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持ち帰ったキャラで雑談 その二
20
:
対峙編 3/7
:2007/05/22(火) 22:05:22
無為に時を刻むのが好きだった。
何をするでもなく。何を求めるわけでもなく。
時の移ろいと共に影が伸び、夕焼けに染まり、そして夜の帳に包まれていくのを
ただ眺めているだけで、全身に震えが走るほどの幸せに包まれた。
安上がりな幸せと思う者もいるかもしれない。
それでもいい。幸福を独り占めというのも、退屈だが、悪くはなかった。
故に、今日もここにいる。
大概一人で。たまに、数人で。
鳥居の奥、神が住まうと言われる社の庭で、彼はぼんやりと佇んでいた。
「お月見? 風流だね」
「……風土が流れ行き渡ると書いて、風流。実にいい言葉だと思いません?」
声のした方を見れば、そこには落ちかけた帳の中でも映える桜色の髪。
だが、その有り様に彼は思わず眉を潜めた。
「どうしたんです? この寒空の下で着衣水泳でもしてたんですか?」
アーチェは見るも無残なほどびしょぬれだった。
髪からは今なお滴が地面に引かれて落ちている。
「ねぇ、『ライール』」
ぞくりと、体が震える。
それは動揺と幸福がない交ぜになった不思議な感覚だった。
「…………珍しいですね。名前で呼ぶなんて」
「アンタがそう望んだからじゃない?」
冷たい微笑。彼は曖昧に笑みを返す。
「アンタさえ望めば、あたしは自ら望んで何でもしちゃうんじゃないの?
だって――あたしはアンタの操り人形に過ぎないんだから」
「………………」
「けど、アンタはそうしない。あたし達に触れようともしない。
――善人でも気取ってるつもりなワケ?」
「違います」
即答。
「俺は自分を善人だとは思ってません。何故なら、俺は俺が望むことしかしてませんから」
その言葉に、アーチェは一瞬だけ微かに笑みを浮かべた。
即座にそれは怒りの形相へと変わる。
「……なら、何であたしはアンタのことが許せないのよっ!」
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