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持ち帰ったキャラで雑談 その二

1名無しさん:2007/05/13(日) 21:30:22
リディア「僭越ながら、新しいスレを立てさせてもらいますね」
アーチェ「本スレにはあげられないのをあげる場所だから。主にSSかな」
リディア「それでは、楽しんでください」
アーチェ「いつでも参加募集中〜」

2確執編十章:豪雨の茶会      2/5:2007/05/13(日) 21:31:43
 違う。
 あたしは答えをすでに知っていた。
『知らない』から、知っている。
 赦せなかった。
 あの時の、あのリディアの言葉だけは。
 時間の流れくらいでは消え去らないほどに。

 ――あたしが持たないものを持ってるあの娘が。
 ――あたしが持たないものを手に入れて。
 ――あたしに対して、紡いだ言葉。

 どれかひとつでも欠けてれば、ここまで理性を失うことはなかっただろう。
 あの娘は理解してるんだろうか。
 自分がどれだけの高みからあたしを見下して、あの言葉を紡いだのか。
 持たないからといって、あたしは欠けてるわけじゃない。
 不幸の看板背負って生きてきたつもりなんてないんだ。

 確かにあたしとあの娘はよく似たところがある。
 けど、違う。
 その違いを、あの娘は本当のところ理解してない。
 しょせん上っ面だ。言葉で理性的に区分けして、その意味が見えてない。
 だからあんなことが言える。

 ――バカにすんな。

3確執編十章:豪雨の茶会      3/5:2007/05/13(日) 21:32:28

 ・二日目 PM12:00 サイド:アーチェ

「やっぱり観光地のおみやげ屋は風情があるデスねー」
 こういうところに来るとカメラスキーの血が騒ぐんだろう。
 さっきからカメラのレンズ越しからしか世界を見ずに、ふらふらとあちこちを彷徨う四葉。
「はい、ジョニーの糧さん。チーズ」
「おう! って誰がジョニーの糧だよ! ――僕は覗き魔だから」
「…わざわざ自己主張するあたり本物デスね」
 さすがに観光地だけあって、街並ひとつとっても住んでる街とはずいぶん違う。 
「いい、四葉。今度勝手に姿を消したらおでこに『迷子』って書くわよ。当然、油性」
「う゛っ!? そんな人間迷子札は激しくイヤデス…」
「あははは、弱そうな悪魔超人だね――僕は覗き魔だから」
「ならあんたも自分のおでこに『覗き魔』って書いとけば? 史上最弱のヘタレ超人が誕生するわよ」
 人が行き交うだけでいっぱいの細い道の周囲に立ち並ぶ、見慣れたそれとは違った家々。
「おぉ! 今や懐かし三角ステッカー! これはチェキデスっ!」
「へぇ、なんだか昔の駄菓子屋チックね」
「お、スコープじゃん。僕がガキの頃住んでたとこってド田舎でさ。
 よくこれ使って遊んだもんさ――僕は覗き魔だから」
「…子供の頃から覗き魔だったわけ、あんた?」
 ただ歩いてるだけなのに、不思議と穏やかな気持ちになれるのが不思議だった。
「あ、四葉。ハンカチ落とした」
「僕が拾ってやるよ。…はい、気をつけなよ――僕は覗き魔だから」
「ど、どこ覗いてるデスか!?」
「陽平…あんた白昼堂々、それは人としてどうなの?」

「もうイヤじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 春原が奇声をあげながら地面をのたうちまわりだした。
 即座に杏が蹴飛ばして黙らせる。賢明な判断だ。
 けど、今回は惜しくもすぐに復活した。
「何で普通に会話してるだけでヘンタイになってくんだよ!」
「春原」
 軽くこめかみを押さえてから――ひと睨み。
「罰罰ゲーム」
 気迫に押され、「ひぃっ!」と黙り込む春原。
「け、けどこれってあんまりだろ!」
「本当のことじゃん」
「どこの世界に『覗き魔』自称して歩く奴がいるんだよ!」
「最初の一人、っていい響きだと思わない?」
「場合によるだろっ!」
「はいはい、わかったわよ。――なら罰罰罰ゲームね」
「もうイヤじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

4確執編十章:豪雨の茶会      4/5:2007/05/13(日) 21:33:09
「あ、国崎さんデス」
 四葉が指差す先。見慣れた銀髪が目に入った。
 どうでもいいけど、周囲の風景からビビるほど浮きまくってる。
「国崎…アンタ、何してんの?」
 胡坐をかいて道端に座ってたその姿は、あたしの声に顔を上にあげた。
「見ればわかるだろう」
「わかんないから聞いてんだけど」
 冗談抜きで本当にわからない。
「あのな…人形劇に決まってるだろうが」
「どこに人形があんのよ」
「お前らが俺からふんだくったまま返さないんだろうが!」
「答えになってないし」
「このガキ…仕方がないから、部屋にあったので代用することにしたんだよ」
 言って、指差す先。

 カミソリと石鹸が転がってる。

 しばし、無言。
「……これで、何をするって?」
 こめかみを押さえつつ、うめく。
「人形劇」
「動くの?」
「動くとも」
 動いた。うぞうぞと。
『…………………………』
 きっとあたし達は、揃って同じ顔をしてたことだろう。
「……せめて、関節らしきものがあるので代用しなさいよ」
「ムチウチになったヘビと、陸に上がった死にかけのナマコみたい」
「亀さんだってもっと機敏に動くデス。けどこれはこれで面白いのでチェキ、と」
「文句言うなら人形返せ!」
 当然のように無視して。
「で? 誰か見てく人、いるの?」
「いや。何故か思いっきり避けて通られる」
「……お願いだから、捕まるのだけはやめてよね」
 これ以上話をして関係者と思われるのも嫌なので、
あたし達はもはや何も見なかったことにしてその場を通り過ぎた。

5確執編十章:豪雨の茶会      5/5:2007/05/13(日) 21:33:52
 ふと気づくと、昨日まであった蒼穹は姿を消し、
空一面に黒と灰のグラデーションが立ち込め出していた。
「何か日が陰ると、途端に寒くなる気がするわね」
 襟を押さえて服の中に寒気が入るのを防ぐ杏。
「ひょっとして、雪でも降ってくんのかしら」
「それもいいかも。きれいだし」
 と、一人先行してた春原がふいに戻ってきた。
「おい、向こうに穴場の共同浴場があるってさ」
「何? 絶好の覗きスポット?」
「僕の言葉が信じられないなら、向こうの連中に聞けよ。女の子もいるし」
 その先には、なるほど、数人のメンバーが談笑してる様子。
「知り合い?」
「ついさっき知り合ったばっかだけど。僕らと年同じくらいらしいぜ。
 行くなら、一緒に行かないかってさ。どうする?」
 正直、ちょっと春原のことを見直した。
「春原、アンタのそういう誰とでも気さくに話せるとこは嫌いじゃないよ。
 ――けどアンタ、覗き魔だもんね…」
「ホント、そこは陽平の長所よね。
 ――けどあんた、覗き魔だもんね…」
「いい加減それ引っ張るのやめてくれませんかねぇっ!?」
 もちろんあたしとしてはその提案に異論はなかった。
「じゃ、一緒に……」

 ――その時。

 針で突き刺すような痛みが頭に走る。
 一瞬目を閉じた瞬間、世界は『変わった』。

 足音が聞こえてくる。
 あたしでなければ、音の主は一人しかいない。
「お楽しみのところ、申し訳ありません」
 ――『アクマ』。

6確執編十一章:ギリギリの導き      1/8:2007/05/13(日) 21:35:04

 ・二日目 PM2:00 サイド:アーチェ

 昨日と同じだ。
 街は死に絶え、あたりにはあたしと『アクマ』の気配しかない。
「昨日も思ったんだけど…これはアンタの芸なわけ?」
 不気味なほど静まり返った世界に、あたしの声が残響する。
「…………」
「あたし達以外誰もいない世界。『意識は世界に属し、世界は意識に属す』…だっけ?」
 そのことですか、と前置きしてから、
「そうですね。私の能力です」
「あ、そ」
「期待していた答えと違いましたか?」
「いんや、そうだろうと思った」
 ――あくまで無力を装う、か。
「ま、いっか。ギャラリーいない方がやりやすいのは確かだし」
「やる気なようで安心しました。逃げ回られると困りますので」
「足が遅いとか?」
「逃げ回る者の背中を刺し貫くのが性分にあわないだけです」
 手を前にかざすだけで、両刃の剣がそこに握られる。
 頬を冷や汗が伝った。
『彼女』の剣の威力はすでに昨日まざまざと見せ付けられてる。
 そこに殺意がブレンドされれば、あたしは一瞬で輪切りにされるだろう。

 ――アイツは、あたしを『アクマ』に殺させたいってわけ?

 怒りがこみ上げてくる。こんなの理不尽だ。
 相手は目的を告げもせず、一方的にあたしを殺そうとしてる。 
 昨日、電話越しに耳にしたアイツの言葉が蘇る。
『どれだけ勝手暴悪に見えても、そこには必ず意味がありますから』
 ――こんなもののどこに意味があるってのよ!

7確執編十一章:ギリギリの導き      2/8:2007/05/13(日) 21:35:57
「『アクマ』」
 そう言葉を紡いだのは、しかしあたしじゃなかった。
 聞こえてきたのは背後。
 振り返ると、いつの間にかそこには一人の姿が立っている。
 流れるような金の長髪。どこか物憂げな瞳。
 そして、腰に長剣を携えた出で立ちは。
「……セリス」
 かつては軍属だったこともあるという、生粋の剣士。
 その双眸が冷たくこちらに向けられている。
 ――冗談じゃなかった。
 一対一でさえ絶望的なこの状況下で、さらに伏兵が現れるなんてありえない。
 アイツが求めてるのは戦いですらない、ただの殺戮だとでも言うんだろうか。
 けど、意外にそれを否定する言葉が向こうから来た。
「交わされた契約を忘れたか。示威行為以外で抜剣するなら黙っていない」
「……契約?」
 あたしの知らない何かが、二人の間で行われている。
「黙っていない、ね。ならば、どうするというのです?」
「無論、お前の敵に回らせてもらう」
 そもそも、と、
「私はお前達の間で一方的に取り交わされたルールが気に入らない」
「それがすべてにとって正しい、とあの人間は考えているようですけれど?」
「傲慢な。他人に押し付けていい正しさなどあるものか」
「部外者のあなたが、ずいぶんと入れ込んだことを」
「部外者というなら、お前も、あの男も、同じことだ」
「――平行線、ですか」
 小さく溜息をひとつ。
「それこそあなたの自己満足に過ぎないというのに」
 明らかに両手で扱う長大な剣を、しかし彼女は片手で構える。
 実戦剣術というより、どこか儀礼的な優雅さをまとった立ち振る舞い。

「いいでしょう。一人も二人も変わりません。
 アレには『反逆の末に共に掃滅』とでも伝えることにします」

8確執編十一章:ギリギリの導き      3/8:2007/05/13(日) 21:36:53
 どうも話はあたしを置き去りにして勝手に進んでいった様子。
 何が何やらわからないまま、あたしは『アクマ』に剣の切っ先を向けられた。
 ――んな理不尽な流れで、殺されてたまるもんですか!
「アーチェ」
『アクマ』と対峙してるため、自然背後から聞こえてくる声。
 振り向きもせずに応える。
「何?」
「奴の剣戟は私がおさえる――あなたは後ろから私のサポートをして」
 言葉の間に挟んだ、一瞬の間。
 その空白の間に、声はすぐ隣から聞こえてくるようになった。
「一体、何がどうなってんの? 何でアンタはあたしの味方をしてくれるワケ?」
「話してる時間があると思う?」
 腰の柄に手をかけながら、『アクマ』の方を一瞥。
「けど、そうね――」
 その目に揺らぐのは、紛れもない――殺意。

「私は奴らが一方的に振りかざしてる正義が気に入らない。それだけ」

 殺し合いは、いきなりあたしじゃ視認できない速度で始まった。
 5メートルはあった彼我の距離を一瞬で0に縮め、セリスが『アクマ』の胴体を薙ぐ。
 が、そこにすでに『アクマ』の姿はない。
 軽く宙を跳ね、ギリギリのところで剣先をかわしながら、
あろうことかその体勢のまま空中で袈裟斬りに剣を振るう。
『アクマ』は重力に縛られない。中空は彼女にとって第二の支配領域だ。
 セリスもその動きは予想してなかったのか、素人目にわかるほど対応が遅れた。
 左肩から断ち割られる様が脳裏をよぎる。
 ――やられる!
 と思った瞬間、セリスの左手が動いた。
 いつの間にかその手に握られた短剣が、『アクマ』の剣閃をかろうじてうけとめる。
 逆にガラ開きになったその胴体に向けて、セリスの刺突が疾った。
 それより早く宙を空打ちした翼が『アクマ』の体を背後へと遣る。
 セリスもまたバックステップで間合いをとる。
 右手には剣を、左手にはそれよりわずかに刃の短い投擲用の剣を携えて。
 
 一連の動作が、わずかまばたき数度の間に行われた。

9確執編十一章:ギリギリの導き      4/8:2007/05/13(日) 21:38:49
「アーチェ。ボーッと見てないで加勢してよ」
 こちらのすぐ傍まで戻ってくるなり、どこか拗ねた声音で一言。
 たった今見せた死戦とのギャップと相俟って、なんだか可愛い。
「……ど、どうやって加勢すんのよ」
 今この2人が展開した死合は、あたしじゃ目で追うのがやっとの世界だ。
「あなた、魔法使いでしょう?」
「そうだけど…あんな接近戦でボコスカやってるとこに、魔法なんて撃てるわけないじゃん」
「どうして? 逃げ回らないだけ返って当てやすいでしょうに」
「アンタにも当たっちゃうでしょうが!」
 あたしには至近距離で戦ってる2人のどちらかだけを狙うなんて不可能だ。
 いや、たとえ出来たとしても、やらない。
 正確にどちらかを狙ったとしても、その余波は確実にもう一人を巻き込むだろう。
 セリスは少し考えるように黙ってから、あぁとうなずいた。
「そうか、アーチェは知らないのね」
「何がよ」
「まぁいいわ。とにかく私のことは構わなくていいから、最大出力で援護をお願い」
「だから、大丈夫な理由を説明してってば!」
 応えの代わりに、銀光が交わる激しい金属音が轟いてきた。

 セリスの戦闘スタイルは、右手に片手用の細身剣、左手に投擲用の短剣というのが主流らしい。
 見た目は確かに二刀流だけど、実際の戦闘スタイルはイメージとはちょっと異なる。
 二本の剣で滅多に斬り付けるなんてことはしないで、
右手で攻撃する時は短剣を盾に、左手で攻撃なら細身剣を盾にと、
つまりは剣と盾の役割をその都度変えてくってものらしい。
 そのスタイルは千変万化で、攻撃に一定のリズムがない。
 リズムがあるってのは、つまりは流れが決まってるってこと。
 それは戦闘を支配する意味を持つ反面、自分の流れに動きを縛られるって欠点も持ち合わせる。
 格闘ゲームを思い浮かべてほしい。一定のリズムを持ったコンボは決まれば有効だけど、
何度も使ってればそのうち相手にリズムを読まれ、逆用されてしまう。
 それと同じことだ。
 特有のスタイルを持つ『アクマ』の剣術の前には、下手なリズムはかえって隙をつくってしまうんだろう。
 うん。それはいい。
「……で、この状態でどうやって魔法を使うのよ」
 当たり前だけど、威力が大きい魔法ほど効果範囲は広くなる。
 最大出力なんかで撃てば、たとえ数メートル離れてたって巻き込んでしまう。
 ――けど、セリスはそれをわかった上で、あぁ言ったんだよね。
 なら、彼女にも何か策があるんだろう。
 あたしはそれを信じることにした。

10確執編十一章:ギリギリの導き      5/8:2007/05/13(日) 21:40:09
 互角に見えた勝負は、けど徐々にセリスが押され始めるという劣勢ムードの様相を呈してきた。
 もともと軽量化を重視した剣身は、『斬る』ことに向いてない。
 重さが足りない分、威力が削がれるからだ。
 だからセリスの必殺は、常に『突く』って動作に乗せられる。
 その欠点は――言うまでもない。効果範囲が極狭ってことだ。
 これが普通の相手なら、幾度か剣を捌いた先に隙を見出して必殺を当てることも出来るんだろう。
 けど、戦闘領域が三次元な『アクマ』とは分が悪かった。

 呪を紡ぐ。
 それはあたしにとって、言葉を紡ぐのとさして違いのない動作だ。
 けどそこには意味がある。
 世界に能動的に影響を与える、『魔法』としての力。
 物心ついた時には、息を吸うのと同じ感覚でそれが使えた。
 どういう原理で使うんだ、ってたまに聞かれたりするけど、そんなのあたしは知らない。
 ――リディアなら答えられるかもしれないけど、さ。
 そんなのいちいち知らなくたって魔法は使えるし。
 普通の人だって、手を動かしたり、呼吸したりするのに『どうやって』なんて考えないだろう。
 あたしにとっての魔法ってのは、つまりはそういうものだ。

 あたしの視界で、2つの存在が一進一退を繰り返してる。
 本気の一撃なら『アクマ』を止めるのも不可能じゃない。
 けど、それは確実にセリスを巻き込む。
 そもそも仲間を巻き込まないように魔法を使うなんて、すごく気を使う作業だ。
 多人数での戦闘で全力を振るうなんて無理と言いかえてもいい。
 敵を倒す代償に仲間を失うなんてシャレにならない――

 ふと、違和感が走る。

 敵? 誰が?
 決まってる、『アクマ』だ。
 向こうは理由は不明だけど、こっちの命を狙ってて、
 ――それなら、こっちも相手の命を奪ってもいいっての?

11確執編十一章:ギリギリの導き      6/8:2007/05/13(日) 21:41:25
 ちょっと待て。
 あたしは何を考えてたんだろう。
 いくら不可解な状況で命を狙われたからって、相手を殺していい道理なんてあるわけない。
 そもそもあれは『アクマ』であると同時にリヴァルでもある。
 彼女には何の罪もない。
 いや、罪の有無なんて問題じゃない。

 いつからあたしは魔法を『相手を殺す道具』として使うようになったんだ。

 そりゃ確かにあたしが使えるのは攻撃系の魔法ばっかりだ。
 リディアの召喚獣みたく応用も利かないし、一撃で人の命を奪える凶悪なのだってある。
 けど、それなら使わなければいいだけの話。
 殺されそうになったら、相手を殺してもいい? そんなの自分勝手な言い訳だ。
 どんな理屈も言い分も、人を殺していい理由にはならな――

 ゾッとした。

『あの時』、あたしは何をしようとした?
 今と同じように、ただ怒りに駆られたあたしは、魔法を。
 ――リディアに、全力でその力を振るおうとしたんだ。
 何も見えちゃいなかった。
 自分の力も、その意味も。
 あの時のあたしはそれに微塵も躊躇がよぎらなかった。
 やろうとしてることは、今とまったく変わらない。
 その時――そう、本当にその時になって、あたしは初めて思い至った。

 あたし、リディアを殺しててもおかしくなかったんだ――

12確執編十一章:ギリギリの導き      7/8:2007/05/13(日) 21:42:33
 確かにリディアはあたしと同じ魔法使いだ。
 普通の人に使うのと違って、たとえ全力で力をぶつけたところで死ぬとは限らない。
 事実、あたし達は一度本気でぶつかり合ったこともある。
 だけど――いや、だから。
 あたしはいつの間にか、魔法が持つ力を失念してた。

 その力は、人一人をこの世界から消すには十分過ぎるってことを。

 ――あたしは、何てことを…
 自分のやろうとしたことに愕然とした。
 怒りに任せて、そんな当たり前のことを忘れてたなんて。
 アイツや春原に対して自然に使ってたことも、それに拍車をかけてたのかもしれない。
 けど何を言ったところで、すべてはいいわけだ。
 事実は、消えない。

「――アーチェ、早く!」

 その声に我に返った。
 折りしも、セリスの持つ細身剣が弾き飛ばされ、地面に突き立つところだった。
 膝を突くセリス。――早く、と叫ぶ。
 早く? 早く、どうしろっての?
 決まってる。魔法だ。
 魔法を使わないと。
 でないと、セリスは『アクマ』の剣に――
 けど、あたしが魔法を使えば、今度こそ誰かを殺してしまうかもしれない。
『アクマ』か、セリスか。
 あたしに命の重さを決める資格なんてあるんだろうか。
 敵だから攻撃してもいい? 違う、そんなのは自己の正当化だ。 
 けど、『何もしない』って選択肢はあっても、『決定を先送りにする』なんてのはない。
 けど、けど、けど――

 ……あぁ、またあたしは、いいわけをしてる。

「……決められないよ」
 涙が、頬を伝った。
「決められるわけ、ないじゃん」

「――なら死になさい」

 世界が、暗転した。

13確執編十一章:ギリギリの導き      8/8:2007/05/13(日) 21:43:57
 死んだ――はずだった。
 けど、気づくとあたしは杏や四葉に囲まれて、またも地面に寝転がってた。
「………………あたし、寝てた?」
 杏の顔は怖いくらいに怒りで歪んでた。
「だ・か・ら、『寝てた?』じゃないっての!!」
 がくがくと揺さぶられるも、思考がいまいちついてこない。
「あんた、まさか何かの持病持ちとかじゃないでしょうね?」
「あー…実は脳が」
「やっぱり」
「即座に頷かないでよ。冗談に決まってんじゃん!」
 夢――なんてことは今さら考えない。
 あたしは確実に『アクマ』に殺されて、けど傷一つなくここにいる。
 ――ひょっとして、あそこでの死はこの世界に何の影響も及ぼさないってこと?
 それなら昨日のあたしが無傷だったこともうなずける。
 けど、なら『アクマ』のしてたことは一体なんだったのか。
「ねぇ、杏。あたしどんくらい意識失ってた?」
「どのくらい…って、10秒も経ってないわよ」
 長かったらとっくに救急車呼んでるって、と付け足される。
 死なないだけでなく、時間的な対応もないらしい。
 別世界、とは微妙に違うだろう。
 あの世界はこことまったく同じ構造をしてた。
 ただ、人の姿がなく、死が存在せず、時間の流れが繋がらない。
 ――まるで、この世界を中古のコピー機で印刷したら出来上がった劣化品のような。
「で、本当に大丈夫なわけ?」
 杏の瞳は不安でかすかに揺れてる。
 四葉に至っては軽く涙目だ。
 それが、なんだかすごく嬉しかった。

「アーチェ。何で撃たなかったの?」

 鼓動が一際強く跳ねた。
 仮初の喜びなんて、その一言であっさりと吹き消された。

「あれ、セリスさんデス」
「何で…ってか、いつの間にここに来てたのよ?」
 二人の言葉を無視して、セリスはこちらに詰め寄ってくる。
「あそこで私達が『死んだ』のは、あなたが撃つのを躊躇ったからよ」
 気遣いなんて微塵もない、直球の一言。
「……だって、あそこで撃ったら、アンタに当たったじゃん」
「構わないと言っただろう!」
 怒気をはらんだその声に、あたしはビクッと身を竦ませる。
「覚えておけ。戦場で力を使うことを躊躇う者は、死体と変わらない」
 場に沈黙が訪れた。
 誰も――あたし以外誰も、セリスの言葉の意味は理解できないだろう。
 それでも、彼女がまとう雰囲気がこの現実からかけ離れてるものだってことはわかる。
「…………」
 あたしは何も言い返せない。
 セリスの言葉は正しい。あそこであたしは迷うべきじゃなかった。
 けど、それでも。
 自分の愚かさに気づいたあたしに、命の秤を使うことなんて出来なかった。
 セリスの手がこちらに伸びてくる。
 叩かれると思った。
「……けどね」
 それまでの怒りはもはやそこになく。
「命の重さを量れないあなたの優しさは、尊ぶべきものだと私は思う」
 その指があたしの頬に触れる。優しく、いたわるように。
 ――ずるい。
 こんな気持ちの時に、そんな言葉を使われたら、泣くに決まってるじゃないか。
「迷うべき時は、必死に迷って。けど、決断すべき時には躊躇わないで」
「……うん、うん」
 ボロボロ涙を流すみっともない姿で、あたしはセリスの言葉に何度もうなずいた。
 セリスはかすかに笑みを浮かべ、もはや無言できびすを返した。
 そして――ピタリと止まる。
 何かを思案するように首を上に傾け、さらに停止。
 そのままわずかに小首を傾げ、こちらを振り向いた。

「あの…ここ、どこ?」

 涙は、長い間支払料金を滞納した水道みたいに強制的に止められた。

14紅魔の見る夢:2007/05/21(月) 17:37:18
紅魔館のロビーで引っくり返っている少女の姿にレミリアは微かな頭痛を覚えた。隣では少女の゙母゙が手摺に寄りかかり、からかう様に笑っている。
「ごめんねぇ、フランドール。アサヒったらいつまで経ってもよわっちくてつまんないでしょ?」
フランドール、と呼ばれた少女がきょとんとしながら、レミリア達を見上げ、困ったように首を傾げた。
「うるせぇよ、大きなお世話だ」
倒れたままの少女、アサヒが服の埃を落としながら、不機嫌そうに起き上がる。
途端にフランドールが彼女に飛び付き、心配そうに顔を覗きこんだ。
「アサヒ、大丈夫?手加減、また出来なくて…ごめんなさい」
しゅんと力なく羽根を垂らしながら、フランドール。
「気にすんなよ、誰だって初めはそんなもんだってーの」
くしゃりと少女を撫でてやりながら、励ますように笑いかける。
「そうそう。アサヒだって今もよく真っ黒になってるからねぇ」
「そうなの?」
「だーっ!母さん!あることないこと言うなよ!
フランも!母さんの言ってる事なんか信用すんなよ!」
一人わめくアサヒの様子がおかしく、思わず誰もが吹き出す。


ただ、一人を除いては。


「…くだらない」
そう吐き捨て、背を向けるレミリアに紅がふと思い付いた様に声をかける。
「レミリア、そんなにあの子が嫌いなのかい?」
その言葉に一瞬、足を止めかけ―しかし、何事もなかったかの様にレミリアは足早に暗がりへと姿を消したのだった。
「…素直じゃないねぇ」
そんな紅の呟きはレミリアが歩いていった廊下に溶けて、消えた。

15紅魔の見る夢:2007/05/21(月) 18:44:08
「これはどういう事?」
しん、と静まりかえった館を見回しながら、レミリアは不機嫌そうに呟いた。
たしか…ロビーで弾幕ごっこをするフランドール達に苛立ちを覚え、部屋のベットに潜り込んだ筈だった。
それから…急に紅茶が飲みたくなり、咲夜を呼びつけたのだが、いつまで経っても現れない彼女に苛立ちを覚え始め、部屋を出たのだが…。
「全く…ほんとに揃いも揃って役に立たないメイドばかりね。
主人の呼び出しに応えないなんて」
苛立たしく靴音を響かせながら、長い廊下を進む。誰一人の姿もない。
「…………」
やがて苛立ちは焦りに変わり、半ば走るかの様に廊下を進む。部屋を一つ一つ見ても、誰も居ない。
「ちょっと!誰か、誰か居ないの!?」
叫びながら、廊下を走る。普段なら「お嬢様、はしたないですよ」と背後に現れる咲夜が居ない。
「パチェ!門番!咲夜!フランドール!お願い…誰か」
手摺に手を付きながら、乱れた息を整える。
誰も居ない。そう思っただけで吐きそうになった。


(っしゃあ!今日は負けねぇからな!)
「!?」
(へーんだ。アサヒになんか絶対負けないよーだ!)
不意に聞こえた声に手摺から身を乗り出す。
そこにはいつもの様に弾幕ごっこに興じる妹とその友人の姿。


楽しそうに笑い合う二人がどこか遠くにあって、ただ一人取り残された気持ちになって。
「淋しかった…?この私が…?」
そう言った途端、レミリアの視界は闇に包まれた。

16紅魔の見る夢:2007/05/21(月) 19:35:26
「レミリア?ちょっと大丈夫?」
不審そうな紅の声にレミリアは辺りを見回した。
紅魔館のロビー。下でわめくアサヒ、それを見て笑うフランドール。
…夢?
「まぁ弾幕張り慣れてるあなたにはアサヒの拙い弾幕じゃあつまらないと思うのも無理は無いと思うけど」
そこらへんは勘弁してあげてね、と肩をすくめる彼女を尻目にレミリアはくすりと笑い、
「そうね。でもせっかくだから私が直々に弾幕を伝授してあげるわ」
「え゛っ?!」
「わーい!お姉様との弾幕ごっこなんて久し振り!」
ただ一人、悲鳴を上げるアサヒを無視してレミリアは弾幕を展開した。


「にしても、紫に似てずいぶんお節介ね」
「あれ、ばれてた?うまく隠れたつもりだったのになぁ」
ひょこりと窓から入ってきたフヨウに溜め息を付きながら、頭を指差す。
「あんたのアホ毛が窓の外で揺れてたからねぇ。
にしても…レミリアに一体どんな夢見せたのよ?」
「んー…独りになっちゃう夢、かな」
「…バレたら弾幕ごっこだろうね」
「大丈夫!僕頑張って避けまくるから!」
避けまくるだけじゃ意味はないだろうに。
そう思いながら、紅は再び撃墜された娘の救出に向かうのであった。



〜蛇足〜
フランドールが姉離れしていくのが寂しいけど、そうとは言えないレミリアな話。
フヨウが夢を操れるのは某悪夢さんのせいだったり…放出して話には出てこないけどまだとりあえずくっついてます

17対峙編、abstract:2007/05/22(火) 22:02:31
(注:この話は俺作品の中でも特に主観の強い話になっています。
  故に自分の解釈のみを是とし、他の主観を廃絶している可能性が極めて高いです。
  恣意をこめているつもりはありませんので、悪しからず)

時期:退屈編と星海編の間。季節的には去年の夏頃から冬間近までという設定

背景:退屈編が終わりしばらく経った頃。「俺」の独断で全キャラを放出
(去年の8月初め頃。覚えてない人はそういうことがあったと思ってくれれば)
それからしばらくしてリディア様とアーチェの二人を再び持ち帰り

スレ的事実としてはそれだけだが、二人は放出されたことにそれぞれ想いを抱く
と同時に、自分達が「神」の作った世界の住人であることを知る
(この辺のくだりを詳しく知りたい人がいたら、星海編を参照)
すべてを単なる事実として認識したリディア様に対し、
アーチェはどうしてもそれを認める(あるいは許す)ことが出来なかった
故に「神」であり観測者である存在を否定するようになる
(ここからアーチェの長い反抗期が始まる。誰も覚えてないだろうけど、
 スレ一周年の時などでアーチェがやさぐれてたのはそのため)

軋轢は日を追うごとに大きくなり、ついに臨界を迎える

以下は、その時のやりとり

18対峙編       1/7:2007/05/22(火) 22:03:42
 ――誰がこの世界を定義したんだろう。
 らしくないと思う。自分はいつからそんな哲学めいたことで悩むようになったのか。
 けれど、考えずにはいられない。
 夢でもいいと思っていた。
 すべてがある一瞬で消えてなくなってしまってもいい。
 今を全力で楽しむことが出来るのなら。

 ――なら、あたしは何が許せないんだろう。
 らしくない。悩むのも、いらつくのも、全然自分らしくない。
 いつからこんなにも後ろ向きな人間になったのか。

 そこまで考えて、ふいに、自嘲。
 ――『あたしらしい』って、何だっけ?

「ねぇ、リディア」
 アーチェの問いかけに、リディアは振り向かずに応える。
「何?」
「何で、アンタはアイツを許せるの?」
 彼女の視界には、蒼しか映っていない。
 空の蒼。海の蒼。そして、境界を結ぶ蒼。
 ここにリディアを呼び出したのはアーチェだ。
 話がしたかった。彼女が何を思ってその道を選んだのか。
「許す、って、何を?」
 とぼけているのではない。リディアは本気で、アーチェの言葉が理解できないのだ。
 自分と同じでありながら、自分とは異なる結論を導き出した少女。
「リディアだってもうわかってんでしょ? あたし達はアイツが作ったオモチャ。
 所持されるのも、捨てられるのも、全部アイツの気分次第」
「………………」
「あたしね、ようやくわかったんだ。なんでこんなにイラつくのか。
 ――あたしがね、いないの。どこにも」
 自分はここにいる。だが、ここにいない。

「アイツは、あたしのことを何にも理解してないのに。
 それなのに、自分の都合であたしの心を捻じ曲げる。
 ……そんなの、あたしは耐えられない」

19対峙編       2/7:2007/05/22(火) 22:04:30
 リディアは、しばらく無言だった。
 身じろぎひとつせず、アーチェの存在を完璧に廃絶して、視線を蒼に向けていた。
 どれだけの時間が経っただろう。
「……そうだね。それはきっと、正しい」
 小さく頷いて、こちらを振り向く。
 アーチェは目を見開いた。
 リディアは、笑っていた。ひどく透明な笑顔で。
「けどね。あなたはとても重要な事を見落としてるよ、アーチェ」
 何故、そんな笑顔を浮かべて彼のことを語れるのか。
「私達は、確かに『彼』が作ったお話の登場人物に過ぎないのかもしれない。
『彼』が思いついた物語の上で踊らされているだけかもしれない。

 ――でも、それが何?

 前にアーチェ、言ったよね? 『私達はここにいる』って。
 現実とか夢とか、考えてもしょうがない。覚めない夢は現実と変わらない。
 何を悩むの? 何に腹を立てるの?
 生きてることに苛立っても、私達はここでしか存在出来ないのに」

「……それが」
 ややかすれた声で応える。潮風にあたっているせいだろうか、ひどく喉が渇いた。
「そう思うことがアイツのせいだとは、考えないわけ?
 アイツはあたし達の心さえ弄れる。いくらでも自由に動かせる。
 絶対に信用なんて出来ない。出来るわけない。そんなヤツなのよ?」
「………………」
「アンタはアイツの味方をさせられてんのよ、リディア」
 大きな波に水が逆巻き、わずかな音と共に砕けて呑まれる。
 リディアはアーチェから目を逸らしていた。何かをこらえるように。
 ――事実を認める心さえ、あたし達には存在しないのかな。
 そんなことを考える。
 アーチェはリディアの答えを待っていた。そして、それは長い空白の後に叶えられた。

「あなたは……少し頭を冷やした方がいいみたいだね」

 腹を立てているのかと思ったが、そうではなかった。
 リディアはやはり笑っていた。だが、その質はひどく悲しげなものへと変わっていた。
 道が違えたことを、アーチェは悟った。
 それもアイツが原因だ。リディアは『彼』の味方をするのが「役目」なのだから。

「王よ。意思通ずるなら、応えて」

 アーチェは抵抗しない。リディアが自分に怪我を負わせるはずがない。
 反撃することも可能だったが、矛先を彼女に向けても意味がなかった。
 この怒りは、然るべきところに向けられなければならない。
 ――考えてみなよ、アーチェ。あなたのその怒りは、どこから生まれてくるの?
 海面から爆発的に伸びてくる水の帯に呑まれる直前、そんな言葉を聞いた気がした。

20対峙編       3/7:2007/05/22(火) 22:05:22
 無為に時を刻むのが好きだった。
 何をするでもなく。何を求めるわけでもなく。
 時の移ろいと共に影が伸び、夕焼けに染まり、そして夜の帳に包まれていくのを
ただ眺めているだけで、全身に震えが走るほどの幸せに包まれた。
 安上がりな幸せと思う者もいるかもしれない。
 それでもいい。幸福を独り占めというのも、退屈だが、悪くはなかった。
 故に、今日もここにいる。
 大概一人で。たまに、数人で。
 鳥居の奥、神が住まうと言われる社の庭で、彼はぼんやりと佇んでいた。
「お月見? 風流だね」
「……風土が流れ行き渡ると書いて、風流。実にいい言葉だと思いません?」
 声のした方を見れば、そこには落ちかけた帳の中でも映える桜色の髪。
 だが、その有り様に彼は思わず眉を潜めた。
「どうしたんです? この寒空の下で着衣水泳でもしてたんですか?」
 アーチェは見るも無残なほどびしょぬれだった。
 髪からは今なお滴が地面に引かれて落ちている。
「ねぇ、『ライール』」
 ぞくりと、体が震える。
 それは動揺と幸福がない交ぜになった不思議な感覚だった。
「…………珍しいですね。名前で呼ぶなんて」
「アンタがそう望んだからじゃない?」
 冷たい微笑。彼は曖昧に笑みを返す。
「アンタさえ望めば、あたしは自ら望んで何でもしちゃうんじゃないの?
 だって――あたしはアンタの操り人形に過ぎないんだから」
「………………」
「けど、アンタはそうしない。あたし達に触れようともしない。
 ――善人でも気取ってるつもりなワケ?」
「違います」
 即答。
「俺は自分を善人だとは思ってません。何故なら、俺は俺が望むことしかしてませんから」
 その言葉に、アーチェは一瞬だけ微かに笑みを浮かべた。
 即座にそれは怒りの形相へと変わる。

「……なら、何であたしはアンタのことが許せないのよっ!」

21対峙編       4/7:2007/05/22(火) 22:06:39
「何でこんなに辛いの? 何でこんなに苦しいのよっ!
 あたしをいいようにしたいなら、そうすればいいじゃん!
 アンタが嫌いなわけじゃないのに、あたしはアンタを憎んでる。
 それがどんだけ苦しいかわかってる!?」
 彼女の顔は変わらず濡れていて。
 頬を伝うものがしたたる滴なのか、それとも別の何かなのか、判断がつかない。
「リディアがね、言ったの。あたしの怒りはどこから生まれてきてるのかって。
 ……わかってるよ、言われなくったってそんなこと。
 アンタはあたし達の気持ちを尊重してくれてんでしょ?
 あたしが――本当のあたしが気に入らない事を、アンタは強要しない。
 あたし達を自由にさせようとしてくれるのだって、ちゃんとわかってる。
 ……だけど、だけど!」
 気づくと、アーチェの顔が目の前にあった。
 宵闇の中でも目尻に溢れる輝きを覗けるほどに。
「だからって……あたしにアンタを憎ませないでよっ!!」
 ――嫌いたかったわけじゃない。
 憎みたかったわけじゃない。
 楽しければ、そう、楽しければそれでよかったのだ。
 たとえすべてが『夢』であったとしても。
 アーチェが何より許せなかったのは。

「アンタは、自分のしてることを許せないから、あたしにアンタを許させないだけじゃない!!」

 リディアと話をして、アーチェははっきりと理解した。
 彼は偽善者だ。善人ではないけれど、決して悪人でもない。
 臆病で、アーチェ達を欲望の赴くままに動かせなかっただけかもしれない。
 けれどそれは自分達を大事に思ってくれている証拠だ。
 リディアが彼を否定しないのは、彼女がそういう人間だと彼が思っているから。
 もちろん自己弁護の気持ちだってあるだろう。
 けど、何よりリディアの意思を尊重していることはアーチェにもわかった。
 それは誰よりもアーチェ自身が、リディアならきっとあのように答えるだろうと思ったから。

 だから、アーチェは彼の事が許せない。
 自分が彼を憎むのは、アーチェならそうするだろうと彼が考えているからだ。
 彼はこの状況下で『アーチェは自分を否定する』と思っている。
 それだけじゃない。
 彼は臆病で、優しい。だから自分のしてることを許さない。
 そのために、弾劾役としてアーチェを配置したのだ。

 操られてるとか、いいように動かされてるとか。
 そんなことは心底からどうでもよく。
 ただ、自分がその程度の人間とみなされているのが、純粋に気に入らなかった。

22対峙編       5/7:2007/05/22(火) 22:07:36
「……ケリをつけよう、ライール」
 アーチェの右手に光が宿る。同時に青白色の魔法陣が、彼女の足元で淡い輝きを発し始めた。
「これからもあたしにアンタを憎ませるなら、この世界からあたしを消して。
 それを認めないっていうなら、あたしは全力でアンタを――倒す」
「……それが無意味なことだと、理解していますか?」
「どういう意味?」
「俺がそう望むだけで、あなたは決して俺に魔法を使えない。そういうルールだからです。
 今この瞬間に俺に土下座して許しを請わせることだって可能なんですよ?」
「悪人気取りはいいって。つまんない」
 そんなことが出来るなら、とっくの昔にアーチェの風呂ぐらい覗いているだろう。
 彼は何よりアーチェ達の意思を尊重する。
 今、こんな状況が生まれていることこそが、その証だ。
 彼が許さない限り、アーチェは彼に反抗心を抱くことすら出来ないのだから。
「アンタが許せないのは自分だけ。その動機付けのためにあたしを利用しないで」
「あなたは俺を肯定しない。それが最も自然な在り様なんですよ」
「勝手に決めるなっ!」
 あいている左手で、彼の頬を思い切りひっぱたく。

「アンタの勝手な理屈で、毎日身近にいる人を嫌って生活するなんてまっぴらごめんよ!」

 その言葉に、彼は初めて動揺の表情を浮かべた。
「……そうか、そうですよね。そこまでは考えていませんでした」
 そして、苦笑。救いようがないな、というように。
「他人の心を完全に把握出来ると思うことが、そも愚かなんでしょうね」
「当たり前のことを今さら語ってんじゃないわよ、バカ」
 アーチェの顔にも薄い笑みが浮かんでいる。
 その右手の輝きが、さらに増した。
 夜を引き裂くほどに青白く燃える光。
「ここであたしがアンタを撃てなかったら、アンタは今のあたしが望む通りにしなさい。
 これはアンタが想像《創造》する、紛れもないあたしという存在が紡いだ結論よ」
「もし、撃てたら?」
「アンタは確実に死ぬ。それでこの『夢』は終わる」
「そうですね。その通りだと思います」
 故に、これは駆け引きにすらなっていない。
 終わりを迎えたくなければ従えと言っているのだ。最初から選択の余地などない。
 それを把握した上で、彼は頷いた。
「……わかりました。あなたが望むようにするといいでしょう」
 その言葉に、アーチェの瞳から感情が消えた。

23対峙編       6/7:2007/05/22(火) 22:08:41

「――天高満つるところ我は在り」

 好き、という言葉で表現するのは陳腐だとアーチェは思っていた。
 男女の感情を介することは彼が認めていない。
 故に彼を恋愛対象として見ることは、決してない。

「――黄泉の門開くところ汝在り」

 ただ、そこにいるのが当然だった。
 傍に居ても不快ではなく。さりとて心地よいというほどのものでもなく。
 隣に在っても特に何も思わない。そういう存在。
 彼はそんな『自然』を何より尊んでいたんだと、アーチェは思う。
 ――なんと虚しいことか。
 彼とアーチェ達の関係上、それは決して叶うことのない幻想に過ぎないのに。

 けど。
 それでも。
 アーチェはそれを、悪くないと思う。

「――出でよ、神の雷《いかずち》」

 そして――

24対峙編       7/7:2007/05/22(火) 22:09:41
「灰も残らず蒸発してしまいましたとさ。はい残念、なんちゃって」
「……何? その無理矢理畳んだ風呂敷みたいな結末」
 凛とした鋭さを宿す、初冬の朝。
 吐く息が白く凍る空の下、彼は傍らの少女と共に、朝露に濡れる木々の中に佇んでいる。
「今のはですね。『灰』と『はい』、『残』ると『残』念をかけた高等な……」
「冗談はいいから。結局、どうなったの?」
「一言で斬って捨てられるといつか泣くので気をつけてください。
 ――俺が生きてるのが何よりの結果提示だと思いません?」
「それは、そうだけど」
 すると彼はアーチェとの対峙に破れたことになるのだが。
「全然残念そうじゃないよね?」
「そも負けても俺は何も失いませんし」
 ただ、と言葉を続ける。
「アーチェに何でも背負わせていたのは、確かに俺の落ち度でしたから。
 それだけは、何とかしたいなーと」
「……それなんだけど」
 リディアはこれまで何度か口にしようとして、しかし出来なかった言葉を、意を決して紡いだ。

「あの夜、帰ってきたアーチェの顔が耳まで真っ赤だったのは、何で?」

 しばしの間。
 それから、爽やかな表情で、一言。
「風邪でしょう」
 虚空から現れた巨大な腕が彼の体を鷲掴む。
「もう少し気の利いた答えがほしかったなー」
「返答ミスで圧死の危険ですか俺。――いや言うのは構わないんですよ。けど」
「けど?」
「言えると思いますか?」
 リディアには、彼の言葉の意味がわからない。
 彼はわずかに息を漏らしてから、おもむろに口を開いた。
「……あの時のアーチェといったr」
 言葉の途中で閃く雷鳴。それは寸分狂わず彼の登頂に直撃する。
「とまぁ、こうなるワケ」
 いつからいたのか、そこには桜色の髪を風になびかせる少女の姿。
 それが当然とでも言うかのように
「……なるほど。予想して然るべき、だね」
 苦笑。
 結局は何も変わることがなく。
 しかしそれ故に得られるものがあるのだと――そう、思う。

                to be continued "星海編"

25確執編十二章:振り返りの推奨      1/7:2007/05/31(木) 20:40:03

 ・二日目 PM2:00 サイド:リディア

 その中に踏み入った瞬間、私の中で何かが変わった。
 それはこの世界が作る大気によるものか。
 あるいは、ここが出来てから今まで流れてきた時間に、私の心が囚われたせいかもしれない。

 もう何百年も前に建てられたのだという、木造の古びた建築物。
 視覚が構築する風景をそのままに言語化してしまえば、ただそれだけでしかない。
 けれどそれは刻まれてゆく時計の針の中、世界という根源に根を張って。
 いつしか静謐な原初の記憶に溶け込んだ。
 今の私はこの建物を通して、『いつでもないいつか』の果てに触れている――

「リディアさん。詩人ですね」
 え、と思って振り返れば、そこにはいつもの早苗さん。
「ひょっとして…声、出してました?」
「はい。とても素敵な表現だと思います」
 どうやら意識で語るのを忘れた分、無意識が勝手に言葉を紡いでいたらしい。
「いえ、言ってる私にも意味のわからない言葉ですし」
 独り言を聞かれた(しかもポエム風だ)気恥ずかしさを、わたわた手を振ってごまかす。
 ただ、と、
「あらゆる物事に始まりはあって。けどそれは途方もなく昔のことで。
 私はそんな昔の世界を知ってるわけじゃないのに、この建物の今を知っている。
 ――それはきっと、どんなものにも勝る幻想。
 刻まれた時間が長いほど、多くの人がそれに触れて。確かめて。
 けど、それでも――私達が知ってるのは『今』だけなんですよね」
 早苗さんは答えない。
 やっぱりこの人はすごいと思う。
 私がこの言葉にこめた意味に気づいたから、何も言おうとはしない。 

 私は朝からずっと『あの日』のことを考えていた。

26確執編十二章:振り返りの推奨      2/7:2007/05/31(木) 20:41:24

 ・零日目 サイド:リディア

「あ、早苗さん。私も手伝います」
 古河家がここに来てから、それなりの時間が経つ。
「いえ、私は大丈夫ですよ」
「けどいつも仕事を任せてたら悪いです」
 早苗さんは四六時中家事で体を動かしている。
「好きでやってることですから」
 にこりと笑顔。
 そう返されてしまうと、何も言い返せない。
 と、そこに秋生さんと渚が乱入。
「おー、早苗。今日もコスモにシャインな感じが素晴らしいぞ」
「秋生さんも、ポップでシルクな感じがとっても素敵ですよ」
「そーかそーか。おら、マイソン渚もグレートにボムってみろ」
「私ボムったりしないですっ」
「それに秋生さん、ソンは息子ですよ」
「あー、そうだっけか? 何、生えてるか生えてないかの違いだろ」
 ……何ていうか、この一家はすごい。
 親子という明確な形を持った『家族』を見るのは久しぶりだったので、
危うくこれが普通の『家族』なんだと最初は錯覚しそうになった。
 ――けど、理想的なことには変わりないよね。
 素直に、羨ましい。
 それはかつてあったもの。
 けど今はないもの。

 声をかけることさえ憚れる気がして、私は無言でその場から離れた。

 今に不満があるわけじゃない。
 そんなこと考えたらみんなに失礼だ。
 だから、そう――それはわがままなんだと思う。
 今に満足してて、それでも求めずにはいられない衝動。
 この感情を的確に表現出来る語彙を私は持っていない。
 ただ、強いて言うならば。
 それは、迷子の子供が覚える『喪失』に近かったのかもしれない。

 気がつくと、私はいつも早苗さんの後についてまわっていた。
 何かをするわけでもなく。何かを求めるわけでもなく。
 ただ、隣においてほしかった。
 ――誰よりも、お母さんに近い人だったから。
 そこに失った『母親』の幻想を重ねてるだけだということには、とっくに気づいていた。
 けど、それでもよかったんだ。

 だって、早苗さんは涙が出るくらい優しかったから。

27確執編十二章:振り返りの推奨      3/7:2007/05/31(木) 20:42:26
 だけど、それはある時突然失われた。

 始まりはアーチェの一言だった。
「リディア。アンタ最近ずいぶん早苗さんにひっついてんね」
 何気ないその一言に、何故か私の背中に冷たいものが走った。
「……そう、かな?」
「うん。なんかこう、母鳥の後ろについてまわる小鳥みたいな?」
 ぴく、と私の眉が動いた。
 今のアーチェの言葉は何かおかしかった。
 内容が、というより、そこにまとわせた雰囲気が、だ。
「偶然じゃないかな。早苗さん、いつも率先して家事してくれてて、何か申し訳ないし」
 これが彼女でなかったなら、正直に胸の内を明かしていたかもしれない。
 けれど、私はアーチェの過去を知っている。
 彼女は物心ついた時に母親を失っている。私と同じように。
 だから、そう。

 ――それはきっと、後ろめたさと表現されるものに違いなかった。

「ふーん」
 アーチェの返答はそっけない。
 それだけなのに、私の心は激しく漣(さざなみ)立った。
 何だか、遠まわしに嬲られているような気がした。
 後ろめたさに付随する感情が何なのか、その時の私はまだ気付いていなかった。
 と、それまでそっぽを向いていたアーチェがこちらに向き直った。
 目が合う。
 そして、彼女はその言葉を口にした。

「じゃあさ。なんでアンタ、『しまった!』って字を顔に貼り付けてるワケ?」

 激しく鼓動が跳ね、全身が凍りついたように動かなくなった。
 ――見透か、された。
 ようやく気づく。
 これまでの会話は、私を秤にかけていたのだと。
「何か気になってたんだよねー。度々ちらちらとこっちの顔を伺うような素振りしてたじゃん?
 ……ねぇリディア。まさかとは思うけど」
 嫌な汗が流れ、インナーが体に張り付くのに煩わしさを覚える。
 ――本当、何だかすごく、イヤな感じ。
「アンタ、あたしに申し訳ないとか思ってない?」
 後ろめたさに付随するもの。

 それは自己防衛のための苛立ちだと、気づいた時には遅かった。

28確執編十二章:振り返りの推奨      4/7:2007/05/31(木) 20:43:33

 ・二日目 PM2:00 サイド:リディア

 ふと、誰かに頭をはたかれた。
 疑問符を浮かべながら振り返る。
「タッチしました。もう鬼の運命からは逃れられません」
 得意気に胸を張る風子。ますますわからない。
「あの…実はふぅちゃんが、退屈だから鬼ごっこしようって」
 どうやらここは風子の退屈を紛らわせるのには向かないらしい。
 苦笑する。確かにアクティブ派な風子向けの場所とは言えない。
 そんなことを考えている間に、あたりの空間はたちまち風子ワールドに呑まれていった。
「風子の逃げ足はドドリア級です! 簡単には捕まりません」
 すごいのかすごくないのか、やっぱりまったくわからない。
「ちなみに風子はまだあと二回変身を残しています」
 つまりすでに一度は変身しているわけか。これには妙に得心。
「さぁザーボンさん、やっておしまいなさい!」
 少なくとも鬼に対して反撃するゲームは、鬼ごっことは呼ばない。
 ここでしばしの間。
「ふぅちゃん、それって私のことですか?」
 きょとんとした顔で、渚。風子は当然だと言わんばかりに頷いて、
「そうです。ザーボンさんも変身してギャリック砲でどかーんです」
 どうでもいいけれど、渚はギャリック砲とやらを使う側なのか、それとも使われてやられる側なのか。
「私、変身なんて出来ないですっ」
 つっこむところはそこじゃない気が。
「仕方ないです。風子が直々にお相手してさしあげましょう」
 いやだから。
「か〜め〜は〜……」
 何だろう。何かが激しく間違っていると、誰かが私に告げている。

「……め〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 ――あぁ、もう何かがひどく、やりきれない。

「敵はこなごなになりました」
 されたらしい。
「風子にチェーンソーは必要ありません」
 変身の効果はすさまじい。本当に。
「ご褒美に風子の最終形態をお見せしましょう」
 ここで変身するんだ。しかも一足飛び。
「あ、今Bボタンが押されました。変身はストップです」
 もう何が何やら。
「というわけで、あなたが鬼です」
 戻ってきた。

 とりあえずすべてのツッコミを心の中にしまいこんで、私は風子を捕まえに走った。

29確執編十二章:振り返りの推奨      4/7:2007/05/31(木) 20:44:15

 ・零日目 サイド:リディア

「アンタが早苗さんに懐くのは勝手だけどさ。あたしに妙な同情するのはやめてくんない?」
 怒気を孕んだアーチェの声を、どこか遠くで聞いていた。
 同情。確かに、そう捉えられてもおかしくない。
 ――けど、釈然としない。
 私が無言を貫くことを受けて、アーチェがさらにまくし立てる。
「アンタは記憶があるから、幻想を重ねられる。あたしにはそれがないから出来ない、とか?
 ……その考え方が、どれだけ高いとこからあたしを見下してるか、アンタわかってるわけ?」
「……ってない」
「え?」

「そんなこと…私、言ってないじゃない!」

 自分でも驚くくらいの声量が出た。
 これは予想外だったのか、アーチェも思わず言葉を止めた。
「勝手に被害者ぶって、悲劇のヒロイン気取って、私を悪役にしないでよ!」
「なっ……」
 もともと後ろめたさから圧迫されていた感情が、アーチェの言葉を引き金にして爆発した。
 頭の片隅で、自嘲気味に考える――あぁ、私は今、大切なものを壊そうとしている。
「そうだよ。私は早苗さんに『お母さん』の姿を見てた。
 それはアーチェにそこまで責められなきゃいけないこと?」
「あたしの話聞いてた? んなのはどうでもいいの! あたしは……」
「嘘」
 ぴたりと、アーチェが硬直する。
「どうでもよくないから、そうやって声を荒げるんじゃない。
 アーチェだって私と同じなのに、自分には出来ないから私につっかかってくる」
 今の私はきっとひどく嫌な顔をしているだろう。
「本当にどうでもいいなら、同情云々なんて言葉を使って私を否定したりしない。
 あなたは記憶を持ってないから、私に嫉妬してるだけ!」
 取り返しのつかないことをしているのは、わかっていた。
 けど、止まらない。堰が決壊した時点ですべては手遅れだった。
 アーチェの顔から、一切の感情が消えた。
「……言ってくれんじゃない」
 それは今だかつて見たことのない、アーチェの本気の怒りだった。
 この火力に比べれば、『彼』との諍いの時のなんてマッチの火くらいのものだろう。

30確執編十二章:振り返りの推奨      6/7:2007/05/31(木) 20:45:15

 ・二日目 PM4:00 サイド:リディア

「前々から疑問に思ってたんだがな」
 試食用の八橋を掲げながら、一言。
「なんでこれ、こんな形してんだろうな」
 おみやげ屋に入るなり、真っ先に秋生さんが口にした言葉がそれだった。
 まじまじと私もそれを見つめる。
 四角形の白いお餅みたいなものの中に、あんこを入れて挟んだ三角形の物質。
 確かに珍しいかもしれない。
「食感も、お餅より硬いけど柔らかくて面白いです」
 少しずつちぎってちまちまと口に入れているのは渚。
「私、中学の時の修学旅行も病気で休んでしまったので、八橋を食べるの夢だったんです」
 つまり念願がようやく叶ったわけだ。
「味の方も、けっこう面白いよね」
「はい。言葉では表現できない美味しさです」
 渚の表現は、時々オーバーな気もするけれど。
 そんなことも楽しくて、私は自然と笑みを浮かべていた。
「見てください。大発見です」
「どうしましたか、ふぅちゃん?」
 風子は両手に八橋を何個も持っていた。
 どうでもいいけれど、試食品をそんなにもらっていいんだろうか。
「ほら、こうやって3つ重ねると」
「……星?」
「ヒトデです」
 なるほど。言われてみると、角が5つあるやや黄色っぽい白はヒトデに見えなくもない。
「きっと風子とヒトデは離れられない運命にあるに違いありません」
「それ張り付かれてるんじゃ……」
 ツッコミは、しかし彼女の耳には届かない。見ると恍惚な表情を浮かべて停止している。
 どうやら遠い世界に旅立たれてしまわれたらしい。
「なんだ? どした?」
 風子の異変に気づいた秋生さんが、その手に握られたヒトデ(メイドバイ八橋)に目をつけると、
「いらないんならもらってやるぞ」
 私が静止するより早く口の中に放り込んだ。3つまとめて。
「はっ、今ヒトデとどちらが長く岩に張り付いてられるか競争する夢を見てました」
 我に返った。それにしても微妙な夢だ。
「あれ? 風子のヒトデはどこに行ってしまったんでしょう」
「そこ」
 指差したのは、秋生さんの口。
「風子のヒトデ、食べたんですかっ!」
「あん? んなもの食ってねぇぞ」
「怖ろしいです……今度から、あなたのことはヒトデイーターと呼ぶことにします」
「馬鹿野郎。俺様のことはちゃんと秋生様と呼べ」
「じゃあ合わせてヒトデ様と呼ぶことにします」
「俺はどこにいったんだよ!」
「まったく、とてもわがままです。仕方がないので秋生イーターと呼ぶことにします」
「『俺の主食:俺』、って何だそりゃぁぁぁっ!」
「お父さんとふぅちゃん、とっても仲が良くて羨ましいです」
「…………そう?」

31確執編十二章:振り返りの推奨      7/7:2007/05/31(木) 20:46:20

 ・零日目 サイド:リディア

 私は知らず、一歩下がっていた。
「記憶、ね。さも大事なものみたくアンタは言ってるけどさ。それってそんなに大層なわけ?」
 あたりの音を殺し尽くしたかのような静寂の中、アーチェの声だけが空気を震わせる。
「あ、答えなくていいから。持たないあたしには、どんだけ語られてもどうせわかんないし。
 過去の思い出にすがり付いて、幻想に浸るのはさぞ気分がいいんでしょうね」
 その声はひどく落ち着いていて。
 それだけに、内に宿る昏い炎が透けて見えるかのようだった。
「けど、さ」
 アーチェの右手に力が宿るのが見えた。
 息を飲む。
 アーチェは本気だ。あの魔力量が解き放たれたら、この家は一瞬で吹き飛ぶ。
 けど、そんなことよりも――私にはアーチェが紡ぐ言葉の方が重要だった。
「過去にすがる惨めな姿を誇るなんて、アンタみっともないわ」
 それはどんな刃物よりも鋭く私の胸に突き刺さる。
「あたしは、今のままでいい。杏とポーカーしたり、春原を焦がしたり、アイツをからかってみたり。
 それで十分。十分、楽しい。何の不満もない。
 そのあたしに、同情? リディア――今のアンタ、あたしよりよっぽど可哀想だよ」
 薄れ掛けていた炎が、再び激しく燃え上がった。
「勝手に決めないで! 私だって何の不満もない!」
「なら何であたしに同情なんてすんのよ! 後ろめたいことしてるからじゃないわけ!?」
「…………っ!!」
 感情が空回りして、言葉がついてこない。

 私はほとんど反射的に右手を掲げ、呪文を紡いでいた。
 完全に我を忘れていた。ただ、目の前の自分を脅かす存在を消したかった。
 それに呼応するように、アーチェもかざした右手から魔力を解き放つ――

「けんかー?」
 
 硬直した。
 視線の先に、アスミがいた。
 考えてみれば、これだけ騒いでみんなが気づかないはずがない。
 アスミは相変わらずぼんやりとした表情で、それでもしっかりとこちらを見ていた。
 私は――目を合わせられなかった。
 と同時に、これまで張り詰めさせていた緊張の糸が解けてしまった。
 腰が抜けたように、ぺたりと床に座り込む。
 アーチェに負けないよう必死にこらえていた涙が、幾筋も頬を伝って床に落ちる。

「あなたが、そんなこと言うなんて、思わなかった……!」

32確執編十Ⅲ章:落日の語り草      1/7:2007/06/09(土) 21:26:58

 ・二日目 AM10:00

「あ、おはようございます」
 震える体を押さえながら窓から部屋に入ると、温かい声が出迎えてくれた。
「おはようございます、リヴァル」
 リヴァルはにこりと笑みを浮かべ、部屋の掃除に戻る。
 きさらぎが独断で増設した地下室が完成して以来、
部屋の数にゆとりが出来て寝袋生活から脱却出来た。
 ――まではよかったのだが。
「何で地下室ってあんな異様に冷えるんですかねー…
 風が吹かないだけマシと言えばマシですけど」
 ちなみに2つある地下室で寝てるのは、「外よりかは…」な男組と、
趣味で生息してるきさらぎ、プリシスだけだ。
 特に前者の部屋の入り口は外にあるので、夜這いの心配もなく女性陣も安心、なのだそうだ。
「私は一緒の部屋でも構わないんですけど…」
 やや困った笑顔の彼女に、浅薄な発言だったことを悟る。
「あぁすいません。別に責めてるわけではないんです。慣れてますしね。
 リヴァルはご苦労様。鬼の居ぬ間に部屋の掃除ですか」
「はい。あ、いえ、人が少ない時にやる方がいいかな、と」
「部屋の中で常時吹き荒れる台風共がいたら、片付ける意味そのものに悩むことになりますしね」
 リヴァルは苦笑。笑顔が絶えない娘だと思いつつ、
「他の4人は?」
「プリシスときさらぎさんは、部屋からまだ出てこないですね。
 セリスさんは買い物に。もうすぐ帰ってくると思いますよ。
 で、アスミは……」
 ちらりと一瞥。
 視線を追えば、そこには世にも幸せそうな寝顔で布団にうずくまる姿。
「昨夜は遅くまで頑張ってましたしね」
 その寝顔を見ているだけで、穏やかな気持ちになれる気がした。
 ふとリヴァルの顔から初めて笑顔が消えた。やや警戒するように、
「……やっぱり、襲いたくなりますか?」
 ぴたりと硬直。
「…………それは、誰ぞの物言いですか?」
「アーチェさんです」
「あの魔女っ娘の皮を被った悪魔め……」

33確執編十三章:落日の語り草      2/7:2007/06/09(土) 21:29:04

 ・二日目 PM1:00

 ぼんやりと天井を見上げる。
 こんなにこの部屋が静かなことは滅多にない。
『わー、すべるー』
『アスミー、それもとはむじん君用のローラーだから。無茶な使い方しないでよー』
 窓の外から聞こえてくる穏やかなやりとり。
 平穏、という言葉で表される瞬間。
 それが仮初の、あるいは逃避の結果得られたものであっても、大事な一時であると思う。
『とつげきー』
『ちょ、こっち来んな、ぶつかるって!』
『おまえもすでにしんでるー』
『道連れッ!?』
 激突音。
 ――穏やかだと、思っておこう。
 ふと何となく小腹がすき、冷蔵庫を漁ってみる。
 遅い朝食だからと軽めにとったのがよくなかったかなーと独りごちつつ、
 見ると冷凍肉まんがあと一個。
「……誰も、いない」
 わかっているのに、あたりを見回さずにはいられない。
 普段だと大概命をかけた奪い合いになる。
 もっとも、自分はそれに参加することはない。
 弱肉強食の世界において、男はそれだけでヒエラルキーの最下層に位置づけられる。
 今、自分は何かに勝ったような気がした。
 ――悲しすぎる錯覚だったが。
 肉まんをレンジに放り込んで、一分。
「さって、と……」
 終了を告げる軽い音と共に、取り出した瞬間。
「おなかすいたー、ごはんだー」
 いきなり窓が開いた。
「ごはんはっけー」
 即座に肉まんに反応した。というか、
 ――まさか匂いを嗅ぎつけて……!?
「こ、これは俺のです! いつもあげるとは限りませんよ!」
「ずるいー。おなかすいたー。たべるー」
 言いながら、窓からこっちに駆けてくる。
 すごい速さで。
「なっ!? あ、こらローラーのまま部屋に入るんじゃ」
「おまえもすでにしんでるー」
「連続殺人ッ!?」
 激突音。

 結局、肉まんは餌に釣られた魚のように食いついてきたアスミに略奪された。

34確執編十三章:落日の語り草      3/7:2007/06/09(土) 21:31:21

 ・二日目 PM3:00

「おなかすいたー、おやつだー」 
 長針は原点。短針との為す角は90度。
 なるほど、確かに世間一般に言う『おやつタイム』に相違なく、
アスミの空腹コールが鳴り出すのも無理からぬことだった。
 が、
「おやつならありませんよ」
「ないー?」
 小首を傾げる。
「さっきアスミも冷蔵庫の中を見たでしょう?」
「みたー、からっぽー」
「昨夜までは確かに三日分くらいの間食用食品はあったんです」
「あったー」
「勝手に食べましたね?」
「たべたー」
 満面の笑みで答えてくれた。
 こちらもそれに応えるように笑顔で、しかし頬はわずかにひきつり、
「だから、ありません」
「買いにいこー」
「お金もありません」
「じゃあどうするー?」
「我慢しましょう」
 ここで、しばしの間。
「とりゃー」
「うげっ、実力行使なんて卑怯ですよ!」
「ぽかんっ」
「痛ッ! グーで殴ったでしょう今ッ!? 親父にだってぶたれたことないのに!」
「ぽかんっ」
「くっ、やはり通じないか。プリシスッ! プリシスはおらぬか!」
「いないよー」
 すぐ隣から聞こえてくる声。
 寝転がりながら何かに目を通している。
「手を貸して、痛ッ! このままだと、『罪状:おやつ用意し忘れ罪』で公開私刑に!」
「あたしも間食ほしいしー」
「うわアスミの味方だよこの人。リヴァル助けてー」
「……すみません(曖昧な笑み)」
「味方が、味方がいないっ」

 最初からわかっていたことだ。
 しょせん自分はヒエラルキーの最下層の住人なのだから。
 無論、この直後に買い物に走ったのは言うまでもない。

35確執編十三章:落日の語り草      4/7:2007/06/09(土) 21:35:26

 ・二日目 PM5:30

 日が暮れた。
 電気を点けようとする者はなく、落日の闇が部屋の中に立ち込める。
 その場にいたのは、3人。
 うち1人はベッドを占領して昼寝の真っ最中。お陰で部屋は嘘のように静かだ。
 必然的に、一対一の構図となっている。
 そのもう一人は、暗がりの中に浮かぶかすかな光を頼りに、変わらず書物を読みふけっていた。
「さっきから何を読んでるんです?」
 問いかける。返答は、一拍置いてから来た。
「特殊相対性理論の基礎理念」
「面白いの読んでますねー」
「暇つぶしにはちょうどいいかな。一般人向けの簡略書だし」
 言葉が途切れる。
「……あー、こうして二人で話すのって、初めてじゃありません?」
「だっけ? そんな大したことじゃないでしょ」
「目、悪くなりますよ?」
「じゃあ電気点けてよ」
「アスミが起きるかもしれませんし」
「なら最初から言うなっ」
 言葉が途切れる。
 わかっていたことだが、会話が続かない。
 意図して避けられているわけではない。おそらくは、だが。
 ただ、向こうからこちらに話しかけてくることがほぼ皆無なのも事実だ。
「あなたは、聞かないんですね」
「何を?」
「俺が何をしようとしてるのか」
 それは漠然とした表現だったが、意味は容易に相手に伝わった。
「話す気があるの?」
「当事者達に対しては黙秘権を行使するつもりですが」
「……話したいの?」
「はい、すごく」
 ぱたりと本を閉じる音。
 部屋は完全に闇に包まれ、すぐ近くの相手の顔さえ伺えない。
「じゃあ聞かせてよ。リディアとアーチェに、何をしようとしてんの?」
「少なくとも、あの二人の喧嘩の仲裁ではないです」
「そうなの?」
 意外、と言外で言っている。
 単純に考えれば、それが一番ありそうな答えだろう。
 発端がそこにあるのは明白なのだから。
「しょせん俺も部外者ですから。二人の問題は、二人でしか解決できないでしょう?」
「てっきりお節介で茶々を入れようとしてるんだと思ってたけど」
「そんなことしたって二人に嫌われるだけです。
 ……好き好んで嫌われたがる奴なんていませんよ」

36確執編十三章:落日の語り草      5/7:2007/06/09(土) 21:36:41
「どんなに仲のいい相手とでも喧嘩にはなります。
 プリシスだってそういう経験、あるでしょう?」
「そりゃ、あるけど」
「本当の意味で人は人を理解することなんて出来ないんです。理解した気になるだけで。
 その理解に齟齬が生じた時、つまり己の理解が無理解であるのを悟った時、相手と喧嘩になる」
「そんなのわかってるってば」
 暗闇の中、気配で相手がこちらに寄ってきたことを知る。
 アスミを起こさぬよう押し殺した声で、
「だから、あんたは何をしようとしてるの?」
「聞きたいですか?」
「別に」
「すいません語らせてください」
「弱いなー」
 小さくひとつ、咳払い。
「喧嘩自体は問題じゃない。問題なのは、彼女達が理解の無理解を受け止めきれなかったことです」
「……何それ?」
 いいですか、と告げた後、
「人はしばしば容れ物という意味で『器』に例えられます。
 長い時間をかけて己という器に経験や想い出を入れていくわけです」
「それで?」
「彼女達はね、力量を容れるための器が大きすぎるんです」
 視線を上に向ける。
 無論、そこにあるのは暗闇の中わずかに映る天井だけだ。
 小さく溜息を一つ。
「あまりに強すぎる力を持つが故に、一つ間違えると簡単に大惨事を引き起こす」
「それは確かにそうだけど…そんなの、言われるまでもなく二人だって理解してるんじゃない?」
 その通り、とうなずく。
「彼女達にしてみれば生まれた頃から付き合ってきた力です。
 外野の俺なんかより、その危険性は遥かに理解してるでしょう。
 故に、どれだけ腹が立っても『魔法』を喧嘩の道具に使ったりはしない」
「あっ……!」
 そこでプリシスは気づいたようだ。

「――そう。にも関わらず、あの時の二人は喧嘩に『魔法』を使おうとした」

37確執編十三章:落日の語り草      6/7:2007/06/09(土) 21:37:39
 しん、と痛いほどの静寂に包まれる。
 それを心地よいと思う自分の感覚は、どこかおかしいのだろうかと思いつつ。
「……何で?」
「だから、理解の無理解ですよ」
「言葉遊びはいいって」
「……これだけが取り柄なのに」
「後ろ向きな発言もいいから」
 再び咳払い。
「……あの二人、あれで今まで本気で喧嘩したこと、一度もなかったんですよ」
 少なくとも自分は知らない、と言葉を付け足す。
「あれ? 一年以上前にそれっぽいことなかったっけ?」
 そんなこともあった、と懐かしげにうなずく。
「あの時はひとつの国が消えました……」
「あんたの妄想王国だった気が」
「クリティカルなこと言わないで下さい。傷つきます。
 で、あれは喧嘩じゃありません。アーチェはともかく、リディア様は腹を立ててはいませんでしたし」
 そもそも、と、
「リディア様が本気で怒ること自体、極めてレアなんです。
 俺も今回の一件を除けば、初夏の浮気騒……」
 言いかけて、やめる。小さくかぶりを振って、
「という背景から、あの二人が本気で衝突したのは今回が初めてだと言えるでしょう」
「初めてだから『魔法』を使おうとしたの?」
「正確には違います。あなたも二人のやりとりは耳にしてたんですよね?」
「そりゃ、あれだけ大声でケンカしてたら嫌でも耳に届くよ。
 聞かなかったのは、その場にいなかったあんたと古河家くらいだったんじゃない?」
「そこに早苗さんがいてくれたら、ここまでこじれることはなかったんでしょうけど」
「……あんたでも、よかったと思うけど」
「そう思いますか?」
 無視された。
「俺もリヴァルから聞いたので概ね把握してますが……
 二人は、どちらも自分自身が理由でキレたんです。だからあれだけ激しく沸騰した」
「説明する気なら、最初からわかりやすく言ってよ」

「つまりですね。二人は『相手に不満があったから』腹を立てたんじゃない。
 ――自分に許せない部分があったから。そこを相手に突かれて狼狽したんですよ」

38確執編十三章:落日の語り草      7/7:2007/06/09(土) 21:38:29
「前者の場合は簡単なんです。互いに相手に文句を言い合って喧嘩すれば、それで終わる。
 何故なら喧嘩の結果、互いに相手を知ることが出来るから。
 一方、後者の場合はそうはいかない。喧嘩の原因は相手ではなく、自分の中にあるんですから。
 そこに、『理解の無理解』です。信頼とは、時にもっとも残酷な刃となる。
 二人はまさか相手があんな言葉を自分に向けてくるとは考えてもいなかった。
 自分自身でさえ持て余していた感情を相手に指摘され、抉り出され。
 ――結果として、互いに傷つけあうしか二人に道は残されてなかったんです。
 ……そんなこと誰一人として望んでいなかったのに」
「…………」
「こうなると一度衝突したぐらいじゃ何も解決しない。むしろこじれる。自己防衛本能が働きますからね。
 複雑に絡んだ糸を解くためには、一度二人を引き離した方が良かった」
「だから、旅行先を2つに分けた?」
 うなずく。
「彼女達は互いに喧嘩の原因が自分にあることを理解している。けど認められない。
 それを認めてしまうと、自分の信念を自ら否定することに繋がってしまうから。
 だから相手を否定する。それにさらに自己嫌悪を覚え、それさえ認められず――悪循環です。
 赦したくても赦せない。そんな袋小路の中にいる。

 ――二人が『魔法』を使おうとしたのは、ひょっとしたら自分の非を認められない
   狭量な自身に対してだったんじゃないかと、俺は思うんです」

 眩しさに目を細める。
 いつの間にか立ち上がったプリシスが、灯りのスイッチを入れていた。
「最後に。二人に、アスミと『アクマ』をぶつける理由は?」
 上から見上げるような体勢で、彼女は言う。
 何故か、それを自分が見上げる行為はひどく背徳的な気がした。苦笑して、目をそらす。
「自分の間違いを認められない人間ほど、ガラスのように強くて脆い信念に縋りたがる。
 一度徹底的に負ければ、自分の弱さに嫌でも気づかされるでしょう?」
 あの二人じゃアスミや『アクマ』には勝てませんし、と付け加える。
「間違いを支える信念はいらない、か……」
 アスミが寝返りを打つ。そろそろ目を覚ます頃合いだろう。
「結局、お節介で茶々入れてんじゃん」
「そうですね」
「嫌われるね」
「そうですね」
「このことちゃんと話したら、二人も考え方変えるかもよ?」
「そうですね」
 苦笑。
「それが出来れば、苦労しないんですけどね……」

39確執編十四章:当たり前の気づき方    1/6:2007/06/21(木) 22:18:46

 ・二日目 PM7:00 サイド:リディア

 薄い膜の中に包まれているみたいだった。
 膜のすぐ向こう側に『私』がいる。
 それは私の知っている『私』。
 10人に問えば全員が自分だと答えるだろう、リディアという一人の人間。
 そして、それを見つめる『私』ではない私――

「リディアさん」
「…は、はいっ?」
 我に返る。最近物思いにふけることが多いな、と思いつつ。
「髪の毛…大丈夫ですか?」
 早苗さんが何を言っているのか、私には本気で理解できなかった。
 その言葉に誘われるように自分の翠色の髪に手を伸ばす。
 ――ない。
 普段なら腰を下ろしただけで床につくほどの長髪が、しかしそこにない。
 しばらく思考が止まった後、恐る恐る手を伸ばす。
 それは世界を破滅させるスイッチを前にした逡巡に似ていたかもしれない。
 押すことは出来ない。けど――だから、押したい。
 考えるうちに、私の手は自分の髪に触れた。

 ドリルにされていた。

「…………………………ねぇ、風子」
 返事がない。
「風子ちゃん?」
「…風子は今温泉ヒトデと戯れているところです。なので返事は出来ません」
 今度は返ってきた。相変わらず彼女の中で270度くらい捻じ曲げられて、だけれど。
「おいでー」
 手を振ってみる。風子の体がわずかに震えた、気がした。
「ふ、風子は何もしていません、無実の犯人です」
「犯人なら無実ってことはないと思うんだ」
「あなたのドリルはとても良く似合っています。グレートです」
「じゃあ風子もグレートにしてあげるよ」
「風子は、ヒトデがいるから遠慮しておきます」
「まぁまぁ。遠慮しない、で!」
「わ―――――っ!」

 ちなみに。
 さっきの鬼ごっこの時と同様、3秒で捕獲に成功した。

40確執編十四章:当たり前の気づき方    2/6:2007/06/21(木) 22:20:12
「もう、風子ったら……」
 何度か入念に洗って、ドリルは何とか解除出来た。
 ――ここまで言えばわかるだろうけれど。
 私は今、早苗さん達と一緒にお風呂に入っている。
 入る直前まで秋生さんが「一人にするな」とかなり駄々をこねていたけど、
早苗さんがにこやかな笑顔で黙らせた。
「これでもけっこう大事にしてるんだからね」
 湯船につからないよう結ってあげた髪を大事に撫でる。
 一方の風子はさも不服だと言うように、
「風子は悪くありません。あなたの髪が翠なのがいけないんです。風子の創作意欲を駆り立てます」
 にっこりと笑って背中から風子に抱きつく。
 家ではアスミとよく一緒に入る。私が体を洗っていると、必ずと言っていいほどこうやって抱きついてく

ることを思い出す。
 バタバタと暴れる彼女を力づくで羽交い絞め。
 しばらくするとおとなしくなったので、
「ちっちゃいねー風子」
 頭を撫でる。風子が心外そうに声を上げた。
「とても失礼ですっ。風子はまだ成長中なんです。これから竹のように伸びます」
 竹より高い風子はかなり怖い。
「そういうあなただってとても小さいです」
 無邪気な言葉が胸に――そう、胸に――突き刺さった。
「私は…いや、それはそうかもしれないけど……でもアーチェよりは……」
 思考処理が空転し始めたので、私は即座に考えることをやめた。
 その類の懊悩はアスミと一緒に入る度によぎるので慣れたしまったのかもしれない。
 ちらりと、早苗さんの方を見る。

 何だか少しだけ――主に心があるといわれる場所が――痛かった。

41確執編十四章:当たり前の気づき方    3/6:2007/06/21(木) 22:22:26

 ・二日目 PM9:50 サイド:リディア

 静かだった。
 時刻は10時を過ぎていないけれど、みんなはすでに寝静まってしまっている。
 私は相変わらず一人寝付けなかった。
 あの日から、もうずっと。
 よぎるのは無邪気なアスミの顔。
 そこに重なるのは『彼』曰く魔法使いとしてのアスミの顔。
 体が震える。何故なら――二つの顔に、違いがあるようには見えなかったから。
 ――私は、あの娘の何を理解してたんだろう。
 悩む。それは自我を闇の底へと埋没させていく行為だ。
 もう長い間、私はその闇から抜け出せていない。
 間違っていたとは、思ってない。
 けど、正しいかと言われると、やっぱりそうも思えない。
 
 ――いつものリディアがいーよ。だから今のリディアは私がやっつけるね。

 アスミの中に、今の私はいない。
 それだけでも今の自分の在り方を逡巡するには十分だった。
 なのに、止まらない。止められない。
 どうしてこんなに嫌な感情がまとわりつくんだろう。
 アーチェが悪いと。何をしても許せないと。
 ――心底からそう割り切れてれば、きっとこんな暗闇に飲まれることもないのに。

42確執編十四章:当たり前の気づき方    4/6:2007/06/21(木) 22:23:28
「眠れないんですか?」
 夜の闇にその身を預けて、どのくらい経った頃だろう。
「……早苗さん」
 とっくに暗闇に慣れた双眸が彼女の姿を視界に収める。
 その顔はどこか悲しげで、見ているだけの私でさえ胸が締め付けられるようだった。
「……すみません」
 そう囁いたのは、早苗さんの方だった。
「なんで…謝るんですか?」

「あなたをそこまで苦しめている原因が、私にあるからです」

 ナイフより遥かに鋭利な何かが私の胸に突き刺さる。
 もちろん、あの日のことを私から早苗さんに話したことは一度もない。
 知っていたからって不思議なわけじゃないけど。
 ――知られたくは、なかった。 
「やだ…謝らないで、くだ、さい」
「リディアさんとアーチェさんはあんなに仲がよかったのに。
 私が現れたりしたから、お二人はケンカしてしまったんですよね?」
「やめて……やだ……」
 嗚咽が絡みつき、息が出来ない。
 早苗さんにまで拒絶されてしまったら、私はどこへいけばいいんだろう。
 あまりに理不尽なことに、この時の私は早苗さんを憎みさえした。
 何故、自分を突き放そうとするのかと。
 無二の友達だったアーチェを否定しても、なおあなたを選んだのに。
「私を……置いていかないで……!」
 誰もいなくなる。独りになる。
 あの、炎に包まれた故郷の中で取り残された時のように。
 孤独は、辛い。
 アーチェも、アスミも、早苗さんまでもが私から離れていこうとする。
 私は、何を間違えたの?
 ただ、もう独りになりたくなかった。それだけなのに。

 ――私の居場所は、いったい、どこに……

「私を独りにしないで、『お母さん』!!!」

43確執編十四章:当たり前の気づき方    5/6:2007/06/21(木) 22:24:19
 ……あぁ、そうか。
 この時になって、馬鹿な私はようやくすべてを理解した。
 道理でずっとひっかかっていたわけだ。
 私は、私自身を何一つ理解してはいなかった。それを今、やっと理解できた。
 同時に、自分のあまりの愚かさに目を背けたくなった。
 アーチェが私と同じ?
 とんでもない。アーチェは私よりもずっと純粋だった。

 私は早苗さんをお母さんだと思っていたわけじゃない。
 言いたかった言葉が。届かなかった言葉が――ずっと私の心の中で澱として残っていて。
 お母さんの命の灯火が私の目の前で消え果た時、幼かった私はただ泣きじゃくるだけだった。
 その時の記憶は真っ赤に焼けた鎖となって、無意識下で私をずっと縛り続けてきた。
 どうして、あの時の私は言うことが出来なかったんだろう。



 独りにしないで、と。
 私を置いていかないで、と。



 もちろん、言葉にしたところで何かが変わったわけじゃない。
 頭がそれを理解していても、何もならない。人は理性で動く生き物じゃない。
 どうして、あの時の私は最後の瞬間までお母さんに縋ることが出来なかったんだろう。
 ――私の根本にあったのは『後悔』だった。
 私は、ずっとずっと、お母さんに謝りたかったんだ。

 私は早苗さんをお母さんだと思っていたわけじゃない。
 早苗さんを通して、お母さんに償いたいという自分の欲望を満たそうとしていただけだ。
 私の両のまなざしは、どこにも向いていなかった。
 誰も見てなどいなかった。
 それでどうして、誰も私を見てくれなくなったことに文句を言えるだろう?

 私から居場所を奪ったのは、他でもない、私自身だった。

44確執編十四章:当たり前の気づき方    6/6:2007/06/21(木) 22:25:11
「独りになんて…しないです」
 その声に私は我に返った。
 早苗さんじゃない。後ろから聞こえてきたその声は、
「………………なぎ、さ」
 いつから聞いていたんだろう。
「ぐすっ……私達は、ずっと家族です。だから…ずっと一緒にいましょう」
 涙で顔をぐしゃぐしゃにして嗚咽を殺す渚に、私は思わず息を飲んだ。
「あのな、お前。なんかよくわからんが、一人で溜め込むな」
 頭を思いっきり撫でられた。
「秋生…さん」
 彼はとても苦々しい顔をしていた。私にはその理由がわかる。
 だから、どうしようもなく嬉しい。
「辛い時は俺らを頼れ。泣きつけ。そんで問題を押し付けろ。
 迷惑がかかると思うか? けどな、ガキに迷惑かけられるほど嬉しいことはないんだよ、親ってのはな」
 ――この人は、私が苦しんでることに心を痛めてくれている。
 さらに私の胸に飛び込んできたのは、
「風子……」
「風子との鬼ごっこはまだ終わっていません。勝ち逃げはよくないです」
 言ってることは相変わらずだったけれど、しがみついてくる腕ごしに想いは伝わってきた。
「私は……」
 ――本当に、馬鹿だ。
 すぐ近くにいたのに。息が重なるほど近くに、私を見てくれている人はいたのに。
「リディアさん」
 目の前の早苗さんが、笑った。
 いつものとびっきりの笑顔で、

「これが、『家族』ですよ」

 心の澱が、涙となって流れ落ちていく気がした。

 ――お母さん、ごめんなさい。
 最後までお母さんを見続けることが出来なくて。
 目の前の自分しか見えていなくて。
 今頃になって謝ったりして――ごめんなさい。


 私をここまで歩ませてくれて、ありがとう。

45ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 20:42:26
と、言うわけでこっちに来たわけですが

46コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 20:45:05
>>45
そもそも今回のはギリギリ裏になりかけそうなネタを僕が出して…
僕の○○○を切り落とそうとしたから反撃したわけで。

…つーか続きどうやって書くの?しかもあれSSかキャラ雑談どっちなのか判断つかないからなぁ…

47乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 20:49:49
>>46
それでその後俺が介入して・・・って俺が元凶か?
一同「うん」
だ、誰かフォローしてくれヨ・・・
SSの部類だと思いますヨ

48 ◆VioleTnHxg:2007/06/23(土) 20:51:40
単独SSや短めなキャラ雑談なら大体ここ、エロありならカプ雑談
あとはそこらへんの空いてるスレでどうぞ

49ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 20:51:40
本スレ>>682

Sトルーパー「なんだ!?ブラスターが効かない!」
コンバイン兵「パルスライフルも効かん!どういうことだ!?」
Cトルーパー「落ち着け同志達よ!こういう未知の兵器はだな、wikiで…」

ピコーン!

コンソル:こいつを使ってくれ!
つ【何の変哲も無いサブマシンガン】

Sトルーパー「おおっ、こんな原始的な火薬兵器なのに貫通している!」
コンバイン兵「原始的とか言うな!俺達には最新の兵器だ!」

>>46-47
触らぬ神に祟り無し…論争になる前に引いたほうが得ですよ。

ふたなりは個人的には好物だったり。

50乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 20:56:15
>>本スレ684
山本「ううむ、敵戦闘機は鹵獲したものの・・・」
南雲「肝心な飛行士が乗っておらぬとは・・・」
井上「それより早く逃げましょう!」
山本「うむ!で、どこにだ!」
静まり返る一同・・・
南雲 井上(ここまで来てそれですか元帥殿・・・)

51ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 21:00:43
>>48
そんなに長くも無いので、ここをお借りできればと。

>>50
アッシュ「ふうっ、ここまで泳げば良いだろう。我ながら軽率なことをしたものだ…」

――ヴィクトリー級艦内

帝国将校A「早く閣下を収容しろ!敵や怪物は放っておけ!ああ…バレたら私の出世が消える」
帝国将校B「やってます!やってますが…(バレたら全員処刑だろうなぁ…」

52コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 21:01:10
>>49
うぐっ…ぐ…ディストーションフィールドは熱量兵器に対しては強いけど実弾への耐性があまり無いから…な。
でも、こんな所でぇ…やられてたまるかぁぁぁぁ!
コレット「グランドクロス!」
(グランドクロスの詠唱が完了し、光の十字架があたりを巻き込む)
デュランダル、行くよ…
デュランダル「OK.boss」
みんな、下がって!エターナルコフィンを使う!
ロイ・コレット・エレノア「わかった!」
悠久なる凍土……凍てつく棺の内にて、永遠の眠りを与えよ…凍てつけ!
デュランダル「Eternal Coffin」
はぁぁぁぁっ!

ふたなり好みならそういって下さればよかったのに…てか論争じゃ勝ち目ありませんw

53乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 21:07:14
>>51
山本「ふぅ・・・で、舞鶴港まで来たわけだが・・・」
南雲「ここは松岡殿の力を借りようではないか!」
井上「おお、賛成である!」

 〜緊急国際会議〜
まつおかよ○すけ「今世界は新たなる謎の国家によって危機に瀕している!
今、世界中の国々が一致団結し、その謎の国家を倒すことが先決である!」

参加国 47国 賛成 1票 反対 44票 危険 2国

翌日の新聞
〜さらば世界よ まつおかよ○すけの説得もむなしく〜

54コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 21:08:26
>>53
ちょwテラヒドスw

55ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 21:16:06
>>52
ウホァァーという情けない断末魔を残して、防御区画のマリーン達は一掃された。が、艦内には
無数に防御区画があり、総司令官たるピエットを葬るにはまだまだ試練が残されていた。

ブルーニャ「なんて事…次の区画で守りなさい!」
ウルスラ「全員に火薬兵器を支給!ブラスター系の兵器は敵のシールドには無効よ!火薬兵器
       で応戦しなさい」
バレイポット「ふん…その小さな勝利に酔っているが良い…」


いや、本スレじゃまずいでしょw   論争はめんどい。寝落ちしたら逃げたと思われるし。

>>53
アッシュ「世話をかけたな」
帝国将校「もう勘弁して下さい…orz」
クルー達(た、助かった…)

アッシュ「どうやら国際会議が開かれているようだな?」
帝国将校「はっ、どうやら我々に対する同盟を結成するためのものであったようですが、決裂した
       模様」
アッシュ「なんだ、意気地の無い奴らだ」

56乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 21:21:03
>>55
山本「どうでしたか?松岡殿」
松岡「うん ダメだったヨ」
南雲「な、なんてこったい!orz」

一方その頃アラスカでは・・・

シギント「まさかアンタに協力しなくちゃいけなくなるなんてな」
オセロット「うるさいぞ!メタルギアRAY、行くぞ!」
パラメディック「気を付けてね〜」
オセロット「能天気なやつらめ・・・!」

57コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 21:29:05
>>55
…エターナルコフィン使うまでもなかったね。
(次の区画へ進むとまたも敵がやってくる)
っと、次のお客さんがきた…か。
僕は正直、砲撃魔法とか極大魔法を連発したくはないんだけどね…きついし。
ロイ「翼、あんまり無茶はするなよ?」
わかってる。デュランダル…行くよ。
デュランダル「OK.boss」
エクセリオン・バスタァー!
(もともとは高町なのはが生み出した砲撃魔法…しかし、これを発動するには)
(カートリッジシステムと呼ばれるある特殊なシステムを搭載しなければならないが、それを使用せずに発動しているため…)
(なのはたち以上の魔力を保有している事がそこからわかる)
(それと同時に非殺傷設定を解除した白い魔力光が通路を開く)
エレノア「す、すごい…」
コレット「元々デュランダルは、氷結魔法に特化した杖なのに…それを見事に使いこなしてる」

58コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 21:29:59
>>55
あ、確かに。僕も時たまPC電源つけっぱで部屋に引きこもる時ありますし。

59ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 21:44:35
>>56
アッシュ「大日本帝国政府に勧告する。既に大勢は決した。帝国は降伏する者
      には寛大である。素直に兜を脱げ。そうすれば、これから起こるあらゆ
      る悲劇を防げるだろう」

>>57
帝国将校「帝国を甘く見るな反逆者達よ。我々はそのような攻撃に屈するほど脆弱
       ではない」
爆煙の中、威厳と尊大さに溢れた帝国軍の指揮官の声がした。煙が晴れると、そこ
には将校とトルーパー達の姿があった。よく見ると彼らは薄い膜のようなもので覆わ
れていた。彼らはDアルルやウルスラ、ブルーニャらによって対魔法攻撃用のシール
ドを付与されていたのである。そして静かに指揮官は攻撃命令を下した。

私はPC放置していると、父にプチッとやられたり。
さて、もう一度ふたなり化してもらおうかw

60コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 22:03:24
>>59
くぅ…エクセリオンバスターはシールドを破れるはずなのに!
(参考資料 http://nanoha.julynet.jp/?%A5%DF%A5%C3%A5%C9%A5%C1%A5%EB%A5%C0%BC%B0%28%B9%B6%B7%E2%29#gc6af3d7)
相手に全くダメージが通ってない!?
エレノア「つ、翼君!?」
大丈夫、まだいける!
(デュランダルのデバイスモードを解除し懐からアンビシオンを取り出す)
(アンビシオン、封印の剣、ロンギコルニスが煌めく)
たぁぁぁぁっ!
ロイ「そりゃぁっ!」
エレノア「はぁぁぁぁっ!」
コレット「御許に仕えることを赦したまえ 響け、壮麗なる歌声よ……!みんなを守って!ホーリーソング!」

それは捕まった時にでも。
てかエクセリオンバスターはバリア破れるはずなのになんで破られてないんです?

61乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 22:04:03
>>59
御前会議にて・・・
昭和天皇「ではその新銀河帝国とやらが朕らの国に降伏勧告をしてきたのだな?」
南雲「はっ、そうであります」
栗田「しかし、これは我が大日本帝国に対する侮辱に他ありません!」
宇垣「私も栗田殿と同じ考えであります。」
山本「それにしても陸軍がいないようだが・・・」
源田「あやつらは怖気づいてもう降伏したわい!」
井上「つまり我ら海軍のみが降伏せずに生き残ってるわけでございますな?」
栗田「な、なんだと!?それでは充分に戦えぬではないか・・・」
山本「だが大日本帝国は戦わなければならんのだ!」

そのとき、昭和○皇が一言・・・

昭○天皇「朕はもう戦争は嫌じゃ・・・朕が自ら新銀河に赴き降伏勧告を受け入れることにする」
山本「て、天皇様・・・」

こうして御前会議での新銀河への降伏が決まったのであった。
栗田、源田、う

62乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 22:06:23
>>61で書きかけたことは気にしないで下さいー

63ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 22:25:35
>>60
斬撃や刺突から必死で逃れるマリーン達。彼らの装甲は銃撃から身を守ることは
想定しているが、刃物に対する防御は考慮されていなかったのだ。

トルーパー「うわっとと…物騒なものを振り回すんじゃないッ!」

そう言って辛くも斬撃を逃れたトルーパーは再び応戦した。

Mシールドはバリアというか、魔法に対する耐性を上げる性質のものでして。
実はwiki引くのを忘れたなんて股が裂けても言えない…。

>>61
アッシュ「何!?皇帝が自ら降伏を!?」
帝国将校「はっ!」

アッシュは驚きを隠せなかった。敵国の元首自ら、和を求めにやって来たというのだ。
普通は逃亡するか、最後まで抗戦するか、あるいは…というものと相場が決まってい
るのにである。

アッシュ「と、とにかく、相手は皇帝だ。儀仗兵を整列させろ。最大の敬意を以ってお迎え
      するのだ」


ちょwww先帝陛下はまずいwww

64乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 22:34:39
>>63
南雲「天皇様、足元にお気をつけて・・・」
昭和天皇「大丈夫だ!それより・・・あの船が新国家の戦艦なのだな?」
南雲「はっ、そうにありますが・・・」
昭和天皇「どう足掻いても勝てるわけが無いではないか」
南雲「は、はあ・・・」

こうして新銀河の戦艦の前で昭和天皇自ら降伏宣言することになった。

昭和天皇「我が国は貴国に対し降伏の意を表明す。我が国の提督が貴国に対し迷惑をかけた件については
なんらかの処置を以て、是を対処すべしものなり。朕はこれ以上の戦いはのぞんでおりませぬ。」

この声明のもと、大日本帝国は新銀河帝国の傘下に入ったのである。

(むしろ昭和天皇だからこそ成り立つんですヨ?w)

65コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 22:43:04
>>63
ロイ「物騒な物?そっちこそ銃撃してるじゃないか!」
エレノア「弓より当たったら痛い物撃ってる方がひどいじゃない!」
いや、お互い様だからw
コレット「私も頑張る!」
コレット、あんまり無茶しないでね。
(四人の斬撃と刺突がマリーン達を一人ずつ捉え、葬っていく)

…エクセリオンバスター、非殺傷設定だとしてもかなり威力あるんですけど…
耐性をあげたどころでは少々無理がありませんか?
それに、その耐性をあげるタイプでは絶対にエターナルコフィンは防げませんよ?
(温度変化魔法であるため、DQでいうフバーハ系統でも通用しない可能性が大あり)

66ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 22:55:18
>>64
着陸したスターデストロイヤーの前に降伏文書調印の場は設けられていた。
緋色の装甲服を纏った儀仗兵達が両脇に整列し、天皇の車とアッシュの前
までに道を作った。

アッシュ「貴国の降伏宣言を受諾致します、陛下。止むを得ないとは言え、貴国
      の兵士を多く傷つけた事をお詫び致します」

昭和帝の潔い態度の前に、アッシュは感銘を受けていた。そして、日本の各都市
にはストームトルーパーやコンバインが進駐する事となったのである…。

(いやいや、皇族出すのはちょっとまずいですよw)

>>65
トルーパー「いやいや、そっちの魔法の方が圧倒的…アァーーー!!」

こうして第二の防御区画も逃げ出した数名の将校とトルーパーを除いて全滅した。
ここに来て、ピエットも禁じ手を使うことにした。

第三区画で守りきれなかったら…分かっているな?
ブルーニャ「閣下、まさかそれは…」
ウルスラ「区画ごと射出…?」
仕方あるまい、悔しいがトルーパー達では敵わないかも知れない。

そう言いつつ、ピエットは第三防御区画の無人兵器を作動させた。

いや、本当に申し訳無い…orz
ググるの忘れたのと、トルーパー達に陽の目を見せようと…ね?

67乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 23:08:04
>>66
山本「そうか・・・我が大日本帝国は降伏したか・・・」
南雲「私たちは戦いを引き起こした責任で明日までに日本国から追放処分とのこと・・・」
井上「うう、なんということだ・・・」
南雲「元帥、大将 対馬丸が港にとめてあります。それで米帝に行きましょう。」
山本「うむ・・・。」

一方その頃・・・

オセロット「まだ日本にはつかないのか!?シギント!」
シギント「ああ、まだつかない 今はミッドウェーあたりだろう?」
オセロット「ああ!そうだが!?」
シギント「まだまだだな」
オセロット「くっ・・・ヴィッチ!ヴィッチ!」

(うーん さすがにまずかったかw
昭和天皇さま、本当にすいませんでした この場を借りてお詫び申し上げます)

68コレットたんは天使カワイイ:2007/06/23(土) 23:13:03
>>66
…敵が消えた…でも何か機械の音が聞こえないか?
ロイ「言われてみれば確かに…」
エレノア「強制射出装置とか、そんな類の?」
コレット「ううん、違う…これは無人兵器…!?」
(コレットが聴覚に優れており、彼女の一言で戦闘態勢に入る翼達)

わけわからなくなると困るので使用可能魔法リスト作っておきますか…

十条 翼 使用デバイス 氷結の杖デュランダル
(翼が所持しているのは本編で登場した物とは別に作られた物)
ミッドチルダ式魔法:
エクセリオンバスター
ラウンドシールド
エターナルコフィン
ディバインシューター

その他ゲーム出典魔法:
アイスブラスト
エクスプロード
サンダーフレア
フリーズランサー
アブソリュート

エレノア・オリアト
アイスブラスト
フェンリル
ヒーリングオール
リザレクション

コレット・ブルーネル
ホーリーソング
エンジェル・フェザー
リヴァヴィウサー
ジャッジメント
グランドクロス

69名無しさん:2007/06/23(土) 23:38:54
>>67
華劇団みたいに字を変えるのもありだけど、多用は禁物…。

70ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/23(土) 23:39:06
>>67
進駐軍は直ちに東京に支配の拠点となる建物を建設した。黒い30階建ての
現代的なビルが数日の内に建設され、金髪に白いアーマーを着た女性…
ラフラが占領軍の総司令官として日本の復興の監督にあたることとなったの
である。

ラフラ「勤勉な国民と潔い指導者…気に入ったわ」

そして、アッシュは次なる目標…アメリカ合衆国に降伏を迫るべく、機動艦隊を
率いて、ミッドウェイ諸島上空を航行していた…

>>68
無人の広い部屋に一行は出た。コレットが危機を察知するのが早いか、突然天井
からターレットが次々に現れ、一行に照準を合わせると、強力なブラスターの連射
を浴びせたのである。

ハハハ!踊れ踊れ!ここがお前たちの墓場だ!

分からなくなったら、そのリスト見てクグりますね。

こっちも装備や魔法関連…

ピエット 武装:ブラスター、トカレフ、将校用ボディアーマー

ウルスラ 武装:ブラスター、トカレフ、将校用ボディアーマー
      魔法:エクスカリバー、サンダーストーム、ギガスカリバー、Mシールド
          リカバー、サイレス、バーサク

ブルーニャ 武装:ブラスター、トカレフ、将校用ボディアーマー
        魔法:フィンブル、サンダーストーム、フォルブレイズ、Mシールド
          リカバー、サイレス、バーサク

Dアルル 武装:ブラスター、トカレフ、魔導アーマー
      魔法:アレイアード、イクリプス、タキオン、ラビリンス、ラグナロク、ヴォイドホール
          ヒーリング、バリア

ジェリルクス/帝国軍将校 武装:ブラスター、トカレフ、グレネードランチャー、将校用ボディアーマー

バレイポット/クローンコマンダー 武装:ブラスター、トカレフ、ミニガン、将校用ボディアーマー

ニクシル 武装:357マグナム、パルスライフル、MP7、ロケットランチャー、コンバインアーマー

クララ 武装:トカレフ、天界謹製の剣

フィフティニー 武装:トカレフ、天界謹製の弓

マリーン達 ブラスターライフル/パルスライフル、MP7、グレネード、
        トルーパーアーマー/コンバインアーマー

71乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 23:40:42
>>69
なるほど!でも多用は禁物かあ・・・orz

72乃木平八郎 ◆xr2aDZKr1A:2007/06/23(土) 23:46:11
>>70
ミッドウェイ付近をメタルギアRAYに乗って航行していたオセロットは
あることに気づいた。
オセロット「ん?これは・・・敵のお出ましか」
シギント「おい!今はあまり戦うなよ?」
オセロット「わかっている!これから水中に入る!」
そう言って無線をきるとメタルギアRAYは水中に姿を消していった。
オセロット「本当は戦いたかったんだがな・・・」

73コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 00:07:03
>>70
うお!?ディストーションフィールド展開!
(いきなり無人兵器からブラスターがすっ飛んできて先頭を歩いていた翼が驚いてすぐにフィールドを展開する)
(しかし、フィールドを所持していないコレット達は逃げ回るしかなかった)
ロイ「こ、こいつらなんで熱量兵器連射してくるんだ!?」
そんなの知らない!エターナルコフィンで一掃するから、みんなはこの部屋を離脱して!
エレノア「うん!」
(テレポートでその場を離脱する三人)
(そしてこの部屋には、デュランダルを構えた翼のみが残った)
悠久なる凍土…凍てつく棺の内にて、永遠の眠りを与えよ…凍てつけ!
デュランダル「Eternal Coffin」
はぁぁぁぁっ!
(その場にいたターレット達が凍り付き、動かなくなってしまう)


…テレポートは翼とエレノアが使用という事で。ちなみにこっちはTOにおける四装備システム採用してます。
(魔法に置いてはその限りではない)

武装関連まとめ

十条 翼
武装:氷結の杖デュランダル アンビシオン フウェイルメイル フェアリィリング(魔法行使に必要なMP半減)
(補助装備としてディストーションフィールド展開装置)
魔法:エクセリオンバスター ラウンドシールド エターナルコフィン ディバインシューター
    アイスブラスト エクスプロード サンダーフレア フリーズランサー アブソリュート テレポート

コレット・ブルーネル
武装:エンジェルハイロゥ 巫の装束 リングシールド スターサークレット
魔法:ホーリーソング エンジェル・フェザー リヴァヴィウサー ジャッジメント グランドクロス

エレノア・オリアト
武装:ロンギコルニス ルーンメイル オーキッドパール ウィングリング
魔法:アイスブラスト フェンリル ヒーリングオール リザレクション テレポート

ロイ
武装:封印の剣 フレイムシールド ポイニクスメイル ウィングリング
魔法:無し

74ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 00:24:47
>>72
アッシュの機動艦隊はは何事も無くミッドウェイ付近を通過し、ハワイへと向かった。
その頃、ハワイの太平洋艦隊司令部はミッドウェイからの通報で、上へ下への大騒
ぎである。日本が降伏したニュースも既に届いており、慌てて、防衛体制を整えたが、
全ては徒労に終わった。アッシュはハワイを占領し、艦隊を停泊させると、恫喝する為
の更なる増援を要請した。

アッシュ「無駄な血を流すことは無い。圧力を以って降伏させよう」

>>73
モニターで一部始終を見ていたピエットは大泣きしながら頭を床にガンガン叩きつけて
いた。尽く、防御網を突破された事に強い憤りと、深い失望を覚えているのである。見
かねたウルスラが声をかける。

ウルスラ「閣下、まだ方法はありますわ。先程の計画通り、区画ごと射出なさっては?」
あ?ああ、その手があったか。インターディクターに通達!重力井戸発生装置起動!
第1〜3区画を緊急ロック!ワープを阻止し、射出する態勢を整えよ!

私はHLとBFに忠実にやりましたが、システム統一しないとまずいかなぁ?

75コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 00:51:26
>>74
コレット「なんか、すごく嫌な予感がするよ…」
ロイ「ああ…早急に翼と連絡を取ろう」
ん…ロイ?何、嫌な予感がする?わかった…
(なぜか携帯で連絡を取ってる二人)
(その後後続全員が大急ぎでウィングリングを使って飛んでくる)
(そしてターレット達の固まった氷の上を飛び次の区画へと到着する)

…そもそも両方ともルール知らないし…(´・ω・`)

76ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 00:59:05
>>75
うん?ターレットの上?艦内は天井や壁で仕切られていて、通路と区画同士は
繋がっておりまして…天井破るか、壁を破るかしたんですか?

採用したのはルールというか、装備ですね。

77コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 01:05:38
>>76
装備、ですか。
ちなみにターレットの上というのは…ってあれ?
つまり天井を凍らせたという事だから、普通に歩いていけたんじゃん…僕のバカw
ただし床とかつるつる滑りますが。

78ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 01:17:15
>>77
では、普通に通路を通ったと解釈しますね。

防御区画は予定通り射出され、ピエットが祝杯を挙げようとしたその時である。
モニターにしっかりと一行が通路を通る姿が映し出されたのである。

ウルスラ「やはり駄目でしたか…」

ウルスラがさぞかし失望しているであろうと予想し、横のピエットを伺う。ところが、
彼はいつになく、冷静であった。

では、総員退艦だ。こんな旧型のヴェネター級など惜しくは無い。それよりも、奴等
を抹殺する事が重要だ。

そう言うと、艦内の全ての無人兵器を起動させた。更に艦をオートパイロットに切り
替え、ピエットや将校達、マリーンもハンガーから次々に輸送機で脱出したのである。

旧共和国時代から戦ってきたこの艦に最期の時が近づいていた…

79コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 01:24:52
>>78
…なんだか、おかしいぞ…?
ロイ「うん、なんかこう…人気がないというか。」
エレノア「嫌な予感がするよ…」
コレット「私もだよ…」
ラウ「おい、翼!何をやってるんだ、脱出しろ!」
ラウ、いきなりそんなに怒鳴らなくても…
ラウ「この艦の主要なメンバーは退艦してる!四人とも早く退避しろ!」
わ、わかった!
(テレポートを使い、瞬時に艦外へと脱出する)

てか、もしかしてヴェネター級がいるの宇宙ですか?それとも大気圏内?
もし宇宙であればヴェサリウスに、大気圏内なら近くの降りられる場所という事で。

80ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 01:29:14
>>79
大気圏内です。…が、>>74をよ〜くご覧下さい(・∀・)ニヤニヤ

81コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 01:35:26
>>80
うおおおおい!太平洋ど真ん中ですかw

ロイ「…はぁ!?」
エレノア「ここって…」
コレット「海!?」
翼「…ちょwやばいw日本海軍は見あたらない?」
コレット「…見えないよ?」
翼「テラヤバスwとりあえず僕の家に戻るしか(ry」
(テレポートを再度発動し、翼の家に戻る)
というわけで四人とも自宅(翼の家)に帰宅ですー(死

82ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 01:40:08
>>81
いやいやいやwアッシュ達は別行動ですよ。
…インターディクターが居るんだけどな〜

83コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 01:42:18
>>82
えええw
…じゃあディストーションフィールド展開装置を利用したボソンジャンプで脱出した事にしておいて下さい。
というか…僕達が降り立つのは東京?

84ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 01:53:47
>>83
降りても構いませんが、東京は既に…(・∀・)ニヤニヤ

85コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 01:56:56
>>84
まぁいいや、とりあえず自宅に戻ったって事で。
って何にやにやしてるんですか?帝国の支配下だろうとってまさか…!?

…(´・ω・`)

86ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/06/24(日) 02:09:11
>>85
ヴェネター級スターデストロイヤー『コレリア』は『エグゼキューター』の砲撃により、
その生涯を閉じた。艦内で今度こそやったと、祝杯を挙げるピエット達であった。

――東京

東京はそれまでの昭和の街から一転して、近未来都市に変貌していた。皇居周辺
を除いて、すっかり区画を改められ、長屋や低層ビルは高層ビルやコンドミニアムに
変化していた。交通も、蒸気機関車や木炭自動車から、リニアやスピーダーに改めら
れていた。が、戦争に負け、異星の軍隊に占領されている事から、市民達の顔は決し
て明るいものでは無かった…

87コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 02:14:13
>>86
四人はすでにヴェネター級から脱出していたものの、頼る当てもなく彷徨っていた。
それは、東京が近未来都市であったからだった。
仕方なく、翼のテレポートでZ.A.F.T.のヴェサリウスへと向かう事になったのだった…

88ブルーニャはフィンブル美しい:2007/06/24(日) 02:46:30
>>87
ピエット達は艦隊を集結させ、地球周辺の勢力も屈服させようと企んでいた。そして、
その矛先はZ.A.F.T.へと向けられ、彼らの政府がある宙域へと彼は艦隊を進めたの
である。スーパー級3隻とそれに付随するスターデストロイヤーやヘヴィ・クルーザー、
クルーザー、フリゲート等が進撃する様は月や太陽ですら青ざめるほどの威容であった。

89コレットたんは天使カワイイ:2007/06/24(日) 06:43:07
>>88
プラントの存在するL5宙域…
ここには首都アプリリウスを含めたたくさんのプラント群があり、コレットやロイ達も一応はこのプラント出身であった。
それは彼らが異世界から現れた存在であり、その出生や元いた世界の事が知られるといろいろとまずかったのだ。
そこでラウと親交の深いギルバート・デュランダル最高評議会議長がそのように取りはからってくれたからだった。
そして、ラウと一緒に住んでいる少女達…彼女らはMSパイロットであり、また翼達のよき友人でもあった。
今ヴェサリウスはそのL5宙域の防衛についていたが巨大な熱源反応を感知し、
また翼達がテレポートでこの艦にやってきて熱源反応の正体と先程地球で起こった事態の説明をした事からZ.A.F.T宇宙軍が
集合し、一大決戦となる様子だった…

そして…隠された力が目覚める兆候も少しずつ出始めていた…

90オセロットは山猫カッコイイ:2007/06/24(日) 08:34:29
>>74
トルーマン「ジャップがあっけなく降伏したか・・・」
議院A「我が国も降伏したほうがいいと思います」
マッカーサー「ふん!腰抜けめが」
議院C「それでは裁決をとろうではないか」

降伏するかしないか 参加議院数 320名
賛成 214名 反対 102名 棄権 2名

トルーマン「くっ・・・降伏せねばならんのか・・・」
マッカーサー「な、なんと・・・」

>>86
ここは東京 かつての昭和の街は消え、新銀河の第二の首都となっていた。
市民A「わしらの良き昭和の街はどこへ消えていったのだ・・・」
市民B「んなこと言われても日本は降伏しちまったんだ・・・」
市民A「うう、これなら米帝に降伏したほうがマシじゃ・・・」

一方その頃・・・
オセロット「ここは・・・硫黄島か・・・」
オセロットは硫黄島に来ていた。
そのとき、シギントから無線が入る。
シギント「おい、聞こえるか?オセロット」
オセロット「なんだ!?」
シギント「アメリカは・・・ニューミルキーウェイに降伏したらしい・・・」
オセロット「な、なんだと・・・!」

オセロットは失意のあまり、そこから動けなくなってしまった・・・。

91名無しさん:2007/06/24(日) 09:04:20
>>70
トカレフなんて、ある意味物騒な軍用拳銃持ってますな。

>>71
だって「やんごとなきお方たち」ですから。
首相とかなら…。

92オセロットは山猫カッコイイ:2007/06/24(日) 09:17:06
>>91
しゅ、東條首相がいたのを忘れていたーッ!
一同「あんたどんだけやねん」

93確執編十五章:再動の荒野        1/7:2007/06/24(日) 22:33:17

 ・三日目 サイド:リディア

 その時が来ても、私はもう驚かなかった。

 いきなりドアが吹っ飛んだ。極限まで凝縮された紅い炎が部屋を一直線に貫く。
 昨日は気がつかなかったけれど、あの娘の使う炎はとても綺麗だった。
 それは大気に存在するあらゆる生きる糧を根こそぎ蒸発させる破滅の炎であり。
 一片の淀みも残さずすべてを終わらせる浄化の炎でもある。

 生まれついての資質なのかはわからないけれど、私は回復や防御といった支援系
――いわゆる白魔法が苦手だった。
 幼い頃はまだ多少は扱えたのだけれど、今ではもうまったくだ。
 だから、身を守りたければ力に力をぶつけるか、あるいは退却するしかない。
 躊躇いなく後者を選ぶ。窓を開け、飛び降りた。
 次の瞬間、背中に届く爆音と熱風。
 一方で私は翠の髪を宙に躍らせながら落下。
 ちなみにさっきの部屋は4階。地面に激突するまで、数秒もかからない。
 けど、たった一言を紡ぐのには十分な時間だ。
 
「偶然《ラプラス》の祝福よ。意思通ずるなら、応えて!」
 
 直後、私の体は地表と重なる。
 まず足が地面に触れた。これが顔からだと、どうやっても致命傷という悲しい結末が待っている。
 激痛がつま先から脊髄、そして頭まで突き抜けた。目にはうっすらと涙が浮かぶ。
 そして、それだけだ。
「ありがと、アスラ」
 私が唯一喚び出せる支援系の幻獣――アスラににこりと笑顔を返す。

 そして、上を見上げた。

 窓から覗くのは少女の顔。
 いつもとまったく変わらない――『悪魔』の笑みをたたえる少女。
 戦いが――始まった。

94確執編十五章:再動の荒野        2/7:2007/06/24(日) 22:34:21
 あ、と思った時にはアスミは窓から飛び降りていた。
 くるくると宙で2回転ほどした後、足から地面に着地。ほとんど音がしなかった。
猫みたいだ。風をはらむスカートでやるんだから尋常じゃない。
「目が回るー」
 口調の割に足はまったくふらついていない。
 物理障壁を張って着地した私でさえ、軽く膝が笑っているのに。
「ねぇアスミ、聞いて。私は……」
「とりゃー」
 説得の言葉に返ってきたのは火球だった。
 やっぱり無理か、と思う。
 一度動き出したら止まらない性格なのは私もよく知っている。
 テレビを見出したらひとつの番組が終わるまで身じろぎしない。
 お菓子を食べだしたら横で戦争が始まっても無視して頬張り続けるだろう。
 彼女を突き動かすものは『関心』と『情動』だけ。
 そして今、彼女の情動は私を滅ぼすことにのみ向いている。

 これは罰だ。
 私は私のために彼女を裏切った。
 確かに意図してそうしたわけじゃない。けど、そんなのアスミにはそれこそどうでもいいことだ。
 言葉じゃアスミは決して止まらない。
 なら、どうすればいいんだろう。どうすれば償えるんだろう。
 ここでアスミに殺される? もちろん却下だ。
 じゃあアスミを殺す? ありえない。それも二重の意味で。
 一体、どうすれば――

「もえろー」

 言葉通りのものが来た。
「くっ!」
 とっさに冷気系の魔法で壁を張り、その場から全力で飛びのく。
 一瞬で気化した氷壁は軽い水蒸気爆発すら起こして消滅。
 力の違いがどれほどあるかは明白だ。

95確執編十五章:再動の荒野        3/7:2007/06/24(日) 22:35:23
 逃げるしか選択肢がなかった。
 正面からやりあえるほど力の差は小さくないし、そもアスミに攻撃すること自体が躊躇われる。
 建物の影に隠れるようにして、極力アスミとの線上に何かを配置する。
 けれど――
「おにごっこだー、おにを捕まえよー」
 すぐ背後から聞こえてくる声をこんなにうすら寒く感じたことはない。
 私も体力がある方ではないけど、それでも人並み以上に走れる自信はある。
 異常なのはアスミの速さだった。
 さっきの飛び降りといい、普段の彼女とは明らかに違う。
 そう。私は勘違いしていた。
 あの娘は、アスミは、私のような人間とは違う。

 あの娘、なんて表現をしているけれど、私より何十倍も長く生きているらしい。
 けどアスミは決してそんな素振りを見せない。
 魔法使いを自称しているのに、魔法を使うところを見たこともなかった。
 その意味について深く考えたことはなかった。
 自身で言うほど魔法が使えないのか、単に争いが嫌いなんだろう――その程度にしか。
『数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの戦闘の果てに正悪を決める心の秤を捨て、
争いをやめない愚か者に等しく「焦滅」を与える「現象」と化した』
 アスミは魔法を使えないんじゃない。使わないんだと『彼』は言った。
 理由は、何となくだけどわかる。
 強すぎる力を持つと理性が破壊されてしまう。その危険性は私も知っている。
 アスミはああ見えて、きっと誰よりも強い。
 自分の力に殺されないよう、これまでずっと戦い続けてきたんだから。

 彼女が力を振るうのは、自分の力に負けた者だけ。
 自分の力で人を傷つけようとする者だけ。
 つまり――私だ。

96確執編十五章:再動の荒野        4/7:2007/06/24(日) 22:36:05
「ストップ」
 その言葉を聞いた時は、かなり息が切れてたこともあって心臓が止まるかと思った。
 てっきり『ここ』には自分達以外誰もいないと思っていたからだ。
 けど、暗闇の中目をこらしてみれば、それは見知った顔だった。
「……プリシス?」
 何故こんなところに、なんて質問は無意味だと途中で気づく。
「あなたも…今の私を否定する?」
 プリシスはわずかに驚いたような顔をして、それから笑う。
「あたしは最初からアンタもアーチェも否定する気はないよ。
 ケンカなんて少しでも仲良くなったらして当然じゃん」
「……ありがとう。優しいね、プリシスは」
「別にいーって、友達でしょ?」
 何の気なしに言ってくれる彼女の言葉が、何より心にしみてくる。
「で、リディアはどうするの? このままじゃアスミに追いつかれるのは時間の問題だよ」
「あっ……!」
 現状を思い出して慌てて背後を振り返る。
「あー、大丈夫。少しだけ時間を寄越せって言ってあるから」
「……そう」
 あの状態のアスミをどうやって留めているんだろう。
 何かがひっかかる。
「私は…どうしたら、許してもらえるのかな」
「アスミに? それとも、アーチェに?」
「……アスミに」
 プリシスの目が、ほんの少しだけ悲しそうに歪んだ、気がした。
「あの娘に関してはあたしよりリディアのが詳しいと思うけど……」
 プリシスは小さく一度かぶりを振って、
「今のままじゃ絶対に止まらない、らしい」
 こくりとうなずく。伝言形であることも含めて。
「彼女を止めたかったら、一度『リセット』するしかない」
「リセット?」
「アスミの純粋さは機械のそれだからって。あたしが聞いたのはそれだけ」
 機械の純粋さ。私には意味がわからない。
「プリシスは、それでわかったんだね」
 応えの代わりに、プリシスは何かをこちらに投げてきた。
 受け取って眺める。それは飴玉だった。
「あたしが気づけたんだから、リディアだってわかるよ」

97確執編十五章:再動の荒野        5/7:2007/06/24(日) 22:37:13
 私はすべてから目を背けることで信頼を失った。
 私の怒りや苛立ちは、すべて私自身のものでしかない。
 けれどそれによってもたらされるものは、私の周りにも被害を及ぼす。
 誰にも迷惑をかけないなんて無理だ。
 人は生きてる限り、誰かに迷惑をかけるしかない。

『彼』が何を求めているのか、何となくわかってきた。

 そうして、私は彼女と対峙した。
「アスミ」
 私は車が横に4台は通れる大きな通りの真ん中に立っていた。
 普通ならこんなことをしたら数秒で怒られるだろうけど、この世界では何の気兼ねも必要ない。
「アスミ、私の声が聞こえるかな?」
 アスミはのんびりとした顔で、右手をかざす。
 胸がどうしようもなく痛い。強く噛み締めた唇の痛みが気にならないほどに。
「今から私は、あなたを止めるよ」
 そして、私も右手をかざす。思考を即座にシフト。
 アスミは――敵だ。

「――神よ。意思通ずるなら、応えて!」

 耳をつんざく神竜の咆哮。
「すごくおっきー」
 さしものアスミも、その巨体に目を丸くしている。
「アスミ」
 そう彼女を呼んだのは、しかし私じゃなかった。
 声の方に視線を遣れば、そこには飄々とした風貌が立っている。

「構いません。『全力』でどうぞ」

 その声は、焼け付くようなこの空間でなお、ひどく冷たく響いた。
 アスミの目つきが――わずかに、変わる。
 可愛らしい声だけはいつもと同じまま、おそろしい早さで詠唱を紡ぐ。
「おしごとー」
 ……なるほど、と思う。
 昨日の彼女が全力じゃなかったという話は、虚勢でも脅しでもなかった。
 魔界から召喚されたもう一体の竜は、神の御前で世界を割る咆哮を発した。

98確執編十五章:再動の荒野        6/7:2007/06/24(日) 22:38:36
 召喚魔法というと他者の力頼みという印象を受けるかもしれない。
 けど、そうじゃない。
 完全な『顕現』とは異なり、召喚士の開く道を介してしか存在出来ない『召喚』では
その力を100%発揮することは適わない。
 結局、術士の力に依存することになる。
「いけー」
 相対する火竜の危険性を悟ったか、バハムートはその場から大きく退いた。
 その火竜はおもむろに口を開くと、周囲の酸素を食い散らかして火柱を吐き出した。
 ビルに直撃しては粉砕し、山に直撃しては豆腐のように貫いて、地平線の向こうに消えていく。
 ここまですさまじいともう笑うしかない。
 ――もちろん、退くつもりはなかった。
「お願い。私と一緒にあの娘を止めて」
 こういうのも神に祈るって言うんだろうか。
 私の全力はアスミに遠く及ばないけれど。
 覚悟なら、今の彼女にだって負ける気がしなかった。

 神竜が大きく息を吸った、気がする。
 それは初動。月に降り注ぐ、星をもまたいで輝く美しき御柱。
 大気が、啼いた。
 私の魔力に依存したメガフレアじゃ、アスミの火竜には敵わない。
 ならば――足りない力は数でカバーするしかない。

「彩れ――フレア」

 魔法と召喚のダブルタスク。
 初めて試すけど、魔法はちゃんと発動した。
 空間爆砕系の魔法を回避するのは容易じゃない。
 二重のフレアは火竜に直撃した。アスミの魔力がどれだけ膨大でも、この威力を殺すことは出来ない。
 火竜の存在は私にとっても都合がよかった。アスミを相手にするよりもはるかにやりやすい。
 再び火竜が口を開いた。狙いは――バハムート。 
 レーザーのような炎が一直線に神竜を貫く――直前、私は召喚を解いた。
 膨大な力量に大気が乱れ、風が吹き荒れる。
 さらわれそうになる髪も無視して呪を紡ぐ。
 火竜の次の一撃より早く唱え終わらなければ、その時点で敗北が確定する。

 一撃にありったけの全力を込める。
 小さく祈る――どうか、アスミに当たりませんように。

「堕ちろ――メテオ!」

99確執編十五章:再動の荒野        7/7:2007/06/24(日) 22:39:42
 頭が真っ白になった。
 酔っ払うって、こういう感覚なんだろうか。
 目が回る。気持ちが悪い。
 自分が地面に倒れたことにさえ、最初は気づかなかった。
 メテオを使った経験は片手で数えられる程度しかない。
 さっきのダブルタスクが想像以上に無理があったのかもしれない。
それにしても気絶するとは思わなかった。
 頭を振って、立ち上がる。
 あぁ――わかっていたこととはいえ、直視するのが憚られる。

 あたりは荒野と化していた。
 綺麗だったたくさんの歴史的建造物も、すべて消えてしまっただろう。

 ――アスミ、は?
 いた。月の表面みたいにクレーターが続く中、彼女はぽつんと一人立っていた。
 火竜の姿はない。あの巨体に隕石が直撃したならひとたまりもなかっただろう。
 アスミは放心したようにその場に立ち尽くしていた。
 彼女を支配するものは極めてシンプルだ――気に入らないものは、滅ぼす。
 圧倒的な力はそれを可能とし続けてきたはずだ。
 今だって、別にアスミは負けたわけじゃない。
 ほんの一瞬、私の覚悟が彼女を上回っただけ。
 まだ余裕がある彼女に対して、私にはもうマッチの火くらいの炎を出す魔力も残ってない。

 ――けど、これで、終わり。

「アスミ」
 呼びかける。目が霞んで、アスミがこちらに反応したかどうかはわからない。
「いいもの、あげよっか」
 言う私の手に握られているのは、たった一個の飴玉。
 さっきプリシスからもらったものだ。
 私にアスミの信念を破壊することは出来ない。
 出来ることがあるとしたら、それは――
「食べない?」

 何かがこちらに駆け寄ってくる。

 私は残されたわずかな意識でそれを感じ取る。

「たべるー」

 私の手を握ってくる、温かい感触。


 ――それが、最後に認識できたものだった。

100ピエット提督 ◆ltk3xwOrlM:2007/07/03(火) 19:21:42
遠い昔、遥か彼方のエレブ大陸で…

戦争だ!イリア地方は無慈悲な残存帝国軍参謀総長ジェリルクス中将による攻撃によって、焦土と化していた。
英雄達は両陣営におり、邪悪はいたるところに存在する。この激動の最中、残忍な機動艦隊の指揮官ニーダ大佐
はイリアの中心都市エデッサを急襲し、エデッサ城と天馬騎士団の団員の捕縛に成功する。残存帝国軍が価値あ
る人質と共に祝杯を挙げる中、十条軍は暗黒支配から人々を解放すべく、行動を起こしていた…

101:2007/07/03(火) 19:54:03
>>100
プラント首都・アプリリウス 十条 翼宅

ロイ「…ティト、気が乗らないなら…アプリリウスで待っててもいいんだよ?」
ティト「ロイ、生まれ故郷を取り返すんだから…私も一緒に行かせて」
ロイ「いいのかな…?もしかしたら知り合いが人質に取られてるかもしれないし…」
ティト「それはありえるけど、それを理由にあの人達をやっつけないのはもっと嫌だ」
翼「2人とも…そろそろ、行くよ?」
ロイ「ああ、わかってる…」
ミヒロ「今回は私も一緒に行く!」
コレット・エレノア「私達も行きます」

今回のパーティー編成
翼(賢者)・ロイ(ロード)・エレノア(ヴァルキリー)
コレット(神子)・ミヒロ(マージファイター)・ティト(ペガサスナイト)


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