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ゲームの物語紹介スレ

1名無しさん:2008/03/04(火) 20:27:18
ゲームの物語の紹介はここで

49T260G編 任務その3 ファクトリーに侵入せよ:2008/03/15(土) 22:48:08
「おお、酒場だ!酒場だ!!」

目的地、スクラップに着くなり、ゲンは酒場に入る。
T260Gも一緒に入る。

ゲンはひたすらお酒を飲んでいるようなので
その間にT260Gは情報収集を行うことにした。

「メカが酒場で何してるんだ?」
青髪の男、リュートや
「記憶障害か… 君のコアは相当に古いタイプのようだね。
 詳しく調べてみないと何とも言えないな。
 ああ、私はこういう者だ。」
シュライクの中島製作所の社長などがいた。

奥にいた緑色の髪の少年と、チャイナドレスの女性にも話をしてみた。
「なに?」
「うわー、鉄のかたまりだ!!」
少年の名はクーン、女性の名はメイレンというらしい。

「カバレロってやっぱりひどい奴ね。
 私たちもカバレロに用があるのよ。一緒に行きましょう。
 十字路を上へ行った左側にカバレロの事務所があるわ。」

メイレンとクーンも何かの用事でカバレロに用があるらしく、
4人はカバレロの事務所へ向かった。

「あんたがカバレロか?」
「そこのメカ、もしかして、うちの連中がやられたってのはお前か?」

黒服でタバコをふかす男。コイツがカバレロだ。
「そうか、そうか。よ〜くわかった。
 かわいい子分どものお礼はたっぷりさせてもらおう。
 うちのファクトリーまで来い。ぺちゃんこにしてやる!」
と…怯えたような口調で言うと奥の扉から微妙に速い足取りで歩いていってしまった。

「カ、カバレロさん…」
「に、逃げた…?」

ゲンは女子供、即ちメイレンとクーンに言う。
「ってわけだ。ここから先は危険だ、あんた達は帰ったほうがいい。」

だが意外にも度胸があるこの女性はゲンに言う。
「心配してくれてありがとう。でも、危険は承知の上よ。
 それにしてもカバレロのあの慌てよう、笑えたわ。
 そのメカ、いったいなんなの?」
「まあ、秘密兵器みたいなもんさ。」
へー…と、面白そうにクーンはT260Gを見てきた。

そして4人はカバレロファクトリーへ。
工場の倉庫でこっそりついてきたリュートも加えた5人は
怯えたカバレロが待つ工場へ潜入した。

沢山のカバレロの部下達のテリトリー。
高台の上からの射撃もなんのその、5人はどんどんと突き進み
カバレロの元へたどり着く。

「くそー ここからが本番だ!行け!!」

そして現れたのは復活したヴァルカン、ヴァルカン・改。
だが彼ら5人の敵ではなく、あっさりと敗れる。

「わかりました。ボロには決して手出ししません。」
「わかりゃいいんだよ。」
頭を下げるカバレロに、ゲンは更に加えて要求をする。

「ところでだ、こいつがシップに乗りたがってるんだ。
 あんたの力で何とかしてくれよ、カバレロさん。」
「……ハイ。シップのパスを用意します。
 もうどこへでも行っちゃってください。」
ひたすら頭を下げ続けるカバレロ。

そして一件落着。5人は情報収集のためクーロンへと飛んだ。

50T260G編 任務その4 博士にコンタクトせよ:2008/03/15(土) 23:16:45
クーロンの情報端末で得られた情報は3つ。

マンハッタンにいる天才科学者・レオナルド博士のこと。
スクラップの酒場にいた中島社長の構える中島製作所のこと。
シンロウの奥地に古代のリージョンシップが遺跡として残っていること。

そして今回はそのうちの
レオナルド博士へのコンタクトを試みることにした。

マンハッタンのファーストフード店。
すらりとした体の美青年がそこにいた。

「レオナルド・バナロッティ・エデューソン
 という人物の情報を求めています。ご存知ですか?」
青年に彼女は話を持ち出した。

「うん、まあね。ところで君、見かけないタイプのメカだね。
 どこのメーカー?」
「タコ様に組み立てていただきました。」
「タコ様?個人の手作りメカなのか…よく出来てるな……
 君は、レオナルドの何が知りたいの?」
「レオナルド氏に、自分の解析を御願いしたいのです。」

そして彼女は、青年に事情を話した。
「そういうことなら、レオナルドも興味を持つと思うな。
 案内するよ、ついておいで。」

そしてセントラルゲート内の研究所へ案内する彼。
こういう口ぶりであることは、恐らくは彼は…

「さあ、ここだ。
 そう、ボクがレオナルドだよ。
 君の名前を聞いていなかったね。」
やはり彼こそがレオナルド博士、その人だったのだ。

「T260Gです。」
「じゃあ、さっそく調べてみよう。」

そう言って彼は、T260Gを装置に入れ
体の解析を開始した。

様々な色の光が彼女の体を透過する。

まず博士は結論から口にした。
「君のコアは、現在使われているタイプのコアではないね。」


「トリニティ・タイプとの共通点もあるんだけど、
 違っている所の方がずっと多いんだ。」
トリニティといえば、マンハッタン、タルタロス、ニルヴァーナで構成される
現リージョン界の統治機関。
その政府のロボットと少しだけタイプが近いのだという。
これは何を意味するのか。

「だから、これ以上はコアを分解しないと調べられないな。
 それにしても、君を組み立てたタコさんはすごい技術者だね。
 手が4、5本は無きゃ出来ない様な仕事がしてあるよ。」
そう、タコおじさんは名前の通りのタコだからだ。
彼の技術力もさることながら、
これは彼の体を最大限に活かしての仕事だったのだ。

「それに、君のパーツ一つ一つに注意書きがしてあって、
 ボクが調べることはほとんど無いような状態だったよ。」
本当にタコおじさんは丁寧にT260Gの復元を行ってくれたらしい。
そして最後にレオナルドは言った。

「調査ついでに少しパーツを追加しておいたよ。
 メモリーが足りないって殴り書きがしてあったんだ。」
パワーアップまでしてくれた。
これで彼の能力は飛躍的に上昇することだろう。

「ありがとうございます、レオナルド博士。」
「ボクも楽しかったよ。通行証を渡しておくから、いつでもおいで。」

人柄のいい博士であった。だが、こんな人に限って…不幸は訪れるものである

51T260G編 任務その5 最終任務を確認せよ:2008/03/15(土) 23:48:26
シュライクの中島製作所。
平和なこの町にあるこの製作所の真ん中に技術者達が集まっている。
皆、揃って難しい顔をしたり、青ざめたりしている。
「やあ。よく来たね。君のことを調べてあげると言ったんだが…
 困ったことになってね。」

社長の言うには、こうだ。
重要なデータを乗せたメカマウスを、
古の王、済王の眠る古墳に逃がしていたのだが
帰還命令を出しても戻って来ず、反応もないらしい。

「社長、彼に頼んだら?」
「おいおい、それはないだろう……
 いや、君に頼めないかな?マウスを探してきて欲しいんだ。」
「それがあれば、私の調査ができるのですね。
 わかりました。それでは出発します。」
製作所の開発した修理用メカ、特殊工作車を加え、
一行は古墳へと急ぐ。

モンスターのはびこる古墳の中でも下の階層、
王の玄室を開けるための鍵、三神器の一つ…剣のある階層で
メカマウスはのんびりくつろいでいた。
「目標物回収。これより帰還します」

「ありがとう、ありがとう…!」
そして製作所に戻った彼は、メカマウスに収められていたデータの中身を知ることとなる。
「うちでは人が乗り込んで、完全変形する戦闘メカを開発していたんだよ。
 コードネーム「ワルキューレ」だ。」

「それが、トリニティから横やりが入ってね。
 人が乗るタイプはダメになった。そこで、
 これが「ワルキューレ」の技術を応用して
 若い連中が試作した自律型の戦闘メカ「零式」だ。
 「れいしき」なんて名前、近ごろの若い連中のセンスは理解できん!」

ナカジマ零式。スリムな青いボディが特徴のメカだ。
「「零式」起動準備完了。」

そしてそれは起動された。するといきなり彼は縦横無尽に
製作所内を飛び回り始めた。
「こんな狭い所で起動するなんて、非常識ですね〜。」
「だれだ、 こいつの疑似人格のモデルは? ヒロシか!」
どうやら性格に癖のあるメカらしい。
「失われた任務ですか〜、ロ〜マンチックですね〜」

そしてナカジマ零式を加え、新たにボディを6タイプから選んだものに新調し、
彼は得られた3つめの情報、シンロウの古代シップへと向かった。

「周辺環境、推定経過時間を考慮すれば、
 保存状態は極めて良好。微弱ながらエネルギーを感知できます。」
この先に何かがある。
内部は薄暗く、道がわかりづらい。
そんな中でも彼女らはモンスターの巣食うシップの中を進んでいき、
最深部の情報端末の部屋にたどり着くことが出来た。

「ここなら何か情報がありそうだな。」

まずはT260で検索をかけてみた。

 形式番号:T260
 種別:システム・コア
 設計:KT 製造:MMW
 対RB3型用に設計された
 Tシリーズの最新型
 詳細諸元は極秘

RB3…。
今度はこの単語で検索をかけてみる。だが…データが破損しているという。
今度は一部破損しているながらも、日誌のページを読んでみることにした。

@諦┛らけQへドライブ中。臨戦態勢を解き、第2警戒へ移行
HQにて任務受領。目的地へ発hヶ!χ

そして戦闘プログラムをT260Gがダウンロードすると…
数千年生きた端末は電源を落とした。まるで最後の力を振り絞り、
T260Gに未来を託したかのように。

「電源が死んだな。何か分かったか。」
「T260タイプの情報とHQの存在情報を得ました。
 私の任務はRB3型の破壊であることが確認されました。」

「HQとかRB3型ってのは何だ?」
「HQは司令部だと推定できます。RB3型については情報がありません。」
「次の目的地は司令部か。」

とうとう明らかになった最後の…本来の敵。RB3.
この名前と、次の目的地、司令部HQの名を脳裏に刻み込み、
彼女らはシップを後にした。


そして…中島製作所に戻った彼女達は驚くべき事実を耳にする。
レオナルド博士が、謎の爆発事故によりこの世を去ったというのだ。

52T260G編 任務その6 中央情報室へ潜入せよ:2008/03/16(日) 18:32:40
セントラルゲート・レオナルド博士の研究所。
博士の身に一体何が起こったのか。
そして、彼は死ぬまでの間に何か情報を掴んでいたのだろうか。
それらを調べるべく、T260Gはパスを用いて
主なき研究所へ入り込んだ。

研究所を一回りしてみるT260G。
彼女がパネルに立ったところで、あり得ない声が聞こえてきた。
今はこの世にいないはずの者…そう、レオナルド博士の声だ。
「今そこにいるのは、T260G君だね。
 済まないが、そのスイッチを押してくれないか」

博士は亡霊…つまり、モンスターになったのだろうか。
彼女はボタンを押すと、以前から存在していた部屋の中心にある
円形の、少し盛り上がったフタらしき部分が開いた。
そして…
蒸気をあげるその中から現れたのは、
真ん丸い顔と丸みを帯びた小さな体…コケシのような形をしたロボットだった。
そのロボットから声が発せられる。レオナルド博士の声が。
「こういう事態に備えて、
 自分の人格マトリックスをこのメカに移しておいたんだ。
 君と同じになったね。」

そう、レオナルド博士の体は機械になっていたのだ。
全く姿は変わってしまったが、意外にも彼は落ち着いた様子だ。

しかし備えたとはどういうことだろう。
単に、有名人は命を常に危険にさらされるということや、
これほどの頭の切れる人物なら
万一のことも万全に対策してあったということならいいのだが。

「何と御呼びしましょうか?」
「ボクはレオナルドだよ。体はメカになってしまったけれど、
 他は変わらないからね。君の方はどうだい?
 何か新しい情報は手に入った?」

そしてT260Gは簡単に説明を行った。
「ボクも色々と調べてみたんだけど、
 トリニティの情報セキュリティに引っ掛かって先に進めないんだ。
 これ以上は、もっと中枢部に行かないと無理だね。
 タルタロスの内部に中央情報室が置かれている。そこへ行こう。」

タルタロス。トリニティの機密が収められているとされる、
トリニティの一角にあたるリージョンである。
無論、そんな所へは民間人が入り込むことはできない。
…そして、レオナルド博士でさえも。

「このコンテナに乗って潜り込もう」
狭いコンテナ内。それに乗り込み、彼女達はいよいよ
タルタロスへと潜入した。

中は常時厳戒態勢。
無数のメカが蠢き、幾重ものセキュリティが働き、侵入者の行く手を阻む。
途中、脅威の巨大マシン、モービルマニューバとも4度遭遇することとなった。
だが彼らはそんな厚き壁も乗り越え、
いよいよ中央情報室の巨大端末から情報を引き出す段階まで来た。

「ボクのパスワードではダメだね……
 これならっと…」

すると出たのは謎の数列。これは一体何を意味しているのか。
博士にもわからないようだった。

「ダメだ! 信じられないな〜。君の構造から情報をたどっていくと
 執政官クラスのパスワードがないとアクセス出来なくなるんだ。
 君ってすごい秘密の持ち主だね。この数字を解決する糸口があればな…」

T260Gの情報を手に入れるにはここでも無理だという。ならば…
次はRB3について検索を行ってみる。
だがそれも良い成果は得られず。

「「HQ」との関連性は?」
そう、彼らが向かうべき場所だ。
…そこで博士は気がついた。

「そうか! シップドライブの航行データだ!
 君の言う「HQ」かどうかはわからないけれど、
 このデータでドライブしてみれば、
 その先にきっと何かがあるに違いないよ。わくわくしてきたぞ。」

そう、謎の数列こそがHQへの道標。
これを辿っていけば…いよいよT260Gの秘密が明かされるかもしれないのだ。

そうと決まれば話は早い。彼らはタルタロスから速やかに退散し、
HQへのシップを手配するのだった。

53T260G編 任務その7 メインフレームに接触せよ:2008/03/16(日) 19:10:21
「レオナルドだけど、シップをチャーターしたいんだ。」
「レオナルド様?あなたが?」

面食らっていたシップ発着場職員。
しかし、本人証明が終わるとにわかには信じられない様子ではあったが
シップを手配してくれた。

「すごい基地だね。トリニティが最高機密にしているだけのことはあるね。」
そして着いた場所はタルタロスと違い、綺麗に整備された
巨大な施設。強力な兵器の数々が収められたこここそが、HQ…司令部である。

別れ道の片方が兵器庫へと繋がり、もう一つは次のフロアへと繋がる。
そんな構造のHQをひたすら進んでいくと…
開けた、下が見えないほど高い場所にある中央端末へとたどり着く。

「機能停止状態です。
 侵入したウイルスによるシステムの崩壊を防ぐために、
 システム自身が部分停止しウイルスを食い止めています。
 これから、システム内部へダイブしウイルスを除去し、
 機能を回復させます。皆さんはここに残ってください。」

バーチャル空間での、HQを侵したウイルスとの戦い。
だが、残っていろといわれては男ゲンは黙ってはいなかった。
「ここまで来て、お前だけを行かすわけにはいかないさ。
 ガキんちょどもとの約束もあるからな。
 どこへでも飛び込んでやろうじゃないか。」
「了解しました。作業を行います。」

そしてバーチャル空間へとシフトする。

そこは、虫に食われフレーム部分が露出したポリゴンの町。
人工物であることがはっきりとわかる。

至る所に虫が沸いている。近づくと虫は本性を表す…ウイルスだ。
四本の触手を生やした丸い物体として認識される。

ウイルスを倒すことによりどんどん町が復興していく。
城門の中に入ると、突然ウイルスたちが群がってきた。
どうやらメインフレームにウイルスが群がっているらしい。

それらを排除し、メインフレームにコンタクトをすると
途端に全てのウイルスがデリートされ…
町は元に戻った。

後は、メインフレームと真にコンタクトするための場所へ行くだけ。
そこは教会の中。複雑なパズルを解き、
彼女はとうとう…何もない無の空間でメインフレームと対峙した。
「システム中枢だ。遂に秘密が明かされる時が来たぞ。」

気がつくとレオナルドが人間に戻っている。
「レオナルドさん、なんで人間に戻ってるんだ?」
「ここでの姿はどうせ偽物だよ。どんな姿だってとれるのさ。」


彼女は、「ただいま」を告げる。
「システムに対して、認識を要請します。」
「適合要素として認識しました 攻撃目標から削除します」
「認識番号 ID7074−8782−1099」

そして「おかえり」の言葉。
「ID確認
 よく帰ってきました7074−8782−1099
 ウイルスを撃退してくれたことにも感謝します」

そして、一言で長らく悩み続けてきたことが解消されることとなる。
「破壊されているデータがあります。修復しましょう」

破損データの修復、即ち…記憶の回復だ。
「おい、思い出したか?」
「S級優先任務・RB3型破壊を遂行します。
 すべての機器の優勢使用権を要請します。」

残存機器の確認中…
機能停止中に多くの機器が何者かによって撤去されています
オメガタイプのボディ1体が残存しています
その他しべての機器の優先使用権を付与します
このHQの機能回復でRB3型も活動を再開します
速やかな任務達成を希望します

それが何を意味するのか…ゲンさんにはわからなかった。
そして彼女達は現実に戻り、T260Gは戻ってくるなり…
その言葉を発した。

「出撃します!!」

54T260G編 任務その8 RB3を破壊せよ:2008/03/16(日) 19:32:32
HQからの帰り道。
ゲンはT260Gを追いかけつつ、彼女と話をする。

「おい、待てよ! RB3型って何なんだ!」
「RBタイプはリージョン破壊兵器です。
 1、2型は通常の方法で破壊できましたが、3型は全く異なる製造をしており、
 その破壊のために私のタイプT260が作られました。」

RB、リージョンバスターシリーズ最強の3型。
それに対抗すべく生まれたのが彼女…古代の戦闘艦、T260だったのだ。
「リージョン破壊兵器!?」

「リージョン破壊砲による攻撃を受けると、
 リージョンは圧壊し混沌に飲み込まれ消滅します。
 3型は進路上のリージョンを無差別に破壊していきます。」
「なんてこったい…」
話は一気に、リージョン界の存亡を賭けたものとなっていた。

道の傍らに安置されていたT260最強のボディ…
オメガタイプが目に止まる。純白の流線型ボディ、頭の輪、翼。
まるで天使のようだった。
「オメガボディ、エネルギー注入中。エネルギー充填終了。」

そして…鋼鉄の天使となったT260は、飛行形態になってHQを飛ぶ。
「このHQの活動再開を探知して、侵攻してくるものと予想されます。」
「それじゃ、ここをぶっ壊しちまおうぜ!」

そう。HQさえなくなればRB3の破壊対象はなくなるのだ。
「私の任務はRB3型の破壊です。」
任務には従わなければならない者の、それが定めだったのだ。
「仕方ねえな。まったく、大事になっちまったぜ。」

「敵はどんなヤツなんだ?」
「形態は遭遇するまでわかりません。ただし、
 シップとしてのドライブ能力を持っているのは間違いありません。
 こちらも接近のためにシップが必要です。」
そう、相手は混沌の中を走るもの。
近づくためにはこちらもシップがなければ。

「接近してどうする?」
「RB3型の中枢に侵入して破壊します。」
「簡単に言うぜ。」
彼女達の最後の戦いが今始まる。

マンハッタンから発着される最新鋭リージョンシップ。
それをまたもチャーターし、彼女達はいよいよRB3へと近づいていく。


敵が…現れる。

「でかい…… 誰がこんなもの作ったんだ。」
相手は、あまりにも巨大すぎた。

「RB3型自身です。
 蓄積されたデータから最も効果的な形態を選択し、
 混沌から自らを創造するのです。」
自己を再生し、自己を変形させ、自己を防衛する、あまりに強大な自律兵器。

「それが、RB3型の機能です。」
「創造主というわけか。」
とてつもなく大きな船体を持ち、船体に比べて小さな、
持ち上げられた4機の砲門一つの直径で
すでにシップの5倍はある。
こんなものを向けられたらひとたまりもない。
エネルギーの高まる砲門の傍を通り…
「開口部より侵入します。」

彼女達は降り立った、RB3の戦艦内に。

中は強力なメカばかり。
開けた場所に出たと思えば、侵入者を阻む巨大なレーザーの雨。
スイッチを使いこれを止め、奥へ進むと今度は大量の迎撃メカ。
9回の戦闘の後に暗い闇から姿を現した巨大メカ、機械神バロール。

それら全てを破壊した所で彼女達は行き止まりに到達する。
端末室だ。
「ここをぶっ壊せば終わりか?」
「いいえ。これから、RB3型の内部へダイブして、破壊します。」
RB3のコアはどこにあるかなんて解らない。
恐らくは外部からの物理的破壊など不可能。
「ダイブして、内部から破壊します。それが私、T260型の機能です。」

だからバーチャル空間にまたシフトし…コアを直接彼女達が叩くのだ。
彼女達自身がウイルスとなって。

「それが、お前の本当の任務か。」
「はい。ゲン様は皆さんを連れて脱出して下さい。
 コアが機能を停止した場合の事態は予測不能です。」

ここまできてそんなことを言うT260Gにゲンは呆れる。
「お前な、いい加減にしろよ。HQの時もそうだったが、
 ここで帰れって言われて、ほいほい帰る奴はいないんだ。
 少しは学習しろ!」

そして最後にゲンは言った。
「さあ、さっさと終わらせて一杯やるぞ。」
「了解しました。」

55T260G編 任務その8 RB3を破壊せよ 後半:2008/03/16(日) 20:37:52
「これより自己再生コードの分解を開始します。
 ここは、最も強固に守られているコードです。準備はよろしいですか。」

バーチャル空間は洞窟、密林、砂漠の3層に分かれていた。
最奥部、砂漠の中心部に、一本だけ生えた樹…
それが…最後の敵だった。
捻り鉢巻の酔っ払いの中年、純真無垢なモンスター少年、
いびつな人格を持つロボット、元人間のロボット博士。
そしてRB3を倒す任務を担った古代兵器。

電気信号に変換された彼らが今、意志を持って戦いの場に戦闘態勢で構える。
辺りの風景が細切れになり突然砕け、真っ暗な闇に包まれ…
そして樹が光束に包まれ本当の姿を現すと共に辺りは明るくなる。

RB3の本体、ジェノサイドハート。
部屋の中心に位置するそれを
彼女達がそれを取り囲み、
それの周囲で起動するは無数のディスプレイ。
そして背景には無数の情報が光となり行き交う。
これがRB3の中心部、メインルームだ。
「警告、警告、セントラルシステム内にウイルスの侵入を感知。
 セキュリティレベル1 アイスシステム作動」
戦いの始まりを告げる警告だった。

『NO FUTURE』
開幕早々、システム音と共にジェノサイドハートは文字列を表示し、
無数のディスプレイに向かって恐るべき速度のレーザーを5本発射され、
カカカカカ、とディスプレイに反射音を響かせ、恐るべき精密さを以って
彼らの元に降り注ぎ、貫く。
これがジェノサイドハート最強の技、カーネイジだ。
その後すぐにディスプレイはどこかの風景を表示し、
そのどこかへと世界はヴァーチャルシフト、
ジェノサイドハートの攻撃パターンはそれへと変わっていく。
そのパターンが破られるとメインルームに戻り
セキュリティレベルを一段階引き上げ、
カーネイジを発射、そしてまたヴァーチャルシフト。

3回目のヴァーチャルシフトが破られたジェノサイドハートは、
これまでの3つの空間の能力を全て用いて、
メインルームにて最後の戦いを挑む。

そしてT260Gはこの時のために用意された最強の機能、
V−MAXを起動する。
全能力が大幅に上昇し…彼女はとっておきの、最強の技を
ジェノサイドハートにぶつける。

空中へ飛び上がり、光の雨を降らせるスターライトシャワー。
そして自らが光となって縦横無尽に飛び回り、敵に自らをぶつける
コズミックレイヴ。

その攻撃の瞬間、ジェノサイドハートはフリーズし…
「NO FUTURE」

バグを起こしカーネイジを発動するそのままの体勢で止まった。
自分の状況を悲観したか、或いは捨て台詞のようにも見えた。

ディスプレイは力を失いガシャリガシャリと落下し、
あたりはけたたましい警告音と電流に包まれ…
そしてジェノサイドハート、即ちRB3最期の瞬間が訪れる。
…大爆発だった。

56T260G編 最終任務:2008/03/16(日) 20:39:16
バレ注意














帰りのシップの中、彼女は眠っている。
「おい、どうした。 エネルギー切れか?」
「任務が終わったのさ。敵を消滅させて、彼の存在意義も消滅した。」
レオナルドが言う。
古代の存在はこの時代にいるべきではない。
もう彼らの時代なのだから。
RB3も…T260Gこと、T260も。
「楽しかったよ、T260G君。さようなら。」
レオナルドは帰っていった。

そしてさようなら、T260G…
だが、それを許さない男がいた。
「おい、眠ってる場合じゃないだろう。
 もう一つ任務が残ってるだろうが!しゃんとしろ!
 この、クズメカが!」

T260Gをゴツンと叩く。

その瞬間、暗闇だった画面にメモリーが一瞬フラッシュバックした。
少年の顔…。

「かえってこいよ〜、ぜ〜〜〜ったい帰ってこいよ!!!」
「これから探検だ、タイム探検隊だ!ボクが隊長だぞ。」

そう、タイムだ。


「ゲン様。」
「やっと御目覚めか?みんな帰っちまったぞ。」
T260Gは起きた。

「HQでのデータ修復時に任務処理優先ファイルがマスクされ、
 不正な動作を行っていました。」
「また、小難しいことを言う。で、どうするんだ?」

そう、本来の任務を思い出した彼女は、
この時代で彼女が帯びた任務を忘れかけていたのだ。

「ボロへ帰ります。」
「分かってりゃいい。それじゃあな。」

「ゲン様はボロへ帰らないのですか。」
「俺が帰るべき場所は別にある。ガキんちょどもによろしくな。
 おっと、帰るなら元の体に戻っといたほうがいいぞ」

そして、彼女は最後の任務を読み上げる。

「認識ID7074−8782−1099
 タイム探検隊所属
 直属指揮官タイム隊長
 総指揮官ローズマリー様」

「これより、原隊駐留地ボロへ帰還します。」

そして任務を果たした彼女は、
小さな上官達の、暖かな力いっぱいの歓迎を受けたのだった。

57戦え!アルカイザー 第一話 誕生、正義のヒーロー・アルカイザー!:2008/03/17(月) 00:22:26
平和な町、シュライク。
リージョン界の中でも平和なこの町には
事件といえば、10年前に少女が失踪した事件ほどのものであり、
今では至って平和な日々が流れていた。

その日、バイオニクスの権威、小此木博士は、
息子の小此木烈人と車で外出、そして夫人と妹の待つ自宅へと帰宅中であった。

「…Dr.クラインがブラッククロスの幹部と結託している証拠だ。
これを、IRPOへ持っていけば、Dr.クラインの悪事を阻止できる。」
「父さん、なぜそこまでDr.クラインの事にこだわるんだ?」

「彼と私は共に学んだ。だが、彼は研究のためには手段を選ばなくなっていった。
私はそれを止めることができなかった。学会から疎外されていく彼を救えなかった…
私はこれ以上彼に悪事を重ねて欲しくない。
あんな風になってしまっても、彼は私の友だ。」

Drクラインを止めんとする小此木博士の想いは確かなものだった。
だがその日、彼らに惨劇が待ち受けていようとは誰が予想したであろうか。

その時である
突如として、謎の鉄の塊が彼らの車に降ってきたのだ!

「うっ…… 父さん!
くそっ、ブラッククロスの奴等め…」

襲い掛かってきたブラッククロスの魔の手。
起き上がり、車から抜け出すことに成功した烈人は
すぐさま自宅へと急ぐと、なんと…自宅は炎の中だったのだ!

「ウォオオオオオオオオオオオ!!」

妹も、母も…父も。一瞬にして家族全てを失ってしまった烈人。
そんな烈人の前に立ちふさがったのは5人の男。
そのうち4人は悪の組織ブラッククロスの戦闘員。
そして中央の1人はそれらを束ねる男…
改造人間・シュウザーだった!

「キサマ、小此木博士の息子だな。
 死ね、母と妹の後を追わせてやる!」

シュウザーは烈人に容赦なく襲い掛かってきた。
爪でのクロー攻撃。
抵抗は試みるもまるで歯が立たず…
烈人は無惨にも倒れてしまったのだ。

その時、黒き戦士がシュウザーに一撃を輝ける一撃を放った!
「シャイニングキック!」

腹部を押さえ、シュウザーが苦しみだした。
「遅かったか…
 シュウザー、私が相手だっ!!」
燃え盛る炎を前に、黒き戦士はシュウザーと互角の勝負を繰り広げた。
クロービット、アル・ブラスター。激しい技の応酬が続き…そして
シュウザーは跳躍し、その場を去っていった。

気を失い、命も危うい烈人に向かい戦士は言葉をかける。
「しっかりしろ! いかん…このままでは助からない!」

そう言うと、なんと黒き戦士は烈人を変身させたのだ。金色と赤の戦士へと!
「おい、しっかりしろアルカイザー。」

起き上がった烈人。もう怪我はどこにも見当たらない。
「アンタ一体何なんだ、その格好は!
 俺にもこんなもの着せて、ふざけているのか!」

昂る烈人。
「いいか、君の命を救うにはこれしか方法がなかった。
 君をヒーローにするしか方法がなかったのだ。
 君にその資格があるかどうかを細かく調べている余裕がなかった。」

「だが、君は今日からヒーロー『アルカイザー』だ!
 ヒーローになってしまったからにはヒーローの掟に従わなければならない。
 ヒーローにふさわしくないと判断されれば、消去される。
 一般人に正体を知られた場合は、すべての記憶を消される。」

英雄への厳しき道。彼はこの場で、それらを辿ることを余儀なくされたのだ。

「ヒーローは強いのか? 俺を強くしてくれたのか?」
「ヒーローの力は正義のために使わなければならん。」

しかし烈人にはまだ、ヒーローとしての自覚が足りなかった…

「ブラッククロスの奴等をぶちのめす!」
「復讐はいかん!正義の戦い以外に力を使えば、君は消去されるぞ。」

だが、彼の悪を憎む気持ちは確かだった。
「どのみち死んでいたんだろう。ブラッククロスだけは許さねえ!」

こうしてここに、新たなるヒーローが生まれたのだ。
戦え、アルカイザー!

58戦え!アルカイザー 主題歌(歌詞は非公式):2008/03/17(月) 00:34:29
熱き想い 鋼の胸に宿した 白き光の翼
(ウォーオー オー オー オー)
世界の奥 深く蠢くブラッククロス
その野望打ち砕く 日まで
悲痛に塗れた 遠い記憶が
その拳を炎へと 『変える』!

進めっ!アルカイザー!! そうさお前は
愛に彷徨い 歩き続ける 旅人
(ウォーオー オー アルフェニックス!×2)


平和の日が 邪悪に霞みそうなら 魂を振り絞れ
(ウォーオー オー オー オー)
揺るぎのない心が 暗黒をかき消す
突き抜けろ 必殺アル・フェニックス
友に授かった 優しさという
名の力を勇気へと 『変えて』!

戦えっ!アルカイザー!! そうさお前は
孤独に強く 歩き続ける 旅人
(ウォーオー オー アルフェニックス!×2)

「例えこの身が朽ち果てようとも、決して諦めはしない!」
「この世に明日を信じる心がある限り!」
「失いはしない、希望のエナジー!」
「説明しよう!!
 小此木烈人は、サントアリオからやってきた戦士アルカールから授かった力で
 正義のヒーロー・アルカイザーへと変身するのだ!」
「うぉおおおおおおおおお!変身!アルカイザー!!」


友に授かった 優しさという
名の力を勇気へと 『変えて』!

戦えっ!アルカイザー!! そうさお前は
孤独に強く 歩き続ける旅人
進めっ!アルカイザー!! そうさお前は
愛に彷徨い 歩き続ける旅人
(ウォーオー オー アルフェニックス!×4)

59戦え!アルカイザー 第二話 地下駐車場の戦い!:2008/03/18(火) 22:15:41
「あと3つ上げろ、よし、ストップだ。
 お前も少しは使えるようになってきたな。どうした?」
「いや、ホークが俺を誉めるなんて何かあったのか?」
「ちゃんとやれば誉めてやる
 到着準備までに間がある、休憩にしよう。」

家族を失ったレッドは、父の親友ホークの勤める
豪華客船シップ・キグナス号乗員の見習いとして働き始めた。

レッドは同じく働く少女、ユリアにデートの約束を取り付けると
すぐに仕事に戻った。

今日の行き先は娯楽で知られるリージョン・バカラ。
ブラッククロスはここにはいるはずはないので今回は何も情報は得られない…
と思いきや。

「ブラッククロスの慰安旅行か?」
なんと青き戦闘員達が何食わぬ顔でスロットに励んでいるではないか。
「…無視するなよ。」
全然動じることのない彼ら。
青い戦闘服ということは…おそらく上司は彼。

「あ、シュウザーだ」
そういうと彼らは一目散にどこかへ走っていった。
本当にやつはここにいるらしい。

地下へ向かったらしい戦闘員達を追い、こちらも地下へエレベーターで急ぐ。
…そうだ、エレベーター!

「何なさるんです、お客様!!」
エレベーターガールを強引にどかし、エレベーター内で変身すると
レッド…いや、アルカイザーは、地下駐車場で彼らと出くわす。
「バカどもが!カジノに遊びに来たわけではないぞ!」

「ブラッククロスが修学旅行か?シュウザー、お前がここにいるとはな」
「誰だ、キサマは!」

アルカイザーとしての初の対面。
「正義の使者、アルカイザー! ブラッククロスの悪党ども覚悟しろ!」
ここで勝負をつけることができるか…?
と思われたが。

「キサマのようなイカレた奴に構っているほどヒマではない。
 始末しろ!」

シュウザーはアルカイザーを相手にもせず、
部下を放って去っていってしまった。

戦闘員達を次々に蹴散らし、
リーダーと思われる怪人との対決となった。

昆虫怪人・アームウォーカー。
虫ならではの強靭な体を持つ強敵だ。

だがアルカイザーの力はそれに屈するようなものではない。
愛剣レイブレードを手に怪人を追い詰めていく。
だがそんなときに。

「ブ、ブラッククロスさま… お力を…」
突然空間がゆがみ…あたりは目玉のような床をした、揺らめく空間になっていた。

「ここは、不思議空間トワイライトゾーン。
 怪人たちの能力はここでは3倍になるのだ!」

思わぬブラッククロスの力。
だがそれに屈することなく、アルカイザーは
必殺技のひとつ、ブライトナックルを打ち込み、アームウォーカーを撃破した!

次はシュウザーだ…そう意気込んだ彼に
呼び出し音が鳴り響く。キグナスへ戻れとのことだ。

「シュウザー、次は逃がさん!!」

60戦え!アルカイザー 第三話 狙われた子供達:2008/03/18(火) 22:24:26
次の行き先はレッドの故郷、シュライク。
今回は何か情報が得られるのだろうか。

「済王陵の入口を知りたくな〜い?」

公園の子供達から得られたのは別の情報だった。
特にほしくはないような情報だったが…
思わぬ人物が食いついてきた。

「それを知りたいのは俺達だ!」
「ブラッククロス!!」

現れたのは緑色の戦闘員。
変身するまでもなくさっさと片つけるが、
なんと女の子が浚われてしまった!
「キャー」


彼らが知りたがっていたのは済王の古墳の入り口。
ならば彼らがいるのはそこに違いない。

「泣いてばかりで、話にならん。なんとかせんか!」
「キー」「キー」「キー」「キー」
「何言ってるのか分かんないよーウェーン」
「ほれ、お菓子をあげるから」

緑色戦闘員達の上司の教育が行き届いているのだろうか。
割と穏便な手段で情報を得ようとする彼ら。

だが子供を連れ去っていいわけがない。
レッドは黙っていられず、見つからないように…
「小さな子供を寄ってたかっていじめやがって、許せん!!
 アルカイザー、変身!!」

変身すると崖から飛び降りて女の子を助ける。

「アルカイザー!!」
「覚えてくれたようだな。それじゃ、遠慮無くいくぜ!!」

鳥獣怪人・スフィンクス。
アームウォーカーとは違い上級の怪人だったが、
アルカイザーの必殺技・シャイニングキックの前に敗れ去る。

子供達は助け出した。
キグナスからの呼び出しがここでかかり、レッドはここでキグナスへ帰還した。

61戦え!アルカイザー 第四話 キャンベルの謎:2008/03/18(火) 22:39:08
「こんな所で何してるんだ、ユリア?」

貨物室にいたのはユリアだった。
「ああ、レッド、ちょうど良かった。
大変なものを見つけちゃったの!」

そう言って入っていくとあったのはブランドのものと思われるロゴのついた
大きなダンボール箱。

中を覗いてみると…

「これは武器だぞ。
 こっちもだ。まさか、これ全部か!
 どこかで戦争でも始めようってのか?」

そう、兵器が中に積んであったのだ。
一体何が…?誰が…?

「怪しいな。ユリア、このことは誰にも言うなよ。」
「うん。ホークにも?」
「じゃあ、おっさんには話をしといてくれ。俺は荷主を調べてみる。」


その荷主は、大都会マンハッタンに居を構える大会社
キャンベル貿易会社のものだった。

「社長に会いたい。」
「おはようございます。どちら様でしょうか?」
「えーと、レッドだ。キグナス号の。」

「申し訳ございませんが、本日の面会者リストに御名前がございません。」
「話があるんだよ、キグナスの積み荷のことで!」

だが言っても聞いてももらえず、レッドは警備員に取り押さえられてしまう。
「来い。」
「放せよ!」

そこに、一人のスーツ姿の男が通りかかった。
「社長に会いたい
 IRPOの者だ。2、3聞きたいことがあってね。
 な〜に、時間は取らせないよ。」

同じく社長に用のある、警察の者らしい。
「おい、来いよ。俺の助手なんだ、放してやってくれ。」

警察官が気を利かせてくれて、レッドもなんとか社長へ面会することができた。

「何の御用かしら、ぼっちゃん?」
会うなりいきなり食ってかかるレッド。
だが警察官に殴られ、その場は黙っていることにした。

警察官が話し始める。
「ミス・キャンベル、あなたの取引相手の事でうかがいたいことがあります。
 クーロンのシーファー商会、どういう会社ですか?」
「なぜ当社に?先方に直接問い合わせてはいかがです?」
「それが、クーロンのその会社、存在しないんですよ。
 連絡もつかない。」

どうやら怪しい会社との取引があったらしい。
…積荷はそれだろう。

「まあ、不思議ですわね。」
「とぼけるなよ!!」

またも殴られるレッド。
「黙ってろと言ったはずだ。2度言わすな。
 …そんな怪しい会社とも取引を?」

「注文があり代金が振り込まれれば、
 どんな方でも私どものお客様です。
 伝票があります。お見せしましょう。」
「それには及びませんよ。また寄らせてもらいます」

今回は尻尾をつかむことはできなかった…しかし、怪しいのは確かなようだった。

「これじゃ、何にもわかんないぜ。いいのかよ、おっさん!」
「おっさん!? まだ若いつもりだがな〜
 まあ、これでどう出るかだな、キャンベル社長が。」

警察官はビルを見上げながらつぶやいた。
彼の名前はヒューズというらしい。

62戦え!アルカイザー 第四話 キャンベルの謎:2008/03/18(火) 23:04:21
キャンベル社長に詰め寄ったその日、
あるシップがキグナスに向かってきていた。
「未確認シップ急接近、衝突コースに入ります。」
「コンマ1回避、エマージェンシーパルスで警告!一体どこのヘタクソだ。」
「回避パターンに追随してきます!進路を押さえています。」
「パイレーツシップか! 緊急事態発令、全乗客・乗員を速やかに固定位置に。」

キグナスのブリッジに衝撃が走った。
前方から来た謎のリージョンシップが、キグナスに向かってきたのだ。
そう…パイレーツシップ、強盗団だ。

そして機関部のホークとレッド。
「出力が落ちた。やつら、乗り込んでくるぞ。」
「来た!」
ホークの頭上に男が降ってきた。
「おっと、そこまでだ。」
「ホーク!」
「俺はいい、こいつらをやっつけちまえ!」

攻撃を躊躇うレッド。…だがそんなレッドの背後にもう一人の男が忍び寄り…
レッドは意識を失った。

気がつくと二人とも縛られている。
「すまん、レッド。」
「仕方ないさ。しかし、こいつらの狙いはなんだ?」
「しゃべるんじゃねえ!…ふげっ!」

突然、パイレーツを殴り飛ばして現れたのは…警察官、ヒューズだった。
「積み荷さ。あの武器が狙いだろう。」
「パイレーツが武器密輸の情報をつかんで襲ってきたのか。」

「ああ。だが、その情報を流したのは、あの女さ。
 たいした悪だぜ。」
キャンベルが…やはりやつは黒だった。

「この奥からレストランの裏へはい上がれる。」
ホークにアドバイスをもらい、キグナス内のレストランへとあがり込み
キグナス奪回へ向けて彼らは奔走することとなった。
だが2人では心細い。協力者を必要がある。彼らは敵を倒しつつ客室を回る。
「やつらはブリッジを占拠している。乗客もどこかに捕まっているだろう
急がないと倉庫の荷物も処分してしまうだろう。」

「ユリア、無事だったか!」
「ああ、おっさんは大丈夫だ。他の人たちは?」
まずはユリアを発見。
「異常ありません。」
「異常大有りだろう!ちょっとついて来い!」
医療ロボBJ&K。
「ほー、お前が乗ってるとはな、ルーファス。」
「腕利きパトロールが何をしている?さっさとシップを取り戻せ。」
ヒューズの旧知の仲らしい男、ルーファス。
「協力してくれ。俺はヒューズ。こいつはレッドっていうんだ。あんたは?」
「…やめた。貴様の名前が気にくわん。」
クールな術士ブルーなどがいた。

そしてある客室にて…彼は思わぬ人物と再会を果たす。
「アセルス姉ちゃん?」
「誰?」
アセルス姉ちゃんと呼ばれた少女は目を丸くする。
「やっぱそうだ。俺だよ。
 烈人、おこのぎ れっと!」
そう。シュライクで10年前に行方不明になった少女、
彼女がアセルスだった。9歳のころまでレッドがよく遊んでもらっていた。
「ああ〜、小此木先生とこの烈人君か!
 大きくなったな〜。全然分かんなかった。
 でも、目の辺りなんか変わってない感じ。」
「良く遊んでもらったもんな〜。
 姉ちゃん、全然変わってないよな〜、髪の色は緑じゃなかったけど……」
再会を喜び、会話する彼ら。だが…すぐにレッドは気づいた。

「ちょっと待て、変だぞ。どう見ても高校生ぐらいだ!
 もう10年以上前の話だ。キサマ、一体何者だ!」

そう。アセルスは失踪当時高校二年生の17歳、
対してレッドは9歳、小学生。
今のレッドは19歳、大学生相当。アセルスより年上になっていたのだ。
アセルスの隣にいたおしとやかそうな女性が口を開く。
「待って。この方は本当にアセルス様です。
 複雑な事情があって、
 十数年も年を取らずに眠り続けていたのです。」
「そんな眠り姫みたいな話を信じろって言うのかい?」
「今は、そんな話をしている場合じゃないだろう?」
 俺はパトロールのヒューズ。ここでじっとしているように。」
何はともあれ、アセルスが生きていたことだけでもうれしい。
レッドは部屋を出ようとする。すると…
「どこへ行くの!」
「キグナスを取り戻すんだ。」
「私たちも行くわ。烈人君を放っておけない。
 私も戦える…。」
「わかったよ。一緒に行こう。
 …誰にだって人に言えない秘密があるもんだよな…」

そして新たに二人の仲間を加え、6人はブリッジを目指す。

63戦え!アルカイザー 第五話 キグナス襲撃 後半:2008/03/18(火) 23:21:21
(訂正:前回は5話の前半です)

「おい!こんな所から行ったら、狙い撃ちだぜ。他に通路はないのかよ?」
「この下にも非常用の通路がある。でも、ドライブ中はここしか使えない。」

ブリッジに繋がる通路は二つ。
飛行中でも使える上の通路は敵の弾丸の雨。
下の通路は短時間だけなら外に出ることもできるという。
そちらの通路を突っ走り、レッド達はブリッジを目指す。

「ブツの積み込みはまだ終わらないのかい!」
「もう少しです、お頭。」

出たところはリーダーのノーマッドの立つ指令台の下。
一気に左右の階段から回り込み、ノーマッドの前に現れる。
「パトロールだ!全員動くな!」
「こいつらどこから沸いて出たんだい!やっちまいな!!」

登場したのはノーマッドの右腕、カモフック。
姿に似合わない射撃力が特徴のモンスターだ。

だが5人の攻撃の前にあっけなく敗れた。
「やられたカモ…下っぱカモーン」
続いて現れたのはカモフックの部下、ソルジャービル。
数で攻めるつもりだろうがそれに屈する彼らではない。
すぐに彼らも全滅させる。

「ボスが逃げた、追うぞ!!」
ノーマッドが一人、客室の方に逃げていった。
彼女を追ってレッド達は急ぐ…が。

「逃げられちまったな。積み荷も奪われて証拠は消滅だ。
あとはあのパイレーツを取っ捉まえて吐かせるしかない。」

その時。
「ヒューズ!あれはなんだ!!」

黒い、エイのような巨大なシップが姿を現し…
強力な電撃をノーマッドのシップに見舞い、跡形もなく消し去ってしまったのだ。

「ブラックレイ……実在するのか……
 ブラッククロスの戦闘シップ………」

ブラッククロスの旗艦ブラックレイ。
恐らくはこれもキャンベルの仕掛けたもの…
「キャンベルとブラッククロス……」

64戦え!アルカイザー 第六話 巡礼者を追え!:2008/03/18(火) 23:34:40
クーロンでブラッククロスの情報を求め、歩いていたレッドは
街で若い男女に絡まれる。

「おい、あの頭、見ろよ!」
「鳥の巣か?」
「サボテンだろ!」

ゲラゲラ笑う若者たち。
中にはおかしな口調である者も…ろれつが回っていないようだ。
酒の類のものよりもっとおかしな…。
恐らくは麻薬。
クーロンは恐ろしい町のようだ。

「サボテン君戻って来たよ。」
「おひゃ、らいふえげ」

すると突然、妙な男が男たちを殴り飛ばしていった。
「ウゴ、ググッげ」

その男を倒した後彼らに事情を聞くと、
どうやら男が暴れだしたのは麻薬を買ったから。
売っていた男は…傘を被った、巡礼者らしき風貌の男だった。

裏通り、下水道を通り、彼を追うレッド。

「キグナスの中ならこっちのもんだぜ!」
最後に着いたのはクーロンのシップ発着場奥。
キグナスに通じる通路だった。
だが……
キグナスの次の行き先は京。巡礼者などキグナス内に溢れていたのだ。
仕方なく、追跡は京まで諦めることにした。

65戦え!アルカイザー 第七話 鋼鉄のサムライ:2008/03/18(火) 23:42:37
ゆったりとした時間が流れるリージョン、京の書院。
そこにいたのは、黒き鎧に身を包んだ鋼鉄のサムライだった。

「巡礼達がどこへ行くか知らないか?」
「彼らは自らの心の不安を求めてこの地にやってくる。
 彼らの目的地は心の中にあるのだ」
「メカのくせに哲学的なことを言うんだな。」

BJ&Kのようなメカとはまったく違う。
人間のようだった。

「古人は言った。石には石の心があると。
 ならば、メカにもメカの心があって然るべきだ。
 だが、メカであるこの私には、自分の心が見えてこない。
 心を求めれば求めるほど、己の中には心が無いことを確信することになる。
 これは虚しい。」

彼の言っていることがよく解らないレッド。
「なんか眠くなってきたぞ。それじゃ、急ぐんで。」

書院の入り口に足を向けるレッド。だが。
「待ちたまえ、若者よ。
 君はブラッククロスのことが聞きたいのだろう。」

突然出てきたブラッククロスの単語。
「何か知ってるのか!…なぜわかった?」
「自分の心は見えずとも、
 他人の心は読みやすいものだ。」

そしてサムライは情報を彼に告げる。
「ブラッククロスには4人の幹部がいる。
 四天王などと呼ばれ、己を見失った愚か者ぞろいだ。」

「四天王……もっと詳しく教えてくれ!
 クソー、こんなときに…」

いずれ戦うであろう強敵・ブラッククロス四天王。
その名を脳裏に刻み、サムライと別れを告げ
レッドはキグナスへと帰った。

66戦え!アルカイザー 第八話 Drクラインの影:2008/03/19(水) 00:13:24
今回キグナスが行く先はシンロウ。古代の遺跡が残る、
密林のリージョンだ。

このリージョンにはブラッククロスの黄色の戦闘員がよく現れるとされる。
レッドはひとまずシンロウ王宮で開かれる、仮面舞闘会へと出場することにした。

「仮面をつけていない人は出られませんよ」
受付でいきなりストップを食らったレッドは
アルカイザーとして出場することにした。

だが…アルカイザーの名を出すわけにもいかない。
かといって本名で出てしまうなど以ての外だ。
「レ……レ、レ、…」
「レレレですね。では、どうぞ。」

変なリングネームがついても気にすることなく、
レッド、いやアルカイザー…いや、レレレは
仮面舞闘会へと出場する。

まず最初に現れたのはマスクをつけたたぬきか猫か解らぬロッキーのマスキャット。
輝ける二連の拳打、スパークリングロールで倒す。

続いて現れたのはクリミナルナイツ。
バイザーをつけ、ビームソードを構える剣士だ。
だがレイブレードから放たれる技、カイザーウイングの前に彼はあっけなく敗北した。

3回戦の相手は女性妖魔の剣士、タイタニア。
拳から放たれる光弾、アル・ブラスターの前に沈む。

決勝戦。最後に現れたのは巨人族のモンスター、仮面の巨人。
これまでの敵の比ではない…
強力な体術を用いてくる強敵。
おまけにブライトナックルやシャイニングキックもまるで当たらない。
巨人族のモンスターであるはずなのに。
ならば、と遠距離からのアル・ブラスターやカイザーウイングをレレレは放ち
仮面の巨人を追い詰めていく。

だが長い戦いの後、仮面の巨人は突然逃げてしまう。
「ふっ、だいたい見切らせてもらった」

こうして優勝したレレレだが、
彼を讃える主催者、シンロウ王と王妃の傍から立ち上がった
ある人物を見て走り出す。

「あれは…Drクライン!?」

レレレはアルカイザーの顔へと戻り、王宮内を駆け回る。
王宮の隠し通路を見つけ出した彼に襲い掛かるは黄戦闘員。
彼らをなぎ倒し、奥へ奥へと進んだアルカイザーは
行き止まりらしき場所で怪人に出くわす。

「Dr.クラインはどこへ行った!」
「Dr.クラインは、もうここにはいない。
 Dr.を追っているとは、貴様、パトロールか?」
「そんなものは関係ない、邪魔するな!」
「そうか、では殺しても問題ないな。死ね。」

鉄球怪人・ゴブリンと戦闘員達が襲い掛かってきた。
しかし彼らも仮面の巨人に比べると全く敵ではない。
必殺技・スパークリングロールでゴブリンを打ち砕いた。

そしてまたキグナスからの呼び出しが。
…これではブラッククロスを追えるはずもない。

キグナスに戻った彼は、ホークに言った。
「ホーク、俺、キグナスを降りる。」
「やはり、行くのか。」
「世話になったよ。」

「そうだな、二度と会えないわけでもない。頑張れよ。」
そしてレッドはキグナスを降り…
独り、ブラッククロスとの戦いに向かった。

67戦え!アルカイザー 第九話 歩き続ける旅人 前半:2008/03/19(水) 00:39:04
「あ!その頭、間違いないわ。」

ふと、派手な格好をした巨乳の若い女性がレッドに声をかけてきた。
「あんたでしょう、ブラッククロスのことをいろいろと調べていたのは。
いい情報持ってんのよ、買わない?」
「内容と値段次第だな。」
そして彼女の口から発せられた言葉は…
「シュウザーの情報よ。」
「聞かせてくれ!」

「あたし、おなか空いてるんだ。この店、おいしいんだよ。」
「わかったよ。」
二人は食事をしながら話をすることとなった。

「それで、どういう情報だ?」
「ちょっと待って、デザートを選ばなきゃ。」
マイペースなその女性にイライラしつつも話を進める。

「なんでブラッククロスの情報が欲しいの?」

「家族の仇だ。父さん、母さん、妹、みんな奴等に……」
「そう。ヒドイ話ね……そういうのって、我慢できないな。
 でも、これはビジネスだからね。
 シュウザーの基地の場所を知っているの。そこまで案内できるわ。」

その女性、アニーと報酬の話を終えると、
中から店主が現れた。…その姿は。

「いらっしゃいませ。」
「ねえルーファス、ちょっと聞いてよ。」
なんと彼は以前キグナスで協力した、
ヒューズの知り合いでもある男性ルーファスだった。
彼もまた、アニーの知り合いらしい。彼に事情を説明する。
「それがどうかしたのか?」
「やっぱりそういう反応ね。相談したあたしがバカだったわ」

横から、紫色のショートヘアの女性・ライザが姿を現す。
「この機会にブラッククロスを叩いておくのも選択肢の一つだと思うわ。」
「甘いなライザ。敵の戦力分析も出来ていないんだぞ。」
「今回はそれでいいのよ。主役は彼。私たちは脇役でいいんじゃない?」
「偵察ということか。よし、メンバーを決めよう。」

アニーの他にあと一人。ルーファスかライザが
ついて行くことになった。
「私はライザ。よろしくね、レッド君。」

そしてライザとアニーを加えた3人は
裏通りから下水道へと向かう。

シュウザーのアジトへの道は長かったがもうすぐそこらしい。
「こっちよ。」

「ここを渡るのよ。楽勝でしょう?
 さあ、渡って!」
水面の上に小石が積んで足場となっている場所。

「(渡れるかな‥‥?)」

少しづつそろりそろりと歩いていき…
すぐそこというところでバランスを崩しそうになり、
とっさに対岸にいるアニーのところにジャンプする。

「もう、どこ触ってんのよ!行くわよ?」
と、バランスが崩れ、アニーの胸をタッチしてしまった。

「うーん…でかい。」
感触に頭が煩悩で渦巻きながら…
レッドはシュウザーの本拠地へとたどり着いた。

68戦え!アルカイザー 第九話 歩き続ける旅人 後半:2008/03/19(水) 01:10:05
「なんでついてくるんだ?もう、金はないぜ。」
「ここからはボランティアよ。」
シュウザーの根城としていた廃墟へと入り込む。
途中、巨大な怪人・サイクロプスとの戦いを繰り広げたりしつつ、
青戦闘員達を蹴散らしていくレッド達。

そして着いたのはアジトの最上階。
とうとう復讐を遂げる時がやってきたのだ。
「シュウザー!!」
「誰かと思えば、小此木の小僧か!
 このシュウザー城を突破してきたことは誉めてやろう。
だが、ここが貴様の墓場だ!」

そしてかつて父を、母を、妹を殺した復讐すべき相手
改造人間・シュウザーとの対決が始まる。今度はもう、アルカールはいない。

爪によるクロー攻撃、回転攻撃、ジェットで飛び上がってのグランダースパイク。
いずれも強力な攻撃で、レッドの力ではキツい相手。
おまけに腕を射出し宙を自在に舞わせ、本体と別に攻撃を繰り出す
シュウザー得意の技、クロービットが彼らを追い詰める。
時折、攻撃をしておいて「やめろ!」という謎の声を発しながら。

だがレッドももう、変身なしでも闘えるだけの力を持っていた。
BJ&Kやアニーという仲間もいる。
レッドは仲間たちと共に攻撃を続けていき…
「なかなかやるなっ、だが…」
レッド達に突如として銃弾が降り注ぐ。
そして同時にシュウザーは高く飛び上がり…
ヘリに乗って逃げようとしている。
「待て!シュウザー!!」
レッドはヘリから降りた梯子に掴まり、シュウザーを追う。

「まったく、しつこい奴らだったぜ。」
遠く離れた、乾いた滑走路らしき場所で
部下と共にシュウザーは安心しきっていた。そこに。

「逃げられると思っているのか!」
「だ、誰だ!」
そう、レッド…いや、アルカイザーだ。

やっと…やっと追い詰めたシュウザー。
彼に、アルカイザーはこのときを待っていたとばかりに台詞を浴びせる。

「ブラッククロス四天王シュウザー、
 キサマは様々なテロ活動でブラッククロスの力を誇示し、恐怖をばらまいてきた。
 そのために多くの罪も無い人々が巻き添えになって命を落とした。」
そして最後の一言。
「その所業、許すわけにはいかん!覚悟しろ!!」

「は!この世に罪が無い人間などいるものか。
 能書きはいい、かかってこいアルカイザー。
 キサマを血祭りに上げ、四天王のトップに立ってやる!」
シュウザーとの再戦が始まる。またも爪攻撃に始まりクロービット、
そして火炎放射、毒ガスなどがアルカイザーを襲うが
こんなものはレッドの家族が負ったものに比べたら大した痛みなどではない。
ブライトナックル、シャイニングキック、スパークリングロールなど
さまざまな必殺技を彼に浴びせる。

追い詰めても尚強敵。アルカイザーは激闘を繰り広げ…
そしてシュウザーが苦しみだした。
トドメを刺してやる!そう意気込んだとき。

シュウザーの口から思わぬ言葉が発せられた。
「オレ様の頭には、小此木の脳が埋め込んであるんだ!
やれるか、アルカイザー!オレ様をやれるか!!」

やめろ、という声の主は…小此木博士、烈人の父だったのだ。
シュウザーを殺すことは…父を本当に殺すことになる。
烈人は躊躇う。そこにシュウザーは容赦なく攻撃を加えてくる。

…その後…彼は迷いを振り切った。
それが父の望んでいることならば。
そして何より、今の自分は烈人ではなく、
悪を許さぬ正義のヒーロー…アルカイザーなのだから。

レッドは高く飛び上がり、シュウザーに向かって最後の一撃を見舞う。
必殺 ディフレクト・ランス。
光の槍となったアルカイザーのキックはシュウザーの体を貫き…
そしてシュウザーは大爆発を起こし…消滅した。

復讐のときは終わった。
金色の仮面でその表情を隠しながら
暗く、音のひとつもない静かな滑走路を彼はただ独り…歩いていった。

69戦え!アルカイザー 第十話 三日月の秘剣:2008/03/19(水) 01:50:15
復讐を終えた時に会得した技…ファイナルクルセイド。
自らの生命力を使い仲間達の傷を癒すその技が意味するものは…。

だが解っていることは、
レッドは戦わなければならない。ブラッククロスと。

以前追跡した巡礼者の行く先は…京。
アニーとライザ、シュライクでルーファスを仲間に加え、共に
京を探索していると、小さなロボットに遭遇した。
「メタルブラックの基地を探索中です。」
メタルブラックとは一体…?
どうやら、京に潜伏する四天王の一人らしく、
ヒューズと同じくIRPO隊員である彼は捜査をしているのだという。
「それじゃ、ついて来てくれ!」

着いた先は書院。以前、機械のサムライがいた場所だ。
すると小さなメカ、ラビットが反応した。
「この裏に空間があります。」
彼が指した先は掛け軸。その裏に隠し通路があったのだ。

その先はなんと麻薬の製造工場。こんなところにあったのか…
驚きを隠せない彼らは奥へ進むと
そこにいたのはシュライクで子供を誘拐した緑戦闘員達。
シュウザーの部下が青戦闘員なら彼らはメタルブラックの部下らしい。

一番奥の麻薬製造釜に爆弾を仕掛けるとレッド達は工場を脱出した。
彼らが脱出したときにちょうど爆発し…書院は火に包まれた。

外に出たところで何者かがレッド達の前にすばやい動きで現れた。
「我が基地を破壊するとは、見事な腕前。
 一手御手合わせ願おう。」

そう。書院で四天王の情報をくれた鋼鉄のサムライ。
彼こそがメタルブラックだったのだ。

雷を落としたり、激しい拳打の連続技・ライガーランページを使ってきたり
持っている刀で突きを放ってきたり体当たりをしたり…
とても素早い動きで向かってくる彼は、
人心を狂わせる薬を作る工場の主とは思えぬほどに
真っ直ぐな心で技を繰り出してくる。

そして背中からジェット噴射をしてサムライが繰り出すは彼の得意とする
必殺剣・ムーンスクレイバー。
超高速の動きをもって、三日月形の軌道で複数人を一気に斬り伏せる
見事な技だった。

一気にレッド以外の仲間が倒れる。
レッドも膝をつく。どうしたら…そう、こちらもあの技があった。
レッドはアルカイザーへ変身し、
ファイナルクルセイドを発動、仲間たちの傷を癒した。
自らの生命力を削って。

自らの身を犠牲にしてでも仲間を、そして人々を守るヒーローであれ。
それがこの技に込められた意味だった。

仲間達と共にメタルブラックに攻撃をし続け、
最後にアルカイザーは必殺中の必殺技を繰り出す。

金と赤…アルカイザーのアーマーと同じ色の炎を身に纏い、
敵へと身ごとぶつかっていく…
これが最強の技、アル・フェニックスだった。
そしてメタルブラックは大爆発を起こし、敗れていった。

強敵ではあったが、武士の心を持ち、
アルカイザー以上の力を持つかもしれない…好敵手と呼べる相手だった。

70戦え!アルカイザー 第十一話 見切りの巨人:2008/03/19(水) 02:36:32
「あのー、遺跡探検の方ですか?」
「いや、違うけど。」

シンロウに着くなりレッドに声をかけてきたのは、
流れるような髪を持つ女性、ドールだった。

「そうですか。実は、弟が遺跡探検から帰ってこないんです。」
「それで、遺跡に行く人を探していたんですね。
 わかりました。ボクが行きましょう。」

こうしてドールと共にレッドはシンロウ遺跡へと向かった。
そこはガイアトード、ヴァルキリー、巨大スライムなどの強敵と
睡眠ガスを放出し、その隙に戦闘員が襲ってくるトラップなどが仕掛けられた
危険な場所だった。

民間人にしてはやけに強い女性ドールと共に先へ進んでいくと
思わぬ人物に遭遇する。
仮面武闘会決勝の相手だった、仮面の巨人と名乗っていた巨人だ。
「ここまで来るとは相当な強者だな。
 強力な改造戦士になりそうだ。ふふふ」
「キサマ何者だ!」

そして巨人は正体を現す。
「ブラッククロスの四天王ベルヴァ様よ!」
「この遺跡は、やはりブラッククロスのワナだったのか!!」

「そうよ、小僧。
 遺跡探検に来る連中を捕らえて改造戦士にするのだ。
 中には、使い物にならん貧弱な連中もいるが、
 そういう奴等にも戦闘員として、
 われわれブラッククロスに役立ってもらっている。フハハハ」

すると今度はドールが正体を現した。
「笑っていられるのもここまでよ。
 リージョン指名手配20348号ブラッククロス幹部ベルヴァ、
 逮捕します。」
そして手帳を突きつける。

「あんたパトロールだったのか!」
「そうよ、レッド君。あなたのことはヒューズから聞いてるわ。
 その頭、すぐわかったわ。」
彼女もヒューズやラビットと同じIRPO隊員だったのだ。

「あのおっさんめ…」
「おっと、ベルヴァ、ブラッククロスのことをゆっくり聞かせてもらうぞ!」
「ほざけ、小僧め!来い!!」

仮面の巨人ことベルヴァとの再戦が始まる。
以前と同じく技をかわしてくるベルヴァ。
そして今度は本気でかかってきているらしく、技も力も以前とは比べ物にならない。

技をかわされては本気を出せない…
しかも変身もできない。遺跡内での敵に力を消耗している。
彼らは力が今一歩及ばず、ベルヴァに敗北してしまう。

「ここは‥‥どこだ?どこへ連れていく!」
…その先はベルヴァの言っていた通り、改造室だった。
だがそこには仲間はいなく、戦闘員しかいない。好都合だ。

改造台の上でレッドは変身してみせた。
「キー(おお、強そうなのが出来たぞ)」
「キー(まだ俺何もしてないよ)」

鈍い彼らを倒すとアルカイザーはベルヴァの基地内を動き
仲間を探して回る…。
すると、地下でドール達を見つけた。
「アルカイザー!ありがとう。
 ねえ、レッドっていう子、知らない?」

レッドは大丈夫だとドールに言ってみせた後、
彼女を含めた仲間達全員を助け出し、地下にあるらしい基地の
階段を昇り抜け出す。
するとそこは…シンロウ王宮だった。ここがベルヴァの本拠地だったのだ。

そうなるとベルヴァのいそうな場所となると…


そう、闘技場だ。そこでベルヴァはアルカイザーを待ち構えていた。
「アルカイザーよ、ブラッククロスの四天王をなめるな!
貴様の技は仮面武闘会で見切った。俺には通用せんぞ!」

そして仲間達を避難させ、アルカイザーとベルヴァの
あのときの勝負の続きが…勝負が始まった。
グランドヒット、雷炎パワーボム、怒りの鉄拳、ゴッドハンド。
やはりベルヴァは力技が中心。
だが攻撃が効かぬのも相変わらず。
アルカイザーがブライトナックルを繰り出すとベルヴァの体は揺らめき、
必殺の蹴りで返してきた。
これこそが彼の必殺技 ベルヴァ・カウンターだ。
アル・ブラスターなどで追い詰めるも効果はない。
そう、ベルヴァは人間の能力をモンスターに付加した、改造モンスターだったのだ。
アルカイザーはカイザーウイングなら通用したことを思い出し、
その強化版たる必殺・カイザースマッシュを叩き込む。

そしてベルヴァは敗れた…だがベルヴァもただでは死なんと
シンロウ王宮を爆破したのだった。

71戦え!アルカイザー 第十二話 都市に巣食う妖女:2008/03/19(水) 02:56:17
シュライクの生命科学研究所でIRPOモンスター捜査員コットン、
ルミナスでIRPO妖魔隊員サイレンスを加えたレッドは、
マンハッタンのファーストフード店で彼を誘った。
「お、来たな。待ってたぜ。キャンベルの化けの皮を剥がしに行こうぜ。」

そしてキャンベル貿易会社へ。
「社長に会いたい。」

すると、受付に社長の声が響いた。
「キャンベルです。御通ししなさい。
 ようこそ。小此木博士のおぼっちゃま。」
そして受付に言われるままにエレベーターに乗る。

マンハッタンの夜景が写るエレベーター内。
「あいつ、やはりブラッククロスの一員か。
 父さんのことも俺のことも知っている。必ず、正体を暴いてやる!!」
するとヒューズが叫んだ。
「レッド、上だ!!」

上から降ってきたのは桃色の戦闘員達。
青はシュウザー、緑はメタルブラック。黄はベルヴァ。
そうなると桃色はキャンベルか。

彼らを撃退するが、どうやらエレベーターが止まってしまったらしい。
そこからは自力で登ることになった。
「エレベーターが故障です。申し訳ございません。」
「ブラッククロスの仕業だ!君は早く逃げろ。」
「そうは参りません。お客様の御世話をするのが私の仕事ですから。」
「キャー」

今度は怪人にが戦闘員を連れて襲ってきた。
彼らを倒し、ビルを登る。
警備員もどうやらブラッククロスらしく武装して襲い掛かってくる。
ビルの非常階段では大量の怪人が彼らを待ち伏せしていた。

そうこうしながらとうとう最上階、社長室の前まで来た。
…と、先ほどのエレベーターガールがいる。
「よくここまでご無事で。ぜひ受け取って頂きたい物があるのです。」
素直に頂くとこれは電撃砲。思わぬ武器が手に入った。
彼女は単に仕事熱心だっただけだったようだ。

「キャンベルはどこだ!」
「住居不法侵入だぞ、キサマ。排除する。」

キャンベルはそこにはいなく、居たのは黒服の男。小型のマシン3台を引き連れている。
どうやらキャンベルのSPらしい。

彼を倒すと突然の停電に。
この隙に変身し、彼らは非常口から外へ出ると…

高層ビルの合間にキャンベルはいた。
その決戦の地はなんと蜘蛛の巣。

するとキャンベルは眩い光に包まれ…正体を現した。
彼女はブラッククロス四天王・改造妖魔アラクーネだったのだ。

アラクーネは体に機械を搭載しており、
対ミサイル用の妨害システムECMやビット攻撃を用いて戦ってくる。
妖魔の機械嫌いも克服されているようだ。
ブレードネット、ミニオンストライクなどの強力な攻撃を用いてくる。
失われたとされた邪術まで。

そして彼女の必殺・ライトニングウェブがアルカイザー達に襲い掛かる。
だが…もう四天王3人を倒したアルカイザーはそれに耐え、
必殺・フラッシュスクリューを放つ。

そしてキャンベル社長、アラクーネは力を失い、大爆発を起こし消滅した。


四天王がこれで全滅した。
アルカイザーも全ての技を会得した。あとは最終決戦…
そんな時、キグナスからの呼び出しが入る。ホークは一体何を…?

72戦え!アルカイザー 第十三話 突入!ブラッククロス本部:2008/03/19(水) 21:23:58
「何かあったのか、ホーク?」

久しぶりに機関室へ戻ったレッドはホークに問う。
「ブラッククロスの戦闘員のユニフォームを手に入れた。何かの役に立つだろう。」
見せたのは赤い戦闘員服。見たことがないものだった…。
ホークはもしかして…

「いったいどうやって… まあいいか。
 これで奴等の巨大シップ、ブラックレイに乗り込んで、
 そのままブラッククロスの本拠地へ突入してやる!ありがとよ、ホーク。」
「レッド!」

「分かってるよホーク。お互い、言えないことが多すぎるよな。」
そう告げて、レッドはブラックレイへと乗り込んだ。

ブラックレイの中にはレッドのものと同じ赤い戦闘員ばかり。
赤が所属のない下級、
青がシュウザー直下、緑がメタルブラック直下、黄がベルヴァ直下、桃がアラクーネ直下
そうなると恐らくは赤は上級戦闘員だろうか。

ブラックレイの中を歩き回り、二階の中心にあるブリッジを覗いてみる。
すると…そこにいたのは。

「(あれはメタルブラック?!俺が京で倒したはずだ…)」

そう。四天王最強の実力を有したあの鋼鉄のサムライ、メタルブラックだ。
すぐにドアを閉める…すると突然、ブラックレイの船内通信が響いた。

「今のは進入者だ、捕らえよ!」

メタルブラックの声。だが少し口調が変わっているような気がする。
とにかくブラッククロス本部までの間に逃げなければならない。
船内の戦闘員達が一斉にレッド達を追う。

なんとかまもなく到着のアナウンスが出るに至った…
が、そこまでだった。
メタルブラックはレッドの前に立ちはだかる。
「逃がさん!」

メタルブラック・改。以前と違う重量のあるボディで、
手には銃、体にはミサイル、重火器を満載した他の四天王を上回る強敵。
そして変わらずなのは秘剣ムーンスクレイバー。
更に磨きのかかったその技で彼らは追い詰められる。
メタルブラックは決して、改造の力だけに頼ってはいなかった。

しかし四天王を全員倒し、それからも技を磨き続けたレッド達は負けはしなかった。
メタルブラック改に数々の技を繰り出し、
そしてまたもメタルブラックを倒すことに成功する。

しかし…
「お前達を、ブラッククロス基地へ入れるわけにはいかん。
 ブラックレイ、自爆スイッチオン!」

死ぬならばせめて道連れに…。
ブラックレイはブラッククロス本拠地上空で爆発を起こしたのだった。

だが彼らは誰一人として死んではいなかった。
仲間達とはぐれた隙に変身をしたレッドは、アルカイザーとして仲間達の前に姿を見せる。
「アルカイザー!」
アニーが言う。
「やあ、私もブラックレイに密航していたんだよ。
 では、ブラッククロスを叩き潰しに行こう。」
「レッドが来てない。」
ヒューズが言う。
「彼なら大丈夫。ケガをしていたので、私が安全な所に連れていった。」

そして「レッド」は戦いの舞台から姿を消し、
アルカイザーの最後の戦いが今、幕を開けた。

そこはこれまでとは比べ物にならない警備だった。
大量の怪人や戦闘員が配備された巨大施設。

もう大分奥まで来た…そう思った時。アルカイザーはある部屋に足を踏み入れる。

そこにいたのはなんと…
「(!!母さん、藍子!!無事だったのか!!)」

そう、烈人の母と妹。彼らは生きていたのだ。
「イヤ、来ないで!!」
怖がる妹。思わずアルカイザーは口を滑らせかける。
「あい……
 安心して、私はアルカイザー。怪しい者じゃない。
 ブラッククロスの首領を倒してくるからここで待っていて。
 (…良かった、本当に良かった。)」

妹と母の姿を見れた。天国の父も喜んでくれているだろう。

「あの、これを。」
「この鍵は?」
「Dr.クラインが持っているようにと。」

その鍵は、首領のいる間への鍵だった。
「Dr.クラインが…… ありがとう。」

折角生きていた母と妹だ。また平和な日々に戻してあげなければ。
…アルカイザーは最後の戦いへの、背中の最後の一押しをもらった。

73戦え!アルカイザー 第十四話 首領の間の激闘:2008/03/19(水) 21:33:21
そしてアルカイザーは決戦の場所へとたどり着く。
長く細い橋を渡った先の開けた間…首領の間だ。
「来たな、アルカイザー。
 ブラッククロスに対するこれまでの数多くの不遜な行為、許すわけにはいかん!
 ブラッククロスの首領である私が自ら鉄槌を下してくれるわ!!」

首領はマントを翻し、襲い掛かってくる。
全身が凶器のようなその体から繰り出される技は強力なもの。
だがアルカイザーにとっては大した攻撃ではなく…
首領は必殺・アルフェニックスによって敗れたのだった。


「(やったよ、父さん。ついにブラッククロスを倒した!)」
勝利に浸るアルカイザー。
これで戦いは幕を閉じた…そう思われた時だ。

「お見事、流石はアルカイザー。
 我が改造物たちをことごとくなぎ倒しただけのことはある。」
「Dr.クライン! 首領は倒した、ブラッククロスはもうおしまいだぞ!」

余裕を崩さぬDrクラインに事実を突きつけるアルカイザー。
しかし…

「はははははは、首領?さっきのあれか? 
 確かに、この間まで、あれは首領だった。
 だが今は、私がブラッククロスを指揮している。」

なんと…首領は先ほど倒した者ではなかったのだ。
「前首領にも改造を施してみたが、
 元が悪くては改造も効果が無いと証明しただけだったな。」

だがDrクライン自体に大した戦闘力はないはず。
「Dr.クライン、お前の悪事もこれまでだ。おとなしく裁きを受けろ!」
「それは彼らと戦ってからにしてもらおう。出でよ、四天王!!」

そして彼らの前に現れたのはなんと、復活した四天王達だった。
いや、正確には先ほど倒されたメタルブラックを除いた3人。
これで四天王は全員、パワーアップを受けたことになる。

彼ら3人が入れ替わりながらアルカイザー達に技を繰り出してくる。
シュウザーのクロービット、
ベルヴァのベルヴァカウンター、
アラクーネのライトニングウェブ。

四天王のうちの3人。かつてない劣勢かと思われたが
アルカイザー一人で片付く相手であり、すぐに彼らは倒された。

今度こそ戦いの終わりか…そう思われた時。
「ふむ、あ奴等のボディでは、二度の改造には耐えられなかったか……」
「悪あがきはよせ!」

74戦え!アルカイザー 最終話 さらば、アルカイザー 1/3:2008/03/19(水) 21:39:30
今度こそ四天王は全員倒された。
そう思われた…だが。

「しかし、これは違うぞ。我が最高傑作、メタルブラックだ!」

アルカイザーの目の前に…黒いアルカイザーが現れる。
これがメタルブラックの姿だという。
「お前との戦いの分析の結果、お前の能力をコピーするのが最強であるという結論に達した。」

いや…アルカイザーにはわかっていた。
例え、厚いバイザーに覆われていようと。
その下の顔が別のものになっていても。
改の時と同じく、また口調が変わっていたとしても。

アルカイザーを真っ直ぐに見つめるその目が物語っている。
『アイツだ』と。
それは、初めて見た時と同じ鋼鉄のサムライ…
メタルブラックでしかない。

「二度の戦いの記録がメタルブラックを
 最強のバージョン3として甦らせたのだ!」

変身に対し改造。
烈人がアルカイザーとなったように。
彼はバージョン3にして、
鋼鉄の勇者メタルアルカイザーとなったのだ!

そしてアルカイザーに向かって、落ち着いた口調でメタルアルカイザーは言う。
「アルカイザー、決着をつけよう。」

そしてアルカイザーは無言でそれに応え、彼の正面に立つ。
「傷ついたお前を倒しても最強の証明にはならん。
 Dr.クライン、アルカイザーを回復させて下さい。」
「相手の弱みに付け込めないのが、メタルブラックの最大の弱点だ。
 だが、その心を失っては最強にはなれん。」

Drクラインによりアルカイザーは回復され…そしてアルカイザー同士の戦いが始まった。
だがここでアルカイザーが言う。
「みんな、ここは俺一人に任せてくれないか。」

一同は沈黙する。
「わかった。でも、負けたら罰金よ」
まずアニー。
「がんばってね」
ドール。
「大丈夫でしょうか…」
ラビット。
「お前なら出来るはずだ。」
ヒューズ。
そして一人づつ去っていき…

「アルカイザー、その心意気や良し。
 いざ尋常に……」
「「勝負!」」

75戦え!アルカイザー 最終話 さらば、アルカイザー 2/3:2008/03/19(水) 21:40:25
二人の戦いが始まる。
あらゆるアルカイザーの技をコピーしたメタルアルカイザーだが、
決してその力などには甘んじてなどはいなかった。
その技を効果的に組み合わせ、彼に次々と技を浴びせる。
レイブレードを模したブレード、シャイニングキックを模したキック、
アル・ブラスターを模したサンダーボール、フラッシュスクリューを模した竜巻攻撃、
カイザースマッシュを模した突進、ディフレクトランスを模したグランダースパイク。
一方のアルカイザーもアル・ブラスター、ディフレクトランス、スパークリングロールと
次々に技を繰り出していく。
「いい気迫だ…だがっ!」
メタルアルカイザーが秘剣・ムーンスクレイバーを放つ。
どれだけパワーアップしてもこの技だけは捨てはしない。そしてあまりにも強力。
流石に痛い…しかし負けてはいられない。
「ぐっ…まだだ…突き抜けろ!必殺…アル・フェニックス!」
彼に使ってきた最強の技、アルフェニックスをぶつける。
赤と金の炎に染まるメタルアルカイザーの体。
だがメタルアルカイザーも決して負けはしない。
タイガーランページなどの技を放ち…そして。
メタルアルカイザー最強の技がアルカイザーを襲う。
ダークフェニックス。アルフェニックスをコピーし、更なる破壊力を手に入れたその技は
アルカイザーの体を青黒い闇に染める。

そして…アルカイザーは力を失い、変身が解けてしまった。
「どうしたアルカイザー、もう諦めるのか」
メタルアルカイザーが言葉をかける。戦う力も体力も失われていく。
だが。
「お前の力はその程度なのか!」
その言葉は敵を貶すものなどではない。
奮い立たせるものだ。
そしてレッドは…再び、アルカイザーへと変身した!

そして…最強の技がここに体現された。
アルカイザーを不死鳥の形をした炎が包み…その体は空高く舞い上がり…
とてつもない速さを以ってメタルアルカイザーに己をぶつける。
これがアルカイザー最強の技『真・アルフェニックス』だった。

熱き炎に体を焼かれ、剣を握り締め耐えるメタルアルカイザー。
「なんという重い一撃だ…」
「今が好機!俺の全ての力をレイブレードに託す!」

もう一度真・アルフェニックスを放つ。
それから体全体を竜巻にしてメタルアルカイザーを包み…その勢いで再び宙へ舞い上がり…
アルカイザーの全エネルギーを帯びた最強の剣が振り下ろされる。
メタルアルカイザーの体もアルカイザーの体も、その周囲全てさえも力に包まれる。そして…

バキン!
…レイブレードが粉々に砕けた。そして…
メタルアルカイザーの体がエネルギーに包まれ…体全体が大きな熱の柱に覆われ…
爆発音のようなものとともに熱の柱は収束し…
そこにはもう体はなく、
メタルアルカイザーの体は全て、戦いの炎により燃え尽き…蒸発した。

アルカイザーの体に、紅く輝く灰が降り注ぎ、アルカイザーの体を癒す。
「…メタルアルカイザー
 お前は強かったよ
 しかし 間違った強さだった」

76戦え!アルカイザー 最終話 さらば、アルカイザー 3/3:2008/03/19(水) 21:41:36
辺りを静寂が包み込む。
「信じられん……
 お前の力の秘密はなんだ!
 私は、私は、ウォーーーーー!」
突然、Drクラインが吹き飛ばされ、辺りに轟音が鳴り響く。

「I am the real Master of BlackCross.
 I contorol everything
 I rule everyreagion
 You shall die!」

仲間達が駆けつけたその時。
突然岩盤が崩れ落ち、暗闇の奥から巨大な単眼のメカ…
真の首領が姿を現す。

ゆらゆらと辺りが揺らめき、空間が歪み…以前とは比べ物にならない
トライワイトゾーンへと姿を変える。
だが…力を得たアルカイザーには…もう負ける気はしなかった。
真・アルフェニックスと仲間達の技が、
次々と真の首領へと繰り出され…
真の首領は敗れる。

巨大な体が、頭からどんどん塵になって消滅していった。


日差しの強い夏の日。
小此木一家は、その日墓参りに来ていた。…父である小此木博士の。
そこにホークが現れる。

「母さん、俺がずいぶん世話になったホークだ。
 父さんの友達だったんだ。知ってるだろう?」
「ホークさん? 初めまして、小此木の家内でございます。主人とは古い御知り合いですか?」
「ええ、まあ。」

ホークは烈人の母と話を始める。

「俺、ホークと話があるから先に行ってて。」
話がひと段落したところで烈人は切り出した。

「ホーク、俺は……」
「レッド、向こうを向いて目をつぶれ。」
「なんだよ」
「いいから。」

烈人が目を開けると…そこにいたのは。
「アルカイザーよ、君からヒーローの力をはく奪する。」
「なぜだ、アルカール!」
「サントアリオのヒーロー委員会の決定だ。さらばだ、レッド。」

こうしてアルカイザーは…いなくなった。

「ホークさんは?」
「帰ったよ。」
「何かあったの、お兄ちゃん?」
「別に。それより、おいしいもの食べに行こう。」
「わたし、アイスが食べたい。」
「もう、二人とも。まだ子供ね。」

77サガフロンティア ブルー編その1 課せられた使命:2008/03/20(木) 20:35:31
ここは魔法王国の名を冠するリージョン、マジックキングダム。
魔術と呼ばれる、このリージョンに住む人間のみが資質を有するとされる術を
魔法科学の研究により発明したリージョンでもある。

より優れた術士を生み出すべく教育する機関がある。そう、学校だ。
だが、マジックキングダムの学院は普通の学校とは違う。
外に出ることも許されず、ただひたすらに術を磨く人生を送らせる場所。
この日はその年の修了式…最も優れた術士が選ばれる日だった。

「修士終了式 開会!
 修了者の氏名発表を主任教授から行います」

「教授会による厳正な成績審査の結果
「全会一致により今期の修士修了者を修士ブルーに決定致しました」

「修士ブルー、前へ!」

金髪の術士、ブルーが部屋の中心へと歩む。
女神の描かれた高い高い天井。
広い吹き抜けの部屋の、何階分も上で彼を見下ろすのは
学院の教師達。

「ブルーよ、汝をマジックキングダムの術士に列する
 術士としての義務を果たし、キングダムへの忠誠を全うせよ
 慣例に従い、キングダムを離れ リージョン界への外遊を許可する
 修了者の第一の務めはリージョン界を巡り、術の資質を身に付け
 より高度な術を鍛錬することである。」

もっともらしい言葉。そしてこの言葉が付け加えられる。
「そのためにはあらゆる手段を用いてよい」

「異例の事だが、出発前に校長からのお言葉がある」
どうやらブルーは特に優れた術士らしい。

「ブルー、貴方は選ばれし者です。双子ゆえに魔力が強い」

そう。もう一つ存在するマジックキングダム裏の学院に…
彼が一度も顔を見たことのない、双子の弟がいるのだ。

「しかし、双子のままでは術士として完成することはありません
 貴方はその運命に従わなくてはなりません
 今日、別な場所で貴方の双子の片割れのルージュも
 同じように終了の日を迎えています」
そして本題に入る。

「キングダムには不完全な術士よりも完璧な一人の術士を求めています。
 それは貴方だと信じてますよ、ブルー」

彼らはキングダムにとって、恐らくは道具でしかないのだろう。
「行きなさい。資質を身につけ…そして」



「ルージュを殺せ!」

78サガフロンティア ブルー編その2 より多くの術を:2008/03/20(木) 20:59:42
「ここドゥヴァンでは秘術と印術の資質について情報が得られるだろう
 急げ、ブルーよ!
 ルージュの得た術を…お前が習得することはできないぞ!」

占いが盛んなリージョン、ドゥヴァン。
秘術と印術両方についての情報を集めた。
「秘術とは、アルカナ…タロットの力を用いる術です。
 印術を持つものはこの術を習得することができません。
 この4枚のカードがアルカナ・タローに変化したとき…
 あなたは秘術の資質を身に着けることができているでしょう」
「印術とは、ルーンの力を用いる術です。
 秘術を持つものはこの術を習得することができません。
 この4つの小石がルーンの石に変化したとき…
 あなたは印術の資質を身に着けることができているでしょう」

秘印の選択。
ブルーは秘術を選択した。

まずは人手がいる。スクラップというリージョンで
仲間を集めることにした。

「私はT260です。自分に関する情報を収集中です。」
「想像以上に使えない機械だな。」
機械T260。

「私は術を学ぶ者です。あなたは術について何かご存知ですか?」
「酒場の会話じゃ無いわね。でも、そういう話は好きよ。
 わたし、陽術が少し使えるの。」
「それは素晴らしい。(この女、役に立ちそうだ)」
チャイナドレスの術士、メイレン。
「ボク、クーン!名前は?」
「(この動物、役に立つだろうか…)」
モンスターのクーンが仲間になった。

そして4つのアルカナタローの一つ、剣の在り処はワカツ。
滅んだそのリージョンへ行くにはそのリージョンの出身者がいなければならなかった。
「…あなたがゲンか?」
「ああ? 俺に用か、にいちゃん。まあ、飲めよ。」
「ワカツ城への案内を頼む。
 あなたがワカツの出身だということは知っているんだ。
 剣のカードがほしい。同行を願いたい」

そして剣のカードを求めて、亡霊のうろつくワカツへ。
城の最上階にて物の怪の影の写る間で剣の音を見切り、
剣のカードを手に入れる。

次は盾のカード。IRPOにあるとされるカードだ。
「あんたが盾のカードがほしいって人?
 それじゃあ差し上げますよ、とは悪いがいかないんだ。
 俺と一緒にムスペルニブルの山に登って、山頂の花を取ってきてもらう。
 そしたら盾のカードをやるよ」
山頂では朱雀と出くわし、苦戦しつつも彼は盾のカードを入手。
ヒューズも仲間に加わった。

「杯のカードのことを調べている」
「おやおや。ここじゃカードのことを調べる人には
 一杯飲ませる決まりなんだ。トリニティのお偉いさんにしか出さない
 一級品だよ、さぁ飲んでおくれ。
 カードのことなら隣の蔵が詳しいよ」
「杯のカードのことを調べている」
「おやおや。ここではカードのことを調べる人には」
酒の名産地ヨークランド。杯のカードを手に入れるための試練は
沼を歩かせることだった。ただし、酒を大量に飲ませ酔わせた後に。
ふらつく足元。手ごわいモンスターが襲ってくる。
困難を極めたがこれも突破し、杯のカードを手に入れた。

「ノームを追っているの、私も連れていって。」
「(頭の悪そうな女だが…)ついてこい。」

「金のカードがほしい?だったら金をもってこい!たくさんだ!」
エミリアを加えた彼は娯楽リージョン・バカラの地下洞窟に潜むノームを訪ねた。
大量の金と、金のカードを交換するという。
ここまでの旅で得た金を渡し、彼は金のカードを得…
そして彼は秘術の資質を手に入れた。

続いては陰と陽、二つの術を扱うリージョン、ルミナス。
「陽術は、光や熱の力を扱う術です。陰術を持つ者は資質を得ることができません。」

ここの試練は光を使ったもの。迷宮の中にある鏡の反射を用い
出口へと光を導くというものだった。
これも頭の切れるブルーには簡単なもの。
彼はいとも簡単に陽術を得る。

だが次の術はそれまでとは比べ物にならぬほど過酷なものだった…

79サガフロンティア ブルー編その3 世界に一人だけの使い手:2008/03/20(木) 21:19:46
「術のことを聞きたい」
ドゥヴァンの神社の境内にいた、妙に大人びた
小学生ほどの少女にブルーは尋ねる。

「術にも色々あるが、時術、空術という強力な術がある。知っておるか?」
その二つは、恐らく最強の術と言っていいだろう。
だが…それらの資質を持つものはこの世に一人しか存在できないらしい。

「時を操る、これほど強力な術はあるまい?
 だが、本当にそんな術があるのか?
 わらわも、その様な術は見たことはない。
 妖魔の噂では、この広いリージョン界にただ一人、時術を操る妖魔がおるらしい。
 「時の君」などと呼ばれているが、正体は分からん。
 他の妖魔の君ならば、正体を知っておろう。
 ムスペルニブルの「指輪の君」
 ファシナトゥールの「魅惑の君」などがな。」

続いて空術。
「空間を自由に操作する術、これもなかなかに強力だ。
 この術は、ある特殊な場所に行かなければ手に入らないのだ。」
「どこへいけば……」

「麒麟というものが、その術を使って特別な空間を作り出し、
 そこに住んでおる。そこは少し変わった所だ。
 まあ、行ってみれば分かる。」


彼が着いた所は…おかしな空間。もとい、お菓子のような空間だった。
アイスクリームやメロンパン、ワッフル、チョコレートで構成された床に
キャンディが漂っている空。
空間を操る術というのはそこまで自在に操れる力らしい。

そして、そこには子供たちがたくさん。
…恐らくは麒麟が育てているのだろう。

ヨーグルトに開けられた入り口から、麒麟のいる、
先ほどとは違った、水面のような床に雪のような
白い柱が立つ間へと導かれた。

「あなたの御用は空術ですね?
 少々試させて頂きますよ。よろしいですか?」
「よろしい、来なさい。」

そしてブルーはお菓子の迷宮へと飛ばされる。
不思議な空間だった。多分ブルーのような者でなければ
大人でも楽しんでしまうような場所だろう。

体が小さくなる薬、重力の反転する扉、ぐるぐると回る空。
相当複雑なものであったが、ティーカップの中に入った彼は再び麒麟の元に導かれた。
「御見事です、御約束どおり、御話を伺いましょう」


ブルーは冷たくその言葉を口にした。
「その必要はない、お前を倒して、
 資質を含めた空術のすべてを私が譲り受けるからな」

「そうですか、あなたの狙いは資質ですか。確かに空術の資質を持てるのはただ一人。
 わたしを倒さない限りあなたは資質を得られない。
 しかし、
 私もあなたに譲る気はありませんよ!」

世界で唯一匹の空術の使い手、麒麟との戦いが始まる。
ライトシフトで辺りを光に照らしての、光による回復、
突然現れた数本の槍が一人を貫くヴェイパーブラスト。

流石にこれは危険。ブルーは上級魔術、
術に反応し相手を魔力の檻に閉じ込めるサイキックプリズンで術を妨害しつつ
麒麟に攻撃を加える。
麒麟の最強術・リバースグラビティも封じられ…

そして麒麟は死んだ。


外に出てみると…子供達がどんどん消えて行った。
声も出すこともできずに。
空術の使い手、麒麟が死んだ為に
彼らはその空間とともに消滅する運命にあるのだ。

「そこまでして資質を得たいの?」
メイレンが聞く。

「これでいい、これでいいんだ。
 これで…ルージュとの対決ができる。」

80サガフロンティア ブルー編その4 宿命の対決:2008/03/20(木) 21:39:26
月が大きく映る、切り立った二つの岩柱。

最強の術士二人はここで初めてお互いに対面し…
ここで殺し合うこととなる。
表の学院で学び、秘術、陽術、空術を得たブルー。
裏の学院で学び、印術、陰術、時術を得たルージュ。
相容れぬ術を手にした双子の戦いが今ここに始まった。

そこは特殊な空間。時間とともに変化し、
一つの術のみを受け入れ、それ以外の力は減退する。

まず最初は魔術空間。
最強の魔術、ヴァーミリオン・サンズをルージュに繰り出す。
ルージュは気を失った。
これでブルーの勝利…
そう思われたが、なんと彼は炎に包まれ、爆発と共に傷を回復し立ち上がった。
謎の術、リヴァイヴァ…ルージュの術なのか…?

そして空間は変わり陽術。フラッシュファイアでルージュを追い詰めようとするが
ルージュの発動したサイキックプリズンにかかりブルーは倒れる。
だがブルーも同じくなんとリヴァイヴァが発動、即座に立ち上がったのだ。

…これはどちらの術でもない。
双子同士の戦いであるこの「場」にかけられた術。
倒れることは許されず、お互いが生命力の最後の一滴まで賭して戦い、
最後に「死」を迎えるまで戦わせ続けるための仕掛けだったのだ。

彼らは存分に術をぶつけ合う。
陰術・パワースナッチでブルーの体力を自らのものにするルージュ。
秘術・剣でルージュを串刺しにするブルー。
印術・活力のルーンで自己回復力を得るルージュ。

お互いに譲らぬ勝負…双方何度か倒れ続けた。

だがスパートをかけたブルーは優勢。
これで最後だ、と空術リバースグラビティを放とうとするブルー。
だがそこにルージュが必殺の術…
時術・オーヴァドライブが炸裂する。
これは時間を止め、効果が続く限り一方的に攻撃し続けることができる術だ。
だが使用後に全ての魔力を無くす。

得てきた術全てを使い、攻撃を続けるルージュ。
ブルーは何度も倒れたが、彼の生命力はあと少しというところで尽きず…
術は解けた。

これで最後だ。今度こそブルーはリバースグラビティを
虫の息のルージュへと放つ…!

だがそれは叶わなかった。
ルージュはオーヴァドライブの効果時間の最後に、
術を封じる術、サイキックプリズンを使っていたのだ。
魔力の檻に閉じ込められ、ダメージを負うブルー。

そこにルージュが術を用いる。エナジーチェーン。
これはブルー・ルージュ共に最初に使っていた初級術。
彼らはそれを魔力なしで放てるようになっていたのだ。

魔力の鎖に貫かれ…そしてブルーは……死んだ。

「貴様が…私より優れているのでも…言うの・・・か………!!」

81名無しさん:2008/03/20(木) 22:02:44
かつての三大魔界貴族の一人、冥王ジェダが復活。
彼は完全なる魂の救済を望み、その礎である「価値のある魂」の持ち主を、
魂の檻、「魔次元」へと呼ぶ。
果たして、その野望の行きつく先は何処なのか…。

「すべての命よ…私と同化せよ!」

82サガフロンティア ブルー編その5 そして彼は…:2008/03/20(木) 22:08:24
戦いは終わった。
勝者・ルージュはその場にしばらく呆然として立っていた。
「俺は…誰だ?」

勝利の余韻ではなく、呆然としていた。その理由…。
「ルージュの術が私を貫いた時…私はルージュの中に入り込んだ…」

「今、僕はルージュであって…ブルーだ。
 …そして今分かった。僕たちは元から一人だったんだ!」
自分の体が一つとなって初めて解った事実。

「何故キングダムは教えてくれなかったのか…?
 それを知らなければならない。
 帰ろう、ルージュ。…マジックキングダムへ」
陰陽、秘印、時空。全ての相反する術を有し、そして
それにより究極の術、命術さえも手に入れた究極の術士がここに誕生した。

「一体、何があったんだ!」
二人が生まれ育った地、マジックキングダム。
たどり着いた場所は、破壊され尽くされた後だった。
凶悪なモンスターを退け、ルージュは町の地下へと進む。

学院のあったところだ。
「一体何があったんだ!」
「化け物どもが地下からあふれ出てきた…
 封印が破られたのだ…」
それを最後に男は息絶えた。更に地下。
モンスター達がいる部屋で謎の腕輪…三女神の腕輪を手に入れると
彼は巨大な巨大な…マジックキングダムのシンボル、
三女神像の体に立つ。
「偽りの女神め…」
腕輪が光りだし、女神の額にルージュは吸い寄せられた。
そして…ワープする。
その場所は白と黒の二つに分かれた…大量の胎児の入れられた
カプセルのような丸い装置が並ぶ部屋。
そこにはマジックキングダムの教師がいた。
そしてルージュは全てを察した。
「俺は、俺たちはここで二人に分けられたのか…魔術的処置で…人為的に…
 なぜ、こんなことを! キングダムは悪魔の巣窟か!」

「君は最後に旅立った術士だね。ということはブルー、それともルージュか?」
「そうだ、いや、違う。俺はブルーであり、ルージュであり、どちらでもない。
 何故こんなことをした。俺たちを操り、殺し合わせ、何をさせる気だ。」

教師に食って掛かるルージュ。
「あなたも見たでしょう、この破壊を。封印が破られ、地獄の化け物どもがあふれだしたのよ。」
「地獄の者どもからキングダムを護りひいてはすべてのリージョンを護るのが我々の役目だ。
 そのためには強い魔力を持った術士が必要なのだ。」
教師達は真実を次々に語りだす。かつて指輪の力で作られた封印された場所、「地獄」
封印を守るための強力な術士の養成機関、それがキングダムの学院だったのだ

「そのために、俺達を犠牲にしたのか! まだ何も知らなかった俺を!!」
「私たちの使命はもっと大きいのよ。
 自らを犠牲にしてより多くのものを護るのよ。」
「そんな論法は通じない。
 あなた達が押し付けた犠牲だ。自分では何も決めていない。
 こんな施設は破壊する!」
ルージュが叫んだその瞬間…
モンスターが部屋に入り込んできた。
「ここまで侵入されたか!!」
モンスターを蹴散らしたルージュは冷静になり、教師に聞く。
「どうすれば、この子達を護れる。」
「封印を復活させるのよ。そのためには地獄へ行って敵の力を弱めなければ…
 キングダムに栄光あ…」
その言葉を最後に息絶えた。
自分がしなければならないことが解った。
彼は再び走り出す。学院の地下へ。
倒れている一人の男に話しかける。
「ここから地獄へ行けるのか?」
「では、ブルーか、ルージュか……ならば期待も持てる。」

…そして…彼は地獄へと旅立った。
「お前たちは…本当の……」

そこは光にあふれた美しい場所だった。
光のアーチが出来、翼の生えた天使達が行き交い、蓮の花が咲く。
まさに天国のような場所…しかし、天使たちは凶悪なモンスター。
この中から溢れたモンスターがキングダムを襲撃している。…地獄だ。

ルージュは地獄の力を弱めるべく奥へ進み…封印の間にたどり着く。
そこで巨大な黒き卵から何者かが生まれた…地獄の君主だ。
これを倒すことによって封印は完成する。
七支刀、イルストーム。恐るべき破壊力を持つ攻撃が繰り出される。
だがルージュは屈することなく…術を君主にぶつけ続ける。
そして最後にルージュは時術の奥義オーヴァドライブを使う。

時間の止まった、時計の鐘の音が鳴り続ける巨大な時計。
そこでリバースグラビティを重ねてぶつけ続ける。
最後の術を君主にかけたそのとき…………。

83名無しさん:2008/03/20(木) 22:08:59
A.D20XX年、地中から突然大量に現れた謎のブロックのため、
地上は大パニックになってしまいました。

調査の結果、ブロックの発生ポイントが地底1000mにあることが判明しました。
普通、そんなところに行ける人はいません。

これはもう、穴掘りのプロ、「ドリラー」に頼むしかないという結論になりました。
そこで白羽の矢が立ったのが、ルーキーでありながら、
「ドリラーの最高のタイトル、「ミスタードリラー」に最も近い男」
という呼び声の高い少年で、とある島を救った伝説の英雄「ホリ・タイゾウ」の次男、
「ホリ・ススム」でした。

皆が困っている姿を見捨ててはおけないと、
依頼を引き受けたススム君は、ブロックの謎を解明するべく、
地底1000mを目指したのでした…。

84ヴァンパイアハンター レイレイ編:2008/03/23(日) 07:57:44
中国で仙術を教えてきた少(シャオ)家一族の双子の姉妹、
姉のリンリン(鈴鈴)とレイレイ(泪泪)。
ある日、二人が16歳を迎える前日に墓から蘇ってきた亡霊たちを倒すため、
彼女の母がそれらの亡霊と闘い、撃退した。
しかし、母は術の反動で闇の中へと彷徨うことになってしまう。
その母の魂を救うため、姉妹は「異形転身の術」を自らの体に施し、キョンシーとなった。
この術を使うと、使用者の魂が永遠に救われることのないことを知りながらも。
そして、闇の住人達との戦いに赴く。それが母を助けられる唯一の方法と信じて。

そしてついに、姉妹は最後の戦いで力尽きてしまう。
そこに現れた謎の女性―。母の魂そのものだった。
母は姉妹の命を現世に転生させた。新しいリンリン、レイレイとして。
こうして姉妹は平和で平穏な日々を暮らすことになる…。

85ヴァンパイアセイヴァーEXエディション レイレイ編:2008/03/23(日) 08:14:04
中国で仙術を教えてきた少(シャオ)家一族の双子の姉妹、
姉のリンリン(鈴鈴)と妹のレイレイ(泪泪)。
ある日、二人が16歳を迎える前日に墓から蘇ってきた亡霊たちを倒すため、
彼女の母がそれらの亡霊と闘い、撃退した。
しかし、母は術の反動で闇の中へと彷徨うことになってしまう。
その母の魂を救うため、姉妹は「異形転身の術」を自らの体に施し、
レイレイはキョンシー、リンリンはレイレイの暴走を抑えるため札となった。
この術を使うと、使用者の魂が永遠に救われることのないことを知りながらも。
そして、闇の住人達との戦いに赴く。それが母を助けられる唯一の方法と信じて。
そのうちに「漆黒の救世主」こと冥王ジェダ・ドーマが復活。
ジェダが価値ある魂を集めていたその矢先に、シャオ姉妹もその標的となる。





襲いかかってくる脅威をすべて振り払い、ジェダさえも倒したレイレイ姉妹。
しかし、ジェダを倒したことによって世界は無になってしまう。
「ここはどこ!?私たちはもう帰れないの!?」
その時、謎の女性が現れる。
「あなたたちの進む先はこの先にあります…」
二人はその進む先へと吸い込まれていく。
その時だった。謎の女性の正体がわかったのだ。
「あ、あなたはおかあさ―」
前世の記憶を一瞬だけ取り戻したレイレイとリンリン。
しかし、二人が目を覚ました時、前世の記憶はすでになかった。
母が二人を現世へと転身させたのだ。
家へと続く夜道を駆けるリンリンとレイレイ。
「街の道端で寝ちゃうなんて…」
「ヒッチハイクしていたからねー」
「変な夢を見ていたような気がするよ…」
「私もー」
「あ!見て!パパとママ!」
「本当だー!」
二人は荷物を投げ出し、待っていた親たちのもとへ駆けて行く。
その時、流れ星が遠くに現れた。
そして二人は平和な、平穏な暮らしを、前世の記憶と引き換えに取り戻した。
前世の母もこれを望み、転生した姉妹を見て安心している事であろう…。

86ポケットファイター レイレイ編:2008/03/24(月) 21:46:15
ダークストーカーズを追いかけるレイレイとリンリン。
ですが、彼らに会う前に旅費がそこをついてしまい、
今はアルバイト探しをしています。
「ろくな仕事がないアル…。人間界もシケたもんだなぁ…ん?
『三食昼寝付き実動二時間』!これだ!
このザンギエフとかいう広告主に会いに行こう!」

「お前が三食昼寝付きか?」
「?? ああ、アルバイトの話か」
「ほんとの本当に三食昼寝付きか?」
「もちろんだ。だがその前に、試験をさせてもらおうか…フフフ」


「さあ勝ったアルよ。早く三食昼寝付きに案内するネ」
「うむ、その腕なら申し分ない よし、ついて来い」

ザンギエフの紹介でレイレイが働き始めて一か月が過ぎました…。
「いつもより多く回しております〜 でもギャラはおんなじアルよ」
ロシアからやってきたサーカス団の花形スターとなった二人。
ダークストーカーズのことなどすっかり忘れてしまいました。
「一回死んでる私が言うのもなんだけどさあ、人生楽しくいかないとねぇ」

The END

87ヴァンパイアセイヴァーEXエディション レイレイ編改訂版:2008/03/26(水) 08:27:45
中国で仙術を教えてきた少(シャオ)家一族の双子の姉妹、
姉のリンリン(鈴鈴)と妹のレイレイ(泪泪)。
ある日、二人が16歳を迎える前日に墓から蘇ってきた亡霊たちを倒すため、
彼女の母がそれらの亡霊と闘い、撃退した。
しかし、母は術の反動で闇の中へと彷徨うことになってしまう。
その母の魂を救うため、姉妹は「異形転身の術」を自らの体に施し、
レイレイはキョンシー、リンリンはレイレイの暴走を抑えるため札となった。
この術を使うと、使用者の魂が永遠に救われることのないことを知りながらも。
二人は闇の住人達との戦いに赴いた。それが母を助けられる唯一の方法と信じて。
そしてついに二人は、母に出会えた。
しかしそれはほんのわずかなことだった。
母は二人を忌わしい記憶から解放するため、現世へと転生させたのだ。
二人は前世の記憶を失った代わりに、新しい母と父と生活を得た。

その頃魔界では「漆黒の救世主」こと冥王ジェダ・ドーマが復活。
ジェダが価値ある魂を集めていたその矢先に、シャオ姉妹もその標的となる。
そしてレイレイは鉤爪をもったキョンシーレイレイとして、
リンリンはレイレイの暴走を抑えるためのお札のリンリンとして、
二人は魔界に再び降り立った。この魂の奪い合い戦争から逃れるために。





襲いかかってくる脅威をすべて振り払い、ジェダさえも倒したレイレイ姉妹。
しかし、ジェダを倒したことによって世界は無になってしまう。
「ここはどこ!?私たちはもう帰れないの!?」
その時、謎の女性が現れる。
「あなたたちの進む先はこの先にあります…」
二人はその進む先へと吸い込まれていく。
その時だった。謎の女性の正体がわかったのだ。
「あ、あなたはおかあさ―」
前世の記憶を一瞬だけ取り戻したレイレイとリンリン。
しかし、二人が目を覚ました時、前世の記憶はすでになかった。
母が二人を現世へと転身させたのだ。
家へと続く夜道を駆けるリンリンとレイレイ。
「街の道端で寝ちゃうなんて…」
「ヒッチハイクしていたからねー」
「変な夢を見ていたような気がするよ…」
「私もー」
「あ!見て!パパとママ!」
「本当だー!」
二人は荷物を投げ出し、待っていた親たちのもとへ駆けて行く。
その時、流れ星が遠くに現れた。
そして二人は平和な、平穏な暮らしを、前世の記憶と引き換えに取り戻した。
前世の母もこれを望み、転生した姉妹を見て安心している事であろう…。

88ロックマンエクゼ・ファントムオブネットワーク その1:2008/03/28(金) 07:28:13
ナビらの事を道具としか思っていない―
あらゆるナビや電脳の情報のバックアップを蓄積したサーバーから怨みを持って生まれたナビ―キャッシュは全ての人間に復習するため、密かに影を延ばした
ファイアマン―
アイスマン―
ウッドマン―
キャッシュはナビのキャッシュデータを用いて偽物のナビ―キャッシュナビを作り出していった
ことごとく熱斗とロックマンが被害を阻止していったが―キャッシュは目をつけた
 
「ナビと人間がなぜここまで出来るのだ―」

89ロックマンエクゼ・ファントムオブネットワーク その2:2008/03/28(金) 07:47:07
―手掛かりを掴んだキャッシュはジャミングマンを差し向けた、妨害電波で交信さえ断てばただのナビだと
―だが血からの繋がりを持つ二人にはかなわなかった―
 
ついにキャッシュは世界全国にキャッシュナビを差し向けた、人間を滅ぼすために本格的に動き出した―
キャッシュに対抗するため、科学省は壮大なる作戦を打ち立てた、その名は―「モバイル・オペレーション」―
 
その作戦とは全てのオペレーター、及びナビを囮にし―光熱斗、およびロックマンをキャッシュがいると予想される場所へ攻め込ませるという―壮大な作戦だった
 
キャッシュの手先を退け、友の手助けもあり、ロックマンはついにキャッシュとの戦いに臨む―
キャッシュはキャッシュにためられたデータを自らに取り込み、ジャミングマンの妨害電波を数倍にしたものを放ち、二人の交信を断った―
 
呼びかける熱斗、その声は深き絆に結ばれたロックマン―光彩斗に届いた。
そして、二人はラスト・バトルオペレーションに挑み―
 
キャッシュを倒した二人―それと同時にキャッシュナビは姿を消した―作戦は成功した
今まで助けてくれた修一君は引っ越しで熱斗と別れる事に―絆は繋がっている、ずっと友達だ―と

90ヴァンパイアセイヴァーEXエディション ドノヴァン編:2008/03/28(金) 09:06:27
謎の少女、アニタと共にダークストーカーズを狩るために、
旅を続けていたドノヴァン。
しかし、この二人もまた魂の奪い合いという名の戦争に巻き込まれていく。
「これも運命なのか」
しかし百戦錬磨のドノヴァンは何事もなく闇の住人達を倒していく。
バレッタを、フェリシアを、レイレイを、モリガンを、
とにかく狩って行った。
そして勝った。この戦争に。

眠るアニタ、そのアニタの上に魔剣を置きアニタの心を探る。
そしてドノヴァンは一言言った。
「お前も…お前も私と同じく運命に生きる者なのか…」

91ヴァンパイアセイヴァーEXエディション バレッタ編:2008/03/28(金) 09:39:05
ここは人間界、いわゆる普通の世界だ。
ここにとある一人の少女がいた。
いかにも童話「赤ずきんちゃん」を彷彿とさせるような少女だ。
そして当然のように近寄ってくる一体の吸血鬼…。

倒れていたのは吸血鬼のほうだった。
「お嬢様、これでございます」
「何〜?これだけ〜?」
そう、彼女は知る人ぞ知るハンター、バレッタだった。
そんなバレッタも魔界で魂の奪い合い戦争が起こっていると聞いて、
犬や執事を連れて魔界へ行くことへ決めた。
「これはひともーけできそうねっ!」


次々に魔界のダークストーカーズを狩っていくバレッタ。
いつしかそれはバレッタのなかの一種の心のやすらぎとなっていた。
そして魂の奪い合いを始めたジェダ・ドーマを難なく倒すと、
我こそが魔界最強と名乗るダークストーカーが現れた。
ゾンビのザベル=ザロックだ。
「ジェダはあっさり死んじまったってことは俺が魔界最強ってことだろ!?
 ヒャーハハハハァッ!!!」
しかし、そのザベルでさえバレッタに狩られてしまう。
そして魔界に平穏が訪れた…わけはなかった。

魔界のとある家で…。
「今日の魔界ニュースです また殺人事件がありました。
被害者の体は無残にも切り刻まれていました。
目撃者の話によると、犯人は赤い頭巾をかぶった人間の少女で…」

「ママー、怖いよー」
「大丈夫よ、ここにまでは来ないわ」
「うん、そうだ だから安心しろ」
その時、家の前にとある少女が―。

92StarOcean First Departure:2008/04/02(水) 14:17:26
豊かな自然と多様な種族が共存している未開惑星、ローク。
そのロークの大陸の一つであるムーアの南端に、
辺境の小さな町グラトスがあった。
グラトスの田舎町を駆けてくる少女ミリー。
彼女が目指しているのは、町の自警団が集まる詰め所だ。

自警団と言っても、事故や事件と無縁の平和な町では仕事もなく、
詰め所では自警団人のラティとドーンが退屈な時間を過ごしていた。
そんな2人を見かねたミリーは2人を誘って町の見回りへと連れ出すのだった。


そして、物語は始まった―――

93StarOcean2 Second Evolution:2008/04/02(水) 14:21:17
未開惑星を調査中、事故によって見知らぬ惑星へ転送されてしまった少年クロード。

世界中に広がる異変、謎の隕石ソーサリーグローブ
…伝説の勇者の出現を待ち望む少女レナ

2人はなぜ、出会ったのか―――?

94ぷちえゔぁ:2008/04/02(水) 14:25:59
全 人 類 ま っ た り 計 画

碇ゲンドウ校長率いる第三新東京市立ねるふ学園を舞台に、
息子である気弱な生徒シンジを始め、
天才帰国子女アスカや綾波三姉妹など、
エヴァンゲリオンのキャラクター達による、
てんやわんやの楽しい学園生活が始まる。

95ACE COMBAT ZERO The Belkanwar:2008/04/05(土) 10:51:15
ベルカ公国 ―かつての雄武国家。

1980年代、行き過ぎた国土拡張政策は広告を経済危機へと陥れる。

連邦政府による国土縮小計画を持ってしても、
未曽有の経済恐慌が収集することはなく、
混乱に乗じて政党国家復古を掲げる極右政党が政権を獲得する。

1995年3月25日元ベルカ自治領ウスティオ共和国に眠る、
膨大な天然資源発見の報を機にベルカ公国は周辺国への侵攻作戦を開始する。

「ベルカ戦争」の開幕である。

準備不足の各国は、伝統のベルカ空軍の前に敗走。
隣接するウスティオ共和国は、数日でほぼ全土を占領下におかれる。
ウスティオ臨時政府は、残された第6航空師団を外国人傭兵航空部隊として緊急再編。
オーシア連邦、サピン王国との連合作戦に一縷の望みをかける。
この戦乱下、とある一人の男がウスティオ傭兵部隊へ入隊。
そこで、「片羽の妖精」の名を持つ腕利きパイロットたちと出会う。
彼のTAC(戦術航空師団)ネーム、「ピクシー」。
入隊間もない、1995年4月2日1249時(12時49分)、
ウスティオ最後の砦、ヴァレー空軍基地にスクランブル(緊急警報)が響く。
基地管制塔はベルカ爆撃機変態の接近を確認。
要撃任務を託された二つの翼が戦線に舞い上がった。

96ACE COMBAT ZERO The Belkanwar ネタバレ注意:2008/04/05(土) 11:15:07
ここからは後編です
ネタバレ注意



























ピクシーとサイファーの活躍により徐々に領土を奪還され、
ついには本国侵攻まで許してしまったベルカ公国。
南ベルカの各都市では厭戦ムードが漂い始め、
住民たちは「非武装地域」を名乗り、ベルカ軍も北に敗走するしかなくなっていた。
そんな時、ベルカはある決断を下した。
それは国内での「七つの核」の始動だった。
ベルカ国内で立ち上がる七つのキノコ雲。死者は200万人にも及んだそうだ。
そしてウスティオとの決別を決意するピクシー。
何もかもが連合軍にとってはマイナスであった。
しかしこれ以降も戦線は連合軍に有利な形で動いていた。
サイファーと、サイファーの新しき相棒PJによって。
ベルカ戦争が終わりに近づいてくると新ベルカ暫定政権が連合軍の監視下で発足。
そして、とうとうベルカ国内のルーメンにて、ベルカの降伏調印式が行われた。
しかし降伏したベルカに突きつけられたのは、オーシア有利の一方的な条件。
これを許すまいとして、ベルカの極右政党がクーデターを起こした。
しかしそれは序章に過ぎなかった。
なんとその極右政党によって多国籍テロリスト軍団、
「国境なき世界」が誕生したのだ。
これを壊滅させるため、サイファーとPJは再び空へ舞い上がった。

97ACE COMBAT ZERO The Belkanwar ネタバレ注意:2008/04/06(日) 08:53:53
ここからは続後半です
ネタバレ注意















「世界をリセットする そしてその世界を一つにする。」
「国境無き世界」はアヴァロンダムを使って、
核搭載V2ミサイルを発射することを決めた。
連合軍側はこれを阻止するためサイファーとPJ、
そして選りすぐりのエースたちを戦場に送った。
川の水面ギリギリを高速で飛んでいくサイファー機。
そしてそれを護衛するPJやほかのエース達。
しかし、対空砲火は酷く撃墜されていく仲間たち。
中には壁に激突する者や、ベイルアウト(脱出)が間に合わなかった者もいた。
「第一架橋通過!第二架橋通過!第三架橋通過!第四架橋通過!…アヴァロンダムだ!」
アヴァロンダムに侵入したのはサイファーの一機のみ。
サイファーは狭いダム内に入り、コントロールルーム、モジュールを破壊。
V2の発射を阻止したのだ。歓喜にわきあがる連合軍とPJ。
「俺、基地に彼女がいるんすよ 帰ったら告白しようかなって思ってて…花束もかtt」
突然、サイファーとPJの後ろから出てきた光線が、PJ機を貫く。
空中で散っていくPJの機体。その時、無線が―――。
「戦う理由は見つかったかい?相棒」
そこにいたのは最新鋭戦闘機ADFX-02、コードネーム「モルガン」だった。
サイファーはすぐにわかった。モルガンに乗っているのはピクシーだと。
サイファーはピクシーと戦った。
ピクシーの多彩な攻撃―
レーザービーム、広域制圧兵器「MPBM」など、
多彩な攻撃に苦戦することなくピクシーを追いつめていく。
だが、ピクシーを追いつめたその時、途端にミサイルが効かなくなる。
よく目を凝らしてみるとピクシーの手前で直角に曲がり、
違う方向へと飛んで行っていたのだ。
そして本部から入る無線―
「いいかサイファー!ヤツは特殊な装置を用いてミサイルの軌道を変えてるらしい!
ヤツにミサイルを当てるには前から堂々と狙うしかないぞ!」
そして正面から挑むサイファーとなかなかミサイルを撃たないことにいら立ちを感じているピクシー。
「撃てよ!臆病者!」
その瞬間、サイファー機からミサイルが放たれ、ピクシー機を見事撃墜した。
それと同時に数分前に打ち上げられたV2が、アヴァロンダム付近で爆発した。
それがこの戦争の真の終止符だったのかも知れない。

98ACE COMBAT ZERO The Belkanwar ネタバレ注意:2008/04/06(日) 09:20:28
またもやネタバレです
ですので見るときは注意を…













OBCドキュメンタリーで追えた彼の存在はここまでである。
ベルカ機を多く撃墜し、かつ一回も撃墜されることなく、
円卓を生き抜いたことから、いつしか「円卓の鬼神」と称されたサイファー。
そしてその相棒で通称「片羽の妖精」と言われたピクシーこと、ラリー・フォルク。
口癖は「よう、相棒 まだ生きてるか?」
ピクシーはサイファーに撃墜された後も、生きていた。
爆心地近辺に住む、心やさしい人々によって。
だが彼は今、とある国境付近の戦場にいる。
「国境の本当の意味を確かめたいんだ。」
この話は、大体が彼の話によって証言されたものである。
だがそれだけじゃない。いまだに生き残っているサイファーと戦ったエース達。
彼ら一人一人の話は違ったが、ただ一つ、共通していることがあった。
彼の話をすると、皆少し嬉しそうな顔をしていたのである。
それは何故かわからないが、恐らく「鬼神」というライバルに、
親近感や戦うという友情を築いていたのであろう。

そうそう、この戦いには後の有名人も多くいる。
「凶鳥ヒュッケバイン」ことウォルフガング・グフナーや、
「ハートブレイク・ワン」ことジャック・バートレット、
さらにはアシュレイ・ベルニッツやミヒャエル・ハイメロートまで。
後の環太平洋戦争の主要人物たちである。

そしてサイファーのその後であるのだが………。
ベルカ戦争が終わってから鬼神ことサイファーは行方をくらましたらしい。
その行方は未だに誰もわかっていないという。
彼が皆の前に、そして大空に戻ってくるのはいつになるのだろうか…

99俺の屍を越えてゆけ:2008/04/06(日) 19:42:09
時代は平安時代にまで遡る。
とある二人の夫婦が平安の世を乱す鬼、朱点童子に挑もうとしていた。
その二人の名は、源太とお輪。
二人はいよいよ朱点童子のいる堂へ乗り込んだ。
しかしそこにいたのは一人の少女だった。
駆け寄り心配する源太。しかしそれは罠であった。
なんと正体は少女に化けた朱点童子だったのだ。
その場に倒れ、息を引き取る源太。
しかし朱点は源太を殺してもまだ飽き足らず、
お輪の産まれたばかりの赤子さえも殺そうとしていた。
お輪は朱点に懇願し、赤子との最後の対面を許される。
そしてそれを見た朱点は、何を思ったのか子供を生かせることを決めた。
わずか二年の間しか生きることができない「短命の呪い」と、
人間同士で交配し、子孫を残すことのできない「種絶の呪い」をかけて。

この一部始終を展開から見ていた神様たちは、
二人の子を保護し、そして神様たちは二人を助けるため、
神と交神してもいいという特別令を出し、
さらにはお手伝いのイツ花を派遣して、
朱点童子の討伐に向かわせるのだった。
しかし、神が討伐に向かわせたのは別に理由があった。
その理由とは…?

100アウターヘブン蜂起:2008/04/12(土) 07:38:26
南アフリカの奥地、1980年代後半に、英雄かつ狂人とうたわれた、
一人の傭兵によって武装要塞国「アウターヘブン」が生まれた。
そこで戦争史を塗り替える殺戮兵器が開発されているという情報を得た「西側」は、
ビッグボスが総司令官を務める特殊部隊FOXHOUNDの新入隊員ソリッド・スネーク単独で送り込む。
先に潜入し、囚われの身になっていたFOXHOUND隊員である、
グレイ・フォックスを救出したスネークは、その兵器の恐るべき正体を知る。
核搭載二足歩行兵器メタルギア―あらゆる地から核攻撃を可能にする重兵器である。
レジスタンス達の力を借り、開発途中のメタルギア破壊に成功したスネークの前に立ち塞がったのは、
FOXHOUND司令官でありながら影でアウターヘブンを統率していたビッグボスであった。
スネークを情報撹乱のために送り込んだにもかかわらず、
逆に野望を打ち砕かれたビッグボスは悲痛な叫びをあげる。
「お前はやりすぎた、やりすぎたのだ!」
地下100階でぶつかる、思想も政治も関与しない男と男の闘い。
やがてビッグボスを倒したスネークは、燃え上がるアウターヘブンを後にした。

101名無しさん:2008/05/22(木) 15:34:42
経済大国アメリカ

世界の経済はここから生まれ、そして世界中へと散り、そして戻る…。
金が生まれる限り、様々なものが売り買いされていく…。
そしてギャンブル、ドラッグ、売春、暗殺、テロ…。
犯罪も例外ではない。

だが異邦人のなかではそれはすべて昇華して、彼らはこうつぶやくのだ。
「アメリカン・ドリーム」と…。

「…よぉ、兄弟
実はお前の腕を見込んでたのみてぇことがある。
明朝、でかいヤマが動くんだが、それを取り仕切ってもらいてぇんだ。
もちろん悪いようにはしねぇつもりだ。
それにまさか俺達ファミリーに借りがあることも忘れちゃいまい…。
…ああ、連絡先はいつものところだ。なぁ兄弟…、二人でいい夢見ようや」

街が闇から紅に染まる時、
もう一つの「アメリカン・ドリーム」が始まる…。

102サガフロンティア リュート編 旅立ち編:2008/05/23(金) 12:30:04
ここはのどかなリージョン、ヨークランド
深森にたたずむ一軒家で、ひとりの青年が旅立とうとしている
青年は残していく母親を気遣うが、気丈な母親はとんでもないといわんばかり
「早くしなさい」
「やっぱり心配だな、母ちゃん一人を残していくのは」
「なに一人前のことを言ってるの。
あんたに心配されるほど歳とっちゃいないよ ちゃんと働くんだよ」
「うん」

さてこうして旅立った一人の若者
母親は女手ひとつで彼を育ててきた

それなのに
こんな年になっても何もせずにフラフラ

すねっかじりのくせに
母親に迷惑をかけてきた

それでもなぜか
近所のワルガキどもにはなつかれていた

「アニキ、本当にいっちまうのかい?」
「サンダー、情けない声出すなよ 母ちゃんを頼むぜ
じゃあな、行ってくるぜ〜」

リュートは一念発起
母親の元を離れ自活することになったのだが…

103サガフロンティア リュート編 出会い編:2008/05/23(金) 12:50:56
リュートは他のリージョンへ行くために、
シップに乗ろうとするが、すぐに役人に止められてしまった


「このシップの乗船は許可しない」
「許可しないと言われてもこれに乗らなきゃどこへも行けんのよ」
「トリニティの貸し切りだ」
「はじっこのほうでいいんだ。一人ぐらい乗れるだろう?」

役人を説得使用するリュート、しかし…

「ごちゃごちゃ言ってると逮捕するぞ!」
「逮捕?俺が何したって言うんだい?」

するとすぐ隣の建物から一人の男が…

「どうした?トラブルか?」
「司令! いえ、何でもありません ほら、早く帰れ!」
「シップに乗りたいのか?場所はある。乗りたまえ」
「親分のほうがものわかりがいいな」

こうして男に乗せてもらったリュートは、
お礼を言うべく船内でその男に会いに行くのだった。

「乗せてもらえて助かりましたよ」
「私もヨークランドの出身だからね」
「ところでこのシップはどこへ行くんですか?」
「マンハッタンだよ」

ロブスターのような形をした赤いシップは、
トリニティの本拠地があるマンハッタンへと向かっていた。
そしてしばらくして彼らはマンハッタンについた。
リュートは名も知らない男と別れショッピングモールへ行くことにした。
リュートはショッピングモールの中にあるファーストフード店の中へ入った。
奥にいる金髪の男に話しかけると…。
「モンド司令と何を話した?」
「いきなりなんだ?警察みたいだぞ」
「察しがいいな 俺はIRPOのヒューズだ
ヨークランドからモンドといっしょにシップに乗っただろう」
どうやら乗せてくれたあの男の名前はモンドというらしい。
「そうだぜ。
あそこで乗せてもらえないと、見送ってくれた連中に格好がつかないしな。
話がわかる人で助かったよ」
リュートの言葉にヒューズは首をかしげる。
「話がわかる人?
モンドという男は切れるが冷たいと評判でな。
話がわかる人なんて感想は初耳だ。」
「俺はそう感じたってことさ。パトロールに世話になったらよろしくな!」
そう言ってリュートはマンハッタンを離れ、
クーロンを経由してオウミへ行くことにした。

104サガフロンティア リュート編 ビクトリアへの招待:2008/05/23(金) 12:59:07
オウミへ来たリュートは美味しい匂いにつられてか、
小さな橋を渡ったところにあるレストランの中に入って行った。
すると一人の女性が食事を取っている。
リュートはその女性に話しかけてみることにした。
「あたしはここの料理が好きでね、
オウミに来たときにはいつも寄ってるのさ。
ネルソンの味付けより、あっさりしていてたくさん食べられるんだよ。」
「へえ、ネルソンの人かい、初めて見たよ。普通の人間じゃないか
トリニティの宣伝じゃ、リージョン海賊だって話だったけど」
「あんなのは、トリニティの連中の宣伝さ
一度、うちの船に来てみなよ。びっくりするよ」
どうやら彼女は船を持っているらしい。
と、そこへ一人の女性がやってくる。
「艦長、御時間です。」
「それじゃあね。ごちそうさま。いつもおいしいね。」
「またどうぞ。」
するとその女性は迎えとともにどこかへと去っていった。
リュートは追いかけるようにネルソン行きのシップに乗った。
それがさっきの女性の船とも知らずに…。

105サガフロ リュート 明かされる真実と新しい戦い:2008/05/23(金) 13:16:37
ビクトリアに乗ったリュートは舵を取っている船員に話しかける。
「ネエちゃん何してるの?」
「ネエちゃんではない!
私はこの艦の一等パイロット、れっきとした士官だぞ。」
「これは失礼しました でありますです〜」
リュートは船長の部屋に向かうとそこにいたのは先ほどの女性だった。
リュートが彼女に話しかけると…。
「この艦は独立戦闘任務艦ビクトリア
艦隊行動が基本のネルソンでは異色の艦だ。
現在、本艦はトリニティのある人物の行動を監視している。
第2情報部司令、モンドだ。君もよく知ってるだろう?」
「モンドさんかい?
ちょっとシップに乗せてもらっただけさ。
知り合いって訳じゃない。」
「そういう意味ではない。
君の父上の遺志を裏切ってトリニティへ奔った男のことだ。」
「それ、何の話だよ?
俺の父ちゃんがモンドさんと知り合いだったって言うのかい?」
「本当に何も知らないのかい?
私はてっきり、父上の志を継ぐために私に接触してきたのだと思っていたよ。」
どうやらこの女性はリュートの父のことを知っているらしい。
リュートはその女性に父のことを問いただす。
「父ちゃんの志って?
いったい、俺の父ちゃんは何をやっていたんだ?」
リュートの父は一体何をしていたのだろうか―?

106サガフロ リュート 明かされる真実と新しい戦い その2:2008/05/23(金) 13:20:01
そして、明かされる真実―。
「反トリニティの活動家だったんだよ
そして、その活動の最中に新婚の奥さんを残して亡くなった」
「おいおい、待ってくれよ。
いくら能天気な俺でも今の話は・・・・
母ちゃんはなんにも話してくれなかったしな。
だいたい、赤の他人の………
まだ、名前も聞いてねえや………
艦長さんがなんでそんなことを知ってるんだい?」
「ネルソンは小さなリージョンだ。
強大なトリニティに対抗していくためには、より多くのリージョンの
より多くの人々の協力が必要だ。
そのために情報収集をしているんだよ。」
「いきなり、そんな話をされても、
イマイチぴんと来ないな。」
「そうだろうね。話を戻そうか。
本艦の任務は説明した通り、モンドの監視だ。
その監視中に彼が秘密裏に基地を建設しているのを発見した。
本艦はいつでもそこに突入できる態勢を整えている。」
「それじゃ戦争だぜ。
ネルソンはトリニティと戦争する気なのかい?」
「戦争にはならない。
モンドはその基地の存在をトリニティにも秘密にしている。
彼個人の文字通りの秘密基地だ。」
「一体何のために?」
「彼は大きな野望を抱いているようだ
例えばトリニティ全体を一人で支配するような。」
「そんな、子供向けムービーの
悪役みたいなことを本気で考える奴がいるかよ。
話がマジだかシャレだか分かんなくなってきたぜ。」
「突入はいつでも可能だ。
君も参加する気になったら来てくれ。」
「俺はそういう
荒っぽいことは苦手だよ」

そう答えたリュートだったが、
いきなり明かされた真実の前にどうすればよいかわからなくなっていた。
そして彼が出した答えは―。

107サガフロ リュート 新しい戦い:2008/05/23(金) 13:36:28
リュートは艦長のもとへ行った。
「モンド基地に突入する気になったかい?」
「やるぜ!」
そう、彼はモンドの基地へ突入することを決意したのだ。
「よし、出発だ!!」

「全速前進、目標ワカツ!」
「全速前進、目標ワカツ。」
艦長の命令を復唱してその通りに操縦する一等パイロット。
「モンドの基地はワカツにあるのかい?」
「そうだよ。」
と、その時―
「トリニティ艦を探知。ホエールタイプです。」
現れたのはクジラのような大きな戦艦だった。
「モンドの旗艦の御出ましだ。幸先いいね。
「あんなでかいの相手に歯が立つのかい。
「まあ見ていなさい。ネルソン魂っていうものを教えてあげるよ。」
すると艦長は信じられない命令を出した。
「最大戦速、敵艦との衝突コースを維持せよ。」
「最大戦速、敵艦との衝突コースを維持します。」
「体当たりする気か!」
「両舵砲戦用意!」
「両舵砲戦用意よ〜し!!」
攻撃の準備をして待つ船員たち。
「進路そのまま。」
「撃ってこないぞ。」
「ホエールの死角に入ったのさ。」
どうやらモンドの旗艦の死角の位置を知っていたらしい。
情報収集をきちんとしているというのは伊達ではなかった。
それだけではない、船員たちの技量も高かったため、
艦長の指示を聞き、それをきっちりとこなすことができたのだ。
「面舵一杯!」
「面舵一杯。」
「左舵打ち方用意!直進、戻せ。」
「舵直進、戻します。」
「左舵打ち方始め!」
艦長の命令と共に始まったのは凄まじい勢いの艦砲射撃だった。
そして少したったところで攻撃をやめた。
「かなり痛め付けたようだね。 総員、艦内戦闘用意。」
「今度は何をするんだ?」
「砲戦の後、敵艦に乗り込む。 これがネルソン流の戦い方だ。」
「敵艦から小型艇が離脱。ワカツへ向かいます。」
「モンドが逃げたかな?」
「戦闘止め。 小型艇の追跡に移る。」
すぐにその小型艇を追跡を始めた彼らはとうとうモンドの基地についた。

108サガフロ リュート 野望の果てに:2008/05/23(金) 14:03:43
モンドの基地に入った彼らはすぐさまエレベーターを使い、
下へと向かって行った。
しかしエレベーターは途中で止まってしまう。
どうやら動かすためにはキーボックスというものが必要らしい。
彼らはキーボックスを隣のフロアで探し、そして見つけた。
それを使いさらに下へと進んでいったのだ。
そして最下層に到着、そこで彼らを待っていたのは巨大な機械だった。
そして機動を開始し、彼らに襲いかかった。
中から人の声が聞こえてくる。そう、モンドだ。

「リージョン界を統べるのは力だ!
それがまだ解らんか。
愚か者たちよ、今から力の意義をお前達の体に
直接、叩き込んでやる!!」

そして、モンドとの戦いが始まった―。

109サルゲッチュ OP:2008/06/03(火) 22:26:39
ある動物園の、見世物小屋の中。

世にも珍しいホワイトモンキーの子供が一匹いました。
その子猿は、目の前に置かれた謎の白い半円形のものに興味を示している様子。

これは一体なんだろう…?
どうやら頭に被るもののようです。
子猿が恐る恐るそれを被ってみると…。


一方、日本のとあるのどかな町の丘の上。
並んで走る二人の子供がいました。

「なあカケル、ハカセのタイムマシンは完成したのかな」
「もう少しだって言ってた!」

小学生の男の子、カケルとヒロキはその日、
知り合いのハカセの研究所へと期待を胸に急いでいました。
「だったら今日、乗れるかもしれないな!」
「そしたら僕が先に乗るっ!」
「あっ、ズルいぞカケル!」

追いかけっこを始めた二人。
そして研究所のドアを開けると…なんとそこには…。

「カケル君、それにヒロキ君も!」
「カケル〜!」
そこにいたのはおびただしい数のサル達。
彼らは変なヘルメットを被っていました。
そして縛られたハカセとその孫、ナツミの姿。


「い、いかん、二人とも逃げるんだ!」

サル達を率いていた白いサルの指示で部下らしきサルが走り始めると、
ハカセはカケル達に逃げるように叫びました。
しかし…

その瞬間、サルはコントロールパネルにあったスイッチを押してしまったのです。
そしてこれが、この物語の始まりでした。

『WARNING!!!』

けたたましい警告音と共に研究室の中心にある装置にエネルギーが集まりだしました。
そして部屋中にあるもの全て…
物もサルも、カケル達さえもが空中へと浮き始め、
リーダーらしき白いサルの笑いと共に…
全てが真っ白に包まれていきました。



それが収まったときには、部屋にいたカケルやサル達は皆姿を消し…
縛られたハカセとナツミだけが残されていました。

「そ、そうか!わかったぞ!
 …あそこがこーなって、あーなってつまりここがこうなる。
 するとあそこはこーなるから…」

「やったぞ、ナツミ!タイムマシンの完成だ!」
「もう、それどころじゃないでしょおー!」

どうやらカケルやヒロキ、サル達は、時空の彼方へと飛ばされてしまったようです。

そしてカケルの元に、ハカセからの通信が入り込みます。
「聞こえるかい、カケル君。えらいことになったぞ。
 さっきの事故で君は今タイムスリップしておる。
 もうすぐ恐竜のいた、「中生代」へと到着するぞ。
 …まずいことに、さっきのサル達もあちこちいろんな時代に
 タイムスリップしておるようなんじゃ。」

そしてハカセは説明を終え、本題に入ります。

「このままサル達を放っておけば、
 地球の歴史はメチャメチャになってしまうじゃろう。
 そこでカケル君、君に頼みがある。
 幸いにして君は、ワシの開発したガチャメカを2つ持っておるはずじゃ。
 それを使って、逃げたサル達を出来るだけ多く、捕まえてきて欲しいんじゃ。」

青い武器のガチャメカ、メカボー。
サルを捕まえることができる転送網、ゲットアミ。

この二つを使っての、カケルの…おかしなヘルメットを被ったサル達との
時空を超えた追いかけっこが今、始まります。

「大変な任務じゃが、君ならできる!よろしく頼むぞ!」


そして通信が終わり、時空間に現れた一人の緑色の髪の少女。
ハカセが作ったプログラムであるその少女はぺこりとお辞儀し、
任務の説明を始めます。

『ピポサルを3匹捕まえよう!』

110サルゲッチュ 序盤:2008/06/03(火) 23:12:48
「カケル君。これから君が向かう時代は新生代と言って、
 恐竜が絶滅した後の時代じゃ。
 人間はまだおらんはずなんじゃが…
 何故か文明の痕跡を確認したぞ。これがサルの仕業じゃないとすれば、
 世紀の大発見じゃ!」


ロケットのある丘。豪雨降りしきる沼。そして恐竜との対決。

中生代でサル捕獲の基礎を覚えたカケルは
次なる時代へと移動しようとしていました。

そのとき…
研究所とカケルに、どこかからか映像が割り込みます。

「やあ研究所のみんな、ご機嫌如何かな?
 俺の名はスペクター。
 新しい地球の支配者、新時代のサル達のリーダーさ!」

画面の中心にいたのは宙に浮いた不思議な椅子に乗った…
あの時の白いサルでした。
人間の言葉を話す不思議なサル…
ヘルメットも他のサルとは違うもののようです。

「スペクター。
 君は遊園地で芸をしとった、子ザルじゃな?」

そう。手品が得意なホワイトモンキーの子供…
それがスペクターだったのです。

「さぁね。もう忘れたな。
 ただ言えるのは、今の俺は抜群の知能と、絶大な「力」を
 手に入れたってことさ。
 それもハカセ、アンタの発明したヘルメットのおかげでね!」

やはり秘密はあの白いヘルメットにあったようです。
それに対しハカセは言います。

「いいかい、スペクター。 よく聞くんじゃよ。
 確かに君が手に入れた「ピークポイント・ヘルメット」
 つまりピポヘルは被ると潜在能力を引き出し、
 しかもそれを格段に向上させることができる。
 だが、アレはまだ未完成でな…今使うのは大変危険なんじゃよ。
 悪いことは言わん、今すぐピポヘルを返すんじゃ!」

可能性と共に危険性を秘めたヘルメット、ピポヘル。
タイムマシンのことも考えると何が起こるかは計り知れません。

「未完成? あれは素晴らしい発明品さ…。
 それにもう遅いよ。俺達はすでに、新しいピポヘルを自分達で作っているのさ。
 俺のなんか、性能をパワーアップさせた特注品だよ。」

「とにかく、俺はこれからあらゆる時代に
 仲間や俺の作ったモンスターを送り込み
 人間が支配してきた地球の歴史を全部書き換える。」

途方もなく巨大なスペクターの野望。
ナツミはスペクターに対し言います。

「何勝手なこと言ってんのよ!
 アンタなんかカケルがすぐに捕まえちゃうんだから!」

「そうそう、カケル。
 お前にはとてもいい遊び相手を用意したよ。」

スペクターが向いた方。彼の傍らにいたのはなんと…ヒロキでした。

「ヒロキ君!」
ナツミは信じられない様子です。

「カケル、お前とはいつか決着をつけようと思っていたんだ。
 いいか、お前を倒すのはこの俺だ。白黒はっきりさせてやる!」

「ヒロキ君、どうしちゃったのよ!」
「無駄じゃナツミ。恐らくスペクターに操られておるんじゃ…」

「そのとおりさハカセ。
 ここにいるのはもう昔のヒロキじゃないよ。
 それじゃ、研究所のみんな。
 君たちの活躍、せいぜい楽しませてもらうよ。」

現れた敵、スペクター。
次なる時代で待ち受けるは機械を用いるサル達。
次々に送り込まれる新たなるモンスター達…
そして立ちはだかるヒロキ。

しかしカケルの戦いはまだ、始まったばかりなのでした。

111サルゲッチュ 中盤:2008/06/04(水) 20:47:43
新生代では木のモンスターと戦い
原始時代では巨大生物ガブリンの体内へと入り込み
氷河期では巨大マンモスとの戦いを繰り広げ
そしてヒロキとの二度の戦いを制したカケルは
どんどん現代へと近づいていきました。

「カケル君!ついにスペクターの居場所がわかったぞ!
 スペクターはどうやら「人間が文明を築き上げた時代」にいるようじゃ。
 いよいよ最後の戦い…頑張ってスペクターを捕まえ、
 そして無事に現代へと帰ってきて欲しい。」

近代。
スペクターの待ち構える時代へと降り立ったカケルに、
襲い掛かるはスペクターを守る兵として訓練されたサル達でした。

日本寺院、中国の巨大建築物の2箇所でサルを捕まえたカケルは
いよいよスペクターの待ち構える中世ヨーロッパの城へと足を踏み入れました。

そこは強力なモンスターに囲まれ、
城全体が巨大で幾多もの罠を張り巡らせた複雑な仕掛けの城。
カケルは苦戦しながらもそれらを乗り越え、
そしてとうとうスペクターのいる部屋へとたどり着きました。

「驚いたな。もうここまで来たんだ。」
「スペクター…ヒロキ!」

大きな乗り物と、スペクターとヒロキの姿。

「ヒロキ。作戦は順調に進んでる?」
「はい。町の全てをほぼ制圧しました。」

そう、スペクターが安全な時代に居ながらにして
サル達はとうとう現代世界まで侵略していたのでした。

「よし、じゃあ現代に戻るぞ。」
「はい。」

そしてスペクターはヒロキと共に背後にある大きな乗り物へと乗り込もうとします。

「待て、逃がさないぞ!」
「生憎だが、カケル。今はお前の相手をしている場合じゃないんだ。
 だが決着は必ずつけてやる。それまで待ってろ。」

そして続けてスペクターが言います。
「ソイツと遊んで、勝てたらね…」

轟音と共に乗り物が動きだし…
そしてスペクターを乗せたそれは時空の彼方へと飛び去りました。



逃げたスペクター。
そのとき…辺り全体が突然揺れ出し、
部屋の中心一点にどこからか雷が撃ち込まれました。

そして現れたのは…
巨大な鎧の戦士「スペクライザー」。スペクターが用意した巨大兵器です。

電撃を身に纏ったその体には体当たりもメカボーも通用しません。
そしてじりじりとカケルに詰め寄り、
全てのエネルギーを手にした斧に込めて…
辺りを揺るがす強烈な一撃を放ちます。

しかしその瞬間に電撃も地面に放射され…
スペクライザーに隙ができたのです。
すぐさま電撃のバリアは張り直されたものの、
その隙を逃さず攻撃することを繰り返し続けたカケルは
強敵、スペクライザーを破壊することに成功しました。

そしてカケルは時空間を通り
スペクターを追って、とうとう現代へ。

…そこでは、恐ろしい光景が広がっていました。

兵器を持ち、町を荒らしまわるサル。
逃げ惑う人、家に隠れ窓を閉め切る人。

完全にそこはサルの時代でした。


すぐさまハカセの研究所へと向かうカケル。
しかし…
研究所は最早破壊し尽くされた後でした。
煙を上げ、ショートした機器。穴の開いた厚い鋼鉄のドア。

…そして、もう…そこには最早人影は見当たりませんでした。


「カケルさん、ハカセからメッセージを預かっています。」
高い声が辺りに響く。 いつもカケルのオペレーションを担当している
プログラムのチャルの声だ。

「…再生して。」

112サルゲッチュ 終盤1:2008/06/04(水) 21:38:19
「カケル君。
 今町の様子は見てきたと思うが
 君の居ない間にスペクター達は町を襲いおった。」

ノイズ混じりの画面に映し出されたのはハカセの姿。
後ろには研究所のドアをこじ開けようとする何者かから
必死にドアを守るナツミの姿がありました。

「これを見てくれたまえ。」

提示された画像はどうやらテレビ局のようです。

「これはサル達が町の中心に作った
 スペクター達基地の映像じゃ。
 やつらはこの町でサルの限りを尽くしておる。
 残された希望は最早君だけだ…」

ナツミがドアに寄りかかり、必死にドアを守っています。
しかし…もう手遅れでしょう。

「君の勇気と そのガチャメカがあれば
 スペクターをきっと止められる…!
 君にはそれが出来る!
 後は頼んだぞ…!」

そしてその瞬間…ドアが打ち破られ、
映像はそこで終了していました。


「カケルさん、ハカセとナツミさんがいないので
 代わりに私が説明させて頂きます。」

新しいメカをカケルに渡した後、今度は説明が始まりました。

「スペクター基地について説明しますね。
 基地は、町のほぼ中央にあった工場とビルを改造して作ったようです。
 工場では、世界征服のための道具が大量に作られ…
 ビルではスペクターの計画が着々と進行しています。
 警備もこれまでにない強力な兵器で厳重に行われています。」

「そこでまず、この基地の活動を止めるために
 エネルギー貯蔵庫に向かってください。
 エネルギー貯蔵庫は近くの公園に隠してあるようです。
 その後、基地に向かってください。
 カケルさん、くれぐれも気をつけてくださいね?」

そしてカケルはたった一人、町へと繰り出しました。

公園にたどり着いたカケルを待ちうけていたのは
ハンマーメカ、「メガトン・サルティック」。
攻撃や距離に反応し手にした巨大なハンマーを振り回すメカ…
耐久力も今までのメカの上を行くものでした。

まずはこれを破壊し、公園の地下水道からエネルギー貯蔵庫へ。
張り巡らされたものだけでなく地形そのものがトラップと化すこの場所は
カケルには手ごわい場所となりました。

ここでサルを捕まえ、貯蔵庫の動きを止めると
今度はピポヘルを始めとする道具や兵器を作り出している工場へ。

そこには高く高くそびえるバリケードと機械の兵隊。
カケルはハカセが用意していた戦車に乗り込み、これを砲弾で打ち破り…
工場の前を守る巨大砲台との銃撃戦を超え、工場内部へと進みました。

そこには巨大な戦闘ロボットに乗ったサルやマシンガンを乱射するサル達、
そして侵入者を阻むための装置、人間が触れれば即死するような
高熱の溶岩の海がありました。

それらに屈することなくカケルはここでもサル達を捕まえ…

いよいよ町の中心…
スペクターの待ち構えるスカイTVタワーへと潜入するときがやってきました。

誰もいないロビーから飛び出してきたサルの兵達。
地下に張り巡らされた電撃のトラップ。
スタジオ内での、工場と同じく戦車に乗っての巨大な砲台との戦い。

カケルはサル達と戦いながらエレベーターに乗り、
70F、屋上へと一気に駆け上がりました。

113サルゲッチュ 終盤2:2008/06/04(水) 21:39:16
鳴り響くプロペラの音。吹きすさぶ風の冷たさ。

夜の高層ビルの屋上にいたのは、
以前の巨大な乗り物…スペクターとヒロキ…
そして、ハカセとナツミでした。

「カケルっ!」
「ハカセ、ナツミ!今助けるからね!」

「しつこい奴だな…もうこんな所まで来たんだ。
 でもハカセ達はまだ返すわけにはいかないよ。
 ちょっと…手伝ってもらわないとね。」
「ワシは協力など絶対せんぞ!」
「そうよそうよ!ちょっとヒロキ君、いい加減離してよ!!」
「…お、大人しくしていてください…ナツミさん。」

何故か動揺するヒロキ。

「ヒロキ、ハカセ達を連れて行け。」
「はっ!」
「もうやめてってば!ヒロキ君、正気に戻りなさいよ!!」
「やめろ、ヒロキ!」

「お前は僕がこの『バトルクルーザー』で直接相手してやる…。」


部下と共にあの乗り物…バトルクルーザーに乗り込んだスペクターとの
戦いが始まりました。

大空を翔る巨大戦艦、バトルクルーザー。
空からはミサイルの雨を降らせ、
地上ではレーザーや小型UFOでの攻撃、地を走る爆炎での攻撃を用いる強敵です。
弱点は存在しても、そこに寄せ付けぬように
プロペラを回して突風を起こし、近づけぬようになっています。

しかしカケルにはダッシュフープというメカがありました。
高速回転により得られる加速力でそれを突風を撥ね退け、
カケルはバトルクルーザーに体ごと突進し…
もしくは遠距離攻撃の可能な武器、パチンガーで狙いを定め
その弱点めがけ撃ち出し…。

見事バトルクルーザーを倒すことに成功しました。

空中で小さな爆発を起こし炎に包まれたバトルクルーザーは
勢いを失い、屋上へと落下し…大爆発を起こしました。

乗組員のサルの姿が見えません…
空の上にいたスペクターを除いては。

「やってくれるね。見直したよ、カケル。
 まさかここまでとはな…」
「お前なんかに負けるもんか!ハカセとナツミ、ヒロキも返せ!」
「そうだな…考えてやってもいいよ。今、面白いことを思いついたからね。」

空に浮かぶスペクターの周りに青い光の輪が現れます。
ワープするためのもののようです。

「また後で連絡するよ。楽しみに待ってて欲しいな。
 じゃあね!」

そして、スペクターは光の中へ消えて行きました。

「あ、待て!スペクター!逃げるのか、
 待てーーーーーーーーーーーー!」

カケルの声は、暗く広い空にただただ響くだけでした。

114サルゲッチュ 最終決戦1:2008/06/04(水) 22:42:39
「やあカケル。待っててくれたかな?
 さっき面白いことを思いついたって言ったよね。
 僕とゲームをしないかい?」
カケル宛てに直接メッセージが送られてきました。

「僕が遊園地を脱走して来たことはもう知ってるよね?
 その遊園地のどこかに、ナツミとハカセを隠しておいたんだ。
 君にそれを探し出して欲しいのさ。」

スペクターが選んだ決戦の地。そこは彼が生まれた地である遊園地でした。

「勿論君が満足できるよう趣向を凝らしたよ。
 楽しんでもらえると嬉しいな。とにかく遊園地で待ってるよ…じゃあね。」

決戦の地は遊園地。人のいない、真夜中の遊園地。
そこには、人気は全く感じられず…
しかし、賑やかな証明や音楽、電飾に包まれていました。

広場の中心のカケルを囲むアトラクションへのゲート。
その中にはカケルを悪意が待ち構えているのでした。

まず最初にカケルが向かったのはサーカス。
動物が入れられるはずの檻の中に入れられていたのは…人間。ハカセでした。

「おお、カケル君!無事か!」
「うん。ハカセも大丈夫?」
お互いの無事を確認するとカケルはハカセに
巨大な巨大な、檻の中への入り口を聞きます。

「この上に入れるような場所があるみたいなんじゃ。そこから入っとくれ。」

檻を取り囲む外周の、心細い足場。下は見えない、真っ暗な穴です。
メカの襲撃もある中、それを少しづつ登っていったカケルは…

「ようこそ、わがサーカスへ!」
檻の天井でスペクターの作ったメカ、文字通りの「ダンチョー」と出くわします。

爆弾メカの扱いに長ける彼は意外にモロく、すぐに気を失いました…
しかしその衝撃で檻の天井は壊れ、カケルはダンチョーもろとも
檻の下へまっさかさまに落ちてしまいました。

落ちた先で狂ったように暴れるダンチョー。
これを止めないことにはハカセを助けることはできません。

高速回転などでカケルを執拗に追い詰める彼をメカボーで破壊したカケルは
ハカセの救出に成功しました。

「おお、すまないな、カケル君…。君は本当に強くなったな…」
「ハカセのメカのおかげだよ。」
「いやいや。力だけが本当の強さではないぞ。
 そんなものは、人の強さの、ほんの一部に過ぎん。
 君は、本当の意味で、強くなったんじゃよ。」
「そうかなぁ…よくわかんないや。」

その言葉をとりあえず覚えておきながら、
ハカセを見送ったカケルは次にジェットコースターへと向かいました。

そこはただのジェットコースターではありません。
乗ったものを激突させるべく何重もの壁が線路に取り付けられ、
最終的にはコースターを破壊、搭乗者を投げ出すという悪魔のジェットコースターでした。

まずはこれを乗り越えたカケルは、コースターの到着地点、お化け屋敷に踏み込みます。

入り口から見える屋敷の中心部の籠に、誰かが入っています。…ナツミでした。

「ナツミー、大丈夫ー?」
「もう、ノンキなこと言ってないで早く助けなさいよ!」
「ごめん、ここからじゃ行けないみたいだから
 どこか道を探すよ!」

ナツミのいる部屋への道を探すカケルに、スペクターの仕掛けた罠が襲いかかります。
まず廊下では部屋を覆う巨大な包丁が振り下ろされ、
無造作に置かれたツボからは霊魂の形をしたモンスターが飛び出します。

奥にあったスイッチを押し、ナツミのいる籠のある部屋へと入り込むと
突然下へ落とされました。

下の部屋にはズラリと棺おけが並び…そこから飛び出してきたのは
見覚えのあるサル達でした。

名前を見てすぐにカケルはわかりました。
彼らは近代においてカケルたちが捕まえたサル達の子供。復讐者だったのです。

並んだ棺おけを行き来し、霍乱し
そのたびにモンスターを呼び出しカケルを襲わせる。
長い戦いになりましたが、その3匹を捕まえることにも成功しました。

「きゃあああああああああああああ!!
 いったーーー!ちょっともっとゆっくり降ろしなさいよ!」
「僕のせいじゃないよ、勝手に籠が落ちたんだって!」

何にせよナツミも助け出したカケルは広場へと戻ります。
すると、空にスペクターの声が響き渡りました。
「今度はゴーカート場に行ってみなよ。
 君のお友達が待ってるからさ…アハハハハ!」

115サルゲッチュ 最終決戦2:2008/06/04(水) 23:10:15
ゴーカート場。

観客もサルも誰も居ないその場所でカケルを待っていたのは
ヒロキでした。

チャルに渡されたメカヨンクを巨大にしたような…
子供の憧れを形にしたもの。
夜空に飛ぶレーシングマシンの上からカケルを見下ろしていました。
これこそが、スペクターが用意した、ヒロキ最強のガチャメカだったのです。

「ヒロキ…とうとうここまできたぞ。」
「やるな、カケル。いつも俺とタメ張ってるだけあるぜ。
 でも、もうこれまでだ。今日こそ決着をつけてやる。」

「勝負だ!」


コースに詰まれたたくさんのタイヤの壁。
部屋の中でヒロキはカケルを倒すつもりのようです。

たくさんの爆弾をばら撒き、メカヨンクを大量に撃ち出すマシン。
これをメカボーでカケルが破壊すると
信号は赤から緑に変わり…

マシンのエンジンが轟音を発します。
信号が変わる。つまり、その下がマシンの向かう先。
それは…カケルの体そのものでした。

カケルへ向かって超高速で発進するマシン。
しかしカケルはトビトンボを使いそれを紙一重で避け、
エネルギーを使い切ったエンジンに向かい攻撃を浴びせます。

それを何度か繰り返した後…

とうとうヒロキのマシンは爆発を起こし、
ヒロキは空高く投げ出されました。

勢いよく地面へと叩きつけられるヒロキの体。

「ヒロキっ!」
「…あれ?ここは……
 カケル!?俺変なんだ…今まで何してたか…
 ぼんやりしか思い出せなくて。」
「ヒロキ!?ひょっとして、元に戻ったの?
 スペクターのこと…覚えてないの?」
「スペクター…?なんだか思い出せないや…
 うっ!体中が痛い…イテテテテ!」
「やったぁ!元に戻ったんだね!」

やっとヒロキが、カケルの友達が戻ってきました…。
カケルは喜びのあまり、全身怪我だらけのヒロキを振り回します。

「ああ、ヒロキ。目が覚めちゃったんだ。」

そこに響くのはスペクターの声。

「まぁいいや。君はもう用が済んだからね。
 それはそうとカケル。お前の力、たっぷり見せてもらったよ。
 ホント、想像以上だよ。
 ヒロキも目を覚ましちゃったし、丁度いいや。
 代わりに俺の仲間にならない?」

「なるわけないだろ!誰がお前なんかと!」

「まぁまぁ。とにかく、直接会って話がしたいな。
 お前も俺を探しているんだろ?
 俺は今、この遊園地の城を改造した『スペクター城』にいるんだ。
 入り口は開けておく。君を城に招待するよ。
 じゃ、待っているよ。」


負傷したヒロキを研究所に送ったカケルは
スペクター城の門の中へと入り込みました。

…するとなんと。

突然地震が起きたかと思うと、城の周りの地面が裂け、
城が空高く飛び上がったではありませんか。


空から地上を見下ろす空中要塞。
それがスペクター城だったのです。

とてもトビトンボでは届かない高さ。
城のあった場所にできた穴の中心にあったゲートに入ると、
カケルはスペクター城の上へとワープしました。

落ちたら絶対に命はない高さ。
サル達の気配を感じなく、開かない入り口前から地下動力室へ移動すると…
カケルの侵入を感知したサルが、警報のスイッチを鳴らしました。

けたたましい警報音。最終決戦の始まりです。

116サルゲッチュ 最終決戦3:2008/06/05(木) 20:11:00
迎撃すべくUFOに乗り現れたサル二匹を捕まえたカケルは
スペクター城の中へと潜入します。

スペクターの巨大な肖像画が出迎えるエントランスホールから始まる
スペクター城内部は複雑なギミックが沢山。
巧妙に隠されたサル達を見つけ捕まえながら先へと進みます。

電撃のバリアを抜けた先…
そこは城の上部へと繋がる螺旋通路。
そこで炎を噴射し現れたのが「ブースト・サルティック」。
メガトンサルティックと同じシリーズの異なるタイプのメカでした。

カケルの元に現れ、遠距離からの両腕からのショット攻撃をし続ける。
ただでさえ困難な道が更に危険なものになります。
これに対しカケルは届く位置ではメカボーによる打撃、
遠距離ではパチンガーによる精密射撃でこれを粉砕します。

しかし一体破壊しても上に登るとまた一体が現れる…。
5体目のブーストサルティックを倒したところで
螺旋通路の最上部に達し、そこから外へと出ます。

…目の前に広がっていたのは宇宙…そして丸い地球の形。
どうやらスペクター城は宇宙へと移動していたようです。

外周通路から更に上へと登るしかないようですが、
前にもましてそこは足場の不安定な場所。
敵の攻撃が緩むこともありません。うっかり落ちてしまったら…。


ともあれトビトンボによる飛行も手伝い、なんとかカケルは
スペクター城の外周通路、最上部へと登ります。

その先には扉。これがスペクターの部屋へ通じるものなのでしょうか…?
一目散に扉へと急ぐカケルの前にロボットが落下してきます。

「ハイパー・サルティック」。
これぞサルティックシリーズ最強の一体のようでした。

遠くではショットガンとバルカンの乱射、
近くに踏み込むと腕からの火炎放射。

遠近共に攻撃手段を持つこの敵にカケルは苦戦しますが、
サルティックシリーズは全て反応が遅い。人間の動きには敵う事なく、
この強敵もまた敗れ去り、爆炎に包まれました。


扉の中の小さな部屋あったのは…なんとスイッチだけ。
しかしこのスイッチは…?

押すと突然部屋の床が動き出し…
エレベーターとなって自動的に急降下を始めました。
これは罠…?


カケルはなんと、1Fまで戻されてしまいました。

仕方ない、とエントランスホールに戻り再度登ろうと…
そのとき。カケルは気づきました。入り口の変化に。

…なんと、スペクターの肖像画が上へとスライドしているではありませんか。
そう、肖像画はスペクターの間へと通じるエレベーターを塞ぐ扉だったのです。

いよいよ最終決戦が始まる…
カケルは意を決し、そのエレベーターに乗り込みました。

117サルゲッチュ 最終決戦4:2008/06/05(木) 21:22:07
スペクター城、真の最上階。
長い長いリフトのコースの先にあったのは、
巨大な機械。これは一体何なのでしょうか。

更にそこから1フロア分エレベーターで登った先で…
とうとうカケルはスペクターと対峙しました。

目を合わせる二人。睨むカケル。うすら笑うスペクター。

先に言葉を発したのはスペクターでした。
「あーあ。城の中をかなり荒らし回ってくれたようだね。
 俺はお前と話がしたいからこの城に入れてあげたのに。
 …どう?気に入ってくれたかな。
 この城は最強の要塞なんだ。世界征服だって簡単さ。
 ここは眺めもいいし…ホント最高だろ?」

友達を洗脳され、誘拐され、町をめちゃくちゃにされたカケル。
ここで彼の気持ちが一気にスペクターに放たれます。
「何言ってんだよ!みんな困ってるんだぞ!もうやめるんだ!」
スペクターも声を荒げます。
「お前こそ俺の妨害をやめて俺の仲間になれよ。
 …ヒロキみたいにさ。」

「嫌だ!お前なんかに操られるもんか!」
「それはどうかな?」

スペクターが背を向けて話を続けます。
「俺は…超能力が使えるんだ。
 俺がその気になれば、お前がいくら嫌がろうと
 お前を操ることなんて簡単なんだ…」

そう。種のある超能力、手品を芸にしていた白いサルに備わった力。
それは…本物の超能力でした。

「こんな風にな!」
「うわああああああああああああああああああ!」

青い強力な思念波がカケルに降り注ぎます。
人の脳を揺るがす強力な波動。
恐らく不意を突かれヒロキもこのように洗脳されていったのでしょう。

「苦しいか…?さぁ、諦めて俺の仲間になれ!」
「嫌…だ…。」
「何?」

カケルはここで負けるわけにはいきません。
力一杯に抵抗し、そしてとうとう…

「嫌だぁあああああああ!」

思念波がスペクターごと吹き飛ばされました。

床に叩きつけられるスペクター。
ここで王者のプライドを傷つけられたスペクターの化けの皮が剥がれました。
「くそぉおお!!
 なんでお前、俺の力が通用しないんだ!」

吼えるスペクターの言葉にカケルはこの一言をぶつけます。
「力だけが…」
「何…?」
「力だけが…本当の強さじゃないんだ!」

ハカセからもらったこの言葉。ただの受け売りにすぎなくても
それはスペクターの逆鱗に触れるには十分なものでした。

「ぬぅううううううううううううううううう!
 失望したぞカケルぅう!!
 もうお前に用はない!」

スペクターは最早、力と知能に溺れたただの子ザルに戻っていました。

「これでも食らえぇえええ!」

118サルゲッチュ 最終決戦5:2008/06/05(木) 21:51:02
巨大な顔の形をしたメカに乗り込んだスペクター。
操縦席から乱暴な操作でカケルに照準を合わせては
次々にミサイルやレーザーを放ち、カケルが近づくと衝撃波を発生させ弾き飛ばす。

しかしそれでも怒りに任せたそんな操作では隙だらけであり、
カケルに何度もコックピットを攻撃され
スペクターのメカはすぐに警告を発しました。

しかしスペクターはまだ諦めません。
顔の形のメカを中心としたそのフロアに突然大きな揺れを発生し…

床は崩れ、カケルもろとも下階に転落。
顔型のメカは下の階にあったメカと合体…真の姿を現します。

そう。下の階にあったメカは顔型メカの胴体。
これこそがスペクターの最終兵器「ゴリアックアーマー」だったのです。

名前のとおりゴリラをモチーフにした巨大なメカは
ドラミングの如く両腕で胸を叩き咆哮をあげると戦闘態勢に入ります。
まずは腕を上に掲げて掌から空中にエネルギー弾を発射。
それは破壊の雨となり床へと降り注ぎます。

カケルがそれをかわすと今度は腕が赤く輝き
レーザーをカケルに向かい乱射。
引きつけながらこれを回避、腕をメカボーで叩き攻撃。
破壊はできなかったものの腕から派手に爆発を起こし、
痛がるゴリアックアーマー。

そしてゴリラのパワーを活かした攻撃、
両腕を床に叩きつけての衝撃波攻撃。
これもカケルにかわされるとまたドラミングを始め、
今度はカケルを追っていたビットからの誘導レーザー。

そんな攻防が続き、腕2本を破壊されたゴリアックアーマーは
とうとう顔と胴体が一体化したことでの攻撃に移ります。

胴体から供給されたエネルギーを口から巨大なバズーカとして発射する攻撃。
床も粉々に粉砕されるこの攻撃を食らえばひとたまりもありません。

1度攻撃を受け怒りが頂点に達したスペクターは、力任せに今度は二度…
巨大な破壊の砲撃を繰り出します。

戦うための足場すらなくなったカケル。
しかし彼はその瞬間、
ゴリアックアーマーの付け根にあたる
バリアの中へ飛び込み…高熱による火傷に耐えながら
とうとう最後の一撃をゴリアックアーマーに叩きこみました。

その瞬間、要塞全体が揺れ、何度も何度も大きな爆発を起こし…
ゴリアックアーマーは粉々に砕け散りました。

勝利したカケル。しかしスペクターの姿がない…。まさか。

「よくもやったなカケル!!
 お前のせいで…俺の計画は台無しだ!」
スペクターは椅子に乗り、怪我一つ負うことなく空に浮かんでいました。

「スペクター、悪あがきはよせ!遊園地に帰るんだ!」
「ふざけるな!誰があんなところに帰るもんか!
 いいか…俺は必ず戻ってくる!
 そして今度こそ世界を征服してやるぅううう!
 それまで首を洗って待ってろ!!いいな!」
「待て、スペクター!」

半分涙声になりながら、スペクターはまた、姿を消しました。

何はともあれこれで戦いは終わり…夜が明けると共に、
カケルは研究所で待っていたみんなの元へ帰りました。
「おーい!みんなーーー!」
「カケル!」
「カケル!」
「カケル君!」



それから数日後。
白い子ザルがいないことでお休みになった手品小屋の前。

「スペクターは…やがて、悪さをしにまた戻ってくるじゃろう。」
「…ハカセ、僕スペクターを探しに行くよ。」
「うむ。しかし、まだ捕まらずに残っているサル達を放っておくわけにはいかん。
 君はまず、またタイムマシンで色んな時代へ行き、
 サル達を捕らえるのじゃ。ワシがその間にスペクターの居場所を突き止めておこう。」
「うん…わかった。」

119ファイナルゲッチュ:2008/06/06(金) 18:07:19
全てのサルを捕まえたカケルの元に
ハカセからの通信が入ります。
…スペクターの居場所を掴んだとのこと。
カケルはその場所へと転送してもらいます。


「とうとう…来たな、カケル。
 お前って、本当にしつこい奴だな…」

異次元空間の中にある小さな場所。
機械やディスプレイに囲まれた、スペクターの秘密の場所のようでした。
「当たり前さ!まだ世界征服とか考えてるんだろ!いい加減にしろよ!」

「フン…。
 それよりカケル。お前に聞きたいことがある。」
「な、何だよ急に。」

今までになかった、スペクターからカケルへの疑問。

「お前、結構強いのに何でその力を他に使おうとしないんだ?」
今まではサルだった。そして急に力を得て、知能を得て
それが嬉しくてたまらないスペクターにはわからない感覚なのかもしれません。

「僕は…今のままで楽しいもん。
 それに、お前みたいなことしたらみんな困るだろ?」
「チッ…。ガキだな、お前。」
「お前が聞いたんじゃないか!」

「…まぁいい。もう一つ、聞きたいことがある。」
「もう!何だよさっきから!」
「ギャーギャーうるさい奴だな…」


スペクターが急に、さびしそうな風に呟きだしました。
「…飼育係のおじさんは…どうしてる?」

「飼育係のおじさん…って…遊園地の?」
「…ああ。」

仲間もいなくなり、たった一人になったスペクター。
その時になってやっと、何かに気づいたのかも知れません。
しかし…

「…ひょっとしてスペクター。
 遊園地に帰りたいんじゃないの?
 おじさんだって、謝ったら許してくれると思うよ?」

「馬鹿言え!言っただろ!誰があんな所!
 俺は強力な力を手に入れたんだぞ!
 この力を使えば、何でも自分の思った通りになるんだぜ…?」

知能と力がもたらしたプライドそんなことは許さない。
そんな風にも見えます。

「…そんな力、意味ないよ。
 お前はピポヘルに操られているんだ。」

「そんなもの捨てろよ、スペクター!
 そして遊園地に帰ろう!」
「ウルサイ!この力の凄さは今、お前を倒して証明してやる!」

スペクターが本気で怒り始めました。
カケルはここで、最後の約束をします。
「…もし、僕が勝ったら、ヘルメットを捨てるか?」
「…俺が、負けるわけないだろ…?」

「よーし、約束だぞ、スペクター!
 行っくぞーーーー!」

こうして人と、人の間で生まれ育ったサル。
相容れぬそれぞれの未来を担う子供同士の
最後の「追いかけっこ」が始まりました。

120実況パワフルプロ野球10:2008/06/07(土) 20:45:24
今から数十年以上昔…
プロ野球12球団に新しく4球団増え、
セ・パ8球団ずつの16球団にルールが改正された。

2000年2月。
子供のころから夢だった、
まったりキャットハンズにドラフトハズレ1位で入団し、
プロ野球選手としての人生がスタートした。
2軍からのスタートだったオレはがむしゃらにがんばった。
それから3年経ったある日…

「おい、パワプロ ちょっといいか?」
「あ、(二軍)カントクなんですか?」
「3年以内に結果を出すことができなかったら…クビだ わかったな」
「えっ、キミも言われたでやんすか!?」
そこに現れたのはメガネをかけた野球選手―
「あ、確か君は…同期入団の矢部くん」
「どうしよう…オイラ達…クビでやんす。」
「いや、こうなったらやるしかないよ!
 何が何でも1軍に上がって結果を出すんだっ!」
「そうでやんすね!オイラも本気でやるでやんすっ!!」

121実況パワフルプロ野球10 キャンプ前編:2008/06/07(土) 20:55:24
ギョ・ギョ(イベントは短いのがお好き?)

 もちろん
ニアいえいえ、全部見ます

ギョー(イベントをショートカットに設定しませんでした)

長い緑の髪をみつあみにした女性選手が歩いている
「今日、結構寒いね」
「あ、キミは確か…」
と、そこに矢部君がササッと現れる
「説明するでやんす。」
「や、矢部くん!」
「こちらが早川あおい選手でやんす。
 今季、ロッテとのトレードで我がキャットハンズに加入することに
 なったでやんす。」
「ちょっと、矢部くん?」
「ちなみにオイラやパワプロくんと同期でやんす。
 唯一の女性選手とあって人気はかなりのものでやんす。
 ちっ!………でやんす。
 ちなみにスリーサイズはオイラが握ってる情報によると
 上から順に」
矢部くんの思いもよらぬ大暴露に―
「コラッ!!何話してるの、矢部くん!!」
「つ、ついイキオイで口が滑ってしまったでやんす!」
「もう…油断も隙もないんだから。」
顔を赤らめて矢部を睨む早川―
「でもなんで矢部くんはあおいちゃんのことそんなに知ってるの?」
「昔いろいろあったでやんすよ…フッ。」
無駄に男前に決める矢部、それを見た早川は―
「意味不明ね…」
「ま、まあまあ もう練習には慣れた?」

122実況パワフルプロ野球10 キャンプ後編:2008/06/07(土) 21:06:29
主人公のキャンプでの練習の問いに対しあおいは―
「うーん、ロッテの時と比べて柔軟の割合が多いわね。
 キャンプ初日って言うのもあるのかな?」
すると主人公が知ったかぶったような顔で―
「ウチは景西コンディショニングコーチの科学的トレーニング理論に
 基づいて練習メニューを組んでるんだ。
 ケガも少なくて評判もいいんだよ。」
「景西コーチ?」
「ちょっと待って。さっきあのへんに…コーチ〜!」
と、そこにやってきたのはルックスがよく(?)、
かつメガネの下の笑顔が印象的な(?)、さわやかな(?)人だった。
「なんだい。パワプロクン?」
「紹介するね。こちらがキャットハンズのコンディショニングコーチ、
 景西 明(かげにし あきら)コーチだよ。」
恥ずかしそうに、でも笑顔であいさつするあおい。
「は、はじめまして」
「あ、キミが…はじめまして、あおいさん。
 ボクが景西です。ヨロシク。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「キミが来ると聞いて女性専用のメニューもしっかりと考えておいたので、
 安心して練習に取り組んで下さいね。」
「あ、ありがとうございます。」
「それでは。」
にこっとした笑顔で走り去っていく景西コーチ。
対するあおいはほけー、としたままつったている状態になっていた。
そこに矢部くんが―
「ムッ!?あおいちゃん、何ボーッとしてるやんすか?」
「え、な、なんでもないわよ。
 それにしてもさわやかな人ねー。」
「ま、まあいいでやんす。次に(一軍)カントクでやんすね。
 お、ウワサをすればでやんす。」
そこにやってきた一軍監督とは…?

123実況パワフルプロ野球10 キャンプ後編その2:2008/06/07(土) 21:17:38
そこにやってきた一軍監督は―
「呼んだか、矢部?」
「世渡 好夫(せわたり よしお)カントクでやんす。」
すると世渡はいきなりあおいの顔を見るなり鼻を伸ばして―
「チミがあおいクンかね。ウッシッシ。」
「よ、よろしくお願いします。」
「よろしくな、いろいろと…」
と、どこからか聞こえてくる他のチームメイトの声―
「カントクー!」
「お、呼んでるな。じゃあな。」
そして走って去っていくカントク、三人の間には変な空気が流れていた。
「…?なんだか目つきがいやらしかったわね」
「あのカントクには気をつけたほうがいいよ。
 かなりの女好きのスケベ親父だから。」
その言葉を聞いて別の意味で顔を赤らめるあおい。
「そ、そーなの!?」
「あおいちゃんのトレードもあのカントクが企てたとのウワサでやんす。
 あくまでもウワサでやんすが。」
そしてその矢部の言葉を信じるのか信じないのか少し微妙な眼をして
「ふーん、気をつけよっと。」
「現役時代はいい選手だったらしいけど。…ほんとかなあ。」
と、そこに(失礼だが)オーナーとは思えないオーナーがやってくる。
「がんばっとるかね?」
「あ、オーナー。」
矢部くんがすぐさまオーナーの紹介をする。
「キャットハンズのオーナー企業であるまったりタクシーのオーナーでやんす。」
「ほっほっ。いつもまったり安全運転!」
「出たでやんす!得意のフレーズ!!」
「業績も好調だし、我がキャットハンズも安泰だね。」
「一通りの紹介も済んだことだし練習を続けるでやんす!」
一同「オー!!」

124ロックマンゼクス 中盤イベント1:2008/06/14(土) 20:06:46
セルパンが持っていた忌まわしきライブメタル、モデルV。
だがそれはモデルVの一部にすぎないもので、
彼の本当の目的は「モデルV本体」を探し当て、その力を自らのものとするためだった。

モデルVの本体は現在、初代司令官が施したとされる封印の中にあるという。
その封印を解くためには、6つのパスコードが必要となる。
その6つのパスコードを持つのが
初代司令官によって作られたとされるX、Z、そして他4体のライブメタル。
まずはその4体の捜索のミッションにあたることになった。

サイバーエルフが大量に存在した謎の発電所エリアE
「お姉ちゃん」ことガーディアン初代指揮官のメッセージの残されたエリアF
イレギュラーによる大規模な火事現場エリアG
エールが親を亡くした事件の現場、エリアH

それぞれの事件においてエールはセルパンにより改造された存在、
ライブメタルに適合するよう改造された
擬似ロックマン「フォルスロイド」との戦いを経て…

かつてモデルXに仕えていたとされる、
4つのライブメタルとの対面を果たす。


「オレはモデルH。お前は果たして力を貸すべき存在なのか?」
「ふぅ、やっとあいつから開放されたわ、ありがとうね。私はモデルL」
「よう、助けてくれてありがとよ!オレの名はモデルF!」
「拙者はモデルP。モデルX様が行くというのならば拙者も共にゆきましょうぞ」

こうして6つのライブメタルが揃ったわけであるが、
彼ら4つのライブメタルは二つに分けられフォルスロイドに挿入されおり
もう半分のライブメタルこそ彼らが記憶していた封印を解くパスコードを持っているのだという。
そして半身のままではライブメタルは力を発揮することもできない…

4つのライブメタル回収のためのミッションはまだ、半分残されていた。

そしてミッションの中でエールはセルパンの過去も知った。
初代指揮官の元で戦っていた元ガーディアンメンバー。
発掘したモデルVに魅入られた男。
彼の目的とは…

4つ目のミッションを終え、トランスサーバーにミッションレポートを提出したエールは
そこで慌しいプレリーの声を聞く。

「ガーディアンベースがセルパンカンパニーに襲撃を受けているの、
 エール、至急ガーディアンベースへ戻ってきて!」

こうしてはいられない。
ガーディアンベースへと移動したエールは直ちに甲板に登る。

空高いガーディアンベースに近づくはセルパンカンパニーの飛行艇。
敵はすぐにやってきた。

飛行艇から巨大なコンテナがガーディアンベースへと飛んできて、
その中からどんどんとセルパンカンパニーの警備兵、ガレオンが湧き出てくる。
エールはすぐにコンテナごとそれを破壊するが
すぐにまた他の飛行艇からコンテナがガーディアンベースの甲板へとのしかかる。

しかしエール一人での抵抗も長くは持たず、
エールは目の前でガレオンらのベース内への侵入を許してしまった。

そしてそれと同時にプレリーの声がする。
「敵の部隊がベース内に向かったわ!
 ベースの最下層、動力部へ向かってる!」

エールは急いで中へと入りこみ、内部の敵を片つけながら
ガーディアンベース船底、動力室へと急いだ。

「ちくしょう…動力炉から離れろ!」

花の形をしたエネルギー体により支えられているガーディアンベース。
その動力部でプレリーの前に立ち、敵に銃を向ける男が一人。
しかし、攻撃の通用しない相手であるらしかった。

その敵とは…あの時セルパンと一緒にいた少年と少女。
プロメテ、パンドラと呼ばれた者達だった。

ガーディアン自慢の銃もパンドラのバリアの前に全て弾かれる。
「ジャマ…。」

パンドラが攻撃へ移ろうとした…そのとき。
ようやくたどり着いたエールが彼らの前に立ちふさがった。

「プレリー、大丈夫?」
「エール!」

125ロックマンゼクス 中盤イベント2:2008/06/14(土) 20:16:39
そして3人のロックマンがここに揃った。
パンドラはエールに向かって話を始める。

「来た…あの時の…少女。モデルZと…モデルXの…融合体。」
続いてプロメテが口を開く。
「さしずめ…モデルZXと言ったところか。
 ガーディアンを潰すつもりでここに来たんだが…このまま終わらせるのは惜しいな」

そしてここで、あの時出した単語がもう一度エールの耳に入る。
「『あの男』の仕組んだゲームに参加する資格があるか…もう一度試してやろう!」
「あの男の…ゲーム?」

「プロメテ…ずるい…」
「何、楽しみはとっといてやる。
 コイツがここで、アッサリやられなければの話だがな」

そして光の柱となって消えたパンドラ。
「エール…!」
「プレリー、下がってて。コイツはアタシがやっつける!」

残ったプロメテは即座に鎌を構え、エールとの戦いが始まる。

「こっちだ!」
瞬間的に消えたプロメテは空の上から現れ、斬撃を繰り出し、
斬り上げへと繋げ、また消えていく。

彼らはワープの能力に特化しているのか、
出現しては消えを繰り返すのがプロメテの戦い方の特徴だった。

「焼き尽くせ!」
動力室の中央に現れて炎を四方に撒き散らす攻撃。
炎はまた炎を発し、エールを追い詰めていく。

「楽しもうじゃないかぁあああ!」
壁も床も這い伝う光のトゲでの攻撃。不可思議な戦闘方法をとる男だった。

しかしそんな攻撃に最初こそ惑わされたエールだが、
フォルスロイド達との戦いの経験がここで生き、
攻撃を見極め的確に一撃を繰り出し、死神プロメテに膝を突かせることに成功する。

手加減していたとは言え敗れたプロメテが最初に発した言葉は…
「認めよう…お前は俺達の仲間だ!
 このゲームに参加する資格がある!」

またも「ゲーム」についてのことだった。「あの男」の。

「アタシが…お前達の仲間?
 一体何を言っているの!」
「確か…エールとか言ったな
 気に入ったぞ…!今日の所は見逃してやる」

そして空へと浮かび消えようとするプロメテ。
「ま、待て!」
「エール!もっと強くなれ!そして俺達を追って来い!
 モデルVが待っているぞ…?ハーッハッハッハッハ!」

エールはプロメテ達の仲間。あの男のゲーム。モデルVが待っている。
プロメテの言葉はエールに更なる謎を投げかけていた。

戦いが終わり、後ろの扉から再びプレリーが入ってきた。
「エール!」
「アタシは…アタシは…一体?」

「プレリー様、敵の飛行艇が離れていきます!」
「…敵は撤退しました。被害の状況を確認して下さい。
「エール…司令室へ戻りましょう」

司令室へ戻った二人。
エールは今自分がおかれている状況がよくわからなかった。
「プレリー、知っていることを全部教えて!
 アタシは何者なの?何でジルウェは私を守ったの!」

「落ち着いて、エール!私達も詳しいことは知らないわ
 あなたを守るように命令したのは…初代司令官なの。

 命令は…イレギュラー襲撃の生存者を保護すること。
 最初は、何でそんな命令を送ってきたのかわからなかったけど…
 モデルZで、ジルウェさんが変身できたとき、やっとわかったの。」

「ライブメタルで変身できるのは、イレギュラー襲撃の生存者だけ…
 そう、あなたや…ジルウェさんのようにね。
 わかっていることは…本当にそれだけなの」

イレギュラー襲撃事件の生存者…それが何かの鍵であるらしかった。

「普通のヒトとロックマンを分ける条件は一体何なのか。
 恐らく…全てを知っているのはセルパン達だけ。」

その言葉でエールの顔つきが変わった。

「…全ての答えはこの戦いの先に、ってことね
 解ったわ。ミッションを再開しよう!
 アタシが一体何者なのか…絶対に掴んでみせる!」

126ロックマンゼクス 後半1:2008/06/14(土) 21:14:34
4つのライブメタルが完全な記憶と力を取り戻すため…
エール自身が自分が何者か知るため。

再び彼女はミッションへと向かった。


大量の人間をサイバーエルフにする計画が行われていた謎の施設エリアI
奪われたデータディスクのあった巨大な海底トンネルの下エリアJ
マグマの吹き出る危険地帯で発掘部隊を防衛したエリアK
エリアHの奥に存在していた謎の巨大研究施設エリアL

2つのデータを手に入れ、セルパンの計画の手がかりを知ったエールは
4つのライブメタルの真の力を手に入れ、プレリーにそれを報告しに戻った。

データディスクの解析作業が終わると、プレリーはその中身を再生し始めた。

「お疲れ様、データディスクの解析が終わったわ。
 やっぱり…お姉ちゃんが残したデータだったの」
「ライブメタルに関するレポートだったよね
 確かメッセージがどうだとか…」

「ライブメタルの力を受け継いだ者への…
 あなたへのメッセージよ。今、再生するわ」


「ライブメタルレポート 分類No555913 〜力を受け継ぎし者へ〜
 私が作ったライブメタルを手にするであろう、選ばれし者に
 このメッセージを送ります
 私はイレギュラーを生み出す恐るべきライブメタル、モデルVに対抗すべく
 英雄達のデータをこめたライブメタル…モデルXやモデルZ達を作りました。

 けれど…ライブメタルは未知の部分が多く、
 モデルX達はモデルVの研究データを基にして作らざるを得なかったのです。

 つまり、モデルX達の真の力を引き出せる者は…モデルVの真の力をも
 使いこなすことができるということ。
 あなたは、世界を救うこともできれば、支配することもできるのです。

 どうか、その力で人々をよき世界へと導いてください…」

ここでメッセージは終わっていた。
「ライブメタルを使える者は英雄にも…支配者にもなれる。
 だから、プロメテ達はあなたを仲間と言ったのね」

考えようによっては恐ろしい真実。
しかしエールがここで自らの力を恐れることは何もなかった。
「…アタシのこの力は…みんなに託された、大切な物を守る力なんだ。
 アタシは絶対…プロメテ達のようにはならない!」

その言葉を聞いてエールに力を与えたモデルXが安心した様子で話す。
「…エール、その言葉を聞いて安心したよ。
 どうやらみんなのパスコードの修復が終わったようだ。
 これで、モデルV本体が眠る遺跡の奥に入ることができる。」

「急ごう!
 モデルV本体の発掘は相当進んでいるはずよ」
「ええ!ミッションをトランスサーバーに追加しておくわ!」


そしてエールはエリアAの奥、禁断の地エリアMへと足を踏み入れた。
「覚悟はいいか、扉を開けるぞ…!」

6体のライブメタルが次々にパスコード…封印を解く言葉を発していく。
そしてついに扉は開かれた。


異様な雰囲気に包まれたエリアM。
巨大な怪鳥の形をしたイレギュラーの出迎えのあるその場所は
生物のようにうごめく機械がひしめく…
数百年前のそのときから変わらぬまさに異界だった。

数々のトラップを潜り抜け、
最奥部へとたどり着くとそこには…


禍々しい形をした巨大な装置。これが恐らくモデルVだろう。
そしてその前に現れたのはセルパン。
世界を救うか世界を滅ぼすかの選択で、滅ぼすことを選択した者だった。

「とうとうここまでたどり着いたか…
 まさか、あの時の少女がここまでやるとは思いもしなかった
 だが…一足遅かったな。見たまえ、世界を支配する力…
 本当のモデルVの姿を!」
「!?」

「感じるかね、このプレッシャーを!
 君の持つライブメタルですら、このモデルVの前では霞んで見えるだろう!
 この力が今!全て!ついに我が物となる!」


「パンドラ…。この子は大切なお客様だ…もてなしてやってくれ」

127ロックマンゼクス 後半1:2008/06/14(土) 21:41:48
姿を現したのは少女、パンドラ。プロメテの姿はここにはなかった。

「…解った」
「いよいよプロジェクトヘヴンは最終段階に入る
 そこでしっかりと見ていたまえ…新たな時代の幕開けをな!」
「モデルZXの…ロックマン 邪魔は…させない」

杖をくるくると回転させたと思うと消え、戦闘が始まった。
彼女の戦い方もプロメテのそれと似ていた。
しかし彼のように自らの体で戦うのではない。

魔女の異名の通り、魔法のように雷や氷を自在に操っての攻撃だった。
消えては出現し落雷させ、氷の弾を撃ち、ふらふらと空を舞う。
だが今のエールは負けるわけがなかった。負けるわけにはいかなかった。

エールはパンドラの動きについて行き、攻撃を繰り出し続けた。

…ふと、二人が戦ってる間に彼らの後ろにあったモデルVが動き始めた。
しかしモデルV自体が動くのではなく
これはどうやらどこかへ移動させている様子…。

「くっ…モデルVが!」
「運命は…動き出した。滅びの運命は…誰にも止められない。
 あなたにも…セルパンにも。そう…誰にも」

そう言ってパンドラは消えた。セルパンにすら…?これはどういうことなのだろう。

そしてプレリーの通信が入る。
「ごめん、モデルVの発掘を阻止できなかった!そっちで追跡できる?」
「解った、反応を追ってみるわ…」

だがそう簡単に事は進まなかった。
「! これは…!イレギュラーの大群が出現したわ!
 イレギュラー反応が多すぎて、モデルVの動きを追うことができない!」
「セルパンのやつ、なんとしても逃げ切るつもりね!」

「…トランスサーバーにイレギュラー撃退のミッションを追加しておいたわ
 準備ができたらミッションを開始して!」
町を覆うイレギュラー。動き出したモデルV。姿を消したプロメテとパンドラ。
事態は刻一刻と悪化していた。

市街地エリアO。そこはもう火の海と化していた。
空は真っ黒な煙で覆われ、火の粉が舞う。
そして町を徘徊するおびただしい数のイレギュラー。

彼らを倒しながら彼らを指揮するリーダーとなる存在を探しに奔走するエールは
とうとう最奥部でそのリーダーに出くわす。

焼けた町、瓦礫の上に立っていた二人。プロメテとパンドラだった。

「やっぱりお前達か…プロメテ、パンドラ!」
「さぁ…クライマックスだ、エール!
 我らロックマン…力を持った者同士が殺し合う滅びの運命!
 そう…俺達は呪われた運命に魅入られた同じ仲間なんだよ!」
「アタシは…お前達の仲間なんかじゃない!」
「ううん。あなたは…私達と同じ。
 ライブメタルの真の力を引き出せる…特別なロックマン」

「セルパンはよくやってくれたよ!
 モデルVを掘り当てただけでも十分役に立った。
 だが、奴如きにモデルVは扱いきれん…
 取り込まれるのがオチだ!」

セルパンの部下だと思いきやなんと彼らが単にセルパンを利用していただけだったのだ。

「あなた達…初めからセルパンを利用していたのね!」
「…もう遅いわ。モデルVは…もうじき覚醒する」
「もう少し俺達に付き合ってもらうぞ…ロックマン…モデルZX!」

そして二人の姿が消え、彼ら二人との戦いが始まる。
二人揃った彼らの戦い方はコンビネーションを駆使した攻撃だった。

プロメテが炎を巻き上げ、パンドラは氷の像を作り出しエールにぶつける。

「さようなら…」
「もらったァ!」

極めつけはパンドラのビットによる誘導とプロメテの鎌による奇襲の二段攻撃。
滅びあう運命だと自ら言ってのけた彼らにしては恐ろしいコンビネーションで襲い掛かる。

激しい戦闘は続き、エールはかなりの苦戦を強いられた。
現時点で彼らがどの程度の力を出しているかは不明だが
とにもかくにも、戦闘はエールの優勢に終わった。

「お前達の目的は何!?何でアタシに付きまとうの!」
「…私達ロックマンは…戦い合う運命」
「フッ…フフフッ…全てを知りたければ…戦い続けろ…!
 お前も…セルパンも…そして俺達も…
 『あの男』の仕組んだゲームからは、逃れられないのさぁ!!」

こう残し、ロックマン達を戦いの場へといざない続ける者達は去って行った。

「イレギュラー達の勢いが弱まったわ…敵のリーダーを倒したのね!」
「まだ終わりじゃないよ…モデルVの場所は特定できないの?」

ガーディアンベースに戻ったエールに、いよいよ決戦の場が伝えられる。
モデルVがある場所…それは、セルパンカンパニー本社だった。

128ロックマンゼクス 最終決戦1:2008/06/14(土) 22:32:05
いよいよセルパンカンパニーへと突入する時が来た。

そこでエールの前に立ちふさがったのは、まず8体のフォルスロイド達。
しかし今のエールにとって敵ではなく、すぐに8人とも倒され
エールはエレベーターに乗り、最上階へとたどり着いた。

そこにあったのはおびただしい数のカプセル…それにはサイバーエルフが入れられていた。
モデルVの部屋には部屋を覆い尽くさんばかりの更なる数が。

そしてもちろんそこにいたのは…セルパンだ。
「何故…モデルVの覚醒にこれだけのサイバーエルフを必要とするか
 君にわかるかね?」

「それはモデルVが人々の恐怖と絶望を取り込み、
 自らの力とするからだ!」
「!?」
「さぁ…モデルV、この国の恐怖と絶望を食らい尽くせ!」

そう言ってセルパンがモデルVの欠片を掲げた瞬間、
一斉に部屋を覆い尽くすカプセルが割れ、サイバーエルフが
モデルVの中へと吸い込まれていった。

「弱き者は我らと一つになることで苦しみから解放される。
 選ばれし者、ロックマンによる人々の救済、それが
 プロジェクト・ヘヴンだ!」
「ロックマンによる人々の救済だって…?
 この国の人々を犠牲にして、それでも救いだと言うの?」

そしてセルパンの口から語られるロックマンが力を持つ訳。

「我らは多くの犠牲者から選ばれた新世界の王…その候補者なのだよ
 モデルVは滅びをもたらすものではない…進化を促すものだ!
 私は進化についていけない人々に生きる意味を与えてやろうと言っている!」

「お前はただ…過去の自分に、イレギュラーの恐怖に怯えているだけだ!
 だからヒトの上に立とうとする。そんなものが進化だと…お前の理想だっていうの!」
「理想だと!?戯言だ!
 私はこの国の人々の魂を食らうことでモデルVの力を得た!
 君もあの赤のロックマンからモデルZを受け継いだからこそ今ここにいるのだろう!?」

「犠牲なくして、ヒトに進化はない!それを証明するのが…
 我ら、ロックマンだ!」

セルパンが高らかに宣言すると共に手の中のモデルVが大きな輝きを放ち…
セルパンはそれを掌握し前へと突き出し…ロックオンした。

「最後に…君の恐怖と絶望を…最高の感情をモデルVに捧げよう!」


モデルVのロックマン、セルパン。ジルウェが敗れた相手。
それにとうとうエールが挑戦する時が来た。


「ぐはっ…!」

セルパンはエールの使う他のライブメタル同様、一時的な強化能力を持ち
そしてワープ能力さえも備えていた強力な力を持っていた。
だが戦いはやはりエールの勝利に終わった。

129ロックマンゼクス 最終決戦2:2008/06/14(土) 22:32:45
「クク…ククク…
 プロメテ達の…言っていたとおりだ…君が最後の鍵だったのだよ!」
膝をついたセルパンは意味不明なことを呟き始めた。

「君は今…とても強い感情に突き動かされている。
 この私をも超えるほどの…強い感情にだ!」

モデルVが強烈な光を発する。
その瞬間、何故かエールの変身は解除され…
そしてエールの体からどす黒い何かが放出され…モデルVの核へと吸い込まれて行った。
「変身が…解けた…今のは一体…!?」
そして辺り全体が大きな揺れに包まれる。

「君をここまで突き動かしてきた…ある感情だよ
 それは…勇気でも…正義でもない
 君の大切なものを奪った私への…そう、憎しみの心だよ!」
「え…!?」

そしてモデルVから真っ赤な触手が伸び、セルパンの体の各所に繋がれる。
「クックックック…フッハッハッハ…アーッハッハッハッハ!」

そして彼の体を持ち上げ、大きな光に包まれたモデルVの中へと導く。

「今ここに、新たな時代が始まる…!
 新たな支配者…ロックマンの時代がぁ!!」

丸い光の中からヒトの上半身らしきシルエットが飛び出る。
そしてそれは見る見るうちに巨大化し…

強烈な光を発し、収まった時にそれは姿を現した。
モデルV本体にロックオンしたセルパンだった。

「アタシが…モデルV覚醒の鍵だったっていうの…?
 それじゃあ…今までの戦いは…何のために…」
力なくただそこに立ち尽くすエール。

そのとき、彼女に声がかかる。モデルXと、モデルZだ。
「…あきらめないで」
「お前の戦いは、まだ終わってはいない」

続いて現れたのは4体のライブメタル。
「我らは、お前の復讐のために力を貸したのではない」
「ムカついた奴をぶん殴って終わりだなんて、ガキの喧嘩じゃねえんだ」
「熱くなっちゃダメ。力任せに泳いでも、水を濁すだけよ」
「例え闇の中にあろうと、目指すべき光を見失ってはならない…」

「君の力は…憎しみの力なんかじゃない。本当の勇気は…まだ君の中にある!」
「自分を…信じろ!」

エールはその言葉に励まされ、再び力を得た。
6体のライブメタルがエールの中に吸い込まれて行き…
彼女を大きな光が包み…そして。

「そうだ。アタシはあの時誓ったんだ。
 アタシが…全てを守るって」
視界を覆い尽くす巨大なセルパン。だがその前にまっすぐに立つ、
一人の小さな、しかしそれと並び立つ、一人の戦士が…そこにあった。

「ならば決めようじゃないか…新たなる支配者…ロックマンの王を!」
「アタシはそんなものにはならない!
 セルパン、お前が全てを破壊するロックマンなら…
 アタシは全てを守るロックマンになる!」

130ロックマンゼクス ED:2008/06/14(土) 22:57:59
現れた本当のモデルVの顔。憎しみの塊と言える鬼のような顔の
その額にあるクリスタル、モデルVの核。
そこにとうとうエールのセイバーが振り下ろされ…決着がついた。
「ぐはぁああっはあぁあ!」


「…終わりよ、セルパン!
 アタシはお前のようにはならない!」

動きの停止したセルパン。だが彼は突然笑い出した。
「フハ…ハッハッハッハ!
 私のようにはならない…か?まだわからないのか…?」

「我らロックマンは…モデルVを奪い合い…殺し合うために作られた…
 ゲームの駒だ…。
 最後に生き残った者が世界の支配者となる…
 あの男が仕組んだゲームの、駒なのだよ!」

あの男…。プロメテも言っていた単語だ。
「あの…男…!?」

「そうだ…!君にもあの男の血が流れている…!
 モデルVを作った…あの男の血がな…!」
「な…なんですって…!?」

「ダメだ…もう部屋が持たない…脱出しなければ!」

「滅びの運命は…変わらない、戦いは…終わらない
 人々に心がある限り…憎しみは生まれ続ける…。
 感情を生み出す心がある…限り、
 心を持つ君達こそ…真の…イレギュラー…なの…だから…!」


6つのライブメタルの力で脱出したエール。
だが…明らかにされた真実に戸惑いを隠せなかった。

「アタシには…モデルVを作った男の血が流れている…。
 アタシは…アタシの力は…世界を支配するためのものだっていうの…?」

「おいおい、あの時の言葉を忘れたのか?」
するとどこからか、暖かな赤い光が降りてきた。…ジルウェだった。

「俺の魂を受け継いで…戦い続けると言ってくれた、
 あの言葉はウソだったのか?」
「ジルウェ!…でも、アタシに流れる血は…」
「ならお前は、知りもしない男に決められた運命に従うのか?
 運命は、誰かに与えられるものなんかじゃない。
 文字通り、自分が目指す未来へと、命を運ぶことだ。」

「お前の運命は、お前だけが決められる。」
「アタシの運命は…アタシだけが決められる…」
「そうだ お前が何者だろうと関係ない、
 お前の力はお前だけの未来を掴むための力なんだ」

「セルパンが言ってた。アタシの力は…たくさんの犠牲の上にあるものなんだって。
 けど、受け継いだのは力だけじゃない。
 ライブメタルを作った、初代司令官、アタシを守ってくれたジルウェ、
 それにガーディアンのみんな…
 この世界を守って欲しいっていう願いも…みんなはアタシに託してくれたんだ!」
「なら…お前が世界を運べ。
 お前の信じる未来まで、この世界を…送り届けろ。
 それが…お前に託す最後の…運び屋の仕事だ。」
ほっとした表情で微笑んで、ジルウェは消えて行った。
そしてモデルX、Zが言う。
「エール、僕は君の勇気を信じている。
 君の作る未来を、僕は信じるよ」
「未来を作れ、未来を切り開け。
 それが…この世界に住むお前達全ての…戦いだ。」

「エールーーーー!」
降り立った場所は高速道路。
そこに、プレリーやみんなが出迎えてくれた。

「…運命に立ち向かい未来を切り開くことが…アタシたちの戦いか
 アタシには…みんなに託されたものがある。託された力がある。
 アタシは戦うよ、みんなの大切なもののために…!」


モデルVを作ったあの男。セルパンを倒しても戦いが終わらない理由。
エールにあの男の血が流れている訳。殺し合う運命のゲーム。
やがて「あの男」が動き出し、彼らはそれに巻き込まれていくこととなる…。

131大戦略1941 〜逆転の太平洋〜:2008/06/17(火) 20:12:46
1939年
ヨーロッパで勃発した第二次世界大戦…
遠く離れた地で、激しい戦闘が繰り広げられていた頃、
日本はアジア諸国に対して派兵を繰り返し、
その勢力を拡大していた。

これを危惧したアメリカ合衆国は、
対抗策として日本との通商条約を破棄、
経済制裁を発動するに至った。

資源輸入の道を絶たれ、国力を維持するための資源を
南太平洋に求めざるを得なくなった日本…。
アメリカは、太平洋艦隊を西海岸から
ハワイの真珠湾に移動させ、日本の動きを牽制する…。

1941年、日本はある決断を下した。

米国との開戦…
多大な悲劇を生み出す結末となった太平洋戦争の勃発である。
その結末は歴史の必然であったのか?
「if」
もしも、その歴史の流れが変わっていたら…?

132シャイニングフォース・イクサ:2008/06/29(日) 13:51:37
人と獣人、そして魔族の住む世界。
大陸は、人間たちの治める「ノスワルド帝国」と
魔族の領土「フィアランド」のふたつに大きく分かたれていた。
こぜりあいを起こしながらも長く共存してきた両勢力だったが、
強大な武力を持つふたりの王が各国を治めるようになってから
その対立は一気に深まっていた。
大陸の各地で戦乱が起こり、戦争が日常の風景となっていく。
そんな歪んだ世界になじめないアウトローたちが辺境に集まり、
世の中を変えようと静かに動き出していた。

ここは大陸のはずれ、人々に忘れられた土地、イルゴニア渓谷。
廃墟の点在する森で、持ち主に無双の力を与えるという
「聖剣シャイニングフォース」を探し続ける四人の姿があった。
無鉄砲な少年トウマ、騎士ガドフォール、エルフ族のメーベル、
そして彼らと距離を置いて行動する少し謎めいた少女、シリル。
ある日、朝食を終えたトウマたちは、いつもどおり聖剣の探索を始めた。
昨日までと変わりのない午前の優しい光と、のどかな渓谷のせせらぎ。
この日の出来事をきっかけに、大陸全土をゆるがす戦いと冒険の日々が
始まるとは、誰一人、予想すらしていなかった…。

133Ar ronelico 世界の終わりで詩い続ける少女たち:2008/06/29(日) 14:00:17
この世界「ソル・シエール」には、1本の塔と
1つの小さな浮遊大陸しかなかった―。

蒼空を貫く巨大な塔「アルトネリコ」。
この独特な世界を舞台に、主人公ライナーと詩魔法「ヒュムノス」を奏でる
能力を持つ種族「レーヴァテイル」の絆が織りなす感動のストーリーが
展開する。レーヴァテイルの「詩魔法」による攻撃を取りいれた斬新なバトル
システム、欲しいアイテムを自分で創り出す「グラスメルク」、
調合にも必要なアイテム「グラスノ結晶」により、
レーヴァテイルの詩魔法を強化する「インストール」や、
武器を自在にカスタマイズするパワードが出来る。
(総合カタログより)

134名無しさん:2008/06/29(日) 14:01:27
>>133
タイトルですが間違えましたorz
正しくは「Ar tonelico」ですorz

135まとめ:2008/06/30(月) 20:09:51
「どうだ?開きそうか」
「もう少しだ。これはまた…ガッチリとプロテクトかけてるな」

扉の前に立つ男たちの声。
そしてその少し後に、ピッという電子音が響いた。

「よし、開いた!開けるぞ…」
賞金稼ぎの集団ハンターキャンプの一員である男達は今、
古くからあるとされる研究所へと発掘のため来た所だった。

「なんだ、ここもハズレか?中々うまくいかないもんだ。
 一発お宝見つけて、ハンターキャンプの仲間に自慢してやろうと思ったのにな」

ドアの中へ入った男達の目に飛び込んできたのは
ガランと開いた広い部屋にある4つのカプセル。そしてその中心に…

「これは…!レプリロイドの少年!? なんだってこんな所に…」
4つのカプセルが置かれた部屋のその中央に設置され、
天井に直結した大きな、5つめのカプセルの中に謎の少年。
彼らには意味がわからなかった。

「おい、無闇に触るなって!!
 セキュリティに引っかかったら、メカニロイドどもが沸いてくるぞ!」
しかし彼の言葉はすでに遅かった。
けたたましいアラーム音が響くと共に
手をバスターパーツにした機械兵、ガレオン達が部屋へと押しかけ、
瞬く間に彼らを取り囲んだ。

そしてすぐに部屋中に沢山の銃声が鳴り響いた。
二人いたハンターの一人は悲鳴を上げ腹を打ちぬかれ吹き飛ばされ、カプセルへと激突。
それはカプセルのガラスを破損させ、カプセルを誤作動させる結果へと導いた。

そしてもう一回の悲鳴がこだましたとき、銃声は鳴り止んだ。
静寂の後、カプセルの開く機械音がし…
中の少年はマフラーのように首から繋がったコードのプラグを抜かれ、
外へと投げ出される。

衝撃で目が覚めた少年が見たのは…いくつかの死体だった。
「これは…!一体何があったんだ?!
 ここは…誰だ?僕は…誰だ? ダメだ…何も思い出せない…」

頭を抱える少年。だが、悩む時間すら彼には与えられていなかった。
少年の背後に、突如として白いレプリロイドの少女が出現する。
彼女は宙に浮いていた…ただものではない。
「き…キミは?」

ゆっくりとした、感情のこもらない言葉で少女は話し始める。
「私は…パンドラ。
 グレイ…あなたを処分する。」
「グレイ…?それが僕の名前なのか?処分って…どういうことだよ!」
「あなたは…私と同じ…ロックマンの一人。
 でも…目覚めが早すぎた。
 まだ…マインドコントロール…済んでない」

「ロックマン…?マインドコントロール…?
 一体僕に何をしたんだ!」
それに答えることなく、パンドラは雷をグレイに向かい放つ。
グレイは腰を抜かしながらも寸前で回避する。

「わぁあ!」
「失敗作は…処分する…」
グレイを追い詰めるパンドラ。
腰を抜かしたグレイはおびえながらも、近くの死体が持つ銃を見つける。
「この人の武器…まだ使える!」

それを手に持つと、恐怖を叫びながら一心不乱に銃をパンドラへ放つ。
「うわああああああああああああああああああああ!」

パンドラは冷静にその銃弾をバリアで弾く。
だが、なんとかその隙にグレイは逃げることに成功したようだ。
「はぁ…はぁ…!僕が失敗作だって…?なんだよ…何なんだよ!」

メカニロイドの蠢く広大な研究所の中を、銃一つを使い切り抜けるグレイ。
追いつけれたくない。死にたくない。

何も覚えていないその心に宿った恐怖のままに、どんどんと研究所の中を突き進んでいった。

そして研究所の出口にたどり着いた…
と思いきやそれはまだ早かった。
大きな滝にかけられた橋。それは…研究所の二つの棟を繋ぐものでしかなかった。

そしてグレイの行く手を阻む者が更に現れた。
宙に浮いた顔と両手…それは研究所に配備された巨大メカニロイドだった。

グレイを潰すべく動き始めるメカニロイド。
しかしグレイはその手へと乗り、メカニロイドの目を直接銃撃し、
その動きを停止させることに成功した。しかし…

「うぁああああああああああああああ!」
力を失ったメカニロイドは橋の上に落下。そして橋もまた崩れ…
グレイは遥か、滝の下へと落ちていったのである。

136ロックマンZXA 第二話 ライブメタル:2008/06/30(月) 21:08:34
「あれ…?ここは?」

目が覚めるとグレイは、何処だか解らない建物の中のベッドにいた。
ふと、ドアのロックが開かれ、自動的に開く。
その音にグレイは反射的に、ドアに向かい銃を構える。

「わぁああ!?おいおい、落ち着けよ!」
「僕を殺しに来たのか!」
「武器を下ろせって!君を殺す気なんかない!
キャンプの外で倒れていたのを助けてやったってのに、随分な挨拶だな!」

彼の話によると彼はハンターの一員で、ここはそのキャンプ。彼がグレイを保護してくれたらしい。
彼に複雑な事情がありそうだと察すると、とりあえずはここにいるといいと言って、
トランスサーバーのある4号棟へ来るようにと言い、外へ出て行った。

そして彼はトランスサーバーでハンターライセンスを取得した。
これにより彼はハンターの一員として登録されたことになり、
ハンターの施設への自由な立ち入りができるようになるのだという。

そして…何も覚えていない彼に生きていくために色々経験を積む必要があるとし、
彼はグレイにミッションの一つを手伝わせてみることにした。

そしてハンター達への挨拶を済ました彼はミッション先へと向かうことにした。
彼らの親切には感謝しているが…グレイには少し自信がなかった。

ミッションの内容はコンテナの輸送。
この世界を仕切る連合政府「レギオンズ」から彼らへ託された重要任務。
レギオンズが探している不可思議な物体「ライブメタル」が違法ハンターによって発見され、
違法ハンターらからハンターが押収したライブメタルを守り、レギオンズ本部へと届けるというものだ。
よって、ミッション先としてまず向かうのは、
レギオンズへ行くための足…貨物列車の待つ駅だ。

「レギオンズは数百年前の戦争の後に、各国の代表が集まって作った連合政府のことさ。
 人間とレプリロイドの為の法律を作った…要するにこの世界で一番偉い組織だ
 レギオンズのデータベースなら君のことも解るかと思って、誘ってみたんだ」
そしてミッション内容がここでグレイへと話されることとなる。
そこで出た「ライブメタル」の単語を、グレイは知っているようだった。
「コイツ…オイラのことを知っているのか?」
コンテナの中から、何かの声がした。
「…なんだ、何の声だ?」
「お前、オイラの声が聞こえるのか?」

そのとき。予期せぬ事態が発生する。
ライブメタルに、イレギュラー達が群がってきたのだ。
ハンターはそれを打ち落とすと先頭車両へ向かって行った。
「君はここで待ってろ!」

続いて現れたのは…パンドラだった。
そしてもう一人、鎌を持ったレプリロイドも。
「お前は…!」
「見つけた…ロックマンの…失敗作」

「何だパンドラ。こんなガキ一人処分できてないのか」
「ごめん…プロメテ。」
「まぁいい…さっさと処分して、ライブメタルを取り返すか」

「うっ…うるさい!何も知らないまま、殺されてたまるか!」
するとプロメテは突然、鎌を振り下ろし、衝撃波を放ってきた。
グレイは避けようとしたものの腕を負傷。
そしてなんと、後部にあるライブメタルに衝撃波が直撃、破損してしまった。

「クズが…大人しくここで死んでいろ!」
「いやだ…僕は…僕は…!」

「おい!そこのグレイっての!死にたくなかったらオイラの言うとおりにしろ!」
背後から声がする。さっきと同じ声だった。

「オイラの声が聞こえるなら、変身できるはずだ!お前に力を貸してやる!」
「だ…誰だ!」
そして声は、名を明かす。
「オイラはライブメタル・モデルA!意識を集中して、叫べ!ロックオンって!」

腕をかばい立ち上がり、叫ぶ。
「ロック…オーーーーン!」
プロメテの目が変わった。

その瞬間、背後のコンテナのライブメタルは光となってグレイへと注がれ…
光に包まれ…グレイは変身した。ロックマン・モデルAへと。
「力が沸いてくる…なんでだろう。僕はこの力を知っている…これが…ロックマンの力!」

「フハーーッハッハッハ!まさかお前がモデルAを使い変身するとは!
 いいぞ、認めよう!お前はこのゲームに参加する資格がある!」
「プロメテ…あの子は…」
「ふん、かまうものか!さて…グレイとか言ったな。モデルAはお前にくれてやる…
 これからお前の前に、何人ものロックマンが現れるだろう!ソイツらと戦い、勝ってみせろ!」

「最後まで生き残ったとき、お前は自分の正体を…世界の全てを知るだろう!
 さぁ、楽しもうじゃないか!『あの男』が仕組んだ…運命のゲームを!」

137ロックマンZXA 第二話 ライブメタル:2008/06/30(月) 21:49:54
プロメテとパンドラは姿を消した。
ふと、先頭車両の方から爆発音が聞こえた。

そう、あのハンターが向かった先だ。
「しまった!みんなを助けないと!」
「ちょっと待てよ!ここから逃げるんじゃないのかよ!」
「嫌なら変身を解け!僕だけでも行く!」

「わかったわかった!着いていくよ!
 またさっきの奴らに捕まって、どっかの遺跡に入れられるのはゴメンだぜ!
 力を貸してやるから、オイラを置いていかないでくれよ!」
「…よし、行くぞ!」

そしてロックマン・モデルAとなったグレイの初陣が始まる。

先頭車両までには多数のイレギュラーが群がっていて
最短ルートで近づくには危険な箇所も存在した。
しかし身についた大きな力の前には敵などではなく…
すぐにグレイには超えられるものだった。


先頭車両上に到着したグレイの足元から、雄叫びが聞こえ始めた。

「アオアオアオアオーーーーー!」

声と同時に赤き矢が天井を突き破り姿を現す。
赤き矢…それは強力なエネルギーを纏い上昇した、体躯のレプリロイドの姿だった。
ディアバーンと名乗るそれは、フォルスロイドと呼ばれる存在らしい。

「モデルA…!お前、掟、破った!
 ロックマン、選ばれし者!その少年、失敗作!力貸す、よくない!」
「掟も何も、オイラはお前らのことなんか知らないっての!」
どうやら、モデルAも記憶を失っていたようだ。
ディアバーンが知っている何かの記憶を。

「プロメテとパンドラ…お前、逃がした。
 でも、俺、逃がさない!
 俺、掟、従う!お前、蹴り砕く!」

戦いが始まる。
ディアバーンは炎と格闘の使い手。
出現した時のように勢いよく飛び上がったと思えば、
その空中から一気に地上へと狙いを定め蹴りを繰り出す。
そして地上では炎の矢を放ち、近距離では赤きブーメランを発射する。

まさに戦士タイプといったそのディアバーンだが、
猪突猛進のように何も考えず戦っているわけではなかった。
彼は一定の距離を置き、常に相手の出方に合わせ戦う戦いのプロだった。

初めてのまともな戦いとなるグレイには手ごわい相手だったが、
上空への飛び上がりをかわした際に弱点を発見する。
それは彼の誇りであるたてがみと立派なツノ。
背後からの攻撃や高い位置により彼は弱いのだ。

攻撃を見切り、かわし、チャンスを狙い定め、的確に射撃を加える。
そうして戦いを続け、そしてついに…
ディアバーンの体に、風穴が開いた。

胴体左半分をえぐり取るように弾丸は貫通し…
左腕が吹き飛び、床へと落ち、四散した。
「お前…裏切るか…!俺たちの…未来…!俺たちの…世界を…!」
そしてディアバーンは消滅した。

後に残された光はグレイへと真っ直ぐに吸い込まれていく。

「い…今のは?」
「へっへーん!いいこと教えてやろうか?」

すると、グレイの姿が光に包まれ…ディアバーンになった。
「これがオイラの力!コピーした相手に変身できるトランスオンだ!」

姿だけではない。どうやらこの能力によって技までの自らのものにすることができるらしい。

「お互い、記憶もない上に変な奴に追われる身だ。仲良くやろうぜ!」


列車も壊れてしまい、先へは進めそうにない。面倒臭がるモデルAを説得し怪我人を救助した後、
グレイはハンターキャンプへと戻った。


「いやぁ、助かったよグレイ。
 ライブメタルは君が持ってた方が安全だろう。
 ミッションレポート、出しといてくれないか?」

138ロックマンZXA 第4話 三賢人:2008/06/30(月) 21:50:27
トランスサーバーでミッションレポートを提出する。
これをすることでどうやら1つのミッションが完了するようだった。

「今、ミッションレポートを出したのは…君だね?
 レギオンズの専用回線をトランスサーバーに繋げる。
 そのまま、アクセスしていてくれ」

壮年の男の声が画面の向こうから聞こえてくる。
しばらくして現れたのは、3人の男の顔。

がっしりとした赤髪赤髭の男。
仮面のような顔をした、三つ目の老人。
アホ毛と糸目が特徴の、温厚そうな紳士の3人だった。

「君がライブメタルに選ばれた者…ロックマンか」
「お前達は…?」

「ハハッ、お前達ときたか!
 記憶がないと聞いていたが…本当らしいな!」
「やめないか、ミハイル。仕方ないだろう…。」
「我らはレギオンズの最高権威者…三賢人と呼ばれている者だ」

この3人こそが世界を取りまとめる機関、レギオンズの最高指導者達。
世界の頂点に立つ3人の賢者であるという。

まず名乗ったのはがっしりとした厳しそうな顔の赤髭の男。
「私は三賢人の一人、マスター・トーマス」
次に仮面のような顔をした三つ目の老人。
「ワシの名は、マスター・ミハイルだ…よろしく、ロックマン。」
最後にアホ毛の温厚そうな男。
「すまない、ミハイルはああいう性格でね…
 私は、マスター・アルバートだ。はじめまして、グレイ君」

「何で僕のことを!? 僕のことを知っているのか!」

「落ち着きたまえ。君のことは、ハンター達のレポートで知っている程度だ。
 今、レギオンズのデータベースで調べている。直に君が何者か解るだろう。」

「だが…待つだけなのも辛かろう?そこで、だ…
 君に一つミッションをお願いしたい。
 君の持つライブメタルを直接、レギオンズの本部へ持ってきてもらいたいのだ」

「レギオンズ本部へ向かう列車は、壊れてしまったそうだね…。
 そのカードキーで、新たなエリアへ行けるようになるはずだ。
 実は、キャンプからそう遠くないエリアに、違法ハンターの飛行艇が墜落している。
 その飛行艇からなら、列車の修理に必要なパーツを確保できるだろう。」

「ライブメタルには、われわれも知らない技術が使用されている…
 君をロックマンへ変身させている技術ROCKシステムや…」
「数百年の時で失われた、歴史の真実の姿とかな。」
「やめろミハイル!
 …とにかく、私達はライブメタルを調べる義務がある。
 その技術やデータを…悪用されないようにね。グレイ君。頼めるかい?」

「レギオンズまで行けば…僕が何者か、わかるんだな?」
「そういうことだ。まずは飛行艇の墜落現場を目指してくれ。」

こうして、レギオンズまで向かう旅が始まった。

139ロックマンZXA 第5話 極寒の海:2008/06/30(月) 22:27:23
ハンターキャンプから墜落現場までの道のりは二通り。
そのうちの1つのルートは、氷に閉ざされた地帯だった。

「聞こえるかね?ワシじゃ、ミハイルじゃ。またエライ所に足を踏み入れたのう…」

イレギュラーがはびこるその場所は、本当に「エライ所」だった。
足を踏み外せば極寒の海へとまっさかさま。
海の中にも大量のイレギュラーが生息し、
水中では蛸の形をした巨大メカニロイドにも遭遇した。
氷を割って進む場面ではディアバーンの能力を活用して進むことも必要になった。

そんな険しい道の奥で待ち構えていたもの。それは…
二人。青髪の小柄の少年と、赤髪の長身の少女だった。

「何だ、プロメテが面白い奴を見つけたというから見に来たが…
 テティス。お前と同じくらいのガキじゃないか」
背の高い少女が言う。
「ヒドイやアトラス。君だってそう変わらないじゃないか」
テティスと呼ばれた青髪の少年が返す。

「何だ、お前たちは…?」

すると少女は足元…凍りついた水面に拳を突きつけ叫ぶ。
「ロックオン…!」
火の粉を発し、炎を纏った。
少年は手に持っていた氷を宙へと放り投げて言う。
「ロック・オン」
水に包まれた。

そして二人とも変身した。二人ともロックマンなのだ…。
「プロメテから聞かなかったかい?君の前に何人ものロックマンが現れるって
 僕はテティス。氷のロックマン…モデルLの適合者さ」
「アタシはアトラス…炎のロックマン。モデルFの適合者だ!
 戦いに生き残った者が世界の王となる運命のゲーム…知らないとは言わせない」

「世界の王だって?なんか話が大きくなってないか?」
モデルAが素っ頓狂な声を上げる。
「何だっていいさ…コイツらに勝てば、僕は自分の正体を知ることができるんだ!」

「ゴメンね…今はまだ君と戦う気はないんだ。
 僕らにも、やらなきゃいけないことがあるからね」
「まぐれでロックマンになったような奴に用はないってことだ
 お前はここで、氷付けになってるのがお似合いさ!」

ロックマンに変身したアトラスが再び拳を地にたたきつける。
すると地響きが起こり、氷は割れ、グレイは海中へと落ちてしまった。

「シャーッシャッシャッシャ!
 時間すらも凍りつく氷点下の世界へようこそ!」
続いて現れたのはフォルスロイド。
「失敗作の貴様がロックマンを名乗るなどおこがましい!
 貴様のライブメタル…このクロノフォスが貰い受ける!」

氷の使い手、クロノフォス。
海中では想像もつかない速度での動きを見せるフォルスロイドだった。

氷の矢を発射し、自らの突進と合わせる2種の波状攻撃。
一旦下がったかと思うと子型追尾メカニロイドを発生させ、グレイを追撃する。
驚くべき速度でのスクリュー移動の後に氷の矢を全身から発しての氷のカーニバル。
そしてそれはそれだけではない。
それらは彼の特殊能力、時間操作により逆行し、逆の進路をたどりグレイにぶつかってくる。
また、タイムボムといわれる自らの時間そのものを速める恐ろしい攻撃。

水中はまさに彼の独壇場といったところだった。
だが彼の動きは非常に直線的。そして前に進むと戻ることもない。
速度にさえ気をつければ、彼のトリッキーな動きも見切るのは容易だった。

氷の矢を発しようと体を曲げたそのタイミングそのままにグレイはバスターで
クロノフォスの胴体を貫いた。
「貴様も…あの男の掌で…生かされているに過ぎん…
 せいぜい…限られた時の中であがくがいい…シャーッシャッシャッシャ…!」
発射するそのままの体勢で胸に穴を開け苦しみ、消滅した。

そして新たにクロノフォスの能力を得、彼は墜落現場へのゲートへとたどり着いた。

140ロックマンZXA 第6話 薔薇の誘惑 前半:2008/06/30(月) 23:18:11
墜落現場へのゲートにたどり着いたはいいものの、
そこは三重の扉によって塞がれていた。エレメントトラップと呼ばれるもので、
属性を持つ攻撃を部屋の奥にある水晶球に触れさせなければ開かないというもの。

まずは炎。ディアバーンの炎の矢ですぐに開いた。
次は水。クロノフォスの放つ氷の矢ですぐに開いた。
だが三つ目…雷。天井上の部屋にあり、トラップの先にあるそこにはどうしても届かず…
そして雷属性の攻撃など持ち合わせていないため、どうしても通ることはならなかった。

何か方法があるのかもしれない…
そう思いグレイはハンターキャンプと墜落現場を結ぶ、もう一つのルートへと足を踏み入れた。
彼はそのとき知らなかったが、実はこっちの方が遥かに短い距離で済む。
一つイレギュラーのいるタワーを横切るだけで済むのだから。
しかし。
「アラート!アラート!セキュリティシステムに異常発生!
 警戒レベル3を発動!外部へのルートを封鎖する!」
警告音と共に扉が封鎖される。
どうやらグレイは運が悪かったらしく、タワーの中に閉じ込められてしまったというのだ。

「おい、なんかまずくないか!?」
そして来た扉すら開かない。
どうやらタワー最上部のコンピュータを修復するしかないらしい。
緑に侵食され、古代のレプリロイドが吸収されタワーの一部と化している恐怖の塔。
そこをよじ登るのは容易なことではなかった。

イレギュラーがうようよと存在し、タワーのあちこちからトラップが出現する。
巨大なクモのメカニロイドに天井から襲われながらも、
彼はなんとか最上階へと到達した。

「ここまでたどり着くとは、違法ハンターながら見所のある男だ。
 ふっふっふ…気に入ったぞ♪
 我が茨の腕に抱かれ、我らのためにその魂散らせるがいい!」

恐らく墜落現場から逃げてきた者であろう怯えた違法ハンターを
壁へ追い詰める大きな緑色の物体が…。フォルスロイドらしい。

奇妙な回転をしながら近づくフォルスロイド。
「やめろ!」

その声に反応しフォルスロイドが振り向く。
彼はグレイに興味を示したようだ。
「ほう…甘い罠に誘われ迷い込んだミツバチがここにも…か
 中々素敵な少年じゃないか…♪ 気に入ったぞ!」
「うわぁああああああああ!」
恐怖から違法ハンターが逃げ出す。

「セキュリティを狂わせたのはお前か!ここで何をしている!」
「種を育てているのだよ 新たな世界、新たな王の礎となる種をね
 このタワーに迷い込んだ者の恐怖を食らうことで、その種は成長するのだ…」
恐怖を取り込む新世界の種…よくわからないことを言うフォルスロイド。
「見 て ご ら ん ♪
 私の名はローズパーク。君も我が胸で泣きたまえ。恐怖と苦痛の声をあげてな!」

男色の気があると思われる奇妙なフォルスロイド…ローズパークとの戦いが始まった。

戦い方も至って奇妙。ツタからツタへと渡り、雷を発射する。
そして時折地面へと落下し回転しながらグレイを追い詰める。
よけやすい攻撃であり、グレイには楽勝な相手…と思われたが
「召されよ…さらばだ!」

ローズパークの股間の角に電撃が集中し…巨大な雷撃が放たれる。
直撃を受け、グレイは一気に窮地に追い込まれる。
しかしなんとかグレイは逃げきり…ローズパークの体のど真ん中を打ち抜いた。
「君の力が…ここまで激しいものだったとは…!
 ち…散ってしまう!我が美しき花びらが!うぉおおおおおおおお!」

141ロックマンZXA 第6話 薔薇の誘惑 後半:2008/06/30(月) 23:18:41
先へと進むグレイ。
そこには不気味な巨大な物体と怯える男の姿。
そしてそこで、ローズパークの言う言葉の意味がわかることとなる。
「ひぃ、お前も俺たちの飛行艇を襲ったやつの仲間か!!
ちくしょう、やめろ、くるなーーー!
ぐあぁ、あああああああああああああああああ!」

突然男は苦しみだし、そこからドス黒い何かが放出され…背後の不気味な物に吸い込まれていった。
そして…男は息絶えた。

「な…なんだ…何が起きたんだ?」
そしてそのタイミングで何者かが現れた。
二人の男。一人は片目を髪で隠し、一人はマスクをしている。

「完全なる敗北…その男は恐怖に耐え切れず、モデルVのいけにえとなった」
「モデルV…?このでかいのが、ライブメタルだってのか!」
「データ照合…該当データアリ ロックマンモデルA 発見」
「お前たちは一体…?」
すると。

髪で片目を覆った気取った男が言う。
「ロック・オンっ!」
手にした長い棒が風を纏った。
そしてマスクの男も。
「ロックオン…」
体全てが影と消え、新たな体が現れた。

「大いなる失望…お前のような奴がモデルAの適合者とはな
 我が名はヘリオス…風のロックマン・モデルH」
「コードネーム シャルナク 闇ノ ロックマン・モデルP」

「モデルHにモデルP…こいつらがプロメテの言っていたロックマンか!」
「作戦時間超過…モデルVヲ回収スル」

どうやら彼らの目的はモデルVと呼ばれるそれの回収だったようだ。
「ま、待て!逃げる気か!」
「愚かなる間違い…我らは逃げるのではない お前を見逃してやると言っているんだ」
「現在ノ 優先目的ハ ライブメタル・モデルVノ育成ト回収
 ロックマン・モデルAトノ戦闘ハ 作戦行動ニ 含マレナイ」

そして彼らはモデルVと共に姿を消した…。
「やっと通じたようだよ。無事かい?
 セキュリティの修復を確認した、これで先のエリアに進めるはずだ」

142ロックマンZXA 第7話 墜落現場:2008/07/01(火) 22:23:42
「た、助けてくれぇええええ!
 アイツ、俺らの仲間皆殺しにする気だぁ!!」

墜落現場…油田地区。
エレメントスイッチを解除して踏み込んだグレイにしがみつき訴え始めたのは、
違法ハンターの生き残りの一人だった。

イレギュラーか、フォルスロイドか…
人命を見捨てるわけにはいかない。
飛行艇を破壊されてしまっては列車の修理はできない。
本心から目的が一致したモデルAとグレイは飛行艇へと急行する。

炎を吐く巨大な蛇のメカニロイドを退けたグレイは飛行艇の中へと入っていくと
通路の真ん中に力なくへたり込んでいる違法ハンターの生き残りを発見する。

どうやらハンターの生き残りが墜落のショックで電力が足りず、
部屋に閉じ込められているという。

まずは電力の確保から。幸い電力室の扉は開いていたため、
中へと入り、6機の装置にローズパークのトランスにより
電力を供給することで、ひとまず船内の動力は確保した。

そして残るは飛行艇内のイレギュラーの殲滅と違法ハンターの救助。
急いで各部屋を回り、イレギュラーを退治し人々を助け出す。
素直に感謝する者だけでなく飛行艇を襲った者と勘違いし怯え逃げ出す者もいたが
ひとまずは見当たる範囲は全員救出することに成功した。

残された場所はあと一つ。後部に存在する広大な貨物室。
そこに入り込んだ瞬間…なんと大きな爆発音が聞こえた。


「違法ハンターどもめ。こんな所に逃げ道を残してたか」
ふと前を見るとそこにいたのは…アトラス。
人々を皆殺しにしようとしていたのはイレギュラーではない。フォルスロイドでもない。
そう…人。ロックマンだったのだ。
「お前たちはモデルVの生贄となってもらう…ひとり残らずな!」

床を破壊し、下階へと降りていくアトラス。女性とは思えぬ…それはパワーの塊だった。
違法ハンターでも関係ない。
人の命を助けるために…、グレイは何も考えず彼女を追い、下へと落ちていった。
「待て!」

声に反応し、振り返るアトラス。
「生きていたか…ロックマン・モデルA
まさか違法ハンターを助けに来たとでも言うのか?お前の仲間でもないのに」

「僕のように…何も知らないまま傷つく人が増えていくのは見過ごせない!」
心のままに言葉を発するグレイ。それに対しアトラスは呆れたように言う。
「何も知らないんじゃない。お前たちが知ろうとしていないだけだ
 世界の歴史は戦いの歴史…人々は戦いの中にあってここまで進化してこれた。」

その言葉には…重みが感じられた。
「今世界は、これから決まるロックマンの王によって新たに進化しようとしている
 何も知らずに死ぬ者は進化についてこれなかった…それだけのことだ」
「だからってモデルVの餌にしちまうのか!随分勝手な進化だな!」
「それが間違っているというのなら、アタシに勝ってみせろ!」

そして、アトラスはまた拳を地面へと突き出す。戦いの始まりを告げる合図を。
「ロックオン!」

143ロックマンZXA 第8話 蘇る記憶 前半:2008/07/01(火) 22:46:27
モデルFへとロックオンしたアトラス。
モデルAへとロックオンしたグレイ。
運命のゲームの戦いの一つがここで始まった。

先手を打ったのはアトラス。
ルーフの上にいるグレイの真下へとすばやくダッシュし、
真上へと火炎弾を打ち上げる。

これに対しすばやく回避し床へと飛び降り、周り込みアトラスへ一撃を加え、
また素早く上へと移動していく。
だがアトラスはひるむこともなく壁を蹴り上段へ登る。

自ら近づいてきたアトラスに向かいチャージショットを放つグレイだが
それは拳を地面に突き出し出現させた炎の波により阻まれ、その波はグレイへと伝わってくる。

急いで下段へと降りたグレイにアトラスはまた火炎弾を撃つ…
しかしそれは単なる軌道ではない。異様な角度で曲がった弾道だ。
避けても今度は別の弾道。それを避けてもまた…。
時にはフェイントをかけるように2度、3度と曲がる場合さえ。

自由自在な弾道操作。
それこそがモデルFの特殊能力…バスターエディットだった。

しかし…グレイには見えていた。
彼女の闘志の如く真っ赤な、アトラスの弾道が…。

弾を避け、正面に立ち一撃を加える。
すると今度はアトラスはチャージショット…大きな火炎を放つ。
これもくぐり今度はホーミングショットで一撃。
そうして戦いを続けたがグレイの優勢。

勝負は決したかと思いきやアトラスがまたチャージを始めた。
地面を走る炎の波も、宙を浮く火炎の弾も見切った。怖くはない…

しかし甘かった…これこそがアトラス最強の技だった。
アトラスのバスターに直径1mほどの巨大な熱…エネルギーの弾…いや、「球」ができている。

「吹っ飛べ!」
そしてそれをグレイに向かって放つ。しかし直線的なその軌道では怖くはない。
即座に上段へと逃げる…しかしその「球」はまさに爆弾だった。
壁へと放たれたその瞬間、弾け飛び、沢山の弾となってグレイを襲う。
これは流石に回避しきれず、その恐るべき熱量を浴びてしまう。
恐るべき攻撃…しかしアトラスはまたその攻撃を使用しようとしている。

いちかばちか…グレイはその球へと照準を合わせ…
ホーミングショットを放った。

グレイの読みは成功。そのショットは球の発射を封じ…アトラスに隙ができた。
そこへもう片方の腕からチャージショットを放ち…
戦いは幕を閉じた。

「失敗作とはいえ…あの男が残したものには変わりはないということか…!
 …いいだろう。ここは退いてやる。
 お前に戦う意思があるなら、いつか自分の正体を知るときが来るだろう…
 きっとお前は後悔する。何も知らずに死んだ方がよかったとな!」

そしてアトラスの能力をグレイが手に入れた、その瞬間…
「ぐあぁああああああああああ!
 なんだ…どうしたんだ、モデルA…!?」

144ロックマンZXA 第八話 蘇る記憶 後半:2008/07/01(火) 23:03:22
コードAW15からCE70までを開放…
レポートデータ 展開

「…おめでとう
 私が作ったこのモデルAは戦いの中で開放されていくプロテクトを施してある。
 一つ目のプロテクトを解いた君には、真実を知る資格と力を継ぐ権利がある。」

何者かからグレイへ宛てたメッセージのようだった。
運命のゲームに勝利することは…真実を知ること。まさにその通りの仕組みが
モデルAには出来上がっていたのだ。

「私はロストテクノロジーの研究を経て、ついに新たな進化の扉を開く鍵を作り上げた。」

モデルAの展開したデータによりグレイの脳裏に、ある風景が映し出される。
それは…沢山のモデルVだった。

「…ライブメタル・モデルV これを手にした者は何者をも支配する力を手に入れるだろう。
 だが、人々が私の研究を理解するには、まだまだ時間が必要だ
 そして、モデルVを覚醒させるための生贄も…。
 私はモデルVを世界のあちこちに隠し覚醒の時を待つことにした
 私の研究を理解し、力を受け継ぐ者が現れる、そのときを…。」

メッセージはそこで終了していた。
「うう…今のは一体…?」
「モデルVと…オイラを作った奴のデータか…」

「モデルA、大丈夫か?
 この奥に逃げ込んだ人たちがいるはずだ。早く助けよう!」
失われた記憶より…グレイにはまず、目先の人命が大事なようだった。

「ひぃ!また誰かきやがった…!?
 こいつはセラミカルチタンでできたシールドだ!
 テメーの攻撃なんかにゃビクともしねーぞ!諦めて帰りやがれ!」

中へ入り込んだグレイに言うのは違法ハンターのリーダーらしき男。

「オイラ達のことをイチイチ説明すんのも面倒くせーな…
 おい、さっきのアトラスに変身しよーぜ」
「…わかった」

そしてグレイはアトラスへと変身し…
セラミカルチタンの壁へと力一杯の拳を繰り出す。

すると、いとも簡単にその壁は破られ…
中からは怯えたハンターのリーダーの姿があった。
「ひぃいいいいいいい!い、命だけはお助けをぉおお!」

…逆を言えば、アトラスの力一つでその壁は破られていたということ。
グレイが来なければ…どうなっていたかは、想像に難くない。


「いやー、助かったぜグレイの兄貴ー!
 俺らはこれから、心を入れ替えて全うなハンターとしてがんばるつもりだぜ!
 もうそろそろ列車の修理も終わってる頃だろう!」


かくして、誤解の解けた違法ハンター達の協力を経て
グレイ達はいよいよ、当初の目的地へと足を踏み入れることとなった。

世界の頂点、連合政府レギオンズ。そこでは一体…何が待ちうけているのだろうか。

145ロックマンZXA 第九話 レギオンズ強襲 前半:2008/07/01(火) 23:37:48
列車から降りた所はもはや都会の雰囲気。豪華なシャンデリア、品揃えの豊富な店、
エスカレーターエレベーターも配備された駅…ここはレギオンズの玄関口だった。

だがそう都会の雰囲気に浸っている暇もなかった…
イレギュラー達が絶えず、グレイ達を襲っていたのだから。

駅を出たグレイにはまず、歓迎するかのように爆発音が聞こえてきた。
「どこかでドンパチやってるな…
 イレギュラーに先を越されたか…?
 三賢人のおっさんにも通信が繋がらない…コイツはまずそうだぜ」
「レギオンズの本部はこの先だな…急ごう!」

破壊された広場を通り抜け、レギオンズ本部に突き進む。

巨大な建物には沢山の階段。そしてそれはイレギュラーと戦う場所としては最悪の地形となっていた。
バイクに乗り階段を駆け降りるガレオン。階段を登ったグレイを狙う銃口。

いくつもの建造物から成るレギオンズ本部。
イレギュラーの巣窟となった階段を上へ上へと駆け上がり、
今いる建物の最上階へとたどり着いた所で、
何者かが姿を現した…。マスクの男、シャルナクだ。

「目標捕捉…情報分析開始
 計画ニ従イ コレヨリ 戦闘行動ヲ開始スル 回答ノ入力ヲ」
「うへぇ…一番不気味なのが出てきたよ」
「ソノ入力ハ認メラレナイ 他ノ回答ヲ」
「僕は、自分の正体を知るためにここまで来たんだ!邪魔はさせない!」

そして、戦意を確認したシャルナクが戦闘態勢へと移る。
「回答ノ入力ヲ確認…戦闘ヲ開始スル…!
 ロックオン…。」
シャルナクが影に包まれ、戦闘が始まる。

まず手始めにシャルナクはチャージを開始する。
グレイはすぐにチャージショットを浴びせるが、その後にシャルナクは
巨大な二つの手裏剣を出現させ横と縦、2方向に投げる。
ゆっくりとしたそれは微妙に斜めになった軌道を描き飛んでいき…
壁に冷たい音を響かせ跳ね返り、部屋中を暴れまわる。
そしてシャルナクは消え…

動きをよく見てそれをかわしたグレイの前に現れ今度はクナイを一直線に投げる。
二度に分けて放たれたそれを避け、グレイは背後から撃つ。

シャルナクがまた消えたので手裏剣に備え高い位置にある足場へと移動するグレイ。
姿を現したシャルナクは今度は4方向にクナイを投げる。
そして同じく高台へと器用に爪を引っ掛け登り、また投げる。
非常に読みづらい動きをしている奇妙なことこの上ない存在といえた。

奇妙な動きに惑わされることなく、確実にチャージショットを当てるグレイ。
どうやら2発続けて当てることでシャルナクの動きを止めることができるらしい。

戦いに慣れ、今度は楽に勝利を得られるかと思われた時にそれは来た。
「捕捉…!」

突如として部屋の4方向にシャルナクが現れ、いっせいにグレイに向かい
クナイの集中攻撃を始めたのだ。

影を最大限に活用した攻撃。おそらく本体はその中の一人。
サイトを展開、2つの影にホーミングを当てるが失敗、
もう2つに当てようとするもそのときはすでに遅く、シャルナクは消えていた。
後もう少しで勝利を掴めるのにこれではらちがあかない…

そこでグレイは考えた。絞ることなど何もない。
部屋全体に照準を合わせ攻撃すればいいのだと。
またシャルナクが分身を始めた。
そしてクナイがグレイに飛んだその瞬間…
グレイは奥義、ギガクラッシュを放った。辺り一面に銃弾をばら撒くその技。
止めぬ限りは回避は不可能に等しいその銃弾の雨を食らったシャルナクは床へと落ち…
戦闘行動の終了を告げた。

146ロックマンZXA 第九話 レギオンズ強襲 後半:2008/07/01(火) 23:51:29
「ダメージ…危険域…!現状デノ 戦闘続行ハ危険…!
 …撤退…スル…!」

シャルナクにも勝利したグレイ。
その能力を手に入れると同時にまた、あの頭の痛みが彼を襲った。
「うあぁああああああああああ!」


コードCE71からFC60までを開放
レポートデータ 展開

「二つ目のプロテクトを解いた君は今、
 運命の分かれ道に立っている。
 このデータを読み進めるならばもう後戻りはできない。
 君もこの計画の一部となるのだ。」

二人目のロックマンを倒したグレイが今いるのは運命の分かれ道。
どうやらここから、内容は核心へと迫っていくらしい。

…そしてまた同じように大量のモデルVが映し出される。
「ライブメタルには適合者に力を与え、新たな生命体へと作り変える機能がある。
 ロックマンへの変身機能…いや、もはやこれは変身ではない
 進化と呼べるほどのものだ。
 モデルVを作った私は次に 進化にふさわしい適合者を選び出すことにした。
 世界中の人々から進化するにふさわしい者を見つけ出すのは不可能に近い…」

またもレポートの読み込みは進められる。
そして…この先を読んだ者は計画の一部とするしかない理由。
それは恐らくこの一言があるからであろう。

「だが…私にはできる。何故なら私は世界の全てを知る者…
 レギオンズの三賢人の一人なのだから…。」

全ての黒幕。モデルAにメッセージを込めた者。
それは今まで彼を導いてきた、レギオンズの三賢人の一人だというのだ。

「モデルVを作ったのは…レギオンズの誰か…?」
「それってつまり、裏でソイツとプロメテ達が繋がってるってことだよな…
 こうなると三賢人の奴らも信用できないぜ
 それでも行くのか…?」

「行こう、モデルA!
 僕らのことを知ってるのは三賢人だけなんだ!」

グレイは最早迷わない。
彼は、運命の分かれ道を暗い方へと進み始めた…その先に光があると信じて。

147ロックマンZXA 第10話 提案:2008/07/03(木) 18:52:07
「ええい…忌々しいイレギュラーどもめ!」
「奴らが組織的に行動するとは…信じ難い話だな」

レギオンズ本部最上階、三賢人の間。
顔を見合わせ、突如として発生したイレギュラーの襲撃に頭を悩ませていた…

「イレギュラーを組織する者がいるのかも知れませんね」
「だが、その者の狙いは何だ!全ての国家を敵にしようというのか!」
…そう、一人を除いて。

一人の男が背を向け…
「理由、ですか。」

窓から眼下の風景を見渡し呟く。
「例えば、この世界に愛想が尽きた、とか」
「何だと?」

その瞬間、その男…マスターアルバートの手から宙に浮く金属…ライブメタルのようなものが…
一つ。
「新たな支配者…究極のロックマンへと進化するため…」
二つ。
「そして、一人の科学者として、進化の行き着く先を見たいがため…ですかね。」
三つ、四つ。
それらはアルバートを囲むように回り始める。
「それは一体…!? まさか貴様…!」

「これは…提案ですよ。数百年かけて導き出した…この世界への…、提案です。」

「我ら三賢人は、三人の協議を以って公平な答え導き出すためのシステム。
 否定をするのなら、あなたがた二人で止めてみてはどうです?…そう、三賢人として。」

そこに一人の少年が張り詰めた空気のその部屋へと入ってくる。…グレイだ。

「お、おい!アレ…ライブメタルじゃないか!?」
「解かれたプロテクトは二つ。どこまでバレてしまったかな?
 早めに君を処分したかったのだけど…裏目に出てしまったようだね。」

微笑みを絶やすことなく余裕を持った表情で彼に言葉をかけるアルバート。
グレイの怒りがここで頂点に達する。
「お前を殺そうとしていたのは…お前だったのか!」
「そう、怖い顔するなよ…レギオンズへようこそ。…失敗作君。」

彼は走り出す。
「マスター・アルバートおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
照準が次々にアルバートの体に浮かび上がる。
そして銃弾を彼の体に力任せに一斉に放つ。
とてつもない速度での連射…しかし、
その弾は彼を守護するライブメタル…4つのモデルVの作り出す透明な壁により阻まれ、
笑うアルバートの顔にはかすり傷一つ負わせることもできない。

そうして…アルバートは宙に浮き始める。
「また、会えるさ…。」

勢いよくガラスが割れ、外気が部屋の中に吹き抜ける。
アルバートの体はそこと吸い込まれ…そして…
「君は私の、影なのだから。」
消えていった。

窓から見渡しても最早どこにもいない。
そしてその言葉の答えも、今見渡せるどこにも…ありはしなかった。

「…なるほど、君の話はわかった。
 我らは機械の体を持ち、数百年の時を生きる事を許されている。
 アルバートは三賢人となる数百年前に、すでにモデルVを作り上げていたのだな」

そして、トーマスからの話は続く。
「それから…グレイ君。データベースで君のことを調べさせてもらったよ」
「それじゃあ…僕のことが解ったの!?」
「君のデータはなかった…君はこの世界には存在しない者ということになる。」
「そんな…」
「君が何者かは解らない…だがアルバートは、君のことを自分の影だと言った。
 恐らく、君が現れたがために計画を早めなければならなかったのだろう。
 その理由は…解らんがね」

そして追い討ちをかけるようにミハイルが言う。
「悪い知らせだ…世界の各地にイレギュラーが現れている。
 アルバートめ、モデルVの生贄を集めるために狩りを始めおったのだ…」

自分のことも何も知らないグレイ。
そのグレイが立ち向かうは世界の全てを知るアルバート。
グレイは、自信を失っていた。
「お前のことなら、オイラが知ってるぜ
 ガキのくせに強がりで意地っ張りで、何の得にもならねえのに、
 どんなやつでも助けようとする、大馬鹿のお人よしだ!」
「…!」
「見えないとこで苦しんでる奴らはほっとくってのか!?大した正義感だな!」
「そうだ…まだ僕にはやれることがある…!行こう、モデルA!
 勝てないかもしれない…それでも、アルバート達と戦えるのは僕達だけなんだ!」

人々を助けなければならない。
人々が襲われているのはモデルVのある所。
そしてモデルVの先には…アルバートが待っている。

グレイは新たなる戦いへと飛び込んだ。

148ロックマンZXA 第11話 死のライブ:2008/07/03(木) 20:17:41
始めに向かった場所はガラクタだらけの山地。
砂が露出し、ぐちゃぐちゃとしていてスクラップと相まって非常に気持ちが悪い。

「そこはスクラップ置き場じゃ。
 捨てられた機械が山のように積み重なっておる。
 もっとも、ついこの間までは雪に埋もれていたんじゃがな」


その場所がどうして雪の全くないどろどろとした砂地になったか。
それはモデルVによってスクラップがイレギュラーと化し動き始めることで
熱が発生したからなのだという。

捨てられた機械が蠢く奇妙なエリア。
そこではスクラップそのままに動き出しているさながら機械のゾンビといったようなイレギュラーを始めとし、
奇怪なイレギュラーが数多く存在していた。

足を絡め取るようなスクラップの動き。
天井から降り注ぐ鉄屑。
レバーによる手動操作でトゲのついた破砕機を引き上げ、くぐるなど
どうにも面倒な場所だった。

その機械の墓場の奥にそれはいた。モデルVの力を使い
イレギュラーを動かしている張本人…フォルスロイドだ。

天井からの骸骨型のスポットライトが集中したその部屋の中心に…。

「イレギュラーどもをかきわけて!
 俺様のステージを特等席でかぶりつきか!?
 なかなかロックな事しやがるじゃねえか、ロックマンモデルA!」

そう。このフォルスロイドは音楽を…
ロックをこよなく愛する、熱きフォルスロイドだった。

「俺様は、コンドロック!
 モデルVに目覚めのキスをする王子様役、ってとこだ。」
「モデルV!?この奥にあるのか!」
「おっとぉ!? ここから先はVIP席だ!
 先へは行かせねぇぜ?」

そして、ステージを盛り上げる最高の一言として彼は叫ぶ。
「さぁ、ライブを始めるかぁ!
 ギターは俺様! ボーカルは俺だ!
 期待してるぜ…断末魔の!ロックなシャウトをよぉ!!」

そしてノリのいいフォルスロイド、コンドロックはその姿を消し、
ステージ上部へと移動した。
「ついてこいよぉ!?」

ギターをかき鳴らし破壊音波を発生させるコンドロックは
客席へのパフォーマンスを忘れはしない。
平行な滑空から音波を直接スクラップ…死した客へと注ぎ込み、奮い立たせるのだ。
そしてボーカルたるグレイに群がるスクラップ達。
彼らを静めたグレイに今度は音波を浴びせる。
大音量のスピーカーで鳴らされたそれはグレイの動きを制限し、
直接鳴らしているコンドロックのそれは銃弾をも弾き、
グレイの体にも直接作用する。
そしてギターをうならせての攻撃。
更にはステージ全体を大きく揺るがす最大の攻撃も。
「クライマックスぅ!!」
大音量と共に骸骨の照明が狂気に共鳴し動き始め、
観客たるスクラップ達は魂を揺さぶられ激しく蠢き…
最後には床へ落下し、
スピーカーに吸い寄せられた大量のジャンクが一斉に放たれる。
グレイには攻撃の暇がないほどの激しいライブとなっていた。

だが演奏中のコンドロックにも空中にいるコンドロックにも隙は存在する。
客を鎮め、照明を破壊した上で再びクライマックスを迎えたその直後の一瞬を突き…
コンドロックの背骨に向かい銃弾を見舞った。

背筋をえぐり取られ、そのままの体制で動きを止めるコンドロック。
「なんだよ…こんなの…ありえねえ!全然ロックじゃねえ…!!」

スクラップと言う客席の中へギタリストを飛び込ませてやったグレイは、
いよいよその先、モデルVの在り処へとたどり着く。

そこには…ライブを聴いていた者がまだいた。
「聞こえる…。
 捨てられた機械達の…メカニロイド達の悲しみ…憎しみ…怒りの声
 全てが…モデルVの…糧になる。」
「パンドラ…!」

そう。目覚めたグレイを殺そうとした少女…パンドラだ。
「あなたには…聞こえないの?世界の…この星の悲鳴が」
「聞こえるさ…聞き逃すはずがないさ!
 悲鳴の中心には…必ずお前たちがいるはずだからな!」
「この悲鳴は…あなたと…アルバートのためのもの。
 全ての運命は動き始めている…あなたの目覚めと共に」

グレイとアルバートのための悲鳴…
またもや言葉の意味を理解できない様子のグレイとモデルAに向かい
パンドラは最後にこう残し、モデルVと共に消えた。

「いつか…全てを知る時が来る
 そしてあなたはきっと…全てに絶望する。」


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