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チラシの裏 3枚目
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ネタにするには微妙だけど、投下せずにはいられない。
そんなチラシの裏なヤツはこっちに
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「だがこの技は避けられまい…!」
ファントムが高く跳び…
「忍!」
爆弾の周りにクナイをつけた撒きびしを多数撒く。
そして…
「黄泉駆け!!」
忍者刀で撒きびしを一気に斬り、刃を飛ばす。
…こればかりは避けられまい。そう思ったファントムだったが…
「な!?」
背を斬られる。…ゼロの投げたシールドブーメランだ。
「貴様…」
「俺はこんなところで足止めを食らっている場合ではないんだ」
駆け抜け…刃を突き出す。
「く…!」
ファントムの体に、深く深く刃が突き刺さり…
…抜いたときにそれは大きく開く。
「…烈風撃」
ファントムの体に大きな一本の線が刻まれ…そこから光が漏れ出す。
「…………まさかこれほどまでとは」
「…出口は自分で探す。…お前は退いていろ」
「…貴様を試すつもりでいたが…どうやら本気で戦ってみとうなった」
ファントムが傷口を押さえ、立ち上がる。
そして手を胸から離し、構える。
「変化!!」
ハルピュイアらのそれと同じく…
ファントムにもまた、第二形態は存在したのだ。
紫色の光がファントムから発せられ…ファントムを包み、その中で変えていく。
「…参る」
現れたのは、四肢が巨大な刃となったファントム。
8本の刃で構成された脚と、6本の刃で構成された2つの翼。
戦いは後半戦へ。
「……うっ…!!」
大爆発…そして変身が解ける。
ゼロは…無傷だった。
「……強いな だが…それだけに不安も強まった」
「…何?」
「貴様はもうじき、レジスタンスどものベースで目覚める。
…今このときを夢と覚えてな」
「…そうか」
「…覚えておくがよい 貴様の敵はオメガであるが…貴様一人の力でオメガを倒せると思うな」
「…だろうな」
「仲間の支えも必要になるであろう、だが」
ファントムは煙に紛れる。
「…貴様にそれが出来るかは疑問であるな」
「……!」
ゼロは、メンテナンスルームで目を覚ました。
「ロシニョルさん、ゼロさんがおきました!」
「あらあら、よかったよー!」
牛乳瓶の底のような眼鏡の、おっとりとした少年ぺロケと、
メンテナンスを担当しているおばさんロシニョルだ。
「随分な怪我をしてたみたいでさ、1週間くらい寝たままだったんだーアンタ。
シエルちゃんにアンドリューお爺さん、その部下のドワさんにイブーさん、
コルボーさん、イロンデルさんにオペレーターさん二人と代わる代わる来てくれたんだよ」
「今日は僕が来ましたー!」
「しっかし、隣の兄ちゃんより治りが早いみたいだねぇ」
ロシニョルが向いた方向を見ると…まだ意識を取り戻さぬハルピュイアの姿。
「…すまない。」
「全くもう、男ってのは無茶するもんだねえ!」
ゼロはひとまず、体を起こそうとするが…何か体に違和感を感じる。
「…ん?」
よく見ると…手首と首筋に何度も斬りつけたような傷。
…無論、ゼロがその程度の傷でダメージを負うことはないのだが。
「…」
机の上には…ナイフ。…刃こぼれをおこしている。
「…………ぺロケといったか。…それはお前が持ってきたのか?」
「…え? いや、違いますよ
どなたかが果物を持ってきてたんでしょうか…?解りませんねぇ …どうしたんですか?」
「…いや、なんでもない」
辺りを見回してみると…
「…………。」
…自分の体に何かが付着していた。
「…」
それを掴む。
「…そういう、ことか」
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年齢一覧
13(14)歳 一条あかり
14歳 カリス・フィリアス
14歳 ピピロ
17歳 シーナ・カノン
18歳 アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス
18歳 ナディア・カッセル
19歳 アリシア・メルキオット
20歳 エリ・カサモト
25歳 シャーリィ
一番上と一番下が8歳差なのには驚かない、
それよりも14歳が2(3)人もいるのがびっくり…
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一番上と一番下で12歳差かorz
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「シエル。状況を頼む」
ハルピュイアをロシニョルに任せ、メンテナンスルームから司令室へ。
サブタンクで傷はすぐさま再生…これでシエルにも勘付かれまい。
「ゼロ!もう起きて大丈夫?」
「問題ない」
「それでね、ゼロ…
実は、ネオアルカディアからあなたの無事を確認できたら
話し合いをしたいって。」
あの時のことを思い起こす。
「ハルピュイアはバイルに反発した…他2人も同じ考えだろう。
…四天王の意思ではないな。…バイルか、八審官か…コピーエックスか…」
ネオアルカディアで人間のことを少しでも考えているのは
今現在、四天王のみ… そうでなければ、その話は決して信用できるものではない。
「ヤぁ、心配ヲかケテしマッタよウダネ」
コピーエックスだった。
「君ニ死ナレてハ彼女ノご機嫌モ損ネるだロウかラね」
「…本題を手短に頼もう」
コピーエックスは体を前へ傾け、手を組む。
「僕達ハ長イ間戦っテキたガ…
そロソろこの不毛ナ戦いハ終ワリにしヨウと思ッテね」
シエルは目を閉じ、言葉に集中する。
「新エネルギー『システマ・シエル』のコトニつイテの返事サ」
「…」
「ダークエルフとシステマ・シエルにハ非常に親和性ガ高イ…」
「………」
組み合ワセる事ガ非常に有効デアるらシイんだ」
「…………」
「…システマ・シエルをネオアルカディアに渡シサえすレバ
君達ノ命は保証しヨウ ドウだロウ、悪イ話でハナいと思ウんダ」
「…………………。」
シエルは考え続けた末…答えを出す。
「…お断りします。」
「…何?」
ネオアルカディアは、少なくとも人間にとっては楽園であるはずだった。
しかし…その人間が、コピーエックスの軽い一言で、バイルの思うがままに大量に殺されていった。
シエルは…
「今のあなた達は…信用できません。…エステマシエルは…渡せません」
声を震わせながらも、答えた。
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コピーエックスのこめかみが動く。
「……ソウか そレガ君達ノ結論カ」
「…私の結論です。」
コピーエックスの語調が強くなった。
「いイだロウ」
「システマシエルとイウ無限のエネルギーを独占シ
ネオアルカディアヘハ破壊活動を続ケ
ゼロとイウ恐ルベき戦闘力ヲ持つレプリロイドヲも保有しテイる………」
…断罪の一言。
「お前達ハ たダノイレギュラーダ!
僕ノ生みノ親デアル、シエル…君ガ居たカラ手加減シていタもノノ…
もウ許しハシナい! …死ンでモラおウ!」
そして一方的に通信は途切れた。
「……………」
その場に崩れ落ちるシエル。
…戦いは終わらない。その結論が当然とはいえど、これにより
まだまだ沢山のレプリロイド達の命が失われていくことが確定したのだ。
…彼女の…その一言で。
「…ゼロ、私…」
「お前はお前の答えを出しただけだ。
…奴らを信じることなど俺にも出来ん。こうする他なかっただろうな」
敵はもう…落ち込む暇すら与えてはくれなかった。
「ゼロさん、大変です!
ネオアルカディアの軍がレジスタンスベースへ向かっています!」
「何…?」
「海から1部隊、陸から1部隊、空からやってきた部隊も地上へ降り、こちらへ近づいています!」
「3部隊での攻撃か…出撃する 一番近いものから潰していくことにしよう」
ネオアルカディア…エリアX−2、玉座の間。
エックスの横で浮くは大臣のような位置となったバイル。
「…さて。どう出るか見物ですな…エックス様」
「僕を一度倒しタゼロヲ彼らガ倒せルとハ思えナイ
パワーアップしタこノ僕ガ…ゼロを倒しテヤルよ」
「頼もしいお言葉で御座いますなぁ。
だがもしエックス様にもしものピンチが御座いましたら…オメガを至急お呼び致しますぞ」
「あア」
バイルは一つのチップを渡す。
「これをお持ち下さい。これであなたはオメガと繋がり、その力の一部を手に入れることが出来ましょう」
「危険ナチからのヨウだガ…受け取ッテおクヨ」
「ははっ、有難う御座います」
「ですが…もしかするとゼロはここまでたどり着けぬかも知れませんな」
「そンナ事ガあり得るのカイ?」
バイルはただ…ニヤリと笑うだけだった。
-
レジスタンスベースから最も近くにいたのは、
空から襲撃してきたヘリ部隊。
レジスタンスベース近辺の砂漠へと降り立ち、一直線に向かってきている。
「敵はこちらへ向かってきてます、ゼロさん…どうかお気をつけて」
ゼロは砂漠を駆け出した。
敵の主力はやはりパンテオン達…斬り刻みながら先へと進む。
「ボディチップ…『ライト』」
体を軽くするボディチップ。
流砂の中で足を絡め取られることなく、軽やかに進んでいけるチップ。
空から飛来する爆弾を破壊、更に先へ。
「流砂の下に大型メカニロイド反応、お気をつけ下さい!」
現れたのは赤く、巨大なミミズのようなメカニロイド。
飛来する爆弾を破壊、敵が放つ鉄の塊を避けつつ敵を刻み……破壊。
「……何かおかしい」
体に何かの異変が生じているのが解る。
先へと進むと、今度はヘリから大量のパンテオン達。
ヘリごと全滅させて先へと進む。
「…体が…重いな」
ライトチップをつけているのでいつもより軽いはず。
…そうではない。明らかにゼロの体調は復活仕切れていない様子なのだ。
「……居たか」
重い体を引きずりながらも部隊を全滅させ、後はそれを率いる者を倒すのみ。
…その、率いている者とは…。
「まだ土に還ってなかったとはな」
「…ネクロマンセスか」
「余はアヌビステップ・ネクロマンセス5世として蘇ったり
土から蘇るを許される者は正しき心を持つ者と決まっておる
お前の棺も用意した…眠るがよい、旧き者よ」
杖を回し始める。
「うっ…ぐ…」
今度は激しい頭痛に加え足も重い。
ゼロは力を振り絞りながら杖を跳び、一撃を食らわせる。
「…ククク…」
フレイムチップを使っての一撃…だが。
「甘い!!」
ゾンビ化したパンテオンを蘇らせ始める。
「何…」
燃え上がるシールドブーメランで破壊。
それもネクロマンセスを貫通するが…効かない。
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「そなたは知らないようだな…」
だが炎が効かないとなると属性は特定される。
「雷だな」
アイスチップをまとっての一撃を食らわせようと近づく…が。
「少し遅かったようだな」
ネクロマンセスは土の中に潜る。
「うっ… …く…」
「そのまま棺に入るがいい!」
地から棺桶が現れ…近づき、ゼロを閉じようとする。
ゼロはそれを飛び越える。
2回、3回と回避…
最後に遠い距離から現れた棺をかわす。
「…フゥ…!」
ネクロマンセスが現れる。
「どうした、ここまで来るのに傷を負ったというのか」
杖を投げる。
杖は地面に沿って回転…ゼロへと襲いかかる。
「ハッ…!!」
飛び越えて一撃。
「ぐぁあっ…!!」
アイスチップによりネクロマンセスの動きが止まる。
「まだ…まだ!」
「墓へ落ちるがよい!」
砂が流動…一部分が腐るようにそぎ取られ、穴に変化する。
「!」
その下にはパンテオンゾンビ。
「……何…!?」
掴まれぬよう全力でそれを倒す。
ボディチップをライトに変えて穴を脱出、アイスへと戻しネクロマンセスに一撃。
「うっ…! …それならば!」
凹凸が消え…全面流砂へと変化。
「そのまま沈むがよい」
高く跳び、ゼロの視界から逃れようとする。
だが…
「そうは行かん…!」
ボディチップをライトへ変化。
リコイルロッドで流砂から跳びはね…アヌビスの眼前へ。
「ハァ!!」
再びチャージ斬り。
「うぬう……適応の早い者だ」
いつぞやのような、波打つ地形へと変える。
「ここが決着だ!」
3世と戦ったあの時の地形。
「行くぞ!」
杖を回し…投げる。
ゼロはリコイルロッドで地を跳ね……
「土の下から見守っていろ…!」
ネクロマンセスを一刀両断。
「うっ………!!
………旧き者よ… 残り短いその命、精々生き抜くがよい…」
ひとまず1つ目の部隊は壊滅。残り2つとなった。
「……………」
ゼロはレジスタンスベースへ着くなり、よろけ始めた。
…まもなく、崩れ落ちる。
「ゼロ…ゼロ!!しっかりして!」
セルヴォも心配そうに見つめる。
「…一体何があったというんだゼロ…」
「………俺のことはいい…次のミッションへ…向かわせてくれ」
「ダメよ!検査してからじゃないと!」
「何、すぐに終わる。…ゼロ。少しの間、検査をさせてもらうよ」
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「………… …持って明日まで…か …何てことだ…」
ゼロの頭部には1枚のチップ。黒い下地に赤く『V』の文字…
「…心当たりはあるかい」
「…眠っていた間に誰かが入れたんだろう…俺は…知らない」
バイルが作り出した闇のチップ3種のうちの1つ。
ボディへ影響を及ぼすものが、オメガと直結するコピーエックスが受け取ったチップ。
ゼロに組み込まれたのは、ヘッドパーツ用のチップである。
このチップを組み込んだ者は激しい頭痛と共に体力がどんどん奪われ、四肢の動きも弱まり弱体化していくというものだ。
そして最後には…死を迎える。
「………一体誰が…」
ゼロには解っている。
眠っていたゼロの手首と喉をナイフで切ろうとした者であると。
そしてその正体も…。
「解らん。」
「……………解った。犯人探しはやめにする。
犯人に狙われているのは君一人…そういうことだね」
「……何のことだ?」
セルヴォは確信した。
「ひとまず処置は施した…
今以上に悪化することはないはずだ ただし、一発の傷が致命傷になりかねない。
…気をつけることだ」
「すまない」
「そのチップを取り外す方法だが…解らないんだ
無理に取り外そうとすると爆発する仕組みになっているんだ
…君のボディに生体反応がある限りね」
「……すぐに決着をつけなければならんな」
次の部隊は海からやってくる部隊。
パンテオン達を斬り、水中へと飛び込む。
魚型メカニロイド達を撃破し、
水からあがり、見張り台へと登っていく。
上部にいるメカニロイドやパンテオンを倒して更に進み…
前線基地へと突入。
水からあがり、施設内で更にパンテオンを撃破。
空中爆弾なども対処し更に先。
「むふー…俺様ともう一度戦えるなんてお前は幸せな奴だぜぇ」
ブリザック・スタグロフRだ。
「手短に済まさせてもらうぞ」
重い体を引きずりながら、ボディチップを炎に変えて対決を始める。
「バーストショット!」
まずはチャージショット。
「ぉおお、あづいいいいいい!!」
スタグロフの体に着弾すると同時に、広がり連鎖爆発。
「やったなぁぁぁ!?」
跳びあがり、氷の爆弾を二つ同時に発射。
これを何とか避けてまたバーストショット。
「ぉおおああああ!
…だが、どうやらセイバーの方は打ち止めのようだなぁ…」
最大の武器が封じられた程度でゼロは敗れない。
「凍ってしまえええ!」
腕をゼロへと向け、壁へと叩き付ける冷気を発する。
それと同時に氷の矢も発生、放たれる。
「…く!」
背後には放たれた冷気が氷の壁を作り出している。
何とか大きく跳びそれを避ける。
「終わりだぁぁぁ!」
大きく跳び、ゼロを押しつぶそうとし始める。
「まだ…だ!」
真っ向からセイバー。
「むふううううう!?」
頭から斬り…力を下へと入れ…押し込む。…叩き斬る。
「むふううーーーーーーーー!」
スタグロフが真っ二つに裂けた。
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「…次だ……」
「どうにか方法はないものか……」
セルヴォは、頭を悩ませるしか出来ない。
3箇所目はアナトレーの森。陸を進む部隊が潜む森林地帯である。
蜂型メカニロイドと格闘した後、遺跡の中では
壁のパネルを裏返し攻撃してくる砲台に動じることなく一撃で破壊。
最深部にて部隊の長と対面。
「キキー…あっという間にここまでたどり着かれるとは。
流石はファントム隊長を倒したゼロさんですねぇ」
ハヌマシーン・R。
「最早攻撃部隊もこの私一人…参りますよ!」
「ウキキキ、ウキキキ!」
ハヌマシーンが手に持った棒に力を込め始める。
「ウキィイ!」
前へ跳び、棒で薙ぐ。
ゼロはそれを潜り回避…Uターンしまず一撃。
「キキキイイ!!」
雷の力を持ったチャージショット。
敵に命中するなりそれは二手に分かれる。
「ダメージとしてはいまひとつか…」
「行きますよぉぉ!」
炎をまとっての突進。…ハヌマシーンの得意技だ。
「何…?」
驚いたのは、その威力である。…床を破壊した。
「まだまだ!!」
遺跡の中を縦横無尽に駆け巡り、床と天井を破壊して戦いの場をどんどん広げていく。
「伊達にファントム様の右腕は勤めておりませぬぞ!」
体毛から分身を作り出す。
「ゆきなさい!」
小さなハヌマシーンはゼロへと群がる。
「行きますよっ!!」
続けてまた突進。
「く…!」
急いで振りほどき…かわす。
「最後だ……!」
跳び上がり…雷の力をセイバーに纏わせる。
チャージ不要の技でありながら、それに匹敵する威力。
「落砕牙!!」
セイバーを両手で構え落下…貫くと同時に敵の脳天に電流を流し込む。
「キッキキ…流石は………!!」
流石は… その先は聞こえることなく、
ハヌマシーンは爆発…消滅した。
これでレジスタンスベースはひとまずは守られたことになるだろうか。
「…転送を頼む」
戦いの中ではバイルチップの付け入る隙は大きかったのか…彼の命はあとわずかとなっていた。
「……ひとまずは守れたな……ネオアルカディアに乗り込む。 …いいな」
「お願い、ゼロ!!もう動かないで!
私達で何とかするから!」
「それで犠牲が出たら、どうする…俺に任せろ」
「…セルヴォから…聞いたの、もうゼロが長くないって」
「………なら尚更行かせてくれ。
4人のバイルナンバーズに、コピーエックスに、オメガ…
奴らまとめて俺が…… 俺が…」
胸を押さえ、セイバーを突き立て立っているのがやっと。
「そんなこと出来るわけないじゃない!!」
シエルは叫ぶ。
「あなたの少ない命くらい、見守らせてよ!」
「だが……」
その時である。
「そりゃあできねーーーなぁ!!」
落下してきたのは…
「フラクロス…か!?」
パンター・フラクロスR。
シエルを捕まえたかと思うと尻尾からの高圧電流。
「…ぬっ… がぁぁぁ…!!」
ゼロがその衝撃で動けなくなる。そこへ…
「黙っていろおおお!」
司令室へ腕を構え突進するはアステファルコンR。
腕をゼロへとポイントし……
「………………!」
その体を電流の矢で貫いた。
「ゼロおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
…ゼロは…力なく倒れていった。
-
さーて、スタメンを決めるか(ぇ
1 カリス・フィリアス 二塁手
2 ナディア・カッセル 三塁手
3 シャーリィ 捕手
4 アルファ 投手
5 エリ・カサモト 右翼手
6 ピピロ 遊撃手
7 あかぎ 左翼手
8 一条あかり 一塁手
9 ロジーナ 中堅手
…パワー重視だなー…
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暇なので早速改訂版
1 カリス・フィリアス 二塁手 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意
2 ナディア・カッセル 三塁手 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
3 シャーリィ 捕手 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意
4 アルファ 投手 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意
5 エリ・カサモト 右翼手 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意
6 ピピロ 遊撃手 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手
7 あかぎ 左翼手 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通
8 一条あかり 一塁手 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意
9 ロジーナ 中堅手 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手
控え
アリシア・メルキオット 外野手 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意
シーナ・カノン 一塁手 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意
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「さぁ今だ!」
ゼロの体を投げて渡すはフラクロス。
「…そ、そうか!!」
セルヴォは受け取り…すぐさまゼロのヘッドパーツからバイルチップを取り出す。
そう。フラクロスたちはゼロを殺すのではなく、
ゼロの生体反応を一時的に停止させるべくゼロを襲ったのだ。
電撃により麻痺した動力炉は停止、仮死状態となったゼロは
バイルチップの、生命反応がある間の爆破機能の対象から外れる。
チップを取り出すことが…可能になるのだ。
…ゼロの迫っていた命の危機は、ものの5秒もせぬうちに回避された。
「…む………」
ゼロが起き上がる。
「…気がついたか、ゼロ。」
「…お前を助けることになるとは癪だがな」
「…お前達…」
シエルは喜びのあまり、涙を流す。
「…よかった、よかった…!!」
…喜ばれるはいいが、話題をすぐに変える必要がある。
「…泣くのは早い。ネオアルカディアに乗り込むぞ」
「でも…。」
バイルチップを組み込んだ犯人探しの流れになる前に。
「ハルピュイア様をあんな目に遭わせたオメガはテメェに潰してもらわなきゃ困るんだよ!」
「同感だ。残る敵はまだ多い…。 …お前に頼まなきゃならない」
「…解った」
そう。彼らは二人ともハルピュイアの…
オメガに最も酷いダメージを受け、バイルに最も反抗した四天王の部下なのだ。
「ネオアルカディアの玉座へは転送できるようにはしておいた。
転送システムを弄ってな」
「じゃあ…」
「一休みするのも、せめてコピーエックスを倒してからの方がよさそうだな
…行くぞ」
「は、はい!転送開始いたします!」
前回エックスと戦ったエリアXの奥に広がる、ネオアルカディア最深部エリアX−2.
再生レプリロイドエリアを抜けた、そこは世界の頂点。
「厳重な警備に…大量のパンテオン兵。確かにここのようだな」
最高機密の取り扱われるトップシークレットエリア。
監視カメラを破壊、
トゲだらけの床、壁、天井のエリアを上へと進んでいく。
「軌道エレベーターはまだ続いていたようだな」
エレベーター内もトゲが大量。
リフトに乗ったり、しがみついたりしつつ跳び移り続け、どんどん上の階へと。
そして最上階。
全面壁に覆われた玉座の間で待っていたのは、世界を統べる王…コピーエックスMk2。
「全ク君は愚かナ奴ダ…」
「愚かなのはお前だろう。守るべき人間ですら殺してしまうとは…
お前は一体何を守りたいんだ?」
ミサイルで焼き払われた町がゼロの脳裏に焼きついていた。
「こノ世界の人間ガ望ンでいルこトを行うまデサ」
「…何?」
「君達レジスタンスハ…ネオアルカディアにとっテは悪の集団…
僕達は世界ガ認メる正義の味方なンダ」
「お前達が正義で…俺達が悪か」
後ろの壁が上下に分かれ開き……ガラスの外に宇宙を映し出す。
「そウダ イレギュラーの撲滅ハ、世界ガ望んデイる事なノダカら。」
手をクロスさせる…膨大なエネルギーがエックスへと集中。
「『ネオアルカディアのしテいルことハ正しイ』 その証明ニさエなレバね!」
そして開き…アルティメットアーマーを装着。
戦闘が…再び始まる。
「サぁ行クぞゼロ!」
跳びあがりノヴァストライクを発動。
「その手はもう効かん」
チャージ斬りで真っ向から撃ち落とす。
「ぐふっ!」
エックスが地に落ちる。
そこへゼロが近づき三段斬り…払う、斬る、振り下ろす。
「くぅっ…」
スライディングでの攻撃。ゼロは後ろへと跳びこれを回避。
「以前と同ジとハ思ワナいコトだネ!」
属性を氷へと変化。
ノヴァストライク、そこから5方向へ砕ける氷のショットを放つ。
「まダまダ!」
属性をチェンジ。炎の波を放つ。
「そう変わっていないようにも見える」
飛び越えて旋風撃。
「ううううっ!!」
一直線に突く。
そこから跳んで距離を取る。
「モう許サん!!」
感情の爆発。…光の柱が天を貫きエックスの傷が見る見る回復してゆく。
-
「はァァァァ!!」
だがやはり攻撃はノヴァストライク。
「やはりその攻撃が最強の攻撃であり…」
チャージ斬り。
「よほど誰にも破れなかった技らしいな」
リコイルロッドに持ち替えて一発、二発…
「サウザンドスラッシュ!」
そしてそのままリコイルでの連撃。
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”…」
刃が次々とエックスの体に突き刺さってゆく。
「…黙レ!」
ノヴァストライクで脱出。
「それニ…僕ハこンナ『力』も得たンダよ」
エックスバスターが虹色に輝く。
「!」
「消し飛べ……っ!」
宙へ浮き…ゼロへと放つ。
エックス最強のバスター…リフレクトレーザー。
「アアアアアアッハッハアアアアア!」
床、壁、天井、また壁、また床。
縦横無尽にエネルギーが駆け巡り…すべてを破壊してゆく。
「逃げるがイイ、逃ゲルがいい!」
続けて放つ。
「ソシテ僕ハバイルの改造でこんな力ヲ手に入レタ!」
両手のバスターからバスターを放ち…クロスさせる。
「『クロスチャージショット』!」
光の弾丸が壁となり…ゼロへと高速で向かってくる。
「ハァ!!」
チャージ斬りでこれを破壊。何とか潜りぬけるが…
「かかッタね!」
極太のレーザーを照射するチャージショット。
「『イカロスチャージショット』!」
真横に構えた腕を上へ。90度の範囲を一気に焼き払う。
ゼロはすかさず壁へ逃げる。
「ドうシタんダイ!?」
今度は上へと向かいダブルチャージショット。
一発目は普通のチャージショット、続けてニ発目は強力なチャージショット。
「逃げテばカリのヨウだネ!」
そして赤い光を纏ったエックスがエックス最初の、最強段階のチャージショットを放つ。
「『スパイラルクラッシュ』!」
赤いいくつものエネルギー弾を放つ…。
らせん状になったその光はうねりながらゼロへと向かっていく。
「…!」
だが…その攻撃は反動が大きい。
その一発を避け…最大限にチャージした一撃をエックスへ叩き付ける。
「ハァァァ!」
「うぐ…!!」
地がエックスを中心として窪み…
再び…倒れた。
「まダ…ダ……!!」
だが…力が入らない。
「…くソゥ… バイルーーーーーー!
オメガを、オメガを呼べええええええ!!」
しかし…辺りは静まり返っている。
「………何?」
そこに一つの光が現れる。
「……バイルはもうここには居ないよ
…君はバイルに利用されたんだ」
エックスは悟る。その姿が…自分と同じであることを。
「…お前ガ…僕ノオリジナル…!」
「…そうだよエックス。
…一つ、君に話しておきたかった。…謝りたかったんだ」
「………何?」
-
オリジナルエックスは、そっとその語り始めた。
「…君は、僕がなりたくなかった僕だ」
「そして、僕がなっていたであろう僕…。
…僕は、イレギュラーと戦っているうちに、どんどん疲れていった…
精神も磨り減り、段々と何も考えられなくなるようになっていった。
…そんなとき、ユグドラシルに封印していたダークエルフが力を取り戻す所か
以前の力以上に強まり始めているという言葉を聞いたんだ」
「ユグドラシルの力だけでは封印できない
そこで僕は、自分のボディを使って封印することを話したんだ。
…仲間にもそういわれてね。 その、昔からの仲間達以外は僕がどこに行ったか解らないし、
教えていないんだと思う」
「内心、ほっとしていた部分もあるんだ。
もうイレギュラーと戦わなくてもいい、もうこの世界にいなくてもいい、
もう血まみれの自分が様付けで呼ばれなくてもいい…って。」
エックスは目を伏せる。
「…でもそれは浅はかだった
…結果、君という存在を生み出してしまったんだ。
世界は『エックス』を必要とし続けていた。
…君という身代わりの自分が犠牲となって…更に多くの犠牲を出す事になってしまった」
「…君は僕がなりたくなかった僕だ。
…逃げ出した僕に代わり犠牲となってしまった僕だ
…僕に嫌なことを押し付けられた…そんな僕だ
…すまない、エックス。」
しかし…
「…フフッ…アァハハハ…ハハハハハハハハ!」
結論は何一つ変わらない。
…いや、本人の口から結局はどうあれ言われたと同じなのである。
「僕はどうせ失敗作だというのだろう!?
間違った道を歩まされ!
間違った立場に置かれ!
結局偽物の末路がこうだというつもりなのだろう!?」
「……」
「何一つその言葉は何も解決しない!
そんな哀れみなどない方がいくつもマシなものか…!!」
エックスの怒りが…自分という存在に対する悲しみが…頂点に達する。
「許さサナイ!!
…僕ノ真の力ヲ… 見セテやル!」
跳びあがり…力を集中させる。
光がエックスの体を分解……その時だ。
「!?」
光になったエックスのボディが…暴走を起こし始めた。
「か…カラだ…ガ」
「いけない…バイルは君の体に罠を!」
エックスは言い忘れていたことに気づいた。
-
コピーエックスのボディの黒きチップは…確かにオメガと繋がるチップである。
しかし…そのチップは逆に、オメガに力を吸収される結果をも生むのだ。
「からダが…あつ…熱……イ……ガガガガガガガ…!!」
オメガの力がコピーエックスの不安定なボディに一斉に送られ…許容量を越えて暴走を起こす。
そして…
「うわぁあああああああああああああ!」
光となって飛び散った。
「………光が流れていく…?」
「……オメガの糧にされたんだ…。」
虹色の光はオメガの元へ。
…こうしてコピーエックスは今度こそ最期を迎えた。
…それから30秒もしないうちに、ネオアルカディア全土にある声が響き渡った。
「たった今…」
「たった今、心無きレジスタンスの手にかかり…
我らが指導者、英雄エックス様がお亡くなりになられました
…大変嘆かわしいことであり…彼のご冥福を祈るのみであります」
「ドクターバイル…!」
「…私はエックス様にかねてより、ダークエルフの追跡を任されておりました
ダークエルフが捕まった今…そして、レジスタンスにエックス様が殺められた今
私は今こそその軍をレジスタンス撲滅のため動かすときであると感じております」
…すべては彼の筋書き通りなのであるが。
「なので…今このときより、ネオアルカディア軍の全権を私に委ねていただきたいので御座いますが…
皆様、如何で御座いましょうか」
ネオアルカディアの政治を取り仕切る人間達にバイルが呼びかけ…
そしてそれから10秒もせずに。
「…有難う御座います …たった今、全議員の賛成一致を確認致しました
有難う御座います。…それではこれより私が、レジスタンスの撲滅を目指し戦うことと致しましょう
ネオアルカディアに平和と自由のため!」
…すべてが、バイルの思うとおりに動こうとしていた。
「…倒すなら奴が先だったか」
「…いや、どの道エックスも彼の手駒だった…
…君はやるべきことをしたまでだよ
…ドクターバイル、あなたは妖精戦争の悲劇をまた繰り返すつもりなのか」
そして…世界は闇へ引きずり込まれていく。
「…残る敵は5人か
チップの影響もない…俺は行けるぞ」
「…そうだ。オメガのことだけれど」
「…奴がどうかしたのか」
エックスは…しばしの間、黙っていたが…
「…いや、何でもない」
口にするのをやめた。
「大切なのは体ではなく、心だ。オメガは歴史上最強の存在となってしまった…。
…それでも、君なら…君の心が生きることをやめなければ…
………勝てるはずだよ」
「…ああ」
-
改訂版の改訂版
1 カリス・フィリアス 二塁手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
-
暫定的に決まったところまで晒してみる
1 FREE 一塁手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手 背番号26
3 シャドウ 遊撃手 背番号48
4 北条沙都子 左翼手 背番号35
5 川澄舞 右翼手 背番号18
6 セリカ 三塁手 背番号55
7 リョウ 投手 背番号80
8 エリカ 二塁手 背番号46
9 ヨッシー 中堅手 背番号44
控え
ルカリオ 投手/三塁手 背番号94
美坂栞 二塁手 背番号4
ナタネ 外野手 背番号89
…何だこのメンバー…
-
第四版
1 カリス・フィリアス 二塁手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
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ver0.7ぐらい版
1 FREE 一塁手 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
控え
ルカリオ 投手/三塁手 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
※シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
「…人間達はもう、自分の頭で物を考えることを止めているのかもしれない…
長い間、こんなにレプリロイドが犠牲になりながらも安穏と暮らしてきたせいで。」
残るバイルナンバーズは4人。
「『キュービット』、『グラチャー』『ヴォルティール』『トレケスタ』…か
早速ミッションへ向かう」
シエルと目もあわせず、彼は転送装置に立つ。
「…ゼロ。何か私に隠していることない?」
「…何のことだ?」
「………割と感情を表情で出さないのはわかっているけど…
…私にだって解るわ ………誰か知っているのね」
「……オペレーター、今日はお前に転送だけでなくオペレーションも担当してもらいたい」
「ゼロ!!」
転送先は雪原… あの、雪原である。
「宇宙船に積み込まれていたコンテナが雪原内に散乱しており…
バイルやオメガに関するデータも含まれているものと思われます。
…ゼロさんが多忙なため他のメンバーに向かわせていたのですが…」
「了解した」
ゼロは走り出した。
…前方からパンテオンがやってくる。
「………エックスのDNAを使ったなれの果てがあれか」
ただのパンテオンではない。
…サボテンのように真ん丸く…胴回りが数メートルに及ぶまでに膨らみ、
腕の先端を鉄球にし振り回している奇妙なレプリロイドだった。
宙に浮くボードに乗り雪道を走っている。
霧が晴れる。
(…あれか)
青い空、白い雲……遥か麓に見える巨大コンテナ。
確かに、大きく言えばここは雪原地帯。
だが…そこは山の頂上だったのだ。
(動く…ようだな)
ボードに乗り、滑降していく。
「来たか」
勿論、背後からは同種の改造パンテオンが追ってくる。
「斬鋭弾!」
セイバーを振り、衝撃波を飛ばす。
衝撃波はパンテオンの腹を真っ二つに切り裂いた。
「前方にも敵が多数…か」
猛スピードで雪の坂道を駆け下りるボードの前には無数のメカニロイド達。
大きなメカニロイド格納庫はチャージ斬りで破壊、
他は勢いに任せて轢いたり、回転斬りで対処したりなど。
「…着いたか」
コンテナの入り口をボードで破壊…入っていくとそこには。
「…あーる?」
八審官の一人だった。
「…グラチャーか」
小さくまん丸な体に似合わぬ、巨大なハンマー。
「ムムムム…なんと嘆かわしい!」
地へ衝撃を響かせる。
「伝説の英雄ともあろうものが、バイル様の持ち物であーるデータを
盗もうとする盗人に成り下がったであーるか」
「このワシが裁いてくれるであーーーる!」
ハンマーを振り回して襲い掛かってくる。
「力では負けんぞ」
自らに向かい振り下ろされたハンマーをセイバーで受け止め…
「フンッ!」
一瞬にして体をずらし回避、そのままハンマーを金太郎飴の如くスライスしていった。
「……流石は伝説の剣、凄まじき切れ味」
-
両腕をぶんぶん振り回し始める。
「だがそれだけに残念である!
その力を使えばバイル様の右腕にもなれたものを!」
両拳を地面に叩き付ける。
「ぬぉおおん!!」
グラチャーの体が氷に包まれ…
「ぉおおおおおおおお…」
氷の周りに霜が発生…氷を薄く包んでゆく。
そして…
「はぁぁぁぁ!!」
氷が大破。中から現れたのは…
「ワシの名は『グラチャー・レ・カクタンク』!
罪人ゼロよ、このワシが砂漠でなくとも裁くであーーる!」
サボテン型に変形したグラチャー…改め、カクタンク。
両手は重量感漂うハンマー…まん丸と太ったその体はそのままに…
「行くであーーる!」
ゼロへ襲い掛かってきた。
重量感たっぷりのボディでゼロを押しつぶそうとするが…
「テイ!フンッ!ハッ!」
背後に回り三段斬りで対応される。
「い、いきなり酷いであーる!?」
伸びる腕を最大限伸ばし、パンチを行う。
「一応先手は譲ったのだがな」
それを潜り敵の懐へ。
「バーストショット!」
零距離で強力な炸裂弾を発射。
「あああーーーーーーーーる!?」
カクタンクの体が吹き飛ぶ。
「そ、それ以上はさせぬである!」
腕のハンマーを天井へと突き刺し、振り子状に揺れる。
「死刑であーーーーーーーーーーる!」
腕を最大限に360度振り回す。
氷の粒がトゲとなってゼロを襲う。
…しかしゼロはそれも気にも留めず。
「最後のようだ」
フレイムチップを纏ったチャージ斬りをカクタンクに当てる。
「のぁぁあ!?」
そして…
両手にセイバーを握り…
力を込め…
跳びあがり…
一気に下から、上へと真っ直ぐに斬り上げる!
「天裂斬!」
カクタンクの体が両断され…
「ば、バイル様の裁きからは…逃れられぬであーーーーる!!」
爆炎を吹き上げ、消滅していった。
「…お前はこれからも作業を続けてくれ 俺は…戻る。」
その夜。
「…ふぁーーー…あ」
シエルは眠れずにいた。
…オメガを前にして、敗北を喫したゼロの表情の違いが気になったのだ。
…まるで別人のよう。…明らかに、ゼロが傷つき…
そしてそれに向かい、どうすれば強くなれるかずっと考え続けているのだ。
…ゼロはそうしている間にも強くなっている。
次はきっと…オメガに勝てるはず。
……いつもは自分が心配しているのに、このときばかりは心配しているゼロが心配でならなかった。
…物音が聞こえる。
「…?」
女性の声。
「……」
司令室にいたのは…
「………。 ………! ……… ………………」
オペレーター…誰かと話しているようだ。
一体…誰と? …ここからではよくは見えないが………もしかすると。
-
第四版
1 カリス・フィリアス 二塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/投手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/二塁手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/投手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
あかぎ 最高球速124km/抑えタイプ/スリークォーター 変化球チェンジアップ
シャーリィ 最高球速158km/中継タイプ/オーバースロー 変化球Hシュート/Hスライダー/ツーシーム
―コーチ一覧―
ヘッドコーチ エリ・カサモト
打撃コーチ シャーリィ
守備走塁コーチ 一条あかり
投手コーチ ブランネージュ
コンディショニングコーチ あかぎ
-
「次のミッション…は、バイルたちのことについての調査になるわ」
「水没した図書館…か」
「…ここは一度行って見たいと思っていた場所なのよ
バイル関係でなくとも、旧世界の遺産が詰まっているかもしれない」
今度は調査。ゼロは転送装置の中心に立ち…
「オペレーター、宜しく頼む」
転送の準備を完了させる。
「…待って」
「! …シエルさん?」
「…ちょっとね。今回は私にやらせて欲しいの」
その真剣な表情を見て…オペレーターは思い当たった。
「……あの、私でしたら別段特にゼロさんと親しくなどはしておりませんし…」
…そのことではない。
「……オペレーター、少しあとで話をしたいんだけど」
「…え?」
「…昨夜のこと」
オペレーターの思考が…僅かな間、止まった。
「…!!」
「…解りました それでは」
「…行くわね、ゼロ」
ゼロの表情は曇る。
「…」
「3…2…1… …転送っ!」
ゼロは旅立っていった。
「確かに、水没しているな」
「ネオアルカディアが配置したメカニロイドを乗り継いで渡って!」
プールのように…ゼロのいる段から少し下の段は水浸し。激しく水位が上へ下へと変化していく。
そこに、亀型のメカニロイドが浮いている。装備が満載された…警備用だ。
よく見ると、電流の漏れたケーブルがそこかしこに。
…そして、その中で水に浸かる一番低いものに触れた瞬間…
図書館を覆う水は電流の海へと変わっていく。
「…」
バスターショットで亀に衝撃を与え、ひっくり返す。
亀の腹なら乗っても安全…跳び移り続ける。
「そこから、データベースのある部屋までメカニロイドはいないわ、一気に渡りきって!」
水の中へ飛び込み…電流が流れる前に一気に移動…
「…フゥ」
着いた場所は…。
「ゼロ。ここからこの書物名を入力することで、
目当ての書物が手に入る仕組みとなっているの。…お願いね」
調べるべき事柄…バイル、オメガ、妖精戦争、ダークエルフ。
その先にも大量の本棚が浸かっている。
その中でゼロの力になれそうな情報は、といえば…。
「そこか」
「違う!」
「ならここか」
「違うわよゼローーー!」
2回、3回、5回、10回…30回。
「…おかしい」
ゼロは…間違い続けた。
「ゼーーーーーローーーー!」
「…すまん」
そして、結局シエルが代行して記憶することとなる。
「そこよ…」
「ああ」
水に天井まで漬かった部屋にファイルは保管されていた。
ダークエルフについて。
「本来は………………であり、…………………を……するために作られた
………………による救済『プロジェクトエルピス』…………………。
だが開発に携わったともされるドクターバイルにより……をイレギュラーを……するものへと変わる。
シグマウイルス………特殊な……を利用して作られた………………で最初………………。」
エルピスの名。
「…なるほどな」
「ここはハルピュイアの管轄。…これを知ったのが、ネオアルカディア構成員TK31.
彼は… これを偶然知って歴史の一端を記憶した。…そしてその時から…彼は『エルピス』と名乗ったって聞いているわ。」
「……そうか」
かつてエルピスが立った場所に自分は…立っている。
次にオメガ。
「イレギュラー戦争末期において ドクターバイルにより製造される。
圧倒的な戦闘力を持ち… ダークエルフとの融合により活動する。 これが…彼が…と共に行った………研究の成果である。」
「…後半はよく見えんな」
「これはデータが新しいわ!」
ドクターバイル。
「レプリロイドの科学者であり、バイルの製作者である………との共同研究によりシグマウイルスの研究に乗り出した」
「…私のご先祖様のことね…」
「ダークエルフといい、とんでもないものを生み出したものだ…」
そして最後…妖精戦争。
「…………末期 ……………を……呼ぶ ドクターバイルによる…………………の……で僅か……………したとされ
究極……………………とされた………を…として………………同士の……を誘発 しかし…………において
……………% ………………% ……………と見られ ………………の戦争となった」
「…情報がまだわからんな…」
そこへ…何者かが現れる。
-
「ヒヒヒヒ…ヒーッヒッヒヒイ…」
頭全体をヘッドギアに包んだひょろ長の男…
「『ヴォルティール』か」
「ヒッ!ヒヒ!!…なんだ、お前が…お前が、ゼロ…か!?
返せ…俺達のデータ…返せ!か、かか、返せ!!」
両腕を拘束され、ビクンビクンと体を痙攣させながら、頭をカキコキと曲げながら話す。
「か、え、せ…と、言っているんだ…」
「返せえええええええええええ!」
ヴォルティールはそのヘッドギアで、ヘッドバットを繰り出す。
「…」
頭を軽くリコイルロッドで小突く。
「ヒヒヒッ!」
「…な、なんだぁ?何しやがったぁゼロ…
俺にはなー俺にはなー、わかってるんだぞーゼロ…………頭にくることしてくれるなーおい!!」
体が震えだす。
「あ、あぁぁああ、はああああああああああああ!」
ブチリ、ギチリ、ゴトリ。
彼を縛る拘束具が取れ、ヘッドギアが砕ける。
「兄者の敵をとりたい所だが……ダメだゼロ。流石に俺もコイツにはついていけない…」
サンダーチップからはクワガストの声。
「ッヒイイイイイイイイイーヒヒヒヒーーーーー!」
上半身を大きく前後に揺らし、水中でじたばたと跳ね始める。
チップを握り締めると同時にヴォルティールの体全体から電撃が発せられ…
「!」
「キエエエエエエエエエエエエエエエ!」
電流によりヴォルティールの体が変質していく…。
「ヒヒヒヒヒ!俺様はバイルナンバーズの一人『ヴォルティール・ビブリーオ』
オメガの奴のイカれ具合が解ったなら、テメェもさっさと引き下がりなぁぁぁ!!」
彼はウナギ型レプリロイドへ変身した。
「ヒーヒャハハーーー!」
ヴォルティールが体をうねらせて部屋を駆け抜ける。
「ハァ!!」
チャージ斬りで対応…しかし。
「効かない…!?」
…手ごたえがない。
「はぁーー!?」
ゼロをあざ笑うように部屋中に開いた穴から姿を見せるヴォルティール。
「黙れ」
チャージ斬り。
「ヒヒッ!?」
そして天裂斬。
「何しやがるーーーー!コイツめ!」
尾から電撃を発する。
「コイツめ! コイツめコイツめ!!」
電撃の弾は次々に放たれ…ゼロを追っていく。
「厄介な技だな」
「ヒヒヒヒ!そうだろうそうだろう!」
ジャンプ、回転斬りから三段斬りへと繋ぐ。
「キヒッ!?」
縦へ3回、斜めに1回、横に1回斬られる痛み。
…痛みのあまり、穴から現れる。
「こ、われ、ろーーーーーーーーーーーーーー!」
尾を地面に突き刺し…辺り一面を雷のカーペットへと変えて行く。
だが…ゼロは動じない。浮力を使って、最大限に浮き…攻撃を回避。そしてそのまま…
「落砕牙!」
セイバーを下へと構えて落下。
「ヒヒッ!!」
頭、腕、下腹部を一直線にセイバーで突き刺しに。
「…や、やりやがった、やりやがった!!
いか、いかかかか、イカれてる、イカれてやがるるるううう!ヒャハアアアアアアアアア!」
ヴォルティールはそのまま弾け飛んだ。
「有難うゼロ…解析を行うわね …後、間違え続けたからミッション点0.」
オペレーターをシエルは呼び出していた。
「…正直に話して欲しいの」
「…で、ですから忘れ物を…ですね」
「何の?」
「それは……」
オペレーターは口ごもる。
「コンピュータに何かしてないでしょうね…」
「な、何も…!」
「…それなら、見ても…」
そこへ。
「…シエル」
「セルヴォ… …お願い、後にしてくれないかしら」
「いや…少し聞いてくれ …ゼロにバイルチップを入れたのが誰だか解ったんだ」
-
「…アンドリュー…さん?」
セルヴォの口から出たのは予想だにしなかった人物。
「……こんなことはしたくなかったんだがね
…メンテナンス室で…ゼロの頭に入れている所をメンバーが見たそうだ」
「…目撃者が怪しいってことは?」
「シエル。 ……ゼロが気がかりなのはわかるがね
納得してくれないかね… 何なら私を疑っても構わんが…」
「ごめんなさい… でも…ひとまず………アンドリューさんを呼ぶ必要がありそう。」
ゼロは……ただ一人、次なるミッションへと向かっていた。
「エネルギー施設か」
真っ暗な巨大建造物の内部調査。
「この施設はとても最深部までの道のりが長くなります
長期戦とお考え下さい」
二人いるオペレーターの、もう一人のオペレーターが説明する。
エレキチップの働きで動かぬ動力にエネルギーを送ることは可能なようだ。
蛾型メカニロイドを、そうして点した室内照明へ集め…一気に斬る。
そして先にはまた動かぬ動力。
これの繰り返し…どんどん奥へと潜っていく。
途中にあったのは、作動を続けている巨大動力装置。
「これをまずは止める必要があるか」
リコイルロッドを取り出し…
「セヤ!ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!!」
サウザンドスラッシュで6つのスイッチを次々に押し込み先へ。
「…危険区域というわけだな」
メカニロイドが大量に配備され、トゲトラップの数も半端ではない。
運ばれる鉄骨をリフト代わりにして移動…
体重を移動させて千切れるケーブルを攻撃したり、爆弾を避けたり、トラップを避けたりしながら
また奥へと進むと…
(セキュリティか!)
ぐるぐると回転する円形装置…その中心に緑色のコア、周りを廻るは二つのリフト。
赤色から青色へ…。冷気での攻撃。
青色から赤色へ…。炎での攻撃。
それぞれの弱点で攻撃してこれを破壊して更に先へ。
もう一つの動力装置を停止させたゼロは…行き交うリフトを見つめる。
「これのスイッチを切り替えて、何とかしてトゲだらけのこの壁を越える…と」
ゼロ対策のトラップも手が込んでいる。
…それを抜ける手段もまた、考える必要がある。
「あらあら。見ちゃったみたいねぇ坊や」
華奢な女性レプリロイドが最深部にいた。
くるりくるりとカールしたロングの髪を持つ…。
「お前らは…誰だ」
「私はバイルナンバーズの一人、『キュービット』
このベビーエルフ生産工場を見られたからには…生かしては帰せないわね」
「そういうことダァ…」
そして、キュービットを肩に乗せる巨体の男。
「俺の名はァ、『トレケスタ』
テメェがあまりに遅いもんだから来ちまったぜぇ!」
二人のバイルナンバーズが相手…だが。
「さて。私は高見の見物と行きましょうか トレケスター、お願い」
キュービットはトレケスタの背から跳び立ち…天井へと姿を消す。
「ゴルルルァ!行くぜぇゼロおおおおお!」
大剣を手に…トレケスタが向かってくる。
「ゴッラアアアアアアアアア!」
だが…それは届かず。
ゼロによって、片腕をもぎ取られたからだ。
「ア、アアアアアアア!!テメェ、テメェエエエエ!!」
威力は抜群。
…いよいよ、戦いが始まる。
-
「ケロロロローン!ワタスの力がやっと役に立つだーー!」
ヘケロット…
そう。彼は、芋虫を食べた数だけ体が膨れたが…その重量硬度は半端なものではなかった。
彼は…重さを支配していたのだ。
「ゴルルルルルルァアアアアア!」
部屋全体が、トレケスタの重量で凹み始める。
どんどん沈み………床を砕き、下へと落下していった。
…大きな穴。
そこから…一つの巨体が飛び出してくる。
顔だけでなく、両肩にも顔のついたレプリロイド。
着地と同時に、あらゆるものが崩れてゆく。
ゼロは…下の階に落とされる。
「ゴルルルァ!俺様ァ地獄の番犬『トレケスタ・ケルベリアン』!
せいぜい俺を楽しませろよぉ英雄!!」、
戦いが始まる。
「オッルァァ!」
大型コンテナを軽々と持ち上げ…落とし、ただの突進ではない…腕に全エネルギーを込めての光線剣を作ってのものだった。
「大剣使いか、なるほどな…」
斬られる前にそこを飛び立ち、一撃。
「ゴァァ!!」
今度は鉄パイプをぐにゃりと曲げ、それを投げつけてきた。
「…なるほどな」
相手はパワーが自慢。
…ならばこちらもパワーで対抗。
「ォアアアアア!」
チャージ斬り。続けてまたチャージ。
「オオオオオオオオ!!」
トレケスタの肩パーツが分離する…。
いや、トレケスタの第2、第3の顔だった。
「ガウ!」
「ガガーーーウ!」
隙を見て回避、そしてまた振り下ろす。
3体が集まった、そのときを見計らい全て1度切る。
「…さて。トレケスタもそこまでかしらね」
毒ガスを撒き始めたトレケスタとゼロの元へ……
キュービットが炎を落とす。
「ごあああああああアアアアアアア!熱い、熱いぞおおお!!」
毒ガスへと引火。トレケスタの体に次々と燃え広がり……
「グアアアアアアアアアア!」
…消滅していった。
「今の、見てもらっちゃ困るなぁ…」
トレケスタの死体足元にはビット。
「よ、っと♪」
キュービットが炎の中に着地。
「変身…!」
燃え盛るビット9つがぐるりぐるりと回転………
キュービットを持ち上げ………
「ハァ!」
「貴様の罪を滅ぼすために私は再び現れたぞゼロ!」
マグマニオンの人格の入ったフレイムチップを掲げると…
ビットは集まり大きな炎へと変化。中から…
「オーッホッホ!私の名前は『キュービット・フォクスター』
私の作り出す幻に酔いしれなさい!」
狐型のレプリロイドに変身していた。
-
「見切れるかしら!?」
フォクスター自身が炎となって、炎のビットが辺り一面を舞う。
「100年前なら食らっていただろうがな」
壁を蹴り…雷の力を手に入れたチャージ斬りで一撃。
「あぁうっ…!
それなら…これならどうっ!」
ビットを自分の体に集中させ…
「いーやぁ!いーやぁ!いーやぁ!いーやぁ!!」
炎を纏ったビットを連続で撃ち出してくる。
「な、何故効かない!」
ゼロは軌道を読みそのすべてを回避。
「どうしてだろうな」
フォクスターへ股一撃。
「うっ……あぁ…!!」
フォクスターはしかし…まだ堪えない様子。
「燃えておしまい!!」
炎を打ち上げ、地上を炎の海へと変える技。
「熱いわよお!!」
だが…。
「…憎らしいわね…なんでそんなに動きが手に取るようにわかる!!」
フォクスター最強の技を発動。
「『火炎車』!!」
ビットを大きく回転させ、巨大な炎の台風とする技。
…だが…最初で解った。これもかわされると。
「…何故そんなに強い…!!」
気がつけば、ゼロは彼女の真上にいた。
「何故、諦めない…!!!」
落砕牙にてフォクスターの体に一本の筋が通り…
「そういえばお前、男じゃなかったか」
「女の過去なんて詮索しないものよ坊や……」
炎に包まれていった。
バイルナンバーズはこれにて全滅。
「…ああ、そ、そうなんじゃよ…ワシがある日拾っただけのもんでな…
もしかするとネオアルカディアの兵か誰かが
置いていったのを持っていたのかも知れん…」
「バイルが来て以降、レジスタンスベースでの戦いは行われていないの」
「く…… うう…」
アンドリューも…何かを隠している。
一体何が?
「…ハルピュイアの様子を見てくる。そう、伝えておいてくれ」
「まもなく解析も完了いたしますので…それまでには戻ってきてくださいね」
「…何をしにきた」
ハルピュイアはメンテナンスルームのカプセルから起き上がっていた…。
「おお、ハルピュイア様!」
「ハルピュイア様が目を覚まされた!」
「ハルピュイア…どうする
俺と戦っておくか」
「…下らない お前に今は構っている暇などない。
…オメガを倒さねば世界は…奴により破壊し尽くされる。
それを止めに俺は…戦うんだ」
「…全ては、人間のために…忘れたか」
「ゼロさん、ゼロさん…至急、司令室までお越し下さい」
そして、空白の期間…『妖精戦争』の事実が明らかになる。
最後の戦いのときが… やってきたのだ。
-
ver0.9ぐらい版
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
後少し…
-
ちょっと修正(ver0.91ぐらい)
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
※シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
(ほぼ無理矢理)ver1.0
―チーム名―
リリーズ LILLYS
―打順―
1 FREE 一塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号1
2 富竹ジロウ 捕手/外野手/右投右打 パワータイプ・慎重走塁/早い・守備得意 背番号26
3 シャドウ 遊撃手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/すごく早い・守備得意 背番号48
4 北条沙都子 左翼手/投手/両投両打 万能タイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号35
5 川澄舞 右翼手/左投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号18
6 セリカ 三塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号55
7 リョウ 投手/右投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号80
8 エリカ 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/普通・守備普通 背番号46
9 ヨッシー 中堅手/投手/左投右打 パワータイプ・積極走塁/すごく早い・守備苦手 背番号44
―控え―
ルカリオ 投手/三塁手/左投左打 パワータイプ・積極走塁/早い・守備得意 背番号94
美坂栞 二塁手/右投右打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備苦手 背番号4
ナタネ 外野手/右投左打 巧打タイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号89
―投手データ―
リョウ 最高球速165km/先発タイプ/スリー・クォーター 変化球スライダー、カーブ、シュート
北条沙都子 最高球速130km/抑えタイプ/オーバースロー 変化球カーブ、チェンジアップ
ヨッシー 最高球速148km/中継タイプ/スリー・クォーター 変化球シンカー、カーブ、パーム
ルカリオ 最高球速143km/抑えタイプ/アンダースロー 変化球スクリューボール、チェンジアップ
―コーチ一覧―
今回はそれ的な事は全てFREEと沙都子が担当しました
―備考―
・シャドウは素早さが反則なのでリミッターによりスピードがマラソン選手並に落ちています
-
第六版
―葛飾野球倶楽部メンバー表―
1 カリス・フィリアス 二塁手/捕手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号32
2 ナディア・カッセル 三塁手/右投左打 パワータイプ・慎重走塁/普通・守備苦手 背番号18
3 シャーリィ 捕手/投手/右投右打 パワータイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号22
4 アルファ 投手/両投両打 万能タイプ・万能走塁/すごく速い・守備得意 背番号35
5 エリ・カサモト 右翼手/右投右打 巧打タイプ・慎重走塁/速い・守備得意 背番号49
6 ピピロ 遊撃手/二塁手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備苦手 背番号77
7 あかぎ 左翼手/投手/左投左打 万能タイプ・消極走塁/遅い・守備普通 背番号19
8 一条あかり 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごく速い・守備得意 背番号1
9 ロジーナ 中堅手/左投左打 パワータイプ・消極盗塁/普通・守備苦手 背番号92
控え
アリシア・メルキオット 外野手/右投右打 巧打タイプ・積極走塁/速い・守備得意 背番号71
シーナ・カノン 一塁手/右投左打 巧打タイプ・積極走塁/すごい速い・守備得意 背番号98
アイラ・ブランネージュ・ガルディニアス 投手/二塁手/右投左打 巧打タイプ・消極走塁/遅い・守備得意 背番号42
―投手データ―
アルファ 最高球速169km/先発タイプ/オーバースロー 変化球スライダー、カーブ、シンカー
ブランネージュ 最高球速132km/中継・抑えタイプ/スリークォーター 変化球スライダー、スローカーブ、チェンジアップ、パーム
あかぎ 最高球速124km/抑えタイプ/スリークォーター 変化球チェンジアップ
シャーリィ 最高球速158km/中継タイプ/オーバースロー 変化球Hシュート/Hスライダー/ツーシーム
―コーチ一覧―
ヘッドコーチ エリ・カサモト
打撃コーチ シャーリィ
守備走塁コーチ 一条あかり
投手コーチ ブランネージュ
コンディショニングコーチ あかぎ
-
図書館内で手に入れたファイルの解析が完了…
シエルからその報告が始まる。
「…行くわね」
ダークエルフについて。
「本来は『マザーエルフ』であり、イレギュラーを浄化するために作られた。
マザーエルフによる救済『プロジェクトエルピス』は彼女が持つシグマアンチボディプログラムによるイレギュラー根絶計画。
だが開発に携わったともされるドクターバイルににより改造を受けイレギュラーを洗脳するものと変わる。
シグマウイルスが持つ特殊な性質を利用したサイバーエルフで最初のサイバーエルフでもある」
「…本来の名前はマザーエルフ…か」
「元々は世界を救うために生まれた…本当だったのね
…エルピスは、プロジェクトエルピスを間違った方法で完成させようとしていたのね」
「…ダークエルフに操られて、か」
次に妖精戦争。
「イレギュラー戦争末期 ダークエルフのコピー、ベビーエルフを始めとした
サイバーエルフが大量使用された時期をこう呼ぶ
ドクターバイルによるダークエルフの投入で僅か4年で終結したとされ
究極のレプリロイドとされたオメガを媒体としてイレギュラー同士の争いを誘発
しかし終結時において
全人口に占めるレプリロイドの90% 人間の60%が 死に至ったと見られ
地球史上最悪の戦争となった」
…シエルは震えていた。
「…こんな戦争を私達は忘れていたっていうの………」
『レプリロイドの90%、人間の60%』
目を閉じる…無数の叫び声と悲鳴と涙、赤黒い想像が焼きついて離れない。
…字で見ただけの彼らには、想像しか出来ないのであるが。
「…情報操作の果てが…これか」
言葉が出ない。
そこに、オペレーターが声を発する。
「クヒャーッハッハッハ、よく調べたなドクターシエル」
「な!?」
それは…最早オペレーターではない。
「ドクターバイルか…!」
「ワシは今から、オメガとダークエルフを完全に融合させる所だ
…クーックック…今度のオメガは完璧だ…!
最早ベビーエルフを使う必要などない!」
「この掌を一度握るだけで…
ワシは世界を、終わらせることが出来るのだ!!」
世界が…恐れ始める。
オメガと…その中のダークエルフから発せられた波動が…地球を覆い尽くす。
「さぁ、始めようではないかオメガ…!!
世界に刻め!! 貴様らの支配者の名を!」
…レジスタンスベース司令室に…
レジスタンスたちが駆け込む。…シエルを心配して…
…いや。
「大いなる者が」
銃を構えていた。
「漸く目を覚ました」
そして包囲。
それは…呪われし賛歌。
「閉じられた歴史が開かれ、動き出す」
「世界に刻め」
「我らが支配者の名は…」
叫ぶ。
「バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!
バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!
バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!バイル!」
-
ダークエルフによりオメガに増幅されると同時に
オメガにより増幅されたダークエルフの力。
それはレプリロイドの支配の力だった。最早…その力は地球全体に及んでいる。
「………」
彼らを切り伏せることは簡単。
…だが、彼らはバイルに操られただけの者であり…
彼の仲間である。
そして…人間であるシエルを守りながら戦うことは…不可能に等しい。
「ちっ…」
その時。
「!」
視界を突如、眩い光が覆った。
「…遅いぞエックス」
「ごめん… …大丈夫かい」
辺りを見渡す。
「…皆気を失っているだけのようだな…バイルとオメガは今何処にいる」
「ネオアルカディアの地下動力部…
……『アンダーアルカディア』だよ
バイルはそこから世界中に、ダークエルフの力を送り込んでいるんだ」
「…世界の中で俺一人だけが立ち向かうことになるか…
座標を教えろ」
「…ま、待ってくれ…」
セルヴォの声だ。
「?」
「…君に渡しておきたいチップがある…戦いの前に…ラボに寄ってくれ」
「…解った。シエル、お前も一応ついて来い」
「え、ええ!」
渡されたチップは…アルティメットフット。
あらゆる足に関するチップの能力が集まった最強のチップ。
「…何時の間に」
「リコイルだけでは不足だと思ってね…
さあ、行くんだ…」
そのとき…だった。
「…何だ、この音は…」
…恐らく、転送装置の作動音。
司令室に戻る。
「…」
転送装置の床が光ったまま。
「………………まさか」
「…お、お願いですゼロさん……助けて…あげてください…」
オペレーターは…知っていた。
ゼロにバイルチップを埋め込んだその張本人が誰であるか、何をしようとしているか。
エックスも…見ていた。
「ゼロ!アンダーアルカディアへ転送できなくなった!」
「…何?」
「通るにしてはあっさり過ぎると思っていたんだ…
ゼロが部屋に来た瞬間、応答が遮断された」
「なるほど、許可は…そういうことだったのか」
内通者を転送するためのもの。
「言葉を選んでいるけど…一体どうしたっていうの、ゼロ」
「……」
ゼロは返さずに転送装置の中心へ立つ。
「オペレーター その近くでならどこに転送できる」
「ねえ、ゼロ!聞いてよ!」
「…地下に通じる、ネオアルカディア中枢部の地下巨大エレベーターまでなら……」
「…お願いだから、二人とも一体何を知っているの!?」
…ゼロは最早迷う素振りも見せなかった。
「…ゼローーーーーーーーーーーーーーーーー!」
-
ネオアルカディア地下の巨大エレベーター。
巨大な一本の支柱がどこまでも続き…
高さだけでない広大さを持つその空間を下へ下へと降りていく構成。
パンテオンを倒して突き進み、梯子があったら下へ。
トラップに注意しながらまた下へ進み…
扉を潜りエレベーター本体へ。
「ここを降りるのか」
地下へ降りていくエレベーター。これは中継フロアまでのものである。
「来るな…」
上から飛来するリフトが二つ。そこから、大量のメカニロイドやパンテオンが落下…エレベーターに乗り込んでくる。
「邪魔をするな…」
かつてパンテオンコアのいた地下鉄で戦ったメカニロイドとも再戦を果たしながら、どんどん下層へと下がっていく。
何分か下り続けたところで中継フロアへと到着。
また同じことを繰り返すこととなる。
パンテオンを倒し、トラップに注意しながら下へ、また下へ。
アンダーアルカディアに繋がるエレベーターに乗った所で…
「アハハハハ!ねえプリエ!来たよ悪者レプリロイド!」
「キャハハハ!そうだねクリエ!お爺ちゃんの言った通りだね!」
現れた。マザーエルフのダークエルフとしての面のみを継いだコピー…
二人のベビーエルフ、クリエとプリエだ。
二人のダークエルフはぐるぐると廻っている。
「それじゃお爺ちゃんの言った通り、戻ろうよクリエ!」
「ねえねえ、でもせっかく会ったんだから悪者レプリロイドやっつけちゃおうよ!」
「…仕方ないね、それじゃやるよクリエ!」
「うん、頑張ろうねプリエ!」
戦闘が始まる。
交差して飛来した後、プリエは光をゼロに落とす。
「もう効かん」
ダッシュで避けたところにクリエのエネルギー弾。
回避した所でチャージ斬り。
「わぁあ!」
「きゃあ!」
続けてベビーエルフたちは遠くへ飛んだ後、勢いをつけて衝突…
二つの力が合わさる衝撃でゼロを攻撃しようとするが、それも間を縫ってかわす。
「ハァ!」
チャージ斬りで二人をまとめて攻撃。ここでクリエとプリエが一箇所でぐるりぐるりと回転を始める。
「行くぞープリエ!」
「うん。合体だねクリエ!」
「「はぁぁ!!」」
ベビーエルフは融合、一つの巨大なエルフに変身した。
「さぁ行くぞー!」
クリエはエネルギー弾を床へ向けて発射。
それは分裂し、地を伝う。だが…これも飛び越えてそのまま…
「行くぞ」
合体エルフに…最後の一撃を加える。
「きゃああああ!」
二人のエルフが分裂…
クリエは無事なようだが…プリエは…
「な、何か痛いよプリエ…体が、チクチクして… み、ミミミミミーーー!」
赤ん坊のときの鳴き声のような…断末魔を残して消えていった。
「プリエ…? プリエーーーーー!?
…わ、わわわ…わーーーーーーーーーー!」
クリエはどこかへ消えていった。
「…この先か」
たどり着いたのはアンダーアルカディア。
ネオアルカディア全体を支える動力部だ。
「…」
世界中に延びるチューブがひしめく中、
ゼロは敵を倒しながら、奥へ…下へとどんどん向かっていく。
…いよいよオメガの元へと向かっていく。
後ろを見れば、死んで行った者達がいる。
隣を見れば、共に歩む仲間達がいる。
前を見ると…これから戦う敵がいる。
…仲間からの声援は重要であろう。だが…
仲間がずっと傍にいては、前の敵とは戦えない。
先へと進むため…全てに決着をつけるため。今倒すべき最大の敵のことだけを考えて進む。
ネオアルカディアもバイルの支配から解放されれば考えを改めるだろう。
レジスタンスも歩み寄れば…また、新しい世界が開けることだろう。
これが…平和のときのための最後の戦い。
…ゼロは…扉を潜った。
-
「…」
そこには…システマシエルを手にしたバイルと、怯えてやってきたクリエ。
そして…システマシエルをバイルに渡した内通者。
「クヒャーッハッハッハ!英雄ごっこは楽しいかね、ゼロ」
「まずはお前を倒す…だが、オメガは何処だ」
「オメガならお前との決着に相応しい場に移動しておいた
後で来てくれたまえ」
バイルの姿が消えていく。
「残念じゃが……全てはワシの言った通りじゃったろう…?」
そして内通者の名を呼ぶ。
「アルエットよ」
シエルが…凍りつく。
「………」
そう…全てはクリエとプリエを守るため。
自らが育てたベビーエルフたちを守るためにアルエットがしたことだったのだ。
ゼロを止めるべくナイフで気を失ったゼロに向かって振るったはいいが、通用せず。
更なる手段があると…バイルは、
クリエとプリエを育てた彼女へ…一人しかいないタイミングでコンタクトを取った。
「ゼロ…… プリエを、どこにやったの?」
シエルから、コンピュータの扱いを習ったアルエットは…通信していたのだ。
度重なるその様子を、オペレーターに見つかり注意を受け…そのことがいつしかバレてしまったが
子供を責めることはオペレーターには出来なかった…。
だがレプリロイドの体そのものの扱いは解らない彼女は
アンドリューにゼロの強化チップと称し、ゼロを衰弱させる猛毒のチップを入れさせた…
アンドリューはアルエットの仕業だと即座に知ったが…老人は孫に等しいその子を庇った。
…全てはバイルの筋書き通り。
「知っていたの…!? …知っていたの、知っていたのゼロ!ゼロ!!ゼロ!!」
シエルは声を荒げる。
「どうして、どうしてプリエを殺したの、ゼロ!!ねえ、ゼロ!!」
アルエットは叫ぶ。
「ち、違うんじゃ…あの子は悪くない、責めないであげておくれい、ゼロ…」
アンドリューは困惑する。
「怖いよ、怖いよーーー!!死にたくない、死にたくないよアルエットお姉ちゃん…!!」
クリエは震えたまま。
「クヒャーーーッハッハッハ!さぁ、どうする!どうするかねゼロ!」
モニター先のバイルはその様子をあざ笑う。
その中心にいるゼロは………何もいえずにいた。
「お姉ちゃんたるもの、妹の身は自分で守らねばなぁ、アルエット…
さあ、クリエを守るのじゃ!!」
合図と同時に、
わらわらと沢山の紫色の光が現れる。
「ミ、ミミ、ミ…」「ミ、ミ…」「ミミミ…」
「!?」
キュービットのいた工場で生産されていたベビーエルフたちだ。
それはアルエットへ向かい集まり…
膨大な数のベビーエルフがアルエットに吸い込まれ…
最後にクリエがアルエットに吸い込まれる。
「う、うううう、うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
アルエットが吼える。
アルエットの体に…変化が起こる。
『姉』に相応しい姿へと急成長………紫色の巨大なオーラを纏い……
「はぁぁぁぁ!!」
宙に浮いた。
「…」
ゼロは……ただ、目を閉じていた。
-
アルエットの攻撃が始まる。
「やぁあ!!」
両腕から光の弾を放つ。
宙をうねり、先ほどとは比べ物にならないスピードで跳んでくる。
飛び越えてそれを回避。
「………」
バスターショットの通常弾を一発。
レジスタンスを気絶させた時のようにしてみるが…
「エイ!」
現れた光の壁によって阻まれる。
「止まって!!」
遠距離から手を振りかざすと
プリエがやったような、光の粒が風となってゼロに向かい吹き荒れた。
「…」
ゼロの動きが制限される。
「行けぇぇ!」
そこへエネルギー弾を大量に乱射…ゼロを撃ち抜こうとする。
「……何か手はないか…」
戦闘能力はゼロを手こずらせるレベルではない。
だが……攻撃するわけにはいかない相手であるのだ。
「エルブズスパーーク!!」
クリエとプリエが衝突した時のあの光…
それが、アルエットの体内で起こる。
ベビーエルフたちを体内で衝突させ…
アルエットを中心として大爆発を起こす。エックスのギガクラッシュに近い攻撃となる。
ゼロはこれをシールドブーメランで防御。
「…」
考え続ける。倒す方法は、何かないものか…
「ゼロ…サイバーエルフに対してはサイバーエルフの力を使うしかない!」
シエルからの提案。
「攻撃可能な子が何人かいるはずだから、そのうちの1人の力を借りて!」
サテライト機能と呼ばれる、サイバーエルフが命を失うことなく、
ゼロのエネルギーを一部借りて力を使えるようになる機能。
「頑張るよー!」
蜂の形をしたサイバーエルフが弾を放つ。
だが…
当たらない。その上…アルエットには効かない。
「そんな…」
…斬ることは当然出来るわけもない。
ゼロらしからぬ行動…『攻撃しない』。
…それは彼自身も知らぬ記憶の根底に、過去に似たような出来事があったことを知っているからか。
だが…それでは解決しないことも薄々わかっている。
続いているアルエットの猛攻を潜り抜けながら彼は告げた。
「………シエル…すまない。」
「ゼロ…!!」
「仇を取るなら…バイルとオメガを倒した後にしてくれ」
これが憎しみの連鎖を生むことも。
セイバーのエネルギーをチャージ……アルエットへ向かい走り…そして。
-
いや……そう思われた、その瞬間である。
なんと一人のサイバーエルフが高速で飛来…
「わぁああああ!!」
「きゃああっ!!」
アルエットを貫いていったのだ。この光は…… エックスではない。
クリエを筆頭とし…あふれ出す無数のベビーエルフたち。
「ミーーーーー!!」「ミミミミミ!」「ミューーーー!!」
アルエットが元の姿に戻り倒れこむ。
「ハァァ!!」
チャージ斬りでそれらを一刀両断。
不完全なベビーエルフたちはその一太刀で消滅…
「…!」
続けて跳びあがり、回転斬りを食らわせ…
最も育ったベビーエルフ、クリエを斬る。
「あ、あ、あ…!!!
み、ミミミ…ミーーーーーーーーーーーー!」
…アルエットは起き上がらない。
「…すまない」
簡易転送装置をつけて転送。
ベビーエルフに、アルエットに、シエルに…彼は本心から謝罪の言葉をつぶやき…
転送装置に乗った。
「……」
行って来る、必ず勝って来る、アルエットを頼んだ。
…どの言葉も、今のゼロの立場では言える言葉ではない。
彼はただ一人…最後の戦いの場へと向かっていった。
シエルは反応をマップで追う。
「ゼロが…転送された先は…………これが、…バイルの研究所…!?」
「ど、どうなさいました?」
「……ちょっと、来たことがある場所なの」
-
ひび割れや汚れ、煤や壁を伝う蔦が目立つ古い建物。
寂れた建物の…扉を潜る。
バイルの研究所。
パンテオン達の守りや、トゲトラップの敷き詰められた床を昇降するリフトを跳び映りながら
先へと進んでいく。
「ギチギチギチギチー!刻んでやる!」
「せっかくの優雅な時間を…目障りだ!」
「ハハッ、そのスカした面、恐怖で凍りつかせてやるよ!」
「シャァァァァ…!歓迎するぜぇ」
待ち受けていたのは八審官。
マンティスク、ヘルバット、イナラビッタ、フリザード。
「お前の体を噛み砕いてやろうかぁ!」
「イカれた奴が来たぜぇ!覚悟しろ…」
「今度こそ裁くであーる!」
「坊やにはどうしようもないの、諦めなさい ホーッホッホ!」
ケルベリアン、ビブリーオ、カクタンク、フォクスター。
8人全員を倒し最後の縦穴を下ると…
最後の扉。これを潜った先に…奴が居る。
「………」
最強の敵を前に一呼吸。
…扉が開く。
…潜る。
そこは上階下階とを上下に大きく貫く巨大な空間。
扉からは、反対側の扉まで大きな一本橋となっており…
空間の中央には…脳の形をした巨大コンピュータ。
前頭葉部分のディスプレイが点灯…バイルを写す。
「クーーーックックック!どうだねゼロ…英雄ごっこは楽しいかね?」
「…とてもじゃないが付き合いきれん
下らんことはここで終わりにさせてもらうぞ」
「そうか、付き合いきれんか…?お前はワシを何と思うかね…」
「全くもって理解の外だ……俺にはお前はイレギュラーにしか見えん
イレギュラーならば叩き斬る… までだ」
イレギュラーハンターとしての過去がある。
レジスタンスとしてイレギュラー扱いを受けながらも戦っている今がある。
「…」
バイルは口元を歪ませたまま、声を出さず笑った。
そして…
「クヒャーーーッハッハッハ!
そうだ、いい台詞だ!さぞ気持ちよかろう、ゼロ!!」
ゼロの言葉に何か満足したバイルは、彼を呼び出す。
巨大な光の柱。
膨大なエネルギー量。圧倒的な力の前に、押し潰されそうになる。
そんな気を発しながら、静かに空間に佇む金色の甲冑騎士…
「オメガ…!」
「ゼロ、お前は面白い奴だったよ
ここで殺してしまうのは惜しいくらいだが…
まぁいい、まだまだ楽しみもある…最後まで楽しんでくれよ、ゼロ!!」
オメガの気配が静から動へ。
大気が震える。衝撃が走る。ディスプレイが歪む。
オメガの剣の鞘が爆ぜ…大剣が姿を現す。
戦いの始まりの…合図だった。
-
オメガとの戦いが…いよいよ始まる。
オメガは腕を分離させ、
開いた掌からフープレーザーを放った。
その速度は…宇宙船のときの比ではない。
「はっ!」
放つのを見てからでは間に合わない。
素早くレーザーを飛び越えて一撃。
上からのレーザーも一歩位置をずらし避けて一撃。
「グォオオオオオ!」
最後に放たれた一発も飛び越える。
「ゼロ…ゼロオオオオ!」
今度は目からの反射レーザー。
これはハルピュイアを貫いた技。
自分のいる位置に飛んできたのでこれを飛び越えてバーストショット。
オメガの頭へと真っ直ぐに炎の弾が飛んで行き…爆発。
連鎖的にダメージを与える。
2発目、3発目は共に後ろへ避けて回避。
その間にまたチャージを行い…
今度はブリザードアローで攻撃。
バスターショットから放たれた氷の矢が、オメガへと当たっていく。
…いや、一部分は弾かれているようだが。
やはり弱点は顔部分。
オメガがいよいよ…剣を取り出した。
「…」
オメガが大剣を振るう。
空気が裂け、大気が振動する。
一直線に、巨大な絵がゼロの頭上を追う。
ゼロが走り、それを避けようとする。
剣が下ろされる。
駆け抜けてそれを回避…
「天烈斬!!」
両手でセイバーを構え、斬り上げる一発。
「オオオオオ!」
2発目も一歩飛びのいて回避。
3発目は……
勢い良く橋の一部を破壊。巨大な岩片となって破片が飛び散り…
大きな破砕音がこだまする。
破片を破壊、オメガへ近づきジャンプ斬り…
そこから回転斬りへと連携。
「ォォォォォォ…!!」
レーザーでまたゼロを追い始める。
ゼロは飛び越える…
そう思ったら、剣を取り出し…
オメガが大きく跳びあがり始めた。
あの一発だ…ゼロは理解する。
-
オメガは剣を下に向けて構え…
ゼロ目掛け下突きを行う。
凄まじい力を持つものの、冷静になれば回避は可能…
橋を貫く。
先ほどとは比べ物にならない瓦礫が飛んでくるが…
着地の瞬間を避ければ衝撃波の餌食にもならぬため、
容易に対処が可能。
瓦礫を破壊して、そのまま振り向き一撃。
オメガが斜めに切り裂いてきたので体を近づけて懐へ近づき、
回避と攻撃を一度に行い…斬る。
「ォォォォ…ォオアアアアアア!」
オメガは雄たけびを発し…
以前よりも早いスピードで剣をゼロ目がけて叩き付ける。
「ハァっ!!」
以前以上に増した力でセイバーでそれを払う。
「ォォッ!?」
小さなゼロが巨大なオメガの剣を容易に払いのけるまでになった。
極限まで高められたゼロの力は…
最早オメガを越えていた。
ゼロは一直線に駆け…
跳んで一発。
更に、アルティメットフットの効果で宙を蹴りもう一段跳び…
オメガと、顔が並ぶ。
「……!」
「……。」
目と目を合わせ……
その眼前に剣を構える。
「落砕牙!!」
両手でセイバーを握り…全ての力に任せ落下。
首元から胸部までに一気にセイバーを刺し貫き…
「ハァァァァ!」
爆発音にも似た破砕音。
オメガの両腕を、その剣ごと破壊した…!
「グォォオオオオオオオオオ! ゼロォォォォォォォ!!」
その様子に…バイルは満足そうであった。
「ククククク…やるな、ゼロ!!
だが…」
…そう。ダークエルフに取り付かれたものは皆、その姿を変えている。
…オメガは色が変化したのみ。…変化が、小さい。
「オメガの力はその程度のものではない!!
さぁ行け、オメガよ!!」
「ダークエルフの力を開放しろーーーーーーーーーーーー!」
オメガが橋を貫き……沈んでいく。
遥かな下から……光があふれ出す。
視界が真っ白な光に包まれ…………
…それは、現れた。
-
視界を覆う光が和らぐ。
すると、
……超常的な光景が目の前に広がっていた。
それはまるで滝のよう…いや、それとは方向が逆であるのだが。
…下から上へと、ひたすら天に向かい膨大なエネルギーの奔流が巻き起こり、辺りを包み込んでいる。
そんな中に崩れ去り木片のように浮かぶ、ゼロの足場… 橋。
そして…下から膨大なエネルギー反応が身を起こす。
「………」
先ほど以上に巨大な……鋼鉄の巨神。
体の左右のパーツには赤と青のパーツに分かれており
肩は赤い顔と青い顔が…腕には巨大な赤いセイバーと青いバスターがそれぞれついている。
中央には、顔を中心として黒いボディで構成されている…
全ての力を手に入れた、オメガの第二形態である。
そして…その巨神が…ゼロを見据える。
…戦いが、始まる。
オメガは青きボディが持つバスターをゼロへ向かい発射。
巨大な銃口から、ゼロの身の丈の倍はあろうかという巨大なエネルギー弾が3連続で発射される。
発射速度、威力どちらも桁違い。
「ハァァ!」
ゼロはそれを一息に飛び越え、オメガの中央の顔にチャージセイバーを叩き込み…
…そこにオメガの目が光る。
まずは赤き右半身の目。
ゼロの足元目掛けて細く鋭いレーザーが発せられ…ゼロの足元に衝突。
後ろに大きく跳んで回避した所に、
次は青き左半身の目。
比較的オメガから遠い、ゼロが移動した先を狙い撃つ。
ゼロは飛び越えてまた距離を縮めようとするが…
そこに中央の目からのレーザーがゼロの肩の腹を貫いた。
「ぬ……!!」
オメガはその隙を逃さなかった。
ダークエルフを模した中央の顔に生えた角から、巨大なエネルギー球を発射。
ゼロを捕らえ………取り込もうとし始める。
「離せ…!!」
エネルギー球の中でもがき…
何とか脱出、回転斬りで一撃を見舞い、元の位置へ。
オメガは次に追尾エネルギー弾を発射。
それはゼロより遅いながら確実にゼロを追う。
バスターショット一発で軌道を変化させ、逸らし…チャージセイバーをオメガへと叩きつける。
「…またその攻撃か!」
オメガは左腕からバスターを発射。
ゼロはそれをまた、ギリギリで飛び越え…今度は雷の力をまとったV字型軌道の2WAYショットで撃つ。
オメガにも大分ダメージは蓄積されてきたはず…
このまま一気に押し切ろう…そう思ったがそうも行かぬようだ。
-
オメガがバスターにエネルギーをためる。
それ一つで、引き寄せられそうなほどの大きな大きな力を感じる。
高められたエネルギーは… ゼロが跳んだ位置へと持ち上げられたバスターから一気に発射される。
巨大なチャージレーザーとなって。
宙を蹴り、落砕牙で急速落下したゼロは直撃を回避。
上から下へと下ろされるチャージレーザーを回避…木屑のように浮く橋にしがみついて。
チャージショットが途切れた所でまた一撃。
だがここでオメガの戦闘パターンが大きく変化した…。
オメガの右半身がいよいよ動き出す。
20mはあろうかという長く巨大なセイバーをオメガは構え…
「…!」
一気に橋を破壊…いとも簡単に破壊される。
ゼロはそこを飛び越えてオメガの肩に乗る。
まずバスターを構える左半身から攻撃。
払う、斬る、振り下ろす。
三段斬りでエックスを模したその顔を斬りつける。
オメガが体を震わせゼロを振り下ろそうとし始めた…
ゼロはそれに屈することなく今度は右半身の腕へと乗る。
そこからリフレクトレーザーを一直線にゼロを模したその顔へと当てる。
そしてその間にチャージしたセイバーでオメガの中央の顔へ跳びあがり一撃。
反動でエネルギーの奔流へ投げ出されることになるゼロは、木っ端微塵に砕けた橋の破片の一つに乗る。
三度オメガがバスターを撃ち出す。
だが三度目はかわすのではなく…
「烈風撃!」
一直線に走り、巨大な3連エネルギー弾を真っ二つに切り裂く。
オメガのバスターをそのまま斬りつける。
砲門が弾ける。
反動で跳び…
「落砕牙!」
セイバーを持つ腕へと向かい落下…腕へと大打撃。
爆発する腕から跳び…
横へ、斜めへと胴体を斬りつけ……
「最後だ…オメガ!!」
宙を蹴り二段ジャンプ。
オメガの中央の、ダークエルフを模した顔にチャージ斬りを叩き込む。
上から下へ…一直線に筋が入り、そこから光が漏れ出す。
オメガの体の各所から、咳を切ったように大爆発が続き……
巨神オメガの腕がだらりと落下。
そのまま千切れ…
砕け……
全てが壊れていく………
大破。
ゼロは宙へと再び投げ出される。
エネルギーの対流が収まるのを感じながら…
オメガのエネルギー反応が徐々に弱まり……消滅するのを感じながら……
ただ、重力に身を任せ、落下していくのだった。
-
着地…。
…研究所の下層部分へとたどり着く。
オイルにまみれていたはずのその部分は、
オメガの残骸が転がり、炎の海と化していた。
ゼロを模した半身のセイバーはエックスの半身の目を刺し貫き
エックスを模した半身のバスターはゼロの半身の後頭部へと当てられている。
炎の海の中、一つの大きな装置が目に映る。
囲うような構造をしていて……
チューブのようなものが垂れ下がっている。
「ここは……」
そう、バイル研究所なるその場所は…
「俺が、眠っていた場所…」
そう。…ここから、新しい彼の戦いが始まったのである。
戦いの終わり、カプセルに身を投じて…それから100年後の。
「!!」
…気がついた。
…カプセルに包まれ眠ったはずの彼が…
体中を繋げられたような状態で、吊り下げられて保管されていた?
……何かがおかしい。
バイルの声が響き渡る。
研究所のパーツ、コンピュータの残骸から……。
「クヒャーーッハッハッハ…!!素晴らしいぞ、ゼロ!!」
「とても偽物とは思えぬパワーだ!」
「…?」
オメガを倒され、とうとうバイルが狂ったか…?
そう、思われた時。
「………!?」
エネルギー反応がかすかにダークエルフを模したボディの残骸から感じられた。
その、僅かなエネルギーが…どんどん強くなってくる。
あっという間に第一形態時のそれと同じエネルギーになり…
更に越えて第二形態の値へと到達。
湧き上がるエネルギーは高まり続け…そして…
測定不能を示す。
残骸から一本の真っ直ぐな光の柱が天を貫き……広がる。
視界すべてを、真っ直ぐで強い光が覆い尽くす。
この光景を…………見たことがある。
…ここで…見たことがある。
『まさか』。
-
燃え盛る炎の中…重い重いオメガの残骸が紙屑のように宙へ巻き上げられる。
その中から現れた…オメガの本体。
血の如く濃く、それでいて鮮やかな真紅。
何もかもを覆い塗りつぶすが如く深い深い黒。
……その姿。
「お前が伝説のレプリロイドじゃと…?笑わせてくれる」
あのときのシエルの怯えた表情。そこから彼の力に驚きながらついてきたあの姿。
「ここで見つけたレプリロイドを、レジスタンスのバカどもが『ゼロ』と呼んだに過ぎん」
オメガの存在が『無茶苦茶』なその理由。
オメガがどんどんエネルギーを高めていけるその理由。
究極を越えるレプリロイドは…究極でしかない。
全ての終わりは…全ての始まりとも繋がる。
「オメガこそが正真正銘の『オリジナルゼロ』だ!!
お前はそのコピーに過ぎん!!」
バイルの声が苦しみを増し、歪み始める。オメガの圧倒的な力によって何もかもが歪められ…潰されていくのだ。
「英雄でも何でもない、たーだーーーのーーーコピー…なのだ!!」
巨大な甲冑騎士も、3つの顔を持つ巨神も…
オメガの余りに強いその力を封じるための拘束具でしかなかった。
真っ直ぐにゼロを見据える、オメガの瞳。
何よりも冷たく、何よりも熱い。
その額のクリスタルの輝きは……ゼロのそれを遥かに凌駕する。
「オリジナルゼロが…何故… お前の言いなりになっている」
「お前が『パッシィ』というサイバーエルフで目覚めたように…
ワシは救世主とされるサイバーエルフを用い、ウイルスに支配され尽くしたオリジナルゼロを起動させることに成功した!!」
「その上でダークエルフを用いてその力を極限まで高め、更にシエルから奪ったシステマシエルを使い
その力は更に増す…」
「奴は血に飢えた破壊神! ワシはその力を極限まで引き上げられるよう改造を施したに過ぎん!!
こうなっては…ワシの手にも最早…負えん……」
「さぁ……オメガ…いや、オリジナルゼロよ!」
炎の中、膨大な死体の中 老人の声で目覚めたゼロが…立ち上がり、
コピーゼロと相対する。
『あの夢』の通り。
「哀れなコピーが100年間見続けた夢を…
そろそろ覚ましてやれ…!!」
覚ましてやれ、の言葉を最後に、爆発音がこだまする。
歴史上 最強最悪の破壊神が……
アルバート・W・ワイリーが目指した究極の破壊者が…
今ここに、姿を現した。
「我はメシアなり!! ハーーーッハッハッハッハ!!」
オメガ最終形態 『オリジナルゼロ』
-
金色の髪、紅と黒のボディ…オリジナルにしかない、肩のパーツ。
遂に現れたオメガの最終形態…オリジナルゼロ。
自らと同じ姿の最強最悪の敵を相手に…ゼロは動き出した。
オメガは…動かない。
ゼロはオメガへと向かい残骸の中を駆け…ひた走る。
そしてゼットセイバーを振るう。
最初にチャージ斬り。
…だが。
「……!」
あっけなく回避された。
「ちっ」
振っても振っても、セイバーがオメガに届くことがない。
ならば。
「斬鋭弾!!」
セイバーから発せられた衝撃波をオメガへぶつける。
…しかしここで信じられない事態が起こる。
「…」
オメガが開いた手を衝撃波目掛け伸ばしてきたのだ。
更に驚くべきは…
「な…!?」
…一切傷がつかなかった。
オメガが見せた余裕…
彼は動きを見ていた…避ける意味さえなかったのだ。
「何だ…?今のは」
「ふざけた真似をしてくれたものだな…」
半端な攻撃は通用しない。
それは解った。
バスターショットを最大限にチャージ…
最強のチャージショット、リフレクトレーザーを食らわせる。
「………」
オメガの胸めがけ。
だが…効かない。
「…どういうことだ」
オメガは全く動かない。
ゼロはダッシュで、目にも止まらぬ速さでオメガに近づき…
跳んで
「ハァッ!」
跳んで一撃。
「あぁぁっ!!」
回転斬り。
「落砕牙!!」
下突きで落下。
そこから着地…
「セイッ!!」
払う。
「フンッ!」
袈裟斬り。
「ハ!!」
真上から真っ直ぐに振り下ろす。
「……ククク… クククク…!」
…傷一つつかない。
「…何…!?」
だが動揺するゼロに更なる追い討ち。
「グハ……ッ!」
オメガが拳でゼロの腹を殴りつけ…
そのまま空高く突き挙げた。
「……ウッ!!」
自然落下、そのまま叩きつけられる。
-
…まだチャージ斬りまでは試していない。
流石にこれを防げるはずは。
「…食らえ!!」
跳びあがり、オメガの顔面へ向かいチャージ斬り。
…叫び声がこだまする。
「ぬぁぁあっ……!」
チャージセイバーの刃を顔面で受け止め、殴りつけたのだ。
「…バカな」
地面を引きずるゼロの体。
「ハーーーハハハハハハハハ!」
オメガは目にも止まらぬ速度で近づく。
「まだだ!!」
セイバーを一発。
…しかし。
「…………」
何も言わずにオメガはセイバーを手で掴み…
「ウォオオオオ!」
ゼロの体ごと地面へと激しく叩きつけた。
「…我を倒せるものなどこの世には居はしない!」
そのままゼロの顔面へ向かいアースクラッシュの構え。
「!!」
ゼロは間一髪それを避け…オメガから距離を取る。
ハイマックス、ゲイト、ウイルスに感染したゼロ。
それらから解るように…
ゼロは覚醒した際の能力として、あらゆる攻撃を無効化する性質を持っている。
ウイルスに完全に感染し尽くした状態であるオメガはその力をフルに活用する事が出来…
その上でダークエルフ、更にシステマシエルの力により更に高められる。
この地球上において、何人なりともオメガを傷つけることは出来なくなっていた。
…ウイルスの力を弱めぬ限り。
それが出来るのは、この世にマザーエルフただ一人のみ。
…そのマザーエルフはダークエルフとなり、今オメガと一体化している。
ゼロの力を以ってしても……倒すことは不可能。
「うっ… く!!」
このまま…死を、オメガによる破壊を待つのみ。
だが……そこに一人のサイバーエルフが飛来する。
「!!」
何も言わずに、サイバーエルフはゼロのセイバーへと入り込み…溶けていった。
「ゼロ君……これが私の力だ」
久方ぶりのその声。
…セイバーが輝いている。
「その程度か……」
オメガが近づいてくる。
「…!!」
オメガの肩に切り傷… 肩のパーツが破壊される。
…ゼロと、同じ姿になる。
…そう。飛来してきたのはエルピス。
マザーエルフの力によりサイバーエルフとなった彼には…
マザーエルフの能力の一端が備わっていたのだ。
必要なのは「ウイルスの力を取り除ける」というその能力。
微々たるそのダメージも…0ではなくなる。
「ゼロ君…シエルさんも君の帰りを待っている
…生きるんだ……!」
オメガの眼前へセイバーを突き出す。
「……勝負だ」
飛び込み、斬りつける。
「…」
破壊神はただ、ニヤリと笑い、目にも止まらぬ動作でセイバーを受け止める。
「……何?」
その手にあったのは……。
-
かつて、零空間でゼロは不完全ながら死を迎えた。
その際、エックスは彼の使ったゼットセイバーを手に戦いを続けていた。
だが、再び彼の前に姿を現し、ゼロはまたエックスと共に戦うことになる。
その際ゼロは…背に威力の増した、ゼットセイバーを携えていた。
そう その時から『ゼットセイバー』なる剣はこの世に2本存在していた。
エックスが持っていたその剣は、その後は使用されぬままエックスの手元にあり…
100年後、この研究所でゼロへと渡され…今、ゼロが持つ愛刀となっている。
そしてもう一本のゼットセイバーはオリジナルのゼロと共に…
そう。オメガは、ゼットセイバーでゼットセイバーを受け止めたのだ。
「クククク…アーーーハハハハハハハハ!!!」
刃の色は紫。
オメガが押しのける。
「くっ…………!!!」
腕を一振りするだけで、荒々しい一陣の風が巻き起こり…ゼロをたちまき吹き飛ばしていった。
ゼロはサブタンクで傷を完全回復…
最強最後の敵との戦いは、ここで漸くスタートラインに立ったのだった。
「「行くぞ!!」」
ゼロとオメガの両者が同時に駆け出す。
「ハァ!!」
ゼロが跳んで回転斬り…しかし。
「龍炎刃!!」
オメガを飛び越えながら斬りつけようとしたゼロに対し、
オメガは走ったそのままの体勢から、その勢いのままに
両手でセイバーを握り、斬り上げたのだ。
「…………!!」
下から、上へ突き上げられる刃。
跳びあがる際に踏みしめられた地が悲鳴をあげ、砕ける。
ゼロの体が宙を舞う…が。
「ウッ…!!」
苦し紛れにも跳んだそのままの体勢でオメガを斬りつけた。
ゼロはそこから距離を取るが…
オメガは追ってくる。
…やられてばかりは居られない。
ゼロはオメガへと近づき…
低い姿勢から、胴を真横に斬りつける。
だが…
「セイ!ハッ!!トウ!!」
払う、袈裟斬り、振り下ろす。
オメガによる三段斬りを代わりに直撃してしまうことになる。
一発一発が重い。
-
「っち…」
サブタンクでまた回復
再びオメガへと向かっていく。
「滅びよ!!」
ゼロが地面へ拳を突き出す。
真・滅閃光である。
地が揺れる、砕ける、飛び散る。
突き出された拳から、膨大なエネルギーが注ぎ込まれ…
地面の中で爆発を起こす。
大気が揺らめき、衝撃が耳を劈く。
飛び散る青き光。
ゼロはそれに直撃され吹き飛ぶ。
「はぁぁ!!」
そこへまた龍炎刃。
「まだだ!!」
ゼロはバスターショットからのチャージショットを放つが…
オメガが目にも止まらぬスピードでその銃を抜き
「はっ!」
特大のチャージショットを放つ。
「ぉおおおお…!!」
ゼロのチャージショットをいとも簡単にかき消し、
オメガの放ったショットがゼロを焼く。
「はっ!!」
もう一発、更なるチャージショットでたたみかける。
ゼロは続けてそれにも直撃…
「食らえ!!」
最後にセイバーを突き上げ、
地も大気も一刀両断する衝撃波でゼロを切り裂く。
「う……!!」
剣を携え復活した頃より用いていた、トリプルチャージである。
「……はぁ……はぁ…」
またも回復する羽目へと陥る。
「…」
だが何となく、オメガのタイミングが読めてきた。
自分のオリジナルであるだけはあり…
行動のパターンが似ている。攻撃の方法も、タイミングも。
「さぁ…」
オメガが高く跳びあがり…
その上で宙を蹴り更に上へ。
ゼロも同じくオメガへと向かい走り、跳び…宙を蹴りオメガと同じ高さまで来た。
「はぁぁ!!」
「裂けるがいい!!」
ゼロはオメガにチャージ斬りを食らわせる。
同時にオメガが空中で刃ごと一回転…円水斬だ。
オメガの体を中心として巨大な円形の衝撃波が発生し…辺りの全てを斬り刻む。
双方互いの剣技を食らい、その衝撃で飛ばされる。
「読めたぞ…!!」
オメガが走りぬけ龍炎刃を放つがそれを飛び越す。
ゼロは背後から三段斬りを直撃させる。
-
「やっと調子が出てきたか!?」
トリプルチャージは二段同時にに飛び越し…
最後の衝撃波にチャージ斬りで対応。
「うっ…!」
「く」
相殺とまではいかずとも、地を叩くチャージセイバーはオメガへ届いた。
こちらの食らうダメージも多いものの、相手にもダメージを与える事に成功する。
「まだ終わらんぞ!」
サブタンクで傷を癒し更にオメガに向かう。
「烈風撃!!」
走ったそのままの体勢からオメガの体を一直線に突く。
「天烈斬!!」
両手で握ったセイバーを高く高く突き上げ、跳ぶ。
「落砕牙!!」
跳んだそのままの体勢から刃を下へ向け、急速落下と共に刃を突き出す。
…しかし。
「消え去れ!」
オメガはそれほどの傷を負いながら、攻撃をやめなかった。
拳を地へ叩き付ける。
「ぁ………………!!!」
天照覇だ。
オメガの拳を根とし、高く高く…宇宙まで、一本の光の柱が天までを貫く。
その光の柱に焼かれたゼロは、真上でなかったため即死を間逃れたものの、
軽々とそのエネルギーの柱によって吹き飛ばされる。
そして…
「食らえ!!!」
オメガが一瞬の動作でチャージセイバーを繰り出す。
破壊神が一気にその力を地へと叩き付ける。
それにより、辺り一面…セイバーのある位置から先に
ずっとずっと…破壊の跡が続く。
地殻が一瞬にして粉々に砕け、大地を揺るがす巨大地震を巻き起こす。
「…う…っ …あ… …………」
その中心にいたゼロは動けなく…
-
「…まだ…だ…」
サブタンクを使いなんとか傷を癒すが…
もう回復手段が存在しなくなる。
「ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!!!!!」
オメガが爆音と共に駆け、ゼロへと近づいてくる。
剣を…振り上げ…叩き付ける。
「はぁぁぁ!!」
その瞬間ゼロもチャージ斬りを繰り出す。
「く…!」
そのまま走り…
セイバーで勢いのままに刃を繰り出し、地上で回転斬り。
オメガの体を切り裂く。
「……!」
そして体勢を戻し…
三段斬りを行う。
ただの三段斬りではない。
「テイッ!!」
払う。
「フンッ!」
袈裟斬り。
「ァァァアアア!」
そして下から上へと刃を持ち上げ切り上げる。
「グヌッ…!!」
オメガの体がのけぞった。
「やるな…」
オメガが再び滅閃光を繰り出す。
ゼロはそれを回避するため後ろへ跳ぶが……
…その方向が間違いだった。
回避するならばむしろオメガの側へ跳び…
飛び越すべきだったのだ。
-
オメガが…
爆炎の中から飛び出てくる。
「何…!?」
ダッシュにしては高く、円水斬を行うにしては低い…
いや、そう思ったときにはすでに避けることもままならなかった。
そのまま…オメガはゼロへと近づき…
「ッヒャアアアア!!!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ!ハ…!!」
最強の技を繰り出す。
だが技とは名ばかり。
…名前すらもない。
その実、何てことはない…
ただの…ただの、メッタ斬り。
破壊衝動に身を任せ、ひたすらにただひたすらに標的に向かい刃を走らせ、塵へと変えて行くのだ。
払う。
斬る。
叩く。
突き上げる。
払う。
斬る。
叩く…
最後に力の限りに斬り上げる。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアハハハハハアアアアアアアアアアアアアア!」
断末魔の声もない。
そこには、レプリロイドの血、オイルを浴びたオメガの姿だけ。
…ゼロの体が
オイルと共に……木っ端微塵に砕け散った瞬間だった
…燃え盛る炎の中…無数の死体の中で。
それが…真実だった。
-
「……やはりお前には最強のレプリロイドは務まらんかったのかのう。」
老人の声が聞こえる。
「………」
手足は千切れ……胴体もバラバラ。
残されたのは、胸から上の部分と、セイバーを持った片腕のみ。
頭はかろうじて原型を留めているものの…
「まぁ…どちらのゼロもワシが生み出した傑作じゃ
ま、どちらが負けてもワシは文句は言えんのう」
彼の意識はすでに失われていた。
…彼の意識はそう…ロボットのあの世、サイバー空間へ。
老人はぽつりと、含み笑いをしながらつぶやく。
「…じゃが、本当にそれで全力じゃったのか?」
最早…言葉が届くかどうかは解らないが。
「…ゼロ」
…次はエックスの声。
「…君は、もう少し…戦えたはずじゃないのかい」
「…僕も見ているだけしか出来なくて本当に悪いと思っている」
エックスは…ただひたすらに声をかけ続ける。
「…気になっているんだろう 君が本物のゼロではないといわれたこと」
…そう、敵はオリジナルゼロ。
バイルの言葉通りならば…
彼の友であるゼロその人。
…だがそれは間違っていた。
「オメガは確かに、オリジナルのゼロそのもの。
その心も、昔からあったものだ。
…でもね そしたら…どうして、君がゼロの記憶を持っていたと思う?」
「それは…君とオメガが、かつて同じ体の中に生を受けた二つの心だったからさ」
ウイルスに冒され、悪の心に支配されたオリジナルのゼロの体…それがオメガ。
「君は自分が世界を脅かす存在になるのを恐れて、
その研究所で自分を封印したんだ」
「君を研究して、マザーエルフが作られ、ダークエルフにされ…
更なる力にするために、君の体はオメガになったんだ」
「でも、そのためにバイルには君の存在は邪魔だった
だから…バイルは君の体をコピーボディに写したんだよ」
二つの体に分けられた…二つの心。
「僕の親友でもあった、イレギュラーハンターのゼロと…
紅いイレギュラーと呼ばれた存在である、オメガ…。」
「…どちらが本来の人格か?それは解らないし、どちらもというのが最も正しいのかもしれない。
…でも」
「君も紛れもなく本物のゼロだ…
僕と共に100年前に戦っていた、ゼロなんだ」
…エックスから今、ゼロに言いたい言葉はそれだった。
「大切なのはボディではない 心なんだ」
-
意識がはっきりとしてくる。
…耳を澄ますと、無数の声が聞こえてくる。
「こんなところで負けちゃ困るのよ、ゼロ」
「ゼロさん……ゼロさん!」
「ったく肝心なときにダメだよねー、ゼロは」
「……こんなことで悩むなんてお前はやっぱりオンナみてぇな奴だ」
「僕をそロソろあイツの体かラ開放してもラエると思っテイタのだガ」
「僕が望んだ究極のレプリロイドはこんなものではなかったはずだよゼロ」
無数の光が、真っ暗な視界のあちらこちらに浮かんでいるのが解る。
恐らくそれは…
彼の仲間や、
彼を支えた者達や…
彼が殺してきた敵なのだろう。
自分を見守る…自分が忘れていった、歴史の上に積み上がる、失われていった沢山の命。
オメガのような形でなくとも、彼が罪深い破壊者であったことに変わりはないのだが…
全ては……一つの『戦う目的』のため。
彼は…破壊神とも呼ばれた英雄は…ここで敗れる訳にはいかない。
「………俺は……」
ある一つの言葉が彼を突き動かす。
そしてオメガは、彼の頭を砕きにかかろうとしていた。
狂気の篭った紫の刃が…オメガの頭上にまで振り上げられ……
振り下ろされる。
「生きてやる…!!」
ゼロの目が開く。
粉々の体で、ボロボロの腕で…セイバーを握り……
剣と剣とがぶつかり合う。
「何…!?」
「………っ!!」
ゼロのバックパックから、今まで助け出した、または預かり、彼が育てたサイバーエルフ達が洪水のように湧き出る。
そう。
サイバー空間はオメガの力により歪み、現世と繋がったもの。
そのオメガが全ての力を発揮した今この場においては最大の歪みが生まれ……
サイバー空間が…半分、現世を侵食していた。
「………ククク…ハハハハハハハ!!」
オメガはその状況を楽しんでいた。
サイバーエルフが…輪になりゼロを取り囲む。
サイバー空間は…サイバーエルフが命を削ることなく力を使える空間。
ゼロの破片が浮き上がり…一つに集まる。
そこへ……サイバーエルフ達が集まり…全て吸い込まれていく。
光が…ゼロを包み…
再び、光の柱が立つ。
傷が見る見るうちに癒えて行く…体が繋がっていく。
それだけではない。
強化サイバーエルフの力で、ゼロの力は何段階にも強化され……
今までにないほどに、力が湧き上がってくるのが感じられる。
それは…何かを犠牲にするものではなく、皆が生きるための力となる。
「………」
現世、あの世…二つの世界から見守る者達の想い。
そして…ゼロ自身の生への執念が成せる業。
「………………待たせたな」
「…………ハハハハハ!!」
オメガは負傷しているのに対し、ゼロは全ての傷を癒した上で更なる力を得た。
全てが歪み始めた世界の中……… 戦いは、続く。
-
そして最後の戦いが始まる。
オメガはゼロを再び掴みメッタ斬りにしようと飛びつく。
ゼロはそれを飛び越えて距離を取る。
「ハッ!ハァ!!食らえ!!」
トリプルチャージでゼロを追う。
無論ゼロは逃げているわけではない。
それらをまとめて飛び越え、三段目の衝撃波も飛び越えてオメガへチャージセイバー。
「クハハハハハハ!!」
斬られても痛がる素振りを見せない。
オメガがセイバーを大きく振る。
ゼロはそれをフットチップの能力、アルティメットフットで潜る。
「幻夢零!!」
巨大化したセイバーから放たれるはオメガの身長の数倍もある巨大な衝撃波。
それは覚醒したゼロが用いるはずだった、最強の技の一つ。
ゼロはそれを発動前に避けたことで、逆にそれを攻撃のチャンスへと変えた。
「烈風撃!」
オメガを突き刺し…そして飛び越える。
背後から再び攻撃しようとするが…
オメガは振り向き…
突如としてセイバーと刀身を消す。
「雷神撃!!」
そして一気にゼロを刺し貫く。
「うっ…!!」
そして刺したまま走り、瓦礫へ衝突させる。
瓦礫が崩れ、走った跡が燃える。
ゼロも反撃を行う。
「離せ」
リコイルロッドのチャージの反動を使い自分からオメガから離れる。
「こちらから行くぞ…!」
新たな三段斬りをオメガへ食らわせる。
「フンッ!テイ!!ハァッ!!」
払う、斬る、その後が衝撃波を放つ三段目の攻撃。
「ぐっ…!!」
オメガは一瞬仰け反ったものの…
すぐに行動を開始する。
「烈光覇!!」
拳を地面へ叩き付ける。
膨大な量のエネルギーの滝がと降り注ぐこの技だが
オメガが使うと更に強力なものとなる。
「何…」
拳からあふれ出たエネルギーが有り得ないほどの勢いで光の柱となって暴れだし…
天も地も関係なく、上下に暴走を繰り返し…どんどん広がっていくのだ。
「ぐっ…!!」
そこへ続けて幻夢零。
「ぅああああああああああ!!」
ゼロはかろうじて回避するものの、一気に肩を斬られてしまう。
「ハハハハハ!!どうした!!」
スプレッドバスター…ゼロナイトメアの技だ。
チャージショットを大量に撃ち出し、圧倒的火力で敵を押し潰すもの。
「ぁぁぁぁあぁああああああ!!」
チャージ斬りでそれを一気に打ち破る。
「終わりだ…!」
オメガへ向かいチャージ斬りを見舞う…だが。
-
…セイバーが…セイバーで受け止められる。
そのエネルギーが全て…オメガに吸収され…
ゼロの胴体を一気に斬り付ける。
「…げふっ!!」
「獄門剣…!」
オメガはありとあらゆる力を持っていた。
「断地炎!」
オメガが跳びあがりセイバーを地へと突き刺す。
そこを中心として…地面が大爆発。
地が砕け、クレーターに変化する。
ゼロはそれを避けた…がその時に。
「波断撃!」
衝撃波で追い討ちをかけてくる。
ゼロはそれを落下軌道を変えて対処。
そう、思いきや。
「ハハハハハハハハハ!!」
オメガはこちらへ向かってきた。
「!」
それに合わせゼロは避けるが…それは相手の罠だった。
オメガは走りぬけ…ゼロの手前で消える。
そしてゼロの背後に現れる。
「雷皇閃」
「う…!!」
ゼロを通り道とした、オメガが消えた軌道を一本の電撃が串刺しにする。
「………く」
回復した体力も、みなぎった力も最早少なくなってきている。
だが…オメガももう限界であろう。
「…行くぞ」
「……フフ」
走る。
「行くぞオメガ!!」
そこからは怒涛の攻撃の連続だった。
ゼロとオメガが交差、その瞬間にオメガは龍炎刃で斬り上げるが
ゼロはシャドウダッシュでそれを潜りぬけて回転斬りで一発。
振り向いたオメガはチャージ斬りを食らわせようとするが、ゼロは距離を取る。
そこからトリプルチャージへ派生するオメガ。ゼロは近づいて斬り上げを含めた三段斬り。
すべてを当てた後にオメガを飛び越えて次の攻撃に備えようとするが天照覇で撃ち落される。
オメガはそこに幻夢零を放つが、これもシャドウダッシュで交差、回避される。
潜り抜けた後にチャージショットを一発、オメガへと命中する。
裂光覇を放とうとするオメガへゼロは上から落砕牙を当てて阻止。
オメガは円水斬でゼロを追い詰めようとするが、1タイミングずらしてゼロも回転斬りでオメガを弾き飛ばす。
そしてゼロも距離を取り…今に至る。
「…う …ぐ …ふう…」
腕を庇う体勢で立つ。
極限まで強くなったものの、もうあと一撃は耐えられないだろう。
オメガは狂気の笑いを浮かべ近づいてくる。
…これが、恐らく最後の攻撃。
-
オメガは走り…ゼロへと近づき、そこから跳びかかってきた。
…ゼロにはすぐにわかった。メッタ斬りの合図であると…!
ゼロはそれを大きく飛び越える。
だがオメガは跳びかかり、着地。
炸裂音をあげる地を蹴り、ターン…。
真っ直ぐに走り…
「龍炎刃!!」
両手で持ち、真っ直ぐに宙を跳び、全力で斬り上がる。
ゼロは…力一杯に避け………避け、
…紙一重でかわしきった!!
刃を背にこすらせながらも着地。
跳びあがりきったオメガへ向け、自分も跳び……
オメガを地へと落とす。
「ハァァァ!!」
チャージセイバーで。
そしてそのまま、
「ヒッ…」
呼吸を絞り、払う。
「フッ」
次へ繋げる、流れる袈裟斬り。
「ハ!!」
真上から、力の限りに振り下ろす。
そして……
「でああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
両手にセイバーを握り
力の限りに、
高く。 …高く、跳びあがる。
『天烈斬』
その技はオメガの胴体を大きく斬りつけ……
………中から漏れ出す光により、破壊神に白い筋が浮き上がり………
エネルギーが内部から炸裂
…鮮やかな光と炎の花が、血の色の破壊神を彩った。
-
炎と瓦礫の中、しゃがみこみ荒く息をつくはオメガ。
「…く………」
彼を包んでいた、眩い光はもう存在しない。
…ダークエルフやシステマシエルの…
無限の力を得られなくなったのだろう。
いつぞやのように真っ黒い空間がオメガの内部から発生…ダークエルフが遊離する。
紫色の光を…オメガへと与え始める。
「!」
「オメガを復活させる気か…」
オメガを斬るべく駆けるが…
「ぐっ…」
暗黒のバリアが発生、ゼロをそのエネルギーで弾く。
「……」
体力を今ので奪われた。ゼロも地へつく。
…そして、代わってオメガが立つ。
「……世界の全ての命は我の手の中であることを忘れるな」
そう。ダークエルフと繋がっている以上
全てのレプリロイドは未だ彼の手の中にある。
成す術は…ないのか。
「ちっ…」
だがその瞬間……
「フンッ、テイ、ハッ!」
緑色の光が飛来…それはレプリロイドの姿になり、オメガへ突進、
渾身の三段斬りを食らわせた!
…だが、暗黒のバリアで阻まれる。
「…何をしている、ゼロ 早く立て!」
ハルピュイアだ。
続いて赤き光。
「おら、おらおらあああああ!!」
特大のチャージショットを三連発、オメガへ見舞う。
「おらおらぁぁ!借りを返しに来たぜオメガぁぁ!!」
ファーブニルだ。
そして青き光。
「や、やっ!! ふうっ!! …あう…!」
ジャベリンでの三段斬りをオメガへ食らわせ、そしてバリアへ弾かれる。
「やられっぱなしって、性に合わないのよね!!」
レヴィアタン。
…そしてゼロとオメガ、二人のゼロが同じポーズで向かい合い膝をつく。
「…お前達」
「強がるなオメガ…お前は…今は何も出来ん」
「…な…に!?」
それはオメガですら気付いていなかった。
-
だがダークエルフにまた回復されては…
いや、ダークエルフの様子がおかしい。…色が、白へと変化しようとしている。
「…どうした、ダークエルフ!」
…そこへ、暖かな一つの光が降りてくる。
「……呪いが解けかかっているんだ
ダークエルフが、マザーエルフに戻る」
「…エックス!」
「ゼロ。 僕達は…こうやって、100年前も不完全なオメガを倒して、バイルの野望から世界を救ったんだ」
そう。ファントムの言う通り妖精戦争でエックス一人ではオメガに勝てなかった。
誰が彼と共に戦ったか…? そう。コピーのボディに移った、他でもないゼロだったのだ。
「…100年前もか」
「……さあ、ダークエルフの力が弱まっているうちに、
100年間の因縁に終止符を打つんだ…ゼロ!!」
セイバーを刺し、無理やりに…
力を振り絞り、立ち上がる。
「………俺の……オリジナルか」
剣を手に…最後に呟く。
「…君なら出来るさ。
本当に大切なのは、ボディではなく心だと…わかっているはずだから」
立ち上がる。
「さあ… ゼロ!」
「まだ…… だ!」
オメガが立ち上がる。
「まだだ!」
内部でショートする音、電流が弾ける音がしながら…。
ダークエルフの力も最早ない…一人のゼロとして。
二人のゼロが…向かい合い
共にただ真っ直ぐに駆け抜け…………
交差する。
共に全く同じポーズでゼットセイバーを手に、
緑と、紫の刃が向かい…
激突。そして………
きつく目を閉じた瞬間、
紫の刃は弾け…緑の刃は………それを超え、
その体を一直線に断ち斬る。
彼の後ろには死んで行った者達がいて…
彼の隣には共に歩む仲間がいる。
そして前を見れば立ち向かう敵。
遠のく意識の背中に……… また一人、前から後ろへと散っていく音が聞こえた。
-
そして…いつの間にか彼は倒れていた。
「ゼロ… ゼロ…」
彼を呼ぶ声が聞こえる。
いつぞやのように、灼熱の砂漠の、砂嵐の中ではない。
…暖かな、光の中で。
「…ゼロ、聞こえているかい」
その意味は二つ。
自分の声が届いているか…。
「…どうやら 僕ももうこの世界には居られなくなってきたみたいだ」
友が最大の敵を乗り越えたのを見届け…
彼は漸く、永遠の眠りにつくことが出来そうだった。
「……これからも、沢山の困難が待ち受けていることだと思う だから」
「ゼロ、君にこの世界を託したい」
ライト博士から、ロックマンへ。ロックマンの戦いを通じて、再びライト博士へ。
ライト博士から…エックスへ。 エックスから…… ゼロへ。
想いは積み重ねられ、受け継がれる。
「…人間とレプリロイドを、導いてあげて欲しい。
…ゼロ」
最後の一言。確かな言葉を。
「…君なら …できる …君なら…」
彼は呼びかけ続ける。ずっと…ずっと。
「ゼロ… …ゼロ……!」
「ゼロ…… ゼロ…!」
その声はいつしか…彼のものではなくなっていた。
「…………?」
傷はほとんど塞がり…ゼロは…目を覚ました。
「ゼロ!! …無事だったのね …よかったぁ…」
「…ここは …レジスタンスベース…か」
確認したのもつかの間。
「おーーーーーーーーーーーーい!! ゼロさんが!! ゼロさんが起きたぞーーーーーーーーーーーー!」
大声でベースへ入っていく。
「よく、無事だったな…!!」
セルヴォは微笑む。
「…お、おかえりなさい…」
シュンとしたアルエット。
「しかし、俺を運んできたのは…」
…空を見上げると。
「ゼ…ロ……」
暖かなエルフの姿。
「ダークエルフ…いや、…マザーエルフ…か」
彼女は…ふわりふわりと、どこかへ旅立っていった。
「……オメガのこと、エックスから聞いたわ」
「…」
「私、何も気にしていないって信じているから」
「………?」
「どんな姿であってもゼロ、あなたはあなただって」
…本当のゼロであることの証明。
仲間からの言葉。
「……」
それが…本当の、オメガとの決着だった。
彼は…歩き出す。
「シエル」
「え?」
「ありがとう」
彼は…ようやく、安心した。
「…俺は …俺でしかない」
「俺は……」
「……………ゼロだ」
『ゼロ、聞こえているかい』
…君の仲間の、声が。
-
そこは薄暗い地下施設。
4つのカプセルが立ち並び…
その前には1つのデジタル表示がひたすら、時を刻んでいる。
そのカウントは……
増えているものではない。
減っていく。000:00:00へと…近づいていく。
そして…その時がとうとう訪れた。
タイマーは…音もたてず。
そのときが来たその瞬間……カプセルから鋭い眼光が4つ覗いた。
続いて、保存用の液体窒素が流れ出し、冷たい煙が床に向かい流れる。
カプセルが開いたのだ。
「…………」
何もいわずに、カプセルから身を起こす。
大きな足が…足音を響かせる。
「…状況は把握しているな。」
長身の、巨体のロボットが言う。
「勿論だよ」
青紫のボディのロボット。
「…ボクらの目的は一つ」
細身のロボットが目を手で覆いながら。
「『Drワイリーを救出せよ』!」
脚のないロボットは宙へ浮いている。
「わ、わぁあああああ!!」
車を運転していた者は猛スピードで車を走らせ逃げる。
「な、なんだよアレ…」
ビルのオフィスにいた者は窓の外の光景に驚愕する。
両腕でローラーを装着したモヒカンのような髪型の巨大ロボットが…町を走行しているのだ。
-
「ヒイイイイイ!」
次々に町を焼き払いながら、ゆっくりと進んでいく。
「配置完了致しました!」
「…発射!!」
軍隊は次々にミサイルをマッドグラインダーに放つ。
しかし…
「…な!」
口からの火炎放射で撃ち落とされる。
…それだけではない。マッドグラインダーが…跳びあがった。
「…退避ーーーー!!」
地面へと落下…地震を巻き起こす。
ビルが崩れ、車は宙を舞い、車体をアスファルトに裏返し叩き付ける。
この巨大なロボット…マッドグラインダーはどこへ向かっているのか…?
…大体、予測はついていた。
「ケッ 人間どもめ、何をビビってやがる」
黒いロボットはビルの上から、様子を眺めていたが
「…どれ 俺が少し相手してやるよ」
マッドグラインダーの前に現れ、腕のバスターを向ける。
「危ないぞ、何をしている!」
「ロックマンの真似事ならやめなさい!」
火炎放射の構え。
彼は…バスターを放つ。
「…ご、ごごおおお!!」
一瞬にしてマッドグラインダーの口に細いレーザー弾が放り込まれ…
「おおおおー!!?」
内部装置を破壊。
「何!?」
「……速い」
マッドグラインダーが…大きく仰け反った。
「後はアンタらでやりな 俺は俺ですることがある」
黒いロボットは一人、その場を去った。
「…今の、ロボットの少年は…?」
「……只者じゃ、ないな…」
-
緑色のユニークなデザインのトラックが町を走る。
荷台には黒髪を靡かせるロックマンとロール。
そして運転手は、ライト博士が作り出したライトナンバーズ外の
助手ロボット『ライトット』。
「ライトット、急いで!町が巨大ロボットに襲撃されているんだ!」
「わかってるダスよー!」
「ロック、またワイリーが悪い事をしようとしているの?」
「多分。…巨大ロボットがワイリーの刑務所に向かうのを阻止しなきゃ!」
道路は荒れ…凸凹になっている。
その破壊の痕はどんどん激しくなってゆき…
「…ダメダスロックマン、この先はトラックじゃ行けないダス!」
「…そうか …じゃあ僕はここからは一人で行くよ
この先には一足早くライト博士も行ってるんだ 急がなきゃ!」
大きく隆起した道路を超えたところに…すぐ、彼はいた。
「博士!!」
ワイリーの刑務所が1kmほど後ろに見えている。
「おお、ロックマンか…!」
「大丈夫ですか、博士」
「ワシは…大丈夫じゃ それよりこのままではワイリーが脱獄してしまう」
「巨大ロボットを止めればいいんですよね、僕がやります!」
いや…巨大ロボットは注意を向けさせるためのものでしかなかった。
刑務所にいれば、この作戦は或いは阻止できたのかもしれない。
4つの光が……刑務所の中へと飛来していく。
あれは…転送。
「…!」
刑務所の一角が氷結。
次には刑務所の壁に穴が開き、雷が貫き外へと飛び出る。
次には刑務所全体がボロボロと崩れ…
最後に刑務所全体が大爆発。
「ハーーーーーーハッハッハ!」
青いUFOが中から高速で飛来…
「む!?」
ロックマンとライト博士を見つけ、空から降りてくる。
「そういうわけで、脱獄させてもらったわい!さらばじゃ!」
かぱっと蓋が閉じられ…UFOはそのままどこかへ。
「ワシは大丈夫じゃ、ロックマン!ワイリーを追うんじゃ!」
「…わかりました」
町にはマッドグラインダー以外にも、ワイリーの作ったロボットたちが沢山。
それらを倒しながら道路を行くと…
「…これが巨大ロボット…か」
-
黒きロボットにより口の火炎放射を止められたマッドグラインダーがそこにいた。
それがなくともやはり強力なロボットであることには変わり無し。
ロックマンはバスターを構えた。
「行けぇ!!」
チャージショットを放つ。
「うぐ…!!」
マッドグラインダーの頭に命中。顔の装甲が勢いよく吹き飛ぶ。
マッドグラインダーが大きく跳び…着地。
「わ!!」
ロックマンはジャンプしたが少し早く…地震攻撃の餌食となる。
そこに…
「!! …わ、 あああああ!!」
マッドグラインダーは火炎放射と地震攻撃だけしか出来ないわけではない。
頭のモヒカンヘアーを回転するカッターとして撃ちだすことも出来るのだ。
「うっ…!!」
すっぱりと裂かれたロックマンの肩。
「……はぁ!!」
飛びあがりもう一発。
また顔の装甲を剥がれたマッドグラインダーはまたも地震攻撃を行う。
ロックマンは今度はうまくそれを跳び超え…
バスターを数発連射…そしてチャージ…
「はぁ!!」
チャージショットでマッドグラインダーを破壊 大爆発を起こし、崩れていった。
その先は更に荒れていた。陥没している箇所もあり、ロックマンは次から次へと飛び越えて先へと進む。
「…UFOはもういないか」
諦めたその時…
「!」
紫の光の柱が現れ黒いロボットに変身。
間髪入れずに腕のバスターをロックマンに放ってきた。
「うぁぁ!!」
長細いレーザー弾がロックマンの腕を破壊。
「…避けられなかったわけではないだろう」
跳びあがり今度は頬を掠める。
「う…何をするんだ!!」
チャージショット。
黒いロボットは難なくそれをかわす。
「何をしてやがる」
飛び越えてもう一発…
ロックマンの腹を撃ちぬいた。
黒いロボットの傍らに紫色の犬型ロボットが現れる。
「…これがロックマンだと?」
黒いロボットはため息をつく。
「…うっ… 僕を知ってるのかい? …君は一体」
「俺は『フォルテ』 Drワイリーを倒すために戦っている
少しは腕が立つようだが… お前に任せては危険だな」
「…………」
「油断していたと思っておこう
…まぁ、ワイリー程度ならお前の実力でも何とかなることがわかった
これからは俺に任せておくんだな」
「『ゴスペル』!」
ゴスペルと呼ばれた紫色のロボットは、口に咥えたエネルギー缶をロックマンに投げてよこす。
「…あ、有難う」
「それじゃ俺は行くぜ
せいぜい死なないよう頑張るんだな ロックマン!」
ゴスペルと共に、フォルテは去っていった。
「……『フォルテ』… ?」
「…何故ロックマンに勝ったんじゃ!印象が悪いじゃろう!」
「不満か?なんなら今倒しておくべきだったとさえ思ったが」
「どの道ワシらが勝つんじゃ そんな終わり方はワシは満足せん。
…ひとまず予定通りに進めてもらう お前の戦う相手はこちらから用意する」
「…退屈なことをさせるな」
-
氷の洞窟の最深部での、強敵フリーズマンとの激闘の後…
気象センターでブルースと遭遇しながら、クラウドマンを撃破。
複雑な廃工場を二つの特殊武器を駆使しながらジャンクマンを倒し…
シャボン玉工場にて、特殊シャボン液が溢れる中臆病な性格のバーストマンに勝利した。
…ワイリー脱獄用の4体のロボットは全滅したものの…
最早ワイリーが脱獄した事実には変わりがない。
フォルテと二人で頑張って戦い続ける他なかった。
そんな中。
「…あ、おかえりなさいロックマン!」
野球のバットのように箒で素振りするロール。
ロールの腕力はロックマンの比ではない…当たればただでは済まない。
「…ああ、ロールちゃん…うん、ただいま」
まずは真っ直ぐライト博士の元へ。
すると…
「おお、ロックマン!大変じゃ、大変なんじゃ!」
「…どうしたんですか 博士」
「…ロボット博物館が狙われておる!
フォルテは他のロボットと戦っていて手が離せないようじゃ、ロックマン 行ってくれ!」
「…はい!」
ロボット博物館。
今は、カットマン達が眠る…ワイリーナンバーズのすべても納められている、
高い性能を誇る、栄誉あるロボット達が眠る場所。
ヒートマン、スネークマン、ブリザードマン、ファラオマンが通り道にあったが…
「!!」
その中心の展示台が割れている。
「奥に何かの反応を感じるわ!ロック、奥に向かって!」
扉を潜り奥へ。そこには…
「ワイリー!!」
「ライトの奴によろしく言っておいてくれ、ガッツマンは実に素晴らしいロボットじゃとな!」
以前もガッツマンを改造したことはあったが…
ガンマがガッツマン風デザインだったことはあったが。
「さらばじゃ!」
UFOが天井へ激突…穴を開け、ガッツマンをアームで掴んだまま飛んでいく。
代わって現れたのは…ワイリーの作った大型ロボット・マッシュ。
まるまると太った、ピエロのような姿の彼は
その重いボディを床へと響かせ、頭をぐるぐると何回転もさせる。
「敵の弱点は頭…だけどこのロボット、何かおかしいわ!」
ひとまず頭にチャージショットを当ててみる。
「…わ!!」
チャージショットの衝撃でマッシュの頭が吹き飛び、床を跳ね回る。
「…頭が分離しているのか」
「頭自体は何も出来ないわ 体に回収される前に攻撃し続けて!」
「行けぇぇ!!」
チャージショット、続けて連射。
「うわ!」
マッシュの体が頭を回収。また頭を飛ばす行程からやり直すこととなる。
-
頭をチャージショットで飛ばし、跳ねている間にまた一発。
体が回収する前にもう一発。
相手の動き波ワンパターンであり…その動きも強くはない。…ロックマンの敵では、最早ない。
チャージショットで飛ばしたところで…ロックマンは考え付く。
体に対し余りに小さいその頭を一気に破壊する方法を。
「デンジャーラップ!」
シャボン玉に包んで破壊力の高い爆弾を発射。
敵を包んで爆風で飛ばすというもの。
マッシュの頭をぎりぎりでそれは包み込み…
爆発。
「!!」
マッシュ自体がそのまま大爆発を起こした。
「…何があるかわからない。ひとまず研究所で待機しなきゃ」
「ガッツマンが…まさか連れ去られたとは」
しかし、ワイリーはすでに次の手を打っていた。
「これは…!」
ワイリーの強襲用部隊。
それは全部で4体…新たな戦いがこうして幕を開ける。
「…それより先に、まず向かって欲しい所がある」
「…どこですか?」
「フリーズマンのいた洞窟じゃ …あそこに お前のパワーアップの設計図が存在する」
「僕の…パワーアップ…!?」
それは以前行っている。
パワーロックマンにジェットロックマン。
それぞれのアダプターをつけての強化だが…
どちらかといえば、ロックマンの行動を広げるための改造であり…戦闘に適したパワーアップといえなかった。
だが。
「うむ。以前の二つとは違う…戦闘に適したパワーアップじゃ!」
そう…そのパワーアップは、激化するワイリーとの戦いに備えて作っておいた機能なのだ。
-
大量の卵型の特殊薬品カプセルが降り注ぎ、ロックマンは何とか避けるが足を取られる。
「ガルルルルゥ…!」
壁を爪で掻きながら部屋上部の茂みから一体のロボットが現れる。
町を襲撃していた4人のロボットの一人、スラッシュマン。
その驚異的なフットワークから繰り出されるはスラッシュクロー。
「うあああああああああ!!」
…その実態は、小惑星を切り刻むカッターを威力をそのままに小型化したもの。
いかに強化を繰り返したロックマンといえど、何度も食らうわけにはいかない。
ロックマンはラッシュを呼び出す。
「ここからが、勝負だ……!」
ウィングブースターのついたアーマーに変化し、ロックマンへと装着…
ロックマンの色が赤へと変化。
それが手に入れた新たな力、スーパーロックマン。
通常のロックマンと違いブースターによる二段ジャンプを行うことが出来、
移動範囲が飛躍的に上昇し、戦いに幅が生まれた。
加え、チャージショットの代わりに腕にためたエネルギーで
腕を噴射し、ロケットパンチとして比類なきその攻撃力で粉砕することが出来るという機能。
スラッシュマンとの決着はそれから早々に付いた。
そして次にはコイルテーマパークでのスプリングマンとの対決。
スーパーロックマンという奥の手を使う前に持っている特殊武器を試し始める。
「フリーズクラッカー!」
「ジャンクシールド!」
「デンジャーラップ!」
…どれも効きが悪い。
残る武器は二つ。ここでスラッシュクローを当てれば正解であった…のだが。
「サンダーストライク!」
「ひっかかったよーーーーん!!」
そう
スプリングマンはコイル。高圧電流を受け、それにより磁気を帯び…
ロックマンを引き寄せる。
「おいっしゃああああ!!」
「んがっ!!!」
磁力でスプリングマンに掴まれたロックマンは
バネの弾力を最大限に活かし、天井へと叩きつけられる。
結局、これはスラッシュクローでこれを撃破。
次に向かったのはF1カーの整備場。
巨大なトラック、シシトラックに乗せられてやってきたのは大量のタイヤの山。
その中にいたのはターボマン。
「さぁガキんちょよ、シグナルが青になる前に逃げれるモノなら逃げてみな!!」
ワイリーの愛車だった、ターボマン。
「READY…GO!!」
レーシングカー形態へと変身、猛スピードでロックマンへ突進してくる。
ロックマンはスーパーロックマンへと変身、二段ジャンプのブースターで突進を余裕を持って回避、
背後からロケットバスターでターボマンのボディを吹き飛ばす。
「わぁあああお!」
そして、武器を手に入れる。
「これはフリーズクラッカーといって、氷の結晶をね」
「クラッカー!?大好物ダス!」
「これはスラッシュクローといって、衝撃波で敵を切り刻む…」
「すごいダスー!スト○イダーひ○ゅうみたいダスー!!」
「これはワイルドコイルといって、バネを左右に撃ち出す武器で」
「これを脚につければスーパーライトットの完成ダスな!」
「この武器はサンダーストライクといって」
「まあ、電気代が浮くわ!」
「これはジャンクシールドって言って、スクラップを寄せ集めてバリアを」
「そんなことより、ゴミ散らかさないでね」
「これはデンジャーラップって言ってね、シャボン玉に包んで爆弾を」
「まあよかった、博士の作ったガラクタが大量にあるから全部壊して」
「これはバーニングホイールって言って、炎の車輪を撃ち出す…」
「じゃあ今日はバーベキューで決まりね!」
そして最後に向かったのは、魔界村と呼ばれる奇怪な地域に立つ謎の古城。
とはいっても、ワイリーがハイテク設備の整った機械城に改造したのだが。
-
「…なんだ、スナイパージョーじゃないか」
彼の背後にいたのは、緑色の量産兵。
「あ、…ほんとだスナイパージョーだ」
「全く怖い姿してるわよね… 盾なんか構えて卑怯だし。誰に似たのかしら。」
その瞬間。
「クシュンッ!!」
…誰かがくしゃみする音が聞こえた。
「ロックではない…わね」
「ここでだと何か怖いね 行ってみる」
「わ、私はここで待ってるわ!」
…奥の扉を潜り、くしゃみをした誰かへ近づく。すると…
「わああ!! …な、何だこの口笛!?」
…いつものブルースの口笛でも驚いてしまう。
「ブルース…! …お、お化けじゃないよね」
「…よく来たな、ロックマン」
…現れたのは彼の兄だった。
「…今回は、お前の実力を試しに来た
今度はいつぞやのように手は抜かん …全力で当たらせてもらうぞ!」
ブルースとの戦いが始まる。
「行くぞ」
盾の裏から小さなエネルギー弾を三連射。
飛び越えながら上へ下へとロックマンもバスターを連射するが…
「甘いな」
間隔が短い。シールドの防御で一気に3発とも防がれた。
「お前にこの技が真似できるか!?」
ブルースが跳び、ショットを斜めに撃つ。
1回目跳んで1発。2回目跳んで2発。
「はぁあ!!」
3回目に跳んだ際に下から上へと流れるように撃つ。弾の壁が完成する。
距離を取ればそれぞれの弾の感覚は開く。チャージしつつそこへ立ち回避…
「いけええ!!」
「ぐふっ!!」
着地した瞬間のブルースへチャージショットを見舞う。
「……まさか、お前に易々と一発食らうとはな!」
ブルースが一直線にダッシュし、部屋の入り口側の壁へ。
ロックマンもそれを飛び越えスライディングで奥側の壁へ。
部屋の両端でお互いにチャージ。ブルースは盾を構えているため…
こちらが当てるタイミングは…一瞬。
「ブルース」「ニューロック」
「ストライク!」「バスター!!」
緑と青、二つの強力なエネルギー弾が交差。
しかし…ロックマンは跳びあがりながらそれを撃ったが、
ブルースは威力の高いそのバスターを、盾を構えては撃てても跳びながらは撃てない。
交差した弾が、それぞれの元へと一瞬で届く。
ロックマンは宙でそれを回避したが、ブルースはそれを直撃。
「うぉおおおおお!!」
またもブルースはジャンプ撃ちを行う。1回、2回…
3回目に大きく跳び、弾の壁を作り出すそのタイミングでロックマンはスライディングで彼の体を潜る。
「チィ!!」
着地の瞬間に振り向いてチャージショットを続けて放つ。
ロックマンもその瞬間を狙い、ゼロ距離ショットを発射。それと同時にブルースストライクを回避。
「うう!!」
仰け反ったブルースへと追撃。
「…まだだ!!」
ブルースは再び位置を入れ替え…チャージを行う。
「「最後だ!!」」
だが…今度はロックマンは撃たせすらしなかった。
ブルースがブルースストライクを放つため盾を避けたその瞬間…すでにチャージショットは届いたのだ。
「ぉおおおおおおお…!!!」
腹をロックバスターに抉られるブルース。
「うっ!!」
大きく跳び…
「…どうやら俺の負けのようだな」
負けを認めた。
「…お前は、俺の想像を遥かに超える力を持っていたようだ
…これをやろう。この先…役に立つはずだ」
投げてよこしたそれは…
「ブルースシールド!? …どうして、君は…」
「………」
「…ロックマン ヤツには気をつけろ」
「?」
質問に答えず、最後に不可解な一言を残して。
-
夜空の雲が月を隠した、薄暗い湖畔に降り立つ。
巨大な古城を前にした庭であるそこは…墓場だった。
「…ロボット心理的には正直こっちの方が怖いよ!」
見ると、カラス型ロボットの目が柱の上で輝いている。
「ご、ごごごごごごごめん!ロック、今回私オペレート無理っ」
「ろ、ロールちゃん…!?」
ブツッと通信が途切れ…
雲が右へ左へと分かれ、月が顔を出し始める。
カラスが鳴き羽ばたく。
ゴゴゴゴゴゴ…
低い音を立てて地面から棺おけが姿を現す。
「ロールちゃーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
棺から次々現れるはスクラップロボット・アストロゾンビーグ。
戦いの始まりだった。
「わ、わぁぁぁ!!」
通路に立ち並ぶ甲冑の首がとれ、兜型ロボットとして機能し始める。
「つ、吊り天井!?」
いつものトラップ。
「こ、蝙蝠が…!!」
長いこと戦い続けているバットン。
「か、かぼちゃのお化けえええええええ!!」
巨大ロボット・VANプーキン。
3段構造のかぼちゃ型マシンで手ごわい相手となったが、
ロックマンはこれを倒すことに成功する。
「……も、もう大丈夫だよ…ロールちゃん」
「…ほ、ほんと!?」
「うん…」
「本当に本当!?」
恐る恐る通信を再開すると…
「きゃあああああああ!!! ロック、ロック!
後ろに…後ろに一つ目のロボットが!」
「え、ええ!?」
…振り向くとそこには。
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ブルースとの戦いを終えたロックマンは、
エレベーターで窓から次々現れるゾンビロボット達に絶叫しながら戦いを進めていく。
一方フォルテもこの城へ潜入。
ロックマンとは別ルートを進み、狼男型ロボットの群れを難なく撃破していた。
たどり着いた広めの部屋では、渋めの老紳士の絵画が飾られている。
『Albert=W=Wily 20XX』
「………美化にも程があるだろ…」
それから暫く。ロックマンは戦いを何とか切り抜け、城の最深部までやってきた。
「……フォルテ…!? フォルテ!」
そこには、扉から脚を引きずり出てきた傷だらけのフォルテの姿が。
「…ちっ、雑魚相手に油断しちまった…お前にこんなみっともない姿を見せるなんてな」
言っている最中にフォルテはガクっと膝をつく。
「…この分じゃ俺も引退って所か …ザマぁねえ」
「ライト博士の研究所なら君を直せると思う…ロールちゃん、フォルテを転送してあげて!」
「あ、うん…わかった!」
「……大丈夫かい」
「…お前の、その甘さが命取りにならなきゃ、いいがな」
…城の最深部は薄暗い…窓から差し込む月明かりだけの部屋。
…バサバサと羽音がこだまする。
「おやぁ… ハハ、またもやお客様のご来訪とは…ね」
天井から羽音を立てて降りて、会釈をする。
「ようこそ…我が、城へ 不肖この私、城主のシェードマンと申します」
目が妖しく輝く。
「…悪いけど手加減できないよ」
エネルギーのチャージを始める。
-
戦いの最中窓から姿を消したシェードマンを追って外へ。
古城の庭に夜風が吹きぬける。
「…どこだ…!?」
バスターを構えた…その時。
「さぁ空中散歩と行きましょうか!!」
ロックマンの肩をその足の爪で掴み、空へと舞い上がった。
こうなってはロックマンは振り払うほか出来ない。
「この高さから落下して無事で済むならよいのですがね!」
月夜に高く高く持ち上げられたロックマンには…最早成す術はない。
「アォオオオオオオン!」
「何!?」
その瞬間…
シェードマンへと赤い物体が突撃し、ロックマンを放させた。
「お、のれ」
「ラッシュ!!」
そう、ラッシュジェットである。
「ワウッ、ワオオン!」
そして高速でUターン、ロックマンを乗せる。
そのまま一気に下降。
シェードマンもそれを追って急降下。
「最後だ、シェードマン!」
「ひ、卑怯…な!!」
最後にラッシュジェットから飛び降り、チャージショットでトドメ。
「こんな、小僧にいいいいいいい!!」
そして着地した。
「このクラッシュノイズは破壊音波だけど、反射させて僕が受けると増幅することが出来るんだ」
「まあ、その歌声ってライト博士の歌声より破壊力あるの?」
そんなやり取りの後、買い物をして戻ってくると…
研究所は無残な姿となっていた。
「こ、これは…!?」
「…ロックマンか…
フォルテが…修理が終わったら突然暴れだしたんじゃ…」
「え!?」
「そして、お前とラッシュの改造の設計図を奪っていったんじゃ…
…フォルテの構造を見て驚いたんじゃ …フォルテは、お前と驚くほどに近い構造をしておる」
「…そんな」
「…そんなロボットを作れる者となると…行動から見ても、一人しか考えられん」
その瞬間、
半壊した研究所のモニターが一人の科学者を映し出した。
「!!」
「そう、その通りじゃよ
フォルテとゴスペルは、お前を参考にワシが作り出した最強のロボットじゃ!」
「…Drワイリー!」
「お前とラッシュの合体設計図を手に入れさせるため、一芝居打ってもらった
驚くほどうまく行くもんじゃな…!」
「…許せない」
「悔しいか?悔しいかロックマン! ワシの研究所まで来ることじゃな!
フォルテも待っておるぞ!ガーーーーハッハッハッハ!!」
『俺はフォルテ Drワイリーを倒すために戦っている』
全ては…全ては、単なる演技だったのだ。
「…博士」
「うむ」
心がまとまらないまま、彼はワイリーの研究所へと向かうのだった。
-
「来たな、ロックマン!」
「フォルテ…!」
そして研究所に入って暫くの部屋で現れた…スペシャルワイリーナンバーズ・フォルテ。
「……」
「Drワイリーはお前を恐れているようだが、
お前など俺一人で十分だ」
「覚悟しな ロックマン」
凹凸のあるバトルフィールドで戦いが始まる。
フォルテはまず跳びながらバスターを撃つ。
ロックマンはそれより一歩早いタイミングでバスターを放ち、フォルテに命中させる。
段差を跳び移りながらバスターを乱射するフォルテ。
ロックマンも負けじとバスターを撃つが…
「フンッ…」
「う…!!」
1発被弾した際のダメージが全く違う。
攻撃力に差がありすぎるのだ。
その上、フォルテがチャージを始める。
「死にな!!」
大きく鋭い形のチャージショットがロックマンへと命中。
「ぁぁあ!!」
大きく跳ね飛ばされるロックマンの体。だが…怯んでいる暇はない。
こちらも負けじとチャージショットを放つが…
「ジャンクシールド!」
特殊武器で相殺され、
「あぁあ!!」
シールドを展開、硬い鉄の塊を食らう。
「…負けない!」
エネルギー缶を使用。
「抵抗し続けるつもりか!?」
今度はフリーズクラッカー。
「そうは行くか!」
撃ちだされた氷の塊をバーニングホイールで防御、蒸発させる。
「だがこれは避けられないだろ!」
フォルテの目にも止まらぬ速度の手刀スラッシュクローがバーニングホイールを貫通。
ロックマンはホイールを撃ちだし、フォルテの体も焼くが…
「う…」
「ぅあああああ!」
ダメージは斬られたこちらの方が大きい。
「負けるものか!」
再び段差の昇降を繰り返しながら互いにチャージ…
「食らえ!」
「いけぇ!!」
高い位置からフォルテ、低い位置からロックマン。
それぞれがチャージショットを交差させる。
距離を取り、今度は撃ちだしたその瞬間にスライディングで回避。
「ち…!」
フォルテに一方的にチャージショットを食らわせることに成功する。
「…随分腕をあげやがった」
続けてワイルドコイル。フォルテの左右に勢いよくバネが跳び出る。
「サンダーストライク!」
雷の玉でそれを迎撃。
「な!」
ワイルドコイルへと命中、それは磁力を持ち、ひとりでにフォルテの元へ吸い寄せられ…
「ぐぁ!!」
命中、爆発を起こす。
「…く!!」
だがフォルテも諦めない。
「デンジャーラップ!」
爆弾入りのシャボン玉でロックマンを包み…
「わ!?」
チャージショットの的にしようというのだ。
「離…せ!!」
だが間一髪ロックマンもデンジャーラップを破壊。
爆発を食らいはしたがチャージショットの餌食にはならずに済んだ。
「フォルテ!!」
クラッシュノイズを壁へ反射させ、それを受けて増幅。
「…しまった!」
強化された破壊音波でフォルテを吹き飛ばす。
「な!!」
そしてラッシュを呼び出しスーパーロックマンに。
「最後だ!」
ロケットバスターがフォルテの腕へと一直線に跳び…
「…!!」
チャージショットを放とうとしたバスターを暴発させる。
-
「う…!!」
フォルテの体が大爆発を起こす。
「…ちっ、今日の所は引き上げだ!」
何とか引き返させることには成功した。
「………」
彼はまだ、自分が何をしたか…誰と戦ったか、何も実感が湧かないのだった。
奥で待っていたのは…
「ガッツじゃあああああああい!」
ワイリーによって改造を受けたあの時のガッツマン。
巨大なボディの腕は巨大なアームになっていて、脚はキャタピラになっている。
「…ガッツマン、僕がわかる?」
「解らいでか! …ワシは、何時の間に死んでおったんじゃい…?」
…ロボット博物館に展示されていたガッツマンは
今こうして、ワイリーにより目覚めさせられ…改造を受け、更なる力を以ってロックマンの前に立っている。
「ここを通してくれるかい」
「すまんがワシはお前をここで相手せねばならん 一応、恩があるからのう」
「……恩?…ガッツマン、忘れたの?ワイリーに操られたこと!」
「ああ、忘れることもない …じゃがな」
そう。彼らは何故展示されていたか?
「どうせ死んでおった命じゃろう!!」
工業用ロボットの宿命『使用期限』。
彼らは…指定された期限まで働き、それが終わると…人間により機能を永遠に停止させられ、処分されるのだ。
「ワシは…ワシはまだ、働けるんじゃあ!!
ワシはお前をここで追い返した後、ここを抜け出すんじゃ…」
「無茶だよガッツマン!」
全ては法律が決めたこと。
「ワシはなぁ 建てた建物を、人間が喜んで安心して使うてくれる…
そんな人間の顔が、まだ見足りないんじゃあああああああ!」
…人間の安全のためだ。
人間のために生まれ、人間のために働き、人間のために死を迎えていく。
それは当たり前のこと。彼らが望む、幸せ。
それは当然のこと。その理由も簡単であり、子供たちのために書かれた、人間とロボットの関係を教える本にも書かれているのだ。
「…ガッツマン」
『ぼくらはロボット』。
-
「わ…ワシの腕…が…!!」
重い重いアームがゴトリと落下。
「は、はおぉおおおおおおおおおおおん!!!」
ガッツマン改め、ガッツマングレートの体は大爆発…
内包されたエネルギーにより、辺りは真っ白な光に包まれていく。
…光が収まると、最早そこにはガッツマンの姿はなかった。
「…行こう」
登った先は緑色が支配する奇怪なエリア。
梯子を登り続け、強力なファンが下から風を送る部屋までたどり着くと…
「…」
感じ取る。ここは戦いのための場だと。
「…来たなロックマン」
勿論現れたのはフォルテ。
「さっきはお前を侮ってたが今度は全力で…倒す!」
…この戦いはもう避けようがないことなのだ。ロックマンは…覚悟した。
「来い、ゴスペル!」
ゴスペルが吼え、高く跳びあがる。
フォルテはそれと重なり…
「ああああああ…」
光に包まれて変身。
「ぅらあああああああああああああ!!」
四肢を開き、エネルギーを解き放つ。
「!!」
ヘッドパーツは金から紫へ。
二つの大きな翼がフォルテの背に生えている。
ロックマンとラッシュの合体がスーパーロックマンならば…この姿は。
「スーパーフォルテ…!?」
「お前のそれとはパワーが違うことを教えてやるよ!」
「行くぞ…!」
ロックマンもラッシュを呼び合体、スーパーロックマンに。
戦闘開始。
フォルテは跳びあがり三発のバスター連射からチャージショットへ。
ロックマンは1発目を避けようと跳びあがったところをチャージショットに直撃される。
「う…!」
上の足場に逃げるが、フォルテはそれ以上の速さで上へと登り、バスターを乱射してくる。
「…速い!」
更に登るがまた追いかけてくる。
一番上の足場まで登ったところで落下、ロケットバスターをフォルテへ見舞う。
「くっ…!」
急落下するがフォルテもそれを追ってくる。
「どうした臆病者!」
フォルテが…翼を使い、滑空してきた。
「!」
矢のように風を切りロックマンへと一直線に体当たり。
「ぅあああああああ!!」
吹き飛ばし、そのまま突き上げる。
そして燕のように翻り…
「はぁああああ!!」
フォルテの体が迸るエネルギーで燃え上がる。
これがスーパーフォルテのチャージなのだ。
「ロケットフォルテバスター!!」
そして高い追尾性を持つバスターをロックマンめがけ放つ。
「ぅああ!!」
ロックマンの体が軽々と殴り飛ばされる。
「まだまだだ!!」
地上へと降りてまた連射攻撃。
「性能が…違う…!?」
その姿からしてそうだった。
彼は…世代が違うロボットのような風格を漂わせていた。
「どうしたロックマン!」
流れるような動きと、乱射されるバスター、そしてチャージショット。
「…どうしたらいいかな」
波状攻撃の上に、高速飛行とロケットバスター。
「…でも僕だって合体してるんだ、やれるよね…ラッシュ!」
二段ジャンプでフォルテのバスターをまとめて飛び越える。
「行くぜ!」
上へと誘導、ロックマンめがけて飛んで来たところを
ロケットバスターで追尾攻撃。
-
「タイミングが早かったんじゃないのか!?」
フォルテのロケットバスターが来たら、飛び降りてそれを回避。
「…逃げ切れる…か…!」
フォルテの腕が……
追尾の限界まで来て、フォルテの元へ戻っていく。
「…見切った!!」
そしてその時間を利用してチャージしたロケットロックバスターをフォルテへ。
「うっ…!」
連射が来たら二段ジャンプでまたも回避。
「…避けきれる!」
勝利を確信した。
しかし…甘かった。
「そう遠くからばかり撃つかよ!!」
その高い機動力を使いロックマンへと近づき
「吹っ飛べえええええええ!」
ゼロ距離ロケットバスター。
「……………!!」
ロックマンの腹が貫かれる。
「……………ぁ……」
呼吸ができない。
「…ぁ……!!」
「無様だな!」
地上へ落下、ロックマンの近くでバスターを放ち続ける。
「……う!」
しかしそこは戦闘用ロボット。力を振り絞り…
「しつこい奴だ…」
まともに話すことすらままならなくなっても戦いを続けることは出来る。
負けるわけにはいかない。足場を上へ上へと登り…
「ここまでだ!」
ロケットバスターを交差させ、最大限逃げ続ける。
「無駄だって言っているだろう…!」
フォルテが飛び降りてくる。
「蜂の巣になってしまえ!」
連射バスターが来る。ロックマンはどうするか…?
…合体を解除。
「………ぅ!!」
「…な」
バスターのときに跳びあがるフォルテの癖を利用したのだ。
合体を解除すれば彼は身軽になる。跳びあがったフォルテの下をスライディングで潜ることが出来る。
「余計な知恵つけやがって!」
バスターは…
「う…!」
ブルースシールドで防御。
「…何!?」
防ぎ…
盾の裏のチャージした腕のバスターを…突き出す。
「……………ぁぁぁ…!!」
「テメェ…!!」
ただのチャージショットがフォルテを撃ち抜いた瞬間だった。
「…ぅうう!!」
そのまま拳を握り、跳びあがりフォルテの腹を突き上げ続ける。
「…おおおごっ…!」
ロックマンの奥義、『ロックアッパー』だった。
突き上げられるフォルテの体。変身が…解ける。
「…ちっ!!」
フォルテが回転蹴り『クレッセントキック』でロックマンを突き飛ばす。
「……」
だが動きすぎた。
…フォルテの体が大爆発を起こす。そして…フォルテはそのまま動けなくなった。
ロックマンはバスターを構え続けたまま。
「……何故だ」
「何故…俺は… ロックマンに…勝てない…?」
フォルテは再戦を誓い去っていった。
-
「ぬお!?」
ワイリーカプセルの各所から爆発。
「お、お、おおお、おおおお…」
ふらふらと飛行が不安定になり…
「うひゃあああああああああ!」
カプセルは崩壊、ワイリーがポトッと床へ落ちる。
「………」
そして…恒例の…
「すまない、ロックマン!ワシが悪かった!もうしないよおお!」
土下座である。
逮捕して安堵したと思ったら脱獄。
滅茶苦茶になった研究所。
フォルテの裏切り。
「………」
彼に…殺意が芽生える。
腕を持ち上げる。
エネルギーをチャージ。
その目標は…ワイリーの頭。
「もう許さないぞ、ワイリー!!」
『殺す』
ロックマンの気持ちはそれで一杯だった。
ワイリーが腰を抜かしそのまま…後ろへと。
「う、撃つのか…?」
ワイリーから出た一言。
「人間のワシを… ロボットの…お前が…!」
「僕をただのロボットと思うなよ!
死ねえええええええええ!ワイリーーーーーーーーーーー!」
エネルギーを解き放ち、ワイリーの頭を撃ち貫く。
ライト博士の親友だった博士の…
ライトナンバーズ強奪、ワイリーナンバーズ製作、
ガンマ製作、カリンカ誘拐、ダークマン製作、X財団設立、
フォルテとゴスペルの製作、そして改造。
そのすべてを経験し、或いは企ててきた頭脳が…微塵に真っ赤な肉片になり飛び散る。
…後に残ったのは、ワイリーの胴体のみ。
そうするのは簡単である。動作としては。
しかし…
「…………」
彼は…『ロボット』なのだ。
人間のために生き、人間のために戦い、人間のために死ぬ…一人の戦闘用ロボットなのだ。
「……」
彼は…腕を下ろした。
沢山のワイリーナンバーズを初めとするロボット達を殺してきた。
けれど
犯罪者であり、誘拐犯であり、世界征服を企てた最も憎き人物を殺すことが…
彼には出来なかった。
…それがロボットなのだ。
「……」
-
様々な感情が湧き上がる。
人を殺そうとした自分に対する気持ちも、勿論。
「…はっ!」
研究所が崩れ始める。
いつぞやのように瓦礫が降り注ぎ…ワイリーはその下敷きに。
「…」
ここでワイリーを見殺しにするというのならば、彼が殺したことにはならないだろう。
…だが。
「ロックマン!!」
それを許さぬ者がいた。
「Drワイリーには、指一本触れさせないぜ!」
フォルテとゴスペルである。
ゴスペルは吼え、ワイリーを背に乗せて脱出。
崩壊する研究所の中、残ったのはロックマンとフォルテだけになった。
「…決着をつけに来たのかい」
「…いや、今回は俺達の負けだ」
ロックマンを真っ直ぐに睨みつける。
「…だが、」
「俺はいつかまた…お前にまた戦いを挑む
今よりも、必ず強くなってな!」
その表情は厳しく。
最後に、うっすらと微笑んで。
「…あばよ、ロックマン」
ライバルは去っていった。
様々な思いを胸に、研究所を背にして彼は歩き出した。
その燃え盛る炎は、以後200年にわたる、
ロボット三原則を巡る人間とロボットの新たなる戦いの幕開けを…
新たなる生命が辿る道を祝福していた。
ブルースは今日も、明日もまたいずこかへ。
フォルテは崖の上でゴスペルとただ夜空を見つめる。
そしてワイリーは一人のロボットの構想を練り始める。
金の髪が特徴的な、剣を背に携えた赤きロボットの構想を。
「…ヘッ、こんなオンナみてぇな奴が俺より強いわけねえだろ…」
「フンッ、フォルテよ お前とはレベルが違うんじゃよ、レベルが!」
セピア色の写真に焼き付けられた、ライト研究所の皆の姿。
今はただ、その幸せを?み締めるだけだった。
-
広大な、広大な宇宙空間。
星の明かりだけが照らす、その暗黒の空間を…
二つの光が舞う。
ひとつは青。もう一つは紫。
二人は…ロボットだった。
青のオーラを纏ったロボットの体は白。
紫のオーラを纏ったロボットの体は黒。
それは戦いだった。
二つの光は反対の方向から一直線に向かい合い、伸びていく。
そして…激突。
二つの光が衝突面を中心として綺麗な半円形に、それぞれ飛び散る。
…戦いの決着のときだった。
そして…同じ方向に二つのロボットは飛んで行く。
青の一体は大きくは破損せず…
紫の一体は…大きく破損、意識も失っていた。
…自らの強大なエネルギーに包まれ、紫のロボットのボディが崩れてゆく。
青いロボットは…倒すべき敵を倒したことを確信。
…自らの役目は果たされた、と…眠りについた。
青と紫の2つの塊は、そのまま宇宙を漂流…
長い、長い間…それは宇宙を漂い続けた
その間、どの星の引力にも吸い寄せられることなく…。
…だが、とうとう一つの星に彼らは吸い寄せられ始めた。
青き星に……。
-
所変わって地球。
大都市の真ん中…ビルとビルのひしめく空の上で、
赤い犬と紫の狼が空を飛ぶ。
ラッシュジェットとゴスペルジェットに乗った、
ロックマンとフォルテの戦いだ。
「ロックマン!逃がさんぞ!」
「待てフォルテ、僕は君とは戦いたくない!」
だがフォルテはその言葉を聞くはずもなく。
「うるさいっ!」
フォルテは腕のフォルテバスターからチャージショットを一発。
ロックマンはそれを跳んで回避、そしてフォルテに向けて撃つ。
「うっ…!」
バスターは命中、フォルテはビルの壁へ激突。
「ロックマン、乗って!」
「!? …ロールちゃん…」
何故かやってきた、ロールの操作するエアカー。
彼はそれほどピンチになるような戦いは行うわけではない。
ではどうして…?
何か、理由があって彼を迎えに来たようだ。
ロックマンはフォルテとの戦いを逃れつつ、ロールの操縦する車に乗る。
「…必ず決着はつけてやるぞ、ロックマン」
彼のいう決着とは…どちらかの死に他ならない。
陸を離れ、海上を走る。
「…聞こえているかね、ロックマン」
「はい、博士」
ライト博士からの通信。
…この車が一体どこへ向かっているのか?
それを彼から聞くこととなる。
「…実は、不可思議なエネルギー反応を持つ隕石が、
太平洋上の島に落下したんじゃ」
「…不可思議なエネルギー反応…」
「うむ。落下地点というのがこれまた不思議な場所でな」
その島の形はまるでドクロ。
「うむ…それが、よく解っていない島でな…
それでこれからお前に調査してもらうことにした。」
それから暫くして、島へと上陸。
「有難う、ここでいいよ」
「気をつけてね、ロック!」
隕石の落下地点…
怪しい雰囲気のする島だった。
-
謎の島に降り立ったロックマン。
まずは落下地点まで島を調査して歩くこととなった。
島の鳥たちが逃げ出すように飛びたっていく。
…この先に一体、何が?
機械で出来た椰子の木の正体はキャノン砲。
破壊して先へ進むと今度はメットール。
…倒した所でラッシュが現れ、新機能ラッシュビジョンを作動させる。
背中のホログラフィー装置が、博士の顔を映し出し、通信を行うことが出来るというもの。
「ロックマン この島は何かと謎に包まれた島じゃ
…これを持っていくといい…新しく開発した『ロックボール』じゃ」
続いてラッシュの背中から、ピンク色の玉が放たれる。
「…」
それに脚で触れた瞬間、ロックマンの体もピンクへと変わる。
どうやらライト博士の用意した特殊武器の一つであるようだ。
「ありがとう、博士!」
とはいえ、エネルギーを消費するこのロックボールはそうそう使えるものではない。
メットールをバスターで蹴散らし、島の奥地へ。
スイッチを押すと、ドクロ型の物体が現れた…よく見るとこれは地下室への入り口であるようだ。
「人工的な島だとは思っていたけど、結構大規模な施設みたいだ…」
中へ入ると…そこは穴。
「わ!!」
落下した先は水の中。
「……?」
そこは地下水路だった。
アンモナイト型ロボットがすいすいと泳いでいる。
そのロボットをバスターで攻撃すると脚を引っ込め、真ん丸い貝のみに。
それはそのまま水の中を落下、そして坂になっているをぐるぐると回転し転がっていき…
「あ!」
スイッチを作動させる。
水中にある、奥へと続く扉が次々と開いていく…。
だが排水されるわけではない…その先もまた水の模様。
「…」
重い扉の奥へと泳いでいくと…
別の部屋にたどり着いた。
よく見ると背後に、先ほど泳いだ通路の上にあたる部屋への入り口があるようで…
その先で、ネジを発見することに成功。
「ここも怪しいかな」
部屋から戻り、再び奥へ進むと何か…錘のようなものが上へ下へとチェーンで上下しているのがわかる。
下へと続くチェーンに乗り、床の下へと降りていくと…小さなスペース。
ここにも謎のネジ。
ロールちゃんを呼び出してみる。
「このネジは…特殊製のネジみたいね
これを使えば強化パーツが作れると思う」
そもそもこの島が誰の所有物で…
ロボットを無断で破壊したり、地下室のものを奪っていいのかは疑問であるのだが、
「まぁ…いいんじゃないかな」
ロールちゃんの言葉通り、ひとまずロックマンは上へ向かう錘へ乗って、上のフロアへ向かうのだった。
どうやら地下室もここで終わりのようだ。
最後にもう1つネジを回収、地下室を後にする。
-
来たときと同じドクロ型の地下入り口から外へ出る。
大量のメットールや、地下にいたアンモナイト型ロボットがいた。
アンモナイト型ロボットは攻撃すると脚を引っ込める。
そして坂道をごろごろ転げ回る。重いボディで。
…そう、メットール対策だ。
重いボディでごろごろと転がり、坂道に待機するメットールを破壊していく。
ロックマンはその後ろをついていくだけ。
…軽くそうやってやりすごした後、ロックマンはいよいよ落下地点目の前という所までたどり着いた。
巨大な岩が砂の上でどっしりと、その存在を主張している。
「!!」
そこから鳥が飛び立つ。気配を感じる…
岩が持ち上がる。
脚が岩から生える。
ガシャガシャと脚が動き、岩が少し持ち上がり、その下から目が覗く。
岩から二本のマシンハンドが生え、ガチガチと音を鳴らし、腕を曲げて準備運動。
…そう、岩ではない。ヤドカリ型の巨大ロボットだったのだ。
「硬そうだな…」
ヤドカリは爆弾を投下。
ロックマンはそれを避けてチャージショット。
だが、硬いボディによって阻まれる。
「…効かないか」
腕が伸び、ロックマンを捉える。
「うぁぁあ!!」
アームがギリギリとロックマンを締め上げる。
「はなせ…離せ!!」
じたばたと動いて抜け出し、バスターを撃つ。
今度は目をめがけ。
クリーンヒット。
どうやらヤドカリが痛がっている。岩のような貝殻が持ち上がり、頭脳パーツが露出している。
チャージを行う。
そして…
「行けぇ!!」
チャージショットを発射…しかし…
「あ!」
AI部は貝殻で再び覆われ、また攻撃を始める。
爆弾を投下、それを避けられた後に大きくその巨体を飛びあがらせる。
…どうやら、チャージショット2発ではきついようだ。
チャージショットで貝殻を外し、通常ショットでAIを攻撃する…
それがいいのだが、威力が足りない上、チャージショットも必ず当たるわけではない。
ならば。
体をピンク色に染めたロックマンは、腕からロックボールを撃ち出し、
床へ落下させる。
「なるほど、こうやって使うんだな!」
得意のサッカーの要領でキック。
ヤドカリの目へと命中、頭脳部を露出させる。
「まだまだ!!」
そのまま、2発3発とロックボールを当てる。
次々にそれはヒット。ドカンドカンと爆発を続け、ヤドカリへと大ダメージ。
AIを貝殻で閉じ、ヤドカリが再び飛びあがる。
着地したところをスライディングで回避、再びロックボールで攻撃。
殻を開け、そこにロックボールを叩き込む。
1発、2発…
3発目。ヤドカリの頭脳部を貫通…空へと打ち上げられる。
「よし!!」
ぎょっとした目つきのまま…ヤドカリは大爆発を起こした。
-
そして落下地点。
ロックマンはクレーターへと近づくと…
そこにはUFO。
「イーッヒヒヒヒヒ!」
…中からはDrワイリー。
「Drワイリー!何故お前がそこにいる!」
「ワシの秘密基地を探し当てるとは、さすがじゃなロックマン!
じゃが、このエネルギーを手に入れたからにはワシに負けなどない!
さらばじゃ、ロックマン!」
ワイリーは相変わらず。
UFOのアームで何か、球体のようなものを持って、飛び立ったのだった。
「……何か残っていないかな」
クレーターを覗くと…
「これは、ロボット…!?」
機械のパーツがクレーターの底に落ちていた。
「ロックマン!どうじゃった!?」
ラッシュビジョンがライト博士を映し出す。
「…博士、隕石のようなものはロボットで、
どうやらここはワイリーの秘密基地だったようです」
「…そうか」
「でもまだ、クレーターの底にロボットらしきパーツがあるんです
多分、まだ生きています…これからそれを回収しますね」
「うむ。ワシはコサックと協力してそれについて調べ、
可能なら復元を試みてみる。」
「解りました。それでは帰還します!」
一方ワイリーの本拠地。
「素晴らしいエネルギーが手に入ったワイ!」
「…随分強いエネルギーみたいだな」
ワイリーの手には球体から取り出された紫色のエネルギー。
それは5つに分割され、それぞれ小さなポッドの中に入れられている。
「お前が素直にそう言うとは驚いたな
…ああ、そうじゃとも これを使えば素晴らしいロボットが生まれることじゃろうな…!
その上、エネルギーが無尽蔵に増え続けるときている!
無限のエネルギーじゃよ、これは!」
「さあ、こうしてはおれん、お前たちにこの力を分けてやるとしよう!」
4人の、新たなるワイリーナンバーズ達にそれは与えられた。
「お前達はこの力さえあれば負けることなどない!
さあ行くんじゃ!今度こそ、ロックマンの息の根を止めるようにな!
ガーハッハッハッハ!!」
「待てよ …その無尽蔵に出来るエネルギー、俺には分けてくれないのか?」
フォルテは不満なようだ。
「…お前は今のままでも強いじゃろ?それにワシにもたまに逆らうからの。
こんな力を渡しては危険じゃ 欲しかったら大人しくワシのいうことを聞くことじゃな!」
こうして…新たな戦いの火蓋は切って落とされた。
-
「所でロック、どう?私の新しい姿」
くるりと一回転。ロールはロックに、
新しい自分の姿を見せ付ける。
大体12歳辺りにまでロックとロールはボディの外見年齢が変化した。
「へぇー、服も変わったんだ」
「前より戦闘性能は落ちた気がするけどね。まぁ、女の子らしいボディになってよかったと思うわ」
くるりと一回転。
今度は本当に女の子らしいボディになったようだ…が。
「…! ロック!」
「何、ロールちゃん!!」
いよいよ敵は動き出していた。
モニターでその場所を映し出してみる。
…そこは工場。
「……!」
…それも、兵器工場。
壁に大きな穴が開き、煙があがっている。
ワイリーナンバーズが行動を開始しだのた。
「行って来る!」
すでにワイリーナンバーズは工場の占拠を終えた後だった。
ロックマンは天井の穴から生み出されるミミズ型ロボットを倒し、
爆弾で出来たバリケードを破壊する。
爆炎をスライディングで抜け、今度はスナイパージョーとの対決。
床は爆弾となっており、バスターを外したらまっさかさまに落下してしまうであろう。
注意を払いながら破壊。巨大コンテナの並べられた倉庫へ到達。
「破壊する順番を考えないと…」
合金製コンテナは流石に破壊できないので、壊せるコンテナだけを壊して先に。
時限爆弾を乗り継ぎ、
巨大テリーがテリーを撒いてくる中、スナイパージョーを倒して扉の中へ。
「…アレは…?」
そこはスクラップの海。そこから、鉄クズの塊が浮き上がってくる。
「…気をつけて、スクラップとは思えないエネルギー反応がある!」
磁力で纏ったスクラップを展開して現れたのは大きな目の形のロボット。
スクラップを回転させながら突進したり、スクラップを持ち上げて落としたりなどの攻撃をしてきたが、
これを破壊することに成功。
…中から、コアと思われる、カプセルに包まれた謎のユニットを発見。
「……エネルギー反応があると思ったら、こんなものを使っていたのね」
「何だろう、これ…」
更に奥へ。
破砕用と思われるハンマーが前後する危険地帯を通り、
巨大なダイナマイトを足場として通り抜けることを余儀なくされる…が
「…あ!!」
「ファイヤーーーーー!!」
小さなファイヤーマンのような小型ロボットが登場。
ダイナマイトの導火線に…火をつけた。
「下は鋭い針よ!!ロック、爆発に追いつかれないように渡りきってーーー!!」
ギリギリで渡りきり…
再びハンマー地帯を潜りぬけて、いよいよ最深部。
「さっきまでとは比べ物にならないようなエネルギー反応よ
ロック、ワイリーナンバーズ戦の準備は大丈夫?」
「うん。大丈夫」
しかし…それは今まで以上に強力なロボットだった。
-
派手な音ではない。
ドン、という重い音。壁の爆発…
…中から現れたのは、藍色のロボット。よく見るとそれは手榴弾を模している。
「おいロックマン!この俺が、お前の探しているグレネード様だよぉ!!」
「…グレネードマン 覚えておくよ …勝負だ!」
気性の荒いロボットだった。
「おいおい!!その前に…」
飛びあがり部屋を端から端へ一跳び。
「可愛いバクダンちゃんに挨拶しなっ!!」
そして手榴弾をバラ撒く。
「わぁ!!」
垂直に跳び、爆発を回避、チャージショットを一発。
「きへぇえっ!!」
奇妙な奇声をあげた…かと思いきや。
「砕けろっ!!」
残像が出るほどの高速ダッシュでロックマンへ追突しようとする。
「はっ!!」
バスターを撃ちながら跳び、背後からまた連射。
「いてぇっ!!」
よほどの戦闘狂か。相手の手ごたえを楽しんでいるように感じられる。
ここでグレネードマンが壁に張り付き…
「『フラッシュボム!!』」
「…!」
ロックマン目掛けて爆弾を撃ち出す。
…クラッシュボムではない。
一直線に飛んでいき、大爆発する。…その点では同じではあるが。
「フラッシュボム!!」
床へ降りてもう一発。
「わ!!」
これを避けるが…
「げぇーーーーへへへへへ!!」
「…!」
その破壊力は壁を揺らし、工場自体を崩す。
鉄骨やパイプが落下し、ロックマンを襲う。
「く!!」
スライディングで回避してチャージショット、再びスライディング。
「…ロックマン! …気をつけて
このロボットからは…嫌な感じがするの …何かに似た…嫌な感じ」
「…僕も感じているよ」
「…ファイヤーマンと同じじゃない?」
「…そう!…そうなのよ つまり…つまりね、このロボットは!」
壁へ高く張り付き…
「みんな壊れちまえーーーーーーえへへへへへ♪」
「変態なのよ!」
強力な設置爆弾をバラ撒く。
「『クレイジー・デストロイヤー』!」
「!?」
床が…大爆発を起こす。
…二つ目の特殊武器だ。それも…フラッシュボム以上に強力。
「…どういうことだ」
「俺達ワイリーナンバーズは以前以上に高性能! 二つ目の特殊武器を持たせてもらったのさ!」
凸凹とした下のフロアへ移動。そこで再び戦いが再開される。
「フラッシュボム!」
段差を利用しなんとか回避。
「ひひひー!!」
「うぁあ!!」
だが手榴弾は避けられない。
相手のダメージも相当なものだが…これは削り合いの勝負にもつれ込んだと言えよう。
「フラッシュボム!!」
壁にはりつき、またフラッシュボム。
これならば避けやすい、と段差の上で誘導していたロックマンは爆風を飛び越えて落下。
「きひっ!?」
下に落ちてきたグレネードマンにチャージショットを一発。
…貫いた。
ぴたりとグレネードマンの動きが止まり……爆発が各所から起こり…
「気持ちいいぜええええええええ!」
内包エネルギーが飛び散った。
「…サディスト兼マゾヒストって大変ねぇ」
「ロールちゃん、変な感じも何も全て知ってたの?」
「…?」
コアと見られるパーツが落下してきたが…ガラスに包まれ、紫の炎のようなものを灯している。
これは…一体?
-
「ううーむ…高いエネルギーを有しているようじゃが 何じゃろうな…
ひとまず他のロボットからも同じものが取られるか、試してみてくれ」
すでに他7箇所がワイリーナンバーズらによって占拠されているのだ。
…では、これは。目玉型のロボットから入手できたユニットについて分析してもらう。
「…『G』の文字が書かれておるよ。
「犬型サポートロボット用のものじゃな …つまりGはゴスペル。ゴスペルアダプターとでも呼ぶべきか」
何故ロボットの中に、ゴスペルの強化パーツが?
「少し改造を加えればラッシュにも転用可能じゃよ 待っとってくれ」
「ゴスペルバイクの機能をラッシュにつけた。『ラッシュバイク』じゃな」
新しい機能を手に入れ、ここで手に入れたネジを使って新しいパーツを作ってもらうことにした。
「じゃあこれをお願いするよ」
「はーい」
…作られたパーツは、レーザーショット。
「チャージショットが変化するの。強力で貫通力のあるショットになるから使ってみてね」
次なる場所は大都市。
「……ここら辺一帯が凍らされているね」
ペンギン型ロボットが滑ってくる。滑ってくるペンギンの後ろにも何体も。
「レーザーショット!!」
キィン、という高い音を発してロックバスターから太いレーザーが発射される。
一直線に、きらめきながら飛んでゆく光の柱。
ペンギン型ロボットを1体、2体3体と次々に貫き爆発させてゆく。
「…凄い」
レーザーショットの威力に驚愕しつつ、ロックマンは建物内部のエレベーターへ足を踏み入れる。
物凄い勢いで上昇を始める。
「…バットンか!」
いつも相手にしている蝙蝠型ロボットが、上からやってくる。
これは普通のバスターの方が相手しやすいというもの。
一発に対し一発。点を打つように正確にバスターを敵に対し撃ち、着実に撃破してゆく。
「…え?」
建物は乗用車用のものであり、建物の出口から繋がっている下り坂はどうやら道路である模様だが……
「随分途切れ途切れになってるみたいね」
「…どうしよう」
「ジェットボードを転送しておいたから、それを使って下ってみて!」
ジェット噴射で滑るスノーボードのようなものである。
「普通に歩いたほうがいいんじゃない?」
「それだと飛び越えられないところがあるの。お願い!」
もうじき、日も暮れる。
巨大テリーがテリーの代わりに爆弾を連続投下。
ウサギ型ロボットがジェット噴射スキーで行く手を阻む。
ペンギンは相変わらずぐるぐると回り、ロックマンを転ばせようとする。
「ジャンプ、ジャンプ!」
標識のようだ。…まさか、この道路がジェットボード用のコースであるわけでもないのだが。
一気に飛び越え…
「スライディング、スライディング!」
狭い壁の穴を潜る。
「危ないなー…」
ネジを回収したりしながら、崩れる道路などを一気に滑走したりしつつ…
「わ!!」
透明なガラス張りの建物の中へと突っ込んでゆく。
建物全体にぎっしりと雪が積め込められており…外から見ると真っ白な直方体に見える。
「冷たくて気持ちよさそうー…」
本当になったら冷たい寒い痛いと痛がるくせに。
そう思いながら建物を抜ける。空が真っ赤になった頃に…都市中心部までやってきた。
「…そこなら敵に見つからなそうね?」
人気のない建物を発見。
「都市中心にある巨大冷凍施設の中にワイリーナンバーズがいるんだけど
今どうやら反応がないみたいなの。外出してるのかしら…」
「どうしよう?」
「帰ってくるまでそこで待ってて…」
そして夜7時。
「…来た! ロック、エネルギー反応を冷凍施設から感知!向かって!」
賑わう、空中都市の中心部へとやってきた。
「…何だ、これ…」
そこはペンギン型ロボットと、鯨型飛行船がやりたい放題。
凍った歩道をペンギン型ロボットが楽しげにツルツルと滑り、
アイスブロックを落下させ、押し出す機械であちこちに飛ばしては砕いている。
こうしてはいられない。
ロックマンはレーザーショットで鯨型飛行船を撃ち落とす。
ペンギン型ロボットを打ち倒す。
そして建物内部へ。
「…また登るのかぁ」
予想は的中。建物を登った先で、再びエレベーター。その更に上には…下りの道路だ。
「……さっきより途切れ途切れだね」
「ジェットボードを」
「わかってる!」
一気に滑り降りる。今度は敵の妨害煙幕もある中だが…あまりに危険なためか敵の数は少ない。
再び雪のブロックの中へ突撃をかますことになり…その先でボードを乗り捨てて冷凍施設の中へ。
-
…そこには、ロックマンの氷像が固まっていくつも置いてあった。
「………?」
アイスブロックがどこかからどこかへと運搬されている。
ドシン、ドシンドシン… 大きな足音が響いてくる。
…そして、止まったと思った次の瞬間。
「氷がーーーーーーー!」
巨大な氷の塊が落下、下敷きになった氷像を粉砕。
「…」
粉々になった自分の氷像に内心ショックを受けつつ。
いや、氷の塊ではない…ロボットだ。
大きな大きな腕を振るい、ロックマンの氷像を粉々に粉砕。
「砕けろが−−−−−−−!」
その全てを粉砕した後、腕を振り上げる。
「俺、フロストマンだど!お前ー、倒すどーーー!」
氷の塊のような体をした、前屈姿勢の巨大ロボット・フロストマン。
「ふがああああああ!」
大きく跳びあがる。
ロックマンはそれをスライディングで潜り背後からレーザーショット。
「おがぁ!!」
振り向く。
「ふが!!」
アイスブロックを一つ落として、その豪腕でロックマン目掛けて飛ばしてくる。
「たぁ!!」
跳びあがり通常ショット。
「ぉおおおおおおお!!」
腕を振り上げ、両拳を合わせると…
冷気が集まってくる。
「『アイスウェーブ』だあああああ!」
「避けてええええ!」
その、冷気を纏った、合わさった拳をハンマーのように床へ叩き付ける。
冷気が大気を一瞬で凍らせ、氷の波がロックマンを襲ってくる。
ロールちゃんの警告は…遅かった。
「うぁああ!!」
氷の波はロックマンを氷付けにし…
「砕けろがーーーー!」
その巨体を存分に活かしたタックルをロックマンへ見舞う。
アイスブロックのように、それは軽々と壁へ叩き付けられ…纏った氷が砕ける音が聞こえる。
「う…!!」
「おがああああ!」
勢いをつけ、怯んだロックマンの元へ低空飛行で飛びついてくるフロストマン。
「…うっ!!」
炎に類する武器など持っていない。苦し紛れの反撃として…
フラッシュボムを撃ち出した。
「おああああああああああああ!!痛いどおおおおお!?」
…その発光か、はたまた破壊力か。
何とフラッシュボムに当てられたフロストマンは吹き飛び、今度は自分が壁へ叩きつけられたのであった。
「まだまだ!!」
バスターを連射、その後チャージショットでフロストマンを追撃。
だが…
「もう、怒ったどーーーーーーーーーーーーー!」
フロストマンが暴れだした。
跳ねる、叩く、また跳ねる、また叩く。
その暴走によって、運搬されていたアイスブロックが全て落下…重なったガシャンという高い音を立てる。
敵もいよいよ本気のようだ。
「『フロストナックル』がーーー!!」
フロストマンの第二特殊武器だ。
氷を纏った拳を突き出し、ロックマンへと激突させる。
「う!!」
吹き飛ばされながらこちらもフラッシュボム。
「うがああ!!」
そして…
「がああああああ!」
跳びかかってきたところに
「いっけぇ!!」
レーザーチャージショットを一発。
「うが!?」
フロストマンが動きを止める。
新たにアームで運ばれていたアイスブロックが一斉落下。
各所から爆発を起こし…
「うーーーがーーーーーーーーーーーーーー!」
またもや、紫のエネルギー球体を残して消滅したのであった。
「…フロストマンが……死んだ…?」
ある一人のロボットは…いち早く彼の死に勘付いていた。
「…なんじゃと…? ……お前が言うなら本当なんじゃろ
早いとこ準備を済ませておくんじゃな」
-
次なる舞台はアジア。
「今回はあっちから挑戦状を叩きつけてきたの」
「…一体どんな敵だろう」
巻き物で送られてきたらしいその挑戦状を見ると…
「…『テングマン』か」
新たなパーツを一つ作ってもらい空中庭園へと降り立つロックマン。
カラス天狗型のロボットが列をなして襲い掛かってくるがレーザーショットで撃破。
「!!」
上空に、フロストマンのいた都市で見た鯨型飛行船が大勢押しかけ…
「何、あれ!?」
「メットールみたい!!」
メットールを大量に投下していった。
「面倒だな…」
いいながらもチャージショットで一気に破壊。先へ。
泡のバリアで建物内を上に進んだりしつつ、空中回廊を進んでいくと…
「テングマンのいる所は庭園内の城で、ここから
テングマンのいる場所まではすぐに行けそうだけど…実はその前にやって欲しいことがあるの」
「…やって欲しいこと?」
「あれを見て!!」
遠くに…何かが見える。大きな大きな…
「…空母!?」
「そう。 カッパの形をした空母。テングマンはアレを使って
町を襲撃するつもりよ!」
「あれを破壊させて、僕達の力を見るつもりなのか…ラッシュ!!」
長時間飛行を可能にしたラッシュジェットの力で空を飛ぶことに。
「…大勢で来たね」
「基本的にロックを倒しに来てるから…解るわね?」
「全部撃ち落してみせる!」
新パーツ・ラピッド5とスピードショットが火を吹く。
「はぁぁぁああ!!」
弾数と弾速の両方が上がった。
連射力が上がった通常弾を雨のように乱射することが出来ることになる。
最大出力で敵たちを圧倒 龍の形をした大型ロボットも難なく撃破…
「いっけぇ!!」
レーザーショットで例の鯨型飛行船も貫き、破壊。
いよいよ空母へとやってきた。
「なるべく色んなパーツを破壊してみて!」
砲台に加え、壁床天井全てに配置されているハッチなどを破壊。
「あれがコア…」
とうとうコアの部分までやってきた。しかし…
「ロック、あぶなーーーい!!」
「!?」
エネルギーが充填され……一直線に強力なレーザーが発射。
「うぁぁあ!!!」
ラッシュごとそのレーザーに焼かれてしまう。
「う…」
「逆に言えば、レーザーから少しでもズレたらレーザーは当たらないで済むと思う 考えて戦って!」
少し高度を下げ、フラッシュボムの火力で焼き払う。
現れる敵たちも難なく回避し…そして。
「やったわ…!空母が落ちる!」
「これで後はテングマンだけ!!」
崩れゆく空母から脱出、ラッシュに別れを告げ、空中回廊に戻ってきたロックマンは
先ほどと同じような道を進み……
テングマンの居場所までやってきたのだった。
「このお城の前で待っているんだったね」
-
城の前までやってきたが…誰もそこにはいない。
…だが、代わりに上からジェット噴射の音がするのはロックマンにも解った。見上げると…そこにはテングマン。
「覚悟せい、拙者は強いぞ」
急降下。地上すれすれまで降下し…
「フンっ」
手にもった扇のような武器を大きく振り…長い鼻を更に長くした。
「拙者が軽く捻ってやろう!」
勝負の始まりだ。立った体勢のまま、噴射を弱め強めゆらゆらと飛行。だがその速度は半端ではない。
「速い!?」
「シャドーマンにヤマトマン。和風デザインのロボットは機動力に優れてるみたいね」
そして止まったかと思うと…
「トルネードホールド!」
勢いに任せ扇を打ち出す。
「!」
特殊武器の一つらしい。
扇は地に落ちると高速回転、
竜巻を巻き起こしながらロックマンの方へ向かっていく。
「高い…!!」
そして速い。走るかのような速度で竜巻はロックマンを追い…
「うわあああ!!」
瞬く間に巻き上げ…
「フンっ!!」
テングマンは急上昇、竜巻の最高点で待機…
「ハァ!!」
再び生えた扇で叩き落とす。
「うぁあああああ!」
「どうだっ」
そして降下、また元のように高速飛行へと戻る。
「トルネードホールド!」
もう一度。今度は反対方向から。
「……う!!」
逃げられない。またも持ち上げられ…叩かれ、地に叩きつけられる。
「どうしたどうした!」
またもトルネードホールド。
3回目は地に落ちる前にスライディングで潜ろうとするが間に合わず。
「手が一つばかりでは流石につまらんだろうな」
テングマンが扇を前に構えた。
「行くぞ!」
体を水平にし低空飛行。ロックマンを突き飛ばすつもりだ。
「く!!」
ロックボールをとっさに設置。それを踏み
いつも以上に高く跳び、余裕を持って回避することが出来た。
「それくらいせんとこの攻撃もかわせないと来たか!」
鼻を高くし、ケラケラと哂うテングマン。
「仕方があるまい」
レーザーショットも食らわせるがそれでダメージを取り返せるわけもなく。
「トルネードホールド!」
またトルネードホールドのパターンに戻るのだった。
「…う!!」
スライディングで全力で避ける。…まだ追ってくる。端まで。
これ以上追い詰められれば落ちる。…前はそこで諦めていた。 …だが。
「はぁ!!」
足場の端から飛び出す。その瞬間…
瀬戸際でトルネードホールドが効力を失い爆発した!
-
「…う」
何とか脚を広げ踏みとどまり…復帰。
「惨めなものだな!」
トルネードホールドがかわされたと知ると水平飛行へ入る。
「…なら」
そしてロックマンの快進撃が始まる。それを一跳びでかわし…
「調子に乗るでない!」
ロックマンの目の前で天狗になっていたところに…
「アイスウェーブ!」
フロストマンの武器。地を這う冷気はテングマンの脚を直撃…
「何!? なんっ…」
凍らせた。
もがくテングマンにレーザーショット、そこから畳み掛けるように連射攻撃。一気に体力を削った。
「…バカな」
また飛行へ戻る。
「拙者はフォルテの悪餓鬼を相手に唯一、一度勝利したのだぞ!?」
テングマンが動きを止め…
「その技、見せてやろう!!」
構える。
「神風!!」
第二特殊武器・テングブレード。
剣のように力一杯に扇を振ることで、玉状の竜巻の弾を生み出すのだ。
「うぁああああああ!」
風の刃の塊といった方が正しいか。
剃刀の刃で削られるように、右から左から上から下から斜めから前から後ろから…
風はロックマンを斬り、そして場外へと運んでいく。
そう、それは一撃必殺の技。
「…どうだ」
だが…
「ううううっ!!」
何とか踏みとどまり、レーザーショットを一発。
「まだだ!!」
だがあまりに強い技を使う反面、それを凌がれた今最早彼の策は尽きていた。
トルネードホールドはギリギリでかわされ、竜巻と交差するようにレーザーショットをまた一発。
「拙者を舐めるな!!」
テングブレードを振るうが、
竜巻の発生点から近い位置で飛び越え…
レーザーショット。
「うぬっ…」
最後にロックマンはロックボールを設置…
「「最後!!」」
テングマンはテングブレードを放った。ロックマンはロックボールを全力で蹴る。
竜巻の玉を………ロックボールが貫いた。
そして…竜巻の発生点、テングマンへと命中…
次々に爆発を生じ…
「不覚……!!」
エネルギーを飛散させたのだった。…また、黒きエネルギーと共に。
-
次なる目的地は巨大な遊園地。スプリングマンのテーマパークを思い出すが…
…ここは占拠したのではなく、本性を表したパターン。
「うわぁ…」
風船が大量に空へ舞い上がり…敵を歓迎する。
正面ゲートを潜ってすぐに床が開き…地下へと落とされる。
その下は…ガッツマングレートプラモデルにアイスマン人形など。
様々な人形がひしめく空間だった。
天井の穴から落ちてくるミミズ型ロボットを破壊。
ネジを回収しながらワニのオモチャの口に落下すると、そこは建物の出口。
パラシュートで籠が落下し、中のオモチャの兵隊をロックマンに襲わせる。
線路の上を機関車が爆走する。
このテーマパークの恐ろしさを知りつつ、機関車に乗り継いで先へと進んでいく。
「わ!!」
機関車同士が激突。…ロックマンを倒すためではない。ロックマンが降りた後も、
線路にしたがって二台の機関車が両側から激突、大破し続けている。
…そしてその下にはおびただしいオモチャの兵隊。
振りほどきながら先へ進むと、今度は妙なブロックの足場にたどり着く。その中の1つ、×の上に乗る。
「?」
ガチャ、という音がどこかから聞こえる。時計からオモチャの兵隊がやってきたのだ。
くるりと回転、手に持ったハンマーで鐘を叩くと。
ブー!
…という音と共に、どこかから、大きな錘が落下…
「わ!!」
ロックマンの頭を潰そうとしてきた。ドシンという重い重い音と振動が暫く続く。
「……」
次の足場。○が描かれている。またもオモチャの兵隊が出てきて鐘を鳴らすが…
ピンポン。
……何も起こらない。 なるほど、こうやって○の足場に急いで移動し、トラップ作動を回避するゲームらしい。
「…え」
でも敵は○の足場にばかりいる。敵を急いで倒して、その上に行かなければトラップの餌食だ。
急いで駆け抜けた後、行き止まりと思われた場所で突然ロックマンの頭上に膨大な量の人形が降り注いできた。
人形の重みで足場が崩壊。下のフロアへと投げ出される。
…そこにいたのは、巨大なライオンとロールケーキを組み合わせたようなロボット。
小さな分身やオモチャの兵隊を呼び出すこの、部屋中を暴れ回るロールケーキライオンを倒して…
またゴスペルアダプターを入手。先へと進んでいく。
またも○×のマス目。敵を倒しながら進んでいくが…
「…ドクロ?」
ワイリーのマークでもあるため、何かいいことがあるかと思ったが…
カパッ。
「わあああああああああああ!!」
足場が開き、下の針の海にまっさかさま。
「い、急いで転送するわねーーー!!」
もう一度フロアの初めから。
○×ドクロフロアを乗り越えると今度はサーカス小屋。
中では海賊を模したネジ巻きロボットが警備していた。
面白い音を出して上下するドクロのエレベーターで遊びながら先へと進むと…
海賊型ロボットが、その長いアームで空中ブランコを楽しんでいる。
これも邪魔せず通り抜けていくと…
「…!?」
巨大な時計塔に出た。足場は○×。時計となると勿論…オモチャの兵隊。
どうやら、仕掛けを利用して上へと進め、ということらしい。
「『?』って何だろう」
オモチャの兵隊が鐘を鳴らすと…
「わあ!!」
ロックマンの体は床へと吸い込まれ…
「!」
出てきた。…風景が違う。…そう、?床はワープ。これを使って時計塔の上まで登れということだ。
?を探しては上へ、上へ。たまに引っ掛けで下に通じたり、行き先に何もないものも存在したが。
「…『?』だらけか」
5つの?マス。そのうち2つは繋がっていて、1つは行き先に何もない行き止まり。
残り2つの1つは上階へと進むものであろうから…と、そのどちらかに乗ると…
「…あれ?」
時計塔の地下まで連れ去られてしまった。
そこは×のマスばかり。 …入ってきたマスまでもが×に変化。処刑部屋であろうか
「違う…ネジが保管してある部屋ね!」
よりによって×マスの一番上、部屋の取りにくい場所に…。
錘落下、下からマジックパンチ。上から下から×マスの洗礼を受けながらネジを回収、
無事に?マスを見つけ、元のフロアへ戻る。そして、残り1つの?マスで時計塔最上階にたどり着いたロックマンは…
またも人形の雨に降られ…ワイリーナンバーズの待つ部屋へと落とされたのであった。
-
壁に電流の走る小さなサーカス小屋…
中心には壁に据え付けられた頑丈な棒がある。
と。
「!!」
風を切り、部屋を大回転するロボットの姿。
…よく見ると部屋の中心の棒に手をかけて、ぐるぐると長い長い腕で回転している模様。
運動神経抜群のワイリーナンバーズはパシンと手を離し、ぐるぐると落下。
「お前もこのクラウンマン様の家来にしてやる!」
ここを仕切っているのはピエロ型ロボット、クラウンマンだった。
「じゃあ…僕が勝ったらどうする?」
「何でもいいよ、どうせお前が負けるんだ… そうだ お前にここのオモチャ全部やるよ!」
正直それは少し嬉しいかもしれない。そう思いながら、ロックマンは戦いに臨んだ。
「ほーーら!」
長いアームでの大回転。
「うあああああ!」
ロックマンを突き飛ばす。壁へと叩きつけられ、壁を這う電撃で追撃。
「驚いたろ!」
ぐるぐると回転、落下。
ダッシュでロックマンへと詰め寄る。
「はーーぁ!」
レーザーショットで貫きながら飛び越える。
「何だよムキになるなって!!」
反対方向に半回転。飛び越える。
「こんくらいは避けれんのか」
つまらなそうに落ちると…腕を床に突き出し、潜らせた。
まさか…?とは思っていたが、その時すでに回避を始めているべきだった。
「サンダークローーー!」
床を潜ったクラウンマンの腕がロックマンの脚に伸び…
「うああああああああああああ!!」
高圧電流を流す。…それは、クラウンマンの特殊武器の一つだった。
「ばーーか」
舌を出してゲラゲラと笑うクラウンマン。
「まだまだ行っくぜー!」
大回転。
ロックマンも黙ってはいない…テングマンに効いたなら、とアイスウェーブを使うが…
「いて!!」
痛がったに留まった。…しかし。
「…やったなああああ!」
ロックマンを高速回転で突き飛ばしてきた。
「うぁあ!!」
今…明らかに彼の表情が濁った。
「フラッシュボム!」
クリーンヒット。…だが、大して変化は見られない。
「…フロストマンとは仲が良かったのかい」
「…アイツか?…むしゃくしゃしてるのもヤだし教えてやるよ」
サンダークローを放ちながら。
「アイツは俺の弟だ!!」
…ワイリーナンバーズだからそれは当然のはず。だが…言い方がおかしい。
「……?」
「フロストマンは、俺を作った後に余ったパーツでフロストマンを作ったんだ
アイツは余りモノなりに、精一杯生きて、精一杯の働きをしてたさ」
…彼は仲間に対しては情に厚いロボットだった。
「…そのオモチャはもー誰も使わねえんだ!」
クラウンマンが第二特殊武器を使用した。
体を丸め、高圧電流を発して部屋中を転げ回る技…
「サンダーカーニバル!!」
跳ね回る電撃の塊。ロックマンはスライディングでそれを避け…
ることも出来たのだが…実際は動くことすらままならず、彼の攻撃を食らってしまう。
「このだだっ広い部屋がイヤでイヤでさあああ!!」
怒りに身を任せ辺りに電撃を撒き散らすクラウンマン。
…痛いほど伝わってきた。
…だが、止まってはいられない。…クラウンマンも心情を吐露すると共に、動きに隙が出来てきた。
レーザーショットを放ち、クラウンマンを攻撃。
「う!!」
そして試していなかった特殊武器を使用。
「トルネードホールド!」
「何すんだよーーー!!」
怒りで戦ってきたクラウンマンの熱が竜巻で強引に奪われ…長い腕ごと風に乗せられる。
落下してきたクラウンマンは、腕が絡まり鞠のようになっていた。
「ママーーーーーーーー!」
ロールちゃんには一瞬、エプロンを着たワイリーの姿が浮かび、精神ダメージを負う。
ロックマンはその隙を狙ってレーザーショットと連射を続け…
「何すんだよおおお!!」
ムキになったクラウンマンと、あくまで戦いを通して向き合おうとするのだった。
「許さねえ…サンダーカーニバル!!」
もう一度電撃の塊になり辺りを跳ね回る。
「…ごめん!」
その攻撃の全てを冷静に避け…避けきったところでレーザーショットを一発。
彼の体は爆発…
「覚えてろよ!!」
更に増幅された、黒いエネルギーを放出して消滅したのだった。
-
グレネードマン、フロストマン、テングマン、クラウンマン。
4人のロボットを撃破したロックマンは、ライト博士の研究所に戻るのだった。
「博士 またワイリーのロボットから球体が発見されました」
「おお、帰ってきたかロックマン このロボットの修復作業が今、終わった所じゃ…」
修復作業にあたっていたのはライト博士だが…
「少しデザインには私の趣味が入ってしまったかな」
デザインを決めていたのはコサック博士。
ポッドの内部に黒みがかった紫の炎を灯す球体を入れる。
「ワシもこれから行く 少し分析作業の準備にかからねば…」
メンテナンス室を後にする3人。
照明が消え…真っ暗な部屋に、宇宙からの来客のみが残される。
2m以上はあろうかという巨漢。彼に取り付けられた新たなボディは、
ロシア帽のような頭に、軍服のボタンを模した4つの、動力炉に繋がる丸い穴と
確かにロシアの科学者らしいコサック博士らしいデザインになっていた。
その他のパーツとして目立つのは、鉄球のような右肩に、
右手と比べバランスの悪いまでに大きな左手。
人目のない暗い部屋の中、新たな体を得た彼はとうとう……
目を覚ました。
「……」
瞼から白目が開かれ…その中心に、黒い瞳が映し出される。
「…う…む」
身を起こす。
ロシアンデザインになった自分の体を凝視する。
不釣合いなサイズの左手をガシャリガシャリと握り、開くと動作を確かめてみる。
「…」
辺りを見回すと…
「!」
紫色の球体4個が詰め込まれたポッドを発見。
「…うぬ、ぬううう、」
ガラスの球体の中には紫の炎。
「うううううう!!」
その不似合いな左手でグシャリと潰す。
ガラスが割れ、瞬時にそのエネルギーは音を立てて消滅。
そして確信。
「まだ生きていたのか……!!」
彼は雄たけびをあげる。
「うぉおおお…おおおおおおおおおおおおおお!」
その体が…青き光に包まれる。そして…
そのまま青い光となって天井を突き破り、空へ。
「博士!!」
駆けつけたロックマンとライト博士。
「うむ、追うんじゃロックマン!」
「はい! 行こう、ラッシュ!」
ラッシュを呼び出し、ラッシュジェットへ変形。
ロックマンは天井の穴から青空へ向かっていった。
「彼には発信機を取り付けてある、どうやら真っ直ぐにどこかへ向かっているようだ!」
コサック博士の声。
「解りました ロボットを必ず止めてきます!」
場所は中東の火山地帯。山中にある施設に青い球体が突進し、破壊。…彼だ。
「…何てパワーだ」
ロックマンは彼を追い始める。
内部はメットールを初めとしたロボットがひしめいていた。
ある程度進むと扉があり、その中に…彼はいた。
ロボットの形態に戻った彼は、変わらず扉の奥へ進もうとしているようだ。
「待ってくれ!」
ロボットが振り向く。
「…君も私の邪魔をするのか!」
ロボットは有無を言わさず戦闘体勢に入る。
「へああっ!!」
少し浮き上がり、脚元から真っ青な炎のようなエネルギーを噴射させる。
戦闘開始だ。
-
ロボットは拳を振り上げる。
「であああ!!」
ロボットはロックマンとの距離を一瞬で縮め、拳を地面へたたきつけた。
青い光が床に飛び散るが…特にダメージなどはない。
レーザーショットを撃ちながら飛び越す。
もう一発当てようとするが…
「行くぞ!!」
腰の高さ辺りまでに軽く浮き、脚元に青きエネルギーを発し噴射。
そこから急加速、青きエネルギー球となって部屋を跳びまわる。
「わぁ!!」
一発食らってしまうが…大したダメージではない。
何とか動きを読んでその後は回避。
次にロボットは大きく跳んだ。
レーザーショットで迎撃、着地、スライディングで潜って回避の流れる動作を行う。
「はぁあ!!」
ロボットはまた拳を地面に叩き付ける攻撃。
これも同じくスライディングで回避、レーザーショットで撃ちぬく。
強固なボディも少しはダメージを与えられたのだろう。
ロボットの腕が…輝く。いよいよ奥の手を使い始める。
「君からは強い正義の力を感じる。戦いたくはない…
だが、それでも私を止めるというのならば」
…と、その時だった。
「!」
口笛が辺りに響く。ロックマンとロボット、両者の動きが硬直する。
そして。
「ビッグバンストライク!!」
ブルースはロボットの目の前に登場…姿勢を低くしバスターのエネルギーを一気に
ロボットへと注ぎ込んだ!
「う、おおおおおおおおおお!!!」
大きな腕で衝撃からかばった体勢で3mほどブルースの攻撃に押された。
「…ぬ… く!!」
ロボットは青い光になってそのまま扉を突き破った。
「…ロックマン、何だ今のロボットは」
「追わなきゃならないんだ …この先に何かあるのかい」
「…この先にはワイリーの新しいアジト、ワイリータワーがある。気をつけるんだな」
ロックマンは先へ進む。
「テングブレード!!」
「…む?」
竜巻の球が飛んでくる。ブルースは一歩退き、弧を描くように上昇するその球を回避する。
「…ロックマンはタワーに行ったか」
「フォルテか。…お前もロックマンの邪魔をするというのか」
「邪魔してんのはお前の方だろうが!!」
機動力の高いジェット噴射のダッシュでブルースへと間合いを縮め…
「ファイアースラッシュ!」
フォルテは一瞬の動作でバスターの先端から炎の剣を出し、高速回転…
「…!」
ブルースの盾を吹き飛ばした。
「くそっ!!」
その素早さを活かし逃げるが…
「逃げられるかよ、『サンダーカーニバル』!」
電撃の塊になったフォルテがブルースを追いつめる。
「…く」
何とかかわしきった。フォルテが眼前に。
「残念だったな、チャージ完了だ!」
再びビッグバンストライクを放ち、フォルテを倒しにかかる。
だが…
「近距離で威力を発揮するのは俺もなんだよ!」
バック宙蹴り、クレッセントキックでブルースを吹き飛ばし…
「『デッドリーストーム』!」
「!!」
「ぐあああああああああああああああああ……!!!」
-
ロボットが突き破った先はマグマ溜り。
火山ガスが立ち込める中に飛び込んでいくと…
「見えたぞ…!!」
高い高いワイリータワー、その下にはマグマの海。
ロックマンは真っ直ぐワイリータワーへ着地しようとすると…
「!!」
突然、巨大な何かがロックマンを包んだ。
…それは…手。
巨大な巨大なゴリラ型ロボットのものだった。
「ワウ、ワオオオオン!」
ラッシュは跳びかかり、手をどけようとするが
ゴリラはロックマンを掴んだその手でラッシュを殴りつけ…
洞窟の壁面へとたたきつけたのである。
「! …ラッシュ!!」
凹んだ壁には…倒れたラッシュが埋まっていた。
「ガーーーハッハッハ!!」
背後のワイリータワーから声が。
「よくぞここが解ったな、ロックマン
だが残念じゃったな、お前はどうやらこのタワーへは侵入できんらしい」
ワイリータワー最上階を睨みつけるが…
「あの世からワシの世界征服達成を祝っておくれ 名残惜しいが…」
ゴリラの手がバチバチと電流を発し…
「さらばじゃ!」
放電。
「うああああああああああああああああああああああ!!!」
腕の中で、電撃に身を裂かれるロックマン。
「うああああ、ああああ!!ああ!!ああーーー!ああああああああああああああああ!!」
その激痛は、定まった痛みではない。
弱まり、強まり、それでも継続して、激痛をロックマンへ流し込んでくる。
「あああ、あああああああああああああああああ!!!」
咽も枯れる。意識も遠ざかる。体も限界を迎える。いよいよ彼も最期か…
そう思われた時。
「うわっ…!?」
突然ゴリラの手首を青い光が貫き、その掌を開かせた。
「…大丈夫か」
先ほどのロボットだ。
「助けてくれたのかい …君は?」
ロボットの背後へ。
片腕を失った巨大ゴリラが…彼らの元へ近づいてくる。
そして、このタイミングで彼は自己紹介を始める。
「私は『デューオ』 この宇宙から、『悪のエネルギー』を絶やすために戦っている」
「…来るぞ!」
ゴリラが腕を…壁へ叩き付ける。
ロックマンは意識を失ったラッシュを抱えて跳び、逃げる。
デューオは…
「でやああああああああああ!」
青く輝くチョップをゴリラへ見舞う。
頭が…真っ二つに割れる。動きが停止する。
着地、青い光をまとってゴリラへ突進…貫いた。
「…」
彼の掌には、貫通したゴリラのボディから回収した紫色のエネルギーが。
よく見るとその形は…ドクロを象っている。
拳を握り、それを消滅させる。
「これはこの星の言葉で言う『悪のエネルギー』だ。」
そう。このエネルギーが尽きないのは、ワイリー自身が強い悪の心を持っていたためであり、
また心により増幅されるものであるからだ。
「君はあの紫色のエネルギーの持ち主を知っているのか」
「…うん」
「どうやら、今回このエネルギーを手にした者は、恐ろしく強い悪の心を持っているようだ
…すぐにでも倒したいところなのだが」
デューオは、そろえた指の先端からエネルギーを発射、ワイリータワーへぶつけようとするが…
「この通り、強力なバリアによって我々はあの施設に入る事が出来ない」
「…バリアを解除する方法を探すんだね」
「そうだ。どうやら世界の4箇所にバリアの発生源があるらしい。君はそれを絶ってくれ
私はここを守っているとしよう」
「解った、ありがとう デューオ!」
そして、新たな戦いが幕を開ける。
「………とりあえず様子を見るとするか」
ブルースを倒したフォルテは、洞窟の端から様子を眺めていた。
-
「アローショットに…オートシュート?」
「ええ、私のオススメのパーツなの。使ってみて」
新たなるチャージショット2種を手に入れ、
ロックマンはバリアを破壊するための拠点を潰しに向かうのだった。
1箇所目は山間の巨大ダム。泳ぐ機能が付け加えられたロックマンは、
水の中を悠々と泳ぎながらロボットを破壊してゆく。
「その扉を潜って、滝まで泳いでいって!」
扉が閉じられる。
貝の形のロボットや、アンモナイト型のロボットが行く手を阻むが…
上に上昇し水面から脱出、梯子を登って滝へとたどり着いた。
上から下へと勢いよく流れ落ちる水、それに架けられた橋。
「よく来たなロックマン!」
現れたのはフォルテだ。
「僕と戦いに来たのか…?」
フォルテはニヤリと笑い…
「お前との戦いはもう少し待っててやる…
早くワイリータワーまで来るんだな!」
バスターを上へ向けた。
「クレイジーデストロイヤー!」
「!」
グレネードマンの技。
上へ向けられたバスターの先端から爆弾の束が生成、射出され…
1個ずつに空中で分かれ橋に落下、そして…
橋を粉々に爆破した。
「わ、わああああああああああああ!!」
滝へ投げ出されるロックマンとフォルテ。
「あばよ、ロックマン!」
光の柱となり消えてゆくフォルテ。
残されたのはロックマン一人…滝の中を落ちてゆく。
「!!」
「大きなエネルギー反応、気をつけて!」
滝の裏に影…
…オタマジャクシ型と思われる丸い巨大ロボットが現れた。
戦いは、滝を流れる流木の上で行われることとなる。
敵は重い鉄球を投下したり、
マジックパンチを突き出したりしながら戦う相手だったが、
隙を見てフラッシュボムをぶつけ続けた甲斐あり、
最後には爆発しながら落下…滝壺に激突して大破したのだった。
ゴスペルアダプターを入手。
「3つ目の機能か…」
ダム内部へ。
敵の数は大幅に増え、トゲつきの浮きもあちこちに見られたが…
「トルネードホールド!」
水中で使うことで水流を発生させ、誘導することで移動範囲が広がることも。
水から上がり、針だらけで先に進めない箇所の進み方がわからぬまま上段の通路を進むと…
「…落ちるの?」
「危険だけど頑張って!」
一番下が見えないほどの高い場所から飛び降りる。
…飛び降りさせるからには、勿論途中に足場もある。
だが針だらけであり、針のない部分もほとんどが床でもなく、宙に浮く時限爆弾。
着地と同時にカウントをスタートするため、また下へと落ちねばならないこともある。
落ちた先もまた…爆弾。針に触れてはならない。爆弾に着地しなければならない。
そうして落下を続け、最下層へ到着。そこはまたも水のはったフロア。
先ほどと同じくロボットを倒し続け、最後に扉を潜ったところで…
「ロックマン、反応が近いわ…頑張って!」
-
ダムの最深部。巨大水槽の上に架けられた金網の足場が戦いの場。
「…」
水面で泡が弾ける音が2つ、3つ。
「どかーーーん!!」
大きな水の柱が水の中から突き上がり…
その中心に丸っこい人型の影。
着地したそれはユーモラスな姿をしたロボット。
「水も滴るいい男!やっと出番だぁ!アークアマン様だ、ぼよおーん♪」
体全体がタンクで出来ており、頭の中では水がボコボコと泡を立てている。
ハイテンションなロボットが現れたようだ。
「ぃよおっ!!」
アクアマンは飛びあがり…
「どかぁん!」
ロックマンの足元の水が沸き踊り…
硬化、水の柱が突き上がる。
「!!」
スライディングで距離を取り、アローショットで水の柱を貫通しにかかる。
だが…
「!?」
アローショットは水の柱に阻まれて…全て打ち消されていった。
アクアマンは小さく飛ぶと水の柱を水風船のように柔らかい塊に分解、水に戻していった。
「『ウォーターバルーン』!」
アクアマンの特殊武器の一つ目…水を球状にして撃ち出すというもの。
ただの水だろう…とは思うだろうが、先ほどの水の柱と同じく、ただの水ではなくなっている。
氷より重い…圧縮された水が撃ち出され、ロックマンを押しつぶしにかかる。
「うわ!!」
どうやら水の性質を自在に変えることが出来るらしい。
遠くから近くへ、角度を変え自在に撃ち分けられる水の球。
ロックマンはアローショットをアクアマンへ撃つ。
一直線に大きな光の弾が飛んで行き…
「ぼよぉおおん!?」
衝突と同時に拡散、小さな弾となって更にアクアマンの体を吹き飛ばしてゆく。
「痛いぼよぉおお!!」
アクアマンが頭を押さえながら、ウォーターバルーンを出し切った腕のバスターを
水面へと向けた。
大量の水が吸い寄せられ…アクアマンのボディの中で変質を起こす。
そしてその腕を向け発射。
「ウォーーーターーーキャノンーーー!!」
「!?」
アクアマンの第二の武器。
極限まで固められた水がアクアマンの腕から撃ち出される。
軽々とかわせるものである…はずだが。
「う、うぁあああああ!」
それは曲がりくねってきた。様々に屈折し、ロックマンの体を突き飛ばしてくる。
「うっ…」
「もう一発いっくぼよーーーん!」
更にウォーターキャノン。
今度はどこで曲がるかを見極める。だが…曲がらない。
ロックマンに近づいてきた。…曲がらない。
…直進だった。ロックマンは飛び越え、キャノンは壁へと激突しただの水に戻る。
「…うっ、く」
「もっとリアクション頼むぼよおおおおん!」
飛び跳ねて…
「はい、ウォーターバルーン!!」
素っ頓狂なタイミングで特殊武器。
とはいえ、撃っている間は無防備なので連射攻撃でたたみかけ。
飛び上がったところを回避、
アクアマンが水の柱をバルーン状に戻す瞬間を狙い…
「いっけぇええ!!」
アローショットで攻撃。
「ぼよ!?!?」
二重の攻撃がアクアマンを攻撃。そして…
パリンという音がし、アクアマンのタンクボディを破壊。
「さよーーーなら!!」
消滅していった。
「悪のエネルギーの反応が、なくなった…」
前はそれを内包した球体が出ていたというのに。
-
何故アクアマンから悪のエネルギーを詰めた球体が見つからなかったか?
反応は確かに本物だった。では一体何が起こったというのか…?
…ゴリラ型の巨大ロボットをデューオが倒したときのことを思い出してみる。
球体を拾ったのではなく、彼はロボット内部の悪のエネルギーを直接手に掴み、消滅させていた。
…そう。悪のエネルギーを取り入れる技術は僅かな期間の間に進歩していた。
直接ボディの中に吸い込まれるように取り込ませることが可能になっていたのだ。
次なる場所は巨大な遺跡風の建造物。
ジャングルの奥地に開けた広場にあった大きな顔。
数歩前のスイッチを足で踏むと、それは大きく口を開け…
中からバットンの類に属する蝙蝠型ロボットが大量に飛び立ち、ロックマンの視界を真っ黒に染める。
「…行こう」
入ったはいいが、真っ直ぐ奥へ進む道は顔の像で阻まれている。
なので、まずは梯子を登って、広間へ。
…4つ壁画が並ぶ、4つの顔の口の中には…
「…この紫色の球体は?」
「ワープゾーンみたい。…壁画が何を意味しているのかは…
まあ大方その特殊武器を使うんでしょうね」
雷の壁画の先の部屋では、処刑用の装置が動く中をサンダークローを使って装置を止めたり、渡り歩いたり。
氷の壁画の先の部屋では、炎を吹き出すロボットがひしめく中を、アイスウェーブでロボットを凍らせて渡り
竜巻の壁画の先の部屋では、プロペラで浮く装置をトルネードホールドで誘導、もう一つの装置と結合させ
爆弾の壁画の先の部屋では、フラッシュボムで部屋を照らし壁画の示す色の通りにスイッチを押して扉を開け
奥への通路を阻む4つの顔を全て開けさせたのだった。
その奥には、下の部屋へ通じる穴のみ。
「…マグマがゴポゴポ言ってるんだけど…焼却炉とか処刑部屋とかそんな感じかな」
「……この下で正解なはず、だけど…」
恐る恐る降りてみると、そこには頼りなげな石の床が1枚…マグマの海が目前に見える。
「!!」
マグマの海から、壁にくっついて車輪で上下する奇怪な半円形の顔ロボットが現れた。
上下に対称な形をしており、上下それぞれのパーツに目と車輪がついている。
それはカパッと上下に分かれて口を開け…中にある水晶のような物体が炎を放ちだす。
「…あれは多分…ゴスペルアダプターだね」
「エネルギー反応からするとそうなるわ」
そのロボットの攻撃は、その炎を放つことのみだった。
上下上、下上下と撃ち分けたり、間を開けて3連射したり、続けて3発撃ち続けたり。
…だが、そう簡単に勝たせてくれるわけもなく。
一つ目のハンマー型ロボットがマグマの海をすいすい泳いで現れ…
ロックマンの足元にある石の床を叩き始めた。早く倒さねば…とも思うが、敵は口を閉じており、攻撃のチャンスはない。
「わ!!」
そして石の床が粉砕される。その下にあったのは…マグマの海に浮かぶ石の柱。
どう見ても今破壊したハンマー型ロボットの標的。
ハンマーの攻撃をかわしながら、心もとない柱を飛び移りながら、炎を避けて顔ロボットを破壊しなければならない。
だが敵も相当追い詰められていたようだ。それから戦いが再開されて少し攻撃を加えると、顔ロボットはコアを破壊され…
大きな口を部屋の上から下までガバッと開き、コアの動力はゴスペルアダプターに戻ったのだった。
その先はマグマの海だった。
ぷかぷかと浮かぶリフトを手動操作し、一気に突き上がるマグマの流れで上へ進んだり、
流れるマグマの中で、そんな小さなリフトの上で、襲い掛かる蝙蝠型ロボット達を蹴散らしながら…
とうとう遺跡の最深部までたどり着いた。
「…巨大なエネルギー反応!!」
「!?」
-
落ちてきたのは巨大な、土で作り焼いた仮面のようなもの。
「…これがロボット?」
いや、違った。それが内部から切れ込みが次々に入り…粉々に砕けた。
中からワイリーナンバーズの、異様な姿をしたロボットが姿を現す。
…上半身と下半身で分離していて、磁力の力で繋がっている長身のボディ。
そしてその内の上半身には、大剣が装備されている。
「私の名はソードマン… 悪いがお前を斬る!正々堂々、勝負だ!」
上下に分かれたボディでも、何ら支障はないらしい。
彼は巨大な剣を地面へ突き刺し、精神を昂らせた。
「ゆくぞ!」
剣を引き抜いて勝負は始まる。
「ファイアースラッシュ!」
ソードマンは始まるなり、上半身をとてつもない勢いで回転させ…
下半身と分離、上半身のみを壁に向かい飛ばし始めた。
高速で迫り来る刃。ロックマンはスライディングでそれを潜り…頭へ一撃。
ソードマンの上半身はそのまま壁を回転し斬りつけ…その摩擦で壁を焼いて再び戻ってきた。
「やるなぁ…」
ソードマンは感心しているが、こちらはそんな場合ではない。アローショットを放ち、拡散弾をソードマンへ。
「うぉっ!」
続けて連射攻撃を浴びせるが…
「ならば仕方あるまい!」
ソードマンは攻撃のため、構え始めた。
「必殺!」
ソードマンが上半身のみを宙に高く飛ばし、走ってきた。
「!?」
ロックマンはとっさに走ってきた下半身を飛び越えることしか出来なかったが…
ソードマンは高さこそ違えど、同じように上半身は下半身の真上にあった。同じく走っていたのだ。
上半身は部屋の端に来たタイミングで下半身と再び結合。上半身だけが振り向き…
その体の捻りを利用して、最大限の力で剣を振るう。
「『フレイムソード』!」
地を焼く熱き刃は、ロックマンの体をいとも簡単に焼き斬った。
「うああああああああ!!」
だがソードマンは体勢を戻すのに時間を要していた。
「ぬう…」
流石にこの必殺の一撃は発動後の隙が大きい。 …次来たときは食らわない。
「行くぞ!」
ファイアースラッシュの構えだ。スライディングで回避、剣でショットは弾かれるのでその間にチャージ…
「行けえええ!!」
戻ってきた上半身をアローショットで撃つ。
「うぬ…!!」
負けじと今度はフレイムソードを放つつもりらしいが…
「見切ったぞ!!」
ロックマンは下半身を飛び越えてすぐにスライディングで距離を取り…
「フレイムソード!」
斬りつけたときに大きく跳び距離を開け、上半身へ向けアローショット。
「負けはせん!!」
ソードマンが下半身ごと後ろへと飛びのく。
…何かがある。
「!」
登場時と同じ、土の仮面が落下してきた。
ロックマンはスライディングでそれを回避…
体勢を直立へ戻す勢いで飛び上がりソードマンへとアローショット。
「ぬ…」
「…ならば!!」
ソードマンは追い詰められた…だが、降参することはない。
大剣を地面へと勢いよく突き刺し…
「フンッ!!」
戦士は闘気を炎として具現化し、天高く立ち上らせ始めた。
「………………!!!」
言葉は発しないながらも、感じ取れる…
凄まじい熱と、気合。
戦いの熱が、炎の渦となり彼を囲み、彼の精神を包んでゆく。
それから放たれる剣撃は凄まじいものになるであろう。
…それをかわしきってこそ…戦いか?
いや…それは全力を出し切った後でだ。
…今はまだ、そのオーラを貫く手段を試してはいない。
「ウォーターバルーン!」
アイスウェーブでは冷たいが軽く、上半身には届かない。ならば。
圧縮された水の塊はソードマンの炎のオーラを突き破り…
「おおおお…!!」
ソードマンの体に命中。爆ぜて全身へと行き渡る。
高温から低温へ。温度差が全身を歪ませ………砕く。
「うぉお…お…」
ソードマンが動けなくなった。
もう一発ウォーターバルーンを放ち追撃。
「…必殺…!」
それでも尚必殺の一撃を放たんとするソードマンの攻撃をかわし…
彼の剣撃の間合いへ自ら入り…
「最後だ!!」
零距離チャージショット。
「…っ!!」
…彼は…動きを止め、
「…いい試合だった …完敗だ」
…剣をつき、そのまま…
「…そなたは」
炎そのものになった。
「…英雄だ」
-
なんとなく思い浮かんで独断と偏見で書いてみた結果がこれ。ネタないね仕方ないね
数字だけなので気になったらAnAnスレで初心者のふりして「一般的に普通」のラインを聞くといいかも試練
AnAn的格付け
廃人・リーマス在留、イベント大会TOP100にIN、総合TOP50orジャンルランクTOP10入り、PO率70%以上
上の上・リーマス在留、イベント大会タワー110階越え、総合ランキング300位内、PO率65%以上のいずれか3つ
上の中・リーマスSSスパ、イベント大会100階越え、総合ランキング1000位内、PO率60%以上のいずれかの2つ
上の下・SSSスパ、イベント大会80階越え、PO率60%以上のうち2つ
中の上・SS〜Aスパ、プロ、PO率55%以上
中の中・ノンプロ未満、SAスパ、PO率55〜45%付近
中の下・ASスパ、PO率50〜45%付近
下の上・BAスパ
下の中・Bリーグ在留
初心者・CリーグからBリーグに上がりたて
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深い深い森の中…虹のかかるジャングルが次なる戦いの場所。
「敵の数が異様に多いから…気をつけてね」
地面にはバッタ型ロボットにサイ型ロボット、空には鳥型ロボット。
上から下から色んなロボットを倒して、
広い空間の中を奥へ。
建造物内部へ進んだところで、トラップの数も増えてきた。
プロペラで宙を浮く、トゲのついた鉄球など。
梯子で行けない高いところへはトルネードホールドの竜巻を使い上昇するなどして
ネジを集めながら、進んでゆく。
基地内には、衝撃を加えることで作動する扉も存在する。
だが、その扉が開くのも僅かな間のみ。
針の上の扉などは、開けてからサンダークローをフックに引っ掛けていては間に合わない。
サンダークローで渡った後、投げ出されながら扉にぶつかる前に
空中でバスターで扉をこじ開け侵入するという高等技術を要した。
この場所においては、それ以外にもサンダークローを重宝することとなった。
針のトラップの上を、フックに次々に引っ掛けて渡ることが多く、
まず奥へと進むために必要な道具となっていたのだ。
とはいえ、後は敵が多い以外は特に変わった所などもなく、
沢山の敵との戦いを終えてロックマンは基地の最深部へとたどり着いた。
建物の中にありながら、草木の生えた模擬戦用のスペースと思われる。
「……反応はすぐそこにあるんだけど…注意ね」
「うん、わかってる」
しかしここで…
「…あれ? ロック…通信が……繋がらな…」
「ろ、ロールちゃん!?」
それが敵のやり方だった。
二つの赤い照準が現れ、それぞれ宙の一点を示し始めた。
それらは同時にくるりくるりと動き、
最終的に一つの茂みに照準を合わせる。
「!?」
茂みの中からミサイルが放たれる…
が、
すぐさまターンして照準の通りに元の茂みの中へと潜っていき…
大爆発。
以上の派手なパフォーマンスで茂みの中から現れたのは、
ワイリーナンバーズの一人…いや、二人というべきか?
「…君、たちは?」
「「サーチマン、OK?」」
そう、それはクラウンマン、ソードマンに続き特異なデザインのロボット。
一つの体に二つの頭。警戒を怠らぬ迷彩兵サーチマンが相手だ。
「作戦開始!」
「イエッサー!」
サーチマンは高く跳びあがり
「とぉっ!!」
刃のついた回転体を投げる。
「…わ!?」
部屋の中を縦横無尽に跳びまわるその物体。
だが、サーチマンが投げた高さからロックマンの体に直撃する高さまでは時間がある。
その間に軌道を読む事が出来る。
「効かないよ!」
飛び上がりアローショット。
次にサーチマンが取った行動は…
天井裏に逃げるというものだった。
「…何をするつもりだ!」
そして落下してきたのは3つの茂み。
「この中のどれかに隠れてるのか…?」
気配は完全に消していて、どの茂みに居るのか想像もつかない。
「あ…!」
登場した時と同じ赤い二つの照準が現れる。今度はその照準が探すターゲットは…
彼だ。
照準から全力で遠ざかろうとする。だが…
その動きは速く…そしてその数も二つ。
あっという間にロックマンは二つの照準に捉えられ…
-
「「『ホーミングスナイパー』!」」
サーチマンに特殊武器を使われる結果となる。
茂みの中から姿を現したサーチマンは、その瞬間に腕から大量の小型ミサイルを発射してきた。
高精度な上に数もあり、その上速度も半端ではない。
「うぁあああああああ!!」
照準を当てられたが最後の技と思って差し支えないだろう。
「作戦続行だ!」
「了解であります!」
サーチマンは再び茂みに隠れた照準を出す。同じパターンである。
「これをかわすことが出来なければ…」
ホーミングスナイパーが飛ぶのだろう。
赤い照準が一直線に飛んでくる。それを飛び越え…
もう一つの照準が上から来るのでスライディングで回避。
また照準が動いたのでそれも飛び越え、ということをしていると…
「照準で追ってなんかいないで、出て来るんだサーチマン!」
その言葉に応えるように…
「撃ーてぇい!」
サーチマンが直接撃ちに茂みから出てきた。
「…ファイヤー!」
飛び上がり、ミサイルを広範囲に落とす。
追尾性能は0.これなら…。
飛び上がりアローショット。
「痛てぇ!」
「アタッ!」
また飛び上がり刃のついた回転体を放ってきたのでそれもかわして背後から…
「オートシュート!!」
チャージショットの亜種である超連射で一気に押しつぶしにかかる。
「ぬう…」
「危険であります!」
サーチマンは慌てて、再びミサイルを撒きにかかるが…
ホーミングスナイパーでないならさして怖くない。
近づいてフレイムソード。
…熱を帯びた刃がサーチマンを斬り付ける。
「てぇえっ!!」
「どうしましょう!?」
「止むを得ん、アレを使うぞ!」
「もったいぶる必要はないのでは!?」
サーチマンが空中にホバーで浮遊し始めた。
そして力み…ハッチになっていた胸のパーツを開く。
…現れたのは…
「「『デッドリーストーム』!」」
胸部に現れたのは、無数の砲門。
そして…大量のミサイルが、次々にロックマンを襲う。
「わ、ああ!わ!わああ!わあああああああ!」
逃げど逃げどミサイルの雨がロックマンを追う。
「続けろ!」
「了解!」
大量のミサイルの雨をかわしきることは不可能。
この攻撃の対処方法は一つ、ホバーで浮いた段階で撃ち落とすべきだったのだ。
「……く」
…だが、ミサイルの雨は止む気配も見せず。
かくなる上は…
ロックマンは決意した。どんなに攻撃が来ようとも、回避することをやめ、
サーチマンが倒れるまで攻撃を続けることを。
「行くぞサーチマン!」
アローショット。
「うっ!!」
着地してすぐ食らっても尚アローショット。
「ぉお…!!」
分裂前の弾、分裂弾と二段攻撃を食らったサーチマンは落下。
それでも尚アローショット。
「まだまだ!!」
ミサイルを放つが、まだ攻撃の手は緩めず。
「く…!!退避!!」
茂みに隠れ、ホーミングスナイパーの体勢に入る。
「無駄だ!」
素早くフレイムソードへ変更、茂みへと振るい…
炎の刃はサーチマンを斬りつけた。
「ガッデム!」
「Noooo…!!」
茂みに引火、炎の中からじたばたと暴れる燃え盛るサーチマンが現れ…
飛び上がったところに最後のアローショット。
「!!」
サーチマンは目を丸くしたまま、大の字になってピタッと動きを止め…
「ワイリー万歳!!」
戦死した。
-
バリア解除のために各地を回る戦いもこれが最後…なのだが。
まず、問題から始まった。
「…4箇所目はその地点なんだけれど…何かある?」
…何もないのだ。
敵が占拠していた箇所はプラネタリウム。町の真ん中にそびえる大きな建物である。
「……」
空き地をぐるぐると周るロックマン。
…やはり何もない。
「…何があったんだろうね。」
突如建物が消えた点、近づいた者が夜に襲われるという不可思議な点。
…わからない。
ロックマンはひとまず、空き地に寝そべって、時が経つのを待つことにした。
「…」
機能の一部を停止、太陽光で充電。…眠って体力を温存しておくのだ。
「……」
そして…彼は現れた。
「!!」
眠っていたロックマンを撃ったのだ。
「フォルテ!」
ロックマンはそれに感づき、素早く飛びのいてチャージショット。
しかし。
「…」
バスターは彼の体をすり抜け…フォルテはニヤリと笑い、消滅。
…攻撃を行うことの出来る、特殊なホログラフィのようだった。
「…一体…」
「気付けよ」
今度は背後からフォルテの声。
「……それは…」
フォルテの背後に扉が開いている。
…空間の中にポツンと、一枚の扉。
「お前の探してるやつはこの先にいる …早く行くことだな」
フォルテはそのまま姿を消した。
「…」
そして扉の中へ。
「…ここは」
真っ赤な空。
空に浮き、形を変え続ける謎の物体。
出たり消えたりする台座。
そこは、高いものは4m、低いものは2m
大小さまざまの、機械のヒマワリが並ぶ世界だった。
「…お花畑…」
どこまでも、どこまでも…どこまでも続く花畑。
花の中心には二つの棒。 …太く短いものと細く長いもの。
…そう、時計だ
それらが示す時間は全て異なる。
元来た扉は…砂になって消えていた。
…誰かの影が見える。それは…
「…クイックマン ここは…どこなんだい」
…触れてみるが…すり抜ける。
「…ガッツマン!」
…同じことだ。
「…こっちはスネークマンか
ファラオマン…チャージマン…トマホークマンに…シェードマン……」
…そして二人並んで楽しげにじゃれ合う、クラウンマンとフロストマンの姿も。
「…死の 世界…?」
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