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ゲームの物語紹介スレ

22ロックマンゼクス ジルウェ戦まで:2008/03/08(土) 16:53:54
エリアD・高速道路。
走っているエールに、すぐに追いついて声をかけたのは
モデルZに変身したジルウェだった。

「お前を今まで育ててきたのはな、
 決してお前がライブメタルの適合者だからじゃない。
 それを忘れるなよ?
 それじゃ俺は先に行ってるからついて来い、エール!」

その言葉に勇気づけられたエールは、ジルウェの後をついていく。

ハイウェイでのイレギュラーとの戦い。
2度ほどヘリとの戦いや、崩れ落ちる床などに苦戦しつつも
エールは遥か先にいるジルウェを目指し進んでいった。


そしてジルウェを見つけた。…力なく倒れたジルウェを。
その周りには敵と思われる緑のスーツを着た大柄の男と
二人の少年少女。

「来たかモデルXのロックマン。
 その力、試させてもらおうか」

そう言って大柄の男はジルウェを復活させた。
暴走させた上で。

「ジルウェ!一体どうしたの!」
「エール…オレヲ…ウテ……!」

暴走させられたモデルZ…ジルウェとの戦いになる。
戦わざるをえなかった。

剣技と銃技の激突。激しい攻防。決着はつかない。
だが、突然ジルウェの上に雷が落ち、ジルウェはまた倒れる。

「モデルX、青のロックマン
 モデルZ、赤のロックマン。その程度とは残念だ」
「誰!?」

先ほどの大柄の男がジルウェの後ろにいた。

「私の名はセルパン。
 全てを支配するモデルVのロックマンだ!」
「お前が…セルパンカンパニーの社長!?」
「そうだ、よく覚えておきたまえ」

なんとセルパンカンパニーの社長こそが黒幕だったのだ。
腕が震えるエール。

「それは怒り…?それとも恐れ…?」
セルパンの傍らにいる少女が口を開く。
「…プロメテ。」
セルパンに言われ、今度は少年が口を開く。
「青のロックマン。お前のそれは勇気じゃない…
 ただの無謀だ」
「うるさい!」
バスターを放つエール。だがプロメテという少年の鎌によって跳ね返され
負傷してしまう。

「君たちのような、ライブメタルのROCKシステムで変身できる者を
 我々はロックマンと呼んでいる。
 ライブメタルに選ばれた我らロックマンこそ新たな世界の王となる者。
 だがその程度の力ならば王になる資格はない。」
今度はエールに雷が落とされ、そして倒れた。
「パンドラ。パスコードのデータだけは吸い出しておけ」

パンドラという少女から放たれたビットに
エールとジルウェのライブメタルから何かが吸い出される。

「イレギュラーに彼らを始末させたらあとはいつもと同じだ。
 人々を襲うイレギュラー、それを追ってくる警備隊。
 いつもの風景にしか見えんさ。
 この国にはもう少し…平和な日常を演じてもらおう」

これが平和な国の実態。全てはセルパンの掌の中だったのだ。

「いずれは我がライブメタル…モデルVの生贄になってもらうがね
 プロジェクト・ヘヴンを次の段階へ移す。」
そう言ってセルパンとパンドラは姿を消した。

「早速二人脱落か。
 あの男の仕組んだゲームも大したことはなさそうだ」
そう残しプロメテが最後に消えていった。

23ロックマンゼクス モデルZX誕生:2008/03/08(土) 16:55:05
エールには力が残っていない。もう死ぬしかないのか…?

「諦めるな…お前にはまだ…守るべきものがある…。
聞こえるかモデルZ… オレのことはもういい…
頼む。エールに…力を貸してやってくれ…」

「…いいんだな」

「エール……死ぬなよ…」

そしてジルウェは…死んだ。

「エール…これは最後の賭けだ。」
モデルXが言う。
「二つのライブメタルの力を君に与えれば君は復活できるかもしれない。
 だけど…君の体が僕達の力に耐えられるかどうか…。」

イレギュラー達が群がってくる。銃口を向ける。

「戦う勇気はあるか
 この男の意思を継ぎ、戦い続ける覚悟はあるか…!」
答えは一つだった。

「アタシに…もっと力を…!
 全てを守る力を…!
 アタシが…全てを守るんだ!」

そして二つのライブメタルが力を合わせ、エールに力を与え…

ここに、モデルZXが誕生した。

「エール。君に僕達の力を…」
「俺達の力を託そう。あの男の、魂と共に!」

24ロックマンゼロ3 後半:2008/03/08(土) 18:14:28
明らかになった妖精戦争の事実。
ダークエルフのコピー、ベビーエルフを大量に作り、
イレギュラーを操り殺し合わせ4年で終結させたこと。
そしてレプリロイドの90パーセント、人間の60パーセントが死に至ったこと。
最強最悪の破壊神、オメガ。
彼らを作り出した…ドクターバイル。

そしてダークエルフの真の名前。マザーエルフ。

ベビーエルフの製造工場、
そしてネオアルカディアの地下へ続く巨大エレベーター。

バイルが何かを地下で行おうとしている。
八審官を倒したゼロ達は、とうとう最後の戦いへと向かおうとしていた。

そして、医務室から飛び立ったハルピュイアもまた。

そんな時に突然オペレーターが老人じみた口調で話し始めた。

「よく調べたなドクターシエル…。
 だが少し遅かったのではないかね?」

そう、バイルだ。
最早バイルの魔の手は、レジスタンスベースにまで
及んでいたのだ。
しかし、それはベビーエルフの力などではなかった。

「今度のオメガは正に完璧だ…
 もうベビーエルフなど使わなくとも…
 この世界…全てのレプリロイドを思うがままに操れるようになったのだ!
 クーックックック…さぁ始めるとするかオメガよ。
 今こそ思い知れ…
 ワシを追放した人間どもよ!
 恐怖しろ…
 ワシを追放したレプリロイドどもよ!
 刻み込むのだ、この世界に!支配者たるワシの名を!
 我が名はドクター・バイル…世界は我が手の中にある…
 この手を握り締めるだけで…全てを終わらすことができるのだ!」

そして、ゼロ達のいる司令室にレジスタンスの団員が銃を持って集まってくる。

「新たなる世界…
 新たなる秩序…
 閉じられた歴史が再び動き始める…
 世界に刻め…我が支配者の名は…
 バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!」

ゼロの力ならすぐにでも斬り伏せることは可能だ。
だが、彼らは操られているだけのただのレジスタンス。
それにシエルのことまで守れるとは限らない。
絶体絶命…
と思われたその時。

「二人とも、動かないで!」

辺りに強力な光が発せられ、レジスタンス達はその場に倒れる。

「大丈夫…気を失っているだけだよ。
 ダークエルフの力を取り除いたんだ。
 今の僕の力じゃ…このベースの中のみんなを守るので精一杯だけど…」

そう、現れたのはエックスだった。

「遅いぞエックス。バイルは何処だ」

「ネオアルカディアの地下動力部…。
 アンダー・アルカディアだよ
 バイルはそこから、世界中にダークエルフの力を送っているんだ」
「どうやら…まともに動けるのは俺のエックスだけみたいだな
 エックス。アンダー・アルカディアの座標を教えろ」
決戦へ向かおうとするゼロ。
エックスは間を置いた後聞く。
「オメガと…戦うんだね」

「ああ。それが…なんだ」
「いや…君なら大丈夫だ。気をつけて…ゼロ」

意識を取り戻したオペレーターはバイルの居場所…
アンダー・アルカディアの座標を入力する。そして…

「転送!」

世界と、たった一人の戦いが始まった。

25まとめ:2008/03/08(土) 18:53:23
アンダーアルカディアにはオメガの姿はなかった。
すでにある場所にオメガは転送されていて、
ゼロは残されたベビーエルフ二匹、アルエットの名づけた
クリエとプリエと戦うことになった。二匹を倒した後、ベースへ戻ったゼロは
エックスからオメガのいる地の座標を聞く。

「この場所は…確か…。」

シエルが言うには、バイルのいる場所…バイルの研究所はある場所に近いらしい。

今度こそ最終決戦。ゼロはバイルの研究所へと乗り込んだ。

「ゼロぉおおおおおおおおおおおお!」

シエルの叫び声。嫌な予感がしてならないようだった。


まず待ち構えていたのは八審官。
彼らでは時間稼ぎにしかならない。彼らを倒しながら
ゼロはどんどん奥へと進んでいく。そして最奥部へ差し掛かった。

「どうだゼロ…。英雄ごっこは楽しいかね?んん…?」

巨大な脳から声がする。これはどうやらコンピュータのようだ。

「お前の下らん遊びには付き合いきれん。
 そろそろ終わりにさせてもらうぞ…!」
「下らんか…。そうだとも。レプリロイドには理解できまい。
 全てを支配するこの喜びは…人間にしかわからぬよ」

どう見ても機械じみたアーマーをつけたバイルの言葉に
ゼロは聞き返した。

「人間…だと?」
「そうとも!ワシはれっきとした人間だ。
 貴様らレプリロイドを生み出した創造主…人間様なのだよ!」
「……。」
「支配欲、とでも言おうか…。全てのものを意のままに動かす快感…
 これだけは人間様の頭脳がなければ味わうことができん…
 究極の快楽だよ…貴様らレプリロイドには理解できまい!」
「まともな人間にも理解できるとは思えんな…
 俺にはお前がただのイレギュラーにしか見えん。
 イレギュラーならば狩るまで…だ」

イレギュラーハンターとしての過去がある。
彼がその言葉を発するとバイルは待っていたとばかりに応える。

「クーックックック!
 いいぞ!!いい台詞だゼロ!さぞ気持ち良かろう!?」

そして巨大な光の柱とともに巨大なエネルギーをまとう
巨体を持つ金色の騎士…オメガが姿を現す。

「お前は楽しいヤツだったよ
 いつまでも遊んでいたいが…そろそろ消えてもらうとするか
 まだ楽しみも用意してある…最後まで楽しんでくれよ、ゼロ!」

圧倒的な闘気を発するオメガ。鞘が砕け散り、大剣が姿を現す。
戦闘開始の合図だ。

腕から発せられる巨大なビーム。目からの光の弾丸。
そしてそれに加えての大剣を用いての技。
それらを避けつつ斬りつつ、オメガの弱点、頭部に剣撃を見舞う。
激しさを極める戦闘。だがその戦闘は、
オメガの腕が力を失い千切れたことにより終わる。

「グォオオオオオオオオオ!ゼェェエエエロオオオオオオオオオ!」
「なかなかやるのう…ゼロ。だがオメガの本当の力はそんなものではないぞ
 さぁゆけい、オメガ!ダークエルフの力を解放しろ!!」

辺りが閃光に包まれる。何も見えない。そして光が収まったときには辺り一面が
巨大なエネルギーの対流に包まれていた。

破壊神が真の力を発揮したようだ。
現れたのは両肩に赤と青の顔と合わせ3つの顔を持ち
剣と砲身を構えた巨神。先ほどまでのオメガのゆうに10倍はあろうかというサイズだ。

粉々に砕け、エネルギーの流れに流木…いや、木屑のように浮く床を足場に
巨神と戦うゼロ。最早レプリロイド…いや、ロボットの域すら遥かに超える存在だ。
巨大な砲身から放たれる光柱といっていいレーザー、エネルギー球。
それらのスケールのあまりに違う攻撃をかいくぐり、ダークエルフを模した真ん中の頭部へ
ひたすら攻撃を与え続けるゼロ。何度も何度も。そしてとうとう…
巨神の腕が落ち、そして爆発を起こし…砕け、四散した。
遥か下方、奈落へと落ちていくような巨神の体。
そして轟音と光で再び何も見えなくなる。
ゼロの体も、床も何もかもが力を失い、落下していく…。

そして…辿り着いた場所は…。

26ロックマンゼロ3 オメガ最終形態:2008/03/08(土) 19:38:26
辿り着いた場所は…
ゼロが封印されていたあの研究所だった。
あの研究所こそが、バイルの研究所だったのだ。
自分が眠っていたときのこと。シエルに起こされたときのこと。
手元にあるバスターショットを手に取ったときのこと。
あの時の記憶が思い出される。

辺りは炎の海。転がるのは巨神オメガの残骸。
これで戦いは終わった…。今度こそ。



しかしそこにバイルの声がこだまする。

「クヒャーーーーーッハッハッハ!
 素晴らしいぞ、ゼロ!
 とても偽者とは思えんパワーだ!!」

バイルは狂ったことを言い出した。
ゼロをそんなに認めたくないのか…
そう思われたときだった。

何かの反応がする。それも巨大な。

…オメガの破片の中から、一本の、真っ直ぐな光柱が立ち上がる。
嫌な予感が全身を駆け巡る。

…この光景はどこかで見たことがある。
どこかで…

ここで…見たことがある……。

…まさか…。そんなはずは………。
嫌な予感が、絶望に変わる。

炎の海の中。オメガの残骸を宙へと吹き飛ばし、
現れた破壊神の本当の姿。
強大すぎる力の塊…

ワインのように濃い、血の赤と、漆黒な闇のような黒の色をしたボディ。
その姿は…紛れもなく、ゼロだった。

「お前が伝説のレプリロイド?
 おめでたいヤツよの…」

『俺が…その、ゼロなのか?』
『私たちにとっては、あなたはもうゼロなのよ』

『コイツはオメガ…存在自体が滅茶苦茶なヤツ…』

「ここで見つけたレプリロイドを
 レジスタンスの馬鹿どもが勝手にゼロと呼んだだけだ…」

ならば…ゼロと呼ばれていたものは一体…?

「お前も…確かにゼロではあるが単なるコピーだ!
 伝説の英雄でもなんでもない!
 ただのコピー…なのだよ!!!」

最強の戦士、ゼロを超える存在もまた…
100年経っても尚、血を求め続ける究極の戦士、ゼロだったのだ。
いや、オメガ…彼こそがゼロだったのだ。
イレギュラーならば斬るまでだ、という言葉に対しバイルが笑っていたのは
その意味だったのだ。
エックスがオメガとの戦いに不安を抱いていたのは
その意味だったのだ。

「クックック…
 自分がコピーとも知らず英雄を気取りおって…
 本当に笑わせるじゃないか
 オメガこそ正真正銘…本物のオリジナル・ゼロだ!
 お前はそのコピーに過ぎん!」
「オリジナルゼロが…何故…
 お前の言いなりになっている…」
「フン!ヤツは血に飢えた破壊神…
 ワシはその力を極限まで引き出せるよう改造してやっただけだ!」

そう。先ほどまでのボディはネオアルカディアへのカモフラージュに加え
オメガの圧倒的過ぎるパワーを押さえ込むための
バイルが用意した強力な拘束具だったのだ。

「さぁ…オメガ、
 いや、オリジナル・ゼロよ!!
 哀れなコピーが100年間見続けてきた夢を…
 そろそろ覚ましてやれ!!」

これこそが真のゼロ。ワイリーが求めた究極の破壊者。
武器も技もない当時さえあのシグマを圧倒した最強の戦士。
歴戦の記憶を体に刻み、技も武器も研ぎ澄まされ、
ダークエルフの強大な力を得て更なる強大な力を得た究極の敵が…
彼に襲い掛かる。

「我はメシアなり!! ハァーーーッハッハッハッハッハッハ!!!」

27まとめ:2008/03/08(土) 20:55:05
壮絶な戦いが始まった。
剣の威力、ボディの硬度、技の威力、体の素早さ…。
技にしても力にしてもゼロを遥かに超えていた。
拳を地面に突けば光の柱が立ち上がり、エネルギーが飛び散る。
バスターショットはゼロのものとは比にならないエネルギー、
そしてその後に剣撃を飛ばしてくる。
回転斬りでは衝撃が辺りを切り刻み、走りから斬り上げまでの動作には一切の無駄を生じない。
そして脅威の目にも止まらぬ7連斬。

同じ技でも全く次元が違う。
圧倒的な不利。こんなことはなかった…
かつてない最強の敵との戦いだった。
だが、そんな中ゼロを支えたのは、戦いに身を置くものとして、
仲間を持つものとしての最後の最後まで持ち続ける心…
「生きてやる」
その一心だった。
そして斬っても斬っても倒れぬオメガを相手に
ひたすらに、ひたすらに剣を浴びせ続けた。

そしてとうとう…オメガの体が爆発を起こした。

だが爆発が小さい。
オメガの動きを一時的に止めたにすぎなかった。
そんなオメガの体から浮遊し遊離する紫色の光…
ダークエルフだった。その光はオメガを照らし…
オメガの傷が塞がっていく。

「くっ…オメガを復活させる気か!」
ゼロは急いでオメガに剣を見舞おうとする。
しかし闇の波動がオメガから発せられ、ゼロは吹き飛ばされ、
膝をつく。
「大人しくしていろ…世界中の命はワシの手の中にあることを忘れるな!」
手出しができない。どうすれば…どうすれば…

そんな時、突然緑色の影が飛来し、突如としてオメガに連撃を繰り出し…
闇の波動で吹き飛ばされる。
「何をしている、ゼロ!早く立て!」

続いて赤色のレプリロイドが現れ、巨大な火炎弾をオメガに命中させる。
「オラオラァ!借りを返しに来たぜ、オメガぁああ!」

そして青い少女が現れ、オメガを槍で思い切り攻撃する。
「やられっぱなしって、性に合わないのよね!」

「お前達…」
駆けつけた三天王、ハルピュイア、ファーブニル、レヴィアタン。
彼らもまた、人間を苦しめるバイルも、
そして、ゼロが死ぬことも許しはしなかったのだ。

「バイルの言うことはただのハッタリだ…
 今の状態ではオメガは動けん!」

「くっ、ダークエルフよ、奴らを黙らせろ!」
バイルが吼える。だがダークエルフの動きが不安定になり
オメガへのエネルギーの供給をやめた。
「ゼ…ロ…。」
「どうした、ダークエルフ!」
オメガもまたそれを不審に思った。その時。

「ダークエルフの呪いが解けかかっている…
 100年前と同じだね、バイル」
姿を現したのはエックスだった。

「貴様!エックスかぁぁぁあ!」
「そうだよバイル。
 僕らは100年前も、こうしてオメガを倒し、
 貴方の野望から世界を守ったんだ。」
そう。今回のオメガは完璧だった。
エックスと当時のゼロ、二人で不完全なオメガにようやく勝ったのに、
完全なオメガがゼロ一人に敗れるわけがなかった。
だが…

「ゼロ。確かにオメガは君の体を使っているし
 君の体は確かにコピーだけど…その心は紛れもなく本物だよ…。
 さぁ、100年間の因縁を終わらせるんだ、ゼロ!!」

そう。四天王にエックス。彼と共に戦い、または彼と直に戦い、
その強さと、その心を理解した彼らにはどちらがゼロか…解っていたのだ。

「いいのか!!貴様のオリジナルボディだぞ!!
 惜しくはないのか!?一生そんな安物のボディでいいのか!!」
「君ならできるさ。
 本当に大切なのは心だとわかっているはずだから」

思えば100年…生まれてからの200年。
彼はずっと、記憶を失う前からもう一人の自分と戦っていた。
そして今。それに終止符が打たれようとしている。
「さぁ…ゼロ!!」

そしてゼロは立ち上がり、真っ直ぐに走り…
その刃で、自分の闇を断ち切った。

28ロックマンゼロ3 ED後半:2008/03/08(土) 21:20:31
もう少しの力も残っていない。
ゼロは全ての力を使い果たし、倒れていた。

「ゼロ…ゼロ………」

そしていつかのように、エックスは彼に語りかける。
しかしそれはその時のように広大な砂漠と砂嵐の中ではなかった。

「聞こえるかい…ゼロ」

それは暖かな光の中だった。

「僕はもう…この世にいることも難しくなってきたよ
 だから…
 ゼロ。君に、この世界を任せたい。」

友が最大の敵…
自分の闇を乗り越えたのを見届けた。
彼は安心して、全てを任せて、永き眠りにつくことができそうだ。

「まだバイルの魔の手は途絶えてはいない…
 でも…ゼロ。
 …君なら…できる。
 君なら…。」

そして彼の姿はおぼろ気になっていく…。

「ゼロ… ゼロ…」


その声はいつしか、エックスのものではなくなっていた。

「ゼロ…ゼロ…!」

目を開けると、そこにいたのはシエル。
彼はレジスタンスベースに帰ってきたのだ。

「誰が俺を運んでくれたんだ…」

ふと見上げると、空の上に暖かな光があった。

「ダークエルフ…いや…マザーエルフ…か」

「ゼ…ロ……。」

そしてマザーエルフは消えて行った。

「…追わなくていいのか」

「ええ。やっと開放されたんですもの。
 今はそっとしてあげましょう」


「おーい!ゼロさんが目を覚ましたぞー!」

嬉しそうにレジスタンスベースの中へ大声をあげて報告しに行く仲間。
…そう。彼にはもう、仲間がいたのだ。

「オメガのこと…エックスから聞いたわ。
 でも…私信じていたから。
 ゼロはゼロだって…。」

その言葉を聞いて、ようやく安心できた気がした。
確信が持てた気がした。
例え自分が伝説の英雄、ゼロでなくとも。
破壊神と呼ばれた力を持つ者でなくとも。

彼は立ちあがり、ゆっくりとした足取りで歩いていく。

「シエル…有難う。」

「えっ…!?」

ゼロの口からは永遠に出ないと思われていた言葉。
ゼロの正体よりよほど驚いたことだったのかも知れない。
そしてゼロはつぶやく。

「俺は…俺でしかない。
 俺は……
 …ゼロだ。」

29ロックマンDASH:2008/03/09(日) 14:37:44
はるか未来、大陸のほとんどが海に沈んだ地球…。
かつて文明を忘却のかなたに追いやるかのように、
人々は残された大地で独自の文化を形成し、生活を営んでいた。
そんな人々とは対照的に、かつての文明の遺産を掘り起こし、
それを生活の糧とする者たちが現れた。
人々は彼らを「ディグアウター」と呼ぶ。

ある日、ディグアウターであった「バレル・キャスケット」は、
遺跡で一人の赤ん坊を拾う。
彼は赤ん坊を「ロック・ヴォルナット」と名づけ、
産まれたばかりの孫娘、「ロール」と共に、育てることにした。

それから14年の年月が経つ…
大きくなったロックとロールは、
行方不明となったロールの両親の遺志を継ぎ、
ディクアウターとして旅をしていた。
両親の唯一の手がかり、「大いなる遺産」を探し求めて…。

30ナムコクロスカプコン namco X CAPCOM:2008/03/10(月) 15:26:18
10年前、東京渋谷。ある「組織」同士の戦いがあった。
一方の組織は、「ゆらぎ」と呼ばれる空間の歪み―――
異世界とこの世界を繋ぐ門を開こうとした。
もう一方の組織は、世界を混沌へと導くその「計画」を阻止しようとした。

完全封鎖された渋谷での戦いは熾烈を極め、やがて終結した。
片方の組織、政府直属の特務機関「森羅」側が、「ゆらぎ」の出現を防いだことによって。

特務機関「森羅」。
悪霊、鬼、天狗……古来より人の世に害をなす異界の存在と戦い続けていた組織。
その存在を知る者は少なく、彼らの戦いもまた人知れぬ闇のなかで連綿と続けられてきた。

10年前の「事件」から世界中で確認され始めた、異界との接点―――
「ゆらぎ」と呼ばれたそれは、ゆっくりと世界を蝕みつつあった。

そして西暦20XX年、東京渋谷。
「ゆらぎ」の発生により完全封鎖され、「閉鎖都市指定」を受けた街。

そしてそれぞれの異界から―
ある者は「ソウルエッジ」を求めて、
そしてまたある者は人格のある剣を持ち「神の眼」を探しながら、
さらにある者はディグアウトの途中で…、
またまたさらにある者は女神イシターの命を受け…

物語は再び、この街から始まろうとしていた。

それはちょうど「森羅」と「アメリカ戦略統合軍」による渋谷の調査が行われる日だった。

31サガフロンティア・クーン編 指輪その1:護りの指輪:2008/03/12(水) 22:50:39
リージョン界。
混沌と呼ばれる空間の中に沢山の世界、リージョンが存在しています。
その中の一つに、人間には噂程度にしか囁かれていないリージョン…
動物のような愛らしいモンスター、ラモックス達が住む
マーグメルと呼ばれる、枯れ果てたリージョンがあります。


その日、大きな地震がおきました。
一匹の、緑色の子供ラモックスが大きな揺れに、
なんと高台から転げ落ちてしまいました。
しかしその子はすぐに起き上がり、高台からマーグメルを見渡しました。

「僕はクーン。
 ここ、マーグメルで暮らしてる。
 マーグメルは昔、美しい世界だったとばーちゃんがいつも言ってた。
 でも、僕は生まれてからずっとこのマーグメルしか見たことがない。
 マーグメルは死にかけてるんだ…。
 全てのものには終わりがある。ばーちゃんが死ぬ前にそう言ってた。
 だから悲しむことはない…と。
 僕は小さかったからばーちゃんが何を言ってるのかわからなかった。
 それでも、ばーちゃんが死んだとき、僕は涙が止まらなかった。」

そしてクーンは土でできた階段をゆっくりと降り、
仲間たちの所に降りてゆきました。

「マーグメルが死ぬとき…僕はやっぱり泣くのかな…。」

ここマーグメルには沢山のラモックスが楽しく暮らしています。
戦いが大好きな桃色の姉妹、いつものんびり屋の黄色いラモックス。
青い仲間から長老に呼ばれていたことを聞くと、
クーンは長老のいる部屋へと入っていきました。

長老はもうおじいちゃん。しわくちゃな顔ともさもさとした尻尾で
クーンを出迎えます。

「時は尽きようとしているのだ。
 お前も知っている通り。マーグメルはもう長くは持たん。
 いや…本来ならばすでに崩壊しておるところだ。」

それなら、マーグメルを長生きさせている秘訣とは何なのでしょうか。
長老はクーンに、近くに寄るように言いました。

「この指輪を見よ。強い…魔力のこもった指輪だ。
 今は亡き種族の遺産であろう。この指輪に念を込め、
 マーグメルを支えてきたが…もう限界だ。」

長老の指から外されたのはきれいな指輪。
クーンはそれを手に取ります。

「あれ、内側に何か彫ってある…
 集める…私の弟、作るあなたの願い…」

古代文字でした。モンスターならば読めるようですが、
今は廃れている上にのんびりと暮らしてきたクーンには読めませんでした。

「”わが兄弟を集め願いをかなえよ”」

さすがは長老。その文字が簡単に読めるようです。

「この指輪に兄弟があるのならば、
 その力を集めてマーグメルを支えることが出来るかもしれん。
 この指輪をお前に託す。 兄弟を集めよ。」

そう、クーンを呼んだのは、
指輪を集める旅をさせるためだったのです。

「幸い、あるリージョンの近くに来ておる。ここから旅を始めよ。」

そう言うと、長老の足元に大きな穴が開きました。
表面が揺らいでいるその穴は、外の世界へと繋がっているようです。

そして指輪を指に通した瞬間。
クーンの姿は、緑色の髪をした人間の男の子に変わってしまいました。
でも耳と尻尾はそのままです。

さぁ、旅立ちの時が来ました。
しかしクーンは聞かずにはいられません。

「長老、どうして僕を選んだんですか?」

「夢を見たのだ…。あの夢はマーグメルが見せた夢だ。
 さあ…行け!」

「は〜い!」

ラモックスの中でも人一倍元気な子、クーンが今、
広大な外の世界へと旅立っていきました。

「クーンで大丈夫だろうか…心配だ」

32サガフロンティア・クーン編 指輪その2:商人の指輪 前半:2008/03/12(水) 23:19:24
「うわ〜!ここなんだろう?にぎやかだなー」

降り立った場所は夕方の、賑わいのある町。
スクラップと呼ばれる、治安の悪い工業地帯でした。
何も解らないクーンが、音楽に釣られて目に入った酒場に足を踏み入れると
目についたのはメカが演奏するお洒落な音楽と、
派手な装飾でした。

「人型の犬が見える…流石に飲みすぎたか」
捻り鉢巻をした酔っ払いのおじさん、ゲンさんと、
その付き添いらしいロボットのT260G。

「おれはリュートっていうんだ。♪♪スクラップの酒場で変わった奴に会った〜♪♪」
変な服と歌を披露するお兄さん、リュート。

色んな人達が集まっていましたが、
クーンは、チャイナドレスの似合うお姉さんにも声をかけてみました。
「指輪?指輪がどうかしたの?」
「指輪を探してるんだ、こ〜んなの。」

クーンは指輪をメイレンに見せました。
「偶然ね、私も指輪を探しているの。あなた、どこから来たの?」

クーンは経緯を説明しました。
そのお姉さんはメイレンという名前らしく、
指輪を研究しているらしいのです。そしてこのリージョンにある指輪が
クーンの持っている指輪に会いたがって、ひきつけたらしいのです。

「そう… 大変ね。わたし協力するわ。
 マーグメルを守りましょう。
 指輪のある場所は大体知ってるのよ。」

いきなり心強い仲間が出来ました。
「わおぅ!凄いや!それじゃすぐに集まるね!」
「どうやって集めるつもり?」
「ちょっと貸して下さい、ってお願いするんだよ!」

子供であるクーンは、人を疑うことを知りません。

「…クーン、そんな親切な人ばかりじゃないのよ。
 それに、さっきみたいに簡単に指輪を見せてはダメよ。
 悪い奴もいるんだから」
「はーい!ねえメイレン、悪い奴ってどんな奴?」
「参ったわね。じゃあ悪い奴に会いにいきましょう?
 運悪く、今度の持ち主はひどい奴なのよ」

「悪い奴かぁ…楽しみだなー♪」

リュート、T260、そして酒場を出るときに勝手についてきたゲンさんも加え、
5人は悪い奴へと会いに行きました。

33サガフロンティア・クーン編 指輪その2:商人の指輪 後半:2008/03/12(水) 23:43:52
「カバレロさん、考えは改めていただけましたか?
 いくら払えば指輪を譲っていただけますか?」

メイレンの言う悪いやつ、悪徳商人のカバレロの事務所。
そこには柄の悪そうな人やモンスターやメカが沢山いました。

「改めるのはそっちの方だよ、セニョリータ。
 俺は金なんかいらないって言ってるんだ。
 ただ、あんたと一緒に楽しい一時を過ごしたいだけさ。
 良心的な申し出だと思うがね。」

メイレンをいやらしい目で見てきます。
彼は指輪の交換条件としてメイレンに何をするつもりなのでしょう。

「…解ったわ。」

しかしメイレンは要求を呑んでしまいます。

「約束を守るような奴には見えないぜ?」
ゲンさんが言います。

「ここで押し問答をしてても仕方ないわ。
 それに、指輪はあなたにとって大切なんでしょ?クーン」
「うん!」

そしてメイレンは手下達と共に事務所の裏口から消えていってしまいました。
町の奥にある工場に向かうようです。

酒場に戻ったクーン達ですが、やっぱりメイレンのことが心配です。
メイレンを救出することにしました。

「おい、にいちゃん、工場の情報を集めてきな。お前は作戦を考えろ。」

ゲンさんがリュートと、T260Gに言います。

「メイレンの救出が最優先。主力班で正面に敵を誘導し、
 警護の薄くなった地点から救出班を潜入させます。」

T260Gはその優秀な頭脳で即座に作戦をはじき出しました。
そしてリュートも情報を得て帰ってきました。

「カバレロの工場は十字路を北に行ったところだ。
 正面は用心棒達が固めてるらしいが裏は警戒してない。」
「犬っ子とにいちゃんは裏へまわれ。正面の連中は引きつけておく。
 それじゃ、行くぞ!!」

メイレン救出作戦が始まりました。
T260Gとゲンさんは正面でカバレロの相手をします。
その隙にクーンとリュートは裏口から。
すると、いきなりカバレロとメイレンのいる部屋へとたどり着きました。

今正にカバレロにメイレンが手を出そうと…
しかし、その瞬間すぐにメイレンはカバレロを
ボコボコにしてしまっていました。
「メイレン、大丈夫?」
「別に助けはいらなかったみたいだね。」

「あはは、そんなことないわよ。
 指輪はカバレロが持ってるみたいね。」
「カバレロを追わなきゃ!」

そしてゲンさんとT260Gと合流し、
5人はカバレロファクトリーへ潜入します。

沢山の敵が待ち構えていましたが、クレーンを操作し、時には強行突破し、
5人はとうとう工場の最奥部へとたどり着きました。
「くそーーー、ここからが本番だ、行け!」

そして奥から出てきたのはなんと大きなロボット。
ヴァルカン改と呼ばれたそのロボットにクーン達は立ち向かいます。

指輪の力も用いながら、クーン達はヴァルカンを倒し、
カバレロを降参させることに成功しました。

「わかった。あんたの言うとおりにする。指輪は譲ろう。
 10000クレジットだ。」
「え、何?私の聞き間違い?0が2つ多いんじゃないの?」
「ひーー…女は怖い…」

そんなこんなで、指輪を手に入れることに成功しました。
「よかったね、クーン!」
「うん!」

そして彼らはリージョン間を航行するリージョン・シップへ乗り、
新たな地へと向かいました。

34サガフロンティア・クーン編 指輪その3:盗賊の指輪 前半:2008/03/13(木) 17:58:22
着いた場所はクーロン。
この世界を隅々まで行くためのリージョンシップの中継地点、
中心地とも言えるような場所でした。
しかしその場所は中心地とは程遠い雰囲気を持つ、
治安の悪い、ネオンの輝く夜も眠らぬ繁華街。

とりあえずこれからはこの場所を拠点とするようです。

「次はどこに行くの?メイレン」
クーンはたずねます。
すると、メイレンはぺらぺらと物凄いスピードで指輪の情報を話し始めました。

「そうね〜
 ムスペルニブルには指輪の君って呼ばれている妖魔がいるらしいの。
 それから、シュライクには指輪に関する伝説がたくさんあるでしょう
 マンハッタンで売りに出てる指輪もあったし、
 ヨークランドの富豪が指輪を持ってるって言うし、
 指輪の持ち主がリージョン間の混沌で行方不明になった噂もあるし、
 監獄ディスペアには刑期100万年の男がいて、そいつが指輪を持ってるらしいっていうし〜」

「あ〜!!!  そんなにいっぺんに言われたら分かんないよ!」

あまりにも情報が多すぎます。
とりあえず今回はその中の一つの情報から、
行き先となるリージョンシップへと乗り込みます。

長い船旅。
しかしその途中、なんとリージョンシップが大きな揺れを起こしてしまい…


気がつき、外へ出てみるとそこは…
紫、青、赤の柔らかい壁。床からはぐちょぐちょとした肉の感触。
…伝説といわれる、リージョン界を漂う巨大生物…
別名「生きたリージョン」タンザーの中でした。
リージョンシップがイカの形をしていたせいでしょうか。
クーン達はなんと飲み込まれてしまったのです。

他の乗客たちは慌てふためきます。
そんな所に、人間一人と、骸骨のモンスター一人が奥の穴から現れ、
クーン達に銃口を突きつけました。

「久しぶりのシップだな。」
「オラオラ、そこに荷物を並べろ!」
クーンはすかさず、彼らに立ち向かい、すぐに勝利します。

「く、くそー…」

すると奥の穴からもう一人…女性が姿を現しました。
「ほー、あんたら、強いね。
 この馬鹿が!
 …手荒なまねして悪かったね。どうにも気の短い連中でさ。許しとくれ。」
「うん!」
「…あんたいい子だね」

どうやら彼女達は大分前に彼女達は船ごと飲み込まれてしまったらしく、
今はここで暮らしているといいます。
「さあ、早く荷物をまとめて移動しないと。
 こいつが次に大口を開けたときに奥まで流されちまうよ。」

そんなときでした。

「この女について行ってはいかん!
 こいつはリージョン強盗団の首領ノーマッドだぞ!!」

奥の別の穴から、弁髪の格闘家らしき男が姿を見せました。
これに対しノーマッドは言い訳するつもりはなく、
この男についてくるか自分についてくるかは自由だ、と残して姿を消しました。

と、メイレンが黙っています。

「僕、クーン!変わった頭だね、病気?」
クーンは容赦ありません。
「病気じゃないさ。修行のためにこういう髪型にしてるんだ」

突然、メイレンが怒鳴りました。
「フェイオン!」
驚いた弁髪の男は振り返ります。
「メイレン!なぜここに…?」

「それはこっちのセリフよ! 何の便りもよこさないと思ったら、
 こんな所にいるなんて。京に精神修養の修行に行くなんて言って、
 ウソつき!」

メイレンは大声でまくしたてます。

「何を言ってるんだ。私だってタンザーに飲み込まれて仕方なく…」

そうです。クーン達だって飲み込まれたのは偶然。
フェイオンが飲まれたのもまた、仕方のないことのはず…ですが。

「言い訳なんか聞きたくないわ!あなたはいつもそう。修行のため、拳のため、技のためって、
 私はいつも待って、待って…」

そしてメイレンは奥へ走っていきました。
「メイレンを泣かせたな!?」

クーンが追いかけてすぐにメイレンは泣き止み、
一行はひとまずフェイオンのいる、飲み込まれた人達のいる場所へと向かいました。

35サガフロンティア・クーン編 指輪その3:盗賊の指輪 後半:2008/03/13(木) 19:19:50
「ねえ、指輪知らない?」
単刀直入にクーンはフェイオンに聞きました。

「指輪かー…あまり縁がないからなぁ」

「クーン、このハゲに指輪を見せてやって。」
「は、ハゲ!?」

クーンは指輪を見せ、事情を話しました。
クーロンで話した中には、行方不明になった指輪の持ち主の話がありました。
そして、タンザーに飲み込まれたという話も。

「ひょっとするとノーマッドが知っているかもしれないが…」

そうと決まれば出発です。フェイオンを加えた一行はノーマッドのアジトへ向かいます。

「よく来たね。来なくていい奴まで来てるけど。」
ノーマッドがアジトの奥から姿を見せました。

「今日は彼らの用件で来た。お前に尋ねたいことがある。」
「あら、偶然だね。こっちも聞きたいことがあるのさ。
 持ってるんだろう、指輪。お出しよ。」

なんとノーマッドもまた、クーンの指輪を狙っていたのでした。
恐らくはノーマッドがタンザー内の指輪を持っている。

ノーマッドはなんと、手下たちをフェイオンの所に向かわせていました。
そして、フェイオンの所にいる人達を人質に、指輪を要求してきたのです。

「おとなしく指輪を出しな。あいつらタンザーのエサになっちゃうよ。」
「ヤダ!ボク関係ないも〜ん。指輪はあ〜げない。
 こんなことするなんて、おばさん悪い人だね。」」

その一言でノーマッドは怒りました。
「お、おばさん!! キー、きざんじまいな!」

沢山の部下がクーンに襲い掛かります。
しかし、そんな彼らを物ともせず、クーン達は奥へと進み…
アジトのノーマッドの部屋へたどり着きました。

「もう来たのかい!役に立たない手下どもだよ。
 あんた達、時間稼ぎをおし!」
現れたモンスター、カモフックはノーマッド最強の用心棒です。
なかなかの手ごわい相手でしたが、指輪の力、フェイオンの力を借りて
倒すことができました。

そしてクーン達はその奥にいるノーマッドを追いかけます。
アジトから続くその道はタンザーの本体、つまり心臓に通じていました。
しかしここで予期せぬ出来事が。
なんと、ノーマッドはタンザーに飲まれかかっていたのです。

「ヒー、助けてー!!」
「あんな奴でも助けねばいかん!!」
「うん!」
そして今度はタンザー本体との戦いとなりました。
何せここはタンザーの体内。本体を守るべく周りの沢山の臓器が
クーン達を攻撃してきます。それでも頑張ってタンザーを攻撃し…
そしてノーマッドを助けることに成功しました。

そして指輪をもらいます。
「指輪をありがとう、ノーマッドさん!!」
「チッ、あたしを助けたこと後悔するよ!!」
助かったノーマッドは逃げていきました。
…と、ここで。

「あいつも少しはおとなしくなるだろう。」
「だといいわね、フフ」

「あ、メイレン笑った!」

慌ててそっぽを向くメイレンですが、どうやら二人も仲直りできそうです。


しかしここでなんと、攻撃されたタンザーが激しく苦しみ始めました。
これは危険…ですが同時に、脱出のチャンスでもありました。
戻ったフェイオンは中にいる人達を、リージョンシップへ向かうように呼びかけ始めます。
クーン達はリージョンシップ前で待機。

しかしなかなかフェイオンは現れません。
早くしないと脱出のチャンスを逃してしまいます。
…なかなか現れません。
「もう少し‥‥ もう、行きましょう。」
メイレンも諦め、リージョンシップへ足を向けたその時。
「あ、来た!」
残っていた子供たちを連れて、フェイオンがやってきました。

「フェイオン…」
「待たせたな。」
「ホントよ、どれだけ待ったと思ってるの。」

そして、みんなを乗せたリージョンシップは、無事タンザーの口から脱出することができました。

36サガフロンティア・クーン編 指輪その4:勇気の指輪:2008/03/13(木) 21:05:01
「クーン!いい知らせよ。ある指輪の持ち主が売ってくれるって。
 以前から交渉してたんだけど、なかなかうんって言ってくれなかった人よ。
 気が変わったみたいね。」

クーロンの町でメイレンが嬉しそうに声をかけてきました。
次の指輪の情報のようです。今回はすぐに手に入りそう。

行き先のリージョンの名前はバカラ。
それ自体が巨大な娯楽施設であり、
下から駐車場、ホテルフロア、カジノフロア、バーフロアに分かれています。

ホテルフロアの最上階の一室に彼はいました。

「この部屋ね…
 な、何をやってるの!」

部屋に入るなりメイレンは驚きました。
なんと、指輪の持ち主が首を吊ろうとしているのです。

「死なせてくれーーー!」
「だめだよー。」
クーンはどこまでもマイペースです。

「キャッ!」
メイレンが天井からの縄を解こうとして、手が滑ってしまいました。
「うおっ あがー!」
「大変!」

それからしばらくして、なんとか持ち主が死ぬのをとめることができました。
そして、彼の話を聞きます。
どうやら、カジノで遊びすぎて全財産をなくしてしまったというのです。
指輪を売ろうとしたのはそのせいだとか。

なのに何故死のうと…?

「…その指輪が…無いんです。」
「どういうこと!」

何者かに盗まれたようです。一体犯人はどこに……?

ふと、金庫の中からひょっこりとネズミが顔を出しました。
「ああ〜、指輪だ!」
「待ちなさい!」
「わしの指輪!」

指輪を持ったネズミとの追いかけっこが始まりました。

カジノフロアでスロットを渡り歩きます。

お客さんの足元にもぐりこみ、大騒動が起こりました。

巨大スロットに入り込み、大量のネズミのフィーバー。

そしてとうとう、バーフロアのシャンデリアにて、追い詰めることができました…
が。

シャンデリアはクーンを乗せた途端、突然下がり始め…
どんどんバカラのフロアを落ちて行き…

最下階、駐車場でシャンデリアは崩壊。
ネズミは地下洞窟へと逃げてしまいました。

どんどん洞窟の中を逃げていくネズミ。
ここには精霊も住むといいます。
そして…そこには…

一番奥でネズミは恐れ、震え上がっています。
それもそのはず。そのフロアにいたのは…
巨獣でした。

愛らしい顔をした、けれど凶暴な巨獣との戦い。
岩を投げつけてきたり、パワフルな彼もクーン達の前に敗れ去り…
そしてネズミは捕まったのでした。
「やっと捕まえたぞ!大丈夫、君には何もしないよ。」

37サガフロンティア・クーン編 指輪その5:隠者の指輪:2008/03/13(木) 21:31:48
今度は巨大刑務所リージョン・ディスペアにいる、
刑期100万年の男が持つ指輪にすることにしました。

ですがこれまで入り込む方法が見つかりませんでした。
しかし…

「ディスペアに定期的にパイプや電装関係の修理工が入るらしいわ。
 これを利用して入り込みましょう。」
「ボク、修理なんてできないよ?」
「振りだけでいいのよ。上手く入れたら、
 刑期100万年の男の所へ行きましょう。」

話していると突然、通りを紫色の、揃ったショートの髪をした女性が通りかかりました。

「ディスペアに詳しい女が、向こうの通りのレストランの前に立ってるわ。」

突然出てきた怪しい女性。この話を信用するべきでしょうか…。
ひとまずクーン達は女性の情報どおりにイタメシ屋の手前まで行ってみました。

いたのは金髪の、胸の大きく派手な服装をした若い女性。
「あなた、ディスペアに詳しいんですって?」
「ええ、まあね。」

「噂はね。ディスペアのどこかにいるらしいわ。でも、正体は誰も知らないわ。」
「そうね、大体の場所の見当はつくわ。」

そしてこの後、報酬のお金の話をメイレンと女性の間で交わし、
クーン達はその女性、アニーを仲間に加えディスペアに向かうことにしました。

「おや、今日は美人が来たね。」
「いやだもう。御世辞を言っても何もあげませんよ。」

大監獄・ディスペア。脱出した人間は数少ないと聞きます。

「いやいや。許可証確認と。はい、どうぞ。」
その時でした。

「待て。」
男性が一人、こちらに向かってきます。
…どうやら、この人こそがディスペアの所長らしいのです。

「いつもと違う作業員だな。」
「許可証は本物です。」

どうやらクーンたちを怪しんでいるようです。ただものではありません。

「そこの犬も作業するのか?」
「犬じゃないやい、クーンだよ!」

「鼻が利くんです。何かと便利なんですよ。」
クーンはすっかり犬扱いです。
「よかろう、作業は迅速、かつ、確実にな。」


所長の目もごまかし、なんとかディスペアの内部に入り込みました。
ここからはガイド役のアニーに任せ、クーン達は言われるままに進んでいきます。

内部には沢山のモンスター。どこから出てくるか解りません。
アニーによると物凄く強いモンスターも居たそうなのですが、
今回はそこには入らないそうです。

そしてとうとうたどり着いた一室。
刑期100万年の男の部屋…一体どんな人なのでしょうか。


「ご苦労だったね。やはり、ここの囚人に用があったのかね。」

…そこにいたのは、なんと所長でした。
「どうして、ばれたの…」

「君らが来たとき、これが光ってね。」
そして所長は指を見せます。
なんと…指輪でした。

「そう、私はここの所長でもあり、同時に囚人でもある。
 このディスペアすべてが私のための監獄と言ってもいいだろう。」

なんと刑期100万年の男とは、所長自身のことだったのです。

「いったい、何したの?」
「フッ。指輪が欲しいのではないのか?」
「ウン!」

そしてクーンは事情をめちゃくちゃに所長に説明します。

「そうか、まあよかろう。
 こんな所まで私に面会に来る者はそうはいない。
 持って行け。」

そして指輪は牢屋の床を転がり…、
クーンの元に届いたのでした。
所長が一体何をしたのか…それは誰も知りません。

38サガフロンティア・クーン編 指輪その6:戦士の指輪:2008/03/13(木) 22:05:07
次の指輪はシュライクの指輪伝説に関するものでした。
歴史と伝統のある、古い都市シュライク。歴史に名を残す王の中でも有名な王の一人、
済王が大事に持っていたという指輪が彼の墓に収められているというのです。

シュライクで彼らはシュライクの伝説に関する本をまず読みました。

その記述によると、済王の妻である女性は死した王に会うため、
三種の神器を祭壇に供え、扉は開かれたというのです。

そして子供たちから済王の古墳の入口を聞き、彼らは中へ入り込みます。

内部はモンスターがはびこる危険な場所。
まずは手前の方で見つかった神器、鏡を見つけ、向かいます。
しかしなんと床が開き…下階へと落ちてしまいました。
下はモンスターが一層多い階層でした…

上階へと戻り今度は仕方なく奥へと向かい、古墳最奥部にあった勾玉を見つけました。

しかしそこには神器を守る死した兵がいました。彼らと戦い、勾玉を手に入れました…

そして戻るとなんと、古墳の一室の床が光っています。それも一部だけ…

一体これは何を示すのだろう…そう思って光る床を踏むと、落とし穴になっており、
またも下階へ落とされてしまいました。

これは罠を避けるためのものだったのでしょうか…そう思ったときです。

なんとこの階の一番高い所にある祭壇に、神器の二つ目、剣が刺さっていたのです。

しかしどうやってもこれは取りにいけない。…そこでクーンは考えました。

落とし穴のどれかが、祭壇の所に落ちるものなのではないかと。

あたりでした。いくつかある落とし穴の箇所のうちの一つから、
剣のある祭壇へと落ちることができたのです。ここもまた兵が守っていました。

そして最後の神器、鏡を手に入れようとします…
しかしここはさっき落とし穴があって取れなかった場所…
しかし、今度は落ちません。剣が持つ力は落とし穴を封じるものだったようです。

そして今度もまた死した兵を倒し、
揃った神器を玄室の前の祭壇へと捧げ…
とうとう扉は開かれました。済王の部屋です。
「指輪はこの中だな!」
王の眠る墓の扉を開けると…
「シュライクを脅かす悪しき者達め、余の剣を受けよ!」

「出たな。」
ゲンさんが言います。
「何か勘違いしてるわ、あの骨。」
アニーも言います。

「骨ではない。我はシュライクの王、アメノシタシラスミコトなるぞ。」
そう、とうとう現れました…済王です。
名を馳せた古代の王…果たして勝てる相手なのでしょうか。…しかし。
「指輪だ!!」
全く危機感のないクーンは王に近づきます。
「そうか、指輪を奪いに来たのか、盗人どもめ。」

「あなた、死んじゃってるんだから、
 その指輪をしていても意味が無いでしょう。私たちに譲って。」
アニーは言います。

「指輪を集めてどうする?シュライクを支配する気か?許さんぞ!」
王は怒ります。

「違うよ。マーグメルが壊れちゃうんだ。ボクの故郷が消えちゃうんだ。」
「リージョンが無くなるというのか?馬鹿げた作り話を。」
王はクーンの話を信じようとしません。
「クーン、危ない!!」

しかしその時…済王とクーンの、二つの指輪が共に光りだしました。
そして…

指輪が見せたのは、マーグメルの風景でした。
今にも滅びそうな赤茶色の大地。萎れた木、水があった場所もマグマに変わり…
それでも懸命に、楽しく生きるラモックスたち。

「今のは、何?!」
「指輪が語り合った… お前の言葉は真実だな。
 よかろう、この指輪はお前に預けよう。」
「ホント! ありがとう!!」
「ただし、余も指輪の行く末を見届けたい。お前達と行くぞ。」
「ウン!」
そして、心強い仲間が増えました。

「死体と旅するのか…」
アニーがぼそっと言います。
「死体ではない!余はシュライクの」
「王様だ!!」

この二人、結構気が合うのかもしれませんね。

39サガフロンティア・クーン編 指輪その7:命の指輪:2008/03/13(木) 22:39:29
おいしいお酒を作ることでも知られる田舎町…ヨークランド。
実はそこはリュートの故郷でもあります。
そこの富豪が、今回の指輪の所持者らしいのです。
「アニキー!俺も連れてってくれよー!」
巨体の怪物、サンダーがリュートの帰りを待っていました。
「おー、解ったよサンダー。お前もついてこい!」

予期せぬタイミングで新しい仲間、サンダーを加えると
一行は富豪の邸宅に入ります。
「あなた方も娘を助けに来てくださったのですか?」
「うん!」

しかしどうやら富豪の娘は今病気の身だといいます。
「もう、どんな方でも構いません。今も一人来ているのですが…」
娘のいる部屋の方を見つめる富豪。そのドアから、
一人の男が猛スピードで飛び出し、
クーンの後方の入口から逃げていきました。

「俺の手には終えねえ!!」
「…とまぁこんな具合で。」
「何が起きるんだろう!?楽しみだなー♪」
そして富豪の娘さんの部屋へと入ります。
そこには苦しそうな娘さんの姿。まだクーンと同じくらいの歳でしょうか。
そのときです。

「この人間の命は私のもの…
 邪魔はさせぬぞ…!」
そう、この子の病気はただの病気ではありません。
恐るべき妖魔…病魔モールに取り付かれたことによる、吸血でした。

術を用い、不老不死の体を持ち、強い者ほど美しい姿を持つとされる種族…妖魔。
下級妖魔である、美しいか醜いか…というより人間とは程遠い外見をした
下級妖魔であるモールですが、恐ろしい戦闘能力を有しており、
とても敵いません。追い詰めましたが、すぐに逃げられてしまいました。
「いまのなんだろう?」
「取り付かれてるみたいね」

「指輪を入手後退却するのが最善です」
T260Gは冷酷な判断を下します。しかし…助けないわけにはいきません。
「待って!指輪の力が、この子を生き永らえさせているのかも知れない。」
メイレンが言います。
「マーグメルみたいに?」

「クーン…クーロンに行きましょう。病気に詳しい妖魔がいたはずだわ。」

クーロン、裏通り…治安の悪化が激しく、汚い無法地帯。
地下水路にはモンスターもはびこるその場所…。
薄暗い病院の中。患者と思われた骸骨が倒れ、ケタケタと笑った後呼び出された先に…彼はいました。

「君が患者か?」
黒く、前に垂らした髪と、蒼白な肌…そして白衣を着こなす、美形の医者。
妖魔医師ヌサカーン。モールとは違うその外見は…恐らく上級妖魔と思われます。
そしてクーンは事情を話します。
「…往診は行わないことにしている。例外はあるが。」
「相手は大富豪。報酬は望みのままよ」
「報酬か…興味深い患者だな。」
己の興味のみで動くのが上級妖魔という生き物…。ヌサカーンが加わりました。

そして再びヨークランド、富豪の家にて。
「よろしくお願いします。」
「まずモールをこの娘に取り付かせる。そうすれば簡単には逃げ出せない。
 そこで処置をする。取り付かせる前にダメージを与え過ぎれば、
 モールは逃げる。だが、ある程度のダメージを与えておかないと娘の生命力が持たないぞ。」

つまりはモールをある程度痛めつけた上で娘に取り付かせ、
その後で攻撃し、倒すというもの。
「この人間の命は私のもの…邪魔はさせぬぞ…」

そして「治療」という戦いが始まり、
モールは娘に取り付き…そしてその時を見計らい攻撃を加え、そしてモールは倒れました。

「やったー!!」
クーンの喜びの声。同じく富豪の娘が目を覚ましました。
「おとうさん!」

「ハイ、これ!」
「その指輪は!それを渡してはお前が…」
「もう大丈夫よ、おとうさん。それに、夢の中で
 この指輪が兄弟達に会いたいって言ったの。
 クーンが持ってるのよね、この指輪の兄弟を。」
「ウン!」

「良かった、良かった…!」
富豪は本当に嬉しそうです。そしてここにも一人…。

「ホントによかった…」
そういえば、アニーには養子に出した妹がいたとの話を
聞いたような気がしました。この子はもしかして…?

40サガフロンティア・クーン編 指輪その8:策士の指輪:2008/03/13(木) 23:13:30
リージョン界を統べる3つのリージョンからなる統治組織・トリニティ。
その中の一角、大都会マンハッタンにその指輪はあるそうです。

海に浮かぶ超高層ビル街に囲まれたお洒落なショッピングモール。
若い男女に人気のその中のアクセサリーショップにそれはあります。
以前はあまりに高くて手が出なかったその指輪が今なら買える。
クーンは指輪を買いに店へと足を運びますが…
「残念ながら、その指輪でしたらすでに
 オウミの領主様がお買い上げになりました…。」

オウミ。軍港ネルソンへ通じるシップを出す唯一のリージョンにして、
オウミ自体は綺麗な浜辺で有名な港のリージョンでもあります。

そこもまたお洒落で綺麗な町。
クーン達はそこに向かい、領主に話をつけてみることにしました。
「帰ってきてきておくれ…愛しているんだ…」
花びらの舞う水面にかかる橋の上で独りつぶやく、
綺麗な服に身を包んだ男性を気にせずに。

広い花畑に囲まれた大きな屋敷。
羅針盤をかたどったエントランスホールでクーン達は
領主に会いました。
「これはこれは、私に何か御用ですかな?」
もさもさとした赤い髪と髭、そしてメガネ。
屋敷の雰囲気に似合わぬ男が姿を現しました。
「マンハッタンで指輪を買われたそうですね。」
「それが何か。」
「その指輪を譲っていただけませんか。」
メイレンは言います。

ですが領主はそれを聞くと態度が変わりました。
「ほーほー。あなた方も指輪を集めておられるのですか。」
「うん!!」

そして領主は言いました。
「では、あなた方の集めた指輪を頂きましょうか。」
「なんですって!?」

「そう…これは罠。」
ホール中央の床が抜けます。
「そしてこれは、落とし穴。」
クーン達は遥か地下へと落とされてしまいました。
「ふふふふ、指輪は後で回収しよう。」

「いててて、なんかヤバそうな場所に落とされたわね…
 あれ。クーン、どこ?」
薄暗い屋敷の地下。明かりはなく、長いこと手入れされていないであろう
ボロボロになった床や装飾が目に付きます。
「ワオ!どきどきしちゃった…」
「もう、クーンったら。さあ、早くここから出ましょう」

そこはモンスターの巣といっていい状況でした。
色んな種類のモンスターが彼らを襲い、戦いに勝ちながら
彼らは上を目指します。

上への階段、恐らくもう地上も近いでしょう。
そこになんと巨大なイカが通せんぼをしています。
かなり強そうです…何か対抗する手立てがあれば…。

ふと、すぐそこにあった部屋から水の音が聞こえ、入ってみると
なんとそこには海に繋がる水路がありました。
綺麗だなー…と眺めていると…なんと。

「高貴なお方の匂いがします…」
黒い肌をした、美しい人魚が現れました。

名はメサルティムといい、ヌサカーンの気配を感じ現れたそうです。
「ご協力できることならば、何でもさせていただきます…」

メサルティムを加え、巨大イカ、デビルテンタクラーとの戦いへ入ります。
彼女の協力もあり、クーン達は難なくそれを倒すことができ、
とうとう屋敷の地上階へと戻ることができました。

領主は懲らしめねばなりません。部屋へ行ったクーン達は、
そこで領主の正体を見ます。

「お前、あのイカの化け物を倒したのか!! ヒー、許してくれ!!」

そして領主は本当の姿を現しました。
小さな、小悪魔のような…それでいて少し太った、卑しい下級妖魔でした。

「なんだ、妖魔だったんだ。」
「指輪は頂くわよ。どうせ、店の人をだまして手に入れたんでしょう?」
「く、くそー。
 おい、この女に気をつけるんだな。
 指輪を狙ってる奴に、ロクなのはいないぜ!」
「あんたと一緒にしないでくれる?」

そして領主を騙っていた妖魔は姿を消し、
彼らは策士の指輪を手に入れることに成功しました。

一体本物の領主はどこに…?

41サガフロンティア・クーン編 指輪その9:神秘の指輪:2008/03/14(金) 20:58:17
そして最後の指輪の持ち主の話をメイレンから聞きます。

最後の指輪はここ、
炎と氷が支配する、幻想的なリージョン…
ムスペルニブルにありました。

そのムスペルニブルに建つ、大きな大きな館。
妖魔の中でも上級中の上級。
3人の「妖魔の君」のうちの一人、
「指輪の君」ヴァジュイールが持つものでした。

小金色に煌く内装。1階の左右と2階の左右にあわせて大きな4つの扉…
その先にそれぞれ扉が2つづつ…計8つの扉があります。

そして2階の中央にある巨大な扉から奥へ突き進むと長い長い階段があり、
その先の、天井まである大きな扉を潜った先に…

燃え盛る炎を映す大きな窓を背に、
黒くウェーブのかかった長髪が特徴の、長身の…館の主が現れました。
巨大な魔物を基に作ったような椅子に深く腰掛けています。
彼こそが…ヴァジュイールです。

「おお、指輪の挑戦者か。久しぶり、久しぶりだな。」
重々しい空気の中、最後の指輪の持ち主は指をかざします。

「見よ。この指輪が欲しければ奪い取れ!
 しかし、それ相応の力の無い者の挑戦は許さん。」

やはり、条件があるようです。

「我が宮殿には8つの小部屋がある。
 それぞれの部屋は対応する指輪を持つ者に扉を開く。
 部屋の謎を解き、鍵を集めよ。
 8つの鍵が揃ったとき、挑戦の扉が再び開かれる。健闘を祈るぞ!」

そして扉は閉じられました。
先ほどのホールにあった4つの扉の先にある8つの試練。
それを乗り越えて初めてヴァジュイールへの挑戦権が得られるのです。
ヴァジュイールにその様子を鑑賞されながら、
クーンたちの挑戦が始まりました。

護りの間ではモンスターを封じる9つの墓から鍵の入ったものを探し出し…

商人の間ではヴァジュイールの趣味で開催されている恐怖のクイズ番組、スーパーハイ&ローを勝ち抜き…

盗賊の間ではモンスターの駆け回る迷路からすべての金袋を持ち出し…

勇気の間では一面の針山の上の、透明な床を踏み外すことなく渡りきり…

隠者の間では沢山の樽を移動し続けるネズミを、探し当て…

戦士の間では3種のモンスターと、クーンをあわせた4つのチームによるトーナメントを勝ち抜き…

生命の間では生命力をひたすらに削るマグマスライムの集団との長い長い戦いを耐え…

策士の間では歩き回るモンスターにトラップを用いて全員倒すことを…
それぞれ課せられました。

クーンたちはそれらを全て…仲間たちと共に勝ち抜き、
そして…

クーンは再び2階の扉の前に立ちました。
指輪の挑戦者として。

42サガフロンティア・クーン編 最後の指輪:2008/03/14(金) 21:37:38
「待ちに待った真の挑戦者よ、
 かかってこい!
 そして私を楽しませてくれ!」

そしてクーンの、最後の指輪をかけた戦いが始まりました。

「美しい連携を決めてみせよ!」

そう、ヴァジュイールとの戦いはただの戦いではありませんでした。
仲間達との連携攻撃。それを見せる…いや、魅せる戦いだったのです。

しかしここまでの旅で培われた仲間達との絆がここで発揮されました。
クーン、続いてメイレン、続いてフェイオン、続いて済王、続いてヌサカーン。
戦いに参加した5人だけではありません。
アニー、リュート、ゲンさん、T260G、サンダー、メサルティム。
沢山の仲間が彼らの戦いを見守っていました。
彼らは次々に連携を繰り出していきます。心を一つにして。
そして…

「見事であったな!!」

そして戦いに勝利しました。ヴァジュイールは彼らの力を…絆を認め、
最後の指輪…神秘の指輪を渡したのです。

かくして9つの指輪の兄弟は揃い…

「クーンが帰ってきた!」

クーンはいつの間にか戻ってきていました。
マーグメルに。

「ここがマーグメル…クーンの故郷なのね…。」
メイレンがつぶやきます。
「今まさに息絶えんとするリージョンだな。」
ヌサカーンが言います。
「早く長老殿に良い知らせを持っていくといい。」
フェイオンが言います。そして彼は良い知らせを持って、
長老の所へ向かいます…

ラモックスのみんながクーンに声をかけてくれます。
「凄く強くなったみたいね。」
「私たちじゃバトルの相手にならないわね…」
「どこ行ってたの?」
「また遊んでたんだろう?」
「凄い姿になったな!」

そして…旅を終えたクーンはまた、長老の部屋に入ります。

「ほら!」

クーンの周りには九つの光。
全ての指輪を手に入れたのです。

「おお、おお…!
 よくやった、クーン!さぁ、マーグメルを救っておくれ!」
「長老がお願いするんじゃないんですか?」
「お前こそが、ふさわしかろう」

そして…いつぞやのように、高台に立つクーン。
その姿は以前とはまるで違っていました。
しっぽと獣耳の生えた人間の姿…
いえそれだけではありません。、
旅を終え、苦難を乗り越え、仲間達との楽しい思い出を作った、
それは強い旅人の姿でした。

クーンは、幼くも力強い声で、言います。

「マーグメルよ、よみがえれ!!」


そして…マーグメルは蘇りました。
澄んだ青い空、緑豊かな大地に…美しい花に、潤いをたたえる水…。
…美しいリージョン、マーグメルが蘇ったのです。

「ばあちゃん…
 これがばあちゃんの知ってるマーグメルなんだね………」

…つづく。

43サガフロンティア・クーン編 最後の指輪:2008/03/14(金) 21:51:08
蘇ったマーグメル。
みんなはきっと喜ぶだろうな…そんなことを思いながら、
クーンは喜び勇んで、階段を駆け降ります。

すると…


「キャーーーーー!」

「どうしたんだ!?」
見るも恐ろしい光景が広がっていました。
ラモックスの姿が次々と消滅していくのです。
真っ黒い闇になって。

逃げても、逃げても。
ラモックスたちは抵抗すること逃れることもできず、
次々に消えていきます。
まるで、その存在さえ否定されたように。
この世にあってはならないもののように。

一体何が…

すると、メイレンが突然口を開きました。
「マーグメルが生まれたときには…
 あなた達はいなかったのね。」

…その口ぶりは、こうなることを知っていたかのようです。

「どういうこと、メイレン!!」
クーンは慌ててメイレンに詰め寄ります。

「願いどおりにマーグメルは蘇ったのよ、生まれたままに。
 そこにいなかったものは消える。」
「それじゃ意味ないよ!止まれ!!」
しかし止まりません。
どんどんみんなは消滅していきます。
何の罪もない仲間たちが。

どうすることもできないのでしょうか。

メイレンは淡々と言葉を続けます。
「何でも願いが叶うなんて、
 そんな都合のいいことあるわけないわ。
 この指輪は欲望を吸い寄せる道具に過ぎない…」

そして…指輪の研究家、メイレンは指先を掲げます。

「遥か古代に、何者かが
 欲望のエネルギーを集めるために集められた力は…
 ここに!」

その手には…
なんと黒い指輪がはめられていました。
第10の指輪が…。

「この指輪こそが真の指輪、
 この力があれば何でもできるわ!!」

変わり果ててしまったメイレン。
これが本性だったのでしょうか…

「メイレン!気でも触れたか!」
フェイオンは嘆きます。
「やはりな…。」
聡明なヌサカーンもまた、この事態を予期していたようです。

「じゃあ、止めて!
 マーグメル壊れちゃってもいいからみんなを戻して、メイレン!」
そう。例えマーグメルが元に戻っても、そこに住むみんながいなくちゃどうしようもない。
大事なのは場所ではなくそこに住むみんななのです。
クーンは今まで…マーグメルのためじゃない、
そのマーグメルに住むみんなのために戦ってきたはずだったのです!

「クーン、今まで協力してくれて有難う。
 指輪の研究も最終段階ね…皆さんのことは忘れないわ。」
欲望に満ちた笑みを絶やさないメイレン。
最早さっきまでの面影はありません。

そしてクーンは決意します。
「止めてみせる、
 メイレンと戦ってでも!」

「あはははははははははは!
 やってみれば?
 この指輪の力に勝てるかしら?」

そして、クーンは最後にして最強の敵…メイレンとの戦いに挑むのでした。

44サガフロンティア・クーン編 ED:2008/03/14(金) 21:59:15
バレ注意














メイレンを元の、優しいお姉さんに戻すため…。
全員が彼女を前に戦闘体制に入ります。
すると、メイレンの指輪が輝き…
眩い光に覆われてメイレンは巨大な…黒い、大きな装置のような…あまりに強大な欲望の化身、
マスターリングへと姿を変えました。
そして彼女を守護すべく現れたのは9体の魔物。
それらは全て、今まで集めてきた9つの指輪の化身でした。
全ての指輪…そして一番の仲間がクーン達に牙を剥きます。

重なり連携する攻撃、指輪の化身を倒される度に力を手に入れていくメイレン。
こちらが不利な戦いでした。
何より精神的な穴が大きい。クーンやフェイオンは特に…。
どうしてメイレンが…。どうしてこんな酷いことを。
大事な大事な仲間だったのに。大好きだったのに。
クーンの子供の心にはあまりに残酷すぎる目の前の事実。
しかし、だからこそ負けられません。指輪の魔力に溺れてしまった…メイレンのためにも。
全ての魔物が倒され、その力を取り込んだメイレンは
最強の術、レヴォリューション9を唱えてきます。
あまりに強い攻撃。しかしそれでも倒れるわけにはいきません。
クーン達は仲間達と一丸になり、彼女に技を浴びせ、戦い続け…ついに。

マスターリングは翼を動かし苦しみ始め、
出現したときのように光に覆われ、
少しづつ体を小さくし…世界が、マーグメルがどんどん輝きを失っていき…
そして、大きな音と共に指輪はメイレンの指から弾け飛び、
乾いた音を立ててカタカタと地面に転がり…止まりました。

その瞬間メイレンが倒れました。
それが…戦いの終わりでした。

「メイレン、大丈夫?」
クーンは優しく声をかけます。

「クーン、ごめんなさい。私、あなたをだましてたわ。」
起き上がるメイレン。

「メイレンが悪いんじゃないよ、黒い指輪が悪いんだよ。」
そう、メイレンを狂わせたのは人間の欲望でした。

続いてフェイオンがメイレンに謝ります。
「メイレン、済まない。私がいつもそばにいれば、
 あんな指輪に付け入られる隙も無かったはずだ…」

「肉体的には問題ない。黒い指輪の呪縛も解けた」
ヌサカーンが言います。それならば安心でしょう。

「だが…マーグメルはおしまいだ。」
長老が寂しそうにつぶやきます。

そこに、ラモックス達が声をかけます。
「長老、元気を出してください。どこででも生きていけますよ。」
「そうそう。私たち明るいのだけがとりえだもんね〜!!」
そう。みんな、元に戻っていたのです。

「いい仲間だな、クーン。」
「うん!」

「では…いくか。」
「長老!僕は行く所があるんだ。こんな不幸の指輪、
 誰も取れないところに捨てにいかなきゃ!」
クーンは提案しました。
「私も行くわ、クーン。」

そして、それぞれの場所に指輪を返しに、或いは捨てに行きました。

ムスペルニブルの、さらさらとした真っ白な雪の中に。
オウミの深くきれいな海の底に。
クーロンの裏通りにあるヌサカーンの病院に。
刑期100万年の男の…いや、ディスペアの所長としての立派な所長室に。
仲がいいけど喧嘩ばかりしてるノーマッドとカモフックの所に。
シュライクで再び眠りについた済王の所に。
サンダーのいる、ヨークランドの高台に。
滅びた剣豪のリージョン、ワカツに残った、ゲンさんの所に。
マンハッタンでデートしているフェイオンとメイレンへのプレゼントに。

そしてマーグメルに最後の指輪を投げると
ぐにゃぐにゃに曲がった、元気で大きな文字でお別れの挨拶を書きました。

『さよなら、マーグメル』

45チョロQ ワンダフォー!:2008/03/15(土) 13:36:04
ここはチョロQ達が住むとある町、レッドタウン。
とある一台のチョロQが家に戻ってきた。
いつものように家(ガレージ)にバックで入ると…

「グジャッ!」

……………………

主 人 公 は ト ロ フ ィ ー を 踏 み つ ぶ し て し ま っ た !
そこに現れる幼馴染…というよりはライバル。
急いでトロフィーの上に乗って隠す主人公。
「よう!うん?なんか顔色が悪いな。」
そりゃそうです。返還しなくてはいけないトロフィーをつぶしてしまったのですから。
「まもなくワールドグランプリの季節だな!お前んとこのご自慢のトロフィー、
次は俺様のところへ…あれ?どこに隠した?
まあいい、それを拝むことができるのもあと少しだからな!
しかし貧弱なパーツつけてんな…それじゃ町の予選にも落ちるぞ
おっと、燃料が切れているんじゃないのか?
すぐ前のQ'sファクトリーで給油してもらいな じゃあな!」

そして去っていくライバル…さて、主人公はこの失態をどうするのか…

46T260G編 任務その1 敵メカを破壊せよ 前半:2008/03/15(土) 19:12:06
「機関部被弾、機関部被弾、任務続行不可能。」
戦艦のブリッジにけたたましい警告音と、女性の声が艦内に響く。

「リージョンに再突入できるか!?」
『コントロールします。ただし、着陸は不可能です。』
「解った。再突入後、総員退避。お別れだな」

そう言ってスーツから機械の翼を生やす艦長。
『お元気で、艦長。』

総員退艦を確認‥‥有機体保護機能解除、
全エネルギーを推力に転換
条件変更により任務遂行不能 回転120

何も見えぬ暗闇。そこに乱れた画面が開き…何かが映る。
少しづつはっきりし、彼女の視界を覆ったのは…少年の顔だった。

そして画面は再びプツンと停止した。

ここはボロ。古代の戦争の跡であるこの地の土から
過去の遺産を発掘することを生業とする者が多いリージョン。
この日、技術者タコおじさんの家に一つのコアが発掘され、それに外装…ボディがつけられた。

「本当に生きてたの、そのコア?」
桃色の髪をした少女がタコおじさんに声をかける。
「やってみればわかる。ほれ、動かすぞ。」
タコおじさん…その名の通りタコのモンスターである彼は
沢山の足…というより沢山の腕を用いてコアを修理したのだ。

…だがコアは動かない。
「死んでるみたいね。良かった。
 生きてるコアって変な癖がついてて高く売れないんだもん。」

それに対し、声をあげるのはコアを発掘した少年。
「お姉ちゃん、こいつを売るつもりだったの!」
「あたりまえでしょう。コアだったら安くても1月分の生活費になるのよ。」

すると、ボディをまとったコアが起き上がった。
「やった!生きてるぞ!」
「ふふ、俺様の腕だからな。」
ロボットは辺りを見回す。

「ああびっくりした。まったく、癖悪そうね。」
「パーツ動作確認完了。
攻撃性能最悪防御性能最悪移動性能最悪攻撃性能最悪防御性能最悪移動性能最悪…」
最悪、の言葉を発し続けるロボット。
初めての言葉がそれ…タコおじさんは呆れてしまう。
「なんて奴だ、生き返らせてやったのに最悪最悪って、この恩知らずめ。」

「任務確認:不能 任務確認:不能 任務確認:不能 任務確認:不能」
今度は任務確認。
「戦闘用だったみたいね。」
「戦闘用!?すっげー!! すげーもん見つけちゃったぜ。」

「動作不良、修理を要します。」
台から起き上がったロボットは、
周りにいる3人…少年、少女、タコおじさんに情報収集を行う。

「ボクはタイム。お前を掘り出してやったんだぞ。感謝しろよ。」
「私はローズマリー、タイムのお姉さんよ。ローズでいいわ。」
「あの人はタコおじさん。機械や技術に詳しいのよ。あんたを組み立てたのもおじさんよ。」

挨拶を済ませた後、ロボットはローズに聞かれる。
「あんたは何て名前なの?あるんでしょう、名前ぐらい?」
「制式形式番号T260 認識ID7074−8782−1099」
「何て呼ぼうか?」
「T260でいいじゃん」
そこに、タコおじさんが割って入る。
「Gだ、Gをつけろ!俺が組み立てたんだ、俺の意見も聞け。」
「じゃあ、T260Gね」

そして彼女はT260Gと呼ばれることになり…
タイムの仕事、ガラクタ集めを任された。

「ネエちゃんに一人であちこち行くなって言われてるけど、
 もう一人じゃないし。これから探検だ、
 タイム探検隊だ!ボクが隊長だぞ。」
少年はT260Gに言う。いかにも子供らしい発想だ。

「はい、タイム隊長。」
そして彼女の所属と階級は、タイム探検隊・隊員となった。

ガラクタを掘り起こしているクレーターに到着する。ここがT260Gの掘り起こされた場所だ。

「お前のにんむって何なんだよ?」
「S級優先任務が存在、任務内容は情報欠落により不明。
 特殊状況のため任務確認がA級優先となります」
「ふ〜ん、何だかむずかしいんだな。」

47T260G編 任務その1 敵メカを破壊せよ 後半:2008/03/15(土) 19:13:07
何かの、最優先任務があったらしい彼は、
タイム隊長につられ、今度は換気の悪く暗い、
鉄の焼けた匂いのするガラの悪い建物へと連れてこられた。

「ここはとーき場さ。がらが悪いから一人で来るなって言われてるんだ。
 でも、時々来てるんだぜ。あ、これネエちゃんにはないしょだぞ。」

ボロの闘機場。機械と機械が戦うところだ。
そこには闘機だけでない。酒とタバコを楽しみに来る者もいた。

「おお? 見かけない奴だな。」
男の名はゲン。捻り鉢巻を締めた中年の男だ。
理由は不明だが、喧嘩となると滅法強いといわれる。

「おおタイムか。 お前のか?」
「えへへ、そうだよ。組み立ててくれたのはタコおじさんだけど、
 コアを掘り出したのはボクだよ。」

自慢気に語るタイム。戦闘用だからね、とつけて。

「へえ〜、いい出来じゃねえか。
 じゃあ闘機に出すのか?」
日課でもあり、T260Gをゲンさんに見せるために来たのだが
タイムはここで思わぬことを聞かれ、驚く。

「えっ!」
「戦闘用なら強えんだろう? よし、俺が賭けてやる、一発やってこい!」

彼らは受付に行き、エントリーを済ませそして…彼らの試合が始まる。

1回戦、2回戦、3回戦と彼らはトントン拍子に勝利を続けた。
T260Gの強さはどうやら本物らしい。
思わぬ彼の強さに、相手に賭けていた客は舌打ちをし、
相手メカの持ち主は弱気になり、
強さを見抜いていたゲンはにやりと笑っていた。

だがそこで今日の試合はおしまい。
ゲンさんに喜びの報告をしようとしたとき…だった。
「ゲッ、ネエちゃん!」

ローズがゲンさんの隣に、腕を組んで立っていたのだ。
「まったく、こんな所で遊んでるんだから。
 だいたい、T260Gが壊れたらどうするの!
 もしコアが壊れたら、T260Gは二度と生き返らないのよ!」

叱られてしゅんとするタイム。
だが突如として、闘機場から銃声が響き渡る。

「おらおら、カバレロさんに楯突く奴は、
 おいらがバラバラにしちまうぞ。ケヒャヒャヒャ」

大声を発し、辺り構わずバルカンを撃ち出すロボット、ヴァルカン。
カバレロというのはここらを根城にしている悪徳商人で、
彼はそのカバレロの自慢のロボットらしい。

「いい加減にしなさいよ!カバレロが何だってのよ、
T260G、やっちゃいなさい!」

威勢よく怒鳴るローズ。T260Gを心配していた先ほどとは大違いだ。
そして闘機に出していたタイムが逆に弱気になる。
「おねえちゃん、それムチャだよ。
いくらT260Gでも、あんなヤツに勝てるわけないよ!」
ローズはT260Gに聞く。
「あんた、どうなの? 勝てる?」

「命令を復唱します。敵メカを撃破せよ。」
そう言ってすぐ、T260Gはヴァルカンの方へと走っていった。

48T260G編 任務その2 タイム隊長を救出せよ:2008/03/15(土) 21:43:11
ヴァルカンとの戦いはあっけなくT260Gの勝利に終わった。
帰ってからタコおじさんにメンテナンスを受けたT260Gは、翌日になって目を覚ました。
「よしっと、これで大丈夫だ。あんまり無茶するなよ!」

ふと見ると、タイムが家にいない。
「ローズ様。タイム隊長は?」
「タイム隊長?そんな風に呼ばせてるのか…タイムならあんたの部品になる物を探しに行ったわ」

T260Gは家を出て、闘機場へと向かった。
「やるな、おまえ。賭けといて正解だったぜ」
嬉しそうに言うゲン。だがどうやらここにはタイムはいないようだ。

そんな時、突然ローズが部屋に飛び込んできた。
「タイムが奴らに…連れて行かれちゃったわ!T260G、なんとかして!」

奴らとはカバレロのことだ。昨日ヴァルカンをやられた腹いせなのだろう。
「何とかするとは…どうするのですか」
「タイムを助けるのよ!」

「了解しました、ローズ様。」
そしてゲンも立ち上がった。

「俺も行こう。」
喧嘩の腕には自信があるという彼がいれば心強い。
彼らはタイムを探しに今度はクレーターへと向かった。

「………。」
タイムの帽子がそこに落ちていた。この先に来い…ということだろう。
クレーターにある大昔の装置のものと思われる昇降装置を用い、
モンスターの巣窟である洞窟へと降りる。そしてまた昇降装置から地上へ…

それを繰り返し、最深部でとうとうタイムを見つける。
「タイム!」「隊長!」
動かなくなったタイムを。

そしてその傍にはカバレロの部下、
骸骨モンスタースパルトイと、カバレロの用心棒、ダエモン。
「お前達、タイムに何をした!」
「い、いや、別に、そんな怒るなよ。」
突然慌て出すダエモン。
「…隊長の生命反応を確認。」
どうやらタイムは無事のようだ。
「そうか、生きてるか。お前達、良かったな。
 タイムに、もしもの事があったら、ただじゃおかんところだ。
 見逃してやるからどこへでも行け。」

「へ? そ、そうですか。」
そう言って、一瞬逃げようとする…が、すぐに向き直り、ツッコミを入れる。
「バカ言ってんじゃねえ!!てめえ立場がわかってんのか?ぶっ殺すぞ!!」
「…やってみるか?」
言うとゲンはそこら辺に落ちていた鉄パイプを手に取り…

そして戦いは圧勝だった。T260Gの強さもあったが、それ以上に
鉄パイプを手に、今まで使わなかった剣術を用いるゲンの強さは計り知れないものだったのだ。
「大丈夫かタイム!」
「ご無事でなによりです、タイム隊長。」

その翌日、T260Gは本題をタイムに話す。
「隊長、[A級優先任務:最終任務確認]の遂行を希望します。
 別のリージョンへの出発許可を願います。」
そう、T260Gには最優先任務が存在し
今は何よりその最優先任務を思い出すという優先任務が存在するのだ。
だが、子供心にはそれが通じるはずもなく。
「ダメだよ! 隊長を見捨てるのか?!」
「任務確認が優先します。」

「まあ、ここじゃ情報も部品も手に入らんしな。」
タコおじさんも言う。続けて、ローズはタイムを説得する
「タイム、T260Gは私たちやボロの人達のために十分戦ってくれたでしょ」
「そんなこと解ってるよ!」
「隊長の許可が無ければ出発できません。」

そしてタイムは泣きながら、家を飛び出していった。
「そんなに行きたきゃ、どこでも行けよ!」
だがその言葉は、文字の通りにしかT260Gには認識されなかった。
「ありがとうございます、タイム隊長。」

その日、彼女はリージョン・シップに積荷としてベルトコンベアで運ばれていった。
「クズ鉄と一緒に…」
「ひどいよ、ゲンさん!」

「あいつがああしろって言ったんだ。あれならタダで乗れる。しかも金までもらえる。ほれ。」
「T260G、私たちのために…」

そう。T260Gは自分をクズ鉄として売りに出すという形で無料でシップに乗ることにしたのだ。
「あいつはメカだから、思いやりとかそういうんじゃないだろうがな。
まあ、あいつなりに何か考えてるんだろうさ。
あいつのことは俺に任しとけ。カバレロとも話をつけてくる。」
そう、カバレロとカタをつけることもまた目的の一つだったのだ。
「ゲンさんでだいじょうぶかな〜」

「お酒飲んじゃダメ!」
「わかった、わかった。それじゃ、元気にしてろよ。」

そして…リージョンシップは旅立っていった。
二人の子供たちをボロに残して。
「かえってこいよ〜、ぜ〜〜〜ったい帰ってこいよ!!!」

49T260G編 任務その3 ファクトリーに侵入せよ:2008/03/15(土) 22:48:08
「おお、酒場だ!酒場だ!!」

目的地、スクラップに着くなり、ゲンは酒場に入る。
T260Gも一緒に入る。

ゲンはひたすらお酒を飲んでいるようなので
その間にT260Gは情報収集を行うことにした。

「メカが酒場で何してるんだ?」
青髪の男、リュートや
「記憶障害か… 君のコアは相当に古いタイプのようだね。
 詳しく調べてみないと何とも言えないな。
 ああ、私はこういう者だ。」
シュライクの中島製作所の社長などがいた。

奥にいた緑色の髪の少年と、チャイナドレスの女性にも話をしてみた。
「なに?」
「うわー、鉄のかたまりだ!!」
少年の名はクーン、女性の名はメイレンというらしい。

「カバレロってやっぱりひどい奴ね。
 私たちもカバレロに用があるのよ。一緒に行きましょう。
 十字路を上へ行った左側にカバレロの事務所があるわ。」

メイレンとクーンも何かの用事でカバレロに用があるらしく、
4人はカバレロの事務所へ向かった。

「あんたがカバレロか?」
「そこのメカ、もしかして、うちの連中がやられたってのはお前か?」

黒服でタバコをふかす男。コイツがカバレロだ。
「そうか、そうか。よ〜くわかった。
 かわいい子分どものお礼はたっぷりさせてもらおう。
 うちのファクトリーまで来い。ぺちゃんこにしてやる!」
と…怯えたような口調で言うと奥の扉から微妙に速い足取りで歩いていってしまった。

「カ、カバレロさん…」
「に、逃げた…?」

ゲンは女子供、即ちメイレンとクーンに言う。
「ってわけだ。ここから先は危険だ、あんた達は帰ったほうがいい。」

だが意外にも度胸があるこの女性はゲンに言う。
「心配してくれてありがとう。でも、危険は承知の上よ。
 それにしてもカバレロのあの慌てよう、笑えたわ。
 そのメカ、いったいなんなの?」
「まあ、秘密兵器みたいなもんさ。」
へー…と、面白そうにクーンはT260Gを見てきた。

そして4人はカバレロファクトリーへ。
工場の倉庫でこっそりついてきたリュートも加えた5人は
怯えたカバレロが待つ工場へ潜入した。

沢山のカバレロの部下達のテリトリー。
高台の上からの射撃もなんのその、5人はどんどんと突き進み
カバレロの元へたどり着く。

「くそー ここからが本番だ!行け!!」

そして現れたのは復活したヴァルカン、ヴァルカン・改。
だが彼ら5人の敵ではなく、あっさりと敗れる。

「わかりました。ボロには決して手出ししません。」
「わかりゃいいんだよ。」
頭を下げるカバレロに、ゲンは更に加えて要求をする。

「ところでだ、こいつがシップに乗りたがってるんだ。
 あんたの力で何とかしてくれよ、カバレロさん。」
「……ハイ。シップのパスを用意します。
 もうどこへでも行っちゃってください。」
ひたすら頭を下げ続けるカバレロ。

そして一件落着。5人は情報収集のためクーロンへと飛んだ。

50T260G編 任務その4 博士にコンタクトせよ:2008/03/15(土) 23:16:45
クーロンの情報端末で得られた情報は3つ。

マンハッタンにいる天才科学者・レオナルド博士のこと。
スクラップの酒場にいた中島社長の構える中島製作所のこと。
シンロウの奥地に古代のリージョンシップが遺跡として残っていること。

そして今回はそのうちの
レオナルド博士へのコンタクトを試みることにした。

マンハッタンのファーストフード店。
すらりとした体の美青年がそこにいた。

「レオナルド・バナロッティ・エデューソン
 という人物の情報を求めています。ご存知ですか?」
青年に彼女は話を持ち出した。

「うん、まあね。ところで君、見かけないタイプのメカだね。
 どこのメーカー?」
「タコ様に組み立てていただきました。」
「タコ様?個人の手作りメカなのか…よく出来てるな……
 君は、レオナルドの何が知りたいの?」
「レオナルド氏に、自分の解析を御願いしたいのです。」

そして彼女は、青年に事情を話した。
「そういうことなら、レオナルドも興味を持つと思うな。
 案内するよ、ついておいで。」

そしてセントラルゲート内の研究所へ案内する彼。
こういう口ぶりであることは、恐らくは彼は…

「さあ、ここだ。
 そう、ボクがレオナルドだよ。
 君の名前を聞いていなかったね。」
やはり彼こそがレオナルド博士、その人だったのだ。

「T260Gです。」
「じゃあ、さっそく調べてみよう。」

そう言って彼は、T260Gを装置に入れ
体の解析を開始した。

様々な色の光が彼女の体を透過する。

まず博士は結論から口にした。
「君のコアは、現在使われているタイプのコアではないね。」


「トリニティ・タイプとの共通点もあるんだけど、
 違っている所の方がずっと多いんだ。」
トリニティといえば、マンハッタン、タルタロス、ニルヴァーナで構成される
現リージョン界の統治機関。
その政府のロボットと少しだけタイプが近いのだという。
これは何を意味するのか。

「だから、これ以上はコアを分解しないと調べられないな。
 それにしても、君を組み立てたタコさんはすごい技術者だね。
 手が4、5本は無きゃ出来ない様な仕事がしてあるよ。」
そう、タコおじさんは名前の通りのタコだからだ。
彼の技術力もさることながら、
これは彼の体を最大限に活かしての仕事だったのだ。

「それに、君のパーツ一つ一つに注意書きがしてあって、
 ボクが調べることはほとんど無いような状態だったよ。」
本当にタコおじさんは丁寧にT260Gの復元を行ってくれたらしい。
そして最後にレオナルドは言った。

「調査ついでに少しパーツを追加しておいたよ。
 メモリーが足りないって殴り書きがしてあったんだ。」
パワーアップまでしてくれた。
これで彼の能力は飛躍的に上昇することだろう。

「ありがとうございます、レオナルド博士。」
「ボクも楽しかったよ。通行証を渡しておくから、いつでもおいで。」

人柄のいい博士であった。だが、こんな人に限って…不幸は訪れるものである

51T260G編 任務その5 最終任務を確認せよ:2008/03/15(土) 23:48:26
シュライクの中島製作所。
平和なこの町にあるこの製作所の真ん中に技術者達が集まっている。
皆、揃って難しい顔をしたり、青ざめたりしている。
「やあ。よく来たね。君のことを調べてあげると言ったんだが…
 困ったことになってね。」

社長の言うには、こうだ。
重要なデータを乗せたメカマウスを、
古の王、済王の眠る古墳に逃がしていたのだが
帰還命令を出しても戻って来ず、反応もないらしい。

「社長、彼に頼んだら?」
「おいおい、それはないだろう……
 いや、君に頼めないかな?マウスを探してきて欲しいんだ。」
「それがあれば、私の調査ができるのですね。
 わかりました。それでは出発します。」
製作所の開発した修理用メカ、特殊工作車を加え、
一行は古墳へと急ぐ。

モンスターのはびこる古墳の中でも下の階層、
王の玄室を開けるための鍵、三神器の一つ…剣のある階層で
メカマウスはのんびりくつろいでいた。
「目標物回収。これより帰還します」

「ありがとう、ありがとう…!」
そして製作所に戻った彼は、メカマウスに収められていたデータの中身を知ることとなる。
「うちでは人が乗り込んで、完全変形する戦闘メカを開発していたんだよ。
 コードネーム「ワルキューレ」だ。」

「それが、トリニティから横やりが入ってね。
 人が乗るタイプはダメになった。そこで、
 これが「ワルキューレ」の技術を応用して
 若い連中が試作した自律型の戦闘メカ「零式」だ。
 「れいしき」なんて名前、近ごろの若い連中のセンスは理解できん!」

ナカジマ零式。スリムな青いボディが特徴のメカだ。
「「零式」起動準備完了。」

そしてそれは起動された。するといきなり彼は縦横無尽に
製作所内を飛び回り始めた。
「こんな狭い所で起動するなんて、非常識ですね〜。」
「だれだ、 こいつの疑似人格のモデルは? ヒロシか!」
どうやら性格に癖のあるメカらしい。
「失われた任務ですか〜、ロ〜マンチックですね〜」

そしてナカジマ零式を加え、新たにボディを6タイプから選んだものに新調し、
彼は得られた3つめの情報、シンロウの古代シップへと向かった。

「周辺環境、推定経過時間を考慮すれば、
 保存状態は極めて良好。微弱ながらエネルギーを感知できます。」
この先に何かがある。
内部は薄暗く、道がわかりづらい。
そんな中でも彼女らはモンスターの巣食うシップの中を進んでいき、
最深部の情報端末の部屋にたどり着くことが出来た。

「ここなら何か情報がありそうだな。」

まずはT260で検索をかけてみた。

 形式番号:T260
 種別:システム・コア
 設計:KT 製造:MMW
 対RB3型用に設計された
 Tシリーズの最新型
 詳細諸元は極秘

RB3…。
今度はこの単語で検索をかけてみる。だが…データが破損しているという。
今度は一部破損しているながらも、日誌のページを読んでみることにした。

@諦┛らけQへドライブ中。臨戦態勢を解き、第2警戒へ移行
HQにて任務受領。目的地へ発hヶ!χ

そして戦闘プログラムをT260Gがダウンロードすると…
数千年生きた端末は電源を落とした。まるで最後の力を振り絞り、
T260Gに未来を託したかのように。

「電源が死んだな。何か分かったか。」
「T260タイプの情報とHQの存在情報を得ました。
 私の任務はRB3型の破壊であることが確認されました。」

「HQとかRB3型ってのは何だ?」
「HQは司令部だと推定できます。RB3型については情報がありません。」
「次の目的地は司令部か。」

とうとう明らかになった最後の…本来の敵。RB3.
この名前と、次の目的地、司令部HQの名を脳裏に刻み込み、
彼女らはシップを後にした。


そして…中島製作所に戻った彼女達は驚くべき事実を耳にする。
レオナルド博士が、謎の爆発事故によりこの世を去ったというのだ。

52T260G編 任務その6 中央情報室へ潜入せよ:2008/03/16(日) 18:32:40
セントラルゲート・レオナルド博士の研究所。
博士の身に一体何が起こったのか。
そして、彼は死ぬまでの間に何か情報を掴んでいたのだろうか。
それらを調べるべく、T260Gはパスを用いて
主なき研究所へ入り込んだ。

研究所を一回りしてみるT260G。
彼女がパネルに立ったところで、あり得ない声が聞こえてきた。
今はこの世にいないはずの者…そう、レオナルド博士の声だ。
「今そこにいるのは、T260G君だね。
 済まないが、そのスイッチを押してくれないか」

博士は亡霊…つまり、モンスターになったのだろうか。
彼女はボタンを押すと、以前から存在していた部屋の中心にある
円形の、少し盛り上がったフタらしき部分が開いた。
そして…
蒸気をあげるその中から現れたのは、
真ん丸い顔と丸みを帯びた小さな体…コケシのような形をしたロボットだった。
そのロボットから声が発せられる。レオナルド博士の声が。
「こういう事態に備えて、
 自分の人格マトリックスをこのメカに移しておいたんだ。
 君と同じになったね。」

そう、レオナルド博士の体は機械になっていたのだ。
全く姿は変わってしまったが、意外にも彼は落ち着いた様子だ。

しかし備えたとはどういうことだろう。
単に、有名人は命を常に危険にさらされるということや、
これほどの頭の切れる人物なら
万一のことも万全に対策してあったということならいいのだが。

「何と御呼びしましょうか?」
「ボクはレオナルドだよ。体はメカになってしまったけれど、
 他は変わらないからね。君の方はどうだい?
 何か新しい情報は手に入った?」

そしてT260Gは簡単に説明を行った。
「ボクも色々と調べてみたんだけど、
 トリニティの情報セキュリティに引っ掛かって先に進めないんだ。
 これ以上は、もっと中枢部に行かないと無理だね。
 タルタロスの内部に中央情報室が置かれている。そこへ行こう。」

タルタロス。トリニティの機密が収められているとされる、
トリニティの一角にあたるリージョンである。
無論、そんな所へは民間人が入り込むことはできない。
…そして、レオナルド博士でさえも。

「このコンテナに乗って潜り込もう」
狭いコンテナ内。それに乗り込み、彼女達はいよいよ
タルタロスへと潜入した。

中は常時厳戒態勢。
無数のメカが蠢き、幾重ものセキュリティが働き、侵入者の行く手を阻む。
途中、脅威の巨大マシン、モービルマニューバとも4度遭遇することとなった。
だが彼らはそんな厚き壁も乗り越え、
いよいよ中央情報室の巨大端末から情報を引き出す段階まで来た。

「ボクのパスワードではダメだね……
 これならっと…」

すると出たのは謎の数列。これは一体何を意味しているのか。
博士にもわからないようだった。

「ダメだ! 信じられないな〜。君の構造から情報をたどっていくと
 執政官クラスのパスワードがないとアクセス出来なくなるんだ。
 君ってすごい秘密の持ち主だね。この数字を解決する糸口があればな…」

T260Gの情報を手に入れるにはここでも無理だという。ならば…
次はRB3について検索を行ってみる。
だがそれも良い成果は得られず。

「「HQ」との関連性は?」
そう、彼らが向かうべき場所だ。
…そこで博士は気がついた。

「そうか! シップドライブの航行データだ!
 君の言う「HQ」かどうかはわからないけれど、
 このデータでドライブしてみれば、
 その先にきっと何かがあるに違いないよ。わくわくしてきたぞ。」

そう、謎の数列こそがHQへの道標。
これを辿っていけば…いよいよT260Gの秘密が明かされるかもしれないのだ。

そうと決まれば話は早い。彼らはタルタロスから速やかに退散し、
HQへのシップを手配するのだった。

53T260G編 任務その7 メインフレームに接触せよ:2008/03/16(日) 19:10:21
「レオナルドだけど、シップをチャーターしたいんだ。」
「レオナルド様?あなたが?」

面食らっていたシップ発着場職員。
しかし、本人証明が終わるとにわかには信じられない様子ではあったが
シップを手配してくれた。

「すごい基地だね。トリニティが最高機密にしているだけのことはあるね。」
そして着いた場所はタルタロスと違い、綺麗に整備された
巨大な施設。強力な兵器の数々が収められたこここそが、HQ…司令部である。

別れ道の片方が兵器庫へと繋がり、もう一つは次のフロアへと繋がる。
そんな構造のHQをひたすら進んでいくと…
開けた、下が見えないほど高い場所にある中央端末へとたどり着く。

「機能停止状態です。
 侵入したウイルスによるシステムの崩壊を防ぐために、
 システム自身が部分停止しウイルスを食い止めています。
 これから、システム内部へダイブしウイルスを除去し、
 機能を回復させます。皆さんはここに残ってください。」

バーチャル空間での、HQを侵したウイルスとの戦い。
だが、残っていろといわれては男ゲンは黙ってはいなかった。
「ここまで来て、お前だけを行かすわけにはいかないさ。
 ガキんちょどもとの約束もあるからな。
 どこへでも飛び込んでやろうじゃないか。」
「了解しました。作業を行います。」

そしてバーチャル空間へとシフトする。

そこは、虫に食われフレーム部分が露出したポリゴンの町。
人工物であることがはっきりとわかる。

至る所に虫が沸いている。近づくと虫は本性を表す…ウイルスだ。
四本の触手を生やした丸い物体として認識される。

ウイルスを倒すことによりどんどん町が復興していく。
城門の中に入ると、突然ウイルスたちが群がってきた。
どうやらメインフレームにウイルスが群がっているらしい。

それらを排除し、メインフレームにコンタクトをすると
途端に全てのウイルスがデリートされ…
町は元に戻った。

後は、メインフレームと真にコンタクトするための場所へ行くだけ。
そこは教会の中。複雑なパズルを解き、
彼女はとうとう…何もない無の空間でメインフレームと対峙した。
「システム中枢だ。遂に秘密が明かされる時が来たぞ。」

気がつくとレオナルドが人間に戻っている。
「レオナルドさん、なんで人間に戻ってるんだ?」
「ここでの姿はどうせ偽物だよ。どんな姿だってとれるのさ。」


彼女は、「ただいま」を告げる。
「システムに対して、認識を要請します。」
「適合要素として認識しました 攻撃目標から削除します」
「認識番号 ID7074−8782−1099」

そして「おかえり」の言葉。
「ID確認
 よく帰ってきました7074−8782−1099
 ウイルスを撃退してくれたことにも感謝します」

そして、一言で長らく悩み続けてきたことが解消されることとなる。
「破壊されているデータがあります。修復しましょう」

破損データの修復、即ち…記憶の回復だ。
「おい、思い出したか?」
「S級優先任務・RB3型破壊を遂行します。
 すべての機器の優勢使用権を要請します。」

残存機器の確認中…
機能停止中に多くの機器が何者かによって撤去されています
オメガタイプのボディ1体が残存しています
その他しべての機器の優先使用権を付与します
このHQの機能回復でRB3型も活動を再開します
速やかな任務達成を希望します

それが何を意味するのか…ゲンさんにはわからなかった。
そして彼女達は現実に戻り、T260Gは戻ってくるなり…
その言葉を発した。

「出撃します!!」

54T260G編 任務その8 RB3を破壊せよ:2008/03/16(日) 19:32:32
HQからの帰り道。
ゲンはT260Gを追いかけつつ、彼女と話をする。

「おい、待てよ! RB3型って何なんだ!」
「RBタイプはリージョン破壊兵器です。
 1、2型は通常の方法で破壊できましたが、3型は全く異なる製造をしており、
 その破壊のために私のタイプT260が作られました。」

RB、リージョンバスターシリーズ最強の3型。
それに対抗すべく生まれたのが彼女…古代の戦闘艦、T260だったのだ。
「リージョン破壊兵器!?」

「リージョン破壊砲による攻撃を受けると、
 リージョンは圧壊し混沌に飲み込まれ消滅します。
 3型は進路上のリージョンを無差別に破壊していきます。」
「なんてこったい…」
話は一気に、リージョン界の存亡を賭けたものとなっていた。

道の傍らに安置されていたT260最強のボディ…
オメガタイプが目に止まる。純白の流線型ボディ、頭の輪、翼。
まるで天使のようだった。
「オメガボディ、エネルギー注入中。エネルギー充填終了。」

そして…鋼鉄の天使となったT260は、飛行形態になってHQを飛ぶ。
「このHQの活動再開を探知して、侵攻してくるものと予想されます。」
「それじゃ、ここをぶっ壊しちまおうぜ!」

そう。HQさえなくなればRB3の破壊対象はなくなるのだ。
「私の任務はRB3型の破壊です。」
任務には従わなければならない者の、それが定めだったのだ。
「仕方ねえな。まったく、大事になっちまったぜ。」

「敵はどんなヤツなんだ?」
「形態は遭遇するまでわかりません。ただし、
 シップとしてのドライブ能力を持っているのは間違いありません。
 こちらも接近のためにシップが必要です。」
そう、相手は混沌の中を走るもの。
近づくためにはこちらもシップがなければ。

「接近してどうする?」
「RB3型の中枢に侵入して破壊します。」
「簡単に言うぜ。」
彼女達の最後の戦いが今始まる。

マンハッタンから発着される最新鋭リージョンシップ。
それをまたもチャーターし、彼女達はいよいよRB3へと近づいていく。


敵が…現れる。

「でかい…… 誰がこんなもの作ったんだ。」
相手は、あまりにも巨大すぎた。

「RB3型自身です。
 蓄積されたデータから最も効果的な形態を選択し、
 混沌から自らを創造するのです。」
自己を再生し、自己を変形させ、自己を防衛する、あまりに強大な自律兵器。

「それが、RB3型の機能です。」
「創造主というわけか。」
とてつもなく大きな船体を持ち、船体に比べて小さな、
持ち上げられた4機の砲門一つの直径で
すでにシップの5倍はある。
こんなものを向けられたらひとたまりもない。
エネルギーの高まる砲門の傍を通り…
「開口部より侵入します。」

彼女達は降り立った、RB3の戦艦内に。

中は強力なメカばかり。
開けた場所に出たと思えば、侵入者を阻む巨大なレーザーの雨。
スイッチを使いこれを止め、奥へ進むと今度は大量の迎撃メカ。
9回の戦闘の後に暗い闇から姿を現した巨大メカ、機械神バロール。

それら全てを破壊した所で彼女達は行き止まりに到達する。
端末室だ。
「ここをぶっ壊せば終わりか?」
「いいえ。これから、RB3型の内部へダイブして、破壊します。」
RB3のコアはどこにあるかなんて解らない。
恐らくは外部からの物理的破壊など不可能。
「ダイブして、内部から破壊します。それが私、T260型の機能です。」

だからバーチャル空間にまたシフトし…コアを直接彼女達が叩くのだ。
彼女達自身がウイルスとなって。

「それが、お前の本当の任務か。」
「はい。ゲン様は皆さんを連れて脱出して下さい。
 コアが機能を停止した場合の事態は予測不能です。」

ここまできてそんなことを言うT260Gにゲンは呆れる。
「お前な、いい加減にしろよ。HQの時もそうだったが、
 ここで帰れって言われて、ほいほい帰る奴はいないんだ。
 少しは学習しろ!」

そして最後にゲンは言った。
「さあ、さっさと終わらせて一杯やるぞ。」
「了解しました。」

55T260G編 任務その8 RB3を破壊せよ 後半:2008/03/16(日) 20:37:52
「これより自己再生コードの分解を開始します。
 ここは、最も強固に守られているコードです。準備はよろしいですか。」

バーチャル空間は洞窟、密林、砂漠の3層に分かれていた。
最奥部、砂漠の中心部に、一本だけ生えた樹…
それが…最後の敵だった。
捻り鉢巻の酔っ払いの中年、純真無垢なモンスター少年、
いびつな人格を持つロボット、元人間のロボット博士。
そしてRB3を倒す任務を担った古代兵器。

電気信号に変換された彼らが今、意志を持って戦いの場に戦闘態勢で構える。
辺りの風景が細切れになり突然砕け、真っ暗な闇に包まれ…
そして樹が光束に包まれ本当の姿を現すと共に辺りは明るくなる。

RB3の本体、ジェノサイドハート。
部屋の中心に位置するそれを
彼女達がそれを取り囲み、
それの周囲で起動するは無数のディスプレイ。
そして背景には無数の情報が光となり行き交う。
これがRB3の中心部、メインルームだ。
「警告、警告、セントラルシステム内にウイルスの侵入を感知。
 セキュリティレベル1 アイスシステム作動」
戦いの始まりを告げる警告だった。

『NO FUTURE』
開幕早々、システム音と共にジェノサイドハートは文字列を表示し、
無数のディスプレイに向かって恐るべき速度のレーザーを5本発射され、
カカカカカ、とディスプレイに反射音を響かせ、恐るべき精密さを以って
彼らの元に降り注ぎ、貫く。
これがジェノサイドハート最強の技、カーネイジだ。
その後すぐにディスプレイはどこかの風景を表示し、
そのどこかへと世界はヴァーチャルシフト、
ジェノサイドハートの攻撃パターンはそれへと変わっていく。
そのパターンが破られるとメインルームに戻り
セキュリティレベルを一段階引き上げ、
カーネイジを発射、そしてまたヴァーチャルシフト。

3回目のヴァーチャルシフトが破られたジェノサイドハートは、
これまでの3つの空間の能力を全て用いて、
メインルームにて最後の戦いを挑む。

そしてT260Gはこの時のために用意された最強の機能、
V−MAXを起動する。
全能力が大幅に上昇し…彼女はとっておきの、最強の技を
ジェノサイドハートにぶつける。

空中へ飛び上がり、光の雨を降らせるスターライトシャワー。
そして自らが光となって縦横無尽に飛び回り、敵に自らをぶつける
コズミックレイヴ。

その攻撃の瞬間、ジェノサイドハートはフリーズし…
「NO FUTURE」

バグを起こしカーネイジを発動するそのままの体勢で止まった。
自分の状況を悲観したか、或いは捨て台詞のようにも見えた。

ディスプレイは力を失いガシャリガシャリと落下し、
あたりはけたたましい警告音と電流に包まれ…
そしてジェノサイドハート、即ちRB3最期の瞬間が訪れる。
…大爆発だった。

56T260G編 最終任務:2008/03/16(日) 20:39:16
バレ注意














帰りのシップの中、彼女は眠っている。
「おい、どうした。 エネルギー切れか?」
「任務が終わったのさ。敵を消滅させて、彼の存在意義も消滅した。」
レオナルドが言う。
古代の存在はこの時代にいるべきではない。
もう彼らの時代なのだから。
RB3も…T260Gこと、T260も。
「楽しかったよ、T260G君。さようなら。」
レオナルドは帰っていった。

そしてさようなら、T260G…
だが、それを許さない男がいた。
「おい、眠ってる場合じゃないだろう。
 もう一つ任務が残ってるだろうが!しゃんとしろ!
 この、クズメカが!」

T260Gをゴツンと叩く。

その瞬間、暗闇だった画面にメモリーが一瞬フラッシュバックした。
少年の顔…。

「かえってこいよ〜、ぜ〜〜〜ったい帰ってこいよ!!!」
「これから探検だ、タイム探検隊だ!ボクが隊長だぞ。」

そう、タイムだ。


「ゲン様。」
「やっと御目覚めか?みんな帰っちまったぞ。」
T260Gは起きた。

「HQでのデータ修復時に任務処理優先ファイルがマスクされ、
 不正な動作を行っていました。」
「また、小難しいことを言う。で、どうするんだ?」

そう、本来の任務を思い出した彼女は、
この時代で彼女が帯びた任務を忘れかけていたのだ。

「ボロへ帰ります。」
「分かってりゃいい。それじゃあな。」

「ゲン様はボロへ帰らないのですか。」
「俺が帰るべき場所は別にある。ガキんちょどもによろしくな。
 おっと、帰るなら元の体に戻っといたほうがいいぞ」

そして、彼女は最後の任務を読み上げる。

「認識ID7074−8782−1099
 タイム探検隊所属
 直属指揮官タイム隊長
 総指揮官ローズマリー様」

「これより、原隊駐留地ボロへ帰還します。」

そして任務を果たした彼女は、
小さな上官達の、暖かな力いっぱいの歓迎を受けたのだった。

57戦え!アルカイザー 第一話 誕生、正義のヒーロー・アルカイザー!:2008/03/17(月) 00:22:26
平和な町、シュライク。
リージョン界の中でも平和なこの町には
事件といえば、10年前に少女が失踪した事件ほどのものであり、
今では至って平和な日々が流れていた。

その日、バイオニクスの権威、小此木博士は、
息子の小此木烈人と車で外出、そして夫人と妹の待つ自宅へと帰宅中であった。

「…Dr.クラインがブラッククロスの幹部と結託している証拠だ。
これを、IRPOへ持っていけば、Dr.クラインの悪事を阻止できる。」
「父さん、なぜそこまでDr.クラインの事にこだわるんだ?」

「彼と私は共に学んだ。だが、彼は研究のためには手段を選ばなくなっていった。
私はそれを止めることができなかった。学会から疎外されていく彼を救えなかった…
私はこれ以上彼に悪事を重ねて欲しくない。
あんな風になってしまっても、彼は私の友だ。」

Drクラインを止めんとする小此木博士の想いは確かなものだった。
だがその日、彼らに惨劇が待ち受けていようとは誰が予想したであろうか。

その時である
突如として、謎の鉄の塊が彼らの車に降ってきたのだ!

「うっ…… 父さん!
くそっ、ブラッククロスの奴等め…」

襲い掛かってきたブラッククロスの魔の手。
起き上がり、車から抜け出すことに成功した烈人は
すぐさま自宅へと急ぐと、なんと…自宅は炎の中だったのだ!

「ウォオオオオオオオオオオオ!!」

妹も、母も…父も。一瞬にして家族全てを失ってしまった烈人。
そんな烈人の前に立ちふさがったのは5人の男。
そのうち4人は悪の組織ブラッククロスの戦闘員。
そして中央の1人はそれらを束ねる男…
改造人間・シュウザーだった!

「キサマ、小此木博士の息子だな。
 死ね、母と妹の後を追わせてやる!」

シュウザーは烈人に容赦なく襲い掛かってきた。
爪でのクロー攻撃。
抵抗は試みるもまるで歯が立たず…
烈人は無惨にも倒れてしまったのだ。

その時、黒き戦士がシュウザーに一撃を輝ける一撃を放った!
「シャイニングキック!」

腹部を押さえ、シュウザーが苦しみだした。
「遅かったか…
 シュウザー、私が相手だっ!!」
燃え盛る炎を前に、黒き戦士はシュウザーと互角の勝負を繰り広げた。
クロービット、アル・ブラスター。激しい技の応酬が続き…そして
シュウザーは跳躍し、その場を去っていった。

気を失い、命も危うい烈人に向かい戦士は言葉をかける。
「しっかりしろ! いかん…このままでは助からない!」

そう言うと、なんと黒き戦士は烈人を変身させたのだ。金色と赤の戦士へと!
「おい、しっかりしろアルカイザー。」

起き上がった烈人。もう怪我はどこにも見当たらない。
「アンタ一体何なんだ、その格好は!
 俺にもこんなもの着せて、ふざけているのか!」

昂る烈人。
「いいか、君の命を救うにはこれしか方法がなかった。
 君をヒーローにするしか方法がなかったのだ。
 君にその資格があるかどうかを細かく調べている余裕がなかった。」

「だが、君は今日からヒーロー『アルカイザー』だ!
 ヒーローになってしまったからにはヒーローの掟に従わなければならない。
 ヒーローにふさわしくないと判断されれば、消去される。
 一般人に正体を知られた場合は、すべての記憶を消される。」

英雄への厳しき道。彼はこの場で、それらを辿ることを余儀なくされたのだ。

「ヒーローは強いのか? 俺を強くしてくれたのか?」
「ヒーローの力は正義のために使わなければならん。」

しかし烈人にはまだ、ヒーローとしての自覚が足りなかった…

「ブラッククロスの奴等をぶちのめす!」
「復讐はいかん!正義の戦い以外に力を使えば、君は消去されるぞ。」

だが、彼の悪を憎む気持ちは確かだった。
「どのみち死んでいたんだろう。ブラッククロスだけは許さねえ!」

こうしてここに、新たなるヒーローが生まれたのだ。
戦え、アルカイザー!

58戦え!アルカイザー 主題歌(歌詞は非公式):2008/03/17(月) 00:34:29
熱き想い 鋼の胸に宿した 白き光の翼
(ウォーオー オー オー オー)
世界の奥 深く蠢くブラッククロス
その野望打ち砕く 日まで
悲痛に塗れた 遠い記憶が
その拳を炎へと 『変える』!

進めっ!アルカイザー!! そうさお前は
愛に彷徨い 歩き続ける 旅人
(ウォーオー オー アルフェニックス!×2)


平和の日が 邪悪に霞みそうなら 魂を振り絞れ
(ウォーオー オー オー オー)
揺るぎのない心が 暗黒をかき消す
突き抜けろ 必殺アル・フェニックス
友に授かった 優しさという
名の力を勇気へと 『変えて』!

戦えっ!アルカイザー!! そうさお前は
孤独に強く 歩き続ける 旅人
(ウォーオー オー アルフェニックス!×2)

「例えこの身が朽ち果てようとも、決して諦めはしない!」
「この世に明日を信じる心がある限り!」
「失いはしない、希望のエナジー!」
「説明しよう!!
 小此木烈人は、サントアリオからやってきた戦士アルカールから授かった力で
 正義のヒーロー・アルカイザーへと変身するのだ!」
「うぉおおおおおおおおお!変身!アルカイザー!!」


友に授かった 優しさという
名の力を勇気へと 『変えて』!

戦えっ!アルカイザー!! そうさお前は
孤独に強く 歩き続ける旅人
進めっ!アルカイザー!! そうさお前は
愛に彷徨い 歩き続ける旅人
(ウォーオー オー アルフェニックス!×4)

59戦え!アルカイザー 第二話 地下駐車場の戦い!:2008/03/18(火) 22:15:41
「あと3つ上げろ、よし、ストップだ。
 お前も少しは使えるようになってきたな。どうした?」
「いや、ホークが俺を誉めるなんて何かあったのか?」
「ちゃんとやれば誉めてやる
 到着準備までに間がある、休憩にしよう。」

家族を失ったレッドは、父の親友ホークの勤める
豪華客船シップ・キグナス号乗員の見習いとして働き始めた。

レッドは同じく働く少女、ユリアにデートの約束を取り付けると
すぐに仕事に戻った。

今日の行き先は娯楽で知られるリージョン・バカラ。
ブラッククロスはここにはいるはずはないので今回は何も情報は得られない…
と思いきや。

「ブラッククロスの慰安旅行か?」
なんと青き戦闘員達が何食わぬ顔でスロットに励んでいるではないか。
「…無視するなよ。」
全然動じることのない彼ら。
青い戦闘服ということは…おそらく上司は彼。

「あ、シュウザーだ」
そういうと彼らは一目散にどこかへ走っていった。
本当にやつはここにいるらしい。

地下へ向かったらしい戦闘員達を追い、こちらも地下へエレベーターで急ぐ。
…そうだ、エレベーター!

「何なさるんです、お客様!!」
エレベーターガールを強引にどかし、エレベーター内で変身すると
レッド…いや、アルカイザーは、地下駐車場で彼らと出くわす。
「バカどもが!カジノに遊びに来たわけではないぞ!」

「ブラッククロスが修学旅行か?シュウザー、お前がここにいるとはな」
「誰だ、キサマは!」

アルカイザーとしての初の対面。
「正義の使者、アルカイザー! ブラッククロスの悪党ども覚悟しろ!」
ここで勝負をつけることができるか…?
と思われたが。

「キサマのようなイカレた奴に構っているほどヒマではない。
 始末しろ!」

シュウザーはアルカイザーを相手にもせず、
部下を放って去っていってしまった。

戦闘員達を次々に蹴散らし、
リーダーと思われる怪人との対決となった。

昆虫怪人・アームウォーカー。
虫ならではの強靭な体を持つ強敵だ。

だがアルカイザーの力はそれに屈するようなものではない。
愛剣レイブレードを手に怪人を追い詰めていく。
だがそんなときに。

「ブ、ブラッククロスさま… お力を…」
突然空間がゆがみ…あたりは目玉のような床をした、揺らめく空間になっていた。

「ここは、不思議空間トワイライトゾーン。
 怪人たちの能力はここでは3倍になるのだ!」

思わぬブラッククロスの力。
だがそれに屈することなく、アルカイザーは
必殺技のひとつ、ブライトナックルを打ち込み、アームウォーカーを撃破した!

次はシュウザーだ…そう意気込んだ彼に
呼び出し音が鳴り響く。キグナスへ戻れとのことだ。

「シュウザー、次は逃がさん!!」

60戦え!アルカイザー 第三話 狙われた子供達:2008/03/18(火) 22:24:26
次の行き先はレッドの故郷、シュライク。
今回は何か情報が得られるのだろうか。

「済王陵の入口を知りたくな〜い?」

公園の子供達から得られたのは別の情報だった。
特にほしくはないような情報だったが…
思わぬ人物が食いついてきた。

「それを知りたいのは俺達だ!」
「ブラッククロス!!」

現れたのは緑色の戦闘員。
変身するまでもなくさっさと片つけるが、
なんと女の子が浚われてしまった!
「キャー」


彼らが知りたがっていたのは済王の古墳の入り口。
ならば彼らがいるのはそこに違いない。

「泣いてばかりで、話にならん。なんとかせんか!」
「キー」「キー」「キー」「キー」
「何言ってるのか分かんないよーウェーン」
「ほれ、お菓子をあげるから」

緑色戦闘員達の上司の教育が行き届いているのだろうか。
割と穏便な手段で情報を得ようとする彼ら。

だが子供を連れ去っていいわけがない。
レッドは黙っていられず、見つからないように…
「小さな子供を寄ってたかっていじめやがって、許せん!!
 アルカイザー、変身!!」

変身すると崖から飛び降りて女の子を助ける。

「アルカイザー!!」
「覚えてくれたようだな。それじゃ、遠慮無くいくぜ!!」

鳥獣怪人・スフィンクス。
アームウォーカーとは違い上級の怪人だったが、
アルカイザーの必殺技・シャイニングキックの前に敗れ去る。

子供達は助け出した。
キグナスからの呼び出しがここでかかり、レッドはここでキグナスへ帰還した。

61戦え!アルカイザー 第四話 キャンベルの謎:2008/03/18(火) 22:39:08
「こんな所で何してるんだ、ユリア?」

貨物室にいたのはユリアだった。
「ああ、レッド、ちょうど良かった。
大変なものを見つけちゃったの!」

そう言って入っていくとあったのはブランドのものと思われるロゴのついた
大きなダンボール箱。

中を覗いてみると…

「これは武器だぞ。
 こっちもだ。まさか、これ全部か!
 どこかで戦争でも始めようってのか?」

そう、兵器が中に積んであったのだ。
一体何が…?誰が…?

「怪しいな。ユリア、このことは誰にも言うなよ。」
「うん。ホークにも?」
「じゃあ、おっさんには話をしといてくれ。俺は荷主を調べてみる。」


その荷主は、大都会マンハッタンに居を構える大会社
キャンベル貿易会社のものだった。

「社長に会いたい。」
「おはようございます。どちら様でしょうか?」
「えーと、レッドだ。キグナス号の。」

「申し訳ございませんが、本日の面会者リストに御名前がございません。」
「話があるんだよ、キグナスの積み荷のことで!」

だが言っても聞いてももらえず、レッドは警備員に取り押さえられてしまう。
「来い。」
「放せよ!」

そこに、一人のスーツ姿の男が通りかかった。
「社長に会いたい
 IRPOの者だ。2、3聞きたいことがあってね。
 な〜に、時間は取らせないよ。」

同じく社長に用のある、警察の者らしい。
「おい、来いよ。俺の助手なんだ、放してやってくれ。」

警察官が気を利かせてくれて、レッドもなんとか社長へ面会することができた。

「何の御用かしら、ぼっちゃん?」
会うなりいきなり食ってかかるレッド。
だが警察官に殴られ、その場は黙っていることにした。

警察官が話し始める。
「ミス・キャンベル、あなたの取引相手の事でうかがいたいことがあります。
 クーロンのシーファー商会、どういう会社ですか?」
「なぜ当社に?先方に直接問い合わせてはいかがです?」
「それが、クーロンのその会社、存在しないんですよ。
 連絡もつかない。」

どうやら怪しい会社との取引があったらしい。
…積荷はそれだろう。

「まあ、不思議ですわね。」
「とぼけるなよ!!」

またも殴られるレッド。
「黙ってろと言ったはずだ。2度言わすな。
 …そんな怪しい会社とも取引を?」

「注文があり代金が振り込まれれば、
 どんな方でも私どものお客様です。
 伝票があります。お見せしましょう。」
「それには及びませんよ。また寄らせてもらいます」

今回は尻尾をつかむことはできなかった…しかし、怪しいのは確かなようだった。

「これじゃ、何にもわかんないぜ。いいのかよ、おっさん!」
「おっさん!? まだ若いつもりだがな〜
 まあ、これでどう出るかだな、キャンベル社長が。」

警察官はビルを見上げながらつぶやいた。
彼の名前はヒューズというらしい。

62戦え!アルカイザー 第四話 キャンベルの謎:2008/03/18(火) 23:04:21
キャンベル社長に詰め寄ったその日、
あるシップがキグナスに向かってきていた。
「未確認シップ急接近、衝突コースに入ります。」
「コンマ1回避、エマージェンシーパルスで警告!一体どこのヘタクソだ。」
「回避パターンに追随してきます!進路を押さえています。」
「パイレーツシップか! 緊急事態発令、全乗客・乗員を速やかに固定位置に。」

キグナスのブリッジに衝撃が走った。
前方から来た謎のリージョンシップが、キグナスに向かってきたのだ。
そう…パイレーツシップ、強盗団だ。

そして機関部のホークとレッド。
「出力が落ちた。やつら、乗り込んでくるぞ。」
「来た!」
ホークの頭上に男が降ってきた。
「おっと、そこまでだ。」
「ホーク!」
「俺はいい、こいつらをやっつけちまえ!」

攻撃を躊躇うレッド。…だがそんなレッドの背後にもう一人の男が忍び寄り…
レッドは意識を失った。

気がつくと二人とも縛られている。
「すまん、レッド。」
「仕方ないさ。しかし、こいつらの狙いはなんだ?」
「しゃべるんじゃねえ!…ふげっ!」

突然、パイレーツを殴り飛ばして現れたのは…警察官、ヒューズだった。
「積み荷さ。あの武器が狙いだろう。」
「パイレーツが武器密輸の情報をつかんで襲ってきたのか。」

「ああ。だが、その情報を流したのは、あの女さ。
 たいした悪だぜ。」
キャンベルが…やはりやつは黒だった。

「この奥からレストランの裏へはい上がれる。」
ホークにアドバイスをもらい、キグナス内のレストランへとあがり込み
キグナス奪回へ向けて彼らは奔走することとなった。
だが2人では心細い。協力者を必要がある。彼らは敵を倒しつつ客室を回る。
「やつらはブリッジを占拠している。乗客もどこかに捕まっているだろう
急がないと倉庫の荷物も処分してしまうだろう。」

「ユリア、無事だったか!」
「ああ、おっさんは大丈夫だ。他の人たちは?」
まずはユリアを発見。
「異常ありません。」
「異常大有りだろう!ちょっとついて来い!」
医療ロボBJ&K。
「ほー、お前が乗ってるとはな、ルーファス。」
「腕利きパトロールが何をしている?さっさとシップを取り戻せ。」
ヒューズの旧知の仲らしい男、ルーファス。
「協力してくれ。俺はヒューズ。こいつはレッドっていうんだ。あんたは?」
「…やめた。貴様の名前が気にくわん。」
クールな術士ブルーなどがいた。

そしてある客室にて…彼は思わぬ人物と再会を果たす。
「アセルス姉ちゃん?」
「誰?」
アセルス姉ちゃんと呼ばれた少女は目を丸くする。
「やっぱそうだ。俺だよ。
 烈人、おこのぎ れっと!」
そう。シュライクで10年前に行方不明になった少女、
彼女がアセルスだった。9歳のころまでレッドがよく遊んでもらっていた。
「ああ〜、小此木先生とこの烈人君か!
 大きくなったな〜。全然分かんなかった。
 でも、目の辺りなんか変わってない感じ。」
「良く遊んでもらったもんな〜。
 姉ちゃん、全然変わってないよな〜、髪の色は緑じゃなかったけど……」
再会を喜び、会話する彼ら。だが…すぐにレッドは気づいた。

「ちょっと待て、変だぞ。どう見ても高校生ぐらいだ!
 もう10年以上前の話だ。キサマ、一体何者だ!」

そう。アセルスは失踪当時高校二年生の17歳、
対してレッドは9歳、小学生。
今のレッドは19歳、大学生相当。アセルスより年上になっていたのだ。
アセルスの隣にいたおしとやかそうな女性が口を開く。
「待って。この方は本当にアセルス様です。
 複雑な事情があって、
 十数年も年を取らずに眠り続けていたのです。」
「そんな眠り姫みたいな話を信じろって言うのかい?」
「今は、そんな話をしている場合じゃないだろう?」
 俺はパトロールのヒューズ。ここでじっとしているように。」
何はともあれ、アセルスが生きていたことだけでもうれしい。
レッドは部屋を出ようとする。すると…
「どこへ行くの!」
「キグナスを取り戻すんだ。」
「私たちも行くわ。烈人君を放っておけない。
 私も戦える…。」
「わかったよ。一緒に行こう。
 …誰にだって人に言えない秘密があるもんだよな…」

そして新たに二人の仲間を加え、6人はブリッジを目指す。

63戦え!アルカイザー 第五話 キグナス襲撃 後半:2008/03/18(火) 23:21:21
(訂正:前回は5話の前半です)

「おい!こんな所から行ったら、狙い撃ちだぜ。他に通路はないのかよ?」
「この下にも非常用の通路がある。でも、ドライブ中はここしか使えない。」

ブリッジに繋がる通路は二つ。
飛行中でも使える上の通路は敵の弾丸の雨。
下の通路は短時間だけなら外に出ることもできるという。
そちらの通路を突っ走り、レッド達はブリッジを目指す。

「ブツの積み込みはまだ終わらないのかい!」
「もう少しです、お頭。」

出たところはリーダーのノーマッドの立つ指令台の下。
一気に左右の階段から回り込み、ノーマッドの前に現れる。
「パトロールだ!全員動くな!」
「こいつらどこから沸いて出たんだい!やっちまいな!!」

登場したのはノーマッドの右腕、カモフック。
姿に似合わない射撃力が特徴のモンスターだ。

だが5人の攻撃の前にあっけなく敗れた。
「やられたカモ…下っぱカモーン」
続いて現れたのはカモフックの部下、ソルジャービル。
数で攻めるつもりだろうがそれに屈する彼らではない。
すぐに彼らも全滅させる。

「ボスが逃げた、追うぞ!!」
ノーマッドが一人、客室の方に逃げていった。
彼女を追ってレッド達は急ぐ…が。

「逃げられちまったな。積み荷も奪われて証拠は消滅だ。
あとはあのパイレーツを取っ捉まえて吐かせるしかない。」

その時。
「ヒューズ!あれはなんだ!!」

黒い、エイのような巨大なシップが姿を現し…
強力な電撃をノーマッドのシップに見舞い、跡形もなく消し去ってしまったのだ。

「ブラックレイ……実在するのか……
 ブラッククロスの戦闘シップ………」

ブラッククロスの旗艦ブラックレイ。
恐らくはこれもキャンベルの仕掛けたもの…
「キャンベルとブラッククロス……」

64戦え!アルカイザー 第六話 巡礼者を追え!:2008/03/18(火) 23:34:40
クーロンでブラッククロスの情報を求め、歩いていたレッドは
街で若い男女に絡まれる。

「おい、あの頭、見ろよ!」
「鳥の巣か?」
「サボテンだろ!」

ゲラゲラ笑う若者たち。
中にはおかしな口調である者も…ろれつが回っていないようだ。
酒の類のものよりもっとおかしな…。
恐らくは麻薬。
クーロンは恐ろしい町のようだ。

「サボテン君戻って来たよ。」
「おひゃ、らいふえげ」

すると突然、妙な男が男たちを殴り飛ばしていった。
「ウゴ、ググッげ」

その男を倒した後彼らに事情を聞くと、
どうやら男が暴れだしたのは麻薬を買ったから。
売っていた男は…傘を被った、巡礼者らしき風貌の男だった。

裏通り、下水道を通り、彼を追うレッド。

「キグナスの中ならこっちのもんだぜ!」
最後に着いたのはクーロンのシップ発着場奥。
キグナスに通じる通路だった。
だが……
キグナスの次の行き先は京。巡礼者などキグナス内に溢れていたのだ。
仕方なく、追跡は京まで諦めることにした。

65戦え!アルカイザー 第七話 鋼鉄のサムライ:2008/03/18(火) 23:42:37
ゆったりとした時間が流れるリージョン、京の書院。
そこにいたのは、黒き鎧に身を包んだ鋼鉄のサムライだった。

「巡礼達がどこへ行くか知らないか?」
「彼らは自らの心の不安を求めてこの地にやってくる。
 彼らの目的地は心の中にあるのだ」
「メカのくせに哲学的なことを言うんだな。」

BJ&Kのようなメカとはまったく違う。
人間のようだった。

「古人は言った。石には石の心があると。
 ならば、メカにもメカの心があって然るべきだ。
 だが、メカであるこの私には、自分の心が見えてこない。
 心を求めれば求めるほど、己の中には心が無いことを確信することになる。
 これは虚しい。」

彼の言っていることがよく解らないレッド。
「なんか眠くなってきたぞ。それじゃ、急ぐんで。」

書院の入り口に足を向けるレッド。だが。
「待ちたまえ、若者よ。
 君はブラッククロスのことが聞きたいのだろう。」

突然出てきたブラッククロスの単語。
「何か知ってるのか!…なぜわかった?」
「自分の心は見えずとも、
 他人の心は読みやすいものだ。」

そしてサムライは情報を彼に告げる。
「ブラッククロスには4人の幹部がいる。
 四天王などと呼ばれ、己を見失った愚か者ぞろいだ。」

「四天王……もっと詳しく教えてくれ!
 クソー、こんなときに…」

いずれ戦うであろう強敵・ブラッククロス四天王。
その名を脳裏に刻み、サムライと別れを告げ
レッドはキグナスへと帰った。

66戦え!アルカイザー 第八話 Drクラインの影:2008/03/19(水) 00:13:24
今回キグナスが行く先はシンロウ。古代の遺跡が残る、
密林のリージョンだ。

このリージョンにはブラッククロスの黄色の戦闘員がよく現れるとされる。
レッドはひとまずシンロウ王宮で開かれる、仮面舞闘会へと出場することにした。

「仮面をつけていない人は出られませんよ」
受付でいきなりストップを食らったレッドは
アルカイザーとして出場することにした。

だが…アルカイザーの名を出すわけにもいかない。
かといって本名で出てしまうなど以ての外だ。
「レ……レ、レ、…」
「レレレですね。では、どうぞ。」

変なリングネームがついても気にすることなく、
レッド、いやアルカイザー…いや、レレレは
仮面舞闘会へと出場する。

まず最初に現れたのはマスクをつけたたぬきか猫か解らぬロッキーのマスキャット。
輝ける二連の拳打、スパークリングロールで倒す。

続いて現れたのはクリミナルナイツ。
バイザーをつけ、ビームソードを構える剣士だ。
だがレイブレードから放たれる技、カイザーウイングの前に彼はあっけなく敗北した。

3回戦の相手は女性妖魔の剣士、タイタニア。
拳から放たれる光弾、アル・ブラスターの前に沈む。

決勝戦。最後に現れたのは巨人族のモンスター、仮面の巨人。
これまでの敵の比ではない…
強力な体術を用いてくる強敵。
おまけにブライトナックルやシャイニングキックもまるで当たらない。
巨人族のモンスターであるはずなのに。
ならば、と遠距離からのアル・ブラスターやカイザーウイングをレレレは放ち
仮面の巨人を追い詰めていく。

だが長い戦いの後、仮面の巨人は突然逃げてしまう。
「ふっ、だいたい見切らせてもらった」

こうして優勝したレレレだが、
彼を讃える主催者、シンロウ王と王妃の傍から立ち上がった
ある人物を見て走り出す。

「あれは…Drクライン!?」

レレレはアルカイザーの顔へと戻り、王宮内を駆け回る。
王宮の隠し通路を見つけ出した彼に襲い掛かるは黄戦闘員。
彼らをなぎ倒し、奥へ奥へと進んだアルカイザーは
行き止まりらしき場所で怪人に出くわす。

「Dr.クラインはどこへ行った!」
「Dr.クラインは、もうここにはいない。
 Dr.を追っているとは、貴様、パトロールか?」
「そんなものは関係ない、邪魔するな!」
「そうか、では殺しても問題ないな。死ね。」

鉄球怪人・ゴブリンと戦闘員達が襲い掛かってきた。
しかし彼らも仮面の巨人に比べると全く敵ではない。
必殺技・スパークリングロールでゴブリンを打ち砕いた。

そしてまたキグナスからの呼び出しが。
…これではブラッククロスを追えるはずもない。

キグナスに戻った彼は、ホークに言った。
「ホーク、俺、キグナスを降りる。」
「やはり、行くのか。」
「世話になったよ。」

「そうだな、二度と会えないわけでもない。頑張れよ。」
そしてレッドはキグナスを降り…
独り、ブラッククロスとの戦いに向かった。

67戦え!アルカイザー 第九話 歩き続ける旅人 前半:2008/03/19(水) 00:39:04
「あ!その頭、間違いないわ。」

ふと、派手な格好をした巨乳の若い女性がレッドに声をかけてきた。
「あんたでしょう、ブラッククロスのことをいろいろと調べていたのは。
いい情報持ってんのよ、買わない?」
「内容と値段次第だな。」
そして彼女の口から発せられた言葉は…
「シュウザーの情報よ。」
「聞かせてくれ!」

「あたし、おなか空いてるんだ。この店、おいしいんだよ。」
「わかったよ。」
二人は食事をしながら話をすることとなった。

「それで、どういう情報だ?」
「ちょっと待って、デザートを選ばなきゃ。」
マイペースなその女性にイライラしつつも話を進める。

「なんでブラッククロスの情報が欲しいの?」

「家族の仇だ。父さん、母さん、妹、みんな奴等に……」
「そう。ヒドイ話ね……そういうのって、我慢できないな。
 でも、これはビジネスだからね。
 シュウザーの基地の場所を知っているの。そこまで案内できるわ。」

その女性、アニーと報酬の話を終えると、
中から店主が現れた。…その姿は。

「いらっしゃいませ。」
「ねえルーファス、ちょっと聞いてよ。」
なんと彼は以前キグナスで協力した、
ヒューズの知り合いでもある男性ルーファスだった。
彼もまた、アニーの知り合いらしい。彼に事情を説明する。
「それがどうかしたのか?」
「やっぱりそういう反応ね。相談したあたしがバカだったわ」

横から、紫色のショートヘアの女性・ライザが姿を現す。
「この機会にブラッククロスを叩いておくのも選択肢の一つだと思うわ。」
「甘いなライザ。敵の戦力分析も出来ていないんだぞ。」
「今回はそれでいいのよ。主役は彼。私たちは脇役でいいんじゃない?」
「偵察ということか。よし、メンバーを決めよう。」

アニーの他にあと一人。ルーファスかライザが
ついて行くことになった。
「私はライザ。よろしくね、レッド君。」

そしてライザとアニーを加えた3人は
裏通りから下水道へと向かう。

シュウザーのアジトへの道は長かったがもうすぐそこらしい。
「こっちよ。」

「ここを渡るのよ。楽勝でしょう?
 さあ、渡って!」
水面の上に小石が積んで足場となっている場所。

「(渡れるかな‥‥?)」

少しづつそろりそろりと歩いていき…
すぐそこというところでバランスを崩しそうになり、
とっさに対岸にいるアニーのところにジャンプする。

「もう、どこ触ってんのよ!行くわよ?」
と、バランスが崩れ、アニーの胸をタッチしてしまった。

「うーん…でかい。」
感触に頭が煩悩で渦巻きながら…
レッドはシュウザーの本拠地へとたどり着いた。

68戦え!アルカイザー 第九話 歩き続ける旅人 後半:2008/03/19(水) 01:10:05
「なんでついてくるんだ?もう、金はないぜ。」
「ここからはボランティアよ。」
シュウザーの根城としていた廃墟へと入り込む。
途中、巨大な怪人・サイクロプスとの戦いを繰り広げたりしつつ、
青戦闘員達を蹴散らしていくレッド達。

そして着いたのはアジトの最上階。
とうとう復讐を遂げる時がやってきたのだ。
「シュウザー!!」
「誰かと思えば、小此木の小僧か!
 このシュウザー城を突破してきたことは誉めてやろう。
だが、ここが貴様の墓場だ!」

そしてかつて父を、母を、妹を殺した復讐すべき相手
改造人間・シュウザーとの対決が始まる。今度はもう、アルカールはいない。

爪によるクロー攻撃、回転攻撃、ジェットで飛び上がってのグランダースパイク。
いずれも強力な攻撃で、レッドの力ではキツい相手。
おまけに腕を射出し宙を自在に舞わせ、本体と別に攻撃を繰り出す
シュウザー得意の技、クロービットが彼らを追い詰める。
時折、攻撃をしておいて「やめろ!」という謎の声を発しながら。

だがレッドももう、変身なしでも闘えるだけの力を持っていた。
BJ&Kやアニーという仲間もいる。
レッドは仲間たちと共に攻撃を続けていき…
「なかなかやるなっ、だが…」
レッド達に突如として銃弾が降り注ぐ。
そして同時にシュウザーは高く飛び上がり…
ヘリに乗って逃げようとしている。
「待て!シュウザー!!」
レッドはヘリから降りた梯子に掴まり、シュウザーを追う。

「まったく、しつこい奴らだったぜ。」
遠く離れた、乾いた滑走路らしき場所で
部下と共にシュウザーは安心しきっていた。そこに。

「逃げられると思っているのか!」
「だ、誰だ!」
そう、レッド…いや、アルカイザーだ。

やっと…やっと追い詰めたシュウザー。
彼に、アルカイザーはこのときを待っていたとばかりに台詞を浴びせる。

「ブラッククロス四天王シュウザー、
 キサマは様々なテロ活動でブラッククロスの力を誇示し、恐怖をばらまいてきた。
 そのために多くの罪も無い人々が巻き添えになって命を落とした。」
そして最後の一言。
「その所業、許すわけにはいかん!覚悟しろ!!」

「は!この世に罪が無い人間などいるものか。
 能書きはいい、かかってこいアルカイザー。
 キサマを血祭りに上げ、四天王のトップに立ってやる!」
シュウザーとの再戦が始まる。またも爪攻撃に始まりクロービット、
そして火炎放射、毒ガスなどがアルカイザーを襲うが
こんなものはレッドの家族が負ったものに比べたら大した痛みなどではない。
ブライトナックル、シャイニングキック、スパークリングロールなど
さまざまな必殺技を彼に浴びせる。

追い詰めても尚強敵。アルカイザーは激闘を繰り広げ…
そしてシュウザーが苦しみだした。
トドメを刺してやる!そう意気込んだとき。

シュウザーの口から思わぬ言葉が発せられた。
「オレ様の頭には、小此木の脳が埋め込んであるんだ!
やれるか、アルカイザー!オレ様をやれるか!!」

やめろ、という声の主は…小此木博士、烈人の父だったのだ。
シュウザーを殺すことは…父を本当に殺すことになる。
烈人は躊躇う。そこにシュウザーは容赦なく攻撃を加えてくる。

…その後…彼は迷いを振り切った。
それが父の望んでいることならば。
そして何より、今の自分は烈人ではなく、
悪を許さぬ正義のヒーロー…アルカイザーなのだから。

レッドは高く飛び上がり、シュウザーに向かって最後の一撃を見舞う。
必殺 ディフレクト・ランス。
光の槍となったアルカイザーのキックはシュウザーの体を貫き…
そしてシュウザーは大爆発を起こし…消滅した。

復讐のときは終わった。
金色の仮面でその表情を隠しながら
暗く、音のひとつもない静かな滑走路を彼はただ独り…歩いていった。

69戦え!アルカイザー 第十話 三日月の秘剣:2008/03/19(水) 01:50:15
復讐を終えた時に会得した技…ファイナルクルセイド。
自らの生命力を使い仲間達の傷を癒すその技が意味するものは…。

だが解っていることは、
レッドは戦わなければならない。ブラッククロスと。

以前追跡した巡礼者の行く先は…京。
アニーとライザ、シュライクでルーファスを仲間に加え、共に
京を探索していると、小さなロボットに遭遇した。
「メタルブラックの基地を探索中です。」
メタルブラックとは一体…?
どうやら、京に潜伏する四天王の一人らしく、
ヒューズと同じくIRPO隊員である彼は捜査をしているのだという。
「それじゃ、ついて来てくれ!」

着いた先は書院。以前、機械のサムライがいた場所だ。
すると小さなメカ、ラビットが反応した。
「この裏に空間があります。」
彼が指した先は掛け軸。その裏に隠し通路があったのだ。

その先はなんと麻薬の製造工場。こんなところにあったのか…
驚きを隠せない彼らは奥へ進むと
そこにいたのはシュライクで子供を誘拐した緑戦闘員達。
シュウザーの部下が青戦闘員なら彼らはメタルブラックの部下らしい。

一番奥の麻薬製造釜に爆弾を仕掛けるとレッド達は工場を脱出した。
彼らが脱出したときにちょうど爆発し…書院は火に包まれた。

外に出たところで何者かがレッド達の前にすばやい動きで現れた。
「我が基地を破壊するとは、見事な腕前。
 一手御手合わせ願おう。」

そう。書院で四天王の情報をくれた鋼鉄のサムライ。
彼こそがメタルブラックだったのだ。

雷を落としたり、激しい拳打の連続技・ライガーランページを使ってきたり
持っている刀で突きを放ってきたり体当たりをしたり…
とても素早い動きで向かってくる彼は、
人心を狂わせる薬を作る工場の主とは思えぬほどに
真っ直ぐな心で技を繰り出してくる。

そして背中からジェット噴射をしてサムライが繰り出すは彼の得意とする
必殺剣・ムーンスクレイバー。
超高速の動きをもって、三日月形の軌道で複数人を一気に斬り伏せる
見事な技だった。

一気にレッド以外の仲間が倒れる。
レッドも膝をつく。どうしたら…そう、こちらもあの技があった。
レッドはアルカイザーへ変身し、
ファイナルクルセイドを発動、仲間たちの傷を癒した。
自らの生命力を削って。

自らの身を犠牲にしてでも仲間を、そして人々を守るヒーローであれ。
それがこの技に込められた意味だった。

仲間達と共にメタルブラックに攻撃をし続け、
最後にアルカイザーは必殺中の必殺技を繰り出す。

金と赤…アルカイザーのアーマーと同じ色の炎を身に纏い、
敵へと身ごとぶつかっていく…
これが最強の技、アル・フェニックスだった。
そしてメタルブラックは大爆発を起こし、敗れていった。

強敵ではあったが、武士の心を持ち、
アルカイザー以上の力を持つかもしれない…好敵手と呼べる相手だった。

70戦え!アルカイザー 第十一話 見切りの巨人:2008/03/19(水) 02:36:32
「あのー、遺跡探検の方ですか?」
「いや、違うけど。」

シンロウに着くなりレッドに声をかけてきたのは、
流れるような髪を持つ女性、ドールだった。

「そうですか。実は、弟が遺跡探検から帰ってこないんです。」
「それで、遺跡に行く人を探していたんですね。
 わかりました。ボクが行きましょう。」

こうしてドールと共にレッドはシンロウ遺跡へと向かった。
そこはガイアトード、ヴァルキリー、巨大スライムなどの強敵と
睡眠ガスを放出し、その隙に戦闘員が襲ってくるトラップなどが仕掛けられた
危険な場所だった。

民間人にしてはやけに強い女性ドールと共に先へ進んでいくと
思わぬ人物に遭遇する。
仮面武闘会決勝の相手だった、仮面の巨人と名乗っていた巨人だ。
「ここまで来るとは相当な強者だな。
 強力な改造戦士になりそうだ。ふふふ」
「キサマ何者だ!」

そして巨人は正体を現す。
「ブラッククロスの四天王ベルヴァ様よ!」
「この遺跡は、やはりブラッククロスのワナだったのか!!」

「そうよ、小僧。
 遺跡探検に来る連中を捕らえて改造戦士にするのだ。
 中には、使い物にならん貧弱な連中もいるが、
 そういう奴等にも戦闘員として、
 われわれブラッククロスに役立ってもらっている。フハハハ」

すると今度はドールが正体を現した。
「笑っていられるのもここまでよ。
 リージョン指名手配20348号ブラッククロス幹部ベルヴァ、
 逮捕します。」
そして手帳を突きつける。

「あんたパトロールだったのか!」
「そうよ、レッド君。あなたのことはヒューズから聞いてるわ。
 その頭、すぐわかったわ。」
彼女もヒューズやラビットと同じIRPO隊員だったのだ。

「あのおっさんめ…」
「おっと、ベルヴァ、ブラッククロスのことをゆっくり聞かせてもらうぞ!」
「ほざけ、小僧め!来い!!」

仮面の巨人ことベルヴァとの再戦が始まる。
以前と同じく技をかわしてくるベルヴァ。
そして今度は本気でかかってきているらしく、技も力も以前とは比べ物にならない。

技をかわされては本気を出せない…
しかも変身もできない。遺跡内での敵に力を消耗している。
彼らは力が今一歩及ばず、ベルヴァに敗北してしまう。

「ここは‥‥どこだ?どこへ連れていく!」
…その先はベルヴァの言っていた通り、改造室だった。
だがそこには仲間はいなく、戦闘員しかいない。好都合だ。

改造台の上でレッドは変身してみせた。
「キー(おお、強そうなのが出来たぞ)」
「キー(まだ俺何もしてないよ)」

鈍い彼らを倒すとアルカイザーはベルヴァの基地内を動き
仲間を探して回る…。
すると、地下でドール達を見つけた。
「アルカイザー!ありがとう。
 ねえ、レッドっていう子、知らない?」

レッドは大丈夫だとドールに言ってみせた後、
彼女を含めた仲間達全員を助け出し、地下にあるらしい基地の
階段を昇り抜け出す。
するとそこは…シンロウ王宮だった。ここがベルヴァの本拠地だったのだ。

そうなるとベルヴァのいそうな場所となると…


そう、闘技場だ。そこでベルヴァはアルカイザーを待ち構えていた。
「アルカイザーよ、ブラッククロスの四天王をなめるな!
貴様の技は仮面武闘会で見切った。俺には通用せんぞ!」

そして仲間達を避難させ、アルカイザーとベルヴァの
あのときの勝負の続きが…勝負が始まった。
グランドヒット、雷炎パワーボム、怒りの鉄拳、ゴッドハンド。
やはりベルヴァは力技が中心。
だが攻撃が効かぬのも相変わらず。
アルカイザーがブライトナックルを繰り出すとベルヴァの体は揺らめき、
必殺の蹴りで返してきた。
これこそが彼の必殺技 ベルヴァ・カウンターだ。
アル・ブラスターなどで追い詰めるも効果はない。
そう、ベルヴァは人間の能力をモンスターに付加した、改造モンスターだったのだ。
アルカイザーはカイザーウイングなら通用したことを思い出し、
その強化版たる必殺・カイザースマッシュを叩き込む。

そしてベルヴァは敗れた…だがベルヴァもただでは死なんと
シンロウ王宮を爆破したのだった。

71戦え!アルカイザー 第十二話 都市に巣食う妖女:2008/03/19(水) 02:56:17
シュライクの生命科学研究所でIRPOモンスター捜査員コットン、
ルミナスでIRPO妖魔隊員サイレンスを加えたレッドは、
マンハッタンのファーストフード店で彼を誘った。
「お、来たな。待ってたぜ。キャンベルの化けの皮を剥がしに行こうぜ。」

そしてキャンベル貿易会社へ。
「社長に会いたい。」

すると、受付に社長の声が響いた。
「キャンベルです。御通ししなさい。
 ようこそ。小此木博士のおぼっちゃま。」
そして受付に言われるままにエレベーターに乗る。

マンハッタンの夜景が写るエレベーター内。
「あいつ、やはりブラッククロスの一員か。
 父さんのことも俺のことも知っている。必ず、正体を暴いてやる!!」
するとヒューズが叫んだ。
「レッド、上だ!!」

上から降ってきたのは桃色の戦闘員達。
青はシュウザー、緑はメタルブラック。黄はベルヴァ。
そうなると桃色はキャンベルか。

彼らを撃退するが、どうやらエレベーターが止まってしまったらしい。
そこからは自力で登ることになった。
「エレベーターが故障です。申し訳ございません。」
「ブラッククロスの仕業だ!君は早く逃げろ。」
「そうは参りません。お客様の御世話をするのが私の仕事ですから。」
「キャー」

今度は怪人にが戦闘員を連れて襲ってきた。
彼らを倒し、ビルを登る。
警備員もどうやらブラッククロスらしく武装して襲い掛かってくる。
ビルの非常階段では大量の怪人が彼らを待ち伏せしていた。

そうこうしながらとうとう最上階、社長室の前まで来た。
…と、先ほどのエレベーターガールがいる。
「よくここまでご無事で。ぜひ受け取って頂きたい物があるのです。」
素直に頂くとこれは電撃砲。思わぬ武器が手に入った。
彼女は単に仕事熱心だっただけだったようだ。

「キャンベルはどこだ!」
「住居不法侵入だぞ、キサマ。排除する。」

キャンベルはそこにはいなく、居たのは黒服の男。小型のマシン3台を引き連れている。
どうやらキャンベルのSPらしい。

彼を倒すと突然の停電に。
この隙に変身し、彼らは非常口から外へ出ると…

高層ビルの合間にキャンベルはいた。
その決戦の地はなんと蜘蛛の巣。

するとキャンベルは眩い光に包まれ…正体を現した。
彼女はブラッククロス四天王・改造妖魔アラクーネだったのだ。

アラクーネは体に機械を搭載しており、
対ミサイル用の妨害システムECMやビット攻撃を用いて戦ってくる。
妖魔の機械嫌いも克服されているようだ。
ブレードネット、ミニオンストライクなどの強力な攻撃を用いてくる。
失われたとされた邪術まで。

そして彼女の必殺・ライトニングウェブがアルカイザー達に襲い掛かる。
だが…もう四天王3人を倒したアルカイザーはそれに耐え、
必殺・フラッシュスクリューを放つ。

そしてキャンベル社長、アラクーネは力を失い、大爆発を起こし消滅した。


四天王がこれで全滅した。
アルカイザーも全ての技を会得した。あとは最終決戦…
そんな時、キグナスからの呼び出しが入る。ホークは一体何を…?

72戦え!アルカイザー 第十三話 突入!ブラッククロス本部:2008/03/19(水) 21:23:58
「何かあったのか、ホーク?」

久しぶりに機関室へ戻ったレッドはホークに問う。
「ブラッククロスの戦闘員のユニフォームを手に入れた。何かの役に立つだろう。」
見せたのは赤い戦闘員服。見たことがないものだった…。
ホークはもしかして…

「いったいどうやって… まあいいか。
 これで奴等の巨大シップ、ブラックレイに乗り込んで、
 そのままブラッククロスの本拠地へ突入してやる!ありがとよ、ホーク。」
「レッド!」

「分かってるよホーク。お互い、言えないことが多すぎるよな。」
そう告げて、レッドはブラックレイへと乗り込んだ。

ブラックレイの中にはレッドのものと同じ赤い戦闘員ばかり。
赤が所属のない下級、
青がシュウザー直下、緑がメタルブラック直下、黄がベルヴァ直下、桃がアラクーネ直下
そうなると恐らくは赤は上級戦闘員だろうか。

ブラックレイの中を歩き回り、二階の中心にあるブリッジを覗いてみる。
すると…そこにいたのは。

「(あれはメタルブラック?!俺が京で倒したはずだ…)」

そう。四天王最強の実力を有したあの鋼鉄のサムライ、メタルブラックだ。
すぐにドアを閉める…すると突然、ブラックレイの船内通信が響いた。

「今のは進入者だ、捕らえよ!」

メタルブラックの声。だが少し口調が変わっているような気がする。
とにかくブラッククロス本部までの間に逃げなければならない。
船内の戦闘員達が一斉にレッド達を追う。

なんとかまもなく到着のアナウンスが出るに至った…
が、そこまでだった。
メタルブラックはレッドの前に立ちはだかる。
「逃がさん!」

メタルブラック・改。以前と違う重量のあるボディで、
手には銃、体にはミサイル、重火器を満載した他の四天王を上回る強敵。
そして変わらずなのは秘剣ムーンスクレイバー。
更に磨きのかかったその技で彼らは追い詰められる。
メタルブラックは決して、改造の力だけに頼ってはいなかった。

しかし四天王を全員倒し、それからも技を磨き続けたレッド達は負けはしなかった。
メタルブラック改に数々の技を繰り出し、
そしてまたもメタルブラックを倒すことに成功する。

しかし…
「お前達を、ブラッククロス基地へ入れるわけにはいかん。
 ブラックレイ、自爆スイッチオン!」

死ぬならばせめて道連れに…。
ブラックレイはブラッククロス本拠地上空で爆発を起こしたのだった。

だが彼らは誰一人として死んではいなかった。
仲間達とはぐれた隙に変身をしたレッドは、アルカイザーとして仲間達の前に姿を見せる。
「アルカイザー!」
アニーが言う。
「やあ、私もブラックレイに密航していたんだよ。
 では、ブラッククロスを叩き潰しに行こう。」
「レッドが来てない。」
ヒューズが言う。
「彼なら大丈夫。ケガをしていたので、私が安全な所に連れていった。」

そして「レッド」は戦いの舞台から姿を消し、
アルカイザーの最後の戦いが今、幕を開けた。

そこはこれまでとは比べ物にならない警備だった。
大量の怪人や戦闘員が配備された巨大施設。

もう大分奥まで来た…そう思った時。アルカイザーはある部屋に足を踏み入れる。

そこにいたのはなんと…
「(!!母さん、藍子!!無事だったのか!!)」

そう、烈人の母と妹。彼らは生きていたのだ。
「イヤ、来ないで!!」
怖がる妹。思わずアルカイザーは口を滑らせかける。
「あい……
 安心して、私はアルカイザー。怪しい者じゃない。
 ブラッククロスの首領を倒してくるからここで待っていて。
 (…良かった、本当に良かった。)」

妹と母の姿を見れた。天国の父も喜んでくれているだろう。

「あの、これを。」
「この鍵は?」
「Dr.クラインが持っているようにと。」

その鍵は、首領のいる間への鍵だった。
「Dr.クラインが…… ありがとう。」

折角生きていた母と妹だ。また平和な日々に戻してあげなければ。
…アルカイザーは最後の戦いへの、背中の最後の一押しをもらった。

73戦え!アルカイザー 第十四話 首領の間の激闘:2008/03/19(水) 21:33:21
そしてアルカイザーは決戦の場所へとたどり着く。
長く細い橋を渡った先の開けた間…首領の間だ。
「来たな、アルカイザー。
 ブラッククロスに対するこれまでの数多くの不遜な行為、許すわけにはいかん!
 ブラッククロスの首領である私が自ら鉄槌を下してくれるわ!!」

首領はマントを翻し、襲い掛かってくる。
全身が凶器のようなその体から繰り出される技は強力なもの。
だがアルカイザーにとっては大した攻撃ではなく…
首領は必殺・アルフェニックスによって敗れたのだった。


「(やったよ、父さん。ついにブラッククロスを倒した!)」
勝利に浸るアルカイザー。
これで戦いは幕を閉じた…そう思われた時だ。

「お見事、流石はアルカイザー。
 我が改造物たちをことごとくなぎ倒しただけのことはある。」
「Dr.クライン! 首領は倒した、ブラッククロスはもうおしまいだぞ!」

余裕を崩さぬDrクラインに事実を突きつけるアルカイザー。
しかし…

「はははははは、首領?さっきのあれか? 
 確かに、この間まで、あれは首領だった。
 だが今は、私がブラッククロスを指揮している。」

なんと…首領は先ほど倒した者ではなかったのだ。
「前首領にも改造を施してみたが、
 元が悪くては改造も効果が無いと証明しただけだったな。」

だがDrクライン自体に大した戦闘力はないはず。
「Dr.クライン、お前の悪事もこれまでだ。おとなしく裁きを受けろ!」
「それは彼らと戦ってからにしてもらおう。出でよ、四天王!!」

そして彼らの前に現れたのはなんと、復活した四天王達だった。
いや、正確には先ほど倒されたメタルブラックを除いた3人。
これで四天王は全員、パワーアップを受けたことになる。

彼ら3人が入れ替わりながらアルカイザー達に技を繰り出してくる。
シュウザーのクロービット、
ベルヴァのベルヴァカウンター、
アラクーネのライトニングウェブ。

四天王のうちの3人。かつてない劣勢かと思われたが
アルカイザー一人で片付く相手であり、すぐに彼らは倒された。

今度こそ戦いの終わりか…そう思われた時。
「ふむ、あ奴等のボディでは、二度の改造には耐えられなかったか……」
「悪あがきはよせ!」

74戦え!アルカイザー 最終話 さらば、アルカイザー 1/3:2008/03/19(水) 21:39:30
今度こそ四天王は全員倒された。
そう思われた…だが。

「しかし、これは違うぞ。我が最高傑作、メタルブラックだ!」

アルカイザーの目の前に…黒いアルカイザーが現れる。
これがメタルブラックの姿だという。
「お前との戦いの分析の結果、お前の能力をコピーするのが最強であるという結論に達した。」

いや…アルカイザーにはわかっていた。
例え、厚いバイザーに覆われていようと。
その下の顔が別のものになっていても。
改の時と同じく、また口調が変わっていたとしても。

アルカイザーを真っ直ぐに見つめるその目が物語っている。
『アイツだ』と。
それは、初めて見た時と同じ鋼鉄のサムライ…
メタルブラックでしかない。

「二度の戦いの記録がメタルブラックを
 最強のバージョン3として甦らせたのだ!」

変身に対し改造。
烈人がアルカイザーとなったように。
彼はバージョン3にして、
鋼鉄の勇者メタルアルカイザーとなったのだ!

そしてアルカイザーに向かって、落ち着いた口調でメタルアルカイザーは言う。
「アルカイザー、決着をつけよう。」

そしてアルカイザーは無言でそれに応え、彼の正面に立つ。
「傷ついたお前を倒しても最強の証明にはならん。
 Dr.クライン、アルカイザーを回復させて下さい。」
「相手の弱みに付け込めないのが、メタルブラックの最大の弱点だ。
 だが、その心を失っては最強にはなれん。」

Drクラインによりアルカイザーは回復され…そしてアルカイザー同士の戦いが始まった。
だがここでアルカイザーが言う。
「みんな、ここは俺一人に任せてくれないか。」

一同は沈黙する。
「わかった。でも、負けたら罰金よ」
まずアニー。
「がんばってね」
ドール。
「大丈夫でしょうか…」
ラビット。
「お前なら出来るはずだ。」
ヒューズ。
そして一人づつ去っていき…

「アルカイザー、その心意気や良し。
 いざ尋常に……」
「「勝負!」」

75戦え!アルカイザー 最終話 さらば、アルカイザー 2/3:2008/03/19(水) 21:40:25
二人の戦いが始まる。
あらゆるアルカイザーの技をコピーしたメタルアルカイザーだが、
決してその力などには甘んじてなどはいなかった。
その技を効果的に組み合わせ、彼に次々と技を浴びせる。
レイブレードを模したブレード、シャイニングキックを模したキック、
アル・ブラスターを模したサンダーボール、フラッシュスクリューを模した竜巻攻撃、
カイザースマッシュを模した突進、ディフレクトランスを模したグランダースパイク。
一方のアルカイザーもアル・ブラスター、ディフレクトランス、スパークリングロールと
次々に技を繰り出していく。
「いい気迫だ…だがっ!」
メタルアルカイザーが秘剣・ムーンスクレイバーを放つ。
どれだけパワーアップしてもこの技だけは捨てはしない。そしてあまりにも強力。
流石に痛い…しかし負けてはいられない。
「ぐっ…まだだ…突き抜けろ!必殺…アル・フェニックス!」
彼に使ってきた最強の技、アルフェニックスをぶつける。
赤と金の炎に染まるメタルアルカイザーの体。
だがメタルアルカイザーも決して負けはしない。
タイガーランページなどの技を放ち…そして。
メタルアルカイザー最強の技がアルカイザーを襲う。
ダークフェニックス。アルフェニックスをコピーし、更なる破壊力を手に入れたその技は
アルカイザーの体を青黒い闇に染める。

そして…アルカイザーは力を失い、変身が解けてしまった。
「どうしたアルカイザー、もう諦めるのか」
メタルアルカイザーが言葉をかける。戦う力も体力も失われていく。
だが。
「お前の力はその程度なのか!」
その言葉は敵を貶すものなどではない。
奮い立たせるものだ。
そしてレッドは…再び、アルカイザーへと変身した!

そして…最強の技がここに体現された。
アルカイザーを不死鳥の形をした炎が包み…その体は空高く舞い上がり…
とてつもない速さを以ってメタルアルカイザーに己をぶつける。
これがアルカイザー最強の技『真・アルフェニックス』だった。

熱き炎に体を焼かれ、剣を握り締め耐えるメタルアルカイザー。
「なんという重い一撃だ…」
「今が好機!俺の全ての力をレイブレードに託す!」

もう一度真・アルフェニックスを放つ。
それから体全体を竜巻にしてメタルアルカイザーを包み…その勢いで再び宙へ舞い上がり…
アルカイザーの全エネルギーを帯びた最強の剣が振り下ろされる。
メタルアルカイザーの体もアルカイザーの体も、その周囲全てさえも力に包まれる。そして…

バキン!
…レイブレードが粉々に砕けた。そして…
メタルアルカイザーの体がエネルギーに包まれ…体全体が大きな熱の柱に覆われ…
爆発音のようなものとともに熱の柱は収束し…
そこにはもう体はなく、
メタルアルカイザーの体は全て、戦いの炎により燃え尽き…蒸発した。

アルカイザーの体に、紅く輝く灰が降り注ぎ、アルカイザーの体を癒す。
「…メタルアルカイザー
 お前は強かったよ
 しかし 間違った強さだった」

76戦え!アルカイザー 最終話 さらば、アルカイザー 3/3:2008/03/19(水) 21:41:36
辺りを静寂が包み込む。
「信じられん……
 お前の力の秘密はなんだ!
 私は、私は、ウォーーーーー!」
突然、Drクラインが吹き飛ばされ、辺りに轟音が鳴り響く。

「I am the real Master of BlackCross.
 I contorol everything
 I rule everyreagion
 You shall die!」

仲間達が駆けつけたその時。
突然岩盤が崩れ落ち、暗闇の奥から巨大な単眼のメカ…
真の首領が姿を現す。

ゆらゆらと辺りが揺らめき、空間が歪み…以前とは比べ物にならない
トライワイトゾーンへと姿を変える。
だが…力を得たアルカイザーには…もう負ける気はしなかった。
真・アルフェニックスと仲間達の技が、
次々と真の首領へと繰り出され…
真の首領は敗れる。

巨大な体が、頭からどんどん塵になって消滅していった。


日差しの強い夏の日。
小此木一家は、その日墓参りに来ていた。…父である小此木博士の。
そこにホークが現れる。

「母さん、俺がずいぶん世話になったホークだ。
 父さんの友達だったんだ。知ってるだろう?」
「ホークさん? 初めまして、小此木の家内でございます。主人とは古い御知り合いですか?」
「ええ、まあ。」

ホークは烈人の母と話を始める。

「俺、ホークと話があるから先に行ってて。」
話がひと段落したところで烈人は切り出した。

「ホーク、俺は……」
「レッド、向こうを向いて目をつぶれ。」
「なんだよ」
「いいから。」

烈人が目を開けると…そこにいたのは。
「アルカイザーよ、君からヒーローの力をはく奪する。」
「なぜだ、アルカール!」
「サントアリオのヒーロー委員会の決定だ。さらばだ、レッド。」

こうしてアルカイザーは…いなくなった。

「ホークさんは?」
「帰ったよ。」
「何かあったの、お兄ちゃん?」
「別に。それより、おいしいもの食べに行こう。」
「わたし、アイスが食べたい。」
「もう、二人とも。まだ子供ね。」

77サガフロンティア ブルー編その1 課せられた使命:2008/03/20(木) 20:35:31
ここは魔法王国の名を冠するリージョン、マジックキングダム。
魔術と呼ばれる、このリージョンに住む人間のみが資質を有するとされる術を
魔法科学の研究により発明したリージョンでもある。

より優れた術士を生み出すべく教育する機関がある。そう、学校だ。
だが、マジックキングダムの学院は普通の学校とは違う。
外に出ることも許されず、ただひたすらに術を磨く人生を送らせる場所。
この日はその年の修了式…最も優れた術士が選ばれる日だった。

「修士終了式 開会!
 修了者の氏名発表を主任教授から行います」

「教授会による厳正な成績審査の結果
「全会一致により今期の修士修了者を修士ブルーに決定致しました」

「修士ブルー、前へ!」

金髪の術士、ブルーが部屋の中心へと歩む。
女神の描かれた高い高い天井。
広い吹き抜けの部屋の、何階分も上で彼を見下ろすのは
学院の教師達。

「ブルーよ、汝をマジックキングダムの術士に列する
 術士としての義務を果たし、キングダムへの忠誠を全うせよ
 慣例に従い、キングダムを離れ リージョン界への外遊を許可する
 修了者の第一の務めはリージョン界を巡り、術の資質を身に付け
 より高度な術を鍛錬することである。」

もっともらしい言葉。そしてこの言葉が付け加えられる。
「そのためにはあらゆる手段を用いてよい」

「異例の事だが、出発前に校長からのお言葉がある」
どうやらブルーは特に優れた術士らしい。

「ブルー、貴方は選ばれし者です。双子ゆえに魔力が強い」

そう。もう一つ存在するマジックキングダム裏の学院に…
彼が一度も顔を見たことのない、双子の弟がいるのだ。

「しかし、双子のままでは術士として完成することはありません
 貴方はその運命に従わなくてはなりません
 今日、別な場所で貴方の双子の片割れのルージュも
 同じように終了の日を迎えています」
そして本題に入る。

「キングダムには不完全な術士よりも完璧な一人の術士を求めています。
 それは貴方だと信じてますよ、ブルー」

彼らはキングダムにとって、恐らくは道具でしかないのだろう。
「行きなさい。資質を身につけ…そして」



「ルージュを殺せ!」

78サガフロンティア ブルー編その2 より多くの術を:2008/03/20(木) 20:59:42
「ここドゥヴァンでは秘術と印術の資質について情報が得られるだろう
 急げ、ブルーよ!
 ルージュの得た術を…お前が習得することはできないぞ!」

占いが盛んなリージョン、ドゥヴァン。
秘術と印術両方についての情報を集めた。
「秘術とは、アルカナ…タロットの力を用いる術です。
 印術を持つものはこの術を習得することができません。
 この4枚のカードがアルカナ・タローに変化したとき…
 あなたは秘術の資質を身に着けることができているでしょう」
「印術とは、ルーンの力を用いる術です。
 秘術を持つものはこの術を習得することができません。
 この4つの小石がルーンの石に変化したとき…
 あなたは印術の資質を身に着けることができているでしょう」

秘印の選択。
ブルーは秘術を選択した。

まずは人手がいる。スクラップというリージョンで
仲間を集めることにした。

「私はT260です。自分に関する情報を収集中です。」
「想像以上に使えない機械だな。」
機械T260。

「私は術を学ぶ者です。あなたは術について何かご存知ですか?」
「酒場の会話じゃ無いわね。でも、そういう話は好きよ。
 わたし、陽術が少し使えるの。」
「それは素晴らしい。(この女、役に立ちそうだ)」
チャイナドレスの術士、メイレン。
「ボク、クーン!名前は?」
「(この動物、役に立つだろうか…)」
モンスターのクーンが仲間になった。

そして4つのアルカナタローの一つ、剣の在り処はワカツ。
滅んだそのリージョンへ行くにはそのリージョンの出身者がいなければならなかった。
「…あなたがゲンか?」
「ああ? 俺に用か、にいちゃん。まあ、飲めよ。」
「ワカツ城への案内を頼む。
 あなたがワカツの出身だということは知っているんだ。
 剣のカードがほしい。同行を願いたい」

そして剣のカードを求めて、亡霊のうろつくワカツへ。
城の最上階にて物の怪の影の写る間で剣の音を見切り、
剣のカードを手に入れる。

次は盾のカード。IRPOにあるとされるカードだ。
「あんたが盾のカードがほしいって人?
 それじゃあ差し上げますよ、とは悪いがいかないんだ。
 俺と一緒にムスペルニブルの山に登って、山頂の花を取ってきてもらう。
 そしたら盾のカードをやるよ」
山頂では朱雀と出くわし、苦戦しつつも彼は盾のカードを入手。
ヒューズも仲間に加わった。

「杯のカードのことを調べている」
「おやおや。ここじゃカードのことを調べる人には
 一杯飲ませる決まりなんだ。トリニティのお偉いさんにしか出さない
 一級品だよ、さぁ飲んでおくれ。
 カードのことなら隣の蔵が詳しいよ」
「杯のカードのことを調べている」
「おやおや。ここではカードのことを調べる人には」
酒の名産地ヨークランド。杯のカードを手に入れるための試練は
沼を歩かせることだった。ただし、酒を大量に飲ませ酔わせた後に。
ふらつく足元。手ごわいモンスターが襲ってくる。
困難を極めたがこれも突破し、杯のカードを手に入れた。

「ノームを追っているの、私も連れていって。」
「(頭の悪そうな女だが…)ついてこい。」

「金のカードがほしい?だったら金をもってこい!たくさんだ!」
エミリアを加えた彼は娯楽リージョン・バカラの地下洞窟に潜むノームを訪ねた。
大量の金と、金のカードを交換するという。
ここまでの旅で得た金を渡し、彼は金のカードを得…
そして彼は秘術の資質を手に入れた。

続いては陰と陽、二つの術を扱うリージョン、ルミナス。
「陽術は、光や熱の力を扱う術です。陰術を持つ者は資質を得ることができません。」

ここの試練は光を使ったもの。迷宮の中にある鏡の反射を用い
出口へと光を導くというものだった。
これも頭の切れるブルーには簡単なもの。
彼はいとも簡単に陽術を得る。

だが次の術はそれまでとは比べ物にならぬほど過酷なものだった…

79サガフロンティア ブルー編その3 世界に一人だけの使い手:2008/03/20(木) 21:19:46
「術のことを聞きたい」
ドゥヴァンの神社の境内にいた、妙に大人びた
小学生ほどの少女にブルーは尋ねる。

「術にも色々あるが、時術、空術という強力な術がある。知っておるか?」
その二つは、恐らく最強の術と言っていいだろう。
だが…それらの資質を持つものはこの世に一人しか存在できないらしい。

「時を操る、これほど強力な術はあるまい?
 だが、本当にそんな術があるのか?
 わらわも、その様な術は見たことはない。
 妖魔の噂では、この広いリージョン界にただ一人、時術を操る妖魔がおるらしい。
 「時の君」などと呼ばれているが、正体は分からん。
 他の妖魔の君ならば、正体を知っておろう。
 ムスペルニブルの「指輪の君」
 ファシナトゥールの「魅惑の君」などがな。」

続いて空術。
「空間を自由に操作する術、これもなかなかに強力だ。
 この術は、ある特殊な場所に行かなければ手に入らないのだ。」
「どこへいけば……」

「麒麟というものが、その術を使って特別な空間を作り出し、
 そこに住んでおる。そこは少し変わった所だ。
 まあ、行ってみれば分かる。」


彼が着いた所は…おかしな空間。もとい、お菓子のような空間だった。
アイスクリームやメロンパン、ワッフル、チョコレートで構成された床に
キャンディが漂っている空。
空間を操る術というのはそこまで自在に操れる力らしい。

そして、そこには子供たちがたくさん。
…恐らくは麒麟が育てているのだろう。

ヨーグルトに開けられた入り口から、麒麟のいる、
先ほどとは違った、水面のような床に雪のような
白い柱が立つ間へと導かれた。

「あなたの御用は空術ですね?
 少々試させて頂きますよ。よろしいですか?」
「よろしい、来なさい。」

そしてブルーはお菓子の迷宮へと飛ばされる。
不思議な空間だった。多分ブルーのような者でなければ
大人でも楽しんでしまうような場所だろう。

体が小さくなる薬、重力の反転する扉、ぐるぐると回る空。
相当複雑なものであったが、ティーカップの中に入った彼は再び麒麟の元に導かれた。
「御見事です、御約束どおり、御話を伺いましょう」


ブルーは冷たくその言葉を口にした。
「その必要はない、お前を倒して、
 資質を含めた空術のすべてを私が譲り受けるからな」

「そうですか、あなたの狙いは資質ですか。確かに空術の資質を持てるのはただ一人。
 わたしを倒さない限りあなたは資質を得られない。
 しかし、
 私もあなたに譲る気はありませんよ!」

世界で唯一匹の空術の使い手、麒麟との戦いが始まる。
ライトシフトで辺りを光に照らしての、光による回復、
突然現れた数本の槍が一人を貫くヴェイパーブラスト。

流石にこれは危険。ブルーは上級魔術、
術に反応し相手を魔力の檻に閉じ込めるサイキックプリズンで術を妨害しつつ
麒麟に攻撃を加える。
麒麟の最強術・リバースグラビティも封じられ…

そして麒麟は死んだ。


外に出てみると…子供達がどんどん消えて行った。
声も出すこともできずに。
空術の使い手、麒麟が死んだ為に
彼らはその空間とともに消滅する運命にあるのだ。

「そこまでして資質を得たいの?」
メイレンが聞く。

「これでいい、これでいいんだ。
 これで…ルージュとの対決ができる。」

80サガフロンティア ブルー編その4 宿命の対決:2008/03/20(木) 21:39:26
月が大きく映る、切り立った二つの岩柱。

最強の術士二人はここで初めてお互いに対面し…
ここで殺し合うこととなる。
表の学院で学び、秘術、陽術、空術を得たブルー。
裏の学院で学び、印術、陰術、時術を得たルージュ。
相容れぬ術を手にした双子の戦いが今ここに始まった。

そこは特殊な空間。時間とともに変化し、
一つの術のみを受け入れ、それ以外の力は減退する。

まず最初は魔術空間。
最強の魔術、ヴァーミリオン・サンズをルージュに繰り出す。
ルージュは気を失った。
これでブルーの勝利…
そう思われたが、なんと彼は炎に包まれ、爆発と共に傷を回復し立ち上がった。
謎の術、リヴァイヴァ…ルージュの術なのか…?

そして空間は変わり陽術。フラッシュファイアでルージュを追い詰めようとするが
ルージュの発動したサイキックプリズンにかかりブルーは倒れる。
だがブルーも同じくなんとリヴァイヴァが発動、即座に立ち上がったのだ。

…これはどちらの術でもない。
双子同士の戦いであるこの「場」にかけられた術。
倒れることは許されず、お互いが生命力の最後の一滴まで賭して戦い、
最後に「死」を迎えるまで戦わせ続けるための仕掛けだったのだ。

彼らは存分に術をぶつけ合う。
陰術・パワースナッチでブルーの体力を自らのものにするルージュ。
秘術・剣でルージュを串刺しにするブルー。
印術・活力のルーンで自己回復力を得るルージュ。

お互いに譲らぬ勝負…双方何度か倒れ続けた。

だがスパートをかけたブルーは優勢。
これで最後だ、と空術リバースグラビティを放とうとするブルー。
だがそこにルージュが必殺の術…
時術・オーヴァドライブが炸裂する。
これは時間を止め、効果が続く限り一方的に攻撃し続けることができる術だ。
だが使用後に全ての魔力を無くす。

得てきた術全てを使い、攻撃を続けるルージュ。
ブルーは何度も倒れたが、彼の生命力はあと少しというところで尽きず…
術は解けた。

これで最後だ。今度こそブルーはリバースグラビティを
虫の息のルージュへと放つ…!

だがそれは叶わなかった。
ルージュはオーヴァドライブの効果時間の最後に、
術を封じる術、サイキックプリズンを使っていたのだ。
魔力の檻に閉じ込められ、ダメージを負うブルー。

そこにルージュが術を用いる。エナジーチェーン。
これはブルー・ルージュ共に最初に使っていた初級術。
彼らはそれを魔力なしで放てるようになっていたのだ。

魔力の鎖に貫かれ…そしてブルーは……死んだ。

「貴様が…私より優れているのでも…言うの・・・か………!!」

81名無しさん:2008/03/20(木) 22:02:44
かつての三大魔界貴族の一人、冥王ジェダが復活。
彼は完全なる魂の救済を望み、その礎である「価値のある魂」の持ち主を、
魂の檻、「魔次元」へと呼ぶ。
果たして、その野望の行きつく先は何処なのか…。

「すべての命よ…私と同化せよ!」

82サガフロンティア ブルー編その5 そして彼は…:2008/03/20(木) 22:08:24
戦いは終わった。
勝者・ルージュはその場にしばらく呆然として立っていた。
「俺は…誰だ?」

勝利の余韻ではなく、呆然としていた。その理由…。
「ルージュの術が私を貫いた時…私はルージュの中に入り込んだ…」

「今、僕はルージュであって…ブルーだ。
 …そして今分かった。僕たちは元から一人だったんだ!」
自分の体が一つとなって初めて解った事実。

「何故キングダムは教えてくれなかったのか…?
 それを知らなければならない。
 帰ろう、ルージュ。…マジックキングダムへ」
陰陽、秘印、時空。全ての相反する術を有し、そして
それにより究極の術、命術さえも手に入れた究極の術士がここに誕生した。

「一体、何があったんだ!」
二人が生まれ育った地、マジックキングダム。
たどり着いた場所は、破壊され尽くされた後だった。
凶悪なモンスターを退け、ルージュは町の地下へと進む。

学院のあったところだ。
「一体何があったんだ!」
「化け物どもが地下からあふれ出てきた…
 封印が破られたのだ…」
それを最後に男は息絶えた。更に地下。
モンスター達がいる部屋で謎の腕輪…三女神の腕輪を手に入れると
彼は巨大な巨大な…マジックキングダムのシンボル、
三女神像の体に立つ。
「偽りの女神め…」
腕輪が光りだし、女神の額にルージュは吸い寄せられた。
そして…ワープする。
その場所は白と黒の二つに分かれた…大量の胎児の入れられた
カプセルのような丸い装置が並ぶ部屋。
そこにはマジックキングダムの教師がいた。
そしてルージュは全てを察した。
「俺は、俺たちはここで二人に分けられたのか…魔術的処置で…人為的に…
 なぜ、こんなことを! キングダムは悪魔の巣窟か!」

「君は最後に旅立った術士だね。ということはブルー、それともルージュか?」
「そうだ、いや、違う。俺はブルーであり、ルージュであり、どちらでもない。
 何故こんなことをした。俺たちを操り、殺し合わせ、何をさせる気だ。」

教師に食って掛かるルージュ。
「あなたも見たでしょう、この破壊を。封印が破られ、地獄の化け物どもがあふれだしたのよ。」
「地獄の者どもからキングダムを護りひいてはすべてのリージョンを護るのが我々の役目だ。
 そのためには強い魔力を持った術士が必要なのだ。」
教師達は真実を次々に語りだす。かつて指輪の力で作られた封印された場所、「地獄」
封印を守るための強力な術士の養成機関、それがキングダムの学院だったのだ

「そのために、俺達を犠牲にしたのか! まだ何も知らなかった俺を!!」
「私たちの使命はもっと大きいのよ。
 自らを犠牲にしてより多くのものを護るのよ。」
「そんな論法は通じない。
 あなた達が押し付けた犠牲だ。自分では何も決めていない。
 こんな施設は破壊する!」
ルージュが叫んだその瞬間…
モンスターが部屋に入り込んできた。
「ここまで侵入されたか!!」
モンスターを蹴散らしたルージュは冷静になり、教師に聞く。
「どうすれば、この子達を護れる。」
「封印を復活させるのよ。そのためには地獄へ行って敵の力を弱めなければ…
 キングダムに栄光あ…」
その言葉を最後に息絶えた。
自分がしなければならないことが解った。
彼は再び走り出す。学院の地下へ。
倒れている一人の男に話しかける。
「ここから地獄へ行けるのか?」
「では、ブルーか、ルージュか……ならば期待も持てる。」

…そして…彼は地獄へと旅立った。
「お前たちは…本当の……」

そこは光にあふれた美しい場所だった。
光のアーチが出来、翼の生えた天使達が行き交い、蓮の花が咲く。
まさに天国のような場所…しかし、天使たちは凶悪なモンスター。
この中から溢れたモンスターがキングダムを襲撃している。…地獄だ。

ルージュは地獄の力を弱めるべく奥へ進み…封印の間にたどり着く。
そこで巨大な黒き卵から何者かが生まれた…地獄の君主だ。
これを倒すことによって封印は完成する。
七支刀、イルストーム。恐るべき破壊力を持つ攻撃が繰り出される。
だがルージュは屈することなく…術を君主にぶつけ続ける。
そして最後にルージュは時術の奥義オーヴァドライブを使う。

時間の止まった、時計の鐘の音が鳴り続ける巨大な時計。
そこでリバースグラビティを重ねてぶつけ続ける。
最後の術を君主にかけたそのとき…………。

83名無しさん:2008/03/20(木) 22:08:59
A.D20XX年、地中から突然大量に現れた謎のブロックのため、
地上は大パニックになってしまいました。

調査の結果、ブロックの発生ポイントが地底1000mにあることが判明しました。
普通、そんなところに行ける人はいません。

これはもう、穴掘りのプロ、「ドリラー」に頼むしかないという結論になりました。
そこで白羽の矢が立ったのが、ルーキーでありながら、
「ドリラーの最高のタイトル、「ミスタードリラー」に最も近い男」
という呼び声の高い少年で、とある島を救った伝説の英雄「ホリ・タイゾウ」の次男、
「ホリ・ススム」でした。

皆が困っている姿を見捨ててはおけないと、
依頼を引き受けたススム君は、ブロックの謎を解明するべく、
地底1000mを目指したのでした…。

84ヴァンパイアハンター レイレイ編:2008/03/23(日) 07:57:44
中国で仙術を教えてきた少(シャオ)家一族の双子の姉妹、
姉のリンリン(鈴鈴)とレイレイ(泪泪)。
ある日、二人が16歳を迎える前日に墓から蘇ってきた亡霊たちを倒すため、
彼女の母がそれらの亡霊と闘い、撃退した。
しかし、母は術の反動で闇の中へと彷徨うことになってしまう。
その母の魂を救うため、姉妹は「異形転身の術」を自らの体に施し、キョンシーとなった。
この術を使うと、使用者の魂が永遠に救われることのないことを知りながらも。
そして、闇の住人達との戦いに赴く。それが母を助けられる唯一の方法と信じて。

そしてついに、姉妹は最後の戦いで力尽きてしまう。
そこに現れた謎の女性―。母の魂そのものだった。
母は姉妹の命を現世に転生させた。新しいリンリン、レイレイとして。
こうして姉妹は平和で平穏な日々を暮らすことになる…。

85ヴァンパイアセイヴァーEXエディション レイレイ編:2008/03/23(日) 08:14:04
中国で仙術を教えてきた少(シャオ)家一族の双子の姉妹、
姉のリンリン(鈴鈴)と妹のレイレイ(泪泪)。
ある日、二人が16歳を迎える前日に墓から蘇ってきた亡霊たちを倒すため、
彼女の母がそれらの亡霊と闘い、撃退した。
しかし、母は術の反動で闇の中へと彷徨うことになってしまう。
その母の魂を救うため、姉妹は「異形転身の術」を自らの体に施し、
レイレイはキョンシー、リンリンはレイレイの暴走を抑えるため札となった。
この術を使うと、使用者の魂が永遠に救われることのないことを知りながらも。
そして、闇の住人達との戦いに赴く。それが母を助けられる唯一の方法と信じて。
そのうちに「漆黒の救世主」こと冥王ジェダ・ドーマが復活。
ジェダが価値ある魂を集めていたその矢先に、シャオ姉妹もその標的となる。





襲いかかってくる脅威をすべて振り払い、ジェダさえも倒したレイレイ姉妹。
しかし、ジェダを倒したことによって世界は無になってしまう。
「ここはどこ!?私たちはもう帰れないの!?」
その時、謎の女性が現れる。
「あなたたちの進む先はこの先にあります…」
二人はその進む先へと吸い込まれていく。
その時だった。謎の女性の正体がわかったのだ。
「あ、あなたはおかあさ―」
前世の記憶を一瞬だけ取り戻したレイレイとリンリン。
しかし、二人が目を覚ました時、前世の記憶はすでになかった。
母が二人を現世へと転身させたのだ。
家へと続く夜道を駆けるリンリンとレイレイ。
「街の道端で寝ちゃうなんて…」
「ヒッチハイクしていたからねー」
「変な夢を見ていたような気がするよ…」
「私もー」
「あ!見て!パパとママ!」
「本当だー!」
二人は荷物を投げ出し、待っていた親たちのもとへ駆けて行く。
その時、流れ星が遠くに現れた。
そして二人は平和な、平穏な暮らしを、前世の記憶と引き換えに取り戻した。
前世の母もこれを望み、転生した姉妹を見て安心している事であろう…。

86ポケットファイター レイレイ編:2008/03/24(月) 21:46:15
ダークストーカーズを追いかけるレイレイとリンリン。
ですが、彼らに会う前に旅費がそこをついてしまい、
今はアルバイト探しをしています。
「ろくな仕事がないアル…。人間界もシケたもんだなぁ…ん?
『三食昼寝付き実動二時間』!これだ!
このザンギエフとかいう広告主に会いに行こう!」

「お前が三食昼寝付きか?」
「?? ああ、アルバイトの話か」
「ほんとの本当に三食昼寝付きか?」
「もちろんだ。だがその前に、試験をさせてもらおうか…フフフ」


「さあ勝ったアルよ。早く三食昼寝付きに案内するネ」
「うむ、その腕なら申し分ない よし、ついて来い」

ザンギエフの紹介でレイレイが働き始めて一か月が過ぎました…。
「いつもより多く回しております〜 でもギャラはおんなじアルよ」
ロシアからやってきたサーカス団の花形スターとなった二人。
ダークストーカーズのことなどすっかり忘れてしまいました。
「一回死んでる私が言うのもなんだけどさあ、人生楽しくいかないとねぇ」

The END

87ヴァンパイアセイヴァーEXエディション レイレイ編改訂版:2008/03/26(水) 08:27:45
中国で仙術を教えてきた少(シャオ)家一族の双子の姉妹、
姉のリンリン(鈴鈴)と妹のレイレイ(泪泪)。
ある日、二人が16歳を迎える前日に墓から蘇ってきた亡霊たちを倒すため、
彼女の母がそれらの亡霊と闘い、撃退した。
しかし、母は術の反動で闇の中へと彷徨うことになってしまう。
その母の魂を救うため、姉妹は「異形転身の術」を自らの体に施し、
レイレイはキョンシー、リンリンはレイレイの暴走を抑えるため札となった。
この術を使うと、使用者の魂が永遠に救われることのないことを知りながらも。
二人は闇の住人達との戦いに赴いた。それが母を助けられる唯一の方法と信じて。
そしてついに二人は、母に出会えた。
しかしそれはほんのわずかなことだった。
母は二人を忌わしい記憶から解放するため、現世へと転生させたのだ。
二人は前世の記憶を失った代わりに、新しい母と父と生活を得た。

その頃魔界では「漆黒の救世主」こと冥王ジェダ・ドーマが復活。
ジェダが価値ある魂を集めていたその矢先に、シャオ姉妹もその標的となる。
そしてレイレイは鉤爪をもったキョンシーレイレイとして、
リンリンはレイレイの暴走を抑えるためのお札のリンリンとして、
二人は魔界に再び降り立った。この魂の奪い合い戦争から逃れるために。





襲いかかってくる脅威をすべて振り払い、ジェダさえも倒したレイレイ姉妹。
しかし、ジェダを倒したことによって世界は無になってしまう。
「ここはどこ!?私たちはもう帰れないの!?」
その時、謎の女性が現れる。
「あなたたちの進む先はこの先にあります…」
二人はその進む先へと吸い込まれていく。
その時だった。謎の女性の正体がわかったのだ。
「あ、あなたはおかあさ―」
前世の記憶を一瞬だけ取り戻したレイレイとリンリン。
しかし、二人が目を覚ました時、前世の記憶はすでになかった。
母が二人を現世へと転身させたのだ。
家へと続く夜道を駆けるリンリンとレイレイ。
「街の道端で寝ちゃうなんて…」
「ヒッチハイクしていたからねー」
「変な夢を見ていたような気がするよ…」
「私もー」
「あ!見て!パパとママ!」
「本当だー!」
二人は荷物を投げ出し、待っていた親たちのもとへ駆けて行く。
その時、流れ星が遠くに現れた。
そして二人は平和な、平穏な暮らしを、前世の記憶と引き換えに取り戻した。
前世の母もこれを望み、転生した姉妹を見て安心している事であろう…。

88ロックマンエクゼ・ファントムオブネットワーク その1:2008/03/28(金) 07:28:13
ナビらの事を道具としか思っていない―
あらゆるナビや電脳の情報のバックアップを蓄積したサーバーから怨みを持って生まれたナビ―キャッシュは全ての人間に復習するため、密かに影を延ばした
ファイアマン―
アイスマン―
ウッドマン―
キャッシュはナビのキャッシュデータを用いて偽物のナビ―キャッシュナビを作り出していった
ことごとく熱斗とロックマンが被害を阻止していったが―キャッシュは目をつけた
 
「ナビと人間がなぜここまで出来るのだ―」

89ロックマンエクゼ・ファントムオブネットワーク その2:2008/03/28(金) 07:47:07
―手掛かりを掴んだキャッシュはジャミングマンを差し向けた、妨害電波で交信さえ断てばただのナビだと
―だが血からの繋がりを持つ二人にはかなわなかった―
 
ついにキャッシュは世界全国にキャッシュナビを差し向けた、人間を滅ぼすために本格的に動き出した―
キャッシュに対抗するため、科学省は壮大なる作戦を打ち立てた、その名は―「モバイル・オペレーション」―
 
その作戦とは全てのオペレーター、及びナビを囮にし―光熱斗、およびロックマンをキャッシュがいると予想される場所へ攻め込ませるという―壮大な作戦だった
 
キャッシュの手先を退け、友の手助けもあり、ロックマンはついにキャッシュとの戦いに臨む―
キャッシュはキャッシュにためられたデータを自らに取り込み、ジャミングマンの妨害電波を数倍にしたものを放ち、二人の交信を断った―
 
呼びかける熱斗、その声は深き絆に結ばれたロックマン―光彩斗に届いた。
そして、二人はラスト・バトルオペレーションに挑み―
 
キャッシュを倒した二人―それと同時にキャッシュナビは姿を消した―作戦は成功した
今まで助けてくれた修一君は引っ越しで熱斗と別れる事に―絆は繋がっている、ずっと友達だ―と

90ヴァンパイアセイヴァーEXエディション ドノヴァン編:2008/03/28(金) 09:06:27
謎の少女、アニタと共にダークストーカーズを狩るために、
旅を続けていたドノヴァン。
しかし、この二人もまた魂の奪い合いという名の戦争に巻き込まれていく。
「これも運命なのか」
しかし百戦錬磨のドノヴァンは何事もなく闇の住人達を倒していく。
バレッタを、フェリシアを、レイレイを、モリガンを、
とにかく狩って行った。
そして勝った。この戦争に。

眠るアニタ、そのアニタの上に魔剣を置きアニタの心を探る。
そしてドノヴァンは一言言った。
「お前も…お前も私と同じく運命に生きる者なのか…」

91ヴァンパイアセイヴァーEXエディション バレッタ編:2008/03/28(金) 09:39:05
ここは人間界、いわゆる普通の世界だ。
ここにとある一人の少女がいた。
いかにも童話「赤ずきんちゃん」を彷彿とさせるような少女だ。
そして当然のように近寄ってくる一体の吸血鬼…。

倒れていたのは吸血鬼のほうだった。
「お嬢様、これでございます」
「何〜?これだけ〜?」
そう、彼女は知る人ぞ知るハンター、バレッタだった。
そんなバレッタも魔界で魂の奪い合い戦争が起こっていると聞いて、
犬や執事を連れて魔界へ行くことへ決めた。
「これはひともーけできそうねっ!」


次々に魔界のダークストーカーズを狩っていくバレッタ。
いつしかそれはバレッタのなかの一種の心のやすらぎとなっていた。
そして魂の奪い合いを始めたジェダ・ドーマを難なく倒すと、
我こそが魔界最強と名乗るダークストーカーが現れた。
ゾンビのザベル=ザロックだ。
「ジェダはあっさり死んじまったってことは俺が魔界最強ってことだろ!?
 ヒャーハハハハァッ!!!」
しかし、そのザベルでさえバレッタに狩られてしまう。
そして魔界に平穏が訪れた…わけはなかった。

魔界のとある家で…。
「今日の魔界ニュースです また殺人事件がありました。
被害者の体は無残にも切り刻まれていました。
目撃者の話によると、犯人は赤い頭巾をかぶった人間の少女で…」

「ママー、怖いよー」
「大丈夫よ、ここにまでは来ないわ」
「うん、そうだ だから安心しろ」
その時、家の前にとある少女が―。

92StarOcean First Departure:2008/04/02(水) 14:17:26
豊かな自然と多様な種族が共存している未開惑星、ローク。
そのロークの大陸の一つであるムーアの南端に、
辺境の小さな町グラトスがあった。
グラトスの田舎町を駆けてくる少女ミリー。
彼女が目指しているのは、町の自警団が集まる詰め所だ。

自警団と言っても、事故や事件と無縁の平和な町では仕事もなく、
詰め所では自警団人のラティとドーンが退屈な時間を過ごしていた。
そんな2人を見かねたミリーは2人を誘って町の見回りへと連れ出すのだった。


そして、物語は始まった―――

93StarOcean2 Second Evolution:2008/04/02(水) 14:21:17
未開惑星を調査中、事故によって見知らぬ惑星へ転送されてしまった少年クロード。

世界中に広がる異変、謎の隕石ソーサリーグローブ
…伝説の勇者の出現を待ち望む少女レナ

2人はなぜ、出会ったのか―――?

94ぷちえゔぁ:2008/04/02(水) 14:25:59
全 人 類 ま っ た り 計 画

碇ゲンドウ校長率いる第三新東京市立ねるふ学園を舞台に、
息子である気弱な生徒シンジを始め、
天才帰国子女アスカや綾波三姉妹など、
エヴァンゲリオンのキャラクター達による、
てんやわんやの楽しい学園生活が始まる。

95ACE COMBAT ZERO The Belkanwar:2008/04/05(土) 10:51:15
ベルカ公国 ―かつての雄武国家。

1980年代、行き過ぎた国土拡張政策は広告を経済危機へと陥れる。

連邦政府による国土縮小計画を持ってしても、
未曽有の経済恐慌が収集することはなく、
混乱に乗じて政党国家復古を掲げる極右政党が政権を獲得する。

1995年3月25日元ベルカ自治領ウスティオ共和国に眠る、
膨大な天然資源発見の報を機にベルカ公国は周辺国への侵攻作戦を開始する。

「ベルカ戦争」の開幕である。

準備不足の各国は、伝統のベルカ空軍の前に敗走。
隣接するウスティオ共和国は、数日でほぼ全土を占領下におかれる。
ウスティオ臨時政府は、残された第6航空師団を外国人傭兵航空部隊として緊急再編。
オーシア連邦、サピン王国との連合作戦に一縷の望みをかける。
この戦乱下、とある一人の男がウスティオ傭兵部隊へ入隊。
そこで、「片羽の妖精」の名を持つ腕利きパイロットたちと出会う。
彼のTAC(戦術航空師団)ネーム、「ピクシー」。
入隊間もない、1995年4月2日1249時(12時49分)、
ウスティオ最後の砦、ヴァレー空軍基地にスクランブル(緊急警報)が響く。
基地管制塔はベルカ爆撃機変態の接近を確認。
要撃任務を託された二つの翼が戦線に舞い上がった。

96ACE COMBAT ZERO The Belkanwar ネタバレ注意:2008/04/05(土) 11:15:07
ここからは後編です
ネタバレ注意



























ピクシーとサイファーの活躍により徐々に領土を奪還され、
ついには本国侵攻まで許してしまったベルカ公国。
南ベルカの各都市では厭戦ムードが漂い始め、
住民たちは「非武装地域」を名乗り、ベルカ軍も北に敗走するしかなくなっていた。
そんな時、ベルカはある決断を下した。
それは国内での「七つの核」の始動だった。
ベルカ国内で立ち上がる七つのキノコ雲。死者は200万人にも及んだそうだ。
そしてウスティオとの決別を決意するピクシー。
何もかもが連合軍にとってはマイナスであった。
しかしこれ以降も戦線は連合軍に有利な形で動いていた。
サイファーと、サイファーの新しき相棒PJによって。
ベルカ戦争が終わりに近づいてくると新ベルカ暫定政権が連合軍の監視下で発足。
そして、とうとうベルカ国内のルーメンにて、ベルカの降伏調印式が行われた。
しかし降伏したベルカに突きつけられたのは、オーシア有利の一方的な条件。
これを許すまいとして、ベルカの極右政党がクーデターを起こした。
しかしそれは序章に過ぎなかった。
なんとその極右政党によって多国籍テロリスト軍団、
「国境なき世界」が誕生したのだ。
これを壊滅させるため、サイファーとPJは再び空へ舞い上がった。

97ACE COMBAT ZERO The Belkanwar ネタバレ注意:2008/04/06(日) 08:53:53
ここからは続後半です
ネタバレ注意















「世界をリセットする そしてその世界を一つにする。」
「国境無き世界」はアヴァロンダムを使って、
核搭載V2ミサイルを発射することを決めた。
連合軍側はこれを阻止するためサイファーとPJ、
そして選りすぐりのエースたちを戦場に送った。
川の水面ギリギリを高速で飛んでいくサイファー機。
そしてそれを護衛するPJやほかのエース達。
しかし、対空砲火は酷く撃墜されていく仲間たち。
中には壁に激突する者や、ベイルアウト(脱出)が間に合わなかった者もいた。
「第一架橋通過!第二架橋通過!第三架橋通過!第四架橋通過!…アヴァロンダムだ!」
アヴァロンダムに侵入したのはサイファーの一機のみ。
サイファーは狭いダム内に入り、コントロールルーム、モジュールを破壊。
V2の発射を阻止したのだ。歓喜にわきあがる連合軍とPJ。
「俺、基地に彼女がいるんすよ 帰ったら告白しようかなって思ってて…花束もかtt」
突然、サイファーとPJの後ろから出てきた光線が、PJ機を貫く。
空中で散っていくPJの機体。その時、無線が―――。
「戦う理由は見つかったかい?相棒」
そこにいたのは最新鋭戦闘機ADFX-02、コードネーム「モルガン」だった。
サイファーはすぐにわかった。モルガンに乗っているのはピクシーだと。
サイファーはピクシーと戦った。
ピクシーの多彩な攻撃―
レーザービーム、広域制圧兵器「MPBM」など、
多彩な攻撃に苦戦することなくピクシーを追いつめていく。
だが、ピクシーを追いつめたその時、途端にミサイルが効かなくなる。
よく目を凝らしてみるとピクシーの手前で直角に曲がり、
違う方向へと飛んで行っていたのだ。
そして本部から入る無線―
「いいかサイファー!ヤツは特殊な装置を用いてミサイルの軌道を変えてるらしい!
ヤツにミサイルを当てるには前から堂々と狙うしかないぞ!」
そして正面から挑むサイファーとなかなかミサイルを撃たないことにいら立ちを感じているピクシー。
「撃てよ!臆病者!」
その瞬間、サイファー機からミサイルが放たれ、ピクシー機を見事撃墜した。
それと同時に数分前に打ち上げられたV2が、アヴァロンダム付近で爆発した。
それがこの戦争の真の終止符だったのかも知れない。

98ACE COMBAT ZERO The Belkanwar ネタバレ注意:2008/04/06(日) 09:20:28
またもやネタバレです
ですので見るときは注意を…













OBCドキュメンタリーで追えた彼の存在はここまでである。
ベルカ機を多く撃墜し、かつ一回も撃墜されることなく、
円卓を生き抜いたことから、いつしか「円卓の鬼神」と称されたサイファー。
そしてその相棒で通称「片羽の妖精」と言われたピクシーこと、ラリー・フォルク。
口癖は「よう、相棒 まだ生きてるか?」
ピクシーはサイファーに撃墜された後も、生きていた。
爆心地近辺に住む、心やさしい人々によって。
だが彼は今、とある国境付近の戦場にいる。
「国境の本当の意味を確かめたいんだ。」
この話は、大体が彼の話によって証言されたものである。
だがそれだけじゃない。いまだに生き残っているサイファーと戦ったエース達。
彼ら一人一人の話は違ったが、ただ一つ、共通していることがあった。
彼の話をすると、皆少し嬉しそうな顔をしていたのである。
それは何故かわからないが、恐らく「鬼神」というライバルに、
親近感や戦うという友情を築いていたのであろう。

そうそう、この戦いには後の有名人も多くいる。
「凶鳥ヒュッケバイン」ことウォルフガング・グフナーや、
「ハートブレイク・ワン」ことジャック・バートレット、
さらにはアシュレイ・ベルニッツやミヒャエル・ハイメロートまで。
後の環太平洋戦争の主要人物たちである。

そしてサイファーのその後であるのだが………。
ベルカ戦争が終わってから鬼神ことサイファーは行方をくらましたらしい。
その行方は未だに誰もわかっていないという。
彼が皆の前に、そして大空に戻ってくるのはいつになるのだろうか…

99俺の屍を越えてゆけ:2008/04/06(日) 19:42:09
時代は平安時代にまで遡る。
とある二人の夫婦が平安の世を乱す鬼、朱点童子に挑もうとしていた。
その二人の名は、源太とお輪。
二人はいよいよ朱点童子のいる堂へ乗り込んだ。
しかしそこにいたのは一人の少女だった。
駆け寄り心配する源太。しかしそれは罠であった。
なんと正体は少女に化けた朱点童子だったのだ。
その場に倒れ、息を引き取る源太。
しかし朱点は源太を殺してもまだ飽き足らず、
お輪の産まれたばかりの赤子さえも殺そうとしていた。
お輪は朱点に懇願し、赤子との最後の対面を許される。
そしてそれを見た朱点は、何を思ったのか子供を生かせることを決めた。
わずか二年の間しか生きることができない「短命の呪い」と、
人間同士で交配し、子孫を残すことのできない「種絶の呪い」をかけて。

この一部始終を展開から見ていた神様たちは、
二人の子を保護し、そして神様たちは二人を助けるため、
神と交神してもいいという特別令を出し、
さらにはお手伝いのイツ花を派遣して、
朱点童子の討伐に向かわせるのだった。
しかし、神が討伐に向かわせたのは別に理由があった。
その理由とは…?

100アウターヘブン蜂起:2008/04/12(土) 07:38:26
南アフリカの奥地、1980年代後半に、英雄かつ狂人とうたわれた、
一人の傭兵によって武装要塞国「アウターヘブン」が生まれた。
そこで戦争史を塗り替える殺戮兵器が開発されているという情報を得た「西側」は、
ビッグボスが総司令官を務める特殊部隊FOXHOUNDの新入隊員ソリッド・スネーク単独で送り込む。
先に潜入し、囚われの身になっていたFOXHOUND隊員である、
グレイ・フォックスを救出したスネークは、その兵器の恐るべき正体を知る。
核搭載二足歩行兵器メタルギア―あらゆる地から核攻撃を可能にする重兵器である。
レジスタンス達の力を借り、開発途中のメタルギア破壊に成功したスネークの前に立ち塞がったのは、
FOXHOUND司令官でありながら影でアウターヘブンを統率していたビッグボスであった。
スネークを情報撹乱のために送り込んだにもかかわらず、
逆に野望を打ち砕かれたビッグボスは悲痛な叫びをあげる。
「お前はやりすぎた、やりすぎたのだ!」
地下100階でぶつかる、思想も政治も関与しない男と男の闘い。
やがてビッグボスを倒したスネークは、燃え上がるアウターヘブンを後にした。

101名無しさん:2008/05/22(木) 15:34:42
経済大国アメリカ

世界の経済はここから生まれ、そして世界中へと散り、そして戻る…。
金が生まれる限り、様々なものが売り買いされていく…。
そしてギャンブル、ドラッグ、売春、暗殺、テロ…。
犯罪も例外ではない。

だが異邦人のなかではそれはすべて昇華して、彼らはこうつぶやくのだ。
「アメリカン・ドリーム」と…。

「…よぉ、兄弟
実はお前の腕を見込んでたのみてぇことがある。
明朝、でかいヤマが動くんだが、それを取り仕切ってもらいてぇんだ。
もちろん悪いようにはしねぇつもりだ。
それにまさか俺達ファミリーに借りがあることも忘れちゃいまい…。
…ああ、連絡先はいつものところだ。なぁ兄弟…、二人でいい夢見ようや」

街が闇から紅に染まる時、
もう一つの「アメリカン・ドリーム」が始まる…。

102サガフロンティア リュート編 旅立ち編:2008/05/23(金) 12:30:04
ここはのどかなリージョン、ヨークランド
深森にたたずむ一軒家で、ひとりの青年が旅立とうとしている
青年は残していく母親を気遣うが、気丈な母親はとんでもないといわんばかり
「早くしなさい」
「やっぱり心配だな、母ちゃん一人を残していくのは」
「なに一人前のことを言ってるの。
あんたに心配されるほど歳とっちゃいないよ ちゃんと働くんだよ」
「うん」

さてこうして旅立った一人の若者
母親は女手ひとつで彼を育ててきた

それなのに
こんな年になっても何もせずにフラフラ

すねっかじりのくせに
母親に迷惑をかけてきた

それでもなぜか
近所のワルガキどもにはなつかれていた

「アニキ、本当にいっちまうのかい?」
「サンダー、情けない声出すなよ 母ちゃんを頼むぜ
じゃあな、行ってくるぜ〜」

リュートは一念発起
母親の元を離れ自活することになったのだが…

103サガフロンティア リュート編 出会い編:2008/05/23(金) 12:50:56
リュートは他のリージョンへ行くために、
シップに乗ろうとするが、すぐに役人に止められてしまった


「このシップの乗船は許可しない」
「許可しないと言われてもこれに乗らなきゃどこへも行けんのよ」
「トリニティの貸し切りだ」
「はじっこのほうでいいんだ。一人ぐらい乗れるだろう?」

役人を説得使用するリュート、しかし…

「ごちゃごちゃ言ってると逮捕するぞ!」
「逮捕?俺が何したって言うんだい?」

するとすぐ隣の建物から一人の男が…

「どうした?トラブルか?」
「司令! いえ、何でもありません ほら、早く帰れ!」
「シップに乗りたいのか?場所はある。乗りたまえ」
「親分のほうがものわかりがいいな」

こうして男に乗せてもらったリュートは、
お礼を言うべく船内でその男に会いに行くのだった。

「乗せてもらえて助かりましたよ」
「私もヨークランドの出身だからね」
「ところでこのシップはどこへ行くんですか?」
「マンハッタンだよ」

ロブスターのような形をした赤いシップは、
トリニティの本拠地があるマンハッタンへと向かっていた。
そしてしばらくして彼らはマンハッタンについた。
リュートは名も知らない男と別れショッピングモールへ行くことにした。
リュートはショッピングモールの中にあるファーストフード店の中へ入った。
奥にいる金髪の男に話しかけると…。
「モンド司令と何を話した?」
「いきなりなんだ?警察みたいだぞ」
「察しがいいな 俺はIRPOのヒューズだ
ヨークランドからモンドといっしょにシップに乗っただろう」
どうやら乗せてくれたあの男の名前はモンドというらしい。
「そうだぜ。
あそこで乗せてもらえないと、見送ってくれた連中に格好がつかないしな。
話がわかる人で助かったよ」
リュートの言葉にヒューズは首をかしげる。
「話がわかる人?
モンドという男は切れるが冷たいと評判でな。
話がわかる人なんて感想は初耳だ。」
「俺はそう感じたってことさ。パトロールに世話になったらよろしくな!」
そう言ってリュートはマンハッタンを離れ、
クーロンを経由してオウミへ行くことにした。

104サガフロンティア リュート編 ビクトリアへの招待:2008/05/23(金) 12:59:07
オウミへ来たリュートは美味しい匂いにつられてか、
小さな橋を渡ったところにあるレストランの中に入って行った。
すると一人の女性が食事を取っている。
リュートはその女性に話しかけてみることにした。
「あたしはここの料理が好きでね、
オウミに来たときにはいつも寄ってるのさ。
ネルソンの味付けより、あっさりしていてたくさん食べられるんだよ。」
「へえ、ネルソンの人かい、初めて見たよ。普通の人間じゃないか
トリニティの宣伝じゃ、リージョン海賊だって話だったけど」
「あんなのは、トリニティの連中の宣伝さ
一度、うちの船に来てみなよ。びっくりするよ」
どうやら彼女は船を持っているらしい。
と、そこへ一人の女性がやってくる。
「艦長、御時間です。」
「それじゃあね。ごちそうさま。いつもおいしいね。」
「またどうぞ。」
するとその女性は迎えとともにどこかへと去っていった。
リュートは追いかけるようにネルソン行きのシップに乗った。
それがさっきの女性の船とも知らずに…。

105サガフロ リュート 明かされる真実と新しい戦い:2008/05/23(金) 13:16:37
ビクトリアに乗ったリュートは舵を取っている船員に話しかける。
「ネエちゃん何してるの?」
「ネエちゃんではない!
私はこの艦の一等パイロット、れっきとした士官だぞ。」
「これは失礼しました でありますです〜」
リュートは船長の部屋に向かうとそこにいたのは先ほどの女性だった。
リュートが彼女に話しかけると…。
「この艦は独立戦闘任務艦ビクトリア
艦隊行動が基本のネルソンでは異色の艦だ。
現在、本艦はトリニティのある人物の行動を監視している。
第2情報部司令、モンドだ。君もよく知ってるだろう?」
「モンドさんかい?
ちょっとシップに乗せてもらっただけさ。
知り合いって訳じゃない。」
「そういう意味ではない。
君の父上の遺志を裏切ってトリニティへ奔った男のことだ。」
「それ、何の話だよ?
俺の父ちゃんがモンドさんと知り合いだったって言うのかい?」
「本当に何も知らないのかい?
私はてっきり、父上の志を継ぐために私に接触してきたのだと思っていたよ。」
どうやらこの女性はリュートの父のことを知っているらしい。
リュートはその女性に父のことを問いただす。
「父ちゃんの志って?
いったい、俺の父ちゃんは何をやっていたんだ?」
リュートの父は一体何をしていたのだろうか―?

106サガフロ リュート 明かされる真実と新しい戦い その2:2008/05/23(金) 13:20:01
そして、明かされる真実―。
「反トリニティの活動家だったんだよ
そして、その活動の最中に新婚の奥さんを残して亡くなった」
「おいおい、待ってくれよ。
いくら能天気な俺でも今の話は・・・・
母ちゃんはなんにも話してくれなかったしな。
だいたい、赤の他人の………
まだ、名前も聞いてねえや………
艦長さんがなんでそんなことを知ってるんだい?」
「ネルソンは小さなリージョンだ。
強大なトリニティに対抗していくためには、より多くのリージョンの
より多くの人々の協力が必要だ。
そのために情報収集をしているんだよ。」
「いきなり、そんな話をされても、
イマイチぴんと来ないな。」
「そうだろうね。話を戻そうか。
本艦の任務は説明した通り、モンドの監視だ。
その監視中に彼が秘密裏に基地を建設しているのを発見した。
本艦はいつでもそこに突入できる態勢を整えている。」
「それじゃ戦争だぜ。
ネルソンはトリニティと戦争する気なのかい?」
「戦争にはならない。
モンドはその基地の存在をトリニティにも秘密にしている。
彼個人の文字通りの秘密基地だ。」
「一体何のために?」
「彼は大きな野望を抱いているようだ
例えばトリニティ全体を一人で支配するような。」
「そんな、子供向けムービーの
悪役みたいなことを本気で考える奴がいるかよ。
話がマジだかシャレだか分かんなくなってきたぜ。」
「突入はいつでも可能だ。
君も参加する気になったら来てくれ。」
「俺はそういう
荒っぽいことは苦手だよ」

そう答えたリュートだったが、
いきなり明かされた真実の前にどうすればよいかわからなくなっていた。
そして彼が出した答えは―。

107サガフロ リュート 新しい戦い:2008/05/23(金) 13:36:28
リュートは艦長のもとへ行った。
「モンド基地に突入する気になったかい?」
「やるぜ!」
そう、彼はモンドの基地へ突入することを決意したのだ。
「よし、出発だ!!」

「全速前進、目標ワカツ!」
「全速前進、目標ワカツ。」
艦長の命令を復唱してその通りに操縦する一等パイロット。
「モンドの基地はワカツにあるのかい?」
「そうだよ。」
と、その時―
「トリニティ艦を探知。ホエールタイプです。」
現れたのはクジラのような大きな戦艦だった。
「モンドの旗艦の御出ましだ。幸先いいね。
「あんなでかいの相手に歯が立つのかい。
「まあ見ていなさい。ネルソン魂っていうものを教えてあげるよ。」
すると艦長は信じられない命令を出した。
「最大戦速、敵艦との衝突コースを維持せよ。」
「最大戦速、敵艦との衝突コースを維持します。」
「体当たりする気か!」
「両舵砲戦用意!」
「両舵砲戦用意よ〜し!!」
攻撃の準備をして待つ船員たち。
「進路そのまま。」
「撃ってこないぞ。」
「ホエールの死角に入ったのさ。」
どうやらモンドの旗艦の死角の位置を知っていたらしい。
情報収集をきちんとしているというのは伊達ではなかった。
それだけではない、船員たちの技量も高かったため、
艦長の指示を聞き、それをきっちりとこなすことができたのだ。
「面舵一杯!」
「面舵一杯。」
「左舵打ち方用意!直進、戻せ。」
「舵直進、戻します。」
「左舵打ち方始め!」
艦長の命令と共に始まったのは凄まじい勢いの艦砲射撃だった。
そして少したったところで攻撃をやめた。
「かなり痛め付けたようだね。 総員、艦内戦闘用意。」
「今度は何をするんだ?」
「砲戦の後、敵艦に乗り込む。 これがネルソン流の戦い方だ。」
「敵艦から小型艇が離脱。ワカツへ向かいます。」
「モンドが逃げたかな?」
「戦闘止め。 小型艇の追跡に移る。」
すぐにその小型艇を追跡を始めた彼らはとうとうモンドの基地についた。

108サガフロ リュート 野望の果てに:2008/05/23(金) 14:03:43
モンドの基地に入った彼らはすぐさまエレベーターを使い、
下へと向かって行った。
しかしエレベーターは途中で止まってしまう。
どうやら動かすためにはキーボックスというものが必要らしい。
彼らはキーボックスを隣のフロアで探し、そして見つけた。
それを使いさらに下へと進んでいったのだ。
そして最下層に到着、そこで彼らを待っていたのは巨大な機械だった。
そして機動を開始し、彼らに襲いかかった。
中から人の声が聞こえてくる。そう、モンドだ。

「リージョン界を統べるのは力だ!
それがまだ解らんか。
愚か者たちよ、今から力の意義をお前達の体に
直接、叩き込んでやる!!」

そして、モンドとの戦いが始まった―。

109サルゲッチュ OP:2008/06/03(火) 22:26:39
ある動物園の、見世物小屋の中。

世にも珍しいホワイトモンキーの子供が一匹いました。
その子猿は、目の前に置かれた謎の白い半円形のものに興味を示している様子。

これは一体なんだろう…?
どうやら頭に被るもののようです。
子猿が恐る恐るそれを被ってみると…。


一方、日本のとあるのどかな町の丘の上。
並んで走る二人の子供がいました。

「なあカケル、ハカセのタイムマシンは完成したのかな」
「もう少しだって言ってた!」

小学生の男の子、カケルとヒロキはその日、
知り合いのハカセの研究所へと期待を胸に急いでいました。
「だったら今日、乗れるかもしれないな!」
「そしたら僕が先に乗るっ!」
「あっ、ズルいぞカケル!」

追いかけっこを始めた二人。
そして研究所のドアを開けると…なんとそこには…。

「カケル君、それにヒロキ君も!」
「カケル〜!」
そこにいたのはおびただしい数のサル達。
彼らは変なヘルメットを被っていました。
そして縛られたハカセとその孫、ナツミの姿。


「い、いかん、二人とも逃げるんだ!」

サル達を率いていた白いサルの指示で部下らしきサルが走り始めると、
ハカセはカケル達に逃げるように叫びました。
しかし…

その瞬間、サルはコントロールパネルにあったスイッチを押してしまったのです。
そしてこれが、この物語の始まりでした。

『WARNING!!!』

けたたましい警告音と共に研究室の中心にある装置にエネルギーが集まりだしました。
そして部屋中にあるもの全て…
物もサルも、カケル達さえもが空中へと浮き始め、
リーダーらしき白いサルの笑いと共に…
全てが真っ白に包まれていきました。



それが収まったときには、部屋にいたカケルやサル達は皆姿を消し…
縛られたハカセとナツミだけが残されていました。

「そ、そうか!わかったぞ!
 …あそこがこーなって、あーなってつまりここがこうなる。
 するとあそこはこーなるから…」

「やったぞ、ナツミ!タイムマシンの完成だ!」
「もう、それどころじゃないでしょおー!」

どうやらカケルやヒロキ、サル達は、時空の彼方へと飛ばされてしまったようです。

そしてカケルの元に、ハカセからの通信が入り込みます。
「聞こえるかい、カケル君。えらいことになったぞ。
 さっきの事故で君は今タイムスリップしておる。
 もうすぐ恐竜のいた、「中生代」へと到着するぞ。
 …まずいことに、さっきのサル達もあちこちいろんな時代に
 タイムスリップしておるようなんじゃ。」

そしてハカセは説明を終え、本題に入ります。

「このままサル達を放っておけば、
 地球の歴史はメチャメチャになってしまうじゃろう。
 そこでカケル君、君に頼みがある。
 幸いにして君は、ワシの開発したガチャメカを2つ持っておるはずじゃ。
 それを使って、逃げたサル達を出来るだけ多く、捕まえてきて欲しいんじゃ。」

青い武器のガチャメカ、メカボー。
サルを捕まえることができる転送網、ゲットアミ。

この二つを使っての、カケルの…おかしなヘルメットを被ったサル達との
時空を超えた追いかけっこが今、始まります。

「大変な任務じゃが、君ならできる!よろしく頼むぞ!」


そして通信が終わり、時空間に現れた一人の緑色の髪の少女。
ハカセが作ったプログラムであるその少女はぺこりとお辞儀し、
任務の説明を始めます。

『ピポサルを3匹捕まえよう!』

110サルゲッチュ 序盤:2008/06/03(火) 23:12:48
「カケル君。これから君が向かう時代は新生代と言って、
 恐竜が絶滅した後の時代じゃ。
 人間はまだおらんはずなんじゃが…
 何故か文明の痕跡を確認したぞ。これがサルの仕業じゃないとすれば、
 世紀の大発見じゃ!」


ロケットのある丘。豪雨降りしきる沼。そして恐竜との対決。

中生代でサル捕獲の基礎を覚えたカケルは
次なる時代へと移動しようとしていました。

そのとき…
研究所とカケルに、どこかからか映像が割り込みます。

「やあ研究所のみんな、ご機嫌如何かな?
 俺の名はスペクター。
 新しい地球の支配者、新時代のサル達のリーダーさ!」

画面の中心にいたのは宙に浮いた不思議な椅子に乗った…
あの時の白いサルでした。
人間の言葉を話す不思議なサル…
ヘルメットも他のサルとは違うもののようです。

「スペクター。
 君は遊園地で芸をしとった、子ザルじゃな?」

そう。手品が得意なホワイトモンキーの子供…
それがスペクターだったのです。

「さぁね。もう忘れたな。
 ただ言えるのは、今の俺は抜群の知能と、絶大な「力」を
 手に入れたってことさ。
 それもハカセ、アンタの発明したヘルメットのおかげでね!」

やはり秘密はあの白いヘルメットにあったようです。
それに対しハカセは言います。

「いいかい、スペクター。 よく聞くんじゃよ。
 確かに君が手に入れた「ピークポイント・ヘルメット」
 つまりピポヘルは被ると潜在能力を引き出し、
 しかもそれを格段に向上させることができる。
 だが、アレはまだ未完成でな…今使うのは大変危険なんじゃよ。
 悪いことは言わん、今すぐピポヘルを返すんじゃ!」

可能性と共に危険性を秘めたヘルメット、ピポヘル。
タイムマシンのことも考えると何が起こるかは計り知れません。

「未完成? あれは素晴らしい発明品さ…。
 それにもう遅いよ。俺達はすでに、新しいピポヘルを自分達で作っているのさ。
 俺のなんか、性能をパワーアップさせた特注品だよ。」

「とにかく、俺はこれからあらゆる時代に
 仲間や俺の作ったモンスターを送り込み
 人間が支配してきた地球の歴史を全部書き換える。」

途方もなく巨大なスペクターの野望。
ナツミはスペクターに対し言います。

「何勝手なこと言ってんのよ!
 アンタなんかカケルがすぐに捕まえちゃうんだから!」

「そうそう、カケル。
 お前にはとてもいい遊び相手を用意したよ。」

スペクターが向いた方。彼の傍らにいたのはなんと…ヒロキでした。

「ヒロキ君!」
ナツミは信じられない様子です。

「カケル、お前とはいつか決着をつけようと思っていたんだ。
 いいか、お前を倒すのはこの俺だ。白黒はっきりさせてやる!」

「ヒロキ君、どうしちゃったのよ!」
「無駄じゃナツミ。恐らくスペクターに操られておるんじゃ…」

「そのとおりさハカセ。
 ここにいるのはもう昔のヒロキじゃないよ。
 それじゃ、研究所のみんな。
 君たちの活躍、せいぜい楽しませてもらうよ。」

現れた敵、スペクター。
次なる時代で待ち受けるは機械を用いるサル達。
次々に送り込まれる新たなるモンスター達…
そして立ちはだかるヒロキ。

しかしカケルの戦いはまだ、始まったばかりなのでした。

111サルゲッチュ 中盤:2008/06/04(水) 20:47:43
新生代では木のモンスターと戦い
原始時代では巨大生物ガブリンの体内へと入り込み
氷河期では巨大マンモスとの戦いを繰り広げ
そしてヒロキとの二度の戦いを制したカケルは
どんどん現代へと近づいていきました。

「カケル君!ついにスペクターの居場所がわかったぞ!
 スペクターはどうやら「人間が文明を築き上げた時代」にいるようじゃ。
 いよいよ最後の戦い…頑張ってスペクターを捕まえ、
 そして無事に現代へと帰ってきて欲しい。」

近代。
スペクターの待ち構える時代へと降り立ったカケルに、
襲い掛かるはスペクターを守る兵として訓練されたサル達でした。

日本寺院、中国の巨大建築物の2箇所でサルを捕まえたカケルは
いよいよスペクターの待ち構える中世ヨーロッパの城へと足を踏み入れました。

そこは強力なモンスターに囲まれ、
城全体が巨大で幾多もの罠を張り巡らせた複雑な仕掛けの城。
カケルは苦戦しながらもそれらを乗り越え、
そしてとうとうスペクターのいる部屋へとたどり着きました。

「驚いたな。もうここまで来たんだ。」
「スペクター…ヒロキ!」

大きな乗り物と、スペクターとヒロキの姿。

「ヒロキ。作戦は順調に進んでる?」
「はい。町の全てをほぼ制圧しました。」

そう、スペクターが安全な時代に居ながらにして
サル達はとうとう現代世界まで侵略していたのでした。

「よし、じゃあ現代に戻るぞ。」
「はい。」

そしてスペクターはヒロキと共に背後にある大きな乗り物へと乗り込もうとします。

「待て、逃がさないぞ!」
「生憎だが、カケル。今はお前の相手をしている場合じゃないんだ。
 だが決着は必ずつけてやる。それまで待ってろ。」

そして続けてスペクターが言います。
「ソイツと遊んで、勝てたらね…」

轟音と共に乗り物が動きだし…
そしてスペクターを乗せたそれは時空の彼方へと飛び去りました。



逃げたスペクター。
そのとき…辺り全体が突然揺れ出し、
部屋の中心一点にどこからか雷が撃ち込まれました。

そして現れたのは…
巨大な鎧の戦士「スペクライザー」。スペクターが用意した巨大兵器です。

電撃を身に纏ったその体には体当たりもメカボーも通用しません。
そしてじりじりとカケルに詰め寄り、
全てのエネルギーを手にした斧に込めて…
辺りを揺るがす強烈な一撃を放ちます。

しかしその瞬間に電撃も地面に放射され…
スペクライザーに隙ができたのです。
すぐさま電撃のバリアは張り直されたものの、
その隙を逃さず攻撃することを繰り返し続けたカケルは
強敵、スペクライザーを破壊することに成功しました。

そしてカケルは時空間を通り
スペクターを追って、とうとう現代へ。

…そこでは、恐ろしい光景が広がっていました。

兵器を持ち、町を荒らしまわるサル。
逃げ惑う人、家に隠れ窓を閉め切る人。

完全にそこはサルの時代でした。


すぐさまハカセの研究所へと向かうカケル。
しかし…
研究所は最早破壊し尽くされた後でした。
煙を上げ、ショートした機器。穴の開いた厚い鋼鉄のドア。

…そして、もう…そこには最早人影は見当たりませんでした。


「カケルさん、ハカセからメッセージを預かっています。」
高い声が辺りに響く。 いつもカケルのオペレーションを担当している
プログラムのチャルの声だ。

「…再生して。」

112サルゲッチュ 終盤1:2008/06/04(水) 21:38:19
「カケル君。
 今町の様子は見てきたと思うが
 君の居ない間にスペクター達は町を襲いおった。」

ノイズ混じりの画面に映し出されたのはハカセの姿。
後ろには研究所のドアをこじ開けようとする何者かから
必死にドアを守るナツミの姿がありました。

「これを見てくれたまえ。」

提示された画像はどうやらテレビ局のようです。

「これはサル達が町の中心に作った
 スペクター達基地の映像じゃ。
 やつらはこの町でサルの限りを尽くしておる。
 残された希望は最早君だけだ…」

ナツミがドアに寄りかかり、必死にドアを守っています。
しかし…もう手遅れでしょう。

「君の勇気と そのガチャメカがあれば
 スペクターをきっと止められる…!
 君にはそれが出来る!
 後は頼んだぞ…!」

そしてその瞬間…ドアが打ち破られ、
映像はそこで終了していました。


「カケルさん、ハカセとナツミさんがいないので
 代わりに私が説明させて頂きます。」

新しいメカをカケルに渡した後、今度は説明が始まりました。

「スペクター基地について説明しますね。
 基地は、町のほぼ中央にあった工場とビルを改造して作ったようです。
 工場では、世界征服のための道具が大量に作られ…
 ビルではスペクターの計画が着々と進行しています。
 警備もこれまでにない強力な兵器で厳重に行われています。」

「そこでまず、この基地の活動を止めるために
 エネルギー貯蔵庫に向かってください。
 エネルギー貯蔵庫は近くの公園に隠してあるようです。
 その後、基地に向かってください。
 カケルさん、くれぐれも気をつけてくださいね?」

そしてカケルはたった一人、町へと繰り出しました。

公園にたどり着いたカケルを待ちうけていたのは
ハンマーメカ、「メガトン・サルティック」。
攻撃や距離に反応し手にした巨大なハンマーを振り回すメカ…
耐久力も今までのメカの上を行くものでした。

まずはこれを破壊し、公園の地下水道からエネルギー貯蔵庫へ。
張り巡らされたものだけでなく地形そのものがトラップと化すこの場所は
カケルには手ごわい場所となりました。

ここでサルを捕まえ、貯蔵庫の動きを止めると
今度はピポヘルを始めとする道具や兵器を作り出している工場へ。

そこには高く高くそびえるバリケードと機械の兵隊。
カケルはハカセが用意していた戦車に乗り込み、これを砲弾で打ち破り…
工場の前を守る巨大砲台との銃撃戦を超え、工場内部へと進みました。

そこには巨大な戦闘ロボットに乗ったサルやマシンガンを乱射するサル達、
そして侵入者を阻むための装置、人間が触れれば即死するような
高熱の溶岩の海がありました。

それらに屈することなくカケルはここでもサル達を捕まえ…

いよいよ町の中心…
スペクターの待ち構えるスカイTVタワーへと潜入するときがやってきました。

誰もいないロビーから飛び出してきたサルの兵達。
地下に張り巡らされた電撃のトラップ。
スタジオ内での、工場と同じく戦車に乗っての巨大な砲台との戦い。

カケルはサル達と戦いながらエレベーターに乗り、
70F、屋上へと一気に駆け上がりました。

113サルゲッチュ 終盤2:2008/06/04(水) 21:39:16
鳴り響くプロペラの音。吹きすさぶ風の冷たさ。

夜の高層ビルの屋上にいたのは、
以前の巨大な乗り物…スペクターとヒロキ…
そして、ハカセとナツミでした。

「カケルっ!」
「ハカセ、ナツミ!今助けるからね!」

「しつこい奴だな…もうこんな所まで来たんだ。
 でもハカセ達はまだ返すわけにはいかないよ。
 ちょっと…手伝ってもらわないとね。」
「ワシは協力など絶対せんぞ!」
「そうよそうよ!ちょっとヒロキ君、いい加減離してよ!!」
「…お、大人しくしていてください…ナツミさん。」

何故か動揺するヒロキ。

「ヒロキ、ハカセ達を連れて行け。」
「はっ!」
「もうやめてってば!ヒロキ君、正気に戻りなさいよ!!」
「やめろ、ヒロキ!」

「お前は僕がこの『バトルクルーザー』で直接相手してやる…。」


部下と共にあの乗り物…バトルクルーザーに乗り込んだスペクターとの
戦いが始まりました。

大空を翔る巨大戦艦、バトルクルーザー。
空からはミサイルの雨を降らせ、
地上ではレーザーや小型UFOでの攻撃、地を走る爆炎での攻撃を用いる強敵です。
弱点は存在しても、そこに寄せ付けぬように
プロペラを回して突風を起こし、近づけぬようになっています。

しかしカケルにはダッシュフープというメカがありました。
高速回転により得られる加速力でそれを突風を撥ね退け、
カケルはバトルクルーザーに体ごと突進し…
もしくは遠距離攻撃の可能な武器、パチンガーで狙いを定め
その弱点めがけ撃ち出し…。

見事バトルクルーザーを倒すことに成功しました。

空中で小さな爆発を起こし炎に包まれたバトルクルーザーは
勢いを失い、屋上へと落下し…大爆発を起こしました。

乗組員のサルの姿が見えません…
空の上にいたスペクターを除いては。

「やってくれるね。見直したよ、カケル。
 まさかここまでとはな…」
「お前なんかに負けるもんか!ハカセとナツミ、ヒロキも返せ!」
「そうだな…考えてやってもいいよ。今、面白いことを思いついたからね。」

空に浮かぶスペクターの周りに青い光の輪が現れます。
ワープするためのもののようです。

「また後で連絡するよ。楽しみに待ってて欲しいな。
 じゃあね!」

そして、スペクターは光の中へ消えて行きました。

「あ、待て!スペクター!逃げるのか、
 待てーーーーーーーーーーーー!」

カケルの声は、暗く広い空にただただ響くだけでした。

114サルゲッチュ 最終決戦1:2008/06/04(水) 22:42:39
「やあカケル。待っててくれたかな?
 さっき面白いことを思いついたって言ったよね。
 僕とゲームをしないかい?」
カケル宛てに直接メッセージが送られてきました。

「僕が遊園地を脱走して来たことはもう知ってるよね?
 その遊園地のどこかに、ナツミとハカセを隠しておいたんだ。
 君にそれを探し出して欲しいのさ。」

スペクターが選んだ決戦の地。そこは彼が生まれた地である遊園地でした。

「勿論君が満足できるよう趣向を凝らしたよ。
 楽しんでもらえると嬉しいな。とにかく遊園地で待ってるよ…じゃあね。」

決戦の地は遊園地。人のいない、真夜中の遊園地。
そこには、人気は全く感じられず…
しかし、賑やかな証明や音楽、電飾に包まれていました。

広場の中心のカケルを囲むアトラクションへのゲート。
その中にはカケルを悪意が待ち構えているのでした。

まず最初にカケルが向かったのはサーカス。
動物が入れられるはずの檻の中に入れられていたのは…人間。ハカセでした。

「おお、カケル君!無事か!」
「うん。ハカセも大丈夫?」
お互いの無事を確認するとカケルはハカセに
巨大な巨大な、檻の中への入り口を聞きます。

「この上に入れるような場所があるみたいなんじゃ。そこから入っとくれ。」

檻を取り囲む外周の、心細い足場。下は見えない、真っ暗な穴です。
メカの襲撃もある中、それを少しづつ登っていったカケルは…

「ようこそ、わがサーカスへ!」
檻の天井でスペクターの作ったメカ、文字通りの「ダンチョー」と出くわします。

爆弾メカの扱いに長ける彼は意外にモロく、すぐに気を失いました…
しかしその衝撃で檻の天井は壊れ、カケルはダンチョーもろとも
檻の下へまっさかさまに落ちてしまいました。

落ちた先で狂ったように暴れるダンチョー。
これを止めないことにはハカセを助けることはできません。

高速回転などでカケルを執拗に追い詰める彼をメカボーで破壊したカケルは
ハカセの救出に成功しました。

「おお、すまないな、カケル君…。君は本当に強くなったな…」
「ハカセのメカのおかげだよ。」
「いやいや。力だけが本当の強さではないぞ。
 そんなものは、人の強さの、ほんの一部に過ぎん。
 君は、本当の意味で、強くなったんじゃよ。」
「そうかなぁ…よくわかんないや。」

その言葉をとりあえず覚えておきながら、
ハカセを見送ったカケルは次にジェットコースターへと向かいました。

そこはただのジェットコースターではありません。
乗ったものを激突させるべく何重もの壁が線路に取り付けられ、
最終的にはコースターを破壊、搭乗者を投げ出すという悪魔のジェットコースターでした。

まずはこれを乗り越えたカケルは、コースターの到着地点、お化け屋敷に踏み込みます。

入り口から見える屋敷の中心部の籠に、誰かが入っています。…ナツミでした。

「ナツミー、大丈夫ー?」
「もう、ノンキなこと言ってないで早く助けなさいよ!」
「ごめん、ここからじゃ行けないみたいだから
 どこか道を探すよ!」

ナツミのいる部屋への道を探すカケルに、スペクターの仕掛けた罠が襲いかかります。
まず廊下では部屋を覆う巨大な包丁が振り下ろされ、
無造作に置かれたツボからは霊魂の形をしたモンスターが飛び出します。

奥にあったスイッチを押し、ナツミのいる籠のある部屋へと入り込むと
突然下へ落とされました。

下の部屋にはズラリと棺おけが並び…そこから飛び出してきたのは
見覚えのあるサル達でした。

名前を見てすぐにカケルはわかりました。
彼らは近代においてカケルたちが捕まえたサル達の子供。復讐者だったのです。

並んだ棺おけを行き来し、霍乱し
そのたびにモンスターを呼び出しカケルを襲わせる。
長い戦いになりましたが、その3匹を捕まえることにも成功しました。

「きゃあああああああああああああ!!
 いったーーー!ちょっともっとゆっくり降ろしなさいよ!」
「僕のせいじゃないよ、勝手に籠が落ちたんだって!」

何にせよナツミも助け出したカケルは広場へと戻ります。
すると、空にスペクターの声が響き渡りました。
「今度はゴーカート場に行ってみなよ。
 君のお友達が待ってるからさ…アハハハハ!」

115サルゲッチュ 最終決戦2:2008/06/04(水) 23:10:15
ゴーカート場。

観客もサルも誰も居ないその場所でカケルを待っていたのは
ヒロキでした。

チャルに渡されたメカヨンクを巨大にしたような…
子供の憧れを形にしたもの。
夜空に飛ぶレーシングマシンの上からカケルを見下ろしていました。
これこそが、スペクターが用意した、ヒロキ最強のガチャメカだったのです。

「ヒロキ…とうとうここまできたぞ。」
「やるな、カケル。いつも俺とタメ張ってるだけあるぜ。
 でも、もうこれまでだ。今日こそ決着をつけてやる。」

「勝負だ!」


コースに詰まれたたくさんのタイヤの壁。
部屋の中でヒロキはカケルを倒すつもりのようです。

たくさんの爆弾をばら撒き、メカヨンクを大量に撃ち出すマシン。
これをメカボーでカケルが破壊すると
信号は赤から緑に変わり…

マシンのエンジンが轟音を発します。
信号が変わる。つまり、その下がマシンの向かう先。
それは…カケルの体そのものでした。

カケルへ向かって超高速で発進するマシン。
しかしカケルはトビトンボを使いそれを紙一重で避け、
エネルギーを使い切ったエンジンに向かい攻撃を浴びせます。

それを何度か繰り返した後…

とうとうヒロキのマシンは爆発を起こし、
ヒロキは空高く投げ出されました。

勢いよく地面へと叩きつけられるヒロキの体。

「ヒロキっ!」
「…あれ?ここは……
 カケル!?俺変なんだ…今まで何してたか…
 ぼんやりしか思い出せなくて。」
「ヒロキ!?ひょっとして、元に戻ったの?
 スペクターのこと…覚えてないの?」
「スペクター…?なんだか思い出せないや…
 うっ!体中が痛い…イテテテテ!」
「やったぁ!元に戻ったんだね!」

やっとヒロキが、カケルの友達が戻ってきました…。
カケルは喜びのあまり、全身怪我だらけのヒロキを振り回します。

「ああ、ヒロキ。目が覚めちゃったんだ。」

そこに響くのはスペクターの声。

「まぁいいや。君はもう用が済んだからね。
 それはそうとカケル。お前の力、たっぷり見せてもらったよ。
 ホント、想像以上だよ。
 ヒロキも目を覚ましちゃったし、丁度いいや。
 代わりに俺の仲間にならない?」

「なるわけないだろ!誰がお前なんかと!」

「まぁまぁ。とにかく、直接会って話がしたいな。
 お前も俺を探しているんだろ?
 俺は今、この遊園地の城を改造した『スペクター城』にいるんだ。
 入り口は開けておく。君を城に招待するよ。
 じゃ、待っているよ。」


負傷したヒロキを研究所に送ったカケルは
スペクター城の門の中へと入り込みました。

…するとなんと。

突然地震が起きたかと思うと、城の周りの地面が裂け、
城が空高く飛び上がったではありませんか。


空から地上を見下ろす空中要塞。
それがスペクター城だったのです。

とてもトビトンボでは届かない高さ。
城のあった場所にできた穴の中心にあったゲートに入ると、
カケルはスペクター城の上へとワープしました。

落ちたら絶対に命はない高さ。
サル達の気配を感じなく、開かない入り口前から地下動力室へ移動すると…
カケルの侵入を感知したサルが、警報のスイッチを鳴らしました。

けたたましい警報音。最終決戦の始まりです。

116サルゲッチュ 最終決戦3:2008/06/05(木) 20:11:00
迎撃すべくUFOに乗り現れたサル二匹を捕まえたカケルは
スペクター城の中へと潜入します。

スペクターの巨大な肖像画が出迎えるエントランスホールから始まる
スペクター城内部は複雑なギミックが沢山。
巧妙に隠されたサル達を見つけ捕まえながら先へと進みます。

電撃のバリアを抜けた先…
そこは城の上部へと繋がる螺旋通路。
そこで炎を噴射し現れたのが「ブースト・サルティック」。
メガトンサルティックと同じシリーズの異なるタイプのメカでした。

カケルの元に現れ、遠距離からの両腕からのショット攻撃をし続ける。
ただでさえ困難な道が更に危険なものになります。
これに対しカケルは届く位置ではメカボーによる打撃、
遠距離ではパチンガーによる精密射撃でこれを粉砕します。

しかし一体破壊しても上に登るとまた一体が現れる…。
5体目のブーストサルティックを倒したところで
螺旋通路の最上部に達し、そこから外へと出ます。

…目の前に広がっていたのは宇宙…そして丸い地球の形。
どうやらスペクター城は宇宙へと移動していたようです。

外周通路から更に上へと登るしかないようですが、
前にもましてそこは足場の不安定な場所。
敵の攻撃が緩むこともありません。うっかり落ちてしまったら…。


ともあれトビトンボによる飛行も手伝い、なんとかカケルは
スペクター城の外周通路、最上部へと登ります。

その先には扉。これがスペクターの部屋へ通じるものなのでしょうか…?
一目散に扉へと急ぐカケルの前にロボットが落下してきます。

「ハイパー・サルティック」。
これぞサルティックシリーズ最強の一体のようでした。

遠くではショットガンとバルカンの乱射、
近くに踏み込むと腕からの火炎放射。

遠近共に攻撃手段を持つこの敵にカケルは苦戦しますが、
サルティックシリーズは全て反応が遅い。人間の動きには敵う事なく、
この強敵もまた敗れ去り、爆炎に包まれました。


扉の中の小さな部屋あったのは…なんとスイッチだけ。
しかしこのスイッチは…?

押すと突然部屋の床が動き出し…
エレベーターとなって自動的に急降下を始めました。
これは罠…?


カケルはなんと、1Fまで戻されてしまいました。

仕方ない、とエントランスホールに戻り再度登ろうと…
そのとき。カケルは気づきました。入り口の変化に。

…なんと、スペクターの肖像画が上へとスライドしているではありませんか。
そう、肖像画はスペクターの間へと通じるエレベーターを塞ぐ扉だったのです。

いよいよ最終決戦が始まる…
カケルは意を決し、そのエレベーターに乗り込みました。

117サルゲッチュ 最終決戦4:2008/06/05(木) 21:22:07
スペクター城、真の最上階。
長い長いリフトのコースの先にあったのは、
巨大な機械。これは一体何なのでしょうか。

更にそこから1フロア分エレベーターで登った先で…
とうとうカケルはスペクターと対峙しました。

目を合わせる二人。睨むカケル。うすら笑うスペクター。

先に言葉を発したのはスペクターでした。
「あーあ。城の中をかなり荒らし回ってくれたようだね。
 俺はお前と話がしたいからこの城に入れてあげたのに。
 …どう?気に入ってくれたかな。
 この城は最強の要塞なんだ。世界征服だって簡単さ。
 ここは眺めもいいし…ホント最高だろ?」

友達を洗脳され、誘拐され、町をめちゃくちゃにされたカケル。
ここで彼の気持ちが一気にスペクターに放たれます。
「何言ってんだよ!みんな困ってるんだぞ!もうやめるんだ!」
スペクターも声を荒げます。
「お前こそ俺の妨害をやめて俺の仲間になれよ。
 …ヒロキみたいにさ。」

「嫌だ!お前なんかに操られるもんか!」
「それはどうかな?」

スペクターが背を向けて話を続けます。
「俺は…超能力が使えるんだ。
 俺がその気になれば、お前がいくら嫌がろうと
 お前を操ることなんて簡単なんだ…」

そう。種のある超能力、手品を芸にしていた白いサルに備わった力。
それは…本物の超能力でした。

「こんな風にな!」
「うわああああああああああああああああああ!」

青い強力な思念波がカケルに降り注ぎます。
人の脳を揺るがす強力な波動。
恐らく不意を突かれヒロキもこのように洗脳されていったのでしょう。

「苦しいか…?さぁ、諦めて俺の仲間になれ!」
「嫌…だ…。」
「何?」

カケルはここで負けるわけにはいきません。
力一杯に抵抗し、そしてとうとう…

「嫌だぁあああああああ!」

思念波がスペクターごと吹き飛ばされました。

床に叩きつけられるスペクター。
ここで王者のプライドを傷つけられたスペクターの化けの皮が剥がれました。
「くそぉおお!!
 なんでお前、俺の力が通用しないんだ!」

吼えるスペクターの言葉にカケルはこの一言をぶつけます。
「力だけが…」
「何…?」
「力だけが…本当の強さじゃないんだ!」

ハカセからもらったこの言葉。ただの受け売りにすぎなくても
それはスペクターの逆鱗に触れるには十分なものでした。

「ぬぅううううううううううううううううう!
 失望したぞカケルぅう!!
 もうお前に用はない!」

スペクターは最早、力と知能に溺れたただの子ザルに戻っていました。

「これでも食らえぇえええ!」

118サルゲッチュ 最終決戦5:2008/06/05(木) 21:51:02
巨大な顔の形をしたメカに乗り込んだスペクター。
操縦席から乱暴な操作でカケルに照準を合わせては
次々にミサイルやレーザーを放ち、カケルが近づくと衝撃波を発生させ弾き飛ばす。

しかしそれでも怒りに任せたそんな操作では隙だらけであり、
カケルに何度もコックピットを攻撃され
スペクターのメカはすぐに警告を発しました。

しかしスペクターはまだ諦めません。
顔の形のメカを中心としたそのフロアに突然大きな揺れを発生し…

床は崩れ、カケルもろとも下階に転落。
顔型のメカは下の階にあったメカと合体…真の姿を現します。

そう。下の階にあったメカは顔型メカの胴体。
これこそがスペクターの最終兵器「ゴリアックアーマー」だったのです。

名前のとおりゴリラをモチーフにした巨大なメカは
ドラミングの如く両腕で胸を叩き咆哮をあげると戦闘態勢に入ります。
まずは腕を上に掲げて掌から空中にエネルギー弾を発射。
それは破壊の雨となり床へと降り注ぎます。

カケルがそれをかわすと今度は腕が赤く輝き
レーザーをカケルに向かい乱射。
引きつけながらこれを回避、腕をメカボーで叩き攻撃。
破壊はできなかったものの腕から派手に爆発を起こし、
痛がるゴリアックアーマー。

そしてゴリラのパワーを活かした攻撃、
両腕を床に叩きつけての衝撃波攻撃。
これもカケルにかわされるとまたドラミングを始め、
今度はカケルを追っていたビットからの誘導レーザー。

そんな攻防が続き、腕2本を破壊されたゴリアックアーマーは
とうとう顔と胴体が一体化したことでの攻撃に移ります。

胴体から供給されたエネルギーを口から巨大なバズーカとして発射する攻撃。
床も粉々に粉砕されるこの攻撃を食らえばひとたまりもありません。

1度攻撃を受け怒りが頂点に達したスペクターは、力任せに今度は二度…
巨大な破壊の砲撃を繰り出します。

戦うための足場すらなくなったカケル。
しかし彼はその瞬間、
ゴリアックアーマーの付け根にあたる
バリアの中へ飛び込み…高熱による火傷に耐えながら
とうとう最後の一撃をゴリアックアーマーに叩きこみました。

その瞬間、要塞全体が揺れ、何度も何度も大きな爆発を起こし…
ゴリアックアーマーは粉々に砕け散りました。

勝利したカケル。しかしスペクターの姿がない…。まさか。

「よくもやったなカケル!!
 お前のせいで…俺の計画は台無しだ!」
スペクターは椅子に乗り、怪我一つ負うことなく空に浮かんでいました。

「スペクター、悪あがきはよせ!遊園地に帰るんだ!」
「ふざけるな!誰があんなところに帰るもんか!
 いいか…俺は必ず戻ってくる!
 そして今度こそ世界を征服してやるぅううう!
 それまで首を洗って待ってろ!!いいな!」
「待て、スペクター!」

半分涙声になりながら、スペクターはまた、姿を消しました。

何はともあれこれで戦いは終わり…夜が明けると共に、
カケルは研究所で待っていたみんなの元へ帰りました。
「おーい!みんなーーー!」
「カケル!」
「カケル!」
「カケル君!」



それから数日後。
白い子ザルがいないことでお休みになった手品小屋の前。

「スペクターは…やがて、悪さをしにまた戻ってくるじゃろう。」
「…ハカセ、僕スペクターを探しに行くよ。」
「うむ。しかし、まだ捕まらずに残っているサル達を放っておくわけにはいかん。
 君はまず、またタイムマシンで色んな時代へ行き、
 サル達を捕らえるのじゃ。ワシがその間にスペクターの居場所を突き止めておこう。」
「うん…わかった。」

119ファイナルゲッチュ:2008/06/06(金) 18:07:19
全てのサルを捕まえたカケルの元に
ハカセからの通信が入ります。
…スペクターの居場所を掴んだとのこと。
カケルはその場所へと転送してもらいます。


「とうとう…来たな、カケル。
 お前って、本当にしつこい奴だな…」

異次元空間の中にある小さな場所。
機械やディスプレイに囲まれた、スペクターの秘密の場所のようでした。
「当たり前さ!まだ世界征服とか考えてるんだろ!いい加減にしろよ!」

「フン…。
 それよりカケル。お前に聞きたいことがある。」
「な、何だよ急に。」

今までになかった、スペクターからカケルへの疑問。

「お前、結構強いのに何でその力を他に使おうとしないんだ?」
今まではサルだった。そして急に力を得て、知能を得て
それが嬉しくてたまらないスペクターにはわからない感覚なのかもしれません。

「僕は…今のままで楽しいもん。
 それに、お前みたいなことしたらみんな困るだろ?」
「チッ…。ガキだな、お前。」
「お前が聞いたんじゃないか!」

「…まぁいい。もう一つ、聞きたいことがある。」
「もう!何だよさっきから!」
「ギャーギャーうるさい奴だな…」


スペクターが急に、さびしそうな風に呟きだしました。
「…飼育係のおじさんは…どうしてる?」

「飼育係のおじさん…って…遊園地の?」
「…ああ。」

仲間もいなくなり、たった一人になったスペクター。
その時になってやっと、何かに気づいたのかも知れません。
しかし…

「…ひょっとしてスペクター。
 遊園地に帰りたいんじゃないの?
 おじさんだって、謝ったら許してくれると思うよ?」

「馬鹿言え!言っただろ!誰があんな所!
 俺は強力な力を手に入れたんだぞ!
 この力を使えば、何でも自分の思った通りになるんだぜ…?」

知能と力がもたらしたプライドそんなことは許さない。
そんな風にも見えます。

「…そんな力、意味ないよ。
 お前はピポヘルに操られているんだ。」

「そんなもの捨てろよ、スペクター!
 そして遊園地に帰ろう!」
「ウルサイ!この力の凄さは今、お前を倒して証明してやる!」

スペクターが本気で怒り始めました。
カケルはここで、最後の約束をします。
「…もし、僕が勝ったら、ヘルメットを捨てるか?」
「…俺が、負けるわけないだろ…?」

「よーし、約束だぞ、スペクター!
 行っくぞーーーー!」

こうして人と、人の間で生まれ育ったサル。
相容れぬそれぞれの未来を担う子供同士の
最後の「追いかけっこ」が始まりました。

120実況パワフルプロ野球10:2008/06/07(土) 20:45:24
今から数十年以上昔…
プロ野球12球団に新しく4球団増え、
セ・パ8球団ずつの16球団にルールが改正された。

2000年2月。
子供のころから夢だった、
まったりキャットハンズにドラフトハズレ1位で入団し、
プロ野球選手としての人生がスタートした。
2軍からのスタートだったオレはがむしゃらにがんばった。
それから3年経ったある日…

「おい、パワプロ ちょっといいか?」
「あ、(二軍)カントクなんですか?」
「3年以内に結果を出すことができなかったら…クビだ わかったな」
「えっ、キミも言われたでやんすか!?」
そこに現れたのはメガネをかけた野球選手―
「あ、確か君は…同期入団の矢部くん」
「どうしよう…オイラ達…クビでやんす。」
「いや、こうなったらやるしかないよ!
 何が何でも1軍に上がって結果を出すんだっ!」
「そうでやんすね!オイラも本気でやるでやんすっ!!」

121実況パワフルプロ野球10 キャンプ前編:2008/06/07(土) 20:55:24
ギョ・ギョ(イベントは短いのがお好き?)

 もちろん
ニアいえいえ、全部見ます

ギョー(イベントをショートカットに設定しませんでした)

長い緑の髪をみつあみにした女性選手が歩いている
「今日、結構寒いね」
「あ、キミは確か…」
と、そこに矢部君がササッと現れる
「説明するでやんす。」
「や、矢部くん!」
「こちらが早川あおい選手でやんす。
 今季、ロッテとのトレードで我がキャットハンズに加入することに
 なったでやんす。」
「ちょっと、矢部くん?」
「ちなみにオイラやパワプロくんと同期でやんす。
 唯一の女性選手とあって人気はかなりのものでやんす。
 ちっ!………でやんす。
 ちなみにスリーサイズはオイラが握ってる情報によると
 上から順に」
矢部くんの思いもよらぬ大暴露に―
「コラッ!!何話してるの、矢部くん!!」
「つ、ついイキオイで口が滑ってしまったでやんす!」
「もう…油断も隙もないんだから。」
顔を赤らめて矢部を睨む早川―
「でもなんで矢部くんはあおいちゃんのことそんなに知ってるの?」
「昔いろいろあったでやんすよ…フッ。」
無駄に男前に決める矢部、それを見た早川は―
「意味不明ね…」
「ま、まあまあ もう練習には慣れた?」


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