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持ち帰ったキャラで雑談 その二

44確執編十四章:当たり前の気づき方    6/6:2007/06/21(木) 22:25:11
「独りになんて…しないです」
 その声に私は我に返った。
 早苗さんじゃない。後ろから聞こえてきたその声は、
「………………なぎ、さ」
 いつから聞いていたんだろう。
「ぐすっ……私達は、ずっと家族です。だから…ずっと一緒にいましょう」
 涙で顔をぐしゃぐしゃにして嗚咽を殺す渚に、私は思わず息を飲んだ。
「あのな、お前。なんかよくわからんが、一人で溜め込むな」
 頭を思いっきり撫でられた。
「秋生…さん」
 彼はとても苦々しい顔をしていた。私にはその理由がわかる。
 だから、どうしようもなく嬉しい。
「辛い時は俺らを頼れ。泣きつけ。そんで問題を押し付けろ。
 迷惑がかかると思うか? けどな、ガキに迷惑かけられるほど嬉しいことはないんだよ、親ってのはな」
 ――この人は、私が苦しんでることに心を痛めてくれている。
 さらに私の胸に飛び込んできたのは、
「風子……」
「風子との鬼ごっこはまだ終わっていません。勝ち逃げはよくないです」
 言ってることは相変わらずだったけれど、しがみついてくる腕ごしに想いは伝わってきた。
「私は……」
 ――本当に、馬鹿だ。
 すぐ近くにいたのに。息が重なるほど近くに、私を見てくれている人はいたのに。
「リディアさん」
 目の前の早苗さんが、笑った。
 いつものとびっきりの笑顔で、

「これが、『家族』ですよ」

 心の澱が、涙となって流れ落ちていく気がした。

 ――お母さん、ごめんなさい。
 最後までお母さんを見続けることが出来なくて。
 目の前の自分しか見えていなくて。
 今頃になって謝ったりして――ごめんなさい。


 私をここまで歩ませてくれて、ありがとう。


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