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ライトノベル総合

926めんたい:2018/04/07(土) 22:15:02 ID:gVk8kjHE
◆カムパネルラ

昔の童話や小説や歴史上の人物の逸話を基にアレンジして新しい物語を描く創作は多いけど、たいがい信長とか桃太郎とかヒットラーとかシンデレラとか有名な物ばかりなんだけど、この作者は宮沢賢治や「銀河鉄道の夜」などをベースに独特のSFサスペンスを書き上げてしまったというのがこの「カムパネルラ」である。
相変わらず,独特の表現・文章形態で読み解きづらく、理解するのに一苦労な物語でした。本のボリュームが300頁ほどで在ったのが救いだったwこの人の小説は時々面白いんだけど,クドくて読みにくい(自分はね)。でもこの小説に関しては結構スピーディな展開でくどさは感じ無かった。ただ面白かったかと問われれば,微妙だなあ。

簡単にストーリーを紹介すると、どこかの近未来日本、危険思想を排除するため第3稿の「銀河鉄道の夜」に描かれる自己犠牲の精神を掲げる国家機関であるメディア管理庁があった。主人公の母は第4稿の「銀河鉄道の夜」の研究をしていたために思想犯罪者として捕らえられて拷問の末死んでしまう。主人公は母の遺言通り遺骨を「宮沢賢治」の故郷の河に散骨しに行くのだが、不思議なアクシデントで宮沢賢治が死ぬ間際の昭和8年に飛ばされてしまう。その世界には宮沢賢治の描いた小説の登場人物や物語設定が混在していて、ジョパンニやカンパネルラや風の又三郎まで実在していた。そして、カムパネルラ殺人事件が起こりジョパンニと間違われた主人公が疑われる、果たして何がどうなってるのか真相は?と言うSFミステリーサスペンスです。

感想:まず、宮沢賢治レイプってのが意外で奇想天外だった。あの宮沢賢治が何回も「銀河鉄道の夜」を書き直していたことの驚いた。(何処まで本当か知らないけれど)最初は国のための自己犠牲(愛国主義・祖国への滅私奉公)や「全体が幸福になれば個人も幸福になる」を謳った小説だという。そして死の間際で書き直していた第4稿「銀河鉄道の夜」は平凡に善良で無私に生きることこそ尊い、または「個人の幸福があって初めて全体の幸福がある」または「少年少女の自立心」を謳っていると作者は書いている。いやあ何もかもが新鮮でその辺は大いに興味を持ちました。
そして、訳の分らない展開(天気輪の柱によりタイムスリップで昭和8年に行ってしまったかと思えば、賢治キャラクターが闊歩してるし、賢治は5年前にとっくに死んでるし、賢治の妹は生きてるし、主人公はジョパンニと間違われて警察の捕まったり・・)でこの作者とうとうネジが飛んだんじゃ無いのかって一瞬いや何瞬も思ったよw物語の体を成してないぐらいぐちゃぐちゃな展開だもんなあ。しかし、中盤まで読み進むと、なるほどこれはちゃんと考えられたSFなんだって少し納得して安心した。
物語は意外な方へ二転三転し(ここがこの作者の真骨頂がネタバレなので書きません)で主人公が奮起してメディア管理庁の刺客達と戦うことになる。主人公は鍛えられた兵士では無いので、そこは運と頭で旨く乗り切るかんじだ。
まあ、人にはお勧めできないけど、この作者の作品に結構触れてきた自分としては面白くなくは無い。ただ、凄く面白いかと聞かれたらやっぱり微妙かなあwでも一回ちゃんと「銀河鉄道の夜」を読みたくなったわ。

この人の作品にしては分りやすく読みやすい方なので宮沢賢治に興味があったら読んでみて下さい。ただ大半の人が肌に合わないだろうなあ。まだ、「桜花忍法帖」の方が面白いと思うかも。




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