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ライトノベル総合

929めんたい:2018/05/04(金) 03:16:25 ID:rODKo/KA
◆宮沢賢治コレクションⅠ
・セロ弾きのゴーシュ
金星音楽団の一員であるゴーシュはセロを弾くのは下手で、他のメンバーに迷惑をかけてました。
家(壊れた水車小屋)で夜中練習していると三毛猫がやってきて曲のリクエストをしますが、わざと猫がいやがる曲を弾いて追い返してしまいます。
その晩から毎晩色々な動物がやってきて、色々な注文をします。その内にセロの腕が上がって楽団のみんなに褒められるまでになりました。ゴーシュは邪険にした動物たちに「すまない事をした」と思うのでした、という話です。

中々に面白い童話です。こういう話は子供が喜びそうですね。教育にも良さそうですw

・北守将軍と三人兄弟の医者
北方で30十年も国を守ってた戦ってきたソンバーユ将軍と9万人の軍隊が王都に帰還したが、馬の上に30年も乗っていたのでウマと離れられなくなった上、体中に植物が生えて、ウマも酷い病気に罹っていた。そこで南の崖の上に立つ3つの家の3人の医者に診てもらうことにする、という話です。

これも子供にとって凄くワクワク出来る話じゃないでしょうか。これを読むと童話はオチなど無くても何か一つ考えさせられることが描かれていればそれでいいって感じがします。だって最後が「ソンバーユ将軍は仙人になった」と神格化した人に対して三人の医者の一人が「そんな馬鹿なことはないどこかで死んで骨になってるんだ」と冷静に科学的に批判して終わりだからですw
どんなに凄い英雄でも死んで神になるわけではない、自分たちと変わらないの人間だとといてるのでしょうか?

・グスコーブドリの伝記
冷夏のため農業が上手くいかず、貧困により両親は自殺、妹は見知らぬ人に誘拐された、一人残されたグスコーブドリの波瀾万丈な生涯を描いた物語。農業に生き農業に死んだ農業物語でもある。

これを少年向けの小説と呼ぶには多少ハードな内容だなあ。確かにファンタジー的な都合のいい設定はあるけど、両親の子供に心配をかけまいと嘘をついて自殺するためいなくなったり、飢饉を助けに来たボランティアのふりをして妹を攫ったり、飢えた子供を蒸しパンで釣って働かせたり、せっかく上手くいった農業も噴火の灰や病気で駄目になって失業したり、少年が読むには夢がなく生きることの厳しさが強調されていてかなり辛い内容だと思いますw
クーボー大博士が出てきてからは、いつもの先端科学先端大好きな宮沢賢治節で、何か微笑ましかったですね。冷夏がやってくると「地球温暖化」を逆手に取り、わざと火山を噴火させて二酸化炭素(炭酸ガス)を増やすという案には、科学大好き宮沢賢治の真骨頂を見ました。あと自己犠牲精神も隠さレタテーマの一つでしょう。ストーリーも起承転結がしっかりしていて中々に面白かったですね。

・銀河鉄道の夜(第3次稿)
最初に読んだ「銀河鉄道の夜」は最終稿(第4次稿)です。違いは最初の学校のシーンが無くて、最後の「カンパネルラは溺れた」と彼の父親が言うシーンも無く、最後にプルカニロ博士が出てきて、今まで乗ってきた銀河鉄道の物語は夢で実験だと言います。ジョバンニはみんなの幸せのためにまっすぐ生きようと決心します。あとはだいたい同じです。

最終稿(第4稿)よりかは希望に満ちた終わり方でこっちの方が多少いいかなあ。明日に向かって頑張るぞって感じで終わりますから。ただこのプルカニロ博士が多少胡散臭くて、何者?何のため、なんでジョバンニにこういう夢を見せたのだろうか?クラスメイトに虐められてたから強い心を持つように導いたとも考えられますがwあと、やっぱりカムパネルラは死んだのでしょうか。

・農民芸術概論
農民は忙しく仕事が辛い、現状はただ働き、その日を生きる事で精一杯である。それではいけない、科学や芸術や音楽や色々な技術を取り入れて、もっと仕事に余裕を持たせ、楽しく生きるべきであるというようなことが書いてあります。

文章に「第4次元」と表現をたまに見かけるけど、賢治氏は4次元世界という言葉に、新しきもの希望の光、先端科学や技術の象徴的なものを抱いていたのでは無かろうかと思います。「銀河鉄道の夜」でも「三次元から持ってきたもの」とかの表現がありますし。

最後に、いままで題名だけは知っていても、ちゃんと中身を知らない物語ばっかりだったので、読んで良かったですね。しかし宮沢賢治コレクションは全部で10巻あるらしく、続きはまた気が向いたら読んでみようと思います(読み疲れたw)。




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