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チラシの裏 3枚目

1むらま ◆vVmhS9Bdr2:2009/03/29(日) 19:47:59
ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに

817サガフロンティア×アイマス 第三十一話 1/3:2009/11/09(月) 00:12:28 ID:ZAjHQp/M0
「マンハッタンセントラルゲート研究所の『サイネリア』博士
 あの人に直接会ってみる必要があるんでしたっけ、P765ちゃん」
「はい。私はこれより、一人でマンハッタンへ向かおうと思います」
こうして、P765が離脱。

春香、雪歩、千早は姿を見せず、どこかへと消えていってしまい…


「みんな、今まですまなかったな
 …自分、これからネルソンに行かなきゃならないんさ。」
響も離脱。

一人、また一人とメンバーが少なくなってゆくのでした。


「…皆さん、どうしたんでしょう」
「それぞれの戦いがあるってことかしらね。
 ルージュはブルーとの対決があるし…
 P765は自分の目的を思い出す必要があるし、
 響はネルソンに行って艦長とコンタクトを取る。
 春香たちにも何か事情があったことでしょうし
 私が以前協力した真の幼なじみの啓介って子にも仇討ちの相手がいた。」

「啓介に律子が協力!?…聞いたことなかったな」
「ブラッククロス四天王シュウザーの基地まで案内して、ついでに一緒に戦ったのよ
 結局、手柄はアルカイザーっていう噂のヒーローに取られちゃったけど…あの子、いい顔してたわ」


「…っと。そして私にもこれからするべきことがある…
 やよい、あなたは少し待っていて。…行かなくちゃならない所があるから」
「…はい…。」

やよいは寂しげでした。
集まっていた仲間がどんどん離れていくのですから。…それも、それぞれが本当に仕方ない理由で。




「それで、これから美希どこ行くの?」
「ラムダ基地にジョーカーが来るっていう情報が入ったのよ
 だから…場所はトリニティ・ラムダ基地。どういう場所かはアンタが一番よく知ってるわね」
「はいなの!」

彼女らもまた、自分達の戦いへ向けて動き出していたのでした。


トリニティ・ラムダ基地。
前回のようにすぎおの協力はありません。
しなやかな動きで侵入、モンドの部屋を目指します。

浮遊する警備メカ、スカイラブの砲撃をかわして美希は粒子加速砲を発射。
それ以外にも敵は現れます。
トリニティお抱えの術士マクンベローナ、
石化能力を持つバジリスク、トラップモンスターのミミックなど。
「…あ、宝箱!!」
宝に化けた強化リビングアーマー、ワンダーランス、マッドアクスとの戦闘になったりもしつつ、
それらを乗り越えて行くと…

「……あの部屋かな」
大抵の部屋は調べつくした後。大きな一つの部屋の前に来た時に…
それは現れました。

「…な、何なの…?」
凶悪マシン、『R&R』。ガンファイターを極限まで強化したトリニティが誇る警備メカでした。
「『シャドウサーバント』!」
美希は影を呼び寄せ、二倍の攻撃力で一気にしとめる方法に出ます。…が。
「っきゃああああああ!!」
R&Rはヘビーレールガンを発射。確実に致死レベルの射撃でした。…影が身代わりになっていなければ。
しかしそれでシャドウサーバントは解除。これにより、美希の魔力が無駄になってしまいました。
「…術が防がれたなら、他にはこうするしかないの!!」

兵器を手に…
「『重粒子砲』!!」
イオンライフルのそれとは比べ物にならない威力のプラズマガンを放ち

「うううっ!!」
突進を食らいながらももう一発。

「ま、ぶしいの…」
催眠フラッシュの強力な睡眠効果にも負けず…それを振り払うかのように
美希は奥の手として用意していた、剣をも破壊する最強最大の一撃をR&Rへとぶつけます。
「確か雪歩も呪いの剣に取り付かれたときこうやってたの!」
それは見よう見まねの必殺技。

「はあああああああああああああああああああああ!!」
歪み、美希へと収束する光…落ちゆく稲光。全ての力を集結させた一発。

高く高く飛びあがり、宙を蹴り落下…自分と武器が持てる全エネルギーを込めた一撃でメカを己の武器ごと粉砕。
「『ファイナルストライク』!!」


…これにより道は開かれました。

818サガフロンティア×アイマス 第三十一話 2/3:2009/11/09(月) 00:13:01 ID:ZAjHQp/M0
「随分騒いでくれたようだね」

中で待っていたのはサングラスの男。
「おじさんとジョーカーの接触はバレてるの…ジョーカーはどこに行ったの」

トリニティの官僚と思しきその男に聞くと…
「…そうだな。バレているだろうね
 何せ、それは私が送ったものだからな」


「…!? …じゃ、じゃあこれはもしかして…罠!?」
「そう。罠だ
 ジョーカーの奴にはキューブのありかを示す暗号文を渡していてね
 キューブがヨークランドの奥地、『忘れられし礼拝堂』にあると言っておいたよ」

言っておいた。その言葉の意味を美希も瞬時に理解します。
「…罠って、まさか」
「そうだ。そんな場所にキューブなどあるはずがない。
 ジョーカーは我々としても排除したい敵の一つだからな …君達を利用させてもらうことにするよ
 悪い話ではあるまい」

「…」
美希は応じるつもりではあるようですが。
「聞きたいことがあるの。」
「何かね」


「…キューブって何?」
「トリニティの軍事機密だ、これには答えられんよ」

「…じゃあ、ジョーカーの正体」
「それは君の方がよく知っているはずだと思うがね」

「むー…じゃあ何でミキたちのこと知ってるの!」
「私はこのポストに就く前はトリニティの諜報部門の責任者だったからね
 『グラディウス』のことは前々から知っているさ」

男がワイングラスを手に立ち上がった…その時。

「…この音は… ふむ。君の仲間がどうやら到着したようだよ」


「何かの役に立つだろう。これを持って行きたまえ
 …何、発信機などつけとらんよ」
男は何かを美希に向けて投げ渡します。

「…ブローチ……これは…羽の生えた…人?」
「私の故郷にある伝説に登場するのだよ『天使』という。
 …かつて、私が憧れていた人に渡そうとしたものだ
 最も、同じ志を持つ私の仲間に先を越されてしまって渡せずじまいだったのだが」


「ま、何でもいいの。それじゃねおじさん。
 …ところでおじさん、何て名前なの?」


「    」
爆発の音に掻き消さされ何も聞こえずじまい。


「美希!!」
扉を出るとそこには律子。
「大丈夫だった…? …ジョーカーは!」
「ジョーカーはヨークランドの奥地に向かうみたい」

そして彼女達は走り出します。
「ヨークランドか……街中で決戦だけは避けたいところだったから都合がいいわ」

めがね型赤外線スコープで律子がセンサーをかいくぐりながら。
「あとね、この部屋にいたおじさんにこんなもの貰ったの」

「…天使? …天使といえばヨークランド。
 …ヨークランドといえば……えっと…あの部屋っていうと…
 ……!! あーーーー!!…もう戻れない…!」

「律子さん、どうしたの?」
「うっかりしてた…アイツがモンドよ!響の父親を殺して、ピヨさんの故郷のワカツを滅ぼした!
 ヤルートの元部下で、トリニティの情報・警察部門の実質的責任者!」
「ええー!? 撃っとけばよかったの!」

「はぁ…いいー?美希!
 指輪の君『四条貴音』に魅惑の君『歌田音』に時の君、
 生命科学研究所の『ナシーラ』にトリニティ第七執政官の『モンド』、
 ブラッククロスの『Drクライン』にマジックキングダム魔術学院学長…
 この辺りの顔覚えておくように!最重要危険人物だから!」
「貴音は勿論覚えてるの」
「忘れられたら困るわよ」

目の前の宿敵を背に、彼女達はひとまずジョーカーとの対決へ向け…逃げるのでした。
「律子さんはキューブのこと何か知ってるの?」

「解らない。多分やよい達の『指輪』と同じく超古代文明の遺産。
 …トリニティがそれを破壊できない理由には諸説あるけど…」

819サガフロンティア×アイマス 第三十一話 2/3:2009/11/09(月) 00:15:01 ID:ZAjHQp/M0
一方やよい達は…貴音との戦いに備えた休息の最中。
「やよいちゃん、まだかしら…」
あずさはやよいの修行を待ち続けています。

「バジリスクと戦ってるんだったっけ。
 ピンクパンチから魅了凝視、アンノウンからマヒ凝視
 それでバジリスクから石化凝視を今手に入れようとしてるのか。
 …何で凝視ばっかり集めさせてるんです?あずささん」
肉まんをハフハフしながら真が。

「後はデュラハンやミミックから死の凝視だけ。これで凝視はマスターできるわけね」
「うん。だからその理由」

シュウマイを箸でつまみながらあずさは答えます。
「やよいちゃんって可愛いじゃない?」
「雪歩や千早も認めるところだね」
「色んな色のまなざしを使えるって素敵じゃない?」

「やよいに似合うかなそういうの…
 ……………本当に遅いねやよい。」
「石にされてたら大変ね…何とか探し出さないと」


こうしてあずさと真は傘を差してクーロン裏通り、双海医院を通り下水道へ。


…するとそこには。
「…邪魔が入ったか」
白衣を着た科学者らしき集団。

「…やよいちゃん!!」
彼らが取り囲んでいるのはやよい。

「ラモックスがこれほどまでに能力を吸収し続ける例は見たことが無いわ…」
ぶつぶつと熱心にやよいの顔を見る女性科学者。
「やよいに何するつもりだ、お前達…!!」

「あなた達に用はない…やってしまえ」
現れたのは巨大な化石樹。

「…あぁ、あああ…ああああ」
ビクビクと震えながら向かってきます。

「待て、お前達!!」
研究員達は逃げてしまいます。
…立ちふさがる化石樹。
「まあああああああああああああああああああああああ!」

ギシギシと体を震わせ、それがどんどん速くなり…物質を破壊するまでの激しい『振動波』を巻き起こします。
「う!!」
「くうっ…」

「ぁああああああああああああああ!!」
叫びながら口を開けると大量の針。
「!!!」
「うわあああああああああ!!」
長さ3mほどの針の雨がぐさりぐさりと何本も真の体に。
「…う……あずささん、逃げて…」

「ああああああああああ…嗚呼ああああああああああああ!!」
化石樹は何か苦しんでいるようです。

続いて『烈風撃』。
「!!」
あずさの体を大きく切り裂きます。

「…あずささん、真さん 大丈夫ですか!?」
そこに騒ぎを聞きつけ現れたのは双海。
「…真くんは…駄目だな、この場では治せない」
白衣をはためかせるとあずさを回復。
「…双海さん…『超風』!」
超熱源体を発生させ、大爆発と共に熱風を注ぎ込み

「『タイガーランページ』!!」
拳打を続け、化石樹を撃破。
「まああああああああああ………」
「…はああっ!!」
そこに小手での打撃を一撃。撃破に成功します。


「………やよいちゃんが浚われてしまったんです
 謎の科学者達に…」
「科学者…ですか ……心当たりがありますが…証拠が」

…その時。化石樹の体が収縮していき……どろりどろりと変色。
………人間の女性の姿になったではありませんか。
「…!? …人間…」
「………………… シュライクへ行きましょう 真くんを治した後でね」

女性の顔は乱打により潰れ、ぐしゃぐしゃに。
…けれど、双海にはこの研究者がどこの研究者か…容易に解るのでした。
「『生命科学研究所』へ…気は、進みませんがね」

820サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十二話 1/4:2009/11/09(月) 02:05:45 ID:ZAjHQp/M0
「『生命科学研究所』で噂されている人体実験…
 それが本当に行われていた、っていうわけですか?」
シュライクの発着場を降り、復活した真と双海、伊織と共に生命科学研究所を目指します。

「見ての通りですよ
 下水道で戦った化石樹は、恐らく人体実験された女性研究員の成れの果てでしょうね
 …着きましたよ 恐らくはモンスター化させられた研究員が大量に存在するはず。戦闘の準備をお願いします」

ドアを潜るとそこには、巨大な植物が吹き抜けのずっと下から生える、
奇妙な植物が所狭しと並べられた、それでいて清潔感の漂う研究所。

「当研究所に、よくお越しくださいました」
とぼとぼと歩いてくるは研究員。

…そのとき、スピーカーから女性研究者からの声。
「研究員各位 厳戒態勢を取りなさい」

するとアナウンスの後に、奇妙な音を発します。
「?」

「………家に、帰りたい」
「人間に…戻りたい」
「死なせてくれ」
「どうしてこうなっちまったんだ…」
「母さん…」
「娘達が…待っているのに…」

次々に、白衣からモンスターの体が飛び出たり、小型のものはずるりと落ちたり。
顔の皮膚が剥がれたり、変色したりなど。

「マインドコントロールか…こうして日常の研究員としての姿と、
 モルモットとしての姿を使い分けさせているのか」

自我がすでに存在しない研究員達が襲い掛かってきます。


「ゼラチナスプランター、朱雀、ゼロディバイダー、クラーケン、キマイラ…
 全く総々たる顔ぶれだ …生命科学の終着点がそれか!!」

双海は激昂。メイルシュトロームでモンスターを一掃します。
…クラーケンを除いて。

「アレはボクが始末する!!」
真の羅刹掌、あずさの跳弾、伊織の草薙の剣で撃破。

「アイツに攻撃させてたらみんなアレに突き殺されてたかもしれないわね…」
「そうなの?」
「私の時代も大してモンスターは変わっていないもの。…あれは強すぎるから危険ね」


そして硝子張りの、実験室に。
「やよいちゃん!」
「やよい!!」

そこには、コントロールパネルにより操作され、あちこちに電極や針を埋め込まれようとしているやよいの姿が。
「所長が言っていた…侵入者……コロセ」

「変身する前に倒す!!『スライディング』!」
「『曲射』!」
「『クリスタライザ』!」
「『ミニオンストライク』!」

一瞬にして敵を撃退。
「コントロールパネルは下手に弄るとおかしなことになります
 …私に任せてください」

カタカタと操作…ボタンを押すとやよいの拘束が取れ、落下。
「やよい君、大丈夫か」
「やよいちゃん!!」

必死の呼びかけ。
…やよいは目を覚まします。
「…う」


「よかった…!」
「何か、へんな匂いがします…」

「確かにこの研究所、いいにおいがするわね…一体どういうことなのかしら…」
「…とにかく助かってよかった。今のうちに逃げよう!」

「…いや。そう簡単に『ナシーラ』が帰してくれるとは思えない
 それに…。 …私は彼女に話がある。…調べよう。この研究所を」

821サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十二話 2/4:2009/11/09(月) 02:06:21 ID:ZAjHQp/M0

モンスターたちと戦いつつ、
非常階段のダンボールをどかして地下へ向かおうとしますが…
道を塞ぐは研究員。

「ころしてくれ…ころしてくれよおおおおおおおおおおお!」
デュラハンへ変形した研究員をやよいが倒すと、死の凝視を入手。
「…………あ、頭が…ああ!!」

「やよい!?」
「やよいちゃん…」

「大丈夫です、奥に行きましょう! …もう、研究員さんもいないみたいだし」


「関係者以外立ち入り禁止か…関係者になったら最後だろうがね」
研究所地下は…うってかわって、悪臭に満ちていました。
…それもそのはず。


「…!?」

そこで見つけたのは、大量のカプセルに入った異形のモンスターたち。
「………。」

どれもこれも奇妙な形をしており、生物として整った形を成していません。
内臓が飛び出していたり、体の一部が異様に膨張していたり、どろどろに溶けていたり。
「…やよいちゃん」
具合を悪化させてはならない。目を覆います。



「…………人体実験、そして生命の創造…か」

そして…上階に美しい幹を見せていた植物の根元。
「うっ…」

土に埋まっているのは大量の死体。
人間、モンスター、特殊な状態で殺した妖魔など。

「植物の栄養源として…こうやって始末しているのか。
 …悪臭は死体から漂うものだったのか」
解剖済みの死体も含まれており…そこは、狂気の部屋と化していました。

ふと、置いてあった帳簿に目を通してみます。
「ブラッククロス、トリニティ、マジックキングダム魔術学院…
 随分なお得意様のリストだ …何の技術提供をしているやら」

「…………う、うう……」
「やよいちゃん」

「………絶対許しちゃ駄目ですよ …行きましょう、一番奥に」

扉の向こうが最深部のようです。
「…やよい… …!?」
ふと、やよいの足元に何かが。

「……………尻尾の…毛」
…やよいの体が…崩れ始めていました。




「…やはり限界だったようね」

最深部にいたのは桃色の髪をした女性。
「『ナシーラ』…… 私が止めておくべきだった!!
 君の暴走を!…何でこんなことをした!」
双海が突然ナシーラに食って掛かります。


「あなたから逃げ出したのでしょう 『ヌサカーン』博士。」
…詳しいはず。
彼は生命科学研究所の、研究員だったのです。

そして、呼ばれた名前『ヌサカーン』とは。
「そうだ、ついでに会って行きます?
 奥さんと違って、優秀な個体に成長したんですよ彼」



「がおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

どしり、どしり。巨体が姿を現しました。
「この姿を『地龍』と私は呼んでいます。さぁ、ヌサカーンさん、どうします」



「………亜美と真美だけでも君のところから引き離してよかったと今思えた。一体その化け物は何だ
 死体処理を担当させているのか」

ヌサカーンと呼ばれた双海とナシーラで話は進みます。
「………亜美、真美…ああ。あの子たちですか。
 …バカな人ですねえ」

「…亜美ちゃんと真美ちゃんも何か関係してるの!?」
あずさはリーサルドラグーンをナシーラに向けます。

822サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十二話 3/4:2009/11/09(月) 02:07:57 ID:ZAjHQp/M0
「いやね、ここの養分になってもらう死体にはマジックキングダムからも提供をもらってるんですよ
 術の素養のある献体はいい植物を育ててくれますよ…… それでそのマジックキングダムなんですが。」

「……実はあそこにも人に言えない秘密がありましてねー
 あそこで生まれる赤ん坊の中で、特に素質のある子はある処理を施されるんです」

「…胎児を二つに分けるのだろう。…殺し合わせるために 君らの提供した魔術的装置で」
次々とナシーラの口から語られる、非人道的な行いの事実。

「…ええ。あそこで二つに分けられた子供はやがて成長し、術士として完全になるために殺しあわれます
 ………でも、あなたは勘違いしていた」

「…何をだ」
「あの双子にあの装置の手がかかっていないと思ったら大間違いだというんですよ」
「!!」

「亜美ちゃんと真美ちゃんに何をしたの…!」

「12年前…この研究所にはかつて、マジックキングダム出身の研究者がいました
 名を『双海』
 彼には妻がいて、身ごもった子供は双子…どちらも高い魔術的素養を持つ子供と判断されました
 しかし、夫妻はキングダムにそれを渡すのを拒みました。私としても目をつけていたのですが…」
「…」
「その夫妻はあまりにしつこかった…」

「しかし夫妻もこの研究所の職員。
 …外の世界に出られるわけもなく、当時から研究所の幹部だった私に逆らえることなどない。
 …そこで、彼らは私が仕切る以前にこの研究所をやめた科学者に娘だけを預けたようですね
 ……私のサンプルにされる直前に」
「…預けられた科学者が…私達が『双海』さんと呼んでいる方ですね」
「妖魔から人間が生まれるとでも思ったのですか?娘さん、血色がいいでしょう。人間ですからね」
「!!」
「でも二人は気づいていなかったようですね…
 二人はすでにキングダムの手に堕ちていたことに。
 『元から双子だから人為的に双子にして殺し合わせる必要はない』とでも思ったのか」

「…まさか!」

「私が聞いた情報によると二人の娘は魔術漬けのマジックキングダムの学院で
 規律の行き届いた表と法から隔離された裏の二つの学院で分けられて育ち
 速成剤の投与で通常の1.5倍のスピードで成長し現在外見だけ18歳…
 どこかで殺しあっているようですよ。

 この人が育てている分けられたニセモノの娘になど私も学院も興味などありませんしね
 偽の親に偽の娘…涙を誘います」

「……分けたのか………分けたのか、亜美と真美を!!
 …ブルー君とルージュ君が…双海君の本当の娘なのか」

「だからそうと言ってるんですって。
 …残念ながらついさっき、双海の妻は誰かさんに殺されて脳を破壊され殺されたという情報も入りました
 もう一回…涙のご対面がここで実現するわけです。さあ…双海君。君の代わりに娘を育ててくれた
 ヌサカーン博士にお礼を言いなさい」

…そうしてナシーラが言葉を向けた相手は……『地龍』。
それが…本物の双海のようです。

「…………どういうことか解りませんが……あなたは沢山の人々の人生を狂わせてきたようですね」
「また数人増えますよ そこのお嬢さんは使い物になりませんけどね」

「…わ、私が……」
「ナシーラの言葉に耳を傾けては駄目だ」

「………」
自分の手を見つめると…ひどく荒れています。
「やはり元の種族が弱小なラモックスでは細胞変異に限界がある。」
「…そ、そんな」

「もう次が限界で変身もできませんし」
「やめろ!!」

「大量の薬剤投与による人工的な変異を繰り返したせいで体もそう長くは…。」
「私が………」


「踏み潰しておしまいなさい」
「ごおおおおおおおおおお…!」
地龍はうなり声をあげると踏み潰しにかかります。

「間に合うか……!?」
真は飛び、地龍の足からやよいを救い出しますが…
「ぎゃああああおおおおおおおおおおおお!!」

地龍は体に巻きついた鉄球を振り回し、やよいと真をカプセルの並んだ壁に突き飛ばしてしまいます。
「うああああああああああああ!!」
「っきゃああああ…!!」

壁への激突、カプセルの破片が体に食い込みます。
「…!! やよい…!?」

やよいはぐったりと倒れたまま。
「やよいちゃん!!」
「やよい君」
「やよいーーー!!」

…やよいは目を開けたまま倒れていました。…息もせず。…全身が傷つきながら。

823サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十二話 4/4:2009/11/09(月) 02:09:26 ID:ZAjHQp/M0
「がううううう…!!」

そして…
「や、め…ろ………!!」

地龍はやよいを丸呑み、口の中で咀嚼…


飲み込んでしまいました。
「やよいいいいいいいいいいいいいいいい……!!」



「………何てことをするんだ、双海…!!」
ヌサカーンは剣を振るいますが…

「うぉおああ!!」
地龍は足を踏み鳴らし研究所全体に激しい地震を発生させ、ヌサカーンを吹き飛ばしてしまいます。

「…『三龍旋』!」

真は地龍の周りを巡り、三発の凄まじい速度の蹴りを発動。
地龍を気でかたどられた三匹の龍で締め付けます。
「あぉおおおおおおお!!」

「シュライクで随分好き勝手やってくれたわね……許さないわ!!」

「『跳弾』」
「『草薙の剣』!!」

あずさと伊織の連携。
あずさが銃弾を反射、地龍の体に衝突させ…
伊織が地龍の胴体に同時に斬撃を。


「………まだ倒れないか」
「…………双海も倒されることを望んでいるだろう。
 ……痛いかもしれんが我慢してくれ、双海! …ゆくぞ、『ヒートスマッシュ』!」
熱を帯びた剣撃を地龍に向かって一撃。

…その瞬間。
「が、ぎゃ、ぎゃ…ギャおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
地龍の体が光り始めました。


「……あの光は!」
「………あずささん、やよいちゃんが最後に手に入れた能力って」
「…『死の凝視』。 …私は信じていましたよー?」

「やよいちゃんはあの程度じゃ死なないって」
ビキビキと、地龍の内部で何かがひび割れるような音がすると…
「うっ……」
地龍の体内から声。


「うっうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「!!!」
地龍の体を突き破り…真っ白な発光体が登場。
「アレは!!」

空中で静止するや否や…
「『ヒートウェイブ』!!」

激しい熱波を地龍に向かって浴びせ…数トンはあろうかという地龍を吹き飛ばし、壁へ激突。
「…やよい!!」
倒してしまいました。

「…………まさかその姿…」
「ふふ、このためにやよいちゃんには凝視能力を重点的に覚えさせていたの。今のやよいちゃんこそが、
 ヨークランドの伝承にある『天使』。超古代文明の人たちもモチーフにした伝説のモンスター
 『マリーチ』よ」

「細胞分裂の限界回数で、ちょうど最強のボディを手に入れたとはね…。
 …ふふ、まぁいいわ。…これだけ暴れればIRPOのメスも入る。…ここでは、ここまでにしておきましょう」
ナシーラは、魔術『ゲート』で姿を消しました。

「…………」
「双海さん…」

「…いや。私も双海も、どの道亜美と真美の父親だ… 誰かのせいで与えられた人生にしろ
 ブルー君やルージュ君もあの人生で満足しているようだった。 …これ以上犠牲が出なければ、それでいい」
人間の姿に収縮していく地龍を見ながら。
「………それでいい」
彼らは生命科学研究所を後にするのでした。



「…やよいちゃんも最終形態になったことだし、これで漸く貴音さんに挑めるわね」
「はい!!」

それぞれが戦いへ赴き、そして訪れた再戦の時。
貴音から出された、対決の前の第二の条件とは…



第二部 完

824サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 三十三話 1/2:2009/11/09(月) 03:57:40 ID:ZAjHQp/M0
ムスペルニブル・四条貴音の館。


「…お待ちしておりました、やよい様」

包帯と松葉杖で現れたのは爺や。
「…何だかごめんなさい…」
「ああ。いえいえ…期待しておりますぞ」


相変わらずの金色の内装。
「前ここに来たときは、春香さんと雪歩さんが加わったばかりでしたね…」
「大分仲間が減ってしまいましたね…10人くらい?」
「美希と律子はグラディウスの任務
 春香と雪歩はデート、千早はその時以来行方不明
 ルージュは術を極めに行ったし
 ピヨさんと響といぬ美はモンドを倒しに行ったし
 P765は任務を思い出しにマンハッタンへ…か」

「でも5人いれば十分戦えるわ。
 …行きましょう」



大きな扉を潜り、貴音の部屋へ。
「…お待ちしておりました。爺やがボロボロになっていたので今回は期待が持てそうですね
 私に挑むための第二の条件を此処で提示したいと思います」
貴音はそう言うと右手でやよいの指にはめられた8つの指輪を指し…

左手で胸の谷間から鍵を取り出しました。
「これは入口の鍵です。
 今からこの部屋には8重の鍵をかけさせていただきます。」
 あなたが持っている8つの指輪、それぞれに合った8つの部屋全てで出される試練を突破し
 全ての部屋でこれと同じ『四条の鍵』を手に入れ、私のところまでいらっしゃってください」

「…その時に、貴音さんと対決ですね」
「そういうことです。…健闘を祈りますよ」



貴音の背後の屋台は見なかったことにして、エントランスへ戻ります。


「…」
1Fに2つ、2Fに2つの扉のうちの2Fの扉を開けると
そこには通路。そしてその先に2つの扉。
「4つの扉の先に2つずつ…これで8つの扉ってわけね」
「私、片っ端から挑戦してみますね!」


「あ、待ってやよいちゃん、慎重に行かないと…」
「でもどちらにしろ何が待ってるかはわからないんでしょ?
 それに全部の扉を突破しなきゃいけないわけだし…」


「…それもそうねー」
「って言ってる間にやよい行っちゃいましたよ」

825サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 三十三話 2/2:2009/11/09(月) 03:58:19 ID:ZAjHQp/M0
最初に反応したのは盗賊の指輪。

「久しぶりだね諸君」
扉の先で現れたのは元所持者…黒井。


盗賊の間…
この部屋は迷路になっていて、モンスターが徘徊しています。


黒井は天井近くからやよい達を見下ろしています。
「黒井、お前か! 指輪はもう諦めてくれないか」
「そんなことのためにここで待機してるんじゃない
 貴音ちゃんの依頼で私はここに来ているんだ ここでの私の役目は…これだ!」

そう言うと黒井はお金の入った袋6つを一斉に部屋に向かってバラ撒きました。

「盗賊の指輪の持ち主にはそれ相応の素早さと判断力が求められる
 君には私が投げる金袋を全て回収してもらおうではないか
 勿論、この徘徊しているモンスターの攻撃をかいくぐりながらな!」


「……あずささんは入口で待機してて」
「ええー?どうしてー?」
始まりました。

モンスターの中には以前倒したカモフックも。
カモフックがブーメランフックで攻撃。

「はわ!!」
これをマリーチになったやよいは飛んで回避。

「キシャアアアアア!!」
巨大蟷螂ゼロディバイダーが走る真に飛びかかりますが…
「『スライディング』!!」
真は足から矢のように滑り込み、そのまま袋を入手。


「すごいです真さん!」
やよいは別方向の袋を目指しますが化石樹と遭遇。
「『マヒ凝視』!」
化石樹の動きを止めて入手、次なる袋へ。



「こっちにも来たか…!?」
双海が走っていると真からターゲットを変えたゼロディバイダーが。
「ならば…!」
一瞬の間に詠唱。
『ハイドビハインド』でゼロディバイダーの背後に影を送り込み、蹴らせて隙を作りました。
「手に入れた…!」
双海も宝袋を入手します。


「食らいなさい魅力ビーム!」
伊織は両手を額に当てるとそこから『閃光』を発し、
化石樹の動きを止めることに成功。宝袋を手に逃げます。


「よっし!!これでどうだ!!」
敵を踏んづけ、飛びはねて真は宝袋を入手。

「これで最…はわっ!?」
宝袋の前にはモンスターが集結。
「ど、どーしよう…」


「やよいに気を取られすぎたわね!」
モンスターの背後から堂々と宝袋を入手。


「見事だ、もって行くがいい!」
全ての宝袋を入手したのを見届けた黒井は宝箱を落としますが…

「モンスターの動きが激しくなってるよ!?」
「捕まるわけには…!!」
真と双海は逃げ…
「げ、アンタたちもこっち来たの!?」
伊織と合流。
やよいも鍵の入った宝箱へ一目散に走り出しますが…

「捕まえたぜ!!」
ゼロディバイダーが三度邪魔を。

絶体絶命か…と思われた時。



「そうはさせませんよ!」
あずさの『地上掃射』が炸裂。

「うぉ!?」
ゼロディバイダーは足元の弾丸の雨を避けるので精一杯。

「てにいれましたーーー!!」
やよいはするりと宝箱から四条の鍵を手に入れ、この部屋の関門を突破するのでした。

826サガフロティア×アイマス 第三十四話 1/2:2009/11/09(月) 23:51:32 ID:ZAjHQp/M0
次なる部屋は隠者の間。
…中に入ってみるとそこは小さな洞窟のような空間で、樽があちらこちらに。


「!?」
ぴょーんと、樽から樽へ飛び移る何かの姿。


「リッチャンデスヨ-」
きらりと光る何かを抱えて。


「…律子人形か!!」
「律子さんのお人形………今鍵を持ってました!」

「なるほど、捕まえる必要があるな…で、何で律子なんだろうね」
「先ほどは黒井さんでしたし、私達が指輪を手に入れる際に関わった方が登場するんじゃないでしょうかー」

確かに現在律子は不在。それに、律子がいたとしてもこっちのパーティに属しているはずだ。

所長人形じゃなくてよかった、そう思いながら、律子人形の入った樽を開けようとしますが…

「この樽、どうやら鍵を開けなくちゃならないみたいだ」
「なるほど、貴音から貰った最初の鍵がキーになってる…つまり同時に2つ以上の樽は開けられない」

「…何かこの樽からガサゴソ音がするんだが」
「律子さん人形の入っていった樽はこっちです!こっちを開けますよ!」

開けると…
「かかったなぁ!!」
ラストモヒカンが登場。

「体術には体術だね…『羅刹掌』!」
反射的に真が技を放ち撃破。

すると双海が怪しんでいた樽から…
「リッチャンデスヨ-」
「双海の意見を信用するべきだったわね…」

この声は果たしてどうやって手に入れたのか。
決して、入った樽が居る樽とは限らない。…こうなれば、運にかかってきます。


「ここだ!!」
ゼロディバイダーが出現。
「『跳弾』ですよー」

「ここですっ!」
デュラハンが出現。
「『クリスタライザ』!」

「ここでしょうかー」
サイレンが出現。
「『グランドヒット』!!」

「ここかしら…」
R&Rが出現。
「『草薙の剣』!」

…何度も間違えたところで…

「…私はここが怪しいと睨む」
カチッ。鍵を開けて樽を覗くと…

「リッチャンデスヨー」
律子人形出現。…双海の勘が当たったようです。

「…ここの鍵はこれで入手か。…これで4分の1.先は長いですね」

外に出てエントランスに戻ると……
「あ、来た来た………」
待っていたのは本物の律子、そして謎のプロレスラー。

「…ただいまなの」
「……美希さん…ですか?」

謎のレスラーの正体は美希。
「うん。今ジョーカーにお仕置きしてきたの」
「明日には病室で目覚ますんじゃないかしらね。さてあの後あの人どうなるやら…」
「ミキもう知ーらない」
「?」
ともかく、無事に復帰した律子と美希が合流。

「それじゃメンバーチェンジだね」
「ちょっと私はクーロンに戻って娘の顔を見てきますよ」

真と双海が交代。次なる試練へと向かいます

827サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十四話 2/2:2009/11/10(火) 00:31:21 ID:HZ0riKMM0
2F右の扉を開いて、2つの扉の前へ。
「じゃあこの扉!」
やよいが扉に立つと策士の指輪が反応。

次なる試練は策士の間。

深い深い、底まで見える闇の上に立った柱を支えとして半透明の床。そこにはモンスターが徘徊しています。
ところどころ穴が開いており、そう自由に動き回れる場所ではありません。
部屋の隅に、何か筒のようなものがいくつも。何かを落とすのでしょうか。

「………ん?」
赤い髭のめがねの男が部屋の最深部の椅子に座っていました。
「ほっほっほ、仕返しをするべくやってきたよ」

「あー!オウミの偽領主…!」
律子は忘れもしません。

「詳しい話は知らないけれど、何か手元に不審な装置を持ってるわよ 妖魔の癖に機械が好きなのね、アンタ」
伊織が言います。以前は落とし穴…今回は?


「これだ!!」
そう言うとスイッチをポチリ。

「! 芋虫さんが落ちてきたの!!」
すると、ごろごろと丸まった巨大な虫がボールのように転がってくるではありませんか。

「ど、どうしましょう…!!」
「さぁ逃げ惑うがいいさ!」
このままでは床から突き落とされてしまいます。

前には敵、後ろからは虫。
「…えい!!」
やよいは横道へ逃げると虫はそのまま転がりモンスターに激突…
そのまま押し出し、床の端から落下していってしまいました。

「あ…お前達!」
偽領主は悔しそうです。
「なるほど。こうやって戦わずに敵を倒せってフロアね」
「反射神経が求められますねー」
次の虫がやってきたので回避しますが…

「敵には当てられませんでした…」
「まぁ落とされずに済んだだけでも」
すると背後から…
「ギュヒイイイイイ!!」
キマイラが追ってきました。

「この虫のせいで近くにいたモンスターは興奮するのだろうね
 うまーく避ければ避けることも敵を倒すこともでき一石二鳥だが 倒せないとこうなるわけだ!」
領主がほほほと笑う中、戦闘が始まります。


「『ローリングクレイドル』!」
プロレスラー美希はキマイラに飛びつきゴロゴロと転がります。
「『二刀十字斬』!」
律子はふらふらになったキマイラに向かい二つの刀で攻撃。
「『聖歌』!」
続いて伊織の歌でキマイラを攻撃。
「『死の凝視』!」
やよいは宙に浮いた沢山の目が一斉にキマイラに目線の射撃。キマイラを即死させてしまいました。


「ノーダメージか……くっ!!まぁいい、まだまだ虫はあるぞ!!」
「そう来ると思ってあらかじめポジション取りはしときました」

律子はモンスターに追いかけられ、転がる虫の軌道正面に誘導、一緒に始末。
「そ、それなら!」
「私でも避けちゃいますよー」
あずさはひょいと避け、虫をモンスターに激突。なんと2匹同時に。
「な、ならばーーーー!!」
続けて、伊織ややよいも回避。

「虫さんが余ったの」
転がってきた最後の虫を掴み…偽領主にポイ投げ。
「痛ぁあああ!!」
虫はゴツリとぶつかり跳ね返り穴の中へ。
偽領主は気絶、持っていた四条の鍵は吹き飛び…
やよいの手に落ちてきたのでした。

828サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十五話 1/3:2009/11/10(火) 00:55:50 ID:HZ0riKMM0
「血をくれよ… お前の血があれば…復活……」
半ば零体になりながら現れた軽口。
「…私だって負けられないんだ!!」


「やはり来ましたね  語り合うときは過ぎました。今は戦いのときです 歌田音様のため、全力であなたと戦う!」
本気で倒しにかかってきた金獅子姫、菜緒。

「ボク、春香さんの強さが大好きで応援してます!歌田音なんて倒して、あなたの王国を作り上げてください!」
「…悪いけどそういうのに興味はないんだ。」
「…残念です。それならボクがあなたを倒し、歌田音も倒しボク一人の王国を作るまで!」
イルドゥンの親友、ラスタバン。


「…何がお前を狂わせたんだ。」
「この先は私一人で行きますよイルドゥンさん。有難う」
「…歌田音様相手に一人で戦うつもりか、春香!!」


春香にも決戦のときはやってきたのでした。



「私にひれ伏すために、舞い戻ってきましたか…春香」
テラスで頬を風に当てていたのは妖魔の女王、歌田音。

「雪歩を取り返すためにも、私の中のあなたの血を浄化するにも貴方を倒すしかない」
「…所詮は人間ですか…くだらない。」

『くだらない』その一言でどれだけ多くの人間が片付けられてきたことか。

「あなたにとっては妖魔も人間もくだらないものでしょう
 でも…みんな生きてる。流れる血が赤くても青くても、みんな生きてる!」

「気迫だけは感じますが……ありふれた物言いですね
 …本番では期待しています」



歌田音は消え、部屋に戻ります。歌田音の部屋…それは針の色の本性たる巨大な薔薇そのもの。
決戦が始まります。

「この力を使うのも最後…行くぞ…」
「来なさい」

「行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
春香の髪の毛が伸び、戦闘時のみの妖魔としての覚醒。


「私には、孤独も!!」
半妖の血で作られた赤紫の剣、『幻魔』で神速三段突き。

「自由もある…」
雪歩に最後に買ったお守りに託された力『光の剣』でのロザリオインペール。

「でもそんなことより私が欲しいのはただ一つ!!」
二つの剣を交え『二刀烈風剣』。

「雪歩だけ…!!」
最強の一撃『ベアクラッシュ』。
「アハハハハハハハハハ!!」
激しく血を撒き散らしながら歌田音はそれを防御一つせずに受け止めます。
まるで無限の命を持つがごとく。


戦いが、幕を開けました。
狂おしく咲く薔薇が吸うは、どちらの血か。





一方やよいは4つめの試練に足を踏み入れていました。
勇気の間。
「…………こ、怖いです…」

一面針の山。その中を静かに歩く傷一つない女性。
「…あの時倒したよね」
それはピンクパンチでした。頭の上にはネズミ。バカラで指輪を持って追い回したあのネズミ。
…どうやら、見えない足場が針の山の上にあるようです。

「んっふふ…私はこの見えない床全部見えてますから♪」
とはいえ、彼女は遠くにいるため、
今から針の山に下りて見えない足場をたどってピンクパンチのところまでいけるかというと…
「………飛んじゃいましょうか」

天使・マリーチになったやよいが羽を出すと…
「それは反則ですよやよい殿」
…遠くから貴音の声。どうやら全ては見られてる様子。
「…地味だけど行くしかないわね… はぁ…」
「…い、痛そうですー…」

829サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十五話 2/3:2009/11/10(火) 01:43:48 ID:HZ0riKMM0
地味ながら恐怖を煽る試練を突破して四条の鍵を入手。
これで2Fの試練は全て終了。エントランスへ戻ってきたところで…

「あはは…ごめん、戻ってきちゃった」
ルージュと
「次の任務はHQ潜入となり、シップ手配までの時間に協力いたします」
P765.

「二人とも!大丈夫だったんですね!!」

「……合意の上とはいえ時の君を殺しちゃったよ…
 ブルーとも戦ったんだけど、
 ブルーは心術を覚えていなかったみたいだ。
 持っていた力全てを使って戦ったけど決め手はやっぱり術の種類が1種多かったこと。
 何とか、決着はついたよ
 ブルーは…今は私の中にいる。…どういうことかは解らないけどここで漸く解ったんだ、私達は一人だったんだって」

「……あの、ルージュさん…私達もルージュさんに言わなきゃならないことが」
「…やよいちゃん …やめておきましょう   …何でもありませんよルージュさん」
2人を仲間に加え、ここで美希とあずさが交代。メンバーを加えて次なる試練へ。


戦士の指輪が反応。
戦士の間…そこには、1つの線から2つの線が分かれたような形が2つに続く床と
その末端である4つの線に繋がる4つの階段が。

「あ、伊織ちゃん!来てくれたね 実はここは」
「あらウサちゃん。あなたはここに来てたのね、何なのこの『トーナメント表』」
「…………」

ここは捻りも何も無くトーナメントのようです。
「何か趣向を凝らすべきでしたか…」
貴音は気まずそうにしています。

「それじゃここにしますね!」

一回戦の相手はエインヘリアルと、剣と槍のヴァルキリー2人。
「『神威クラッシュ』!」
P765がヴァルキリーを吹き飛ばし
「『時間蝕』!」
ルージュがエインヘリアルの時間を止め石化。
「『烈風撃』!」
やよいがヴァルキリーを攻撃。…この程度のモンスターなら問題なく倒してしまいます。


次なる相手にいたっては、以前普通に倒していたメカドビー百式が
黒井と戦っていた頃によく戦っていたメカドビーを引き連れただけ。
「『リバースグラビティ』!!」
ルージュがブルーから受け継いだ、低重力により浮かせ、無重力で叩き落す空術の奥義一撃で全滅してしまいました。

そしてトーナメント表の頂点へ。
「…いよいよウサちゃんとの対決ね… 気をつけて、この子の剣は侮れないんだから!」
「あの、ボクただ伊織ちゃん達が優勝したら鍵渡すように言われただけで…」
難なく鍵を入手。


しかし次は難関となりました。

「じゃあ次はこの部屋ですねっ!」
やよいはマーグメルで手に入れた『護りの扉』に反応した扉を開けると…
そこは護りの間。

「…お、お墓ばっかり…」
墓地でした。


「やよいおねえちゃーーーん!わたしたちきてみたよー!」
「このお墓のどれかに鍵が入ってるみたいだからがんばって探してね、やよい姉ちゃん!」


「コウジ、カスミ!?」
よく戦いのごっこ遊びの相手となってあげた、やよいの弟と妹がいました。姿はもちろんラモックス。
「…これはアレかな、お墓の中にモンスターが入っているパターンなのかな」
ルージュは考えますが…

「墓荒らしはあんた達お手の物でしょ? さっさと鍵を手に入れましょ」
伊織はがぱっ…と墓石をずらしますが… …そこには何もありません。人骨もありません。
「…じゃあここかなぁ」
ルージュは別の墓を探しますが、そこにも何も。
「じゃあここでしょうか…」
やよいが探したところも外れ。
「…ここかしら」
律子も外れ。
「ここにも確認できません」
P765も外れ。

…と、ここで。
ちょんちょん、と指がやよいを触ります。
「…コウジー、カスミー、今お姉ちゃんの邪魔しないで!」
もう一度ちょんちょん。
「あ。ルージュさんか律子さんですか?指輪が見つか……」

振り返ると顔のついた盾。
「!!!」
アンデッド最強のデュラハンでした。

830サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十五話 3/3:2009/11/10(火) 02:07:04 ID:HZ0riKMM0
「……これはどういうことかしら…」
律子の後ろにもデュラハン。

「やよいおねえちゃーーーーん!!」
「コウジ、カスミ!!」
コウジカスミもデュラハンに取り囲まれ。
気がつくと部屋全体がデュラハンだらけになっていました。


「お墓間違えるたび増える仕組みだったんだ…!
 は、はははは早く鍵を見つけないと!!」
ルージュは他の墓に移りますが

「ルージュ!そこはもうやよいが探した!!」
「ではここでしょうか」
「そこも私が探した!!あー、デュラハン増えてく増えてく!!」

「ここですか!?」
パニックになりながら墓を探すと…
「あ、ありました!鍵!!」

やっと鍵を入手。しかし…最早部屋はデュラハンまみれ。
「全部が最強ランクモンスター…みんな、戦える!?」
「コウジやカスミを護らなきゃ!!」
護りの間での激闘が始まります。


「はぁぁぁぁ!!『二刀烈風剣』!!」
律子は床に手をおき、風を巻き起こすと飛びあがり…

「そこ!そこ!!そこ!!」
周囲を取り囲むデュラハンを一斉攻撃。

「『グランドヒット』!」
やよいは地面を叩き、ある程度の範囲を一度に攻撃できるグランドヒットで攻撃。

「『ミニオンストライク』!」
アンデッドにはアンデッドを。伊織は部下達を呼び寄せると大量のデュラハンを一斉攻撃させます。

「『陽子ロケット弾』!」
P765は肩の巨大バズーカ『ハイペリオン』から
巨大ロケットランチャーを発射…大爆発。デュラハンを、墓ごと核の炎に巻き込みます。

「『超風』!」
あずさが得意としているものと同じ術。超高熱体の爆発による熱風で部屋中のデュラハンを焼き尽くします。

「…しかしこれではまだ決定打に欠ける…」

「かかれええええ!!」
デュラハンの反撃が始まりました。

「危ない…!!」
デュラハンのランスを何とか律子は『十字留め』で対処…しますが
「…!! …う」
『死の凝視』に5度6度と当てられ律子は倒れ

「危険…!!」
ランスの一斉攻撃にP765は耐え切るのは難しいよう。

「う…!!体が…動けないじゃないの!!」
死の凝視は効かないものの、マヒ凝視で動けず。

「全ての耐性を持っているのは私と君だけか…」
残ったのはルージュとやよいだけ。
…二人は残された手を使います。

「連携、できる?やよいちゃん」
「はい!!」
実はやよいの方が年上なのですが。

「『聖歌』」
「『サンズ』!!」

「おはよう朝ごはん!」
やよいが歌を歌うとその生のオーラはデュラハン達に大ダメージ…
そこにルージュが魔術の奥義を繰り出します。
部屋の中心に直径10mはあろうかというルビーの塊。


それが高速で……衝突。砕け…真紅の嵐となって吹き荒れます。


「ぐおおおおおおおおお!」
「あああああああああああ…!!!」
「さ、刺さるううううううう!!」
そのまま、デュラハンは全滅。…見事、やよいは弟と妹を護ることに成功するのでした。
「やよいお姉ちゃん!!」
「こわかったよーー!」

「二人とも、ここは怖いからマーグメルに戻ってて!すぐに帰るから!」


そして残る部屋は2つ。
「やよいー、自分何かできることあるかー」
「やよいちゃーん、モンド基地に討ち入る前に来てみたわ」

響、いぬ美、そしてピヨさん。心強い仲間が現れました。
「ピヨさん、響さん!いぬ美!」

伊織、P765、律子と交代。残り2つの試練へ向かいます。

831サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十六話 1/2:2009/11/10(火) 02:39:01 ID:HZ0riKMM0
1F左の試練が終わったため、最後に1F右の部屋へ。


扉を開けると、また2つの扉。そのうちの1つは…
生命の指輪が反応しました。扉を開けるとそこには。

生命の間…煮えたぎるマグマのプールの中心に、円形の床。
「暑いよーーー、律子姉ちゃん……」
鍵を手にした、胸を大きく露出した服装をした女の子が円形の床に。
病気から立ち直った、涼でした。
「涼ー!薄着になったらまずい!バレる!!」

マグマに飲まれては危険というやよい達を追い抜くスピードで律子が涼に駆け寄ります。バレるとは一体何のことでしょうか。
「双海さん、パス!」
「あ、はい」

律子は涼を投げ、何とか自分も部屋から脱出します。
円形の床の中心にたどり着いたやよい達ですが……

なんと周りのマグマがうにょうにょと蠢き、やよいを取り囲んでしまいました。
「……マグマスライムね!」
ピヨさんがマグマの正体を見抜きました。

「生命力を削るスライムか…やよいがここで倒れたらマーグメルの救いようがないぞ!!
 やよいの体は小さくてマグマに耐え切れない、何とか君だけはマグマから逃げるんだ!」
「え? …でも」
「何とか自分達でやる!」

「…はい、キラメキラリ!」
隠者の指輪で全員の姿を隠し、溢れるマグマスライムとの戦いがスタートします。

「『ヴァーミリオンサンズ』!」
最初に動いたのはルージュ。

真っ赤なマグマの中心で真っ赤なルビーの嵐を巻き起こし、マグマスライムに大打撃。
…しかし…マグマは復活してきます。

「ぶくくぶく…」
マグマスライムは次々にルージュに襲いかかってきます。
「う…く…!!」
体力を奪うマグマスライムの熱。

「私が相手よ!」
ピヨさんが姿を消したと思うと、マグマスライム達の前に分身して現れ、一斉に払車剣。
『雲身払車剣』でした。


「…それでもまだ沸くか…」
響は烈風剣で攻撃しますがマグマスライムを倒すほどの威力はなく。
「ぶくぶく」
「ぶくー」
「ぶっくく…」
マグマスライムの『マグマタッチ』の嵐が襲い掛かります。

「『ディフレクト』!」
「『かすみ蒼眼』!」

それを響やピヨさんが剣で防いだり斬り返したり。
しかしそれでも全てのマグマタッチを防ぐには程遠く。

「…う…熱い……暑いっていうより熱いですよ…」
全員の体力を奪ってゆくのでした。

その後も、リバースグラビティ、二刀烈風剣などでマグマスライムを倒していきますが…
「…これ倒したところでまた復活しますよね…全部倒したのに」
「何か方法があるのかな…」
一向に減りません。

「うがー!!」
いぬ美はグランドヒットを食らわせますが…一匹を倒すに止まります。

「…いくらやっても…湧き上がってきますよこれ」
諦めかけたその時。

「『神速三段突き』!!」
高速の三段攻撃を仕掛け…マグマスライムを倒すと。

「…マグマスライムが出てこなくなったぞ!!」
「!?」
一箇所、マグマスライムが復活しない箇所が。
「…マグマスライムも無限じゃない!」

そう言っている間にもマグマタッチ。体力の限界が近づいた中…一か八か。


「マグマといえど…朱雀のような完全な炎じゃないんだ…効くはず!『超風』!!」
灼熱の部屋の中に巻き起こる、超高熱の熱風。

ピヨも、いぬ美も…使ったルージュ自身も倒れ
……部屋に残ったのは暑さに強い響と、隠れていたやよいだけ。

…マグマスライムが、復活しません。 …焼け焦げた、固まったマグマがあるだけ。
「…………終わった」


マラソンマッチの末に、涼の手から鍵を手に入れるのでした。

832サガフロンティア×アイマス 第三十六話 2/3(2レスじゃ済まなく;):2009/11/10(火) 03:23:34 ID:HZ0riKMM0
体中の水分が抜けかけたと思った生命の間も何とかクリア。
残るは最後の試練…商人の間のみ。


悪徳から手に入れた指輪を輝かせると…扉が開きました。



「さて次なる挑戦者の方は!?」
スタジオに響きわたる女性の声。
沢山の観客の声援がやよいに向けられます。

商人の間…そこは人気番組『スーパーHIGH&LOW』の収録現場でした。
スポットライトがやよい達に集中します。
「こんな可愛らしいお嬢さんです!」
階段を下りて、スタジオへ。

司会を務めるのは人気アイドルグループのリーダー、へヴンダンサー。

「……あの、私オーディションとか受けてないんですけど…」
「この番組こそが貴音様に挑むためのオーディションですからね!
 さて。お名前は?」
「た、高槻やよいです!」

「やよいちゃん!可愛いですねー 当番組はご存知ですか?」
「あ……はい!毎週見てます!その後のアルカイザーも一緒に!」

「アルカイザーファンでしたか!今日この生放送の後最終回2時間スペシャルなんだけど…間に合うかなー…」
「え!?終わっちゃうんですかぁ!?」
「今週で5週続いたメタルアルカイザーとの決着らしいけど、一体どうなるのかな!?
 …っていう宣伝はさておき。それじゃ言ってみましょうか ハイアンドロー!」



貴音主催のこの番組のルールは簡単。
前に出されたものと後に出されたものの値段を比較し、高いか低いかを当て続けるクイズ。
失敗すると着ぐるみを着せられプロレス技を食らうという罰ゲームつきですが…


…やよいの金銭感覚を侮ってはいけませんでした。
「ではこれから始めましょう!『ツインソード』!!」
二つの大きなディスプレイの左側に、ブルーバックでツインソードが映し出され…

品の説明を長々と視聴者へ向けてVTRで説明。
「これ結構便利なんですよねー、うちのお母さんも使ってました」
「(800クレジット…)」


「ではそれと比べるのはこれです、『刀』!」

二つの大きなディスプレイの今度は右側に、レッドバックで刀が映し出されます。
「ハイ!」
「アンド!」
「ロー!」

でん、ででん、ででん、  だん!
音楽と共に暗転、カメラが回転、スポットライトが集中、スタジオが無音になりやよいに集中。

「(刀は…1390クレジット!)
 ………ハイ!」


…ピンポンピンポン。
正解の音が。


「正解でございます!!幸先いいねやよいちゃん!
 ではこの『刀』と比べるのはこれです! 『コンバットスーツ』!!」

「ハイ!」
「アンド!」
「ロー!」

そして同じ演出がなされ…
「…ロー!」

…ピンポンピンポン!
「正解!!
 ではこの『コンバットスーツ』と比べるのは…
 『サムライソード』!さあいってみましょう3問目!」




…といったやり取りを繰り返し続け…賞金は膨らみ50万クレジットにまで到達。


「…や、やよいちゃん本当に13歳なのかな…本当にお姉さん疑わしくなってきたんだけども。
 いやいや!ほんっと!やらせじゃありませんって!
 
 …あー、次の問題は……うーーーーん…これはね、難しいと思うんだー
 …じゃあやよいちゃん、最終問題に挑戦です!」

833サガフロンティア×アイマス 第三十六話 3/3:2009/11/10(火) 03:24:11 ID:HZ0riKMM0
「この『粒子加速砲』と比較するのは…!」

どどん…!!

どん、どん!!



…かっ!
「パワードスーツ!!」
赤いディスプレイに表示されたのはパワードスーツ。
「…やよいちゃん、ヒントを使いますか?…これを使うと、賞金は半分になってしまいますが……」

「……いえ、使いません!!」
「…そうですか。それでは…やよいちゃん、お答えは!!」



「ハイ!」
「アンド!」
「ロー!!」

最終問題、クライマックスに相応しい演出がなされます。
でん、ででん… でででん…

「いったんCM」
観客から笑い声。


…その3分後。
「さあ、私どもも正解知らされておりません…やよいちゃん、お答えを!」
「…『ハイ』!!」
……やよいを写す以外のライトが消え、静寂。 10秒間の間の後…

「おめでとーーーーーーーーーう!!」
ディスプレイに『○』の文字。
ぱっと明るくなるスタジオ、紙ふぶきとクラッカー。

「…おめでとう、四条の鍵をプレゼントです!やよいちゃん、凄いーー!がんばったね!
 副賞として、番組至上最高額の副賞『パワードスーツ』もプレゼント!おめでとうーーーーーーーーー!!」
「あ、ありがとうございますーーー!!!」

「おめでとうございます!」
何くわぬ顔で出てきたスタッフの悪徳から鍵を貰い、ピンクパンチの双子の妹ピンクショックに賞金を手渡されたのでした。


「やよいーーー!!凄い!パーフェクト!」
「やよいちゃん、おめでとうーーー!」
観客席から飛び出してくるは何故か春香と雪歩。

「!? !? !?!?!?!?!?」
同じく飛び出してきた千早に何故かお姫様抱っこされつつ
やよいは収録スタジオ、商人の間を出るのでした。

「…………あの、春香さん雪歩さん、今までどこに行ってたんですか…」



「…そ、それはその…」
「実はね高槻さん。白百合姫様…じゃなくて萩原さんは、」

「…言わなくていいよ、千早ちゃん。」
「そうそう… …ごめんね、やよい。デートしてたらちょっと道に迷っちゃって」


「…本当にそうなんですか…?何か、傷だらけですけど…」


春香と雪歩は見つめあい…
「…何もなかったよ…ね、雪歩……」
「…そうだね、…春香ちゃん。」
甘酸っぱい空気をかもし出すのでした。
別行動をする、その以前のように。
「………?」


「とにかく、これから四条さんに挑むんでしょ?やよいちゃん、メンバーを決めておこうよ!最後の戦いだもん!」
「は、はい!!」
雪歩は春香の手を取り、皆を集めに走っていってしまいました。


「…何だか、可愛いですね」
「萩原さんが? …春香様…じゃなくて春香と対決したら怖いわよ…」

「そうじゃないんですけど… 何というか、活き活きしてる気がします…雪歩さん」

834サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十七話 1/2:2009/11/10(火) 23:32:44 ID:HZ0riKMM0
こうして、15人が再び集結。最終決戦の時を迎えることとなりました。


「ううっ…、皆さん、私達のために戻ってきてくれたんですね…ありがとうございますっ!」
やよいはガルウィング式挨拶で心からのお礼。

「…でも、いいんですか?皆さんそれぞれ戦いがあったんじゃ……」

「私達はもう追われることもないから、思う存分やよい達に協力できるよ」
春香。
「いや、いいんだ。私はもう帰るだけだし」
ルージュ。
「私は手配したシップの日時までまだ3日ほどありますので」
P765。
「モンドと戦うにもそれなりの準備が要る。出来るならやれることを済まして戦いたいしな」
響。
「ミキはもうジョーカーの正体暴いてボコボコにしたから問題ないよ?」
美希。


あずさ、ピヨさん、真、律子、双海、いぬ美、千早、伊織、雪歩。


15人の心を一つに…彼らは一丸となって…扉の前に立ちます。


「皆さん!これが最後の戦いになります!
 準備は良いですかぁーー!?」


「おーーー!!」


8つの鍵をかざすと扉が開き、一直線に連なる階段に光を注ぎます。
長い旅の終着点。いろいろなことがありました…いろいろな場所へ行きました。
いろんな仲間、いろんな敵、いろんな文化。
それでもまだまだ、やよいが世間を知ったとは言えないのかもしれませんが。

段差と同時に上がっていく心拍数。
いよいよ…

指輪を求めるやよいの旅の、最後の戦いが始まります。




ガパッ…。




炎を背にトリケプスの玉座に座る指輪の君、四条貴音。



「とうとう来ましたね、『指輪の挑戦者』よ!!
 さぁ、私を楽しませてください!!」

話すことはもう、ありません。
以前の戦いからの成長も、戦いの様子も全て、彼女は見てきたのですから。
何より、異なった顔つきが全てを物語っています。

荘厳な雰囲気のムスペルニブルの金色の館の頂点にて、戦いは幕を開けます。
「いきます!!」





貴音を倒す方法は、連携のみ。

835サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十七話 2/2:2009/11/10(火) 23:33:39 ID:HZ0riKMM0
「「「乱れ雪月花!!」」」
開幕を告げるは前回不完全だった3連技から。


「いきますぅ!!」
雪歩が繰り出すはワカツ流剣術奥義之壱『風雪即意付け』。

乱れ雪月花の始まりを告げる『雪』の太刀。

周囲の熱を体に吸収…辺りを低温にした上で
一瞬にしてそのエネルギーを爆発させるが如く…
一足飛びに貴音の元へ踏み込み相手を凍りつかせる一太刀を繰り出す。

「次は私!!」
律子が繰り出すはワカツ流剣術奥義之弐『月影の太刀』。

乱れ雪月花の要、前と後ろを繋ぐ『月』の太刀。

体勢を低くして凄まじい勢いで駆けながら、
敵の目前にして反対へ足を踏み込みぴたりと動きを止め、
その勢い全てを太刀に託して下から上へと激しく切り上げる。

「そして最後ですよ!!」
春香が繰り出すはワカツ流剣術奥義之参『三花仙』。

乱れ雪月花・堂々たる最後の華、『花』の太刀。

刃を上へ向け、両手で力強く握り締め
走り寄り踏み込んだその力を地面へ向け解き放ち、
急激な上昇と共にただただ真っ直ぐに、それでいて全ての力を剣に込め飛びあがる最強の一撃。


「……これ…が…!!」
連携しないことはおろか、順序が異なっても発動しないワカツ最終奥義が今炸裂しました。
開幕から貴音に大きなダメージ。

「『グリフィス』」
「『神速三段』」
「『ハイドビ』」
「『草薙の剣』!!」
グリフォンの大きな爪撃を吸収して得たいぬ美の技。
大きな黒竜となったいぬ美がその力の限りに貴音の肩に爪を食い込ませ

響は爪により止まった貴音を一直線に突き飛ばし、腰から突き上げ…
背の上に立ち力いっぱいに突き落とし


連携の繋ぎとしてはこれ以上最適な技術はありません。
美希が分身を貴音の背後へ送り込み

伊織が向けられた貴音の背へ向かい伝説の剣での一太刀。


「……やります…ね しかし!!」
貴音が反撃に出ます。


「させはしない!!」


「『タイガー』」
「『シュトローム』!」


双海の得意技、猛虎の如き拳打の嵐タイガーランページ。

そこから千早のメイルシュトロームを連携させる…
つもりが。


貴音が空間を跳躍、千早の前へ。
「!!!」
「『リーパー』!!」
手に持った魔の鎌で千早の体を一息に斬り刻んでしましました。
「…う…」
妖魔でなければ死亡しているところでしょう。


…どの道、一瞬で千早が戦闘不能に陥ってしまいました。

836サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十八話 1/2:2009/11/11(水) 00:02:46 ID:GEeWF6uY0
「『シルフィード』!!」
鎌を手に持ったまま、左手でやよい達へ向けて凍てつく冷気。

「冷たいですーーー…!!」
「っきゃああああああ!!」
「これは堪えるわ…」


そこにピヨさんが割って入ります。
「『乱れ雪月花』!!」

3つの奥義を一人の体の中で体現した技。

「雪!」
周囲の熱エネルギーを奪い、凍てつく刃を振り下ろすと
「月!!」
それをそのまま三日月の形に振り上げ…
「花!!!」
その勢いを加速させ、回した刀を力強く踏み込み、高く高く空へ打ち上げる技。



「………これが、真のワカツ流最終奥義!!」

しかし…。
「素晴らしい…しかし、」


堰を切ったようにピヨさんの体からは鮮血の花が。
「…一度お見せ頂いた技…、二度は通用しませぬ」

ダガージョウでカウンター、さらには全てを防御していたのでした。


「…う………っ!!」
「まだ続きますよ!!」


竜巻で全員を巻き上げ、真空の刃の檻で切り刻むあの攻撃。
「食らいなさい!!」


これを避ける術は存在せず。
「っきゃあああああああああああ!!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
「あああああああああああああ!!!」




叫び声と耳を劈く轟音が木霊する、風で出来た塔。
「……!!」

竜巻が収まり、赤や青の血が部屋に撒き散らされ、
14人全員の体も壁へ散り散りに叩きつけられます。

しかし。

「………う」
「…何とか耐え切りましたよー」
「私も大丈夫…」

全員がそれに耐え抜きました。
「…何たる生命力…!!」


大技を放ち貴音に生じた隙を見逃しません。
「私が一気に決めてみせる…」


ルージュは両手で魔力を集めると……
それを空に向かってかざします。
「『オーヴァドライブ!!』」



その瞬間、ルージュ以外の何もかもが凍りつき……
辺り一帯全てが歪み、消滅……ルージュと動かぬ貴音のみが時空の彼方へと移動。


異なる時空へと切り離されます。


激しい磁気嵐の吹き荒れる時空の彼方へ…

ピシャリ!!

837サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十八話 2/2:2009/11/11(水) 00:04:13 ID:GEeWF6uY0
…音がすると、そこは時空の果て。時の流れが雲のように流れる巨大な時計の中で、
ルージュと、固まった貴音だけがそこにいました。


そう。『オーヴァドライブ』は時間をとめ、対象に向かい一方的に魔力の続く限り攻撃を繰り返すことの出来る究極の時術。

「ふぅ…」
ひと呼吸の後……
「はあああああああああああああああ嗚呼アアアアアアアアアアア!!!」

ルージュは狂ったように術を繰り出します。



「『ヴェイパーブラスト』!」
「『生命波動』!」
「『超風』!」
「『剣』!」
「『ヴァーミリオンサンズ』!!」
「『ダークスフィア』!!」
「『ジャッカル』!」
「『リヴァイヴァ』!」
「『停滞のルーン』!」



まず、空術の基本術であるヴァイパーブラストを発動。
大気中に、空間的にあり得ない場所から物質を創造、金剛石の槍を四方八方に生み出し敵を貫き串刺しに。

生命波動は春香も得意としていたもの。
気を集めて金に輝く槍を生み出し、貴音に向かって投げつけ貫きます。

超風はあずさが苦闘の末習得したものと同じ。
膨大な熱量を持った小型太陽を発生させ、それを大爆発させ数万度の熱風を送り込みます。

剣は秘術の基本術でありながら中核を担う術。
カードから3本の剣を実体化させ、貴音を鋭く突き刺します。

ヴァーミリオンサンズは魔術の上級術。
直径5mはあろうかという巨大な魔力の塊でもあるルビー3つを衝突させ、粉々になったルビーによる真紅の嵐に貴音を巻き込みます。

ダークスフィアは美希も得意としていたもの。
高い重力を持つ暗黒のエネルギー弾を作り出し、貴音に向かって投げつけ包み込みます。

ジャッカルは妖魔にしか使えない幻夢の一撃の一部…これはアイテムによるもの。
黒き魔の獣を呼び出し、貴音に食らいつきます。


リヴァイヴァは再生術。自分が倒れた時に復活する保険…
そして停滞のルーンを唱えると…全ての魔力を使い果たし、ルージュと貴音は元の空間へと戻るのでした。


時が動き出します。二人は遠い遠い時空の果てから戻り…

ムスペルニブル、貴音の館へ。

「あれ!?………凍って…ますよ」
やよいが気づきます。

「ルージュさんも…貴音さんもですね これは…『停滞のルーン』!!」
「『停滞のルーン』…?」


相手と自分の両者に、物質として、そして精神すらも完全に停止させる術。
…暫くの間、両者は外部からどんな接触があっても動くことも、傷つくことも、何もありません。
完全に空間から切り離された状態といっていいでしょう。





「…い、一体何が……!!」
数分後、魔力を使い果たしたルージュと共に貴音が全身焼け焦げ、傷だらけの状態で硬直が解けた際には…
ルージュを除く全員が、傷を癒し、能力を増強した状態で待ち構えていたのでした。

「今だよやよい… さあ、決着をつけるんだ!!」

838サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十九話 1/2:2009/11/11(水) 00:43:59 ID:GEeWF6uY0
ルージュが全ての魔力を使い果たし…技を出せなくなった所で
やよい達は挑みかかります。
しかし…
貴音も死力を尽くし応戦します。


「『スクリーム』!」
手から超音波を発し律子を叩きつけ

「いかずちよ!!」
雷を槍のように春香の上に落とします。


そしてそのタイミングを待っていました。
「D・S・C!!」

真が聞きなれぬアルファベット三文字を叫ぶと


真は貴音に向かい、矢のように走る『スライディング』を。
「う!!」

スライディングから一瞬にして立ち上がり、逆に踏み込み戻ると貴音を持ち上げ、頭から床に叩きつける『スープレックス』を。
「あぁあ…!!」

そこから貴音を抱きかかえ、飛びあがり地上に打ちつける『バベルクランブル』。
「ぐふっ…」

そして貴音の足を持ちぐるぐると振り回し、投げ飛ばす『ジャイアントスイング』で空中へと放り出し…
「あああああ…」

その貴音に飛びつき捕まり、ぐるりと回転、貴音に二人分の体重を乗せて一気に頭から地上へ叩き付ける『スウィングDDT』。
「な………!!!」


「これがデンジャラス・スープレックス・コンボ!略してDSCだ!」
反則級の威力を持つ最強の体術をここに体現したのでした。
これもまた連携。貴音には堪えます。



「しかし私はこの状態からでもあなた方を倒すことが可能…
 食らいなさい…!!」
竜巻を二連続で放つようです。
手を思い切り振るうと全員が気流の檻に巻き込まれ全身を切り刻まれます。

「っきゃああああああ!!」
「ああああああ…!!」
「うううううううっ…!!」


そしてもう一発放とうとしたところに…
「うおおおおおおおおおおお!!!」


響が突進。
「連携もせず自ら倒されに来たのですか!!」
それに応えるように、貴音は後ろへと浮き上がり、助走をつけて響を突き飛ばすように滑空。
「『グランダースパイク』!!」


しかし…
「う…!!」
盾でそれを防御。こう来ることは計算のうち。
しかし…響はそれでもダメージがあまりに大きく…その場に倒れてしまいました。

「今ですよ!!」
「!!!」

839サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第三十九話 2/2:2009/11/11(水) 00:44:37 ID:GEeWF6uY0
やよいの一声。


「『跳弾』
 『次元衛星』
 『ロザリオ』
 『無月』
 『ヒット』!!」



あずさがイクストルから手に入れたブリューナクとリーサルドラグーンを放つとそれは部屋中に反射し、
威力を大幅に増し……貴音の背に命中。

P765が衛星とリンクするサテライトリンカーシステムを起動、リージョンの外から膨大な熱量を注ぎ込む
巨大レーザー砲を貴音の部屋に向かい発射、貴音の体がエネルギーの筒に飲み込まれ

そこに春香の得意とする、4人の分身で地面に打ちつけた後本人が上から降り聖なる光と共に敵を張り付け焼き付ける最強技ロザリオインペール。

続けてピヨさんが編み出した我流究極奥義、4人に分身したピヨさんが力の限りに貴音を恐るべき速度で滅多斬りにし、
4人の分身で息を合わせ貴音を切り上げ空に放り出したところでピヨさん本人が空中から最強の一太刀で叩き落し、闘気の炎で包み込む『無月散水』


そして最後に、究極形態になったやよいの渾身の一打、『グランドヒット』を貴音に当てると……




「………う………!?
 ……く…あ………  ・・・あ」


貴音はそのまま動かずに…



「…う」
ガクリと椅子に倒れ込んだのでした。



「仲間と繰り出す、連携…これが私の見たかった闘い…
 …見事な闘いでありました…高槻やよい!」


爺やによって傷が癒されると、彼女の指から…指輪が取り外され、
やよいへ。


「…わあ、あああ…あああああ!」
9つの指輪が全て、揃ったときでした。

「貴音さん、ありがとうございますっ!!」


「……よい仲間を持ったのですね、やよい殿。
 …さあ、早く同朋の待つ故郷へ。私が送ってさしあげましょう」



…そして、やよいは………


マーグメルへ、帰ったのでした。

840サガフロンティア×アイマス 第四十話 1/3:2009/11/11(水) 01:18:46 ID:GEeWF6uY0
貴音との壮絶な戦いが終わり、
いよいよやよいはマーグメルへ戻ってきました。

「あ、やよいおねえちゃん!!」
「やよい姉ちゃん、おかえりー!」
一足早く帰ってきたコウジ、カスミの姿も。

「凄い姿になったんだなー、やよい…」
仲間達も出迎えてくれる中……



「…………おお。やよい君…帰ってきたのか!」
帰ってきてもやはり長老は真っ黒。

「はい、全部の指輪を集めました!」
やよいの周りに輝くのは9色の光。

…長老は、言葉すら出ないようでした。
「おお… …おお…」

「…ありがとう、…ありがとう…! 君はとうとうやり遂げたんだな、やよい君…」

「さぁ、マーグメルを救ってやってくれ…高台に立って!」
「え?長老がするべきなんじゃあ…」

「ははは、何を言っている。君がやるんだよ、やよい君
 さぁ、行きたまえ!」



…そして、やよいがいつか見上げたあの高台へ。
もう、地震で倒れることはありません。

こうして、マーグメルを救うのですから。
「……」

高台の崖の上に立ち、やよいは…指輪を指にはめ、手で空を切ります。


「…マーグメルよ、よみがえれ!」
ずっとずっと願い続けた言葉を、今ここに。

…多くの敵と戦い、多くの仲間と出会い、多くの悲しみと多くの喜びを分かち合い、
そしてとうとう…帰ってきたのです。旅人となって。

そのとき。


空が…真っ青に染まってゆきます。

溶岩が引いていき…土が活き活きとし、花が色づき、鳥の鳴き声が聞こえる。

草花で覆われた、美しい楽園が。



それは…マーグメル。昔の、マーグメルなのでした。
「おばあちゃん…」

「これが、おばあちゃんの知っているマーグメルなんだね……」





…その時です。




…タン。




銃声が、静かな楽園に轟きます。
「………」


やよいは自分の腹を見ると……銃弾の跡。…流れ出る血。
「…あ、」





そのままやよいは…バタリと倒れ、崖を転げ落ちていきました。

841サガフロンティア×アイマス 第四十話 2/3:2009/11/11(水) 01:20:35 ID:GEeWF6uY0
「…………案外あっさりしてしまいましたねぇ。…いえ、マーグメル復活のことですよ?」


火を吹く銃口。

「きゃああああああああああああ!」
「わあああああああああああ!?」
コウジやカスミが消滅していきます。

「ふふ、ふふふふ…」
真っ黒な影となって、次々に。

「……どうして」
「何でなの」


「………やよいちゃんの願いどおりですよ?
 『戻った』んです マーグメルは。  …願いのままに そう、『生まれたままに』」


「マーグメルが生まれたとき… あなた達は、生まれていなかったのねー」



「………指輪のこと、ずっと調べてたんです」


淡々と話していきます。
「………遥かなる古代にマジックキングダムで生まれた指輪。
 人々はあるリージョンを地下に生み出し、楽園を作ろうとしました」





「しかし、その大きな力が災いし、その場所は地獄へ一変。
 そのリージョンを封じるため、マジックキングダムは沢山の犠牲も厭わぬ場所となりました」



「全ては、人々の欲望が生み出した結果…こんなごちゃごちゃした世界ですもの
 欲望に満ちていて…その欲望が人々をここまで導いてきたといっても過言ではありません」



「そして、数千年か数万年か…途方もない時間の間世界の欲望を吸い続けていた指輪。
 その力は… 今、ここに!」


ルージュは…彼女を見据えます。
「…なるほど、あなたが来た時には学院を襲撃した人物の噂がなかったわけだね」
真は…信じられない様子でした。
「……あなたが、……あなたが全て…考え出したことだったっていうんですか」


指には、『マジックキングダムで買わされた安物の指輪』
苦しむやよいの腕を踏み、指から指輪9個を外し、奪い取るは……
…チャイナドレス。おっとりとした声。


「…あずささん」

842サガフロンティア×アイマス 第四十話 3/3:2009/11/11(水) 01:21:31 ID:GEeWF6uY0
あずさは笑みを絶やしません。
「今まで、ありがとう…やよいちゃん」



「みんなきえちゃうけど、マーグメルは元通りねー…
 これで、指輪の研究も最終段階です。…ありがとう。」


「……いや、です…」


土を握り締め、立ち上がるやよい。



「今気づきました…私、バカでした…
 私は、今まで…マーグメルのために戦ってきたんじゃないんだって…」



「マーグメルに住む、みんなのためにがんばってきたんです!」
「あら、そうだったのー?」


立ち上がったやよいに銃弾を二発、三発。
「…でも、今更やめるわけにはいかないのよ
 これさえあれば、何でもできる… 現に…真ちゃんの運命を改ざんし、タンザーで生きているように変えられたのですから」

「…あずささん……」


「指輪が消えても真ちゃんは死にません、もう…事実ですから。
 だから…もうじき…マーグメルのみんななんて、最初からいなかったことになっちゃうわね」


「…いやです!!」
「あら、元気ね?」

やよいの額をこずくと、凄まじい勢いで突き飛ばされ、マーグメルの高台へ一直線。
ドシャッ!!という音と共に、やよいをその場に倒してしまいます。



「……苦しくても、相手が誰でも、私…!!」

「私、戦います!みんなを助けます!!」



「例え、あずささんが相手でも!」




「高槻さん、しっかり…!」
千早はやよいに回復術を施し、回復。

「…あずささん、目を覚ましてくれ」
「あら…真ちゃん」

やよいだけではありません。
あずさを囲う全員が、武器を構え戦闘の構え。

「あらあら…♪」


「やってみましょうか?

 …指輪の力に、勝てるかしら………」




こうしてやよい達は、最後にして最強の敵… あずさとの最終決戦をはじめるのでした。

843サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十一話 1/2:2009/11/12(木) 00:47:05 ID:oejNbPa.0
9つの指輪が全てあずさの手元に。

黒き、真の力の指輪とあわせ10.
サイズを自在に変え、両手の指全てに収まると…


「世界で輝く光…『キラメキラリ』」

9つの光があずさを囲い、あずさの体が宙に浮きます。


すると、9つの光は全て生命体の形となり実体化。
リビングアーマー、タイタニア、グレムリン、ティディ、ユニコーン、ライダーゴースト、キマイラ、リッチ、マリーチ。

いずれも指輪が具現化した存在。
…つまり、実在する同種のモンスターとの戦闘力差は比較にはならず。



「14対10か…一人一体ずつ相手をしてくれ!
 やよいやボク達5人であずささんと戦う!メンバーはやよいが決めてくれ!」
「い、いきなり振られても困ります…
 じゃあ、私、真さん、春香さん、ピヨさん、ルージュさんで!」


指輪の力で空間が歪み…戦いの場へと変化。



指輪の作用によりあずさのチャイナドレスは黒に。
金の翼が生え……『マスターリング』指輪の化身へと変化します。



「ライダーゴースト…これは下級のモンスターじゃないのか?」
響と楽器の形をした亡霊、ライダーゴーストの対決。


「形で我らを判断するとは」
ライダーゴーストは一直線に響に向かい突進。

「…うぁ…」
響は足を取られて技を出せないでいます。

「こあぁぁぁ!!」
そのままライダーゴーストは超音波を発します。
「…う…」

しかしやられてばかりではなく。


「『デッドエンド』!」
走り寄り右へ、続けて左へ斬り…
最後に飛びあがり斬り伏せる。


「跪け!!」
『マヒ凝視』。強い眼光に当てられた響は動きを封じられてしまいます。


「……負けるわけには…いかないさ、やよいだって頑張ってるんだ!」

呪縛を振りきり、
響はライダーゴーストへ向かい『柳枝の剣』。
飛びあがり、ライダーゴーストの手前で切り上げて浮かせ…全体の動きを止める攻撃。



「それに…」
響は敵の頭の高さに飛びあがり、体重を乗せて最強の一撃『ベアクラッシュ』。


「吸われるがいい」
ライダーゴーストが『ゴーストタッチ』を繰り出そうとしますが…


「モンドと戦う前にやられられないさ!!」
『かすみ青眼』でカウンター。


「……あずさ、元に戻るといいな…」
神速三段突きを繰り出し、ライダーゴーストを撃破します。

844サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十一話 2/2:2009/11/12(木) 00:49:09 ID:oejNbPa.0
「う……強い…」
いぬ美はユニコーンを相手に苦戦していました。

ユニコーンがいぬ美に向かい角を繰り出そうとしたその時。
「いぬ美ーーー!」
ディフレクトで攻撃を防いで現れた一人の女性。
彼女の家族である…
「響さん!」

響でした。


「増えたか…」
ユニコーンはひずめを鳴らすと『エナジーチェーン』を詠唱。
いぬ美を魔力の鎖で刺してしまいます。

「離せ!」
響は『天地二段』でユニコーンを攻撃。


「守られてばかりじゃいられませんよ」
黒竜の声でいぬ美も『ファングクラッシュ』で追撃。


「指輪の力は絶対…」
自分の生命力をスターライトヒールで回復させてしまいます。


「指輪が絶対なら、今までこんなに苦戦することもなかった!」
響といぬ美は連携攻撃。
「『濁流』
 『ヒット』!」

響は5人に分身し荒々しい動きでユニコーンを囲み、交差し切り刻む。
そこにいぬ美が大地を叩く『グランドヒット』でユニコーンを追加攻撃。撃破に成功します。




「防御力が極めて高いと判断…『陽子ロケット弾』」
P765はハイペリオンから巨大ロケット弾を発射。リビングアーマーに命中、大爆発を起こします。

「無駄だ…」
術・サイコアーマーで防御力を高めるリビングアーマー。

「音波プログラム『無範奏ソナタ』!」
物理攻撃が聞かないと知るとP765は次の攻撃へ。
ボディから、物質を破壊する音波を発生させ相手を攻撃するというもの。

「龍虎プログラム『タイガーランページ』!」
続けて激しい拳打の嵐でサイコアーマーを攻撃。


「……無駄だ」
またもサイコアーマー。それでも硬い装甲には傷一つつけられません。


「…………ボディ耐久力計測……  ………実行」
自らのボディがどれだけ衝撃に耐えられるか。

それを見定めた上での攻撃。それには、それ相応の覚悟が伴っています。
「『神威クラッシュ』!」
光をまとって一直線に突進。飛び散る火花、ボディパーツ。


「『神威クラッシュ』!!」
また一発。ボディがどんどん剥がれていきます。

「『神威クラッシュ』!!」
「『神威クラッシュ』!!」
「神威クラッシュ」!!」

相手の攻撃も全て防御もせず食らい、そのまま突進の機会に変えます。
…防御すらしないのは何故か? …ダメージはボディだけではなく、コアを削るものだから。


相手の耐久力までは測定していません。
…賭けに等しい。しかし、早く勝利を得るには他に方法は無い。
「『神威クラッシュ』!」
「『神威クラッシュ』!!」

そして…コアが限界に近づき最後の一撃。これで壊れなければP765は限界。これで勝てなければ…
リビングアーマーはともかくとしてP765の死は確定。

「『神威…」
「見てられないな」
リビングアーマーに突如として紫の剣が降りかかります。

「はぁ!!」
その一撃で…リビングアーマーは剣へと吸収されました。…双海です。
「…まだ、医学者の目の方が正しかったか
 戦いは止めなさい…自分の体は大切にすることだ」


「…いえ、双海様、私も協力いたします」
「…いや、いい。私の戦いももうじき終わるところだ」

845サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十二話 1/3:2009/11/12(木) 02:08:14 ID:oejNbPa.0
双海の相手はグレムリン…妖魔。
「裁かれよ、裁かれよ、裁かれよ…」

敵は落雷を次々に落とし、双海を攻撃。

「……ふん」
双海は白衣を翻し、回復。


「その程度の能力では完治できまい」
グレムリンは続けて、毒の込められた爪を食い込ませます。


「……………『杯』!」
秘術の一つ、あらゆる病を完治させる杯のカードの力を用います。

「防戦一方だな」


闇の力を纏った手で触れます。
「…く……」


何せ、相手は姿を消していて…どこから現れるか解りません。

「…」
タイガーランページを放つのは容易。
しかし…外れるのです。…こちらの動きが読まれている。

一度硝子の盾でカウンターしたものの、相手には術を使うタイミングがバレ…
それ以降は効果を成しません。


「…仕方ない」
幸いにして、彼は職業から、アイテム係としてバックパックを任されていました。
あらゆる道具を取り出し、使用することができる。

「最後に頼るのがこんな道具とは思って居なかったな」


文句を言いながら取り出したのは…『精霊石』。
「は!!」

投げつけると術エネルギーの塊が地面と衝突、大爆発を起こします。
この爆発は大規模。
消えているだけでは回避することは以って不可能。

グレムリンが…青白い光の中から姿を現します。


「『マヒ針』」
そしてまた道具を。手からすぱっと針をダーツのように、グレムリンの心臓めがけ一撃。

「…う…」
動きを封じることが出来ました。



「『タイタスウェイブ』!」
具足で地を踏み鳴らすとグレムリンに向かい一直線に衝撃波が走り、上空へと弾き飛ばします。


「指輪が欲望を吸うというならこの攻撃も効くはずだ…
 『金貨』!」



カードを宙へ投げつけると、辺り一面に膨大な数の魔性の金貨があふれ出しました。
「…………!」

マヒしたまま落下した体は指輪の化身であるグレムリンはその上に落下。
「お、おおお…おおおおおおおおおおおお!!!!」

魔の輝きに眼を奪われ……貪り食われ………消えていったのでした。

846サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十二話 2/3:2009/11/12(木) 02:08:46 ID:oejNbPa.0
「君の仲間、IRPOで見たことあるの。
 なんか、髪型ミキに似てるよね」

「…」
言葉は返ってきません。普通のティディとは違い、
指輪の化身だったのですから。



「貫かれろ」
ティディは毛を逆立て、針のようにして投げつけてきました。

「わ…!?」
美希は特殊な盾、ワンダーバングルでそれを防御。

「何をするの!」
盾を構えたままティディへ走り、
『ロコモーションG』。

ティディの体を抱えたまま、後ろへ激しく叩きつけます。
「やぁあああ!!」
それだけでは済まさず、前へ。
「うりゃああああ!!」
また後ろへ。また前へ。


がつりがつりと次々にぶつけますが……
「う…!!」

鋼鉄の如き硬さの毛針が手にびっしり。
「おおお!!!」
ティディは体を広げ、全身を鼓舞。体を大幅に強化した上で


「はっ!!」
美希めがけ爪を振り回しますが…
「…あ!」

それはフェイント。
「うううう…!!」
ティディは体全体でそのまま突進してきました。


「………あ、…ううう…!!」
何をするにも邪魔になるは全身の、針のような毛。


「流石にミキでも、こんなに激しい髪はしてないの」
美希は手からどくどくと血を出したまま、攻撃方法を変えます。


「『集中連射』!!」
美希は本業は陰術ですが、剣術、体術、銃技どれもそこそこには使いこなすことが可能。
…しかしそれ故の、いわゆる器用貧乏。

銃を握るにも剣を握るにも相手を殴るにも『技』に必要な、手が封じられてしまいます。


「それなら…!」
宙へ飛びあがり、空気を蹴ってティディの頭へ向かい叩き付けるように蹴る『三角蹴り』。
「えい!!」
投げ技の基本、相手に触れずして相手を投げる『空気投げ』。


攻撃を封じることは出来た。後は…
「『ダークスフィア』!!」

闇のエネルギー弾をぶつけて攻撃するだけ。

しかし…
「『サイ・リフレクター』」
相手はダークスフィアを跳ね返し、美希へとぶつけてしまいます。

「っきゃあああああああああああ!!」
闇のエネルギーに取り込まれ、身動きが取れないまま四方八方からの高重力で押しつぶされそうになります。
「………サイ・リフレクターの機能は確か…」

術すらも防がれてしまいました。
美希には全体攻撃の術など持ち合わせていません。


………痛みを怖がってはいられないようです。
「腕、持つかな…」
ティディはこちらへ向かってきます。

…的は大きくなりました。
血のしたたる腕で銃を握り、正確に狙いを定め……

「『十字砲火』!!」

ティディの小さな体にはこういうときでなければ当てるのは困難。
頭、腹、左肩、右肩の順に発射…そして
「やあああああ!!」

最後に胸へ発射。
ティディを吹き飛ばすことに成功します。


「………いた、た……」
激痛でその場に、美希は倒れてしまいましたが。

847サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十二話 3/3:2009/11/12(木) 02:09:52 ID:oejNbPa.0
「は!!とう、ったぁぁあ!!」
先ほどから剣で、蛇頭と切り合いをしているのは律子。


「かなりしぶといわね…」


合成獣キマイラ。
熊の上半身をベースに、腕に2匹の蛇頭、足に蛙の足と牛鬼の上半身を備え付けた怪物。


「う…」
その跳躍力は恐ろしいもので、律子の遥か真上から攻撃し
「は!!」
正確に相手を捉え、牙で剣を受け止めます。



「ヴァオオ!」
「!!」

全身4箇所の口からの一斉咆哮『スクリーム』。
律子の体は吹き飛ばされ
「『ヴァアアアアアア!』」
左腕から発せられる高温ガスの餌食となってしまいます。


「…あっつ……い…!!
 …何なのこのモンスター…」

熊の腕力で激しく蛇頭での強打。

「…!!」
頭がくらくらする中、蛇頭での『ファングクラッシュ』が襲います。

しかし…
「まだまだぁ…!!」

相手の牙を受け止め、そのまま激しい勢いで切り刻みます。
「『喪神無想』!!」
反撃が始まります。

「『二刀烈風剣』!」
飛びあがり両手の剣で剣撃を飛ばす攻撃。


これによりキマイラの二つの蛇腕へと攻撃。
しかしキマイラはその脚力を活かし跳躍…

「!」
律子を押しつぶそうとします。

「『ライジングノヴァ』!!」

ここで春香から習った技。

押しつぶされる瞬間、空中戦のまま相手を切り刻み…
「はぁぁ!!」

最後に剣を突き刺し、離れる。
激しいエネルギーを纏った剣は相手の手の中でその力を爆発させ、敵を内部から焼き殺す。
「……ど、どう…」

まだ一発必要な様子。

「『十字留め』!!」
しかし後は必勝の型。

二つの剣で相手の『ファングクラッシュ』を防いだ後…
「『二刀十字斬』!!」

二つの剣で縦へ、横へ。


「わ、我が体を以っても敵わぬというのか…」
キマイラの体が四散しました。

848サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十三話 1/3:2009/11/12(木) 03:25:06 ID:oejNbPa.0
「くっ」


千早が相手していたのは、千早とは対照的なスタイルの持ち主、女性妖魔『タイタニア』。
鞭を巻きつけ、千早の動きを封じていました。


「そのまま斬り殺してやるわ!」
「そうはさせません…!」
シャドウダガーで鞭を破壊、タイタニアへ向かい『ヒートスマッシュ』を一撃。


「それならば…欲望に逆らえぬ妖魔として欲望の糧になるがいい」

翼を広げ、飛びあがり千早の肩を一噛み。
「う…!!」

「まだまだ…!」
「やめなさいっ…!!」

妖魔の小手での拳打、『タイガーランページ』で振りほどきます。
「…それが、あなたの最強の攻撃ね…」


「私の本分は妖魔武具ではありません…『ミラーシェイド』!!」

辺り一帯に自分の分身を発生させ、攻撃を読まれにくく…また、回避力を上昇させます。



「『幻夢の一撃』!」
ジャッカルを召喚、タイタニアに向かい牙での一撃を与えます。


「煩わしい…!!」
タイタニアは呪いの歌により千早を深い眠りに引きずり込もうとしますが…


「…効きません」
「…最初から片っ端から当たっていったほうがよかったようね」

鞭をしならせ、分身を一つずつ消していきます。
「『幻夢の一撃』!!」
合計で3度唱えます。ジャッカルに続いて出てきたのはコカトリスにリーパー。

呪いの瞳に、死神の鎌。

次々に繰り出していきますが…
「う…!!!」

分身を破られました。…千早の胸元に、激しい牙が。


「……でも、体力を消耗しすぎましたね…」
紫の剣を取り出すと……


「吸われるのはそちらです…!!!」

腕を掴んだまま、構え……左肩から右わき腹までをザクリと両断。


「あ、ああ…ああああああああ…!!!」

…本来あり得ない出来事。
妖魔タイタニアは…千早に吸収されてゆきました。
「………」
歌田音に立ち向かいに行った者の中で、特に妖魔武具に多く力を吸わせていた千早。
千早の持つ妖魔の剣は…他の者とは全く異なる力を手に入れていたのでした。

849サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十三話 2/3:2009/11/12(木) 03:26:31 ID:oejNbPa.0
「骸骨同士、仲良く戦いましょうか…」

伊織が対峙するは死せる高等術士、リッチの姿をした指輪。



「はぁぁぁ…」
死の化身とも言って過言ではないリッチ。

デスグリップに、デスタッチ。
…すでに死んでいる伊織には全く効果をなさず。


「草薙の剣!!」
「『ミニオンストライク』!」

世界最強とも言わしめた剣に、大勢のシュライク兵。
リッチを相手に、伊織は優勢を保っていたのでした。


しかし…
「…う…!?」

何かの音が聞こえてきました。『聖歌』。

己の使う技でもありながら、アンデッドである自分にこれほど有効なものもない。
……伊織の体が徐々に崩れ始めてきました。


「伊織ちゃん!!」
雪歩が戦っていた相手のものでした。

「…雪歩」
「私の相手はやよいちゃんと同じモンスターのマリーチ。
 それと、伊織ちゃんの戦ってたリッチに今私達は挟まれた形になってるの
 相手を交代させられたら伊織ちゃんは危険だよね……」

己の目を閉じ、周りに沢山浮かんだ目玉で物を見る天使マリーチ。


「けどマリーチは死者も生者も同時に攻撃することができるの、死の凝視があるから」
「…まずいわね」

「二人で同時に、一人ずつ戦うことにしよう …その方がきっと効率いいよ」
「リッチからの方が余計なことされずに済むわね!」


雪歩は、ファシナトゥールでの戦いで得た『金獅子の剣』、
伊織は昔から持ち続けている『草薙の剣』を構えます。


人間界最強の物質剣と、妖魔界最強の物質剣。
つの最強の剣がそろい、リッチへと向かいます。

850サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十三話 3/3:2009/11/12(木) 03:27:01 ID:oejNbPa.0
「いくよ!!」
雪歩が剣で動きを止めたところで
「『草薙の剣』!」
頭に振り下ろしリッチを撃破。


「…背中が開いていますよ」
マリーチが槍を取り出し、伊織に突きにかかってきました。


「危ない!!」
しかし雪歩は『ディフレクト』で伊織を庇い、攻撃を防ぎます。

「…悪いわね」
「こういうときはお互い様だよー」


ディフレクトをしたのは『光の剣』。
金獅子の剣すらも超える、究極の破壊力を持つ魔法剣。

「『超風』
 『ブレード』!」


超高熱の熱波と、草薙の剣での剣撃の連携。


「………黙りなさい」
舞い散る羽の中で、マリーチの目は真っ直ぐに雪歩を睨みます。
「…雪歩」

片足が痺れ、動けなくなります。
「…凄い迫力だ…さすが指輪が具現化した天使様 …でも…!!」

棒のようになり動かなくなった足で地面を蹴り上げ、飛びかかります。
「はぁぁあああああ!!!」

『光の剣』での一撃。
「愚か!」
「…う」
死の凝視によって雪歩はそのまま、倒れてしまいましたが。

「……愚かなのは…そっちよ!」
草薙の剣で、雪歩が斬った跡にもう一度斬撃。


深くなった傷にまた一撃……マリーチが、バラバラになり…白い羽が辺り一面に舞い散ります。
「……気絶で済んだみたいね。  ……よかった」

851サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十四話 1/2:2009/11/12(木) 03:27:56 ID:oejNbPa.0
「『DSC』が……!?」
「あなたの動きは私は手に取るようにわかりますよ、真ちゃん」




金の翼をはためかせ、マスターリングとなったあずさは微笑します。
「『超風』」

あずさが手をかざした真上に小型の太陽…超高熱の熱源。

それがあずさの手の一振りで投げつけられ、大爆発。
「うあああああああああああああああああああああああ!!!」


「『剣』」
他の術士とは比べ物にならない速度で、巨大な剣3本がやよいを貫きます。
「あ、あああああ…!!」


「やよい!」
「やよいちゃん… 傷は浅いわね」


「………その程度ですか?もっと全力を出せるではないですか」


長期戦になるのは目に見えている。現に随分戦っている。
……消耗の少ない技だけを集めて攻撃していても、あずさの前には手も足も出ない。



ルージュが言います。
「…もう、このまま抑えて戦っていては勝ち目はない…全力でいく…!」
「…やってごらんなさい」


この一発であずさを倒す。全員で連携を繰り出します。
「『グリフィス』
 『ロザリオ』
 『無月』
 『羅刹』
 『塔』!!」



現在考えられる、最強の連携攻撃をあずさに繰り出します。

852サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十四話 2/2:2009/11/12(木) 03:32:16 ID:oejNbPa.0
まずはやよいの『グリフィススクラッチ』。
モンスターの最強の攻撃の一つである、巨大な爪での攻撃。
魔力で刃を形作り、やよいは大きくあずさに切りかかり

次に春香の『ロザリオインペール』
あずさの体の四肢それぞれに剣を持った分身を降らせ打ちつけ、最
後に本体が頭上から剣を振り下ろし

次にピヨさんの『無月散水』 
4人の分身で激しく滅多切りを続け闘気を相手に打ち込み続け
最後に頭上に集まり一撃を見舞い

次に真の『羅刹掌』
一撃必殺の気合の元に、精神を極限まで集中させて放つ一打。

そして…ルージュの『塔』。
ルージュが全魔力全てを投げうった、最強最大の術。
あずさの頭上に、リージョンすら軽く破壊するほどの威力の雷を注ぎ込みます。


秘術の、いや…全・術中最強の術。



考えうる最強の攻撃。
封じていた力全てを放ったこの連携。

全員…全ての力を使い果たしました。
「………はぁ、はぁ………」



…しかしそこには…


あずさの姿がありました。


あずさは…不敵な笑みを浮かべています。


「全力を出すに値するようです。」




「…これで、漸く本気が出せます …ちょうど、皆指輪の化身を倒したようね………ふふ、ふふふ…」



9つの光があずさに集まります。
「まさか…!!」


そう

9人のモンスターと同時に戦わせたのは失策でした。
…全ての力はあずさの力。

倒されたことで形を失った9つの指輪の力が……あずさに注がれます。
「ふふ、ふふふふ うふふ……!!」



真っ黒な闇の中から…………巨大な指輪の幻影が一つ。
それは彼女にもたらされた究極の力。


…完全体となったあずさがここに現れました。


「さぁ、ガツーンといきましょう♪」

853サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十五話 1/2:2009/11/12(木) 23:35:32 ID:oejNbPa.0
…とうとうあずさが、完全な指輪の力を手にしてしまいました。

「あらあら…皆さんまさか、これで全ての力を出し尽くしたわけではありませんよねー…」

…返す言葉が、ありません。



「…まだ!!」
全ての魔力を使い果たしたルージュは持っていたリーサルドラグーンを発砲。

「私だって、負けてはいられません…」
ピヨさんはあずさに向かって二連斬り『切り返し』。

「……わ、わたしも!」
やよいに出来ることはもうありません…『パンチ』。

「ボクだって戦える…!!」
真は『スライディング』であずさの足元を狙います。

「う……!!」
春香は片腕を片腕で支えながら『スマッシュ』。


最早、技を出す気力すら残されていません。
…今のあずさには大したダメージになるはずもなく。
「…………」


「…悪徳さんの工場で戦っていた頃ではないんですから」



あずさの反撃が始まります。
「その程度ですか」
やよいに『強打』。
基本技とはいえ、その威力は桁違い。
辺りに轟音が轟き、やよいは声なき叫びと共に、血をはきぐったりと倒れ

「あなた達はもう力を使い切ったというのですか」
振動波がピヨさん、春香、真、ルージュを吹き飛ばします。


「面白くないですね…」
ピヨさんに向けて追撃。翼から『衝撃波』を発し、切り刻みます。
「ああぁあああ…!!」
ピヨさんの腕が…だらりと落ちました。


「…それなら…こうしてしまいましょうか」
9人の魔物を再び召喚。


「行きますよ」

ティディの『針』の嵐が春香を貫通
「っきゃああああ…!!」
リッチの『デスグリップ』が真の心臓を停止させ
「……う…!!」
マリーチの『石化凝視』がピヨさんを石にし
「あああ…!?」
ユニコーンの角がそれを砕き破壊。



「……連携の力というのは素晴らしいもの…
 それは、妖魔の君すら倒してしまうほどに。
 …さあ、あなたには連携攻撃で最期を迎えていただきますよ」



「…!」
ルージュが手からフタを外した傷薬のビンをやよいに投げつけた瞬間……

一斉に攻撃が始まりました。


リビングアーマーの重厚なボディでの、見ることすら適わぬ勢いでの突進。
「う!!」
体が激しく叩きつけられ、グシャリと。この時点で既に致死ダメージ…

その上にタイタニアが激しく噛み付き『吸血』
「……!!」
薄れゆく意識の中でキマイラの『高温ガス』に焼かれ
「……。」
完全に意識が毟り取られた後でグレムリンの『落雷』に体を貫かれ

最後にティディの『針』で全身を串刺しに。


…ルージュの体は見るも無残な形に。
「…仕方がありません。真ちゃんを除き全員完全に塵も残さず消してしまいましょうか
 最も…もうあの子も意識すらありませんが」

854サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十五話 2/2:2009/11/12(木) 23:50:37 ID:oejNbPa.0
あずさが、全員を消し炭にする最強の陽術『超風』を唱え始めたその時でした。

「ああああああああああああああ!!」

羽の抜けたやよいが猛スピードであずさに突進、パンチを仕掛けます。
「…」
激しい音と共に命中。

………ですが最早その程度の攻撃は少しのダメージも与えはしません。



「…目障りです」
あずさの手がやよいの小さな体を貫きます。

…しかし。
それと同時に、もう片方の手であずさの手を掴むことに成功しました。



「……『キラメキラリ』!!」

力むことすら出来る体でのありったけの声。…指輪の力が……発動しました。



それは緑の指輪…生命の指輪。
「……!!」
緑の光に包まれ、全員の傷がみるみるうちに回復。

「やよいちゃん…!?」
「やよい……」
「危険だ…下がって!!」
「もう、打つ手はないんだ…!」


あずさの誤算。しかし、表情は変わりません。
「流した血は元には戻りませんよ」
やよいに零距離で『超風』。

超高熱源から発せられる炎で、復活した全員が焼かれます。
「ああああああああああああああ!!」

4人とも吹き飛ばされます。
「…………!!!」


やよいだけは手を掴み…吹き飛ばされる直前に何か叫んでいました。

「………もう一つ指輪を使ったようね」
貴音から手に入れた『神秘の指輪』


金色の光が全員を覆うと……


「魔力が……満ちてくる!?」
「…戦える…力が湧いてくるわ」
「……………最後の指輪の力…なの?」
「…でも、やよいはもう……!」


「高槻さん!!」
そこに千早が駆けつけます。

…超風から逃れることは出来ず、皆瀕死のようですが。



「『生命の雨』…!」
命を削っての最大の回復術。


やよいが、真が、春香が、ピヨさんが、ルージュが…皆一瞬にして傷が塞がり、立ち上がります。

乳飲み子に栄養を与える母乳の原料が血であるが如く…
生命の雨は…血を、涙を、汗を…生命の源たる命をすり減らせ他者に与える美しい雨を降らせるもの。


…千早は一人、枯れ糸が切れた人形のように尽きてしまいました。
「…………みん…な…」
立ち上がったやよいは皆を見回します。
息すらせぬ千早を除き13人。
再び戦う準備が整いました。


「生命力の回復を二度…仲間も揃い、技や術もまた放てるようになった…。
 いい流れですね…一瞬でその望み、崩して差し上げます」

…真っ黒な指輪の力が……9つの指輪の力を一つにまとめ、
あずさの体に9色の力を蓄え始めました。



「…この術は、最強の術です。」
あずさの内部に…膨大な力は集まり続けます。


「防ぐことはおろか、凌ぐことさえも不可能な術。」

855サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十六話 1/3:2009/11/13(金) 02:21:38 ID:U95ykrvA0
集められた力が放たれるまでに何としてでも倒さなければなりません。


「『無月散水』!!」
攻撃はピヨさんから。

体が一瞬にして消えると、あずさを囲うように4人に分身。


「はぁぁぁああああ!!」
狂おしいまでの剣幕を以って剣撃の嵐を四方から叩き込みます。
その傷の数は数秒で100をゆうに超えるとも。
「…たっ!!」
そして上へ向けあずさを四方から一斉に斬りあげ…

「最後!!」
一つになった体で一閃、叩き落します。


…凄まじい熱を生じるこの攻撃は斬るだけでなく、体全てを焼く攻撃。
……本来、これに耐えられる者はいないはずなのです。


「……ふふ…」
あずさはこの技を何度食らっても倒れる気配を見せません。…ダメージとなっているのは確かなのですが。


「DSC!」
真の攻撃。

一直線に滑り込み、あずさの足元を掬う『スライディング』
浮き上がったあずさを掴み、頭から叩き付ける『スープレックス』
そこからもう一度飛び上がり、勢いよく叩き付ける『バベルクランブル』

足を掴み高速回転、空中へ放り出す『ジャイアントスイング』
そこへ掴みかかり、地面へと激しく叩き付ける『スウィングDDT』


これら5つの技を一人で連携する『デンジャラス・スープレックス・コンボ』をあずさに決めます。
「…ど、どうだ…」


…まだまだ倒れる気配すらも見せません。
「『ロザリオインペール』!」
春香が飛びあがります。

そして前後左右から落下、あずさを斬りつけ…最後に本人があずさの脳天に向かい剣撃。


「…残念ながら…時間切れのようです」

……あずさの術合成が完了したようです。



指輪の力を極限まで使った最強最悪の術が…ここに発動されます。
「全て…消し飛んでしまいなさい」




「『レヴォリューション9』」
黒き指輪の元に集められた指輪の力が暴走…爆発。



「……あ……」

口を開けたまま……目を閉じることすら適わず。


全てを巻き込み破壊する魔力の渦に巻き込まれ…全てが破壊され…飲み込まれてゆきます。
やよいも、春香も、ピヨさんも、ルージュも、真も……それ以外の全員が。





「………………う」
圧倒的な力の前に倒れたやよいが…起き上がります。


「…耐えた…」
「…超風以上にキツいけど…何とかなりましたね」
「次にこの術が来るまでに…あずささんを止めるんだ!!」
「まだ…負けたわけじゃない!!」


「………おかしい。この程度の威力なはずが……完全に9つの指輪の連携が取れていれば…」
不発。

ガスを充満させた巨大風船による爆発が……それを起こすためのライターの炎程度で終わったかのような。


「……」
力を発生させるための因子が足りない。

「……やよいちゃん…やってくれたわね」

856サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十六話 2/3:2009/11/13(金) 02:22:15 ID:U95ykrvA0

指輪の力を発動したために、一時的に指輪の力に均衡が保たれなかった。
…先ほどの例で言うならば……そう、巨大風船に穴が開いていた。



…しかしそのライターの炎に過ぎぬものもあまりに強力。
二度食らえば、その時は……




「ならばもう一度放つまでですよ」
9つの力を集めるあずさ。


今度こそ…あずさを倒さなければ。
「『塔』!!」
全ての魔力を叩き付ける究極の秘術。

あずさを中心として、巨大な塔の幻影が現れ……巨大な雷によって粉々に粉砕されます。


「………う…」
その威力はピヨさんの最強剣技『無月散水』の10倍以上。
あずさには流石に大きなダメージだったようです。


「連携で畳み掛けるぞみんな!!」
残りの4人が息を揃えます。


「『三龍』
 『乱れ』
 『スクラッチ』!!」


真から。あずさの側面を、正三角形を描くように3度に渡り蹴り…
それに沿うように闘気で形作った3頭の龍が天へ駆け巡りあずさの体を締め付けます。

そしてピヨさんの乱れ雪月花。

周りの大気の熱を体に集中させ…凍えるような空気の中で一瞬の跳躍であずさの懐に踏み込み振り下ろす。
そこから一糸乱れぬ凄まじい勢いで斬りあげ三日月をかたどり
最後に、血で花を咲かせるような渾身の一撃を高く高く上昇しながら繰り出す。


最後にやよいのグリフィススクラッチ。激しい勢いで斬りつけます。



「……………!!」
あずさの表情が歪みます。…指輪による守りをダメージが超えてきたようです。
しかしまだ…。


「『覚醒』!!」
そんな中、春香は心術により己の力を倍化。

…次はないというのに。
「…そんなことをしていても、次の攻撃で私達負けるのよ…!?」


いえ…春香には秘策がありました。
「…大丈夫ですよ。
 だってルージュさん」

857サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十六話 3/3:2009/11/13(金) 02:35:21 ID:U95ykrvA0
「…?」
「レヴォリューション9は…『術』ですよね!」
雪歩が後ろで口に指を当てて考えると…
「……あ、そうだね!」

ルージュがはっとしています。
「…私としたことが、これじゃ術士失格だな」


「双海さん、雪歩、美希!! お願い!!」
「うん!」
「頼まれた」
「解ったの!!」

「『ダークスフィア』!!」

闇には闇を…というわけではないのですが。
暗黒のエネルギー弾を三方向からあずさに向かって撃ち込みます。
「…!!……ま、まさか」


雪歩が説明。
「その術合成が『術効果』なら…私達打ち消すことが出来るんです  ましてやそれが不完全なものなら。
 ルージュさんの覚えてる魔術最終奥義『サイキックプリズン』や『ヴォーテクス』
 そしてあずささんが今装備してる指輪の一つ『隠者の指輪』の効果は『効果の打ち消し』
 でもそれももう出来ない。けれど、同じ力を付加する術がもう一つだけあるんです!!」


「『ダークスフィア』…!! 陰術の中でも使い道の少ないその術を………」

3発の重ねがけ。
レヴォリューション9が…完全に闇の中に消えてゆきます。

「愛してるよ雪歩ー!!」
美希や双海の協力もあったのですが何故雪歩なのでしょう。春香は精神を集中させ…

「……『無月散水』!!」
最後の技を放ちます。

「…そ、それ私の!?」
「見てるうちに覚えちゃいました!!ロザリオインペールと近い技ですから!!」
「……ショックなくらいの才能ね…」

ピヨさんの後継者は決まったようです。攻撃力を倍化した春香による最強の剣術…
「そしてダークスフィアを使うメリットはもう一つ!!」
4つに分身した春香が、手にした剣は…

「『光の剣』…!!」
雪歩から託された陽術の最強術、『光の剣』。この剣自体がまたレヴォリューション9と同じ、魔法効果。
ヴォーテクスや隠者の指輪では、この術の効果すらかき消されてしまいます。
ダークスフィアなら…あずさの効果だけを打ち消すことが可能。

「行きますよ!!」
激しい勢いで、光の加減で輝く剣を振りかざし、狂ったように斬りつけます。

闇に染まった10色の指輪から、色を奪い取るが如く。
彼女の愛する色でもある光の色…白から始まり…黄色、青…黄色、緑、明るい緑、桃、橙。
そして1人になり、あずさの頭上から振り上げるとあずさの髪を映し出し紫。
「はぁあああああああああ!!!!」

最後の一打が振り下ろされます。


「…!!!」
あずさはそれを手でガード。

…光の剣が…………指輪の力で『黒』に染まります。
そして………



「わあああああああああああああああああ!!」
「……!!!」
春香の悲鳴。
あずさの手から指輪がはじけ飛びます。

その瞬間、何もかもが真っ白に。春香がそのまま吹き飛び……
全員が弾け飛んだ指輪のエネルギーにより…………倒れてしまいました。


やよいを除いて。

「……う、……あずささん…  …あずささん…!!」

何も知らぬ自分をここまで導いてくれた最初の仲間。
…一番、彼女に協力してくれた人の名を呼びながら。

真っ白な光の中…やよいは走り出します。


そして、指輪を持たない手を握るのでした。
「……」

858サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十七話 1/2:2009/11/13(金) 03:20:43 ID:U95ykrvA0
そして光が収まるとやよいの頭にはあずさの手……






「………!!」
…に握られた拳銃。指には…たった一つ残された、黒き指輪。
「あなたはどうやら… この世界の仕組みがまだ、わかっていないようね」


拳銃『ブリューナク』。意味は『貫くもの』


対してやよいの体は瀕死の状態…
戦うことすらまともに出来ぬ最初の形態、『ラモックス』に戻っていました。

「…………私を殺すには…まだ足りない」
やよいは…否定します。

「…違います…私はあずささんが心配で」
「嘘のつき方もまだまだ下手ねえ……」



マーグメルは再び滅びた元の状態に。

…指輪の魔力は解かれていました。
「………」
あずさの精神を除いて。

「あなたも見てきたはずよ
 この世界がどんなものかを…力により統制された…歪んだこの世界」


もう、他の誰も戦う力すら残っていません。…手足一つ動かすことも出来ず。
「……私が生まれた場所は、このマーグメルとは正反対の場所でした…

 土地は確かに、豊かだったのかもしれないわね……ルーンの力で栄えていました
 しかしそこに住む人たちは決してそうとは言えない。
 荒み、犯罪の絶えないクーロンの街。…正直、あなたを見たときは羨ましかったわ」


「売られることも、殺されることも、盗まれることも日常茶飯事なそんな町の中でした。
 …けど、私は信じていたんです …いつか幸せになれると。」


「…うんめい、ですか?」
「…そう。運命
 …長い月日を経て私は力をつけ、何とか表の社会に出ることが出来たわ
 ……頼りになる人が一緒に居たおかげで。」
力なく倒れる真をちらりと見ます。


「けどあの日…京へ行く最中のリージョンシップがブラッククロスの『ブラックレイ』により破壊された…
 一撃目でシップが破壊。シップの欠片にしがみついていた乗客全員が二撃目で焼かれ死亡。
 私は棺の中を見て…それを確認しました」

859サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 第四十七話 2/2:2009/11/13(金) 03:30:19 ID:U95ykrvA0
「………私は、そこで思ったんです 幸せになるべき人なんてこの世には存在しない
 幸せになる運命の人と、幸せになれない運命の人がいるんだって。
 …町の坂道を登るたびに、あの人が傍にいる錯覚を何度覚えたことでしょう。」


目をきつく細め、シリンダーを回転させます。
「それが運命なんです。創造神話の話を聞いたのはその後だったわ。回転する斧で切られた神様の話。
 …神様は、もうずっとずっと前からいなかったのね」


「………私は 強くなりました。
 利用できるものは利用する それが例え何であっても。
 その行いが常識から見た善でも…悪でも。いえ、常識なんて誰かが決めたこと。
 …強いて言えば、この世界を形作ってきた『行動すること』が善。『行動しないこと』こそが…悪。
 この世界で最後に頼れるのは自分。…行動することで、人は進化し、世界を形作ってきたのですから」


「…私は行動しました。運命を変える術があることを知って。
 …マジックキングダムの情報を聞きつけ、学院に侵入し、暗部の秘密と指輪を握り。
 それが世間は悪いことだとも言うでしょう …自らの運命から逃げたと言うでしょう」



「…いいえ…逃げは何もしないこと。…或いは何かを行っても、それが絶対に何にもならないこと。
 ………私は、行動し…その結果、運命を勝ち取りました
 真ちゃんの運命を書き換え、やよいちゃんを利用し…全ての指輪を手に入れました」


「………人は誰かの力じゃなく、自分で幸せになれる。 その幸せになるのを、…非難することは出来ません」


「やよいちゃん…あなたは行動した者。けれど他の者たちはマーグメルに残っていたわね… 
 全て、それが…証明しているんじゃないかしら」



銃を突きつけます。
「……さようなら」

…しかし。


「…………」
一向に引き金を引きません。
「……躊躇っているわね、私としたら情けない」


…それはあずさの内部での、葛藤だったのかもしれません。
「…でも」


異なる環境で育ったやよいは…見上げます。
「でも…私は旅をしました。こうやって、ずっと戦ってきました。みんなといて、凄く楽しかったです」

…真っ白な環境で生まれ育った彼女が…最期の言葉として、あずさに投げかけられます。
「…みんなに幸せになってもらいたいんです!!」
「…そんな言葉は聞き飽きました!!」


その瞬間…あずさの背後に気配。

「!!」
あずさは振り向き発砲。
ブリューナクはその人影を、真っ直ぐに貫通していきました。 …まるで、間に何もないかのように。



「……高槻さん…」
千早のハイドビハインド。陰術の…ダークスフィア以上に価値の無い術でした。


「…!!」
ブリューナクの装弾数は1発。
あずさは腰元のリーサルドラグーンを片手で引き抜きやよいに向けようとしますが……

「あずささん!!」
やよいの最弱の攻撃手段『尾撃』。

やよいの尻尾は、あずさの手を直撃…


「……!!」
リーサルドラグーンの弾丸はやよいの頬をかすめ外れ…
あずさの手からは、ブリューナクが吹き飛びました。



…指輪と、共に。


「…………」

指輪を失ったあずさは、瞳孔が開いたまま倒れます。


「……あずささん」

そして、ゆっくりと瞼が閉じられました。
…その顔は……どこか、何かに疲れきったように見えました。

860サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 最終話 1/5:2009/11/13(金) 05:20:25 ID:U95ykrvA0
辺りに流れる静寂。
…10秒ほどしてから、あずさが目を覚ましました。

「…やよいちゃん、ごめんなさい
 …あなたを騙してたわ」

全ての指輪が手元を離れ…漸くあずさは自分を取り戻しました。
「……全部、黒い指輪のせいです。
 …あずささんは悪くないですよ」


しかし…吐露されたのはあずさ自身の根底にある心そのものであったことも
彼女が黒い指輪に助けられたのも事実。


「…あずささん。ごめん
 ボクが傍にいたら、あんな指輪に手を出すことは…」
真も漸く立ち上がれるようになったようです。

双海も自分の白衣の能力で傷を塞ぎ立ち上がります。
「…肉体的には問題ありませんね …会ったときから感じていたあの感じも
 もう見られません」



…けれど。
「……しかし、マーグメルはおしまいだね」
長老の表情は暗く。


そこに、モモちゃんというラモックスが。
「…長老、元気出してください!私達、どこででも生きていけます!」
続いてカスミ。
「そうそう。わたしたちあかるいのがとりえだもん!」


あずさの言葉にも、一理あります。
…長老は、やよいが旅に出たことの理由を皆に黙っていました。

…きっと、知れば皆動いていたことでしょう。やよいでなくとも、みんな。

そして…今、皆が行動する時がやってきました。
「…いい仲間を持ったね、やよい」
「はい!!」


マーグメルではなく…外の世界へ。

861サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 最終話 2/5:2009/11/13(金) 05:21:22 ID:U95ykrvA0
「名残惜しいが…いくとするかね」
長老は重い腰をあげます。

「……長老、ちょっと私もう少し旅していいですか?
 …指輪を、誰にも手の届かないところに捨てて行きたいんです」

長老は……頷きます。
「うん。いいねぇ…どんどんやってくれたまえ!」



…その時、異論を唱える者が。
「ちょっと!!黒い指輪はまだしも、戦士の指輪は私から預かったものでしょ!?
 勝手に捨てられたら困っちゃうわ!」

…続けて千早。
「私も指輪が少し欲しいわ高槻さん…私のいた海に似た、青の」
そしてあずさ。
「やよいちゃん、一応黒井の所に指輪返した方がいいかもしれないわねー」

まだ続きます。律子が。
「後、あの変態なディスペア所長の所にも返した方がいいかもね」
「あ、私律子さんとの婚約指輪に欲しいです」
「ピヨ、ハニーはミキのものだよ!?」
「いつの間にか私新ハニーなの!?」
「ダーリンって呼んでもいいよ律子さんハニー」
響。
「いぬ美もああ見えて女の子だから、指輪を渡して少しは女の子らしくしてあげて欲しいさ」
春香が。
「あとやよい、返すと言えば貴音さん…は怖いから…
 ムスペルニブルの山の中に捨てておけば貰ってくれるんじゃない?」
「あのぅ、私と春香ちゃんが使えば…」
双海が。
「私達夫婦にもくれないかな」
そして真。
「……じゃ、じゃあボクとあずささんにも…いや、ボクは男じゃないけど」


「で、やよいちゃん。後残った指輪はどれがあるのかしら?」
「黒い指輪だけです。これは……」


「………」
ルージュが見つめています。
「…この黒い指輪を使って、マジックキングダムの地下を封じていたんだよね」
「…は、はい…」
「………この指輪を戻せば、マジックキングダムも安泰かな」
やよいはぽんと手を叩きます。
「あ!」
「…けど、こんな指輪によって平和が守られていたと思うと…怖くなってきちゃった。
 平和は、私達で守らなきゃ。 …マジックキングダムの様子を見てくるよ」
「はい!それがいいと思います!!」

そして、指輪は次々に返されてゆきました。





マーグメルにおける、指輪の騒動。
この出来事を前後して、様々な事件が世に起こることとなります。

862乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/13(金) 19:45:58 ID:ns5SoGZg0
グラディウス軍の主な士官や将校等第四版

空軍
アルヴァ・ユンカース大将 23歳
ヴィンチェンツォ・ルガース大将 55歳
ディアス・ユンカース中将 21歳
アドリアナ・ベチン中将 51歳
ハスキー・ハルバート中将 50歳
ゴーチェ・ベルトラン中将 49歳
ジェルヴェ・ブラシェール中将 57歳
エヴラール・ダルコ少将 51歳
ジョニー・ガーランド少将 45歳
エドワード・オレステス少将 59歳
フリッツ・パーペン少将 56歳
クラウス・ケッセル少将 41歳
エマニュエル・コロー少将 38歳
ノーナ・ラフマニナ大尉 25歳
リューシャ・ブチェンコワ大尉 24歳
セバスティアン・ハルバーゲン中尉 27歳
スタファン・ヘンネル中尉 28歳
ラミ・ニュメリン少尉 21歳

陸軍
ブラン・ホルテン元帥 23歳
ハロルド・ワイルディング大将 49歳
グリフィン・レインウォーター大将 50歳
フレデリック・レーガン大将 47歳
トーマス・バーシティ中将 51歳
アルベルト・アダンティ中将 50歳
アルバート・シュライヒャー中将 33歳
アーチボルド・バルフ中将 39歳
ジェフ・バッセル少将 38歳
モーゼス・バートン特別少将 22歳
マーカス・キャビンディッシュ少将 26歳
チャールズ・トーチ少将 30歳
ウォーラス・モス少将 48歳
エメリナ・レインウォーター大尉 21歳
エレノエーレ・ベレスフォード少佐 24歳
アンネローズ・ビッグコア=ニーベルング上等兵 17歳

宙軍
マンフリッド・ベレスフォード大将 59歳
クラナス・ランフォード大将 23歳
ナルヴィック・ルフラン大将 25歳
クロン・ベイル中将 61歳
オーラフ・ヴァーノン中将 41歳
ライオネル・アッカースン中将 52歳
ジャック・トンプソン中将 55歳
ヤコブ・フルシチョフ少将 67歳
ルーベン・イングラム少将 38歳
エメライン・ベンジャミン少将 47歳
マンフレッド・ボールドウィン少将 46歳
アリセ・ベンジャミン大尉 21歳
ヴィットーリオ・レッティエーリ中佐 32歳
アドリアノ・カンパーノ少佐 30歳
ニノ・インフォミュラ少佐 35歳
トンマーゾ・ガットー大尉 27歳
アルステーデ・ビッグコア=ニーベルング特務大尉 18歳
クーニグンデ・ビッグコア=ニーベルング特務大尉 18歳
マルグリート・ビッグコア=ニーベルング特務少尉 17歳

863サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 最終話 3/5:2009/11/13(金) 23:51:37 ID:U95ykrvA0
「待ってくれ、美希。…俺だ、…信じてくれ」
「……ハニー………そんな」
「ああ。そうだよ ごめんよ美希。…また、一緒に暮らそう…おいで、」

謎の男『ジョーカー』が、忘れられし聖堂で確保されました。
燃え盛る教会を背に、美しい草花が生い茂る中で。

それは…美希の恋人では、ありません。
…美希の恋人なる者は、とっくとのとうにいなかったのですから。

倒れていた男は…他ならぬ、『ジョーカー』でした。


「…ミキ、一体何をしていたんだろう。
 何も知らずにいれば、ただの不幸な女で済んだのにな。」

見渡すは山麓。彼女の悲しい背中を…空に舞う花びらが隠していました。
「…私には、美希にかける言葉なんてない。…未来を予測できる者なんて、いないんだから。」


「…泣いてジョーカーの仮面を銃で割って、プロレス技かけたら、何だかスッキリしちゃった。
 ね、律子さん。次のお仕事いこ!」
「私はあんたのプロデューサーかっていうの…
 …その顔で、まだ戦うつもり? メイクも取れて、せっかくの顔が台無しよ
 …もうあんたは何も背負う必要なんてないの」


「……そう。…ミキ、律子さんのこと、絶対忘れないの!」

「忘れていいわよ?
 …ううん、忘れなさい… 全部。 星井美希は、アイドルの仕事だけをしていた。
 グラディウスなんて組織に属していたこともないし…これからは、自由。」

「自由、なの?それじゃあ…」

「美希?一体何を………ナイフ?え、あんた何を……
 あ、あー…髪を短く………いや、だから一体それは何で… …え?」

「次の仕事ならまだあるって思うな やよい達のこと、忘れてるわけじゃないでしょ?
 こんな泣き崩れた顔は、アイドルの方こそ向いてないの。暫く他のことしてたいな」
「…あーいや……アンタも行くの…?ピヨさんに怒られちゃうところだった」
「律子さん、ピヨさんのこと随分気にかけてるね…何か変な感じー…」

「なワケないでしょ!! …まぁともかく。んじゃムスペルニブル行ってみる? はいおにぎり」
「ありがとうなの!」
「…でその後は」
「やよいの手助けしながら考えればいいかなって思うな♪」




「…春香……よくぞ私を倒しました …やはりあなたも私の血を分けた…娘」
「………どこから声を出しているんですか …歌田音!」
「あなたには権利がある。永遠に世界を支配する力を手に入れる権利が。
 孤独でしょう、悲しいでしょう …その身の不幸を、地の果てまで振りまきなさい」

「そして、全ての者をその力で支配しなさい 魅力でも、魔力でも。
 同性も異性も全てあなたの元にひれ伏すのですから」

「……」
「残り70年の命と、永遠なる幸福。…選択の余地など」

「…いやです。私はあなたのコピーじゃない
 私は… …私は、雪歩が愛してくれた私でい続ける!!」


ファシナトゥールを支配する妖魔の君、歌田音が春香により倒されました。
一方的に与え、奪い続ける永遠の時間の愛より、
愛した者が愛してくれた者で居続ける有限の時間の愛を…彼女は選んだのです。

864サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 最終話 4/5:2009/11/13(金) 23:52:17 ID:U95ykrvA0
「……春香…さま」
「私はもうただの人間だよ …雪歩。…いつかおばあさんになって死んじゃうけど、ごめんね」
「…私は、可愛く歳を取っていくあなたを見ていられれば、それで幸せですよ……
 ……春香ちゃん」
「雪歩…!!」
「春香ちゃんっ!!」


「ゆ、雪歩、激しいって落ち、落ち…この下ムスペルニブルだか…あーーーー!!熱い、服溶けるーーー!!」
「四条さんに回復させてもらえば問題ありません♪ …あの、それより春香ちゃ…は、はだ」
「雪歩も……あれ、雪歩って結構」



「ピンクパンチ殿…どうしました? なんと。館の前に血まみれの全裸の女子達…? …面妖な」


この後にムスペルニブルの一戦、続いてマーグメルでの出来事と続き…
そしてその後のニュース。



「メタルアルカイザー…お前は強かったよ
 …でも、間違った強さだった」

リージョン界の奥、深く蠢く悪の組織ブラッククロスの壊滅。
それを成し遂げたのは、正義のヒーローアルカイザー。

「…啓介のお母さんと妹さん!?」
「あらー」
「あ。ほんとだー!」

「あら真ちゃんにあずさちゃん、ご無沙汰ねー
 …って、…あなたまさか、春香ちゃんじゃない!?」

シュライクで死を遂げた小此木母子が何故か発見されたりと。
そんな母子が元気に動いていたにも関わらず、それから彼らの息子である
真の親友、啓介は数日間休暇をとり寝込んでいたそうな。理由は、定かではありません。
そして、アルカイザーの噂はそれ以降ぱったりと消えてゆきました。




「世界を統べるのは『力』だ、それがまだ解らないかね
 リージョン界を統治する絶対的な力、見せてやろう!」


リージョン界支配を企てていたトリニティ第七執政官モンド討伐。

ネルソン艦隊と、ワカツ出身の剣豪小鳥、
元ネルソン艦隊幹部の娘響、そのペットいぬ美によって。

ブラッククロスとの協力により作られた対トリニティ用の最終兵器、
グレートモンドとの激しい戦いの末の出来事でした。

時代の英雄、響は今
トリニティ上層部のスカウトに追われる生活を送っているそうな。

「やよい達、今どうしてるかなー…ちょっと匿ってもらおうかな」




「あずささんとの対決の後にはモンドとの戦い。
 それが終わったと思ったら、今度は古代兵器と戦うことになるなんてねー…
 私もう機械嫌いになりそう…… P765ちゃん、…起きてるのー?」
「眠らせてあげてください。…彼女は数千年か数万年かけてすべての任務を…
 終わらせたんデスヨ」

謎のロボットP765とサイネリア博士、疲労困憊のピヨさんらにより、
古代戦争でトリニティの前身となった国が対立していた国が開発し、混沌の狭間に放置されていた
最終兵器、リージョンバスタータイプ3、RB3が機能を停止。

「…まだ、やらなきゃいけない任務が一つ、あるでしょ…
 …おきなさい!!」

なお…このRB3が動き出したのは、
古代戦争の司令部HQのコンピュータがP765のアクセスにより
動き出したからであることは伏せられている。
「…ピヨ様、おはようございます」

「HQでのデータ修復時に任務処理優先ファイルがマスクされ、不正な動作を行っていました」
「? …とにかく。忘れていないでしょうね、最後の任務」
「はい。」


「認識ID9172−6253−2012
 亜美探検隊所属 直属指揮官亜美隊長 総指揮官真美様
 これより、原隊駐留地ボロへ帰還します」

…そして、彼女は最後の任務を終えるのでした。
「姉…ちゃん!!」
「遅すぎだよーーー!!」
「おお。帰ったかねP765君。ウサさんも待ってるよ」

「申し訳ありません」
小さな直属指揮官と、総指揮官の手荒い歓迎の中で。

865サガフロンティア×アイマス クーンやよい編 最終話 5/5:2009/11/13(金) 23:53:06 ID:U95ykrvA0
「偽りの、女神め…」

マジックキングダムの崩壊。地下から、モンスターがあふれ出してきたのです。

学院でのコードネーム『ルージュ』…亜美が目にした…かつてあずさも目にした光景。

「……そういうことだったのか…
 この、魔術的装置で私と真美を二つに分けて……!!
 …どうして!! どうして私達を殺し合わせたの!! 何も知らなかった私達を!!
 …何があったの、どうして外のみんなが死んでいるの」

両学院の中間施設…赤ん坊達が何も知らずに眠る、白と黒の培養槽。運命が始まった場所。


「かつて、リージョンバスターと呼ばれた兵器が台頭した古代戦争にあった
 マジックキングダムは、誰にも支配されない、楽園を作るため…
 戦争に苦しむ人々を救うため、強大な指輪の力で一つのリージョンを作り上げた
 きれいな蓮の花が咲き乱れ、天使達が舞い踊り、
 光が常に差し込む… 夢の世界。
 
 誰にも侵すことのできない、力を持たぬ者… 欲無き者たちが生きられる天国。
 けれど…願いは、異なった形で叶えられた。

 真に力の無いものなど、欲望の無いものなどこの世にはいなかった。
 その場所は、天使により力を持つ、欲望すべての命が刈り取られ、
 その場所を汚そうとする者すべて天使により圧倒的な武力で根絶やしにする地
 誰にも望まれぬ美しき地 そこは、『地獄』と呼ばれた。
 その『地獄』が復活した時、再び封じる術士を生み出すため…あなた達は生まれてきた。
 世界最強最後の、術士よ」


「そんなことは知らない!! ……こんな施設は破壊する!」
けど、そうも言っていられませんでした。
モンスターが現れ、学院を襲っていきます。

「…この赤ん坊を …未来を守るためには、どうしたらいいの」
「地獄へ行きなさい …『地獄の君主』と戦い、 …そして…
 ………………」


赤ん坊達の悲鳴がこだまします。
「…真美…」
…その悲鳴は、ルージュの中の、ブルーの記憶を呼び覚まします。

ブルー…真美が空間を操る空術の使い手を殺したときに奪われていった命の悲鳴。
…身寄りの無い子供達のための世界が、子供達ごと消えていったあの時のことを。

いつの間にか自分達も…
こうして自分達を騙し続けてきた大人と変わらない者になっていた。

「…………おお、…亜美………お前が、行ってくれるのか」
「…子供達を、お願いします」

自分の年齢など、とうに忘れていました。
「お前達は… 本当の」






…こうして、世界は変わってゆきました。
それぞれが、それぞれの足で世界を踏みしめ、そしてそれぞれの戦いに打ち勝つことで。

ラモックスたちも、新たなる世界へ足を踏み入れます。
どこでだって生きていける。

そこには新しい出会いがあり、新しい発見があり、新しい自分が待つのだから。
変わらない自分の心根を持ち続け…彼らは、行きます。


さながらそれは、新天地…フロンティアに足を踏み入れるが如く。




やよいは誰もいなくなったマーグメルに、黒い指輪を捨て…
最後に、お別れの挨拶をクレヨンで。
…少し、下手ではあるけれど


それは、力いっぱいの文字で。



「さよなら マーグメル」

866乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/14(土) 10:10:17 ID:ZwMDFaC20
グラディウス軍の主な士官や将校等第四版

空軍
アルヴァ・ユンカース大将 23歳
ヴィンチェンツォ・ルガース大将 55歳
ディアス・ユンカース中将 21歳
アドリアナ・ベチン中将 51歳
ハスキー・ハルバート中将 50歳
ゴーチェ・ベルトラン中将 49歳
ジェルヴェ・ブラシェール中将 57歳
エヴラール・ダルコ少将 51歳
ジョニー・ガーランド少将 45歳
エドワード・オレステス少将 59歳
フリッツ・パーペン少将 56歳
クラウス・ケッセル少将 41歳
エマニュエル・コロー少将 38歳
ノーナ・ラフマニナ大尉 25歳
リューシャ・ブチェンコワ大尉 24歳
セバスティアン・ハルバーゲン中尉 27歳
スタファン・ヘンネル中尉 28歳
ラミ・ニュメリン少尉 21歳

陸軍
ブラン・ホルテン元帥 23歳
ハロルド・ワイルディング大将 49歳
グリフィン・レインウォーター大将 50歳
フレデリック・レーガン大将 47歳
トーマス・バーシティ中将 51歳
アルベルト・アダンティ中将 50歳
アルバート・シュライヒャー中将 33歳
アーチボルド・バルフ中将 39歳
ジェフ・バッセル少将 38歳
モーゼス・バートン特別少将 22歳
マーカス・キャビンディッシュ少将 26歳
チャールズ・トーチ少将 30歳
ウォーラス・モス少将 48歳
エメリナ・レインウォーター大尉 21歳
エレノエーレ・ベレスフォード少佐 24歳
アンネローズ・ビッグコア=ニーベルング上等兵 17歳
ベルナルド・パオローニ一等兵 18歳
ルゼロ・アゴロッティ一等兵 18歳
テオドロ・トッティ一等兵 21歳
サンティノ・カッポネッラ曹長 32歳
シモーネ・ガンベリニ伍長 28歳
アルフォンス・ベリーニ一等兵 20歳
ルチアーノ・チッコリーニ上等兵 27歳
ステファノ・ボナッツェーリ伍長 28歳
テオドリコ・カッポネッラ上等兵 30歳
ミケーレ・カッポネッラ軍曹 27歳
ヴァレンティーナ・カッポネッラ二等兵 22歳

宙軍
マンフリッド・ベレスフォード大将 59歳
クラナス・ランフォード大将 23歳
ナルヴィック・ルフラン大将 25歳
クロン・ベイル中将 61歳
オーラフ・ヴァーノン中将 41歳
ライオネル・アッカースン中将 52歳
ジャック・トンプソン中将 55歳
ヤコブ・フルシチョフ少将 67歳
ルーベン・イングラム少将 38歳
エメライン・ベンジャミン少将 47歳
マンフレッド・ボールドウィン少将 46歳
アリセ・ベンジャミン大尉 21歳
ヴィットーリオ・レッティエーリ中佐 32歳
アドリアノ・カンパーノ少佐 30歳
ニノ・インフォミュラ少佐 35歳
トンマーゾ・ガットー大尉 27歳
アルステーデ・ビッグコア=ニーベルング特務大尉 18歳
クーニグンデ・ビッグコア=ニーベルング特務大尉 18歳
マルグリート・ビッグコア=ニーベルング特務少尉 17歳

867超兵器一覧:2009/11/14(土) 20:36:48 ID:SCqaKS4M0
超兵器一覧
(ウォーシップガンナー2以外にのみ登場している超兵器もあり)

―水上艦―
超高速巡洋艦ヴィルベルヴィント
超巨大双胴強襲揚陸艦デュアルクレイター
超巨大双胴戦艦ハリマ
超巨大航空戦艦ムスペルヘイム
超巨大氷山空母ハボクック
超巨大レーザー戦艦グロースシュトラール
超巨大ドリル戦艦一番艦アラハバキ
超巨大ドリル戦艦二番艦アマテラス
超巨大ドリル戦艦三番艦あら、葉巻?
超巨大戦艦ヴォルケンクラッツァー
超巨大レーザー航空戦艦リヴァイアサン
究極超兵器フィンブルヴィンテル
1/144ゔぉるけんくらっつぁー
―旧作―
超高速巡洋艦ヴィントシュトース
巨大空母アルウス
ステルス戦艦マレ・ブラッタ
巨大戦艦ナハト・シュトラール
超巨大航空戦艦テュランヌス

―水中艦―
超巨大潜水戦艦一番艦ドレッドノート
超巨大潜水戦艦二番艦ノーチラス
―旧作―
巨大潜水艦レムレース

―航空機―
超巨大爆撃機アルケオプテリクス
超巨大攻撃機フォーゲル・シュメーラ

―その他―
超巨大列車砲ドール・ドラヒ
超巨大水上要塞ヘル・アーチェ
究極ナマモノ兵器キョウフノダイオウイカ

868乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/14(土) 22:46:30 ID:SCqaKS4M0
バクテリアンの新体制

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
首相 ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務・法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(デス151)
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)

869乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/15(日) 18:17:25 ID:LEdyurAQ0
バクテリアンの新体制

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
首相 ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務・法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(デス151)
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)
バクテリアン帝国情報局長官 ニュクス・デス=ニーベルング(デス498)

870皇帝:2009/11/16(月) 19:23:04 ID:B1BOzo6g0
つーちゃんがクーデターを起こして私が一旦逃げ出して再起した時の
『コレリアン=タイムズ』誌の一面記事のタイトル

(5/11)「凶悪な食人鬼、未知領域より出現」

(5/12)「アクシリアの鬼、バスティオンに降下」

(5/13)「怪物、ヤガ=マイナーに到着」

(5/14)「アスモデウスはダントゥイーンに進出」

(5/15)「虎、テロスで一泊」

(5/16)「僭主は今トプラワに居る」

(5/17)「簒奪者、トプラワを通過」

(5/18)「暴君、首都に6セクターに迫る」

(5/19)「ファーマスは艦隊を率い前進」

(5/20)「ピエットは明日アルカニアに」

(5/21)「皇帝ファーマス、ルーアンに」

(5/22)「皇帝陛下、昨日フロスヒルデ宮にご帰還。臣民、歓呼で迎える」

871乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/16(月) 21:43:36 ID:DrzZtFI.0
バクテリアンの新体制

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
副大統領 シュヴェルトラウテ・クリスタルコア=ニーベルング
首相(形式のみ) ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務・法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ベランジェール・クリスタルコア=ニーベルング
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
文部科学大臣 ラティフェ・ビーコン=ニーベルング

バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館ラティス支部担当者 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(151)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)
バクテリアン帝国情報局長官 ニュクス・デス=ニーベルング(デス498)

国防議会議長 シルヴェーヌ・クリスタルコア=ニーベルング
国防議会副議長 エルトルル・ビーコン=ニーベルング
裁判所長官 ハイリュンニサ・ビーコン=ニーベルング

陸軍司令長官 ミュリエル・クリスタルコア=ニーベルング
陸軍副司令官長 ロスヴァイセ・ビーコン=ニーベルング
宙海空軍司令長官 クロティルデ・クリスタルコア=ニーベルング
宙海空軍副司令長官 グートルーネ・ビーコン=ニーベルング

バイパー「まだ予定だし、こうなるとは決まってないよ!」
それにしても暇だぜ!

872乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/17(火) 17:54:26 ID:Pz5gHSkM0
バクテリアンの新体制

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
副大統領 シュヴェルトラウテ・クリスタルコア=ニーベルング
首相(形式のみ) ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務・法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ベランジェール・クリスタルコア=ニーベルング
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
文部科学大臣 ラティフェ・ビーコン=ニーベルング

バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館ラティス支部担当者 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(151)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)
バクテリアン帝国情報局長官 ニュクス・デス=ニーベルング(デス498)

国防議会議長 シルヴェーヌ・クリスタルコア=ニーベルング
国防議会副議長 エルトルル・ビーコン=ニーベルング
裁判所長官 ハイリュンニサ・ビーコン=ニーベルング
銀河帝国元老院バクテリアン代表議員 ターヒア・ビーコン=ニーベルング

陸軍司令長官 ミュリエル・クリスタルコア=ニーベルング
陸軍副司令官長 ロスヴァイセ・ビーコン=ニーベルング
宙海空軍司令長官 クロティルデ・クリスタルコア=ニーベルング
宙海空軍副司令長官 グートルーネ・ビーコン=ニーベルング

今日の合言葉はー?
天城「ナセルはアラブの大統領!」
ブラウン「意味がわかりません、天城大佐」

873乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/17(火) 23:33:57 ID:Pz5gHSkM0
グラディウス・タイムズ(11/17)

宇宙海賊現る?
ここ数日グラディウスと銀河帝国を結ぶワープトンネルにて
グラディウス国籍の物資輸送船が相次いで失踪する事件が発生。
グラディウスはこれを宇宙海賊の仕業とし、
宙軍と空軍を当該宙域へ派遣することを決定した。
なおバクテリアン国籍、銀河帝国国籍の輸送船は襲われることがなく、
この宇宙海賊が抱くグラディウスへの憎悪の念は尋常でないことが分かると言えよう。
もし、本当に宇宙海賊なら、の話だが。

874乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/18(水) 23:28:11 ID:iTpAyRkk0
バクテリアンの新体制 最終版(になるといいな!)

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
副大統領 シュヴェルトラウテ・クリスタルコア=ニーベルング
首相(形式のみ) ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務・法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ベランジェール・クリスタルコア=ニーベルング
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
文部科学大臣 ラティフェ・ビーコン=ニーベルング
運輸大臣 ヴェルグンデ・クリスタルコア=ニーベルング

バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館ラティス支部担当者 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(151)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)
バクテリアン帝国情報局長官 ニュクス・デス=ニーベルング(デス498)
バクテリアン帝国情報局副長官 ヴォークリンデ・デス=ニーベルング

国防議会議長 シルヴェーヌ・クリスタルコア=ニーベルング
国防議会副議長 エルトルル・ビーコン=ニーベルング
裁判所長官 ハイリュンニサ・ビーコン=ニーベルング
銀河帝国元老院バクテリアン代表議員 ターヒア・ビーコン=ニーベルング

陸軍司令長官 ミュリエル・クリスタルコア=ニーベルング
陸軍副司令官長 ロスヴァイセ・ビーコン=ニーベルング
宙海空軍司令長官 クロティルデ・クリスタルコア=ニーベルング
宙海空軍副司令長官 グートルーネ・ビーコン=ニーベルング

875乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/19(木) 21:54:44 ID:tkT7xOpw0
―ジャジャーロッド家のデス5―
デス1:アルテア・デス=バクテリアン
デス2:ビアンカ・デス=バクテリアン
デス3:クラウディア・デス=バクテリアン
デス4:ダリア・デス=バクテリアン
デス5:エルシリア・デス=バクテリアン

―デスダブル―
デス6:フラヴィア・デス=バクテリアン
デス7:ジョルジャ・デス=バクテリアン

―デス20―
デス31:ヴァネッサ=デス=コア=バクテリアン
デス32:テレーザ=デス=コア=バクテリアン
デス33:セレナ=デス=コア=バクテリアン
デス34:ローザ=デス=コア=バクテリアン
デス35:パオラ=デス=コア=バクテリアン
デス36:オルネラ=デス=コア=バクテリアン
デス37:ナタリア=デス=コア=バクテリアン
デス38:ミカエラ=デス=コア=バクテリアン
デス39:ロレーナ=デス=コア=バクテリアン
デス40:カレン=デス=コア=バクテリアン
デス41:ジェシカ=デス=コア=バクテリアン
デス42:イラリア=デス=コア=バクテリアン
デス43:エレナ=デス=コア=バクテリアン
デス44:ジゼラ=デス=コア=バクテリアン
デス45:フランチェスカ=デス=コア=バクテリアン
デス46:エディト=デス=コア=バクテリアン
デス47:デーボラ=デス=コア=バクテリアン
デス48:カーラ=デス=コア=バクテリアン
デス49:ベレニーチェ=デス=コア=バクテリアン
デス50:アレグラ=デス=コア=バクテリアン

876乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/21(土) 11:03:20 ID:iA8AymxU0
バクテリアンの新体制 第二最終版(になるといいな!)

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
副大統領 シュヴェルトラウテ・クリスタルコア=ニーベルング
首相(形式のみ) ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務・法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ベランジェール・クリスタルコア=ニーベルング
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
文部科学大臣 ラティフェ・ビーコン=ニーベルング
運輸大臣 ヴェルグンデ・クリスタルコア=ニーベルング

バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 ルキ・スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館ラティス支部担当者 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(151)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)
バクテリアン帝国情報局長官 ニュクス・デス=ニーベルング(デス498)
バクテリアン帝国情報局副長官 ヴォークリンデ・デス=ニーベルング

国防議会議長 シルヴェーヌ・クリスタルコア=ニーベルング
国防議会副議長 エルトルル・ビーコン=ニーベルング
裁判所長官 ハイリュンニサ・ビーコン=ニーベルング
銀河帝国元老院バクテリアン代表議員 ターヒア・ビーコン=ニーベルング

陸軍司令長官 ミュリエル・クリスタルコア=ニーベルング
陸軍副司令官長 ロスヴァイセ・ビーコン=ニーベルング
宙海空軍司令長官 クロティルデ・クリスタルコア=ニーベルング
宙海空軍副司令長官 グートルーネ・ビーコン=ニーベルング

877懲りずにパクリネタ ◆Free525l1Y:2009/11/21(土) 13:14:20 ID:HCckLaeY0
エリカ「家賃15万…もっと安い部屋無いんですか?」
たてじん「あ、それでしたら最近流行のワンルームハウスって言うのどうでしょう?」
エリカ「ワンルームの一軒家?そんなのあるんですか?」
たてじん「はい、この部屋は一応管理者がおりますので
      アパートとほとんど同じ扱いになっております。」
エリカ「へぇーいいですね…どんな感じなんですか?」
たてじん「あ、こちらがその写真になります」
ttp://www.purehabu.com/jpg/souko2.jpg
エリカ「いやこれプレハブじゃん!風呂とかトイレとかどうするのよ!」
たてじん「あ、風呂でしたら近くに銭湯がございますし
      トイレも家のすぐ近くにございます」
ttp://image.blog.livedoor.jp/yt2425/imgs/0/4/04448db9.JPG
エリカ「いやいやいや…」

878乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/21(土) 22:57:50 ID:iA8AymxU0
バクテリアン体制 最終第三版

大統領 ブリュンヒルデ・ラブ・ビッグコア=ニーベルング
副大統領 シュヴェルトラウテ・クリスタルコア=ニーベルング
首相(形式のみ) ヴァルトラウテ・デス=ニーベルング
外務大臣 スルーズ・ビッグコア=ニーベルング
内務大臣 フィフィ・ピンネース・カバードコア=ニーベルング
法務大臣 アルヴィト・ビッグコア=ニーベルング
厚生労働大臣 アンネリース・ビッグコア=ニーベルング
軍務大臣 ベランジェール・クリスタルコア=ニーベルング
農林水産大臣 エルルーン・デス=ニーベルング(デス300)
文部大臣 グェイルヴィルム・カバードコア=ニーベルング
科学大臣 ラティフェ・ビーコン=ニーベルング
運輸大臣 ヴェルグンデ・クリスタルコア=ニーベルング

バクテリアン大使館グラディウス支部担当者 ルキ・スクルド・デス=ニーベルング(デス500)
バクテリアン大使館ラティス支部担当者 ヘルフィヨトル・デス=ニーベルング(151)
バクテリアン大使館銀河帝国支部担当者(予定) ヒルド・デス=ニーベルング(デス499)
バクテリアン帝国情報局長官 ニュクス・デス=ニーベルング(デス498)
バクテリアン帝国情報局副長官 ヴォークリンデ・デス=ニーベルング

国防議会議長 シルヴェーヌ・クリスタルコア=ニーベルング
国防議会副議長 エルトルル・ビーコン=ニーベルング
裁判所長官 ハイリュンニサ・ビーコン=ニーベルング
銀河帝国元老院バクテリアン代表議員 ターヒア・ビーコン=ニーベルング
バクテリアン科学庁長官 フラスコヴィヤ・カバードコア=ニーベルング
国営軍事工場工場長 ビルギッタ・クリスタルコア=ニーベルング

陸軍司令長官 ミュリエル・クリスタルコア=ニーベルング
陸軍副司令官長 ロスヴァイセ・ビーコン=ニーベルング
宙海空軍司令長官 クロティルデ・クリスタルコア=ニーベルング
宙海空軍副司令長官 グートルーネ・ビーコン=ニーベルング

879im@s fantasy9 第一章 第一話 1/2:2009/11/22(日) 01:44:01 ID:yeEZGkwY0
水平線の上半分を覆い尽くす、灰色の雲。

弾丸のように降り注ぐ雨に、その無数の雨粒を受けて沸き立つように波打つ…激しい激しい波間。
何時壊れてもおかしくない、小さな船に…一人の女性と、一人の子供が乗っていました。

…ひしと抱き合う女性と子供。
声すらもかき消される中、決して離れぬように。
波により、雷により…雨により…船が壊れぬよう、沈まぬよう。

空に浮かぶ、巨大な赤き目を見ないように。





「…ふぁ……っ」
最高級のカーペットの上の、化粧用の椅子で彼女は目を覚ます。

銀のティアラを頭にし、白いドレスに身を包んだ彼女は…今日で16歳。
何かの音を感じ、雪の降る空を見上げる。


「……あれは…」

金の飾りを施した窓を開けると……空を飛ぶ、ユーモラスな建物を乗っけた船。
「…劇場艇…………」



「失礼致します  雪歩様、そろそろ劇場の方へ…」
「何してるの雪歩、追いてっちゃうよ?」


黄金の冠とリボンを着けた、赤いドレスの少女…
その前には、青い髪の豊かな胸をした女性。
「…姉様、千早ちゃん。はい…直ちに」

白いドレスの彼女は、アレクサンドリア王女雪歩。
そして赤いドレスの彼女は若くしてアレクサンドリア女王となったその姉…春香だった。


彼女達の母親…先代ブラネ女王は二人が幼い頃に逝去していたのだ。
一説によると、当時不治の難病に侵されていた春香を治す為、命を削る禁呪を用いたと言われているが。

「雪歩、お芝居好きでしょ?
 今年は雪歩の大好きなお芝居を頼んでおいたから、期待してて」
「…はい。」



そう。今日は雪歩王女の誕生日を祝して、王宮に招いた劇団による演劇の日。
町は皆、お祭りムード。

演劇は皆が見ることが出来るわけではない。客席には限りがあるのだから。
…チケットは、国民皆の憧れの的。

そんなチケットを手にして、喜びの絶頂に有るはずの一人の男の子が…
受付で愕然としていた。


「お前、四本腕のギルガメッシュにスられた上、偽のチケット掴まされちゃったのか?
 ついてねぇ奴だなー」
ネズミのような顔をした小さな男の子の声が、
三角帽子を被った顔の見えない男の子の背中にかかる。


「…え?聞いてたの…?」
「見てたし、あの落ち込みようなら声が聞こえなくても解るよ
 …それでお前、どうするんだ?」

一人ぼっちで王都にやってきた幼い少年は、
ネズミ族のその少年の言葉の意味が解らない。

「どうする、って…?」
「演劇、見たくないのか?」

「え!?方法を知ってるの?」
「ここじゃバレるだろうが。…俺の子分になるっていうなら、教えてやってもいいぜ」

三角帽子の男の子が頷くと
ネズミ族の男の子と共に裏通りへ向かいます。


「…お前、名前は?」
「ビビ! お願い、ボク演劇を見たいんだ!」
「よし、ビビだな …俺はパック。よし、それじゃやり方を教えるぞ?
 この町の広場に、鐘を鳴らす時計台があって、そこに梯子をかけて、屋根を伝っていくんだ。
 結構危険だから注意しろよ?」
「う、うん…」

880im@s fantasy9 第一章 第一話 2/2:2009/11/22(日) 01:46:48 ID:yeEZGkwY0
人々の期待を一身に背負った、空の上を行く特製飛空艇『劇場艇プリマビスタ』
梯子を降りた一人の金髪の少女は、扉を叩く。
「ミキだよー …いないの?」

ミキと呼ばれた少女は部屋の中へ入り、手に持っていたカンテラの火を中心のテーブルに置かれたランプに移すと…


「遅いわよ美希、やっとこれで揃ったわけね」
奥からぞろぞろと仲間が現れる。
「伊織、ウサちゃん、涼。何だ、みんな来てたの」
劇場艇のメンバーのよう。

「菜緒やゼネロやペデロはまだ来てないよ。…で、ボスも来てないんだけど…」



と言った瞬間。
ガチャリと、階段になった脇の扉を開けて、何者かが飛び降りて剣を振り回してきた。
「!!」
謎の女…その頭は龍だった。


「とうっ!!」
龍のような頭をした男の剣をウサちゃんはガード。

伊織が男から手馴れた手つきで男のポケットから高級ナイフ、メイジマッシャーを盗むと…
「てや!!」
美希は両手のダガーで男の頭を挟み込むように左右から斬る…と


「こらあああああああああああああ!!」
龍の頭は真っ二つ。…中から、眼鏡の女が姿を現した。

「いきなり襲っておいて何言ってるのよ、律子」
「ボスの自業自得だよね」
「…あいったた…ちょっと脅かしただけじゃないの」

律子と呼ばれた、ボスは思い切りぶつけた頭を押さえながら、扉を開ける。
「ま、とにかく結構腕をあげたようで私としては嬉しいわ
 さてさて!作戦会議始めるわよー、ちゃっちゃとする!」
「アイアイサー!」



美希、伊織以下6人が集合。小さな部屋のテーブルに置かれた模型で、作戦の説明を行う。
「さて、今回の作戦だけど…」

作戦…そう、演劇の段取りではない。
彼女らは別のことも行うつもりでいるのだ。

…いや、むしろそれが彼女らの本業。
「我らが目指すはアレクサンドリア王国。
 そして、私達『盗賊タンタラス』の目的は、この国の元第二王女、現王女の『雪歩』姫を浚うことである!!」
「その先からは私が説明するね」

そう。演劇は囮…彼女らは、国民から人気の高い王女を浚うことにあったのだ。

続いて涼と呼ばれた女のような男。
「もうすぐ、私たちの乗ってる船がアレクサンドリアに到着するの。
 で、予定通り演劇の『君の小鳥になりたい』を上演し…
 頼むわよ、主役のウサちゃん!」

「頑張る! けど誘拐作戦の主役は、美希ちゃんと伊織ちゃんだ!」

「幕間の間に私がこれで城中の奴らを混乱させる…」
伊織が手につまんでいるのは皆が嫌がる恐怖の害虫『ブリ虫』
「…けど、どうにもブリ虫ってのは苦手ね」
「そうじゃないと効果ないと思うよデコちゃん」


「で、その後はアンタの出番よ美希」
「よし、わかったの!!
 その隙に、春香女王を誘拐すればいいんだね!!」

「そうよ美希!私達が誘拐するはこのリボン2つの、ののワった春香ーーーーー」
律子はどうして用意していたのか春香人形を取り出し…
「なんでよ!!」
放り投げノリツッコミ。


「…ごめんなの。
 えっと、それじゃあミキはその隙に、春香女王を誘拐すればいいんだね!!」

「そうよ美希!私達が誘拐するはこのお菓子作りが得意で、ドジな春香ーーーー
 違うっ!!」
「ごめんごめん、えっと、じゃあミキはその隙に、春香女王を誘拐すればいいんだね!!」


以後50回ほど繰り返し…
「美希!あんたちょっとしつこいんじゃない!?」
その間に化粧を済ませた菜緒に乱入されたりしながら。

「…その隙に、雪歩姫を誘拐すればいいんだね」
「だから春香じゃ… やっと正解したのか。
 そ、私達が誘拐するは、王国始まって以来の可愛さと名高い萌え萌え王女『雪歩』!!」


そして、それ以降会議は順調に進み…
劇場艇プリマビスタは、アレクサンドリア城へ到着したのだった。

881im@s fantasy9 第一章 第二話 1/3:2009/11/22(日) 03:12:56 ID:yeEZGkwY0
城の外側にある…満席の城内劇場。
その中心に停泊し、ステージに変化する劇場艇。
こっそりとビビとパックが移動する中…

団長である律子は衣装を着用、ステージの中心で前説 そして…


「それでは、『君の小鳥になりたい』開演!」

割れんばかりの拍手の中…ステージが競りあがる。


「わっほい!!」
待ってましたとばかりに扇子をばたばたさせる春香女王。

しかし…
「………」
雪歩王女の顔は俯いたまま。


「………!」
それをいち早く察知したのは、王宮男性兵の部隊プルート隊の隊長。
「はじめ!!」
剣をかざすと、それを合図として花火が次々に撃ち上がり、紙ふぶきが舞い…
華々しい王国最大級の演劇の開幕を告げた。




演劇は、一人の平民の男マーカスと国の王女コーネリアの恋物語。

主役マーカスはウサちゃんが演じ…コーネリアは奈緒。
美希、涼、伊織の役は、コーネリアの父たる律子演じる暴君に立ち向かう仲間の役。

「ポーリー!」
「ファイダ!」
「メデオ!」
演劇用装置を用いた魔法演出や剣撃での迫真の演技。
裏切った伊織演じるブランクと美希の一対一の殺陣を経て
その素晴らしい演技に高額のおひねりをもらいながら退場。

「ぐえ!!」
「ぐはっ!!」
…コーネリア誘拐の演劇から一転、本物の雪歩王女誘拐作戦が開始される。


だらしのない男性兵プルート隊員を殴り倒し、鎧を奪い変装することに成功。

「事前調査によると、この階段の上に王室の貴賓席があるらしいわ」
「よし、じゃ行こう!」


と思ったとき。
「…美希、隠れろ!!」
セクハラ紛いな装備の女性兵が見回りに来た様子…隠れてやり過ごす。

「…危ない危ない」

王室の趣味なのかは不明だがアレクサンドリアは男性兵より女性兵の割合がとても多く…
警備、真面目さ、戦闘能力どれをとっても、軽装な女性兵は重装の男性兵の比ではなく……

男性兵を一対一で難なくタコ殴りに出来た彼女らでも、女性兵を相手にするには少々辛い。

「美希、知ってる?女性兵をまとめてる如月千早将軍って
 かなり巨乳だけど…あれ、実はパッドらしいのよね …って美希!?」


などと言っている間に、美希は階段を登っていってしまった。
「……何か気配がしたの」
すると、扉の奥から白のフードを被った細身の少女が走り去ってきた。


「…!」
「…あ、す、すみません〜」

よろよろしながら階段を下りようとする少女だが…
「あれ?  …ねえ、どっかで見たことあるような顔だけど……気のせいかなぁ」
美希は引き止めます。

「え?そ、そんな…人違いですよぅ…」
「可愛い子には目がなくて、招待客の一人一人までチェックしてたミキが
 こーんな可愛い子見逃すわけがないんだけどなー…」

じろじろと少女を嘗め回すように覗くと…
「あ、その、あの… すみませんっ!!」
少女は一目散に逃げ出した。


「ちょ、今の子誰よ!?」
「追うよデコちゃん!」
「え?」
「今のが雪歩王女なの!!」
ひょろひょろと走る雪歩を追いかける美希と伊織。

882im@s fantasy9 第一章 第二話 2/3:2009/11/22(日) 03:13:35 ID:yeEZGkwY0
…その後に、謎の二人が現れる。
「大変ですヨー」
「大変デスよー」

「そっちにはいないですヨー」
「わかってマスよー」

小さな体をした双子の宮廷魔術師「のの」と「ワー」。

「怪しいですヨー」
「本当デスよー」


「「…とにかく今は怪しんでいる場合じゃないデス(です)よー(ヨー)」」
「とにかく今は春香様の下へ!」

彼らは…すでに、雪歩失踪に気づいていた。

「春香様ー、大変ですヨ、大変!」
二人合わせてののワーが春香の元へ行くと、彼らの前には彼女を守る二人の隊長が。

「今は誰も通すなと言われている また後で来てくれ」
プルート隊隊長。
「火急の用件ですか」

「そうですヨー」
「火急も火急、大至急も大至急デスよー」
「私が用件を取り次ぎましょう」




「雪歩姫がー」
「かくかくしかじかでー」

「「大変なのデス(です)よー(ヨー)」」



「…何、千早ちゃん。今演劇の最中だから後にしてくれない?」
「それが春香様。…実は、雪歩様が先ほど…」


「ああ。そういえば雪歩見かけないね?どうしたの」
「雪歩様が、国宝のペンダントを持ちどこかへ去られた模様です…」


「…あの子、何考えてるんだろ…こんなときにー…
 千早ちゃん! あと、そこのプルート隊隊長の…」


隊長がガシャリガシャリと甲冑を鳴らし春香の元に。
「菊地真隊長!急いで雪歩を探してきなさい!」
「はっ!」

「わかりました!」
「かしこまりました」


千早と真、二人の隊長が雪歩の捜索に城内を奔走。
雪歩王女を巡る戦いは、白熱するのだった。



「オホン。プルート隊…集合!!」
真は床を踏み鳴らし一声。


「…………」
しかし隊員は集まらず。

「…ダメ、か…」
真は、千早の部下達に9393されながら、ため息をつき…
ふがいない部下達を集める作業に移るのだった。

883im@s fantasy9 第一章 第二話 3/3:2009/11/22(日) 03:14:40 ID:yeEZGkwY0
体は鍛えているため、女兵1人や2人には負けぬ力を持つ真だが…
千早隊長との差はまさに大人を前にした赤子。

隊としての働きで負けるわけにはいかないのである。…負けているが。
千早の部下達に聞き込み、自身の部下達を集めたりしながら
塔の螺旋階段を登った先で…

「げぇええっ!?雪歩様ーーー!?」
隣の塔で美希に追い回されている探し人を発見するのだった。


「………」
雪歩は塔の縁に立ち…不敵な笑みを浮かべ美希を見ている。
「ちょっ、お姫様!?危ないよ、こっちに来て!!」
美希は安全のためにも雪歩王女を捕まえるタイミングを見計らっていると…



「うわあああああああああああ!?」
「ああああああああああ!!」
「やっほー♪」


雪歩はなんと塔から飛び降りてしまった。
「…!?」

真と美希が下に目をやると、旗を掲げるロープを使いターザンのように夜空を飛ぶ雪歩の姿が。
「あぁ、結構こういうのも楽しいかも…」

「雪歩さまーーーー!!」
「なんて無茶するの…」

美希も負けじとロープに捕まり、雪歩と空中の追いかけっこをスタート。
真隊長も負けじとロープに掴まるが…

「わあああああああ!!?」
見事に反対側の塔に激突。


雪歩は劇場艇のテント屋根にぼよんと着地、劇場艇内に落下。
美希もそれを追って劇場艇内へ。
「…ここに追い込めば後は美希たちの勝ちだね」

「きゃ!」
「わあ!」
「ほへ!?」
「どわぁ!!」
「あぁん…」
「ごめんなさいぃ…」


楽団員たちと、化粧中の菜緒を突き飛ばして劇場艇の下のフロアへ逃げていった。
「美希!今の子何!?めちゃくちゃじゃない…」
「ああ、お姉ちゃん、今の子が雪歩王女なの!」
「ええ!?」


階段を下りると、そこは仮面を被った律子と戦った部屋。
律子が出てきた階段から降りると…そこには逃げるのをやめた雪歩が。

「……やっと観念する気になったね、雪歩様」
「…あなたはもしかして劇場艇の方でしょうか」

雪歩は美希の方を向き直る。
「ご存知かもしれませんが…」
フードを取ると、さらふわの髪の毛。
「アレクサンドリア王女の雪歩です」



「あなたを見込んでの、頼みがあります」



すると…雪歩は美希の手を取り、その一言を。
その一言が…世界の命運を決めることになるとは、美希も知らずに。

「私を誘拐してください!! いま、すぐ!」

884im@s fantasy9 第一章 第三話 1/4:2009/11/23(月) 01:48:59 ID:v1B5.7GQ0
「誘拐してくれ、って…そんなあべこべなの…」
「お願いします…」

その目つきは至って真剣であり…
国始まって以来の美姫に手を握られたこともあり、美希はしどろもどろ。


「姫様ー!こちらですかー!」
聞こえてきた声はプルート隊隊長、真のもの。

「…追っ手が来たようです」
「何か訳アリみたいだね、それじゃ…… よし、ここは一つミキに任せて」



膝を突き、美希はお姫様を見上げると…
「それでは王女様…
 これより、私めがあなたを誘拐させて頂きます」
照れ隠しに顔を10度傾けウインク。
丁寧な口調で、両者合意の下の誘拐を始めるのだった。
…長い長い、運命が…ここに始まりを告げる。



「こっちに来て、美希ちゃん!」
「ひゃああああああ!?」

現れた涼に怯える雪歩。
「…一瞬で涼の性別がバレるなんて…何てお姫様なの」
涼に招かれるままに作戦会議室へ。



テーブルをどかすとそこには下階への穴。
「こんなこともあろうかと、こういう抜け道を作っておいたの」
3人が落下。


「こっちです、隊長!」
それから数秒の後にプルート隊隊長と隊員が到着。


「うむ、君から先に行ってくれ!」
真隊長が部下を先に穴へ向かわせると…

「あ」
穴に突っかかり通れなくなってしまい。

「…す、すみませぇーん、通れないみたいですー!」
「何やってんだよ!! …仕方ない、ボクはあっちから回る、君は何とか通ってみろ!」

結果、大きなタイムロスに。
「…ククック…」



しかし到着は意外に早く、
地下動力室へ向かおうとする彼らの前からは隊長、後ろから隊員…はさみ打ちに。
「いい連携プレイだ!プルート隊始まって以来の活躍だぞ!」
しかし、傍目に寂しいことを言っている真の感動は一瞬のことだった。


「おっと、隊長さん、この先には行かせられないわね」
「な!?」

隊長に剣を向ける隊員…そう。
隊員は伊織の変装。
「お、お前ら…!!」

「お姫様をお守りするのはミキたちなの!」
美希、涼、伊織。
3人がかりでの戦いが始まるが…

885im@s fantasy9 第一章 第三話 2/4:2009/11/23(月) 01:50:02 ID:v1B5.7GQ0
「…あまり大したことないわね」
「うん。打たれ強くはあるけど、これは…」

「楽勝だね!」
疲労している真に、律子から手に入れたメイジマッシャーで切り裂くと

「う…… なかなかやるな悪漢ども…それなら!!」
追い詰められた真は剣を両手で握ると
剣が途端に青白いオーラを纏い…


「…何かまずいよこれ」
「本気を出してるようにしか見えなかったけど…手加減してたっていうの!?」


目を見開き、
「たりゃああああああああああ!!」
剣を振り下ろすと伊織の鎧が一瞬にして大破。

「な…!」
伊織の隠し持っていた大量のブリ虫が爆発するが如く散らばり始めたのだった。
「わああああああああああああ!? や、やめろ、ブリ虫はやめてくれええええええ!!」


「…お、思いつきで必殺技なんか出すもんじゃなかった…!!」

伊織の着ていたプルート隊の鎧だけが壊れ、中のブリ虫も伊織も全くの無傷。
謎の技の特性に救われ、美希達は雪歩を連れて動力室へ移動するのだった。


そして演劇はクライマックス。
「さあ、シュナイダー王子との祝言だ これで二つの国は私の意のままだ!!
 いかにそなたがコーネリアのことを愛していたとしても…
 そしていかにコーネリアがそなたを愛していたとしても…身分の低いそなたとの結婚を認めるわけにはいかんのだ!
 あと鐘が3つ鳴ったとき、それがお前の最期だ!
 1つ…2つ…みっ…」


…そのとき。
「…!」

舞台装置により、2箇所の舞台下ハッチから現れるは


一方からは美希と雪歩…もう一方からは真。
「…………」
「…姫様、さぁこちらへ!!」


超展開、芝居の崩壊など律子は気に留めず…いや、それをむしろ芝居の流れに組み込む気でいた。


「…そう、姫と結婚するはそなただ、のう!シュナイダー王子!」
「え? …いや、ボクが?」

「いやですお父様、私はマーカスと結婚したいのです!
 …私、このお芝居は大好きで台詞も覚えていますの」
「流石だねお姫様…
 そういうわけだ!王様よ、二人の仲を認めてやってくれないか!」

美希はすぐに順応、雪歩がノる中、一人取り残される真。
「………もう、これしか方法がないんだ、コーネリア!」

演劇は続行。
ウサちゃん演じるマーカスは剣を手にし、王へと向かい突撃。
「…何!?」
律子演じる王が構えたその時…
「…!!」


雪歩演じるコーネリアがマーカスの剣の前に飛び出し、父たる王を庇い芝居用の剣を受け…
「…ごめん、なさい…」
なんとその場で絶命。

886im@s fantasy9 第一章 第三話 3/4:2009/11/23(月) 01:50:38 ID:v1B5.7GQ0
「…あ、あわわわ、あわわわわわわ!?」
真が凄まじい表情で固まる中。


「お父様、わがままばかりで申し訳ありませんでした…こんな娘を、どうかお許しください…」
「おお、コーネリア!私は…私はお前のことをわかってやれなかった!許してくれええええ…!」

衝撃の結末。貴賓席で大泣きする春香は、倒れる演技をする妹と頭が真っ白になっている部下には一切気づかず。
「ああああ…!今年の劇は泣かせるわああああ!!」

ぶん投げられたまま、終わりよければすべてよしで劇は幕を閉じ…ようとした時。



「待てーーー!!」
「わぁぁぁあ…!」
三角帽子の子供ビビとネズミ族の少年パックが男性兵に追われ舞台に上がりこんで…

「ふぁ、ファイア!」
「…!」
雪歩の頭を隠していたフードを燃やしてしまった。


パックは…舞台から逃げ、またどこかへ。…いや、それより。
「あ、熱い、あつつ…!!」
あらわになる、姫の顔。

「…あ」
「あ」
「あ…!!」

その場の空気が、一瞬にして変わった。
「おお、生きておられましたか!」
ひとりはしゃぐ真隊長だけが浮かぶ中…

「美希!私は船を飛ばす準備をしてるから、あんた達こいつを倒しちゃいなさい!」
「了解なの!!」

「…はっ!?」
再び、真隊長との戦闘が開始される。


「今度は部下もいる!負けはしないぞ」
と自信たっぷりな隊長だが…

「熱血もここまででありますー!」
「デートの約束に遅れちゃうー!!」

それぞれ一発の攻撃で退避。
「やっちゃえ!!」
「とう!」
「てや!!」
すぐに同じ展開を踏み…

「う、…キツい……」
息を切らすのだった。

887im@s fantasy9 第一章 第三話 4/4:2009/11/23(月) 01:51:09 ID:v1B5.7GQ0
「さ、今よ!脱出するわ!」
律子のアナウンスと共に劇場艇は発進…
「うぉ、お…おあ!?」
真は発進のショックで倒れてしまう。

これで後は真一人を縛るなりなんなりして引き摺り下ろすのみ…と思われたが…


「全然事態が理解できてないけどともかくあいつらはそういう目的だったってことかな!?」
「…なにやらカオスですが…大砲の準備、出来ております」
「よぉし千早ちゃんよくやった!!」

漸く気づいた春香の指令で大砲がキリキリと角度を調整…
「3…2…1…」

劇場艇へ向けられ。
「ヴァイ!!」

発射の合図と共に黒き砲弾が発射される。


ひゅるりひゅるりと劇場艇の真上に到達した砲弾は…熱で真っ赤に染まり、爆発。
いや…正体を現した。
「!?」
それは炎のモンスター、ボムの特別製だったのだ。


「ま、まだまだあああ!!」
空飛ぶ劇場艇の上で立ち上がり、抵抗を続ける真。そんな場合ではないのだが、戦闘が開始される。


「そこの人!どいて!!」
美希が力づくで真に攻撃するも、鎧と鍛え上げられた体の前では大して効果を成さず。
「お願い、後ろを見て真ちゃん!!」
雪歩が杖で真を叩くも言葉を信じようとせず。
「ぼ、ボムがぁぁ…」
ファイアを使うことなど絶対に出来ないため、ビビも杖で叩くが全く効果がなく…
「後ろを見なさいよ!!」
伊織が剣でガツリと真の兜を横から叩く。

これでくるくると真が回転、気づくかと思いきや、目を閉じてしまい気づかず。


「なんの!!姫様をたぶらかす悪漢は…」
背中にちょん。
「ええい、うるさい!!」
ちょんちょん。


「…ええい、奴らの仲間か…?」
と振り向いた所で…

大きく肥大化した、爆発寸前のボムの笑顔とご対面。
「…グフフフフフフ」
「あ、ああああ…!?」




かくして劇場艇の真上で、ボムは大爆発を起こしたのだった。

888im@s fantasy9 1/3:2009/11/24(火) 01:43:43 ID:pjKpQq.E0
ボムが爆発したとはいえ、劇場艇はその後暫く飛行を続け…
アレクサンドリア都市部を抜け、周辺の台地から下の大地へ…そこで墜落。
たどり着いたのは鬱蒼とした暗い暗い森の中だった。

「…この森に落ちて生きて帰ってきた奴はいない…大変なところに落ちたものね」

そこは『霧の大陸』最大の危険区域
アレクサンドリアの遥か下に生い茂る…『魔の森』だった。


「……ここは…」
美希は劇場艇から間一髪飛び降り、且つ無傷。
辺りの探索を始めているのだった。


「…?」
遠くから叫び声が聞こえたような気がして、大きな水溜りを超えて行くと…


「!」
そこには腰を抜かしたビビ…と、剣を構えた真
そして…


巨大植物『プリゾンケージ』。
たまねぎのようなまんまるとした体に、大きな口が開き…
二本の長い触手を持ち、頭の上に厚い皮のようなものが丸くなり…
雪歩を閉じ込めている。


「…雪歩!?」
「姫様ー!!」
「おねえちゃん…」
雪歩は気を失っていて反応も出来ない。

「…く、くそぅ…」
「離せえええええええええ!!」
「!?」


真が驚くほどの気迫を発し、美希はメイジマッシャーでプリゾンケージに斬りかかると…
「キャォウウウ!」
「はぁぁあああ!!」

突然体が発光…
たちまち、大きな大きな光に包まれ…


「…!?」
髪が茶色に変化、服が一気に脱げ、代わりに体毛が体を覆う獣人へと変化した。


「…な、なんだよそれは…!?」
「何か力が沸いてくるみたいなの 凄く頭も冴えてるし…
 魔法も使える気がする! コイツを倒すよ!」


すると美希は突然頭に浮かんだ言葉を発する。
「『フリーエナジー』!!」
その瞬間、手をかざした対象…プリゾンケージの体が妙な文字を浮かべ爆発。


「今なの!」
「あ、ああ!!」
真は剣を振りかぶり、怯んだプリゾンケージに一撃。

「キ、キュイイイイイ!!!」
…しかし、プリゾンケージはそのまま逃げていってしまった。


「待て…!!」
「雪歩様を返せ!!」
しかし美希の体はいつの間にか元に戻り…
追いかけられない距離まで逃げられていた。

889im@s fantasy9 第一章 第四話 2/3:2009/11/24(火) 01:44:34 ID:pjKpQq.E0
「…ああ……賊を止められなかった挙句モンスターに捕まり逃げられてしまうとは…」
「…仕方ないよ。助け出す手段を探そう 一旦体勢を立て直すの」

激しい怒りをあらわにした割に、美希は冷静だった。
「…お前に言われたくはない…」



「ボクもごめん、魔法が怖くて使えなかった…
 …そうだ フリーエナジーって言ったね?」
ビビが美希に言う。

「…うん」
「僕たちが使ってる魔法の名前と全然違うんだ…
 名前の形式が全然違うし、動作も別。…多分、魔法とは別の力だと思うよ」

「…激しい感情により体が変化し、特殊な能力を扱えるようになる
 ……もしかすると、『選ばれし者』のみが使える『トランス』かもしれないな」


「…」
美希は自分の中に眠る力より、雪歩のこと。…先へ進み、雪歩奪還へ動き出そうとした時…

…背後に大きな影。
「わぁっ!!」
芝居中に巻き込まれてやってきた子供、ビビがプリゾンケージに捕らわれてしまった。


「…さっきのとは別個体みたいだ!」
「とにかく倒さなきゃ!」


2体目のプリゾンケージとの対決。
しかし…幸運にも、雪歩と違いビビの意識ははっきりしている。

「ね、何か抵抗できる!?」
「え!?」

「…そういえば舞台の上で見せたファイア!アレを使えば…!」


「う、うん!やってみる!」
相手は植物。


「はぁあああああ!」
真は垂直に剣を構え、一直線に駆け飛びあがり…
「ふん!!」
鎧の重みも加わった重さを乗せた強烈な一撃。
「はっ!!」
美希は一瞬のうちに懐に飛び込みメイジマッシャーで横に一直線の斬撃。

「ファイア!!」
ビビは内部から、厚い皮で出来た壁を魔法で燃やし攻撃。



「う!!」
美希への、右からの蔦攻撃。
「く…」
真への、左からの蔦攻撃。

腕のような蔦を鞭のように使った攻撃…リーチが長く避けづらい。

しかし…攻撃はそう痛くはない。


「怯むな、行くぞおおおお!」
真はもう一度飛びあがり、剣を振り下ろす。
「もう少し!」
美希はメイジマッシャーで攻撃

「ファイア!!」
ビビの2度目のファイアがプリゾンケージを焼いた時…



「ギィィィィィイイイイ…」
プリゾンケージが倒れた。


「うおぉ…!?」
強力なガスを発生させて。


「危ない…!!」
美希は素早い脚で離れて回避するも、他2人はそうはいかず…
「あ…!!!」
真はガスによって全身の動きを麻痺させられた上、催眠作用で気絶、
ビビは謎の激痛でそのまま気絶…
「二人とも!!」
幸い、真は命に関わるものではなかったため、問題はなかったが…
ビビはただごとではない。

「………」
二人を放って雪歩を助けに行くわけにはいかず。
美希はビビを担ぎ、真を引きずり…プリマビスタへ戻るのだった。

890im@s fantasy9 第一章 第四話 3/3:2009/11/24(火) 01:45:29 ID:pjKpQq.E0
「…美希の奴に感謝することね
 あのまま行ってたら、あんた…死んでたわよ」

ビビが目覚めたのはベッドの上。
伊織の顔がありました。
「あんたは毒ガスじゃない…アイツに種を植え付けられてたみたいよ
 …全く魔の森の植物と来たら…
 で、あんた名前は?」





その頃。
「…雪歩王女を助け出したい…って?」
ボス、律子の部屋に美希はいた。


「…………ま、あんたの性格ならそうしたい気持ちも解る。けどね」
「けど…?けど何だっていうの、律子ボス」


律子は窓の外を眺めていた。
「…まだ…動くには早すぎるのよね 劇場艇から持ち出すべき物も多いし…
 休息が必要な者だっている。…王女のことはその後からでも」

「それじゃ遅いよ!」
「じゃ諦めること」


一見、律子の言葉。
「…フン、そんなに可愛い子だったっていうの?またいつものあんたの癖でしょ」
「そりゃ可愛かったけど…違う!助け出せるかもしれない命を放っておけないだけ」

…しかし律子は変わらず。
「…でもダメ」
「律子!!」



「単独行動は許さない。仲間が最優先。
 あんただってこのタンタラスの一員なんだから 解ってるでしょ!」
「…なら!!」



美希は背を向けた。
「それならタンタラスを抜ける!ミキがいなくてもみんなの面倒は見れるでしょ
 これから、今閉じ込められてるあの隊長を連れて行く!」

「へぇ…抜ける。軽々しく言うじゃない」
「もう、決めたことなの」

「……うん…なら、解ってるでしょうね …タンタラスの掟
 …1Fのホールで待ってるわよ」

律子は、バンと美希の肩をその厚手の手袋をした手で叩くと…階段をそのまま降りていった。
「覚悟しときなさい!」

タンタラスの掟…ボスとの決闘。しかしその声はどこか…
「…」
嬉しそうにも聞こえた。

891im@s fantasy9 第一章 第五話 1/3:2009/11/24(火) 03:32:00 ID:pjKpQq.E0
「で、君ビビって言うんだって?」
戦いの前に、容態を見るべくビビの元へ。
「あ、助けてくれてありがとう…」
「いやいや。巻き込んだのはこっちだし、ビビの魔法がなかったら危なかったと思うな」

黒魔法といえば、モンスターが使うのはままあることでも、
人間が完全に使いこなすとなれば威力は桁の違うもの…
完全に使いこなすことが出来るは兵でも難しいとされている。

ビビは帽子を直しベッドから起き上がる。
「…黒魔法を使える子供なんて凄いね」
「そ、そんなことないよ…」


「…小さいの、気にしてるの?
 あれだけの凄い魔法を使えるなら、もっと自信持っていいと思うよ
 男の価値は見た目じゃない!夢とハートの大きさで勝負するものだと思うの」


「…うん、有難う美希さん…… でも僕のせいであの人が……」
ビビは、雪歩が連れ去られたことを気に病んでいた。

「ミキ達で何とかするから、そこら辺は気にしないでいいかな
 あ。それとさん付けとか堅苦しいから呼び捨てでいいよ?」
「あ…うん。」

そして美希はそのまま真を監禁部屋から連れ出し、律子の元へ。


「…律子」
「大層な理由なんて、要らない。
 あんたが助けたいだけ。あの子が凄く可愛かったから。そんだけで十分じゃない」
律子はすでに、大剣を手にして待ち構えていた。

「全力でかかってきなさい!!」


入口前の長細いホールで、対決が始まる。


「とぁ!!」
律子が独特の掛け声を発し突進、剣を振るうが…
美希は天井のランプに尻尾を引っ掛け移動、律子の真上からメイジマッシャーで一撃。
「尻尾人間を相手にするとやっぱりこうなるわけね…でも」

そう。美希には生まれつき尻尾が存在する。
アクセサリーなどではない。…生まれたときから、自らの意思で動かせる体の一部。

最も、人間離れした体を持つ亜人はタンタラスのみならず、世界中に広く分布しており
美希は極めて普通の人間に近い体といえた。

「それは予想してた!」
防御され、弾かれたところに
「はぁ!!」
メイジマッシャーのもう片方を投げ律子の頭に直撃。

ヘルメットに突き刺さったメイジマッシャーの柄を持ちそのままぐるりと持ち上げ投げ飛ばす。
「あいたたた…」
「降参?」


「冗談でしょ!」
剣を地面に突き刺すとそこから衝撃波。
「!!」
「どうせもうすぐ出て行く劇場艇なんだし…思い切り暴れてやろうじゃない!」


衝撃波に当てられ、美希は脚を怪我。
「だらしないじゃない!?」
体を回転させ、体を捻り攻撃…しようとしたが

「あ!?」
床に転がっていた壁の破片につまずき、こけてしまい…

「えい!!」
美希のメイジマッシャーでの一撃で、律子は倒された。



「…くううう…!!」
起き上がると律子は美希の頭を手でバスンと1発。
「いい腕してるじゃない!」
2発。
「姫様のことは」
3発。
「あんたに任せた!はーーっはっはっは!」
床に体がめり込みながら、頭を押さえ美希は勝利を喜ぶのだった。

892im@s fantasy9 第一章 第五話 2/3:2009/11/24(火) 03:32:32 ID:pjKpQq.E0
「助けに行く前からこの有様って…」
「いざというときに戦力になってもらわねば困るぞ」
「うるさいの」

真と共に出ようとした時…
「美希さん!ボクも連れてって!」
ビビが現れた。

「…もう怪我はいいの?」
「うん!ボクも役に立てるなら一緒に戦いたいんだ!」

「…」
顔を見合わせる美希と真。

「…それなら、ビビ殿にもかたじけないが協力してもらいましょう。
 宜しく頼みますぞ」
「はい!」

「あとそれと、ちょっと話が…」
「え?何お兄さん」
「ボクは女だよ…プルート隊だからって…」




改めて美希が外に出ようとした時…

「ったくカッコつけて。」
壁によりかかり声をかけてきたのは輝くオデコ。…伊織だ。
「あんたそんなにあの子が気に入ったの?」


「そりゃ困ってる子を助けないわけにはいかないし…」
「そういうアンタのストレートな性格、ほんっと腹立つわ」


「…デコちゃん、シットしてるの?」
「バカ言うんじゃないわよ!!」
そう言うと伊織はポーションのビンを美希に投げつける。


「…んでこれは忘れ物よ」
今度は普通に投げる。

「…ほれ薬?そんなものなくたってミキは雪歩王女とラブラブになってみせるから心配しなくていいよ?」
「何言ってんのよ!!!
 …これは解毒剤。多分、あの雪歩ってお姫様もプリゾンケージの攻撃を食らってるだろうし」
「あ!!」
「ったく気づきなさいよね、それくらい…」


「デコちゃん、色々有難う!行って来るね!」
「二度と顔見せんじゃないわよもうっ!!」


こうして、美希はタンタラスを飛び出し…
雪歩を助けに魔の森の奥地へ向かうのだった。



しかしそこは緑の地獄…
モンスター化した魔の植物に、木々から飛び出すモンスター。


「…どうしてこんなになったんだ?ただごとじゃない…」
「おじさん知らないの?これは霧が影響してるんだよ」
「おじさんじゃない!男ですらない!!」

現れるモンスターにはビビのファイアが活躍。
美希のメイジマッシャーや真の剣が冴え渡り…

案外近い道のりで森の最深部へとたどり着いた。

893im@s fantasy9 第一章 第五話 3/3:2009/11/24(火) 03:33:22 ID:pjKpQq.E0
「……な、何なんだよこれ…」
「美希さん、見て!!」
「あれは…!!雪歩王女!」

そこには、胴体だけで体長5mはあろうかという巨大な花のモンスター。
中央部には小さな口が開け、幹が太い胴体を構成、プリゾンケージとは比べ物にならぬ太さの腕…枝が、針のように4本。
「植物達のボス…さしずめ、『プラントブレイン』って所かな」

根は広く広く、どこまでも繋がり……
森全体を覆っているかのようにさえ思われた。

「ギョォオオオオオオオオオオオオオ!」
うねりだす体。
「来るぞ!!」



真が構える。
だがその時、すでに美希の体は動いていた。
「はぁ!!」
近づき、枝を次々に切りつける。


「さぁ、事前の作戦通りに行きましょう、ビビ殿!」
「は、はいっ!!」

「え!?何か秘策が?」

「今こそ、敵の目に物見せてくれてやる!『魔法け…」
そう。真の秘策はビビとの連携攻撃『魔法剣』
真の腕力から繰り出される剣のダメージを、植物の相手に対し
ビビのファイアで強化され、二倍の効力で与えようと言うもの。

しかし。
「ギャウウウ!」
突然、雷がビビを直撃…ビビはばたりとその場に倒れてしまった。


「…ビビ殿ー!?」
魔法剣は失敗。
美希は再び動き、メイジマッシャーで本体根元に傷をつけるも…


「……ダメみたい」
大した傷にはならず。


「キュリリリリリリリ」
左の枝で真を串刺しに。
「…うぬ……!!」
鎧を貫通…真の体から一気に力が抜ける。


「まこっさん!!」
「変な名前で呼ぶなよ!! …仕方、ない」

美希が枝を攻撃、枝を真の体から抜かせ、回復しようとするが…
「お前の助けなんて要らないよ!!」
真は強がり…

「この状態だからこそ、コイツに大ダメージを与える手段がボクにはある!」
剣を振り上げた。


「我が必殺!受けてみろ『サガク剣』!」

己の力を最大限に発揮。鎧が血の赤に滲みつつも敵に向かい…
「ああああああああああああああ!!!」
グサリと一刺し。
「…ダメか…」

プラントブレインはまだ体力が残っていた。
「キュウウ!」
右の枝で真を攻撃…
「させない!!」
しかし、そこに美希が真を突き飛ばし、代わりに貫かれる。
「う…」
「何をしてる…それで罪が償えるとでも…」
「まこっさん、女なんでしょ!?だから…かばっ…」

美希はそのまま、その場にうずくまり…全員がピンチ。



そんな時だった。
「ったく、見てらんないわね!!」

鬱蒼とした森の中…一筋に輝く額の光。

894あわや惨事 ◆Free525l1Y:2009/11/24(火) 22:05:43 ID:7GbdrGv.0
セリカ「ハァ、ハァ…」
エリカ「た、ただいま…」
たてじん「お?どうした?」
セリカ「ゲーセンから帰ってくる途中で雨が降ってきてさ…」
エリカ「それで急いで帰ってきたのよ…」
たてじん「なるほど、辛かったろうな。酸素やるよ」(ボンベを渡す
エリカ「あ、気が利くわねたてじん。ありがとう…
    スースー…!?ゴボボボボ!」
セリカ「どうしたのエリカ?」
エリカ「ぷはー…ちょっとたてじん!これ酸素じゃなくて二酸化炭素じゃない!」
たてじん「ドッキリ大成功バンザーイ!わー!」
エリカ「ちょいちょいちょい!死ぬかと思ったわよ!」
たてじん「マアマア、水素か窒素でも吸って落ち着きたまえ」
エリカ「吸わないわよ!」

セリカ「…危険だからみんなは真似しちゃ駄目だよ…」

895im@s fantasy9 第一章 第六話 1/2:2009/11/25(水) 01:46:50 ID:aT9CEP/c0
「デコ…ちゃん」
プラントブレインとの戦闘で傷ついた美希たちの背後に現れたのは伊織。

「今回だけは手を貸してあげるから、有難く思いなさいね」
「だ、誰が…お前の手など…う…」
「まこっさん、そんなこと言ってる場合じゃないと思うよ?」


伊織に飛んできた枝の腕攻撃を伊織は回避。
ポーションを使い伊織は美希を回復、真は自身を回復。


「まこっさん!サガク剣っていうの、もう一度!」
「ボクに指図するな!
 あのサガク剣は傷を負っていればいるほど威力の上がる剣…
 回復した今のボクにはあの技は使えない ビビ殿に協力してもらう!」


フェニックスの尾でビビを蘇生。
プラントブレインの攻撃をまたも伊織が引き受け、かわした後に反撃。
「さ、やってしまいなさい!」

「は、はい!」
「言われずとも!!」


「魔法剣…」
ビビが魔力の塊を真に投げつけると…
「ファイア!!」
煙をあげ、剣が真っ赤に変化……
プラントブレインに高熱を帯びた剣を振り下ろす。


「キュリリリリリイイイイイ!!!!」
切り口から高熱が染み渡り、プラントブレインは即座に発火、炎上。
森の主との対決は、終わりを告げた。



「雪歩王女!」
真はプラントブレインの根元に倒れていた雪歩を抱えるも意識は戻らず。
「この解毒剤を…!」

伊織からプリマビスタを出る時に渡されたビンを取り出すが…
「な、何!?」
大きな地震…
いや、揺れているのは森の中心たるこの場所のみ。


「…わ、あ、あ…あ…」
プラントブレインの根元が陥没…穴の中には真っ赤な群れ…

「これ、って…まさか…」
一気に飛び出してきた。


赤いのは花…その下に、真緑の蜘蛛のような体。
わさわさとした産毛に、ガリガリと尖った尻部分。
3対6本の脚に、蟷螂のような腕…
「植物と虫の中間体ってどういう生き物よ!!」


伊織の叫び声と共に、皆が一斉に逃げ出した。

896im@s fantasy9 第一章 第六話 2/2:2009/11/25(水) 01:47:25 ID:aT9CEP/c0
そこは道なき道。
木々の間をすり抜け、坂を下り、どんどん外へと向かっていく。

たどり着いたのは崖…悩んではいられない。
小さな崖程度ならば飛び降りる。

しかしプラントスパイダーは美希たちより体が軽い。
飛び降りることにかけては美希たちより遠くに飛び…

「あ!!」
前から現れることも出来る。


2体のプラントスパイダーとの戦闘。
「プラントブレインの小型版…と考えればいいかな」

正にその通りだった。
一方は腕で美希を攻撃、
「う」
もう一方はサンダーでビビを狙う。
「わぁ…」

伊織がうち1体を切り伏せ、ビビがなんとかファイアで焼き払いその場を切り抜けた。
「プラントスパイダーが…増えてきてる!?」


後ろを振り返ると、赤い洪水が押し寄せている。
それだけじゃない……緑のつるも大量に押し寄せている。
「…これ逃げ切れるかしらね」
…森自体が、殺しにかかっていた。


「それだけじゃない…森自体に何か変化が起こってるよ!!」
全速力で逃げる中、もう一度振り返ると…
徐々に灰色に染まっていく森の景色。

赤色の大群もどんどん灰色に変わっていく。
…だが間一髪というべきかもうじき、森の出口。

しかし。

「…ま、まさか…ああ!!」
そんな時。伊織がプラントスパイダーに捕らえられた。
「デコちゃん!!」
「早く逃げなさい!!」
「でも…」
「いいから!」

他の皆はもう、森の外。
「……ごめん!!」

「早くしなさいよ!!あとこれ!」
プラントスパイダーに捕まった伊織は何かを投げてよこす。

「…?」
「大事に持ってなさいよ!」
「…うん!!」

それは丸められた紙。


森の出口。…しかし、そこにはすでに蔦が先回りしていた。
木と木の間をぐるぐると周り…扉をしようとしている。

「…たぁあ!!」
ヘッドダイビング。
何とか地面に手をつき、空中でぐるりと回転…


蔦と蔦の間を潜り抜け、なんとか脱出。
その数秒後、蔦は森を覆い尽くし…完全に密閉空間としてしまう。


…灰色になって。
「…でこ…ちゃん」


森の最終手段、石化。
…森が、全くもって灰色になったのだ。
木々も、泉も、川も、土も、プラントスパイダーも、蔦も


「デコちゃあああああん!!」
…伊織も。

897im@s fantasy9 第一章 第七話 1/2:2009/11/25(水) 03:08:09 ID:aT9CEP/c0
「………ん、ううー……こ、ここは…」
雪歩が目を覚ますと…
そこは魔の森の出口で張ったテントの前。


「姫様!お気づきになられましたね!」
真は喜びますが…

美希は浮かない顔。
「デコちゃん……。
 ………せめてみんなは脱出できたのかな…」

伊織から投げよこされた紙を開くと…
「…地図…… …そっか。デコちゃんはこれを渡すために…」

タンタラスを抜けた以上、歩くのは自分の足。
…地図がなくては、成り立たない。



「…美希さん、でしたね
 ビビ君も、ありがとうございました…」
「姫様、ビビ殿はともかくこやつなどに礼なんて要りませんよ
 こいつらのせいで姫様はこうした目に…」

「……いえ。私が望んで、美希ちゃんに浚って貰うように命令したのです
 …全部、私の責任です …私がモンスターに浚われたのも、
 ビビ君や美希ちゃんを危険に晒したのも…真ちゃんに迷惑をかけたことも」
「………」

責めるに責められない空気が辺りを包み込む。
そこに美希も加わる。

「…雪歩王女、とにかく無事でよかった。
 ……これからのことを話したいんだけど、いいかな」
「はい」
「うん!」

「これからのことなど決まっている
 アレクサンドリアへ帰るんだ。そしてお前達は裁きを受ける…
 覚悟を決めておくんだね」


「……なら、アレクサンドリアへ行くための道順を説明する
 というか、ここからどこへ行くにも一つの道しかないよ」


美希たちが暮らすは『霧の大陸』には大陸全土にまたがる巨大な山脈地形があり
モンスターを生み出し、生物の心身を狂わせる魔の大気『霧』から逃れるべく
その上に人々は国を形成している。

霧の大陸の三国。アレクサンドリア、リンドブルム、ブルメシア。
低地にあるのは、山を壁として使い霧を遮ったブルメシアのみ…

そして、この土地はブルメシアへは繋がっていない、霧に満たされた地。
町などは存在しない。

すぐそばにもモンスターが駆ける危険地域である。
美希たちに出来るのは、高地へ戻ることだけ。


…しかし、高地もまた山の上…アレクサンドリアへ続くとは限らず、
現にここからアレクサンドリアへ登る道は存在しない。
「…となると、だよ」

飛行する乗り物を使いアレクサンドリアへ向かわなければならない。
「カーゴシップが『ダリ』っていう町にあるの そのために『ここ』に行くことになる。
 …というより、何をするにも霧から逃れるためには『ここ』を通らなきゃいけないね」


夜が明けるのを待ち…次なる目的地へ。
「雪歩、ミキのことはさん付けなんて要らないよ 美希で大丈夫」
「じゃあ…宜しくお願い致しますね、美希ちゃん」

898im@s fantasy9 第一章 第七話 2/2:2009/11/25(水) 03:08:51 ID:aT9CEP/c0
可愛らしい陸上モンスター『ムー』、ゴブリンなどと数回戦闘になりながら
壁の如くそそり立つに山に差し掛かる。
これが目的地。
「さ。これを使って高地まで行くの」


きらきらと光が反射する…色とりどりの氷の塊が水晶のように顔を覗かせる美しい洞窟。
「『氷の洞窟』…聞いたことがあります」

「ボクも聞いたよ。ここを通ると霧の上に出られるっておじいちゃんから」
「おおー、ビビ殿のおじいちゃんは博識ですね」
「…もう、この世界にはいないんだけどね…」
「……申し訳ない」


「…何だか暗くなっちゃったね。せっかくキレイな場所だし、
 さ。一緒に行こうか雪歩王女♪」
さりげなく肩に手を回し、美希は雪歩と共に洞窟の中へ。
「こらああああ!!!」
真も、ビビを担いでそれを追う。



「真さん、確かそこから漏れ出してる煙に触れるのは危ないんだ。
 …『霧』だから。モンスターがかぎつけるんだ…」
「承知いたしました …お前、聞いていたか?」
「お前じゃないよミキなの。 …霧に触れるのはダメ、ね。わかったのー」


氷の洞窟には黄色いゼリー状モンスター『プリン』や
モンスターの盗賊『ケーブインプ』との対決。

それに加えビビの話によれば霧に触れると凶悪なモンスター、
『ワイアード』が現れるという。

所々、氷の柱や氷の壁をビビのファイアで溶かしたり倒したりしながら進むことに。
長い洞窟の道のりの末、氷漬けのモーグリを救出したりなどしながら…
いよいよ最深部が近づいてきた。

「…な、なんだか更に寒くなってきました…」
「ここに住んでいるモーグリが氷漬けになるくらいだからね…
 ……何か風も強いし…う……う…」
「あふぅ」


なんと真っ先に美希がダウン…倒れ、眠ってしまった。
「…何か美希ちゃんの髪の毛あったかそう…」
その傍らで雪歩もダウン。

「ひ、姫様…奴に…近づいては…」
真もダウン。


「…ボクもなんだか…」
ビビも。

全員が眠ってしまい…このまま、吹雪の餌食に…
そう思われた時。


チリン、チリン…
「…?」
ベルの音。
「…ん…う…あったかい… ……わ!?」

雪歩の隣で美希は目を覚ます。


「……みんな、起きて!……起きてーーー!!」
…しかし…皆目を覚ますことはなく。


「…体はまだ…あったかい…
 …ミキだけでも、先を見てこなきゃ」
前から吹く風も多少弱まった様子。

美希は氷の道を更に奥へ進むと…
「………わぁぁ…」
大きく開けた空間…そして、滝。
遥か上部からは光が漏れ出している…出口のようだ。


しかし滝は凍っている。…明らかに異常事態と見える。
…一体何が…そう思っていると。

「!」
『突然』上から大きな氷の塊が落下。
ぐるりと側転、回避…
もう一度滝に目をやるとそこには…


赤い魔道衣に身を包んだ…三角帽子の男。

不自然な氷の落下。これは恐らく…
「『ブリザド』… …黒魔法の使い手!」

899im@s fantasy9 第一章 第八話 1/2:2009/11/25(水) 03:54:08 ID:aT9CEP/c0
「クックク…黙っていれば眠ったまま死ねたものを…」
魔道衣の色は赤。
前屈みの体勢で、手に鐘を持っている。


「邪魔者は排除させてもらうぞ…ククク…」
けらけらと笑うと、美希の背にウォータの魔法を発動。
水の塊が弾け、一瞬にして氷結…氷の壁を作り出す。
「我が名は氷属性特化の『黒のワルツ1号』
 氷漬けにして殺してくれよう…」



「この洞窟に満たされた氷の力を我が魔力とあわせれば…こんなことも出来る
 氷の魔人『シリオン』を呼び出すことがな!
 『ブリザガ』!!」



そう言うと巨大な氷の柱が黒のワルツ1号の隣に出現。
辺り一面を絶対零度に氷漬かせ…

その内部から、巨大なモンスターが現れ、氷柱を粉砕し飛び出した。
「『シリオン』…!?」


見た目はウロコに覆われた氷の龍。
大きなヒレのような翼と、尾びれを持ち…コアが青色に輝いている。

「…」
味方はいない。美希一人でシリオンと黒のワルツを相手することとなる。



「…オオウ!」
シリオンは翼で大きく美希をはたき攻撃。
「うぁ…」

「ブリザド!」
1号は氷を落下させ追撃。

「……どうした?攻撃してこないのか」
「はぁぁ!!」

黒のワルツ1号を攻撃。
恐らく…大した体力ではない。


「力押しでなんとか出来ると踏んでいるか
 …まぁそれも間違いではない。…こんな場所で、なければな」
「コォォォォ」

シリオンもブリザドを詠唱。
「…ぁ…!!」


「………う」
「どうした、その程度か!?」
1号は詠唱へ。

ブリザドと踏み、美希は上を見上げ、素早く避けようとするが…
「バカめ!!」
地面から吹き上がる灼熱の炎。
「ウソ!?」
溶ける足元から、火がつきながら飛びあがり…身についた火を払うべく地面を転がる。


「無様じゃないか…
 私がどうやってこの氷の洞窟のモンスター達と渡り合ったと思っている?」
冷たい場所に住むモンスターには炎の魔法…当然の理屈。
というより、ここに来るまでに美希たちも行った戦法。


「はぁっ!!」
跳ね起き、シリオンに向かい一撃。
「コォオオオオオオオオ!」

シリオンのコアの色が青から黄へ。
「ははははは!!」
1号はシリオンがダメージを受けたにも関わらず、笑っている。
その意味は数秒後に解ることとなる。

900im@s fantasy9 第一章 第八話 2/2:2009/11/25(水) 03:55:17 ID:aT9CEP/c0
「バカめええええええ!!」
「コォッコココ!」

氷魔法、ブリザドの上級魔法…上位の魔道士のみが用いる『ブリザラ』。

「っきゃあああああああああ!!!」

美希の体の中心に現れた冷気の塊から、氷の結晶の形に、氷がグサリグサリと飛び出る。
「う…!!」
「…驚いたな、まさか……これを凌ぐとは!?」

「やぁぁあ!!」
シリオンにもう一度攻撃。今度はコアを狙い。


「コッコアァァァァア!!」
メイジマッシャーを刺すとコアの色は赤に…
「とうとうシリオンを怒らせたようだな!?
 こうなってはシリオンを止めることは出来ん!!」

魔道衣の背についた羽を広げ、空へ浮かび上がる1号。

氷の洞窟の気温が一気に上がる。
氷属性の力が失われているからだ。


その力はすべて…シリオンへ。
力が…満たされる。

「さぁ、すべて押し流してしまえシリオン!!」



「ゴオオオオオオオオオオオオオ!」
シリオンが体を大きく振るい、地面に翼を叩き付けると…



「!?」
どこからか現れた氷水の壁が、一気に押し寄せてきた。

「…間に合うかな…」
美希は壁を蹴り、登る。
「何!?」
「冬道はスパイクつけないとね!!」

壁を大きく蹴り、ぐるり回転…
黒のワルツの頭上へ。


「『スイフトアタック』!!」

黒のワルツに激しくメイジマッシャーでの打撃を連発…

「たぁぁあああああああああ!!!」
両手を交差させ、強烈な一撃。
ドスッという重い音と共に1号を弾き飛ばす。

「うおおおおお…!!??」
そのまま激しい水流の中にいるシリオンへと1号をぶつけ…

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「コオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
コアにヒビが…そして崩壊。


大爆発と共に、魔法により引き起こされていた水も収まる。
着地した瞬間には膝上の高さの水だけ…それもすぐに消え…


戦闘は終わりを告げたのだった。

901im@s fantasy9 第一章 第九話 1/2:2009/11/26(木) 02:04:12 ID:RkMiy76o0
凍てつく洞窟の戦いを終えた美希は、
開いた出口から雪歩らの下へ。
「…お前、一体今まで何処に行っていた!」


戻った時にはすでに、一同は起き上がっていた。
「ああ。ごめんごめん…
 ちょっと先の方を見てきただけなの」

「姫様に何か無礼は働かなかっただろうな!?」
「寒い中だからそれも一つだったかもしれないね」
「何だって!?」


「……」
雪歩はポーションでは治せなかった美希の肌についた傷が気にかかっていた。

「出口はすぐそこだよ、みんな行こう!」

さらさらと流れる滝のわき道を登り、氷の洞窟の外へ。




「…わ!!」
目の中に飛び込んでくる真っ白な光。
数秒して、光の中から青空が姿を現す。
「…霧の上だ!!」

くすんだ視界や、その視界のどこから現れるとも知れないモンスターとはおさらば。
突き抜けるような青空の素晴らしさを彼女達は知るのだった。



「……あ。美希姉ちゃん、あっちに村があるよ!」
「あれがダリですね」
「あそこに着いたらちょっと休もうよ」


「…お前、あれだけ寝ておいてまだ寝るつもりだというのか!」
「まぁまぁ真ちゃん… あんな場所じゃゆっくり眠れなかったでしょう
 宿でぐっすり休みましょう」


美希は雪歩の顔を見ると…
「…ねぇ、雪歩王女」
「はい」

「…この先、村に行くというなら身分を隠した方がいいと思うの」
「待て!何で雪歩様がそんなコソコソとした真似をしなければ」

「…そうですね 私の命を狙う者がいたりしたら、皆さんにご迷惑が」
「うっ…しかし…」

真は毎度毎度反対され半ば拗ねてしまいそうだった。
「……そのために、偽名があった方がいいと思うの
 …何か、いい考えはない?」

ビビに振って見る。
「ボクからは何もないよ…」
真に。
「一般的な名前ならいくらでもあるが…」
雪歩に。
「………何かそこら辺のものからつけてみましょうか」


そこらを見渡すと…
「花の名前とか可愛いと思うな」
しかし雪歩は花をスルー。
「…ソラちゃんとか?」
キーブレードを使うわけでもない。青空もスルー。
「…むー…… …あれ?」


洞窟の出口を覗くと、謎の小人のような少女がそろりそろりと、何故か慎重に歩いている。

「バレちゃまずい…まずいデスよ……」
ぼそぼそと言っている言葉は聞こえず。雪歩は小人に話しかける。

「あのぅ…」
「!」
言われた瞬間、2つリボンをつけた小人は全速力で走っていった。
「どこかで見たことがあるような…気のせいか。」
真には見覚えがある様子。

902im@s fantasy9 第一章 第九話 2/2:2009/11/26(木) 02:05:04 ID:RkMiy76o0
「あ、あの!わたしたちになにかごようですか?」
続いて出てきたのは謎の人形のような小人。

先ほどの少女にどこか似ていて、白いワンピースに黒くまん丸い2つの瞳と、三角の口、さらさらとした茶色の髪…
そして何より手に持ったらせん状の武器が目を引く。


「あの、お名前は…?」
「雪歩王女、硬い硬い…普通の女の子みたく」
「そうおっしゃられてもどうすれば…」
「もー…」
ここは美希が代わらずに、雪歩に練習がてら。
耳打ちで台詞を吹き込む。


「ねえ、君はなんていう名前なのかな?」
「いい感じいい感じ!」
雪歩はぎゅっとした。


「『ユキポちゃん』!
 この国のお姫様にあやかってつけられたの!」

「……」
通りで。
…この名前をつけるとなるとやはり名前として捻りがない。
「…じゃ、じゃあこの手に持っているのは何ていうの?」



「こ、これはね…『ドリル』!」
「『ドリル』…っていうんだ…」



そのらせん状の物体をまじまじと見つめる。
「ありがとうねユキポちゃんちゃん。
 引き止めてごめん」
「あっちにともだちがいるからわたしいくね!」
こうして小人の少女はとてとてと走っていった。


「全く!変装しないとすぐにバレるヨー!」
「だってまさか1号が敗れるとは思わなかったデスよー!」

遥か彼方で聞こえる黒幕たちの言葉が聞こえるはずもなく。


「決めました!! 私、これから『ドリル』と名乗ることにします!」
「!?」
決まった珍妙な名前と共に、美希、ドリル、真、ビビの4人はダリを目指すのだった。




たどり着いたダリは風車がシンボルマークの、のどかな農村。やや狭く過疎ではあるが。

「ああー、案外かかったね!」
「霧のない地域のモンスターも侮れないものだね」
「霧の大陸最強のモンスターは霧のない場所に生息していると聞きます
 …霧がないからと安心は出来ませんよ真ちゃん」

「…ドリル」
「あっ!! …えっと、それでは…それじゃあ…宿屋を、探しましょう、よ?」
「うんうん♪」
この町でドリルは普通の少女の言葉を練習することに。


まずは宿屋へ。

「…お。旅のご一行さんかい 当宿へ。 一泊40ギルになりますが…
 ……!?」
宿の主は一向をまじまじと見つめる。


「…ご主人、ミキの彼女が可愛いからって見つめられても困るなー」
「美希ちゃん!?」
「貴様!?」

「…あ、ああ…いや申し訳ない …ささ。こちらのお部屋へ 占いなんかもありますのでご都合がよければ」



「…雪歩のこと、バレたのかな」
「だ、だったらどうしよう…」
「まずないと思うんだけど…ミキ達でドリルを守ればいいよ、ビビ」
何も知らない彼女達は…宿のベッドにひとまずの休息を取るのだった。






「…おい、何だありゃ…何時の間に逃げ出したんだよ」
「ええ!?ウソだろう、そんな報告は…」

903im@s fantasy9 第一章 第十話 1/3:2009/11/26(木) 03:58:50 ID:RkMiy76o0
各自単独行動中。
「…みんな、どこにいるかな」

美希は目覚め、宿屋から出てみる。


「…ちょっと装備でも買ってみようかな」

雑貨、武具屋へ。
「あのね、この村はその…どういうものが名産品なの、かな?」
「そうねぇ、この村となると野菜くらいしかないのだけど…最近大人たちが何かやってるみたいなのよ
 この町今はおじいちゃんおばあちゃんと子供しかいないのよ…大人は宿屋のおじさん一人だけ…」

店番をしている少女と、対等に少女として話そうと頑張っているドリルの姿が。


「へぇー、がんばってるねドリル」
肩に顎を乗っけて至近距離で耳うち。
「ひゃああ!?」

「その調子その調子、頑張って!」
「あ…はい!…じゃなくって、うん!」

「あ。これとこれとこれ、買っといてね」
微笑ましいやり取りを後に、次の場所へ。



「えーっと…次は…あ!」
石垣に身を乗り出しているビビ。

「…どーしたの?ビビ。…好みの子は見つかった?」
「ええ!?美希姉ちゃん、ボクそういうつもりじゃ…」
「ビビくらいの子がここには沢山いるのになー。勿体無いよ」


「…ねえ美希姉ちゃん、何か声が聞こえない?」
「声って…? ……」
耳を済ましてみる。


…クェー、という鳴き声。

「…ビビ、知らないの?これはチョコボっていうんだよ」
「チョコボ?」
「ミキみたいな毛並みの鳥なの。けど……姿が全く見えないね どこにいるのかな」
「…うーん……」


謎のチョコボの声をかすかに聞きながら…今度は酒場に。


「何だい?うちは準備で忙しいんだよ」
「失礼致す、この町のカーゴシップのことについて…」

「カーゴシップのことなら見張り山の爺さんに聞いとくれ」
「………ご協力感謝する」
真が半ば邪魔にされながら、店から出て行くところだった。

「…カーゴシップについて聞くの?」
「どうやら今は運行してないみたいだ。ボクは見張り山へ向かうが…美希。お前は姫様に変な真似をするなよ」
「はいはい…」


真が畑から村の外へ出て行くのを見届けると…
…また何かが聞こえてきた。チョコボの声…いや、もっと美しい音色。
「…歌…?」


「らーーらららー らららららら ららららららー らーら ららら…♪」


宿屋の方へ戻ると……
「…雪……ドリル」


宿屋の前で涼やかな歌声を響かせるドリルの姿があった。

904im@s fantasy9 第一章 第十話 2/3:2009/11/26(木) 03:59:29 ID:RkMiy76o0
「……きれいな歌だね」
「そう、かな……」
「…! 結構普通の喋り方も板についてきてる!思った以上だね!」


「……二重に褒められちゃった…」
舌を出して恥ずかしがる雪歩に…
「雪歩ー!」
思わず美希は飛びかかるが…


「きゃ!?」
避けられて柵に激突。
「あいたたた…」
「も、申し訳ありません…。」


「…いや、いーよ …それで
 今まこっさんがカーゴシップの話をしに行ってるからもうすぐ出発だね
 ビビを呼びにいこ?」
「うん」


先ほどの場所にいるはず。
そう思い、チョコボの声が聞こえた場所へ向かうが…


「……いないね」
「さっきはここにいたんだけどなぁ…」
他の場所に当たろうかと思った時。


「美希お姉ちゃーん…ドリル姉ちゃーん…」
「ビビ!?」

どこからかビビの声。
きょろきょろと見回すと……


チョコボの声も。…そこで気づいた。
地面から突き出す、パイプの中からであると。

「ビビ!そこにいるの!?」
拳程度の狭さのパイプに向かって声を。

「うん…何か、男の人達に突然捕まっちゃって狭い場所に入れられて、運ばれて…ここがどこなのかもわからないんだ」
「そこは多分村の土の下…地下だよ!!
 ミキとドリルで行くから待ってて、ビビ!」
「ビビ君、今行くからねー!」


地面を掘る道具はない。
「風車小屋に、大人たちが入っていく地下通路を見たの!
 そこから地下にいけるかも知れない…」
ドリルと共に、美希は風車小屋の地下へ。

905im@s fantasy9 第一章 第十話 3/3:2009/11/26(木) 04:00:19 ID:RkMiy76o0
…するとそこは……
「……!?」
モンスターが警備する地下通路。村全体を覆っているかのよう。

暗い中をランプが一定距離ごとにかけられた、土壁の人工施設。
狭く、また長く続く通路を見つからないよう、誰もいないタイミングで通り抜けるとそこには…
巨大な沢山の箱。
「…何なの、これ…」
「美希ちゃん、多分ここ…何かを作ってるよ…何なのかな」


…すると箱の中の一つから声が。
「美希おねえちゃーん!ドリルおねえちゃーん…!」

ビビだ。
「えっと……てい!」
こんこんと箱を叩き、ビビの体が入っていない箇所を探るとそこをメイジマッシャーで切断。
箱からビビを出すことに成功。


「ありがとう…」
「…ビビ、心当たりある?」
「ううん…ないよ……何でこうなったんだろう」

「三角帽子で顔が見えないから怪しい人だとか思われたのかな…
 …考えてても仕方ない。いこ」

箱まみれの部屋を後にまた通路へ。
どんどん進んでいくと…そこには…
「…え…」

巨大なベルトコンベアの機械。
「これは、一体…?」

人が丸まれば入れそうな丸い卵のようなカプセルが次々と。
「美希姉ちゃん、これってチョコボの卵かな」
「これは人工物だよ…鳥の卵なんかじゃない…」


「…一体何が…」
ベルトコンベアをさかのぼっていくと…


そこにはモンスターを生み出し、飛空艇を飛ばし、人を狂わせる凶悪ガス。
「………霧…」


霧を、あの卵のようなカプセルにいれ、何かをしているのだろう。
…何が作られている?


今度はコンベアを辿る。
卵が機械の中に入るのをみる。



その先だ。その先に…何かこの施設の秘密が。




…知りたくなかった事実。
…だが、知らなくてはならなかったことだった。



「…人………」

三角帽子。
黒く見えない顔。
魔道衣。

…その特徴は、洞窟で戦った黒のワルツ1号にも合致する。…あれほど、特異なデザインではないが。

人が、人形のようなものが、アームに捕まれ装置の上をグイングインと運ばれている。
その光景は……見ていて気持ちいいものでは、到底なかった。



そして、箱詰め。
「ボクは、この人達と間違えられたのかな」

「人?違うよ、これは多分人形か何かで…」
「霧を使う人形って何なの…美希姉ちゃん…この…ボクに似た人形は……」
「………いや。ビビには…全然似てないよ? うん。ホント!」


のどかな田舎町の下に隠されていたのは…
機械により人工生物を生み出す工場だった。

906im@s fantasy9 第一章 第十一話 1/2:2009/11/27(金) 00:46:55 ID:7syrjvxY0
「……」
言葉が出ない。
チョコボ動力で動かした機械で
人形に命を吹き込み、大量にどこかへと運ばれるその光景には。



「それにしてもだなー」
「!!」


奥から話し声が近づいてくる。
この工場を動かすダリの大人達なのだろう。

「えっと何処かに…隠れることは… あ!」
ちょうど、空いた箱を発見…美希とドリルが中に入る。
「ボクは…えっと…えっと……」
小さな箱の中に入る。


「いつまでこんなことを続けていればいいんだろ?」
「国の命令だし止める訳にもいかないだろうよ
 それにほら、この仕事結構カネ貰えるし」
「……とはいっても…」
「見てて気持ちいいものじゃない、か?…まぁ、そういうもんだよな」


「…国の………そんな…」
ドリルは…王女雪歩は、アレクサンドリアの事実に喉が詰まる。


「……後で聞いたことはミキが教えるから」
「!!!! あ、当た…」
狭い箱の中でドリルの口を塞ぎ、体を密着させる美希。
ドリルの顔がどんどん熱くなって行くのが解る。


「さて。それじゃ運ぶぞー」
「おう…」

「!?」
箱が持ち上げられ…
「……!」
二人の男に担がれ、どこかへ運ばれていく。
ビビの箱も。







「あ。コーヒーおいしい…ってだから!!
 次にカーゴシップが来る時刻を教えてくれないか!
 さもなくばこの村を一時的に国が接収することになる!」
「ほほう…そしてどうする気じゃ」

遡ること10分。
真は、見張り山の爺さん相手に粘り強くカーゴシップの時間を聞いていた。
「それは… …次の時刻を言うように命令する!」


…ゆったりとした時間の中で暮らす彼と、命令、規則の中で生きてきた真。
両者の間には、確たる差があった。

…見ている世界が、違うほどの。
「そんな一本調子では、ままならぬことも多かろう」
「ままなろうとなかろうと、それが正しいことだろう!?」
「…ならば、お前さんは正しいかどうか、判断できるというのだね」

「正しいことかどうか位誰にだってわかる!」

「ふぉっふぉっふぉ…青臭く真っ直ぐ…全く少年そのものじゃな」
「いやボクは…ってだから!!そんなことより時刻を」


「…ああ。そうさの、もうとっくに来ておる
 積み込みも始まっておる時間じゃ」
「何故もっと早く言わないんだ!! …ってああ、有難うお爺さん!」
重い鎧は早いペースでガシャリガシャリと音を立てながら去っていった。

907im@s fantasy9 第一章 第十一話 2/2:2009/11/27(金) 00:47:36 ID:7syrjvxY0
「うわぁ!?剣を携えた鎧の男が近づいてくる!」
「逃げろーーー!!」

カーゴシップに積み込みを行う男達は真の剣幕に一目散に逃げ出してしまい…
「ぜぇ、ぜぇ…何とか間に合った…」
真が止まったのは箱の前。


その中には、雪歩と美希が入っている。
「…ん?今この箱が動いたような…」

「おーい!まこっさん!」

「何か声がするぞ…てやぁぁあ!!!」
「何でそうなるのーーーー!」

飛びあがり剣を振り下ろす真。
「真さん!それには美希姉ちゃんと雪歩姉ちゃんが!!」
「え…」
小さい箱から飛び出したビビの叫びはもう遅く。その一太刀で二人の箱は真っ二つ…
「………あっぶないの…」
靴のつま先すれすれに剣。
…危うく、二人は斬られるところだった。



「…申し訳ありません姫様!!」
「全くもうーーー!!」
その1分後には土下座し、雪歩に怒られる真の姿があった。



…そんな、油断しきっていたとき。

突然、大気が、揺らめいた。
「……! …何か、変な気配 …!!」
と美希が言い終わるより早く気配の主は美希を突き飛ばしていた。
「あっ…!!」
腕を交差し、防御するも5mほど吹き飛ばされる。



「…1号を倒したのはこの中の誰だ?
 まぁ、どうでもいい。姫様…お姉様がお待ちですよ?クックック…」

ゆっくりと上下する大きな翼、
腹の辺りまで止まり下は放たれ
脚の下まで大きく大きく裾の伸びたローブ
隠れた顔に光る目…
三角帽子。


「私は『黒のワルツ2号』 1号に代わり王女の奪還の命を受けたもの。
 さあ、姫様 私と共に来てもらおうか」
「2号…!?」
「…!!! …いや、です」

「お前のような者は知らないぞ! 姫様に何をするつもりだ!」
「お前には聞いていない、アレクサンドリアの裏切り者め」

「……ねえ、君は一体…」
「こんな小さなタイプもいたのか。面白い奴らだ…まとめて相手をしてやろう…!」

雪歩を連れ去りに来た第二の刺客。

美希、ドリル、ビビ、真…メンバーは揃っている。
今度は全力で相手が出来る。

「ふふふ…私を1号と同じと思わぬことだな」

908im@s fantasy9 第一章 第十二話 1/2:2009/11/27(金) 01:49:13 ID:7syrjvxY0
空中浮遊する黒のワルツ2号。
「くくくくく…」
カーゴシップ発着場での戦いが今始まる。


美希はシリオンを倒して見つけたミスリルダガーでスイフトアタック。
飛びあがりラッシュを発動しようとするが…
「活きのいいことだな…」

出現した時のように、一瞬の移動で回避…
「え!? ああああああ!!」
真を手から発した力で吹き飛ばす。
「う!!」
剣を地に刺し何とか止まった真も一撃を繰り出すが…
「フフ…」
真の背後に移動して波動を浴びせる。
「おおおお…!!」
「ちっ」
吹き飛ぶ間際に体を回転、何とか2号に一撃を与えることには成功する。


「………そんなに早く動いても全くブレーキをかける必要がないんだね」
「今頃気づいたか?」


「とてつもなく速く移動してるんじゃない…瞬間移動!!」
「解ったところでお前達に勝ち目などない!」

「ファイア!!」
ターゲットを2号に絞り、こちらも一瞬での攻撃…魔法を繰り出す。
「うぉ…」
2号の背が焼ける。しかし…

「…通常モデルより出来がいいようだな、
 だが…未熟だな!!ファイアとはこうやって使うものだ!!」


2号が魔法を唱えた。
それは…ファイア。


「うああああああああああ!!!」
「うっ…!」
「きゃああ!!」

辺り一面から炎の渦が吹き荒れる。
美希、ビビ、真が炎に飲まれて膝をついてしまう。


「…え!?」
ドリルはその中心。…にも関わらず、魔法の被害を受けていない。
ドリルの周囲だけが、穴の開いたように魔法の範囲外になっているのだ。


「みんな…!!」
ドリルはケアルを全体化し3人を回復。

「…ドリルも!? どうやったの、今」
「敵と同じだよ…『魔法の広範囲化』…威力は弱まるけどね。
 ビビ君が出来るかどうかは解らないけど一部の魔道士は出来るの。」

「全体攻撃に全体回復…これは勝負が長引くな!!」
そう言うと…


2号は瞬間移動、ドリルの眼前に。
「!! ひめさ」
「やめるのおおおおおおおおおおおおおおお!!」

美希は2号に向かってミスリルダガーを投げる技『テンペスト』
「な…!!」

そして2号の胴を斬り戻ってきたダガーを手に、
ぐるりと縦回転し上昇、連続で2号を斬りつける『ヴォルテックス』へ連携。
「おおお…!!」
2号を空中へ吹き飛ばした。

909im@s fantasy9 第一章 第十二話 2/2:2009/11/27(金) 01:49:51 ID:7syrjvxY0
「…おのれ…おの、れ…」


2号がいよいよ本気になった。
「貴様らをまとめて焼き殺してくれる!!炎属性特化のこの2号の火力でな!!」

魔力を両手の間に集めると…地上に投げる。

「『ファイラ』!!」
先ほどとは比にならない、煮え立つマグマのような灼熱が辺りを覆う。


「回復できまい!!さぁ攻撃してみろ、もう一度撃ってやるぞ!!」
ビビが倒れ、美希が重症。
真がピンチに陥った時…


「…私を誘拐したいんですよね!?」
ドリルが言い出した。


「諦める気になったか王女」
「まだ諦めません…降りてきて私と戦いなさい!」

「はっはっは…私と戦うつもりか!とんだ常識はずれなお姫様だ…
 抵抗すらできない己の無力さ、思い知るがいい!!」
ドリルは広場の中心で倒れている真の辺りに移動。
2号を真上にし眺める。


「やめ、ろ…」
「ドリルに、手を出すな…なの…」
「お姉ちゃん…」


「浅はかだなぁ!!」
瞬間移動もせず、急降下する2号。
その大きな、鷲の如き手がドリルの細い体を捕らえようとしたそのとき…

「はぁあああああああああ!!!」
ドリルは何と真の剣を引き抜き、飛びあがり2号の胴に突き刺した。

「!?」
手を激しくぐるりと捻り、螺旋の力を持ってねじ込む。ドリルのように。


「…おおおおおおおおおおおおお…!!!」
貫通。
「こうすれば非力な私でもピンチのあなたを倒せるほどの破壊力を出せる…!!」

そして剣を一振り、2号を串刺しにした剣から放ち地へ落とす。

「ばか…な………」



呻きながら、2号の体は霧になり消滅していった。
「…」
美希と真は口をあんぐりと開けていた。

910im@s fantasy9 第一章 第十三話 1/3:2009/11/27(金) 03:04:56 ID:7syrjvxY0
アレクサンドリアからの第二の刺客も退け
一行はカーゴシップに乗り込む。

…最も真は信じていないようだが。


「しかしあいつらは一体…」
「考えてても仕方ないよ…さ。カーゴシップに乗ろ?」


カーゴシップの入口へ続く梯子。
ビビが最初に船内に入り…続いて真。
「じゃあ次は私が乗りますね…」
ドリルが梯子を登った瞬間に…


「あ!!」
カーゴシップが走り出し、離陸。
「ああああ…あ!!」
美希は全速力で走り…梯子に飛びつく。


「ひゃあ!?」
「あっ♪」

と思いきや、手がついた先はドリルの胸。
「ふむふむ…」
「もう!!」
感触を確かめていると、ドリルは怒って登っていってしまった。




「…えっと、あの…ごめんねドリル」
「別に私怒ってなんかないけど…」

「…暫く話しかけないほうがいいかな」
膨れっ面のドリルはさておき、ひとまず船内へ。


「…ビビ、どうしたの?」
中で働いているのは、ダリで作られていたのと同じ三角帽子の人形達。
「……ボク、嫌われてるのかなぁ…」
「嫌われてる、って…」


無言で作業を続ける三角帽子たち。表情も余計な動作も感じられない。
「何を話しかけても、何回話しかけてみても、ダメなんだ…」


「……でも、ミキにはこの人達が心を持ってないようには見えない。
 …話しかけ続ければ解ってくれると思うよ」
「そう、かなぁ…」

「…うん。そうだよ
 …じゃ、これからまこっさんの様子を見てくるね
 このままだとミキ処刑だし」

そう。カーゴシップがゆく先は高台の王都アレクサンドリア。
…あんな方法を使ってきた国が、王女雪歩を戻してただで済ますとは考えづらい。



「長かった道のりだが、漸くアレクサンドリアに着けるな…
 外の世界に憧れていた姫様も、これで満足なされただろう。
 …それにしてもとんでもない奴だった、タンタラス一味め…
 美希の奴は、帰ったら必ず…!!」
甲板の上で、真は何やらぶつぶつ独り言を話していた。


「…いや、奴はこの旅の最中は協力的だった。
 奴がいなければアレクサンドリアには着けなかったかもしれない…
 ……元凶とはいえ、刑を軽くして頂くよう進言するのが騎士としての務めだな!」


その時。
「まこっさーん、どうー?空は気持ちいい?」
「美希!覚悟していろ、帰ったらお前は死刑だからね!」
得意気な顔で真は入れ替わるように船内に戻っていった。

911im@s fantasy9 第一章 第十三話 2/3:2009/11/27(金) 03:06:19 ID:7syrjvxY0
「……全く何も聞いてないんだから」
そう言うと美希は甲板後方の、操縦室へ入り…
「はいはい、ちょっとどいて欲しいな」
舵を取る三角帽子をどかせるのだった。





「…何か、動く方向がおかしい気がするな…
 美希、何か変な…ああああああああああああああああああ!!!」


「ふんふふんふーん、なの」
真が再び上がると、そこには舵輪を握る美希の姿が。
三角帽子の船員は無言で美希を見つめている。やっぱり航路が変わると困るのだろう。


「…お、お前!!み、美希!!何をしている!どこに向かってるーーー!!」
「気にしないで欲しいな」

「このっ!!」
真は美希を捕まえようとするが…
「ほい」
くるりと回転、操縦室の外へ。
「こら!!」
「よっと」
追いかけてきた真とクロスするように飛び、また操縦室へ。
「えい!!」
「ほっ」
尻尾を引っ掛け天井にぶら下がり
「こっのー!!」
「あふぅ」
突撃してきたところをささっと避けると真は激突、倒れてしまった。


「さてー、これより当飛空艇はー、『リンドブルム』へとー参りまーす」
「リンドブルム!?
 そういえばお前達、リンドブルムの劇団員だったな…
 ええい、姫様をお前達の母国に連れ帰る気かぁ!!」
そう言って真が起き上がった時。


「……カカカ」
甲板の先端に、何者かが出現。


「このままリンドブルムへは行かせぬぞ…」

長身の体に纏われた、全身が青き、鳥のような羽で覆われたローブ。
三日月形の頭をした杖。
2号より更に大きな、青黒い翼。
三角帽子。
「…あれは」
「…さっき倒した奴の仲間か!?」
真が言うと、
次々に、船員の三角帽子が甲板へ飛び出してくる。

「何があったの!?」
ドリルとビビも。


「…!?」
そして、三角帽子に囲まれた。まさかすべて罠だったというのか…?
「プログラミングが行き届いているようだな
 そうだ!姫をこちらへ連れて来い」

…しかし。
「…」
ドリルとビビを美希と真の元へ行かせると…
向き直り、船員達は全員、青黒羽の三角帽子の方を。

「…何」
全員が詠唱……

「まさか!!」
魔法を全員で一斉に唱える。
ファイア、サンダー、ブリザド。
魔法が次々に放たれ、大きな三角帽子を攻撃していく。

「…ほう。私に逆らうというのか 所詮、量産型に過ぎぬお前達が…」
そう言うと杖を振り上げ…


「この、雷属性特化の、黒のワルツ最強『3号』に!!」
魔法を唱えた。

912im@s fantasy9 第一章 第十三話 3/3:2009/11/27(金) 03:07:27 ID:7syrjvxY0
どこからともなく、突如として白き柱が落ちた。

それは巨大な雷『サンダラ』。

カーゴシップを貫き、這う電撃。
その衝撃で、集まった三角帽子たちは皆吹き飛ばされ…


…カーゴシップから落ちていく。
次々に。

カーゴシップに積まれた積荷も…また。
箱が空中で壊れ中身を…まだ体が出来たばかりで、生まれてもいない彼らが。


次々に、命がバラバラと空へ落ちていく。その先に待つものは…。


「………あ…」
ビビは操縦室の窓から、その様子を目にした。

同じ形の、話しかけたかった、動いている同じ三角帽子の人々が……
雨あられと、まるで…虫ケラのように。


「カカカカカ、カーカカカカカカ!!」

落ちていくのを見届けるしか出来ないビビの顔は…割れた硝子によりさえぎられた。



「………」
あまりの光景。
…もう、ビビはその場に崩れてしまう。
「……ビビ君」
「ビビ殿…」
「………ビビ」


高笑いを続ける3号。
そして……


彼の怒りは、頂点に達した。

「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
感情のままに、駆け出していた。

「ビビ!!…ドリル、舵輪を頼んだの!!」
「えっ、でも…」
「ドリルなら出来るよ! さ、まこっさんも!…王女を守るのが仕事なんでしょ!!」
「…く、…ああ!!」

「…気をつけて!」

913名無しさん:2009/11/27(金) 03:08:26 ID:7syrjvxY0
>>303
そうそう。

ああ。そうかw

投下ー

914乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2009/11/27(金) 20:06:02 ID:X1L9.p1M0
個人的に好きな敵の組織や犯罪組織、犯罪集団
(原作がゲーム外のも含む ただしゲーム化した作品のみに限る
 また、やっていない作品も含まれている)

1 コルレオーネ・ファミリー ゴッドファーザー
ドン・ヴィト・コルレオーネ
分類:犯罪組織

2 カスタルディー・ファミリー Driver 潜入!!カーチェイス大作戦
ドン・カスタルディー&ジャン・ポール
分類:犯罪組織

3 サリエリ・ファミリー MAFIA:The City of Lost Heaven
ドン・サリエリ
分類:犯罪組織

4 タッタリア・ファミリー ゴッドファーザー
ドン・フィリップ・タッタリア&バジル・ソロッツォ
分類:犯罪組織

5 ベルセッティ・ファミリー Grand Theft Auto Vicecity
トミー・ベルセッティ&ケン・ローゼンバーグ
分類:犯罪集団

6 テュランヌス世界統一軍 鋼鉄の咆哮
テュランヌス(のちクルーガー)
分類:独裁国家(?)

7 ウィルキア帝国 ウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮
フリードリヒ・ヴァイセンベルガー
分類:独裁国家

8 Qシュタイン帝国 コンバットチョロQ(PS版)
T-35
分類:独裁国家

9 レオーネ・ファミリー Grand Theft Auto3
ドン・サルヴァトーレ・レオーネ&ジョーイ・レオーネ
分類:犯罪組織

10 ロケット団 ポケットモンスターシリーズ
サカキ
分類:犯罪組織

11 ロシア超国家主義派テロ組織『The Four Horsemen』
イムラン=ザカエフ(&カレド=アル=アサド)&ウラジーミル・R・カマロフ
分類:テロ組織

915im@s fantasy9 第一章 第十四話 1/4:2009/11/28(土) 00:20:15 ID:UFuZ.9kw0
「どうして!!どうして仲間なのにこんな酷いことをするの!?」
「仲間だと!? カーッカッカ!!
 これだから何も解らぬ出来損ないは困るのだ!!
 私は奴ら1000体を作るコストを上回るコストで作られた…」

「そういうことを聞いてるんじゃないよ!!」
「うるさい小型タイプめ、私の力の前に絶望するがいい!!」


黒のワルツ3号との対決。

ビビは…戦闘が始まると同時に突然光に包まれ…
「何…?」
「まさか!!」

トランスは何も美希だけのものではなかった。
青白い光を発し、ぺたりと倒れた三角帽子は尖り、魔道衣は見たこともない造形へ変化。


「面白い、1号と2号を倒したお前達の力、見せてもらおう!!」
3号は初めにサンダラを発動。

先ほどと同じ、カーゴシップを破壊しかねない強力な雷がビビを襲うが…
「う…」
「…何!?」

効果が薄い。
「サンダー!」
雷の魔法で返す。

「う…!?」
炸裂するは、3号のサンダラと同格ほどにまで強くなった強力な電流。
そのダメージは通常時の比較にはならない。

「ブリザド!!」
巨大な氷の塊が3号に落下。3号の頭を直撃する。
「何だその詠唱速度は…!!」

「ボクも負けていられない!!」
真は突進、飛びあがり体重を乗せ3号に一撃。

「…邪魔をするな!!」
3号が飛びあがり、魔力を集中させ始める。


「味わえ!これが本当の『サンダラ』だ!!」

916im@s fantasy9 第一章 第十四話 2/4:2009/11/28(土) 00:21:03 ID:UFuZ.9kw0
より強力になったサンダラが全員を襲う。
雷が雨あられと降り注ぎ、高圧電流が網のようにカーゴシップを駆け巡る。

「うあああああああ!!」
「きゃああああ!!」
「う…」

何とか耐えることには成功するものの…
この戦いにドリルはいない。回復役が存在しないのだ。


「……あ…」
激しい痛みと、痺れ。
「さぁもう一度だ!!」
杖を空に掲げ、雷のエネルギーを凝縮させ始めた。


だが。
「はぁぁああああ!!」
ここで美希もトランス。

「…何!」
「『タイダルフレイム』!!」
またも、己の脳裏によぎった言葉を叫ぶ。



すると、美希の周囲を巨大な炎が回り始め……
「行けぇぇえええ!!」

ミスリルダガーを自分の向いている方向…3号のいる方向へ向けると、
炎は巨大化……一列に、巨大な炎の壁となって3号を襲った。

「…『ブリザド』!!」
しかし雷特化の彼ではこれを消すほどの冷気を発することは出来なかった…



「くぁぁああああ!!」
高く飛んだその高度まで炎に焼かれ、甲板に落下してしまう。


「『サンダー』!」
「『ブリザド』!!」
そこに再びビビの追撃。
二連族の魔法により、全身に電流が走り、氷の刃が食い込む。

「貴様ら…………!?」



3号が膝をつく。
これでもまだ倒すには早かったようだ。
「………私が…手加減していれば……いい気になりおって」
「…まだ戦うつもりなの」

3号のローブの各所から火花。
体勢を直すと…
「当然だ…
 我の存在価値は勝ち続けることのみ!!」

3号が強力なオーラに包まれ始めた。
「我の存在理由ハ勝ち続けルコトのミ!!
 我ノ存在理由ハ勝ち続けるコトノミ!!
 我ノ存在理由ハ勝チ続ケルコトノミ!!!」
そしてカーゴシップから飛び立っていった。
「…?」




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