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チラシの裏 3枚目
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ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに
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「爆撃機に乗り込む!? …本気で言ってるの、ゼロ…」
シエルはハラハラしている。
「他に方法はないだろう」
「じゃあ、じゃあ私も連れて行って!」
シエルは突然突拍子もないことを言い始めた。
「!? …シエル、何を言っている」
「爆弾の解除なんて私にしか多分出来ない… お願い、私を連れて行って!」
「…簡易転送装置を使え 俺が深部まで乗り込む」
彼はレジスタンスの飛行機へと乗り込んだ。
「…雲の上まで来たな」
操縦はロシニョルおばさん。
「あいよ!この直下に爆撃機があるみたいだねぇゼロさん!」
「よし、落ちる」
「ぇえ!?ちょっと、ゼロさん!?」
雲を突き抜けゼロは一人落下。
雷雲の中を飛行するネオアルカディアの小型機に着地する。
「任務実行に移る」
ミッション開始。
まずは空を覆う無数の小型機を乗り継ぎ、先頭にある爆撃機本船へと移動する。
「侵入者ゼロ発見、迎撃体勢に移る」
てんとう虫型の小型機の戦闘に特化した機体がゼロへと飛来してくる。
「…」
撃ち出されたミサイルごと本体をチャージ斬りで迎撃。
絨毯爆撃はライズフォームに変化し、その機動力で回避する。
「終わりだ」
氷属性のチャージ斬りにより小型機はあっけなく沈められた。
だがその間にすでに敵は準備を整えていた。
甲板にはパンテオンが配備され、内部には電磁トラップが張り巡らされている。
雲の流れる中を駆け、敵を斬り裂く。梯子から落下、爆撃機内部へ。
電磁トラップのスイッチに衝撃を加えると一定時間の間、電磁バリアが解ける。
氷属性のチャージショットでスイッチを凍らせ、その間に移動。
氷が割れ、衝撃でスイッチが入る。
これによってタイムロスは少なく、電磁バリアを余裕を持って潜り抜けることが出来る。
「ここでまたお前か」
現れたのはゴーレム・タイプE。
氷属性のチャージ斬りで難なく沈め、小型機の格納庫を飛び降り船体下部へ。
更にバリアを解除、3属性砲台や盾を持ったパンテオンを倒して更に下へ。
…船底へと到着。扉を潜り、爆弾とコントロールパネルを前にしてシエルを呼ぶ。
「有難う。 …それじゃ、解除作業を始めるわね
大体90秒かかると思うの …それまで、敵を引き付けておいて!」
シエルが人間の科学者だと知る者はそう居まい。
「ああ」
90秒の間、押し寄せる敵たちからシエルを指一本触れさせないこと。それが彼の役目となった。
早速、奇襲用パンテオンの影が見えてきた。
「『イレイスフォーム』」
ゼロの体が赤紫色に変化する。このフォームは如何なる能力を持っているのか?
答えはやはり名の通り。
敵の弾を消し、シールドブーメランの力を上昇させる機能。防御力も高い。
パンテオンを敵メカニロイドが撃ってくる弾と共に破壊する。
ゼロの攻撃の前ではこの場合、斬れない攻撃など存在しないことになる。
それでも間に合わない場合にもシールドブーメランが存在する。
近づく弾は破壊する、通り抜けた弾は跳ね返す。
鉄壁の守りの中、45秒が経過。
「あと半分くらいだから頑張ってね、ゼロ!」
回転斬りで応じ、時にダッシュ斬りで近づくパンテオンを攻撃。
余裕を持って倒し続け…
「あと10秒!」
あと少し。シエルの背中には激しい戦闘が繰り広げられ…そして。
「終わったわ!! ゼロ、有難う!」
「安全を確認、転送を開始します」
シエルから転送。だが…
「ら、乱気流に入りました!」
「転送できんか…まぁいい。下で待っていろ この機から飛び降りる。」
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貨物庫へ。
盾を持ったパンテオンらを倒し、更に下へ。ハッチから下を除くとすでにレジスタンスの輸送機がスタンバイ。
飛び降りる。
「ごめんね、ゼロ…これからレジスタンスベースに戻…」
だが…前方に何かが見える。青いボディ…
「待て。…コックピットの真上辺りに誰かいるぞ」
その何者かが振り向く。
「やってくれたな、ゼロ…」
その姿は…誰かに似ていた。色は違えど…そう。
「『ヘラクリウス・アンカトゥス』の名、忘れたとは言わせない
俺はその弟、『クワガスト・アンカトゥス』だ!!」
会話を思い出してみる。
「こんなやり方、私達も大嫌いなんだけどねぇ」
「俺らより格下の癖に、やるやるってウルサい奴がいてよー!」
「…俺の命令でも責任でもない。 『奴』が覚悟してのことだ」
…レジスタンスベースを攻撃しようとうるさかった…『奴』。
「復讐か」
どの道戦う運命。…どちらもそれは解っている。
「かくなる上は俺自身の操作で俺が爆撃機と共にお前達のベースへ突っ込むのみ!
…来い、ゼロおおお!」
イレイスフォームのまま、戦闘を開始。
「行くぞぉおおおお!」
4本の腕からレーザーを発射。
それは腕の高さを変えて様々なパターンで撃ち出される。
飛び越えながら氷属性のチャージショットで迎撃。
「ぉあっ!!」
怒りにかられ、そのままダッシュ。
「…」
素早いその突進を避けると同時に一撃。
「…ううっぐっ…!」
クワガストが怯む。
「…こちらから向かう攻撃は…意味がないか」
ゼロが距離を取る。攻撃は予想がついた。
「さぁコッチへ来いよゼロおおおお!」
兄と違い二つある角を勢いよく回転させ、磁力の竜巻を発生させる。
捕まれば…恐らく。
「そうは行くか!」
竜巻から飛びあがり逃れ、氷属性を持ったチャージ斬りをクワガストへ向かい振り下ろす。
「あああああああああああああああああああっ!!!」
輸送機全体が揺れる。
「…な、ならそれなら…!」
また竜巻を発生させる。今度は…流す方向へだ。
「どういうつもりだ…?」
風に乗り、電撃の弾がゼロを襲ってくる。
「…なるほどな」
そしてクワガスト自身が高速で突進………ゼロを突き落としにかかる。
「終わりだ…!兄者の仇いいい!」
冷静に氷のチャージバスターを撃つ。
だが……
「ん?」
撃ち出したのはいつも以上に冷たい氷のバスター。
「………!!」
クワガストの青き体に刺さる氷の弾。
「ががが……!!」
そして…割れる。撃った弾、食らった者の両方が。
「うががががーーーー!! …また、また失敗かよおっ…!!」
そう。ハルピュイアの部下としてあの日、シエル達を追いかけていたのも彼。
「…兄上… あなたの仇は… 討てませんでしたあああああああ!!」
氷が砕け、槍となってクワガストの体の隅々を刺し…貫いていく。
そして爆発。…風に乗り、曇天の中へ消えていく残骸。
後に残ったのは、煙たそうにしながら口を塞ぐゼロの姿だけだった。
「…………ミッション終了だな」
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「シエル。サイバーエルフの反応はもう残っていないようだ」
今までのミッションで向かった場所のサイバーエルフを全て回収。
大分時間がかかったがひとまずは、救出すべきエルフは全て揃ったこととなる。
ゼロのバックパックから、サイバーエルフが溢れだし…シエルの元へと集う。
「うん。みんなゼロに感謝してるわ…エルフ達の世話は私に任せてね」
戦士系、魔法使い系、動物型、天使のような格好のもの。
…様々なサイバーエルフが存在し、その用途も様々。
「まぁ、力を使うことなんてないから…そんなの関係ないんだけどね」
「ああ」
それは死を意味するから。
「でも私達、何とかしてゼロの役に立てないかなー」
「そうですねー………」
シエルはその様子を見て何か嬉しそうではある。
「…何とか研究をこの前から始めてる。安全に、ゼロの役にいつか立てるといいわね」
エルフ達も喜ぶ。
「うん!!」
「私も、是非ゼロさんのお役に立てればと…」
「はぁ…それよりエックスの場所が私は知りたいわ」
口々に話し始めるエルフ達。賑やかなことである。
「所で、クワガスト戦で俺が使った力は何だ?…チャージショットが変化したようだが」
シエルはそれを聞くのを待っていた。
「エックスと同じならそれは多分…『EXスキル』だと思う」
「EXスキル…?」
イレギュラー戦争時代における、エックスの『特殊武器』
ゼロの『DNAラーニング』そのままである。
その違いは…技術の進歩により、高度なDNAデータを持つため
英雄達のボディにすぐに認識され、倒すのみで感知するため
科学者の存在を必要とせず、より本人の能力の一部として扱いやすくなったこと。
反面、面倒な点もある。
高度なDNAデータを持つことで、その損傷が起こりやすく、
純度の高いDNAデータを感知することが難しいらしいのだ。
現在手に入れているDNAデータは3つ。
ウロボックル、フラクロス、カムベアス。
失敗したのはマグマニオンとクワガスト。
「クワガストへトドメを刺したあの一撃は、カムベアスから手に入れたEXスキルだと思うわ」
「なるほど…」
「ためしにバスターショットで試してみて」
「やってみよう」
その時。
「た、たたた、大変だよぉ聞いておくれゼロさん!」
「大変なのーーー!!」
ロシニョルとアルエットが駆け込んできた。
「どうした。」
「エルピス司令官が行方不明なんです…」
オペレーターがやってきた。
「………エルピスが?」
記録されていたのは、落ち込んだエルピスの顔。
「……ハハハ… …本当に… 私はバカな男です」
がっくりと膝をついたエルピスの、力ない顔。
「…全ては私の責任。…私に力がないためです
私の作戦のせいで… 皆さんを不幸に追いやってしまった」
そのまま、床へと体を落とす。
「…力が欲しい………」
拳を握る。
「力が欲しい…」
再び体を持ち上げ、その両掌を見つめる。
「何者にも負けない力が欲しいよ……………!!」
「……ここまでです」
「転送記録があるはずだ。俺が向かったものは避けて他の記録を当たってみろ」
「…はい。そうなりますと…」
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転送先はノトスの森。
「……エルピス!」
彼はすぐに見つかった。
……だが様子がおかしい。
「うっくくく… やぁゼロ君、ごきげんよう!
どうしたんですか?私を追ってきたのかな」
…その両肩には『クリエ』と『プリエ』二人のベビーエルフ…
「シエルさんが散歩させている時に私に声をかけてくれましてね。
…ちょっと今からお二人の探検に付き合うことになりましたよ ウックククク………」
…ベビーエルフに精神を蝕まれている。
「…お前一人で何が出来る。」
「出来るんですよ!これから私が、あるものを手に入れれば!
ゼロ君、君と肩を並べるほどの力を、ね!」
「…『ダークエルフ』だろう」
「よく解ってますねえ。
それなら話は早い。この先の遺跡まで…競争といきましょう、それではごきげんよう」
陽気にエルピスは森の奥へと消えていった。
「ダークエルフを手に入れられてはまずい、行くぞ」
配備されたのは大量のメカニロイドに、盾を持ったパンテオン。谷を越えることも含め、
チェーンロッドが大活躍する局面であった。
ここはデュシスの森と同じ構造をしていた。
ロッドを使い続け遺跡の深部にて…現れたのは。
「やぁーゼロ君。どうやら勝負は僕の勝ちのようだねー… お先に♪」
一体どのようにしてここまでやってきたのか?
解らないまま、エルピスは笑い声をあげて奥へと潜っていったのである。
「グワ?」
エルピスを受け入れ、閉まった扉の上から落下してきたのは何かの物体。…メカニロイドだ。
「ワタスはこの森の管理を任されているファントム様の元部下『バーブル・ヘケロット』
今奥に誰か入っていった気がすたけども…気のせいってことに…しておくグワ」
「思い切り背後をエルピスが通って行ったぞ」
「グワアアアア!? …な、何も聞いてないグワよ!?」
戦闘開始。
「ケロケロケロロ!」
壁へ取り付き、揺さぶり始める。
「何だ、そのパワーは…」
明らかにおかしいと思いつつ、バスターショットのEXスキルでヘケロットを撃ち落す。
「グワーーー!」
それは貫通性の高いチャージショット。真っ直ぐにレーザーはヘケロットを貫いていく。
…落下。そこを見計らってライズフォームへ変身、強化した三段斬りを食らわせる。
「何するー!」
舌を伸ばし、ゼロへ突き刺そうとし始める。
「ハッ!」
壁へ逃げ、壁からチャージ斬り。
「グワワーーー!!」
この様子で行けばすぐに勝てる…そう思ったときである。
「ケロケロケロロ!」
今度はとめられなかった。…揺すられた壁から、何かが落下してきた。
「メカニロイドか…」
芋虫型メカニロイド。
だがこれの始末も簡単。すぐにセイバーで一閃…だが。
「うまいケロ♪」
残ったメカニロイドを食べてしまった。
食べてどうする…?そう思っていたが…間違いだった。
「みなぎってきたケロロロロロロロ!」
膨張。
「…!?」
一気に増加する質量。…おかしい。
更に膨張。
「ゲロー!!」
超重量級の体となったヘケロットが部屋全体を揺るがし、
口から泡を吹き始める。
「何だ…?」
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泡程度なら軽く叩き割れるのだが…それからが問題。
「イ”グゲロ”ーーー!」
「させるか!」
チャージショットも効かない。…床に沿いごろごろと回転を始める。
「…何?」
壁から天井の草の中へ。草の中から現れまた高速回転。
「厄介な敵だな…」
落下。ドスンと大きな音が鳴り響く。
「ハァ!!」
その一瞬を突きチャージ斬りを一発。ヘケロットの体が縮む。
「どういう仕組みだ…?」
ウロボックルの軽いフットワークも気になりはしたが。
更にチャージショットを見舞う。
「ケローー!!」
元の小さなボディに戻った。
「……随分派手にやってくれたな」
草へ隠れ、脚を伸ばしてきたヘケロットの攻撃をかわし…
「だが相手をしてる暇はない、これで勘弁してもらおう」
脚を破壊。
「ハルピュイア様ーーーー!どうして…どうしてワタスをこんな…重要場所に…?
グワワーーーー!!」
小さな体が弾け飛んだ。
…質量を操っていたようにすら思える謎のレプリロイドの最後だった。
それよりも、である。
「エルピス!」
遺跡の奥には…
「…!」
動けずに床へ這い蹲るエックスの姿。そして…二つのベビーエルフ。
「うわぁーい、ママー!ママー!」
「やっとあえたー!」
歓喜の声とともに、怪しげな光をエックスに落とす。 …エックスはそれにより力を押さえつけられているのだ。
「………。」
そして…丸く、サイバーエルフとしてはあまりに巨大なその光。
紫色の光に包まれた…
「ダークエルフか!」
「…やぁ、ゼロ君。少し手間取っていたようだねぇ」
けらけらと笑うエルピス。
「そんなに心配しなくてもいいですよ、ゼロ君」
その拳に力が入る。
「私はですね。 …何も、この力を…危ないことのために使用しようっていうんじゃないんです」
へらへらと笑う。
「…全ては、世界のため……」
そして見開き、怒鳴る。
「シエルさんのためなんだっ!!!!!」
くわっと見開いたその目。その振りかざされた腕。
…彼は消えていった。
「…とうとう、ダークエルフが復活してしまう…」
「エックス、大丈夫か」
エックスは弱っていた。
「…ああ、ごめんね…
…これからエルピスが目指す場所は多分わかっている………
そして、そのために彼が何をするかも。…僕に、協力させて欲しい」
「ああ」
「幸い…ダークエルフはまだ復活し切れていない…半分なんだ。今のままじゃ何も出来ない…
……止めよう、ゼロ。 …エルピスを」
「…そうだな」
「…エルピス………。」
新たなる戦いが、ここに幕を開けた。
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そして、エルピスを追ってのミッションが始まる…。
北国の夜風が吹き抜ける、雪の積もる屋上。
「ゼロ、ここにエルピスが行っているはずなんだけど…」
「オペレートを頼む」
潜入ミッションとなる…ここではライズフォームを選択。
狼型メカニロイドを蹴散らし、斜面を登っていく。
「気をつけて。敵の仕掛けた爆弾が地面に大量に埋め込まれてる」
(…随分用意周到なようだ)
だが如何せん間隔が短過ぎた。ひとたび端にセイバーを振り下ろせば、
連鎖的に爆発…一気に安全地帯となる。
「気をつけて、ゼロ…」
飛び降り、狼型メカニロイドを破壊。回転砲台も続けてタイミングを見計らいチャージショットで破壊。
雪玉を投げるメカニロイドも、雪玉を飛び越えて破壊。
…だが、相手も手を打っていた。
連鎖爆発を狙おうにも多くの狭い足場にびっしりと配置すれば破壊は困難となる。
「困ったわ…ここから落ちていくんだけど、その間の斜面全てに爆弾が仕込まれているの。」
左へ落ちる斜面の次は右へ落ちる斜面へ。
…しかし……
「…この雪玉を活用する」
斜面の上にはメカニロイド。雪玉を投げるものだ…
「…まさか」
敵を引き付け…斜面に向かい雪玉を投げさせる。
斜面を転がっては落ち、次々に爆弾を破壊、下へと落ちていく。
転がっては落ち、爆弾を破壊しながらどんどん雪玉が大きく成長していく。
「……よし」
落下しきった後で敵を飲み込み、巨大な雪玉はその役目を終えた。
「………この先か」
扉を潜る。
コンピュータを守るセキュリティルーム。…窓の中のチューブに、青きレプリロイドが映る。
「…!」
そして部屋が水で覆われ…四天王・レヴィアタンの登場だ。
「ここのコンピュータの情報、エルピスにすでに奪われちゃってたみたいね
…エルピスを追わなきゃいけないから、あなたとの戦いも手短に済ませないといけないの…」
「まぁけど、戦うからには楽しみましょう!」
ぐるりとジャベリンを回転させる。
「やっ!やっ!やぁ!!」
刃先の射出を3回…勿論潜って一撃。
「あぁうう!」
距離を取って…冷気をまとわせたジャベリンを回転させ…
「フッ!!」
氷の輪を撃ちだす。…今度はそれは広がっていく。
「…!」
レヴィアタンは腕を上げていた。
-
だがゼロの成長はそれ以上。
「『ディフェンスフォーム』」
文字通り防御特化のフォーム…
攻撃を防御し、ダメージを最小限に抑える。
「や、やるじゃない…!」
またも水を蹴り移動…チャージ斬り。
「うっ…!」
水底へ。…ディフェンスフォームの欠点は手数が要ること。
その上、圧倒的にスピードでは遅くなる。
「甘いわよゼロ!」
レヴィアタンは急降下、槍で突き刺そうとする。
「その戦い方…」
一歩避けて回避、そのまま三段斬り。
「覚えがある!」
回転斬りで吹き飛ばす。
「…言っていなかったかしら?
私が水を蹴る力は……マッハダッシュの力よ!」
その瞬発力で水を連続で蹴り、水面近くへとジグザグに上昇していく。
「逃がさない!!」
いつぞやのように氷の機雷を降らせる。
「逃げはしない」
回転斬りで対処。
「だがその力をまず教えてもらおう!」
水面に向かいチェーンロッドを伸ばす。
「きゃああう!!」
真上のレヴィアタンへと刺さる。
「うっ……」
縦横無尽に水を蹴るその力で下へ。
「ええ。忘れてるかもしれないから、教えてあげるわゼロ…
私が持つ力は…エックス様のアーマーのうちの一つ……」
青きオーラを纏い…奥義を放つ。
「『ブレードアーマー』の力!! 大気を蹴る力を水を蹴る力へと、私は変えた!」
渦潮を作り出す。
「とくとご覧あれ、この私の水中ショー!!」
渦潮で吸い寄せ、動きを乱しつつジャベリンの雨を降らせる。
「!」
細かな動きで回避しなければならない。
吸い寄せる流れに抗い、乗りを繰り返しジャベリンの刃先を回避。
「フィナーーーーーーレ!」
ジャベリンで床へ落下、砕いて氷を舞わす。
「……」
心の奥でニヤリと笑う。
「ハッ!」
確信したのだ…この大技を避けきったことを。
彼女へと向かってくるゼロに……レヴィアタンは構え、小技でありながら強烈な一撃を放つ。
「ハァアアアア!!」
なんということはない。ジャベリンを最大限のスピードで一回転させ、ゼロをなぎ払うのだ。
「くっ!!」
レヴィアタンの表情が明るくなる。 …当たった。
「行くわよ!」
ゼロの真上へと蹴り跳び、ジャベリンによる急降下により刺し貫こうとする。
「くっ…!」
紙一重で回避…そして…
「きゃあああっ…!!」
チャージ斬り。…決着の瞬間だった。
「ハァ…ハァ…… ファーブニルのバカが感染っちゃったみたい…」
「あなたと戦えるならなんでもよくなってくるわ………」
息の荒いレヴィアタン。
「…ひとまず、今回はここまでね… 次に戦うときを… 楽しみにしていてね」
-
レヴィアタンはゼロの強さに心酔していた。
「…フフッ… ごめんね、姉さん」
四天王を作り出すのに必要なのは素体としてのエックスのクローン幼体、
体内に埋め込むエレメントチップ、そして成長の方向性を定めるアーマー。
エックスはアーマーにより自らの能力をある方向へと覚醒させていった。
アルティメットアーマーを使うためには、ファーストアーマーからフォースアーマーまでの
段階を経て、バランスよい成長をさせなければならない。
それをしたのがエックス、その段階を経なかったのがコピーエックスであった。
初めから凄まじい力を得たが、成長が早すぎ体も心も追いつかず、結果器用貧乏へと。
全ては、完全な統率者の復活のため。
だがもし…生まれたときから一つの属性、一つのアーマーだけを装着させたとしたら?
…恐らく、一つのアーマーの目指す方向にのみ偏った能力を得た……
そう。アーマーに最大限に適応する存在になれるであろう。
それはきっと…エックス以上にアーマーを使いこなすことが出来る。
エックスのDNAに刻まれた、ライトナンバーズ達の遺伝子もまた、それにより発現するのだ。
ハルピュイアはエックスの中の風の力を操るロボットの遺伝子を発現させ、雷の力を持ち、
ファルコンアーマーに最大限に適した体を手に入れたもの。
ファーブニルはエックスの中の火の力を操るロボットの遺伝子を発現させ、火の力を持ち、
ガイアアーマーに最大限に適した体を手に入れたもの。
ファントムはエックスの中の影と刃を操るロボットの遺伝子を発現させ、闇に紛れる力を持ち、
シャドーアーマーに最大限に適した体を手に入れたもの。
だがファントムの前に、空、陸と来て海を支配出来るレプリロイドも作りたくなった。
…だが、壁にぶち当たる。
エックスには氷の力はあっても水の力はない。…発現させるには…男性の体では不可能なのだ。
有り得ない事態。 …エックスの「女」の性別を獲得して生まれた幼体でなければ…水の力は扱えない。
大きな差異があってはならない。女のエックスの幼体を得るため……ネオアルカディアは女性レプリロイドのDNAを探し続けた。
エックスのDNAと近い、『適合者』を探す為に。
…そしてそれは見つかった。エックスの、最も近い場所で。
レヴィアタンはいよいよ、エックスの死の後にその事実を知ったのだ。
「……私だけが本当の子供ってわけか。 …とんだ相手を好きになって…ごめんなさいね」
星空で散っていった…母であった姉を思い、岸辺で彼女はジャベリンを砂浜に突き立てた。
レヴィアタンの想い人は一体今どこへ?
…輸送機工場内にいた。
「よーーーーーーーーーう!
ゼロじゃねーーーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーー!」
ゼロは呆れていた。
(声が大きくはないか)
ファーブニルは満面の笑みで彼を迎え討った。
「待ってたぜーーーー!さぁさぁー!
今すぐやろーーーすぐやろーーー!いっくぜーーーー!」
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チャージ。飛びあがり、拳を地面に叩き付ける。
ゼロは一歩避けると、衝撃で土が盛り上がる。
「随分なパワーだな」
雷を纏ったチャージ斬り。
「おぁっ!」
そしてまたチャージし、ファーブニルはチャージショットを撃つ。
「吹き飛べえ!」
これもかわし、再びチャージ斬り。
「んごお!?」
掴みにかかる。ゼロはそれを飛び越え、後ろから三段斬り。
「う!あ!ぐはっ!!」
ファーブニルが怯む。
「これならどーだーーーー!」
手を大きく広げ、チャージショット。それは宙を舞い、空中で炸裂。破片へと散らばる。
「…」
新たに得たその技も避け…
「行くぞ…『パワーフォーム』」
「何だぁ!?」
ディフェンスフォームの緑色から青紫色へと変化。
「のわぁあああああ!」
チャージ斬りを叩き付ける。
「うっ……やるな……」
パワーフォームは最大の力を持ったフォーム。
ファーブニルも流石に堪えた様子…
しかし。
「お前…強ぇな、ゼロ!」
よろけながら立ち上がる。
「で、でもよ…」
両腕のバスター、ソドムとゴモラを構える。
「このパワーに勝てるかってーの!」
赤いオーラがファーブニルを包む。…奥義だ。
「来るか」
両バスターを地面へと向け、最大限のチャージショットを連続して撃ち込む。
「でやあああああああ!!」
地面に撃ち込まれた凄まじい熱エネルギーは地に留まることなく、炎の柱として噴出し始める。
「そらそらそらああああああ!」
間を縫って回避。ファーブニルのオーラが解除されるのを待つ。そして…
「ハッ!!」
チャージ斬り。
「んっ…… クソぅぅぅ…!!」
ファーブニルは諦めたか…?と思いきや。
「まーーーだまだーーー!」
ファーブニルは大きく跳び、真下にいるゼロに向かいチャージショットを放つ。
「!」
これを僅かな差で回避。
「もう一丁!!」
往復するように同じ軌道でもう一度飛ぶ。
…だがゼロにそれは見切られていた。
「ハッ!!」
ゼロもまた跳んでいた。
投下される炎、パワーフォームの一撃。
交差する二つのアーチ… …相手に当てたのは…
ゼロだった。
「ちっきしょおおおお!!」
ガスンガスンと地面を叩く。
「……やるなぁ、ゼロ… まぁいい…俺ぁ満足したから…ハァ…ヘァ…
次ん時は全力でやらしてもらうぜ!!」
-
エルピスは全員で迎えに行こう。
…そう思ったレジスタンスは、一丸となってある場所に集結していた。
クリスタルの洞窟。
エネルゲン水晶が採掘される巨大鉱脈だった。
…他のメンバーがいない。ゼロは捜索を始める。
「随分な坂道だな」
急な坂道を転げ落ちるメカニロイドをゼロは破壊、山を越えて洞窟内へ入っていく。
「…何だ?」
トゲだらけの洞窟。床は見えない…
飛来してきた赤い物体を倒してみる。チャージショットで。
…すると…
「!」
中から赤い蛍型のメカニロイドが登場。それと同時に、トゲを赤色の光が覆う。
「…水晶が見えるようになるのか」
物体が青色に変わったので撃つと青色の蛍型が登場、トゲを青い光が照らした。
要するにその上ならば歩くことが出来る。
洞窟内の水晶の床を渡り続ける。
蛍型メカニロイドを倒して撃破数の評価を上げながら。
飛び降り、水晶の床を跳び移り続け…
いよいよ洞窟の外へと出る。
「…何だ?」
「う、うう…」
「ああぁ…」
見ると、レジスタンスたちが頭をぐらぐらさせながら立っている。
「…誰の仕業かしら。…操られてるみたいね
ゼロ、彼らを殺さないようにして先へ進んでみて」
足元にバスターショットの小さな弾を一発。
「うっ……!」
足止めだけをし、進んでいく。
「…あれは」
目の前に現れたのは…
「なるほど、確かにここになら…」
墜落した爆撃機。
「ええ。エルピスが何か必要なものをここに取りに来るかもしれないから…」
梯子をよじ登り、今もなお活動を続ける三色砲台を破壊。これから再び爆撃機に…
「待ってゼロ! …ベビーエルフの反応がある! …この先よ!」
入り口を通り越し爆撃機の向こう側へ。
紫色の影が見える。…飛び降りると…金色の髪も見えた。
「クーーーックックック… そうだ、これだ… これがあれば私はネオアルカディアに…」
「エルピス!」
「ククク…」
うすら笑い、そして…エルピスは消えていった。
「………すまない。エルピスに逃げられた」
「…何をするつもりなのかしらね…」
帰ろうとしたその時、上空から声が。
「お前達の指揮官はネオアルカディアの敵味方認識装置を奪って行ったようだが」
ゆっくりと降りてくる…ハルピュイアだ。
「…奴は何をしようとしている? エルピス…TK31の奴は」
「俺たちが知りたいくらいだ。 …何をしにきた、ハルピュイア」
「クワガストの死体回収と…奴を発見したから倒しに来たまで。
…俺はな、ファントムと違いレジスタンスを皆殺しにすることが正義だとは思っていないんだ」
そう言いつつソニックブレードを出す。
「だが人間の生活を脅かすことは許せん。…お前らが奴を庇うというなら…お前も斬ることになるぞ」
ハルピュイアの言葉がおかしい。
「…元より俺はお前達にとってエックスの仇だろう」
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戦闘が開始される。
「行くぞ!!」
前回と同じく、開始の合図は急上昇と同時の衝撃波。
「はっ!」
それを避けて即チャージ斬り。氷属性の力も持っている。
「うぁあっ!!」
落下。そしてハルピュイアが得意とする三段斬りへと移る。
「ハッ、ハァ!!食らえ!!」
以前の戦いとは3段の間隔が異なる。だがそれに惑わされず回避。
そしてまた跳びあがると同時にソニックブーム。
これもまた回避。
「サンダーーーボルト!」
2本のソニックブレードを交差させ、雷を落とす。
1発、2発、3発目をかわしたところで再びチャージ斬り。
「うっ…」
落下。だが…ハルピュイアは学んでいた。
「はああああああああ!」
目にも止まらぬ速度で緑の風が大気を斬る。
ハルピュイア自身が剣を手に高速で平行移動したのだ。
「…!」
ゼロは反射的にそれをかわす。
「ちっ!」
剣を手に垂直に跳びあがるハルピュイア。…初めて繰り出すこの技も当てることは出来なかった。
それだけではない。
「うぁああああ!」
ゼロの武器はセイバーだけではない。
ハルピュイアは垂直斬りで跳びあがり切ったそのタイミングで、
背中からバスターショットのチャージショットを食らったのである。
「うぐっ…!」
バランスは崩さない。そのまま衝撃波を放つ。
だが勿論それもかわされ、再びチャージの時間を与えただけとなり…
「あああーーー!!」
叩き落とされる。
そしてハルピュイアは奥義を放つことにした。
緑色のオーラがハルピュイアを包み込む。
「流石にこの技は見切れまい…見切れはしない!!」
ハルピュイアにエネルギーが集まる。
「覚悟しろ!」
先ほどの要領でハルピュイアが今度は空中で高速移動。
剣をそのまま振り、衝撃波を直下のゼロに向かい放つ。
これはペースで畳み掛ける技。…往復を始める。
「ハァ!」
1発
「ハァア!」
2発
「フンッ!」
3発
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
4発、5発、6発、7発…
「最後!!」
8発。
最強の技を放ったハルピュイアは、傷だらけとなったゼロを見下ろす。
……だが…
「!?」
ゼロがいない。…あまりの衝撃にまさか吹き飛んだか?いや…。
「!!!」
ハルピュイアの背後だった。
氷の刃が…振り下ろされる。
「があはっ………!?」
地面へ打ち付けられる体。
「…………」
ゼロを見る。……オレンジ色の体。
「…なんだ……それは …それが俺の技をかわした…その能力というわけか」
「…『アクティブフォーム』 …最大限まで動きを速めるフォームだ。
まさかこれを使わせるとは大したものだ」
「…なるほどな」
ハルピュイアにはそう言ってみせる。…だが彼がそれで満足するわけはない。
速さに特化したハルピュイアが速さで敗れ…それまでは手加減をしていたと明かされた。
ハルピュイアに…『悔しさ』を通り越し、ゼロの実力に対する素直な賞賛が芽生える。
力を出し切ったことでの爽やかな疲れが体を緩め始める。
「…そうだ。それでいい…」
倒れそうになり、剣を突き立てる。
「……お前と戦っているときだけ、俺は全部、忘れられるんだ…」
ハルピュイアは去っていった。
-
「…ファントム、すまねぇ 俺らみんなゼロに負けちまった」
闇の神殿にてファントムの墓前へと報告。
「結局、ゼロには遠く敵わないみたいよ」
「俺たちにはまだ秘策もある …次は全力で行くつもりだ」
一言ずつ話したところで…レヴィアタンが一言言い始める。
「…でもね、私実はちょっとだけゼロにダメージ与えたのよ」
その言葉にファーブニルの眉が動く。
「お前はゼロに弱点突かれなかったし水の中っていう不利な条件だからだろー!?」
ハルピュイアが口を挟む。
「俺だって、フォームチェンジとやらをされなければあの技は多分当たっていた」
「いやけどよ、やっぱお前らと戦ってるときより俺と戦ってるときのゼロは全力だったぜー!?」
ガツンガツンと拳をあわせる。
「何言ってるのよ。追い詰められた状態で戦ってこそゼロは力を発揮するんじゃない。」
やれやれとため息をつく。
「エックス様を継いだのは俺だぞ、俺がゼロの好敵手の座を引き継ぐんだ」
一人背を向ける。
「あぁ!?何言ってやがるハルピュイア!一番爽やかに戦ったのは俺だぜ!?」
「私が一番ゼロのライバルに相応しいに決まってるでしょ!?ねえファントムはどう思う!?」
最後までゼロを憎んでいた者を前とした会話ではない。
…その時…突如としてクナイが落下してくる。
「痛っ!」
「うぉお!?」
「うっ!」
「…ファントムが仕掛けていたトラップか…」
「全く罠だらけでろくな場所じゃねえ…暗いしよ」
「何かじめじめしてるしねえ… …ま、いいわ 帰りましょ」
「………何か嫌な予感がしねぇか」
「…確かに。罠でも仕掛けていたのか…いや、それよりも嫌な予感だ」
「……………まさか」
3人の心臓を貫かれるような重く鈍い痛みが走る。
「ううっ…………」
「な、何だよこりゃあ」
「…まさか」
「…奴だ」
一方レジスタンスベース。
「…まさか」
画面一杯に、見開いた目が映し出される。
「やーーーーーあゼロくーーーーーん
とうーーーとう私をとめられなかったようだねええええええ」
エルピスだ。
「ねえゼロ君。私は今どこにいると思うーーーー?
ネオアルカディアだよーーーー!」
「…何をしようとしている バカな真似はやめろ」
「いやですねぇー 私はこの世界をこれから平和にしようと思っているだけさぁぁぁぁ
ダークエルフの素晴らしい力を手に入れてね!!」
エルピスは隈の出来た目を見開き、大手を広げる。
「今封印施設の扉を開いてきたよーーー
これで私も力を手に入れられるんだ それではまた会おう! クーーックックック…!」
封印施設へと向かおうとしている…そこでダークエルフの封印を解く。
それがエルピスの目的。
「…封印施設とは何だ」
ネオアルカディアで生まれ育ったシエルならば当然知っているはずのことだろうと、聞く。
だが…
「…ごめんなさい …解らないの」
「…そんな危険なものを封印している施設のことが、ネオアルカディアの中心機関で育ったお前でもわからないのか…?」
シエルは俯く。
「ごめんなさい」
「心当たりはないか」
「ちょっと、待ってて…」
手を口に当て、1分ほど考える。
そしてそのままシエルはきつく目を閉じた。
「………もしかしたら」
「…ああ」
「もしかしたらアレかも知れない」
「そこへ転送してくれ。…俺なら大丈夫だ」
-
転送先はネオアルカディアの都市部から離れた巨大な門。
ゼロは走り出した。
「…もしかしたら、私が昔聞いたお話の場所かもしれない」
「…お話?」
「世界のどこかにあるっていう、大きな大きな…樹の話。
根で世界各地へと繋がっていて、そこには様々な知識が集められているって聞くの」
「そしてその樹の根元には、何か大切なものがあるみたい。
…実はね、私その場所に行ったことがあるの …それは、ネオアルカディアの端にあるのよ!」
「その名前は…?」
『大樹ユグドラシル』 そこが彼がこれから向かう場所だった。
パンテオンたちの警備を強行突破、単純構造のその門を奥へ、更に奥へと進み続ける。
「そろそろか…?」
門の出口にて…彼を待っていたのは一人の女性だった。
「ゼロさん!!」
「…お前、…誰だ?」
目まで覆う紫色の髪に褐色の肌
「私です、『レイヤー』です!」
長身の体に目立つは大きな胸。
「ネオアルカディアは栄養が行き届いていると見る」
シエルが通信を切った。
「…あの、ゼロさん… 私、ここにいたらきっとゼロさんに会えるかと思って待っていたんです」
「…俺を殺しに来たか」
「ち、違います!
…私、ずっと前からゼロさんを尊敬していたんです …私、もうネオアルカディアには居たくないんです!
どうか、ゼロさん! 私を、レジスタンスに……」
ゼロの手を握る。
「ゼロさん…私、 ゼロさんのことが……
『ぶも』…あら?」
ゼロがセイバーを取り出す。
「…結局、お前か」
「え、あのこれは、その口癖でぶも、ぶもも…あの、私その、こんな喋り方じゃあ…」
「誰に化けたかは知らないが、危うく騙されるところだったぞ」
「あっちゃー…もう少し演技指導しとけばよかったかなぁ」
パレットの声だ。
「…ま、まぁとにかくバレたら仕方ないし…ハイ、作戦変更変更ー!」
レイヤーの体が崩れる。 相変わらず、変身を解くと話が出来なくなるらしい。
「ぶも…ぶも、ぶもももももーーーー!!」
「ごめんなさいゼロさん!やられちゃってくださいね!」
レインボーデビルMk2。
「行くぞ!」
跳びあがりレインボーデビルへセイバーを当てる。
「ぶも!?」
腕を固め、反射的にゼロに殴りかかる。
だがゼロはそれを避けてレーザーチャージショット。
「ぶもぉ!?」
液状になり移動。高速回転し飛沫を付着、爆発させる。
「…!?」
炎の力を持っているようだ。
飛沫がまた、レインボーデビルへと集まっていく。
吸収されるところを見計らい、払う、袈裟斬り、振り下ろすの三段斬り。
「ぶももも…!」
レインボーデビルは跳びあがり、巨大な顔の形になって落下、ゼロに襲い掛かる。
「!」
これを回避。レインボーデビルは氷のように砕け、破片となり飛び散る。
レインボーデビルの欠片がまた一箇所へと戻っていく…そこを狙いまたも払い斬り叩く。
「ボディ硬化プログラム開始!!」
「…ぶもっもーーーーー!!」
レインボーデビルがいよいよ怒り出した…腕を振り上げ、体全体を硬化させ始める。
「もっ、もっ、もっ…」
ドシンドシンと動き、部屋を崩し…瓦礫をゼロへと落下させてくる。
これを全て小刻みな動きで回避、レインボーデビルの背後へと周る。
「まずいっ!」
「ぶもももー!!」
レインボーデビルが再度大きな顔の形になりゼロへと落下する。
ゼロはこれを回避、飛び散ったところでまたレインボーデビルへと接近…
「ハァ!!」
チャージ斬りを食らわし、戦いに終止符を打った。
「ぶもー…も………」
「…まぁ、無理ですよね…… …ハルピュイアさんに少し報告しなきゃです」
-
ユグドラシルを守るのは4つの施設。
闇の神殿、炎の神殿、水の神殿、風の神殿。
それぞれを四天王の住まう場所であり、それら全てを通過しないとユグドラシルへの扉は開かれない。
闇の神殿はファントムが担当していた場所であり、主不在の神殿を彼はあっさりと通り抜けた。
そして炎の神殿。
マグマの煮えたぎる神殿を落ちて行った先に待っていたのはもちろんファーブニル。
「よーーーゼローーーー! エルピスっていう奴が俺のいないうちに通ってったみたいだが、
まぁ俺らは俺らで楽しもうぜ! いっくぜーーーー!?」
セイバーを構える。 …だが、ファーブニルのポーズがおかしい。両足を踏ん張り、両腕を広げ始めた。
「ぉおおおおお!!」
ファーブニルが赤い光に包まれ…光の粒がファーブニルへと集中、ファーブニルを変えて行く……
そこにいたのは、上2門下2門の4門砲台が4つ首のようになった、龍のような戦車。
「さぁーー行くぜゼロぉおおおお!」
ファーブニルの第二形態。
「エックスのと同じ能力か…!」
アームドフェノメノン。腕を磨き続けた四天王らが神殿と一体化して手に入れた、エックスのものに近い第二形態への変身能力…。
炎の神殿の最深部、長い円形通路で彼はゼロを追い始めた。
ゼロはすぐさま雷のチャージ斬りで対応。
「燃え尽きろ!!」
戦車のバーナーから炎を吹き出す。
「オラぁ!!」
戦車の上の2門から爆弾を放る。それは床へと落下、爆発する。
「ハッ!」
チャージ斬りで破壊。続けてまた破壊。
「やられるかよぉ!!」
崩れた4門の砲台から撃ち出すは小さな弾だけ…最早、ゼロと戦うにはこれしかなくなった。
無論、その技一つでどうなるわけもなく…ファーブニル第二形態は、あっという間にゼロに敗れていったのだった。
「……ちっきしょおおおおおお!! …どうして勝てねえんだよーーーーー! …仕方ねえ、次会ったときは勝つからなぁ!?」
続いて水の神殿。
「んふふ…」
笑い声を水に響かせるレヴィアタンがそこにいた。
「私ね… あなたと戦うことが出来れば、ダークエルフだの世界だの、
そんなのはどうでもよくなってくるのよ……さ、行くわね」
らせん状に光が集まる。
「もっと… もっとよ!」
青い光から現れたのは真っ青なボディをした、エイのような潜水艦……
レヴィアタンの第二形態だった。
「ハッハァ♪」
陽気な声を発して水中を高速回転するレヴィアタン。
「!」
体勢を低くしてまずはその突進を回避する。
「ハァ!!」
チャージ斬りで対応。
「んう…!
弱点がなくても痛いわね… こちらの番よ、出ておいで!」
いつぞやのような氷の龍が、今度は2頭登場。
「くっ…」
回転斬りで対処。
「それならコレでどう!」
-
頭から超低温のレーザーを発する。
そこから吹き出すように水面上に氷の機雷マリンスノーが生成され…床へと降り注ぐ。
「…」
かわすも、身動きを封じられる。
だが跳びこせる高さまで来た所で跳び、チャージ斬り。
「あぅん…!」
氷と氷の間へ着地。床に付着した氷は氷の柱となり、水面へ上昇していった。
「流石にやるわね…!!」
またも後ろへ下がり…一気に回転し、突進。
「飾りもつけてきちゃった!!」
レヴィアタンの尾が長くなった…? いや、それは氷の刃。
いくつもチェーンのように連なっている。
「…!」
チャージ斬りで破壊。
だがいくつかはレヴィアタンの後ろを離れ、ゼロを襲ってくる。
「フンっ!」
回転斬りで破壊、またもチャージ斬り。
「さっきからそればかりね…水中でのこの私を相手にしたら…
それ以外、技が見つからないということかしら!?」
レヴィアタンは更に技を放つ。
「さぁ、出ておいでっ!!」
氷の龍を2体。
「………速い!?」
龍の破壊を諦め、レヴィアタンへと攻撃を加えようとする…だが。
高速で迫ってきた龍は、直角に向きを変え…頭と頭を激突させる。
その瞬間…
「!?」
広がった冷気がゼロを包む檻へと変化した。
「いっくわよーーーーーーーーーーー!!」
「…!?」
突進、氷の檻を粉々に粉砕した…
そしてその中のゼロは。
「くっ…」
やはりディフェンスフォームで持ちこたえていた。
「最後だ!!」
フォームチェンジ。パワーフォームでの一撃を…レヴィアタンに叩きこむ。
「ああああああっ…!!!」
体中から小さな爆発が頻発………
変身が…解ける。
「ハァ…ハァ…」
またも息遣いの荒いレヴィアタン。
「ああ…私、 どんどん愚かな女になっていく…」
沈んでいく。
「あなたと戦うこと以外、考えられなくなっていく」
そして頬を染め口元をゆがめる。
「でも、幸せよ♪」
「…暫くは、あなたをこの手でバラバラに引き裂くことを夢見ながら…
生きていくことにするわ じゃあね」
愛の形も様々…。
-
「シエル…って言ったかな」
サイバーエルフ化したエックスがレジスタンスベース司令室に降りてくる。
「…あなたは…エックス!」
「ああ…ゼロを、ユグドラシルに向かわせたそうだね」
「ええ…」
「…正解だよ …あそこに、ダークエルフが封印されているんだ」
「やっぱり…」
「……君があそこに行った経験があって、よかったよ」
「そう、ね… でも、どうして私はあそこに連れて行かれたんだったかしら…」
「…理由は二つある」
「二つ?」
「一つは、君はダークエルフを作った科学者の子孫だからだよ」
風の神殿・最深部にて…対峙する二人。
ハルピュイアと、エルピスだ。
「ベビーエルフ!!」
エルピスが体内に取り込む。…戦闘開始だ。
「行きますよ『ハルピュイア様』!!」
ビームレイピアを手に、エルピスはハルピュイアを一突き。
「うっ!!」
ソニックブレードでは押さえきれず…ハルピュイアは突き飛ばされる。
ハルピュイアは空へ飛びあがり…同時に衝撃波で斬りつけるが。
「おっといけない♪」
エルピスのレイピアにより防がれる。
「私を見下ろす時はもう終わったんだよ!!」
エルピスは上へレイピアを突き上げる。
「ぐぁあーーーーー!!」
地へと落ちる。
「情けない声をお出しになる!」
レイピアを構えるエルピスに、
ハルピュイアは跳び退き、そのまま遠く飛んで距離を取る。
「小癪な…」
飛びまわるハルピュイア。
高速移動でエルピスをかく乱する………だが。
「そこですか!」
飛びあがり、衝撃波を放つ。
「ぐふっ…!!」
落下。
「おっと…手元が狂ったよ」
そしてレイピアを天へ放り投げる。
くるりくるりと回転し…
「ぁ……………………!!!!」
重力により落下、そのままハルピュイアの背へと命中……胸までを貫く。
ハルピュイアの敗北だった。
「…ネオアルカディアにいた頃は、よくゴミを見下す目で私を見てくれたものだが…」
刺さったままのハルピュイアを蹴り飛ばす。オイルが流れ出る。
「今はどうだ」
引き抜く。
「ぐああああっ…!!」
「…いい表情だハルピュイア。私を今のうちに崇めてやれば助けてやらないこともないぞ?
私はこれから英雄を超えた… 神にも等しい力を手にするのだからな」
ベビーエルフから得た力でエルピスの体を縛り付ける。
「ハルピュイア!!」
ゼロがやってきた。
「…だがこれではまだまだ…ゼロには敵わない…」
「…何を企んでいる」
ゼロの言葉。
「私はこれから世界を救いに行くんだ、邪魔立てはしないで欲しかったが…
まぁいい、お前は後でたっぷり相手してやる」
そしてエルピスは口をゆがめる。
「おお、よく見れば前には私、後ろにはゼロか。…可哀相なことになったものですね、ハルピュイア様」
「…何…?」
「少し、かつての上司に恩返しでもしなければね…」
「…あなたの傷を治してあげましょう」
ベビーエルフを乖離させ、指でハルピュイアを指すと… 彼女達はそこへと向かった。
「それではーーーー、ゼーーーーーーローーーーーーーー」
-
残されたのは、ベビーエルフに取り付かれたハルピュイアのみ。
「…ゼロ……」
見る見るうちに、傷が回復していく。
「俺はもうじきベビーエルフに乗っ取られる…
俺を…… 俺を倒せ!!」
跳びあがる。
「ぅおおおおおおおおおおお!!!」
変身……
巨大なワシの形をした戦闘機へと変身。
これが…ハルピュイア第二形態だった。
「やめろぉ!!」
ベビーエルフに乗っ取られた体は、ミサイルを大量にゼロへ向け放つ。
ゼロはこれを最小限の動きで回避、ハルピュイアにアイスチップをつけたチャージセイバーを食らわせる。
「ぐぁあ!!」
竜巻を起こし、ゼロを突き落とそうとする。
ゼロは竜巻を起こす瞬間にチャージ斬り。
竜巻がゼロに迫ってきたときにもう一度チャージ斬りを食らわせる。
「ぐあぁあああ!!」
だが竜巻は消えず。
ゼロはダッシュで竜巻を通り抜ける。
「よ、避けろおおおおお!」
奥からやってきたハルピュイアが、ゼロへ向け突進する。
「うっぐうう!」
ゼロの寸前で横へと軌道を逸らす。
「そ、その技は避けられない…!!」
電撃を二つぶら下げ、爪のようにして振り子状に揺らしゼロへ向かってくる。
「問題ない」
チャージ斬りで対処、タイミングを見計らい電撃も回避。
「ど、どうやって…!?」
「黙っていろ… 乗っ取られたお前は普通に戦うお前より弱いはずだろう」
そして跳びあがり、一撃を放つ。
「…問題ない」
ハルピュイアの体が…地へと落ちる。
変身解除。
「……うっ…!!」
ベビーエルフが離れていく。
「……ゼロ… エルピスを、エルピスを追ってくれ…
…ネオアルカディアに手出しされては困るんだ…」
「…解った」
「どうやってあの場所を知ったのかは解らないが…
ああ、合っている …ダークエルフは…この先の大樹、ユグドラシルに居る!!」
「…エルピスを見つけた時点で解っていた しゃべるな」
ゼロは…いよいよ大樹の元へと走っていった。
レジスタンスベースからも。
「……ゼロ。オペレート再開するわね」
「丁度ユグドラシルの前までやってきたところだ」
エルピスを止めて、ダークエルフの復活を阻止する。
そうすれば…… シエルの研究はもうじき完成し、ネオアルカディアとの戦いは終わることだろう。
平和を勝ち取るための、最後の戦いが…今、始まろうとしていた。
-
最後の戦いの地、ユグドラシル。
「間違いない、その施設の一番上にダークエルフがある!」
今居るのは…下層、中層、上層と分かれた根の部分の下層。黒きフロア。
並み居る敵を倒し、上へ上へと向かっていかなければならない。
待ち受けるは復活したミュートスレプリロイド達。
「エルピス様と、ダークエルフの元…新しい世界が始まる…のだ」
マグマニオンはノーマルフォームのまま撃破。
「くっ、あんなものに心を操られてしまうとは…」
「エルピス様と、ダークエルフの元…新しい世界が始まる……シャアア」
ウロボックル戦でディフェンスフォームへと変化、倒していく。
「うわあああ!何で俺こんなことに!?」
「ボファー…エルピス様ど、ダークエルフの元…新しい世界が始まるボファー」
ディフェンスフォームのままカムベアスを倒す。
「ボファー、エルピスのヤツどこへ行ったど…!?」
下層から中層へ。灰色のフロアの中を
イレイスフォームへと変化。敵の弾を消しながらひたすら…上へ。
「大いなるものが…この世に目覚めようとしているケロ。閉じられた歴史がまた開かれるケロ
新たなる秩序、新たなる世界 エルピス様に栄光あれ…ケロロン」
エナジーフォームへ変化、ヘケロットを斬る。
「ワタスは一体何をしてたダスかーーー!? ケローーー!」
「大いなるものが…この世に目覚めようとしている。閉じられた歴史がまた開かれる
新たなる秩序、新たなる世界 エルピス様に栄光あれ…行くぜぇ!!」
戦闘の途中でエナジーフォームからパワーフォームへ。フラクロスを撃破。
「エルピスの野郎ーーーー!」
だがいつも通りなのはここまでだった。
地に打ち付けられる二色の雷。
「大いなるものが…」
「この世に目覚めようとしている」
「閉じられた歴史が」
「また開かれる」
「新たなる秩序」
「新たなる世界」
「エルピス様に栄光あれ… 行くぞ、弟よ」
「はい、兄上!」
現れたのは…ヘラクリウス・アンカトゥスRに、クワガスト・アンカトゥス。
アンカトゥス兄弟二人同時にゼロへ戦いを仕掛けてきた。
「ワシから行くぞ!」
羽を広げ、そこから弾を撃ち出す。
チャージ斬りで冷静に攻撃、弾はシールドブーメランで防ぐ。
「兄上!今度は俺が行きます!」
角を回転させ竜巻を発生させる。最後までゼロに逃げられてしまう。
「や、やるな!!」
「ドンマイだ弟よ!」
兄弟の交差攻撃。
そのタイミングを利用し、クワガストはチャージショット、ヘラクリウスはチャージセイバーを同時に食らう。
「兄上!今こそ俺らの絆がヤツを倒す時だ!」
「そうだな弟よ!行くぞぉおおおお!!」
電撃を発する腕を兄弟で繋ぎ、一直線の雷で繋ぐ。
ぐるりぐるりと回転し、電撃にゼロを巻き込もうというわけだ。
「…!」
兄弟の力が合わさる中心部分を斬り、飛び越えることで対処。終わった所で二人を同時に攻撃。
「うっ」
「ぬぉお!」
バランスが崩れ… 高低で交差する予定だった突進は、高すぎ&低すぎで、同じ高さにて衝突。
ゼロにそれも避けられ…二人で頭を打ち付けあう結果に。
「兄上ーーーーー!何が起こったんだーーーー!?」
「ウガガガガー!ワシらはーーーーー!操られていたんだーーーー!」
爆発。
「「アンカトゥスの絆も永遠なれ!」」
そして…後はエルピスのみとなった…上層。真っ白なフロア。
最後はアクティブフォーム…敵を倒しながら上へ、更に上へと進んでいく。
そしてとうとう。
-
「やぁーーー、よく来たねゼーーーローーーー! やっぱり最後の仕上げは君の前で行わないとねーーーーー!」
ユグドラシルの幹へとたどり着いた。
その根元にあったもの…シエルが幼い頃ここへつれてこられたもう一つの理由がそこにあった。
戦いに疲れ、その体を永遠の休息に宛てたもの
世界を片隅から見守り続けるもの
永劫のときを、平和を願い眠り続けるもの…
そこにあったのは青き人型レプリロイドのボディ……
…エックスだった。
シエルは、エックスをコピーする元となるデータを得るべくユグドラシルへ連れてこられていたのだ。
「私は、これからこの憎きエックスのボディを破壊し…
ダークエルフを復活させ、究極の力を手に入れるのだあああああああああ!!!」
「させるか」
ゼロは走る…だが。
「うっ!!」
電撃の檻に閉じ込められる。
「お前は指をくわえて見ておれ、ゼーーーーローーーー。
…お前の親友とやらが破壊されるところをなーーーー!!」
エルピスがビームレイピアを巨大化させ始める。
「さーーーーーーあ!!
死ーーーーーーーーねーーーーーーーーー エックスーーーーーーーー!!」
ゼロには…何も出来ない。
放る…その胸へと突き刺す。力が足りない…柄を持ち、深く深く押し込む。
「ハァアアアア!!」
砕ける……幹が爆発する。
…エックスの肉体が……死を、迎える。
そして、この世界のどこにも…ロックマンエックスなるものの体は存在しなくなった。
…静寂に響き渡るのは…ただ一つの声。
「うっくくくくく…」
代わりに現れたのは紫色の光。
「…クーーーーーッハッハッハッハッハーーーーーー!
やったーーーーーーーー!やったぞーーーーーーーーーーーーーー!
この私が、私が!! エックスを倒したのだーーーーーーーーーーーーーーー!」
ただただ、歓喜の声が響き渡る。
ダークエルフの二つの体が…結合する。
…その体に、翼が生えていく…。
「…さぁ、ダークエルフよ…!! 私の力となれ!!」
淀んだ光がエルピスへと降り注ぐ。
エルピスは…直立したまま両手を広げ、十字架のようなポーズをとっていた。
ベビーエルフ2体、そしてダークエルフが…… エルピスへと取り込まれていく。
「………ウォオオ…ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
胸が。
「アアアア!」
脚が。
「アアアアアアアウウウ!」
腕が。
「ガガガガガガガガ!!」
そして顔が。
「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
…覆われていった。 …白き、鎧に。
生まれ変わった、自身の姿。
「………………」
エルピスは恍惚とした表情で、そのビームレイピアの刃を見つめる。
「………」
口を開く。
「…待たせたな、ゼロ」
刃を揺れさせる。
「ここで、お前を血祭りにあげ……」
少しずつ歩いていく。
「それから、ネオアルカディアを…人間を、皆殺しにするとしよう。」
口元がグニャリと歪む。
「…なあゼロ」
そして…その口から
「…人間の居ない世界、」
彼の真の目的がこぼれる。
「レプリロイドだけの世界はさぞかし……」
レイピアを突き上げる。
「平和になると思わないか……?」
-
「エックスの仇は取らせてもらう」
ライズフォームへと変身、
エルピスとは近距離戦に持ち込む。
「おっといけない!」
エルピスはバックステップで回避、
「行きますよ!」
そのまま突きへと移行。
ハルピュイアに使ったものは一回の突きのみだったが…そんなものではない。
何度も何度も連続し、高速で駆け抜けながら突きを行うものだ。
「!」
飛び越して後ろからチャージ斬り。
「うっ…!!」
だがエルピスは持ち直す。
「失礼!!」
ビームレイピアを突き上げる。
ハルピュイアのときのように単なる突きではない。
その刃先から、闇のエネルギーを次々放射するのだ。
「な!?」
その力は外側へ向かって広がっていく。エルピスの近くは最も安全。
懐へと飛び込み…
「テイ!!」
払う。
「フッ!」
斬る。
「デアァ!!」
下から上へと斬りあげる。
「やりますね!」
バックステップで回避。
「まだ食らい足りないようだな」
ダッシュ、そのまま斬りの体勢へ。
「甘いですよ!!」
エルピスの手が歪み…その前方から、パンテオンが登場。
ゼットセイバーはそのパンテオンを切るに留まった。
「ククク…!」
「…」
エルピスは跳んで距離を取るが
そのままチャージ。
再び跳んできたところをチャージ斬りで迎撃する。
「ハァ!!」
「ぬあああああ!!」
1、2度床を蹴り体勢を整えるエルピス。そして…
「そこですか!!」
跳びあがり…今度は衝撃波でなく、紫色の、数珠繋ぎの輪を放ってきた。
「!?」
まとわりつき…
「あなたの力を糧としましょう」
一つ一つがゼロのエネルギーを奪い、エルピスの元へ戻っていく。
「それ以上の力はお前には要らないはずだ!」
回転斬りでエルピスを払う。
「くっ…!!」
-
飛びのく。
「あなただってなかなかやるではないですか。
腹立たしいくらいですよ!! …まぁいい、せっかくこうして戦えたんだ」
黒きオーラにエルピスが包まれる。
「楽しんでください!!」
エルピスの奥義は、ハルピュイアにトドメを刺した剣を放り投げる技の強化版。
放り投げたレイピアは…
「!!」
ゼロに避けられ、地面へと突き刺さり……
「ハッ!」
そのまま力を発動、凄まじいエネルギーで地面を吹き飛ばし、瓦礫を吹き飛ばしてくる。
「…」
それを全て回避、剣はエルピスの手元に戻ってくる。
「つまらん…」
呟いたエルピスにチャージ斬り。
「くっ……!!」
そのままバックステップ、そして突きの連続攻撃へとつなげる。
ゼロはそれを回避…
エルピスへと近づく。
「おっと!!」
今度はレイピアで攻撃を防御。
だが…それでセイバーは防げてもこれは防げない。
「これはエックスの分だ」
エックスフォームへ変身… レーザーチャージショットを放つ。
「!!!」
それはレイピアを貫き……エルピスの胸へと命中する。
「ガハッ………!?」
膝をつく。
「…バカな…バカな…バカな!!」
「…有り得ない…」
「…私は、かつて世界を滅ぼしかけた力を手に入れたんだぞ…
…なのにどうして…!?」
それでも超えられなかった力の差。
…エルピスが…吼える。
「クッソーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
こんなものでは足らんぞダークエルフーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
もっと力をよこせーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
その叫びに呼応するかのように…
エルピスの体が…
真っ黒な闇に包まれる。四天王やエックスのそれと同じように。
「ギェアアアアアアアアアアアアアアーッハッハッハーーーーーーーーーーーアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
断末魔の叫びのような、湧き上がる力への歓喜の声のような。
混ざり合ったその『叫び』の中から、それは姿を表した。
真っ黒な花のような4枚の翼の中心に、細く長く変化したエルピスの上半身。
ぐにゃりぐにゃりと触手のように、そのブロンドの髪をうねらせる。
「モットチカラヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!!!」
ダークエルフからもたらされた、更なる力の代償。
それは最早、ダークエルフを手に入れたエルピスではなく……
エルピスという体を媒体としたダークエルフだった。
-
現れたのはエルピス第二形態。
「モットチカラヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!」
その腕の間から目玉型のエネルギー球を発生させ、それは辺りを暴れ回る。
「!!」
それに直撃され、ゼロはバランスを崩す。
だがゼロはエルピスへと向かっていく。
「ワビテクチローーーーーーーーー!」
続けて腕からビームを発射。
「うっぐ…!」
これもゼロへ直撃。
ビームが撃ちこまれた場所からはまた、目玉の形をしたエネルギー体が。
「何なんだ…?」
ノーマルフォームへと変化、エルピスごとチャージ斬りで叩き斬る。
「ニンゲンドモメエエエエエエエエエ!!!!」
金色に輝く、とげのついた壁が登場……ゼロを壁へと押しつぶし、串刺しにしようとする。
だがゼロにとってはいい足場。これに乗り、エルピスを攻撃。
「ジャマヲスルナアアアア!」
再びエネルギー弾を放ってくる。これも回避。
「どうやら力は手に入れたようだが…
その様子では力を使うだけのようだな」
だがその言葉はエルピスに聞こえていた。
「ズニノルナァァァ!」
揺らめき、ワープ。
「オワカレデス!!」
4枚の翼からエネルギー弾を自在に放り続ける。
「……!!」
正直、この状態ではエルピスに手出しが出来ない。
「アーーーーッハッハッハッハァァァァ!!」
更に同じ技を繰り返す。
「……」
これではうかつに手出しが出来ない。
そしてもう一度ワープをした時…いよいよエルピスの様子がおかしくなる。
「ウ…ウウウウ…ウオオオオオオオオオオ!」
その腕から放たれたビームは…今度は台座を作り出した。
「…なんだ?」
明らかに意味のわからない攻撃。
空を飛んでいるエルピスへ攻撃するのにはうってつけだ。
…だがどうして?
「…お前」
崩壊が近づき…エルピスがもし正気に戻りかけているのだとしたら。
「我慢しろ、エルピス!!」
チャージを始める…その時。
「!?」
ゼロの体が突然…あらゆる色に輝き始める。
白、黄色、青、赤、緑…オレンジ、青紫、紫、黒。
「………これは」
そして………赤へと戻ったところで光がゼロを包み込み始める。
「……何だ、これは」
紫色がかった赤色へと変化する。
その形態の名前が…ゼロの脳裏に焼き付けられる。
「『アルティメットフォーム』…!?」
-
全ての力を備えた、究極のフォーム。
ダークエルフの力に呼応したのか…あるいは。
「行くぞ、エルピス…!!」
台座に跳び乗る。
8の字を描きながら上昇する台座。
そして…跳びあがり…エルピスを頭から……切り裂く。
「ハァァァァァァァ!」
「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
眩い光に包まれ…エルピスが…堕ちていく。
…後に残ったのは、残骸…そしてそれにもたれかかり横たわるエルピス。
「……ありがとう、ゼロ君…
私は、もう少しでとんでもないことをしでかすところだった……」
ダークエルフはエルピスから遊離している。
つまらない手駒を失ってしまった、といったところか?
「…私は、バカな男だ… 自分の非力を憎むあまり、こんなことを…
…自分の失敗を認めるのは、勇気が要ること… これで私も少しは… 変われただろうか」
…最期の時だ。
頭にあるのは、ゼロに申し訳ないと思う気持ちと…そして。
「…有難う、ゼロ君…
…さよなら………シエルさん…」
その時だった。
…ダークエルフが突然、色を変えた。…闇ではない。…光だった。
「お、お母さん…!? わ、わぁああーーー!!」
「何か変だよーーーーーー!」
二人のベビーエルフが逃げ出す。
様子がおかしい。
白くなったダークエルフは……エルピスを慰めるように、光をもたらす。
「…ああ、暖かい………」
そして…エルピスの体はみるみるうちに溶け…… 消滅。
…そして、なんとサイバーエルフへと変わっていた。
「………」
ふわりと空へと飛ぶ。
「………… 彼女は、私を助けてくれたのか…
…もしかすると、彼女は…邪悪な存在ではないのかもしれない。
…さようなら、ゼロ君…」
エルピスはそうして…どこかへ旅立っていった。
「……!?」
ダークエルフが色をまがまがしい黒へと戻そうとしている。
だが…その瞬間…彼は確かに聞いた。
「ゼ………ロ……」
彼の名を呼ぶ声。…ひどく、懐かしい声。
ダークエルフは、そして翼を背に去っていった。
-
十字のポーズ、鎧をまとう変身、黒き花、目玉のエネルギー、倒れた姿、レプリロイドだけの世界、そして最期に心の中にあったもの。
……何かがゼロの心をかき乱す。…記憶が… 魂にある何かが。
「………彼女は昔から、ダークエルフと呼ばれていたわけではない」
エックスが降りてきた。
「…彼女はかつて、世界を救うために生まれてきた」
「その時は別の名前で呼ばれていた」
遠まわしな、もったいぶるようなエックスの言葉。…ゼロの心が更にじらされる。
「…だけど」
いや。そもそもダークエルフはいつから存在していたというのか。
「…彼女の力が、世界を滅ぼしかけたその時から……」
アンドリュー爺さんから聞いた話では、ヤコブ計画の中心人物、
ルミネとの戦いの物語で終わっていた。
「彼女の名前は、『ダークエルフ』と呼ばれるようになったんだ」
そんな名前は、出てきていない。
「…そう、『ドクターバイル』に呪いをかけられた…その時からね」
その名前を、ゼロは忘れない。忘れたとしても、後に忘れられなくなる名前となっていくのだが。
エックスは去る。
「…シエル」
「あ、ああ…聞き覚えがあるわ。ドクターバイルは、確か…戦争を起こした科学者レプリロイドのことね」
「…それもいいが、それより聞きたいことがある」
ゼロの心に生じた、明らかな焦り。
「……今はいつだ」
「…えっ」
それは何か、不安に駆られるように、何かを求めるように、急かすように。
「ネオアルカディアが出来てから100年か?
イレギュラー戦争が始まったときから100年か?
イレギュラー戦争が終わってからの100年か?
俺が封印されてからの100年か?
ダークエルフが封印されてからの100年か?」
『100年』…
前世紀という言葉で覆い隠され、丸められ捨てられてきたあらゆる事柄。
「俺が眠ってから一体何があった?」
「ルミネという、そりゃあべらぼうに強いイレギュラーを倒した後にな…
…ゼロっていうお前さんと同じ名前の英雄は、カプセルの中に入ったんじゃ…」
アンドリューの話。
…聞きたいのはその後だった。
「…今は…何があってから100年なんだ …俺が眠ってから何があった!」
シエルは…言葉に詰まる。
自分が、ネオアルカディアから与えられた表層の情報しか持って居なかったことに。
ゼロに…どこか、何かを思い出すだろうと期待して、自分は何もしていなかったことに。
そのゼロに、今…何も知らない自分が、情報を求められていることに。
…唇が、震える。
「………今は」
戦いは終わらなかった。
100年の言葉の前に捨てられてきた、歴史の闇に葬られた空白の期間。
世界が抱えた、忘れられぬ痛み、悲しみが…… 彼らに、牙を剥こうとしていた。
そして始まるのだ。未来をかけた、過去との戦いが。
「今は、『妖精戦争』が終わってから100年後の時代よ」
「クーックックック…ダークエルフが目覚めたようだぞ
会いたいだろう… お前にも、動いてもらわねばならんな…
『オメガ』…」
-
ガンマと共にDrワイリーの研究所は倒壊
博士はその下敷きとなり…その生涯を終えた。
彼は…ロックマンは、一層強く生きなければならなくなった。
兄ブルースに、彼を拾ったDrワイリーより優先して助けられたことに意味を感じながら。
新たなる改造を施されたロックマン。
ブルースにはついていて、ロックにはついていなかった、ある機能。
それを手に入れたら…もう彼は後には引けなくなるが。
「ニューロックバスター?」
「うむ。…以前、ヒートマンの武器を、エネルギーを高めて
放つことが出来るようになったことがあったじゃろ」
クイックマンとの対決のときだ。
「あれと同じじゃよ…あれをうまく扱えるお前なら、
きっとこの能力も使えると判断した」
ロックバスターは威力が弱い武器だ。
連射してマシンガンのような攻撃として使う方法もなくはないが。
「これを使うことで、お前は特殊武器に頼ることなく、
立派な戦闘用ロボットとして機能を果たすことが出来るようになる…いいな」
逆を言えば…
「僕の戦いが認められた…一つの証だと思っておくことにします」
そんなある日である。
「ごめん、何か故障みたい」
「どうしたのロールちゃん」
ごそごそと背を向けて機械の調整をするロールちゃん。
「うん。転送装置の故障が起こったみたいで…」
「え!?」
これでは何かあってもすぐに現場には駆けつけられない。
「あ。そうそう…サポートメカも今作ってる最中だから、
次の事件からはこれも持って行ってね」
事件は、ワイリーの絡む事件だけではないのだから。
…だが、ワイリーに並ぶような大きな事件は一つもない。
いつか戦いも終わりを迎える…そう思っていた。
「それはともかく…転送装置がないのは不便だね…どうしたら……」
そのとき。
「あ!!」
「ピピーーーー!」
突如として、謎の翼の生えたロボットがロールちゃんの手にあった
サポートメカ2機を奪っていった。
「フフフフフフ、その必要はないよ、ロックマン君」
小鳥型のロボットは、その主の肩へと戻っていく。
ライト研究所の扉の前に現れたのは……
「…あなたは…」
「コサック博士!」
「君が一体何をしに来たんじゃ!?」
ミハイル・セルゲイビッチ・コサック。
ロシアの、30代にして地位を築き上げた若き天才科学者だ。
「世界は君に注目しているようだね、ロックマン」
「…君はいまや世界のヒーロー。
君のことを世界中が注目しているといっていいかもしれないね」
「……」
「…逆に言えば、君を倒せば世界征服の夢は半分以上完成するといっても過言ではない
…違うかな。 あのワイリー博士でさえ成し遂げられなかったのだからね」
鳥型ロボットに掴まり、大空へ飛んでいくコサック博士。
「さあ、勝負のときだロックマン!私は世界の各都市を占拠した…
取り戻したければ各施設にいる我がロボット達を倒してみたまえ!!
…待っているぞ!」
サポートメカを取り戻すこと。ロボットを倒し、町を開放すること。
「…行ってくるよ、ロールちゃん」
待っている、の本当の意味を彼は知る由もなく。
彼は…髪をなびかせて列車に乗るのだった。
トンネルを抜けるまでの間に…彼はヘルメットを被る。
新たなる戦いのときだ。
-
「…ロック! 転送装置の故障が直ったわ
これで、コサック博士の研究所に乗り込める…!」
8体目のロボット、ファラオマンを倒した所で
彼は研究所へと戻る。
「…」
結局、以前と変わらぬ戦いだった。
彼は、コサック博士の研究所へと乗り込む。
「………これが僕の戦いか」
それから更に2つのエリアを抜け、夜が明けて視界を覆うは青空……
巨大なコサック研究所のテラスへと出た。
「…」
結局、戦いは終わらなかった。
ワイリーからコサックへ…敵が変わっただけである。
『悪い人間』は…一人ではなかった。
それも、二人揃って優秀な科学者である。
…彼の戦いは果たして終わるときが来るのか?
…人間という生き物にとって、自分は何であるのか?
自分の戦いは、本当に人を救うことに役立つのか?
彼は、疑問に思い始めていた。
…戦いを決意させたのと同じ、青空を見つめながら。
コサック研究所最深部。
とうとう現れたコサック博士との対決。
「さあ、勝負だ!!ロックマン!
…私は、負けるわけにはいかん!」
…彼は本気だった。必死でロックマンに戦いを挑んでくる。
…何故?
「このマシンは私の趣味が反映されているが…気にしないでくれたまえよ!」
だが、まずは目の前のコサック博士のマシンを破壊することだけを考えた。
UFOキャッチャーのようなそのメカは、ロックマンを掴んでは落とす。
こちらも全力で挑む。
そして、チャージショットがコサックのマシンを貫通したそのとき…
「ううううっ……!?ま、まだまだ…!!」
「お願い!! やめて、ロックマン!」
…そして明かされた真実。
コサック博士は、ワイリーに脅されていたのだ。娘カリンカを人質に取られて…。
…彼は、生きていた。ブルースと共に。
ブルースはカリンカを救出し、そして…ワイリーの元を去っていった。
「…有難う、ブルース」
抱き合って喜ぶ父コサックと娘カリンカの姿。
…人間同士の親子愛の前に、ロボットは立ち入れないような、そんな気がしていた。
自分の戦いで、二人は救われた…。 その事実だけを噛み締めながら。
ワイリー研究所には入り口はない。
彼は…カリンカの掴まっていた地下室から侵入、
2体の大型ロボットを倒し、いよいよもってワイリーの部屋を目指す。
…準備は全て完了した。後は彼の野望を食い止めるのみ…!
-
「これで……」
「最後じゃああああああああ!!!」
暗闇の中で、目からオイルを流すロックマンと
いよいよ追い詰められた、カプセル一つに乗ったワイリーとの
最後の戦いがいよいよ始まり……
「チャージ…ファラオショット!!」
「何っ!?」
勝てないと思われたその戦いもとうとう幕を閉じた。そして…ワイリーは逃げた。
「ピピピーー!ピー!」
「…すまなかったね、ロックマン…これではお詫びにもならないだろうが…」
「…! 前にワイヤーとバルーンを盗んでいったあの!」
「うむ。君のヘルメットをパーツとして改造を施してみたんだが…どうだろうな
『ビート』という名前なのだが」
「ビート… 有難う御座います、コサック博士!」
それから時は流れた。
あるロボット達の起こす事件がニュースを騒がせていた。
「『B』の文字…か」
「どうやら、またみたいッスねー…」
「何だか怖いでありますぅ…」
世間を騒がせていたのは謎の破壊工作を行う革命集団…
9人のメンバーにより構成されているとされる。
「『B』の文字か………」
そして彼らは、いよいよ表立った動きを見せた。
「それじゃあ僕は重力研究所に行って来るよ」
「頑張って来いやぁぁぁ!」
「おう、留守の間は俺らがしっかり見張ってるからよ!」
重力に関するあらゆる研究を行っている場所であり、
反重力ユニットの開発にも成功しているとのことだ。
「…これは一体!?」
そこはロボットに占拠されていた…。
「…例のロボット集団か!」
ロールちゃんにも通信が繋がらない。
…彼はただ一人で、重力研究所を奥へと潜っていった。
最深部にて現れたのは…。
「わざわざ俺のアジトにまで来てくれたんだな!」
「…君は!?」
彼の名はグラビティーマン。その胸には…『B』の文字。
「俺たちは人間達への復讐のため戦っている
人間に従うお前は俺たちにとってはジャマなのさ!」
彼は重力を操るロボット。ロックマンが床にいるときは天井にいて、ロックマンが天井にいるときは床に。
グラビティーマンは斜めにもバスターを撃てるため、一方的な攻撃も可能。
しかしロックマンをそれでは倒せない…
重力反転のときの交差が、唯一のお互いの攻撃チャンス。
重力により交差をしながらの変則的な戦いとなったが… ロックマンはそれに勝利した。
だが。
「…へへ、時間は稼いだぜ…リーダー…」
「リーダー…お前達のリーダーは一体何者だ…!」
「ああ! 今頃お前の所の研究所にいるころさ…! ぐはぁあっ…!!」
こうしてはいられない。ライト研究所へひた走るロックマン。
…だが…彼がの視界に白い白衣と赤い影が見えたと思ったその瞬間、
それは彼方へと飛び去ったのである。 …ライト博士を誘拐して。
ふわり、ふわりと落ちてくるは黄色いスカーフ。
これをつけていた赤いロボット…一人しかいない。
嫌な予感が…こみ上げる。
ワイリーの手を離れた、彼の復讐は…ライト博士だけに留まらなかったのだ。
「…ブルース…!?」
彼を待つは人間の追放を目的とした、リーダーの名をとったロボット集団『ブルース』
世界各地で破壊工作を行う彼らとの戦いが今…始まる。
-
事態は思った以上に深刻。
9人で集中して大都市の中心部を占拠、
1つの地区を丸々自分達の城塞へと改造してしまったのである。
そんな彼らがまず起こした行動は巨大鉱山の爆破。
鉱物資源に富んだ連なる山々を爆破し、ふもとの都市を岩の下敷きにしようというものだった。
その阻止を依頼されたロックマンは
メットールたちに占拠されたその山へと登り、ロボット達を倒していく。
待っていたのはブロックで出来たようなストーンマン。
崩れては再生するそのボディと、大きく暴れ回る岩パワーストーンに苦戦しつつも
勝利を掴み取る。
そして、2人のメンバーを倒されたリーダー、ブルースから招待状が届く。
どうやら、彼は建設途中の空中都市を占拠した模様である。
作業用リフトに乗り高所へ。
高所での敵との戦いを乗り越え、トラップをも乗り越えた先にいたのは
ブルース、そしてワイリー。
もちかけられたのは…2択。
「…仲間にはならないよ、ブルース」
「…こうやっても、か?」
「や、やめるんじゃブルース…ぐあああああ…ああああああああああああ!!」
遥か空の上から突き落とされるワイリー。
「…!?」
「安心しろ、ライトにはまだ協力してもらわなきゃならないことがあるからな」
…それで、これでお前の敵は殺してやった訳だが…」
ロックマンが喜ぶ訳がない。
「…尚更…君のことがよくわからなくなってきた。
…目を覚ませ!!」
バスターを向けるも盾で弾かれ…
フッと笑い、ブルースは消えた。
「なら、仕方ない… 相手してやってくれ、ジャイロマン」
現れたのはブルースのメンバーの一人…ジャイロマン。
雲に隠れながらジャイロアタックで攻撃する卑怯な戦法であるが、
ジャイロマン自体が雲の中ではロックマンを捉え切ることは出来ず…雲から姿を現したところを倒された。
こうして、全面的にロックマンは彼らと対決する姿勢をとることとなる。
彼らの行動はエスカレートしていく。
今度は宇宙ステーション占拠。彼らの目的は一体何であるのか。
ラッシュを改造、宇宙へ進出したロックマンはそのステーションでメンバーの一人、スターマンと出会う。
重力が少ないことを利用して、大きく動くスターマン。
周囲にバリアを張ることで防御力と同時に広い攻撃範囲も得る。
しかしバリアを弾として放ったことがきっかけで、ロックマンに敗れ…
カリンカが宇宙ステーションにあった宇宙開発用アイテム、スーパーアローを発見した。
-
だが…事態は更に悪化する。
宇宙ステーションからの電磁波が影響を及ぼし、ライト研究所の通信設備は封じられただけでなく…
なんと、軍事衛星がジャックされ…某国の密林内にある基地の兵器が暴走を始めたのだ。
人間は退去、ロボットも衛星からの信号で操られ、ブルースの手に落ちる。
ロックマンは地上へと降り、基地の中へ。
密林の中、そしてその基地の中での警備ロボットや兵器ロボットとの戦い、そしてその末に待っていたのは
体全体に兵器を満載しているナパームマン。
ミサイルを乱射したり、重量の重いボディをキャタピラで動かしながら破壊力が桁違いのナパームボムを放ってくる。
ロックマンはチャージショットで対抗。火力と火力のぶつかり合い…そして撃破。
だがそこで政府から彼へのメッセージが。
何と、国家の命運をかけて行っていた、新たなロボットのエネルギー材料開発プロジェクトが行われていた区域が
ブルースらに狙われているとのこと。
向かったのは真っ青に輝く水晶だらけの水晶の畑…洞窟内は上を見ても下を見ても輝いている。
美しい洞窟の最深部で待っていたのはクリスタルマン。
クリスタルアイと呼ばれる、クリスタルを励起させ発射、部屋中を際限なく暴れ回らせる能力を持っていた。
真っ青な中で、青きロボット二人により死闘は繰り広げられ…クリスタルマンも撃破。
なんとかエネルギーを奪われずには済んだらしい。
だが…ブルースをこれ以上野放しにはしていられない。
ロックマンはロールちゃんをリーダーとしてライトナンバーズ達に応援に向かわせ、
ブルースのアジトへ乗り込むことを決意する。
まずは海を乗り越えなくてはならない。
港へと移動、海水から真水を作り出す巨大施設からウォーターバイクに乗り、
海を渡る。
途中、巨大ロボットの妨害もありながらなんとか突破、渡った先の港でウェーブマンとの戦闘。
碇を撃ち出してきたり、自在な位置から水を噴出させるその力は強力だったものの、何とかこれも乗り越え…
いよいよブルースの城塞都市までは線路一本という所まで来た。
このまま、都市内部へと入っていく貨物列車へと乗り込む。
「この列車の者以外には気付かせていない…感謝してくれよ、ロックマン!」
ブルースの居城までを守るはチャージマン。
機関車型ならではのハイパワーの突進攻撃、石炭を打ち上げ、隕石のように降らせる攻撃が主。
意外に小回りも効き、ボディ自体も大きめなため、思わぬところで苦戦を強いられる相手であったが…
これも撃破。
たどり着いた場所は…
紫色の空に照らされた城壁、並ぶ小型タンク、
監視メカ、白い虎型の警備ロボット、侵入者を探す爆撃メカ。
…かつてない万全の警備の、ブルースの都市。…そこはもう、敵の本拠地だった。
聞きたいことが、山ほどある。
-
「侵入者を発見、直ちに排除致します」
ブルースの本拠地は広大。
警備メカの目を掻い潜り、または破壊しながら先へと進む。
爆撃メカの爆弾を超えてスーパーアローを壁に突き刺し、壁を乗り越える。
まとわりつく小型メカに気も止めず進むと頭脳パーツがガラスで覆われた謎のロボットが。
ダークマンと呼ばれるそのロボットを倒し、一度地下へ身を隠す。
身を隠すと同時に、それは中心部へ進むのに最もいい手段とも言えるからだ。
だがやはり警備は地下にも行き届いていた。
敵を倒し、危険な地下道を潜りながら…またもダークマンを破壊。
エレベーターに乗る。
夜空にきらめくは星、月…そして明かり。
サーチライトが辺りを照らし、建物の先端からは信号を発している。
金色に輝く城には謎の線状装置が行き交う。
いよいよ、ブルースの近くまでやってきたのだ。
警備というレベルではない。…ロックマンを殺しにかかる部下達。
ヘリや砲撃、または押しつぶしにかかったり。
何重もの防壁を抜け、移動用装置であった線状装置に導かれた先では再びダークマンとの戦い。
これで3体目…
これを倒すといよいよブルースの部屋までの最後の一つの塔。
エレベーターを阻む柱を破壊、どんどん上階へと登っていく。
…そして…彼がいた。
「ブルース!!」
「来たな…ロックマン」
…彼は兄…辛い過去も聞いた。…戦いたくはない。
「…話は聞いてくれないか」
「俺の話を断ったのはお前の方だろう…」
にじり寄る。
「お願いだ、こんなことはやめてくれ、ブルース!!」
「…言えるのは所詮その程度か!」
エネルギーチャージ。
「や、やめてくれ…!」
更にチャージ……
「これはお前を倒すために取っておいた取って置きの攻撃だ…
…俺の部下にはなってくれないか、ロックマン」
これを撃たれたら勝てないとは解っている…けど。
「…嫌だ」
ブルース最強の攻撃、ビッグバンストライクが発動…
「ぁあああああああああああああああ!!!」
エネルギーの巨大な塊がロックマンを壁へと叩き付ける。
…もしダメージを少しでも負っていたら、この攻撃で完全に粉砕されていたことだろう。
…かろうじて、彼は立っていた。だが…その時。
口笛が鳴り響く。
「!?」
現れたのは…赤いロボット。…なくしたはずの黄色いスカーフをつけたままの…。
「…そんな!?」
「……フフ、ハハ、アハハハハハハハ!」
スカーフのないブルースが突然笑い始める。
「目立つ真似は俺は嫌いでな」
ブルースストライクをかわしこちらもブルースストライク。
「ぐっ…!?」
スカーフのないブルースが…吹き飛ぶ。
…大きなメカの形へと変化する。
「ヤツはダークマンの完全体…気をつけておけ
これを受け取れ、ロックマン」
謎のアイテム『L缶』を渡し、彼は姿を消す。
「…… 有難う、ブルース」
「バレたら仕方ないな…!」
腕からのバスターでL缶のあった床を破壊…
戦いが始まる。
-
「ガーッハッハッハ!ライトを助けたければ、ワシの所まで来てみることじゃな、ロックマン!!」
結局、ダークマン達を使ってブルースだけでなく、世界を陥れようとしたのはワイリーだった。
あの時、ダークマンに突き落とされたと思われた彼は、下で待機していたジャイロマンに助けられていたのだ。
…台本どおりに。
そしていつものようにワイリーの研究所へ。
だが…今回は戦う意味が違う。
ロックマンは、ライト博士を助けるために進むのだ。
以前にもまして強力なトラップに屈することなく、ただ、ただ…ただひたすら、彼は進む。
博士のために。
カリンカを助けるため、コサックは悪役を演じた。
コサックを助けるため、カリンカはブルースに懇願した。
人間同士の親子の絆は、美しいものだった…
今は…
「…関係ありません!今度はあなたがお父さんを助ける番です…行って下さい、ロックマン!」
ロックマンがライト博士を助ける。
世界のためにもなるであろう。だが…それよりも、彼には大きな意味があったのだ。
ロックをロックマンに改造するとき、どれほど辛かったか。
ロックマンにサポートメカを沢山作ってくれた博士に報いるためのこと。
…いや、そうでもないかもしれない。彼がワイリーに立ち向かい続けたことでこうなったのであれば。
考えるのはそれまでにして、彼は戦いへと集中する。
たった一つの、目的のために。
そして、彼はやっと知る。ワイリーナンバーズたちの気持ちを。
今回のロボット達を作ったのもワイリー。
ワイリーが世界征服をしようとしている?ワイリーは世間的に極悪人である?ワイリーが元々ライト博士を浚った?
そんなことは関係ない。
彼らは…彼らはただ、自分の製作者のために戦っているに過ぎないのだ。
だから、彼は全力で相手するつもりでいる。…数なんて関係ない。
お互いの製作者のために、全力を尽くすだけなのだから。
そうしているうちに…彼の周りを8つのカプセルが囲いだした。
その中には彼を倒さんとする8つの命。
…戦いのときだ。
-
ワイリーは如何にして、毎回大量のロボットを作ったり
毎回巨大な研究所を作って世界征服へ乗り出していたのか?
その資金は一体どこで手に入れたのか…?
その理由がとうとう明らかになった。
ロボット達との共存社会の足がかりとして、第一回ロボット選手権が開かれた。
その主催は、世界中の科学者達を支援している巨大企業『X財団』
そのトップたる、MrXは謎に包まれた人物だったのだが…
彼がなんと、世界各地の代表選手ロボット8体を盗み、世界征服に出たのだ。
「今こそ明かそう…この私こそが、Drワイリーを影で操る支配者だったのだよ!
勝負だ、ロックマン!」
…何ということはない DrワイリーこそがMrXその人だったのだ。
彼は社会で犯罪者として名を馳せ、影を与える傍ら、X財団のトップとして社会に光を与えていたのだ。
そして、とうとうDrワイリーはロックマンによって逮捕される運びとなる。
これにてアルバート・W・ワイリーという世紀の科学者による犯罪は終わりを告げる。
…かと思いきや。
世界一の科学力を持つ彼はどうしてコサック博士にわざわざ世界征服の真似ごとをさせたのか?
ロックマンをおびき出すそれだけのためにライト博士を浚ったのか?
その理由が…ここにある。
「全く……Drワイリーの考えることはわかんねーな」
「ガルルルルル…」
狼型ロボットを引き連れた、黒きロボットが一人。髪を模したヘッドパーツに、頭と胸のクリスタル。
彼は誕生したばかりの…ワイリーによって作られたロボットである。
コサック博士に世界征服をさせている間、
彼は何をしていたか?
…あるエネルギーを合成していたのである。
ガンマに搭載した8つの星のエネルギー。
人の心を反映する機能もあるジェミニマンのいた星のエネルギーも勿論混ざっている。
それを核としてあらゆる力を集中させ、かつコサック博士が取り扱っていたあらゆるエネルギーを混ぜることで…
偶然、強大な一つのエネルギーを合成するに至ったのだ。
彼はそれに特徴的な名前をつけた。
そしてその強大すぎるエネルギーを使いこなせる最強のロボットを作ろうと…
彼は考えるようになった。
最強のそのエネルギーをもし、ロックマンのような能力を持ったロボットに組み込んだら?
ロックマンが最強でないならば、その問題点全てを挙げ、その問題点を解消できる更なるロボットの製作に当たるまで。
…まずはロックマンのデータが必要となる。
…だから彼は、ライト博士を誘拐したのだ。
彼の目論見は当たった。
ライト博士が持っていたロックマンの設計図から、彼は同じような構造のロボットを作ることに成功する。
製作者の心を反映、増幅させる力をも持つ
内臓したエネルギー『フォルテニウム』に似た名前を、そのロボットはつけられることとなった。
彼の名は「フォルテ」。
強力な悪の心を持ち、そして…ロックマンに対する何よりも強い敵対心を持つ、誰かに似たロボット。
そしてワイリーは、後に彼とロックマンの戦いから…最高傑作の足がかりを掴むこととなる。
-
「ダークエルフ… …か」
エルピスを旅立たせ、自らもどこかへと旅立っていったダークエルフを探すため
ゼロたちは戦いを続けていた。
同時に、2匹のベビーエルフからヒントを得ていたシエルの研究『無限のエネルギー』は
みるみるうちに進み……完成へとこぎつけた!
あれから2ヶ月、時は冬。
『その日』は…とうとうやってきたのだ。
「ネオアルカディアからの返事、どうかしら…」
雪の降り積もる中を歩くレジスタンス。
先頭はゼロ、その後ろにレジスタンス達、そしてシエル、またその後ろにレジスタンス。
「大丈夫ですよ!すぐにいい返事もらえますって!
『もうエネルギー問題は解決した、戦いをやめよう』ってね!」
「そうだといいけれど…」
話が一区切りしたところでゼロが言う。
「…任務の途中だ …黙って歩け。」
「ご、ごめんなさい…」
そんなやり取りのさなか。
「……む」
ゼロの脚が止まる。
続いてシエルの脚も。
「何、この反応…」
「まさか!!」
…ダークエルフだ。
「…呼んでいるのか、俺を」
反応が感じられたのは遠くに突き刺さる謎の巨大な鉄塊。
よく見るとそれは… 宇宙船だった。
「…お前達はそこで待っていろ。俺が調査して来よう」
宇宙船の墜落で地形の変わった雪原に、ゼロが駆ける。
だがゼロが去ったそれからすぐに…シエルたちは包囲された。
「…わ、わわわわわわわわ!!」
「ね、ネオアルカディア…!?」
パンテオン達の軍だった。
黒きゼロは白き雪の中を歩む。
アルティメットフォームと同時にゼロが会得していた最後のフォーム…
『プロトフォーム』
防御を捨てて攻撃へと転化し、腕も重くなり連続斬りさえ不可能な、それは限られた力のフォーム。
それはゼロが更なる修行を積むためにはこれ以上ないフォームと言えた。
そして、全力で相手をすべき相手が現れたときにアルティメットフォームに切り替える。
彼は今の所、戦闘となればプロトフォームへと変化しており、アルティメットフォームを使うべき相手は現れていない。
だが、これから次第では…。
-
そして、彼の前に緑色のレプリロイドが。
「止まれ」
「…ハルピュイアか。この宇宙船について教えてもらおう」
ゼロも、本当に教えてもらえるとは思ってはいないのだが。
「機密だ、お前達に教える訳にはいかん
…一つ教えるならここは『危険』だ
お前達のためにも、ここは退くんだな …お前の仲間も俺の部下が包囲しているところだ」
「このまま引き下がれば、俺は何もせん」
そして、止まれといいながらそう残してハルピュイアは去った。
しかし…ダークエルフが目の前。止まるわけにはいかない。
…チャンスだ。
「行かせてもらうぞ」
ダークエルフ戦を予期してフォームを変更。
目にも止まらぬ、見えぬその動きの速さで敵の攻撃を避け、敵へと一瞬で近寄り
何者をも粉砕する攻撃力で敵を欠片一つ残さず消滅させる。
そして万一ゼロに攻撃を当てることが出来ても、鉄壁の防御により阻まれる。
それがアルティメットフォーム。
敵は次々に砕かれ、そして…爆炎は最上階まで一気に線のように続いていった。
「……」
近い。
意を決し、扉を潜ろうとした…その瞬間。
「……!?」
青きボディが扉から飛び込んでくる。
パンテオンたちが吹き飛ばされたのだ。
大爆発を起こし四散。
…ダークエルフとは違うような気がした。
「きゃあああああっ………!!」
続いて轟音。
悲鳴と共に青き女性レプリロイドが大きな、手のような何かに壁に叩きつけられたのだ。
「んぉおおおおおおおおおおお!!」
ゼロの前に突き飛ばされてくるは赤きレプリロイド。
「ふっ……、ふっとべえええええ!!」
最大出力でチャージショットを放つ。…身の丈ほどの赤き巨大な弾が放たれる。
「ぐああああああああああ!」
だが物ともせずに、もう一つの腕は赤きレプリロイドを伏せさせる。
「…ファーブニルにレヴィアタンか」
…そして、とうとうゼロは『彼』の姿を捉えた。
「グォォォオオオオ…!」
10mはあろうかというその巨体、
肩の出っ張った、白き甲冑騎士の如きデザイン、
背には剣とそれを包む鞘、
紫色の長髪、
そして黒く閉ざされたその顔。
ファーブニルの口から
「コイツは『オメガ』
存在自体が滅茶苦茶なんだよ…」
レヴィアタンが続ける。
「…物凄く強いんだけど… …もえないのよね」
セイバーを振る。エネルギーをチャージする。
「…お前か、俺を呼んだのは」
-
ダークエルフと同じ反応を持つ謎の巨大レプリロイド。
ダークエルフと誤認したのは反応の種類…雰囲気の近さだけが要因ではない。
そのエネルギー反応の大きさもダークエルフに比するそれであるからだ。
「行くぞ」
「グォオオオ…!」
ゼロはまずダッシュ、目の前で三段斬りを食らわせようとする。
「セイ!!」
払う。
「フッ!」
袈裟切り。
「ハッ!」
振り下ろす。
…効かない。
「ぐうううっ…!!」
その腕でゼロが吹き飛ばされる。
「やはり重要なパーツに攻撃を加えるべきか」
そしてすぐさま跳び一撃を加えようとするが…
「うっ…!?」
目から目にも止まらぬ速度でのレーザー射撃。
ゼロは撃ち落される。
「くっ…」
続けて2発、3発。
レーザーはゼロを狙い撃ち…全てゼロへと命中した。
(…俺の動きを捉えた…か)
敵は素早い。
意を決して駆ける、跳ぶ…剣を振りその反動で距離を取る。
「…」
傷は浅い。
「グオオオオ!」
二つの腕が分離…輪状のショットを放ってきた。
「!!」
四天王より格上とは認識されている模様。
上から、奥からそれぞれ分離した腕によるフープショット。
「うっ…!」
それも飛び越えられず、フープショットに衝突…
ゼロは一気に後方へと吹き飛ばされる。
体勢を整え一撃。
「グォオオオオオ!」
更にチャージ…
「ハァ!!」
また一撃。
「グォォォォ…」
まだ動く。
またもレーザーを放つ。今度はゼロを目掛けて撃ってきたのでそれをかわして距離を狭める。
それに従いレーザーも2発目、3発目と近づいていく。
そして跳び…
「ハァ!!」
チャージセイバーを振り下ろす。
だが同時に目からのレーザーを直に食らう。…相打ちだ。
「く…!」
巨大な甲冑騎士、オメガの腕が落下…激震を起こす。
「…まだ、やるか…?」
息を荒くしつつ、睨みつける。
だが。
「グォオオオオオ!」
腕は再び持ち上がった… まだ一撃足りなかったらしい。
「…!!」
だがその瞬間…
「食らえ!!」
-
弱点が頭となれば話は早い。
逃げながら頭だけに集中的に攻撃を加えればよいのだ。
雷が何発も何発も、オメガの頭に撃ち込まれた。
「…妖精戦争の悪魔、オメガ… そこまでだ」
ハルピュイアのチャージ・サンダーボルトであった。
オメガの腕が再び落下。
…だがオメガは一向に崩れる気配を見せない。
そのときだった。
「クヒャーーーーッハッハッハ!! それくらいにしておけ、オメガよ」
老人の声。
特徴的なカプセル型の頭をした、機械仕掛けの老人が目の前に現れる。
「…貴様は…!!」
ハルピュイアが声を荒げた。
「『ドクターバイル』!!」
妖精戦争を引き起こしたとされる…レプリロイドの科学者だった。
ゼロを封印したとされるシエルの先祖によって作られながら、
同じく作られたダークエルフに呪いをかけ妖精戦争なる戦争を引き起こしたとされているイレギュラー。
「これから共に戦う仲間を殺してはいかんだろう、オメガよ…」
そんな者と、妖精戦争の悪魔オメガがどうしてここにいるのか?
「貴様…何をしに来た!」
ゼロは黙って様子を見守る。
「………」
その時。
「僕ガ呼んダんだヨ… ハルピュイア」
まさかの声が後ろから。
「!」
今度はゼロが反応する。
ハルピュイアも反応する。
「…エックス様…!」
ユグドラシルでボディを破壊された、オリジナルエックスではない。
…ゼロにあの日倒された、コピーエックスが…
今、彼の目の前に現れたのだ。
「バイルは僕ノ恩人ナんダ… そウ怒らナイでくレタまエ」
「…しかし!」
「…ナんダイ?」
「…いえ」
そう。宇宙に漂っていたコピーエックスの残骸はバイルにより修復され…
コピーエックスMk2となっていたのだ。
「やア、ゼロ… 久しブリだネ… あノ頃トは大分状況ガ変ワッただロウ?」
「………ダークエルフを探しているんだ。お前とは戦っている場合じゃない」
クスリと笑う。
「ヤだナァ… 僕モダークエルフを探しテイるに決マッていルじゃナイか…
…どウダい、ここは一つ… 競争ト行こウじゃナイカ!」
「いやはや、わざわざ我々の不手際で申し訳ございませぬエックス様。
このバイルめが全力を以ってダークエルフを手に入れてご覧にいれましょうぞ!」
コピーエックスが姿を消す。
「…」
ハルピュイアはゼロに何かを訴えかけるようにして、姿を消す。
オメガも光の柱となって消えていく。
バイルも転送装置で去っていった。
「…シエル、聞いていたか」
ダークエルフを巡る戦いの後半戦が、幕を開けた。
ネオアルカディア内部にて…8人の人間型レプリロイドが円卓に腰をかけていた。
ヘッドギアに目から上を全て包んだ華奢な男が体を痙攣させ言う。
「ヒヒヒヒ!アイツが動き始めたようだぜ!ヒヒヒヒ!狂ってやがる、ヒヒ!」
頭の尖った、また細身の男が彼に返す。
「狂ってるってのは誰のことだぁ?ギチッ…」
小柄な少年が脚をばたつかせてイラつく。
「考えりゃゼロのことに決まってるだろー、『デスタンツ』のノロマー!」
紅茶を飲むは、派手な髪型の気障な男。
「まぁ、オメガのことかも知れませんがね…『チルドレ』」
巻き髪のスレンダーなレプリロイドが異論を唱える。
「あーらあら。『シルト』、それはいささか失礼じゃなくって?」
首にアクセサリーをつけた男は豪快に笑う。
「でもよっ!でもアイツの強さは正直、狂ってる以外にいい様がねーよな…?」
肩の出っ張った大男がドッカリと構えている。
「ゴルルァ…『ブレイジン』、貴様は見たことがあるってぇのかぁ?」
弁髪の真ん丸い太った男は腕を組む。
「伝説に聞くだけでも恐ろしいものであーる… ヤツが目覚めただけでこの有様である」
「ククク…オメガの話じゃな?」
空間の歪みが発生していた。…バイルが現れる。
「世界どこもかしこもこの状態でな…おかげで転送も楽ではないわ」
8人が一斉に姿勢を正す。
「さて…出番のようだぞ?『ネオアルカディア八審官』
…いや。『バイルナンバーズ』よ」
-
近づくだけで吹き飛ばされそうになる圧倒的エネルギー。
オメガは、ネオアルカディアの広大なエリア内でバイルのメンテナンスを受ける。
「グオオオオオオオ…」
バイルがスイッチを押すと…8つの画面が表示された。
上段、下段に分かれ…それぞれ4つの画面が並んでいる。
「クーックック…コレは奴らバイルナンバーズの目に同じ…
これからヤツが我がシモベと戦っていくことだろう…」
上段、右から2段目の画面がズームされる。
「…さあ、お前はこれを見てやつの姿、戦いぶりを目に焼き付けておくのじゃぞ…?
クックック…クヒャーーッハッハッハッハ!」
レジスタンスベースにて…
こちらもダークエルフとベビーエルフを捕らえる算段を練っていた。
しかしながら…ネオアルカディアはエックスが前面に進出し…いや、本当は復活を遂げたのだが、
そのせいもあり勢いを強めており、油断もならない。
ネオアルカディアを攻めつつ、ダークエルフを追う…これをどこまで出来るか。
「ゼロさん、至急司令室までお越しください」
「…ゼロ、呼んどるようだぞ」
セルヴォと新しい武器の話をしていた彼は、足早に立ち去る。
「…ああ」
だが別れ際にセルヴォに一言。
「リコイルロッド…使いやすそうだ、感謝する」
その背中を見送りながら…セルヴォはつぶやくのだった。
「世界はまだシエルには荷が重い… 支えてやってくれ、ゼロ…」
司令室…シエルはこう、話を切り出した。
「ゼロ…そろそろ、八審官が動き出したみたい」
「…今まで動いていて、四天王とは戦っても、彼らとぶつからなかったのが不思議なんだけど」
「……教えてもらおう」
シエルがネオアルカディアにいた頃から彼らはいた。
「えっとね…顔写真ならあるの」
並べられたのは個性的な8人の人間型レプリロイドの顔。
「名前の通り、8人居るネオアルカディアの犯罪を裁く者たち。
けれど、戦闘にも長けた強敵だって話よ…
『ブレイジン』『チルドレ』『シルト』『デスタンツ』
『キュービット』『グラチャー』『ヴォルティール』『トレケスタ』
…8人に8つの武器。それぞれが、異なった武器の使い手。」
だが、紹介された所で…エックスさえ倒す段階となっても
名前も出なかった者がどれほどの物だというのか。
「…それが、四天王より戦力になるというのか?」
「それはないと思う。 …けれど一応気をつけて。
何か、様子がおかしいから」
そして、彼はミッションへ向かうこととなる。
「…戦うしかないのかな、結局…」
シエルは呟く。
「お前はお前のするべきことをやっているだろう、俺もそれをするまでだ」
場所は……再生兵器工場。
「動きが確認されたというからには…そこに審官がいるんだな」
「ええ。8人の一人、『シルト』が夜にその工場の外にいるのが確認されたの」
スクラップから新たなるレプリロイドやメカニロイドを生産する工場。
破砕のためのハンマーが動作していたり、工場の隅の穴を利用してネズミ型メカニロイドを忍ばせていたり…油断ならぬ場所であった。
蜂の巣型の防犯装置を破壊し、ベルトコンベアに流れるスクラップを破壊、
振り子のように揺れるワイヤーは、そう見えてその実、侵入者撃退用のメカニロイドであったり。
トラップが満載のその工場を軽々と切り抜け、
工場の最深部へと到達する。
バサリ、と音がする。
「ノックをお忘れですよ」
「!」
セイバーで防ぐ。 …何を?
腕により翻された…異常に硬質化したマントだ。
-
「防御、ファッション、攻撃…全てを兼ねたマントでしてねぇ」
シルトは跳び退くがゼロはバスターショットを乱射する。
「こんなものを隠すことも可能だ」
マントの裏に隠したナイフでそれを受け止める。
「…」
お互い一つは命中しなかった。
ゼロはその一つを首を動かし、回避。壁へ突き刺さる。
シルトはショット1発をマントで弾いていた。
「実にマナーのなっていないお客様だ… 私がその身にお教えする必要があると見る」
マントを翻す。
「聖なる戦士といわれた彼を少しは見習いなさい」
彼の手にはサンダーチップ。
「照れるではないか、シルトよ!」
…その声は聞き覚えがある。
「ヘラクリウスか」
「雷の力を彼から頂戴しようと、ね」
コイントスのようにヘラクリウスの人格が植えつけられたサンダーチップを指で弾き、宙へ飛ばす。
チップから雷の力があふれ出す。
自らも跳びあがり…天井へ張り付きそれをキャッチ。…マントで自らの身を包む。
「はっ……!!!」
雷が彼を包む。
マントが変化…紫色になる。
…そして、その姿自体も大きく変化。
大きく立った髪は耳へ、脚は広がり…
…それはまるで。
「ご存知ではなかったかな?
私はネオアルカディア八審官シルト、そして…」
マント…いや、翼を翻し己が身を晒す。
「バイルナンバーズ『ヘルバット・シルト』! あなたは騒がしく…」
バイルが施した改造は、その内面に応じた動物型レプリロイドへの変身機能。
雷の力を受け彼は蝙蝠型レプリロイドへと変化したのだ。
「目障りだ!」
シルトは天井からゆっくりと床近くへと降下。
「しもべよ!」
マントを開き、中から大量の蝙蝠型メカニロイドを飛び立たせる。
「その羽音は騒がしくないのか」
背後へ周りアイスチップを使いチャージ斬り。
「キヒッ!?」
シルトが大きく仰け反った。
「いちいちうるさいお方だ…!」
天井へと張り付き、体を揺らめかせワープ。
ゼロから遠ざかったところで再び現れ、地上へ落下。
「全て避けてご覧なさい!」
マントから、大量の雷の弾を発射。それは壁に向かった後、反射、戻ってくる。
このときシルトに近づいては思う壺。ゼロは氷のバスターショットを放つ。
「キキイッ…!!」
そして電撃の弾を壁へ逃げて回避。天井へ逃げたシルトを撃とうとするが…
「連続では食らいませんよ」
再び姿を消す。
「自在に姿を消せる私に勝機があるのは明らか…」
分身し、地上に雷を落とし始めた。
「許しを請うのです」
だがゼロは本物を見極め、バスターショットで一発。
「おのれ…!?」
あと1発という所か。
「…ここまで私を追い詰めた私からのプレゼントです、受け取りなさい…!」
姿を消す。
「私服の音よ!!」
部屋の中央に現れ、マントを開き、超音波を発生させる。
それは壁へ天井へと反響、増幅されありとあらゆるものを破壊する…
のだが。
「キキッ!? そんな…!?」
ゼロはそれを難なく間を抜け、シルトを叩き落としたのだ。
「うっ……!!」
床へと激しく叩きつけられる体。
マントがガシャリと音を立てて割れる。
「…マナーがなっていない…お前のような者がバイル様にたてつくなど…き、キキキーーーーー!?」
-
次なるミッションは生い茂る緑の中。
「……密林…のようにも見えんな」
木や草花が生い茂っているのは…ビルだからだ。
旧市街地…植物ユニットの暴走が起こしたことであろう。
「…気味の悪い場所ね」
そんな場所にいる理由はといえば、ダークエルフの反応をオペレーターがこの場所に発見したため。
ダークエルフはネオアルカディアも捜索している。
パンテオンや植物メカニロイド達がゼロの前に立ちはだかる。
だが…ゼロが通り過ぎた跡には誰一人残らず。
…反応の正体もすぐに見つかった。
「お前は…」
「アハハハッ!ここにもお母さんいないね、プリエ!」
「キャハハッ!うん、そうだね、クリエ!」
「もっと奥に行ってみようよ!」
「うん、きっとお母さんがいる!」
…反応はここで正しい。つまり…
「ダークエルフの反応ではなく、ベビーエルフの反応か」
「あの子達も危険よ…ゼロ、追いかけて!」
ムカデ型メカニロイドを倒し更に深部へ。
ビルの窓から爆弾を投げつけるパンテオン、柱の影から現れショットを放つ砲台。
次々に乗り越えて行ったその先には。
「はぁ!!」
飛び降り、ゼロを突然鎌で斬り付けて来た。
「…」
ゼロはセイバーでそれを真っ二つにする。
「ギチギチギチ…やるじゃねえかゼロ…」
「細長いその体…お前がデスタンツか」
「もう遅いぜ…ベビーエルフはすでにこの奥へ行った!」
もう一つの鎌を取り出す。
「通してもらう」
ゼロはセイバーを片手に駆ける。
「最新鋭の刃を舐めるんじゃねえぞ!!」
さらりとかわして背後から一撃。
だがゼロはその場で跳んで回転斬り…デスタンツの刃をデスタンツごと弾く。
「ギチチチチ…流石に俺の力一つじゃ難しいみてぇだなぁ…」
緑色のチップを取り出す。
「…緑色?」
「シャアアア… コイツだ、コイツだぜ俺を殺したのは!
俺もコイツとベビーエルフを取り合ったんだ!」
ウロボックルの声。
「だが今度はエルフはこっちの手だ!」
デスタンツが鎌を振り回し、宙を切り裂く。
その軌跡が一つの線となり…ガバっと開き、亜空間を映し出す。
「はぁっ!!」
その中へと飛び込み…瞬時に反対側から何かが現れる。
両手に鎌を持った、緑色の体。 …極限まで細くなった、鎌二つを重ねて棒のような頭をつけた姿。
「ギチギチギチギチーーー!!
俺の名はバイルナンバーズの一人『デスタンツ・マンティスク』 俺の鎌で刻んでやる…!」
鎌を回転させる。デスタンツは…蟷螂型のレプリロイドに変身したのだ。
-
「ハァ!!」
腕を飛ばしてくる。鎌は…閉じている。 つまりは…
「まずは小手調べと言った所か?」
ダッシュしてバスターショットを数発、そこから更にダッシュ斬り、弧を描くように戻ってくる鎌を飛び越えて回避。
「ちぃいいっ…!!」
壁で様子を見るゼロに対し、高速回転する鎌を壁へ投げつける。
…だがそれは壁に届いて終わりではない。
壁へ届いた後、回転したまま壁を駆け上るのだ。
「厄介な技もあったもんだな」
「もう一発う!」
もう片方の鎌を壁に走らせた所で回避、チャージ斬り。
「ごわぁ!?」
これも壁に張り付くことで範囲が変わるが、大差なし。
どちらもかわされ、またも一撃を見舞われた。
「ギチチチ……!!」
悔しがっているデスタンツの背に回り回転斬りを見舞う…が
「そこだぁ!!」
ゼロへ向けて後ろ突きを繰り出してきた。
「危ないな…」
ゼロはそれをダッシュで回避、チャージショットで追撃。
「…ちきっしょおおおお!」
ゼロの冷静は崩れない。
「ならこれは…避けんなよおおお!?」
ビームを放った。 高い天井へ。
そう思うと、岩の塊が落下…
「ハァァァァ!」
それを鎌で三等分、ゼロへと飛ばしてきた。
「!」
これをかわしてチャージ斬りを一発。
一瞬怯んだ後、デスタンツは壁へ張り付いた。 …先ほどよりも高い位置に。
「ハァ!!」
そしてゼロ目がけ鎌で斬りかかる。
そしてまた跳びあがり…急降下、2発目。
「ハァァ!!」
だが。
「その技はさっき使っただろう」
細いデスタンツの胴体に…何かが突き刺さる。
「ヒギェアアアアアアアアアアアア!」
とてつもない力で吹き飛ばされ…壁に激突…崩壊。
大爆発を起こしていった。
「…うむ。やはり使いやすいぞ、セルヴォ」
威力はセイバーに劣れども、その敵を弾き飛ばす力にかけては右に出る武器はない。
それがリコイルロッドの力だった。
「アハハッ、おじいちゃんだーーれ?」
「キャハハッ、面白い頭してるねー!」
クリエとプリエ。そして彼女達が話している相手は…
「フォッフォッフォ。ワシはお前さん達のお母さんを作った者…
そう、お前さん達のお爺さんじゃよ…」
「アハハッ! ねえ聞いたクリエ?お爺ちゃんだってー!」
「キャハハ! うん聞いたよプリエ!お爺ちゃんなんだねー!」
ゼロは睨みつける。
「ドクターバイル…!」
「あ、怖いレプリロイドがきたよー」
「お母さんをいじめたやつだー!」
「おお、怖いのう… クリエ、プリエよ、お爺ちゃんの所へ来なさい…」
そういうと、バイルは二人のベビーエルフ達を連れて消えていった。
「…取られたままか…。」
「ベビーエルフ… 1匹だけで、1年前の四天王に匹敵する力を持っているわ。
あの子達に何か吹き込まれなければいいけど…」
…十中八九、吹き込まれることだろう。
-
むぅちゃん、規制かかって雑談所立てられないorz
-
ダークエルフと思われた反応は、実はベビーエルフのもの。
…また、捜索を再開する。
「…その間に何かすることはないか」
そして、ゼロはすぐに転送される。
場所はアグニス火山。
「ここでのミサイル開発を阻止する、というわけだな」
この時代でも火山は活発。
ゼロの背後で炎を吹き上げ、マグマの塊を降らせてくる。
「所で以前から気になっていたが、時々現れるこの扉は何だ?」
宙に浮いた謎の扉。実体は持っていないようでもある。
「…サイバー空間への扉…かも」
「?」
「オメガが現れた影響で世界が歪み始めて、出来たみたい
…それを通れば、サイバーエルフ達が命を削らずとも力を存分に発揮できる世界へ続いてるかもしれない」
「……どんな場所だ」
砲台を斬りながらミサイル基地へ近づく。
「この世界と同じだ、って聞いたりもするの
…多分別の扉から出ることも出来る」
「…ではそこに」
「入ったら減点するね、ゼロ」
マグマから跳び出る虫型メカニロイドを両断、更に先へ。
溶岩に浮く石片を足場にパンテオンを撃ち、基地内へ。
基地の中で現れた無数の敵を倒し、奥へと進むと
何かが落とされ、足元のマグマの川に流れ、沈んでいくのが見えた。
「こ、これを渡るの…?ゼロ」
「…ああ」
マグマを流れ、沈んでいく鉄塊へと脚をかけ、跳び、壁蹴りで登り、また次の鉄塊へ。
ギリギリの足場を越えて、とうとうたどり着いた。
「シャハハハハァ! こんなところまで潜り込んできたってのに悪いなァ!」
バイル八審官の一人、ブレイジン。
「燃え尽きてくれよ!」
長い火炎放射器を手に彼は跳びあがった。
「らぁあああ!」
炎を撒き散らす。
ゼロは飛び越し回転斬り。
ブレイジンは火炎放射器を使いそれを防御。
…だが言うまでもなく、ブレイジンは反動で後ろへと引き下がらざるを得なくなる。
「んぐ…」
「変身しろ」
手っ取り早く済ませたいと、セイバーを振り上げる。
「言われなくてもだってんだ!」
ブレイジンが火炎放射器をその手で粉砕。
…大爆発を起こす。
-
炎に包まれ……
煙が収まるとそこにいたのは。
「シャハハハハハハァ! 俺はバイルナンバーズの一人『ブレイジン・フリザード』!
歓迎するぜぇ、英雄よお!」
ブレイジンはエリマキトカゲ型レプリロイドとなった。
「まずは景気よく行こうかぁ!」
尾から炎を撃ちあげ、床に落下させる。
これを回避し、天井近くへ。
「そこだ!!」
首飾りのパーツを取り外し、ブーメランのように投げつける。
壁、天井へと反射し手元へ戻ってくる。
…ゼロに当たることなく。
「チッ!」
飛び降りて三段斬り。
「んなっ…」
「痛てぇってんだよぉお!!」
腕からバーナーの炎を放ち、ムチのようにしならせる。
壁を蹴り、背後へ周りそこからチャージ斬り。
雷の力もあいまって、凄まじい衝撃がブレイジンへと叩き付けられる。
「んごっはぁぁぁぁ!?」
あと一発といったところか。
「ちょ、調子に乗るんじゃねえ!! 燃えて消え去れええええええ!」
体の各所から炎を吹き出し、部屋中を炎の海へと変える奥の手。
ゼロを追うように右から、上、左へと移り、もう一回点炎は巡る。
だがこの炎はブレイジンの思った方向には放てない。
満遍なく炎のスプリンクラーが撒かれるため、
一発かわされれば、その方向に次に向くまでに時間がかかる。
ゼロは壁を蹴り高く跳び…
「フンッ!!」
セイバーを下に突き出し、垂直落下。
「んげぇえ!?」
ブレイジンの背にセイバーを突き立て…
砕いた。
「シャハハハハハハハハハァ!!!」
熱い熱い炎に身を変えていくフリザード。
「やるじゃねえか…だが、テメェじゃ…」
「テメェじゃアイツは倒せねえよ!!」
爆発の中のシルエットになっていく。
「…オメガのことか」
飛び散る。
「ハーーーーッハッハハァ!」
そして報告。
「…ミサイルの建造は止められたようだ…引き続きダークエルフの捜索を頼む」
-
「工場破壊、ご苦労様」
「…突然出てきてどうした?」
シエルはゼロに、二つのチップを渡した。
「…フレイムチップか。
…バイルナンバーズが使っていたようだが…大丈夫なのか」
「人格はバイルナンバーズの死と同時に消滅したみたいよ
それより、これで火、水、雷の3属性が全て揃った。…3属性どの敵にも対応出来るわ」
「すまないな
…それで、デスタンツが使っていたこのチップは?」
「ライトチップ。…身につけるだけでゼロの体が軽くなるらしいの」
ボディに装着するチップは何も属性付加だけではないらしい。
そのとき。
「ゼロさん、ゼロさん!ダークエルフが発見されました」
とんだ迷子が…ようやく発見されたらしい。
「…オメガはネオアルカディア、ベビーエルフもバイルに奪われた。…間違いないようだな」
場所はハイウェイ跡。
「…」
青空の元、遠くに都市跡を臨むその場所。
とうに滅んだ、廃墟と化した海を抜けるハイウェイ。
平然と彼の頭上の青空をふよふよとダークエルフが飛行していた。
「……どこへ向かっているんだ?」
彼女を追っていくとそこで…子供が待ち伏せていた。
ダークエルフの子供ではない。…バイルナンバーズの一人『チルドレ』である。
「やっぱここで待ち伏せていて正解だったぜー!
オイラが先に見つけたんだからな」
ぴょいと飛び跳ねて…
「横取りすんなよノロマー!」
潜水艦に乗り込んだ。
「ゼロ、ダークエルフを追いかけて!取られないようにね!」
「ああ」
飛び越して海中へ飛び込む。
ダークエルフは思いのほか、速度が速い。
後方からはチルドレの潜水艦が迫る中、彼は前方のメカニロイドを撃破しながら進んでいく。
「どういうハイウェイだ…?」
ハイウェイ内はトゲだらけ。そこを魚型メカニロイドが悠々と泳ぎ、
氷のブロックで行く手を遮ろうとする装置も見られる。
全て破壊して先へと進むが…
「チルドレの妨害もお願い!海底にあるスイッチを押すと水位が下がる仕組みだから!」
1つ、2つ。
スイッチに乗り作動させ、水面を下降させる。
ダークエルフは建物内へと入っていったのを確認…ゼロも海底にある入り口からそこへ突入。
「!」
そこは水中戦用に改造されたパンテオンらが待機していた場所。
パンテオンがダークエルフに忍び寄る。
「や、やめて……!」
ダークエルフが逃げ出す…が
「……! !!! …!!!」
反射的にダークエルフはパンテオンを攻撃…闇の力を与えてしまった。
「…嫌な予感がするな」
的中。
パンテオンは…闇に包まれて変身。
上半身に黒い翼の生えた…第二形態になったのだった。
「サバキダ!!」
レーザーを発射、床を切り刻む。
「何だその力は…」
「ヒカリヨ」
レーザーを5方向へ乱射。
合間を潜ってチャージ斬り。
「キヒヒヒヒヒヒヒ!」
アームを伸ばし、ゼロを掴もうとしてくる。
「そんな動きで捉えられると思うな」
回転斬り。
「クイアラタメヨ!」
アームを壁へ伸ばし、部屋全体を揺らして岩を降らせてくる。
「…」
パンテオン一体でさえ、コピーエックスの真似事が出来るレベルにまで強化される…
ダークエルフの力に脅威を覚えつつ、それを撃破…先へ進んでいくと。
「ノロマー!!」
チルドレはとっくに先へ進んでいた。
-
だがゼロは潜水艦以上に早い。
崩れ、瓦礫でゴチャゴチャになっている海中にチルドレが手間取っている間に、
追い越してスイッチを踏み、更に水位を下げ続けた。
そうしてチルドレが追いつく頃にはダークエルフはどこかへ消えていったのだが…
ゼロ自身もダークエルフには追いつけずじまいとなった。
「…」
潜水艦が再び建物内へと侵入。ゼロは下の入り口から入ると…
「やぁぁぁぁ!!」
天井の高い部屋の上から、ナイフを手に落下してくるチルドレの姿が。
「食らえ!!」
ナイフを投げてきた…が、首を動かしそれを回避。
「お前のせいでダークエルフ逃しちゃったじゃないかノロマー!!」
「…のろまに負けたお前はどうなる」
「…うるっさいなぁ!」
小さくジャンプ、着水。 チルドレの足元の水面が弾ける。
「ハァァァ!!」
チルドレが突き出したアイスチップを中心とし、水が集中。
…大きな水の塊がチルドレを包んだ。
「ボファーー 何だか協力したいボファー」
「そのアイスチップ…カムベアスの力か」
水の塊が…泡立っていく。
「…」
泡の塊となって何も見えなくなったその球が弾け…その中からは。
「むしゃくしゃするからオイラが相手だ!!」
ウサギ型レプリロイド。
「オイラはバイルナンバーズの一人、『チルドレ・イナラビッタ』!
そのスカした面、恐怖で凍りつかせてやるよ!」
低い水面のその部屋で、激しい戦いが今始まる。
「木っ端微塵になっちまえー!」
水面に浮く爆弾を撒き始める。
撒き終わる前に一撃。
「痛い…じゃねえかー!」
耳に冷気を集中させ、氷のナイフとして放つ。
「…」
これをジャンプで避ける。
「まだまだ!!」
ミサイルを発射。
だがこれも水中用ミサイルであるため…水面からあがると何の意味も持たず。
「やはり水中戦じゃないと本調子じゃないようだな」
「な、舐めるなよ!!」
壁を蹴って移動…
「ヤァァァァ!」
耳に氷の刃を纏わせ落下。
「フンッ!」
先ほど手に入れたフレイムチップでのチャージ斬りで対応。
「な、何しやがる…!?」
…もう手はこれ以上ないらしい。
またも壁蹴りで上へ逃げようとするチルドレを…
「ジャンプなら俺の方が上のようだな」
ゼロは壁を蹴って上から襲撃。
リコイルロッドをその眉間へと叩きこみ…
「ノロッ…」
その反動で、突き落とすと同時に大きくジャンプ。
「うわあああああ!!!」
遥か部屋の上部へと跳びあがり
…眼下に大爆発を見下ろした。
「バイルナンバーズ…………半数を倒したことになるか」
その頃。
「バイルナンバーズノ半数がやラレたそウダね…ギギッ」
「…はっ」
-
「正直に申し上げまして…
あのバイルという者を信用していいものなのでしょうか」
ハルピュイアは、妖精戦争の元凶をネオアルカディアへ招いたことを
不安に思っていた。
「…マだそンナこトヲ言っテイるのカイ…?」
エックスは玉座にどっかりと座ったままだ。
「確カに、彼ノシた事ハ許サレるもノではナイ…
だガ、彼ハこうシテ改心シ、僕ヲ蘇らセテくレタんだ」
「………………」
「感謝シなくテハね」
「…しかし!」
そこに声がかかる。
「おやおや、四天王ハルピュイア様ともあろうものが陰口ですかな?
落ちたものですなぁ」
噂をすれば…である。
「アあ…バイルかイ。 ハハハ、スまなイね」
こうなれば楽なもの…バイルは提案する。
「いえいえ…気になどしていませぬよ
…確かに、『ダークエルフ』を生み出したのはこの私…責任はきっちり取りましょう
このダークエルフの捕獲、私めに任せては頂けませんかな?」
「………!!」
ハルピュイアが拳を握る。
「あア…イイだロウ やリ方もオ前に任セる事ニすルヨ」
「ははっ、ありがたきお言葉 …必ずや、
ダークエルフを手に入れ、イレギュラーを殲滅してご覧に入れましょう」
「バイル、貴様…!」
エックスは声を荒げる。
「ハルピュイア…君ノ方コソいイ加減にシタまえ…」
「度重ナるレジスタンスの侵入ヲ阻止でキず、
何度も敗北を続けタ… 悪いがモウ君達四天王ノ顔は見タクはナイ」
「… エックス様…」
「クヒャーーッヒャッヒャッヒャ!
残念ですなぁハルピュイア様。 これからは私めが軍の指揮を執ります故…」
そんな所に…。
「エックス様ー、エックス様ー!」
パレットの声。
「…あの、何だか、ダークエルフが市街地に近づいているみたいなんです!」
続いてダグラス。
「後数分もすれば町に入っちまいますよ!どーしますかね……」
「…ソウか …バイル。君ニ早速任セヨう」
その言葉を待っていた。
…もっとも、もっと後の話だと思っていたが。
「…クーックックック… 有難き幸せで御座います
…それでは私は準備に入りましょう」
「……嘆かわしい。 …ダークエルフの力で
最早町全体がイレギュラーの巣窟と化しているようですなぁ」
そんなことが一体この短時間で判断できるのか。
「……止むを得ません、この手段をとらせてもらうことにしましょう…」
エックスを背に垂れた、バイルの頭は…笑っていた。
「…!!」
その情報はすぐに伝達される。
「…通信が割り込みます!…これは、これは一体…?」
「繋いで、オペレーター!」
画面に映し出されたのはパレットの顔。
「お願いです、ゼロさん! 急いでミサイル基地に向かってください!
ゼロさんが破壊したアグニス火山の製造工場ですでに完成していたミサイルが、発射されようとしているんです!」
「…レジスタンスベースへ、ではなさそうだな」
「は、はい!!」
「……あの、お願いです!
ミサイルをとめてください…町が火の海になっちゃうんです!」
「えっ!?」
「…お前は確かレインボーデビルのオペレーターだろう。…本当か?」
一部のサイバーエルフ達が言う。
「ゼロ…お願い、行って!あの子が言うなら本当よ!」
「私からもお願いします、ゼロさん!」
-
ミサイル基地。
厳重な警備網と、いくつもの砲台や兵が配備された基地。
メカニロイドが大量に湧き出し、監視カメラからはエネルギー弾が放たれ、
砲台からは鉄球が発射される。
ミサイルがあるのは最上階。
発射まで時間がない…上へ、まだ…上へ。
「ミサイルは近いわ、ゼロ!
破壊をお願い!!」
扉を開けて、屋上のミサイル発射台へ。
「…何!?」
ミサイルというよりは…それはロケット。
直径15m、全長100mはあろうかという…それは巨大ミサイル。
「破壊できるものか…どうか」
迷っている場合ではない。…これをとめなければ。
…しかし。
「間に合わない…ミサイルが…!!」
どうやら発射の時刻であった模様。
「通信はもう効きそうにないな? …俺はこれからミサイルを破壊するがどうすればいい」
「む、無茶よ!! そんなことしたら空中で崩壊しちゃう…成功しても失敗してもあなたは!」
だがその言葉は届かず。
全ての音を覆う轟音と共にゼロの足場が動き出す… 炎がつき、空へ舞い上がる。
文字通りゼロを『乗せて』ミサイルは発射されたのだった。
「ゼローーーーーーーー!」
最早ミサイルを破壊する他ない。
ゼロはミサイルに配備されたパンテオンたちを倒し、メカニロイド達を倒し、
ミサイルを後方まで進んでいく。
何故後方か?理由は簡単。切り離し部分が存在するから。
ミサイルは最後尾部分を切り離し、加速を続ける。
そこに空いた穴からミサイル内部へ飛び込む。
…更に切り離し。遅れぬよう飛び移り、更に先の部分へ。
更に、更に切り離し。数回それを繰り返した後…先頭部分へ到達。
……………焦っていて、忘れていた…何故これほどの反応を見落としていたというのか。
『あの反応』が…今になって強いあの反応を感じ始めたのだ。
「…まさか」
奥にいたのは…クリエとプリエ。
「アハハハッ! 悪いレプリロイドが来たよープリエ!」
「キャハハハッ! ホントだー!寝てる人を無理やり起こそうとする悪いレプリロイドだー!」
反応…違う。こんなものではない。
「……この奥で眠っているのは…」
「オメガ兄ちゃんのジャマはさせないもん、ね、プリエ!」
「うん!やっつけちゃおうよ、クリエ!!」
その先、ミサイルの先端部には大量の爆弾だけではない…オメガをも搭載されている。
…ひとまずは、止めるにしても何にしても…倒さねばなるまい。
「あは!!」「きゃは!」
クリエとプリエが交差する。
チャージ斬り、瞬時に振り向き二人同時にダメージを与える。
「うぇぇぇん!!」
嘘泣きをしながら、プリエはゼロの真上を飛行。
その涙は、まさしくダークエルフのもの… ゼロの身動きを取れなくする。
「あー、プリエを泣かせたー!!」
クリエからの強烈なエネルギー弾。
「…!」
何とか抜け出して回避。チャージショットとチャージセイバーで二人を攻撃。
「クリエ、双子パワー使うよ!」「うん。解った!」
二人は遠ざかったかと思うと…
「やああああ!!」「えええええい!!」
二人が激突、交差。
その瞬間に爆発を生じさせ、ゼロを攻撃する。
「やはりか…!」
これを回避。また回転斬りで二人を攻撃。
「わぁああああ!」「きゃああああ!」
クリエとプリエは共に動きを止めた。
「…プリエ、なかなかやるよ、この悪いヤツ!」
「…クリエ、ここは放っておこうよ!私達このまま墜落しても痛くないもん!」
…そう。…まもなく、地上。
ゼロはクリエとプリエに構わずミサイルの先端へ進む。
…このミサイルの着弾させぬために。そうでなければ… 軌道を変えるために。
-
真っ赤な空に…真っ赤な炎。
空には灰が舞い、地はひび割れ、川は形を失い、ビルは倒壊、瓦礫の海を作り出した。
…全ては失敗。
ネオアルカディアの一市街地にオメガ搭載ミサイルは着弾…見渡す限りの地獄へと変えていった。
あらゆるものが焼け焦げる匂いがする…鉄、地面…草花…動物…人体。
「…………………ぐっ…」
ふらふらになりながらも立ち上がるゼロ。
爆心地にいながら、直撃した身でいながら…
ゼロは立ち上がれるレベルのダメージで済んでいた。
「………」
ダークエルフはそんな風景の中心に、ただ一人佇んでいた。
「グォオオオオオオオオオオ………」
見上げると空にはオメガ。
「オオオオオ…」
オメガが腕を開く。
…オメガの胸部に、真っ黒い空間が発生…
「…やめろ」
…ダークエルフは…そこへと吸い込まれていく。
「やめろ…!!」
…そして。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
空の上でオメガが雄たけびをあげる。
その体が…金色に染まっていく。
雲が裂ける。地をへこませる、瓦礫が崩れる、大気が悲鳴をあげる。
…オメガが、ダークエルフを取り込み…究極の力を手に入れた瞬間。
「わーーーい!オメガ兄ちゃんが元気になったーー!」
「えへへへー!これで悪いレプリロイドも怖くなーーい!」
クリエとプリエは金色の甲冑騎士の周りをぐるりぐるりと回転している。
「………」
オメガが地へ足を落とす。
激震。地鳴り。衝撃波が辺りのものを吹き飛ばす。
「くっ…!!」
オメガがゼロに近づいていく…
「……」
そこに一人のレプリロイドが現れる…。
「ハルピュイア!」
彼はただ呟く。
「これが…」
「これがお前の正義か、バイルーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
空へ舞い上がる。
怒りを込め、エネルギーを最大までチャージ…
チャージ・サンダーボルトをオメガへ放つ。
…だがもはや効くこともない。
全て、高い金属音を発して吸収されるのみ。
「グォオオオオオ…」
オメガの目からのレーザー。
太いエネルギーの流れが………その視線が、ハルピュイアの体を貫く。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
1発、2発、3発、4発、5発、6発。
…蜂の巣になったハルピュイア爆発…倒れる。
「うっ… …くっ …オメ…ガ…!」
拳を握る力すら出ない…だがまだ生きている。
「オペレーター…ハルピュイアを転送しろ」
「は、はい!!」
「グォオ!」
次なるレーザーがハルピュイアに着弾する寸前に転送。
後はその場にはゼロとオメガだけとなった。
-
「…………」
力を込める。…四肢に力を込め、地を踏みしめる。
「行くぞ、オメガ!!」
オメガも剣を抜く。
「グォオオオオオオオオオオオオオオ!」
大地に背丈ほどもあろうかという剣が振り下ろされる。
竹を割るが如く地に深い深い亀裂が生じ…広がる。
「ハァ!!」
跳びあがりオメガを一撃。
またも跳びあがり2発、3発。
「オオオオオオオオ!」
「ハァァァァ!」
オメガが払う。ゼロが飛び越え…剣を振るう。
「グォオオオ…オオオオオオ!ゼェェェェロオオオオオオ!」
大きくオメガが振りかぶる。
ゼロも力を溜める。
「ゼロオオオオオオオオオオオオオ!」
「ァァァァァァァアアアアア!」
振り下ろされた剣をゼロがセイバーで受け止める。
二つの剣の衝突…衝突部からの垂直面に、衝撃波が発生…ビルを切り裂いていく。
「クッ…!」
そして剣を…
「ォオオオオ…!?」
弾いた!
オメガが吹き飛ばされる。
「行くぞオメガ…!!」
跳びあがる。…しかし。
「ォオオオオオオオオオオオオオ!!」
オメガもまた跳びあがった。 …上空、100メートルもの高さまで。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「…………!!」
剣を構えてそのまま垂直落下。
全長10m以上もの剣そのものが杭のように地面に深く深く突き刺さる…ゼロを先端に刺して。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
そのまま上空へと斬りあげる。
「ガハッ……!!」
オメガが飛んだ高さより更に高く、ゼロは打ち上げられる。
そして自然落下。
…地面へ落ちようかと思ったところへ…
「ゼロオオオオオオオオオ!」
オメガが突進、剣をゼロへと当て…突き飛ばした。
「…………ッ!!」
長く飛び続けた後地へ叩きつけられ…
それからずっと、長い距離をゼロの体が引きずる。
「…………」
…そしてゼロは…動きを停止した。
「…まだ命はある…!?」
「恐らくは…! 転送します!」
-
6月6日 エリ
8月6日 ナディア
9月26日 一条あかり
…あれ?わかるのこれだけ?
-
真っ暗な闇の中を…文字列が流れる。
床は光で構成されていて、新たなる光が現れては流れていく。
「…気がついたか」
「…お前は…」
黒きボディに白い仮面、赤いマフラー。
死を迎えたはずの存在が…目の前に現れた。
「…ファントム…!」
何故自分が彼と同じ場所に居るのか?
…何となく解る。
「………何をしにきた」
「知れたこと…」
ファントムが忍者刀を取り出す。
「貴様をこの世界へ連れ行く為だ」
サイバー空間とは…死したレプリロイドやメカニロイドのデータが
行き着く、あの世でもあったのだ。
何故そんな世界への入り口が開いたというのか?
オメガのあまりに強すぎるエネルギーの前に…
…この世界自体に死相が現れているとでもいうのだろうか。
ゼロは立ち上がる。
「今現世がどういった状況にあるか、お前は解っているか」
「皮肉なものだ
現世ではいくら足掻いても手に入らなかった禁断の情報がこの世界では常識に等しい…」
「死によってこの世界に積み重ねられていく情報…拙者はあらゆることを知った
レプリロイドが生まれる以前のこと…
二人おられるエックス様のこと…歴史に刻まれた闇の歴史のこと…
そしてゼロ。貴様のことなどもな」
「…なら早く通せ… オメガを倒せるのは今俺以外にいない」
ゼロから発せられたオメガの名にファントムは反応する。
「…断言出来る。ここまでなってしまっては、奴はお前でも倒すことは出来ぬ…」
「…何」
「かつて…不完全な力のオメガが不完全なダークエルフを取り込んだ…」
「妖精戦争とやらの時か」
「だが、それでさえオリジナルのエックス様でも勝てなかった…。
貴様如きの力で倒せると思うな」
「それで、世界を諦めて仇討ちというわけか…?」
ファントムは何も言わず戦いを始める。
「闇駆け!!」
まずはいつぞやのように駆け抜け、忍者刀でゼロを斬ろうとする。
…同じような動作であるがその動きは以前とは比べ物にならないほど速い。
「…」
近づくと反撃されることは明白…飛び越してすぐにチャージショットを当てる。
「これしき…!」
一瞬怯みを見せた後ファントムは跳び、分身を行う。
「見切ってみせよ」
4つの影が伸びる…分身の術。
「ハァ!!」
チャージし、セイバーを地面へ力の限りに叩き付ける。
「うぐっ!!」
またも分身が現れるが…何度その手を使おうともゼロには見切ることは容易い。
ゼロは分身を斬り続けた。
「ならば!!」
ゼロの後方真上から姿を現し、手裏剣を投げる…それだけではない。
手裏剣から更に大量の刃が放たれるのだ。
「これぞ我が奥義、『鋼吹雪』」
だが、刃の間の隙をなくしたその技ゆえ…
間に入っての回避が不可能と判断した時のゼロの反応も速いものとなる。
「!」
ファントムから全力で遠ざかる。
「何…?」
刃の吹雪の及ばぬ場所までの一瞬での移動。
「うっ…!」
「食らえ!!」
跳びあがり三日月を描くようにチャージセイバー。
「うっ……」
端へと移動、手裏剣を投げ…乗る。
「以前その手は使ったな」
だが今回は違う。クナイを上から3方向に落下させるのだ。
「なるほどな…」
跳び越え、潜り、退き…紙一重の差での回避を続ける。
-
「だがこの技は避けられまい…!」
ファントムが高く跳び…
「忍!」
爆弾の周りにクナイをつけた撒きびしを多数撒く。
そして…
「黄泉駆け!!」
忍者刀で撒きびしを一気に斬り、刃を飛ばす。
…こればかりは避けられまい。そう思ったファントムだったが…
「な!?」
背を斬られる。…ゼロの投げたシールドブーメランだ。
「貴様…」
「俺はこんなところで足止めを食らっている場合ではないんだ」
駆け抜け…刃を突き出す。
「く…!」
ファントムの体に、深く深く刃が突き刺さり…
…抜いたときにそれは大きく開く。
「…烈風撃」
ファントムの体に大きな一本の線が刻まれ…そこから光が漏れ出す。
「…………まさかこれほどまでとは」
「…出口は自分で探す。…お前は退いていろ」
「…貴様を試すつもりでいたが…どうやら本気で戦ってみとうなった」
ファントムが傷口を押さえ、立ち上がる。
そして手を胸から離し、構える。
「変化!!」
ハルピュイアらのそれと同じく…
ファントムにもまた、第二形態は存在したのだ。
紫色の光がファントムから発せられ…ファントムを包み、その中で変えていく。
「…参る」
現れたのは、四肢が巨大な刃となったファントム。
8本の刃で構成された脚と、6本の刃で構成された2つの翼。
戦いは後半戦へ。
「……うっ…!!」
大爆発…そして変身が解ける。
ゼロは…無傷だった。
「……強いな だが…それだけに不安も強まった」
「…何?」
「貴様はもうじき、レジスタンスどものベースで目覚める。
…今このときを夢と覚えてな」
「…そうか」
「…覚えておくがよい 貴様の敵はオメガであるが…貴様一人の力でオメガを倒せると思うな」
「…だろうな」
「仲間の支えも必要になるであろう、だが」
ファントムは煙に紛れる。
「…貴様にそれが出来るかは疑問であるな」
「……!」
ゼロは、メンテナンスルームで目を覚ました。
「ロシニョルさん、ゼロさんがおきました!」
「あらあら、よかったよー!」
牛乳瓶の底のような眼鏡の、おっとりとした少年ぺロケと、
メンテナンスを担当しているおばさんロシニョルだ。
「随分な怪我をしてたみたいでさ、1週間くらい寝たままだったんだーアンタ。
シエルちゃんにアンドリューお爺さん、その部下のドワさんにイブーさん、
コルボーさん、イロンデルさんにオペレーターさん二人と代わる代わる来てくれたんだよ」
「今日は僕が来ましたー!」
「しっかし、隣の兄ちゃんより治りが早いみたいだねぇ」
ロシニョルが向いた方向を見ると…まだ意識を取り戻さぬハルピュイアの姿。
「…すまない。」
「全くもう、男ってのは無茶するもんだねえ!」
ゼロはひとまず、体を起こそうとするが…何か体に違和感を感じる。
「…ん?」
よく見ると…手首と首筋に何度も斬りつけたような傷。
…無論、ゼロがその程度の傷でダメージを負うことはないのだが。
「…」
机の上には…ナイフ。…刃こぼれをおこしている。
「…………ぺロケといったか。…それはお前が持ってきたのか?」
「…え? いや、違いますよ
どなたかが果物を持ってきてたんでしょうか…?解りませんねぇ …どうしたんですか?」
「…いや、なんでもない」
辺りを見回してみると…
「…………。」
…自分の体に何かが付着していた。
「…」
それを掴む。
「…そういう、ことか」
-
年齢一覧
13(14)歳 一条あかり
14歳 カリス・フィリアス
14歳 ピピロ
17歳 シーナ・カノン
18歳 アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス
18歳 ナディア・カッセル
19歳 アリシア・メルキオット
20歳 エリ・カサモト
25歳 シャーリィ
一番上と一番下が8歳差なのには驚かない、
それよりも14歳が2(3)人もいるのがびっくり…
-
一番上と一番下で12歳差かorz
-
「シエル。状況を頼む」
ハルピュイアをロシニョルに任せ、メンテナンスルームから司令室へ。
サブタンクで傷はすぐさま再生…これでシエルにも勘付かれまい。
「ゼロ!もう起きて大丈夫?」
「問題ない」
「それでね、ゼロ…
実は、ネオアルカディアからあなたの無事を確認できたら
話し合いをしたいって。」
あの時のことを思い起こす。
「ハルピュイアはバイルに反発した…他2人も同じ考えだろう。
…四天王の意思ではないな。…バイルか、八審官か…コピーエックスか…」
ネオアルカディアで人間のことを少しでも考えているのは
今現在、四天王のみ… そうでなければ、その話は決して信用できるものではない。
「ヤぁ、心配ヲかケテしマッタよウダネ」
コピーエックスだった。
「君ニ死ナレてハ彼女ノご機嫌モ損ネるだロウかラね」
「…本題を手短に頼もう」
コピーエックスは体を前へ傾け、手を組む。
「僕達ハ長イ間戦っテキたガ…
そロソろこの不毛ナ戦いハ終ワリにしヨウと思ッテね」
シエルは目を閉じ、言葉に集中する。
「新エネルギー『システマ・シエル』のコトニつイテの返事サ」
「…」
「ダークエルフとシステマ・シエルにハ非常に親和性ガ高イ…」
「………」
組み合ワセる事ガ非常に有効デアるらシイんだ」
「…………」
「…システマ・シエルをネオアルカディアに渡シサえすレバ
君達ノ命は保証しヨウ ドウだロウ、悪イ話でハナいと思ウんダ」
「…………………。」
シエルは考え続けた末…答えを出す。
「…お断りします。」
「…何?」
ネオアルカディアは、少なくとも人間にとっては楽園であるはずだった。
しかし…その人間が、コピーエックスの軽い一言で、バイルの思うがままに大量に殺されていった。
シエルは…
「今のあなた達は…信用できません。…エステマシエルは…渡せません」
声を震わせながらも、答えた。
-
コピーエックスのこめかみが動く。
「……ソウか そレガ君達ノ結論カ」
「…私の結論です。」
コピーエックスの語調が強くなった。
「いイだロウ」
「システマシエルとイウ無限のエネルギーを独占シ
ネオアルカディアヘハ破壊活動を続ケ
ゼロとイウ恐ルベき戦闘力ヲ持つレプリロイドヲも保有しテイる………」
…断罪の一言。
「お前達ハ たダノイレギュラーダ!
僕ノ生みノ親デアル、シエル…君ガ居たカラ手加減シていタもノノ…
もウ許しハシナい! …死ンでモラおウ!」
そして一方的に通信は途切れた。
「……………」
その場に崩れ落ちるシエル。
…戦いは終わらない。その結論が当然とはいえど、これにより
まだまだ沢山のレプリロイド達の命が失われていくことが確定したのだ。
…彼女の…その一言で。
「…ゼロ、私…」
「お前はお前の答えを出しただけだ。
…奴らを信じることなど俺にも出来ん。こうする他なかっただろうな」
敵はもう…落ち込む暇すら与えてはくれなかった。
「ゼロさん、大変です!
ネオアルカディアの軍がレジスタンスベースへ向かっています!」
「何…?」
「海から1部隊、陸から1部隊、空からやってきた部隊も地上へ降り、こちらへ近づいています!」
「3部隊での攻撃か…出撃する 一番近いものから潰していくことにしよう」
ネオアルカディア…エリアX−2、玉座の間。
エックスの横で浮くは大臣のような位置となったバイル。
「…さて。どう出るか見物ですな…エックス様」
「僕を一度倒しタゼロヲ彼らガ倒せルとハ思えナイ
パワーアップしタこノ僕ガ…ゼロを倒しテヤルよ」
「頼もしいお言葉で御座いますなぁ。
だがもしエックス様にもしものピンチが御座いましたら…オメガを至急お呼び致しますぞ」
「あア」
バイルは一つのチップを渡す。
「これをお持ち下さい。これであなたはオメガと繋がり、その力の一部を手に入れることが出来ましょう」
「危険ナチからのヨウだガ…受け取ッテおクヨ」
「ははっ、有難う御座います」
「ですが…もしかするとゼロはここまでたどり着けぬかも知れませんな」
「そンナ事ガあり得るのカイ?」
バイルはただ…ニヤリと笑うだけだった。
-
レジスタンスベースから最も近くにいたのは、
空から襲撃してきたヘリ部隊。
レジスタンスベース近辺の砂漠へと降り立ち、一直線に向かってきている。
「敵はこちらへ向かってきてます、ゼロさん…どうかお気をつけて」
ゼロは砂漠を駆け出した。
敵の主力はやはりパンテオン達…斬り刻みながら先へと進む。
「ボディチップ…『ライト』」
体を軽くするボディチップ。
流砂の中で足を絡め取られることなく、軽やかに進んでいけるチップ。
空から飛来する爆弾を破壊、更に先へ。
「流砂の下に大型メカニロイド反応、お気をつけ下さい!」
現れたのは赤く、巨大なミミズのようなメカニロイド。
飛来する爆弾を破壊、敵が放つ鉄の塊を避けつつ敵を刻み……破壊。
「……何かおかしい」
体に何かの異変が生じているのが解る。
先へと進むと、今度はヘリから大量のパンテオン達。
ヘリごと全滅させて先へと進む。
「…体が…重いな」
ライトチップをつけているのでいつもより軽いはず。
…そうではない。明らかにゼロの体調は復活仕切れていない様子なのだ。
「……居たか」
重い体を引きずりながらも部隊を全滅させ、後はそれを率いる者を倒すのみ。
…その、率いている者とは…。
「まだ土に還ってなかったとはな」
「…ネクロマンセスか」
「余はアヌビステップ・ネクロマンセス5世として蘇ったり
土から蘇るを許される者は正しき心を持つ者と決まっておる
お前の棺も用意した…眠るがよい、旧き者よ」
杖を回し始める。
「うっ…ぐ…」
今度は激しい頭痛に加え足も重い。
ゼロは力を振り絞りながら杖を跳び、一撃を食らわせる。
「…ククク…」
フレイムチップを使っての一撃…だが。
「甘い!!」
ゾンビ化したパンテオンを蘇らせ始める。
「何…」
燃え上がるシールドブーメランで破壊。
それもネクロマンセスを貫通するが…効かない。
-
「そなたは知らないようだな…」
だが炎が効かないとなると属性は特定される。
「雷だな」
アイスチップをまとっての一撃を食らわせようと近づく…が。
「少し遅かったようだな」
ネクロマンセスは土の中に潜る。
「うっ… …く…」
「そのまま棺に入るがいい!」
地から棺桶が現れ…近づき、ゼロを閉じようとする。
ゼロはそれを飛び越える。
2回、3回と回避…
最後に遠い距離から現れた棺をかわす。
「…フゥ…!」
ネクロマンセスが現れる。
「どうした、ここまで来るのに傷を負ったというのか」
杖を投げる。
杖は地面に沿って回転…ゼロへと襲いかかる。
「ハッ…!!」
飛び越えて一撃。
「ぐぁあっ…!!」
アイスチップによりネクロマンセスの動きが止まる。
「まだ…まだ!」
「墓へ落ちるがよい!」
砂が流動…一部分が腐るようにそぎ取られ、穴に変化する。
「!」
その下にはパンテオンゾンビ。
「……何…!?」
掴まれぬよう全力でそれを倒す。
ボディチップをライトに変えて穴を脱出、アイスへと戻しネクロマンセスに一撃。
「うっ…! …それならば!」
凹凸が消え…全面流砂へと変化。
「そのまま沈むがよい」
高く跳び、ゼロの視界から逃れようとする。
だが…
「そうは行かん…!」
ボディチップをライトへ変化。
リコイルロッドで流砂から跳びはね…アヌビスの眼前へ。
「ハァ!!」
再びチャージ斬り。
「うぬう……適応の早い者だ」
いつぞやのような、波打つ地形へと変える。
「ここが決着だ!」
3世と戦ったあの時の地形。
「行くぞ!」
杖を回し…投げる。
ゼロはリコイルロッドで地を跳ね……
「土の下から見守っていろ…!」
ネクロマンセスを一刀両断。
「うっ………!!
………旧き者よ… 残り短いその命、精々生き抜くがよい…」
ひとまず1つ目の部隊は壊滅。残り2つとなった。
「……………」
ゼロはレジスタンスベースへ着くなり、よろけ始めた。
…まもなく、崩れ落ちる。
「ゼロ…ゼロ!!しっかりして!」
セルヴォも心配そうに見つめる。
「…一体何があったというんだゼロ…」
「………俺のことはいい…次のミッションへ…向かわせてくれ」
「ダメよ!検査してからじゃないと!」
「何、すぐに終わる。…ゼロ。少しの間、検査をさせてもらうよ」
-
「………… …持って明日まで…か …何てことだ…」
ゼロの頭部には1枚のチップ。黒い下地に赤く『V』の文字…
「…心当たりはあるかい」
「…眠っていた間に誰かが入れたんだろう…俺は…知らない」
バイルが作り出した闇のチップ3種のうちの1つ。
ボディへ影響を及ぼすものが、オメガと直結するコピーエックスが受け取ったチップ。
ゼロに組み込まれたのは、ヘッドパーツ用のチップである。
このチップを組み込んだ者は激しい頭痛と共に体力がどんどん奪われ、四肢の動きも弱まり弱体化していくというものだ。
そして最後には…死を迎える。
「………一体誰が…」
ゼロには解っている。
眠っていたゼロの手首と喉をナイフで切ろうとした者であると。
そしてその正体も…。
「解らん。」
「……………解った。犯人探しはやめにする。
犯人に狙われているのは君一人…そういうことだね」
「……何のことだ?」
セルヴォは確信した。
「ひとまず処置は施した…
今以上に悪化することはないはずだ ただし、一発の傷が致命傷になりかねない。
…気をつけることだ」
「すまない」
「そのチップを取り外す方法だが…解らないんだ
無理に取り外そうとすると爆発する仕組みになっているんだ
…君のボディに生体反応がある限りね」
「……すぐに決着をつけなければならんな」
次の部隊は海からやってくる部隊。
パンテオン達を斬り、水中へと飛び込む。
魚型メカニロイド達を撃破し、
水からあがり、見張り台へと登っていく。
上部にいるメカニロイドやパンテオンを倒して更に進み…
前線基地へと突入。
水からあがり、施設内で更にパンテオンを撃破。
空中爆弾なども対処し更に先。
「むふー…俺様ともう一度戦えるなんてお前は幸せな奴だぜぇ」
ブリザック・スタグロフRだ。
「手短に済まさせてもらうぞ」
重い体を引きずりながら、ボディチップを炎に変えて対決を始める。
「バーストショット!」
まずはチャージショット。
「ぉおお、あづいいいいいい!!」
スタグロフの体に着弾すると同時に、広がり連鎖爆発。
「やったなぁぁぁ!?」
跳びあがり、氷の爆弾を二つ同時に発射。
これを何とか避けてまたバーストショット。
「ぉおおああああ!
…だが、どうやらセイバーの方は打ち止めのようだなぁ…」
最大の武器が封じられた程度でゼロは敗れない。
「凍ってしまえええ!」
腕をゼロへと向け、壁へと叩き付ける冷気を発する。
それと同時に氷の矢も発生、放たれる。
「…く!」
背後には放たれた冷気が氷の壁を作り出している。
何とか大きく跳びそれを避ける。
「終わりだぁぁぁ!」
大きく跳び、ゼロを押しつぶそうとし始める。
「まだ…だ!」
真っ向からセイバー。
「むふううううう!?」
頭から斬り…力を下へと入れ…押し込む。…叩き斬る。
「むふううーーーーーーーー!」
スタグロフが真っ二つに裂けた。
-
「…次だ……」
「どうにか方法はないものか……」
セルヴォは、頭を悩ませるしか出来ない。
3箇所目はアナトレーの森。陸を進む部隊が潜む森林地帯である。
蜂型メカニロイドと格闘した後、遺跡の中では
壁のパネルを裏返し攻撃してくる砲台に動じることなく一撃で破壊。
最深部にて部隊の長と対面。
「キキー…あっという間にここまでたどり着かれるとは。
流石はファントム隊長を倒したゼロさんですねぇ」
ハヌマシーン・R。
「最早攻撃部隊もこの私一人…参りますよ!」
「ウキキキ、ウキキキ!」
ハヌマシーンが手に持った棒に力を込め始める。
「ウキィイ!」
前へ跳び、棒で薙ぐ。
ゼロはそれを潜り回避…Uターンしまず一撃。
「キキキイイ!!」
雷の力を持ったチャージショット。
敵に命中するなりそれは二手に分かれる。
「ダメージとしてはいまひとつか…」
「行きますよぉぉ!」
炎をまとっての突進。…ハヌマシーンの得意技だ。
「何…?」
驚いたのは、その威力である。…床を破壊した。
「まだまだ!!」
遺跡の中を縦横無尽に駆け巡り、床と天井を破壊して戦いの場をどんどん広げていく。
「伊達にファントム様の右腕は勤めておりませぬぞ!」
体毛から分身を作り出す。
「ゆきなさい!」
小さなハヌマシーンはゼロへと群がる。
「行きますよっ!!」
続けてまた突進。
「く…!」
急いで振りほどき…かわす。
「最後だ……!」
跳び上がり…雷の力をセイバーに纏わせる。
チャージ不要の技でありながら、それに匹敵する威力。
「落砕牙!!」
セイバーを両手で構え落下…貫くと同時に敵の脳天に電流を流し込む。
「キッキキ…流石は………!!」
流石は… その先は聞こえることなく、
ハヌマシーンは爆発…消滅した。
これでレジスタンスベースはひとまずは守られたことになるだろうか。
「…転送を頼む」
戦いの中ではバイルチップの付け入る隙は大きかったのか…彼の命はあとわずかとなっていた。
「……ひとまずは守れたな……ネオアルカディアに乗り込む。 …いいな」
「お願い、ゼロ!!もう動かないで!
私達で何とかするから!」
「それで犠牲が出たら、どうする…俺に任せろ」
「…セルヴォから…聞いたの、もうゼロが長くないって」
「………なら尚更行かせてくれ。
4人のバイルナンバーズに、コピーエックスに、オメガ…
奴らまとめて俺が…… 俺が…」
胸を押さえ、セイバーを突き立て立っているのがやっと。
「そんなこと出来るわけないじゃない!!」
シエルは叫ぶ。
「あなたの少ない命くらい、見守らせてよ!」
「だが……」
その時である。
「そりゃあできねーーーなぁ!!」
落下してきたのは…
「フラクロス…か!?」
パンター・フラクロスR。
シエルを捕まえたかと思うと尻尾からの高圧電流。
「…ぬっ… がぁぁぁ…!!」
ゼロがその衝撃で動けなくなる。そこへ…
「黙っていろおおお!」
司令室へ腕を構え突進するはアステファルコンR。
腕をゼロへとポイントし……
「………………!」
その体を電流の矢で貫いた。
「ゼロおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
…ゼロは…力なく倒れていった。
-
さーて、スタメンを決めるか(ぇ
1 カリス・フィリアス 二塁手
2 ナディア・カッセル 三塁手
3 シャーリィ 捕手
4 アルファ 投手
5 エリ・カサモト 右翼手
6 ピピロ 遊撃手
7 あかぎ 左翼手
8 一条あかり 一塁手
9 ロジーナ 中堅手
…パワー重視だなー…
-
暇なので早速改訂版
1 カリス・フィリアス 二塁手 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意
2 ナディア・カッセル 三塁手 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
3 シャーリィ 捕手 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意
4 アルファ 投手 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意
5 エリ・カサモト 右翼手 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意
6 ピピロ 遊撃手 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手
7 あかぎ 左翼手 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通
8 一条あかり 一塁手 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意
9 ロジーナ 中堅手 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手
控え
アリシア・メルキオット 外野手 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意
シーナ・カノン 一塁手 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意
-
「さぁ今だ!」
ゼロの体を投げて渡すはフラクロス。
「…そ、そうか!!」
セルヴォは受け取り…すぐさまゼロのヘッドパーツからバイルチップを取り出す。
そう。フラクロスたちはゼロを殺すのではなく、
ゼロの生体反応を一時的に停止させるべくゼロを襲ったのだ。
電撃により麻痺した動力炉は停止、仮死状態となったゼロは
バイルチップの、生命反応がある間の爆破機能の対象から外れる。
チップを取り出すことが…可能になるのだ。
…ゼロの迫っていた命の危機は、ものの5秒もせぬうちに回避された。
「…む………」
ゼロが起き上がる。
「…気がついたか、ゼロ。」
「…お前を助けることになるとは癪だがな」
「…お前達…」
シエルは喜びのあまり、涙を流す。
「…よかった、よかった…!!」
…喜ばれるはいいが、話題をすぐに変える必要がある。
「…泣くのは早い。ネオアルカディアに乗り込むぞ」
「でも…。」
バイルチップを組み込んだ犯人探しの流れになる前に。
「ハルピュイア様をあんな目に遭わせたオメガはテメェに潰してもらわなきゃ困るんだよ!」
「同感だ。残る敵はまだ多い…。 …お前に頼まなきゃならない」
「…解った」
そう。彼らは二人ともハルピュイアの…
オメガに最も酷いダメージを受け、バイルに最も反抗した四天王の部下なのだ。
「ネオアルカディアの玉座へは転送できるようにはしておいた。
転送システムを弄ってな」
「じゃあ…」
「一休みするのも、せめてコピーエックスを倒してからの方がよさそうだな
…行くぞ」
「は、はい!転送開始いたします!」
前回エックスと戦ったエリアXの奥に広がる、ネオアルカディア最深部エリアX−2.
再生レプリロイドエリアを抜けた、そこは世界の頂点。
「厳重な警備に…大量のパンテオン兵。確かにここのようだな」
最高機密の取り扱われるトップシークレットエリア。
監視カメラを破壊、
トゲだらけの床、壁、天井のエリアを上へと進んでいく。
「軌道エレベーターはまだ続いていたようだな」
エレベーター内もトゲが大量。
リフトに乗ったり、しがみついたりしつつ跳び移り続け、どんどん上の階へと。
そして最上階。
全面壁に覆われた玉座の間で待っていたのは、世界を統べる王…コピーエックスMk2。
「全ク君は愚かナ奴ダ…」
「愚かなのはお前だろう。守るべき人間ですら殺してしまうとは…
お前は一体何を守りたいんだ?」
ミサイルで焼き払われた町がゼロの脳裏に焼きついていた。
「こノ世界の人間ガ望ンでいルこトを行うまデサ」
「…何?」
「君達レジスタンスハ…ネオアルカディアにとっテは悪の集団…
僕達は世界ガ認メる正義の味方なンダ」
「お前達が正義で…俺達が悪か」
後ろの壁が上下に分かれ開き……ガラスの外に宇宙を映し出す。
「そウダ イレギュラーの撲滅ハ、世界ガ望んデイる事なノダカら。」
手をクロスさせる…膨大なエネルギーがエックスへと集中。
「『ネオアルカディアのしテいルことハ正しイ』 その証明ニさエなレバね!」
そして開き…アルティメットアーマーを装着。
戦闘が…再び始まる。
「サぁ行クぞゼロ!」
跳びあがりノヴァストライクを発動。
「その手はもう効かん」
チャージ斬りで真っ向から撃ち落とす。
「ぐふっ!」
エックスが地に落ちる。
そこへゼロが近づき三段斬り…払う、斬る、振り下ろす。
「くぅっ…」
スライディングでの攻撃。ゼロは後ろへと跳びこれを回避。
「以前と同ジとハ思ワナいコトだネ!」
属性を氷へと変化。
ノヴァストライク、そこから5方向へ砕ける氷のショットを放つ。
「まダまダ!」
属性をチェンジ。炎の波を放つ。
「そう変わっていないようにも見える」
飛び越えて旋風撃。
「ううううっ!!」
一直線に突く。
そこから跳んで距離を取る。
「モう許サん!!」
感情の爆発。…光の柱が天を貫きエックスの傷が見る見る回復してゆく。
-
「はァァァァ!!」
だがやはり攻撃はノヴァストライク。
「やはりその攻撃が最強の攻撃であり…」
チャージ斬り。
「よほど誰にも破れなかった技らしいな」
リコイルロッドに持ち替えて一発、二発…
「サウザンドスラッシュ!」
そしてそのままリコイルでの連撃。
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”…」
刃が次々とエックスの体に突き刺さってゆく。
「…黙レ!」
ノヴァストライクで脱出。
「それニ…僕ハこンナ『力』も得たンダよ」
エックスバスターが虹色に輝く。
「!」
「消し飛べ……っ!」
宙へ浮き…ゼロへと放つ。
エックス最強のバスター…リフレクトレーザー。
「アアアアアアッハッハアアアアア!」
床、壁、天井、また壁、また床。
縦横無尽にエネルギーが駆け巡り…すべてを破壊してゆく。
「逃げるがイイ、逃ゲルがいい!」
続けて放つ。
「ソシテ僕ハバイルの改造でこんな力ヲ手に入レタ!」
両手のバスターからバスターを放ち…クロスさせる。
「『クロスチャージショット』!」
光の弾丸が壁となり…ゼロへと高速で向かってくる。
「ハァ!!」
チャージ斬りでこれを破壊。何とか潜りぬけるが…
「かかッタね!」
極太のレーザーを照射するチャージショット。
「『イカロスチャージショット』!」
真横に構えた腕を上へ。90度の範囲を一気に焼き払う。
ゼロはすかさず壁へ逃げる。
「ドうシタんダイ!?」
今度は上へと向かいダブルチャージショット。
一発目は普通のチャージショット、続けてニ発目は強力なチャージショット。
「逃げテばカリのヨウだネ!」
そして赤い光を纏ったエックスがエックス最初の、最強段階のチャージショットを放つ。
「『スパイラルクラッシュ』!」
赤いいくつものエネルギー弾を放つ…。
らせん状になったその光はうねりながらゼロへと向かっていく。
「…!」
だが…その攻撃は反動が大きい。
その一発を避け…最大限にチャージした一撃をエックスへ叩き付ける。
「ハァァァ!」
「うぐ…!!」
地がエックスを中心として窪み…
再び…倒れた。
「まダ…ダ……!!」
だが…力が入らない。
「…くソゥ… バイルーーーーーー!
オメガを、オメガを呼べええええええ!!」
しかし…辺りは静まり返っている。
「………何?」
そこに一つの光が現れる。
「……バイルはもうここには居ないよ
…君はバイルに利用されたんだ」
エックスは悟る。その姿が…自分と同じであることを。
「…お前ガ…僕ノオリジナル…!」
「…そうだよエックス。
…一つ、君に話しておきたかった。…謝りたかったんだ」
「………何?」
-
オリジナルエックスは、そっとその語り始めた。
「…君は、僕がなりたくなかった僕だ」
「そして、僕がなっていたであろう僕…。
…僕は、イレギュラーと戦っているうちに、どんどん疲れていった…
精神も磨り減り、段々と何も考えられなくなるようになっていった。
…そんなとき、ユグドラシルに封印していたダークエルフが力を取り戻す所か
以前の力以上に強まり始めているという言葉を聞いたんだ」
「ユグドラシルの力だけでは封印できない
そこで僕は、自分のボディを使って封印することを話したんだ。
…仲間にもそういわれてね。 その、昔からの仲間達以外は僕がどこに行ったか解らないし、
教えていないんだと思う」
「内心、ほっとしていた部分もあるんだ。
もうイレギュラーと戦わなくてもいい、もうこの世界にいなくてもいい、
もう血まみれの自分が様付けで呼ばれなくてもいい…って。」
エックスは目を伏せる。
「…でもそれは浅はかだった
…結果、君という存在を生み出してしまったんだ。
世界は『エックス』を必要とし続けていた。
…君という身代わりの自分が犠牲となって…更に多くの犠牲を出す事になってしまった」
「…君は僕がなりたくなかった僕だ。
…逃げ出した僕に代わり犠牲となってしまった僕だ
…僕に嫌なことを押し付けられた…そんな僕だ
…すまない、エックス。」
しかし…
「…フフッ…アァハハハ…ハハハハハハハハ!」
結論は何一つ変わらない。
…いや、本人の口から結局はどうあれ言われたと同じなのである。
「僕はどうせ失敗作だというのだろう!?
間違った道を歩まされ!
間違った立場に置かれ!
結局偽物の末路がこうだというつもりなのだろう!?」
「……」
「何一つその言葉は何も解決しない!
そんな哀れみなどない方がいくつもマシなものか…!!」
エックスの怒りが…自分という存在に対する悲しみが…頂点に達する。
「許さサナイ!!
…僕ノ真の力ヲ… 見セテやル!」
跳びあがり…力を集中させる。
光がエックスの体を分解……その時だ。
「!?」
光になったエックスのボディが…暴走を起こし始めた。
「か…カラだ…ガ」
「いけない…バイルは君の体に罠を!」
エックスは言い忘れていたことに気づいた。
-
コピーエックスのボディの黒きチップは…確かにオメガと繋がるチップである。
しかし…そのチップは逆に、オメガに力を吸収される結果をも生むのだ。
「からダが…あつ…熱……イ……ガガガガガガガ…!!」
オメガの力がコピーエックスの不安定なボディに一斉に送られ…許容量を越えて暴走を起こす。
そして…
「うわぁあああああああああああああ!」
光となって飛び散った。
「………光が流れていく…?」
「……オメガの糧にされたんだ…。」
虹色の光はオメガの元へ。
…こうしてコピーエックスは今度こそ最期を迎えた。
…それから30秒もしないうちに、ネオアルカディア全土にある声が響き渡った。
「たった今…」
「たった今、心無きレジスタンスの手にかかり…
我らが指導者、英雄エックス様がお亡くなりになられました
…大変嘆かわしいことであり…彼のご冥福を祈るのみであります」
「ドクターバイル…!」
「…私はエックス様にかねてより、ダークエルフの追跡を任されておりました
ダークエルフが捕まった今…そして、レジスタンスにエックス様が殺められた今
私は今こそその軍をレジスタンス撲滅のため動かすときであると感じております」
…すべては彼の筋書き通りなのであるが。
「なので…今このときより、ネオアルカディア軍の全権を私に委ねていただきたいので御座いますが…
皆様、如何で御座いましょうか」
ネオアルカディアの政治を取り仕切る人間達にバイルが呼びかけ…
そしてそれから10秒もせずに。
「…有難う御座います …たった今、全議員の賛成一致を確認致しました
有難う御座います。…それではこれより私が、レジスタンスの撲滅を目指し戦うことと致しましょう
ネオアルカディアに平和と自由のため!」
…すべてが、バイルの思うとおりに動こうとしていた。
「…倒すなら奴が先だったか」
「…いや、どの道エックスも彼の手駒だった…
…君はやるべきことをしたまでだよ
…ドクターバイル、あなたは妖精戦争の悲劇をまた繰り返すつもりなのか」
そして…世界は闇へ引きずり込まれていく。
「…残る敵は5人か
チップの影響もない…俺は行けるぞ」
「…そうだ。オメガのことだけれど」
「…奴がどうかしたのか」
エックスは…しばしの間、黙っていたが…
「…いや、何でもない」
口にするのをやめた。
「大切なのは体ではなく、心だ。オメガは歴史上最強の存在となってしまった…。
…それでも、君なら…君の心が生きることをやめなければ…
………勝てるはずだよ」
「…ああ」
-
改訂版の改訂版
1 カリス・フィリアス 二塁手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
-
暫定的に決まったところまで晒してみる
1 FREE 一塁手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手 背番号26
3 シャドウ 遊撃手 背番号48
4 北条沙都子 左翼手 背番号35
5 川澄舞 右翼手 背番号18
6 セリカ 三塁手 背番号55
7 リョウ 投手 背番号80
8 エリカ 二塁手 背番号46
9 ヨッシー 中堅手 背番号44
控え
ルカリオ 投手/三塁手 背番号94
美坂栞 二塁手 背番号4
ナタネ 外野手 背番号89
…何だこのメンバー…
-
第四版
1 カリス・フィリアス 二塁手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
-
ver0.7ぐらい版
1 FREE 一塁手 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
控え
ルカリオ 投手/三塁手 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
※シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
「…人間達はもう、自分の頭で物を考えることを止めているのかもしれない…
長い間、こんなにレプリロイドが犠牲になりながらも安穏と暮らしてきたせいで。」
残るバイルナンバーズは4人。
「『キュービット』、『グラチャー』『ヴォルティール』『トレケスタ』…か
早速ミッションへ向かう」
シエルと目もあわせず、彼は転送装置に立つ。
「…ゼロ。何か私に隠していることない?」
「…何のことだ?」
「………割と感情を表情で出さないのはわかっているけど…
…私にだって解るわ ………誰か知っているのね」
「……オペレーター、今日はお前に転送だけでなくオペレーションも担当してもらいたい」
「ゼロ!!」
転送先は雪原… あの、雪原である。
「宇宙船に積み込まれていたコンテナが雪原内に散乱しており…
バイルやオメガに関するデータも含まれているものと思われます。
…ゼロさんが多忙なため他のメンバーに向かわせていたのですが…」
「了解した」
ゼロは走り出した。
…前方からパンテオンがやってくる。
「………エックスのDNAを使ったなれの果てがあれか」
ただのパンテオンではない。
…サボテンのように真ん丸く…胴回りが数メートルに及ぶまでに膨らみ、
腕の先端を鉄球にし振り回している奇妙なレプリロイドだった。
宙に浮くボードに乗り雪道を走っている。
霧が晴れる。
(…あれか)
青い空、白い雲……遥か麓に見える巨大コンテナ。
確かに、大きく言えばここは雪原地帯。
だが…そこは山の頂上だったのだ。
(動く…ようだな)
ボードに乗り、滑降していく。
「来たか」
勿論、背後からは同種の改造パンテオンが追ってくる。
「斬鋭弾!」
セイバーを振り、衝撃波を飛ばす。
衝撃波はパンテオンの腹を真っ二つに切り裂いた。
「前方にも敵が多数…か」
猛スピードで雪の坂道を駆け下りるボードの前には無数のメカニロイド達。
大きなメカニロイド格納庫はチャージ斬りで破壊、
他は勢いに任せて轢いたり、回転斬りで対処したりなど。
「…着いたか」
コンテナの入り口をボードで破壊…入っていくとそこには。
「…あーる?」
八審官の一人だった。
「…グラチャーか」
小さくまん丸な体に似合わぬ、巨大なハンマー。
「ムムムム…なんと嘆かわしい!」
地へ衝撃を響かせる。
「伝説の英雄ともあろうものが、バイル様の持ち物であーるデータを
盗もうとする盗人に成り下がったであーるか」
「このワシが裁いてくれるであーーーる!」
ハンマーを振り回して襲い掛かってくる。
「力では負けんぞ」
自らに向かい振り下ろされたハンマーをセイバーで受け止め…
「フンッ!」
一瞬にして体をずらし回避、そのままハンマーを金太郎飴の如くスライスしていった。
「……流石は伝説の剣、凄まじき切れ味」
-
両腕をぶんぶん振り回し始める。
「だがそれだけに残念である!
その力を使えばバイル様の右腕にもなれたものを!」
両拳を地面に叩き付ける。
「ぬぉおおん!!」
グラチャーの体が氷に包まれ…
「ぉおおおおおおおお…」
氷の周りに霜が発生…氷を薄く包んでゆく。
そして…
「はぁぁぁぁ!!」
氷が大破。中から現れたのは…
「ワシの名は『グラチャー・レ・カクタンク』!
罪人ゼロよ、このワシが砂漠でなくとも裁くであーーる!」
サボテン型に変形したグラチャー…改め、カクタンク。
両手は重量感漂うハンマー…まん丸と太ったその体はそのままに…
「行くであーーる!」
ゼロへ襲い掛かってきた。
重量感たっぷりのボディでゼロを押しつぶそうとするが…
「テイ!フンッ!ハッ!」
背後に回り三段斬りで対応される。
「い、いきなり酷いであーる!?」
伸びる腕を最大限伸ばし、パンチを行う。
「一応先手は譲ったのだがな」
それを潜り敵の懐へ。
「バーストショット!」
零距離で強力な炸裂弾を発射。
「あああーーーーーーーーる!?」
カクタンクの体が吹き飛ぶ。
「そ、それ以上はさせぬである!」
腕のハンマーを天井へと突き刺し、振り子状に揺れる。
「死刑であーーーーーーーーーーる!」
腕を最大限に360度振り回す。
氷の粒がトゲとなってゼロを襲う。
…しかしゼロはそれも気にも留めず。
「最後のようだ」
フレイムチップを纏ったチャージ斬りをカクタンクに当てる。
「のぁぁあ!?」
そして…
両手にセイバーを握り…
力を込め…
跳びあがり…
一気に下から、上へと真っ直ぐに斬り上げる!
「天裂斬!」
カクタンクの体が両断され…
「ば、バイル様の裁きからは…逃れられぬであーーーーる!!」
爆炎を吹き上げ、消滅していった。
「…お前はこれからも作業を続けてくれ 俺は…戻る。」
その夜。
「…ふぁーーー…あ」
シエルは眠れずにいた。
…オメガを前にして、敗北を喫したゼロの表情の違いが気になったのだ。
…まるで別人のよう。…明らかに、ゼロが傷つき…
そしてそれに向かい、どうすれば強くなれるかずっと考え続けているのだ。
…ゼロはそうしている間にも強くなっている。
次はきっと…オメガに勝てるはず。
……いつもは自分が心配しているのに、このときばかりは心配しているゼロが心配でならなかった。
…物音が聞こえる。
「…?」
女性の声。
「……」
司令室にいたのは…
「………。 ………! ……… ………………」
オペレーター…誰かと話しているようだ。
一体…誰と? …ここからではよくは見えないが………もしかすると。
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第四版
1 カリス・フィリアス 二塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/投手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/二塁手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/投手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
あかぎ 最高球速124km/抑えタイプ/スリークォーター 変化球チェンジアップ
シャーリィ 最高球速158km/中継タイプ/オーバースロー 変化球Hシュート/Hスライダー/ツーシーム
―コーチ一覧―
ヘッドコーチ エリ・カサモト
打撃コーチ シャーリィ
守備走塁コーチ 一条あかり
投手コーチ ブランネージュ
コンディショニングコーチ あかぎ
-
「次のミッション…は、バイルたちのことについての調査になるわ」
「水没した図書館…か」
「…ここは一度行って見たいと思っていた場所なのよ
バイル関係でなくとも、旧世界の遺産が詰まっているかもしれない」
今度は調査。ゼロは転送装置の中心に立ち…
「オペレーター、宜しく頼む」
転送の準備を完了させる。
「…待って」
「! …シエルさん?」
「…ちょっとね。今回は私にやらせて欲しいの」
その真剣な表情を見て…オペレーターは思い当たった。
「……あの、私でしたら別段特にゼロさんと親しくなどはしておりませんし…」
…そのことではない。
「……オペレーター、少しあとで話をしたいんだけど」
「…え?」
「…昨夜のこと」
オペレーターの思考が…僅かな間、止まった。
「…!!」
「…解りました それでは」
「…行くわね、ゼロ」
ゼロの表情は曇る。
「…」
「3…2…1… …転送っ!」
ゼロは旅立っていった。
「確かに、水没しているな」
「ネオアルカディアが配置したメカニロイドを乗り継いで渡って!」
プールのように…ゼロのいる段から少し下の段は水浸し。激しく水位が上へ下へと変化していく。
そこに、亀型のメカニロイドが浮いている。装備が満載された…警備用だ。
よく見ると、電流の漏れたケーブルがそこかしこに。
…そして、その中で水に浸かる一番低いものに触れた瞬間…
図書館を覆う水は電流の海へと変わっていく。
「…」
バスターショットで亀に衝撃を与え、ひっくり返す。
亀の腹なら乗っても安全…跳び移り続ける。
「そこから、データベースのある部屋までメカニロイドはいないわ、一気に渡りきって!」
水の中へ飛び込み…電流が流れる前に一気に移動…
「…フゥ」
着いた場所は…。
「ゼロ。ここからこの書物名を入力することで、
目当ての書物が手に入る仕組みとなっているの。…お願いね」
調べるべき事柄…バイル、オメガ、妖精戦争、ダークエルフ。
その先にも大量の本棚が浸かっている。
その中でゼロの力になれそうな情報は、といえば…。
「そこか」
「違う!」
「ならここか」
「違うわよゼローーー!」
2回、3回、5回、10回…30回。
「…おかしい」
ゼロは…間違い続けた。
「ゼーーーーーローーーー!」
「…すまん」
そして、結局シエルが代行して記憶することとなる。
「そこよ…」
「ああ」
水に天井まで漬かった部屋にファイルは保管されていた。
ダークエルフについて。
「本来は………………であり、…………………を……するために作られた
………………による救済『プロジェクトエルピス』…………………。
だが開発に携わったともされるドクターバイルにより……をイレギュラーを……するものへと変わる。
シグマウイルス………特殊な……を利用して作られた………………で最初………………。」
エルピスの名。
「…なるほどな」
「ここはハルピュイアの管轄。…これを知ったのが、ネオアルカディア構成員TK31.
彼は… これを偶然知って歴史の一端を記憶した。…そしてその時から…彼は『エルピス』と名乗ったって聞いているわ。」
「……そうか」
かつてエルピスが立った場所に自分は…立っている。
次にオメガ。
「イレギュラー戦争末期において ドクターバイルにより製造される。
圧倒的な戦闘力を持ち… ダークエルフとの融合により活動する。 これが…彼が…と共に行った………研究の成果である。」
「…後半はよく見えんな」
「これはデータが新しいわ!」
ドクターバイル。
「レプリロイドの科学者であり、バイルの製作者である………との共同研究によりシグマウイルスの研究に乗り出した」
「…私のご先祖様のことね…」
「ダークエルフといい、とんでもないものを生み出したものだ…」
そして最後…妖精戦争。
「…………末期 ……………を……呼ぶ ドクターバイルによる…………………の……で僅か……………したとされ
究極……………………とされた………を…として………………同士の……を誘発 しかし…………において
……………% ………………% ……………と見られ ………………の戦争となった」
「…情報がまだわからんな…」
そこへ…何者かが現れる。
-
「ヒヒヒヒ…ヒーッヒッヒヒイ…」
頭全体をヘッドギアに包んだひょろ長の男…
「『ヴォルティール』か」
「ヒッ!ヒヒ!!…なんだ、お前が…お前が、ゼロ…か!?
返せ…俺達のデータ…返せ!か、かか、返せ!!」
両腕を拘束され、ビクンビクンと体を痙攣させながら、頭をカキコキと曲げながら話す。
「か、え、せ…と、言っているんだ…」
「返せえええええええええええ!」
ヴォルティールはそのヘッドギアで、ヘッドバットを繰り出す。
「…」
頭を軽くリコイルロッドで小突く。
「ヒヒヒッ!」
「…な、なんだぁ?何しやがったぁゼロ…
俺にはなー俺にはなー、わかってるんだぞーゼロ…………頭にくることしてくれるなーおい!!」
体が震えだす。
「あ、あぁぁああ、はああああああああああああ!」
ブチリ、ギチリ、ゴトリ。
彼を縛る拘束具が取れ、ヘッドギアが砕ける。
「兄者の敵をとりたい所だが……ダメだゼロ。流石に俺もコイツにはついていけない…」
サンダーチップからはクワガストの声。
「ッヒイイイイイイイイイーヒヒヒヒーーーーー!」
上半身を大きく前後に揺らし、水中でじたばたと跳ね始める。
チップを握り締めると同時にヴォルティールの体全体から電撃が発せられ…
「!」
「キエエエエエエエエエエエエエエエ!」
電流によりヴォルティールの体が変質していく…。
「ヒヒヒヒヒ!俺様はバイルナンバーズの一人『ヴォルティール・ビブリーオ』
オメガの奴のイカれ具合が解ったなら、テメェもさっさと引き下がりなぁぁぁ!!」
彼はウナギ型レプリロイドへ変身した。
「ヒーヒャハハーーー!」
ヴォルティールが体をうねらせて部屋を駆け抜ける。
「ハァ!!」
チャージ斬りで対応…しかし。
「効かない…!?」
…手ごたえがない。
「はぁーー!?」
ゼロをあざ笑うように部屋中に開いた穴から姿を見せるヴォルティール。
「黙れ」
チャージ斬り。
「ヒヒッ!?」
そして天裂斬。
「何しやがるーーーー!コイツめ!」
尾から電撃を発する。
「コイツめ! コイツめコイツめ!!」
電撃の弾は次々に放たれ…ゼロを追っていく。
「厄介な技だな」
「ヒヒヒヒ!そうだろうそうだろう!」
ジャンプ、回転斬りから三段斬りへと繋ぐ。
「キヒッ!?」
縦へ3回、斜めに1回、横に1回斬られる痛み。
…痛みのあまり、穴から現れる。
「こ、われ、ろーーーーーーーーーーーーーー!」
尾を地面に突き刺し…辺り一面を雷のカーペットへと変えて行く。
だが…ゼロは動じない。浮力を使って、最大限に浮き…攻撃を回避。そしてそのまま…
「落砕牙!」
セイバーを下へと構えて落下。
「ヒヒッ!!」
頭、腕、下腹部を一直線にセイバーで突き刺しに。
「…や、やりやがった、やりやがった!!
いか、いかかかか、イカれてる、イカれてやがるるるううう!ヒャハアアアアアアアアア!」
ヴォルティールはそのまま弾け飛んだ。
「有難うゼロ…解析を行うわね …後、間違え続けたからミッション点0.」
オペレーターをシエルは呼び出していた。
「…正直に話して欲しいの」
「…で、ですから忘れ物を…ですね」
「何の?」
「それは……」
オペレーターは口ごもる。
「コンピュータに何かしてないでしょうね…」
「な、何も…!」
「…それなら、見ても…」
そこへ。
「…シエル」
「セルヴォ… …お願い、後にしてくれないかしら」
「いや…少し聞いてくれ …ゼロにバイルチップを入れたのが誰だか解ったんだ」
-
「…アンドリュー…さん?」
セルヴォの口から出たのは予想だにしなかった人物。
「……こんなことはしたくなかったんだがね
…メンテナンス室で…ゼロの頭に入れている所をメンバーが見たそうだ」
「…目撃者が怪しいってことは?」
「シエル。 ……ゼロが気がかりなのはわかるがね
納得してくれないかね… 何なら私を疑っても構わんが…」
「ごめんなさい… でも…ひとまず………アンドリューさんを呼ぶ必要がありそう。」
ゼロは……ただ一人、次なるミッションへと向かっていた。
「エネルギー施設か」
真っ暗な巨大建造物の内部調査。
「この施設はとても最深部までの道のりが長くなります
長期戦とお考え下さい」
二人いるオペレーターの、もう一人のオペレーターが説明する。
エレキチップの働きで動かぬ動力にエネルギーを送ることは可能なようだ。
蛾型メカニロイドを、そうして点した室内照明へ集め…一気に斬る。
そして先にはまた動かぬ動力。
これの繰り返し…どんどん奥へと潜っていく。
途中にあったのは、作動を続けている巨大動力装置。
「これをまずは止める必要があるか」
リコイルロッドを取り出し…
「セヤ!ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!!」
サウザンドスラッシュで6つのスイッチを次々に押し込み先へ。
「…危険区域というわけだな」
メカニロイドが大量に配備され、トゲトラップの数も半端ではない。
運ばれる鉄骨をリフト代わりにして移動…
体重を移動させて千切れるケーブルを攻撃したり、爆弾を避けたり、トラップを避けたりしながら
また奥へと進むと…
(セキュリティか!)
ぐるぐると回転する円形装置…その中心に緑色のコア、周りを廻るは二つのリフト。
赤色から青色へ…。冷気での攻撃。
青色から赤色へ…。炎での攻撃。
それぞれの弱点で攻撃してこれを破壊して更に先へ。
もう一つの動力装置を停止させたゼロは…行き交うリフトを見つめる。
「これのスイッチを切り替えて、何とかしてトゲだらけのこの壁を越える…と」
ゼロ対策のトラップも手が込んでいる。
…それを抜ける手段もまた、考える必要がある。
「あらあら。見ちゃったみたいねぇ坊や」
華奢な女性レプリロイドが最深部にいた。
くるりくるりとカールしたロングの髪を持つ…。
「お前らは…誰だ」
「私はバイルナンバーズの一人、『キュービット』
このベビーエルフ生産工場を見られたからには…生かしては帰せないわね」
「そういうことダァ…」
そして、キュービットを肩に乗せる巨体の男。
「俺の名はァ、『トレケスタ』
テメェがあまりに遅いもんだから来ちまったぜぇ!」
二人のバイルナンバーズが相手…だが。
「さて。私は高見の見物と行きましょうか トレケスター、お願い」
キュービットはトレケスタの背から跳び立ち…天井へと姿を消す。
「ゴルルルァ!行くぜぇゼロおおおおお!」
大剣を手に…トレケスタが向かってくる。
「ゴッラアアアアアアアアア!」
だが…それは届かず。
ゼロによって、片腕をもぎ取られたからだ。
「ア、アアアアアアア!!テメェ、テメェエエエエ!!」
威力は抜群。
…いよいよ、戦いが始まる。
-
「ケロロロローン!ワタスの力がやっと役に立つだーー!」
ヘケロット…
そう。彼は、芋虫を食べた数だけ体が膨れたが…その重量硬度は半端なものではなかった。
彼は…重さを支配していたのだ。
「ゴルルルルルルァアアアアア!」
部屋全体が、トレケスタの重量で凹み始める。
どんどん沈み………床を砕き、下へと落下していった。
…大きな穴。
そこから…一つの巨体が飛び出してくる。
顔だけでなく、両肩にも顔のついたレプリロイド。
着地と同時に、あらゆるものが崩れてゆく。
ゼロは…下の階に落とされる。
「ゴルルルァ!俺様ァ地獄の番犬『トレケスタ・ケルベリアン』!
せいぜい俺を楽しませろよぉ英雄!!」、
戦いが始まる。
「オッルァァ!」
大型コンテナを軽々と持ち上げ…落とし、ただの突進ではない…腕に全エネルギーを込めての光線剣を作ってのものだった。
「大剣使いか、なるほどな…」
斬られる前にそこを飛び立ち、一撃。
「ゴァァ!!」
今度は鉄パイプをぐにゃりと曲げ、それを投げつけてきた。
「…なるほどな」
相手はパワーが自慢。
…ならばこちらもパワーで対抗。
「ォアアアアア!」
チャージ斬り。続けてまたチャージ。
「オオオオオオオオ!!」
トレケスタの肩パーツが分離する…。
いや、トレケスタの第2、第3の顔だった。
「ガウ!」
「ガガーーーウ!」
隙を見て回避、そしてまた振り下ろす。
3体が集まった、そのときを見計らい全て1度切る。
「…さて。トレケスタもそこまでかしらね」
毒ガスを撒き始めたトレケスタとゼロの元へ……
キュービットが炎を落とす。
「ごあああああああアアアアアアア!熱い、熱いぞおおお!!」
毒ガスへと引火。トレケスタの体に次々と燃え広がり……
「グアアアアアアアアアア!」
…消滅していった。
「今の、見てもらっちゃ困るなぁ…」
トレケスタの死体足元にはビット。
「よ、っと♪」
キュービットが炎の中に着地。
「変身…!」
燃え盛るビット9つがぐるりぐるりと回転………
キュービットを持ち上げ………
「ハァ!」
「貴様の罪を滅ぼすために私は再び現れたぞゼロ!」
マグマニオンの人格の入ったフレイムチップを掲げると…
ビットは集まり大きな炎へと変化。中から…
「オーッホッホ!私の名前は『キュービット・フォクスター』
私の作り出す幻に酔いしれなさい!」
狐型のレプリロイドに変身していた。
-
「見切れるかしら!?」
フォクスター自身が炎となって、炎のビットが辺り一面を舞う。
「100年前なら食らっていただろうがな」
壁を蹴り…雷の力を手に入れたチャージ斬りで一撃。
「あぁうっ…!
それなら…これならどうっ!」
ビットを自分の体に集中させ…
「いーやぁ!いーやぁ!いーやぁ!いーやぁ!!」
炎を纏ったビットを連続で撃ち出してくる。
「な、何故効かない!」
ゼロは軌道を読みそのすべてを回避。
「どうしてだろうな」
フォクスターへ股一撃。
「うっ……あぁ…!!」
フォクスターはしかし…まだ堪えない様子。
「燃えておしまい!!」
炎を打ち上げ、地上を炎の海へと変える技。
「熱いわよお!!」
だが…。
「…憎らしいわね…なんでそんなに動きが手に取るようにわかる!!」
フォクスター最強の技を発動。
「『火炎車』!!」
ビットを大きく回転させ、巨大な炎の台風とする技。
…だが…最初で解った。これもかわされると。
「…何故そんなに強い…!!」
気がつけば、ゼロは彼女の真上にいた。
「何故、諦めない…!!!」
落砕牙にてフォクスターの体に一本の筋が通り…
「そういえばお前、男じゃなかったか」
「女の過去なんて詮索しないものよ坊や……」
炎に包まれていった。
バイルナンバーズはこれにて全滅。
「…ああ、そ、そうなんじゃよ…ワシがある日拾っただけのもんでな…
もしかするとネオアルカディアの兵か誰かが
置いていったのを持っていたのかも知れん…」
「バイルが来て以降、レジスタンスベースでの戦いは行われていないの」
「く…… うう…」
アンドリューも…何かを隠している。
一体何が?
「…ハルピュイアの様子を見てくる。そう、伝えておいてくれ」
「まもなく解析も完了いたしますので…それまでには戻ってきてくださいね」
「…何をしにきた」
ハルピュイアはメンテナンスルームのカプセルから起き上がっていた…。
「おお、ハルピュイア様!」
「ハルピュイア様が目を覚まされた!」
「ハルピュイア…どうする
俺と戦っておくか」
「…下らない お前に今は構っている暇などない。
…オメガを倒さねば世界は…奴により破壊し尽くされる。
それを止めに俺は…戦うんだ」
「…全ては、人間のために…忘れたか」
「ゼロさん、ゼロさん…至急、司令室までお越し下さい」
そして、空白の期間…『妖精戦争』の事実が明らかになる。
最後の戦いのときが… やってきたのだ。
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ver0.9ぐらい版
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
後少し…
-
ちょっと修正(ver0.91ぐらい)
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
※シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
(ほぼ無理矢理)ver1.0
―チーム名―
リリーズ LILLYS
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
―コーチ一覧―
今回はそれ的な事は全てFREEと沙都子が担当しました
―備考―
・シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
第六版
―葛飾野球倶楽部メンバー表―
1 カリス・フィリアス 二塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/投手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/二塁手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/投手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
あかぎ 最高球速124km/抑えタイプ/スリークォーター 変化球チェンジアップ
シャーリィ 最高球速158km/中継タイプ/オーバースロー 変化球Hシュート/Hスライダー/ツーシーム
―コーチ一覧―
ヘッドコーチ エリ・カサモト
打撃コーチ シャーリィ
守備走塁コーチ 一条あかり
投手コーチ ブランネージュ
コンディショニングコーチ あかぎ
-
図書館内で手に入れたファイルの解析が完了…
シエルからその報告が始まる。
「…行くわね」
ダークエルフについて。
「本来は『マザーエルフ』であり、イレギュラーを浄化するために作られた。
マザーエルフによる救済『プロジェクトエルピス』は彼女が持つシグマアンチボディプログラムによるイレギュラー根絶計画。
だが開発に携わったともされるドクターバイルににより改造を受けイレギュラーを洗脳するものと変わる。
シグマウイルスが持つ特殊な性質を利用したサイバーエルフで最初のサイバーエルフでもある」
「…本来の名前はマザーエルフ…か」
「元々は世界を救うために生まれた…本当だったのね
…エルピスは、プロジェクトエルピスを間違った方法で完成させようとしていたのね」
「…ダークエルフに操られて、か」
次に妖精戦争。
「イレギュラー戦争末期 ダークエルフのコピー、ベビーエルフを始めとした
サイバーエルフが大量使用された時期をこう呼ぶ
ドクターバイルによるダークエルフの投入で僅か4年で終結したとされ
究極のレプリロイドとされたオメガを媒体としてイレギュラー同士の争いを誘発
しかし終結時において
全人口に占めるレプリロイドの90% 人間の60%が 死に至ったと見られ
地球史上最悪の戦争となった」
…シエルは震えていた。
「…こんな戦争を私達は忘れていたっていうの………」
『レプリロイドの90%、人間の60%』
目を閉じる…無数の叫び声と悲鳴と涙、赤黒い想像が焼きついて離れない。
…字で見ただけの彼らには、想像しか出来ないのであるが。
「…情報操作の果てが…これか」
言葉が出ない。
そこに、オペレーターが声を発する。
「クヒャーッハッハッハ、よく調べたなドクターシエル」
「な!?」
それは…最早オペレーターではない。
「ドクターバイルか…!」
「ワシは今から、オメガとダークエルフを完全に融合させる所だ
…クーックック…今度のオメガは完璧だ…!
最早ベビーエルフを使う必要などない!」
「この掌を一度握るだけで…
ワシは世界を、終わらせることが出来るのだ!!」
世界が…恐れ始める。
オメガと…その中のダークエルフから発せられた波動が…地球を覆い尽くす。
「さぁ、始めようではないかオメガ…!!
世界に刻め!! 貴様らの支配者の名を!」
…レジスタンスベース司令室に…
レジスタンスたちが駆け込む。…シエルを心配して…
…いや。
「大いなる者が」
銃を構えていた。
「漸く目を覚ました」
そして包囲。
それは…呪われし賛歌。
「閉じられた歴史が開かれ、動き出す」
「世界に刻め」
「我らが支配者の名は…」
叫ぶ。
「バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!
バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!
バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!」
-
ダークエルフによりオメガに増幅されると同時に
オメガにより増幅されたダークエルフの力。
それはレプリロイドの支配の力だった。最早…その力は地球全体に及んでいる。
「………」
彼らを切り伏せることは簡単。
…だが、彼らはバイルに操られただけの者であり…
彼の仲間である。
そして…人間であるシエルを守りながら戦うことは…不可能に等しい。
「ちっ…」
その時。
「!」
視界を突如、眩い光が覆った。
「…遅いぞエックス」
「ごめん… …大丈夫かい」
辺りを見渡す。
「…皆気を失っているだけのようだな…バイルとオメガは今何処にいる」
「ネオアルカディアの地下動力部…
……『アンダーアルカディア』だよ
バイルはそこから世界中に、ダークエルフの力を送り込んでいるんだ」
「…世界の中で俺一人だけが立ち向かうことになるか…
座標を教えろ」
「…ま、待ってくれ…」
セルヴォの声だ。
「?」
「…君に渡しておきたいチップがある…戦いの前に…ラボに寄ってくれ」
「…解った。シエル、お前も一応ついて来い」
「え、ええ!」
渡されたチップは…アルティメットフット。
あらゆる足に関するチップの能力が集まった最強のチップ。
「…何時の間に」
「リコイルだけでは不足だと思ってね…
さあ、行くんだ…」
そのとき…だった。
「…何だ、この音は…」
…恐らく、転送装置の作動音。
司令室に戻る。
「…」
転送装置の床が光ったまま。
「………………まさか」
「…お、お願いですゼロさん……助けて…あげてください…」
オペレーターは…知っていた。
ゼロにバイルチップを埋め込んだその張本人が誰であるか、何をしようとしているか。
エックスも…見ていた。
「ゼロ!アンダーアルカディアへ転送できなくなった!」
「…何?」
「通るにしてはあっさり過ぎると思っていたんだ…
ゼロが部屋に来た瞬間、応答が遮断された」
「なるほど、許可は…そういうことだったのか」
内通者を転送するためのもの。
「言葉を選んでいるけど…一体どうしたっていうの、ゼロ」
「……」
ゼロは返さずに転送装置の中心へ立つ。
「オペレーター その近くでならどこに転送できる」
「ねえ、ゼロ!聞いてよ!」
「…地下に通じる、ネオアルカディア中枢部の地下巨大エレベーターまでなら……」
「…お願いだから、二人とも一体何を知っているの!?」
…ゼロは最早迷う素振りも見せなかった。
「…ゼローーーーーーーーーーーーーーーーー!」
-
ネオアルカディア地下の巨大エレベーター。
巨大な一本の支柱がどこまでも続き…
高さだけでない広大さを持つその空間を下へ下へと降りていく構成。
パンテオンを倒して突き進み、梯子があったら下へ。
トラップに注意しながらまた下へ進み…
扉を潜りエレベーター本体へ。
「ここを降りるのか」
地下へ降りていくエレベーター。これは中継フロアまでのものである。
「来るな…」
上から飛来するリフトが二つ。そこから、大量のメカニロイドやパンテオンが落下…エレベーターに乗り込んでくる。
「邪魔をするな…」
かつてパンテオンコアのいた地下鉄で戦ったメカニロイドとも再戦を果たしながら、どんどん下層へと下がっていく。
何分か下り続けたところで中継フロアへと到着。
また同じことを繰り返すこととなる。
パンテオンを倒し、トラップに注意しながら下へ、また下へ。
アンダーアルカディアに繋がるエレベーターに乗った所で…
「アハハハハ!ねえプリエ!来たよ悪者レプリロイド!」
「キャハハハ!そうだねクリエ!お爺ちゃんの言った通りだね!」
現れた。マザーエルフのダークエルフとしての面のみを継いだコピー…
二人のベビーエルフ、クリエとプリエだ。
二人のダークエルフはぐるぐると廻っている。
「それじゃお爺ちゃんの言った通り、戻ろうよクリエ!」
「ねえねえ、でもせっかく会ったんだから悪者レプリロイドやっつけちゃおうよ!」
「…仕方ないね、それじゃやるよクリエ!」
「うん、頑張ろうねプリエ!」
戦闘が始まる。
交差して飛来した後、プリエは光をゼロに落とす。
「もう効かん」
ダッシュで避けたところにクリエのエネルギー弾。
回避した所でチャージ斬り。
「わぁあ!」
「きゃあ!」
続けてベビーエルフたちは遠くへ飛んだ後、勢いをつけて衝突…
二つの力が合わさる衝撃でゼロを攻撃しようとするが、それも間を縫ってかわす。
「ハァ!」
チャージ斬りで二人をまとめて攻撃。ここでクリエとプリエが一箇所でぐるりぐるりと回転を始める。
「行くぞープリエ!」
「うん。合体だねクリエ!」
「「はぁぁ!!」」
ベビーエルフは融合、一つの巨大なエルフに変身した。
「さぁ行くぞー!」
クリエはエネルギー弾を床へ向けて発射。
それは分裂し、地を伝う。だが…これも飛び越えてそのまま…
「行くぞ」
合体エルフに…最後の一撃を加える。
「きゃああああ!」
二人のエルフが分裂…
クリエは無事なようだが…プリエは…
「な、何か痛いよプリエ…体が、チクチクして… み、ミミミミミーーー!」
赤ん坊のときの鳴き声のような…断末魔を残して消えていった。
「プリエ…? プリエーーーーー!?
…わ、わわわ…わーーーーーーーーーー!」
クリエはどこかへ消えていった。
「…この先か」
たどり着いたのはアンダーアルカディア。
ネオアルカディア全体を支える動力部だ。
「…」
世界中に延びるチューブがひしめく中、
ゼロは敵を倒しながら、奥へ…下へとどんどん向かっていく。
…いよいよオメガの元へと向かっていく。
後ろを見れば、死んで行った者達がいる。
隣を見れば、共に歩む仲間達がいる。
前を見ると…これから戦う敵がいる。
…仲間からの声援は重要であろう。だが…
仲間がずっと傍にいては、前の敵とは戦えない。
先へと進むため…全てに決着をつけるため。今倒すべき最大の敵のことだけを考えて進む。
ネオアルカディアもバイルの支配から解放されれば考えを改めるだろう。
レジスタンスも歩み寄れば…また、新しい世界が開けることだろう。
これが…平和のときのための最後の戦い。
…ゼロは…扉を潜った。
-
「…」
そこには…システマシエルを手にしたバイルと、怯えてやってきたクリエ。
そして…システマシエルをバイルに渡した内通者。
「クヒャーッハッハッハ!英雄ごっこは楽しいかね、ゼロ」
「まずはお前を倒す…だが、オメガは何処だ」
「オメガならお前との決着に相応しい場に移動しておいた
後で来てくれたまえ」
バイルの姿が消えていく。
「残念じゃが……全てはワシの言った通りじゃったろう…?」
そして内通者の名を呼ぶ。
「アルエットよ」
シエルが…凍りつく。
「………」
そう…全てはクリエとプリエを守るため。
自らが育てたベビーエルフたちを守るためにアルエットがしたことだったのだ。
ゼロを止めるべくナイフで気を失ったゼロに向かって振るったはいいが、通用せず。
更なる手段があると…バイルは、
クリエとプリエを育てた彼女へ…一人しかいないタイミングでコンタクトを取った。
「ゼロ…… プリエを、どこにやったの?」
シエルから、コンピュータの扱いを習ったアルエットは…通信していたのだ。
度重なるその様子を、オペレーターに見つかり注意を受け…そのことがいつしかバレてしまったが
子供を責めることはオペレーターには出来なかった…。
だがレプリロイドの体そのものの扱いは解らない彼女は
アンドリューにゼロの強化チップと称し、ゼロを衰弱させる猛毒のチップを入れさせた…
アンドリューはアルエットの仕業だと即座に知ったが…老人は孫に等しいその子を庇った。
…全てはバイルの筋書き通り。
「知っていたの…!? …知っていたの、知っていたのゼロ!ゼロ!!ゼロ!!」
シエルは声を荒げる。
「どうして、どうしてプリエを殺したの、ゼロ!!ねえ、ゼロ!!」
アルエットは叫ぶ。
「ち、違うんじゃ…あの子は悪くない、責めないであげておくれい、ゼロ…」
アンドリューは困惑する。
「怖いよ、怖いよーーー!!死にたくない、死にたくないよアルエットお姉ちゃん…!!」
クリエは震えたまま。
「クヒャーーーッハッハッハ!さぁ、どうする!どうするかねゼロ!」
モニター先のバイルはその様子をあざ笑う。
その中心にいるゼロは………何もいえずにいた。
「お姉ちゃんたるもの、妹の身は自分で守らねばなぁ、アルエット…
さあ、クリエを守るのじゃ!!」
合図と同時に、
わらわらと沢山の紫色の光が現れる。
「ミ、ミミ、ミ…」「ミ、ミ…」「ミミミ…」
「!?」
キュービットのいた工場で生産されていたベビーエルフたちだ。
それはアルエットへ向かい集まり…
膨大な数のベビーエルフがアルエットに吸い込まれ…
最後にクリエがアルエットに吸い込まれる。
「う、うううう、うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
アルエットが吼える。
アルエットの体に…変化が起こる。
『姉』に相応しい姿へと急成長………紫色の巨大なオーラを纏い……
「はぁぁぁぁ!!」
宙に浮いた。
「…」
ゼロは……ただ、目を閉じていた。
-
アルエットの攻撃が始まる。
「やぁあ!!」
両腕から光の弾を放つ。
宙をうねり、先ほどとは比べ物にならないスピードで跳んでくる。
飛び越えてそれを回避。
「………」
バスターショットの通常弾を一発。
レジスタンスを気絶させた時のようにしてみるが…
「エイ!」
現れた光の壁によって阻まれる。
「止まって!!」
遠距離から手を振りかざすと
プリエがやったような、光の粒が風となってゼロに向かい吹き荒れた。
「…」
ゼロの動きが制限される。
「行けぇぇ!」
そこへエネルギー弾を大量に乱射…ゼロを撃ち抜こうとする。
「……何か手はないか…」
戦闘能力はゼロを手こずらせるレベルではない。
だが……攻撃するわけにはいかない相手であるのだ。
「エルブズスパーーク!!」
クリエとプリエが衝突した時のあの光…
それが、アルエットの体内で起こる。
ベビーエルフたちを体内で衝突させ…
アルエットを中心として大爆発を起こす。エックスのギガクラッシュに近い攻撃となる。
ゼロはこれをシールドブーメランで防御。
「…」
考え続ける。倒す方法は、何かないものか…
「ゼロ…サイバーエルフに対してはサイバーエルフの力を使うしかない!」
シエルからの提案。
「攻撃可能な子が何人かいるはずだから、そのうちの1人の力を借りて!」
サテライト機能と呼ばれる、サイバーエルフが命を失うことなく、
ゼロのエネルギーを一部借りて力を使えるようになる機能。
「頑張るよー!」
蜂の形をしたサイバーエルフが弾を放つ。
だが…
当たらない。その上…アルエットには効かない。
「そんな…」
…斬ることは当然出来るわけもない。
ゼロらしからぬ行動…『攻撃しない』。
…それは彼自身も知らぬ記憶の根底に、過去に似たような出来事があったことを知っているからか。
だが…それでは解決しないことも薄々わかっている。
続いているアルエットの猛攻を潜り抜けながら彼は告げた。
「………シエル…すまない。」
「ゼロ…!!」
「仇を取るなら…バイルとオメガを倒した後にしてくれ」
これが憎しみの連鎖を生むことも。
セイバーのエネルギーをチャージ……アルエットへ向かい走り…そして。
-
いや……そう思われた、その瞬間である。
なんと一人のサイバーエルフが高速で飛来…
「わぁああああ!!」
「きゃああっ!!」
アルエットを貫いていったのだ。この光は…… エックスではない。
クリエを筆頭とし…あふれ出す無数のベビーエルフたち。
「ミーーーーー!!」「ミミミミミ!」「ミューーーー!!」
アルエットが元の姿に戻り倒れこむ。
「ハァァ!!」
チャージ斬りでそれらを一刀両断。
不完全なベビーエルフたちはその一太刀で消滅…
「…!」
続けて跳びあがり、回転斬りを食らわせ…
最も育ったベビーエルフ、クリエを斬る。
「あ、あ、あ…!!!
み、ミミミ…ミーーーーーーーーーーーー!」
…アルエットは起き上がらない。
「…すまない」
簡易転送装置をつけて転送。
ベビーエルフに、アルエットに、シエルに…彼は本心から謝罪の言葉をつぶやき…
転送装置に乗った。
「……」
行って来る、必ず勝って来る、アルエットを頼んだ。
…どの言葉も、今のゼロの立場では言える言葉ではない。
彼はただ一人…最後の戦いの場へと向かっていった。
シエルは反応をマップで追う。
「ゼロが…転送された先は…………これが、…バイルの研究所…!?」
「ど、どうなさいました?」
「……ちょっと、来たことがある場所なの」
-
ひび割れや汚れ、煤や壁を伝う蔦が目立つ古い建物。
寂れた建物の…扉を潜る。
バイルの研究所。
パンテオン達の守りや、トゲトラップの敷き詰められた床を昇降するリフトを跳び映りながら
先へと進んでいく。
「ギチギチギチギチー!刻んでやる!」
「せっかくの優雅な時間を…目障りだ!」
「ハハッ、そのスカした面、恐怖で凍りつかせてやるよ!」
「シャァァァァ…!歓迎するぜぇ」
待ち受けていたのは八審官。
マンティスク、ヘルバット、イナラビッタ、フリザード。
「お前の体を噛み砕いてやろうかぁ!」
「イカれた奴が来たぜぇ!覚悟しろ…」
「今度こそ裁くであーる!」
「坊やにはどうしようもないの、諦めなさい ホーッホッホ!」
ケルベリアン、ビブリーオ、カクタンク、フォクスター。
8人全員を倒し最後の縦穴を下ると…
最後の扉。これを潜った先に…奴が居る。
「………」
最強の敵を前に一呼吸。
…扉が開く。
…潜る。
そこは上階下階とを上下に大きく貫く巨大な空間。
扉からは、反対側の扉まで大きな一本橋となっており…
空間の中央には…脳の形をした巨大コンピュータ。
前頭葉部分のディスプレイが点灯…バイルを写す。
「クーーーックックック!どうだねゼロ…英雄ごっこは楽しいかね?」
「…とてもじゃないが付き合いきれん
下らんことはここで終わりにさせてもらうぞ」
「そうか、付き合いきれんか…?お前はワシを何と思うかね…」
「全くもって理解の外だ……俺にはお前はイレギュラーにしか見えん
イレギュラーならば叩き斬る… までだ」
イレギュラーハンターとしての過去がある。
レジスタンスとしてイレギュラー扱いを受けながらも戦っている今がある。
「…」
バイルは口元を歪ませたまま、声を出さず笑った。
そして…
「クヒャーーーッハッハッハ!
そうだ、いい台詞だ!さぞ気持ちよかろう、ゼロ!!」
ゼロの言葉に何か満足したバイルは、彼を呼び出す。
巨大な光の柱。
膨大なエネルギー量。圧倒的な力の前に、押し潰されそうになる。
そんな気を発しながら、静かに空間に佇む金色の甲冑騎士…
「オメガ…!」
「ゼロ、お前は面白い奴だったよ
ここで殺してしまうのは惜しいくらいだが…
まぁいい、まだまだ楽しみもある…最後まで楽しんでくれよ、ゼロ!!」
オメガの気配が静から動へ。
大気が震える。衝撃が走る。ディスプレイが歪む。
オメガの剣の鞘が爆ぜ…大剣が姿を現す。
戦いの始まりの…合図だった。
-
オメガとの戦いが…いよいよ始まる。
オメガは腕を分離させ、
開いた掌からフープレーザーを放った。
その速度は…宇宙船のときの比ではない。
「はっ!」
放つのを見てからでは間に合わない。
素早くレーザーを飛び越えて一撃。
上からのレーザーも一歩位置をずらし避けて一撃。
「グォオオオオオ!」
最後に放たれた一発も飛び越える。
「ゼロ…ゼロオオオオ!」
今度は目からの反射レーザー。
これはハルピュイアを貫いた技。
自分のいる位置に飛んできたのでこれを飛び越えてバーストショット。
オメガの頭へと真っ直ぐに炎の弾が飛んで行き…爆発。
連鎖的にダメージを与える。
2発目、3発目は共に後ろへ避けて回避。
その間にまたチャージを行い…
今度はブリザードアローで攻撃。
バスターショットから放たれた氷の矢が、オメガへと当たっていく。
…いや、一部分は弾かれているようだが。
やはり弱点は顔部分。
オメガがいよいよ…剣を取り出した。
「…」
オメガが大剣を振るう。
空気が裂け、大気が振動する。
一直線に、巨大な絵がゼロの頭上を追う。
ゼロが走り、それを避けようとする。
剣が下ろされる。
駆け抜けてそれを回避…
「天烈斬!!」
両手でセイバーを構え、斬り上げる一発。
「オオオオオ!」
2発目も一歩飛びのいて回避。
3発目は……
勢い良く橋の一部を破壊。巨大な岩片となって破片が飛び散り…
大きな破砕音がこだまする。
破片を破壊、オメガへ近づきジャンプ斬り…
そこから回転斬りへと連携。
「ォォォォォォ…!!」
レーザーでまたゼロを追い始める。
ゼロは飛び越える…
そう思ったら、剣を取り出し…
オメガが大きく跳びあがり始めた。
あの一発だ…ゼロは理解する。
-
オメガは剣を下に向けて構え…
ゼロ目掛け下突きを行う。
凄まじい力を持つものの、冷静になれば回避は可能…
橋を貫く。
先ほどとは比べ物にならない瓦礫が飛んでくるが…
着地の瞬間を避ければ衝撃波の餌食にもならぬため、
容易に対処が可能。
瓦礫を破壊して、そのまま振り向き一撃。
オメガが斜めに切り裂いてきたので体を近づけて懐へ近づき、
回避と攻撃を一度に行い…斬る。
「ォォォォ…ォオアアアアアア!」
オメガは雄たけびを発し…
以前よりも早いスピードで剣をゼロ目がけて叩き付ける。
「ハァっ!!」
以前以上に増した力でセイバーでそれを払う。
「ォォッ!?」
小さなゼロが巨大なオメガの剣を容易に払いのけるまでになった。
極限まで高められたゼロの力は…
最早オメガを越えていた。
ゼロは一直線に駆け…
跳んで一発。
更に、アルティメットフットの効果で宙を蹴りもう一段跳び…
オメガと、顔が並ぶ。
「……!」
「……。」
目と目を合わせ……
その眼前に剣を構える。
「落砕牙!!」
両手でセイバーを握り…全ての力に任せ落下。
首元から胸部までに一気にセイバーを刺し貫き…
「ハァァァァ!」
爆発音にも似た破砕音。
オメガの両腕を、その剣ごと破壊した…!
「グォォオオオオオオオオオ! ゼロォォォォォォォ!!」
その様子に…バイルは満足そうであった。
「ククククク…やるな、ゼロ!!
だが…」
…そう。ダークエルフに取り付かれたものは皆、その姿を変えている。
…オメガは色が変化したのみ。…変化が、小さい。
「オメガの力はその程度のものではない!!
さぁ行け、オメガよ!!」
「ダークエルフの力を開放しろーーーーーーーーーーーー!」
オメガが橋を貫き……沈んでいく。
遥かな下から……光があふれ出す。
視界が真っ白な光に包まれ…………
…それは、現れた。
-
視界を覆う光が和らぐ。
すると、
……超常的な光景が目の前に広がっていた。
それはまるで滝のよう…いや、それとは方向が逆であるのだが。
…下から上へと、ひたすら天に向かい膨大なエネルギーの奔流が巻き起こり、辺りを包み込んでいる。
そんな中に崩れ去り木片のように浮かぶ、ゼロの足場… 橋。
そして…下から膨大なエネルギー反応が身を起こす。
「………」
先ほど以上に巨大な……鋼鉄の巨神。
体の左右のパーツには赤と青のパーツに分かれており
肩は赤い顔と青い顔が…腕には巨大な赤いセイバーと青いバスターがそれぞれついている。
中央には、顔を中心として黒いボディで構成されている…
全ての力を手に入れた、オメガの第二形態である。
そして…その巨神が…ゼロを見据える。
…戦いが、始まる。
オメガは青きボディが持つバスターをゼロへ向かい発射。
巨大な銃口から、ゼロの身の丈の倍はあろうかという巨大なエネルギー弾が3連続で発射される。
発射速度、威力どちらも桁違い。
「ハァァ!」
ゼロはそれを一息に飛び越え、オメガの中央の顔にチャージセイバーを叩き込み…
…そこにオメガの目が光る。
まずは赤き右半身の目。
ゼロの足元目掛けて細く鋭いレーザーが発せられ…ゼロの足元に衝突。
後ろに大きく跳んで回避した所に、
次は青き左半身の目。
比較的オメガから遠い、ゼロが移動した先を狙い撃つ。
ゼロは飛び越えてまた距離を縮めようとするが…
そこに中央の目からのレーザーがゼロの肩の腹を貫いた。
「ぬ……!!」
オメガはその隙を逃さなかった。
ダークエルフを模した中央の顔に生えた角から、巨大なエネルギー球を発射。
ゼロを捕らえ………取り込もうとし始める。
「離せ…!!」
エネルギー球の中でもがき…
何とか脱出、回転斬りで一撃を見舞い、元の位置へ。
オメガは次に追尾エネルギー弾を発射。
それはゼロより遅いながら確実にゼロを追う。
バスターショット一発で軌道を変化させ、逸らし…チャージセイバーをオメガへと叩きつける。
「…またその攻撃か!」
オメガは左腕からバスターを発射。
ゼロはそれをまた、ギリギリで飛び越え…今度は雷の力をまとったV字型軌道の2WAYショットで撃つ。
オメガにも大分ダメージは蓄積されてきたはず…
このまま一気に押し切ろう…そう思ったがそうも行かぬようだ。
-
オメガがバスターにエネルギーをためる。
それ一つで、引き寄せられそうなほどの大きな大きな力を感じる。
高められたエネルギーは… ゼロが跳んだ位置へと持ち上げられたバスターから一気に発射される。
巨大なチャージレーザーとなって。
宙を蹴り、落砕牙で急速落下したゼロは直撃を回避。
上から下へと下ろされるチャージレーザーを回避…木屑のように浮く橋にしがみついて。
チャージショットが途切れた所でまた一撃。
だがここでオメガの戦闘パターンが大きく変化した…。
オメガの右半身がいよいよ動き出す。
20mはあろうかという長く巨大なセイバーをオメガは構え…
「…!」
一気に橋を破壊…いとも簡単に破壊される。
ゼロはそこを飛び越えてオメガの肩に乗る。
まずバスターを構える左半身から攻撃。
払う、斬る、振り下ろす。
三段斬りでエックスを模したその顔を斬りつける。
オメガが体を震わせゼロを振り下ろそうとし始めた…
ゼロはそれに屈することなく今度は右半身の腕へと乗る。
そこからリフレクトレーザーを一直線にゼロを模したその顔へと当てる。
そしてその間にチャージしたセイバーでオメガの中央の顔へ跳びあがり一撃。
反動でエネルギーの奔流へ投げ出されることになるゼロは、木っ端微塵に砕けた橋の破片の一つに乗る。
三度オメガがバスターを撃ち出す。
だが三度目はかわすのではなく…
「烈風撃!」
一直線に走り、巨大な3連エネルギー弾を真っ二つに切り裂く。
オメガのバスターをそのまま斬りつける。
砲門が弾ける。
反動で跳び…
「落砕牙!」
セイバーを持つ腕へと向かい落下…腕へと大打撃。
爆発する腕から跳び…
横へ、斜めへと胴体を斬りつけ……
「最後だ…オメガ!!」
宙を蹴り二段ジャンプ。
オメガの中央の、ダークエルフを模した顔にチャージ斬りを叩き込む。
上から下へ…一直線に筋が入り、そこから光が漏れ出す。
オメガの体の各所から、咳を切ったように大爆発が続き……
巨神オメガの腕がだらりと落下。
そのまま千切れ…
砕け……
全てが壊れていく………
大破。
ゼロは宙へと再び投げ出される。
エネルギーの対流が収まるのを感じながら…
オメガのエネルギー反応が徐々に弱まり……消滅するのを感じながら……
ただ、重力に身を任せ、落下していくのだった。
-
着地…。
…研究所の下層部分へとたどり着く。
オイルにまみれていたはずのその部分は、
オメガの残骸が転がり、炎の海と化していた。
ゼロを模した半身のセイバーはエックスの半身の目を刺し貫き
エックスを模した半身のバスターはゼロの半身の後頭部へと当てられている。
炎の海の中、一つの大きな装置が目に映る。
囲うような構造をしていて……
チューブのようなものが垂れ下がっている。
「ここは……」
そう、バイル研究所なるその場所は…
「俺が、眠っていた場所…」
そう。…ここから、新しい彼の戦いが始まったのである。
戦いの終わり、カプセルに身を投じて…それから100年後の。
「!!」
…気がついた。
…カプセルに包まれ眠ったはずの彼が…
体中を繋げられたような状態で、吊り下げられて保管されていた?
……何かがおかしい。
バイルの声が響き渡る。
研究所のパーツ、コンピュータの残骸から……。
「クヒャーーッハッハッハ…!!素晴らしいぞ、ゼロ!!」
「とても偽物とは思えぬパワーだ!」
「…?」
オメガを倒され、とうとうバイルが狂ったか…?
そう、思われた時。
「………!?」
エネルギー反応がかすかにダークエルフを模したボディの残骸から感じられた。
その、僅かなエネルギーが…どんどん強くなってくる。
あっという間に第一形態時のそれと同じエネルギーになり…
更に越えて第二形態の値へと到達。
湧き上がるエネルギーは高まり続け…そして…
測定不能を示す。
残骸から一本の真っ直ぐな光の柱が天を貫き……広がる。
視界すべてを、真っ直ぐで強い光が覆い尽くす。
この光景を…………見たことがある。
…ここで…見たことがある。
『まさか』。
-
燃え盛る炎の中…重い重いオメガの残骸が紙屑のように宙へ巻き上げられる。
その中から現れた…オメガの本体。
血の如く濃く、それでいて鮮やかな真紅。
何もかもを覆い塗りつぶすが如く深い深い黒。
……その姿。
「お前が伝説のレプリロイドじゃと…?笑わせてくれる」
あのときのシエルの怯えた表情。そこから彼の力に驚きながらついてきたあの姿。
「ここで見つけたレプリロイドを、レジスタンスのバカどもが『ゼロ』と呼んだに過ぎん」
オメガの存在が『無茶苦茶』なその理由。
オメガがどんどんエネルギーを高めていけるその理由。
究極を越えるレプリロイドは…究極でしかない。
全ての終わりは…全ての始まりとも繋がる。
「オメガこそが正真正銘の『オリジナルゼロ』だ!!
お前はそのコピーに過ぎん!!」
バイルの声が苦しみを増し、歪み始める。オメガの圧倒的な力によって何もかもが歪められ…潰されていくのだ。
「英雄でも何でもない、たーだーーーのーーーコピー…なのだ!!」
巨大な甲冑騎士も、3つの顔を持つ巨神も…
オメガの余りに強いその力を封じるための拘束具でしかなかった。
真っ直ぐにゼロを見据える、オメガの瞳。
何よりも冷たく、何よりも熱い。
その額のクリスタルの輝きは……ゼロのそれを遥かに凌駕する。
「オリジナルゼロが…何故… お前の言いなりになっている」
「お前が『パッシィ』というサイバーエルフで目覚めたように…
ワシは救世主とされるサイバーエルフを用い、ウイルスに支配され尽くしたオリジナルゼロを起動させることに成功した!!」
「その上でダークエルフを用いてその力を極限まで高め、更にシエルから奪ったシステマシエルを使い
その力は更に増す…」
「奴は血に飢えた破壊神! ワシはその力を極限まで引き上げられるよう改造を施したに過ぎん!!
こうなっては…ワシの手にも最早…負えん……」
「さぁ……オメガ…いや、オリジナルゼロよ!」
炎の中、膨大な死体の中 老人の声で目覚めたゼロが…立ち上がり、
コピーゼロと相対する。
『あの夢』の通り。
「哀れなコピーが100年間見続けた夢を…
そろそろ覚ましてやれ…!!」
覚ましてやれ、の言葉を最後に、爆発音がこだまする。
歴史上 最強最悪の破壊神が……
アルバート・W・ワイリーが目指した究極の破壊者が…
今ここに、姿を現した。
「我はメシアなり!! ハーーーッハッハッハッハ!!」
オメガ最終形態 『オリジナルゼロ』
-
金色の髪、紅と黒のボディ…オリジナルにしかない、肩のパーツ。
遂に現れたオメガの最終形態…オリジナルゼロ。
自らと同じ姿の最強最悪の敵を相手に…ゼロは動き出した。
オメガは…動かない。
ゼロはオメガへと向かい残骸の中を駆け…ひた走る。
そしてゼットセイバーを振るう。
最初にチャージ斬り。
…だが。
「……!」
あっけなく回避された。
「ちっ」
振っても振っても、セイバーがオメガに届くことがない。
ならば。
「斬鋭弾!!」
セイバーから発せられた衝撃波をオメガへぶつける。
…しかしここで信じられない事態が起こる。
「…」
オメガが開いた手を衝撃波目掛け伸ばしてきたのだ。
更に驚くべきは…
「な…!?」
…一切傷がつかなかった。
オメガが見せた余裕…
彼は動きを見ていた…避ける意味さえなかったのだ。
「何だ…?今のは」
「ふざけた真似をしてくれたものだな…」
半端な攻撃は通用しない。
それは解った。
バスターショットを最大限にチャージ…
最強のチャージショット、リフレクトレーザーを食らわせる。
「………」
オメガの胸めがけ。
だが…効かない。
「…どういうことだ」
オメガは全く動かない。
ゼロはダッシュで、目にも止まらぬ速さでオメガに近づき…
跳んで
「ハァッ!」
跳んで一撃。
「あぁぁっ!!」
回転斬り。
「落砕牙!!」
下突きで落下。
そこから着地…
「セイッ!!」
払う。
「フンッ!」
袈裟斬り。
「ハ!!」
真上から真っ直ぐに振り下ろす。
「……ククク… クククク…!」
…傷一つつかない。
「…何…!?」
だが動揺するゼロに更なる追い討ち。
「グハ……ッ!」
オメガが拳でゼロの腹を殴りつけ…
そのまま空高く突き挙げた。
「……ウッ!!」
自然落下、そのまま叩きつけられる。
-
…まだチャージ斬りまでは試していない。
流石にこれを防げるはずは。
「…食らえ!!」
跳びあがり、オメガの顔面へ向かいチャージ斬り。
…叫び声がこだまする。
「ぬぁぁあっ……!」
チャージセイバーの刃を顔面で受け止め、殴りつけたのだ。
「…バカな」
地面を引きずるゼロの体。
「ハーーーハハハハハハハハ!」
オメガは目にも止まらぬ速度で近づく。
「まだだ!!」
セイバーを一発。
…しかし。
「…………」
何も言わずにオメガはセイバーを手で掴み…
「ウォオオオオ!」
ゼロの体ごと地面へと激しく叩きつけた。
「…我を倒せるものなどこの世には居はしない!」
そのままゼロの顔面へ向かいアースクラッシュの構え。
「!!」
ゼロは間一髪それを避け…オメガから距離を取る。
ハイマックス、ゲイト、ウイルスに感染したゼロ。
それらから解るように…
ゼロは覚醒した際の能力として、あらゆる攻撃を無効化する性質を持っている。
ウイルスに完全に感染し尽くした状態であるオメガはその力をフルに活用する事が出来…
その上でダークエルフ、更にシステマシエルの力により更に高められる。
この地球上において、何人なりともオメガを傷つけることは出来なくなっていた。
…ウイルスの力を弱めぬ限り。
それが出来るのは、この世にマザーエルフただ一人のみ。
…そのマザーエルフはダークエルフとなり、今オメガと一体化している。
ゼロの力を以ってしても……倒すことは不可能。
「うっ… く!!」
このまま…死を、オメガによる破壊を待つのみ。
だが……そこに一人のサイバーエルフが飛来する。
「!!」
何も言わずに、サイバーエルフはゼロのセイバーへと入り込み…溶けていった。
「ゼロ君……これが私の力だ」
久方ぶりのその声。
…セイバーが輝いている。
「その程度か……」
オメガが近づいてくる。
「…!!」
オメガの肩に切り傷… 肩のパーツが破壊される。
…ゼロと、同じ姿になる。
…そう。飛来してきたのはエルピス。
マザーエルフの力によりサイバーエルフとなった彼には…
マザーエルフの能力の一端が備わっていたのだ。
必要なのは「ウイルスの力を取り除ける」というその能力。
微々たるそのダメージも…0ではなくなる。
「ゼロ君…シエルさんも君の帰りを待っている
…生きるんだ……!」
オメガの眼前へセイバーを突き出す。
「……勝負だ」
飛び込み、斬りつける。
「…」
破壊神はただ、ニヤリと笑い、目にも止まらぬ動作でセイバーを受け止める。
「……何?」
その手にあったのは……。
-
かつて、零空間でゼロは不完全ながら死を迎えた。
その際、エックスは彼の使ったゼットセイバーを手に戦いを続けていた。
だが、再び彼の前に姿を現し、ゼロはまたエックスと共に戦うことになる。
その際ゼロは…背に威力の増した、ゼットセイバーを携えていた。
そう その時から『ゼットセイバー』なる剣はこの世に2本存在していた。
エックスが持っていたその剣は、その後は使用されぬままエックスの手元にあり…
100年後、この研究所でゼロへと渡され…今、ゼロが持つ愛刀となっている。
そしてもう一本のゼットセイバーはオリジナルのゼロと共に…
そう。オメガは、ゼットセイバーでゼットセイバーを受け止めたのだ。
「クククク…アーーーハハハハハハハハ!!!」
刃の色は紫。
オメガが押しのける。
「くっ…………!!!」
腕を一振りするだけで、荒々しい一陣の風が巻き起こり…ゼロをたちまき吹き飛ばしていった。
ゼロはサブタンクで傷を完全回復…
最強最後の敵との戦いは、ここで漸くスタートラインに立ったのだった。
「「行くぞ!!」」
ゼロとオメガの両者が同時に駆け出す。
「ハァ!!」
ゼロが跳んで回転斬り…しかし。
「龍炎刃!!」
オメガを飛び越えながら斬りつけようとしたゼロに対し、
オメガは走ったそのままの体勢から、その勢いのままに
両手でセイバーを握り、斬り上げたのだ。
「…………!!」
下から、上へ突き上げられる刃。
跳びあがる際に踏みしめられた地が悲鳴をあげ、砕ける。
ゼロの体が宙を舞う…が。
「ウッ…!!」
苦し紛れにも跳んだそのままの体勢でオメガを斬りつけた。
ゼロはそこから距離を取るが…
オメガは追ってくる。
…やられてばかりは居られない。
ゼロはオメガへと近づき…
低い姿勢から、胴を真横に斬りつける。
だが…
「セイ!ハッ!!トウ!!」
払う、袈裟斬り、振り下ろす。
オメガによる三段斬りを代わりに直撃してしまうことになる。
一発一発が重い。
-
「っち…」
サブタンクでまた回復
再びオメガへと向かっていく。
「滅びよ!!」
ゼロが地面へ拳を突き出す。
真・滅閃光である。
地が揺れる、砕ける、飛び散る。
突き出された拳から、膨大なエネルギーが注ぎ込まれ…
地面の中で爆発を起こす。
大気が揺らめき、衝撃が耳を劈く。
飛び散る青き光。
ゼロはそれに直撃され吹き飛ぶ。
「はぁぁ!!」
そこへまた龍炎刃。
「まだだ!!」
ゼロはバスターショットからのチャージショットを放つが…
オメガが目にも止まらぬスピードでその銃を抜き
「はっ!」
特大のチャージショットを放つ。
「ぉおおおお…!!」
ゼロのチャージショットをいとも簡単にかき消し、
オメガの放ったショットがゼロを焼く。
「はっ!!」
もう一発、更なるチャージショットでたたみかける。
ゼロは続けてそれにも直撃…
「食らえ!!」
最後にセイバーを突き上げ、
地も大気も一刀両断する衝撃波でゼロを切り裂く。
「う……!!」
剣を携え復活した頃より用いていた、トリプルチャージである。
「……はぁ……はぁ…」
またも回復する羽目へと陥る。
「…」
だが何となく、オメガのタイミングが読めてきた。
自分のオリジナルであるだけはあり…
行動のパターンが似ている。攻撃の方法も、タイミングも。
「さぁ…」
オメガが高く跳びあがり…
その上で宙を蹴り更に上へ。
ゼロも同じくオメガへと向かい走り、跳び…宙を蹴りオメガと同じ高さまで来た。
「はぁぁ!!」
「裂けるがいい!!」
ゼロはオメガにチャージ斬りを食らわせる。
同時にオメガが空中で刃ごと一回転…円水斬だ。
オメガの体を中心として巨大な円形の衝撃波が発生し…辺りの全てを斬り刻む。
双方互いの剣技を食らい、その衝撃で飛ばされる。
「読めたぞ…!!」
オメガが走りぬけ龍炎刃を放つがそれを飛び越す。
ゼロは背後から三段斬りを直撃させる。
-
「やっと調子が出てきたか!?」
トリプルチャージは二段同時にに飛び越し…
最後の衝撃波にチャージ斬りで対応。
「うっ…!」
「く」
相殺とまではいかずとも、地を叩くチャージセイバーはオメガへ届いた。
こちらの食らうダメージも多いものの、相手にもダメージを与える事に成功する。
「まだ終わらんぞ!」
サブタンクで傷を癒し更にオメガに向かう。
「烈風撃!!」
走ったそのままの体勢からオメガの体を一直線に突く。
「天烈斬!!」
両手で握ったセイバーを高く高く突き上げ、跳ぶ。
「落砕牙!!」
跳んだそのままの体勢から刃を下へ向け、急速落下と共に刃を突き出す。
…しかし。
「消え去れ!」
オメガはそれほどの傷を負いながら、攻撃をやめなかった。
拳を地へ叩き付ける。
「ぁ………………!!!」
天照覇だ。
オメガの拳を根とし、高く高く…宇宙まで、一本の光の柱が天までを貫く。
その光の柱に焼かれたゼロは、真上でなかったため即死を間逃れたものの、
軽々とそのエネルギーの柱によって吹き飛ばされる。
そして…
「食らえ!!!」
オメガが一瞬の動作でチャージセイバーを繰り出す。
破壊神が一気にその力を地へと叩き付ける。
それにより、辺り一面…セイバーのある位置から先に
ずっとずっと…破壊の跡が続く。
地殻が一瞬にして粉々に砕け、大地を揺るがす巨大地震を巻き起こす。
「…う…っ …あ… …………」
その中心にいたゼロは動けなく…
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