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【ミ】『撃的』

1『運営者』:2016/01/25(月) 22:45:32


        血 脈 の 物 語
この物語は『BLOOD's HISTORY』ではなく、

         血 気 盛 ん
       『BLOOD THIRSTY』なのである。

【過】『武闘列伝』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453728318/

658赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 00:03:00
>>657

「『20対5』の戦い!? それは・・・・凄いな
 多人数の乱戦でいえば、私も多少の経験はあるが・・・・」

脳裏に浮かぶのは『真夏のクリスマス』で起きた乱戦だ
あの時は、こちらが『多勢』側であった
恐るべき『破壊力』を行使する『彼』を相手に、こちら側は数を頼みにして戦うしかなかった

「スタンド使いとはいえ人間である以上、数が多ければその分対処に『精神力』を使う
 にも関わらず、それだけの人数の相手と戦えるとは・・・・
『タダヒト』という男は本当に強靭な精神の持ち主と言うほかにないな・・・」

聞かされた『武勇伝』の内容に素直に感心する
相手の話を聞き出すための芝居・・・・ではない
純粋にこの手の話が好きなのだ

(いけない! 思わず流されてしまうところだった!
 しかし、『愛欲のアダージョ』に『口笛のケンジ』に・・・・)

そういえば、と心の中で独り言つ
そういえば、私は『エクリプス』の事すら何も知らないのだ、と

「『エクリプス』というのは本当に凶悪な連中だったと聞いている」

それこそ、『真夏のクリスマス』で戦った『彼』の言葉を借りれば
世界大戦を引き起こすきっかけとなったある政党に近い存在だとも

「そんな『スタンド犯罪者』の中に・・・・」

これから先の言葉を、口にしてしまう事を覚悟する
その言葉を口にする事は自身の中身に触れる事に等しいからだ
自分の中身が漏れてしまわないように腹に力を入れて続けていく

「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

後半部分は完全な捏造だ
だが、『兄』が弱いはずがないという確信が赤月にはあった

659『空を掴む手』:2022/06/10(金) 00:54:42
>>658(赤月)
>「『20対5』の戦い!? それは・・・・凄いな
>『タダヒト』という男は本当に強靭な精神の持ち主と言うほかにないな・・・」

    「勿論ですとも。アリーナの頂点とも呼べる『A級』にして、
     社会的に認知されないスタンド使いの闘技場が維持できるのは、
     『弁護士』である『タダヒト』さんの尽力あってのものです」

    「スタンドとは『精神』のパワー!
     『タダヒト』さんの『スパイロ・ジャイラ』も、
     あのバイタリティの通りの『力』があるんでしょうね」

ついつい身を乗り出す様に聞き入ってしまった『赤月』。
『吉田』の惚れこんだような話し方も加味するのであれば、
やはり『タダヒト』が中心人物であるのは間違いないようだ。

    ┌──────────────────────────────
    │彼等の小さな庭では『A級』と呼ばれるスタンド使い。
    │そうでなければ、君の『兄』を真正面から『殺害』することは出来ない。
    └──────────────────────────────

無論、『赤月』が聞きたいのが『武勇伝』でも『英雄譚』でもない。
この『アリーナ』に出入りする切っ掛け。その思いを反芻するように言葉を飲み込み、
飲み込んだ言葉を吐き出し、薄い腹筋に力を込めながら、

>「そんな『スタンド犯罪者』の中に・・・・」

    「……ん?」

>「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
>『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

ゆっくりと問い質した。
『吉田』は両目をパチリを開き、しばらくの沈黙を守った後、

   「……『傭兵』、……いや、それは初耳ですね。
    先程の『二つ名』を交えてはいますが、全員の『身元』は判明しています」

   「いずれも『犯罪者』ですが、私達と変わらない『生い立ち』でしたから。
    その、……『傭兵』というのは、うーん、いなかったかな……」

   「まあ、『最中派』の方々は、ちょっと特殊な人達みたいですからね。
    ――――うーん、何かの聞き違いじゃないかな、と思いますよ」

『吉田』の言葉も曖昧さを匂わせているが、しっかりと『否定』している。
『赤月―z」\』という『傭兵』はいなかった。あの『戦場』に存在しなかった。

――――『赤月ナカレ』が目的意識を遠ざける程に聞き入った『物語』の中に、
存在しなかったのだと、ハッキリと告げていた。

660赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 21:27:13
>>659

「そうか・・・・まあ、『最中派』で聞いた話はどれも信ぴょう性が怪しい話ばかりだったからな
 多分、どこかで話を盛られてしまったのだろう」

少し、肩を落とす
とはいえ、疑わしき人物の名前を得ることは出来た
兄を殺せる者など『A級』以外にありえない以上、当時の『A級ランカー』の情報は貴重だ

『タダヒト』に『キューコ』・・・・
あの当時、『A級ランカー』だったという二人の名前を固く心に刻み込む

「そうだ・・・・私がこれから戦うという対戦相手も『エクリプス』と戦ったメンバーの一人なのかな?
『エクリプス』と戦った英雄の一人だというのなら・・・・胸を借りるつもりで挑まなければならないが」

661『空を掴む手』:2022/06/10(金) 22:13:39
>>660(赤月)
当てが外れたことに対し、『赤月』は残念そうに肩を落とす。
その様子を見た『吉田』も深くは追求せず、同情するように眉を下げた。

>「そうだ・・・・私がこれから戦うという対戦相手も『エクリプス』と戦ったメンバーの一人なのかな?

    「いいえ、『菅谷』さんは普通の『ファイター』ですよ。
     『菅谷日向太』。23歳。市内の『運送会社』に勤めています」

    「しかし、彼はアリーナにて『B級』に挑み、
     惜しくも敗北した男です。ましてや『オープン・ハンド』は」

    「――――単純な戦闘において、
     『B級』にも匹敵する『ポテンシャル』を秘めています」

    「……と、少々喋り過ぎましたね。いけないいけない。
     受付を済みましたから、今日はこれくらいにしましょう」

うっかり口が滑ったのか、『吉田』は慌ただしそうに書類をクリアケースにしまう。

662赤月『サクソン』:2022/06/10(金) 23:05:46
>>661

「『B級』に匹敵するレベルだって・・・・!?
 ・・・・・なるほど。相手にとって不足はないという事か」

『B級』という言葉に赤月は驚きの声をあげる
『最中派』の試合で遭遇した『あの男』ですら『C級』止まりだったのだ
『B級』ともなれば、それを超えるであろう事は間違いないだろう

「ああ・・・・・これ以上の話は『戦士』として、その、フェアじゃない」

「しかし・・・・楽しみだな。それだけの強敵と戦えるのか」

どくんどくん、と鼓動が早まる
強敵との戦いに心が沸いているからだ
この昂ぶりが『闘士』としての証だというのなら
赤月という少女は本来、何よりこの組織に近しい存在だったのかもしれない

        ・・・・・チリ

ほんの少し、心の奥底に残った『燻り』が浮かれた頭を冷ます

「いや・・・・・このくらいにしておこう
 予定は把握した。当日はよろしく頼む」

663『空を掴む手』:2022/06/10(金) 23:39:04
>>662(赤月)
> ・・・・・なるほど。相手にとって不足はないという事か」
>「しかし・・・・楽しみだな。それだけの強敵と戦えるのか」

『赤月』は驚きの声を上げ、それにも勝る鼓動の響きを感じる。
先程までの話が本当であれば、『タダヒト派』は直接戦闘に長けた一派。
『見世物』のような闘いとは異なる。純然たる『試合』になるやもしれない。

>「いや・・・・・このくらいにしておこう
> 予定は把握した。当日はよろしく頼む」

    「勿論です。『赤月』さん、どうか『ご武運』を」

     ――――ピシャッ

冷静さを取り戻した『赤月』は『ラクアクア』を後にする。
『赤月』が閉めた硝子扉越しに、『吉田』の見守るような表情が見えた。

    ・

    ・

    ・


>「スタンド能力を切り売りする『傭兵』のような男はいなかったかな?
>『最中派』で聞いた話だと、とても強いスタンド使いだったとか」

    「……『傭兵』、ですか……」

『スタンド使い』の『傭兵』というのは、『アリーナ』においては珍しくない。
かつては『アリーナ』に助力していた『仲介人曳舟』の手によって、
スタンド絡みの『依頼』を受ける者が斡旋されていたからだ。

しかし、それは一時的な『雇用関係』であり、『専業』とするものは少ない。
――――スタンド使いは『人』である。『人』とは『社会』に根ざした生き物である。
『社会』から離れた『荒事』を生業とする者は限られている。腕っぷしの有無ではない。
『争い』に根ざした仕事とは『安心』と無縁だからだ。――――だから、きっと、

    「もしも、スタンド能力を用いた『傭兵』がいるのだとすれば……」

それはきっと、『社会』から爪弾きにされても怖くないと言い切れるほど、
『安心』できるものがあったのだろう。――――『信仰』か、それに匹敵する『愛』か。

    「――――どうだろう。『タダヒト』さんに、訊いてみますかね」

『吉田』はカウンターに置かれた固定電話の受話器を取り、短縮ダイヤルを押した。
しばらく経っても電話は繋がらない。――――『海外出張』か、と『吉田』は察した。

664『空を掴む手』:2022/06/11(土) 00:25:37
>>663(赤月)

    ・

    ・

    ・

そして当日となった。
『赤月』は『アリーナ』の入り口である『煉瓦倉庫』へと到着し、
入り口に立つ『黒服』は『赤月』の姿を認めると、重い鉄扉を引き開ける。

    ガララララララララララ ・ ・ ・

    「『赤月ナカレ』。健闘を祈る」

『赤月』は『黒服』に導かれるままに『地下』へと下り、
鉄階段を降りる最中、昨日に届いた『手紙』の内容を思い出す。
いくばくかの『生活費』と共に郵送された。『後見人』からの手紙だ。

------------------------------------------------------------

さて、君がかの奢り高ぶった『象牙の箱庭』に足を踏み入れ、
君に宿りし小さな『牙』を突き立てたと、私は『見た』。
まずはおめでとう。復讐の『毒牙』に闇の煌めきを覗く時、
私は常に安堵する。人とはやはり、『情』に動いてこそ本質となる。

まずは一つ。君の『兄』の遺体には『殺害』の痕跡は残っていなかった。
当然ながら、『スタンド能力』というのは『解除』されれば後には何も残らない。
――――しかし、不審な点が一つある。彼に付着した『金属粉』だ。

それが何を示すのかはまだ解らない。
まずは今日の『勝利』を願っている。君と『サクソン』に光あれ。

------------------------------------------------------------

665赤月『サクソン』:2022/06/11(土) 00:53:01
>>663-664

「・・・・・ありがとう。」

明らかに堅気の人間ではないであろう『黒服』に誘われ地下に進む
口数が少ないのは緊張のためか? それとも・・・・?

(タイミングが良すぎる・・・・。
 普段はこっちから連絡を取ろうとしても取れないくせに)

『アリーナ』に参戦する丁度その時に届けられた『後見人』の手紙
どう考えても、『監視』を受けているとしか思えないタイミングだ
『監視』という言葉に、以前敵対関係にあった『夜警』の存在を思い出す

(いや・・・・恐らく彼は違う)

名前も性別も知らない相手ではあるが、彼の目的は『弱者の守護』にある
『エクリプス』に所属していた『後見人』と協力関係を結べるとは思えない

(詮索は無意味か・・・・どうせ私にはわからない方法だ)

(それよりも考えるべきはこの『文面』・・・・・)

「『金属粉』だと・・・・・?」

重要な情報を今まで黙っていた『後見人』に不信感はある
だが、この情報は『容疑者』を絞り込むための重要なファクターとなりうる

(『金属粉』を使って、人を傷つける事なく殺すスタンド使い・・・・?
 今はまだ・・・それが何を意味するのかわからない・・・・だが!)

かつんかつん、と階段を降りる
地下へと続く闇の中に未だ光は見えない

(『アリーナ』を勝ち進み、『A級』の試合を見る機会があればわかるだろう
 『金属粉』のスタンド使いの正体が・・・・・)

光が見えずとも、その先へ進む
この道を進むと決めたのだ、立ち止まる理由はない
その先にいる・・・・戦うべき相手に見合うために

666『空を掴む手』:2022/06/13(月) 21:46:31
>>665(赤月)
『後見人』は差出人のない『手紙』でのみ連絡を取っている。
『金属粉』についても『赤月』にとっては初耳である。
勿論、『葬儀』の際に改めた『兄』の遺体には『傷一つ』なく、
検死をされても不審点が見当たらず、『突然死』として片付けられたのだ。

(※『兄』こと『赤月保』は傭兵という稼業から『海外出張』が多かったため、
   ウィルスなどの『感染症』も考慮され、『病院』での検死が行われた)

    ザッ   ザッ   ザッ

    ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
      早速だけど、『選手入場』だぁー!≫

観客席の壁面に埋まった『LEDパネル』には、
袖の余った白衣を纏う、紫髪のCGキャラクターが跳ねている。
会場に響き渡った『電子ボイス』も彼女のモノだろう。

        ブシュゥゥゥゥ―――z___

    ≪ただいま入場したのは『赤月ナカレ』選手!
      身長160cm! そして、驚きの新情報があります!≫

    ≪な、なんとッ! “あの”、あの『最中派』のアリーナを勝ち抜いた一人!
      これは実力どうこう以前にッ!  その胆力は見逃せませんッ!!≫

地面に埋め込まれた『スモークマシン』から白煙が立ち上り、
姿を現した『赤月』を語り飾ろうと、『CGキャラ』が実況を開始する。

     「汚らわしい名前を出してんじゃねぇーよ!」

     「俺達はマジのガチであそこの一派は認めてねぇんだよ!」

     「客層がちげぇーんだよ客層がッ! テメェも突き出すぞクソVtuber!」

『タブー』にでも触れたのか、観客達のブーイングが『CGキャラ』に襲い掛かる。
『CGキャラ』は無機質な笑顔のまま、罵倒を受け流す様に袖余りの右手を振っている。

    ≪あ、あははぁー。なんだかゴメンなさーい。
      さあ、お次の登場は『菅谷日向太』選手ゥー!≫

    ≪身長172cm! 先日は惜しくも『B級』への昇格叶わずでしたが、
      再起を賭けて再びの挑戦ですッ! さあ、入場してくださぁーい!≫

        ブシュゥゥゥゥ―――z___


【アリーナ俯瞰図】
∴∴∴∴■■□菅□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□回回回□□□□■∴│
∴■□□□□回回回□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□赤□■■∴∴∴∴│

柱:高さ『2m』ほどの『コンクリ柱』
棚:高さ『2m』ほどの『スチール棚』。
□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは『1x1m』。
■:『2m』の高さの壁。その上は『金網』が張られ、会場と観客席を隔てる。
∴:観客席。会場を見下ろす形となる。
回:高さ『4m』の位置にある『解説席』。透明板を鉄骨で『宙吊り』にしている。
  ※以降、MAP描写の際には省略します。

667赤月『サクソン』:2022/06/13(月) 22:28:47
>>666

    ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
      早速だけど、『選手入場』だぁー!≫

「―――――ッ」

耳の中に突然飛び込んできた甲高い声に頭の奥がキーンとする
前回もそうであったが、この手の騒がしい歓声にはいまだに慣れない

だが、闘技場に上がるや否や響いてきた観衆の声とその場の空気を感じ、
前回・・・・『最中派』の会場とは違う雰囲気が満ちている事に気づいた

(嫌な感じがあまりしない・・・・)

前回の試合会場で味わった粘り付くような強い『視線』
空気に触れるだけで肌がざわざわとする強い『嫌悪感』
何かを期待したような悍ましさを感じる程の『違和感』

罵声こそ響いているものの、以前のような悪性の感情が沸いてこない事に不思議な気分になる

「・・・・・・・・・ふっ」

口元に微かな笑みが浮かぶ
それは、陰惨な復讐者のものというよりもむしろ・・・・

「いや、気を引き締めなければならないな
 敵は・・・・・『B級』寸前の強者だというのだから!」

「君が『菅谷日向太』か!?」

闘技場に一歩足を踏み入れ、対面のゲートから現れた男に声をかける

668『空を掴む手』:2022/06/13(月) 23:10:50
>>667(赤月)
>(嫌な感じがあまりしない・・・・)


    「『赤月』ィィ――――、前のアリーナとは違ェぞォー!」

    「この『アリーナ』じゃあ、腕っぷしだけが全てだぜッ!」

    「ナメた試合してっとォ、テメェの赤毛を引き千切っぞォ!」

観客席からは野太い声による『野次』が飛び交い、
ビールを片手に大声を張り上げる観客達は、『赤月』を睨むように吠える。
熱された空気は『鉄火場』と呼ぶに等しい。生ぬるさなど感じられない。

        ブシュゥゥゥゥ―――z___

>「君が『菅谷日向太』か!?」

『赤月』の唇を彩る微笑は『期待』の表れか。
薄まった白煙から姿を現した人影は『ライダーズジャケット』を纏い、
太っちょの体躯を悠々と揺らしながら、細い一重瞼を『赤月』に向ける。

    「当たり前だっつうの! ――――そしてェ!」

    「『B級寸前』だぁ!? ちょっと足りねぇみたいに言いやがって!」

    「ドンピシャだろーと傷付くっつうの!  ――――そうだよなぁ!?」

『菅谷』は右腕を高々を突き上げ、その人差し指を『上空』へと向けた。
『ポリカーボネート』の板と『鉄骨』によって作られた、天空の『解説席』に座るのは、
薄手のストールを首に巻いた男だった。彼はパイプ椅子に腰掛け、長机に両肘を突く。

    「ハッハッハッ、あの時は惜しかったねッ! 『菅谷』君!
     鎬を削る接戦だったよ。いやぁ、ボクが相手だったらどうなってたか」

    「――――だからこそ、君が再び這い上がる時を楽しみにしているよ」

    ≪そう、『解説』はB級ファイターにして焼肉店『花郎』のオーナー!
      『キム・クァンガン』ですッ! かつては本国にて――――≫

    「そして、実況は『六連セカイ』!
     『格闘ゲーム界』では名の知れた『Vtuber』だそうだッ
     ボクは『KOF』ならちょっとカジったけど、ちっとも上手くならなくてね。
     君の動画をチェックしたら、少しはマシになるのかな?」

    「テメェーのゲームの腕前はどーでもいいから、
     さっさとゴングを鳴らせっつうの!」

『セカイ』の実況を遮るように『クァンガン』が彼女の紹介をし、
長い前置きに業を煮やした『菅谷』が『クァンガン』に喰って掛かる。
そして、スモークが晴れつつある中、『赤月』はスチール棚の並びが解る。

    ズラァァァァァ――――

『スパナ』、『電動ドリル』、『差し金』、『ハンマー』。
四段の棚板には片手で持てる程度の『工具』が並んでいる。
これが用意された『道具』ということだろう。

669赤月『サクソン』:2022/06/13(月) 23:56:10
>>668

>「『赤月』ィィ――――、前のアリーナとは違ェぞォー!」
>「この『アリーナ』じゃあ、腕っぷしだけが全てだぜッ!」
>「ナメた試合してっとォ、テメェの赤毛を引き千切っぞォ!」

「やれるものならやってみるといい!
『戦士』として命を落とす・・・・あ、いや、ボコボコにされる覚悟があるのならな!」

周囲の『野次』に対して、挑発で返す
流石に命のやりとりを示唆する言葉は不味いと思ったのか、
少しマイルドに言い直したわけであるが

そして、白煙の向こう側、『ライダーズジャケット』の男に視線を向ける
体格はやや大きい、動きを見る限り動作は鈍重そうだ
だが・・・・自分自身にも言えることだが、スタンド使い同士の戦いに体格はそれ程関係はない

(解説席とのこの会話・・・・あそこにいるのは『B級ファイター』か?)

頭上に君臨する『B級ファイター』と、『B級』間近で足踏みをする『ファイター』
彼らの間にある、一種の内輪ネタのような会話の応酬に、むっと口が引き締まる

「君の格が『B級寸前』だろうと『ギリギリ』だろうと関係はない!
 君には私と戦い、そして再び地に落ちてもらう!」

「『B級』スレスレに手が掛かって粋がっている所悪いけど・・・・
 こればかりは君に譲るわけにはいかないな!」

「何故なら・・・・先に上に上がるのは私の方だからだ!」

言いたい事は言い切ったとばかりに、満足した顔で前方を見る
棚の中には『工具』・・・・・どれも『暗器』とするには有用だ
罠を仕掛ける余裕もあるだろう

670『空を掴む手』:2022/06/14(火) 21:57:19
>>669(赤月)
>「やれるものならやってみるといい!
>『戦士』として命を落とす・・・・あ、いや、ボコボコにされる覚悟があるのならな!」

    ヒュゥ―――♪

                  「やってみろやぁ!」

『赤月』の挑発に呼応し、口笛や声援が響き渡る。
粗雑で荒々しくも『体温』の籠ったコミュニケーションだ。
そしてそれは、対戦相手である『菅谷』の目線からも感じ取れる。

>(解説席とのこの会話・・・・あそこにいるのは『B級ファイター』か?)

   ┌──────────────────────
   │ 「『B級ランカー』の『ニコン』さん、『クァンガン』さん
   └──────────────────────

『赤月』は『ラクアクア』で交わした『吉田』との会話を思い出した。
『キム・クァンガン』。彼もまた『B級ファイター』にして、

   ┌─────────────────────────────
   |あの時の戦いは、まさに『20対5』の『大乱戦』だったと聞いています」
   └─────────────────────────────

『赤月保』を倒した『A級ランカー』と共に、最後の闘いに挑んだスタンド使い。
――――彼であれば、『兄』の行く末を知っているのではないか。

> 君には私と戦い、そして再び地に落ちてもらう!」
>「何故なら・・・・先に上に上がるのは私の方だからだ!」

    「上、等」  「――――だっつうの!」

    ≪さあ、もう言葉は要りませんッ!  ――――試合、開始ッ!≫

『セカイ』が右腕を振り下ろし、ディスプレイに『Now on Fight』の文字が踊る。
『菅谷』は右腕を真横に伸ばし、――――『赤月』に予感が走る。

    「『オープン・ハンド』ォ!」

あの『右腕』は、ヤバい。
『右胸部』から『右腕』、『右手首』に覆い重なるように、
『菅谷』の腕よりも一回り大きく、『オープン・ハンド』の右腕が重なる。

――――あの『右腕』は、ヤバい。

671赤月『サクソン』:2022/06/14(火) 22:56:22
>>670

(そういえば・・・・彼の名前、どこかで聞き覚えが・・・・)

赤月に韓国人の知人は少なく、『クァンガン』という名の知り合いはいない
さてはテレビの中の有名人か何かか、と思ったが・・・・・

「・・・・・違う。
『クァンガン』・・・・あの時、松太郎との話に出てきた」

――――『20対5』の乱戦を勝ち抜いたスタンド使い。
『キム・クァンガン』とはその時に出てきた『B級ファイター』の名前だ

「それってつまり・・・・
              「上、等」  「――――だっつうの!」

    ≪さあ、もう言葉は要りませんッ!  ――――試合、開始ッ!≫


「あっ! くっ!」

『クァンガン』という男への考察に気もそぞろになっている間に
無情にも試合開始のゴングが鳴らされる

(こうなったら・・・・・『試合終了』の後にでも・・・・)

「・・・・・・・・!?」

背筋に冷たいものが走る!
『菅谷』が振るうあの・・・・『異形の右手』!

(あれはマズい!!)

危機的状況に対して頭の中のスイッチを切り替える
『菅谷』との戦いに・・・・よそ見をするような隙も、他の事を考える間もない!
全力でいかなければやられてしまう・・・・・ッ!!

「『サクソン』ッ!!」

闘技場に一歩踏み出し、こちらも負けじとスタンドを出現させる
『トレンチコート』は自身の身に纏う様に発現し、『サクソン』自身は己の傍に立たせる
そして、自身の身を『トレンチコート』で包むことで、所持品を覆い隠し、以下の『暗器化』を施す
『ボールペン1本→袖箭』『リボンタイ→縄鏢(ジョウヒョウ)』『財布の中の100円玉→羅漢銭』

そのまま、財布の中の『100円玉』を取り出し、『サクソン』の力で菅谷に向かって投げつけようとする!
『100円』という貨幣は相手に対して『支払う』事で使用されるものだ
ならば、この『100円』は菅谷に当たる(=菅谷が受け取る)直前に『暗器化』が発動する

ただの『100円玉』と甘く見て受け止めようとすれば、
急激な重量変化と辺縁の鋭利化によって菅谷の肉体は傷つくはず!

672『空を掴む手』:2022/06/14(火) 23:22:23
>>671(赤月)
>(あれはマズい!!)

『赤月』は『サクソン』を発現し、同時に己が身に『トレンチコート』を纏う。
『サクソン』との対格差によって袖裾がダボつくが、動きに支障はない。

    ≪『オープン・ハンド』、『サクソン』が共に発現!≫

    ≪それにしてもあの『右腕』、只者ではないと見受けられますが――――≫

『菅谷』の『右腕』から醸し出される威圧感とは対照的に、
『赤月』は纏った『トレンチコート』の裏側で『暗器化』を施した。
『ボールペン』を『袖箭』に、『リボンタイ』を『縄標』、『財布』の『百円玉』を『羅漢銭』に変える。

この変化は『一瞬』だが、実際に『暗器』を行使するには『動作』を有する。
取り出した『財布』から『百円玉』を取り出し、投擲するまでの『タイムラグ』の間、
西方向へと走る『菅谷』目掛けて、『サクソン』は『投げ銭』を放つ。

     ピシュッ!
                  ――――チャリンッ

目立たない『暗器』であっても『投擲』という動作自体は視認できる。
更に『10m』ほどの中距離ともあれば、『投げ銭』は簡単に避けられてしまう。

     「『投げ銭』だったら、そこの『Vtuber』にやれっつうの!」

     ≪『サクソン』の『投げ銭』、呆気なく外れましたー!
       さあ、『菅谷』選手は『棚』へと向かい、えぇー!?≫

     ≪その逞しい『右腕』を持って尚、『武器』がいるのでしょうかー!?≫

『菅谷』は『右腕』を真横に突き出しながら、北西の『棚』へと駆ける。
――――『投擲』そのものは失敗したが、『赤月』は一つの気付きを得た。

『硬貨』を『支払う』という『使用用途』を満たしていない以上、『羅漢銭』にはなり得ない。
『硬貨』に対して単純な『投擲』だけで『使用用途』と呼ぶのは、やや苦しかったか――――
今の『サクソン』は百円玉を投げただけだ。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□菅□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□赤□■■∴∴∴∴│

673赤月『サクソン』:2022/06/14(火) 23:42:34
>>672

「いけない・・・・今日の私は少々冷静さを欠いている」

元々、牽制のための一撃ではあったが、これでは牽制にすらなっていない
『100円玉』が落下した位置を記憶してこちらも棚(MAP右下)へと向かう

「『Vtuber』というのか、彼女は!
 それを知らなかったな・・・・もっとも、お金を投げる相手は君で間違いはない」

狙いは棚に置かれた『電動ドリル』だ
この物体を手に取り、『トレンチコート』の中で『暗器化』し『縄標』を仕込もうとする

「この国には『六文銭』という風習があるのだろう?」

(それにしても妙だな・・・・
 あの『右腕』、見るからに『直接戦闘』が得意だとでもいいたげなヴィジョンなのに
『道具』を取りに行くだと・・・・?)

何かあるな、と思いながら彼の動きを見つめる

674『空を掴む手』:2022/06/15(水) 00:32:38
>>673(赤月)

    ダダダダッ

『赤月』はスチール棚へと駆け寄り、『電動ドリル』へ手を伸ばす。
トレンチコートの内側に引っ掛けられた『電動ドリル』に『縄標』を仕込む。

※『手工具』の範囲であれば、道具は『言い切り』で揃っているモノとします。
  『メール欄』での取得及び『暗器化』についても可能です。

>(それにしても妙だな・・・・
> あの『右腕』、見るからに『直接戦闘』が得意だとでもいいたげなヴィジョンなのに
>『道具』を取りに行くだと・・・・?)

『菅谷』の姿を確認しようとするが、棚と柱に隠れてしまい、
その姿を見ることは出来ない。……唯一の例外は突き出された『右腕』だ。
スチール棚の影から、『くの字』に曲げているのか『肘頭』が見えている。

    ≪さあ、両者が『工具』を手に取ったかァ――――!?≫

    「おいおい、一向に攻めて来ねェな!」

    「『DIY』の要領でテメェーらのドタマぶち割っぞ!」

試合が進まない中、痺れを切らした観客達の罵声が飛び交う。


∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴■□□菅棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚赤□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

675赤月『サクソン』:2022/06/15(水) 21:56:51
>>674

(さて・・・・私が施した『暗器化』はこれで『4個』
 だが、もう一つ・・・・『これ』も使いたいところだが・・・・)

(そうなると『羅漢銭』はもはや不要か)

『100円玉』の『暗器化』を解除する
これで『暗器化』を施した道具は『ボールペン』『タイ』『ドリル』の3つだ

「これでいい」

そう言いながら、棚にあった『物』を一つ手に取り、『暗器化』を施す

「行くぞ!」

『電動ドリル』を傍に立つ『サクソン』に持たせて、追従状態にする
そして、反時計回りに回り込むようにしてMAP右上の柱へと駆けていく

676『空を掴む手』:2022/06/15(水) 22:53:52
>>675(赤月)


     ダダダッ


『赤月』は『電動ドリル』を手にした『サクソン』と共に、
北東にある『柱』目掛けて駆けていく。
『スチール棚』越しに『菅谷』の姿が垣間見える。

     「そろそろ、溜まって来たぜ……」

『菅谷』は左手にステンレス製の『ノギス』を手に持ち、
柱の影から姿を現した。そして、その『右手』は――――

    ≪す、『菅谷』選手、あ、あれは――――≫

    「おいおい、なんだよアレ!?」

    「お前、所見かよ。『菅谷』の『オープン・ハンド』」

    「で、」

    「デケぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜ッッ!!」


    ズ ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ―――


『菅谷』の『右腕』を核として発現した『オープン・ハンド』は
人間の『胴体』をそのまま移植したかのような『巨腕』となり、
それを『赤月』へと突き出すように振るう。

    「オメェーが何をしてたかは知らねぇが、
     俺の『オープン・ハンド』が全部、握り潰すっつうの!」

   ヒュゥゥゥゥゥ――――

            ――――ダダダッ

『赤月』の背後から『微風』が吹き込む。
密閉された『アリーナ』において、『隙間風』の入る余地はないはずだ。
巨腕を突き出しながら、『菅谷』は真正面から『赤月』へと向かって来る。

    ≪きょ、巨大とは言え、『スタンド』のパワーに、
      『大きさ』なんて関係ないですよね? 筋肉じゃあるまいし!≫

    「どうかな。ヴィジョンの大きさに差が生じにくいとはいえ、
     意味もなく『巨大化』するわけがないよね。……それに」

恐る恐る問い掛ける『セカイ』に対し、『クァンガン』が平然と言葉を返す。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□□菅□□□□□■∴∴│
∴■□□□棚手□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□赤□□■∴│
∴■□□□□□□□□□| □■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚| □■∴│
∴■□□□棚□□□棚/□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

677赤月『サクソン』:2022/06/15(水) 23:32:30
>>676

「なん・・・・・だと・・・・・・?」

スチール棚越しに垣間見た菅谷の姿に、赤月は己の失策を知る
やはり・・・・先ほど感じた嫌な予感は当たりだったようだ
菅谷は何らかの方法でスタンドエネルギーをチャージしていたのだろう

(『風』・・・・・・?)

不意に、赤月は背後から緩やかに吹く『微風』に気が付いた
この会場に『隙間風』が差し込む余地はない・・・・ならば、この風は敵の能力の予兆か!?

(まずは近づいて確かめるしかない!)

柱を反時計回りに回るようにして、会場の北側を通るように菅谷に近づく
そして、菅谷の体を『縄標』の射程距離に収めたところで・・・・・

   ―――――『ギュルルルルルッ!』

『サクソン』が握りしめた『電動ドリル』を起動!
それにより『暗器化』の条件を発動させる!

『ドリル』を回転させながら、錐体と握り手の間の部分を『縄標』の『縄部分』に変化させる
それにより、『ドリル』部分を回転させた状態で、菅谷に向けて一直線に投げつけ、投擲攻撃を行う

678『空を掴む手』:2022/06/17(金) 22:00:32
>>677(赤月)

>   ―――――『ギュルルルルルッ!』

『赤月』は棚の影に隠れるように接近し、
その最中に『電動ドリル』を回転させ、『暗器』を発現する。

    ≪あれは、『赤月』選手の『ドリル』が――――≫

        バシュッ!

             シルルルルルルルッッ!!

    「させるかよォォ!!」

『サクソン』の手元を離れ、投擲された『電動ドリル』目掛け、
『菅谷』は『オープン・ハンド』を纏った『右腕』を振るう。

    「この距離はもう、『オープン・ハンド』の間合いだっつうの!」

『サクソン』を上回るスピードで弧を描いた『右腕』は、
纏った『オープン・ハンド』ごと『電動ドリル』に触れて、

     シパッ

    ≪き、消えたァァ――――!?≫

『オープン・ハンド』が触れた瞬間、『ドリル』は姿を消す。
――――いや、違う。『菅谷』の背後で『ドリル』は旋回している。
            . . . . .
一瞬で『菅谷』をすり抜けた『ドリル』。
そして、『2〜3m』の距離がある最中、『赤月』の横っ面に、

          バグゥ!!

    ≪そして、『赤月』選手、被弾かァ!?
      『ドリル』と同じように、『菅谷』選手は何を飛ばした!?≫

まるで見えない『手』に殴られたような、完全なる『不意打ち』。
よろめいた『赤月』はアリーナの壁面を支えにする。
不可思議な攻撃。無為の行動、……そうではない。

      ドヒュルルルルルゥゥゥ――――

               ガスゥ!!

    「う、ぐォォォッッ!!」

『菅谷』のライダーズジャケットごと、『ドリル』の錐先が『背中』を抉る。
『赤月』が投げたのは唯の『ドリル』ではない。その『回転力』を『縄』に保持させた『縄標』。
伸びた縄をくねらせたまま『ドリル』は『菅谷』の後方へと飛び続けている。

    ≪唯の『ドリル』じゃあありません!
      『赤月』選手、『縄』を仕込んだ『ドリル』です!≫

    うおおおぉぉぉぉぉ―――――

両者の『ファーストヒット』に対し、観客達が歓声を響かせる。
そして、『菅谷』の『オープン・ハンド』は先程よりも萎んでいる。
人の胴体ほどもあったはずが、今は『一回り』は太い、というほどだ。

    「それでお前は、『武器』を用意したってわけかよ!
     『赤月』ィ、――――今ので見えたっつうの!」

    「お前の『弱点』がなァ――――!!」

    ヒュォォォォ――――

『菅谷』の咆哮は負け惜しみか、それとも確信か。
――――再び、『風』が吹き始める。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□←ド 菅□□赤□■∴∴│
∴■□□□棚□手□棚□\□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚/□■∴│
∴■□□□□□□□□/□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

679赤月『サクソン』:2022/06/17(金) 22:36:25
>>678

「(すり抜け・・・・? いや、これは・・・・!?)」

  「ぐっ!」

不可知の『何か』に殴られる、見えない『不意打ち』
頬から血を流しながら、よろめき、壁を支えに倒れるのを防ぐ

(『風』・・・・・萎む『オープン・ハンド』・・・・
 『空気』か・・・・? 『空気』が何か関係を・・・・?)

目の前で起きている『現象』を繋げていくつかの仮説を立てる
だが、それらを立証するにはまだ論拠が足らない

(もっとも・・・・・・)

     (私の攻撃はまだ終わっていないのだが!)

『サクソン』が握る持ち手に僅かな指捌きを加える
そして・・・・『ドリル』を投擲した時点で予定していた動きを、人形遣いのような指運で伝える!
その動きは『ドリルに縄を絡ませて後ろに戻すこと(>>677メール欄)』
投擲した『ドリル』を180度反転し、撓んだ縄をドリルの回転で巻き取る事で菅谷の背後からの攻撃を狙うものだ!

同時に、本体はさらに前進・・・・・菅谷との距離を詰める

(敵は中距離戦闘が得意なタイプと見た!
 恐れてばかりでは勝ちを拾うことは出来ない)

680『空を掴む手』:2022/06/17(金) 22:50:05
>>679(赤月)
>(『風』・・・・・萎む『オープン・ハンド』・・・・
> 『空気』か・・・・? 『空気』が何か関係を・・・・?)

僅かに吹き込む『風』から事態を推察しながらも、
壁を背にして身体を支える『赤月』は『サクソン』を動かし、
その優れた指捌きによって、ドリルの『握り手』を

┌─────────────────────────
│『オープン・ハンド』が触れた瞬間、『ドリル』は姿を消す。
└─────────────────────────

┌─────────────────────────
│      . . .
│『赤月』が投げたのは唯の『ドリル』ではない。
└─────────────────────────

『ドリル』は既に『サクソン』の手を離れている。
――――だが、これは『赤月』の失策でもなんでもない。
投げるつもりのなかった『ドリル』が、勝手に手からすっぽ抜けた。

……いや、違う。手から『離された』のだ。
いずれにせよ気付いたのは一瞬。行動はまだ『修正』できる。

681赤月『サクソン』:2022/06/18(土) 00:00:58
>>679

(なっ・・・・ いけない!)

『アリーナ』にいる事による『憎悪』からか
それとも、『戦闘』に関わる『高揚感』からか
『ドリル』が手から離れていた事にも気づかない己の迂闊さを呪う

(いや・・・・だとしても『進む』!)

『風』の流れから、菅谷が再び『オープン・ハンド』の巨大化を狙っていると見て間違いはないだろう
ならば、ここで退いてしまっては彼にリチャージの機会を与えてしまう事になる

         シュルルル・・・・・

制服の『リボンタイ』を片手で解く
『着脱』という動作をトリガーにして『暗器化』を発動
前進し、菅谷との距離を詰めながら、『縄標』に変化させた『タイ』の『金票(ヒョウ)』の部分を投げて攻撃する

(だが・・・・・!)

『縄標』による攻撃は囮だ
既に、相手には『縄標』による攻撃は一度見せている
『B級(相当)ファイター』ともなれば二番煎じの攻撃など軽くいなされて終わりだろう

(本命はこちら!)

『縄標』の操作もそこそこに、口の中・・・『ある物』を舌で動かす
口中に放り込んだもの、それは『暗器化』を施した『釘』である(>>675メール欄)
先行させた『縄標』に相手が対処する瞬間、口腔内を『釘』で刺す(釘の使用)事で『暗器化』を発動

それは『袖箭』の発射機構を再現し、口腔内から射出・・・・『含み針』のように菅谷を襲う
狙いは菅谷の顔・・・・致命打にはならなくても、不意を打たれれば注意を削ぐ事が出来る部位だ

682『空を掴む手』:2022/06/21(火) 21:04:45
>>681(赤月)

    シュルッ

          ヒュカッ!!

『赤月』は『1.5m』ほどのリボンタイを解き、『縄標』へと変じさせ、
その切っ先を『菅谷』目掛けて放るも、右腕の『オープン・ハンド』が唸る。

    バシィッ!!
               ――――ガスッ!

『オープン・ハンド』のパワー、スピードのどちらも『サクソン』を上回る。
だが、『赤月』は敢えて『弾かせた』のだ。本命は咥内の『釘』による『含み針』。
『暗器』の王道。……だが、『刺す』という行為に対し、『口』での射出は『パワー不足』だ。

結果として、『釘』は『暗器』とならず、口から零れるに過ぎな……

       バスッ!

    「ぐ、おおぉ!!」

いや、『釘』は『2m』も先にいる『菅谷』の額に命中し、ひっかき傷を作る。
――――おかしい。『菅谷』へと吹く『風』に乗った、では済まされない。
この『アリーナ』の中で何かが起こっている。

    「そのスタンドを使って、――――何度目だぁ!?
     寄せ集めた武器だけじゃあ、俺は倒せねぇっつうの!」
                                . . . .
    ≪す、素晴らしいです! 両者、目にも止まらぬ攻防!
      しかし、『菅谷』選手! この場で足を止めて――――≫

    「クッソー、ヤジる『ヒマ』すら与えてくれねェ!」

    「口も挟めねぇじゃねぇか!」

――――『サクソン』の徒手空拳は『常人』に毛の生えた程度だ。
『暗器』による『暗殺』こそが『真価』であるが故、なのだが……。
この『実況者』は、『観客』は、何を言っている……?

    「十分に吸い取ったぜ、『オープン・ハンド』ォ!」

    「お前は所詮、釈迦の掌の『孫悟空』だっつうの!」

『2m』の距離のまま、『菅谷』は『オープン・ハンド』で殴りかかる。
腕の長さは十分ではない。このままでも『届く』という『確信』がある。
――――この『右腕』は、ヤバい。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□ド□ 菅手□赤□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□\□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚/□■∴│
∴■□□□□□□□□/□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

683赤月『サクソン』:2022/06/21(火) 22:02:37
>>682

「ふっ! 『口は禍の元』という言葉があるらしいけど・・・・
 どうやら、『口』での口撃(こうげき)は私の方が勝っていたらしいな!」

自身の攻撃が予想外の結果を招いている事に困惑する内心を隠すように
相手を挑発する言動をとる

(どういう事だ・・・・?
 私は、彼の能力が『空気を集める風船』のような能力だと思っていた、が・・・・)

観客席から浴びせられる歓声は、明らかに何らかの齟齬を生じている
 ・・・・・・・
『あり得ない攻防』・・・・。
彼らが認識している『速さ』と、自覚した『速さ』の齟齬

(『速さ』・・・? いや、『速さ』とは『距離』を『時間』で割ったもの
 『時間』を操った・・・・・? いや、可能性は低い・・・・ならば!)

(『距離』かッ!?)

『そんごくう』というお話は、昔絵本で読んだことがある
山も海もひとっ飛びに飛び越える『そんごくう』は、
而してお釈迦様の小さな掌すら飛び出すことすら出来なかったという

(まさか、彼が先ほどから吸い取っていたのは・・・・『距離』なのか!?)

今はまだ、仮説にすぎない
だが、無数の仮説の絞り込みと、それらの立証はこと『スタンド戦』においては基本だ

「・・・・・どうやら、既に君はお釈迦様気分のようだけど
 聞かせてくれないか? 『B級ファイター』に上る事も出来ず、
 こんな所に転落してしまった君風情が、どうしてそうも偉そうなのかを」

「・・・・・西遊記に出てくるなら、『猪八戒』がお似合いだよ。君は」

そう言いながら、赤月は『オープン・ハンド』の威圧感に負けず・・・・むしろ『前』に出る!
いや・・・・出るのは『前方下』・・・・スライディングのように地面を滑って移動する構えだ

(おそらく・・・・『オープン・ハンド』は一瞬で瞬間移動をしてくるはずだ
 だが・・・・目の前の空間の、『距離』が消えているのであれば、
 『私』も!前方に瞬間移動が出来るはず!)

狙いは彼の能力を利用して、前方・・・彼の近くに瞬間移動する事
仮説が正しいのであれば、目の前の『何らかの空間』に触れた瞬間に彼の足元に移動できるはず
その瞬間に・・・・・

(最後の『暗器』だ!!)

>>671で用意した最後の『暗器』、ボールペンを変化させた『袖箭』を構えて
彼の身体に狙いをつけるのが狙いだ!

684『空を掴む手』:2022/06/21(火) 23:06:12
>>683(赤月)
巨大化する『右腕』、『菅谷』へと吹き込む『風』。
これらの現象から『赤月』は『オープン・ハンド』の能力について、
『空気』を吸い込む『右腕』だと推測していた。

だが、その能力では説明できない『現象』が起こっている。

┌───────────────────────────
|――――いや、違う。『菅谷』の背後で『ドリル』は旋回している。
|            . . . . .
|一瞬で『菅谷』をすり抜けた『ドリル』。
└───────────────────────────

>(まさか、彼が先ほどから吸い取っていたのは・・・・『距離』なのか!?)

『赤月』は前へ出る。『ヤバい』と予感する『右腕』の存在感。
敢えて前に出る。己が自ら組み立てた『予想』は、『予感』を上回る確信を持つ。

> 聞かせてくれないか? 『B級ファイター』に上る事も出来ず、
> こんな所に転落してしまった君風情が、どうしてそうも偉そうなのかを」

    「何故かって!?  既に言ってるじゃあねぇーか!」

    ズザザザァァ!!

>「・・・・・西遊記に出てくるなら、『猪八戒』がお似合いだよ。君は」

    「お前を握り潰せるだけの、『空間』を吸ったからなぁ!」

『赤月』の組み立てた仮説は『半分』は正しかった。
『赤月』は常人とは思えぬ『スピード』で『菅谷』の足下に滑り込む。

自転車を漕ぐ時のような、『風』を破る感覚はない。
まるでYoutubeの『二倍速再生』のような、実感を伴わぬ『高速化』。
そして、『オープン・ハンド』の右腕がしなり、

     ド  パオオオオ ンン!!

『オープン・ハンド』が破砕し、『空間』が爆ぜる。
その余波によって『赤月』は転がるように吹き飛んでいき、
全身を地面に打ち付けながら『柱』へと激突する。

    「俺の『オープン・ハンド』は、周囲の『空間』を『掌握』するっつうの!
     『希薄化』した『空間』じゃあ、手投げのボールも『160km』のストレート!」

    「そしてェ、『空間』そのものの『右腕』を今みたいに振るえばァ!
     どぉぉ〜〜〜〜よぉぉ〜〜〜〜??  ブルった威力だろーがァ!」

   ブシュシュッ    ブシュゥゥゥゥ―――

意気揚々と雄叫びを上げる『菅谷』だが、その右腕は『亀裂』が走り、
生身の右腕からも夥しい『裂傷』と共に『流血』が滴っている。

    ≪『菅谷』選手、自分からスタンド能力を喋っています!
      一体、何の目的なのでしょうか!?≫

    「吹っ飛ばしたくらいで勝ち誇ってんじゃあねぇーぞ!」

    「やっぱり猪八戒がお似合いじゃあねェーか!」

    「――――やはり、彼にとっては物足りなかったようだね」

解説席の『クァンガン』は何かに気付いたかのように微笑むも、
実況の『セカイ』は困惑し、観客からのブーイングが止まらない。
地面に倒れ伏した『赤月』。――――まだ『袖箭』は発射されていない。

吹っ飛んだ勢いとは裏腹に、ぶつけた背中以外のダメージも乏しい。
大きく距離を離す程の『威力』はなく、『空間』の希薄化による『高速移動』の影響か。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴■□□ド□ 菅□□□□■∴∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□赤□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

685赤月『サクソン』:2022/06/21(火) 23:55:45
>>684

やった!と、そう思った
予想通り自身の身は瞬間移動を果たし、菅谷に向けて攻撃を・・・・・

「・・・・・・・・・・・ッ!?」

     ド  パオオオオ ンン!!

「くッ! アアァァァァッ!」

・・・・・・甘かった。
赤月の予想通り、菅谷の能力は『空間(距離)を吸う』ものであった
しかし、赤月にとっては予想外な事に、彼はまた『吸った空間を破裂する』能力も持っていたのだ

「く、空間の『掌握』とその『解放』・・・・それが君の能力だったか」

勢いよく吹っ飛ばされはしたものの、自身のダメージは意外と乏しい
不意打ちで背中を強打した事で一瞬息が詰まる感じがしたが、呼吸を整えればなんともない
むしろ、菅谷の方こそが『大ダメージ』を負っているように見える
あの『腕』の傷、先ほどの攻撃は破れかぶれの一撃だったというわけか・・・・?

(いいや、違うッ!)

そう、彼の目は追い詰められて破れかぶれの一撃に出た窮鼠の目ではない
          ・・
勝利を掴まんとする『獅子』の目だッ!
何故、あれだけの負傷を負いながらそんな目でこちらを見る事が出来るのか!?

「・・・・・先ほどの妄言は訂正しよう
 君は、『B級』に上がれずに腐っているような軟な人間ではないようだ
 その気迫・・・・・狙っているんだろう。再びの返り咲きを」

物語において『猪八戒』は、天から落とされて豚に生まれ変わった後、
三蔵法師を支えて天竺に至った功が認められ、再び天に昇る事が出来たという
あるいは、この男も・・・・

「だからこそ、私は決して侮らない!」

その場で立ち上がりながら、懐から『財布』を取り出し、
『サクソン』の手で中の小銭をむずっと掴み取る

「この状況で君が勝ち誇る理由・・・・
 仕掛けてあるのだろう!? 既に! 『罠』を!!」

    ジャララララッ!!

そのまま周囲360度に向けて小銭をばら撒く!
菅谷は既に、この会場内に『希薄空間』を設置している可能性がある
『希薄空間』に触れた物は高速移動する・・・・
小銭をばら撒く事で、周囲にある『希薄空間』の存在を感知する事が狙いだ!

686『空を掴む手』:2022/06/22(水) 00:28:37
>>685(赤月)
ド派手さとは裏腹に『赤月』のダメージは軽微であり、
逆に右腕から血を流す『菅谷』の負傷の方が甚大に見える。
唯のハッタリか。それとも何かの『策』があってか、

>「・・・・・先ほどの妄言は訂正しよう
>その気迫・・・・・狙っているんだろう。再びの返り咲きを」

    「勿論だっつうの! そしてェ、俺はそれ以上に!」

>「この状況で君が勝ち誇る理由・・・・
> 仕掛けてあるのだろう!? 既に! 『罠』を!!」

    「『罠』以上にッ! 俺は、『ヤジ』が好きなんだよォ!
     浴びるのも浴びせるのも! 観客共、俺の『能力』は全部喋ったぁ!」

    「『ネタバレ』なんて気にしてんじゃねぇー! ガンガンディスれやオラァ!」

    ジャララララッ!!

『赤月』が『サクソン』によって『小銭』をバラ撒くと、
『菅谷』に近付いた『小銭』が明らかな『高速移動』を起こす。
これにより、おおよその『希薄化』した空間の位置は把握できた。

    ワアアアアアアァァァァァ――――

    「要らねぇ配慮してねぇでさっさとガキ倒せやボケ!」

    「そのツラで空間操ってんじゃあねぇぞ!」

    「テメェーの置き配、雑なんだよ!」

    ≪し、試合と関係ない罵倒はやめてくださぁーい!
      い、いやでも、試合とかじゃなくても悪口はダメですー!≫

そして、バラ撒いた『小銭』は『菅谷』には命中しなかった。
何故なら、彼は既に地面を蹴り、

       ドヒュォォォォォ――――!!!

    ≪『菅谷』選手、飛びました!
      『猪八戒』じゃない、『紅の豚』です!≫

一蹴りで『2m』は上空に飛ぶ。その間にも『オープン・ハンド』は肥大化を続ける。
『手出し』の出来ない『空中』で『空間』を溜め続ければ、……先程の威力では済まない。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│
∴∴∴■□□◇◇◇□□■∴∴∴│◇……『希薄化』した空間。
∴∴■□□◇菅◇◇◇□□■∴∴│     小銭の高速移動によって推察できた。
∴■□□□棚◇◇◇棚□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□□□□□□□□□■∴│
∴■□□□□□□赤□□□□■∴│
∴■□□棚柱□□□柱棚□□■∴│
∴■□□□棚□□□棚□□□■∴│
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴│
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴│
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴│

687赤月『サクソン』:2022/06/22(水) 17:54:51
>>686

「そうか!やはり『罠』を仕掛けていたから強気な態度に・・・・・え?」

衝撃の発言に驚きよりも先に困惑が来た
『ヤジ』が好きだから『能力』を公開した・・・・?
対戦相手にブラフを噛ませる事もなく? ただ、戦いを盛り上げるために?

「ふ、ふふふ・・・ははははは・・・・」

無性に笑いが込み上げてきた
何の仕込みも企みもなく、ただ『ヤジ』を飛ばすために能力を公開する・・・・
その馬鹿らしさに、心の底から大笑いをする

「あっはっはっは! なんだ、それ!意味がわからない!」

ーーーー楽しい、とそう思った。
『敵地』である。背中に痛みもある。敵に追い詰められてもいる。
それでもなお・・・・赤月は今、晴れ晴れとした気分で戦っていた


           ・・・・チクリ

胸の奥で、何かが囁く
お前の本分を忘れるな、と

「・・・・・だけど、逃がしはしない
 君の能力が『空間』を操るとしても、それは限定的なものだ!」

菅谷が『希薄空間』を利用して飛び上がる
だが、『希薄空間』を利用できるのは菅谷だけではなく、
解除には『解放』が伴うことは先ほど証明された事実だ

    ダッ!!

右手で『ボールペン』を左手で『100円玉』を握りしめ、赤月は駆け出す
目指すべき場所は先ほどまで菅谷が『居た場所』・・・・ちょうどその座標だ!
先ほどまで菅谷が存在した空間はまだ『希薄化』されていないはず

つまり、彼がもともと居た地点へは『高速移動』で通り過ぎる事なく到達できる!
その地点から真上にジャンプすれば、菅谷の移動経路をそのままトレースして、
上空に飛び上がる事が出来るはず!


□□□菅□□□
□□◇◇◇□□
□□◇◇◇□□
◇◇◇◇◇◇◇
◇◇□□□◇◇
◇◇□↑□◇◇←赤
■■■■■■■■■

□:通常空間
◇:希薄空間
■:床
←:移動経路

『希薄空間』が上記のように広がっている(菅谷が元々居た位置は希薄化されていない)と予想し
その場所から跳躍する事で彼に追いつきたい

688『空を掴む手』:2022/06/23(木) 22:40:08
>>687(赤月)

>「ふ、ふふふ・・・ははははは・・・・」

┌───────────────────────────────
|今回の『菅谷』VS『赤月』というカードについて、
|その場にいる『観客』の全てが『菅谷』の勝利を疑わなかった。
└───────────────────────────────

┌───────────────────────────────
|『クァンガン』も同じく。故に試合前の『赤月』に注目をしていなかった。
|強張った呼吸、緊張。それを読み取っていたからか。
└───────────────────────────────


          だが、その侮りは――――


   ノ\/|
   )あ.〈  /\
   〉っ/ ノ は 〈  /\    (――――この、笑い声……)
   \/  〉っ /  | は〈
       |_/  / っ 〉    (……何故だ? 何故、こんな女の子に)
            \/ ̄
                    (あの時の、あの笑みが重なるんだ――――)
   「なんだ、それ!
    意味がわからない!」


          ――――空気を弾ませる、笑い声に打ち消される。


┌───────────────────────────────
|『クァンガン』は長机に身を乗り出すように、眼下の試合に食い入った。
|結論から言えば、彼の行動は『徒労』に終わったのだ。
└───────────────────────────────


        /i !
       .人        ≪りょ、両者飛び上がったぁぁぁ〜〜〜〜ッッ!!≫
        ギ
       ュ       ≪この闘い、もしや『空中』にて決着が付くのか!?≫
     オ  /
       ・       ≪しかし、『赤月』選手。空中で為す術はあるのかぁ!?≫

689『空を掴む手』:2022/06/23(木) 22:42:32
>>687(赤月)


      ダダダダダッ    ダンッ!!


『赤月』は前方へ駆け出し、『菅谷』の後を追うように跳んだ。
――――いや、飛んだ。胸を刺す痛みと共に、『菅谷』を追い詰めるべく空中を舞う。
『硬貨』と『ボールペン』を握り締め、『菅谷』を追って『空間』を突き抜けていく。

     ≪両者、同じ手段なら追い付けるのでしょうか!?≫

     「いいや、『オープン・ハンド』が『空間』を吸って移動するなら、
      既に『希薄化』した空間を進む『赤月』選手が、背に追い付ける!」

天井まで『菅谷』の距離は『1m』。一方で『赤月』との距離は『1m』。
『赤月』は『ワイヤレスマイク』を手にした『クァンガン』の傍を抜ける所だ。

     「『空中戦』じゃあねぇーか、やぶれかぶれか!?」

     「なわけねぇだろ、何か策があってやってるんだよ!」

     「『菅谷』ァー! グッズの外箱に送り状貼るんじゃねぇー!」

喧々諤々の『観客』達を尻目にし、『菅谷』は首だけを曲げて『赤月』へ振り向く。
細い目に円弧を描かせて、追い縋って来る『赤月』を認める。

     「追って来るなら、迎え撃つまでだっつうの!」

     「『オープン・ハンド』、最大最強の一撃でェェ〜〜〜〜ッッ!!」

     「テメェは墜落! 翼の折れたエンジェルだっつうの!」

『背』を向けた『菅谷』へ対し、半端な『武器』では致命傷にはならないだろう。
彼はまだ『空間』を溜め続けている。天井へ到達し、身を翻した時、
――――あの『右腕』の攻撃が、来る。

この状況、空中であっても『サクソン』は動かせる。
だが、『赤月』が宙を移動することは出来ない。
つまり、単純な方法では『回避』は難しいだろう。

■■■■■■■■■■
□□□□□□┃    ┃←鉄骨柱で吊られたアクリル板
□□□菅□□┃ ク .┃  解説の『クァンガン』がいる。
□□◇◇◇□┗──┛
□□◇◇赤□□□□□
◇◇◇◇◇◇◇□□□
◇◇□□□◇◇□□□
◇◇□↑□◇◇□□□
■■■■■■■■■■

690赤月『サクソン』:2022/06/23(木) 23:36:29
>>688-689

  ――楽しい。

    ――楽しい!

      ―――楽しいっ!!

胸の中を満たすものは『高揚感』
赤月という少女は・・・・元来、この手の『戦い』を好むたちであった
宿命に捻じれ曲がる事がなければ、純粋な気持ちで勝負を楽しむ事が出来ただろう

   ズキっ!!


それだけに、戦いを楽しんでしまっている自分への『罪悪感』が重く圧し掛かる
『復讐』のための戦い、戦いを楽しむなどというのは不謹慎だという思い
だが、今、この瞬間において・・・・『空』という戦場は赤月の心を開放するには十分なシチュエーションであった

    ふわっ・・・・

全身に感じる浮遊感が『過去』を置き去りにする
『復讐』のためでもなんでもなく、ただ『戦い』のためだけの『戦い』へ・・・・

「君の『オープン・ハンド』・・・・先ほどの一撃を超える一撃を放てるのだろう?
 やってみろ! ただし・・・私の攻撃の方がずっと早いだろうがな!」

挑発して、彼の攻撃・・・・最大まで『空間』を蓄えた『オープン・ハンド』の一撃を誘う

「『サクソン』ッ!!」

そう言いながら、自身のスタンド『サクソン』に
両手に持った『100円玉』と『ボールペン』を持たせて菅谷にさらに接近させる

(実を言うと・・・・私には彼の攻撃を止めるだけの攻撃力はない)

そう・・・・既に『100円玉』と『ボールペン』はそれぞれ、
『羅漢銭』と『袖箭』となっている(>>685メール欄)が、
それは菅谷の攻撃を止めるにはあまりにも役者不足な武器なのだ

牽制の一撃にはなる・・・・だが、菅谷の『空間開放攻撃』をキャンセルさせるには攻撃力が足らない

(足らない攻撃力は、彼から補う!)

「喰らえッ!」

菅谷が天井に達し、『空間開放攻撃』を繰り出すために振り向く寸前、こちらの攻撃を開始する
まずは『ボールペン』をノックして、それをトリガーに『袖箭化』を発動
小型の矢と化したそれによって菅谷の目を狙う様に射出する

だが、その程度のダメージで『空間開放攻撃』をキャンセルする程に敵を怯ませる事は出来ないだろう
だからこそ・・・・本命の『二の矢』を用意しておくのだ

それは『羅漢銭』を仕込んだ『100円玉』・・・・・
『袖箭』の射出の陰に隠れるように、『100円玉』を菅谷に向かって放り投げる

狙いは、菅谷が『空間開放攻撃』を放つ時に、
『オープン・ハンド』と菅谷自身の肉体の間の空間に位置するような軌道だ!

(『オープン・ハンド』の攻撃・・・・あの攻撃事態に痛みはそれ程なかった
 つまり、あの攻撃は『空間』を一気に押し広げて相手を爆発的な勢いで『移動』させる攻撃なんだ!)

(ならば、『オープン・ハンド』の『解放』に別の物体が巻き込まれればどうだ!
 クレイモヤや破片手榴弾のように・・・・どれだけ小さな破片であっても、その物体は・・・・!)
  ボディ              バレット
(『人体』を致命的なまでに破壊する『 弾 』になるはずだ!)

つまり、『オープン・ハンド』の開放による『空間拡大』に『100円玉』を巻き込む事で
『100円玉』を菅谷の肉体を貫く『銃弾』とするのがこの攻撃の真の目的だ!

「それは・・・・『花火』の見学料だ」

相手の強大な技に対する『見学料』・・・・
『支払う』という行為をトリガーにして『100円玉』は着弾の際に『羅漢銭』へと変わるはず

691『空を掴む手』:2022/06/28(火) 21:24:28
>>690(赤月)

     ┌──────┐
     │ ――楽しい。 │
     └──────┘

『赤月』の心が弾む。脳が弾ける程のエンドルフィンが踊る。
巨大化した『右腕』を見据え、それが振るわれるのを認め、

>「君の『オープン・ハンド』・・・・先ほどの一撃を超える一撃を放てるのだろう?

      カチッ

    「勿論、          「『サクソン』ッ!!」
     だっつうの!」

                ――――バシュッ!!

『袖箭』と化した『ボールペン』が振り向いた『菅谷』の目に放たれ、
『菅谷』は甘んじてそれを喰らい、眼下に深々と『針矢』が突き刺さる。

    「ぐ、ぐあああああああああ!!!」

          ┌──────┐
          │ ――楽しい!│
          └──────┘

無論、薙がれる『オープン・ハンド』は止まらない。
『急所』を狙わねば殺傷できない『サクソン』の『暗器』とは異なり、
『オープン・ハンド』の巨腕は、泥酔しようと振り回すだけで『致命傷』となる。

     _ l |
      ノ オ       ≪『オープン・ハンド』、『最大出力』ゥゥ―――ッッ!!≫
         ォ
          ン/   「これは、ボクも危ないかな?」
          ・

瞬間、『空気』が奔流するかのように、『赤月』の身体が揺らぐ。
『希薄化』した空間が元に戻る。まるで『真空』に『空気』が流れ込むように。
『赤月』の感じていた『微風』もまた、この『空間』を吸い寄せる力だったのだろう。

     「ぶっつぶれろォォ!!」

     ド    ,
      ノ | '      『空中』というブレーキの効かない環境下において、
         ァ     『赤月』は吹き飛び、その背後には『鉄骨』が迫る。
        ア      直撃すればタダでは済まない。――――だけではない。
       ン/      5〜6mの高度から叩き落されれば、『再起不能』だろう。
       ・

     「同じフィールドで闘おう、ってハートは認めてやるぜェ!
      だが、『オープン・ハンド』は『空間』を掴むスタンドォ!」

     「元より、同じフィールドなんてありゃあしねぇのさ!
      直撃すりゃあ、どんなスタンド使いだろうと抗えねぇ!」

     「空に昇った時点で、お前の負け  ┼ l|
                              ノ | \ ス
                              ゥ
        「だ」                  ウ
                            /
           「づぁぁぁぁ!!」       ・

『オープン・ハンド』が『空間』ごと吹き飛ばそうと、『菅谷』自身に影響はない。
どれだけ強大なスタンドを振るおうと、その反動で本体が吹き飛ばないように、
『菅谷』自身は『空間』に吹き飛ばされない。――――だからこそ、

      ≪い、今、何か跳びました!≫

               ┌────────┐
               │. ――楽しいっ!!│
               └────────┘

      ≪それが、『菅谷』選手の、胸に≫

それが『羅漢銭』になったかは解らない。
だが、『貨幣』は確実に『菅谷』の胸骨を砕き、内臓に骨片が押し刺さる。
空中で『菅谷』が悶え、ゆっくりと落下していく。

      ≪りょ、両者、墜落かァァ――――!?≫

692赤月『サクソン』:2022/06/28(火) 22:58:03
>>691

(――――ああ。)

空に浮かび、自身が放った『一の矢』が狙い通りの成果を上げた事を知る
『オープン・ハンド』は止まらない・・・・だが、彼の視界と集中力は奪った
直後、『空気』とともに希薄化していた『空間』が拡張を開始

(――――ああ。)

赤月の身体は風に舞う木の葉の様に軽々と吹き飛ばされる
だが・・・・この強風の中に遭って、赤月の心は凪のように澄み切っていた

(お互いに全てを出し切ったんだ・・・・後は・・・・)

   ガチッ!

『二の矢』が菅谷の胸を強く打ち付けたのを確認した直後
目を見開き、奥歯を強く噛み締めて衝撃に備える
凪いだ心が再び熱く燃え盛る

「後は・・・・どちらが最後まで立っていられるか!」

「耐久勝負だッ!!」

苦境の中、赤月の口角がにやりと吊り上がる

恨みも、悪意も、殺意もない
純粋なる『力比べ』がこんなにも楽しいなんて!!

赤月は吹き飛ばされる我が身を見ながら、胸の内に高揚感を覚えていた

しかし、このまま鉄骨にぶつかったら先に『再起不能』となるのはこちらの方であろう
胸骨を撃ち抜かれただけの菅谷と違って、こちらは『オープン・ハンド』の空間エネルギーをまともに浴びてしまっている
その上、彼に接近した影響で無視できない高さまで登ってしまっている・・・・落下ダメージはかなりのものであろう

「『サク・・・・・ソン』ッ!!」

今、自身の身には『サクソンのトレンチコート』が纏われている
ならば、この状況を最大限に使って切り抜けるしかない

(『ミルウォール・ブリック』・・・・・!!)

『ミルウォール・ブリック』という暗器がある・・・・
歴史は浅く、1960年代頃に現れた打撃用の武器である
その最大の特徴は、それが『新聞紙』の塊であるという事だ

(『制服』を『ミルウォール・ブリック』に変えて衝撃を吸収させる・・・!)

『トレンチコート』の真下にある自身の衣類、『制服』
それを形状変化を起こさないままに『暗器化』を施す
直後、『着用している』という使用をトリガーとして『暗器化』を発動
身に纏う『制服』に『新聞紙の塊』としての性質を付与する

『新聞紙』とは何重にも重ねられた繊維質の塊であり
『ミルウォール・ブリック』はそんな『新聞紙』をさらに何重にも重ねたものである

ならば、その性質を得た『制服』は新聞紙の持つ性能・・・・衝撃吸収能力を発揮するはず

(完全に防げなくてもいい・・・・・
 少し・・・・ほんの少しだけ、菅谷よりも長くダメージを耐えられれば・・・・・!!)

693『空を掴む手』:2022/06/28(火) 23:51:43
>>692(赤月)
>(――――ああ。)
>(お互いに全てを出し切ったんだ・・・・後は・・・・)

『赤月』は吹き飛ばされるがまま、一切の抵抗を見せない。
『悪意』も『殺意』もない、純粋なる『闘志』のぶつかり合いの果て。
――――だが、それでも尚、『勝利』への渇望は消えていない。

     バグシュッ!

左半身から『鉄骨』に突っ込んだ『赤月』。
『左腕』が圧し折れるも、肉体のダメージはそこまでに留まる。

     ≪『ナカレ』ちゃん、鉄骨に激・突ゥゥ――――!!≫

     ≪スゴい音がしましたが、果たして無事でしょうか……!?≫

     「おいおい、まさかのノープランかよ!」

     「やぶれかぶれがアリーナに通じるかよ!」

電子ボイス越しにも伝わる『セカイ』の震る声、どよめく観客席。
間近で衝突音を聞き捉えた『クァンガン』のみが、『ナカレ』の無事を察していた。

     「――――流石だね。今の音は、敢えて『潰した』のかな」

――――『ミルウォール・ブリック』による『紙鎧』。単体では衝撃を逃がし切るには至らず、
『左腕』を圧し折ることで二重のクッションとなり、なんとか生き延びた形だ。
『赤月』は勢いのままに半回転し、ポリカ板の床に着地する。

     ≪ああっと、『日向太』ちゃんも無事でーす!≫

     「アイツ、『空間』を吸い取って『滞空時間』を縮めたのか!」

     「意味わかんねぇし! なんか関係あるのかよ!」

     「普通なら『6m』で墜落するところを、『1〜2m』で着地したんだよ!」

     「な、なるほどぉー!」

『オープン・ハンド』を纏った右腕はブラリと垂れ下がり、肉が弾けて骨が露出する。
だが、『菅谷』は天井の『解説席』を見上げ、そこにいる『赤月』を睨み付けている。

     「お前さあ、何歳くれぇの時に、『スタンド使い』になった?」

     「俺はよぉ、小学三年生の時だった。最初はダチのゲームが欲しくて、
      気付いたらポケットの中にゲームカセットが入っててよォォ〜〜〜〜ッッ」

     「俺、ドキドキしてて……そのゲーム、夜中まで遊んでたんだよ。
      返そうと思ったけど、そのままズルズル遊んでて、……親が部屋に入って来て」

     「スゲー怒られたし、ゲーム盗んだダチとは縁切られて、二度と会ってねぇ。
      喧嘩になっても、コイツで殴ったらどうしようって思って、何も言い返せねぇし、
      こんな力持ってるのに、バレたらどうしようとか、殺っちまったらどうしようとか――――」

     「そんなセコいことばかり、考えててよォォォ〜〜〜〜〜ッッ!!」

    ズアアアアアァァァァァァァ―――――!!

ズダズダに裂き刻まれた『右腕』に纏われた『オープン・ハンド』が肥大化していく。
周囲の空間を吸い始めている。――――まだ、『菅谷』は止まる兆しを見せない。

      ガボッ
                ゴホッ

     「ここにぐるまで、  そんなごと  ばっか こわがっで、だ!」

右目に突き刺さった針矢、吐息に混じる血反吐。
もう長くはない。それでも尚、『オープン・ハンド』は膨張する。

694赤月『サクソン』:2022/06/29(水) 00:16:27
>>693

質問です。
・赤月の現在の位置としては、吊るされた解説席に着地しているという認識でいいでしょうか?
・赤月の兄が『エクリプス』に雇われた戦闘は、世界観的に何年前の出来事でしょうか?

695『空を掴む手』:2022/06/29(水) 21:46:17
>>485(赤月)

>・赤月の現在の位置としては、吊るされた解説席に着地しているという認識でいいでしょうか?

解説席の置かれたエリアに着地しています。


>・赤月の兄が『エクリプス』に雇われた戦闘は、世界観的に何年前の出来事でしょうか?

板上での『時系列』が曖昧なため、特に指定はありませんが、
ひとまずは数年〜一年前と考えて下さい。

696赤月『サクソン』:2022/06/29(水) 22:41:50
>>693

     バグシュッ!

「ぐぅ・・・・アァアアァッ!!」

己のバイタルゾーンを護る為、無意識に取った行動
左腕はもはや思うように動かすことが出来ないが、それでも意識を繋ぐ事は出来た
あとは、地に伏し、敗北感を覚えているであろう菅谷の姿を確認して・・・・

「――――菅谷ッ」

天井近く、解説席から地面を見下ろした赤月は己の甘さを知った
流石に相手も『闘士』というわけか・・・・負傷に耐え、立ち上がる彼の姿に心の中で称賛を上げる

「セコいとは言わない」

赤月自身、この国に来てから初めて知った事であるが、
この国の治安レベルは高く、『暴力』の存在が生活に必要ない・・・・むしろ忌避される傾向にあるらしい

菅谷のスタンド能力は極めて強力だ・・・・『暴力』という一点では
だが、そんな強大な能力を抱えながら、何の目的もなくそんな力を飼い殺す事なんてできるだろうか
彼にとっては、『力』に目的を与えるための場所が『アリーナ』なのだろう

「・・・・・私も、数年前にこの力に目覚めた時は驚いた」

数年前、兄の『赤月 保』の死を告げられたあの日
赤月は選んだ・・・・『戦いの道』を! そして、手に入れた・・・・『戦うための力』を!

「だが・・・・私には『目的』があった
 君とは違い・・・・『力』を振るうべき『目的』が!」

「だが、そんな事は関係ない!」

『オープン・ハンド』の肥大化に合わせるように・・・・足を前に進める

「『力』と『力』が出会ったんだ!
『目的』なんて関係ない・・・・ぶつけ合うのが『戦士』の流儀だろうッ!」

そして、飛び出す・・・・・再びの宙へ!

「違うか!? 菅谷!」

赤月が空中に躍りだした理由・・・・それは菅谷の真上に『落下』するためだ!
客席からの反応の通り、菅谷の『希薄化空間』では落下距離すら減少してしまう
そして、『希薄化空間』は菅谷が『右腕を破裂』させない限り元に戻らない・・・・
つまり、菅谷が落下距離を減少するために『希薄化』した空間はまだこの場に残っているという事だ

「あああああああああッ!」

菅谷と『同じ経路』を通り、着地ダメージを軽減!
そして・・・・菅谷が『右腕』を解放する前に・・・・『サクソン』の渾身のラッシュで菅谷の意識に止めを刺す!

(問題は・・・・『解放』の前に止めを刺す事が出来るか・・・・
 私の『サクソン』と彼の『オープン・ハンド』・・・・どちらが速いか、早打ち勝負だ!)

697『空を掴む手』:2022/07/03(日) 22:18:37
>>696(赤月)
>「――――菅谷ッ」
>「セコいとは言わない」

『赤月』は解説席から飛び降り、再び『希薄空間』に身を投じる。
『菅谷』の落下する道筋こそが『希薄空間』であり、
『菅谷』への最短ルートだと、既に理解している。

   ヒ
   ュ     「だが、そんな事は関係ない!
   オ      『力』と『力』が出会ったんだ!」
   ォ
   |     .「『目的』なんて関係ない。
   N      ……ぶつけ合うのが『戦士』の流儀だろうッ!」
   |
   |      「――――ああっ、違いねぇっつうの!」

      ドヒュオオオオオ!!!

『サクソン』と『オープン・ハンド』の真っ向からのぶつかり合い。
致命的となった『右腕』の傷とフィードバックした『オープン・ハンド』か、
真正面からの拳撃には『サクソン』の攻撃か。――――そして、

             「この力を出せるのは、この『アリーナ』しかねェ!」

      ズキッ

             「俺が、もらったああ!!」


『赤月』の左腕の疼き、そして『オープン・ハンド』が爆ぜ、
――――いや、『サクソン』の右腕が伸びる。

      ズ  l |    ≪はい、ったァァ―――z___!!≫
        力
        ガ/    「割れた胸骨への一撃、これは効くね!」
        ・

『サクソン』の右拳が『菅谷』の胸部に突き刺さり、
右腕は爆ぜ、――――これは『強制解除』だ。


     「あ、が……」


     ズズゥン・・・


『菅谷』はアリーナに倒れ伏し、『赤月』も両の足で着地する。

698赤月『サクソン』:2022/07/03(日) 22:34:13
>>697

「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

止めの一撃が決まり、両足が地面を捉える
空間の『希薄化』により落下距離は短縮していたとはいえ、
慣れない『希薄空間』の移動に三半規管が狂わされる

「私の・・・・・・勝ちだ・・・・・・ッ!!」

倒れた菅谷の姿を確認すると、
赤月は右手を上げて自身の『勝利』を宣言する!

699『空を掴む手』:2022/07/03(日) 23:07:39
>>698(赤月)
>「はぁ・・・・ はぁ・・・・」

    ≪キャーッ! 見事に『サクソン』の拳が決まりましたぁー!≫

    ≪そう、この闘いの勝者は――――≫

>「私の・・・・・・勝ちだ・・・・・・ッ!!」

    ≪『ナカレ』ちゃん! 見事に勝利しましたぁー!≫

    「『空間』を操る『菅谷』選手に翻弄されながらも、
     見事な勝利だっ! チュッカヘーヨォー!!」

    ウワァァァァァァァ――――

    「ち、くっしょォォ〜〜〜〜ッッ
     『最中派』からの刺客だから、油断してたぜっ!」

    「あの『菅谷』がやられるとはな……。
     これで『B級チャレンジャー』も『湯河原』だけか……」

    「俺は、恥ずかしいぜッ!
     『最中派』にもこんなアツいランカーがいたなんて……!」

『実況者』の『セカイ』、『解説者』の『クァンガン』の惜しみなき賛辞が贈られ、
『観客席』の荒くれ者達も驚きや悔しさを混ぜながら、『赤月』に賞賛を送る。

    「『菅谷』ァー! お前も立派だったぞォー!」

    「相変わらずイカした前のめりだぜェー!」

敗者である『菅谷』へもアグレッシヴさを尊重し、健闘を称える声が広がる。
町の片隅の地下に押し込められたような『アリーナ』に暖かな空気が満ち足りる。

    ヒュー!
                    ヒュー!

    ≪『赤月』選手、見事勝利を見せてくれました。
      さあ、この熱闘を見届けた観客席の皆様に、
      何か一言、どうか一言、お願いします!≫

『セカイ』の取り成しに添うように、『クァンガン』がワイヤレスマイクを『赤月』に放る。
――――この会場には『観客』だけではない。ファイターたるスタンド使いもいるだろう。
そして、解説席には『キム・クァンガン』もいる。

700赤月『サクソン』:2022/07/03(日) 23:37:21
>>699

観客席から荒々しいながらも惜しみのない称賛の声が上がる
戦いで火照った肌が、叫ぶようなその声を受け止めてびりびりと震える

(また『最中派』・・・・どれだけ評判が悪いんだ!?彼女は!)

「しかし・・・・」

(しかし、気分がいいな・・・・・)

正々堂々たる戦い。勝者への賛辞。敗者への慰労。
それらは、赤月が幼少期に思い描いていた『戦士』としてのあり方そのものであった
幼い頃、『兄』から与えられた『訓練メニュー』を毎日のように繰り返していた日々の思い出

(・・・・・・・ッ!
 そうだ、『クァンガン』!)

この『熱』の中に浸ってもいられない
この会場には『クァンガン』・・・・・兄の情報を知るかもしれない人物がいる
彼から情報を引き出さなければならない

「・・・・・・・。」

右手に握りしめたマイクに向き合い、言うべき言葉を考える

「『菅谷日向太』・・・・恐るべき相手だった
 私が今までに戦ったスタンド使い達の中でも五本の指に入るだろう」

「だけど、まだ『足りない』・・・・・」

その言葉とともに、手に持ったナイフを剣のように動かし、
その切っ先を高みにいる『クァンガン』に向ける

「『キム・クァンガン』!
 君はかつて『エクリプス』との戦いにおいて多くの功を成したという
『落月』の裏で動いていたという『5人のスタンド使い』・・・・」

「そのくらいのレベルの相手じゃないと・・・・私は満足しないな!」

――――挑発。
『C級ファイター』を飛び越えて、頭上の『キム・クァンガン』に直接挑発をする

701『空を掴む手』:2022/07/04(月) 00:00:50
>>700(赤月)
>(また『最中派』・・・・どれだけ評判が悪いんだ!?彼女は!)

一度だけ関わりを持った派閥の悪評に対し、『赤月』は悪態を吐く。
……しかし、この観客達のムードを見るに、どうやら『誤解』を産んでいる。
だが、勝利による気分の高揚した『赤月』の脳裏に、その懸念は浮かばない。

>「『菅谷日向太』・・・・恐るべき相手だった
> 私が今までに戦ったスタンド使い達の中でも五本の指に入るだろう」

     どよどよどよどよどよどよ ・ ・ ・

>「だけど、まだ『足りない』・・・・・」

       人ノ!/|   「おいおい……」
      _ノ!?〈
       `Y´ルヘ   「何のつもりだ……」

>「『キム・クァンガン』!」  __________
> 君はかつて『エクリプ /               \
>『落月』の裏で動いて | まさか、まさかだろォ!? |
    ________ .\___________ /
  /               \   __________
 .| ついに出たかァ!? | /               \
  \________/ .| コイツは大ニュースだぁ! |
                  \___________/

     「そのくらいのレベルの相手じゃないと
      私は満足しないな!」

     うおおおおおおおおおおおお!!!!!

     ≪み、皆さん! 落ち着いてください!≫

     「うるせェェェ!!! これが騒がずにいられるかぁぁぁ!!」

     「『B級挑戦者』! それも、『最中派』からの『刺客』がァ!」

     「こ、これはァ!」

         ガバァッ!!

この騒ぎに起き上がった『菅谷』が、その言葉を吐いた。

     「『最中派』と、『タダヒト派』のォォ〜〜〜〜ッッ」

     「『全面戦争』だっつうの!!!」

    わああああああああ!!!!

      ガシャガシャガシャガシャガシャガシャッ!!!

観客席から飛び跳ねた男達がアリーナを囲う金網を掴み、
狂乱したかのように金網を揺らし、我先にと狂ったように叫ぶ。

     「ハッハッハッ、――――これはもう」

『赤月』の手にした『ナイフ』の切っ先。
それを認めた『クァンガン』は穏やかな笑みを崩さぬまま、

       キィィィン . . .

     ≪――――逃げられないな≫
                     . . . . .
『赤月』の手にした『マイク』が喋り出した。

702赤月『サクソン』:2022/07/04(月) 00:19:26
>>701

「む、ん・・・・・?」

何故かは知らないが、いつの間にか自分が『最中派』を代表する『刺客』として扱われている事に気づいた
当の本人を無視して、ヒートアップを続ける観客たち

「まあ・・・・いいか
 なんだか周りも盛り上がっているみたいだし
 下手な事を言って、水を差すわけにもいかないな」

それに対する赤月の反応は・・・・・『ない』
弁解もなければ、釈明する事もない
ただ、心の中で少しだけ『溝口最中』の事を気の毒に思うだけだ

「さて・・・・・」

赤月の関心は『ただ一人』に向けられている

「どう答える・・・・?」

       キィィィン . . .
         
            「む?」
     「ハッハッハッ、――――これはもう」

            ≪――――逃げられないな≫

赤月は最初、その言葉がスピーカーから聞こえてきたものかと思った
だが違う・・・・『声』の発信源は赤月が思う以上に『近い』
手掌の皮膚で感じる震えが、発信源の存在を如実に物語る

「へぇ・・・・それが君の『能力』か
『マイク』・・・・『機械』・・・・それとも『音響』か?
 そういうのを操る能力かな?」

「なんなら、君だけでなく『A級ファイター』がかかってきてもいいぞ
 そっちの方が手っ取り早く強い奴と戦えそうだからね」

703『空を掴む手』:2022/07/04(月) 00:59:18
>>702(赤月)
>「む、ん・・・・・?」
>「まあ・・・・いいか」

騒ぐだけ騒いでいる『観客』達の熱狂に任せ、
とりあえず『赤月』はこの『誤解』は放置することに決めた。

>「へぇ・・・・それが君の『能力』か
>『マイク』・・・・『機械』・・・・それとも『音響』か?

       キィィィン . . .

    ≪テスターで『電流』を流した物体を『半導体』に変える≫

    ≪それがボクのスタンド、『デ・ラ・ソウル』の能力だ≫

    ≪『半導体』とは『エネルギー』が伝わる『導電体』、
      そして、『エネルギー』を遮断する『絶縁体』が切り替わる≫

『クァンガン』は己の『スタンド能力』について惜しげもなく口述する。
『観客』のどよめきもない。――――『B級』とは『連戦』を以て勝ち残る者。
『スタンド能力』の仔細が割れていて当然ということだろう。

……そしてそれは、『二連勝』を為した『赤月ナカレ』もまた同じだ。

    「『クァンガン』、逃げられねェのはテメェも同じだろーが!」

    「『AV新法』も通って虫の息の『最中派』に負けんじゃねぇぞ!」

    「無様に負けたらアリーナ総出でテメェーの『焼肉屋』で『反省会』だっつうの!」

    ≪――――と、みんな随分と手厳しいね。お腹減ってる?トッポギ食べる?≫

    うおおおおおおおおおおおお!!!!

『アリーナ』の怒号が巨大な渦となり、『赤月』を包み込む。
『闘志』と『期待』の入り混じった感情の波が会場全体を飲み込む。
そして、『赤月』が挑発ついでにもう一言、

>「なんなら、君だけでなく『A級ファイター』がかかってきてもいいぞ

       キィィィン . . .

    ≪……それは少し、≫

              ジ ジジ . . .

    ≪『先回り』が過ぎるよね≫
                        。
                 ――――ハ ァ ン!

     うおおおおおおおおお!!!!

『マイク』の球頭が爆ぜ、『クァンガン』が背を向ける。
大歓声が冷めぬ中、場内に現れた『黒服』達の誘導に従い、
『赤月』は『アリーナ』から退場する。

704赤月『サクソン』:2022/07/04(月) 01:59:08
>>703

「『デ・ラ・ソウル』・・・・いいのか?そんなに能力の事を教えてしまって
 私の能力は・・・・君に教えないというのに」

「まあ、私の能力はそれ程複雑ではないから
 勘のいい観客はきっと気づいているだろうけれども」

――――嘘だ。
この戦いにおいて、赤月は『回復阻害』の能力を使う事はなかった
『暗器化』の能力はバレても構わない・・・・『アリーナ』で戦っていればいずれバレる能力だ

だが、『回復阻害』能力は易々と人に知られるわけにはいかない・・・・
これは、本当の『最後』に切り札になりうる能力だからだ

(この能力の秘密を知っているのは一抹と咲良くらいだ・・・・
 おしゃべりな一抹はともかく、咲良から能力がバレる事はないはずだ)

そんな事を思いながら、彼ら『アリーナ』への挑発を続け・・・・
目の前で『マイク』が爆ぜた

「・・・・・・流石に調子に乗りすぎたか
 だが、まあ、とっかかりは一つ出来たかな・・・・?」

大歓声の中、『黒服』達の誘導に従い『アリーナ』を後にする
『次の戦い』・・・・その先に思いを馳せながら・・・・

705『空を掴む手』:2022/07/04(月) 23:11:59
>>704(赤月)
『赤月』は『サクソン』の『完全殺傷』の能力をひた隠しにしている。
無論、単純な『アリーナ』での戦闘において、その力を発揮する機会は少ない。

ステージの限定された『短期決戦』のルールにおいて、
『出血多量』による『衰弱死』を狙う優位性はないからだ。
――――そう、このルールにおいては。

     うおおおおおおおおお!!!!

観客達の興奮冷めやらぬまま、『赤月』は倉庫街を後にする。
『B級ファイター』との試合は、彼女にとって『強敵』というだけではない。
あの闘いの結末を知る者。そう、今日のような『闘志』のぶつけ合いでは済まない。

     ┌───────────────────────────
     │――――楽しい、とそう思った。
     │『敵地』である。背中に痛みもある。敵に追い詰められてもいる。
     │それでもなお・・・・赤月は今、晴れ晴れとした気分で戦っていた
     └───────────────────────────

─────────────────────────────┐
『力』と『力』が出会ったんだ!                            │
『目的』なんて関係ない・・・・ぶつけ合うのが『戦士』の流儀だろうッ!   |
─────────────────────────────┘

『赤月ナカレ』は『戦士』である。

┌─────────────────────────────
|だから、私はこの町に来た……兄を殺した
|『アリーナのスタンド使い』を探し出し、この手で殺す為に。
└─────────────────────────────

『赤月ナカレ』は『ファイター』ではない。
繰り返す。『赤月ナカレ』は『ファイター』ではない。

――――その決意が新たになるのは、
もう一通の『手紙』が届き、その『差出人』と相対する時か。

赤月ナカレ『サクソン』→『左腕骨折』、『全治一ヶ月』
                  『三十万円』を獲得。『B級ファイター』への挑戦権を得る。

706『空を掴む手』:2022/07/25(月) 21:14:07
本体の右腕に重なって発現する『右腕』のヴィジョン。
触れた『空間』を吸い込み、ヴィジョンは『巨大化』を続ける。

吸い込んだ『空間』を触れた物体に分け与え、
空間を『跳躍』するように『移動』させる。
これによって『飛来物』をすり抜けるように『飛ばし』たり、
重なり合った右腕に分け与えることで空間を超えた『拳撃』を可能とする。

『空間』を吸い込まれて、存在が『希薄化』した『空間』の中では、
『移動』に必要な『運動エネルギー』が極度に乏しくなり、
常人を超えた『跳躍力』や落下の際の『重力加速度』が弱まるなど、
互いにとって『縦横無尽』の動きを可能とする。

『オープン・ハンド』の解除によって溜め込んだ空間は『炸裂』し、
空間の奔流とも呼べる押し退けるパワーによって、万物は弾き飛ばされる。
空間による移動なのでこれによる『ダメージ』は存在しないが、
『掴む』、『押し潰す』などの『逃げ場』のない位置にいる物体は、
『引き裂かれる』ようなダメージを受ける。

本体は『空中』から『床』への『空間炸裂』により、
床上へ押し潰すような『一撃』による『ノックダウン』を得意としていた。
また、『右腕』そのものも『オープン・ハンド』の起点となるため、
『空間炸裂』によるダメージをマトモに喰らい、『乱発』は出来なかった。


『オープン・ハンド』
破壊力:?〜A スピード:B 射程距離:E〜C
持続力:D 精密動作性:? 成長性:D

707『唯一人に輝いて』:2023/07/07(金) 22:01:18
  「『B級』の二名は『出場』を決した」

『ラクアクア』にて互いに座する『タダヒト』と『吉田』。
卓上に広げられた『A4用紙』に『吉田』は二名の名前を書き込み、
残る空白に視線を向け、恐る恐る『タダヒト』を見やる。

  「残りの『C級』が何名になるかは解らないですよね?
   その、もう書き込んでしまってよろしいのですか?」

  「『吉田』さん。いくら『C級』と言えど『該当者』は多くはない。
   『現時点で一勝』。それが『出場』への最低条件になる。
   『海の壁』に阻まれた三人、『明智』も『ナビール』も『対象外』」

『タダヒト』はキッパリと答える。
『吉田』が管理する『ファイター名鑑』に標された数十名のスタンド使い。
無論、ぶつかり合えば『勝者』は半減する。……この『催し』と同じ運びだ。

「勿論、この条件を突き付ければ『復帰』する者もいるだろう。
 だからこそ、だ。『席』が少ないと明示すれば、奮起する者もいる」

「なるほど。……しかし、『B級』はシード枠というのは『妥当』ですが、
 この『トーナメント』という環境において、果たして『納得』が得られるか……」

「『B級』への挑戦権は開かれている。
 先の闘いで勝利した『二人』の他にも、指先を掛けた者はいるだろう。
 この『シード』はそのまま、誰にとっても『最強』という頂へ登る『ファストパス』となる」

『海の壁』とも呼ばれる『プロプレイヤー』達の前に、涙を呑んだ『C級ファイター』は少なくない。
一対一に適した『スタンド能力』に加え、『生業』によって磨かれた『戦闘能力』。
いずれにせよ、『タダヒト』は標された名を指先でなぞった。


                  タダヒト
                    ┃
              ┏━━━━━┻━━━━┓
              ┃                    ┃
        ┏━━┻━┓            ┏━┻━━┓
        ┃        ┃            ┃        ┃
    ┏━┻┓    ┏┻━┓    ┏━┻┓    ┏┻━┓
    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃
    ┃  ┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓┏┻┓  ┃
    ┃  ┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃┃  ┃  ┃
    ニ  ?  ??  ??  ??  ??  ??  ?  ク
    コ                              ァ
    ン                               ン
                                   ガ
                                    ン


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