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【ミ】『撃的』

649『空を掴む手』:2022/06/06(月) 21:26:55
『アリーナ』の観覧席に腰掛けた『キム・クァンガン』は、
売れ残った『トッポギ』を口に運びながら、闘いの熱が残る試合会場を見下ろしていた。

    「……『B級』への挑戦権を得た『ファイター』が、
     こう連続して現れるなんて、一体何かの前触れのようだね」

無論、素人だらけの『C級ファイター』同士で差が生まれるのは珍しくない。
『二連覇』は当たり前のように起き得る。『クァンガン』は解った上で呟いている。

――――『期待』だ。大きな出来事の『予兆』であって欲しい。
かつて、三人の『C級ファイター』が連覇を背負って『B級』へ勝負を挑み、
……いずれも呆気なく『返り討ち』にあった。無論、『クァンガン』もその壁となったのだが。

    「……ボク達は『壁』。彼らが乗り越える『刺客』に過ぎない」

『デ・ラ・ソウル』は『B級』の中でも『直接戦闘』に適したスタンド能力ではない。
そう解っている。いずれは己を倒すスタンド使いが現れる日も来るだろう。
……気付いているのだ。己やニコンではない。『A級』を倒す者は現れるのか。

    「出来れば、『戦場』ではなく。……この場所で会いたかった」

時計の針は逆には回らない。出会いと別れを変えることは出来ない。
『クァンガン』が思い当たった一人は、一対一の闘いに置いて『A級』に肉薄した。
その男に真っ先に倒されながらも、『半導体』によって『意識』だけを維持した『クァンガン』は、
半死半生を彷徨いながら、その『タイマン』を間近で見届けられたのだ。

    「おい、『クァンガン』。プルコギよこせヨ」

    「……この大きなバケットの中身、見えなかったかな?」

    「マズいから売れ残ったんだろ。オレは食べない」

大柄なロシア人に呼びかけられ、『クァンガン』は立ち上がった。
時計の針は逆には回らない。出会いと別れを変えることは出来ない。
――――『死者』は決して蘇らない。彼を悼む気持ちはあれど、その感傷は誰も前に進ませない。


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