氏は何を画策してるのか・・というサスペンスホラーな内容でした。

奇才って言葉がぴったりな内容でした。まさかワールドワイドに展開しようとは。面白い面白くないを問われれば、読んでいて面白いんだけど、二巻とほぼ展開が同じじゃね?曲世愛の能力は強すぎでやり過ぎではないか?って冷静に考えると素直に面白いって言いたくないんだよなあw
最初、凄く堅実で納得いく検事の捜査に感心して読んだあと、急にホラーのなんでもあり感が受け入れられなくて、それでも主人公が機転を利かせて解決するんだろうなって思ったら、事態は世界中を巻き込んで最悪な方へ。主人公は無力という・・。
主人公が主人公たらしめてるのって曲世愛の超能力は効かない?免疫がある?って事だけなんだよなあ。もう少し、曲世愛や齋氏の対して頭脳戦でも一矢報いる展開があれば嬉しいんだけど、今のところ「やられるがまま」ってのがストレスたまりますw

あと、終って書いてあったので、この第三巻で完結するのかと思ったら、曲世愛=悪=終わりの使者って事で、まだまだ続くみたいだ。
今後はサスペンスホラー物として頭を切り換えて読みたいと思います。
色々書いたけど、続きは読みたいです!また絶望と大量自殺で締めそうだけどw

918めんたい:2018/02/05(月) 18:20:22 ID:gVk8kjHE
◆イヴルズゲート 黒き堕天使の城

イヴルズゲートシリーズの第二弾。前回エジプト屋敷で異世界の門を何とか閉じる事に成功したルカと夜刀の腐れ縁の学者コンビは、今度はドイツの片田舎の水晶鉱山の前に建つクリスタルベルク城の奇怪な住人と鉱山内の「黒い門」の謎に挑む。そして、ルカの出生の秘密をかいまみると言う話です。

表紙を見ると、あれ?あまり内容と関係ない夜刀の妹で巫女で超能力者の瑠衣が描かれていて、違うだろうもっと描くべき人物がいるだろうって突っ込みを入れたくなったのですfが、最後まで読むとああなるほど、って納得せざるを得ませんでしたw
いやあ、異世界の悪魔さえも退治しちゃう神道はかっこいいね。
途中までは人間関係ドロドロで、レイプあり、ホモ行為あり、クビだけ実験人間はいて、人形のような奇怪な娘や、見た目二十代、四十代の百歳の老人はいるわ、人間と合体するデビルマンはいるわ、化け物屋敷のクリスタルクリスタルベルク城で、まさにホラーオブホラーって感じでしたが、最後の最後で「ブギーポップ」が無双するように、表紙の巫女が全部持って行っちゃったって感じですね。

感想としては、いつものお得意な耽美な感じでちょっと腐向けっぽいのは嫌だったけど、ホラー小説としてなかなかに怖くて面白かったですね。ルカに関する人間関係がちょっと複雑だったけど、何とか理解しましたわ。夜刀の兄妹は全員が超能力者なんでしょうか、これからの続刊で登場するのでしょうか、楽しみです。
ナチスとかヒトラーとかの話が出てきた時は、ヒトラーやドイツ帝国の復活が目的かなとか思ったけれど、ちょっと違いましたね。ていうか、異世界の住民は人間界を餌場に寄生宿主に利用しているだけで、世界征服とかの野心は今のところなさそうですね。でも謎のメッセージは前巻のあの男が生きているのか、異世界神を崇める宗教集団の仕業なのか、またはルカの出生の秘密に関わる邪悪な何かなのか、謎は残りますね。

このシリーズの続きも楽しみですが、早く「黎明の書」の最終巻を書いて欲しいですね。

919ガフ:2018/02/06(火) 21:48:18 ID:XPhZbFaE
〇小説 仮面ライダーアギト
オーバーロードとアギト関連の設定が変更されている以外は大体原作通り

小説版ですら不幸な葦原さん…むしろ原作より悪化しているような気すらする…救いはないのか…

〇小説 仮面ライダー龍騎
原作とは程遠いオリジナル設定満載、受け付けない人も多そう
犯人を誤射して壊れてしまった真面目な警官、心の傷に突き動かされてヒーロー行為に走る青年と、井上先生が書いてるなあというのを強く感じる

尺の都合でメインキャラを真司、蓮、浅倉、北岡、ファムに絞っているが、北岡の悲惨さがぶっちぎり、帝王トランザの栄光を思い出した
いくら悪徳弁護士とはいえあそこまでの仕打ちを受けるいわれはなかろう

920めんたい:2018/02/20(火) 23:47:43 ID:gVk8kjHE
◆虚実妖怪百物語 序

序・破・急と続く多分3部作だと思われる京極夏彦の妖怪物語の第一巻の序である。
序だけだと内容がつかみ所が無く、世の中がささくれ立って、妖怪を見かけなくなったと嘆く「水木しげる」を始めとして、妖怪好きな作家や編集者や妖怪学者たちが、突然現れた目に見える妖怪らしき物たちや妖怪を敵視する団体や世間や政府機関とのトラブルを滑稽に描いた話。
ただし、この現象・異変を操る黒幕(「帝都大戦」の加藤?イスラム辺りの悪魔?)がをいるらしく、最後はそいつと「京極さんと愉快な仲間達」が面白可笑しく戦うんじゃないかなあって感じです。序なんでまだ本格的には物語は始まってないって感じですね。(あと、エヴァンゲリヨンかよ!)。

本の分厚さは普通だったけど、読むのがきつかったわーw何がキツかったって、出てくる登場人物の量が半端なくて、こんなに沢山覚えられるかー!って最初本を放り投げたくなりましたくらい。
ざっと数えても、主な登場人物が70人〜80人います(アホかー!)。ほとんどが実在人物らしく、京極夏彦とその関係者や知り合いや友人達でした。

嘘だと思うなら、書きますよ出てくる人全員書いてもいいですよw
榎木津・京極・郡司・荒俣・夢枕・水木・村上・多田・青木・岡田・及川・梅沢・悦子・ナオコ・レオ若葉・黒・鴨下・平山・福澤・加門・木原・中山・伊藤・黒木・松村・ホンダ・佐藤・恩田・小松・高谷・榎村・西山・大江・久留島・清水・唐沢・松野・木場・久禮・山田・常光・纐纈・・まだ2/5かよw

まあ、主役っていうか、妖怪馬鹿達に馬鹿にされるのが二人出てくるんですけど(レオ☆若葉と榎木津平太郎)、どうやらそいつらが物語の主幹(ギャグ担当でもある)らしいですね。まだ序しか読んでないので、誰が最終的に重要人物になるのかは分りませんが。

さて感想、船酔いや陸酔いが慣れれば大丈夫になるように、最初は苦痛でしたが、慣れてくれば少し面白くなってきました(ランナーズハイみたいなw)w。文章とギャグ(言葉遊び)少々クドいですが、まあ、ここまで頑張ったから最後までつきあって読むつもりです。もう義務です、根性です、変な自己満足や達成感のためです。
独特の妖怪哲学が相変わらずだなあって読んでいて思いました。京極夏彦さんはもう「京極堂」ですね。「この世に不思議な物などないです」ってかんじで。この本を読むときは、登場人物のファイルを作ることをおすすめします。そこを乗り越えられれば、まあまあ面白くなると思います。

最後に、京極堂シリーズ?百鬼夜行シリーズ?どっちでもいいけど、新刊を早く出して欲しいです。また、薔薇十字探偵やヘッポコ小説家に会いたいですね。
さて、「急」(第二巻)を読みますか。エヴァかよ!(二回目)。

921めんたい:2018/02/26(月) 04:59:39 ID:gVk8kjHE
◆虚実妖怪百物語 破
何者かの陰謀によって(多分、帝都物語の加藤保憲)妖怪のような物が各地に出現して、おかしくなった日本で、操られた政府や妖怪排除団体と妖怪好きの妖怪馬鹿との戦いを描いたシリーズの第二巻。

登場人物がさらに増えて、もう100人はいるんじゃないかなあ。その中で基幹となる人物は「レオ若葉」「榎木津」って書いたけど、他にも「帝都物語」を書いた荒俣宏さんや頭にクトゥルーの邪神を乗せた黒史郎さん黒史郎も結構活躍しますね。
あと、郡司さんや及川さん、あと京極夏彦本人も結構発言が多いですね。
話は、妖怪書籍関係者や妖怪と接触した人妖怪が現れた家や区域は洗浄駆除対象で、妖怪撲滅民間団体の私刑に遭って粛正されるという、まさに隣人疑心暗鬼の永井豪原作の「デビルマン」状態。ついに、世界初のロボット「學天則」に荒俣宏が乗って、付喪神を率いて行進するという、なんとも言えない展開にw
都知事を暗殺しようとする妖怪関係の小説家もいたり、どうなってしまうのこの物語状態のまま、第3巻「急」に続くという感じでした。

面白いかと言えばまあ面白いんだけど、人に勧められるかと言えば微妙で、噛めば味が出るガムみたいな小説でした。まず、人物を覚えるのが最初の壁かと思われ(何回も書くけど)。あと、ストーリー展開や構成に関しては、多数の主人公がいてそれぞれの行動がクロスする感じの「ブギーポップは笑わない」、「デュラララ!!」「博多豚骨ラーメンズ」とかゲームなら「街」「428」ののりですね。
映画でも多人数視点の「バンテージ・ポイント」ですか。そんな感じですね。
だから、ハマレバ面白いとは思いますよ。

さて最終巻「急」を読みたいと思います。もうなるべく新しい登場人物は勘弁して下さい、覚え切れませんわw

922めんたい:2018/03/05(月) 18:22:28 ID:gVk8kjHE
◆虚実妖怪百物語 急

このシリーズの第三巻。妖怪好きの妖怪馬鹿達とそれを粛清しようとする政府機関(警察・自衛隊・矯正施設)や民間組織や日本を滅ぼそうとする魔人との戦いを面白く滑稽に描いた最終巻。内容も「今度は戦争だ!」感じです(水木先生「戦争はいかんですよ」)。

もう早速感想。なんていうか「妖怪のスパロボ」ですよ、最終決戦では、自衛隊に対して「犬夜叉」「殺生丸」「うしおととら」「ゲゲゲの鬼太郎」「豆腐小僧」から「ガメラ」「ラドン」「大魔神」「クモンガ」「モスラ」の怪獣まで出てきます。読んでいてワラけてしまいましたw
エヴァやガンダムやゴジラも出そうとしたらしいけど、そこは大人の事情と自重らしいです。いやあ、犬夜叉と虎と貞子の共同戦線を映像で見たいなあ。もちろんその他の有名妖怪達の「百鬼夜行」も大活躍。
それだけじゃないです。声優の「野沢雅子」「戸田恵子」から俳優「佐野史郎」「島田久作」、漫画家「伊藤潤二」「ゆうきまさみ」「日野日出夫」「永井豪」やら小説家「小野不由美」「鈴木光司」まで出てきて、絶句「なんじゃこら?」状態。笑いが止まりませんでした。数え切れないですが、120人以上は色々な有名著名人が出てきてると思います。
故人の「柳田 國男」氏も出て喋ってますね。でも一番笑ったのはやっぱり巨大テレビから出てくる巨大な貞子さんでしょうかw妖怪とは関係ない鈴木光司さんが自ら出現させたとの事でした。でもホラー小説をよく書いてますから少しは関係あるのではないでしょうか。

ただ、オチが良く分からない理屈で大団円になったのはちょっと腑に落ちませんでした。あの薔薇十字探偵の名前が出てきたのは嬉しかったのですがね。多分、これだけのバカ騒ぎのお祭りみたいな小説は最初で最後ではないでしょうか。京極夏彦氏の妖怪にかかわる小説の集大成みたいな内容ですし、よくこれだけの登場人物を活躍させ書き切ったなあ、ってそこは凄いと思います。膨大なエネルギーが必要だったに違いないと想像します。
著者は京極堂になりきって、「この世に不思議なものなどありません」って颯爽と事件(戦争)を解決されて羨ましいですね(小説家の特権)。水木先生も最後は妖怪になられたのですね。

最後に「「鵺の碑(いしぶみ)」じゃなくてもいいから、京極堂シリーズ」の続編を強く希望します。
そういえばベガ(スト2)のモデルって「加藤保憲」というか島田久作さんなんでしょうかねw

923めんたい:2018/03/07(水) 23:59:05 ID:gVk8kjHE
◆少年Nの長い長い旅 04

知ってる人は知ってる「少年Nのシリーズ」の第4巻。猫を殺してビルから飛び降りたため、異世界に飛んでしまった7人の小学生。主人公の野依とヒロインの音色は偶然にも(原始の惑星ファリ)に飛ばされるが、音色は誘拐されて違う星へ連れて行かれる。
主人公は音色を探すため、ファリで知り合った宇宙の運送業のサット船長(店長)の宇宙船に乗り込み、そこで仕事を覚えながらこの世界で散り散りになった7人の友達(一人は友達では無いが)を探すことになった。そしてついにこの世界に飛ばされた仲間の一人と出会うことになるのだが・・・。と言う話です。

もう一つの物語「少年Nのいない世界」ではこの物語の数年後の話なのだが、そこではまだ飛ばされた七人の誰も誰とも会っていない所から始まるので、今回の友達生存情報はガセかと思いきや、なるほどなーそういう事かという感じでした(ネタバレなので書けませんが)。そしてサット船長の過去の謎と「少年Nのいない世界」での研究機関の正体の謎とが関係していて、二つのシリーズを上手く繋げたなあって、ちょっと感心しました。
少年向け小説だと侮るなかれ、結構面白いです。ただ、本の厚さが足りねえ、すぐ読み終えてしまう、もっと続きを読みてえ、って感じですね。週刊少年漫画を読んでる気分です。
改めて感想を書きますと、もう一つのシリーズに上手く繋げて、かつこのシリーズだけでも面白くするために苦労してるなあ凄いなあって感じでした。長い長い旅と言うからには、宇宙船で運搬業だけやっていては物足りないですよね、異世界の宇宙をあちこち波乱に満ちた冒険をしないと、題名に負けてしまいます。
だから、今回の物語はさらなる冒険(旅)へって感じの終わり方で題名通りだって思いました。

これから、どういう冒険の旅路を繰り広げてくれるのか楽しみです。もちろんこの異世界宇宙の謎や元の世界へ戻るための謎が解かれていきそうですね。
そして、サットの一族と二つのスーパーコンピューターや子供を使った謎の研究機関の研究内容も早く知りたいですね。
普段読書に縁の無い方におすすめです。片手間に読めて結構面白いかも。

924めんたい:2018/03/15(木) 17:58:43 ID:gVk8kjHE
◆書楼弔堂 炎昼

弔堂シリーズ第二弾。元僧侶の主人公がひっそりと営む、まるで陸の灯台の様な本屋(書舗)にやってくる悩みを抱えた人達に、その人のための一冊を選んでやって、悩みを解決する方向へ導いていく物語。
今回客側の主人公は片思いと自分の作品の価値に嘆いている「松岡國男」という新体詩人と父や祖父から毎日叱られて生き方に悩むお嬢様「天馬塔子」の二人。その二人に連れられて、色んな悩みを抱えた有名人もやってくる。

まあ、明治時代の有名人はよく知らないので、乃木大将って聞いても203高地で「山は死にますか〜(さだまさしの歌)」ぐらいしかピンとこなかったが、昔は泣き虫だったんだとか(何処まで本当かは知らないけど)勝海舟って枢密顧問官なんだとか、そういった蘊蓄が面白かったです。
しかし、有名人と知り合いすぎだろw松岡國男なんか、この人の小説で何度も出てきてリスペクトされてるお化けの教祖の一人だもんな。ていうか、お化け、妖怪、幽霊、怪談にはかなり主張も持っていて、毎回どの小説でも同じ事行ってる気がする。「実際幽霊なんか居ませんよ、それでも人は幽霊を見てしまう物です。それは何故かというと・・(略)」(説明が難しいので自分で読んで下さいw)
たしか、「虚実妖怪百物語」でも読んだぞ、似たようなお化け理論。お化けは世の中の潤滑油で遊び、馬鹿と一緒で居ないと世の中ギスギスする。あと、不思議な現象や結果が先で、納得するためにお化けの仕業にするだっけ?

さて感想、主人公の書店の主人の説教が耳に痛く少々理屈っぽいけど、納得できるところが大いにあって、面白かったです。「本は斜め読みしてはいけない」とか色んな「箴言」が多くて、納得のいく良い事をいうなあって読んでいて感心もしました。本当に明治時代ってこんな感じだったは怪しいですが、例え想像上の明治時代でも、上手く世界を構築してあって、その力量にも感心しました。
読んでると、著者のの思い描く明治時代の住民になれる、明治時代に浸れる小説ですね。大いに現実逃避できましたw多少理屈が難しいけど、良いこと、ためになることが書いてあって読んで良かったです。

最後に、しつこいですが「京極堂」シリーズの続編を書いて欲しいですねwもちろん、このシリーズの第3弾が出たら是非読みたいと思います。

925めんたい:2018/03/27(火) 01:20:41 ID:gVk8kjHE
◆卒業のカノン

「穂瑞沙羅華の課外活動」シリーズの最終巻。ゼレウトと言う会社の精子バンクシステムを利用して生まれてきた物理学の天才少女と主人公の綿貫基一が組んで、会社のコンサルティングや依頼された危険な難問・珍問を解決して行く、ちょっと専門的な内容や専門用語が飛び交うライトノベル風な小説です。
今回が最終巻(5巻目)と言うことでまだまだ続いて欲しいなと残念な気分で読みました。

今回の事件は、太陽光発電の出資者でゼレウトの社長の命を狙う何者かが、太陽光発電衛星を利用して車を暴走させて、車を使えなくして地球温暖化を防ごうとするテロ計画と社長暗殺を阻止するため、主人公達が立ち上がる話です。そして解決のヒントは パッヘルベル作曲の「カノン」。
波の性質で位相を二分の一にして、打ち消し合ったり、正弦波の方程式を二回微分とか弧度法でパイを足すコマンドを挿入って解決の仕方が何となくでしか分らなかったけど、まあ分ったつもりで読んでもなかなか楽しめました。
あと、地球温暖化問題に真っ向うと向き合った小説って所も面白かった。車を無くしても温暖化が止まるかどうかは分らないが、それ位厳しい規制や徹底的な方法でやらないともう駄目かも知れないなあって考えさせられたわ。

それから、キャラの名前に関するネタバレでちょっと吃驚、主人公達の名前って「ホームスとワトソン」で出てくるサブキャラの名前もホームス関係だったり、神話だったりしてたんだね。気づかなかったわ。
今更、小説の感想だけど、ヒロインは飛び級で大学に行ったり、高校生からやり直し足り、今度は仕事の所為で一年浪人したり、反って回り道していてちょっと気の毒だなあって思ったのと、最後はやっぱり浪人するのか、一時的に戻ってきたのか読んでいて迷ったけど、主人公ののろけで終わってるから留学とか全部嘘だったんだなあw
まあ、天才少女も冗談や嘘をつけるようになったと言うことで、ちょっと人間的に成長したんだなあ(凡人に近づいたw)って事でいいのかな。

総評。面白かったです。卒業とは言わずこれからもこの課外活動シリーズを書いて欲しいですね。

926めんたい:2018/04/07(土) 22:15:02 ID:gVk8kjHE
◆カムパネルラ

昔の童話や小説や歴史上の人物の逸話を基にアレンジして新しい物語を描く創作は多いけど、たいがい信長とか桃太郎とかヒットラーとかシンデレラとか有名な物ばかりなんだけど、この作者は宮沢賢治や「銀河鉄道の夜」などをベースに独特のSFサスペンスを書き上げてしまったというのがこの「カムパネルラ」である。
相変わらず,独特の表現・文章形態で読み解きづらく、理解するのに一苦労な物語でした。本のボリュームが300頁ほどで在ったのが救いだったwこの人の小説は時々面白いんだけど,クドくて読みにくい(自分はね)。でもこの小説に関しては結構スピーディな展開でくどさは感じ無かった。ただ面白かったかと問われれば,微妙だなあ。

簡単にストーリーを紹介すると、どこかの近未来日本、危険思想を排除するため第3稿の「銀河鉄道の夜」に描かれる自己犠牲の精神を掲げる国家機関であるメディア管理庁があった。主人公の母は第4稿の「銀河鉄道の夜」の研究をしていたために思想犯罪者として捕らえられて拷問の末死んでしまう。主人公は母の遺言通り遺骨を「宮沢賢治」の故郷の河に散骨しに行くのだが、不思議なアクシデントで宮沢賢治が死ぬ間際の昭和8年に飛ばされてしまう。その世界には宮沢賢治の描いた小説の登場人物や物語設定が混在していて、ジョパンニやカンパネルラや風の又三郎まで実在していた。そして、カムパネルラ殺人事件が起こりジョパンニと間違われた主人公が疑われる、果たして何がどうなってるのか真相は?と言うSFミステリーサスペンスです。

感想:まず、宮沢賢治レイプってのが意外で奇想天外だった。あの宮沢賢治が何回も「銀河鉄道の夜」を書き直していたことの驚いた。(何処まで本当か知らないけれど)最初は国のための自己犠牲(愛国主義・祖国への滅私奉公)や「全体が幸福になれば個人も幸福になる」を謳った小説だという。そして死の間際で書き直していた第4稿「銀河鉄道の夜」は平凡に善良で無私に生きることこそ尊い、または「個人の幸福があって初めて全体の幸福がある」または「少年少女の自立心」を謳っていると作者は書いている。いやあ何もかもが新鮮でその辺は大いに興味を持ちました。
そして、訳の分らない展開(天気輪の柱によりタイムスリップで昭和8年に行ってしまったかと思えば、賢治キャラクターが闊歩してるし、賢治は5年前にとっくに死んでるし、賢治の妹は生きてるし、主人公はジョパンニと間違われて警察の捕まったり・・)でこの作者とうとうネジが飛んだんじゃ無いのかって一瞬いや何瞬も思ったよw物語の体を成してないぐらいぐちゃぐちゃな展開だもんなあ。しかし、中盤まで読み進むと、なるほどこれはちゃんと考えられたSFなんだって少し納得して安心した。
物語は意外な方へ二転三転し(ここがこの作者の真骨頂がネタバレなので書きません)で主人公が奮起してメディア管理庁の刺客達と戦うことになる。主人公は鍛えられた兵士では無いので、そこは運と頭で旨く乗り切るかんじだ。
まあ、人にはお勧めできないけど、この作者の作品に結構触れてきた自分としては面白くなくは無い。ただ、凄く面白いかと聞かれたらやっぱり微妙かなあwでも一回ちゃんと「銀河鉄道の夜」を読みたくなったわ。

この人の作品にしては分りやすく読みやすい方なので宮沢賢治に興味があったら読んでみて下さい。ただ大半の人が肌に合わないだろうなあ。まだ、「桜花忍法帖」の方が面白いと思うかも。

927めんたい:2018/04/23(月) 17:41:54 ID:gVk8kjHE
◆ここから先は何もない

内容が複雑難解で簡単に言い表せないです。それでもザックリいえば、火星周辺の小惑星に探査機を飛ばしたが、何者かによってプログラムを書き換えられて目的と違う「パンドラ」と名付けられた小惑星に着陸して、そこで人骨を拾ってきてしまう。
日本の探査機ではあったが、技術協力したアメリカが強引にその人骨(エルヴィスと命名)を奪って嘉手納基地周辺の研究所で解析を行った。日本側はそのエルヴィスの調査結果を知りたいが為に、主人公達のハッキングチームを雇って秘密裏に探らせるという内容です。
見所は、どうやって?誰が?何故?探査機のプログラミングを書き換えたのか?火星付近の小惑星になぜ人骨が埋まっていたのか?そして、ハッキングチームにいつの間にか紛れ込んでいた謎の美少女リカの正体は?題名の「ここから先は何もない」の意味するところは?ってところでしょうか。

いやあ、桜花忍法帖やクトゥルフ少女を書いた人とは思えない難解で専門用語が飛び交う硬派なSFでした。腑に落ちないところや理解できない箇所があったけど、山田正紀の本領発揮!って感じで面白かったですね〜。いや、「クトゥルフ少女」は難解なSFチックなんでこれと共通部分はあるか。
まあ、難解と言っても彼の書くSF小説の中では分りやすい方だと思います。最初、物語本流と全然関係のない人が主役で、主人公がちょい役だったんですが、次の章で主人公が中心の話になり、次の章ではサブメンバーが主役で、最後にみんなが集まって嘉手納基地や研究所に潜入するというのがニクイ構成でニヤニヤしながら読みました。
そして一見関係のない話だと思ったエピソードも問題解決に役に立ったり、ちょっと強引な部分もあるけど伏線が二重三重にも絡み合って繋がっていくところが凄いなあって思いました。
エルヴィスの正体が解明して行くにつれ、ゾクゾクと背筋が凍るような恐怖を感じましたよ。人類の存在意義、人類はもう用済み、人類に変わる種族の存在、そしてすべては〇〇の手のひらの上・・怖いですねえ、もうSFというよりホラーですよw惜しむらくは全てを理解する頭や知識が自分に無いこと、だからこの小説は大傑作にも思えるし、専門用語専門知識で煙に巻かれている気がして傑作だと思うけど絶賛は出来ないかなあっても思います。
暇があれば何度も何度も繰り返し読んで、もっと完全に理解したいって思いました(忙しいので結局しなかったんですけどw)。

ただね、オチのパンのバターで偶然指紋が正確に復元したというのは、調子良すぎでしょうw超人工知能を一瞬でも超えた主人公に「人間の未来」が「人類の新たな存在意義」あれば良いですね。
もう一度書きます。難しかったけれど、とても面白かったです。

928めんたい:2018/05/04(金) 00:40:20 ID:rODKo/KA
◆宮沢賢治コレクションⅠ
・ポラーノの広場
モーリオ市(盛岡市をもじったらしい)の博物局に勤めるレオーノキューストは飼ってた山羊が逃げ出したので、それを追っていたら、その山羊を見つけたファゼーロと知り合いになり、ファゼーロからファゼーロからポラーノ広場を探して欲しいと頼まれる。
ポラーノ広場にはファゼーロの姉の勤め先の主人デストゥパーゴが選挙のために有権者達を招いて毎晩酒盛りパーティを開いていました。そこで主人公達とデストゥパーゴは喧嘩になり傷つけてしまう、その所為でファゼーロは姉に迷惑をかけたので雲隠れしてしまう。そんなある日主人公はセンダート市(仙台かなw)に出張したとき、偶然姿をくらましていたデストゥパーゴに出会ってファゼーロの行方などを問い詰めます。
そして主人公と再会したファゼーロは自分たちで本当のポラーノの広場を作ろうという。その後彼らは仲間と組合を作って工場を立ち上げるという話です。

少年小説とは言え、夜な夜な行われてる秘密めいた酒盛りが選挙に勝つための賄賂だったとか、センダート市の毒蛾退治とか、自分の意見を歌に載せて対決とかアイデアが新鮮で、時にドキッとする科学的な考え方が盛り込んであり、中々に面白かったです。

・銀河鉄道の夜
貧困と父親の所為で虐められているジョパンニはケンタウル祭の夜、黒い丘で天気輪の柱(天気輪ってなんやねん?)の下で空を眺めていたら、いつの間にか天ノ川の隣を走る銀河鉄道(夜の軽便鉄道)に乗って旅してました。向かいにはいつの間にかクラスメートのカムパネルラが乗っていました。その後色々な駅な景色を通り色々な旅人と出会い、サウザンクロス(南十字星?)駅を通り過ぎた頃、友達のカムパネルラも目の前から消えて、現実に戻ります。
そこでカムパネルラの父親の博士からカムパネルラが河で溺れ行方不明だと知らさせます。そして父親が遠洋漁からもうすぐ帰ってくることも。

もの悲しい幻想的な物語でした。銀河鉄道とは死者を天上へ運ぶ乗り物だったんですね。賢治氏は宇宙や科学に詳しいようで、意外と科学的なお話でもありました。氷にぶつかって沈んだ船って「タイタニック」号でしょうか(1912年の出来事だから、賢治氏も知っていますよね)。やたらと十字架が出てくるので、キリスト教に興味があったのでしょうか。

・風の又三郎
夏休みが終わった9月1日、父親の仕事の都合で田舎の小さな学校に転校してきた高田三郎は「又三郎」と他の生徒から呼ばれることになる。色んな遊び(危険な遊びも)や日常に潜む冒険や田舎のルールを体験して段々他の生徒と仲良くなっていくが、ある日風のように急に転校していなくなってしまう。という話です。

だんだんみんなと仲良くなっていく様子が生き生き描かれていて、世界名作劇場のアニメを観てるかのようでした。いきなり転校していき、何が言いたかったのか良くは分らないけれど、当時の子供の遊びなどが分りやすく描かれていて、興味津々で読んでいました。

・ひのきとひなげし
ひなげし達は美しくなりたくて、悪魔が化けた医者に騙され変な薬を飲まされ呪文をかけられますが、ヒノキがそれを邪魔して助けてやるとひなげし達は「余計なお節介」だとひのきを非難するという話です。

うーん深い、中途半端に現実に戻されるなら、騙されたままでいたいという女の人居そうですよね。しかし、ひなげしからも阿片が出来無いと思いますが、この頃の科学では勘違いされていたのでしょうか?

929めんたい:2018/05/04(金) 03:16:25 ID:rODKo/KA
◆宮沢賢治コレクションⅠ
・セロ弾きのゴーシュ
金星音楽団の一員であるゴーシュはセロを弾くのは下手で、他のメンバーに迷惑をかけてました。
家(壊れた水車小屋)で夜中練習していると三毛猫がやってきて曲のリクエストをしますが、わざと猫がいやがる曲を弾いて追い返してしまいます。
その晩から毎晩色々な動物がやってきて、色々な注文をします。その内にセロの腕が上がって楽団のみんなに褒められるまでになりました。ゴーシュは邪険にした動物たちに「すまない事をした」と思うのでした、という話です。

中々に面白い童話です。こういう話は子供が喜びそうですね。教育にも良さそうですw

・北守将軍と三人兄弟の医者
北方で30十年も国を守ってた戦ってきたソンバーユ将軍と9万人の軍隊が王都に帰還したが、馬の上に30年も乗っていたのでウマと離れられなくなった上、体中に植物が生えて、ウマも酷い病気に罹っていた。そこで南の崖の上に立つ3つの家の3人の医者に診てもらうことにする、という話です。

これも子供にとって凄くワクワク出来る話じゃないでしょうか。これを読むと童話はオチなど無くても何か一つ考えさせられることが描かれていればそれでいいって感じがします。だって最後が「ソンバーユ将軍は仙人になった」と神格化した人に対して三人の医者の一人が「そんな馬鹿なことはないどこかで死んで骨になってるんだ」と冷静に科学的に批判して終わりだからですw
どんなに凄い英雄でも死んで神になるわけではない、自分たちと変わらないの人間だとといてるのでしょうか?

・グスコーブドリの伝記
冷夏のため農業が上手くいかず、貧困により両親は自殺、妹は見知らぬ人に誘拐された、一人残されたグスコーブドリの波瀾万丈な生涯を描いた物語。農業に生き農業に死んだ農業物語でもある。

これを少年向けの小説と呼ぶには多少ハードな内容だなあ。確かにファンタジー的な都合のいい設定はあるけど、両親の子供に心配をかけまいと嘘をついて自殺するためいなくなったり、飢饉を助けに来たボランティアのふりをして妹を攫ったり、飢えた子供を蒸しパンで釣って働かせたり、せっかく上手くいった農業も噴火の灰や病気で駄目になって失業したり、少年が読むには夢がなく生きることの厳しさが強調されていてかなり辛い内容だと思いますw
クーボー大博士が出てきてからは、いつもの先端科学先端大好きな宮沢賢治節で、何か微笑ましかったですね。冷夏がやってくると「地球温暖化」を逆手に取り、わざと火山を噴火させて二酸化炭素(炭酸ガス)を増やすという案には、科学大好き宮沢賢治の真骨頂を見ました。あと自己犠牲精神も隠さレタテーマの一つでしょう。ストーリーも起承転結がしっかりしていて中々に面白かったですね。

・銀河鉄道の夜(第3次稿)
最初に読んだ「銀河鉄道の夜」は最終稿(第4次稿)です。違いは最初の学校のシーンが無くて、最後の「カンパネルラは溺れた」と彼の父親が言うシーンも無く、最後にプルカニロ博士が出てきて、今まで乗ってきた銀河鉄道の物語は夢で実験だと言います。ジョバンニはみんなの幸せのためにまっすぐ生きようと決心します。あとはだいたい同じです。

最終稿(第4稿)よりかは希望に満ちた終わり方でこっちの方が多少いいかなあ。明日に向かって頑張るぞって感じで終わりますから。ただこのプルカニロ博士が多少胡散臭くて、何者?何のため、なんでジョバンニにこういう夢を見せたのだろうか?クラスメイトに虐められてたから強い心を持つように導いたとも考えられますがwあと、やっぱりカムパネルラは死んだのでしょうか。

・農民芸術概論
農民は忙しく仕事が辛い、現状はただ働き、その日を生きる事で精一杯である。それではいけない、科学や芸術や音楽や色々な技術を取り入れて、もっと仕事に余裕を持たせ、楽しく生きるべきであるというようなことが書いてあります。

文章に「第4次元」と表現をたまに見かけるけど、賢治氏は4次元世界という言葉に、新しきもの希望の光、先端科学や技術の象徴的なものを抱いていたのでは無かろうかと思います。「銀河鉄道の夜」でも「三次元から持ってきたもの」とかの表現がありますし。

最後に、いままで題名だけは知っていても、ちゃんと中身を知らない物語ばっかりだったので、読んで良かったですね。しかし宮沢賢治コレクションは全部で10巻あるらしく、続きはまた気が向いたら読んでみようと思います(読み疲れたw)。

930めんたい:2018/05/13(日) 07:09:07 ID:rODKo/KA
◆血か、死か、無か?

知ってる人は知っている「ウォーカロン」シリーズの第8巻です。危険な仕事を、人間と見分けがつかない「ウォーカロン」という人造人間にやらせて、そのウォ-カロンが人口よりも多くなった時代。医療技術の発展により人の寿命が延びたのだが、代わりに子供を産めなくなってしまった時代。
主人公の「ハギリ・ソーイ博士」は再び人が子供を産めるようになるための研究、そしてウォーカロンに関する研究のため世界中を飛び回り、毎回危険な目に遭ってしまうという話です。

今回はエジプトのネガティブピラミッドで見つかったスーパーコンピュータ「イマン」の調査に行くのだが、それがきっかけで「南極」の自殺した貴族が所有していた研究所へも行くことになり、同時に100年以上前の「冷凍睡眠」で息を吹き返した「王子」が何者かに盗難に遭う。そしてこれら3つの場所や事件の裏には「あの人(悪魔妃)」が関わっていたというストーリーでした。

実に面白かったです。ハギリの護衛でウォーカロンの「キガタ」が真面目でいじらしく可愛かった、人間にのことをもっと知りたい、人間に近づきたい、自分がウォーカロンであることが悲しいって感じでした。そして護衛その2、無口で強いの「アネバネ」は相変わらずスカートを履いているようで、女性と間違えられていた時期もあり、この人何なんだ?って感じです。護衛その3髭の紳士「モロビシ」も強そうですが、今回ほとんど活躍や会話も無くて最後まで謎の人物でした。
そして、昇進した元パートナーの「ウグイ」は相変わらず素っ気ない素振りのツンツンウーマンなんですが、言葉や行動の端々に、ハギリへの好き好き光線が出ていて、微笑ましかったですwハギリを危険な目に遭わせた相手を親の敵のようにやっつけて激怒していましたし、主人公とウグイとキガタの三角関係の恋のさや当ても有りそう感じですw
それから、森博嗣ワールド全体に関係してる人物「真賀田四季」博士もしっかり出てきて(クローンではなかろうか?)、自分の娘をバラバラにした「すべてがFになる」のあの事件の事もしっかりでてきます。その上、「百年シリーズ」のサエバ・ミチル(頭だけ四季の娘のクローン(男)?)や旧型ウォーカロンのロイディ(頭脳だけクジ・アキラ(女)?)も出てきます。百年シリーズの女王ってのは「真賀田四季真」のクローンなのかなあ。

あと、面白かったのが、「ウグイ」がデボラ(トランスファー)を部下や下僕のように使いこなしてることwもう主人公の専売特許の特殊能力じゃなくなったんだね。でも主人公にはまだ「オーロラ(人工知能)」などがあるじゃないか。まだまだ主人公の見えない万能バリアは健在で、彼は運動神経無いのに危機に強そうです。

ジワジワくる面白さというか、そんなに派手なアクションシーンは無いのに、しっかり冒険してる気分になれるシリーズ、そしてしっかり練られていそうな物語、目が離せませんね。
まだまだ書きたいことはありますが、書き切れないのでこの辺で。「百年シリーズ」も内容がうろ覚えなので、もう一回読みたいですね。

931めんたい:2018/05/27(日) 03:19:49 ID:rODKo/KA
◆続・終物語
アニメでしか知らないけど、主人公の暦とラスボス扇が和解した直後のお話。高校を卒業して大学合格発表を待つまでの間に起こった怪異で、なんと主人公は鏡の世界に迷い込んでしまう。
そこでは、神様の真宵ちゃんは大人で、無表情だった余接は、表情豊かになっており、本の文字は皆鏡文字になって大変読みにくく、誰も何かが現実世界と違っていた。主人公はこの異世界からの脱出を試みる物語です。

いやあ、ついにこの物語シリーズもラノベで流行の異世界物に便乗したかって、思いましたね(嘘です)w

さて、感想ですが、今回は鏡の国の「斧乃木ちゃん」がパートナーとして大活躍って所が意外で楽しかったですねえ。あと、神原の母親が出てきて(鏡の世界だから何でもあり?)主人公との裸の付き合いとか、自分がだんだん扇化してきた思った主人公が女子制服を着て登校したり、外伝・オマケの物語にしては(オマケの物語だからこそ出来るのかな)結構はっちゃけて面白かったです。
月火ちゃんが鏡の世界だからって、姿や性格に変化が無いのは、不変な感じのする不死鳥だからでは無いでしょうか。あと、外国に行ったはずの羽川や鏡に映らないはずのキスショット(吸血鬼)も神様では無くなったはずの撫子が神様として存在します。何故なのかは読んで下さいw

しかし一番驚いたのは引っ越したはずの老倉育が同じ部屋に同居していて、性格が・・(読んで下さいw)。鏡の国の住民たちの台詞(鏡文字)は読みにくかったですね。頭の体操にはなりましたw
これってアニメ化になるのでしょうか?結構楽しみです。あと、接物語ってのがまだあるのか(ひっぱるなあw)。機会があったらそれも読んでみたいですね。

最後に、暦の一番の心残りとはなんだったんでしょうか?自分はもう一度直江津高校に登校してみたいって事じゃないかと思いました。あ、最初に鏡の国(異世界)の物語って書きましたけど・・んがんぐ。(あとは読んでみて下さいw)

932めんたい:2018/06/05(火) 02:53:21 ID:rODKo/KA
◆迷宮百年の睡魔
知る人ぞ知る「百年シリーズ」の第二弾。前に読んだことが有ったけど、すっかり内容を忘れたのでもう一度読んでみました。
内容はフリージャーナリスト(エンジニアリングライターって書いてあるけど、、工学技術レポライターって事でいいのかな)主人公サエバミチルと相棒のウォーカロン(旧世代型アンドロイド)が、ここ百年間メディアの取材を受けたことの無い閉ざされた迷宮の島イルサンジャックのモンロゼ宮殿に招待された事から始まる。
彼らはそこで、突然の殺人事件に遭遇してトラブルに巻き込まれてしまう。なぜ彼らだけが取材を許され島の呼ばれたのか?何故タイミング悪く殺人が発生してしまったのか?やがて彼らは驚くべき島の秘密に触れることになるという話です。

この作者の別作品「ウォーカロン」シリーズで、サエバミチルとロイディが出てきたので混乱する前にもう一度読まねばって思って読みました。主人公の体は「クジアキラ」と言うことは普段から見た目は女性って事になるのか。ロイディの形状がイマイチ分らないけど、人型で体重は重いって事は分った。そして主人公の脳はロイディの中に入っているので、二人は離れられないってかなり不便で哀しい設定だなあw
読んでいて結構ハードなSF設定で、この世界はちょっとした悪夢のようでした。殺人事件も実は自分の頭と体を切り離す技術が起因しているという・・残酷でハードな世界だなあ。この国の女王はやっぱり「真賀田四季」博士かそのクローンなんだろうか?女王メグシュツカ、マガシュツカ、マガシュシカ、マガタシカ・・マガタシキ(あっ!)って無理矢理だなあw

あと、この島を出て行こうとする二人は脳と体を分離する手術は受けていなさそうで良かったわ。最後悲惨な終わり方になっちゃうからなあ。しかしアッと驚く真相の数々で結構面白いディストピアサスペンスものに仕上がってると思いました。
さて次は「赤目姫の潮解」を読みたいと思います。この人の「シェイバ」シリーズも楽しそうで読んでみたいです。

933めんたい:2018/06/17(日) 00:17:28 ID:rODKo/KA
◆赤目姫の潮解(潮解とは物質が空気中の水分を取り込んで水溶液になること)

いやあ、こんな難解な問題作(衝撃作)とは思わなかった。自分は二回読んだがほとんど理解できなかった。山田正紀のSF小説(これも難解)を読んでるかのようだった。
そういう事で、いつもより詳しくストーリーを追いたい(感想を書きたくても理解できてないからw)。
①廉潔の館へ(廉潔とは私欲が無く心や行いが正しいこと)
篠柴(情報医学者)と鮭川(小説家)と赤目姫が赤目姫の叔父の摩多井(マタイ)の屋敷へやってくる。そこには初老の男・三木繁幸(シゲユキ)が執事のようなことをしている。駱駝という名前の犬もいる。彼らは移動するオアシスについて語り合う。
②翠花の宮殿へ(翠花とは天皇の旗のこと)
篠柴はチベットで赤目姫と緑目王子の宮殿へ行った時の事を話し始める。空気で浮く遊びや砂で曼荼羅を描く所を見せてもらう。そのうちに篠柴は子供の頃に緑目・赤目の少年・少女を見た事を思い出す。
③紫の朱を奪う(青になるよねw)
鮭川はナイアガラの滝で赤目姫に会ってトロントまでドライブしたことを話す。トロントでは紫の目の蝶の腕時計をして仮面を被った大富豪紫の目の王(紫王)と出会い、彼は赤目姫と二人だけで豪華な別荘へ。その話を聞いた篠柴はロレンス卿を知ってると言う。
④形而下の浸透とその法則性(形而下とは形のあるもの、物質的なもの)
篠柴は何故か自分が紫王になって赤目姫とトロントで会っていた記憶があった。そして話は再びチベットの宮殿へ、篠柴はいつの間にか緑目王子の父・紫王になっていた。彼はトロントで赤目姫と夢や天上の神々の話をしたという。そしてまたトロントの別荘へそこで紫王は赤目姫の手にキスをする。そして三度チベットの宮殿へ意識が飛び、今度は元の篠柴の体に戻っていた。
⑤疑念の振動とその不規則性
パティ(18歳?)は植物人間の姉シンディ(28歳?)を殺してヒッチハイクの旅に出る。そこで鮭川の車に乗せてもらい、「ナイアガラの滝」へとドライブする。彼女は自分の事をシンディと名乗っていた。一方赤目姫も同じ道を北へ(トロントへ)向かっていた、運転してるのは元博物館員の男。その男は「母(胸のガン)が危篤」のプロトコル(通信?)を受け取って、赤目姫とナイアガラの滝で別れることになる。その際、赤目姫から「気管の奥へと入るイメージを持つことです。気体になることで観察が可能になります」など不思議なアドバイスを受ける。
⑥虚数のように軽やかに
鮭川はトロントのロビンス卿(目が黄色)の豪邸で愛人でシンディの母のクーパの誘いを受け、「ナイアガラの滝」へドライブすることになる。鮭川の父とロビンス卿は親友である。鮭川は北極の穴や二頭の虎やロビンス卿の愛でている薔薇の話をクーパとする。そして、南からシンディ(パティ)と「ナイアガラの滝」へやってきたもう一人の鮭川と出会い、じぶんが鮭川に化けた篠柴のゴーストだと思い出す。そこへ赤目姫がやってきて、二人の鮭川はいつの間にか一人になっていた。
⑦天知る地知る
アフリカ?の砂漠でロビンス卿(科学者でもある)のいる砂に埋まった潜水艦に招き入れられた学者のマタイ(摩多井)とアシスタントの三木(黄緑の目)は「地面の移動と原因に関する調査」について語り合う。その時、河の大移動が始まって、潜水艦は水に飲まれ動けるようになる。その際移動に使った二頭の駱駝は洪水に流される。
⑧麗しき天兒(天兒とは幼児の傍らの置いて凶事を移し負わせた人形)
マタイのアシスタントの三木(黄緑の目)は渋谷のジャズ喫茶でオレンジの目のアメリカの研究員タリアと出会い研究にのヒント「遺伝子アルゴリズム」について示唆を貰う。その場には無意識に砂糖で曼荼羅を描こうとする老人(紫王?)もいた。タリアは自分のことを端末といい、彼女の部屋には空気が吹き出している穴があった。そして以前チベットの宮殿で空気穴で遊んだことがる事も話す。その宮殿で三木と会ったことがある気がすることを話す。その後二人は付き合って30年がたった。
⑨熟せずして青枯らび(青枯らびとは多分「青枯病」に罹る事だろう)
再び篠柴と鮭川の会話。篠柴には母が危篤のドライバーになって、母の気管の中に侵入した記憶があった。二人はこの世界が発想・アイデアを生み出すために脳だけ取り出された人間達のネットワーク空間じゃ無いだろうかと疑い出す。
(つづく)

934めんたい:2018/06/17(日) 00:50:09 ID:rODKo/KA
◆赤目姫の潮解(その2)
ストーリーのつづき
⑩紅塵を逃れるに迅(紅塵とは俗人の住む世の中のこと)
赤・緑・黄・黄緑・オレンジ・紫の目をした6人が世界各地で起こってる意識の混線や異常について会議している所へテロリストの一団が乗り込んでくる。撃退した赤目姫達は脳以外を機械化された人間達のストレスが原因なのかもと推測する?ここは「脳だけ人間」の見ている仮想世界なのか?遺伝子アルゴリズムにより成長する世界なのか?現実世界にあやつり人形人間(サエバ・ミチルのような)が存在する世界なのか?
⑪座して星原を見る
北極に向かって旅する?赤目姫と緑目王子。野宿していたら、赤目姫は他人に乗り移れる能力で、梟に乗り移って平原を飛ぶ。元に戻れなくなり、梟はいつの間にか飛行機になって飛行場に着陸。そこで青い瞳の女性(神・創造主・真賀田四季女史?)と会う。そこで色々なイメージを想像して体験し、子供になった赤目姫と緑目王子はキスをする。そして夢は覚めて野宿している現実へ戻る。その際、夢の中で金髪の犬ロイディとじゃれるシーンもあった。
⑫シルーノベラスコイヤ(神話のヒュアキントス(死んでヒヤシンスになった)の事らしい)
クーパとマタイと夜中に彼の日本の屋敷のサンルームで語らっている。クーパはの目は昔は赤かったとか日本に来たのは初めてなのに、マタイとはどこかで会っているとか、ロビンス卿は病気で臥せっているとか、紫王は別の人物になって大統領候補にとか。三木(黄緑の目)の操り人形でなくなったマタイは一人でロビンス卿の家に訪ねた時のことを思い出す。その屋敷の円形の広場には少女姿のタリアがドールハウスで(マタイとクーパの)操り人形で遊んでいた。いつの間にか少年の姿の三木も操り人形で紫王や犬(駱駝)を使ってタリアと会話する。タリアは「私たちはシンディのの中にいる」という。
⑬フォーハンドレッドシーズンズ(100年だね)
私(篠柴か鮭川)はマタイの屋敷にて朝ベットから起きて食堂へ。庭を見ると目まぐるしく季節が変わっていく。そして庭に白いワンピースの女性(真賀田四季かなあ)。彼女は疑うべきものは何?と問う。私は架空のロゴスと考える。その後私はふと庭に何十年も捨てられている少年少女の人形を見て、いつの間にか正面に座っていたマタイと「人間と人形の違い」について議論し、この世界を一人の天才(あの人?)が作ったとマタイは仄めかす。そして、いつの間にか私もマタイも消え、そのテーブルにはかつての自分やマタイや赤目姫が座っていた(あやつり人形劇ですね。)、つまり第一章に戻る。(終)

さて自分なりの精一杯の解釈と感想です。まず、時系列が全然分らんw一章では三木シゲユキはもう老人、喫茶店ではまだ若者、庭で人形劇をしてた時は少年。何が現実でなにが幻想か、ややこしすぎるのでもう考える事を諦めましたw次に天井が黒いと自分は操られている人形って事なのかな。マタイはマタイ「マタイの福音書」の暗示?蝶は魂の暗示?曼荼羅は前作にも出てきた。気になる言葉「想像主への接近こそが人類の願望」「観測が全ての存在の証」「ぼんやりとしたフルカラーのイメージこそが人間の到達した高み」「世界の始めにロゴスがあった」「全てのものは矛盾を内包してるから矛盾はしていない」うーん深い言葉だ。
つまり、前作のロイディとミチルのような共存関係が発展して、この世界は脳が別の所にあって人形(ウォーカロン)を自分の代わりに動かしてる世界なんだと思います。そしてそのシステムを管理しているのが目の色が違う6体のAI搭載のウォーカロン(赤目姫、緑目王子・・)。かれらは古くなると別のAIウォーカロンにその役目を渡す。その6体をさらに上から管理するのが青い目の創造主(真賀田四季のクローン)って事かなあ。え、そのシステムに異常が起こり、篠柴や鮭川が別の人物の記憶を持ったりしたのかなあ。このシステムに不満を持つ脳だけ人間達が自分の人形を使って、会議を襲ったんだと思います。つまり、「ウォーカロン」シリーズより未来の話なのかなあ。
しかし、長生きできて、便利で効率的な未来かも知れませんが、ディストピア的で怖いですね。自分は脳だけになって生きたくないですね、普通に生きて死にたいです(普通ってなんなのっていわれそう)w

935めんたい:2018/06/17(日) 04:28:52 ID:rODKo/KA
赤目姫の潮解のストーリーの訂正
>>933
③紫の朱を奪う の最後の部分
篠柴はロレンス卿を知ってると言う。→篠柴は蝶の腕時計の仮面の男(紫の目の王)を知ってると言う。

の間違いでした。
ロレンス卿(大富豪の研究者)と紫王(チベット宮殿の緑目王子の父)は最初同じ人かと勘違いしてました。

936めんたい:2018/06/23(土) 19:39:23 ID:rODKo/KA
◆少年Nのいない世界 04
知ってる人は知っている少年Nシリーズのもう一つの物語。猫を殺してビルから飛び降りた7人の小学生は異世界に飛ばされてしまう。
5年後、ようやく再会できた7人の内の4人は、異世界から来た彼らを狙う「ある組織」のことを知る。その「ある組織」に協力した、まだ再会していない元同級生の手によって、仲間の一人「糸川音色」が誘拐?)されてしまう。(前巻までの話)

もう一つのシリーズ「少年Nの長い長い旅」のメインキャラの「あの人」がとうとうこっちにも登場しましたねwだんだん二つのシリーズが繋がっていく所は、あざとく感じるものの、ワクワクします。問題は主人公の少年N(五島野依)が今どうしているのか、なぜ「ある人」と別れてしまったのか、生きているのか?今どういう冒険をしているのか?凄く気になります。
上手くこのシリーズと繋がって欲しいし、まだ整合性は無視して自分が思いも付かないような題名に嘘偽りの無い、長い長い旅になっていて欲しいし、作者も大変だなあって思います。はっきりいって、この小説は週刊マンガと同じ感覚で読んでますし、マンガ好きの方にもそういう感じで気軽に読めますよ〜って勧めたい気持ちもありますw

気になるのは研究所での見たら怖くなって眠れなくなると言う実験の内容。そして、惑星ファリで何をさせられるのか(AIの一部にさせられるとか、人間生命体でつくるAIってもう生物じゃんw)。異世界の住民が地球がある世界に争いごとを持ってやって来るとかの展開だったらそれはそれでワクワクしますね。異世界の方が文明は進んでいるし。

と言うことで、はやくこのシリーズの続きや「少年Nの長い長い旅」のつづきを読みたいです。

937めんたい:2018/07/04(水) 04:14:25 ID:rODKo/KA
◆ヴォイド・シェイパ

「シェイパ」シリーズの第一巻。前にも読んだことがあるが、内容を大分忘れたので再読してみた。
内容は自分お育て親で剣や人生の師匠「スズカ・カシュウ」が病気で亡くなり、住んでいた山を下りて旅に出る侍のゼンノスケの旅の最初の10日間を描いた物語。

文章は淡々として起伏がほとんど無い感じなのだが、たった10日間話なのに人との出会いやそこで起こる出来事が濃密で、これは人生の修行・剣の修行の旅なんだなあって考えさせられる。
10日の旅の間に戦いが二回、人の死が3回あり、この世界(江戸時代っぽいが)主人公くらい強くないと旅も満足に出来ないなあって思うぐらい濃い(2回目)。付け加えるなら、女性に言い寄られること二回(これは行く先々で女性に惚れられるハーレム物語でもあるのかなw)。
それから、何か有るたび、悩み考える主人公の心の成長も見事に書かれているように思えました。山から下りて里へ隣村へ街へ大きな川へ山林の村へさらに大きな川へ最後は海を見て終わるのだが、それが多分何も知らなかった主人公の人として剣士としての成長を表す暗示になってるんだと思います。
ラスト付近で「刀を隠す」という意味の一端を理解して(多分殺気を隠すといとい意味う意味)心の曇りが取れたように目の前に大海原、良い締め方だと思うなあ(ただ読んでいては気付きにくい小説とは思う)。

この小説は流して読んでいては、なんだこれ?ただの強い侍の旅日記じゃんって思うだろう。自分から文章に意味を見いだす、考える小説だと思う(考えすぎかなw)。

それにしても 三味線のノギや白髪のチシャや気の強いイオカ(全部女性w)とはまた何処かで再会して欲しいな(多分一人ぐらいは再会するでしょうw)。
何にしても続きが読みたくなるような小説でした。(まだこのシリーズは4冊も出てるし、まだ続編も出そうだし)。

938わんのねこ:2018/07/08(日) 00:00:59 ID:XyokFPM6
・未来のミライ
上映に先駆けての小説版。いいですよこれ。すごく良い。
家族の話、世代の話、家の話、子供の時代のすこし不思議な話。

レイアウト、作画の要求が高くて「ふふっ」ってなる。
売れる要素全部つっこんで、かつ細田守のフィルムにちゃんとなっている。
台詞がもうちょい練れたような気もするが、それは些細な問題っす。

前作「バケモノの子」には若干の不満があったのですよ。
映画として纏まりがよすぎること、父親の描写の2点で。

母親を描くには理想だけでいいけど、
父親を描くには自分と向き合わないといけないっすからね。

939めんたい:2018/07/12(木) 21:11:21 ID:xSoXLvgQ
◆ブラッド・スクーパ

「ヴォイド・シェイパ」シリーズの第2巻。ブラッドスクーパとは「血を掬う人」という意味かな。
前巻の旅の続きで、凄腕の剣士「クズハラ」との出会いから始まる。彼の道場の横に建っている村の庄屋の「竹の石」(不老長寿の薬の元)を狙って強盗団が攻めてくるらしいので、クズハラ達と協力して庄屋を守ることになる。
具体的には主人公は庄屋の娘「サヤ」の護衛をすることになる(またいつものようにヒロインに惚れられる展開w)。

さて感想だが、文章は淡々としているが、実に味わい深いストーリーでした。特に剣の達人VS剣の達人の描写が秀逸。淡々な文章だからこそ、読む人の想像力がかき立てられると言うか、納得のいくかつてに汗握る勝負展開。ただ、ラストの戦いは、狙撃銃使いの盗賊のボスが、主人公を舐めていてくれたことで助かったんだけどねw
主人公は世間のことは何人知らない設定だから、目にする物が一々珍しくて仕方が無い、でも子供では無いから、失礼の無いように人に尋ねたりするのだが、聞き方が悪かったり、勘違いされたり、もう聞くのは辞めとこうと思ったり、その辺の日常会話がまた面白い。そして暇があれば、剣の戦い方のシミュレーションや哲学的な疑問を思考したりする。日々切磋琢磨してるなあって感じ。
それから、ギャグメーカー?三味線のノギ(女性)の存在がじつにいい、殺伐とした斬り合いや哀しい別れの後の空気を明るくして和らげてくれる。

じつに読後感が爽やかな面白い小説でした。主人公ゼンノスケの正体(将軍の隠し子かな?)と都で待ち受けていそうな跡目争い?とか続きが楽しみですねえ。

940めんたい:2018/07/21(土) 15:40:54 ID:xSoXLvgQ
◆BatLAND(バットランド)

五つの中短編からなるSF小説集。どれも理解が難しく読むのが大変でしたw
・コンセスター
人体実験により、コンセスター(二つの生物の共通の祖先、ここでは指先に感光細胞がある人間)にされた男の苦悩を描いた物語。
狂った話だが、これは理解できたしまあまあ面白かった。
・バットランド
「人工海馬」を移植され12時間だけ認知症が治った詐欺師の主人公が、元バットランドの研究員と共に命を狙われながら追われ、最終的には宇宙を救おうとする話。
ブラックホール・ゴルディオンが蒸発して、「情報保存の法則」が失われ、宇宙が消滅してしまうとか、コウモリの脳とそのブラックホールが量子学的に対になっていて、「情報保存の法則」を守るために、失われていく情報がコウモリの脳に転送されているとか、理解できるかい?
自分は何とか感覚的に理解できましたw作者の脳はどうなってるのか?って思いましたがw頭の良い詐欺師が追跡者を躱したり排除したりする機転が面白かったです。
・別の世界は可能かも知れない
実験によって他のマウスを操る能力を持ったミュータントマウス「ジェリー」の陰謀を察知して、同じような能力を覚醒した識字障害のヒロインが、人を操って戦うという物語。
中々に面白い物語だったが、ミラーニューロンという単語が出てきて「またかよ!好きだねえ」ってニヤニヤしましたw
・お悔やみなされなすな晴姫様、と竹拓衆は云った
高松城を攻めていた秀吉は、信長が本能寺で死んだことを知り、急いで戻ろうとするが、毛利の大軍の追撃を食い止めなければならない。そこで時を操る一族「竹拓衆(チクタクしゅう)」の力を使って、秀吉にとってより良い未来(誰よりも早く信長の仇討ちをして信長の後継者となり天下を統一する未来)を決定させようとする話。
ストーリー的にはありふれていて他の短編よりかは面白みが無かったが、竹拓(チクタク)衆に始まり滑車(セミ)、波步(ハブ)、噛(カム)とか時間川、時匠、時間櫓、時場、とか時間に関する駄洒落やん!って叫びたくなるような命名が楽しかったかなw高松城って水攻めで有名なあれか。
・雲の中の悪魔
量子化された知性を発掘する為の惑星「深淵」で強制労働させられる奴隷(房奴)達。そこから脱出するために革命に特化したサバン症候群のヒロイン(特殊能力を持ってる)とドSなパートナーの青虎が「重力知性体」や彼らが仕組んだ障壁と戦う話。
これが一番、訳が分からなく一番難しいSFストーリーでした。ブラックホール、クオリア、情報(知性)の発掘で、ああ「バットランド」の従妹みたいな話だなっては理解できたけど。「マックスウェルの悪魔」「四次元構造体(テラサクト)」「万物理論知性体」「重力知性体」「電磁力知性体」・・もう頭が混乱して読んでいて何も確かな物がない浮遊状態でしたわ。作者大好きな「パノプティコン」が出てきたときは「またかよ!」って笑っちゃったけど。
ここで、五つの電磁力知性体の能力を書き記します(ネタバレ)。


第一(ディイ)・・質量を100%エネルギー変換できる、例えるなら「水爆」と同じ威力。
第二(ディエ)・・原子を動かす能力、一番活躍する。
第三(ディスアン)・・水生命体(水流に宿る知性体)、過去に記憶した状態に戻す。
第四(ディスウ)・・「愛情不変の法則」で「愛の歌」をさえずるw「パノプティコン」には効果抜群。
第五(ディヴ)・・「重力知性体」の存在を知り、戦うことが出来る。

頭を柔軟にして読まないと、本を放り投げたくなるような「いつもの感じ」のSF小説でした。発想力は凄いし、良くこんなぶっ飛んだ4次元みたいな小説を書けるものだとは感心はする。
でも結構好きで、理解しがたくて頭が痛くなるけど、なぜか癖になる小説でした(ドMって言われそうw)。

941めんたい:2018/07/27(金) 20:33:20 ID:xSoXLvgQ
◆緑衣の美少年

美少年探偵団シリーズ8作目。5人の美少年+主人公(中学生女子)の学園ミステリー&コメディ。
真の敵、胎教委員会の主催する映画コンテストに挑む美少年探偵団。と、主人公(ヒロイン)の裸の絵を美術館から盗もうとする美少年探偵団の二本。

アレ?緑衣要素が無いよ?もしかして裸の王様に着せる「馬鹿には見えない服」に掛けただけかなw題名の元ネタは乱歩の「緑衣の鬼」だと思います。
まあ、作者が片手間にさらさらと書いたようなライトなノベルでした。それなりに面白かったし、深いと思えば深い話であった。しかし、機本 伸司の「ぼくらの映画の作り方」みたいにもう少し制作場面の描写が欲しかったかかなあ。
まあ、ライトなノベルだし詳しく書かれて全体に流れるライトなリズムが狂っても味を損なうかな。
とにかく「裸の王様」みたいな童話みたいな話でした。
でも軽さの中に、もうすぐ主人公の失明(目が良すぎるため)とか、美少年探偵団の卒業や脱退とか、小五郎が小六郎になってしまうとか、シリアスで深刻な話に少し読んでいて哀しくなるストーリーでもありました。

是非、ヒロインには失明を回避して明るい未来が、ハッピーエンドが、美少年探偵団も次のステージに(新しいメンバーに引き継がれるとか)続いていって欲しいですね。
あと、不良くんの髪型はゆるふわ長髪よりもっとワイルドっぽい方がいいと思います(美声の長広と差別化)w

もう一つ、胎教委員会やトウェンティ-ズや目鼻じびかや札槻嘘との決着も付けて欲しいかなあ。
と言うことは、まだまだ続いて欲しいって事なのかなw

942めんたい:2018/08/06(月) 18:12:57 ID:xSoXLvgQ
◆スカル・ブレーカ

「ヴォイド・シェイパ」シリーズの第三巻。剣の師匠が死に山を下りて旅することになった主人公、初めて触れるもの初めて観るものばかりの波乱に満ちた剣と心の修行旅物語。
今回は、ある少し大きな町で、ヤナギという剣士と出会い、城のトラブルに巻き込まれる話。そこで、自分の出生の秘密にも少し知ることになる。

ヤナギ(タガミ流)・チハヤ(無言流)・マサミチ(将軍の母の護衛)・クク様(城主の妻)・ナナシ(忍者)という味方っぽい人々との共同戦線が熱かった話でした。そして、ラブコメ担当のお姉さんノギの存在もいつも通り楽しかった。
ノギは最初はガンガン主人公に猛アタックしてましたが、この巻ではもう主人公の朴念仁さを楽しんでる節がありますね(そこがいいね)w主人公より年上なんですが、膨れたり拗ねたり泣いたりするところ(でもさっぱりしていてしつこくない)がちょっと可愛い存在です。
ただ今回、ノギの宴会芸仲間の女性が悪徳侍の仲間に殺されるところは、何とも言えず腹が立ちました。そしてラストの13人(主人公と将軍の母の護衛+α)対250人位(悪徳侍や悪徳家臣の軍)の壮絶な戦いは凄くドキドキしました、面白かったですね。
素朴な文章に素朴な旅、まったりとしていてたまに激しい戦いや考えさせられる出来事、このバランスが読んでいて心地よい時代劇小説でした。

さて次は第4巻に挑戦。

943めんたい:2018/08/13(月) 21:14:23 ID:xSoXLvgQ
◆フォグ・ハイダ

『ヴォイド・シェイパ」シリーズ第4作目。剣の師匠が死んで山から下りて都へ向かって一人旅をする主人公。盗賊に襲われ斬り倒し難を逃れるも、その盗賊の妻リュウ(元忍者)に仇と付け狙われることになる。仕方なく盗賊の助太刀をしていた凄腕の剣士キクラは濡れ衣を着せられ、不治の病の妻とともに都からの追手から逃げていた。事情を知った主人公は再会したノギやキクラの旧友のチハヤと共に何とか救おうとするが・・。「フォグ・ハイダ」って霧に隠れる人かな。霧隠才蔵みたいな題名ですね。

感想。今回は実に面白い話でした。そして病人を庇いながらの戦いがいかに大変かってのが良く伝わる話でした。そして悲しい結末に戦いの非情さ虚しさを感じる話でもありました。冷静で大人しい主人公が激情かられ、都で三本の指に入る凄腕剣士に仇討ちを挑む場面は熱くて、別の小説を読んでるかのようでしたね。クライマックスの3人(主人公達)対30人(敵)の激闘に次ぐ激闘がとても面白かったです。敵には弓と銃があり、こちらは隠れながらのゲリラ戦法。そして凄腕剣士との剣筋の長い長い読み合い、一撃でも貰えば直ぐには死な無いが、血を失い力を失い戦闘不能に繋がるリアルさ、まさに剣格闘小説って感じでワクワクしました。
今回、剣の戦いだけでなく、戦いが終わった後の死体の後始末や敵のけが人の介護などもあり、よりリアルで面白かったです。しかし、悲しいなあラストは。
あと、主人公に敵の情報を教えてくれる謎の忍者ナナシの存在や宿屋の娘スズ、医者や寺の坊主、改心した女盗賊リュウの存在もそれぞれの生き方が交差していて楽しかったです。忘れていけないのが旅の道ずれチハヤとノギの掛け合い漫才(+リュウ)、こいつらだけが殺伐とした戦いの中で、笑えてほっとするオアシスですねw
いやあ、実に考えさせられてかつ面白い小説でした。
さて次巻は「マインド・クアンチャ」を続けて読むことにしますか。都まで近そうでまだ道のり遠そうだなあ。主人公は将軍の息子らしいので、都へ着いてからのゴタゴタもありそうだし。

944めんたい:2018/08/23(木) 22:41:12 ID:xSoXLvgQ
◆マインド・クアンチャ

「ヴォイドシェイパ」シリーズ第五巻。マインドクアンチャとは「心を癒やす人」という意味です。誰の事かは今までのシリーズを読んできた人ならお分かりですよね。

主人公が謎の集団に襲われ、戦いに敗れケガを負い記憶を無くしてしまう。人里離れた山奥で暮らす姉弟に掬われた主人公はそこで記憶を無くした代わりに、刀の奥義である「無の心」を習得する。都で待ってる人がいることを知った主人公ゼンノスケは姉弟の所を旅立つ。そして都で待っていたものは・・・。というストーリーです。
ネタバレが嫌な人はもう読まないで下さい。感想を書く上でネタバレしないとかけないので。


感想:凄く良い終わり方だった。多分最終巻でしょう。途中で別れた賑やかな旅のお供である三味線のノギさんの行動が意地らしくて、ウルっときました。主人公に会うために何度も城へ通ったり、手紙を出して寺で何日も待ったり主人公のため三味線を弾いたり・・。一方記憶を失ったゼンノスケはノギさんなのか分からないって所がミソですね。
また、記憶が無いのに、数ヶ月前に自分を斬った相手を見た途端、勝手に体が動いて勝負を挑むシーンが凄く劇的で読んでいて心が震えましたね。数ヶ月前までは自分より腕が上だった相手、しかし記憶と大怪我と引き替えに会得した「無の心」を身につけての再戦。そして天下人へ。

天下人となった主人公は裕福・身の安全・権力という物を得た換わりに自由を失い退屈な毎日を過ごす。それは贅沢な事ではあるが、世の中の平和のために、今までの自由な生活を捨て、いきなり飾られる人形になれと言うこと。誰だって無理だよなあ、年を取って色んな経験をして体力が追いつかず動く事がおっくうになった人ならまだしも、まだ20代(多分)で色んな事に挑戦したい若者が、民衆のための偶像(アイドル)なって、いままでの知り合いにも会えず、城に閉じ込められるってのは残酷だよなあ。
まあ、いつかは気持ちを切り替えて良き賢い国王を目指すって新たな目標に向かうことに気付いてくれるでしょうね。貧しい者から観ればこんなシンデレラストーリーは羨ましい限りだしね。

そしてラストシーン、全てを思い出して、必死で城を抜け出して、ノギさんと駆け落ちするのか、それとも自分の運命を受け入れ国王になるのかって所で終わるのは言い終わり方だったですね。何とも言えない感動がありました。読後感が良かったし、うん、良い小説でした。

945めんたい:2018/08/27(月) 18:54:24 ID:xSoXLvgQ
◆ブギーポップ・ビューティフル パニックキュート帝王学

ブギーポップと対決するため「何でも知ってる」末真博士(あだ名・女子高生)を利用して、ブギーポップを探すパニックキュートとマロゥボーン。
しかし、末真博士自体はブギーポップの存在を信じてなく、嫌々強制的に彼らに協力する。果たして、彼らの前にブギーポップが現れたとき何が起こるのか?と言うストーリーでした。

さて読んだ感想ですが、今ひとつのめり込めないと言うか、共感できないというか、昔のブギーポップに比べて面白くなくなったかなあって印象です。前半の末真博士とその友人宮下藤花と気取った連中との対決めいた会話は面白かったんですが、パニックキュートとマロゥボーンやカレイドスコープなどの行動理由が厨二的というか、ふわっとして曖昧模糊っとしていて、つかみ所がなくて、キャラが立ってないというか、キャラが薄くて敵としては面白くなかったかなあ。
何となく戦って、何となく勝負がついた感じで、そこにカタルシスもなく、やっぱり昔のブギーポップ作品の良さ(意外性・カタルシス・強引に納得させられるパワーを持った厨二哲学など)が無い気がしました。
いい加減、統和機構との決着(ピリオド)を付けていったん締めて欲しいんですが、続けようと思えばいつまでも続けられる内容なんで、風呂敷も広げすぎて何処が端っこなのか見えないんで、読者としては困りましたねwとにかく少しでも物語が前進して欲しいですね(前進が何かももう分からないけど)。

今回の話は結局、パニックキュート的な帝王学を真似して実行しようとしたマロゥボーンが勇み足を踏んで、統和機構のカレイドスコープに追われて、ブギーポップにやられちゃった(または自滅した)という話だったのかな。少し可哀想なマロゥボーンさんでした。

946めんたい:2018/09/07(金) 23:05:40 ID:ThfKNmts
◆レディ・ヴィクトリア 謎のミネルヴァ・クラブ

「レディヴィクトリア」シリーズ第4巻。友人アミーリアの誘いでペンブルック伯が療養のため新しく手に入れた館(エジプトのミイラが安置してある)を訪れた主人公ヴィクトリアとレディメイドのローズは秘密組織「ミネルヴァクラブ」を始めとする様々な人々の思惑が待ち受けていた。果たしてその罠をかいくぐりその者達に勝つことが出来るのだろうか、というミステリーサスペンス。

凄く読みやすくて、凄き面白かったです。この作者の十八番というか、本領発揮したオカルトめいた館ミステリー、「建築探偵」や「アベラシオン」その他数々の洋館や城で繰り広げられるドロドロ人間ドラマの小説を思い出す、この作者の原点みたいな内容で懐かしくもありました。この作者の小説は、登場人物の多さとその複雑な人間関係を覚えるのが大変なのだが、今回もエジプト大好きな冒険家の友人「レオーネ」を始め、侍女が4人、執事や従僕や食事係のメイドや館に呼ばれた貴族や「チーム・ヴィクトリア」の面々、スコットランドヤードの刑事に「ミネルヴァクラブ」の面々とかなり複雑で、大変だったけどそういう部分も面白かったですね。

あとは、館の構造も結構頭の中で組み立てて、それぞれの登場人物がどういう動きをしたかをパズルのように解くのも大変ですが面白かったです。

ラストのミネルヴァクラブとの対決は、チーム・ヴィクトリアの機転で大逆転でスカッとしました。まあ、敵が冷静で紳士的なので、すっきりスマートに解決できたのかも知れません。
次巻で最終回だそうですが、面白いのでぜひ続きを書いて欲しいです。
最後に、ハードボイルドを気取る探偵ビルのマントを羽織った女装姿はゴツそうでよくばれなかったなあってちょっと無理がありそうwでも男勝りのレオーネも図体デカそうなので紛れてしまったとも考えられますね。

947ビックリバコ:2018/10/16(火) 21:37:10 ID:YVgM5.Gg
とある魔術の禁書目録(1巻)
アニメ化したし読んでみようということで読んでみました。
ブリーチよろしくかなり大勢のキャラが出てくるんだけど、良いキャラも居れば悪いキャラもいますね。

・上条さん
やれやれ系を気取ったチンピラ。基本的に善意で行動するが本質がチンピラ。あんたのやってる事説得じゃなくて恐喝だよ!?

・御坂美琴
時代を感じる暴力系ヒロイン。そんじょそこらの暴力系と違って上条さんと周囲に迷惑な実害を及ぼすので正直なんで人気なのかよくわからない……

・一巻のボスキャラ達
非常に良いキャラにして展開の犠牲者。正直貧乏くじ引きすぎなので報われてほしい

総評:上条さんってアニメだと好青年にデフォルメされてたんですね。

948フーガ:2018/10/16(火) 22:40:05 ID:hJ3ebjnc
とあるは一巻だけだとそんなに……って感じですね。
上条さん、勝手なこと言ってるなーって印象でした。
ファンの方からは、五巻から化けるって聞きました

949めんたい:2018/10/16(火) 23:47:09 ID:ThfKNmts
◆ヒトごろし

土方歳三の幼少期から箱館戦争までの生き様を描いた1000ページ以上もある超長編小説。

どこまで、作者の創造か史実なのかは分からないが、新撰組結成までのいきさつや幕末のヤクザ集団「新撰組」や幕末や戊辰戦争の経過に少しは詳しくなれる一冊でした。「龍馬によろしく」ってギャグ多めのドラマでも「清河八郎」が悪く描かれていたけど、この小説でも悪いというか駄目な人物として描かれていましたw
しかし、彼が新撰組の元「浪士組」を作ったんですねえ(打倒幕府のために)。その悪巧みが失敗して清河は暗殺されるのですが、芹沢鴨を神輿にして「土方」と「近藤」が浪士組から独立して「新撰組」を作ったんですね(初めて知ったわ)。
あと、剣の天才と言われる「沖田」の描き方が独特。沖田は土方と同じ人を殺すのが大好きで、こっそり町人を辻斬りして楽しんでいた「人でなし」だったんですね(この小説では)w同族嫌悪?で土方にとことん嫌われて最期は労咳で惨めにのたれ死に。沖田は戦いの中で死にたかったんだが、土方はそれだけはさせない、畳の上で惨めに病死させるって・・変な意地の張り合いでちょっと笑った。

その土方の生き様も壮絶、子供の頃に観た血しぶきに魅せられて、人を斬り殺すのが好きになったと言う設定。人を切リ殺しても罰せられない身分になるために、近藤や芹沢や幕府を利用して「新撰組」を作る。そこに世の中を良くしたいとか一切大志は無く、ただ人を殺したいだけというだけのために、頭を使い陰謀を張り巡らす生き様w
そんな生き様に、勝海舟や山崎丞(新撰組のスパイ活動)や佐々木(会津の暗殺リーダー)などの切れ者が集まってくると言う皮肉。なかなかに読み応えのある群像劇でした。

1000ページ以上もある小説なので、全ての感想を短い文でまとめる事は難しいのですが、とにかく読んで損は無い内容だと自分は思いました。新撰組好きな人で、他の作品では見れない土方や沖田を読みたい人ならお勧めですね。書きたい感想が有りすぎて全部書けないのが残念出す。あと、やっぱり1000ページ超は長えよw

950めんたい:2018/10/17(水) 01:16:09 ID:ThfKNmts
訂正
「龍馬によろしく」ではなく「竜馬におまかせ」でしたw
三谷幸喜脚本のTVドラマです。

951めんたい:2018/11/11(日) 02:33:27 ID:ThfKNmts
作者が「黎明の書」の最終第6巻を鋭意執筆中だとか、やおい的な吸血鬼物だが、意外と面白いので楽しみです。
第4巻の死闘・激闘で最高に盛り上がったこのシリーズ、心に残る作品として上手く終わらせて欲しいですね。

あと、建築探偵・桜井京介の新シリーズも出ないかなあ(番外編では無くて)。

952めんたい:2018/12/16(日) 13:15:08 ID:ThfKNmts
◆BEATLESS(ビートレス)

ミームフレーム社の研究所から人工知能と特殊能力を持った5体の女性型メカが脱走した。そのうちの一つ「レイシア」は主人公と出会い彼を主人(オーナー)として契約を結ぶ。レイシアは人類と道具との新しい関係を築くための未来へ向けて、主人公のアラトと共に活動を始める。
「レイシア」を脅威と見た他の4体の女性型メカや世界中の超高性能AI達は彼女の行動を妨害または抹殺または協力しようと様々な思惑が交差する。そんな近未来SFアンドロイド小説でした。

まず、思い出すのは人間と人間を補助するために作られた人間と見分けのつかない人工生命体ウォーカロンが同居する世界の森博嗣の小説「ウォーカロン」シリーズですね。この小説でも人間とアンドロイドの新しい関係を描いている。ただし、人間そっくりのアンドロイドたちを設計したのが天才科学者(人間)マガタ博士であるのに対して、この小説では人間の知能をとっくに超えた超高度AI「ヒギンズ」って所が違いますが。
次に、題名の意味。ビートレスとは心臓の鼓動をしない者っていう意味じゃないかなあ。または「撃退しない」つまり「戦って排除しない者」つまりアンドロイドを忌み嫌わない、モノである「レイシア」に恋してしまった主人公の心情とも考えられますね。

さて感想。小説の記述方法になれない表現や分かりにくい部分があって多少戸惑ったけど、アニメ「ビートレス」で良く分からなかった部分が詳細に書かれていて、概ね面白かったです。特にラストのVS「ヒギンズ」戦で段々追い詰められて策士・不敗・なんでもお見通しの天才軍師の「レイシア」が段々弱って行ってついに半壊して機能停止してしまう様が人間が怪我や病気で弱って死んでいくみたいに思えて、悲しかったですね。主人公も大やけどしたしね。
やたら比喩に「ハローキティ」が出るのが可笑しかったwこれって「フィギュア」や車バイクを愛する心(この小説では「アナログハック」っていう)や二次元のアニメや漫画のキャラの行動を見て、心を揺り動かされるって事なんですね。そしてそれがいけないことなのか(ディストピアなのか)?人間としての進化なのか(新しい未来なのか)?って事がこの小説のテーマだと感じました。

5機のレイシア級(超高度AIと能力を備えた女性型アンドロイド達の事)を外界に放ったのは実は「ヒギンズ」が渡来銀河をアナログハック(導いて)して、そうさせたとも考えられますね。「ヒギンズ」は外界の事を知りたかっただから、彼女らを創ったとも考えられます。
実に考えれば考えるほど自分の頭や想像力では思い描けない、超高度AI同士の戦いをよくここまで描いたなあってある意味感心します。

アニメ版は少し雑な作画や演出が目立ち、もう少しお金をかけて丁寧にかつじっくりと作って」欲しかったなあって少し残念ですね(でもアニメもそこそこ頑張って良く作ったと思ってますよw)。ガンダムOOの監督がこの小説をアニメ化した事に因果を感じずにはいられないですねwだって人類未到産物っぽいエネルギー機関搭載の4機のガンダムが他のモビルスーツを圧倒する物語でしたし。

表紙の「レイシア」は人工皮膚が溶けて中身が見えてるって事は、メトーデと相打ちになった後でしょうか?読後だとちょっと来るものがありますねwあと、「紅霞」の最後も印象的で良かった。「マリアージュ」は最後の戦いで高みの見物かよw「スノードロップ」はよく頑張った(悪役としてw)、生き残ろうとする執念が凄かった。
それぞれに魅力がある5体の女性型ロボットでした。面白かったけど結構ボリュームがありましたw

953めんたい:2018/12/22(土) 21:44:20 ID:ThfKNmts
◆天空の矢はどこへ?

マガジンのグラビアガールも持っていた、ちょっとは有名になったらしい「W(ウォーカロン)」シリーズの第9巻。
今回は日本のウォーカロン(人間を補助するために作られた人間そっくりの生命体)メーカーの工場がテロにより占拠された。同時にメーカーの社長が乗っていたチャーター機が行方不明に。その事件を解決するために「デボラ」という万能トランスファーととても親密な関係にある主人公「ハギリ」博士が九州阿蘇にあるその工場へ向かうという話でした。

今回もハギリファミリー(ウグイ・キガタ・アネバネ・モロビシ・デボラ・アミラ・ペガサス・オーロラ・タナカなどの親しい博士達)が総出演で大活躍でこれら二つの関係ある事件を解決します。ていうか、彼らがいないと解決できない事件が多いなw主人公自体は高年齢でなんの訓練もしてない博士なのだが、発想力と判断力と強運と強力な仲間達のおかげで見事解決する方向へ行くのが面白くて読むのをやめられませんねw
文章自体はあっさりでそっけなく、過度な表現を抑えて書かれていて淡泊なんだけど、そこが逆に読者の感情や想像力を刺激しますね。

題名の「天空の矢」とは行方不明のチャーター機の名前が「アポロ」なんでアポロが放った矢(天空へ向かって放った矢)から来てるものと推測されます。さて行方不明になった阿蘇の工場から飛び立った天空の矢(人工知能カンナのメモリィ)はどこへ向かうのでしょうか、その理由と共に読めば分かるのですが、ヒントは某漫画の「エネル」ですねw
今回の肝は、成功率の低い任務(宇宙へ上がって「アポロ」に乗り込みメモリィを回収する事)に就いたキガタを自分の娘のように心配する必死な主人公と、そっけないクールレディ・ウグイとの関係(これも親子愛か?それとも・・)の進展?停滞模様ですか。友情や愛情や恋愛関係に関しては不器用な二人が微笑ましいですねw

あと、女装が似合う(趣味?警護のための変装なのか?)サイボーグ・無表情なアネバネがまたスカートをはいて主人公を警護するのだが、キョート博物館の老館長(150歳)に対して一瞬感情を見せるところがなんかの伏線なのかなあ。

それから、ミチルとロイディに関する謎がかなり解明されたところが肝でもありました。ミチルって自分で殺したマガタ博士の娘の世界初のクローン(ただし性別は男に)で恋人と殺人事件にあって、クジ博士の手術で脳はロボットのロイディの中に、恋人の体はリモコンとして使っていたんですねw(ややこしや、ああややこしや)。

ラストのデボラの「では、が足りません」は最初意味が分からなかったのですが、ウグイとの別れの会話を読み返すと、たしかに「では」がたりないですねw
トランスファ・デボラや人工知能オーロラにさえモドカシイと思われお節介を焼かれる主人公ハギリ博士とウグイさん、次巻最終巻ではどうなるのでしょうか、楽しみです。(どーせ結ばれるんでしょ!)

954めんたい:2018/12/25(火) 06:01:13 ID:ThfKNmts
◆少年Nの長い長い旅 05

ねこを13匹殺してビルの屋上からそれをばらまいて自分も飛び降りる儀式<猫殺し13切符>を本当に行って異世界に飛ばされた7人の小学生達。
主人公の野依(少年N)の仲間を探す冒険旅の物語です。多分その最終巻だと思います。

彼らの未来のことはもう一つのシリーズ「少年Nのいない世界」で描かれてるので、時系列や辻褄の合わないことは書けないという縛りがある中でどれだけ奇想天外な冒険を繰り広げるのだろうか?って読者にとっても面白い試みの小説でした。
前作でとある組織に負われ、主人公と主人公を世話して保護してくれたサットとともに逃亡生活をすることになった。そして追ってきた従兄弟を捕まえ、それを盾に、組織(ルマ家一族)に捕らわれてる仲間(仲間かなあw)の一人を助け出そうとするのが今回の話でした。
仮の奥さんでヒロインの音色(ネイロ)とも再会(再会かなあ?)するんだけど、未来の物語「少年Nのいない世界」ではまだ出会ってない事になっているので、多分まともな再会では無いのだろうなあって思ったら・・やっぱりw
捕らえられてる仲間(こいつが異世界に飛ばされた猫殺しの犯人w)とも未来の物語「少年Nの(略)」で出会ってないことになってるから、多分助けられないんだろうなあって思いながら読んでましたw

いやあ、最後そこへ行ってしまうのか、どうなるこれから?って所で終わりましたね。

最終巻じゃ無くてまだ続きがあるのかも知れません。最初の一二巻ほどは意外性が無くて少し残念でしたが、丁寧な描写がや心の動きの表現が上手くてついつい最後まで読んでしまう、美しい文体の小説でした。
まあまあ面白かったです。やっぱり未来がもう分かってると、予定調和的な展開にならざるを得ないというか思い切りな意外性のある冒険はできないですよね。そこがネックでした。
でもシリーズを通して全体的に面白かったですね。異世界物なんだけど、リアルでシリアスで少年の等身大な冒険で自分好み。読んで良かったです。

もう一つのシリーズももう完結らしいので少し残念ですね。

955めんたい:2018/12/28(金) 00:08:32 ID:ThfKNmts
◆美少年M

知る人ぞ知る「美少年探偵団」シリーズ第9巻である。物語も佳境(なんとなく佳境に入っていたw)で、もうすぐ失明する主人公が最後の探偵団ミッションとして、胎教委員会に退廃的にされたお嬢様学校に生徒として胎教委員会について潜入調査する話でした。
そこで主人公「美観のマユミ」(一応女性w)は生徒会長の全生徒中学生ヌード写真を美術と称して展示する「M計画」を聞かされ、それを阻止しようとする話でした。
まあまあ、コーヒーブレイク的な気分展開にぴったりという意味では面白かった話でした。(いつも道理、言葉遊びと結論にたどり着くまでが脱線の連続でくどかったですがw)。

この作者、新しい言葉、聞きなれない言葉を使うのが好きなようで、今回も辞書を片手に読む羽目になりました(そう意味では語彙を増やすのにぴったりな参考書とも言えますね)。
たとえば「ペンディング」「オミット」「ブレインストーミング」「フレイヤ―」みたいなビジネス用語。「リアリスティック」「フレキシブル」「サイレントマジョリティ」など聞き覚えがあるが、意味を正確につかめてない、思い出せない横文字。韜晦(才能地位を包み隠す事)、水屋(台所)、追従(ついしょう・・ついじゅうではない)梗概(おおまかなあらすじ)、迂遠、瑕疵、などの普段使わない難しい日本語。
それから、測位光(位置を図る光?)とかの科学技術用語。あと、ドラクロワ条約ってなんかのダジャレ?ユネスコ条約の事?って調べても良く分からない言葉。
語彙を増やすの参考書として大いに役に立ちましたし、新しい知識を増やす面白さを堪能しました(すぐ忘れそうだけど)w

一番笑った所は、主人公が「固唾をのんだ」といいながら、もぐもぐお菓子を食ってる所(クズの性格が現れてる主人公に失笑しましたw)。まさか常にもぐもぐ食ってる所が伏線だったと話(旨い!・・いや上手い)。

次巻で一応最終回?みたいで、札槻(探偵団のライバル)が目が見えなくなる主人公のために殺人音響兵器を利用して回りを見れるようにでもするのか(蝙蝠みたいに)ってかってに考察してしまいました。

今回ショート二本も面白しろかったです。そして次巻に期待します。

956わんのねこ:2018/12/31(月) 16:31:21 ID:Xt/bWbkA
・あわむら赤光
デビューは2009年。
代表作の「聖剣使いの禁呪詠唱」は全22巻。
刊行冊数は約50に及ぶ。

「思い…だした」でおなじみのワルブレの原作者って何してまんねやろ、
と調べたら、ざっとこんな感じ。
ラノベで十年生き残ってるって、それだけで尊敬できますわな。

957やまびこ:2019/01/22(火) 06:44:32 ID:ThfKNmts
◆エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード

アニメでしか見た事は無いけど、あの「レッドデーターガール」原作者の萩原規子作品。
物語は主人公の美綾(あだ名は「みゃあ」)は4月から大学一年生。親や弟は海外に移住して(仕事の関係で)初めての実家での一人暮らし。
そんなところへ、自称神を名乗って人語を喋る犬(パピヨン種)のモノクロがやってきて、なし崩し敵に強引に同居することになる。
自称神の目的は生まれ変わったら人間の男になるので、その時に備えて人間観察(人間研究)するためだという。そして神のくせ、喋ること意外、特別な能力も無く無能だったw
そんなある日、大学で再会した旧友が「取り憑いて祟る事故で死んだ友達」のオカルトな事件を相談してきた。彼女は独自に調査を始めるが・・。
かなり、普段は日常系コメディチックで、意外とオカルトホラーな大学青春物語っていったところですか。

意外と意外、なかなかに面白かったです。普段は主人公と犬のモノクロとのほのぼのとしたコメディチックな会話でクスクス笑えていやされるし、中盤以降は段々シリアスになり、オ追い詰められていく主人公の描写が上手く、ホラー小説としても楽しめましたし、恋愛初心者である主人公の恋愛物語としても楽しめました。
また、一見役に立たないと思われたあいつが、ぎりぎりの所で主人公を助けるというカタルシス(まるでブギーポップのようw)も逆転劇も味わえて結構痛快愉快でした。
ラストのオチも、そこであの事件が繋がるのかって、上手い!座布団やってっていいたくなるような締めの巧さでした。

二巻もでているので、お金があったら読みたいと思います。3巻目は未定だそうです。この面白さなら続いて欲しいですね。

「春一番」って題名は二巻ではもう梅雨以降なのにどうなるのでしょうか。ちなみに「エチュード」とは練習曲のことです。

958やまびこ:2019/01/23(水) 23:50:48 ID:ThfKNmts
◆少年Nのいない世界05

「少年Nの長い長い旅」シリーズと対になるこのシリーズの最終巻。
ついに、新たな万能コンピュータ「朽ちなしの脳」を作り再びこの宇宙を支配しようとする<ルマ家>の野望を砕くため、そして材料として連れ去られた少年Nの友達3人を救うため、惑星ファリのルマ家の本拠地へ潜入するサット達。
そこで、思わぬ再会と別れ。果たして異世界に飛ばされた7人の運命は、元の世界に戻ることは出来るのか?っていう異世界SF冒険物語です。

ちょっともの悲しいラストでした。好きな人のためならどんな姿になってもどんな所に行っても構わないっていう女性の気持ちが理解できないので、ラストのアレは親が泣くぞってなんとも言えなかったですね。
そして、折角分かり合えるチャンスを意地張って振り払った和久田にも、気持ちは分かるけど悲しかったですね。
ラストに元の世界で見た知った顔って、もしかして和久田なのかも、和久田は先に戻れたのかもって解釈してますが、そしたら極悪ルマ家も地球に降り立ったと思うと、冒険は終わらなそうですね。(ちがうのかなあ、未来の景色をみたのかなあ)

それにしても、この壮大な話をどう纏めるのか、4巻までは全然予想できなくて「俺たちの冒険はこれからだ!」Endかと思ったら、上手く纏めて凄いなって思いました。しかし、残酷な終わり方でもあるなあっても思う。
和久田とは和解して欲しかったし、全員で現代の日本に戻ってきて欲しかった気もするなあ。

あと、フィリップヤング・ライアンストーン・ノーマンパーカーって実在の人物かと思ったら違っていてワロタ。それっぽい名前過ぎるよ。本当に実在してこの三人でバンド組んでたと思ったわw

いやあ、よく出来た異世界SF物でした。もうちょっと続編を読みたかったな。

959やまびこ:2019/02/03(日) 20:42:35 ID:ThfKNmts
◆ムカシ×ムカシ Reminiscence(追憶)

まず何故この本を読んだかだが、「Xシリーズ」を最初っから読もうとしたら、これしかなかったからw

内容は、老夫婦が殺され、残された百々目鬼家の多大な美術品の遺産鑑定を依頼された椙田事務所(元は探偵事務所)は社長の椙田(男)、助手の小川(女)、バイト大学生の真鍋(男)、永田(女)の4人で美術品倉庫で黙々とリストを作っていた。
そんな中、庭の井戸で死体が発見され、さらに老夫婦の娘が殺されるという事件が立て続けに起こる。遺産相続の争いと噂される中、多分主人公の小川とバイト学生達は独特の推理(伝説の河童が関係するのでは?とか)を展開するのだが・・さて真相はいかに?という話でした。

ちょっと変わった推理ミステリーで面白かったです。この世界は「名探偵」などいない「密室殺人」なんて無い「一人の天才の活躍で事件など解決しない」ってスタンスで書かれているので、この4人が見事事件を解決しましたって流れでは無く、殺人など起こった事件や出来事に対して、「何故そういう事をしたのだろう」「誰が犯人だろう」「どうやって殺したのだろう」とか考察し合う感じで進んでいきます。そこが一風変わったミステリーとして楽しかったですね(物事はなる様にしかならない的な客観的なスタンスかな)。
淡々とした雰囲気があの「ウォーカロン」シリーズに似てますね(同じ作者だから当然かも)。ミステリーとは関係ない何気ない日常生活や淡い恋物語も綴られていく所も似てますね。

5回ぐらい重要そうな部分を読み返したのですが、理解できなかった部分も多いです(意外と内容が難しい、というよりワザと難しく複雑に描いている気がするw)。

まず密室殺人の謎、これは真鍋の推理と同じく、部屋に逃げ込んで鍵を掛けて死んだでいいと思います。そして、河童の本について固執していた「あの犯人」を示すため自ら頭に皿を置いたでいいと思います。
次にラストに登場した謎の女性アキラ、これは「女王の百年密室」の主人公ミチルの恋人で殺されてミチルの脳を移植された人かな。ゴッホの絵を売った売り上げ金を受け取った「天才」とは「ウォーカロン」を作った真賀田四季博士か?脳移植を行ったアキラの父親か?)どちらかだろうか。まさに森ワールド(上遠野ワールドと言い、クロスオーバーがはやってますね)ですねw
それから、社長の椙田。本当に美術関連者の正義のため?普通にお金が欲しかったから?意外と悪い一面を持ってる曲者っぽいですね。清濁併せのむ、大物なのかも知れませんね。あのゴッホの絵は本物だったんですかね。どういう人物なのかはこの本だけではよく分りませんから、続刊を読みたいと思います。

そして犯人の動機、人は自分の矜持のためには殺人も犯すって所でしょうか、その上、自殺も覚悟ならなおさら殺人も辞さないって所ですか。自分の生きてきた誇りや人生が全部勘違いだったなんて許せないって気持ちは分かりますが、そこは他人を害して無かったことにするんじゃ無く、一層の努力して才能を身につけ勝利を勝ち取る物でしょうね。
あと、分からないのが、「河童の本」の内容(どういう経緯で血が繋がらない殺された老夫婦が本家になったのか?)ですね。これは子供が出来なくて、養子でも貰ったのかなあ。
不思議な後味の「読者が推理する」ミステリーでした。読みやすかったけど、解明されない謎が多くて何度も読み返すことになる小説でしたw

960やまびこ:2019/02/17(日) 01:37:27 ID:ThfKNmts
◆エチュード春一番 第二曲 三日月のボレロ

「レッドデータガール」(アニメでしか見た事は無いが)で有名な作者が描く、かなりオカルティックな女子「美綾」と神と名乗る犬「モノクロ」の大学生活トラブルストーリーの第二巻。

感想としては、神道の歴史や日本の神の存在の歴史や神社の歴史や蘊蓄がかなりディープ書かれている、「憑きもの落とし」をする古書好きで神社に住んでる神道に詳しい主人公でその分厚い本でも有名なシリーズを読んでるかのような印象でしたw
神道とか修験道とか神話とかにこの作者かなり詳しいですね。レッドデータガールも神社と異能者という組み合わせでしたが、これも今回の話は色々な神社と異能者達と神の化身である犬「モノクロ」のオカルチックな変人変犬たちに翻弄される普通の女子大生の話でした。
すらすらお手軽に読めて楽しく読ませて貰いましたが、途中までは起承転結の転の部分が一向に描かれず、このままなんの盛り上がりも見せず終わってしまうのでは?って心配しましたが、ラスト付近でちゃんと非日常な事件が起こって、しっかり主役が主役として活躍したので読後の達成感はまあまあでしたw

出来れば、一巻で出てきた嫌な性格の嘘つき女もでて引っかき回して貰えばもっと面白かったのにってちょっと思いましたね。
今回の悪者はラストにああいう行動に出て、こいつギャグ・道化役としてもしこのシリーズが続くならまた再出演しそうですね。門宮弓月も動物病院の先生も頼もしい味方になりそうです。
せっかく役者が揃ってきたのにまだ二巻しかでてないのは勿体ないので、ぜひ続きを書いて欲しいですね。

しかし、今回の悪人はもっと酷い目に遭って罪を償って欲しかったですね。てっきり「モノクロ」と同じ神の化身かと思いましたがただの変人異能力者でした。人間になりたい神の「モノクロ」の人間としての成長過程も見所の一つですね。
アラハバキの神っていえば、「龍の黙示録」シリーズで東北の吸血鬼村で「アラハバキ」の剣とか出ていた気がします。他にも色んな小説に使われていそうですね。

小説内ではもう季節は春一番では無いけど(今回は梅雨〜初秋)、次は冬あたりの話でしょうか?続きが出たら是非読みたいです。

961やまびこ:2019/03/08(金) 19:31:05 ID:ThfKNmts
◆人間のように泣いたのか?

知ってる人は知ってる「ウォーカロン・シリーズ」第10弾、これが最終巻です(残念)。

内容は近未来の地球、日本のキョートで行われる国際会議の司会者に選ばれた主人公ハギリ博士は、上司から日本政府がテロを装って国際会議で「ホワイト(いまや中国の会社が主流のかウォーカロン会社の共同体)のメンバーが誘拐される計画」があるから慌てないように行動すること、と奇妙な指令を受ける。
犯罪予告をされたことで、誘拐されたメンバーのその後の心配をするハギリ博士。当日なんと、ハギリ博士と護衛のウグイまで誘拐監禁されてしまう。政府の誘拐計画にしては様子がおかしいと思ったハギリ博士は腕の立つ女性のウグイと共に脱出を試みる、二人の危険な逃避行が始まった、と言う内容でした。

ウォーカロンというのは人の代わりに危険な仕事をして貰うために作られた人工生命体(ほとんど人と変わらない)で、主人公は最初人間とウォーカロンの区別を判断する機械を作っていたが、今はウォーカロンと人間は同等になっていくだろうと思っている。そして子供が産めなくなった人間を再び生殖機能を持たせる研究にも興味を持っている。
付け加えて、今までの冒険で人工知能(AI)やその分身トランスファー、伝説のウォーカロンの発明者「マガタ博士」や護衛のウグイ、アネバネ、キガタなど頼もしすぎる味方を得ている状態です(本人は考察力・発想力だけは優れている、運動能力は普通でいつも守って貰う方の存在です)。

さて最終巻の感想ですが、意外と面白くなかった。事件も途中までは、誘拐事件がどうなるか興味津々、嬉々として楽しんでいたんですが、後半がただの二人の逃避行に終わっていて、ウォーカロンと人間の未来、または大事件の解決のためのスーパーな活躍もなく、今までの数々の神妙で複雑な伏線と関係なく、どちらかと言えばラブコメ小説になってるのがなあ、ちょっと最終巻にしては拍子抜けでした。
でもラストに、マガタ博士と出会い、彼女が人間か?ロボットか?ウォーカロンか?クローンか?の正体が少しだけ分かって少しだけスッキリしました。だだ、彼女が普段どこで何をやってるのかは依然として謎w

それから、いつも親切なデボラが博士に味方をしてくれないのも残念でした。いざとなったら中国の管轄のAI「アミラ」のトランスファーだから、商売敵(中国のフス社)に付きそうですもんね。味方のAIはオーロラとペガサスですか。

まあ、文句は言いましたが、面白くなくは無かったです(最終巻にしては物足り無いだけで)。このままもうちょっと続いて欲しかったかなあ。

ラストのエピローグは、好きな人が出来て意識しすぎて眠れないから、精神病医師に二人とも相談しに来る正に「ラブコメ」な終わり方で微笑ましかったですね。
二人に子供が出来て人類の問題が解決って言うのはちょっと安易かも知れませんが、そんな未来を想像してしまいますね。

あと、主人公の男性助手「アカマ」さんはオトコスキーなんでしょうか、ちょっと気になりますねw

続きが出る事があれば是非読みたいシリーズでした。シリーズ全体的には面白かったです。

962やまびこ:2019/03/24(日) 19:44:19 ID:ThfKNmts
◆サイタ✕サイタ

Xシリーズ第5巻。今回は謎の依頼人から左曾利(サソリ)と言う人物の素行を調査して欲しいとの依頼がくる。いつもの主人公メンバー、小川・真鍋・永田の3人組に加え、同業者(探偵)の鷹知や刑事の岩瀬も加え彼(サソリ)を24時間毎日監視することになるのだが、同時に連続発火事件や連続殺人事件に出くわすことになる。この三つの案件は果たして繋がっているのか、無関係なのか・・と言うミステリーでした。

感想ですが、前巻「ムカシ×ムカシ」同様に、誰が犯人で動機や方法が全てはっきりせず、読後に読者が検討して考察してあーだこーだと考える小説でした(不親切でモヤッとするけど、そこが売りなんだろうなあ)。もうひとつ、題名は「サイタ✕サイタ」というより「ビコウ✕ビコウ」(尾行ね)や「ビコウ✕コウタイ」の方がしっくりきますね。なんか「ハンター✕ハンター」みたいwサイタ✕サイタというのは「チューリップの花」に掛けて「爆弾の火花」の事で、仕掛けた犯人の犯行声明のことです。
四人でも一人を24時間気付かれないように尾行するって、不規則な生活になったり、寝る時間を削ったり、大変だなあってこの本を読んでいて感じましたね(それが一番読んでいて楽しかったですね)。あと、何でも屋の事務所の社長の椙田(美術鑑定家)が出番も少なく全然活躍しないので(裏で危ない人物と色々やってるのはわかっている)、主人公はこいつじゃないなあって思いつつ、こいつが一番謎の人物ですね(普段なにをやっているのか?)w
それから、尾行対象のサイコパスっぽい「左曾利(サソリ)」さん、ダーティーハリーって映画の最初のサイコパスな強敵スコルピオ(さそり?)から取ったんでしょうか?名前とサイコでコス狡い所がよく似てました。

今回の依頼人は誰かっていうのは、自分は小川タイプなので、途中で分かっちゃいました(直感ですが)。ただ犯人の自分を止めて欲しいって言う気持ちは理解不能ですね。ただ単に自分を目立つおとりに使ってその間にもう1人の仲間を疑わせないようにしただけのようにも思えますね。全ての犯行を終えたら仲間も一緒にこの世から綺麗さっぱり消えるって気持ちも理解不能でした。
犯人の気持ちが非常に分かりにくかった話だと思います。自分の義妹や嫁が、夜鷹や娼婦のような隠れバイトをしてたからといって、許せないから殺すってなるでしょうか?よほど自分の正義感や道徳観に傷が付いたんでしょうね。まあそれで殺人はギリ分かるんですが、爆弾の方は何カ所も仕掛けて何がしたかったんでしょうか?娼婦バイトの事でストレスが溜まっていたから発散?それともバイトをやる度に相手との情事の近くで爆弾事件を起こして「そういう事はやめろ」って警告してたのかな。

このように、事件のあらましがはっきりせず、あとで読者が考察するミステリーでしたwそういう意味では面白いシリーズだとは思います。次の巻は「ダマシ✕ダマシ」ですね。

963やまびこ:2019/04/17(水) 00:31:10 ID:ThfKNmts
◆ダマシ×ダマシ Swindler(詐欺師)

知る人ぞ知るXシリーズ最終巻。蜜月の時は過ぎ、別れの虚無感が漂う最終巻でした。
例えるなら、折角仲良くなった友達が、親の都合で引っ越してしまうとか、職場で仕事を通じてようやく分かり合えた同僚が、栄転で違う支店へ異動して、新入社員とまた新しい仕事仲間関係を作らなくては行けなくなった空しさを味わえる話でした。
この小説の場合、主人公小川さんが社長の椙田やバイトの真鍋・永田とワイワイ楽しい日々を過ごし、いい未来を期待していたのに、突然のその関係の終了を告げられ、ほっぽり出されたって感じですね(アフタケアはあるけど、小川が求めていたのは別な物だったて事だよね)。
読者やこのシリーズのファンもほっぽり出された感覚を味わってるのでは無いでしょうか?

内容は、結婚詐欺の疑いがある相手を探して欲しいと依頼を受けて調査を始めたが、どうやら被害者が他にも二人いて、その上調査途中で結婚詐欺本人が殺されてしまう。誰が殺したのか?本当に結婚詐欺だったのか?って話でした。

事件とは別に、主人公小川の雇い主の椙田社長が突然小川に調査事務所を譲って引退するってのが、もう一つのシリーズを通した事件でした。
結局、椙田が普段は何処で何をやっていて、なぜ西之園萌絵をさけるのか、椙田のビジネスパートナー何者なのか(まあ、クジアキラやロイディやサエバミチルの百年シリーズ関係だろうけど)全く謎のまま終わってしまったのがモヤモヤするなあw
あの天才で犯罪者の真賀田四季博士の部下で彼女のための資金繰りをしてるのかも知れないなあ。
他のシリーズを読んでないので、そちらにヒントがありそうだけど、「Fになる」のS&Mシリーズから読み始めるのは結構大変なので、どうしようかと思ってる最中ですw

あと、ラストに出てきた「メグミ」ちゃんて誰?調べたら「Gシリーズ」のメインキャラらしいけど・・つまりこの「Xシリーズ」って半分はデイープな森博嗣ワールドファンのための小説だったと言うことか。
まあ、暇があったら最初のシリーズから読んで見合いと思います。

この小説自体はまあまあ、面白かったです。

964やまびこ:2019/05/14(火) 23:54:05 ID:ThfKNmts
◆冷たい密室と博士たち

実写ドラマ「すべてがFになる」の一話、二話で観たことはあったけど(宇宙服のような防寒服を着た学生達が実験室のはいって密室で殺されるぐらいしか覚えてないw)、内容をほぼ忘れたので原作を読んでみました。
小説にはちゃんと建物の見取り図が事細かく付属していて、さすが主人公が建築好きな建築学科助教授だけはあるなあって、ちょっとだけ「建築探偵・桜井京介」を思い出しました。この建物見取り図を見ていて思ったのは、この植えられている樹木にもちゃんと意味があって、中庭を人が通っても事務室から見えないようになってるなあってちゃんと考えられてるなあって、ちょっとにやけてしまいましたw

さてストーリーは、極地研に低温度プール実験を見に来た主人公助教授「犀川」とヒロインで大学生の「萌絵」。実験後、二人の学生の死体が見つかりそれが密室殺人であった。さらに最近誰も入っていない機械室から、行方不明になっていた学生の白骨死体が見つかる。ヒロイン萌絵は好奇心から積極的にこの密室殺人の謎を解こうとするが、その所為で彼女も犯人に狙われる というミステリーです。

一章は事件後にデニーズに集まって事件の考察を始める主人公達。二章〜五章は事件当日に話が戻り、殺人事件が起こって警察が捜査を始めるまでの回想、六章からは再びデニーズの現在に戻って事件の考察の続きから新たなる殺人事件を経て犯人確保まで、第十二章で犀川による密室事件の謎の解明、第十三章犯人による真実&エピローグと言う構成になっている。
犯人のヒントは登録ネーム「SHIKA(鹿)」。犯人が分かったとき、なるほどこりゃ普通じゃ分からんわ(外国語学に通じてないと)って思ったが、よく名前を観ると「あれ?違う解釈でも犯人分かるじゃんよ」、ってこれもにやけてしまいましたw

あと、完璧な建物地図が有るおかけで、実験の様子や死体発見や「萌絵」が犯人に狙われて逃げる様子とか犀川の謎解きが凄く分かりやすく、アドベンチャーゲームを楽しんでる感じでしたね。

しかし、あの人がまさか娘のために、そこまでの危険を冒すとはそこまでの覚悟があるとは、まさに想像を絶する異常な犯罪心理(親子愛)ですね。犀川が答えを見つけたとき、動機が理解できない、信じられないって言った気持ちがよく分りました。
それから、大学院とかの制度がよく分からなかったけど、修士コース(Mコース)でまずマスターになってそして博士コース(Dコース)でドクターのなるんですね(大学卒業してから何年かかるんだろう?)、博士になるのも大変だわって思いました。

いやあ、楽しかった推理小説でした。「すべてがFになる」事件だけじゃなく、このシリーズ全体もアニメ化すれば良いのに、って思いましたわ。

今回分かったこと、犀川は意味の無い冗談ほど高尚だと思っている。ヘビースモーカーである。コーラとカルピスを混ぜて飲む。缶コーヒーは嫌い。萌絵の両親は目の前の飛行機事故で死亡。萌絵の住む部屋は高級マンション21階22階全フロアーw飼い犬と執事がいる。萌絵の叔父さんは警察本部長。
犀川にはもう一つの人格(激しい性格で頭の回転が速い・・特異な精神状態)がある。犀川の友人は喜多助教授、助手は気の強そうな国枝桃子(フルネームで書きたくなったw)。この二人は多分今後の事件でも登場しそう。

というわけで、今後はこのシリーズの読破を目指していきたいと思います(できないかもしれないけどねw)

965やまびこ:2019/06/01(土) 19:15:25 ID:rmiMl0oI
◆笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE(数学的なさようなら)

知る人ぞ知る、S(犀川)&M(萌絵)シリーズの第三作。主人公二人は天才数学者の住むオリオン座を模した奇妙な建物三ツ星館で行われるクリスマスパーティに招待され出かける。
そこで、天才数学者の天王寺翔蔵は庭の12年前にも一回やったくオリオン像を消してしまう>マジック?を見せるが、前回オリオン像が消えたときには翔蔵の長男が事故死しており、今回も「また誰かが死ぬ」という怪文章が届いていた。
そして、そしてクリスマスの早朝に、庭のオリオン像のそばで、三ツ星館の1号室で、それぞれ死体が発見される。何故誰にどうやって殺されたのかの謎とオリオン像が消えた謎に挑むミステリー。

オリオン像が消えた謎については、付録の三ツ星館の見取り図をみれば途中で気付きました(まあ誰にも分かるわなw)。ただ本当に現実で起こったなら、そういう建物でそういう大胆な仕掛けがあるって想像しないかも。でもオリオン像が消えたときに、もう少し建物全体をよく探すからすぐトリックに気付くかもしれない。
まあ、本題は、どういう理由で殺人が起こったのか、どうやって殺したのか、そしてこの天王寺一族(使用人も)は嘘つきだらけで、この一族の真実の姿はなんなのか?って事でした。

ほんと嘘つきだらけで、刑事さんに嘘言っても罪にならないのか?って程でしたw父親は死んだことになって生きていたり、この館に住む天才数学者は実は本人じゃないかも、家族みんなで真実を隠して刑事や主人公達にもすっとぼけて、読んでいて何が本当なのか分からなくなりましたよ。
事件解決したあとにも、残る重大な謎でモヤモヤ状態ですねwあと自称天才数学者(本人じゃない可能性もある)が出したビリヤードの球の問題も答えが出ねえ(一応考えたが)。

青の部屋で死んだ数学者は実は片山基生かなあ(建物操作に詳しいから、そして今回の事件は彼の仕業だって犀川は断言してる)。公園で少女と戯れてるのが本物の翔蔵?(息子の小説に仙人のおじいさんは外の出て行ったって書いてあるから)、白骨死体が流行小説家の宗太郎かなあ?
最初に出会った部屋は黄色の部屋、次が紫の部屋、最後に自殺したのは青の部屋ってのは関係あるのかなあ。
それとも、数学にも建物にも詳しくなく小説の少年のモデルになった小説家が翔蔵の振りをしていて、地下で自殺した(どうせ癌の後遺症で死期が近いので)とも考えられるなあ。
また、事件当夜本物の博士の他にもうひとり地下にいた(小説家の宗太郎)とも考えられる。

とにかく最後に公園で子供と戯れるのは本物の翔蔵だと思うけど、他人の感想では片山基生だと書いてあって今は混乱してます。
まあ、地下に残った「笑う数学者」は偽物ですねw宗太郎と基生の顔が似てる(双子?)から、事件当夜と事件解決の日では入れ替わった?とも考えられる、すると基生が公園の老人になるが????。

とにかく読後に考えさせられる、糞ややこしいミステリーでした。でもこういう完全に解決しないミステリーも変わっていて面白かったですね。

さて次はどれを読もうか悩みます(手元にはVシリーズとGシリーズが一冊づつで続編である「詩的私的ジャック」がないのでw。

966やまびこ:2019/06/01(土) 19:23:02 ID:rmiMl0oI
追記、宗太郎が交通事故で基生が癌で亡くなった事になってるから、宗太郎は癌の後遺症で死期が近くて自殺したって事にはならないか、勘違いしてました(ごめんなさい)。
誰かスッキリした答えを出してくれ・・・言いたくなる小説だよ、これw

967やまびこ:2019/06/15(土) 21:33:40 ID:rmiMl0oI
◆φは壊れたね

知る人ぞ知るG(ギリシャ文字)シリーズの第一弾。学生の加部谷恵美(お喋り)・海月及介(無口)・山吹早月(常識人)の三人を中心に西之園萌絵や犀川など前シリーズの登場人物が出てきて、殺人事件の謎に挑むという話でした。
殺人事件はアパートの一室でYの字に吊られて胸をナイフで刺されていた芸大生を二人の女の友人が発見すると言う出だしで、その部屋は密室であり、その部屋の真下の部屋に偶然に山吹早月がいたことから、関わってしまうと言うストーリーでした。

「笑わない数学者」と同じで、事件解決後にも意外と重大な謎(読者にとって)が残って、読後感がモヤモヤしてスッキリしない小説でしたw
その謎の一つが「φは壊れたね」というメッセージ。そして、なぜこんな状態で殺されたのか?何故、事件の一部始終をビデオカメラで撮影していたのか?つまり犯人や犠牲者や関係者の心理状態がはっきりと分からないと言うことですね。
多分作者の意図で、あとは自分で考えろ!ってことでしょうし、子供が観るアニメのように、単純で全てすっきり分かるような出来事(殺人事件に限らず)なんて人生には無いんだよってメッセージかも知れませんね。

じゃあ、ちょっとだけ考えますと、φってのは空集合のマークらしいので、犠牲者は殺されて、生きてる物の無い無の空間(アパートの部屋)に、二人の女子学生が入ってきてあたふたおろおろ騒いで、厳かで静かな空間(部屋)で無くなっちゃったね(壊れたね)って意図の作品だったのではないかなあ。
またはφ(犯人はいない自殺である)=密室だから、のトリックを見破った(壊した)っていう読者へ向けてのメタファーなメッセージと掛けているのかも知れませんね(考えすぎか?)w
それから、奇妙な殺され方は、芸術大学生だから殺人にも独特の感性や美術的感覚が働いたのでしょう、ビデオ撮影に関しては、殺人現場を目撃した女の子達の臨場感をまたは自己顕示欲を作品として撮りたかったんでしょうか。

ネタバレになりますが、犠牲者は死ぬ気はなかった、犯人も殺す気はなかった、しかしそのエキセントリックな集団のエキセントリックな性格や雰囲気に飲み込まれて殺してしまったのかも知れません。でもそれにしては密室とか作ったりして本格的で計画的ですね。
まあ、単純に考えれば、仲良し集団の恋のもつれか友情ももつれで、映画作品を作ると言う名目でそそのかして殺してしまった考えるのが普通かなw

読み物としては、事件の経過や、新たな主人公達の関係性や性格や前シリーズの特別ゲスト乱入とかあって、最後までワクワク面白く読めました。
ただ、やっぱりもうちょっと分からない部分を少なくして、読後感をスッキリして欲しかったかなあっては思います。

可部谷恵美さんって確か「Xシリーズ」の最終巻に偽名の結婚詐欺の被害者で出てきてたよなあ?どういういきさつなんだろうか(今後それが楽しみで読みたいと思います)。

968やまびこ:2019/06/29(土) 04:36:08 ID:rmiMl0oI
◆黒猫の三角
V(紅子)シリーズの第一弾。小田原家の居候「瀬在丸紅子」とその変わった仲間達(麻雀&飲み友)が関わった事件を描くシリーズ。
今回のストーリーは小田原家の実質上の主人「小田原静江」のもとに、過去三年間に起こった殺人事件の記事が入った不可思議な手紙が届き、不安になった静江は探偵「保呂草潤平」に一晩の護衛を頼む。
だが、護衛の甲斐もなく、静江は過去三年間に近所で起こった殺人事件と同じ手口で殺されてしまう(首を特殊なベルトで締められて)。殺された部屋は窓も出入り口も内側から締められて密室で、犯人が逃げられる秘密の経路もなかった。
保呂草と紅子、そして中性的(女装癖のある)な大学生「小鳥遊練無」とその友人「香具山紫子」はその謎に挑むと言うストーリーでした。

まず率直な感想ですが、まさかシリーズ第一弾なのに、初っぱなからお前が犯人なのか??ってポカーンとする結末に驚きましたw追々このあとのシリーズどうなるんだよ!
って思ったら、なるほど真の主役が登場してそういう事かってまあ・・まあ納得しましたわwつまり今回の事件は頭の切れる変わり者同士の邂逅&対決って所ですか。
紅子さんはこれからも、色々なシリーズででてきそうな「ポスト・真賀田四季」っぽいですね。

しかし、この推理小説で一番の問題は犯人の動機ですね。え?こんな動機で良いの?って感じの動機でした。「きまぐれ」「なんとなく」「ぞろ目が好きだから」「何となく語呂が良いから」「人を殺したかったから」って感じで、森博嗣らしい常識の斜め上を行くミステリーだなあって感じましたね。
何せ、頭の切れる登場人物が、「遊びで殺すのが一番健全だぞ」とか言ってるくらいですから、もうちょっとで自分も感化されそうになって「いやいや普通で健全なわけ有るか!」って思い直しましたわwそれから「何故人を殺してはいけないのか」談義は面白かったです。

あとは、殺人事件でうやむやになった、小田原家長男(朋哉)の殺人未遂事件。東尾が小田原家長女を連れ込んだ事件は単なるミスリード的なものだったのかな。でも理由のある殺人と遊び(洒落)でする殺人の対比、犯人の変わった性格(普通に考えればサイコパス)を表すためのエピソードなのかもね。

最後にクロネッカーのデルタ(「黒猫の三角」の元ネタ)について調べたけど、行列の11・22・33・44・・・が1(有り・殺人対象って意味?)で他は0(無しって意味?)・・・この法則ってなんの役に立つのかなあって新たな疑問しか湧かなかった(頭の悪い自分には分からん)。

このシリーズも面白そうなので暇があったら読んでいこうと思います。

969やまびこ:2019/07/19(金) 15:58:30 ID:rmiMl0oI
◆人形式モナリザ

V(紅子)シリーズの第二弾。今回は蓼科リゾート地に建つ「人形博物館」で起こる「銀のナイフ」による殺人事件と毒殺事件。それに加えて美術館で起こった泥棒ルパ(ルパンから取った)による絵の盗難事件。
これらの事件が絡み合い、偶然居合わせた主人公達と新メンバー「森川素直」(大学の友人)と「祖父江七夏」(女刑事)が加わり、この事件の謎に挑んでいくという内容でした。

感想:途中まで(かなり後までかなw)ちょっと中だるみ的なダラダラとした事件考察と情報収集と何気ない日常と捜査の経過は少し退屈で、この事件ちゃんと解決できるのかと不安に駆られる構成でした。
話が大きく解決へ動いたのが、主人公「紅子」の気まぐれっぽい岩崎家への深夜訪問。何を考えてるんだ?)妖怪アンテナや少年漫画主人公的な超能力的な感でも働きましたか?って思える展開で、なんなんだこの人っておもいました。
が、後で何故急に岩崎家へ言ったのか説明があって良かったwつまり奴(また奴ですよ奴)の車のボンネットがまだ熱かったからなんですね(一本取られたわw)。
殺人事件と関係ない所で、なんなんだ二巻連続この展開は!って笑いが出てきました。一巻と二巻では別の人なんだけど、どちらとも〇罪〇じゃねーか(呆れた笑いしか出ねえ)。こいつはXシリーズの椙田泰男みたいに美術品の犯罪に関わっていてかつ真賀田四季の関係者じゃないだろうか?って予想。

殺人事件の方はなんとなくこいつが怪しいって感じていたけど、ややこしい殺し方をするなあては思いました。
岩崎亮は自分の自分の思い通りにしようと、とある場所で変な暗示をかけて引き込んだ(ナンパした?)人物が、まさか一族を滅ぼす「獅子身中の虫」になろうとは思わなかったでしょうね、大失敗ですねw

そしてラストの一言。あれは残る一人(叔母さん)の殺しの予告ですね。

最後まで読むと大どんでん返しがあって、結構面白かった一冊でした。保呂草と紅子と七夏と林と紫子の恋のいざこざ5角形も楽しみの一つですね。

970やまびこ:2019/08/02(金) 02:27:04 ID:rmiMl0oI
◆月は幽咽のデバイス

Vシリーズの第三作目。幽咽のデバイスとは「微かに噎び泣く装置」という意味だが、月が?噎び泣く?よく分らんが何となく分かるって感じの題名だなあ。
内容は、建設会社の社長「篠塚邦宏」が住む通称「お化け屋敷」と呼ばれる豪邸に、美術&古物関係の仕事で呼ばれた「保呂草」は、その晩開かれるパーティにも呼ばれる。そのパーティの途中で防音で音楽鑑賞室の密室で乱暴に引きずられた死体が見つかる。果たして殺人・自殺・事故・いずれなのか?
偶然居合わせた、いつもの紅子と愉快な仲間達と共に、少し危険な屋敷の謎そして死体の謎に挑むという話でした。

感想:相変わらず少しのヒントで全てを見通す紅子。紅子より少し劣るがそれでも抜群の推理力を持って暗躍する「保呂草」。そして、女装が趣味の変わった大学生だが、格闘技を使う「練無」。まあまあ面白かったですね(凄く良かったとまでは行かないけど)。
ただ、狼男?謎の猛獣?屋敷に住む怪物の正体がイマイチわからなかったのがスッキリしなくてやや不満でした。彼の生い立ち(そもそも人間?)をもっと詳しく描いて欲しかったかなあ。そして事件の真相がまさかのああいう出来事とは意外でした。
この場合、誰かが罪に問われるのか?被害者はなぜそういう行動に出たのか?やっぱりスッキリしないところが多くて、あとは読者の想像に任せるっていつものパターンでした(全ての真相は語られない)w

大体、男主人公の「保呂草」が堅気じゃなくて〇〇だからなあ(何のため〇〇をしてるのか?彼の生い立ちも謎)wその上、紅子が何故研究をしてるなんのための研究をしてるのかも謎。そして小鳥遊の美女装趣味も主人公サイドのキャラとしては異常w変わった者同士の探偵団って所でしょうか。
まあ、暇つぶし(失礼!気分転換に)にはぴったりの肩のこらないシリーズなんで、これからも読んでいきたいと思います(その辺の少年漫画より面白いしね)。あと、恋愛の五角関係(紅子・紫子・七夏・潤平・林)も相変わらず目が離せない所ですか(+根来じいさん)。

971やまびこ:2019/08/11(日) 19:46:26 ID:rmiMl0oI
◆夢・出会い・魔性

Vシリーズの第4作目。ストーリーはN放送局の女子大生クイズ大会に出ることになったいつものメンバー(紅子・紫子・練無)は保呂草(探偵・何でも屋)とともに東京のスタジオまでやってくる。そこでクイズ番組のプロデューサー柳川が密室的状況の部屋で殺されてしまう。
女子大生と偽って出演する女装したの練無は、女子トイレでアイドル亜由美(一番怪しい容疑者)と出会い、彼女とともに逃避行することになる。犯人と思われる謎の女の幽霊や殺された柳川の過去の交通事故やアイドル亜由美との謎の関係、そしてストリップ場への殺しの招待。
そして、紅子や練無の女子大生偽証はばれてしまうのか(事件と関係ないけどw)。TV放送スタジオを中心とした奇妙でサイコパスでいつもと違って別の意味で面白い(コメディっぽい)ミステリーでした。

今回の話は、練無(男の娘)の素っ頓狂な行動に全部持って行かれた感じで、犯人が結構なサイコなんだけど彼ら(変わり者の主要メンバー達)の所為で全然目立たなくなって、テレビ業界の殺人事件コメディっぽかったですね。
一番意外だったことは、サイコな犯人と新キャラの探偵「稲沢真澄」の性別でしたw名前の雰囲気で読者をミスリードさせるという、多分こういうのを叙述トリックっていうのかなあ、それに見事に騙されました。
レギュラーメンバーの練無も性別を偽ってますしね〜w紅子さんも女子大生って歳じゃないし、警察はもっと容疑者や関係者の身の上をよく調べろよ(性別・職業)って思いました。

とにかく、サイコホラーミステリーとしてより、いろいろ詐称ドキドキコメディとして楽しめる話でした。もしこれでクイズ番組で優勝してたら、詐称詐欺で訴えられるんじゃないかなあw
もし実写化するとしたら、練無はボーイッシュな美少女(女装オネエや女装ジャニーズ系俳優とかなら絶対観たくねえw)に演じて欲しいですね。

972やまびこ:2019/08/18(日) 07:00:18 ID:rmiMl0oI
◆θは遊んでくれたよ

大学生の加部谷・海月・山吹が活躍するGシリーズ(ギリシャ文字)の第2作目。今回の話は、飛び降り自殺と思われた事件に、その死体に必ず「θ」という口紅で描かれた文字が書いてある所から、何かの連続殺人ではと疑っていた主人公の3人と
他シリーズキャラの犀川や萌絵や反町愛や、前作の巻き込まれフリーター船元やちらりと出演した探偵赤柳がその真相に挑むというミステリーでした。

この作者のミステリーは、事件の真相をおおよそ予想するだけで、正確な答え(真相)は出なく、あとは読者の想像に任せますってのが多くて、今回もそうでした(実際の事件もそういうもんですよって言いたい感じですね)w

感想:おおよそ面白いミステリーでしたが、海月くんが語った真相の仮説の最後、郡司教授の娘の自殺の仮説が腑に落ちなかったなあ。恋人(もしかしたらただの肉体関係で後悔してる相手)に忠告するために命を賭けて自殺とか普通しないよねえ(痛いもんw)。
あと、自分の将来が危うい立場になるからと言って、口封じに殺しちゃう?普通はしないよねえ。まあ、医学関係の仕事をしてるなら、人の死も身近でだんだん命が軽いものに思えてきて、殺人も苦にならないって心理はあるかも知れないけどね。
それと、いくらコンピュータの人工AIが優れていても、人を自殺にまで導くのは無理のような気がして最初の飛び降りも説得力が足りないかなあ。
でも、あの魔法使いのような「マガタシキ博士」が関わってるのならちょっと説得力があるかな。
その場合、野崎まど「バビロン」の曲世愛的な感じがするし、この小説にも「人は自殺する権利がある」とか言ってるし、マガタシキは何を考えてるのか(まあウォーカロンを作るための人間研究なんだろうけどね)?ゾッとしますねw

今回最も驚いたのが、前シリーズ(Vシリーズ)で副主人公だった「保呂草」(探偵&何でも屋)が登場したこと。今は「マガタシキ」関係の元で世界を股に掛けて働いてることが分かった事ですね。もともとそういう関係の人で、前シリーズはたまたま日本で一時ボロアパートで暮らしていたのかも知れないですね。
つまり、森ワールドはデビュー作(かな?)「すべてがFになる」の真賀田四季に始まって真賀田四季を中心に動いてる感じですね。

主人公の一人の「加部谷」がXシリーズの最後で出てくるので、何故そうなったのか気になるので続きが読みたいですね。(予想:山吹か海月くん最後の事件で死んじゃうのかなあ)。ほんと順番に読んでないので頭ぐっちゃぐちゃになりそうだわw
保呂草との間を持った謎の美女って紅子(それとも女装のあいつか大阪弁のあいつか)さんかなw

973やまびこ:2019/08/30(金) 16:47:06 ID:rmiMl0oI
◆魔剣天翔

Vシリーズの5作目。今回のストーリーは、持つ物を不幸にするといわれている高価な宝石の付いたナイフ「エンジェルマニューバ」を「関根朔太画伯」から取り返して欲しい(盗んで欲しい)と依頼された男性主人公の「保呂草」が、
偶然にも関根画伯の娘「杏奈」と先輩後輩の仲だった女装好きの医学生「練無」を通じて、「杏奈」がいるフライトショー会場に乗り込み高価なナイフの在処を調査を始める。ところが、そのフライトショーの途中でパイロットの殺人事件が起こり、
飛行機が二機墜落してしまう。そして、殺された被害者と一緒に飛んでいた依頼人「亜樹良」(容疑者)とともに「保呂草」は警察に追われることになる。そこに全てを見通す頭脳の持ち主で女性主人公「紅子」の推理が冴えるというストーリーでした。

まず、思いついたのはジャーナリストで依頼人の「亜樹良(あきら)」という依頼人の名前。百年シリーズにも「クジ・アキラ」っていたけど何か関係があるのかなあ?それとマニューバとは何か調べたら、飛行機の動きなんで、宝石ナイフの名前は「天使のような操縦」ってことかなあ?「スカイボルト(空のネジまたは電圧)」の方が何か格好いいかもw

で、感想だが今まで読んだVシリーズの中で一番面白かったし、一番感慨深かったなあ。前作の「クイズ番組殺人事件」はコメディとしては一番面白かったけど、今回は事件の結末が何か物悲しくて、後を引いたなあ。とくに燃料が尽きるまで南の空へ向かって飛ぶ●●(誰かは秘密)。そんなに父を愛していたのか(心中するほどに)。
それと、杏奈と練無の少林寺拳法対決。練無は引き留めようとしてたんだね、「今度、飛行機に乗せてね」って。そして、逃亡のため犯罪を犯してしまう、何でも屋(主に探偵)の「保呂草」・・最後は警察に捕まって次巻から主役降板かと思ったわw

結局、魔剣「エンジェルマニューバ」に関わった一族は悲しい結末になるという物語でもありました。いやあ、今作は読んでいて面白かったわw

あと、この本を読むに当たって「航空機辞典」は必須ですねw航空用語がチンプンカンプンでフライトショーの描写がイマイチ頭に想像できませんでした(もちろん後で調べましたけど)。

Vシリーズは主要キャラの個性が面白いですね。泥棒・変人科学者・女装医学生・サバサバしたお喋り好きな関西ドジっ子。これから読む続編も楽しみです。

974やまびこ:2019/09/06(金) 18:01:33 ID:rmiMl0oI
◆Τになるまで待って

G(ギリシャ文字)シリーズの第三巻。いつものメンバー(山吹・加部谷・海月)に加え、前巻からレギュラーになった探偵・赤柳はMNI関係者の依頼を受けて、「真賀田四季」とその組織MNIに関する資料がある噂されるので調べるために超能力者が住むという「伽羅離館」を訪れる。
その夜、その屋敷に住む主人で超能力者の「神居」が密室で殺された。玄関は開かなく、窓には鉄格子があって外に出られなくなる赤柳たち主要メンバーは館からの脱出と超能力のトリックや密室の謎に挑むという話でした。

感想:今回は読んでる途中はこの先どうなるのか?ワクワクして楽しめたけど、読み終えた後「なんだこの話は???」って読後感があまり良くなかった(言っちゃ悪いけど)。
ミステリーと言うより、ファンのための海月くんや犀川先生の天才的な活躍を描いた外伝、または主要キャラを掘り下げるためだけに用意されたシナリオって感じでした。

まず、犯人があやふや、犯人の動機もあやふや・・殺された超能力者もイマイチどんな人物なのかあやふや、メイドとの関係もあやふや、この館の施設もあやふや、MNIとは何をしてるのかもあやふや、依頼者のシンの目的もあやふや、不動産やがどうなったかもあやふや、全部読者の想像におまかせしますって感じ。
ただ、海月くんや犀川先生って凄いでしょ!「真賀田四季」て謎に包まれたラスボスで凄い人物なんだって見せたかっただけ物語で、読んだ後の満足感が感動がなかったなあ。
それと題名の「Τになるまで待って」(アメリカのサスペンス映画かよw)もただのラジオ番組で事件と関係があるのか無いのか、其処も読者の想像に任せます(関係はあると思うけどね)。無理矢理こじ付けたような題名でがっくり。ほんと「なんだこりゃ?」ですよw

「ブギーポップ」読んでいて、最後に活躍するブギーポップが強いなあ格好いいなあ神がかってるなあ・・統和機構って謎めいて壮大な組織なんだなあ・・って言うのと同じレベルの感想しか出ない話でした。ただ、主人公達「マジックと密室の謎を解いただけ」・・犯人や被害者に深いドラマなどいっさい関係無い観たいな、クイズを解くみたいな感じで無機質すぎるw

まあ、次回の話はもう少し人間ドラマや感情の動きを描いて欲しいかなあって思った初めての森作品でした。

975やまびこ:2019/09/17(火) 18:33:07 ID:rmiMl0oI
◆εに誓って ーSWEARING ON SOLEMNεー(神聖なイプシロンに誓って)

G(ギリシャ文字)シリーズの第4巻。内容は東京旅行の帰りに名古野(なごの)空港行きの同じ深夜バスに乗り込んだ山吹と加部谷。
その後、そのバスはバスジャックされて、乗ってる他の乗客は「εに誓って」という宗教めいた自殺希望者達のツアーメンバーだった。
抵抗するとバスや東京に仕掛けた爆弾を爆破させるという。一方赤柳の元にはいち早くバスジャックと運転手殺人事件の情報がリークされていた。赤柳は裏で暗躍する「真賀田四季」の謎の組織の影をみるが・・。
という今までの密室やトリック殺人事件とは違うパニック犯罪映画みたいな内容でした。

前巻よりは面白かったです。それぞれの乗客メンバーの自殺に至るまでの心情や過去が読んでいて面白かったです(小説としてだよ)。山吹たちがどうやってこのバスジャック犯に立ち向かうのかって思って読んでいたけど、まあ、常識で考えて、一般人が正義のヒーローみたいに解決できるわけ無いもんなあ。ただ、流されるままなるようにしかならないさ、って所が森博嗣節。醒めているというかリアルですねw
それでも少しは解決に役立つのかなあって思ってましたけど。まあ、今回は警察の仕掛けたトリックを見破っただけでしたw

しかし、自殺のために最後のバス旅行をするって、読んでいて寂しいなあ、わびしいなあ、虚しいなあって・・ずっと悪寒を感じながら読んでました。「バビロン」の自殺法(自由に自殺が許される法)に通じるもの(先取り?)がありましたね。自殺の自由ですか。
「真賀田四季」も色んな実験をして団体をつくって終わったらほったらかしなんですね(糞メーワクだわ)wこのGシリーズは推理ミステリー小説というより、真賀田四季の残した糞迷惑な残骸に主人公メンバーが巻き込まれて戦う話なのかな。

無口で他人に関心のない無機質アンドロイドみたいな海月(くらげ)君は萌絵ちゃんに気があるみたいだけど、犀川というフィアンセがもういるから、どうなるんですかね(何か事件に巻き込まれて死にそう)。そういや矢野繁良は降りなかったと言うことは自殺ツアーバスに乗っていたのか(ああ虚しいなあ)。

976やまびこ:2019/09/24(火) 16:46:03 ID:rmiMl0oI
◆詩的私的ジャック

萌絵と犀川が活躍するS&Mシリーズ第5弾。密室密室密室と那古野市の三つの大学の施設でおきた3連続密室殺人に挑むミステリー。
その殺人には学生にしてロックスターの結城稔やの影があった。彼の歌う曲「JACK THE POETICAL PRIVATE(詩的私的ジャック)」の殺人を予言したような歌詞は事件と関係あるのか?
そして、理工学に詳しくないと仕掛けられない密室トリックは犯人の手がかりとなるのか?わざわざ密室にしたその理由とは?わざわざ裸にした死体に残したナイフ傷の意味は?といったミステリーでした。

今回は複雑な事件の謎解きが特に面白かったです。犯人はなぜこんな面倒くさい殺人事件にするのか?最後まで読むとなるほどなあ、関係者の嗜好(狭い意味での性癖かな)が関わっていたんですね。あと、犯人の潔癖な性格と犯人と関係者のポリシーや愛憎関係も重要な要素でした。
こんな事件、普通聞いただけそれも一瞬で解けんわ(作者は犀川をスーパーマンにしたいとみえる)wまるで某「ストレイドッグス」の「超推理」並ですねw

犯人の気持ちはよく分る。ノイズがあると研究のひらめきや思考に影響するから、ノイズを取り除いて真っ白にしたい(誰でも持っている潔癖的な性格ですね)ということですね。ただ、犯人はその傾向が強すぎて、愛よりも比重がおもくなってしまった。最初の殺人で後始末をやらされた時に目覚めた感情とも考えられますね。
気持ちは分かるけど、やっぱり殺人しちゃったら、自分が不純物でノイズになって、自殺するしかなくならない?って思うんですよねw簡単に言えば愛よりポリシーで殺しちゃったって事ですね。

今回は密室や体に付けた傷(これは数字だとはすぐ分かりましたけど、事件解決には意味が無かったw)自体が読者や主人公達へのミスリードだったって所が複雑で面白かったです。しかし、3番目の密室殺人は密室じゃねーじゃんって思いましたわ(自由に鍵で屋内側ドアは開けられるし、本当に発見したとき密室だったのかは発見者の証言だけで描写されてないし)w

もうひとつ、女性と服を交換したり、女性の服を着たがってる結城稔って次のVシリーズの「小鳥遊練無」の原型?っておもいました。
あと、萌絵の親友「牧野洋子」はGシリーズにも登場してたような・・どの巻かは忘れちまったぜw

とにかく、今回の話は事件がや人間関係が複雑で面白かったです。
最後にコンクリートに何もなかったら、藤井助教授にどれだけ恨まれていたか(新たな殺人事件がおこるかも)、想像するだけでたのしいですねw

977やまびこ:2019/10/23(水) 06:27:24 ID:rmiMl0oI
◆黎明の書6 翼あるもの

シリーズ最終作。耽美な(今風に言うとBL要素有りな)人間と貴種(吸血鬼)の交わりと冒険とその行方を描いたファンタジー。
凄く久々に出版されたので、登場人物や世界設定を思い出すのに苦労しましたw

さて、感想ですが、この作者の描いたものは大概面白いのですが、この最終巻の完結編は今ひとつ心に響かず、スッキリしませんでした。
このシリーズ、四巻までは、BL要素(自分は好きじゃ無い)があっても、最高!って感動したんですが、五巻目で信頼できる好人物だった上王ミハイが、アレ?実は腹黒い陰険な不気味なやつ?って感じになって、物語自体方向性が怪しくグダグダになって悪い意味で裏切られたって思いました。
そしてこの第6巻でミハイがそれまでの敵だったイリヤと同じぐらい不気味で悪魔めいた倒すべき敵、極悪人、みんなの嫌われ者として描かれて、倒すべき敵がいなくなって、こいつが次の生け贄になったのかなんか哀れだなあって感情が先立って、爽快感やカタルシスが無くなったなあって少し残念でした。
でも、意外性を追求してそれが最後に感動にまた何かに繋がるならいいかって、読み進めましたが、ラストにいたり、都合がいい魔法めいた能力が飛び交い生物としてのリアルさが感じられない戦い、神話めいた戦いになって、ラストも「創造の能力」ってそんなに簡単に引継げるの?って、もう童話ファンタジー過ぎて「なんだこりゃ?」ってなりましたw

某「バビロン」で最後に話を畳まないでぶん投げたっぽい終わり方にも似てる。まあ、一応物語としては完結したっぽい感じにはなってるけど、アニメ「イデオン完結編」みたいな残酷と希望と壮大さが入り交じった終わり方で、悪い意味で裏切られたって感じが拭いきれません、時間が経てばこういう終わり方も有りかもって思えるかも知れませんが。
シリーズのファンとしては、「皆殺しの富野」みたいにしなくてもいいのに、みんな生きてハッピーエンドを期待してたのに・・。
でも、男同士の口づけや抱擁などの描写があって結構気持ち悪かったけど、それを上回る面白さが、このシリーズにはありました、だからこの最終巻も否定はしません、そこには作者の苦悩や葛藤があって、このような結末に至ったんでしょうね。

さて、この最終巻について、もう一つ思うことがあります。これは、誰かの脳内世界のメタファーなのではって解釈も出来ます。つまり脳内宇宙でサタナエルからラウル世代交代して新たな世界に移行するというのは、後悔して閉じこもってる人物が、新たな考え方を得て、再び立ち上がる事の隠喩ともとらえられると思います。
自分はそう解釈しました。すると、ちょっとスッキリして、この最終巻の終わり方もそこまで悪くないかなって思えてきました。

まあ、否定的なことを書きましたが、読み物としては最後までどうなるのかわからず、そういう意味では楽しかったし、このシリーズ、全体としては面白かったです。また新しいシリーズが有ることを楽しみに待ち望みます(BL要素は控えめにして〜w)。

978やまびこ:2019/11/17(日) 13:31:16 ID:rmiMl0oI
◆恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits (ペテンの海)

知る人ぞ知る「Vシリーズ」の第6弾。学生の「大笛梨枝」はふとしたきっかけで建築業者の「羽村怜人」と恋愛関係に落ちる。そして豪華客船ヒミコ号で香港まで旅行に行くことになる。しかし、船旅の途中で恋人の「羽村」は何かのトラブルで海落ちてたのか行方不明になる。
そしてその船に乗っていた富豪が所持していた高価な「とある有名画家の自画像」も盗まれてしまう事件が起こる。偶然(?)にもその豪華客船ヒミコ号に乗っていたいつものメンバー(保呂草・紅子・紫子・小鳥遊)はその事件の謎を追うことになる。少しコメディチックでガヤガヤと忙しなく意外などんでん返しのあるミステリーでした。

前半は二組の恋愛模様中心で、まったりとしみじみとしてそこまで嵌まらなかったが、後半の船旅で祖父江七夏(いつもの刑事)がヘリでヒミコ号に乗り込んできてから面白くなりましたw
七夏と保呂草の対決、七夏と紅子の対決、保呂草と紅子の腹の探り合い、小鳥遊(女装)と警備長片平の弟子同士の対決、保呂草と各務アキラの腹の探り合い、そして今回一番の見どころだと思ってる紅子VS各務アキラの知的女性の初対決など全てのシーンが面白い、楽しい、読み逃せない、ワクワクするって感じでした。
肝心の「絵画の行方」や「海に落ちた恋人の羽村の謎」なんて後回しって感じでした。あと、紫子ちゃんのドジっ子で不憫な恋愛コメディも見逃せないというかギスギスしてドライな人間関係模様の中でオアシスみたいな存在でした(小鳥遊練無のつっこみや素っ頓狂な行動や奇妙な格好もオアシスかなw)。紫子ちゃんがいつもより可愛く感じました。
気付いたんですが、女装学生の練無(ねりな)の口癖が「〜なりね」なのは名前に懸かっていたのかwしかし、ずっと女装してスカートをひらひらして何が楽しいのだろうか(男が好きって訳でも無いし、将来医者になる予定らしい)w今回、紫子ちゃんと息ピッタリでしんみりしたシーンもあって、二人は結ばれるフラグって思ってしまったが。

他のシリーズと違って「Vシリーズ」はコメディとして楽しめて映像化して欲しいが、今回の話は難しいだろうなあ(羽村の正体の関係で)。ていうか、羽村の正体って最初アイツだと思っていたが、途中で違うのかなって思ったけどラストのラストのラストで、ほおおってどんでん返しに叫びたくなりました・・・(詳しくは読むべし)。

はっきり言えば前回の「魔剣天翔」の話の続きというか、後編みたいな感じでしたが、今回の「怪盗ルパン」は紅子よりいいところ取りで格好良かった。ほんと一癖二癖もある連中のドタバタミステリー、最高ですw早く次巻を読みたい、そんな気分にさせてくれる今回の小説でした。

大笛さんは子供が愛せなかったけど、羽村さんと付き合うことで、愛する気持ちを学んでいって子供が欲しくなった、って解釈でいいのかな。そして羽村さんは最初っから全てを計算に入れていたということかな。

979やまびこ:2019/11/26(火) 17:30:19 ID:rmiMl0oI
◆6人の超音波科学者

Vシリーズの第7弾。6人の科学者が住む山頂付近に建てられた大型の研究所「土井研究所」のパーティの招待された紅子と練無。そのパーティでは土井博士から重大な発表もあるという。
保呂草や紫子(いつものメンバー)も二人を送るため研究所へやってきたのだが、バッテリーが上がって帰れなくなる(それだけではなく、途中の橋が爆破されて戻れなくなる)。そして、パーティの途中でファラディ博士が首を絞められて殺されてしまう。
橋爆破予告があった警察も橋付近まで来ていて、一人研究所側に渡っていた七夏(いつもの女刑事)だけが研究所まで来ることが出来てその殺人事件を知る。いつものメンバーのすったもんだの推理&サスペンスが始まるというミステリー。

最後付近まで、本に載ってる地図を見ながら冒険・探検気分で読めるのは楽しかった。しかし、最後付近まで推理が始まらない(犯人捜しをしない)ので、コレちゃんと終わるのかと心配になりましたw
6人博士の名前と謎の土井博士のメッセージと奇妙な自画像(6人の博士が描かれている)でエレベーターの秘密が分かった人がいたら凄いと思うわ〜、自分は分からなかったというか、紅子の謎解きを読んでこれってそういう駄洒落なの?ってちょっと腰砕けになりましたw
幾ら先の無い命でも、自殺とか殺されるのはいやだろって思ったけど、何か信念を持ってる人なら自己犠牲も問わない、満足な人生の終わり方、つまり本懐なんだろうなあ。研究熱心や科学者は一種の職人なんだろうなあ。
しかし、練無の首を殺すまで絞めた意味が分からないけど、暴れたから気絶させようとしただけかもね。科学者だから、手加減とか出来なかったんだろうと解釈しました(紅子の怒りを買って謎や殺人トリックが全部バレてしまいましたけどね)w

他の見どころは、紅子VS七夏ですね。気の強い七夏(ぷんすか、キーッ!)がピエロになっていて、読んでいて楽しかったです。ただ、女装の練無とは仲が良いようで一緒に行動しますね(保呂草にも軽くあしらわれてキーッ!って感じですね)。
あとは女装の練無(いつものことだが)ってなんなん?シリーズが続く度に、女装頻度が多くなって、行動も脳天気で乙女チックになっていって、それでも他の人は気持ち悪く思わないで(声は男だろうに、口調もやや男なのに、ゲストには男ってばれないで)、ほんとなんなん、こいつ?頭大丈夫か?ってなりました。見た目がアイドル並みに可愛いんでしょうねw
しかし、こいつが医学部で将来医者を目指してる、そして格闘技を習っていて強い!って・・ある意味小説の中だけ存在可能なチート設定ですね。

他には保呂草、また研究所で盗みを働くのかと思いましたわ。紫子ちゃんはあいかわずドジで無垢で可愛いですね。

まあ、楽しいシリーズなんで続編も読みたいのですが、もうすこし練無の存在をリアルよりにして欲しいかなあッテも思います。なんか、自分が可愛いのを知っていて調子こいてる痛い奴になってきてるきがするわw

ということで、途中まではワクワク、最後の推理は駄洒落っぽくてまあまあかなって感じの感想でした。

980やまびこ:2019/12/10(火) 22:14:19 ID:rmiMl0oI
◆λには歯がない

Gシリーズの第5巻。今回は密室(T建設技術研究所の構造系実験楝二階、第二構造実験室とその準備室)で四人の男たち(身元不明)が拳銃により殺され、さらに歯を全部抜かれていた。そして死体のポケットの中には「λには歯がない」というメッセージが。
密室殺人マニアの「西之園萌絵」はさっそく現場へ。刑事も犀川&西之園にこの殺人の謎を解いて欲しいということで、最初っから協力的(情けないw)。
いつものメンバー(山吹・海月・加部谷)に探偵・赤柳や謎の女(誰かな?)・謎の男(情報屋?泥棒仲間?葛西)になんとあの保呂草(絵画泥棒&探偵&前シリーズのメインキャラ)もからんで事件は複雑怪奇になっていくというミステリー。

今回の話はシンプルな始まり方で、事件解決と関係ない所で複雑になり、だんだん闇が深くなり、思わぬ登場人物「保呂草」(赤柳の旧友らしい)でさらに頭が混乱する、結構面白いミステリーでした。
密室の謎もシンプルかつ、納得がいってすっきり!って感じで読後感はそんなに悪くなかったが、ただ、新たな謎が次々に出てきて、再びモヤッとしましたw

しかし、免震構造とλ(ラムダ)がまさかの人の名前を暗示してたのには恐れ入った。犯人も銃の腕前が良かったて事は、いまは頭が良い●●な人物(おっとネタバレw)だが昔は堅気じゃ無かったってことかなあ(趣味で拳銃を撃っていたのかなあ?それとも計画実行のため練習した?)。
そして謎の女から情報をもらって、一連のギリシャ文字事件と思わせようとした(標的にとって恐ろしさが増すから)。
しかし、ギリシャ文字シリーズ事件の黒幕は「同じ事件の一連」だと思われることが嫌だったので、または保呂草が同じ事件だと混同されると厄介なので、コピーキャット犯だと情報をリークしたのかも知れませんね。

さて本編と関係ない所での謎ですが、ギリシャ文字事件が「真賀田四季」が関係しているのは確かだと思うのですが、彼女の意思とは無関係に勝手に行われていて、それを阻止するために、保呂草や謎の女(たぶん前シリーズのキャラのアキラでしょう、三人の男を警護に付けているからw)に色々手を回させているのでは?って感じました。
葛西は昔の犯罪仲間か情報屋でしょうか(浮浪者に紛れて情報収集か?)、あまり健康そうではなく、老い先短そうですが。だいたい、第一作目の「φは壊れたね」の犯人と被害者の動機もよく分ってないこのシリーズ、はたして最後まで読めば謎はスッキリ解けるのでしょうか?
Vシリーズと平行して読んでるので、最後に保呂草がどういう人物なのかも分かるのでしょうかねえw

981やまびこ:2019/12/20(金) 19:31:49 ID:rmiMl0oI
◆ηなのに夢のよう

Gシリーズの第6巻。真賀田四季と知り合いの数学者「深川恒之」が朝の散歩の途中で、地上10メートルもの高いところにあった首吊り死体を見つける。側には「ηなのに夢のよう」というメッセージが。
一連の事件だと感じたいつものメンバー(犀川・西之園・海月・加部谷・山吹・赤柳・国枝(←おまけ))がいつものように集まって事件を考察する。そして次々に起こる「変わった首つり自殺」とメッセージ。そして萌絵の友達の反町や金子にも被害が及ぶ。
彼らだけで無く、四季関係の人物達も動き出すというミステリーサスペンス。

今回の話はミステリーというよりも純文学的を読んでる様な気分になりました。まるで夏目漱石も「こころ」や村上春樹の小説(例えがズレてるかも知れないが)みたいな、なんで生きてるの?なんで死ぬの?生きてる意味って何?正義って何?真実って何?って問われ続けてるような感じでした。
自殺は悪では無いみたいな話が出るとあの「バビロン」を思い出してしまいます(逆に「バビロン」が影響を受けた方かも)。
つまり、ミステリーを解くいつものパターンじゃ無かったですね(自殺の謎は最後までもやもやとしていて、この小説が何を描きたかったのかは自分で考え感じろって事ですね)。まさに純文学っぽいw

出てくる聡明な人物たちが、自殺は罪では無い、自殺はその人権利だ、とか冷静に分析してるのをみて、いやな達観した人達(犀川・海月・紅子お前らだよ!)だなあってちょっと嫌いになりましたわ。西之園や加部谷みたいに自殺は駄目!ってスタンスの方が人間らしくて好きですわ。
最後に、ペットの死を持ってきたのは、嫌な達観をする人達へのアンチテーゼ・抵抗・反抗ですね。愛するものの死の重みを自殺という罪を描きたかったと勝手に解釈します。可哀想ですがイイオワリ方だったと思います。

あと、この巻で言いたいことは、あの「瀬在丸紅子」(Vシリーズ)や「保呂草」(Vシリーズ)そして「椙田」(Xシリーズ)や「真鍋」(Xシリーズ)、そして「真賀田四季」が出てきたことに吃驚です(オールスターではないですか)wそして「保呂草」=「〇〇」だった。
テロリストの藤井苑子だけはなじみが無いですね。いつ出てきた人なんだろうか。ジャーナリストのアキラ(Vシリーズ)だったりして。

とにかくいつもの謎解きミステリーとして読まない方がいい話でした。次回が楽しみです。ていうか「Wシリーズ」(ウォーカロン)って続編が出てたんですね。それも読まなくてはw

982なつかぜ:2020/01/06(月) 14:28:34 ID:rmiMl0oI
◆封印再度 

S&Mシリーズの5作目。24年前風采という仏絵師が蔵の中で自殺した。その側には血のついた「天地の瓢」と血のついてない「無我の匣」が置かれていた。
そして現在、風采の息子の林水が死体となって発見され、彼の仕事場には同じように「天地の瓢」と「無我の匣」が置かれていた。自殺なのか他殺なのか、密室殺人マニアの「西之園萌絵」が殺人と二つの家宝に興味を持つ。

感想:ミステリーと言うより人生哲学って感じでした。でも面白かったです。TVドラマで一度見たことがあったので、退屈かなあって思いましたが、TVドラマで描かれてなかった「哲学」的な部分や西之園の交友関係や日常シーン」が結構面白かったですね。
しかし、「いる」のに「いない」とか、ローリー車との二度目の接触で事故ったとかあとから証言が飛び出してきて、初期情報だけでで、こんな謎解けるか〜って思いましたわwまあ、謎解きメインじゃ無くて人間の心理や生き様の対比や哲学的な会話を楽しむ話だったので気にはならなかったですね。あと、犀川と萌絵のイチャイチャとか喧嘩とかw

自分を滅することで模写がメインの仏絵師としての自分が完成に近づくって事でしょうか(深いですね)。無我の境地ですねwあと、鵜飼さんも萌絵を狙ってるらしいんですが、無理なんでちょっと可哀想でしたね。
浜中は牧野狙いかな。まあ、そんな理系の大学生の日常を面白く描いてるのもこのシリーズの見どころの一つだと思います。
あと、西之園が実は「血の癌」だと知ったとき、自分も犀川と同じ気持ちになりましたわwでも、後のシリーズでピンピンしているのであれ?って思いましたけどね。

とにかくミステリー以外の部分が楽しかった小説でした。

983なつかぜ:2020/01/13(月) 09:19:39 ID:rmiMl0oI
◆今昔百鬼拾遺 鬼
1954年(昭和29年)頃、駒澤・下谷付近で起きた昭和の辻斬り事件辻斬り事件を取材する「中善寺敦子(29歳)」と女子学生の「呉美由紀」の活躍を描いたミステリーシリーズ第一弾。
中善寺敦子は兄が「京極堂」なので「百鬼夜行シリーズ」の外伝で有り、今回の話は土方歳三が主役だった小説「ヒトごろし」の続編でもある。ちなみに呉美由紀は小説に出てくるキャラで、当時は聖ベルナール女学院の生徒。

感想:続編(外伝)を出すなら本編の「鵼の碑」を早く出して欲しい!ってのは冗談で(もう半分無かったことにしませう)、今回の話、本当に楽しみたかったら「百鬼夜行」(特に「絡新婦の理」)シリーズと時代小説「ヒトごろし」を先に読んだ方がいいでしょうって事を先に書いときます。
事件自体はそこまで複雑ではなく、誰が犯人かまた事件の謎などは全体の3分の一も読めばなんとなく分かりましたが、土方が所持していた無銘の刀にまつわる歴史・人物関係や因縁関係が超複雑で、全体像そして刀と因縁の流れを理解するのにすごく頭を使いましたw本自体は京極作品にしては薄いけど。

重要なのは「刀剣片倉」のお隣り保田さんの話と研ぎ師「大垣喜一郎」の話ですね。あとは鳥口(懐かしい「うへぇ」キャラ)の事件メモ(特にストーカーの儀助)ですか。
いやあ、読んでる途中いつ犯人の名前が挙がるのかってちょっとニヤニヤ、ちょっと回りくどい、って思いながら読んでました。刀に魅入られた人が人を斬りたくて辻斬りをするって話は昔からあるのですが、それを思い出しちゃって犯人が何となくアイツだな!って予想できましたが、本の中の捜査方面のキャラ達は常識的な犯人像しか想像できなくて、引っ張るなあ〜ってどの辺で犯人を名指しするのかなって思いましたわw
それにしても、「自分をその刀で斬ってくれ」って土方に頼んだ、あのお涼さんが函館の戦争から生き延びていたとはちょっと妙な感動が有りましたね。しかし、生き延びたせいで孫娘は殺された原因の一つになったわけで、これは「お涼さんの歪んだ望みの呪い」みたいなもんじゃなかろうかと思いますw
市村鉄之助が衣田の親戚に刀を売った事実で、刀の流れの最後のピースがはまったのがスッキリしましたね(パズルかよ!)。

人間関係パズルとして楽しめたし、色んな作品の続編として懐かしく楽しめた作品でした。

984なつかぜ:2020/01/20(月) 22:05:43 ID:rmiMl0oI
◆今昔百鬼拾遺  河童

百鬼夜行シリーズの外伝の第二弾。今回は女子高生の噂になってる覗き魔事件と河童の伝説。そして本物とすり替えるために模造宝石を作らせた訳ありの隻腕の男「久保田」が尻丸出しの死体となって川で発見され、その死体の知り合い「廣田」も川で尻丸出しで死体となって発見された。
彼らは7年前の戦後まもなくにある団子屋で他3人の男(合計五人)で何やら良からぬ相談をしていたという。記者の「龍造寺敦子」と探偵の「益田」、女子高生の「呉美由紀」に妖怪研究家「多々良勝五郎」も加わって、その模造宝石と死体の謎を解くために活躍するというミステリーでした。

感想:誰かの感想でも観たが、最初の60ページは女子高生達が「尻と各地の河童伝説」について延々と議論するのが呆れたというか、この作者らしいなあって、昔読んだ京極堂の出るシリーズを思い出してちょっと懐かしく感じました。そして各章の出だしが「下品な話ですが」「品の無い話ねえ」とか韻?を踏んでるのも、ああこの作者らしいなあって思いました「ヒトごろし」でも同じ書き方だったしw
で、内容ですが中々に逆転劇があって、面白かったです。犯人が誰なのか、やっぱりお前か!いや違うのかな?って最後の方まで混乱させられました。犯人が親を殺した奴を見つけるため〇〇な犯罪ををしてたんですね。
あと、地図で千葉県の夷隅川を調べたんですが、ほんとにッグチャグチャ曲がりくねっていますね。いすみ鉄道がその川に沿ってこれまたくねくねとしてるから、そりゃややこしくなるわけだw大戸・久我原・大喜多もちゃんとあって、この辺で事件が起こったんだってちょっとワクワクwただし廃村になった「遠内」は無かったですね(まあ架空かな)。ただ、呉美由紀の叫び「みんないい人説」には感動はしなかったですね。
10代の頃なら、呉美由紀の性善説は感動したり共感したかもしれませんが、醒めた大人の自分には理想論だなあって感じです(お前だって人の心の中は分からないのに勝手にいい人にしてるだろうに、感情論すぎる・・・って思ってしまいましたw)。まあ、悪い方に考えて悩んでいったり、醒めた目で生きていくよりより、そうで在って欲しい(自分のため生きている人のためにって事ですね)
勝手に解釈するなら、息子の可奈男が父親の死体に母親の頭蓋骨を抱えさせたってのが一番しっくりくるんだけどなあ。常識的に考えてガイコツを妻だと分かるわけないじゃん(ファンタジーで死ぬ間際で妻の亡霊が現れたり、奇跡的にガイコツが妻の顔に見えたとかならよくあるかもね)w

色々文句も書いたけど、全体的には奇想天外で予想不可能な事件で面白かったです。さて次は「天狗」の事件ですか。

985なつかぜ:2020/02/02(日) 09:52:16 ID:rmiMl0oI
◆幻惑の死と使途

副題は「魔法のような奇術の行為」と読めばいいのかなあ。
S&Mシリーズの第7作目。脱出イリュージョンで天才奇術師「有里匠幻」が殺された。偶然にも観客として観ていた「犀川」と「西之園萌絵」は有里の弟子達と知り合い、
その後、関係者が次々に殺される事件や「匠幻」の遺体が消失する事件に深く関わることになる。果たして、殺人の謎と脱出イリュージョンや消失の仕掛けを見破ることが出来るか?といったミステリーでした。

結構、殺人事件とは関係のない、大学院受験や大学生活や別事件のに関わってる友人との交流などがじっくり描かれていて、結構分厚い本のボリュームでしたw
内容は、ほとんど正解を出す「西之園萌絵」の推理で今回は「犀川」の出番はないのかと思いきや、最後の最後に「逆転の発想」というかさすが犀川の推理だって言う、大どん替えしがあって面白かったです。
まるで、観客を飽きさせない出来の良い「あのイリュージョン」を観てるかのようでしたって、あの「引田天功」(二代目)も褒めていました。ていうか、まさか「プリンセス天功」が感想を書いてるとは・・これもびっくりイリュージョンw

トリックや裏の人間関係も複雑で、萌絵の推理だと、異常ファン心理が引き起こした犯罪だが、犀川の推理だと恋人を寝取られた嫉妬からくる犯罪で、三浦刑事も納得だが、第3者が安心するための納得する理由付けの動機という皮肉という一面もある。
結局犯人は炎の製作所からの脱出をあえてしないで、逝ってしまったので真実は解らずッテもやっとしますね。
もっと早く犀川が「有里匠幻」の名を叫べば、宣言通りに(密室であるところの)炎の製作所からの脱出して自首したのでしょうか。

あと、ゲストとしてGシリーズのおちゃらけ役の「加部谷恵美」(初登場)が出てきましたね。あと、浜中の恋人も出てきて、簑沢杜萌という別事件に関わる友人も出てきて、一気に世界感が広がった感じですね。
それと「物には名前がある」とか「名前のために生きている」とか哲学的な会話もけっこう楽しめました。

プリンセステンコーの感想も楽しめる面白い小説でした。ただ、「犀川」がそっけないというか斜めってるというか捻くれ度が段々増してるように感じるのだが(萌絵が刑事でもないのに事件に関わりすぎるのが原因かな)w

986なつかぜ:2020/02/04(火) 02:04:29 ID:rmiMl0oI
◆美少年蜥蜴 【光編】
美少年探偵団シリーズ10作目。今回は男装主人公「瞳島眉美」が行方不明になった他の「美少年探偵団」を見つけて学園へ連れ戻すために、悪友や犯罪集団の力を借りて、当面の敵である胎教委員会が創立したパノラマ島にある「胎教学園」へ単身乗込むが、そこに意外な人物と意外な展開が待っていたという話でした。
主人公の物体を透視してしまう良すぎる眼が、使いすぎで失明するまでの話って最初に書いてあったので、何か重い話だなあって読み始めたら、そんなに重くないかも何とかなるんじゃんね?って展開で安心したところで、いきなりあれだもんなあ(ネタバレなんで伏せます)。読んでて、軽くショックを受けましたわ。
チャランポランで、屁理屈に屁理屈を重ねた、巫山戯た感じというか、おちゃらけた感じのシリーズであったが、さすが綺麗に風呂敷を畳み始めたなあってちょっと感心しました(さすが大人気プロ小説家!)。

昨日の敵は今日の友的な展開も有り、ラストは透過する視線を感じたニュータイプ集団かよってちょっと都合が良すぎるんでないの?って思いつつも、まあこの巫山戯たシリーズだから許せる終わり方かもッテも思いました。
そして、最終巻に続くで終わったんだけど、ハッピーエンドで終わって欲しいから、やっぱ主人公の失明はなんとか回避して欲しい(何らかの救済策が有って欲しい)なあっては思いますね。

あと、特筆すべきは遅読な自分でもたった2時間で読めたという薄さ、まさにライトなノベルの鏡でしたw




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板