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チラシの裏 3枚目
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ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに
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現れたのはエルピス第二形態。
「モットチカラヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!」
その腕の間から目玉型のエネルギー球を発生させ、それは辺りを暴れ回る。
「!!」
それに直撃され、ゼロはバランスを崩す。
だがゼロはエルピスへと向かっていく。
「ワビテクチローーーーーーーーー!」
続けて腕からビームを発射。
「うっぐ…!」
これもゼロへ直撃。
ビームが撃ちこまれた場所からはまた、目玉の形をしたエネルギー体が。
「何なんだ…?」
ノーマルフォームへと変化、エルピスごとチャージ斬りで叩き斬る。
「ニンゲンドモメエエエエエエエエエ!!!!」
金色に輝く、とげのついた壁が登場……ゼロを壁へと押しつぶし、串刺しにしようとする。
だがゼロにとってはいい足場。これに乗り、エルピスを攻撃。
「ジャマヲスルナアアアア!」
再びエネルギー弾を放ってくる。これも回避。
「どうやら力は手に入れたようだが…
その様子では力を使うだけのようだな」
だがその言葉はエルピスに聞こえていた。
「ズニノルナァァァ!」
揺らめき、ワープ。
「オワカレデス!!」
4枚の翼からエネルギー弾を自在に放り続ける。
「……!!」
正直、この状態ではエルピスに手出しが出来ない。
「アーーーーッハッハッハッハァァァァ!!」
更に同じ技を繰り返す。
「……」
これではうかつに手出しが出来ない。
そしてもう一度ワープをした時…いよいよエルピスの様子がおかしくなる。
「ウ…ウウウウ…ウオオオオオオオオオオ!」
その腕から放たれたビームは…今度は台座を作り出した。
「…なんだ?」
明らかに意味のわからない攻撃。
空を飛んでいるエルピスへ攻撃するのにはうってつけだ。
…だがどうして?
「…お前」
崩壊が近づき…エルピスがもし正気に戻りかけているのだとしたら。
「我慢しろ、エルピス!!」
チャージを始める…その時。
「!?」
ゼロの体が突然…あらゆる色に輝き始める。
白、黄色、青、赤、緑…オレンジ、青紫、紫、黒。
「………これは」
そして………赤へと戻ったところで光がゼロを包み込み始める。
「……何だ、これは」
紫色がかった赤色へと変化する。
その形態の名前が…ゼロの脳裏に焼き付けられる。
「『アルティメットフォーム』…!?」
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全ての力を備えた、究極のフォーム。
ダークエルフの力に呼応したのか…あるいは。
「行くぞ、エルピス…!!」
台座に跳び乗る。
8の字を描きながら上昇する台座。
そして…跳びあがり…エルピスを頭から……切り裂く。
「ハァァァァァァァ!」
「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
眩い光に包まれ…エルピスが…堕ちていく。
…後に残ったのは、残骸…そしてそれにもたれかかり横たわるエルピス。
「……ありがとう、ゼロ君…
私は、もう少しでとんでもないことをしでかすところだった……」
ダークエルフはエルピスから遊離している。
つまらない手駒を失ってしまった、といったところか?
「…私は、バカな男だ… 自分の非力を憎むあまり、こんなことを…
…自分の失敗を認めるのは、勇気が要ること… これで私も少しは… 変われただろうか」
…最期の時だ。
頭にあるのは、ゼロに申し訳ないと思う気持ちと…そして。
「…有難う、ゼロ君…
…さよなら………シエルさん…」
その時だった。
…ダークエルフが突然、色を変えた。…闇ではない。…光だった。
「お、お母さん…!? わ、わぁああーーー!!」
「何か変だよーーーーーー!」
二人のベビーエルフが逃げ出す。
様子がおかしい。
白くなったダークエルフは……エルピスを慰めるように、光をもたらす。
「…ああ、暖かい………」
そして…エルピスの体はみるみるうちに溶け…… 消滅。
…そして、なんとサイバーエルフへと変わっていた。
「………」
ふわりと空へと飛ぶ。
「………… 彼女は、私を助けてくれたのか…
…もしかすると、彼女は…邪悪な存在ではないのかもしれない。
…さようなら、ゼロ君…」
エルピスはそうして…どこかへ旅立っていった。
「……!?」
ダークエルフが色をまがまがしい黒へと戻そうとしている。
だが…その瞬間…彼は確かに聞いた。
「ゼ………ロ……」
彼の名を呼ぶ声。…ひどく、懐かしい声。
ダークエルフは、そして翼を背に去っていった。
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十字のポーズ、鎧をまとう変身、黒き花、目玉のエネルギー、倒れた姿、レプリロイドだけの世界、そして最期に心の中にあったもの。
……何かがゼロの心をかき乱す。…記憶が… 魂にある何かが。
「………彼女は昔から、ダークエルフと呼ばれていたわけではない」
エックスが降りてきた。
「…彼女はかつて、世界を救うために生まれてきた」
「その時は別の名前で呼ばれていた」
遠まわしな、もったいぶるようなエックスの言葉。…ゼロの心が更にじらされる。
「…だけど」
いや。そもそもダークエルフはいつから存在していたというのか。
「…彼女の力が、世界を滅ぼしかけたその時から……」
アンドリュー爺さんから聞いた話では、ヤコブ計画の中心人物、
ルミネとの戦いの物語で終わっていた。
「彼女の名前は、『ダークエルフ』と呼ばれるようになったんだ」
そんな名前は、出てきていない。
「…そう、『ドクターバイル』に呪いをかけられた…その時からね」
その名前を、ゼロは忘れない。忘れたとしても、後に忘れられなくなる名前となっていくのだが。
エックスは去る。
「…シエル」
「あ、ああ…聞き覚えがあるわ。ドクターバイルは、確か…戦争を起こした科学者レプリロイドのことね」
「…それもいいが、それより聞きたいことがある」
ゼロの心に生じた、明らかな焦り。
「……今はいつだ」
「…えっ」
それは何か、不安に駆られるように、何かを求めるように、急かすように。
「ネオアルカディアが出来てから100年か?
イレギュラー戦争が始まったときから100年か?
イレギュラー戦争が終わってからの100年か?
俺が封印されてからの100年か?
ダークエルフが封印されてからの100年か?」
『100年』…
前世紀という言葉で覆い隠され、丸められ捨てられてきたあらゆる事柄。
「俺が眠ってから一体何があった?」
「ルミネという、そりゃあべらぼうに強いイレギュラーを倒した後にな…
…ゼロっていうお前さんと同じ名前の英雄は、カプセルの中に入ったんじゃ…」
アンドリューの話。
…聞きたいのはその後だった。
「…今は…何があってから100年なんだ …俺が眠ってから何があった!」
シエルは…言葉に詰まる。
自分が、ネオアルカディアから与えられた表層の情報しか持って居なかったことに。
ゼロに…どこか、何かを思い出すだろうと期待して、自分は何もしていなかったことに。
そのゼロに、今…何も知らない自分が、情報を求められていることに。
…唇が、震える。
「………今は」
戦いは終わらなかった。
100年の言葉の前に捨てられてきた、歴史の闇に葬られた空白の期間。
世界が抱えた、忘れられぬ痛み、悲しみが…… 彼らに、牙を剥こうとしていた。
そして始まるのだ。未来をかけた、過去との戦いが。
「今は、『妖精戦争』が終わってから100年後の時代よ」
「クーックックック…ダークエルフが目覚めたようだぞ
会いたいだろう… お前にも、動いてもらわねばならんな…
『オメガ』…」
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ガンマと共にDrワイリーの研究所は倒壊
博士はその下敷きとなり…その生涯を終えた。
彼は…ロックマンは、一層強く生きなければならなくなった。
兄ブルースに、彼を拾ったDrワイリーより優先して助けられたことに意味を感じながら。
新たなる改造を施されたロックマン。
ブルースにはついていて、ロックにはついていなかった、ある機能。
それを手に入れたら…もう彼は後には引けなくなるが。
「ニューロックバスター?」
「うむ。…以前、ヒートマンの武器を、エネルギーを高めて
放つことが出来るようになったことがあったじゃろ」
クイックマンとの対決のときだ。
「あれと同じじゃよ…あれをうまく扱えるお前なら、
きっとこの能力も使えると判断した」
ロックバスターは威力が弱い武器だ。
連射してマシンガンのような攻撃として使う方法もなくはないが。
「これを使うことで、お前は特殊武器に頼ることなく、
立派な戦闘用ロボットとして機能を果たすことが出来るようになる…いいな」
逆を言えば…
「僕の戦いが認められた…一つの証だと思っておくことにします」
そんなある日である。
「ごめん、何か故障みたい」
「どうしたのロールちゃん」
ごそごそと背を向けて機械の調整をするロールちゃん。
「うん。転送装置の故障が起こったみたいで…」
「え!?」
これでは何かあってもすぐに現場には駆けつけられない。
「あ。そうそう…サポートメカも今作ってる最中だから、
次の事件からはこれも持って行ってね」
事件は、ワイリーの絡む事件だけではないのだから。
…だが、ワイリーに並ぶような大きな事件は一つもない。
いつか戦いも終わりを迎える…そう思っていた。
「それはともかく…転送装置がないのは不便だね…どうしたら……」
そのとき。
「あ!!」
「ピピーーーー!」
突如として、謎の翼の生えたロボットがロールちゃんの手にあった
サポートメカ2機を奪っていった。
「フフフフフフ、その必要はないよ、ロックマン君」
小鳥型のロボットは、その主の肩へと戻っていく。
ライト研究所の扉の前に現れたのは……
「…あなたは…」
「コサック博士!」
「君が一体何をしに来たんじゃ!?」
ミハイル・セルゲイビッチ・コサック。
ロシアの、30代にして地位を築き上げた若き天才科学者だ。
「世界は君に注目しているようだね、ロックマン」
「…君はいまや世界のヒーロー。
君のことを世界中が注目しているといっていいかもしれないね」
「……」
「…逆に言えば、君を倒せば世界征服の夢は半分以上完成するといっても過言ではない
…違うかな。 あのワイリー博士でさえ成し遂げられなかったのだからね」
鳥型ロボットに掴まり、大空へ飛んでいくコサック博士。
「さあ、勝負のときだロックマン!私は世界の各都市を占拠した…
取り戻したければ各施設にいる我がロボット達を倒してみたまえ!!
…待っているぞ!」
サポートメカを取り戻すこと。ロボットを倒し、町を開放すること。
「…行ってくるよ、ロールちゃん」
待っている、の本当の意味を彼は知る由もなく。
彼は…髪をなびかせて列車に乗るのだった。
トンネルを抜けるまでの間に…彼はヘルメットを被る。
新たなる戦いのときだ。
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「…ロック! 転送装置の故障が直ったわ
これで、コサック博士の研究所に乗り込める…!」
8体目のロボット、ファラオマンを倒した所で
彼は研究所へと戻る。
「…」
結局、以前と変わらぬ戦いだった。
彼は、コサック博士の研究所へと乗り込む。
「………これが僕の戦いか」
それから更に2つのエリアを抜け、夜が明けて視界を覆うは青空……
巨大なコサック研究所のテラスへと出た。
「…」
結局、戦いは終わらなかった。
ワイリーからコサックへ…敵が変わっただけである。
『悪い人間』は…一人ではなかった。
それも、二人揃って優秀な科学者である。
…彼の戦いは果たして終わるときが来るのか?
…人間という生き物にとって、自分は何であるのか?
自分の戦いは、本当に人を救うことに役立つのか?
彼は、疑問に思い始めていた。
…戦いを決意させたのと同じ、青空を見つめながら。
コサック研究所最深部。
とうとう現れたコサック博士との対決。
「さあ、勝負だ!!ロックマン!
…私は、負けるわけにはいかん!」
…彼は本気だった。必死でロックマンに戦いを挑んでくる。
…何故?
「このマシンは私の趣味が反映されているが…気にしないでくれたまえよ!」
だが、まずは目の前のコサック博士のマシンを破壊することだけを考えた。
UFOキャッチャーのようなそのメカは、ロックマンを掴んでは落とす。
こちらも全力で挑む。
そして、チャージショットがコサックのマシンを貫通したそのとき…
「ううううっ……!?ま、まだまだ…!!」
「お願い!! やめて、ロックマン!」
…そして明かされた真実。
コサック博士は、ワイリーに脅されていたのだ。娘カリンカを人質に取られて…。
…彼は、生きていた。ブルースと共に。
ブルースはカリンカを救出し、そして…ワイリーの元を去っていった。
「…有難う、ブルース」
抱き合って喜ぶ父コサックと娘カリンカの姿。
…人間同士の親子愛の前に、ロボットは立ち入れないような、そんな気がしていた。
自分の戦いで、二人は救われた…。 その事実だけを噛み締めながら。
ワイリー研究所には入り口はない。
彼は…カリンカの掴まっていた地下室から侵入、
2体の大型ロボットを倒し、いよいよもってワイリーの部屋を目指す。
…準備は全て完了した。後は彼の野望を食い止めるのみ…!
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「これで……」
「最後じゃああああああああ!!!」
暗闇の中で、目からオイルを流すロックマンと
いよいよ追い詰められた、カプセル一つに乗ったワイリーとの
最後の戦いがいよいよ始まり……
「チャージ…ファラオショット!!」
「何っ!?」
勝てないと思われたその戦いもとうとう幕を閉じた。そして…ワイリーは逃げた。
「ピピピーー!ピー!」
「…すまなかったね、ロックマン…これではお詫びにもならないだろうが…」
「…! 前にワイヤーとバルーンを盗んでいったあの!」
「うむ。君のヘルメットをパーツとして改造を施してみたんだが…どうだろうな
『ビート』という名前なのだが」
「ビート… 有難う御座います、コサック博士!」
それから時は流れた。
あるロボット達の起こす事件がニュースを騒がせていた。
「『B』の文字…か」
「どうやら、またみたいッスねー…」
「何だか怖いでありますぅ…」
世間を騒がせていたのは謎の破壊工作を行う革命集団…
9人のメンバーにより構成されているとされる。
「『B』の文字か………」
そして彼らは、いよいよ表立った動きを見せた。
「それじゃあ僕は重力研究所に行って来るよ」
「頑張って来いやぁぁぁ!」
「おう、留守の間は俺らがしっかり見張ってるからよ!」
重力に関するあらゆる研究を行っている場所であり、
反重力ユニットの開発にも成功しているとのことだ。
「…これは一体!?」
そこはロボットに占拠されていた…。
「…例のロボット集団か!」
ロールちゃんにも通信が繋がらない。
…彼はただ一人で、重力研究所を奥へと潜っていった。
最深部にて現れたのは…。
「わざわざ俺のアジトにまで来てくれたんだな!」
「…君は!?」
彼の名はグラビティーマン。その胸には…『B』の文字。
「俺たちは人間達への復讐のため戦っている
人間に従うお前は俺たちにとってはジャマなのさ!」
彼は重力を操るロボット。ロックマンが床にいるときは天井にいて、ロックマンが天井にいるときは床に。
グラビティーマンは斜めにもバスターを撃てるため、一方的な攻撃も可能。
しかしロックマンをそれでは倒せない…
重力反転のときの交差が、唯一のお互いの攻撃チャンス。
重力により交差をしながらの変則的な戦いとなったが… ロックマンはそれに勝利した。
だが。
「…へへ、時間は稼いだぜ…リーダー…」
「リーダー…お前達のリーダーは一体何者だ…!」
「ああ! 今頃お前の所の研究所にいるころさ…! ぐはぁあっ…!!」
こうしてはいられない。ライト研究所へひた走るロックマン。
…だが…彼がの視界に白い白衣と赤い影が見えたと思ったその瞬間、
それは彼方へと飛び去ったのである。 …ライト博士を誘拐して。
ふわり、ふわりと落ちてくるは黄色いスカーフ。
これをつけていた赤いロボット…一人しかいない。
嫌な予感が…こみ上げる。
ワイリーの手を離れた、彼の復讐は…ライト博士だけに留まらなかったのだ。
「…ブルース…!?」
彼を待つは人間の追放を目的とした、リーダーの名をとったロボット集団『ブルース』
世界各地で破壊工作を行う彼らとの戦いが今…始まる。
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事態は思った以上に深刻。
9人で集中して大都市の中心部を占拠、
1つの地区を丸々自分達の城塞へと改造してしまったのである。
そんな彼らがまず起こした行動は巨大鉱山の爆破。
鉱物資源に富んだ連なる山々を爆破し、ふもとの都市を岩の下敷きにしようというものだった。
その阻止を依頼されたロックマンは
メットールたちに占拠されたその山へと登り、ロボット達を倒していく。
待っていたのはブロックで出来たようなストーンマン。
崩れては再生するそのボディと、大きく暴れ回る岩パワーストーンに苦戦しつつも
勝利を掴み取る。
そして、2人のメンバーを倒されたリーダー、ブルースから招待状が届く。
どうやら、彼は建設途中の空中都市を占拠した模様である。
作業用リフトに乗り高所へ。
高所での敵との戦いを乗り越え、トラップをも乗り越えた先にいたのは
ブルース、そしてワイリー。
もちかけられたのは…2択。
「…仲間にはならないよ、ブルース」
「…こうやっても、か?」
「や、やめるんじゃブルース…ぐあああああ…ああああああああああああ!!」
遥か空の上から突き落とされるワイリー。
「…!?」
「安心しろ、ライトにはまだ協力してもらわなきゃならないことがあるからな」
…それで、これでお前の敵は殺してやった訳だが…」
ロックマンが喜ぶ訳がない。
「…尚更…君のことがよくわからなくなってきた。
…目を覚ませ!!」
バスターを向けるも盾で弾かれ…
フッと笑い、ブルースは消えた。
「なら、仕方ない… 相手してやってくれ、ジャイロマン」
現れたのはブルースのメンバーの一人…ジャイロマン。
雲に隠れながらジャイロアタックで攻撃する卑怯な戦法であるが、
ジャイロマン自体が雲の中ではロックマンを捉え切ることは出来ず…雲から姿を現したところを倒された。
こうして、全面的にロックマンは彼らと対決する姿勢をとることとなる。
彼らの行動はエスカレートしていく。
今度は宇宙ステーション占拠。彼らの目的は一体何であるのか。
ラッシュを改造、宇宙へ進出したロックマンはそのステーションでメンバーの一人、スターマンと出会う。
重力が少ないことを利用して、大きく動くスターマン。
周囲にバリアを張ることで防御力と同時に広い攻撃範囲も得る。
しかしバリアを弾として放ったことがきっかけで、ロックマンに敗れ…
カリンカが宇宙ステーションにあった宇宙開発用アイテム、スーパーアローを発見した。
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だが…事態は更に悪化する。
宇宙ステーションからの電磁波が影響を及ぼし、ライト研究所の通信設備は封じられただけでなく…
なんと、軍事衛星がジャックされ…某国の密林内にある基地の兵器が暴走を始めたのだ。
人間は退去、ロボットも衛星からの信号で操られ、ブルースの手に落ちる。
ロックマンは地上へと降り、基地の中へ。
密林の中、そしてその基地の中での警備ロボットや兵器ロボットとの戦い、そしてその末に待っていたのは
体全体に兵器を満載しているナパームマン。
ミサイルを乱射したり、重量の重いボディをキャタピラで動かしながら破壊力が桁違いのナパームボムを放ってくる。
ロックマンはチャージショットで対抗。火力と火力のぶつかり合い…そして撃破。
だがそこで政府から彼へのメッセージが。
何と、国家の命運をかけて行っていた、新たなロボットのエネルギー材料開発プロジェクトが行われていた区域が
ブルースらに狙われているとのこと。
向かったのは真っ青に輝く水晶だらけの水晶の畑…洞窟内は上を見ても下を見ても輝いている。
美しい洞窟の最深部で待っていたのはクリスタルマン。
クリスタルアイと呼ばれる、クリスタルを励起させ発射、部屋中を際限なく暴れ回らせる能力を持っていた。
真っ青な中で、青きロボット二人により死闘は繰り広げられ…クリスタルマンも撃破。
なんとかエネルギーを奪われずには済んだらしい。
だが…ブルースをこれ以上野放しにはしていられない。
ロックマンはロールちゃんをリーダーとしてライトナンバーズ達に応援に向かわせ、
ブルースのアジトへ乗り込むことを決意する。
まずは海を乗り越えなくてはならない。
港へと移動、海水から真水を作り出す巨大施設からウォーターバイクに乗り、
海を渡る。
途中、巨大ロボットの妨害もありながらなんとか突破、渡った先の港でウェーブマンとの戦闘。
碇を撃ち出してきたり、自在な位置から水を噴出させるその力は強力だったものの、何とかこれも乗り越え…
いよいよブルースの城塞都市までは線路一本という所まで来た。
このまま、都市内部へと入っていく貨物列車へと乗り込む。
「この列車の者以外には気付かせていない…感謝してくれよ、ロックマン!」
ブルースの居城までを守るはチャージマン。
機関車型ならではのハイパワーの突進攻撃、石炭を打ち上げ、隕石のように降らせる攻撃が主。
意外に小回りも効き、ボディ自体も大きめなため、思わぬところで苦戦を強いられる相手であったが…
これも撃破。
たどり着いた場所は…
紫色の空に照らされた城壁、並ぶ小型タンク、
監視メカ、白い虎型の警備ロボット、侵入者を探す爆撃メカ。
…かつてない万全の警備の、ブルースの都市。…そこはもう、敵の本拠地だった。
聞きたいことが、山ほどある。
-
「侵入者を発見、直ちに排除致します」
ブルースの本拠地は広大。
警備メカの目を掻い潜り、または破壊しながら先へと進む。
爆撃メカの爆弾を超えてスーパーアローを壁に突き刺し、壁を乗り越える。
まとわりつく小型メカに気も止めず進むと頭脳パーツがガラスで覆われた謎のロボットが。
ダークマンと呼ばれるそのロボットを倒し、一度地下へ身を隠す。
身を隠すと同時に、それは中心部へ進むのに最もいい手段とも言えるからだ。
だがやはり警備は地下にも行き届いていた。
敵を倒し、危険な地下道を潜りながら…またもダークマンを破壊。
エレベーターに乗る。
夜空にきらめくは星、月…そして明かり。
サーチライトが辺りを照らし、建物の先端からは信号を発している。
金色に輝く城には謎の線状装置が行き交う。
いよいよ、ブルースの近くまでやってきたのだ。
警備というレベルではない。…ロックマンを殺しにかかる部下達。
ヘリや砲撃、または押しつぶしにかかったり。
何重もの防壁を抜け、移動用装置であった線状装置に導かれた先では再びダークマンとの戦い。
これで3体目…
これを倒すといよいよブルースの部屋までの最後の一つの塔。
エレベーターを阻む柱を破壊、どんどん上階へと登っていく。
…そして…彼がいた。
「ブルース!!」
「来たな…ロックマン」
…彼は兄…辛い過去も聞いた。…戦いたくはない。
「…話は聞いてくれないか」
「俺の話を断ったのはお前の方だろう…」
にじり寄る。
「お願いだ、こんなことはやめてくれ、ブルース!!」
「…言えるのは所詮その程度か!」
エネルギーチャージ。
「や、やめてくれ…!」
更にチャージ……
「これはお前を倒すために取っておいた取って置きの攻撃だ…
…俺の部下にはなってくれないか、ロックマン」
これを撃たれたら勝てないとは解っている…けど。
「…嫌だ」
ブルース最強の攻撃、ビッグバンストライクが発動…
「ぁあああああああああああああああ!!!」
エネルギーの巨大な塊がロックマンを壁へと叩き付ける。
…もしダメージを少しでも負っていたら、この攻撃で完全に粉砕されていたことだろう。
…かろうじて、彼は立っていた。だが…その時。
口笛が鳴り響く。
「!?」
現れたのは…赤いロボット。…なくしたはずの黄色いスカーフをつけたままの…。
「…そんな!?」
「……フフ、ハハ、アハハハハハハハ!」
スカーフのないブルースが突然笑い始める。
「目立つ真似は俺は嫌いでな」
ブルースストライクをかわしこちらもブルースストライク。
「ぐっ…!?」
スカーフのないブルースが…吹き飛ぶ。
…大きなメカの形へと変化する。
「ヤツはダークマンの完全体…気をつけておけ
これを受け取れ、ロックマン」
謎のアイテム『L缶』を渡し、彼は姿を消す。
「…… 有難う、ブルース」
「バレたら仕方ないな…!」
腕からのバスターでL缶のあった床を破壊…
戦いが始まる。
-
「ガーッハッハッハ!ライトを助けたければ、ワシの所まで来てみることじゃな、ロックマン!!」
結局、ダークマン達を使ってブルースだけでなく、世界を陥れようとしたのはワイリーだった。
あの時、ダークマンに突き落とされたと思われた彼は、下で待機していたジャイロマンに助けられていたのだ。
…台本どおりに。
そしていつものようにワイリーの研究所へ。
だが…今回は戦う意味が違う。
ロックマンは、ライト博士を助けるために進むのだ。
以前にもまして強力なトラップに屈することなく、ただ、ただ…ただひたすら、彼は進む。
博士のために。
カリンカを助けるため、コサックは悪役を演じた。
コサックを助けるため、カリンカはブルースに懇願した。
人間同士の親子の絆は、美しいものだった…
今は…
「…関係ありません!今度はあなたがお父さんを助ける番です…行って下さい、ロックマン!」
ロックマンがライト博士を助ける。
世界のためにもなるであろう。だが…それよりも、彼には大きな意味があったのだ。
ロックをロックマンに改造するとき、どれほど辛かったか。
ロックマンにサポートメカを沢山作ってくれた博士に報いるためのこと。
…いや、そうでもないかもしれない。彼がワイリーに立ち向かい続けたことでこうなったのであれば。
考えるのはそれまでにして、彼は戦いへと集中する。
たった一つの、目的のために。
そして、彼はやっと知る。ワイリーナンバーズたちの気持ちを。
今回のロボット達を作ったのもワイリー。
ワイリーが世界征服をしようとしている?ワイリーは世間的に極悪人である?ワイリーが元々ライト博士を浚った?
そんなことは関係ない。
彼らは…彼らはただ、自分の製作者のために戦っているに過ぎないのだ。
だから、彼は全力で相手するつもりでいる。…数なんて関係ない。
お互いの製作者のために、全力を尽くすだけなのだから。
そうしているうちに…彼の周りを8つのカプセルが囲いだした。
その中には彼を倒さんとする8つの命。
…戦いのときだ。
-
ワイリーは如何にして、毎回大量のロボットを作ったり
毎回巨大な研究所を作って世界征服へ乗り出していたのか?
その資金は一体どこで手に入れたのか…?
その理由がとうとう明らかになった。
ロボット達との共存社会の足がかりとして、第一回ロボット選手権が開かれた。
その主催は、世界中の科学者達を支援している巨大企業『X財団』
そのトップたる、MrXは謎に包まれた人物だったのだが…
彼がなんと、世界各地の代表選手ロボット8体を盗み、世界征服に出たのだ。
「今こそ明かそう…この私こそが、Drワイリーを影で操る支配者だったのだよ!
勝負だ、ロックマン!」
…何ということはない DrワイリーこそがMrXその人だったのだ。
彼は社会で犯罪者として名を馳せ、影を与える傍ら、X財団のトップとして社会に光を与えていたのだ。
そして、とうとうDrワイリーはロックマンによって逮捕される運びとなる。
これにてアルバート・W・ワイリーという世紀の科学者による犯罪は終わりを告げる。
…かと思いきや。
世界一の科学力を持つ彼はどうしてコサック博士にわざわざ世界征服の真似ごとをさせたのか?
ロックマンをおびき出すそれだけのためにライト博士を浚ったのか?
その理由が…ここにある。
「全く……Drワイリーの考えることはわかんねーな」
「ガルルルルル…」
狼型ロボットを引き連れた、黒きロボットが一人。髪を模したヘッドパーツに、頭と胸のクリスタル。
彼は誕生したばかりの…ワイリーによって作られたロボットである。
コサック博士に世界征服をさせている間、
彼は何をしていたか?
…あるエネルギーを合成していたのである。
ガンマに搭載した8つの星のエネルギー。
人の心を反映する機能もあるジェミニマンのいた星のエネルギーも勿論混ざっている。
それを核としてあらゆる力を集中させ、かつコサック博士が取り扱っていたあらゆるエネルギーを混ぜることで…
偶然、強大な一つのエネルギーを合成するに至ったのだ。
彼はそれに特徴的な名前をつけた。
そしてその強大すぎるエネルギーを使いこなせる最強のロボットを作ろうと…
彼は考えるようになった。
最強のそのエネルギーをもし、ロックマンのような能力を持ったロボットに組み込んだら?
ロックマンが最強でないならば、その問題点全てを挙げ、その問題点を解消できる更なるロボットの製作に当たるまで。
…まずはロックマンのデータが必要となる。
…だから彼は、ライト博士を誘拐したのだ。
彼の目論見は当たった。
ライト博士が持っていたロックマンの設計図から、彼は同じような構造のロボットを作ることに成功する。
製作者の心を反映、増幅させる力をも持つ
内臓したエネルギー『フォルテニウム』に似た名前を、そのロボットはつけられることとなった。
彼の名は「フォルテ」。
強力な悪の心を持ち、そして…ロックマンに対する何よりも強い敵対心を持つ、誰かに似たロボット。
そしてワイリーは、後に彼とロックマンの戦いから…最高傑作の足がかりを掴むこととなる。
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「ダークエルフ… …か」
エルピスを旅立たせ、自らもどこかへと旅立っていったダークエルフを探すため
ゼロたちは戦いを続けていた。
同時に、2匹のベビーエルフからヒントを得ていたシエルの研究『無限のエネルギー』は
みるみるうちに進み……完成へとこぎつけた!
あれから2ヶ月、時は冬。
『その日』は…とうとうやってきたのだ。
「ネオアルカディアからの返事、どうかしら…」
雪の降り積もる中を歩くレジスタンス。
先頭はゼロ、その後ろにレジスタンス達、そしてシエル、またその後ろにレジスタンス。
「大丈夫ですよ!すぐにいい返事もらえますって!
『もうエネルギー問題は解決した、戦いをやめよう』ってね!」
「そうだといいけれど…」
話が一区切りしたところでゼロが言う。
「…任務の途中だ …黙って歩け。」
「ご、ごめんなさい…」
そんなやり取りのさなか。
「……む」
ゼロの脚が止まる。
続いてシエルの脚も。
「何、この反応…」
「まさか!!」
…ダークエルフだ。
「…呼んでいるのか、俺を」
反応が感じられたのは遠くに突き刺さる謎の巨大な鉄塊。
よく見るとそれは… 宇宙船だった。
「…お前達はそこで待っていろ。俺が調査して来よう」
宇宙船の墜落で地形の変わった雪原に、ゼロが駆ける。
だがゼロが去ったそれからすぐに…シエルたちは包囲された。
「…わ、わわわわわわわわ!!」
「ね、ネオアルカディア…!?」
パンテオン達の軍だった。
黒きゼロは白き雪の中を歩む。
アルティメットフォームと同時にゼロが会得していた最後のフォーム…
『プロトフォーム』
防御を捨てて攻撃へと転化し、腕も重くなり連続斬りさえ不可能な、それは限られた力のフォーム。
それはゼロが更なる修行を積むためにはこれ以上ないフォームと言えた。
そして、全力で相手をすべき相手が現れたときにアルティメットフォームに切り替える。
彼は今の所、戦闘となればプロトフォームへと変化しており、アルティメットフォームを使うべき相手は現れていない。
だが、これから次第では…。
-
そして、彼の前に緑色のレプリロイドが。
「止まれ」
「…ハルピュイアか。この宇宙船について教えてもらおう」
ゼロも、本当に教えてもらえるとは思ってはいないのだが。
「機密だ、お前達に教える訳にはいかん
…一つ教えるならここは『危険』だ
お前達のためにも、ここは退くんだな …お前の仲間も俺の部下が包囲しているところだ」
「このまま引き下がれば、俺は何もせん」
そして、止まれといいながらそう残してハルピュイアは去った。
しかし…ダークエルフが目の前。止まるわけにはいかない。
…チャンスだ。
「行かせてもらうぞ」
ダークエルフ戦を予期してフォームを変更。
目にも止まらぬ、見えぬその動きの速さで敵の攻撃を避け、敵へと一瞬で近寄り
何者をも粉砕する攻撃力で敵を欠片一つ残さず消滅させる。
そして万一ゼロに攻撃を当てることが出来ても、鉄壁の防御により阻まれる。
それがアルティメットフォーム。
敵は次々に砕かれ、そして…爆炎は最上階まで一気に線のように続いていった。
「……」
近い。
意を決し、扉を潜ろうとした…その瞬間。
「……!?」
青きボディが扉から飛び込んでくる。
パンテオンたちが吹き飛ばされたのだ。
大爆発を起こし四散。
…ダークエルフとは違うような気がした。
「きゃあああああっ………!!」
続いて轟音。
悲鳴と共に青き女性レプリロイドが大きな、手のような何かに壁に叩きつけられたのだ。
「んぉおおおおおおおおおおお!!」
ゼロの前に突き飛ばされてくるは赤きレプリロイド。
「ふっ……、ふっとべえええええ!!」
最大出力でチャージショットを放つ。…身の丈ほどの赤き巨大な弾が放たれる。
「ぐああああああああああ!」
だが物ともせずに、もう一つの腕は赤きレプリロイドを伏せさせる。
「…ファーブニルにレヴィアタンか」
…そして、とうとうゼロは『彼』の姿を捉えた。
「グォォォオオオオ…!」
10mはあろうかというその巨体、
肩の出っ張った、白き甲冑騎士の如きデザイン、
背には剣とそれを包む鞘、
紫色の長髪、
そして黒く閉ざされたその顔。
ファーブニルの口から
「コイツは『オメガ』
存在自体が滅茶苦茶なんだよ…」
レヴィアタンが続ける。
「…物凄く強いんだけど… …もえないのよね」
セイバーを振る。エネルギーをチャージする。
「…お前か、俺を呼んだのは」
-
ダークエルフと同じ反応を持つ謎の巨大レプリロイド。
ダークエルフと誤認したのは反応の種類…雰囲気の近さだけが要因ではない。
そのエネルギー反応の大きさもダークエルフに比するそれであるからだ。
「行くぞ」
「グォオオオ…!」
ゼロはまずダッシュ、目の前で三段斬りを食らわせようとする。
「セイ!!」
払う。
「フッ!」
袈裟切り。
「ハッ!」
振り下ろす。
…効かない。
「ぐうううっ…!!」
その腕でゼロが吹き飛ばされる。
「やはり重要なパーツに攻撃を加えるべきか」
そしてすぐさま跳び一撃を加えようとするが…
「うっ…!?」
目から目にも止まらぬ速度でのレーザー射撃。
ゼロは撃ち落される。
「くっ…」
続けて2発、3発。
レーザーはゼロを狙い撃ち…全てゼロへと命中した。
(…俺の動きを捉えた…か)
敵は素早い。
意を決して駆ける、跳ぶ…剣を振りその反動で距離を取る。
「…」
傷は浅い。
「グオオオオ!」
二つの腕が分離…輪状のショットを放ってきた。
「!!」
四天王より格上とは認識されている模様。
上から、奥からそれぞれ分離した腕によるフープショット。
「うっ…!」
それも飛び越えられず、フープショットに衝突…
ゼロは一気に後方へと吹き飛ばされる。
体勢を整え一撃。
「グォオオオオオ!」
更にチャージ…
「ハァ!!」
また一撃。
「グォォォォ…」
まだ動く。
またもレーザーを放つ。今度はゼロを目掛けて撃ってきたのでそれをかわして距離を狭める。
それに従いレーザーも2発目、3発目と近づいていく。
そして跳び…
「ハァ!!」
チャージセイバーを振り下ろす。
だが同時に目からのレーザーを直に食らう。…相打ちだ。
「く…!」
巨大な甲冑騎士、オメガの腕が落下…激震を起こす。
「…まだ、やるか…?」
息を荒くしつつ、睨みつける。
だが。
「グォオオオオオ!」
腕は再び持ち上がった… まだ一撃足りなかったらしい。
「…!!」
だがその瞬間…
「食らえ!!」
-
弱点が頭となれば話は早い。
逃げながら頭だけに集中的に攻撃を加えればよいのだ。
雷が何発も何発も、オメガの頭に撃ち込まれた。
「…妖精戦争の悪魔、オメガ… そこまでだ」
ハルピュイアのチャージ・サンダーボルトであった。
オメガの腕が再び落下。
…だがオメガは一向に崩れる気配を見せない。
そのときだった。
「クヒャーーーーッハッハッハ!! それくらいにしておけ、オメガよ」
老人の声。
特徴的なカプセル型の頭をした、機械仕掛けの老人が目の前に現れる。
「…貴様は…!!」
ハルピュイアが声を荒げた。
「『ドクターバイル』!!」
妖精戦争を引き起こしたとされる…レプリロイドの科学者だった。
ゼロを封印したとされるシエルの先祖によって作られながら、
同じく作られたダークエルフに呪いをかけ妖精戦争なる戦争を引き起こしたとされているイレギュラー。
「これから共に戦う仲間を殺してはいかんだろう、オメガよ…」
そんな者と、妖精戦争の悪魔オメガがどうしてここにいるのか?
「貴様…何をしに来た!」
ゼロは黙って様子を見守る。
「………」
その時。
「僕ガ呼んダんだヨ… ハルピュイア」
まさかの声が後ろから。
「!」
今度はゼロが反応する。
ハルピュイアも反応する。
「…エックス様…!」
ユグドラシルでボディを破壊された、オリジナルエックスではない。
…ゼロにあの日倒された、コピーエックスが…
今、彼の目の前に現れたのだ。
「バイルは僕ノ恩人ナんダ… そウ怒らナイでくレタまエ」
「…しかし!」
「…ナんダイ?」
「…いえ」
そう。宇宙に漂っていたコピーエックスの残骸はバイルにより修復され…
コピーエックスMk2となっていたのだ。
「やア、ゼロ… 久しブリだネ… あノ頃トは大分状況ガ変ワッただロウ?」
「………ダークエルフを探しているんだ。お前とは戦っている場合じゃない」
クスリと笑う。
「ヤだナァ… 僕モダークエルフを探しテイるに決マッていルじゃナイか…
…どウダい、ここは一つ… 競争ト行こウじゃナイカ!」
「いやはや、わざわざ我々の不手際で申し訳ございませぬエックス様。
このバイルめが全力を以ってダークエルフを手に入れてご覧にいれましょうぞ!」
コピーエックスが姿を消す。
「…」
ハルピュイアはゼロに何かを訴えかけるようにして、姿を消す。
オメガも光の柱となって消えていく。
バイルも転送装置で去っていった。
「…シエル、聞いていたか」
ダークエルフを巡る戦いの後半戦が、幕を開けた。
ネオアルカディア内部にて…8人の人間型レプリロイドが円卓に腰をかけていた。
ヘッドギアに目から上を全て包んだ華奢な男が体を痙攣させ言う。
「ヒヒヒヒ!アイツが動き始めたようだぜ!ヒヒヒヒ!狂ってやがる、ヒヒ!」
頭の尖った、また細身の男が彼に返す。
「狂ってるってのは誰のことだぁ?ギチッ…」
小柄な少年が脚をばたつかせてイラつく。
「考えりゃゼロのことに決まってるだろー、『デスタンツ』のノロマー!」
紅茶を飲むは、派手な髪型の気障な男。
「まぁ、オメガのことかも知れませんがね…『チルドレ』」
巻き髪のスレンダーなレプリロイドが異論を唱える。
「あーらあら。『シルト』、それはいささか失礼じゃなくって?」
首にアクセサリーをつけた男は豪快に笑う。
「でもよっ!でもアイツの強さは正直、狂ってる以外にいい様がねーよな…?」
肩の出っ張った大男がドッカリと構えている。
「ゴルルァ…『ブレイジン』、貴様は見たことがあるってぇのかぁ?」
弁髪の真ん丸い太った男は腕を組む。
「伝説に聞くだけでも恐ろしいものであーる… ヤツが目覚めただけでこの有様である」
「ククク…オメガの話じゃな?」
空間の歪みが発生していた。…バイルが現れる。
「世界どこもかしこもこの状態でな…おかげで転送も楽ではないわ」
8人が一斉に姿勢を正す。
「さて…出番のようだぞ?『ネオアルカディア八審官』
…いや。『バイルナンバーズ』よ」
-
近づくだけで吹き飛ばされそうになる圧倒的エネルギー。
オメガは、ネオアルカディアの広大なエリア内でバイルのメンテナンスを受ける。
「グオオオオオオオ…」
バイルがスイッチを押すと…8つの画面が表示された。
上段、下段に分かれ…それぞれ4つの画面が並んでいる。
「クーックック…コレは奴らバイルナンバーズの目に同じ…
これからヤツが我がシモベと戦っていくことだろう…」
上段、右から2段目の画面がズームされる。
「…さあ、お前はこれを見てやつの姿、戦いぶりを目に焼き付けておくのじゃぞ…?
クックック…クヒャーーッハッハッハッハ!」
レジスタンスベースにて…
こちらもダークエルフとベビーエルフを捕らえる算段を練っていた。
しかしながら…ネオアルカディアはエックスが前面に進出し…いや、本当は復活を遂げたのだが、
そのせいもあり勢いを強めており、油断もならない。
ネオアルカディアを攻めつつ、ダークエルフを追う…これをどこまで出来るか。
「ゼロさん、至急司令室までお越しください」
「…ゼロ、呼んどるようだぞ」
セルヴォと新しい武器の話をしていた彼は、足早に立ち去る。
「…ああ」
だが別れ際にセルヴォに一言。
「リコイルロッド…使いやすそうだ、感謝する」
その背中を見送りながら…セルヴォはつぶやくのだった。
「世界はまだシエルには荷が重い… 支えてやってくれ、ゼロ…」
司令室…シエルはこう、話を切り出した。
「ゼロ…そろそろ、八審官が動き出したみたい」
「…今まで動いていて、四天王とは戦っても、彼らとぶつからなかったのが不思議なんだけど」
「……教えてもらおう」
シエルがネオアルカディアにいた頃から彼らはいた。
「えっとね…顔写真ならあるの」
並べられたのは個性的な8人の人間型レプリロイドの顔。
「名前の通り、8人居るネオアルカディアの犯罪を裁く者たち。
けれど、戦闘にも長けた強敵だって話よ…
『ブレイジン』『チルドレ』『シルト』『デスタンツ』
『キュービット』『グラチャー』『ヴォルティール』『トレケスタ』
…8人に8つの武器。それぞれが、異なった武器の使い手。」
だが、紹介された所で…エックスさえ倒す段階となっても
名前も出なかった者がどれほどの物だというのか。
「…それが、四天王より戦力になるというのか?」
「それはないと思う。 …けれど一応気をつけて。
何か、様子がおかしいから」
そして、彼はミッションへ向かうこととなる。
「…戦うしかないのかな、結局…」
シエルは呟く。
「お前はお前のするべきことをやっているだろう、俺もそれをするまでだ」
場所は……再生兵器工場。
「動きが確認されたというからには…そこに審官がいるんだな」
「ええ。8人の一人、『シルト』が夜にその工場の外にいるのが確認されたの」
スクラップから新たなるレプリロイドやメカニロイドを生産する工場。
破砕のためのハンマーが動作していたり、工場の隅の穴を利用してネズミ型メカニロイドを忍ばせていたり…油断ならぬ場所であった。
蜂の巣型の防犯装置を破壊し、ベルトコンベアに流れるスクラップを破壊、
振り子のように揺れるワイヤーは、そう見えてその実、侵入者撃退用のメカニロイドであったり。
トラップが満載のその工場を軽々と切り抜け、
工場の最深部へと到達する。
バサリ、と音がする。
「ノックをお忘れですよ」
「!」
セイバーで防ぐ。 …何を?
腕により翻された…異常に硬質化したマントだ。
-
「防御、ファッション、攻撃…全てを兼ねたマントでしてねぇ」
シルトは跳び退くがゼロはバスターショットを乱射する。
「こんなものを隠すことも可能だ」
マントの裏に隠したナイフでそれを受け止める。
「…」
お互い一つは命中しなかった。
ゼロはその一つを首を動かし、回避。壁へ突き刺さる。
シルトはショット1発をマントで弾いていた。
「実にマナーのなっていないお客様だ… 私がその身にお教えする必要があると見る」
マントを翻す。
「聖なる戦士といわれた彼を少しは見習いなさい」
彼の手にはサンダーチップ。
「照れるではないか、シルトよ!」
…その声は聞き覚えがある。
「ヘラクリウスか」
「雷の力を彼から頂戴しようと、ね」
コイントスのようにヘラクリウスの人格が植えつけられたサンダーチップを指で弾き、宙へ飛ばす。
チップから雷の力があふれ出す。
自らも跳びあがり…天井へ張り付きそれをキャッチ。…マントで自らの身を包む。
「はっ……!!!」
雷が彼を包む。
マントが変化…紫色になる。
…そして、その姿自体も大きく変化。
大きく立った髪は耳へ、脚は広がり…
…それはまるで。
「ご存知ではなかったかな?
私はネオアルカディア八審官シルト、そして…」
マント…いや、翼を翻し己が身を晒す。
「バイルナンバーズ『ヘルバット・シルト』! あなたは騒がしく…」
バイルが施した改造は、その内面に応じた動物型レプリロイドへの変身機能。
雷の力を受け彼は蝙蝠型レプリロイドへと変化したのだ。
「目障りだ!」
シルトは天井からゆっくりと床近くへと降下。
「しもべよ!」
マントを開き、中から大量の蝙蝠型メカニロイドを飛び立たせる。
「その羽音は騒がしくないのか」
背後へ周りアイスチップを使いチャージ斬り。
「キヒッ!?」
シルトが大きく仰け反った。
「いちいちうるさいお方だ…!」
天井へと張り付き、体を揺らめかせワープ。
ゼロから遠ざかったところで再び現れ、地上へ落下。
「全て避けてご覧なさい!」
マントから、大量の雷の弾を発射。それは壁に向かった後、反射、戻ってくる。
このときシルトに近づいては思う壺。ゼロは氷のバスターショットを放つ。
「キキイッ…!!」
そして電撃の弾を壁へ逃げて回避。天井へ逃げたシルトを撃とうとするが…
「連続では食らいませんよ」
再び姿を消す。
「自在に姿を消せる私に勝機があるのは明らか…」
分身し、地上に雷を落とし始めた。
「許しを請うのです」
だがゼロは本物を見極め、バスターショットで一発。
「おのれ…!?」
あと1発という所か。
「…ここまで私を追い詰めた私からのプレゼントです、受け取りなさい…!」
姿を消す。
「私服の音よ!!」
部屋の中央に現れ、マントを開き、超音波を発生させる。
それは壁へ天井へと反響、増幅されありとあらゆるものを破壊する…
のだが。
「キキッ!? そんな…!?」
ゼロはそれを難なく間を抜け、シルトを叩き落としたのだ。
「うっ……!!」
床へと激しく叩きつけられる体。
マントがガシャリと音を立てて割れる。
「…マナーがなっていない…お前のような者がバイル様にたてつくなど…き、キキキーーーーー!?」
-
次なるミッションは生い茂る緑の中。
「……密林…のようにも見えんな」
木や草花が生い茂っているのは…ビルだからだ。
旧市街地…植物ユニットの暴走が起こしたことであろう。
「…気味の悪い場所ね」
そんな場所にいる理由はといえば、ダークエルフの反応をオペレーターがこの場所に発見したため。
ダークエルフはネオアルカディアも捜索している。
パンテオンや植物メカニロイド達がゼロの前に立ちはだかる。
だが…ゼロが通り過ぎた跡には誰一人残らず。
…反応の正体もすぐに見つかった。
「お前は…」
「アハハハッ!ここにもお母さんいないね、プリエ!」
「キャハハッ!うん、そうだね、クリエ!」
「もっと奥に行ってみようよ!」
「うん、きっとお母さんがいる!」
…反応はここで正しい。つまり…
「ダークエルフの反応ではなく、ベビーエルフの反応か」
「あの子達も危険よ…ゼロ、追いかけて!」
ムカデ型メカニロイドを倒し更に深部へ。
ビルの窓から爆弾を投げつけるパンテオン、柱の影から現れショットを放つ砲台。
次々に乗り越えて行ったその先には。
「はぁ!!」
飛び降り、ゼロを突然鎌で斬り付けて来た。
「…」
ゼロはセイバーでそれを真っ二つにする。
「ギチギチギチ…やるじゃねえかゼロ…」
「細長いその体…お前がデスタンツか」
「もう遅いぜ…ベビーエルフはすでにこの奥へ行った!」
もう一つの鎌を取り出す。
「通してもらう」
ゼロはセイバーを片手に駆ける。
「最新鋭の刃を舐めるんじゃねえぞ!!」
さらりとかわして背後から一撃。
だがゼロはその場で跳んで回転斬り…デスタンツの刃をデスタンツごと弾く。
「ギチチチチ…流石に俺の力一つじゃ難しいみてぇだなぁ…」
緑色のチップを取り出す。
「…緑色?」
「シャアアア… コイツだ、コイツだぜ俺を殺したのは!
俺もコイツとベビーエルフを取り合ったんだ!」
ウロボックルの声。
「だが今度はエルフはこっちの手だ!」
デスタンツが鎌を振り回し、宙を切り裂く。
その軌跡が一つの線となり…ガバっと開き、亜空間を映し出す。
「はぁっ!!」
その中へと飛び込み…瞬時に反対側から何かが現れる。
両手に鎌を持った、緑色の体。 …極限まで細くなった、鎌二つを重ねて棒のような頭をつけた姿。
「ギチギチギチギチーーー!!
俺の名はバイルナンバーズの一人『デスタンツ・マンティスク』 俺の鎌で刻んでやる…!」
鎌を回転させる。デスタンツは…蟷螂型のレプリロイドに変身したのだ。
-
「ハァ!!」
腕を飛ばしてくる。鎌は…閉じている。 つまりは…
「まずは小手調べと言った所か?」
ダッシュしてバスターショットを数発、そこから更にダッシュ斬り、弧を描くように戻ってくる鎌を飛び越えて回避。
「ちぃいいっ…!!」
壁で様子を見るゼロに対し、高速回転する鎌を壁へ投げつける。
…だがそれは壁に届いて終わりではない。
壁へ届いた後、回転したまま壁を駆け上るのだ。
「厄介な技もあったもんだな」
「もう一発う!」
もう片方の鎌を壁に走らせた所で回避、チャージ斬り。
「ごわぁ!?」
これも壁に張り付くことで範囲が変わるが、大差なし。
どちらもかわされ、またも一撃を見舞われた。
「ギチチチ……!!」
悔しがっているデスタンツの背に回り回転斬りを見舞う…が
「そこだぁ!!」
ゼロへ向けて後ろ突きを繰り出してきた。
「危ないな…」
ゼロはそれをダッシュで回避、チャージショットで追撃。
「…ちきっしょおおおお!」
ゼロの冷静は崩れない。
「ならこれは…避けんなよおおお!?」
ビームを放った。 高い天井へ。
そう思うと、岩の塊が落下…
「ハァァァァ!」
それを鎌で三等分、ゼロへと飛ばしてきた。
「!」
これをかわしてチャージ斬りを一発。
一瞬怯んだ後、デスタンツは壁へ張り付いた。 …先ほどよりも高い位置に。
「ハァ!!」
そしてゼロ目がけ鎌で斬りかかる。
そしてまた跳びあがり…急降下、2発目。
「ハァァ!!」
だが。
「その技はさっき使っただろう」
細いデスタンツの胴体に…何かが突き刺さる。
「ヒギェアアアアアアアアアアアア!」
とてつもない力で吹き飛ばされ…壁に激突…崩壊。
大爆発を起こしていった。
「…うむ。やはり使いやすいぞ、セルヴォ」
威力はセイバーに劣れども、その敵を弾き飛ばす力にかけては右に出る武器はない。
それがリコイルロッドの力だった。
「アハハッ、おじいちゃんだーーれ?」
「キャハハッ、面白い頭してるねー!」
クリエとプリエ。そして彼女達が話している相手は…
「フォッフォッフォ。ワシはお前さん達のお母さんを作った者…
そう、お前さん達のお爺さんじゃよ…」
「アハハッ! ねえ聞いたクリエ?お爺ちゃんだってー!」
「キャハハ! うん聞いたよプリエ!お爺ちゃんなんだねー!」
ゼロは睨みつける。
「ドクターバイル…!」
「あ、怖いレプリロイドがきたよー」
「お母さんをいじめたやつだー!」
「おお、怖いのう… クリエ、プリエよ、お爺ちゃんの所へ来なさい…」
そういうと、バイルは二人のベビーエルフ達を連れて消えていった。
「…取られたままか…。」
「ベビーエルフ… 1匹だけで、1年前の四天王に匹敵する力を持っているわ。
あの子達に何か吹き込まれなければいいけど…」
…十中八九、吹き込まれることだろう。
-
むぅちゃん、規制かかって雑談所立てられないorz
-
ダークエルフと思われた反応は、実はベビーエルフのもの。
…また、捜索を再開する。
「…その間に何かすることはないか」
そして、ゼロはすぐに転送される。
場所はアグニス火山。
「ここでのミサイル開発を阻止する、というわけだな」
この時代でも火山は活発。
ゼロの背後で炎を吹き上げ、マグマの塊を降らせてくる。
「所で以前から気になっていたが、時々現れるこの扉は何だ?」
宙に浮いた謎の扉。実体は持っていないようでもある。
「…サイバー空間への扉…かも」
「?」
「オメガが現れた影響で世界が歪み始めて、出来たみたい
…それを通れば、サイバーエルフ達が命を削らずとも力を存分に発揮できる世界へ続いてるかもしれない」
「……どんな場所だ」
砲台を斬りながらミサイル基地へ近づく。
「この世界と同じだ、って聞いたりもするの
…多分別の扉から出ることも出来る」
「…ではそこに」
「入ったら減点するね、ゼロ」
マグマから跳び出る虫型メカニロイドを両断、更に先へ。
溶岩に浮く石片を足場にパンテオンを撃ち、基地内へ。
基地の中で現れた無数の敵を倒し、奥へと進むと
何かが落とされ、足元のマグマの川に流れ、沈んでいくのが見えた。
「こ、これを渡るの…?ゼロ」
「…ああ」
マグマを流れ、沈んでいく鉄塊へと脚をかけ、跳び、壁蹴りで登り、また次の鉄塊へ。
ギリギリの足場を越えて、とうとうたどり着いた。
「シャハハハハァ! こんなところまで潜り込んできたってのに悪いなァ!」
バイル八審官の一人、ブレイジン。
「燃え尽きてくれよ!」
長い火炎放射器を手に彼は跳びあがった。
「らぁあああ!」
炎を撒き散らす。
ゼロは飛び越し回転斬り。
ブレイジンは火炎放射器を使いそれを防御。
…だが言うまでもなく、ブレイジンは反動で後ろへと引き下がらざるを得なくなる。
「んぐ…」
「変身しろ」
手っ取り早く済ませたいと、セイバーを振り上げる。
「言われなくてもだってんだ!」
ブレイジンが火炎放射器をその手で粉砕。
…大爆発を起こす。
-
炎に包まれ……
煙が収まるとそこにいたのは。
「シャハハハハハハァ! 俺はバイルナンバーズの一人『ブレイジン・フリザード』!
歓迎するぜぇ、英雄よお!」
ブレイジンはエリマキトカゲ型レプリロイドとなった。
「まずは景気よく行こうかぁ!」
尾から炎を撃ちあげ、床に落下させる。
これを回避し、天井近くへ。
「そこだ!!」
首飾りのパーツを取り外し、ブーメランのように投げつける。
壁、天井へと反射し手元へ戻ってくる。
…ゼロに当たることなく。
「チッ!」
飛び降りて三段斬り。
「んなっ…」
「痛てぇってんだよぉお!!」
腕からバーナーの炎を放ち、ムチのようにしならせる。
壁を蹴り、背後へ周りそこからチャージ斬り。
雷の力もあいまって、凄まじい衝撃がブレイジンへと叩き付けられる。
「んごっはぁぁぁぁ!?」
あと一発といったところか。
「ちょ、調子に乗るんじゃねえ!! 燃えて消え去れええええええ!」
体の各所から炎を吹き出し、部屋中を炎の海へと変える奥の手。
ゼロを追うように右から、上、左へと移り、もう一回点炎は巡る。
だがこの炎はブレイジンの思った方向には放てない。
満遍なく炎のスプリンクラーが撒かれるため、
一発かわされれば、その方向に次に向くまでに時間がかかる。
ゼロは壁を蹴り高く跳び…
「フンッ!!」
セイバーを下に突き出し、垂直落下。
「んげぇえ!?」
ブレイジンの背にセイバーを突き立て…
砕いた。
「シャハハハハハハハハハァ!!!」
熱い熱い炎に身を変えていくフリザード。
「やるじゃねえか…だが、テメェじゃ…」
「テメェじゃアイツは倒せねえよ!!」
爆発の中のシルエットになっていく。
「…オメガのことか」
飛び散る。
「ハーーーーッハッハハァ!」
そして報告。
「…ミサイルの建造は止められたようだ…引き続きダークエルフの捜索を頼む」
-
「工場破壊、ご苦労様」
「…突然出てきてどうした?」
シエルはゼロに、二つのチップを渡した。
「…フレイムチップか。
…バイルナンバーズが使っていたようだが…大丈夫なのか」
「人格はバイルナンバーズの死と同時に消滅したみたいよ
それより、これで火、水、雷の3属性が全て揃った。…3属性どの敵にも対応出来るわ」
「すまないな
…それで、デスタンツが使っていたこのチップは?」
「ライトチップ。…身につけるだけでゼロの体が軽くなるらしいの」
ボディに装着するチップは何も属性付加だけではないらしい。
そのとき。
「ゼロさん、ゼロさん!ダークエルフが発見されました」
とんだ迷子が…ようやく発見されたらしい。
「…オメガはネオアルカディア、ベビーエルフもバイルに奪われた。…間違いないようだな」
場所はハイウェイ跡。
「…」
青空の元、遠くに都市跡を臨むその場所。
とうに滅んだ、廃墟と化した海を抜けるハイウェイ。
平然と彼の頭上の青空をふよふよとダークエルフが飛行していた。
「……どこへ向かっているんだ?」
彼女を追っていくとそこで…子供が待ち伏せていた。
ダークエルフの子供ではない。…バイルナンバーズの一人『チルドレ』である。
「やっぱここで待ち伏せていて正解だったぜー!
オイラが先に見つけたんだからな」
ぴょいと飛び跳ねて…
「横取りすんなよノロマー!」
潜水艦に乗り込んだ。
「ゼロ、ダークエルフを追いかけて!取られないようにね!」
「ああ」
飛び越して海中へ飛び込む。
ダークエルフは思いのほか、速度が速い。
後方からはチルドレの潜水艦が迫る中、彼は前方のメカニロイドを撃破しながら進んでいく。
「どういうハイウェイだ…?」
ハイウェイ内はトゲだらけ。そこを魚型メカニロイドが悠々と泳ぎ、
氷のブロックで行く手を遮ろうとする装置も見られる。
全て破壊して先へと進むが…
「チルドレの妨害もお願い!海底にあるスイッチを押すと水位が下がる仕組みだから!」
1つ、2つ。
スイッチに乗り作動させ、水面を下降させる。
ダークエルフは建物内へと入っていったのを確認…ゼロも海底にある入り口からそこへ突入。
「!」
そこは水中戦用に改造されたパンテオンらが待機していた場所。
パンテオンがダークエルフに忍び寄る。
「や、やめて……!」
ダークエルフが逃げ出す…が
「……! !!! …!!!」
反射的にダークエルフはパンテオンを攻撃…闇の力を与えてしまった。
「…嫌な予感がするな」
的中。
パンテオンは…闇に包まれて変身。
上半身に黒い翼の生えた…第二形態になったのだった。
「サバキダ!!」
レーザーを発射、床を切り刻む。
「何だその力は…」
「ヒカリヨ」
レーザーを5方向へ乱射。
合間を潜ってチャージ斬り。
「キヒヒヒヒヒヒヒ!」
アームを伸ばし、ゼロを掴もうとしてくる。
「そんな動きで捉えられると思うな」
回転斬り。
「クイアラタメヨ!」
アームを壁へ伸ばし、部屋全体を揺らして岩を降らせてくる。
「…」
パンテオン一体でさえ、コピーエックスの真似事が出来るレベルにまで強化される…
ダークエルフの力に脅威を覚えつつ、それを撃破…先へ進んでいくと。
「ノロマー!!」
チルドレはとっくに先へ進んでいた。
-
だがゼロは潜水艦以上に早い。
崩れ、瓦礫でゴチャゴチャになっている海中にチルドレが手間取っている間に、
追い越してスイッチを踏み、更に水位を下げ続けた。
そうしてチルドレが追いつく頃にはダークエルフはどこかへ消えていったのだが…
ゼロ自身もダークエルフには追いつけずじまいとなった。
「…」
潜水艦が再び建物内へと侵入。ゼロは下の入り口から入ると…
「やぁぁぁぁ!!」
天井の高い部屋の上から、ナイフを手に落下してくるチルドレの姿が。
「食らえ!!」
ナイフを投げてきた…が、首を動かしそれを回避。
「お前のせいでダークエルフ逃しちゃったじゃないかノロマー!!」
「…のろまに負けたお前はどうなる」
「…うるっさいなぁ!」
小さくジャンプ、着水。 チルドレの足元の水面が弾ける。
「ハァァァ!!」
チルドレが突き出したアイスチップを中心とし、水が集中。
…大きな水の塊がチルドレを包んだ。
「ボファーー 何だか協力したいボファー」
「そのアイスチップ…カムベアスの力か」
水の塊が…泡立っていく。
「…」
泡の塊となって何も見えなくなったその球が弾け…その中からは。
「むしゃくしゃするからオイラが相手だ!!」
ウサギ型レプリロイド。
「オイラはバイルナンバーズの一人、『チルドレ・イナラビッタ』!
そのスカした面、恐怖で凍りつかせてやるよ!」
低い水面のその部屋で、激しい戦いが今始まる。
「木っ端微塵になっちまえー!」
水面に浮く爆弾を撒き始める。
撒き終わる前に一撃。
「痛い…じゃねえかー!」
耳に冷気を集中させ、氷のナイフとして放つ。
「…」
これをジャンプで避ける。
「まだまだ!!」
ミサイルを発射。
だがこれも水中用ミサイルであるため…水面からあがると何の意味も持たず。
「やはり水中戦じゃないと本調子じゃないようだな」
「な、舐めるなよ!!」
壁を蹴って移動…
「ヤァァァァ!」
耳に氷の刃を纏わせ落下。
「フンッ!」
先ほど手に入れたフレイムチップでのチャージ斬りで対応。
「な、何しやがる…!?」
…もう手はこれ以上ないらしい。
またも壁蹴りで上へ逃げようとするチルドレを…
「ジャンプなら俺の方が上のようだな」
ゼロは壁を蹴って上から襲撃。
リコイルロッドをその眉間へと叩きこみ…
「ノロッ…」
その反動で、突き落とすと同時に大きくジャンプ。
「うわあああああ!!!」
遥か部屋の上部へと跳びあがり
…眼下に大爆発を見下ろした。
「バイルナンバーズ…………半数を倒したことになるか」
その頃。
「バイルナンバーズノ半数がやラレたそウダね…ギギッ」
「…はっ」
-
「正直に申し上げまして…
あのバイルという者を信用していいものなのでしょうか」
ハルピュイアは、妖精戦争の元凶をネオアルカディアへ招いたことを
不安に思っていた。
「…マだそンナこトヲ言っテイるのカイ…?」
エックスは玉座にどっかりと座ったままだ。
「確カに、彼ノシた事ハ許サレるもノではナイ…
だガ、彼ハこうシテ改心シ、僕ヲ蘇らセテくレタんだ」
「………………」
「感謝シなくテハね」
「…しかし!」
そこに声がかかる。
「おやおや、四天王ハルピュイア様ともあろうものが陰口ですかな?
落ちたものですなぁ」
噂をすれば…である。
「アあ…バイルかイ。 ハハハ、スまなイね」
こうなれば楽なもの…バイルは提案する。
「いえいえ…気になどしていませぬよ
…確かに、『ダークエルフ』を生み出したのはこの私…責任はきっちり取りましょう
このダークエルフの捕獲、私めに任せては頂けませんかな?」
「………!!」
ハルピュイアが拳を握る。
「あア…イイだロウ やリ方もオ前に任セる事ニすルヨ」
「ははっ、ありがたきお言葉 …必ずや、
ダークエルフを手に入れ、イレギュラーを殲滅してご覧に入れましょう」
「バイル、貴様…!」
エックスは声を荒げる。
「ハルピュイア…君ノ方コソいイ加減にシタまえ…」
「度重ナるレジスタンスの侵入ヲ阻止でキず、
何度も敗北を続けタ… 悪いがモウ君達四天王ノ顔は見タクはナイ」
「… エックス様…」
「クヒャーーッヒャッヒャッヒャ!
残念ですなぁハルピュイア様。 これからは私めが軍の指揮を執ります故…」
そんな所に…。
「エックス様ー、エックス様ー!」
パレットの声。
「…あの、何だか、ダークエルフが市街地に近づいているみたいなんです!」
続いてダグラス。
「後数分もすれば町に入っちまいますよ!どーしますかね……」
「…ソウか …バイル。君ニ早速任セヨう」
その言葉を待っていた。
…もっとも、もっと後の話だと思っていたが。
「…クーックックック… 有難き幸せで御座います
…それでは私は準備に入りましょう」
「……嘆かわしい。 …ダークエルフの力で
最早町全体がイレギュラーの巣窟と化しているようですなぁ」
そんなことが一体この短時間で判断できるのか。
「……止むを得ません、この手段をとらせてもらうことにしましょう…」
エックスを背に垂れた、バイルの頭は…笑っていた。
「…!!」
その情報はすぐに伝達される。
「…通信が割り込みます!…これは、これは一体…?」
「繋いで、オペレーター!」
画面に映し出されたのはパレットの顔。
「お願いです、ゼロさん! 急いでミサイル基地に向かってください!
ゼロさんが破壊したアグニス火山の製造工場ですでに完成していたミサイルが、発射されようとしているんです!」
「…レジスタンスベースへ、ではなさそうだな」
「は、はい!!」
「……あの、お願いです!
ミサイルをとめてください…町が火の海になっちゃうんです!」
「えっ!?」
「…お前は確かレインボーデビルのオペレーターだろう。…本当か?」
一部のサイバーエルフ達が言う。
「ゼロ…お願い、行って!あの子が言うなら本当よ!」
「私からもお願いします、ゼロさん!」
-
ミサイル基地。
厳重な警備網と、いくつもの砲台や兵が配備された基地。
メカニロイドが大量に湧き出し、監視カメラからはエネルギー弾が放たれ、
砲台からは鉄球が発射される。
ミサイルがあるのは最上階。
発射まで時間がない…上へ、まだ…上へ。
「ミサイルは近いわ、ゼロ!
破壊をお願い!!」
扉を開けて、屋上のミサイル発射台へ。
「…何!?」
ミサイルというよりは…それはロケット。
直径15m、全長100mはあろうかという…それは巨大ミサイル。
「破壊できるものか…どうか」
迷っている場合ではない。…これをとめなければ。
…しかし。
「間に合わない…ミサイルが…!!」
どうやら発射の時刻であった模様。
「通信はもう効きそうにないな? …俺はこれからミサイルを破壊するがどうすればいい」
「む、無茶よ!! そんなことしたら空中で崩壊しちゃう…成功しても失敗してもあなたは!」
だがその言葉は届かず。
全ての音を覆う轟音と共にゼロの足場が動き出す… 炎がつき、空へ舞い上がる。
文字通りゼロを『乗せて』ミサイルは発射されたのだった。
「ゼローーーーーーーー!」
最早ミサイルを破壊する他ない。
ゼロはミサイルに配備されたパンテオンたちを倒し、メカニロイド達を倒し、
ミサイルを後方まで進んでいく。
何故後方か?理由は簡単。切り離し部分が存在するから。
ミサイルは最後尾部分を切り離し、加速を続ける。
そこに空いた穴からミサイル内部へ飛び込む。
…更に切り離し。遅れぬよう飛び移り、更に先の部分へ。
更に、更に切り離し。数回それを繰り返した後…先頭部分へ到達。
……………焦っていて、忘れていた…何故これほどの反応を見落としていたというのか。
『あの反応』が…今になって強いあの反応を感じ始めたのだ。
「…まさか」
奥にいたのは…クリエとプリエ。
「アハハハッ! 悪いレプリロイドが来たよープリエ!」
「キャハハハッ! ホントだー!寝てる人を無理やり起こそうとする悪いレプリロイドだー!」
反応…違う。こんなものではない。
「……この奥で眠っているのは…」
「オメガ兄ちゃんのジャマはさせないもん、ね、プリエ!」
「うん!やっつけちゃおうよ、クリエ!!」
その先、ミサイルの先端部には大量の爆弾だけではない…オメガをも搭載されている。
…ひとまずは、止めるにしても何にしても…倒さねばなるまい。
「あは!!」「きゃは!」
クリエとプリエが交差する。
チャージ斬り、瞬時に振り向き二人同時にダメージを与える。
「うぇぇぇん!!」
嘘泣きをしながら、プリエはゼロの真上を飛行。
その涙は、まさしくダークエルフのもの… ゼロの身動きを取れなくする。
「あー、プリエを泣かせたー!!」
クリエからの強烈なエネルギー弾。
「…!」
何とか抜け出して回避。チャージショットとチャージセイバーで二人を攻撃。
「クリエ、双子パワー使うよ!」「うん。解った!」
二人は遠ざかったかと思うと…
「やああああ!!」「えええええい!!」
二人が激突、交差。
その瞬間に爆発を生じさせ、ゼロを攻撃する。
「やはりか…!」
これを回避。また回転斬りで二人を攻撃。
「わぁああああ!」「きゃああああ!」
クリエとプリエは共に動きを止めた。
「…プリエ、なかなかやるよ、この悪いヤツ!」
「…クリエ、ここは放っておこうよ!私達このまま墜落しても痛くないもん!」
…そう。…まもなく、地上。
ゼロはクリエとプリエに構わずミサイルの先端へ進む。
…このミサイルの着弾させぬために。そうでなければ… 軌道を変えるために。
-
真っ赤な空に…真っ赤な炎。
空には灰が舞い、地はひび割れ、川は形を失い、ビルは倒壊、瓦礫の海を作り出した。
…全ては失敗。
ネオアルカディアの一市街地にオメガ搭載ミサイルは着弾…見渡す限りの地獄へと変えていった。
あらゆるものが焼け焦げる匂いがする…鉄、地面…草花…動物…人体。
「…………………ぐっ…」
ふらふらになりながらも立ち上がるゼロ。
爆心地にいながら、直撃した身でいながら…
ゼロは立ち上がれるレベルのダメージで済んでいた。
「………」
ダークエルフはそんな風景の中心に、ただ一人佇んでいた。
「グォオオオオオオオオオオ………」
見上げると空にはオメガ。
「オオオオオ…」
オメガが腕を開く。
…オメガの胸部に、真っ黒い空間が発生…
「…やめろ」
…ダークエルフは…そこへと吸い込まれていく。
「やめろ…!!」
…そして。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
空の上でオメガが雄たけびをあげる。
その体が…金色に染まっていく。
雲が裂ける。地をへこませる、瓦礫が崩れる、大気が悲鳴をあげる。
…オメガが、ダークエルフを取り込み…究極の力を手に入れた瞬間。
「わーーーい!オメガ兄ちゃんが元気になったーー!」
「えへへへー!これで悪いレプリロイドも怖くなーーい!」
クリエとプリエは金色の甲冑騎士の周りをぐるりぐるりと回転している。
「………」
オメガが地へ足を落とす。
激震。地鳴り。衝撃波が辺りのものを吹き飛ばす。
「くっ…!!」
オメガがゼロに近づいていく…
「……」
そこに一人のレプリロイドが現れる…。
「ハルピュイア!」
彼はただ呟く。
「これが…」
「これがお前の正義か、バイルーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
空へ舞い上がる。
怒りを込め、エネルギーを最大までチャージ…
チャージ・サンダーボルトをオメガへ放つ。
…だがもはや効くこともない。
全て、高い金属音を発して吸収されるのみ。
「グォオオオオオ…」
オメガの目からのレーザー。
太いエネルギーの流れが………その視線が、ハルピュイアの体を貫く。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
1発、2発、3発、4発、5発、6発。
…蜂の巣になったハルピュイア爆発…倒れる。
「うっ… …くっ …オメ…ガ…!」
拳を握る力すら出ない…だがまだ生きている。
「オペレーター…ハルピュイアを転送しろ」
「は、はい!!」
「グォオ!」
次なるレーザーがハルピュイアに着弾する寸前に転送。
後はその場にはゼロとオメガだけとなった。
-
「…………」
力を込める。…四肢に力を込め、地を踏みしめる。
「行くぞ、オメガ!!」
オメガも剣を抜く。
「グォオオオオオオオオオオオオオオ!」
大地に背丈ほどもあろうかという剣が振り下ろされる。
竹を割るが如く地に深い深い亀裂が生じ…広がる。
「ハァ!!」
跳びあがりオメガを一撃。
またも跳びあがり2発、3発。
「オオオオオオオオ!」
「ハァァァァ!」
オメガが払う。ゼロが飛び越え…剣を振るう。
「グォオオオ…オオオオオオ!ゼェェェェロオオオオオオ!」
大きくオメガが振りかぶる。
ゼロも力を溜める。
「ゼロオオオオオオオオオオオオオ!」
「ァァァァァァァアアアアア!」
振り下ろされた剣をゼロがセイバーで受け止める。
二つの剣の衝突…衝突部からの垂直面に、衝撃波が発生…ビルを切り裂いていく。
「クッ…!」
そして剣を…
「ォオオオオ…!?」
弾いた!
オメガが吹き飛ばされる。
「行くぞオメガ…!!」
跳びあがる。…しかし。
「ォオオオオオオオオオオオオオ!!」
オメガもまた跳びあがった。 …上空、100メートルもの高さまで。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「…………!!」
剣を構えてそのまま垂直落下。
全長10m以上もの剣そのものが杭のように地面に深く深く突き刺さる…ゼロを先端に刺して。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
そのまま上空へと斬りあげる。
「ガハッ……!!」
オメガが飛んだ高さより更に高く、ゼロは打ち上げられる。
そして自然落下。
…地面へ落ちようかと思ったところへ…
「ゼロオオオオオオオオオ!」
オメガが突進、剣をゼロへと当て…突き飛ばした。
「…………ッ!!」
長く飛び続けた後地へ叩きつけられ…
それからずっと、長い距離をゼロの体が引きずる。
「…………」
…そしてゼロは…動きを停止した。
「…まだ命はある…!?」
「恐らくは…! 転送します!」
-
6月6日 エリ
8月6日 ナディア
9月26日 一条あかり
…あれ?わかるのこれだけ?
-
真っ暗な闇の中を…文字列が流れる。
床は光で構成されていて、新たなる光が現れては流れていく。
「…気がついたか」
「…お前は…」
黒きボディに白い仮面、赤いマフラー。
死を迎えたはずの存在が…目の前に現れた。
「…ファントム…!」
何故自分が彼と同じ場所に居るのか?
…何となく解る。
「………何をしにきた」
「知れたこと…」
ファントムが忍者刀を取り出す。
「貴様をこの世界へ連れ行く為だ」
サイバー空間とは…死したレプリロイドやメカニロイドのデータが
行き着く、あの世でもあったのだ。
何故そんな世界への入り口が開いたというのか?
オメガのあまりに強すぎるエネルギーの前に…
…この世界自体に死相が現れているとでもいうのだろうか。
ゼロは立ち上がる。
「今現世がどういった状況にあるか、お前は解っているか」
「皮肉なものだ
現世ではいくら足掻いても手に入らなかった禁断の情報がこの世界では常識に等しい…」
「死によってこの世界に積み重ねられていく情報…拙者はあらゆることを知った
レプリロイドが生まれる以前のこと…
二人おられるエックス様のこと…歴史に刻まれた闇の歴史のこと…
そしてゼロ。貴様のことなどもな」
「…なら早く通せ… オメガを倒せるのは今俺以外にいない」
ゼロから発せられたオメガの名にファントムは反応する。
「…断言出来る。ここまでなってしまっては、奴はお前でも倒すことは出来ぬ…」
「…何」
「かつて…不完全な力のオメガが不完全なダークエルフを取り込んだ…」
「妖精戦争とやらの時か」
「だが、それでさえオリジナルのエックス様でも勝てなかった…。
貴様如きの力で倒せると思うな」
「それで、世界を諦めて仇討ちというわけか…?」
ファントムは何も言わず戦いを始める。
「闇駆け!!」
まずはいつぞやのように駆け抜け、忍者刀でゼロを斬ろうとする。
…同じような動作であるがその動きは以前とは比べ物にならないほど速い。
「…」
近づくと反撃されることは明白…飛び越してすぐにチャージショットを当てる。
「これしき…!」
一瞬怯みを見せた後ファントムは跳び、分身を行う。
「見切ってみせよ」
4つの影が伸びる…分身の術。
「ハァ!!」
チャージし、セイバーを地面へ力の限りに叩き付ける。
「うぐっ!!」
またも分身が現れるが…何度その手を使おうともゼロには見切ることは容易い。
ゼロは分身を斬り続けた。
「ならば!!」
ゼロの後方真上から姿を現し、手裏剣を投げる…それだけではない。
手裏剣から更に大量の刃が放たれるのだ。
「これぞ我が奥義、『鋼吹雪』」
だが、刃の間の隙をなくしたその技ゆえ…
間に入っての回避が不可能と判断した時のゼロの反応も速いものとなる。
「!」
ファントムから全力で遠ざかる。
「何…?」
刃の吹雪の及ばぬ場所までの一瞬での移動。
「うっ…!」
「食らえ!!」
跳びあがり三日月を描くようにチャージセイバー。
「うっ……」
端へと移動、手裏剣を投げ…乗る。
「以前その手は使ったな」
だが今回は違う。クナイを上から3方向に落下させるのだ。
「なるほどな…」
跳び越え、潜り、退き…紙一重の差での回避を続ける。
-
「だがこの技は避けられまい…!」
ファントムが高く跳び…
「忍!」
爆弾の周りにクナイをつけた撒きびしを多数撒く。
そして…
「黄泉駆け!!」
忍者刀で撒きびしを一気に斬り、刃を飛ばす。
…こればかりは避けられまい。そう思ったファントムだったが…
「な!?」
背を斬られる。…ゼロの投げたシールドブーメランだ。
「貴様…」
「俺はこんなところで足止めを食らっている場合ではないんだ」
駆け抜け…刃を突き出す。
「く…!」
ファントムの体に、深く深く刃が突き刺さり…
…抜いたときにそれは大きく開く。
「…烈風撃」
ファントムの体に大きな一本の線が刻まれ…そこから光が漏れ出す。
「…………まさかこれほどまでとは」
「…出口は自分で探す。…お前は退いていろ」
「…貴様を試すつもりでいたが…どうやら本気で戦ってみとうなった」
ファントムが傷口を押さえ、立ち上がる。
そして手を胸から離し、構える。
「変化!!」
ハルピュイアらのそれと同じく…
ファントムにもまた、第二形態は存在したのだ。
紫色の光がファントムから発せられ…ファントムを包み、その中で変えていく。
「…参る」
現れたのは、四肢が巨大な刃となったファントム。
8本の刃で構成された脚と、6本の刃で構成された2つの翼。
戦いは後半戦へ。
「……うっ…!!」
大爆発…そして変身が解ける。
ゼロは…無傷だった。
「……強いな だが…それだけに不安も強まった」
「…何?」
「貴様はもうじき、レジスタンスどものベースで目覚める。
…今このときを夢と覚えてな」
「…そうか」
「…覚えておくがよい 貴様の敵はオメガであるが…貴様一人の力でオメガを倒せると思うな」
「…だろうな」
「仲間の支えも必要になるであろう、だが」
ファントムは煙に紛れる。
「…貴様にそれが出来るかは疑問であるな」
「……!」
ゼロは、メンテナンスルームで目を覚ました。
「ロシニョルさん、ゼロさんがおきました!」
「あらあら、よかったよー!」
牛乳瓶の底のような眼鏡の、おっとりとした少年ぺロケと、
メンテナンスを担当しているおばさんロシニョルだ。
「随分な怪我をしてたみたいでさ、1週間くらい寝たままだったんだーアンタ。
シエルちゃんにアンドリューお爺さん、その部下のドワさんにイブーさん、
コルボーさん、イロンデルさんにオペレーターさん二人と代わる代わる来てくれたんだよ」
「今日は僕が来ましたー!」
「しっかし、隣の兄ちゃんより治りが早いみたいだねぇ」
ロシニョルが向いた方向を見ると…まだ意識を取り戻さぬハルピュイアの姿。
「…すまない。」
「全くもう、男ってのは無茶するもんだねえ!」
ゼロはひとまず、体を起こそうとするが…何か体に違和感を感じる。
「…ん?」
よく見ると…手首と首筋に何度も斬りつけたような傷。
…無論、ゼロがその程度の傷でダメージを負うことはないのだが。
「…」
机の上には…ナイフ。…刃こぼれをおこしている。
「…………ぺロケといったか。…それはお前が持ってきたのか?」
「…え? いや、違いますよ
どなたかが果物を持ってきてたんでしょうか…?解りませんねぇ …どうしたんですか?」
「…いや、なんでもない」
辺りを見回してみると…
「…………。」
…自分の体に何かが付着していた。
「…」
それを掴む。
「…そういう、ことか」
-
年齢一覧
13(14)歳 一条あかり
14歳 カリス・フィリアス
14歳 ピピロ
17歳 シーナ・カノン
18歳 アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス
18歳 ナディア・カッセル
19歳 アリシア・メルキオット
20歳 エリ・カサモト
25歳 シャーリィ
一番上と一番下が8歳差なのには驚かない、
それよりも14歳が2(3)人もいるのがびっくり…
-
一番上と一番下で12歳差かorz
-
「シエル。状況を頼む」
ハルピュイアをロシニョルに任せ、メンテナンスルームから司令室へ。
サブタンクで傷はすぐさま再生…これでシエルにも勘付かれまい。
「ゼロ!もう起きて大丈夫?」
「問題ない」
「それでね、ゼロ…
実は、ネオアルカディアからあなたの無事を確認できたら
話し合いをしたいって。」
あの時のことを思い起こす。
「ハルピュイアはバイルに反発した…他2人も同じ考えだろう。
…四天王の意思ではないな。…バイルか、八審官か…コピーエックスか…」
ネオアルカディアで人間のことを少しでも考えているのは
今現在、四天王のみ… そうでなければ、その話は決して信用できるものではない。
「ヤぁ、心配ヲかケテしマッタよウダネ」
コピーエックスだった。
「君ニ死ナレてハ彼女ノご機嫌モ損ネるだロウかラね」
「…本題を手短に頼もう」
コピーエックスは体を前へ傾け、手を組む。
「僕達ハ長イ間戦っテキたガ…
そロソろこの不毛ナ戦いハ終ワリにしヨウと思ッテね」
シエルは目を閉じ、言葉に集中する。
「新エネルギー『システマ・シエル』のコトニつイテの返事サ」
「…」
「ダークエルフとシステマ・シエルにハ非常に親和性ガ高イ…」
「………」
組み合ワセる事ガ非常に有効デアるらシイんだ」
「…………」
「…システマ・シエルをネオアルカディアに渡シサえすレバ
君達ノ命は保証しヨウ ドウだロウ、悪イ話でハナいと思ウんダ」
「…………………。」
シエルは考え続けた末…答えを出す。
「…お断りします。」
「…何?」
ネオアルカディアは、少なくとも人間にとっては楽園であるはずだった。
しかし…その人間が、コピーエックスの軽い一言で、バイルの思うがままに大量に殺されていった。
シエルは…
「今のあなた達は…信用できません。…エステマシエルは…渡せません」
声を震わせながらも、答えた。
-
コピーエックスのこめかみが動く。
「……ソウか そレガ君達ノ結論カ」
「…私の結論です。」
コピーエックスの語調が強くなった。
「いイだロウ」
「システマシエルとイウ無限のエネルギーを独占シ
ネオアルカディアヘハ破壊活動を続ケ
ゼロとイウ恐ルベき戦闘力ヲ持つレプリロイドヲも保有しテイる………」
…断罪の一言。
「お前達ハ たダノイレギュラーダ!
僕ノ生みノ親デアル、シエル…君ガ居たカラ手加減シていタもノノ…
もウ許しハシナい! …死ンでモラおウ!」
そして一方的に通信は途切れた。
「……………」
その場に崩れ落ちるシエル。
…戦いは終わらない。その結論が当然とはいえど、これにより
まだまだ沢山のレプリロイド達の命が失われていくことが確定したのだ。
…彼女の…その一言で。
「…ゼロ、私…」
「お前はお前の答えを出しただけだ。
…奴らを信じることなど俺にも出来ん。こうする他なかっただろうな」
敵はもう…落ち込む暇すら与えてはくれなかった。
「ゼロさん、大変です!
ネオアルカディアの軍がレジスタンスベースへ向かっています!」
「何…?」
「海から1部隊、陸から1部隊、空からやってきた部隊も地上へ降り、こちらへ近づいています!」
「3部隊での攻撃か…出撃する 一番近いものから潰していくことにしよう」
ネオアルカディア…エリアX−2、玉座の間。
エックスの横で浮くは大臣のような位置となったバイル。
「…さて。どう出るか見物ですな…エックス様」
「僕を一度倒しタゼロヲ彼らガ倒せルとハ思えナイ
パワーアップしタこノ僕ガ…ゼロを倒しテヤルよ」
「頼もしいお言葉で御座いますなぁ。
だがもしエックス様にもしものピンチが御座いましたら…オメガを至急お呼び致しますぞ」
「あア」
バイルは一つのチップを渡す。
「これをお持ち下さい。これであなたはオメガと繋がり、その力の一部を手に入れることが出来ましょう」
「危険ナチからのヨウだガ…受け取ッテおクヨ」
「ははっ、有難う御座います」
「ですが…もしかするとゼロはここまでたどり着けぬかも知れませんな」
「そンナ事ガあり得るのカイ?」
バイルはただ…ニヤリと笑うだけだった。
-
レジスタンスベースから最も近くにいたのは、
空から襲撃してきたヘリ部隊。
レジスタンスベース近辺の砂漠へと降り立ち、一直線に向かってきている。
「敵はこちらへ向かってきてます、ゼロさん…どうかお気をつけて」
ゼロは砂漠を駆け出した。
敵の主力はやはりパンテオン達…斬り刻みながら先へと進む。
「ボディチップ…『ライト』」
体を軽くするボディチップ。
流砂の中で足を絡め取られることなく、軽やかに進んでいけるチップ。
空から飛来する爆弾を破壊、更に先へ。
「流砂の下に大型メカニロイド反応、お気をつけ下さい!」
現れたのは赤く、巨大なミミズのようなメカニロイド。
飛来する爆弾を破壊、敵が放つ鉄の塊を避けつつ敵を刻み……破壊。
「……何かおかしい」
体に何かの異変が生じているのが解る。
先へと進むと、今度はヘリから大量のパンテオン達。
ヘリごと全滅させて先へと進む。
「…体が…重いな」
ライトチップをつけているのでいつもより軽いはず。
…そうではない。明らかにゼロの体調は復活仕切れていない様子なのだ。
「……居たか」
重い体を引きずりながらも部隊を全滅させ、後はそれを率いる者を倒すのみ。
…その、率いている者とは…。
「まだ土に還ってなかったとはな」
「…ネクロマンセスか」
「余はアヌビステップ・ネクロマンセス5世として蘇ったり
土から蘇るを許される者は正しき心を持つ者と決まっておる
お前の棺も用意した…眠るがよい、旧き者よ」
杖を回し始める。
「うっ…ぐ…」
今度は激しい頭痛に加え足も重い。
ゼロは力を振り絞りながら杖を跳び、一撃を食らわせる。
「…ククク…」
フレイムチップを使っての一撃…だが。
「甘い!!」
ゾンビ化したパンテオンを蘇らせ始める。
「何…」
燃え上がるシールドブーメランで破壊。
それもネクロマンセスを貫通するが…効かない。
-
「そなたは知らないようだな…」
だが炎が効かないとなると属性は特定される。
「雷だな」
アイスチップをまとっての一撃を食らわせようと近づく…が。
「少し遅かったようだな」
ネクロマンセスは土の中に潜る。
「うっ… …く…」
「そのまま棺に入るがいい!」
地から棺桶が現れ…近づき、ゼロを閉じようとする。
ゼロはそれを飛び越える。
2回、3回と回避…
最後に遠い距離から現れた棺をかわす。
「…フゥ…!」
ネクロマンセスが現れる。
「どうした、ここまで来るのに傷を負ったというのか」
杖を投げる。
杖は地面に沿って回転…ゼロへと襲いかかる。
「ハッ…!!」
飛び越えて一撃。
「ぐぁあっ…!!」
アイスチップによりネクロマンセスの動きが止まる。
「まだ…まだ!」
「墓へ落ちるがよい!」
砂が流動…一部分が腐るようにそぎ取られ、穴に変化する。
「!」
その下にはパンテオンゾンビ。
「……何…!?」
掴まれぬよう全力でそれを倒す。
ボディチップをライトに変えて穴を脱出、アイスへと戻しネクロマンセスに一撃。
「うっ…! …それならば!」
凹凸が消え…全面流砂へと変化。
「そのまま沈むがよい」
高く跳び、ゼロの視界から逃れようとする。
だが…
「そうは行かん…!」
ボディチップをライトへ変化。
リコイルロッドで流砂から跳びはね…アヌビスの眼前へ。
「ハァ!!」
再びチャージ斬り。
「うぬう……適応の早い者だ」
いつぞやのような、波打つ地形へと変える。
「ここが決着だ!」
3世と戦ったあの時の地形。
「行くぞ!」
杖を回し…投げる。
ゼロはリコイルロッドで地を跳ね……
「土の下から見守っていろ…!」
ネクロマンセスを一刀両断。
「うっ………!!
………旧き者よ… 残り短いその命、精々生き抜くがよい…」
ひとまず1つ目の部隊は壊滅。残り2つとなった。
「……………」
ゼロはレジスタンスベースへ着くなり、よろけ始めた。
…まもなく、崩れ落ちる。
「ゼロ…ゼロ!!しっかりして!」
セルヴォも心配そうに見つめる。
「…一体何があったというんだゼロ…」
「………俺のことはいい…次のミッションへ…向かわせてくれ」
「ダメよ!検査してからじゃないと!」
「何、すぐに終わる。…ゼロ。少しの間、検査をさせてもらうよ」
-
「………… …持って明日まで…か …何てことだ…」
ゼロの頭部には1枚のチップ。黒い下地に赤く『V』の文字…
「…心当たりはあるかい」
「…眠っていた間に誰かが入れたんだろう…俺は…知らない」
バイルが作り出した闇のチップ3種のうちの1つ。
ボディへ影響を及ぼすものが、オメガと直結するコピーエックスが受け取ったチップ。
ゼロに組み込まれたのは、ヘッドパーツ用のチップである。
このチップを組み込んだ者は激しい頭痛と共に体力がどんどん奪われ、四肢の動きも弱まり弱体化していくというものだ。
そして最後には…死を迎える。
「………一体誰が…」
ゼロには解っている。
眠っていたゼロの手首と喉をナイフで切ろうとした者であると。
そしてその正体も…。
「解らん。」
「……………解った。犯人探しはやめにする。
犯人に狙われているのは君一人…そういうことだね」
「……何のことだ?」
セルヴォは確信した。
「ひとまず処置は施した…
今以上に悪化することはないはずだ ただし、一発の傷が致命傷になりかねない。
…気をつけることだ」
「すまない」
「そのチップを取り外す方法だが…解らないんだ
無理に取り外そうとすると爆発する仕組みになっているんだ
…君のボディに生体反応がある限りね」
「……すぐに決着をつけなければならんな」
次の部隊は海からやってくる部隊。
パンテオン達を斬り、水中へと飛び込む。
魚型メカニロイド達を撃破し、
水からあがり、見張り台へと登っていく。
上部にいるメカニロイドやパンテオンを倒して更に進み…
前線基地へと突入。
水からあがり、施設内で更にパンテオンを撃破。
空中爆弾なども対処し更に先。
「むふー…俺様ともう一度戦えるなんてお前は幸せな奴だぜぇ」
ブリザック・スタグロフRだ。
「手短に済まさせてもらうぞ」
重い体を引きずりながら、ボディチップを炎に変えて対決を始める。
「バーストショット!」
まずはチャージショット。
「ぉおお、あづいいいいいい!!」
スタグロフの体に着弾すると同時に、広がり連鎖爆発。
「やったなぁぁぁ!?」
跳びあがり、氷の爆弾を二つ同時に発射。
これを何とか避けてまたバーストショット。
「ぉおおああああ!
…だが、どうやらセイバーの方は打ち止めのようだなぁ…」
最大の武器が封じられた程度でゼロは敗れない。
「凍ってしまえええ!」
腕をゼロへと向け、壁へと叩き付ける冷気を発する。
それと同時に氷の矢も発生、放たれる。
「…く!」
背後には放たれた冷気が氷の壁を作り出している。
何とか大きく跳びそれを避ける。
「終わりだぁぁぁ!」
大きく跳び、ゼロを押しつぶそうとし始める。
「まだ…だ!」
真っ向からセイバー。
「むふううううう!?」
頭から斬り…力を下へと入れ…押し込む。…叩き斬る。
「むふううーーーーーーーー!」
スタグロフが真っ二つに裂けた。
-
「…次だ……」
「どうにか方法はないものか……」
セルヴォは、頭を悩ませるしか出来ない。
3箇所目はアナトレーの森。陸を進む部隊が潜む森林地帯である。
蜂型メカニロイドと格闘した後、遺跡の中では
壁のパネルを裏返し攻撃してくる砲台に動じることなく一撃で破壊。
最深部にて部隊の長と対面。
「キキー…あっという間にここまでたどり着かれるとは。
流石はファントム隊長を倒したゼロさんですねぇ」
ハヌマシーン・R。
「最早攻撃部隊もこの私一人…参りますよ!」
「ウキキキ、ウキキキ!」
ハヌマシーンが手に持った棒に力を込め始める。
「ウキィイ!」
前へ跳び、棒で薙ぐ。
ゼロはそれを潜り回避…Uターンしまず一撃。
「キキキイイ!!」
雷の力を持ったチャージショット。
敵に命中するなりそれは二手に分かれる。
「ダメージとしてはいまひとつか…」
「行きますよぉぉ!」
炎をまとっての突進。…ハヌマシーンの得意技だ。
「何…?」
驚いたのは、その威力である。…床を破壊した。
「まだまだ!!」
遺跡の中を縦横無尽に駆け巡り、床と天井を破壊して戦いの場をどんどん広げていく。
「伊達にファントム様の右腕は勤めておりませぬぞ!」
体毛から分身を作り出す。
「ゆきなさい!」
小さなハヌマシーンはゼロへと群がる。
「行きますよっ!!」
続けてまた突進。
「く…!」
急いで振りほどき…かわす。
「最後だ……!」
跳び上がり…雷の力をセイバーに纏わせる。
チャージ不要の技でありながら、それに匹敵する威力。
「落砕牙!!」
セイバーを両手で構え落下…貫くと同時に敵の脳天に電流を流し込む。
「キッキキ…流石は………!!」
流石は… その先は聞こえることなく、
ハヌマシーンは爆発…消滅した。
これでレジスタンスベースはひとまずは守られたことになるだろうか。
「…転送を頼む」
戦いの中ではバイルチップの付け入る隙は大きかったのか…彼の命はあとわずかとなっていた。
「……ひとまずは守れたな……ネオアルカディアに乗り込む。 …いいな」
「お願い、ゼロ!!もう動かないで!
私達で何とかするから!」
「それで犠牲が出たら、どうする…俺に任せろ」
「…セルヴォから…聞いたの、もうゼロが長くないって」
「………なら尚更行かせてくれ。
4人のバイルナンバーズに、コピーエックスに、オメガ…
奴らまとめて俺が…… 俺が…」
胸を押さえ、セイバーを突き立て立っているのがやっと。
「そんなこと出来るわけないじゃない!!」
シエルは叫ぶ。
「あなたの少ない命くらい、見守らせてよ!」
「だが……」
その時である。
「そりゃあできねーーーなぁ!!」
落下してきたのは…
「フラクロス…か!?」
パンター・フラクロスR。
シエルを捕まえたかと思うと尻尾からの高圧電流。
「…ぬっ… がぁぁぁ…!!」
ゼロがその衝撃で動けなくなる。そこへ…
「黙っていろおおお!」
司令室へ腕を構え突進するはアステファルコンR。
腕をゼロへとポイントし……
「………………!」
その体を電流の矢で貫いた。
「ゼロおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
…ゼロは…力なく倒れていった。
-
さーて、スタメンを決めるか(ぇ
1 カリス・フィリアス 二塁手
2 ナディア・カッセル 三塁手
3 シャーリィ 捕手
4 アルファ 投手
5 エリ・カサモト 右翼手
6 ピピロ 遊撃手
7 あかぎ 左翼手
8 一条あかり 一塁手
9 ロジーナ 中堅手
…パワー重視だなー…
-
暇なので早速改訂版
1 カリス・フィリアス 二塁手 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意
2 ナディア・カッセル 三塁手 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
3 シャーリィ 捕手 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意
4 アルファ 投手 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意
5 エリ・カサモト 右翼手 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意
6 ピピロ 遊撃手 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手
7 あかぎ 左翼手 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通
8 一条あかり 一塁手 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意
9 ロジーナ 中堅手 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手
控え
アリシア・メルキオット 外野手 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意
シーナ・カノン 一塁手 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意
-
「さぁ今だ!」
ゼロの体を投げて渡すはフラクロス。
「…そ、そうか!!」
セルヴォは受け取り…すぐさまゼロのヘッドパーツからバイルチップを取り出す。
そう。フラクロスたちはゼロを殺すのではなく、
ゼロの生体反応を一時的に停止させるべくゼロを襲ったのだ。
電撃により麻痺した動力炉は停止、仮死状態となったゼロは
バイルチップの、生命反応がある間の爆破機能の対象から外れる。
チップを取り出すことが…可能になるのだ。
…ゼロの迫っていた命の危機は、ものの5秒もせぬうちに回避された。
「…む………」
ゼロが起き上がる。
「…気がついたか、ゼロ。」
「…お前を助けることになるとは癪だがな」
「…お前達…」
シエルは喜びのあまり、涙を流す。
「…よかった、よかった…!!」
…喜ばれるはいいが、話題をすぐに変える必要がある。
「…泣くのは早い。ネオアルカディアに乗り込むぞ」
「でも…。」
バイルチップを組み込んだ犯人探しの流れになる前に。
「ハルピュイア様をあんな目に遭わせたオメガはテメェに潰してもらわなきゃ困るんだよ!」
「同感だ。残る敵はまだ多い…。 …お前に頼まなきゃならない」
「…解った」
そう。彼らは二人ともハルピュイアの…
オメガに最も酷いダメージを受け、バイルに最も反抗した四天王の部下なのだ。
「ネオアルカディアの玉座へは転送できるようにはしておいた。
転送システムを弄ってな」
「じゃあ…」
「一休みするのも、せめてコピーエックスを倒してからの方がよさそうだな
…行くぞ」
「は、はい!転送開始いたします!」
前回エックスと戦ったエリアXの奥に広がる、ネオアルカディア最深部エリアX−2.
再生レプリロイドエリアを抜けた、そこは世界の頂点。
「厳重な警備に…大量のパンテオン兵。確かにここのようだな」
最高機密の取り扱われるトップシークレットエリア。
監視カメラを破壊、
トゲだらけの床、壁、天井のエリアを上へと進んでいく。
「軌道エレベーターはまだ続いていたようだな」
エレベーター内もトゲが大量。
リフトに乗ったり、しがみついたりしつつ跳び移り続け、どんどん上の階へと。
そして最上階。
全面壁に覆われた玉座の間で待っていたのは、世界を統べる王…コピーエックスMk2。
「全ク君は愚かナ奴ダ…」
「愚かなのはお前だろう。守るべき人間ですら殺してしまうとは…
お前は一体何を守りたいんだ?」
ミサイルで焼き払われた町がゼロの脳裏に焼きついていた。
「こノ世界の人間ガ望ンでいルこトを行うまデサ」
「…何?」
「君達レジスタンスハ…ネオアルカディアにとっテは悪の集団…
僕達は世界ガ認メる正義の味方なンダ」
「お前達が正義で…俺達が悪か」
後ろの壁が上下に分かれ開き……ガラスの外に宇宙を映し出す。
「そウダ イレギュラーの撲滅ハ、世界ガ望んデイる事なノダカら。」
手をクロスさせる…膨大なエネルギーがエックスへと集中。
「『ネオアルカディアのしテいルことハ正しイ』 その証明ニさエなレバね!」
そして開き…アルティメットアーマーを装着。
戦闘が…再び始まる。
「サぁ行クぞゼロ!」
跳びあがりノヴァストライクを発動。
「その手はもう効かん」
チャージ斬りで真っ向から撃ち落とす。
「ぐふっ!」
エックスが地に落ちる。
そこへゼロが近づき三段斬り…払う、斬る、振り下ろす。
「くぅっ…」
スライディングでの攻撃。ゼロは後ろへと跳びこれを回避。
「以前と同ジとハ思ワナいコトだネ!」
属性を氷へと変化。
ノヴァストライク、そこから5方向へ砕ける氷のショットを放つ。
「まダまダ!」
属性をチェンジ。炎の波を放つ。
「そう変わっていないようにも見える」
飛び越えて旋風撃。
「ううううっ!!」
一直線に突く。
そこから跳んで距離を取る。
「モう許サん!!」
感情の爆発。…光の柱が天を貫きエックスの傷が見る見る回復してゆく。
-
「はァァァァ!!」
だがやはり攻撃はノヴァストライク。
「やはりその攻撃が最強の攻撃であり…」
チャージ斬り。
「よほど誰にも破れなかった技らしいな」
リコイルロッドに持ち替えて一発、二発…
「サウザンドスラッシュ!」
そしてそのままリコイルでの連撃。
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”…」
刃が次々とエックスの体に突き刺さってゆく。
「…黙レ!」
ノヴァストライクで脱出。
「それニ…僕ハこンナ『力』も得たンダよ」
エックスバスターが虹色に輝く。
「!」
「消し飛べ……っ!」
宙へ浮き…ゼロへと放つ。
エックス最強のバスター…リフレクトレーザー。
「アアアアアアッハッハアアアアア!」
床、壁、天井、また壁、また床。
縦横無尽にエネルギーが駆け巡り…すべてを破壊してゆく。
「逃げるがイイ、逃ゲルがいい!」
続けて放つ。
「ソシテ僕ハバイルの改造でこんな力ヲ手に入レタ!」
両手のバスターからバスターを放ち…クロスさせる。
「『クロスチャージショット』!」
光の弾丸が壁となり…ゼロへと高速で向かってくる。
「ハァ!!」
チャージ斬りでこれを破壊。何とか潜りぬけるが…
「かかッタね!」
極太のレーザーを照射するチャージショット。
「『イカロスチャージショット』!」
真横に構えた腕を上へ。90度の範囲を一気に焼き払う。
ゼロはすかさず壁へ逃げる。
「ドうシタんダイ!?」
今度は上へと向かいダブルチャージショット。
一発目は普通のチャージショット、続けてニ発目は強力なチャージショット。
「逃げテばカリのヨウだネ!」
そして赤い光を纏ったエックスがエックス最初の、最強段階のチャージショットを放つ。
「『スパイラルクラッシュ』!」
赤いいくつものエネルギー弾を放つ…。
らせん状になったその光はうねりながらゼロへと向かっていく。
「…!」
だが…その攻撃は反動が大きい。
その一発を避け…最大限にチャージした一撃をエックスへ叩き付ける。
「ハァァァ!」
「うぐ…!!」
地がエックスを中心として窪み…
再び…倒れた。
「まダ…ダ……!!」
だが…力が入らない。
「…くソゥ… バイルーーーーーー!
オメガを、オメガを呼べええええええ!!」
しかし…辺りは静まり返っている。
「………何?」
そこに一つの光が現れる。
「……バイルはもうここには居ないよ
…君はバイルに利用されたんだ」
エックスは悟る。その姿が…自分と同じであることを。
「…お前ガ…僕ノオリジナル…!」
「…そうだよエックス。
…一つ、君に話しておきたかった。…謝りたかったんだ」
「………何?」
-
オリジナルエックスは、そっとその語り始めた。
「…君は、僕がなりたくなかった僕だ」
「そして、僕がなっていたであろう僕…。
…僕は、イレギュラーと戦っているうちに、どんどん疲れていった…
精神も磨り減り、段々と何も考えられなくなるようになっていった。
…そんなとき、ユグドラシルに封印していたダークエルフが力を取り戻す所か
以前の力以上に強まり始めているという言葉を聞いたんだ」
「ユグドラシルの力だけでは封印できない
そこで僕は、自分のボディを使って封印することを話したんだ。
…仲間にもそういわれてね。 その、昔からの仲間達以外は僕がどこに行ったか解らないし、
教えていないんだと思う」
「内心、ほっとしていた部分もあるんだ。
もうイレギュラーと戦わなくてもいい、もうこの世界にいなくてもいい、
もう血まみれの自分が様付けで呼ばれなくてもいい…って。」
エックスは目を伏せる。
「…でもそれは浅はかだった
…結果、君という存在を生み出してしまったんだ。
世界は『エックス』を必要とし続けていた。
…君という身代わりの自分が犠牲となって…更に多くの犠牲を出す事になってしまった」
「…君は僕がなりたくなかった僕だ。
…逃げ出した僕に代わり犠牲となってしまった僕だ
…僕に嫌なことを押し付けられた…そんな僕だ
…すまない、エックス。」
しかし…
「…フフッ…アァハハハ…ハハハハハハハハ!」
結論は何一つ変わらない。
…いや、本人の口から結局はどうあれ言われたと同じなのである。
「僕はどうせ失敗作だというのだろう!?
間違った道を歩まされ!
間違った立場に置かれ!
結局偽物の末路がこうだというつもりなのだろう!?」
「……」
「何一つその言葉は何も解決しない!
そんな哀れみなどない方がいくつもマシなものか…!!」
エックスの怒りが…自分という存在に対する悲しみが…頂点に達する。
「許さサナイ!!
…僕ノ真の力ヲ… 見セテやル!」
跳びあがり…力を集中させる。
光がエックスの体を分解……その時だ。
「!?」
光になったエックスのボディが…暴走を起こし始めた。
「か…カラだ…ガ」
「いけない…バイルは君の体に罠を!」
エックスは言い忘れていたことに気づいた。
-
コピーエックスのボディの黒きチップは…確かにオメガと繋がるチップである。
しかし…そのチップは逆に、オメガに力を吸収される結果をも生むのだ。
「からダが…あつ…熱……イ……ガガガガガガガ…!!」
オメガの力がコピーエックスの不安定なボディに一斉に送られ…許容量を越えて暴走を起こす。
そして…
「うわぁあああああああああああああ!」
光となって飛び散った。
「………光が流れていく…?」
「……オメガの糧にされたんだ…。」
虹色の光はオメガの元へ。
…こうしてコピーエックスは今度こそ最期を迎えた。
…それから30秒もしないうちに、ネオアルカディア全土にある声が響き渡った。
「たった今…」
「たった今、心無きレジスタンスの手にかかり…
我らが指導者、英雄エックス様がお亡くなりになられました
…大変嘆かわしいことであり…彼のご冥福を祈るのみであります」
「ドクターバイル…!」
「…私はエックス様にかねてより、ダークエルフの追跡を任されておりました
ダークエルフが捕まった今…そして、レジスタンスにエックス様が殺められた今
私は今こそその軍をレジスタンス撲滅のため動かすときであると感じております」
…すべては彼の筋書き通りなのであるが。
「なので…今このときより、ネオアルカディア軍の全権を私に委ねていただきたいので御座いますが…
皆様、如何で御座いましょうか」
ネオアルカディアの政治を取り仕切る人間達にバイルが呼びかけ…
そしてそれから10秒もせずに。
「…有難う御座います …たった今、全議員の賛成一致を確認致しました
有難う御座います。…それではこれより私が、レジスタンスの撲滅を目指し戦うことと致しましょう
ネオアルカディアに平和と自由のため!」
…すべてが、バイルの思うとおりに動こうとしていた。
「…倒すなら奴が先だったか」
「…いや、どの道エックスも彼の手駒だった…
…君はやるべきことをしたまでだよ
…ドクターバイル、あなたは妖精戦争の悲劇をまた繰り返すつもりなのか」
そして…世界は闇へ引きずり込まれていく。
「…残る敵は5人か
チップの影響もない…俺は行けるぞ」
「…そうだ。オメガのことだけれど」
「…奴がどうかしたのか」
エックスは…しばしの間、黙っていたが…
「…いや、何でもない」
口にするのをやめた。
「大切なのは体ではなく、心だ。オメガは歴史上最強の存在となってしまった…。
…それでも、君なら…君の心が生きることをやめなければ…
………勝てるはずだよ」
「…ああ」
-
改訂版の改訂版
1 カリス・フィリアス 二塁手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
-
暫定的に決まったところまで晒してみる
1 FREE 一塁手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手 背番号26
3 シャドウ 遊撃手 背番号48
4 北条沙都子 左翼手 背番号35
5 川澄舞 右翼手 背番号18
6 セリカ 三塁手 背番号55
7 リョウ 投手 背番号80
8 エリカ 二塁手 背番号46
9 ヨッシー 中堅手 背番号44
控え
ルカリオ 投手/三塁手 背番号94
美坂栞 二塁手 背番号4
ナタネ 外野手 背番号89
…何だこのメンバー…
-
第四版
1 カリス・フィリアス 二塁手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
-
ver0.7ぐらい版
1 FREE 一塁手 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
控え
ルカリオ 投手/三塁手 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
※シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
「…人間達はもう、自分の頭で物を考えることを止めているのかもしれない…
長い間、こんなにレプリロイドが犠牲になりながらも安穏と暮らしてきたせいで。」
残るバイルナンバーズは4人。
「『キュービット』、『グラチャー』『ヴォルティール』『トレケスタ』…か
早速ミッションへ向かう」
シエルと目もあわせず、彼は転送装置に立つ。
「…ゼロ。何か私に隠していることない?」
「…何のことだ?」
「………割と感情を表情で出さないのはわかっているけど…
…私にだって解るわ ………誰か知っているのね」
「……オペレーター、今日はお前に転送だけでなくオペレーションも担当してもらいたい」
「ゼロ!!」
転送先は雪原… あの、雪原である。
「宇宙船に積み込まれていたコンテナが雪原内に散乱しており…
バイルやオメガに関するデータも含まれているものと思われます。
…ゼロさんが多忙なため他のメンバーに向かわせていたのですが…」
「了解した」
ゼロは走り出した。
…前方からパンテオンがやってくる。
「………エックスのDNAを使ったなれの果てがあれか」
ただのパンテオンではない。
…サボテンのように真ん丸く…胴回りが数メートルに及ぶまでに膨らみ、
腕の先端を鉄球にし振り回している奇妙なレプリロイドだった。
宙に浮くボードに乗り雪道を走っている。
霧が晴れる。
(…あれか)
青い空、白い雲……遥か麓に見える巨大コンテナ。
確かに、大きく言えばここは雪原地帯。
だが…そこは山の頂上だったのだ。
(動く…ようだな)
ボードに乗り、滑降していく。
「来たか」
勿論、背後からは同種の改造パンテオンが追ってくる。
「斬鋭弾!」
セイバーを振り、衝撃波を飛ばす。
衝撃波はパンテオンの腹を真っ二つに切り裂いた。
「前方にも敵が多数…か」
猛スピードで雪の坂道を駆け下りるボードの前には無数のメカニロイド達。
大きなメカニロイド格納庫はチャージ斬りで破壊、
他は勢いに任せて轢いたり、回転斬りで対処したりなど。
「…着いたか」
コンテナの入り口をボードで破壊…入っていくとそこには。
「…あーる?」
八審官の一人だった。
「…グラチャーか」
小さくまん丸な体に似合わぬ、巨大なハンマー。
「ムムムム…なんと嘆かわしい!」
地へ衝撃を響かせる。
「伝説の英雄ともあろうものが、バイル様の持ち物であーるデータを
盗もうとする盗人に成り下がったであーるか」
「このワシが裁いてくれるであーーーる!」
ハンマーを振り回して襲い掛かってくる。
「力では負けんぞ」
自らに向かい振り下ろされたハンマーをセイバーで受け止め…
「フンッ!」
一瞬にして体をずらし回避、そのままハンマーを金太郎飴の如くスライスしていった。
「……流石は伝説の剣、凄まじき切れ味」
-
両腕をぶんぶん振り回し始める。
「だがそれだけに残念である!
その力を使えばバイル様の右腕にもなれたものを!」
両拳を地面に叩き付ける。
「ぬぉおおん!!」
グラチャーの体が氷に包まれ…
「ぉおおおおおおおお…」
氷の周りに霜が発生…氷を薄く包んでゆく。
そして…
「はぁぁぁぁ!!」
氷が大破。中から現れたのは…
「ワシの名は『グラチャー・レ・カクタンク』!
罪人ゼロよ、このワシが砂漠でなくとも裁くであーーる!」
サボテン型に変形したグラチャー…改め、カクタンク。
両手は重量感漂うハンマー…まん丸と太ったその体はそのままに…
「行くであーーる!」
ゼロへ襲い掛かってきた。
重量感たっぷりのボディでゼロを押しつぶそうとするが…
「テイ!フンッ!ハッ!」
背後に回り三段斬りで対応される。
「い、いきなり酷いであーる!?」
伸びる腕を最大限伸ばし、パンチを行う。
「一応先手は譲ったのだがな」
それを潜り敵の懐へ。
「バーストショット!」
零距離で強力な炸裂弾を発射。
「あああーーーーーーーーる!?」
カクタンクの体が吹き飛ぶ。
「そ、それ以上はさせぬである!」
腕のハンマーを天井へと突き刺し、振り子状に揺れる。
「死刑であーーーーーーーーーーる!」
腕を最大限に360度振り回す。
氷の粒がトゲとなってゼロを襲う。
…しかしゼロはそれも気にも留めず。
「最後のようだ」
フレイムチップを纏ったチャージ斬りをカクタンクに当てる。
「のぁぁあ!?」
そして…
両手にセイバーを握り…
力を込め…
跳びあがり…
一気に下から、上へと真っ直ぐに斬り上げる!
「天裂斬!」
カクタンクの体が両断され…
「ば、バイル様の裁きからは…逃れられぬであーーーーる!!」
爆炎を吹き上げ、消滅していった。
「…お前はこれからも作業を続けてくれ 俺は…戻る。」
その夜。
「…ふぁーーー…あ」
シエルは眠れずにいた。
…オメガを前にして、敗北を喫したゼロの表情の違いが気になったのだ。
…まるで別人のよう。…明らかに、ゼロが傷つき…
そしてそれに向かい、どうすれば強くなれるかずっと考え続けているのだ。
…ゼロはそうしている間にも強くなっている。
次はきっと…オメガに勝てるはず。
……いつもは自分が心配しているのに、このときばかりは心配しているゼロが心配でならなかった。
…物音が聞こえる。
「…?」
女性の声。
「……」
司令室にいたのは…
「………。 ………! ……… ………………」
オペレーター…誰かと話しているようだ。
一体…誰と? …ここからではよくは見えないが………もしかすると。
-
第四版
1 カリス・フィリアス 二塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/投手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/二塁手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/投手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
あかぎ 最高球速124km/抑えタイプ/スリークォーター 変化球チェンジアップ
シャーリィ 最高球速158km/中継タイプ/オーバースロー 変化球Hシュート/Hスライダー/ツーシーム
―コーチ一覧―
ヘッドコーチ エリ・カサモト
打撃コーチ シャーリィ
守備走塁コーチ 一条あかり
投手コーチ ブランネージュ
コンディショニングコーチ あかぎ
-
「次のミッション…は、バイルたちのことについての調査になるわ」
「水没した図書館…か」
「…ここは一度行って見たいと思っていた場所なのよ
バイル関係でなくとも、旧世界の遺産が詰まっているかもしれない」
今度は調査。ゼロは転送装置の中心に立ち…
「オペレーター、宜しく頼む」
転送の準備を完了させる。
「…待って」
「! …シエルさん?」
「…ちょっとね。今回は私にやらせて欲しいの」
その真剣な表情を見て…オペレーターは思い当たった。
「……あの、私でしたら別段特にゼロさんと親しくなどはしておりませんし…」
…そのことではない。
「……オペレーター、少しあとで話をしたいんだけど」
「…え?」
「…昨夜のこと」
オペレーターの思考が…僅かな間、止まった。
「…!!」
「…解りました それでは」
「…行くわね、ゼロ」
ゼロの表情は曇る。
「…」
「3…2…1… …転送っ!」
ゼロは旅立っていった。
「確かに、水没しているな」
「ネオアルカディアが配置したメカニロイドを乗り継いで渡って!」
プールのように…ゼロのいる段から少し下の段は水浸し。激しく水位が上へ下へと変化していく。
そこに、亀型のメカニロイドが浮いている。装備が満載された…警備用だ。
よく見ると、電流の漏れたケーブルがそこかしこに。
…そして、その中で水に浸かる一番低いものに触れた瞬間…
図書館を覆う水は電流の海へと変わっていく。
「…」
バスターショットで亀に衝撃を与え、ひっくり返す。
亀の腹なら乗っても安全…跳び移り続ける。
「そこから、データベースのある部屋までメカニロイドはいないわ、一気に渡りきって!」
水の中へ飛び込み…電流が流れる前に一気に移動…
「…フゥ」
着いた場所は…。
「ゼロ。ここからこの書物名を入力することで、
目当ての書物が手に入る仕組みとなっているの。…お願いね」
調べるべき事柄…バイル、オメガ、妖精戦争、ダークエルフ。
その先にも大量の本棚が浸かっている。
その中でゼロの力になれそうな情報は、といえば…。
「そこか」
「違う!」
「ならここか」
「違うわよゼローーー!」
2回、3回、5回、10回…30回。
「…おかしい」
ゼロは…間違い続けた。
「ゼーーーーーローーーー!」
「…すまん」
そして、結局シエルが代行して記憶することとなる。
「そこよ…」
「ああ」
水に天井まで漬かった部屋にファイルは保管されていた。
ダークエルフについて。
「本来は………………であり、…………………を……するために作られた
………………による救済『プロジェクトエルピス』…………………。
だが開発に携わったともされるドクターバイルにより……をイレギュラーを……するものへと変わる。
シグマウイルス………特殊な……を利用して作られた………………で最初………………。」
エルピスの名。
「…なるほどな」
「ここはハルピュイアの管轄。…これを知ったのが、ネオアルカディア構成員TK31.
彼は… これを偶然知って歴史の一端を記憶した。…そしてその時から…彼は『エルピス』と名乗ったって聞いているわ。」
「……そうか」
かつてエルピスが立った場所に自分は…立っている。
次にオメガ。
「イレギュラー戦争末期において ドクターバイルにより製造される。
圧倒的な戦闘力を持ち… ダークエルフとの融合により活動する。 これが…彼が…と共に行った………研究の成果である。」
「…後半はよく見えんな」
「これはデータが新しいわ!」
ドクターバイル。
「レプリロイドの科学者であり、バイルの製作者である………との共同研究によりシグマウイルスの研究に乗り出した」
「…私のご先祖様のことね…」
「ダークエルフといい、とんでもないものを生み出したものだ…」
そして最後…妖精戦争。
「…………末期 ……………を……呼ぶ ドクターバイルによる…………………の……で僅か……………したとされ
究極……………………とされた………を…として………………同士の……を誘発 しかし…………において
……………% ………………% ……………と見られ ………………の戦争となった」
「…情報がまだわからんな…」
そこへ…何者かが現れる。
-
「ヒヒヒヒ…ヒーッヒッヒヒイ…」
頭全体をヘッドギアに包んだひょろ長の男…
「『ヴォルティール』か」
「ヒッ!ヒヒ!!…なんだ、お前が…お前が、ゼロ…か!?
返せ…俺達のデータ…返せ!か、かか、返せ!!」
両腕を拘束され、ビクンビクンと体を痙攣させながら、頭をカキコキと曲げながら話す。
「か、え、せ…と、言っているんだ…」
「返せえええええええええええ!」
ヴォルティールはそのヘッドギアで、ヘッドバットを繰り出す。
「…」
頭を軽くリコイルロッドで小突く。
「ヒヒヒッ!」
「…な、なんだぁ?何しやがったぁゼロ…
俺にはなー俺にはなー、わかってるんだぞーゼロ…………頭にくることしてくれるなーおい!!」
体が震えだす。
「あ、あぁぁああ、はああああああああああああ!」
ブチリ、ギチリ、ゴトリ。
彼を縛る拘束具が取れ、ヘッドギアが砕ける。
「兄者の敵をとりたい所だが……ダメだゼロ。流石に俺もコイツにはついていけない…」
サンダーチップからはクワガストの声。
「ッヒイイイイイイイイイーヒヒヒヒーーーーー!」
上半身を大きく前後に揺らし、水中でじたばたと跳ね始める。
チップを握り締めると同時にヴォルティールの体全体から電撃が発せられ…
「!」
「キエエエエエエエエエエエエエエエ!」
電流によりヴォルティールの体が変質していく…。
「ヒヒヒヒヒ!俺様はバイルナンバーズの一人『ヴォルティール・ビブリーオ』
オメガの奴のイカれ具合が解ったなら、テメェもさっさと引き下がりなぁぁぁ!!」
彼はウナギ型レプリロイドへ変身した。
「ヒーヒャハハーーー!」
ヴォルティールが体をうねらせて部屋を駆け抜ける。
「ハァ!!」
チャージ斬りで対応…しかし。
「効かない…!?」
…手ごたえがない。
「はぁーー!?」
ゼロをあざ笑うように部屋中に開いた穴から姿を見せるヴォルティール。
「黙れ」
チャージ斬り。
「ヒヒッ!?」
そして天裂斬。
「何しやがるーーーー!コイツめ!」
尾から電撃を発する。
「コイツめ! コイツめコイツめ!!」
電撃の弾は次々に放たれ…ゼロを追っていく。
「厄介な技だな」
「ヒヒヒヒ!そうだろうそうだろう!」
ジャンプ、回転斬りから三段斬りへと繋ぐ。
「キヒッ!?」
縦へ3回、斜めに1回、横に1回斬られる痛み。
…痛みのあまり、穴から現れる。
「こ、われ、ろーーーーーーーーーーーーーー!」
尾を地面に突き刺し…辺り一面を雷のカーペットへと変えて行く。
だが…ゼロは動じない。浮力を使って、最大限に浮き…攻撃を回避。そしてそのまま…
「落砕牙!」
セイバーを下へと構えて落下。
「ヒヒッ!!」
頭、腕、下腹部を一直線にセイバーで突き刺しに。
「…や、やりやがった、やりやがった!!
いか、いかかかか、イカれてる、イカれてやがるるるううう!ヒャハアアアアアアアアア!」
ヴォルティールはそのまま弾け飛んだ。
「有難うゼロ…解析を行うわね …後、間違え続けたからミッション点0.」
オペレーターをシエルは呼び出していた。
「…正直に話して欲しいの」
「…で、ですから忘れ物を…ですね」
「何の?」
「それは……」
オペレーターは口ごもる。
「コンピュータに何かしてないでしょうね…」
「な、何も…!」
「…それなら、見ても…」
そこへ。
「…シエル」
「セルヴォ… …お願い、後にしてくれないかしら」
「いや…少し聞いてくれ …ゼロにバイルチップを入れたのが誰だか解ったんだ」
-
「…アンドリュー…さん?」
セルヴォの口から出たのは予想だにしなかった人物。
「……こんなことはしたくなかったんだがね
…メンテナンス室で…ゼロの頭に入れている所をメンバーが見たそうだ」
「…目撃者が怪しいってことは?」
「シエル。 ……ゼロが気がかりなのはわかるがね
納得してくれないかね… 何なら私を疑っても構わんが…」
「ごめんなさい… でも…ひとまず………アンドリューさんを呼ぶ必要がありそう。」
ゼロは……ただ一人、次なるミッションへと向かっていた。
「エネルギー施設か」
真っ暗な巨大建造物の内部調査。
「この施設はとても最深部までの道のりが長くなります
長期戦とお考え下さい」
二人いるオペレーターの、もう一人のオペレーターが説明する。
エレキチップの働きで動かぬ動力にエネルギーを送ることは可能なようだ。
蛾型メカニロイドを、そうして点した室内照明へ集め…一気に斬る。
そして先にはまた動かぬ動力。
これの繰り返し…どんどん奥へと潜っていく。
途中にあったのは、作動を続けている巨大動力装置。
「これをまずは止める必要があるか」
リコイルロッドを取り出し…
「セヤ!ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!!」
サウザンドスラッシュで6つのスイッチを次々に押し込み先へ。
「…危険区域というわけだな」
メカニロイドが大量に配備され、トゲトラップの数も半端ではない。
運ばれる鉄骨をリフト代わりにして移動…
体重を移動させて千切れるケーブルを攻撃したり、爆弾を避けたり、トラップを避けたりしながら
また奥へと進むと…
(セキュリティか!)
ぐるぐると回転する円形装置…その中心に緑色のコア、周りを廻るは二つのリフト。
赤色から青色へ…。冷気での攻撃。
青色から赤色へ…。炎での攻撃。
それぞれの弱点で攻撃してこれを破壊して更に先へ。
もう一つの動力装置を停止させたゼロは…行き交うリフトを見つめる。
「これのスイッチを切り替えて、何とかしてトゲだらけのこの壁を越える…と」
ゼロ対策のトラップも手が込んでいる。
…それを抜ける手段もまた、考える必要がある。
「あらあら。見ちゃったみたいねぇ坊や」
華奢な女性レプリロイドが最深部にいた。
くるりくるりとカールしたロングの髪を持つ…。
「お前らは…誰だ」
「私はバイルナンバーズの一人、『キュービット』
このベビーエルフ生産工場を見られたからには…生かしては帰せないわね」
「そういうことダァ…」
そして、キュービットを肩に乗せる巨体の男。
「俺の名はァ、『トレケスタ』
テメェがあまりに遅いもんだから来ちまったぜぇ!」
二人のバイルナンバーズが相手…だが。
「さて。私は高見の見物と行きましょうか トレケスター、お願い」
キュービットはトレケスタの背から跳び立ち…天井へと姿を消す。
「ゴルルルァ!行くぜぇゼロおおおおお!」
大剣を手に…トレケスタが向かってくる。
「ゴッラアアアアアアアアア!」
だが…それは届かず。
ゼロによって、片腕をもぎ取られたからだ。
「ア、アアアアアアア!!テメェ、テメェエエエエ!!」
威力は抜群。
…いよいよ、戦いが始まる。
-
「ケロロロローン!ワタスの力がやっと役に立つだーー!」
ヘケロット…
そう。彼は、芋虫を食べた数だけ体が膨れたが…その重量硬度は半端なものではなかった。
彼は…重さを支配していたのだ。
「ゴルルルルルルァアアアアア!」
部屋全体が、トレケスタの重量で凹み始める。
どんどん沈み………床を砕き、下へと落下していった。
…大きな穴。
そこから…一つの巨体が飛び出してくる。
顔だけでなく、両肩にも顔のついたレプリロイド。
着地と同時に、あらゆるものが崩れてゆく。
ゼロは…下の階に落とされる。
「ゴルルルァ!俺様ァ地獄の番犬『トレケスタ・ケルベリアン』!
せいぜい俺を楽しませろよぉ英雄!!」、
戦いが始まる。
「オッルァァ!」
大型コンテナを軽々と持ち上げ…落とし、ただの突進ではない…腕に全エネルギーを込めての光線剣を作ってのものだった。
「大剣使いか、なるほどな…」
斬られる前にそこを飛び立ち、一撃。
「ゴァァ!!」
今度は鉄パイプをぐにゃりと曲げ、それを投げつけてきた。
「…なるほどな」
相手はパワーが自慢。
…ならばこちらもパワーで対抗。
「ォアアアアア!」
チャージ斬り。続けてまたチャージ。
「オオオオオオオオ!!」
トレケスタの肩パーツが分離する…。
いや、トレケスタの第2、第3の顔だった。
「ガウ!」
「ガガーーーウ!」
隙を見て回避、そしてまた振り下ろす。
3体が集まった、そのときを見計らい全て1度切る。
「…さて。トレケスタもそこまでかしらね」
毒ガスを撒き始めたトレケスタとゼロの元へ……
キュービットが炎を落とす。
「ごあああああああアアアアアアア!熱い、熱いぞおおお!!」
毒ガスへと引火。トレケスタの体に次々と燃え広がり……
「グアアアアアアアアアア!」
…消滅していった。
「今の、見てもらっちゃ困るなぁ…」
トレケスタの死体足元にはビット。
「よ、っと♪」
キュービットが炎の中に着地。
「変身…!」
燃え盛るビット9つがぐるりぐるりと回転………
キュービットを持ち上げ………
「ハァ!」
「貴様の罪を滅ぼすために私は再び現れたぞゼロ!」
マグマニオンの人格の入ったフレイムチップを掲げると…
ビットは集まり大きな炎へと変化。中から…
「オーッホッホ!私の名前は『キュービット・フォクスター』
私の作り出す幻に酔いしれなさい!」
狐型のレプリロイドに変身していた。
-
「見切れるかしら!?」
フォクスター自身が炎となって、炎のビットが辺り一面を舞う。
「100年前なら食らっていただろうがな」
壁を蹴り…雷の力を手に入れたチャージ斬りで一撃。
「あぁうっ…!
それなら…これならどうっ!」
ビットを自分の体に集中させ…
「いーやぁ!いーやぁ!いーやぁ!いーやぁ!!」
炎を纏ったビットを連続で撃ち出してくる。
「な、何故効かない!」
ゼロは軌道を読みそのすべてを回避。
「どうしてだろうな」
フォクスターへ股一撃。
「うっ……あぁ…!!」
フォクスターはしかし…まだ堪えない様子。
「燃えておしまい!!」
炎を打ち上げ、地上を炎の海へと変える技。
「熱いわよお!!」
だが…。
「…憎らしいわね…なんでそんなに動きが手に取るようにわかる!!」
フォクスター最強の技を発動。
「『火炎車』!!」
ビットを大きく回転させ、巨大な炎の台風とする技。
…だが…最初で解った。これもかわされると。
「…何故そんなに強い…!!」
気がつけば、ゼロは彼女の真上にいた。
「何故、諦めない…!!!」
落砕牙にてフォクスターの体に一本の筋が通り…
「そういえばお前、男じゃなかったか」
「女の過去なんて詮索しないものよ坊や……」
炎に包まれていった。
バイルナンバーズはこれにて全滅。
「…ああ、そ、そうなんじゃよ…ワシがある日拾っただけのもんでな…
もしかするとネオアルカディアの兵か誰かが
置いていったのを持っていたのかも知れん…」
「バイルが来て以降、レジスタンスベースでの戦いは行われていないの」
「く…… うう…」
アンドリューも…何かを隠している。
一体何が?
「…ハルピュイアの様子を見てくる。そう、伝えておいてくれ」
「まもなく解析も完了いたしますので…それまでには戻ってきてくださいね」
「…何をしにきた」
ハルピュイアはメンテナンスルームのカプセルから起き上がっていた…。
「おお、ハルピュイア様!」
「ハルピュイア様が目を覚まされた!」
「ハルピュイア…どうする
俺と戦っておくか」
「…下らない お前に今は構っている暇などない。
…オメガを倒さねば世界は…奴により破壊し尽くされる。
それを止めに俺は…戦うんだ」
「…全ては、人間のために…忘れたか」
「ゼロさん、ゼロさん…至急、司令室までお越し下さい」
そして、空白の期間…『妖精戦争』の事実が明らかになる。
最後の戦いのときが… やってきたのだ。
-
ver0.9ぐらい版
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
後少し…
-
ちょっと修正(ver0.91ぐらい)
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
※シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
(ほぼ無理矢理)ver1.0
―チーム名―
リリーズ LILLYS
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
―コーチ一覧―
今回はそれ的な事は全てFREEと沙都子が担当しました
―備考―
・シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
第六版
―葛飾野球倶楽部メンバー表―
1 カリス・フィリアス 二塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/投手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/二塁手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/投手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
あかぎ 最高球速124km/抑えタイプ/スリークォーター 変化球チェンジアップ
シャーリィ 最高球速158km/中継タイプ/オーバースロー 変化球Hシュート/Hスライダー/ツーシーム
―コーチ一覧―
ヘッドコーチ エリ・カサモト
打撃コーチ シャーリィ
守備走塁コーチ 一条あかり
投手コーチ ブランネージュ
コンディショニングコーチ あかぎ
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図書館内で手に入れたファイルの解析が完了…
シエルからその報告が始まる。
「…行くわね」
ダークエルフについて。
「本来は『マザーエルフ』であり、イレギュラーを浄化するために作られた。
マザーエルフによる救済『プロジェクトエルピス』は彼女が持つシグマアンチボディプログラムによるイレギュラー根絶計画。
だが開発に携わったともされるドクターバイルににより改造を受けイレギュラーを洗脳するものと変わる。
シグマウイルスが持つ特殊な性質を利用したサイバーエルフで最初のサイバーエルフでもある」
「…本来の名前はマザーエルフ…か」
「元々は世界を救うために生まれた…本当だったのね
…エルピスは、プロジェクトエルピスを間違った方法で完成させようとしていたのね」
「…ダークエルフに操られて、か」
次に妖精戦争。
「イレギュラー戦争末期 ダークエルフのコピー、ベビーエルフを始めとした
サイバーエルフが大量使用された時期をこう呼ぶ
ドクターバイルによるダークエルフの投入で僅か4年で終結したとされ
究極のレプリロイドとされたオメガを媒体としてイレギュラー同士の争いを誘発
しかし終結時において
全人口に占めるレプリロイドの90% 人間の60%が 死に至ったと見られ
地球史上最悪の戦争となった」
…シエルは震えていた。
「…こんな戦争を私達は忘れていたっていうの………」
『レプリロイドの90%、人間の60%』
目を閉じる…無数の叫び声と悲鳴と涙、赤黒い想像が焼きついて離れない。
…字で見ただけの彼らには、想像しか出来ないのであるが。
「…情報操作の果てが…これか」
言葉が出ない。
そこに、オペレーターが声を発する。
「クヒャーッハッハッハ、よく調べたなドクターシエル」
「な!?」
それは…最早オペレーターではない。
「ドクターバイルか…!」
「ワシは今から、オメガとダークエルフを完全に融合させる所だ
…クーックック…今度のオメガは完璧だ…!
最早ベビーエルフを使う必要などない!」
「この掌を一度握るだけで…
ワシは世界を、終わらせることが出来るのだ!!」
世界が…恐れ始める。
オメガと…その中のダークエルフから発せられた波動が…地球を覆い尽くす。
「さぁ、始めようではないかオメガ…!!
世界に刻め!! 貴様らの支配者の名を!」
…レジスタンスベース司令室に…
レジスタンスたちが駆け込む。…シエルを心配して…
…いや。
「大いなる者が」
銃を構えていた。
「漸く目を覚ました」
そして包囲。
それは…呪われし賛歌。
「閉じられた歴史が開かれ、動き出す」
「世界に刻め」
「我らが支配者の名は…」
叫ぶ。
「バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!
バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!
バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!」
-
ダークエルフによりオメガに増幅されると同時に
オメガにより増幅されたダークエルフの力。
それはレプリロイドの支配の力だった。最早…その力は地球全体に及んでいる。
「………」
彼らを切り伏せることは簡単。
…だが、彼らはバイルに操られただけの者であり…
彼の仲間である。
そして…人間であるシエルを守りながら戦うことは…不可能に等しい。
「ちっ…」
その時。
「!」
視界を突如、眩い光が覆った。
「…遅いぞエックス」
「ごめん… …大丈夫かい」
辺りを見渡す。
「…皆気を失っているだけのようだな…バイルとオメガは今何処にいる」
「ネオアルカディアの地下動力部…
……『アンダーアルカディア』だよ
バイルはそこから世界中に、ダークエルフの力を送り込んでいるんだ」
「…世界の中で俺一人だけが立ち向かうことになるか…
座標を教えろ」
「…ま、待ってくれ…」
セルヴォの声だ。
「?」
「…君に渡しておきたいチップがある…戦いの前に…ラボに寄ってくれ」
「…解った。シエル、お前も一応ついて来い」
「え、ええ!」
渡されたチップは…アルティメットフット。
あらゆる足に関するチップの能力が集まった最強のチップ。
「…何時の間に」
「リコイルだけでは不足だと思ってね…
さあ、行くんだ…」
そのとき…だった。
「…何だ、この音は…」
…恐らく、転送装置の作動音。
司令室に戻る。
「…」
転送装置の床が光ったまま。
「………………まさか」
「…お、お願いですゼロさん……助けて…あげてください…」
オペレーターは…知っていた。
ゼロにバイルチップを埋め込んだその張本人が誰であるか、何をしようとしているか。
エックスも…見ていた。
「ゼロ!アンダーアルカディアへ転送できなくなった!」
「…何?」
「通るにしてはあっさり過ぎると思っていたんだ…
ゼロが部屋に来た瞬間、応答が遮断された」
「なるほど、許可は…そういうことだったのか」
内通者を転送するためのもの。
「言葉を選んでいるけど…一体どうしたっていうの、ゼロ」
「……」
ゼロは返さずに転送装置の中心へ立つ。
「オペレーター その近くでならどこに転送できる」
「ねえ、ゼロ!聞いてよ!」
「…地下に通じる、ネオアルカディア中枢部の地下巨大エレベーターまでなら……」
「…お願いだから、二人とも一体何を知っているの!?」
…ゼロは最早迷う素振りも見せなかった。
「…ゼローーーーーーーーーーーーーーーーー!」
-
ネオアルカディア地下の巨大エレベーター。
巨大な一本の支柱がどこまでも続き…
高さだけでない広大さを持つその空間を下へ下へと降りていく構成。
パンテオンを倒して突き進み、梯子があったら下へ。
トラップに注意しながらまた下へ進み…
扉を潜りエレベーター本体へ。
「ここを降りるのか」
地下へ降りていくエレベーター。これは中継フロアまでのものである。
「来るな…」
上から飛来するリフトが二つ。そこから、大量のメカニロイドやパンテオンが落下…エレベーターに乗り込んでくる。
「邪魔をするな…」
かつてパンテオンコアのいた地下鉄で戦ったメカニロイドとも再戦を果たしながら、どんどん下層へと下がっていく。
何分か下り続けたところで中継フロアへと到着。
また同じことを繰り返すこととなる。
パンテオンを倒し、トラップに注意しながら下へ、また下へ。
アンダーアルカディアに繋がるエレベーターに乗った所で…
「アハハハハ!ねえプリエ!来たよ悪者レプリロイド!」
「キャハハハ!そうだねクリエ!お爺ちゃんの言った通りだね!」
現れた。マザーエルフのダークエルフとしての面のみを継いだコピー…
二人のベビーエルフ、クリエとプリエだ。
二人のダークエルフはぐるぐると廻っている。
「それじゃお爺ちゃんの言った通り、戻ろうよクリエ!」
「ねえねえ、でもせっかく会ったんだから悪者レプリロイドやっつけちゃおうよ!」
「…仕方ないね、それじゃやるよクリエ!」
「うん、頑張ろうねプリエ!」
戦闘が始まる。
交差して飛来した後、プリエは光をゼロに落とす。
「もう効かん」
ダッシュで避けたところにクリエのエネルギー弾。
回避した所でチャージ斬り。
「わぁあ!」
「きゃあ!」
続けてベビーエルフたちは遠くへ飛んだ後、勢いをつけて衝突…
二つの力が合わさる衝撃でゼロを攻撃しようとするが、それも間を縫ってかわす。
「ハァ!」
チャージ斬りで二人をまとめて攻撃。ここでクリエとプリエが一箇所でぐるりぐるりと回転を始める。
「行くぞープリエ!」
「うん。合体だねクリエ!」
「「はぁぁ!!」」
ベビーエルフは融合、一つの巨大なエルフに変身した。
「さぁ行くぞー!」
クリエはエネルギー弾を床へ向けて発射。
それは分裂し、地を伝う。だが…これも飛び越えてそのまま…
「行くぞ」
合体エルフに…最後の一撃を加える。
「きゃああああ!」
二人のエルフが分裂…
クリエは無事なようだが…プリエは…
「な、何か痛いよプリエ…体が、チクチクして… み、ミミミミミーーー!」
赤ん坊のときの鳴き声のような…断末魔を残して消えていった。
「プリエ…? プリエーーーーー!?
…わ、わわわ…わーーーーーーーーーー!」
クリエはどこかへ消えていった。
「…この先か」
たどり着いたのはアンダーアルカディア。
ネオアルカディア全体を支える動力部だ。
「…」
世界中に延びるチューブがひしめく中、
ゼロは敵を倒しながら、奥へ…下へとどんどん向かっていく。
…いよいよオメガの元へと向かっていく。
後ろを見れば、死んで行った者達がいる。
隣を見れば、共に歩む仲間達がいる。
前を見ると…これから戦う敵がいる。
…仲間からの声援は重要であろう。だが…
仲間がずっと傍にいては、前の敵とは戦えない。
先へと進むため…全てに決着をつけるため。今倒すべき最大の敵のことだけを考えて進む。
ネオアルカディアもバイルの支配から解放されれば考えを改めるだろう。
レジスタンスも歩み寄れば…また、新しい世界が開けることだろう。
これが…平和のときのための最後の戦い。
…ゼロは…扉を潜った。
-
「…」
そこには…システマシエルを手にしたバイルと、怯えてやってきたクリエ。
そして…システマシエルをバイルに渡した内通者。
「クヒャーッハッハッハ!英雄ごっこは楽しいかね、ゼロ」
「まずはお前を倒す…だが、オメガは何処だ」
「オメガならお前との決着に相応しい場に移動しておいた
後で来てくれたまえ」
バイルの姿が消えていく。
「残念じゃが……全てはワシの言った通りじゃったろう…?」
そして内通者の名を呼ぶ。
「アルエットよ」
シエルが…凍りつく。
「………」
そう…全てはクリエとプリエを守るため。
自らが育てたベビーエルフたちを守るためにアルエットがしたことだったのだ。
ゼロを止めるべくナイフで気を失ったゼロに向かって振るったはいいが、通用せず。
更なる手段があると…バイルは、
クリエとプリエを育てた彼女へ…一人しかいないタイミングでコンタクトを取った。
「ゼロ…… プリエを、どこにやったの?」
シエルから、コンピュータの扱いを習ったアルエットは…通信していたのだ。
度重なるその様子を、オペレーターに見つかり注意を受け…そのことがいつしかバレてしまったが
子供を責めることはオペレーターには出来なかった…。
だがレプリロイドの体そのものの扱いは解らない彼女は
アンドリューにゼロの強化チップと称し、ゼロを衰弱させる猛毒のチップを入れさせた…
アンドリューはアルエットの仕業だと即座に知ったが…老人は孫に等しいその子を庇った。
…全てはバイルの筋書き通り。
「知っていたの…!? …知っていたの、知っていたのゼロ!ゼロ!!ゼロ!!」
シエルは声を荒げる。
「どうして、どうしてプリエを殺したの、ゼロ!!ねえ、ゼロ!!」
アルエットは叫ぶ。
「ち、違うんじゃ…あの子は悪くない、責めないであげておくれい、ゼロ…」
アンドリューは困惑する。
「怖いよ、怖いよーーー!!死にたくない、死にたくないよアルエットお姉ちゃん…!!」
クリエは震えたまま。
「クヒャーーーッハッハッハ!さぁ、どうする!どうするかねゼロ!」
モニター先のバイルはその様子をあざ笑う。
その中心にいるゼロは………何もいえずにいた。
「お姉ちゃんたるもの、妹の身は自分で守らねばなぁ、アルエット…
さあ、クリエを守るのじゃ!!」
合図と同時に、
わらわらと沢山の紫色の光が現れる。
「ミ、ミミ、ミ…」「ミ、ミ…」「ミミミ…」
「!?」
キュービットのいた工場で生産されていたベビーエルフたちだ。
それはアルエットへ向かい集まり…
膨大な数のベビーエルフがアルエットに吸い込まれ…
最後にクリエがアルエットに吸い込まれる。
「う、うううう、うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
アルエットが吼える。
アルエットの体に…変化が起こる。
『姉』に相応しい姿へと急成長………紫色の巨大なオーラを纏い……
「はぁぁぁぁ!!」
宙に浮いた。
「…」
ゼロは……ただ、目を閉じていた。
-
アルエットの攻撃が始まる。
「やぁあ!!」
両腕から光の弾を放つ。
宙をうねり、先ほどとは比べ物にならないスピードで跳んでくる。
飛び越えてそれを回避。
「………」
バスターショットの通常弾を一発。
レジスタンスを気絶させた時のようにしてみるが…
「エイ!」
現れた光の壁によって阻まれる。
「止まって!!」
遠距離から手を振りかざすと
プリエがやったような、光の粒が風となってゼロに向かい吹き荒れた。
「…」
ゼロの動きが制限される。
「行けぇぇ!」
そこへエネルギー弾を大量に乱射…ゼロを撃ち抜こうとする。
「……何か手はないか…」
戦闘能力はゼロを手こずらせるレベルではない。
だが……攻撃するわけにはいかない相手であるのだ。
「エルブズスパーーク!!」
クリエとプリエが衝突した時のあの光…
それが、アルエットの体内で起こる。
ベビーエルフたちを体内で衝突させ…
アルエットを中心として大爆発を起こす。エックスのギガクラッシュに近い攻撃となる。
ゼロはこれをシールドブーメランで防御。
「…」
考え続ける。倒す方法は、何かないものか…
「ゼロ…サイバーエルフに対してはサイバーエルフの力を使うしかない!」
シエルからの提案。
「攻撃可能な子が何人かいるはずだから、そのうちの1人の力を借りて!」
サテライト機能と呼ばれる、サイバーエルフが命を失うことなく、
ゼロのエネルギーを一部借りて力を使えるようになる機能。
「頑張るよー!」
蜂の形をしたサイバーエルフが弾を放つ。
だが…
当たらない。その上…アルエットには効かない。
「そんな…」
…斬ることは当然出来るわけもない。
ゼロらしからぬ行動…『攻撃しない』。
…それは彼自身も知らぬ記憶の根底に、過去に似たような出来事があったことを知っているからか。
だが…それでは解決しないことも薄々わかっている。
続いているアルエットの猛攻を潜り抜けながら彼は告げた。
「………シエル…すまない。」
「ゼロ…!!」
「仇を取るなら…バイルとオメガを倒した後にしてくれ」
これが憎しみの連鎖を生むことも。
セイバーのエネルギーをチャージ……アルエットへ向かい走り…そして。
-
いや……そう思われた、その瞬間である。
なんと一人のサイバーエルフが高速で飛来…
「わぁああああ!!」
「きゃああっ!!」
アルエットを貫いていったのだ。この光は…… エックスではない。
クリエを筆頭とし…あふれ出す無数のベビーエルフたち。
「ミーーーーー!!」「ミミミミミ!」「ミューーーー!!」
アルエットが元の姿に戻り倒れこむ。
「ハァァ!!」
チャージ斬りでそれらを一刀両断。
不完全なベビーエルフたちはその一太刀で消滅…
「…!」
続けて跳びあがり、回転斬りを食らわせ…
最も育ったベビーエルフ、クリエを斬る。
「あ、あ、あ…!!!
み、ミミミ…ミーーーーーーーーーーーー!」
…アルエットは起き上がらない。
「…すまない」
簡易転送装置をつけて転送。
ベビーエルフに、アルエットに、シエルに…彼は本心から謝罪の言葉をつぶやき…
転送装置に乗った。
「……」
行って来る、必ず勝って来る、アルエットを頼んだ。
…どの言葉も、今のゼロの立場では言える言葉ではない。
彼はただ一人…最後の戦いの場へと向かっていった。
シエルは反応をマップで追う。
「ゼロが…転送された先は…………これが、…バイルの研究所…!?」
「ど、どうなさいました?」
「……ちょっと、来たことがある場所なの」
-
ひび割れや汚れ、煤や壁を伝う蔦が目立つ古い建物。
寂れた建物の…扉を潜る。
バイルの研究所。
パンテオン達の守りや、トゲトラップの敷き詰められた床を昇降するリフトを跳び映りながら
先へと進んでいく。
「ギチギチギチギチー!刻んでやる!」
「せっかくの優雅な時間を…目障りだ!」
「ハハッ、そのスカした面、恐怖で凍りつかせてやるよ!」
「シャァァァァ…!歓迎するぜぇ」
待ち受けていたのは八審官。
マンティスク、ヘルバット、イナラビッタ、フリザード。
「お前の体を噛み砕いてやろうかぁ!」
「イカれた奴が来たぜぇ!覚悟しろ…」
「今度こそ裁くであーる!」
「坊やにはどうしようもないの、諦めなさい ホーッホッホ!」
ケルベリアン、ビブリーオ、カクタンク、フォクスター。
8人全員を倒し最後の縦穴を下ると…
最後の扉。これを潜った先に…奴が居る。
「………」
最強の敵を前に一呼吸。
…扉が開く。
…潜る。
そこは上階下階とを上下に大きく貫く巨大な空間。
扉からは、反対側の扉まで大きな一本橋となっており…
空間の中央には…脳の形をした巨大コンピュータ。
前頭葉部分のディスプレイが点灯…バイルを写す。
「クーーーックックック!どうだねゼロ…英雄ごっこは楽しいかね?」
「…とてもじゃないが付き合いきれん
下らんことはここで終わりにさせてもらうぞ」
「そうか、付き合いきれんか…?お前はワシを何と思うかね…」
「全くもって理解の外だ……俺にはお前はイレギュラーにしか見えん
イレギュラーならば叩き斬る… までだ」
イレギュラーハンターとしての過去がある。
レジスタンスとしてイレギュラー扱いを受けながらも戦っている今がある。
「…」
バイルは口元を歪ませたまま、声を出さず笑った。
そして…
「クヒャーーーッハッハッハ!
そうだ、いい台詞だ!さぞ気持ちよかろう、ゼロ!!」
ゼロの言葉に何か満足したバイルは、彼を呼び出す。
巨大な光の柱。
膨大なエネルギー量。圧倒的な力の前に、押し潰されそうになる。
そんな気を発しながら、静かに空間に佇む金色の甲冑騎士…
「オメガ…!」
「ゼロ、お前は面白い奴だったよ
ここで殺してしまうのは惜しいくらいだが…
まぁいい、まだまだ楽しみもある…最後まで楽しんでくれよ、ゼロ!!」
オメガの気配が静から動へ。
大気が震える。衝撃が走る。ディスプレイが歪む。
オメガの剣の鞘が爆ぜ…大剣が姿を現す。
戦いの始まりの…合図だった。
-
オメガとの戦いが…いよいよ始まる。
オメガは腕を分離させ、
開いた掌からフープレーザーを放った。
その速度は…宇宙船のときの比ではない。
「はっ!」
放つのを見てからでは間に合わない。
素早くレーザーを飛び越えて一撃。
上からのレーザーも一歩位置をずらし避けて一撃。
「グォオオオオオ!」
最後に放たれた一発も飛び越える。
「ゼロ…ゼロオオオオ!」
今度は目からの反射レーザー。
これはハルピュイアを貫いた技。
自分のいる位置に飛んできたのでこれを飛び越えてバーストショット。
オメガの頭へと真っ直ぐに炎の弾が飛んで行き…爆発。
連鎖的にダメージを与える。
2発目、3発目は共に後ろへ避けて回避。
その間にまたチャージを行い…
今度はブリザードアローで攻撃。
バスターショットから放たれた氷の矢が、オメガへと当たっていく。
…いや、一部分は弾かれているようだが。
やはり弱点は顔部分。
オメガがいよいよ…剣を取り出した。
「…」
オメガが大剣を振るう。
空気が裂け、大気が振動する。
一直線に、巨大な絵がゼロの頭上を追う。
ゼロが走り、それを避けようとする。
剣が下ろされる。
駆け抜けてそれを回避…
「天烈斬!!」
両手でセイバーを構え、斬り上げる一発。
「オオオオオ!」
2発目も一歩飛びのいて回避。
3発目は……
勢い良く橋の一部を破壊。巨大な岩片となって破片が飛び散り…
大きな破砕音がこだまする。
破片を破壊、オメガへ近づきジャンプ斬り…
そこから回転斬りへと連携。
「ォォォォォォ…!!」
レーザーでまたゼロを追い始める。
ゼロは飛び越える…
そう思ったら、剣を取り出し…
オメガが大きく跳びあがり始めた。
あの一発だ…ゼロは理解する。
-
オメガは剣を下に向けて構え…
ゼロ目掛け下突きを行う。
凄まじい力を持つものの、冷静になれば回避は可能…
橋を貫く。
先ほどとは比べ物にならない瓦礫が飛んでくるが…
着地の瞬間を避ければ衝撃波の餌食にもならぬため、
容易に対処が可能。
瓦礫を破壊して、そのまま振り向き一撃。
オメガが斜めに切り裂いてきたので体を近づけて懐へ近づき、
回避と攻撃を一度に行い…斬る。
「ォォォォ…ォオアアアアアア!」
オメガは雄たけびを発し…
以前よりも早いスピードで剣をゼロ目がけて叩き付ける。
「ハァっ!!」
以前以上に増した力でセイバーでそれを払う。
「ォォッ!?」
小さなゼロが巨大なオメガの剣を容易に払いのけるまでになった。
極限まで高められたゼロの力は…
最早オメガを越えていた。
ゼロは一直線に駆け…
跳んで一発。
更に、アルティメットフットの効果で宙を蹴りもう一段跳び…
オメガと、顔が並ぶ。
「……!」
「……。」
目と目を合わせ……
その眼前に剣を構える。
「落砕牙!!」
両手でセイバーを握り…全ての力に任せ落下。
首元から胸部までに一気にセイバーを刺し貫き…
「ハァァァァ!」
爆発音にも似た破砕音。
オメガの両腕を、その剣ごと破壊した…!
「グォォオオオオオオオオオ! ゼロォォォォォォォ!!」
その様子に…バイルは満足そうであった。
「ククククク…やるな、ゼロ!!
だが…」
…そう。ダークエルフに取り付かれたものは皆、その姿を変えている。
…オメガは色が変化したのみ。…変化が、小さい。
「オメガの力はその程度のものではない!!
さぁ行け、オメガよ!!」
「ダークエルフの力を開放しろーーーーーーーーーーーー!」
オメガが橋を貫き……沈んでいく。
遥かな下から……光があふれ出す。
視界が真っ白な光に包まれ…………
…それは、現れた。
-
視界を覆う光が和らぐ。
すると、
……超常的な光景が目の前に広がっていた。
それはまるで滝のよう…いや、それとは方向が逆であるのだが。
…下から上へと、ひたすら天に向かい膨大なエネルギーの奔流が巻き起こり、辺りを包み込んでいる。
そんな中に崩れ去り木片のように浮かぶ、ゼロの足場… 橋。
そして…下から膨大なエネルギー反応が身を起こす。
「………」
先ほど以上に巨大な……鋼鉄の巨神。
体の左右のパーツには赤と青のパーツに分かれており
肩は赤い顔と青い顔が…腕には巨大な赤いセイバーと青いバスターがそれぞれついている。
中央には、顔を中心として黒いボディで構成されている…
全ての力を手に入れた、オメガの第二形態である。
そして…その巨神が…ゼロを見据える。
…戦いが、始まる。
オメガは青きボディが持つバスターをゼロへ向かい発射。
巨大な銃口から、ゼロの身の丈の倍はあろうかという巨大なエネルギー弾が3連続で発射される。
発射速度、威力どちらも桁違い。
「ハァァ!」
ゼロはそれを一息に飛び越え、オメガの中央の顔にチャージセイバーを叩き込み…
…そこにオメガの目が光る。
まずは赤き右半身の目。
ゼロの足元目掛けて細く鋭いレーザーが発せられ…ゼロの足元に衝突。
後ろに大きく跳んで回避した所に、
次は青き左半身の目。
比較的オメガから遠い、ゼロが移動した先を狙い撃つ。
ゼロは飛び越えてまた距離を縮めようとするが…
そこに中央の目からのレーザーがゼロの肩の腹を貫いた。
「ぬ……!!」
オメガはその隙を逃さなかった。
ダークエルフを模した中央の顔に生えた角から、巨大なエネルギー球を発射。
ゼロを捕らえ………取り込もうとし始める。
「離せ…!!」
エネルギー球の中でもがき…
何とか脱出、回転斬りで一撃を見舞い、元の位置へ。
オメガは次に追尾エネルギー弾を発射。
それはゼロより遅いながら確実にゼロを追う。
バスターショット一発で軌道を変化させ、逸らし…チャージセイバーをオメガへと叩きつける。
「…またその攻撃か!」
オメガは左腕からバスターを発射。
ゼロはそれをまた、ギリギリで飛び越え…今度は雷の力をまとったV字型軌道の2WAYショットで撃つ。
オメガにも大分ダメージは蓄積されてきたはず…
このまま一気に押し切ろう…そう思ったがそうも行かぬようだ。
-
オメガがバスターにエネルギーをためる。
それ一つで、引き寄せられそうなほどの大きな大きな力を感じる。
高められたエネルギーは… ゼロが跳んだ位置へと持ち上げられたバスターから一気に発射される。
巨大なチャージレーザーとなって。
宙を蹴り、落砕牙で急速落下したゼロは直撃を回避。
上から下へと下ろされるチャージレーザーを回避…木屑のように浮く橋にしがみついて。
チャージショットが途切れた所でまた一撃。
だがここでオメガの戦闘パターンが大きく変化した…。
オメガの右半身がいよいよ動き出す。
20mはあろうかという長く巨大なセイバーをオメガは構え…
「…!」
一気に橋を破壊…いとも簡単に破壊される。
ゼロはそこを飛び越えてオメガの肩に乗る。
まずバスターを構える左半身から攻撃。
払う、斬る、振り下ろす。
三段斬りでエックスを模したその顔を斬りつける。
オメガが体を震わせゼロを振り下ろそうとし始めた…
ゼロはそれに屈することなく今度は右半身の腕へと乗る。
そこからリフレクトレーザーを一直線にゼロを模したその顔へと当てる。
そしてその間にチャージしたセイバーでオメガの中央の顔へ跳びあがり一撃。
反動でエネルギーの奔流へ投げ出されることになるゼロは、木っ端微塵に砕けた橋の破片の一つに乗る。
三度オメガがバスターを撃ち出す。
だが三度目はかわすのではなく…
「烈風撃!」
一直線に走り、巨大な3連エネルギー弾を真っ二つに切り裂く。
オメガのバスターをそのまま斬りつける。
砲門が弾ける。
反動で跳び…
「落砕牙!」
セイバーを持つ腕へと向かい落下…腕へと大打撃。
爆発する腕から跳び…
横へ、斜めへと胴体を斬りつけ……
「最後だ…オメガ!!」
宙を蹴り二段ジャンプ。
オメガの中央の、ダークエルフを模した顔にチャージ斬りを叩き込む。
上から下へ…一直線に筋が入り、そこから光が漏れ出す。
オメガの体の各所から、咳を切ったように大爆発が続き……
巨神オメガの腕がだらりと落下。
そのまま千切れ…
砕け……
全てが壊れていく………
大破。
ゼロは宙へと再び投げ出される。
エネルギーの対流が収まるのを感じながら…
オメガのエネルギー反応が徐々に弱まり……消滅するのを感じながら……
ただ、重力に身を任せ、落下していくのだった。
-
着地…。
…研究所の下層部分へとたどり着く。
オイルにまみれていたはずのその部分は、
オメガの残骸が転がり、炎の海と化していた。
ゼロを模した半身のセイバーはエックスの半身の目を刺し貫き
エックスを模した半身のバスターはゼロの半身の後頭部へと当てられている。
炎の海の中、一つの大きな装置が目に映る。
囲うような構造をしていて……
チューブのようなものが垂れ下がっている。
「ここは……」
そう、バイル研究所なるその場所は…
「俺が、眠っていた場所…」
そう。…ここから、新しい彼の戦いが始まったのである。
戦いの終わり、カプセルに身を投じて…それから100年後の。
「!!」
…気がついた。
…カプセルに包まれ眠ったはずの彼が…
体中を繋げられたような状態で、吊り下げられて保管されていた?
……何かがおかしい。
バイルの声が響き渡る。
研究所のパーツ、コンピュータの残骸から……。
「クヒャーーッハッハッハ…!!素晴らしいぞ、ゼロ!!」
「とても偽物とは思えぬパワーだ!」
「…?」
オメガを倒され、とうとうバイルが狂ったか…?
そう、思われた時。
「………!?」
エネルギー反応がかすかにダークエルフを模したボディの残骸から感じられた。
その、僅かなエネルギーが…どんどん強くなってくる。
あっという間に第一形態時のそれと同じエネルギーになり…
更に越えて第二形態の値へと到達。
湧き上がるエネルギーは高まり続け…そして…
測定不能を示す。
残骸から一本の真っ直ぐな光の柱が天を貫き……広がる。
視界すべてを、真っ直ぐで強い光が覆い尽くす。
この光景を…………見たことがある。
…ここで…見たことがある。
『まさか』。
-
燃え盛る炎の中…重い重いオメガの残骸が紙屑のように宙へ巻き上げられる。
その中から現れた…オメガの本体。
血の如く濃く、それでいて鮮やかな真紅。
何もかもを覆い塗りつぶすが如く深い深い黒。
……その姿。
「お前が伝説のレプリロイドじゃと…?笑わせてくれる」
あのときのシエルの怯えた表情。そこから彼の力に驚きながらついてきたあの姿。
「ここで見つけたレプリロイドを、レジスタンスのバカどもが『ゼロ』と呼んだに過ぎん」
オメガの存在が『無茶苦茶』なその理由。
オメガがどんどんエネルギーを高めていけるその理由。
究極を越えるレプリロイドは…究極でしかない。
全ての終わりは…全ての始まりとも繋がる。
「オメガこそが正真正銘の『オリジナルゼロ』だ!!
お前はそのコピーに過ぎん!!」
バイルの声が苦しみを増し、歪み始める。オメガの圧倒的な力によって何もかもが歪められ…潰されていくのだ。
「英雄でも何でもない、たーだーーーのーーーコピー…なのだ!!」
巨大な甲冑騎士も、3つの顔を持つ巨神も…
オメガの余りに強いその力を封じるための拘束具でしかなかった。
真っ直ぐにゼロを見据える、オメガの瞳。
何よりも冷たく、何よりも熱い。
その額のクリスタルの輝きは……ゼロのそれを遥かに凌駕する。
「オリジナルゼロが…何故… お前の言いなりになっている」
「お前が『パッシィ』というサイバーエルフで目覚めたように…
ワシは救世主とされるサイバーエルフを用い、ウイルスに支配され尽くしたオリジナルゼロを起動させることに成功した!!」
「その上でダークエルフを用いてその力を極限まで高め、更にシエルから奪ったシステマシエルを使い
その力は更に増す…」
「奴は血に飢えた破壊神! ワシはその力を極限まで引き上げられるよう改造を施したに過ぎん!!
こうなっては…ワシの手にも最早…負えん……」
「さぁ……オメガ…いや、オリジナルゼロよ!」
炎の中、膨大な死体の中 老人の声で目覚めたゼロが…立ち上がり、
コピーゼロと相対する。
『あの夢』の通り。
「哀れなコピーが100年間見続けた夢を…
そろそろ覚ましてやれ…!!」
覚ましてやれ、の言葉を最後に、爆発音がこだまする。
歴史上 最強最悪の破壊神が……
アルバート・W・ワイリーが目指した究極の破壊者が…
今ここに、姿を現した。
「我はメシアなり!! ハーーーッハッハッハッハ!!」
オメガ最終形態 『オリジナルゼロ』
-
金色の髪、紅と黒のボディ…オリジナルにしかない、肩のパーツ。
遂に現れたオメガの最終形態…オリジナルゼロ。
自らと同じ姿の最強最悪の敵を相手に…ゼロは動き出した。
オメガは…動かない。
ゼロはオメガへと向かい残骸の中を駆け…ひた走る。
そしてゼットセイバーを振るう。
最初にチャージ斬り。
…だが。
「……!」
あっけなく回避された。
「ちっ」
振っても振っても、セイバーがオメガに届くことがない。
ならば。
「斬鋭弾!!」
セイバーから発せられた衝撃波をオメガへぶつける。
…しかしここで信じられない事態が起こる。
「…」
オメガが開いた手を衝撃波目掛け伸ばしてきたのだ。
更に驚くべきは…
「な…!?」
…一切傷がつかなかった。
オメガが見せた余裕…
彼は動きを見ていた…避ける意味さえなかったのだ。
「何だ…?今のは」
「ふざけた真似をしてくれたものだな…」
半端な攻撃は通用しない。
それは解った。
バスターショットを最大限にチャージ…
最強のチャージショット、リフレクトレーザーを食らわせる。
「………」
オメガの胸めがけ。
だが…効かない。
「…どういうことだ」
オメガは全く動かない。
ゼロはダッシュで、目にも止まらぬ速さでオメガに近づき…
跳んで
「ハァッ!」
跳んで一撃。
「あぁぁっ!!」
回転斬り。
「落砕牙!!」
下突きで落下。
そこから着地…
「セイッ!!」
払う。
「フンッ!」
袈裟斬り。
「ハ!!」
真上から真っ直ぐに振り下ろす。
「……ククク… クククク…!」
…傷一つつかない。
「…何…!?」
だが動揺するゼロに更なる追い討ち。
「グハ……ッ!」
オメガが拳でゼロの腹を殴りつけ…
そのまま空高く突き挙げた。
「……ウッ!!」
自然落下、そのまま叩きつけられる。
-
…まだチャージ斬りまでは試していない。
流石にこれを防げるはずは。
「…食らえ!!」
跳びあがり、オメガの顔面へ向かいチャージ斬り。
…叫び声がこだまする。
「ぬぁぁあっ……!」
チャージセイバーの刃を顔面で受け止め、殴りつけたのだ。
「…バカな」
地面を引きずるゼロの体。
「ハーーーハハハハハハハハ!」
オメガは目にも止まらぬ速度で近づく。
「まだだ!!」
セイバーを一発。
…しかし。
「…………」
何も言わずにオメガはセイバーを手で掴み…
「ウォオオオオ!」
ゼロの体ごと地面へと激しく叩きつけた。
「…我を倒せるものなどこの世には居はしない!」
そのままゼロの顔面へ向かいアースクラッシュの構え。
「!!」
ゼロは間一髪それを避け…オメガから距離を取る。
ハイマックス、ゲイト、ウイルスに感染したゼロ。
それらから解るように…
ゼロは覚醒した際の能力として、あらゆる攻撃を無効化する性質を持っている。
ウイルスに完全に感染し尽くした状態であるオメガはその力をフルに活用する事が出来…
その上でダークエルフ、更にシステマシエルの力により更に高められる。
この地球上において、何人なりともオメガを傷つけることは出来なくなっていた。
…ウイルスの力を弱めぬ限り。
それが出来るのは、この世にマザーエルフただ一人のみ。
…そのマザーエルフはダークエルフとなり、今オメガと一体化している。
ゼロの力を以ってしても……倒すことは不可能。
「うっ… く!!」
このまま…死を、オメガによる破壊を待つのみ。
だが……そこに一人のサイバーエルフが飛来する。
「!!」
何も言わずに、サイバーエルフはゼロのセイバーへと入り込み…溶けていった。
「ゼロ君……これが私の力だ」
久方ぶりのその声。
…セイバーが輝いている。
「その程度か……」
オメガが近づいてくる。
「…!!」
オメガの肩に切り傷… 肩のパーツが破壊される。
…ゼロと、同じ姿になる。
…そう。飛来してきたのはエルピス。
マザーエルフの力によりサイバーエルフとなった彼には…
マザーエルフの能力の一端が備わっていたのだ。
必要なのは「ウイルスの力を取り除ける」というその能力。
微々たるそのダメージも…0ではなくなる。
「ゼロ君…シエルさんも君の帰りを待っている
…生きるんだ……!」
オメガの眼前へセイバーを突き出す。
「……勝負だ」
飛び込み、斬りつける。
「…」
破壊神はただ、ニヤリと笑い、目にも止まらぬ動作でセイバーを受け止める。
「……何?」
その手にあったのは……。
-
かつて、零空間でゼロは不完全ながら死を迎えた。
その際、エックスは彼の使ったゼットセイバーを手に戦いを続けていた。
だが、再び彼の前に姿を現し、ゼロはまたエックスと共に戦うことになる。
その際ゼロは…背に威力の増した、ゼットセイバーを携えていた。
そう その時から『ゼットセイバー』なる剣はこの世に2本存在していた。
エックスが持っていたその剣は、その後は使用されぬままエックスの手元にあり…
100年後、この研究所でゼロへと渡され…今、ゼロが持つ愛刀となっている。
そしてもう一本のゼットセイバーはオリジナルのゼロと共に…
そう。オメガは、ゼットセイバーでゼットセイバーを受け止めたのだ。
「クククク…アーーーハハハハハハハハ!!!」
刃の色は紫。
オメガが押しのける。
「くっ…………!!!」
腕を一振りするだけで、荒々しい一陣の風が巻き起こり…ゼロをたちまき吹き飛ばしていった。
ゼロはサブタンクで傷を完全回復…
最強最後の敵との戦いは、ここで漸くスタートラインに立ったのだった。
「「行くぞ!!」」
ゼロとオメガの両者が同時に駆け出す。
「ハァ!!」
ゼロが跳んで回転斬り…しかし。
「龍炎刃!!」
オメガを飛び越えながら斬りつけようとしたゼロに対し、
オメガは走ったそのままの体勢から、その勢いのままに
両手でセイバーを握り、斬り上げたのだ。
「…………!!」
下から、上へ突き上げられる刃。
跳びあがる際に踏みしめられた地が悲鳴をあげ、砕ける。
ゼロの体が宙を舞う…が。
「ウッ…!!」
苦し紛れにも跳んだそのままの体勢でオメガを斬りつけた。
ゼロはそこから距離を取るが…
オメガは追ってくる。
…やられてばかりは居られない。
ゼロはオメガへと近づき…
低い姿勢から、胴を真横に斬りつける。
だが…
「セイ!ハッ!!トウ!!」
払う、袈裟斬り、振り下ろす。
オメガによる三段斬りを代わりに直撃してしまうことになる。
一発一発が重い。
-
「っち…」
サブタンクでまた回復
再びオメガへと向かっていく。
「滅びよ!!」
ゼロが地面へ拳を突き出す。
真・滅閃光である。
地が揺れる、砕ける、飛び散る。
突き出された拳から、膨大なエネルギーが注ぎ込まれ…
地面の中で爆発を起こす。
大気が揺らめき、衝撃が耳を劈く。
飛び散る青き光。
ゼロはそれに直撃され吹き飛ぶ。
「はぁぁ!!」
そこへまた龍炎刃。
「まだだ!!」
ゼロはバスターショットからのチャージショットを放つが…
オメガが目にも止まらぬスピードでその銃を抜き
「はっ!」
特大のチャージショットを放つ。
「ぉおおおお…!!」
ゼロのチャージショットをいとも簡単にかき消し、
オメガの放ったショットがゼロを焼く。
「はっ!!」
もう一発、更なるチャージショットでたたみかける。
ゼロは続けてそれにも直撃…
「食らえ!!」
最後にセイバーを突き上げ、
地も大気も一刀両断する衝撃波でゼロを切り裂く。
「う……!!」
剣を携え復活した頃より用いていた、トリプルチャージである。
「……はぁ……はぁ…」
またも回復する羽目へと陥る。
「…」
だが何となく、オメガのタイミングが読めてきた。
自分のオリジナルであるだけはあり…
行動のパターンが似ている。攻撃の方法も、タイミングも。
「さぁ…」
オメガが高く跳びあがり…
その上で宙を蹴り更に上へ。
ゼロも同じくオメガへと向かい走り、跳び…宙を蹴りオメガと同じ高さまで来た。
「はぁぁ!!」
「裂けるがいい!!」
ゼロはオメガにチャージ斬りを食らわせる。
同時にオメガが空中で刃ごと一回転…円水斬だ。
オメガの体を中心として巨大な円形の衝撃波が発生し…辺りの全てを斬り刻む。
双方互いの剣技を食らい、その衝撃で飛ばされる。
「読めたぞ…!!」
オメガが走りぬけ龍炎刃を放つがそれを飛び越す。
ゼロは背後から三段斬りを直撃させる。
-
「やっと調子が出てきたか!?」
トリプルチャージは二段同時にに飛び越し…
最後の衝撃波にチャージ斬りで対応。
「うっ…!」
「く」
相殺とまではいかずとも、地を叩くチャージセイバーはオメガへ届いた。
こちらの食らうダメージも多いものの、相手にもダメージを与える事に成功する。
「まだ終わらんぞ!」
サブタンクで傷を癒し更にオメガに向かう。
「烈風撃!!」
走ったそのままの体勢からオメガの体を一直線に突く。
「天烈斬!!」
両手で握ったセイバーを高く高く突き上げ、跳ぶ。
「落砕牙!!」
跳んだそのままの体勢から刃を下へ向け、急速落下と共に刃を突き出す。
…しかし。
「消え去れ!」
オメガはそれほどの傷を負いながら、攻撃をやめなかった。
拳を地へ叩き付ける。
「ぁ………………!!!」
天照覇だ。
オメガの拳を根とし、高く高く…宇宙まで、一本の光の柱が天までを貫く。
その光の柱に焼かれたゼロは、真上でなかったため即死を間逃れたものの、
軽々とそのエネルギーの柱によって吹き飛ばされる。
そして…
「食らえ!!!」
オメガが一瞬の動作でチャージセイバーを繰り出す。
破壊神が一気にその力を地へと叩き付ける。
それにより、辺り一面…セイバーのある位置から先に
ずっとずっと…破壊の跡が続く。
地殻が一瞬にして粉々に砕け、大地を揺るがす巨大地震を巻き起こす。
「…う…っ …あ… …………」
その中心にいたゼロは動けなく…
-
「…まだ…だ…」
サブタンクを使いなんとか傷を癒すが…
もう回復手段が存在しなくなる。
「ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!!!!!」
オメガが爆音と共に駆け、ゼロへと近づいてくる。
剣を…振り上げ…叩き付ける。
「はぁぁぁ!!」
その瞬間ゼロもチャージ斬りを繰り出す。
「く…!」
そのまま走り…
セイバーで勢いのままに刃を繰り出し、地上で回転斬り。
オメガの体を切り裂く。
「……!」
そして体勢を戻し…
三段斬りを行う。
ただの三段斬りではない。
「テイッ!!」
払う。
「フンッ!」
袈裟斬り。
「ァァァアアア!」
そして下から上へと刃を持ち上げ切り上げる。
「グヌッ…!!」
オメガの体がのけぞった。
「やるな…」
オメガが再び滅閃光を繰り出す。
ゼロはそれを回避するため後ろへ跳ぶが……
…その方向が間違いだった。
回避するならばむしろオメガの側へ跳び…
飛び越すべきだったのだ。
-
オメガが…
爆炎の中から飛び出てくる。
「何…!?」
ダッシュにしては高く、円水斬を行うにしては低い…
いや、そう思ったときにはすでに避けることもままならなかった。
そのまま…オメガはゼロへと近づき…
「ッヒャアアアア!!!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ…!!」
最強の技を繰り出す。
だが技とは名ばかり。
…名前すらもない。
その実、何てことはない…
ただの…ただの、メッタ斬り。
破壊衝動に身を任せ、ひたすらにただひたすらに標的に向かい刃を走らせ、塵へと変えて行くのだ。
払う。
斬る。
叩く。
突き上げる。
払う。
斬る。
叩く…
最後に力の限りに斬り上げる。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアハハハハハアアアアアアアアアアアアアア!」
断末魔の声もない。
そこには、レプリロイドの血、オイルを浴びたオメガの姿だけ。
…ゼロの体が
オイルと共に……木っ端微塵に砕け散った瞬間だった
…燃え盛る炎の中…無数の死体の中で。
それが…真実だった。
-
「……やはりお前には最強のレプリロイドは務まらんかったのかのう。」
老人の声が聞こえる。
「………」
手足は千切れ……胴体もバラバラ。
残されたのは、胸から上の部分と、セイバーを持った片腕のみ。
頭はかろうじて原型を留めているものの…
「まぁ…どちらのゼロもワシが生み出した傑作じゃ
ま、どちらが負けてもワシは文句は言えんのう」
彼の意識はすでに失われていた。
…彼の意識はそう…ロボットのあの世、サイバー空間へ。
老人はぽつりと、含み笑いをしながらつぶやく。
「…じゃが、本当にそれで全力じゃったのか?」
最早…言葉が届くかどうかは解らないが。
「…ゼロ」
…次はエックスの声。
「…君は、もう少し…戦えたはずじゃないのかい」
「…僕も見ているだけしか出来なくて本当に悪いと思っている」
エックスは…ただひたすらに声をかけ続ける。
「…気になっているんだろう 君が本物のゼロではないといわれたこと」
…そう、敵はオリジナルゼロ。
バイルの言葉通りならば…
彼の友であるゼロその人。
…だがそれは間違っていた。
「オメガは確かに、オリジナルのゼロそのもの。
その心も、昔からあったものだ。
…でもね そしたら…どうして、君がゼロの記憶を持っていたと思う?」
「それは…君とオメガが、かつて同じ体の中に生を受けた二つの心だったからさ」
ウイルスに冒され、悪の心に支配されたオリジナルのゼロの体…それがオメガ。
「君は自分が世界を脅かす存在になるのを恐れて、
その研究所で自分を封印したんだ」
「君を研究して、マザーエルフが作られ、ダークエルフにされ…
更なる力にするために、君の体はオメガになったんだ」
「でも、そのためにバイルには君の存在は邪魔だった
だから…バイルは君の体をコピーボディに写したんだよ」
二つの体に分けられた…二つの心。
「僕の親友でもあった、イレギュラーハンターのゼロと…
紅いイレギュラーと呼ばれた存在である、オメガ…。」
「…どちらが本来の人格か?それは解らないし、どちらもというのが最も正しいのかもしれない。
…でも」
「君も紛れもなく本物のゼロだ…
僕と共に100年前に戦っていた、ゼロなんだ」
…エックスから今、ゼロに言いたい言葉はそれだった。
「大切なのはボディではない 心なんだ」
-
意識がはっきりとしてくる。
…耳を澄ますと、無数の声が聞こえてくる。
「こんなところで負けちゃ困るのよ、ゼロ」
「ゼロさん……ゼロさん!」
「ったく肝心なときにダメだよねー、ゼロは」
「……こんなことで悩むなんてお前はやっぱりオンナみてぇな奴だ」
「僕をそロソろあイツの体かラ開放してもラエると思っテイタのだガ」
「僕が望んだ究極のレプリロイドはこんなものではなかったはずだよゼロ」
無数の光が、真っ暗な視界のあちらこちらに浮かんでいるのが解る。
恐らくそれは…
彼の仲間や、
彼を支えた者達や…
彼が殺してきた敵なのだろう。
自分を見守る…自分が忘れていった、歴史の上に積み上がる、失われていった沢山の命。
オメガのような形でなくとも、彼が罪深い破壊者であったことに変わりはないのだが…
全ては……一つの『戦う目的』のため。
彼は…破壊神とも呼ばれた英雄は…ここで敗れる訳にはいかない。
「………俺は……」
ある一つの言葉が彼を突き動かす。
そしてオメガは、彼の頭を砕きにかかろうとしていた。
狂気の篭った紫の刃が…オメガの頭上にまで振り上げられ……
振り下ろされる。
「生きてやる…!!」
ゼロの目が開く。
粉々の体で、ボロボロの腕で…セイバーを握り……
剣と剣とがぶつかり合う。
「何…!?」
「………っ!!」
ゼロのバックパックから、今まで助け出した、または預かり、彼が育てたサイバーエルフ達が洪水のように湧き出る。
そう。
サイバー空間はオメガの力により歪み、現世と繋がったもの。
そのオメガが全ての力を発揮した今この場においては最大の歪みが生まれ……
サイバー空間が…半分、現世を侵食していた。
「………ククク…ハハハハハハハ!!」
オメガはその状況を楽しんでいた。
サイバーエルフが…輪になりゼロを取り囲む。
サイバー空間は…サイバーエルフが命を削ることなく力を使える空間。
ゼロの破片が浮き上がり…一つに集まる。
そこへ……サイバーエルフ達が集まり…全て吸い込まれていく。
光が…ゼロを包み…
再び、光の柱が立つ。
傷が見る見るうちに癒えて行く…体が繋がっていく。
それだけではない。
強化サイバーエルフの力で、ゼロの力は何段階にも強化され……
今までにないほどに、力が湧き上がってくるのが感じられる。
それは…何かを犠牲にするものではなく、皆が生きるための力となる。
「………」
現世、あの世…二つの世界から見守る者達の想い。
そして…ゼロ自身の生への執念が成せる業。
「………………待たせたな」
「…………ハハハハハ!!」
オメガは負傷しているのに対し、ゼロは全ての傷を癒した上で更なる力を得た。
全てが歪み始めた世界の中……… 戦いは、続く。
-
そして最後の戦いが始まる。
オメガはゼロを再び掴みメッタ斬りにしようと飛びつく。
ゼロはそれを飛び越えて距離を取る。
「ハッ!ハァ!!食らえ!!」
トリプルチャージでゼロを追う。
無論ゼロは逃げているわけではない。
それらをまとめて飛び越え、三段目の衝撃波も飛び越えてオメガへチャージセイバー。
「クハハハハハハ!!」
斬られても痛がる素振りを見せない。
オメガがセイバーを大きく振る。
ゼロはそれをフットチップの能力、アルティメットフットで潜る。
「幻夢零!!」
巨大化したセイバーから放たれるはオメガの身長の数倍もある巨大な衝撃波。
それは覚醒したゼロが用いるはずだった、最強の技の一つ。
ゼロはそれを発動前に避けたことで、逆にそれを攻撃のチャンスへと変えた。
「烈風撃!」
オメガを突き刺し…そして飛び越える。
背後から再び攻撃しようとするが…
オメガは振り向き…
突如としてセイバーと刀身を消す。
「雷神撃!!」
そして一気にゼロを刺し貫く。
「うっ…!!」
そして刺したまま走り、瓦礫へ衝突させる。
瓦礫が崩れ、走った跡が燃える。
ゼロも反撃を行う。
「離せ」
リコイルロッドのチャージの反動を使い自分からオメガから離れる。
「こちらから行くぞ…!」
新たな三段斬りをオメガへ食らわせる。
「フンッ!テイ!!ハァッ!!」
払う、斬る、その後が衝撃波を放つ三段目の攻撃。
「ぐっ…!!」
オメガは一瞬仰け反ったものの…
すぐに行動を開始する。
「烈光覇!!」
拳を地面へ叩き付ける。
膨大な量のエネルギーの滝がと降り注ぐこの技だが
オメガが使うと更に強力なものとなる。
「何…」
拳からあふれ出たエネルギーが有り得ないほどの勢いで光の柱となって暴れだし…
天も地も関係なく、上下に暴走を繰り返し…どんどん広がっていくのだ。
「ぐっ…!!」
そこへ続けて幻夢零。
「ぅああああああああああ!!」
ゼロはかろうじて回避するものの、一気に肩を斬られてしまう。
「ハハハハハ!!どうした!!」
スプレッドバスター…ゼロナイトメアの技だ。
チャージショットを大量に撃ち出し、圧倒的火力で敵を押し潰すもの。
「ぁぁぁぁあぁああああああ!!」
チャージ斬りでそれを一気に打ち破る。
「終わりだ…!」
オメガへ向かいチャージ斬りを見舞う…だが。
-
…セイバーが…セイバーで受け止められる。
そのエネルギーが全て…オメガに吸収され…
ゼロの胴体を一気に斬り付ける。
「…げふっ!!」
「獄門剣…!」
オメガはありとあらゆる力を持っていた。
「断地炎!」
オメガが跳びあがりセイバーを地へと突き刺す。
そこを中心として…地面が大爆発。
地が砕け、クレーターに変化する。
ゼロはそれを避けた…がその時に。
「波断撃!」
衝撃波で追い討ちをかけてくる。
ゼロはそれを落下軌道を変えて対処。
そう、思いきや。
「ハハハハハハハハハ!!」
オメガはこちらへ向かってきた。
「!」
それに合わせゼロは避けるが…それは相手の罠だった。
オメガは走りぬけ…ゼロの手前で消える。
そしてゼロの背後に現れる。
「雷皇閃」
「う…!!」
ゼロを通り道とした、オメガが消えた軌道を一本の電撃が串刺しにする。
「………く」
回復した体力も、みなぎった力も最早少なくなってきている。
だが…オメガももう限界であろう。
「…行くぞ」
「……フフ」
走る。
「行くぞオメガ!!」
そこからは怒涛の攻撃の連続だった。
ゼロとオメガが交差、その瞬間にオメガは龍炎刃で斬り上げるが
ゼロはシャドウダッシュでそれを潜りぬけて回転斬りで一発。
振り向いたオメガはチャージ斬りを食らわせようとするが、ゼロは距離を取る。
そこからトリプルチャージへ派生するオメガ。ゼロは近づいて斬り上げを含めた三段斬り。
すべてを当てた後にオメガを飛び越えて次の攻撃に備えようとするが天照覇で撃ち落される。
オメガはそこに幻夢零を放つが、これもシャドウダッシュで交差、回避される。
潜り抜けた後にチャージショットを一発、オメガへと命中する。
裂光覇を放とうとするオメガへゼロは上から落砕牙を当てて阻止。
オメガは円水斬でゼロを追い詰めようとするが、1タイミングずらしてゼロも回転斬りでオメガを弾き飛ばす。
そしてゼロも距離を取り…今に至る。
「…う …ぐ …ふう…」
腕を庇う体勢で立つ。
極限まで強くなったものの、もうあと一撃は耐えられないだろう。
オメガは狂気の笑いを浮かべ近づいてくる。
…これが、恐らく最後の攻撃。
-
オメガは走り…ゼロへと近づき、そこから跳びかかってきた。
…ゼロにはすぐにわかった。メッタ斬りの合図であると…!
ゼロはそれを大きく飛び越える。
だがオメガは跳びかかり、着地。
炸裂音をあげる地を蹴り、ターン…。
真っ直ぐに走り…
「龍炎刃!!」
両手で持ち、真っ直ぐに宙を跳び、全力で斬り上がる。
ゼロは…力一杯に避け………避け、
…紙一重でかわしきった!!
刃を背にこすらせながらも着地。
跳びあがりきったオメガへ向け、自分も跳び……
オメガを地へと落とす。
「ハァァァ!!」
チャージセイバーで。
そしてそのまま、
「ヒッ…」
呼吸を絞り、払う。
「フッ」
次へ繋げる、流れる袈裟斬り。
「ハ!!」
真上から、力の限りに振り下ろす。
そして……
「でああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
両手にセイバーを握り
力の限りに、
高く。 …高く、跳びあがる。
『天烈斬』
その技はオメガの胴体を大きく斬りつけ……
………中から漏れ出す光により、破壊神に白い筋が浮き上がり………
エネルギーが内部から炸裂
…鮮やかな光と炎の花が、血の色の破壊神を彩った。
-
炎と瓦礫の中、しゃがみこみ荒く息をつくはオメガ。
「…く………」
彼を包んでいた、眩い光はもう存在しない。
…ダークエルフやシステマシエルの…
無限の力を得られなくなったのだろう。
いつぞやのように真っ黒い空間がオメガの内部から発生…ダークエルフが遊離する。
紫色の光を…オメガへと与え始める。
「!」
「オメガを復活させる気か…」
オメガを斬るべく駆けるが…
「ぐっ…」
暗黒のバリアが発生、ゼロをそのエネルギーで弾く。
「……」
体力を今ので奪われた。ゼロも地へつく。
…そして、代わってオメガが立つ。
「……世界の全ての命は我の手の中であることを忘れるな」
そう。ダークエルフと繋がっている以上
全てのレプリロイドは未だ彼の手の中にある。
成す術は…ないのか。
「ちっ…」
だがその瞬間……
「フンッ、テイ、ハッ!」
緑色の光が飛来…それはレプリロイドの姿になり、オメガへ突進、
渾身の三段斬りを食らわせた!
…だが、暗黒のバリアで阻まれる。
「…何をしている、ゼロ 早く立て!」
ハルピュイアだ。
続いて赤き光。
「おら、おらおらあああああ!!」
特大のチャージショットを三連発、オメガへ見舞う。
「おらおらぁぁ!借りを返しに来たぜオメガぁぁ!!」
ファーブニルだ。
そして青き光。
「や、やっ!! ふうっ!! …あう…!」
ジャベリンでの三段斬りをオメガへ食らわせ、そしてバリアへ弾かれる。
「やられっぱなしって、性に合わないのよね!!」
レヴィアタン。
…そしてゼロとオメガ、二人のゼロが同じポーズで向かい合い膝をつく。
「…お前達」
「強がるなオメガ…お前は…今は何も出来ん」
「…な…に!?」
それはオメガですら気付いていなかった。
-
だがダークエルフにまた回復されては…
いや、ダークエルフの様子がおかしい。…色が、白へと変化しようとしている。
「…どうした、ダークエルフ!」
…そこへ、暖かな一つの光が降りてくる。
「……呪いが解けかかっているんだ
ダークエルフが、マザーエルフに戻る」
「…エックス!」
「ゼロ。 僕達は…こうやって、100年前も不完全なオメガを倒して、バイルの野望から世界を救ったんだ」
そう。ファントムの言う通り妖精戦争でエックス一人ではオメガに勝てなかった。
誰が彼と共に戦ったか…? そう。コピーのボディに移った、他でもないゼロだったのだ。
「…100年前もか」
「……さあ、ダークエルフの力が弱まっているうちに、
100年間の因縁に終止符を打つんだ…ゼロ!!」
セイバーを刺し、無理やりに…
力を振り絞り、立ち上がる。
「………俺の……オリジナルか」
剣を手に…最後に呟く。
「…君なら出来るさ。
本当に大切なのは、ボディではなく心だと…わかっているはずだから」
立ち上がる。
「さあ… ゼロ!」
「まだ…… だ!」
オメガが立ち上がる。
「まだだ!」
内部でショートする音、電流が弾ける音がしながら…。
ダークエルフの力も最早ない…一人のゼロとして。
二人のゼロが…向かい合い
共にただ真っ直ぐに駆け抜け…………
交差する。
共に全く同じポーズでゼットセイバーを手に、
緑と、紫の刃が向かい…
激突。そして………
きつく目を閉じた瞬間、
紫の刃は弾け…緑の刃は………それを超え、
その体を一直線に断ち斬る。
彼の後ろには死んで行った者達がいて…
彼の隣には共に歩む仲間がいる。
そして前を見れば立ち向かう敵。
遠のく意識の背中に……… また一人、前から後ろへと散っていく音が聞こえた。
-
そして…いつの間にか彼は倒れていた。
「ゼロ… ゼロ…」
彼を呼ぶ声が聞こえる。
いつぞやのように、灼熱の砂漠の、砂嵐の中ではない。
…暖かな、光の中で。
「…ゼロ、聞こえているかい」
その意味は二つ。
自分の声が届いているか…。
「…どうやら 僕ももうこの世界には居られなくなってきたみたいだ」
友が最大の敵を乗り越えたのを見届け…
彼は漸く、永遠の眠りにつくことが出来そうだった。
「……これからも、沢山の困難が待ち受けていることだと思う だから」
「ゼロ、君にこの世界を託したい」
ライト博士から、ロックマンへ。ロックマンの戦いを通じて、再びライト博士へ。
ライト博士から…エックスへ。 エックスから…… ゼロへ。
想いは積み重ねられ、受け継がれる。
「…人間とレプリロイドを、導いてあげて欲しい。
…ゼロ」
最後の一言。確かな言葉を。
「…君なら …できる …君なら…」
彼は呼びかけ続ける。ずっと…ずっと。
「ゼロ… …ゼロ……!」
「ゼロ…… ゼロ…!」
その声はいつしか…彼のものではなくなっていた。
「…………?」
傷はほとんど塞がり…ゼロは…目を覚ました。
「ゼロ!! …無事だったのね …よかったぁ…」
「…ここは …レジスタンスベース…か」
確認したのもつかの間。
「おーーーーーーーーーーーーい!! ゼロさんが!! ゼロさんが起きたぞーーーーーーーーーーーー!」
大声でベースへ入っていく。
「よく、無事だったな…!!」
セルヴォは微笑む。
「…お、おかえりなさい…」
シュンとしたアルエット。
「しかし、俺を運んできたのは…」
…空を見上げると。
「ゼ…ロ……」
暖かなエルフの姿。
「ダークエルフ…いや、…マザーエルフ…か」
彼女は…ふわりふわりと、どこかへ旅立っていった。
「……オメガのこと、エックスから聞いたわ」
「…」
「私、何も気にしていないって信じているから」
「………?」
「どんな姿であってもゼロ、あなたはあなただって」
…本当のゼロであることの証明。
仲間からの言葉。
「……」
それが…本当の、オメガとの決着だった。
彼は…歩き出す。
「シエル」
「え?」
「ありがとう」
彼は…ようやく、安心した。
「…俺は …俺でしかない」
「俺は……」
「……………ゼロだ」
『ゼロ、聞こえているかい』
…君の仲間の、声が。
-
そこは薄暗い地下施設。
4つのカプセルが立ち並び…
その前には1つのデジタル表示がひたすら、時を刻んでいる。
そのカウントは……
増えているものではない。
減っていく。000:00:00へと…近づいていく。
そして…その時がとうとう訪れた。
タイマーは…音もたてず。
そのときが来たその瞬間……カプセルから鋭い眼光が4つ覗いた。
続いて、保存用の液体窒素が流れ出し、冷たい煙が床に向かい流れる。
カプセルが開いたのだ。
「…………」
何もいわずに、カプセルから身を起こす。
大きな足が…足音を響かせる。
「…状況は把握しているな。」
長身の、巨体のロボットが言う。
「勿論だよ」
青紫のボディのロボット。
「…ボクらの目的は一つ」
細身のロボットが目を手で覆いながら。
「『Drワイリーを救出せよ』!」
脚のないロボットは宙へ浮いている。
「わ、わぁあああああ!!」
車を運転していた者は猛スピードで車を走らせ逃げる。
「な、なんだよアレ…」
ビルのオフィスにいた者は窓の外の光景に驚愕する。
両腕でローラーを装着したモヒカンのような髪型の巨大ロボットが…町を走行しているのだ。
-
「ヒイイイイイ!」
次々に町を焼き払いながら、ゆっくりと進んでいく。
「配置完了致しました!」
「…発射!!」
軍隊は次々にミサイルをマッドグラインダーに放つ。
しかし…
「…な!」
口からの火炎放射で撃ち落とされる。
…それだけではない。マッドグラインダーが…跳びあがった。
「…退避ーーーー!!」
地面へと落下…地震を巻き起こす。
ビルが崩れ、車は宙を舞い、車体をアスファルトに裏返し叩き付ける。
この巨大なロボット…マッドグラインダーはどこへ向かっているのか…?
…大体、予測はついていた。
「ケッ 人間どもめ、何をビビってやがる」
黒いロボットはビルの上から、様子を眺めていたが
「…どれ 俺が少し相手してやるよ」
マッドグラインダーの前に現れ、腕のバスターを向ける。
「危ないぞ、何をしている!」
「ロックマンの真似事ならやめなさい!」
火炎放射の構え。
彼は…バスターを放つ。
「…ご、ごごおおお!!」
一瞬にしてマッドグラインダーの口に細いレーザー弾が放り込まれ…
「おおおおー!!?」
内部装置を破壊。
「何!?」
「……速い」
マッドグラインダーが…大きく仰け反った。
「後はアンタらでやりな 俺は俺ですることがある」
黒いロボットは一人、その場を去った。
「…今の、ロボットの少年は…?」
「……只者じゃ、ないな…」
-
緑色のユニークなデザインのトラックが町を走る。
荷台には黒髪を靡かせるロックマンとロール。
そして運転手は、ライト博士が作り出したライトナンバーズ外の
助手ロボット『ライトット』。
「ライトット、急いで!町が巨大ロボットに襲撃されているんだ!」
「わかってるダスよー!」
「ロック、またワイリーが悪い事をしようとしているの?」
「多分。…巨大ロボットがワイリーの刑務所に向かうのを阻止しなきゃ!」
道路は荒れ…凸凹になっている。
その破壊の痕はどんどん激しくなってゆき…
「…ダメダスロックマン、この先はトラックじゃ行けないダス!」
「…そうか …じゃあ僕はここからは一人で行くよ
この先には一足早くライト博士も行ってるんだ 急がなきゃ!」
大きく隆起した道路を超えたところに…すぐ、彼はいた。
「博士!!」
ワイリーの刑務所が1kmほど後ろに見えている。
「おお、ロックマンか…!」
「大丈夫ですか、博士」
「ワシは…大丈夫じゃ それよりこのままではワイリーが脱獄してしまう」
「巨大ロボットを止めればいいんですよね、僕がやります!」
いや…巨大ロボットは注意を向けさせるためのものでしかなかった。
刑務所にいれば、この作戦は或いは阻止できたのかもしれない。
4つの光が……刑務所の中へと飛来していく。
あれは…転送。
「…!」
刑務所の一角が氷結。
次には刑務所の壁に穴が開き、雷が貫き外へと飛び出る。
次には刑務所全体がボロボロと崩れ…
最後に刑務所全体が大爆発。
「ハーーーーーーハッハッハ!」
青いUFOが中から高速で飛来…
「む!?」
ロックマンとライト博士を見つけ、空から降りてくる。
「そういうわけで、脱獄させてもらったわい!さらばじゃ!」
かぱっと蓋が閉じられ…UFOはそのままどこかへ。
「ワシは大丈夫じゃ、ロックマン!ワイリーを追うんじゃ!」
「…わかりました」
町にはマッドグラインダー以外にも、ワイリーの作ったロボットたちが沢山。
それらを倒しながら道路を行くと…
「…これが巨大ロボット…か」
-
黒きロボットにより口の火炎放射を止められたマッドグラインダーがそこにいた。
それがなくともやはり強力なロボットであることには変わり無し。
ロックマンはバスターを構えた。
「行けぇ!!」
チャージショットを放つ。
「うぐ…!!」
マッドグラインダーの頭に命中。顔の装甲が勢いよく吹き飛ぶ。
マッドグラインダーが大きく跳び…着地。
「わ!!」
ロックマンはジャンプしたが少し早く…地震攻撃の餌食となる。
そこに…
「!! …わ、 あああああ!!」
マッドグラインダーは火炎放射と地震攻撃だけしか出来ないわけではない。
頭のモヒカンヘアーを回転するカッターとして撃ちだすことも出来るのだ。
「うっ…!!」
すっぱりと裂かれたロックマンの肩。
「……はぁ!!」
飛びあがりもう一発。
また顔の装甲を剥がれたマッドグラインダーはまたも地震攻撃を行う。
ロックマンは今度はうまくそれを跳び超え…
バスターを数発連射…そしてチャージ…
「はぁ!!」
チャージショットでマッドグラインダーを破壊 大爆発を起こし、崩れていった。
その先は更に荒れていた。陥没している箇所もあり、ロックマンは次から次へと飛び越えて先へと進む。
「…UFOはもういないか」
諦めたその時…
「!」
紫の光の柱が現れ黒いロボットに変身。
間髪入れずに腕のバスターをロックマンに放ってきた。
「うぁぁ!!」
長細いレーザー弾がロックマンの腕を破壊。
「…避けられなかったわけではないだろう」
跳びあがり今度は頬を掠める。
「う…何をするんだ!!」
チャージショット。
黒いロボットは難なくそれをかわす。
「何をしてやがる」
飛び越えてもう一発…
ロックマンの腹を撃ちぬいた。
黒いロボットの傍らに紫色の犬型ロボットが現れる。
「…これがロックマンだと?」
黒いロボットはため息をつく。
「…うっ… 僕を知ってるのかい? …君は一体」
「俺は『フォルテ』 Drワイリーを倒すために戦っている
少しは腕が立つようだが… お前に任せては危険だな」
「…………」
「油断していたと思っておこう
…まぁ、ワイリー程度ならお前の実力でも何とかなることがわかった
これからは俺に任せておくんだな」
「『ゴスペル』!」
ゴスペルと呼ばれた紫色のロボットは、口に咥えたエネルギー缶をロックマンに投げてよこす。
「…あ、有難う」
「それじゃ俺は行くぜ
せいぜい死なないよう頑張るんだな ロックマン!」
ゴスペルと共に、フォルテは去っていった。
「……『フォルテ』… ?」
「…何故ロックマンに勝ったんじゃ!印象が悪いじゃろう!」
「不満か?なんなら今倒しておくべきだったとさえ思ったが」
「どの道ワシらが勝つんじゃ そんな終わり方はワシは満足せん。
…ひとまず予定通りに進めてもらう お前の戦う相手はこちらから用意する」
「…退屈なことをさせるな」
-
氷の洞窟の最深部での、強敵フリーズマンとの激闘の後…
気象センターでブルースと遭遇しながら、クラウドマンを撃破。
複雑な廃工場を二つの特殊武器を駆使しながらジャンクマンを倒し…
シャボン玉工場にて、特殊シャボン液が溢れる中臆病な性格のバーストマンに勝利した。
…ワイリー脱獄用の4体のロボットは全滅したものの…
最早ワイリーが脱獄した事実には変わりがない。
フォルテと二人で頑張って戦い続ける他なかった。
そんな中。
「…あ、おかえりなさいロックマン!」
野球のバットのように箒で素振りするロール。
ロールの腕力はロックマンの比ではない…当たればただでは済まない。
「…ああ、ロールちゃん…うん、ただいま」
まずは真っ直ぐライト博士の元へ。
すると…
「おお、ロックマン!大変じゃ、大変なんじゃ!」
「…どうしたんですか 博士」
「…ロボット博物館が狙われておる!
フォルテは他のロボットと戦っていて手が離せないようじゃ、ロックマン 行ってくれ!」
「…はい!」
ロボット博物館。
今は、カットマン達が眠る…ワイリーナンバーズのすべても納められている、
高い性能を誇る、栄誉あるロボット達が眠る場所。
ヒートマン、スネークマン、ブリザードマン、ファラオマンが通り道にあったが…
「!!」
その中心の展示台が割れている。
「奥に何かの反応を感じるわ!ロック、奥に向かって!」
扉を潜り奥へ。そこには…
「ワイリー!!」
「ライトの奴によろしく言っておいてくれ、ガッツマンは実に素晴らしいロボットじゃとな!」
以前もガッツマンを改造したことはあったが…
ガンマがガッツマン風デザインだったことはあったが。
「さらばじゃ!」
UFOが天井へ激突…穴を開け、ガッツマンをアームで掴んだまま飛んでいく。
代わって現れたのは…ワイリーの作った大型ロボット・マッシュ。
まるまると太った、ピエロのような姿の彼は
その重いボディを床へと響かせ、頭をぐるぐると何回転もさせる。
「敵の弱点は頭…だけどこのロボット、何かおかしいわ!」
ひとまず頭にチャージショットを当ててみる。
「…わ!!」
チャージショットの衝撃でマッシュの頭が吹き飛び、床を跳ね回る。
「…頭が分離しているのか」
「頭自体は何も出来ないわ 体に回収される前に攻撃し続けて!」
「行けぇぇ!!」
チャージショット、続けて連射。
「うわ!」
マッシュの体が頭を回収。また頭を飛ばす行程からやり直すこととなる。
-
頭をチャージショットで飛ばし、跳ねている間にまた一発。
体が回収する前にもう一発。
相手の動き波ワンパターンであり…その動きも強くはない。…ロックマンの敵では、最早ない。
チャージショットで飛ばしたところで…ロックマンは考え付く。
体に対し余りに小さいその頭を一気に破壊する方法を。
「デンジャーラップ!」
シャボン玉に包んで破壊力の高い爆弾を発射。
敵を包んで爆風で飛ばすというもの。
マッシュの頭をぎりぎりでそれは包み込み…
爆発。
「!!」
マッシュ自体がそのまま大爆発を起こした。
「…何があるかわからない。ひとまず研究所で待機しなきゃ」
「ガッツマンが…まさか連れ去られたとは」
しかし、ワイリーはすでに次の手を打っていた。
「これは…!」
ワイリーの強襲用部隊。
それは全部で4体…新たな戦いがこうして幕を開ける。
「…それより先に、まず向かって欲しい所がある」
「…どこですか?」
「フリーズマンのいた洞窟じゃ …あそこに お前のパワーアップの設計図が存在する」
「僕の…パワーアップ…!?」
それは以前行っている。
パワーロックマンにジェットロックマン。
それぞれのアダプターをつけての強化だが…
どちらかといえば、ロックマンの行動を広げるための改造であり…戦闘に適したパワーアップといえなかった。
だが。
「うむ。以前の二つとは違う…戦闘に適したパワーアップじゃ!」
そう…そのパワーアップは、激化するワイリーとの戦いに備えて作っておいた機能なのだ。
-
大量の卵型の特殊薬品カプセルが降り注ぎ、ロックマンは何とか避けるが足を取られる。
「ガルルルルゥ…!」
壁を爪で掻きながら部屋上部の茂みから一体のロボットが現れる。
町を襲撃していた4人のロボットの一人、スラッシュマン。
その驚異的なフットワークから繰り出されるはスラッシュクロー。
「うあああああああああ!!」
…その実態は、小惑星を切り刻むカッターを威力をそのままに小型化したもの。
いかに強化を繰り返したロックマンといえど、何度も食らうわけにはいかない。
ロックマンはラッシュを呼び出す。
「ここからが、勝負だ……!」
ウィングブースターのついたアーマーに変化し、ロックマンへと装着…
ロックマンの色が赤へと変化。
それが手に入れた新たな力、スーパーロックマン。
通常のロックマンと違いブースターによる二段ジャンプを行うことが出来、
移動範囲が飛躍的に上昇し、戦いに幅が生まれた。
加え、チャージショットの代わりに腕にためたエネルギーで
腕を噴射し、ロケットパンチとして比類なきその攻撃力で粉砕することが出来るという機能。
スラッシュマンとの決着はそれから早々に付いた。
そして次にはコイルテーマパークでのスプリングマンとの対決。
スーパーロックマンという奥の手を使う前に持っている特殊武器を試し始める。
「フリーズクラッカー!」
「ジャンクシールド!」
「デンジャーラップ!」
…どれも効きが悪い。
残る武器は二つ。ここでスラッシュクローを当てれば正解であった…のだが。
「サンダーストライク!」
「ひっかかったよーーーーん!!」
そう
スプリングマンはコイル。高圧電流を受け、それにより磁気を帯び…
ロックマンを引き寄せる。
「おいっしゃああああ!!」
「んがっ!!!」
磁力でスプリングマンに掴まれたロックマンは
バネの弾力を最大限に活かし、天井へと叩きつけられる。
結局、これはスラッシュクローでこれを撃破。
次に向かったのはF1カーの整備場。
巨大なトラック、シシトラックに乗せられてやってきたのは大量のタイヤの山。
その中にいたのはターボマン。
「さぁガキんちょよ、シグナルが青になる前に逃げれるモノなら逃げてみな!!」
ワイリーの愛車だった、ターボマン。
「READY…GO!!」
レーシングカー形態へと変身、猛スピードでロックマンへ突進してくる。
ロックマンはスーパーロックマンへと変身、二段ジャンプのブースターで突進を余裕を持って回避、
背後からロケットバスターでターボマンのボディを吹き飛ばす。
「わぁあああお!」
そして、武器を手に入れる。
「これはフリーズクラッカーといって、氷の結晶をね」
「クラッカー!?大好物ダス!」
「これはスラッシュクローといって、衝撃波で敵を切り刻む…」
「すごいダスー!スト○イダーひ○ゅうみたいダスー!!」
「これはワイルドコイルといって、バネを左右に撃ち出す武器で」
「これを脚につければスーパーライトットの完成ダスな!」
「この武器はサンダーストライクといって」
「まあ、電気代が浮くわ!」
「これはジャンクシールドって言って、スクラップを寄せ集めてバリアを」
「そんなことより、ゴミ散らかさないでね」
「これはデンジャーラップって言ってね、シャボン玉に包んで爆弾を」
「まあよかった、博士の作ったガラクタが大量にあるから全部壊して」
「これはバーニングホイールって言って、炎の車輪を撃ち出す…」
「じゃあ今日はバーベキューで決まりね!」
そして最後に向かったのは、魔界村と呼ばれる奇怪な地域に立つ謎の古城。
とはいっても、ワイリーがハイテク設備の整った機械城に改造したのだが。
-
「…なんだ、スナイパージョーじゃないか」
彼の背後にいたのは、緑色の量産兵。
「あ、…ほんとだスナイパージョーだ」
「全く怖い姿してるわよね… 盾なんか構えて卑怯だし。誰に似たのかしら。」
その瞬間。
「クシュンッ!!」
…誰かがくしゃみする音が聞こえた。
「ロックではない…わね」
「ここでだと何か怖いね 行ってみる」
「わ、私はここで待ってるわ!」
…奥の扉を潜り、くしゃみをした誰かへ近づく。すると…
「わああ!! …な、何だこの口笛!?」
…いつものブルースの口笛でも驚いてしまう。
「ブルース…! …お、お化けじゃないよね」
「…よく来たな、ロックマン」
…現れたのは彼の兄だった。
「…今回は、お前の実力を試しに来た
今度はいつぞやのように手は抜かん …全力で当たらせてもらうぞ!」
ブルースとの戦いが始まる。
「行くぞ」
盾の裏から小さなエネルギー弾を三連射。
飛び越えながら上へ下へとロックマンもバスターを連射するが…
「甘いな」
間隔が短い。シールドの防御で一気に3発とも防がれた。
「お前にこの技が真似できるか!?」
ブルースが跳び、ショットを斜めに撃つ。
1回目跳んで1発。2回目跳んで2発。
「はぁあ!!」
3回目に跳んだ際に下から上へと流れるように撃つ。弾の壁が完成する。
距離を取ればそれぞれの弾の感覚は開く。チャージしつつそこへ立ち回避…
「いけええ!!」
「ぐふっ!!」
着地した瞬間のブルースへチャージショットを見舞う。
「……まさか、お前に易々と一発食らうとはな!」
ブルースが一直線にダッシュし、部屋の入り口側の壁へ。
ロックマンもそれを飛び越えスライディングで奥側の壁へ。
部屋の両端でお互いにチャージ。ブルースは盾を構えているため…
こちらが当てるタイミングは…一瞬。
「ブルース」「ニューロック」
「ストライク!」「バスター!!」
緑と青、二つの強力なエネルギー弾が交差。
しかし…ロックマンは跳びあがりながらそれを撃ったが、
ブルースは威力の高いそのバスターを、盾を構えては撃てても跳びながらは撃てない。
交差した弾が、それぞれの元へと一瞬で届く。
ロックマンは宙でそれを回避したが、ブルースはそれを直撃。
「うぉおおおおお!!」
またもブルースはジャンプ撃ちを行う。1回、2回…
3回目に大きく跳び、弾の壁を作り出すそのタイミングでロックマンはスライディングで彼の体を潜る。
「チィ!!」
着地の瞬間に振り向いてチャージショットを続けて放つ。
ロックマンもその瞬間を狙い、ゼロ距離ショットを発射。それと同時にブルースストライクを回避。
「うう!!」
仰け反ったブルースへと追撃。
「…まだだ!!」
ブルースは再び位置を入れ替え…チャージを行う。
「「最後だ!!」」
だが…今度はロックマンは撃たせすらしなかった。
ブルースがブルースストライクを放つため盾を避けたその瞬間…すでにチャージショットは届いたのだ。
「ぉおおおおおおお…!!!」
腹をロックバスターに抉られるブルース。
「うっ!!」
大きく跳び…
「…どうやら俺の負けのようだな」
負けを認めた。
「…お前は、俺の想像を遥かに超える力を持っていたようだ
…これをやろう。この先…役に立つはずだ」
投げてよこしたそれは…
「ブルースシールド!? …どうして、君は…」
「………」
「…ロックマン ヤツには気をつけろ」
「?」
質問に答えず、最後に不可解な一言を残して。
-
夜空の雲が月を隠した、薄暗い湖畔に降り立つ。
巨大な古城を前にした庭であるそこは…墓場だった。
「…ロボット心理的には正直こっちの方が怖いよ!」
見ると、カラス型ロボットの目が柱の上で輝いている。
「ご、ごごごごごごごめん!ロック、今回私オペレート無理っ」
「ろ、ロールちゃん…!?」
ブツッと通信が途切れ…
雲が右へ左へと分かれ、月が顔を出し始める。
カラスが鳴き羽ばたく。
ゴゴゴゴゴゴ…
低い音を立てて地面から棺おけが姿を現す。
「ロールちゃーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
棺から次々現れるはスクラップロボット・アストロゾンビーグ。
戦いの始まりだった。
「わ、わぁぁぁ!!」
通路に立ち並ぶ甲冑の首がとれ、兜型ロボットとして機能し始める。
「つ、吊り天井!?」
いつものトラップ。
「こ、蝙蝠が…!!」
長いこと戦い続けているバットン。
「か、かぼちゃのお化けえええええええ!!」
巨大ロボット・VANプーキン。
3段構造のかぼちゃ型マシンで手ごわい相手となったが、
ロックマンはこれを倒すことに成功する。
「……も、もう大丈夫だよ…ロールちゃん」
「…ほ、ほんと!?」
「うん…」
「本当に本当!?」
恐る恐る通信を再開すると…
「きゃあああああああ!!! ロック、ロック!
後ろに…後ろに一つ目のロボットが!」
「え、ええ!?」
…振り向くとそこには。
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ブルースとの戦いを終えたロックマンは、
エレベーターで窓から次々現れるゾンビロボット達に絶叫しながら戦いを進めていく。
一方フォルテもこの城へ潜入。
ロックマンとは別ルートを進み、狼男型ロボットの群れを難なく撃破していた。
たどり着いた広めの部屋では、渋めの老紳士の絵画が飾られている。
『Albert=W=Wily 20XX』
「………美化にも程があるだろ…」
それから暫く。ロックマンは戦いを何とか切り抜け、城の最深部までやってきた。
「……フォルテ…!? フォルテ!」
そこには、扉から脚を引きずり出てきた傷だらけのフォルテの姿が。
「…ちっ、雑魚相手に油断しちまった…お前にこんなみっともない姿を見せるなんてな」
言っている最中にフォルテはガクっと膝をつく。
「…この分じゃ俺も引退って所か …ザマぁねえ」
「ライト博士の研究所なら君を直せると思う…ロールちゃん、フォルテを転送してあげて!」
「あ、うん…わかった!」
「……大丈夫かい」
「…お前の、その甘さが命取りにならなきゃ、いいがな」
…城の最深部は薄暗い…窓から差し込む月明かりだけの部屋。
…バサバサと羽音がこだまする。
「おやぁ… ハハ、またもやお客様のご来訪とは…ね」
天井から羽音を立てて降りて、会釈をする。
「ようこそ…我が、城へ 不肖この私、城主のシェードマンと申します」
目が妖しく輝く。
「…悪いけど手加減できないよ」
エネルギーのチャージを始める。
-
戦いの最中窓から姿を消したシェードマンを追って外へ。
古城の庭に夜風が吹きぬける。
「…どこだ…!?」
バスターを構えた…その時。
「さぁ空中散歩と行きましょうか!!」
ロックマンの肩をその足の爪で掴み、空へと舞い上がった。
こうなってはロックマンは振り払うほか出来ない。
「この高さから落下して無事で済むならよいのですがね!」
月夜に高く高く持ち上げられたロックマンには…最早成す術はない。
「アォオオオオオオン!」
「何!?」
その瞬間…
シェードマンへと赤い物体が突撃し、ロックマンを放させた。
「お、のれ」
「ラッシュ!!」
そう、ラッシュジェットである。
「ワウッ、ワオオン!」
そして高速でUターン、ロックマンを乗せる。
そのまま一気に下降。
シェードマンもそれを追って急降下。
「最後だ、シェードマン!」
「ひ、卑怯…な!!」
最後にラッシュジェットから飛び降り、チャージショットでトドメ。
「こんな、小僧にいいいいいいい!!」
そして着地した。
「このクラッシュノイズは破壊音波だけど、反射させて僕が受けると増幅することが出来るんだ」
「まあ、その歌声ってライト博士の歌声より破壊力あるの?」
そんなやり取りの後、買い物をして戻ってくると…
研究所は無残な姿となっていた。
「こ、これは…!?」
「…ロックマンか…
フォルテが…修理が終わったら突然暴れだしたんじゃ…」
「え!?」
「そして、お前とラッシュの改造の設計図を奪っていったんじゃ…
…フォルテの構造を見て驚いたんじゃ …フォルテは、お前と驚くほどに近い構造をしておる」
「…そんな」
「…そんなロボットを作れる者となると…行動から見ても、一人しか考えられん」
その瞬間、
半壊した研究所のモニターが一人の科学者を映し出した。
「!!」
「そう、その通りじゃよ
フォルテとゴスペルは、お前を参考にワシが作り出した最強のロボットじゃ!」
「…Drワイリー!」
「お前とラッシュの合体設計図を手に入れさせるため、一芝居打ってもらった
驚くほどうまく行くもんじゃな…!」
「…許せない」
「悔しいか?悔しいかロックマン! ワシの研究所まで来ることじゃな!
フォルテも待っておるぞ!ガーーーーハッハッハッハ!!」
『俺はフォルテ Drワイリーを倒すために戦っている』
全ては…全ては、単なる演技だったのだ。
「…博士」
「うむ」
心がまとまらないまま、彼はワイリーの研究所へと向かうのだった。
-
「来たな、ロックマン!」
「フォルテ…!」
そして研究所に入って暫くの部屋で現れた…スペシャルワイリーナンバーズ・フォルテ。
「……」
「Drワイリーはお前を恐れているようだが、
お前など俺一人で十分だ」
「覚悟しな ロックマン」
凹凸のあるバトルフィールドで戦いが始まる。
フォルテはまず跳びながらバスターを撃つ。
ロックマンはそれより一歩早いタイミングでバスターを放ち、フォルテに命中させる。
段差を跳び移りながらバスターを乱射するフォルテ。
ロックマンも負けじとバスターを撃つが…
「フンッ…」
「う…!!」
1発被弾した際のダメージが全く違う。
攻撃力に差がありすぎるのだ。
その上、フォルテがチャージを始める。
「死にな!!」
大きく鋭い形のチャージショットがロックマンへと命中。
「ぁぁあ!!」
大きく跳ね飛ばされるロックマンの体。だが…怯んでいる暇はない。
こちらも負けじとチャージショットを放つが…
「ジャンクシールド!」
特殊武器で相殺され、
「あぁあ!!」
シールドを展開、硬い鉄の塊を食らう。
「…負けない!」
エネルギー缶を使用。
「抵抗し続けるつもりか!?」
今度はフリーズクラッカー。
「そうは行くか!」
撃ちだされた氷の塊をバーニングホイールで防御、蒸発させる。
「だがこれは避けられないだろ!」
フォルテの目にも止まらぬ速度の手刀スラッシュクローがバーニングホイールを貫通。
ロックマンはホイールを撃ちだし、フォルテの体も焼くが…
「う…」
「ぅあああああ!」
ダメージは斬られたこちらの方が大きい。
「負けるものか!」
再び段差の昇降を繰り返しながら互いにチャージ…
「食らえ!」
「いけぇ!!」
高い位置からフォルテ、低い位置からロックマン。
それぞれがチャージショットを交差させる。
距離を取り、今度は撃ちだしたその瞬間にスライディングで回避。
「ち…!」
フォルテに一方的にチャージショットを食らわせることに成功する。
「…随分腕をあげやがった」
続けてワイルドコイル。フォルテの左右に勢いよくバネが跳び出る。
「サンダーストライク!」
雷の玉でそれを迎撃。
「な!」
ワイルドコイルへと命中、それは磁力を持ち、ひとりでにフォルテの元へ吸い寄せられ…
「ぐぁ!!」
命中、爆発を起こす。
「…く!!」
だがフォルテも諦めない。
「デンジャーラップ!」
爆弾入りのシャボン玉でロックマンを包み…
「わ!?」
チャージショットの的にしようというのだ。
「離…せ!!」
だが間一髪ロックマンもデンジャーラップを破壊。
爆発を食らいはしたがチャージショットの餌食にはならずに済んだ。
「フォルテ!!」
クラッシュノイズを壁へ反射させ、それを受けて増幅。
「…しまった!」
強化された破壊音波でフォルテを吹き飛ばす。
「な!!」
そしてラッシュを呼び出しスーパーロックマンに。
「最後だ!」
ロケットバスターがフォルテの腕へと一直線に跳び…
「…!!」
チャージショットを放とうとしたバスターを暴発させる。
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