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【妄想爆発】チラシの裏【大上等】

1名無しさん:2012/07/23(月) 20:55:39 ID:FfmC0Dnw
勝手にスレを立てさせて頂きました。

薄汚い妄想だろうが職人のSSにも満たない話など、何でも良いから書きたい事は此処に書け!

Q、何か書きたいけど投下する勇気が持てない…
A、恐れるな! 勇気と誇りを持って書きこもう! 我々はアブノーマル! どんな話(餌)にも食いつくのだからぁッ!

350適当:2013/01/17(木) 03:02:15 ID:myYBVV8w
試練5 【雷神】

Day9 【16:00】

俺は、少女の姉との戦闘の疲れを、一時の休憩によって回復させ、その場から立ち上がった。食事ルームには、既に昼食が用意されていたらしく、食事ルームがある方向からは、俺の鼻をくすぐるようないい匂いが漂って来た。“食事を取る前に、まずはバッチをはめてからだな。”俺は、自分の計画通りに事を運ぼうと、第一の目的地へと歩を進めた。

スタ スタ スタ
「零下…、μ(ミュー)…。これだな。」
カチャリ
ブー ブー
カッシャン…

俺は、幻想のすぐ近くにある9つのくぼみがある装置へとたどり着くと、手に握っていた“μ(ミュー)”と描かれた灰色のバッチを、【零下】と示されたプレートの下のくぼみへとはめ込んだ。するとすぐに、…もう言わなくてもいいだろうか…。【氾濫】の扉、【光】の扉、【若葉】の扉の時と同様に、大きなブザー音が何も面白みもない真っ白な部屋に響き渡り、【零下】と示された文字が【達成】へと変化し、同じ方向から、鍵をかけるような音が鳴り響いた。“確認しなくてもわかる。同じ事だ…。”俺は、【零下】の扉のノブの下のプレートの表示が【OPEN】から【CLOSE】に変わった様を見届けずに、9つのくぼみがある装置から離れ、先程、自分の花をくすぐり、自分を“こっちへ来い”と誘うような、いい匂いを放つ方向へと歩を進めた。

スタ スタ スタ…
ピタッ
「あ!!こ…これは!?」

俺は、食事ルームへたどり着き、用意された食事へと目を向けると、驚いて声を上げてしまった。トレーに乗せられていた、大きな皿に盛りつけられていた料理は、黄色く染まった米を下にしき、その上に細長い貝やら、真っ赤なエビやら、真っ白なイカやらの魚貝類が乗っていた、日本ではそこそこなじみのある料理かつ自分も見覚えのある料理であった。俺は、大きな皿の中身を見て混乱を表すかのように、頭を抱えて小さく独り言を呟いた。

351適当:2013/01/17(木) 03:07:00 ID:myYBVV8w
「あっ…。パエリアか…。今まで出て来た食事からは、ある程度“ここは実は、アメリカなんじゃないかと思っていたが…。これが出て来たとなると…。くそっ!!ここはどこなんだ!!ますます検討がつかなくなったじゃないか!!」

“俺を料理で混乱させようとしているのか!?”俺は、自分の現在地を推測しにくい状況に、陥れられた事で、焦燥感に駆られ、通常の独り言の言い方よりも、異常な独り言の言い方を行っていた。“くそ…。扉とくぼみの表記は“漢字”…日本。パエリアが出てきたって事は…。ここは、アメリカじゃないのか!?すると…まさかの日本!?”俺は、焦燥に駆られながらも、自らの落ち着きを取り戻そうと、冷静に物事を考え始めた。考えている最中でも、驚きを隠せない様子でいたが、もう1つの、ここがどこであるかを推測するのに重要な要素を含む事を思い出し、自分に言い聞かせ、更に頭を働かせていた。

「大丈夫だ…。まだ…兵士の名前から推測する方法がある…。」
スゥー フゥ…
「兵士の名前は確か、スター、シャーズ、サン、フィ、ブラッド、フィア、シーア、ショーン…カオス…。最初は恐らく、アメリカのはず。次は良くわからない。その次も、アメリカだ。次は…次もわからないな…。次もアメリカ。フィアとシーアもどこだかわからない。その次は…あれ?ショーンって…何なんだ?そして次も…カオスって英語じゃないよな?そもそも本名なのか!?」

シーン
ドン
「結局、何も解決出来てないじゃないか!!何だこれは…。ほとんど、アメリカ出身だろうってしか思いつかないじゃないかぁ!!」

352適当:2013/01/17(木) 03:10:53 ID:myYBVV8w
兵士の名前から、自分の現在地を推測する事は、失敗に終わった。それを物語るように、俺は床に拳を叩きつけ、自分の叫び声を部屋中に響き渡らせていた。“カオスって何なんだ!?これは、本当に名前なのか!?そもそも、何語なんだ!?”俺は、特に幻想の番人の名前によって、自分がいる現在地の推測を停止させられ、苦しめられていた。俺は、しばらく何も考えずに、食事が盛りつけられた皿が乗っているトレーの前で、何も悪い事をした覚えは無いにもかかわらず、いつの間にか、ひざまずいて座っていた。謝罪をしている訳では無かったが、反省の姿勢を取りながら、頭を抱えて、地面に額をつけていた。“はぁ…。もうダメだな。現在地を割り出す事はあきらめよう。そんな事をしても、ここから脱出(で)られるきっかけを作る事にもならないし、第一、時間の無駄だ。”ようやく自分の中で“あきらめる”という文字が浮かび上がって来たので、俺は考える事をやめ、目の前に存在している食事へ目を向け、トレーの上にあったスプーンを取り、純粋に食事を楽しむ事を行っていた。

スッ…パシ
カチャ…
パク
モグモグ
ゴックン
「うん、美味いな。なんか食事(これ)に…救われている気がする。食事(これ)が、嫌な事やつらい事や腹を立てた事を忘れさせている気がするな。」

大きな皿に盛りつけられていた黄色く染められた米と、魚貝類をすくっては口に入れ、すくっては口に入れ…。同じ行動を繰り返し、口の中をメインの食事の味でいっぱいにしていく内に、徐々に徐々に、先程頭を悩ませていた原因が消えていくのを感じ取り、俺はメインの食事に対して、感謝の気持ちを込めた感想を呟いていた。メインの食事を口へ口へ何度も運ぶという動作を繰り返している内に、ついにメインの食事が俺の体の中へ入っていった。最後の一口を口へ運び、噛みしめ、体の中へ入れると、スプーンを置き、この料理に関する過去の記憶を思い出していた。

モグモグ
ゴックン
スッ…カチャ
「ふぅ…。そういえば、パエリアを初めて食べた時は、いつだったか。俺が…高校2年生の時だったような…。」

353適当:2013/01/17(木) 03:15:44 ID:myYBVV8w
俺が、パエリアをたべたかつスペイン料理を口にしたのは、独り言で呟いた通りの年頃である。食べるきっかけとなったのは、休日の日に二匹の友達と街中を歩いていたら、俺を含め全員が腹を空かせたので、目の前にあった、スペイン専門料理店に入ってみるかというものだった。店の中へ入ってみると、日本はともかく、アメリカや欧州諸国のどの雰囲気にも当てはまらない、独特の落ち着いた空間が広がっていた。「これが、スペインなのか?」と友達に聞いたが、彼は笑って、「知らね。俺、スペインなんかわかんねーし、第一、イタリアですらわかんねぇ。」と返して来た。俺は、「じゃあ、お前も初めてなのか?」と訊くと、「いや、食べた事はある。料理位は。」と予想外の答えを返されてしまった。相槌を求めるつもりで口にした言葉だったので、彼の発言に驚き、思わず「知っているじゃないか!!」と勢いをつけて返した。すると彼は、「さわりならな。お母さんが一回、作った事あるんだけど、微妙でさ。“本格的”なのは、これが初めてだ。だから、仁ちゃんと一緒。だろ?」と意味不明で全く理解しがたい発言を行って来た。“同じ事じゃないか…。”と彼の発言を受けて、心の中で呟きつつも、席へ座り、注文しようとメニューへ目を向けた。だが、俺はスペインに関する事も、スペイン料理も全くと言っていい程無知であったので、何を頼んでいいかわからず、つい“さわりだけ体験した。”と話した彼に、「一番美味しいのは、この中でどれなんだ?」と訊ねてしまっていた。俺のもう一匹の友達も、スペイン料理を食べるのは初めてだったようで、“さわりだけ体験した。”と話した彼へ俺と同じ事を訊ねると、質問の答えは、“まぁ、よくわからんけど、メインで一番無難なのはパエリア。スープはガスパチョ、ソパ・デ・アホ、ソパ・デ・ケソか?うん、たぶんその辺がいいだろうな。これが、金が無駄にならない一番の安全策だぜ。”というものだった。“コイツ、結構知っているな。知らないとか言ってた割には、ペラペラと…。ぶんなぐってやろうか…。”

354適当:2013/01/17(木) 03:21:45 ID:myYBVV8w
俺は、どこか自慢気に話した、“さわりだけ体験した”と話した彼に、少しばかりの怒りの感情が芽生え始めていたが、ウソをついた彼に制裁を加える事よりも、彼が話した内容に出て来た、料理の味が気になったので、「その4つはどんな味がするんだ?」と訊ねた。すると彼は、「パエリアは、魚貝料理。後は、頼んでみてからのお楽しみ。ほら、今言っちゃうとつまんないだろ?だから、俺は“あ・え・て”言わないんだよ。」とどこか楽しげに、俺を含むスペイン料理の事なんか全く無知の二匹へと言い放った。もう一方の彼もそうであったとは思うが、俺は彼の答えを聞いて、“やっぱり、さっき言っていた事はまるっきりのウソだな。店から出たら、コイツをぶんなぐってやろう。”と静かに殺意に近い怒りの感情を抱きつつも、彼の話す内容からは、味の検討もつかないので、“どんな料理が出てくるんだろう”と不意にも胸を踊らせ、謎に包まれた、メインのパエリアを含む3つのスープの注文を行った。数分して、注文した料理が、俺を含む3匹が座るテーブルへと運ばれた。俺ともう一匹のスペイン料理に関して無知だった者達は、運ばれた料理へと目をやると、赤色に染まったスープが入った器、若干黄色に近いスープが入った器、黄色の中に唐辛子がのっていたスープが入った器…そして、彼が唯一どんな料理か教えてくれた、パエリアという名前を持つ、黄色く染まった米の上に、エビやら、貝やら、イカやら、白身の魚やら、中には、魚貝類ではない黒い小さな実まで乗せられていた料理が並んでいた。スペイン料理は、わからなかったが、イタリア料理に関しては、そこそこ知識があった為か、黒い実がオリーブという名前を持つ木の実だと言う事は、熟知していた。3つの謎のスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。赤く染まったスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。

355適当 レス354ミス:2013/01/17(木) 03:24:53 ID:myYBVV8w
俺は、どこか自慢気に話した、“さわりだけ体験した”と話した彼に、少しばかりの怒りの感情が芽生え始めていたが、ウソをついた彼に制裁を加える事よりも、彼が話した内容に出て来た、料理の味が気になったので、「その4つはどんな味がするんだ?」と訊ねた。すると彼は、「パエリアは、魚貝料理。後は、頼んでみてからのお楽しみ。ほら、今言っちゃうとつまんないだろ?だから、俺は“あ・え・て”言わないんだよ。」とどこか楽しげに、俺を含むスペイン料理の事なんか全く無知の二匹へと言い放った。もう一方の彼もそうであったとは思うが、俺は彼の答えを聞いて、“やっぱり、さっき言っていた事はまるっきりのウソだな。店から出たら、コイツをぶんなぐってやろう。”と静かに殺意に近い怒りの感情を抱きつつも、彼の話す内容からは、味の検討もつかないので、“どんな料理が出てくるんだろう”と不意にも胸を踊らせ、謎に包まれた、メインのパエリアを含む3つのスープの注文を行った。数分して、注文した料理が、俺を含む3匹が座るテーブルへと運ばれた。俺ともう一匹のスペイン料理に関して無知だった者達は、運ばれた料理へと目をやると、赤色に染まったスープが入った器、若干黄色に近いスープが入った器、黄色の中に唐辛子がのっていたスープが入った器…そして、彼が唯一どんな料理か教えてくれた、パエリアという名前を持つ、黄色く染まった米の上に、エビやら、貝やら、イカやら、白身の魚やら、中には、魚貝類ではない黒い小さな実まで乗せられていた料理が並んでいた。スペイン料理は、わからなかったが、イタリア料理に関しては、そこそこ知識があった為か、黒い実がオリーブという名前を持つ木の実だと言う事は、熟知していた。3つの謎のスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。

356適当:2013/01/17(木) 03:29:15 ID:myYBVV8w
赤く染まったスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。赤く染まったスープは、トマトの香りを漂わせ、若干黄色に近いスープは、パンに似た匂いとにんにくの香りを漂わせ、黄色の中に唐辛子がのっていたスープからは、二番目と同じくにんにくの香り、そしてチーズの独特な匂いを漂わせていた。三番目のスープに関しては、俺とスペイン料理を知らないとウソをついた彼以外のもう一匹も、だいたいどんな味かは、予想する事が出来ただろうが、二番目に関しては、鼻が利かない限り判断が出来ない匂いも混ざっていたので、もう一匹だけは、どんな味がするのかは、予想がつかなかったハズだ。運ばれた料理に関しては、メイン以外は全て異なっていたので、俺は、「3種類の違う味のスープが出て来たが、どうするんだ?好きな味を一匹、一匹取るのか?」とおもむろに訊ねた。彼は、俺の質問に対し「いやいや、それじゃあ3つをシークレットにした意味がない。パエリアは、普通に食べていいぜ。でも、スープは全員が全部味を出来るようにしようぜ。そしたら、いっぺんに3倍も得するだろ?」と返答してきたので、彼の言うことも一理あると納得した俺ともう一匹は、彼の提案に従い、メインを口へ運びつつ、初めに飲むと決めていたスープをそれぞれ取り、口へ運んだ。3つのスープの味は、どれも美味しく、また個性的でもあった。俺が初めに口に運んだスープは、赤い色に染まったスープで、トマト独特の青臭さは無く、みずみずしいトマト本来の美味さが口の中に広がった。次に口に運んだスープは、若干黄色に染まったスープで、にんにくベースのオニオンスープの中に、パンと似た味が口の中へ広がった。俺は、予想していた味よりもずっと、ずうっと美味しく感じたので、二番目に飲んだスープの味に驚き、おもわず目を見開いてしまっていた。俺の驚いた表情が、一般のピカチュウと同じ…もしくはかなり近い、丸いくりっとした目になっていたせいで、俺には似つかわしくない、意外な可愛さを自ら醸(かもし)し出していたからか、味を既に熟知している、スペイン料理に関しては無知だとウソをついた彼に「ははっ、仁ちゃん何て顔してるんだよ。何か、すっげえ雌みたいだな。」とからかわれてしまった。

357適当:2013/01/17(木) 03:34:45 ID:myYBVV8w
“コイツには、見せたくなかったな。”と思い、彼に言われた直後に、少し恥ずかしいと思ってしまったが、最後のスープの味が気になっていたので、彼の発言に対する感情も忘れ、最後のスープを口へと運んだ。最後に放っていたスープは、もちろん黄色く染まった中に唐辛子が入っていたスープであり、口にした途端、強い辛みのある味が広がっていった。“当たり前だが、結構辛いな…。”と思いつつも、同時に広がるチーズの濃厚な味と、チーズの味を際立たせるにんにくの何とも言い難いすばらしい味が混ざり合い、俺に、とてつもない満足感を与えていた。“一匹で飲んでしまいたい”と思う程、最後に残ったスープは美味く、また自分の好みの味をかもし出していたが、彼の提案に従い、後悔にも似たような感情を浮かび上がらせながら、他の者へと手渡した。注文したスペイン料理を全て食べ終え、会計を済ませ、俺と彼ともう一匹が店を出ると、彼は「やっぱり本場は違うな。俺のお母さんはこれの5分の1を満たすかどうか位の微妙な味だったぜ?料理は、お母さんのを食べているから、知っているんだけど、本格的なヤツは知らなかった。ああ、今日来て良かったぜ。と満足気に語り出した。俺は、スペイン料理を口にする前は、“コイツ、なぐってやろうか?”と少しの怒りの感情を思い浮かべていたが、スペイン料理を口にした後は、彼に対してどんな感情を抱いていたのかも忘れ、彼の発言に、心の中で相槌を打っていた。一方、もう一匹は、彼の発言を耳にすると、「お前、結局しってたんじゃねぇかよ!!すっとぼけやがって!!」と彼の頭を強くはたいた。こうゆう懐かしい思い出を、生きて脱出(で)られるかもわからない施設へ放り込まれ不安を抱く中で、思いだす事が出来るのも、今食べ終えたメインの食事のおかげだろう。長々と思い出に浸った俺は、食事のトレーにのっていたサラダもたいらげ、ついにはドリンクにさしかかっていた。

358適当:2013/01/17(木) 03:39:07 ID:myYBVV8w
シャキ…
パクッ
モグモグ
ゴックン…
「ふぅ〜。パエリアの美味さについあの事を思い出してしまった。これがまずかったら…どうだっただろうな。」
チラッ…
「うん?この泡は…。この泡は、もしかして炭酸か!!」

俺は、独り言を呟き、自問自答を行い、過去のなつかしい思い出に浸り終えると、トレーに乗せられているグラスへと目を向けた。グラスの中身は、紫色の小さな気泡を含む液体が入っていた。俺は、自分の大好物を目の前にして、これが何であるかも確認せず、興奮してつい口へ運んでしまっていた。

パシッ…
ゴク…ゴク…
トン
「ぷはぁ〜!!美味い!!美味すぎる!!な…何なんだこれは!?」

俺は、紫色の小さな気泡を含む液体が入ったグラスを強くつかみ、一気に飲み干して、あまりの美味さに部屋中に感想を響き渡らせていた。紫色の小さな気泡を含む液体は、自分の予想した通りの炭酸飲料で、葡萄の芳醇な香りと味の中に、レモンの酸味が加わった非常に美味な飲み物であった。“何で、こんなに美味い物を飲ませてくれるんだ!?俺は、本当に監禁されているのか!?”俺が、満足と興奮を感じ始めた途端、俺に予想もしなかった事が起こり始めた。

「まるで、監禁されていないみたいだ。監禁されているのに、それを全く感じさせない程の…。」
クラッ…
「うっ…。」
ユラァ…
「うっ…。くそっ…、これは、アルコールか!!」

俺を襲ったのは、意識を飛ばされるような、強烈な酔いであった。“しまった!!炭酸に興奮して、安全かどうかの確認をするのを忘れていた!!”まるで何者かに、自分の中から意識という形の無い物を形があるように、つかみ取られ、取り上げらられていく感覚に陥っていた。

クラッ…クラッ…
「く…そぉ…。は…め…られた…。これじゃあ…もう闘えない…。」
バタン
「はぁ…はぁ…。ダメだ…。もう…限…界…だ。」
スゥ…
「ZZZ…。ZZZ…。」

俺は、監禁した連中の悪意に侵され、意識が朦朧(もうろう)とし、全く抵抗が出来ない、強烈よりも更に強い。言い表せない程の睡魔に襲われ、自分の意志とは関係無しに、強引に眠りの世界へと旅立たされてしまった。

359適当:2013/01/17(木) 03:43:00 ID:myYBVV8w
Day10

監禁した連中の悪意が消え去り、俺はいつもとは違う場所で目を覚ました。いつもは、真っ白い天井が視界へ入った後、起き上がると、次に視界に入るのは、【業火】から【幻想】と示された9つの扉である。俺は、ゆっくりと体を起こし、まだ意識が完全に回復していない中で、昨日の自分の不注意さを独り反省していた。

パチッ…
ムクッ
「ふぁ〜あ…。ああ…くそっ…。よくも確認せずに…。今度からは、そういう事はしてはいけない。今日は死ななかったからいいものの、次は殺されるかもしれないからな。」
ズキッ…
「いたた…。あっはは…。刀を背中に結んだまま寝る始末…。だらしないな、俺は。」

意識がはっきりしてくると、背中に鈍い痛みが走った。俺は、背中の痛みから“いつもとは違う場所で、いつもとは違う寝方…。非常にだらしない睡眠の取り方だな。”と感じ、自分を嘲笑っていた。目の前からは、既に用意されていたのか定かではない朝食が用意されていた。“こういう点に関しては、歩かなくて済むからここで寝るのもアリか?”と用意されていた朝食を口に入れつつ、最初は、今回の事を行った時の利点が良いと感じていたが、“やっぱりダメだな。だらしなさ過ぎる。そんな…努力も怠(おこた)るような事を考えてしまうなんて。これが、今からPIAに務めるヤツの考えか?”と、すぐに自問自答を行って自分に言い聞かせた。朝食も食べ終わり、反省も十分にしきった俺は、いつもとは違う、狂ったリズムを正常へと戻すように、中央へと歩を進めた。9つに並んだ扉をそれぞれ見据えた。

360適当:2013/01/17(木) 03:47:07 ID:myYBVV8w
スタ スタ スタ…
ピタッ
チラッ
「業火、達成、雷神、達成、闇、達成、達成、伝説、幻想…。ふっ、後5つか。いや、第一段階は、あと2つ…。もう少しだ。」

“本当によくここまで来れたな。こんなにクリア出来るとは、思わなかった…。”俺は、9つの扉に示されていた文字を左から順番に目に入れ、読み上げて小さく笑みをこぼし、ほんの僅(わず)かだけ自分自身をほめたたえ、自分自身を鼓舞した。自分自身を心の中でほめたたえ、また自分が秘めていた力に、少し驚きつつも、【雷神】と示された扉へ目を向け、少女との約束を暗唱した。

チラッ…
“フィアとの最後の約束。雷神という扉にいるサンという名前のサンダースは、友達だから優しくしろ…か。”
スッ…ピトッ
“ふっ、いいだろう。サンダースには、電気技なんて使えないが、あちらも使えない。サンダースは接近戦闘がニガテだからな。優しく、ノックアウトへ追い込んでやるか。”

“だが、こんな調子でいいのだろうか。あのエーフィと闘った時は、自分が接近に弱いという事を利用して、俺に接近させ催眠術をかけた。サンダースも…サンってヤツもこれ位わかっているんじゃないのか?”俺は、あごに手を添えて、目的の扉の向こうの相手へ“勝つのは余裕だ”と思いつつも、すぐに懸念が俺の頭の中に押し寄せて来たので、自分の自信に疑問を抱き始めた。“まぁ、大丈夫だ。四足は基本接近がニガテ。サンダースは、足が速いから俺が逃げる事はほぼ無理だろう。だが、俺にはPIAに認められた接近戦闘とこの刀…。八紋刀、スサノオがある。負けはしない。体力値もあまり無いハズ…。”俺は、冷静に相手の特徴を分析し、対抗策が思いついたので、自分の立てた作戦が上手く行くとも限らないにもかかわらず、作戦が成功したようにほくそ笑み、姿の見えない目的の扉の番人に向かって言い放った。

「ふっ、所詮は雌。体力も技術も知れてる。悪いが、一発で決めさせてもらう。こっちは、一生が掛かっているんでな。」

俺は、姿の見えない目的の扉の番人に向かって勝利宣言を行った後、【雷神】という文字が示された扉へ歩を進め、【雷神】のステージへ足を踏み入れた。

361適当:2013/01/17(木) 03:54:55 ID:myYBVV8w
俺は、【雷神】のステージへ足を踏み入れると、目の前には衝撃の光景が広がっていた。

キョロ キョロ
「あっ!!何だ…ここは!!アイテムが入っている箱も、まる見えのステージか!!」

俺の目に飛び込んで来た光景とは、地面にヒビが入り、草も一本も生えていないが、枯れた木は所々に存在している乾いた大地と、“ここに、ありますよ。とってください。”と言わんばかりに、数十、数百mの四方、八方に設置された赤や青や緑の箱であった。“金がないのが、残念だが、まぁ、これだったらすぐに見つかるだろう。それにしても驚いたな。高速移動で、足の速さが格段に上がる俺にとっては、ボーナスステージだな!!”俺は、自らの存在を主張する色が付いた物達の位置を確認して、あまりの予想外の光景に驚きつつも、“これは勝ったも当然だな。”と先に起こる未来を予想してはしゃいでいると、目の前に対戦相手が現れた。

キョロ キョロ
「赤が、右ナナメ上に1つ、青が左ナナメ上に2つ。緑が…」
クルッ…
「俺の下方向に3つか…。ふっ、負けるワケがない。フィアの特性に匹敵する程の足の速さを持つ俺に…。」
スタ スタ
ピタッ
「こんにちは。」
「ん?」
クルッ
「うわぁ!!び…びっくりした…。」

俺は、色の付いた箱を確認し、自分の持てる速度で“どう回収しようか。”と緑色の箱を見つめながら、考えていると、背後から何者かの声が耳に入って来た。声に気づいて、後ろを振り返ると、先程まで居なかった対戦相手が、存在していたので、俺は思わず驚き、声を上げてしまっていた。俺に声をかけた対戦相手は、黄色の軍服を身にまとい、軍服の胸ポケットに“γ(ガンマ)”と描かれた黄色と白で構成されたバッチを身につけた、自分でも始めて見るような、体の小さなサンダースであった。

362適当:2013/01/17(木) 04:00:38 ID:myYBVV8w
“あんな可愛いサンダースがいたなんて…。”俺が、後ろに立つ対戦相手を見て、そう思う事に無理はなかった。なぜなら、イーブイ進化系のクラスメートを見る事が出来るのは、成獣(人間でいう20歳以上になる事)をむかえた、大学からであったからだ。俺はクラスメートでは、雄の体の大きなサンダースしか見た事が無かったので、“こんな小さなサンダースも存在(いる)んだな…。”と無意識の内にそう感じていた。彼女は、雌なので体が小さいのはあたり前の事であったが、初めて見る光景に、俺は驚きを隠せないでいた。俺が驚いたままの表情を保ち、何も言い返せないでいると、【雷神】の間の番人が、輝いた笑顔を向けて訊ねて来た。

「………。」
シーン
「あはは。ピカチュウ君、もしかして緊張してる?」
「え?」
「あれ?君、もう4匹も倒したんだよ?まだ、緊張するの?」

“緊張はしていないがな。”【雷神】の間の番人の質問に対し、俺は即、否定の意を示し、無言を貫いた理由を告げた。

「いや、そうじゃない。君みたいな、小さくて可愛いサンダースを見たのは初めてだからな。」
「あはっ、ありがとう。君は、とってもカッコイイよ。」
「カ…カッコイイ!?」
「うん。ピカチュウって普通は男の子でも“クリクリ”っとしたお目めで可愛くみえるけど、君はなんだか違う。目が“キリッ”としてて…。僕、こんなカッコイイピカチュウを見たのは初めてだなぁ〜。」

“うお!?コイツは、俺の魅力に気づい…。イカンイカン!!ここで照れたら、相手の思うつぼだ!!油断するな!!誘って来るつもりかもしれないんだ!!”俺は、【雷神】の間の番人からほめちぎられて、嬉しくてはしゃぎつつ、また、照れも感じるも、自分に強く言い聞かせ、照れを隠すように、彼女へ小さく呟くように感謝の意を伝えた。

「そ…それは、どうも。」
「あはは。照れてるでしょ?」
「は?」
「顔に、書いてあるよ。“ほめられて照れてま〜す”って。」

“コイツ、言わせておけば…。”俺は、【雷神】の間の番人にいたずら気に微笑まれ、自分の心の核心をつくような質問を訊ねられた。彼女は、挑発しているつもりでは無かったであろうが、彼女の発言を挑発とみなし、俺は彼女へ愛想をふりまく事もせず、彼女の質問に対し否定した。

363適当:2013/01/17(木) 04:05:59 ID:myYBVV8w
「照れる?何を言っている?この程度で、照れるワケがないだろう。敵にほめられても嬉しくも何とも思っていないからな。」
「ふ〜ん、そうなんだ。まっ、どうでもいいや。」
「は?」
「だって僕、早く闘いたいんだもん。じゃあ、僕のステージで闘う上でのルールを説明するよ。」

“随分あっさりしているな…。ルール!?それは一体…。”俺は、【雷神】の間の番人が、すぐに話題を変換して来た事に対して、あっけにとられながらも、彼女の発言の一部が気になったので、彼女へおもむろに訊ねた。

「ルール?今更か?」
「うん。まず、お互い電気技は使っちゃダメぇ〜。理由は…」
「バカにしているのか?サンダースの特性を俺が、“知らない”とでも思っているのか?」
「そこまで言うなら、僕の特性当ててごらん。」

“コイツ俺をなめているな。”俺は、【雷神】の間の番人の質問に対し、“愚問である”とばかりに即答した。

「相手の電気を体力に変える事が出来るんだろう?君を含め、サンダースの特性は“蓄電”とよばれる、電気技を受けると体の特殊な構造により、自らの体力を回復させる事が出来る。こんな事が何で出来るかも説明してやろうか?」
「え?」
「サンダースは電気を受けると、細胞が活性化し、まるで“自己再生”を使った時と同じように、細胞分裂が急速に進み、傷の修復を素早く行う事が出来るからだ。どうだ、これで満足か?」

俺は、【雷神】の間の番人の質問の補足を発言する事を彼女へ言い放つと、彼女は俺を試すような表情から、一瞬で驚きの表情へと変化させた。俺は、彼女の反応を強めるように、彼女の質問の補足を詰まる事なく言い放った。わかってはいたが、彼女は俺の発言の内容を初めて聞いたのか、驚いて目を丸くし、自ら可愛気のある顔立ちを更に可愛くしてしまっていた。

364適当:2013/01/17(木) 04:13:28 ID:myYBVV8w
「へぇ〜。す…すごい…。初めて聞いた…。」
「あっはっは。君こそ知らなかったんだな?ちなみに、これも驚くかもしれないが、俺は普通の技でやる所を特性で持っている。俺の特性は“充電”だ。君が、電気技を使えば使う程スタミナが回復し…。」
「すっご〜い!!めずらしいね。さっ、ルールの続きを説明するよぉ〜。」
「は…はぁ!?少しは、俺の話を聞けぇ!!」

“何だコイツは、随分とあっさりし過ぎじゃないか!!くそ…なんか、こっちのペースが崩されてしまう…。”【雷神】の間の番人は、俺の返答を聞いて初めは驚いていたが、俺の返答をまるで無かった事にするように流し、俺へ呼びかけた。俺は、彼女があまりにも予想外な反応を見たので、彼女に逆に驚かされ、彼女へ要求してしまっていた。だが…というよりは案の定、彼女は俺の要求を無視して話し出した。

「ううん、ダメ。続けるよ?」
「くそ…。ああ、頼む。」
「その2、武器やアイテムは“一切”使っちゃダメぇ〜!!」
ピシッ

“ぶ…武器を使うなだとぉ!?こ…コイツ、何を言っている!?”【雷神】の間の番人は、その場に座り込み、言い放った後前足で禁止を示す“×”印を作って俺へ勢いをつけて提示した。俺は、彼女の発言を聞いて、“不公平だ!!”とばかりに言い返した。

「は…はぁ!?ちょっと待ってくれ!!ふざけるな!!」
「え?どうして?」
「だって、俺はまだ40レベル台しか無いんだぞ?君は、50レベル台だろう!!」
「だから?」

“だ…だから…って…。はぁ…。”俺は、自分の質問が【雷神】の番人に、“愚問である”とばかりに返答されたので、心の中でやるせない思いを抱き、ため息をつくも、彼女へ“どこまでが許容範囲なのか”という事を訊ねた。

「君…。ま、まさかと思うが当然刀も…。」
「うん、ダメだよ。立派な“武器”だからね。」
「……。断ると言ったら、どうなるんだ?」
「僕も使うよ。って言っても…これ投げられちゃったら、お終いだけどねぇ〜。」

“は?使われたら、俺が負けてしまう武器?”俺は、【雷神】の間の番人が得意気に返答して来た様に、目を向けつつ、彼女へおもむろに訊ねた。

365適当:2013/01/17(木) 04:20:17 ID:myYBVV8w
「何をする気なんだ?」
「えっへっへ〜。なんだと思う?」
「知らない、さっさと教えろ。」
カチッ…
ピッ
「これだよ。」

【雷神】の間の番人は、得意気な笑みを浮かべ、腰に前足を伸ばし、俺に奇妙な丸い塊を提示して来た。彼女が手にしていたのは、全体に茶色が塗られており、真ん中に、T字のような郵便のマークのような記号が、横向に示されていた。“何なんだこれは…。”俺は、初めて見る物だったので、首を傾げて、彼女が手に持つ物の正体を訊ねた。

「何だそれは?」
「アースグレーネードだよ。」
「アース…グレーネード?」
「口で言ってもわかんないと思うから…。」
スポッ…ペタ
オリ オリ…
「は?」
「行くよ?それっ!!」
ヒュッ…
ヒュー パサ

【雷神】の間の番人は、俺に二度訊ねられると、“この方が手っ取り早い”とばからに宣言し、軍服の胸ポケットから一枚の紙を取り出し、地面に広げて置いた。その後彼女は、前足を使って器用に“紙飛行機”を作り、俺へ合図をだして、俺の元へ投げつけた。飛行を邪魔する風も無かったので、彼女が飛ばした紙飛行機は、空中を直線上に進み、俺の元へゆっくりと下降してたどり着いた。俺は、彼女が送った紙を拾い、紙に記されている内容へと目を向けた。

【吸収放電手榴弾 EARTH GRANADE。
衝撃が加わると爆発し、中の粘着性のある特殊なチップが散布し対象物へ張りつく。このチップは、体内に持つ電流を極限まで吸い取り、空気中へ放出する。電気タイプに特殊なチップが張りつくと、一瞬で命を落としてしまう程の吸収力なので、使用者が電気タイプの際は、対象物から十分に離れて使用する事。】

“は…はぁ!?何だこれは!!こ…こんな物を使われたら、何も出来ずに終わってしまうじゃないか!!”俺は、【雷神】の間の番人が送りつけた、彼女が今、手に持っている茶色の奇妙な丸い塊に関する説明書に目を通し、驚いて目を見開いてしまっていた。俺の驚く表情は、普段の俺からは想像も出来ない程の可愛気があったせいか、彼女は笑って俺へ指摘した。

366適当:2013/01/17(木) 04:27:48 ID:myYBVV8w
「あはははは。ピカチュウ君の“ええ!?”って時の顔…。すっごいカワイイ〜!!」
「いや、“あはは”じゃないだろう!!何なんだこれは!!完全に、殺戮(さつりく)兵器じゃないか!!」
「そうだよ。そこでピカチュウ君に問題。君に、投げたらどうなるでしょおぅ〜か?」

“どうなるも何も…。死…確定だな。ハチマキがあっても死ぬかもしれない。”俺は、ため息をつき、意地悪気に訊ねてきた【雷神】の間の番人へ、“お前の条件を呑んでやる”と言い放ち、刀を背中から外し、真横へ放り投げた。

「はぁ…。わかった、君の言うとおりにする。」
シュル シュル…
パシッ
ヒュッ…カチャン
「これでいいんだろう?」

“くそっ…。思っていた展開と全く違う!!”俺は、刀を放り投げた後、【雷神】の間の番人へ確認を取ると、彼女は満面の笑みを浮かべて、俺へ感謝の意を伝えて来た。

「あはは。そうだよぉ〜。ありがとう、ピカチュウ君。君、優しいんだね。」
「君は“鬼”だな。もう、君が悪魔にしか見えて来ないんだが。」
「気のせいだよ。僕は、やんちゃで可愛い女の子のサンダースなんだから。」

“気のせいなものか…。しかも、自分で言うな!!まぁ、俺もそう思うが…。”俺は、【雷神】の間の番人へ強く言い放つと、彼女から自画自賛するような返答が返って来たので、複雑な思いにかられていたが、彼女へ“自分も”と言わんばわりに要求を行った。

「その代わり、条件がある。」
「条件?」
「ああ。君は、“ミサイル針”禁止だ。」
「どうして?」

俺は、【雷神】の番人が首を傾げて訊ねて来たので、彼女へ理由を告げた。

「どうしてもこうしてもないだろう。ミサイル針は、君の体から出せる“マシンガン”みたいなものだ。」
「ま…マシンガン?」
「ああ。マシンガンは立派な武器だろう?違うか?」
「う、う〜ん…。」
「条件が呑めないなら、俺は遠慮無く武器もアイテムも使わせてもらう。今、考えたんだが、君の要求を呑む必要なんか無い。“避(よ)けられる”からな。衝撃を加えないと爆発しない“オモチャ”なんかで、ここまで勝ち上がって来た俺を倒せると思うなよ?」

367適当:2013/01/17(木) 04:33:30 ID:myYBVV8w
“そうだ、よくよく考えたら、衝撃式爆弾(そんなもの)避(よ)けれるじゃないか。コイツの条件を呑む必要なんか、これっぽっちも無い!!皆無だ!!さぁ、どうする?”俺は、【雷神】の間の番人が出す無理難題の条件を鏡に写したように返すと、彼女は少しばかり頭を悩ませ始めた。彼女が必ず要求を受けるように、更に脅しをかけて自分の要求を強めると、彼女は微笑んで俺に肯定の意を示した。

「うん、いいよ。確かに、ピカチュウ君の言うとおりだからね。」
「よし、いい娘だ。」
「いい子って…。君、僕より年下でしょ?」
「違う。」
「え?」

“やっぱり見た目で判断されたか…。”俺は、【雷神】の間の番人を年下を愛でるが如くほめた。すると彼女は、“お前の方が年下だろう?”と返答し首を傾げたので、俺はすかさず彼女に否定の意を示した。彼女は、俺の答えを聞いてきょとんとした表情を浮かべ始めた。俺は、彼女に“見た目で判断するな!!”と言わんばかりに、この姿でいる理由を言い放った。

「君、見た目で判断するのは良くないぞ?」
「だって、ピカチュウがライチュウに進化出来るのは“20歳以上”からでしょ?」
「そうだ。だが、俺はこの姿が気に入ってて“ワザ”と進化していないんだ。」
「えへぇ?ウッソだぁ〜。変なの〜。ありえないでしょ?」
「“信じる”か信じない”かは君次第だがな。」

俺が、【雷神】の間の番人へ理由を言い放つと、彼女は“信じられない”とばかりに笑って、俺の理由を否定して来た。俺は、彼女に自分の意見を否定されても動じずに、YES or NO の選択肢を彼女へ与えたが、彼女は頭を悩ます様子を見せず、自己のペースを貫くとばかりに話題の転換を行って来た。

「ま、どうでもいいや。そのさ〜ん。」
「その3って、まだあるのか?」
「うん。でも、これはピカチュウ君にとっても良いルールだと思うよ?」
「そうか。期待はしないが、まぁ、聞こう。」

俺は、【雷神】の間の番人に発言の許可を与えると、彼女は今まで見せた事のない優しい笑みを浮かべて、俺へ最後の重要事項を伝えた。

368適当:2013/01/17(木) 04:39:29 ID:myYBVV8w
「お腹、あるいは、背中がついたら負け。」
「随分と変なルールだな。これじゃあ、死闘でもなんでもない。」
「あはは。でも聞いて。僕は、あまり君を傷つけたくないんだ。」
「傷つけたくない…か。」
「うん。ね?いいでしょ?お願い!!ピカチュウ君!!」
パン
パチッ

【雷神】の間の番人は、自分が言い出したルールを押し通す為に、前足を合わせて、片目をつむって俺へ懇願して来た。“なんか、コイツ可愛いな。俺にとってもいい条件だし、迷う余地はない。”俺は、彼女の条件を呑むと返答した。

「あっはっは。そこまでされちゃあ、断るに断れないなぁ〜。」
「ホントに!?」
「ああ。」
「ありがとう、ピカチュウ君。ルールは、これだけ。僕が負けたらバッチをあげるよ。その代わり…」
「その代わり?」

俺が、【雷神】の間の番人へ肯定の意を伝えると、【雷神】の間の番人は、俺へ感謝の意を伝え、俺へ勝利報酬の取り引きを申し込んで来た。俺は、彼女へ訊き返すと、彼女は何かを企むような怪しい笑みを浮かべて、俺へ言い放った。

「ふふふ…。僕が勝ったら、君は僕の言う事を“なんでも”聞いてね。」
「ふっ、わかった。まぁ、負けないがな。」
「あはは。言ったね?じゃあ、始めるよぉ〜。」
「ああ、来い。」

“負けるワケがない。お前は、ルール1で自分で自爆したようなものだ!!しかも、ミサイル針も禁止したからな。お前が、勝てる要素は0(ゼロ)だ!!”俺は、【雷神】の間の番人の条件を呑みつつも、自信に満ちた笑みを向けて、彼女へ勝利を宣告した。彼女は、先程と同じ笑み強めて、俺へ合図を送った。俺が、彼女へ了解の意を伝えると、彼女は軍服の右ポケットに前足を忍ばせた。彼女が前足を忍ばせた数分後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

369適当:2013/01/17(木) 04:45:58 ID:myYBVV8w
プンッ…
『READY…GO!!』
「さ〜て。ピカチュウ君、行っくよ〜!!」
タッタッタ…

“接近戦闘で俺に勝てるワケがない。”【雷神】の間の番人は、戦闘開始の合図を聞き入れると、俺へ合図を送りながら、俺の元へ接近し始めた。俺も、彼女には負けるハズがない、“一瞬で終わらせてやる”とばかりに彼女へ急接近し、彼女を狙い打つように急停止し、彼女へ向けて第一の必殺技を放った。

タッタッタ…
キキッ
「自爆しろ。ブレード…」
タッタッタ…
「テイル!!」
ブン
「おっと。」
シュルン シュルン…
「え?」
タン

俺が、彼女へ向けて硬質化した尻尾を当てようと、体を回転させて思いっきり尻尾を振ると、彼女は突然飛び上がり、空中前転を使って俺の真上を超え、俺の背後へと着地した。俺が彼女の予想外の動きに呆気にとられていると、彼女が反撃を行って来た。

「逆立ち、連続二度蹴りぃ〜!!」
スッ…
「は?」
バン バン
「ぐわぁ!!」
バン バン
「ぐふぅ!!」
バン バン
「ぐほぉ!!」

“な…なんだコイツは!?接近戦闘が…得意だっただとぉ〜!?”【雷神】の間の番人は技名言い放ち、その場で逆立ちをして、俺の頭を狙って、両方の後足を素速く、素速く、交互に動かし始めた。俺は、彼女が予想もする事ができなかった動きに驚いてしまった為、彼女の攻撃をまともに何発も受けてしまっていた。“こ…このままじゃ、マズい!!”俺は、彼女の攻撃を急いで両手を使って防ぎ、徐々に後ずさりを始めた。

「あははぁ〜!!まだまだぁ〜!!」
フッ…
ガン ガン
ザッ… ザッ…
「おっとぉ〜!!逃がさないよ〜!!」
サッ サッ
「な…何ぃ!?コ…コイツ!!」
ザッ ザッ ザッ
「あはは〜!!待て待てぇ〜!!」
サッ サッ サッ
ガン ガン

“し…しつこすぎる!!”【雷神】の間の番人は、俺が後足を行っている感触を後足でつかんだのか、逆立ちの状態を保ったまま、俺を追跡し連続攻撃を当て続けた。“こ…このままでは、マズい!!”くそっ!!離れろ!!”俺は後退を続けても、彼女はペースを崩さずに連続攻撃を当ててくるので、俺は勢いをつけて思いっ切り後ろへ飛び下がった。

370適当:2013/01/17(木) 04:52:04 ID:myYBVV8w
「くっ…。たぁ!!」
ピョン
ズザザ…
「くそっ…。腕が…。」
クルッ
タッタッタ…

“こ…今度は何をする気なんだ!?”俺は、【雷神】の間の番人の攻撃を何度も何度も自分の腕を使って防いでいたので、腕の痛みを強く感じながらも、彼女の動きを見計ろうとしたが、彼女は俺に隙を与えず、更に驚く攻撃を仕掛けてきた。

「まだまだ終わらないよ〜!!」
「な…何にぃ!?」
ピョン
「空中前方二度蹴りぃ〜!!」
バシ バシン
「ぐわぁ!!」
フワ…
「い…いかん!!はぁ!!」
クルン
タン

“はぁ…はぁ…。くっそ、コイツ強い!!簡単に勝てる相手じゃなかった!!”【雷神】の間の番人は、俺を目掛けて飛び上がり、普通は後ろを向いて放つ技を、正面を向いたまま放つという驚くべき技を放って来た。俺は、突然来る予想外の攻撃に対応出来ず、彼女の攻撃を顔面に、まともに受けてしまっていた。彼女から攻撃を受けた直後、自分の体が宙に浮くのを感じ取り、空中後転を行い、急いで体勢を整え、敗北条件を満たさずに両足で着地した。“だ…ダメージを受けすぎた…。もう尻尾中心でやるしかない!!”俺は、息を切らしつつも反撃に出ようと構えたが、彼女がほくそ笑み、掟(おきて)破りの行動に出た。

「隙ありぃ!!ミサイル針!!」
ピシュン ピシュン ピシュン
「は…はぁ!?くそっ…、間にあ…」
ザク ザク ザク
「ぐはぁぁぁぁ!!」
バタン

【雷神】の間の番人は、俺から距離が離れている事をいい事に、頭を小さく下げて、自ら針のような白い体毛を、俺目掛けて飛ばして来た。俺は、彼女の掟(おきて)破りの行動に驚いて目を見開くも、彼女の攻撃を避ける為に、電光石火を用いようとしたが、彼女の攻撃が速く、自分の体に彼女の攻撃をまともに受けてしまっていた。彼女からの攻撃を受けて、俺は、彼女が提案した敗北条件を満たすように正面からその場に倒れた。彼女は、俺に勝利した事が嬉しかったのか、喜んではしゃぎ、その場に座って、両前足を上げるという勝利のポーズを取り始めた。

371適当:2013/01/17(木) 04:58:33 ID:myYBVV8w
「あはぁ!!やったやった勝ったぁ〜!!」
スクッ
バッ バッ
「ちょっと…。ちょっと待てぇ〜!!」
ピタ
「え?何?」
「“何?”じゃないだろう!!何で、ミサイル針を使ったんだ!!」

俺は、【雷神】の間の番人の歓喜の声を阻止するように彼女へ呼びかけ、彼女へ抗議を行った。すると、彼女は首を傾げて“何を言っているんだ?”とばかりに、俺へ返答して来た。

「だって、ミサイル針は技じゃん。武器じゃないじゃんか。」
「確かに技だ、じゃあ許そう。ってそんなワケないじゃないかぁぁぁ!!」
「あはは。今のちょっと面白かったよ、ピカチュウ君。」
「面白いとかじゃないだろう!!今日の勝負は無しだ!!君は、反則したんだからな。」
「ええ〜!!イヤだ!!イヤだ!!だって、ピカチュウ君、今お腹ついて負けたじゃんかぁ〜!!」
ピッ

“これが負け?反則を使って、コイツ何を言っている!!”俺は、【雷神】の間の番人へ勝負の取り消しを言い放つと、彼女は、俺の今の状態を指摘するように、前足を差して俺の抗議を拒否して来た。俺は、彼女が“せっかく勝ったのに”と思わせるような不満気な表情を見るも、彼女の言い分は受けず、彼女へ厳しく言い放った。

「ふざけるなよ?君は、俺に勝ってなんかいない。俺は、帰らせてもらう。」
カチッ…
シーン
「あれ?」
カチッ カチッ
シーン
「あれ?おかしいな。いつもなら、体が消えて元の部屋に戻るハズなんだが…。」

“故障か?いや、違うよな…。う〜ん、これをどっかで経験したような記憶が…。”俺は、腕時計についているリタイアボタンを押したが、起こるはずの現象が起こらなかったので、首を傾げてあごに手を添えて、機能が働かない原因を探っていると、【雷神】の間の番人は、不敵な笑みを浮かべて、俺へ言い放った。

「あははぁ〜。帰りたきゃ、帰ってもいいよ。でも、帰れないけど…ねぇ〜。」
「は?どうゆう事だ?」
「ピカチュウ君、緊急警報装置って知ってる?」
「緊急警報…。どこかで聞いた事あるような…。」

俺は、【雷神】の間の番人の質問を受けて監禁初日から、今に至るまでの記憶を探り始めていると、彼女は俺の記憶を掘り起こすように言い放った。

372適当:2013/01/17(木) 05:05:03 ID:myYBVV8w
「今、危険信号が出ているんだよ。って言っても、僕が“ワザ”と出しているんだけどね。」
「危険…信号…。」
「これを出すと、戦闘続行のままになっちゃうんだよ。」
「戦闘続こ…。あ…ああ!!」
「何かわかったみたいだね。」

“くっそ!!思い出した…。β(ベータ)のシャワーズの時にされたアレか!!”俺は、【雷神】の間の番人の発言により、二日目の記憶が鮮明に自分の脳内によみがえって来た。彼女は、不敵な笑みを浮かべて言い放った。俺は、今自分が“どうゆう状態に陥っているか”を理解出来たので、怒りの表情を浮かべて、彼女へ怒号を飛ばした。

「ふざけるな!!何が、戦闘続行だ。もう闘いは終わっている。今日は、どちらの勝ちでもない。さっさと解除しろ。」
「やだ。ピカチュウ君、負けたんだから僕の言う事を聞いてくれるまで、“絶対”に帰さないよ?」
「だから、君は勝ってないと言っただろう!!ミサイル針は武器じゃない。だが、約束したじゃないか!!“ミサイル針は使わない”って。」

俺は、【雷神】の間の番人の質問に対して再び強く抗議をぶつけると、彼女は不満気な表情を浮かべて、俺を説くように言い聞かせた。

「う〜ん。でもさ、やっぱりミサイル針は武器じゃなくて技だし、それに、僕は“女の子”だよ?」
「女…の子…。」
「そうだよ。フィアから聞いたよ。“ピカチュウ君はとっても優しい雄だよ”って。」
「優しい…。そういわれても…な。」
「だから、ね?お願い!!僕は、女の子で力も無くて、インチキしないと勝てないから、勝った事にしてくれないかな?」
スクッ…
パン
パチ

“はぁ…。そんな顔をするな!!反則だ!!断りにくいじゃないか!!”というか、フィア喋るな!!もう、コイツに優しくしないといけなくなったじゃないか!!”【雷神】の間の番人は、その場に座って両前足を合わせて、片目を瞑(つむ)り、可愛らしい表情を向けて、俺へ甘えるように懇願して来た。俺は、彼女が懇願する様を見て、複雑な思いを抱きながらも、ため息をついて彼女の要求を聞き入れた。

373適当:2013/01/17(木) 05:09:42 ID:myYBVV8w
「はぁ…。わかった。今回だけだぞ。」
「ホント!?やったぁ〜!!」
「ただし、明日からはちゃんと約束は守ってくれ。」
「うん、わかった。ミサイル針は使わないよ。約束する。」
「よし。で?君が俺に命令する事はなんなんだ?」

“約束か。期待は出来ないが、するだけしておこう。”【雷神】の間の番人は、俺に自分の要求を聞き入れてもらえたので、満面の笑みを浮かべて喜びの感情を表していた。俺は、彼女とあまり期待出来ない約束を交わし、彼女へ要求を訊ねた。すると彼女は、いたずら気に微笑み、とんでもない事を俺へ要求した。

「にひひひひ…。」
「何だ君は。気持ち悪いな。」
「だって、ようやく叶うとなると嬉しくて。」
「そうか。で?気持ち悪いサンダースの君は、何が望みなんだ?」
「気持ち悪いは余計だよ。ピカチュウ君と、ちょっとエッチな事したいなぁ〜。な〜んて。」

“はぁ…。また、あのパターンか。何で隊長達(こいつら)こんなにも…。”俺は、【雷神】の間の番人の要求を耳に入れると、今までの経験から大方の未来予想図が浮かび上がって来たので、彼女へ“お前もか”と言い放った。

「はぁ…。なる程、君もか。」
「僕も?ど…どうゆう事?」
「シャワーズやエーフィ、そして、リーフィアに続き、君もか。」
「ええ!?こ…こんなに大勢の女の子とエッチしたの!?」

俺が、【雷神】の間の番人へ監禁されてから、今まで闘った相手との出来事の真実を並べて述べ、再び彼女へ指摘すると、彼女は驚いて“予想もしていなかった!!”とばかりに俺へ思わず訊き返して来た。俺は、彼女の質問に対し、軽く肯定の意を示し、彼女が考えていると思われる卑猥な内容を突きつけた。

「ああ、そうだ。で、君も俺とセックスしたいんだろう?ちょっととかじゃなくて、本格的なヤツをな。」
「あはっ…。バレちゃったかぁ〜。」
「質問に答えろ。性交(し)たいのか?性交(し)たくないのか?どっちなんだ?」

“まぁ、前者だと思うがな。”【雷神】の間の番人は、俺に指摘されると少し照れ笑いを浮かべて俺へ小さく返答した。普通に見れば彼女の仕草は、雌らしく可愛らしく思えるだろうが、俺は彼女の仕草を見ても何とも思わず、彼女へ再び同じ質問を訊ねた。すると、彼女は予想外の事を口にし、俺に近づき、自らが望む行為の準備の催促をはかって来た。

374適当:2013/01/17(木) 05:15:45 ID:myYBVV8w
「うん、YESだよ。でも、今日はそこまではしないんだよねぇ〜。」
「は?」
「ピカチュウ君、今日は僕となめあいっこしようよ。」
「なめあいっこ?たったこれだけでいいのか?」
「あれ?もっと何かしたいの?」
「いや。助かった。君が、これだけで。」
「じゃあ、こっちに来て。それから、下も自分で脱いでねぇ〜。ほら、僕がやるとな〜んか、ピカチュウ君が僕に強制されてるみたいじゃんか?僕は、それが嫌だから。ピカチュウ君、自分で。頼むよ?」

“強制されてるんだがな…。”俺は、【雷神】の間の番人の発言に半ば呆れつつも、彼女の指示に従い、彼女へ近づき、スーツを脱いで、彼女へ生まれた状態を提示した。

スタ スタ スタ
ジー ジー
スル スル
パサッ
「これでいいんだろう?さて、どっちからが先なんだ?“淫乱”なサンダースちゃん。」
「淫乱は余計だよ。ひどいなぁ〜、ピカチュウ君。全然優しくないじゃんか。」
「フィアから聞いたんだろうが、フィアはそんな娘じゃなかった。だが、君は違う。“積極的過ぎる”。だから淫乱だ。」

“ちょっとひどいが、これくらい言ってもいいだろう。”俺は、【雷神】の間の番人へ相手が不快に思うと思われる単語を強調して訊ねると、彼女は少し怒った表情を浮かべて俺へ言い放って来た。俺は、彼女から指摘されたが、何とも思わず、彼女へ理由を述べて言い返した。だが、彼女は悲しい表情を浮かべるどこれか、俺へほおずりを行い、笑顔を向けて、俺へ訊ねた。

スタ スタ
スリ スリ…
「うわぁ!!君、いきなり何して…」
「いいじゃんか、別に。女の子だって、男の子と同じようにエッチしたいんだよ?」
「いや、だからって自分に正直過ぎるのは、どうかと思うんだがな。対戦相手にセックスを求めるのは、“おかしい”と俺は思うんだがな。」
「う〜ん、でもしょうがないじゃんか。“我慢は体に毒”って言うでしょ?」
「と言われてもな。」
「それとも、僕とエッチするのは嫌?」

“うわ…。近くで見ると、結構可愛いな…。”俺は、【雷神】の間の番人の質問に対して、“自粛(じしゅく)しろ、自粛しろ”とばかりに何度も言い放った。彼女は、二度目の質問も俺に相槌をもらえず不安に思ったのか、俺に真剣、されど、どこか可愛気のある上目づかいで、俺の本心を探るように質問をぶつけて来た。俺は、彼女の表情を見て断り切れず、言葉を詰まらせてしまっていた。

375適当:2013/01/17(木) 05:22:07 ID:myYBVV8w
ジー
「いや…。そんな事は…」
「ないんだよね?やったぁ〜!!じゃあ、ピカチュウ君。そこへ寝て下さい!!」
「わかった。負けたから君の言う事を聞かないとな。」
「そう言う事ぉ〜。やっぱり、ピカチュウ君ってやっさしぃ〜。」
スクッ…
ザリッ…
「ルールに、則(のっと)ってるだけだ。君に、優しくなんかしていない。」
「ふ〜ん、まぁいいや。じゃあ、僕の…」
クッ…トン
「“いっちば〜ん”エッチな所をなめてね。」

“ついに、始まったか…。ああ、俺は一体何匹の雌と性交(こんなこと)をしているんだ!!初日に綾に対して謝っていた事が、まるっきりのウソじゃないか!!もう、最低な雄だな俺は…。”俺は、【雷神】の間の番人の指示に従い、水分が抜けて乾いた為にヒビが入った土の絨毯(じゅうたん)へ頭をつけて、仰向けの体勢を取った。彼女は、俺が指示に従った事が嬉しかったのか、俺に喜びの表情を向けて、俺をほめたたえた。俺は、彼女からほめたたえられても特に何とも思わず、彼女へ自分が従う理由を言い放ち、彼女の発言を否定した。彼女は、俺に自分の言葉を否定されたが、彼女の持ち味でもある、話を引きずらずに軽く流すという話術を使い、俺の顔に自らの割れ目を提示して俺へ要求を行った。“もういいか。フィアにいたっては、俺からセックスしたようなものだ。コイツとのセックスは別に嫌じゃないし、素直に楽しむとしよう。”俺は心の中で、初めは自分を責めに責めきる叱責を行っていたが、ふっきれて前言撤回を行い、まともらしい理由をつけて、彼女の指示にすすんで従った。

376適当:2013/01/17(木) 05:27:06 ID:myYBVV8w
「ふっ、わかった。手加減はしないからな?俺と、気持ち良くセックス出来ると思うなよ?」
「あはっ、勝負する?いいよ、僕はそれでも。ピカチュウ君は、僕と勝負した時弱かったからねぇ〜。」
「言ったな?愛撫(ここ)で俺に勝てると思うなよ?」
「あはは。愛撫(ここ)しか勝つチャンスは無いと思うんだけど。」

“コイツ、なめやがって…。”俺は、【雷神】の間の番人へ軽い脅しをかけたが、彼女は俺の発言にひるまず、俺へ宣戦布告を行って来た。彼女の発言を受けて、俺は再び彼女へ軽い脅しをかけたが、彼女は再度ひるまず、俺の闘争心をかきたてるように挑発を行って来た。“対戦相手にセックスを求めて来るヤツは、たぶん経験した事がないヤツだろう。ここで、反則技を使ってコイツに雄とのセックスの恐怖を味わわせてやる!!”俺は、彼女の挑発をまともに受け、彼女の割れ目に舌を進入させ、反則技を行う為に、舌を上方へと動かし始めた。

ジュププ…
「あふぅ!!いきなり使うの?卑怯だ…」
ツー
「なはぁ…。って、何してる…」
ピタ
「のほぉ!?え?ええ!?何ここ?なんか…すごい気持ち良かった…。」

“クリトリスを知らない処女が!!思い知るがいい!!”【雷神】の間の番人は、俺に未知の世界に引きずり込まれ、驚いて喘ぎ混じりで声を上げていたが、俺は、彼女に落ち着く暇を与えずに、舌を素速く動かし始めた。

ピチャピチャピチャピチャ
「あっ!!あふぅ!!あうん!!」
ピチャピチャピチャピチャ
「あひゃあ!!あふぇ!!ちょ…ちょっと待って!!ピカチュウ君!!はや…速過ぎるよ…」
ピチャピチャピチャピチャ
「おほぉ!!やぁ!!ばはぁ!!いひぃ!!ま…負けるかぁ〜!!」

“ククク…。もう、お前の負けのようなものだがな。それにしても…クククって気持ち悪いな俺は。”俺は、【雷神】の間の番人が、自分の激しい行為により、喘ぐだけの何も出来ない様である事を見て勝利を確信していた。だが、彼女は耐え難い場所で耐えつつ反撃に出るという予想外な行動を行って来た。

377適当:2013/01/17(木) 05:31:55 ID:myYBVV8w
パクッ
チュプチュプチュプ
「うっ…。」
チュプチュプチュプチュプ
「うはぁ!!うぁ!!ああ!!くっそ…。コイツ…。」
チュプチュプチュプチュプ
「うふぅ!!だはぁ!!ああ!!くそったれがぁぁぁ!!」

“な!?クリトリスを責められているのに、なんて耐久力だ!!”【雷神】の間の番人は、愛撫を行っている内に興奮してそり立った俺のモノを口へくわえ、舌を当てつつ、頭を素速く上下に動かすという反撃を行って来たので、俺は驚きつつも、声を上げてしまっていた。だが、すぐに俺は喘ぎ声を止め、彼女の割れ目に舌を進入させ、再び、先程と同じ攻撃を彼女へぶつけた。

ジュプププ…
スー ピト
「あう!!」
ピチャピチャピチャピチャ
「あへぇ!!あっ!!あうん!!ピ…ピカチュウ君に…愛撫(こうげき)なんかさせるかぁぁ〜!!」
レロレロレロレロレロ
“ぐふぅ!!ぐわ!!コイツ…まだやるか!!しかも…なかなか的確な所を責めて来やがる…。”
レロレロレロレロレロレロ
“うほぉ!!ま…まずい!!反則技使って、コイツより先に負けられるかぁぁぁ!!”
ピチャピチャピチャピチャ
「あうう!!あへぇぇ!!も…もう無理…。こうなったら道連れだぁぁ!!」
レロレロレロレロレロレロ
「ぐおぉ!!ああ!!く…そったれがぁぁぁ!!」
プッシャアアア…
ビュルルルル…

俺と【雷神】の間の番人は、卑猥な激しい激闘の末、お互いの力と速さが拮抗していたのか、二匹同時に絶頂を向かえるというハメになってしまっていた。俺は顔に、透明で雄を興奮させるような液体を受け、彼女は口内に俺の精子(モノ)を受けるという事態になっていた。“クリトリスを責められながら、俺に射精(だ)させるとはな…。”俺は、快感を味わいつつも、彼女の予想外の奮闘に感心していると、彼女が突然咳き込み苦しみ始めた。

378適当:2013/01/17(木) 05:36:41 ID:myYBVV8w
「んぐぅ!?ごっほ!!ごっほ!!」
「は!!君、大丈夫か!!」
ムクッ…
パン パン
「しっかりしろ!!」
「ごっほ!!ご…ぶへぇ!!」
ビチャ…

“良かった、吐き出してくれたな。”俺は、【雷神】の間の番人が苦しんでいる様子を見てすぐに起き上がり、彼女の背中を強くたたいた。すると彼女は、自分に苦しめられていた原因を吐き出し、咳き込むのをやめて激しく呼吸し始めた。俺は、彼女が無事に自分の精子(モノ)を吐き出し、一命を取り留めた様を見て、安堵のため息を漏らし、彼女へ彼女が苦しんだ理由と謝罪の言葉を告げた。

「ふぅ…。声をだしながら、俺の精子(モノ)を受けたんだ。それは、咳き込むだろうな。本当に…すまない。」
「はぁ…はぁ…。い…いいよ、全然。僕が“勝負する?”なんて言わなければ、こんな事にならなかったんだよ。ピカチュウ君は、悪くないよ。僕は…自業自得になっただけ。」
「そうか。というか、君さっきから一人称が“僕”だな。雌なのに…おかしくないか?」
「え?そう?別にいいじゃん。なんか、“私”って言いにくいし…。それに…」
「それに?」
「似合ってるでしょ?僕の方が、似合ってるじゃんか。」

“まぁ、言われて見れば。”俺が、【雷神】の間の番人へ指摘すると、彼女は首を傾げて、自分の意見を主張し、俺に相槌を求めて来た。俺は、彼女の意見に特に疑問も抱かなかったので、彼女へ相槌を行った。

379適当:2013/01/17(木) 05:40:08 ID:myYBVV8w
「そうだな。確かに、君は“僕”の方が似合ってる感じがする。声質といい、姿といい。」
「あはっ、物分かり良くて助かるよ。“ぴかちゅうくぅ〜ん。”」
「変な声を出すな。気持ち悪い。さて、俺はもう帰らせてもらうぞ?いいよな?」
「うん、いいよ。ちょっと待ってね。」
ゴソッ…カチ
「はい、オッケー。どうぞ、帰るなり残るなり好きにすれば?」

“後者は全くない。いても意味がない。早く風呂に入りたいからな。”俺が【雷神】の間の番人へ相槌を行うと、彼女は俺へ感謝し彼女の声質とはかけ離れた、甘えるような声で俺の種族名を故意に呼び出した。俺は、“なかなかどうして…。”と思っていたが、“ほめると調子に乗るな”と考え、彼女へ辛辣(しんらつ)な言葉を吐き、要求を出した。彼女は、俺の要求を聞き入れ、軍服の右ポケットに前足を忍ばせ、中にあるであろう、俺を元いた部屋に戻せないようにしたスイッチを押し、俺へ合図混じりの自由な選択肢をぶつけてき。俺は、彼女に“一つの選択肢しか選ばない”とばかりに言い放った。

「帰る。当然だ。」
「あはは。だよね。じゃ、また明日。明日は“もぉ〜ちょっと”頑張って欲しいなぁ〜。」
「ああ、そのつもりだ。」
スクッ パシッ
スタ スタ スタ…
カチャ
ピッ
「覚悟しとけよ?明日は、必ず君を負かしてやるからな?」
「あはっ、あはははは!!気合入ってるね。じゃあ、さようなら。バイバイ、ピカチュウ君。」

“何が、バイバイだ。なめやがって…。”【雷神】の間の番人は、俺からの返答を聞いて、ほんの少しさびし気な表情を浮かべるも、すぐに元のいたずら気に微笑むという彼女らしい笑みを向けて、俺を再び挑発してきた。俺は、彼女の挑発には乗らず、一言だけ言い放ち、刀とスーツを回収し、彼女へ指を差して、確実でない、自信からしか出て来ない勝利宣言を行った。彼女は、俺が格好をつけて勝利宣言を行った事がおもしろく感じたのか、大声で笑って俺に別れのあいさつを言った。俺は彼女の笑顔を見るも、その前の彼女の挑発する言葉が気に入らなかったので、彼女には微笑み返さず、彼女に負けた悔しさを胸に抱きながら、腕時計についているリタイアボタンを押し、【雷神】のステージから姿を消した。

380適当:2013/01/17(木) 05:45:45 ID:myYBVV8w
シュン…
「ふぅ…。」
フーン…
ポタッ ポタッ
グッ グッ
「そうか、アイツのが顔にかかってしまったんだな。」

俺は、【雷神】のステージから抜け出し、元の真っ白な部屋へと姿を戻した。【雷神】の間の番人との闘いでの疲れからか、ついため息のような、なんとも言えない息を吐いてしまっていた。息を吐いた直後、俺はもう疲れていて、更には精も使っていたので興奮はしなかったが、彼女が放った、雌独特の個性的な雄を誘惑する匂いが、俺のすぐ近くから感じられた。普段通りならば、ここで興奮して自分のモノを勢いよくそり立てたかもしれない。だが、何度も言うように、俺は既に体力も消費し、精力も尽きてしまった。故に、興奮を呼び起こす原因があっても、興奮なんかしないのである。同じ事を二度と言って何が言いたかったかと言うと、ダメージをあれだけ受けた後に、あんなに激しい前戯をするとかなり疲れるという事だ。彼女が、快感の限度に達して噴射(だ)してしまった透明な液体が、顔を濡らしている事に気づき、独り言を呟いて刀をその場に置き、俺はシャワールームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ…
スル スル…
パサッ
スタ スタ
キュッ
ジャアアア…
ピチャン ピチャン
「ふぅ…。よし、これ位だな。」

お湯をただ出しただけでは、とても体に浴びせられる温度では無かったので、俺は手でお湯を触りながら、水を出して温度調節を行い、自分で自分へ合図を送り、体を洗い始めた。

ヌッ…
パチャ パチャ
ゴシ ゴシ…
「ふぅ…。終わったな。ひとまず綺麗にはなったが…。」
チラッ
「さて、どうしようか…。浸かるか浸からないか…。」

俺は体を洗い終えると、温度調節を行ったお湯を出しっぱなしにして、空の浴槽を見つめ考え始めた。“考えるまでもないな。部屋に帰って来た時から、ため息ばかりついている…。”俺は、数分前の記憶を思い出し、現在の自分の状態から、即、判断する事が出来たので、お湯を出しっぱなしにしたシャワーを手に取り、空の浴槽へお湯をため始めた。

ジャアアア…
パシッ…
スー
ピタッ
ジャアアア…
キュッ
チャプン チャプン

お湯で空になった浴槽を十分に満たしたので、俺は自分の体を浴槽へと入れた。

381適当:2013/01/17(木) 05:51:22 ID:myYBVV8w
クッ…
チャプ チャプン
スクッ…
「ふぅ…。くそ、ため息か。いや、これはため息なんかじゃないぞ。ため息じゃない。これは、安心した…ため息?」

“結局ため息じゃないか!!と、まぁそんな事はどうでもいいな。それよりも、アイツに勝つ方法を考えなければ…。”俺は、お湯に浸かりながら、自分で自分の矛盾点を指摘するも、すぐに思考の対象を変え、頭の中だけで策を練り始めた。

チャプン…
“さて、意外にも接近戦闘で渡っていけるサンダースだったわけだが、どう闘っていくか…。”
チャプ…
“う〜ん…。ブレードテイルを、あんなにあっさりかわされたのは痛い…。痛すぎる…。”
チャプン…
“よし、わかった。カウンターを狙っても当たらないのなら、アイツより素速く動き、素速く技をしかけるしかない。”
ザブン…
バシャ バシャ

“四足はこれは対応出来ないはず…。ふふふ、俺は日本に相応(ふさわ)しい技を持っているじゃないか。巴投げだ。これなら、背中をつける事が出来る。よし、これだ。勝ったな!!”俺は、浴槽の中で頭を働かせて、【雷神】の間の番人の対抗策を練っている内に、勝利する為の秘策を思いつき、いつの間にか不敵な笑みを浮かべていた。策が思いつき勝利を確信してしまった為か、俺は浴槽の中で勢いよく立ち上がり、周りにお湯を零(こぼ)してしまっていた。だが、俺の頭の中は既に“勝利”という二文字しか浮かんで来なかったので、自分が立ち上がった為に零(こぼ)したお湯の音など耳には入らなかった。“作戦を練る上では、湯船の中は最適の場所だな!!”俺は、勝つ為の秘策の他に新たな発見をし、一匹で静かにはしゃぎながら、汚れたスーツを洗濯機の中に入れ、代わりに昨日洗濯済みのスーツを着て、食事ルームへと歩を進めた。

382適当:2013/01/17(木) 05:57:23 ID:myYBVV8w
スタ スタ
ガチャ…
パシッ
ヒュッ
パサッ
ガチャ
ピッ ピッ…
ジャアアア…
バタン
スタ スタ スタ
ピタッ
スクッ…

匂いがして来たから、食事ルームへ移動したのは言うまでもないだろう。“俺とは違って、鼻が利かないヤツは、メシが出てくる瞬間がわからないだろうな。”俺は、改めて自分が鼻が利くねずみに属する事に感謝し、鼻が利かない生き物達が、この部屋に入れられてしまった事で、自分の意志で、出来上がったばかりの温かい食事を摂る事が出来ない事を、一匹あわれんでいた。”はは…。何を言っているんだ俺は…。こんな所に閉じ込められるのなんか、俺ぐらいに決まっているじゃないか。”他者をあわれんでいたが、俺は思い直し、“自分が一番かわいそうだ”と言う事を他者を、あわれんでしまっていた為に痛感させられてしまっていた。しばらく落ち込んでしまうと思ったが、近くから漂って来るいい匂いに助けられ、食事を摂る事に意識を集中させる事が出来た。頭の中から自分をあわれみる事を忘れられたので、俺は用意されている食事へと目を向けた。

チラッ…
「ピ…ピザ!?しかも…。」
チラァァ…
「結構本格的な…ピザだ。」

ここで余談だが、ピザには実は二種類のタイプが存在する。生地が厚いボリュームうけを狙った、アメリカンタイプと、生地が薄くボリュームは少ない、されどピザ本来の美味(うまみ)を十分に味わう事が出来るイタリアンタイプの二種類だ。俺がここで驚いたのも無理は無かった。ここに用意されていたものはなんと、後述のイタリアンタイプだったのである。“うぅ…。これで、ますますここがどこだか、わからなくなって来た…。本格的なピザを食べられるのは、一応日本でも有る事は有る。だが、アメリカはそうじゃない。昨日はスペイン、次はイタリア…。ど…どこなんだ!!ここは!!”昨日の上で、自分の現在いる場所なんて特定しても仕方がないと結論を出しておきながらも、俺の中ではここがどこなのかが気になり始めていた。“ああ、なんでこんな無駄な事ばかり気にするのだろうか。素直に、楽しめばいいじゃないか!!”俺は、いまだに意味の無い、考える必要の無い疑問を抱きつつも、ふっきれて目の前に用意された食事を舌で堪能し始めた。

383適当:2013/01/17(木) 06:02:16 ID:myYBVV8w
ミチ ミチ…
トロォォ…
ハム ハム
モグ モグ モグ
ゴックン…
「美味い!!美味過ぎる!!」

“本格的…どころじゃないな…。”とろけたチーズ、丁度良く、しつこく無く、程良い味と厚さのハム、二つの下を支えるように塗られたトマトベース、これら3つを調和させるように添えられたバジル、そして…全体をまとめるほんの少し焦げ目がついた、薄くやわらかい生地…。俺は、用意された本格的の度を超えたメインの食事の味に舌を唸らされ、思わず声を上げてしまっていた。“フィアの話では、ここって…見られているんだよな…。”メインの食事の美味さを堪能しつつも、ほんの少しだけ冷静に考えてしまったせいか、少女から得た情報を思い出して、先程の自分がつい声を上げてしまった事に恥じらいを覚えていた。“でも、まぁ美味いんだから仕方がない。発声(で)てしまうものは、発声(で)てしまう。言われると、恥ずかしくて気絶してしまうと思うがな。”俺は、見られたり聞かれたりはされているとわかっていながらも、誰も指摘する事が無い事をいい事に、勝手に“自分は正常だ。条件反射で声を出しているんだ。”と思いこみつつ、食事を次々と平らげていった。

モグ モグ
ゴックン…
カチャ…
「ふぅ…。」
パチッ…
パン
「ごちそうさま。」

用意された食事が美味しすぎたせいか、初日から昨日まで食事を摂った後に口にしなかった、食へ感謝する言葉をいつの間にか目を閉じ、手を合わせ、この日初めて口にしていた。“やっぱり、美味過ぎる物を食べた後は、自然にやってしまうんだな。”俺は、いつの間にか行っていた行動に対して、しみじみと納得していながらも、トレーから、メイン、サブの他に、何か奇妙な臭いが漂って来ていた事に気づき、食事のトレーに目を向けた。

プァァン…
「は?なんだ?」
チラッ…
「うわっ!!な…なんだこの液体は!!」

俺が漂って来た臭いを元に、臭いを放っていた方向へと目を向けると、トレーの上に何やら真っ黒のような、真っ青のような液体が入ったグラスが、“俺もここにいるぞ?”とばかりに、俺に睨みを利かせていた。俺は、自分の存在を強く主張する色と臭いを放っていたグラスを見て、グラスを手に取り、嫌悪の表情を浮かべて怪訝(けげん)そうに眺め、どのような臭いなのかを詳しく調べ始めた。

384適当:2013/01/17(木) 06:07:33 ID:myYBVV8w
カチャ…
スー
「くんくん…。ん?これは…、海藻…か?」
フイ…
「う〜ん…。飲めるのか…これは?」

“毒みたいなわけのわからない臭いはしない…。されど…怪しい。怪しすぎる!!”俺は、グラスに鼻を近づけ、グラスに入っている謎に包まれた真っ黒のような、真っ青のような液体の成分を分析し、半々の意見を抱いていた。“でも、飲み物はこれしかないし、飲むしか…無いよな?”俺は、疑いつつも“俺も体に入れろ”と訴えかけてくるような謎の液体を、深呼吸し、仕方なく一気に体の中へと入れた。

スゥー
フゥ…
「よし…。いくぞ。」
グイッ
ゴクッゴクッゴクッ…
トン
「ぷはぁぁ!!はぁ…、はぁ…。なぁんだこれ?すっごい…ワケのわからん味だな…。」

“ハッキリ言うとマズいんだが、これを言うと嫌がらせのように毎日出してくるかもしれない。他国の料理を次々出して、現在地を不特定にするくらいだからこれ位はしてくるハズ。”俺は、謎の液体を口へ含まずに、出来るだけ感触が残らないように胃の中へと入れた。だが、さらりとは流れてくれたものの、海苔(のり)を砕いたような食感と、形容し難い海藻独特の臭さと味に襲われ、声にハッキリとは出さなかったが、つい顔に出してしまっていた。“はぁ…。せっかくの美味かった夕食だったのに…。飲まなければ…良かったな。”俺は、謎の液体を舌で味してしまった事に後悔の感情が生まれ、いつの間にか落ち込んでいた。“また、ため息ばかりつくのか…。”俺が、嫌な想像を抱こうとし始めた時、俺の体に、嫌とは言わせない程のすばらしい反応が起こり始めた。

グン…グングン
「おお!!」
グググ…
「すごい…。体力と精力が一気に回復した!!」

俺の体に起きた反応とは、体に溜まっていた疲れと【雷神】の間の番人に奪われた精が戻る反応であった。黄色い液体に匹敵する回復力と紫色の炭酸の液体(と言っても、昨日の悪魔のドリンクではない。)に匹敵する精の回復力を実感して驚き、思わず声を上げてしまっていた。“すごすぎる…。マズいはマズいが、こんなすごいドリンクを作る元の材料があったとは…。”あまりにも想像も出来ない現象であったので、俺はとんでもない事を口走った。

385適当:2013/01/17(木) 06:11:00 ID:myYBVV8w
グン グン
「すごいな…。この湧き上がるような力。そして…」
グググ…
「綾にはすまないが、まだ性交(や)れそうだ!!」
グググ…
「そうだ…。ワザと負けてアイツと性交(こっち)で勝負して、気絶させた隙にバッチを取ろう…。ククク…。それが確実だな。」

“クククって気持ち悪いな…。”俺は、本来自分の彼女には聞かせる事が出来ない、本来口にしてはいけない禁句を勢いよく発した後、まるで自分の中に悪魔が乗り移ったかのような笑みを浮かべて反則に匹敵する闘い方を口にしていた。確実に勝てる方法だと思い過ぎてしまった為か、先程取った食事がどんな時間帯の食事であったかも忘れ、刀は持たずに【雷神】のステージへ移動する扉へ歩を進めた。

スタ スタ スタ…
「ククク…。覚悟しろ…。淫乱なサンダ…」
ガチャガチャ
「あ、あれ?」
チラッ
「あ…あ〜!!そうか、俺はさっき夕(ゆう)メシを食べたんだった!!」

“そうだ、扉には、ルールがあったのを忘れていた!!夜は、基本闘う事は出来ない。はしゃぎ過ぎたな…。”【雷神】と示された扉のノブを捻るが、ノブは回らなかった。疑問に思い、自分の腕時計を見ると、【20:00】と表記されていた。腕時計を見て、俺はおもわず声を上げ、“忘れていた!!”とばかりに、後頭部に手を回して、先程の食事を摂った事を思い出した。“入れないんじゃ、闘えないんじゃ仕方が無い。”鍵を無理矢理にでも開けて中へ入る事を希望していたが、俺には当然そんな技術も無く、ましてそんな道具も持っていない。“そもそも、ピッキング知識があって、道具があっても、鍵穴が無いから意味が無いんだがな…。”どうする事も出来ないので、俺は潔(いさぎよ)く諦めて中央へ歩を進め、置いてあった刀の横で仰向けになり、目を閉じて眠りの世界へと旅立った。

386適当:2013/01/17(木) 06:14:26 ID:myYBVV8w
Day11

俺は、眠りの世界から現実の世界へと目を覚ました。不思議と今日の目覚めは、監禁されて以来ではなかなか調子の良いものだった。理由は、起きた直後に、昨日練りに練った(実際は、途中で卑猥な作戦を使おうと考えた事もあったワケだが…)作戦が蘇(よみがえ)って来たので、寝起きながらも、俺はありえない興奮をしていた。

「よし、昨日の作戦でいけば、絶対に負けない。」

“だが、俺の作戦は、俺がアイツより速く動かなければ、実行に移す事は出来ない。”素速く動く事には自信があったが、昨日練った作戦を確実に成功させる為に、俺は、食事ルームへと向かい、朝食を取り、中央へ戻って、自分自身を鍛え始めた。

モグ モグ…
ゴク…ゴク…
カチャ…
スタ スタ スタ…
スゥ…
「たぁ!!」
シュッ
「たぁ!!はぁ!!たぁ!!たぁ!!」
シュッ シュッ シュッ シュッ

俺が行っていたのは、自分の持てる瞬発力を極限まで高めるトレーニングであった。電光石火と高速移動を同時に使うという非常にハードなトレーニングである。どちらも相手が見切りにくい、更に先制攻撃へシフトチェンジ出来る優れた技だ。だが、それが出来るのは普通の“自分より速さが無い”相手のみである。“相手は、あのサンダースだ。アイツは速い、いとも簡単に技が避けられてしまう。更には、サンダースが通常出来ない高度なアクロバティックを使ってくる…。油断しては、勝つ事は出来ない!!”俺は、更にトレーニングを続けた。すると、偶然か必然かはわからない不思議な現象が起こり始めた。

シュッ シュッ
「たぁ!!たぁ!!」
シ…
「しまった!!遅れ…」
バヒュン
「たはぁ!?な…何だ…これは!!」

“今、一瞬何が起きたんだ!?電光石火+高速移動のタイミングがズレたら、自分の体が空中を…。”俺の体に起きた不思議な現象とは、本来同時に行うハズの二つの技の発動がずれてしまった事により、突然、自分の体が一直線に低空飛行をするというものだった。“今の…もう一回出来ないか?”俺は、偶然に起きたと思われる不思議な現象にすがるように、もう一度先程と同じ失敗を試みた。

387適当:2013/01/17(木) 06:18:10 ID:myYBVV8w
シュッ シュッ
「たぁ!!たぁ!!」
シ…
「よし、ここだ!!」
グッ…
バヒュン
「うぉぉぉ!!」
バタン
「いたっ!!や…やったぁー!!出来たぞ!!」

“先程と同じ失敗を使えば、偶然を必然に変えられるのではないか?”そう考えた俺は、もう一度、二つの技の発動をワザと遅らし、先程と同じ状況を作り出した。すると、先程と同じく、突然自分の体が一直線に低空飛行をし、狙いを定めた目的地へと、例え方はおかしいかもしれないが、まるで、鳥のように風を受けて移動していた。俺は、自分が偶然を必然に変えた奇妙な鳥になる事が出来る技が、過去に得た記憶に一致するかを確認し始めた。

「この技…。いや、これと似たような技を…。どこかで見た事がある…。」
スッ…
ピトッ
「う〜ん…。はっ!!わかったぞ!!これは…おそらくだが。ロケット頭突きじゃないか?」

“そうだ!!思い出した!!この技をやられて一瞬あせった事がある…。”俺は、学生だった頃を思い出し、あごに添えていた手を一瞬にして離し、思わず大きな声を響かせてしまっていた。俺が経験したのは、学生の頃の戦闘授業の時である。俺が、人間だったならばこんな授業は無い。もしくは、人間が行く学校と言うべきか…。だが、俺はもちろん自分と同じような生き物が通う学校へ通学していたので、クラスの全員は技を使う事が出来る。しかし、技を使う事が出来ても、闇雲に適当に技を行ったのでは、相手に攻撃する事すら出来ず、闘いに有利な生き物のハズなのに、ある程度武術を会得した人間にさえ負けてしまうという事態を引き起こしかねないのである。そこで、まぁおそらく全部の学校に採用はされているとは思うが、人間の学校には無い(いや、俺がただ知らないだけなのかもしれないが…。)戦闘授業という特殊な授業が存在する。俺は、父親から直伝の強力な接近戦闘を教え込まれたので、一般の学生のピカチュウよりも接近戦を仕掛け、本来のタイプとは異なるタイプの技ばかりを行う、クラスでも異例の生徒となっていた。クラスで一目置かれる存在であったが、同じく俺と同じ、やたら接近技を仕掛けるというクラスメートがもう一匹存在していた。

388適当:2013/01/17(木) 06:22:13 ID:myYBVV8w
もう一匹目のクラスメートの種族はサンド。俺と同じ二足であるが故に油断は出来なかった。だが、俺は、特殊技を使う生徒に、特殊技すら使わせない程の異常な速さを持っていたので、対戦相手と対峙(たいじ)するも自信があった。そしてついに、もう一匹のクラスメートと組み手を取るとなった日に、俺は衝撃の光景を目の当たりにした。数m離れている相手が、戦闘開始の合図の直後に自分にダメージを与えていたのだ。とはいえ、対戦相手よりも俺の方が体力もスタミナも多く負けなかったワケだが、俺が何よりも驚いたのは、対戦相手が雌…つまり女の子だった事である。“ああ、雌でも油断出来ないなぁ。”と痛感していながらも、もう一匹のクラスメートから技名を教えてもらったのである。「どうやってやるんだ?」と訊ねたら、「ひみつぅ〜。」と可愛気のある表情で断られてしまったワケだが…。まぁ、そんな事はさておき、偶然を必然に変え、一つの記憶から正式な技名を思い出したが、俺は冷静に頭を働かせ、技名の批評を勝手に行い始めた。

「ロケット…頭突きって何かダサくないか?」
スッ…
ピトッ…
「う〜ん…。何かいい技名は無いか…。」
パッ
「そうだ!!そう言えば、人間の扱う武器には、ロケットランチャーという凄(すさ)まじい破壊力を持つ武器があったな!!同時にミサイルランチャーという武器もあった…。そうだ!!二つに共通する名前を取り入れよう!!」

正式な技名を批評し終え、技名に嫌悪感を抱いた俺は、自分の記憶を頼りに新たな技名の一部を取り入れた。“しかし、前半はランチャーでいいとして、後半はどうする?”俺は、一度は離した、あごに添えた手を再びあごにくっつけ、新たに考えた。しばらく考えると“頭突き”を英語にしてはどうかという名案が浮かび上がって来た。“よし、決めた。ランチャーヘッドバッドだな。しかも、これは移動手段にも使える。ただ、かなり疲れるから連発は出来ないが。”新たな技名を決めた俺は、【雷神】と示された扉を見つめ、不敵な笑みを浮かべて、指を差して言い放った。

ピッ…
「覚悟しろ。今日こそは、お前に勝ってやる。お前より速く動いてな!!」

【雷神】のステージでは武器を使う事が許されていないので、俺は刀を中央へ置いたまま、【雷神】の扉へ歩を進めた。

389適当:2013/01/17(木) 06:25:20 ID:myYBVV8w
荒れた大地、枯れた木々、風で運ばれる土…。俺が、【雷神】の間のステージへたどり着くと、昨日と全く同じ光景が広がっていた。昨日と違う所を上げるとすれば、自分自身の“アイテムは使わない”という意識に基づいた、自分の周囲に置かれていた色のついた箱には目もくれず、ただ対戦相手を待ち続けるという態度を取っていた所であった。数分後、俺が目を向けていた方向から、黄色い姿が見え始め、正面に現れた者が俺へ近づき始めた。

シュン…
スタ スタ スタ…
「こんにちわ、ピカチュウ君。」

正面に現れた者とは、昨日と同じ姿をしたサンダース。【雷神】の間の番人であった。彼女は、俺に微笑みかけ軽く会釈して来た。俺は、彼女へ挨拶をせず、勝利宣言を行った。

「今日は、君に負けるつもりは無い。今日こそは勝たせてもらう。」
「あはは。気合十分じゃんか。じゃあ、始めてもいいかな?」
「ああ。始めてくれ。」

【雷神】の間の番人は俺の宣告を耳に入れると、笑って俺へ合図を送って来た。俺が、彼女の合図を受け入れた数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

390適当:2013/01/17(木) 06:28:52 ID:myYBVV8w
『READY…GO!!』
スッ…
シッ…
グッ
「ランチャー…」
「へ?何してるの?」

“気づくわけない。俺が、今から何をしようとしているのかを…。”俺は開始の合図を聞き入れ、すぐに、新たな必殺技を放つ構えを取った。一方、【雷神】の間の番人は、俺が突然取った、体勢を低くするという奇妙な動作を見て、きょとんととした表情を浮かべていた。“力を溜めて、電光石火と高速移動のタイミングをずらせば、もっと勢い良く飛ぶハズだ。”俺は、彼女に目を向け、力を溜めた状態で技を放つと強力になるという経験から、“この技も同じなのではないか”と推測し、力を溜め続けた。彼女は、俺が特に何もしてこないのを見計らって、俺へ勢い良く向かって来た。

シーン
「じゃあ、僕から行っくよ〜!!」
タッタッタ…
グッ…ググ…
ピキッ
タッタッタ…
「ヘッドバッドォォォ!!」
ドヒュン

向かってくる【雷神】の間の番人に、俺は力を溜めた状態で、電光石火と高速移動のタイミングをずらし、新たな必殺技を放った。彼女は、俺が、突然一直線に自分の元へと飛んで来たので、驚いて声を上げ、とっさに俺の攻撃をかわした。

ビュゥゥゥ…
「え?ええ!?」
ピョン
ビュン
タン
「はぁ…。はぁ…。なんで、ロケット頭突きなんてピカチュウ君が使えるのぉ!?」
ビュゥゥゥ…
「あれ?どこまで…行くんだろ?追っかけてみよーっと。」

“しまった!!力を溜めすぎた!!”俺は、【雷神】の間の番人へ攻撃を当てられず、そのまま彼女からどんどん距離を離して、叫びつつもかなり無関係な位置に、うつぶせで着地してしまうという、乱暴な着地法を取ってしまっていた。

ビュゥゥゥ…
「うぉぉ!!と…止まれぇぇぇ!!」
ズザザザザ…
「ぐおっ!!」
ムクッ…
「いたた…。溜め過ぎた…。もっと練習しない…」
ピョン
パシッ
「うぉ!!は?」

“今…何かが上に乗ったような…。”俺は乱暴な着地を取り、あごにわずかな傷を作りながらも立ち上がったが、突然、上から何かが乗って来たような奇妙な重みを感じた。突然自分に起こった事だったので、驚きつつも、何が乗って来たのかを確かめようとした時、上から来る重みが自ら正体を明かすように、俺へ言い放った。

391適当:2013/01/17(木) 06:33:21 ID:myYBVV8w
「あっははぁ〜!!追っかけて来てよかったぁ〜!!」
「は…はぁ!?」
「肩車ぁ〜!!からのぉ…地球投げぇぇ!!」
「ち…地球ぅ!?さ…させるかぁ!!コイツ、離れろ!!」
ブン ブン
ピョン
タン
「おっとと。あはは。これ位は、見切るんだねぇ〜。」

“というか…俺よりも小さいのに、まず俺を足だけで持ち上げられるのか!?なんてヤツだ…。今度やられたら、投げられて負けてしまう…。”【雷神】の間の番人は、俺の肩へ乗って来たが、俺が体を激しく揺らして必死にもがいたので、素早く離れ、俺を挑発し出した。“よし、今に見てろ。”俺は、彼女の挑発を受けて、洗練された動きで素速く接近し、彼女の肩を掴んで彼女を持ち上げ、彼女へ技名を言い放った。

タタタ…
ガシッ
「え?」
「覚悟しろ。必殺…」
フワッ…
「わわ!!」
「巴投げぇぇ!!」
ブン…

“よし、勝ったな。”俺が、【雷神】の間の番人を浮かせて勝利を確信し始めた時、彼女が俺の首を両前足で挟み、予想も出来ない反撃に出た。

ガシン
「は?」
「させないよぉぉ!!地獄車ぁぁ!!」
グルングルン
「くるくるくる…」
グルングルン
「うぉぉぉ!!」
「ぽ〜ん!!」
ヒュッ
ビタン
「ぐわぁ!!」

俺は逆に、【雷神】の間の番人に、一緒に回転させられながら放り投げられてしまうというハメになってしまっていた。“コ…コイツ、地獄車も使えるか…。俺の攻撃を逆手に取るとはな…。完敗だ。”俺は、彼女に投げられた後背中に痛みを感じつつも、彼女に投げられたままの姿勢で、彼女に心の中で敗北宣言を行っていた。彼女は、俺が背中をついて倒れるという敗北条件を満たしている姿を見て、昨日のように喜びはしゃぎ出した。

「わーい!!勝った!!勝ったぁ!!」
ムクッ…
「くそっ…。結局、また負けてしまったな…。それにしても、俺の巴投げを逆手に取るとは、君はスゴイな。」
「でしょ、でしょぉ?来ると思わなかったでしょ?」
「ああ。全く、予想が出来なかった。」

俺は、【雷神】の間の番人が喜んでいる姿を見て、悔しそうな表情を浮かべて彼女をほめたたえた。彼女は、自分で自分の事をほめ、俺に再度相槌を打つように呼びかけてきた。俺は、心の中では、もう彼女には“完敗”の二文字を掲げて見せていたので、彼女へ再び相槌を打った。すると彼女は、俺が相槌を打ったばかりか、昨日のように俺をからかい始めた。

392適当:2013/01/17(木) 06:38:02 ID:myYBVV8w
「あはは。ありがとう〜。それにしてもピカチュウ君…。ぷっ、弱いね。」
「は?」
「結局さぁ、僕はミサイル針を使わなくても買ったじゃんか。」
「な…なんだと…。」
ギリギッ…
「あっと、ダメだよぴかちゅうく〜ん。もう勝負は終わり。僕の勝ち。僕の言う事はな〜んでも聞かなくっちゃねぇ〜?」

“コイツ…調子に乗りやがって!!”俺は、【雷神】の間の番人が吹き出し、昨日の抗議の対象である“反則技”に関して、“使わなくても勝てる程弱い。”と言われた事により、先程までの必死なトレーニングと新しい技を全否定されたように感じたので、彼女を強く睨みつけた。彼女は、俺が怒りの表情を浮かべたのを見計らって“勝負は終わった。言う事を聞け。”という意味を込めた言葉を意地悪気に訊ねるという方式で言い放って来た。自分の名前がかなり変な声(冷静に聞いたら、雄を誘惑する可愛らしい声だが。)を用いて呼ばれた事に対して、更に怒りの感情を抱こうとしたが、“落ち着け。落ち着け。コイツの思うつぼだぞ。”と言い聞かせて怒りを抑(おさ)め、逆に言い返してやろうとばかりに彼女へ言い放った。

393適当:2013/01/17(木) 06:42:14 ID:myYBVV8w
「ああ、そうだな。で?淫乱なサンダースちゃん。今日は、俺と何をする気なんだ?ま、する事は1つしか無いと思うがな。」
「あはっ、わかってるじゃんか。って、“淫乱”言うなぁ〜!!昨日言ったじゃんか。女の子もエ…」
「ああ、わかったわかった。脱ぐのも自分でやるから、もう黙っててくれないか。」
「わかってくれたんだね。じゃあ、待ってるよぉ〜。」
パッ

“全然わかっていないんだがな。というか、何で隊員達(こいつら)こんな真っ昼間からセックスする事ばかり考えているんだ?しかも…何で目隠しをしているんだ!!今から、俺のモノを自分の穴に挿入(い)れるんだろう!!やめろ!!腹が立ってくる!!”俺を再び説こうと、【雷神】の間の番人は自分の意見を話し出したが、俺は彼女の話の途中に了解の意を伝え、彼女へ静かに待機するように呼びかけた。彼女は、俺の発言を受けて微笑み、俺の指示へ従うと伝え、自分の目を前足で覆(おお)い隠すという意味が無い行動を取り始めた。彼女の矛盾した行動が原因で、収まっていたはずの怒りの感情が再び芽生えだしたが、“落ち着け。落ち着け。”と、先程自分の怒りを抑(おさ)めた言葉と同じ言葉を自分に言い聞かせ、怒りを抑(おさ)め、自分のスーツを脱ぎ捨てた。彼女は目を覆(おお)っているので、俺が準備出来た事に気がつかなかった。俺は、仕方なく彼女へ呼びかけた。

394適当:2013/01/17(木) 06:46:00 ID:myYBVV8w
スル スル…
パサッ
「………。もう、いいぞ。意味が無い事して、そんなに楽しいか?」
スッ…
「意味は無くはないよ。その方が、女の子っぽいじゃん。男の子が目の前でぬ…」
「ああ、うるさいうるさい。さっさと来い。」
「来い?“来い”ってなんで“命令”してるのかなぁ〜?」
「うっ…。」
「あはは、準備が出来たみたいだねピカチュウ君。じゃあ、僕の所に来て。」

“そうだ。何を命令している…。俺は、敗者なんだ。勝者に命令する事なんて出来ない…。”俺は、【雷神】の間の番人の言葉を煩(わずら)わしく思い、つい彼女へ“黙れ”と言わんばかりの命令を行ってしまっていた。本意を表す言葉は、表には出していなかったが、彼女への命令口調は表に出してしまっていた。彼女は、俺の言葉を聞いて、少し怒った表情を浮かべて、俺へ“命令するな”と言わんばかりに指摘して来た。俺が、彼女へ指摘を受け言葉を詰まらせると、彼女は俺の態度の変化が面白かったのか、俺が意外にも素直に自分の言う事を聞き入れてくれたのを嬉しく思ったのか、笑って俺に指示を出した。俺は彼女の指示に従い、彼女の元に近づき、彼女へ本格的な行為をする前の重要な質問を訊ねた。

スタスタスタ…
「はい、OKだよぉ。ちゃんと言う事聞いてくれるんだね。」
「負けたからな。それより、君に聞きたい事がある。君は処女か?」
「“うん”って言ったら?」
「ま…まぁ、挿入(い)れる時は気をつけろ。」

“何でハッキリ言わなかったんだ…。もしかして、俺はコイツに苦しんで欲しいのか?”【雷神】の間の番人が俺へ訊き返すと、俺は心の迷いからか、それとも先程の挑発を受けての怒りが残っていたからか、彼女へつい曖昧な返事を行っていた。彼女は、首を傾げてきょとんとした表情を浮かべるも、俺へ第一の命令を出した。

「気をつけろ? ……。まぁ、いいや。ピカチュウ君、今日は本番だよ。」
「わかっている。」
「じゃあ、最初にする事はわかっているよね?」
「キ…キスか…。」
「そう!!わかっているじゃん。じゃあ、早速…」
パチッ
「よろしくね。」

【雷神】の間の番人は、俺へ命令を伝えると目を閉じ、俺の唇が自分の唇に当たる瞬間を待ち始めた。“ここでふざけたらどうなるんだ?いや、コイツはふざけているから俺もふざけてやろう。”俺は、目を閉じて“今か、今か”と待ち続ける彼女に、自分の唇を彼女の思い違いの場所へと当てた。

395適当:2013/01/17(木) 06:49:01 ID:myYBVV8w
スッ…
チュッ
「え?ど…どうゆう事?」
「俺の出身国。日本ではこうするんだ。決して、口になんかしない。」
「え、えへぇ?おでこにチューするのが、ジャパニーズスタイルなの?」
「そうだ。」

【雷神】の間の番人は、俺に自分の唇ではなく額に唇をつけられた事に、少し驚き、俺へ質問を行った。俺は、彼女の質問に全くデタラメな答えを言い放った。彼女は笑って、再び俺に質問を行うが、俺はふざけているので、当然肯定の意を伝えた。すると、彼女は我慢しきれなくなったのか、吹き出して大声で笑い出し、俺から聞いた嘘の事実に対して批評し始めた。

「ぷっ…。あはははは!!あーはっはっは!!お…おでこにチューって…。へ…へんなぉ〜!!」
「そうだろう?だが、これが普通なんだ。すまないが、俺はこの形式しか慣れていない。君が望むやり方でやると、恥ずかしくて気絶してしまうからな。」
「あはは…そ、そうなんだ。でも、面白いね。あはっ!!あはは!!」
「あっはっはっは!!」
「あはははは!!」

“ククク…、コイツ見事に騙されやがって…。オデコにキスだと?そんなバカなセックスがあるワケないだろう!!というか、何回クククって言うんだ…。気持ち悪いな俺は…。”【雷神】の間の番人が、“おかしい”と指摘をするように返答して来たので、 俺は彼女の意見を受け入れつつも、全くデタラメの返答を行った。彼女は、俺の発言を真実であると取ったのか、俺に意見を言い、再び大声を出して笑っていた。俺も彼女に合わせて大声で笑い、彼女もまた大声で笑い続けていた。俺は、彼女が、自分の発言が全くのデタラメであるという事に気づいていないと感じ、心の中でほくそ笑んでいた。だが、彼女は俺の心の中を読み取ったように笑いをいきなり止めて、俺へ無表情を向けて言い放った。

396適当:2013/01/17(木) 06:52:13 ID:myYBVV8w
ピタッ…
「へぇ〜、ピカチュウ君ふざけるんだぁ〜?」
「は?ふざける?何を言っている?」
「僕が、フィアから君と過ごした時間の全部を聞いてないとでも思ったのかなぁ〜?」
「俺との時か…。まさか!!」
ドン
「ぐわぁ!!」
バタン
「やっぱり、“ウソ”だったんだね。このバカピカチュウ!!僕は、もう許さない!!」

“フィア、喋り過ぎだろう!!普通、敵とセックスしたなんて味方に伝えるか!?友達だからとはいえ、いくらなんでもおかし過ぎるじゃないか!!”俺は、【雷神】の間の番人の質問に対し、初めはしらばっくれていたが、次の質問を訊ねられ、驚き“さっき言った事はウソです。”と示す態度を取ってしまっていた。彼女は、俺の発言と態度から、見事にウソである事を見破り、俺を押し倒して、怒りの表情を浮かべて俺へ怒号を飛ばした。俺は、いきなり押し倒されたので背中に痛みが走っていた。背中の痛みを感じつつも、あの少女に対して、心の中だけで叱責を行っていたが、目の前の彼女の怒りを収める事を優先し、彼女へ行動の抑止をかけた。

スタスタ
クッ…
「ま…待て!!君は、処女なんだろう?いきなり挿入(い)れたら、かなり痛…」
「これもウソでしょ!!しかも、僕に命令するなぁ!!」
「いや違う!!これは、本当…」
ズブブブ…
ブチン
「事だ…」

【雷神】の間の番人は、俺にウソをつかれた事に相当腹を立て、俺の抑止を無視し、俺に怒号を飛ばし、自らの割れ目に俺のモノを勢いよく差し込んだ。“ああ、やってしまったな…。”案の定、彼女は必然に来る破瓜(はか)の痛みを味わい、目に涙を浮かべて小さく声を漏らした。

ウル… ウル…
「いっ…いた…。いたい…。」
「だから言ったじゃないか。しょうがない、君は痛みが引くまでじっとしていろ。そうすれば…」
「か…関係あるかぁ〜!!」
ジュボ ジュボ ジュボ
「な…何ぃぃぃ!?このまま動くだとぉぉ!?」

“コイツ、無茶過ぎる!!”俺は、【雷神】の間の番人が今まで経験した事の無い、破瓜(はか)から来る、強烈な痛みを無視して強引に腰を動かすという、経験を味わわせた事により、驚いて声を上げた。彼女は、痛みを訴えながらも、怒りの表情は崩さずに、激しく腰を動かし続けた。

397適当:2013/01/17(木) 06:56:15 ID:myYBVV8w
ジュボジュボジュボジュボ
「いったぁ!!いったぁい!!」
ジュボジュボジュボジュボ
「わぁぁぁ!!いったいよぉ〜!!」
「うはぁ!!うはっ!!き…君、やめろ!!セックスが恐くなるぞ!!」
ジュボジュボジュボジュボ
「いたぁ!!ぼ…僕に命令するなぁぁぁ!!」

“うぉっ!!ま…マズイ…。コイツの膣(なか)に射精(だ)してもいいのか?”俺は、【雷神】の間の番人へ再度抑止をかけたが、彼女は無視して痛みを訴えながらも、俺に怒号を飛ばして来た。俺は、彼女が激しく上下に動いているせいで、快感の意が強くなり始め、疑問と焦りを感じ始めた。俺は、彼女の行動を抑止する事はせずに、彼女へ重要事項を訊ねた。

ジュボジュボジュボ
「うはぁ!!き…君!!膣(ナカ)に射精(だ)してもいいのか!?」
「いったぁ…。痛い!!気持ち良いよぉぉぉ!!」
「は?気持ち良い?」
ジュボジュボジュボ
「うっ…うぉ!?うわぁぁぁ!!」
ビュク ビュルルルルル…

“何ってこった!!相手の意見も聞かずに、膣(ナカ)に射精(だ)してしまった!!”俺は、【雷神】の間の番人へ質問をぶつけたが、彼女からは返答は返って来なかった。その代わり、痛みを訴えながらも、恍惚(こうこつ)の表情を浮かべて、無理矢理続けている行為が心地良いという異例の返事が帰って来たので、俺はきょとんとして彼女へ質問を行った。下半身にこめる力を一瞬緩めてしまったせいか、彼女の発言に気を取られてしまった直後に、強い快感と強い射精の意に隙をつかれ、抵抗が出来ないまま、彼女の膣(ナカ)へ自分の精子(モノ)を射精(だ)してしまっていた。俺は、とんでもない事態を引き起こしてしまった事で、強い後悔と罪悪感に襲われていた。彼女は、自分から激しく動き過ぎてしまったせいか、疲れて俺に重なるように倒れ出した。

398適当:2013/01/17(木) 07:00:13 ID:myYBVV8w
「はぁ…はぁ…。」
クラッ
ドン
「ぐふぅ!!君…大丈夫か?」
「はぁ…、はぁ…。ははは…。ごめんピカチュウ君。ちょっと、疲れちゃった。こうしてていい?」
「命令ならば、俺は動かない。」
「はぁ…、はぁ…。あはっ、じゃあ命令するよ。僕が動けるまで、僕をずっと抱っこしててね。」

“まぁ、しょうがないな。調子に乗っている時はムカつくヤツだが、性交(これ)にいたっては仕方が無い。”俺は、【雷神】の間の番人が、激しく呼吸をして疲弊(ひへい)した表情を見て、彼女の指示に従い、彼女を自分の体の上へ乗せ続けた。彼女をうつぶせのまま乗せ続けるも、俺は彼女へ申し訳なさそうな表情を向けて、謝罪の言葉を聞かせた。

「すまない。君の膣(ナカ)に射精(だ)してしまった。君の答えも聞かずに…。」
「あはは…。いいよ、全然。射精(だ)されても妊娠(でき)ないし、それに“ピカチュウ君のミルクが入って来るぅ〜!!”って時が、すっごい気持ち良かったから。」
「そうか。で、一つ訊きたいんだが、“痛い、気持ち良い”というのはなんなんだ?処女膜が破れて、すぐ動いたせいで来る痛みが気持ち良かったのか?それとも、痛みが引いて俺のモノを膣(ナカ)に挿入(い)れた事が気持ち良かったのか?どっちなんだ?」

“コイツ、もしかしたらMなのかもしれない…。”【雷神】の間の番人は、俺の発言に対して行為の感想と、俺へ“構わない。”と言って来たので、俺は安心しつつも、彼女へ一番気になる疑問をぶつけた。俺は彼女が満足したので、どちらでも良いとはおもっていたが、彼女は、先程の行為での不可思議な発言は前者であると俺に言い放って来た。

「あはは…。僕って変態なのかなぁ…。最初の方だよ。痛いのとピカチュウ君のモノが挿入(はい)った時の感覚が…ものすごい気持ち良かった。」
「あっはっは。君は、Mか。俺に命令するくせに、俺を何回も蹴るくせに、実はやられたいのか。」
「勝負では絶対に負けたくない。でも、エッチなら…。そうなのかなぁ?」
「そうだとしたら残念だったな。もう君に処女膜はない。破瓜(はか)の痛みはもう体験出来ない。残念だったな。」

俺が、笑って【雷神】の間の番人へ本心をつくように言い放つと、彼女は一部を否定し、一部を半ば認めるという返事を行って来た。俺は、彼女の表情を崩す為に彼女へ言い放ったが、彼女の表情を崩す事はかなわず、代わりに彼女から挑発の言葉が返って来た。

399適当:2013/01/17(木) 07:03:40 ID:myYBVV8w
「あっははぁ〜。いいよ、別に。それより、ピカチュウ君。明日は、どんなエッチする?」
「は?」
「どうせ、ピカチュウ君は僕に負けるんだしさぁ〜。ね、ピカチュウ君どんなエッチがいい?君に指導権を握らせてもいいよ?」

“コイツ…言わせておけば…。”俺は、【雷神】の間の番人が余裕を持ち始めたのを見計らって、彼女を自分の体の上から退(ど)かし、脱ぎ捨てたスーツを着て、彼女を睨みつけて言い放った。

パシッ
「うわわ!!」
トン
ムクッ
スル スル…
ジー
「覚悟しろよ?次こそは必ず勝ってやるからな?」

俺が勝利宣告を行うと、【雷神】の間の番人はいたずら気に微笑み、再び俺を挑発し始めた。

「どうやって勝つの?投げ技もダメ、じっとしてても、僕にカウンターも出来ない。もう、エッチで僕を“最高”に満足させてくれたら、バッチあげるルールにする?」
「うるさい。そう何度もセックスさせるか。君のデータ(戦術)は取れた。今回は、ランチャーヘッドバッドが“不発”したから負けてしまったんだ。次が君の敗北記念日だ。」
「あはは。ランチャーヘッドバッドってロケット頭突きの事?ふ〜ん、まぁいいや。じゃあ、また明日ね。」

“コイツ、どこまでもなめやがって…。”俺は、【雷神】の間の番人から挑発を受けると、彼女を睨みつけたまま、負けてしまった理由を言い放ち、彼女へ再び勝利宣告を行った。俺の勝利宣告と負けてしまった理由を聞き入れるも、一つの事柄には全くふれず、俺の言葉を無かった事にするかのように、軽く流し、俺へ別れの言葉を言い放った。俺は、彼女の言葉を受け取った後に、腕時計についているリタイアボタンを押し、【雷神】のステージから姿を消した。

400適当:2013/01/17(木) 07:06:54 ID:myYBVV8w
俺は、【雷神】のステージから寝食を共にする部屋へと戻って来た。実際には、こんな何の飾りも無い殺風景な真っ白い部屋でなど寝食なんて共にしたくは無いが、各ステージからの疲れわや空(す)きっ腹、体力の回復、更には技の会得まで出来るのは、今の所この部屋だけである。技を得られるから“まだマシだ”と思うだけで、技の会得が出来なければ、自分のお気に入りの部屋で、寝食を共にした方がマシだと思う程の部屋である。なぜ、こんなに俺はこの部屋に対しての愚痴を叩いているのだろうか。後で気付いたが、先程闘ったステージでステージの番人に挑発されて、(彼女の前では理由があって表に出さなかったが)相当頭に来ていたという事だ。俺は、中央の床を拳で殴り叫び声を上げていた。

ドン ドン
「ああ!!くっそ!!アイツめ!!どこまでも、俺をコケにしやがってぇぇぇ!!」

“何か声を出したらスッキリした気がする…。”心の不満を部屋に響かせると心の中の何かしらわからない霧のような物が晴れ、心地良くなっていくのを感じたので、俺は続けて叫び声を上げた。

「いい気になるなよ…。もう、二度と俺とセックスなんてさせるかぁぁ!!次だ。次は必ず、撃ちのめしてやる。」

“今日は、新技の不発のせいでリズムが崩れた。更には、アイツが予想外の投げ技返しもして来た事で負けてしまっただけだ。おっ、なんか冷静になって来たな…。”再び心の叫びを表に出すと、俺を怒らせる原因が完全に姿を消した。代わりに、俺の頭へ入って来たのは、“冷静に物事を考える”というものであった。“そうだ…。ヘッドバッドを完璧にしなければ!!まずはそれからだ。もう勝ちは見えている…。”俺は、自分の一番やるべき事を考え出し、自分へ予定を言い聞かせた。

「今日は、ダメージが少ない…。今の時間は…。」
チラッ
「昼の2時…。腹は空いていない。体力の補給も必要無い。よし、行ける!!1時間、2時間で技を完璧にして、もう一度…。」
グゥゥゥ…
「………。」

“結局、腹は空いているな…。”俺は、いざとばかりに移動を移そうとすると、前言撤回を求めるように“ウソをつくな!!”と自分の空きっ腹に言い放たれた。“仕方ない…。食べてからだな。”俺は、やむを得ず食事ルームへと歩を進め、用意されていた食事を摂った。

401適当:2013/01/17(木) 07:10:03 ID:myYBVV8w
モグモグ
ゴクゴク…
カチャ
「はぁ!!よし、今度こそ大丈夫だ。」

用意されていた食事の内容は、別に言う必要はない。ただ、俺自身の意見があるので、飲み物に関しては言っておこうと思う。用意されていた飲み物は、赤色の液体で飲むと奇妙な味かつ、何かしら酸味のある味がするも、【雷神】のステージで抜かれた精力だけが元に戻って来た。勝つ事しか考えていない俺には、下半身に熱がこもり始めるのを感じるも、“まぁ、ダメージはほとんど受けていないから、こうゆうドリンクを飲まされるだけだな。当然と言えば、当然なんだが…。それにしても、ここってこんな飲み物結構多くないか?なんでこんな飲み物ばかりあるんだ…。”食事の際に出された飲み物の効果を体で感じつつも、あまり快(こころよ)くない飲み物を出す連中に対して呆れていた。食事を摂り終え、監禁した連中に十分呆れた俺は、中央へと戻り再びトレーニングへと精を出し始めた。

スタスタスタ…
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
ググ…
「ヘッドバッド!!」
バヒュン
ドン
「いたっ!!くそっ!!」
クル
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
ググ…
「ヘッドバッド!!」バヒュン
ドン
「くっそ!!もう一度ランチャー…」

新しい技を完璧にする為に、どれ程放っただろうか。気がつけば、俺は数え切れない程この技を放ち、練習していた。といっても、この技しか練習する必要は無いんだが…。何度も放ったおかげで、俺自身に、新しい展開が訪れた。

402適当:2013/01/17(木) 07:12:59 ID:myYBVV8w
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
ググッ
「ヘッドバッド!!」
バヒュン
「そこだ!!」
シュタン

“よし…出来た!!倒れずに、着地出来たぞ!!”俺が必死の練習を兼ねたおかげで、訪れた新しい展開とは、新しい技を放ち、普通攻撃が外れるならば体勢を整えるのが難しい所を、攻撃対象が無くても、見事に着地する事が出来るというものであった。なぜ、この技をここで完璧にしたからには、(二つ目の理由には、後で気付いたが)理由が二つあった。一つは、【雷神】の間の番人に勝つ為。相手も俺と同じく素速さと接近技中心なので、新しい技を完璧にする事により、無駄なく相手よりも速く動けるからだ。二つ目…これが、後で気付いた理由なのだが、電光石火よりも高速移動よりも、数倍速いスピードを出して動く事ができ、かなり有効な移動手段にも使えるという事であった。新技を無事完璧にした俺は、荒げる呼吸を落ち着けながら腕時計へと目を遣(や)った。

「はぁ…はぁ…。」
チラッ
「3時半…。よし、10分、20分休憩してから出発だ。」

“だが…。大変な事になったな。やり過ぎたせいで、もう後3回使えるか、使えないかだな…。”俺は、疲れた体を休めながらも、足に強い疲労を感じ、推測混じりの懸念を抱いていた。呼吸がだんだん落ち着いて来て、先程の激しいトレーニングにより熱を帯びてた体が冷え、通常の体温を感じ始めたので、腕時計へと目を遣(や)った。【15:55】という表示が示されていたので、“やり過ぎたせいで5分オーバーしてしまったな。”と密かに反省をし、休めていた体を起こし、【雷神】の間の番人が待ち受けるステージの入り口へと歩を進めた。

403適当:2013/01/17(木) 07:15:46 ID:myYBVV8w
俺は、【雷神】のステージへとたどり着いた。3度、このステージを訪れた事になるが、相変わらず、荒れた大地、枯れた木々、微かに漂う土の臭いは変わらず、変わるのは俺の意識だけであった。“ランチャーヘッドバッドを完璧にした。もう負けは無い。”寝食を仕方なく共にする部屋で完全に会得した技を待っている事により、不思議とは言わせない確信たる自信しか沸いて来なかった。俺は心の中を、自信・勝利という二つの言葉で満たしながら、静かに対戦相手を待った。数分後、前方から憎き敵(かたき)である【雷神】の間の番人が現れた。

スタ スタ スタ
「こんにちわ〜、ピカチュウく〜ん。」
「気の抜けた返事だな。バカに出来るのもここまでだぞ?」

【雷神】の間の番人は、俺の前に立つといたずら気に微笑み相手を愚弄するような、奇妙な声で俺の名前を呼んだ。俺は、彼女へ脅しをかねた質問をぶつけたが、彼女はひるまず、ワザときょとんとした表情を浮かべて俺へ訊き返した。

「え?エッチしに来たんでしょ?」
「ふざけるな。俺は君に“勝ち”、バッチを“奪い”に来たんだ。君とセックスなんか二度とするか。」
「えぇ〜。どうせ負けるのに?ルール変更してもいいよ?」
「いい。そんなのは必要無い。」

【雷神】の間の番人へ訊ねられると、俺は二つの単語を強調して勝利宣言を行った。彼女は、俺の言葉を間に受けず、“初めから結果は見えている”とばかりに言い放ち、俺にルール改正の選択肢を与えた。もちろん俺は、卑猥な事をする為に来たのでは無く、彼女へ勝ちに来ているので、彼女へ拒否の意を示した。すると彼女は、俺を更に挑発しようといたずら気に微笑み、言い放った。

「あっははぁ〜。僕は幸せだよ。一日に二回も遊べて、二回もエッチ出来るなんてさぁ〜。」
「そうか、幸せか。今に見てろ、君の幸せをぶち壊して屈辱を味わわせてやる。」
「あはは。じゃあ、始めるよぉ〜。ま、負けると思うけどねぇ〜。」
「うるさい。さっさと押せ。」

【雷神】の間の番人の挑発に対し、俺は彼女へ脅しをかけた。彼女は俺の脅し文句を耳に入れ、俺へ挑発込みの開始の合図を送って来た。俺は、彼女へ一言“黙れ”とだけ言い放ち、彼女よりも先に接近戦を仕掛けられるように身構えた。俺の返事の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

404適当:2013/01/17(木) 07:19:13 ID:myYBVV8w
プンッ…
『READY…GO!!』
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
「あっははぁ〜!!そう何度もさせないよぉ!!」
タッタッタ…
ピョン
「空中二度蹴りぃ〜!!」

“今だ!!コイツの攻撃を空振らせて、僅かな隙を作ろう!!”俺は、開始の合図と同時に新技を放とうと、腰を下げ特有の姿勢を取った。【雷神】の間の番人は、“技を出さすまい”と俺に急接近し、俺の目の前を飛び上がり、俺の顔めがけて自分の必殺技の一部を放とうとした。俺は、彼女の動きを見計らって、大きく後ろへ後退した。

シュッ
タン
「あ…あれぇ?」
タン
「あはは。やるじゃん。そうこなくっちゃ、面白くないよね。」

“バカめ。油断したな!!俺は、練習を重ね、溜めなくても使えるようになったんだ!!この距離なら避けられない!!”俺が見事に【雷神】の間の番人の攻撃をかわすと、彼女は俺が急に自分の目の前から遠ざかり、技を当てられなくなった事にほんの少し驚き、やむを得ずその場に着地した。俺は、彼女が着地した直後を見計らって、彼女が予想も出来ない攻撃を素速く仕掛けた。

グッ
「ランチャーヘッドバッド!!」
バヒュン
「え?ええ!?ちょ…ちょっと待って!!」
ピ…
ガツン
「うぐぅ!!」
シュタン

“よし、ここで決める!!喜べ、最初はお前の望み通りの事に近いサービスだ!!”【雷神】の間の番人は、俺があまりにも早く通常では出来ない事をし出したので、驚いてあわてて飛び上がろうとしたが、俺の攻撃が早かったので、額に俺の新技を受けて、その場に座り前足で痛みが生じる場所を抑えていた。俺は、彼女へ心の中を現実世界で似たような事を言い放ち、通常ではありえない、信じられない攻撃を放った。

「そんなに気持ち良くなりたいなら、気持ち良くしてやる!!」
「いてて…。え?ど…どうゆう事?」
シュッ
ジュボッ
「あうぅ!!」
「スカイアッパァァァ!!」

“何にしても…最低だな、俺は。”俺が【雷神】の間の番人へ放った、信じられない技とは、彼女の割れ目目掛けて、上方に指で突くように放った、真剣に死闘を繰り広げている者とは、思えない技であった。彼女は宙に浮かせられながら、前足で自分の一番大事な部分を抑えて、何かを訴えるような目で俺へうろたえ始めた。

405適当:2013/01/17(木) 07:23:22 ID:myYBVV8w
フワッ…
「ピ…ピカチュウ君…。そこは…反則だよ…。焦るじゃんか。」
「なら、もっと焦らせてやる。」
パシッ タン
グン
「うわぁ!!ちょ…ちょっと…何!?」
「ブレードテイル、たたき落とし!!」
グルン
ドン
「うわぁぁぁ!!」
ヒュー
ウダァァン
「いったぁぁ!!うぅ…、頭が…痛い。」

俺は、【雷神】の間の番人の発言に適した返答をし、彼女の肩を使って、更に上上がり、彼女の頭目掛けて、硬質化した尻尾を使って懇親の力でなぐり、彼女をそのまま下へ落下させた。彼女は、俺が急に自分の肩へ手をついて、自分より上に上がったので、驚いてとまどっていたが、俺の最後の必殺技を頭に受けて、悲痛の声と下の地面が迫ってくる事に焦り出した声が混ざったような声を上げて、そのまま俺と共に下へ落下した。地面に衝突すると彼女は、俺に最後の攻撃をされた所を口に出して、痛みを訴えていた。俺は、彼女の上から退(ど)いて、うつぶせになって倒れている様を見て彼女へ敗北を突きつけた。

「勝負あったな。君の負けだ。」
「うぅ…。あはは…。負けちゃった…。」
「さぁ、約束通りバッチを渡してもらおうか。」

【雷神】の間の番人は、うつぶせ状態で自ら敗北宣言を行った。俺は、彼女へ“勝負で賭けていたものを手渡せ”と言い放ったが、目的の物はすぐには手渡されず、彼女に疑わしく思わされるようなほめ言葉を掛けられた。

「はぁ…。いてて…。ピカチュウ君、強いね。」
「どうせウソなんだろう。君は、“今油断したせいで負けただけだ”とか思っているんだろう?」
「ううん。違うよ。このルール…僕が考えた物じゃないんだ。」
「は?どうゆう事だ?」

“コイツが考えたルールじゃない?”俺は、彼女の言葉が本当であるとは思えなかったので、彼女へ突き放すように言い放つと、彼女は否定し、何を思ったのか知らないが、俺に真実の一部を話し出した。俺は、訳がわからず彼女へおもむろに訊ねると、彼女はそのままの状態で語り出した。

406適当:2013/01/17(木) 07:27:26 ID:myYBVV8w
「これ、ショーン中尉の助言なんだ。」
「助言?」
「うん。僕は、“刀やアイテムを使われると勝てないよ。どうしようぉ〜。”って相談したら、“だったらサンちゃん、君が操ればいい。ルールを変えるのじゃ。これを使って脅してのう。”って言われて…。」
「それで手渡されたのが、アースグレーネード…。」
「うん。ごめんね、勝手にルール変更なんかしちゃって…。」

【雷神】の間の番人は俺の返答を聞くと、申し訳なさそうな表情を浮かべて、俺へ謝罪の言葉を言い聞かせた。俺は、彼女が完全に降参の意志を示した事がわかったので、彼女へ微笑みを向け言葉を紡いだ。

「あっはっは。いいさ。俺も、最近思っていたんだ。刀やアイテムのおかげで勝ててるとな。ここへ来て…あまり自分自身の成長を感じていなかった。毎日、感じるのは正々堂々と闘っていない卑怯な自分。どんな手を使ってでも勝つ…。いくら、早くここから脱出(で)たいとは言え、これはダメだな。」
「あはは、そうなんた。そんな事、考えていたんだね。でも、ピカチュウ君はやっぱり強いよ。闘ってて、そう思った。楽しかった。こんなに、闘いが楽しく感じたのはここへ来て始めてかな…。」
「そうか。話は終わりか?」
「うん。でも、1つだけ…。最後に、お願いを聞いてくれないかな?」

“お願い?う〜ん、どうしようか。コイツには、散々バカにされて来たからな…。”【雷神】の間の番人は、俺の返事を受け取ると笑顔を向けて、再度俺をほめたたえ、嬉しそうに俺へ胸の内と思われる事を呟いた。俺は、彼女へ訊ねると彼女は甘えるような声も態度も示さずに、素のままの自分で俺へ懇願して来た。俺は、彼女の頼みを聞き入れるかどうかと迷ったが、“サンっていう名前のサンダースは私のお友達だから、優しくしてあげてね。”という少女との約束を思い出し、彼女へいたずら気に微笑み、彼女へ訊ねた。

407適当:2013/01/17(木) 07:30:23 ID:myYBVV8w
「ふっ、俺に何をして欲しいんだ。」
「ピカチュウ君も、そんな顔するんだね。」
「やっと、君の上に立てるからな。君には、悪いが最高の気分だ。」
「あはは。エッチの時に、おでこにしたじゃんか。今、ちゃんとチューしてくれないかな?」
「わかった。」
ガシッ
「うわぁ!!ちょっ…いきなり何…」
チュッ
「にぃ…?」

俺は、【雷神】の間の番人の頼みを耳に入れると、彼女を持ち上げ、彼女の唇に自分の唇を触れさせた。彼女は、俺が急に抱き上げたので驚いて声を上げていたが、俺の唇を受け取った後は、ほんの少し顔を赤く染めて小さく呟いた。俺は、彼女を抱きしめ、彼女へ感謝の言葉を紡いだ。

ギュッ
「ありがとう。君のおかげで、成長出来た気がする。君が、俺を怒らせてくれたおかげで、新しい技も出来るようになったんだ。」
「くすっ、じゃあ僕のおかげで勝ったようなものじゃんか。僕に感謝してよ?」
「うるさい。さっさとバッチをよこせ。もう、君とはオサラバだ。」
「あはは。ごめんごめん。じゃあ、これ…。」
ピンッ
パシッ
「ふっ、素直に渡してくれるだな。」
「当たり前じゃん。ピカチュウ君、さようなら。君なら、ここから脱出(ぬ)けられるよ。絶対、生きてここから脱出してね。」
「ああ。」

【雷神】の間の番人は、俺に抱かれつつも、俺に恩着せがましい言葉を言い放った。俺は彼女から離れ、彼女へ目的の物を要求すると、彼女は楽しげに笑って、自分の軍服の胸についていた、黄と白をベースにした“γ(ガンマ)”と描かれたバッチを俺に手渡した。俺は、彼女からバッチを受け取り彼女へ言い放つと、彼女は“愚問である”とばかりに即答し、俺に別れを告げ、俺の生還を望むような言葉を告げた。俺は、彼女の返事を受け取ると、彼女へ了解の意を伝え、腕時計についているリタイヤボタンを押し、【雷神】のステージから姿を消した。

408適当:2013/01/17(木) 07:33:13 ID:myYBVV8w
シュン
タン
「よし、勝ったぞ!!」
シュバッ

俺は、【雷神】のステージから元の真っ白い部屋へと姿を戻した。姿を戻した直後に、自然と声を部屋中に響かせ、誰がどう見ても“コイツは喜んでいるな”と思わせる、両手を高く上げ、勝利を表に出すという動作を行っていた。俺は、勝ち取った、黄と白がベースの“γ(ガンマ)”と描かれたバッチを見つめて、心の中では勝利の雄叫びを上げ、現実世界では【若葉】と示された扉に向かって、報告を行っていた。

チラッ…
「フィア、約束は守ったぞ。ま、最後だけしか優しくしない中途半端な…優しさだったがな。」

“とは言え、武器もアイテムも使わずに、レベル40台の俺がアイツに勝ったんだ!!俺は…やれば出来るんだ!!アイテムなんか使わなくても、刀なんか使わなくとも、隊員達(こいつら)に勝てるんだ!!”俺は、【若葉】と示された扉へ報告とは言い難い独り言を呟き、再び自分の予想外の成長と強さに喜びはしゃいでいた。そのままの気分を保ちつつ、勝ち取ったバッチを中央へと置き、洗濯機に向かい洗濯済みのスーツを取り出し、汚れたスーツを脱いで洗濯機に入れて洗濯機を起動させ、洗濯済みのスーツを持ったまま、シャワールームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ
ジャアアア…
ゴシ ゴシ
キュッ
「ふぅ〜。さて、今日は悩みも何も考える事は無い。浸かる必要は無いな。」

俺は、シャワールームで体を洗い終え、勝利の心地良い気分を高めるように、自分に言い聞かせ、体を震わせて、水気を飛ばしてスーツを着用し、食事ルームへと歩を進め、食事を摂った。用意されていた食事を摂りつつも、俺は心の中で不敵な笑みを浮かべて、過去に出会った者へ何かを伝え始めた。

409適当:2013/01/17(木) 07:35:23 ID:myYBVV8w
カチャ…
モグモグ…
“ふふ。愛梨(あいり)、君がなぜ俺にロケット頭突きを教えなかったかわかったぞ。”
カチャ…
モグモグ…
“それは、教えてしまったら、俺にクラスで一番強い生徒の座を簡単に奪われてしまうからだろう?”
パシッ
ゴクゴクッ…
トン
プハァ
“だが、残念だったな。今、君はサンドパンに進化し、更に腕に磨きをかけているだろうが、俺はもう君には、技一つさせない自信がある。”

“まぁ、愛梨(あいり)が今でも空手をやっているかどうかはわからないが…。”俺は食事を摂る最中、1から10までずっと心の中で独り言を呟いていた。独り言を呟いている内に、不敵な笑みが表に現れてしまう始末であった。“そういえば、愛梨(あいり)の将来の夢は、空手家になる事だったハズ…。もしも空手家になっていたら、一度勝負したいな。俺の父さん直伝の“CQC”とどちらが上か比べようじゃないか!!”食事を終えてからも、勢いよく心の中で独り言を呟いた俺は、当然とばかりに満足し、中央へ歩を進めた。

スタ スタ スタ…
チラッ
「あと、4つ…。綾、待っててくれ。すぐに、ここから脱出して君を俺の元に…。」

【業火】、【闇】、【伝説】、【幻想】とそれぞれ示された扉を見つめて、自分の愛する雌へ向けて言葉を紡ぎ、勝利の象徴であるバッチの隣に刀を置き、俺、バッチ、刀と奇妙な川の字を描き、俺は眠りの世界へと旅立っていった。

試練5 【雷神】 完


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