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持ち帰ったキャラで雑談 その二

29確執編十二章:振り返りの推奨      4/7:2007/05/31(木) 20:44:15

 ・零日目 サイド:リディア

「アンタが早苗さんに懐くのは勝手だけどさ。あたしに妙な同情するのはやめてくんない?」
 怒気を孕んだアーチェの声を、どこか遠くで聞いていた。
 同情。確かに、そう捉えられてもおかしくない。
 ――けど、釈然としない。
 私が無言を貫くことを受けて、アーチェがさらにまくし立てる。
「アンタは記憶があるから、幻想を重ねられる。あたしにはそれがないから出来ない、とか?
 ……その考え方が、どれだけ高いとこからあたしを見下してるか、アンタわかってるわけ?」
「……ってない」
「え?」

「そんなこと…私、言ってないじゃない!」

 自分でも驚くくらいの声量が出た。
 これは予想外だったのか、アーチェも思わず言葉を止めた。
「勝手に被害者ぶって、悲劇のヒロイン気取って、私を悪役にしないでよ!」
「なっ……」
 もともと後ろめたさから圧迫されていた感情が、アーチェの言葉を引き金にして爆発した。
 頭の片隅で、自嘲気味に考える――あぁ、私は今、大切なものを壊そうとしている。
「そうだよ。私は早苗さんに『お母さん』の姿を見てた。
 それはアーチェにそこまで責められなきゃいけないこと?」
「あたしの話聞いてた? んなのはどうでもいいの! あたしは……」
「嘘」
 ぴたりと、アーチェが硬直する。
「どうでもよくないから、そうやって声を荒げるんじゃない。
 アーチェだって私と同じなのに、自分には出来ないから私につっかかってくる」
 今の私はきっとひどく嫌な顔をしているだろう。
「本当にどうでもいいなら、同情云々なんて言葉を使って私を否定したりしない。
 あなたは記憶を持ってないから、私に嫉妬してるだけ!」
 取り返しのつかないことをしているのは、わかっていた。
 けど、止まらない。堰が決壊した時点ですべては手遅れだった。
 アーチェの顔から、一切の感情が消えた。
「……言ってくれんじゃない」
 それは今だかつて見たことのない、アーチェの本気の怒りだった。
 この火力に比べれば、『彼』との諍いの時のなんてマッチの火くらいのものだろう。


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