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持ち帰ったキャラで雑談 その二

12確執編十一章:ギリギリの導き      7/8:2007/05/13(日) 21:42:33
 確かにリディアはあたしと同じ魔法使いだ。
 普通の人に使うのと違って、たとえ全力で力をぶつけたところで死ぬとは限らない。
 事実、あたし達は一度本気でぶつかり合ったこともある。
 だけど――いや、だから。
 あたしはいつの間にか、魔法が持つ力を失念してた。

 その力は、人一人をこの世界から消すには十分過ぎるってことを。

 ――あたしは、何てことを…
 自分のやろうとしたことに愕然とした。
 怒りに任せて、そんな当たり前のことを忘れてたなんて。
 アイツや春原に対して自然に使ってたことも、それに拍車をかけてたのかもしれない。
 けど何を言ったところで、すべてはいいわけだ。
 事実は、消えない。

「――アーチェ、早く!」

 その声に我に返った。
 折りしも、セリスの持つ細身剣が弾き飛ばされ、地面に突き立つところだった。
 膝を突くセリス。――早く、と叫ぶ。
 早く? 早く、どうしろっての?
 決まってる。魔法だ。
 魔法を使わないと。
 でないと、セリスは『アクマ』の剣に――
 けど、あたしが魔法を使えば、今度こそ誰かを殺してしまうかもしれない。
『アクマ』か、セリスか。
 あたしに命の重さを決める資格なんてあるんだろうか。
 敵だから攻撃してもいい? 違う、そんなのは自己の正当化だ。 
 けど、『何もしない』って選択肢はあっても、『決定を先送りにする』なんてのはない。
 けど、けど、けど――

 ……あぁ、またあたしは、いいわけをしてる。

「……決められないよ」
 涙が、頬を伝った。
「決められるわけ、ないじゃん」

「――なら死になさい」

 世界が、暗転した。


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