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【ミ】『撃的』
646
:
東雲 忍『ザイオン・トレイン』
:2021/06/24(木) 21:42:34
>>645
自分は、人より身体がデカかった。親父の仕事を手伝っているからか、力も付いた。
だからこそ、手足を振り回す時は気をつける必要があった。
子供の時に、ふざけたつもりでダチを泣かせてしまったことは両手の指じゃあ足りない。
だが、強いヤツとのケンカは楽しい。自分の全力を出せるからだ。
そしてここには、同じようなヤツらがごまんといる。『仲間』だと思っていた。
一歩間違えばブッ倒されるような気迫を感じると、思わず笑いが溢れる。
この場所は、自分『たち』のためにあると思っていた。
しかし、皆が皆、そうじゃあなかった。
もちろん想像しなかったわけじゃない。先程も言ったが、『闘士』は様々な理由で引退が起こり得る。
だから、仕方ないと思っていた。それならそれで受け入れると。今、こうしてその場に立つまでは。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
万雷の拍手が聞こえてくる。
だが、申し訳ないが今の自分に返せるものは何もない。そういった気分ではなくなってしまった。
黙って退場しようとしたその時、『無線マイク』が投げられる。
思わずそれを受け取ってしまい、『キューコ』を見上げた。
> 「――――『勝者』は立ち、『敗者』は倒れる。
> ……『トウグモ』、言葉がなければ『マイク』を捨てて」
これ以上、自分が放つ言葉などない。
自分は、あのやかましい『マサ』さんとは違う─────。
> 「『東雲』はん、アンタちょいとカタいんやぁ!
> ガッチガチのバトルはワイも好きやでぇ、
> ――――でもなぁ、それだけじゃあオモロないねん!」
> 「観客がおるんや! エンタメにも振ってかなぁ!
> ザ・ナショナル
> ド派手に行くんが、ワイの『地元意識』や!」
しかし、これが最後の『花道』ならば。
「・・・・・・仕方ないのォ!『マサ』サンの遺言とあっちゃあ、何も喋らんわけにはいかんけぇ!」
最後くらいは、その流儀に従おう。マイクを握りしめて、叫ぶ。
「勝ったのは、わしじゃあッ!!…つまり、本当に美味いんは『広島のお好み焼き』っちゅうことじゃ!」
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