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【ミ】『撃的』

569『唯一人に輝いて』:2021/05/19(水) 23:54:10
   シャッ
           シャッ

     「『緒方』君。――――『首輪』は無事に?」

     「ええ、『B級』の全員に断られた時は、
      私がハメるしかないと思いましたが、
      たまたま、『オジロ』と親しいスタンド使いに会いまして」

駅前の商業ビルに構えられた『イリディセント法律事務所』。
『タダヒト』と『緒方』は対面し、ソファに腰掛けていた。
センターテーブルに置かれたのは『タロットカード』のデッキ。
そして、A4サイズの何の変哲もないコピー用紙。

     「そうか。……それは、良い巡り合わせだ。
      私の方も、多少の『問題』は生じたが、
      彼女が見事に解決してくれた」

     「その件ですが、『ロンドン・コーリング』により、
      観客達の『バイタルサイン』を聴き取りました」

     「――――いずれも『タダヒト』さんに対する、
      『怒り』、『敵意』、それらの『悪感情』が剥き出しです」

かつて、『アリーナ』では一人のファイターが試合中の『事故』によって死亡した。
『死亡者』の縁者が『アリーナ』に参戦し、その闘いは結果として、
『アリーナ』の根底を揺るがす大事件にまで発展したのだ。

その仔細はほとんどの『観客』には伏せられているとはいえ、
人の口に戸は立てられない。――――『タダヒト派』の半壊について、
『タダヒト』の実力不足ではないか、と揶揄する者も少なくはなかった。

その最中に起こったのが、『明智』の自殺未遂である。
観客達は『金網』を破って、事態を解決した『氷山』を胴上げした。
――――しかし、それは『タダヒト』が手をこまねいていたのだと、
多くの観客が疑いを持っていた、その発露に他ならないのだ。

    「『夢』の一件といい、消息を絶った『エクリプス』の者達が、
     その『悪意』を以て、スタンドを再び行使するのであれば、
     ――――今のままでは、かつてのような『結集』は」

堅物な声色を崩さぬまま、『緒方』は告げる。現状が良き方向に進んでいないと。
『太門』の裏切りだけではない。あの闘いの果てに、『アリーナ』を去ったファイターがいた。

――――かつて、『アリーナ』には『タダヒト』と覇を競う、『二人』の『A級』が在籍した。
変幻自在の技に優れ、年若き少女でありながら、誰もがその苛烈さを恐れた。
硝煙と共に現れ、繰り広げるのは志に違わぬ熱闘、見る者が焦がれて止まぬ立ち姿。
そして、『タダヒト』はその二人と一進一退を競いながら、己の『全貌』を明かさなかった。

    「私は、……私が貴方であれば、『明智』君を止める、べきでした」

    「そうか。――――『緒方』君。
     私は『ギブアップ』を認めたことはない」

    「誰に対しても、己に対しても。
     今日の一件で、得たのが『失望』であるなら」

    パラリ      ┌───────┐
               │ .『星 - Star -』 │
               └───────┘

    「やはり、私の進むべき道は、
     『正しかった』ということになるな」

『タダヒト』は広げたコピー用紙に、引いたカードを重ねた。
その線群が何を意味するか、『緒方』は一瞬では解らなかった。

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