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从 ゚∀从二人暮らしのようです(-_-)
1
:
名も無きAAのようです
:2016/05/07(土) 10:11:46 ID:KbZp5als0
※ハートフル同棲ものですが少しエロがあります
72
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 08:58:33 ID:BImXu.QU0
(-_-)「言わなきゃいけない事があってさ」
从 ゚∀从「なんだよ」
(-_-)「今描いてるこれをラスト・チャンスにしようと思うんだ」
从 ゚∀从「なんだよ、それ」
(-_-)「実家から電話が来たんだ。 いい加減帰って来いって」
从 ゚∀从「なんでだよ、そんなの関係ねーだろ」
(-_-)「いいや、ダメなんだ。 うちの実家さ、地元じゃちょっと有名な工芸職人の家なんだ。 そしてぼくはそこの一人息子」
从 ゚∀从「それじゃ、いわゆる跡取り」
(-_-)「そう。 親はぼくが継いでくれる事を昔からずっと望んでいたんだけどぼくはどうしてもマンガ家になりたかった。 粘り強く説得して大学まで行かせてもらった」
なんとなくヒッキーが言いたい事が分かった。ヒッキーの親が言いたい事も分かった。それは世界の全てだ。
从 ゚∀从「結果」
(-_-)「そう、結果が出ていない。 大学を出してもらってフリーターになってずっと描いているのに、結果が出ていない」
从 ゚∀从「でも、まだ三年ぐらいだろ?」
(-_-)「もう三年なんだよ。 親が辛抱切らすにはじゅうぶんだ。 結果が出ないのならこれ以上いても無駄だから帰って来い、そして継げと」
从 ゚∀从「屈するのかよ」
73
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:01:24 ID:BImXu.QU0
(-_-)「ずっとまだチャンスはあるって言い続けてきたんだ。 でももう言い逃れは難しい。 確かに結果がないとダメだと自分でも思う」
从 ゚∀从「だからこれをラスト・チャンスにするのか?」
(-_-)「それぐらい自分を追い込まなきゃダメなんだ。 魂を込めなきゃダメだ。 背水の陣ってやつだよ」
从 ゚∀从「もう決心してる」
(-_-)「うん。 親にも言った。 これで最後にするって。 その代わり結果が出たら続けさせてくれって」
从 ゚∀从「…分かった」
それは私がどうこう言うべきではない気がした。今は同棲しているけどこれまでのヒッキーのマンガ人生において私は最近出てきたばかりに過ぎない。
でも、ヒッキーがもしマンガ家の夢を諦めてしまったら私はいよいよ失望するのだろう。飽きてしまうのだろう。
それにヒッキーは地元に帰ってしまうのでこの関係は破綻する。同棲なんて男女の関係を繋ぎ止めるにあたって絶対的な鎖にはならない。
私は受け入れるしかない。そして応援するしかない。微力ながら丁寧にベタ塗りをするぐらいしか出来る事はない。
暫く会話はなかった。ヒッキーは作業に戻った。ヒッキーは一ページごとに下描きをしてペン入れをするのでまた下描きからだ。
トーン貼りや細部のベタ塗りは全ページのペン入れが終わってから一気にやるのがヒッキーのやり方だ。
私はベタ塗りを終えて原稿用紙を戻した。今週のヤング・ジャンプを読み始めたがキングダムは休みだった。
テラフォーマーズもゴールデンカムイも東京喰種もパープル式部も私にとってキングダムの代わりにはならない。
ワンピースがない週のジャンプほどに喪失感に襲われる。
74
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:04:57 ID:BImXu.QU0
ヒッキーの部屋を見渡す。前の男が住んでいた時と比べると本当に別の部屋だ。
三代目 J Soul Brothersのポスターは貼られていないしプロテインを飲む容器も置かれていない。
パイロットの製図用インクのボトル、ペン軸、箱に並べられたつけペン。何本かキャップがなくなっているカラフルなコピック。
芯の折れにくいシャーペン、大きいサイズのMONO消しゴム、使用後にティッシュで拭かないと先端が固まる修正液。
細かいベタ塗りに役立つ太いサイズのマッキー。十五センチと三十センチの定規。
キングダムを筆頭にしたヒッキー激選のマンガ本。安い台湾製のノート・パソコン。
リネンシャツばかりの数の少ない服。相変わらずバイト先に背負っていくリュックサック。
デートにリュックサックはやめてくれと懇願してヒッキーがしぶしぶ買ったポーターのウエストバッグ。
私はこの部屋も好きだ。マンガを描く事だけに研ぎ澄まされた部屋だ。
ラスト・チャンスと決めた作品を賞に応募するべく送ったあともヒッキーはまた新たにマンガを描き始めた。
どうしてかと訊くとマンガを描いていないと落ち着かないのだそうだ。積み重ねってすごい。私には分からない感覚だ。
だけど今日はヒッキーのシフトが休みで。追い込む必要はないんだからどこか気晴らしに行けばいいんだとアドバイスした。
私は残念ながら朝からシフトなのだ。パートのおばちゃんが法事だという。だから今日ヒッキーは一人の休日を過ごしている。
勿論休みは一緒がいいのだろうけど、私とヒッキーが付き合っている事は知られると面倒になるので黙っている。
なのでむやみに休みを合わせられないのだ。たとえ異質な組み合わせでも休みを合わせまくっていたらそのうちバレる。
だからたまーに休みを合わせてデートに行くぐらいだ。まぁ同棲しているのだしその程度でいいと思う。過保護な高校生でもない。
それにヒッキーは見た目通りインドアな奴なのだ。休みの日にあまり外に出ない。そもそもシフトが休みの日はいつもマンガを描いている。
だから今日みたいにマンガに追われず一日の休みがあったら何をするのだろうか。ちょっとそれにはご一緒させてもらいたかったかもしれない。
バイト先の隣にはTSUTAYAがあるから何か見たかった作品を一気に見ているのかもしれない。それだったら一人の方が気楽なのかも。
75
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:12:45 ID:BImXu.QU0
私の方といえばコンディションが最悪だった。生理。くっそだるいしレジで立っているのすらしんどい。正直しんどい。
ようやく昼食休憩となりレジにカゴをタテに置いてもう閉鎖だ〜〜〜とアピールしつつ休憩所へへばるようにやって来た。
食欲あんまりない。今日はヨーグルトだけ。私は女子女子しているタイプじゃないので小食でもない。普段は普通に食べる。
だけど今日ばかりはダメだ。ヨーグルトだけ食べてあとはパイプ椅子にだらりと座る。休憩終わんなきゃいいのに。
こういう時に限って嫌いな社員と休憩が被っている。休憩室に二人だけ。黙ってテレビ見てればいいのに話しかけてくる。
私はあんまり興味ないです調子悪いですアピールをしてスマホばかり見て曖昧に返事をするが社員は懲りないのだ。
三十八歳の独身正社員。顔はイケメンでパートさんにもまぁまぁ人気があるが私は嫌いだ。自信にみなぎっているからである。
私からすればただのスーパーの正社員だろって感じだけどこいつはそれをすごいステータスだとマジで思っちゃっている。
俺ってイトーヨーカドーの正社員なんだぜって前にマジで言っててひいた。イトーヨーカドーの正社員そこまですごくねーわ。
それに女性と話している時の俺カッコいいだろ俺話上手いだろ俺モテるんだぜオーラがなんかすごいのだ。
今だって学生の頃どうやって飲みで女をおとしたかを語っている。それを私に語ってどーすんだ。
お前の全盛期には興味ないし今のお前にも興味ない。だけど一応はいはいと聞いておく。
どうせこいつもうまくいけばこの女抱けるんじゃねーのかとか思っているのだろう。
過去の栄光にすがっているだけの男には興味ない。むしろみっともないと思う。
どれだけ昔カッコよくても今がダサければダサい。それだけだ。
過去にどれだけ人気のあったアイドルでも今がダサければダサい。当たり前の事だ。
あの人は昔とてもカッコよかったんだよおと言われても今がダサければどーしようもない。
_
( ゚∀゚)「というかハインちゃん彼氏いないの?」
从 ゚∀从「いないっすよー」
言えないよねー、ヒッキーと付き合ってますなんて。職場恋愛は百パーセント面倒になる。百パーセントだ。
_
( ゚∀゚)「バイトの奴とか声かけてこないの」
从 ゚∀从「いやー? 同じ学生とかがいいんじゃないっすか、私まぁまぁ年上になっちゃうし」
_
( ゚∀゚)「えぇ〜もったいないなぁ〜」
76
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:16:16 ID:BImXu.QU0
从 ゚∀从「だってバイトって高校生か大学生っすよ〜、私もう別モノっすよ」
_
( ゚∀゚)「そうかぁ〜」
高校生はさすがにないけど大学生と付き合うのもちょいちょいある。言わないけど。
_
( ゚∀゚)「でも俺から言わせるとバイトはみんな草食系だよね〜草食系」
从 ゚∀从「そっすか〜?」
_
( ゚∀゚)「そうだろ〜、モナーはしっかりしてるけどいかにも奥手って感じだしクックルも全然ダメそうだなぁ」
从 ゚∀从「はぁ」
_
( ゚∀゚)「あーあとヒッキーなんて論外だね! いかにも根暗って感じだしオタク丸出し」
从 ゚∀从「あ〜そうっすね〜」
_
( ゚∀゚)「ああいうのクラスに何人かいたよな〜クラスの隅の方で固まってんの。 クラス対抗球技大会じゃ戦力外。 どうせアニメとか見てるんでしょ?」
从 ゚∀从「見てるんじゃないっすかね」
_
( ゚∀゚)「ああいうオタクって何が楽しいんだろうね〜しかもあいつってフリーターでしょ、いい歳して何やってんだか」
从 ゚∀从「はぁ」
_
( ゚∀゚)「いや〜無理だね〜考えらんないわ〜。 俺が親だったらも〜勘当ものだぜ?」
从 ゚∀从「あいつマンガ描いてるんすよ」
77
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:20:24 ID:BImXu.QU0
_
( ゚∀゚)「え? マンガ?」
从 ゚∀从「ガキの頃からずーっとマンガ描いてて本気でマンガ家目指してるんです。 夢追いかけてるんすよ」
_
(; ゚∀゚)「へ、へぇ、なんか、詳しいね、ヒッキーの事。 もしかして付き合っちゃってるとか」
从 ゚∀从「付き合ってますよ」
_
(; ゚∀゚)「え」
从 ゚∀从「私ヒッキーと付き合ってますよ」
_
(; ゚∀゚)「え…」
从 ゚∀从「一緒に暮らしてます」
_
(; ゚∀゚)「え、ちょ」
从 ゚∀从「だからお前にあいつの事とやかく言われる筋合いはないと思うんすけどね。 何も知らねーくせに」
そのまま席をたつ。社員はぽかんとしている。ほんと生理死ね。イライラする。
でもイライラするのは生理だけじゃなくあの社員にもヒッキーの親にもだ。
それにヒッキーをバカにされてイラッとする私がいる。前まで同じような事思ってたのに。
だけど夢を持って突き進んでいるヒッキーの方がはるかにカッコいい。輝いて見える。
あの社員の方がオシャレだし身長高いしイケメンだしいいミニ・クーパー乗ってるけどヒッキーの方がカッコいい。
しかし、やってしまった。ヒッキーと付き合っている事を言ってしまった。どうせ広がるだろう。知れ渡るだろう。
で、思ったより情報の拡散は早かった。数時間後には私とヒッキーが付き合っている事は職場に知れ渡っていた。
あの社員は腹いせにパートのおばちゃんに喋ったのだろう。パートのおばちゃんどものゴシップ好きは異常だ。病気レベル。
まして職場内のそういう話だとLINEのグループで回してんじゃねーかってぐらいに情報が広まるのが早い。
78
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:22:47 ID:BImXu.QU0
明日ヒッキーが出勤したら問いつめられるんだろうな。可哀想に。今日帰ったらあらかじめこうなったと言っておこう。
私もパートにパートにパートに聞かれまくったけどもう面倒だったから隠さなくなった。はいそうですよ、と。
別に悪い事じゃない。堂々としていればいいのだ。どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
だけど聞こえてくる。えーあのオタクの子と? 似合わないよね。 ヤンキーとオタクって正反対。
休憩所でも更衣室でもこの話で盛り上がっているのだろう。そう考えると本当に面倒くさい。
面倒くさい。また私の悪い癖が出てきてしまった。もうこの職場も面倒くさい。
あぁ、面倒くさい。
从 ゚∀从「ごめん、付き合ってるのバレちゃった」
帰ってからヒッキーにそう告げると絶句していた。これが絶句というやつだ、的な見本レベル。
暫く固まっていたので面白くなって私はわははと笑い出してしまった。
(;-_-)「バレた?」
从 ゚∀从「うん、ぜーんぶバレた」
(;-_-)「全部って?」
从 ゚∀从「同棲してるのも」
(;-_-)「えぇ…」
从 ゚∀从「あとヒッキーがマンガ家目指してるのも」
(;-_-)「えぇ…!?」
今度は崩れ落ちた。膝から崩れ落ちた。これが崩れ落ちるというやつだ、的な見本レベル。
面白すぎて私はいよいよ腹を抱えて笑う。
(-_-)「いや笑ってる場合じゃないよ…どうするんだよ…」
いや、ヒッキーが珍しくマジで怒っている。そりゃそーか。これで怒らなきゃヒッキーは聖人だ。
从 ゚∀从「ジョルジュがすげーヒッキーバカにしてさ。 イラッとして」
(-_-)「ジョルジュさん…」
79
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:26:43 ID:BImXu.QU0
从 ゚∀从「あいつべらべら喋ったみたいでパートにもバイトにも知られちゃった。 多分明日訊かれるね」
(-_-)「ど、どうしよう」
从 ゚∀从「厄介かな」
(-_-)「厄介な感じになるんじゃないかな」
从 ゚∀从「そしたら私辞めるよ」
(-_-)「え、辞める?」
从 ゚∀从「うん」
カバンを置いてどっこいしょーと座る。
从 ゚∀从「そしたら気まずくならないっしょ」
(-_-)「だけどそんな事で辞めるなんて…」
从 ゚∀从「いいのいいの。 今までそうしてきたし」
(-_-)「だけど…」
从 ゚∀从「いいんだってば」
ヒッキーは黙った。だけど何か言いたそうだった。
珍しい事だった。ヒッキーが何かしら意見を強く持つ事は少ない。
私との同棲生活だって流されるように始めてしまったのではと思うぐらいに。
从 ゚∀从「なに?」
私が促すとヒッキーは膝立ちのまま、小さく何か言った。
从 ゚∀从「え、なに?」
80
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:32:02 ID:BImXu.QU0
(-_-)「ハインはまた逃げるの」
从 ゚∀从「は?」
(-_-)「ま、またそうやって面倒になったりしたら職場変えてハインは逃げるの」
从 ゚∀从「別に」
(-_-)「に、逃げてるじゃないか! あまり傷つきたくないからハインはそうやっていつも逃げるんじゃないか。
いつまで逃げるつもりなの、そ、ぼ僕の前からもそうやっていつか逃げるんじゃないの?」
一気にまくし立ててからヒッキーは自分の部屋へ消えていった。あんなに声を荒げたヒッキーは初めて見た。
どもるし滑舌もそんなに良くない。だけどはっきり聞こえた。そんな風に考えていたとは思わなかった。
とっさの事だったとはいえ、返す言葉がないなと思った。その通りだ。私は傷つきたくないんだ。
傷つくのを恐れて人間関係が面倒になると職場を変える。面倒になると男を別れて住まいも変える。
今までそうしてきたしこれからもそうすると思っていた。それに限界があるのも一応分かっていた。
私は逃げる。飽きては面倒になっては逃げる。逃げ続ける。いつかヒッキーからも。
ヒッキーはきっと不安だったのだ。初めて付き合ったのが私だったばっかりに。
いつか飽きて面倒になってどこかに行ってしまう私に対して不安だったのだ。
また悪い癖が出て面倒だから辞めてしまおうと思っていた私が許せなかったのだ。
ヒッキーは夢を追いかけてずっと同じバイトで同じアパートでマンガだけを描いていたのに。
夢を追いかける人が好きだと言いながら私はそれを見届ける事すら出来ないのだ。
なんて情けないんだろう。情けない。私超ダサイじゃん。
从 -∀从「はぁ」
傷つきたくない。笑われたくない。気まずい思いをしたくない。逃げたい。
私って弱い人間だ。きっと心のどこかで分かっていたんだけど仕方ないよねそれが私だからとどこかで言い訳をしていたのだ。
ヒッキーにそんな事をあらためて思い知らされるなんて。
81
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:39:15 ID:BImXu.QU0
从 ゚∀从「ヒッキー」
ヒッキーの部屋のドアまで這っていってドアに触れる。今日は開けないでおく。
从 ゚∀从「ごめん、まだあそこで仕事続ける」
私は弱い。傷つきたくない臆病者だ。
从 ゚∀从「ヒッキーを見届けるよ」
うん、とドアの向こうから聞こえてくる。今日はそれでいい。
私はラスト・チャンスと決めて描いた作品の行く末を見届けなければならない。
もしまたダメならヒッキーはマンガ家の夢を諦めなければならない。
そうすればヒッキーは実家に帰る。この同棲生活も終わる。
このまま終わってしまうのかもしれない。その先の事なんて考えられない。
でも、今それを考える必要はないのだ。私がヒッキーを信じてやらなくてどうするのだろう。
そんなダメだった時の未来なんて考えても仕方ない。私は本当に夢を叶えるヒッキーを見たいのだ。
ゲンキンな奴め、と言われればそれまでだ。けれど私は見たい。逃げずに見たい。
82
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 09:42:10 ID:BImXu.QU0
まさかのまさか。ヒッキーがジャンプで賞を取る。佳作。ジャンプ本誌に東京都ヒッキー(24)とバッチリ。
先に電話が来てヒッキーがそれを知られてくれて二人して飛び上がって喜んでしまった。
有名作者の講評も載っていた。『画力は十分。魅せる技術もピカイチ。ただしヒロインがもうちょっとかわいければ…!』
ただしヒロインがもうちょっとかわいければ…!←ほらな!意外と素人の評価も外れたもんじゃないだろう。
それにしてもすごい。まだまだ夢の第一歩なのだけれど。第一歩だけど、確実な第一歩だ。
着実に一つ階段を上がったのだ。夢へ間違いなく一段階近づいたのだ。
ヒッキーの親も結果を受けて保留だと言ったらしい。保留だって。素直じゃない。
確かに佳作を獲ったからって連載出来る訳じゃない。本当に入口が開いた程度だ。
それでも私は感動している。また新たにヒッキーはマンガを描き始めている。
同棲生活を続けて同じバイト先で働きながら私もちょこっと手伝いつつマンガを描く。
ヒロインがもうちょっとかわいくなればな、服装もオシャレになればなと思う。そうすれば多分もっと良くなる。
まだまだこの同棲生活は続く。やっぱり私はゲンキンな奴だと思う。だけど私は私なのだ。
やっぱりまた逃げたくなる時が来るかもしれない。飽きてしまう時が来るかもしれない。
ヒッキーだって、私が初めてだっただけで、そのうち他の女性を知るのかもしれない。
未来は未知数だ。どう進むのか分からない。描いている通りに軌道が進むとは限らない。
だから分からない。私はこんな人間だし分からない。今現在ではこのまま。それだけだ。
いつしか私はヒッキーじゃない男と付き合ってヒッキーの事なんて忘れてしまうのかもしれない。
いつしかヒッキーは私じゃない女性と付き合って新しい道を歩むのかもしれない。
だけど今はまだこのまま。二人で進みたいと思うのだ。
从 ゚∀从二人暮らしのようです(-_-)
83
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 10:03:52 ID:4b8UFH7g0
乙
2人の関係性いいなぁ
84
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 10:42:57 ID:DwjNKqRk0
いい
85
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 11:15:04 ID:QKNA8FjY0
いいなあ
86
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 12:36:43 ID:un4OyRpoO
おつ!好きだ!
87
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 17:08:40 ID:wUdg/Tp20
乙!前の彼氏って……
88
:
名も無きAAのようです
:2016/05/14(土) 18:07:39 ID:wMJqwi3k0
これはいい恋愛ものだ
キングダム……いや……そんなまさか……
89
:
名も無きAAのようです
:2016/05/15(日) 14:00:21 ID:Sjxu6o1c0
乙
次も楽しみにしてる
90
:
名も無きAAのようです
:2016/05/20(金) 20:11:27 ID:hVbSTSCk0
ムカデ人間を推してくるまではわからないぞ
冗談はさておき、なんか不思議な読後感がする
面白かった
91
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 16:45:27 ID:hKs1utCE0
>>87
>>88
ぐぬぬすいません元ネタが分かりません
92
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 16:53:03 ID:hKs1utCE0
(-@∀@)その顔が見たかったようです川 ゚ -゚)
JR東海道線小田原駅から伊豆箱根バスで6分
最寄りバス停から徒歩2分
木造 築19年
2LDK+地下(車庫あり) 価格2500万円
93
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:02:41 ID:hKs1utCE0
これは記録だ。
この記録が誰かに読まれる頃には僕は死んでいるだろう。
何せ僕は死んでいるのだから、僕を罪に問う事は出来ない。
例え殺人者だと罵られ墓に唾を吐かれても構わない。
やはりもう死んでいるからだ。死後には何もないのだから気にもならない。
僕は最高の瞬間を味わった。もう未練はないので死ぬのだ。
この記録は僕の最高の瞬間を綴ったものである。
僕は恋をした。初めて彼女を見かけたのは五月の大型連休過ぎであった。
市内のドラッグ・ストアに勤務している僕は毎朝車で職場に向かう。
彼女を見かけたのはその出勤途中で、ぼくと同様に信号待ちをしているところだった。
向かいに自転車に乗った彼女が同じように信号を待っていた。僕はつい見とれてしまった。
見覚えのある制服で、市内の高校に通う女子高生だと分かった。スカートは折りたたまれず規定のものだった。
信号待ちをしている間、携帯電話を見る事もなくただ信号機が変わるのをじっと待っていた。
きっと真面目な性格なのだろう。聡明でありそうな印象を受ける。
信号が青になり彼女とすれ違う。美人だった。強く心に残った。
94
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:08:21 ID:hKs1utCE0
その女子高生は自分が思っていたより心の中に残ってしまった。
仕事が始まってもぼんやりと彼女の事を思い出してしまっていた。
今日は珍しく考え事をしているねと同僚にも言われてしまったぐらいだ。
僕は一目惚れをしたのだと気がついた。そんな事は初めての事だった。
多感な時期だった中学生の頃だって一目惚れなどしなかった。
次の日から注意して通勤中に彼女を探すようになった。
すると数日を経て彼女がとても規則正しい登校をしている事が分かった。
こちらが毎朝同じ時間に家を出ると彼女と必ず同じ交差点ですれ違うのだ。
きっと家を出る時間を決めていて毎朝きっかりにそれを守っているのだろう。
僕は毎朝彼女を見るのが楽しみになった。初めて見た交差点で必ず信号待ちをする。
対向には自転車に跨った彼女がやはり携帯電話を見る訳でもなく信号が変わるのをじっと待っている。
彼女の通う高校の生徒はこの付近ではあまり見ない。多くの生徒が通学に使う幹線道路はもっと東寄りにある。
恐らく彼女はこの近くの集落に住んでいるのだ。この道路は東西に伸びていて道沿いに集落が続いている。
彼女が通う高校は小高い丘を挟んだ南側にあり、丘を南北に貫く道路は存在せず避けるように進んでいくのだ。
東寄りの幹線道路を使わずこの集落を結ぶだけの道路で高校に向かうという事は、住まいはその集落なのだろう。
95
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:17:13 ID:hKs1utCE0
その集落は距離こそ近いものの僕の家からは離れている。僕の住む一軒家はどこの集落にも属さずぽつんと離れた場所に建っている。
そもそもこの一軒家は数年前に亡くなった父親の遺産だ。僕は市内のアパートで一人暮らしをしていたが相続してからはこの家に住んでいる。
平屋で築二十年ほど、随分と古臭い印象を受ける家だが地下倉庫もあって使い勝手が良い。一人で暮らすには少し広いのが難点だ。
集落から離れ、道路からコンクリートの急な坂を上がった先にある。その坂もこの家があるのみで人の往来は全くない。
背後には山が迫り畑の一つもなく、対して正面には小田原厚木道路が横切り一日中車が行き交っていて少しうるさい。
僕が独り立ちしたあとに父親はこの中古の一軒家を購入した。その後母親が他界してその後は父親一人で暮らしていた。
ただでさえ集落から離れた立地であるし気難しく口数の少ない父親に近所付き合いなどというものは皆無であったらしい。
自分が代わりに住むようになっても訪れる者はおらず、僕としてもその方が気楽だと考えられた。
彼女の事をもっと知りたいと思い、休みの日に夕方から窓を開けて道路を見ていた。彼女の下校時間を確かめたかった。
坂の上に建つ家からは道路がよく見渡せる。登校で通るのならば下校でも通るはずだ。道路の往来は少なく見落とす心配もない。
このまま道路を奥に進んでも民家はもう殆どなく、山あいに寂れた公園施設があるのみだ。今日のような平日は尚更往来は少ない。
またすぐ近くに小田原厚木道路のインターチェンジがあり信号機が設置された交差点がある。上手くいけば赤信号で止まる彼女を見られる。
出来れば日没前に見つけたかったが彼女は来なかった。日が暮れて街灯の下を通るところを見つける必要があった。
集落から離れ人気のないこの辺りは夜になると当然暗くなる。交差点の近くには街灯が設けられているがそれ以外は不気味なほどに暗い。
根気よく僕は道路を監視し続けた。すると日が暮れてから一時間以上経ってから彼女の姿が見えた。それはすぐに発見出来た。
ちょうどインターチェンジのある交差点が赤信号になって彼女の自転車が止まる。僕は身を乗り出して食い入るように彼女を見た。
闇夜に溶け込んでしまいそうな黒い髪が揺れる。姿勢良く自転車に跨がりじっと信号開通を待っている。凛としたその姿はとても美しい。
街灯がまるで彼女のためのスポット・ライトのように美しく照らしていた。僕はほうとため息をついた。そして彼女が欲しいと強く思った。
青信号に変わって彼女の自転車が進んでいく。小田原厚木道路の立体交差を越えて集落の方へ消えていった。
96
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:22:49 ID:hKs1utCE0
仕事の日は帰りが遅いので見られず、休みの日は同じ時間に窓から彼女の帰りを待った。すると彼女はやはり毎日きっかり同じ時間に家の前を通った。
下校時間から数時間が経過しているので部活動に勤しんでいるのだろう。しかし帰りの時間も毎日同じであるとやはり真面目な性格なのだと分かる。
僕にとって彼女の登下校を見るのが日課となりつつあった。そして彼女が欲しいという思いも日に日に強まっていた。
仕事中に彼女の事を考えるあまり手元が疎かになり注意される事もあった。珍しい、恋でもしているのではないかと職場で噂されているようだった。
まさかあいつに限ってと否定する者もいたらしい。しかし現実はそうなのだ。僕としてもこれほど思い込む事はこれまでなかった。
自分でもどうして良いのか分からないのだ。恋愛などろくに経験がないまま大人になってしまったためである。
父親に似てあまり人と話す事が得意ではなく学生の頃からあまり人の輪に入る事が出来なかった。
仕事で女性の対応をする事もあるがやはりあまり上手ではない。
気晴らしにパソコンの電源を投入して動画を開いた。気に入っている動画はハード・ディスクに幾つも保存されている。
そこにあるのはカテゴリで振り分けるのならば全て同じ趣向のものとして扱われるだろう。
ある動画では女性が拘束されたうえ暴行され、ある動画では女性は何人もの男に嬲られている。
ある動画では女性が当然背後から襲われ、ある動画では女性が鞭で叩かれて肉が切れていた。
僕は女性の絶望する顔が好きだ。昔からそういう類の動画を好んで見ていた。
店に訪れる女性客の顔を見るたびにこの人はどんな絶望の顔をするだろうかと想像する。
しかしアップロードされている動画の殆どが本物を装った偽物なのだ。
女性のそれは演技であり、本物の絶望の顔をしていない。こればかりは不満が募るいっぽうだ。
是非とも彼女の絶望する顔が見たい。本物の絶望の顔が見たい。
97
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:27:55 ID:hKs1utCE0
どうすれば良いだろう、どうすればこの思いを叶えられるだろう。
悶々としながら暫く僕は日々を送った。そして熟考を重ねて決断した。
とある金曜日、僕は仕事が休みだった。僕はその休みをホームセンターに行くなどして準備に充てた。
日が暮れて夜になってから僕は黒の目立たない服に着替えた。念のため顔を覆うほどのマスクもしておく。
車で家を出て彼女が通る道路を少し移動する。ちょうど生い茂る木々で隠れられるあぜ道に車を停めた。
エンジンも切って車内の照明を落とす。よほどしっかりと見なければここに車が停まっているとは気づかれないだろう。
道路は緩やかに坂が続き、下り坂から上り坂に差し掛かったところだ。自転車の速度はここで必ず落ちる。
僕は腕時計を見て、インターネットで購入した護身用スタンガンを構える。既に家で試運転も済ませてある。
もう一度腕時計を見る。家の前を通る定刻時間から逆算した通過時間まで間もなく。僕は車の影からそっと様子を伺った。
万が一車が通ったらやめよう、と決めていた。しかし幸いにも車が通る気配はない。付近には民家もなく極めて静かだった。
そして遠くの街灯で影が動く。僕は目を凝らす。定刻通り。彼女だった。自転車で下り坂を降りてくる。
僕は息を潜めた。落ち着くように努力した。
静かな夜の道路に自転車の音だけが聞こえる。
それはだんだん近づいてくる。タイミングが重要だ。
僕は護身用スタンガンを強く握った。
遂に彼女が車の前に到達する。僕は飛び出した。
彼女の脇腹目指し護身用スタンガンを突き出した。
電流が彼女の身体を駆け巡る。
彼女は自転車から叩き落とされた。
そのままアスファルトの道路に落ちる。
自転車も盛り上がった側溝の蓋にぶつかり倒れた。
彼女は意識こそあるものの身体が硬直していた。
フィクション小説のように気絶はしなかった。
しかし身動きを封じるだけで十分だった。
素早く僕は彼女を助手席に載せる。
自転車もトランクに放った。
助手席に載せた彼女の手と足を粘着テープで固く巻きつける。
口にも貼りつけ目にはタオルを縛って対処した。
手筈通りスムーズに拘束は完了した。
更に学生鞄から携帯電話を見つけて電源を落とした。
パターンの認証が必要だったが電源を落とすのに認証は不要だ。
98
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:31:19 ID:hKs1utCE0
その作業の間にも車は一台も通らなかった。幸運だった。僕は静かに車を出して家に向かった。
対向車の視線が気になったがすれ違ったのは二台だけでどちらの運転手も携帯電話を見ていてこちらに関心はないようだった。
コンクリートの急な坂を登って家に着く。車庫に入れてしまえば外から様子は見えない。それでも僕は手早く彼女を家の中に運んだ。
もう彼女は硬直から回復したようで手足を動かし抵抗したが強力な事務用粘着テープを何重にも巻いているため無駄な抵抗だった。
地下の倉庫に彼女を運ぶ。床に敷いた布団の上に彼女を置いて口のテープをゆっくり剥がし目隠しのタオルを取った。
彼女は怒りと恐怖が入り混じった顔で僕を見ていた。ようやく喋れるようになったものの何と言うか迷っているようだった。
「…なんなんですか」
彼女は震える声で僕に問いかけた。周囲を見渡し現状を確認していた。冷静だ。
「ここは地下ですか」
(-@∀@)「あぁ」
窓がない事と階段を降りる感覚でそう推測したのだろう。僕は素直に認める。その方が手っ取り早い。
(-@∀@)「だから叫んでも誰にも聞こえないよ」
ここが完全に密室であり助けを呼ぶ事は出来ないとあらかじめ宣言しておいた方が良い。
聡明な彼女は叫んだり喚いたりするといった行為が無駄であるとすぐに理解するだろう。
「何が目的なんですか」
(-@∀@)「君が欲しかった」
「私が?」
(-@∀@)「そうだ」
99
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:39:02 ID:hKs1utCE0
僕は彼女ともっとゆっくり話したかったがはやる気持ちを抑えて次の行動に出た。
自転車を積んだままの車に再び戻る。車を出して箱根方面へ向かう。
箱根登山鉄道の線路を越えて国道一号線に入り、更に旧東海道へ進む。
途中からゴルフ場へと続く脇道を登り、すれ違いも困難なほど狭い林道へ入る。
街灯の一つもなく車が一台なんとか通れるだけのコンクリートの道が続く。
随分と奥に入り込んだところでそろそろ良いだろうと車を停めて自転車を降ろした。
ガードレールもない林道の脇はまさに断崖絶壁で急斜面が広がっている。
僕はそこに彼女の自転車を放った。音をたて自転車が急斜面を転がっていく。
部品が取れて形が歪みながらも自転車は転がり林の向こうへ消えていった。
僕は車に戻って家に帰る。あとは彼女との時間だ。
帰宅してしっかりと鍵をかけて地下に降りる。
物音で分かったのか拘束されたままの彼女が身を強張らせていた。
こうして灯りのもとでよく見るとやはり彼女は整った顔立ちをしている。
(-@∀@)「名前はなんというのかな」
「答えたくありません」
僕は傍らに置いておいた彼女の学生鞄を逆さまにして床にばら撒いた。
彼女が眉をひそめるのが分かる。ようやく表情に変化が出て嬉しい。
予想していた通りばら撒いた中身から学生証が見つかる。
真面目な彼女ならば常に持ち歩いているだろうと考えていたので正解だった。
(-@∀@)「三年生のクー…君はクーというのだな」
川 ゚ -゚)「…」
100
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:42:33 ID:hKs1utCE0
僕は彼女の絶望の顔が見たい。しかし名前を知られても彼女はぐっと言葉を堪えている。
きっと自転車を捨てに行っている時間に色々と考えたのだろう。
こうして見知らぬ男に拉致されて監禁までされているというのに冷静だ。
ここが地下で声が外に届かないと分かっているため騒いだりもしない。
今や彼女の命運は僕が握っているも同然であるのに、彼女が堅牢なつくりの城に見える。
彼女の絶望の顔を見るのは難しい事かもしれないからだ。
(-@∀@)「だんまりか」
川 ゚ -゚)「貴方の名前を聞いていません」
(-@∀@)「あぁ、確かに名前を聞いておいてそれは失礼だった。 僕はアサピーだ」
川 ゚ -゚)「アサピー…」
(-@∀@)「そうだよ」
川 ゚ -゚)「アサピーさん、これは犯罪です」
(-@∀@)「はは、やはり君は強いなぁ」
地下室は階段を除いて四畳半ほどだ。彼女を寝かせている布団が一畳ほどを占めている。
元は倉庫として使われていたためがらくたなどで溢れかえっていたが彼女のために撤去した。
当然ながら窓はなく低い天井から心許ない小さい蛍光灯が照らすのみだ。
(-@∀@)「ここは見ての通り完全密室だ。 君を助けに来る者はいない」
僕は大げさに手を広げてみせる。
(-@∀@)「僕と二人きりだ」
川 ゚ -゚)「どうでしょうか」
101
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:44:42 ID:hKs1utCE0
(-@∀@)「僕の家は集落から離れている。 そしてこの地下はいわば隠し部屋で一見分からないようになっている。
君が行方不明であると警察に届けられて万が一この家を調べられてもきっと気がつかれないよ」
川 ゚ -゚)「どうして言い切れるんですか」
(-@∀@)「さっきも言ったようにこの地下は隠し部屋だ、初見ではまず見つけられない。 また声も届かないほどの密閉っぷりだ」
じわじわと自分の置かれた状況が極めて絶望的であると知らせていく。ゆっくり絞め殺すように。
しかし彼女の表情はなかなか変わらない。やはり手強いものだと僕は内心思う。
それではさっそく強硬手段に出るしかないのだと決意をした。
川 ゚ -゚)「私が欲しかった、と言ったけれどどうするつもりなんですか」
(-@∀@)「分かっているだろう?」
僕は彼女に近づいて頬に触れた。彼女は逃げられずそれを受け止める。
頬を撫でてから僕の指は彼女の首、鎖骨、胸、腹を辿り制服のプリーツ・スカートに達する。
(-@∀@)「ねぇ」
プリーツ・スカートをつまみ上げると彼女の下着が見える。
(-@∀@)「どうしようかな」
彼女の表情が僅かに曇る。ぎゅっと唇を噛んでいる。
(-@∀@)「ねぇ、どうしてほしい?」
川 ゚ -゚)「…家に帰して下さい」
(-@∀@)「それはダメだねぇ!」
102
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:45:57 ID:hKs1utCE0
僕は彼女を犯した。拘束されたままの彼女の思いのままに犯した。
きっとそうだろうなと思っていたが彼女に男性経験はなかった。
布団に染みこんだ血液がそれを物語っていた。
未知の感覚に彼女は悶えていた。
しかしそれでも彼女の絶望の顔を見る事は出来なかった。
僕に制服を剥がされる時も。身体を撫で回されている時も。
僕の肉棒を頬に押し付けられている時も。口の中にねじ込まれた時も。
力ずくで足を開かされた時も。純潔を破られた瞬間も。
顔にたっぷりの精液を浴びた時も。
彼女はただ歯を食いしばって耐えるのみだった。
表情は苦痛に歪んでいたものの、それは絶望ではなかった。
精液を顔に浴びても、ようやく終わったのだと理解して顔を背けただけだ。
僕はますます彼女の絶望の顔をなんとか見たいと強く思った。
正直なところ彼女を犯すのはやむを得ない強硬手段だと思っていたのだ。
それにも関わらず彼女は耐えて絶望の顔を見せようとはしない。
強い心を持った芯の強い人なのだと僕はむしろ感心してしまった。
やはりなんとしても絶望の顔を見たい。
どうすればそれが叶うのか考え直す事にした。
103
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:49:56 ID:hKs1utCE0
彼女の粘着テープの拘束をいったん解き、手錠に切り替えた。
右利きだと申告したので左腕だけ手錠をかけ、空いた方を壁から突き出した杭に繋げる。
僕が力いっぱい引き抜こうとしてみてもびくともしなかったので彼女の力ではまず逃げ出せないだろう。
彼女は僕が脱がした下着と制服を身につける。それを僕は黙って見ている。彼女も何も言わない。
見られたくはないのだろうが無反応を貫く事で彼女なりの抵抗をしているのだと思う。
排泄は脇に置いたバケツでするようにと言いつける。それでも彼女は黙ったままで顔色を変えない。
恐らく普段から表情変化に乏しいのかもしれないが、それ以上に冷静であるよう務めているのだ。
これほどに人間の尊厳を奪うような扱いをしようとしているのにじっと堪えている。
その姿がもはや愛おしい。僕はそれをなんとか崩したい。
翌日、僕は通常通りに仕事へ向かうため準備をする。トーストとコーヒーの質素な朝食だ。
また彼女の分も地下に持っていく。出勤すると夜まで帰れないので昼の分と水も置いておく。
(-@∀@)「眠れたかい」
川 ゚ -゚)「…あまり」
(-@∀@)「これは朝、あっちは昼の分だ」
川 ゚ -゚)「仕事に行くんですか」
(-@∀@)「あぁ、社会人だからね。 帰ってくるのは夜だ。 休みはシフト制だよ。 でもその情報を知っていても無意味だろう」
川 ゚ -゚)「…」
彼女は黙る。実際そうだ。僕の情報をそれだけ知ってもこの密室である地下からは逃げ出せない。
携帯電話は電源を切ったまま保管しているし声の届かない地下からは助けを呼べない。
それにもし彼女の存在が知られればここは僕の家だから疑われるまでもなく僕は逮捕されるだろう。
だから助けも呼べない彼女に隠す事もないのだ。
104
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:57:32 ID:hKs1utCE0
僕は念入りに戸締まりをして車を出す。彼女を載せた痕跡は残していない。
きっと彼女の両親は昨夜のうちに娘が帰宅しない事に気が付き警察に届け出ているだろう。
ただでさえ登下校が毎日きっかり同じ時間なほどだ。一晩帰らないというのは極めて異常な事態のはずだ。
もう外では捜索が始まっているかもしれない。パトカーが彷徨いているかもしれない。平常心を保とう。
いつもと同じ時間。しかし定刻通りにも関わらず彼女の自転車とはすれ違わない。
彼女は僕の家の地下で、自転車は箱根のゴルフ場裏の林の中だ。それを知っているのは世界で僕だけだ。
途中でパトカーに一台だけすれ違う。女子高生の家出程度にしか捉えていないのだろう。
僕はいつもの様に彼女の事を考えながら仕事をして一日を過ごした。
どうしたら彼女を追いつめられるのか。見知らぬ男に拉致監禁され犯されたのにじっと耐えている彼女を。
僕は勤務を終えてすぐに家に帰る。これほど家に帰るのが嬉しいのはそうない事だ。
市内にはパトカーをちょくちょく見かけた。僕は臆する事なく堂々と運転をする。
帰宅して真っ先に地下へ降りた。僕が引き継いだこの家は2LDKの平屋だ。
奥の洋室から地下へ続く階段が設置されているが、それは隠れている。
元々地下は物置として使われおり殆ど出し入れがなかったために両親はそこに本棚を置いていたのだ。
講談社文庫から発行された浅田次郎作品の並んだ本棚をずらすと地下への階段が現れる。
まるで秘密基地のようでもある。僕はその階段を降りる。
(-@∀@)「帰ったよ」
置いておいたバケツを見ると排泄物が入っていた。排泄を我慢する事は困難であり仕方なくといったところだろう。
食事の方を見ると手付かずのままだった。僕に嬲り殺さるのならば飢えて死んだ方が良いという意思表示だろうか。
いわゆるハンガー・ストライキだ。しかし僕は彼女に餓死してもらいたくはない。
僕は彼女の制服であるシャツの胸ぐらを掴んで頬を引っ叩いた。
(-@∀@)「ダメじゃあないか、食べなければ」
105
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 17:59:55 ID:hKs1utCE0
彼女の絶望の顔を見るために取るべき行動はやはり暴力であると僕は考えていた。
人を支配するのに最も有効的かつ簡単なのは今も昔も暴力なのである。
与えられた食事を拒否する、これは暴力を振るう口実となる。
川 ゚ -゚)「…」
しかし頬を叩かれても彼女は黙って顔を背けるのみだった。
動揺する訳でもなく反抗する訳でもなく、ただ静かにそれを受け入れた。
さすがに何か彼女の特殊な事情があるのではと疑ってしまう。
拉致監禁されてまだ二十四時間未満で精神が崩壊するには早い。
妙に冷静で落ち着いているのは物分りが良いからだと思っていたがそれだけではない気もする。
頬を叩かれても処女膜を破られても彼女は絶望の顔を見せる事なく堪えている。
僕は意固地になっていた。そのどちらかで望みは叶うと思っていたのだ。
また彼女の服を剥いで乱暴に肉棒をねじ込んだ。
髪を掴んで後ろから動物のように犯す。
強く突きながら尻を叩いても彼女は必死に声を漏らすまいと堪えていた。
杭に繋がれた手錠が音をたてる。足りない。まだ足りないのだ。
身体を自由に楽しんでいるだけでは足りない。
(-@∀@)「ねぇ、中に出していい?」
尻を掴んで突きながら彼女の耳元で囁いた。
(-@∀@)「君の中で射精したいんだ。 どうなるか分かるよね?」
彼女は答えない。僕は畳み掛ける。
106
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:02:12 ID:hKs1utCE0
(-@∀@)「ゴムつけてないし妊娠しちゃうかもね。 君は十八で妊娠しちゃうんだ。
子供が出来てお腹がだんだん大きくなる。 僕の子供を孕むんだ。
そして一緒に育てるんだよ。 どんな子供かな。 君の子供なら可愛いよね。
男の子かな、女の子かな。 女の子なら君に似ているんだろうね。
ねぇ自分の子供がどんな感じか想像した事あるのかい?
君はまだ若いから帝王切開になるかもしれないね。
痛いかもしれないけれど頑張ろうね。
あと一人っ子じゃきっと寂しいよね。
二人目も三人目も欲しいかい?
男の子だったら次は女の子、女の子だったら次は男の子がいいよね。
ねぇ、中に出していい? 君の中すごく気持ちいいよ、出すよ、出すよ」
彼女の中に遠慮無く放出する。長い余韻と共に肉棒を引き抜いて彼女の秘部を指で掻き混ぜると精液がねっとりと垂れた。
頭を掴んでそれを見せる。自分の体内から溢れ出る精液を彼女にしっかりと見せる。
(-@∀@)「出しちゃったよ、ほら、とろとろ溢れてるよ。 いっぱい出しちゃった。 一回で妊娠しちゃうかもね。 気持ちよかったから仕方ないよね」
秘部から溢れる精液を指ですくって彼女の口元に持っていく。歯を噛みしめて固く閉ざしている唇に精液を塗った。
指を押し込んで歯と歯茎に精液を這わせる。
107
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:02:33 ID:e/JuFkrw0
勃起した
108
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:03:41 ID:hKs1utCE0
川 ゚ -゚)「…」
手を離すと歯軋りの音が聞こえるほど彼女は黙って俯いていた。
それだけだった。怒る訳でもなく、泣く訳でもなく、取り乱す訳でもなく、ただ俯いていた。
もし彼女が本当に妊娠して腹が膨らんでくれば絶望の顔が見られるかもしれない。
しかし僕はそんな何ヶ月も先を気長には待てない。早く彼女の絶望の顔が見たい。
僕は困り果てた。
一週間が過ぎても僕は彼女の絶望の顔を見る事は出来なかった。
拘束した彼女に暴行したり犯したりしたが表情はやはり固いままだ。
仕事中にどうすれば良いのかを考える。やがて彼女の事をもっと知るべきなのでは、と思いついた。
彼女について僕が知っているのは名前と通っている高校ぐらいだ。彼女はあまり僕と会話をしようとしない。
それは彼女における僕へのささやかな抵抗なのだと思う。先に君が欲しかったのだと素直に伝えてしまったのが良くなかったのかもしれない。
拉致監禁して身体を好きに出来ても心までは支配出来ないぞという意思表示なのかもしれない。
僕はもっと彼女の事を知りたいのだ。そのためにはどうするかを考える。
今から彼女の心を開くのは極めて難しいだろう。
休憩時間になって、どうしようかとあれこれ思案しながら僕は携帯電話を取り出した。
社交的ではないと自覚がある僕に友人と呼べる人間は少ない。そのため頻繁に連絡をする者もいないのだ。
彼女は親しい者と一体どんな風にメッセージのやり取りをするのだろうと考えてみる。
メッセージのやり取り、そこで僕は思い出した。僕は彼女の携帯電話を持っているのだ。
そこにはきっと僕の知りたい情報がたくさん詰まっているはずだ。
ただし彼女の携帯電話はあの襲撃場所で電源を切ってからそのまま保管してある。
電源を投入すればたちまち位置情報が発信されてしまうので注意しなければならない。
109
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:05:03 ID:hKs1utCE0
当然そうなるだろうと思っていたが彼女の両親が警察に相談したのは確実であった。
昨夜遂にニュースで女子高生が行方不明だと流れたのである。早くも公開捜査に踏み切ったのだ。
彼女の顔写真と名前がテレビ画面に映し出されていた。学生証と同じ写真が使用されていた。
失踪から一週間が経っているし彼女の真面目な性格を考えると家出ではないと両親が訴え事件性が高いと判断したのだろうか。
ニュースでは携帯電話の電波通信があの襲撃場所で途切れたと伝えていた。しかし僕はあの場所に何の痕跡も残さず拉致を完遂したはずだ。
自転車も見つかっていないとアナウンサーは続けたので箱根のゴルフ場裏の林に投げ捨てたあの自転車はまだ見つかっていないようだった。
仕事が終わって家に帰る途中に今日は二台のパトカーとすれ違った。歩行者や対向車の食い入るように見ている。
幹線道路を越えると僕のよく使う道路は殆ど一本道となり、その脇に集落が伸びていく。
僕が彼女と毎朝すれ違っていたのも彼女を拉致したのもこの道路だ。
携帯電話の電波が途切れたのもこの道路となれば警察も重点的に調べるだろう。
その道路沿いにある僕の家にも当然話を聞きに来ると思われる。まして僕は平屋に一人暮らしだ。
集落から離れていて近所付き合いもなかったのでもしかするとあそこの人が怪しいのではと噂されているかもしれない。
証拠こそ残していないが容疑者として挙げられている可能性も考えておいた方が良いだろう。
僕に出来る事は努めて堂々としている事だ。何も付け入られないように振る舞う事だ。
それにあの地下への入り口はなかなか初見では見つけられないだろう。
もし警察が僕を容疑者であると断定し家に踏み込む事となってもそれはまだ先の事だろう。
110
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:11:13 ID:hKs1utCE0
翌日、僕は休みだったので車で山の方へ向かった。
家の前の道路を山の方へ進んでいくとどんどん道幅は狭くなる。
民家も殆どなく寂れた公園施設があるぐらいだ。更にその先へ進むと行き違いも厳しいような狭い山道となる。
それでも山を登って行くと開けた土地に霊園が広がっている。山あいの開けた場所に棚田のように墓石が並んでいる。
墓地の中にある駐車場に車を停めた。来園者は一人もおらず極めて静かであった。
僕は家に隠していた彼女の携帯電話と自分の携帯電話を取り出した。僕と彼女の携帯電話はキャリアが同じだ。
そして僕の携帯電話は圏外になっている。この墓地に到着する前からもうずっと圏外だった。
キャリアの電波エリアマップを見てもこの一帯は完全にサービス範囲外のようだった。
同じキャリアでも機種が違えば電波の取得には差が出ると聞いているがここまでエリア外ならば大丈夫なはずだ。
念のため周囲に人がいない事を確信してから彼女の携帯電話の電源を投入する。
時間をかけて携帯電話が起動する。そして認証に必要なパターンをなぞる。
このパターンを教えてもらうのに彼女の爪を三枚も無駄にした。
デスクトップはとてもシンプルなものだった。
ソニー製携帯電話のデスクトップにはアプリがあまり配置されていない。
ゲームの類は一つもインストールされていなかった。五ページあるデスクトップの中で何もないページも存在する。
さっそく無料通話アプリを開く。昔はメールなどの送受信を見るのが手っ取り早かったが今ではこちらの方がよく使用されている。
圏外の状態で電源を投入しているために新たなメッセージは見られない。恐らく行方不明となり心配するメッセージが届いているだろう。
今頃サーバに保管されているはずだが電波を受信出来る場所まで行かなければメッセージはこの携帯電話に届かない。
既存のメッセージを見て、彼女について知ろうというのが今回の一番の大きな目的だ。
数人とのメッセージのやり取りを見れば彼女について何か分かるのでは、と考えていた。
しかしそれは先頭のトーク履歴で呆気なく達成されてしまう。
メッセージの履歴の先頭にいるユーザーの名前はフルネームで登録されていた。
そのユーザーの苗字は、まさしく彼女の同じものだったのである。
111
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:14:22 ID:hKs1utCE0
(-@∀@)「くるう…」
僕はその名前を呟く。アイコンは誰かに撮ってもらったらしい自分の写真だ。
中学生ぐらいなのだろう、可愛らしい顔立ちでカメラに向かってピース・サインをしている。
恐らく妹なのでは、と思い僕は彼女のそのくるうという妹らしき女の子のメッセージをたどる事にした。
それは普段の彼女からは考えられないようなメッセージのやり取りだった。
くるうに対する彼女の口調は砕けたものでおちゃめなスタンプなども連発していた。
試しに他のユーザーとのメッセージのやり取りの履歴を見るとそれはいつもの彼女だった。
礼儀正しく節度を持ち顔文字の一つもなく聡明さを感じる。スタンプの連発など当然ない。
もう一度彼女とくるうの履歴に戻る。彼女のメッセージは砕けた口調、顔文字、スタンプの連発。
僕はそのギャップに慄いた。なんだこれはとすら思ってしまった。
履歴をたどると彼女からくるうに向かって好きだの大好きだの繰り返し送られているのが目立つ。
対するくるうからもお姉ちゃん大好き、などと返されている。
僕は確信した。やはりこのくるうは彼女の妹だ。そして彼女は妹を溺愛しているのだ。
絶対に僕に弱みを見せまいとしている彼女の決定的な弱点。それが妹の存在だ。
次にカメラフォルダを開いてみる。きっと妹を溺愛している彼女はくるうを撮影していると思ったからだ。
思った通りくるうと名前が付けられたフォルダがあった。それを開くとくるうを映した写真がずらりと並ぶ。
何十枚あるのだろうか、下の方へスクロールしていっても写真は続いていった。きっと日常的に撮影しているのだろう。
ソニー製の機種はカメラ機能が優秀であると聞いた事があるし彼女もそれを重視してこの機種を選んだのかもしれない。
くるうを映した写真を一枚一枚見ていく。電波は圏外状態から脱する様子はないし墓地に来園者もおらず焦る必要はない。
間違いなくくるうは中学生だろう、セーラー服を着た写真もある。室内で撮った写真もあればどこかに出掛けた時に撮ったものもある。
芦ノ湖で撮った写真もあれば伊豆下田で撮った写真もある。父親以上に彼女の方がくるうを撮影しているのではないだろうか。
112
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:17:03 ID:hKs1utCE0
僕は一枚の写真で手を止める。屋外で撮られた写真で、くるうはカメラに向かってピース・サインをしている。
注目すべきは背景だ。茶色の一軒家が映っている。自宅ではないだろうか。更に後ろには高架の道路が見える。
そこにはちょうど緑の案内看板が立っている。それは高速道路や有料道路に設置されているものだ。
最近の機種はカメラが高画質になっており拡大してみると文字がなんとか読み取れた。
そこには荻窪 小田原方面 出口500mと書かれている。その荻窪インターチェンジは僕の家の前にあるものだ。
僕の家の隣を走る小田原厚木道路はあの道路に寄り添うように北東方向へ伸びている。
彼女は同じ高校の学生の多くが使う幹線道路ではなくあの道路をわざわざ使って通学していた。
そのため僕は彼女の家があの道路沿いに広がる集落のどこかではと考えていたのだ。
彼女の携帯電話は赤外線通信機能を搭載したものであり僕の携帯電話にもそれはあった。
その写真を含めた数枚のヒントとなり得る写真を僕の携帯電話に赤外線通信で送信する。
そして彼女の携帯電話の電源を切り、鞄に仕舞ってから車を出した。
携帯電話の電波が受信出来るところまで降りてきてから僕は自分の携帯電話でグーグル・アースを開いた。
小田原厚木道路もグーグル・アースで見る事が出来る。そこであの写真に映っていた案内看板を探した。
案内看板が示す荻窪インターチェンジは僕の家のすぐ横だ。そこから五百メートルほど北上したところを表示させる。
その案内看板を見つける。その下には細い道路が横切っていた。あのいつもの道路から脇に入ったところである。
ちょうどそこに一軒家がある。僕はそれを表示させると、あの茶色の一軒家が現れた。
少し調整してみるとそれは彼女が撮った写真のアングルと完全に一致する。
僕の携帯電話に送信した先程の写真を見比べてもそれは確実である。
この茶色の一軒家が恐らく彼女の自宅なのだ。予想通りあの道路近くの集落だった。
この家から彼女の高校に通うならばあの道路を使うルートが最適だと言える。
彼女の自宅が分かった。彼女の弱点も見つけた。僕は次にどうすべきか再び考える。
家に着くと警察官が二人、僕の家を覗いていた。パトカーは近くに停まっておらず、付近一帯の聞き込みといったところだろう。
遂に来たか、と僕は気を引き締める。平常心を保ち怪しまれないように振る舞わなければならない。
仕事で身についた感情を顔に出さないという事をきちんと頭で思い浮かべる。
いつも通り、そうすれば乗りきれるはずだ。
113
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:24:30 ID:hKs1utCE0
(-@∀@)「あのう、すいません」
リアウインドウから顔を出して声をかける。
(-@∀@)「そこに住んでいる者ですが、何かご用ですか」
( ,'3 )「あぁ、すいません。 少し聞いて回っておりまして」
(-@∀@)「構いませんが、ひとまず車を入れてしまってよろしいですか」
( ,'3 )「はい、どうぞ」
車庫入れをしている間にも二人の警察官は車を注意深く見ていた。
行方不明の女子高生は自転車での帰宅中に消えたのだから仕方ないだろう。
実際に僕の所有するトヨタ・ファンカーゴは後部座席を倒せば自転車を積む事も出来る。
(-@∀@)「お待たせしました」
車庫入れを終え、僕は車を降りる。好青年として見られるよう努力する。
(‘_L’)「朝早くからどちらへ?」
(-@∀@)「両親の墓参りです。 この道路を登っていった先に墓地がありまして」
( ,'3 )「あぁ、久野霊園ですね。 若いのに感心です」
所轄の警察官は五十代と四十代ほどだろう。もし僕が容疑者として挙げられているのならば刑事が来るだろう。
やはり近所の家をとりあえず一軒一軒回、聞き込みに回っているのだろう。僕の家に順番が回ってきただけだ。
(-@∀@)「ところで話とは?」
( ,'3 )「あぁ、他でもない女子高生の行方不明事件についてです」
(‘_L’)「知ってますか?」
(-@∀@)「ええ、ニュースで見ました。 その女子高生が通っていると報道されていた高校もすぐ向こうですし家から近いのかなとは思っていましたが」
ごく自然な表情。近隣住民としては当然抱く興味。それを意識する。
114
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:26:57 ID:hKs1utCE0
( ,'3 )「はい、この先の集落に住んでおられる方です」
(‘_L’)「それで皆さんに話を聞いて回ってましてね、何か変わった事は?」
(-@∀@)「いえ、特には…。 静かで平和なところですし」
(‘_L’)「そうですか、行方不明のお嬢さんはそこの道路を使っていつも通学していたそうです」
(-@∀@)「へぇ、坂があるのに大変だ。 ここはインターチェンジがあるせいで狭い割には車がよく通る」
(‘_L’)「そうなんですよ、しかし目撃証言が何もないそうなんです。 何か物音とかは」
(-@∀@)「はぁ、ニュースは一昨日見たと記憶していますが、行方不明はいつからでしたか」
(‘_L’)「十日前です」
(-@∀@)「十日ですか、特に何も…。 本当に車の往来以外は静かなところですので」
(‘_L’)「そうですか」
警察官は家の方を見た。木造の平屋でクリーム色に塗られているが色褪せている。
(‘_L’)「ご家族は?」
(-@∀@)「いません、二年前に父親が亡くなり一人です」
(‘_L’)「一人でお住まいなのですか」
(-@∀@)「えぇ、平屋とはいえ一人では少し広すぎますがね」
自嘲気味に僕は笑ってみせる。
(‘_L’)「差し支えなければ中を拝見させていただきたいのですが」
(-@∀@)「えぇ、構いませんよ」
( ,'3 )「すいませんね」
(-@∀@)「いえいえ、事態が事態ですので」
115
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:31:06 ID:hKs1utCE0
僕は警察官二人を案内する。地下への階段は厚い蓋をした上から本棚できちんと塞がれている。
もし彼女が来訪者に気づき大声をあげて助けを呼んでも聞こえないはずだ。
事前に地下に大音量の目覚まし時計を置いて鳴らすテストをしてみたが聞こえなかった。
平屋は十三帖のリビングと八帖の洋室、同じく八帖の和室と風呂とトイレで構成される。
玄関からフローリングのリビングへと入り、次に和室を見せる。
(‘_L’)「和室は物置みたいですね」
(-@∀@)「ここは父親の部屋でした。 遺品を捨てようか迷っているうちにこうなってしまいまして」
(‘_L’)「なるほど」
(-@∀@)「そしてこちらが僕の部屋です」
最奥の八帖の洋室へ案内する。地下へと繋がる階段のある部屋だ。
( ,'3 )「ほう、本が多いですね」
本棚は三つ置かれている。うち一つの下に地下へ繋がる階段がある。
万が一本棚を動かされても床と同一の色の蓋が設置されている。
(-@∀@)「父親の遺品が多いです。 せっかくだから読もうと思ってこちらに移しました」
( ,'3 )「なるほど、それは良い」
どれどれ、と警察官が本棚に作者ごとに並べられた文庫本に目を通す。
( ,'3 )「あぁ、浅田次郎の天国までの百マイル。 私も最近読みましたがこれは名作ですね」
(‘_L’)「知っている作者ですか」
( ,'3 )「知っているもなにも浅田次郎は有名な作者だよ。 映画化もされた鉄道員で直木賞も受賞している」
(-@∀@)「高倉健の代表作の一つですね」
(‘_L’)「へぇ」
満足したようで二人は部屋を出て行く。風呂とトイレも覗いてご協力ありがとうございましたと頭を下げた。
116
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:34:43 ID:hKs1utCE0
( ,'3 )「何か変わった事や気づかれた事がありましたらご連絡下さい」
(-@∀@)「分かりました、早く見つかるといいですね」
僕は玄関を出て二人がコンクリートの坂を降りていくのを見届けた。
しっかりと施錠して部屋に戻り、本棚をずらして蓋を開ける。
階段を降りるが彼女は僕の方に視線も向けない。
(-@∀@)「いやぁ、驚いた。 警察が来たよ」
彼女がばっと顔を僕の方に向けた。僅かな希望を感じている。無駄なのに。
(-@∀@)「いや、帰っていったよ。 君がいるとも知らずに」
彼女が何かを言おうとして、諦める。萎んでしまったように俯いた。
(-@∀@)「だから言っただろう、この地下は完全密室だ。 君の存在は誰にも知られない」
川 ゚ -゚)「…」
また彼女は黙りを決め込むつもりだろうか。
しかし彼女は揺らいだ。僅かな希望を感じあっさり打ち砕かれたからだ。
彼女とて十代の少女だ。冷静を保っているが少女には変わりない。
そしてここで畳み掛けてみようと決める。新たに手に入れた強力なカードだ。
どこまでの破壊力を持っているかは試してみなければ分からない。
(-@∀@)「それにしてもさ」
わざとらしく、僕は切り出した。
(-@∀@)「可愛い子だね、くるうちゃん」
たった一言。たった一言だ。その影響力は僕の想像を越えるものだった。
彼女がまたばっと顔を上げた。そこには困惑と驚きが入り混じっていた。
口を開いて何か言おうとして言葉にならない。悲鳴に近い声だけがただ漏れる。
117
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:37:29 ID:hKs1utCE0
(-@∀@)「なんだい?」
川; ゚ -゚)「ど…どうして…」
(-@∀@)「え?」
川; ゚ -゚)「どうして…くるうの…」
やはりくるうは彼女の弱点だ。僕が彼女の愛する妹の存在を知っただけでこれほどに狼狽している。
絶望の顔とまではいかないが彼女はそれに近い表情をしている。知られたくなかった。隠したかった。
それほどにくるうが大事なのだ。彼女は今にも泣き出しそうになっている。
(-@∀@)「可愛いね、くるうちゃん。 とても可愛い。 欲しいなぁ、くるうちゃんも欲しい」
川; ゚ -゚)「だ、だめ、それはだめ、くるうは」
彼女が身を乗り出す。杭に繋がれた手錠が伸びてがちゃがちゃと音をたてる。
川 ; -;)「くるうは…くるうだけは、やめて、やめて」
彼女が懇願している。涙を流しながら僕に懇願している。空いている右手で僕の腕を掴み懇願している。
僕に拉致され監禁され暴行されレイプまでされたのに涙一つ見せなかった彼女が一心不乱に懇願している。
愉快だった。彼女の新たな一面をようやく見られた。くるうに関して彼女はこんなに必死になるのだ。
名前を出しただけなのに。
(-@∀@)「じゃあ、君は僕の言う事をきちんと聞かなければならないよね? 分かるよね?」
川 ; -;)「あ…う…」
彼女の頬を撫でる。指で涙を拭く。
(-@∀@)「君がちゃんと僕の言う事を聞けばくるうちゃんに危害を加えないよ。 全ては君次第だ」
川 ; -;)「わ…私次第…」
(-@∀@)「そう、くるうちゃんは、君次第」
118
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:41:05 ID:hKs1utCE0
僕は口を近づけて、舌を出した。彼女は意味を理解して、眉間に皺を寄せ、目を閉じて舌を出す。
僕はそれを絡めとる。そして彼女とセックスをした。遂に彼女との行為は一方的ではなくなった。
その日から彼女は従順になった。僕の言う事をきちんと聞くようになった。
与えられた食事は全て食べて肉棒を差し出せばおずおずと咥えるようになった。
これでようやく彼女を手に入れた気がした。それでもまだ物足りない。
やはり彼女の絶望の顔が見たいのだ。それこそが僕の一番の望みなのだ。
もし彼女の前でくるうを犯せば彼女は絶望の顔を見せてくれるだろうか。
そう考えると仕事中も勃起が収まらないようになってしまった。
川 ゚ -゚)「くるうは…可愛い妹なんです」
僕は彼女の座る布団の隣で話を聞いていた。
くるうの存在を持ち出してから彼女は僕と会話をするようになった。
川 ゚ -゚)「そして、可哀想なんです」
(-@∀@)「可哀想?」
川 ゚ -゚)「くるうは少し障害を持っています。 上手く話せなかったり、きちんと物事を判断出来ない。
それでお父さんに叩かれたりする事はよくありましたし、同級生に虐められているようなんです」
僕は彼女に妹について聞かせてほしいと頼んでみたのだ。
今ではすっかり彼女は従順で僕の言う事を何でも聞く。
川 ゚ -゚)「お父さんは身体が成長しても中身があまり成長しないくるうにいつも苛立っていました。 そしてよく手を出していたんです。
それで私が身代わりになる事もありました。 お母さんはいつも見ているだけでお父さんには口出しする事はありませんでした」
彼女の異常なまでの冷静さ、暴力に対する忍耐力。それは父親の暴力によって培われたものだったのだ。
川 ゚ -゚)「だけどくるうは私の可愛い妹なんです。 たった一人の可愛い妹…」
119
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:42:47 ID:hKs1utCE0
彼女は妹くるうを溺愛している。守ってやりたいと思っている。自分が犠牲になってもだ。
それは父親からの振るわれる暴力から、僕から強いられる監禁生活から。
愛する妹のために彼女は身を張っているのだ。自分を犠牲にしてでも守っているのだ。
それほどに妹を愛している。障害を持ち父親から疎まれ同級生から蔑まれる妹を。
僕は彼女を健気だと思った。そして報われないと思った。彼女こそ可哀想だとも感じた。
きっと彼女の父親は普通の事も満足に出来ない妹くるうに日常的に暴力を振るっていたのだ。
妹を庇いたい一心で彼女は父親の暴力の捌け口を引き受けていたのだろう。
彼女の極めて正確な登下校も真面目な性格だからと結論づけていたがそういう家庭状況が原因なのかもしれない。
また彼女の性格上家出ではなく事件性が高いと両親が判断したのだと僕は思っていたが逆に考えた可能性もある。
両親は、父親の暴力に耐えかねて逃げ出した彼女がその暴力を告発するのではと恐れたのかもしれない。
こういう地方の集落では悪い類の噂話はすぐに駆け巡り、狭いコミュニティでの覆しようのない世論を作り上げてしまう。
川 ゚ -゚)「だから私が守ってあげないといけない…」
あぁ、やはり可哀想だ。彼女はいつも妹を庇って生きてきたのだろう。
それなのにこんな地下に閉じ込められていてはその妹を助けられない。
守ってくれる彼女がいなければ妹は父親から暴力を受けてしまう。
まして彼女が行方不明であるため父親は気が立っているはずだ。
帰ってこない苛立ちを妹にぶつけているかもしれない。
それなのに彼女は助けられないのだ。守れないのだ。
こんな見知らぬ家の地下に拘束され好きでもない男に犯されているのだ。
なんと不憫なのだろう。僕こそが彼女を助けてやりたい。しかしそれは叶わない。
彼女は可哀想だ。彼女を助けられない。相反する両者が押し寄せ合う。
120
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:44:31 ID:hKs1utCE0
彼女の妹くるう。中学生。障害を持っている。彼女に愛されている。父親に疎まれている。
家庭内で暴力を受けている。同級生からはいじめられている。
彼女の弱点。彼女の愛する者。彼女の一番大切なもの。
それを壊せば彼女の絶望の顔が見られるだろうか。
僕は時間をかけて自然を装い彼女から妹くるうについて訊いた。
彼女の愛する者の話を聞かせてもらうのを装って訊いた。
少しずつくるうという少女の人間像が出来上がる。
写真は僕の携帯電話に転送してあるのでしっかりと記憶している。
彼女曰く、彼女の家庭は父親、母親、妹と彼女の四人暮らしだ。
父親は一般的な会社員で母親はパートをして生活の足しにしている。
裕福でもなければ貧しい訳でもない至って普通の家庭だろう。
彼女が行方不明となってから間もなく三週間となる。
精神的にも参ってしまっているだろう。仕事どころではないかもしれない。
何より妹が不安だと彼女は漏らした。それは父親から暴力を受けるのではという意味だけではなかった。
家庭において妹が心を開いていたのはまさしく彼女だけだったという。
彼女は妹を溺愛し、妹も彼女を必要としていた。依存しあっているのだ。
そのような妹の前から自分が消えてしまってはどうなってしまうのか予想も出来ないと彼女は言う。
121
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:46:27 ID:hKs1utCE0
過去に彼女が修学旅行で四日ぶりに帰宅しただけでも妹は泣いて飛びついてきたという。
半狂乱になっていても喪失状態になっていてもおかしくないと彼女は呟いた。
修学旅行で家を空けている間に妹は夜中に彼女を探して近所を徘徊していたという。
それを見つけ父親がひどく打ったが、次の日にまた彼女は探しに行ってしまったのだと。
もしかするとまた自分を探して夜な夜な歩きまわっているのでは、と彼女は涙を流した。
僕はそこで情報収集を遂に打ち切った。価値のある情報だった。
大丈夫だよ、と彼女の髪を撫でて僕は落ち着かせる。
妹に会わせてあげたい。僕はそう思う。
次の日から僕は日付が変わるあたりに自転車で出掛けるようになった。
自転車は長らく車庫の隅に置かれていたもので随分と傷んでいる。
この家は市街地から離れている上に通勤はいつも車を使う。
コンビニエンス・ストアもスーパー・マーケットも遠くて車の方が便利だ。
しかし今回は偵察であるので車は使えない。夜に車はとても目立つ。
自転車で夜の道路を走る。小田原厚木道路はこんな時間でも往来がある。
対して下を走るこの道路は人気がない。寝静まっているといった感じだ。
特定のポイントに着き、周囲を確認して自転車のライトを消した。
集落の中に車がやっと一台通れるかといったぐらいの道路が横に伸びている。
コンクリートで固められた上り坂をなんとか登っていくと間もなく茶色の一軒家が見える。
彼女の家だ。電気は点いていない。眠っているのだろう。そのまま止まらずに進む。
小田原厚木道路をトンネルで越える。街灯もない道が続く。不意に視界で何かが動いた。
自転車のライトを点けると少女の姿が浮かび上がる。僕はそのまま自転車を漕いですれ違う。
122
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 18:49:49 ID:hKs1utCE0
それは妹くるうだった。紛れも無く彼女の携帯電話に入っていた写真の姿そのものだった。
僕はそのまま自転車を漕いでひどく遠回りをして帰宅した。これを次の日も行なった。
その次の日も、その次の日も、パトカーに注意しながら同じ時間に自転車で走った。
くるうは毎晩その付近にいた。毎晩徘徊していた。毎晩姉を探していた。
彼女の懸念通りであった。少しずつ場所を変えながら彼女は夜中に歩き回っていた。
きっと両親は気づいていないのだろう。また気づいていてももうやめさせないのだろう。
言っても無駄だから。また次の日には出ていってしまうから。
更に行方不明から時間が経ち精神的に参って出来の悪い妹には気が回らないのかもしれない。
何より毎晩無防備に出歩いているというのは好都合だった。僕は次の行動に移る。
ここ数日と同じような時間に車を出す。日付を越え集落は寝静まっている。
車には一台もすれ違わない。パトカーの姿もない。
三週間以上経っているしこんな時間に毎日パトロール出来るほど暇ではないのだろう。
コンクリートの細い道をゆっくりと進む。ライトを消して慎重に進んでいく。
茶色の一軒家は今日も電気が点いていない。もう眠ってしまっている。
小田原厚木道路を越えるトンネルの途中で車を止める。
トンネルには蛍光灯の一つもない。月明かりすら差し込まない曇天の今夜ではまさに暗闇だ。
僕はヘッド・ライトを点灯させた。奥で人影が動いた。やはり今夜も出歩いていた。
(-@∀@)「ねぇ」
車を降りてくるうに声をかける。くるうは驚いて振り返り身を強張らせた。
(-@∀@)「こんな時間にどうしたの」
川 ゚ 々゚)「あ…うう…」
(-@∀@)「誰かを探しているの?」
警戒させないように優しく話しかける。誘導する。
123
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:03:33 ID:sl3GgMEg0
川 ゚ 々゚)「お…おね…ちゃ…」
(-@∀@)「お姉ちゃん? お姉ちゃんを探しているの?」
川 ゚ 々゚)「お、おねえちゃん、おねえちゃん」
(-@∀@)「もしかして、この人かな?」
家を出てくる前に携帯電話で撮影した彼女の写真を見せる。
従順な彼女は何に使うのか用途も聞かずに撮影に応じた。
川 ゚ 々゚)「あ、ああ! おね、おねえちゃん! おねえちゃん!」
予想以上に大きい声を上げたので僕は驚く。小さく狭いトンネルにそれは反響する。
(-@∀@)「お姉ちゃんに会わせてあげるよ」
川 ゚ 々゚)「あ…おねえちゃん」
(-@∀@)「そう、お姉ちゃん」
後部座席のドアを開けて促す。彼女は手を組んで躊躇った。
きっと知らない人には付いて行くなと言いつけられているのだろう。
不届きな不審者が増えた昨今では当然の事だ。学校でも家庭でもそう教えられる。
(-@∀@)「いいの、お姉ちゃんに会えるのに」
川 ゚ 々゚)「あっ、ああぁっ! おねえちゃ、あ」
彼女が映った携帯電話を遠ざけるとくるうはそれを追う。携帯電話を後部座席の置いてやると、ようやくくるうは車に乗った。
僕は素早くロックして運転席に座って車を出す。なんとか舗装だけされている細い道を進んでいく。
山の方をぐるりと回る形で夜の山道を走る。やはりすれ違う車は一台もない。
そのまますみやかに帰宅し、周囲に人影がないかきちんと確認してからくるうを家に招き入れた。
くるうはおねえちゃんと滑舌の悪い呟きを続けている。僕は彼女を粘着テープでくるうの手足を拘束した。
聞き取れない言葉を漏らしながらくるうは抵抗する事なく粘着テープを巻かれる。
124
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:06:15 ID:sl3GgMEg0
簡単なものだ。フローリングの床に置いたくるうを見下ろす。
目を閉じて息を深々と吐く。遂にこの時が来た。
これで僕は理想にたどり着けるのかもしれない。
彼女の絶望の顔をようやく見られるのかもしれない。
いくら冷静な彼女であろうとも。いくら忍耐力のある彼女でも。
壊れてしまうかもしれない。発狂してしまうかもしれない。
しかしそれが楽しみだ。楽しみで仕方ない。考えただけで勃起は最高潮だ。
時間を置こうと思ったが今すぐしよう。叶えよう。僕の理想。彼女の心配。くるうの望み。
僕はくるうを抱き上げて部屋に向かう。本棚をずらして床と同一に見える蓋を外す。
階段をゆっくりと降りる。彼女は眠っているようだった。もう随分と遅い時間なのだ。
川 ゚ 々゚)「お、おねえちゃ! おねえちゃん!」
彼女の姿を見つけてくるうが騒ぐ。僕はくるうを彼女の眠る布団から離れた床に置く。
眠っているなら好都合と僕はくるうをパジャマを脱がす。下着も脱がして裸にしてしまう。
まだ成長途中の身体。くるうは怯えている。僕はそれにあまり興味がない。
くるうをうつ伏せにして尻を持ち上げる。僕も服を脱ぎ裸になって肉棒にローションを塗る。
そしてくるうを押さえつけそれを秘部にねじ込んだ。
川 々 )「あ、ああああっ! いだあああああああ!」
くるうが叫ぶ。構わず僕は奥へと進ませる。何度も出し入れして奥へ奥へと押し込んでいく。
川 々 )「あああああいあああああああああ!」
痛みに耐えかねくるうが泣き叫ぶ。眠っていた彼女がようやく目を覚ます。
さぁ引き裂かれた姉妹の感動の再会だ。
125
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:08:59 ID:sl3GgMEg0
川 ゚ -゚)「えっ」
寝起きの彼女は状況を理解出来ないでいた。
数週間ぶりに再会した最愛の妹が後ろから犯されている。
地下にくるうの叫び声が反響する。反響する。反響する。
川; ゚ -゚)「え、あ、え、やだ、うそ、くるう」
川 々 )「あああっ、おねえぢゃあっ、あああっ!」
川; ゚ -゚)「やだ、くるう! くるう!」
彼女が飛び起きて駆け寄ろうとするが杭に繋がれた手錠がそれを阻む。
手錠が繋がれている以上僕のところまで届かない。見ているしかない。
最愛の妹が犯されていくのを見届けるしかない。
川 ; -;)「うそ、やめて、くるう、なんで、やめて、やめて、やめて」
これまで冷静だった彼女が錯乱している。
急に妹が現れて手を出さないと誓った男に服を剥かれて犯されている。
彼女の言葉は要領を得ず叫んでいるも同然だった。
川 々 )「あああああいだああああああああやあああああああ!」
川 ; -;)「やめて! くるうはやめて! どうして! やめて!」
川 々 )「いああああああああぐうううううううう」
川 ; -;)「やめて! やめて! くるう! くるう! くるう!」
川 々 )「ぎいいいっああああああああ!」
(-@∀@)「あーくるうちゃんいいよぉ、すごくいいぃ」
くるうを押さえつけ後ろから突きながら僕は彼女に微笑みかける。
(-@∀@)「やっと会えたね」
126
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:10:29 ID:sl3GgMEg0
それはまさに絶望の顔だった。遂に見る事の出来た彼女の絶望の顔だった。
信じた僕に裏切られ最愛の妹まで犯されて絶望している。たまらない。
僕の興奮は最高点に達し、たまらず絶頂を迎える。くるうの中に射精する。
驚きと悲しみと混乱と絶望が入り混じった顔で泣き叫ぶ彼女を見ながら長い射精をする。
紛れも無く人生最高の射精だった。かつて感じた事のない恍惚を味わった。
嬉しさのあまり笑いが漏れた。くるうの中で出しながら僕は笑った。
くるうの行方不明のニュースはすぐに世間を駆け巡った。
先に姉が行方不明となった時のニュースは小さなものだったが今度ばかりは大きくなった。
姉が失踪し一ヶ月も経たない内に妹までも姿をくらましたのだ。
ニュースでは妹には知能的に障害があった事も報じていた。
あの集落の住民が神妙な面持ちでインタビューに答えている。
小田原駅から車で十分ほどの閑静な住宅街だと紹介されていた。
出勤する際にも一時期見かけたパトカーがまた多く見られた。
道幅は広くないのにテレビ局の中継車も路上で停まっていていた。
集落の住民達は口々に心配です、早く見つかってほしいですと眉間に皺を寄せて答えていた。
しかし集落はなんだかそわそわしていてむしろ楽しんでいるようにも感じる。
127
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:12:25 ID:sl3GgMEg0
また一軒一軒警察官が訪れるかもしれない。捜査が進んでいなかったのではと批判もされている。
お昼の低俗なワイドショーではそういった警察の対応を批判する体勢を取っていた。警備もおろそかではなかったのかと。
実際くるうは夜中に一人で出歩いていたのだし、両親も気づいていたかは定かではないがそれを放置していたのだ。
怠慢だと批判されるのは両親もだと思うが世間も世論もワイドショーもコメンテーターも彼女の両親には優しかった。
両親は取材には応じられないとしてインターホンにマイクを突きつけられても黙りを決めていた。
代わりに親戚だという千葉県千倉の老夫婦がテレビ取材を受けていた。よく見つけるものだ。
老夫婦は暗い表情で早く見つかってほしい、犯人にはどうしてこんな事をするのかと訊きたいと言った。
彼女が欲しかったからだ、くるうは彼女の絶望の顔を見るためのトリガーとなるためだ。
また妹を心配する彼女の望みを叶えてやりたかったのだと僕は答える。しかしそれは呟きにしかならない。
千葉県千倉の老夫婦にも東京赤坂のワイドショーのスタジオにも届かない。テレビ放送は一方的な一方通行だ。
それに芸人をやっていたはずのこの司会者は彼女の何を知っているのだろう。知っているような顔で話しているが何も知らないだろう。
直前に読んだ台本資料だけで国民代表のような顔をしてよく話をする事が出来るものだ。一方通行に対する唯一の対抗策としてテレビの電源を落とす。
本棚をずらす。床と同一の蓋を外す。階段で下に降りる。
彼女が僕を睨みつける。その頬は涙で濡れている。飽きずに泣けるものだ。
脱水症にはならないだろうか。彼女にはきちんと水分を取ってもらいたい。ポカリスエットをもっと買ってこよう。
ポカリスエットならば僕の勤務するドラッグ・ストアで安く売っているし確かにそれはよく売れる。
川 ゚ -゚)「…くるうは」
何度目だろう。飽きないものだ。それほどに妹が大切なのだ。
128
:
名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:14:39 ID:sl3GgMEg0
(-@∀@)「大丈夫、元気だよ」
川 ゚ -゚)「くるうをどうするんですか」
(-@∀@)「どうもしないよ」
彼女にあるのは怒りだ。裏切られた怒り。くるうのために犠牲になったのに。
初めて僕に向ける感情だ。今まで見せなかった顔だ。
僕としては悲しい。好きな人に怒りを向けられて嬉しい者はいないだろう。
出来れば彼女にそんな顔をしてほしくはない。当たり前の事だ。
(-@∀@)「僕が愛しているのは君だけだ」
彼女は答えない。彼女にあるのは怒り、憎しみ、不安、悲しみ、どれだろう。どれもそうだろうか。
それを僕は一つ一つ取り除いていきたい。取り除いてあげたい。僕は強く思う。
彼女はこんな地下から出られず可哀想だ。排泄もバケツではなく普通のトイレでするべきだ。
風呂にだって入りたいだろう。排泄用とは別のバケツに湯とタオルが用意されそれで身体を拭くだけだ。
髪をしっかりと乾かしたいだろうしトリートメントだってしたいだろう。爪を切り揃えたいだろうし無駄毛の処理もしたいだろう。
それを叶えてあげたい。叶えてあげられない。また相反する。いつも世界は相反している。対者。両者。両手。左右。1と0。
愛しているのに。笑ってほしい。応えてほしい。絶望の顔が見たい。壊したい。むちゃくちゃにしてしまいたい。
手を繋ぎたい。臼で轢き潰したい。共に歩きたい。肋骨を取り出して舐めさせたい。
世界は相反する。いつだって相反する。並行しない。対向する。
川 ゚ -゚)「くるうは本当に無事なんですか」
(-@∀@)「無事さ」
別にくるうには興味はないもの。君さえいればいいんだ。
彼女の家庭も。家庭内のパワー・バランスも。父親からの暴力も。障害を持つくるうが受ける学校での陰湿ないじめも。
テレビ取材に舞い上がり念入りに化粧をしてぺらぺらと内情と話す近所の主婦も。彼女の家庭が幸せな家庭だと信じてやまない親戚も。
彼女さえいればどうでいい。興味が無い。放り投げてしまう。むしろしがらみから解き放ってやりたい。
地下に仕舞った彼女はもう世界の誰も触れる事は出来ない。籠の中のお姫様。僕だけのお姫様。
助けてあげたい。こんな地下に入れられていては可哀想だ。救い出してあげたい。
129
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名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:25:06 ID:sl3GgMEg0
ちょっと中断します
130
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名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 19:28:59 ID:qsYpcDro0
待ってる
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名も無きAAのようです
:2016/05/21(土) 20:16:34 ID:ZO0BcwBs0
読んでいてこんなにしんどいのに引き込まれる
132
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名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 09:28:54 ID:8rNJ9F560
再開します
133
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 09:31:29 ID:8rNJ9F560
(-@∀@)「だから安心していいんだよ」
川 ゚ -゚)「…」
僕は準備をして彼女の分の夕食を作る。きちんと食べなければくるうを殺して切り刻んで酒匂川か早川に流してしまうかもしれないと伝える。
彼女は大人しく夕食を食べる。僕とて酒匂川か早川を血で染めたくはないしどちらも目立つ川なのできっと誰かに見つかってしまう。
警察だってテレビが言うより無能ではないのでいずれは僕にたどり着くのではないだろうか。明日にも令状片手に来たっておかしくない。
一人で平屋暮らし、近所付き合い皆無、自転車も運搬出来る車を所持している、これだけで容疑者として挙げられるだろう。
更に一人ならまだしも姉妹二人が連れ去られている。解決は一刻を争う、などと考えていてもおかしくはない。
とはいえ分かっているのは行方不明というだけで誘拐されたという確固たる証拠すらない。犯行声明も出ていないのだ。
ただ姉妹が時間差で忽然と消えたのだ。誘拐と決まった訳でもなく犯行声明もなく身代金の要求もない。
自転車が見つかったとの報道もない。付近の捜索はしているだろうが箱根じゅうを調べるには時間がかかるだろう。
僕は出来ればずっとこうして二人で生きていきたいと思う。けれど彼女の絶望の顔をもっと見たいと思う。
彼女を世界から隔離した。彼女を世界から切り離した。彼女を世界から奪った。彼女を鳥籠に閉じ込めた。
このまま永遠に二人でいられればいいのにと思う。どうして永遠は存在しないのだろう。どうして永遠は手に入れられないのだろう。
いつか警察がここに踏み込む日が来るだろう。そうすれば永遠は終わってしまう。やはりそれは永遠などではなかったのだと気付かされてしまう。
彼女は保護されてあの茶色の一軒家に戻されてしまう。僕は犯罪者の烙印を押されて刑務所に送られてしまう。今の生活が続けばいいのに。
どこか彼女と二人きりで過ごせる世界があればいいのに。絶望の顔のまま彼女の一瞬を永遠に出来ればいいのに。
僕は考えた。考えて考えて、考えぬいた。
そうして僕は、彼女との永遠を見つけ出した。
僕は十八歳の時に独り立ちをして一人暮らしをしていたので自炊は出来る方だった。
だから彼女が食べてくれるのは純粋に嬉しいものだ。くるうを酒匂川か早川に流してしまうとやんわり伝えているのが効いているのだろう。
食事を取るのが彼女の本意ではないにしても僕としては嬉しいのだ。僕が作ったものを彼女が食べているのだ。
134
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名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 09:35:38 ID:8rNJ9F560
くるうの失踪から時間が経ち、ニュースで触れられる事も殆どなくなった。
ニュースも新聞も世間も忘れやすい。新たな情報や捜査の新展開がなければ新規で報じられる事もない。
世界には夥しい量のニュースがあって一つの事件をいつまでもだらだらと報道し続ける訳にもいかない。
まして凶悪な事件や規模の大きい事故災害などでもなく真相が何も分かっていない姉妹の失踪事件だ。
面白がって取り上げたワイドショーや週刊誌も特に進展が見られないために今は手もつけない。
くるう失踪から二週間近くが過ぎた。市内のパトロールの強化も最近ではそれほど見られなくなった。
集落でパトカーとすれ違う事は少なくなったしテレビ局の中継車などはもう見る事もない。
熱しやすく冷めやすい世間はすぐに忘れる。発信するものも受け取るものも誰もが無責任なのだ。
しかしそれには無自覚なのである。どうせ忘れるならばさっさと忘れてしまえばいいのだ。
僕は彼女の絶望の顔をようやく見る事が出来、満足をした。それを同時に高望みもした。
もっと、もっと彼女の絶望の顔を見る事が出来るのではないか。更なる絶望の顔を見る事が出来るのではないか。
彼女の前で愛する妹を犯し絶望の顔を見る事が出来た。その後彼女は僕に怒りの顔を見せるようになった。
明確な定義など存在しないのだけれど本当の絶望の顔とは、怒る事も悲しむ事も出来ないものではないだろうか。
彼女には憤怒、憎悪、不安、悲哀が入り混じっている。それはもしかするとそれは雑味なのではないだろうか。
純粋な絶望、混じりけのない絶望。まっさらな絶望。それこそが僕の欲するものではないだろうか。理想ではないだろうか。
彼女を絶望だけで染める。絶望以外のものを体内から追い出す。彼女の中身が絶望のみで満たされた時、遂に世界が開く。
あぁ、楽しみだ。それこそ到達点だ。終焉だ。ゴールだ。僕はそれが欲しい。それを求める。追い求める。
そのために僕は時間をかける。時間をかけて時を熟成させる。警察の捜査が進まないうちにじっくりと待つ。
彼女の前でくるうを殺してばらばらに切り刻んでみれば彼女は本当の絶望の顔を見せるのではとはじめは思った。
しかしそれではその最中に怒りや悲しみが発生する。入り交じる。僕の求める真の絶望の顔にはならないかもしれない。
仕事中に何度も考え精査してようやく僕は今日に至るプランを思いついたのだ。彼女は本当の絶望の顔を見せてくれるはずだ。
この一週間をそのために費やした。期待から出てしまう笑みを彼女の前で堪える事はとても難しい事だった。
135
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 09:45:29 ID:8rNJ9F560
川 ゚ -゚)「くるうに会わせて下さい…」
くるうと感動の再会を果たしてから二週間近くが過ぎて、彼女の限界は近いようだった。
毎日譫言のようにくるうの名前を呟いていた。そして無事なのかと僕に問いかけた。
あれからくるうを彼女に一度も会わせていない。会っているけれど会わせていない。
くるうに会わせてしまうとプランが台無しになってしまう。混じりけのない絶望を引き出したいのだ。
しかし彼女は心身がすり減って食事はきちんと取らせているものの衰弱しているようだった。
(-@∀@)「まず食事を取るんだ」
慎重に階段を降りてトレーに載せた食事を彼女の元へ置く。今日はビーフ・シチューだ。
川 ゚ -゚)「本当にくるうは無事なんですよね…大丈夫なんですよね…?」
(-@∀@)「あぁ心配する事はない。 いつも君の近くにいるよ」
じっくり煮込んで作ったビーフ・シチューは僕の自信作だ。時間をかけて煮込んだので柔らかい肉はとろとろになっている。
それはまるでとろけるような触感だ。極めて柔らかい肉は彼女の口によって咀嚼されていく。
(-@∀@)「君がここに来てもう一ヶ月以上になるね」
川 ゚ -゚)「…そうですか」
(-@∀@)「僕はとても幸せだったよ」
川 ゚ -゚)「…そうですか」
もう、良いだろう。頃合いだ。
(-@∀@)「ねぇ、くるうに会わせてあげようか」
川* ゚ -゚)「えっ!?」
思いがけない言葉に彼女はついスプーンを落とす。よほど嬉しいのか顔が紅潮している。
川* ゚ -゚)「いいんですか」
136
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 09:52:59 ID:8rNJ9F560
(-@∀@)「あぁ」
でも、と僕は付け加える。
(-@∀@)「くるうは君の中にもいるけどね」
川 ゚ -゚)「え?」
(-@∀@)「すぐそこにもいるんだ」
僕は階段を登る。地下へ降りる寸前にそこに置いておいたくるうを引っ張る。
分割されたそれはどすん、と音をたてて四畳半の地下に落ちた。
紐で縛っておいた足が落ちて、胴体が落ちる。
そして最後に首が落ちてごろごろと床を転がった。
冷凍庫にずっと入れていたので髪は固まっている。
川 - )「あ…あ…」
(-@∀@)「美味しかったかい? 今日のビーフ・シチュー。 尻の肉は柔らかいね。
昨日の太ももの肉も柔らかくてフライにするには少し勿体無かったかな。
あぁ、腹ははじめどう肉を剥ぐべきか試行錯誤の繰り返しで効率良く取る事が出来なかったんだ。
でも君に最初に提供したくるうは腹から取ったものだから美味しく食べる事が出来るはずだよ。
頬の肉もとても柔らかかったね。 鯛も頬の肉は美味しいけれど人も頬の肉は美味しいみたいだ。
けれど早くに傷んでしまうようだったから冷凍保存をせざるを得なかったんだ。
僕の家の冷凍庫はそれほど高性能でもないし随分と古いものだから味が落ちてしまったのは否めない。
けれどくるうをたくさん君に食べさせてあげたかったんだ。 君の愛する妹だからね。
君の中でくるうは咀嚼され消化され君の血となり肉となる。 君の中で永遠に生き続けるんだ。
君の中にくるうはいる。 これでもう離ればなれになれないし寂しい思いをする事もない。
君達姉妹はずっと永遠だ。 誰にも邪魔されずお父さんに殴られる事もなく同級生に苛められる事もなく一緒に永遠の時を過ごすんだ。
あぁなんて幸せなんだ。 君の中にくるうはいる。 美味しかったかい?」
137
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 10:00:47 ID:8rNJ9F560
川 - )「あああああああああ!」
彼女が指を喉に突っ込む。おえ、とくぐもった声がして彼女がくるうを吐き出した。
吐瀉物と共にくるうが出てくる。くるうの尻から削ぎとってじっくり煮込んで柔らかくなった肉。
(-@∀@)「無駄だよおおお君がこの一週間食べた食事は全部くるうだよ! 食べたんだ! 飲み込んだんだ! 消化されたんだ! 君の中にくるうはいるんだよ!」
川 - )「ああああああああああああああ!」
(-@∀@)「そうそうそれだそれだああああ! その顔だ! その顔! その顔が見たかったんだ! あああ、その顔! その顔おおお!」
僕は勃起した肉棒を手でしごいた。あまりの興奮にすぐ絶頂に達してしまう。吐瀉物を出し続ける彼女の顔に精液がかかる。
彼女とくるうに精液が入り交じる。絶望の顔。本当の絶望の顔。真の絶望の顔。混じりけのない絶望の顔。絶望の顔。絶望の顔。
絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の顔絶望の
彼女は壊れてしまった。僕は満足した。望みは達せられた。
もう何も望むものはないと思った。これ以上望むものはない。
地下に降りて蓋を閉めて粘着テープで内側から塞ぐ。換気口にもしっかりと貼る。
押入れにあった七輪に練炭を置き、火をおこした。
たっぷりアルコールを飲んで酩酊状態にしておく。
酒に強くないのでこれで程なくして僕は眠りにつく。
138
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 10:14:57 ID:8rNJ9F560
これで僕と彼女は永遠だ。二人きりで永遠だ。彼女は絶望の顔のまま永遠だ。
僕が明日から無断欠勤する事でいずれ職場から警察に連絡がいくだろう。
そうなれば警察が様子を見に来ていつかこの地下を見つけるだろう。
そこで行方不明の姉妹と僕の死体を見つけて事件の真相を知るのだろう。
僕と彼女は引き離されるだろう。きっと彼女は家の墓に入れられるだろう。
しかしそれは関係のない事だ。死後に僕が犯罪者として罵られる事と同じほどに興味のない事だ。
何故ならば永遠はここから始まるからだ。この覚めない眠りから僕と彼女の永遠が始まるのだ。
死体が引き離されても永遠がここから始まるのだからもう関係がない事なのだ。
全てがここに終わり永遠がここに始まるのだ。その永遠には誰も立ち入れられない。
僕と彼女だけの永遠なのだ。絶望の顔の彼女。二人だけの永遠。ようやく叶えられる。
これは記録だ。
この記録が誰かに読まれる頃には僕は死んでいるだろう。
何せ僕は死んでいるのだから、僕を罪に問う事は出来ない。
例え殺人者だと罵られ墓に唾を吐かれても構わない。
やはりもう死んでいるからだ。死後には何もないのだから気にもならない。
僕は最高の瞬間を味わった。もう未練はないので死ぬのだ。
この記録は僕の最高の瞬間を綴ったものである。
それではさようなら。
(-@∀@)その顔が見たかったようです川 ゚ -゚)
139
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 10:27:11 ID:96ffTjMo0
文章力と相まってこの展開は震えるわ
乙
140
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 14:15:41 ID:y2uLeX5w0
乙、すげーひきこまれた
一瞬姉と妹を繋げるかと思ったけどそんなことはなかったぜ!
141
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 15:00:19 ID:2ij3N.3c0
ぬ き ま し た
乙
142
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 16:00:10 ID:O6BpLbzE0
やっぱ嘘つきハートフルの人じゃん!
怖い話、グロい話するときは事前に言いなさいっていつも言ってたでしょ!
143
:
名も無きAAのようです
:2016/05/22(日) 16:12:39 ID:2DxIvkL60
なんだろうこの二郎で大の器にアブラのみ満タンな物体を完食させられたような読後感は…
144
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:01:56 ID:QihcY4Xc0
>>142
やべっバレた! お許し下さい!
145
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:16:44 ID:QihcY4Xc0
リハ*゚ー゚リ生きているか死んでいるかの境界線のようです爪'ー`)y‐
東京高速臨海鉄道りんかい線品川シーサイド駅から徒歩1分
RC16階地下1階建 築8年
2LDK+S 価格4870万円
JR予讃線詫間駅から車で20分
高松自動車道さぬき豊中ICから車で25分
木造 築49年
5K 価格550万円
146
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:19:44 ID:I1Y9ol3E0
バレバレだったから大丈夫
147
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:20:07 ID:QihcY4Xc0
私は八歳の頃まで家の地下で育ちました。
地下の物置には窓はなく空気はいつも淀んでいました。梅雨の時期などは結露する事も多く壁にはカビが生えていました。
冬には冷えるので古びた毛布によく包まって眠ったものです。薄く粗悪な毛布でしたが厳しい冬を越えるには心強いものでした。
私は地下から出される事は一度たりともありませんでした。それは私という存在は世間に知られる訳にはいかなかったのです。
私には戸籍がありません。母親は私を生んだ後に出生届を提出する事はありませんでした。私は存在していない事になっているのです。
母親は十七の時に私を孕みました。誰にも言う事なく妊娠した事を隠し続け家のトイレで私を出産しました。
そして母親はそのまま私をトイレに流そうとしましたがそこで彼女の母親、私の祖母に見つかりました。
そうして私は生まれてすぐに下水道に流される前に一命を取り留めたのです。
祖母は出生届を出すべきだと言いましたが母親は最後までそれを認めませんでした。
母親は私の父親に当たる男から日常的な暴力を受けており実家に逃げ帰ってきたところだったのです。
出生届を提出すると居場所が知られてしまうというのが原因でした。
そこは祖父がもう十年以上も前に出ていってしまい随分と貧しい家でした。
やがて祖母も数年後に病気で亡くなってしまい母親と私の二人だけになりました。
母親は出生届を出していない私の存在が明るみに出てはいけないと思い地下に隠しました。
148
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:21:36 ID:QihcY4Xc0
私は物心ついた時からずっと地下で過ごしていました。暗くて世界はよく見えないものでした。
母親は三度の食事を持ってくる時だけ地下に現れそれ以外は姿を見せませんでした。
食事も菓子パンであったり母親が食べ終わった後の弁当だったりしました。
地下には風呂もトイレもなく母親の言いつけ通り地下の隅の排水口で排泄を済ませました。
窓はないため常に地下は排泄物のにおいで充満していて食事を持ってくる母親は顔を顰めるのでした。
戸籍がなければ学校に行く事もありません。保育園にも小学校にも行く事はありませんでした。
更に母親から何か教えてもらった事も殆どなかったので文字を書いたり読んだりする事も出来ません。
それどころか私は喋る事もあまり出来ませんでした。言葉が分からなかったのです。
母親が食事を持ってくる時に言う、ごはん。地下に降りてくるといつも顔を歪ませ言う、くさい。
これが私のはじめに覚えた言葉でした。自分の名前も知らなかったのです。
149
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:22:29 ID:QihcY4Xc0
私が地下から出る転機となったのは八歳の時です。急に見知らぬ男が地下に入ってきました。
当時の私は母親しか見た事がなかったので軽いパニック状態になりました。
母親以外の他人という概念も男性という概念も存在しなかったのです。
男はとある組織の人間でした。母親は私をその男に売ったのです。
その組織が買い漁っていたのは私のような戸籍のない子供でした。
マイナンバー制度といって国民には必ず全員に十二桁の番号が割り振られています。
出生届を出さず戸籍のない人間は番号を持たず俗にノーナンバーと呼ばれるそうです。
その組織はある目的のためにノーナンバーを買い漁っていたのでした。
大概の母親はノーナンバーを持て余しており比較的安値で買えるそうです。
150
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:23:44 ID:QihcY4Xc0
母親の顔を見るのはそれが最後になりました。特に何の感情もない顔で私を見ていました。
男は汚れた私を見てずっと地下で育てていたのか、と訊きました。そうよ、とぶっきらぼうに母親は答えます。
なぜ今まで育てたんだ、と男が訊くと生まれた時にトイレに流してしまえば良かったのよ、お母さんが邪魔しなければと言いました。
大きくなるにつれて殺してしまう勇気がなくなったの、恐ろしくなったのと付け加えました。それが最後に見た母親の姿でした。
最後に男は私の名前を訊いていました。母親が私の名前を言いました。初めて呼ばれた私の名前でした。
私にも与えられた名前があったのです。
私が八年を過ごした地下のある家は古びていて散らかっていました。男に連れられ外に出ました。
生まれてから初めての外の世界でした。太陽の光は眩しく目が焼けてしまうのではと思い泣いてしまいました。
灯りもない地下と比べると世界はとても明るいのです。そしてとても広くどこまでも続いているのです。
空というものはまるで終わりがなく左を見ても右を見ても終端が見えず私はとてつもない恐怖心に襲われました。
私は世界の何も知らなかったのです。
151
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:25:02 ID:QihcY4Xc0
私が連れられたのは以前に工場として稼働していた大きな建物でした。
山奥にあり周囲には民家の一つもないような寂しいところです。
更に建物の周囲には有刺鉄線と赤外線レーザーが張り巡らされているのでした。
その建物には私と同じようなノーナンバーの子供達が百人近く集められていました。
年齢は私が最年少らしく八歳から十七歳までと若い女の子ばかりでした。
大勢の他者を前に私は再び怯えていました。何か話しかけられても私は言葉を知りません。
建物には簡易な寝床とシャワーがあり衝立で仕切られた空間が多く設置されていました。
代表らしき男が百人近くの子供を前にして説明を始めました。まずお前達は売られたのだと突きつけました。
その一言で何人もの子が泣き始めました。私は売られたという意味もその子達が泣き始めた理由も分かりませんでした。
当時は理解出来ませんでしたが代表の男は私達の今後を説明したのでした。それは私達が売春婦として育てられるといったものでした。
この世には小児愛者といって年端もいかない少女を好む男性が多いのだそうです。私達はそんな小児愛者を接待する売春婦になるのです。
表向きには出来ないながらも需要はたいへん大きいのだと語りました。お前達は少女である今こそ莫大な価値があるのだと。
152
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:26:08 ID:QihcY4Xc0
それから私達は売春婦として出荷されるべく様々な勉強を受けたのです。その建物は養成施設だったのです。
これまで普通に育てられた子供達はさっそくセックスの作法などを教え込まれていました。
施設にはたくさんの男がいて指導をします。衝立で仕切られた狭い空間で子供達は肉棒を咥えさせられていました。
私のような親の教育もなかった子供はまず初歩的な勉強から始まりました。最低限喋る事が出来なければいけないと言われました。
自分。他者。社会。世界。男性。女性。大人。子供。ペニス。ヴァギナ。セックス。フェラチオ。精液。愛液。
様々な事を学びました。とにかく売春婦として機能するようセックスに関する事柄を優先的に叩きこまれました。
私はとにかく突きつけられる情報を吸収する事に精一杯で嫌だという気持ちはありませんでした。
しかし反発する子供は少なくありませんでした。愚図る子や喚く子もいました。そうすると男に叩かれるのです。
男達は顔を傷つけてはいけないと決められているようでした。商品なのだからと代表の男が言っていました。
強く叩いたりすると静かになる子供が多かったようです。静かに泣き続ける子もいました。
お家に帰りたい。ママのところに帰りたい。そう言って子供達は泣きます。
しかし男達は冷淡に、お前達は母親に売られたのだと言い放つのでした。
帰る家はないのだと。更に逃げようと思っても無駄だと強く言いました。
施設の外には有刺鉄線と赤外線レーザーが張り巡らされています。
そして夜に寝ている間にも当直の男が見張っているのです。
だから無駄だ。それにもし逃げようとすれば厳しい罰が待っていると告げました。
153
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:27:28 ID:QihcY4Xc0
それでも脱走を試みた者が現れたのは半年が経った頃でした。
十六歳の子で就寝後に見張りの男が居眠りをした隙をついて逃げ出しました。
しかしすぐに赤外線レーザーに感知され施設じゅうに聞いた事もない恐ろしい野太いブザーが鳴り響きました。
子供達も男達もその音で飛び起きました。怒号が飛び交い十分も経たぬ内にその脱走者は連れ戻されました。
有刺鉄線を無理に乗り越えようとしたのか太ももには大きな切り傷が出来て肉が抉れていました。
どす黒い血がとめどなく傷口から溢れています。しかし手当てをされる事はありませんでした。
当直の五人の男達が私達の前で脱走者の髪を掴んで殴りました。何度も何度も顔を殴りました。
歯が欠けてリノリウムの床に落ちました。それでも殴る事はやめません。
口からも血が流れ顔はへこんで変形してしまいました。
それはまさしく見せしめだったのです。
脱走した者はこうなる。よく見ておけと男達は言いました。
また目を背けてはいけない。目を閉じたりした者もこうして殴られると忠告しました。
そして本当に目を背けていないか見張りの役を立たせたのです。私達はどれほど恐ろしくとも目を瞑る事すら叶わなくなりました。
男の一人がどこからか器具を持ってきました。それはペンチでした。脱走者を押さえつけ指先にそれをあてがいました。
すると殴られてからぐったりとしていた脱走者が獣のような悲鳴を上げたのです。そして男の手から血だらけの爪が捨てられました。
爪を剥がされていたのです。一枚一枚ペンチで爪を剥がされるたびに脱走者は金切り声に近い悲鳴を上げそれは静かな施設に反響するのでした。
親指。人差し指。中指。薬指。小指。右手の爪が剥がされた後は左手の爪も全部剥がしていきます。そのたびに施設には悲鳴が響きました。
泣いている子がたくさんいました。嘔吐する子も小便を漏らしてしまう子もしました。しかし目を逸らす事は許されません。
私は自分の爪をつまんで逆方向に力いっぱい引っ張ってみました。するととても痛いのです。涙がにじみました。
154
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:33:29 ID:QihcY4Xc0
脱走者は許して下さいと何度も懇願していました。幼さの残る顔は腫れて原型を留めていません。
男達は泣いて許しを請う脱走者を縛りました。外から錆びたドラム缶を転がしてきました。
ごろごろごろごろ静かな施設に響くその音は恐ろしく不気味でした。
ドラム缶は床に立てられ脱走者はその中に放られました。頭から落ちたらしくドラム缶の下の方からうめき声が聞こえます。
そして更に外の大きな鉄製の扉が開け放たれ車が入ってきました。私が施設に連れてこられた時に乗ったものとは異なる車でした。
車は背中に大きなタンクを積んでおりそこから注ぎ口にようにパイプが伸びていました。タンクはぐるぐると回っています。
当時は何なのか分かりませんでしたがそれは粉粒体運搬車でセメントを積んでいるのでした。
セメントがドラム缶に流し込まれると中からぎゃっと悲鳴が聞こえました。
しかしセメントが流し込まれるにつれ悲鳴は途切れやがて静かになりました。
数日後にきちんと固まったドラム缶はまた転がされて外へ持って行かれました。
あのごろごろごろごろとした不気味な音はもう聞きたくないと思いました。
それから脱走する者は一人もいませんでした。
私も初歩的な教育が終わり、今度は性教育が始まりました。ようやく最低限の言葉を話せるようになりました。
自分の名前を言えるようにもなりました。自分と他者との違いも理解出来るようになりました。
男は肉棒を出して私にこれはなんだいと訊きます。おちんちんと答えるとそうだと男は頷きました。
まず他の子供の様子を見せてもらい勉強する事になりました。その見本の子は椅子に座った男の前で跪きます。
よろしくお願いしますと頭を下げてからズボンのファスナーを下げました。肉棒を取り出して触ったりします。
そして舌を這わせてからそれを咥えました。そして頭を上下させて激しく動かします。
あらかじめ座学として私は足し算などではなく性に関する知識を教え込まれていました。
どうしたら男性が気持ちよくなるか。どうしたら嬉しいか。どこが良いか。
勃起の仕組みも射精の仕組みも学びました。射精がゴールという事も学びました。
男が苦しそうな声を上げて足をぴんと伸ばしました。それで射精したのだと分かりました。
間近で見ると肉棒は脈打ちその子の口の中で精液を放出しているようでした。
155
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:34:29 ID:QihcY4Xc0
私も実技を教えられるようになりました。歯を当てないようにするにはたいへん難しく苦戦しました。
しかし歯を当てたりすると男に強く怒られ絶対にしてはいけない事なのだと学びました。
私は初潮がまだだったのでセックスについては教えられず主にフェラチオなどでした。
売春婦となってからはそういう行為を専門にするのだと説明されました。
やがて何人かが売春婦として売りだされていきました。
この組織は若いノーナンバーの子供を買い取って売春婦に仕立て上げて売りさばく組織だったのです。
合格点を与えられた者から次々と売られていきました。補充する形で新しいノーナンバーの子供達が施設に連れてこられました。
そして施設で過ごした時間が二年に到達した頃に私も売却先が決まりました。他の子同様に皆がこっそりお祝いの言葉をくれました。
家を出る時にはなかった寂しい気持ちがありました。なんだか胸が締め付けられるのです。これが悲しいのだと最後に学びました。
156
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:35:20 ID:QihcY4Xc0
私が売られたのは会員制の風俗店でした。君は通常客には公開されない常連向けの隠しダネだと店長を名乗る男が言いました。
この店には小児愛者が集まる隠れた店だそうです。私の他にも若い女の子の姿がありました。
それでも当時の私は十歳で、こんなに若い子は初めてだと店長は喜んでいました。
味見をするよ、と店長が部下に言いました。そして私は店にある部屋に連れられました。
部屋にはベッドがあり奥にはシャワーがあります。これが一般的なスタイルなのだそうです。
裸になって二人でシャワーに入りました。店長は太っていて腹がでっぷりと出ていました。
腹には絡みあうように毛が生えてその下に肉棒が隠れているかのようでした。
私の身体を見て店長の肉棒はむくむくと大きくなります。舐め回すように身体をチェックしました。
そして私のまだ毛の生えていない秘部を撫で回しました。毛が生えていない事を店長はたいそう喜んでいました。
157
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:36:16 ID:QihcY4Xc0
私は施設で教わったように店長の許可を得てから肉棒を触りました。そして舌を這わせて咥えます。
すると店長が私の頭を掴んで激しく上下させました。肉棒が喉奥を突いて強烈な吐き気に襲われます。
しかし絶対に吐いてはいけないと教わっているのです。必死に我慢します。店長は構わず肉棒を喉奥に突きました。
根本の陰毛が鼻に入ってきます。店長の玉袋が顎に何度も当たります。私は歯を当てないようになんとか受け止めます。
店長が震えたあと射精をしました。粘っこい精液が口の中に注ぎ込まれます。それを吐き出さないよう飲み込まないよう受け止めます。
やがて射精が終わり肉棒を引き抜かれました。私は口を開けて精液を見せ、舌で回して、一気に飲み干しました。
そして口をもう一度大きく開けて空っぽになった事を証明します。そしてありがとうございましたと頭を上げました。
完璧だ、最高だよと店長が喜びました。そうすると私も嬉しくなりました。
相手が笑うとなんだか私も嬉しくなるのです。温かくなるのです。
晴れて私は売春婦としてデビューする事になりました。客は信頼できる常連に限られるそうです。
お客様達は私を見て一様に驚きました。本当に幼いと言います。そして私の叩きこまれた技術にも驚くのです。
この歳でここまで出来るなんてどんなルートを使ったのだと訊かれても店長は決して明かす事はしませんでした。
あの組織は秘密の組織なのかもしれません。私は指名される事が多くなり人気を集めていると店長に言われました。
158
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:37:29 ID:QihcY4Xc0
普通は大人の女性を好きになるもので私のような年齢の子供を性的な目で見るのは特殊なカテゴリに振り分けられるそうです。
店に来るのはそういう特殊なカテゴリに属する小児愛者ばかりでした。普段はその性癖を出す場がないのだそうです。
だからこの店は特殊なのだ、楽園なのだとお客様の一人は語りました。楽園という意味が分からず教えてもらいました。
楽園。シャングリラ。エデン。ジハード。難しくて理解出来ませんでした。しかし喜んでくれたので私も嬉しくなりました。
とても若く希少性価値があるという事で私は一回十万円と極めて高価な額で売られていたそうです。
私は店から出る事は許されませんでしたが食事と衣食住は与えられました。
それに射精をするとお客様は皆喜びます。そうすると私も嬉しくなるのです。
一日に六回ほどの仕事をこなしました。疲れるものの疑問は感じませんでした。
159
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:38:23 ID:QihcY4Xc0
やがて私は初潮を迎えてお客様とセックスをするようになりました。更に高値を払ってたくさんのお客様が来ました。
セックスをするに当たっては様々な勉強が新たに必要となりました。教習なのだと店長とも何度もセックスをしました。
初潮が来たあと、セックスの勉強をする前に一度だけお客様とセックスをしました。
初めてのセックスは極めて高い価値があるのだと私は店長に説明されました。
ただされるがままで良いのだと、そう言われて私は送り出されました。
いつもは口で受け止めている肉棒が体内に入り込んできました。とても身体が熱くなりました。
痛みと正体不明の波が押し寄せて私は混乱しました。変な声も出てしまいました。
初めてのセックスで自分の中の何かが破れた感覚がありました。これが価値のあるものなのかなと思いました。
セックスは他者との融合だと思いました。自分という絶対的な独立した存在の中に他者が入ってきます。
繋がって一つになる事なのだと考えるとヒリヒリとした痛みも次第に気持ちよくなっていきました。
口の中で舌を絡ませるのも秘部を指で掻き回されるのも肉棒を膣で受け入れるのも他者との融合なのです。
その初めてのセックスに数百万を積んだお客様は満足されたようでした。
160
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:39:51 ID:QihcY4Xc0
様々なお客様とセックスをしました。皆私の幼さに興奮して、射精をすると喜びます。
取締役社長。医師。外交官。銀行員。官僚。学校の教師。色んな方と交わりました。
家庭があり子供がいる方もいました。娘が君と同い年なのだと言われた事もありました。
やはり普段は私のような幼い子供が好きだと公言している方は一人もいませんでした。
大人が私のような子供とセックスをするのは犯罪なのだそうです。犯罪の意味は分かりませんでしたが悪い事だと教わりました。
店長に雇われてお客様とセックスをして私は暮らしています。そうする事で寝床を用意してもらい食事をいただいているのです。
それが悪い事だというのは不思議な事でした。悪い事というのは良くない事です。それでも私はそうして生きているのです。
161
:
名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:40:35 ID:QihcY4Xc0
次の転機が訪れたのは私が十四歳の頃でした。
私の人生を大きく動かす事となるお客様はセックスにすっかり慣れた頃に初めてやって来られました。
まだ若く三十代だと自己紹介をされました。私を気に入ったそうで何度も来店されました。
必ず私を指名して店長もお得意様だと言っていました。しかし彼は他のお客様とは少し違ったのです。
彼が通い始めてから半年ほど経った時に私は君に恋をしているのだと告げられました。
私は恋というものが分かりませんでした。セックスは生活であり恋愛感情など一度も抱いた事がありません。
そもそも恋愛も愛も理解の及ぶものではないのです。セックスをするのにそのような経由地はありませんでした。
彼は私を自分のものにしたいと言いました。しかし私は店長に買われた身なのです。
それは出来ないと答えました。彼は大丈夫だと言いました。君を攫うのだと、耳打ちしました。
攫う、その意味も分かりませんでした。色んな言葉を覚えましたが私の語彙はまだ貧しいものです。
そのため私はそう告げられても店長に相談する事もありませんでした。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:41:33 ID:QihcY4Xc0
彼の告白の数週間後の事でした。また彼は私を求めて店にやって来ました。
私に充てがわれた部屋で会話をしていつも通りシャワーへ行こうとしましたが彼は優しく制しました。
彼はどうしてかシャワーを浴びようとはしないのです。それにしきりに腕時計を気にしているようでした。
時間だ、と彼が言うと階下から物音がしました。続いて怒号も聞こえます。店に流れていた音楽が止められました。
彼は私の手を引き部屋を出ました。まるで構造を知っていたかのように入り組んだ通路をさっと進んでいきます。
怒号や悲鳴があちこちから聞こえていました。彼は気にせずにずんずんと進んでいきます。
そして裏口から外へと出ました。店から出る事を許されていなかった私にとっては売られてきた時以来の外の世界でした。
既に遅い時間で闇夜が街を包んでいました。店のビルの付近は赤い灯りが幾つも回転していました。
傍らに停められていた車に乗せられました。彼は車のエンジンをかけてその場からさっと離れていきます。
四年以上を過ごした店があっという間に遠くなっていきます。私は店長に何も言っていません。きっと怒られてしまいます。
しかし彼はその心配は必要ないと言いました。君はもう解放されたのだと。解放。その言葉を新たに私は学びました。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:42:57 ID:QihcY4Xc0
彼は警察に店の正体を密告したのでした。そして独自のルートで警察が店に踏み込む時間を知りその混乱に乗じて私を攫ったのです。
犯罪をすれば、悪い事をすれば、逮捕され罰せられるのだという事は知っていました。きっと店長も捕まってしまうのです。
良くない事だと思いました。しかし彼は君を奴隷のようにこき使い続けた報いだと言い放ちました。
車は走り続けました。彼はそれまでの生活を捨てたのだと語りました。
私との生活のために新しい環境を用意したのだと。車は見た事のない幾つもの街を駆け抜けていきます。
夜が明けてやがて車は大きな街に着きました。そこは街と表現するべきものが何十何百も連続していました。
空まで届きそうな大きな建物が連なっていました。更に人がいっぱい歩いているのです。
男性も女性もたくさんいるのです。彼の運転する車が止まるとその人達は立ち止まっていたのに一斉に歩き出しました。
大勢の人が同じ方向に向かって歩いていく様は圧巻でした。私には異様な姿に見えました。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:44:28 ID:QihcY4Xc0
更にあれほどたくさんの人がいても男性と女性のどちらかなのです。
あれだけ多くの男性もやはり射精すると喜ぶのでしょうか。
黒い服を着込んでいますがあの中には肉棒があるはずです。
あれだけ多くの女性もやはり男性の肉棒を咥えているのでしょうか。
黒い服を着込んでいますがあの中には秘部や胸があるはずです。
車がいくら進んでも大きな建物が続き、止まるたびに大勢の人が横切っていきます。
彼の用意した新しい住まいも大きな建物にありました。マンションというのだと彼が教えてくれました。
そのマンションは海沿いにありました。海というものを聞いた事はありましたが実際に見るのは初めてでした。
どこまでも永遠に水が続いているのだと聞いていましたが水の終端は比較的近くにあります。
マンションの向かいには同じようなマンションや工場が建ち並んでいました。
下を見下ろすと車がびゅんびゅん走り抜けていく道路と灰色の棒が続いています。
灰色の棒を時折長細いものが這うように走っていきます。
彼は手前が首都高、奥が東京モノレールだと順に説明してくれました。
それにこの海は厳密に言えば運河と呼ばれるものだと付け足しました。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:46:41 ID:QihcY4Xc0
彼との二人だけの生活が始まりました。一日中男性の肉棒を咥える事はなくなりました。
セックスは彼とだけします。彼は朝に仕事へ出掛け夕方に帰ってくると私とセックスをしました。
私はその間彼の本を読んだりしました。彼と暮らすようになってから文字を教えてもらいました。
ひらがなから始めカタカナを学びました。そして漢字を教えてもらいました。
漢字はひらがなやカタカナと比べると種類が多く複雑であるため非常に難しいものでした。
しかし新たに知識を蓄えていく事が楽しかった私は根気よく勉強をしました。
一年ほど経ってようやく多くの漢字を書けたり読んだりする事が可能になりました。
彼が毎朝コーヒーを飲みながら目を通している新聞も読める事が出来るようになりました。
彼には文字や言葉以外の多くの事も教えてもらいました。この世の仕組み。社会構造。経済。倫理。道徳。
生と死についても学びました。母親と父親、妊娠と出産についても教わりました。
私の母親も男性の肉棒を咥えてセックスをして私を妊娠して出産したのです。
生の仕組みはたいへん不思議なものでした。また死というのも不可解なものでした。
前者は今現在私がこうして生活しているので理解が出来ました。しかし後者は違います。
死というものは実感する事が出来ません。死を迎えると虚無だと彼は言います。
何も見えず何も聞こえず誰にも会えず何も感じ取る事が出来ない。全ての終わり。
そう彼が説明すると寂しいものだと私は思いました。そうなりたくはないとも思いました。
生に至るには一つしか方法がないのに死に至るには様々な方法があるのだそうです。
事故であったり病気であったり、色んな要因で死んでしまうのだそうです。
そういえば私も人の死を見た事がありました。あの養成施設の脱走者です。
殴られ爪を剥がされたあと錆びたドラム缶に詰められセメントを流し込まれていました。
あれはきっと死だったのだと彼に言うと彼は何も言いませんでした。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:48:12 ID:QihcY4Xc0
彼との生活は楽しいものでした。しかし彼も私を外には出してくれませんでした。
それはやはり戸籍がないからです。ノーナンバーである以上、私はこの国に存在していない事になります。
存在するはずのない人間が存在していたらどうなるか、と彼に言われました。外には出られないのです。
戸籍があればいいのに、と私は思いました。母親が出生届を出さなかったばかりに私は外に出られません。
私は望んで戸籍がない訳ではないのに、なんだか不条理だと思いました。
ベランダに出ては運河という海を眺めました。この運河の向こうには本当に終端の見えない海があるそうです。
いつか見てみたいと思いを馳せながら私はそちらの方を見るのでした。
彼は日中仕事をしていましたがマンションに帰ってきてからもパソコンをいつも見ていました。
画面にはグラフと数字が表示されています。彼は株の説明をしてくれましたがその説明は特段に難しいものでした。
どうやら彼はそのグラフと数字を見極める事で別の確立された収入を得ているようでした。むしろそちらこそが年収の大半なのだと。
会社でもいつもチェックしているのだ、と彼は言いました。そうする間にもグラフと数字は変動していきます。
いつか君も挑戦しているといいとどこか楽しそうに話しました。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:49:13 ID:QihcY4Xc0
ある日、彼が仕事に出掛けている時の事です。私はソファーに座って本を読んでいました。
部屋のインターホンが鳴らされ見に行くと水道の点検だという男が訪ねてきていました。
作業服を来た中年の男は人の良さそうな笑顔で業務を説明しました。
水道の点検を断るよう指示を受けていなかった私は部屋に上がってもらいました。
男は部屋を見渡して君一人なのかいと尋ねたのでそうですと答えました。
すると男の笑顔が消え私に飛びかかってきました。私はソファーに押し倒されました。
男は私とセックスをしました。男は乱暴に私の服を脱がし肉棒を押し込みました。
私はそれを受け止めました。男も男性なのだから射精をすると喜ぶのだと思いました。
しかし男は射精をしても慌ただしく服を着るのみでした。そして男はそそくさと帰って行きました。
彼が帰宅してから私を見てひどく驚きました。そしてすぐに問い詰めました。私はきちんと出来事を話しました。
私は彼に頬を打たれました。じんと痛みました。叩かれるのは久しぶりでした。彼は何度も私を打ちました。
そして私を強く抱きしめました。私にはまだ倫理というものが足らなかったそうです。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:51:01 ID:QihcY4Xc0
次の転機は十八歳の時です。私も少女の時期を終え大人へと変貌しつつありました。
相変わらず外には出してもらえませんでしたが多くの本を読み知識を蓄積していました。
こうして部屋から出ず家事をして主人の帰りを待つのはまさに専業主婦であると考える事も出来るようになっていました。
その日は彼の仕事が休みの日で、二人で映画を見ていました。映写機で部屋の白い壁に映画を映すのです。
映画が中盤に差し掛かったところでインターホンが鳴りました。彼がモニタで確認すると宅配業者が荷物を抱えて待っていました。
何の荷物だろうと首を傾げながら彼が立ち上がりドアを開けました。するとすぐに宅配業者が彼を突き飛ばし部屋に入ってきました。
そして荷物のように見えたポリタンクのキャップを外して中身を部屋に撒き散らします。異臭のする液体でした。
久しぶりだな、と宅配業者が深く被った帽子を脱いで言いました。それは宅配業者を装った店長でした。どうして、と彼は狼狽します。
出所したのさ、と店長は答えました。お前の居場所を調べさせたのだと。やはりこの女が目当てだったのだなと彼に言いました。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:52:23 ID:QihcY4Xc0
抵抗すれば火をつけると脅し無抵抗の彼を何度も殴りました。店長が部屋に撒いたのはガソリンでした。彼はひたすらに殴り続けられます。
肩で大きく息をして店長は私を見ました。でっぷりと太っていた店長はいくらか痩せたように見えました。
大人になってしまったな、と悲しそうに店長は言いました。小児愛者は大人になってしまうと興味がなくなってしまうのです。
もう私は店長が好む少女ではなくなっていたのでした。彼は小児愛者であるはずなのに私をずっと好んでいるのだとも気付かされました。
さようならだ、と店長は言いました。火のついたライターを床に落とし部屋を去って行きました。一気に部屋は炎に包まれます。
私の身体も炎に焼かれました。血まみれの彼が叫びました。とても熱く私はのたうち回りました。
水がかけられます。しかし私の全身の熱さと強烈な痛みは消えず意識が遠のいていきました。
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 18:57:42 ID:QihcY4Xc0
ちょっとカバネリ見るので中断します
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名も無きAAのようです
:2016/05/28(土) 19:08:03 ID:I1Y9ol3E0
おい
待ってる
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