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持ち帰ったキャラで雑談 その二

38確執編十三章:落日の語り草      7/7:2007/06/09(土) 21:38:29
「前者の場合は簡単なんです。互いに相手に文句を言い合って喧嘩すれば、それで終わる。
 何故なら喧嘩の結果、互いに相手を知ることが出来るから。
 一方、後者の場合はそうはいかない。喧嘩の原因は相手ではなく、自分の中にあるんですから。
 そこに、『理解の無理解』です。信頼とは、時にもっとも残酷な刃となる。
 二人はまさか相手があんな言葉を自分に向けてくるとは考えてもいなかった。
 自分自身でさえ持て余していた感情を相手に指摘され、抉り出され。
 ――結果として、互いに傷つけあうしか二人に道は残されてなかったんです。
 ……そんなこと誰一人として望んでいなかったのに」
「…………」
「こうなると一度衝突したぐらいじゃ何も解決しない。むしろこじれる。自己防衛本能が働きますからね。
 複雑に絡んだ糸を解くためには、一度二人を引き離した方が良かった」
「だから、旅行先を2つに分けた?」
 うなずく。
「彼女達は互いに喧嘩の原因が自分にあることを理解している。けど認められない。
 それを認めてしまうと、自分の信念を自ら否定することに繋がってしまうから。
 だから相手を否定する。それにさらに自己嫌悪を覚え、それさえ認められず――悪循環です。
 赦したくても赦せない。そんな袋小路の中にいる。

 ――二人が『魔法』を使おうとしたのは、ひょっとしたら自分の非を認められない
   狭量な自身に対してだったんじゃないかと、俺は思うんです」

 眩しさに目を細める。
 いつの間にか立ち上がったプリシスが、灯りのスイッチを入れていた。
「最後に。二人に、アスミと『アクマ』をぶつける理由は?」
 上から見上げるような体勢で、彼女は言う。
 何故か、それを自分が見上げる行為はひどく背徳的な気がした。苦笑して、目をそらす。
「自分の間違いを認められない人間ほど、ガラスのように強くて脆い信念に縋りたがる。
 一度徹底的に負ければ、自分の弱さに嫌でも気づかされるでしょう?」
 あの二人じゃアスミや『アクマ』には勝てませんし、と付け加える。
「間違いを支える信念はいらない、か……」
 アスミが寝返りを打つ。そろそろ目を覚ます頃合いだろう。
「結局、お節介で茶々入れてんじゃん」
「そうですね」
「嫌われるね」
「そうですね」
「このことちゃんと話したら、二人も考え方変えるかもよ?」
「そうですね」
 苦笑。
「それが出来れば、苦労しないんですけどね……」


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