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持ち帰ったキャラで雑談 その二

27確執編十二章:振り返りの推奨      3/7:2007/05/31(木) 20:42:26
 だけど、それはある時突然失われた。

 始まりはアーチェの一言だった。
「リディア。アンタ最近ずいぶん早苗さんにひっついてんね」
 何気ないその一言に、何故か私の背中に冷たいものが走った。
「……そう、かな?」
「うん。なんかこう、母鳥の後ろについてまわる小鳥みたいな?」
 ぴく、と私の眉が動いた。
 今のアーチェの言葉は何かおかしかった。
 内容が、というより、そこにまとわせた雰囲気が、だ。
「偶然じゃないかな。早苗さん、いつも率先して家事してくれてて、何か申し訳ないし」
 これが彼女でなかったなら、正直に胸の内を明かしていたかもしれない。
 けれど、私はアーチェの過去を知っている。
 彼女は物心ついた時に母親を失っている。私と同じように。
 だから、そう。

 ――それはきっと、後ろめたさと表現されるものに違いなかった。

「ふーん」
 アーチェの返答はそっけない。
 それだけなのに、私の心は激しく漣(さざなみ)立った。
 何だか、遠まわしに嬲られているような気がした。
 後ろめたさに付随する感情が何なのか、その時の私はまだ気付いていなかった。
 と、それまでそっぽを向いていたアーチェがこちらに向き直った。
 目が合う。
 そして、彼女はその言葉を口にした。

「じゃあさ。なんでアンタ、『しまった!』って字を顔に貼り付けてるワケ?」

 激しく鼓動が跳ね、全身が凍りついたように動かなくなった。
 ――見透か、された。
 ようやく気づく。
 これまでの会話は、私を秤にかけていたのだと。
「何か気になってたんだよねー。度々ちらちらとこっちの顔を伺うような素振りしてたじゃん?
 ……ねぇリディア。まさかとは思うけど」
 嫌な汗が流れ、インナーが体に張り付くのに煩わしさを覚える。
 ――本当、何だかすごく、イヤな感じ。
「アンタ、あたしに申し訳ないとか思ってない?」
 後ろめたさに付随するもの。

 それは自己防衛のための苛立ちだと、気づいた時には遅かった。


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