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【ミ】『撃的』

440『最悪の相性』:2021/04/14(水) 22:07:20

    「それで、次の『対戦相手』は決まったのかよ?」

『ラクアクア』のカウンターに両足を乗せ、背凭れに身を仰け反らせた少年。
『吉田』はマグカップを手にしたまま、冷や汗を浮かべていた。

    「『東雲』と『太田垣』、俺の活躍中に『入院』とか、残念だったなぁ。
     ――――いいや、向こうさんはホッとしてるかもなぁ」

    「この前の『ナビール』は、ソッコー死んでたけどさぁ」

    「――――『吉田』さん。アンタ、やる気あるのかよ?」

ズケズケとモノを言う『少年』を前に、『吉田』は静かに『マグカップ』を置いた。
コーヒーに波紋が立つ。手の震えを示している。

    「いいんだぜ。あの『タダヒト』ってのを呼んでも」

    「外人で回りを囲って、『Aランク』に挑ませないようにしてるんだろ?」

    「便利なシステムだよなぁぁ〜〜〜〜ッッ
     『格』ってやつを守るのには、サイコーじゃぁん!」

『吉田』は、この『少年』を恐れている。
勝つためにはなんでもやる。――――その一点のみに畏敬を持っていた。

    「まあ、いいんだけどさぁ。アンタに1mm足りとて『期待』していない」

    「今日は『対戦相手』をアンタに紹介しにきたってわけだ」

    「『夢』の中でお願いしたんだよ。――――あっ、ロマンチックな話じゃないぜ」

    「『需要』と『供給』がマッチする。
     ――――俺が『Bランク』に格上げするために」

『アリーナ』において、『八百長』の疑いがある以上、
『対戦相手』が『対戦相手』を連れて来ることは認められない。
それを解っている。解った上で、この話を持ち掛けている。

    「アンタらも知っているんだろ。『仲介人』の『曳舟』。
     俺が『Bランク』に挑む為に、わざわざ『噛ませ犬』を用意したってわけだ」

    「『需要』は俺。『供給』はソイツ」

    「――――いいでしょう。『曳舟』さんの名前を出されては、
     私も、決して無下にすることはできませんから」

『吉田』は頷いた。この少年に試合をさせたくなかったわけがある。
だが、『曳舟』の仲介を袖には出来ない。彼は『吉田』の命を救った恩がある。

    「それに、貴方は『アナーキー・イン・ザ・UK』をナメている……」

    「『運命』は決して、都合よく傾くものじゃあないんです」

    「だからどーした。俺ならそれが出来るってことじゃあねぇの?」

    「くだらねぇー説教してねぇで、さっさとセッティングだよ」

    ドンッ!   ドンッ!

踵が二度、カウンターに打ち付けられる。
『吉田』は立ち上がる。飲みかけのコーヒーを置いて、電話を掛ける。

    「(くだらねぇー、どうせ前半はヤジぶっこんで、後半で大団円だろ?
      『〇〇君強かった!』  『××君頑張った!』ってか――――)」

    「(10-0でぶっ殺してやるよ。二度と、スタンドも出せねぇくらいに)」

その『対戦相手』は、果たして――――



.

441『最悪の相性』:2021/04/20(火) 22:41:19
校庭の片隅に生える桜木も、すっかり散り始めた頃。
僅かに残った薄桃色の花びらが、風に乗ってふわりと舞う。

      ヒュゥゥ――――

『氷山あきは』は帰路を急ぐ途中だった。
まっすぐ『家』に帰るわけではない。目的地は『映画館』だ。
校門を抜け、その足は『駅前』へと向かう『バス停』へ急ぐ。

┌──────────────────
│虚空の中で、心は生きる――――
└──────────────────

本日、封切りとなった『時代劇映画』。
テレビドラマで活躍する『人気俳優』をこれでもかと盛り込みながらも、
脇を締める『いぶし銀』なキャスティングに加え、脚本・時代考証には、
エンタメ方面にも評判の明るい『大河ドラマ』で名を馳せた面々が集う。

故に、『氷山』のときめきも――――

    「お前、『氷山あきは』だろ?」

         ドンッ!

名前を問う、というよりも『確信的』な色合いを持つ。
『氷山』に『人影』が被さり、学園を囲む『ブロック塀』への後退りを余儀なくされた。
視界の端には伸びる腕。目の前にはスカイカラーのブレザーに、臙脂色のネクタイ。

            ヤ
    「お前、俺と『闘』れよ」

間違いない。――――これは、『壁ドン』だ。

442氷山『エド・サンズ』:2021/04/20(火) 23:24:35
>>441

「ふふ・・・ うふふふ・・・・!」

新学期が始まり、新しい事が始まる気配に溢れた春の日々
クラス替えで生じた新しい人間関係に一喜一憂しながらも、心は躍る
今日は以前より心待ちにしていた『映画』が公開されるからだ

ちょっとした騒動により公開延期となっていた作品ではあるが、
公開されたトレーラー映像に期待は否応なく膨らんでいく

最高のスタッフを揃えた最高の作品になるだろう!
期待に胸を膨らませながら早歩きで歩みを・・・・・・

>    「お前、『氷山あきは』だろ?」

>         ドンッ!


その歩みが無粋な輩に邪魔をされてしまった
パーソナルスペースに無遠慮に入り込むその挙動に、思わず「ムッ」とした顔を作る

>            ヤ
>    「お前、俺と『闘』れよ」


紛れもない『壁ドン』のシチュエーションだ
女子の中には甘い囁きに心奪われる者もいるだろうし、
今どきの女子の中にはこういうシチュエーションはもう飽きたよ、と思う者もいるだろう

だが、氷山にとっては・・・・

「誰です・・・・? あなた」

この手の甘いだけのシチュエーションは『好みではない』!
一応、この状況を作り出した『人影』の顔立ちをチェックしながらも、
彼の顔を睨みつける様に見つめる

443氷山『エド・サンズ』:2021/04/20(火) 23:35:32
江戸期の『捕り物』に用いられた『捕具』を発現する。
発現はスタンドの手だけでなく、射程内の『味方』の手にも行える。
半自立型スタンドでどこか和風の意匠を持つデザインの人型。

『エド・サンズ』
破壊力:B スピード:C 射程距離:D(3m)
持続力:B 精密動作性:C 成長性:B
詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/139

持ち物
財布 スマホ 学生手帳 カバン 教科書 ノート スマートウォッチ

服装
清月学園高等部の制服

プロフィール
栗毛色の髪を肩のあたりまで伸ばした高等部一年の女子生徒
『時代劇』のクライマックスのような素晴らしい場面や、主人公のようなかっこいい人物が好き
自分のスタンド『エド・サンズ』のファンであり、彼がかっこいい事をすると楽しい

普段は常識的に振舞おうとしており、自分自身それなりに常識はある方だと思っているが、
『いい場面』を見る為なら、この街の『裏側』や『トラブル』に積極的に関わる事を辞さないし、躊躇しない

444『最悪の相性』:2021/04/21(水) 21:40:24
>>442-443(氷山)
無遠慮に接近した『人影』に不快感を示し、
『氷山』は顎を上げて、声の主の仔細を確認する。

>「誰です・・・・? あなた」

    「俺が誰かはどーでもいいだろーが」

    「闘るか闘らないか、その一点のみを訊いてるわけよ」

声の主は『氷山』と同じくらいの年頃の少年だ。
身長は優に『180cm』は超えており、スマートな体格を包むのは、
スカイブルーのブレザーに千鳥格子のスラックス。臙脂色のネクタイ。
県内の『進学校』の制服であると、『氷山』は朧気ながら思い出した。

真ん中分けの黒髪のショートヘア。顔立ちは中々のイケメンだ。
流行りの『キンプリ』に混じっても、遜色のない面構えにも思える。

    ブロロロロロロォォォ―――――

少年の背後を『スクールバス』が横切り、バス停の傍に停車する。
高等部の下校時間に合わせた、この『スクールバス』を逃せば、
『映画』の上映には間に合わないだろう。

――――初回封切りというのもあり、『氷山』の購入した鑑賞券は『完全予約制』だ。
仮に今回の上映を見逃した場合、次にチケットを変えるのはいつになるか……。
(※クソ映画だった場合、スムーズに見られるだろうが、それは望ましくないだろう)

    「おっ、『氷山』じゃん」

    「『映画』間に合わねぇーぞ」

    「ん……? 誰だソイツ?」

状況をよく解らないまま、『氷山』のクラスメイトが声を掛けてきた。
このまま、謎の状況を茶化されれば、『映画』に間に合わない――――

445氷山『エド・サンズ』:2021/04/21(水) 23:00:11
>>444

「やるか、やらないか、だなんてそんな・・・・」

見ればなかなかに格好の良い男子である
趣味の良いデザインの制服に包まれた体格はスラッと整っており、
顔立ちの良さや清潔感のある髪形など、友達が見れば黄色い歓声をあげるだろう
一歩間違えれば痴漢ギリギリの台詞も、これだけのイケメンが言えばワイルドなナンパの一種のようにも聞こえる

だが、氷山はその発言に不穏な気配を感じた

(闘るか・・・・闘らないか・・・・ それってつまり・・・・)

感じ取ったのは、かつて出遭った人達と同じ
闘う者達に共通する『闘志』のような、そんな雰囲気だ

「つまり、あなたは・・・・」

>    「おっ、『氷山』じゃん」

>    「『映画』間に合わねぇーぞ」

>    「ん……? 誰だソイツ?」


返答を遮る様に『クラスメイト』が現れた


(うっ・・・ ま、まずいですよ、これは!
 この状況、この構図・・・・〇〇君(※クラスメイトの名前)が見たら確実に誤解される!
 それにこのまま絡まれ続けるのも非常にまずい・・・・!
 事前に予告編がある事を想定しても、あのバスを逃したら・・・・確実に映画に間に合わない!
 こ、こうなったら・・・・・!)

「あ、〇〇君、良かった、丁度いい所に来てくれた!
 変な人に絡まれて困ってたんですよ! 私はこれから映画を見に行くんだって言っても全然離してくれなくて
 助けてください!」

あえて、何の力も持たないか弱い女子の様にクラスメイトに助けを求める
氷山だけが目当てであれば、一般人に対してわざわざ暴力を振るう必要はないはずだ
彼に『闘う者』の矜持のようなものがあれば、なおさらだろう

446『最悪の相性』:2021/04/21(水) 23:26:25
>>445(氷山)
端正な面持ちに惹かれるわけでもなく、
『氷山』が覚えたのは『警戒』。それも痴漢やナンパに対するものではない。

>(闘るか・・・・闘らないか・・・・ それってつまり・・・・)

言動を含め、醸し出される『闘志』に対するもの。
その『闘志』を『氷山』が浴びるのは、決して初めてではない。
――――だが、少なくとも、今はその『場』だと望んでいない。

>「あ、宝木君、良かった、丁度いい所に来てくれた!
>変な人に絡まれて困ってたんですよ!

    「おいおいおいおいおい、余所の制服着て何やってるんだよ!」

名前を呼ばれた『宝木』は事態を把握し、少年へと詰め寄っていく。
普段の気さくな振る舞いから考えると、『意外』とも言える勢いだ。

    「(ら、ラッキー!  『氷山』とお近づきになるチャンス!

      『初回鑑賞券』は当たらなかったから、こりゃあダメだと思ったが、
      コイツぁ、勝利の女神も俺に振り向いた、ってもんだぜ!)」

    「(頑張れ、『ラギちゃん』! 今が男の見せどころだぜ!)」

    「(この後、なんやかんや色々あって、青春ロケットぶっ放してくれよな!)」

『宝木』の思惑は不明だが、『氷山』を助けてくれるのは間違いないようだ。
他の二人(『柴山』と『池田』)は勢いに押されたのか、特に近付こうとはしない。

    「そこらの文化部ボーイを利用して、『足止め』するってわけか。
     なるほどなるほど、芋っぽい見た目に反して、強かな手を使うじゃん」

    「テメェ、俺は卓球部だよ!」

少年は憎まれ口を叩くが、特に『荒事』に興じるつもりはないようだ。
『スクールバス』が停車している。今乗り込めば間に合うだろう。
無論、他校生は『スクールバス』には乗れない。

447氷山『エド・サンズ』:2021/04/22(木) 00:31:12
>>446

「あれ? 宝木君ってこんなに頼れる人でしたっけ?」

普段の文化系然とした気さくな態度とは打って変わって、
オラオラとした振舞いを見てそう呟く

何か、心に秘めた想いがあるであろう宝木君の行動に驚き、
背後で宝木君の友達が彼の行動を応援している様子に気づく

(う〜〜〜〜ん・・・・ 何か、宝木君に貸しでもあったかな?
 おススメの『DVD』を貸した事? それとも、教科書を貸してあげた事?
 そんな事でこんなに頑張ってくれるとは思えないけど・・・・まあいいか)

だが宝木君のその思いは氷山には届かなかった・・・・!
脳内で見当はずれな『貸し借り』に思いを馳せながら、『スクールバス』に急ぐ

そして、バスに乗る直前、彼らの方を振り向いて、言った

「そんなにお望みなら、映画の後に『お相手』しますよ
 そっちの方が時間も取れて、都合が良いでしょう?
 駅前の『こぜにくろう像前(カップルの待ち合わせ場所として有名)』で待っていてください
 それならあなたに『付き合って』あげてもいいですよ」

そんな言葉を彼らに投げつけながら、バスに乗ろうとする

448『最悪の相性』:2021/04/22(木) 22:17:51
>>447(氷山)
少年を背にし、『氷山』はスクールバスに乗り込んだ。
その去り際に『約束』を告げて。

> 駅前の『こぜにくろう像前(カップルの待ち合わせ場所として有名)』で待っていてください
> それならあなたに『付き合って』あげてもいいですよ」

    「ウソ……だろ……?」

        ポンッ

オラついた『宝木』の威勢がピタリと鳴り止み、わなわなと震える。
思案顔を作っていた少年が、同情するかのように肩に手を置いた。

    「地を這うアリンコにとっては、
     プランターの花も『高嶺の華』ってことだな」

    「『ラギちゃん』! 深く息を吸え!」

    「まだ間に合う、まだ間に合うって!」

何を騒いでいるか『氷山』には検討も付かないが、
何はともあれ、スクールバスは定刻通りに発進する。

付近のバス停に留まる市営バスの発進は、確か『20分後』だ。
『氷山』は一度、スクールバスを逃した後、時間を潰して市営バスを待った記憶がある。
わざわざタクシーでも呼ばない限り、少年が『氷山』に追い付く手段はないだろう。

     ブロロロロロロォォォ〜〜〜〜〜〜ッッ

    ・

    ・

    ・

駅前の『バス停』から『映画館』まで、すぐ近くだった。
鑑賞券を手にした『氷山』は、指定された座席へと腰掛ける。
『映画泥棒』のCMや鑑賞マナーを喚起する動画が流れ、
もうすぐにでも『本編』が始まろうとするところだ。

    ・

    ・

    ・

一言で言えば『超大作映画』だった。
役者の演技は鋭く、観客の感情を揺り動かして止まない。
ディティールに凝った小道具の数々、脚本の筆力は運命を描いたように、
史実の壮大さとキャラクターの心情を絡ませ、見事なラストシーンを演出する。

この映画を見てどう思うかは『氷山』の心情次第ではあるが、
席から立ち上がる観客達は、いずれも満足そうに吐息を漏らしていた。

    「あのタイミングで『坂本龍馬』とバッティングしなくね?」

    「史実じゃあ、十年は先の話なんじゃあねぇーの?」

一人一人、観客達が座席から去っていく。
エンドロールも終わり、既に『映画』の役目は終わったはずだ。

    「デカい事件に絡ませたかったから、整合性は無視したんだろうけど」

    「気付いちまうと、こーいうのは興醒めするんだよな」

     ズゾゾゾゾゾゾ ・ ・ ・ 

『氷山』の背後の座席から、聞き覚えのある声がする。

449氷山『エド・サンズ』:2021/04/23(金) 00:46:12
>>448

背後で意気消沈する『宝木君』を尻目に、スクールバスに乗り込む
どうやら、一人の男の『青春』が始まる前に終わってしまったようだが、気づかない
そんな事よりも、余裕を持って劇場へ入り、全身全霊で鑑賞に集中する必要があるからだ

     ブロロロロロロォォォ〜〜〜〜〜〜ッッ

    ・

    ・

    ・

劇場に着くとちょうど予告編が始まるところであった
ポップコーンやドリンクを買う時間はなかったが、必要ない
初見の映画を見る上で、どんな情報も取りこぼすわけにはいかない だからだ
そして、本編が始まり・・・・・・


「・・・・・・うん」

素晴らしかった

まず、思ったのはその一言であった
原作の物語を上手く実写のリアリティに落とし込んだ脚本の筆力は言うに及ばない
コスプレ感のない、それでいて現代的にアレンジされた衣装は古臭さを感じさせず、
それでいて、その世界の中で生きている実感を感じさせられた

史実を絡めたストーリーラインは激動の時代を生き抜いた人々の精彩を放つ人生観を映し出している

心の『ベスト・オブ・ベスト』だ
この余韻を胸に残し、しばらく席に残っていたが、一人また一人と席を立つ観客を見て、腰を浮かせる

>    「あのタイミングで『坂本龍馬』とバッティングしなくね?」

>    「史実じゃあ、十年は先の話なんじゃあねぇーの?」

「むぅ・・・・」

無粋だ、とそう感じる
映画という物はフィクションだ
演出のために時代背景を無視することなどいくらでもある

だが、知った顔をする自称批評家の中には
『江戸時代なのに”ファイト”という言葉を使った』だの、『忍者はこんな風に手裏剣を投げたりしない』だの
利口ぶった『御批評』を我が物顔で言ってくる者が後を絶たない
ふぅ、と一息ため息をつきながら、出口に向かって歩き始めた瞬間

>    「デカい事件に絡ませたかったから、整合性は無視したんだろうけど」

>    「気付いちまうと、こーいうのは興醒めするんだよな」

聞き覚えのある声に気が付く


「・・・・・・・!?」

上映が始まってから後ろの席に誰かが座った気配はない(そんな事があれば集中が乱されて嫌でも気が付く)
という事は・・・・この『男』はあの場所から即座に移動し、まだ本編が始まる前に席に着いた事になる・・・・・
しかも、この上映は『完全予約制』なのに!

「随分と・・・・お早く着いていたみたいですね・・・
 しかも、後でお相手するといったはずなのに、ここまで追ってくるなんて
 せっかちな人ですね それとも、ストーカーか何かが趣味なんですか?」

言い放ち、背後を振り返る

450『最悪の相性』:2021/04/23(金) 21:11:14
>>449(氷山)
>「随分と・・・・お早く着いていたみたいですね・・・

    「『市営バス』のダイヤがズレたんだよ。
     どっかで妊婦でも降ろしてたのか、知らねぇーけどな」

先程の『少年』が発する声なのは明らかだ。
そして、『氷山』の推察通り、遅れて座席に付いた無粋者はいなかった。
――――『氷山』の真後ろの席、『250席』はあるシネコンの中で、
その『座席』のチケットを、どうやって用意したのか……。

>「随分と・・・・お早く着いていたみたいですね・・・
> しかも、後でお相手するといったはずなのに、ここまで追ってくるなんて

    「場所を指定して『逃げられる』。
     予め、連絡を取り合って仲間を呼ぶ」

    「セコイやり方はキライなんだよ。
     ――――常に『ステージ』は俺が選ぶ」

振り向いた先に見えるのは、やはり『少年』の顔だ。
不遜な態度を隠さずに、一段高い座席位置から『氷山』を見下ろしている。

>せっかちな人ですね それとも、ストーカーか何かが趣味なんですか?」

    「『運命』なんだよ。
     今後、何があろうとお前と出会う。
     そうなるように、仕向けたってわけだ」

    「お前と『アリーナ』で闘うまでな。
     お前がお気に入りのカフェに行こうが、本屋でマンガや図鑑買おうが、
     俺はぜってー、そこにいる。何が起きようと、そこに行くぜ――――」

     スゥゥ . . .

少年は胸ポケットから、一枚のタロットカードを出した。
『悪魔』のタロット。その行為が何を意味するのか、まだ『氷山』には解らない。

451氷山『エド・サンズ』:2021/04/23(金) 22:54:50
>>450

少年の言葉からいくつも不審な要因が耳に止まる
『市営バスのダイヤのズレ』、『チケットの準備』『座席』・・・・

(超スピードやお金の力で解決した・・・・わけではなさそうですね
 バスのダイヤがズレる事、私がこの映画をこの座席で見る事・・・・
 全てを事前に予測できていなければ、こんな状況は生まれないはず)

「途轍もなく凄い精度の未来予想・・・・・いえ」

頭の中でこの状況について考察を続けるが・・・・・
心の中ではそれに『別の可能性』を見出す自分もいた
『彼』の能力について詳しく知っているわけではない
しかし、あの戦いの中で見た状況に近い『感覚』を覚えた

「『運命』・・・・そう、『運命』です
 この状況を作り出したものの正体は『運命』の影響
 まあ、誰の力でこの状況を用意されたか、というのはどうでもいい事ですね」

彼は口にする
『アリーナ』という言葉を
やはり、という感想が口に出そうになる

「逃げも隠れもしませんよ
 どうやら、私が求めるものは戦いの中にありそうですからね」

以前なら、色々と自分に対して言い訳を重ねながら、渋々といった感じに戦いに巻き込まれただろう

だが、今の氷山は違う・・・・
自身の持つ『欲望』に自覚的になった以上、そこに言葉を重ねる必要はないからだ

「それにしても強引な人ですね
 あなたはいつもそんな感じに人を誘うんですか?
 ・・・・・・? その『カード』は?」

452『最悪の相性』:2021/04/25(日) 21:12:43
>>451(氷山)
この自体が『偶発的』とは考えにくい。
真っ先に『氷山』が思い至ったのは『未来予知』。
だが、それさえも不自然だ。――――これは『人為的』な能力ではない。

>「『運命』・・・・そう、『運命』です
> この状況を作り出したものの正体は『運命』の影響

    「『アナーキー・イン・ザ・UK』。
      俺のスタンドじゃあないが、『運命』を局地的に操れる」

>「逃げも隠れもしませんよ
> どうやら、私が求めるものは戦いの中にありそうですからね」

平凡な『氷山』の中に眠る『好奇心』という怪物。
その爪や牙は、あの闘いを経て研がれつつある。
そして、『アリーナ』自体も、『氷山』にとって初めてではない。

>・・・・・・? その『カード』は?」

    「お前の言葉が『真実』だっていうのなら、
     もうこのカードは『用済み』だ」

    「本当かどーか解らねぇから、まだ持っておくけどな」

それだけ言い残すと、『少年』は座席から立ち上がり、
挨拶も告げずに『上映室』から立ち去っていく。
ややあって、『氷山』も立ち上がろうとするが、

        グッ

何者かに両肩を押され、立ち上がれない。

     「失礼。――――久しぶりだな、『氷山』君」

     「私を覚えているかは、定かではないが……。
      今思えば、『報酬』は『口座』ごと渡せば良かったな」

     「騒ぎになっていたなら、申し訳ない」

無音の『上映室』に響くのは、低くも朗とした声。
以前に『講堂』で接触した男。全てが終わった後に現れた男。
――――『タダヒト』の声だと『氷山』は理解する。

453氷山『エド・サンズ』:2021/04/25(日) 22:24:58
>>452

「『アナーキー・イン・ザ・UK』・・・・?
 聞いた事がない名前ですね・・・・まあ、それはいいでしょう」

聞いた事はないが、不思議と懐かしい印象を覚える名前だ
だが、氷山がこの場で考えているのはそんな事ではない
『好奇心』・・・・あの『光景』を再び見たいという強い想い・・・・!
氷山の心に満ちる者は荒波の様にざわめく『欲望』であった

物思いにふけっていると少年は座席から立ち上がる

「ちょ、待ってください!
 まだ、その『カード』のワケを・・・・あっ!」

少年を追いかけて立ち上がろうとするも、氷山の背中は再び座席に固定された
両肩を抑える男・・・・『タダヒト』の声が響く

「お久しぶりです、『タダヒト』さん その節はどうも、ありがとうございました
 突然、大金が振り込まれたものですから、お父さんもビックリしてましたけど、
 なんとかうまく誤魔化せましたよ」

そう・・・・あの時は大変だったのだ
突然の娘の怪我と大金の振り込みに狼狽する父をなんとか言いくるめたのだが、
それはまた別のお話

「ところで、手を離してもらえませんか?
 今から彼を追いかけないといけないので・・・・」

454『最悪の相性』:2021/04/25(日) 22:51:38
>>453(氷山)
>「ちょ、待ってください!
> まだ、その『カード』のワケを・・・・あっ!」

    「この『カード』について知りたいのなら、
     私から説明しよう。……『アナーキー・イン・ザ・UK』の能力について」

    タッ   タッ

            ――――スゥゥ

『氷山』の両肩を抑えるのは、何の変哲もない人型のスタンドだ。
恐らくは『タダヒト』のスタンドなのだろう。――――そこまで強い力でもない。
無論、『氷山』相手だから加減しているのか。それともこれが『全力』なのか。

そして、『タダヒト』が『氷山』へと歩み寄っていく。
その最中、胸ポケットから取り出されたのは、『星』のカード。

>突然、大金が振り込まれたものですから、お父さんもビックリしてましたけど、
>なんとかうまく誤魔化せましたよ」

    「君が聡明で助かった。
     ――――あの時は『情報量』が多く、
     私は会話の中でしか、身分を明らかにしていなかったが……」

あの時と変わらぬスーツ姿に『弁護士バッヂ』。
『タダヒト』はカードを仕舞い、『氷山』へと事態の仔細を伝える。

    「君も出入りしたことがある以上、詳細な説明は省くが、
     私は『アリーナ』の者だ。そして、先程の彼、――――『明智孝典』は、
     私の興行する『アリーナ』での試合を望んでいる……」

    「というより、私の『アリーナ』以外では、彼は試合を行えない。
     聞いての通りの口の悪さだ。前回の試合でも、だいぶ『不評』を買っている。
     要らぬ『場外戦』が起きる前に、私の方で引き取った形だ――――」

>「ところで、手を離してもらえませんか?
> 今から彼を追いかけないといけないので・・・・」

    「彼を追う前に、君の『事態』を話さなければならない。
     そして、追わずとも君達は巡り合う。――――『アナーキー・イン・ザ・UK』によって」

    「夢の中で出会った『曳舟』という男のスタンド能力だ。
     『タロットカード』を媒介とした、局地的な『運命操作』。
     その能力は『需要』と『供給』の引き合わせ……」

    「私もまた、『曳舟』のスタンド能力に巡り合わされている。
     抱えていた訴訟が二件続けて、『即日結審』となった時点で、
     イヤな予感はしていたが……」

『タダヒト』が映画館に居合わせたのは『偶然』ではないようだ。
この事態を予測できなかったのか、『タダヒト』も複雑そうな表情を浮かべている。

455氷山『エド・サンズ』:2021/04/26(月) 00:05:29
>>454

肩を抑える力はそれ程強くはない
氷山の力はともかく、『エド・サンズ』の力なら突破できそうだが・・・
ここで無理に暴れる必要もないため、大人しく席に着く事にする

「あの時は・・・・色々とありましたからね
 詳しい説明をしようにも皆、ボロボロの状態でしたし」

『星』のカードを眺める
少年が持っていた『悪魔』のカードと同様の絵柄が目に入る

「それでその・・・・カードは一体何なんですか?
 確か、『タロットカード』って言うんでしたっけ?
 友達にこういうのが詳しい子がいて、ちょっとだけ見た事があります」

『明智孝典』の『悪評』については聞き流しておく
あの調子だ、『アリーナ』内部で不満が溜まっていてもおかしくはない、と思った

「なるほど、曳舟さん・・・・夢の世界で戦った時のおじさんですね
『焼き肉』に来なかったからどうなったのかと心配してましたが、
 どうやら元気にやっているみたいですね」

ふふ、と笑みを漏らす
曳舟が元気なせいでこんな事に巻き込まれたのだ
『塞翁が馬』という言葉が脳裏に浮かぶ

「(果たして私が最後に得られるのは『吉』か『凶』か・・・・)」

「『即日結審』・・・・ よくわからないけど、異常な事態なんですね
 ところで、あの人は『悪魔』の絵柄のカードを持ってましたけど
 あの絵柄には何か意味が?」

456『最悪の相性』:2021/04/26(月) 22:48:19
>>455(氷山)
>「それでその・・・・カードは一体何なんですか?

    「『アナーキー・イン・ザ・UK』に『運命』を握られてたとしても、
     本人にとって、その『宿命』は知覚できるものではない……」

    「――――だが、『例外』がある」

    スゥ
           シャッ   シャッ   シャッ

『タダヒト』はカードの束を取り出すと、
その中に『星』のタロットを混ぜ、手際よくシャッフルを施す。
そして、一枚を引く。――――現れたのは、『星』のカード。

    スゥ
           シャッ   シャッ   シャッ

再度シャッフルし、一枚を引く。――――『星』のカード。

    スゥ
           シャッ   シャッ   シャッ

――――『星』のカード。

    「何度やっても、同じ『カード』を引く。
     これが『アナーキー・イン・ザ・UK』の『予兆』となる。
     私の存在もまた、『曳舟』に仕組まれているというわけだ」

    「君も一枚、引いてみるといい。
     だが、『星』と『悪魔』を引くことはないだろう」

    「そのカードは既に、決まっているのだから」

『タダヒト』はまだ、『悪魔』のカードの意味を答えない。

457氷山『エド・サンズ』:2021/04/26(月) 23:02:10
>>456

「・・・・・!? これは!」

切り直しても、切り直しても、何度も出てくる『星』のカード
別に『タダヒト』が手品を披露しているわけではない
これが『運命』の力なのだろう・・・・

「なるほど、『偶然』を操って都合よく事を運ばせる能力・・・・という事ですね
 夢の世界ではこの能力に助けられましたが、敵に回ってしまったらこれ以上怖い事もないですね」

―――ふと気づく
『タダヒト』がデッキをこちらに向けている事に
タロットカードは入念に切られている、
これが『運命』だというのなら既に引くべきカードが決まっているのだろうか?

「失礼します!」

勢いよく、カードを引き・・・・絵柄を確認する

458『最悪の相性』:2021/04/26(月) 23:36:07
>>457(氷山)

     スチャッ

『氷山』はカードの束から無作為に一枚を選ぶ。
カードの絵柄には逆さ吊りになった男が描かれている。

     「『吊られた男』。見た目には無様なカードだが、
      彼は『囚人』ではない。――――研究者の説によれば、
      更なる『叡智』を望んだ『修行僧』とも、有名な『神』とも言われている」

     「北欧神話のオーディーンは『ルーン文字』の秘密を知る為、
      かの『グングニル』をその身に刺し、大樹に自らを吊り下げ、
      七日七晩もの間、御身を『神』である『己自身』に捧げたという……」

     「『苦難』を背負ってでも、更なる『先』を見たいという『好奇心』。
      その現れともいえる『アルカナ』だが……」

肯定的な言葉に反し、『タダヒト』は難渋そうな皺を眉間に浮かべた。
カードの束から取り出したのは一枚のカード。『明智』が所持していた『悪魔』のタロットだ。

     「タロットには、それぞれ抽象的な『キーワード』が示されている。
      本来、『正位置』に良い意味が、『逆位置』に悪い意味が取られるが、
      『悪魔』は真逆。正位置は『欲望』、『堕落』、『嗜虐的』、『憎悪』、『破滅』――――」

     「逆位置となれば、『覚醒』、『解放』、『再生』、そのような意味となる」

『タダヒト』も詳しくはないのか、説明そのものは読んできたような言い回しだ。
『アナーキー・イン・ザ・UK』の能力を知り、止む無く調べたのだろう。

     「君の『吊られた男』は、説明の通り『忍耐』を意味するアルカナだ」

     「正位置は『努力』、『奉仕』、『試練』。
      逆位置は『徒労』、『隷属』、『自暴自棄』、そして――――」

手にした『悪魔』のタロット、その丸みを帯びたカードの角を『タダヒト』は『吊られた男』に翳す。
括られた『脚』の縄を断つように、そっと絵柄を撫でるように触れた。

     「『欲望に負ける』。

      気を付けろ、クライアントは『明智』だ。
      この闘いは、『明智』の有利なステージに仕向けられている」

     「私が巻き込まれたことで理解した。
      『氷山』君。……彼にとって、君は『通過点』に過ぎない」

     「『C級』での連勝で『B級』、『B級』の連勝で『A級』。
      『明智』はスムーズに『A級』へ向かえるよう、『曳舟』を使った」

459氷山『エド・サンズ』:2021/04/27(火) 00:10:00
>>458
   ハングドマン
「『吊られた男』・・・・・!」

『タダヒト』の解説を聞き、イメージを膨らませる
『先』を見るため・・・純粋な『好奇心』のために、苦難を受ける己の姿を
『先』へ・・・・ その『先』を求める自分を!

『タダヒト』の解説が続く
『悪魔』を持つ者の意味、逆位置・正位置・・・・いくらかの説明は耳を滑り、流れ去ってしまった
しかし、最後の言葉だけは聞き逃す事は出来ない

>「『欲望に負ける』。」

「ふ・・・・ふふふ・・・・・!」

出来過ぎた『運命』だ、と自嘲し、思わず笑いが零れてしまった
自分の内に秘めた『欲望』を自覚したばかりだというのに、
『欲望』の方から、こちらを刈り取りに来てしまうなんて!

「なるほど・・・・危険な相手だという事は十分にわかりましたよ」

果たしてこの戦い、選ぶべき道は果て無き『欲望』か
それとも、試練を乗り越えるための『忍耐』こそ選ぶべきなのか・・・・

「ただ・・・・」

   『黙ッテ聞イテリャアヨォォォ〜〜〜〜!』

        ヴィジョン
氷山の背後から『人型の像』が出現する
男性の人格を持ち、自ら会話をもする『彼』の名は・・・・『エド・サンズ』

『マルデ、アイツニトッテ「あきは」ハ眼中ニナイミテェナ言いざまジャネエカァァ!
 イクラ強エ相手ダッテイッテモヨォォォ! ソイツハ絶対許サネェゼ!』

「ええ・・・・見せてあげましょうよ、『さんずさん』
 私たちは彼にとって都合の良い『餌』なんかじゃあないって事を!」

460『最悪の相性』:2021/04/27(火) 22:15:11
>>459(氷山)
>   『黙ッテ聞イテリャアヨォォォ〜〜〜〜!』

     ズギャンッ!

『氷山』の扱いに黙っていられず、『エド・サンズ』が飛び出した。
その『闘志』を確認するかのように、『タダヒト』は双眸を細める。

    「いい『闘志』だ。両名共々、『試合』への意欲は十分と見える。
     この『気骨』こそが、『アリーナ』に相応しい『心地好さ』というもの」

    「今、この場で『試合』の手続きを行おう。
     『氷山』君。『エド・サンズ』君。『アリーナ』には一般的な持ち物の他、
     ステージ上に一つ、対戦相手の意思によって『ギミック』の設置が許可される」

    「以前は『有刺鉄線』。射撃同士の試合では『防弾壁』の設置もあった。
     僅かではあるが、『戦場』を選ぶ『戦略性』が勝敗を分ける時もある」

『タダヒト』は静かに『アリーナ』のルールを告げていく。
『氷山』は戦場に何を望むか―――――

461氷山『エド・サンズ』:2021/04/27(火) 23:02:36
>>460

「『ギミック』・・・・前回の試合にはなかった『要素』ですね?
 『悪魔の彼』はどんな『ギミック』を望んでるんですか?」

「まあ、どちらにせよ、私が選択する『ギミック』は決まっています」

「・・・・『檻』、を
 正確に言えば金網のようなもので戦いの場を覆ってください」

「まあ、別に『欲望』がどうのこうの言われて、抑えなきゃって思ってるわけじゃないですよ
 ただ・・・・ 多分、『さんずさん』が気持ち良く戦うために必要だと思ったので」

『・・・・・俺モ異存ハネェナ』

462『最悪の相性』:2021/04/27(火) 23:25:48
>>461(氷山)
>「・・・・『檻』、を
> 正確に言えば金網のようなもので戦いの場を覆ってください」

    「『金網』は『アリーナ』に配備されている。
     観客とファイターを分かつように、
     君の『意図』通りかは解らないが」

既に『設営』されている設備だったようだ。

    「だが、それがもし、『不要』という意思表示ならば、
     私は君の意見を尊重しよう。――――確かに、
     私も『現役』の頃は使用しなかったシステムだ」

463氷山『エド・サンズ』:2021/04/27(火) 23:47:37
>>462

「あ・・・すいません、少し説明不足だったみたいですね
 より正確に言えば、檻の大きさをもう少し『小さく』してもらいたいんですね」

「『アリーナ』の戦場は両者が十分に動き回れるくらいに広く出来ています
 それをもうちょっとコンパクトに小さくしてもらえないかなー、なんて?」

「勿論、動き回る事が前提という事もありますし、理解はしてます
 難しいようであれば、高さを・・・・」

というと、氷山は4mくらいの高さを指し示す

「このくらいの高さで『金網』を置いていただけないかなって」

464『最悪の相性』:2021/04/28(水) 00:15:29
>>463(氷山)
>「あ・・・すいません、少し説明不足だったみたいですね
> より正確に言えば、檻の大きさをもう少し『小さく』してもらいたいんですね」

    「……『至近戦』を望む者のギミックだな。
     相手の能力次第ではあるが、出来ないことはない」

例えば『銃』や『弓』などの遠距離武器のスタンド相手であれば、
一方が有利になるよう、距離を調整するのは認められなかっただろう。
だが、『タダヒト』は思案顔を作り、ややあって『許可』を出した。

    「『天井』の件も、問題ないだろう。
     ――――では、私は一度戻るとしよう」

    「しばらく出歩けば、『明智』君にも出会えるだろう。
     君との『試合』の取りまとめをし、追って連絡をしよう」

     パッ

『上映室』の照明が付き、入室口からスタッフが現れる。
観客の入れ替わりが行われる。最も、映画は既に終幕した以上、
残っている観客は『氷山』と『タダヒト』だけだったが。

    「良い映画も見られた。
     ――――それ以上の『闘い』を、期待しよう」

それだけを言い残し、『タダヒト』は去っていく。

465氷山『エド・サンズ』:2021/04/28(水) 00:27:09
>>464

薄暗かった館内に光が灯る
次の上映回の準備のために清掃スタッフが入ってくる
それと同時に『タダヒト』はこの場を離れ、張りつめたような雰囲気が霧散する

氷山もまた、この場から離れようとする

『イインダナ?「あきは」
 コレ以上踏ミ込ミ過ギタラ・・・モウ戻レナクナルカモシレネェゼ・・・・』

「決めた事ですよ・・・・『さんずさん』
 私は、私のこの『衝動』が導く限り、『先』を見たい
 その先の光景を見てみたいのですから・・・・それに、あなたもそうでしょう?」

『マア、ナ コノ「街」ニ漂ウ不穏な気配・・・・・
 ソレガ、善カ、悪カ、見極メナイトイケネェ・・・・
 俺達ガ今マデニ会ッテキタヨウナ「気のいい連中」ヲ悪党どもカラ守ルタメニモナ』

一人と一体は会話を続けながら、この場を離れていく
その先の戦いに備える為に

466『最悪の相性』:2021/04/28(水) 23:47:57
>>465(氷山)
『氷山』は立ち上がり、『エド・サンズ』と共に『上映室』を離れる。
伝えるべきことは伝えた。後は『タダヒト』からの連絡を待つだけだ。

    ・

    ・

    ・

    「『吉田』のオッサンは店番か?
     アンタ自ら出て来るなんて、意外とヒマしてるんだな」

『本屋』で雑誌を立ち読みしていた『明智』は、
背後から近付いて来た『タダヒト』に気付き、振り向いた。
『タダヒト』は軽口も意に介さず、『明智』の耳元に囁く。

    「――――……」

    「……わざわざ、その話を出して来るかよ」

    「私とて、口に出したい話題ではない。
     だが、君が何故『曳舟』を利用してまで、
     このマッチングをしたのか、理解しているつもりだ」

    「気にいらねェ『邪推』じゃあねぇーの?
     俺は唯、呼んできた外人を囲ってるだけの、
     『お山の大将』が強いのかどうか、気になるだけなんだけどなぁ」

露骨に不機嫌を晒す『明智』に対し、『タダヒト』は表情を変えない。
ややあって、『明智』は乱暴に雑誌を閉じ、書店から出ていく。

    「『試合』は一週間後だ。
     その間、あまり『対戦相手』にちょっかいを掛けないように」

    「試合が組めれば、後は用なんかねぇーよ」

『タダヒト』は去り行く『明智』の背中を見送る。
『氷山』の『エド・サンズ』、『明智』のスタンドの両方を知る『タダヒト』は、
二人の『試合運び』について、脳内でシミュレーションをしていた。

    「『勝率』は……『三割』。
     スタンドの『特異性』を含めて、『二割』と言ったところか」

    「分の悪い『試合』だ。
     本来であれば、『成立』さえ見送るべきマッチングだが――――」

『運命』に支配され、スタンドの相性さえも『最悪』な一戦。
――――その先に見えるのは、果たして……。

467『最悪の相性』:2021/04/29(木) 23:42:12
>>465-466(氷山)
『一週間後』の『23:00』、『氷山』は倉庫街の一角に足を運んだ。
煉瓦作りの倉庫が並ぶ中、二人の『黒服』が鉄扉の左右に立つ。

    「『氷山あきは』選手ですね?
     ――――ようこそ、『アリーナ』へ」

    「既に対戦相手の『明智』選手は『控室』に居ります。
     さあ、どうぞ。激闘の舞台が貴方をお待ちしております」

『黒服』にサングラス、厳つい面持ちの二人が、
低い声色で『氷山』を呼び掛け、重い鉄扉に手を当てる。

     ギ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ・ ・ ・

軋む音を響かせながら、重厚な鉄扉が開かれる。
倉庫の片隅には『鉄階段』が地下へと伸びており、
先立った『黒服』が地下へと降り、『氷山』を先導する。

468氷山『エド・サンズ』:2021/04/30(金) 00:59:10
>>467

「・・・・・・・・」

戦いに呼び寄せられるかの様に無言で階段を降りていく
かつん、かつん、とした足音だけが空間に響き渡る

469『最悪の相性』:2021/04/30(金) 22:37:57
>>468(氷山)

   カツン
            カツン

『黒服』の先導に従い、『氷山』は地下通路を進む。
『黒服』は無言のまま、『氷山』を案内していたが、
『控室』の前で止まると、その扉を開く。

      ガチャッ

扉に『氷山あきは』様、と書かれたプレートがある以上、
中に『明智』はいないだろう。

     「では、此方でお待ちください。

      ――――夢の『闘い』の大まかな話は、
      『タダヒト』様からお伺いしてます」
      . . .
     「あの場にいた俺達が出来たのは、病院までの運転手だけ」

     「このような形で、貴方の『闘い』を両目で見られるのは、
      願ってもない僥倖です。――――どうぞ、ご武運を」

この『黒服』は『講堂』にいた男の内の一人のようだ。
誰もが似たような『黒づくめ』なので、見分けるのは難しかったが……。

470氷山『エド・サンズ』:2021/04/30(金) 22:54:27
>>469

「・・・・・・・・!」

黒服の言動から、あの日、夢の世界から覚醒した後に助けてくれた人物だと察する
よく見ると体格や肩幅に見覚えがある・・・・病院に行くために肩を借りた人だろうか

「その節はどうもお世話になりました!
 あの時は私達を助けていただいてありがとうございます!
 ここで働かれている方だったんですね・・・・すいません、気がつかなくて」

黒服からかけられる言葉、それは闘いに臨む者に対しての激励の言葉であったが、
『賞賛』されているような言葉を聞いて、思わず照れくさそうに顔をそむける

「あはは・・・・期待を裏切らないように頑張ります
 ところで、対戦相手の明智さんですが、何やら評判が悪いみたいですね?
 前回の戦いで何かあったんですか?」

471『最悪の相性』:2021/04/30(金) 23:11:53
>>470(氷山)
> ここで働かれている方だったんですね・・・・すいません、気がつかなくて」

    「ここは『非常勤』ですよ。
     普段は『スカイモール』の『登山用品店』で働いてます」

    「ああ、申し遅れました。『後藤』です。
     『黒服』は名乗らなくてもいいと言われてたので……」

『スタンド』を持たない一般人を守るための配慮だろう。
とはいえ、勤め先と名前を告げてきた『後藤』は、
『氷山』に敬意を持っているようだ。

> ところで、対戦相手の明智さんですが、何やら評判が悪いみたいですね?
> 前回の戦いで何かあったんですか?」

    「本当は『試合』の情報を漏らしてはいけないのですが、
     ――――まあ、『氷山』さんには特別に」

    「前の試合は呆気なく終わってしまいました。
     対戦相手は『鏡花水月』という『スタンド刀』を操る、
     『尾藤一騎』という男ですが、『試合』は呆気なく終わりました」

    「その後がヒドかった。
     飛び交う『罵詈雑言』の嵐、真に受ければ発狂するレベルの『誹謗中傷』、
     更には、『所詮はC級で連敗するドブ底の男』などと、言いたい放題でしたよ」

    「『アリーナ』では『野次』が認められていますが、それは『試合』あってのこと。
     『ノーサイド』となった後に、あそこまで対戦相手を咎める必要はありません」

穏やかな雰囲気だった『後藤』は、語尾の端々に鋭さが混じっていく。
傍から見ても許容しかねる『悪口』だったようだ。

    「だいぶ前の『試合』でしたし、あれから『明智』選手は塩漬けにされてたようですが、
     ――――まさか、貴方を相手に息を吹き返して来るとは……」

472氷山『エド・サンズ』:2021/04/30(金) 23:35:29
>>471

「よろしくお願いします、後藤さん
 改めまして自己紹介させていただきますと、氷山と申します」

ぺこりと一礼をする
『アリーナ』の職員の人も普段は普通の仕事をしてるんだな、と思いながら


「『罵詈雑言』・・・・ですか」

『前回』あった状況を聞き、後藤以上にげんなりとした表情を浮かべる
それは・・・・その言葉の中に一つの『情景』を思い起こしたからだ
以前あった夢の中の戦い・・・・その中で『あの男』に向けられた無数の悪意を・・・・!

「『嫌』・・・・ですね、それは」

・・・・氷山が闘いに向かう目的は『闘いの中で辿り着く一つの光景』、素晴らしきその光景をこの目で見るためだ
『悪意』はそれの邪魔をする・・・・それは純粋に嫌だ、と氷山は思う

473『最悪の相性』:2021/05/01(土) 00:31:19
>>472(氷山)
>「『罵詈雑言』・・・・ですか」

    「ええ。――――まあ、『尾藤』さんは、
     実際に『連敗続き』でしたし、我の強い性格でしたから、
     本人は大して気に留めてなかったのが、幸いでしたが……」

フォローになってないフォローを呟く『後藤』。
そして、『氷山』の目的とは真っ向から異なる闘いの姿勢。
かつての光景を思い出し、『氷山』は胸を刺す『嫌悪』を覚える。

    「この『黒服』の身では過ぎた言葉になりますが、
     ――――俺は、『氷山』さんを応援してますから」

そう言い残すと、『黒服』は『氷山』を『控室』の中へ案内し、扉を閉めた。
『控室』とは名ばかりで『四畳半』ほどのスペースに一人掛けソファが置かれている。

    ・

    ・

    ・

     ザッ
             ザッ

定刻となり、『後藤』に案内されるまま、『氷山』は廊下を抜ける。
目の前に広がるのは『金網』。『アリーナ』の会場の中に、
四方を閉ざされた『網籠』が置かれている。

正面には『格子扉』があり、向かい側にある『明智』の入場口にも、
同じような『格子扉』があると考えて良さそうだ。

     「では、私はこれで。
      『実況』の合図に従って、入場してください」

『後藤』は『氷山』より先に会場へと出てくると、
『格子扉』に手を掛ける。『氷山』の入場に合わせて開けるつもりだろう。


【アリーナ俯瞰図】             【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴ .....|
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴  | XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX       〇
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴  | XX.  .XX              XX   XX       ̄/ .
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX   〇 /椅
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX  ̄/ .■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX /椅■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉   〇   〇     扉  ■■■■■■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉    ト   ノ|    .扉  ■■■■■■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉  />  <\  ..扉  ■■■■■■■■
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴  |         氷山  明智        観客席
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴ .....|        (※氷山、明智はまだ『入場』していないが、
                                   仮に入場した場合のイメージとして……)

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは『1x1m』。
■:『2m』の高さの壁。その上は『金網』が張られ、会場と観客席を隔てる。
|:『4m』の高さの『金網』。固定されてはいるが、『破壊力:B』の数発で倒せる。
扉:『鉄格子扉』。
∴:観客席。会場を見下ろす形となる。

474氷山『エド・サンズ』:2021/05/01(土) 00:59:25
>>473

控室にいる間に『鎖帷子』と『鉤縄』を作成しておいて、
それぞれ服の下に、着込んだり、腰に巻いたりしたいのですが可能でしょうか?
(試合前の能力行使は厳禁という事であればやめておきますが)


「ありがとうございます、是非とも応援してください・・・・私の『さんずさん』を!」

   『イヨイヨ・・・・出番ッテェワケダナ!?』

和風の意匠を持ち、きっぷのいい人格を持つスタンド『エド・サンズ』
戦いのため、彼を発現し、そのまま『格子扉』の奥へと進んで行く!

475『最悪の相性』:2021/05/01(土) 01:34:46
>>474(氷山)
>控室にいる間に『鎖帷子』と『鉤縄』を作成しておいて、
>それぞれ服の下に、着込んだり、腰に巻いたりしたいのですが可能でしょうか?
>(試合前の能力行使は厳禁という事であればやめておきますが)

試合前の『スタンド能力行使』は不可能となります。
バレなければイカサマではない、のスタンスであれば、
オッケーですが……多分違うと思うので。

>「ありがとうございます、是非とも応援してください・・・・私の『さんずさん』を!」

>   『イヨイヨ・・・・出番ッテェワケダナ!?』

『エド・サンズ』を発現し、実況の『合図』を待つ。
『スピーカー』の電源が入り、僅かなノイズ音が響き渡る。

     ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
       キャー、何この金網ぃー! すっごい本格的ぃー!≫

     ≪逃げ場なしの『鳥籠』で繰り広げられるタイマンバトル!
       果たして勝つのは、『10秒ノックアウト』を決めた『キルタイムボーイ』か!?≫

     ≪それとも、『初勝利』を狙って再び現れた『ドリームガール』か!?
       見逃せない『試合』になるぞぉ! みんなぁ、しっかり応援してねぇ!≫

続いて聞こえたのは溌溂とした『電子ボイス』だ。
『氷山』からも見える『スクリーン』には『アニメCG』の少女が映り出され、
手先まで隠すほど伸びたラッパ袖を振りながら、『実況』を始めている。

     ≪さぁ、まずは選手入場!
       氷山選手、お願いします!≫

     ワァァァァァァ〜〜〜〜〜〜ッッ!!

          ――――ブシュォォォォ!!

    ザッ  ザッ

    「一勝もぎとってくれや!」

    「期待してるぜ、お嬢ちゃん!」

           ――――ギィィィィ

『氷山』の入場に合わせて、観客達が野太い声援を上げる。
格闘技の入場でも使用される『スモーク』が床から噴出し、『氷山』を出迎える。
『後藤』が格子扉を開き、『氷山』は『網籠』の中へと入る。

    ≪身長153cm! 小柄な体に秘めたる『闘志』!
      前の試合は見られなかったけど、きっと惜しかったはず!≫

    ≪さあ、続きましての入場は、『明智』選手!≫

     ザッ    ザッ

前と変わらぬ『制服』を身に纏い、『明智』が現れた。
彼は『氷山』を見ず、その視線は『スクリーン』を向かっている。

    「おい、森田どーしたんだよ?
     こんなキンキン声のフザけた実況で闘えってのか?」

    ≪身長181cm! 聞いての通り、悪態がモノを言う!
      その口に見合う実力を、今回も発揮できるのかぁ!?≫

    「『明智』ィ!  テメェーも年貢の納め時だぞ!」

    「『尾藤』倒したくらいでイキってんじゃあねぇーぞ!」

    「天にツバ吐いても、テメェに掛かるだけだっつうの!」

    ―――――ガシャンッ

『明智』もまた『スモーク』に出迎えられ、『網籠』の中に入る。
その背後で『格子扉』が閉まり、『明智』は肩を竦めた。

    「お前の提案か、この野暮ったい金網は?
     そのイモ顔を隠す仮面も必要なんじゃないか?」

『明智』は両腕をダランと下げたまま、『氷山』へと視線を向ける。

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<削除>

477氷山『エド・サンズ』:2021/05/01(土) 22:16:39
>>475

>試合前の『スタンド能力行使』は不可能となります。
では、この場では『捕具』作成は行わないという事で

『アァン・・・・ オイ見ロヨ、「しーじー」ッテヤツガ実況シテヤガルゼ
 最近ノ「喧嘩場」ハ変ワッテルナァ・・・・』

「あ、知ってますよ、私
 あれって『Vtuber』って言うんですよ! へぇ〜」

『アニメCG』で実況を行う『アリーナ』のシステムに一通り関心しながら、周囲を見る
闘士たちを囲う様に存在する『網籠』・・・・依頼通りだ
氷山は『エド・サンズ』の力をフルに活かすためにこの場を用意してもらったが、
この選択が吉と出るか凶と出るか・・・・

そして、目の前からもう一人の『闘士』が現れた
以前と同じ『制服』に身を包んだその者は、悪態をまき散らしながらも、
同等の悪意を四方から罵詈雑言の形で浴びせられている

ふと、少し可哀そうだなー、という思いが心の中に浮かぶが・・・・・

>そのイモ顔を隠す仮面も必要なんじゃないか?

    ムカッ!

「・・・・ええ、ええ! 私の提案ですよ〜、この金網は
 それと、あなた!自分の顔がちょっと・・・・いや、結構・・・・・・・・凄く『良い』からって、バカにしないでください!」

『アア・・・・ソウダゼ!
 ソレニヨォォォ〜〜〜、「仮面」ガ必要ニナルノハ「お前」ノ方カモシレナイゼ・・・・?
 コレカラ、ソノ「綺麗」ナ顔ガ二度ト見レネェヨウナ「ボコボコ顔」ニナルカモシレネェンダカラナァ!』

478『最悪の相性』:2021/05/01(土) 22:48:54
>>477(氷山)
『Vtuber』に新鮮味を覚えながら、『氷山』は周囲の『網籠』を見る。
『観覧席』の金網に固定された『天井網』の落下は起きそうにないが、
周囲の金網は『エド・サンズ』の全力で押せば、時間を掛けて倒せそうだ。

>それと、あなた!自分の顔がちょっと・・・・いや、結構・・・・・・・・凄く『良い』からって、バカにしないでください!」
> ソレニヨォォォ〜〜〜、「仮面」ガ必要ニナルノハ「お前」ノ方カモシレナイゼ・・・・?
> コレカラ、ソノ「綺麗」ナ顔ガ二度ト見レネェヨウナ「ボコボコ顔」ニナルカモシレネェンダカラナァ!』

    「どっかで聞いた台詞を使い回すなよ」

    「俺は親切心で言ってるんだ。今更イモ顔のアゴが割れても
     なんとも思わねぇ面の皮なんだろーけどなぁ」

    「二連敗の泣き顔は見られたくないだろ?」

ディスが飛ぶ中、『氷山』は試合前にマイクが持たされない理由を察した。
『明智』にマイクを持たせられない以上、『氷山』にもマイクが渡らない。

    ≪両者弁舌が白熱ぅ! 最早ファイトは待ったなしです!
      貴方の心にイン・ストール! 『実況』は『六連セカイ』!
      『解説』は『A級ファイター』の『タダヒト』でお送りしまぁーす≫

会場の上空に『鉄梁』で固定された『解説席』に座る『タダヒト』は、
自身のマイクのスイッチを入れ、一呼吸置いた後に話し始める。

    「試合が始まる前に、この場の全員に伝えておくことがある」

    「『最悪のアダージョ』は生きていた」

        ヽ ノ i |      「ウソだろ……」
        /   ワ  
              ッ   「アンタが殺したはずじゃあ……」

    「『悪霊』となり、『夢』の中で復活を画策していた」

    「だが、『氷山』選手の手により、『成仏』した」

       どよ…       「倒したってことか――――」

          どよ…    「あの『アダージョ』だぞ……」

       クルセイダーズ
    「『 討 伐 隊 』の一人、『氷山あきは』の実力は私が保証する」

『観客』の言葉が止み、全員が息を飲み込んだ。
その様子を見る『明智』は苛立ったように眉を顰めた。
        ....
    「俺のスタンドへの当て付けか?

    ≪さあ、金網に囲まれた『オクタゴンマッチ』!
      間もなく、試合開始になります!≫

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4  .....|
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴  | XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX       〇
∴∴■□/□□明□□\□■∴∴  | XX.  .XX              XX   XX       ̄/ .
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX   〇 /椅
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX  ̄/ .■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX /椅■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉   〇   〇     扉  ■■■■■■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉    ト   ノ|    .扉  ■■■■■■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉  />  <\  ..扉  ■■■■■■■■
∴∴■□\□□氷□□/□■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴  |         氷山  明智        観客席
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴ .....|

479氷山『エド・サンズ』:2021/05/01(土) 23:09:57
>>478

>「どっかで聞いた台詞を使い回すなよ」

『ナッ、何ヲォォォ〜〜〜〜ッ!』

「『さんずさん』、落ち着いてください
 なるほど、『さんずさん』のおかげで逆に冷静になれましたよ
 そうやって四方八方に汚言をばら撒いて、相手を怒らせる事が・・・・あなたの戦術なのでしょう?」

氷山の隣に立つ『エド・サンズ』が怒りで拳をプルプル震わせる中、
氷山自身は頭に上った血を鎮めながら、そうコメントする

そんな中、解説役の『タダヒト』のコメントが場内に響き渡った

『あの男』が悪意によってではなく、正しく畏れられている事にちょっとした満足感を抱きながら、
思わず照れくさくなってしまうような『タダヒト』の言葉を聞き・・・・

目の前の『明智』の表情に気が付いた

「当て付け・・・・?」

それはどういう意味なのか? 気にはなる
だが、それを聞く手段は『言葉』ではなく『闘い』によって、という事になるのだろう
試合開始の合図に向けて、いつでも『捕具』を発現できるように備える

480『最悪の相性』:2021/05/01(土) 23:33:59
>>479(氷山)
>そうやって四方八方に汚言をばら撒いて、相手を怒らせる事が・・・・あなたの戦術なのでしょう?」

     「この程度でキレるヤツに、そもそも『戦術』は要らねぇんだけどな」

『明智』が言葉を返す時には、表情の変化は止んでいた。
『当て付け』の意味を聞くまでもなく、『氷山』は戦闘態勢に入る。

     ≪いざ、尋常にィィ―――――    『勝負』はじめぇ!≫

     ズギャッ!

『明智』は腰元に手を翳し、スタンドを発現する。
それは汚らしい『革袋』だった。弁当箱を入れる巾着程度の大きさ。
そこに指先を突っ込み、まるで『ガンマン』のように腕を弾かせ、

     「『アンチクライスト・スーパースター』!」

      ギャゥ!

『革袋』の中身を指先で弾き飛ばした。
さながら『指弾』の如く。そのスピードは『エド・サンズ』を上回る。
『銃弾』にも匹敵する飛来物、――――これは『銀貨』だ。

     ≪『アンチクライスト・スーパースター』ぁぁ!!≫
             . . . . .
     ≪その名前の通り、『銀貨』のスタンド!
       悪魔の銃弾が『氷山』選手に襲い掛かるぅぅ!!≫

     ≪果たして、『氷山』選手は防げるのかぁ!?≫

この『銀貨』は真っすぐに『氷山』の顔面へ向かっている。
だが、既に『捕具』を発現する準備と心構えは出来ている。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□明□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴∴■□\□□氷□□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

481氷山『エド・サンズ』:2021/05/02(日) 00:01:56
>>480

>「この程度でキレるヤツに、そもそも『戦術』は要らねぇんだけどな」

   ・・・・・いらっ!

「ほ、ほほほ〜〜・・・・み、見え見えの挑発ですね〜〜〜!
 でも、私は冷静ですからそんな言葉には乗りませんよー 乗りませんよ!」

ちょっと・・・・ほんのちぃぃぃ〜〜〜っとだけいらっとしながら、
試合開始の合図を待ち・・・・ そして

> ≪いざ、尋常にィィ―――――    『勝負』はじめぇ!≫

     ズギャッ!

そして、氷山は見た
汚らしい『革袋』のスタンド、その中から姿を見せる輝き―――『銀貨』を!

「『お金』を使うスタンド―――――!」

『「ゼニア」ト同じタイプカ!?』

『コイン』の能力に、かつて戦ったスタンド使い、エキセントリスの姿を思い返す
彼女の能力は『お金を使った、金銭感覚の消失』だったのだが・・・・・!

「へぇ・・・・ 『お金』を使って攻撃なんて、まるで『銭形平次』みたいですね
 その攻撃にいくら使ってるかは知りませんが・・・・『さんずさん』!」

        『オウ!』

前回の戦闘経験で得た知識から、あの『銀貨』に当たるのは非常にヤバイ、と判断
だからこそ、防ぎ、反撃する手段を作り出す!

   ズギャッ!

『銀貨』の軌道を塞ぐように金属製の『陣笠』を発現
そのまま、『銀貨』の射出ルートを逆流するような軌道を描くように、
陣笠の裏側から『エド・サンズ』の拳で殴打し、殴り飛ばす パス精BCC

これにより、『銀貨』の防御と、明智への投擲攻撃を狙う

482氷山『エド・サンズ』:2021/05/02(日) 00:02:53
>>481
可能なら、陣笠の投擲の後、明智に向かってまっすぐ前進したいです

483『最悪の相性』:2021/05/02(日) 00:21:10
>>481-482(氷山)
挑発に苛立ちを覚えながら、『氷山』は試合開始の合図を聴く。
取り出される『銀貨』が射出される前に、その姿はハッキリと目撃できた。

>「へぇ・・・・ 『お金』を使って攻撃なんて、まるで『銭形平次』みたいですね
>その攻撃にいくら使ってるかは知りませんが・・・・『さんずさん』!」

     ズギャッ!

『エド・サンズ』の掌から現れた『鉄陣傘』。
『盾』としては十分な性能。それを殴り飛ばす前に、

       ―――――ガギィンッ!

    ≪防いだぁぁ〜〜〜〜〜〜ッッ!!≫

    ≪あれは、傘ッ!?
      『時代劇』で見る『被り傘』ですが、
      これは硬いぞ! 『アンチクライスト・スーパースター』を防ぎきってる!≫

『陣傘』に『銀貨』が命中する。
『捕具』として用いられる『陣傘』の厚みであっても、
その内側には『凹み』が現れている。――――『直撃』すれば唯ではすまない。

    「あれなら『銀貨』も利かなんじゃねぇの!?」

    「こりゃあ早くも勝負あったかぁ!?」

『銀貨』の一撃を防ぎきり、『観客達』も気色ばんだ歓声を上げる。
――――これが『特殊』なスタンド能力ではないのは、観客も解っている。
故に、これが通じるのであれば、『エド・サンズ』の圧倒的有利だ。

       バキィッ!!

そして、『エド・サンズ』の殴打により、『陣傘』を吹っ飛ばした。
『縦回転』を描くように『陣傘』は『明智』へと飛び、

    「『お誂え向き』、流石は『アナーキー・イン・ザ・UK』」

       ズルルルルルルルルル . . .

    ≪ふ、吹っ飛ばして攻撃した『傘』がぁ――――≫

まるで『毛糸球』を紐解くように、『陣傘』は一本の『茨』へと変じていく。
それはドライアイスのように昇華していき、『明智』に届くよりも前に、
完全に『消失』してしまった。

         ザザッ!

『氷山』も前方へと駆け、『明智』もまた接近する。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□明□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□氷□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

484氷山『エド・サンズ』:2021/05/02(日) 00:28:01
>>483
・『陣笠』は『茨』に変化した後に空気に溶けるように消えたという事でしょうか?
・また、『陣笠』が消えた後、能力の最大発現数が減っているような感覚はありますか?
(最大発現数5枠のうち1枠を何かに使っている感覚はありますか?)

485『最悪の相性』:2021/05/02(日) 00:32:23
>>484
>・『陣笠』は『茨』に変化した後に空気に溶けるように消えたという事でしょうか?
そうなります。

>・また、『陣笠』が消えた後、能力の最大発現数が減っているような感覚はありますか?
>(最大発現数5枠のうち1枠を何かに使っている感覚はありますか?)
その感覚があるかは不明です。

486氷山『エド・サンズ』:2021/05/02(日) 00:51:32
>>483

>「あれなら『銀貨』も利かなんじゃねぇの!?」
>「こりゃあ早くも勝負あったかぁ!?」

「違う!」

吹き飛ばした『陣笠』の行方を見る氷山は、状況を確認してそう叫ぶ
『陣笠』が『茨』に変じている・・・・つまりは、防御に専念していては勝てないという事だ!
そのための前進・・・・だったのだが

   「・・・・・・・!?」
         『オイオイオイオイ!お前モカ!』

敵もまたこちらへと接近している事に気づき、何か嫌な予感を感じた

(敵の攻撃手段が、『銀貨の射出』だけであればこんなに近づく事はないはず
 距離を取って遠隔攻撃を続けていればそれでいいのですから
 しかし、明智さんはこちらに近づいてきている・・・・つまり)

「『銀貨』を投げるだけが能じゃあないという事!
 接近戦にも自信があるみたいですね!」

相手との距離は2-3m程度・・・・十分に射程距離内だ!
『エド・サンズ』の掌中に『鉤縄』を出現、それと同時に明智に向かって、『鉤』を投げつける!
狙いは明智の持つ革袋、『アンチクライスト・スーパースター』だ!
『鉤』の引っかかりを利用して、革袋を奪い取るのが狙いだが、恐らく相手も反撃をしてくるだろう
明智が手を革袋に入れようとした場合、指運を利用して、『鉤』の軌道を修正
革袋に伸ばした『手』そのものに対して『鉤』による打撃を行い、動作の妨害を行いたい

487『最悪の相性』:2021/05/02(日) 01:23:04
>>486(氷山)
>   「・・・・・・・!?」
>         『オイオイオイオイ!お前モカ!』
               . .
    「その言葉、まだ早いんじゃあねぇの?」

『明智』もまた『エド・サンズ』への接近を止めない。
『エド・サンズ』は『鍵縄』を発現し、その鉤爪を投擲する。
狙いは『革袋』だが、――――互いの距離が『近すぎる』。

    「コソ泥の真似事かぁ!?」

      ブォ!
            ――――サァァァ...

『明智』は右手を振るい、『エド・サンズ』へ踏み込む。
その手に握られるのは『銀貨』。抜き取ったのは一枚ではない。
そして、握った手ごと『銀貨』が光輝き――――

      ズギャッ!

     ≪あ、あれはまさか――――≫

『明智』の手中から現れたのは『陣傘』だ。
銀色に光り輝く『オーラ』を纏った『鉄陣傘』が『鍵爪』を弾き、
その勢いのまま、『エド・サンズ』へと振るわれた。
円錐状の『傘』が『爪』を受け流し、勢いは保たれたままだ。

       ギュゥゥ――――ンン!!

真正面から突っ込む『明智』により、『エド・サンズ』のコメカミに振るわれる。
踏み込む速度、腕を振るうスピードは『エド・サンズ』を上回る。(パス精BBB)

    「さあ、もう一度言ってみろよ!」

    「お前もか、ってなぁ!」

『明智』の勝ち誇った声が『アリーナ』に響き渡る。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□明□□□| □■∴
∴■□ |□□□↓□□□| □■∴
∴■□ |□□□氷□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

488氷山『エド・サンズ』:2021/05/02(日) 01:58:42
>>487

『コレハ!? 俺ノ「陣笠」ヲ・・・・』
            『奪イ取ッタノカ!?』
   ・・・
  「あなたも!?」

自身の扱う『捕具』が敵の傘下に落ちた瞬間、氷山の脳裏にあの戦いの記憶が蘇る!
あの時も、発現した『捕具』が『拘束』され、敵の支配下に落ちた
この状況の『陣笠』に対して、能力解除は利かないだろう

『「コソ泥」ハお前の方ジャアネェェカァァァ!
 俺ノ「陣笠」ヲパクリヤガッテヨォォォ!』

『エド・サンズ』のコメカミを狙った一撃・・・・
敵のスピードの方が速い以上、普通に回避する事は困難だろう
だから、より大きく体勢を変えて回避する!

陣笠によって弾かれた『鉤』を大きく上に打ち上げる
それと同時に『エド・サンズ』の体勢を大きく後ろにのけぞらせながら、腰を沈める

大きく打ち上げた『鉤』を天井の金網に引っかける事で、縄を上から吊るした状態にし、
その状態から右手で縄を掴みながら、体勢を後ろに沈める事で、
自身の身体を大きくのけぞらせて攻撃を回避しながらも、
縄で体重を支える事で隙の大きさを出来る限り小さい状態にするのがその狙いだ!

「そう易々とあなたに『勝利』を譲る気はありません・・・・!」
『ソウイウ事ダ!』

さらに余裕があれば、体勢の変化に伴う回転運動を利用して、
腰を中心に、円運動を利用して、左脚を上方向に伸ばし、
明智の手元、『アンチクライスト・スーパースター』を下から上に蹴り上げたい

489『最悪の相性』:2021/05/02(日) 23:02:57
>>488(氷山)

>『コレハ!? 俺ノ「陣笠」ヲ・・・・』
>            『奪イ取ッタノカ!?』

>『「コソ泥」ハお前の方ジャアネェェカァァァ!
> 俺ノ「陣笠」ヲパクリヤガッテヨォォォ!』

    「これは『昇華』だ。
     その証拠に――――」

      バスゥ!!

手元の『鉤縄』を跳ね上げようとするが、『明智』の方が早い。
『鉤爪』が跳ね返ってくれば、それを上方へ殴り飛ばせただろう。
だが、『陣傘』によって受け流された以上、その勢いは殺されていない。
(※鍵縄は地面へと落下した)

    「お前よりも、上手く使えるぜ」

     シュバァァ!!

姿勢を仰け反らせようと、上体を引いたのが幸いした。
『陣傘』は直撃せず、『エド・サンズ』の額を真一文字に浅く裂いただけだ。
ダメージフィードバックにより、『氷山』の額から鮮血が滲み始める。
この『至近距離』での戦闘は、スピードに勝る『明智』が有利だ。

    ≪『明智』選手のファーストヒット、『氷山』選手の額を裂いたぁ!
      『陣傘』を扱う速度、精度、どちらも『エド・サンズ』を凌駕しています!≫

    「『銀貨』によって破壊された『陣傘』を振るう限り、
     彼の力も速度も、『人』を超える。――――まるで『神話』のように」

『セカイ』の実況と『タダヒト』の解説が挟まれる。
『明智』は振った『陣傘』の内側に視線を走らせ、何かに気付いたように笑んだ。

    「あ、ありゃあ『尾藤』の時と同じだッ!」

    「アイツも『刀』を奪われて、呆気なくヤラれちまった!」

    「このままじゃあ、前の闘いの再現だっつうの!」

『観覧席』からもどよめきの声が響き始める。
以前の『試合』の再現となれば、『氷山』の敗色は濃厚だ。
――――だが、

    「氷山ちゃーん、頑張って反撃しちゃえー!」

場にはそぐわない朗らかなエールが『観覧席』から飛んでくる。
『明智』は追撃をしない。既に『勝利』を確信しているのか。
――――いいや、まだ『試合』は始まったばかりだ。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□爪□| □■∴
∴■□ |□□□□ .ミ□□| □■∴
∴■□ |□□□明 ミ.□□| □■∴
∴■□ |□□□氷ミ .□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

※ミは鉤縄のロープ。爪は鉤爪。どちらも地面に落ちている。

490氷山『エド・サンズ』:2021/05/03(月) 00:11:36
>>489

『チィッ・・・・・!』

『エド・サンズ』以上の速度・精密さで振るわれる『陣笠』に対応して身を仰け反らせる
『鉤縄』が引っかかっていればバランス感覚を保てたのだが・・・・なんとか身をかわす事ができた

『クソッ 言ウダケノ事ハアルジャネェカ・・・・・!
 確カニお前ノ力量ハ認メテヤルゼ・・・・!』

額を浅く裂かれ、血が流れる中で氷山は考える
明智の行動にはいくつかの不可解な部分が存在する・・・・それは慢心故かそれとも・・・・

(敵の攻撃はパワーもスピードも『さんずさん』以上・・・・
 『捕具』を出しても、それを奪う能力の持ち主・・・・これは・・・・)

「『相性』が悪い!」

その事実を感じ取り、少しだけ不安感が去来する
このまま戦って勝てるのだろうか、彼の言う通りに負けて恥を晒すだけなのだろうか・・・・
などと考えていると

    「氷山ちゃーん、頑張って反撃しちゃえー!」


   「・・・・・!? ふ、ふふ・・・・」

遠くからエールを受けとった
朗らかなその声援は、この場の空気にそぐわないものであったが、勇気が湧いてくる
それと同時に、『さんずさん』ではなく『自分自身』にエールを送られたという事実を少し、面白く感じた

(『神話』・・・・ よくはわかりませんが、敵の能力は『相手の道具を奪う』事と見ていいでしょう
 でも、何故『陣笠』を使って猛ラッシュをしてこないのでしょうか・・・・?
 『さんずさん』よりも能力で優っているのであれば攻撃を仕掛けた方がいいのに・・・・)

「頑張りますよ! ええ、こんなに応援を受けているのですからね!
 だから、『さんずさん』・・・・・!」

       『オォ! ドコヲ攻撃スル!? 革袋カ? 顔面カ!?』

   「ここは攻撃しないで・・・・引きます!」
                  『何ィ!?』

ここは相手に攻撃を加えずに・・・・一旦背後にバックステップする
敵の攻撃の正体が『裏切り』によるものであればこちらから攻撃しなければ有効な攻撃手段を得られず、
『銀貨の投擲』を選択する可能性が高い それに備えての行動だ

だが、ただ何もせずに身を引くわけではない!
敵が何らかの行動・・・・・『銀貨の投擲』や『陣笠による殴打』を行ってくるようなら、
カウンターで『大捕物』を発動する!

対象は『氷山』と『明智』 発現する『捕具』は『投卵子』だ
割れやすい『投卵子』を手元に発現する事で『銀貨』や『陣笠』がそれに当たり、破裂させることが狙いだ
バックステップをしたのも『投卵子』の効果範囲から遠ざかる事を狙っての行動だ

491『最悪の相性』:2021/05/04(火) 22:23:08
>>490(氷山)
>『クソッ 言ウダケノ事ハアルジャネェカ・・・・・!
> 確カニお前ノ力量ハ認メテヤルゼ・・・・!』

     「いいや、お前が認めるのは『敗北』だ」

     「さっさと『ギブアップ』しなぁ!」

      バッ!

『明智』は一歩踏み込み、『陣傘』を再び振り翳す。
その瞬間、『氷山』は『背後』へと下がり、『投卵子』を発現する。
『明智』に『大捕物』を持たせる『資格』があると、『エド・サンズ』は認定したのだ。
(※『氷山』が背後に下がったことにより、『鉤縄』も引っ張られる)

>   「ここは攻撃しないで・・・・引きます!」

     ポロッ

         ダダッ!

『明智』の左手から『投卵子』が現れるが、それは地面へと落下する。
そして、『氷山』の手にもまた『投卵子』が現れた。
『明智』は『陣傘』を片手に真正面へと突っ込んでいく。

    ≪再び、『陣傘』による猛攻ッ!  二度目は防げるかぁ!?≫

    「『氷山』選手が武器を作り出し、『明智』選手はそれを奪う。
     そして、『アンチクライスト・スーパースター』は、
     奪った武器を『エド・サンズ』より上回る扱いを見せる」

    「――――ここまで明白に『相性』の差が現れるのは、珍しいな」

『氷山』が呟いた『最悪の相性』。それは『タダヒト』も理解している。
それだけではない。――――この拮抗が続けば、それは『勝敗』へと繋がる。

    「氷山ちゃーん! もっとすっごい攻撃しちゃいましょー!」

    「そうだそうだ!  『陣傘』よりスゲェのを出せばいいだけだろ!」

『観覧席』から『氷山』への期待が籠った声が聞こえる。
一方、『明智』は冷ややかな目を浮かべ、ニヤリと笑う。

    「『タダヒト』の歯に衣着せた解説がうっとおしいから、
     俺自ら、『アンチクライスト・スーパースター』を教えてやる」

    「『銀貨』で破壊した物体を『蘇らせる』。
     その武器は振るう度に『超常』の力を発揮する」

    「当たり前の話だけど、アリーナには『武器』は持ち込めないからな。
     本来ならここじゃあ闘えないスタンドなんだよ。――――『幸運』なことに、
     お前みてぇな『かませ犬』でもいない限りはなぁ!」

      ――――ビャウウウ!!

『明智』は再び、『陣傘』を『エド・サンズ』のコメカミに振るう。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□爪□□| □■∴
∴■□ |□□□明 ミ.□□| □■∴
∴■□ |□□□↓ミ .□□| □■∴
∴■□ |□□□氷□□□| □■∴
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

492氷山『エド・サンズ』:2021/05/04(火) 22:37:26
>>491
『投卵子』を出したばかりではありますが、
敵の攻撃に合わせて次の『捕具』を出す事は出来そうですか?

493『最悪の相性』:2021/05/04(火) 22:49:50
>>492
>『投卵子』を出したばかりではありますが、
>敵の攻撃に合わせて次の『捕具』を出す事は出来そうですか?

まだ『4秒』が経過していないため、発現は出来ません。

494氷山『エド・サンズ』:2021/05/04(火) 23:13:14
>>491

『投了スルニハマダ早イゼ!
 生憎ヨォォ、俺達ハ諦めガ悪クテナァ!』

   「『相性』が悪い程度で諦めるわけは・・・・ない!」

目の前に銀色の輝きを見せる『陣笠』が迫る
どうやら、一度破壊された物体はしばらくの間相手の物になるらしい
その事実を認め、氷山は思考を巡らせる

(『銀貨』・・・・ 『蘇り』・・・・
 あまり詳しくはありませんが、キリスト教に似た話があったような・・・・)

(いえ、そんな事はこの際どうでもいい
 それよりも・・・・『破壊』した物体を『蘇らせる』?
 わざわざ自分の能力をべらべら喋っているのは余裕の表れ? それとも『ブラフ』?)

   (・・・・ええい!)

「べらべら、べらべらと随分と余裕そうですね!
 それと・・・・・『さんずさん』は『かませ犬』なんかじゃあない!」

敵の攻撃の単調さは相性差を笠に着た慢心が原因と判断
だからこそ、ここは不意打ちを狙う事にする

    バッ!

敵の前進に合わせる様にさらに後方に跳躍!
それと同時に右手に持った『鉤縄』を大きく引く!

既に後方に下がった事で引っ張られた縄はピンッと張っているはず、
そこに更に勢いよく力を込め、明智の後方から『鉤部分』を飛来させ、背中を刺す事が目的だ
さらにいえば、後方に下がる事でこめかみ狙いの一撃を避ける狙いもある

勿論、この程度で有効打になる事は少ないだろう
だが、慢心した状態で不意を打たれたなら、予定していた攻撃に乱れが生じてもおかしくはない
そこの隙をついて明智の顔面に『投卵子』を投げつけたい!

また、余裕があれば認識の速さで明智の手からこぼれた『投卵子』を解除したい

捕具:『陣笠(明智)』『投卵子(地面)』『投卵子(氷山)』

495『最悪の相性』:2021/05/05(水) 20:58:28
>>494(氷山)

    タッ!

振り翳された『陣傘』を『氷山』は飛び退けて『回避』する。
そのまま、『エド・サンズ』に握らせた『鉤縄』を引っ張り、
『鉤』を『明智』の背中目掛けて、掻き刺そうと目論む。

     バシィ!
            ――――ググ……

だが、その行動は『二つ』の要因によって、『失敗』した。
一つ。『明智』は手にした『陣傘』を『エド・サンズ』目掛けて投げ付けたのだ。
さながら『フリスビー』のように滑空した『陣傘』は『エド・サンズ』の右耳を切り裂き、
『氷山』も『衝撃』によって意識が揺らぐ。――――『右耳』からは出血が噴き出る。

>「べらべら、べらべらと随分と余裕そうですね!
> それと・・・・・『さんずさん』は『かませ犬』なんかじゃあない!」

    「ゴメンな」

    「――――『噛ませ犬』ってのは、強いヤツに使う言葉だったな」

そしてもう一つ。『縄』が踏みつけられている。
飛来した『陣傘』を思い出す。――――あれは『鉄色』から『銀色』に変化していた。
つまり、『鏡』と同様なのだ。好機に攻め込まずに足を止めた『明智』の仕草を思い出す。

┌───────────────────────────────────
│『明智』は振った『陣傘』の内側に視線を走らせ、何かに気付いたように笑んだ。
└───────────────────────────────────

己の『背後』を確認した『明智』は、『鉤爪』の存在を知っていた。
それを封じる為に、『踏み込み』の際に『縄』を踏みつけていたのだ。
『縄』は使えない。『氷山』は発現した『投卵子』をカウンター気味に投げ付ける。

    ガィィンッ!!
            ―――――シュゥゥゥ

『氷山』の背後にある『格子扉』にぶつかった『陣傘』が解除される。
それを見ることは敵わない。――――『背後』だから、だけではない。

          ブシュゥゥゥゥ!!!!

    ≪こ、これは―――――≫

          ≪す、スモークだぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!≫

動揺する『セカイ』の電子音が響き渡る。
入場の際に作動した『スモークマシン』から『白煙』が吹き荒れる。
――――この煙量は尋常ではない。瞬く間に視界がホワイトアウトする。
『縄』の踏みつけの時、『スモークマシン』を『破壊』していたと、『氷山』は気付いた。

――――果たして、『投卵子』は命中したのか。


【アリーナ俯瞰図】         北   |     【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4  ...|     .∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴  |     .∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴  |     .∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|     .∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|   |\  ∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴ ̄ ̄ ̄   \∴■□ |□□?????| □■∴
∴■□ |□□□□爪□□| □■∴___  ../∴■□ |□□?????| □■∴
∴■□ |□□□□明□□| □■∴  .|. ..|/ ..∴■□ |□□?????| □■∴
∴■□ |□□□□ミ .□□| □■∴   .|       ∴■□ |□□?????| □■∴
∴∴■□\□□氷□□/□■∴∴  |       ∴∴■□\□?氷??/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴  |      ∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴ .....| .       ∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

496氷山『エド・サンズ』:2021/05/05(水) 21:19:44
>>495
・『スモークマシン』はどのように破壊されたか見えましたか?
・何かに踏みつけられるような『鉤縄』の抵抗は手の感触的にまだ続いていますか?

497『最悪の相性』:2021/05/05(水) 21:22:24
>>496(氷山)
>・『スモークマシン』はどのように破壊されたか見えましたか?
『明智』の足元で『踏みつけ』られ、『白煙』が噴出したのを確認しました。

>・何かに踏みつけられるような『鉤縄』の抵抗は手の感触的にまだ続いていますか?
引っ張りを遮る抵抗が続いている為、現在はまだ『踏みつけられている』と思われます。

498氷山『エド・サンズ』:2021/05/05(水) 22:06:57
>>497
すいません、追加で質問です

・『スモークマシン』は明智に破壊された物以外に足元にありますか?

499『最悪の相性』:2021/05/05(水) 22:27:22
>>498(氷山)

>・『スモークマシン』は明智に破壊された物以外に足元にありますか?

下記の位置にあります。
(※噴出口の露出のみ。×は『明智』が破壊済)

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□◎□◎□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□◎□◎□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□◎□×□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴∴■□\□◎□◎□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

500氷山『エド・サンズ』:2021/05/05(水) 22:47:18
>>495

>「――――『噛ませ犬』ってのは、強いヤツに使う言葉だったな」

         いらっ!

「この・・・・・っ! 『落ち着けヨ、「あきは」ヨォォ・・・・明智ノ思うツボダ・・・・』

『ソレニヨォォ、明智ノ奴・・・・思ッテタ以上ニ油断ナラネェ難敵ダゼ・・・』

口の減らない明智の挑発に対して、売り言葉に買い言葉を返そうとするが
口に出す前に自身のスタンド『エド・サンズ』に止められる
陣笠をぶつけられた衝撃で頭がガンガンとする中でこの状況を考える

(何故・・・・何故、明智さんは『陣笠』を手放したのでしょうか?
 彼の能力が相手から奪った『道具』しか使えないのであれば、
『さんずさん』が『捕具』を出さない限り、『武器』は供給されない・・・・
 それならば、獲得した『道具』は出来る限り、手元に置いておこうとするのが自然なのに)

(それにこの煙・・・・相手にとって有利な状況なのに、この状況を用意する理由・・・・
                   ・・・・・・・
 まさか・・・・・『煙』は既に明智さんに『支配されている』!?)

それなら、と明智に対抗するための次の手を打つ

「まさか・・・・『陣笠』を返してくれるなんて思いませんでしたよ!
 あなたはきっとこのまま『借りパク』して帰ってこないものだと思っていたので!」

まずは、敵の足に踏まれた『鉤縄』を解除
そして、扉の両脇にあるスモークマシン・・・・その東側の機体を踏みつぶして破壊する!
敵と同様に煙をまき散らし、煙幕の濃度をさらに濃くする!

それと同時に『エド・サンズ』の手元に『鉤縄』を再度出現し、
天井にある金網に向けて引っかけようとする

(煙幕で視界が悪くなった状況・・・・
 先ほど、『鉤縄』を見せた以上、天井に『鉤縄』を引っかければ、
 乱戦を嫌って上空に私たちが逃げた、と明智さんは思うはず・・・・)

(・・・・・いいえ! このまま地上戦を続行します!)

501『最悪の相性』:2021/05/06(木) 22:31:36
>>500(氷山)
>(何故・・・・何故、明智さんは『陣笠』を手放したのでしょうか?
>獲得した『道具』は出来る限り、手元に置いておこうとするのが自然なのに)

グラグラする脳内で『氷山』が巡るのは、『明智』が『陣笠』を手放した『思惑』だ。
『エド・サンズ』でも防ぐのが手一杯の『銭弾』や『陣笠』に拘らず、
次から次へと『絡め手』を繰り出すのは、何か理由があってのことか。

>「まさか・・・・『陣笠』を返してくれるなんて思いませんでしたよ!
> あなたはきっとこのまま『借りパク』して帰ってこないものだと思っていたので!」

    ≪このスモークッ!  全く『両選手』が見えませんッ!≫

    ≪で、出来れば『実況』のやりがいがないので、
      こーいうのはヤメて欲しいところなのですが……≫

    「クッソ、またこの手口かよ!」

    「俺達は殴り合いのしのぎ合いが見たくて席取ってるんだよ!」

    「『Vtuber』なら、この状況もべしゃりで盛り上げろっつーの!」

    ブシュゥゥゥゥ―――――

『白煙』に消えた『明智』に叫ぶも、返事は帰って来ない。
この状況では『声』を出さない方が『有利』と考えたか……。

    「ガホッ
              グホッ!!」

――――違う。『投卵子』だ。
『明智』に命中した『投卵子』を吸い込んだのか、咳き込む音が聞こえる。
無論、『スモーク』に囲まれた『氷山』にとっても他人事ではないが、
『煙』の濃度に反し、多少吸い込んでも支障のない気体のようだ。

     パシュッ
            ――――ガァンッ!!

『鉤縄』を解除し、『エド・サンズ』が『スモークマシーン』を踏み壊す。
『白煙』が噴出するが、『明智』が壊したモノよりも噴出力が乏しい。
――――『アンチクライスト・スーパースター』の能力下にあるのは明らかだ。

        ギィンッ!
                ガギィンッ!!

『明智』の放った『銀貨』が『氷山』の傍の『金網』、右手側の金網へと命中した。
硬質な『金属音』は聞こえるが、『足音』や『物音』は『スモーク音』に掻き消される。
現在、互いに『位置』を特定できる状態にはない――――

「逆転あるよー! 氷山ちゃんファイトファイト――」

        バヒュッ!
                 ガギッ

そして、『エド・サンズ』が『鉤縄』を投擲し、天井の『金網』へと引っかけた。
周囲の見えない状況ではあるが、『金網』目掛けての投擲であれば、
十全の状態でなくても『引っ掛かる』と考えて良さそうだ。
観覧席からの声も聞こえる。この状況、『逆転』は有り得る――――

     「やってくれたな……。
      何か混ぜてやがる……お前の『カプセル』か」

『明智』の声が『氷山』の脳内に直接流れ込んで来る。
これは『スタンド会話』だ。『明智』の位置は特定出来ないが、
互いに身を隠した状況であっても、位置を悟られずに会話が出来る。

      ブシュゥゥゥ   ゥゥゥ...

広がり終えた『白煙』の勢いが収まって来ている。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□??????□■∴
∴■□ |□□??????□■∴
∴■□ |□???????□■∴
∴■□ |????????□■∴
∴∴■□\??氷????□■∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉????■∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

502氷山『エド・サンズ』:2021/05/06(木) 23:14:27
>>501

「やっぱり! 明智さんの狙いは『煙幕を支配下に置いた一方的な攻撃』!
 どうやら、苦しそうですね! どうです、『さんずさん』の『道具』の味は!」

こちらも『スタンド会話』で明智に話しかける
『アンチクライスト・スーパースター』の煙による奇襲を封じた事で
状況的にこちらの有利に傾いた事を実感する

(こちらが有利だといえる点は現時点で二つ・・・・
 一つは投卵子が命中して明智さんの視覚にダメージを与えた事
 煙幕で周囲が見えない状況は同じとは言え、これで私の方が一歩有利です

 もう一つは、私の能力の正体がまだ完全にばれてはいない事
『カプセル』・・・・『投卵子』の正体に気づいていなければ、『捕具』の生成が能力とは断言できないはず
大方、何らかの『種別』に属する『道具』を作る事、止まりでしょうか・・・・それなら!)

   ブゥゥゥン!


『鉤縄』の鉤を天井に引っかけたまま、鉤部分を中心にして、大きく旋回するように縄を回す
これにより、縄が何か障害物・・・・つまりは明智にぶつかった位置を音と縄の弧形で判断し、
明智のいる位置を特定したい

そして、明智がいるであろう位置が特定できたなら・・・・

     『オラァァァッ!』

渾身の右ストレートをその位置にブチ込む! パス精BCC
デコイとセンサーが『鉤縄』の役割だ!

503『最悪の相性』:2021/05/06(木) 23:55:46
>>502(氷山)

>(こちらが有利だといえる点は現時点で二つ・・・・
> 一つは投卵子が命中して明智さんの視覚にダメージを与えた事
> 煙幕で周囲が見えない状況は同じとは言え、これで私の方が一歩有利です

『投卵子』による『目潰し』まで利いたか定かではないが、
『エド・サンズ』の『投卵子』は『破壊』による解除によって効果を現す、
『捕具』の中でも特殊なモノだ。――――即ち、『解除』によって『中身』まで消える以上、
『目潰し』を起こした後、その『持続力』は長くはない。目や喉に刺激物が残らないからだ。

     フォンッ
             フォンッ

『鉤縄』に勢いを付けるため、『エド・サンズ』は縄を振る時間を要する。
だが、それも数秒だ。『エド・サンズ』は縄部を振るい、即席の『ソナー』とする。

     スカッ!

しかし、『ソナー』は空振りに終わる。
『氷山』の左右2mは『金網』に囲まれており、
必然的に、『縄』を振るう長さも、それを超えない。
だが、――――ならば『明智』は何処へ消えた?

『明智』は今、『2m』以上の距離を取っているのは確かだ。

    ≪あ、ああ!!  『明智』選手―――――!!≫

途端、つんざくような『セカイ』の電子ボイスが響き渡った。
『スモークマシン』から離れた『白煙』が霧散し、
『セカイ』を含めた『観覧席』からは『明智』の動向が見えたようだ。
だが、『セカイ』は言葉を続けない。――――『実況』によって、
『氷山』が『明智』の位置を特定できないよう、配慮しているのだろう。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□? ミ_  .??□■∴
∴■□ |□?? ミ|\???□■∴
∴■□ |□?? ミ? \??□■∴
∴∴■□\??氷==== /□■∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴

504氷山『エド・サンズ』:2021/05/07(金) 00:10:16
>>503

(いない・・・・・!? なら・・・・・!)

即席の『ソナー』による捜索は空振りに終わる
少なくとも、明智は周囲2m以内にいない・・・または地面に着くくらい屈みこんでいるのだろう
ならば・・・・・!

「なら、捜索範囲を広げるまでですよ・・・『さんずさん』!」

   『オウッ!』

旋回した縄は何も当たらなければ元の位置に戻ってくるはず
それを掴み、指運で天井の鉤を外す

      『ソラヨォォォ!』

そして、掴み取った『鉤縄』を大きく前方で回しながら、前方へと前進していく
実況の言葉を聞く限り、恐らく明智は煙幕の外に脱出しているのだろう
だが、投卵子の刺激がダメージを与えている今がチャンスである事には変わらない
縄の動きと抵抗で前方を探りながら煙幕の外まで前進していく

505『最悪の相性』:2021/05/07(金) 00:48:27
>>504(氷山)

     ググッ
            ギンッ!

>      『ソラヨォォォ!』

   ビュォンッ!!
                ビュォンッ!!

『天井網』から鉤縄を外し、『エド・サンズ』は前進する。
手にした『鉤縄』を振り回し、見えぬ『明智』を追って。
―――――だが、『鉤縄』は空振るばかりだ。

       ギギィンッ!!

             ―――――ビスッ!
 . .
『氷山』の右脇腹に衝撃が走り、体勢が大きく揺らぐ。
激痛が焼き付く。『銀貨』の指弾が命中したのは明らかだ。
だが、『右手側』から……?  その位置は『ソナー』に反応しなかった。

     ≪『明智』選手、『脱獄』だァァァ――――!!≫

     ≪『ギミック』の『金網』から抜け出しています!
       ええっ!?  でも、これ、『リングアウト』じゃあ……?≫

     「『明智』、テメェー『インチキ』やらかしやがったな!」

     「態度も悪けりゃルールも守らねぇのかよ!?」

     「反則負けだバカ野郎! ウラでボコるぞテメェー!」

『観覧席』からの野太い罵倒が飛び交い、激痛で吹っ飛びかける意識を引き戻す。
何処吹く風、とばかりに『明智』は鼻で笑うと、咳混じりに一言だけ呟いた。

     「ゴホッ ……コイツが用意した『ギミック』だぜ」

     「その通り。
      『網籠』はあくまでも『ギミック』。
      だから、『観客席』を区切る『金網』を残してある」

     「――――『ステージ』内だ。『試合』は続行する」

『タダヒト』がマイクを手にし、『明智』に同調する『裁定』を下した。
怒りが収まらない『観客達』の怒号は依然として鳴り止まない。

     「そもそも、この『試合』おかしいんじゃあねぇーのか!?」

     「二度も続けて、『明智』に武器持ちあてがってんじゃあねぇーよ!」

     「『A級』様が許そうとも、ワイはゼッタイに許さへんでぇ!
      こっちは『アリーナ』見る為に、わざわざカラ出張組んどるんや!
      こうまで無様な試合じゃあ、土産の一つにもなりませんわ!」

      オ オ オ オ オ オ オ ォ  ォ ォ  ォ  ォ  ォ ―――――

一つの『唸り』となった観客達のブーイングが、『氷山』の耳をつんざく。
『銀貨』は二発放たれた。『不意打ち』でありながら、一発しか命中していない。
『明智』の視力は完全には回復していない。――――か細いが、唯一の『糸』だ。

――――そして、もう一つ。
この違和感、……『明智』は何かを隠している。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□↑□□□| □■∴
∴■□ |□□□氷□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| 明■∴
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

506氷山『エド・サンズ』:2021/05/07(金) 10:46:39
>>505
・明智が破壊したスモークマシンは今どうなっていますか?
(銀色に輝いていますか? それとも、破壊された状態になっていたり?)

・明智が銀貨を当てた金網の状態はどうなっています?

507『最悪の相性』:2021/05/07(金) 16:05:55
>>506(氷山)
>・明智が破壊したスモークマシンは今どうなっていますか?
>(銀色に輝いていますか? それとも、破壊された状態になっていたり?)

『噴出口』に破損が見られますが、他は通常と変わりありません。

>・明智が銀貨を当てた金網の状態はどうなっています?

『銀貨』が当たった際の、僅かな『破れ』が生じています。
一見すると、他は通常と変わりありません。

508氷山『エド・サンズ』:2021/05/07(金) 20:50:26
>>505

   ヒュンッ  ヒュンッ ヒュンッ!

鉤縄を振り回し、索敵を続ける『エド・サンズ』
しかし、その索敵網の中に期待していたような感触はない
氷山の頭の中に危機感が蓄積する・・・・・そして

             ―――――ビスッ!

   「あっ・・・・がアアァァァッ!」

突然! 右脇腹に衝撃が走る!
骨や内臓にまで響くような鈍く重い痛み・・・・『銀貨』が命中したのだ!

『あきはァァ!?』

         「だ、大丈夫・・・・まだ大丈夫です・・・・」

何故? どうやって? 思考が疑問符で満たされる
ふと、見ると近くの金網が『銀貨』によって破られていた・・・・

(まさか・・・・金網を『蘇らせて』通り抜けた!?)

一つの推測として、明智が金網の外に出た手段を予想する

(まずい・・・・ このままじゃあ、文字通り、私は籠の中の鳥ですよ
 早く脱出して、明智さんに追撃をしないと・・・・視力が回復される前に)

『明智ヨォォォ・・・・ イツノ間ニカ金網の外ニ出タソノ「逃げ足」ノ速サハ褒メテヤルケドヨォ
 ビビッテルンジャネエゼ! 真正面カラ向カッテキヤガレ!』

このまま金網の中に留まるわけにはいかない
『エド・サンズ』のパワーを生かして、明智の近くの金網に対して何度もタックルをする!
そして、そのまま金網を倒して、4mの高さの金網で明智の頭上から押しつぶしたい

(それにしても・・・ そうだとしたら、明智さんは何で金網と煙を元に戻したんでしょう?
 蘇らせた道具を自由に使えるのなら、手放さずに能力を使い続けた方がいいのに
 それにこの違和感・・・・何かを隠して・・・・・)

>      オ オ オ オ オ オ オ ォ  ォ ォ  ォ  ォ  ォ ―――――

「ちょっと! 観客席の人! いい加減、ブーイングはやめてください!
 考えがまとまらないじゃあないですか!」

509『最悪の相性』:2021/05/07(金) 22:51:52
>>508(氷山)
>(まさか・・・・金網を『蘇らせて』通り抜けた!?)

『氷山』は脱出の手段を推測する。
思い返されるのは『陣傘』の発現だった。

┌─────────────────────────────
│その手に握られるのは『銀貨』。抜き取ったのは一枚ではない。
│そして、握った手ごと『銀貨』が光輝き――――
└─────────────────────────────

『明智』の手中にある『銀貨』を媒介にし、『陣傘』は蘇った。
同じ方法で『金網』が蘇ったのだとすれば……。

>『明智ヨォォォ・・・・ イツノ間ニカ金網の外ニ出タソノ「逃げ足」ノ速サハ褒メテヤルケドヨォ
> ビビッテルンジャネエゼ! 真正面カラ向カッテキヤガレ!』

    「バカみてェに真正面から突っ込み続けた結果が、
     自分が用意した『鳥籠』にハマっちまったって結末だろ?」

無論、『明智』の揶揄通りに『網籠』に収まったままの『氷山』ではない。
身体を捻らせ、『エド・サンズ』を『金網』に突っ込ませようと、

     「もう一発ッ!」

    ギィンッ!     ボスッ!

『明智』の『銀貨』が再び放たれ、『氷山』の右足首に命中した。
ダメージフィードバックにより、『エド・サンズ』の右足首にも抉れ傷が生まれる。
距離を取られた今、『アンチクライスト・スーパースター』が遥かに勝る。
そして今、ハッキリと解る。――――『視力』が戻りつつある。

>「そもそも、この『試合』おかしいんじゃあねぇーのか!?」
>「二度も続けて、『明智』に武器持ちあてがってんじゃあねぇーよ!」

>「ちょっと! 観客席の人! いい加減、ブーイングはやめてください!

    「マヌケ共がッ!  今更気付いたのかよ!」
                                 . .
    「ああ、知ってたぜ!  コイツのスタンドが武器を発現するってなぁ!
     グーゼンにも、こうしてマッチング出来て、誠にゴチソウサマって話よ!」

    「C級の二連覇でB級! B級の二連覇でA級だッ!
     この『通過点』は軽々突破して、『本物』の闘いってのを見せてやるよ!」

苛立つ『氷山』を尻目に、『明智』は観客のブーイングを煽り立てる。
観覧席は火が付いたような騒ぎだ。

    「んな話で済むと思ってんのかよぉ!」

    「ナメたガキはこの世で一番キライなんだよ!」

    「『氷山』はん、このボケジャリをイワすとこ、ちゃいまっか!?
     クサっとる場合じゃああらへんで! チャキチャキせえな!」

観覧席からの怒号は止まらず、いくつかは『氷山』にまで飛び火している。
この状況、果たして『氷山』に打開策はあるか――――

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□氷□□□| □■∴
∴■□ |□□□□工□□| 明■∴
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∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

510氷山『エド・サンズ』:2021/05/07(金) 23:40:39
>>509

    ギィンッ!     ボスッ!

「ああぁぁぁアッ! クッ! かはぁ・・・・!」

人間を超えるパワーから放たれる高威力の『銀貨』
それを右脚にまともに受けて、苦痛から息が絶え絶えになる
額に汗を滲ませながら、歯を食いしばって立ち上がる

『ヤベェゾ! 「銀貨」ノ攻撃ガココマデ激シイト、接近スルノモママナラネェ!
 何か・・・・ アイツノ攻撃ノ「秘密」ヲ解カネェト・・・・!』

  「わかってます・・・・ わかってますよ!」

(やっぱり・・・・銀貨の攻撃は強力でこのままじゃあ・・・・あれ?)

氷山の心の中に一つの疑念が浮かぶ
『何故、これ程強力な銀貨の攻撃を今まで使わなかったのか?』と

(そうですよ・・・・これだけ強力な遠距離攻撃なら
『陣笠』で防御しながら、『銀貨』で攻撃を仕掛けた方が遥かに強いはず
『スモークマシン』や『金網』を合わせて使えばさらに強力になるのに・・・・)

(なのに、『銀貨』で攻撃をする時は『蘇らせた道具』を使う様子がない
 使わないのではなく、併用が・・・・出来ないとしたら?)

「明智さん・・・・さっきから聞いていれば、随分とご機嫌な様子ですね
 そんなに生き急ぐみたいに階級を上げて・・・・A級とやらになったとして・・・・
 それで何をするつもりです? 『タダヒト』さんを倒せる、と?」

挑発じみた事を言いながら右足をかばうようにゆっくりと明智の方向に前進する
目的は一つ・・・・相手に『銀貨』を撃たせる事だ

「今までは・・・・相性の差でなんとか戦ってこれたかもしれませんが、
『タダヒト』さんに対しても、能力の相性でどうにかなると・・・・そう思ってます?
『タダヒト』さんの能力も知らないのに・・・・?」

今までバカスカと『銀貨』を射出して来た相手だ
挑発に乗って『銀貨』を再度射出する可能性は高い・・・そこを!

瞬間的に『鎖帷子』を発現させて、攻撃を防ごうとする!
攻撃が防げたならば、次の攻撃までの隙を狙って、先程の行動
金網に対するタックルを敢行したい

511『最悪の相性』:2021/05/08(土) 00:55:20
>>510(氷山)
『氷山』の足首にめり込んだ『銀貨』は瞬く間に解除される。
激痛が神経を支配する中、『氷山』は歯を食いしばって姿勢を維持する。

     ≪み、みなさぁん! やっきりしないで、落ち着いてぇー!≫

     ≪『明智』選手の『アンチクライスト・スーパースター』、
       『銃弾』にも匹敵する銀貨の一撃、やっぱり強い!≫

     ≪能力も勿論ですが、これを防ぐだけでも、
       普通のスタンドでもおとましいはず!≫

『セカイ』が電子ボイスをキンキンに響かせ、実況を続けている。

>(やっぱり・・・・銀貨の攻撃は強力でこのままじゃあ・・・・あれ?)

『銀貨』は『氷山』に二度、命中している。
そして、『明智』は三度、『銀貨』を放っている。

>『何故、これ程強力な銀貨の攻撃を今まで使わなかったのか?』と

┌───────────────────────
│「『銀貨』で破壊した物体を『蘇らせる』。
│ その武器は振るう度に『超常』の力を発揮する」
└───────────────────────

      「テメェ、『尾藤』を倒しただけだろーがァ!」

┌────────────────────────────―
│「当たり前の話だけど、アリーナには『武器』は持ち込めないからな。
│ 本来ならここじゃあ闘えないスタンドなんだよ。
└────────────────────────────―

      「刀一本しか持ってねェ、スタンドもマトモに使えないヤツだろ!」

┌────────────────────────────────
│「ああ、知ってたぜ!  コイツのスタンドが武器を発現するってなぁ!
│ グーゼンにも、こうしてマッチング出来て、誠にゴチソウサマって話よ!」
└────────────────────────────────

      「ワイもその試合は見させてもろたで!
       何発か『尾藤』の腹にブチ込んで、刀にぶつけておしまいやったがな!」

      「今回はコスい手ばっかり使いおって、そんなにゼニが惜しいんか!?」

『違和感』がある。『明智』の言葉全てが『真実』であるなら、
――――彼の『スタンドバトル』そのものに、大きな『矛盾』がある。
無論、『偶然』とは『アナーキー・イン・ザ・UK』の力を借りてのことなので、
それ以外の部分で、という話になるが……。

>「今までは・・・・相性の差でなんとか戦ってこれたかもしれませんが、
>『タダヒト』さんに対しても、能力の相性でどうにかなると・・・・そう思ってます?
>『タダヒト』さんの能力も知らないのに・・・・?」

      「『C級』ってのはな、『予選』に過ぎないんだよ。
       『B級』になれば、こんな殺風景な『アリーナ』じゃあない」

      「『市街地』での戦闘が出来る。
       そうすりゃあ、さっきの『スモークマシーン』みてェに、
       『アンチクライスト・スーパースター』の能力を活かせる」

      「俺は『タダヒト』にも勝てる。
       いいや、勝たなきゃあならない。お前にも、『タダヒト』にも」

     グッ

『氷山』は姿勢を正し、『エド・サンズ』を『明智』へと向ける。
先程までの行動、『金網』へのタックルを狙う為だ。
既に『鎖帷子』の発現準備は出来ている。――――だが、

      「勝たなきゃあ、俺は前には進めない」
                       . . . . . .
『アンチクライスト・スーパースター』を、撃ってこない。


【アリーナ俯瞰図】         北
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∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
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∴■□ |□□□□□□□| □■∴
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∴■□ |□□□□□□□| 明■∴
∴■□ |□□□氷工□□| □■∴
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∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

512氷山『エド・サンズ』:2021/05/08(土) 01:02:16
>>511
先程、空ぶった『銀貨』の射出ですが、
氷山に当たらずにどこに飛んでいったかわかりますか?

513『最悪の相性』:2021/05/08(土) 01:04:55
>>512
>先程、空ぶった『銀貨』の射出ですが、
>氷山に当たらずにどこに飛んでいったかわかりますか?

命中音がしなかったため、『明智』が解除したものと思われます。
『明智』は射出した『銀貨』を『任意』で解除できると考えてください。

514氷山『エド・サンズ』:2021/05/08(土) 01:16:16
>>511

(『銀貨』を撃たない・・・・?
 思い返してみると、明智さんは『本来ならここじゃあ闘えないスタンド』なんて言ってましたけど
 この威力・・・・『銀貨の射出』だけでも生半可なスタンド使いじゃあ相手にならないはず
 それなのに・・・・戦えない・・・・?)

(まさか、『銀貨の射出』には何か・・・・『制限』がある?)

「・・・・・やけに やけに『タダヒト』さんに敵意を向けてますね
 何か、彼に勝たないといけない理由でもあるんですか?
 そういえば、この前も『タダヒト』さんにはやたらと『戦いたいアピール』をしてましたけど・・・」

「まあ・・・・ 話はおいおい聞いていきましょうか、ね! 『さんずさん』!」

    『ヨシッ!』

         ズギャァァアアア!

改めて『鎖帷子』を発現
明智との間を遮蔽するように手で金網に被せ・・・・
そのまま、金網のフェンスを蹴っ飛ばして倒したい!

515『最悪の相性』:2021/05/08(土) 22:44:59
>>514(氷山)
> 思い返してみると、明智さんは『本来ならここじゃあ闘えないスタンド』なんて言ってましたけど
> この威力・・・・『銀貨の射出』だけでも生半可なスタンド使いじゃあ相手にならないはず

『氷山』の想像通り、おかしな話だ。
事実、『捕具』を発現しなければ、『エド・サンズ』単身で『銀貨』を防御できなかっただろう。
             . . . . .
――――そう、最初の一撃のみ、『エド・サンズ』に放たれた『銀貨』を。
残りの二度は、『氷山』目掛けて放たれた。

>「・・・・・やけに やけに『タダヒト』さんに敵意を向けてますね
> 何か、彼に勝たないといけない理由でもあるんですか?

      「そうか。――――お前は知らないんだな。
       知らずに、お前はやったんだ……そうだな……」

『明智』が放つ言葉の色が変わる。
その双眸に宿っていた勝気な光が、曇りを帯びている。

>    『ヨシッ!』

             ズギャァァアアア!

『エド・サンズ』は『鎖帷子』を手にし、『金網』へと押し付ける。
その理由は、『銀貨』による射撃を警戒してのことだろうか。

そして、そのままでいる『明智』ではない。彼の方が、現状では機動力に優れている。
『明智』は北進し、『エド・サンズ』の体当たりを避けるように移動する。

        ゴッ!

『エド・サンズ』の体当たりが命中するが、『金網』は衝撃を吸収し、
ブチ破るには至らない。――――『金網』は床に固定されている。
この一撃であっても、『数発』はぶちかまさなければ『金網』は倒れない。
(※>>473の俯瞰図下部、>>478の三行目参照)

     「そんなに倒したかったら、こっちをやっとくんだったなッ!」

『明智』が触れた『金網』は僅かに網目の破れがある。
その『金網』に思いっきり蹴りを叩き込み、

        ガッ
             ――――ドバァッ!!

『金網』が半回転し、『氷山』目掛けて倒れ込んだ。
『明智』の蹴りが『エド・サンズ』を上回っていたわけではない。

>>506-507では『一見』すると解らなかったが、
『金網』を床に固定する『アンカーボルト』が存在していない。

『明智』はこの『金網』を蘇らせ、網籠から脱出した。
それを解除によって戻した結果、『アンカーボルト』が浮いたまま、
隣の金網同士に挟ませる形で固定されていたのだ。

     「ぶっつぶれろッ!」

         グアアアァァァァ――――

『エド・サンズ』はタックルの直後。その両手には『鎖帷子』がある。
そして、背後にいる『氷山』に対し、『エド・サンズ』はすぐには視線が届かない。
――――この状況、『捕具』の発現による『回避』はほぼ不可能だ。

     ≪あ、あの『金網』で『氷山』選手を圧し潰すゥゥ――――≫

     ≪狙ったような『一撃』、ここまで予測していたとは!≫

     ≪これは『口先』だけでも『相性』だけでもありませんッ!
       『明智』選手、この『環境』を完璧に利用しきっています!!≫

        スチャッ

     「話を聞く時間はねェだろ。
      お前に出来るのは、『銀貨』のお恵みを受け取るだけだよ!」

そして、『明智』の指には『銀貨』が摘ままれている。
『氷山』の両手が塞がった時、金網越しの一撃を放つのは明白だ。
――――完全に狙われた一撃。

【アリーナ俯瞰図】         北
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∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□\明□■∴
∴■□ |□□□□□氷工| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
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516氷山『エド・サンズ』:2021/05/08(土) 23:29:42
>>515

「知らずに、私がやった・・・・?」

『明智』と『タダヒト』の因縁・・・・そこに氷山が関わっているというのだろうか?
事情の読めない明智の言葉に困惑しながらも、状況はさらに悪くなっている事を悟る

『金網』! 『金網』のボルトの固定が外れていた事に今更ながら気づく

「しまっ・・・・!」
 
          『あきはッ―――――!』

窮迫する状況の中、敵がこちらの用意したギミックすら見事に活用している事を知る
自分自身の迂闊さを呪いながらも・・・・この状況を切り開く手を考え・・・・!

(そういえば――――)

思う 思い返す 明智の違和感を 『銀貨』の攻撃・・・・・
何故、あの時攻撃しなかったのか? 何故、今になって攻撃を再開したのか?

『銀貨』による直接攻撃は初手以外、全て『氷山』に向けて行われた・・・・
攻撃の際に『エド・サンズ』を相手に向けた時には攻撃を中止した・・・・
そして、今になって位置を変えて再び『氷山』を狙ってきた・・・・

「『さんずさん』を『銀貨』で攻撃する事が出来ない・・・・?
 だとしたら・・・・ 『さんずさん』!」

瞬間、そのように結論を出す
そして、この状況を回避するための行動を開始した

    バッ!

氷山自体はフェンスから遠ざかるように南東方向にバックステップ
それと同時に『エド・サンズ』を明智と氷山の間を遮らせるように北西方向に移動させ、
『銀貨』の射線を断ち切る様な位置でフェンスを支えようとする

517『最悪の相性』:2021/05/09(日) 00:13:56
>>516(氷山)

        グアアァァァ――――

倒れ込む『金網』。右足首の負傷を考慮しても、防御は可能だろう。
問題は『銀貨』。既に『明智』の親指は深く喰い込み、『指弾』の構えに入った。

>「しまっ・・・・!」

>          『あきはッ―――――!』

『金網』越しの『明智』の目は勝気な輝きを取り戻している。
既に『勝敗』は決した。そう言わんばかりの、獲物を仕留める猛禽の瞳。

      ≪『あきは』ちゃん、絶体絶命ッ!
        もう受け止められないィィ―――――!!≫

      「アイツ、『金網』に『スモークマシーン』、ここまで使いこなすとは」

      「口だけじゃあねェ!  ムカつくが、『実力』は本物だァ!」

      「チッ、認めざるを得ないっつうの!」

『観客』達の祈りの声は聞こえない。まるで『決着』が付いたとばかりに。
追い詰められた『玉』に『成銀』を指されたと、誰もが気付いてしまった。

      「これで俺は、『B級』でアガるッ!
       俺の『復讐』が、やっと始まるんだよ!」

>(そういえば――――)

『氷山』は背後へ下がろうとするが、『足首』の痛み。
急には下がれない。――――『エド・サンズ』も。
必死で呼び戻すが、ヴィジョンの『機動力』は既に削がれている。

>『銀貨』による直接攻撃は初手以外、全て『氷山』に向けて行われた・・・・
>攻撃の際に『エド・サンズ』を相手に向けた時には攻撃を中止した・・・・

     ギィンッ!!

『照明』の光を受けた『銀貨』が煌めいた。
その一撃は『金網』の網目を抜けて――――

         バュンッ!

     ≪あ、あれは――――≫

     「利用したな。――――『金網』の弾性を!」

『セカイ』は叫び、『タダヒト』は察した。
『エド・サンズ』のタックルによって圧された『金網』が跳ね返る。
その勢いのまま『エド・サンズ』が背後へ飛び、『氷山』の下へと戻る。

        ガシィ!!

     「こ、コイツ……」

     「戻って来れたのか、『エド・サンズ』ゥゥ!!!!」

『明智』の顔が蒼褪める。絶叫の声は『悲鳴』にも似ていた。
『エド・サンズ』は両の手で『金網』を受け止め、『明智』と視線が交差する。
そして、放たれた『銀貨』は――――

        バスゥ!!
                  ――――ガシャァンッ!!

『エド・サンズ』の頭部を貫いた。
たちまち、『エド・サンズ』の全身が『茨』として紐解かれ、
その間に『氷山』は身を引き、倒れ込む『金網』を回避する。
『金網』は背後の金網にぶつかり、斜めに立て掛けるように停止した。

――――頭部への『激痛』は現れない。流れる血は『陣傘』の一撃のものだ。

       ド        ≪『エド・サンズ』、消失ゥゥゥ――――≫
          ド
                「ヤベェぞ、喰らっちまったッ!」
       ド
          ド     「ち、違ェ! 『氷山』の頭に『ダメージ』がねェ!」

       ド           .「血が出て、ありゃあさっきの『陣傘』か!?」

『明智』は息を荒げながら、次弾のはずの『銀貨』を擦っている。
先程までの『自信』の色は消え去り、必死の形相となっている。

      「クソッ、解除、解除、解除、解除されろォォォ――――!!」

        ズアアァァァァ!!

『エド・サンズ』が再び発現される。
――――その身を『銀色』に変え、迸る『オーラ』を纏いながら。
全くの『無傷』。先程までのダメージ以外、何も傷を負っていない。

518『最悪の相性』:2021/05/09(日) 00:14:08

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□□| □■∴
∴■□ |□□□□□□明  □■∴
∴■□ |□□□□氷網網| □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴∴■□\□□□□網/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

519氷山『エド・サンズ』:2021/05/09(日) 00:41:24
>>517

    グイィィ!

己の『予想』を行動に移すため、両脚に力を込めて跳躍を・・・・

      ズキィィッ!  「くっ!」  
                     『グオッ!』

・・・・・・出来ないッ!
先程の『銀貨』の一撃を受けた足首が体重に耐え切れずに脱力する!
『エド・サンズ』も同様に足に受けたダメージが重く、移動がままならない・・・・

「あとちょっと・・・・! あとちょっとだっていうのに・・・・足が!」

    氷山の心に諦観の足が忍び込む
    ここまでか、そう・・・・思いそうになったその時

        『あきはヨォォォ・・・・ドウヤラ、諦メハマダ早イヨウダゼ・・・・!
         捨てる神アリャア拾う神アリッテヨオォォ! 言ウヨナァァァ!』

偶然か・・・・はたまた、氷山の諦めの悪さが招いた無意識の行動か
『金網』の撓み・・・・ タックルによって十分に力を蓄えた『それ』が・・・・

  バイイィィィ――――z______ンッ!

     『行クゼェェェェエエエエ!』

『エド・サンズ』を弾き飛ばし・・・・到達させる・・・・『目標地点』へと!
そこは氷山と明智を結ぶ『射線上』・・・・『銀貨』を受け止めるためのブロック地点だ!

        バスゥ!!
                  ――――ガシャァンッ!!

『銀貨』の直撃を受けて『エド・サンズ』が消滅する・・・・
だが、頭を貫かれるような痛みは氷山にはない・・・・
それがわかった瞬間、氷山は『予想』が当たった事を確信した

「明智さん・・・・ あなたの能力は『破壊した対象の蘇生と超常化』・・・・
 いや〜、誤魔化されてましたね・・・・『銀貨で破壊した物体』だの『その武器は』だの
 あなたは事あるごとに、武器や道具しか対象に出来ない事を強調していた・・・・」


    ドドドドドドド・・・・・・!

消滅したはずの『エド・サンズ』が蘇る
銀色のオーラを纏い・・・・・『超常』の力をその身に携えて
      ブラフ
「全部、『 嘘 』だったんでしょう?
 本当は・・・・あなたの能力は『スタンド』すら蘇らせる事が出来る能力だった
 この事実に気づかれないように、観客を扇動までして私にプレッシャーをかけていた・・・・」

「まったく・・・・感服しますよ
『言葉遣い』や『立ち居振る舞い』まで計算して心理戦をしかけてくるなんて
 本当にあなたは凄い人だと思います・・・・・・・でも」

「『さんずさん』を侮辱した事は許せない」

『行クゼ・・・・ 「借りモンの力」ダロウガナンダロウガ関係ネェ
 自分自身デ味ワッテミナ・・・・・「超常の力」ッテヤツをヨォォォ!』

明智の言動を見る限り、『超常の力』を振るえるのはほんの一瞬だろう
だが、一瞬で十分だ・・・・・『エド・サンズ』は両手を握りしめ、明智の前に立ち・・・・

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァッ!』

『超常』の力による渾身のラッシュを仕掛ける
金網ごしだろうと関係ない・・・・ただひたすらに力を振るう!

520『最悪の相性』:2021/05/09(日) 22:11:29
>>519(氷山)
>「明智さん・・・・ あなたの能力は『破壊した対象の蘇生と超常化』・・・・
> いや〜、誤魔化されてましたね・・・・『銀貨で破壊した物体』だの『その武器は』だの
> あなたは事あるごとに、武器や道具しか対象に出来ない事を強調していた・・・・」

      「そ、そーいう話じゃあねェーの!?」

      「おい黙っとけ、聞こえねぇだろ!」

        ブラフ
>「全部、『 嘘 』だったんでしょう?
> 本当は・・・・あなたの能力は『スタンド』すら蘇らせる事が出来る能力だった
> この事実に気づかれないように、観客を扇動までして私にプレッシャーをかけていた・・・・」

      「クッソ、そういうことかよ!」

      「まんまと一杯喰わされたっつーの!」

     どよ どよ どよ どよ どよ どよ どよ ・ ・ ・

『氷山』の推理を裏付ける、『エド・サンズ』が纏う白銀の輝き。
『明智』は何の反撃も出来ない。――――それもそのはずだ。
手にある『銀貨』は今、何も傷付けられない……。

> 本当にあなたは凄い人だと思います・・・・・・・でも」

       グイッ

『エド・サンズ』が両の拳を握り締め、『明智』の前に立ちはだかる。
全身に漲るスタンドエネルギーは、常時を遥かに凌駕している。

>「『さんずさん』を侮辱した事は許せない」
              . .
     「またか……また、見抜かれたのか……」

>『行クゼ・・・・ 「借りモンの力」ダロウガナンダロウガ関係ネェ
> 自分自身デ味ワッテミナ・・・・・「超常の力」ッテヤツをヨォォォ!』

     「俺が、負け―――――」

        『オ
  ド        ラ  オ
   ゴ          ラ』    『オ オ
                      ラ ラ』
     ゴ
          『オ  オ
   ゴ       ラ   ラ』
     _ i /
     _|
                『才_
     オ    『オ      フ
    /_    ラ』     ァ/
     ̄/           ・  』
    /
     ッ

     ≪決まったァ――――――
       『エド・サンズ』のオラオラのラッシュッ!!≫

     ≪速い速いッ!! フレームに収まらない高速ラッシュッッ!!
       ああッ! もう鼻筋もボロボロだぁぁぁ――――ッッ!!≫

     「あ、がぁぁぁぁ――――――ッッ!!!」

既に『明智』とを分かつ『金網』は存在しない。
『明智』が振るっていた超常の力を宿した『エド・サンズ』のラッシュは、
今までのボルテージを発散するかのように、『明智』の全身に叩き込まれた。

      ジャリンッ
                  ジャリリィィンッ!!

『革袋』から四散する『銀貨』達が宙を舞い、照明に反射する。
『明智』の首元を飾るホック式のネクタイが吹っ飛び、
ブレザーは引き裂かれ、ワイシャツのボタンまで弾け飛ぶ。

       ズザザァァァァァァァ――――

        「ぅ、ぁ、  う……   ま、負げ……」

『明智』は仰向けに倒れ込む、全身に打撲痕を浴びて地面に倒れ込んだ。
辛うじて意識は保たれるも、既に戦闘の続行が出来ないのは明らかだ。

521氷山『エド・サンズ』:2021/05/09(日) 22:44:22
>>520

「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

相変わらず、足は痛み、移動一つするのも難儀する
それでも、動かないわけにはいかない・・・・明智の反撃の可能性も残る

ずりずりと足を引きずる様に明智の目の前に立つ

『ヨウ・・・・ お前ノ・・・負けダゼ・・・・』

「危うい所でした・・・・ あなたの挑発に完全に乗っていたら・・・
 頭に血が上っていたら、この事に気づかずに負けていたかも・・・・」

一呼吸おいて、言葉を続ける

「・・・・・『タダヒト』さん、なんですか?
 私以外に、あなたの能力の秘密を見抜いたのって・・・・」

522『最悪の相性』:2021/05/09(日) 23:51:32
>>521(氷山)

    うおおおおおおおおおぉぉぉ―――――ッッ!!

    「『氷山』、とんでもねェラッシュだぁ!!」

    「威力やスピードがどうのこうやない!
     拳に籠った気迫、しかと見せてもろうたで!」

    「こんな大逆転劇、生の映画そのものだっつうの!」

『観客』達の惜しみない称賛が聞こえてくる。
だが、『氷山』は――――

>「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

     ズリ
           ズリィ...

右足首を引きずりながら、『氷山』は『明智』の下へと向かう。
既に勝敗は明らかだ。――――だが、『明智』はまだ動きを見せている。
『エド・サンズ』の変色が戻る。体感した持続時間は『10秒』といったところか。

>『ヨウ・・・・ お前ノ・・・負けダゼ・・・・』

『エド・サンズ』が『明智』へ静かに敗北を告げる。
『明智』は無理矢理上体を起こし、『エド・サンズ』を眺める。

>「・・・・・『タダヒト』さん、なんですか?
> 私以外に、あなたの能力の秘密を見抜いたのって・・・・」

『タダヒト』は黙したまま、解説席で事態を見届けている。
互いのスタンドを知って尚、この『マッチング』を認めたのか――――

     「知る、かよ」

     「――――ぉ れ、 は」

仮にそうだとして、『タダヒト』がスタンドを知っていると、告げる必要があるか。
――――誰が、『明智』の能力を見抜いたのか……。

     ≪完全に、『弱点』を看破しての大・逆・転!!≫

     ≪スゴイ、スゴイよ『あきは』ちゃん!
      ほら、『タダ』ちゃんも、だんまりじゃなくて解説解説!!≫

┌───────────────────────────────
│もう一つは、私の能力の正体がまだ完全にばれてはいない事
│『カプセル』・・・・『投卵子』の正体に気づいていなければ、
|『捕具』の生成が能力とは断言できないはず
└───────────────────────────────

ところで、『明智』は本当に『エド・サンズ』の能力を見抜けなかったのか。
『陣傘』、『鉤縄』、『投卵子』、これらを『捕具』結び付けられなかったのか。

┌─────────────────────────
│「あのタイミングで『坂本龍馬』とバッティングしなくね?」
│「史実じゃあ、十年は先の話なんじゃあねぇーの?」
└─────────────────────────

『明智』は常人以上に『日本史』に知見があると、その知識をひけらかしていた。
三つの武器から『捕具』に結び付けるのは、その知識があれば難しくはない。
『エド・サンズ』の能力を知っているなら、それを『挑発』に活かせたのではないか。
気付いて尚、口に出来ない『理由』が、『感情』があったのか――――

     「――――ここまでの『カタルシス』、
      中々見られるものではない……いい、『試合』だった」

     「そう、締めくくりたいのだが――――」

┌────────────────────────
│「そうか。――――お前は知らないんだな。
│  知らずに、お前はやったんだ……そうだな……」
└────────────────────────

     「ムカ、つくぜ……」

     「『捕具』にまた、俺は、負け――――」

523『最悪の相性』:2021/05/09(日) 23:57:06
>>522-523(氷山)

┌───────────────────────────
│「試合が始まる前に、この場の全員に伝えておくことがある」
└───────────────────────────

『明智』は全身を殴られ、鼻骨は折れ砕け、
数本の歯が『銀貨』と共に床へ散らばっている。
圧し折れた肋骨が皮膚を突き破り、左腕はあらぬ方向に捻じ曲がる。
左眼に覆い被さる『コブ』は、既に握り拳ほどに腫れ上がっていた。

      だが、『氷山』が真っ先に認めた『傷』は、

      『首』を覆っていたであろう『首輪跡』、
      両手首に残る『荒縄』の痕跡、
      胸板に刻まれた『キスマーク』

┌─────────────────
│「『最悪のアダージョ』は生きていた」
└─────────────────

     「俺、は」

     「もう、負げ  だく  なぁぃ――――」

┌────────────────────────────
│「『枷』に嵌めれば嵌める程、アタシの『愛』は強くなる。
│ ――――『全身』の拘束を続ければ、最も『愛』する者になる」
└────────────────────────────

      スチャッ

『明智』の指先に乗る『銀貨』。
無論、『エド・サンズ』に通じないのは明らかだ。
その指先が向かうのは、――――己が『額』に。

┌───────────────────
│「これで俺は、『B級』でアガるッ!
│ 俺の『復讐』が、やっと始まるんだよ!」
└───────────────────

     「俺は、俺でありだい……」

     「もう、『復讐』は、リベンヂば、 でぎ、なぃ――――」

たった一枚、『明智』の手の内に残っていた『銀貨』。
それに気付いた観客が、その声を上げる。

     「もう効かねぇだろ、その『銀貨』ッ!」

     「ええかげんにせぇ! 腹ァ括って、『負け』を認めるんや!」

鮮血の混じった『明智』の涙が、頬を伝った。
『痣』の意味を、『氷山』へ闘いを挑む意味も、『観客』は知らない。

                        . . .
     「こうやって、恥を晒して、二度も負けるんなら――――」

     「勝って死んだ方がマシだァァァ!!!!!」


        ドパァンッ!


『銀貨』が『明智』の額を砕き貫き、脳漿の混じった血液が四散する。

524氷山『エド・サンズ』:2021/05/10(月) 00:58:45
>>522-523

(そういえば・・・・)

あの映画館で、明智は日本史に詳しい所をひけらかしていた
それだけの知識のある彼なら、『エド・サンズ』の能力について
より効果的に煽る事が出来たのではないか?

「『捕具』に負けた・・・?」

「私以外に『捕具』を使うスタンド使いが・・・・・え?」

全身に生じた打撲痕、その中に混じる様に見覚えのある『傷』が存在していた
『首輪跡』、『荒縄の痕跡』、『特徴的なキスマーク』・・・・
それはかつて、氷山たちがやっとの事で打ち倒した『あの男』の・・・・

「『拘束具』・・・! まさか、あなたは!」

―――――『自己愛』の男、アダージョ
彼の能力は、拘束すればする程に『彼自身』へと近づけていく
だとすれば、これだけの『拘束』を受けた『明智』のアイデンティティは!

「はっ!」

『痕跡』に気を取られて、明智の手に握られた『銀貨』に気が付かなかった
彼はその『銀貨』を額に近づけて・・・・・

『オイ! 待テ、ヤメロ!』
「明智さん―――――――ッ!」

『銀貨』が明智の額を貫く!
蘇りが発生するのだろう・・・・だが、彼が自分自身にその能力を使って、本当に大丈夫なのか?
不安に思いつつも、続く『第2戦』に備えて、その身を構える

『あきはァッ! ワカッテルト思ウガ「10秒」ダ!』

「ええ・・・・『10秒間』、この凄まじい力に耐えろって事でしょう?
 人間の身体がここまで破壊される程の力に・・・・・・ ああもう!やってやりますよ!」

発現している『鉤縄』は『エド・サンズ』の左手に渡しておく
そして、明智の『復活』が発生する前に『エド・サンズ』の右手に『投卵子』を再度出現

『アンチクライスト・スーパースター』の蘇生タイミングはこれまでの戦いでだいたい把握した!
蘇生に伴う『銀色の輝き』、それを確認してすぐに、
『頭部』の発生地点に向けて、『投卵子』を握った手で殴打を繰り出す!

『超常の力』を得て蘇るとはいえ、人間の感覚器官は頭部に集中している
頭部の出現と同時に『投卵子』を使えば、相手が視覚を認識するよりも前にそれを塞げるはず!

525『最悪の相性』:2021/05/11(火) 00:51:07
>>524(氷山)
>「私以外に『捕具』を使うスタンド使いが・・・・・え?」

疑念を浮かべた『氷山』であったが、
『明智』に刻まれた『拘束痕』を目撃したことにより、
その正体がハッキリと想起された。

>『オイ! 待テ、ヤメロ!』     「明智さん―――――――ッ!」

    ド パ  ァ  ンッ

         ―――――シルルルルルル...

『銀貨』による自射が『致命傷』なのは明らかだった。
『茨』となって紐解かれていく『明智』を見下ろしながら、
頭蓋を砕く怪音が『第二ラウンド』のゴングであると自覚する。

     ≪あ、『明智』ちゃん!!
       なんで、え、 ――――ウソ、あれじゃあ……≫

     「な、あれじゃあ『自害』だろ!」

     「おい、バカ何やってるんだ! 黒服、早くしろ!」

     「わ、わいが……わいが、負けを認めろ、って言うたから……」

『観覧席』もざわめきを抑え切れず、周囲の動揺が『氷山』にも伝わって来る。
この事態に対し、『黒服』達も慌てて入場口から飛び出し、『網籠』の格子扉を掴む。

     「『解説』をする。
      まずは『黒服』達、――――『動くな』」

『タダヒト』がマイクのスイッチを入れ、その一言によって『黒服』の動きを止めた。
駆け付けた五人の『黒服』はその場に留まる。まるで『拘束』されたかのように。

    ズギャッ

『エド・サンズ』は右手に『投卵子』を発現した。
既に『鉤縄』は束ねられ、『エド・サンズ』の左手に巻き持たれている。

       シュカァァァァァ――――

離れた位置に散らばった『銀貨』が光り輝き、『明智』が姿を現した。
『銀色』のオーラを纏った立ち姿は、痛々しい『打撲痕』が表れている。
肋骨の解放骨折も、捻じ曲がった左腕も、腫れたコブも残っている。

そして、その『命』を絶った『額』の傷だけが存在しない。
――――だが、その目には依然として、『闘志』が宿っている。

>『あきはァッ! ワカッテルト思ウガ「10秒」ダ!』

>「ええ・・・・『10秒間』、この凄まじい力に耐えろって事でしょう?
> 人間の身体がここまで破壊される程の力に・・・・・・ ああもう!やってやりますよ!」

『明智』の下へ『エド・サンズ』を放ち、『投卵子』を握った右拳を唸らせる。
それを認めた『明智』は思いっきり身体を仰け反らせ、

      ガシィッ!!

突き出された『右拳』に合わせるように『バク宙』を披露し、右拳を蹴って背後へと跳んだ。
蹴りを受け止めた衝撃によって『投卵子』は割れるも、すぐに『解除』をすれば被害はないだろう。
ボロボロの肉体を駆使する『体幹能力』。『一流』ともいえる動体視力。
ダラリと垂れ下がった『左腕』を揺らしながら、『明智』は『氷山』に視線を向ける。

     「これが、――――俺の『最期』だ。
        『氷山あきは』、『エド・サンズ』……」

     「『アダージョ』を倒したテメェらに勝って、
      俺は、俺のまま死んでやる!」

見栄を切るような台詞に沸く『観客』は誰一人としていない。
拘束された『黒服』の一人、『氷山』を案内した『後藤』は悲痛な叫びを上げた。

526『最悪の相性』:2021/05/11(火) 00:54:57
>>524-525(氷山)

     「や、やめ、『タダヒト』さん!  やめて下さい!
      『殺人』は何であろうと、『ルール違反』のはずです!」

     「『アンチクライスト・スーパースター』は、『銀貨』で破壊した物体を『蘇らせる』。
      その能力によって『明智』は超常の力と共に蘇る。……それだけの話だ」

     「この世には『死』によって発動するスタンドが存在する。
      かの『スカイモール』の闘いも、そうしたスタンド使いが相手だった」

     「アンタの蘊蓄を聞きたいわけやないで!
      死んだ『明智』が、ちゃんと生き返るかを知りたいんや!」

観覧席にいる『関西弁』の男が立ち上がり、『タダヒト』に喰って掛かる勢いで叫んだ。
それを一瞥した『タダヒト』は、落ち着いた声調のまま『解説』を続ける。

     「――――さあ、私には解らないな。
      一つ言えるのは、そんな『便利』な応用が利くのであれば、
      彼はあそこまで必死になって、『弱点』を隠す必要はなかっただろう」

     「何を無責任な……!  『明智』が死んだら、どう責任を取るつもりや!」

     「『試合』を止めろよ!  今ならまだ『治せる』んじゃあねぇーのか!?」

     「『吉田』さんの『カナディアン・スウィートハーツ』の『生分解プラスチック』で、
      『脳』の血管を、――――ああ、なんでもいいからさっさと『治療』しろよ!」

観覧席から一人、また一人と席を立ち、『タダヒト』へと非難の声を浴びせる。
『黒服』達は格子扉に手を掛けたまま、必死の形相のまま立ち尽くしている。

     「まず一つ、私は『ギブアップ』を認めたことはない。
      そして、『明智』選手の戦意は十分であると判断した」

     「よって、この試合を『続行』する」

『タダヒト』の宣言は『セカイ』の電子ボイスよりも、遥かに冷たく響き渡った。
呆然とする観客達。――――『明智』の復活から、『5秒』が経過。


【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□明□□□□□| □■∴
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∴■□ |□□□工□□□| □■∴
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∴■□ |□□□□□網網| □■∴
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∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

527氷山『エド・サンズ』:2021/05/11(火) 07:47:14
質問です
・現在、『エド・サンズ』の頭に『銀貨』による損傷はありますか?
・スモークマシン、金網には銀貨で受けた損傷がまだ残ってますか?
・一番最初に明智が『陣笠』を手放したとき、
 陣笠が解除されたのは『銀貨』による損傷が復活して破壊されたものとみなされたからでしょうか?

528『最悪の相性』:2021/05/11(火) 20:31:13
>>527
>・現在、『エド・サンズ』の頭に『銀貨』による損傷はありますか?
『明智』と同様に額を貫かれましたが、
頭部には『損傷』はありません。

>・スモークマシン、金網には銀貨で受けた損傷がまだ残ってますか?
どちらも残っています。

>・一番最初に明智が『陣笠』を手放したとき、
> 陣笠が解除されたのは『銀貨』による損傷が復活して破壊されたものとみなされたからでしょうか?
それは『氷山』には解りません。

529氷山『エド・サンズ』:2021/05/11(火) 22:16:29
>>525-526

>     「これが、――――俺の『最期』だ。
>        『氷山あきは』、『エド・サンズ』……」

>     「『アダージョ』を倒したテメェらに勝って、
>      俺は、俺のまま死んでやる!」

「・・・・・・・・ッ!」

        ギリィィィ!

考えてみれば、この『復活劇』が明智に対して何の代償もないのであれば、
彼はこの一手をもっと早い段階で使っていたはず・・・・
つまり・・・・『遅すぎた』という事だ・・・・彼がこんな事をする前に止める必要があった、という事だ・・・・!
その事に気づき、後悔の念から歯を強く食いしばる

もう・・・・いっその事大人しく負けてしまおうか・・・・
『死』が確実となった彼に対して出来る事なんてそれくらいしかないのではないか・・・・
諦めに似た、そんな考えが心に芽生え・・・・・・そして・・・・・・

   『呆ケテルンジャネエゾ、あきはァ!』
          ・       ・・・
        『「俺」ヲ見ロ! 「俺の顔」ヲ見ヤガレ!』

「『さんず・・・・さん』・・・・     あっ!」

自らのスタンド、『エド・サンズ』の言葉に釣られるように
彼の顔を見て、はっとした

       ・・・・・・・
彼の『頭』に『銀貨による損傷』がないのだ!
確かに彼は『銀貨』によって貫かれた・・・・その傷が存在しない!

  『ツマリヨォォォ! マダ、「明智」ヲ助ケル「チャンス」ハアルッテ事ヨォォォ!』

        『ナアッ!?』

右手に握っていた『投卵子』は明智の蹴りによって破壊された
だが、『投卵子』を直接蹴られたわけではないため、
掌中には『投卵子』の中身である鉄粉や石灰がまだ残っているはずだ!
それを明智に向けて勢いよく手を振り、明智と氷山の間の空間に『散布』する

明智は『復活』による身体能力の強化から、感覚器官も強化されている可能性が高い
つまり・・・・微細な刺激物でも目に入れば危険である可能性が高い!

この行動の目的は明智が次に攻撃してくる方向を絞る事だ
真正面から一直線にかかってくる可能性を減らし、左右からの攻撃を誘導する事を狙う

「明智さん・・・・ 『ギブアップ』してください!
 まだ間に合うはずです・・・・まだ・・・・生きられるはずなんですよ!」

530『最悪の相性』:2021/05/12(水) 00:18:07
>>529(氷山)
自害によって『超越』した力を宿した『明智』。
それが蝋燭が消える前の激しい炎と解った『氷山』は、
何もかもを投げ出して、『敗北』に身を任せようと――――

>   『呆ケテルンジャネエゾ、あきはァ!』

>          ・       ・・・
>        『「俺」ヲ見ロ! 「俺の顔」ヲ見ヤガレ!』

『エド・サンズ』は、――――『氷山』の『心』は負けていない。
『頭部』を貫いた『傷』は消えている。『希望』は残っている。

      シバァッ!!

『エド・サンズ』は手中に残った粉塵を『明智』目掛けて振り放った。
だが、『明智』は滞留する粉塵を睨み、

        ブフォッ!!

呼気を吐き飛ばし、周囲へと霧散させた。
持続時間の切れた『粉塵』は解除されるも、
その真っ只中に突っ込む『明智』ではない。

          ダッ!!

>「明智さん・・・・ 『ギブアップ』してください!
> まだ間に合うはずです・・・・まだ・・・・生きられるはずなんですよ!」

      「ふざ、けるなよ!」

      「『氷山』、スタンドがバレた以上、
       俺はもう、アリーナじゃあ勝てないんだよ!」

      「『タダヒト』にも、二度と届かねェ!
       ――――負けて、ヘラヘラと笑って、
       このキズと一緒に生きるなんて……」

『明智』は一足飛びで『エド・サンズ』の真横へ位置取り、
その『脚力』を活かして一気に『エド・サンズ』へ突っ込む。

       「俺の心が、許すはずもねェんだよ!」

   シカァァ!!

『明智』の蘇りから『10秒』が経過した時、
地面に落ちた『銀貨』の一枚が輝きと共に霧散し、
消えかけていた『明智』のオーラを再び発奮させる。

       ≪あ、あれは……。『銀貨』が、消えました……≫

       ≪う、う……。床に残った『銀貨』は、『13枚』……≫

       ≪あれが全部消えたら、『明智』ちゃんは――――≫

想定外の事態に気力を削られながら、『セカイ』は実況を続ける。
……最早、『実況』とも呼べない。純粋な『情報提供』だ。
彼女もまた、『氷山』の勝利を願っている。

    「氷山ァッッ!!!」

    「やれんのか!!!!!!!」

『観覧席』から放たれた轟声が、『氷山』の闘志を問い掛けた。
『観覧席』の様子は見えないが、大変な事態になってるのは察せられる。
『タダヒト』が警告を発している。――――あの場は既に『掌握』されつつある。

【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
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∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
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531氷山『エド・サンズ』:2021/05/12(水) 01:00:49
>>529-530
質問です
・『銀貨』は地図で言えば、だいたいどの辺りに散らばってますか?

532『最悪の相性』:2021/05/12(水) 01:04:08
>>531(氷山)

>・『銀貨』は地図で言えば、だいたいどの辺りに散らばってますか?

おおよそ、以下の位置に散らばっています。


【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□◆□◆| □■∴
∴■□ |□□□□□◆□| □■∴
∴■□ |□明□工◆□◆| □■∴
∴■□ |□□□□氷□□  □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴∴■□\□□□□網/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

533氷山『エド・サンズ』:2021/05/12(水) 17:09:03
>>530-531

>       「俺の心が、許すはずもねェんだよ!」

(今さら・・・・そう、今さらながら本当に思いますが・・・・
 本当に厄介な人ですね! 『あの人』は・・・・!)

心の奥ではぁ、と溜息をつく
『最悪のアダージョ』が遺した『最悪の呪縛』に対してだ

>    「氷山ァッッ!!!」

>    「やれんのか!!!!!!!」

「やりますよ! こんな結末・・・・許せるわけないじゃないですか!
 だから、明智さんには『負け』てもらいますよ・・・・
 そんな『意地』なんて通せないくらいに完膚なきまでに・・・・ね!」

試合だけではない、明智のその『心意気』も負かしてやらなければならない
途轍もなく難しい道行きだ・・・・だが、その先にしか氷山が求める景色はない
やるしか・・・・・ないのだ!

『明智ノ小僧ヲ打チ負カス・・・・・了解シタゼェェ!』

手に持った『鉤縄』を北側から反時計回りに回しながら、明智に向けて投げつける
明智は先ほどの怪我で左目の視野と左手が塞がれた状態にある
その死角に紛れ込ませるように投げつけて、明智の左腕に縄を巻き付け、
明智の動きを鈍らせることが狙いだ

また、同時に『大捕物』を使用
氷山を対象にして、『さすまた』を発現したい

534『最悪の相性』:2021/05/13(木) 21:49:13
>>533(氷山)
『観覧席』から響いた野太い問い掛けに対し、
『氷山』の答えは既に決まっていた。

>「やりますよ! こんな結末・・・・許せるわけないじゃないですか!
> だから、明智さんには『負け』てもらいますよ・・・・
> そんな『意地』なんて通せないくらいに完膚なきまでに・・・・ね!」

>『明智ノ小僧ヲ打チ負カス・・・・・了解シタゼェェ!』

     「どいつもこいつも……、もう俺が負けた気でいやがる……」

     「――――ふっざけんじゃねぇ!」

    ダッ
             ――――ギュィィッ!!

横っ飛びから急激な方向転換、『明智』の片足がブレーキを踏む。
その瞬間、『エド・サンズ』の放った『鉤縄』が『明智』の左腕目掛けて回り込んだ。

     「明智ィィーーーーー!!」

     「思いっきりやっちまえ!シャバい終わり方したら承知しねえぞっ!!」

男の声援が『明智』へと飛ぶ。
『明智』は咄嗟に『鉤縄』を弾こうと左腕を伸ばすが、
その動きが止まる。――――既に左腕は動かない。

        ギュィィッ    ガスッ

『左腕』にロープが絡まり、その鉤爪が『左肩』に喰い込んだ。
だが、それ以上引っ張られることはない。――――『明智』は前へ進む。

    「氷山!」     「悔いの無い戦いを!」

一瞬、声を留まらせた観客が、今度は『氷山』に声援を送った。
その切欠により、堰を切ったかのように、『観覧席』が湧き上がった。

        「氷山ちゃーん!!
         『サンズさーーーん』!!
         明智君の好きになんてさせちゃダメーー!!!」

    「そうだ!  下らねぇー死に逃げで負けをゴマかすんじゃねぇ!」

    「あのクソガキの根性、叩き直してやれ!」

    「俺達は、テメェーが死ぬのが見たいんじゃねぇ、
     負けるところが見たいんだっつうの!」

『氷山』の手中に現れた『さすまた』。
その間合いに、既に『明智』は入っている。

    「『セカイ』ィィ―――――!!
     『実況』を、続けてくれェ――――!!」

    「これは『死闘』じゃあない、『試合』だァァ――――!!」

そう、これは命を賭した『死闘』でない。誇りを賭けた『試合』だ。
『エド・サンズ』の額を『銀貨』が貫くも『解除』と共に負傷は治療された。
――――もう一点。『破壊』について、不可解な点が残っている。

┌───────────────────────
│『エド・サンズ』の体当たりが命中するが、
│『金網』は衝撃を吸収し、ブチ破るには至らない。
└───────────────────────
┌───────────────────────────
│>・明智が銀貨を当てた金網の状態はどうなっています?
│『銀貨』が当たった際の、僅かな『破れ』が生じています。
└───────────────────────────

『エド・サンズ』のフルパワーで破れなかった『金網』が、
『アンチクライスト・スーパースター』の銃撃により『破れている』。
『エド・サンズ』のパワーを超えている。――――あるいは、
この『銀貨』が生むのは、唯の『破壊』ではない……。

     「『敗北』を認めるのは、テメェーだ『氷山』ァァァァ!!」

真正面から突っ込む『明智』が、『エド・サンズ』に拳を振るう。
床に落ちた銀貨は――――、残り『12枚』。


【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□◆□◆| □■∴
∴■□ |□□□□□◆□| □■∴
∴■□ |□明→工◆□◆| □■∴
∴■□ |□□□□氷□□  □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴∴■□\□□□□網/□■∴∴
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535氷山『エド・サンズ』:2021/05/13(木) 22:23:38
>>534

   ギィッ・・・・

             ギギィィ・・・・!

明智の自由な動きを抑止するために、
明智の左腕に巻き付いた『縄』を力強く下に向けて引く
出来る限り、明智の重心を下に向けて、体勢を崩させるように

『ハッ! ナカナカノ覚悟ト「パワー」ジャアネエカ、明智ィィ・・・・
 軟弱ナ口ダケ野郎ダッテ侮ッテタケドヨ、見直シテヤルゼ・・・・!
 デモナア・・・・・』

『聞イテノ通リ、ウチノ「あきは」ハソンナ結末望ンジャアイナイノサ
 アイツガ求メルノハ、モット「すっきり」ト気分良く終ワル展開デナァ・・・・!
 悪イガ、コノ「一点」ニカケテハ、「負けて」ヤルワケニハイカネェゼ!』

         『今ダ!あきはァ!』

                    「ええっ!」

観覧席からの多数の声援を受け・・・・氷山は動く!
手に持った『さすまた』・・・それを使って
『エド・サンズ』の背後にある『銀貨』を、まるでホッケーのシュートの様に掬い上げ・・・・叩き込む!
『エド・サンズ』の足元を潜り抜ける様にして・・・・明智へと!

『縄』の牽引力によって強引に明智の体勢を下向きに下げ、
『エド・サンズ』の身体を遮蔽として使ったカウンターの一撃だ!

「明智さん・・・・『試合』を再開しますよ!
 絶対に! 絶対に馬鹿馬鹿しい勝ち逃げなんてさせてあげません!
 これで・・・・・あなたの下らない『意地』ごと、あなたを叩き折る!」

536『最悪の相性』:2021/05/13(木) 23:38:23
>>535

   ギィッ・・・・

        「ぐ、あああああ!!!!」

『明智』の左腕が思いっきり引かれ、『明智』が激痛を悲鳴に変え、
その姿勢を大きく崩す。――――だがッ

          ボグシャァ!!

      「死んだ身が、そんなロープで、どまるがよォ!」

姿勢を崩したまま、『明智』の拳は『ロシアンフック』のように、
『エド・サンズ』の額をぶち当たり、『エド・サンズ』の意識を揺らがす。
無論、『氷山』にもダメージフィードバックがある。

    ┌───────────────────────
    │『半自立型スタンド』は独自の意思を有するが、
    │それは本体との『別行動』の成功には繋がらない。
    └───────────────────────

  ────────────────────────────┐
      スタンドは本体の意思によって動くからだ。                 │
      勿論、日頃から本体の意思に沿う形で操作されるスタンドが、 .│
      意思を分割して『別行動』を取れるかは、甚だ疑問である。  ..│
  ――──────────────────────────┘

体勢が崩れての一撃であり、『氷山』の意識を奪うには至らない。
だが、この至近距離。マトモに闘えば『スピード差』の餌食となる。
『エド・サンズ』の体勢が揺らげば、『氷山』も当然――――

         シュカッ

      「コイツ、倒れ、ね――――」

   ────────────────────────────┐
    つまり、『エド・サンズ』が体勢を崩すことなく、              .│
    『明智』に対する『障壁』の役割を果たしているのは――――     │
   ────────────────────────────┘

    ┌───────────────
    │決して砕けぬ『氷山』の『闘志』、
    │その『具現』に他ならないのだッ!
    └───────────────

    「よう言ったッ!!ここにいる全員で、結末見届けたるけぇ!!」

    「『あきは』ぁ!  絶対に勝てェ!」

         ボスゥ!

『明智』の右足首に風穴が開く。
『銀貨』の貫通により、『明智』の肉体が抉られたのだ。
――――そして、その瞬間。『氷山』は『明智』の怪我、その仔細を見た。

537『最悪の相性』:2021/05/13(木) 23:38:43
>>535-536(氷山)

     ≪い、今の、今のは――――≫

     ≪『銃撃』じゃあないッ!  『透過』してますッ!
       ああ、『明智』ちゃんの足首を、抜け――――≫

『セカイ』の実況通り、『明智』の足首を『銀貨』がすり抜けた。
圧倒的な『破壊力』の正体は、何者にも『同化』する『浸透力』。

     「『銀貨』とは忍び寄る『裏切り』の象徴だ。
      つまり、放たれれば命中した物体に『同化』し、
      『銀貨』の『解除』によって、物体に『空白』を生む」

     「何故、『射撃』なき『銀貨』によって、
      『スモークマシーン』が破壊されたのか、
      観客の皆にも、納得頂けただろう――――」

     「そして、拘束された『スタンド』は『解除』できない。
      だから、『力有る像』によって『同化』した『銀貨』は、
      ――――『力』を与えるに留まるのだ……」

『タダヒト』がマイクのスイッチを入れ、朗々と『解説』を挟んだ。
『明智』は無傷だ。彼の意思によって『解除』をしなければ、
『破壊』は起こらない。――――即ち、

   ──────────────────────┐
   そして、握った手ごと『銀貨』が光輝き――――  ......│
   『明智』の手中から現れたのは『陣傘』だ。       .│
   ──────────────────────┘

『明智』の復活に寄与した『銀貨』は、まだ『解除』されていない。
復活の『核』となった以上、まだ『額』に残っているのだ。

    「氷山ちゃーん!! その『棒』で押さえ込んじゃえー!!」

    「せやでぇー!  ふんじばったれや!」

床に落ちた銀貨は――――、残り『10枚』。

【アリーナ俯瞰図】         北
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538氷山『エド・サンズ』:2021/05/14(金) 00:20:54
>>536

「うぐっ・・・・・あああああぁぁぁぁ!」

明智の振るう鋭い『フック』が正確に『エド・サンズ』の額をぶち割る!
そのダメージは、氷山へと確かに到達し、痛みに意識を飛ばしそうに・・・・

いや、飛びそうになる意識を無理やり頭に抑え込む!
意識が飛んでしまっては・・・・この先の光景を見ることが出来ない!

そして、意識を頭に抑え込むイメージが氷山に天啓を与えた!

「なる・・・・ほど・・・・抑え込めばいいんですね・・・・・
 あなたが『額の一枚』を解除出来ないように・・・・『抑え込め』ば!」

やるべき事は決まった!
明智と相対する『エド・サンズ』は動かさずに・・・・本体である氷山だけが動く

明智の右足首に『銀貨』によって風穴が開いた今なら・・・・明智の体勢にも多少なりとも影響を及ぼしているはず
その隙をついて・・・・氷山は『さすまた』を構え、明智の右側から、思い切り突き出す!
狙いは明智の頭部・・・・『銀貨』がまだ眠っている『頭部』だ!

『さすまた』で『銀貨』を拘束し・・・・『解除』を許さない!

539『最悪の相性』:2021/05/14(金) 21:56:26
>>538(氷山)

   「見て見て! 氷山ちゃんが押してるーーー! 
    あはーっ! そのままやっちゃえ! やっちゃえーーー!!」

『氷山』は手にした『さすまた』を振るい、
『明智』の額へと突き抑える。――――だが、

      シュッ!

     「お前のパクった『銀貨』は、『解除』しねェ――――」

┌───────────────────────────
│『明智』は無傷だ。彼の意思によって『解除』をしなければ、
│『破壊』は起こらない。――――即ち、
└───────────────────────────

『明智』の足首に放った『銀貨』は、その肉体を『透過』している。
即ち、今の一撃も『明智』に傷を生まない。両脚は万全だ。
『氷山』を上回るスピードで姿勢をブレさせ、『さすまた』の一撃を回避する。

    「この『至近距離』で、ヨユーで突っ立てるんじゃねぇ!」

        ゴォッ!!

『明智』の右フックが『エド・サンズ』の胴体に突き刺さる。
『氷山』と『エド・サンズ』の同時行動が出来ない以上、
『エド・サンズ』はガードが出来ない。

    ┌─────────────────────────────────
    │『アンチクライスト・スーパースター』が蘇らせるのは『一つ』だけ。
    │『神』は常に一柱のみ。それを『明智』は『教義』でなく、『信念』と受け取る。
    └─────────────────────────────────

    「『観客』が全員、味方に付いたら勝てると思ったかぁ!?
     俺はな、今日は『10:0』で勝つって決めてるんだよ」

    「渋谷のハロウィンとの区別も付いてねェ、
     バカ騒ぎしてェだけのアホ共全員に、
     誰が『勝者』が教えてやるよォ!」

  ───────────────────────────────┐
      即ち、『立ち続ける』のは、『特別』なのは、『一人』だけなのだと。    │
  ───────────────────────────────┘

『明智』が吠える。『能力』の制限なのか『鉤縄』や『さすまた』を奪わない。
『明智』にとって、今や頼れるのは『己』の肉体のみだ。


      ギュリッ
             ――――シパァ!

フックを放った『右掌』を地面に付けた『明智』が、
『カポエイラ』のように両脚を『エド・サンズ』の顎下目掛けて打ち上げる。

     「『明智』ィィ――――、大した『大技』じゃあねェーか!」

     「テメェーがどーなろーと、最後まで見届けてやるぜ!」

『大技』に沸いた観客達が惜しみない声援を『明智』にも送る。
床に落ちた銀貨は――――、残り『9枚』。


【アリーナ俯瞰図】         北
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∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□◆□◆| □■∴
∴■□ |□□□□□◆□| □■∴
∴■□ |□□明工□□◆| □■∴
∴■□ |□□□□氷□□  □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
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∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

540氷山『エド・サンズ』:2021/05/14(金) 22:58:02
>>539
・明智に向かって飛ばした『銀貨』は完全に明智の中に潜り込んで、
 解除されないまま溶け込んでいる、という認識で大丈夫でしょうか?

541『最悪の相性』:2021/05/14(金) 23:09:43
>>540(氷山)
>・明智に向かって飛ばした『銀貨』は完全に明智の中に潜り込んで、
> 解除されないまま溶け込んでいる、という認識で大丈夫でしょうか?

『明智』の足首を通過し、彼方へ飛んでいきました。

542氷山『エド・サンズ』:2021/05/14(金) 23:32:55
>>539

「はっ! し、しまっ・・・・    ごぼアッ!」

戦闘における一瞬の交叉の中で、己の戦術の間違いを悟る
『銀貨』による攻撃は明智の意思によって『透過』を起している
つまり・・・・『破壊』による明智の隙を前提とした戦術は最初から間違いだったという事だ

  ボギギャッ!

過ちの代償は痛みで支払わなければならない
左脇腹に突き刺さるようなフックの痛みは悶絶するように呼吸を狂わせる

「ええ・・・・ゴホッ 勘違いをしていましたよ・・・・ゲホッゲホッ
 勝敗はまだ決まっていない・・・・ だから!」

明智の能力について、勘違いしていた部分を正す
どうやら、彼の今の状態では『敵の武器を奪う』能力は使えないようだ
己の身一つの背水・・・・だが、そこにこそ勝機がある

右フックを打ち込まれ、体が右側によろめく・・・・
そこに、右掌を地につけた明智のカポエイラのような一撃が迫る!

だが、明智が両足を攻撃に使っているという事は、右手の一点だけで体重を支えているという事だ
しかも、左腕に絡ませた『鉤縄』は依然として明智の左腕に付いている!

「だから、やりましょうか本気の戦いを
『予定調和のかませ犬』とか『通過点』とかそんなのじゃなく
 どちらが勝つかわからない・・・・・『真剣勝負』を!」

フックの衝撃をそのまま流し、MAP北側方向に向かって重心を傾ける様に『エド・サンズ』を移動
それと同時に手に持った『鉤縄』を同方向へと引っ張る!

体重を片手で支えているという事は明智の身体は大きな『独楽』になったようなもの
そこにさらに余計な回転エネルギーをかけ、重心を崩して倒す事が目的だ

543『最悪の相性』:2021/05/15(土) 22:22:01
>>542(氷山)
>「ええ・・・・ゴホッ 勘違いをしていましたよ・・・・ゲホッゲホッ
> 勝敗はまだ決まっていない・・・・ だから!」

『エド・サンズ』が倒れ込むように重心をズラしながら、
『明智』の左腕に絡めた『鉤縄』を思いきり引っ張った。

     グィィ!!

     ≪『エド・サンズ』の『鉤縄』が残っています!≫

     ≪これは『明智』ちゃん、苦しい!≫

現在、肉体の中心軸となっている『胴体』や『右腕』と違い、
一連の行動から独立している『左腕』を引っ張っても、
『独楽』のようには回転しない。

     「チィ――――」

       ガスッ!

だが、軸がブレたことにより、蹴りの軌道を反らすことには成功した。
『エド・サンズ』の右肩に蹴りは命中するも、その破壊力は減じている。

      グルッ
               タンッ

『明智』は右腕一本の『側転』で真横に移動し、
ズラした重心を庇うように移動した『エド・サンズ』と至近距離で相対する。

      「どうなる……。今のところ、『五分五分』ってところか」

      「それじゃあマズいだろ!  『明智』が死ぬぞ!」

      「クソッ、何考えてるんだ……『タダヒト』のヤツ……」

>「だから、やりましょうか本気の戦いを
>『予定調和のかませ犬』とか『通過点』とかそんなのじゃなく
> どちらが勝つかわからない・・・・・『真剣勝負』を!」

     「今の俺は、俺じゃない。
      『アダージョ』は、俺の心を殺しやがった……」

     「今の俺に、『真剣』だとか『懸命』なんて言葉はねェ!
      『アダージョ』が消えた今、『アダージョ』を再殺したお前と、
      『アダージョ』を殺した『タダヒト』を、倒すしかなかった!」

     「だから、だから……

      だから……そうすれば、やっと」

     「俺は、俺に戻れたはずなんだ!」

必死に喰らい付く『氷山』を前に、動揺を露わにする『明智』。
姿勢を低くして向かい合った『エド・サンズ』には、『明智』の額が見える。
額からその尖端を露出した『銀貨』。これが『解除』されれば、『明智』は『死亡』する。
『床』に落ちた『銀貨』が消えた後、最後は『明智』に宿った『銀貨』が消える。

――――『銀貨』を解除せず、能力を解除する方法。
……それに繋がる『示唆』は、既に聞こえているはずだ。


【アリーナ俯瞰図】         北
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴4
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴
∴■□ |□□□□◆□◆| □■∴
∴■□ |□□明工□◆□| □■∴
∴■□ |□□□□□□◆| □■∴
∴■□ |□□□□氷□□  □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴■□ |□□□□□網網| □■∴
∴∴■□\□□□□網/□■∴∴
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴

544氷山『エド・サンズ』:2021/05/15(土) 23:46:06
>>543

    ガスッ!

       『チィッ!』

一進一退の攻防が続く・・・・
『銀貨』によって『超人』となったとはいえ、明智は既に全身を負傷している
このまま防御に専念して時間を稼げば勝利は得られるだろう・・・・明智の『死』と引き換えに、だが

>     「今の俺は、俺じゃない。
>      『アダージョ』は、俺の心を殺しやがった……」

「それは・・・・・」

思わず言い淀む
自分が会ったのは『死後の彼』ではあったが、恐らく『生前の彼』であっても同じだ
『あの男』なら・・・・そのくらいの事はやりかねない

・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
自信家の少年の心を折り、身勝手な愛で満たすくらいの事はやるだろう

(まったく・・・・ 身勝手で、自己中で、周りの人を傷つけて・・・・でも)

あの日・・・・ その『自己の強さ』に敬意を抱いた事もまた事実だ
周り全てを傷つけるような『悪人』ではあったが、その一点だけは純粋に尊敬する事が出来た


「『真剣』も『懸命』もない・・・・とか、私達を倒さないと元の自分に戻れない・・・・とか!
 明智さん・・・・それなら、今のあなたは一体なんなんですか!?」

明智の額に浮かび上がった『銀貨』を睨みつける・・・・
脳裏に思い出すのは、先程『タダヒト』が語った言葉だ

『解除』と『破壊』の関係・・・・
そして、『エド・サンズ』の事例から強制解除された『銀貨』は破壊を生じない事!

「心を『アダージョ』に殺された・・・・なんて言ってますが、あなたには意思がある!
 元の自分に戻りたくて・・・・文字通り『必死』になって戦うあなたの『心』が死んでいるなんて言わせない!」

「既に・・・・あなたの心は生きているんですよ
 元のカタチとは違うかもしれないけれど・・・・確かに生きているんです!
 死なせるのが惜しいくらいに・・・・!」

 『心ハ決マッタナ? あきは?
  全てガ決マッタノナラ・・・・・後ハ俺ニ任せてオキナ・・・・』

心は決まった
明智の命を掴み取るため・・・・『銀貨』を引き抜き、能力の強制解除を目指す事にする

「頼みます!」

明智の左腕に巻き付いた『縄』をさらに強く引きつける!
それにより、既に至近距離まで迫った明智を逃がさないようにする・・・・つまりはデスマッチを強制する!
明智の能力は確かに『エド・サンズ』のそれを上回る・・・・しかし、それは速さに勝るだけだ
至近距離を強制された状況では『力強さ』が物を言う!

右手で『縄』を握りしめながら・・・・左手で拳を握り、明智の顔面にアッパーのような一撃を叩きこむ!
狙いは・・・・明智の額に埋まり込んだ『銀貨』!
掠めるようなアッパーの一撃で『銀貨』を額から弾き飛ばす!

545『月隠れのグラン・ギニョール』:2021/05/16(日) 20:18:54
【ミ】『懸葬』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/7528109028421/91-

     「生き残ったのは、君だけだ」

倒れ伏した『骸』の中、蹲る『少年』に『タダヒト』は声を掛けた。
首を折られた骸、感電によって両目を濁らせた骸、爆破によって原型を留めぬ骸、
死因は様々だが、誰もが同じ『顔』だった。『十四体』の骸は、分厚い唇に紅を添えて。

     「『ブラッディ・バッカニアーズ』で完全に変じた『人間』は、
      決して元には戻らない。――――君への『拘束』は、
      不十分だった。……本当に、良かった」

     「君が生き残って、本当に――――」

     パァンッ!!

放たれた『銀貨』が『タダヒト』の耳脇を掠めた。
『少年』は嗚咽混じりに声を荒げ、絶え絶えの息のまま叫んだ。

     「なんで、なんで、もっど、はやぐ」

     「ぎでぐれなかったんだよ!」

     「お、俺は、アイツになった。
      俺が声を出す度、アイヅが笑うんだ……。
      俺の声が、俺じゃなくなる度に、笑うんだ……」

     「声が、声がもどっでも……」

     「俺は、ずっと、ァ゙イヅのままなんだぁ――――」

『明智』の身体に残った傷跡は、『クリニックセンター』でも治療が出来なかった。
己が己を呪う限り、その傷は永遠に消えることはないだろう。
だから、『タダヒト』は『アリーナ』を教えた。彼が『闘い』で『己』を取り戻すと信じて。

     ≪こ、これはぁ、『鏡花水月』が……『明智』選手の手に……≫

一戦目は『明智』の圧勝だった。無論、これを見越した『マッチング』だ。
相手が『尾藤』であるならば、『タダヒト』の心は全く痛まなかった。
あの『反則』スレスレの『参加』に加え、無様な戦績の数々。
『タダヒト』は『尾藤』に対し、一切の『情』を持っていない。

     「クククッ、お前は俺に勝った気でいる」

     「だがな。――――俺は全く、そうは思っていないよ。
      お前の視線に俺は映っていない。そうやって他者と接する限り」
                  . . .
     「お前は一生、誰にも勝てはしないのさ」

      ガスッ    ゴスッ!!

『銀貨』が『尾藤』の額を砕き、『鏡花水月』の鞘が追い討ちのように捻じ込まれる。
既に勝敗は明らかだ。観客達の諫めるようなブーイングは、『明智』の耳に入らない。

     「るせぇ、うるせぇぞ……。
      二連敗のカスが、俺に、エラそうに……」

     「スタンドも使えねェ場違いなオヤジが、
      負けの一つも認めねぇ、見苦しいカスが、
      ――――俺に意見するんじゃねェェェ!!」

『試合』の終了が告げられても、『明智』の罵倒は止まらなかった。
『明智』に対する賞賛の声はない。
『10秒』足らずの圧倒的すぎる『勝利』は、観客の心に何も生まなかったのだ。

     「(唯の『勝利』は、彼の心を癒しはしなかった。
       ……私の目が曇ったか。それだけ、彼に思いを傾け過ぎたか)」

     「(彼を倒す者は、その『心』を許せる者であってほしい。
       そのような『スタンド使い』が現れるまで……
       彼との『試合』を組むのは、止めておこう)」

何人ものスタンド使いが『夢』の世界に入門し、激戦が繰り広げられる中、
『ロンドン・コーリング』から聞こえる闘いの様子、その中の一人――――

     「(彼女なら、……『アダージョ』を本当の意味で倒した『氷山あきは』なら、
       もしかしたら、『明智』の呪いを、己で己に課した呪いを、解いてくれる……)」

漠然と抱いていた期待は、『タダヒト』の思惑を逸れて『現実』となった。
『明智』はる『死』を覚悟してまで、『勝利』を渇望している。
『タダヒト』に止める道理はない。――――何よりも、

     「(今は祈ろう。『氷山あきは』が、『エド・サンズ』が、
       『明智』を救うと、――――私が彼に見せられなかった、
       彼の『未来』を与えてくれると……)」

反転する『悪魔』の暗示は『再生』。『再び』、『生きる』。
彼と対峙する『吊られた男』の暗示は、『試練』。

546『最悪の相性』:2021/05/16(日) 20:39:23
>>544-545(氷山)
『氷山』は『明智』の独白を聞き入れ、思わず言い淀んだ。
消えぬ傷を残した『アダージョ』。そのおぞましい『愛欲』。
『氷山』の受けた『霊障』にも匹敵する、呪いを与えているのだ。

>(まったく・・・・ 身勝手で、自己中で、周りの人を傷つけて・・・・でも)

『氷山』の思いは変わらない。『最悪』とも評されるスタンド使い。
味方の一人もいない『孤独』な男は、――――最期まで『生きよう』としていた。

>「『真剣』も『懸命』もない・・・・とか、私達を倒さないと元の自分に戻れない・・・・とか!
> 明智さん・・・・それなら、今のあなたは一体なんなんですか!?」

『氷山』が睨むのは額の『銀貨』。『復活』の核となるそれは、
――――『エド・サンズ』には、一切の傷を残さなかった。

>「心を『アダージョ』に殺された・・・・なんて言ってますが、あなたには意思がある!
> 元の自分に戻りたくて・・・・文字通り『必死』になって戦うあなたの『心』が死んでいるなんて言わせない!」

     「俺は、俺は死にてぇんだよ!
      もう、俺が、生きてられないなら――――」

      グィィ!!

『明智』が立ち上がると同時に、屈んだ『エド・サンズ』の顔面に前蹴りを放つ。
だが、それは大きくブレる。『エド・サンズ』の手にした『ロープ』が引かれる。

>「既に・・・・あなたの心は生きているんですよ
> 元のカタチとは違うかもしれないけれど・・・・確かに生きているんです!
> 死なせるのが惜しいくらいに・・・・!」

     「どいつも、こいつも……。
      俺が、俺が、勝ちたいのに、勝てないなら、
      ――――勝てないなら、生きていたって……」

     「仕方ねぇのに――――」

> 『心ハ決マッタナ? あきは?
>  全てガ決マッタノナラ・・・・・後ハ俺ニ任せてオキナ・・・・』

   「頼       | i /
.     み      ト
    .ま       キ
.     す/       ュ /
    ・ 」          ・

姿勢を屈めていた『エド・サンズ』が、伸び上がるように『アッパー』を放つ。
その狙いは『明智』の額に埋まった『アンチクライスト・スーパースター』。
『明智』は避けられない。その一撃を、甘んじて――――

           ガスゥ!!

『額』を削るように『アッパー』が命中する。
『明智』が蹈鞴を踏む。――――『銀貨』は、どうなった。
床に落ちた銀貨は――――、残り『8枚』。

547氷山『エド・サンズ』:2021/05/16(日) 21:23:46
>>546

「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

『エド・サンズ』が『破壊』を受ける事無く能力が解除された理由
それはあの解除が『強制解除』であったからだ、と推測する
『銀貨』を除去する事が出来れば・・・・・!

「言いたいことは・・・・それで終わりですか?」

『銀貨』を弾き飛ばすための一撃・・・・
その拳の軌跡が通り過ぎた跡を確認する・・・・うまく、いったのだろうか・・・・

「勝ちたいのなら・・・・ 勝ちたいと本当に願っているのなら!
 かかってくればいいじゃないですか・・・・何度も・・・・何度でも・・・・!」

「そこにある『闘争心』は・・・・紛れもなくあなたのものですよ!」

548『最悪の相性』:2021/05/16(日) 21:54:30
>>547(氷山)

      ≪あ、『明智』ちゃん――――≫

固唾を飲んで見守っている観客達の中、
『セカイ』がその無事を確かめるように、上擦った電子ボイスを響かせた。

『明智』は額への『負傷』によって、『蘇り』を発動させている。
そこに『追撃』が加われば、完璧に『額』が砕かれるのではないか。

      スゥゥ

『明智』が顔を上げる。
その無事を確かめる必要はなかった。

        サァァァァァァァァ―――――

『明智』に纏われている『銀色』のオーラが掻き消える。
生身に戻った『明智』の額からは『流血』が流れる。
これは、――――『エド・サンズ』の一撃によるものだ。

     わああああぁぁぁぁぁぁ―――――!!

     「い、生きてるぜ……無事だ!」

     「『氷山』ァァァ!!  よくやったぁ!」

     「俺は、やってくれるって、信じてたっつうの!」

『銀貨』は『エド・サンズ』の拳に吸収されている。
『スタンド』と一体になる以上、触れられた『銀貨』は『エド・サンズ』と一体になる。
――――その身には『オーラ』は纏われないが、それでも十分だろう。
不完全となった『脳』の破壊は、既に癒されているのだから。

     「ハァ……ハァ……」

>「勝ちたいのなら・・・・ 勝ちたいと本当に願っているのなら!
> かかってくればいいじゃないですか・・・・何度も・・・・何度でも・・・・!」

     「俺が、お前を倒そうと、必死こいてる間、
      ――――『氷山』、お前はずっと……」

>「そこにある『闘争心』は・・・・紛れもなくあなたのものですよ!」

     「俺を、助けようとしていたのか――――」

顔を上げた『明智』の双眸には、悔し涙が宿っていた。
既に『アンチクライスト・スーパースター』は『エド・サンズ』の背後にバラ撒かれ、
『明智』には闘いの手段など、何一つ残されていない。

     ≪やった! やったぁ!  やりました!!
       『明智』君は無事です!  『あきは』ちゃん、やったよ!≫

     ≪アリーナは、この試合は――――『試合』のままです!≫

       うおおおおおぉぉぉぉぉ―――――!!

声にならぬ『歓声』が飛ぶ中、『明智』は腰の革袋を手に取った。
それを『拳』に突っ込み、内側から握り込んだまま。

     「まだ、まだ終わってねぇ――――!!」

ボロボロになった身体を引きずり、眼前の『エド・サンズ』目掛けて、
『明智』は血と涙でグチャグチャになった、鬼気迫る表情のまま、
その右拳を思いっきり、『エド・サンズ』へと振りかぶる。

549氷山『エド・サンズ』:2021/05/16(日) 23:13:51
>>548

>     「俺が、お前を倒そうと、必死こいてる間、
>      ――――『氷山』、お前はずっと……」

>     「俺を、助けようとしていたのか――――」

「・・・・・! 勘違いしないでください!
 私は別に明智さんを助けようとしたわけではなく・・・・ただ、勿体ないな、と思っただけです」

明智の目に浮かぶ悔し涙を見て、顔を背ける
男の子が女子に泣いている姿を見られるのは・・・・少し忍びない気持ちがしたからだ
そのまま一呼吸を置き

「タネがバレると不味い能力とは言え、弱点を隠すために全霊で挑んできた執念・・・
 そして、勝負のために命を投げ出す覚悟・・・・ それは・・・・純粋に凄いと思いました でも!」

「死んでしまっては・・・・それで終わりじゃないですか!
 私はそんな終わり方を望んでなんかいない!」

革袋をボクシンググローブのように装着し、挑んでくる明智を見る
そして、最後のその瞬間まで失われていないその『闘争心』を見て、少しだけ笑う

「だから、『これ』で終わりです・・・・『さんずさん』!」

   『オウ!』

ボロボロになった明智の身体を、無理に痛めつけないように俊敏に
ただ一撃だけ・・・・・明智の意識を刈り取るような掌打の一撃を明智の頭に与える

550『最悪の相性』:2021/05/16(日) 23:46:23
>>549(氷山)

     ≪あ、『明智』選手ッ!
       ――――これは、破れかぶれかぁ!?≫

     「立ち上がった、立ち上がったぞ!」

     「だが、あんな拳で、まだ勝つ気か――――」

       バキィィ――――

『明智』が振りかぶった拳が『エド・サンズ』の左頬に命中する。
『氷山』の奥歯が揺れ、その一撃が痛烈に突き刺さる。

>「死んでしまっては・・・・それで終わりじゃないですか!
> 私はそんな終わり方を望んでなんかいない!」

     「だったら、お前が――――」

┌──────────────────────────────
│「『氷山あきは』、――――お前は、アタシを逝かせたいのなら……」
└──────────────────────────────

>「だから、『これ』で終わりです・・・・『さんずさん』!」

     「俺を倒して見ろォォ――――」

┌─────────────────────
│「その手でアタシを倒してみろやァァァ!!!」
└─────────────────────

     ギュォンッ!

               ――――パァァァンッ!

『エド・サンズ』の掌底が『右頬』に命中した。
『明智』の脳が大きく揺らぎ、グラリとその身体を崩すと、
ヨロヨロと両足をフラつかせ、そのまま地面へと倒れ込む。

     ≪や、やりましたぁぁぁ―――――!!≫

     ≪『明智』ちゃん、最後まで闘い抜きました!
       そして、『あきは』ちゃんが、『サンズ』ちゃんが≫

     ≪この試合を、『勝利』しましたァァ――――!!≫

    うおおおぉぉぉぉ――――――!!

     「素晴らしい試合だった。
      両者が全力を振り絞り、真に迫る闘いとなる」

     「ちょっとした『アクシデント』もあったが、
      ――――無事、『氷山』選手の手によって、
      事態が収められた。心より、御礼を言いたい」

『セカイ』が試合の終了を告げ、『タダヒト』も言葉を添える。

     ≪だで、『あきは』ちゃん!
       えーらい、じゃない、すっごく頑張ったよ!≫

     ≪さあ、『あきは』ちゃん!
       この試合を終えた『勝者』として、
       最後、最後に一言! お願いします!≫

『セカイ』は嬉しそうに『氷山』へと、最後の一言を要求してくる。

551氷山『エド・サンズ』:2021/05/17(月) 00:48:09
>>550

明智の最後の一撃・・・・頭の芯まで響くようなその痛みを堪える
頭の奥がジンジンと痺れる・・・・ 明智の魂の輝きを感じ・・・・その全てを受け止める

>     「だったら、お前が――――」

>     「俺を倒して見ろォォ――――」

「――――――ええ」

明智が発した言葉・・・・その言葉が『あの男』の最期と重なる
『彼』が残した影響は今だ消えず・・・・明智の心に爪痕を残しているのだろう
・・・・・・だが!

「だけど・・・・明智さんは、『あの人』じゃあない!
『あの人』の影響が残っていたとしても・・・・」

     ギュォンッ!

               ――――パァァァンッ!

掌底の一撃は確実に明智の頬に命中した
彼の意識は直に薄れ、ここで話す言葉も聞こえているかどうかはわからない
それでもなお、氷山は最後に彼に言い残す

「それでも・・・・あなたは『明智』さんです
『アダージョ』ではなく・・・・・一人の『明智』さんなんですよ・・・・」

どさっ、と明智が倒れる音を聞く
そして、勝敗がここで決した事を改めて確信した

全身全霊を賭けて来た『明智』との闘い・・・・そして、この決着
観衆から上がる喝采の中で、一切の蟠りもなくスッキリとした心がこの光景を俯瞰する


――――『良い』と、ただただ、そう思った

「あ、は、はい! そうだ、最後に一言を言わないと」

そんな中で咄嗟に受け取ったマイクに一瞬だけあたふたと戸惑いを見せる
語る言葉は何がいいか・・・・・少しだけ考えて、言葉を継いでいく

「そうですね・・・・私と、明智さんをとりまく因縁について、何かを知っている方も多いかと思います
 多くの哀しみを生んだ事件ですし・・・・未だに消えない傷を残している方もいるかと」


息を継ぐ


「だけど、この戦いは私と明智さんの戦いで・・・・そこに別の人間が挟まる余裕なんてない!」

「『最高の戦い』でした!
 全身全霊を賭けて来た明智さんとの戦いは!
 だから、皆さん・・・・これだけ凄い戦いを繰り広げた『私達』に大きな拍手を!」

死んでなお深まる『アダージョ』との因縁に数奇なモノを感じた
しかし、魂と魂がぶつかり合う、この『闘い』は生きた人間だけの場だ
この先を生きる明智に待つであろう苦難に思いを馳せながら・・・・その道程の先に救いがある事を祈る

552『最悪の相性』:2021/05/17(月) 21:48:30
>>551(氷山)
崩れ落ちる『明智』が『氷山』の言葉を聞き入れたかは解らない。
それでも、『氷山』は闘いで培った思いを、『明智』へと告げた。

     シュンッ

『氷山』の手にはいつの間にか『マイク』が握られていた。
『策略』、『執着』、『過去』、――――そして、『運命』。
全てを振り払った後に残るのは、胸の空くような『勝景』。

>「そうですね・・・・私と、明智さんをとりまく因縁について、何かを知っている方も多いかと思います
> 多くの哀しみを生んだ事件ですし・・・・未だに消えない傷を残している方もいるかと」

息を継ぐ間も、観客達は黙したまま『氷山』の言葉を待っている。

>「だけど、この戦いは私と明智さんの戦いで・・・・そこに別の人間が挟まる余裕なんてない!」

>「『最高の戦い』でした!
> 全身全霊を賭けて来た明智さんとの戦いは!
> だから、皆さん・・・・これだけ凄い戦いを繰り広げた『私達』に大きな拍手を!」

          うわあああああぁぁぁぁ――――

  パ      「やってくれたぜェ、『氷山』!」
  チ  パ
     チ     「『あきは』ぁー!  素晴らしい闘いだった!」
  パ
  チ  パ   「スパニーッシュ!!!」   「この試合、俺のベストバウトだぜ!」
     チ
  パ      「『明智』ィィ――――  お前も寝てんじゃあねぇーぞ!」
  チ  パ
     チ     「ずる賢い悪知恵使って、今度こそ……勝って見せろっつうの!」
  パ
  チ  パ   「テメェーが性懲りなく来るの、待ってるからなぁ!」
     チ
  パ      「わいは……わいは……こんな試合を見たかったんやあ!」
  チ

万雷の拍手に負けじと響き渡るのは、両者の健闘を称えるエールの数々。
観客席に籠ったカタルシスが噴出し、その勢いを止められるものはいない。

   「『グラム・スラム』!今日の主役を讃えに行くぞ!この邪魔な金網をぶっ壊せ!」

      ―――――バァァァァンンン!!

そう、誰にも止められない。観客席の『金網』がぶっ倒された。
それを皮切りに、次々に『金網』が押し倒され、観客達が雪崩れ込んでくる。
『タダヒト』は黙して騒ぎを眺めていたが、マイクに頼らぬ肉声で、ハッキリと告げた。

       「『金網』の修理代は、君達の今後の『ファイトマネー』から徴収しよう」

   うううおおおおおおおおお!!!!!

       ドタドタドタドタドタァァ―――――

作業着を着た男、ライダーズジャケットを着た男、頭骨の目立った痩躯の男、
日本人だけではない。白人の男も、『ピエール』も観客席からドタドタと飛び込んで来た。
全員が『網籠』にスタンドを向け、格子扉を外し、金網をぶち破り、二人の下に押し寄せる。

       「胴上げだ!  ほら、『氷山』も『明智』も『エド・サンズ』も胴上げだ!」

       「『スパイロ・ジャイラ』も怖くないでぇ! 何やられてもやり遂げたるわ!」

       「骨折を治してからだな!」   「『吉田』ぁ! 一丁頼むぜ!」

     バキャッ
               ガシャァンッ!

観客席の男達が『氷山』と『明智』の下に殺到する。
誰もが歓喜を隠さず、誰もが『氷山』の勝利と『明智』の無事を祝っていた。

553氷山『エド・サンズ』:2021/05/17(月) 22:07:25
>>552

「ふぅ・・・・」

語るべき事を語り終え、手に持ったマイクを手放す
自分自身が皆の注目を浴びるのは慣れていない

『オラオラオラ――――ッ! 称エヤガレ、俺達ヲ!』

そんな意思を知ってか知らずか、『エド・サンズ』は氷山の前に立ち、声を張る
そして、歓声を受け止める様に仁王立ちをしていたのだが・・・・

      ―――――バァァァァンンン!!

 「へ?」

何故か、『金網』がぶっ倒されてしまった!
民度の低い観衆だとは思っていたけどここまでやるか!?という戸惑いが氷山に生じた
その一瞬の中で押しかける観客たちの波、そして波・・・・・!

554ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/05/17(月) 22:26:01
>>552
>>553

> 「胴上げだ!  ほら、『氷山』も『明智』も『エド・サンズ』も胴上げだ!」
『氷山』にはピエールが行くだろう。
自分は『明智』の胴上げに参加する。

「よぉ色男!寝てる場合じゃないぞ!あっはははははは!!」

555円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/17(月) 22:45:05
>観客席

「あはーっ! そーゆーとこ好き!
 ありがとネ、ユキトさん!」

追い越した山本は振り返らず、そのまま――――

>>253(氷山)

「氷山ちゃーん! サンズさーーーーーん!!」

雪崩れ込んだ『ファン』の一人として、
『リトル・スウィング』の輪を操って、
『エド・サンズ』を持ち上げ、胴上げに混ざる!

「あたし今日アリーナにいてよかった!
 氷山ちゃん達の試合してるの、見られてよかった!」

   「二人ともだーい好き! あはーっ!
      『胴上げ』、いーーっぱいしたげますよ!」

そしてセララ自身は、氷山の胴上げの方に参加だ。
この喜びを、好きを伝えたい。分かち合いたい。
ただ、それだけだ。

556『最悪の相性』:2021/05/17(月) 23:23:47
>>554(ジョン)
>「よぉ色男!寝てる場合じゃないぞ!あっはははははは!!」

    「ん……な、ぁ――――」

『明智』が目を覚ました直後、一人の男が近付き、
『明智』の圧し折れた『左腕』に触れる。

      ゴキキッ
              グギュッ

    「俺のは『小細工』だ。
     後は『吉田』に治してもらいな」

    「けどなぁ、これでワッショイできるでぇ!」

    「はぁ!? な、テメェら、何して――――」

『明智』が抵抗を見せるも、焼け石に水だ。
上裸になった観客達も加わり、『明智』は高々と空へと放られる。

    「バカヤロー、心配かけやがって!」

    「二度とふざけた真似できねぇように、
     今日のこと、たっぷり覚えさせてやるぜぇ!」

『ジョン』も胴上げに交わり、『明智』を天へと押し上げていく。
『明智』の表情は伺い知れないが、――――抵抗の一つも見せなかった。

>>555(セララ)
『セララ』は『氷山』と『エド・サンズ』の下に駆け寄り、
自身と変わらぬ小さな身体を、天へ捧げるように掲げていく。

    「おいおい、こんな小さい嬢ちゃんに負けられねぇぞ!」

    「もっと高くだ!  『タダヒト』のところまで飛ばしてやろうぜ!」

座席から解き放たれた観客達が、はちきれんばかりの喜びを表現する。
『セララ』もまた、激闘の最中に生まれた思いを発散すべく、
その細い両の腕を、懸命に伸ばしていた。

>ALL

その背中を暖かな掌達に押され、『氷山』は宙へと掲げられていた。
全てを振り払ったかと思ったが、――――ここにきて『重力』までもが、
『氷山』への支配を止めた。あらゆる束縛から解き放たれ、唯々『自由』の身となる。

       わあああぁぁぁぁぁぁ―――――

天井付近に位置する『解説席』に座る、『タダヒト』と目が合った。
冷静沈着な面持ちは変わらぬままだが、その瞳の色は柔らかかった。
天へと昇る『氷山』と『明智』の姿を、静かに見守っていた。

557『最悪の相性』:2021/05/17(月) 23:31:27


    ・

    ・

    ・

    「――――では、これにて『試合』を終了する。
     各自、速やかに撤収するように」

ややあって、観客達も落ち着いた頃に、『タダヒト』はアリーナの終了を告げた。
観客達もやり遂げた表情を見せながら、誰かが倒れた金網をアリーナの縁に立て掛け、
坂道となった『金網』を踏み越えながら、ゾロゾロと観客席へと昇って戻って来る。

(※観客の皆様は、GMレスがあるまで

一方、『氷山』は『控室』へと通され、そこには白衣を着た無精ひげの男と、
作業着を着た人の良さそうな中年の男が待っていた。

    「『氷山』さん、お疲れ様でした。
     ……ああ、私は『吉田松太郎』と言います」

    「このアリーナの裏方をやっておりまして、
     実は、この『網籠』も私が設計したんですよ。
     いやー、実にスリリングな試合でしたが、
     何よりも、お二人が無事に試合を遂げたのに、ほっとしました」

    「では、傷の治療を致しましょう。
     ――――『アリーナ』での負傷は、
     本来であれば『完治』には至らないのですが……」

『吉田』が治療の説明を始めるも、
それを遮るように無精ひげの男が口を挟んだ。

    「死人が出るやも知れないと、呼ばれて駆け付けたんだが、
     どうやら杞憂だったようだな。君のガンバリあってのことだが。

     だが、『タダヒト』には、君の治療を行うように言われていてね。
     呼びつけた以上は、何かやらせた方が、ムダがないとでも思ったのかね」

気だるげな振る舞いを見せる無精ひげの男は、
『氷山』へと緩やかに近づき、その掌を翳す。

558氷山『エド・サンズ』:2021/05/17(月) 23:51:00
>>554-557

「う、うわっ!?」

押し寄せて来る人波に押されるようにして体勢を崩す
そんな身体を支える様にして何人もの人々の手で、氷山は宙へと打ち上げられた
観客席にいたピエールや外国人風の男性達が明智も宙へ上げるのをみた

『ヘヘヘ・・・ マア、コウイウノモ・・・・・・ ウオッ!?』

スタンドだから大丈夫だろうと完全に油断していた『エド・サンズ』も例外ではない
環状のスタンドを代表に、多くのスタンドの手で宙へと舞う
突然の出来事に彼もまた驚きの声を上げていた


    ・

    ・

    ・

そんなこんなで散々胴上げの餌食にされた後、控室へと戻ってきた
待ち受けていた白衣の男達の話を聞く

「あ、どうも、初めまして吉田さん」

ペコリと頭を下げて挨拶をするが、試合の熱狂が覚めた今
体中の傷が痛みの悲鳴を上げて離さない

「は、はあ・・・・ 裏方役の・・・・
 私のアイデアを色々と通していただいてありがとうございました
 おかげでなんとか明智さんにも勝てました」

「なるほど、『タダヒト』さんは明智さんが『何をする』か読んでいたんですね・・・・」

ほんの少し、『タダヒト』に対して不信感を抱く
明智がいつ死んでもおかしくはないあの状況・・・・それを読みながら、試合を・・・・

(――――いえ)

考えてみれば、この状況は曳舟の能力によって避けられない事柄だった
その上で最善を尽くしていたのだろう・・・・と
最後に見た『タダヒト』の瞳に込められた感情を信じる事にした

「『治療』を・・・・していただけるならありがたいのですが」

椅子に座ったまま、何が起きるのか眺める

559『最悪の相性』:2021/05/18(火) 22:29:44
>>558(氷山)
>「なるほど、『タダヒト』さんは明智さんが『何をする』か読んでいたんですね・・・・」

┌─────────────────────────────
│「――――ここまでの『カタルシス』、
│ 中々見られるものではない……いい、『試合』だった」

│「そう、締めくくりたいのだが――――」
└─────────────────────────────

『エド・サンズ』のラッシュが決まった直後、『タダヒト』は含むような言葉を添えた。
今となってはその意味が解る。『死』を覚悟した一撃を『タダヒト』は予期していたのだ。

だが、『氷山』は抱いた不信感を飲み込み、『治療』の続行を要求した。
白衣の男は『氷山』に近付き、

     ・

     ・

     ・

     「じゃあ、これで帰るよ」

『治療』の最中に『クスノキ』と名乗った男は、
『氷山』の傷を完治させ、控室から去っていった。
『吉田』もその様子を確認した後、『茶封筒』を渡した。

     「では、『氷山』さん。
      ――――これが『ファイトマネー』になります」

     「膠着した試合にキレて、観客が乗り込んできたことはありましたが、
      あのような気持ちの良い終わり方は、今まで見たことがないですよ」

     「外に『車』を待たせてますので、そちらでお帰り下さい。
      本日は、本当にお疲れ様でした」

560氷山『エド・サンズ』:2021/05/18(火) 22:53:58
>>559

治療を終え、癒えた傷の様子を見ながら『銀貨』が激突した脇腹を擦る
痛みはほとんどないし、息を吸っても苦しくならない
以前戦った『セクションX』もそうだが、『治療』を行う能力の凄まじさに感嘆の息を漏らす

「あ、はい、私も『良い終わり方』が見れてとても満足でした!
 まあ、それはそれとしてお金は戴くんですけどね
 それにしても・・・・・相変わらず、分厚い封筒ですね」

大金が詰まった『封筒』を受け取り、思わず指先が震える
数年分のお年玉を合算してようやく届くかどうかという額だ
これだけあればどれだけの物を買うことが出来るか・・・・

「丁重に送迎していただき、ありがとうございます
 それではお言葉に甘えまして・・・・」

そのまま外に出て、『車』に乗って帰る事にした
自宅の前に車が止まると両親に怪しまれるかもしれないので、
自宅から少し離れた角で降ろしてもらうように指示をしながら

561『最悪の相性』:2021/05/19(水) 20:36:49
>>560(氷山)
『氷山』は用意されたワゴン車に乗り込み、
自宅から少し離れた路地の一角で降ろされた。
送迎をしたのは『後藤』ではなく、別の黒服だった。

    ・

    ・

    ・

あれから一週間が過ぎた。
激闘を制したとはいえ、『氷山』は普通の高校生だ。
日々変わらずに授業を受け、学校帰りに寄り道をし、
そんな変わらない日常が過ぎていく。

     「……よお」

『氷山』が友人に誘われて『カラオケルーム』に入った時のことだ。
何か示し合わせたかのように、友人達が部屋から出て行った後、
しばらくして、ノックもせずに『明智』が入って来たのだ。

友人の示し合わせ、―――――はなさそうだ。
少なくとも、デカイ図体を多少モジつかせており、
偶然会った、と見えるが……。

     「ああ、その……」

     パチン
             スルッ

『明智』はホック式のネクタイを外すと、
ワイシャツの釦を一つ一つ外していく。

562氷山『エド・サンズ』:2021/05/19(水) 21:09:42
>>561

明智との激闘から1週間もの日々が過ぎていった
あの後・・・・明智に会いに行こうかとも考えたが、学校も忙しかったためやめた
『闘い』という非日常に触れた後とはいえ、変わらない日常はあっけなく過ぎていく


「〜〜〜〜〜♪」

そういえば、氷山は悪霊達との戦い以降、友達からカラオケに誘われる機会が増えた
以前は、遊びに行くにせよ、カラオケに誘われる事など一切なかったのに・・・・
これも、『鉄先生』の指導の賜物、と内心で感謝をしていた


「〜〜〜〜〜〜ッ♪」


友人たちが部屋から出ていった事にも気づかず、氷山は今年一番のお気に入りを歌っていた
そして、リクエストした曲のサビ、この歌が最も盛り上がる所で・・・・

     「……よお」

ガチャリと扉を開けて、『明智』が入ってきた

「えぁっへ・・・・・・・!?」

流れる沈黙・・・・
羞恥により氷山の顔が見る間に真っ赤になっていく


     パチン
             スルッ

突然! 明智が服を脱ぎ始めた!


『オイ・・・・・オ前・・・・!?』

思わず、『保護者(さんずさん)』が顔を出す!

563『最悪の相性』:2021/05/19(水) 21:26:07
>>562
>「えぁっへ・・・・・・・!?」

>『オイ・・・・・オ前・・・・!?』

    「ば、待て待て! チゲぇーから!」

状況としては全く違わないのだが、
『明智』は慌てて手を振り、ワイシャツの胸元を大きく広げた。

      バサァ

『傷』が薄れている。
刻まれた縄跡や、首輪の痕跡が薄れ、
肌の色に近付きつつある。

    「『氷山』と会えたのは、『アナーキー・イン・ザ・UK』の力だろうが、
     ――――多分、俺が思うような『運命』じゃあなかったんだろうな」

    「俺は『楽に勝てる相手を倒して、アダージョを倒したタダヒトに近付きたい』
     ……はずだった。、……ああ、『運命』ってのはやっぱり、思うようにはいかねぇ」

┌────────────────────────────
│「それでも・・・・あなたは『明智』さんです
│『アダージョ』ではなく・・・・・一人の『明智』さんなんですよ・・・・」
└────────────────────────────

    「俺は、俺も『アダージョ』も、両方を知るヤツと、
     ……闘いたかった、だけだったんだな……」

『氷山』から視線を反らしながら、『明智』は諦めたように呟いた。
そして、ブレザーのポケットから取り出したタロットカードから、
無作為に一枚を引き、――――小さく笑った。

    「ああ、やっぱりな……」

その絵柄は『魔術師』のカードだ。
それが示す意味が何かは解らないが、
……少なくとも、『悪魔』ではないのは確かだった。

564氷山『エド・サンズ』:2021/05/19(水) 21:39:54
>>563

「わ、わあああ・・・・!」

思わず、スマホに手が伸びる
『エド・サンズ』がいる限り、並大抵の変質者に負ける気はしないが、
それはそれとして咄嗟に『1』『1』『0』と番号を押しそうになり・・・・

>    「ば、待て待て! チゲぇーから!」

―――やめた
明智の言葉に耳を貸したからではない
胸元に刻まれた『傷』を見たからだ

「明智さん・・・・・ それって!」

あの闘いの中で、明智の肌に刻まれた『傷跡』をくっきりと目撃した
それは『あの男』が、自分の『愛』を示すために残した『傷』・・・・残酷な『自己愛』の象徴
明智にとっては『トラウマ』とも言える『傷跡』が・・・・・今は薄れている

『運命』について語る明智の言葉を聞き・・・・・黙って頷く
そして、明智の胸元から取り出された『カード』の絵柄の変化に気が付いた

「良かった・・・・・!」

『悪魔』のカードに描かれているのは、悪魔によって鎖に繋がれた二人の男女
明智の事情を知った氷山は、『繋がれた男』の表情と明智が闘いの中で見せた顔が被って見えた
『悪魔』によって縛り付けられる男・・・・・

だが、今はどうだろうか
氷山の知識では、そのカードがどんな意味を持つのかわからない
しかし、カードの中に描かれる『魔術師』の青年は右手を上げ、
何かをやろうとする気迫に満ちている・・・・そんな気がした

「抜け出したんですね・・・・ 『過去』から・・・・!」

565『最悪の相性』:2021/05/19(水) 21:56:10
>>564(氷山)
>「良かった・・・・・!」

『悪魔』に縛られた男が見せる、苦悶の表情。
銀色のオーラでも覆い隠せぬ『明智』に帯びる影は、
今となっては消え去っている。

――――あの時、『氷山』は『エド・サンズ』を銀貨に飛び込ませた。
それが明確な計算に基づいてか、一か八かだったか、今となっては定かではない。
……だが、危機を恐れずして『エド・サンズ』を向かわせなければ、
この結末はなかっただろう。

>「抜け出したんですね・・・・ 『過去』から・・・・!」

     「今でも、たまに夢には出て来るよ。
      ……だけどな、夢だと解って、ホッとするようになった」

     「その、……お前と闘えなきゃ、俺はずっと、
      俺のままでいられなかったと思うと、……だから」

ワイシャツの釦を留め直し、ネクタイが首元に収まった。
その間も『明智』は歯切れが悪そうに、言い淀みを続けては、
回れ右をして、カラオケルームの扉を押し開ける。

     「あ、あ、……ありがと、な」

       ガチャッ

その表情は伺い知れない。

566氷山『エド・サンズ』:2021/05/19(水) 22:18:59
>>565

「『夢』・・・・」

実際に『夢の世界』で『彼』と戦った身としては、夢に出て来るだけでも身が竦む思いがする
だが、明智にとって、それはただの夢・・・・通り過ぎた過去に過ぎない
それを悟り、思わず顔を綻ばせた

「私こそ・・・・どうやら、あなたの事を誤解してたみたいですね
 嫌味ばっかり言う、嫌ぁ〜〜〜〜な奴かと思っていたら・・・・」

慣れない言葉に言い淀みを続ける明智の姿を見て
口に手を当てて思わず笑ってしまう

「なんだ、案外素直なところがあるじゃないですか
 こちらこそ、あなたとの闘いの後の『風景』は・・・・本当に素晴らしいものでしたよ」

そのまま、彼の背中を見送る
背後ではカラオケ装置が曲を終え、コマーシャル映像を流していた

567『最悪の相性』:2021/05/19(水) 22:35:50
>>566(氷山)
>「私こそ・・・・どうやら、あなたの事を誤解してたみたいですね
> 嫌味ばっかり言う、嫌ぁ〜〜〜〜な奴かと思っていたら・・・・」

    ピタリ

『氷山』の悪戯っぽい声色が、『明智』の足が止める。
フッ、と緊張を解くように吐息が零れた。

>「なんだ、案外素直なところがあるじゃないですか
> こちらこそ、あなたとの闘いの後の『風景』は・・・・本当に素晴らしいものでしたよ」

     「素晴らしい、……素晴らしいといやぁ……

      『氷山』、お前の『サビ』、全然なっちゃあいなかったぜ。
      友達連中が聴いてなくて、ついつい調子が外れたか?」

     「素晴らしい、にはよっぽど程遠いぜ」

    バタンッ

憎まれ口を言い残して、『明智』は去っていく。
『氷山』の隠れた弱点を突く言葉。『明智』の性根は、あのままなのだろう。
――――それでも、人は変わる。生きているのだから、変化は訪れる。
あの闘いを経て『氷山』が覗いたのは、手に取ったのは、その一つなのだろう。

氷山『エド・サンズ』 → 『勝利』、『30万円』を獲得。

明智『アンチクライスト・スーパースター』 → 『敗北』。


    ・

    ・

    ・


     「ちょっとぉー、ここまでお膳立てしたってのに、
      なぁーに、スゴスゴ戻って来てるのよー」

     「オトコ見せなよ、『宝木』。
      ほらぁ、『あきは』、今一人なんだからさぁー」

     「……い、いや、違う。一人じゃあなかった……。
      ウソだろ……、アイツ、服……ちょっと、いい雰囲気で……」

     「『ラギ』ちゃん! 震えを止めろ!」

     「ここがガチの正念場だって!」

     「ダメだ……もう、『10:0』でダメだって……!
      『こぜにくろう』のところに二人ともいなかったから、
      いけると思ったけど、――――もうダメだぁぁぁ〜〜〜〜ッッ!!」

宝木『一般人』 → 人知れず『失恋』。

568『最悪の相性』:2021/05/19(水) 23:14:20
本体の腰元に現れる『革袋』のヴィジョン。
中には『30枚』の『銀貨』が納められており、
本体の『指弾』によって銃弾のように放たれる。

『銀貨』はあらゆる物体をすり抜け、
本体の解除と共に『破壊』を引き起こす。
『破壊』した物体を蘇らせ、『神格化』する能力。

『神格化』は文字通り、『人』を超えた性能を得られ、
機械は勿論のこと、『器具』であれば手にした者に対し、
超人的と言える身体能力を発揮させる。

但し、『拘束されたスタンドは解除されない』ため、
『スタンド』を透過した時点で『銀貨』はヴィジョンに吸収され、
本体の意思に関わらず、超常の力を与える。

『銀貨』は『神格化』を維持するエネルギーとなる他、
『銀貨』を媒介に発現することで、手元への『神格』の呼び寄せの他、
任意の地点に発現させるなど、文字通りの『神出鬼没』を発揮できた。

本体の『脳』の破壊によって、
本体自身にも能力を適用出来たが、『解除』はままならず、
『核』となる銀貨を引き抜かなければ、銀貨の消失と共に『死亡』する。

『アンチクライスト・スーパースター』
破壊力:B スピード:B  射程距離:C
持続力:D 精密動作性:B 成長性:D

569『唯一人に輝いて』:2021/05/19(水) 23:54:10
   シャッ
           シャッ

     「『緒方』君。――――『首輪』は無事に?」

     「ええ、『B級』の全員に断られた時は、
      私がハメるしかないと思いましたが、
      たまたま、『オジロ』と親しいスタンド使いに会いまして」

駅前の商業ビルに構えられた『イリディセント法律事務所』。
『タダヒト』と『緒方』は対面し、ソファに腰掛けていた。
センターテーブルに置かれたのは『タロットカード』のデッキ。
そして、A4サイズの何の変哲もないコピー用紙。

     「そうか。……それは、良い巡り合わせだ。
      私の方も、多少の『問題』は生じたが、
      彼女が見事に解決してくれた」

     「その件ですが、『ロンドン・コーリング』により、
      観客達の『バイタルサイン』を聴き取りました」

     「――――いずれも『タダヒト』さんに対する、
      『怒り』、『敵意』、それらの『悪感情』が剥き出しです」

かつて、『アリーナ』では一人のファイターが試合中の『事故』によって死亡した。
『死亡者』の縁者が『アリーナ』に参戦し、その闘いは結果として、
『アリーナ』の根底を揺るがす大事件にまで発展したのだ。

その仔細はほとんどの『観客』には伏せられているとはいえ、
人の口に戸は立てられない。――――『タダヒト派』の半壊について、
『タダヒト』の実力不足ではないか、と揶揄する者も少なくはなかった。

その最中に起こったのが、『明智』の自殺未遂である。
観客達は『金網』を破って、事態を解決した『氷山』を胴上げした。
――――しかし、それは『タダヒト』が手をこまねいていたのだと、
多くの観客が疑いを持っていた、その発露に他ならないのだ。

    「『夢』の一件といい、消息を絶った『エクリプス』の者達が、
     その『悪意』を以て、スタンドを再び行使するのであれば、
     ――――今のままでは、かつてのような『結集』は」

堅物な声色を崩さぬまま、『緒方』は告げる。現状が良き方向に進んでいないと。
『太門』の裏切りだけではない。あの闘いの果てに、『アリーナ』を去ったファイターがいた。

――――かつて、『アリーナ』には『タダヒト』と覇を競う、『二人』の『A級』が在籍した。
変幻自在の技に優れ、年若き少女でありながら、誰もがその苛烈さを恐れた。
硝煙と共に現れ、繰り広げるのは志に違わぬ熱闘、見る者が焦がれて止まぬ立ち姿。
そして、『タダヒト』はその二人と一進一退を競いながら、己の『全貌』を明かさなかった。

    「私は、……私が貴方であれば、『明智』君を止める、べきでした」

    「そうか。――――『緒方』君。
     私は『ギブアップ』を認めたことはない」

    「誰に対しても、己に対しても。
     今日の一件で、得たのが『失望』であるなら」

    パラリ      ┌───────┐
               │ .『星 - Star -』 │
               └───────┘

    「やはり、私の進むべき道は、
     『正しかった』ということになるな」

『タダヒト』は広げたコピー用紙に、引いたカードを重ねた。
その線群が何を意味するか、『緒方』は一瞬では解らなかった。

┌──────────────────────────────
│                    ┃
│              ┏━━━━━┻━━━━┓
│              ┃                    ┃
│        ┏━━┻━┓            ┏━┻━━┓
│        ┃        ┃            ┃        ┃
│    ┏━┻┓    ┏┻━┓    ┏━┻┓    ┏┻━┓    .
│    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    .
│  ┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓
│  ┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃
└──────────────────────────────

570『その拳はデルタを描く』:2021/05/24(月) 22:59:06
ある日の昼下がり、『東雲』は『ラクアクア』を訪れた。
『ウォーターサーバー』の宅配会社である『ラクアクア』だが、
『東雲』は何も、飲み水が欲しくて此処に訪れたわけではない。

――――『渇望』。『東雲』が望むのは、純粋なる『武闘』。
『アリーナ』での対戦に挑むため、この『アリーナ』にやって来たのだ。

     「ああ、『東雲』さんじゃあないですか。
      ――――やはり、『試合』を望んでですか?」

カウンターの上に置かれたモーター類を弄っていた『吉田』は、
手近に置かれたボロ布で、掌の油汚れを拭き取り、『東雲』を出迎えた。
その目的を解ってか、『吉田』はカウンター越しに置かれたパイプ椅子を『東雲』に勧める。

     「『明智』君と『氷山』さんの試合、
      ……私としては、無事に済んで唯々良かった」

     「ええ、本当に。――――ですが、『アリーナ』は続く。
      『東雲』さん。……貴方も、『闘い』の道を進むのですね」

『死亡』にさえ繋がりかねない一件があったからだろうか。
『吉田』はセルロイド眼鏡越しに、『東雲』をじっと見詰める。

571東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/24(月) 23:13:14
>>570

「こんにちは、吉田サン。この前言うた通り、また『闘い』に来させてもらいました」

深く腰を曲げて挨拶を交わす。
そして勧められたパイプ椅子に、ゆっくりと座った。その重みに、ギシリと金属が軋む。

「吉田サン。あがぁな良いモン見せられて、闘わずにいられるわけがありませんよ」
「オレだけではないでしょう。『アリーナ』の熱気、また戻ってきてるんと違いますか」

そう言って、ニィッと犬歯を剥き出しにして笑う。





『纏うタイプ』のヴィジョン。
触れた物体からは『塩』が吹き出し、やがて『岩塩』に変わる。
このヴィジョンに能力を作用させた場合、『岩塩』は『鎧』となる。

『ザイオン・トレイン』
破壊力:B スピード:B 射程距離:E
持続力:B 精密動作性:C 成長性:B

スタンド能力詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/180

『所持品』:財布、スマホ、ロープ(ポリエステル製、9mm×1m)
『服装』学生服(冬服)、スニーカー、青海波紋柄のバンダナ

『簡単なプロフィール』日に焼けた肌を持ち、筋骨隆々とした高校一年生。
その身体は元々デカいが、漁師である父親の仕事を手伝っているからでもある。
肩ぐらいまである長さのくせ毛を、『青海波紋』柄のバンダナで額から縛っている。

572『その拳はデルタを描く』:2021/05/24(月) 23:37:34
>>571(東雲)
>「吉田サン。あがぁな良いモン見せられて、闘わずにいられるわけがありませんよ」

『東雲』は挑戦的な笑みを浮かべる。尖った犬歯が白く輝いた。
『吉田』は両目を瞬かせて、やがて、ほぅと息を吐いた。

     「ふふっ。そう、ですよね。
      勿論、ファイターが全力を出せるように、
      『闘技場』を整えるのが、私の役目です」

     「そう、――――それが私の役目。
      『東雲』さん。貴方の闘い、応援させてください」

『東雲』の醸し出す闘気に呼応するように、『吉田』もグッと拳を握った。

>「オレだけではないでしょう。『アリーナ』の熱気、また戻ってきてるんと違いますか」

     「ええ、他の『派閥』の方々が精力的な興行を繰り広げる中、
      『タダヒト』さんも重い腰を上げて、自ら動き始めたんです」

     「――――ここだけの話ですが、……あの人は何かを企んでいる。
      きっと、今までにない何かを、する気で――――」

       ガラララララララァァァ!!

『吉田』が何かを告げようとした時、
『東雲』が閉ざしたばかりのガラス戸が勢い良く開かれる。

      ドタタタタァァァ――――

     「『吉田』はん!  『吉田』はぁん!
      もう黙っちゃあおれませんわぁ!」

     「ワイもやらせてもらうでぇ!
      『アリーナ』一丁! 特盛で頼んますぅ!」

ド派手なヒョウ柄の『ツナギ』に身を包んだ三十代後半の男が、
イキのいい『関西弁』と共に『ラクアクア』へと乗り込んできた。

        ガララァ――――

     「いいや、『マサ』さんは帰りの新幹線があるだろ」

     「ここは俺だ。次こそは『B級』に上がって見せる」

『ラクアクア』の小窓が小気味良い音と共に開くと、
サマーセーターに身を包んだ痩躯の青年が、
窓から顔を覗かせながら、『吉田』へと声を掛けた。

     「待て待て待てぇー!  俺の出番だっつうの!」

      ガララァァ!!

更には勝手口の扉が開き、太っちょの体躯にライダーズジャケットを纏う、
サングラスを掛けた男が、のっそりとその姿を見せる。

573東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/25(火) 00:05:11
>>572

「ありがとうございます。わしらが躊躇なく全力で闘えるんは、吉田さん達のおかげですけぇ」

実生活に影響を与えるであろう負傷を恐れることなく闘えるのも、
『スタンド』を持たない観客達にも楽しめるように、『アリーナ』という興行を成り立たせてくれるのも。
吉田さんのような、裏方の力なくしては有り得ないだろう。

「はァん…『タダヒト』…サンが」

眉を顰める。
吉田さん達と違い、『タダヒト』に対してそんなに良いイメージはない。
この前の試合も大方『タダヒト』の狙い通りに落ち着いたようだが。
単純に、やり方が好みではない。
闘う姿を見ればまた変わってくるのかもしれないが、今のところはその機会もなさそうだ。

「企んどるって、それは何を─────」

しかし、その内容を推測する前に乱入者がやってきた。
確かこの人は、この前の試合の際に観客席にいた『マサ』という男ではなかったか?
そしてそれを皮切りに、次々と現れる『ファイター』達。
成る程。『氷山』達の試合の熱に浮かされたのは、自分だけではないらしい。

「繁盛しとりますなぁ、吉田サン」

それぞれの『闘士』達に目線を送りながら、嬉しそうに吉田さんに話しかける。

574『その拳はデルタを描く』:2021/05/25(火) 00:34:01
>>573(東雲)
>「ありがとうございます。
>わしらが躊躇なく全力で闘えるんは、吉田さん達のおかげですけぇ」

     「いやいや、お礼を言うのは、私の方ですよ」

     「貴方達が全力で闘うからこそ、
      私達も、全力でサポートできるんです」

『吉田』は口元を綻ばせ、年甲斐のない喜色を浮かべる。
根や葉がなければ花は咲かない。彼等のような『裏方』あって、
『アリーナ』は成り立っているのだろう。

――――そして、『タダヒト』という男。
『死』を眼前にしての異様なまでの冷静さ。
結果的に『氷山』の奮闘によって『明智』は生還したものの、
一連の試合に『作為』を感じるのは、『東雲』だけではなかった。

そう、この場に現れた三人はいずれも、
『観客席』で『タダヒト』に反旗を翻そうとした者。
いずれも『闘志』を秘めたファイター達だ。

>「繁盛しとりますなぁ、吉田サン」

    「……ええ。嬉しいですよ。
     唯、試合は『一対一』ですので、
     他のお二人は譲ってもらうか――――」

    「つれないなぁ、『吉田』はん。
     地元背負って、ここまで来たんやぁ。
     土産の一つくらい、用意したってええやないかぁ」

    「『東雲』君言うたなぁ? 『観客席』はワイもおったでぇ。
     アンタも解るやろ? あのアツーイ試合を見てもうたらなぁ、
     男の拳が疼くんやぁ! それに、西の男は気が短いねん!」

    「ああ、いや。『マサ』さん。
     ちょっと、同時に来るのは想定してなくて――――」

『マサ』と呼ばれた『関西弁』の男は、
『吉田』の両肩を馴れ馴れしく揉み始める。
軽妙な言葉尻の所々に、土地柄の『粗暴さ』が滲み出ている。

    「下手な芝居は『劇場』に置いてきたらどうだ?
     ――――『ザイオン・トレイン』の『東雲』。
     かのデビュー戦、対戦相手にケチが付いたのが惜しかったな」

    「俺も、お前と同じく『肉弾戦』を得意とするスタンド使い。
     『Tボーンズ』の『湯河原』だ。相手にとって不足はない」

     ゴキキッ
              グググググ――――

『湯河原』は頭が辛うじて入る『小窓』から身体を押し込み、
その身から奇怪な音を立てながら、『ラクアクア』へと忍び込む。

    「勝手に話を進めるんじゃねぇっつうの!」

    「ヤジの為なら『ドーム』から『巌流島』まで馳せ飛んだッ!
     ぶっ放したヤジが、そろそろ俺に戻ってきたくて仕方ねぇらしい!」

    「『オープン・ハンド』の『菅谷』だぜェ。
     このデカい掌、『勝利』を掴みに来たんだっつうの!」

       バァンッ!

勝手口の扉を叩くのは、『菅谷』の掌だ。
三者いずれも闘志は十分。その視線が『東雲』を射抜く。

          「 「 「 さあ、誰にする!? 」 」 」

    「あ、その、試合を決めるのは、我々で……」

         じぃぃぃぃ...

    「い、いえ、『東雲』さんの意向で、はい……」

575東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/25(火) 00:57:11
>>574

「・・・・・・・・・・・・・・・」
「勿体ねぇのォ」 ボリボリ

頭をかきながら、呟く。
三者三様、それぞれ闘りたい魅力がある。
この『アリーナ』に、バトルロイヤル形式がないのが残念だ。
自分がここで勝ってしまえば(無論そうなるつもりだが)、『C級ランカー』とは闘えない。
彼らがいずれ『B級』に上がってくるなら、選ばなかった相手とも闘えるが、必ずそうなるとは限らない。
さて、誰を選ぶか。本音を言えば一番強い人と闘いたいが、
三人とも、自らが一番強いと思っているはずだ。でなければここには来ていない。
ならばどうする?腕を組んで目を瞑り、じっと考える。





「─────『マサ』サン、いっちょ闘りましょうや」

目を開けて『マサ』さんに視線を合わせ、拳を突き出した。
何の事はない。皆が全て魅力的なら、この機会を逃せば最も闘いにくい相手を選んだだけだ。
ほんのわずか、同じ西側出身というのも理由に加わったかもしれないが。

「『湯河原』サン、『菅谷』サン、すいません。また闘う機会が来たら、必ず指名させてもらいますけぇ」

そう言って、二人に頭を下げる。
これだけの良い男の誘いを断るのはあまりに勿体ないが、体は一つしかない。
今は『マサ』さんへの闘いに集中させてもらおう。

576『その拳はデルタを描く』:2021/05/25(火) 01:25:09
>>575(東雲)
三人の『視線』を受け止め、『東雲』は両目を瞑って考え込む。
『一勝』となる『東雲』は、この闘いで勝利すれば『B級』への挑戦権を得られる。
勝利すれば『B級』に上がるも、それは『C級』との断絶を意味する。

三人は黙したまま、その視線のみで答えを迫る。
ややあって、『東雲』は重い口を開いた。

>「─────『マサ』サン、いっちょ闘りましょうや」

    「フ、フ、フフフフフ」

    「ハァーッハッハッハァ!
     『東雲』はん、解っとるやあないかぁ!」

『マサ』は勝ち誇ったかのように笑い声を張り上げる。
『湯河原』は窓枠でグッタリと細身を項垂れさせており、
『菅谷』はその大きな掌で頭を抱え込んでしまった。

>「『湯河原』サン、『菅谷』サン、すいません。
>また闘う機会が来たら、必ず指名させてもらいますけぇ」

    「クッ……。仕方ないか。
     だがな、俺を袖にしてまで選んだ『相手』だ。
     冷えた試合にしたら、金網をブチ破って喝を入れるぞ」

    「そーだぜぇ! 『アリーナ』で磨いたヤジの四十八手!
     外野からガンガンぶち込んでやる! 覚悟しとけっつうの!」

『東雲』が頭を下げると、二人は荒っぽい語調で『東雲』をどやす。
不服はあるものの、試合に駆け付けてくるのは間違いないようだ。
二人は窓枠と勝手口、それぞれから『ラクアクア』を出ていく。

    「『吉田』はん。ギミックはいつもので頼んます!」

    「それじゃあな、『東雲』はん。
     ――――首洗って、待っとれや」

試合が決まると解れば、『マサ』もまたガラス戸を潜って去っていく。
上機嫌な『マサ』であったが、最後の言葉はドスの利いた声色だった。
陽気な口振りに隠れた『闘志』。彼もまた、『アリーナ』のファイターだ。

    「い、いやー。何はともあれ、試合が決まってホッとしました。
     ――――あの三人は、いずれも『B級』の昇格まで『王手』を掛けました」

言葉通りに安堵の息を零した『吉田』は、
遠目にもバッチリと見えるヒョウ柄の背中を見送っている。

                             Bランカー
    「ですが、『タダヒト』さんの下に集う、『海の壁』を前に、
     惜しくも昇格を逃した。――――ですが、いずれも『実力者』」

    「この試合、私も楽しみでなりませんね……」

『吉田』はメガネの奥にある温和な瞳を僅かに光らせた。
彼もまた『裏方』であり『アリーナ』の一人。好カードは逃さない。

    「さあ、ルールは今更の話でしょう!
     試合を有利にする『ギミック』を一つ、用意できます」

『ギミック』の選定。前回は『網籠』がステージに用意されている。
無論、これを拒むのも選択肢の一つだが、『マサ』が去り際に告げた一言。
彼は自身の闘いに有利な『ギミック』を使い慣れている、そう聞こえる言葉だ。

577東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/25(火) 21:06:18
>>576

「『応援』ありがとうございます。先輩として『氷山』には負けてられませんけぇ」

アリーナでの後輩が火を付けてくれた所に、水をかけるような盛り下がる試合をするつもりなどない。
とはいえ、『アリーナ』の民度はかなり低いので、全くヤジの飛ばない試合など不可能だろうが。
何にせよ、勝つ為に全力を尽くす。自分がやるべき事は、それだけだ。
『湯河原』さんと『菅谷』さんを見送った。

「そんじゃあ『マサ』サン。『入院』して帰るのが遅れる言い訳は、考えといて下さいよ」

同じく『マサ』さんが去り際に残した一言にも、こちらも返しておく。
試合前の軽いじゃれあいのようなものだ。あるいは互いに交わす激励か。
それほどまでに、どちらも試合を楽しみにしているということだ。

「実力的には、『B級』まであと一歩ということですか。そいつは楽しみです」

どちらにしろ、『B級』に上がるなら最低でも彼らを倒せる実力がないと意味がないのだ。
試金石としてと丁度いい。


「『有刺鉄線』、お願いできますか」
「ステージの上に杭のような柱を打って、それを『有刺鉄線』で繋いで。
 そんで『迷路』のように、ある程度入り組ませられりゃあ言うことなしです」
「高さとしては、わしの背の高さくらいありゃあいいですね」

もっとも『迷路』と違い、有刺鉄線では視界を塞ぐ壁にはならないが。
複雑なら、一本道でも構わない。直線的に移動し辛くなれば、それで良い。

「もし『マサ』サンのギミックと干渉したり、難しいようなら別にいいです」
「そん時ぁ、ボタンを押すと上から『鉄菱』が降ってくるような仕掛けがありゃあ良いですね」

578『その拳はデルタを描く』:2021/05/26(水) 23:16:18
>>577(東雲)
>「そんじゃあ『マサ』サン。『入院』して帰るのが遅れる言い訳は、考えといて下さいよ」

     「ハッ、ぬかせや」

去り際の言葉にも『マサ』は律儀に応対した。
互いに『闘志』は十分。――――後は期日を待つのみだ。

>「実力的には、『B級』まであと一歩ということですか。そいつは楽しみです」

    「はい。ですが、それは『東雲』さんも同じこと」

初戦で『尾藤』を倒し、路上ではあるが『一対一』で『長堀』を倒した。
非公式ではあるものの、戦果を見れば『東雲』もまた同じ土俵にいる。

>「『有刺鉄線』、お願いできますか」
>「ステージの上に杭のような柱を打って、それを『有刺鉄線』で繋いで。
> そんで『迷路』のように、ある程度入り組ませられりゃあ言うことなしです」

    「ええ、前々の試合で使った『有刺鉄線』が残っています。
     すぐに用意できますよ。――――『迷路』となるかは、
     ちょっと、やってみないといけませんが……」

ステージに設営できるほど『有刺鉄線』の在庫はあるようだ。
ともなれば、『試合』は十全に開催できるだろう。

    「試合の開催日は、追ってお伝えしますよ。
     さて、何か質問とかあれば、お答えできますけど」

579東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/27(木) 21:58:16
>>578

>    「はい。ですが、それは『東雲』さんも同じこと」

「ありがとうございます。ですが似てはいますが、同じではないとわしは思っとります」
「…『路上』と『アリーナ』では、また勝手が違うでしょうから」

先日の闘いを、『明智』を思い出す。
環境が『C級』でなければ、あるいは勝負の結果は分からなかったかもしれない。
吉田さんの激励はありがたいが、慢心することなく挑ませてもらおう。

「まぁ『迷路』は見栄え半分のところもあります。観客の反応が良くなりそうなもんですから」

『ギミック』を利用するつもりではいるが、依存するつもりはない。
相手に利用される事も、あるいは相手に取り除かれてしまう事も考えておく。
戦場では、予想外の事が常に起きる。勝利する為に一つの手段に固執するのは下策だろう。


>    「試合の開催日は、追ってお伝えしますよ。
>     さて、何か質問とかあれば、お答えできますけど」


「…さっき、『湯河原』サンはわしの『スタンド』について知っとるような口振りでしたが」
「『マサ』サンも、わしの試合を見とったんでしょうか」

「『マサ』さんと過去に戦った選手は、今この『アリーナ』におるんですか?」

もしそうなら、ある程度手の内はバレていることになる。
『ザイオン・トレイン』は『鏡花水月』や『アンチクライスト・スーパースター』と違い、
タネが割れてもそこまで困る程ではないが、試合前にできる事はしておきたい。
もちろん、いなければそれで構わない。その為にわざわざ尋ね回ったりはしない。

580『その拳はデルタを描く』:2021/05/27(木) 22:38:32
>>579(東雲)
>「…さっき、『湯河原』サンはわしの『スタンド』について知っとるような口振りでしたが」
>「『マサ』サンも、わしの試合を見とったんでしょうか」

     「いやぁー、それは私には何とも……」

     「『マッチング』の情報は公開されていますので、
      誰と誰が闘ったかは調べれば解りますが、
      誰がどのチケットを購入したかというのは、
      ……ちょっと数が多いですからねぇー」

『吉田』は言葉を濁す。
『マサ』が『東雲』の試合を見ていたかは解らないが、
『尾藤』との試合を思い返せば、――――あの試合で『関西弁』のヤジは聞こえなかった。
ブーイング鳴り止まぬ試合であり、『マサ』が黙って見ている可能性は乏しいだろう。

>「『マサ』さんと過去に戦った選手は、今この『アリーナ』におるんですか?」

     「直近であれば答えられますけれど、
      『マサ』さんは『菅谷』さん、『湯河原』さん、『長堀』さんと闘い、
      『B級』へのチャレンジでは、『ニコン』さんと試合をしています」

     「試合は接戦でしたが、惜しくも敗退となりました。
      ふーむ、かつては極東一の『トータルファイター』とも呼ばれた、
      『総合格闘家』のスタンド使い、やはりバーリ・トゥードでも強かったです」

公開された『マッチング』の内容ともなれば、『吉田』はスラスラと話が出来る。

581東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/27(木) 22:59:15
>>580

「ああ、それならええんです。相手が知っとるのにわしだけ知らんのは
 手抜きかと思っとったんですが、『マサ』さんもわしの『スタンド』は知らんかもしれません」
「そんなら、相手の手の内は知らんようにしておきます」

『吉田』さんの言葉に頷いた。
もしかしたら自分の知らない場所で『ザイオン・トレイン』を知っているかもしれないが、
それならそれでいい。逆にこちらだけ能力を知っていて、相手が知らないよりは。

「ありがとうございます。そん他に質問はありません」

582『その拳はデルタを描く』:2021/05/27(木) 23:42:43
>>581(東雲)
>「ああ、それならええんです。
>「そんなら、相手の手の内は知らんようにしておきます」

    「『東雲』さんと『マサ』さん、もしもぶつかり合えば、
     ――――その時にきっと、互いの『全力』は解るでしょう」

>「ありがとうございます。そん他に質問はありません」

    「それでは、試合の日時は追ってお伝えしますので。
     『東雲』さん。……ナイスファイト、期待してますッ」

『吉田』は力添えるように『東雲』を激励する。


    ・

    ・

    ・

試合当日、『東雲』は『アリーナ』の所在である『倉庫街』を訪れた。
海沿いの倉庫エリアの一角、鉄扉の閉ざされたレンガ倉庫には、
二人の黒服が『左右』を固め、『東雲』を出迎える。

     「ようこそ、『東雲』選手。
      『川島』選手は現在、『新幹線』の遅延の為、
      到着が遅れるようだが、……試合に影響はない」

    「……ああ、一応伝えとくと、対戦相手の名前は『川島正明』」

    「関西で小さな『電設会社』を経営している」

『黒服』がボソリと『マサ』の本名を伝えてきた。
あのド派手な『ツナギ』は仕事着でもあるらしい。

583東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/27(木) 23:55:08
>>582

(『川島』ァ…?あぁ、『マサ』サンのことかのぉ)

一瞬眉根を寄せたが、すぐに『黒服』の補足も入り納得した。

「そういうことですか。仕事でこっちに泊まっとると思ってましたが、『試合』や『観戦』の度にこっちに来てくれとるとは」
「そんだけ『アリーナ』を楽しんでいるっちゅうことですか。…熱が入ります」

腕をゆっくりと大きく回し、軽く『準備運動』をする。
楽しんでいるのは自分も同様だ。はやる心を抑えて、しっかりコンディションを整えよう。

584『その拳はデルタを描く』:2021/05/28(金) 00:24:18
>>583(東雲)
>「そんだけ『アリーナ』を楽しんでいるっちゅうことですか。…熱が入ります」

    「あれだけの『大都市』であっても、
     『スタンド使い』が一同に集う場というのは、
     この『アリーナ』を除いて存在しないのだろうな」

『黒服』の見識が正しいかは解らないが、
わざわざ『県外』から『星見町』までやって来る以上、
『アリーナ』に相当する規模の『集会場』はないのだろう。

    ググッ
               グゥ――――

    「……」

     グイッ
              グゥゥンッ

『準備運動』をする『東雲』を眺めていた『黒服』だが、
やがて、一緒になって『準備運動』を始める。
立ちっぱなしというのは、それなりに辛いようだ。

    「では、――――『ご武運』を」

      ギィィィィィ ・ ・ ・

『黒服』が『鉄扉』を引き、『階段』まで案内する。
『階段』を降りる途中、ふと『黒服』が話しかけた。

    「そういえば。……『解説』の『タダヒト』さんは不在だ。
     あの人も『A県』の送電障害での『交通遅延』に巻き込まれた」

    「『解説』には代役を立てるようだが、
     ……誰だろうな。『B級』の誰か、になるのか――――」

585東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/28(金) 00:44:58
>>584

「・・・・・・・・・・」

自然に考えれば、『スタンド使い』が多く集まる場所は即ち『人口』の多い所になりそうだが。
少なくとも『マサ』さんや『黒服』さん達の知る限りでは、他に『アリーナ』のような場所はないらしい。
やはり、この『星見町』には何らかの『力』が働いているのか?
それは誰かの恣意的なものなのか、はたまた自然に起こり得る力なのか。

…いや、今は考えても仕方あるまい。目を閉じて首を振る。
目の前の試合に集中しよう。

十分に身体も暖まったところで、『階段』を開けてもらい中に踏み入る。

「ありがとうございます」

ふと思ったが、大の男三人が外で思い思いに身体を動かしていた様は、中々シュールではないか?
まぁ、あまり人目に付くような場所ではないが。どうでもいいか。

「『タダヒト』サンが。…まぁわしにゃあ関係のないことです」
「誰が解説をしても、わしのやる事は変わらんですけぇ」

先程『マサ』さんが『電設会社』というのを聞いたばかりだからか、
『送電障害』というのに少し勘繰ってしまったが。あの人にメリットはないだろう。
吉田さんからも聞いたように彼も『タダヒト』は嫌いだろうが、
それでもわざわざ解説をさせない為だけに嫌がらせはしないだろう。

586『その拳はデルタを描く』:2021/05/28(金) 22:21:02
>>585(東雲)
>「『タダヒト』サンが。…まぁわしにゃあ関係のないことです」
>「誰が解説をしても、わしのやる事は変わらんですけぇ」

    「そりゃあ、そうなるな。
     ……あの人は残念がってるだろうが」

『東雲』は『送電障害』から『マサ』の関与を疑うが、
流石に『タダヒト』の足止めをするには、リスクの大き過ぎる行動だ。
これ自体は『偶然』の産物なのだろう。

    Prrr  rrr . . .

    「ああ、ちょっとスマンな」

    PI!

    「今、『東雲』選手を送っているところだ。
     『解説』?  『クァンガン』さんが順当だろ」

    「――――ああー、いいのかよそれ?
     あの人のワガママにも参ったな……」

    「いやいや、解った解った。
     作業車のキーは、倉庫のキーボックスに掛かってるから。
     番号?  ああ、『吉田さん』の誕生日だよ」

    PI!

『黒服』は携帯電話を仕舞い、手刀を切って『東雲』に詫びを入れる。
そして、『東雲 忍様』とプレートの吊られた『控室』の扉が開く。

587東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/28(金) 22:37:01
>>586

>    「そりゃあ、そうなるな。
>     ……あの人は残念がってるだろうが」

「…『タダヒト』サンが、ですか」

少し意外そうな表情をする。
会ったのは先日の『観覧席』が初めてだった気がするが、あそこまで啖呵を切ったからには
あまり良い印象は持たれていないだろうな、と感じていた。
『私情』と『仕事』を割り切れるタイプだろうから、それでも『解説』はこなすだろうとは思ったが。

「…誰かが『解説』に立候補しとるんですか?」

耳に聞こえてきた『黒服』の会話から内容を推測する。
ワガママとは、そういうことなのだろうか?もしそれが『B級』の誰かなら、
これから闘うであろう相手を警戒しているとも理解できる。そう悪くはない気分だ。
とりあえず、『控室』の中に入ろう。

588『その拳はデルタを描く』:2021/05/28(金) 23:00:21
>>587(東雲)
>「…『タダヒト』サンが、ですか」

    「お堅い仕事に就いて、何を考えてるか解らん人だが、
     あの人は『アリーナ』が好きなのさ。だから『解説』もやってる」

『黒服』は知った顔をしながら、『控室』へ『東雲』を案内する。
四畳半ほどの狭い室内に、ソファが置かれているだけの、簡素な一室だ。

>「…誰かが『解説』に立候補しとるんですか?」

    「ああ、立候補というか、ほとんど無理矢理だよ。
     『お好み焼き』の売り子役を『長堀』さんに押し付けて、
     『解説席』に座るのだと、ダダを捏ね始めた……」

    「まあ、仕方ないさ。あの人はアリーナの『お姫様』だ。
     ……この試合、無事に終わるのを祈るしかない、な」

       バタンッ

『控室』の扉が閉められる。

589東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/28(金) 23:08:49
>>588

「…はァん。その点に関しては、ワシや『マサ』さん、そんであなた達とも同じですね」

『アリーナの闇』など一部の特殊な卑劣犯を除いて、この『アリーナ』を支えるのは、
単純に殴り合いが好きな連中だ。もしそうなら、本当は自分と『タダヒト』も気が合うはずだが。
…とはいえ、現場に立つ人間の上で働く人間で考えが違うのは、社会では良くあることだと聞く。
いつか、じっくりと腹を割って話してみたいものだ。

「『お姫様』ァ?…よく分からんが、『長堀』サンも災難じゃ」

頭をボリボリとかいて、聞き慣れない言葉に怪訝な声を出す。
まぁ『解説』の仕事をしっかり果たしてくれるなら誰でもいいが、
つまらん茶々や、観客を盛り下げるようなヤツだけは願い下げだ。
一人呟いて、『ソファ』に腰を下ろした。

590『その拳はデルタを描く』:2021/05/28(金) 23:41:16
>>589(東雲)
『東雲』は控室のソファに腰掛け、『黒服』に呼ばれるのを待つ。
十分、二十分が経過しただろうか。

      ギャギャギャギャギャァァァァァ――――ッッ!!

強烈な『ブレーキ音』が天井を抜けて響き渡った。
ドタドタと階段を降りる音が聞こえ、

      「新幹線が止まってもーてな、
       走っても走っても進まへんのや!」

      「そりゃー、そーやろ! ってそこボケな!
       『黒服』はん、それじゃあワイが滑ったみたいやないか!」

      「――――ああー、こっちやないの?
       ああ、こっちは『東雲』はんの入口かぁ!」

      「まいったまいった、前のクセ抜けてへんわぁ。
       ほな、回れ右しまひょ。楽屋が被ったらアカンわなぁ」

けたたましい『関西弁』が聞こえている。『マサ』は到着したようだ。
一人で喋ってるようにも聞こえるが、『黒服』の声量に対し、
『マサ』の声がドデカいが故の結果に他ならない。

      コンコン
            ――――ガチャ

      「『東雲』選手。たった今、『川島』選手が到着した。
       お待たせして申し訳ないが、……これより『試合』を開催する」

      「どうぞ、こちらへ――――」

『黒服』は『控室』の扉を開け、『東雲』を案内する。
『試合会場』に続く廊下。そこには『大扉』が閉ざされている。
前回はこうした『扉』はなかったはずだが……。

591東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/29(土) 00:12:15
>>590

さて、どれ位待つものか。
試合会場には持ち込まないものの、念のため持ってきた『MP3プレイヤー』が役に立ちそうだ。
腕を組み、目を瞑って静かに耳を傾ける。

三十分は過ぎないくらいだろうか。
音楽の上から、けたたましいブレーキ音が重なり、イヤホンを外した。
そして続いて聞こえてくるのは、騒がしい『観覧席』でも目立って仕方なかった、あの男の声だ。
『マサ』さんらしいとも言える。しかし、やはり当然ながら緊張などはないようだ。
逆に油断している、という事もないだろう。それだけに『熟練』を感じさせる。


>      「『東雲』選手。たった今、『川島』選手が到着した。
>       お待たせして申し訳ないが、……これより『試合』を開催する」

「あぁ、言わんでも分かりました。大阪の男は、賑やかですなぁ」

くっくっと小さく笑う。殴り合い以外の意味でも、なかなかに楽しい試合になるかもしれない。
『黒服』の案内に従って立ち上がり、試合会場へと向かおう。

「…コレは、何か新しく作っとるんですか?」

道中気になった『大扉』を指差して、黒服に訊ねた。

592『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 00:42:30
>>591(東雲)
>「…コレは、何か新しく作っとるんですか?」

     「ああ、今回のギミックには『必要』なんだ。
      普段はこの扉を開けっぱなしにしているから、
      あまり目立ちはしなかったがな……」

     「よっ、と……だいぶ重そうだな……」

      ガラララララララァァァ――――

『黒服』は扉に手を掛け、歯を食いしばって引っ張る。
隙間の少ない作りなのだろう。難儀そうに扉を引き開けた。

扉の向こう側に見える光景。多くの観客が席を埋めている。
そして、『東雲』の注文通り、会場には『有刺鉄線』がビッシリと張り巡らされている。
見たところ、この『有刺鉄線』を切断しなければ、場内を進めないようだ。

『足首』、『腰元』、『頭上』の高さで『三』の字となった『有刺鉄線』が張られている。
その高さは『2m』を超えており、『ザイオン・トレイン』の脚力であっても、
軽々とは飛び越えられない。

     プゥーン

会場からはソースの香りが漂ってきている。


        キュラキュラキュラキュラァァァ――――

開いた扉からリフト式の『高所作業車』が入って来た。
先程の会話から推察するに、天井付近の『解説席』に、
『解説役』を送り届けたようだ。

     「あっ、『東雲』さん。お疲れ様です。
      じゃあ、高いところから失礼します」

年若い『黒服』は器用に高所作業車を運転しながら、
『東雲』の脇を通過していく。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴■■扉扉扉■■∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼□□□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴■┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼■∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴■┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼■∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□□□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴■■扉扉扉■■∴∴∴∴  |※二人は入場していないが、イメージ図として

593東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/29(土) 00:57:32
>>592

「ははァ…エラい手間ァかけさせちまったようで、すいません」

氷山と明智の『金網』を用いた攻防に当てられたか、自分も用いてみようも思ったが。
やはり『ギミック』は、手間と時間が中々にかかるようだ。
ここまでお膳立てしてくれたからには、なるべく面白く使わせてもらうとしよう。

扉を開けてもらい、中の光景を見た。

「…成る程のォ」

じろりと戦場を一瞥しながら、顎を撫でる。
こういった作りになったか。予想は外れたが、これはこれで楽しくなってきた。
一番の違いは、想定よりも『高さ』がある。
これは、『ザイオン・トレイン』でも飛び越えられないだろう。
一足飛びには、だが。手段は幾つかある。

(今日のメシは、お好み焼きを作ってもらおうかの)

「あァ、お疲れ様です。よう知らんのですが、『じゃじゃ馬』の相手たぁ大変ですなぁ」

脇をすり抜けていく若い『黒服』に、挨拶を返した。
『アリーナ』に対してそれなりに影響力があるようだが、振り回される方はたまったものではないだろう。

594『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 22:01:20
>>593(東雲)
>「ははァ…エラい手間ァかけさせちまったようで、すいません」

    「手間はあったが、仕上がりは十分だ。
     ――――ナイスファイト、期待してるぞ」

『黒服』は確りとした声色で『東雲』にエールを送る。
『高所作業車』に乗った『黒服』は緩やかなスピードで、
『東雲』の脇を通り過ぎていく。

>「あァ、お疲れ様です。
>よう知らんのですが、『じゃじゃ馬』の相手たぁ大変ですなぁ」

    「ハッ、ハハッ、やっぱり『ファイター』さんは違いますねぇ。
     肝が据わっているというか、僕じゃあそんな風には、とてもとても」

    「『東雲』選手は『知り合い』のようだからな。
     ――――ああ、『東雲』選手から入場する運びになっている。
     『セカイ』の合図に従って、入場してくれるか?」

乾いた笑い声を浮かべる若い『黒服』と、何やら察している案内役の『黒服』。
彼の指示通り、扉の向こうから『セカイ』の電子ボイスが響き渡った。

    ≪さあ、皆様お待たせしましたぁー!
      両名が揃い、いよいよ『試合』の開催となりまぁーす!≫

    ≪まずは『東雲』選手。現在の戦績は『一戦一勝』!
      身長183cm!  巨木もかくやの見事な体躯でありますが、
      鉄の茨が張り巡らされたステージで、その拳腕は輝けるのかぁ!?≫

    ≪さぁ、『入場』してくださぁーい!≫

今日は『スモークマシーン』による出迎えはないようだ。
『セカイ』が入場を指示すると、『黒服』がスッと身を引いた。

595東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/29(土) 22:38:02
>>594

「…『知り合い』、ですか?」

一体誰のことか、心当たりがまるでない。
現在も所属している『ファイター』の知り合いは、『太田垣』に『尾藤』サン、『長堀』サンくらいか。
当然だが、皆男だ。『お姫様』と呼ばれるような要素は一つもない。
『氷山』はこちらからは知っているが、向こうは知らないだろう。こいつも除外だ。
『アリーナ』の廊下で挨拶でも交わしたか?


>    ≪さぁ、『入場』してくださぁーい!≫


だが、心当たりを探るより前に『電子女』の声が響いた。
こいつも謎の女だが、この前の実況を聞いている限りでは誠意は伝わってくる。
第一印象よりは好ましくなっている。少なくとも、自分の実況を任せてもいいと思う程度には。

「ほんじゃあ、行くとするかァッ!!」

『尾藤』との一戦と同じく、右腕に『ロープ』を巻き付けて、その上に学ランの袖だけ通して入場する。
隠しきれない笑みを浮かべながら、観客の方も見回しつつ、堂々と戦場に乗り込んでやろう。

596『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 23:35:50
>>595(東雲)
>「ほんじゃあ、行くとするかァッ!!」

意気揚々と雄叫びを上げ、『東雲』はアリーナに入場する。
『有刺鉄線』に遮られ、距離を取っての『初期位置』となるが、
それは『マサ』も同じだろう。

学ランを羽織り、腕には『ロープ』を巻く。
『黒服』は特に言及していない。前回の試合のこともあり、
この持ち込みはオッケーなのだろう。

     「東雲ぇー!  期待してるぜぇー!」

     「『尾藤』だけの男じゃねぇってところ、見せてくれェー!」

     「ガチの殴り合い、期待してるっつうの!」

野太い声援があちこちから響き渡り、『東雲』を出迎える。
『セカイ』は『LEDパネル』から手を振っており、
『解説席』には、――――『キューコ』が座っている。

     「さあ、続きましての入場は『川島』選手!
      先日は惜しくも『Bランク』への昇格はなりませんでしたが、
      意気込みは十分! 今日もわざわざレンタカーを借りて、
      『О阪府』から駆け付けました!  入場してください!」

    ザッ     ザッ

相対する入場口から現れた『マサ』は、
先日と変わらぬヒョウ柄の『ツナギ』を身に付けている。
大柄な身体に強面ながら、愛想の良い笑顔を振り巻いている。

     「みんなー、お好み焼き喰うとるかぁー!?」

     「遅れちまって、堪忍なぁー!
      新幹線がトラブルで止まってもうてなぁ、
      リニアが通るからって、拗ねてしもたんやぁ!」

     「地元のラピートちゃんは、グチらずに走っとるのにぃー
      せやから、ちゃんとケツ引っぱたいて来たき、許したってなぁ!」

『マサ』はマイクに頼らぬドデカい声量で観客に話しかけながら、
手を振る『セカイ』に対し、パタパタと太い腕を振り返す。

     「ゆるキャラの嬢ちゃん、他人行儀やないか!
      ワイは『マサ』でええでぇー! きばって実況してくれやぁー!」

     ≪ありがとうございます! 私も『セカイ』と呼んでくださいねぇー!
      ―――――『マサ』選手、身長は『183cm』!
       尚、『マサ』選手のファイトマネーの一部は、
       金網の修繕費に当てられますので、ご了承くださぁーい!≫

     「あれ、マジで取るんかぁ!?
      アカンわぁー、レンタカー乗り捨てやねん!
      ごっつう高くつきまっせぇー、なんとかならんのぉー!?」

     「『マサ』さぁーん、あきらめろぉー!」

     「会社の経費で落とせばいいじゃあねぇかー!」

朗らかで気さくな態度。地域としては『余所者』のはずだが、
アウェー感など全く存在しない。観客達も冗談交じりの朗らかなヤジを飛ばす。

597『その拳はデルタを描く』:2021/05/29(土) 23:36:43
>>595-596(東雲)

     ≪両名揃いました! 互いの闘志は十分です!
       『実況』は、貴方の心にイン・ストール! 『六連セカイ』が!≫

     ≪そして、『解説』は急遽、不在となった『タダちゃん』に変わって、
       『元A級ファイター』の『キューコ』ちゃんにお願いします!≫

     「――――ちゃん?」

     ≪あ、いえ、『キューコ』さんにお願いします!≫

『キューコ』の問い掛けに対し、『セカイ』はすぐさま呼び方を変えた。
入場した『東雲』が気付いたのは、『コンクリート』の『床』だ。
隙間には『シリコンコーキング』が施されており、
気付けば『マサ』の入ってきた『扉』は閉ざされ、
その隙間に飴色の『樹脂』が流され、固められている。

     ≪今回、試合は『東雲』選手の要望による『有刺鉄線』と、
      『マサ』選手の要望による『水場』のステージで行います!≫

     ≪視界開始後、八ヵ所の『給水口』から『水』が流れます!
       水飛沫が飛び散るのが想定されますので、
       ニガテな方は、金網から離れて観戦してください!≫

     ≪あっ!  そうそう!
       流石に『頭』まで水に浸かったら溺れてしまうので、
       腰くらいで注水は止めますので、ご安心ください!≫

『セカイ』の淀みない『ギミック』の説明が流れる。
『キューコ』は黙したままだ。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼□マ.□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□東□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |※二人は入場していないが、イメージ図として

柱:コンクリートの柱。破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。

598東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/30(日) 00:04:47
>>596-597


「げぇっ」「『キューコ』。…サン…」

『解説席』に立つ女に気付くと、口から絞るような声が出てくる。すっかり忘れていた。
『観覧席』でこの前出会っただけの関係だが、あいつとの話はそれなりに楽しかった。
だが去り際に言われた一言で、年齢をずっと見誤ったまま話してしまっていた事に気がついた。
端的に言って、気まずい。…だが、直接話すわけではないのだ。
試合に集中して、後はその内接する機会が出来たなら、その時に改めて謝罪しよう。
前を向き、『有刺鉄線』や『マサ』さんではなく、『マサ』さんが仕掛けたであろう『ギミック』にも注目する。

が、それを探るよりも早く『実況』が入ってきた。
どうやら相手も自分と同じく、隠す必要のない大掛かりな『ギミック』を使うようだ。

「・・・・・・・・・・『水』か」 ゴキゴキ

首に手を当て、鳴らしながら『給水口』を見た。
泳ぎは得意だが、それが必要になるほど水位が深くなることはなさそうだ。
『ザイオン・トレイン』にも水は大きく影響するが、それは一旦置いておこう。
フィールドを水で満たす目的は、大きく考えて二つ。
『機動力』を殺し殴り合いに持ち込みたいか、『能力』を発動する上で水が有効となるのか。
あるいはその両方の可能性とあるが、いずれにせよ敵の狙いは警戒しておこう。

『給水口』は仕組み的に、排水を止める術はなさそうだ。その点に関してはお互いに『ギミック』を受け入れろ、と言うことだろう。

『ゴング』が鳴っていない以上、まだ動くことはできない。
ならば、柱を見よう。その柱の高さをチェックして、『2m』以上は確実だが、どこまであるのか?
また、柱に対しても三本の線以外に『有刺鉄線』が巻き付けられているところはないか?

599『その拳はデルタを描く』:2021/05/30(日) 22:13:53
>>598(東雲)
>「げぇっ」「『キューコ』。…サン…」

『東雲』の気まずさを余所に、
『キューコ』は涼し気な顔で二人を見下ろしている。

>「・・・・・・・・・・『水』か」 ゴキゴキ

『給水口』は『1m×1m』と大きく、簡単には塞げない。
2Lのペットボトルほどの太さをした『柱』の高さは『2.5m』ほどだ。
三ヵ所以外に『有刺鉄線』が巻き付けられた箇所は存在しない。

     「マサさーーーん! お好み焼き食べてまーす!!」

     「たんと喰えやぁー!」

     ≪さあ、私の合図がありましたら、いよいよ試合開始です。
       まだです、まだですよぉー……≫

『セカイ』の合図があり次第、試合開始となるようだ。
『マサ』も『東雲』も据え付けられたギミックを確認しており、
それまでは試合開始を待つつもりなのだろう。

     「随分大がかりじゃあねぇーか!」

     「早く試合を始めろっつうの!」

痺れを切らした観客達も声を荒げ始める。
それを待ったかのように、『セカイ』は大きく息を吸い――――

     ≪試合、開始です!≫

     うおおおおお――――――!!

観客席から雄叫びが響き、闘争の始まりに火をくべる。

     「遅刻の取り戻しや。――――巻いていくでぇ!」

    ズギャンッ!

『マサ』の身から発現する人型のスタンド。
まるで『岩』を削って作ったような、無骨なヴィジョンをしている。

      スゥゥ

『マサ』は西側に移動し、有刺鉄線を繋ぐ『柱』に手を添える。

      ゴボボボボボボボボ―――――

そして、『給水口』から水が流れ始める。
まだ東雲の足元にさえ至っていないが、そのスピードは速い。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼マ□.□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□東□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。

600東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/30(日) 22:48:50
>>599


>     ≪試合、開始です!≫


「楽しもうやぁッ!!」

犬歯を剥き出しにしながら『ザイオン・トレイン』を発現し、身に纏う。
相手側も『スタンド』を発現したか。さて、敵はこの『有刺鉄線』をどう乗り越えてくる?
例えば柱を一撃で破壊できるなら、それは『ザイオン・トレイン』よりもパワーが上だ。
あるいは『能力』を使ってくるなら、どんな能力なのかが多少は理解できる。

自分はまず柱に近付きつつ、『二段目』の有刺鉄線に触れて『噴塩化』させる。
これにより、『岩塩化』した場合の有刺鉄線の鋭さと、またどこまで『噴塩化』させられるか調べる。
鋭い物体を岩塩化した場合、その形状を維持するのか?それとも分厚くなる過程で、鋭さは消失するのか?
対象となる物体のサイズにもよるだろうが、この『有刺鉄線』の形状の場合はどうなるか。
また『噴塩化』の最大サイズは理解しているが、横の範囲はどの辺りまで捕捉できるか?
もしも『マサ』さんのスタンドが、自分よりも更に殴り合いに向いているなら
この『有刺鉄線』を上手く使う必要がある。ミスの起きないよう、丁寧に調べておく。

同時に、自身にも『噴塩化』を行う。
いずれ手足の先から『岩塩化』が始まるだろうが、その際の手の形は、空手の『虎爪』のようにしておく。
これを一番上の鉄線に引っ掛けつつ、柱を蹴って勢いをつければ、鉄線は乗り越えられるだろう。

601『その拳はデルタを描く』:2021/05/30(日) 23:33:12
>>600(東雲)
>「楽しもうやぁッ!!」

     フシュルルルル

『東雲』の肉体に『ザイオン・トレイン』が纏われる。
そして、『東雲』は『有刺鉄線』に触れ、『岩塩化』を施した。

『有刺鉄線』の棘が帯びる鋭さは『画鋲』ほどだ。
衣服を越えてまで『刺さる』ものではないが、『素手』で触れれば『出血』が起こる。
その強度は『虎爪』を作った『ザイオン・トレイン』を振るえば、引き千切れる程だ。

       シュゥゥゥゥ――――

触れた『有刺鉄線』に積雪のように『塩』が噴き重なる。
『有刺鉄線』は『柱』ごとに巻き付けられ、その一画までが『一本』と看做されるようだ。
また、『三』の字の有刺鉄線は『柱』で折り返されて巻かれており、
一本の『有刺鉄線』に触れれば、残りの『二本』も『岩塩化』の対象となる。

┌─────────────────────
│柱┼柱┼┼┼柱┼柱
│      ↑この部分に接触した場合は

│柱┼柱╋╋╋柱┼柱
│      ↑この範囲まで『岩塩化』が起こる
└─────────────────────

そして、『有刺鉄線』は『鋭さ』を維持したまま『岩塩化』が起こる。
特筆すべきは『岩塩化』のスピードだ。元々が『細い』こともあり、
触れた後、ほぼ一瞬で『岩塩化』が完了する。

     ≪『東雲』選手、スタンドを纏ったぁ!
       『有刺鉄線』に何かの仕掛けをしていますが、
       『キューコ』さん、あれはどういう意図でしょうか!?≫

     「……さあ」

素っ気ない『キューコ』の一言を前に、『セカイ』は黙ってしまった。
一方、『マサ』はヴィジョンの腕を『くの字』に曲げ、

     「おおおおお!!  見せたるでぇ!

      『ザ・ナショナル』ゥゥ――――!!」

      バギャァァァ!!

触れた『柱』に『ザ・ナショナル』のラリアットが決まり、
その一撃によって『柱』は真っ二つに折れ砕けた。

    「二人とも、すっごい試合見せてくださーい!」

    「わあああああ! がんばれー!東雲さーん!」

     ≪す、スゴイ!  あれが『ザ・ナショナル』のパワァー!
       あんな一撃をマトモに喰らったら、一発でダウンでしょう!≫

     ≪『東雲』選手の、――――あれは、『雪』でしょうか?
       『雪化粧』を施された『有刺鉄線』、真っ白に染まっています!≫

観客席から声援が響き、気を取り直した『セカイ』が『実況』を続ける。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼□┼マ□.□┼□┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破┼┼┼柱┼柱┼◎∴  | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼□□┼□□□┼□□┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼□┼□東□┼□┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱□□□柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。

602東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/31(月) 00:14:14
>>601

「『キューコ』ォ……サン……あの人は本当に『解説』やる気あるんかのォ?」

『電子女』に哀れみを感じる。流石は『お姫様』と言ったところか。
先日あいつが言った通り、別に『キューコ』は心の中まで読み取れるわけではないようだが、
せめて推測ぐらい述べてやってもいいのではないか。己の考えなど、別に深いものではないのだから。

「・・・・・ほぉ」

『有刺鉄線』の特性について理解した。
やはり元々の細さが災いしてか、想定より強度は低い。だが、だからこそ『岩塩化』は想定より早い。
そして『マサ』さんのスタンドが持つパワーについても、一撃でへし折れた柱で知る事になる。
明らかに『ザイオン・トレイン』よりパワーは上だ。『岩塩鎧』を纏っての殴り合いは不利だろう。
もっとも、現時点でスピードの方は達筆すべき点を感じない。あとは『能力』次第か?

両手足の『岩塩化』が完了し次第、先程近付いていた方(特に決めていなかったが、問題なければ左側で)の柱、
その一番上の有刺鉄線に手を引っ掛け、片足で柱を蹴りつつ有刺鉄線を飛び越える。
『ザイオン・トレイン』のパワーを持ってしても、流石に『2m』を一度に跳躍するのは不可能だ。
だが、片手を有刺鉄線に引っ掛けて飛び上がりつつ再度柱を蹴ることで二回飛べる。
後は有刺鉄線を引きつつ前に移動すればいい。むしろ、有刺鉄線を千切らないようパワーの調整には気を使おう。

「『大阪式』は随分と派手な乗り越え方じゃなァ!」

飛び越えたなら、落下しつつそのままの勢いで、今度は『左側』(飛び越えるのに使った柱のMAP上側)の
有刺鉄線を左腕で引き千切る。
その視線を左側に向けた際に、給水口にも注目しておこう。
このステージ中央に『水』が来るまでどれくらいかかりそうか、
試合開始から今に至るまでの時間と出てきた水量で、なんとなく体感で予想してみよう。

603『その拳はデルタを描く』:2021/05/31(月) 21:19:28
>>602(東雲)
>「『キューコ』ォ……サン……あの人は本当に『解説』やる気あるんかのォ?」

冷めた態度を取る『キューコ』の様子に、『東雲』は『セカイ』へ不憫さを覚えた。
無論、それは二の次だ。『有刺鉄線』の特性を理解するも、
それを支える柱は『ザ・ナショナル』によって容易く圧し折られる。
腕を振るうスピードは『ザイオン・トレイン』を纏わぬ『東雲』と同じ速度だ。

      グィィ
              タァンッ!

     ≪『東雲』選手、軽やかに跳びましたッ!
       身に纏ったスタンドのパワー、『有刺鉄線』は障害になりませんッ!≫

     「やるやない! だったらこっちも、出し惜しみなしやで!」

『マサ』は折れた柱をその場に捨て、
足首の高さの有刺鉄線を跨いで、南進していく。

     ≪有刺鉄線のギミックに反し、激突は間近かぁ!?
       『キューコ』さん、これは早期決着が見込まれますねぇ!≫

     「……ギミック」

     ≪えっ、あの、それ、どういう――――≫

     ガァンッ!

『マサ』は捨てた柱を『踏み砕き』、コンクリートの破片を作り出す。
そして、『東雲』は落下の勢いを利用し、『虎爪』によって『有刺鉄線』を裂く。

     バツゥ!

『東雲』の体重を乗せた一撃により、『頭部(=2m)』、『腰部』の『有刺鉄線』が裂けた。
足首の『有刺鉄線』を残すのみとなり、これならば乱戦の最中でも跨げる高さだ。

>「『大阪式』は随分と派手な乗り越え方じゃなァ!」

    「せやでェェ〜〜〜〜ッッ  『西』のルーツは『コテコテ』やぁ!
     水に沈むか、ワイの拳に沈むか、アンタはどっちを選ぶんやぁ?」

     ゴボボボボボボボボ . . .

既に『水』は迫りつつある。『10秒』もすれば『中央』まで浸水する。

【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼回□┼∵∵□┼□回┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼回□┼□□□┼□回┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼回□│東□□┼□回┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。
∵:柱の破片
回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。

604東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/31(月) 22:43:54
>>603

早期決着か、と『電子女』は言っている。実際、自分もその方が望ましい。
『マサ』がこの『給水口ギミック』を用いたのは、こちらの機動力を警戒してのことだろう。
逆に言えば、このギミックなしでこちらを捉えるのは少々難しいということだ。
どんなにパワーがあろうと、当たらなければ意味がないのだから。

>    「せやでェェ〜〜〜〜ッッ  『西』のルーツは『コテコテ』やぁ!
>     水に沈むか、ワイの拳に沈むか、アンタはどっちを選ぶんやぁ?」

「大阪モンは口が回るのォ!今のうちに気が済むまで喋っておくんじゃな!」
「どうせ最後には静かになっちまうけぇの!」

『マサ』さんはコンクリートを破壊した。投擲に使うか、そのまま蹴り飛ばすか、能力に使うか?
何にせよ、こちらに向けて飛ばしてくる、と予想する。
ならば自分は、あえて左側の有刺鉄線沿いに、正面へと移動する。スピード:B
『マサ』さんが何らの手段で『破片』を飛ばしてきても、
左側の鉄線を越えれば柱を壁にして防ぐことができる。その間に接近する事ができる。
上の柱に近付き過ぎると、また有刺鉄線が三本健在しているだろうが、その際は回避に合わせて上二本を切断しつつ、柱の影に移動したい。
もし『マサ』さんがまだ様子見に徹するなら、左側の有刺鉄線は越えずに、
そのまま正面の有刺鉄線を『虎爪』で断ち切ろう。パス精BBC

605『その拳はデルタを描く』:2021/05/31(月) 23:24:27
>>604(東雲)
>「大阪モンは口が回るのォ!今のうちに気が済むまで喋っておくんじゃな!」
>「どうせ最後には静かになっちまうけぇの!」
                            . . . .
    「モチのロンや!  『東雲』はんがおねんねするまで、
     ワイのべしゃりは止まらへんでェ〜〜〜〜〜ッッ!!」

    バッキャァァンッ!!

『ザ・ナショナル』は足元の『破片』を『サッカーボールキック』で蹴り飛ばし、
水飛沫を飛ばしながら、複数の『破片』を『東雲』目掛けて放つ。
感じられる。――――その一発一発が大リーガーの『硬球』クラス!

    ≪『ザ・ナショナル』、破片を吹っ飛ばしたァ!
      なんというパワー!  ディスプレイ越しの私でも、
      その『勢い』を感じられまぁす!≫

    「『マサ』さぁん、攻めが遅いぞぉ!」

    「『道頓堀』が出来るまで、粘るつもりかぁ!?」

    「始発までの時間稼ぎかっつうの!」

細い『有刺鉄線』は盾にはならず、破片が抜けるだけの『隙間』がある。
隙間を越えて『破片』が飛び交うが、『東雲』のスピードなら十分に回避できる。
互いに様子見。それを見越した『観客達』のヤジが放たれる。


【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼回回┼∵∵回┼回回┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱┼┼┼柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼回回┼□□□┼回回┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼回回│東□□┼回回┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。
∵:柱の破片
回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。

606東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/01(火) 00:10:17
>>605

やはり『破片』を飛ばしてきたか。想定内の行動だ。
相手が『ザイオン・トレイン』と同じタイプの能力なら、蹴り飛ばされた『破片』にも何らかの能力が付加されている可能性もある。
軌道変化か、威力を上げるタイプか、あくまでも推測でしかないが。
念のため、この破片は確実に回避しておく。

既に自分は『マサ』さんへと向けて移動しているため、もう『柱』へと近付いているだろう。
左手で、左側にある有刺鉄線の、腰から上の『二本』を切断する。
既にその二本は片側が固定されていないため、仮に切断できずとも
左手を突っ込んで持ち上げるようにすれば、退かすのは容易い。後は足首の有刺鉄線だけとなる。
乗り越えるのは容易いだろう。
足裏は水に使ってしまうが、仕方ない。回避と接近を両立させる。

「言う割にじっくり攻めるのぉ、『マサ』サン!少しでも喋る時間が欲しいんかァッ?!」

柱の影に移動したなら、両手の『虎爪』でその柱の両側にある『有刺鉄線』、上二本を切り裂く。
時間をかけたい狙いは理解している。有刺鉄線を飛び越えたい気持ちもあるが、ここは確実に距離を詰めたい。

607『その拳はデルタを描く』:2021/06/01(火) 22:04:00
>>606(東雲)

     バシュゥ!

            ――――バツッ!

破片の散弾を潜るように回避しながら『東雲』は前進し、
左手側の『有刺鉄線』を『虎爪』によって切断する。

     ≪『東雲』選手、難なく避けます!
       『ザイオン・トレイン』、機敏な動きを見せますねぇー≫

     バシャッ
                 ガァンッ!!

『東雲』の背後から『破片』が跳ねる『水音』が聞こえ、
破片のぶつかった『鉄扉』が背後で鈍い音を立てる。

>「言う割にじっくり攻めるのぉ、『マサ』サン!
>少しでも喋る時間が欲しいんかァッ?!」

     「――――そう思うかァ?」

       バスッ!
                ビスッ!

『ザ・ナショナル』が両腕をクロスさせ、『防御』の構えを取った。
その刹那、『東雲』の背中に硬いモノが打ち据えられる。
思わず前のめりに揺らぐ『東雲』だが、咄嗟に前に出した脚が姿勢を維持する。

     ≪な、なんでしょうかぁ!?
       『東雲』選手、つんのめったぁ!≫

     「あんだけバラ撒いて、一発だけやなんて、
      まだまだツキが戻っとらんなァ――――」

驚愕の声を上げる『セカイ』。不満げに愚痴る『マサ』。
『東雲』の背を打ったそれが、肉体から離れて地面に落ちる。

      パチャッ
               ―――――パァンッ!

それは『ザ・ナショナル』が放った『破片』の一つだった。
その破片は水に濡れた床に落ちた時、小さく『跳ねた』。

     「まあええで。――――『金網代』は払うがなぁ、
      『水道代』は、アンタ持ちってことでどうやぁ?」

     「で、出たぜェ、『マサ』さんの『ザ・ナショナル』!」

     「ステージが完成すれば最後、
      あの『パワー』には誰も敵わねぇ――――」

     バツゥ!

『東雲』は『虎爪』によって、真正面の『有刺鉄線』を切断し、
足首の一本を残し、残りの二本は地面へと垂れ下がった。
二人を区切る『線』は切られ、完全に相対する形となる。


     ド      ド     ド     ド   ・  ・  ・



【アリーナ俯瞰図】         北   【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |                            〇
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | XX.  .                XX        ̄/ .
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   | XX.  .                XX    〇 /椅
∴■┼回回┼回回回┼回回┼■∴  | XX.  .                XX   ̄/ .■■■
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  | XX..柱+++++++++++++++++柱XX. ./椅■■■
∴■┼回回|東回回┼回回┼■∴  |■■柱+++++〇+++++〇+++柱■■■■■■■■
∴■┼回回│回回回┼回回┼■∴  |■■柱+++++ ト+++++.ノ|+++ 柱■■■■■■■■
∴◎┼柱┼柱┼╋┼柱┼柱┼◎∴  |■■柱+++++ノ>+++++<\++柱■■■■■■■■
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |        東雲   マサ      観客席
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』付近の高さに張られている。
│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
破:真っ二つに折れた『柱』。
∵:柱の破片
回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。

608東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/01(火) 22:36:26
>>607

「がぁっ?!」

背後から衝撃。振り向けば、背中に先程蹴り飛ばされた『コンクリートの破片』だ。
やはり能力を使っていたか。
液体に触れることで反射する能力…『撥水性』に近いか?もっとも、弾かれたのはこの場合『破片』の方だが。
水のステージギミック、機動力を殺すためだけのものではなく、ヤツの『能力』とも相性が良いという事だ。
だが、『反射』先は自由自在とはいかないらしい。
『マサ』のセリフや、『ザ・ナショナル』自体もガードを固めたこともあり、
至近距離で使えば自爆の危険性もあるのだろう。無闇矢鱈に恐れる程ではない。

「アホ抜かすなや『マサ』サン。おどれが設置させた『ギミック』ならおどれが払うのが筋ってモンじゃろ」
「どうしてもっちゅうんなら─────『有刺鉄線』の分も含めて、負けたヤツが全額払えやッ!」

眼前にある、『足首』の高さの有刺鉄線を乗り越える際に
左側の柱、その正面方向へと伸びている『有刺鉄線』にそっと触れておく。『噴塩化』を施す為だ。
その先にある柱は壊れていて、その有刺鉄線も『マサ』さんが容易く乗り越えられる程だろう。
だが、直接触れたのでなければ千切れてはいないはずだ。
『ザ・ナショナル』は『ザイオン・トレイン』と違い、鎧を身に纏うことはできない。切断の選択肢はない。
そして柱が壊れて繋がっているのなら、あるいは射程内故に『マサ』さんの背後側の『有刺鉄線』まで岩塩化できるかもしれない。
もしそれが不可能でも、ひとまず左側の有刺鉄線だけは『噴塩化』させておく。

「オォラァッ!」

そして、相対した時の行動はシンプルに。
自分の持つスピードを活かして飛び込み、左手の『虎爪』をそのまま振るい殴りつける。パス精BBC
相手の速度は把握している。ガードもさせずに直撃させ、そのまま『ザ・ナショナル』を『噴塩化』させたい。
狙うのはなるべく上半身だ。もしも『ザ・ナショナル』自身が弾かれて移動するとしても、
現在足裏のみ『水』に浸っている以上、方向は上へのみに限られるはずだ。

609『その拳はデルタを描く』:2021/06/01(火) 23:45:57
>>608(東雲)

      スッ
           シュゥゥゥゥ――――

傍の『柱』に巻かれた『有刺鉄線』に触れ、『東雲』は『岩塩化』を施す。

その北側にある『折れた柱』は真っ二つではあるが、
『足首』と『腰元』の高さに伸びる『有刺鉄線』は健在だ。
これを乗り越えるとなると、人の身であれば、それなりに苦労するだろう。

>「アホ抜かすなや『マサ』サン。おどれが設置させた『ギミック』ならおどれが払うのが筋ってモンじゃろ」
>「どうしてもっちゅうんなら─────『有刺鉄線』の分も含めて、負けたヤツが全額払えやッ!」

      「ドアホぉ!  この『ギミック』をアリーナに通すのに、
       ワイがどんだけ苦労したと思っとるんや!?」

      「汗かいた分は、キッチリ『得』させてもらうでぇ!」

      ダッ!

『東雲』は一跳びで『マサ』との距離を詰め、『虎爪』を振るう。
だが、『ザ・ナショナル』は既にガードを構えており、
両腕をクロスさせたまま、『東雲』へと体当たりで突っ込む。

      グオオオォォォ――――

      「あっち行っとれやぁ!」

      ≪りょ、両者激突ゥゥ――――!!≫

     ――――バァンッ!!

『虎爪』の一撃が『マサ』の右頬を切り裂き、
その瞬間、『ザ・ナショナル』のタックルが『東雲』の身体にめり込む。
ぶつかり合いによって『体当たり』の衝撃は軽減されるも、
単純な『パワー負け』により、『東雲』は背後へと吹っ飛ぶ。

        グィィ
                パシャァァンッ!!

足首の高さに位置する『有刺鉄線』が引っ掛かり、『東雲』は背後に倒れる。
水飛沫が『虎爪』を溶かし、

         バァァンッ!!
                  ――――ザシュッ!

まるで『水切り』の石のように、倒れた『東雲』が南へと吹っ飛ぶ。
そのまま、背後の『有刺鉄線』へと激突し、露出した皮膚を『鉄茨』が刺し掻いた。

      ≪い、今の吹っ飛びは、『パワー』ではありませんッ!
        ま、まるで『川』に投げた小石の水切りみたいに、
        『東雲』選手、跳ねるように吹っ飛びましたぁ!≫

      「ふぅん……。『有刺鉄線』がない試合なら、
       水が溜まるよりも前に倒されると思ってた」

      「今のが時間稼ぎの『常套手段』、なんだ」

『キューコ』が口を開き、『セカイ』は袖口を振り回して『実況』をする。
今の飛沫によって『有刺鉄線』の『岩塩』が溶けるが、
それによって『衝撃』が吸収されたのが幸いした。

      「なんやなんや、盛り上がってへんでぇ!
       地元にゃなかった鉄火場なんや!  騒げ騒げぇ!」

『マサ』が大声を張り上げる。――――『岩塩化』は始まっている。
『マサ』の衣服から噴き出す『塩』。それに『マサ』が気付いた。

      「な、なんやこれぇ!?」

『ザイオン・トレイン』は『ザ・ナショナル』を上回る『スピード』がある。
だが、それを活かせるのは『機動力』を発揮できる場面に限られる。
真正面からの攻撃であれば、『マサ』は相打ちを覚悟で突っ込んでくる。
そして、時間を掛ければ掛ける程、不利になるのは『東雲』だ……。

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破マ.┼┼柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回回│東回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足裏』を浸す程度。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  |
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

610東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/02(水) 00:28:42
>>609

「ぬぅうッ!!」

吹き飛ばされ、背後の有刺鉄線に突き刺さる。
痛みはあるが、この有刺鉄線があって良かったとも思える。距離があまり離されずに済んだからだ。
これがなければ、あの『撥水』のような動きで扉の辺りまで送られていたかもしれない。
パワーは想定内、吹き飛ばされることも覚悟の上だ。
それでも接近戦を挑んだのは、こちらがスピードに勝る以上、『一撃』を当てられる見込みがあったからだ。

「そがぁに必死ならことまでして負けたらお笑い草じゃなぁッ!身体張って笑いを取るんは大阪男の本望じゃろォッ!」

立ち上がる。
『マサ』さんに起きる『噴塩化』は、文字通り全身からだ。そしてその『塩』は、対象となった物体と同じ性質を持つ。
つまり『スタンド』である『ザイオン・トレイン』からは『スタンドの塩』が発生する。
これが即ち、全身に『岩塩鎧』を纏った状況でも視界が確保できる所以だ。
そして人間である『マサ』の視界には、通常物質の『塩』が発生する。
無論、瞬きすれば比較的簡単に落ちる程度ではあるだろうが。
それが『常時』だ。多少意識を散らすには十分だろう。

「ほんじゃあここからは、キレイな『水』じゃあなく『泥』試合と行こうかァッ!!」

先程完全に切断した、左手側にあるであろう二本の『有刺鉄線』を左手で持つ。
握りつつ、自分に『岩塩化』を施せば握った手は『岩塩』による一つの拳となるので、『有刺鉄線』は抜けなくなるだろう。
同時に接近していく。ただ左手の『岩塩化』を進行させるために、スピードは通常速度だ。

611『その拳はデルタを描く』:2021/06/03(木) 22:53:51
>>610(東雲)
『東雲』は有刺鉄線から離れるように立ち上がる。
見た目の凶悪さと裏腹に、有刺鉄線の殺傷力は低い。

>「そがぁに必死ならことまでして負けたらお笑い草じゃなぁッ!
>身体張って笑いを取るんは大阪男の本望じゃろォッ!」

    「ほざけぇ!  ワイは、――――しょっぱ!

     ワイは身体は張っても『自虐』はゴメンやで!
     気持ちのええ笑いなら、なんぼでも取ったるわ!」

    「しょっぱ……?  何言ってるんだ、『マサ』さん」

    「いや、あの『白い粉』ッ!  まさか、あれは――――」

『マサ』は口に入った『塩』に反応し、観客達も騒めき始める。
『ザイオン・トレイン』の能力を発動する前に相手を倒した『前回』とは違う。
――――『東雲』のスタンド能力が割れつつある。

    ≪あの『白い粉』、果たして何なのでしょうか――――
      ……『キューコ』さん、これは、その、解説を……≫

    「『トウグモ』の『爪』が消えてる。
     ――――島国の日本では珍しいけれど、
     欧州の内陸国では、この形で産出されるのが当たり前」

    ≪『東雲』選手のご実家は『漁師』を営んでると聞きますが、
      もしかしたら、その出生が関連しているのでしょうか……?≫

『解説』と『実況』を聞きながら、『東雲』は二本の『有刺鉄線』を左手で持ち、
自身の『掌』と一体化させる形で『岩塩化』を施す。(※岩塩化は『左手』のみ?)

      「マサさーーーん!! 押してる押してるー!!
        そのまま押し切っちゃってくださーい! 流れ決めちゃおー!」

      「よぅし・・・・東雲さ―――ん! 流れを切り替えていきますよ――――っ!」

      「有刺鉄線がブチ破れた、ここからが本番だっつうの!」

      「……ガンバレ〜……」

『観客席』からキーの高い声援が飛んでくる。
それに隠れて蚊の鳴くような声援が聞こえる。――――あれは『太田垣』だ。

        ガキッ!

『有刺鉄線』の『岩塩化』は完了するが、『左手』の岩塩化には『数秒』を必要とする。
その間、『マサ』は背後へと下がり、傍の『柱』をもう一本、

          バキィ!
                 ――――バシャァッ!

『ラリアット』で真っ二つにした。折れた柱は『マサ』の足元へと落ち、

      「喰らえやぁ!  『ナショナルミサイル』ゥ!!

          パァァァン!!

水飛沫を撒き散らしながら、折れた『柱』が『東雲』へ跳ね飛ぶ。
射出の勢いにより、巻かれた『有刺鉄線』は解かれ、
一本の『柱』のみが『東雲』を目掛けて突っ込んでくる。
塩の影響か、狙いは甘い。だが、このまま正面に来れば五分五分で『着弾』する。

           ゴボボボボボボボボ ・ ・ ・

『足首』を濡らすほどにまで浸水している。
移動のスピードに支障はないが、これが『膝下』までくれば、
『ザイオン・トレイン』であってもスピードの低下は免れない。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│マ回回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破 ミ──柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋↓回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|東回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回回│回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足首』を浸す程度。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:『ナショナルミサイル』。パスBCで東雲に突っ込む。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

612東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/03(木) 23:36:50
>>611

「確かに『自虐』ネタはわしも好かんのぉ!そんならわしが語り継いで、代わりに笑い話にしちゃるけぇ!」

『ザイオン・トレイン』。
前回尾藤さんと戦った時は、尾藤さんだけは『塩』ということに気付いていたが、
あえて大声で語ってはいなかった。あの人の性格上、そういう真似を好まなかったのだろうが。
今となっては、それに助かっている面もある。
足元の『水』だけが理由ではない。なるべくタネが割れる前に、早めに決着を付ける必要がある。

(『岩塩化』はスピード:Cなら全身同時進行するだろうと勝手に思っていましたが、
 片手だけ動かして続ければ抵抗できるのを忘れていました…すみません、
 全身そのまま『岩塩化』させます。右手は脱力した時のそのままの手の形でお願いします)


>      「……ガンバレ〜……」


「─────『太田垣』ィッ!!よう来たなぁ!!」

その声を耳にして、大きく笑う。
自分が一度敗北を覚え、そして一時は『スタンド』すら使えなくなってしまった場所。
更に、ゴタゴタに巻き込まれる形で結果、命の危険すら味わった場所。
正直、もう二度とアイツが来ないことすら覚悟していた。だが来た。やはり、アイツは『男』だ。
更に力が奮い立つ。勝利を見せつけてやろう。

「自分の技に名前付けとるんかァっ!?笑いはともかくこっちのセンスはイマイチじゃなぁッ!!」

迫り来る、『ナショナルミサイル』とやらは、そのまま足を伸ばして蹴り飛ばす。
正確には、足元にある『水』をこのパワーで『柱』に飛ばす。
この柱にも『ザ・ナショナル』の能力が付加されているのなら、やはり『水』で軌道を変えるのではないか。
だが、もし能力を切るなど裏をかく狙いがあった時のために備えて、一応そのまま足でも蹴り飛ばせるようにはしておく。
何にせよ逸らせたなら、そのまま接近を継続する。

613『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 00:13:50
>>612(東雲)
『東雲』の全身から『岩塩化』を進行させる。
スタンド物質の『ザイオン・トレイン』を核にする以上、
着衣が濡れたり、肉体が『出血』しても『岩塩化』に支障はない。
右手は『手刀』のような形で『岩塩化』を続けていく。

>「─────『太田垣』ィッ!!よう来たなぁ!!」

     「……来てたんだ」

     ≪激闘を続ける両選手にアツいエールが飛びます!
       さあ、飛んで来るのは『ナショナルミサイル』!
       これを、『東雲』選手――――≫

『キューコ』は意味ありげに呟き、『セカイ』は声援に負けじと、
飛んでくる『柱』に言及し、試合を煽っていく。

>「─────『太田垣』ィッ!!よう来たなぁ!!」

          バァァァ――――ンッ!!

     ≪吹っ飛ばしたぁ!!≫

掬い上げるような蹴り足で『ナショナルミサイル』を蹴り上げ、
狙いが逸れた『柱』は『東雲』の左後方を抜け、南西の柱に激突する。
今の一撃で『水』を被った『下半身』は『鎧』の生成が遅れるも、
既に『両腕』は『岩塩』によるガントレットを完成させた。

>「自分の技に名前付けとるんかァっ!?
>笑いはともかくこっちのセンスはイマイチじゃなぁッ!!」

     「『マサ』さぁん、言われてんぞぉ!」

     「ベタが過ぎるんじゃあねぇーの!?」

『東雲』のツッコミに対し、笑い混じりのヤジが飛んでくる。
それに対し、『マサ』は怒るどころか、ニヤリと笑った。

     「これが、これがええんや。
      ……なあ、『東雲』はん」

     「ワイらがやっとるのは『殴り合い』や。
      何のしがらみもない、知らん同士のドツキ合い」

     「――――この前の『明智』と『氷山』の試合、盛り上がったなぁ。
      ワイもハラハラしとったでェ、死ぬんちゃうかと思ってなぁ……」

『ザ・ナショナル』がガードを構え、『マサ』が横っ飛びに距離を取る。
突っ込む『東雲』を警戒して、再び『防御』からの『相打ち』を狙う。

     「でもなぁ、そういうの抜きでやろうやぁ。
      『浪花節』なんか捨ててぇ、拳だけでドラマ作るんやぁ!」

――――何かがある。『違和感』だ。
それは『戦闘』における『策』や『仕掛け』の予兆とは異なる。
無視しても支障のないレベルの戸惑い。……それが『東雲』に引っ掛かりを覚えさせる。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│マ.→回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋東回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足首』の上ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

614東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/04(金) 00:30:49
>>613 質問

・『ナショナルミサイル』は水が触れたことではなく、蹴りにより直接吹っ飛んだ、という認識で大丈夫ですか?

615『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 00:33:56
>>614
>・『ナショナルミサイル』は水が触れたことではなく、
  蹴りにより直接吹っ飛んだ、という認識で大丈夫ですか?

『東雲』の『蹴り』で軌道が逸れ、後方に吹っ飛んだ形です。
水が触れた時点では、『ミサイル』の軌道に変化はありませんでした。

616東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/04(金) 01:19:33
>>613

「知らんわッ!!ただの『殴り合い』を感動したいヤツは感動すりゃええ!楽しみたいヤツは楽しみゃええ!」
「ヤジを飛ばしたいヤツは飛ばしゃあええ!参加したいヤツは参加すりゃあええ!!」

『ドラマ』だなんだと言われようが、よく分からない。自分はあまりテレビは見ない方だ。
自分は殴り合いが好きな連中と、楽しく殴り合いができて、ついでに観てる連中も楽しめるようなものができればいい。

「──────────」

僅かな違和感があるが、何らかの戦略的なものではない。
あの『ナショナルミサイル』が水に弾かれて、戻ってくるということもないだろう。
水の勢いが増している…ということもないはずだ。
あるいは、既に『噴塩化』の弱点が割れてしまったか?
ならば分かってもどうしようもない程に、追い詰める。

「フンッ!!」

左手を振りかぶり、『岩塩化有刺鉄線』をマサさんへ向けて左上から斜めに振り下ろす。
ガードの上から身体に巻き付けるように。有刺鉄線も『岩塩化』したことにより、
重みと鋭さが増して、扱いやすくなっている。例えガードされても、上手くいけば腕に巻き付くだろう。
もし『ザ・ナショナル』でガードして、更にパワーを活かして引っ張るようなら
自分の『岩塩化』だけ解除すれば良い。『岩塩化』の解除は物体ごとであり、
自分の『岩塩化』を解除しても、有刺鉄線の『岩塩化』は解除されない。

617『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 22:19:46
>>616(東雲)
>「知らんわッ!!ただの『殴り合い』を感動したいヤツは感動すりゃええ!
>楽しみたいヤツは楽しみゃええ!」

     「そうや、そうやでぇ」

>「ヤジを飛ばしたいヤツは飛ばしゃあええ!
>参加したいヤツは参加すりゃあええ!!」

     「でもなぁ、それだけじゃあ盛り上がらんのよ」

『東雲』は左手を振りかぶり、『岩塩化』した『有刺鉄線』を振り落とす。
『岩塩』を纏った有刺鉄線は、そのしなやかさを失って『硬化』するものの、
それは取り回しの良さを意味する。『棒』と『紐』、どちらが当てやすいかは明白だ。

          ガスゥ!!

『ザ・ナショナル』が両腕を掲げ、『有刺鉄線』をガードする。
その衝撃によって薄い『岩塩』は砕け、鉄色の棘線が露出する。
『透過』を選択しなかった『ザ・ナショナル』の両腕は切り裂かれ、
痛々しくも血の線が両の前腕に刻まれる。

     「おおおおォォォ―――――」
                .
     「傷口に、塩塗られた気分やわ!」

      バッシャァァンッ!!

『マサ』が横っ飛びから着地し、足元から激しい水音が飛ぶ。
水飛沫が飛ぶ。――――いや、それだけではない。

        ―――――ギュアアアァァァンッ!!

     ≪『マサ』選手の足元から、何かが飛び出しました!
       あれは!?  まさか、『ザ・ナショナル』のパワーで、地震を――――≫

     ≪違う。――――考えたものね。『水切り』のスタンドだというなら、
       『投擲』による発動が想定される。……このステージは、全てが『水』≫

『東雲』の足元から放たれたのは二本の『有刺鉄線』だ。
柱の破壊によって、繋がりが断たれて水底に沈んだ有刺鉄線が、
弾かれたように飛び上がり、無事な柱を起点として『東雲』に絡み付く。

     「一足飛びやな、『キューコ』はん!
      ――――その通りや。ワイのスタンドは『水切り』!
      ワイが放った物体は、水に触れても尚、失速せずに『弾き飛ぶ』!」

     「つまり、スタンドのパワーで『水』を揺らせば、
      水に沈んだスプーンだろうと、トビウオのように跳ね飛ぶんやぁ!」

『ザ・ナショナル』の掲げた両腕には『有刺鉄線』が絡み付いている。
だが、これは『マサ』が意図的に『干渉』をさせているからに過ぎない。
――――そう、『東雲』の『胴体』を狙う『有刺鉄線』の軌道から外すためにだ。

618『その拳はデルタを描く』:2021/06/04(金) 22:20:29
>>616-617

     「『マサ』さん! スロースターターだが、ハマれば強いとはこれよぉ!」

     「有刺鉄線じゃあマトモなダメージにはならないが、
      これで動きを封じたら、『東雲』のスピードも止まっちまうぜぇ!」

『違和感』がある。最初からだ。
『尾藤』との一戦とは違う。――――観客は皆、『マサ』の一挙一動に注目している。
ド派手なステージ。関西弁の醸し出す人間味と愛嬌。ツッコミやすい人柄。

     「『東雲』はん、アンタちょいとカタいんやぁ!
      ガッチガチのバトルはワイも好きやでぇ、
      ――――でもなぁ、それだけじゃあオモロないねん!」

     「観客がおるんや! エンタメにも振ってかなぁ!

                      ザ・ナショナル
      ド派手に行くんが、ワイの『地元意識』や!」

『東雲』の上半身を『鎧』が覆う。『有刺鉄線』の細さが幸いし、『水飛沫』は然程ではない。
だが、このまま濡れた有刺鉄線が絡み付けば、鎧をバターのように裂いて、胴体に喰い込む。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回マ.回┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋東回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『足首』の上ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

619東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/04(金) 23:26:50
>>617

『ザ・ナショナル』の両腕を傷付け、有刺鉄線を巻き付けることに成功する。
機動力を削がれて困るのは、自分だけではない。
『噴塩化』が進んでいる『マサ』さんも、足が止まればそれだけ『岩塩化』も進行する。
そしてその重みは『スタンド』にもフィードバックする。戦局はこちらに傾くはずだ。
だが、恐らく『マサ』さんは性質に気付いている。ならば『岩塩』を濡らして解除される前に攻め立てる。
どちらにせよ、こちらには時間がないのだ。

「『撥水』かッ!仕掛けとったか!」

しかし、敵も同じく足元の『有刺鉄線』に能力を使ったか。
『キューコ』も指摘している通り、能力を発動してから水に触れずとも、
最初から水に浸かっている物体に能力を使い、弾くことも可能なようだ。
濡れた物体を前に、『岩塩鎧』は無意味。ならばすぐに自身の『岩塩化』を解除する。
これにて『ザイオン・トレイン』は最高速度を取り戻す。
先程見た限りでは、『水切り』とやらのスピードは決して早くない。
足元から競り上がってくる有刺鉄線を回避するのは、そう難しくないはずだ。

「そういうのはアンタがやりゃあええじゃろッ!わしはただわしの闘いをやるだけじゃあッ!」
「そんな闘いが好きなヤツだけ試合を見てくれりゃあええわぁッ!」

『マサ』さんにも流儀があるようだが、こちらが合わせるつもりはない。
彼の闘いが好きな人間は彼の闘いを見るだろうし、もし自分の闘いが好きな奇特な人間がいれば、そいつが見てくれる。
自分はそれで良い。…それにしてもこの目立ちっぷり、『マサ』さんはここまで計算していたのだろうか。

「どおりゃあッ!」

軽量化した姿で足元の有刺鉄線を飛び越え、そのまま『ザ・ナショナル』の足元へ低く飛び蹴りを放つ。
両腕が通常物質の『有刺鉄線』で縛られたままの状態では、この攻撃は見え辛いだろう。
仮に『有刺鉄線』を透過して反撃をしてくるとしても、それならそれでワンテンポ遅れるはずだ。
また被弾覚悟でタックルをしてくるとしても、低い軌道で来る相手にタックルは当て辛い。
こちらが万一吹っ飛んだとしても、飛び越えたばかりの『有刺鉄線』がそのまま背後に行くのを押し留めてくれると期待する。

足元への攻撃が当たれば、『マサ』さんの機動力は落ちる。『岩塩化』を進行させ、攻め込む布石になる。

620東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 15:28:51
>>619 追記

蹴りが当たったなら、『ザ・ナショナル』にも『噴塩化』を発動させる。

621『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:15:07
>>619(東雲)
>「『撥水』かッ!仕掛けとったか!」

    「……うるせ〜〜〜ッ 『地元』だかなんだか知らんが
     『アウェー』相手にしょっぺえ試合見せやがって
     なんか…こう…あれだ!とっとと血を見せろ!」

    「『東雲』さぁーん、ぶっ倒せぇー!」

    「おら、『東雲』ッ! 『攻め急げ』よ!」

観客席から『ヤジ』混じりの歓声が飛び交い、『東雲』の背を押す。

『東雲』は『岩塩鎧』を解除し、迫る『有刺鉄線』を飛び越えるように、
『マサ』の懐へと飛び込んだ。――――『真正面』からの攻撃。
着地済の『マサ』には『ザ・ナショナル』を操る余裕がある。
視界を遮るのに、『有刺鉄線』は細すぎた。

     「宙に浮いたら、そのスピードも形無しやでぇ!」

         グイイィ!!

『ザ・ナショナル』が『有刺鉄線』の絡んだ腕を、思い切り引っ張る。
それによって『東雲』の身体が逸れ、『マサ』の真横へと着地する。

           バシャッ!

互いの肩口がぶつかり合い、『東雲』は『マサ』の真横へと着地する。
水飛沫が飛び、それが『マサ』に積もった『塩』を濡らし、溶かしていく。

      「なるほどなぁ。アンタにとっちゃあ、難儀な相手っちゅうわけか。
       せやけど、ワイかて知らんかったんや。――――恨みっこなしやで!」

      ≪両者、完全なる『至近距離』です!
        そして、『マサ』選手に降り積もる『雪』が溶けました!≫

      「――――『塩』。『水』に溶けるとなれば、
       このステージは『トウグモ』には不利」

      ≪『海の男』らしく、『塩』のスタンドということですね!
        ですが、『水』に弱いとは、皮肉という他ありません!≫

      「……『岩塩』は『山』の産物だけど」

互いの拳が交じり合う距離。『マサ』が『ザ・ナショナル』の腕を交差する。
防御の構え。『東雲』との相打ちを狙う、パワーに優れた者の常套策。
間もなく、『ザ・ナショナル』の突撃が来る――――

(※蹴りによる『岩塩化』は不可能)

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回マ東┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛下』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

622東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 22:22:47
>>621 質問

・『ザ・ナショナル』の腕を拘束している『有刺鉄線』は、
 自身の『岩塩化』を解除した時に『ザイオン・トレイン』との接続も切れているのですが、
 引っ張って東雲の身体を動かした、というのは何か理由がありますか?

・『ザイオン・トレイン』の接触発動は、拳からのみ、という認識でいいでしょうか?
 (供与原文が『このスタンドの触れたもの』となっているため、これも『調整』として、この場での裁定を詳細に記載します)

623『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:30:08
>>622
>・『ザ・ナショナル』の腕を拘束している『有刺鉄線』は、
> 自身の『岩塩化』を解除した時に『ザイオン・トレイン』との接続も切れているのですが、
> 引っ張って東雲の身体を動かした、というのは何か理由がありますか?

>>610にて、
>先程完全に切断した、左手側にあるであろう二本の『有刺鉄線』を左手で持つ。
>握りつつ、自分に『岩塩化』を施せば握った手は『岩塩』による一つの拳となるので、
>『有刺鉄線』は抜けなくなるだろう。

と記載されており、棘付きの『有刺鉄線』であれば、
解除後に即座に抜けることはない、と考えます。

(※鎧を解除し、有刺鉄線を手放す、という表記があれば、
  『有刺鉄線』を手放す、という旨のGMレスを返していました)

>・『ザイオン・トレイン』の接触発動は、拳からのみ、という認識でいいでしょうか?
> (供与原文が『このスタンドの触れたもの』となっているため、これも『調整』として、この場での裁定を詳細に記載します)

一般的に『触れた物体を〇〇する』と表記された『接触発動』については、
『拳』や『掌』で触れた物体のみ作用する、と考えます。

624東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 22:38:50
>>623 質問

>>616にて、引っ張るようなら自身の『岩塩化』を解除して〜の一文を記載してあったので、
 自身の『岩塩化』を解除しただけで『有刺鉄線』は抜けるものだと思っていました。
 これを文の不足だと判定するのなら、受け入れます。
 また、拳や掌による接触発動として扱うという点も、了解しました。

625『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:40:37
>>624
了解しました。只今、レスを訂正します。

626『その拳はデルタを描く』:2021/06/05(土) 22:43:20
>>619(東雲)
>「『撥水』かッ!仕掛けとったか!」

    「……うるせ〜〜〜ッ 『地元』だかなんだか知らんが
     『アウェー』相手にしょっぺえ試合見せやがって
     なんか…こう…あれだ!とっとと血を見せろ!」

    「『東雲』さぁーん、ぶっ倒せぇー!」

    「おら、『東雲』ッ! 『攻め急げ』よ!」

観客席から『ヤジ』混じりの歓声が飛び交い、『東雲』の背を押す。

『東雲』は『岩塩鎧』を解除し、迫る『有刺鉄線』を飛び越えるように、
『マサ』の懐へと飛び込んだ。――――『真正面』からの攻撃。
着地済の『マサ』には『ザ・ナショナル』を操る余裕がある。
視界を遮るのに、『有刺鉄線』は細すぎた。

     「宙に浮いたら、そのスピードも形無しやでぇ!」

         グイイィ!!

『ザ・ナショナル』が『有刺鉄線』の絡んだ腕を、思い切り引っ張る。
それによって『東雲』の身体が逸れるが、『岩塩化』の解除により、
『有刺鉄線』が手放され、完全には軌道は逸れない。

    ガスゥ
          ――――バシャッ!

『マサ』の左足首に踏みつけるような『蹴り』が命中し、『東雲』は『マサ』の真横へと着地する。
水飛沫が飛び、それが『マサ』に積もった『塩』を濡らし、溶かしていく。

      「グ、ォォ!!  おばちゃんのハイヒールより利くでぇ!
       アンタも難儀しとるようだが、――――恨みっこなしやで!」

      ≪両者、完全なる『至近距離』です!
        そして、『マサ』選手に降り積もる『雪』が溶けました!≫

      「――――『塩』。『水』に溶けるとなれば、
       このステージは『トウグモ』には不利」

      ≪『海の男』らしく、『塩』のスタンドということですね!
        ですが、『水』に弱いとは、皮肉という他ありません!≫

      「……『岩塩』は『山』の産物だけど」

互いの拳が交じり合う距離。『マサ』が『ザ・ナショナル』の腕を交差する。
防御の構え。『東雲』との相打ちを狙う、パワーに優れた者の常套策。
間もなく、『ザ・ナショナル』の突撃が来る――――

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回回回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回マ東┼回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破───柱┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛下』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

627東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/05(土) 23:43:10
>>626


>    「……うるせ〜〜〜ッ 『地元』だかなんだか知らんが
>     『アウェー』相手にしょっぺえ試合見せやがって
>     なんか…こう…あれだ!とっとと血を見せろ!」

>    「『東雲』さぁーん、ぶっ倒せぇー!」

>    「おら、『東雲』ッ! 『攻め急げ』よ!」


「チィッ!分かっとるわァッ!」

『岩塩化』の解除が遅れた。いや、『マサ』さんの反応速度を褒めるべきか?
蹴りの軌道は逸らされたが、どうにか一撃を叩き込めた。
だが、代わりに『マサ』さんが水飛沫を食らった。
本来なら、『塩』を溶かす為に至近距離で自ら水を被る、その一瞬を攻めるつもりだった。
やはり『水』というものがあると攻め手が変わる。────だが、それが敗北の理由にはならない。

「その通りじゃあ!闘いっちゅうもんは予測できんことも数多くある!
 それが有利にも不利にもなるんは当たり前じゃ!」

『マサ』さんが仮に『ザイオン・トレイン』を知ってこのギミックを仕掛けたとしても、問題はない。
だが、そもそも『マサ』さんの意図ではないだろう。
対戦相手としてこの人を指名したのは自分であり、『ザイオン・トレイン』は
『水』が弱点なのは、目覚めた時から知っていた事だ。こんな事態も想定して当然と言える。
…もっとも、自分の頭で対策が浮かぶわけではない。

ギミックに『有刺鉄線』を用いたのも、相手に『噴塩化』を施してしまえば、
後は『長期戦』になろうとこちらが有利。その考えが裏目に出た。
だが、反省は勝負の後でいくらでもできる。勝つ為に何かをできるのは、今だけだ。
現在の水位は『脛下』。『ザイオン・トレイン』の機動力を活かせるのはもう僅かだ。

「『水』がナンボのもんじゃあァッ!!」

タックルをスピード差でかわすように、『マサ』さんの左側(自分から見て右側)へ移動する。その際に、右袖から左手に『ロープ』を移しておきたい。
『ザイオン・トレイン』の利点の一つ、手足の速度が速いのみの人型には真似できない、本体軌道。
それを用いてかわし、即座に右拳を本体の『マサ』さんへと叩き込む。
仮にそのまま吹き飛べば、足元の有刺鉄線はもちろん、先程自分を攻撃するのに使った(>>618
有刺鉄線もある。倒れたなら、打撃のダメージのみでは済まないだろう。

当然『マサ』さんも振り向いて対応をするだろうが、対応が遅れるだろうという理由が二つある。
一つは、先程飛んだ水飛沫だ。『目』にも発生していた『噴塩化』が止まるならば、
同じく『目』にも水飛沫がかかっているだろう。拭うまでは、若干視認性が落ちるはず。
二つ目は、つい先程足首に叩き込んだ『蹴り』だ。
こちらの方向が変われば『マサ』さんも振り向くだろうが、足首に負傷があれば
痛みで振り向くのが遅れてもおかしくはない。その隙を狙う。

628『その拳はデルタを描く』:2021/06/06(日) 22:19:21
>>627(東雲)

>「その通りじゃあ!闘いっちゅうもんは予測できんことも数多くある!
> それが有利にも不利にもなるんは当たり前じゃ!」

     バシャッ

『東雲』は『マサ』の脇横へと飛び込み、
『ザ・ナショナル』のタックルを回避する。

         バゴォッ!!

『ザ・ナショナル』の衝突した『柱』が砕け、
コンクリートの『破片』が飛び交い、それらが『着水』し、

          バシャシャァァ!!

数個の『破片』が水を切り、『東雲』の下へと殺到する。
『東雲』の肩部や頭部を『破片』の散弾が打ち据える。
上半身に痛みが走るも、行動不能なダメージではない。

     ≪唯のタックルじゃあありません!
       『ザ・ナショナル』、柱をぶっ壊して『水切り』に!≫

『東雲』は飛び込んだ矢先にいる『マサ』目掛けて、
その右拳を思いっきりぶち込んだ。

         バキャァァ!!

     ≪入ったァァァ―――――!!
       『ザイオン・トレイン』の強烈な一撃がぁ、
       『マサ』選手のガードを抜け、吹っ飛ばしたァ!≫

     「キッツイの、来るやぁないか!」

『マサ』は左掌を翳すも、その『ガード』は十分ではない。
左掌の骨が砕ける音が拳を通じて響く。そのまま『マサ』は吹っ飛び、

           バシャァンッ!

先程と同様に『有刺鉄線』に足を引っかけ、倒れ込むように着水する。
いや、それだけではない。

     「この距離なら外さんでぇ!」

『ザ・ナショナル』が背中ごと『東雲』へと飛んでくる。
これはスタンドの操作ではない。――――『水切り』による衝撃。

     「吹っ飛ばす、というのは、自身の『跳躍』や『タックル』も含まれる。
      『トウグモ』が殴った時、敢えて抵抗せずに吹っ飛んだのね――――」

     ≪と、ということは、『ザ・ナショナル』だけじゃあない!≫

             バァァンッ!!

更に背面から着水した『マサ』自身も、上空へと跳ね上がる。
その高度は『2m』。『マサ』が吹っ飛ぼうとも、『ザ・ナショナル』に影響はない。
背面は壁。周囲の『有刺鉄線』はほとんどが切断されるも、『ザ・ナショナル』は間近だ。


【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回東□柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回□ナ.│回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破─マ.─破┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛下』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

                  __|〇
       〇    〇     /
       ト ← / ̄
---------ノ>----\-----------------
      東雲  『ザ・ナショナル』  『マサ』

629東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/06(日) 22:50:32
>>628

「ぐうぅッ!!」

歯を食い縛り、破片の散弾に耐える。
『水切り』の狙いは正確ではない。即座に昏倒する程ではない。
こちらの拳も『マサ』さんを捉えた。だが、左手のみだ。
『噴塩化』にて戦局をこちらに引っ張ってくるのはもはや不可能だろう。
『マサ』さんも『ザ・ナショナル』も、全身ずぶ濡れだ。後は、殴り合うしかない。

『マサ』さんの吹き飛び方、あれは異常だ。つまりあれも『能力』の範疇。
間合いを取られた、だけではない。その吹き飛びを利用して、『ザ・ナショナル』による背面タックル。
距離が近過ぎる。『マサ』さんの言う通り、今からの回避は不可能だろう。
ならば、ここで逆に一撃を叩き込む。

「来いやぁッ!!」

背後が『壁』というのは良い。逃げ場がないが、しかし同時に支えともなる。
左手と左足を壁に沿わせ、右肘と右膝を出す。この支えを用いて、逆にカウンターをブチかます。
人体でも有数の部位である肘を用いて、『背中』という幅広い敵の打撃面に対して
こちらは接点を集中させ、敵にもダメージを与えつつやり過ごす狙いだ。

630『その拳はデルタを描く』:2021/06/06(日) 23:49:08
>>629(東雲)
>「来いやぁッ!!」

『東雲』は閉ざされた扉に片手足を突き、
それを支えにするように、対となる肘膝を打った。

      ゴスゥ!
              ――――ビシシッ

『体当たり』の威力は高い。『ザ・ナショナル』の破壊力がそのまま乗っている。
『東雲』の右肘が砕ける音が聞こえる。右膝の皿にもヒビが入った。

     「ご、がああああぁぁぁぁ!!」

     ≪『東雲』選手、避けられない!  ――――違うッ!
       敢えて、敢えて、この一撃を受けたぁ――――!!≫

     ≪『ザ・ナショナル』、背面に強烈な一撃を受けましたぁ!
       あの位置、あの位置は、――――『キドニーブロー』です!≫

だが、上空にいる『マサ』の絶叫により、
その一撃が『甚大』であるとハッキリと伝わった。
『東雲』がクッションとなって軽減されたとはいえ、
『ザ・ナショナル』のパワーがマトモに跳ね返る形だからだ。

      ドシャァァ――――

『体当たり』の衝撃を受け、『東雲』は扉を背にして崩れ落ちる。
既に『水』は脛の中ほどにまで達している。移動するにも水の抵抗が強く、
『ザイオン・トレイン』のスピードも大きく減じられるだろう。

     「ゴホッ   グッ」

     「避けずに敢えて、『ザ・ナショナル』に飛び込むたぁ、
      流石やなぁ、  ゴホッ  ――――ようやるわ……」

着水する『マサ』はもう一度跳ね上がり、緩やかに着地する。
だが、顔色は蒼褪め、尋常ではない脂汗が流れている。

     ≪ぼ、ボクシングでは『反則』の一つである『キドニーブロー』ですが、
       その理由は『骨』に守られていない『腎臓』への打撃は、
       『重症』へ繋がりかねないからというものですが――――≫

     「咄嗟の判断。たまたま、あの一撃が入ったのね。
      ――――それじゃあ、『マサ』はもう、ダウ……」

     「ま、まだやでぇ――――」

『マサ』は『ザ・ナショナル』を引き戻し、息を荒げながら立ち続ける。

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回東□柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回□□.│回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破─マ.─破┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛中』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

631東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/07(月) 00:16:14
>>630

「ぐっ、ううおぉぉぉぉぉッ!!」

右肘が破壊された激痛が走る。だが、覚悟の上だ。歯を食いしばって、大声を上げて痛みに耐える。
エミカの用いた『ゲートコントロール』にも似た行為だ。完全に模倣するなら、
左手で右膝を抑えるべきだろうが、そんな事をしている余裕はない。
そもそも、『ザ・ナショナル』のパワーは『ザイオン・トレイン』を上回る。
こちらも被弾して、右腕や右膝が使い物にならなくなる事も想定済みだ。
気絶まで持ち込まれなければ、それで良い。

「…わしの『スタンド』じゃあ、カウンターを狙えても、『部位』までは正確には狙えん」
「『水』のギミックは不利に働いたが、今回の運はわしの方に転がってきたようじゃなァ…ッ!」

犬歯を剥き出しにして笑う。
そしてこちらの被害よりも、更に『マサ』さんのダメージは大きい。
『実況』を聞く限りだと、『腎臓』に入ったようだ。
背中に対して攻撃を合わせるのが精一杯だったが、この結果になるとは。これもまた闘いか。
『マサ』さんは試合を諦めるつもりはないだろう。自分とてそうだ。
『水位』は上がってきている。まだ『水切り』も使えるだろう。
立ち上がれなくなるまで、闘い続ける。『アリーナ』のシンプルなルールだ。

「・・・・・上等じゃあ!!かかって来いや『マサ』サンッ!!!」

自身に再度『岩塩化』を施しながら、左手にはロープを握ったまま『マサ』さんへと距離を詰める。
右膝の負傷、そして『水位』の上昇による移動への弊害はどの程度か。右腕はどの程度動かせるか。それを確かめたい。
自分の右肘が『マサ』さんの『腎臓』へと当たったのなら、右膝は足回りのどこかに当たったのだろう。
逆に『マサ』さんはこの状況で、どこまで動けるのか。

632『その拳はデルタを描く』:2021/06/07(月) 23:26:08
>>631(東雲)
>「ぐっ、ううおぉぉぉぉぉッ!!」

『絶叫』によって痛みを抑え込む『東雲』。
『ゲートコントロール』とは全く異なる、純粋なる『闘志』による『活性』。
激痛を吐き出しながら、『東雲』は立ち上がった。

       シュゥゥゥゥ―――――

自身の全身に『岩塩化』を施し、『マサ』へと接近する。
膝の激痛と『水位』の上昇により、移動速度は常人並に落ちている。
『右肘』は外れたようにフラつき、腕全体を振り回して、辛うじて『打撃』が振るえる。

     ≪両選手、負傷を振り切って見せるファイティングスピリッツ!
       しかし、両選手のスタンドのパワーを考えるならば――――≫

     ≪決着まで、そう時間はないでしょう!!≫

     「ワイの、『最後』の試合や――――」

     「『B級』に勝てずにケツ捲るなんて、しとうなかったわ……」

『マサ』のダメージはより酷いはずだ。その証拠に、『マサ』の腰が落ち、
下腿が全て水中に沈む。――――いや、違う。

>「・・・・・上等じゃあ!!かかって来いや『マサ』サンッ!!!」

       ズズズ...     ダンッ!!

     「せやけど、最後は『勝利』で笑って、お終いやぁ!
      『東雲』はん、アンタの『塩』!  もうお役御免やで!」

      バシャシャシャシャァァァァァ―――――!!

姿勢を低くした『マサ』が水飛沫を散らしながら接近する。
自身を蹴り放っての『水切り』。片足の蹴りだけで『ジェットスキー』を見せ、
片足を負傷しながらも、全力疾走に等しいスピードだ。

      「マサさーん! マサさんのかっこいいとこ、もっと見せてーっ!」

      「これが最後、何言ってるんだ……『マサ』さん……」

      「これだけの大仕掛け、残したまま『引退』する気かぁ!?」

【アリーナ俯瞰図】         北   │
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴4   |
∴∴∴■┼破回東回柱┼■∴∴∴  |柱:コンクリートの柱。高さは『2.5m』。
∴∴■┼回│回↑回.│回┼■∴∴  |  破壊力:Bのラッシュで破壊可能。
∴◎┼柱┼破─マ.─破┼柱┼◎∴   |┼:有刺鉄線。足首、腰部、『2m』の高さに張られる
∴■┼回回╋回回回┼回回┼■∴  |│:『足首』の高さだけ残された『有刺鉄線』。
∴■┼┼┼柱―――柱┼┼┼■∴  |╋:『岩塩化』の施された『有刺鉄線』。
∴■┼回回|回回回┼回回┼■∴  |◎:『1m×1m』の給水口。壁に据え付けられている。
∴■┼回ミ │回回回┼回回┼■∴  |破:真っ二つに折れた『柱』。
∴◎┼柱┼柱┼┼┼柱┼柱┼◎∴  |回:『水』。その深さは『脛中』ほど。
∴∴■┼回┼回回回┼回┼■∴∴  | ミ:ぶち折れた柱が激突し、その場に停止する。
∴∴∴■┼柱回回回柱┼■∴∴∴  |
∴∴∴∴◎■扉扉扉■◎∴∴∴∴  |

633東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/07(月) 23:41:53
>>632 質問

・今現在、自身の『岩塩化』はどの程度まで進行していますか?
・『ジェットスキー』の水飛沫は、『マサ』さんの後方に飛んでいますか?

634『その拳はデルタを描く』:2021/06/07(月) 23:47:34
>>633
>・今現在、自身の『岩塩化』はどの程度まで進行していますか?
『3秒(=1.5cm)』ほど。両掌の『岩塩化』が完了。

>・『ジェットスキー』の水飛沫は、『マサ』さんの後方に飛んでいますか?
『マサ』の両脇から後方へと抜けるように飛んでいます。

635東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/08(火) 00:16:46
>>632

やはり右肘は、ほぼ使い物にならなさそうだ。
『岩塩化』でギブスのように固定して、無理矢理振り回す事も考えたが、その時間はない。
だが、全く動かせないわけではない。それならば十分だ。

「やはり『水切り』かァッ!!」

負傷の大きい『マサ』さんが決着を付けるには、それしかあるまい。
これでこちらに接近するための機動力は補われる。
一方自分は『水位』と膝の負傷により、機動力が低下している。つまりその点は五分五分になった。
しかし、なおもこちらに有利な点はある。それを用いて、勝つ。

「なぁにが最後じゃあッ!諦めるのが好きなヤツらじゃのお!!」

『マサ』さんに何の事情があるかは知らないが、『アリーナ』の舞台の上では知ったことではない。
ただ『明智』といい、この人といい、自分には闘いを諦める人間の気持ちは分からない。
例え場所が変わろうと、環境が変わろうと、相手がどんなに強かろうと。
手を替え品を替え、両手両足が動かなくなっても、喉笛に食らいつければ勝てるのだ。

根本から振り回すしかない右手、それを使って脛下まで来た『水面』を掬い上げる。
右手の『岩塩化』は解除されるが、もう打撃に使うことはないだろう。
『ザイオン・トレイン』のパワーで、なるべく『マサ』さん本体の顔面を狙って多くの水を飛ばす。
その膂力で放たれた水はそれなりに衝撃はあるだろう。ましてや、『マサ』さんも『ジェットスキー』でこちらに向かってくる形だ。
もちろんダメージには繋がらない。
だが一瞬でも顔面にかかることで、攻撃の精密性が少しでも落ちれば御の字だ。

「わしはジジイになろうと、『ケンカ』は止めんけぇのぉッ!!」

そして本命は左手。いくら『機動力』が落ちようとも、『ザイオン・トレイン』。
拳を含めた、身体を動かすスピードは変わらず、それは『ザ・ナショナル』より速い。
それを用いて、『ザ・ナショナル』の顔面へと目掛けて拳を放つ。
先程(>>628)、『マサ』さんの左手は破壊している。確実にこちらを仕留めに来るなら右拳だ。
こちらが有利な体捌きであることを活かして、その拳をかわしつつ、こちらは攻撃を当ててやる。

636『その拳はデルタを描く』:2021/06/08(火) 00:55:17
     ブロロロロロロォォォォ――――

     「(アカンな……時間は、ないで……)」

レンタルしたセダン車のアクセルを踏み抜きながら、
『マサ』はミントガムを噛み潰し、苛立ちに顔を顰めていた。
客先から掛かって来た一本の電話。

夜中であっても『電設業』を営む『マサ』には、珍しい時間帯ではない。
電話一本で現場に急行するのも当たり前だ。――――今回は客先が悪かった。

     「(電気トラブル……それも『新幹線』。
       よりにもよって、『瀬川』はんが手ェ入れた翌日たぁ……)」

『瀬川』は『マサ』が経営する『川島テクノ』に所属する『熟練』の老齢職人だ。
中でも『鉄道』に関連する『信号設備』、『照明設備』に関しての知見は深く、
独立して十年足らずの『マサ』がトントン拍子で業績を拡大できたのは、
早期退職した『瀬川』の『人脈』と二人三脚で培った『技術力』の賜物だった。

     P r r r r r r r . . .

     「『瀬川』はん!  解っとる、アンタは間違えない!
      唯、変電設備が狂ってしもうたら、『安心安全』は守れへんやろ!」

     「すぐに現場に向かってくれへんか!?
      ああ、こっちも電話がひっきりなしや!
      客先もカンカンや!  ――――ああ、ワイは……」

『潮時』か。経営者の身でありながら、『瀬川』を始めとする数多くの職人に支えられ、
好き勝手やらせてもらっていた。謎の『出張』にも疑いの目を向けることはなく、
現場を離れた己の代わりに仕事を続け、『こんぺいとう』の土産を受け取っていた。

     「ワイは、――――スマン!  今日はどうしても、外せん用事があるんや!」

『アリーナ』を蹴ってでも現場に向かうべきだった。
……だが、心が燻る。頭を過ぎるのは『記憶』。

――――地元には何でもあると思っていた。東京にも負けないと思っていた。
何もない地方都市だと軽んじていたその町には、己と同じ『スタンド使い』が集っていた。

     ┌──────────────────────────
     | 「『マサ』さん、発想は面白いと思うのですが、
     │  ……いや、私も『技術者』の端くれとして挑戦したいです。
     │  しかし、ここまで大がかりな『ギミック』は――――――
     └──────────────────────────

────────────────────────┐
   「ふざけんじゃねェぞ!  ソースくせぇんだよ!」 .   │
                                    │
   「道頓堀でドタマ冷やして来いやぁ!」           │
                                    │
   「関西のキツいノリを持ち込むなっつうの!」       │
────────────────────────┘

     ┌─────────────────────────────────
     | 「――――『吉田』さん。近々、このステージに『改装工事』を考えている。
     │  万が一、『エクリプス』が攻め込まれた時の『防衛拠点』として、だ。
     │  ……『下水道』に直結させる必要がある。そのついでなら、どうだろうか?」
     └─────────────────────────────────

アウェーの洗礼。ギミックを捻じ込む為の行脚。水圧に耐え得るステージと予算の試行錯誤。
楽しかった。拳が滾る。仲間がいる。胸を熱くする勝利。年甲斐もなく涙した敗北。

        ┌───────────────────────┐
        │「─────『マサ』サン、いっちょ闘りましょうや」    │
        └───────────────────────┘

     「今日だけや。今日が最後や。
      ――――ワイを、今日だけ『男』にしたってくれや!」

          PI♪

『湖西IC』を過ぎる。既に試合開始時間はとうに過ぎている。
――――時は追ってくる。もう大人になってしまった。……この日が来るのは解っていた。
だから、だから今日だけは、あの場所に行かせてくれ。

637『その拳はデルタを描く』:2021/06/08(火) 01:19:51
>>635(東雲)
>「やはり『水切り』かァッ!!」

    グオォォンッ!
              ――――バシャァァ!!

『ザイオン・トレイン』を纏った『右腕』を下手に振るい、
『東雲』は強烈な『鉄砲水』を『マサ』の顔面へと浴びせる。
無論、『マサ』は止まらない。『ザ・ナショナル』の右腕が、

       ドギュォォ!!
                   ――――バシャシャァ!!

低い姿勢から『アッパー』を打ち上げる。その拳が水を切りながら。
上体を浮き上がらせるような『カエルアッパー』。水を切る反動によって、
伸び上がる拳が加速する。そのスピードは『ザイオン・トレイン』に匹敵する。

>「なぁにが最後じゃあッ!諦めるのが好きなヤツらじゃのお!!」

>「わしはジジイになろうと、『ケンカ』は止めんけぇのぉッ!!」

      「その学生服がまぶしいなぁ、『東雲』はん!
       ワイも、その心意気一つだけで、挑みたかったわぁ!」

      「生きていく上で、ワイは思ったよりも背負いすぎちまったんや!
       でもなぁ、『後悔』はないでぇ! 最後の最後、このアリーナで!」

      「アンタみたいな、ゴッツイ『男』とヤれたんやからなぁ!」

           ドギュオンッ!!

右拳のアッパーを『東雲』はギリギリまで引き付けて避けようとする。
だが、『速い』。無論、『東雲』は既に『拳』を突き出した。

      「が、頑張れ―――――っ! 『マサ』さぁぁ――――んっ!」

      「かっこよくて強ーい東雲さんに勝って、きれーなフィニッシュですよ!
       いけいけマサさーん! やっちゃえやっちゃえ! 終わり良ければすべて良しー!」

      ≪『東雲』選手、僅かに速い!
        『後の先』! 既に負傷した身ではありますが、
        それでも尚、その白亜の拳は、真っすぐに『マサ』選手を――――≫

              バキャァァァ!!

      ≪顔面を、打ち据え≫

                 ゴォォ――――

           ド  ッ

『東雲』の脇腹がひしゃげる。肋骨の割れ砕ける音が響き渡る。
避けた身を追うようにアッパーが飛び、『東雲』の身体を思いっきり打ち上げた。
――――息は続く。完成間近だった『岩塩鎧』がクッションとなり、『致命傷』は避けた。
だが、『岩塩』が残るのは『両拳』のみ。

       ≪――――両者、『空中戦』!≫

       「――――着水までに、試合は決する」

視界の端で『鼻筋』のひしゃげた『マサ』が倒れ込み、

                 バシャアアア!!

『東雲』を追うように『ザ・ナショナル』が水切りの反動で飛び上がった。
互いに中空を舞い上がり、水飛沫を煌めかせながら、
『水』から脱した一人と一体が、何者も届かぬ空にて対峙する。

   _|   東雲
    \./
扉    |〇
扉      \〇
扉        \『ザ・ナショナル』
扉         |\


扉            _〇
扉            /|   『マサ』
-----------------<---------------------

※現在、互いに『上空4m』を飛行中。

638東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/08(火) 22:15:45
>>637

(『水切り』の反動ッ!打撃にも応用できる程か…抜かったわ!)

初手の瓦礫散弾の当たり外れが大きかったことや、こちらの攻撃の回避に
『水切り』を用いなかった事から、あまり正確な動作はできないと睨んでいた。
更に『水滴』の妨害で、直撃だけは避けられると思っていたが、読み違えたか。
はたまた試合巧者の『マサ』さんが、ここまでその事実を隠していたが。
これでスピードの不足は補われてしまった。

「おどれ程の男が、んな寂しいこと言うなや!!例え『アリーナ』がなくなろうと、
 わしは『マサ』さんからの挑戦はいつでも受けたるけぇ!!」


>                 ゴォォ――――

>           ド  ッ

そして、拳が交差した。

「が、ふっ………!!」

アッパーの直撃を受け吹っ飛ぶ。『岩塩鎧』がなければ、勝負を決められていたかもしれない。
壁際まで飛ばされて、それを追うように『ザ・ナショナル』も飛び上がった。
『マサ』さんはブッ倒れたようだが、『ザ・ナショナル』は本体の目の届かない所でも闘えるのだろう。
恐らく、自分も相手もこれが最後の一撃だ。全力で力を振り絞る。

「───花を、持たせるつもりはねぇわぁッ!何度でも、奪いに来いやァァァッ!!」

距離を詰める為に、壁を蹴る。幸い背後の扉は近い。それは水を通さないよう完全にロックされている。
足場として使うことは可能だろう。
そして距離を詰めたなら、細かい動きの出来ない右手も左手を合わせ、振り下ろす。
足りないパワーを補う為に、両手の『岩塩』の重みを合わせて、『ザ・ナショナル』の胴体目掛けて叩きつけてやる。

『アッパー』である以上、打ち上げられたこちらの方が、高い位置にいる。
そして『ザ・ナショナル』は水切りで下側から追撃してくる状況だ。
自分が今有利なのは、壁に近く、そして高さがあるという二点。『重さ』は上方からの攻撃において、効果的だ。

639『その拳はデルタを描く』:2021/06/13(日) 22:30:53
>>638(東雲)
>「が、ふっ………!!」

その一撃に呼気を搾り取られる。
軽々と宙を舞う中、『東雲』はその両脚を伸ばし、

        ダァンッ!

     ≪『東雲』選手、吹っ飛ばされては終わらなぁい!
       壁を蹴った、向かう先はぁ――――≫

     ≪『ザ・ナショナル』!!  既に拳の間合いです!≫

背後の『扉』を蹴り、真下の『ザ・ナショナル』の上を取る。
そして、組んだ両腕を思いっきり振り下ろし、

>「おどれ程の男が、んな寂しいこと言うなや!!例え『アリーナ』がなくなろうと、
> わしは『マサ』さんからの挑戦はいつでも受けたるけぇ!!」

        ガスゥッ!!

    「『ザ・ナショナル』ーーー!

           マサさんにーっ!
      . . . .
     『勝ち逃げ』させたげちゃってくださーい!!!」

    「『マサ』さ――――ん!
     最後なら・・・・勝って終わりにしてくださ―――い!」

    「見っともねぇ終わらせ方にするんじゃあねぇーぞ!」

    「最後の最後、カッケェところ見せろっつうの!」

      うおおおおおおぉぉぉぉ―――――

『歓声』が飛ぶ。観客達が轟かせる『マサ』への声援が響き渡る。
互いが宙を舞うことで、その怒涛は尚一層、両者の肌を震わせる。

>「───花を、持たせるつもりはねぇわぁッ!何度でも、奪いに来いやァァァッ!!」

    「上等やぁ、この拳で――――最後を飾ったるわあ!」

両者の拳が激突する。そのパワーは『ザ・ナショナル』が上回るはずだ。
――――だが、『東雲』の両脚が『扉』に付き、その衝撃を吸収する。
宙を舞う『ザ・ナショナル』は、その撃力を完全には伝えきれない。
この空中戦。この状況下において、両者のパワーは互角。

          バシュルルルルルゥゥゥゥ――――!!

    ≪あ、あれは……水中の『有刺鉄線』!!≫

    ≪飛び上がったその『衝撃』が水を伝わり、
      『有刺鉄線』を押し退け、跳ね飛ばしたぁぁぁ――――!!≫

    「――――あの一戦で『ニコン』を追い詰めた『必殺技』、

      サーペンティン・プリズン
     『 大 刑 蛇 締 監 獄 』。……これが決まれば、空中での脱出は不可能ね」

『監獄』と称された多方向からの拘束の功績を、『キューコ』が静かに告げる。

激戦で千切れた、六本の『有刺鉄線』が左右正面三方向から伸び上がり、
宙を舞う『東雲』を絡め取らんと、『ザ・ナショナル』を透過しながら躍りかかる。
狙いの甘さを『本数』でカバーし、すぐにでも『東雲』の四肢に絡み付くだろう。

    「空中に逃げ場はあらへんで!
     ――――『東雲』ェ、この一撃が西からの土産や!」

『マサ』は朦朧としながらも、『東雲』を見据えている。
『腎臓』のダメージが酷い。持って数秒、その程度か。
――――だが、『ザ・ナショナル』の剛腕を以てすれば、
その数秒の間に、動きが止まった『東雲』を屠るのは容易だ。

640東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/13(日) 23:54:51
>>639

観客の声が聞こえる。
誰も彼もが、『マサ』さん引退への花道を応援している。それは恐らく正しいのだろう。
どこかで『一線』は引かなければならない。得てして『アリーナ』はそういう場所だ。
仕事、健康、年齢、様々な理由があってこの場を離れた人間も少なくないだろう。
だから、理屈として『マサ』さんは間違っていない。むしろ正しくないのは自分の方なのだろう。

「─────チィッ…『ザ・ナショナル』!既に用意しとったんかッ!」

迫り来る『有刺鉄線』。これに絡め取られれば、自分の敗北は確実だろう。
さりとて空中では自由には動けない。この一瞬で、自分に出来る事を探る必要がある。
そして気付く。この『有刺鉄線』の狙いはやはり正確ではない。水場から距離がある故か、元から能力の限界があるのか分からないが。
六本全てが脅威、というわけではないはずだ。

そして『ザ・ナショナル』とは先程拳を合わせたものの、まだ遠くには離れていないのだろう。
自分が『空中』に固定されてしまった状態で、『ザ・ナショナル』のみが落下したなら追撃はできない。
こちらが『拘束』され次第、即座にトドメの一撃を放てる距離にいるはずだ。

ならば、迫り来る『有刺鉄線』の内、脅威になりそうなものはまず両拳で弾く。
右手は果たしてどこまで動くかは分からないが、『水切り』の速度自体は速くない。
こちらの速度優位を活かして、それで正確さを補う。
弾くと言ったが、『岩塩化』した拳に触れれば有刺鉄線はそれに巻き付こうとするだろう。
そのタイミングで『岩塩化』を解除することで、拳を抜いてやり過ごす。

「うおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」

そして『有刺鉄線』をやり過ごせたなら。あるいはそもそも最初から手の届く距離だったなら。
即座に手を伸ばして、『ザ・ナショナル』へ抱き付きそのまま鼻っ柱目掛けて頭突きをする。
先程(>>637)、『マサ』さんは鼻を負傷している。連続しての打撃は、反撃を遅らせられる。
そして膝蹴りも打てない程のゼロ距離なら、どちらも打撃は頭突きに限定される。
もちろんパワーに勝る『ザ・ナショナル』ならば、力に任せてこちらを締め落とすことも可能だ。
こちらもパワーで抵抗したとしても、いずれやられる。
だが『数秒』はかかるだろう。その数秒を、鼻っ柱へ何度も頭突きを繰り返すことで稼ぐ。
当然そのままブッ倒れてくれれば良い。『気合い比べ』だ。

正しくないのは自分だとしても、ここで負けてやるつもりなど毛頭ない。

641『その拳はデルタを描く』:2021/06/18(金) 23:08:16
>>640(東雲)
>「─────チィッ…『ザ・ナショナル』!既に用意しとったんかッ!」

迫る『有刺鉄線』が『東雲』の四肢に殺到する。
背後から聞こえる声援の数々。いずれも『マサ』の勝利を願う声。
互いに全力を振り絞り、どちらが勝ってもおかしくない試合運びだ。
――――だからこそ、『マサ』にとっては『有終の美』となる。

     シュルルル 
              ガッ   シュゥ!

     「マサさああーーん!! 勝ってーーーーー!!!!」

     「これで終わりなら、西の生き様見せろっつうの!」

『東雲』の両腕に『有刺鉄線』が喰い込む。
中空に浮かぶ『ザ・ナショナル』が大きく拳を振りかぶる。
巨岩をも砕く撃腕が、『東雲』の胴体へと襲い掛かる。

     「この一撃、網膜に刻んだるわァァァ―――――!!」

     「うおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」

     シュルッ

拳に巻き付いた『有刺鉄線』は、『岩塩』の解除によって緩む。
何も纏わぬ裸の拳が、『ザ・ナショナル』の首元へと伸びる。
距離が僅か、届かない。空中の『東雲』は、これ以上は動け――――

            ギュゥゥゥ――――ンン!!

     ≪『東雲』選手、ここで『加速』ッ!!
       な、なんで『空中』で、身体が伸びて――――≫

     「伸び切った『有刺鉄線』を、手繰って引き寄せた……」

『東雲』が腕を伸ばし、身体が捻じれた時、
対の腕に巻き付いた『有刺鉄線』は引っ張られる。
体躯の回転によって伸びた腕、掌が『ザ・ナショナル』を掴み、

          i /
         力  ギャァァァンッ!!

その頭突きが『ザ・ナショナル』の顔面を叩き伏せる。
『ザ・ナショナル』の拳は『東雲』の脇腹を抉るも、
その勢いは削がれるよりも早く、

           ガスッ
                   ゴスッ!!

頭突きの一撃一撃が、『マサ』の花道を枯らしていく。
視界の下方では倒れかけた『マサ』の鼻柱が捻じれるのが見え、
それでも『ザ・ナショナル』は両腕を『ザイオン・トレイン』に組み付け、

     「上等やぁ――――
      絶対に、離さへんでェェェ――――!!」

          ヒュォォォォォ―――――

           ギチチチチチチチチ . . .

力の衰えた『ザ・ナショナル』の両腕が『東雲』の胴体を締め上げる。
粘り気を帯びた脂汗を流し、『マサ』は全歯を食いしばって猛攻に耐える。
無論、それは『東雲』も同じだ。互いに組み合い、床へと落下していく――――


          バッシャァァァァァ―――――ンンッ!!

642東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/19(土) 00:53:47
>>641

双方が落下している以上、相手の拳の届く距離は、即ちこちらの拳の届く距離でもある。
空中で自由に動けないのは、どちらも同じだ。ならば『有刺鉄線』さえやり過ごせば、取っ組み合いでは速度の差でこちらが有利だろう。

「そのままブッ倒れろやァッ!!」

予想はしていたが、強烈な締め上げが来る。これが後何秒保てるだろうか。
もはや意地の張り合いだ。水面に落ちた音がしたが、どちらがマウントを取れるかは分からない。
このグラップリングの体勢になってしまった以上、こちらも手足による打撃は使えない。
ただ『ザ・ナショナル』のパワーに耐えながら、ひたすらに頭突きを繰り返す。

643『その拳はデルタを描く』:2021/06/21(月) 22:44:04
>>642(東雲)

     ギチチチチチチチ...

       バキャッ!   バキィ!

          ボヒュォォォ――――

『ザ・ナショナル』の腕力によって、『東雲』の肋骨が圧し折れ。
両の肺が絞り潰され、喉笛を通り抜ける呼気の音は、
現世を惜しむ断末魔のように響き渡った。

      「マサさーーーーん!!!」

      「どっちだッ!?   どっちが残るんだッ!?」

      「東雲クン! …………やるじゃねーか!!!!」

観客達にも、『セカイ』にも、その結末はまだ誰にも解らない。
『東雲』と『マサ』、両者の内に残る『闘志』こそが行く末を決める。

>「そのままブッ倒れろやァッ!!」

肺奥に僅かに残った酸素が『東雲』の血中に巡る。
霞む視界の中、『ザ・ナショナル』の鼻っ柱を目掛け、

           ゴスゥ!!

その額を叩き付ける。
『ザ・ナショナル』のヴィジョンが罅割れ、その視界が霞んでいく。

          バッシャァァァァァ―――――ンンッ!!

       ≪ああ、これはぁ―――――!!≫

『セカイ』の電子ボイスが彼方に聴こえる。
弾ける水音が聞こえるも僅か、その水量では殺しきれぬ衝撃が全身を襲う。
意識が消し飛ぶ最中。『ザ・ナショナル』を通じたスタンドの声が『東雲』の耳に届く。

       「後は、気張りやぁ……」

      パシャァァ

『東雲』の太胴を締め上げていた『ザ・ナショナル』が消える。
先程とは異なる小さな水音。それは相対する者の崩落を伝えていた。

      ≪し、試合終了です!!≫

給水口からの放水が止まり、水がじょじょに引いていく。
何処かの排水口が稼働したのだろう。扉は閉ざされたままだ。
水が完全に引くまで、扉は開かない。視界の下方で仰向けになった『マサ』の顔が見える。

      ≪勝者は、――――『東雲』選手です!
        水中から空中への激闘、ゼロ距離での攻防!
        決して『有利』とは言えないステージでの奮闘は、
        ……見事な『終幕』を飾りました!≫

      ――――― パチ
                     パチッ

『セカイ』の実況が終わり、小さな拍手が聞こえる。

644東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/21(月) 23:19:18
>>643

『マサ』さんは、もう長くない。今にも倒れそうな状態のはずだ。
なのに、この身体を締め付ける圧倒的な膂力。これが本当に、失神寸前の男の力か?
自分が『マサ』さんを追い詰めているとは思えない。互いに、一歩後ろは崖の状態で戦っている。

「ぐっううおぉおお…!!」

最後の試合だと『マサ』さんは言っていた。それが事実だとするならこの試合にかける情熱は一入だろう。
だが、だからこそ負けたくはない。ここで負ければ、万に一つも『マサ』さんは戻って来ないだろう。
どちらにしろ、彼が再び『アリーナ』を訪れることはないかもしれない。
それでも、僅かでも可能性があるなら、彼と戦う機会がまた訪れるように。
必ず、勝つ。深く息を吸い込み、頭を振り被る。


>           ゴスゥ!!


無我夢中で放った一撃。力を全て使い果たしたか、意識が遠のく。
敵の状態も自分の状態も、詳しくは分からない。ただ、実況の『電子女』の声だけは聞こえた。
そして、勝者として自分の名前が呼ばれたことも。
まだ実感はない。あるいは、既に自分は絞め落とされていて、これは自分が見ている幻影なのかもしれない。

「はぁっ・・・・・はぁーッ・・・・・!!」

締め付けから解放され、酸素が供給され始めたからか、少しだけ意識が戻ってきた。
『ザ・ナショナル』の姿はない。あるのは眼下の『マサ』さんの姿だけだ。
拍手の音が聞こえる。どうやら、自分は本当に勝てたようだ。
─────念願の勝利だ。本当に、勝ちたかった試合だ。
なのに、勝利を誇り吠える気にもなれない。『マサ』さんに声をかけ、再戦を煽る気にもなれない。


>       「後は、気張りやぁ……」

「………そがいなこと、言うなや………」

何もできず。ぽつりと呟き、歯を食いしばって立ち尽くす。

645『その拳はデルタを描く』:2021/06/23(水) 23:45:56
>>644(東雲)
『膂力』、『活力』、『底力』、あらゆるエネルギーを振り絞り、
『東雲』は僅かに勝り、『アリーナ』の床に確りと両足を残した。
倒れ伏す『マサ』、鳴り響く拍手。――――それでも尚、
『東雲』は実感する『勝利』を噛み締められない。

>「………そがいなこと、言うなや………」

立ち尽くす。『マサ』にとって『最後』の闘いが終わる。
『東雲』の心境と『観客』のそれは似ていた。だからこそ、
言葉なき『拍手』だけが、何時まで経っても鳴り止まない。

    『オイオイオイオイオイ――――ッ! お前らヨォォ―――ッ!』

    『決着ガツイタンダゼ!? お互いニ一歩モ退カネェ凄ェ試合ダッタ!
     ダカラヨォォォ〜〜〜! 讃エヨウゼッ!』

    『「最後」マデ良い勝負ヲ見セテクレタ「マサ」ト!
    「最後の最後」ニソレヲ上回ッタ「東雲」ヲヨォォ〜〜〜〜ッ!』

    「あはーっ、マサさーーん!!
     最後まですっごいすごかったよ! ありがとネーっ!」

      パチパチパチパチパチパチ!

    「東雲さんもー、『男気』! かっこよかったでーす!!」

『東雲』と『マサ』、激闘を終えた二人にエールが送られる。
拍手の音が波打つように広がり、それに負けじと観覧席から声援が飛び交う。

    「『東雲』ェェ――――!!  気合い入ったぞォォ――――!!」

    「最後の最後まで、アツい殴り合いだったっつうの!」

          わああああぁぁぁぁ―――――

接戦を称える野太い賛辞が鳴り止まぬ中、
『キューコ』は無線マイクを手にし、『東雲』へと放り投げる。

    「――――『勝者』は立ち、『敗者』は倒れる。
     ……『トウグモ』、言葉がなければ『マイク』を捨てて」

646東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/06/24(木) 21:42:34
>>645

自分は、人より身体がデカかった。親父の仕事を手伝っているからか、力も付いた。
だからこそ、手足を振り回す時は気をつける必要があった。
子供の時に、ふざけたつもりでダチを泣かせてしまったことは両手の指じゃあ足りない。

だが、強いヤツとのケンカは楽しい。自分の全力を出せるからだ。
そしてここには、同じようなヤツらがごまんといる。『仲間』だと思っていた。
一歩間違えばブッ倒されるような気迫を感じると、思わず笑いが溢れる。
この場所は、自分『たち』のためにあると思っていた。

しかし、皆が皆、そうじゃあなかった。
もちろん想像しなかったわけじゃない。先程も言ったが、『闘士』は様々な理由で引退が起こり得る。
だから、仕方ないと思っていた。それならそれで受け入れると。今、こうしてその場に立つまでは。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

万雷の拍手が聞こえてくる。
だが、申し訳ないが今の自分に返せるものは何もない。そういった気分ではなくなってしまった。
黙って退場しようとしたその時、『無線マイク』が投げられる。
思わずそれを受け取ってしまい、『キューコ』を見上げた。


>    「――――『勝者』は立ち、『敗者』は倒れる。
>     ……『トウグモ』、言葉がなければ『マイク』を捨てて」


これ以上、自分が放つ言葉などない。
自分は、あのやかましい『マサ』さんとは違う─────。


>     「『東雲』はん、アンタちょいとカタいんやぁ!
>      ガッチガチのバトルはワイも好きやでぇ、
>      ――――でもなぁ、それだけじゃあオモロないねん!」


>     「観客がおるんや! エンタメにも振ってかなぁ!
>                      ザ・ナショナル
>      ド派手に行くんが、ワイの『地元意識』や!」





しかし、これが最後の『花道』ならば。

「・・・・・・仕方ないのォ!『マサ』サンの遺言とあっちゃあ、何も喋らんわけにはいかんけぇ!」

最後くらいは、その流儀に従おう。マイクを握りしめて、叫ぶ。

「勝ったのは、わしじゃあッ!!…つまり、本当に美味いんは『広島のお好み焼き』っちゅうことじゃ!」

647『その拳はデルタを描く』:2021/07/07(水) 21:36:37
>>646(東雲)
学校の教室ほどの広さに過ぎないはずの『闘技場』は、
『東雲』の持て余していた『膂力』を受け止めていた。
『東雲』だけではない。この場に集うあらゆる人々の『活力』を、
『アリーナ』は湖面のように湛え、光り輝かせていく。

人の集い、心の衝突、拳と拳の語らいが産み出す『エネルギー』。
――――だが、それは一時の『夢』に過ぎないのか……。
この喧騒にも似た『祭り』から、去る時が来るのか……。

     スゥゥ

『東雲』はマイクを手にし、握り締めた。
倒れ伏した『マサ』の語りを踏襲するように、叫んだ。

>「・・・・・・仕方ないのォ!『マサ』サンの遺言とあっちゃあ、何も喋らんわけにはいかんけぇ!」

>「勝ったのは、わしじゃあッ!!…つまり、本当に美味いんは『広島のお好み焼き』っちゅうことじゃ!」

       うおおおおおぉぉぉぉ――――

観客席から勝者を称える声援が響き渡る。
その地鳴りにも似たファンファーレを全身に浴びながら、
『東雲』は最後の力を使い果たし、ゆっくりと床へと倒れていく。

     ・

     ・

     ・

東雲『ザイオン・トレイン』 → 『肋骨損壊』、他おびただしい負傷の数々。
                   『カナディアン・スウィートハーツ』の治療により、
                   『全治一ヶ月』まで短縮。『30万円』を獲得。

648『その拳はデルタを描く』:2021/08/02(月) 23:16:48
その膂力で吹っ飛ばした物体に『水切り』をさせる。

『湖面』を弾く『石ころ』のように、
吹っ飛ばした物体は『水』に触れることで再加速する。

物体の一面が触れるだけの『水面』を必要とする為、
『水場』がなければ能力を発動できないものの、
十分な『水場』があれば『ヴィジョン』さえも吹っ飛ばす。

今回、『アリーナ』に特設された『水面』を利用し、
『水中』に浸かった物体を『水』ごと押し退け、
遠距離からの『水切り』さえも可能としていた。

通常の『水切り』と同様、何度も跳ねれば『推進力』を失う。
本体は『道頓堀』に飛び込んだ後、追い討ちを掛けるように、
放り込まれた『カーネルサンダース』に圧し潰されそうになったが、
『ザ・ナショナル』の覚醒によって、辛くも難を逃れた。

『ザ・ナショナル』
破壊力:A スピード:C  射程距離:E
持続力:D 精密動作性:D 成長性:C

649『空を掴む手』:2022/06/06(月) 21:26:55
『アリーナ』の観覧席に腰掛けた『キム・クァンガン』は、
売れ残った『トッポギ』を口に運びながら、闘いの熱が残る試合会場を見下ろしていた。

    「……『B級』への挑戦権を得た『ファイター』が、
     こう連続して現れるなんて、一体何かの前触れのようだね」

無論、素人だらけの『C級ファイター』同士で差が生まれるのは珍しくない。
『二連覇』は当たり前のように起き得る。『クァンガン』は解った上で呟いている。

――――『期待』だ。大きな出来事の『予兆』であって欲しい。
かつて、三人の『C級ファイター』が連覇を背負って『B級』へ勝負を挑み、
……いずれも呆気なく『返り討ち』にあった。無論、『クァンガン』もその壁となったのだが。

    「……ボク達は『壁』。彼らが乗り越える『刺客』に過ぎない」

『デ・ラ・ソウル』は『B級』の中でも『直接戦闘』に適したスタンド能力ではない。
そう解っている。いずれは己を倒すスタンド使いが現れる日も来るだろう。
……気付いているのだ。己やニコンではない。『A級』を倒す者は現れるのか。

    「出来れば、『戦場』ではなく。……この場所で会いたかった」

時計の針は逆には回らない。出会いと別れを変えることは出来ない。
『クァンガン』が思い当たった一人は、一対一の闘いに置いて『A級』に肉薄した。
その男に真っ先に倒されながらも、『半導体』によって『意識』だけを維持した『クァンガン』は、
半死半生を彷徨いながら、その『タイマン』を間近で見届けられたのだ。

    「おい、『クァンガン』。プルコギよこせヨ」

    「……この大きなバケットの中身、見えなかったかな?」

    「マズいから売れ残ったんだろ。オレは食べない」

大柄なロシア人に呼びかけられ、『クァンガン』は立ち上がった。
時計の針は逆には回らない。出会いと別れを変えることは出来ない。
――――『死者』は決して蘇らない。彼を悼む気持ちはあれど、その感傷は誰も前に進ませない。

650『空を掴む手』:2022/06/06(月) 21:38:23
>>649
駅前の『大通り』から小路に外れた先は『新興住宅地』となり、
建売住宅の並ぶ一角には選挙事務所やクリーニング店など、雑多な店も並んでいる。
その多くが『区画整理』から取り残された建物ばかりで、どうもパッとしない印象を受ける。

そんな土臭いエリアに居を構える『ラクアクア』の事務所には、
『カウンター』を挟んで二人の男女が顔を合わせている。

    「『アリーナ』のルールは三つ。
     『一つ』は『観客』や『実況解説者』への攻撃をしないこと。
     『一つ』は『殺害』を行わないこと、……と、『赤月』さんは『経験者』でしたね」

セルロイドフレームのメガネに作業着を着た中年男性、『吉田松太郎』が手にした書類を見直す。
書類を見直して、もう一度『赤月』の顔を見る。うーん、と難渋そうに眉を寄せる。

    「しかし、まだお若いのに『アリーナ』の、それも『最中派』の試合だなんて。
     ……ジジ臭いかもしれませんが、私は余り、その……ヨソの悪口じゃないですけど」

事務所には『H湖』の水質検査の結果報告や、ウォーターサーバーの広告が貼られ、
『吉田』のボサっとした雰囲気もあって、『鉄火場』の関連施設とは到底思えない光景だ。
これが『偽装工作』だというのなら、相当計算されているか。それとも『天然』によるものか。

651赤月『サクソン』:2022/06/06(月) 22:49:19

【スタンド能力】

トレンチコートを着た人型ヴィジョンのスタンド
トレンチコートの中に隠した物品を『暗器』に変える

『サクソン』
破壊力:C スピード:C  射程距離:C(15m)
持続力:D 精密動作性:A 成長性:D
能力詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/189-190

【外見】黒いセミロングの髪型に赤いメッシュを入れている
    顔つきはやや幼いが、背が高く姿勢が良いため、はっきりとした印象を相手に与える

【服装】清月学園の学生服(ブレザータイプ:ジャケット、ワイシャツ、リボンタイ、スカート)    

【持ち物】財布(小銭と紙幣)、ハンカチ、ボールペン3本(胸ポケット)、学生手帳

【簡易プロフィール】『アリーナ』に対して強い憎悪を抱く14歳の中学生女子
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050739/146

【これまでの赤月ナカレは】
かつて行われた『エクリプス』との闘争の中で『アリーナ』に実の兄を殺された赤月は
『エクリプス』残党である『後見人』の協力を得て、復讐の為にこの星見町にやって来た

病院で遭遇したスタンド使い、『鉄』から『アリーナ』の情報を得た赤月は
『アリーナ』が複数の『派閥』に別れている事、『タダヒト派』『最中派』などの派閥がある事を知る

兄を殺した相手の情報を集めるため、『最中派』の試合に参加した赤月であったが、
その『試合』の陰惨さ、『観客』の下劣さ、そして長である『溝口最中』の悪辣さから
『アリーナ』という組織の本質は『悪』であると認識をした

そして、今日・・・・赤月は更なる情報を求めて、『タダヒト派』への接触を果たしたのであった
『最中派』に兄の仇はいなかった・・・・だが、ここになら・・・・・?

652赤月『サクソン』:2022/06/06(月) 22:49:39
>>650

吉田松太郎と向かい合うように話をしているのは中学生程度の少女であった
黒髪に赤いメッシュを入れているのが特徴の少女だ
この暑い中、律義にもジャケットまで着込んだ制服は、彼女が清月学園の生徒である事を示す

「そうだ。『アリーナ』の大まかなルールは知っている」

ふてぶてしい顔だ
話している相手は自分よりも二回り以上年上の相手だというのに、話しぶりに敬意は一切ない
それどころか、言葉の端々からはより刺々しい・・・・敵意のようなものも見え隠れている

「煮え切らない言い方だな
 私が『最中派』で戦った事が・・・・そんなに気になるのか?」

吉田の煮え切らない言葉が気になったのか、ちょっとした追及を入れる

確かに『最中派』で得た経験は思い出すだけでも嫌悪するような出来事であった
しかし、規模の大小はあれど秘められた『悪意』はどこの派閥も同じだろう、と赤月は考えていた

「・・・・・・・・。」

苦虫を噛み潰したような顔で吉田を見つめる

653『空を掴む手』:2022/06/06(月) 23:15:57
>>651-652(赤月)
二人の会話からは、干支を『三周』しても余る程の『年齢差』を感じさせない。
ましてや『赤月』の言葉尻から感じ取れる『刺々しさ』もまた、
『吉田』の言葉を留める要因に成り得た。

>「煮え切らない言い方だな
> 私が『最中派』で戦った事が・・・・そんなに気になるのか?」

    「……いいえ、貴方のように年頃の娘さんであっても、
     『勝利』や『栄光』を求める方はいる。……そうでしたね」

    「年幼くとも、貴方が一人の『ファイター』であるのなら、
     私達は『裏方』として、相応しい『戦場』を整えるだけです」

『吉田』は思い直したように息を入れ直すと、
一枚の『見取り図』を『赤月』へと差し出した。

    「『会場』には一つだけ『ギミック』を用意できます。
     もしも貴方が『力』で劣ると考えるのであれば、
     貴方にとって心強い『武器』になると思います」


∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴

654赤月『サクソン』:2022/06/06(月) 23:56:11
>>653

(『勝利』に『栄光』か・・・・欺瞞に満ちた言葉だ)

赤月の性格からいえば、『勝利』と『栄光』のための戦いは本来喜ばしい事だ
だが、『最中派』の試合で見た『光景』・・・・
敗者を勝者が不必要な程に痛めつけるあの出来事は『アリーナ』への不信を絶対的なものにしている

「・・・・・せいぜい頑張って戦わせてもらうよ」

『見世物』として、という言葉は飲み込む
だがそれでも、皮肉気な語調は相手に伝わってしまうだろう

「『ギミック』か」

見取り図をじっと見つめて考える
自身の能力『サクソン』は真正面から敵を打ち据える『英雄』のようなスタンドではない
能力に対する信頼はあるが、道具に依存する能力である以上、『ギミック』の有無で戦力は大きく増減するだろう

「・・・・・・『ゴミ』だ。『ゴミ』を置いてくれないか?
 粗大ごみや生ごみのようなものではない
 例えば、雑貨類のような・・・・そういうのを地面に置いてもらう事は出来るか?」

655『空を掴む手』:2022/06/09(木) 22:25:49
>>654(赤月)
>「・・・・・せいぜい頑張って戦わせてもらうよ」

棘を含んだ承諾を示し、『赤月』は見取り図を覗いた。
『サクソン』の特性を鑑みながら、『仕掛け』について頭を巡らせる。

>「・・・・・・『ゴミ』だ。『ゴミ』を置いてくれないか?

    「ご、ごみ?」

    「……最近の子は、ゴミに何かあるのかね……」

『吉田』は両目を細めて『赤月』を見返したが、
やがて『雑貨類』だと付け加えられれば、得心したように頷いた。

    「ええ。用意しましょう」

『吉田』が同意を示した。他に何もなければ、家路に戻るだけだろう。

656赤月『サクソン』:2022/06/09(木) 22:52:54
>>655

「・・・・・・・。」

『試合』について言うべき事は言い終えた
後は寮の自室に帰宅し、『試合』に備えていくべきなのだろうが・・・・

(しまった・・・・・)

気が付いてしまった
このまま何事もなく終わってしまっては、『アリーナ』の情報がわからずじまいだと
赤月がこの場所にやって来た裏の意味、それは『アリーナ』に対する情報収集でもあるというのに

(いけないな・・・・彼らの拠点にいるせいか、今日の私は冷静さを欠いている)

「あ、あー・・・・そういえば、『最中派』の連中に聞いた話なのだけど」

世間話をするかのように話を切り替えていく
慣れない腹芸のせいか、切り替えが急なのは否めない

「『タダヒト派』では昔、『月を落とすスタンド使い』と戦った事があるとか」

『月を落とすスタンド使い』・・・・確かに恐るべき存在であるが、
赤月にとってはそれ程興味をそそられる話ではない
重要なのはここからだ

「その時に『エクリプス』・・・・と呼ばれるスタンド使い達と激しい戦いがあった、と
 ちょっとした興味なのだけど、例えばその時に活躍した『闘士』の話を少し聞かせてもらえないかな?
 私は・・・・そういう『武勇伝』を聞くのが趣味なんだ」

657『空を掴む手』:2022/06/09(木) 23:27:48
>>656(赤月)
>「あ、あー・・・・そういえば、『最中派』の連中に聞いた話なのだけど」

『情報収集』の必要性に思い当たり、『赤月』は取って付けたタイミングで話を切り出した。
『吉田』の視線は和らいでいる。彼にとっては『赤月』に『敵意』をチラ付かせられるよりも、
昔話の一つでも望まれる方がよっぽど安心できるのだろう。

>「『タダヒト派』では昔、『月を落とすスタンド使い』と戦った事があるとか」

    「いやー、あれは『タダヒト』さんがどうとかじゃなくて、
     この町の皆さんが協力してやり遂げたことですから」

    「私なんておっかなくて気絶してましたからね、ハハハッ」

『吉田』がやんわりと否定するが、『赤月』にとっては然程重要ではない。
彼女にとって必要な『情報』を得るために、『赤月』は言葉を重ねる。

>「その時に『エクリプス』・・・・と呼ばれるスタンド使い達と激しい戦いがあった、と
>ちょっとした興味なのだけど、例えばその時に活躍した『闘士』の話を少し聞かせてもらえないかな?

    「うーん、そうですね。……まあ、もう終わったような話ですから。
     『赤月』さんもアリーナに出入りするなら、気になりますよねー」

人の好さそうな笑顔を浮かべる『吉田』だが、彼もまた『アリーナ』の住人なのだろう。
傍にあるミニ冷蔵庫から二本の缶ジュースを取り、『赤月』の手元に置いた。

    「『愛欲のアダージョ』、『裏切りの太門』、『運び屋のチャオ』、
     『口笛のケンジ』、『脚切りのヨータ』、……ええと、後は誰だったかな……」

    「いずれも『スタンド』を悪事に用いた法では裁けない『スタンド犯罪者』。
     『落月』を止めるために町の『スタンド使い』が結集した隙を突いて、
     彼らは『計画』を実行した。――――それを止めたのが『タダヒト派』です」

その肩書から『悪行』を推察するのは難しいが、
何人もの『スタンド犯罪者』が集まって『計画』を実行した、と『吉田』は語る。

    「『B級ランカー』の『ニコン』さん、『クァンガン』さん、『レイチェル』さん、
     そして、『A級ランカー』の『タダヒト』さんと『キューコ』さん。
     ……そうですね。あの時の戦いは、まさに『20対5』の『大乱戦』だったと聞いています」

    「『愛欲のアダージョ』の『分身』を産み出すスタンド能力を前に、
     『一対一』の闘いに馴れた『ファイター』達は劣勢を強いられました。
     それでも尚、『タダヒト』さんの『観察眼』と『スパイロ・ジャイラ』の能力によって、
     『スタンド犯罪者』達を打破し、『星見町』には平和が戻ったと聞いています」

658赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 00:03:00
>>657

「『20対5』の戦い!? それは・・・・凄いな
 多人数の乱戦でいえば、私も多少の経験はあるが・・・・」

脳裏に浮かぶのは『真夏のクリスマス』で起きた乱戦だ
あの時は、こちらが『多勢』側であった
恐るべき『破壊力』を行使する『彼』を相手に、こちら側は数を頼みにして戦うしかなかった

「スタンド使いとはいえ人間である以上、数が多ければその分対処に『精神力』を使う
 にも関わらず、それだけの人数の相手と戦えるとは・・・・
『タダヒト』という男は本当に強靭な精神の持ち主と言うほかにないな・・・」

聞かされた『武勇伝』の内容に素直に感心する
相手の話を聞き出すための芝居・・・・ではない
純粋にこの手の話が好きなのだ

(いけない! 思わず流されてしまうところだった!
 しかし、『愛欲のアダージョ』に『口笛のケンジ』に・・・・)

そういえば、と心の中で独り言つ
そういえば、私は『エクリプス』の事すら何も知らないのだ、と

「『エクリプス』というのは本当に凶悪な連中だったと聞いている」

それこそ、『真夏のクリスマス』で戦った『彼』の言葉を借りれば
世界大戦を引き起こすきっかけとなったある政党に近い存在だとも

「そんな『スタンド犯罪者』の中に・・・・」

これから先の言葉を、口にしてしまう事を覚悟する
その言葉を口にする事は自身の中身に触れる事に等しいからだ
自分の中身が漏れてしまわないように腹に力を入れて続けていく

「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

後半部分は完全な捏造だ
だが、『兄』が弱いはずがないという確信が赤月にはあった

659『空を掴む手』:2022/06/10(金) 00:54:42
>>658(赤月)
>「『20対5』の戦い!? それは・・・・凄いな
>『タダヒト』という男は本当に強靭な精神の持ち主と言うほかにないな・・・」

    「勿論ですとも。アリーナの頂点とも呼べる『A級』にして、
     社会的に認知されないスタンド使いの闘技場が維持できるのは、
     『弁護士』である『タダヒト』さんの尽力あってのものです」

    「スタンドとは『精神』のパワー!
     『タダヒト』さんの『スパイロ・ジャイラ』も、
     あのバイタリティの通りの『力』があるんでしょうね」

ついつい身を乗り出す様に聞き入ってしまった『赤月』。
『吉田』の惚れこんだような話し方も加味するのであれば、
やはり『タダヒト』が中心人物であるのは間違いないようだ。

    ┌──────────────────────────────
    │彼等の小さな庭では『A級』と呼ばれるスタンド使い。
    │そうでなければ、君の『兄』を真正面から『殺害』することは出来ない。
    └──────────────────────────────

無論、『赤月』が聞きたいのが『武勇伝』でも『英雄譚』でもない。
この『アリーナ』に出入りする切っ掛け。その思いを反芻するように言葉を飲み込み、
飲み込んだ言葉を吐き出し、薄い腹筋に力を込めながら、

>「そんな『スタンド犯罪者』の中に・・・・」

    「……ん?」

>「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
>『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

ゆっくりと問い質した。
『吉田』は両目をパチリを開き、しばらくの沈黙を守った後、

   「……『傭兵』、……いや、それは初耳ですね。
    先程の『二つ名』を交えてはいますが、全員の『身元』は判明しています」

   「いずれも『犯罪者』ですが、私達と変わらない『生い立ち』でしたから。
    その、……『傭兵』というのは、うーん、いなかったかな……」

   「まあ、『最中派』の方々は、ちょっと特殊な人達みたいですからね。
    ――――うーん、何かの聞き違いじゃないかな、と思いますよ」

『吉田』の言葉も曖昧さを匂わせているが、しっかりと『否定』している。
『赤月―z」\』という『傭兵』はいなかった。あの『戦場』に存在しなかった。

――――『赤月ナカレ』が目的意識を遠ざける程に聞き入った『物語』の中に、
存在しなかったのだと、ハッキリと告げていた。

660赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 21:27:13
>>659

「そうか・・・・まあ、『最中派』で聞いた話はどれも信ぴょう性が怪しい話ばかりだったからな
 多分、どこかで話を盛られてしまったのだろう」

少し、肩を落とす
とはいえ、疑わしき人物の名前を得ることは出来た
兄を殺せる者など『A級』以外にありえない以上、当時の『A級ランカー』の情報は貴重だ

『タダヒト』に『キューコ』・・・・
あの当時、『A級ランカー』だったという二人の名前を固く心に刻み込む

「そうだ・・・・私がこれから戦うという対戦相手も『エクリプス』と戦ったメンバーの一人なのかな?
『エクリプス』と戦った英雄の一人だというのなら・・・・胸を借りるつもりで挑まなければならないが」

661『空を掴む手』:2022/06/10(金) 22:13:39
>>660(赤月)
当てが外れたことに対し、『赤月』は残念そうに肩を落とす。
その様子を見た『吉田』も深くは追求せず、同情するように眉を下げた。

>「そうだ・・・・私がこれから戦うという対戦相手も『エクリプス』と戦ったメンバーの一人なのかな?

    「いいえ、『菅谷』さんは普通の『ファイター』ですよ。
     『菅谷日向太』。23歳。市内の『運送会社』に勤めています」

    「しかし、彼はアリーナにて『B級』に挑み、
     惜しくも敗北した男です。ましてや『オープン・ハンド』は」

    「――――単純な戦闘において、
     『B級』にも匹敵する『ポテンシャル』を秘めています」

    「……と、少々喋り過ぎましたね。いけないいけない。
     受付を済みましたから、今日はこれくらいにしましょう」

うっかり口が滑ったのか、『吉田』は慌ただしそうに書類をクリアケースにしまう。

662赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 23:05:46
>>661

「『B級』に匹敵するレベルだって・・・・!?
 ・・・・・なるほど。相手にとって不足はないという事か」

『B級』という言葉に赤月は驚きの声をあげる
『最中派』の試合で遭遇した『あの男』ですら『C級』止まりだったのだ
『B級』ともなれば、それを超えるであろう事は間違いないだろう

「ああ・・・・・これ以上の話は『戦士』として、その、フェアじゃない」

「しかし・・・・楽しみだな。それだけの強敵と戦えるのか」

どくんどくん、と鼓動が早まる
強敵との戦いに心が沸いているからだ
この昂ぶりが『闘士』としての証だというのなら
赤月という少女は本来、何よりこの組織に近しい存在だったのかもしれない

        ・・・・・チリ

ほんの少し、心の奥底に残った『燻り』が浮かれた頭を冷ます

「いや・・・・・このくらいにしておこう
 予定は把握した。当日はよろしく頼む」

663『空を掴む手』:2022/06/10(金) 23:39:04
>>662(赤月)
> ・・・・・なるほど。相手にとって不足はないという事か」
>「しかし・・・・楽しみだな。それだけの強敵と戦えるのか」

『赤月』は驚きの声を上げ、それにも勝る鼓動の響きを感じる。
先程までの話が本当であれば、『タダヒト派』は直接戦闘に長けた一派。
『見世物』のような闘いとは異なる。純然たる『試合』になるやもしれない。

>「いや・・・・・このくらいにしておこう
> 予定は把握した。当日はよろしく頼む」

    「勿論です。『赤月』さん、どうか『ご武運』を」

     ――――ピシャッ

冷静さを取り戻した『赤月』は『ラクアクア』を後にする。
『赤月』が閉めた硝子扉越しに、『吉田』の見守るような表情が見えた。

    ・

    ・

    ・


>「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
>『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

    「……『傭兵』、ですか……」

『スタンド使い』の『傭兵』というのは、『アリーナ』においては珍しくない。
かつては『アリーナ』に助力していた『仲介人曳舟』の手によって、
スタンド絡みの『依頼』を受ける者が斡旋されていたからだ。

しかし、それは一時的な『雇用関係』であり、『専業』とするものは少ない。
――――スタンド使いは『人』である。『人』とは『社会』に根ざした生き物である。
『社会』から離れた『荒事』を生業とする者は限られている。腕っぷしの有無ではない。
『争い』に根ざした仕事とは『安心』と無縁だからだ。――――だから、きっと、

    「もしも、スタンド能力を用いた『傭兵』がいるのだとすれば……」

それはきっと、『社会』から爪弾きにされても怖くないと言い切れるほど、
『安心』できるものがあったのだろう。――――『信仰』か、それに匹敵する『愛』か。

    「――――どうだろう。『タダヒト』さんに、訊いてみますかね」

『吉田』はカウンターに置かれた固定電話の受話器を取り、短縮ダイヤルを押した。
しばらく経っても電話は繋がらない。――――『海外出張』か、と『吉田』は察した。

664『空を掴む手』:2022/06/11(土) 00:25:37
>>663(赤月)

    ・

    ・

    ・

そして当日となった。
『赤月』は『アリーナ』の入り口である『煉瓦倉庫』へと到着し、
入り口に立つ『黒服』は『赤月』の姿を認めると、重い鉄扉を引き開ける。

    ガララララララララララ ・ ・ ・

    「『赤月ナカレ』。健闘を祈る」

『赤月』は『黒服』に導かれるままに『地下』へと下り、
鉄階段を降りる最中、昨日に届いた『手紙』の内容を思い出す。
いくばくかの『生活費』と共に郵送された。『後見人』からの手紙だ。

------------------------------------------------------------

さて、君がかの奢り高ぶった『象牙の箱庭』に足を踏み入れ、
君に宿りし小さな『牙』を突き立てたと、私は『見た』。
まずはおめでとう。復讐の『毒牙』に闇の煌めきを覗く時、
私は常に安堵する。人とはやはり、『情』に動いてこそ本質となる。

まずは一つ。君の『兄』の遺体には『殺害』の痕跡は残っていなかった。
当然ながら、『スタンド能力』というのは『解除』されれば後には何も残らない。
――――しかし、不審な点が一つある。彼に付着した『金属粉』だ。

それが何を示すのかはまだ解らない。
まずは今日の『勝利』を願っている。君と『サクソン』に光あれ。

------------------------------------------------------------

665赤月『サクソン』:2022/06/11(土) 00:53:01
>>663-664

「・・・・・ありがとう。」

明らかに堅気の人間ではないであろう『黒服』に誘われ地下に進む
口数が少ないのは緊張のためか? それとも・・・・?

(タイミングが良すぎる・・・・。
 普段はこっちから連絡を取ろうとしても取れないくせに)

『アリーナ』に参戦する丁度その時に届けられた『後見人』の手紙
どう考えても、『監視』を受けているとしか思えないタイミングだ
『監視』という言葉に、以前敵対関係にあった『夜警』の存在を思い出す

(いや・・・・恐らく彼は違う)

名前も性別も知らない相手ではあるが、彼の目的は『弱者の守護』にある
『エクリプス』に所属していた『後見人』と協力関係を結べるとは思えない

(詮索は無意味か・・・・どうせ私にはわからない方法だ)

(それよりも考えるべきはこの『文面』・・・・・)

「『金属粉』だと・・・・・?」

重要な情報を今まで黙っていた『後見人』に不信感はある
だが、この情報は『容疑者』を絞り込むための重要なファクターとなりうる

(『金属粉』を使って、人を傷つける事なく殺すスタンド使い・・・・?
 今はまだ・・・それが何を意味するのかわからない・・・・だが!)

かつんかつん、と階段を降りる
地下へと続く闇の中に未だ光は見えない

(『アリーナ』を勝ち進み、『A級』の試合を見る機会があればわかるだろう
 『金属粉』のスタンド使いの正体が・・・・・)

光が見えずとも、その先へ進む
この道を進むと決めたのだ、立ち止まる理由はない
その先にいる・・・・戦うべき相手に見合うために

666『空を掴む手』:2022/06/13(月) 21:46:31
>>665(赤月)
『後見人』は差出人のない『手紙』でのみ連絡を取っている。
『金属粉』についても『赤月』にとっては初耳である。
勿論、『葬儀』の際に改めた『兄』の遺体には『傷一つ』なく、
検死をされても不審点が見当たらず、『突然死』として片付けられたのだ。

(※『兄』こと『赤月保』は傭兵という稼業から『海外出張』が多かったため、
   ウィルスなどの『感染症』も考慮され、『病院』での検死が行われた)

    ザッ   ザッ   ザッ

    ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
      早速だけど、『選手入場』だぁー!≫

観客席の壁面に埋まった『LEDパネル』には、
袖の余った白衣を纏う、紫髪のCGキャラクターが跳ねている。
会場に響き渡った『電子ボイス』も彼女のモノだろう。

        ブシュゥゥゥゥ―――z___

    ≪ただいま入場したのは『赤月ナカレ』選手!
      身長160cm! そして、驚きの新情報があります!≫

    ≪な、なんとッ! “あの”、あの『最中派』のアリーナを勝ち抜いた一人!
      これは実力どうこう以前にッ!  その胆力は見逃せませんッ!!≫

地面に埋め込まれた『スモークマシン』から白煙が立ち上り、
姿を現した『赤月』を語り飾ろうと、『CGキャラ』が実況を開始する。

     「汚らわしい名前を出してんじゃねぇーよ!」

     「俺達はマジのガチであそこの一派は認めてねぇんだよ!」

     「客層がちげぇーんだよ客層がッ! テメェも突き出すぞクソVtuber!」

『タブー』にでも触れたのか、観客達のブーイングが『CGキャラ』に襲い掛かる。
『CGキャラ』は無機質な笑顔のまま、罵倒を受け流す様に袖余りの右手を振っている。

    ≪あ、あははぁー。なんだかゴメンなさーい。
      さあ、お次の登場は『菅谷日向太』選手ゥー!≫

    ≪身長172cm! 先日は惜しくも『B級』への昇格叶わずでしたが、
      再起を賭けて再びの挑戦ですッ! さあ、入場してくださぁーい!≫

        ブシュゥゥゥゥ―――z___


【アリーナ俯瞰図】
∴∴∴∴■■□菅□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□回回回□□□□■∴│
∴■□□□□回回回□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□赤□■■∴∴∴∴│

柱:高さ『2m』ほどの『コンクリ柱』
棚:高さ『2m』ほどの『スチール棚』。
□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは『1x1m』。
■:『2m』の高さの壁。その上は『金網』が張られ、会場と観客席を隔てる。
∴:観客席。会場を見下ろす形となる。
回:高さ『4m』の位置にある『解説席』。透明板を鉄骨で『宙吊り』にしている。
  ※以降、MAP描写の際には省略します。

667赤月『サクソン』:2022/06/13(月) 22:28:47
>>666

    ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
      早速だけど、『選手入場』だぁー!≫

「―――――ッ」

耳の中に突然飛び込んできた甲高い声に頭の奥がキーンとする
前回もそうであったが、この手の騒がしい歓声にはいまだに慣れない

だが、闘技場に上がるや否や響いてきた観衆の声とその場の空気を感じ、
前回・・・・『最中派』の会場とは違う雰囲気が満ちている事に気づいた

(嫌な感じがあまりしない・・・・)

前回の試合会場で味わった粘り付くような強い『視線』
空気に触れるだけで肌がざわざわとする強い『嫌悪感』
何かを期待したような悍ましさを感じる程の『違和感』

罵声こそ響いているものの、以前のような悪性の感情が沸いてこない事に不思議な気分になる

「・・・・・・・・・ふっ」

口元に微かな笑みが浮かぶ
それは、陰惨な復讐者のものというよりもむしろ・・・・

「いや、気を引き締めなければならないな
 敵は・・・・・『B級』寸前の強者だというのだから!」

「君が『菅谷日向太』か!?」

闘技場に一歩足を踏み入れ、対面のゲートから現れた男に声をかける

668『空を掴む手』:2022/06/13(月) 23:10:50
>>667(赤月)
>(嫌な感じがあまりしない・・・・)


    「『赤月』ィィ――――、前のアリーナとは違ェぞォー!」

    「この『アリーナ』じゃあ、腕っぷしだけが全てだぜッ!」

    「ナメた試合してっとォ、テメェの赤毛を引き千切っぞォ!」

観客席からは野太い声による『野次』が飛び交い、
ビールを片手に大声を張り上げる観客達は、『赤月』を睨むように吠える。
熱された空気は『鉄火場』と呼ぶに等しい。生ぬるさなど感じられない。

        ブシュゥゥゥゥ―――z___

>「君が『菅谷日向太』か!?」

『赤月』の唇を彩る微笑は『期待』の表れか。
薄まった白煙から姿を現した人影は『ライダーズジャケット』を纏い、
太っちょの体躯を悠々と揺らしながら、細い一重瞼を『赤月』に向ける。

    「当たり前だっつうの! ――――そしてェ!」

    「『B級寸前』だぁ!? ちょっと足りねぇみたいに言いやがって!」

    「ドンピシャだろーと傷付くっつうの!  ――――そうだよなぁ!?」

『菅谷』は右腕を高々を突き上げ、その人差し指を『上空』へと向けた。
『ポリカーボネート』の板と『鉄骨』によって作られた、天空の『解説席』に座るのは、
薄手のストールを首に巻いた男だった。彼はパイプ椅子に腰掛け、長机に両肘を突く。

    「ハッハッハッ、あの時は惜しかったねッ! 『菅谷』君!
     鎬を削る接戦だったよ。いやぁ、ボクが相手だったらどうなってたか」

    「――――だからこそ、君が再び這い上がる時を楽しみにしているよ」

    ≪そう、『解説』はB級ファイターにして焼肉店『花郎』のオーナー!
      『キム・クァンガン』ですッ! かつては本国にて――――≫

    「そして、実況は『六連セカイ』!
     『格闘ゲーム界』では名の知れた『Vtuber』だそうだッ
     ボクは『KOF』ならちょっとカジったけど、ちっとも上手くならなくてね。
     君の動画をチェックしたら、少しはマシになるのかな?」

    「テメェーのゲームの腕前はどーでもいいから、
     さっさとゴングを鳴らせっつうの!」

『セカイ』の実況を遮るように『クァンガン』が彼女の紹介をし、
長い前置きに業を煮やした『菅谷』が『クァンガン』に喰って掛かる。
そして、スモークが晴れつつある中、『赤月』はスチール棚の並びが解る。

    ズラァァァァァ――――

『スパナ』、『電動ドリル』、『差し金』、『ハンマー』。
四段の棚板には片手で持てる程度の『工具』が並んでいる。
これが用意された『道具』ということだろう。

669赤月『サクソン』:2022/06/13(月) 23:56:10
>>668

>「『赤月』ィィ――――、前のアリーナとは違ェぞォー!」
>「この『アリーナ』じゃあ、腕っぷしだけが全てだぜッ!」
>「ナメた試合してっとォ、テメェの赤毛を引き千切っぞォ!」

「やれるものならやってみるといい!
『戦士』として命を落とす・・・・あ、いや、ボコボコにされる覚悟があるのならな!」

周囲の『野次』に対して、挑発で返す
流石に命のやりとりを示唆する言葉は不味いと思ったのか、
少しマイルドに言い直したわけであるが

そして、白煙の向こう側、『ライダーズジャケット』の男に視線を向ける
体格はやや大きい、動きを見る限り動作は鈍重そうだ
だが・・・・自分自身にも言えることだが、スタンド使い同士の戦いに体格はそれ程関係はない

(解説席とのこの会話・・・・あそこにいるのは『B級ファイター』か?)

頭上に君臨する『B級ファイター』と、『B級』間近で足踏みをする『ファイター』
彼らの間にある、一種の内輪ネタのような会話の応酬に、むっと口が引き締まる

「君の格が『B級寸前』だろうと『ギリギリ』だろうと関係はない!
 君には私と戦い、そして再び地に落ちてもらう!」

「『B級』スレスレに手が掛かって粋がっている所悪いけど・・・・
 こればかりは君に譲るわけにはいかないな!」

「何故なら・・・・先に上に上がるのは私の方だからだ!」

言いたい事は言い切ったとばかりに、満足した顔で前方を見る
棚の中には『工具』・・・・・どれも『暗器』とするには有用だ
罠を仕掛ける余裕もあるだろう

670『空を掴む手』:2022/06/14(火) 21:57:19
>>669(赤月)
>「やれるものならやってみるといい!
>『戦士』として命を落とす・・・・あ、いや、ボコボコにされる覚悟があるのならな!」

    ヒュゥ―――♪

                  「やってみろやぁ!」

『赤月』の挑発に呼応し、口笛や声援が響き渡る。
粗雑で荒々しくも『体温』の籠ったコミュニケーションだ。
そしてそれは、対戦相手である『菅谷』の目線からも感じ取れる。

>(解説席とのこの会話・・・・あそこにいるのは『B級ファイター』か?)

   ┌──────────────────────
   │ 「『B級ランカー』の『ニコン』さん、『クァンガン』さん
   └──────────────────────

『赤月』は『ラクアクア』で交わした『吉田』との会話を思い出した。
『キム・クァンガン』。彼もまた『B級ファイター』にして、

   ┌─────────────────────────────
   |あの時の戦いは、まさに『20対5』の『大乱戦』だったと聞いています」
   └─────────────────────────────

『赤月保』を倒した『A級ランカー』と共に、最後の闘いに挑んだスタンド使い。
――――彼であれば、『兄』の行く末を知っているのではないか。

> 君には私と戦い、そして再び地に落ちてもらう!」
>「何故なら・・・・先に上に上がるのは私の方だからだ!」

    「上、等」  「――――だっつうの!」

    ≪さあ、もう言葉は要りませんッ!  ――――試合、開始ッ!≫

『セカイ』が右腕を振り下ろし、ディスプレイに『Now on Fight』の文字が踊る。
『菅谷』は右腕を真横に伸ばし、――――『赤月』に予感が走る。

    「『オープン・ハンド』ォ!」

あの『右腕』は、ヤバい。
『右胸部』から『右腕』、『右手首』に覆い重なるように、
『菅谷』の腕よりも一回り大きく、『オープン・ハンド』の右腕が重なる。

――――あの『右腕』は、ヤバい。

671赤月『サクソン』:2022/06/14(火) 22:56:22
>>670

(そういえば・・・・彼の名前、どこかで聞き覚えが・・・・)

赤月に韓国人の知人は少なく、『クァンガン』という名の知り合いはいない
さてはテレビの中の有名人か何かか、と思ったが・・・・・

「・・・・・違う。
『クァンガン』・・・・あの時、松太郎との話に出てきた」

――――『20対5』の乱戦を勝ち抜いたスタンド使い。
『キム・クァンガン』とはその時に出てきた『B級ファイター』の名前だ

「それってつまり・・・・
              「上、等」  「――――だっつうの!」

    ≪さあ、もう言葉は要りませんッ!  ――――試合、開始ッ!≫


「あっ! くっ!」

『クァンガン』という男への考察に気もそぞろになっている間に
無情にも試合開始のゴングが鳴らされる

(こうなったら・・・・・『試合終了』の後にでも・・・・)

「・・・・・・・・!?」

背筋に冷たいものが走る!
『菅谷』が振るうあの・・・・『異形の右手』!

(あれはマズい!!)

危機的状況に対して頭の中のスイッチを切り替える
『菅谷』との戦いに・・・・よそ見をするような隙も、他の事を考える間もない!
全力でいかなければやられてしまう・・・・・ッ!!

「『サクソン』ッ!!」

闘技場に一歩踏み出し、こちらも負けじとスタンドを出現させる
『トレンチコート』は自身の身に纏う様に発現し、『サクソン』自身は己の傍に立たせる
そして、自身の身を『トレンチコート』で包むことで、所持品を覆い隠し、以下の『暗器化』を施す
『ボールペン1本→袖箭』『リボンタイ→縄鏢(ジョウヒョウ)』『財布の中の100円玉→羅漢銭』

そのまま、財布の中の『100円玉』を取り出し、『サクソン』の力で菅谷に向かって投げつけようとする!
『100円』という貨幣は相手に対して『支払う』事で使用されるものだ
ならば、この『100円』は菅谷に当たる(=菅谷が受け取る)直前に『暗器化』が発動する

ただの『100円玉』と甘く見て受け止めようとすれば、
急激な重量変化と辺縁の鋭利化によって菅谷の肉体は傷つくはず!

672『空を掴む手』:2022/06/14(火) 23:22:23
>>671(赤月)
>(あれはマズい!!)

『赤月』は『サクソン』を発現し、同時に己が身に『トレンチコート』を纏う。
『サクソン』との対格差によって袖裾がダボつくが、動きに支障はない。

    ≪『オープン・ハンド』、『サクソン』が共に発現!≫

    ≪それにしてもあの『右腕』、只者ではないと見受けられますが――――≫

『菅谷』の『右腕』から醸し出される威圧感とは対照的に、
『赤月』は纏った『トレンチコート』の裏側で『暗器化』を施した。
『ボールペン』を『袖箭』に、『リボンタイ』を『縄標』、『財布』の『百円玉』を『羅漢銭』に変える。

この変化は『一瞬』だが、実際に『暗器』を行使するには『動作』を有する。
取り出した『財布』から『百円玉』を取り出し、投擲するまでの『タイムラグ』の間、
西方向へと走る『菅谷』目掛けて、『サクソン』は『投げ銭』を放つ。

     ピシュッ!
                  ――――チャリンッ

目立たない『暗器』であっても『投擲』という動作自体は視認できる。
更に『10m』ほどの中距離ともあれば、『投げ銭』は簡単に避けられてしまう。

     「『投げ銭』だったら、そこの『Vtuber』にやれっつうの!」

     ≪『サクソン』の『投げ銭』、呆気なく外れましたー!
       さあ、『菅谷』選手は『棚』へと向かい、えぇー!?≫

     ≪その逞しい『右腕』を持って尚、『武器』がいるのでしょうかー!?≫

『菅谷』は『右腕』を真横に突き出しながら、北西の『棚』へと駆ける。
――――『投擲』そのものは失敗したが、『赤月』は一つの気付きを得た。

『硬貨』を『支払う』という『使用用途』を満たしていない以上、『羅漢銭』にはなり得ない。
『硬貨』に対して単純な『投擲』だけで『使用用途』と呼ぶのは、やや苦しかったか――――
今の『サクソン』は百円玉を投げただけだ。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□菅□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□赤□■■∴∴∴∴│

673赤月『サクソン』:2022/06/14(火) 23:42:34
>>672

「いけない・・・・今日の私は少々冷静さを欠いている」

元々、牽制のための一撃ではあったが、これでは牽制にすらなっていない
『100円玉』が落下した位置を記憶してこちらも棚(MAP右下)へと向かう

「『Vtuber』というのか、彼女は!
 それを知らなかったな・・・・もっとも、お金を投げる相手は君で間違いはない」

狙いは棚に置かれた『電動ドリル』だ
この物体を手に取り、『トレンチコート』の中で『暗器化』し『縄標』を仕込もうとする

「この国には『六文銭』という風習があるのだろう?」

(それにしても妙だな・・・・
 あの『右腕』、見るからに『直接戦闘』が得意だとでもいいたげなヴィジョンなのに
『道具』を取りに行くだと・・・・?)

何かあるな、と思いながら彼の動きを見つめる

674『空を掴む手』:2022/06/15(水) 00:32:38
>>673(赤月)

    ダダダダッ

『赤月』はスチール棚へと駆け寄り、『電動ドリル』へ手を伸ばす。
トレンチコートの内側に引っ掛けられた『電動ドリル』に『縄標』を仕込む。

※『手工具』の範囲であれば、道具は『言い切り』で揃っているモノとします。
  『メール欄』での取得及び『暗器化』についても可能です。

>(それにしても妙だな・・・・
> あの『右腕』、見るからに『直接戦闘』が得意だとでもいいたげなヴィジョンなのに
>『道具』を取りに行くだと・・・・?)

『菅谷』の姿を確認しようとするが、棚と柱に隠れてしまい、
その姿を見ることは出来ない。……唯一の例外は突き出された『右腕』だ。
スチール棚の影から、『くの字』に曲げているのか『肘頭』が見えている。

    ≪さあ、両者が『工具』を手に取ったかァ――――!?≫

    「おいおい、一向に攻めて来ねェな!」

    「『DIY』の要領でテメェーらのドタマぶち割っぞ!」

試合が進まない中、痺れを切らした観客達の罵声が飛び交う。


∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□菅棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚赤□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

675赤月『サクソン』:2022/06/15(水) 21:56:51
>>674

(さて・・・・私が施した『暗器化』はこれで『4個』
 だが、もう一つ・・・・『これ』も使いたいところだが・・・・)

(そうなると『羅漢銭』はもはや不要か)

『100円玉』の『暗器化』を解除する
これで『暗器化』を施した道具は『ボールペン』『タイ』『ドリル』の3つだ

「これでいい」

そう言いながら、棚にあった『物』を一つ手に取り、『暗器化』を施す

「行くぞ!」

『電動ドリル』を傍に立つ『サクソン』に持たせて、追従状態にする
そして、反時計回りに回り込むようにしてMAP右上の柱へと駆けていく

676『空を掴む手』:2022/06/15(水) 22:53:52
>>675(赤月)


     ダダダッ


『赤月』は『電動ドリル』を手にした『サクソン』と共に、
北東にある『柱』目掛けて駆けていく。
『スチール棚』越しに『菅谷』の姿が垣間見える。

     「そろそろ、溜まって来たぜ……」

『菅谷』は左手にステンレス製の『ノギス』を手に持ち、
柱の影から姿を現した。そして、その『右手』は――――

    ≪す、『菅谷』選手、あ、あれは――――≫

    「おいおい、なんだよアレ!?」

    「お前、所見かよ。『菅谷』の『オープン・ハンド』」

    「で、」

    「デケぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜ッッ!!」


    ズ ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ―――


『菅谷』の『右腕』を核として発現した『オープン・ハンド』は
人間の『胴体』をそのまま移植したかのような『巨腕』となり、
それを『赤月』へと突き出すように振るう。

    「オメェーが何をしてたかは知らねぇが、
     俺の『オープン・ハンド』が全部、握り潰すっつうの!」

   ヒュゥゥゥゥゥ――――

            ――――ダダダッ

『赤月』の背後から『微風』が吹き込む。
密閉された『アリーナ』において、『隙間風』の入る余地はないはずだ。
巨腕を突き出しながら、『菅谷』は真正面から『赤月』へと向かって来る。

    ≪きょ、巨大とは言え、『スタンド』のパワーに、
      『大きさ』なんて関係ないですよね? 筋肉じゃあるまいし!≫

    「どうかな。ヴィジョンの大きさに差が生じにくいとはいえ、
     意味もなく『巨大化』するわけがないよね。……それに」

恐る恐る問い掛ける『セカイ』に対し、『クァンガン』が平然と言葉を返す。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□菅□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚手□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□赤□□■∴│
∴■□□□□□□□□□| □■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚| □■∴│
∴■□□□棚□□□棚/□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

677赤月『サクソン』:2022/06/15(水) 23:32:30
>>676

「なん・・・・・だと・・・・・・?」

スチール棚越しに垣間見た菅谷の姿に、赤月は己の失策を知る
やはり・・・・先ほど感じた嫌な予感は当たりだったようだ
菅谷は何らかの方法でスタンドエネルギーをチャージしていたのだろう

(『風』・・・・・・?)

不意に、赤月は背後から緩やかに吹く『微風』に気が付いた
この会場に『隙間風』が差し込む余地はない・・・・ならば、この風は敵の能力の予兆か!?

(まずは近づいて確かめるしかない!)

柱を反時計回りに回るようにして、会場の北側を通るように菅谷に近づく
そして、菅谷の体を『縄標』の射程距離に収めたところで・・・・・

   ―――――『ギュルルルルルッ!』

『サクソン』が握りしめた『電動ドリル』を起動!
それにより『暗器化』の条件を発動させる!

『ドリル』を回転させながら、錐体と握り手の間の部分を『縄標』の『縄部分』に変化させる
それにより、『ドリル』部分を回転させた状態で、菅谷に向けて一直線に投げつけ、投擲攻撃を行う

678『空を掴む手』:2022/06/17(金) 22:00:32
>>677(赤月)

>   ―――――『ギュルルルルルッ!』

『赤月』は棚の影に隠れるように接近し、
その最中に『電動ドリル』を回転させ、『暗器』を発現する。

    ≪あれは、『赤月』選手の『ドリル』が――――≫

        バシュッ!

             シルルルルルルルッッ!!

    「させるかよォォ!!」

『サクソン』の手元を離れ、投擲された『電動ドリル』目掛け、
『菅谷』は『オープン・ハンド』を纏った『右腕』を振るう。

    「この距離はもう、『オープン・ハンド』の間合いだっつうの!」

『サクソン』を上回るスピードで弧を描いた『右腕』は、
纏った『オープン・ハンド』ごと『電動ドリル』に触れて、

     シパッ

    ≪き、消えたァァ――――!?≫

『オープン・ハンド』が触れた瞬間、『ドリル』は姿を消す。
――――いや、違う。『菅谷』の背後で『ドリル』は旋回している。
            . . . . .
一瞬で『菅谷』をすり抜けた『ドリル』。
そして、『2〜3m』の距離がある最中、『赤月』の横っ面に、

          バグゥ!!

    ≪そして、『赤月』選手、被弾かァ!?
      『ドリル』と同じように、『菅谷』選手は何を飛ばした!?≫

まるで見えない『手』に殴られたような、完全なる『不意打ち』。
よろめいた『赤月』はアリーナの壁面を支えにする。
不可思議な攻撃。無為の行動、……そうではない。

      ドヒュルルルルルゥゥゥ――――

               ガスゥ!!

    「う、ぐォォォッッ!!」

『菅谷』のライダーズジャケットごと、『ドリル』の錐先が『背中』を抉る。
『赤月』が投げたのは唯の『ドリル』ではない。その『回転力』を『縄』に保持させた『縄標』。
伸びた縄をくねらせたまま『ドリル』は『菅谷』の後方へと飛び続けている。

    ≪唯の『ドリル』じゃあありません!
      『赤月』選手、『縄』を仕込んだ『ドリル』です!≫

    うおおおぉぉぉぉぉ―――――

両者の『ファーストヒット』に対し、観客達が歓声を響かせる。
そして、『菅谷』の『オープン・ハンド』は先程よりも萎んでいる。
人の胴体ほどもあったはずが、今は『一回り』は太い、というほどだ。

    「それでお前は、『武器』を用意したってわけかよ!
     『赤月』ィ、――――今ので見えたっつうの!」

    「お前の『弱点』がなァ――――!!」

    ヒュォォォォ――――

『菅谷』の咆哮は負け惜しみか、それとも確信か。
――――再び、『風』が吹き始める。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□←ド 菅□□赤□■∴∴│
∴■□□□棚□手□棚□\□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚/□■∴│
∴■□□□□□□□□/□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

679赤月『サクソン』:2022/06/17(金) 22:36:25
>>678

「(すり抜け・・・・? いや、これは・・・・!?)」

  「ぐっ!」

不可知の『何か』に殴られる、見えない『不意打ち』
頬から血を流しながら、よろめき、壁を支えに倒れるのを防ぐ

(『風』・・・・・萎む『オープン・ハンド』・・・・
 『空気』か・・・・? 『空気』が何か関係を・・・・?)

目の前で起きている『現象』を繋げていくつかの仮説を立てる
だが、それらを立証するにはまだ論拠が足らない

(もっとも・・・・・・)

     (私の攻撃はまだ終わっていないのだが!)

『サクソン』が握る持ち手に僅かな指捌きを加える
そして・・・・『ドリル』を投擲した時点で予定していた動きを、人形遣いのような指運で伝える!
その動きは『ドリルに縄を絡ませて後ろに戻すこと(>>677メール欄)』
投擲した『ドリル』を180度反転し、撓んだ縄をドリルの回転で巻き取る事で菅谷の背後からの攻撃を狙うものだ!

同時に、本体はさらに前進・・・・・菅谷との距離を詰める

(敵は中距離戦闘が得意なタイプと見た!
 恐れてばかりでは勝ちを拾うことは出来ない)

680『空を掴む手』:2022/06/17(金) 22:50:05
>>679(赤月)
>(『風』・・・・・萎む『オープン・ハンド』・・・・
> 『空気』か・・・・? 『空気』が何か関係を・・・・?)

僅かに吹き込む『風』から事態を推察しながらも、
壁を背にして身体を支える『赤月』は『サクソン』を動かし、
その優れた指捌きによって、ドリルの『握り手』を

┌─────────────────────────
│『オープン・ハンド』が触れた瞬間、『ドリル』は姿を消す。
└─────────────────────────

┌─────────────────────────
│      . . .
│『赤月』が投げたのは唯の『ドリル』ではない。
└─────────────────────────

『ドリル』は既に『サクソン』の手を離れている。
――――だが、これは『赤月』の失策でもなんでもない。
投げるつもりのなかった『ドリル』が、勝手に手からすっぽ抜けた。

……いや、違う。手から『離された』のだ。
いずれにせよ気付いたのは一瞬。行動はまだ『修正』できる。

681赤月『サクソン』:2022/06/18(土) 00:00:58
>>679

(なっ・・・・ いけない!)

『アリーナ』にいる事による『憎悪』からか
それとも、『戦闘』に関わる『高揚感』からか
『ドリル』が手から離れていた事にも気づかない己の迂闊さを呪う

(いや・・・・だとしても『進む』!)

『風』の流れから、菅谷が再び『オープン・ハンド』の巨大化を狙っていると見て間違いはないだろう
ならば、ここで退いてしまっては彼にリチャージの機会を与えてしまう事になる

         シュルルル・・・・・

制服の『リボンタイ』を片手で解く
『着脱』という動作をトリガーにして『暗器化』を発動
前進し、菅谷との距離を詰めながら、『縄標』に変化させた『タイ』の『金票(ヒョウ)』の部分を投げて攻撃する

(だが・・・・・!)

『縄標』による攻撃は囮だ
既に、相手には『縄標』による攻撃は一度見せている
『B級(相当)ファイター』ともなれば二番煎じの攻撃など軽くいなされて終わりだろう

(本命はこちら!)

『縄標』の操作もそこそこに、口の中・・・『ある物』を舌で動かす
口中に放り込んだもの、それは『暗器化』を施した『釘』である(>>675メール欄)
先行させた『縄標』に相手が対処する瞬間、口腔内を『釘』で刺す(釘の使用)事で『暗器化』を発動

それは『袖箭』の発射機構を再現し、口腔内から射出・・・・『含み針』のように菅谷を襲う
狙いは菅谷の顔・・・・致命打にはならなくても、不意を打たれれば注意を削ぐ事が出来る部位だ

682『空を掴む手』:2022/06/21(火) 21:04:45
>>681(赤月)

    シュルッ

          ヒュカッ!!

『赤月』は『1.5m』ほどのリボンタイを解き、『縄標』へと変じさせ、
その切っ先を『菅谷』目掛けて放るも、右腕の『オープン・ハンド』が唸る。

    バシィッ!!
               ――――ガスッ!

『オープン・ハンド』のパワー、スピードのどちらも『サクソン』を上回る。
だが、『赤月』は敢えて『弾かせた』のだ。本命は咥内の『釘』による『含み針』。
『暗器』の王道。……だが、『刺す』という行為に対し、『口』での射出は『パワー不足』だ。

結果として、『釘』は『暗器』とならず、口から零れるに過ぎな……

       バスッ!

    「ぐ、おおぉ!!」

いや、『釘』は『2m』も先にいる『菅谷』の額に命中し、ひっかき傷を作る。
――――おかしい。『菅谷』へと吹く『風』に乗った、では済まされない。
この『アリーナ』の中で何かが起こっている。

    「そのスタンドを使って、――――何度目だぁ!?
     寄せ集めた武器だけじゃあ、俺は倒せねぇっつうの!」
                                . . . .
    ≪す、素晴らしいです! 両者、目にも止まらぬ攻防!
      しかし、『菅谷』選手! この場で足を止めて――――≫

    「クッソー、ヤジる『ヒマ』すら与えてくれねェ!」

    「口も挟めねぇじゃねぇか!」

――――『サクソン』の徒手空拳は『常人』に毛の生えた程度だ。
『暗器』による『暗殺』こそが『真価』であるが故、なのだが……。
この『実況者』は、『観客』は、何を言っている……?

    「十分に吸い取ったぜ、『オープン・ハンド』ォ!」

    「お前は所詮、釈迦の掌の『孫悟空』だっつうの!」

『2m』の距離のまま、『菅谷』は『オープン・ハンド』で殴りかかる。
腕の長さは十分ではない。このままでも『届く』という『確信』がある。
――――この『右腕』は、ヤバい。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□ド□ 菅手□赤□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□\□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚/□■∴│
∴■□□□□□□□□/□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

683赤月『サクソン』:2022/06/21(火) 22:02:37
>>682

「ふっ! 『口は禍の元』という言葉があるらしいけど・・・・
 どうやら、『口』での口撃(こうげき)は私の方が勝っていたらしいな!」

自身の攻撃が予想外の結果を招いている事に困惑する内心を隠すように
相手を挑発する言動をとる

(どういう事だ・・・・?
 私は、彼の能力が『空気を集める風船』のような能力だと思っていた、が・・・・)

観客席から浴びせられる歓声は、明らかに何らかの齟齬を生じている
 ・・・・・・・
『あり得ない攻防』・・・・。
彼らが認識している『速さ』と、自覚した『速さ』の齟齬

(『速さ』・・・? いや、『速さ』とは『距離』を『時間』で割ったもの
 『時間』を操った・・・・・? いや、可能性は低い・・・・ならば!)

(『距離』かッ!?)

『そんごくう』というお話は、昔絵本で読んだことがある
山も海もひとっ飛びに飛び越える『そんごくう』は、
而してお釈迦様の小さな掌すら飛び出すことすら出来なかったという

(まさか、彼が先ほどから吸い取っていたのは・・・・『距離』なのか!?)

今はまだ、仮説にすぎない
だが、無数の仮説の絞り込みと、それらの立証はこと『スタンド戦』においては基本だ

「・・・・・どうやら、既に君はお釈迦様気分のようだけど
 聞かせてくれないか? 『B級ファイター』に上る事も出来ず、
 こんな所に転落してしまった君風情が、どうしてそうも偉そうなのかを」

「・・・・・西遊記に出てくるなら、『猪八戒』がお似合いだよ。君は」

そう言いながら、赤月は『オープン・ハンド』の威圧感に負けず・・・・むしろ『前』に出る!
いや・・・・出るのは『前方下』・・・・スライディングのように地面を滑って移動する構えだ

(おそらく・・・・『オープン・ハンド』は一瞬で瞬間移動をしてくるはずだ
 だが・・・・目の前の空間の、『距離』が消えているのであれば、
 『私』も!前方に瞬間移動が出来るはず!)

狙いは彼の能力を利用して、前方・・・彼の近くに瞬間移動する事
仮説が正しいのであれば、目の前の『何らかの空間』に触れた瞬間に彼の足元に移動できるはず
その瞬間に・・・・・

(最後の『暗器』だ!!)

>>671で用意した最後の『暗器』、ボールペンを変化させた『袖箭』を構えて
彼の身体に狙いをつけるのが狙いだ!

684『空を掴む手』:2022/06/21(火) 23:06:12
>>683(赤月)
巨大化する『右腕』、『菅谷』へと吹き込む『風』。
これらの現象から『赤月』は『オープン・ハンド』の能力について、
『空気』を吸い込む『右腕』だと推測していた。

だが、その能力では説明できない『現象』が起こっている。

┌───────────────────────────
|――――いや、違う。『菅谷』の背後で『ドリル』は旋回している。
|            . . . . .
|一瞬で『菅谷』をすり抜けた『ドリル』。
└───────────────────────────

>(まさか、彼が先ほどから吸い取っていたのは・・・・『距離』なのか!?)

『赤月』は前へ出る。『ヤバい』と予感する『右腕』の存在感。
敢えて前に出る。己が自ら組み立てた『予想』は、『予感』を上回る確信を持つ。

> 聞かせてくれないか? 『B級ファイター』に上る事も出来ず、
> こんな所に転落してしまった君風情が、どうしてそうも偉そうなのかを」

    「何故かって!?  既に言ってるじゃあねぇーか!」

    ズザザザァァ!!

>「・・・・・西遊記に出てくるなら、『猪八戒』がお似合いだよ。君は」

    「お前を握り潰せるだけの、『空間』を吸ったからなぁ!」

『赤月』の組み立てた仮説は『半分』は正しかった。
『赤月』は常人とは思えぬ『スピード』で『菅谷』の足下に滑り込む。

自転車を漕ぐ時のような、『風』を破る感覚はない。
まるでYoutubeの『二倍速再生』のような、実感を伴わぬ『高速化』。
そして、『オープン・ハンド』の右腕がしなり、

     ド  パオオオオ ンン!!

『オープン・ハンド』が破砕し、『空間』が爆ぜる。
その余波によって『赤月』は転がるように吹き飛んでいき、
全身を地面に打ち付けながら『柱』へと激突する。

    「俺の『オープン・ハンド』は、周囲の『空間』を『掌握』するっつうの!
     『希薄化』した『空間』じゃあ、手投げのボールも『160km』のストレート!」

    「そしてェ、『空間』そのものの『右腕』を今みたいに振るえばァ!
     どぉぉ〜〜〜〜よぉぉ〜〜〜〜??  ブルった威力だろーがァ!」

   ブシュシュッ    ブシュゥゥゥゥ―――

意気揚々と雄叫びを上げる『菅谷』だが、その右腕は『亀裂』が走り、
生身の右腕からも夥しい『裂傷』と共に『流血』が滴っている。

    ≪『菅谷』選手、自分からスタンド能力を喋っています!
      一体、何の目的なのでしょうか!?≫

    「吹っ飛ばしたくらいで勝ち誇ってんじゃあねぇーぞ!」

    「やっぱり猪八戒がお似合いじゃあねェーか!」

    「――――やはり、彼にとっては物足りなかったようだね」

解説席の『クァンガン』は何かに気付いたかのように微笑むも、
実況の『セカイ』は困惑し、観客からのブーイングが止まらない。
地面に倒れ伏した『赤月』。――――まだ『袖箭』は発射されていない。

吹っ飛んだ勢いとは裏腹に、ぶつけた背中以外のダメージも乏しい。
大きく距離を離す程の『威力』はなく、『空間』の希薄化による『高速移動』の影響か。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□ド□ 菅□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□赤□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

685赤月『サクソン』:2022/06/21(火) 23:55:45
>>684

やった!と、そう思った
予想通り自身の身は瞬間移動を果たし、菅谷に向けて攻撃を・・・・・

「・・・・・・・・・・・ッ!?」

     ド  パオオオオ ンン!!

「くッ! アアァァァァッ!」

・・・・・・甘かった。
赤月の予想通り、菅谷の能力は『空間(距離)を吸う』ものであった
しかし、赤月にとっては予想外な事に、彼はまた『吸った空間を破裂する』能力も持っていたのだ

「く、空間の『掌握』とその『解放』・・・・それが君の能力だったか」

勢いよく吹っ飛ばされはしたものの、自身のダメージは意外と乏しい
不意打ちで背中を強打した事で一瞬息が詰まる感じがしたが、呼吸を整えればなんともない
むしろ、菅谷の方こそが『大ダメージ』を負っているように見える
あの『腕』の傷、先ほどの攻撃は破れかぶれの一撃だったというわけか・・・・?

(いいや、違うッ!)

そう、彼の目は追い詰められて破れかぶれの一撃に出た窮鼠の目ではない
          ・・
勝利を掴まんとする『獅子』の目だッ!
何故、あれだけの負傷を負いながらそんな目でこちらを見る事が出来るのか!?

「・・・・・先ほどの妄言は訂正しよう
 君は、『B級』に上がれずに腐っているような軟な人間ではないようだ
 その気迫・・・・・狙っているんだろう。再びの返り咲きを」

物語において『猪八戒』は、天から落とされて豚に生まれ変わった後、
三蔵法師を支えて天竺に至った功が認められ、再び天に昇る事が出来たという
あるいは、この男も・・・・

「だからこそ、私は決して侮らない!」

その場で立ち上がりながら、懐から『財布』を取り出し、
『サクソン』の手で中の小銭をむずっと掴み取る

「この状況で君が勝ち誇る理由・・・・
 仕掛けてあるのだろう!? 既に! 『罠』を!!」

    ジャララララッ!!

そのまま周囲360度に向けて小銭をばら撒く!
菅谷は既に、この会場内に『希薄空間』を設置している可能性がある
『希薄空間』に触れた物は高速移動する・・・・
小銭をばら撒く事で、周囲にある『希薄空間』の存在を感知する事が狙いだ!

686『空を掴む手』:2022/06/22(水) 00:28:37
>>685(赤月)
ド派手さとは裏腹に『赤月』のダメージは軽微であり、
逆に右腕から血を流す『菅谷』の負傷の方が甚大に見える。
唯のハッタリか。それとも何かの『策』があってか、

>「・・・・・先ほどの妄言は訂正しよう
>その気迫・・・・・狙っているんだろう。再びの返り咲きを」

    「勿論だっつうの! そしてェ、俺はそれ以上に!」

>「この状況で君が勝ち誇る理由・・・・
> 仕掛けてあるのだろう!? 既に! 『罠』を!!」

    「『罠』以上にッ! 俺は、『ヤジ』が好きなんだよォ!
     浴びるのも浴びせるのも! 観客共、俺の『能力』は全部喋ったぁ!」

    「『ネタバレ』なんて気にしてんじゃねぇー! ガンガンディスれやオラァ!」

    ジャララララッ!!

『赤月』が『サクソン』によって『小銭』をバラ撒くと、
『菅谷』に近付いた『小銭』が明らかな『高速移動』を起こす。
これにより、おおよその『希薄化』した空間の位置は把握できた。

    ワアアアアアアァァァァァ――――

    「要らねぇ配慮してねぇでさっさとガキ倒せやボケ!」

    「そのツラで空間操ってんじゃあねぇぞ!」

    「テメェーの置き配、雑なんだよ!」

    ≪し、試合と関係ない罵倒はやめてくださぁーい!
      い、いやでも、試合とかじゃなくても悪口はダメですー!≫

そして、バラ撒いた『小銭』は『菅谷』には命中しなかった。
何故なら、彼は既に地面を蹴り、

       ドヒュォォォォォ――――!!!

    ≪『菅谷』選手、飛びました!
      『猪八戒』じゃない、『紅の豚』です!≫

一蹴りで『2m』は上空に飛ぶ。その間にも『オープン・ハンド』は肥大化を続ける。
『手出し』の出来ない『空中』で『空間』を溜め続ければ、……先程の威力では済まない。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□◇◇◇□□■∴∴∴│◇……『希薄化』した空間。
∴∴■□□◇菅◇◇◇□□■∴∴│     小銭の高速移動によって推察できた。
∴■□□□棚◇◇◇棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□赤□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

687赤月『サクソン』:2022/06/22(水) 17:54:51
>>686

「そうか!やはり『罠』を仕掛けていたから強気な態度に・・・・・え?」

衝撃の発言に驚きよりも先に困惑が来た
『ヤジ』が好きだから『能力』を公開した・・・・?
対戦相手にブラフを噛ませる事もなく? ただ、戦いを盛り上げるために?

「ふ、ふふふ・・・ははははは・・・・」

無性に笑いが込み上げてきた
何の仕込みも企みもなく、ただ『ヤジ』を飛ばすために能力を公開する・・・・
その馬鹿らしさに、心の底から大笑いをする

「あっはっはっは! なんだ、それ!意味がわからない!」

ーーーー楽しい、とそう思った。
『敵地』である。背中に痛みもある。敵に追い詰められてもいる。
それでもなお・・・・赤月は今、晴れ晴れとした気分で戦っていた


           ・・・・チクリ

胸の奥で、何かが囁く
お前の本分を忘れるな、と

「・・・・・だけど、逃がしはしない
 君の能力が『空間』を操るとしても、それは限定的なものだ!」

菅谷が『希薄空間』を利用して飛び上がる
だが、『希薄空間』を利用できるのは菅谷だけではなく、
解除には『解放』が伴うことは先ほど証明された事実だ

    ダッ!!

右手で『ボールペン』を左手で『100円玉』を握りしめ、赤月は駆け出す
目指すべき場所は先ほどまで菅谷が『居た場所』・・・・ちょうどその座標だ!
先ほどまで菅谷が存在した空間はまだ『希薄化』されていないはず

つまり、彼がもともと居た地点へは『高速移動』で通り過ぎる事なく到達できる!
その地点から真上にジャンプすれば、菅谷の移動経路をそのままトレースして、
上空に飛び上がる事が出来るはず!


□□□菅□□□
□□◇◇◇□□
□□◇◇◇□□
◇◇◇◇◇◇◇
◇◇□□□◇◇
◇◇□↑□◇◇←赤
■■■■■■■■■

□:通常空間
◇:希薄空間
■:床
←:移動経路

『希薄空間』が上記のように広がっている(菅谷が元々居た位置は希薄化されていない)と予想し
その場所から跳躍する事で彼に追いつきたい

688『空を掴む手』:2022/06/23(木) 22:40:08
>>687(赤月)

>「ふ、ふふふ・・・ははははは・・・・」

┌───────────────────────────────
|今回の『菅谷』VS『赤月』というカードについて、
|その場にいる『観客』の全てが『菅谷』の勝利を疑わなかった。
└───────────────────────────────

┌───────────────────────────────
|『クァンガン』も同じく。故に試合前の『赤月』に注目をしていなかった。
|強張った呼吸、緊張。それを読み取っていたからか。
└───────────────────────────────


          だが、その侮りは――――


   ノ\/|
   )あ.〈  /\
   〉っ/ ノ は 〈  /\    (――――この、笑い声……)
   \/  〉っ /  | は〈
       |_/  / っ 〉    (……何故だ? 何故、こんな女の子に)
            \/ ̄
                    (あの時の、あの笑みが重なるんだ――――)
   「なんだ、それ!
    意味がわからない!」


          ――――空気を弾ませる、笑い声に打ち消される。


┌───────────────────────────────
|『クァンガン』は長机に身を乗り出すように、眼下の試合に食い入った。
|結論から言えば、彼の行動は『徒労』に終わったのだ。
└───────────────────────────────


        /i !
       .人        ≪りょ、両者飛び上がったぁぁぁ〜〜〜〜ッッ!!≫
        ギ
       ュ       ≪この闘い、もしや『空中』にて決着が付くのか!?≫
     オ  /
       ・       ≪しかし、『赤月』選手。空中で為す術はあるのかぁ!?≫

689『空を掴む手』:2022/06/23(木) 22:42:32
>>687(赤月)


      ダダダダダッ    ダンッ!!


『赤月』は前方へ駆け出し、『菅谷』の後を追うように跳んだ。
――――いや、飛んだ。胸を刺す痛みと共に、『菅谷』を追い詰めるべく空中を舞う。
『硬貨』と『ボールペン』を握り締め、『菅谷』を追って『空間』を突き抜けていく。

     ≪両者、同じ手段なら追い付けるのでしょうか!?≫

     「いいや、『オープン・ハンド』が『空間』を吸って移動するなら、
      既に『希薄化』した空間を進む『赤月』選手が、背に追い付ける!」

天井まで『菅谷』の距離は『1m』。一方で『赤月』との距離は『1m』。
『赤月』は『ワイヤレスマイク』を手にした『クァンガン』の傍を抜ける所だ。

     「『空中戦』じゃあねぇーか、やぶれかぶれか!?」

     「なわけねぇだろ、何か策があってやってるんだよ!」

     「『菅谷』ァー! グッズの外箱に送り状貼るんじゃねぇー!」

喧々諤々の『観客』達を尻目にし、『菅谷』は首だけを曲げて『赤月』へ振り向く。
細い目に円弧を描かせて、追い縋って来る『赤月』を認める。

     「追って来るなら、迎え撃つまでだっつうの!」

     「『オープン・ハンド』、最大最強の一撃でェェ〜〜〜〜ッッ!!」

     「テメェは墜落! 翼の折れたエンジェルだっつうの!」

『背』を向けた『菅谷』へ対し、半端な『武器』では致命傷にはならないだろう。
彼はまだ『空間』を溜め続けている。天井へ到達し、身を翻した時、
――――あの『右腕』の攻撃が、来る。

この状況、空中であっても『サクソン』は動かせる。
だが、『赤月』が宙を移動することは出来ない。
つまり、単純な方法では『回避』は難しいだろう。

■■■■■■■■■■
□□□□□□┃    ┃←鉄骨柱で吊られたアクリル板
□□□菅□□┃ ク .┃  解説の『クァンガン』がいる。
□□◇◇◇□┗──┛
□□◇◇赤□□□□□
◇◇◇◇◇◇◇□□□
◇◇□□□◇◇□□□
◇◇□↑□◇◇□□□
■■■■■■■■■■

690赤月『サクソン』:2022/06/23(木) 23:36:29
>>688-689

  ――楽しい。

    ――楽しい!

      ―――楽しいっ!!

胸の中を満たすものは『高揚感』
赤月という少女は・・・・元来、この手の『戦い』を好むたちであった
宿命に捻じれ曲がる事がなければ、純粋な気持ちで勝負を楽しむ事が出来ただろう

   ズキっ!!


それだけに、戦いを楽しんでしまっている自分への『罪悪感』が重く圧し掛かる
『復讐』のための戦い、戦いを楽しむなどというのは不謹慎だという思い
だが、今、この瞬間において・・・・『空』という戦場は赤月の心を開放するには十分なシチュエーションであった

    ふわっ・・・・

全身に感じる浮遊感が『過去』を置き去りにする
『復讐』のためでもなんでもなく、ただ『戦い』のためだけの『戦い』へ・・・・

「君の『オープン・ハンド』・・・・先ほどの一撃を超える一撃を放てるのだろう?
 やってみろ! ただし・・・私の攻撃の方がずっと早いだろうがな!」

挑発して、彼の攻撃・・・・最大まで『空間』を蓄えた『オープン・ハンド』の一撃を誘う

「『サクソン』ッ!!」

そう言いながら、自身のスタンド『サクソン』に
両手に持った『100円玉』と『ボールペン』を持たせて菅谷にさらに接近させる

(実を言うと・・・・私には彼の攻撃を止めるだけの攻撃力はない)

そう・・・・既に『100円玉』と『ボールペン』はそれぞれ、
『羅漢銭』と『袖箭』となっている(>>685メール欄)が、
それは菅谷の攻撃を止めるにはあまりにも役者不足な武器なのだ

牽制の一撃にはなる・・・・だが、菅谷の『空間開放攻撃』をキャンセルさせるには攻撃力が足らない

(足らない攻撃力は、彼から補う!)

「喰らえッ!」

菅谷が天井に達し、『空間開放攻撃』を繰り出すために振り向く寸前、こちらの攻撃を開始する
まずは『ボールペン』をノックして、それをトリガーに『袖箭化』を発動
小型の矢と化したそれによって菅谷の目を狙う様に射出する

だが、その程度のダメージで『空間開放攻撃』をキャンセルする程に敵を怯ませる事は出来ないだろう
だからこそ・・・・本命の『二の矢』を用意しておくのだ

それは『羅漢銭』を仕込んだ『100円玉』・・・・・
『袖箭』の射出の陰に隠れるように、『100円玉』を菅谷に向かって放り投げる

狙いは、菅谷が『空間開放攻撃』を放つ時に、
『オープン・ハンド』と菅谷自身の肉体の間の空間に位置するような軌道だ!

(『オープン・ハンド』の攻撃・・・・あの攻撃事態に痛みはそれ程なかった
 つまり、あの攻撃は『空間』を一気に押し広げて相手を爆発的な勢いで『移動』させる攻撃なんだ!)

(ならば、『オープン・ハンド』の『解放』に別の物体が巻き込まれればどうだ!
 クレイモヤや破片手榴弾のように・・・・どれだけ小さな破片であっても、その物体は・・・・!)
  ボディ              バレット
(『人体』を致命的なまでに破壊する『 弾 』になるはずだ!)

つまり、『オープン・ハンド』の開放による『空間拡大』に『100円玉』を巻き込む事で
『100円玉』を菅谷の肉体を貫く『銃弾』とするのがこの攻撃の真の目的だ!

「それは・・・・『花火』の見学料だ」

相手の強大な技に対する『見学料』・・・・
『支払う』という行為をトリガーにして『100円玉』は着弾の際に『羅漢銭』へと変わるはず

691『空を掴む手』:2022/06/28(火) 21:24:28
>>690(赤月)

     ┌──────┐
     │ ――楽しい。 │
     └──────┘

『赤月』の心が弾む。脳が弾ける程のエンドルフィンが踊る。
巨大化した『右腕』を見据え、それが振るわれるのを認め、

>「君の『オープン・ハンド』・・・・先ほどの一撃を超える一撃を放てるのだろう?

      カチッ

    「勿論、          「『サクソン』ッ!!」
     だっつうの!」

                ――――バシュッ!!

『袖箭』と化した『ボールペン』が振り向いた『菅谷』の目に放たれ、
『菅谷』は甘んじてそれを喰らい、眼下に深々と『針矢』が突き刺さる。

    「ぐ、ぐあああああああああ!!!」

          ┌──────┐
          │ ――楽しい!│
          └──────┘

無論、薙がれる『オープン・ハンド』は止まらない。
『急所』を狙わねば殺傷できない『サクソン』の『暗器』とは異なり、
『オープン・ハンド』の巨腕は、泥酔しようと振り回すだけで『致命傷』となる。

     _ l |
      ノ オ       ≪『オープン・ハンド』、『最大出力』ゥゥ―――ッッ!!≫
         ォ
          ン/   「これは、ボクも危ないかな?」
          ・

瞬間、『空気』が奔流するかのように、『赤月』の身体が揺らぐ。
『希薄化』した空間が元に戻る。まるで『真空』に『空気』が流れ込むように。
『赤月』の感じていた『微風』もまた、この『空間』を吸い寄せる力だったのだろう。

     「ぶっつぶれろォォ!!」

     ド    ,
      ノ | '      『空中』というブレーキの効かない環境下において、
         ァ     『赤月』は吹き飛び、その背後には『鉄骨』が迫る。
        ア      直撃すればタダでは済まない。――――だけではない。
       ン/      5〜6mの高度から叩き落されれば、『再起不能』だろう。
       ・

     「同じフィールドで闘おう、ってハートは認めてやるぜェ!
      だが、『オープン・ハンド』は『空間』を掴むスタンドォ!」

     「元より、同じフィールドなんてありゃあしねぇのさ!
      直撃すりゃあ、どんなスタンド使いだろうと抗えねぇ!」

     「空に昇った時点で、お前の負け  ┼ l|
                              ノ | \ ス
                              ゥ
        「だ」                  ウ
                            /
           「づぁぁぁぁ!!」       ・

『オープン・ハンド』が『空間』ごと吹き飛ばそうと、『菅谷』自身に影響はない。
どれだけ強大なスタンドを振るおうと、その反動で本体が吹き飛ばないように、
『菅谷』自身は『空間』に吹き飛ばされない。――――だからこそ、

      ≪い、今、何か跳びました!≫

               ┌────────┐
               │. ――楽しいっ!!│
               └────────┘

      ≪それが、『菅谷』選手の、胸に≫

それが『羅漢銭』になったかは解らない。
だが、『貨幣』は確実に『菅谷』の胸骨を砕き、内臓に骨片が押し刺さる。
空中で『菅谷』が悶え、ゆっくりと落下していく。

      ≪りょ、両者、墜落かァァ――――!?≫

692赤月『サクソン』:2022/06/28(火) 22:58:03
>>691

(――――ああ。)

空に浮かび、自身が放った『一の矢』が狙い通りの成果を上げた事を知る
『オープン・ハンド』は止まらない・・・・だが、彼の視界と集中力は奪った
直後、『空気』とともに希薄化していた『空間』が拡張を開始

(――――ああ。)

赤月の身体は風に舞う木の葉の様に軽々と吹き飛ばされる
だが・・・・この強風の中に遭って、赤月の心は凪のように澄み切っていた

(お互いに全てを出し切ったんだ・・・・後は・・・・)

   ガチッ!

『二の矢』が菅谷の胸を強く打ち付けたのを確認した直後
目を見開き、奥歯を強く噛み締めて衝撃に備える
凪いだ心が再び熱く燃え盛る

「後は・・・・どちらが最後まで立っていられるか!」

「耐久勝負だッ!!」

苦境の中、赤月の口角がにやりと吊り上がる

恨みも、悪意も、殺意もない
純粋なる『力比べ』がこんなにも楽しいなんて!!

赤月は吹き飛ばされる我が身を見ながら、胸の内に高揚感を覚えていた

しかし、このまま鉄骨にぶつかったら先に『再起不能』となるのはこちらの方であろう
胸骨を撃ち抜かれただけの菅谷と違って、こちらは『オープン・ハンド』の空間エネルギーをまともに浴びてしまっている
その上、彼に接近した影響で無視できない高さまで登ってしまっている・・・・落下ダメージはかなりのものであろう

「『サク・・・・・ソン』ッ!!」

今、自身の身には『サクソンのトレンチコート』が纏われている
ならば、この状況を最大限に使って切り抜けるしかない

(『ミルウォール・ブリック』・・・・・!!)

『ミルウォール・ブリック』という暗器がある・・・・
歴史は浅く、1960年代頃に現れた打撃用の武器である
その最大の特徴は、それが『新聞紙』の塊であるという事だ

(『制服』を『ミルウォール・ブリック』に変えて衝撃を吸収させる・・・!)

『トレンチコート』の真下にある自身の衣類、『制服』
それを形状変化を起こさないままに『暗器化』を施す
直後、『着用している』という使用をトリガーとして『暗器化』を発動
身に纏う『制服』に『新聞紙の塊』としての性質を付与する

『新聞紙』とは何重にも重ねられた繊維質の塊であり
『ミルウォール・ブリック』はそんな『新聞紙』をさらに何重にも重ねたものである

ならば、その性質を得た『制服』は新聞紙の持つ性能・・・・衝撃吸収能力を発揮するはず

(完全に防げなくてもいい・・・・・
 少し・・・・ほんの少しだけ、菅谷よりも長くダメージを耐えられれば・・・・・!!)

693『空を掴む手』:2022/06/28(火) 23:51:43
>>692(赤月)
>(――――ああ。)
>(お互いに全てを出し切ったんだ・・・・後は・・・・)

『赤月』は吹き飛ばされるがまま、一切の抵抗を見せない。
『悪意』も『殺意』もない、純粋なる『闘志』のぶつかり合いの果て。
――――だが、それでも尚、『勝利』への渇望は消えていない。

     バグシュッ!

左半身から『鉄骨』に突っ込んだ『赤月』。
『左腕』が圧し折れるも、肉体のダメージはそこまでに留まる。

     ≪『ナカレ』ちゃん、鉄骨に激・突ゥゥ――――!!≫

     ≪スゴい音がしましたが、果たして無事でしょうか……!?≫

     「おいおい、まさかのノープランかよ!」

     「やぶれかぶれがアリーナに通じるかよ!」

電子ボイス越しにも伝わる『セカイ』の震る声、どよめく観客席。
間近で衝突音を聞き捉えた『クァンガン』のみが、『ナカレ』の無事を察していた。

     「――――流石だね。今の音は、敢えて『潰した』のかな」

――――『ミルウォール・ブリック』による『紙鎧』。単体では衝撃を逃がし切るには至らず、
『左腕』を圧し折ることで二重のクッションとなり、なんとか生き延びた形だ。
『赤月』は勢いのままに半回転し、ポリカ板の床に着地する。

     ≪ああっと、『日向太』ちゃんも無事でーす!≫

     「アイツ、『空間』を吸い取って『滞空時間』を縮めたのか!」

     「意味わかんねぇし! なんか関係あるのかよ!」

     「普通なら『6m』で墜落するところを、『1〜2m』で着地したんだよ!」

     「な、なるほどぉー!」

『オープン・ハンド』を纏った右腕はブラリと垂れ下がり、肉が弾けて骨が露出する。
だが、『菅谷』は天井の『解説席』を見上げ、そこにいる『赤月』を睨み付けている。

     「お前さあ、何歳くれぇの時に、『スタンド使い』になった?」

     「俺はよぉ、小学三年生の時だった。最初はダチのゲームが欲しくて、
      気付いたらポケットの中にゲームカセットが入っててよォォ〜〜〜〜ッッ」

     「俺、ドキドキしてて……そのゲーム、夜中まで遊んでたんだよ。
      返そうと思ったけど、そのままズルズル遊んでて、……親が部屋に入って来て」

     「スゲー怒られたし、ゲーム盗んだダチとは縁切られて、二度と会ってねぇ。
      喧嘩になっても、コイツで殴ったらどうしようって思って、何も言い返せねぇし、
      こんな力持ってるのに、バレたらどうしようとか、殺っちまったらどうしようとか――――」

     「そんなセコいことばかり、考えててよォォォ〜〜〜〜〜ッッ!!」

    ズアアアアアァァァァァァァ―――――!!

ズダズダに裂き刻まれた『右腕』に纏われた『オープン・ハンド』が肥大化していく。
周囲の空間を吸い始めている。――――まだ、『菅谷』は止まる兆しを見せない。

      ガボッ
                ゴホッ

     「ここにぐるまで、  そんなごと  ばっか こわがっで、だ!」

右目に突き刺さった針矢、吐息に混じる血反吐。
もう長くはない。それでも尚、『オープン・ハンド』は膨張する。

694赤月『サクソン』:2022/06/29(水) 00:16:27
>>693

質問です。
・赤月の現在の位置としては、吊るされた解説席に着地しているという認識でいいでしょうか?
・赤月の兄が『エクリプス』に雇われた戦闘は、世界観的に何年前の出来事でしょうか?

695『空を掴む手』:2022/06/29(水) 21:46:17
>>485(赤月)

>・赤月の現在の位置としては、吊るされた解説席に着地しているという認識でいいでしょうか?

解説席の置かれたエリアに着地しています。


>・赤月の兄が『エクリプス』に雇われた戦闘は、世界観的に何年前の出来事でしょうか?

板上での『時系列』が曖昧なため、特に指定はありませんが、
ひとまずは数年〜一年前と考えて下さい。

696赤月『サクソン』:2022/06/29(水) 22:41:50
>>693

     バグシュッ!

「ぐぅ・・・・アァアアァッ!!」

己のバイタルゾーンを護る為、無意識に取った行動
左腕はもはや思うように動かすことが出来ないが、それでも意識を繋ぐ事は出来た
あとは、地に伏し、敗北感を覚えているであろう菅谷の姿を確認して・・・・

「――――菅谷ッ」

天井近く、解説席から地面を見下ろした赤月は己の甘さを知った
流石に相手も『闘士』というわけか・・・・負傷に耐え、立ち上がる彼の姿に心の中で称賛を上げる

「セコいとは言わない」

赤月自身、この国に来てから初めて知った事であるが、
この国の治安レベルは高く、『暴力』の存在が生活に必要ない・・・・むしろ忌避される傾向にあるらしい

菅谷のスタンド能力は極めて強力だ・・・・『暴力』という一点では
だが、そんな強大な能力を抱えながら、何の目的もなくそんな力を飼い殺す事なんてできるだろうか
彼にとっては、『力』に目的を与えるための場所が『アリーナ』なのだろう

「・・・・・私も、数年前にこの力に目覚めた時は驚いた」

数年前、兄の『赤月 保』の死を告げられたあの日
赤月は選んだ・・・・『戦いの道』を! そして、手に入れた・・・・『戦うための力』を!

「だが・・・・私には『目的』があった
 君とは違い・・・・『力』を振るうべき『目的』が!」

「だが、そんな事は関係ない!」

『オープン・ハンド』の肥大化に合わせるように・・・・足を前に進める

「『力』と『力』が出会ったんだ!
『目的』なんて関係ない・・・・ぶつけ合うのが『戦士』の流儀だろうッ!」

そして、飛び出す・・・・・再びの宙へ!

「違うか!? 菅谷!」

赤月が空中に躍りだした理由・・・・それは菅谷の真上に『落下』するためだ!
客席からの反応の通り、菅谷の『希薄化空間』では落下距離すら減少してしまう
そして、『希薄化空間』は菅谷が『右腕を破裂』させない限り元に戻らない・・・・
つまり、菅谷が落下距離を減少するために『希薄化』した空間はまだこの場に残っているという事だ

「あああああああああッ!」

菅谷と『同じ経路』を通り、着地ダメージを軽減!
そして・・・・菅谷が『右腕』を解放する前に・・・・『サクソン』の渾身のラッシュで菅谷の意識に止めを刺す!

(問題は・・・・『解放』の前に止めを刺す事が出来るか・・・・
 私の『サクソン』と彼の『オープン・ハンド』・・・・どちらが速いか、早打ち勝負だ!)

697『空を掴む手』:2022/07/03(日) 22:18:37
>>696(赤月)
>「――――菅谷ッ」
>「セコいとは言わない」

『赤月』は解説席から飛び降り、再び『希薄空間』に身を投じる。
『菅谷』の落下する道筋こそが『希薄空間』であり、
『菅谷』への最短ルートだと、既に理解している。

   ヒ
   ュ     「だが、そんな事は関係ない!
   オ      『力』と『力』が出会ったんだ!」
   ォ
   |     .「『目的』なんて関係ない。
   N      ……ぶつけ合うのが『戦士』の流儀だろうッ!」
   |
   |      「――――ああっ、違いねぇっつうの!」

      ドヒュオオオオオ!!!

『サクソン』と『オープン・ハンド』の真っ向からのぶつかり合い。
致命的となった『右腕』の傷とフィードバックした『オープン・ハンド』か、
真正面からの拳撃には『サクソン』の攻撃か。――――そして、

             「この力を出せるのは、この『アリーナ』しかねェ!」

      ズキッ

             「俺が、もらったああ!!」


『赤月』の左腕の疼き、そして『オープン・ハンド』が爆ぜ、
――――いや、『サクソン』の右腕が伸びる。

      ズ  l |    ≪はい、ったァァ―――z___!!≫
        力
        ガ/    「割れた胸骨への一撃、これは効くね!」
        ・

『サクソン』の右拳が『菅谷』の胸部に突き刺さり、
右腕は爆ぜ、――――これは『強制解除』だ。


     「あ、が……」


     ズズゥン・・・


『菅谷』はアリーナに倒れ伏し、『赤月』も両の足で着地する。

698赤月『サクソン』:2022/07/03(日) 22:34:13
>>697

「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

止めの一撃が決まり、両足が地面を捉える
空間の『希薄化』により落下距離は短縮していたとはいえ、
慣れない『希薄空間』の移動に三半規管が狂わされる

「私の・・・・・・勝ちだ・・・・・・ッ!!」

倒れた菅谷の姿を確認すると、
赤月は右手を上げて自身の『勝利』を宣言する!

699『空を掴む手』:2022/07/03(日) 23:07:39
>>698(赤月)
>「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

    ≪キャーッ! 見事に『サクソン』の拳が決まりましたぁー!≫

    ≪そう、この闘いの勝者は――――≫

>「私の・・・・・・勝ちだ・・・・・・ッ!!」

    ≪『ナカレ』ちゃん! 見事に勝利しましたぁー!≫

    「『空間』を操る『菅谷』選手に翻弄されながらも、
     見事な勝利だっ! チュッカヘーヨォー!!」

    ウワァァァァァァァ――――

    「ち、くっしょォォ〜〜〜〜ッッ
     『最中派』からの刺客だから、油断してたぜっ!」

    「あの『菅谷』がやられるとはな……。
     これで『B級チャレンジャー』も『湯河原』だけか……」

    「俺は、恥ずかしいぜッ!
     『最中派』にもこんなアツいランカーがいたなんて……!」

『実況者』の『セカイ』、『解説者』の『クァンガン』の惜しみなき賛辞が贈られ、
『観客席』の荒くれ者達も驚きや悔しさを混ぜながら、『赤月』に賞賛を送る。

    「『菅谷』ァー! お前も立派だったぞォー!」

    「相変わらずイカした前のめりだぜェー!」

敗者である『菅谷』へもアグレッシヴさを尊重し、健闘を称える声が広がる。
町の片隅の地下に押し込められたような『アリーナ』に暖かな空気が満ち足りる。

    ヒュー!
                    ヒュー!

    ≪『赤月』選手、見事勝利を見せてくれました。
      さあ、この熱闘を見届けた観客席の皆様に、
      何か一言、どうか一言、お願いします!≫

『セカイ』の取り成しに添うように、『クァンガン』がワイヤレスマイクを『赤月』に放る。
――――この会場には『観客』だけではない。ファイターたるスタンド使いもいるだろう。
そして、解説席には『キム・クァンガン』もいる。

700赤月『サクソン』:2022/07/03(日) 23:37:21
>>699

観客席から荒々しいながらも惜しみのない称賛の声が上がる
戦いで火照った肌が、叫ぶようなその声を受け止めてびりびりと震える

(また『最中派』・・・・どれだけ評判が悪いんだ!?彼女は!)

「しかし・・・・」

(しかし、気分がいいな・・・・・)

正々堂々たる戦い。勝者への賛辞。敗者への慰労。
それらは、赤月が幼少期に思い描いていた『戦士』としてのあり方そのものであった
幼い頃、『兄』から与えられた『訓練メニュー』を毎日のように繰り返していた日々の思い出

(・・・・・・・ッ!
 そうだ、『クァンガン』!)

この『熱』の中に浸ってもいられない
この会場には『クァンガン』・・・・・兄の情報を知るかもしれない人物がいる
彼から情報を引き出さなければならない

「・・・・・・・。」

右手に握りしめたマイクに向き合い、言うべき言葉を考える

「『菅谷日向太』・・・・恐るべき相手だった
 私が今までに戦ったスタンド使い達の中でも五本の指に入るだろう」

「だけど、まだ『足りない』・・・・・」

その言葉とともに、手に持ったナイフを剣のように動かし、
その切っ先を高みにいる『クァンガン』に向ける

「『キム・クァンガン』!
 君はかつて『エクリプス』との戦いにおいて多くの功を成したという
『落月』の裏で動いていたという『5人のスタンド使い』・・・・」

「そのくらいのレベルの相手じゃないと・・・・私は満足しないな!」

――――挑発。
『C級ファイター』を飛び越えて、頭上の『キム・クァンガン』に直接挑発をする

701『空を掴む手』:2022/07/04(月) 00:00:50
>>700(赤月)
>(また『最中派』・・・・どれだけ評判が悪いんだ!?彼女は!)

一度だけ関わりを持った派閥の悪評に対し、『赤月』は悪態を吐く。
……しかし、この観客達のムードを見るに、どうやら『誤解』を産んでいる。
だが、勝利による気分の高揚した『赤月』の脳裏に、その懸念は浮かばない。

>「『菅谷日向太』・・・・恐るべき相手だった
> 私が今までに戦ったスタンド使い達の中でも五本の指に入るだろう」

     どよどよどよどよどよどよ ・ ・ ・

>「だけど、まだ『足りない』・・・・・」

       人ノ!/|   「おいおい……」
      _ノ!?〈
       `Y´ルヘ   「何のつもりだ……」

>「『キム・クァンガン』!」  __________
> 君はかつて『エクリプ /               \
>『落月』の裏で動いて | まさか、まさかだろォ!? |
    ________ .\___________ /
  /               \   __________
 .| ついに出たかァ!? | /               \
  \________/ .| コイツは大ニュースだぁ! |
                  \___________/

     「そのくらいのレベルの相手じゃないと
      私は満足しないな!」

     うおおおおおおおおおおおお!!!!!

     ≪み、皆さん! 落ち着いてください!≫

     「うるせェェェ!!! これが騒がずにいられるかぁぁぁ!!」

     「『B級挑戦者』! それも、『最中派』からの『刺客』がァ!」

     「こ、これはァ!」

         ガバァッ!!

この騒ぎに起き上がった『菅谷』が、その言葉を吐いた。

     「『最中派』と、『タダヒト派』のォォ〜〜〜〜ッッ」

     「『全面戦争』だっつうの!!!」

    わああああああああ!!!!

      ガシャガシャガシャガシャガシャガシャッ!!!

観客席から飛び跳ねた男達がアリーナを囲う金網を掴み、
狂乱したかのように金網を揺らし、我先にと狂ったように叫ぶ。

     「ハッハッハッ、――――これはもう」

『赤月』の手にした『ナイフ』の切っ先。
それを認めた『クァンガン』は穏やかな笑みを崩さぬまま、

       キィィィン . . .

     ≪――――逃げられないな≫
                     . . . . .
『赤月』の手にした『マイク』が喋り出した。

702赤月『サクソン』:2022/07/04(月) 00:19:26
>>701

「む、ん・・・・・?」

何故かは知らないが、いつの間にか自分が『最中派』を代表する『刺客』として扱われている事に気づいた
当の本人を無視して、ヒートアップを続ける観客たち

「まあ・・・・いいか
 なんだか周りも盛り上がっているみたいだし
 下手な事を言って、水を差すわけにもいかないな」

それに対する赤月の反応は・・・・・『ない』
弁解もなければ、釈明する事もない
ただ、心の中で少しだけ『溝口最中』の事を気の毒に思うだけだ

「さて・・・・・」

赤月の関心は『ただ一人』に向けられている

「どう答える・・・・?」

       キィィィン . . .
         
            「む?」
     「ハッハッハッ、――――これはもう」

            ≪――――逃げられないな≫

赤月は最初、その言葉がスピーカーから聞こえてきたものかと思った
だが違う・・・・『声』の発信源は赤月が思う以上に『近い』
手掌の皮膚で感じる震えが、発信源の存在を如実に物語る

「へぇ・・・・それが君の『能力』か
『マイク』・・・・『機械』・・・・それとも『音響』か?
 そういうのを操る能力かな?」

「なんなら、君だけでなく『A級ファイター』がかかってきてもいいぞ
 そっちの方が手っ取り早く強い奴と戦えそうだからね」

703『空を掴む手』:2022/07/04(月) 00:59:18
>>702(赤月)
>「む、ん・・・・・?」
>「まあ・・・・いいか」

騒ぐだけ騒いでいる『観客』達の熱狂に任せ、
とりあえず『赤月』はこの『誤解』は放置することに決めた。

>「へぇ・・・・それが君の『能力』か
>『マイク』・・・・『機械』・・・・それとも『音響』か?

       キィィィン . . .

    ≪テスターで『電流』を流した物体を『半導体』に変える≫

    ≪それがボクのスタンド、『デ・ラ・ソウル』の能力だ≫

    ≪『半導体』とは『エネルギー』が伝わる『導電体』、
      そして、『エネルギー』を遮断する『絶縁体』が切り替わる≫

『クァンガン』は己の『スタンド能力』について惜しげもなく口述する。
『観客』のどよめきもない。――――『B級』とは『連戦』を以て勝ち残る者。
『スタンド能力』の仔細が割れていて当然ということだろう。

……そしてそれは、『二連勝』を為した『赤月ナカレ』もまた同じだ。

    「『クァンガン』、逃げられねェのはテメェも同じだろーが!」

    「『AV新法』も通って虫の息の『最中派』に負けんじゃねぇぞ!」

    「無様に負けたらアリーナ総出でテメェーの『焼肉屋』で『反省会』だっつうの!」

    ≪――――と、みんな随分と手厳しいね。お腹減ってる?トッポギ食べる?≫

    うおおおおおおおおおおおお!!!!

『アリーナ』の怒号が巨大な渦となり、『赤月』を包み込む。
『闘志』と『期待』の入り混じった感情の波が会場全体を飲み込む。
そして、『赤月』が挑発ついでにもう一言、

>「なんなら、君だけでなく『A級ファイター』がかかってきてもいいぞ

       キィィィン . . .

    ≪……それは少し、≫

              ジ ジジ . . .

    ≪『先回り』が過ぎるよね≫
                        。
                 ――――ハ ァ ン!

     うおおおおおおおおお!!!!

『マイク』の球頭が爆ぜ、『クァンガン』が背を向ける。
大歓声が冷めぬ中、場内に現れた『黒服』達の誘導に従い、
『赤月』は『アリーナ』から退場する。

704赤月『サクソン』:2022/07/04(月) 01:59:08
>>703

「『デ・ラ・ソウル』・・・・いいのか?そんなに能力の事を教えてしまって
 私の能力は・・・・君に教えないというのに」

「まあ、私の能力はそれ程複雑ではないから
 勘のいい観客はきっと気づいているだろうけれども」

――――嘘だ。
この戦いにおいて、赤月は『回復阻害』の能力を使う事はなかった
『暗器化』の能力はバレても構わない・・・・『アリーナ』で戦っていればいずれバレる能力だ

だが、『回復阻害』能力は易々と人に知られるわけにはいかない・・・・
これは、本当の『最後』に切り札になりうる能力だからだ

(この能力の秘密を知っているのは一抹と咲良くらいだ・・・・
 おしゃべりな一抹はともかく、咲良から能力がバレる事はないはずだ)

そんな事を思いながら、彼ら『アリーナ』への挑発を続け・・・・
目の前で『マイク』が爆ぜた

「・・・・・・流石に調子に乗りすぎたか
 だが、まあ、とっかかりは一つ出来たかな・・・・?」

大歓声の中、『黒服』達の誘導に従い『アリーナ』を後にする
『次の戦い』・・・・その先に思いを馳せながら・・・・

705『空を掴む手』:2022/07/04(月) 23:11:59
>>704(赤月)
『赤月』は『サクソン』の『完全殺傷』の能力をひた隠しにしている。
無論、単純な『アリーナ』での戦闘において、その力を発揮する機会は少ない。

ステージの限定された『短期決戦』のルールにおいて、
『出血多量』による『衰弱死』を狙う優位性はないからだ。
――――そう、このルールにおいては。

     うおおおおおおおおお!!!!

観客達の興奮冷めやらぬまま、『赤月』は倉庫街を後にする。
『B級ファイター』との試合は、彼女にとって『強敵』というだけではない。
あの闘いの結末を知る者。そう、今日のような『闘志』のぶつけ合いでは済まない。

     ┌───────────────────────────
     │――――楽しい、とそう思った。
     │『敵地』である。背中に痛みもある。敵に追い詰められてもいる。
     │それでもなお・・・・赤月は今、晴れ晴れとした気分で戦っていた
     └───────────────────────────

─────────────────────────────┐
『力』と『力』が出会ったんだ!                            │
『目的』なんて関係ない・・・・ぶつけ合うのが『戦士』の流儀だろうッ!   |
─────────────────────────────┘

『赤月ナカレ』は『戦士』である。

┌─────────────────────────────
|だから、私はこの町に来た……兄を殺した
|『アリーナのスタンド使い』を探し出し、この手で殺す為に。
└─────────────────────────────

『赤月ナカレ』は『ファイター』ではない。
繰り返す。『赤月ナカレ』は『ファイター』ではない。

――――その決意が新たになるのは、
もう一通の『手紙』が届き、その『差出人』と相対する時か。

赤月ナカレ『サクソン』→『左腕骨折』、『全治一ヶ月』
                  『三十万円』を獲得。『B級ファイター』への挑戦権を得る。

706『空を掴む手』:2022/07/25(月) 21:14:07
本体の右腕に重なって発現する『右腕』のヴィジョン。
触れた『空間』を吸い込み、ヴィジョンは『巨大化』を続ける。

吸い込んだ『空間』を触れた物体に分け与え、
空間を『跳躍』するように『移動』させる。
これによって『飛来物』をすり抜けるように『飛ばし』たり、
重なり合った右腕に分け与えることで空間を超えた『拳撃』を可能とする。

『空間』を吸い込まれて、存在が『希薄化』した『空間』の中では、
『移動』に必要な『運動エネルギー』が極度に乏しくなり、
常人を超えた『跳躍力』や落下の際の『重力加速度』が弱まるなど、
互いにとって『縦横無尽』の動きを可能とする。

『オープン・ハンド』の解除によって溜め込んだ空間は『炸裂』し、
空間の奔流とも呼べる押し退けるパワーによって、万物は弾き飛ばされる。
空間による移動なのでこれによる『ダメージ』は存在しないが、
『掴む』、『押し潰す』などの『逃げ場』のない位置にいる物体は、
『引き裂かれる』ようなダメージを受ける。

本体は『空中』から『床』への『空間炸裂』により、
床上へ押し潰すような『一撃』による『ノックダウン』を得意としていた。
また、『右腕』そのものも『オープン・ハンド』の起点となるため、
『空間炸裂』によるダメージをマトモに喰らい、『乱発』は出来なかった。


『オープン・ハンド』
破壊力:?〜A スピード:B 射程距離:E〜C
持続力:D 精密動作性:? 成長性:D

707『唯一人に輝いて』:2023/07/07(金) 22:01:18
  「『B級』の二名は『出場』を決した」

『ラクアクア』にて互いに座する『タダヒト』と『吉田』。
卓上に広げられた『A4用紙』に『吉田』は二名の名前を書き込み、
残る空白に視線を向け、恐る恐る『タダヒト』を見やる。

  「残りの『C級』が何名になるかは解らないですよね?
   その、もう書き込んでしまってよろしいのですか?」

  「『吉田』さん。いくら『C級』と言えど『該当者』は多くはない。
   『現時点で一勝』。それが『出場』への最低条件になる。
   『海の壁』に阻まれた三人、『明智』も『ナビール』も『対象外』」

『タダヒト』はキッパリと答える。
『吉田』が管理する『ファイター名鑑』に標された数十名のスタンド使い。
無論、ぶつかり合えば『勝者』は半減する。……この『催し』と同じ運びだ。

「勿論、この条件を突き付ければ『復帰』する者もいるだろう。
 だからこそ、だ。『席』が少ないと明示すれば、奮起する者もいる」

「なるほど。……しかし、『B級』はシード枠というのは『妥当』ですが、
 この『トーナメント』という環境において、果たして『納得』が得られるか……」

「『B級』への挑戦権は開かれている。
 先の闘いで勝利した『二人』の他にも、指先を掛けた者はいるだろう。
 この『シード』はそのまま、誰にとっても『最強』という頂へ登る『ファストパス』となる」

『海の壁』とも呼ばれる『プロプレイヤー』達の前に、涙を呑んだ『C級ファイター』は少なくない。
一対一に適した『スタンド能力』に加え、『生業』によって磨かれた『戦闘能力』。
いずれにせよ、『タダヒト』は標された名を指先でなぞった。


                  タダヒト
                    ┃
              ┏━━━━━┻━━━━┓
              ┃                    ┃
        ┏━━┻━┓            ┏━┻━━┓
        ┃        ┃            ┃        ┃
    ┏━┻┓    ┏┻━┓    ┏━┻┓    ┏┻━┓
    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃
    ┃  ┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓  ┃
    ┃  ┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃  ┃
    ニ  ?  ??  ??  ??  ??  ??  ?  ク
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                                   ガ
                                    ン


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