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持ち帰ったキャラで雑談 その二
93
:
確執編十五章:再動の荒野 1/7
:2007/06/24(日) 22:33:17
・三日目 サイド:リディア
その時が来ても、私はもう驚かなかった。
いきなりドアが吹っ飛んだ。極限まで凝縮された紅い炎が部屋を一直線に貫く。
昨日は気がつかなかったけれど、あの娘の使う炎はとても綺麗だった。
それは大気に存在するあらゆる生きる糧を根こそぎ蒸発させる破滅の炎であり。
一片の淀みも残さずすべてを終わらせる浄化の炎でもある。
生まれついての資質なのかはわからないけれど、私は回復や防御といった支援系
――いわゆる白魔法が苦手だった。
幼い頃はまだ多少は扱えたのだけれど、今ではもうまったくだ。
だから、身を守りたければ力に力をぶつけるか、あるいは退却するしかない。
躊躇いなく後者を選ぶ。窓を開け、飛び降りた。
次の瞬間、背中に届く爆音と熱風。
一方で私は翠の髪を宙に躍らせながら落下。
ちなみにさっきの部屋は4階。地面に激突するまで、数秒もかからない。
けど、たった一言を紡ぐのには十分な時間だ。
「偶然《ラプラス》の祝福よ。意思通ずるなら、応えて!」
直後、私の体は地表と重なる。
まず足が地面に触れた。これが顔からだと、どうやっても致命傷という悲しい結末が待っている。
激痛がつま先から脊髄、そして頭まで突き抜けた。目にはうっすらと涙が浮かぶ。
そして、それだけだ。
「ありがと、アスラ」
私が唯一喚び出せる支援系の幻獣――アスラににこりと笑顔を返す。
そして、上を見上げた。
窓から覗くのは少女の顔。
いつもとまったく変わらない――『悪魔』の笑みをたたえる少女。
戦いが――始まった。
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