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持ち帰ったキャラで雑談 その二
25
:
確執編十二章:振り返りの推奨 1/7
:2007/05/31(木) 20:40:03
・二日目 PM2:00 サイド:リディア
その中に踏み入った瞬間、私の中で何かが変わった。
それはこの世界が作る大気によるものか。
あるいは、ここが出来てから今まで流れてきた時間に、私の心が囚われたせいかもしれない。
もう何百年も前に建てられたのだという、木造の古びた建築物。
視覚が構築する風景をそのままに言語化してしまえば、ただそれだけでしかない。
けれどそれは刻まれてゆく時計の針の中、世界という根源に根を張って。
いつしか静謐な原初の記憶に溶け込んだ。
今の私はこの建物を通して、『いつでもないいつか』の果てに触れている――
「リディアさん。詩人ですね」
え、と思って振り返れば、そこにはいつもの早苗さん。
「ひょっとして…声、出してました?」
「はい。とても素敵な表現だと思います」
どうやら意識で語るのを忘れた分、無意識が勝手に言葉を紡いでいたらしい。
「いえ、言ってる私にも意味のわからない言葉ですし」
独り言を聞かれた(しかもポエム風だ)気恥ずかしさを、わたわた手を振ってごまかす。
ただ、と、
「あらゆる物事に始まりはあって。けどそれは途方もなく昔のことで。
私はそんな昔の世界を知ってるわけじゃないのに、この建物の今を知っている。
――それはきっと、どんなものにも勝る幻想。
刻まれた時間が長いほど、多くの人がそれに触れて。確かめて。
けど、それでも――私達が知ってるのは『今』だけなんですよね」
早苗さんは答えない。
やっぱりこの人はすごいと思う。
私がこの言葉にこめた意味に気づいたから、何も言おうとはしない。
私は朝からずっと『あの日』のことを考えていた。
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