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チラシの裏 3枚目
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水平線の上半分を覆い尽くす、灰色の雲。
弾丸のように降り注ぐ雨に、その無数の雨粒を受けて沸き立つように波打つ…激しい激しい波間。
何時壊れてもおかしくない、小さな船に…一人の女性と、一人の子供が乗っていました。
…ひしと抱き合う女性と子供。
声すらもかき消される中、決して離れぬように。
波により、雷により…雨により…船が壊れぬよう、沈まぬよう。
空に浮かぶ、巨大な赤き目を見ないように。
「…ふぁ……っ」
最高級のカーペットの上の、化粧用の椅子で彼女は目を覚ます。
銀のティアラを頭にし、白いドレスに身を包んだ彼女は…今日で16歳。
何かの音を感じ、雪の降る空を見上げる。
「……あれは…」
金の飾りを施した窓を開けると……空を飛ぶ、ユーモラスな建物を乗っけた船。
「…劇場艇…………」
「失礼致します 雪歩様、そろそろ劇場の方へ…」
「何してるの雪歩、追いてっちゃうよ?」
黄金の冠とリボンを着けた、赤いドレスの少女…
その前には、青い髪の豊かな胸をした女性。
「…姉様、千早ちゃん。はい…直ちに」
白いドレスの彼女は、アレクサンドリア王女雪歩。
そして赤いドレスの彼女は若くしてアレクサンドリア女王となったその姉…春香だった。
彼女達の母親…先代ブラネ女王は二人が幼い頃に逝去していたのだ。
一説によると、当時不治の難病に侵されていた春香を治す為、命を削る禁呪を用いたと言われているが。
「雪歩、お芝居好きでしょ?
今年は雪歩の大好きなお芝居を頼んでおいたから、期待してて」
「…はい。」
そう。今日は雪歩王女の誕生日を祝して、王宮に招いた劇団による演劇の日。
町は皆、お祭りムード。
演劇は皆が見ることが出来るわけではない。客席には限りがあるのだから。
…チケットは、国民皆の憧れの的。
そんなチケットを手にして、喜びの絶頂に有るはずの一人の男の子が…
受付で愕然としていた。
「お前、四本腕のギルガメッシュにスられた上、偽のチケット掴まされちゃったのか?
ついてねぇ奴だなー」
ネズミのような顔をした小さな男の子の声が、
三角帽子を被った顔の見えない男の子の背中にかかる。
「…え?聞いてたの…?」
「見てたし、あの落ち込みようなら声が聞こえなくても解るよ
…それでお前、どうするんだ?」
一人ぼっちで王都にやってきた幼い少年は、
ネズミ族のその少年の言葉の意味が解らない。
「どうする、って…?」
「演劇、見たくないのか?」
「え!?方法を知ってるの?」
「ここじゃバレるだろうが。…俺の子分になるっていうなら、教えてやってもいいぜ」
三角帽子の男の子が頷くと
ネズミ族の男の子と共に裏通りへ向かいます。
「…お前、名前は?」
「ビビ! お願い、ボク演劇を見たいんだ!」
「よし、ビビだな …俺はパック。よし、それじゃやり方を教えるぞ?
この町の広場に、鐘を鳴らす時計台があって、そこに梯子をかけて、屋根を伝っていくんだ。
結構危険だから注意しろよ?」
「う、うん…」
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