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【ミ】『撃的』

572『その拳はデルタを描く』:2021/05/24(月) 23:37:34
>>571(東雲)
>「吉田サン。あがぁな良いモン見せられて、闘わずにいられるわけがありませんよ」

『東雲』は挑戦的な笑みを浮かべる。尖った犬歯が白く輝いた。
『吉田』は両目を瞬かせて、やがて、ほぅと息を吐いた。

     「ふふっ。そう、ですよね。
      勿論、ファイターが全力を出せるように、
      『闘技場』を整えるのが、私の役目です」

     「そう、――――それが私の役目。
      『東雲』さん。貴方の闘い、応援させてください」

『東雲』の醸し出す闘気に呼応するように、『吉田』もグッと拳を握った。

>「オレだけではないでしょう。『アリーナ』の熱気、また戻ってきてるんと違いますか」

     「ええ、他の『派閥』の方々が精力的な興行を繰り広げる中、
      『タダヒト』さんも重い腰を上げて、自ら動き始めたんです」

     「――――ここだけの話ですが、……あの人は何かを企んでいる。
      きっと、今までにない何かを、する気で――――」

       ガラララララララァァァ!!

『吉田』が何かを告げようとした時、
『東雲』が閉ざしたばかりのガラス戸が勢い良く開かれる。

      ドタタタタァァァ――――

     「『吉田』はん!  『吉田』はぁん!
      もう黙っちゃあおれませんわぁ!」

     「ワイもやらせてもらうでぇ!
      『アリーナ』一丁! 特盛で頼んますぅ!」

ド派手なヒョウ柄の『ツナギ』に身を包んだ三十代後半の男が、
イキのいい『関西弁』と共に『ラクアクア』へと乗り込んできた。

        ガララァ――――

     「いいや、『マサ』さんは帰りの新幹線があるだろ」

     「ここは俺だ。次こそは『B級』に上がって見せる」

『ラクアクア』の小窓が小気味良い音と共に開くと、
サマーセーターに身を包んだ痩躯の青年が、
窓から顔を覗かせながら、『吉田』へと声を掛けた。

     「待て待て待てぇー!  俺の出番だっつうの!」

      ガララァァ!!

更には勝手口の扉が開き、太っちょの体躯にライダーズジャケットを纏う、
サングラスを掛けた男が、のっそりとその姿を見せる。


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