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【ミ】『撃的』
557
:
『最悪の相性』
:2021/05/17(月) 23:31:27
・
・
・
「――――では、これにて『試合』を終了する。
各自、速やかに撤収するように」
ややあって、観客達も落ち着いた頃に、『タダヒト』はアリーナの終了を告げた。
観客達もやり遂げた表情を見せながら、誰かが倒れた金網をアリーナの縁に立て掛け、
坂道となった『金網』を踏み越えながら、ゾロゾロと観客席へと昇って戻って来る。
(※観客の皆様は、GMレスがあるまで
一方、『氷山』は『控室』へと通され、そこには白衣を着た無精ひげの男と、
作業着を着た人の良さそうな中年の男が待っていた。
「『氷山』さん、お疲れ様でした。
……ああ、私は『吉田松太郎』と言います」
「このアリーナの裏方をやっておりまして、
実は、この『網籠』も私が設計したんですよ。
いやー、実にスリリングな試合でしたが、
何よりも、お二人が無事に試合を遂げたのに、ほっとしました」
「では、傷の治療を致しましょう。
――――『アリーナ』での負傷は、
本来であれば『完治』には至らないのですが……」
『吉田』が治療の説明を始めるも、
それを遮るように無精ひげの男が口を挟んだ。
「死人が出るやも知れないと、呼ばれて駆け付けたんだが、
どうやら杞憂だったようだな。君のガンバリあってのことだが。
だが、『タダヒト』には、君の治療を行うように言われていてね。
呼びつけた以上は、何かやらせた方が、ムダがないとでも思ったのかね」
気だるげな振る舞いを見せる無精ひげの男は、
『氷山』へと緩やかに近づき、その掌を翳す。
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